運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-03-22 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十二日(金曜日)    午後二時二分開会   —————————————   委員の異動 三月二十日委員小笠原二三男君辞任に つき、その補欠として江田三郎君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            下條 康麿君            柴田  栄君            田中 啓一君            仲原 善一君            安部キミ子君            北村  暢君            小林 孝平君            鈴木  一君            上林 忠次君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○森林法の一部を改正する法律案(内  閣提出)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初委員の変更について御報告いたします。去る三月二十日小笠原二三男君が辞任されて、江田三郎君が選任されました。
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 森林法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  この法律案につきましては、前回の委員会において提案理由説明を聞いたのでありますが、ただいまから法律案内容その他について補足的説明を聞くことにいたします。
  4. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 森林法の一部を改正する法律案提案理由につきまして、補足的説明を申し上げたいと存じます。  昭和二十六年第十国会におきまして、森林法はほとんど全面的に近い改正を見たのでありまするが、その当時のわが国森林事情は、豊富な森林資源を包蔵いたしておりました領土を失いましたこととあわせ、戦時中及び戦後のはなはだしい乱伐によりまして、森林立木蓄積は戦前の九十一億石から一挙に六十億石にまで減少し、しかも百十五万町歩に及ぶ造林未済地と三十万町歩に達する荒廃地が残された上に、頻々として水害に見舞われ、さらにこれに加えるに復興需要等ため林産物、なかんずく木材消費は急激に増大いたし、これに伴い既開発里山における森林伐採が急速に進展し、生長最高期に達しない幼壮齢木が大量に伐採されるというきわめて異常な緊迫状態にあったのでありまして、いわば森林危機状態ともいうべきものであったのであります。  すなわち、国有林民有林を通じて、すでに開発せられ、当面の伐採利用対象となっておりました森林立木蓄積は約二十四億石、その年間の生長量は八千二百四十万石と推算されておりましたのに対しまして、伐採量用材一億一千万石、薪材九千万石、合せて二億石にも達しまして、実に生長量の二倍半にも及ぶ過伐がこの地域で行われ、早急に未利用林開発しない限り、既開発林立木蓄積は遠からず枯渇してしまうのではないかというような憂うべき状態に追い込まれていたのであります。  かかる事態に対処いたしまして、森林施業合理化し、その国土保全機能の回復をはかりながら森林復興への道を開く手段といたしまして、森林経営計画化が強く要請されるに至ったのでありまして、この趣旨に基き、昭和二十六年の改正森林法によりまして、現行森林計画制度が新たに発足いたし、今日に及んでいるような次第でございます。  その制度の骨子といたしましては、第一に、国有林及び民有林経営を有機的に調整いたしまするため両者を通ずる森林施業の基準を定め、第二にさらに民有林につきましては、生育の途上にある幼壮齢木伐採許可制を、また生長最高期を過ぎた林木伐採届出制をとることといたしまして、奥地林への伐採移行を自然に誘導しながら、増大一途林産物需要要請にこたえて参りますとともに、第三に、さらに造林促進策といたしまして、民有林伐採跡地及び無立木地に対し造林指定をすることによりまして、資源造成促進をはかり、あわせて森林所有者それぞれの行う施業合理化に資するため指導事項の充実をはかって参りますとともに、第四に、国有林民有林を通じ、国土保全ため保安林整備拡充をはかることを内容としておるのであります。  さりながら、今後におきましても、後述いたしますように、森林資源とその生長量林産物特に木材消費需要との間にはかなり著しい懸隔があり、全体的には今なお過伐の状態にある次第でありまして、今後の需要問題を考えて参りますとき、取り急ぎ林力増強、未利用林開発促進等、一連の施策を積極的に推進する要あることを痛感いたす次第であります。  従いまして、かかる施策を総合的に実施する手段といたしまして、森林計画制度は依然きわめて必須なものと確信する次第でございます。  本年度に至るまでの既往五カ年間におけるこの制度実施結果といたしまして、全民有林につき森林の調査が一応終了いたしたのでありますが、これにより民有林につきましては、従前よりもはるかに高い精度の実態把握が得られたようなわけでありまして、この結果によりますと、国有林民有林を合せた森林面積は二千三百六十万町歩、その立木蓄積は六十六億石、そのうち既開発林立木蓄積は二十六億石、その生長量一億四百万石となっておりまして、一町歩当り蓄積昭和二十六年当時よりは低下しておる状況と、特に針葉樹資源窮乏の姿とが明らかに看取できるのであります。このことは、針葉樹におきましては消費資源との関係制度発足当時と同様依然容易ならざる状態にありながら、既開発里山における異状な過伐の継続によって、何とかそのときどきの需要をまかなってきておることを明らかに示しておるのであります。  以上のことをあわせ考えますとき、今後はさらに森林生産増強国土保全に対し、一段と強力かつ適切な内容を具備する計画たらしめるとともに、一そう現実にマッチするよう整備すべきように考える次第であります。  次に、その主要点について簡単に申し述べます。  その第一は、音通林広葉樹伐採許可制を取りやめ、届出制とすることであります、広葉樹伐採状況昭和三十一年度について見まするに用材四千二百万石、薪炭林七千八百万石、合計一億二千万石でありまして、今後の用材需要パルプ繊維板産業進展に伴いまして急速に増大する趨勢にあり、従いまして、従来薪炭林として利用されていたものが、これらの用材利用分野にとってかわられ、両者の区分を必要としないように相なるものと考えられるのであります。また薪炭林需要につきましては、ほぼ現状のまま横ばいするものと考えられますので、用薪材を通じ資源消費関係を総合的に勘案いたしますと、との程度数量は未開発林開発が進むことと、薪炭林施業合理化による成長量増加とをあわせ考えまするならば、将来の需給上さして大きな問題はないものと考えられるのであります。  次に、過去の実績を見まするに、広葉樹用材伐採許容限度に対し伐採許可申請数量割合は四割前後で、しかも許可申請数量許容限度を超過いたしまして、実際に伐採制限を受けたものはごくわずかであります。また薪炭林について見ますと、伐採許容限度に対する許可申請量割合は四四%前後でありまして、許可申請数量許容限度を超過した森林区数は三百五十、全国森林区数の一七%にすぎないのでありまして、既往伐採許可対象にはいたしておりましたものの、実際の伐採にはさして影響はないものと言い得るのであります。また、今後ますます消費増大を予想されます針葉樹用材需要に対処いたしまするためには、広葉樹伐採後これを人工造林化することを速急に進めなければならないのでありまして、これがために、国有林民有林を通じ千百万町歩造林地を確保するよう、昭和三十二年度からその実行に移るわけでありまして、これらの諸点を考えあわせますと、手続的にも森林所有者に相当めんどうな伐採許可制度は、この際支障のない限り緩和し、施業改善指導重点を向けることといたしたのであります。従いまして、この際普通林広葉樹はすべて届出によって伐採できることにいたしたいのであります。この結果は、あらかじめ伐採の予定しがたい零細所有者にとりましても、また農閑期を利用して行われますような製炭事業者にとりましても、きわめて好都合なことに相なるものと思われるのであります。これについての改正は、第七条、第八条、第十五条及び第十六条にわたっております。  第二に、針葉樹資源蓄積で三十億石、その成長量は八千三百万石でありますが、これを既開発林だけについて見ますと、蓄積で十四億石、その成長量は五千万石でありまして、これを昭和三十年度の伐採量一億四千万石と比べますると、二・八倍の過伐となっており、特に民有林にあっては三・四倍にも達するのであります。その上、今後パルプ用材建築用材等需要は漸次増加趨勢にありまして、木材需要は今後四十年後には現在量の約倍量となることが推測されるという状況から判断いたしますと、民有林につきましてこのような過伐が引き続き行われますならば、林道開設が順調に進んだといたしましても、針葉樹材需給資源との関係は、昭和二十六年当時に比べ一そう事態の悪化を来たしているものと言わざるを得ないのであります。  かかる事態にかんがみまして、明三十二年度から国有林民有林を通じまして、林種転換による拡大造林を進めることといたしておりますが、これとあわせまして、林木品種改良事業による成長量増大を目ざす施策を強力に取り進めて参りたい所存でございます。  以上申し上げましたことにより、針葉樹については従来通り伐採許可制度を存置して、幼壮齢林伐採抑制を行いながら、あわせて間伐保育等については十分に指導を行い、生産増強ための方策を講ずることとし、この場合の伐採許可の回数が往来年二回でありましたものを年四回といたしまして、本制度の運用の円滑を期したいと思う次第であります。これは第十六条第七項の関係であります。  第三点といたしまして、普通林につきましては可能な限り伐採制限を緩和する反面、強力な造林施策を推進することに重点を置くことにいたしたのでありますが、保安林につきましては、防災並びに他産業の保護に当る重大使命にかんがみまして、伐採制限は従来通りとし、さらに施業要件に違反した伐採を行うような場合には、伐採許可を取り消すことができるようにいたし、保安林施業の万全を期したいと思うのであります。これは第十六条に第十一項として新たに一項を設けました。このほか、これに関連いたしまして、第十九条を改正することといたしているのであります。  次の事項は、公有林に対し経営計画を作成いたしまして、公有林振興に資したいということであります。公有林わが国森林面積の約一割五分を占める存在でありまするが、戦後の市町村財政窮乏等によりまして、近年森林蓄積の減少が目立ち、一般私有林の一町歩当り平均蓄積二百十五石に対しまして、市町村有林では百四十石、財産有林では百一石にすぎない状況であります。  また、公有林私有林と違いまして公共団体基本財産として十分な管理を行い、一定区域住民生活向上及び福祉増進ため経営されなければならないのでありまして、この目的に沿い得るように国有林野整備臨時措置法により、あるいはまた新市町村建設促進法によりまして、国有林野市町村等に限って売り払う等の施策を行なって参っているのであります。  すなわち、公有林は財政的に、また直接生計に必要な林産物の供給を通じまして、住民全体の公益維持に役立つよう、一定方針に基き計画的に森林施業を行う必要があるように思うのであります。公有林に対する指導、監督につきましては、市町村基本財産としては地方自治法、またそれが森林であることによりまして森林法の規制を受けるのでありますが、現行森林法におきましては、森林計画制度によりまして、一般私有林同一条件施業規制が行われることになっているのであります。しかしながら、さきに申し述べましたような意味合いからいたしまして、この際公有林だけの経営計画を作成し、これによって適切な指導を加えて参る必要があるように思うのであります。これがためには、必要のある場合に自主的に地方公共団体の長が経営計画を作成するよう指導いたすことを本則といたしまして、現在の市町村財政事情並びに技術能力から見まして、都道府県知事はその作成につき必要な援助を与えることが適切な措置であろうかと考える次第であります。そうしてこの経営計画が適当であると認められます場合には、その毎年の立木伐採については、当該森林区の伐採許容限度の中から、当該分を抜き出し、その範囲内のものにつきましては伐採許可制度対象からこれをはずし、やや弾力性のある森林施業一定方針に基いて計画的に行われることによりまして、公有林振興をはかりたいと思うのであります。これにつきましての改正は第八条及び第十六条にわたっております。  最後に、農山村民経済振興をはかりますためには、林業技術普及を通じまして農家経営合理化促進し、あわせて農山村民自主性の確立を企図する普及活動がきわめて重要であり、また一方国土保全森林資源の保続培養をはかる森林計画制度が円滑に運営されることは、現下の国家的要請としてきわめて重要なことであります。しかも、この両者活動は、現地につきましてはきわめて密接不離連係を保ちつつ、一貫した方針のもとに行われなければならないのであります。林業改良普及事業につきましては、昭和二十五年度林業改良普及制度発足とともに、林業専門技術普及員地区技術普及員を配置することとし、前後多少の人員の増減はありましたが、三十年度現在千百四十人が全国に配置されていたのであります。一方森林実施計画実行を確保するため林業経営指導員制度は、昭和二十七年度から発足し、三十年度現在二千六十人が各森林区に配置されていたのであります。  ところが、昭和三十一年度に至りまして、さきに申し上げました通り両者業務一つの体系に統合して一貫性を持たせることの必要性から、両者をあわせて三千百五人の技術者を府県の中央と地区現場に配置することにいたしたのであります。そしてさらに業務実態農山村民との直接の連係を強化することの必要性にかんがみまして、昭和三十二年度には、右の三千百五人の配置を現場に厚くし、専門技術員五百四十七人、地区技術員二千五百五十八人とし、第一線の強化を計画中であります。そしてこれら第一線業務がうまく進むかいなかはもっぱら人にあるわけでありまして、これがためには、長くその業務に献身できますよう、身分上の安定をはかるとともに、その能力につきましても、一定資格要件を備えたものから採用するよう措置することが最も望ましいわけであります。従いまして、専門技術員林業改良指導員の名称にそれぞれ変更統一いたしますとともに、その任用の資格要件を定めるよう措置いたしたいと考える次第であります。この改正は第百八十七条、第百九十五条関係であります。  以上で森林法の一部改正案についての補足説明を終りたいと思います。
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) 御質疑の向きは逐次、御発言をお願い申し上げます。
  6. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 国有林野国有林野整備臨時措置法または町村合併促進法によってだいぶ払い下げがあったのでありますが、地元市町村からの申請と実際に払い下げされた割合は、どういうふうな大体状態になっておるか、お伺いしたいと思います。
  7. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) ただいまの御質問でございますが、申請と申しましても、正規に書類をもって申請をして参っておる場合と、それからこのほかに口頭でもって一応希望を申し述べておられるような場合と、さまざまあるわけでございますが、私ども承知しております限りにおきましては、一応書類をもって申し出ておられるものの総計が約十三万町歩という程度承知をいたしておるわけでありまして、これらのものにつきまして、昭和二十九年度以降今年度中に処理し得るものを含めまして、売り払い可能なものの面積は約一万五千町歩でございます。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、国有林野整備臨時措置法によって払い下げられたのは十三万九千町歩くらい、町村合併促進法によって払い下げられたのが三千町歩くらいあるんじゃなかろうかという考えがあるのでありますが、そうするというと、今のとだいぶ数字が違ってくるようになりますが、その関係はいかがでしょうか。
  9. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 御承知のように、国有林野整備臨時措置法によりまして昭和二十六年度以降昭和三十年に至る間に売り払いましたのが、約十三万町歩以上あるわけであります。その後、町村合併促進法によりまして売って参りましたもの、それから引き続きまして新市町村建設促進法によって売っております、売りつつありますもの、こういうものを合計いたしまして、ただいま私申し上げましたように、一万五千町歩、こういうふうに申し上げたのであります。
  10. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますと、大体において申し込みが約十三万町歩ということになれば、実際に払い下げ可能の面積が約一割、こういうふうなことであるのでありますが、その一割くらいでなくては、政府の方で検討されれば払い下げが不可能な状態であるということになるのでありますか、あるいはそのうちにさらに検討を進めておられるというのがあるのでありますか、その点お伺いしたいと思うのであります。
  11. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これらのものは、今申し上げました数字はいずれも、市町村から希望として申し出られたものであると思いまして、この中には国土保安上必要な森林ということで、法律によりましてまあ該当しないような部分も入っている。あるいは北海道等の場合におきましては、一町村から五千町歩、六千町歩という相当まとまった要望があった向きもあるのであります。そのほか、御承知のように、合併されました市町村がその地域内にある国有林について売り払いを受けることができるということになっておるわけでありまして、申請の中には合併しない他地域市町村所在国有林希望されておるというようなものもありまして、それらにつきましては、私どもの方といたしましては可能な限り問題を集約いたしまして話し合いを進めておる、こういう状況でございます。それから一応二十九年度から実施いたしているわけでございますが、急激に出て参っておりまするものは三十年度以降でありまして、従いまして、現在どんどん話し合いを進めつつあるという状況でございまするので、今後かなり進展をみるであろう、かように期待しておるわけであります。
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから次は、ただいま林野庁長官説明によってみまするというと、市町村有のものというようなものは、私有林と比較すると、一町歩当り石数が非常に少いのであるから、これをすみやかにこの法律によって対策をねらなくちゃならないということであるのでありますが、今市町村有土地の闊葉樹はこれに書いてあるそのままよりも、できるだけ簡単な方法伐採ができるようにし、そうして針葉樹について一そう力を入れるというようなことになるとしたならば、針葉樹に力を入れていくことによって一町歩当り石数は急激に増加するというお考えなのかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  13. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) まあ一般公有林と申しますものの中には、御承知のように、都道府県有林市町村有林部落有林、こういうようなふうに大きく区分されるわけでございまして、部落有林と言われておりますものの実態はきわめて複雑怪奇な内容を持っていることは、御承知通りでございます。従いまして、私どもが今回森林法の一部改正によりまして、施業計画編成台帳にいたしたいというように考えておりますものは、ひとまず都道府県有林並びに市町村有林並びに財産有林というふうに、こういうことで権利義務関係が非常に明確なものについてのみやって参りたい、こういう考えでおるわけであります。一般公有林、なかんずく市町村有林以下の公有林現状でははなはだしく荒れておる。森林生産からいきますと、きわめて低位な状態に置かれている、こういうことにつきましては、さまざまの原因はあろうかと思うわけでございまするが、やはり可能な限りこれを針葉樹造林地化するということによりまして、これらの土地生産力を急激に引き上げて参りたい、こういうような考え方からいたしまして、すでに古くから助成措置を講じ、さらに公有林野宮造林によりまして造林事業を進めておる、こういう関係であるわけであります。そのことによりまして、いわゆる荒れている状況を回復して、将来の治山治水の上にもきわめて好影響のあるような森林状態に回復させるということとあわせまして、市町村基本財産造成というようなことにも役立ち得る、その手段といたしましては、できるだけ針葉樹造林地をすみやかに作ってもらいたい、こういうことに尽きるのじゃなかろうか、かように考えております。
  14. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 市町村合併に対して常に問題になるものは財産区の問題であるわけなんですが、財産区の財産処分は、合併ができ上ったならば市町村村令決議を要する、そういうふうなことであれば、財産区を持っておってでも、市町村会決議をせなかったならば処分ができないというようなことになってくるのでありますから、財産区を持っておってでも特別に利益がないというようなことになるようにも想像されるのでありますが、財産区と市町村会決議と、こういうふうな点について将来何とか方法考えられるというようなことがあるのであるか、あるいは現在のままにしておかれるという考えであるか。町村合併の場合においては、できるだけ財産区というようなものは認めないというようなことで進められる方針であるか、あるいはこれは自治庁関係になるかわかりませんけれど、林野庁としてのお考えを承わりたいと思うのであります。
  15. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お説のように、現在財産有林という形において維持されておりまする公有林は、かなりの面積に達するのでございます。約六十五万町歩にも達するという状況でございます。これらの財産区ができましたのは、最近の町村合併促進の過程においてできたものが非常に多いわけであります。先ほど市町村有林部落有林が他のものに比べましてかなり荒れておるという状況を申し上げたのでございますが、特に近年この荒れる原因になっておりますものの一つといたしまして、六三制の制度が取り入れられました場合に、新しい学校建築というようなもので、大体共有財産として保有しておりました市町村有林伐採いたしまして、その収益でやって参ったということで、あの時期には利用可能のものが大量に切られた、こういう事情があります。旧町村当時のことをいろいろ考えてみますというと、御承知のように、最初は郡、後になりますと県知事の許可があって初めて、共有財産森林処分ができる。戦後の地方自治法によりましては、町村議会議決を経れば自由に処分ができるということで、許可、認可というものはなくなっております。そういうことが、実をいいますと、伐採をきわめて容易にし、その結果といたしまして、急速に森林伐採が進んだというようなことの事由の一半じゃなかろうか、私どもはかように考えておるわけでございまして、特に林野庁当局といたしましては、財産区の財産処分いたしまする場合には、むしろやはり町村議会議決を経るというような、やや安心のつく段階というものがあるのが好ましいじゃないか、最近の実態から見ましてそのように考えます。
  16. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今度の森林法改正では、針葉樹林を積極的に増産させる、こういうふうなことであるのでありますが、例をとってみまするというと、針葉樹のうちの松、これにはマツクイムシというものがおって非常な害を及ぼしている、あるいはマツケムシというようなものがおって非常に害を及ぼしている。そうして一方の方ではマツクイムシについてはすでに研究が済んだのであるから、農林省としてはマツクイムシの研究はしないのだ、こういうふうな説明も聞いておるのでありますが、現在の状況からいえば、マツクイムシに対する研究は済んだといたしましても、これの駆除対策というものはさらに徹底的にやらなければできないと思うのであります。現在のマツクイムシの駆除対策くらいではマツクイムシの駆除は絶対にできない、こういうように考えておるのであります。また、日本にはいろいろの風致林がありますが、そういうふうなものが片っぱしからマツクイムシにやられておる、あるいは防風林のようなものがマツクイムシにやられるということで、研究は済んだから、もう研究はしない……。しかし研究が済んだならば、済んだ結果によって、こういうふうなものの被害を免れるような対策を講じていかなければならない。現在においてはその対策がまだ十分でないと思うのでありますが、マツクイムシ対策及びマツケムシ対策、そういうふうなことについてお伺いしたいと思うのであります。
  17. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 御承知のように、特に戦後になりまして、西日本一帯にマツクイムシ、マツケムシの大量発生を見まして、そのために非常に膨大な松材が緊急に処分されなければならないというようなことになったわけでございますが、戦前におきましてはかようなことは実はあまり経験のなかった事象でございまして、その根本原因といたしましては、やはり長い期間にわたりますところの森林の奪略的の取扱いによりまして、いわゆる地方というものが非常に大きく衰えておるということが基本的な原因じゃなかろうか、かように考えるわけであります。当時応急的な防除措置といたしまして、マツクイムシ、マツケムシの防除をいたしたわけでございますが、状況によりましては国みずからが直接にやる、県営でやる、森林所有者みずからがやる、こういったやり方に区分いたしまして、鋭意やって参ったわけでございますが、最近の情勢からいいますと、次第に下火になっているという状況でございますけれども、決して油断はならない。マツクイムシの根本的な措置というものは現在完全に終っておる、かように私ども考えておるわけではないのでございまして、発生の状況によりましては、これを徹底的に防除する必要がある、かようなふうに考えておるわけでございます。
  18. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 現在マツクイムシの処分をするために、松の木を持っておる者はこれを政府の命令によって処分したために、松の木を持っておる者はこれを倒し、皮をはぐというような費用が、材を処分するところの金額よりも大きい、こういうふうな状態であるから、所有者が被害の松の木を倒せといっても、それが不可能であるということに陥った場合には、所有者がその松の木を切らないという場合には、政府みずからが自分の費用によって倒してまでもこれの駆除をやるという決心があられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  19. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 従来のように、要するに林分的に大量に発生いたしておりました当時においては、ただいま御質問のような事態があまりなかったのであります。そこで立木伐採するということは、普通のいわゆる経済行為でもいたすわけでございますから、これは自分の費用、自分の手でやってもらいたい。伐採いたしまして搬出の段階までは、一般にやられておる。ことにマツクイムシの防除対策といたしましてやらなければならぬのは剥皮、焼却です。剥皮、焼却に対しまして補助金の対象となるものは、補助金を国、都道府県から支給いたしてきております。ところが、最近のように集団発生というものがだんだん下火になりまして、要するに発生が散発ということになりますと、その被害木の焼却ということは経済的に成り立たない、こういうふうな状況に相なるわけでございまして、従いましては、お説のように、今後伐倒いたしましたものを売り払った価格によってはそれだけのものをカバーできないようなことが、今後の問題としてはたびたび起きてくるのじゃなかろうか、従いまして、今後の問題といたしましては、そういう場合に必要とあれば当然国みずからがこれを補助してやるというような場合もあり得るものだということで、研究を進めていきたい、かように考えております。
  20. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それからこのマツクイムシと同じのが、同じ針葉樹の木にも発生したという話を聞いているのでありますが、宮崎県かどっかに。その後、木に対する被害の状況はいかがですか。
  21. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) ただいまのお話は、杉材のタマバエという害虫の発生じゃないかと思っておりますが、これは熊本県のごく一部、宮崎県の限られた部分だけに発生をいたしておりまして、しかもこれは大部分は国有林でございますが、これらのものをすみやかに除去するということを徹底してやっておりますので、その後の蔓延はあまりないようでございます。
  22. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま一つ今後のマツケムシの駆除ですね、駆除の方法は研究の結果でなければわからないだろうが、どういうふうな研究をされて、どういうふうな方法で駆除されるお考えであるか、計画があったらばお伺いしたいと思うのであります。
  23. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 御承知のように、従来は伐倒、剥皮、焼却というような系統の駆除対策を中心といたしまして、やって参ったわけであります。薬剤散布というような方法でやったのでありますが、今後の問題といたしまして私どもが取り上げて研究いたしておりまするのは、薬剤散布じゃございませんで、要するに燻煉法と申しますか、煙によりまして絶やしてしまうというような駆除方法を実は研究をいたしたのであります。ある程度の効果があるというようなことも聞いておりますので、これで効果があればこういう方法をやって参りたいと、かように考えております。
  24. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これが最後ですが、第百八十七条のさっきお話があった林業専門技術員及び林業改良指導員、これは政令の定むる事項としての印刷物をもらっておりますが、従来のものをそのまま継承をして引きつがせるのであるか、あるいは従来のものが試験に合格しなかったというようなことであったならば、これはやめなくちゃいけないようなことになってくるのだろうと思いますが、従来のものはどういうふうな基準によって採用しておったか。また今後農林大臣の定める学歴あるいは経験を有するというようなものについて、どういうふうに従来と差があるか、承わりたいと思うのであります。
  25. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 従来、都道府県関係民有林行政を推進して参ります末端の職員機構といたしまして、ただいま御説明申し上げましたように、林業の改良普及事業の推進をいたします普及員と、それから森林法に基きますところの森林実施計画実行して参ります林業経営指導員、こういう二様あったわけでありますが、これらはいずれもやはり林業の技術援助による地方林政の振興、こういうことに役立たせる職員でございますので、本質的にはいずれも技術職員でございます。従いまして、これらを一つ統合いたしまして、仕事の繁閑によって有無相通ずるというような運営をする方が、むしろ実態によく合ったと言えるのじゃないかというようなことから、昭和三十一年度以降両者を統合したわけであります。それで当時林業普及活動におきましては、全員で一千人少々ありました中で、七百数十人の専門技術普及員というものがございまして、むしろ頭でっかちの組織になっておったわけでありますが、この統合いたしました機会にそれを廃しまして、林業専門技術普及員につきましてはごく専門的に限られた人間を置くようにいたしまして、むしろ自主的に森林所有者と接触いたしまする一部の人間に厚く配置がえをしたということでございます。従いまして、従来専門技術普及員の資格要件を持っておりましたものが、地区普及員に出ておる、こういうような状況になっております。従来といたしましても、それぞれの制度のもとに任用の資格要件というものをきめておりまして、それに合格した者から任用をしていく。ただいま申し上げました専門技術普及員のごとき場合におきましては、その資格試験に通らなかった、従って適格者がないというような場合もございまして、そういう場合には代理制度を一応認めまして、試験に通るまでの間は代理でいこうというようなことに考えていたわけでございまして、私どもは今回のこういった名称変更、資格要件をきめます機会に、従来の基準を変えるというような考え方は持っておらぬのであります。たしか従来は、旧制大学卒業者の場合におきましては実務経験が三年以上、専門学校、短期大学卒業者の場合におきましては六年以上ということをもって、一応の資格要件としておったように私ども考えておるわけであります。
  26. 東隆

