運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-10-09 第26回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月九日(水曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   委員の異動 九月二十一日委員東隆辞任につき、 その補欠として松本治一郎君を議長に おいて指名した。 十月一日委員松本治一郎辞任につ き、その補欠として東隆君を議長にお いて指名した。 十月七日委員梶原茂嘉辞任につき、 その補欠として加藤正人君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            柴田  栄君            田中 啓一君            仲原 善一君            北村  暢君            鈴木  一君            戸叶  武君            上林 忠次君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林大臣官房予    算課長     昌谷  孝君    水産庁長官   奧原日出男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選農林水産政策に関する調査の件  (昭和三十三年度農林水産関係予算  に関する件)  (農林水産基本政策に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開催いたします。  最初に、委員の変更について御報告いたします。九月二十一日東隆君が辞任され、松本治一郎君が選任され、十月一日、松本治一郎君が辞任され、東隆君が選任され、十月七日、梶原茂嘉君が辞任され、加藤正人君が選任されました。   —————————————
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、理事補欠互選を行います。  東委員が一時委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっておりますので、その補欠互選を行いたいと存じます。その方法は、成規手続を省略して、便宜委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、理事東隆君を指名いたします。   —————————————
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) 昭和三十三年度農林省関係予算の件を議題といたします。  この件については、先般農林省概算要求書がまとまったようでありますから、本日農林当局からその説明を聞くことにいたします。官房長は今省議に出ておられるようですから、予算課長昌谷君からお聞きすることにいたします。
  6. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 昭和三十三年度農林省関係予算概算要求書第一次分といたしまして、先般大蔵省に省議を経て提出いたしました分がまとまりましたので、御説明いたしたいと思います。  お手元にお届けいたしました資料によって、概要を御説明いたしたいと存じます。  まず、一般的な編成方針でございますが、これにつきましては、すでに先般農林水産政策要綱が決定を見まして、その線で今後の農林省施策を展開して参るという基本方針が定まっておりますので、今般の予算につきましても、せんだっての政策要綱に沿いまして要求いたすことにした次第であります。従いまして、例年のごとく特に予算上事新しく編成方針を述べませんで、ここに一番から八番まで列挙いたしました各項目は、ただいま申しました農林水産政策要綱のそれぞれの大きな柱を、そのまま確認をいたしておる次第であります。  次に、予算概算要求の規模でございますが、要求規模につきましては、千七百四十五億ということに相なったわけでございます。これは例年の通り、農林省所管予算のほか、関係いたします総理府その他それぞれの省の、農林省所管あるいは農林関係予算を全部足し合わせました合計額でございます。その詳しい数字につきましては、四ページの表で見ていただきたいと思います。  四ページから五ページにかけましての表で、所管別関係予算を述べたわけでありますが、五ページの農林関係予算合計という、一番しりのところにございますように、三十三年度概算要求は千七百四十五億四千二百万円ということに相なっております。これは、三十二年度の、前年度と書いてございますのは、今で申しますとまだ本年度でございますが、三十二年度予算が八百九十四億九千七百九十五万円というのに対しまして、明年度要求が千七百四十五億ということでございます。従いまして、三十二年度予算と比較をいたしますと、一ページのところで書きましたように、八百五十億円の増加要求になっておるわけでございます。それから御参考までに、これを前年、三十二年度予算の当初のときに農林省要求いたしました数字と比較いたしますと、それが約手六百億でございますが、千五百八十何億だったかと思いますが、それと比較いたしますと、百三十六億円の増、成立いたしました八百九十四億に比べまして八百五十億の増となっております。  なお、以上が一般会計のスケールでございますが、このほか、(ロ)で書きましたように、財政投融資の書画といたしまして、まず農林漁業金融公庫につきましては、貸出規模を六百五億円ということで要求をいたしております。三十二年度の農林公庫は、御承知のように、三百五十億の貸付計画でございますから、それに比較いたしますと、かなり大幅な増加を要求いたしておるわけでございます。で、六百五億の資金構成といたしましては、御承知のような公庫の資金繰りでもございますので、一般会計から三百二十六億円、預金部資金百七十九億円、回収金を百二十億というような資金の裏づけによりまして、六百五億の貸出規模要求いたした次第でございます。  次に、(ハ)でございますが、これは農林漁業金融公庫を含めました一般投融資計画が、合計で六百六十六億円。これは後ほど、表がございますので、それによって御説明をいたしたいと思います。  大体要求いたしましたものの規模はこのようなことでございますが、なお大きな項目が幾つか、今回の要求ではまだ十分に結論を得ておりませんので、保留をいたされております。いずれ十月あるいは十一月中くらいには成案をまとめまして、大蔵当局の方へ要求書を提出いたしたいと存じておりますが、そのおもなものがこの円のところに述べてございます。食糧管理特別会計への一般会計からの繰り入れ、あるいは輸入食糧等価格調整積立金というようなものを新たに、食糧管理の必要上設けようかということを研究いたしておりますが、そういうものを設けるといたしますれば、それの発足の際の原資を一般会計から仰ぐということになろうかと思います。それから先般来御議論のありました牛乳、乳製品の需要調整並びに需要増進に要する経費でございます。学校給食あるいは酪農資金の設立ということに伴います所要資金でございます。本件は、ある程度本年度中に処理をいたさねばならぬ問題を含んでおりますので、本年度中にどれだけをやり、明年度予算においてどれだけをやるかというようなことについて、なお大蔵当局の方と相談中でございます。そのほか、新政策要綱で考えておりました未利用土地の総合的な利用調査、これについては調査報告その他について目下省内で小委員会を設けて検討いたしておりますので、その結論を得次第追加要求をいたすつもりでおります。それから漁業共済に必要な経費でございますが、これも三十二年度予算におきまして一部委託費の成立を見ましたので、調査の委託をいたすことになっております。共済会による共済規程認可手続等も進行中でありますので、その模様によりまして明年度どのような予算要求にいたすか、なお検討いたしたい問題がございますので、あとに譲った次第でございます。  大体おもなものはそのようなものでございますが、これらの追加要求になろうと思われるものや、食糧管理特別会計への繰り入れを除いて考えましても、約百四十億程度に上る見込みでございます。食糧管理特別会計の方が例年の通りでございますので、それを含めますと、約三百億近い追加要求の必要があろうかと思います。それらを含めますと、すでに出しました千七百四十五億を加えますと、約二千億近い要求に相なろうというふうに申しておる次第でございます。  大体、大まかな要求の規模は以上の通りでございますが、三ページ以下に表をつけましたので、これによりまして多少御説明をつけ加えて参りたいと思います。  三ページの農林関係一般会計概算要求総括表と申しますのは、関係予算千七百四十五億の要求につきまして、所管とか機能を離れまして、それぞれの関係局別に分類をしてみた表でございます。で、千七百四十五億のうち、公共事業費が八百八十七億で、公共事業以外の一般経費が八百五十八億というわけでございます。この表につきまして特にお断わり申し上ぐべき点と思いますのは、食糧庁明年度要求につきましてだけ、対前年比十一億の減少が起きております件でございますが、本件は、従来食糧庁がパンの学校給食を廉価に行いますため、小麦につきまして廉価販売を行なったわけでございます。その廉価で売るための費用約十三億円を一般会計から食管特別会計繰り入れておったわけでございます。本年度の十五億の中にはその十三億を含んでおるわけでございますが、明年度につきましては、文部省当局とも相談をいたしました結果、本補助金文部省の方から地方に出していただいた方が実態の把握に便利ではないだろうかということで、食糧庁の方は普通の市価で地方で売却をいたしまして、それを安くするための諸費用は文部省の方で補助をしていく。一食当りどの程度とか、児童の負担力でございますとか、いろいろまあ今まででも文部省がほとんど中心になって、いろいろ企画その他をやっていただいたわけでございますが、実は向うの要請が非常に強うございますので、この際文部省から要求を願った方がよろしくないかという趣旨で、農林省要求から落したわけでございます。その結果がかようなことになったわけでございまして、そうしてどの局も、当初要求のことでもございますので、相当の増額要求になっております。  それから次に、先ほども触れました四ページ、五ページの表でございますが、これはいわゆる関係予算所管別に分類をいたした表でございます。そこで、まず千七百四十五億のうち、Aと書きました農林省所管予算が千二百五十億あるわけでございます。本年度が八百十二億でございますから、現状では四百三十八億の増加要求ということに相なっております。この関係予算農林省所管予算につきましては、一般公共事業以外につきましては、ここにございますような人件費事務費というような分け方で区分をいたしてみたわけでございますが、この中で、備考にも書きました通り、特に注目と申しますか、今後問題になろうかと思います点は、従来のいわゆる定員外職員、常勤及び常勤的非常勤職員についてその定員化要求をいたしております。で、一般会計につきまして約八千人に近い要求に相なるわけでございますが、これは現状ではいわゆる常勤職員、それから賃金支弁によります常勤的非常勤職員の増員について要求がいたされております。もちろん今後公務員制度調査室、行政管理庁あるいは大蔵省、それぞれの事業省が相談をいたしまして、これを詰めて参らなければなりませんが、目下いろいろの資料を準備して対策を考慮中でございます。学歴でございますとか、勤務の年数でございますとか、あるいは現在従事しております業務の内容でございますとか、そのようないろいろの角度から、今後関係各省の間で相当議論の分れるところがあろうかと存じますが、一応私どもの要求といたしましては、現在いわゆる定員外として登録いたしております者全員についての定員化要求をしております。それが一つの目ぼしい項目かと思います。以下は公共事業をいつもの分け方で分けております。  五番目の災害復旧事業費でございますが、災害復旧事業費は、百一億の前年度予算に比べまして明年度要求が百十三億ということで、一般予算増加要求の割合にはふくらんでおりません。これは御承知の通り、二十八年災、二十九年災がだいぶはかどりましたので、大体私どもの理想といたしております復旧の進度で参りまして、来年度百十三億あれば事が足りるというふうに見ておるわけでございます。もちろん、この中には、本年度四月以降起りましたいわゆる当年災につきましては、まだ要求が出してございません。これは大蔵省との最終段階になりますころには、今年度の、三十二年発生の災害についての本年度予備費でやりますものの規模がきまりますし、それに見合いまして明年度予算で計上すべき規模もきまってくると思います。それを待ちまして、この上に追加するわけでございます。これは今の段階では、三十一年発生災害までについて要求がしてございます。基幹的なものについて三・五・二、その他のものについて二・二・三・三という、私どもがかねがね主張いたしております進度によっての要求がこの程度で済むことになって参り、全体の規模を整える上におきましては、かなりありがたいことであろうかと思います。  鉱害復旧事業費の「未定」と書いてございますのは、例年通産省の方で計数を出していただくことになっておりますので、それがまとまりますまで未定であります。  それから関係予算の所管の第二といたしましては、総理府所管というのがあるわけでございますが、総理府所管につきましては百六十二億円の要求になっておりまして、本年度について比較いたしますと八十一億の増加になります。総理府所管といたしましては、御承知のように、その大宗をなしますものは、北海道の開発庁に計上いたします北海道関係公共事業費でございます。これが百四十三億円ということに相なります。  それから三十三年度から新たに登場いたしましたものとして、総理府所管といたしましては、2にあげました経済企画庁所管として十六億円の離島振興関係経費がございます。これは前年度のところはカッコをして示してございますが、これはカッコがしてある意味は、数字は農林省所管、つまり内地の一般のところに一括この七億は入っておるわけでございますが、比較の便宜上、重複をいたしますがカッコでここにあげてあるわけでございまして、これは先般来政府部内で御相談の結果、閣議の御了解がありまして、明年度から離島振興関係経済企画庁一括計上しよう、そうして実行の段階で、ちょうど北海道と同じように、関係各省に移しかえをしてやって参ろうということに御決定があったわけでございまして、その線に沿って私どもの方と経済企画庁とで共同作業をいたしまして、大蔵省への要求経済企画庁からしていただいて、経済企画庁建設省、運輸省、農林省等関係各省離島関係予算一括大蔵省要求をし、国会でも御説明するというふうなことに相なったわけでございます。  それから総理府所管の第三番目は、これは昨年もございましたが、科学技術庁関係で、特に原子力関係研究費科学技術庁一括各省分をまとめて要求をいたしまして、実施の段階で各省に配分をするということになっております。その関係でございます。  それから所管別の第三といたしまして労働省所管をあげておりますが、これはいわゆる失業対策費でございます。特別失対と称しておりますが、特別失業対策事業費といたしまして労働省一括計上をするわけでございまして、それぞれの地域の特性に従いまして、事業を実施いたします建設なり農林の各省へ分配をいたされるわけでございます。三十二年度林野関係、主として治山関係でございますが、といたしまして一億円と、漁港関係といたしまして六千百万円が計上いたされたわけでございます。漁港につきましては、私どもの、これは今後の労働、農林、大蔵関係各省とのお打ち合せで、まだどうなるかわかりませんが、農林省といたしましては、初めから要求する段階では、水産関係は、一般漁港修築の中に含めてこの種のものも要求をいたしたわけであります。林野の方だけが、治山関係特別失事業を、特に特別失事業として要求いたした。これは三十二年度の利用の実情等を考えまして、需要度からいいまして、こういうことをやってみたわけでありますが、なお、労働省方面と御相談の結果によりましては、あるいはまた、これは模様を変えるということに相なるかもわかりません次第であります。  次に、関係予算の第四番目といたしまして、建設省所管があげてございますが、これは庁舎等関係営繕費でございます。主として地方の出先庁舎関係の充実を考えて、建設省にこれだけの要求をお願いをいたしておるわけでございます。  それから第五番目は、大蔵省所管といたしまして、三百二十六億があげてございますが、これは先ほど申し上げました農林漁業金融公庫の六百五億円の貸付計画に見合います一般会計からの出資期待額であります。で、前年度は、当初の段階では百四十億円を一般会計の出資に仰ぎたいという要求をいたしたわけでございますが、最終段階におきましては、一般会計から出資をしないで、産業投資特別会計の出資を七十億円だけ実現を見たわけでございます。この前年度のところに、産投といたしまして、カッコして七十億計上してございますのは、今申しました産業投資特別会計から出ました出資のことであります。なお、五ページのカッコの中は七十億円でございます。百億円というのは誤まりでございます。御訂正をお願いいたします。  大体以上が所管別に見ました場合の、いわゆる農林関係予算千七百四十五億円の大要でございます。  次に、六ページの表になりますが、六ページから七ページにかけましての分類は、昨年度以来やっておりますおもな施策別に今の千七百四十五億円を分類をいたしてみたわけでございます。これは後ほど各局のおもな事項を御説明いたす機会がございますので、この喪について、ことで特に御説明をいたすことを省略さしていただきたいと思います。  それから次に横とじになりまして、農林水産政策関係予算というのをあげてございます。これは冒頭お断わり申し上げましたように、農林水産政策要綱を骨子として明年度予算要求を考えたわけでございますので、千七百四十五億円という要求の中に、いろいろ経常的な別個の要求もございますが、各政策要綱の各項目に見合ってそれを分類をいたしてみますと、この表のようなことに相なっておるわけでございまして、総体といたしまして、一般会計で九百四十四億。一番最後のところであげておりますが、千七百四十五億のうち、九百四十四億を、一応政策要綱に直接的に関連した経費ということで分類をいたしております。なお、新政策、いわゆる政策要綱は、一般会計の直接的な支出のほか、公庫資金でございますとか、その他開拓者資金融通でございますとか、あるいは中金資金に仰ぎますいわゆる制度金融でございますとか、そういうものをあわせて期待をいたしておりますし、手うちの方に相当の今後の重点があるわけでございますので、その数字も、あわせて各項目ごとに計上いたしてみましたのを合計をいたしますと、公庫資金その他の政府資金で五百八十六億円、制度金融関係で期待いたしております融資額が百五十三億円というようなことになったわけでございます。そのおのおのの項目ごと金額等につきましては、あまり長くなりますので、一応省略をさしていただいて、次に、最後に各局別におもな事項を御説明いたしますので、そのときにあわせて出て参りますので、その機会に譲らしていただきたいと思います。  それから、その次の表は、公共事業費概算要求額を、おもな項目ごとに分類をいたした表でございます。これも例年の分類とさほど違いませんので、あまり詳しく申し上げませんが、明年度の問題といたしましては、金額的に一つの問題事項となりますのは、前年度特別会計でスタートいたしました農業関係公共事業費が、特別会計で発足いたしました関係上、相当年次計画等も、きちんきちんとやって参る必要がございますので、明年度分としては、かなりの増額が不可避でございます。そういうことが相当のウエートを持っておろうかと思います。  なお、地すべり対策等につきましては、先般来の関係各省との研究の結果、いまだ何と申しますか、立法措置その他のことにつきましては、目下研究中でございますが、予算といたしましては、法律を待つまでもなく、相当徹底してやって参りたいということで、特に従来の予算の中から抜き出しまして、地すべり対策を大きく取り上げたわけでございます。  印旛沼干拓が特に一億円出ておりますのは、御承知の第二次余剰農産物資金の約五億円を千葉県に融資をいたしまして、千葉県をして印旛沼直轄事業分の一部、疎水掘さくをやってもらったわけであります。それに見合います償還財源の計上であります。  