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1957-03-28 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第21号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年三月二十八日(木曜日) 午前十一時十分開会
—————————————
委員
の異動 三月二十七日
委員田中啓一
君辞任につ き、その補欠として
平島敏夫
君を議長 において指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
堀
末治
君
理事
重政
庸徳
君 東 隆君
清澤
俊英君
河野
謙三
君
委員
青山 正一君
秋山俊一郎
君
雨森
常夫
君
佐藤清一郎
君 下條
康麿
君 柴田 栄君 仲原 善一君 堀本 宜実君
安部キミ子
君 北村 暢君 鈴木 一君 上林 忠次君
島村
軍次君 千田 正君 北條 雋八君 国務大臣 建 設 大 臣 南條 徳男君
政府委員
農林政務次官
八木 一郎君
農林省畜産局長
谷垣 專一君
建設政務次官
小沢久太郎
君
建設省河川局長
山本 三郎君
事務局側
常任委員会専門
員
安楽城敏男
君
説明員
農林省農地局管
理部長
立川
宗保
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
土地改良法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
農林水産政策
に関する
調査
の件 (
特定多目的ダム
に関する件)
—————————————
堀末治
1
○
委員長
(
堀末治
君) これから
委員会
を開催いたします。 本日は、
土地改良法
の一部を
改正
する
法律案
を議題に供します。
農林省
からは
農地局管理部長
の
立川
君が見えております。どうぞ御
説明
をお願いいたします。
立川宗保
2
○
説明員
(
立川宗保
君)
土地改良法
の
改正案
の
要点
につきまして、一
通り
御
説明
を申し上げたいと思います。お手元に参っております新旧の対照のものがございますが、これをごらんいただきますと一番御便利かと思います。
土地改良法
の
改正
の
法律案
は、
修正個所
、
改正個所
がだいぶ多岐にわたるのでありますが、大ざっぱに申しまして、
要点
は三つに分れます。 第一の点は、従来
土地改良法
のいろいろな
手続
が非常に煩瑣にわたりまして、各
方面
からこれを
簡素化
、能率化することがよろしいという御
要望
がございましたのにこたえまして、いろいろ
簡素化
、
合理化
をはかりました点が第一でございます。 それから第二は、別途今国会に御
提案
を申し上げております
特定土地改良特別会計法
に
関連
をいたしまして、この
土地改良
の
特別会計
で処理をいたします
工事
につきまして、その
基礎
を若干
土地改良法
に
規定
をいたしたということが第二でございます。 それから第三は
団体
の
規定
でございまして、
土地改良
の
事業団体連合会
を設けることにいたしました。その
団体
の
規定
でございます。
一つ一つ
申し上げて参りますと、まず第一の点は第六条でございます。第六条を今回の
改正
で削除いたしました。この
趣旨
は、従来
土地改良
区の
設立手続
といたしまして二段がまえになっておりまして、まず
土地改良事業計画
の
概要
につきまして、
都道府県知事
が
事業
の
適否等
を
認定
をいたしまして、その次に、その上に立って
土地改良事業計画
の
審査
をいたしまして、
土地改良
区の
設立
を認可する、こういうことになっておったのでありますが、実際は、この
土地改良事業計画
の
概要
の
審査
、それから
土地改良事業計画
を含めた
土地改良
区の
設立手続
の
審査
ということはダブっておりまして、二重手間である、煩瑣である、こういう御
意見
が非常に強いのでございまして、今回はその
事業適否
の
認定手続
を
省略
をいたすということで、第六条を削除いたした次第でございます。 その次の
要点
は第十八条の六項のところ、
役員
の
任期
でございます。従来
役員
の
任期
は二年といたしておりましたが、
土地改良
区の
仕事
は、御
承知
の
通り
、非常に長期にわたるのであります。ところが、二年で
交代
ということになりますと、
事業
を着手してきわめて短期間に
交代
をする、せっかく
事務
に精通して的確に
仕事
が処理できるようなときになりますとすぐまたかわる、こういうことになりますので、はなはだ不便である、もう少し長くしたい、こういう御
要望
が大方の御
意見
でございました。そこで、かように四年にいたしたのでございます。そこで、ついでながら、
土地改良
区の
総代
の
任期
は従来とも四年でございまして、今回それも符節を合せるということになった次第でございます。 第三点は第二十三条、
総代会
の
定数
の
規定
でございます。従来で申しますと、
総代会
の
定数
は
定款
で定めておるわけでありますが、千人
未満
の
メンバー
の
土地改良
区については四十人以上でなければならぬ、それから五千人
未満
の
土地改良
区については六十人以上でなければならぬ、五千人以上一万人
未満
の
土地改良
区については八十人以上でなければならぬ、一万人以上の
土地改良
区では百人以上でなければならぬ、こういうことになって最低限がきまっておったわけでございますが、
総代
の
定数
が
現行法
では非常に多くて、
総代会
を招集する場合に非常に
経費
もかかる、なかなか交通その他の
関係
でも不便であるというようなことで、もう少し減らしたい、こういうことが各
方面
の御
意見
でございました。これを尊重いたしまして、
定数
を改めまして、従来四十人以上というのを三十人以上に、六十人以上というのを四十人以上に、八十人以上というのを六十人以上に、一万人以上の一番大きな
土地改良
区は百人以上というものを八十人以上というように、若干ずつ人数を減らした、こういうことでございます。 次に第四点は、第二十九条の三の
条文
を新しく挿入をいたしました。これは仮
理事
の選任でございます。これは
理事
、監事が欠けまして
役員
の職務を行う者がない、そのために
役員
がだれもおりませんので、
土地改良
区の
仕事
の
運営
がとまってしまって、次の
役員
が選任できないというようなことがありましたりして、非常に困るという場合でありまして、
組合員
や
利害関係人
からの請求があったときは、
都道府県知事
が仮
理事
を選任いたしまして、あるいは
役員
を選挙するための
総会
を招集して
役員
を選挙させるということにいたしたのでございますが、従来は実はこういう
規定
がございませんので、たまたまこういう
役員
がすべて欠けてしまったというようなときに、はなはだ困惑をしたというような事態がございまして、ほかの
立法例
にもならいまして、かような
規定
を設けた、こういうことでございます。 次に第三十九条、これは
土地改良
区の
賦課金
の徴収の
規定
でございます。従来の
現行法
で申しますと、
賦課金
を
土地改良
区が課しまして、それをなかなか納めないという場合には、
強制措置
といたしまして、
地方税
の
滞納処分
の例によって
処分
をする、こういうことになっておったのでありますが、今回これを全面的に改めましたが、
要点
は、まず
地方税
の
滞納処分
の
手続
を執行する前に
滞納
の
督促
をする、こういうことを入れたのであります。で、やはり
督促
をするのが常識でございますが、三十九条の
規定
には、
督促
をしなくてもいきなり
滞納処分
にかかってもよろしいということになっておりますので、まず
督促
をしてそれでもなかなかできないという場合に初めて
滞納処分
の
処置
をやる、こういうことを
規定
した。で、
督促
の
時効中断
の効力を生ずるということも、あわせて明記をした次第であります。 次に第六点は、五十三条の二の
規定
であります。これも新しく設けました
規定
でありますが、これは
区画整理
の
仕事
の
換地
に関する
規定
でありますが、
現行法
では、
区画整理
をいたします場合にはすべて
土地
は
土地
と交換をして、従来
農地
を持った人は新しい
農地
を交換してもらうという
規定
でございました。ところが、非常に小
面積
の場合に新しく
土地
をもらわぬでもよろしいという
当事者
がある場合もございますので、しかも御
承知
のように、
区画整理
をやりますときには、おおむね耕地の一
区画
の
面積
を大きくいたしまして、
普通区画
一反というような
区画
を作るのでありますが、一畝とか二畝という小
面積
の場合に、その小さな
面積
の小
区画
を作って
換地
をするという、現在でもそういうことを余儀なくされておって、
農業経営
の
合理化
上困るというような点もございました。そこで、今回新たに設けました
規定
の
趣旨
は、二畝以下くらいの非常に小
面積
の場合であって、そうしてその
当事者
が、権利を持っておる人が
土地
による
換地
を必ずしも希望しない、金でもらってもよろしい、こういう場合には、金でお払いすることができる、
金銭清算
ができる、こういうことを
規定
をした次第であります。 その次は八十六条で、
国営
または
都道府県営
の
土地改良事業
に関する
規定
でありますが、これも
手続
の
簡素化
であります。
現行法
では、これも二段がまえになっておりまして、
国営
、
都道府県営
の
土地改良事業
をやります場合には、その
事業計画
につきまして
予備審査
をやり、さらに
予備審査
を終りまして、
木審査
をやる、こういう二段の
手続
をやっておりました。そのつど、
予備審査
の
過程
及び本
審査
の
過程
で、
都道府県知事
が
審査
をいたします場合には、その
事業計画
の
内容
を
公告縦覧
をしまして、異議、
意見
の申し立てということを求めておったわけでありますが、従来
昭和
二十四年以降今日までやっております実情を見ますと、
意見
が出る場合には、もう
予備審査
の
過程
で出てしまう。そこで、これはよろしい、あるいはいけないという
決定
をして
手続
を終えますと、本
審査
の
過程
で出る場合はほとんどまずない、こういうようなことになっております。しかも、その
手続
が二回にわたりますために、数カ月を要しまして、
土地改良事業
の着手が非常におくれる。田植とか、あるいは急いで
仕事
をやらなければならぬという場合に、その
手続
のために非常にいろいろなおくれを来たすというようなことがあって、これはもう全くダブる
規定
でございますから、一回にしろという御
意見
が非常に強いわけであります。そこで、今回は
予備審査そのもの
は
省略
はいたしません。
予備審査
をやり、本
審査
をやるという二段の
手続
をとりますが、
公告縦覧
というのは本
審査
の
過程
で一ぺんに済ませまして、
予備審査
のときは
技術
的に
都道府県
が
審査
をする、こういうことにとどめて、スピード・アップをはかるという
工合
にしておるのであります。これは、先ほど第一の
要点
で、
土地改良
区の
設立手続
の
簡素化
を申し上げたのと同じ
意味
でございます。 それから第八の点は、第八十七条の二、これは
申請
によらない
土地改良事業
であります。これは
土地改良法
の体系では、
土地改良
の
事業
はもちろんでありますが、
国営
または
都道府県営
でやります
土地改良事業
につきましても、まず
地元
の
耕作者
からの
申請
が
原則
でございます。
申請
によらないで
政府自体
が発動をして、
地元
の
同意
をとって、つまり
政府自体
が
イニシアチブ
をとって、
地元
の
同意
が第二次になるということを
原則
としておりません。ところが、いろいろやって参りますと、不便な場合も出て参りますので、特に今回は、八十七条の二の二項の二号の場合でありますが、
発電
とか水道とか、こういうほかの
方面
から
ダム
を建設する、いわゆる
多目的ダム
、こういう
発電
のための
ダム
を作る、その際につけ加えて、
農業水
にも水をとって、あわせて
農業水利事業
を行うという場合も近ごろはいろいろ出てきたわけであります。ところが、その場合にも、なおかつ
地元
の
土地改良
区がまず
発案
いたしまして、その上で
政府
がそれに応じまして
多目的ダム
の一部をなすところの
土地改良事業
をやるというふうにいたしますと、この
発電
とか、そういうものがずっと先に行きまして、こちらの方はなかなか、
地元
の
手続
をまずやる、
発案
をまずやるというようなことをやっておりますために、時間がおくれて、ついに乗りおくれてしまう。あるいは
農業
の側が向うの
実施計画
に合わず、非常に不便を来たすという場合もございますので、これは、今回御
提案
になっております
特定多目的ダム
を含めて非常に広い
意味
の
ダム
、
発電
を主としての
多目的ダム
というものももちろん含めます。そういうものの
仕事
が行われるという場合に、
農業
がこれに乗っかろうという場合には、必ずしも
地元
の
発案
を待たずに
政府自身
がこの
仕事
をやるということをまずきめまして、しかし、この際に必ず
地元
の
同意
は必要であります。
地元
の
同意
なくしてこの
仕事
はもちろん行わないわけでありますけれども、
イニシアチブ
のとり方をまず
政府
の方からとる、こういうことが非常に必要でございますので、そういう
意味
の
規定
を設けたわけでございます。 次に八十八条の二でございます。これはいわゆる
特定土地改良事業特別会計
の
関係
の
規定
でございますが、ここに掲げておりますような特別の
土地改良工事
でありまして、そしてその
工事
を
特別会計法
の
規定
によって早くやる、早く完了させるという場合には、従来のやり方と違いまして、
事業費
の一部について
借入金
をもって財源とする。
国営事業
でございますが、初めから
全額国費
でスタートをいたしませんで、
国費プラス借入金
でやるということを
規定
をいたしたわけでございます。これは御
承知
の
特別会計
に照応する
規定
でございます。 それから次に、九十四条の二以降ずっと九十四条の八あたりまで、新しい
条文
が入りましたのでありますが、これは
土地改良財産
の
管理
に関する
規定
でございます。これは従来は
土地改良法
の
政令
でみな書いてあったことでございますが、今回これを
法律
に上げたということで、
内容
は従来の
政令
と変っておりません。 次に九十四条の八であります。これは、埋め立て、
干拓
によって生じました
土地
、これは今回の
特定土地改良工事特別会計
に入るわけですが、つまりその埋め立て、
干拓
の
土地
につきましては、今回
土地改良法
でその完成後の
土地
についての
処置
をここにきめたのであります。
干拓事業
によって造成されました
土地
を
入植者
、
増反者
に
配分
をさせるさせ方、それからそれによって
配分
を受けた
人たち
は
土地
の
所有権
を取得をいたします。で、それに応ずる
負担金
を納める、こういうことが九十四条の八に
規定
をしてございます。 次に、第四章
土地改良事業団体連合会
という章がございます。百十一条の二以下です。これは実は、この第四章
土地改良事業団体連合会
を四角い
カッコ
で囲み、それから自後の
規定
もみな四角い
カッコ
で囲まなくちゃいけない。つまり全部新しい
規定
でございますが、これが
冒頭
に申し上げました
土地改良事業団体連合会
の
規定
でございます。この
土地改良事業団体
は、その構成を申しますが、
土地改良
区、
農協等
の
土地改良
を行なっております
事業団体
の
協同組織
として設けたわけでございます。で、
都道府県
あるいは
全国
を区域とするものでございまして、
任意加入
であります。それでこの
団体
の
仕事
は、
土地改良事業
に対する
技術
の
援助
、
情報
の
提供
、
調査研究
、こういうようなものでございまして、従来はこの
土地改良
の
団体
といたしましては
土地改良
区
連合
という
規定
があったのですが、その
土地改良
区
連合
といいますのは、複数の
団体
が共同して
事業
を行うという場合の
規定
でございまして、この共同して
事業
を行わない場合には、普通の