    ○東隆君 私は、農業の方には適地通産というのがありますが、林業の方ももちろん適地適産があって、木材広葉樹針葉樹の場合に、やはり土地を選ぶ問題であるとか、そういうふうなものはあるんじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  27. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お説のように、林業におきましても、やはり適地適木ということがあくまでも造林を進めて参ります原則に相なっておるわけでございまして、農業の場合のごとくそれほど適合性というものの移り変りが顕著ではございませんけれども、やはりそういうものがあるわけでございます。そこで大体私どもといたしましては、もちろん適地適木ということを考え造林計画を進めるのでございますが、その中でも、たとえば自然に放置しておけば広葉樹の天然林が再生をする、ところが、それを切った跡に人工植栽をすれば優位な針葉樹ができ上る。多くの林はそういう条件のものでございます。ただし、むしろ地帯的に、植えましてもなかなか育たない、たとえば北海道の北の方に参りました場合に、内地におけるような杉、ヒノキを植えても、育たない。北海道のエゾマツ、トドマツのようなものを東京辺に持って参りましても、育たない。こういうように、地帯的に適合する樹種というものはおのずからきまるわけでございますが、そういう地帯内のものでありますと、今申し上げましたように、広葉樹を切りました跡に針葉樹を植えるということにつきましては、相当な幅広い適合性があるわけであります。そういうような考え造林計画の問題を進めていきたいというふうに考えております。
  28. 東隆

