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1957-09-09 第26回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月九日(月曜日)    午前十時三十五分開会   ―――――――――――――   委員の異動 八月二十一日委員河野謙三辞任につ き、その補欠として梶原茂嘉君を議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。   委員長      堀  末治君   理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀本 宜実君           小笠原二三男君            北村  暢君            戸叶  武君            梶原 茂嘉君            北條 雋八君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    外務政務次官  松本 瀧藏君    外務省欧亜局長 金山 政英君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省農地局長 安田善一郎君    農林省振興局長 永野 正二君    水産庁長官   奧原日出男君    運輸省海運局海    運調整部海務課    長       井上  弘君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選農林水産政策に関する調査の件  (ピヨートル大帝湾立入制限に関す  る件)  (北方地域漁業安全操業に関する  件)  (中共禁漁設定に関する件)  (中央卸売市場に関する件)  (特定水域航行漁業に関する件)  (農林水産関係災害に関する件)  (輸出農産物に関する件)   ―――――――――――――
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  最初に、委員の変更について御報告いたします。去る八月二十一日、河野謙三君が辞任され、梶原茂嘉君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、河野謙三君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員になっておりますので、その補欠互選を行います。  互選方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  それでは、私から島村軍次君を理事に指名いたします。   ―――――――――――――
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) ピョートル大帝湾立入制限の件を議題といたします。  最近問題になっておりますこの件について、まず、問題の経緯、その対策及びその後の見通し等について、政府当局説明を求めることにいたします。  外務省から外務政務次官松本瀧藏君、外務省欧亜局長金山政英君、参事官三宅君、水産庁長官奧原日出男君が見えております。  なお、本日ぜひ外務大臣に出ていただくことを要求したのでございますが、大臣は今、渡米の関係、並びに国賓が来朝しておられるような関係で、非常に多忙なので、はなはだ恐縮だがきょうはかんべんしていただきたいと、まあかようなことで、政務次官松本君がお見えになっておる次第でございまするから、この点さよう御了承いただきまして、御質疑をお願い申し上げます。
  6. 青山正一

    青山正一君 外務次官なり、あるいは欧亜局長にお伺いいたしたいと思いますが、最近ソ連ピョートル大帝湾を封鎖いたしまして、外国船なり、あるいは漁船飛行機の接近を禁止しておるような状態であります。これは明らかに国際法に違反しておりまして、わが国門脇大使も再三、再四、なりあるいは伝達なりして、抗議しておるような状態でありますが、この解決のめどがいまだにつかないように、私どもはそういうふうにとっておるわけです。これは日本だけではなく、米英両国も、あるいは衛星国であるところのソ連と最も近しい北鮮でさえも、非常に抗議しておるわけでありますが、これも黙殺しておる。この問題は、わが国漁業に及ぼす影響が非常に大きい。ことに裏日本、つまり日本海に面しておる各県の影響が非常に大きい。そこで、お伺いしたいことは、ピョートル湾は果して、ソ連の言うように、内海として国際法上みなされるかどうか、内海の基準というものは少くとも湾口が百マイル以上のものでも内海とみなされるかどうか、そういった点と、それからこの問題の経過と交渉内容、今後一体どうするのか、それらの諸点についてお伺いいたしたいと思います。
  7. 松本瀧藏