土地改良
区その他の
土地改良関係
の
団体
が
組織
をする
規定
、
団体
の
規定
ではなかったわけです。ところが、この各地にいろいろ
公益法人
あるいは申し合せの
団体
として、
土地改良協会
でありますとか、そのようなものがあるのでありますが、新たにこういう
団体
の
連合会
を作りまして、これによって
技術者
を確保をしたい、お互いにその
仕事
の
技術援助
をしたいということで、この
土地改良
区あるいは
土地改良
を行う
団体
全体の能率を高めたい、こういうのがこの第四章の
趣旨
でございます。 大体大要は以上の
通り
でございます。
河野謙三
3
○
河野謙三
君 ちょっと伺いますがね、今一番最後に御
説明
願った
土地改良事業団体連合会
ですか、これは
経費
はどこでまかなうのですか。
立川宗保
4
○
説明員
(
立川宗保
君) これは
会員相互
の
醵出
でございます。
河野謙三
5
○
河野謙三
君
会員相互
の
醵出
には違いありませんけれども、それはまた、それぞれの
土地改良
の
組合
なり
団体
がもらった
補助金
の何%というようなことで、出すのじゃないですか。
立川宗保
6
○
説明員
(
立川宗保
君)
補助金
を
天引き
をして、いきなりこの
団体
の
経費
に充てるということは、絶対に
承認
をいたさないつもりでございます。
河野謙三
7
○
河野謙三
君
補助金
の
天引き
は
承認
しないけれども、
醵出
の方法としては、自然に落ちつくところはですよ、いただいた
補助金
の何%というものが基準になって、
連合会
の費用に充てられるということになるのじゃないですか。
立川宗保
8
○
説明員
(
立川宗保
君) この
経費
の
配分
の仕方といたしましては、この
連合会自体
が
定款
なりあるいは
総会
で
決定
をいたしますととろによりますわけでございまして、それは特別の規制の仕方を考えておりませんが、ただ
補助金
をいきなり、このそれぞれの
事業費
に充当することなく、中間でカットをして、いきなりこの
団体
の
経費
に充てるということ、そのことは
承認
をいたさないつもりでございます。
河野謙三
9
○
河野謙三
君 それはね、右の手でとるか左の手でとるかという違いだけであって、それはお
役所
の頭のいい人が考えるところのごまかしであって、同じことですよ。私はいつも、どうしてもこの
連合会
について納得がいかないのは、その
目的
は
会員
の行う
土地改良事業
に関する
技術的援助
、
土地改良事業
に関する教育及び
情報
の
提供
、
土地改良事業
に関する
調査
及び
研究
、
全国連合会
にあっては
会員
たる
地方連合会
の
事業
の
指導
、それはみんな
農林省
の
農地部
なり各
府県
の
農地部
がやる
仕事
であって、ダブっていやしませんか。あなた
たち自体
が、本来の使命として与えられている
仕事
ですよ。これらのものを、さらにこういう
協会
を作ってやらせるということは、いわゆる悪い
意味
の、最近言われるところの悪い
意味
の
外郭団体
を作るということです。しかも、あまりぬけぬけしく
法律
でこういうものをやるということは、僕は疑いがあるのですが、どうですか。
立川宗保
10
○
説明員
(
立川宗保
君) たとえば
土地改良事業
に関する
技術的援助
でございますが、これは
都道府県
あるいは国も、かようなことをやるつもりでございます。しかし、一方考えてみますと、
土地改良
を行う農民の
団体自身
が、いろいろ
基礎
を固くしまして、
運営
を
合理化
しまして、みずから優秀な
技術者
を持つ、そして特に
一つ一つ
の、個々の
団体
が持つことはあるいは
経済
上無理かもしれませんが、県なら県の全体の
組織
が強くなりまして、しっかりした職員を持って、県全体の
土地改良事業
をやる、みずから
団体
の力で
援助
をしていくことは好ましいことだと存じます。でありますから、今御
指摘
のような
問題点
はないとは申しませんけれども、このようなほんとうの
趣旨
で健全な
団体
が伸びるということはけっこうなことだと考えておる次第でございます。
河野謙三
11
○
河野謙三
君 まあ
言葉
の上の
説明
は、非常にそういうようなきれいな
説明
になるのです。
実質
は、私が
冒頭
に申し上げたように、
補助金
何%をもって
経費
に充てる、そうしてそれを
運営
する人は各
府県
の、はなはだ口が悪いけれども、その方の定年になった人とか古手の役人をもって、それに押しつけるということなんですよ。そういうことなんです。あなたの方じゃ、
任意加入
ということで逃げておられるのですが、これは、こういうものは
法律
でできた以上は、
任意加入
ではあるけれども、これは
強制加入
に落ちつくのですよ。私は、
強制加入
ということにならなければ、
言葉
に現われている
通り
、
任意加入
で入りたいものは入る、各
組合
の自主的な
意見
でやるということでいくならば、まだいいと思うのです。そうじゃないでしょう。必ずしもそうじゃないのですよ。私は断言します。そういうことは、私は困ると思うのだがね。それで、しかも、なけなしの
補助金
を分けて、この
補助金
の、わずかなものであっても、何%というものをこの
経費
に充てる。何をするかというと、それは
役所
本来がやる、
農林省
なり県なりがやる
仕事
をこれはやるだけのことなんですよ。
役所
なり県の
指導
だけでは足りないところもあるでしょう。こういうものはごくまれな
組合
であって、そういうものは自主的に、
組合員
の
同意
をもって、各
組合員
の
連合会
なりが
経費
を自主的に、
補助金
なんかと
関係
なく、やればいいのだ、
法律改正
する以上は。従来の
土地改良協会
その他の、一体あなたは悪い点ばかり聞いて、いい点は聞かないのです。そこで、もう一方従来の
土地改良協会
と、これに類する
団体
ができたら、これはどうなるのですか。全部整理されるのですか。
立川宗保
12
○
説明員
(
立川宗保
君) これはそれぞれの法規に基きます
団体
でございますから、これは、これができましたからそちらを解消するという、直接の
関係
はございません。ですから、成立しても一向かまいませんが、たとえば、従来の
団体
はこれができたことによって機能を失ったというようなことになりますと、あるいはそれは解散することになるのではなかろうかと思います。
河野謙三
13
○
河野謙三
君 そうすると、従来の
土地改良協会
その他、
森林何とか
にしても、すべて
農林省
の
外郭団体
で、みんな
協会
として、これは
補助金
を
天引き
ではないのですけれども、
補助金
の何%かをもって、例をあげれば……。そうでしょう。そういうことになりはしませんか。これはあなたの方で、
法律改正
のときに、これでかりにいいと百歩を譲っても、その場合には従来の
土地改良協会
その他のものを整理して、それでこれに変えるということならわかるけれども、こんな
補助金
の油虫ばかりついては困る。そうじゃないですか。
立川宗保
14
○
説明員
(
立川宗保
君)
補助金
の
天引き
ということについてきつく御
指摘
でございますが、それが、
補助金
の
天引き
ということが適当でないということは私も同感でございます。従って、ある
意味
で申せば、これは率直に申しますと、
補助金
の
天引き
でないようなものを、だんだん
合理化
していこうということを実は考えておるわけであります。
河野謙三
15
○
河野謙三
君 それは
ライス
・
カレー
というのと、
カレー
・
ライス
というのと、同じことだと思うのです。(笑声)どこも違いはないですよ。 そこで、それではもう
一つ
伺いますが、その
連合会
の経理の
指導監督
を、
農林省
がされるのですか。
立川宗保
16
○
説明員
(
立川宗保
君) これは
団体
の
地区等
によりますが、
農林省
及び
都道府県
で
監督
をいたします。
河野謙三
17
○
河野謙三
君 その場合に、では、
実質
上、形式上は別として、
補助金
の
天引き
ということになった場合には、
農林省
は
承認
しませんか。
立川宗保
18
○
説明員
(
立川宗保
君) そのことは
補助金
の
適正化
の
法律
にもなると思いますが、
承認
はいたすつもりでございます。
河野謙三
19
○
河野謙三
君 ほかにもいろいろ
問題点
がありますけれども、隣りの
島村
さんが私に
関連
して質問があるそうです から……。
雨森常夫
20
○
雨森常夫
君
関連
。百十一条のこの「
土地改良事業
の適切かつ効率的な
運営
を確保し、」と書いてあるのだが、どういうことを主としてやろうとして いるか、具体的に何か
一つ
か
二つ例
を言ってもらいたい。
立川宗保
21
○
説明員
(
立川宗保
君) 一番やはりとの
団体
の
仕事
として
中心
の
仕事
にしていただきたいという
工合
に考えておりますのは、百十一条の九の一号「
土地改良事業
に関する
技術的援助
」、この
団体傘下
の
メンバー
の
団体
に対しまするところの
技術援助
を、
技術スタッフ
をもちまして、
中心
にやりたいと考えております。
雨森常夫
22
○
雨森常夫
君 私の聞いて知っておるところでは、現在の状態、県によって違いますが、大体県の
技術者
というものが、
土地改良
をやろうとする
組合
なりその
農業団体
においては、
計画
とかあるいは
設計書
とかを作る
技術
的なものが何もない。能力もないし……。県に頼んでも、県の
技術者
が手が回らないでなかなかやってくれないということで、非常に困っているところがたくさんある。そういうふうなものを、
組合
なり
農業
の
団体
が、自分で早くやりたいということで、
技術者
を雇うのにはまた
経済
上の浪費がかかる。そういう共通した何か
技術者
の
団体
というようなものがあって、そこから派遣されて行くというような
組織
になれば、それは非常にけっこうなことだと思う。そういうふうな場合には、その特定の他の
組合
は、適当な
経費
を負担して出して、そうしてやっていくということになるのは当然だと思うのです。だから、今ちょっと
河野
さんのお話もありましたが、
補助金
の
天引き
で、そういう
仕事
をやる者もやらぬ者も、事情のある者もない者も、
補助金
をもらったら
天引き
してとるのだという格好ではないかと私は思うのですが、その点どうなんですか。
立川宗保
23
○
説明員
(
立川宗保
君) ただいま
雨森
委員
のおっしゃったような方向にこの
団体
はなることを、私どもは期待をしているわけでございます。
清澤俊英
24
○
清澤
俊英君
関連
。私ちょっとお伺いしたいことは、いろいろ中央会等を作られると、多額の国の
補助金
がこの会にあるから、それでやらなければ、
雨森
さんのおっしゃった
技術者
を使うわけにはいかない。だから、それをかかえるために多額の
補助金
を出す、これが前提になっていくのですか。
立川宗保
25
○
説明員
(
立川宗保
君) ただいまのところ、この
団体
の
技術
職員の設置の費用を、国費で
援助
するということは考えておりません。それで、私どもはやはり、有能な
技術者
が置かれまして、それが置かれますことによって、その
技術者
にたとえば設計の
審査
をしてもらうとか、あるいは設計の
指導
をしてもらうとかいうようなことによって、非常にその傘下の
土地改良
区その他の
団体
が受益をいたしますに応じまして、その
経費
を
団体
そのものがやはり負担をしていくということが一番堅実な道であろうかと考えるわけです。
清澤俊英
26
○
清澤
俊英君 それで、これは資料を要求するのでありますが、これは新潟県に起きておる実情を申し上げますと、
土地改良
によって非常な不正事件がたくさん起きておりましたり、また
工事
の
賦課金
がだんだんふえて、それの負担ができないというので、競売に付せられる場所等が十日に
一つ
ぐらいずつ出ておるわけですが、こういう傾向は
全国
的なやはり傾向じゃないかと思いまするが、その点はどうですか、新潟県特質の傾向ですか。
立川宗保
27
○
説明員
(
立川宗保
君)
全国
各地に非常にさようなたくさんな例があるとは思いませんが、まあ新潟が非常に多いかどうか、その辺の比較をするちょっと私材料を手元に持ちませんので、的確には申し上げかねます。
清澤俊英
28
○
清澤
俊英君 それで、私はあなたの方からの資料を出していただきたいことは、そういったような紛争が
土地改良
によって起きたものの資料を
一つ
、区分して、不正事件によって紛争が起きたもの、あるいは
負担金
が納められないで一部脱退が問題になったもの、その次には
負担金
がどうしても納められないということで
借入金
の延期を願ったというような問題、またそのほかに詳しくいったら統計としてはたくさんおありでありましょうが、それを大体において、できるだけ各県の資料を
一つ
お願いしたいと思います。
千田正
29
○千田正君 今の
清澤
委員
の御質問に
関連
して、われわれの県にも起きておるのですが、
土地改良
を
中心
として、農民から一応の会費を徴収したりして、
一つ
のいわゆる何といいますか、期成促進の
団体
でありますが、この
団体
の諸君がいわゆる
土地改良事業
に対するところの建設の土木業者等々と結託をして、いろいろな不正事件が起きておる。それがまあ結局裁判問題等になって、まことにその農民に及ぼす影響は好ましくない、こういうことに対して、幸いにこの
改正
法が出ると同時に、
農林省
の
指導
方針を厳にしなければ、このしわ寄せがいつでも農民にばかり来ると。県庁の役人だとか、あるいはその
土地
のボス連中が結託して、農民から入ってきたところのそうした会費等を
中心
として、あるいは土建屋と組んで、土建業の機械の購入にしても借り入れに対しても、莫大なそうしたもののさやをとったりして、非常な忌まわしい事件が起きておる。こういう問題に対しては、やはり今後よほど
指導
をしていかなくちゃならぬし、厳にそういうことは戒めてもらわなければならぬと思いますが、あなたの方では、そういうことに対する
指導
に関する考え方は、どういうふうに考えておりますか。
立川宗保
30
○
説明員
(
立川宗保
君) ただいまお話のございましたような事柄は、非常に残念でございまして、そういうことはぜひすみやかになくさなくちゃならないと思いますが、いろいろ従来も努力をしておりますが、まだその点についてさらにこれを強化をする必要があると思います。 で、まあ
農地
局自身で最近やろうと思い、あるいはやりつつありますことは、各
農地
事務
局及び
農地
局に、
事業
に対する監査の
組織
を設けまして、少し徹底をした自己監査を、法人に対する監査をやりたいということで、すでに昨年の暮その
組織
を発足をいたしました。それから
土地改良
区そのものの経理の、これは検査あるいは
指導
ということも両三年以来やっておりますが、非常に経理その他が、必ずしも悪意とは限りませんけれども、いろいろ乱れたり、能力が足りないために非常にきちんとしていない、不整理というようなところも非常に多うございます。そこで、この点は従来にも増して、
土地改良
区そのものの経理及び
事業
の監査、
指導
を強めて参りたい、こう考えております。
島村軍次
31
○
島村
軍次君 先ほど
河野
委員
からお話しになって、実際問題としては、
府県
の
土地改良
強化というものを形を変えるのですね。それはあっさり言われた方がいいじゃないのですか。
立川宗保
32
○
説明員
(
立川宗保
君) 私は、その形を変えるということは、必ずしも見通しておらないのでございまして、従来の
土地改良協会
について、それはその長所も短所もございましたでしょう。で、今回は
法律
をもってこういう
団体
を設けまして、先ほど申しましたような有意義な
組織
を打ち立てる、こういうことを期待しておるわけです。
島村軍次
33
○
島村
軍次君 あのね、そのあまり四角張った御答弁では、それはわれわれ
内容
は大体わかるのですがね。 とにかく、私は資料を要求したいのですが、今
土地改良協会
というものは
全国
と
府県
にあるのですが、あの
経費
ですね、これは予算経理を含んでいると思うのですが、この
経費
どのくらい要しておるか。それを種別に分けて——種別というのは
府県
と
全国
とですね。それを
一つ
お示し願いたいことと、 それからここの百十一条の十三によりますと、農林大臣が認可するのですか。
立川宗保
34
○