    ○東隆君 私は、パルプ資源に、針葉樹でなくて広葉樹を用いることができるようになったと、こういうことを聞いているのですが、一応今回の改正を少し見方を変えて見ますと、広葉樹の、しかも立地条件として非常にいいところにある広葉樹が、しかも幼木が伐採をされる危険が多分に起きてきつつあるのではないか、こういう問題が考えられるのですが、これはどういうふうに考えられますか。
  29. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 広葉樹ということになりますというと、その主要な部分は、何と申しましても、やはり薪炭林の供給林でございます。これはもちろん農家周辺の地域にもありまするし、かなり奥まった所もこれはございますが、要するに薪炭林の供給林として経営をされている広葉樹林というものが、これは大部分でございます。それで残るものが要するに用材生産広葉樹林ということになるわけでございますが、これらのものはいずれもいわゆる奥山にあります天然成林であります。広葉樹の人工植栽林というものはほとんどないわけでありまして、いずれも残っておる地域というものは奥山の、しかも奥地にある広葉樹、こういうことになりまするので私どもといたしましては、そういうものの相当多くの部分というのは、従来からいわゆる伐採許可制度対象でなく、伐採届出制度の対象になっておるものがかなり多くあるといったような状況からいたしましても、それほどこの措置によりまして、急速に広葉樹資源というものに対する伐採が進行するというようには考えておらぬわけであります。一応この措置によりまして、非常に大きく影響を受けて参りますのは、薪炭林の場合でございます。そのように御了承いただきたいと思います。
  30. 東隆

