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1957-09-11 第26回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月十一日(水曜日)    午前十時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            藤野 繁雄君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            柴田  栄君            関根 久藏君            仲原 善一君            堀本 宜実君           小笠原二三男君            北村  暢君            鈴木  一君            戸叶  武君            梶原 茂嘉君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   事務局側    常任委員会専門 安楽城敏男君    員   説明員    農林政務次官  本名  武君    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林省畜産局長 谷垣 專一君    食糧庁総務部企    画課長     中西 一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林水産基本政策に関する件)  (乳価に関する件) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、これから委員会を開会することにいたします。  まず、大臣から御発言を求められておりますので、大臣に御発言をお願いいたします。
  3. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私、七月に農林大臣に就任いたしました赤城宗徳でございます。何かと行き届かない点があると存じますが、皆さんのお力添えによってその職務を遂行していきたい、こう考えておりますので、何分よろしくお願いいたします。
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、瀬戸山政務次官から御発言を求められております。
  5. 瀬戸山三男

    説明員瀬戸山三男君) 私、瀬戸山でございますが、今回農林政務次官に就任することになりました。生来微力でありまして、特に農林水産行政については、ずぶのしろうとであります。ただ気持だけは、農林水産行政に微力をいたしたいという考えを持っております。何とぞ皆様の御鞭撻と御協力をお願いいたします。  簡単でございますが、ごあいさつといたします。   —————————————
  6. 堀末治

    委員長堀末治君) 農林水産政策の件を議題にいたします。  赤城農林大臣御就任後、なるべく早い機会に御出席を願って、御所見を承わりたいと、かように存じておりましたが、いろんな都合で本日まで延び延びになって、非常に遺憾に存じておったのであります。幸い本日は御出席を願ったのでございまするから、まず、農林水産業現状問題点並びに農林水産政策等について、御所見の御発表をお願いいたします。
  7. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農林省は、九月の二日に、農林水産政策要綱発表いたしたのであります。でありますので、その趣旨要綱概要につきまして、簡単に御説明申し上げます。  さき農林省におきましては、「農林水産業現状問題点」、いわゆる農林白書を公表いたしたのでありますが、これは、国民経済発展過程において農林水産業の果している役割と、その直面している種々問題点を提出いたしまして、考え方の適否を世論に問うたのであります。この試みに対しましては、各方面から種々の反響に接したのでありますが、期するところは、農林水産政策がきわめて重大で困難な課題の処理を迫られているということを十分認識されまして、その対策を明らかにすべきことを要請されている点にあると考えられるのであります。農林水産政策要綱を策定公表いたしましたのも、右のような各方面の要望と批判にこたえ、今後農林水産政策基本についての考え方を明確にしたいという趣旨に出たものであります。  この要綱の究極のねらいといたしますところは、白書においても明らかにいたしておりますように、第一に、最近における経済発展推移を見ますと、農林水産業と他産業との不均衡拡大する情勢にありまして、このため、農家兼業化が進み、就業人口の構成が劣弱化する傾向が顕著となっているので、従来とかく閑却視されがちであった生産性向上を特に強調し、コストの引き下げ、労働生産性向上と相待って、農林水産業所得増大し、健全で安定した農漁家育成強化して、農山漁村振興をはかろうとすることであります。  第二には、ここ一、二年、日本経済は著しい拡大が行われましたが、その反面において原材料等の輸入の増大をもたらし、その結果、国際収支の危機を招きまして、膨脹した経済の引き締めを余儀なくした事情にかんがみまして、堅実な基礎の上に均衡のとれた経済成長をはかるために、国内農林水産資源開発し、なかんずく、食糧総合的自給力強化をはかることであります。  以上のような二つ基本目標を、長期的観点に立ちまして達成するには、次のような恒久的施策が必要と考えられるのであります。  その第一は、農林水産業のよって立つところの生産基盤強化し、確立することだと思います。御承知通り、わが国の農林水産業は、十分改良されず、従って、生産力もはなはだしく低い土地に労力を惜しみなく投下して農業生産を行い、あるいは整備されないままの漁港を漁撈の基地として使用しているものが多い一方、貴重な土地及び水資源を未開発ないし十分に活用しない部面も多い状況にあるのでありまして、これらの現状を徹底的に改善する施策を講ずることだと思います。  第二に、農林水産業経営を画期的に改善するため、生産の様式を多様化し、かつ、集約化するとともに、労働生産性向上することを積極的に推進することであります。特に農業につきましては、従来の増産政策がややもすれば米麦数量確保重点を指向し、地方の保持と生産合理化、あるいは生産性向上土地高度利用に対する配慮に欠くるところがなかったとはいえないことを考慮いたしまして、畜産中心として、畑作の飛躍的な振興をはかり、新しい営農方式を確立して、日本農業の持つ潜在生産力最高度に発揮させ、食糧総合的自給力強化の要請にこたえる施策を講ずることであります。  第三に、施策総合性地域性を特に配慮いたすことであります。従来の農林水産行政は、とかくばらばらの傾向がなきにしもあらずであったのでありますが、今後はこの弊を改め、全体を通じて一貫した考え方を立て、総合的な構想のもとに施策実施して参りたいのであります。たとえば、土地改良事業につきまして、農業地域別及び重要水系別に、基幹工事から圃場にいたるまで、極力一貫した事業計画を樹立し、あるいは畑作畜産振興を行う場合には、開拓事業土地改良というような基礎的な面から、営農改善流通合理化価格の安定に至るまで、一貫した施策を講ずるよう工夫し、農家が安んじて経営基盤改良のために投資し、増産に努力できるようにいたしたいと存ずるのであります。  以上のような恒久的施策考え方に基きまして、従来の施策検討し、継続すべきものはこれを強化し、これに加えて次のような改善をはかって参りたいと考えておるのであります。  まず開拓事業でありますが、今後は新規入植のみに限らず、市町村をして総合土地改良開発計画を策定させ、これに基く地元増反による経営規模拡大のための開墾事業にも重点を置くとともに、開拓営農方式につきましても、従来のように穀菽のみに限定せず、広く酪農、果樹等を加えた開拓営農考え、これによって開拓適地をさらに増大することを考慮いたしたいと考えております。  次に、土地改良事業についてでありますが、これはさきに申しました通り地域性総合性を確保できるよう計画樹立実施をはかるとともに、従来の水田偏重を改め、畑地の改良にも重点を置き、改良後における営農改善についても十分考慮して参りたいと考えております。  次に、営農方式改善についてでありますが、経営基盤整備と相待って、地方維持増進経営集約化をはかるとともに、労働生産性向上し、コストを引き下げることに眼目を置いて、戦後個別的には非常に発達した技術を新しい営農方式として総合し確立するとともに、おくれた畑作については、家畜及び機械の導入を中心とした改良重点を置いて、合理的作付体系を確立することを考慮いたしまして、これによって国際競争力強化をはかることに資したいと存ずるのであります。  かようにいたしまして、食糧総合的自給力強化をはかって参りたいと考えているのでありますが、食糧消費高度化に即応しまして、蛋白及び脂肪の供給を大幅に増大して、国民栄養改善及び国民体位向上に寄与するため、米については、国内自給を目途としてその増産をはかるとともに、急速に伸びつつある需要に対応して、畜産物畑作物果実等について、その大幅な増産をいたしたいと考えているのであります。また麦作につきましては、その合理化をはかり安定させるよう措置いたし、畜産振興と相待って、飼料自給率を高めるため、飼料作物増産イモ飼料化等をはかって参りたいと考えておるのであります。  次に、農林水産物販路拡大流通合理化及び価格の安定についてでありますが、農漁家が安んじて増産に励み、経営の安定を得られるようにいたしますことは、本要綱施策実施する上の眼目ともいうべきものと考えるのであります。特に畑作物畜産物増産をはかるためには、その販路拡大し、価格を安定させることが要務でありますので、加工業育成強化をはかり、農協等活動を促進して、これによる長期安定的な団体取引を推進し、財政資金系統資金の活用をはかって、価格安定対策を講じて参りたい。特に牛乳、乳製品につきましては、学童給食に振り向ける道を開く等、販路拡大し、市場の安定をはかって参りたいと考えているのであります。  次に、食糧管理運営合理化についてであります。本年の稲作も好調を見込まれることは、まことに御同慶の至りと存ずるのでありますが、食糧管理につきましては、現下の経済情勢のもとにおいては、その基本はこれを堅持しつつ、情勢推移に応じましてその運営合理化することとし、生産者及び消費者安定感を確保するよう努力いたしたいと考えているのであります。  次に、森林資源開発育成についてでありますが、森林資源を確保するとともに、災害の発生を防止するため、治山事業強化し、林道の開発を積極的に進め、さらに人工造林拡大強化による森林資源効率的開発を促進する措置を講じ、あわせて農山漁民雇用機会増大に資することを考慮いたしているのであります。  次に、水産業振興でありますが、漁港整備、漁船の近代化を推進するとともに、特に沿岸漁業現状にかんがみ、水産増殖等による資源開発を積極的に行い、これと並行して、農林業との組み合せによる漁村経済振興の方途をも講じたいと考えているのであります。  次に、新農山漁村建設でありますが、農山漁村振興は、健全にして安定した農漁家育成眼目とするものでありますが、農山漁村青年の積極的な活動推進力として、農山漁村民創意工夫が発揮されて、初めて可能であることは言うまでもありませんので、今後も新農山漁村建設事業は、以上に述べました施策の方向にのっとりまして、積極的に推進して参りたいと存ずるのであります。  言うまでもなく、農林漁業施策の滲透とその効果的な実施は、農林水産関係業団体活動に待つところがきわめて大きいのでありますので、その活動促進については特に配慮いたしたいと考えるのであります。  以上をもちまして、今後実施して参りたいと考えております農林水産政策について、その概要を申し述べたのでありますが、このような考え方に立ちまして、来年度の農林予算及び農林漁業に対する財政投融資計画を立て、その拡大充実に努力して参りたい所存でありますので、委員各位の御理解と絶大な御支援を期待し、切望いたす次第であります。何とぞよろしくお願いいたします。
  8. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまの御説明に対して御質疑の向きは、御質疑をお願いいたします。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと速記をとめて下さい。
  10. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  11. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。
  12. 島村軍次

    島村軍次君 新大臣のただいま御発表になりました政策については、さらに後日にその詳細をお尋ね申し上げ、かつ、われわれの意見も申し上げまして、転換期における農業政策推進に関して十分な御努力とそして御熱意をお願い申し上げたいと思うのでありますが、そこで、この新政策については、とかく抽象的であるとか、あるいは作文であるとかいうような批評さえ出ておるやさきでありますので、さき新聞紙上で御発表になりましたのは、数字に関する具体的な問題については十分の御検討になっておると思うのでありますが、大臣はこの新聞紙上のものをさらに肉づけて、これを基本として今後の農林政策を推進していこうという強い御熱意があるかどうか、その点一つ伺っておきます。
  13. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいま御指摘のような批判もありますので、私どもといたしまして、新政策を実行に移すといたしまするならば、長期計画のもとにこれを進めていきたい、こう考えまして、五カ年計画等数字を現在検討中であります。笹週省議にかけまして数字検討しておりますが、まだ最後の結論には達しておりません。途中で新聞に出ておったようでありますが、最後の案ではないのであります。目下、数字によって計画を立て、その計画のもとに新政策の裏づけ、肉づけをしていきたい、こう考えておるような状態であります。
  14. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、予算の編成を間近に控えておるので、予算折衝はもちろんのこと、将来のこの新政策を肉づけていく上に、五カ年計画はきわめて重要な問題だと思うのでありますが、いつごろ御発表になりますか。
  15. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ここ来週一週間、来週中ぐらいには計画数字ができ上る、こういうふうに予定しております。
  16. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、この要綱なり白書なりを中心とし、たお、ただいま大臣のお話しになりました数字検討を終りまして御発表になってから、至急に農林委員会を開いて、ゆっくり、一つ大臣の御出席を願って検討を加えることを委員長で計らっていただくように、希望を申し上げておきます。
  17. 堀末治