    説明員松本瀧藏君) 先ほど委員長のごあいさつの中にもありましたごとく、大臣はユーゴスラビアの国賓が参っておりますのと、ピネー元フランス首相がきょう参りますのと、いま一つ、アメリカ行きの諸般準備の繁忙であるために、出席できませんので、はなはだ潜越でございますが、私が代理さしていただきます。  ただいまの御質問に対してお答え申し上げまするが、もちろんわが方といたしましては、先ほど御質問の中にもありましたごとく、これをソ連内海として認めることは、国際法慣例からしても、絶対に承服できませんので、従って、七月二十六日に門脇大使を通じまして厳重なる抗議を申し入れました。もちろん、この内容につきましては、御承知のごとく、国際法のいわゆる湾口十マイルないし十五マイルの慣例等あたりを援用して抗議を申しました。これに対しまして、ソ連から回答門脇大使を通じてあったのでありまするが、彼らの言い分は、ピョートル大帝湾は、地理的にも、また経済的にも、はたまた国防の観点からいたしましても、以前からこれは歴史的な見地からしてソ連の湾であるということをリマインドするという回答であったのであります。もちろん、われわれはこれに承服するわけにはいきませんので、さらに八月六日、門脇大使を通じまして、さらに厳重なる抗議を申し入れました。  その内容の大意を申し上げますると、まず第一点は、本年の五月、御承知のごとく、ソ連監視船が第二次試験操業をしておりました船に退避命令を下しまして、その退避命令は、決してこれはソ連領海であるとかいう意味でなくして、機雷の爆発の危険があるから退避せよということであったのであります。もちろん、その命令の中には、同湾が歴史的なソ連地域であるというようなことは毛頭書いてございませんでした。従って、との点を指摘いたしました。第二は、一九二八年の日ソ漁業協定の中に、操業禁止地区というものを定めましたが、この中には、全然このピョートル湾ということは入っていないのであります。第三は、戦前から長期にわたって日本の漁夫が、ここで漁船操業しておる事実をあげました。第四点は、一九四四年の三月三十日に取りきめました協定の中には、戦時暫定措置といたしましてこれを一時合意の上で禁止した事実があるのでありますが、こういう事柄を強く向うに抗議を申し入れた次第であります。これに対しましては、今日まだ回答が参っておりません。  以上であります。
  8. 青山正一

    青山正一君 水産庁長官にお尋ねいたしたいと思いますが、今年の二月ですか、三月、裏日本一帯の各県から、各県が指導いたしまして、このピョートル湾付近にいろいろ操業しているわけでありますが、しかも、前水産庁長官は九月から必ず操業させてやるというようなお話もあるわけなんですが、そういった裏日本の各県の操業は、この問題のために一時中止しなければならぬ、こういうふうな現状になっているわけですが、そういった漁業者をどういうふうに今後方法を講じていくか、たとえばほかに操業するところがあるのかどうか、その点について承わりたいと思います。
  9. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) ただいま御指摘のございましたように、裏日本日本海沿岸の底びき漁船ピーター大帝湾漁業に非常に大きな期待を持っておりまして、従いまして、水産庁といたしましても、外務省と緊密に御連絡を申し上げ、この問題が打開できることを衷心より希望をいたしているのでございます。  日本海沿岸の底びき漁船中には、ピーター大帝湾の出漁を見越しまして、ある程度機械を準備する、船型を大きくする等のことを取り計らったものもだんだんございまして、これらに対して今後どういうふうにしていくかということについて、われわれも同情をもって検討をいたしているのでございます。われわれが受け取っておりまする陳情によりますれば、北海道周辺の底びき漁業に出漁する希望を持っているようでございますが、しかし、これはすでに既存の底びき漁業者の入っておりまする漁場につきましては、両者の間に十分なる話し合いをし、その間の調整をはからなければ入漁することは非常に困難であろうかと、かように思うのであります。しかしながら、水産庁としましては、明年度におきましても、また今年度におきましても、すでに御説明申し上げました通り、新しい底びき漁場の開発ということに努力をいたしているのでございまして、従いまして、基地の関係等につきまして既存の底びき漁業者との間の調整をとりつつ、これらの準備をいたしました漁業者についての円滑なる今後の漁場の付与ということについて検討いたして参りたい、かように考えております。
  10. 青山正一

    青山正一君 ちょっと速記をとめていただきたいと思います。
  11. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  12. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  他に御質疑はございませんか。――他に御質疑がございませんければ、本件については本日はこの程度にいたします。   ―――――――――――――
  13. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、北方地域漁業安全操業の件を議題にいたします。
  14. 東隆