    ○東隆君 その薪炭林はよくわかるのですが、薪炭林がそういうように減少していくのはいいんですが、今の状態で、お話を聞きますと、薪炭用に向けられるものは年々減ってきている、こういうようなお話でありますが、私はある程度薪炭用のものは今後とも必要でないかと思うのですが、それは主として広葉樹に待たなければならぬ。しかも、それが立地条件からいって、非常に遠い所にそういうものが置かれる、こんなようなことになりますと、国民の生活の面から考えまして、だいぶむずかしい問題を将来に残していく。こういうふうに考えられますが、これは心配ございませんか。
  31. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 今の御質問でございますが、私どもといたしましても、必要な薪炭林の供給というものは、現在も森林にしなければならないということは当然なことでございます。特にこれは農家経営等と密接不離にからんでおりますのでこういうものの確保は優先的にはかって参らなければならぬということは、国有林民有林を通じまして、そういう考え方でやっておるわけでございます。ただ、実態的に申しまするというと、近年の薪炭消費というものが確かに相当程度減って参っておる。まあこの中心は都市並びに都市周辺の地域ということでございまして、やはり電熱あるいはガス練炭等によりまして、従来の薪炭消費というものが多く取りかわりつつあるということは事実でございます。そういうような影響と考えられるのでございまするが、大都市並びに大都市の周辺地域におきましては、年々薪炭消費が急速に減っている。従いまして、全国平均いたしまするというと、大体横ばいだと、こういう状況でございます。  それからもう一つの問題といたしましては、必要な薪炭林というものは、これは確かに供給しなければならぬことでございますが、現在の薪炭消費実態というものはなかり熱効率を大きくロスするような方向で行われているというような意味合いからいたしまして、生活改善等の意味合いからいたしまして、かまどの改善というようなことが非常にやかましく取り上げられておりますが、要するに、少いもので同じだけの熱効果を期待できるという方向も、これは確かに資源の節用の面からいきまして、適当な方法であるということと、薪炭林の相当主要な部分というものは農家の周辺にあるわけでございまして、私どもといたしましては薪炭林の改良事業というようなことをさらに積極的にやりまして、一単位当りの生産量を高めていく、そこにいわゆる生産量の高まりによりまして、相当程度の余地と申しますか、従来維持しておった薪炭林の一部分を他に転用せしめて差しつかえないという余地が出て参りますと、これはやはりある程度用材林の造成に充てて参りたい、こういうことを考えていくべきものじゃないか。  そういう意味合いからいたしまするというと、薪炭林消費というものが大体横ばいになってきた、あるいは漸次減って参るということにつきましては、これが農山村の副業として、従来の現金収入を得る上の相当大きな仕事をしておったというようなことが、大きく脅威されぬ限りにおきましては、資源政策の面からいきますというと、それほど悲しむべきものではない、かようにこれは理解しておるわけであります。
  32. 東隆

    ○東隆君 私は、木材の将来を考えたときに、いろいろ合板であるとかその他いろいろな加工をしたものですね、そういうようなものが将来使われていくということになって参りますと、どういうものが対象かと申しますと、やはり針葉樹じゃなくて広葉樹じゃなかろうか。従って、広葉樹はやはり相当残しておいて、そうしてそれをやはり有効的に使うことを考えなければならぬと思います。この点は、今針葉樹用材として、あるいはパルプ関係なんかから、やはり相当要望されておるので、その線に沿い過ぎるのじゃないか、こういう気がするのですが、そういう点はどうですか、将来を見通して。
  33. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは先ほどもちょっと御説明申し上げた中にあったかと思いますけれども、私どもは今できるだけ造林地化して参りたい、造林地化するにおきましては、針葉樹造林地を作って参りたい、こういうふうに考えております。最高の目標は、大体一千六百万町歩造林地を作り上げようということでございまして、現在は国有林民有林合せまして大体五百六十万町歩造林地があり、現在の造林地を倍加するというのが一応技術的に、しかも将来木材需給が非常に逼迫するということを前提にいたしました場合の見通しを取り入れて、経済的にもペイする、こういう見解でございます。ところが、全森林面積というのは、もちろん御承知のように二千六百万町歩あるのでありまして、千百万町歩造林いたしました場合にも、千五百万町歩は依然として残っております。残る森林というのは大体天然に成育する木を伐採いたしまして、その後は萠芽あるいは天然下種という方法によって、天然にやはりまた新しい林が再生される、こういう方式から森林を作って参る。その場合の大体全部と申し上げていいくらいのものが、これは広葉樹ということになるわけでございますからして、できるだけ針葉樹造林地化を進めるといたしましても、大量にやはり広葉樹林というものは残らざるを得ないということでございます。従いまして、まあ、この段階では造林地化を大いに進めたいという表現を強調いたしましても、そのため広葉樹が大きく減って参るということにはなかなか相ならぬ問題であると、私はかように考えておるわけであります。
  34. 東隆

    ○東隆君 私は、これも聞いた話でありますが、天然更新の場合に、最後になるものは針葉樹だ、こういう話を聞いておるのですが、たとえば火が入って焼けた跡地にはすぐシラカバがはえたりなんかする。それが次第にそのあとになって、針葉樹になってくる。針葉樹は陰性の関係でもって、非常にしけた所でもはえてくる、こういうような関係針葉樹が最後には勝利を得るのだ、こんなような話を聞かされておるのですが、これは自然の林は、自然に更新されるときにはそういうような運命をたどっているのじゃないか、こういうふうに聞かされたのですが、これはどうなんですか。
  35. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは植物の発生史的な見方からいたしますというと、現代は要するに広葉樹の時代だ。針葉樹というものは過去の遺物的なものになっておるわけでございます。従いまして、針葉樹林の生育を持っております地域というものは、世界的に見ましてある地域に偏しておるということでございます。そこで一応現在の天然成林を切りました場合におきましては、切った跡にまっ先にはえてくるものは明らかにこれは広葉樹でございます。しかも非常に陽性な広葉樹、明るいところを好む広葉樹がはえてくる。こういう意味で、北海道あたり切りますと、シラカバがすぐはえてくる、こういうことになるのですが、そのうちにだんだん林が生長して参りまして、いわゆる天井の閉鎖というものが行われて参りますと、その下には次第に陰性のものがはえてくるということなのです。今おっしゃいましたお話は、ある条件のもとにおいてはそういう形をとるということになります。要するに、広葉樹が自然に発生するような条件のもとにおきましては、自然に放置しておきますというと、長い森林の生成の過程のうちにはそういうことに相なるということでございまして、これは要するに、こういうことだと思うのでございますが、その地域において生育いたしますところの針葉樹広葉樹というものの、この大体生理的な樹高限界と申しますか、要するに、ある一定のところまでは直径が、ある一定のところまでは木の高さが伸びる、このいわゆる最高の樹高限界というものが、一般針葉樹の方が広葉樹よりも高いわけであります。たとえば、北海道あたりにおきまして言えると思いますが、針葉樹のところ、エゾマツ、トドマツということになりますと、三十五、六メートルから三十七、八メートル、それに反しまして、広葉樹はせいぜい三十メートル、あるいはそれ以下だ。ということになりますというと、要するに林間が閉鎖する段階が違ってくるということにもなるわけであります。そこで最後的には針葉樹が勝利を占める。要するに、上部にまで伸びてきて、そこで安定するということが針葉樹に多いわけであります。そういうことに御理解願えたらけっこうだと思います。  ただ、どこの山でも、切りっぱなしにしておきまして、それで針葉樹がはえてくるというわけには参らぬと思います。で、たとえば一番よく天然にはえて参りますのは赤松でございますが、赤松のような場合におきましても、山頂から次第に入ったものが、山の中腹くらいにくるというと、おのずから自然に針葉樹もとまってしまうというような状況でございまして、おそらくただいまのお話はそのようなふうな現象をとらまえてのお話だと思うのであります。
  36. 安部キミ子

    安部キミ子君 私は、この日本の国土状況を見てみまして、山の木が非常に切られておりまして、終戦直後の状態と現在とあまり変っていないような印象を受けるのです。で、終戦直後に林野庁では、あの戦時中に切ったいわゆる過伐の状態について何とか対策を立てなければいけないというふうなお考えを持っておられたと思いますが、最初に、林野庁がこの森林政策にどういう手を打たれたのでしょうか、それをまずお尋ねしておきたいと思います。
  37. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 敗戦によりまして、南樺太と、それから北部朝鮮、中部台湾といったような、従来非常な森林資源的に見まして富豊な立木の包蔵地域が失われたわけでございまして、そのことによりまして、先ほど申し上げましたように、従来戦前で九十一億石の森林蓄積があったものが、一挙に六十億石に減少して、現在の状況は六十六億石でございますが、一応当時の終戦直後の、残された地域森林蓄積は六十億石というところであったと思います。そこで、要するに戦前のことを申し上げますというと、大体このサガレン材、あるいは北米、カナダ、あるいは南洋材、こういうものが、多いときには大体二千万石くらいも内地に入っておった。こういう状況の上に、国内資源的に見ましても、非常に優位なものがあった。それに対しまして、消費の面は現在の約半分であった。こういうことでございますから、戦前は要するに国内の需給——木材に関する、林産物に関する需給事情というものは非常に穏やかな立場で推移しておった、こういうことが言えると思うのであります。要するに、この敗戦によりまして大きく資源地帯を失ったということと、それから現在の国内における木材の価格休系、輸入材のやはり価格というものとの不均衡な点からと、もう一つはそれらの地域においても、木材をあのなまのままで、丸太のままで出すということについて非常に批判的だといったようなことからいたしまして、現在は年間大体八百万石程度のものがやっと国内に入っている。そのうちの七百万石というものはこれは南洋材でございまして——特殊材に使われる南洋材でございまして、その他のものが百万石足らずでございまして、いわば輸入材が国内の需給に対しまして相当顕著な影響を、どうこうという状況にあるということじゃないわけであります。  その上に持っていきまして、消費の面からいいますというと、戦前各地方に進出しておりましたパルプ工業のごときものが、終戦後は縮小しまして、この四つの島に入ってきた。それから一方この用材は、従来は用材需要の中の半分というのは、大体土木建築の用材であったのですが、近年におきましては、むしろその比率がだんだん減って参りまして、需要の絶対量にもかかわりませず、現在の構造材料としての消費率は四割くらいになっております。反対に工業原料としてのものが六割くらいという状況でございますが、とにもかくにもそういった工業用材としてのものが、国内の少い資源を目がけて、それに全面的に移動しておるというような状況になってきた。  それからまた近年になりまして、建築の不燃化といったようなことから、かなり木材需要を節約するような方向がとられつつありまするけれども、それにもかかわりませず、現在依然として建築関係に使われるこの木材数量は減っておりません。要するに、需要はきわめて旺盛だ、まあこういう状況でございまして、当然そこには国内の森林生産量と、国内の消費との間にきわめて顕著なアンバランスがあるということは、これはもちろん仰せの通りでございます。  ところが、一体国内の、先ほど申し上げました二千六百万町歩の全地域森林が同じようなあるいは状態にありますが、伐採され、利用され、その後造林されるというような、いわゆる稼働状態にあるかといいますと、そういう状態ではございません。むしろ地域の四割というものは、いわゆる道がないままに死蔵されている資源であります。という状況でございまして、地域の四割、立木蓄積のおよそ六割は未利用の状態だということもほぼ明らかになっておるわけであります。  そこで林野庁といたしましては、当面の消費需要というものが急速に伸びておるという状態に対しまして、これを直接的にどういうように律するというような方策もないわけでございますので、いわゆる奥地未利用林に対して林道の開さくをすみやかに行なって、これらを利用可能の状態に置くのだという政策が一つ、それから戦後に百十五万町歩造林の未済地があったわけであります。これに対しましては緊急に造林を進めて参るというような措置をとる。それと、かたがたあわせまして、この現在改正を御審議していただいておりまする森林法を、昭和二十六年に大改正をいたしまして、まあ幼壮齢林に対しましては伐採制限も行う、それからそれ以上の年令のものに対しては、伐採届出制により、森林伐採実態というものをできるだけ詳細に把握していく、こういうような措置を今まで実施して参っておるようなわけであります。
  38. 安部キミ子