    委員長堀末治君) 委員長からお答えいたしますが、その問題につきましては、先ほど事理会を開きまして、来月の委員会の大体日取りを相談したのであります。その結果、来月九日、十日、十一日、この三日間がよかろうということで大体きめたんですが、ちょっと委員会の前に申し上げるのを落しましたが、さようなことですから、それで御了承願えれば、大へんけっこうだと思います。
  18. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 五カ年計画等数字等につきまして、農林省関係といたしましては、先ほど申し上げましたように、来週中ぐらいには大体でき上ると思っております。ただ、全体の国の計画等は、企画庁を中心として他の方面とも総合的にやっておりますので、その点は今月末ぐらいになるという見通しでございます。農林関係は、私の方といたしましては来週中ぐらいになる、こういうふうでございますので、なおつけ加えて申し上げておきます。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の委員長発言について、理事会のその決定、大へんけっこうです。賛成しますが、その内容として盛られるものは、従来やっているように、個々人の希望があって問題点を設定して、こま切れな問題を議題に供するというようなことは割愛されて本問題に集約して、十分時間がとれるようにやってもらいたい。従来の委員会運営は、私、不満な点がある、みんな、問題点を一人々々が掲げてきて、こま切れのことだけ、陳情か請願みたいなことだけやって、国政に寄与するというような基本的な討議ができないので、われわれ勉強の足りない者は、さっぱり勉強ができない。委員長、その点については十分留意せられて、来月の三日間は、徹底してこういう基本問題に触れて討議するようにやっていただきたい。
  20. 堀末治

    委員長堀末治君) 御注意、よく心得ましょう。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は、当面の問題についてお尋ねしたいと思うのであります。それは、いよいよイモ類も出かけるのでありますが、昨年は、農産物価格安定法によってのイモ類価格決定が非常におくれたということで、イモ類適正価格が実行されずに、非常に安い値段で取り扱われて、イモ作農家が多大の不安を感じたのであります。でありますから、本年はできるだけ早くイモ値段決定していただきたい、こういうふうなことを要求しておったのでありますが、聞くところによれば、九月中に決定せられるというようなふうに聞いておるのでありますが、九月中に決定せられる予定であるかどうかということが一つ。  それから、いよいよ農産物価格安定法によってイモ類値段決定せられるという場合に、どのくらいの値段が適当であるかということが問題になるのでありますが、米価その他の値段考えてみまするというと、米価もある程度引き上っておるのであります。でありますから、諸物価が引き上り、米価が上っているというようなことだったらば、イモ値段もある程度引き上ぐべきじゃないかとも考えられるのでありますが、少くとも昨年よりも下回らないような値段で定むべきであると、こう考えるのであります。どのくらいの値段決定せられる大体の予想であるか、承わりたいと思うのであります。ある方面からの調査によって見まするというと、昭和三十二年産イモ値段は二十五円ぐらいで差しつかえないというような材料も出ているのでありますから、この二つの点についてお尋ねしたいと思うのであります。
  22. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) イモ価格決定につきましては、御指摘のように、昨年などは非常におくれまして迷惑をかけたと考えておりますので、本年は九月中に決定する予定であります。十八日ごろに作況が判明いたしますので、二十日ごろには作業がはっきりいたすことになるだろうと思います。  第二の価格の点でありますが、価格の点につきましては、目下検討中で、御指摘のような値段になるかどうか、目下研究中であります。御承知のように、もう私から申し上げるまでもなく、農産物価格安定ということで、澱粉等につきましての農林省における今の声も非常に多いような状態でありますので、価格の安定を考えると同時に、畑作振興あるいは用途を考慮いたしまして、消費といいますか、そういう面にも進めたい。こういうものと相待って価格決定考えたいと思うのでありますが、いずれにいたしましても、価格決定が先であります。九月中に決定をいたしたいと思いますが、今どの程度にきめるかということの検討にはまだ進んでおりませんので、申し上げる段階にはないと思います。
  23. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 澱粉と切りぼしカンショ政府買い入れ価格決定の算出に当っては、歩どまり、あるいは加工賃、あるいは運賃諸掛り、こういうふうなものを適正に考えていなくちゃできないと思うのであります。そのうちの歩どまりについて考えてみまするというと、歩どまりのいいイモは高く、歩どまりの悪いイモは安く定めるのが適当であると考えるのであります。しかるに、聞くところによれば、歩どまりのいいイモは、これを原料として澱粉を製造するならば、澱粉よけいにできる。澱粉よけいにできるから、澱粉値段は下げてもいいじゃないか、こういうふうな説をなす者があるのであります。そういうようなことなれば、せっかく政府が奨励した優良品種イモを作ったところのものは、それだけ政府が定めるところの値段からすれば安いものになってくる。別な言葉で言ったらば、まじめな農家がばかをみるというような結果になるのであります。でありますから、いいイモは高く、悪いイモは安くというようにして、政府奨励方針に従って優良品種を作ったところのものは高く売れるようなことを考えていかなくちゃできない、こういうふうに歩どまり考えていかなくちゃできないと思うのであります。  それから加工賃については、いろいろと経営合理化をやってコストを下げなくちゃできないのでありますが、現在のところでは、諸材料が騰貴しているのでありますから、この加工賃決定についても十分に考慮して定めていってもらいたい。また運賃諸掛りについてはどうであるかといえば、四月一日から貨物の運賃が引き上げられておるのでありますから、澱粉価格決定についても、この運賃が引き上げられたものを運賃諸掛りとしてやっていただきたいと思うのでありますが、こういうふうな三つのうちの歩どまりについての問題は、どういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思うのであります。
  24. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御指摘のように考慮いたしたいと思いますが、なおこまかいところは、事務当局から御答弁いたさせたいと思います。
  25. 中西一郎

    説明員中西一郎君) お尋ねの歩どまりによります点ですが、これは従来歩どまりのいいものは基準価格としては高く、歩どまりの低いものは基準価格としては安くなるように、おおむね歩どまり一%で一円程度上下するというようなことで、基準価格決定して告示いたしております。将来についてもその点を大きく変えるというふうには現在のところ考えておりません。ただ、告示の仕方といたしまして、歩どまりの一%というものは一円高いのだという簡潔な表現だけでは、お話の中にございました、よりよい品種のものを農民の方が、何といいますか、目標を得て何を作るというような場合のよるべきものが抽象化されておりますので、具体的に何県産のどういう品種というようなことができれば、なお一そう御趣旨に沿い得るのではないかというようなことも考えております。ただ、そういうことは技術的に非常にむずかしゅうございますので、今年産から直ちにそういうふうにし得るかどうか、今まだ確信を持っておりませんが、歩どまりによって基準価格に差等をつけるということについては、従来通り方針でやらざるを得ない、またやった方がいいのじゃないか、そういうふうに考えております。
  26. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから次は、澱粉及び切りぼしカンショ政府買い上げでありますが、昨年は政府支持価格以下で原料を買ったものから作ったところの澱粉あるいは切りぼしカンショというものは、買わない、こういうふうな声明を政府の方で出していただいたのであります。そのために政府支持価格ができて、支持価格ができてからは支持価格を守るようになって、農家も安定して、カンショあるいはバレイショを売ることができるようになったのでありますが、本年も政府においてはそういうふうな態度をとられるのであるかどうか。  また、昨年産イモは本年の二月から六月まで買われたのであって、その買われるところの時期がおそいために澱粉の値下りがあるというようなこともあるのでありますが、本年は、本年産カンショ澱粉あるいは切りぼしカンショというものは、昨年よりも早目に買うていただきたいと思うのでありますが、この点についてのお考えを承わりたいと思うのであります。
  27. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 第一点は、昨年同様価格支持をしているのでありまするから、価格支持の線でいきたい、こう考えております。  第二の、早く買うようにという御注意に対しましても、できるだけ早く買っていきたい、こういうふうに考えております。
  28. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、精製ブドウ糖の問題であるのでありますが、大臣精製ブドウ糖のことについては非常に熱心にいろいろと施策を講じておられるように考えるのであります。澱粉の問題を解決するのについては、どうしたって精製ブドウ糖の問題を解決しなくちゃできないのでありますが、政府においては来たる通常国会において精製ブドウ糖に関する立法措置を講じ、またこれに対して財政的措置を講ぜられる考えであるかどうか、こういうことをお伺いしたいと思うのであります。
  29. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 精製ブドウ糖工業を興したい、これによって澱粉の処理をしていくことに対しましては、私も熱意を持っているわけであります。それにつきまして政府として立法をするか、あるいはまた議員提案という形でするかというような、いろいろな議論もあります。そういう点を目下検討中であります。また財政投融資の面でやるかどうか、この点も実は研究中でありますが、御承知通り、なかなか生産コストに合わないというような面もありますので、これを育成していくためには、政府としても何らかの措置をとらなければならないということは考えておりますが、今直ちにそのために政府として、財政的な投資といいますか、措置をとるかどうかということも研究中でありますので、さよう御了承願っておきたいと思います。
  30. 北村暢

    ○北村暢君 先ほどの藤野委員の質問に対して、澱粉カンショ政府買入価格決定について、今年は早目にやる。それでまあ本月末までに決定したい。それで来月しか委員会は開かれないのですから、そのうちにきまってしまうことになるわけですから、どうしてもここで、今価格決定について研究中ということであるけれども、ここで確かめておきたいことは、この価格決定が、昨年度よりも価格が下るということを聞いている。今、藤野委員からも言われているように、運賃諸掛りも上っている、米価も上っている、こういう形において、この政府買入価格が下るということは、私どもとしてはちょっと考えられないようです。こういうふうに思うのだが、研究中だということだが、下るのか上るのか、そのめどぐらいは聞いておかないというと、委員会のない間にきまってしまうということになりかねないので、この点重ねて御質問したい。
  31. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 九月の十八日に作況が判明するということになっておりますので、作柄等も一つの要素になっており、二十日ごろから価格決定の作業に移る、こういうことでありますので、今私の政治的な目安から、価格をどの程度にするということはちょっと申し上げるのは少し早いと思うのでありますが……。
  32. 北村暢