公共事業費につきましては、全般的に申し上げますと、実は本年当初以来、経済企画庁関係各省が協議をいたしております五カ年計画の改訂の問題がございます。で、農林省といたしましては、五カ年あるいはそれ以上の、五年を含めました長い期間の長期計画を考えておるわけでありまして、その当面、最初の五年という意味で、三十三年度から始まる五年計画を、別途経済企画庁と打ち合せを続けております。で、本予算要求は、経済企画庁に私どもが五カ年計画として持っていっております事業分量、そのうちの初年度分ということで、財政当局等から見ますと、かなりの食い違いのある数字がありますが、それを要求の骨子といたしております。今後経済企画庁が中心になりまして、なおいろいろ御検討が重ねられると思いますので、その模様いかんによりまして、今後それに対応して予算等も考えて参らなければならぬと思っております。  漁港は、公共事業費として、今申し上げました一般的な議論があるわけでございますが、なお漁港につきましては、それ以前に、漁港整備計画という基本計画を持っておりますが、その計画を、従来の計画のズレを回復いたしながらやって参るということであります。  災害復旧につきましては、先ほど申し上げました通りでございまして、大体その程度でよろしいかと思います。  次の七番目の十四ページの表でございますが、これが農林関係財政投融資計画の概要でございます。冒頭第一ページで、明年度財政投融資計画を六百六十六億円というふうに御説明をいたしました。この表で六百六十六億円がはっきり出ておりませんので、御説明を申し上げますと、六百六十六億円といっております数字は、三十三年度のまず一番上の行の農林漁業金融公庫に対する国庫からの投資期待額三百二十六億円……。三十三年度財政投融資計画六百六十六億円というふうに御説明いたしたこの数字は何かと申しますと、三十三年度国庫からは、合計いたしますと四百七十三億円出ておりますが、この中には、いわゆる投資に該当いたしませんものも含んでおりますので、この中から国庫に出資を願っております三百二十六億円だけを引き抜いたわけであります。それと、あとは運用部または簡保の二百四十九億円、その他の九十一億円、との三つを足しましたものが六百六十六億円であります。この六百六十六億円に見合います前三十二年度の額は、三十二年度のところで、国庫を除きまして、運用部百二十五億、簡保百十七億、産投七十億、この三つがございますが、この三つを合計いたしますと三百十二億になります。この三百十二億と、今申し上げました六百六十六億とが見合うわけであります。ちょっと表の作り方がうまくいっておりませんので……。大体以上の通りでございます。よろしゅうございますか。  財政投融資のそれぞれの規模につきましては、ここに述べましたような各種公団でありますとか、特別会計がございますが、それにつきましては、特にこまかくなり過ぎますので省略をいたします。  次のページに、農林漁業金融公庫の貸付予定額六百五億円につきましての、一応の事業別区分を御説明がしてあります。六百五億円のうち、非常に大きく増加をいたしておりますものは、まあ土地改良その他の公共事業費は例年のことでございますが、自作農維持下から五行目くらいのところにございます自作農維持、これが三十二年は五十億でございますが、これをさらに積極的に運用いたすという政策要綱の線に沿いまして、百二十三億というふうな相当な増額要求が出ておりますことと、それから開拓、あるいは寒冷地農業振興ということで、セット的な融資をそれぞれ十七、あるいは十六億四千というような、新しい試みが提案されております。以上のほかは特別事新しくございません。  次に、今まで主として一般会計のことを申し上げておりましたが、特別会計につきまして、すでにまとまりましたものの要求規模が次の表に出ております。  食糧管理特別会計につきましてはまだ成案を得ておりません。その他の特別会計につきましては、一応ここにまとまったわけでございますが、農業共済再保険につきましては、先だって法律が改正されました。その改正制度に基いての要求でございまして、特段の変った、と申しますか、特に申し上げることはないかと存じます。  次の森林火災保険につきましては、これもやりますことは従前と何ら変りはございませんが、最近の本特別会計の経営の実態を見まして、保険料率の一部引き下げを考えております。  同様に、第九番目の中小漁業融資保証特別会計につきましても、最近の実績に徴しまして、保証料の一部引き下げを考えております。  開拓者資金融通特別会計は、政策要綱の線に沿いまして、先般の法律で臨時措置法ができました関係もございまして、既入植者の措置、あるいは今後の開拓の営農規模等につきまして、新しき提案が行われておりますので、かなりの増加になったわけであります。  大体以上で予算につきましての御説明が終ります。  以下に各局別のおもな事項について、簡単な記述をいたしまして御説明をいたしておりますが、あまり長くなりますので、簡単に項目だけ触れて申し上げたいと思いますが、官房の所管事項といたしましては、国際協力事業、あるいは海外農林水産研修者の受け入れ、まあ両々、二つの主として国際協力関係の事項について、事新しく特に申し上げることもないのでありますが、一応官房のやっております現業的な仕事として、こういった点が重要になって参りますので、ここにあげたわけでございます。  それから経済局の関係といたしましては、農業委員会関係は法律改正が行われまして、大体今後の農業委員会の規模、方向等につきましては、三十二年度予算予算折衝の段階で、大蔵省ともある程度の了解に達しておりますので、本年度はあまり極端な食い違いの問題は出て参らないかと思っておりますが、委員会数が四千百ということになりましたのは、前年度はまだ新法に切りかえ前の、整備統合前の数字が一部入っておりますので、五千百七十というようなことになりますが、八月以降、おそらく本年末くらいまでに四千百程度に統合される見込でありますので、それを基礎にいたしたわけであります。農業協同組合の関係といたしましては、前年度の八億一千万円を八億七千七百万円で要求をいたしておりますので、指導監督等につきまして、特に本省はもちろん、全国中央会、あるいは地方の中央会等が自主監査をやるという点に相当重点を置いて、予算要求をいたしております。その他農業協同組合関係では、一連の整備促進的な法律関係がございますが、そのほか、一番最後に書きましたように、農業協同組合職員の共済組合を作りたいと考えております。これは新たな立法を必要とする事項でございますが、私立学校職員の共済組合ができておりますのにならいまして、農協職員の資質向上、あるいは身分の安定というような点を主たるねらいといたしまして、職員共済組合を作りたいと考えております。  それから輸出の関係は、これはマグロあるいはミカンの輸出振興のため、ジェトロが二、ニューヨーク等で行います宣伝事業が主たるものになります。明年度の問題といたしましては、米国向け合板の問題が御承知のような情勢にありますので、これを取り上げております。なお、本経費は例年農林省から要求をいたしますが、最終段階では農林省要求分として通産省で計上していただくという例になっておりますので、あるいは最終段階では、例年の例によりまして、そういう扱いに相なるかもしれないわけであります。  それから経済局関係のもう一つの問題は、保険の農業共済の関係でございますが、これは先ほど申しましたように、新制度によります要求でございまして、大きな問題といたしましては、通常災害についての国庫負担の割合が、従来三分の一でございましたのが、法律の改正を機といたしまして二分の一に相なったという関係、それから損害評価につきまして、各共済組合連合会が徹底して、もっと各組合の損害評価の地ならしをしていただくという意味で、連合会による実測、坪刈り等を加味いたしました損害評価の徹底ということを考えております。その辺がおもな相違であろうかと思います。  それから統計調査部の関係は、四十一億円に対しまして五十五億円の要求になっておりますが、この中の約三十七億円は人件費に当りますので、それは例年の通りでございますが、新しいおもな統計として明年度考えておりますのは、ここに書きましたように一から八まで書きましたが、こういうものが目新しい統計でございます。  農地局の関係でございますが、これは公共事業費がおもな内容になりますが、大規模開発事業の体系的実施と申しますのは、ここに書かれておりますように、将来の方向としては、水系別事業計画を確立いたしたいと考えておるわけでございますが、とりあえず既存の国営、県営、団体営という事業体系を相関連せしめて要求が出してあるわけであります。なお、特別会計との関連でございますが、御承知のように、三十二年度特別会計が発足いたしましたときは、直轄、代行の干拓事業、これは継続、新規ともに特別会計に移ったわけであります。灌漑排水事業につきましては、とりあえず三十二年度新規実施いたしますもののみを特別会計の対象にいたしたわけでございますが、明年度要求といたしましては、大きな灌漑排水事業の継続分につきまして、特別会計に途中から乗り移るという要求をいたしております。たとえば豊川用水でございますとか、大井川でございますとか、そのような大きなかつ多目的なものでございます。  それから農地局関係の来年度要求の第二番目の問題といたしましては、市町村別土地改良開発事業の総合実施ということを考えております。これはここに書きましたように、市町村ごとの基本的な土地改良計画、総合的な土地改良計画を県に頼みまして作ってもらい、これを相当長期間にわたって逐次全国に及ぼして参る計画を、二年目くらいにやりまして、三年目くらいから事業をやって参る。事業の主たる内容は、地元増反事業と小規模土地改良事業ということで考えております。一番の大規模土地改良事業との相互関連をもちろん考えるわけでございますが、ここでの主たる事業内容はそういうことになります。明年度は、とりあえず、内地、北海道ならしまして、百五十カ町村について計画を樹立して参るわけでございます。その分の事業化は、三十五年度くらいから出て参ります。明年度事業といたしましては、そういった事新しい計画を必要としない、すでに相当コンクリートな計画が地元にある数十カ町村につきまして、明年度とりあえず増反あるいは小規模土地改良事業をやって参るという考え方でございます。  それから第三番目は、畑地の土地改良の問題でありますが、これは、ここに書きました数字は、狭い意味の畑地土地改良のほか、従来水田関係にあります灌排事業の中で、畑地にも、その中に畑地を受益面積として持っておりますものを全部引っこ抜きました関係上、非常に七十六億というような大きな数字が出ております。主たる事業の内容は、排水事業といわゆる畑地灌漑事業でございます。で、この七十六億円のうち、狭義のと申しますか、本来の狭い意味での畑地土地改良事業は約三十八億円でございます。  それから農地局の第二番目の大きな問題は開拓でございますが、開拓につきましては、二百二億ということで相当の大規模な予算要求になりますが、これの考え方の骨子は、農林政策要綱で触れましたことに尽きておりますので、ここで詳しく御説明することを省略さしていただきたいと思います。明年度の新規入植戸数は五千十六戸を予定いたしております。三十二年度は四千戸であったわけであります。それでそのことだけ申し上げまして、考え方の詳細につきましては、政策要綱で御説明があったかと思いますので、省略さしていただきます。  自作農資金の問題は、主として農林漁業金融公庫の問題でございますが、ここにあります三億六千万円は未墾地関係の県の事務費が主体でございます。  それから災害復旧及び防災事業、これは先ほど来初めの表の御説明で申し上げておりますので、省略をいたします。  次に、振興局の関係でございますが、振興局の関係では、いわゆる新農村、これが四十一億になります。で、新規が、計画地域といたしましては九百でございますが、事業の実施地域は、新規が千、それから継続が九百六十六、これで発足以来五百、千、千というふうにやって参っておりますので、その差額はすでに九百六十六、切りましたのは三十二年度にその半ばがはみ出しております関係でありますから、結局二千五百を手がけることになるわけであります。ここで特に申し上げますのは、初年度取り上げました約五百カ町村が二年終りまして、一応特別助成期間が終るわけでございますので、そのあとの処置といたしまして、農林漁業金融公庫の被補助の融資を継続的に、その特別助成の終った地域については用意をいたしております。その他変ったことはございません。  改良資金につきましては、それぞれ技術導入資金あるいは施設資金について、最近の要請に応じました施設項目の追加がございますが、運営の根本には従来と変ったことはございません。  改良普及事業の整備拡充の関係では、まず最初に普及員の技能の強化と申しますか、最近の営農指導の実態に応じますために、園芸、畜産、機械、これらの非常に最近の要望の多い技術指導につきまして、より高度の技術指導に耐えられますよう、特技普及員を確立いたしたいと思っております。  それから生活改善普及員につきましても、漁村、山村等に強い要望もございますし、現在約千五百地区普及地区がございますが、生活改善普及員の配置のない地区もありますので、そういうことのないように、全部に漏れなく普及員を配置いたしたいと思っております。  それから普及事業の三番目といたしましては、農林政策要綱の線に沿いまして、営農方式の改憲刷新をやって参ります場合に、従来の作付体系を新しく地域ごとに適応したものとして考えていく必要がございますが、それも濃密指導をいたしますために、営農改善モデル施設というものを三カ年間に千百七十七カ所設けましたが、主として県におりますSPが直接乗り出しまして、普及員を動員いたすと同時に、SPが直接グループ、なして乗り出しまして、直接的な濃密的な指導をやって参りたい。で、畜産への転換を促進いたしますとか、あるいは新しいそれぞれの地域に即した営農指導をやって参りたいということであります。それの指針といたしますのは、従来の予算で従来事業として。やっておりました営農試験地でありますとか、地域改良計画というようなものを参考にしながら、やって参りたいと思います。  次に、振興局関係の畑作振興対策でございますが、ここに次の寒冷地も実は畑作なのでございますが、寒冷地に含まれません狭い意味の畑作振興として一億二百万円がございます。これは寒冷地以外の県につきましてホイル・トラクターによる振興でありますとか、あるいは大豆、トウモロコシ等の生産地を育成いたしますとか、あるいはカンショにつきまして直播その他生産費の合理化を指導いたしますとか、そのような一連の施策がございます。  次の寒冷地対策は、三十二年度に発足を見ました寒冷地対策を、規模としてはそのまま踏襲をいたしております。と申しますのは、三十二年度と由しましても、機械の導入等がなかなか一ぺんに参りませんので、まだ事業の成果を十分に発揮いたしておりませんので、この際急にこの種の事業を広げましても、事業効果の方も確認しながらやって参りたいと思いますので、規模は前年通りでございます。  畑地の関係で、今話が出ましたのでお断りしておきますと、公共事業は先ほど申しましたが、公共事業以外では、狭い意味の畑地改良あるいは寒冷地等、振興局、それからこれから御説明いたします畜産局にも、いろいろ畑地関係予算があるわけでございますが、一般会計公共事業以外の畑地関係予算を抜き出して集計いたしてみますと、約二十一億の予定になっております。それで、公共事業の方が、先ほど申しましたように、狭い固有の加地対策が三十九億でございますので、両者合せますと、約六十億が畑地関係明年度要求ということになります。これに対応いたします本年度予算は、公共事業で十一億、非公共で十三億、合せて二十四億。二十四億円に対しまして、明年度は約六十億円を畑地関係の振興予算として要求いたしております。  畜産局につきましては、草地改良事業あるいは自給飼料対策等がございますが、あまり内容にこまかく入りましても何でございますから、ざっと見て参ります。寒冷地対策は、先ほど機械で申しましたと同じことで、本年度のスケールでございます。  それから四番目にございます畜産による営農改善事業と申しますのは、先ほど振興局のところで、普及関係の濃密指導として、経営改善モデル施設というものをSPが直接やって参るという御説明を申しましたが、そこで必要とする家畜につきまして、畜産局が家畜の面で協力をいたす、現地では一体的にこの改善施設を運営して参るという趣旨で、家畜の関係を畜産局に計上いたしたわけであります。  五番目の畜産による中小農業振興でございますが、これは三十二年度に新たに入りましたが、かなりそのスケールを広げております。なお、これによりまして、沿岸漁村等における養豚事業等の奨励をもこの施策の中で含めてやって参りたいと思っております。家畜防疫事業につきましては、若干変った点はございますけれども、さほどでございませんので、省略さしていただきます。  蚕糸局の関係では、生糸の需要増進、これはニューヨークでの輸出奨励事業でございます。多少の経費の増額を見ております。新たにフランスのリヨンにも事務所を設けたいというようなことにもなっております。  繭の合理的増産は、先年来やっております繭の生産費の低下、品質の向上という線でございます。  養蚕技術の改良普及につきましても、特に変ったことはございません。  製糸設備の処理については、三十二年度に法律をもって発足いたしたわけでございますので、その残事業分を三十三年度に完了するという前提で要求をいたしております。  食糧庁関係では、食料品工業の振興でありますが、これは主として経営指導が中心になります。  二番目の澱粉の新規用途等の開拓でございますが、これに約一億計上してございますが、これは今後の特別会計予算の組み方とも関連してくるわけでございますが、一応結晶ブドウ糖産業の育成強化のために、食糧庁が、食管特別会計が澱粉の安売りをいたしたい、その安売りをするための経費を一般会計から補てんをいたしたいという趣旨のものであります。そのほか新規用途の開拓のために、農林水産技術会議が中心になりまして、澱粉の新規用途開拓のための試験研究を総合的に展開して参りたいという、その二つで約一億になっております。  林野庁の関係といたしましては、公共事業費は先ほど総括的に御説明を申し上げましたので、その程度にさしていただきますが、四番目の地元施設の拡充と申しますのは、これは国有林による地元協力でございます。従って、この数字は国有林野特別会計の中の数字の御説明であります。  五番目が奥地製炭の助成でございまして、これは新規に製炭施策として林野庁から出ております。補助の内容は、簡易搬送施設等共同施設の助成でございます。  水産の関係に入らしていただきますが、水産では、国際漁場の確保と未開発漁場の開発という関係が、まず一億四千九百万円ございます。やりますことは、著しく従来と変る点はございません。  二番目が、沿岸内水面漁業の振興でございます。これは浅海増殖事業等が中心になりますが、従来の浅海増殖あるいは内水面の増殖事業の残事業を、残り五カ年で完結して参りたいという点と、それから従来の補助率三分の一を二分の一に引き上げたいという点が、著しい相違点であろうかと思います。  三番目の海外漁業に関する施設の組織化と申しますのは、これは従来の海外漁場の調査のほか、海外への漁業進出あるいは漁業提携のための奨励施策が含まれております。  漁港の整備は、修築整備計画の線に沿いまして要求をいたしております。  流通機構の整備及び価格の安定として四千六百万円充てておりますが、これはある特定の水揚げ場所につきまして、大衆多獲魚が非常に一時的に豊漁になり、価格が暴落を来たすというようなおそれのある際に、系統組合が加工に乗り出しまして、それによって魚価の暴落を防ぎたいという趣旨の施策であります。対象といたします魚種は、スルメイカとサンマでございますが、スルメあるいはサンマかすの形で保管をいたしたいということでございます。なかなか内容としてはむずかしい施策でございまして、相当まだこれは私どもとしても十分の研究を積んでおりませんが、一応系統漁業組合に対する共同保管の奨励金という形で予算は計上してございます。  次の農林水産技術会議の関係は、各種の試験研究機関の経費、あるいは技術会議が中心となって協議会をもって推進をいたして参ります試験研究費に要する予算でございます。  大体ざっと、端折りまして恐縮でございましたが、明年度の現状での千七百四十五億円につきましての大ざっぱな御説明を、以上いたしましたわけでございます。
  7. 千田正