    安部キミ子君 昭和二十六年に森林法が強化されまして、その効果が一体あったのですか、ないのですか。
  39. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) その判断はなかなかむずかしいと思うわけでございまするが、私どもといたしましては相応な効果があったと、かように考えておるわけであります。  そこで、一つ申し上げておかなくちゃならぬと思うわけでございますが、要するに、現在のこの森林法によりまするところの伐採制限制度でございますが、この中に言っておりまするこの適正伐期齢級というものを、樹種ごとにきめておるわけでございます。何でもかんでも伐採制度にかけるわけじゃございませんで、ある程度において、ある樹種は一体適正な伐期というものは何年であるかというきめ方を実はいたしております。それでその伐期に到達するまでの間の立木伐採しようとする場合におきまして、初めて許可制度の対象にする。その年令に達しました以降の立木伐採は、二カ月の事前届出と、こういうことで済ませると、こういうことにいたしておりますわけであります。たとえていいますと、山口県のある地区の松につきましては、適正伐期齢級を三十年というきめ方をしております。それで適正伐期齢級と申しまするのは、要するに切りますときの平均成長量の最大な時期というものをいわゆる適正伐期齢級と称しております。まあ要するに、その成長まつ盛りにあるものを許可制とし、成長が最盛期に達して、それ以降のものはやはり許可制度の対象にすることは無理だ、これは届出制度でもって実態把握をしよう、こういうことでございます。  そこで、伐採許可制度にかけるものの数量でございますが、今申し上げましたようなやり方でございまするからして、ある地域において伐採許可し得る数量の限度というものは幾らかというものを計算をしまして、これを与えておるわけでございます。そのいわゆる計算のもとになっておるのは、その地域の現在あります立木の毎年の成長量でございます。毎年の成長量をもとにいたしまして、森林区という単位ごとにその地域内で切れますところの伐採許可をしてもよろしい数量の限度というものを設けまして、その限度内のものについて伐採許可申請を待って逐次許可をして参る、こういうような状況になっております。  それで、私どもがこの森林法改正を二十六年にいたしましたときにおきましては、おそらく全国一せいに、各森林区ごとに伐採の許容し得る限度以上の伐採許可申請があるものだというように考えて、実施に取り組んだわけでございまするけれども、その後の実施過程を見まするというと、針葉樹につきましては、森林区の七五%は確かにオーバーしておる、残りの二五%は許容し得る限度の範囲内にあるという状況が出ております。そこで七五%の伐採許可の限度をこえた申請の出ましたものにつきましては、事実この制度の運用によりまして、それは許容限度以内に押えられるということでございます。私はそれ相応にやはり効果があったものだというように考えております。
  40. 安部キミ子

    安部キミ子君 先ほどあなたの提案説明を聞いておりましても、このままでほおっておいたら大へんなことになるというような印象を受けた。そして今ここに出されております計画森林計画の表を見ましても、私はこういうふうなことも必要でしょうが、もっと根本的なことをした方がより計画なり目標に早く達せられるのじゃないかということを考える。終戦直後農地は解放されましたけれども森林は解放されないために、民有林にあっては、一部の地主が広範な地域を私有しているわけです。その人たちは自分の都合で勝手にどんどん売っておるのですね。これに対して押える法律というものがないわけなんです。でありますから、貨車など見ましても、あの木が適齢期であろうなどと思えないような、まあせめて十五年になったかならないか、まあ年令でいえば中学生ぐらいの成長期の木が、どんどん切られてパルプ工場に運ばれておる。パルプ工場の周囲を見てごらんなさい。あれだけの木が切られておるというこの事実を、私は非常に不思議に思うておるわけなんです。全く無政府状態じゃないか、森林政策については無政府状態じゃないか、こういうふうな印象も受けるわけです。汽車の中から山を見ましても、ほとんど終戦直後の山の形状と変っていないというような印象を受けて、それよりかもっとまた頭がはげていきよる、木が切られていきよるというふうな印象を受けるのですが、その根本的な問題として、民有地を解放すると申しましても、一応政府が買い取らなければならないだろうし、計画的な充実した計画を立てるには、やはり政府計画した方がいいと思んです。そういう意味で、民有地を政府が買い上げて根本的な林業政策を立てる御意思はないのかどうか。
  41. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 私どもは、現在の民有地を国の手で買い上げて、その上で国有林として計画を立てて参る、こういう考え方は持っておりません。ただ、私有地に対しまして許可かあるいは届出ということでないというと、自分のものが全然切られないというような制度を設けておりますことは、これは明らかに戦後の荒廃した森林に対しまする緊急措置としてやられておる、私どもはこういうように考えておるわけでありまして、要するに、今のお話でございまするが、どんどんパルプ資材なんかとして若いものが切られておるというお話でございますが、これは私どもといたしましては、かりに適正な伐期というものをきめております場合に、それ以前に、達するまでのものが無許可で切られておるとするならば、これは違法だということになると思います。以前のものでありましても、許可し得る限度までのものとしましては、これは許可をいたしておるわけでございます。それから一見されます、丸太でございましょうけれども、あれはやはり元から、末からのものが全部ああいう貯木場に出ておるわけでございます。そこの部分だけごらんになると、十五年生かあるいは十二、三年生というものがある場合でありましても、必ずしもそれは元の丸太じゃないということになりまするというと、そういうようなごらんになり方も実はできるわけでございます。  それからまあ、この戦後の状態から全然変っておらぬじゃないかというようなお話でございますが、とにもかくにも、先ほど申し上げました、終戦直後百十五万町歩にも達しました造林の未済地は、昭和三十一年度でもって全部造林を完了するわけでございます。ただ木を植えただけでは、やはり手入れがそれに続きませんというと、なかなか成林しがたいという実情というものは確かにありますけれども、私ども承知しておる限りにおきましては、造林事業は大体計画通りに進行しておるということでございまするので、私は、しさいにごらんいただきまするというと、戦後の荒れた状態からは相当程度に回復しておるというように考えておるわけでございます。
  42. 安部キミ子

    安部キミ子君 私の知っておるある大地主さんは、切りっぱなしなんです。木を売って、あと、なさらない。まあ三十年なり五十年なりすれば金にもなりましょうけれども造林してもすぐ金にはならぬというので、なさらないという所が相当広範囲にあるんですね。こういうときには政府はどういう手を打たれるんですか。
  43. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 現在の森林法によりますというと、例の森林施業計画という計画がございます。これは五ヵ年を一期にする計画でございますが、その計画によりまして、そのいわゆる五ヵ年でございます計画実施期間中に造林をしなければならぬ最小限度の面積というものは、指定されることになっております。その森林施業計画に基きまして、毎年の森林実施計画という計画が、これは策定されることになっておるわけでございますが、この計画によりますというと、森林施業計画の中に盛られたいわゆる造林の最小限面積というものに基きまして個所別に造林すべき所を指定をすることになっております。それで、それがどうしても苗木の需給だとかあるいは造林資金の確保の問題とかいうことで、造林ができかねるというような場合におきましては、部分的に計画を変更いたしまして、造林をしない。その年に造林を指定されたところの造林をしなくてもいいというような扱いをしておるわけでございまして、まあ私どもといたしましては、そういう特殊な事例がある場合もあるかと思いまするが、最近におきましては、大体今申し上げました最小限面積というふうに指定して参りましたものに対して、約三割ずつの増加造林が毎年実行できるというふうな状況にもありまするので、今のようなお話はきわめて特殊な異例のものじゃなかろうか、かように考えておるわけです。
  44. 安部キミ子