説明員
(
立川宗保
君) さようでございます。
島村軍次
35
○
島村
軍次君 それから
経費
の点ですが、まあ従来からずっとあるのですが、会費の負担というのは、
河野
委員
のお話しになったように、大体
土地改良協会
というものは、
補助金
というよりは、
工事
費の何分というようなもので
天引き
をするという慣習があるのですね。それは
地元
の人は、どうも補助をもらうんだから、
天引き
されるのはいやでこたえられぬのだけれども、しかし、どうもお
役所
が世話してやられるんだからして、これやむを得ぬということで、そこで今度はこういう
法律
を作られるとすれば、そういう点については、一体賦課の方法は、今考えておられるのは、どういうことを基準に置こうというふうに考えておられるか。この
土地改良
連合会
の賦課の基準はどこに置こうというふうな考え方ですか。
立川宗保
36
○
説明員
(
立川宗保
君) これは私どもだけでも参りませんので、各その地方の
土地改良
区なり、あるいは
土地改良事業
を行う
団体
等の御
意見
もさらに伺わないといけないと思いますが、やはり
経費
はその能力と受益に応じて出すべきである。でありますから、結局申しますれば、
土地改良
区の具体的な力あるいは
事業
の規模、あるいは
組合員
、まあそういうような能力と受益ということに基準を置いて賦課をするのが妥当ではないかと考えております。
島村軍次
37
○
島村
軍次君 そこで、先ほどの
説明
によりますと、
技術的援助
とか、
情報
交換というのですがね。実際問題としては、これは国で相当出しておるし、
府県
でも人がおるわけですね。そこで新たにこういうところにさらにこういう
連合会
を作るということになれば、これは
経費
が今の
土地改良協会
よりは相当ふえてくると思うのですね。それはまあやり方の問題でありますが、ふえるという前提を持たねばならぬ。そのしわ寄せは、やはり
工事
費なり
補助金
の方で、また
農林省
の
補助金
の補助率を上げるというような問題に
関連
を私は持つのじゃないかと思うのです。そういう点は一体どう考えておられるかということと、それからもう
一つ
は、たとえば
土地改良協会
が従来セメントの購入なんかに権利を持っておる。そうして、やはりこれは
一つ
の
経済
行為を持っておるというようなのがあるのです。事実はあっせんとか何とかといっているけれども、やはり手数料として
天引き
してある、それが
一つ
の大きな財源になっているのがある。そういう問題については、あなたの方では御存じですか。そんなことはないと思うという御
意見
であるのか。もしそれがあるとするならば、これは本来やるという
仕事
よりは逸脱しておる問題じゃないかと思う、この
事業
目的
に比して。そんなことは
連合会
を作らせたらやらぬのだと言われるかもしれませんけれども、そういう問題についてはどう考えておられるか。
立川宗保
38
○
説明員
(
立川宗保
君)
経費
が増高をし、負担がふえるという問題でありますが、これはこの
団体
がかりに非常に先ほど申しましたようなことを能率的にやりまして、そのために、現在以上に非常に傘下の
土地改良
区その他の
団体
が利益を受ける、非常に有利であるという場合に、その限度において負担がふえるということは、これはよろしいことではないかと思いますが、この
団体
ができたために、いたずらに何も
意味
がなく負担がふえるということにはぜひならぬようにいたしたいと考えております。
島村軍次
39
○
島村
軍次君 後段の問題は。
立川宗保
40
○
説明員
(
立川宗保
君) 今の、
団体
がいろいろ
経済
行為、商行為等を行なっておりますことは、本来の
趣旨
ではないと思います。やはりまじめに、先ほども申しました
土地改良
に対する
技術
的な
援助
、あるいはその他の、全体が利益をするということを
中心
に現実に進めるべきものだと考えます。
島村軍次
41
○
島村
軍次君 これは一体、
法律
上は、私は
法律
の解釈の問題ですが、公法人的な取扱いですか、
任意加入
ですから私法人とも見られるでしょうが、その扱い
関係
はどうなりますか。
立川宗保
42
○
説明員
(
立川宗保
君) これは公共的性格を多分に持ちます
土地改良
区の集まった
組織
でありまして、しかも
土地改良事業
等をさらに合理的にやっていきたい、こういう
趣旨
の
目的
を持っておりますから、公共的な
団体
だと考えます。
島村軍次
43
○
島村
軍次君 公共的の
団体
として、まあよくいわれる
公益法人
ですか。
立川宗保
44
○
説明員
(
立川宗保
君) いわゆる民法で申す
公益法人
ではないかと思いますが、公益的な色彩を多分に持った特別の法人であると考えます。
島村軍次
45
○
島村
軍次君 それなら、
一つ
議論の余地があると思うのですが、そこでなおお聞きしたいと思いますのは、この
連合会
を作ることによって、
農林省
の
経費
が、たとえば
監督
規定
なんかがあると思うのですが、
経費
はどのくらい要するのですか。
立川宗保
46
○
説明員
(
立川宗保
君) 現在この
土地改良
区についていろいろ、経理検査、経理
指導
を行なっておりますが、やはりこの
土地改良事業団体連合会
ができますと、それに対しても検査
指導
をやらなければならないものと存じますが、その数はやはり非常に膨大な数になるというのではなしに、
全国
単位のものと、それから
都道府県
単位のものというものになると思いますので、
経費
を積算してはまだおりませんけれども、そう大きな
経費
ではないと考えます。
島村軍次
47
○
島村
軍次君
農林省
では、この
法律改正
に伴って、予算上の措置を講ぜられたかどうかということです。
立川宗保
48
○
説明員
(
立川宗保
君) その
監督
、監査の
仕事
は、現在
土地改良
区の監査、
監督
のための
経費
がございますので、さしあたりその一部をもって実行していく。将来の推移を待って、あるいは特別に、この
団体
連合会
についての
経費
を必要といたしますほど多額になるといたしますと、また予算上の措置を将来考えなければならぬと存じます。
島村軍次
49
○
島村
軍次君 先ほどお答えのあったセメント等の権利を持って、売買の権利を持ってやるというようなことは、現にやっておるとすれば、将来この
連合会
の
法律
化した場合における
仕事
としては不適当であるので、そういうものは絶対に
事業
の中にはやらせぬ、こういうふうなはっきりしたことをここで御言明ができますかどうか。
立川宗保
50
○
説明員
(
立川宗保
君) その
事業
の
内容
でございますが、セメント等の資材をどういう
工合
にこの
団体
で扱いますか、それの
内容
を当該問題として
一つ一つ
当りませんと、正確には申しがたいのでございます。先ほど申しましたように、全体として公益的な
目的
を持って、この
法律
に書いておりますような
事業
を行うということでありますから、純粋の商行為的なものを行うことは不適当であると考えます。
島村軍次
51
○
島村
軍次君 それは
事業
のうちにはもちろんあげられないと思うのですが、認可されるのですから、そういう場合に、今の
土地改良協会
のやっておる
仕事
等がそのまま、この
法律
によって認可を受ける場合においては、はっきりした洗いざらいといってはおかしいですが、そういう問題を
一つ
よく考えていただかなければいかぬと思うのです。これは相当問題のあるところもあるのですから、希望を申し上げるとともに、こういう問題についての考え方を、よくこの
事業
の
内容
を
審査
、認可される場合に、十分の私は
監督
が必要だと思うのです。そこでさらに、この
規定
にはよくわかりませんが、
監督
規定
というものは認可をするだけで、準用
規定
の中にこの
監督
等の
規定
があるのですか、帳簿を検査するとか……。
立川宗保
52
○
説明員
(
立川宗保
君) これは第百十一条の二十三の
規定
におきまして、
土地改良
区の
監督
規定
も準用しております口
島村軍次
53
○
島村
軍次君 そうしますと、会計上の検査もやり得る、それから
役員
については認可はないようでありますが、これを解任するとかいうようなことも、この運用
規定
の中にあると思うのですか。
立川宗保
54
○
説明員
(
立川宗保
君) これは
役員
の
承認
というようなことはございませんのでありますが、経理を検査をいたしまして、その
土地改良
区が違法あるいは法令、
定款
に違反するというような場合には、
団体
そのものに対して
監督
措置をできるということになるわけでございます。
島村軍次
55
○
島村
軍次君 一応それでは、あとありますけれども、
研究
をした上で、またさらに質問を保留しておきます。
千田正
56
○千田正君 今の
島村
委員
の質問に
関連
してですが、この
公益法人
であるかどうか。ただいまいわゆる人格なき法人に対する課税という問題が、今度のいわゆる税
改正
の非常な問題になっているのです。大蔵省当局としては、人格なき法人、法人である財団法人であれどんな法人に対しても、課税の対象として考えていく、やっていくということなんですが、この改良
事業
を行う際に、たとえばブルトーザーを借りてきてそこを開墾して、一応ここを何する、使用料をある場合においては払うのだが、場合によってはそれがその
土地
の
協会
の
事業
としてやっていく。たとえばさっきもセメントのような場合、これは課税の対象になるかならぬか、こういう問題はどういうふうに考えておられますか。
立川宗保
57
○
説明員
(
立川宗保
君) 税の
関係
は実は、はなはだ不勉強で申しわけありませんが、ただいまちょっと、的確なお答えをいたしかねますので、
調査
をいたしましてお答えいたします。
千田正
58
○千田正君 今の問題は、これは何も
土地改良
に関する問題でなく、
農林省
の
関係
に関しましていろいろ法人があるとしますと、これに対して、いわゆる大蔵省の考え方は、人格なき法人に対して課税する、こういうことを今度の税
改正
に織り込んでおりますので、法的には非常に疑義があるわけです。
公益法人
のようなこういう問題に対しても、課税されるとするならば課税されて、
事業
をやったが損失した場合に、さらにまた課税されるということになると、農民層に対して非常にこれはしわ寄せになってくる。これは
研究
の余地があると思いますから、このお答えはいずれ後日に承わるといたしまして、
研究
していただきたいと思います。
鈴木一
59
○鈴木一君 この
連合会
は、各
土地改良
区からぜひこういうものを作ってもらいたいという
要望
が強くて、それにこたえてやられたのですか。
立川宗保
60
○
説明員
(
立川宗保
君) これはいろいろ、この経緯をここで申し上げるのは適当かどうか存じませんが、
土地改良協会
の
全国
の
団体
がございます。あるいは地方にもいろいろ
団体
がございますが、そのようなところから、一両年来、
法律
的にきちんとした
団体
を設けて、そういう
団体
でしっかりした
仕事
をやるということにしてほしいという
要望
はございました。
鈴木一
61
○鈴木一君 実際、この下部の
土地改良
区の
会員
になっている農民は、なお一そう金のかかるようなこういうものができることは、決して私は望んでいないだろうと思うのですよ。
技術
の確保とか
援助
とかいうようなことは、当然これは国なり、県なり、市町村が積極的にやるべきで、今の陣容が足りなければそれだけの予算措置もしてやるべきであって、それを全部またこの農民の方にしわ寄せしていくというようなことは、少くとも私は下部の農民は
要望
なんかしていないだろうと思うのですね。だから、こんなものをやっても、決して私はうまくいくと思わないのですよ。そして最後は、今の県あたりの余った職員の配置転換策に、これもあるいは、先ほど
島村
さんが心配されたような、いろいろな
事業
に
関係
して汚職を働くというようなことが関の山じゃないかと、私は思うのですがね。まあこれは悪い面ばかり申し上げては恐縮ですけれども、そういうようなことになるのじゃないかと思うのですよ。 今、
土地改良
区の問題について一番必要なことは、実際の経理
指導
をもっと親切にしっかりやってやろう、大体国の
補助金
の範囲内でまかなって、
賦課金
なんか出さないでやっていこう。そこへ土建屋が介入して、それを陰で
援助
しているというのが、今の
土地改良
区の経理の実態だと思うのですね。そういうものをもっと
指導
すべきであって、こういう
連合会
というものができたら、かえってむしろ不明朗なものをさらに負わせるような結果になるのじゃないかということを、実際を見てそういう疑念を持っているのですが。
河野謙三
62
○
河野謙三
君 今この
連合会
を作って、
全国
の
都道府県
の
土地改良協会
ですか、現在これらからの強い
要望
があってと言うのですが、私はほかの県は知らぬが、神奈川県の
連合会
もその中に入っておりますか。ゆゆしき問題です。
立川宗保
63
○
説明員
(
立川宗保
君) 神奈川県がどうであったか、ちょっと今
承知
しておりませんが、
全国
の
土地改良協会
が会議の議決で、こういうものをぜひ作ってほしいということを議決をしたことはございます。
河野謙三
64
○
河野謙三
君
全国
の会議といえば、神奈川県も日本の国に間違いないのですが、入っていると、こういうことですね。
立川宗保
65
○
説明員
(
立川宗保
君) その際に出席していらしたかどうか、あるいは反対なすったかどうか、はっきり存じません。
河野謙三
66
○
河野謙三
君 私はなぜこういうことを聞くかというと、私の県に関する限りは、
土地改良協会
なんというのは警察の前の代書屋と同じようなもので、あれば使うが、なければなくてもいいのだ、そんなことです。だから、あなたの方はもっと末端の事情をよく調べられたらいい。
土地改良
区の
全国
の
団体
の要求もけっこう、これは代表であるからけっこうです。さらにもう
一つ
皮をはがして、その下に行って、実際にどういうふうに運用されているか、農民がこれに対してどういう批判をしておるか、もっと聞かなければならない。
法律
を作るには、世論
調査
か何かやられましたか。
団体
だけの
要望
ですか、それは。
立川宗保
67
○
説明員
(
立川宗保
君) いろいろ
土地改良事業団体連合会
についての御批判でございますが、従来の
土地改良協会
に対するいろいろな御
意見
は、伺っているのであります。ただ、先ほど申し上げましたように、
土地改良事業
に関する
団体
が要らぬという考え方には、私どもは立たないのでありまして、これはやはり非常に有意義な
団体
があって——それが
政府
の力、あるいは県の力は万能ではないのでありまして、そういうような自主的な
土地改良
団体
が生まれて、そのものが合理的な
仕事
をして、民間自身の力で伸びてゆくということが一番いいのじゃないかというように考えまして、ただいま御
指摘
のような点は、この
団体
の
指導監督
については十分留意をいたします。
一つ
の、農民の負担だけをいたずらに増すという
団体
を作るということは、いたしたくないと考えております。
河野謙三
68
○
河野謙三
君
関連
の質疑で長くなっておそれ入りますが、自主的な
団体
を作るというだけなら、何も
法律
を作る必要はないじゃないですか。そうでしょう。こういう
法律
に明記したということは、自主的な
団体
の発生するのを希望するというのではないのです、これは。そうでしょう。
任意加入
というが、ほおっておけばいいじゃないですか。ほおっておけば、自然に必要なものが生まれてくる。生まれたものについて、批判だけをしておればいい。そこはあなたのおっしゃるところと腹と違う。これはおかしいと思う。
清澤俊英
69
○
清澤
俊英君 今
河野
さんの言われたのは、非常に重要性があると思う。ということは、かりに
土地改良協会
の
全国連合会
が
中心
になってこういう
要望
をしたというが、今の
提案
で幾らかわかっているところがあるが、ただ
技術
的な
指導
をするために
技術
員を設けた方がよかろうというだけの点で、この法案の作成を
農林省
は
説明
されているが、同時に、
農林省
としても、各地に起きておる、私がさっき資料を要求したような事態の起きていることは、十分御
承知
