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1957-10-10 第26回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月十日(木曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            柴田  栄君            仲原 善一君            北村  暢君            鈴木  一君            戸叶  武君            上林 忠次君            千田  正君            北條 雋八君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林政務次官  本名  武君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    食糧庁長官   小倉 武一君   参考人    東京都副知事  佐藤  基君    東京中央卸売    市場長     飯田逸次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (消費者米価及びイモ類価格に関す  る件)  (中央卸売市場に関する件)   ————————————— いまから農林水産委員会を開会いたします。  消費者米価イモ類価格及び乳価の件を一括して議題にいたします。  過般、消費者米価改訂が行われ、イモ類基準価格決定され、また、乳価安定対策決定されましたので、これらの諸問題についてそれぞれ当局から説明を聞くことにいたします。まず、米価問題から始めたいと思います。
  2. 小倉武一

    説明員小倉武一君) それでは、消費者米価等につきまして、概略決定の経緯について申し上げます。  「消費者米価改訂について(三十二年九月)」というのを中心に御説明いたします。  消費者米価については、九月十四日に閣議決定がございまして、この十月一日から実施をいたしております。御配付になっております印刷物につきまして、順を追うて概略申し上げますと、現在の基本配給価格——現在と申しましてももう過去のことでございますが、九月までの基本配給価格が七百九十円ということであったのでありますが、これはいきさつを申しますと、二十九年一月の消費者価格改訂にさかのぼることができるわけであります。それ以来、今日近くまで据え置きになっておる、こういう状況だったのであります。その間、生産者価格には相当変動があり、また食糧管理特別会計運営の面におきましても相当変動があったにかかわりませず、九月末まで据え置きになっておったのであります。  そこで、二十九年以降の特別会計赤字がどういうふうに処理されておったかということでございますが、ごく荒っぽく申しますと、内地米では年々二百億から二百五十億程度赤字が出て参るという状況であったのであります。で、これは特別会計の中の過去の繰り越しの益でありますとか、あるいは外麦の益であるとかいったようなもので埋めてきたのでありますが、さらに一般会計からも補てんしなければならなくなってきたような状況でございます。すなわち二十九年度には約三十億、三十年度には百七十一億というのが特別会計全体の赤字でございまして、この赤字はインベントリー・ファイナンスとして、一般会計から繰り入れました百億、これをまず取りくずす、それから残りを百一億ばかり一般会計から繰り入れるといったようなことで、処理をいたしたのであります。三十一年度におきましても、特別会計全体といたしまして百六十億の赤字が生じて参っております。内地米で申しますと百九十九億でありますが、これは御承知通り、まだ処理をいたしておりません。そういうわけでございまするので、三十二年度相当程度赤字が見込まれるということになるわけでありまして、現在のまま推移をいたしますると、特別会計赤字は二百五十四億程度に見込まれるのであります。内地米だけについて申しますと、二百八十億の赤字であります。ところが、一方食管以外の状況はどうかと申しますと、日本経済自体昭和二十九年から比べますれば、ずいぶん発展をいたしておりまして、年率は一〇%といった相当発展ぶりを見せておりまするし、また消費者家計家計支出の額から申しましても、相当程度、一割以上の増加を見ているというわけでございまして、消費者価格を是正する時期に達しておるのではないかと、こう考えられるのであります。  三十二年度予算編成におきましては、一方において減税ということがありまするし、そういうこともありましたので、米価についても改訂したらどうかというふうなことが議論になったことは御承知通りだと思うのでありますが、特に米価につきましては、ただいま申しました通り消費者家計相当程度向上してきておる、また生産者価格消費者価格とを完全に分離しておるといったようなことも価格体系の上から合理的でないということもありまするし、さらにまた特別会計累年相当額赤字を出してきておるという状況も、特別会計といたしまして健全でないということがありまするので、先ほど申しました七百九十円から八百五十円に改訂しよう、こういうことが政府の原案ということで一時きまったわけでございますが、これにつきましては、各方面からいろんな意見が出ました結果、米価改訂前提とする予算の編成はとりやめて、そうして予算といたしましては、現行の消費者価格そのままで予算を編成するということにいたしましたが、別途臨時食糧管理調査会というものを設けまして、食糧管理運営、あるいは特別会計処理の問題全体を検討していただいて、その結果によって諸般の問題を処理していこう、こういうことになったのであります。  すでに臨時食糧管理調査会につきましては、別の機会に概略御説明したことがあるかと思いますが、結論を申しますと、消費者米価生産者米価とは本来一体として考えて決定されなければならぬということであります。そこで消費者に転嫁させないものと、させるものと、これは理論上区別すべきものであろうが、それは調査会としてすぐに結論は出すわけには参らない。政府においてそれは検討したらよかろう。なおまた中間経費についてはできるだけ節約合理化に努める。そうしたようなことを前提に考えた場合に、当然消費者に負担さすべきものは消費者にやはり負担してもらうのが適当であろう。のみならず、消費者家計上昇しておる、負担能力もふえておるということであるから、米価の引き上げは若干やむを得ないということが、米価に関しまする調査会答申の部分でございます。  それで、この答申趣旨を取り入れまして、消費者米価改訂する目途をもちまして、米価審議会に諮問をいたしたのであります。ところが、米価審議会におきましては、現下の社会情勢のもとでは価格改訂は適当と認めがたいから、なお慎重に検討すべきである、こういう答申がありましたので、政府といたしましても、七月からなおよく検討を加えて今日に至ったのでありますが、七月五日には、とりあえず基本的な方針といたしまして、平均八百五十円をこえない範囲消費者価格改訂する。ただし、その実施諸般の情勢を勘案して、できるだけ早くやる。こういうふうにおきめ願ったのであります。なお、品質に応じて、安い価格に据え置く配給米を用意したらよかろう、こういうことが内容に含まれております。  七月の初めにそういう閣議決定がありまして以来、なお、いかように価格決定をすべきかということについて一分検討いたしました結果、やはりこの際改訂をし、これを実施するということがやむを得ないという結論を得たわけでありまして、その理由といたしましては、まず消費者価格据え置きということのために、食管会計は毎年多額の損失を上げておる。本年度予算上は百四十二億、特別会計全体として百四十二億であります。内地米だけとりますと百七十三億と、こういうことであったのであります。ところが、生産者米価、これは一万円ということでの予算でございまするから、生産者米価が一万三百三十二円五十銭というふうになるといったようなこと、あるいは内地麦のパリティが上るといったようなこと、その他の要因のために損失がふえまして、中間経費相当程度圧縮することに努めまして、そういうことを織り込みましても、なおかつ特別会計全体といたしまして二百五十四億、内地米だけをとりますと二百八十億という損失が見込まれるということであります。そこで、年々このような赤字が生じて参るということは、申すまでもなく特別会計処理といたしまして健全であると申すわけには参らないことはもちろんでございます。  ところで、三十三年度予算編成構想として、千億に及ぶ歳入の増加があるではないかということと関連いたしまして、その増収をもって米価改訂を見送って、食管赤字一般会計から補てんしよう、こういう意見がございますが、この増収というのはいわば一時的なものでございまするし、消費者価格の問題は必ずしも一時的な問題ではございませんので、そういう一時的な財源を目当てにして価格決定をここで見送るということは適当でなかろうと、こう考えたのであります。  で、今回の米価改訂におきましても、むろん食管会計赤字を全部消費者に転嫁するというわけにはなっておらないのでありまして、先ほども申しましたように、内地米で申しますると二百八十億でございますが、価格改訂によりまして埋まる分と申しますか、消費者負担に帰すべきものはその約半分、百四十億だけです。従いまして、残りの百四十億は消費者負担ではなくて、別な方法で処理しなければならぬわけであります。その一つ外麦の益であります。外麦の益が外国米損失であるとか、あるいは内麦の損失であるとかを埋めまして、なお三十六億くらいの残りが見込まれまするので、それを内地米に充てる、そういたしますと、百四億ばかりのものが残りまして、これはやはり一般会計からの繰り入れということが必要になると、こういうことになるのであります。  また、この内地米につきましての巨額の赤字というものは、いわば二重価格制の当然の結果であるというふうな御主張もあるわけでありますが、しかしながらあまりに生産者価格消費者価格を無関係決定されるということになりますと、本来価格経済的に営む機能というものが失われてくるということになりまして、生産者消費者のことを、あるいは消費者生産者のことを考える、そして互いの立場を妥協して価格が出てくる、そういった本来の一つ機能、あるいはまた農業なり、あるいは消費生活においての動向を支配する価格機能ということが、人為的に全く阻害されるというような結果になって、恣意的なと申しますか、あまりにはなはだしい二重価格ということは好ましくないのではないかというふうに考えられます。また、たとえそういうことを理屈上申しましても、消費者家計が耐えないということであれば、これはやむを得ない。価格経済的な機能が阻害される、あるいは食管赤字が出て参るということであれば、しょうがないわけでございますが、二十九年から今日に至るまで、消費者家計相当改善されてきておるというわけでございまするので、平均八百五十円程度消費者価格改訂十分家計に吸収される、そういうときでありますので、改訂はやむを得ないというふうに考えて処理をいたしたわけであります。  次に、数字的なことに多少わたりますが、現在のと申しますか、改訂前までの価格がきまりましたのは、先ほど申し述べましたように二十九年の一月でございますから、その後の半年の家計をとってみますると、全都市の平均は二万二千円ばかりに相なっております。これに対しましての最近の半年をとってみまするというと、二万四千五百円余りになっておりまして、その家計伸びというものをとってみまするというと、消費者価格といたしましては八百七十五円というのが、いわゆる家計米価ということになるわけであります。この八百七十五円というのは、しかし、これは家計の許す、いわば最高限度——昭和二十九年の消費者米価改訂が出ないとするという前提に立てば、その後の家計伸びから見まして、八百七十五円がいわば最高限でございまして、米の関係からいいますれば、家計程度昭和二十九年当時と、三十二年の当初ころと同じ状態にしておくということに相なりまして、米の関係からいうと、家計上昇ということがそこでストップされるわけに相なるのであります。そこで、若干のゆとりを見る、家計米価範囲内で適正な価格を設定するという趣旨で、そのめどをどこに置くかということを一つ目安といたしまして、近年におきまする配給米エンゲル係数エンゲル係数配給米だけにとりまして算定をいたしまして、その年々の低下率を見ますと、九六・九八ということになりまするので、これをかけますと八百四十九円ということで、約八百五十円ということになりまするので、これは適正米価であるというふうに考えたのであります。今回の八百五十円の数字的な基礎はさようでございます。  ところが、この八百五十円をそういうふうにきめました以後、めどをつけました以後、いろいろ検討を要請されてきておりまして、十月一日から改訂をするということに相なりましたので、かりに、さらに最近の家計状況をとってみたらばどうなるかということを御参考に申しますと、家計状況は、最近の半年ほどをとってみますと、二万五千六百四円ということに相なりまして、これでいきますると、いわゆる家計米価は九百十二円ということに相なる。従いまして、経済一般上昇、あるいは消費者価格上昇ということから見ますると、今日では八百五十円というものは家計米価のうんと内輪にあるということに相なってくるのであります。  それから次に、最近の経済政策の中で、物価政策価格を抑制するということが強く打ち出されておるのでありますが、そういう観点から米価を上げることはいかがかと、こういう議論があるわけであります。しかしながら、現在の日本の経済は、全体が非常にインフレ傾向であるというわけではありませんから、米がインフレを促進するということは、これはなかろうと存じます。先ほど申しましたように、家計の中に十分吸収し得る程度の値上げでありますので、各界波及ということはまずまずあるまいというのが私ども考え方でございます。  さらにまた、豊作というのに米価を上げることはどういうことかというように、一般的にいわれている見解がございます。ところが、現在の価格形成には豊凶による要素というものはあまり加味されておりません。凶作の場合には、あるいは豊作の場合にも、生産者豊凶係数ということで若干豊凶の点を加味する点がありまするけれども予約制度になっておりまして、時の豊凶を待たずに価格がきまる。従って、豊作になったからといって生産者価格を下げるというわけには参らないのであります。のみならず、豊作だから生産者価格を下げたということが、これまで一度もございません。ただ、はなはだしい凶作のような場合には、減収加算というようなことが行われてあるにすぎない。こういったことから、豊作ということは消費者価格に及ぼす要因というふうになっていないのであります。従って、豊作であっても、政府が米を安く買えるわけでもございませんし、豊作だからといって、中間経費節約できるわけでもございません。そういうわけで、消費者豊作の恩典を価格の面から及ぼすというわけにはいかないのが食糧管理実態でございまして、そういう影響を消費者価格に織り込むわけには参らないのであります。  さらにまた、中間経費節約と。中間経費節約すれば、米の赤字なぞは簡単に埋まるだろう、こういう御説があるのであります。まあ中間経費の多くは、いわば間接的な経費でございまして、どの部門にどれだけ金がかかるということを精密に申し上げるわけに参りませんけれども、大体のことを申し上げますと、内地米中間経費は、本年度予算から申しまして、二百九十八億ばかりと存じました。約三百億近くでございます。ロスを含めますと、三百十五億程度になったかと存じますが、まあロスは別にいたしまして、三百億近くであります。ところが、先ほど申しましたように、現在の、改訂前の価格でいきますれば、内地米の損が二百八十億でございまするから、中間経費が全然ゼロにしても、大体トントンということになるわけでありまするから、節約というような、あるいは合理化というような範囲を越えておる問題であるということを御了承いただけると思います。しかしながら、中間経費合理化に努めていないわけではございませんので、これは非常に微細な点にまで実は配慮をいたしております。ただいまのところ、中間経費につきましても、金利、運賃等につきまして約十四億程度の、予算に対しましての節約が期待されるのではないかというふうに、努力を実はいたしておるのであります。  大体以上のような考え方をもちまして価格改訂をいたしたのでございまして、価格改訂内容につきましては、あとでお届けいたしますが、価格決定内容は、簡単でございまするから、ちょっと申し上げますと、先ほど申しましたように、今回の価格改訂平均八百五十円というふうに申し上げましたが、これを地域別分けております。主要消費県という県に属するものは八百七十円、これは六大府県でございます。それからその他の消費県、それから中間県、これが八百五十円、生産県が八百三十円、特別の生産県といたしまして、これは東北六県でございますが、八百十円ということにいたしております。これが普通の内地精米でございまして、その他陸稲、それから五等玄米の精米、これを七百七十円ということにいたしております。従って、これは改訂以前の価格よりは引き下げになっております。準内地米は七百四十円、これは改訂前は七百五十円ということでありまして、これも引き下げになっております。普通外米は、上が六百三十円、並が五百八十円、これは据え置きでございます。それからなお、これはごく一部でございますが、業務用配給米食堂等に対する配給割当でございますが、これにつきましては、先ほどの主要消費県が九百十円その他の消費県、それから中間県が八百九十円、生産県が八百七十円、東北六県が八百五十円ということにいたしておるのであります。これが大体今回の価格改訂内容でございます。  続けて、カンショバレイショについて御説明いたします。これはお配りいたしました二枚つづりの二ページの方に決定いたしました価格がございます。三十二年十月一日農林大臣談という妙な表題になっておりますが、その二枚目でありまして、カンショにつきましては一貫目二十四円五十銭、これは前年据え置きバレイショにつきましては一貫目二十円五十銭、これは前年度は二十一円五十銭、一円下げであります。次は澱粉でございますが、これはカンショ澱粉が十貫目千五百五十円、前年度は千五百六十円、十円下げ、バレイショ澱粉は十二貫当り二千七十円、前年は二千二百五十円、それからなま切りぼしは十貫当り九百七十円、前年も九百七十円、こういうのが決定の骨子でございます。  計算基礎といたしましては、考慮を要するところはたくさんございますが、これは農産物価格安定法制定以来、需給の関係を見てきめるということが、そういう方式のものが中心になっておりまして、本年もほぼその方式基準にいたしたのであります。  カンショにつきましては、前年並びに前々年、二ヵ年とも非常に豊作でございまして、本年はそれに比べますれば作柄が悪いわけでありますので、作柄が悪いので、価格据え置きないしは上るのが当然であろうというふうに考えられる向きが非常に多いのでありますが、価格決定は単に前年度の比較だけでは参りませんので、そうすれば非常に価格変動が起るのでありまして、大体前三ヵ年の価格をとって、それを基準にしまして、供給量変動を見て価格を出すことになっております。のみならず、また政府手持ち澱粉相当多量にございまして、約四千万貫程度手持ちになっておるわけでございまして、それはやはり供給量として見るべきが私どもは当然であるというふうに考えたのでありまして、そういう観点からいたしますれば、ただ前年と比べて作柄がどうだというだけでは、価格は出てこないわけであります。カンショにつきましても前年度に比べますれば作柄が悪いわけでございまするけれども政府手持ち澱粉が三千数百万貫ございますので、そういうものを基準にいたしますると、前年度よりは価格が下って参ります。しかしながら、カンショ作柄は最近三ヵ年において非常に大きな変動を来たしております。二十九年はどちらかと申しますと凶作、三十、三十一年は豊作、こういうような関係になっておりまして、従って、価格につきましては大きな変動がありまして、二十九年は非常に高い、三十年、三十一年は逐次下っているという状況でございます。そういうわけで、必ずしも過去三ヵ年だけにとらわれるのはいかがかというわけで、過去五ヵ年間の中のいわば中庸三ヵ年というものを参考にいたしまして、先ほど申しました価格にいたしたのであります。  それからバレイショにつきましては、今年はむしろ豊作と申すべき数字に相なっております。しかもまた手持ちも数百万貫ある。ところが、バレイショにつきましては手持ち相当ございますのでこれは当然供給量と見るべき数字でございますが、作柄が非常にいいという点から、これは供給量に見ないということで価格をはじくのが妥当であろうということで検討を加えたのであります。しかし、これとても供給量に見なくても、やはり相当程度の値下りになるという要素は含んでおります。そこで、これにつきましても、やはり前五ヵ年の中の中庸三ヵ年というようなことから見ればどうなるだろうかということから見た価格も、一つ参照いたしまして、先ほど申しましたような価格決定をいたしたわけであります。  次は、原料イモによります澱粉価格でありますが、澱粉につきましてはカンショ澱粉、これはほぼ前年通り考え方計算をいたしております。ただ、副収入と申しますか、副産物価格につきまして若干の改訂をいたしております関係上、澱粉価格といたしましては、前年度から見て十円下げるということになりました。  馬澱につきましては、歩留りの改訂を実はいたしております。前年度に比べまして本年度計算は、一四・五に対しまして一五ということで、その方が実態に合ってできているように見受けられますので、そういたしますと、他方副産物につきましては、前年と比べまして引き下げるというのが妥当と認めまして、これは引き下げるということにいたしました結果、先ほど申し述べましたような価格ということにいたしたわけでございます。  大体以上が今回の支持価格決定の概要でございます。
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 以上の件について御質疑がございましたら、順次御発言を願います。
  4. 仲原善一