    安部キミ子君 いわゆる民有林ですけれども、戦時中に保安林がずいぶん軍部の方で切られたんです。ところが、これも今申しましたように、何の自後の措置がしてない。いわゆる造林がしてない所がたくさんある。そういうときに、政府はどうなさるか。
  45. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お説のように、従来保安林でありましたものが、戦時中にいわゆる正規の手続を経ないで伐採しておるというような事例も確かにたくさんあると思います。それから戦後の緊急開墾といったような事態下におきましても、保安林がそのまま、解除の手続を経ないで、緊急開拓の用に供されたという事例も、決して少くはないわけでございます。しかしながら、やはり林業政策の面におきましては、この保安制度の運用というものを的確に行なって参ることは、ぜひとも必要な措置でありますので、戦後いち早く保安林の整備事業というものを取り上げまして、現在保安林の指定というものを進めつつあるわけでございまして、大体四百万町歩保安林の設定を目標にいたしまして、現在はかれこれ二百六十万町歩ばかりの保安林の指定を行なっておるということに相なっておるわけでございます。  それから、理由なくして保安林について現状を変更したような場合におきましては、造林命令の措置をいたす手続も実はあるわけでございまして、本案につきましては、伐採につきましても、現行法によりますというと、すべての林が許可制度の対象になっております。普通林でありますというと、ただいま申し上げました、ある一定の年令以上になれば届出で済むという林も、保安林でありますというとすべてこれは許可制度をとっております。かなりむずかしい内容施業要件というものを、保安林の一筆ごとの団地に対しまして与えておりまして、かなりむずかしい森林取扱い上の規制を加えて、保安林の完璧をはかっておるという状況でございます。
  46. 安部キミ子

    安部キミ子君 私が一番心配しますのは、局長が植林の状況がうまくいっているように説明なさいますけれども、実際は私はそうでないように思うのです。汽車に乗ってお歩きになってもわかるように、ずっと東海道、東京から下関、九州まで歩いてごらんになったら、あの通りでしょう。もう山はみんな木らしい木はありませんよ。それでこの計画通りになさるとすれば、何年であれがりっぱに造林できる見積りですか。
  47. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 鉄道沿線からごらんいただきますというと、木らしい木はなくなっているということでございますが、あの地域の、鉄道から見られる地域の中でも、森林として将来これを計画して参るという対象に対しましては、小さい木が、苗木が植わっておるという状況が至る所にごらんいただけると思います。  それからもう一つは、松等の場合におきましても、要するに、最後に先生から御質問がございましたけれども、確かに林業にも適地適木という観念があるのでありますが、造林をもってしてはなかなか森林になり得ないというものもあると思います。林地をかき起すという措置によりまして、自然に天然下種によって山ができ上ってくる。松というものは大体そういうことでございます。もちろん植える場合もありますけれども、そういう方法をとっておるということでございますからして、私どもといたしましては、大体造林計画の線に沿いまして必要な所は進んでおるというようにお考えいただきまして、けっこうでございます。さように考えます。
  48. 安部キミ子

    安部キミ子君 それからバルブ会社との契約なんですが、売買に当って非常に高く買うように目の先では考えられるので、民有林の所有者はみんな今山の木を切っています。私の知っている範囲でも、相当どんどん切っております。こういうことは何とか手を打たなきゃ、やっぱり金に困ったりすれば、金ほしさに、どんどん適齢期でない木を切って売っております。それからパルプ会社の方でも、良心的にそういうふうなものを押えりゃいいんですけれども、自分の事業のことを考えて、少々高く出せば買える、高く出すから山を切れというふうな働きかけをしておるわけなんですね。こういうことは、私は、あなたがいろいろ計画なさいましても、結局賽の河原じゃないかと、こう思うわけです。これに対してあなたの方で何か打つ手がありますか。
  49. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは、どんどん若い木が無計画に切られておるというようにお考えいただいておるようでございますが、これはそういうわけぢゃないのでございます。ある森林区という単位について、そこで伐採許可の許し得る、許容し得る限度の数量というものの中では、確かに伐採許可を受けまして若い木も切られておる。しかし、それは無制限じゃなくて、その限界内にはとどまっておる、こういうことに相なるわけでございます。
  50. 安部キミ子

    安部キミ子君 それは、法律はそうなっておりましょうけれども、困っておる農家はそういうことを無視して、隠れるようにして切っておるのが実情なんですよ。私の家も少し山を持っておりますし、親類なんかでもそういう形で売っておりますが、これは私は重大事だと思うんですよ。そういうことを私はお尋ねしておるわけです。
  51. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 今申し上げましたように、限度の範囲内で許可をすることになっております。ところが、地方によりましては、ただいまお話のありましたように、最近パルプ会社が非常に買いあさっておるということになりまするというと、要するに、伐採許可申請というものがどんどん出て参るわけでございます。そうすると、伐採許可申請量というものが許可をし得る限度をオーバーするという場合が当然出てくるわけでございます。そういうものを許可をしない場合におきましては、伐採調整資金という金の貸し出しによりましてやはり生活緩和をして参る。これはいわゆる森林組合を通じて貸付をいたしておりまするが、一件につきましては三十万円が限度でございます。きわめて金利の低いいわゆる生活資金としての役立ちをするような伐採調整資金というものの貸し出しが、ただいま申し上げましたようなケースには適用される。大体年間二十億ぐらいな金の貸付をいたしておるわけでございます。それによって私どもは当然、従来であれば生活に困って切りたいという希望を持たれる人が、この制限制度ために一応許可にならないという対象を救う方法として、そういう制度を採用しておるわけでございます。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 二点、お伺いしたいと思います。というのは、頂戴しました要項の第三のところに、三行目に、「普通林立木」となっていますが、はなはだ不勉強で、普通林というのがわかりませんが、こいつを一つ教えていただきたい。  それから同じページのうしろから二行目に、「認定の基準その他必要な事項は政令で定めるものとし」と、こうなっているが、政令が今もありますね。現在の政令でこの問題については出ているのがある。その政令のどの部分が大体違うということでよろしいですから、なるべく簡単に御説明を願いたい、あまりたくさん言われると、わからなくなりますから。わかりましたが……。
  53. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 要綱でございますね。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 法律案要綱の第三に、「森林立木」となって、「普通林立木のうち」と、こうあります。その普通林というのが不勉強でわかりませんから、わかるようにしていただきたいと思います。  それから最後から二行目で、「認定の基準その他必要な事項は政令で定めるものとし」、これは全部お聞きしないでいいが、現在あるもののうち、もし変るものがあったらどれどれ、こういうふうに、ごく簡単に教えていただきたい。  それからその次に、市町村等に所要の援助を都道府県知事はなすことができるというが、この援助の意味はどういうことをいうのか。金を出してやるというようなことになりますれば、非常に喜んでするんだろうが、それを「援助を行い得るものとする」ということは、援助を行い得るものとする……。別にしなくてもよろしい、こういうことになるが、ここがちょっとどういう意味合いでこういうものができ上っておるか、三点をまずお聞きしたい。
  55. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 最初でございますが、普通林と申しますのは、要するに、制限林に対しましてまあ普通林という言葉を使っておるわけでございます。法令等によりまして森林の取扱いがさまざまに制限を受けるものがあるわけでございまして、そういうようなものを制限林と称しております。まあ保安林あたりも制限林の一つになっております。国立公園の特別地域というようなものも制限林の一つになっております。そういうような制限のないいわゆる森林地域普通林と、まあこう言っているわけでございます。  それから次の、終りから二行目の、「経営計画に定める事項及びその経営計画の認定の基準その他必要な事項は政令で定める」と書いてありますが、これは実は今まできめておる経営計画というのは、今回の改正によりまして、初めて公有林だけについて考えようということでございまして、これは今「基準その他必要な事項は政令で定める」といっておりまするその政令事項というものは、これから定めるものでございまして、従来はないわけでございます。  それから、援助ということでございますが、これはいわゆるそういう計画案を作りまするもとの調査、あるいは計画案の編成というものに対しまする予算的な援助でございます。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 市町村等に所要の援助を行わなければならないんでなくして、「行い得るものとする」というんですから、ここはどうもおかしいんですがね。いやだきゃ、しないでいい。「援助を行い得るものとする」と、こうなっておりますから、だから、そういう申請があったら、予算のかかることだから、都道府県知事はこれの援助を行わなくてもいいことになる。やっぱりこれは成文の何かの関係かと思いますがね。
  57. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) まあそういうことは実際問題としてないと思いますけれども市町村希望がなければまあやるというわけにいかないということでございます。それから、市町村に実際それだけのことがやり得る能力があれば、まあやらない場合もあり得るということなものですから、「行い得る」というふうにしたわけでございます。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 次に、さっきからずっとお伺いしておりますと、ちょっとわかるようでわからぬところがあるのです。というのは、用材はだんだん少くなってきて、いろいろな制限林を設けたりして、これから森林の増産拡大をはかっていこうと、こういう趣旨であります、これが。ところが、この法案を見ますと、許可制を廃止して認可制にする。しかも、これを都道府県知事の認可制に移すというようなことになりましたら、これは実情から見れば、どうも野放図な認可が行われやせぬか、こういうことが考えられる。これはやはりそういうめんどうが抜ければ、だんだん過伐傾向が出てくると思うのに、この法案を読みしなに考えているとき、こういった目的と改正が逆行しているようなものが感じられますが、その点は大丈夫ですか。
  59. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これはまあざっと申し上げますというと、要するに、広葉樹につきましては、大体消費需要実態というものが、上向きではなくて横ばいの傾向をさらに示しておる。従いまして、これに対しましては、あながち許可制度というむずかしい制度の体制をとらなくてもいけるんじゃないか。と申しますのは、許可制度の対象になりまする扱い件数でございますが、薪炭林の場合に約二十万件あるわけでございます。それから、用材林の場合に約二十万件、両方で四十万件あるわけでございます。非常にまあ手数をかけた制度の運用になっているわけでございます。にもかかわらず、実際問題といたしまするというと、伐採許可制度にはかけておるが、実体的には伐採許可制度というのがあってもなくても同じに近いような実態が、広葉樹林の薪炭林についてはありますから、これをやめまして、ところが一方、針葉樹用材林ということになりますというと、これはもう、先ほどのお話にもありましたように、もうパルプ産業その他の需要がどんどんふえて参りますのに伴いまして、非常に急速度でふえておるわけでございます。ところが一方、資源の面から見ますというと、さっぱりこれは急速に資源をふやすというわけにいかない。そこでいわゆる消費と供給の不つり合いが生じておるわけであります。この方にこそ伐採制限制度というものの一そう的確さを期して行かなければならぬ。そこで、私どもといたしましては、従来あってなきがごときといいますか、そういう言い方はちょっと語弊があると思いますが、そういう存在でありました広葉樹薪炭林制限制度をはずすことによりまして浮いてくる手をもって、必要性の増しております針葉樹用材林に対する伐採制限実施に当てて参る。そのことによりまして、従来年二回、二月と六月に許可の締め切りをやっておったのですが、それをさらに二回ふやすということによって、いわゆる伐採許可制度の運用というものが取引その他の実態に合って参りますから、そういう面からもこういう制度に服しやすくする。こういう、いわば五カ年間やってみました上で、現実に何といいますか、手直しした方がいい点について手直しをした、こういうような意味にお考えいただきますればけっこうかと思います。
  60. 河野謙三