であろうと思うのであります。そういうものについてもっと深く掘り下げて、何らかの手を打たなかったならば、そういうものが解消しない、こういう建前で本案を作られたのか、これらの点を総合的な
意味
において一応聞かせておいていただきたい。まだいろいろありますが、他は保留しておきます。
立川宗保
70
○
説明員
(
立川宗保
君)
土地改良事業
が完全に行われていないで、いろいろまだ
工事
監督
指導
、
工事
の
運営
自体について問題があるとか、あるいは
土地改良
区の経理とか
運営
とかいうものの問題とかいうような点で、これはわれわれの努力が足らないところが若干あろうかと思いますが、そのような点についての
監督
指導
の強化ということは、今の
事業団体連合会
を設けたということの直接に
関連
はないのでありまして、先ほど千田先生でございましたかにお答えを申し上げたかと思いますが、
工事
の
監督
指導
について、別に
役所
に監査
組織
等を作りまして、これは強化をして参る、こういうこと。それから
土地改良
区の経理
指導
というものは、これは
監督
の問題でございますから、
役所
自身の力でやる。この
団体
そのものは、
団体自身
がみんなに裨益する、
団体
自体に裨益するという方向に、自主的に伸びていってもらうというつもりでおります。
清澤俊英
71
○
清澤
俊英君 まだたくさん質問ありますけれども、保留しておきます。あまりせかんでもらいたい、この法案を上げるのに。
重政庸徳
72
○重政
庸徳
君 八十八条の二、
土地改良
特別会計
に
関係
ある
規定
がある。これを読んでみましても「その
工事
に係る
事業費
の一部につき
借入金
をもってその財源とすることができる。」、こう書いてある。その
借入金
の利子は
政府
が払うのか、国が払うのかということも明らかでないし、その次の「かんがい排水施設の新設又は変更で
政令
で定めるもの」、その
政令
もわからぬというふうな、またその二の「第二条第二項第四号に掲げる
事業
」、これは
区画整理
とか
干拓
とか、いろいろな
事業
があるが、その中で
干拓
を入れるとしても、もう済んだものもあるし、それから継続しておる所もある。また数年及び十数年今の歩調でいけばかかるものもあるし、それから新しくやる所もあるというような、いろいろな種類が入っている。これをどこで切ってどう入れるか。それを入れるということになると、それに対するいろいろな取りきめが必要になってくる。これが最も重大な問題なんで、これは
一つ
早くそういうのを出していただかねば、審議できないのです。衆議院ではこの法案を審議しておるのですか、そういうものは明らかに衆議院には出しておりますか。
立川宗保
73
○
説明員
(
立川宗保
君) ただいまお話のございました点は、
特定土地改良工事特別会計
法との
関係
が深いわけでございます。そこで、この点については、実は衆議院では本日まで本格的な御
審査
がございませんので、多少あるいはわれわれの方の資料の提出等がおくれているという点もございますが、お尋ねのございました八十八条の二の第二号の
工事
事業
でございますが、これにつきましては、この
特定土地改良工事特別会計
法の中に
規定
がございまして、
干拓
、埋め立てで
国営
代行
事業
は、新規分と継続分とを含めまして、この八十八条の二の取扱いをいたし、そこでただ、本法に新しい
改正
の
規定
に
干拓
あるいは埋め立ててできました
土地
の
処分
がございますが、この
規定
につきましては、すでに
工事
完了をしている地区、あるいはすでに
土地
配分
計画
で
工事
をしている地区、そういうものは除きまして、それ以外のものを改めました
土地改良
の
規定
で
処置
をする、こういうことになっておる次第であります。
重政庸徳
74
○重政
庸徳
君 それは大体薄々聞いておるのだが、そうすると、継続
事業
を入れることになると、今までの
事業
に対するものと、これから、三十二年度から
借入金
をやって進行させていく部分と、こういうふうに分れてくる、継続のものに対しては。そうすると、それに対して
政府
はどういう考えを持っておるのか、それをはっきり出していただかねば、それをほおかぶりして審議しようといっても、なかなかできない。これは農民に非常な、最も重要なことなんです。あるいは
政府
のきめようが悪ければ、将来経営が成り立たぬというような場合も生じてくるだろうと思う。だから、それを
一つ
早くきめて、衆議院が本審議をやっておらぬようならば、それが出なければできませんよ。
立川宗保
75
○
説明員
(
立川宗保
君) お話のように、非常にそれが
要点
であると存じますが、詳細な資料を提示いたしまして、御審議をいただきたいと思います。
堀末治
76
○
委員長
(
堀末治
君) これにて暫次休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 —————・————— 午後零時二十五分休憩 午後二時二十二分開会
堀末治
77
○
委員長
(
堀末治
君) これから
委員会
を開会いたします。 最初に
委員
の変更について御報告いたします。きのう田中啓一君が辞任されまして、
平島敏夫
君が選任されました。
—————————————
堀末治
78
○
委員長
(
堀末治
君)
特定多目的ダム
に関する件を議題にいたします。 この件については、
特定多目的ダム
法案に関して、前回の
委員会
において一応
事務
当局から
説明
をお聞き取りを願って、建設
委員会
へ
連合
審査
会を申し入れることに
決定
され、その
決定
に基いて手配はいたしております。しかし、その前に、当
委員会
において建設及び農林両省の首脳者の出席を求め、前回の農林水産
委員会
において問題になっておりました諸点について、重ねて
政府
の御方針を確認し、その結果によって、あらためてこの
法律案
の取扱いについて御協議を願うことにいたしたいと存じます。
政府
からは建設大臣及び、今参りますが、
農林政務次官
が出席しております。 御質疑の方は御質問をお願いします。
重政庸徳
79
○重政
庸徳
君 政務次官、農林大臣が……。政務次官が来ないとちょっと
工合
が惑い。それまで質問して、あとから政務次官に
委員長
からこの質問の意を伝えていただきたいのでありますが……。
堀末治
80
○
委員長
(
堀末治
君) それじゃ、堀本さん、先に。
堀本宜実
81
○堀本宜実君 私はこの前の
委員会
に欠席をいたしておりまして、基本的な問題を伺っておりません。まことに幼稚な質問になるであろうと思うのでありますが、従ってごく簡単に
要点
を質問をいたしたいと存じますので、簡単なお答えでけっこうなのでありますが、この
多目的ダム
というものを建設省で主管してやられる。ところが、やはり多
目的
な
土地改良
の
意味
を持った
ダム
もできるだろうと思う。建設省でやられる特定の
多目的ダム
と
土地改良
による
ダム
との根本的に違う面、そういうものについて伺いたいと思います。
南條徳男
82
○国務大臣(南條徳男君) 詳細は
政府委員
から申し上げた方がいいと思いますが、大体の事柄について私から申し上げますと、建設省で今度御審議願っておりまするこの
多目的ダム
は、従来もいろいろ各機関と協力いたしまして共同の
多目的ダム
をいたしておったのは、これは御
承知
だと思います。ところが、これを今回
管理
を一元化し、また
工事
を促進するという
意味
におきまして、
特別会計
によってこの
多目的ダム
の完成の
目的
を果したいのが主眼でありますが、
農林省
の方で考えておりまする
土地改良
による
多目的ダム
との相違はどういうところにあるかと申しますと、主として建設省の方の考え方は、治水——洪水のはんらんを防止するということが主眼で
ダム
を建設するものであります。でありますから、この割合が、
発電
、あるいは灌漑用水というようなものとの割合が、建設省の
ダム
におきましては治水の方に重きを置くということが、
農林省
の
土地改良
による
ダム
と違うとこだと思います。
農林省
側の
土地改良
による
ダム
の方は、その割合が、
土地改良
による、つまり灌漑用水を主眼としたものが割合が多い。これを
農林省
側における
多目的ダム
と、こういうことに相なると思います。大体のまあ分け方はそういうふうなことで基準を分けておる、こう解釈しております。
堀本宜実
83
○堀本宜実君 その割合というのは、たとえば治水のために必要であるという
ダム
であっても、その効用が、
発電
能力が非常に多いとか、あるいは灌漑用水、あるいはそれによって
土地
の改良が非常に広範に行われる場合もあるだろうと思う。そういう場合に、その主たる
目的
が治水だというけれども、そのよってきたる効用というものが土改良だとか、あるいは灌漑排水、あるいは
発電
というようなものに相当の効力を上げるという場合に、それを判別する、判定する要素となるべき
基礎
は一体どこにあるか。
南條徳男
84
○国務大臣(南條徳男君) 大体この
工事
の
計画
を策定するときに、基本
計画
策定のときに、この分野が大体わかると思うのであります。つまり洪水防御のための治水
関係
の
ダム
の建設部分が、その全体量の何十パーセントに当るか、もちろんそれに付随いたしまする灌漑用水の面も、これが何パーセントであるか、また
発電
のそれによって起る部分が何十パーセントか、こういうふうなことが基本方針を策定するときに、これが、
ダム
使用者側と建設省とその他
府県
側と折衝のときに、これがきまるのでありますから、そのときにこれが大体わかります。
堀本宜実
85
○堀本宜実君 この
ダム
ができますと、
ダム
の
管理
費と申しますか、つまり
管理
を今後続けていかなきゃならぬ、そういう場合に、治水に関する部分、
発電
に関する部分、あるいは灌漑用水に使う部分、あるいは上水道等のごとく、それぞれの
管理
分野があると思う。その
管理
分野に対して
管理
費の負担というものがきまると思うのでありますが、そういう場合に、従来は河川法の第四条第二項の
規定
に基きまして、共同の分担をいたしておって、国と県と、要するに受益者との分担費が
規定
されておるのですが、そういうことは、今回の特定
ダム
の建設あるいはその特定
ダム
の将来の
管理
費を分担する場合における
配分
の
基礎
は、どういうような考え方でやられるのか。
山本三郎
86
○
政府委員
(山本三郎君) でき上ったあとの
管理
費の分担の問題でございますが、分担するものは治水、それから特定用途としてあがっておりまする
発電
、上水道の担当者が持つわけでございまして、灌漑の受益者等は負担いたしません。負担の割合は、それではどうしてきめるかといいますと、
原則
といたしまして、建設するときに負担を持った割合がございます。その負担の割合で持ち合いをするという建前でおります。その際、
農業
の受益者負担を持った方は入りません。
堀本宜実
87
○堀本宜実君 それでは、その余水が、たとえば
一つ
のプールに流れ込んで貯水をされ、そうしてそれを再び灌漑用水に使うという場合においても、それは農民の負担は一切かけない、こういうことになりますか。そういうように解釈してよろしいかどうか、ということを一点まずお尋ね申し上げておいて、次の工業用水並びに
発電
というものについては、これは当然受益分野がいろいろ違って参ると思いますが、その
工事
に対しまする
工事
費の分担の割合によって将来の
管理
費をきめられるのか、あるいはその後の効用の効果率によってこれをきめられるのか。これは重大な問題だと私は思う。 それから、洪水に対する治水その他の
目的
で、特定の
多目的ダム
というものを建設するのでありますから、従来の
ダム
には、治水費というものを、今申し上げました河川法の第四条第二項によって、県に分担せしめておるのでございますが、こういうことはこの特定
ダム
にはないであろうと思いますが、かりにあるとすれば、私の
意見
としては、治水という問題によってこの
ダム
を建設するのに、治水のために県に負担をさすということは不合理だと思いますが、その点お伺いします。
山本三郎
88
○
政府委員
(山本三郎君) 第一番目の、余水をためてそれを利用するというような場合につきましては、将来の
管理
費は負担いたしません。 それから、治水に、持つべき分の分担金を持たせるか持たせぬかということでございますが、これは一般の河川の維持費、
管理
費等につきましても、地方公共
団体
が分担することになっております。その例にならいまして、国で支出した分に相当する分担金を国庫に納めることにしております。
堀本宜実
89
○堀本宜実君 そうすると、河川の
ダム
を建設した地域の所在県だけでなくて、数県にわたって河川が流れておる場合に、その割合は、
ダム
の所在地だけの県にかけるのでなくして、河川全体の
地元
が均分して割りますか。
山本三郎
90
○
政府委員
(山本三郎君) それは、
ダム
を作りましたその効果が、数県にわたる場合がございます。二
府県
以上にわたる場合がありますが、その際におきましては、
ダム
の所在地だけの県に分担金をかけるだけでなくて、それらの影響の範囲等を勘案いたしまして、分担し合ってもらうように考えております。
堀本宜実
91
○堀本宜実君 私の
意見
を申し上げますが、治水という国家的な高い立場でこの
ダム
を作ろうというために、
目的
がそこにありまする限り、治水という最も公共的な性格を帯びておるものに対しましては、この
ダム
の将来の
管理
費を地方に分担をさせることなく、国家が当然負担すべきものだと考えるのでありますが、そういうようなお考えはございませんか。従来のこの河川法に基きまする割合、それを今のところ変える意思はないのでございますか。
山本三郎
92
○
政府委員
(山本三郎君) 地方財政等の状況から勘案いたしまして、そういう案も考えられまして、
研究
しなければならぬ問題だと思いますけれども、
ダム
の
管理
費にいたしましても、あるいは一般の河川の直轄の維持費にいたしましても、あるいは改修
工事
の分担金にいたしましても、全般的に
関連
ある問題でございまして、検討しなければならぬ問題でございますけれども、この際その分担率をこれだけ変えるということは考えておりません。
重政庸徳
93
○重政
庸徳
君
多目的ダム
の
工事
を進捗して、その効用をすみやかに発揮するがために、適当な施設を定めるということは非常に必要なことであるので、こういう
意味
において、私どもは、このたびのこの
法律案
の
趣旨
は一応了といたしておるのでありますが、問題は、その実行にあるので、特に零細な農林水産
関係
にそのしわ寄せが全部及ぶということは、過去の経験において、われわれは痛切に遺憾といたしておるのであります。この
法律
の実施には、円滑に、いろいろな問題を生じないように、重要な事項でありますので、
政府
のほんとうに責任あるお答えをこのたびお願いいたしたいと思うのであります。 第一に、法案の第二条によりますと、
多目的ダム
は
発電
あるいは工業用水、水道等の用に供せられるものと、こう限られておりますが、
農業
用に関するものは除外されておるのでありまして、これは先のこの農林
委員会
で建設省からその
説明
は承わったのでありますが、その
説明
によれば、建設費の金額の負担を軽減するために
農業
用を除外したと、こういうお答えがあったのでありますが、私どもは、一応それはそういう理由はあるにしても、とにかく
農業
用を軽視して、不利な取扱いをいたしておるのではないかという疑惑を持っておるのでありますが、建設大臣並びに農林大臣のお考えを承わります。
南條徳男
94
○国務大臣(南條徳男君) ただいまのお問いの第二条の解釈でございますが、なるほどこの
条文
には、灌漑用水の灌漑という
言葉
がございませんので、さような誤解を受けると思うのでありますけれども、これはこの法文にもありますように、河川法第八条一項の
規定
によって、建設大臣が新築する
ダム
でありますので、この八条一項には当然灌漑用水が含まれているという解釈でありますので、これを加えるということはかえって重複するという
意味
で、除いたわけでありますから、当然これは灌漑用水が含まれる
多目的ダム
と御理解下すって差しつかえないと思います。
八木一郎
95
○
政府委員
(八木一郎君) お尋ねの問題は、
農林省
といたしましては、従来
土地改良事業
について、
土地改良法
に基いて施行しております。今回この特定な事項を
多目的ダム
の
一つ
に加えていくということを明らかにいたしまする部分は、