    ○北村暢君 作柄の点については、これはことしはイモも豊作だということは、十八日の決定決定として、報告は報告として受けて、決定されるのでしょうけれども、大体豊作であるということはもうわかってきておる。それで、豊作であったならば、その価格が下るのかどうなんですか。そこら辺のところを、価格に影響してくるのだというけれども、作況を見て決定したい、豊作であれば下げるというのかどうなのか、そこの点をお伺いしたい。
  33. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 価格決定の要素といたしまして、作柄といいますか、作況が一つの基礎になっており、需給関係を価格決定の上に織り込むというふうな制度になっているものですから、それを一度見なくっては、計算の基礎に入れなくてはいけないのじゃないか、こう考えておりますので、それを見てからということで……。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それなら、私も関連して別な角度から伺いますが、場合によっては下ることもあるし、場合によっては上ることもある、すべて検討を要することだということなんですか。
  35. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 場合によってはどうなるかということよりも、いろいろな計算の基礎が固まって、その結果価格決定される、こういうことで、今、上るのか下るのか、場合によってはという仮定といいますか、どうもそれを申し上げにくいのですが……。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 申し上げにくいという、そういう手放し的な、事務的な検討で、出たとこ勝負の計数で物事はきまるのだという大臣考え方なのか、現在の大臣所見としては、これは下げられない、価格は下げられないのだ、諸般の情勢上下げられないのだという気持で操作をしてみて、それでなお下り得る場合もあるのだという結果が出るのか、問題が違う、考え方が。何も方針を持たぬで、そうしてまあ上るかも下るかも、それは出たとこ勝負でわからぬのだというようなことでは、一つ価格政策というものについての考え方としては、まことにおかしいことだと思う。農林省として、今日の情勢においてこれを下げることはできないならできない、下るという場合があっても、それはやむを得ないならやむを得ない。何らかの方針があって検討さるべきだと思うのですね。そのことを尋ねているのですよ。
  37. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは、御承知のように、価格決定の基礎がありますので、上げたいから上げる、こういうわけにもいかないと思うのです。それは上げるのは上げたいのですけれども、一定の計算の基礎がそういうことになれば、これは私が勝手に上げたいから上げるという方針で打ち出すというわけにいかないと思うのです。ですから、一つ価格決定の基礎材料がそろって、その上において考慮するなら考慮する場合もありますけれども、基礎の出そろわない前に、あらかじめこれは上げるべきものだというふうには申し上げるのは早い、こう考えております。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の聞いているのは、そういう意味で聞いてるんじゃない。いいですか。大臣が勝手に上げてくれということを言ってるんじゃない。今の情勢からいって、もう豊作だということから、下る可能性があるのか、現状が維持されるのか、それぞれのところにみんな関心を持っているわけなんですよ。ですから、基礎材料がそろわないというけれども、豊作であるという状況についての見通しは、十八日の作報を聞かぬでも、大体の見通しはつくわけなんですから、そのことによって下るという、そういう基礎条件が出てくるという見通しを持っているのかどうかということを聞いているのです。特段に大臣の力をもって上げろということを言っているのじゃない。
  39. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは私が見るばかりでなく、作況がいいということならば、そういうことならば下るという傾向にはあるかと思います。それだけの要素では。しかし、ほかの要素も考えなくちゃなりませんから、ほかの材料が出そろってか、これについて私は考え方をきめていきたいと思います。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほどちらっとお漏らしになったのでは、私としては上げたいと思っても勝手に大臣としてはできないんだというような、逆にそれを裏返えして言えば下るということについては望ましいとは考えないという大臣考え方であると思われるのですが、そう了承しておってよろしゅうございますか。結果は別ですよ、結果は。それは、その基礎材料がどうにもならぬのでこうなったんだという結果は問わぬが、大臣としては、他の要素等も勘案して、現状から下ることは望ましくないんだと、心配していると、こういうお気持なんでしょう。
  41. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 価格支持という目的から見まするならば、そういうふうに考えております。
  42. 堀末治

    委員長堀末治君) なお、委員諸君に申し上げますが、先ほど申し上げましたが、十一時には大臣はやむを得ない用件でちょっと退席さしてもらいたいということで、御了解を得ておったのでございますが、一時からもう一ぺん出られますから、御発言残っている人は、そのときにお願い申し上げます。
  43. 戸叶武

    戸叶武君 ちょっとだけ……。
  44. 堀末治

    委員長堀末治君) 大臣にですか。では、ごく簡単に、あなただけ御発言を願います。
  45. 戸叶武

    戸叶武君 今のけりがついていないと思うんです。質問の途中です。問題点は、前年産価格を下回らない価格決定がされなければ、農民としては非常に不安だと思うんです。大臣としては、計算の基礎が固まってからでないと何とも言えないという御答弁ですが、これはお役人答弁としてなら当然でありますが、農政を担当している大臣としては、非常に心もとない答弁だと思います。特に畑作振興ということを、大臣赤城農政の重点に置いているようでありますが、畑作振興ということは、やはり農作物の価格安定という裏づけがなければ、畑作振興ということは、幾ら言っても、振興できるものではないのです。そういう点からいっても、今の問題は大切なんです。作柄とか、たんとできたから、あるいは少し悪かったからというようなことは、重要なことではありますけれども、基本線としてはやはり、豊作であったとしても、昨年度を下回るような価格決定はしないでもらいたい。こういう基本線というものがある程度まで明らかにされなければ、非常な不安を農民はかもし出すと思う。  たとえば、非常な豊作なんで、ある程度は下げなければならないというワクがあると思うんです。原則的にやはり昨年を下回らないものとして、やむを得ないときにどのくらいのことがあり得るということは、可能でありましょうけれども、その基本的な農林大臣としてのイモ価格安定に対する考え方を、今皆は聞きたいのだと思う。これに対してお役人的答弁じゃなくして、畑作振興というものに重点を置いている赤城農政の面目をここに保つような答弁を、ここでしてもらいたい。
  46. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御指摘のように、畑作振興をしたい強い熱意を持っているのでありますが、これについては、先ほど政策の中にも申し上げましたように、飼料化の考え、あるいはまた畑地農業全体から見まして、生産コストの下るような増産できるような方法を講じたい、こう考えておりますが、今現在直面しておりますのは価格の問題。価格の問題につきましても価格維持という点に重点を置きまして考えていきたいと思うのであります。非常に事務的だと御指摘なんでございますが、何といたしましても、裁断を下すといいますか、決定するにはやはり材料を必要といたしますので、初めから私はこういう方針でいきたいというのは、やはり一つ価格支持の基礎を、材料を無視していくということは、やはり一つの秩序を乱すのじゃないかと考えております。
  47. 堀末治

    委員長堀末治君) 今申した通り、時間でございますから、午後に一つやっていただきたいと思います。
  48. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 午後に一つやってもらいたいと思います。向うでどうしても抜けられない用事がございますから……。
  49. 堀末治

    委員長堀末治君) 午後は一時半から大臣は再び見えますから、どうぞそのときに……。なお政務次官がおりますから、政務次官でよろしいことでございましたら、どうぞ質問をしていただきたいと思います。  新政務次官の本名君から発言を求められておりますので、発言を許します。
  50. 本名武

    説明員(本名武君) 貴重なる時間をお許しをいただきまして、ちょっと、ごあいさつを申し上げさせていただきます。  先般農林政務次官に就任いたしました本名でございます。私は、農林水産行政については全くのしろうとでございます。しかしながら、農林省と国会の中にあって、私の職責を十分果したいと努力いたす覚悟でございます。先生方の御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、簡単でございますが、ごあいさつにかえさせていただきます。
  51. 堀末治

    委員長堀末治君) 一般農林政策について、全部午後にいたしましょうか。  速記をとめて。    〔速記中止
  52. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さきはいもの話が出たのです。消費者米価の問題ですが、これは十月一日から消費者米価は上げるのですか、上げないのですか。
  54. 本名武

    説明員(本名武君) 実は、もうすでに新聞などには、上げることを前提にして、しかも詳しい数字まで出ております。農林省としましては、一応上げる方向で検討いたしておりますことは事実でございますが、その最終的な決定はまだいたしておりません。なおまた、この問題については慎重を要しますので、今後可及的すみやかな期間において成案を得たいと、今準備中でございます。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いずれにせよ、内容のいかんにかかわらず、消費者米価を改訂する実施の時期はいつになるのか、あるいはいつを目途としておるのですか。
  56. 本名武

    説明員(本名武君) お示しの通り、目途といたしましては、十月一日を期して準備をいたしております。
  57. 戸叶武

    戸叶武君 十月一日に決定されるとするならば、この問題は非常に重要なので、事前に緊急に農林委員会を開いて、その後に、すでに政府側で検討に入っているとするならば、検討に必要な資料はもう十分集まっていると思う。その資料を国会に提出して、国会においては、やはり行政官庁だけが資料を使うのではなくて、国会の委員会における審議権というものは非常に重要であるから、いつでも政府決定したあとで立法府に伺いを立てるというのは逆なんですから、そういうことを最終決定がされるまではいつも資料は出さないで、それがきまってから国会に意見を聞くというようなことは、これは全く官僚の行き過ぎなんであって、こういうことのないように、消費者米価の問題は国民全体に影響があるので、米を食わないで生きている人はないので、そういう線において、国民全般に関心のあるような問題は、国会において十分審議しなければならない。その資料を委員長まで急速に……。政府側に提出するだけの資料というものは、どうぞ国会に出してもらいたいと思う。その資料請求を委員長の方へ私たち要求しておきます。
  58. 本名武

    説明員(本名武君) ごもっともな御意見でございます。御期待に沿うように努めたいと思います。
  59. 島村軍次

    島村軍次君 一時半の再開までに、そこに畜産局長がお出でになっておりますので、乳価の安定策について、今農林省考えておられるようなものを、大要についての御説明を願ったらどうでしょうか。
  60. 堀末治

    委員長堀末治君) こちらもそのつもりで、畜産局長に……。   —————————————
  61. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、ただいまの問題は午後に譲りまして、これから乳価の現況の問題に入ります。  乳製品滞貨の現況にかんがみ、かつ、差しあたっては大罐練乳砂糖消費税免税の廃止に当面して、最近乳価安定対策が特に問題になっております。農林省においてもいろいろ研究中のようでありますので、この際乳価の現況及び今後の見通し並びにその対策等について、農林当局の説明を求めます。
  62. 島村軍次

    島村軍次君 その説明の前に、昨日来酪農審議会で御諮問になった原案等もあると思いますので、それとあわせて、なお審議会の経過等もお説明願いたい。
  63. 堀末治

    委員長堀末治君) 畜産局長、今島村委員の御要求の通りでありますので、そのおつもりで御説明をお願いしま。
  64. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 酪農関係の、ことに牛乳の製品の状況につきまして、御報告申し上げたいと思います。  大体ずっと順調に、生産消費ともどもに伸びてきておりましたのですが、昨年の暮あたりから、生産の伸びが非常に顕著にふえつつあります。従いまして、片一方の消費の関係におきまして、ことに市乳で売りますものの伸びが、生産の伸びに比しますと、鈍化しておる状況がございまして、従いまして、残りのものが乳製品という形になってストックをされるわけであります。ことしの夏の状況が、特にアイスクリームでありますとか、そういうものの需要の売れ行きは大へんに目ざましいものがございましたけれども、途中少し天候が冷えたような関係もございますし、その他の状況がありまして、従いまして、乳製品の滞貨が通年よりも多くなっておる状況でございます。大体毎年の平均年末在庫は、一カ月半ぐらいのものが通常の状況でございますが、ことしはおそらくそれが二カ月半近いものに、今の状況であれば、在庫があるのではないかということになっております。従いまして、その時分、ことにいろいろと金融等の問題、経済界の問題等がひっからみまして、いろいろと乳製品の価格が下る状況があるのであります。また、それとちょうどからみまして、夏の乳価と秋の乳価が差がありまして、秋には下るのが通常の状況でございますが、そういう問題とからみまして、この時期に乳価改訂の問題が生じておるわけであります。それぞれのからみ合いで、いろいろと問題がやかましく言われておる状況でございます。  それで、農林省の方といたしましては、ことしの当初以来、牛乳の需給の見通しをある程度その都度立てて参りまして、関係の民間の方々に私たちの見解を申し述べて、数回にわたりまして需給見通しのための会議を開いて参りました。さようにいたしまして、ことしの初めごろ、夏を迎えた春のころに、一時的に脱脂粉乳が非常に払底したことがございます。そのときにこれを、脱脂粉乳の一部輸入をやれというような議論が出たのでありますが、そういうことは全体の態勢から見まして不適切であるという結論を、私たちの方は持っておりましたので、全体の状況を申し上げまして、海外からの輸入というものはもちろんストップをいたしましたような事情がございます。その後、夏分の市乳の価格の値上げという問題が、農民から受け取りまする納入価格が夏分二、三円大体上りましたが、そのことに藉口いたしまして、市乳の価格値上げの運動が一部にきざしておりましたので、これは私たち権限はございませんけれども、現在の牛乳、乳製品の需給の状況から見て、市乳価格を上げることは不適当であると思いましたので、関係方面にそれぞれ御連絡をいたしまして、農林省としては市乳の値上げは今日の状況のもとにおいては好ましくないということを申し上げまして、ごく一部のところを除きまして、大体今年夏の市乳価格はそのままの据え置きで、農民からの若干の納入価格の値上げはございましたが、市乳の価格はそのままで据え置いて参った、こういう大体の状況に相なっております。  それと、もう一つは、この九月一ぱいに、大罐練乳用の砂糖消費税が、従来免税でございましたのが、十月以降税金をかけるということがございまして、そういうような問題とひっからみましてこの際に何らかの対策を立てる必要があると存じまして、一応の農林省といたしましての試案を用意いたしまして、さようにいたしまして大蔵当局の方と、予備金支出その他来年度に対しまする見通しにつきましても、折衝を開始いたしておる現状でございます。  なお、酪農審議会に関しましては、大罐練乳問題の一応延びましたその事態におきまして、従来の酪農問題につきまして御報告をいたし、また緊急的な対策、その他これに対しまする対策が立ちましたならば、もう一度開いて、そして意見を尋ねるようにしたいという御意向がございましたので、昨日酪農審議会の開催をお願いをいたしたような次第であります。そうしまして、私どもからは牛乳、乳製品の需給調整方策について御意見を伺うという御諮問をいたしたわけでありますが、その際に、農林省の方での案があればということがございましたので、私たちの考えておりましたような考え方を申し上げておいたわけであります。まだ酪農審議会は結論ができておりません。今度の十三日にもう一度御会合願いまして、できるならばその際に結論を得ていただきたい、かようにお願いをいたしておる状況であります。
  65. 島村軍次