    仲原善一君 消費者価格決定の御説明の中で、最後の方で若干お触れになりました消費県、中間県、それから生産県特別生産県、この四つ分けて差等をつけた価格をおきめになっておるのでございますが、これは多分、かつては甲乙丙丁と分れておった地域の問題であろうと考えますが、この四つの、この生産消費中間の、お分けになる標準ですね、大体どういう構想でお分けになっておるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。従来東北は特に丁の地であったと思いますが、東北以外でも丁の地域がだいぶあって、それが今度は全部丙の地区になっておる、いわゆる生産県になっておるというので、その辺どういうきめ方でおきめになったのか、その点をお伺いしたいと思います。
  5. 清澤俊英

    清澤俊英君 資料があるのですか。
  6. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 資料というのはございませんが、申し上げますと、まず米の自給、自給というのは需要供給ではございませんで、自給度というあの自給、要するに自県産でもって自県の人が全部食えるかどうかという点でございまして、それが一〇〇%自給ができるかどうかという点で、まず区別をするわけであります。その自給度が一〇〇%以上のものをここでは生産県、こう見たわけであります。それから一〇〇%以下のものを中間県ないし消費県、こういうふうに見ましたのであります。それから一〇〇%以上のもの、これはいわばまあ生産県でございまするが、まあお尋ねはこの点に関連するわけでございますが、一つは今回の価格改訂が希望配給を通じての問題でございまするし、また価格地域差というものはやむを得ないにいたしましても、できるだけ最小限度にしたいということで、本来は区別したくない。生産県は区別したくない。従って、現在東北六県を例外的な措置といたしておりまするけれども、これは本来、むしろ八百十円じゃなくて八百三十円のグループに属すべきものであるという一つ前提があるのであります。従って、甲乙丙丁というような希望配給の区別ではなくて、むしろ特別の生産県ということで、恒久的に東北は特に値を下げるのだという趣旨は、気持としては出していないつもりであります。それが一つ前提になっております。  しかしながら、同じ生産県でも東北六県と北陸、山陰等と比べますると、だいぶ様相が違っておる。それが、様相が違っておる点を具体的にどうとらえるかということはむずかしゅうございまするけれども、最も的確に現われるのは希望配給の受配率に現われておると、こう見受けられましたので、この一〇〇%の中から希望配給の受配率が五〇%以下のものと、以上のものというふうに分けまして、希望配給が五〇%以上受け取られておるというのを八百三十円、それから五〇%以下であるというものを、これを特例地。東北六県がちょうどまたそれに該当するわけでございましたので、さようにいたしたのであります。  なお、付言をいたしますと、一〇〇%以下のもの、すなわち八百七十円、八百五十円県の区別でございますが、これには的確に線を引く点がございません。どこの県は八百七十円で、どこの県が八百五十円であるという的確に引ける線が実はないのであります。たとえば、今生産県について希望配給の受配率ということを申し上げましたが、希望配給の受配率という点から見ますると、和歌山県などは非常に高いことに実はなるわけです。ところが、和歌山県を六大都市と同じように取り扱うということはいかがかという、これは米以外の問題がそこに生じて参ります。たとえば、県民の所得が非常に差がある。しかも、立地的に非常に米にとりまして不利な条件でそうなっているのに、そういう点をつかまえて、それが東京や大阪と同じ価格であるというのは酷であるといったような、いわば常識的な見方がそこに出てくるわけであります。そこでやむを得ず、これは米の関係からの点だけでは線が引けない。米の関係から線を引くとすれば、希望配給に甲、乙という区別がありまして、甲に属しておったのが六大府県であったから、この今回の消費県、中間県の区別におきましても六大府県とその他、こういうふうに分げるのがどうも穏当であろうということで、さようにいたしたわけでございます。
  7. 仲原善一

    仲原善一君 ただいまのお話で、大体この基準によってお分けになった点はわかったわけでございますが、将来たとえば、今のお話の希望配給の受配率等が変ってきて、東北並みのいろいろの標準に合う問題が出てきた場合には、改訂される御意思があるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  8. 小倉武一

    説明員小倉武一君) これは、もちろん恒久的にこれが妥当であるということじゃございませんで、いわば最近の自給の状況、あるいは価格価格の中にはやみも入っておりますけれども、そういうものをいろいろな要素として考慮されているわけでございますので、今後の自給の状況が非常に変動しまして、受配状況その他が変って参りますれば、そのときに応じた施策をとらなければならぬようなことになるかと思います。他方、しかし、これまた末端の消費者価格のことでございますので、そう年じゅう、たとえば端境期と出来秋とでは非常に様相が違ってくる面もございます。これは生産県でもそうでございますし、消費県でもそうでございますが、同じ一年の間をとりましても、違ってくる面がありますので、あまりしょっちゅう上げたり下げたりするということは、また実際問題としてむずかしい面がございますが、どうも恒久的に地域的に米の自給が違っているのではないかという様相が生じて参りますれば、考慮すべき問題だ、かように考えております。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題、希望配給率が五〇%以下のものが八百十円として、東北六県を認めた。上の方が、五〇%以上のものを同じ生産県で八百三十円にしているというのは、これはやみ米との関係なんですか。そういう考え方が多いのですか。
  10. 小倉武一

    説明員小倉武一君) これは動きが、動き自体は別段やみを参照したわけでございませんで、これは希望配給がどの程度とられるか、六日なら六日間の配給のワクに対して、実際に受け取られる量がどのくらいかということから出る数字でございます。しかし、そういう差異が、希望配給の受配率が一体どこから、どういう原因から出てくるかということになると、これはやみ米の問題に関連をしておるのだろう、こう考えます。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体やみの問題は、始終調べても、そうひどい差異はないと思うのですがね。結局これは三反歩以下くらいの零細農の関係が、非常に大きな影響力を持っているのじゃないかと思います。
  12. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 三反歩以下、その他零細農がどういう影響を持っておるかということではむしろなくて、一つは、その県の生産状況といいますか、先ほども申し上げましたが、自給度が非常に高いかどうかということ、それからもう一つは、消費地に近いかどうかということ、それから早場奨励金が相当行く県であるかないか、こういうことであると思うのですが、この三つが作用しておるのではないかと思うのであります。非常な生産県でございましても、早場奨励金が非常にたくさんつくような早い米をたくさん出しておる県は、その時期に非常に政府に売り渡しが多くて、県内にいわゆる余剰米というのがあまり残らないという関係になりまするから、非常な生産県でありましても、やみ米は高い。従って、また希望配給の受配率は高い。また都会の近辺の県であるかないかというようなことが、また今のやみ米ということに非常に影響を持つわけでありまして、県内に大きな消費地がない所におきましては、ごくわずか、いわばごくわずかな余剰米が出回りましても、全体のやみの水準が非常に下るというふうにどうも見受けられるのでありまして、やみの低い所は非常に余剰米が多いということでなくて、絶対的な余剰米が多いということではなくて、消費人口と比べての余剰米が多いということでございますようでございます。今の受配率の違いも、そういう点から出てきておるように見受けられるのであります。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、東北六県全部引き当てたということはおかしい。秋田、青森の方は北海道の方へ相当流れておる。非常に消費地に近いような格好をしておる。だから、やみ値がかえって新潟県よりも高い。そういう現象が出ているので、新潟あたりのあれをはずすなんて、おかしな話だ。どうも考え方が、あまり頭が奨励金とかなんとかいうことばかりに使われておって、実際問題は、私は零細農が多い所が保有米をたくさん持っているから、表向きのそろばんよりは、希望配給の辞退が多くなってくるのじゃないかと思います。そういう現象があるのじゃないかと思います。一番配給辞退をするのは……。
  14. 小倉武一

    説明員小倉武一君) やみ米の価格の問題でございますが、それは青森、主として青森ですけれども、北海道へやみ米が流れるという量が若干ございましょう。しかし、それにいたしましても、青森、秋田、山形等と比べまして、新潟あるいは富山と比べますと、これは清澤委員がどういう資料でそういうことをおっしゃるのか存じませんが、月によっても違いましょうけれども、おしなべていえば、やみ米の価格は北陸地帯の方が高うございます。東北の方は安い。東北六県の中で比較的、たとえば東京に近い福島県などは、むしろ受配率もある程度高いというところもございます。しかし、これとても五〇%以下でありまして、同じ東北六県ということで、福島県だけを特別にするというほど、数字的な違いはないではないかということで、同じような取扱いをいたしたわけであります。こういうわけであります。
  15. 島村軍次

    ○島村軍次君 今回の改訂に伴って、食管会計赤字補てんを一般会計から補てんするという原則が立った、こう一般には考えられておりますが、さように考えてよろしいですか。
  16. 小倉武一

    説明員小倉武一君) どういう御趣旨でございますか。今回の措置によりまして特別会計赤字一般会計が当然持つという原則が打ち立てられたというわけでは、私は必ずしもないと存じます。むろん特別会計赤字赤字のまま放任しておくということは、特別会計の運用上も困ります。金利も非常にかさんできて、結局それは生産者なり消費者の負担になってくるということもございますから、食糧管理の面からいっても好ましくございませんし、また財政という点から見ましても、特別会計とはいいながら、赤字がそのまま累増していく、あるいはそのまま残っていく、しかも、それはいつ回収といいますか、カバーできるかわからぬという状態では困りますので、それは埋める。予算的に埋めるか、決算上で埋めるか、あるいは一般予算で埋めるか、補正予算で埋めるかという問題はありましょうけれども赤字は埋めるというのが、また埋めるべきであるというのが、私は筋であろうと思います。そういう意味では、御意見とあまり変らないかと思いますが、今回の措置によって特にそういう原則がここに打ち立てられたという筋ではなかろうというふうに思うのであります。
  17. 島村軍次

    ○島村軍次君 私はそれをお聞きしたいというのは、要するに、従来のやり方は、赤字は決算によって処理していく。今回のも大体そういうことだと思うのですけれども、しかし、来年度予算編成にもこれは関係があることなんで、率直に申し上げれば、大蔵省の考え方というものが、いろいろ米価審議会なり臨時制度調査会なりの経過から見て、最初にそういう問題を考えるということが、価格決定の際に当然予想し得ることだと思うのです。そうして内容検討して各種別に考えますというと、たとえばイモとか他の価格安定の、あれは途中から入った問題なんですから、そういう問題をはっきり仕分けして会計を明らかにするという点からいえば、今回の値上げによってさらに来年度の需給関係は外米との関係、いろいろありましょうけれども、しかし、およそ予算上に表わす数字というものは想定ができる。そういう建前から、そういう見方からすれば、一般会計から補てんするという建前をとったやに、新聞紙上で報ぜられておる。まあ地方へ出ますと、そういうふうに一般に了解されておるのでありますが、しかし、どうもはっきりせぬ、来年度はどうなるかわからぬというような御答弁であるかどうか、そういう点をもう少しはっきりしていただきたいと思います。
  18. 小倉武一

    説明員小倉武一君) お尋ねの点は、特別会計損失予算上で埋めるか、決算の結果埋めるかという点だろうと存じます。現在の特別会計法の建前からいえば、決算上の損失一般会計から繰り入れることができるということが、まあうたってありまして、その法律の明文からいいますと、決算上埋めるというのが建前のようにも見えるのでありますけれども、しかし、これは法文のことでありまして、実際の予算編成上の原則が当然そうでなければならないというふうに考えておるわけではないと思います。お話の点、おそらく本年度予算編成において見込まれた赤字予算上なぜ補てんをしないかという点について、これは実は消費者価格改訂の点がペンディングになっていることが、一つの大きな理由であったわけです。輸入食糧その他の関係もありますが、その消費者価格改訂がその大きな問題だと思います。ところが、今それが決定されたとすれば、自余の点はそう動くわけはなかろう。従って、決算を待たないで予算上の措置でもって埋める。もし補正予算が出ますならば補正予算で埋めることができるようになったとも私は存じますけれども、必ずしも予算上で埋めなければならぬ性質のものでもなかろうと思うのであります。その点につきまして、それをやはり本年度の決算を待って補てんをするのか、あるいはしかるべき機会に、決算を待たないで、予算上補てんをするのかという点については、今後の検討なり折衝なりに待たなければならぬというふうに考えております。
  19. 島村軍次

    ○島村軍次君 端的にお聞きしますが、むろんその事情はわかります。わかりますが、三十三年度予算編成なり要求をされて、大蔵省に折衝される前提ではやはり従来と同じような考え方でおやりになりますか、あるいはある程度赤字を予定して、そのものはあらかじめ補てんするという考え方で、予算面の上で補てんするということで、つまり時期の問題です、時期の問題は、今から考えて予算編成なり要求をされますか、そういうことは先に来てみなければわからぬと、こういうお考えですか、その点はっきりしていただきたい。従来通りの考えというなら、それでもけっこうです。けっこうというよりは、一般にはそう考えて食糧管理に対する、国民に対する感じが、やはり今年消費者米価を上げて一般会計から補てんをしたということは延びてきたのだが、しかし、ここでやったのだ、また来年三十三年度からもやはり同じような考え方食管会計を扱うのだという考えなのか。一体食糧庁としては、今後の折衝であるから、法律を建前にさような考え方でいくのか。私はさきに、農林大臣は大蔵大臣との折衝の段階において、原則を立てられたような意味の口吻で何かお話しになったようなことを聞いたように思う。その辺の折衝なり、あるいは端的一に結論から申し上げれば、今申し上げたようなことで、従来と同じような考え方で決算の上で考えるのだと、こういうことですか。
  20. 小倉武一