    ○河野謙三君 長官にお伺いするのは適当でないかもしれませんけれども一つ伺いたいのは、県並びに市町村の所有する山林ですね、これの評価基準というものは、国の持ついわゆる国有林の評価基準というものと合致したものですか。もっと平たく言うと、村が、あなたの方から山を払い下げますね、そうした場合に、村有財産として評価をしますね。その場合の評価基準というものと、国が従来やっている評価基準というものと、何か連絡があるのですか。
  61. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは法的な連絡だとか、あるいは格別それ以外でも連絡めいたものはございません。ただ、私の方では、国有林を売り払いまする場合の基準をきめておるというだけでございまして、民有林の場合は、県有林、公私有林を問わず、どのような基準を採用しなきゃならぬというようなことにつきましては、何も関係ございません。
  62. 河野謙三

    ○河野謙三君 これを統一する必要があるということを認められておりますか。
  63. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) その必要性を認めるという問題につきましては、そういう事件に逢着したこともないのですが、研究はしてみたいと思います。
  64. 河野謙三

    ○河野謙三君 私がお伺いするのは、最近の町村合併以来、特に市町村国有林払い下げということを非常に希望するわけですね。その一つの理由として、新市町村財産のバランスを合せるために、国からたとえば払い下げたものが千円の評価になっておる。ところが、払い下げを受けると、とたんに今度それを五千円に評価するということによって、市町村のバランスが非常に合ってくるわけです。そういう必要上、国有林払い下げということが非常に盛んに行われているということも私はあると思うのですよ。これはまあ邪道ですね、そういう意味で町村国有林払い下げを受けるということは。別の意味でならいいですよ。そういう点が私はあると思うのですが、そういうことがあるとすれば、評価基準というものを、国の行う評価基準と、市町村の評価基準というものは、必ずしも一致しなくてもいいが何か一つの基準を設けなきゃいかぬじゃないか。これは自治庁の方の問題でもあり、大蔵省の方の問題であるかもしらぬけれども、同時に、盛んに今日のように市町村から山林の払い下げについてあなたの方に申し込みがあった場合、これに対する対策としても、一つそこの点に私は検討を要する点があると思うのですが、いかがでしょうか。
  65. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは、おっしゃるように、あるいは自治庁の問題かと思いますが、先ほど私から申し上げましたように、現に町村合併に伴う国有林野の売り払いもどんどん進行しておりますので、私どもの方からそういうことを強く申し入れいたしまして、何か統一された評価基準というものを設けてもらうようにいたすように、取り計らいます。
  66. 河野謙三

    ○河野謙三君 それから、ついでにもう一つお伺いしたいのですが、本年度の林野庁の特別会計において、これは黒字はきまっておりますが、食糧庁と違って黒字にはきまっているでしょうけれども、大体の見通しはどうですか。
  67. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 三十一年度でございますが、大体国有林野事業特別会計の予算は、御承知のように、収支均衡のつくようになっております。四百十億の規模で、収支相均衡をするという状況になっております。それで実は年度の当初におきましては、とうてい四百十億の収入が木材市況の状況によりまして確保できないということで、私ども実施面におきまして相当程度歳出予算をしぼって事業計画を立て、実施いたしたのであります。たしか三百六十億にしぼったと承知しておりますが、そうしますと、年度当初には大体三百六十億くらいの収入しか予定できないということでもって、支出をしぼった。そこで、それに比べますと、おそらく六十億ぐらいな増収になるかと思いますが、成立をしております予算に比べますというと、大体十億くらいが予算額をオーバーして歳計剰余金に入っていく金額になるだろう、こんなふうに考えております。
  68. 河野謙三

    ○河野謙三君 そういたしますと、今予想ですけれども、収支どのくらいの黒字が出て、国庫に納め得る額というものはどのくらいございますか。
  69. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは一応国庫ということでございますが、国庫にそのまま納入されるということには相なっておりませんので、一応歳計剰余金という形で国有林野事業特別会計の中に残るわけでございます。これは資金運用部に預託をするということになっております。従いまして、この収入予算できめられた収入以上に超過して収入されたものは、いずれも歳計剰余金としてそのまま振り向けられる。その額を一応予算面で対比いたしますと、十億前後ということになります。こういうふうに考えております。  ただこの年度の中途におきまして、だいぶ予算をしぼって参ったのでございますが、仕事によりましては年度の中途に、大体収入が期待されるという段階になりましてから、ずっと事業計画を広げていきまして、予算まで到達させようというのもございますが、ものによりますというと、そういうわけにもいかないものが出て参りますので、これは不用額として年度末に残す、不用額が今年は若干出て参るのじゃないかと、かように考えております。それはそのまま歳計剰余金の方に残る、こういうことに相なっております。
  70. 河野謙三

    ○河野謙三君 ところで、ラフな数字でけっこうですが、本年度は大体林野庁で、この木材林野庁が買却する石数ですね、金額はどれくらいでございますか。
  71. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 三十一年度ですか……。大体四百十億の中で九二%くらいな木材石数にいたしまして五千六百万石、これが生産計画でございまして、これはちょっと調べまして……。
  72. 河野謙三

    ○河野謙三君 しろうとですから、こまかいことは伺いませんが、かりに五千六百万石といたしますと、年間国内で流通する木材の量の何%くらいに当るのですか。
  73. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 大体四分の一でございます。
  74. 河野謙三

    ○河野謙三君 四分の一に該当する数量が国の手によって市場に出されるということになりますと、この数量によって木材の価格のコントロールというものは自由自在にできると思うのですが、木材の価格のコントロールということについての使命を果すためにどういう措置をとっておられますか。
  75. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 今申し上げました五千六百万石というのは、三十一年度は非常に膨張しておるというように考えております。平常年度におきましては大体四千五、六百万石というのが国有林の標準でございます。  それで、今お話しのように、確かに国内年間消費の四分の一近いものを国有林生産しておるということになれば、価格調整の面について相当の働きがあるのではないかというふうなことでございますが、御承知のように、国有林の非常に主要な部分というのは北海道、東北であります。それから今おっしゃるような意味合いのことは、北海道地域におきましてはやり得ると思いますが、東北地区におきまするというと、出て参りまするものが、いわゆる秋田の天然杉、青森のヒバとかいったような、いわば特殊な国有林だけが生産しているというものでございますから、要するに、国有林で売り払いますものがいわば価格を作るというような状態になっております。北海道のものにいたしますというと、大体道内で、これはほとんで平常な状態においては北海道は道内消費でございます。これは二十九年度の風害が発生いたします前の状況から見ますと、大体千七、八百万石ぐらいのものが年間の消費であると思います。この中の約七五%というものは国有林でございます。北海道におきましては特に、国有林において売り払いまする価格というものが逆に道内価格を形成することになっております。まあこういうような状況に目下あるわけでございまして、そのため格別国有林でこの価格操作というようなところを意識的にやっている状況は今までないわけでございますが、要するに、国有林の売払価格というものが道内の市場価格というものを作り、また国有林の売り払いの建前は、道内の市場価格をもとにして国有林の売払価格を作るという建前で、非常にその辺の取りきめがむずかしいという状況でございます。
  76. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は、その点は林野庁として非常に積極性を欠いておったと思うのですが、これは、林野庁の使命は国土保全森林資源の保護ということが大きな使命であるということは間違いないけれども、現在のような膨大な国有林を持ち、今お話にありますような莫大な払い下げをしている林野庁が、もっと積極的に、林野庁の三大使命といいますか、その一つの使命の中に、国内の木材の価格調整を林野庁が使命とするというのは、これは当然の使命であると思います。それに向って積極的であるべきだと、私はそう思うんですよ。それであればこそ、そういう前提に立ちまして、あなたの方で直接に製材所を持ったり、その他いろいろ加工施設を持つということはわかるけれども、そういう使命も持たないで、何がゆえに製材その他の加工施設をあなたの方でやっていなければならぬか。それが単なる試験の程度で、もっと、のこぎりをどういうふうに改良するとか、伐採をどういうふうに改良するとかいうことなら、試験の程度でできることであって、あなたの事業がいかに特別会計であるからといって、製材とか炭焼きまで、そんなことまで私はやる必要はないと思う。これは特別会計の中で、あなたの方の製材の収支は一体どうなっているか、炭焼き小屋の収支はどうなっているのか、こういう収支は一体どうなっているのか。私は収支は大してよくないと思います。きわめて非能率的なものだと思います。そういう非能率的なものを何がためにやっていなければならぬか。極端にいえば、山から全部山師に売ってしまったらいいんじゃないかと思うのですが、ところが、それを製材し、さらに製材することによって国内の木材価格のコントロール、それから品質の改善、こういうことまで行くなら、そこに私は意味があると思う。そこのところは一体どうなんですか。
  77. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは御指摘の通りでございまして、実は昭和の初めに、先ほど問題になりました例の広葉樹の利用促進ということが非常にやかましく取り上げられまして、当時広葉樹材の中で大宗をなすものはブナでございますが、ブナはたとえば炭に焼くとか、あるいはげたの歯に使うというような非常に限られた用途しかなかった。新たな用途の面から開発が進まない。そのときに、いわゆるブナのフローリングとか、あるいはブナの羽目板とかいったようなことで、建築材としてブナを使うというようなことを取り上げたわけでございます。そのためには、なかなか民間企業としてはこれを取り上げにくいということから国が率先広葉樹材の製材事業というものを始めたというのが、いわば現在の国有林の製材事業までやっておりますもとであります。ところが、大体そういうふうな時代的な使命というものは果し終えた現状であります。昨今の情勢からいたしますというと、確かに、一般の民間企業に比べて非能率ではないかという御指摘もございますが、私どもといたしましては、できるだけすみやかにこれを取りやめたいという方針で実ば整備をいたしておるわけであります。  それから木炭の場合でございますが、これは積極的に木炭生産というものを国が行なって参るというような意図じゃございませんけれども、天然生林を切りまして、そうして跡地に造林をして参る場合に、用材だけはとにかく何とか間に合っていけるわけでありますが、その跡には何にもならないような木というものが非常にたくさん残るわけであります。そうしますというと、これは炭でも焼くか何かしませんと、跡地の造林ができないというような状況もございまして、むしろ私どもが官行製炭をやり、現在やります場合の考え方といたしましては、その跡地造林をする場合に、どうしても除去しなければならぬものがある。まあ何とか炭に焼くか何かして除去する以外にないというような所に、官行製炭というものを計画していく、こういう方針で、実は消極的にやっている程度でございます。
  78. 河野謙三