    島村軍次君 大罐の課税の問題に関連して、大蔵省との折衝の段階において、農林委員会及び自民党の内部等の折衝等から、農林省においてそれの対策案を立てて、その対策によって大罐練乳の課税の問題を対案として、予備費等の支出を待ってやる、こういうふうないきさつがあるやに承わっておりますが、その問題についての今日までの経過を一つ説明願いたい。
  66. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは何も、大罐練乳の免税措置が撤廃されるということのみに関係はないと思うのでありますが、現在の輸入乳製品の一時的なアンバランスの問題を解消いたしますためにも、何らかの方法が必要だと、かように考えておった次第でありますが、たまたま大罐練乳の免税猶予期間というものが九月一ぱいということに政令になっておりますので、従いまして、今御指摘がありましたような時期におきまして特に対策を必要とすると、こういうような事情になっておるわけであります。  私たちの考え方といたしましては、暫定的な応急対策を立てまする際に、やはり乳製品、乳価、牛乳というような問題につきましての、かなり見通しを持ちました対策というものはどういうふうになるかということを考える必要があると思いましたので、来年度以降におきましてどういう考え方をもってやっていくか、こういうことを検討いたしております。また、それに対応いたします対策といたしまして、目下の状況に対応する対応策、暫定策と申しますか、そういうものをやっていく必要があるのではないか、こういう考え方で案を練って参ったのであります。  それで、来年度と申しますか、本格的に対策として考えられるものは、まずものの考え方として、酪農の生産というものと消費というものは、今後の見通しにおきましてもなお均衡はいたすでしょうが、これは一時的なアンバランスという問題はこれは避けられないという立場、議論をいたしております。もちろん、このためには、農民の側におきまする生産費の低減、あるいは流通段階あるいは加工段階におきまする経費の低減をいたしまして、安価にそれらの製品を消費者のところで消費していただく、需要を増進する対策というものが根本的に必要だと存じております。これらは従来やっておりました全体といたしましての対策、あるいは来年度予算等にお願いをいたしまする全体といたしましての対策の中に、それぞれ案を具しまして御審議を願うことに相なると思うのでありますが、当面この酪農の乳製品、乳価等の問題につきましては、まず第一に、何といいましても、農民と乳業をやっておりまする乳業者との間におきまする取引の適正な、公正と申しますか、その取引段階におきまする組織その他が公正な形で行われるのが基本的なものであろうと考えておりまして、その線におきましてのやり方を従来もやって参りましたが、それを強化する方向をとっていきたい。たとえば文書でそれを契約いたしますとか、あるいは生産者団体の強化、あるいは団体協約という線をできるだけ強化をいたして参りたい。もちろん、これらのものは文書契約という形にされるようにいたしまして、またその価格の書き方、あるいは数量の書き方、契約内容等につきましても、もう少し明確なものを出していくようにして、取引自体がある程度期間も長く、安定した形でやっていくような方策をとる必要があるのではないか。そのために、必要があれば法令の改正等もやっていく必要があるのではないか、これが第一点の考え方でございます。  それから第二点といたしまして考えておりますのは、こういうアンバランスが生じましたような場合に、やはり農民に対しまする乳代の遅払いというようなもの、あるいは乳業者が金詰まりのためにミルクの受け入れを停止するというような事態が起ることも考えられるのでありまして、そういうようなことが起りましては問題が大きくなると思いますので、政府あるいは乳業者等の出資をいたします基金を造成いたしまして、これが信用保証をいたします。債務保証をいたしまして、そういう事態になる以前におきましても、乳業者の債務の保証融資を助長いたしまする立場をとっていってはいかがかと、かような考え方をいたしておるのであります。それらのことは、先ほどの生乳取引の合理化の線を促進するような立場において運営をしていく必要がある。生乳取引を合理化しておるというような場合において、またその履行を確保する必要がある。そういう融資においてこれを保証していくというような形においてこれを運営していく、そういう基金が必要ではないか。まあかりにこれを酪農振興基金とすれば、そういうものが現在の段階においては必要じゃないかと、かように考えております。  それから第三点といたしまして、何と申しましても、需要を拡大していくということが基本的な問題であろうと思いますし、それはいろいろな方法で可能だと存じます。その一つといたしまして、学童等に対しまする従来の脱脂粉乳による給食というものの一部を、生乳にかえて、飲用牛乳にかえていくということを、この際にやってみたらどうか。もちろん、これは市場の一般市乳の方面への圧迫を避けなければなりませんし、また同時に、学校のPTA等の負担と、学校の給食計画自体に入り込むべきものでなければならぬと存じますが、また同時に、今のように、一時的な状況といたしましても、ミルク自体が若干の過剰気味を生じておるようなときには、それの需給調整の対策としても動くように考えていく必要がある。ただし、学校の給食計画でございますから、そう簡単にどうこうということはできないわけであります。少くとも一学期くらいの期間におきまする計画性を持たせなければならないと思いますが、そういうようなことを考慮いたしまして、とにかく従来の学校給食のほかに、飲用牛乳を出していく。学校と乳業者と、あるいは生産者、供給いたします生産者団体とが話し合いをいたしました場合に、そういうような計画を推進していくために、国が一定額の補助をする。かような制度を取っていきますならば、需給調整のためにも役立つでありましょうし、また学校の立場においても一つの役割を保ちましょうし、また酪農振興をいたしました際に、大きな目で見ますところの需要層の基本的な拡大という点においても有効であろう。かような考え方を持っておるわけであります。  まあ、それが大体の線でございますが、そのほかに、従来この酪農関係におきまして十分な調査検討が行われていないうらみがあるのであります。これらのものに対しまして、十分な調査を行い得る体制を整えていく必要がある。そういうような点を中心にいたしました対策考えておるのであります。  もちろん、この秋、冬におきまする状況に対応いたしましては、従来申し上げましたような対策を見通しとして持ちながら、それまでの暫定対策としての対策考える必要があるのではないか。従いまして、でき得べくんば、来年一月からでも、学校給食等の方法を採用する必要があるのではないだろうか。さらに荷物がある程度余っておるという状況であるならば、これも来年の夏になればはける問題でございますので、それまでの保管をいたさせるために、長期保管に対応する助成策を講じていく。まあかようなことをこの際暫定策としてとって、そして来年の本対策というものにつながらしていく、このようなことではいかがだろうか、かような考え方をもちまして、それぞれ酪農審議会等にも御審議を願って、また大蔵当局とも折衝も若干開始しておる、かような現状でございます。
  67. 島村軍次

    島村軍次君 大要の方向は、ただいまの御説明で、了解をいたしたのでありますが、問題は、これは早急に一つ具体的にならなければならぬということではないかと思うのです。そこで、前回の委員会等においても、文部省及び厚生省、ないしは学校給食に対しては小麦粉の問題もありまするので、食糧庁の御列席を願って、それを至急に実施するような対案を立ててもらいたいという希望を申し上げておいたのでありますが、そこでその文部当局なり、あるいは食糧庁なり、厚生省等との間の話し合いの結果、もっと進んだ計画で、たとえば今の学童に対して生乳を飲ませるというような問題については、相当こそは財政的な負担も要ることだと思いますが、そういう問題について、もう少し突き進んだ具体案が、もし今検討中であれば、そのアウト・ラインを一つ御開陳願いたい。
  68. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 現在私たちの考えておりまする考え方といたしましては、来年度の酪農振興基金は、大体八億ぐらいの規模をもってまず進めていったらいかがかという考え方で進んでおります。それから今日の暫定対策におきまする予備金支出等につきましては、総額大体五億程度のものを要求いたしまして、その中に学校給食用のための補助金、あるいは保管料等の助成をいたすということ、その他若干のそれぞれの必要な措置が付帯して参りますが、そういうものを要求をいたしております。大体来年におきましては、まあこれは全般の対策に関係があることと思いますが、大よそ、先ほどの酪農基金等に対しまする政府出資も含めまして、約十五億程度の規模におきましての構想で進んでいったらいかがか、大体こういうようなものの考え方で財政当局等と折衝中でございます。こういう考え方であります。
  69. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、学童の粉乳の一部を生乳にかえたということは、具体的にいえば、その一部の振りかえは、たとえば一学期をやらせてみるとかということについて、脱脂粉乳とどのくらいの割合でやるかというような問題について、そういうようなことの具体的な構想はお持ちですか。
  70. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 事が財政負担の問題が先に参ると思いますので、いまだ詳細な折衝を文部当局といたしておる段階ではございません。大蔵当局との折衝に今当っておる段階でございますが、もちろん、これは学校の給食計画の中に矛盾なく織り込まれなければならぬと存じております。ただ、学校給食の現状から申しますと、年々給食の学童数がふえておりまして、今のところ、おそらく八百万人くらいが給食されておる実数かと思いますが、全体の数としては、千二、三百万人の人たちがおるんではないかと思っております。従いまして、年々それに必要な脱脂粉乳等の海外からの輸入はふえておる状況でございます。従いまして、そういう事情でございますので、これは全体的な議論としては、私は若干のものがこの生牛乳といたしまして入って参りましても、十分調整の余地はあるものだと、かように考えております。現実にまたこれをいたします際には、文部当局と、そうして町場にありまするミルク・プラント、あるいはそこへミルクを持って参りますところの生産者団体等の、三者が打ち合せをする、こういう格好に実際問題としては相なるかと思います。ただし、大東京でありますとか、大きな都市に関しましては、そういうふうな生産者団体とのつながりというものは切れざるを得ない、かように存じますが、地方におきましては、そういうようなつながりをもちましての一つの話し合いがつくだろう。一定条件に合いましたものは、それに応じて、県庁を通じまして、供給をいたしまする方へ補助を流すというような形において調整が可能じゃないか、かように考えておる次第であります。
  71. 島村軍次

    島村軍次君 大罐練乳に対する免税措置の廃止という問題について、先般北海道へ参って、あそこの一、二の工場から承わってみますると、たとえばそれだけを主体でやっておる工場では、この課税のための問題は少いようでありますが、大罐としからざるものと、両方あわせてやるというような場合に、免税については、御承知のように税務当局の方で、ある一定のときを限ってやるんですからして、免税が廃止になったために、別途の設備を要する、こういうふうなことの陳情もあったのであります。そういう問題については、直接畜産局には関係ないことであるかもしれませんが、一つの設備をやるために相当経費を要する。従って、コストの上にも非常な影響を持つというような切実な問題があるようですが、そういうことに対しては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  72. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) ちょうど二十九年の暴落がございましたあと三十年にかけまして、同様に要求が強く出て参りまして、いろいろとその間の経緯がございまして、大体当時大罐練乳の設備を持っておりました中小企業の場合、これは市乳施設への転換をいたしましたものが非常に顕著でございまして、その一部につきまして粉乳施設等に切りかえたものがございますが、こちらの方はなかなか十分な進み方をいたしておりません。今後の問題として、これを転換いたさせます場合、もちろん大罐物自体は、これは私は将来の見通しといたしましても、需要は依然としてあるものと思います。ただし、それが従来のごとく需要が伸びるかどうかというところに問題があると思いますけれども、確かに需要がなくなるわけのものではない。ある程度のものはあると思いますが、しかし、これからの転換を必要とします人たちは、もちろんそれぞれの計画を持っておられるわけでございますので、市乳の方への転換をし、あるいはその他の粉乳施設等への転換をされます場合の設備資金につきましては、これはそれぞれの長期の設備資金の公庫等がございますので、そちらと連絡をとりまして、十分あっせんをいたすように努力をいたしたい、かように考えております。
  73. 島村軍次