    ○千田正君 きょうは説明だけで終りますか。多少質問もいたしますか。
  8. 堀末治

    委員長堀末治君) 少し時間がありますから、事務当局に対する質問だけをおやり下さい。
  9. 千田正

    ○千田正君 大体の御説明を承わりましたが、それで従来の予算要求の技術としましては、今までは直接に大蔵省農林省としての立場を要求しておったのですが、最近非常に経済企画庁の力が強いということがあるかどうかしらぬが、ある程度経済企画庁あたりがチェックされるのではないかというような機運があるように思いますが、その点はどうですか。どうも今までの予算説明を承わっておりますと、従来の説明よりもやや経済企画庁あたりからのチェックがあるような気がするが、その点についてはどうなんですか。
  10. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) 来年度予算要求の方法並びにそれに対する取扱いでございますが、先般経済企画庁におきまして、来年度における経済の見通し並びにそれに対する態度、また大蔵省から来年度予算編成方針に関する一般的な方針が示されたのでありまして、われわれが現在承知しておる限りにおきましては、そういう一般論としての考え方なり扱い方なりについては、これは経済企画庁におきまして審議されることと思いますけれども、直接予算事項、その他の内容につきましての調整というようなことにつきまして、従来と変ったことがあるというようには聞いておらないのであります。  この機会に一言、今御発言がございましたことと関連があるいはあろうかと思いますので、経済五カ年計画予算との関係について申し上げてみますと、経済五カ年計画につきましては、目下経済企画庁中心に作業を進めておるわけでございます。しかし、この経済五カ年計画につきましては、従来と異にいたしまして、年次別計画を立てないで五カ年間の総体的な計画を立てておりますので、直接三十三年度予算についての結びつきを個々の事業について関連を持たせて調整するというようなことは、従来とは若干異なるのではなかろうかと、かように考えておるわけであります。もちろん計画の中に織り込まれる事業なり、あるいは考え方なり、あるいは経済の進度なりというようなものについては、それとの調整というものが一般論としては考えられると思いますけれども、来年度の個々の計画につきまして具体的な調整をはかるというようなことは、今のところないのではなかろうかというように、われわれ事務当局としては聞いておるような次第でございます。
  11. 千田正

    ○千田正君 一般政策の面においては、執行機関であるところの政府は、国会あるいは国民に対して明らかにしておる通り政策を掲げておるのだから、その政策の面において農林政策とある一致するところのものがあることについては了解できますけれども予算の審議の過程において、ある場合において政策に一致しておっても大蔵省との関連等によってチェックされるような気が、われわれからいえばするのです。従来とだいぶ違っているというふうに考えるが、そういう点は毛頭ありませんか。
  12. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) ただいま申し上げたように了解いたしております。
  13. 千田正

    ○千田正君 大体の説明を承わりましたが、私は不勉強な点もあると思ってまことに恐縮ですが、これは一応表題にもうたっておるように、「計数は異動することがある」という面もありますが、先ほどの説明によると、今度の八月以降の災害に対するところの予算については、さらにこれに追加して要求する、こういう考えであるようでありますが、それには間違いはないでしょうね。
  14. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) その通りでございまして、三十二年発生災害につきましては、今までのところ、進度率はおおむね二割五分という線を目標といたしまして、予備費を査定の済みましたものから逐次出しております。先般の閣議で、農地関係につきましては八月災害まで、それから林野関係につきましては七月災害まで、支出を完了いたしました。従いまして、明年度は、私どもの希望から申しますれば、残りのうちの四割を完了いたしたいという線が、この上に追加して出て参るわけでございます。
  15. 千田正

    ○千田正君 さらに、この第一ページにありますところの「三十三年度農林関係予算要求について」のうちで、この表題で明らかにされておらないところの問題、たとえば(イ)(ロ)(ハ)(ニ)等の問題については、さらに今後あらためて確定した後に報告する、こういう考えでおられるわけですね。たとえば(ニ)の問題の牛乳の乳製品、あるいは土地利用総合調査費であるとか、漁業共済に関する必要な予算の措置とかというような問題については、この表には十分載っておらないのですが、これは次の機会に追加して要求するという意味を含んでおるわけですね。
  16. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) その通りでございます。それらをよく概算いたしまして、食管繰り入れを除いて、まだ百四十億程度の追加を、今月末あるいは来月早々などにとりまとめまして、第二次分として大蔵省説明をいたす予定をいたしております。
  17. 千田正

    ○千田正君 これは確定してから、一つはっきりまた委員会に御報告を願って、われわれにも審議させていただきたいと思うのであります。  時間をあまりとってはいけませんので、ただ一つだけ伺いますが、水産関係におけるところの公共事業費において、総理府所管の面における水産公共事業費と、それから農林省一般の会計のうちからの水産公共事業費経費との比較ですが、北海道は従来ともに重点的に考えてある程度相当確保していますが、一般の方が少いというふうに考えられますが、これはどうなんですか。
  18. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 漁港の基本的な要求につきましては、先ほど来申しましたように、すでに確立しております漁港整備計画によりまして、現在継続中の六百四港をなるべく短期間に修築を終えて参るということで、基本線が礁立されております。で、その線で要求をいたしておるわけでございますが、明年度の重点といたしましては、特に離島関係漁港等について非常におくれておるという点が痛感されますので、たまたま経済企画庁所管でお願いをする離島の関係については、相当従来の、何と申しますが、ベースを変えて、今まで通りではいかぬという認識で、かなり重点を置いて要求が出ております。従いましてと申しますか、全体の基調といたしましては、漁港整備計画を予想の線で推進いたすということで貫いておりますので、その間のバランスはこういうことでとっているつもりでございます。
  19. 千田正

    ○千田正君 労働省所管水産関係公共事業費は、今度の要求にはゼロということになっているのは、どういうわけですか。
  20. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) これは、実は昨年大蔵省へ出しましたときは、労働省所管特別失事業は、林野漁港とも特別に分けて要求せずに、農林省の中で初めは一本で要求をいたしたわけであります。大蔵省段階労働省にも入っていただきまして、御相談の結果、林野関係で一億、漁港関係で約六千万というものを特に、特別失事業ということでひもをつけた。で、本年度も多少その点の研究をいたしてみたのでありますが、治山につきましては、非常に事業効果が直接的で、私どもとしても自信をもって特別失事業として申し上げ得るのでありますが、漁港の場合には、特別失事業ということにあまりこだわって予算を執行いたしますと、かえって不便を生じますので、私どもの当初の希望といたしましては、できることならば特に特別失事業と言わずに、一般漁港修築事業としてやらしていただきたいということで、一般の中に、その三十二年度の六千万円の系統を含めて要求をいたしているつもりであります。従いまして、特に労働省の方の強い御要請がなければ、こういう形で押えていただくことになりますし、また労働省の方から特に強く、漁港についても失対事業を一部ほしいというお話になりますと、現在、特別失対ということでなしに一般の中に含めて要求しておりますものの中から、一部をそういう形で区分計上いたすということに相なるかもしれない。いずれにいたしましても、総体としての規模は、それぞれの所管に区分計上いたしましたものの合計を見て、私どもはいつも論議をいたしておりますので、その点は、計上便宜と申しますか、施策の重点の置き方のいかんによりまして、計上区分が変って参るというふうなことで理解をいたしております。
  21. 千田正

    ○千田正君 かりに、これは北海道とか、東北とかというものは、年々、今年は幸いにあまり不漁という問題は起きておらないわけだけれども明年度において不漁というような問題が起きてくると、必ず失対の問題が起きてくるんです。そういう場合において、明年度予算の中に失対という項目がなかった場合においては、これはもうそういう事態が生じた場合には、どういう方法によって支出をされるのですか。
  22. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) かりに、私どもの今要求しております姿で漁港関係が成立いたしましたとして、御指摘のように、そのような失対的な事業が必要になりますれば、特に失対事業とうたいませんでも、その公共事業費の実行面におきまして、十分そういった趣旨の取り入れ方は可能であると思います。
  23. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 農林省の各種の補助、助成事業の中で、来年度この予算要求の中で従来と違った補助率であるとか、あるいは助成の対象、助成の内容が従来と違っているものがだいぶあるように聞きましたが、そいつを一つ新旧対象して簡明な資料としていただきたい。
  24. 千田正

    ○千田正君 もう一点。海外振興の関係で、移住の面においては、今年はわずかに昨年より三千万追加しただけでしょう。昨年は六千万のやつ、今年は移民に対する促進の対策、移民対策関係では、今年は九千万でしょう。こんなことで、農林白書に堂々とうたっているような、海外の移住政策というものが実行できるかどうか。これは農林大臣にあらためて農林行政の立場から方針を聞こうと思うのですが、これはもっと盛られないのですか。昨年は外務省は十億の予算をとっている。海外移住政策に対して、三十一年度においては外務省は十億の予算をとって、農林省はわずかに三千万円、三十二年度はわずかに六千万円、こんなことでほんとうの海外移住ということは実際できるかどうか、海外調査ができるかどうかということを、われわれ考えるのですね。たとえばドイツであるとか、イタリアであるとかいうところは、もう農林関係の移民に対しては徹底的に予算を組んで、そうして農林省の役人は現地に派遣されて、ジープでかけ回って、そうして適地適作の根本的な調査をしてから、移住という問題に対して国家的処置をとっている。どれだけの人間を三十三年度には移住させる計画でこれだけの予算を作ったのですか。
  25. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) 海外移住の促進につきましては、農林省としても重大な関心を持っております。ただ、この事業につきましては、農林部門で担当する部面もあるが、主として外務省で担当するところが非常に多いのでございます。戸数につきましては、昨年度九千戸に対しまして、本年度は一万二千戸ということで計画いたしておりますが、その海外渡航に要する送出費なり援護費なりというものにつきましては、大部分外務省予算計上されておるわけであります。われわれの方といたしましては、この移住に伴う調査なり訓練なりをいたしますほか、本年度といたしましては、特に海外に移住する者に対する国内の援護措置についての必要な経費計上して、移住については一そうの努力を続けていきたい、かように考えておるわけであります。金額面では、農林省予算が去年の四千万円くらいに対しまして、その倍額九千四百万円という予算を一応計上いたしておりますが、これは全体の移住の一部でございますので、農林省の担当する部門における施策としては、今後とも強力に進めて参る考えでございます。  なお、移住につきましては、移住事業のほかに、例の労務者派遣の部門もございますので、これに対する経費も、従前通り、一千人ということで計上いたしておる次第であります。
  26. 千田正

    ○千田正君 そうなるというと、移民というものは、かりに農漁民の移民というものに対しては、農林省としては国内的な訓練しかやらないと、こういう考えですか。
  27. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) 移住問題につきましては、前々から外務、農林、そのほか関係省と協力一致してやるべきである。われわれとしてはもちろん、農民が向うに定着するまでの過程におきましては、農業部門が大部分である。従って、現地の調査、あるいは現地における営農の指導とかいった部面についても、うまくこれを遂行するためには、そこまで実は乗り出してやるべきであるというふうな意見もあるわけでございます。しかし、いろいろ海外関係もございますし、われわれとして、そういうことにある程度の見通しなり、計画を立ち得るような調査とかいうようなことについては、今後とも積極的にやって参りたいとは考えておりますけれども、直接海外移住の経費につきましては、今申しましたように、外務省で所管すべきものもあり、あるいは農林省所管すべきものもあるということで、事業自身としては一体として遂行していくと、かように考えております。
  28. 千田正

    ○千田正君 これは大臣と論ずべき問題でしょうが、各国の農民の移民状態を、もちろん農林省は御調査なすっておると思います。日本は世界各国のうちで一番移民をしなければならない国の情勢なんですね。にもかかわらず、農民の移住に対しての農林省の関心はこれくらいの予算面にしか現われてこないということは、まことに私は遺憾だと思うのです。ドイツをごらんなさい。イタリアをごらんなさい。向うの農林省労働省が主体となって、そうして現地調査をして、そのためには相当予算をとって、そうして自分らの国民が、やがて外国へ移住するだけの準備を十分整えて、外務省のように、もうハイヤーに乗って、カクテル・パーティだけやっていては、移民はできませんよ。アマゾンの奥なり、チリーの奥に入って、そうしてある場合には猛獣毒蛇の間を駆け回って、果して日本の国民が永住の地として入れるかどうか、これは外務省の役人ではなくて、本当に農林省の役人のあなたが真剣になって日本国民の移民というものを考えた場合には、こんな予算ではとてもお話にならぬじゃありませんか。これはむしろ大臣と論争すべき問題だと思いますけれども官房長はおそらくこういう問題については考えていない。一応私は要望しておきます。
  29. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質疑ございませんか。——御質疑がなければ、午前中はこれにて暫時休憩いたします。午後は大臣が見えることになっておりますから、午後一時から再開することにいたします。    午前十一時五十一分休憩    —————・—————    午後一時二十四分開会
  30. 堀末治

    委員長堀末治君) これより委員会を再開いたします。  前回の委員会に引き続いて、農林水産基本政策の件を議題にいたします。  この件について大臣に御質問の向きは、漸次御質疑をお願いいたします。
  31. 千田正

    ○千田正君 私は前回欠席しておりましたので、農林大臣の政策の御表明については、十分伺う機会がなかったんでありますが、議事録等について一応拝見しておりますので、前回に御説明にならなかった点について一応お伺いしたいと思うのであります。  それは、農林省は膨大な白書を出して、日本の農業行政というものに対して画期的な案を持ったがごとく見えますけれども、本日午前中における官房長農林省三十三年度予算要求の内容を伺いますというと、必ずしもあの白書がうたっているような裏づけのないように私は考える。で、大臣に特にお伺いしたいのは、大体の要綱については前の委員会において御説明になっておられるようでありますから、その要綱じゃない、私なりに感じた点をお伺いしたいと思うのであります。  それは、農業、水産、林業等の災害に対して、過年度災害がいまだに十分に復旧しておらない。復旧しておらない途中に、また次から次へと災害が起きてきておる。で、三十三年度予算の内容を検討してみるというと、必ずしも過年度災害復旧がそれによって  一掃されるとは私は思わないのですが、大臣は、過年度災害を今度の予算要求によって一応復旧は完成するものだ、かようにお考えですか、どうですか。その点はどうなんですか。
  32. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 災害につきましては、まだ過年度災害が、今お話しの通りに、そう完了するというわけには参りませんで、私どもも残念に思います。途中で相当進めたのもありますが、まだ残っているのはお話の通りであります。三十三年度で過年度災害復旧が全部完了するような予定になるかどうかという、こういうお尋ねのようでありますが、私ども極力災害復旧費の要求をいたしまして、復旧を完了したいとは思っていますが、現在のところ、完全に災害復旧をなし遂げるというわけにはいかないような状況であります。しかし、極力災害復旧を完了して新しい方面に進みたい、こう考えております。
  33. 千田正

    ○千田正君 大体災害復旧の根本方針は、御承知通り災害復旧に対する法律に基いて三・五・二の割合で三年間で復旧する一つの常道は成り立っておりますが、それだけでは、ただ原形復旧したというだけの話で、また同じような、あるいはより以上の暴風なり暴水なりが出てくるというと、また直ちにそういうものが破壊されてくる。だから、この災害復旧の原形復旧だけでは、とうてい今後の災害を防止することはできない。それにプラス・アルファというものをつけて防除していかなくてはならないとわれわれは考えるんだが、今もって過年度災害復旧ができないというのは、さらにそれ以上の暴水害が来た場合には、災害防除の方途は講じられないと、こういうふうにわれわれ考えますが、何かそういう点についてもお考えがあるかどうか、その点はどうです。
  34. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) お話の通りでありますので、ことし九州に災害がありましたにつきましては、単なる元通り復旧では、もう、それ以上あるいはそれと同じ程度災害が来れば、まあ、さいの河原の石を積むようなもので、いつまでたってもよくならない、こう考えましたので、関連事業といいますか、関連事業をともにやるという道も開けておりますので、ことしの九州の災害等につきましては関連事業の方を並行して進めていって、原形復旧だけではなく、原形に強化していくような方法をとりたいと思いまして、予算におきましても、関連の事業を並行していくように進めてきておるような次第であります。でありますので、今のお話のように、関連事業を進めていくことは、今度の予算要求につきましても、これを強く取り上げて主張していきたい、そういうような方針で今進めております。
  35. 千田正