土地改良事業
によらざるものですから、負担の
関係
を明確にするために、こういうふうに
法律
規定
をお願いいたしたい、こう考えておるわけであります。
重政庸徳
96
○重政
庸徳
君 それについては後段また御質問申し上げますが、やはり
農業
用水に関してあとで欠陥が生じて参る。それは後段といたしまして、 第二番目には、今申し上げました第一の質問に
関連
しまして、これが裏づけとして、第四条の基本
計画
、第三十一条の操作規則及び三十四条の水利権
関係
等については、すべて建設大臣が
関係
行政機関の長に協議するということになっておりますが、私どもは、これは
同意
を得るということに強く持っていく必要があるとも考えられるのでありますが、建設省の
事務
当局は、協議が整わない場合には一方的には絶対に実施しないという御
説明
があったのでありますが、これは非常に重要なことで、過去においてこういう例は枚挙にいとまないのであります。現在問題になっておる、本
委員会
で昨年、取り上げてようやく各省が問題にいたしました、北海道の、建設大臣北海道出身なんですから御
承知
だと思うのでありますが、糠平
ダム
、電源開発でやっておりまする糠平の
ダム
、その下流には二千町歩の耕地がある。水利権を、忘れましたが、八トンの水利権を持っておる耕地がある。それに何らの協議もせず、一方的にその
ダム
建設を認可しておるというような例がある。この件については、
関係
各省みな実際答弁の余地もなかった。ここで取り上げて、初めてようやく
土地改良
区と
関係
官庁との間に協議、協定ができたということを承わっておりますが、これはそういう例が多々あるので、非常に重要な問題でありますが、建設大臣並びに農林大臣は、
事務
当局の御答弁と同様であるかいなか、お答えを願います。
南條徳男
97
○国務大臣(南條徳男君) この法案には各所に、各官庁との協議をせよという問題があるのであります。この協議ということの
内容
につきましては、ただいまのお説のように、今回は
農林省
との
関係
、または通産省との
関係
におきましても、十分協議が整った上で実施するということの覚書等もかわしておるわけでありまして、従来起りましたような、建設省が専断で、相手方の
意見
を尊重しないというような措置はしないように、十分この点は注意をいたして実施する
計画
でおるのであります。この点は十分
一つ
、運用の妙を得させていただくように、御了承願いたいと思います。
八木一郎
98
○
政府委員
(八木一郎君) 御
指摘
の点はごもっともな次第でございますので、法案立法化の途上におきまして、ただいま建設大臣の述べられました
通り
、十分に協議が整い、その上で施行して参る、こういう確約をいたしておりますので、御心配ないことと思います。
重政庸徳
99
○重政
庸徳
君 そうすると、建設省から協議を受けた場合に、
農林省
はこれに応じられる十分な
調査
がありますか。
八木一郎
100
○
政府委員
(八木一郎君) もとより十分なる
調査
をもちまして、協議を整え、進めて参りたい、こういう用意を持っております。
重政庸徳
101
○重政
庸徳
君 第三は、第二のように、
法律
の
規定
で協議するように定めている事項は、これは御答弁の
通り
もちろんでありますが、その他の事項であっても、他の行政官庁に
関係
がある事項が生じてくる場合が相当あるのであります。この場合には、やはり同じく
関係
行政官庁の長に御協議になるものと私は考えますが、建設大臣の御答弁を伺いたい。
南條徳男
102
○国務大臣(南條徳男君) 全くその
通り
でございます。
重政庸徳
103
○重政
庸徳
君 この法案にかかわらず、
農業
専用のもの及び
農業
を主
目的
とする
ダム
については、これは当然
農林省
の所管に属するものと考えますが、私の考え
通り
でよろしゅうございますか。
南條徳男
104
○国務大臣(南條徳男君) さように解釈いたしております。
重政庸徳
105
○重政
庸徳
君 第五番目に、この
法律案
によって
農業
用を希望するものの取扱いはどうなっておりますか。これは、そのあとで基本
計画
を作るとき、基本
計画
ができて、その後においてもそういう場合が生ずる場合には、どう取り扱うか。
南條徳男
106
○国務大臣(南條徳男君) 協議の問題ですが、その点が四条の三項にございます「建設大臣は、基本
計画
を作成し、変更し、又は廃止しようとするとき」、ということがございますが、これに該当すると思うのでありますが、かような場合においても、「あらかじめ、
関係
行政機関の長に協議する」ということになっているのでありまして、この場合が一番問題が起るときだと考えております。基本
計画
を策定するときには、大体
ダム
使用権者等も相当な腹案をもって、採算がとれる場合において、それを前提にして協議するのでありますから、大した問題は起らぬと思いますが、いざ
計画
をいたしまして、途中でもっていろいろな事情からその
計画
を変更したり、廃止しようとするときが、お尋ねのように、建設省が独断でもって押しつけやせぬかという御懸念かと思いますので、この点は十分
政府
におきましても、さような非民主的な事情の起らないように、特別な注意をいたしまして、従いまして、との基本
計画
の策定に当りましては、特別な物価の変動というような問題、特殊な天変地変というようなことの起らない限りにおきましては、基本
計画
の策定においては、
調査
、測量というようなものを十分に今度は注意いたしまして、途中でさような変更が起らないようなことを心がけるようにいたしておきたいと思っております。
重政庸徳
107
○重政
庸徳
君 第十条によりますれば、使用者は、建設費について、
規定
算出額のうち十分の一以内で
政令
で定める額と利息との合計額を負担しなければならない、こういうことになっておりますが、従来はかような負担はなかったのでありますが、今回その負担を課せられた何か特別な理由がおありかどうか。
山本三郎
108
○
政府委員
(山本三郎君) 従来の
多目的ダム
の灌漑につきましては、河川
工事
を直接
目的
といたしまして、全額公共
事業費
をもって施行いたしまして、特別な負担を農民の方々にはかけていなかったのでございます。しかし、特定の灌漑につきましては、この十条に書いてありますように、施設を新設しあるいは改良いたしまして、用水を取り入れ、その受ける利益が直接でありまして、また顕著な場合につきましては、
土地改良法
に基く
事業
との
関連
もございまして、その扱いに著しい差異があることは適当でないという考えから、今回受益者負担といたしまして
負担金
をいただきたい、こういうことに考えておるわけであります。
重政庸徳
109
○重政
庸徳
君 この第六の申し上げました理由から、「十分の一以内で
政令
で定める割合の額」、これを私どもは、従来とっておらなかったのをここで初めて農民から取るという
規定
を
法律
に入れたんだ、できるだけこれを節約する必要があるので、
政令
でどういう程度にお考えになっておるか、その点を伺います。
南條徳男
110
○国務大臣(南條徳男君) 一応十分の一、すなわち一割以内ということで割合を負担をしてもらいたいというふうに
政令
をきめたいと考えておるのであります。これにつきましては、お説のように、従来農民に負担がなかったものを、今度たとえ一割以内でも負担するということは、まことに過重でないかというお説もございますけれども、いろいろ
農林省
の
土地改良
による
多目的ダム
等の負担額等から考えますると、いわゆる一部の受益者である限りにおいて、全然建設省
関係
の
多目的ダム
の場合においては負担をせないということは、少し均衡を欠くというようなおそれもありまして、従来この点の負担は国並びに
府県
においてしておったのでありますが、これがさような
意味
で一割以内と、きわめて全体の
工事
費用からいえば僅少な額だけを負担してもらうということでありますので、この点は運用の面におきましても、その
政令
ができました場合には、十分
政府
においても考慮していきたいと考えます。
重政庸徳
111
○重政
庸徳
君 私は、第十条によってその建設費を農民が負担した以上は、この
ダム
の使用権者としての取扱いを受けるべきが至当であろうと思う。従って、基本
計画
並びに操作規則等に負担者の
意見
を述べることができるようにすべきじゃないかと思うのですがね。この点のお考えはどうですか。これは建設大臣。 〔
政府委員
山本三郎君発言の許可を求む〕
重政庸徳
112
○重政
庸徳
君 君の御
意見
はこの前聞いた。
南條徳男
113
○国務大臣(南條徳男君) この負担は、全くこの特別な施設をしたり、それによって受益者になるわけでありますので、かような負担をお願いする次第でありますが、
ダム
使用権者として、費用を負担したものであるから、こういうものをさらに負担をかけることはどうかという御
意見
でありましたけれども、これはこの
多目的ダム
の場合においては、
ダム
権者というのか、使用権者は一本にしぼるわけでありまして、その場合に条件として農民にも灌漑用水をやらねばならぬという、こういうようなことになります
関係
から、多少その場合の条件で受益者になる場合はこの程度のことは差しつかえないと、法的にもやむを得ないという考えで設けておるのであります。
重政庸徳
114
○重政
庸徳
君 それはちょっと考えが違うので、そうすると、その利用者の権益はどこで保護するのですか。利用者の権益というものが……。農民がとにかく十分の一以内にしろ金は出した。そうして基本
計画
に対する参与及び操作規則に対する参与もできないと、そうすると、権利はどこで擁護してあるのか。
山本三郎
115
○
政府委員
(山本三郎君) その点につきましては、建設大臣が基本
計画
及び操作規則を定めるわけでありますが、その際に、灌漑の問題も電気の問題もございますので、
関係
行政機関の長に協議いたしましてやるわけでございます。また
関係
の
都道府県知事
の
意見
も聞くわけでございまして、その際に灌漑の
土地改良
区内の
意見
は十分その機関を通じまして反映していただく、こういうふうに運用して参りたいというふうに考えております。
重政庸徳
116
○重政
庸徳
君 これは
法律
によると、それに参与する権利がない。ところが、農林大臣はどうですか。農林大臣は、
全国
のそういう権益者を全部調べて、そしてその代弁として建設省と責任をもって協議するということになるのですか、そういう大きな責任を持たれますか。農林大臣、御答弁を願います。
八木一郎
117
○
政府委員
(八木一郎君) 十分にその県と協議を整えた上に進んでくる課題になりますので、御心配の点はないように措置できると考えておる次第でございます。
重政庸徳
118
○重政
庸徳
君 これは非常に甘い考えで、県の役人や
農林省
の役人は、これは
監督
の地位におると。で、これはあるところでできるだけ妥協して、お互いにやろう。そうじゃない、権益を持っておるものは非常に敏感なものですよ、その権利の侵害に対しては。だから、これは僕は重大な
要点
だろうと思うのです。それをどうして保護するかという保護の道を相当考えていただかなければ、私は非常に危険なんじゃないか。たとえて言えば、この操作
規定
を下流の権益者が——下流にしろ、まあ下流でない、その
ダム
から疏水しておる農民に、そういうものに
一つ
も参与させずに、適当に操作をやられますれば……。これはそういう例がある。過去において
発電
、電気
関係
の場合においては、電気
ダム
の
関係
においては非常に多い。それは大資本ですから、ある場合には役人をつけた場合がある。そういう県がある。でも、じきに大資本だから向うの味方になってしまう、山の奥だから。だから、これは非常に強い権利の保護を考えてもらわなければいかぬ。
南條徳男
119
○国務大臣(南條徳男君) その点につきましては、多分に御不安があると考えるのでありますが、今度の
多目的ダム
はその
管理
権は一に建設大臣にあるわけでございまして、この利害
関係
者の方々に対する公平な
管理
をするという、良心的な
管理
をしたいということでありまして、今の御
意見
につきましては、十分建設省が責任を持ちまして、その御期待に沿うようにしたいと思っておるようなわけであります。
重政庸徳
120
○重政
庸徳
君 今の建設大臣を十分私は信用いたしておるのであります。(笑声)そういう憂いをちょっとも持っておらぬのですが、これは
法律
でして、建設大臣は時々かわってくるし、どんな人柄の人が出てくるかもわからぬ。だから、これは
一つ
農林大臣、
農林省
及び建設省、よく御協議になって、
一つ
万全の措置をとってもらいたいものだ。この点は最も重要なことではないかと思います。これで私の質問を終ります。
八木一郎
121
○
政府委員
(八木一郎君) ただいま実際に即した御経験の方からの御注意、ごもっともな点だと思って、施行の面に沿いましては十分に注意してやりたいと思います。
堀末治
122
○
委員長
(
堀末治
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
堀末治
123
○
委員長
(
堀末治
君) 速記を起して。
千田正
124
○千田正君 この法案のいわゆる目標である
多目的ダム
という、その名称をつけた
多目的ダム
というのは、幾つ以上を称して
多目的ダム
というのですか。
目的
が幾つ以上を称して
多目的ダム
というのですか。
山本三郎
125
○
政府委員
(山本三郎君) 二つ以上のものは
多目的ダム
といいます。
千田正
126
○千田正君 二つ以上ならそうだが、ここの第二条において、建設大臣がこれを
計画
しあるいは実行するに際して、各
関係
大臣と協議しなければならない。かりに二つしかない場合ですね、電気とたとえば利水なら利水と二つしかない場合には、通産大臣がこの
計画
に賛成しない、できないというときはやらないのか。それとも、今度は三つ以上の問題の場合、
農業
の灌漑排水、あるいは増産対策、あるいは建設省の洪水対策、あるいは通産省の電力の問題、そういうような場合、幸いに問題が起らないようにするためのこれは一応の目標でしょうが、三者の中に一人でも反対があった場合はやらないということなんですか、どうなんですか。
山本三郎
127
○
政府委員
(山本三郎君) そういう場合が想定されるわけでございますが、そういう場合には着手ができないということでございまして、しかし、
意見
を一致させるようにしましてやるように努力するわけでございます。
千田正
128
○千田正君 この
多目的ダム
は早くやらなくちゃならないという問題があるにかかわらず、
関係
各省の間にアロケーションの問題その他が、対象になる問題が十分に納得いかないために、これは三年も五年も
計画
が延びることがある。過去においてはそういうことがたくさんありましたよ。これによって、そういうことは救われるかどうか問題なんです。
山本三郎
129
○
政府委員
(山本三郎君) 従来におきまして、アロケーションが
決定
せないために、そのためにおくれた例もございます。しかし、そのアロケーションを早くきめておくことがそのあとの
工事
の促進になるわけでございますから、とにかく着手する前にはアロケーションもきめ、しかもその
事業
ごとの
関係
者の了解も得ながら着手しますれば、着手した以上は早くできる、こういうことでございまして、アロケーション問題も、最近におきましてはその方式なり計算の方法なり等がある程度定まって参りましたので、順調に進められる、こういうふうに考えております。
千田正
130
○千田正君 私は、非常に順調に進められるということが問題でありまして、なぜかというと、さっきも重政
委員
からの御質問があったのでありますが、
ダム
を作るために受益する
人たち
と、あるいは今までの
土地
を失い、あるいは逆に損害を受けておる
人たち
もある。決して受益する
人たち
ばかりじゃないのです、これは。その損害を受ける立場の
人たち
、農民であるとかあるいは林業者であるとか、そういう
人たち
の代表であるべきところの
人たち
が、この問題に対して参加する機会も、
一つ
もこの法案には現われていませんね。
山本三郎
131
○
政府委員
(山本三郎君) 今の問題は、
ダム
を作りまして水没する人であるとか、あるいはそのために下流で水に困る人とかいうような問題だろうと思いますが、今の水の利用に
関係