    島村軍次君 一応この程度で……。
  74. 堀末治

    委員長堀末治君) この点について他に御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、本件はこの程度にとどめます。  午前中は、これにて暫時休憩いたします。午後は一時から再開することにいたします。    午前十一時四十九分休憩    —————・—————    午後二時二十四分開会
  75. 堀末治

    委員長堀末治君) 午前に引き続き、委員会を再開いたします。  次に、参考人の件についてお諮りいたします。先般、清沢委員及び小笠原委員からの御要望で、中央卸売市場に関する件について、関係人を参考人として出席を求め、意見を聴取してはいかがかと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  参考人の人選及びその他の手続につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。   —————————————
  78. 堀末治

    委員長堀末治君) 午前に引き続いて、農林水産政策に関する調査の件を議題に供します。
  79. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 農林水産政策基本的な政策については、いずれ会議が持たれるだろうと思いますので、本日は、ごく簡単に、時間もないようでございますので、個々の問題について大臣所見を伺いたいと思いますが、だれかから御質問があったかとも思うのでございますが、最近の乳価の事情、酪農に関しまする諸般の問題、先ほどごあいさつの中にも、ございましたように、これの消費面等について、学童給食等による乳製品の消化の仕方、こういうお話がございました。まことにけっこうだと思いますが、不需要期における価格の低落を防止するのに、ただそれだけでは完全ではない、かように思います。そこで、聞くところによりますと、酪農振興基金とでもいわれるような基金をもちまして、暴落といいますか、低落防止の方法を講ぜられるやに聞くのでありますが、計画が立っておられますか、内容があればお聞きしたいと思います。
  80. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 乳価の安定につきましては、御指摘のように、私どもも非常に心配しておりますので、学童に生牛乳を給食に使うということも一つ考えておりまするし、農協等と業者との間に団体協約的なものを契約さして乳価の安定をさしていきたい、こういうことも第二に考えております。  第三には、今お話しのように、牛乳生産者団体と乳業者との間に、適正な生乳取引契約の締結を促進さして、その履行を確保するために今考えておりますることは、政府、乳業者及び牛乳生産者団体を出資者として、酪農振興基金制度というようなものを設立していきたい、こういうふうに考えております。そうしてこの基金は、適正な生乳取引契約を履行するため、乳業者または生乳生産者団体の必要とする運転資金の債務を保証させる、こういう形で案を進めておるような次第でございます。ただ、先に申し上げたかと思いますが、政府の出資ということも考えておりますので、この点につきましては、まだ予算面、大蔵省方面との折衝できまってはおりません。方向とし、考え方としては、これで進めておるような状態であります。
  81. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 次に、施肥の合理化対策について伺いたいと思うのでありますが、近年肥料の消費は驚くべき増加を来たしております。大正元年と現在とを比較いたしてみますると、ある肥料におきましては、約三十割の増加を来たしておるような現状でございまして、その肥料を与えました効果が、果して切実に収穫の面に現われておるかどうかということを統計の上で見ますると、農業生産量は増加をいたしておりません。施肥の量は驚くべき増加をいたしておるが、それに伴いまする収穫量が、これと反対の現象を呈しておる。これは収穫漸減法則が現われたのではなかろうかといわれるような学者もございます。かかるときに、肥料を合理的に、土地に合うような、栽培植物に適合するように取り入れるということが大切なことではなかろうか。近時肥料メーカー、販売業者は、非常に誇大なといいますか、あるいは広告をいたしまして、農業者に呼びかけておるのでありますが、これを無分別というわけではないでしょう、これはまあいろいろ指導者もありますし、技術員、普及職員等もございまして、それぞれ指導はしておると思うのでありますが、適切でないと思います。農林省調査によりますと、これを適切に施行いたしますることによりまして、面積におきまして六〇%あまりまだ指導の余地があり、これを指導することにおいて相当の増産が来たされる、平均五%から一〇%に近い増産があるのではなかろうかというような統計が出ておるようであります。そこで、肥料を適切に適合した土地、作物にやりまするためには、土地の検査が必要なのであります。これは少しやっておるのでございますけれども、完全でございません。そこで、何かこういうことについて農林省としてはお考えはないか、これは一番大切なことだと思いますので、意見を伺いたい。
  82. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御案内のように、その土地々々に適応する肥料を与えるべきだということで、農林省といたしましても県の試験場などと協力して、適地に、あるいは適作物に適当な肥料を、地帯別に、あるいは作物別にやるべきだという指導はしておりますが、しかし、十分でないと思います。非常にむだな肥料を入れましたり、また肥料の効率をあげていない面がまだあると思います。でありますので、従来のやり方につきましても改善を加え、なお強くこの面を指導したいと考えておりますが、なお、最近の情勢といたしまして、農業研究クラブというようなのが各地方にできておりまして、ことに青年などが、熱意を持って農業研究クラブにいろいろ研究をしてやっております。こういう農業研究クラブの青年などが、施肥とか、耕種の改善等についても非常に力を入れておりますので、実は本年度の予算の要求につきましても、こういう青年を対象として施肥の合理化の研修費というようなものを出してみたいというふうに考えて、実は今折衝を続けておるような次第であります。
  83. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 まことにけっこうでありますが、もう一点お願いを申し上げておきたいと思う。これは、今までにも普及員、あるいは専門技術員、あるいは農事試験場等で、土地の検査はそれぞれ行われたのでありまするが、それはただ上からこういう土地だということを示したにすぎない。で、自分が耕作をいたしておりまする農民みずからが、自分の土地の成分、あるいはいかなる作物を栽培するかということについての肥料のあり方というものを、みずからその技術員とともに研究するということが非常に効果的だと思うのであります。そこで、富山県の一部等にも行われておるやに伺っておるのでありますが、政府は部落単位に、若い、たとえばお話になりましたような農研の会員、あるいは四Hクラブの研究員等を対象といたしまして、そうして土壌検査を一筆ごとにやっていく。それがためにその所有者であり、耕作者であります農民も出ていって、そこで土地を掘って土壌を検定するということが一番いいと思うのでございます。それには、若干の土壌のボーリング・ステッキとか、テストのシャーレだとか、あるいはその他のものが若干要ると思う。これは大した金ではないと思いますが、そういうものを政府においても、ともどもめんどうをみてやるということにまで進んでいきますと、これが実効があがるのではなかろうか、かように考えます。その点に対しては、大臣、どうお考えになりますか。
  84. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) そういうことを進めれば非常に効果的だと考えておりますが、先ほど申し上げましたように、青年を対象とした研修費というようなことを一番先に考えているわけであります。それから同時に、自分の土地でありまするから、土地所有者、耕作者が参加するという制度は非常によいと思います。しかし、直ちにこの機械やその辺の購入費等をどうこうということまでは、今まだ考えておりません。改良費その他においてこういうことも研究してみたいと、こう思っております。
  85. 北村暢

    ○北村暢君 先ほどのイモ類価格の問題についていろいろお承わりはいたしましたが、まだ納得できないことは、きょう説明せられました新しい農林政策の中にも、畑作振興ということ、それから今までの物動政策的な考え方を農民の経営安定というふうに切りかえられた。こういう考え方を持ったということは、非常に前進した考え方でけっこうだと思うんですが、このイモ類価格の問題について、今年は豊作でありますけれども、昨年の北海道等の冷害において決定的な打撃を受けているのがこの農民です。イモ類等においても半作というような状態である。非常に疲弊困憊しているのが、今このイモ類畑作農家、これが非常に打撃を受けているわけでございます。そういうような点からいって、本年度の豊作というような点で、せっかくの豊作になっても価格の面においてこれが下るというようなことになりますと、昨年の冷害を克服する一つ農家経営安定というものが、せっかく今年挽回しなければならない時期に、価格の面においてこういう問題が起ってくるということについては、どうしてもこれは納得できない。  それからまた、農産物価格安定法という法律が幸いあるわけなんで、これが雑穀その他であればこれは救う道はないのであるけれども、農産物価格安定法が適用されているこのイモ類について、政府価格安定の支持価格の立場から、大臣としてこの際昨年並み以下にならないという保証くらいは、私はやはり政治的にも大臣は責任をもってやると。基礎の数字がわかるとか、わからぬでなしに、一つこの農政担当の最高の責任者として、大臣がこの意思を表明して差しつかえはないんではないか。そういう点について、先ほど言われましたこの新しい政策の点からいっても、価格の面で暴落するということになると筋が合わないんじゃないか、こういうふうに考えますので、農民の経営安定の立場から、一つ大臣の責任者としての明確な答弁をいただきたい、こういうふうに思うのですが。
  86. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 価格維持の点につきましては、今までも努力をいたしてきておる次第で、御承知通り澱粉におきましても四千万貫以上を抱えておるというのは、価格を支持するために買い入れておりまするから、政府においても損をしながら支持をしておる次第でございますから、ことしのイモ類価格につきましても、農家の安定という立場から、価格支持は強くやっていきたいと、こう思っております。  ただ価格の点でありますが、一俵当りとかそういう価格がかりに少しは下ったといたしましても、全体として反当りとか何とかということで非常に収入がふえるというような数字も、出ようによっては出る場合もありまするし、そういうことでありまするので、単価といいますか、単価について今どの程度といいますか、そういうことは、再々申し上げるのですが、今はっきり申し上げる機会でありませんが、御質問あるいは御指摘のように、安定した支持価格をきめていきたい、こういう気持は持っております。
  87. 北村暢

    ○北村暢君 最後一つだけ。まあ気持はよくわかりましたが、先ほど来言われておる澱粉精製ブドウ糖の問題あるいはイモ類飼料化の問題、こういう点についても新しい政策を出されておるわけです。出されておるのですが、これは今後方向としてやられることであります。今までのイモ類振興という点からいっても、そういうところまでいっていなかった。飼料にいたしましても、飼料にするには飼料にするような品種を選ばなければならぬ。急に転換できるものではない。ですから、せっかく新しい政策としてそういう考え方を持っておられるなら、それはそれとして非常にけっこうなことなんだが、本年度のものについては一つ価格支持の、今申された大臣考え方に従って、あくまでも昨年の冷害等の特殊事情、そういうようなものを勘案されて、農家経営安定というものを十分考慮されて、一つこの価格決定をされることを要望いたしまして、質問を終ります。
  88. 青山正一