    ○千田正君 九州その他の災害は非常に広範囲に及んでおりますが、さらに八月の当初においてやってきた東北あるいは北陸地方における、急激に増水したために破壊された小団地の水害ですね、それが大体十万円以下の範囲のところが相当やられておる。しかも、それを集計するというと、各県とも一何億という災害になる。ところが、従来の災害復旧対策としては、そういう小団地に対しては見ておらない。今度の特殊性というのは、そういう小さい村が個々ありますけれども、それを集計するというと、一町村でも何千万円、一県においては何億をこしてくると。こういう問題に対してはどういうふうなお考えを持っておられるか。たとえば地方財政が非常に赤字財政で悩んでおる、再建整備法にかかっておるところのそういう農村における市町村は、とうてい自己の負担において災害復旧はでき得ない。ましてや、農民においてはそれはでき得ない。実際においては相当みな各個の農民が負担しなくちゃならない実情にあるのに対して、どういうふうに政府はお考えになっておるか。この点はどうなんですか。
  36. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 現地の災害復旧査定に当りまして、極力十万円以上になるように——額を上げるというわけではありませんで、地区的に連絡ができるということでありますならば、地区的に連絡をとって、十万円以上の工事になるような査定をしてきておるわけであります。たとえば、これは東北地方にはあまり例がないかもしれませんが、九州の長崎などで、小河川を挟んで災害ができたと。小河川を挾んで災害ができたような場合に、小河川を用排水というふうに見て、それで団地がつながるようなことでありますれば、一集団地として災害復旧の査定をしていくと、こういうふうな査定のし方をしておるわけであります。でありますので、現行の法律等によりまして、十万円以上というようなことになっておりますので、小団地につきましても集団的に、法規の範囲でまとめられるものはなるだけまとめて、補助の対象に取り上げていくと、そしてまあ災害復旧をしていくと、こういう方針で進めております。
  37. 千田正

    ○千田正君 大臣のお話は非常にけっこうですが、私は非常にそこに甘さがあるんじゃないかと思うんです。たとえば十万円以上に一応集計を上げていって、くずしていくと。ところが、一方においては、それに対照して、かりに農林省から助成なり補助なりというものが出てくるというと、それの監督機関としての会計検査院は決してそういうことを見のがしません。むしろ農林省に対する批難事項として上っていく。それよりも、現在筋の通った話として町村が望んでおるのは、赤字財政の折柄でありますから、起債の面においてそれを救う方法を求めているんですが、それに対して私も当初、ちょうど農林省としましては大臣のかわる際でありましたから、あなたにお目にかかる機会がなかったのでありますけれども農林当局に対しては、一日も早くそれは自治庁側と折衝をして、そういう小団地におけるところの対策としては、各自治町村の赤字財政の折柄であるから、特別起債を認可するような方途を農林省もある程度進めてほしいと、自治庁との間に折衝してほしいということを私は申し入れてあります。やはりそういうある程度筋の通った行き方でなければ、一応そうした小団地の救済というものは十分にできないんじゃないかと私は思うのですが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  38. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 御説の通りでありまするので、県または市町村営として災害復旧を進め得るものにつきましては、そのように進めております。それにつきまして起債の認可等につきましても、お話の通りやりたいと思いますし、また進めております。さっき漏れましたが、起債の点につきましては、私の方でも市町村の起債につきましては、自治庁と連結をとって、自治庁の方から起債認可をするように促進しておりますが、また私の方で、小団地で起債によってやるものにつきましては、十分便宜をはかっていきたい。  それからもう一つは、小団地でそういうふうなことで市町村等でやった場合に、交付税の方で自治庁の方でも見てもらうように、交付税の中に含めて、特別交付税で出すような方法をとってしかるべきではないかと、こういうようなことで、実は折衝をいたしておるのであります。
  39. 千田正

    ○千田正君 それはまことにけっこうでありますが、交付税の方の問題は、自治庁との間にもうすでに話し合いがついておるのですか、今折衝中なんですか。
  40. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 折衝を続けておりまして、それは特別交付税の点についてはほほこれを認めるというか、見ることに話し合いがついております。起債の点につきましては、まだ最後的に決定はしておりませんが、促進いたしております。
  41. 千田正

    ○千田正君 けさ予算説明のうちで、特に私は農林省として大きな問題の一つとして、国営開墾の問題があったのです。そのうち、たとえば干拓事業というような問題、これが従来から何回も叫ばれておるところのたとえば八郎潟の干拓事業、あるいは琵琶湖の干拓事業、こういうものは遅々として進んでおらないのですが、これは一体どういうような方針で進められるのか。それから愛知用水の問題は、先般来もたもたしておるのですが、それは解決ついておるのかどうか、こういう点についてあなたの御方針を承わっておきたいと思います。
  42. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 八郎潟につきましては、本年度予算で仕事を始めることになっておりますることは、御承知通りであります。これにつきましては、技術の点について、オランダの技術者によりまして設計その他まとまりました、そういうような関係で、着手がおくれておりましたが、八郎潟につきましては、着手ができる段階に来ております。それから愛知用水の問題でありますが、これも土地の補償等につきましてだいぶ長引いておりまして、今もう少しのととろで補償の点も解決がつく段階に入っております。でありますので、私は十月中ぐらいに着工できるようにということで進めてきておったのでありますが、内部の人事の副総裁等につきましても欠員がありましたので、実は昨日副総裁も決定いたしましたので、補償がもう少しできまりますから、可及的早めに着工いたしたいと。その他琵琶湖等につきましても、同様、国営干拓あるいは開墾等につきましておくれておるととはまことに遺憾でありますけれども、できるだけもうすみやかに、ことにそのすみやかが何月もということでなくて、十月、十一月ごろには着工できるように運びを進めておるような次第であります。
  43. 千田正

    ○千田正君 大臣のお話は、この十月か十一月中にそういう問題は解決したい、この御趣旨はようわかりますが、しかし、現地の実情はなかなかそう簡単じゃないじゃないんですか。たとえば琵琶湖においての干拓事業にしましても、あそこの漁民の賠償というものに対して、補償というものに対しての要求は、農林省の方針とは食い違いがある。八郎潟の問題においても相当の差がある。それを納得しない限りにおいては、工事が実行できないというならば、大臣の今おっしゃっているようなお考えでは、十月、十一月決定などはとうてい見られないと思うのですが、それとも、現在補償を要求しておる農漁民の要求額にある程度満たすだけの自信は持っておると、こういうお考えなんですか、どうなんですか。
  44. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今のように、補償、あるいは賠償といいますか、その問題がひっかかって延び延びになったのでありますが、琵琶湖の問題の漁業の補償につきましては、大体めどがついております。それから愛知用水の点につきましても、埋没する長野県の二カ町村の問題だけが残っておりまして、あとは大体片づいた。この二カ町村も歩み寄りといいますか、地元との折衝においてだんだん歩み寄ってきておりますので、これも近くめどがつくだろうと思います。八郎潟につきましては目下折衝中でありますが、この地元の補償につきましては、お話のように、そう急激にもなかなかいきませんので、今までも折衝を続けてきておるのでありますが、極力地元の折衝を早くできるようなことにやっていきたい、こう考えておりますが、今までの状況を申し上げますと、そういうような状態であります。
  45. 千田正

    ○千田正君 この八郎潟の問題などは、早急に私は解決できない問題じゃないかと。それは、オランダの技術を導入するということは、いわゆる特別会計によって海外の資金利用するという点から、まあそういうことも考えられるのですが、実際におけるところの地元のある程度の了解のもとにやらなければ、とうていこれは成功できないのじゃないか。私はそう思うので、これは大臣御就任早々でありますけれども、この問題は相当、下手やると長引くのじゃないか。おやりになるとするならば、ある程度地元民の要望を入れなかったら、これは実行できないと私は思うので、次の予算の、これは確実でないというさっきの官房長説明でありましたから、それ以上追及しませんでしたが、ほんとうの予算の確定を要求する、確定的な額の出てくるのはいつなんですか、農林問題の……。
  46. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) これは予算の全体のワクといいますか、そういうことも実はまだ予定がきまっておりませんが、例年のような形で進められるのじゃないか、十二月ごろになりはしないかと、こう考えておりますが、その前にワク等がきまってくれば、なお進むのじゃないか。進まるわけであります。今のような進み方であります。
  47. 千田正

    ○千田正君 私は時間とってはいけませんから、進めますが、さっきもこの予算書の中に、海外の移民政策のうち盛られた予算が非常に少いので、私は非常に遺憾だと思うのであります。農林白書のうちにも二、三男対策としての海外への農民の移民ということを強くうたっておるにもかかわらず、この予算要求の面に出てきた海外へ移住振興の予算はわずかに一億足らずである。昨年は六千数百万。ところが、外務省の予算は昨年は十億。しかし、われわれは海外へ行って現地の実情を見た場合において、非常にその点は遺憾だと思うのは、イタリアなりあるいはドイツの日本と同じような戦敗国が、領土の縮小に基いて、国民の発展を期して、海外移住を志していろいろな施策をやっておる。ところが、日本の場合は外務省にだけ依存して、しかも省内におけるセクショナリズムによって、進んでいない。こういう点はまことに遺憾に思うのであります。ドイツやイタリアあたりはわざわざ農林省関係の役人が出張してアマゾンの奥地へ行って、たとえば猛獣、毒蛇の中に、あるいはマラリア等の伝染病の湿地地帯等を、ジープに乗ってかけ回って、一々試験管を通して水質や土質の試験をして、ここが自分らの永住の地として、国民を移民さすべき所として確認して、それがやがて一つの移民政策として現われてくるのでありますが、日本の場合ははなはだその点遺憾じゃないか。しかも、わずかに九千万円そこそこのことで、これから一万戸以上の者が移住するという場合に何ができるということをわれわれは考える。これは単なる国内における移住民に対する短期の訓練の費用にしかならないのじゃないか。あなた方が実際役人を海外に派遣するにしても、一人か二人、もう一年も行っておったら予算を半分食いつぶすというようなことでは、海外対策とか二、三男対策とか白書にうたっておるような問題は実行できないと思うのですが、その点についてはもう少し強く、各省のセクショナリズムを排除して、真に日本の将来というものを考えたならば、もっと予算をとって、そうして堂々と出発すべきじゃないかと思うのですが、どうなんですか、その点は。
  48. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 実は私も昨年、中南米等国会の派遣団の団長として行ってきまして、お説の通り、非常に移民の事業といいますか、移民のととがはかどらないことは遺憾に思っておるわけであります。これはいろいろの事情もありましょうが、すでに御承知通り、ブラジル等におきましては、憲法あるいは法律上、正式の移民というものを日本に対しては結果においては制限されておるような形であります。しかしながら、呼び寄せとか計画移民とか、こういうことで相当移民の、移住のできる道は開けておるようなわけであります。ドイツとかイタリア方面におきましては、非常にこれが進んでおるにかかわらず、日本の方は向うの受け入れ態勢も相当いいにかかわらず、実際それだけ送り出せないということに対して、私どもも非常に遺憾に思っております。  それで、各省のセクショナリズムといいますか、そういう面があるじゃないかということでありますが、実は御承知でしょうが、二十九年でしたか、そういう点もありますので、閣議においてそういう面をなくしようということで、移民を強化すると同時に、分担といいますか、移民に対する分担などの取りきめ的なものがあったのであります。そういう関係で、向うでの移民の取扱いやらその他につきましては外務省が相当する。こちらから送り出すたとえば勧誘、募集、そういう面につきましては農林省が当り、そのほか調整をとるべき点につきましては、農林省、外務省と協議の上に進めていくというような形式的ではありますが、取りきめがあるわけであります。それとは別にいたしましても、二、三男の対策といたしまして、移住を進めるということは非常に必要なことだと存じております。ただ、向うで土地を買ったり何かすることにつきましては、海外移住協会とか、海外移住振興会社ですか、そういう方面で土地の手当などいたしておりますので、農林省が直接そこへ関係はいたしておりません。でありますが、これはぜひとも強力に進めなくてはならぬということで、先ほど官房長からも説明を申し上げたかと思いますが、外務省にだけ現地をまかしておくというようなことはまことに遺憾でありますので、農林省といたしましても、中南米等に農林省から人を出しまして、現地調査をなお進めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。私どもといたしましても、お話の通り、強く進めたいと思います。同時に、これは余談になるかもしれませんが、やはりいい人を選定して出すということ、それから、向うへ行ってからでも、向うの人になり切るというような気持で行ってもらうことが、国交の上におきましても、親密度を加える上におきましても、それから今後移民を相当出す上におきましても、非常にいいことじゃないかということで、そういう気がまえで移民を出そうということにしております。なお、予算等につきましても、足らないように考えておりますので、力を尽していきたい、こう考えております。
  49. 千田正

    ○千田正君 これは、二、三男対策と相待ってもっと研究しなくちゃならない問題だろうと思いますが、昨年もこういうことが起きたんですね。自分の所有の農耕地を売って外地に移住する。まことにけっこうなことで、政府も腰をたたいていながら、いよいよ自分の土地を売却して取得した金をもって向うの土地を買い、あるいは旅費に充てようとしたところが、それが、大蔵省のいわゆる国税庁から差し押えられて、寸前に渡航ができなくなった、こういう問題が起きたんです。これは、当委員会でもその問題を取り上げまして、これはもう日本の政府がでたらめをやってるんじゃないか。一方においては、海外移住、やれ二、三男対策である、あるいは日本の領土の狭い今日においては海外に行くべきだということを主張しながら、国内の処置においては、まことに足元にかせをはめて動かさないようなことをやっておる。これはほんとうの日本の政治であろうかということを、われわれは疑うような問題が起きております。こういうような問題についての解決はできておるんですか、どうなんです。たとえば、自分の耕地を、所有地を売って、家族をあげて南米に行く。売ったものは、それでもう金は取得したんだから、税金をかける。御承知通り相当の税金がかかるというと、かりに五十万持って行こうという者が、わずかに二十万も持って行けない。家族全員が渡航できない。そういうようなことを国内で平然と行なっておるようであっては、羊頭を掲げて狗肉を売るような政策であると私は思うんです。こういう点について、あなたの方は御調査なすっておられますか、どうですか。
  50. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) そういうことは聞いております。大蔵省の方としては、大蔵省としてまたいろいろほかとの関係もありまして、なかなか私どもの話通りにはいっておりませんけれども一つの国策といいますか、政策として行うことにそごがあってはいけないと存じます。でありますので、そういうそごがないように注意して、各省とも話し合いをしていきたい、こう考えております。
  51. 千田正

    ○千田正君 水産問題で二、三最後にお伺いいたしますが、けさの新聞等にも、あるいはラジオでもお聞きになったかしれませんが、日ソ漁業の問題は、その後停頓しただけになっております。で、ソ連側からは、日本の要請に対して何らの答えもしておらない。たとえば、ピョートル大帝湾の問題、あるいは北洋漁業の問題、あるいは千島、樺太等の周辺における漁業の問題等に対してのいきさつは、皆目わからない。しかも、最近に至っては、ソ連側から、日本の領海においてサンマをやりたいんだと、たとえば、北海道、三陸沖等においてわれわれにもサンマの漁をさせろと、こういうことが新聞に載っておる。で、日ソ間の漁業問題はちっとも進展しておらないんではないかと私は思うんですが、一体こういう問題で領海問題はどうなっておるのか、こういう点について承わりたいんです。特に、ソ連側が主張しておるところの十二海里説、日本は三海里説——イギリスとソ連との漁業交渉の解決の一つとして、パレンツ問題というのがありますが、パレンツ湾の漁業は、ソ連側は十二海里を主張し、イギリス側は三海里を主張しておる。ちょうど日本と同じような状況にあって、その中間の度合いをとって、そこにおいては安全操業ができるんだという両国の妥協が成り立って、今や漁業をやろうとしている。同じようなケースが、日本に、今、日ソ間の国交の上に乗っかってこの問題が起きておる。で、この問題については、どういうふうにお考えになるか。
  52. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 日ソ漁業問題のお尋ねでありますが、ことに、北海道の近海の安全操業とかピーター大帝湾の立ち入り禁止等、まだ解決をいたしておりません。そこで、領海問題を主張いたしまするというと、お互いに十二海里とか三海里とか国際的に非常にむずかしい問題がありますので、その問題は抜きにしまして、漁業だけの問題でも話を進めていきたい、こういうわけで交渉を進めておるわけであります。ただ、ピーター湾の問題につきましては、なかなか日本の主張を入れないような状態でありますので、この点は残念でありますが停頓状態であります。北海道の安全操業の問題につきましては、それぞれ具体的に交渉を、こちらからこちらの要求等も出しておりますが、これは向うでも相当誠意をもって応待しておるようであります。こちらの要求に対しましてまだ回答が来ない、こういう状況でありますので、これもまだ解決は見ておりませんが、私どもといたしましても、零細な漁民の生活の問題でもありますので、先方の回答を催促しておりますが、催促してこれを解決の方向へ持っていきたいと努力をしておるような現状であります。
  53. 千田正

    ○千田正君 これはまあ大臣は、私から言えば、まことにのんきにお考えのようですが、ピーター湾の問題などが解決できないというと、日本海の沿岸漁民が漁業ができないのですよ。そういう現状に立ち至ります。ピーター湾のあの問題が解決しなければ、もう新潟から島根、鳥取、山口、あるいは九州の西海岸、そういう方面の漁民諸君があそこへ行って漁業ができない。今中止しておる状態です。漁民の生活の非常な問題でありまして、これが回答が来ないからそれを待っておるようなことでは、とうてい話にならないのですね。積極的にこの問題の解決に乗り出していただきたい。  もう一つは、北海道並びに三陸、東北地方における、樺太及び千島の周辺における漁業の問題、こういう問題は、ソ連側も日本に大使館を置いてあるのですから、これは、大臣としては、特に海外の問題は直ちに日本の水産業に影響する問題ですから、積極的にこの問題を解決していただきたい。それは、水産庁長官もお見えになっておるようですが、一体見通しはどうなんですか。
  54. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今のお話の通りでありますので、実はソ連に行っておる大使を通じて交渉な進めておるのでありますが、農林省といたしましても、人を派してソ連の方へやりまして、これを進めたい、こういうふうにやっております。なお、水産庁長官からこまかい点につきましてお答えさせます。
  55. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) 北海道近海の安全操業の問題に関しましては、八月に日本側の具体的な提案を先方に提出いたしますとともに、何度もソ連側の要路者と大使館の首脳部とが会談をいたしております。先月のたしか十二日に、極東部長のクルジューコフ氏と門脇大使がこの問題を話し合い、また十六日でありましたが、新関参事官と極東部の次長のカピッツァ氏とが話し合いをし、おそらく予ての後も、今月に入っても話し合いはいたしておると、かように思うのであります。で、その会談から受け取りましたわれわれの印象によりますと、この問題はゴス・プランのイシコフ——漁業省が廃止になりまして、イシコフ氏がゴス・プランに入りまして、漁業全体の問題を統括しておるのでありますが、イシコフ氏のもとにおきまして研究、検討をいたしておるようでございます。そして、どうもわれわれのその話し合いの印象によりますれば、検討があるところまで来ておるのじゃないか。最近の話によりますと、まだ検討に時間を要するから、しばらく待ってもらいたいというカピッツァ氏の話であるということでございましたが、そう遠くないうちに、ソ連側の日本側の提案に対しまする応答が出て参るのじゃないかと、かように思うのであります。  日本側が提案いたしておりますのは、北海道の近海、これは歯舞、色丹から南樺太まで含めまして、十二海里の中に入りまして日本の零細な漁船が操業するということを認めてもらいたい、こういうことであるのであります。この零細な漁業者に対する生活擁護という問題については、先方もある程度の理解は持ってくれておるというふうにうかがえる次第であります。
  56. 千田正