    東隆君 北海道道北道東における漁船の捕獲あるいは臨検が相変らず続いておって、漁民はもとより、関係方面は非常にこの解決を何とかしてほしい、こういって心配をいたしておるような次第です。それからまた、最近ではソ連監視の手をますます強めておる状態になっている。そのために、タラであるとか、帆立とか、その他の道北道東海草漁業が壊滅的な影響を受けるのじゃないか、こういう心配がまた起きておるのです。この近海の漁業が安全に操業できるようにならなければ、これは北海道の世界の三大漁場の一であるというようなものは、完全に壊滅に帰するわけです。これがもし操業が安全にやれるとすると、ざっと六十億くらいの水揚げをあげることができ、この額は北洋漁業に決して劣るものでない、こういうふうに考えられるのです。  こういうような状況にあるわけでございますが、ただいまもお話があったように、領海の問題でもって、日本は三海里、それから英ソの間で協定したものは六海里くらい、それからソ連は十二海里、こんなようなことで、領海の問題で非常に困難な問題がある。それにまたサケやマス、カニの漁獲、そういうようなことのためには、避難場を今占領されている地域設定をする必要がある、こういうふうな問題についてなかなか解決していない。それで政府の方では、平和条約が締結されるまでの暫定的な協定として、漁業協定を結ぶようなことを言われておるのですが、どういうような方針で進めておられるか。千島あるいは樺太、その他の領土権を放棄する、そんなような考え方もあるのじゃないか。どういう態度で進めておられるか、その点をお聞きいたしたい。
  15. 松本瀧藏

    説明員松本瀧藏君) ただいま東先生の御心配なされた通りでありまして、いろいろと御心配されておる問題を勘案いたしまして、目下ソ連折衝中でございまするが、てんまつを御説明申し上げますると、御存じのごとく、六月三日に門脇大使を通じまして、先ほどの態度でございますが、外務省といたしましては、日ソ親善人道的見地から操業を可能にしてもらいたいという線を出しまして、いろいろ折衝いたしております。八月十六日に門脇大使を通じまして、ソ連から、若干の地域ソ連領海におけるところの漁獲及び海産物採取問題につき日本交渉する用意があるという回答がございました。そこで、さっそく八月二十九日、わが方から成案を求めるべくある案を作りまして、そうして門脇大使を通じてソ連の方に提出して申し込んであるのでありまするが、先ほど東先生のいろいろ御心配なされた諸般の問題を、ほとんど全部網羅されている。こまかな点に関しましては、いずれ欧亜局長なりから説明をいたしたいと思います。
  16. 金山政英

    説明員金山政英君) 御質問のありました千島樺太領土権の放棄になるじゃないかというような点に関しては、この問題に触れぬばかりでなく、三海里、十二海里という原則的な領海の問題、これにも触れていたのでは両者妥結見込みがありませんので、その問題も触れないという立場交渉を進めていきたいと思っております。それから、先ほど協定というお言葉がありましたが、これは先方がほかの形式のものにすることを希望するならば、これもけっこうであるという態度で臨んでおります。協定内容に関しましては、先方がどういう態度に出てくるかわかりませんので、あるいはある漁場を指定してくるかもしれない、あるいは軍事的な必要とかいろいろな問題を先方が提起してくるかもしれません。そういう問題は、可能の範囲において当方はそれを考慮してやる考えでおります。避難場の問題、もちろんこれも協定の中で要求しております。わが方の六月三日の先方に対する申し出の中には、非常にばく然とした提案しかいたしておりませんので、八月二十八日のわが方の申し出には、相当詳細にわが方の希望を申し述べておりますが、先方は、今政務次官から申されましたように、十二海里の領海内においてというようなことを言っております。そういう観点から、将来の交渉は決してやさしいものではないという印象でおりますが、ともかく北海道漁民の生活問題に関する問題でありますので、できる限り先方の主張はこれをのんで、できるだけこの協定妥結するようにいたしたいと思っております。こまかい点で、もしほかに明らかにされたい点がありましたら、お答え申し上げます。
  17. 東隆