    ○青山正一君 大臣に三点ばかりお伺いいたしたいと思いますが、漁業法あるいは水産業協同組合法の改正の問題でありますが、御存じのように、この日本の漁業というものは現在非常に行き詰まりの状態であると。たとえば外国、アメリカ、カナダとか、あるいはソビエトとか、豪州、韓国、それから南氷洋、こういうような各方面で日本は相当な圧迫を受けておる。しかも、昨年なりあるいはことしにかけて、その例が非常にはなはだしい。そこで資本漁業は、そのために自分の方が行き詰まっておる。それで、沿岸漁業へ全部しわ寄せをよこしておる。そこで自然的に、そういうふうな結果、漁業法なりあるいは漁業協同組合法、こういうふうなものを改正して、たとえば零細な漁業者、つまり漁業によって生活しておる、そういうふうな零細なもののためのものと、それから底びきとか、あるいはまき網とか、定置とかいうような中小企業的な漁業者、それから増産のためにやっておる大資本漁業、こういうふうな一段階のものをはっきり線を引いて法制化する必要があるんじゃないか。前のいわゆる漁業法とかあるいは協同組合法というものは、その当時何らしわ寄せもなかった。そこで、その線がはっきりしていなかった。そこで、増産のためにやるいわゆる漁業と、それから生活のためにやる沿岸漁業と、こういうものもやはり区別して漁業法とか協同組合法を考えていくことだと、私はそういうふうに思いますが、そういうふうな漁業法なりあるいは協同組合法を改正する気持が、去年なりおととしなりあったわけなんですが、これは中途で消えてしまったわけなんですが、大臣の在任中こういう改正法を出すか出さないか、その点について承わりたいと思います。
  89. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話のように、漁業法とか協同組合法等は、施行後十年も経過しておりまするし、法律制定当時の経済的あるいは社会的な基盤が、その当時とだいぶ変っておりますので、法律の内容等についても検討する必要がお話のようにあると考えております。従いまして、これらの点についても十分に研究いたしますとともに、そればかりでなく、さらに積極的に沿岸漁業振興その他をはかりたい、こういうふうに考えております。  なお、沿岸漁業等においては、あるいは単独法というような考え方も、これは一つ考えてみなくてはならぬ問題じゃないか。それから沿岸漁業の点につきましては、漁撈という面のみならず、加工とか貯蔵、こういう面について、価格の安定といいますか、こういうことも考えてみようじゃないか。お話のような点につきまして、せっかく熱心に今検討いたしておりますから、御了承願います。
  90. 青山正一

    ○青山正一君 第二点としてお伺いしたいのは、これは建設省なりあるいは運輸省の問題でもありますが、漁港の問題について、その例をとってお話し申し上げたいと思いますが、御存じのように、鹿児島なり、あるいは宮崎とか、あるいは今度災害を受けた長崎、これはまあ台風の常襲地帯である。毎年毎年台風が上陸してくる。一年も欠かしたことがないんだ。こういうふうなその常襲地帯に対して、毎年臨時措置法によって、あるいは臨時国会を開くなりなんかして予算を計上しておるわけでありますが、これはそういうふうな台風に襲われる、毎年確実に襲われる地帯のために、この臨時的な措置法ではなしに、毎年これは台風があるものとして、本格的な法律を作って予算を計上すべきだと、私はそういうふうに考えておりますが、大臣の見解を承わりたいと思います。  ことに、この風水害の場合、現在の行き方は、これは昨日ですか一昨日の委員会にも、いろいろ質問があったわけでありますが、原形復旧というような建前である。これは一、二年後にはまた台風が起きまして、その原形復旧した所がやられる、ぶっこわされる状態ですからして、その原形復旧という行き方をすっかり改めちゃって、それにプラスすることのアルファというようなことじゃなしに、それと違った、こういう行き方ならば原形復旧後でも一、二年後には必ずやられるんだというふうなことで、もう少し違った完全無欠な行き方で進んでいくことが僕はほんとうだろうと思いますが、一つ大臣として、いろいろこれは建設省の問題もあり、あるいは運輸省の問題もある。つまり港湾は運輸省の関係ですからして、そういうところをよくお話し願って、こういうものを政府提案ではっきりと予算を計上すべきだと、私はそういうふうに思いますが、大臣の所感を承わりたいと思います。
  91. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話のような事情は前から私は承知しておったのでありますが、この間実は九州の水害地へ行きましても、痛切に感じたのであります。そこで、建設省の方の関係もありますが、私の方といたしましても、原形復旧ということだけでは、これは同じような災害があればまたふっ飛んでしまうので、今の法律におきましても関連事業というような制度もありますので、原形復旧とともに、関連した事業をこれに結びつけさして復旧させる、あるいはまた災害の近辺の土地改良などもその際行うようにしていきたい、こういうふうに今指導もし、災害の査定などにつきましてもそういう指示をいたしておるわけであります。しかし、根本的には、お話のように、根本的な対策が必要だと、こういうことは私も同感でありまして、そういうことにつきましては、御承知のように、九州の総合開発というようなことでいろいろ研究も進めておりますので、その研究の内容あるいは結果の中に、今お話しのようなことも盛り込む、こういうことにしていきたい、こう考えております。
  92. 青山正一

    ○青山正一君 最後にお伺いいたしたいと思いますが、現在北鮮との間に今なお国交回復がないために、漁業交渉が行われていない。しかし、その国交のないところの中国においては、これは民間の貿易協定はもうすでに四回を重ねておる。漁業協定も三回を重ねておる。そういうところもあるわけですからして、この北鮮においても民間の交渉を、これは認めるべきが僕はほんとうだろう、こういうふうに解釈しております。そこで、ただ政府の方においては、最近やかましく論じられておりますところの韓国との関係上、民間交渉もこれはできない、こういうふうに考えておられるのだろうと思いますが、いっそのこと北鮮との漁業交渉を民間にやらしてみたらどうか、こういうふうに考えております。委員長、ちょっと速記をとめていただきたいと思います。
  93. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  94. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  95. 北村暢

    ○北村暢君 私は、消費者米価のことについてお伺いいたしますが、先ほども政務次官がちょっとこの問題について触れましたが、消費者米価は、新聞によりますと、いろいろ経緯はあるようでありますけれども、先ほどの政務次官の答弁にもありまするように、値上げをするという前提に立って考慮中である、こういう答弁でございましたが、今までの閣議決定による十月一日というものを目標に準備をしておる、こういうことでございますが、現在の段階における消費者米価考え方について、大臣説明をまずお願いします。
  96. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 消費者米価につきましては、前内閣時代からこれを改訂するといいますか、上げようかということが論議されていまして、一応十月一日を目途として上げるというようなことになっておったのであります。私就任後、国内の経済情勢等もいろいろありまするし、外貨の事情等の関係からいろいろ問題もありましたので、諸般の状況を勘案しつつ、その線に沿うて操作を進めてきたわけであります。そこで、その途中におきまして、生産者米価は石一万円のものが一万三百二十二円に上ってきておるのでありますが、消費者米価を上げるというようなことになってきておりましたので、どういうふうにこれをやっていくかということでその操作を進めてきました。そこで、これをコスト価格でいくということでいたしますると、生産者価格が石一万三百二十二円でありまするから、十キロ当り八百八十六円と、こういう価格になるのであります。しかし今食糧管理制度というものがしかれておって、私は食糧管理制度というものは現在の状況から見れば適当な制度だ、生産者からは、全部の生産費は補償できないけれども、ある程度高く買うわけではありますが、買ったものを消費者には今のコスト価格よりも安く売る、こういう制度は、今の段階として私は適当だと思います。  しかし、この制度を続けていきます上におきまして、非常に損が重なっていく。百億、二百億程度であればよろしいのでありますが、非常に損が重なっていくということを、ただ放任しておきまするというと、この管理制度というものがくずれるといいますか、そういう方向にいくと思うのであります。これを自由販売にするか、あるいは間接統制にするか、これはいろいろ御意見あると思います。これについて賛否の両論もいろいろあると思いますが、今の段階においては、私は食糧管理制度という形、制度といいますか、これだけは置きたいと、こう考えております。しかしながら、今申しましたように、非常に損が大きくなってきて、維持が困難だということになっては困ると思いますので、食糧管理制度の本来の趣旨に沿うて、一般会計で持つべきものは持つようにさしたい。それからまた、生産者から買った米というものを、コスト価格の八百八十六円で売るということは不適当でありますけれども、なるべく消費者に安くという趣旨でありますが、ある程度消費者にも負担してもらいたい、こういう考え方で、結果においては消費者価格の値上げという形になりますが、そういう方向へ操作を進めてきているわけであります。  しかしながら、あまりしゃべり過ぎるとあれですが、やはりそういうことをするに際しましては、安い米を用意して、希望配給の方へこれを回すというようなこともともに行なっていきたい。それから国民の税金において、国家の損失においてそう安くばかりもできないのだから、ある程度は余裕があるというか、そういうものに、安い米を国民の税金において、政府負担において売るということもどうかと思う。結局において、ある程度の値上げというものはせざるを得ないと思います。しかし同時に、これによっていろいろな影響も受けますので、私の方の所管ではありませんけれども、社会保障費というようなものをある程度増額さしたい、こういう考えを持っておりまして、この間閣議の正式の話ではありませんけれども、そういう発言もいたしておったのであります。  現在の段階においては、ただいま申し上げましたような経過をたどっております。
  97. 北村暢

    ○北村暢君 いろいろ説明されておりますが、きょうの新聞等においても出ておりますように、一般会計で補う部分、百十五億、この問題で、その残りの分については消費者米価を値上げしてまかなう、こういうことなんです。それで、百十五億というものが、これが当然一般会計で補うべき性質のもの、いわゆる食糧の行政費として補うべきものである、まあいろいろ食管特別会計の内容は複雑でありますから、その内容は一々触れませんが、とにかくそういうことで、食管特別会計の赤字は一応なくなるような考え方に立っているようでございます。これは間違いないのでありますか。
  98. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 昭和三十一年度の赤字が百六十一億であります。昭和三十二年度、今の会計年度において、消費者米価との関連において、この赤字をどうするかという問題でありますが、それにつきましては、今お話しのように、一般会計へ移すというわけではありませんが、食管の特別会計の中で一般会計で負担してもいいような筋合いのもの、これはいろいろ計算の仕方にもよりますし、今お話しのように、なかなか内容も複雑でありますが、大体百億ちょっとこすくらいのものが取り出せるのじゃないか。それで、そのものをもって負担して、そのあとを消費者に負担してもらうというような形で、これは解決していきたい。数字の点におきましては、必ずしも新聞に出ているような数字に、まだ固まっておるわけではありません。
  99. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、今いわゆる二重米価制度といったようなものは、現在の段階でこれは大臣は認めておられて、コスト主義だけではないというふうに最初の説明で受け取れるのですけれども、結局一般行政費の中で、行政費で補うべきものというものを一般会計で補う、こういうものが百億くらい出て、あとの食管特別会計の赤字というものはこれを消費者米価の値上げでもってやって、バランスをとるということになると、これはコスト主義じゃないというけれども、私どもの受け取り方としては、やはりコスト主義に立っているのではないか。二重米価制度というもの、今八百八十六円——今上げようとしておるのは八百五十円ですが、その中でも差がある。だから、二重米価制度だ、こういうふうにおっしゃられるのだけれども、予算の面においては、私はこのコスト主義をとった形を、食管特別会計というものそのものを、赤字を出さないということだけに、消費者米価というものに重点を置かれて考えられておるように私は理解する。大臣説明を聞いておると、そういうふうに理解するのですが、今最初に言われたような二重米価考え方というものは、もう大幅にくずれてしまっておるというふうに思うのですが、その点はどうですか。
  100. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 結論的に申しますと、ことしの生産者価格消費者価格を上げたといたしましても、一般会計から百億なら百億ですから、消費者価格の分百何十億というものは、やはり来年の予算においては差額が出るわけでありますから、来年また消費者米価を上げるということを毎年やって、一般会計で繰り入れるということをやれば、お話のように、今の二重価格制度というものは解消することになりますが、そういう考え方は持っておりませんから、依然として食管特別会計の中に赤字というか差額というものは出てくるわけでありますので、これはコスト主義で貫いておるというわけではないと御承知を願いたいと思うのであります。
  101. 北村暢