    ○千田正君 それはよくわかりましたが、ただ一つ、こういうことが今問題になっておるのじゃないんですか。今の零細漁民として求めておるところのサケ、マスのはえなわであるとか、あるいはタラであるとか、カニであるとか、コンブであるとか、こういう問題を零細漁民の間から、自由操業、安全操業をさせろという日本側の申し入れに対して、それらの考慮の余地はあるから、おれたちにサンマの漁を日本沿岸でさせろと、そういうふうに向うで申し込む意図を明らかにしておるのですが、そういう場合でも、日本側に交換条件としてそれに応ずるような、それだけの国内における態勢は整えておるのですか。
  57. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) ソ連側が日本の沖合、漁場について関心を持っておるということは、うかがえるのでございます。たとえばカツオ、マグロにつきまして、カツオ、マグロの船の建造についての調査をするとか、あるいはサンマにつきましても当然向うが関心を持っておるということは、うかがえる次第であります。しかしながら、まだ今の交渉の段階におきまして、ソ連側が具体的に、たとえばサンマをやらしてくれとかいうような交換条件を日本に持ち出すというところまでは至っておらない次第でございまして、新聞にもよくそんなことが出ておりますけれども、これは新聞記者のおそらく推測による記事である、かように考えております。
  58. 千田正

    ○千田正君 まあ、それは非常に僕は甘いと思うのです。従来ソ連の国際的の、外交的のかけ引きを見ますというと、あそこの国柄として必ずそういうような交換条件、何らかの条件を付してきますよ。私はそれは、向うが要求しないであろうということでは、とうてい向うとの折衝はうまくいかないのじゃないかという、私なりの杞憂を持っているのです。だから、そういうように持ってこなければ、なおけっこうでありますが、そういうような場合において、水産庁、農林省当局としてはどういう腹がまえをもって臨むかということを、今から十分に態勢を整えておくということが必要であろうと、私はこう思うのですが、長官なり大臣はどういうふうにお考えになりますか。これは国際問題で必ず出てきます。
  59. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) お話のような要求が出てくる可能性はあると思います。しかし、現在のところ、その要求はありません。しかし、お話のようなことを頭に入れながら交渉を進めていきたい、こう思っております。
  60. 千田正

    ○千田正君 最後に一点だけお伺いいたしますが、この水産の共済の問題でありますが、農業の方は災害補償の共済としての建前は、国が再保険をする。で、非常に順調にこの共済制度が進んでおります。ところが、漁業は最近ようやくその制度が出ているけれども、その性格そのものが農業とは多少異なっている。漁民の自己負担のもとに共済ができている。そういうような立場において、非常に不確かな立場にあるが、共済制度の確立ということを漁民が望んでいるわけです。それで、本年度から全国水産共済協同組合ですか、それに一応の共済制度の確立を助成して参りたいというので、政府が考えている。これもけさの新聞紙に載せてありますが、政府はこれに対して、国の再保険なり、農業災害の再保険にかわるべきところの何か支払準備資金というようなものについて、めんどうを見てくれるのかどうか。これはめんどうを見てやらなければならない問題であります。それはもう今日残った問題とするならば、この零細漁民なりあるいは漁業の制度の確立という面からいいましても、共済なり保険なりというものを、あるいは魚価安定というものの裏づけとともに見ていかなかったならば、日本の水産業というものは衰微する以外に何ものもない。今日この制度の確立を期して、政府としましてはこうした問題について支払準備資金等に対するめんどうを見るかどうか、この点はどうなんですか。
  61. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 漁業共済につきましては、私どももそういう方向はけっこうなことだと思って進めておりますが、事務的には、御承知通り、非常に複雑な面もありまして、むづかしい点もあるのであります。そこで、漁業共済制度につきまして、この間全国水産業協同組合の共済会から、自主的に共済事業を行いたいということで、大臣に対して認可申請がありました。認可申請がありましたので、この間認可をいたしたわけであります。これは自主的なものでありますので、そうして試験実施の形で、引き受けが十月以降であります。でありますので、現在の状況では本年度中に共済金の支払いに支障を来たすような事態は起らないのじゃないか、こういうふうに見ております。見ておりますが、この制度につきましては、明年度予算編成に当っても十分研究していきたい。とりあえず今年度委託の建前になっておりますので、委託費を出しておりますが、事務費については国が補助するような形で研究を進めているのが現在の段階であります。
  62. 千田正

    ○千田正君 これは農業共済の進め方と漁業共済の進め方とは、その間においては格段の差があるように見受けられますが、同じ基礎産業において、その確立性の上に差があるということは、まことに残念なことである。それは漁業それ自体が非常に不安定な産業であるという点もあるでしょうが、しかし、これに従事するところの漁民の立場、漁業者の立場を考えた場合には、ある程度において、国が社会保障制度的な感覚を持ちながら育成助長して確立していくのが、ほんとうの水産行政の裏づけの一環だろうと私は思いますので、との点について十分に大臣としては意を用いていただきたい。この点を要望いたしまして、なお詳しいその他の問題につきましては、また後日の機会に譲りたいと思います。
  63. 上林忠次

    ○上林忠次君 先ほどの農業移民の問題に関連しまして、移民とは違うかもしれませんが、今年日本から八百人か千人か、はっきりしたことは忘れましたが、アメリカに農業練習生を派遣した。すでに御存じのように、二十五人ばかり、苦しくて脱出したのがある。契約者の中から出たのであります。これにつきましては、現地の外交関係の連中が困っておる。それは外交交渉はもちろん外務省がやるのだけれども、実際の人を選定したり、訓練したり、実務は農林省がやっておるので、農林省のやり方はおかしいじゃないか。もっとほんとうの働く農民をあそこへ持っていって、養成なり訓練するというのが目標で、それに適した人間を選ぶべきはずのものが、実際農民とは違う知識階級の人、あるいは語学を研究に行くのだというようなつもりで行った人もまざっておるのではないか。そういうような選抜の仕方は、これは農林省の失策であって、将来はそういう点は十分考えてもらわなければならぬ。これが一時的な練習生でなしに、将来の農民移民として発展するいしずえでありますので、これに対してはどういう工合にお考えになっておりますか。まあ、私の希望は、農林省でもっと適任者を選抜していただきたいと考えるのであります。
  64. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 農業労務者派米協議会というのが御承知通りございまして、石黒さんが中心でやっているのであります。そとで相当厳重な選考をしてやっておるようなわけでございますが、農林省としても十分に注意しておるようなわけでございます。実は私も昨年ちょうどアメリカに行きましたときにも、そういう話が出まして、ちょいちょい脱出者などがあるようであります。それは今のお話のように、実際労務者として向うの農業事情を研究しながら、実際働きながら、三年の短期移民としてやってくるという考え方でなくて、何か留学するような気持で行く者も中に入っておるというような結果が、そういうようなことだと思います。そういうことでありますので、今のお話の通り、ほんとうにみずから向うで働いてみたいという人、それからまた、やはり同じ労務者でありましても、国際的な関係もありまするから、人間的にも尊敬されると申しますか、そういう青年を出したい、これはお話のようにしたいということで極力やっております。  なお、つけ加えておきますというと、二、三日前の新聞かに、ワシントンの方で、あまり短期移民は好まないというような新聞がありました。しかし、この間藤山外務大臣が帰って私に対する報告といいますか、話によりますというと、短期移民につきましては非常に話し合いが順調にいっておって、向うでも歓迎しておる。その前に私がマッカーサー大使に会ったときも、短期移民については、向うの労働省で少し問題はあるのだけれども、アメリカ全体として非常に歓迎している。また短期移民で帰った人に会ってみても、非常に日本の農業のためにもなっておるようだ。そういうことを考えて、極力アメリカで受け入れるように推進したいということを、マッカーサー大使も私に話しておりましたが、選考につきましては、お話のようにいたしたいと思います。
  65. 上林忠次

    ○上林忠次君 つけ加えまして、欧州各国の方にも日本の指導者が行きまして、農業指導についておる。その方の情勢を聞いてみますと、案外向うの労働はひどいので、日本の労働以上に強く働かされておる。いずれも一生懸命日本のために、また、現地の農業開発のためにやっておりますけれども相当苦しい状況を聞いておりますので、推奨に当りましては、本当に働ける人、心身ともに健全な人を送り出してもらうようにお願いします。
  66. 戸叶武

    戸叶武君 今の短期の農業移民について、私も何らかの機会に質問しようと思って三年前の難民救済、昔の移民の問題からこれが発展して、短期農業移民の問題に入ってきたのですけれども、それに対する政府の移民対策が、外労省と農林省の線とでは非常にギャップがありまして、その当時も問題にしたのですけれども、現地に行ってみましても、その点の欠点というものが、そのままやはり移民の方に反映している、こういう感じが非常に強いのです。簡単にいいますと、外務省の方では移民の選考、並びに向うへやった場合においても、何らこちら側で、政府側で手をほどこさないで、訓練や選考という点においても欠ける。今のままにおいては非常に欠けるところがあって、それが向う側に行ってからのトラブルが起る原因になっているように見受けられますが、もう少し移民を選ぶ方法、並びに移民として出る前に、もう少し教育なり訓練なりをほどこして、向う側に適応したような移民を送る準備が必要なんじゃないかと思いますが、そういう点は政府側じゃどう考えておりますか。
  67. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 御指摘のような事情でありますので、中南米などに出て行く人につきましても、神戸ですか、神戸の方に訓練所を置きまして、現地の事情をよく知らせること、それから言葉などの点におきまして向うへ行って非難を受けないように、こういうふうにしております。また北米の短期移民につきましても、訓練をした上で出すようにしているのであります。ただ、農林省といたしましては、出先機関を持っておりませんので、外務省で向うへ行きまして世話するという形になっておりますので、幾分のそごはあるかと思いますけれども、選考や送り出し、訓練等につきましては、農林省が責任を持っているわけであります。十分に注意をして送り出すように、これからもなお強く進めていきたい、こう思っております。
  68. 戸叶武

    戸叶武君 去年の六月に起きた川崎キャンプの逃亡事件というものは、日本よりも全米の新聞で非常に有名に伝わったのです。しかし、あの当時日本で問題にするのはどうかと思いまして、たしか朝日新聞では若干問題にしましたが、これをロスアンゼルスへ行って総領事に私は尋ねたのですが、言を左右にして、真相を知らせない。しかし、その前に全部私は真相を調査してからそれに当ったのですが、私はサンフランシスコにおいて講習会をやった席上に川崎キャンプを逃亡した首謀者がやって参りまして、そうしてそれを問題にしてくれと言ったが、いろいろ問題が複雑なので、とにかくアメリカで問題にするのはどうかということで、事情だけ聞いたのですが、問題はやはりキャンプに難点があるのです。あのときは難民救済で、短期農業移民とは別でありますが、短期農業移民においても今日問題があるのはキャンプなんです。キャンプが非常に営利的でありまして、アメリカにおける農業労働者の最低賃金というものは、都会の一般労働者の最低賃金一ドルに対して八十五セントで、それで農閑期においても給料は払うことになっておるのですが、とにかくキャンプあたりのやり方というものが、五十セントくらいの料理でもってそうして二ドルくらい取るというような、ピンはねのやり方をしておりまして、そのキャンプの状況というものも、バスの古くなったものや、それから汽車の古くなったものに押し込めて、そうして搾取しているというようなやり方で、日本人のだれに会ってみても、あれじゃひど過ぎるというような状態にとにかく押し込めて、そうして営利的なことをやっておる。そういう所は、問題を起すと、その背後に何か特殊な関係でもって、アメリカの政府筋と渡りがつけてあるかのごとき言動をして、そのキャンプの親方が横車を押す。アメリカにおいてもそういうふうなやり方というものは法的に許されない。  それで、アメリカで今日において日本の農業労働者に対して一つの問題を起しておる点は、アメリカの労働者の水準を低くすること、それから商品におけるダンピングと同じように、日本の労働者の非常に低い状態というものがアメリカ式に悪影響を与えるのじゃないか、そういうようなことが問題の中心になるのだと思うのです。そういうところには当然政府においても相当調査をやらなければならないし、今の短期農業移民においても一番問題になるのは、カリフォルニア州の南部におけるところの集団的に入っておるところの農民です。それは大規模農業におけるところの農業労働者としての生活が殺風景なことだと思うのです。それに対する何らの慰安設備も潤いもない。家庭的なところに入っている者は、ロスアンゼルスでこの間も私は調べて、また青年団関係の人々と各地を歩いて回ったり、いろいろな資料を持っておりますが、また別な機会に何か必要があれば資料も出しますが、とにかく政府のどこで、外務省が責任を持っておるのか、農林省で責任を持っておるのか、少くともアメリカに対するこの短期農業移民に対する親心というものが足りないのです。だれがほんとうに責任を持っておるのか。これは外務委員会でも開かれるときに、外務委員会なりに行って、外務省の今やっている移民政策に対しては問題点がずいぶんありますので、ほんとうに移民ブローカーの手にかかって、せっかく送り出したところの日本の農業移民が苦しめられたり、またアメリカの労働界を刺激したりするということは、今は商品に対するダンピング、日本では低賃金で安いものさえ売ればよろしいというようなやり方で、ILOの示しておる基準すらも打ち破って、そういうことがアメリカに行って問題を生んでおる基礎だということを、商品の問題で国内に知らせない。それから移民の問題でもそうです。今のやり方でいけば、必ず問題がもっと深刻に私は起きてくると思うのです。問題を提示しておるのは日本だと思うのです。それでほんとうに自己批判していくならば、幾らでも日本の移民対策に反省する余地がある。起きてしまってからだと、日米間における感情問題として、今の商品ボイコットのようになって紛争していくのじゃないか。  この問題に対して、私たちは移民問題に移住局を作られたときから、農林省は非常に弱腰で、外務省に押されて、とにかくセクショナリズムのなわ張り主義で、外務省の言うなりに屈してしまうというところに尾を引いておるのですが、こういう問題に対して何らかの機会に私は相当資料も持って、とにかく発言の機会を持ちたいと思うのですが、農林省としても私は無関心でいてよいはずはないと思うのですが、それに対してどういう対策を持っておるか。
  69. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほどちょっと触れましたが、アメリカにおきましても、労働省において少しく難色があるんだということをマッカーサー大使あたり言っておりましたが、それは今御指摘の通りに、向うの労働賃金を乱すというようなことなどが一つの原因ではないかということを考えておるので、注意しております。  それから向うに行っている実情が、今のお話のように、古いバスを仕切ってベッドにして泊めておるとか、そういうような点で、こちらから行く人がもっと期待を持っていたにかかわらず、こういう所かというようなことで、期待はずれをするというようなことから、紛争の原因にもなるように考えております。そういう点から考えましても、こちらから出すにつきましては、今石黒忠篤さんの主催しておる所で訓練をいたして出すわけでありますけれども、向うの実情等をよく話して、誤解のないようにさせることが一つだと思います。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、農林省として出先機関を持っておりませんので、向うとの交渉につきましては十分、農林省が直接話し合うというわけにはいきませんが、外務省の出先機関におきまして、アメリカ政府当局などと行き違いがないように話し合いを進め、悪いことは直していく、こういうふうに進めます。この点について私も非常に関心を持っておりますので、お話のような線は十分頭に入れて進んでいきたい、こう思うわけであります。
  70. 戸叶武

    戸叶武君 あまり長くなってはいけませんから、これで最終的にしますけれども、とにかく日本人で、カリフォルニアとしては、たとえばライス・キングと言われた福島県から出た国府田さんのような成功者もあれば、ロスアンゼルスから来た大寺さんとか、あるいは今来ておる和田さんだとか、そういう人がいます。そういう有力筋にも、長い間アメリカに住んだ一世ないし二世の有力者に対しても、とにかく総領事館なんかはほんとうに相談していないのです。おざなりの役所仕事でやっておるのです。これが間違いのもとなんです。あの逃亡事件は、日本には知らせないように、朝日新聞なんかにも泣き込んだようです。それでいながら、全米の新聞には出ているのです。どこへも知らさないのは、日本で政治問題化されるのをこわがっている。アメリカで現実に政治問題化されている。そういうふしだらなことをやっては、今後におけるところの私は移民政策というものは決して伸びないと思う。これはまあ農林省というよりは、農林省から移民問題を取り上げた外務省にほんとうに私たちは言ってやらなければならないことだと思うのですが、とにかくアメリカの政府側では、マーフィー氏なんかは国務省の中においては一番好意的な努力をしております。しかしながら、今のような状態でいけば、必ず商品ボイコット以上に、日本の移民に対するボイコットの運動が来たときには、私は拾収がつかなくなるんじゃないか。そういうことが事前にわかっていながら、それに対する根本的対策をやらないで、そうしてきたならば、必ず問題が起きるんです。  しかも、問題が起きたときに、この前でもけしからぬことは、逃亡したのは、問題はストライキを起して逃亡した者に対しては、あれは日本における過激な政党に属しておった者だなんて総領事なんか言うが、事実はそうでないので、和歌山県に行ったとき調べてみようと思いましたが、そういうような無責任な、責任転嫁をやって、そうして何がゆえに問題が起きたかということも究明しないで、どこにも知らせないで、内訌させていくというようなことは、日本で今後移民政策を強めて推進していかなくちゃならないときに、問題の焦点というものを一つも検討していないことになるのだから、これは何らかの機会農林大臣も外務省側と話し合うなり、それから来ておる在留邦人もみなわかっております。役所のやり方というものはだめだということを、一番よくわかっております。そういう人からも聞いて、ほんとうに、今のすべり出しのときが一番大事なんだから、十分御努力を願いたいと思います。
  71. 東隆