    東隆君 今の次官お答えになったのは、人道的な見地ということでありましたが、今進められている交渉の中に、人道的な見地関係した問題で、どのような問題があるのですか。
  18. 金山政英

    説明員金山政英君) お答えいたします。この交渉とは別個に進めている問題でありますが、貝殻島の灯台点灯の問題これももちろん人道的な見地から先方の考慮を要求しております。それからこの交渉自体に関しましては、実は千島樺太間の引揚漁民、これが非常に困っておられるという事実、それから根室周辺漁民たちが、ほんとうに目と鼻の先にある海域操業するのに非常な恐怖をもってやらなければならぬというような点、まあ法律的には見解の相違がありますが、何とか人道的な見地から一つこの問題を円満に妥結したいものだというのが、わが方の態度であります。
  19. 東隆

    東隆君 もう一つ、このほかに私は、暫定協定等を進めるに当って、日ソ間のやはり親善友好を進めるために貿易の問題を取り上げなければ私は問題にならぬと思うのです。それについてどういう考えでおられるか。
  20. 松本瀧藏

    説明員松本瀧藏君) 御承知のごとく、こういう経済問題等あたりをよく審議いたしまして、協定を結ぶところまで持っていきたいと思いまして、今その準備中で、近日中に、大体予定は今月の十日からでしたが、飛行機の都合で先方の代表の到着が二、三日おくれましたので、この会議でいろいろその問題に触れることになると思います。
  21. 東隆

    東隆君 どういう名前のものですか。
  22. 金山政英

  23. 青山正一

    青山正一君 関連して、次官にお伺いしたいと思いますが、択捉とか国後、それから歯舞、色丹に、三代前とかあるいは四代前からおられたお方で引き揚げたお方、そういうお方に対しまして、前の委員会欧亜局長から、祖先の墳墓の地へ行きいろいろ祭事をしたい、こういうふうな申し入れがあった際に、その点は交渉しておるのだ、こういうふうなお答えがあったわけなんです。それに対して、一体どういう御交渉で、今どういう結果になっておるか、それをお答え願いたいと思います。
  24. 松本瀧藏

    説明員松本瀧藏君) お答えいたします。非常な情熱をもちまして、欧亜局長あたりを中心として折衝して参りましたところが、諸般事情で、なかなか向うでは帰ることを快くいたしませんので、今のところは頓挫しておりますが、なおこの交渉は、断絶することなく、今後も続けたいと思っております。
  25. 金山政英

    説明員金山政英君) 補足的に申し上げます。先方が拒否している理由として現在まで出しておりますのは、あの地方が禁止区域であるということでございます。
  26. 堀末治

    委員長堀末治君) この交渉はいつごろ成立するお見込みですか。
  27. 金山政英

    説明員金山政英君) わが方が初めて申し入れましたのが六月三日、初めて先方交渉を受諾してきたのが八月十八日というようなわけでして、わが方としては大至急交渉を進めたいと思っておりますが、まだわが方の申し出に対してはソ連側から何らの意思表示をしてきておらない状態であります。できる限り、情勢を勘案いたしまして、早く妥結に到達したいと思っております。
  28. 堀末治

    委員長堀末治君) 年内、どうですか、見込みありますか。
  29. 金山政英

    説明員金山政英君) まあ今は冬で、海も荒れておりますし、来年の春までに何とかして安全に操業ができるようにいたしたいものと考えております。
  30. 堀末治

    委員長堀末治君) できるだけ一つ、御努力をお願いいたします。  本問題について他に御質疑がなければ、本件については本日はこの程度にいたしておきます。   ―――――――――――――
  31. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、中共禁漁設定の件を議題にいたします。  最近問題になっておりますこの件について、まず、問題の経緯その対策及び今後の見通し等について、政府当局の御説明をお願いいたします。
  32. 松本瀧藏