    ○北村暢君 どうもわからない。今百億程度の一般会計から補うもの、これはもう性格が行政費に属するもので、食管特別会計の中でやるべきものじゃないものが含まれておるから、これを一般会計で食管特別会計から初り離してしまう、そういうことはやられないのですか。
  102. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 食管会計からそれを切り離すという考え方ではないのであります。食管会計というものは食管会計として置く。その中でばく然と出せ出せといっても、なかなか出さぬものですから、実はこういう性質のものは当然一般会計で負担すべきものじゃないか。それで一般会計の負担の方は、御承知通り、今までは赤字が出ると、決算じりにおいて赤字が出たら、それを入れるという形でやってきたのでありますが、この際、ことしだけは予算といいますか、決算で赤字が出ないでも、今の中間において消費者米価と一般会計からの繰り入れというような、食管会計への繰り入れというような形で、ここは一時赤字をなくして、両方で負担していく。しかし、来年度以降におきまして、今の消費者価格生産者価格が同じだということであるならば、やはりその差額が出てくる。これは食管会計から一般会計へ移すという考え方じゃございませんから、お話のように、コスト主義で貫くということではないのであります。その価格の差が、少し赤字の間がせばまるということだけで、制度そのものについては変りはない、こう御了承願いたい。
  103. 北村暢

    ○北村暢君 それからもう一点、値上げはするが、これは生活の程度の低い人には安い米を配給する、こういう意味だと思うのですが、安くなる米というのはどういう米なんですか。
  104. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 選択の自由を、余裕を与えたい、こう考えて安い米を用意しよう、こういうことでありますが、その種類といたしましては、陸稲及び内地の五等米、こういうものを今の七百九十円よりも下げまして七百七十円という程度に置こう。もう一つは、準内地米であります。この準内地米をもう少しなお低くしまして、七百四十円という程度にいたしまして、これを第二に用意する。第三には、御承知通り、純然たる外米であります。これは現在の通り六百三十円にする。そういうものを用意したい、こう考えております。
  105. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、陸稲と五等米、これは七百九十円程度であったものが七百七十円になるから、二十円か安い。それから準内地米が七百五十円であったものが七百四十円になるから、十円安いことになる。外米については据え置きでございますね。そうしますと、私ちょっとお伺いしたいのは、この陸稲、五等米の量ですね、一体どのくらい配給するか。量の問題です。できれば内地米配給日数と、それから供給の量、どのくらいあるかということをちょっと伺いたい。
  106. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) それにつきましては、配給手帳などというものでなくて、希望をとりたいと思っておるのであります。大体役場、市役所等で希望をとりまして、希望配給につきましてはどういう種類のものを大体希望するかという希望をとって、処置していきたいと考えております。その日数にいたしましては、五日分を用意するわけであります。その数量をどれくらいということは、ちょっと私、今記憶にないのですが……。
  107. 北村暢

    ○北村暢君 五日分の配給をします建前。陸稲、五等米、それから準内地米、特に陸稲、五等米ですが、これが安くなるやつですから、これの量は五日分配給する量というものがないように私は理解しているのですが、これは現在の手持米からいきましても、陸稲の数量からいっても、五日分を希望というのは、どの程度に希望になると推定されているのかわかりませんけれども、これを五日分配給するという量が、とても五日分を配給する、年間を通じて配給する条件はない。これについてどういう、ふうに操作されて配給しょうと考えておられるのか、この点お伺いしたい。
  108. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 数量の点については私確かな資料を今持っていませんが、今までの実績等から見まして、配給辞退という例も、今年は安くするからとの例もままとりませんが、そういうのも幾分考えの中に入っております。あるいはまた今年の豊作の事情というようなことも考慮に入れています。それから陸稲につきましては、これは全国にこれを普遍的に配給するというわけにはとうていいきません。これは陸稲地帯ということになると思います。でありますので、多く配給に向けらるものは五等米というふうに考えていますが、今、御承知のように、米といたしまするならば四等、五等が一番生産者から出す量が多い、こういうふうに私どもは見ておりますので、年間を通じて、十二分とはいきませんが、間に合う程度には、事務当局に計算さしての結果、そういうふうに措置をしようと思っておるのであります。
  109. 北村暢

    ○北村暢君 その問題ですね、私はやはり今の大臣も相当陳情を受けておられるだろうと思うのですが、まあ、三年豊作を続けて、これはまあ奇跡的な三年豊作の例、そういう時期に消費者米価が上る。しかも、神武景気といったのも、もうまたたく間にこれが一転してしまいまして、金融引き締めで経済情勢もよくない。そういう状態の中で、まあ三年続きの豊作なんで、豊作の年ぐらいは銀飯を食わしてもらいたい。しかも圧倒的に、内地米の価格にいたしましても地域差がつくようでございますけれども、そうすれば、一番雇用の関係その他からして貧困な人の非常に多い六大都市、こういうような所に集中的に、安い米というものを食わざるを得ないような階層の人が多い所に、地域差からいっても内地米が高いのですから、とうてい食えないという結果になる。従って、これは三年豊作の恩恵というものが、嗜好の面からいえば、やはりだれしもうまい飯を食いたいのは当りまえなんだから、豊作だ豊作だと言いながら、銀飯は食えずに外米しか食えない人ができてくる。これは現実にそういう結果にならざるを得ない。ですから、もう基本的に希望によって配給するというのですから、これは私は大へんな結果が起ってくるのじゃないかというふうに考えられます。  しかも、これは物価全般の問題として、米の値段というものがあらゆる物価に影響することは、もう日本の非常な特異な、物価というものが米の値段というものを基準にして、非常に敏感に物価体系に影響するところが多いと思う。そういう特異な日本の実情からいって、今非常に悪い時期に消費者米価を上げなければならない、こういう理由は一つも私はないというふうに考えるのですよ。それでも、なおかつ、そういう理由を乗り越えて、消費者米価を上げなければならない、こういうことは、私どもとても理解できない。特に米価審議会においても、これはもう上げないということが決定されている。そういう中で政府がそれを強行せられるところのものは、どうしても私は食管特別会計の赤字というものだけに非常にこだわっているのじゃないかというふうにしか考えられない。物価体系全般についての、これに対する影響をどのように大臣考えていられるか、消費者米価に対してどのように考えておられるか、その点を一つ伺いたい。
  110. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 消費者米価決定は、御承知通り、家計費に影響を及ぼさないことを主眼としておるのでありますから、そういう観点からいろいろ計算した結果から見まするというと、家計費に及ぼす影響というものは〇・三九%程度であります、私の方の調べによりますと。しかしながら、そこで一番豊作の年だからというようなことで、上げるのはいかぬじゃないか、これは一応ごもっともでありますが、これを上げずにいつまでも置いた方がいいのかどうか、そういうことで今の管理制度というものをめちゃくちゃになるようなことに追い込んでいっていいのかどうか、私どもの米の方の関係だけからいいまして……。そういうことをいろいろ考えますと、やはり生産者米価も上げたのでありますから、消費者米価についても適当な改訂を加えるのが適当じゃないか。  議論になるようでありますが、米価審議会の答申も、私の関係しておる当時ではありませんから、よく調べてみたのでありますが、あれによると、慎重考慮の上、上げてもいいような文でもありますし、前文を見ますと、上げてはいかぬというふうに書いてありますので、まことにあいまいでありますが、それは別といたしましても、実は統制を、十二分でありませんが、しているときであります。でありまするので、統制をしているときに、豊作に恵まれたということは非常に幸いでありまして、このときには余剰米といいますか、こういう余剰米も相当出回っておる。その余剰米の方面は、やっぱり米の値段に——やみということを公けに認めているわけではないが、簡単にいいますと、そういう方面は下るのでありまするから、この配給価格の〇・三九%程度のものならば、影響、これは一般物価に対する影響は後ほど申し上げたいと思いますが、家計については、割合に、少いとは申しませんが、傷が浅いといいますか、これをかりに不作の年、凶作の年というようなときに上げるということにいたしまするならば、非常に食糧価格を上げたり、売り憎み、買いだめ、しかも国内の食糧事情がまずいということになれば、外国から買い入れなくちゃならない。日本の食糧事情がまずいということになれば、外国におきましても手心を加えるといいますか、投機的になって、なかなか売るということもなしに、価格も上げられる。こういうことになって、食糧事情が混乱するおそれもある。これをいつまでも消費者米価を上げないで置くのだということでありますれば、これはまた別でありますが、改訂を加えるということでありますならば、統制下でありまするから、ある程度の改訂はこれはやむを得ないんじゃないか。私も好んでこういうことにぶつかっているわけでもありませんし、進んでこれを、何といいますか、意気込でやっているわけでもなく、実は苦しんでやっているわけなんですが、そういうふうなことで、やはり現在といたしまして、この改訂をするということが最大限といいますか、最小限といいますか、やむを得ないんであります。  しかし、これが一般物価に影響するだろうということは考えられます。昔のように米が価格中心で、米価をもって全部を律する、全部の価格をこれによって律するというときとは違うとはいたしましても、やはり心理的に、あるいは政治的に、米の値段が上るということがほかの物価に影響しないとは申されませんが、しかし今の値上げといいますか、改訂程度では、大きな影響を実質的に与えるというふうには考えられませんが、心理的とか、政治的には問題があろうかと考えております。
  111. 北村暢

    ○北村暢君 今、大臣が、食管制度を維持してゆきたいと、こういう考え方で、今のままほうっておくというと、食管会計は赤字になっちゃって、そのためにまた食管制度そのものがくずれてゆく、こういうふうにまあおっしゃられたと思うのですが、私は逆に、消費者米価を上げること自体によって、東北等の米地帯においては、これはもう消費者米価値上げをしたことによって、大豊作でもありますし、配給辞退というものがどんどん出てくる。今おっしゃったように、やみ価格も下る。下るんです。確かに下るだろうと思う。そうしますと、配給価格とやみ価格の差というものがなくなります。まあ近づいてきますから、これはもう、しかも余剰米というものが飯米と、予約をやった二千七、八百万石ですか、これらと合せても、引いても、本年度の七千七百万石近くのものになり、相当な農家の余剰米というものが出てくる。これはもうやみに流されるでしょう。そういった意味から、価格の面から逆に食管制度というものがくずれるだろう、そういう懸念がするんです。ですから、せっかく大臣考えられている食管制度を維持しようということも、消費者米価を上げることによって、かえって食管制度というものがくずれるので、結局は統制撤廃しなければならないような形にゆくんじゃないかというふうな懸念を持つわけです。  それからもう一つは、どうしても了解できないのは、中間経費その他、食管特別会計の内容そのものについて徹底的な合理化なり、検討なりが加えられて、そうして消費者米価値上げをするというなら、まだ理屈もあるかと思いますけれども、先ほど来これについての、一般会計で補うべきものは補ってもらいたいということでやるようでありますけれども、まだまだ食管特別会計、この米の問題に対する中間経費の問題その他について合理化すべき点が多々あるということは、もうすでに食糧調査会で指摘した通りなんでありますから、そういうものをやって、しかも一般行政費に負担すべきものを一般会計から負担するということになれば、二重米価による何といいますか、純然たる食管特別会計二重米価制度によるところの負担分、赤字というものは、これはやはり国民としても納得する数字というものが出てくるのではないか。そのことだけによって、私は食管制度というものがくずれるというのは、これは理解できないというふうに思うのです。ですから、大臣の言っておられる食管特別会計の赤字そのものによって食管制度がくずれるのじゃなくして、かえって消費米価を上げることによって私は食管制度がくずれる、こういう可能性の方が強いのじゃないか、こういうふうに私は考える。従って、こういうような理由、あるいは物価体系の上からいっても、現在においてどうしても消費者米価の値上げというものについては私は賛成できない。そういう点からしての、まあこれは私の意見になりますから、回答は私は別段求めませんけれども、この食管制度というものは非常に大きな政治問題でもありますし、この問題を処する上においては、一つ慎重に対処していただきたい、こういうふうに思います。
  112. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御答弁ではありませんが、今食管会計の中間経費等が荒いという話でありますので、実は予算面におきましても運賃とか保管料、金利、その他につきまして、八億五千万円ほどは、節約といいますか、整理いたしております。それから今度も今のような消費者米価の改訂という措置をとるにつきましては、できるだけ中間経費を、節約といいますか、合理化するというような形で、約十四億ぐらいの金を合理化によって節約する、そういうふうに仕向けておるわけであります。なお、食管会計の内容につきましても、今までのようなどんぶり勘定といいますか、どこで損をし、どこで得をしているかというようなことが不明確なような内容ではいけないということで、内地の米麦とか、あるいは輸入食糧、輸入米麦とかいうことの、部門別に四つぐらいの部門に分けましてこれを整理していく、こういう措置もあわせて今進めつつあるのであります。
  113. 北村暢