    東隆君 農林省は、小麦の輸入、農産物の代価くらいは、国内で生産した農産物をもって埋め合せよう、輸出をして埋め合せようというような考え方を持っておられたようでありますが、大臣は今どんなお考えですか。
  72. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 農産物全体につきまするというと、御承知通り、米やら、小麦やら、麦やらで、相当な輸入をいたさなければなりませんが、これを他の農産物の輸出でまかなうということは困難だと思います。しかしながら、食糧等は輸入しても消費してしまうものでありまするから、できるだけ輸入は少くしたいと思います。輸入せざるを得ないものにつきましては、やはり農産、水産物等を輸出して、できるだけ外貨を獲得していきたい、こういうふうに思っております。
  73. 東隆

    東隆君 そのお考えから申しますると、海外から国内でもって生産されるものを輸入するのは、私は非常に残念なことだと思います。それで端的に申しますると、今河野経審長官は、余剰農産物の輸入、そういうような問題を問題にしておりますが、アメリカの余剰農産物である小麦、特に小麦の中でも軟質小麦、これは国内に指導の方法その他によっては、相当多量に生産をする余地がある。そういうふうに考えたときに、農林大臣は余剰農産物の輸入ということに対して、どうお考えですか。
  74. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 余剰農産物のみならず、先ほど申し上げましたように、なるたけ輸入をしないで、国内の食糧自給態勢を立てることが私の方針であります。ただし、今の食糧事情から、私から特に申し上げる必要もないと思いまするが、絶対量といたしましては、日本の食糧事情は国内でまかなえない、こういうふうな事情であります。でありまするので、輸入食糧を需給計画に基いて輸入せざるを得ない面があります。そこで余剰農産物につきましては、これはなるべく輸入をしなければ輸入しないで済ませたいというようなことでもありますが、今の食糧需給全体から考えまするならば、その需給の範囲内においては、必要な範囲内においては、余剰農産物も入れていいのではないか。極端にいいまするならば、アメリカからいえば余剰農産物でありますが、日本の現在の状況から見まするならば、輸入として必要な範囲内において、向うでは余剰というような形であるかもしれませんけれども、条件のいかんによりましては、日本の必要な範囲内では余剰農産物によって輸入をする、そうしてその金が公共事業等に長期に使えるということでありますれば、余剰農産物も需給の範囲内において入れてもよろしい、こういうふうな考えを持っております。
  75. 東隆

    東隆君 食糧の総合的自給力の強化ということが、重点施策の大きな項目になっている。それで、このうちで私が考えた場合、やはり主食というものに重点を置いて考えていかなければならぬ。主食は私は米ばかりじゃないと思う。そこで国内における麦の生産というものを相当力を入れていかなければならぬ。それから農林大臣が、畑作の振興あるいは寒地農業の確立、そういうようなことを考え出されておるその基本にも、やはり米以外のものに相当力を注ぐという考え方、それがあるかないか。  そこで、私は、今の政府のとっているところの麦に対する考え方、ことに価格形成の考え方、しかも麦の価格を、米が非常に余ってそうして減反をしなければならなかったような時代の米と麦との比較、そこへ持っていこうというような考え方でもって指導をしていくとするならば、この食糧の総合的自給力の強化なんということは、とうてい望むべからざることであるというふうに考えております。それで麦の価格と米の価格、その間には一定の比率があってしかるべきである。その比率をどういうところに置くとか、それからまたさらに、もう一歩進んで、海外から含水炭素を輸入するのを、ある程度減すというような考え方では、私はさしずめ澱粉が非常に重要な役割を持つ。その場合に、澱粉と小麦の間価格の比率が、どういうようなものであるか、というふうな問題が当然起きてくると思うのであります。そういう点について、大臣はどういうお考えか、お伺いしたい。
  76. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 米と麦との価格の比例をどういうふうにとるべきかということにつきましては、非常にむずかしい問題があると思います。しかし、今のお話のように、減反した当時の米の価格と麦の価格とをいつまでも固持するというような形は、とるべきじゃないと思います。新たなる観点から立って米と麦との価格、あるいは澱粉と麦との価格の比率といいますか、比例といいますか、そういうものについては研究してみたいと思います。  なお、その点につきましてですが、今の前段にとりました畑作振興とか、国内の食糧自給という問題、それにつきましては、政策の面におきまして、畑作等の振興、食糧の総合的自給力の強化という点から見ましても、国内の米、麦等につきましても、生産費はなるたけ低くできるような方法も考えながら、畑作振興を進めていきたい。それから同時に、価格の問題でありますというと、米と麦の比例だけでなく、やはり国際価格に近接させられるというような傾向が非常に強いわけであります。捨てておきますというと、国際価格と同じような形に、価格として世界的な農産物ということになるようなことになるかと思います。さような関係でありますので、米と麦との価格の比例あるいは澱粉と小麦粉との価格の比例につきましては、いろいろの要素を検討いたしまして、一つの率を出していきたいと思います。
  77. 東隆

    東隆君 政府は澱粉をもてあまされておる。そこで、澱粉をある程度国内で消費の道を開くためには、私は今政府の考えられておるいろいろな施策ももちろん必要でありますが、それ世外に小麦の価格と澱粉との間に、小麦粉と澱粉との間にある程度の開きをつける、こういうことが私は澱粉を消費させる非常にいい道であると、こう考える。というのは、国内で生産をされるところの小麦は、これは大部分パンにならぬ。従って、これに澱粉をまぜて、そうして在来のものに使うことは、これは可能なんです。ところが、海外から輸入するのはパンを作るためのものを輸入すべきであって、従って硬質小麦を輸入しなければならぬ。ところが、今の政府のやり方は、硬質小麦を輸入してはおりますけれども、そいつは当然のことですが、国内でもって生産をされる軟質小麦を非常にたくさん輸入して、ことに余剰農産物でもって入ってくるのは、大部分が、今までの例でありますと、軟質小麦であります。これは水田の裏作にもできるし、それからその他の畑にも十分できる小麦です。従って、これにある程度の価格をつけますと、十分に国外から入るものを防ぎ、そうして国内で生産をされるところの澱粉を十分に消化させる、こういう可能性が生まれてくると思いますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  78. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 国外から入れるのも極力、私の方といたしましては、硬質小麦にしたい、こう思っております。それで、今のお話のように、澱粉の消費の道を開くということにつきましての御説なども非常にいい参考になりますので、十分研究して、そういう方向へ持っていきたいと思います。
  79. 東隆

    東隆君 これは麦の価格をある程度維持するということと、それから余剰農産物に軟質小麦を輸入しない、こういう二つのことで、ある程度解決されると思います。その点一つ農林大臣のお考えを承わりたい。
  80. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 余剰農産物について軟質小麦を受け入れないということを、ちょっとここで断言するわけにはまだいきません。いろいろ交渉中でありますから……。私といたしましては、硬質を入れるということに交渉を進めさせるようにしておるのでありますが、さりとて、全然硬質だけに限るということに交渉がいくかどうか、また交渉の経過によりまして申し上げる機会がありましたら申し上げたいと思います。
  81. 東隆

    東隆君 硬質小麦の輸入、軟質小麦を輸入しない、こういうことについて一つ強力に意見を推し進めていただきたいと、こう思います。  それで、その次に市場関係でありますが、御承知でありましょうが、アズキですが、これがちょうどばくち打ちのおもちゃのようにされておるわけです。例年されておる。それからスルメですね。これが先日函館の海産物市場において問題を起しております。スルメ、それからアズキ、こういうようなものを考えてみますと、これは北海道関係でありますが、農業協同組合の連合会が共販体制の確立をしておる。それからスルメについては、道漁連が漁業協同組合の系統でもってほとんど統制をとっておる。コンブは全量をやっておりますし、それからスルメは単協と合せますと、これもほとんど協同組合が握っておるわけであります。そういうようなものが、市場でもって売った買ったでもって問題を起しておる。こういうような場合に、農林省としては、スルメであるとか、あるいはアズキのようなものは、これは当然上場をしないようにすべきじゃないか。上場することによって混乱を起してやるよりも、かえって協同組合等の共販体制にまかせて、そうして安定した価格でもって消費者に供する、この態勢を作り上げるべきじゃないか、こう思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。依然としてアズキのようなああいう、一万円以上になってみたり、あるいはぐっと下げてみたり、北海道の生産が少しふえたといってがたっと下げてみたり、とんでもないことばかりやっている。こういうことを繰り返されるお考えであるか、これは私は非常に問題だろうと思う。輸入をするのならば、国内の事情を十分に考えて、そうして相量当を輸入する、そうして安定した価格でもって消費者に提供する、こういう態勢を作るのが、これが農林省としての態度でなければならぬと思うのですが、市場関係を、農林省はあわせて握って、そうして今そういうような混乱を起しておるわけで、これに対してどういうお考えをお持ちですか。
  82. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) アズキとか雑豆、スルメ等におきましては、統制しているわけでありませんので、これを直接価格の安定を農林省自体として強力に推し進めるわけには参らぬと思いますが、今のお話の輸入等につきましては、価格の変動を来たさないように、十分の考慮をしながら、外貨の割当とか輸入の点につきまして慎重にやっておる次第でございます。上場を禁止するかどうかというお話でありましたが、今統制しておりませんので、そこにまで手を加えるかどうかということにつきましては、今結論は持っておりませんが、相場の変動につきましては、極力変動のないように、間接的に輸入その他につきまして考慮を払っていきたい。今考えておるところはその程度であります。
  83. 東隆

    東隆君 上場を禁止しない、そうして価格相場その他については、輸入その他によって調整をとる、こういうお考えですか。もう一歩進めて、農産物価格安定法の中にアズキを入れる意思はございませんか。
  84. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 農産物の価格安定の制度というものは、非常にいい制度だと私も考えております。しかし、一面におきまして、範囲を相当広げていくことがいいかどうか、これにつきましては十分検討していかなくちゃならぬのではないかと、こう思うのでありますが、農業生産というものは非常に不利な状況にありますので私から申し上げるまでもなく、世界各国におきまして農産物の価格安定制度というものはとられておるのであります。そしてまた、日本におきましても、農産物の価格安定制度において、安定法の中に数種類の種目が入って、これによって安定の突つかい棒をしている。さっきもお話がありましたように、まだ本式な制度になっておりませんので、たとえば澱粉等につきましては、価格安定をしていると同時に、手持ちも相当持っているわけであります。それだから、これは価格安定からはずすという考えは全然ありません。新たにアズキ等を入れるかどうかということにつきましては、まだ研究の余地が相当あるのじゃないか、こういうふうに考えておりますので、今直ちに価格安定法の中にアズキを入れるということにつきましては、考えておらない状態であります。
  85. 東隆

    東隆君 政務次官は北海道の豆の産地の十勝におられるのですから、よく一つ政務次官の意向を聞いていただきたいと思います。おそらくアズキを初め雑豆を価格支持政策の中に入れたいという意思をお持ちだろうと思います。  それで、これはその程度にしますが、澱粉の問題については、私は九月の三十日に価格を発表されたことについて、私が年来希望をいたしておったことが達したのでありますが、その点は感謝いたしております。価格の問題はいろいろ関係がありますが、もう一歩政府はこの際、あの程度の価格でもって決定をするならば、四月一日にさかのぼって価格の決定をして、そしてもっとイモ作農家を安定させる方法をお考えになりませんか。九月の三十日では耕作面積を加減することもできませんし、それから生産に対する意欲を起すことにもなりません。そこで、あすこまで進んだのでありますから、四月一日に価格を発表して、そして農家をして耕作の選択をさせる、面積の選択をさせる、作物の選択をさせるという余裕も与えるし、作ったものについては生産意欲を起して増収をはかる、こういうようなことに持っていくならば、私は相当価格安定ということになりますし、農家の生活安定毛可能だと思う。そういう点を考えますと、今のようなやり方では、たくさんとれたら価格を安くする、こんなようなとんでもないことが起ってくる。そこで、四月一日に発表すると、こういう意見を私は申し上げるわけでありますが、いかがですか、その点は。
  86. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 米につきましてそういうような制度もとっておりまするし、価格を早くきめるという制度もとっておりまするし、また戦争中などで米の供出を事前に割り当てたというような例もあったのでありますが、なかなか、お考えは非常にいいと思うのでありますけれども、その通りに生産制限をしたり、生産を拡張したり、価格の面だけでついてくるということであると、非常に今の四月中にきめるということは効果的であろうかと思います。で、今年といたしましては、消極的に買いたたかれるということを防ぐということで、九月中ということで価格を発表したのであります。今のお話でありまするというと、生産に計画性を持たせる、こういう意味で早く価格の決定表示をしたらいいじゃないかというお考えのようでありますが、そこでこの点は澱粉等の対策につきまして一つの協議会を作りたいと思っております。砂糖の自給度を高めるという意味におきまして、テンサイの作付等もふえておりますので、その面からの砂糖化ということもなお進めたいと思いますし、澱粉の結晶葡萄糖化ということも進めていきたいと思いますし、消費市場を広げていく、こういうことも考えております。それからまたカンショ、バレイショの生産費を低下する、あるいは作付等につきましても、転換をはかるべきものははかるというような考え方などを持っておりますので、そういうことを総合的に、澱粉等の対策につきましての協議会を設けて研究してみたいと思います。今のお考えも研究の中における一つの重要な課題だと思っておりますので、研究してみたいと思います。
  87. 東隆

    東隆君 もう一つ、これは輸出をする農産物関係ですが、これについては水産物のカン詰あるいはミカン、そういうようなものが相当成績を上げておるようでありますが、除虫菊、ハッカ、これは戦前相当輸出をしておるわけであります。それが戦争中の政策で非常につぶれてしまっておったわけでありますが、最近復興いたしておりますが、そこでこれをやはり海外に輸出をする必要があると思う。この点については、私は当然水産物輸出振興に関するあの法律と同様なものを農産物についてもお考えになる必要があるのじゃないか、そうして輸出を振興させる必要があると思う。これは私が一番初めに質問をいたしましたことに関連をいたしますので、この点についてどういう施策を考えておられますか、お聞かせ願いたいと思います。
  88. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ハッカとか除虫菊等は農産物としても輸出する重要なものでありまするし、その輸出の道をなお広げていきたいと思います。お話のように、戦前は相当ハッカ等も出ておったのでありますが、戦争中に輸出のパイプが詰まったといいますか、いろいろ支障が来て中絶しておるような状況であります。しかし、最近の状況を見まするというと、アメリカあるいはその他におきましても、日本のものにつきまして非常に食指が動いているといいますか、需要も増してくるというような傾向にあります。でありますので、戦前に開けておった道を復活をしていくというために、海外貿易振興会、ジェトロ等にも駐在員を置きまして、日本のハッカ等の宣伝に努めさせておるわけであります。あるいはロンドンにも駐在員を置きたいということで、新規要求をいたしております。あるいはまた現物の見本市というようなほどでもありますまいが、現物をアメリカあるいはイギリス等に送って、その他の国々にも出しまして、日本のハッカ等に対する認識を深めて、販路を広げていきたい。こういうことにつきまして、駐在員あるいは宣伝の利用度につきましても、十分に考慮していきたいと考えております。
  89. 千田正

    ○千田正君 今の輸出農産物のうちで、最近相当国際市場で問題になっておるベニヤその他の輸出に関する問題、生糸、絹製品等に関する問題、これはことごとく国内においては農林その他に関する政策に非常に響くものでありますが、ことに最近のベニヤに対する問題などは、アメリカ側はある程度これを排撃するような空気が出ておる。水産物もその通り、こういう問題に対しまして、単に海外出張所を設けて、見本を出して、そうして商品の販路獲得という問題ばかりではなく、その国の国内における購売力なり、あるいは政策というものにまである程度まで推し進めていく方法をとらない限りにおいては、日本の輸出貿易というものはまず動いていかない。私は、この点について、農林省は通産省との間において十分な了解のもとにやっておるとは思いますけれども、ことに生糸であるとか、あるいは綿製品、あるいはベニヤ板というような問題は、非常に今後の輸出に関する重大な問題でありますので、この際大臣の所見としまして、この問題についてどういうふうにお考えになりますか、関連してお尋ねいたします。
  90. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 生糸、水産物のカン詰その他合板ですか、ベニヤ板等は、日本の農産物輸出としても重要なものであります。でありますので、生糸につきましては、御承知通り、全世界に相当宣伝もしております。それから水産物のマグロ等につきましては、この間も、日本品の排撃が業者の間にありますので、農林省からも人を出しまして、今の水産庁長官がアメリカに行きまして、向うの業者、こちらの業者も加わりまして、両方から宣伝費を出して、そうして需要を広げよう、こういうことで行ってきましたが、その結果は非常によかったのであります。そうして向うの業者との話し合いもつきまして、マグロ・カン詰等につきまして販路を広げてきたような状態であります。  生糸につきましても、現在も消費宣伝をしておるのでありますが、これにつきましても、向うの政府当局あるいは業者等と、消費宣伝その他いろいろな方法につきまして、販路を進めていきたい。合板につきましても、どうも向うの業者、あるいは向うの同じような仕事をしておる者でしょうが、輸入につきまして、こちらからは輸出でありますが、反対といいますか、輸入制限をするというような空気が強いので、これは外交的にもそういうことを排除すると同時に、消費の販路を広げるために、総合的に日本品の消費を進める方策につきまして、研究を進め、販路を広げるように、出先に人を出しましたり、出先を通じて向うの業者と話し合いをしましてやっておる次第であります。  今のお話のように、外交的にはどうも、日本品の輸入制限という形がありますが、ドルをあまり持っている国などで、やはりドルが片寄ってい過ぎるんじゃないかというような話し合いも、実は大蔵大臣などが行ってそういう話題が出ておったそうです。西ドイツ、アメリカなどでも、この輸入制限の問題等とからんで、輸入制限というようなことで、ドルが片寄ってはしようがないじゃないか、もう少し輸入を進めるべきじゃないかというような話し合いが出て、西ドイツなどでは率先して輸入を進めるというような話し合いがあったそうであります。アメリカ等につきましても、外交的にそういう道を開くと同時に、農林省関係の輸出農産物につきましても、販路を拡大するということにつきまして努力を続けていきたい、こう考えております。
  91. 島村軍次