    説明員小倉武一君) お尋ねの点は非常にむずかしい問題でございまして、的確にお答えする段階にまだなっておらぬのであります。と申しますのは、二つ問題がありまして、一つは来年度予算案について、きのうですか御説明があったようでありますが、特別会計予算はまだ編成が、農林省案として、あるいは食糧庁案としてできておりません。従って、どういう赤字が出るのかという見当がつきかねております。  米価一つとってみましても、生産者米価なんかがどうなるのか、麦の買入価格がどうなるのかということについて、まだ全く見当がつきかねておるわけでありまして、赤字がどの程度になるのかということがまだ見当つきかねておるのが一つであります。  もう一つの点は、これはおそらくただいま大臣が何かお話しになったということと関連をするのではないかと思いますが、一般会計からの繰り入れという問題がございます。これが予算上の繰り入れでございまして、これは赤字ということでの繰り入れでありませんで、一般会計が当然、と言っては語弊がございますが、食管会計でこれまで負担しておったものを、今までは赤字としては一般会計が負担しておりましたけれども赤字ということでなくて、一般会計がある程度負担してもいいものがあるではないかということであります。ところが、必ずしもそれがどの程度どういうものについて一般会計から繰り入れるかということについて、ただいま検討中であります。かりにその検討が済んでおりましても、それによって完全に収支均衡がはかられるかどうかということになりますと、これまた全然検討がつきかねるわけであります。一般会計からの予算上の繰り入れと申しますのは、いわば赤字とはあまり関係がなく、主として筋合いとしてどういうものを一般会計から繰り入れるかということになりまするので、その額と赤字とは必ずしも見合わないわけでございます。  それから第三といたしまして、なお申し上げにくい点がありますことは、御承知特別会計の勘定区分という問題がございます。そこで、その勘定区分をいたします場合に、それぞれ独立勘定になりまするので、勘定別の損益という問題が生じて参りまして、その勘定別の損益をどう処理するかということは、勘定によっておそらく若干違ってくる、面があろうかと思います。たとえて申しますれば、農産物勘定というようなものを作ります場合に、その赤字をどうするかという場合と、国内食糧といったようなものを作ります場合に、その赤字をどうするかということと、若干どうも違ってくる場合もあり得るということも考えられますので、そういう勘定区分の点、一般会計からの繰り入れの点、それから特別会計全般の予算の規模なり収支損益がどうなるかということと関連をして、その辺は一つ研究を進めたい。こういう段階でございまするので、どうもただいまのお尋ねに的確にお答えできない段階でございまして申しわけないと、こう考えます。
  21. 島村軍次

    ○島村軍次君 しつこいようですけれども、この点は国民に対してある程度までは、つまり今回の価格決定には、ずいぶん手間どっておやりになった今日までの検討の結果から見ますると、こういう性質のものは一般会計から当然持つべきものだということは、まあはっきりした数字は、たとえば三十三年度予算編成の場合にはまだ検討が加えらるべきものでありましょうけれども、大筋としては、こういうものは、一般会計で持つべき性質のものは別途に計上して繰入金であげる、こういう考え方については、これは明らかに農林大臣は私は言明されたと思う。今の御説明から見ましても、大体そういうふうなことに了解できるように思いますが、そう解してよろしいか。もう一ぺんくどいようですが、その点を一つお話し願いたいと思います。
  22. 小倉武一

    説明員小倉武一君) お話のように、一般会計から予算上繰り入れるということについては、これは方針といたしましてさような方向で仕事を進めたい、こう思っています。ただ、どういうものをどの程度の額ということについては、まだ私ども部内といたしましても、十分検討が済んでおりません。たとえば事務人件費の何割でありますとか、金利保管料の何割ということは、もう考えておりまして、新聞紙上等にもそういうものは出ておりますけれども、果してそういう行き方がいいかどうかということについては、なお一つ検討して参りたいというふうに考えております。しかし、そういう方向で検討をする、またそういう方向で来年度予算処理するという方針は、大体大臣のお話しになった通りというふうに御了解になってよろしいと思います。
  23. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、希望を申し上げておきますが、企画課長もおかわりになって、ことに協同組合の仕事については十分御経験をお持ちになって、協同組合の収支計算等については大いに指導精神をもってやられたい。そういう場合に、食管みたいなむずかしいことはわかりませんよ、しかしそういう問題は、いやしくも国の特別会計といえども、あらかじめ一つ基準をもって今後の予算編成をやれるというのが、私は当然の筋だ。だから、そのお考えになっておられるということはよくわかりますから、その問題を一つ積極的に一つ、将来予算折衝の場合に、あるいは大蔵省との考え方を統一して、政府の方針としてはっきり出してもらいたいということを、希望申し上げます。  それからもう一つは、これも一般の国民の側から申しますと、今回の値上げというものは、まあほとんど十ヵ月もかかってきまったんだ。やっときまったが、またいつかみたいに上げられる。これはまあ当然いろいろな情勢が変化すれば、上げるのだというようなことが考えられると思うのでありますが、おおよそ七百九十円を八百五十円でやって、そしてこまかい点までおやりになったその根拠には、二十九年の三月以来据え置きになったというこの経過からかんがみまして、現在そのままの姿であるならばいいですが、その前提に立っては、買上価格が変れば当然変るではないかというふうな説明にすべきであるか、また買入価格というものに非常に関係があると思うのです。だから、買入価格の変更によっては考えるのだということを考えていいのか。買入価格が現状据え置きであるならば、当分の間は前提要件が変らぬ以上は当分変えないというような心組みでおいでになるかどうか。これはしろうとの質問のようでありまするが、国民に対しても私は重大な要素を持っておると思うのです。その点いかがですか。
  24. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 前提がまあ変らなければというお話でございますが、これはどうもいろいろ要素が変りそうでございます。まあしかし、その前提が変らなければということでよろしいと思いますが、ただ現在の生産者価格、それから政府経費消費者価格というものを見ました場合に、これでちょうどいいバランスがとれているというわけに必ずしもならないわけでございます。今年のただいまのところの見込みでは、百十四億程度の、一般会計特別会計負担とか、そういうことになっておりますけれども、それが先ほどお話しのような点からいって、当然に一般会計で負担すべき筋のものであるかどうかということになりますと、これはまたいろいろ問題があろうかと思います。そういう意味において、現在のいろんな諸条件を前提にいたしましても、なお検討を要していく点がございます。  従って、動く要素はあるのでございますが、しかし、他方これは若干の動きによって消費者価格を一々変えていくということは、これはやはり好ましくない。できるだけ安定した価格がよろしいということが、これは一般的な御要望からいいましても、そうであると存じまするし、また食糧管理運営していく立場からいいましても、できるだけ長い期間にわたって価格が安定しておるということが望ましいということが大事なことだと思いますので、私どもといたしましては、できるだけ現在の価格を安定さして、それでいくように相努めまするけれども、それこそ前提の変化とかそういう状況で、やむを得なければ、また御相談申し上げなければならぬということが起るのじゃないか、こう思いまするけれども、筋としましては、できるだけ今回の改訂価格を持続していくということについては、一つも異論はございません。
  25. 島村軍次

    ○島村軍次君 もう一つ、希望なり意見を申し上げて、お聞きしておきたいと思いますのは、小倉長官は農林省でずいぶん長らく御経験の通りで、この今の段階では麦の価格というものに対して、これは増産と関連を持つ問題です、政策の上に畑作改良というようなことがあげられておりまするが、私は麦に関しては、きのう東委員の質問もあったのですが、大臣が果してどうおとりになったか、希望の程度でそうなって、まあわれわれももう少し突っ込んでお聞きしたいと思いましたが、それは食管の仕事をおやりになっておると、とかく増産部面に対しては——流通過程の仕事が主体になりまして、増産部面に対しては比較的軽視する、というのはおかしいのですが、関心が薄くなりがちである。経過は御存じの通り、麦の増産に対しては戦後——戦前にも相当やり、戦後についても相当やってきた。しかし今回の、表現の仕方は違いますが、麦の増産に対してはどうもちょっと後退したような感じがする。それが一つと、それからもう一つは、価格の問題については、農業経営の安定といいますが、そう一ぺんに畑作改良をせいだの、畜産導入せいといっても、なかなか変えられるものではない。今年お買い上げになったのは、昨年の不作の関係もありましょうが、比較的買上数量が少なかった。作付転換をして、麦を植えつけるのをほかの方に転換する点もありましょうけれども、もっと麦の増産と、及び食糧自給態勢からいって、麦の増産と関連をして、価格の点には私はもっと真剣になってもらいたい。われわれはいなかの百姓と接しておりますと、とにかく麦というものは、技術的にいえば増産の余地はありますが、しかし、引き合いにならぬから作らぬという考え方が、おそらく全国的にみなぎっておる百姓のかくれた心理であろうと思う。その点をどう一つ長官はお考えになっておりますか、これがまず第一点。  それから今度の予算の上で拝見したのですが、金額は何ぼであったかちょっと忘れましたが、これはどこの所管であったか、食糧の分析何とか書いてありましたが、食品の分析調査というようなことが統計の部門か何かにあったと思うのです。これはどういうふうなことを意味しておられるのか。省議でいずれ御検討になっておるのでしょうから、この食管経済に非常な関係があると思うのですね。  その二点について伺いたい。
  26. 小倉武一

    説明員小倉武一君) ただいまお尋ねになりました食品分析というのは、私聞き漏らしましたのか、承知しておりません。あるいは統計調査、あるいは予算研究等においてそういうものが出ているものと存じます。そういう点の分析なり研究が必要であるということは私も考えておりますが、できるだけ促進をして参りたい、こう思っております。  それから麦の点でございますが、私ども、御指摘のように、価格なり流通の問題を所管いたしておりまして、直接、生産関係については所管をいたしておりませんので、勢い関心は薄くなるのではないかというような御指摘もあったのでありますが、実は現在の麦の価格体系というものについて私ども非常に実は懸念を持っております、率直に申しまして……。従いまして、実は、増産と言っては語弊があるかと思いますが、まあ結果的にはおそらく、少くとも反収から見れば増産になると思うのでありますが、麦の生産性を上げる、あるいはひいては裏作なり畑作の改善をはかるということについての必要性は、実は私、生産を担当している人たち以上に必要性を感じておって、食糧庁以上そういう必要性を感じている所はむしろないのではないかというふうにさえ、実は思っておるのであります。どうも現在の、もちろん、麦の買入価格が農家にとって満足すべきものではなくて、はなはだ不十分であるということも承知はいたしておりますが、その不十分な価格にどうも安住し過ぎておりまして、生産性の向上ということについてどうも一般の熱意が薄いのではないかということは、むしろ食糧庁自体はなはだ憂えておるのであります。そこで、これは昭和二十七年でございましたかに、現在の麦の関係の立法ができたわけでございますけれども、当時と今日とでは、ずいぶん世界的にも国内的にも食糧事情が違っております。また農業の生産需要も若干とはいいながら違って参っておりまして、現在の食糧管理法の買入価格決定の建前は、どうも時勢にそぐわなくなってきている。現在の食糧事情にこれはそぐわなくなってきておるということを痛切に感じ、従って実は改正をお願いしたいというのが、実は事務的なわれわれの考えであります。同時に、そうしていただくにはやはり麦作の生産費の低下、あるいは畑作なり裏作の改善ということについてよほどここに力を入れてやっていただく必要がある。従いまして、たとえば買入価格のきめ方についてもっと弾力があるようなふうにしていただくということに即応して、麦作なり畑作ということについての振興については、食糧庁といたしましても、特別会計の金を出してでも、一つやっていただくというくらいの実は気持で、ただいま検討をいたしております。そういうわけでございますので、あるいは考え方がまとまりますれば、いずれ御意見の拝聴を願う機会もあるかと思いますが、まだ農林省といたしましてどうという結論は出ておりません。食糧庁がまだ研究をしている段階でございます。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題は、言うていることと、していることと、違ってやせぬか。たとえばイモの価格を下げたというのは、増産をしたから下げたのだ、こういう御説明がある。増産を一生懸命精出してやれば値段が下ることになれば、難儀する者はなくなる。うまい工合に、あなたの希望するような方向に進んでいかない、こういうことが考えられると思うのですがね。ある程度まで価格を据え置くなら据え置くような形をとって、そこで一つ増産やれと、こういう話なら話はわかるかもしれぬけれども、よけいできればだんだん下げていく傾向を持っていたら、こいつは不安にたえない、こういう者が出てくるでしょう。これは現にあるだろう。大体、次官、どう思いますか。  これは、食糧庁が考えていることはちゃんと腹ができているけれども、何か政府がそういう方向に向けているのじゃないですか。これは現に河野さんのときには、そういうことを言うておられるのだ。そろばんに合わぬ米や麦を作ることをやめて、そろばんの合う生産物にどんどん移せいということを言うておられる。そろばんが合わんかったらもうやめたらいいという方向を、はっきり掲げているじゃないか。河野さんのときに何度も説明されている、新農村の建設の基本はそこにあると。次官はどう考えておられるか。長官の考え方と少し食い違っている。
  28. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 私、先ほど申し上げたことに関連いたしますので、まず私からお答えさせていただきますが、価格生産との関係の問題でございます。増産になれば価格が下るのでは無意味ではないか、あるいはそれは増産も期待できないではないか、これは一般論としてその通りでございます。ところが、物はやはり需給の関係ということが前提でなくちゃなりませんので、足りない物、足りない物をそこで作ってふやすということでございますれば、それは価格も安定をいたしましょうが、需給の関係からいきまして、直ちに消費されない、消化されない、需要先がないものについて、あくまでもその価格でなければ増産はしないということでありますれば、それはやむを得ないのでありまして、需要のないものを無理に増産していただくということは、これはかえって行く先々農家としても困るのではないか。需要を開拓されて、そしてそれに見合う増産ということで、価格が安定した姿で永続するわけには参りませんので、従って、たとえば澱粉、あるいは麦、米というものでは、たとえば三つほど例をあげますれば、それぞれ性格がどうも違ってくるわけであります。そういうわけでありまして、物の需給の関係を見て、やはり生産なり価格というものについて、ニュアンスなり施策の持って行き方が違ってくる。同じ生産関係で申しましても、量を減らすという形でいくとか、あるいは反収を上げるという行き方でいくのがいいとか、そこでいろいろと施策が分れてくる筋合いだと思いますので、どうも一がいにそこを割り切ってしまうというわけにはいくまいと思うのであります。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは、きょうやはりこんな時間になっておりますから、いずれ機会をあらためてお伺いしたいと思う。今現に何でしょう、余剰農産物を買うとか買わぬとか、騒いでいるでしょう。実際的に余剰農産物は——実は昨日私は大臣に質問しようと思ったのだが、食糧が足らないで余剰農産物を受け入れるのか、金がほしくて入れるのか、どっちなんだといっている。ああいう問題が出ている。いずれにしろ、食糧が足らないのはわかっている。そういうものを基本的に考えれば、需給も調整もハチの頭もないと思う。また今の問題ですが、昨日もちょっと触れている。昨日の御説明を見まして、カンショが一貫目二十四円。市場で幾らで出ておりますか。金時が十五円、農林一号が八円、百匁ですよ。これが実際一貫目五円か三円で買えるというものができ上ったら、私は東京市内だけでも消費はこれはもう倍どこのものではない、大へんなものに私は移行すると思う。百匁十五円、あるいは二十円のサツマイモを食えといっても、それはなかなか食い切れるものじゃないと思う。そういうものを直さぬでおいて、これが余った、余ったといって、どれだけ余っているか見当つかないと思う。私ら一体、そういうところにまだ割り切れないものがたくさんあると思う。余っているとか、足らぬとか、買えないようにしておいて、食えないようにしておいて、余った余ったといっても、これは問題にならないでしよう。
  30. 小倉武一