    説明員松本瀧藏君) 最近問題になりました中共の新しい禁漁区の設定の問題に関してでございますが、昭和三十年四月に中国漁業協会日中漁業協議会の間に一つ協定が結ばれました。その協定の中に禁漁区というものが一応設けられてありましたが、それを修正するという通報があったわけであります。  その内容は、東支那海治安状況が非常に好転したということと、それから漁業資源保護の必要上からして少しその図面を変えたいということであります。一口に申しますると、沿岸禁止区域を北緯二十九度からさらに下に下りまして二十七度、二度延長するということと、それからいわゆる軍事作戦地区を二度幅を縮小するという、これは通報であったのであります。もちろん、これは政府政府の間の協定でもなければ、これは日本政府に正式に通告してきたものでもありませんのと、さらに、まだ国交正常化しておりませんので、先ほど申し上げました中国漁業協会日中漁業協議会の間でいろいろ折衝が行われてきておるのであります。  わが政府といたしましては、最近それに対しましてある了解事項があったようでありまするが、八月十九日並びに二十四日、情報文化局長の談として発表いたしましたごとく、わが政府としての態度は、民間自主的規制であって、政府はそれによって公海自由の原則に関する立場を変えるものでないということを、一応発表しておきました。以上。
  33. 青山正一

    青山正一君 政務次官に伺いたいと思いますが、これはざっくばらんに申し上げますと、この現在の政府の行き方が、台湾へ岸総理自体が行くとか、あるいは韓国にえらい遠慮して交渉しておるというようなことを見まして、ちょっとゼスチュア的に日本政府に対する政治的な圧力というふうにも考えられるわけなんでございますが、その点、どういうふうに解釈なさいますか、どうですか。
  34. 松本瀧藏

    説明員松本瀧藏君) 中国の、まあ中共でございますが、内部の政治情勢とか経済情勢等あたりにつきましては、正確に把握するすべもございませんが、いろいろな情報外国から参りまする情報等あたりを検討してみますると、ただ単に岸総理の間違われたいわゆるあの批判に基くということよりも、何か国内的のいろいろな諸般事情があるという工合にも承わっているのでありますが、それがプレッシァであるか、あるいは国内事情政治事情あたりを加味してのそれが北京の態度であるかということは、よくわれわれにはわかりません。
  35. 青山正一

    青山正一君 水産庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、この問題は日本漁船の締め出し問題かどうか、それによって生まれた影響というものはどういうものか。たとえば先日の日中漁業協議会、これは平塚さんが会長になっておりますが、それの発表によりますと、むしろ中国側措置を歓迎とはいかないけれども、幾らか歓迎しておるというふうな建前の何か声明書を出しておるわけなんですが、こういった点についての水産庁見解は、どういうふうに御解釈なさいますか。
  36. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) ただいまお話がございましたように、九月の五日付をもちまして、日中漁業協議会会長名をもちまして、中国漁業協会に対し、禁漁区の設定措置は、公海においては日本漁船を拘束し得ないということを明らかにいたしまするとともに、漁業協定締結に、交換いたしました資源保護についての申し合せの精神を尊重いたしまして、日本漁船を指導するということを了承する回答をいたしたのでございます。従来の中国日本との間の民間交渉において流れておりました空気から考え、また今回の実質的な影響という観点から考えてみますれば、日本民間業界におきまして、日本船締め出しという意図をもって中共側がこの措置をしたというふうには受け取ってないと、かように了解しておるのでありまして、また私も今度の禁止線自身の実質的な広さから考慮いたしまれば、やはりその民間見解をそのまま裏打ちしているのではないかと、かように考えておる次第でございます。  どの程度漁獲の上に影響があるか、こういうことでございまするが、東海、黄海全海域におきます底びき、トロール漁獲量と対比してみますれば、今回設置された禁漁区内におきます漁獲量というものは、底びきにつきましては、一・五%、トロールにつきましては六・七%このくらいな程度の割合かと、かように存じております。
  37. 堀末治