    ○島村軍次君 先般来赤城農政がお出しになった白書並びに政策要綱について、国内といいますか、いなかへ帰っていろいろ承わってみますというと、総体的には評判はいいようであります。しかし、一体この評判はどこまでどう実現するかということが問題になるのであります。そこで、まず第一にお聞きしたいと思いますのは、白書なり今度の政策及び今度の要求されました予算書に対しまして、自民党との間の政策上の協調はどういうふうにおとりになって、白書は自民党内における、つまり政策審議会の方で十分審議の上で農林大臣はお出しになったのであるかどうかということを、まず第一点に承わりたいと思います。
  92. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど北村さんからも白書の点ににつきまして御指摘があったときに申し上げたいと思ったのでありますが、白書は実はその政策というものを盛り上げないで、あの表題にもありましたように、農林水産業の現状と問題点ということで、現状を分析して、問題になるところを指摘していこう。  その一つの目的は、われわれ農林政策あるいは農林行政を担当する者といたしましても、一応農林政策あるいは農林行政のたどってきた道筋を分析し反省してみようということが一つのねらいであったのであります。  もう一つは、農林水産業に関係のある方々は、非常に農林水産業が立ちおくれの産業でありますので、これを盛り返して他産業に追いつくようにしたいという熱意を持っているわけでありますが、農林水産関係以外の人から見ると、とかく農林水産業に関心が薄いのじゃないか、そういうことであってはこれは困るということで、農林水産業の現状と問題点を分析して、農林水産業に深い関心を持たない人にまで農林水産業に対する理解を深めてもらいたい。  こういう二つのねらいから農林白書を出したわけであります。そういうことでありますので、党の方との内容についての連絡というようなことは、別に考えなかったわけであります。現状の分析ということですので、党の方と白書につきましては打ち合せ等はいたしませんでしたが、そういうものを出すということにつきましては話はしてあります。
  93. 島村軍次

    ○島村軍次君 白書についての御説明はそれでわかりましたが、政策要綱については、お示しになりました点は農林省議の決定として御発表になっているようであります。そこで、その点に対する今度の岸内閣の予算に対する基本構想との関連、まず第一に、政策要綱はこれは閣議にお諮りになった問題であるかどうかということ、それから自民党との間の政策審議会において十分御検討になった問題であるかどうかということ、あわせて三十三年度予算に対する基本構想との関連はどうか、この三点について大臣の御所見、経過を御説明願います。
  94. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 政策要綱あるいは予算要求についての具体的な問題につきまして、閣議には諮っておりません。閣議におきましては、はっきりした予算の裏づけがないものを、あまり先走ってこれを提案し、協議するということは、お互いに差し控えようじゃないかということになっておりますので、閣議にはまだ諮っておらないわけであります。  それから政策要綱あるいは要求予算の基礎となる政策としましては、農林省として長期計画とにらみ合せながら省議決定いたしたわけであります。しかしながら、政党政治下の現在でもありますので、党の方にも連絡いたしまして、必ずしも党の政策と全面的に一致しておるというわけではありませんが、違っておるという点はあまりといいますか、ないのであります。これは党の方の農林部会等とも緊密な連絡をとりまして決定いたしたのであります。ただ、私どもの考え方と党の方の考え方におきまして、どれを重点にするかというような問題はあろうかと思いますが、別に私の方で発表いたしました政策と違っておる、あるいはそごしておるという点はないのであります。党の政策の方の関係者と打ち合せはしてある次第でございます。
  95. 島村軍次

    ○島村軍次君 さらに進んでお伺いいたしたいと思いますのは、一般の農村といいますか、農民側から申しますと、すでに政策要綱が発表されて、それに対する予算要求等も新聞にある程度まで発表されておる。本日この予算要求書を拝見いたしますると、前年度予算の八百五十億に対して千七百億である。しかもなおまだ未決のものを合せますと、二千億要求しておる。この構想に対してはまた別の機会に御批判を申し上げるといたしまして、ただ端的に、農民側から申しますと、果して白書なり要綱というものは、まことに美文的できれいであるが、赤城農林大臣はどの程度この予算獲得に対して責任をもって三十三年度予算に実現されるかということに対して、非常に不安を持っておる。それに対しては、まあこの際大臣としては非常な御覚悟をお持ちになっておるだろうと思うのでありますが、端的に農民に対してわかりやすく説明する材料を、この農林委員会で御発表を一つ願いたい。
  96. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) これは内閣全体としての予算のワクもあろうかと思います。しかし、農林予算というものが、御承知通り、ここ数年来非常に減らされてきております。そういうことでありますけれども、ことしの豊作等を見ましても、国が安定しておるというのは、天候ばかりでありませんで、いろいろな技術の面とか、土地改良の面、農薬の面、農民の努力、こういうことがあずかって力あると思うのであります。その点から考えましても、国に貢献しておるこの農林漁業関係者の生産性の向上と、土地あるいは基礎的なものの生産性、あるいはふところ工合の生産性、労働の生産性というような点も考えて、今までのようなことでなく、まあ盛り返すといいますか、農林予算について政策の裏づけを相当持たなければならぬ、出すべきである、こういうことで財政当局とも折衝を続けておるわけであります。で、予算の獲得につきましては、いろいろ方法もあろうかと思いますが、農林省といたしましても、今申し上げました現状と、それから筋を立てて政策面で極力予算を増して政策の裏づけをさせたいということで、目下財政当局と折衝を続けておるような次第であります。
  97. 島村軍次

    ○島村軍次君 これはたしか九月の二日の記者会見での大臣の御言明だと拝聴いたすのでありますが、不当に低く押えられているから、明年度予算ではうんとがんばって、これまで損をしていた分を取り返したい、こういう表現をされておるようですが、さように一般に対して説明をいたしてよろしゅうございますか。はなはだどうも端的に承わるようですが。
  98. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 私も野人でして、言葉がまことに粗末な言葉で、損していたとか何とかいうような表現に新聞記者諸君にとられて、そういうことに書かれておると思いますが、今申し上げましたように、農林政策を行うとしても、金の裏づけがなかったらできないじゃないか。ところが、その予算というものが年々減ってきておるような状況で、農山漁村をどうも粗末にするような傾向があるということは、まことに遺憾であります。でありまするから、まあ巻き返しといいますか、農林予算につきましては巻き返しをして、予算の裏づけをうんとしてもらわなければ、絵にかいたもちみたいになってしまうから、そうでないようにいたしたいと、こう考えております。それにつきましては、一つ島村さんたちにも御助力を願うし、ほかで、北海道でもこの間農民大会がありましたが、どうも私絵ばかりかいているようなことではまことに申しわけないから、国民としても私どもに力づけをして、予算相当裏づけするように御協力を願いたい、こういうように話しておりました。そういう気持であります。
  99. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、政策を、少し内容についていろいろ批判が出ておるようですが、その中でまず国際収支の改善ということが、これは閣議決定にされております。そういう点から考えますというと、また今日の金融引き締めの情勢から考えますというと、なかなか三十三年度予算についても、いよいよ最後の御決定になる場合には、相当困難があることは予想されると思う。ほとんど前年度予算の倍額でなしに、それ以上の御要求をされておりますので、前年度予算要求千六百億に対して約半分の八百五十億、ことしの二千億に対してまあどの程度最後決定になるかということは、われわれは大臣の手腕を大いに期待をいたして、傍観ではありません、御助力を申し上げたいとは思いますが、そこで、発表せられた要綱というものは、あまりに総花過ぎて、どうもどれをとっても、みないいことだというような感じを与えておるようです。そこで、いよいよ予算の重点政策といいますか、そのうちで、農業の特質から申しますと、零細なるものが集まって初めて一本になるという考え方もあるようでありますが、特に予算上に対して、大臣が大いにがんばって、損をした分を取り返したいという御気分の重点政策は、特別に何に重きを置いておいでになりますか。二、三の例をあげて一つ説明願いたいと思います。
  100. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今年の豊作にも見られますように、戦後、土地改良等が相当進められてきた。これは豊作の一つの大きな原因といいますか、安定してきたという要素だと思うわけであります。ところが、土地改良、開墾、干拓等につきまして、事業の残り分が相当ありまするし、また農業政策として、これは土地ばかりではありませんが、生産基盤を確立していくということが、これは政府として当然とるべきものだと思うので、生産の基盤を確立していくという点につきましては、大いに力を入れたいと思います。  もう一つは、生産基盤の確立につきまして、どういう方面に力を入れるかということでありますが、田につきましては、稲作につきましては、これは依然として力を注いでいくわけでありますが、どうしても立ちおくれの形にあるところの畑地農業といいますか、畑地振興、これは強く取り上げて、この面の振興をはかりたい。それに伴いましては、当然酪農関係が結びつかなくてはなりませんし、いろいろな面で畑地農業と酪農との結びつきは不可欠のように考えております。畜産の方面に力を入れていきたい。  それから、流通、加工の方面でありますが、これは水産などとも関係いたしますが、流通、加工を進めて、価格の安定をはかっていきたい、こういうことで、この間も、満足ではありませんが、牛乳等につきまして対策の芽を出してきたのでありますが、その他の農産物等につきましても、流通及び加工、こういう点で価格の安定をもたらしたい、こういうふうに考えております。  その他、今のお話のように、やりたいことはたくさんあるのでありますけれども、そういう点を中心として、それに関連して、政策の裏づけである予算をつけていきたい、こう考えております。
  101. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、午前中に官房長説明を承わりますというと、企画庁でお作りになっておる五ヵ年計画との関係ですが、まだ政府全体としての発表の段階に至っていないようでありますが、しかも、それが毎年の机上の数字でなくして、五ヵ年間における一つの目標をはっきりしたものにして、それを示したいという御計画のようでありますが、ところが、われわれが最も不安として考えられることは、従来のこの種の計画が、えてして、まあお話のような、絵にかいたもちみたような感じを与えやすい点が相当あると思います。で、今度の白書なり、あるいは新政策の場合に、いずれ農林省において、相当はっきりした数字の上の基礎に立って、御計画を、五ヵ年計画の発表前とはいえ、お出しになっていると思います。横から数字を拝見いたしますと、従来の農林水産物については、つまり生産向上の目標を、すべてを通じて、三十一年度までに考えたよりは、相当大幅な生産向上を見込んでいる。三点幾らとかというようなこと、これは当局の御発表であろうと思いますが、それらに関する基礎資料も、大臣いずれ御検討になっておったと思いますが、それに対する御意見を一つ承わりたいと思います。
  102. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 農林政策といたしましては、私どもといたしまして、五ヵ年計画あるいは長期計画のもとで政策を策定したのでありますが、今お話しのように、国全体としての経済の見通し、あるいはまた計画というものもありますので、企画庁の経済計画等と、調整といいますか、にらみ合せながら長期計画を進めておるわけであります。  ただ、今のお話のように、この間経済白書にありましたように、経済の成長率を三%程度に見るという一般的な問題でありますが、立ちおくれの農産漁業等につきましては、成長率を三%程度に見ておるということはどうか、もっと成長海を高く見て、そのもとに計画を進めてもいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  103. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、先ほど問題になっておりました閣議決定の、輸出の伸張、振興を期するということは当然の施策であり、かつ、またこれに対しては、国全体として、財政計画の上からも、大いにお考えになっておることだと思うんです。で、先ほど承わったたとえば市場の調査とか、あるいは見本市を出すとかというようなことは、これは私はまだ微温的であって、そういうことは当然やらなければならぬことであるが、さらに進んで、先般もハッカの問題を北海道へ行きましていろいろ承わった際に、この席で経済企画庁等に要望いたしておいたのです。その問題は、戦前において輸出農産物に対しては、特殊の会社を作って、農林省相当肝いりをし、金も相当出して、そうして総合的にこれらの問題に検討を加え、かつ、また市場調査やら、全般にわたる施策を、農林省と相提携してやる会社を作り、しかも農林省の方から、局長をやっておられた人が出られて、社長までやった実績があるわけです。そこで、こまかい問題を抽象的にいろいろ言うよりは、一つ農林省はこの際、百尺竿頭一歩を進めて、それらの肝いりをして、大いに積極的に総合的な施策を作るための会社組織の構想はいかがでございますか。一つこの次の委員会までには、大臣と御相談の上で御発表願いたいというお約束を申し上げておるのですが、しかし、きょうは、おそらく渡部局長もそこまでは御答弁にならぬということを私は予感を持ちます。そこで、この際、もし構想があったら一つ承わるし、大臣のまだお耳に入っていないのであれば、至急に一つ御構想を立てられて、この問題に関する施策を一つ強力に推進していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  104. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今、海外貿易振興会等におきましても、農林関係の者を専任に出して、農林水産物の販路拡大に骨を折らしておるのであります。今のお話のように、根本的対策としては、輸出共販機構というようなものを確立した方が私はいいと思います。しかし、これにつきましては、通産関係の物資もありますので、競合的なものもあります。こういうことでありますので、私の方だけでということもどうかと思いますけれども、流通に対する対策委員会等を設けて、今の共販機構を確立していくという線につきましては、十分研究を続けていきたい、こう思っております。
  105. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、この問題については、私は特に希望を申し上げておきたいと思うのです。予算書のきょう出ましたのを見ましても、輸出の促進に関するやつは通産省所管に譲るというぐらいに書いてあるだけです。ところが、なだ農産物が伸びないかということは、輸出入業者の取扱いが、大きな鉄鋼とか、石炭とか、大きなもののそのそでに隠れて、都合のいいものだけを輸出し、バーターでやっておる。しかも、もうけ口の少いものはなるべく控える。これは今の自由経済下ではやむを得ないのかもしれませんが、これでは輸出農産物の輸出は伸びません。そこで、その点は、通産省との関係は大いにあろうと思いますけれども、この問題については特に一つ大臣は、別途にそういう隘路に対する御検討を願って、そうして大いに一つ輸出農産物に関する経綸を盛んに一つ、大臣の手でやっていただきたい。局長もなかなか忙しいようですから、お考えはありましても、これは大臣みずからで一つ部下を督励されまして、一つこの問題に関して特別な御熱意を持っていただきたいと、こういうことを希望を申し上げておきます。  まあ時間もありませんから、この問題はこの程度にいたしまして、もう一つ、農村を歩いてみまして一番重要な問題は、かゆいところに手が届かぬというきらいがあるのです、政策が。その第一の点は、何といっても金融上の問題です。いろいろ農林省でお考えになっておる問題がありましょうが、今度の政策のうちでたとえば土地改良に関して、あるいは小さいものは総合的にその地方の町村を単位にして計画して、そうしてその計画がいいと認められれば、それに対してはどんどん別途の方策を講ずるというようなことは、これはまあ今度の御計画としては私は最も適当だと思うのです。ただ、その場合に一番、今申し上げたように問題になるのは、財政投融資の問題なんです。しかも、これは本日の新聞を見ましたが、農林金融公庫は出先の機関を置いて、そしてまあ農林中金が間で一つの問題を取り扱うのに一年もかかって、輸出農産物の私の県に例があるのです。輸出農産物をほんとうに早くやろうというので、大臣御存じでないと思いますが、クレックスというものがありまして、花筵に類するもの、これの販売態勢を確立しようというので、一年がかりでやっとこの間決定した。そのうちには商況を逸し、土地の設備をやるのに一年も半年も過ぎてからというので、ちゃんと設備を予定しておった倉庫とか事務所というものは、半年も過ぎたから、お前のところは売ってはやらぬということを言い出した。しかも、この百姓出身の組合長なんかしびれを切らして、どうも熱の程度が減ったというような実例もあるのです。その当時やっておれば、それが輸出業者との間にちゃんと契約ができておったのだから、どんどん伸びておったと思います。  そういう手続上の問題も一つありますとともに、一番問題の大きいのが金融公庫の金利の問題これはなかなかむずかしい問題だと思うのでありますが、この今度の政策のうちに、なかなか金利を引き下げるということは、お話しになることは困難であろうと思いましたが、私は公庫資金については、せっかくでき上った公庫は、今では金利は安いものでありましょうけれども、これはまあ大臣が御経験の通りに、やはり今ではまだ戦時中のそのまま残っている長期でしかも低利のものは、農村に潤っていないということが一番の大きな問題だ。これに対するお考えなりを、至急にその点を御検討を加えていただいて、思い切って出していただきたい。しかも、それは今の金融ベースに合うということになれば、私は府県なりあるいは国で特に特別のものについては、いわゆる利子補給の制度も考える、こういう方法を考えていただきたいということを希望を申し上げておきます。  そこで、あともし希望と同時にお考えを伺うことができますれば、御発表願うと同時に、もう一つつけ加えてお願い申し上げておきたいと思いますのは、総合計画をやる場合に、どこかの新聞論調にもあったと思いますが、どうもやはり一番抜けておるのは、大臣のお考えはわかりましたけれども、流通対策に対して、生産性の向上をいろいろな面からはかっても、もう流通問題でいつでも行き詰まるというのは、これは農産物の欠陥なんです。これに対する機構もない。そこで、これは先般のハッカの対策のときにも私はその案を渡部局長に提示しておいたのですが、ある団体で、こういう問題に関して扱っておる、たとえば全販連等で加工なんかのプール的な技術者を持ち、そうして商況もよくキャッチするというようなものを置いて、そうして加工なり流通対策に対して特別な助成でもされて、これを伸ばしていくという考え方をもってやるということが必要だと思うのです。流通対策に対する、今までお考えになっておる価格安定という問題に対する具体的な政策が、私はもっと検討さるべきだと思うのです。今度畜産の方で御発表になっておる問題についても、われわれから見ればはなはだ不十分である。これはまた別の機会に御批判申し上げるとして、もっと積極的な政策を現わしていただきたい、これが一つ。  もう一つは、かねて本委員会におきましても、委員会の各委員の総意として、開拓政策に対する根本的な考え方を改めてもらいたいということは、これはもっとゆっくりやろうじゃないかということでそのままになっておりますが、ある程度の点は出ておりますけれども、各委員のお話にありまするように、他の先進国といいますか、相当に思い切った開拓政策というものを考えていただきたい。だから、これに関するうんと強力な施策を願いたい。  それからもう一つ、具体的に例を申し上げて御意見を承わってみたいと思いますのは、林野行政と今度やられる総合開発計画との関係なんです。開拓政策が、農地を開墾してそのあとへ畑作を作るというような肝心な考え方でなくて、先般農政研究会でもとの農林大臣にお供をして北海道へ行ってみまして、林野の経営と農業経営とをあわせて非常にうまくやっておる経営組織を見てきたのです。これは林野庁の営林局長が特別に見てくれということで見たのですが、私はかねての意見が現実にもう出ておる、しかも、その政策一般的にはよくいわれておるけれども、なかなかこれが透徹せぬのは、やはり林野行政と一般農林行政との間の横の連絡というか、総合政策が不十分であるという結果であると思うのです。先般私の県で中間部の土質のいい所ですけれども、山の上の開拓地の総合計画というものを農林省に今お願いしておるのですが、そこらへもっていって農地局の関係の人が、開墾面積何千町歩といっても、林野の開拓というものは含めてない面積なんです。これでは総合政策にならぬ。だから、牧野とあわせて林地の略奪林業をやらずしてやるべしという意見を私は付しておったのですが、今度の農林政策のうちで一番欠点であると思いますのは、ちょこちょこ出ておりますけれども、これはまだ非常に不十分です。現実に北海道における実際の例を見ても、成功しているのですから、この点に対しては、今度の総合開発計画のうちにぜひ加えていただきたいと思います。  以上の四点でありましたか、希望を申し上げまして、もし、お考え全部でなくてもよろしいが、お答えを願えますれば承わってみたいと思います。
  106. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 生産の基盤が確立されても流通対策等に十分でないということではまずい。お話の通りでありますので、流通対策につきましても強く配慮しているわけであります。そこで、今の全敗連等とかその他の農業団体に調査を依頼することも一つの方法でありましょうが、そういうことの結論を得る前に、省内に流通対策委員会を設けましたので、流通方面につきましては十一月末ごろまでに結論を得て、方向をなおはっきりとさしたい、こう思っております。  開拓事業につきましては、これまたお話の通り、強力に推し進めるつもりであります。同時に、政策の中に出しておきましたが、地元増反、こういうものも含めて、先ほどもお話が出ましたが、二、三男対策というようなこともありますので、地元増反によって、全部を外から入植するというようなことでなくて、地元の人にもそこに入ってもらう、こういうような方策もとっていきたいと思うのであります。  林野関係一般農業関係との連絡が不十分じゃないか、こういう御指摘でありましたが、全くその通りだと思います。私も持論といたしまして、新しい農村の基盤を作るというような場合には、やはり田と畑と林野あるいは草地、こういうものが相当均衡のとれたものでなければ、将来長く、いい村とし、いい農村として育っていくはずがないという考えを持っておりますので、実は省議等におきましても、常に林野の造成というものが開墾あるいは干拓——まあ干拓は別といたしましても、開墾等につきまして、林野をすべて開墾するということでなくて、林野も残して育成するというような調和のとれたものにすべきじゃないかということを指摘しておるわけであります。でありますので、総合開発計画につきましては、林地の経営というものをどうしても結びつきをさしたい、こう考えております。それにつきましては、なお土地利用調査というようなことをこれからやっていきたいと思いまするので、あるいは草地として存続さすべきものか、林野として存続さすべきものか、それと開墾等との結びつき、畜産等との結びつき、畑地農業との結びつきなどを考えて調査を進めていきたい、お考えのようなことをなお一そう強く推し進めていきたい、こう考えております。
  107. 清澤俊英