する問題につきましては、水利使用のところで十分調整しようというふうに考えております。それから水没の補償につきましては、建設省といたしましては内部
規定
というのがございまして、それで補償基準というものを作成いたしましてやっておるわけでございますが、最近の実情に合わぬ面も出て参りましたので、各省の御意向もくみまして、補償基準なども改訂していきたいというふうに考えておるわけでありまして、この法案と別個にそういう
方面
を、一般問題もありますので、これに入らぬ
ダム
もございますので、そういう
方面
から補償問題の解決をはかっていきたいというふうに考えております。
千田正
132
○千田正君 だいぶその点は、われわれ疑問があるのですがね。まず第一番に、これは総合開発法、電源開発法、
土地
収用法に基く
土地
収用令は、この問題には、これは権限の最も強制的な問題だから、おそらくこの法案によってはそういうことはやらないのでしょうがね。そういう法案との
関連
はどうですか、これも抵触しないと思っていますか。
山本三郎
133
○
政府委員
(山本三郎君)
土地
収用法は一般の公共
事業
には適用するわけでございまして、これの
多目的ダム
を作る場合にも、もちろん
土地
収用法による
手続
もできるわけでございます。そうでございますから、一般のそういうふうに扱える問題はこの
法律
には入っておりませんけれども、そういろ適用をすることはできるわけでございます。
千田正
134
○千田正君 その他の、今申し上げましたね。電源開発法、それから国土総合開発法、それから今度ただいま上程されてありますね、東北開発法、北海道開発法、こういうような問題とは何ら抵触しないで、これは別個の立場でやっていけますか、どうですか。どちらが親法文になるです、そういう場合は。
山本三郎
135
○
政府委員
(山本三郎君) これは、個々の
多目的ダム
を
計画
したり、建設をしたり、あるいはその
管理
をする場合の諸
規定
を
規定
しているわけでございまして、たとえば電源開発法によりまする電源開発
計画
というものは、これに含まれまする電気の部面は、その一部をなす。電源開発の目標によりまする
計画
の一部をなすもの、あるいは国土総合開発法に
規定
する地方
計画
であるとか、あるいは特定地域の
計画
の一部をなすもの、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
千田正
136
○千田正君 八木政務次官にお伺いしますがね、今私どもは、現実のこの
ダム
が建設されるたびに問題が起きているのは、いわゆる移転その他の賠償の問題です。特にはなはだしいのは、農民が多いのですね。で、これらのいわゆる農民を保護しなくちゃならない立場にある
農林省
の立場として、この法案のねらいは、セクショナリズムを解消して一本にまとめて総合開発をやろうという
目的
だろうと思うのですが、さっきお話を承わるというと、そうした損害賠償とかあるいは移転に対するところの補償料というものは、別個に法案を作って、今までのあれを改訂するというお考えだそうですが、
農林省
としてはどういうふうに考えていますか。大体において今の基準なんというものは非常に、建設省が作られておるところの基準は低い。しかも、その中に介在しまして、場所によっては電源開発会社をしてプラス賠償額を、倍にさせるとか、何十倍にさせる所もある。場所によっては、何ら文句のない所は二束三文で買い上げられて、あとからしまったということで、農民が蜂起している所がある。そういういろいろな複雑な問題が、今後の
ダム
の
目的
に沿うような建設に向う
過程
において、幾多の問題が起きてくると思う。それの調整をとらなくちゃならないのだが、農民の立場を保護しなくちゃならない
農林省
としては、どういうふうにそういう問題を解決するつもりかどうか。
八木一郎
137
○
政府委員
(八木一郎君) 最もこの
仕事
に協力していく、しかも農民の生活、山村住民の生活を守るという立場において、
事業
に協力しつつ苦心を払う点が、御
指摘
の点でございます。従来もそうでありまするが、今後もそういう
意味
において、成規の補償基準等の問題のみに頼らずに、
農林省
は、たとえば水没農民のために必要ならば、国有林野の払い下げ、あるいはこれの転住の場所を求めるとか、ないしは開拓移住
方面
についての協力
援助
を惜しまずやるとか、他の
法律
、予算、行政の上におきまして、能う限りの協力をいたして、その間に善処して参りたい、こういう態度でおる次第でございます。個々の事情については、一々
一つ
また御相談に乗せていただきたいと思います。
千田正
138
○千田正君 その個々の事情については一々御相談に乗りたいという希望はよくわかるけれども、非常に問題が多いのですね。たとえば、大きな
ダム
を作ったために、一村から次の村に小学校の児童さえも通えなくなったと。仕方がないから橋をまん中にかけるといえば、膨大なる予算を必要とする。そこで、小さい蒸気船なりあるいはモーター船を雇って、学童を次の村に運んでいかなければならない。予算がないから、建設省が出さないという問題がある。農民は学校にも就学できないというような問題も起きておる。数え来たれば、数限りがありません。だから、こういう法案を作るためには、必ずその裏づけをして、農民なり住民が納得いって協力するような
一つ
のはっきりしたものを裏にこしらえなければ、法文だけ作ってみても、これは強制するような法文にしか私はならないと思う。そういう点において、何か的確なこれを裏づけするところの法案を作るかどうか、この問題はどうですか。
山本三郎
139
○
政府委員
(山本三郎君) 先ほど申し上げましたように、そういう補償の問題につきましては、建設省といたしましても、従来のやり方等につきましては再検討を要する部面も多いのでございまして、その問題も今後至急に具体案を作らなければいかぬと思っております。 それからさらに、ただいま八木政務次官からお話がございましたように、私どもこの
ダム
計画
を作る場合におきましては、
関係
各省と基本
計画
を作るときに相談するわけでございますが、そのときに、どれだけのものがつぶれるというような話もございますので、それらの対策も一緒に御相談に乗っていただきたいと思っておりまして、そういうような方法を講じて、できるだけ早くその
処置
なり具体的な方法を、水没される方と相談できるような方法をとっていきたいというふうに考えております。
千田正
140
○千田正君 また八木さんに僕は質問しなければならないのですが、今のような御答弁をいただくとするならば、これを作るのに、いわば過年度においてなされたところの
多目的ダム
におけるところの、完成しておるおらぬにかかわらず、当時
農林省
が約束したところの開拓であるとか、いろいろな
土地改良
だとか、そういうものは、三年も五年も前に
ダム
ができて、電気ができておるにかかわらず、農村が未墾地を買収して、そうして今もって水は来ない。
ダム
には取水塔は作られて、直ちにできるようになっておって、予算がつかない。農民の諸君は、自分の
土地
は
政府
に買い上げられて、そうして自分らは耕作することができない。五年たっても、
ダム
ができたけれども、
多目的ダム
だと称せられて作られて、農民が協力して、自分の
土地
を買い上げられて、しかもまだ耕作できないという
土地
がたくさんありますよ。こういう問題を解決しないで、はいそうですかといってこういう問題に賛成するということは、
農林省
としてどういうわけなんですか。あなた方がかつて約束したことは、実行していないじゃないですか。
八木一郎
141
○
政府委員
(八木一郎君) 過去における幾多の事例につきましては、御
指摘
の点がございまするので、この
法律
の立案
過程
におきましては、過去のような苦い経験を再び重ねないように、かなりこまかな事項にあたりまして、いわゆる農民の保護、生活を守っていきたいという私どもの親心が届きますように、苦心をしてきました法案でございますから、今後はこういう問題はないと思います。過去の問題につきましては、及ばない点は、これは先ほど申し上げましたように、御相談をお願いいたしたいというのは、全く個々のケースに従って最善を、農民の諸君と、開拓の促進とか、あるいは同じ開拓の中でも幾多の面につきまして
指導
、御協議を進めて参りたいと思っておりますので、御理解ある御支援を願いたいと思うのでございます。
千田正
142
○千田正君 今の政務次官のお答えはよくわかるけれども、これができたらやるというのではなくて、今まで
多目的ダム
を作っていながら、その
目的
はさっぱり達しておらない。
都道府県知事
が納得して、あなた方の前の大臣やなんかの説得に基いて
ダム
計画
をやったけれども、下の町村の
人たち
、町村長や何かは、中に入って困っておる。実際農民から買い上げて、そうして
一つ
も実行していない。
ダム
には取水塔が建てっぱなしになって、ローマの廃墟のような姿になっておる。それでいてまたこういうものを作って、そうして農民を満足させるなんといったって、だめですよ。今までのものをはっきりして下さい。それをどう解決するかということを提示すれば、そうしたならばわれわれは賛成しますよ。今までのはほおり出しておいて、これからやるのは新しくやるのだというようなことでは、だめですよ。今までのものをちゃんときれいにして、こういうお手本を示したから協力しろというなら、農民も納得するでありましょう。そういう方向にどういうふうな方針をもってお臨みになるか、所信があるというならば明らかにしていただきたいと思う。
八木一郎
143
○
政府委員
(八木一郎君) ただいま申し上げましたように、確かにこれまで実施して参りましたあとを振り返れば、何ぼしかられても、これは個々の場合はあるのであります。これを総括してどう進めていくかという問題は、この国会にも
法律案
として
提案
してあります開拓営農振興
関係
の諸法案ないし予算等によっては、あまりに痛々しい実情だから救えないぞというおしかりは、ごもっともだと思いますけれども、
政府
といたしましては、
農林省
といたしましては、ここに目を配ってできるだけの措置をいたしておるということもお認めをいただき、なお具体的な御
提案
がございましたならば、真剣に検討さしていただこうと、こう思っております。
千田正
144
○千田正君 最後に、それでは、今まで
多目的ダム
において当初の
目的
通り
進行していないものが相当あります。ですから、その資料だけは出していただきたい。
東隆
145
○東隆君 私は、先ほど建設大臣が、協議をしていく場合に農林大臣とよく話し合いをする、しかもその間には何か覚書のようなものがあるように聞かれたのでありますが、何か覚書のようなものが両省の間にあるのですか。
山本三郎
146
○
政府委員
(山本三郎君)
事務
次官の覚書といたしまして、基本
計画
、それから操作規則、それから
多目的ダム
に伴う水利権の処理につきましては、協議を整えてこれを行うということにしております。それから河川法の十七条から二十一条までの
規定
による水利権の協議につきましては、
原則
を定めまして「
農業水
利その他農林水産業に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある場合は、利害
関係
者の具体的
意見
を十分尊重する。」、それから方法といたしまして、建設大臣は農林大臣と、地方建設局長は
農地
事務
局長と、
都道府県
土木主管部局長は農林主管部局長と、要領を定めましてそれぞれ相互に密接に協議する。この要領と申しますのは、月に何回やるとか、どちらがどういう資料を作るとかというようなとをいうのでありますが、基本的な問題につきましてはこういうふうな覚書を作ることになっております。 それから、先ほど重政先生からお話がございました、
特定多目的ダム
法の
多目的ダム
は、灌漑を主とするものは含まないというふうな局長同士の細部協定がございます。その他二つばかりありますけれども、
ダム
使用権の設定であるとか、あるいは
申請
の却下だとか、あるいは許可等につきまして、農林大臣にこれを通知するというふうなことも細部協定にございます。それから専用施設に
負担金
をかける場合の
政令
及び通達は、両者間に必要なる打ち合せをした上において定める、こういうふうな協定がございます。
東隆
147
○東隆君 私は、その覚書は、帝国憲法時代における官庁が非常に強いときには、私はこの覚書は非常に有効だと思います。しかし、その有効な覚書も、実は水道を
中心
にしての厚生省とそれから建設省の間の昔の内務省時代のもので、これは非常に効果を発揮していない。そこで、そういうような効力のあった時代においても、覚書というものが効果を発揮しないときに、今の時代に、私は、官庁という所がそういうようなものをきめて、そうして効力を発揮するのは少しおかしいと思います。やはり
法律
でもって
規定
をして、そしてやるのが当然であって、従って、私は協議というようなことをやることによって非常に権利を侵害されるものがたくさん出てくる。だから、この際「協議」というところを「
同意
」というふうに変更する方が、これが一番正しい扱い方じゃないか。
同意
ということにすることによって事を進めていくならば、私は建設省が
イニシアチブ
をとっていくというふうに独断でやれば、将来においても問題を起さぬと思う。そういうような
意味
において、なぜ協議するということにしたのか、なぜ
同意
にしなかったのか、そういうような点を
一つ
明らかにしていただきたいと思います。
山本三郎
148
○
政府委員
(山本三郎君) この点につきましては、今こういうふうな覚書をやっても、そんなものはだめだというようなお話でございますが、私どもといたしましては、覚書の精神は将来ともずっと尊重してやっていきたいというふうに考えるわけでございます。それから、「協議する」と書いてありますけれども、事実上は協議を整えてやるということでございますので、決して建設大臣が自分で勝手なことをするというようなことには相ならぬわけでございまして、これで私は、
関係
行政機関の長とも十分話し合いがついて、できるものと解釈しております。
東隆
149
○東隆君 私は、建設省の側で十分にできると、こう申しても、これは一方的な話なんです。特に問題は、たとえば電源の開発
関係
の問題であります。これは
農林省
とも
関係
がありましょうし、通産省とも
関係
がありますし、従って、
農林省
とそれから建設省の間だけの覚書だけでもって解決するものでもない。
農林省
と通産省の間で解決しなければならぬ問題もありましょうし、こういうようないろいろな問題がここに伏在をしておるので、中に入ってそうして調整をとるという立場をとられることはわかりますけれども、しかし、そういうような
意味
で協議という
言葉
にされたのかもしれないけれども、もっと私は強い形でもってやっていかなければ、将来いろいろな問題を起す。 ことに、いろいろな問題については河川法によって云々と、こういうふうに言われますけれども、河川法はこれは明治二十九年にできた非常に古い
法律
で、そしてこれがその当時の情勢のもとに基本的なものができているから、今いろいろな問題にぶつかってくるのは、その後に起きたいろいろな現象、従って
多目的ダム
そのものが、これは新しい時代におけるところの
中心
課題になっている。これは、この中に当然いろいろな起きてくるところのトラブル、そういうようなものを未然に防ぐようなことをこの中に入れるべきが当然であって、そうしてしかる後に河川法を直されるのは一向差しつかえない。そういうような
意味
で、たとえば下流におけるところの水利権の問題なんか、おそらく以前の水利権の
内容
は、私は、ただ水の量ぐらいだったかもしれない。今はおそらく水質の問題もありましょうし、それから水の温度の問題もありましょうし、いろいろのものが水利権の中に加ってきている。そういうようなことを考えてくると、私は、非常に古い
法律
でもってやっていこうなんという考え方でもって、簡単にこの
多目的ダム
の
法律
をやられたら、これは迷惑するところがたくさん出てくる。それを解決しなけりゃならぬ。 私は例を
一つ
申しますけれども、北海道で石狩川の支流の忠別川、その忠別川の上流に、だいぶ前ですけれども、
ダム
をこしらえて、そうして
発電
所を作り、水を誘導するのに、相当長い間隧道でもって水を持ってきた。従って上川は北海道の米作地帯で一番たくさんとれる所、そこの水田に灌漑される水の温度が一度、二度違ってくる、そんなような