    説明員小倉武一君) これはイモと申しましても、むしろ一つのものではないくらいなものじゃないかと思うのです。東京あたりへ行っておやつに食ったり、野菜に食うイモと、大産地の中で澱粉なりアルコールの原料に使うイモとでは、同じイモというのがむしろ不思議であるくらいの商品としての性格を持っているのじゃないか。われわれがここで実需価格として申し上げておりますのは、そういう都会で出回るようなものではなくて、最高価格を押えるわけにはいきませんから、むしろ多く出回る、また大量に消化される原料イモの最低量の実需価格ということで、それ以上イモの価格が幾らでも上るということについては、押えるすべもございません。澱粉なら多少押上えるすべもありますが、イモの価格を押えるすべはありません。都会で高く売れるなら、その所得を農家に還元する。農家は非常に安く手放しているけれども、都会は百匁当り、農村で一貫当りで売っているのと似たような価格であるということは、これは流通問題でございまして、取引の改善その他流通の合理化をすることでなければならないということで、その点についてはおそらく昨日あたり大臣からもお話があったかと存じますが、農産物の流通改善の施策の一環として、イモだけではないと思いますが、蔬菜その他の農産物も含めまして、そういう意味での施策は別にまた講じなければならないというふうに考えております。
  31. 上林忠次

    ○上林忠次君 麦の値段が生産費に比べて仕打ちがひどいじゃないかという言葉がだいぶ出ておりますが、麦の値段をもっと上げたいという施策を農林省では今まで講じられておるというのは、先ほどの話で聞いております。まあ、時期はおそいですけれども、だんだんそういう傾向になったことは、ありがたいことです。あまり日本の国は米、米と、米本位にやってきたために、こういうことになった。戦後麦なり、食糧の価格をきめられるときに、澱粉できめられておるのじゃないかという時期があったのです。米が何ぼなら、麦は澱粉相当あるから、これくらいの公定価格をきめなければならない。またバレイショ相当澱粉があるから、相当値打ちを上げておる。最近は市場価格の動きを見ながら、対米価比というのがきめられておるのじゃないか。その対米価比も、毎年そう変るものじゃないらしい。こまかいことは知りませんが、大体きまった比率をもってきめられておる。大体麦というのは、米を作るからには麦を作る。米の方は生産費をペイできるように検討されるが、麦はほとんどその検討が行われておらぬ。ただ副産物としてできるので、米とくっつきのものだ。麦は値段はどうでもよいのだ。どうせ米を作るなら麦もできるから、一貫して両方をくっつけて考えたらいいじゃないか。麦の値段は、値打ちは、今の市場的な需要がないから、割に低く見られておる。もちろん生産費をペイされておらぬ。  一日当りの賃金は、米に比べると半分以下だということで、等閑に付されておるという傾向があるのじゃないか。このままでいきますならば、しかも、これまでやってきましたような米本位の奨励でやっていきますならば、麦は永久に浮かばれない。麦の値打ちを出すような処置を講じるには、米から麦に嗜好を切りかえていかなければならない。開墾をするにも、あるいは国全体の食糧の自給を講ずるにも、米本位の嗜好をこのままで保っていっちゃいかぬ。これはだれも御存じの点ではありますけれども、それでは今の農林省のやり方は、だんだん変ってきますけれども、ほんとうに麦を増産するような処置を講じておるかどうか。食糧自給のためには、土地の耕地面積を広げるということもまず必要でありますが、そのためにも麦をもっと増産するならば、畑作を拡張するなら簡単に行われるのじゃないか。まあ、そういうような方策を講じないと、永久に水田を作るばかりの方策では、これは自給ができないのは当り前であります。  特に、北海道あたりの地域を見ますと、相当畑作なら生産し得る余地がある。この方の開発をしない限りは、日本の食糧の自給はできない。かかって米から麦へ食糧の嗜好を変えていくということにわれわれは力を入れないと、日本の食糧自給はできない。前に申しましたように、ドイツが小麦で、これまで食糧自給しておった。その後人口がふえてきて、小麦ではいかぬ。結局バレイショに食糧の需要を求めた。バレイショを主食にしている。これで食糧の緩和ができたのだ。ああいうようなことを考えますと、日本の米の嗜好というものを麦に変えなければならぬ。特に北海道の空地を使うためには、麦をもっと奨励して、嗜好を変えて、麦でもって、麦の値打ちをよくして、土地の利用度を高めていくということが必要でありますが、実は先ほど小倉さんが言われたように、麦に関する奨励施設、食糧の嗜好の変換、こういうような措置は考えておられるが、実際徹底しておらぬ。この点が今のダーク・ポイントではないか。食糧庁長官としまして相当懸念されておることは、先ほどの話でわかっておりますけれども、これを急いでほんとうに麦に嗜好を変えながら、麦の生産し得る余裕のある北海道のようなところをもっと開発して生産を増していく。そういうふうになりますならば、麦の需要がふえていきますならば、麦の価格も変ってくる。対米価比というものも変るのではないか。そういう工合になって初めて、日本の食糧の自給ということも実際に進展するのではないか。  先ほどのお話を聞きまして、私、この北海道以外にわれわれの求める食糧の供給地域はないと思う。あまりにまだ北海道に手がつけられておらない。土地改良にしましても、増産施設にしましても、北海道にもっと農業施設をしなければならぬ。それがおそいのではないか。やり方が少い。軽い。この予算の点は、私、まだ聞きませんでしたが、その点におきましても、予算措置におきましても、北海道の食糧生産のための予算というものは案外少いのではないか。もっと強硬に、北海道をもう少し早く熟土にして、しかも麦の嗜好の進展によって麦の価格を上げる。さようにすることが、食糧自給確立の早道ではないか、そういうようなことを考えております。先ほどの話と重複するようでありますけれども、農林省におかれましては、もっと北海道開発を早くやる。米ばかりではもちろんいけません。米は失敗した形跡がすでにはっきりしている。米ばかりではなしに、麦に嗜好を転換するとともに、これでもって北海道をもっと食糧自給に利用していくということが必要だと思う。予算におきましては、今すでに原案はできておりますけれども、あまりに北海道の利用ということにまだ力が尽されておらぬと考えておるのであります。
  32. 本名武

    説明員(本名武君) 食糧の自給度を高めるためには、北海道の農業対策が基本的な問題ではないかという御説に対しては、全く私ども同感でございます  そこで、時間もございませんので、お話の要点について申し上げたいと思いますが、まず予算をどういうふうに考えていくかというようなことでございますが、北海道の農業振興につきましては、お説の通り、米を従来のような行き方で増産するということは、もちろん寒冷地の地帯でございますので、考え方を改めなければならないと思います。しかし、急激に減らす必要もなかろうと思いますが、それよりも、積極的に現在の畑地を、既墾地をどう改善していくか。土地の条件の上にも、あるいは営農の上にも、どう改善していくかということと、御指摘の未墾地をどのように活用するかということが、これが一番問題だろうと思います。  ところが、北海道の今までの経営農家の行き方というものは、団地農業の延長をいたして参りました。それからまた合理化の一歩といたしまして、有畜の経営においては、どちらかといいますと、馬産に重点を置いた農業の経営をやって参りました。そこで時間的に、今から考えますと、ちょっと足踏みをしたような格好になっておりますが、この両面を一つ改善しなければならぬ。  そのためには、それでは従来の考え方において改善していいか悪いかということ、この点を非常に心配いたしまして、実はこの間から農林省の中に寒地農業の対策室を設けまして、土地条件、あるいは土地の利用区分、あるいは営農類型、これらのものを根本的に考え直そう。御承知通り、広い北海道でございますので、大きな村などは内地の一県にも匹敵する。村内においても、おのずから土地条件その他が違っております。いわんや、北海道全土としてはずいぶん変化がございますので、これらを細分いたしまして、いろいろなこういった立地条件を調査いたしまして、その上に新しい営農類型を打ち立てていきたい。従って、これらのことをやるためにいろいろな整備しなければならない条件がありますので、これらをまとめまして、それの最も効果的な投資効果の上るような方向に重点を置いた予算の組み方をしたい。もとより、農林省は今回、昨日も大臣が説明いたしましたように、畑作振興に重点を賢くということを申しております。畑作振興の中でも特に立ちおくれの、あるいは未開地の多い北海道に当然重点を置いていくことが国内の自給度の向上はもとより、営農全般、あるいは食糧の需給調整の上からも必要になってくるというような考え方で、ただいまは北海道の寒地農業対策費として、別にこれという強い項目はあげておりませんが、日本全体の畑作振興の上の予算として北海道にそのような方向で予算を十分とるように努力したいと、このように考えております。
  33. 堀末治

    委員長堀末治君) 本件はこの程度にとめまして、皆様の御了解を得たいと思いますが、実は午前の日程が二つ残っておりますけれども、これは明日の午前に回して、午後は直ちに中央卸売市場の件に入りたいと思います。参考人を呼んでいる関係もございますので、一時半からきっちり始めたいと思います。どうぞそのおつもりでお願いいたします。  午前中は、これにて暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩    —————・—————    午後一時四十八分開会
  34. 堀末治

    委員長堀末治君) 午前に引き続き、委員会を再開いたします。  前回に引き続いて、中央卸売市場の件を議題として、東京中央卸売市場神田分場の荷受機関東京神田青果株式会社の件を議題にいたします。  なお、本日は、前回の委員会における御決定によりまして、参考人として東京都副知事佐藤基君、東京中央卸売市場長の飯田逸次郎君及び説明役として東京中央卸売市場業務部長石井孝義君が見えております。  参考人の各位に申し上げますが、御多忙中お差し繰りいただきまして御出席をいただきましたことを、ありがたく御礼申し上げます。  なお、政府からは経済局長の渡部君が見えております。  これから質疑に入ることにいたします。御質疑の向きは順次御質疑をお願いいたします。
  35. 青山正一

    ○青山正一君 まず最初に、委員長にお願いいたしたいことは、本日参考人として御出席なさっておるのは、開設者側の東京都の副知事であり、また市場長ですが、問題の性質上、政府側とあわせて質問することをお許しを願いたいと思います。  第一に、政府なりあるいは開設者の方にいろいろお伺いいたしたいことは、前回の当委員会において、経済局長から、残存の会社に対しまして丸東債務の肩がわりを協力してもらうというお話でありましたが、その後の経過についていろいろ新聞紙上なり何かで拝見しておりますが、丸東の業務停止ということは、私ども委員にとりましても、はなはだ機宜に適した措置と考えられますが、業務取り消しということはすでに、丸東の整理、特に債務の弁済ということについても、何かはっきりとした腹案があってのことと思われるので、その経緯あるいは経過について、経済局長と開設者側に承わりたいと思います。  ことに、この事態発生以来七十日に及んでも、何らの具体的な措置がとられていないということで、全国の出荷農民には一文の仕切り金も支払われていない。仕切り金の総額は約八千三百万円ということになっておりますが、東京神田青果株式会社の一般債務とはその性格を非常に異にしておる。しかも、農民の血と汗による生産物の委託販売であり、善良なる出荷業者は何らその間の事情を知らずに、東京都の太鼓判を押してありますところの農林省の公認機関である神田青果株式会社に、そういう公認機関であるということで何か安心感を持って出荷しておる。そういうことを考えて、何か腹案というものがあってこの業務取り消しということをお考えになったものだと、こういうように私どもは解釈しております。また従業員の退職手当とかあるいは給与の関係も、こうするのだというような何か成案があって、そういうふうなことがほとんどはっきりとした腹案として、そして業務停止になったものだと私は解釈しておりますが、そういうふうな解釈通りでいいのですか、どうなのですか、一つ東京都なり経済局長に御意見を承わりたいと思います。
  36. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 今回、東京都の開設いたしております中央卸売市場の神田分場の中で卸売業を営んでおります神田青果株式会社が経済破綻のために、かような事件を起しまして、産地荷主の方々初め多数の債権者に大へんに御迷惑をおかけし、またさらに皆さま方にかような御心配をおかけすることになりましたことについて、直接の監督責任者といたしまして、まことに遺憾に存じ、この機会に深くおわびを申し上げる次第でございます。  丸東を営業停止いたしましたまでの経過については、すでに御承知のようでありまして、その後の状況につきまして私からまず御説明を申し上げたいと思いますが、御案内のように、丸東が七月の末になりまして財政的に行き詰まって、ついに産地に対する仕切り金のために発行いたします手形なり小切手の不渡りを生じてしまったわけでありますが、私の方といたしましては、これをじんぜんと放置しておくようなことがありますれば、かえって産地の方々により以上の迷惑をかけることになりはしないかということの大きな危惧と、それからやはりこの際一定期間営業を停止して、そうして会社の再建に全部の関係者が全力をあげて専念をしてもらう、こういうような機会を与えますために、七月の三十日をもちまして八月一ぱいの営業停止をいたしたのでございます。その後債権者会議も催されましたが、なかなかいろいろの債権者の意見等がまとまらずに、八月中にはわずかに債権者の総会が一回と、それから代表会議が一回開かれたのみでありまして、従って、これですぐ結論を出すということはなお早きに失するのではないかというようなことから、さらに営業停止の期間を二十日間延長いたしまして、九月の二十日まで営業を停止をいたしたのでございます。  その間に、われわれといたしましては、ぜひともわれわれの満足するような再建案のできることを深く期待いたしたのでございます。特にその再建案におきましては、産地仕切り金を第一に優先するということを根本原則として、再建計画の立てられることを深く期待をいたしたのでありまするが、遺憾ながら、その間いろいろの意見は出ましたけれども、結局具体的なわれわれの満足するような再建計画というようなものが出てくる見通しというものが非常に困難で、一時は資金を出す有力な人も見つかるように聞いておりましたが、結局それも遺憾ながら立ち消えになってしまった。こういうようなわけで、われわれといたしましても、これをじんぜんとして延ばしておくということについては、非常に関係者の方々を不安定な状況に置くということ、それからまたその間にいろいろの揣摩憶測が飛びまして、それで非常に一そう業界関係を不安に陥れることも考えられましたので、九月の十六日の日に至りまして、中央卸売市場法施行規則の第三十九条の三号によりまして、東京神田青果株式会社は卸売の業務をなすに足る資力及び信用を欠くに至ったという結論を出しまして、農林大臣に報告を申し上げたようなわけであります。  一応私の方としてはそれだけであります。
  37. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいまの市場長さんのお話に基きまして、私の方では東京都からは資力信用がないという報告を受けまして、今後この会社を継続していくのには資力信用をつける方法を考えなければならない、その方法ありやいなや。東京都から報告があります前に、事実上の問題といたしましては、いろいろその点につきまして、会社当局からいろいろなことを聞いておりまして、最後に形式的にもそういう報告を受けましたので、市場法の規定に基きまして、十条ノ七によりまして聴聞会を開きまして、会社の当局を呼びまして、再建のめどについて聴聞をいたしました。その結果、先般御説明申し上げましたように、会社の内容につきましては、生産者に対する仕切り金が千万円以上未払いになっておる。そのほかに銀行、個人等に対する負債が非常に多額に上っておりますので、この会社が事業を再開いたしまするために、生産者に対する仕切り金を直ちに支払ってしまう。さらにそのほかの負債につきましても、相当高利なものもあります。そういうものは低利に切りかえる。あるいは会社の欠損は考課状から見ましても二億以上の欠損になっておりますので、その穴埋めが一定の年限になしくずしができるかどうかというふうな点につきまして、会社当局から意見を聴取してみましたところ、それらに対しまして会社当局から誠意のある回答を得ることはできなかったのであります。  そこで、私の方といたしましては、さようなことでこの会社をいつまでも業務停止のままで放置することは、特別法に基きまして開設いたしました中央卸売市場そのものの今後の信用問題にもなりますし、また生産者に対する支払いにつきましては残存会社に責任をもって処理していただく、こういう話し合いも残存会社にいたしまして、その上で九月二十日付をもって、第十条ノ六の第三に基きまして、本会社は当該卸売の業務をなすに足る資力信用を欠くに至ったという認定を下しまして、許可の取り消しをいたしたのであります。  これが許可の取り消しに至るまでの経過であります。
  38. 青山正一