    ○河野謙三君 大体私が今申し上げたことについて、その方向でやっておるということでありますから、私もそれでけっこうでありますが、私は資料を要求するのが仕事じゃありませんけれども、この法案と関係なく資料をいただきたいのですが、今お話伺いますと、製材とかその他林野庁の事業ですね、そういう加工業、こういう分野はだんだん減らしていくということなんですか。一体、この両三年、それはどの程度に漸減の傾向にあるか、数字をもって一つお示し願うと同時に、もしさらに将来にわたって三ヵ年なり五ヵ年の間にはどういうふうに整理していくつもりかというのがありましたら、数字をお示し願いたいと思います。
  79. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 承知いたしました。
  80. 東隆

    ○東隆君 私は不審に感じたことが一つあるのですが、それは阿寒国立公園地帯、あそこに参りましたときに、多分あそこは国有林じゃないかと思うのですが、その途中に、観光課の所有地が棒くいが立っているのですね。たとえば雄阿寒の付近でありますが、雄阿寒温泉ですか、あそこに行く途中にそういうような所があるのですね。ああいうような所はおそらく、今度の改正なんかが行われますと、届出でもって伐採される、こんなような問題が起きてくるのじゃないかと思うのですが、そういうような地帯が、実は不思議に感じているのですが、ああいうのはどういうことになっておるのですか。
  81. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) それはおそらくそういう特別の地域になりますと、いわゆる先ほど申し述べました普通林でなくして、制限林と申しますか、そういう取扱いになっておるのじゃないかと思いますが、制限林になっておりますというと、これは明らかにすべての樹木の伐採というのは許可制度でございますので、問題はないのじゃないかと考えております。
  82. 東隆

    ○東隆君 国立公園地帯の中に、特別にああいう私有林を認めておるのが少し不思議のように思うのですが、それはどんなような関係でできておるのですか。
  83. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 後刻よく調べてみますが、私の方で過失その他で認めておるか、さもなくば以前からの民有林か、いずれかと思いますが……。
  84. 北村暢

    ○北村暢君 「我が国林業の長期見透し」という資料、それの十四ページの上から四行目のところに、「昭和三十年度における木材消費量は、一億四千五万石に達し」ということがあるのですが、その次のページの、十五ページのまん中辺に、「昭和三十年度の用材伐採量一億八千万石は既開発林の年生長量の約三倍に近い。」こういうふうになっていますね。この数字がちょっと、どうしてこういうふうに違うのか。それからもう一つは、今もらった林業関係資料のうちの三十七ページの三十二表ですね、「昭和三十——七十年の造林計画に基く森林成長量の推移」というところに、三十年度が用材薪材とで一億八千万石の生長量がある、こういうふうになる。そうすると、この数字の統一が、たれが読んだってこれはちょっとわからないのじゃないかと思うのですがね。この点を一つ知らしてほしいのですがね。十五ページのところで用材伐採量が一億八千万石で、この資料の方の生長量の一億八千万石だというと、これは過伐にも何にもならない、とんとんになっておるようにしか考えられないのですが、三倍の生長量を伐っておるという結果になっておりますが……。
  85. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) これは一億四千五百万石という三十年度の木材消費量は、これは素材数量でございます。それからあとの用材伐採量一億八千万石というのは、これはいわゆる立木数量でございます。それからもう一方の方の資料の三十七ページでございますが、これは要するに用材林、薪炭林、こういうものを含めまして一億八千万ということでございます。しかも、これはいわゆる未利用林の部分の生長量も加わっておるということでございまして、従いまして、先ほどの三倍とかいうような数字を出しますためには、この中の用材林の既開発林だけの生長量に対して三倍ということに相なろうかと思うわけであります。しかも、この一億八千万石も、これは立木数でございます。
  86. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、未利用林も含めての生長量の維持というのは、これはしろうとが見ると全くわからないと思うのですけれども、どういうことなのですか。しろうとが見ると、未利用林を含んでおる、大体既開発林と未開発林生長量が一億一千三百万石くらいと、こういうふうに思っておるんですけれども、それが一億八千万石となるというと、ちょっと多いような感じがするのですがね。
  87. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 九ページに載っけております「国有林民有林開発進度別用薪別資源表」というやつをごらんいただきますと、その辺の関係が比較的はっきりしておるんじゃないかと思います。これによりますと、現在の全森林成長量は、既に開発、未開発、未利用含めまして、一億八千百五十万石ということになっておりまして、そのうち既開発林の成長率は一億四百万石ということでございまして、それがさらに用材林と薪炭林にわけて計上されておるということでありますので、これでごらんいただきますと非常にはっきりするのじゃないかと思います。
  88. 北村暢

    ○北村暢君 昭和七十年度の需給消費量が二億八千万石になっておりますね、現在の一億四千五百万石の約倍。そうして二億八千万石で、それに対する成長量が三億六千七百万石ということになっておりますが、これはそうすると、既開発をしていった後における成長量と……。これは未開発林全部含めての成長量が三億六千七百万石になっているようですから、そうすると、実際に利用のできるものの成長量というのは、これは一体どのくらいになっていて、昭和七十年における需要二億八千万右というものが国内の成長量だけで完全にまかなえる、こういうふうに思われるのですが、その点は確実にまかなえるようになるのですか、どうですか。
  89. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) この三十七ページの表をごらんいただきますと、昭和七十年までに至る森林成長量の推移がここに出ておるわけでございますが、これは用材林につきまして三億一千二百万石、これが総成長量でございますが、これはあくまでも立木数量でございます。これから期待されまするいわゆる素材の数量は約二億二千万石でございます。それから昭和七十年ごろにおけるいわゆる木材消費量を推定いたしますと、これが約現在の倍量の二億八千万石、これはあくまでも丸太でございます。従いまして、二億八千万石に対比しますいわゆる成長可能量は二億二千万石、従って依然としてそこに六千万石くらいの不足がある、こういうことになるわけでございます。
  90. 北村暢

    ○北村暢君 それで三十一ページのグラフのところにやはり輸入、それから合理化によってまかなう分が出ているわけですね。この合理化によってまかなうというのはどういう意味なんですか。廃材を利用するとか何とかいうことなんですか、それとも、消費合理化をして節約をしていくという意味なんですか。どういう意味なんですか。
  91. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 今お説のような意味合いのことももちろん入ると思いますが、御承知のように、最近パルプ工場などにおきましても、設備の改造によりましていわゆる生産原単位というものが引き下っております。それから坑木等に消費いたします分は坑内鉄化というような問題とのからみにおきまして、いわゆる一トン採掘いたしますための原単位は現実に引き下げられておるというような状況もあるわけでございます。あるいは電柱その他従来くい材として使われておりましたものが、コンクリート・ポールなんかによりましてだいぶ転用されてきておる。従って、電柱材に使われる木材消費量が下ってくる。こういうようなものが入っておるというようにお考え願ったらけっこうではないかと思います。それから最近の例は、チップ利用が非常に進んでおりまして、従来は薪にしか使われなかったいわゆる廃材と申しますか、チップがパルプ材に引き当てられておる。こういうことも利用合理化による資材の節約ということになろうと思います。
  92. 北村暢

    ○北村暢君 そういうふうに、電柱をコンクリート・ポールにするとかといった合理化によるものを、この二億八千万石に入れるというが、私は入れない方がかえっていいのではないか、消費の中に入れるのはおかしいじゃないか。輸入は一千万石程度で、あとは伸びない。そこで五千万石か六千万石であるならば、あとは育種による合理化でやるのだ、こういうことであったが、合理化というが、使わないものを計上するのはおかしいと思う。  それからもう一つ、現在は成長量の約三倍、特に民有林既開発林の過伐ということで、約成長量の四倍ぐらいを切っておる。国有林は三倍にも行っていない。未開発林ということが、まだそう開発されてない現在には、既開発林成長量の四倍に行っておる。現在そういうような状況です。それで戦後ずっと緊急造林なり何なりやって参りまして、今年度でもって旧伐採跡地造林は全部終る、こういうことで、あとは林種改善による造林を強化をしていくのが、今度の法律案の趣旨のようであります。既開発林と今後の開発を含めた成長量のバランスのとれる年次というものは、一体何年ごろになるのか、何年ごろになれば成長量の範囲内で済むことになるのですか。それまでは相当奥地林を切っていくために、成長量をオーバーしてくるのではないか、こういうことになるだろうと思います。昭和何年ごろに、成長量の範囲内で切っていけば需給のバランスがとれる年になるのですか。
  93. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) ただいまの合理化によって節約をし得るものは入れない方がいいじゃないかというお話ですが、この二億八千万石を推定いたしておりますその推定要素の中には、現状が入っておるわけでございますから、従って今後一つの目標として掲げても、それに達する過程において減っていくというものは、当然減らさなければいかぬじゃないか、そういう意味で、そういうものを入れたというわけです。  それから、ただいまの一体いつになったら消費伐採の均衡がとれるかということでございますが、七十年後に千万町歩造林を作りまして、七十年後の需給推定をやるのだという場合でありましても、やはり六千万石足りない、こういう数字でございますから、本来的なやはり数字操作の上の需給均衡というものは得られないということになると思います。これはたとえば育種事業等によりまして、どれだけのことが一体できるかという問題にかかってくるのではないかと思います。
  94. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  95. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して下さい。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十一分散会