関係
でもって大騒ぎをいたしました。 そういうような場合に、この河川法では解決がつかない、決してつくものじゃないのです。そして河川法によってそれは解決がつくんだ、こういうふうに言われてみても、そういう前例がたくさんあるのですから、従って、
多目的ダム
そのものの中に持ってくることによって初めて解決がつく。 これは、建設省の
関係
しておるのは洪水調節を
中心
にしてお考えになっておる。あとの
関係
のものは、これは通産省が
関係
しているのは電源開発、それから水道の方は厚生省、工業用水は通産省に
関係
します。
農業
用の
関係
のものはこれは
農林省
ですね。たくさん
関係
を持っておるわけです。その場合に、単に建設省とそれから
農林省
でもって覚書をこしらえる。そうしておいて、そんなものでもってやられてみたって、こっちの方はどっちみち迷惑を受ける。建設省の方から迷惑を受けるのじゃなくて、別な方から受ける。そういう
関係
を考えたときに、覚書なんかそんなに大した効果のあるものではなくて、それよりも
法律
にちゃんと
規定
をされて、十分にやらせるようにしなければならぬ。その場合には、協議といいますと、どちらかというと、やはり建設省が
イニシアチブ
をとるような私は
言葉
の使い方だろうと思います。従って、この場合にはっきりと「
同意
」という
言葉
にこれを書きかえて、そうして十分な調整がまとまっていくような体制を作って、あと腐れのないようにすることが必要だと思います。 そういうような
意味
から、またそれがきまれば、私はあとの問題もいろいろ
関係
がはっきりしてくると思います。たとえば
ダム
を
一つ
こしらえてみても、下流の方にあるところのものは
関係
がないからといって、協議も何もされないでぶん投げられてしまったら、それきりではありませんか。みんな下流に水利権のあるもの、みんな下流の
農業
関係
のもの、それが
ダム
そのものには
関係
は直接ないのだとぶん投げられてしまっては、大へんなことになる。そういうような
意味
で私は、「
同意
」というふうになぜやらないのか、「
同意
」と「協議」、そういうような問題について開きがだいぶあると思うのですが、その点を
一つ
明らかにしていただきたい。私が今申し上げた点で、
農林省
、通産省が弱い、こういうような
意味
で、対等の立場でもってやらなければならぬ問題がたくさんある。その点を
一つ
明らかにしてほしい。
山本三郎
150
○
政府委員
(山本三郎君) ただいまのお話は、河川法が非常に古いので、現在のような状況においては
改正
しなければならぬじゃないかという問題が、まず第一点だと思います。その点につきましては、建設省といたしましても、河川法の
改正
は考えなければならぬという立場にありまして、
研究
しておるわけでございますが、
ダム
の
関係
、特に
多目的ダム
の
関係
につきましては、今の河川法で従来はやっておったのでございますが、御
承知
の
通り
、
ダム
を作りますと、特に
多目的ダム
を作りますと、
関係
の利害が非常に多くなるために、今回河川法の特例といたしまして、
多目的ダム
法を
提案
いたしまして御審議をいただいているわけでございます。従来におきましては、実際問題といたしまして、この基本
計画
等の作成に当りまして、
ダム
の費用の分担あるいはその他の重要な事項につきましては、
関係
各省に相談してやっておったのでありますが、今回はそれを成文にいたしまして、
関係
行政機関の長、農林大臣はもちろんでございますが、通産省あるいは厚生省等に協議をいたしまして、協議を整えてその
計画
を作り、操作規則も作りまして運用して参るのでございまして、十分
意見
の調整が整った上でできるものと解釈しておるわけでございます。ここに、建設大臣が自分で
計画
を作り、また自分で作るものでございますので、「協議」としておりますが、実際の
内容
は協議を整えてやるのでございますので、事実問題といたしましては、
意見
の一致をみてやるわけでございますから、ただいまの御心配はないのではないかと私は考えるのであります。
東隆
151
○東隆君 私は、心配がないといわれる覚書を今やるよりも、
法律
でもってはっきりと
規定
した方が、確かに効果があるように思います。
役所
は国民の使用人であります。国民の使用人が勝手に覚書をこしらえて、それでもってぐんぐんやられては、かなわない。新しい時代におけるところの
法律
というものが……。そういう怪しげな覚書なんか作らないで、法文でもってはっきりと
規定
してやるべきものだと、こう思うわけです。 私はまだいろいろ質問をいたしたいのですが、あとにまだほかの問題があるようですから、私はあとに問題を保留します。
北村暢
152
○北村暢君 私も同じような質問になるのですけれども、まず第一に、水資源というものについて、私は、水は非常にたくさんあるようだけれども、水資源は実際は枯渇している、こういうふうに思っております。大体工業都市付近の工業用水の一立方メートルの水が七円も八円も十円もするような状態になってくると、水というものが、非常に洪水が出るようであるけれども、実際に使える水というものは非常に枯渇してきておる、こういうように理解しております。従って、今後の電源のための水、水力
発電
のための水、工業用水、水道等の水というものを考えていくときに、これを水行政としてやっていく上において、その各産業部門における用途別の
配分
ということは、これは非常にむずかしい問題になってくるだろうと思う。将来においてですね。そのときに、今までの水の使い七というものをずっと見て参りますと、総合開発その他におきましてもほとんどが電源開発、こういうことに重点が置かれてきた。これは総合開発即電源開発といって差しつかえないくらい、重点的に
基礎
産業としての電力開発をやった。これはもう御
承知
の
通り
で去ります。従って、そういう点から考えまするというと、今後の水行政を取り扱っていく上において一番発言権のない農民、
農業
の用水、これに私どもとしては非常に大きな関心をもたざるを得ない。 たとえば従来、昔ながらに、
農業
用水の水はただだと考えてやっておったものが、この
ダム
ができたために、工費の一割を負担するという大臣のお話でありますから、金をかけて今度は水を使わなければならないということになってぐる。まあそういうふうに競合してくるのですから、そういうことなんですが、しかし、農民の側からすれば、完全に既得権として水というものを使用してきた、これが侵害される。この問題について先ほどから出ておるのです。が、この
ダム
を作ったために、私は、受益者として負担するの、でなくして、受益者として工費を負担されるというようなことは、前兵従来の既得権というものは侵害されているのですから、受益者として金を払わなければならなくなってくるということ自体がわからない。どうしてもわからない。そこら辺のところの補償の
規定
というものが、ここには
一つ
もうたわれてない。 そういうようなことですから、私はやはり水を使うという点についてのよほどの
計画
的な、総合的な
配分
というものが考えられなければならない。従って、まあここで協議をするというような点から言われておりますけれども、実際には、従来の行われた電源開発の状態なり何なりを見て参りますというと、発言権の弱い農民の権利というものが無視されてきたということは、もう既定の事実なんです。そういうような点から立って、私は、今河川局長が何回もそういう心配はございませんと言っても、心配を持たざるを得ない。しかも、基本
計画
を作って
農林省
に協議するといっていますけれども、基本
計画
を協議するというのは、大体の
計画
ができちゃってから協議するので、これでよろしゅうございますか、大体そういうような形でいくわけであります。基本
計画
を作るそのもののときに、なかなか全部の、今東
委員
から言われているように、
関係
の者を全部集めて協議をして
計画
を作るということは、なかなか言うべくしてできないことなんです。そういう中で協議するというのは、非常に形式的な協議に今までもなっておるし、また
一つ
できた案は、いろいろな政治力なり何なりでもって、これができてしまえばなかなか直すということをしないで、時間はかけても押し通してしまうというのが、もう行政の実態なんです。そういうような点からして、相当な資本家もついており、何も、工業用水、電源ということになると、政治的に動いてきているというのも事実なんです。ですから、私はやはり非常に弱い立場に置かれている発言権の弱い農民、
農業
用水といったようなものについて相当な
法律
的な保護
規定
というものが出されていない限り、簡単に
承知
することができない。まあそういうふうに考えておる。従って、今協議をするという
法律
用語で単にやるのじゃなくして、やはり保護
規定
というものを
一つ
十分にここで
規定
する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、これは何回言っても、だいぶ答えられているようですが、ぜひこれは必要だと考えるのですが、もう一度
一つ
。 心配する点は、水というものがたくさんあるのならば、これは心配はないわけでありますけれども、水の問題をめぐっての争いというものは今後非常に起きてくる可能性がある、そういうような心配からして、やはり私は保護
規定
というものを設けなければならない、こういうふうに考えるのですが、どういうような御
意見
か
一つ
お伺いします。これは建設省と
農林省
と、両方から
意見
を聞きたいと思います。
山本三郎
153
○
政府委員
(山本三郎君) 今のお話でございますが、建設費の分担をさせるのがおかしいと、こういうことでございますが、第七条によりまして建設費を負担していただく場合は、
ダム
を作りまして、従来の状態においてはとれなかったような水がとれて、それではっきり利益が上るというふうなときに、その利益がしかも顕著であるというようなときに、
負担金
を持っていただくわけでございまして、普通の、何も施設もしないで自然に流れ込む水とか、あるいは
ダム
を作って被害を受けたものまでとるということでは決してございませんで、もとの状態までは、
ダム
を作ったためには当然の義務として水を出してやらなければならないわけでございます。それ以上に利益が顕著であった場合に
負担金
をとろうということでございますので、その点は御了解をいただきたいと思います。 それから、
ダム
を作って、非常に下流の水利権に影響を及ぼすという点もございまして、それは元来私の方の
関係
といたしましては、河川法によりまする
処分
によるときに、知事が許可を与えて水利権の
処分
をするわけでございますが、その際には、
地元
の
意見
を
地元
諮問いたしまして、その
意見
を十分聴取してやっておるわけでございます。今度の場合におきましては、基本
計画
を作る際におきましてもそういう点を十分尊重いたしまして、勘案いたしまして、
計画
も作る。しかも、作ったあとの操作につきましても、既得権の、既得水利権の侵害等はないようにすることが、基本的な考えでございます。 ですから、二つ問題がございまして、作ったために被害を受ける。これは当然被害がないようにしなければいけませんことでありますし、また、あった場合には、当然これは補償もしなければならぬということでございます。もう
一つ
の場合は、積極的に利益があって、その利益が顕著の場合に
負担金
をいただいて、その分に応じまして基本
計画
なり操作規則に従いまして水を供給していく、こういうことでございます。
八木一郎
154
○
政府委員
(八木一郎君)
農林省
としましては、ただいま「
同意
」という
言葉
で御注意をいただいておるという点は、最も力を入れて、この
法律案
をまとめる途上において協議を整えてきた問題であります。
意見
の一致を見るに至るまで、最後まで努力して、落ちのない、心配のないように、零細な農民、山村住民のためにとんだ迷惑が及ばないようにという注意を払いまして、ここに至った次第であります。 最も注意をしております点は、それならば、その裏を返して、補償、保護、こういう点に欠けるところはないかという御心配であります。われわれは、基本的には既存の
土地改良法
とか、
農地
法とか、あるいは開拓
関係
の法案、こういう一連の農山村の零細な方々の利益を守るために立法化していただいております。この守っておる権益をかかる法案によって侵害されることはないかどうかということは、一々つぶさにつき合せてみまして、最後に、
土地改良法
と全く同じ効果をもたらして、しかも一部の負担が
土地改良法
の側にあるというものは、これは建前上合せていかなきゃならぬじゃないかということに相なったのでありまして、全般的には今申しましたような注意を払いまして、協議を整え、実行上遺漏なくやっていける、こういうところに落ちついたわけであります。御了承願いたいと思います。
北村暢
155
○北村暢君 私は、先ほど言っているように、水があり余っていれば心配はしないわけなんです。そういう心配はしないわけなんです。今おっしゃっているように、従来の既得権をもって水利権を持っている人の権利は侵害しないということは、行政上当然、あなたはそう言わざるを得ない。ここでこういうものを侵害するのだということを言ったら、反対されるにきまっているのですから、侵害しないということを言うのですけれども、水はあり余っているのじゃなくして、電源へ持っていくのか、工業用水へ持っていくのか、
農業
用水へ持っていくのかという、非常な争いが起きるのです。その場合に、どちらかを満たせばどちらかの権利が侵害されるということが起ってくる。それは補償でやるのだと、こうおっしゃられることのようですれけども、
農業
用水で水の行かないような所はないようにするのだ、水は必ずそこに行くようにするのだ、
ダム
を作ったためにそういう侵害はないようにするのだとおっしゃられるのですが、そういうことは、もう水があり余って、その
ダム
を作ったためにそういう権利が侵害されないという完全な保証があるならば、何も私はそういう質問をするのじゃないけれども、あなたはそうおっしゃるけれども、そういう権利を侵害することが、工業用水なり電源のための水に使うということになるというと、
農業
用水に権利を侵害するような事態が起ってくる、こういうことも将来考えられるのです。
ダム
を無制限にどんどん作っていくということだというと、そういうことが考えられる事態にもうすでに来ておるというふうに私は考えておるがゆえに、権利侵害という点について心配するということと、それからそれに対する被害の起ったものについて補償をするのだと、こうおっしゃっておられるわけです。ですから、前の言っておることが、あなたの言っておることが矛盾するのじゃないか。そういうことが権利は侵害されることがないのだと、こうおっしゃっておるが、侵害された場合には補償をするのだと、こうおっしゃっておる、その点についての解釈を、
一つ
はっきりお伺いしたい。どうなんでしょうか。
山本三郎
156
○
政府委員
(山本三郎君) 既得の水利権の
処分
におきまして、十分それを侵さないようにさせるわけでございます。しかし、万が一にもそういうような事態が、水利権を侵しても、あるいはもっと重要なものがありまして、その方が公益上重要だという場合がありますときは、既得の権益に対しましてそれを少し削ってもらいまして、片方に与えるというような場合もございますので、そういうような場合のことを申し上げたわけでございます。
北村暢
157
○北村暢君 そういう場合に、大体民主的な現在の
法律
からいけば、大体においてみんな
委員会
制をとるとか審議会制をとる。そして各受益者なり、被害をこうむったその人の代表されたような
意見
というものを聞いて、それをそういう審議会を設けて、そしてこの
運営
をしていくというのは、多くとられておる方法なんですが、この中ではそういう方法がとられておるのかどうか。
山本三郎
158
○
政府委員
(山本三郎君) このたとえば基本
計画
の策定の際におきましては、先ほど来御
説明
申し上げましたように、
関係
行政機関の長に協議するとともに、
関係
都道府県知事
の
意見
も聞くわけでございます。それで、
都道府県知事
は、当該
都道府県
の議会の議決を経て、基本
計画
というものに対する
意見
を述べるわけでございます。また一般の水利権の
処分
につきましては、知事が許可する場合におきまして
地元
の
意見
を聞きまして、それを十分しんしゃくいたしまして水利権