    ○青山正一君 今までの経緯の関係は非常に詳しく承わったわけですが、一つこれらの関係はメモにしたためていただいて、簡潔にやっていただかぬことには、今のあなたのようにやっていって長引くというようなことになりますれば、これは十時間かかっても私は片がつかぬ問題だと思いますから、一つメモにしたためていただいて、お答え願いたいと思います。  さきの問題は、結局何ら腹案がなくして、生産者の手当も何ら講じていない、あるいは従業員の手当も講じていない、そういうような腹案なしにただ業務停止をくらわした、こういうふうにとって差しつかえないのですか、その点を承わりたいと思います。  それから丸東の、先ほど残存会社に肩がわりさせたということを非常に軽々しく論じられておりますが、その債務の発生というものは、前回の委員会では、局長のお話では、卸売人が乱立した結果、非常に競争がはげしくなって、競争の出血でこういうふうな結果になった、こういうふうなお話であったわけですが、しかし、その後のいろいろな日刊新聞やその他の雑誌を見ますと、何か丸東の中村社長が逮捕されているというふうなことから考えてみますと、出血した点はほとんどない。大へんな問題がその間に介在しておる。非常に不鮮明な点が多い。そういうような点が重なり合って起因となり、あるいは誘因となって問題が起きたものではないか、こういうふうに私どもは解釈するが、その点、一体どういうふうに東京都なり経済局長がお考えなさっていらっしゃるか、その点を承わりたいと思います。これが第一点。  それから、この肩がわり債務はすでに丸東の資産を控除して純粋の債務評価額であるか、その点を一つお伺いしたいと思うのです。というのは、丸東の業務停止後、農林省あるいは東京都において丸東の過去の営業損益分析あるいは停止直後の資産負債の精密検査を、それぞれが確認手続をとっておられるかどうか。なぜに私がこのような質問をするかと申しますと、丸東の債務のみが盛んに宣伝せられておりまして、何か資産の方は非常にないがしろにされておるように思われる。たとえば丸東の貸付金あるいは売掛債権その他いろいろな前渡金、そういうふうなものが資産勘定に計上されているが、これらにはっきりとしたしっかりした保全の手続がとられているかどうかという問題です。またこの債権者の表示債権と丸東の帳簿記載の債務額とは一致するものであるかどうか。そういう検査なりあるいはこの整理の状況について、ごく簡単に承わりたいと思います。
  39. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) では、私から申し上げたいと思います。東京都が農林省に対しまして、丸東が資力及び信用に欠くるに至ったという届出を出す前には、もちろん、しからばこれが業務取り消しになった場合にどうするかというようなことにつきましては、農林御当局ともいろいろお話しし、また関係業界ともいろいろ折衝いたしまして、まあ残りの残存会社において協力することにやぶさかでないという程度の言質はいただいておったのであります。その際にも、従業員の身の振り方についても大いに考えるという一応の見通しだけは持っておりましたが、御指摘のように、具体的な点までいっていないことはまことに遺憾であったと思います。  それから、丸東がかような事態になりました原因にはいろいろとございますが、かいつまんで申しますれば、昭和二十五、六年当時に、その会社が主管人制度という特別な会社の組織を持っておりまして、それがうまくいかないで、数千万円の赤字を出した。それの穴埋めに相当高利な借金をした。その後利子の増高に非常に苦しんできた。それともう一つは、やはりそういうような一方にあせりがある関係から、集荷競争にさらにより一そう無理な集荷費を使ってきた。こういうようなことが今回丸東の破綻の大きな原因になっておると思いますが、直接の原因といたしましては、丸東が高利の金を借りておった相手方が、小売及び仲買いというものから約一億近くの金を借りておったのでありますが、それが丸東の財政がよくないというようなうわさが立って、今年の六月から七月にかけてその個人債権者が取りつけをした。これが一番直接の原因と考えております。  それから最後に、丸東の債務については、いろいろと言われておるが、資産の方についての手当はどうかということでありまするが、これはまことに申しわけない次第でありまするけれども、その後、御案内のように、中村社長及び重役が取調べを受けるような形になりまして、大部分の帳簿が押収されてしまって、正確な数字を把握するのに非常に困難をいたしておることは事実であります。その点一々具体的にそれを照合するというまでに至っていないことは、まことに申しわけないのでありますが、御指摘の通り、そこの点については、われわれも確信のある数字ということにはならぬのであります。ただし、われわれとしては、七月三十一日をもって提出せしめた資料を中心にいたしておりますが、その後関係の係員等の説明等をよく聞きまして、それについての内容等は一応検査いたしておりまするが、一応七月三十一日の現在におきます丸東の資産は約三億一千万円、そのうち、われわれが検査いたしましたところでも、かなり大きな実は不良資産というものが計上されておるようなふうに見受けるのであります。ことに産地に対する前渡金が相当行っておりますが、これもほとんど大部分が焦げつきである。それから小売、仲買人に対する売掛金についても、少くとも半分以上もやはり焦げつきになっておるというようなこと。それから主管人前渡金というものは、ほとんどこれは問題にならぬというようなことで、非常に不良資産がたくさん計上されておるということは事実であります。従って、そのほかにこの会社は土地と建物を若干持っておりますが、実はこれも金融機関からの借金の抵当に入っておるというようなことで、目ぼしいものはすべて押えられてしまっておるというのが現状でございます。
  40. 青山正一

    ○青山正一君 農林省のお答えはけっこうでございます。  次に、農林省にお伺いしたいと思いますが、現在の丸東の整理の主体は一体どこにあるか、その責任の存在を一つはっきりと明らかにしていただきたいのです。これは東京都も一つ御発言願いたいと思います。もし整理の主体はあくまでも丸東ということならば、なぜ丸東の債務を軽々しくいろいろな方面で、たとえば残存の会社にこれをあれするとかこうやるとかいうような点にだいぶ触れておられますが、そういうような点の主体をはっきりしない限りはそういう点は解決しないと、私はそういうふうに考えております。それから、もし行政指導でそういうふうなことを東京都なりあるいは農林省から勧告したというならば、三つの残存の会社がその肩がわりを承諾したかどうか、それから承諾したというならば、その額は全額なのか、一部なのか、それからまたこの残存の会社がもし債務の肩がわりを認めた場合に、農林省または東京都いずれがこの債権者に対して配分するか。私の考えからすれば、現在のこういう金融引き締めの時代に、肩がわり資金を捻出することは非常に困難だと思う。そういった場合に果して、農林省なりあるいは東京都がその肩がわり資金について利子の補給をやるとか、あるいはいろいろ金融の道を講ずるとか、あるいは保証をするとか、そういう気持があるかないか、その点を両者から承わりたいと思います。
  41. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 整理の主体はどこにあるか、こういう問題でありますが、丸東は再建計画ができないという認定をいたしたのは、整理の主体としては能力がないと断定したのであります。従いまして、その跡始末は市場開設者たる東京都と監督官庁たる農林省が、これの善後措置の責を負わざるを得ないということになっております。従いまして、私の方といたしましては、開設者たる東京都と相談をいたしまして、東京青果株式会社、東京丸一株式会社、全国販売農業協同組合連合会、この三者に整理の協力を求めているのであります。  そういたしまして、やり方といたしましては、荷主につきましては最優先にこれを三者に支払ってもらう。その理由といたしましては、これは丸東が業務を行わなくなりましたのでありますから、業務を肩がわってこの三者がやるということになります。その理由として、私どもは、丸東の取り扱った部分だけは少くとも神田市場では残存会社の取り扱い分がふえる。それからまた市場開設者あるいは市場法を運用いたします農林省といたしましては、どうしても市場の信用を保持するためには、少々時がたっても、この市場の中で問題を解決する以外にはない。そういう趣旨から、三者にその整理方の協力を求めているのであります。  これの実際支払い方法といたしましては、三者の共同によりまして支払機関を別に設けることがいい。そうして市場開設者、農林省監督のもとに、未払い金の払い先を確認しつつ払っていくことにしたい。そのためには相当金額の融資を必要といたしますから、三者に対しまして開設者及び監督官庁として融資方のあっせんを努力していく。こういうふうで現在話を進めておる状況であります。
  42. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) では、それに対しまして補足をいたしたいと思います。配分の方法でございますが、実は私の方としては、一応農林御当局と相談いたしまして、一つの案をもって三者と折衝をいたしたのであります。それは、三者の共同窓口機関というようなものを設置していったらばどうか。それは東京都が強い監督のもとに支払事務を行わせる。こういうような方法で実は折衝をいたしたのでありますが、実はこの問題につきましても、三者の方々の考え方が必ずしもそれに一致しない。ある会社におきましては、ぜひともその会社とそれからいわゆる産地の荷主の方と直結をして、そうして出荷奨励金のような形において一つ支払わさしてもらうことが一番よろしいのだ、こういうようなお考えを述べられる会社もあり、また中には、いやそうではなくて、東京都なり農林省が中心となって強力な別の機関を作って、そこがあげて支払いの責任をとってほしい。われわれはそこの方へある程度の歩積みをしてもよろしい、こういうような表現をしておられる会社もありまして、実はこの点についてはまだ結論をいたしておりません。われわれといたしましても、早急に三者の間の意見を調整いたしまして結論を出したい、かように実は考えております。
  43. 青山正一

    ○青山正一君 先ほどから、例の業務停止をくらわしたということについては、何ら手当を講じてなかった。それから三者の場合も、局長のお話と市場長のお話とは、私らにとっては満足すべきものではない。しかし、局長のあり方のように進んでいかれれば、これは満足でありますけれども、現在においてはその点もあまりはっきりしていないようなふうなので、私は非常にその点不満に思っております。  それから、いろいろ御質問したいことは、先ほど整理の主体ということに対して、局長から、整理の主体はもう丸東にないのだ、こういうふうにおっしゃっておりますが、最近丸東の会社の重役の一人が何か裁判所に民事上の問題を出した、そうして整理の申し立てをはっきりとしてしまった。そういうふうな整理の申し立てが、会社の内部の重役が自分のところの会社を訴えるというよりも、なぜ東京都が整理の申し立てをやらなかったかということを、私は御質問申し上げたいと思います。なぜならば、東京都が整理の申し立てをやることによって、たとえば残存会社等の整理統合とか、あるいはその他の施策を講ずることができたのじゃなかろうか。これは自分の会社の重役が自分の会社をそういうふうにして裁判にしたためにこういうふうな問題になったのだろうと思うが、東京都自体が整理の申し立て、いわゆるそれを民事上の問題として出すならば、この問題がすみやかに解決したと、こういうふうに私は考えておりますが、それに対する御意見はどうであろうか。  それから丸東の現在の売場についていかなる処置をとっておられるかどうかということを承わりたいのです。聞くところによりますと、先ほど局長なりあるいは市場長から、残存会社に再分配するというようなお話もありましたのですが、そうして丸東の旧荷主からその残存会社に出荷する、その出荷に対して出荷奨励金を増加するというような意味合いのお話が、いろいろ今市場長からあったように思いますが、そうして出荷奨励金が重なり合って償還額に充当する、こういうふうなお話でありますが、それとも、丸東の整理法人のようなものを作って償還額を取り扱わせるというようなうわさがあるのじゃなかろうかと思いますが、その点どうなんです。その点について承わりたいと思います。
  44. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 東京都が丸東の営業停止をいたしました直後、丸東の財産保全のためのいわゆる財産保全の手続を東京都みずからとるべきじゃなかったかという御質問だと思います。その点につきましては、まことにわれわれとしても申しわけないのでありますが、まずそういう裁判的なことでなくて、実は話し合いにおいて何とかうまくこの点が切り抜けられはしないかというような若干安易な気持を持っておったために、そういうような手続を控えておったのでありますが、その後の情勢を見ますと、むしろ営業停止と同時に、いわゆる監督官庁としてそういうような手続を裁判所に積極的にとるべきであったというふうなことを、深く反省しているわけであります。その点まことに申しわけありませんが、おくればせながら、その後会社自体が財産保全の手続をとったというようなことに相なっているわけであります。  それから現在の売場でございますが、丸東はあの中で卸売場として三百三十坪を使っておったのでありますが、現在まだそのままにいたしておりますが、なるべく早く残存会社に何らかの基準において配分をして、有効適切に使わせるようにいたしたいというふうに考えているわけでありますが、なかなか売場というようなものは、場所的に非常に、いろいろの見方によって高下といいますかがありまして、同じ一坪のものが場所によって一坪以上に通用するというような、いろいろのモメントがありまして、各残存会社における配分をいかにすべきかというようなことについて、目下残存会社と折衝をいたしているようなわけでありまして、いずれ近く何らかの基準をもって残存会社に配分をするということになろうと思います。
  45. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと佐藤さんにお伺いしたい。中央卸売市場というものは、大体われわれが解釈すると、法律を見ますと、開設者、それに卸売会社、仲買、小売人——小売には直接関係しませんが、少くとも開設者、卸売、仲買、この三者が中央卸売市場というものを形成していると思うが、その点どうなんですか。中央卸売市場というものを外から見ましたとき、開設者、卸売、これは委託業者、それに仲買人、この三つが直接の中央卸売市場というものを形成していると思うが、その解釈はどうなりますか。
  46. 佐藤基

    参考人(佐藤基君) 中央卸売市場の何と申しますか、どういうものからできているかという意味がちょっと私正確にわかりませんが、お話の通り、開設者は東京都であります。その東京都の開設した市場におきまして、卸売人がありまして、卸売人が、御承知通り、産地の荷主から売買の委託ですか、卸売としての商売をする。その卸売の相手方が仲買、小売、こういうことになっております。中央卸売市場を、そういう意味で、今言ったようなものが形成しておる、こういうふうに言って差しつかえないと思います。
  47. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、しかも、この業態というものは地域を制限されていることがまず第一、その次には、卸売人は神田分場においては六人と人員は制限してある。なお類似市場は禁止せられておる。こういったほとんど独占的体系においてこれが運営せられておる。こういう一つの建前ができて、それが三位一体に経営せられておる。ところで、その中で一つの機関ですが、卸売という機関が欠格を生じた、今のような非常に間違ったものができた、この場合に、当然の責任は一応卸売市場の全体の責任であると同時に、私は開設者の責任が一番重大じゃないかと思う。この点はどうお考えになっておりますか。今説明を聞いておりますと、農林省と同格の責任者であるかのごとく感じられる。私はそうでないと思う。あなた方のお考えを、まずその点から一つお伺いしておきたい。飯田さんの御発言を聞いておると、おれと卸売市場の人間は別なんだ、こういうような空気が非常に強い。あれは卸売をやったんだ、われわれは単に監督者で知らないのだ、こういったような態度が非常に強く出ておるのです。今言った通り、三位一体のものだとするならば、責任は同一で、あなた自身はもっと責任を感じていなければならぬと思う。この点はどうなんですか。
  48. 佐藤基