    清澤俊英君 次官がお戻りですから、ちょっと関連で、一つだけお伺いしたい。  大体三年続きの豊作が、土地改良で、土地解放の上で、農民が非常に安定した土地政策において耕作している、それから米の統制で価格安定の上に思い切った施策をやっておりますことが豊作の原因だと、こういわれているのですが、これに対しては別に御異議はないだろうと思う。従って、先ほどから島村さんも言われるし、ことに東君が提出しましたアズキ等の清算取引ですか等を、今東京穀物取引所、大阪等でやっておりますが、これらは全く、前にも一回ありますし、今年へ入りましてからも一回あるが、全くこれは投機の対象であって、価格の、正当なる市場価格を出すための取引所の機能を果しておらぬと思うのですが、こういうものがもうはっきりしておるにもかかわらず、まだ何か奥歯に物のはさまったようなものの言い方をしておられるので、全く困るのですが、どう考えられるかということと、  明日は秋葉原の東京中央市場における神田青果会社の問題に対していろいろ質問もしてみたいと思うのでありますが、これらが、新聞等を見ますと、生産者も非常な不平であり、消費者も非常な不平であり、ほとんど中間経費が生産者の経費を上回るがごとき各経費をなしておる。こういうものに対して積極的な、何か農林省としてはお考えをまだ固めていないんですか。こういう問題に対しましては、私は根本的にもう改革せんけりゃならぬ実情に入っているのじゃないかと思う。先般も何か新聞を見ますと、千葉県。千葉といいますと東京の私は台所だと思う。そこでトマトを作って、十貫目出して八円とか十円とか。町では百目二十五円から三十円くらいで売られている。これでは、生産者も消費者も納得できない市場というものが存在しておるということになるのですが、これはない方がいいのじゃないか。こういうものに対してもっと積極性がなかったら、私はとうてい畑地振興とかなんとかいうてみましても、納得できない問題になるだろうと思う。言うただけの話で、物を作って豊作貧乏になるくらいのもので、問題にならないと思うが、それをただ十一月ごろになりましたら、流通機構の整備の委員会を作ってこれから考えるじゃ、どうもおかしいのじゃないかと思う。もっとはっきりした線を一つ聞かしていただきたいと思う。
  108. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 政府が全面的に統制をいたしておるのならば格別でありますが、現在全面的な統制経済を行なっておるわけではないのは申すまでもありません。さりながら、そのまま放任しておくということも、価格安定の点から、今のお話のような事態が出てくると思います。しかし、生鮮食料等につきましては非常に、統制といいますか、困難であります。取引上あるいはまた市場等は、自由経済下におきましては、私から申し上げるまでもなく、需給の調整、価格の調整というような機能をしておるわけでありますが、それが逸脱するというようなことであってはいけませんので、この間も神田青果の内容等を調べてみますというと、生産者にも迷惑をかけているし、その他取引の内部におきましてもどうかと思う点がありましたので、これは取り消しを命じた。こういうようなことで、直接統制ではありませんが、間接に監督といいますか、措置はとっておるつもりでおります。今のトマトのようなことになりますと、実際問題として非常にむずかしいことでありますが、こういう点につきましても、十一月に流通対策委員会を設けるということでありませんで、もう設けてありますので、十一月末までには結論を出したい、こういうことで研究を続けているわけであります。
  109. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、市場対策などについては、農協がもっと、私は、販連が米の集荷手続の上にあぐらをかいているようでは、農協の機能が私は全くないと思う。蔬菜等にしましても、ある程度計画生産ぐらいはやって、そして生産品のある程度の統制ぐらいはやって、農民の生産と価格を維持するぐらいの気持が要ると思う。そういう点の御指導はなさっているのですか、どうですか。それらの指導費をもっとうんと出してもいいと思う。
  110. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) その点はお話の通りでありますので、私は牛乳対策等につきましても、酪農協同組合等と業者との間に団体協約といいますか、そういうことを普及さして、年間を通じて価格の安定をさしたい。繭につきましてはそういうような形になっております。その他、今のお話のように、農協等が市場の状況等を勘案して、そうして共同的に販売はもちろんすると同時に、団体協約的な面を進めて価格の安定をはかりたい、こういうことにつきましては、今着々とそれを進めてするようにやっております。
  111. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の言っているのは、何かこう販売者と話し合いをつけているという話ですが、そんなものじゃないだろうと思う。もっと需給の関係を勘案して、生産する上に、各県連で大体の集散地というものはわかっているのですから、そういうところである種の統制をとって、作付面積等を農協がきめていけば問題ない。そういうような指導ができないのかと、こう言っている。そうでもしなかったら、今の資本主義機構の中のいろいろの機構を全部変えるというわけにはいかぬ。変えるというわけにいかんかったら、それぐらいのものを一応許して、独禁法等の関係も出てきましょうから、そういうような法律的根拠を与えて、農協をもっと活動させることが必要ありはしないか、そういうお考えあるのかないのか、こういうことなんです。
  112. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 今のお話のような考えをもって進めております。
  113. 北村暢

    ○北村暢君 私は、島村委員の質問に対して、農林白書というものは、ここに書いてあるように現状と問題点を出すだけで、政策等は直接密接な関係がなくて、問題点を出しただけである、こういうふうに受け取れるような言葉であったのですけれども、私は、少くともこの農林白書というものは、そういう簡単な問題ではないと思う。で、農林省が今度初めてこの農林白書というものを出したということは、白書そのものの内容については、私も私なりにまだ批判もあり、突っ込み方の足りない点についても批判はあるわけですけれども、とにかくこの農林白書で訴えていることは、私はやはり今日の農林政策なり農林行政というものが非常に後退の一途をたどって、そしてこれ以上はもう後退できない。その中における農林官僚の、しかも良心的な人の抵抗として現われてきている。だから、これは一部に批判されているように、農民に言って聞かせる白書ではなくして、大蔵省に言って聞かせる白書だとまでいわれているぐらいで、私はこの悩みというものは、農林官僚はみな感じているだろうと思う。そういう中から出てきた私は白書だと思っているのです。それに対して大臣は、簡単に、これは現状と問題点を出したのだというふうに処理されてしまうというと、非常に苦心をして作った白書というものが、私は生きてこないのじゃないかと、そういうふうに片づけられてもらっちゃ困るのじゃないかと思うのですよ。そしてまたこの白書から、私どもは今度の新しい政策というものが出てくるのだ、そういうふうに期待しておる。ところが、出た政策を見ますと、総花的で重点の抜けたる政策である。たとえて例をあげれば、開拓の問題についても、ここでは新規入植の戸数を確保するというこになっている。これでは、せっかくこの白書の中で今までの開拓というものを振り返ってみて、失業救済的な、引揚者の腰だめ的な開拓政策であったということの批判の中から、ようやっと今大がかりな機械開墾というのが試験的にやられているというものが出てきたということで、新規の入植者の戸数を確保するということではなくして、この貧農を作るような開拓政策というものを改めなきゃならない。これが私は今度の白書の中から生まれてくる新しい政策でなきゃならないと思うのです。だから、今までのような貧農を作るような開拓事業じゃ、刷新など何にもなっていない。そういうことでないというふうに私は考える。従って、この白書はやはり白書なりで、この後退する農政というものを阻止するところのまあささやかな抵抗である。これは一つ大臣は責任を持って、との点のせっかく予算を取ることを言明せられている大臣ですから、ここで一つ農林政策のこれ以上の後退ということは、極力大臣の責任において阻止していただきたい、こういう希望を申し上げておくわけです。  それから、もう一つお伺いしたいのは、食糧管理の運営の問題との関連でありますが、合理化の問題でありますが、この合理化の中で、大体新しい政策の中でうたわれているのは、食糧調査会の結論が、食管の運営の合理化が大筋である、こういうふうにまあ理解するのでありますが、この前の消費者米価の値上げのときに対する問題、それから今度のイモ類、澱粉の価格の問題、こういうような中で、私は食管管理の運営の合理化ということが、合理化はもちろんでありますが、その中に含まれてくるものが、ひいては間接統制に行くコースをたどっておる、こういうふうに感ずるわけです。従って、一部の新聞には、先回りしたかどうかしらぬが、農林事務当局は間接統制の準備を始めたというようなことまで出ておることを、新聞で見たことがあります。これはまた、その新聞の記事がほんとうだとするならば、実際に農林省がそういう間接統制の準備に入る作業を始めたのかどうか。それからまた始めないにしても、来年度はこの間接統制に絶対にしないのかするのか。今日のこの予算説明書等をもらいましても、食管関係だけは薄ぼんやりとして、出ていない。われわれちょっと見ましても、非常に食管の特別会計そのものが、まあ大蔵省との非常にむずかしい折衝もあるのでしょうけれども、困難な状況にあることだけは内々感じがするのであります。そういうような点からしても、今間接統制の準備をするのか、また来年度は絶対にやらないのかどうか、その点を一つここで明確にお答え願いたい。  それからもう一つ、検査制度の問題ですが、検査制度の問題について、合理化ということと関連をして、委託検査費目の整理をやるということが考えられておるようでございます。その委託検査のものが、従ってこれが整理するということはやらないということですから、県営なり何かでやる方法になると思いますが、そういうような方向で、ひいてはこの検査制度そのものが国営検査で持続するのか。一部の県等で聞きますというと、もう検査制度そのものが県営になるかもしれない、そういう中で、どうせ食糧事務所なり何なりの庁舎なんというものはどんどん今のうちに作っておけ、どうせこれは県営になってこっちにくるのだからというようなことすら聞くのであります。従って、検査制度の問題について、国営検査を今後ともずっと持続してやっていくのかどうか、この点についてお伺いしたい。以上です。
  114. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 農林白書につきまして、先ほど現状の分析だと、あるいは農林関係以外の人に認識してもらうのだということを申し上げたのでありますが、簡単にそう考えているわけではありません。今のお話のように、農林行政というものが相当他産業と比較しまして不利な立場に——一時はよかったのですが、落ちてきたと、こういうことを実は私どもといたしましても反省し、一般にも認識してもらう。でありますから、直接に政策とは関係がありませんが、こういう問題点があるので、これにつきまして政策も立てていかなければならぬ、こういう考えで真剣に考えて作ったものであります。そのためにわざわざ出したのでありますから、簡単にただ反省すべきだ、分析すべきだということでこれを終らしめるということではありませんので、農林行政の後退を阻止し、前進をするというような考え方はもちろん、お話の通りに持って作ったものであります。その点御了承願いたいと思います。  それから食糧管理制度につきまして、いろいろ政策の面を見て、臨時食糧調査委員会結論をそのままとっておるだけじゃないか、間接統制に移すという準備もしておるのじゃないか、こういうような御指摘でありましたが、臨時食糧管理制度調査会の意見は相当尊重して取り入れております。また、あの調査会におきましても、間接統制に移すべきだといったような意見も相当ありました。ありましたが、私といたしましては、現在の制度を続けていくというふうに考えております。というのは、間接統制に移すということになりますれば、最高価格、最低価格というものを作らなければなりませんし、それにつきまして非常に消費者価格が上るということでありまするならば、政府の手持米を放出するということをしなければなりません。それにつきまして、まあ大ざっぱな考えでありますが、相当量の、千万石と言うような人もありますが、相当量の操作米という準備も要りましょうし、また非常に価格が下るということになりますれば、これは政府で買い上げて価格を引き上げるというために相当額の金を準備しなければならない、こういうようなことが、戦前の朝鮮、台湾を失った、また需給態勢が確立していない日本においてでき得るかどうかということにつきましては、相当研究の余地があると思いますので、私は、現在やはり食糧管理制度というものは続けていくべきものである、従って来年度におきましてこれを間接統制に移すんだというような考えは持っておりません。またそういう準備を進めておるわけでもありません。  それから検査制度のことでありますが、国営をやめてだんだん県営にでも移してしまうんじゃないか、地方においては県営に移るという前提でいろいろ建物等につきましても準備をしておるというようなことは、私初耳であります。私は、現在といたしましてはやはり今の制度がいいと思いますが、中にはまた個々的には委託に移した方がいいものもあるかもしれません。しかし、まだ私はその点について聞いてもおりませんし、詳しい研究もしておりません。
  115. 堀末治

    委員長堀末治君) 本件については、本日はこの程度にいたします。  なお、大臣に申し上げますが、この二十九日と三十日に、もう一ぺん委員会を開きたいと思っております。そのときにまた新たに御出席を願わなければならないと思いますが、どうぞよろしく。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時八分散会