    ○北村暢君 違う問題になるのですけれども、もう一点だけ。これは米価の問題じゃないのですが、当面の早場米の米の検査の件に関してでありますが、まあ大臣は物動的な政策から農家の安定ということに政策を切りかえられた、こういうことのようでございますけれども、大臣のひざ元にある食糧関係に従事している職員の勤務の実態、特に早場米地帯における検査業務の非常に繁雑な時期に、実際問題として、一カ月に末端の食糧事務所の出張所で二時間半ぐらいの超勤しか予算がないわけであります。それで夜中の十二時まで、とにかく早場米の検査について仕事をやらなければならない。結局、そういうような実態がずっと毎年毎年続いておるわけであります。それが今年の場合もまたこれが問題になりまして、ここに秋田県からの新聞が来ておるのですが、これによりますというと、農協関係からでも非常に心配して、この集荷の事情についての業務の支障が起るのではないかということを非常に心配しておるのは、逆に農民の側から非常に心配しておる。そういう事情が出てきておるのですが、私はここで、大臣ですから、直接どうという答弁は求めませんけれども、実際に一日に二千俵からの米を検査する、そういうような実態の中で、非常に過酷な労働条件の中で、超過勤務手当等も払えないような実情の中で仕事をしておる、この実情をよく知っておいていただきたい。それでないというと、今後この問題は、食糧庁と当局と全食糧の組合の中で、今紛争になる可能性が非常にあるのです。ですから、今の労働政策からいっても、法規通りやれやれと、こういうだけでなしに、法規は守ってやる、政府側も守り、組合側も守る、これは非常にいいことであると思います。ですが、そういう実態にあること。  それから昨日もこの問題について、清澤委員の方から、新潟県の実情について言われておるわけですけれども、実際にこの繁忙期において臨時に採用された、非常勤の臨時的な職員ですね、この方々が非常に過酷な労働条件の中で、一日二百円くらいでもって夜十二時ころまで働かされておるという実情なんです。見るに見かねて、農協なり何なりが、慰労の意味か何か、そういうようなことでもって慰労をするというような、非常におかしげな形態があるわけです。そういう点を一つ農家経営の安定ももちろんなことですが、ひざ元の職員がそういう苦労をされているということを、大臣は知っておいていただきたい。その上で一つ、今後起る問題については、今食糧庁当局と大蔵省と折衝をやって、何とか予算の確保に努力したいということで、せっかく努力しておるようでございますから、大臣もそういう点を一つ積極的に応援をして、これがあまりおかしげな紛争の起らないような形で解決していただくように、要望をしておきます。
  114. 戸叶武

    戸叶武君 大臣の答弁の中に、米価審議会の結論を見るのに、前文においては消費者米価の値上げをするなという趣旨が出されておるが、内容をよく見ると、値上げしてもよいというふうに受け取れる点もあるというような答弁がありましたが、この点は非常に重大であって、審議会の結論というものが、大臣によってそういうふうに二つの面に勝手に解釈がとれるようなことをすると、結論として非常に権威がない、とになるので、そういうふうな疑念がある以上は、もう一度米価審議会における非常に明解な結論を出してもらうことが必要ではないかと思いますが、大臣としてはどういう御見解ですか。
  115. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 実際に審議会に私おらなかったので、答申を読んだのでありますが、私の読み方によっては、現下の社会情勢のもとにおいては消費者価格の値上げは適当でないが、さらに慎重に検討の上では、食糧管理法第四条の趣旨にのっとり、家計の安定を阻害しない範囲においては検討すべきである、こういうふうにもありますし、付帯決議の中にも、この価格について消費者において負担すべきものがあるとすれば負担するというようなことも一つ考えるようにという趣旨の付帯決議もありますので、全然否定的とばかりには受け取れないと私は考えていたわけなんであります。
  116. 戸叶武

    戸叶武君 米価審議会の結論は、基本的にはやはり消費者米価の値上げには反対の線で貫いていると思うのです。大臣の読み方が自分に都合のよいような読み方と解釈をしているので、これは議論しても仕方がないと思いますが、とにかく今度この食管会計の赤字を埋めるために、一般会計から百五十億円を繰り入れるというような方式を打ち出しておるのですが、今までにおいてもこういう方式を採用していれば赤字は出なかったと思うのですが、今までになぜこういう方式を出せなかったか。それと赤城農政との違い方、その立っている理論的基礎を簡単に説明してもらいたい。
  117. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ほかのこれは特別会計も同様だと思いますが、赤字が出て、その結果一般会計で翌年度あるいは翌々年度に埋めていくというふうにやってきたようでございます。食糧管理特別会計法によりましても、そういうふうに現在やってきたのでありますが、この際消費者価格の改訂をするというにつきましては、決算に出た赤字をあとから埋めていくというようなことでなくて、政府の会計においても率先してこれを埋めて、そうして消費者にも負担してもらう、こういうようにいくべきであろうということで、実は大蔵当局とも交渉いたしまして、一般会計で特別会計の百億内外の金を負担するというふうに、まあ話し合いを進めておるわけであります。まだ結論が出たわけでありません。その程度は一般会計で負担よょうということには、大臣同士の話し合いをしております。また額その他いろいろ話し合いをしておりません。後刻話し合わなければならぬ問題も残っております。
  118. 戸叶武

    戸叶武君 今、大臣は、消費者米価を上げるのだから、この際今度は政府側が率先して、赤字にならない先に一般会計からそれだけの金を出そう、こういう態度のようですが、今までも政府がそういうことをやっていれば、こういう赤字は出ないので、そういう点においてまあ赤城農政というものは、今までの自民党の農政から見れば、一歩前進のようには見えるが、やはり折衷式であって、理論的な点においては非常に筋が通っていない点があると思う。赤城さんは非常に良心的で、先ほどの説明を聞いても、率直に食糧管理制度を維持すると言うし、それから生産者からは高く米を買ってそうして消費者に安く売るという、この二重米価制度は妥当であるという点まで言明しておるわけなんで、われわれの考えに非常に、今までの保守党の農政とは違って、近い良心的と思われる点があるのですが、その点に一貫性がない。具体的にも、赤城さんは、百億や二百億程度ならよいが、こう大きくなっては維持が困難であるという。この維持が困難であると思わせるような理屈をやってきたのは、今までのやり方なんです。今赤城さんがやる程度のことをやっていても、これは赤字が出ないで済むんだが、そこらの点、どっち向いてやっているのか、これは岐路に立っての一つのハムレット的農政かもしれませんが、わららないで、場合によっては非常な誤解を招く点もあると思うのですが、この米価の問題一つを通じても、やはり赤城農政の性格というものが見られるのですけれども、この点をもっとわかりやすく赤城さんの所見を承わりたい。
  119. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 初めから食管会計の赤字というものを予算で埋めればいいかと思いますが、実際問題といたしましては、赤字がある程度出るという予算のものもありますが、決算をしてみませんと、実際面においてこれは的確な数字は出てこないのであります。でありまするから、初めから全部赤字を一般会計がしょっていくというようなことは、非常にやりにくいことだと思います。そこで、ある程度のものはこれは負担するということならば、話はわかりますけれども、決算してみなければ、食糧の事情、輸入にいたしましても価格も変動いたしまするし、その他いろいろ変動もありまするし、あるいは予算米価を作りましても、御承知通り米価審議会等の答申によっては生産者価格も変ってくる。現に一万から一万三百二十円になったために、八十七億赤字が出てきた。こういうようなこともありますので、全部初めから一般会計で埋めるというような予算の立て方というものも事実上はむずかしい、こういうふうに考えております。
  120. 戸叶武

    戸叶武君 理屈は言う必要はないと思いますが、三十年度に三十四億の赤字が出て、三十一年度に百六十一億の赤字が出て、三十二年度に百四十二億の赤字が出ているのです。これは大体前から予想されている数字です。的確に数字をつかまえられないとしても、われわれ社会党が指摘しているように、食管制度そのものが二重米価制にささえられなければ運営の円滑を保つことができないので、それだとすれば、今赤城的便法によるところの今度の一般会計から百十五億ですか、その程度でも埋めようというような心がまえがあれば、当然私はこれほどのひどい赤字というものは累積されなかったと思うのです。そういう意味における今までの農政の間違いを、折衷主義にしろ、修正しようという赤城さんの良心的な面はわかるけれども、その非常に良心的な面が、まあ政治は妥協だというこの保守党一流の考え方から出発しているのかもしれませんが、消費者値段を上げなければ、結局大蔵省から金がとれないから、まあこの辺で泣かなければならないという、一個の敗北主義の赤城農政に終ってしまっているのじゃないかと思うのですが、この辺をもっと、やはりどうせするならすっきりしたものにして、この消費者米価を上げるというようなことをしないでも、問題の片づけばできるのじゃないか。そういうことを、私は赤城さんは良心的に一応は考えたことはあるのだと思いますが、そういうことを考えても、それが現在の政府においては実行できないのかどうか、そこいらのところを、ざっくばらんにぶちまけて披瀝してもらいたい。
  121. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) そこまで今突込んでやっているわけではありません。非常に御貴重な御意見として承わっておきます。
  122. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ちょっと関連してお伺いしたいのですが、一般会計で負担する百億見当の分、これは三十一年、それから本年度を通じての食管特別会計にある赤字の一部を埋めると、補てんをするという性格のものか。先ほどちょっとお話のありました食管特別会計のコストの中で、一般会計で持つことを妥当とする分ですね、その分を、これはどれが妥当かどうか問題がありましょうけれども、その分を百億円見当一般会計で持つのですか。どちらなんでしょうか、ちょっと理解しかねるのですが……。
  123. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今までの例を破って、ここで出させようということでありますから、私の方の考え方としては、一般会計で持つべき筋合いのものということで、そういう算定をしたのであります。しかし、出す方においては、これがどういうふうな考え方か知りませんが、率直に言うと、私どもの方の考え方、出す方の考え方、思想統一がまだしてありません。
  124. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 一つ検討願いたいと思うのですけれども、もしそうだとしますると、食管特別会計の立場からいうと、問題があると思うのです。御承知のように、これまで三十年度も、これは結果において一般会計で埋めた。三十一年度についても、先般の国会においてはいろいろ論議がありましたけれども、各会派ともこれはやはり一般会計で処理すべきものだ、消費者価格というものは引き上げがあっても、過去に遡及して過去の赤字まで埋める筋合いのものじゃないという点については、これはだれしも異論はなかったと思うのであります。従って、農林省が折衝される上において、百億の性格を相当はっきりしてかからないと、場合によれば、それ以外の赤字分も今度は消費者価格の方でかぶるのだというふうに追い込まれるといいますか、そういう結果になるおそれもあるので、もし一般会計、特別会計の中で一般会計が持つことが妥当なものを一般会計で持たすとすれば、これは将来にわたって一つ特別会計の基礎も私は固まることになると思う。この点が先般の調査会でも相当問題だったのですが、この点を一つはっきりしてかかることが非常に必要じゃないか。おそらく本年度の、三十一年度と三十二年度の赤字を合せて、これはどうしても、時期は別として、一般会計で穴埋めするほか私はあるまいと思う。ただ、三十三年度以降の立て方の場合に、一般会計の負担の関係も相当はっきりしてかかることが必要だと思います。一つ検討をお願いいたしたいと思います。
  125. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御指示に従って検討いたしたいと思います。
  126. 堀末治

    委員長堀末治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十四分散会