    参考人(佐藤基君) 三位一体という言葉は非常にむずかしい言葉でありますが、それと責任という問題は、清澤さんが言われた趣旨がちょっとのみ込めないのですが、責任と申しますと、中央卸売市場につきましては、現行法においては、しかも東京都におきましては、卸売人等に対する監督権は農林大臣が持っております。これは御承知通り昭和三十一年に法律が改正になりまして、その以前におきましては都知事が卸売人に対する直接の監督権を持っておった。ところが、先般の改正によりまして、その権限というものを主務大臣に集中したのであります。しかも、主務大臣に集中し、中央卸売市場法によりまして、主務大臣はその監督権を都道府県知事に委任することができる、政令によって委任することができるということになっております。しかるに、その政令を見ますというと、東京都におきましてはその委任がないのであります。従って、卸売業者に対する中央卸売市場法にいうところの監督権というものは、主務大臣のみが持っておるのです。また一方におきまして、東京都は市場の開設者であります。開設者としては、市場の機能を十分に果すために、開設者たる地域においての監督責任と申しますか、市場を円滑に運営するという責任を持っておる、こういうことでございます。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは規則を始終お調べの立場の佐藤さんが、一番よく知っておると思う。われわれがこの法律を見ますと、業務規程の上でははっきり東京都が監督しておる、直接監督している。しかも市場長を常時そこに駐在さしておる、分場長も常時東京都から出しておる。そして常時監督しておる。監督しておって、そしていろいろな規程が設けられておる。これから種々お伺いして参りますが、それを厳密に履行しておったのかどうか、これは問題だと思うのです。監督は委譲せられようとどうでありましょうと、委譲せられた監督の上に立って、現に機構の上に職員をそこに派遣しておって、常時監督しておるのです。それを監督の正当なものをやっていたかどうかということは、これは非常に重要な問題だと思う。だから、私はまずそこを聞いておる。監督に責任はあるのでしょう。ないのですか。どうしても農林省と、こうおっしゃるのですか。
  50. 青山正一

    ○青山正一君 ちょっと関連質問……。ただいま佐藤さんから、農林省に法律上責任があるのだ、こういうふうにおっしゃっておりますが、佐藤副知事も御存じの通り中央卸売市場法の第三条第二項の中に「開設者ハ中央卸売市場ニ於ル業務ノ適正且健全ナル運営ヲ確保スル為必要アルトキハ業務規程ヲ以テ卸売ノ業務ヲ為ス者ノ数ノ最高限度ヲ定ムルコトヲ得」、こういうふうに書いてあります。また第十条の二に「農林大臣ハ第三条第二項ノ規定二依ル数ノ最高限度ヲ超エテ前条ノ許可ヲ為スコトヲ得ズ」、こういうふうに書いてあります。この法律のこの条項の内容を見まするに、むしろ、監督権はこれは農林大臣にありますけれども東京都の開設者が、どこの会社は取扱高がこれだけで、従業員は何人おって、資本金はどうであるかということは、非常に詳しく御存じのはずです。むしろ農林省はほとんどこれはめくら判を押すというような建前に今進んでおるだろうと、私はそういうふうに考えております。そういうふうな観点から考えれば、あながちに、清澤さんのおっしゃったように、監督権が農林省にあるからというような、そうきめつけることでもなかろうと、私はそういうふうに考えます。
  51. 佐藤基

    参考人(佐藤基君) 私の発言が少し足りなかったかと思いますが、卸売人等に対してはいわゆる監督権——監督権という言葉はむずかしいですが、監督権が中央卸売市場に対する主務大臣の監督権と、しかしてその主務大臣の監督権は、六大都市以外におきましては、同時にその権限が地方の知事に委任されておるわけであります。ところが、東京におきましては、その権限の委任を受けておりません。しかしながら、今青山さんの言われる通り、三条二項に書いてありますが、三条二項に書いてある通り、「開設者」と書いてあって「知事」とは書いてない。そういう意味で、先ほど私が申しました通り、開設者としての監督権はあるし、またそれはやらなければならぬ、こういう意味であります。  なお、先ほど、しからば開設者としての監督権、あるいは法律改正前におきましては農林大臣の権限を知事に委任してありましたその委任権限の行使について遺憾な点がないかどうか。この点はさらに御説明いたしたいと思いますが、今問題になっておる丸東という会社は、数年前から企業の経営が思わしくなかったのであります。そこで知事としてかあるいは開設者としてか、両方の立場においてその業務の改善命令を出しまして、しばしば注意を喚起しておったのです。しかしながら、その業務停止、あるいは業務取り消しということになりますというと、いやしくも長い間やっている業者をつぶすということになりまして、その会社の株主なりあるいは従業員、これにも非常に迷惑を与えることでありますから、できれば一日も早く健全経営に戻るようにというので、しばしば警告をしておった。ところが、最近になりましてとても見込みがないということを市場長の方で認めまして、そこで非常に遺憾でありますが、やむを得ず業務の停止をし、さらにその停止期間中における再建計画もわれわれの納得する計画はできない。それで現在におきましては、法律改正後であって農林大臣が取り消し権限を持っておられるので、農林省にその事情を述べたわけであります。そこで農林省がいろいろな点を御研究になり、聴聞会も開かれて営業の免許を取り消す、こういうことになったわけであります。要するに、私の方として、あるいはもっと早く営業免許の停止なりあるいは取り消しをしたならば、こういうふうに産地の皆さんその他に御迷惑をかけなかったんじゃないかという点は考えられるのであって、そういう点は非常に遺憾に存じておる次第であります。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 その点が一番大事だと思うのですが、と申しますことは、あなた方がさっき言われる通り昭和二十六年にもう負債を生じておって、そこに何らかの整理を要すること。その次に、こういう状態になった理由として、不当なる集荷競争をやった。不当なる集荷競争ということが、今日の結論になって初めてわかったのかどうか。二十六年から三十二年まで約六年間、これは不当な競争をやっているのがわからなかったのかどうか。  お伺いしますが、この不当な競争を合理化するために、少くとも奨励金をもって集荷をやるのだという許可をとっておりますか、丸東は。そういう願い立てが一ぺんでもありますか、その点お伺いします。
  53. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 先ほど丸東の破綻の原因として——遠因といいますかとして、昭和二十五、六年頃の主管人制度の大きな穴というのが遠因だということについてお話を申し上げ、その後も高利の利子に苦しめられたということで、それから集荷競争による経費相当出て、それが財政の破綻の原因をなしておるというような御説明を申し上げましたのでありますが、実はこれは先ほども副知事から御説明申し上げましたように、東京都知事は、中央卸売市場法の建前から、毎年定期的に実は監査をいたしております。ずっと監査をいたしておりまして、昭和二十五年以降もずっと毎年監査をいたしております。そしてそのつど、ただいまのいわゆる高利のものについては低利に借りかえろ、それから不当な支出、これはいけない、こういうものは節減しろというようなことは、そのつど、実は監査の結果、注意を喚起いたして参ったことは事実でありますが、遺憾ながら、まあわれわれの力が及ばなかったのか、いわゆる監督指導力が起りなかったというような関係も、われわれ御指摘をいただいて、もうお返しする言葉がございませんが、注意は喚起いたしてきたにもかかわらず、われわれの注意が十分聞き入れられなかったというような次第でありまして、まことにその点われわれの力の及ばなかったことについて遺憾であります。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 返答は一つ簡単にやってもらいたい。と申しますと、私がさっきお伺いしたものは、集荷競争ということじゃないですが、集荷が困難である場合等においては集荷手数料等を集荷奨励金等を出して集荷をやる。そういう場合には許可を受ける、開設者に許可を受ける、こうなっているのですね。そういう奨励許可を受けたことがあるのかないのかということをお伺いしておる。ないんでしょう。あなたの御説明では、ないということなんでしょう。簡単でいいです、あるかないか。
  55. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) まあ出荷奨励のためのいろいろの経費といいますか、まあ第一に、出荷奨励金というのが一つございます。それから産地に対する前渡金を支出するというような、そのほかいろいろのいわゆる交際費的な経費というような形でまあ出されるわけでありまするが、それらはいずれもわれわれの方の承認事項ということにはなっておりません。ただし、先ほど申し上げましたように、監査の結果さような点が見受けられましたので、そういう点につきましてはそのつど警告を与えて参ったのでございます。遺憾ながら、それが十分われわれの力が及ばなかった点もありましょう、成果を見なかったという点は、まことに申しわけないと思っております。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 前渡金や、まあ金を使って、飲ませてやって、許可を受けるということは書いてない。だから、これは、ちょっとおかしいと思う。集荷奨励には、さっき申しましたように、集荷が非常に困難な場合、おそらくは二十五年ごろなどは集荷が非常に困難であったと思います。そういうような場合には、いわゆる集荷奨励金等を出して集める場合には、許可を受けるとちゃんと書いてある。業務規程に書いてある。そういうことをやってきたのか、やらぬのか。あなたの御説明でやっておらぬことははっきりいたしましたから、それでお伺いいたしませんが、そういうような制限のあるようなことを……。同時にあなた方が見て、これを放置しておいたら非常な重大な問題に到達するというような乱売競争が行われておるのは、これは大きな間違いだと思う。そういうものを今まで放置しておいて、そうしてたまたま問題がここに破裂してきたからというて、その原因を多く他に嫁するような話にこれを持っていかれて、そうして何とかかんとかあやふやの御返答だけをなさっておって、あなた方の責任というものを少しもその点に感じておられない。しかも、これを許可するときには、これこれの適格条項をもって委託人に対しては、出荷人に対しては損害をかけないという一つ基準がちゃんと、卸売人を許可するときにはあるでしょう。そういう適格条項というものをちゃんと規定してあるのだ。こういうふうにもう現に欠格的な状態が出てきて、昭和二十八年には一応整理せられておる。その後四ヵ年もそれに対して何ら注意もしないで、今ここへ来て、農民に八千万円も九千万円もの支払い不能という事実を前にしての今のお話であったら、これは全く私は納得できない話だと思う。もっと責任を感じた……。なるほど法規の上からいえば、佐藤さんの言われる通り、何かやましい関係が出るのかもしれませんけれども、それは裁判所のすることで、少くとも政治の上ではそういうことは行わるべきものではないと思う。私はそう思うのです。一日も早く、これをどう返してやるか。何も他の卸売人が責任を負わなければならぬということはないでしょう。あるとするならば、それはどこにそれがあるのです。それが話し合いがつくというならば、話は簡単なんだ。それは一応は何とかしておさめるということが先でなければならないと思う。そういう点は少しもお考えになっておらぬのですか。私はそれをお伺いしたいのです。  一体、大体農民の支払金を小切手で出した、あるいは約束手形で出した、これ自身が間違いじゃないですか。これ自身が間違いになっているのじゃないだろうか。品物を出したものは、その翌日必ず金を払うということになっている。あるいは物によっては、品物の取引で金を払うということは業務規程ではっきり出ている。約手の不渡りはいつから出ましたか。小切手の不渡りはいつから出ましたか。一どきにどっと出たものではないと思う。何か銀行の取りつけが始まってから銀行が閉鎖するような状態で、この約手の支払いや小切手の不渡りが出てきているのです。もっと前からそういう徴候がぼつぼつ現われてきているのですよ。これはどうなんです、その点は。
  57. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) まあわれわれの、いわゆる開設者としての監督が十分でなかったために、かような御迷惑をおかけするようになりましたことは、まことに申しわけございませんが、まあわれわれとしては先ほど申し上げたようなことで、決してこれを放置しておったわけではございませんが、いかにも御指摘のように、かような結果に至ったということについては、われわれの監督力の不足という点について、まことに申しわけなかったと存じております。  なお、残存会社にこれを肩がわりといいますか、協力させる法的な根拠、実はもちろんございません。が、神田市場から丸東、相当大きな取扱いをしておりました丸東が姿を消すということになりますれば、残存会社に対しては相当なまた反射的利益というようなものも考慮されまするし、従来のこういう中央卸売市場におきまする慣例といいますか、そういうようなことも、残存会社が積極的に協力をしていくというようなことになってもおりますので、今回もその点について御協力方をお願いをいたしたのでありまするが、残存会社におかれましても、その点については協力にやぶさかでないというお言葉をいただいておるのでありまして、その点をわれわれとしては頼りとして、目下具体的な条件、方法等について話し合いを進めておるようなわけでございます。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林省も、東京都副知事も、この問題について善処するといっても、善処とはいかなることを指しているか。その問題に対して善処するということは、今言うておられるような整理方法をあなたが卸売業者等と相談して形づくっているということが、これが善処なんですか。今聞きますれば、その中にはいろいろの議論があってなかなかむずかしいと言われる。われわれに情報として入った中では、おそらくはまとまらない、こういうふうに考えられておる。それが善処ですか。私は、善処とは、少くともお前たちに損害をかけないぞと、こういう結論をおっしゃっておることだと思うのです。農林省の御意見並びに東京都のお考えをはっきりお伺いしたい、それが一つ。  まあ、ほかの質問者もありますから、これで大体やめたいと思いますが、大体中央卸売市場法の三条並びに四条によりますれば、東京都が、いわゆる開設者が卸売市場の卸売人たることができると思うのです。今申しました通り、卸売業者が協力しないという立場ができましたら、東京都が卸売人となって、そしてそれの整理に当るだけの心がまえがありますかどうか。そうやって、東京都が責任をもって卸売業を営んでいくから、農林省一つ金を用意してくれ、こういう形で一応やっていきますれば、目的は達せられると思う。そうでもしてはっきりしたものが出なければ、農民の諸君には、あるいは農協がつぶれそうだ、あるいは個人の農家が回収金が一つも来ないでもう夜逃げしなければならぬ、こういう状態に陥っている。こういうことをお考え下さいましたならば、私はもっと積極性を持った具体策と御決心が必要なのではないか。どうでしょう、一つ東京都はこれをどうしても、ここ二、三日うちに卸売業者があなた方の構想に参加しない場合には、第三条二項の規定によって始めるというだけの御決心がつかぬものですかどうですか。
  59. 佐藤基

    参考人(佐藤基君) 二、三日うちに解決策がきまらなければとおっしゃいますが、二、三日のうちにきまることを希望はいたしますけれども、現状で申しますと、これは何もいわゆる命令的に神田市場を大きな三社に引き受けさせる、債務の肩がわりをさせるということは命令ではできないので、やはり向うの納得を必要とするのでありまして、納得をされるにつきまして、三百坪余りの売場をその三社に提供する、それで向うがその場所でさらに営業を広げてやる、それによって収益をはかる、そういう収益を、担保——いわゆる常識的にいって、それが担保になって肩がわりできるものと私は思っております。そういう関係でありまして、先ほど市場長の申します通り、三百坪、相当広い面積でありますので、その場所のうちでどこが売れるか売れないか、売り上げも違いましょうし、従って収益も違ってくる。そういうようないろいろな事情がある。また債務を肩がわりしてわれわれの希望する荷主への優先的な弁済をするのには、場合によって資金の必要も起るだろうし、そういう場合にはいろいろわれわれとして、結局農林省の御指導によるわけでありますが、農林省とともにあっせんの労をとりたい。そういう状態でありますからして、三日ぐらいのうちにできなければとおっしゃるけれども、これは三日ぐらいのうちにやりたいことはやまやまでありますけれども、現在の情勢におきましては、三日内にまとまるという確信は実は持っておりません。農林省のいろいろお助けをいただきまして、また農林省とともにこの善後策については、ことに荷主の債権については何とかしたい、こういうふうに思っております。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 善処はどうなんですか。善処に対する御決心はどうなんですか。
  61. 佐藤基

    参考人(佐藤基君) そうでありますから、今申します通り、三百坪の売り場面積を三社でやらせて、そしてそれによって債務の肩がわりをし、債務の弁済をしていただく、そういう意味であります。そういうことに努力していただくという意味であります。
  62. 清澤俊英

    清澤俊英君 整理の方法で、それがだめなときには善処はやらぬ、そう解釈してよろしゅうございますか。善処すると東京都知事が言うたことは、最終において責任を持つということじゃないのですか。私はそう解釈しているのですが、そう解釈してよろしいかどうか。
  63. 佐藤基

    参考人(佐藤基君) できなかったらどうするとおっしゃいますけれども、私は何とかしてできると思っているのであります。そういう意味で善処すると申しておるのであります。
  64. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいま東京都の副知事がお述べになりました通り、私の方では残存会社に債務の肩がわりを願う、これが善処でございます。今盛んに懇談をしておりますから、少しひまがかかるかもしれませんが……。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 できないときは、もしそれがうまくいかなかった場合には、善処ということはやめにする、こういうことですね。経済局長もそこをはっきり言って下さい、はっきりと。こういう構想でやっていくが、こういう善処をやっていくが、それがだめのときは善処はやめだ、こういうことですか。
  66. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 先ほど来申し上げておりますように、残存三社は、神田市場の市場信用のためには、債権者に迷惑をかけてはならないということは、農林省、東京都の言うことを了承してくれております。従って、これの方法については、先ほど市場長からお話があったように、三社の考え方がまだ一致する段階に至っていない、こういうのであります。これはいずれ方法について話がまとまってくると思います。従いまして、その方向で解決ができるものと——できないとは私どもは考えておりません。方法についてのこまかい点が残っているものと、こういうふうに考えております。
  67. 佐藤基