処分
の許可の方針をきめることになっておりますので、その点におきまして
意見
は反映しているものと考えております。
北村暢
159
○北村暢君 それでは私は、やはり民主的な
多目的ダム
の
運営
ということはできない、こういうふうに考える。それは見解の相違といえばそうかもしれませんけれども、
一つ
の開拓をする場合においても、開拓審議会というものを置いて、その山の所有者とか、あるいは開拓を受ける農民、
入植者
とかの代表団、それから行政機関の
関係
者、学識経験者、こういう人が集まって審議会を作って、そして開拓をするのか、しないのかということを
決定
するんですね。そういうのが今とられている大体の形なんです。ところが、この
多目的ダム
というのは、非常に大きな電源、あるいは工業用水、
農業
用水、いろいろな立場々々によって違う人がたくさんおるわけです。そういうような中で、行政機関の長の
意見
を聞くとか何とかいってみたところで、それは声なき人の声というものを聞くようなことには実際にはならない。ですから、やはりその代表を設けたようなところのものができ、
意見
を当然聞ける民主的な機関というものが、やはり作らるべきである。この
法律
の中にも当然、その
ダム
の
運営
についてそういうような民主的な機関というものが、やはり作らるべきである。そうでない限り、行政権の非常に独断な、各省に協議をしたというような程度のことで、私が繰り返して言っている非常に弱い農民といったものの権利は守られないのではないか、こういうことを私は考えるのですが、そういう機関というものが必要でないのか、行政の機関に協議するだけで事足りるのか。そこら辺のところは私は不十分だと思うのですが、これは答弁を求めてもしようがないですから、私は
意見
として申し述べておきたいと思いますが、 そういう立場に立って、
農林省
が大体この法案に対して、法案を作るときにすでに協議を受けたような形跡もあるようだけれども、一体そういう農民の立場を守るようなことが何にも法案に出ていないのにかかわらず、これに
同意
するというのは、法案として出てくること自体が、
農林省
がこの法案に
同意
しているということ自体が、私は農民のことをさっぱり考えていないんじゃないか、こう思うんだが、八木政務次官はどうお考えになりますか。
八木一郎
160
○
政府委員
(八木一郎君) 農民のことを非常に考えております立場から、この法案の協議にあずかっておるわけであります、当初から。この法案には、率直に申し上げて、
目的
が二以上と申しましても、被害者の立場にありますのは
農林省
関係
事項であるということですから、この
法律
施行によって被害者は
農林省
であるという観点から、いろいろと検討をして参りまして、最終的には
土地改良法
による
事業
、主として灌漑排水
関係
面においてこの結果が、大きな被害が出てこないかどうかというところが問題でございます。なるほど御心配のように、との施設は山の中で、川の上流において行われていると、下流の農民は無形の被害を受けて、声なき農民の声が聞えないはずはないというおしかりはごもっともでございますので、かなり慎重な態度においてわれわれは検討をしましたが、結果としては、さっき申しましたように、現に施行しておりますいろいろな
関係
法律
の侵害を受けないんじゃないかというところに到達いたしまして、
意見
が一致し、
提案
に
同意
をした、こういう経過でございます。
北村暢
161
○北村暢君 非常に次官の答弁というのは、私は
事務
的だと思う。従来の電源開発の状態、それからそれによってこうむっておる農民の被害というものを、やはり全然
法律
的に抵触しなければこれは差しつかえないといったような、
事務
的な答弁にしか聞えないのです。これはやはり、今次官がはっきり言っているように、
農林省
はこの
法律
を作ることによって被害の立場に立つということは、次官が今言われた
通り
、認めておる。これは
農林省
は被害の立場に立つのです、これははっきり。ですから、被害の立場に立つということを言っておられながら、
法律
的に抵触しないから賛成するのだというふうにしか聞えないのです。そういうことでは、農民の立場を保護する立場に立つ
農林省
の次官としては、そういう発言は私はおかしいのであって、それだけ被害をこうむるということを明瞭に認識されておるならば、もっとやはり反対の立場に立って、補償なり何なりということにはっきりここで、「協議」というのは困るから「
同意
」にしろとかいう
意見
となって現われてこなければならないはずだ。それを簡単に通しておるというところに、まず法案を作るときにそういうふうに押されておるのですから、これは法案が通ってしまって、行政の実施の面になったら、もう押され通しに押されてしまう、こういうふうにしか思われない。
八木一郎
162
○
政府委員
(八木一郎君) 被害の立場に立つおそれなしとここに認めて、ここに至ったと申し上げたので、
言葉
の足りないところは御了解をいただきたい。 それでは、被害のおそれなしという点は一体どこをどう見たかということは、結果としては
事務
的な答弁かもしれませんが、われわれの検討の限りにおいては、これでよろしいのだというふうに至ったのですから……。「
同意
」でがんばって最後まで置いておいたらどうかというお話がありましたが、やはり
農林省
が
イニシアチブ
をとっておる法案もあり、相互
関連
もございますので、
法律
用語としてはこの用語でございますが、
目的
は達成できる、こういう理解に達したのですから、御了解いただきたい。
北村暢
163
○北村暢君 私は先ほどの重政
委員
の
意見
に非常に賛成なんでね。これは与野党非常に
意見
が一致しているようですから、簡単にはこの法案は通らないではないかというような気持をしている。ですから、まあこの点、
委員長
の取扱い方について、建設
委員会
でこれがあがるわけなんです。それまでに、農林水産
委員会
としての
一つ
、
意見
もだいぶ出ておるようですから、
一つ
その点の審議の方法等については、
委員長
の方で
一つ
抜かりのないように、知らないうちに建設
委員会
で通ってしまったというようなことのないように、
一つ
善処を
要望
しておきまして、一応終ります。
安部キミ子
164
○
安部キミ子
君 今までの質疑応答の中で一番問題になるのは、私は今、「
同意
」という
言葉
がほしかった、字句がほしかったということなんでしょうけれども、問題は、この法案を通して流れているものは、建設大臣に権限がみんな集まってしまった、非常にウエートが大きくなってきた、こういうことと思うのです。それが私は非常に心配なんです。と申しますのは、先ほどいろいろお話がありましたが、日本は開国以来、瑞穂の国と申しまして、水利権は農民が何はおいても太古から持っておったのですが、それが後に、電気
事業
だの水道
事業
だの工業用水だのというふうに、水が引っぱりだこになった。そして水資源が枯渇するという心配があるので、いろいろ今もこのような議論になったのですが、そこで私は、建設大臣にだけこのような中央集権的な権利を持たさないで、所管の大臣は同等な立場で協議し、同等な資格でこの問題を
運営
してもらうような、先ほど北村
委員
がおっしゃいましたように、審議会とかあるいは
委員会
とかいうようなものを作ってもらったらいいじゃないかと、こういうふうに考える。 ことに、心配するのは、先ほどもお話があったように、農民の立場が非常に弱い、農民の声が届かない。そうして電気
事業
なんという
事業
はどうしても大資本が
運営
いたしますので、心配な点は、大臣なりあるいはそういうふうに直接
運営
に当っている
人たち
が、そういう圧力に屈しないか、こういう心配が、私は、そこで汚職にもなろうし、収賄にもなるのじゃないか、こういうふうに思うわけなんですが、これを何とか制約するいい方法はないか。当局はおそらく、そういうことはいたしませんと、との前もおっしゃいましたけれども、今度もおっしゃるでしょうけれども、私はその答弁だけでは根本的な保障にはならないと思う。もっと保障をするには、そういう機構の整備というものがなされなければならないのじゃないか、こういうふうに考えますので、農林大臣の御意向もあわせて、
建設政務次官
から御答弁いただきます。
小沢久太郎
165
○
政府委員
(
小沢久太郎
君) ただいま、この
ダム
の問題につきましては、建設大臣が非常に強権を持ってやるというお話がありましたが、大体この法案に盛られておりますものは、これまで建設省がやっておりました治水の
ダム
が主になっておるのでございます。先ほども北村さんがおっしゃいましたように、昔は水資源というものをあまり考えませんので、
多目的ダム
というものは作りませんで、治水なら治水、電力なら電力というふうにしてございますが、水が非常に大事であるというので、一滴の水も利用しなければならぬというので、治水
ダム
を建設省がやっておりましたその水を利用しまして、電力だとか海潮用水だとかいうふうに使うわけでございまして、どの
ダム
でもみな建設大臣が強権を持ってやるというわけではございませんで、これまでもやっておりましたのを、こういうふうな法案に盛りましたので、建設大臣が全部の
ダム
につきまして強権でやるというのではございませんから、その点、御了承いただきたいと思います。
安部キミ子
166
○
安部キミ子
君 私は、この
ダム
といいましても、多
目的
でしよう、文字
通り
に。それで、各
方面
にこの
ダム
が使用されますと、やっぱり受益者になる
人たち
はそういう多
方面
にわたっておるわけですね。でありますから、そういう
人たち
の
基礎
に立ったいわゆる頂点である大臣が、みんな同じ資格でいろいろ運用に当られたらどうだろうかと思います。最後の
決定
権というものが、建設大臣にあるわけなんでしょう。ですから、そういう
意味
で審議会というようなものをお作りになって、そうしてそれには必ず各省の大臣にその責任があるような立場で結論を出してもらいたい。こういうふうになれば、この
多目的ダム
で、直接はこの大きな責任は建設大臣であるというふうなお考えでしょうけれども、そうでなしに、
関係
の各大臣も同じ立場で
運営
の責任に当られたらどうか、こういうわけなんです。
小沢久太郎
167
○
政府委員
(
小沢久太郎
君) この「協議する」という点につきましては、各省大臣お互いにみんな利害
関係
がございますから、そういう
関係
を主張し合いまして、とにかく協議のもとにやるわけでありますから、まあ独自のお考え方で平等な立場でやるわけであります。おそらくこれは建設大臣が、これまでのように、治水を主としたものでございますから、最後に作るということが建設大臣が、これまでのようにやっておりますので、最後のまとめは建設大臣がやるというふうにしておるわけでございまして、たとえば治水ばかりでございませんで、海潮が主になったものは
農林省
がやりますし、また電力だけが主になったものは通産省がやるというふうに、
ダム
のうちでも、全部建設省がやるわけではございませんで、治水を主にしたものに限ってやるわけでございます。
安部キミ子
168
○
安部キミ子
君 それはそうでしょうけれども、最後の
決定
権というものは建設大臣の腹
一つ
でしょう。この水をどっちによけいやるとか、どっちにどうしようという、その
運営
の面の
決定
権は建設大臣でしょう。そこを私が言うのです。
小沢久太郎
169
○
政府委員
(
小沢久太郎
君) これは最後に協議が整わなければできませんから、整うということはやはり各省大臣のみな話がまとまったということでございますから、建設大臣が各省の方が反対なのを押し切ってやるということはございません。
安部キミ子
170
○
安部キミ子
君
運営
の面で、ことしはたいへん早魃で水がないから、農民がどんどん水を流してくれ、こういう要求があったときに、その農民の要求にすぐこたえて下されば文句はないけれども、やっぱり電気の方も要る、水道も要るというふうになるでしょう。そういうときに、最後におきめになるのは、まあ農民の方は少々おいても、こっちへよけいやらにゃならぬ、あるいはいろいろ陰の圧力があって、こっちに多くやるということになるという可能性があると思う。それが私には一番心配なんです。それを、果して建設大臣が公平であるかどうかということを、今までのいろいろの日本の政治の中で考えたときには、非常に疑わしいのです。そこに収賄も起る、汚職も起る、こういう事実が私はできる可能性があると思うのです。そこを言うのです。
小沢久太郎
171
○
政府委員
(
小沢久太郎
君) そういう根本問題につきましては、基本
計画
で各省の間で協議を整えまして、そうして操作
規定
によってこれをやっておるのでございますから、そういう心配はありませんでございます。
安部キミ子
172
○
安部キミ子
君
規定
は
規定
でも、
規定
のように何でもできれば何も騒ぎはせぬです。先ほど千田
委員
からいろいろな話があって、
法律
にはいろいろなことが書いてあっても、実際にはその
通り
行われていないというので、やかましいのです。その点が私は心配なんです。
法律
があるとか、
規定
があるとかおっしゃいましても、国民はその
通り
になっているとは思わないですよ。その点で何とか、その建設大臣の専横なもし何があればいかぬけれども、専横な面がもし出たときに、何とか規制する方法はないかということです。
小沢久太郎
173
○
政府委員
(
小沢久太郎
君) 官庁がそういう方針できめ、操作
規定
できめたことに従ってやるべきでございまして、専横になるというようなことはこれは絶対にありませんです。
安部キミ子
174
○
安部キミ子
君 絶対にないというふうな御答弁でしたが、間違いないですね。
小沢久太郎
175
○
政府委員
(
小沢久太郎
君) 官庁がとにかくやりますから、そういうことはまあ絶対にないようにやりますが、もしもかりにですね、間違いがあれば、責任を追及しなきゃいけませんので、官庁といたしましては、
法律
によってきめる、そうしてその操作
規定
をきめまして、それによってやるということが一番いいと信じます。
安部キミ子
176
○
安部キミ子
君 各諸官庁で収賄や汚職やいろいろなことが出ていることは、新聞や何かで御
承知
の
通り
ですが、これなんかも、お役人さん——大臣を初めお役人さんは、りっぱにその職務を果しておられるということは、果して裏書きされているとは言えないじゃないですか。そういう事実もあるからですよ。
農林省
だって、いろいろあるじゃないですか。死んだ人もおるじゃありませんか。各省でそれ相応な問題がある。表に出ない、裏の方だってあるのですよ。私は
農林省
のことや何かとやかく言いとうないけれども、この間もある人が行ったら、
農林省
の何課か知りませんが、からの酒のびんが、机の下から何から、一ぱいだったと言っている。私は、
役所
でそんなに、酒のからびんが一ぱい、立錐の余地もないほど(笑声)たまっているとは思わないけれども、そういうことを私一ぺん見せてもらいたいと思う。そういうことが実際あるのですよ。あることは、あなた自身もよう知っておいでる。でありますから、こういうふうなことをですね、あなたは今絶対にないというふうなことをおっしゃいますけれども、あなたがそうおっしゃっても、事実はあることは否定できないじゃありませんか。そういうことも考え合せますと、この問題があまりに一人の大臣に、しかもこういう問題で権限が強過ぎると、こういうことを私が心配して、そうしてそれを何とか規制する方法はないかということを、先ほどの北村議員の質問とあわせて、そのあやまちのない方法をみんなが真剣に考えたらどうかということを、私はあなたに聞いておる。
小沢久太郎
177
○
政府委員
(
小沢久太郎
君) 先ほどからも申し上げますように、こういうふうに
法律
できまりましたら、大臣の責任において誤まりのないように
運営
していきたい、そういうふうに思います。
清澤俊英
178
○
清澤
俊英君 議事進行。いま一度建設大臣に来ていただいて、議事を進行するつもりでおられるのか。大体きょうはこれで打ち切るつもりなのか。
堀末治
179
○
委員長
(
堀末治
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
堀末治
180
○
委員長
(
堀末治
君) 速記を起して。本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十四分散会