    参考人(佐藤基君) 今経済局長のおっしゃった通りでありまして、われわれも、せっかく三社がその気になっておるのでありますから、細目につきましてはさらに相談する余地はあると思いますけれども、終局におきましてはできるものと考えております。
  68. 千田正

    ○千田正君 どうも非常に要領のいい答弁のようでありますが、実質的な問題としてお考えを副知事に聞きたいのですが、残存三社が丸東のそうした跡始末を、東京都のこの中央卸売市場の将来のために引き受ける、それだけの犠牲的精神を発揮してやろうというのですか。それでその点について、私はちょっとこまかい点をお伺いいたしますけれども、残存三社としましても、苦い経験とそして実績を持っているはずなんですね。一応の実績を、みんな一応各人が持っているわけです。それで、これから丸東の業務を引き受けて、どれだけ増額するかしらぬが、その利益の増額分を、全部これを丸東の分の補償といいますか、賠償といいますか、そういう穴埋めにそれを使っていこう、こういう考えなんですか、どうなんですか、その点は。
  69. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 先ほどもちょっと触れましたが、実は丸東が神田市場から消えた場合にどういうふうになるかということが、大きなこの際問題であります。神田市場に対する青果の需要というものは、年間大体百二十億ございます。そのうち丸東が取り扱っておりましたのが大体二十二億でございます。それで、この神田市場に向けられております百二十億の需要というものは、丸東さんがなくなっても神田市場からその需要が減るというようなことはない。依然として神田市場には百二十億の需要が向けられるであろうということは、これは一般の業界の方々もその点は承認をしておられるわけであります。従って、残存会社は結局、丸東さんが取り扱っておりました約二十二億近くのものが、残存会社においての需要として振り向けられていくであろう、こういうことが予想されるわけであります。その際には、従来の取扱いのものよりも、かなり収益性の高い、その部分においては収益性の高いものが出てくるのではなかろうか、こういうのがわれわれのはじいておるところであります。従って、残存会社も、丸東がなくなることによって、いわゆる反射的利益といいますか、そういうものをかなり大きく受けると、われわれは考えておるわけであります。また残存会社の方もその点を十分御考慮の上、先ほどのような原則論として協力するというようなお言葉のあることと、われわれは確信しておるわけであります。
  70. 千田正

    ○千田正君 かなり虫のいい僕は考え方だと思う。片方の会社が、丸東なら丸東が倒れた。倒れたけれども、あなたのおっしゃる通り、年間百二十億というものは、丸東が倒れても倒れなくても、神田市場で取り扱うところの総額だとするならば、当然それが残存の三社には、あえて協力しなくても、入ってくるところの問題です。協力しなくても、まじめにさえやっておれば、当然二十二億のうち、あるいは十億入る会社もあるでしょう、あるいは五億入る会社もあるでしょう。その会社自体の信用と実力によって当然獲得すべきところの、それは商売上の実益ですよ。それに対して協力するであろうというような甘い考えで、この整理ができるかどうか。これは私ははなはだ不安に思うのですね。これは良心的には、長い間の同業者でもあり、また東京都の消費者のために、あるいは生産者のために、われわれも協力しましょうという三社の気持はよくわかる。よくわかるが、そのうちに出してくるところの利益は何%くらいを目標としてこの整理に当るかという、一体確信はどこにあるのですか、この点を一つお聞きしたいと思う。
  71. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 実は今度は、いよいよ残存会社に引き受けさせる場合の具体的なこれの一つの条件というようなことになってくるわけでありますが、実は目下その線について残存会社と折衝いたしておるのでございますが、一応われわれが農林御当局と事務的に一つの整理案というようなものを作りまして、折衝の草案として取り扱っておるものをここに御披露いたしますと、大体年間の売上高のまあ千分の一・五くらいの醵出をお願いをしたいというような実は率でお話し合いをしておるのでありますが、この点についてはすぐこれでけっこうというお言葉はまだいただいておりませんが、一方から、まあ千分の一くらいならばというようなお言葉は——実はまだこれは正式にあれではございませんので、その点をお含みおきの上お聞きをいただきたいと思いますが、そういうような実はお言葉もあって、かなりな程度の御協力というものはいただけるのではなかろうかというようなふうに考えておるわけであります。
  72. 千田正

    ○千田正君 まことにけっこうな御意見のようでありますが、私がかりに残存会社の経営者であるならば、非常にこれは押しつけがましい、自分らの監督の不行き届きのためにこうむった損害のあれを、われわれが背負ってやらなくちゃならない、それほどまでに義理を感じなくちゃならないかどうか。これは残存会社の良心的な、良識的な、あるいは犠牲的な考えに待つよりほかないと思いますが、これは慎重に考えていただきたいと思う。それはある程度、やはり日本の憲法に保障されておるような、個人の一つの商業権、財産権というものを、あくまで一つの根本の理念に置いて、そうしてその上に犠牲的精神を発揮してもらいたいというような良心的な立場において話し合いがつかない限り、こういう問題の解決は非常に至難であるということを私は考えるのであります。この点においては、今そういう多分にできそうであるという御確信のようでありますが、農林当局としては、やはりそのめどについて、大体そうなったらいけるのだと、そうやっていこうという方針でいこうというのですか、局長、どうでございます。
  73. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいま場長からお話ありましたように、一応私の方では千分の一・五過ぎますれば、そう長くない期間に八千万円余の未払金の支払いができる、こういうめどを立てておるのでありまして、それが千分の一になりますれば、その期間が伸びるわけでありますが、もっと千分の二をとれば期間が短かくなるのでありますが、三年も四年も未払金の支払いをおくらすというわけにはとても信用維持上なりませんから、二年、あるいはおそくとも三年以内には全部の完済ができる、こういうことを目途において勘定をしますと、千分の一・五くらいがいいのじゃないか、こういう案を出しております。それをもとにして折衝を重ねておるのであります。
  74. 青山正一

    ○青山正一君 今の千田さんの意見に関連しまして……。私はまあそれで済んできたからよかろうと思います。思いますが、どうも市場法を検討する際におきまして、わざわざ経済局長から出した政府提案のやつをいろいろ参議院で修正いたしまして、独占禁止法の関係まで入れて、それで先ほど述べましたその卸売人の人数の関係もはっきりと会社さんにまかすと、農林省もそれ以上こして許可すべからずというような条項まで入れて、ちゃんとしてあるのにかかわらず、東京都がそれを厳密に調査せずにやって、そうしてその荷受機関を許可を与えるというようなことになるとすれば、今千田さんのおっしゃったようなことは、これはただ丸東だけの問題じゃないですよ。それは六大都市あるいは全国の市場を調べてみますと、こういうたぐいの会社は幾つもあろうと思うのです。局長として、もう一つまたそういうふうな問題が、次から次へと中央市場にこういうふうな問題が現われたときに、そういう操作ができますかどうか、こういう問題なんですが、どうでしょうかな。
  75. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは丸東問題に関連し、それぞれ前からもいろいろ議論が出ております。市場単一制がいいのか、あるいは複数制がいいのか、複数にしても何ぼにしたらいいのか、こういう議論が出ているのであります。丸東問題に対しても、先ほど来各委員の方からお話がありますように、市場の開設権を地方公共団体に、この法律において独占権を与えている。その中で卸売人を認めておるのでありますから、むしろできるだけ少い方がいいのじゃないか。不特定多数の商売人が、ワクをはめないで、広い土俵の中で活動するのであれば、普通の商事会社で活動できるのでありますが、一定のワクの中で卸売の業務をやらすのでありますから、これに対しては相当、今度の丸東のように、代表者にいろんな質問をし、いろんな再建計画を聞いても不得要領で、これに対して違った人を任命する権限も監督官庁としてはないというような、これは非常にこういう高度の独占権を与えている制度としては、私は不十分ではないかと、こういう感を深くするのであります。従いまして、その後各市場の検査等も、法律改正後農林大臣の検査権が強化しましたのでやっておりますが、心配ないというわけにはいかぬのであります。従いまして、これを機会に、ただいたずらに検査の結果不当事項を指摘して監督するというだけでは、問題が片づかないのであって、市場が市場として生産者から、また消費者から、信用を維持するためには、やはり卸売の地位、それから資力、活動力、それに対するもし非違が出た場合にどこが責任を持つか、開設者か、あるいは国か、そういう責任をはっきりする規定がなければ、うまく運営ができないのではないか。そのためには、まず数を少くして、それらに対してそういう規定を置いておくという以外にはないではないかという考えを持っておりますので、もう少し研究したいと思います。
  76. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記を止めて。    〔速記中止〕
  77. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。
  78. 千田正

    ○千田正君 簡単よりも何よりも、東京都はちゃんと中央卸売市場法の業務規程というものを作っているでしょう。そして第八条においても、それから二十六条におきましても、おのおのの規定はちゃんときめてある。そのきめてある規定を守れなかった場合には、監督官庁であるところの農林省はどういう考えを持っているか。それに対して単なる警告などで済む問題か。こういうような丸東のような事件が起きて今度のような処置をしたならば、今度のような処置をすれば、それじゃわれわれは人に迷惑をかけても、東京都が、あるいは農林省が中に入って、あとの会社の人たちにしりをぬぐってもらうならばいいのだというそういうことを考えるならば、将来の市場の問題は大きな問題だ。そんな簡単な問題ではありませんよ。だから、農林省の確たる方針をどこに置いてあるのだという話が聞きたいのです。
  79. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいまの御質問の八条というのは業務規程の問題、それから……。
  80. 千田正

    ○千田正君 卸売市場の市場の業務規程があるでしょう。それから二十六条にもあるでしょう、それから二十九条にもあるでしょう、当然東京都としてはやらなくちゃならない問題が、監督しなくちゃならない問題が。こういうものが十分にやられておらなかったために、今度のような事件が起きたのです。
  81. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) その規程に基きまして、代金の支払いをすることができなかった、代金の支払いをするまでに高利を借りるとか、無理な金繰りをして、それが不渡り手形になって代金の支払いができなくなったから、業務規程の五十二条ですか、五十二条に基きまして東京都は営業停止をしたわけです。それではもうすでにおそいのでありまして、代金の支払いができないことにならないように処置ができるようにしなければならない、そういうふうに思うわけです。
  82. 千田正

    ○千田正君 それは今まで論じ尽されているでしょう。すでに委員の諸君からそういう問題については論じ尽されているわけだ。しかしこれは即日やらなくちゃならない問題と、それから東京都が、市場長が検査員なりあるいはそれにかわる者を、しょっちゅう監査なり検査する責任をもってやっているわけだ。それを怠ったから、こういう問題が起きて来ているわけです。その責任はどこへ転嫁するかといえば、東京都も負わないし、単なる残存商社だけに跡始末をお願いして、それでいいということであれば、今後の各県におけるところの市場なんかも同じような問題が起きてきた場合に、迷惑するのはだれかというのですよ。よく考えてごらんなさい、それを。
  83. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) お話のように、そういう事態ができた場合に、現行法規ではどこへけつをもっていくかという規定がないわけでございます。そこはわれわれは今後の市場運営上非常に困った問題であるので、代金の支払いを無理して支払って、いかにもうまく事業が継続されているようにカムフラージュして、そのしているのがわかっておっても、その会社に対して簡単に……。ある限度までいって取り消せば、もっと早くの事態がわかるのであります。その事態が起きないようにするためにどうするかということが、まず第一点です。それには、多くの会社を、卸売の数を多くすれば、どんなことがあっても、やはり過当競争による損失ができる。それから経営者自身のこれは人格といいますか、経営者自身のやり方もあると思うのです。それらに対しても、経営者自身が幾ら勧告をしても聞かなければ、開設者が経営者を変えることができる、あるいは監督官庁が監督権によって変えることができるという規定を設ける、そういうふうなことを考えなければ、現在のままではとても、将来の心配を大丈夫だということは言えないのでありますから、そういう点についてさらに進んで研究したいということでございます。
  84. 千田正

    ○千田正君 この法律が出る昨年でしたか、ちょうど副知事も、それから市場長も、農林当局も呼んで、われわれはこの委員会で再三再四論議した、そのとき。私はさっきの知事のお答えを聞いて、まことに副知事は会心の笑みを漏らしていましたよ。ということは、各都道府県知事に対しては農林大臣は権限を委譲しておる。東京都知事はもらっておりません。どこに責任があるかというのですよ。われわれは、わが東京都知事は農林大臣から権限の委譲はいただいておらぬのだから、東京都としては、そう追及されても、失礼な話だが、東京都知事としてはその責任は負えませんということです。ある意味においては。だから、農林当局はどう考えるか。こういうことをあえて言うのは、私は昨年のこの法案のできた際のその跡始末がもうすでに本日現われてきているということなんですよ。どう考えますか。今後に対して起るから、慎重に考えないというと、また副知事ににんまり笑われますよ。
  85. 佐藤基

    参考人(佐藤基君) どうも今のお話は、ひいきの引き倒しのようにちょっと聞こえるのですが、(笑声)私はそういう意味で申したのではないのです。開設者としての責任は負います。ただ、主務大臣は監督権限を都においては知事に委任しておらぬという事実を申し上げたのであって、別に他意があるわけではありませんから、どうぞ……。
  86. 島村軍次

    ○島村軍次君 だいぶ議論も尽きたようでありますが、集約いたしまして、二、三お伺いいたしたいと思います。  それは、残存業者に対する話がだいぶ進んでいる。そしてつまり年間の醵出金の率についてまでにしぼられてきたというふうに考えられるのでありますが、しかし、これからがなかなか、利害関係がありますから、むずかしい問題だと思いますが、そこで問題は、その生産者に一日も早く払うということを目標に抽象的にはお考えになり、実際その意味でおやりになっているのでありましょうが、これに対する措置を開設者として、なお残存業者の話し合いがつくまでに、別途の他の方法でもお考えになっております問題がありますかどうか、これが第一点であります。  それから、なおそれに伴って、東京都としては開設者でありましょうが、責任の問題については異論があるとしても、結局これは積極的に開設者としての責任を果されるのには、つまり都会の方へ働きかけて、あるいは予算的措置も考えられるというような場合もあり得ると思うのですが、そういう問題をお考えになっておるかどうか。従いまして、全国の生産業者として一番望んでいるのは、具体的な、早く生産者へ還元していくことであろうと思うので、その時期は二、三日中という清澤委員のお話がありましたが、今の現在のところでは、見通しとしては、最大限度何日ごろまでにはこの問題が解決するという、おおよその見通しですな、少くとも何月まで、何月の終りまで、あるいはいついつまでというようなお考えがあろうと思うのですが、それはやがて生産者をして安心せしめるゆえんでもありましょうし、これは東京都の御熱意のいかんにかかって、問題が解決するかぎを握られる問題だと思うのです。もちろん農林省にもその責任はあると思うのでありますが、その点に対して一つお聞きしておきたいと思います。
  87. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) では、私から御答弁申し上げます。荷主未払金につきましては、先ほどから申し上げておりますように、残存会社の御協力を得て処理をしていきたいと、こういう方針で目下折衝中でありますが、先ほど具体的な草案の一つをお話しいたしましたが、大体荷主の未払金につきましては、少くとも半額くらいはなるべく早く一時にお支払いをして、残りを、先ほど申し上げましたように、三年以内くらいにしたいというのが、実はわれわれの考えであります。もっともその際に、いわゆる少額の方々にはもう全額をでき得ればお払いをしたいというような、農林御当局と作りました草案は実はそうなって、それによって今折衝をいたしておるようなわけでございます。  それで、もしこの際一時に支払うための資金、それについてはできるだけ東京都もあっせんをいたしたいと思っておりますが、これが幸いにして八千万円近くの融資が得られるというようなことになりますれば、一時にほとんどお払いをして、あとは各残りの方には、元利償還の方を先ほどの大体の率で御負担をいただくというようなことにもなるわけでございます。これも実は金融機関が融資のし得る限度の問題にかかってくるわけでありますが、少くともわれわれの今目途といたしておりますのは、半額はまずなるべく早い機会にお支払いをして、残りは先ほどのような年賦の積み立て等をしていただいて、少くとも三年以内にはお払いをしたい、こういうようなことで実は考えております。できるだけ融資がより多くできて、でき得べくんば一時にその融資によってお払いできるようなふうに努力はいたしたい、かように実は考えておるわけであります。
  88. 島村軍次

    ○島村軍次君 何か東京都で考えておりますか。それ以外に都会にでも諮って考えておられますか。
  89. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 次は、ただいまの残存会社からのいわゆる歩積みといいますか、御協力を願う直接産地の方との取引関係でなしくずしをするか、それとも東京都が一応それを東京都の収入に入れまして、そうして都がそれを一つの歳出の形でするかというような問題でありますが、先ほども申し上げましたように、これについては実は残存会社の中でいろいろ意見が違っておりまして、都が中にあくまで入ってやってほしいというような御希望の向きもありますし、いや、直接の取引にさしてほしいというような御希望もありますので、この点につきましては、なお一そう関係の会社の意見の調整をはかって措置をいたしていきたい、かように考えております。  それから最大限度何日程度までにはこれを処理する見通しであるか、これは先ほど副知事からもお答えをいたしましたように、われわれとしては一日も早くこれを処理して御安心をさしたい、こういうようなつもりで、及ばずながら努力いたしておるのでありますが、何分にも相手方のあることでございますので、ここで最大限幾らということをはっきりとお約束することのできないことは、まことに残念でございますけれども、われわれといたしましては、一刻も早くこの点は解決をいたしたい、少くとも、実際の手続そのものはおくれても、方針だけでも早く明らかにして御安心をさせるように努力をいたしたい、こういうように考えておるわけであります。
  90. 島村軍次

    ○島村軍次君 ざっくばらんのところで、十日でもできるだけ早くということになるし、一月でもできるだけ早くということになりますが、本月中ごろまではむずかしい、月末までには何とか始末つきそうだ、こういうようなことは御言明できませんか。
  91. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) われわれとしては、むしろ業務の取り消しがありました直後、農林御当局とそういう草案を作って折衝に当って参りました。でき得べくんば、少くともこの十日ごろまでには何らかの方針だけでも確定したいというようなつもりで、努力をして参りましたのでありますが、本日そういうような方針だけでも皆さん方に御報告することのできなかったことは、まことに残念でありまして、申しわけありませんが、今後とも一そう努力をいたしまして、早急の間に少くとも方針だけはきめたい、かように考えております。三者におきましても、先ほど来申し上げておりますように、これについて協力するというような御決意については、十分われわれとしてもいただいておりますので、遠からずこれは、そういう方針は決定を見ることができるだろう、こういうふうに考えております。
  92. 島村軍次

    ○島村軍次君 これは、なぜ私がこういうことをお聞きするかというと、相手は、御案内の通り、全国にわたって広い区域の生産者です。中間には農協というものが大体入っておる、あるいは取扱業者が入っておる。この取扱業者の人からも盛んに来ますし、それから農協あたりも中間に入って困っておる、生産者の方では事情をよく知りませんから。だから、普通の場合に急ぐのと、今回の場合に急ぐというのは、急ぎようが違うから、早くやってくれというためにお聞きしておる。そういう意味で、一つこれは副知事もおいでになっているようですから、至急に御解決を願っていただきたいと希望しておきます。
  93. 千田正

    ○千田正君 今、島村委員からお尋ねのうちの、処理のうちの一つに、丸東が今まで使っておった三百数十坪という、そうした取扱場は、無料であなた方は残存会社に貸与するのですか。それとも、それに対しては一応の処理上、何らかの権利金なり、あるいは何かの権利をつけて貸すことによって、今の返済方法の一つの手段として考えられるのか、その点はどうなんですか。
  94. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) われわれといたしましては、丸東が使っておりました卸売場三百三十坪につきましては、何らかの基準を見出して、早急に残存会社に指定がえといいますかをする予定でおりますが、この際それを何らかの資産ということで評価してするととは、これは公法上の関係から、することができないというわれわれは考え方を持っておるのであります。
  95. 千田正

    ○千田正君 しかし、現実においては、そういうことは表面はできなくても、実際の協力させる意味からいって、あるいは東京都として考えても、そういう問題は相当考えられる問題じゃないかと思うのですが、どうですか。たとえば、八千万円どうしても出さなければならないうち、三百三十坪をその残存会社に、三千万円なら三千万円、二千万円なら二千万円で、一応の賃貸価格を設定し、または権利金か何か取るというようなことで、整理の対象としてそれを有効に使うというような考えは、毛頭持っておらないのかどうか。その点、どうなんですか。
  96. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 公けの営造物の売場を、利権の対象として売買するというようなことは、おそらく法律的にもできませんし、好ましくないとわれわれは考えておりますが、ただ、われわれ説明は非常に苦しくなるわけでございますけれども、そこでわれわれの申し上げておりまするのは、何らかの基準においてそれを配分する。従って、それだけ残存会社においては経営規模が拡大する。そのことによっていわば反射的な利益を残存会社は受ける。これを考慮に入れてお願いをしたいと、こういうような非常に苦しい説明になりますが、御了承いただきたい。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、あなた方いろいろなことを言うて、どうも他人事を片づけるような格好をしておられるが、どう考えてみましても、この市場の正当な運営をしていくためには、業務規程の二十九条に、「知事は、市場業務の適正かつ健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、卸売人から市場における業務若しくは財産の状況に関する報告を徴し、または当該職員をして市場における業務に関する帳簿書類その他の物件を検査させることがある。」、こうなっておる。これだけの権限を持っているのですよ。これを長い間、これだけのものが出ているやつを——要すれば、さっきあんたが言わずして問題を提起しておられる。言うておられるのだ。長い間同じ所で一つの商売をしておるものは、そう苛酷にも取り扱われないで、いろいろ人情等もからまるので、ついやるべきこともやらないで——こうまでは言われないけれども、それに近いことを言われて、だんだん罪が深くなってこうなったんだ、さっきはっきりこうおっしゃっている。こういう事態であり、同時に、売払代金等が完全に払われない場合には、これを取りかえていい、業務をとめてもいいという知事の業務規程もあるはずなんです。  そういう権限を与えられておるものを、あなた方がやらぬために、こういう問題が出たのであります。そうすれば、開設者としての責任は、卸売人よりももっと強いと思うのであります。あなた方が日常顔を一緒にしている卸売人には人情があったが、これを遠くから委託して——委託ですよ。売ったのじゃないのだ。売ってくれと委託したのだ。金が来なければ、まだそこにあるのですよ。ということは、売買ができた場合には、直ちにその金は翌日までに払うということになっておるのだ。払われなければ、まだ委託してあるのです。そういうものがうせて、そうして不渡手形を預けられるような事態がここに出ていることは、すべて私は開設者の責任だというのです。責任があるならば、私は、もっとそういう、何かしらぬ八千万円か九千万円の金にこだわって、そして農林省と両方で何らか変なことを言うて、変な方法でこれを片づけるようなことになっておるが、こんなことは人を愚弄し過ぎるやり方じゃないかと思う。責任があるならある、農林省と一緒になって片づけていきますと、はっきり言うてもらいたいのだ。そんな方法がもしだめだというときには、どうするのです。さっきも言う通り、あなた方は善処しますと言ったのだ、農林大臣も東京都知事も。善処するということは、そんな会社を作ってやりますということじゃないだろうと思う。最後の責任は、持ってお前らに損害をかけないということが、善処だと解釈しておるが、そこをはっきりしてもらいたい。  私はきょうの委員会はそれさえはっきりしてもらえば、私は大体納得できる。今の問題じゃ絶対納得できません。あなた方自身そう言ったでしょう、一番初めに。こういう方法をやっているが、ああ言う人もあればこう言う人もあって、なかなか意見の調整ができませんと。何か今聞いていると、その意見の調整は最も楽らしいような御説明をなさっておる。これは全く質問に対して上手に逃げておるという考えを私は持たざるを得ない。市場を完全に整理していくためには、しかも、きょう一番先私が申し上げましたように、全く独占体系でこれは運営をやっているのだ。これをあなた方は預かっておるのだ。たくさんの経費が、それは東京都も出しているだろうし、農林省も出しているでしょうが、やはり開設者の方へも売掛代金のうちの一部分は入っておるはずだと思う。そうやって運用して参っておるのだ。委託者自身も、あなた方の給料の一部分は負担していますよ。そういうのを取り扱うのに、人情等にからまって、そしてやるべきことを完全にやらなかったりしたならば、これは開設者の責任ですよ。農林省の責任ですよ。こんな会社ができると思うから、それでやりますなんという回答では、全く不承認だ。私は承認できない。善処するということに対するはっきりした私は御声明を願いたい。どうなんです。農林省、どうなんです。それをするには、少くともそれができるならば、開設者はこの中央卸売市場法三条、四条によって、もしいよいよだめならば、整理期間中一つ、あなた方が、開設者がこれをやっていくのだ、それくらいの意思表示をしてやってごらんなさい。何とかものが進み方が強いかもしれない。何かまだ、卸売業者に対して非常に遠慮しておられる。  しかも、最も重要な、私はあなた方にお伺いしなければならぬことは、この乱売競争が行われるという、それがまだ残っておるのですよ。私はきょうはそれをやりません。しかも、もっと重要なことは、仲買人から、小売人から、卸売業者が金を借りたということなんです。これは何を担保に借りるのだ。お前のを売ってやるというのを担保にしなければ、金が出ないと思うのですよ。不正な取引じゃないか。こんなものが見つかったときに、なぜやめさせないのだ。ちゃんと書いてあるのだ、業務規程に。これが不正でなければ、何が不正だ。そんな正当な取引がありますか。はっきりお答え願いたい。それで責任は負わないのだというのはおかしな話なんだ。何を信用して地方の農民は出しておるのだ。中央卸売市場というものを信用して、出しておるのだ。一卸売人を信用して出しているんじゃありません。聞いてごらんなさい。三位一体であるということを私が申し上げているのは、それなんです。間違いは絶対にあるまいと農民は信じ切っております。
  98. 島村軍次

    ○島村軍次君 簡単にお答えを願って……。
  99. 佐藤基

    参考人(佐藤基君) 農林省の方から適当な御答弁があると思いますが、開設者といたしましては、今清澤さんの言われたことについて、われわれ法律上行政責任がある、これを回避するという意味ではもちろんありません。しかしながら、荷主の金銭債権につきましては、この法律の十三条にも規定がありますが、保証金に対する優先弁済を受けるという規定がある。そういう趣旨から申しましても、われわれの方が荷主に対して荷主の債務を肩がわりするということは、さらに研究しなければならぬ問題でありまして、この点につきましては、先ほど経済局長からも立法論的な意味において御意見があったようであります。それでありますからして、われわれとして善処すると申しますのは、先ほど申しますように、荷主を初めとして債権者の満足を得るような方法を実現するために努力しておる、こういうことを申したのでありまして、できない場合にどうすると言われますけれども、われわれはできるものと確信しておる、こう申し上げた次第であります。
  100. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいま佐藤副知事から申したことに尽きると思いますが、法律上農林省と行政上の監督なり市場開設者としての東京都の責任があるけれども、卸売人の債務を全部それらのいずれかが負担しなければならないというところまで規定されておりません。規定されていなくても、やったらいいじゃないかという御意見はあると思います。しかし、その前の段階として、今委員さん方等の御質問に対してるるお答えいたしましたように、取扱い分量の増加とか、あるいは売場の増加等、そういう反射的利益をもとにして、当然条理上残存会社が持ってもらってもいいじゃないか、それは持ちましょう、こういうことになっておるのでありますから、それを具体的の手続ではっきりするまで、しばらくの御猶予をいただきたい。これは私どもも、何といいますか、あの手この手で説得に努めておりますから、もうちょっとお待ち願いたい。
  101. 清澤俊英

    清澤俊英君 今経済局長が言われたことは、それは法律の半面だと思う。半面にはちゃんと、この市場に間違いなからしめるためにいろいろの権限を持っておる。人の営業を禁止することができる権限を持っているんだ。それをやらぬで失態が出たら、これはおかしな話だ。汽車を転覆さした場合には、これは責任があるとかないとかという問題がここに出てくる。現に機関車がひっくり返って、そうしてここでいろいろなものが出たならば、この責任はあるでしょう。それと同じであるから、レールが敷いてあって、そのレールを満足に運行させないで、レールの障害を知らぬ顔して見ておって汽車がひっくり返る。その場合、おれは知らぬという話はない。私は法律家じゃないから、こまかい法律上のことは知りませんが、私も研究してきます。もう一ぺんやってもらいたい。
  102. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) お話の通りでありまして、開設者としての責任、行政監督官としての責任を回避しているわけではありません。しかし、その責任を——やはりこれを解決する二つの部分があるわけでありますから、責任についてはもっと責任がとれるような今後の立法上の改正も必要でありますし、今までの担当者の責任というものも出てくると思います。それよりも、まず生産者の仕切り金の支払いが最初に解決されるべきものだ、こういうふうに解釈いたしまして、いろいろやっているのであります。
  103. 島村軍次

    ○島村軍次君 それでは、全国にわたる大きな問題としてわれわれの委員会で取り上げている問題ですから、東京都なり農林省で、今日までの経過にかんがみて、早急に片づけていただく。同時に、月末に開かれる農林委員会において、その結果を一つ報告してもらう。ぜひ解決して御報告を願うというようなことにお願いいたしたいと思います。
  104. 千田正

    ○千田正君 局長に要望しておきますが、今度のような問題が出てきたので、私は市場法をもう少し研究する必要があるのじゃないかと思います。たとえば責任の帰趨の点においても、どれか一本抜けているような気がするのであります。どうか、完全とまでいかなくても、とにかくわれわれ立法機関としましては、第三者を守る意味からいっても、あるいは国民の利益を守る上から見ましても、どこか骨が一本足りないわけです。これを一つ研究してもらいたい。われわれも研究します。そういう点を一つ要望しておきます。
  105. 青山正一

    ○青山正一君 月末にもう一度委員会を開きまして、一つこの結論を、どういうふうにして進行しているかということを、やはりはっきりさせていただきたいということと、それからきょうのまだ質疑事項がいろいろあるわけですが、一応保留しまして、また月末にそれを続けていただく、こういうふうにしていただきたいと思います。
  106. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、ちょっと月末の委員会までに希望しておきたいことは、これはただ事件そのものとして、佐藤さんが言われたような解釈で解決するという方法もあろうし、またこれは非常に政治性を持っていると思うのであります。この中央卸売市場法というそれ自身が、生活と密着した非常に政治性を持っているのであります。従いまして、政治的な解決ということも百パーセント考えていただかなければならぬ。ただ法律だけの問題じゃない。そういう点を百パーセント入れて、解決策を事前に立ててもらうことを要望いたします。  それと同時に、この問題をこの次は切り下げて、この乱売競争というのですか、買付競争というのですか、こういうものが今新聞等で問題になっている。私も今ここに新聞持ってきておりますが、消費者生産者も納得しない価格形成を中央市場がなしているのではないか。こういう問題も非常に社会性を持った重大な問題だから、私はこういう混乱こそがそういうふうになってくる最大の原因だと思います。そういう点も十分調べて下さい。
  107. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、本件についてはこの程度にいたします。  参考人の方に申し上げますが、長時間まことに御苦労さまで、ありがとうございました。しかし、お聞き及びの通り、本日の委員会の経過はこの通りでございますので、いろいろお骨折りもございましょうけれども、ちょうど二十九、三十日委員会を開く予定になっておりますから、なるべくならば、そのときお出かけになって、円満なる解決の御報告がありまするよう、特にお願いしておきます。  本日は、これで委員会を散会いたします。    午後三時四十九分散会