    委員長堀末治君) 本問題について他に御質疑ございませんか。御質疑がなければ、本日は本問題はこの程度にとどめておきます。   ―――――――――――――
  38. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ちょうど外務省からもお見えになっておりますが、日韓問題その後の問題を、ちょっと御説明いただけませんでしょうか。日程にはございませんけれども、非常に関心を持った問題でございますので……。むずかしくなっておるようでありますが、最近の動静はどういうふうになっておるかということを御説明いただけば、けっこうだと思います。
  39. 松本瀧藏

    説明員松本瀧藏君) お答えいたします。本問題は、御承知通り、非常にめんどうな問題でございまして、根気強くやる以外に道がございません。何回となく暗礁に乗り上げまして、新聞報道によりますと、もう決裂ではないかというような評すらございまするが、外務当局といたしましては、できる限り一つこれを根気強く継続したいと。それ以上ちょっと内容を申し上げる自由を与えられておりませんので、御了承願いたいと思います。
  40. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 きのうの新聞でしたかどうか知りませんが、最近の新聞に、この問題について外務省として、今お話しのように、根気強くやっていくか、あるいはまあがまんできる程度譲歩してでも解決するか、その二つの岐路に立っておるということが新聞に出ておりました。それで、これはまあ外交上の問題でありますから、内容は御発表できないと思いますけれども、まだ日本として幾らか譲歩する余地があるのでありましょうか。この点はどうでございますか。
  41. 松本瀧藏

    説明員松本瀧藏君) ただいまのところでは、日本の最後の線というものは先方に伝達してございますので、それを変える意思はございません。
  42. 堀末治

    委員長堀末治君) じゃ速記をとめて。    〔速記中止
  43. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  本件はこれにて終了いたしました。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  44. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  実は、先ほど御了解を得ました日程を少し、当局の都合で変更さしていただきまして、第四番目になっておりました中央卸売市場の件を議題にいたします。  この問題は、過般東京中央卸売市場神田分場の荷受機関東京神田青果株式会社に対する業務停止の状態が起って、関係方面の問題になっているのであります。  この件については、青山委員から発言の要求がありましたので、この際御発言を願うことにいたします。
  45. 青山正一

    青山正一君 経済局長なり山崎技官がこちらにお見えになっておりますからして、この点について十分お聞きしたいと思いますが、最近、私ども参議院が先議になりまして中央市場法を作った、そうしてこの中央市場が円滑に、スムーズに運営されることを望んでおったわけでありますが、最近、新聞紙上なり、あるいはニュースなどに、神田の東京神田青果株式会社が、生産者なり、あるいはその他に非常な迷惑をかけまして、四億九千万円という負債をかついだまま営業停止をした。そのために、各生産者の、たとえば長野県とか山梨県、岡山県、北海道、千葉県、そういった各県の知事が、県議会の決議でもって、こういった負債を一体どうしてくれるのだというふうなことで、当委員会、あるいは農林省あたりにも相当陳情が出ておる。こういうわけであります。それで、ここにおられる委員の皆様にわかりやすいように、その問題の経緯が一体どういうものであるか、そういう点について一つ承わりたい、こういうことと、それから、ひっくるめて御質問申し上げたいことは、第二に、東京神田青果株式会社の業務の停止が、特に農民に与えた損害というものは一体どういうことになっておるか、その点と、それから第三点には、この問題の収拾策は一体どうするのかという問題と、それから第四点には、この問題から惹起される今後の問題点として、農林省及び市場開設者であるところの東京都の責任は一体どういうものか。それから二点といたしまして、特に農民がこうむった損害の収拾対策は一体どうするのか、それから第三点として、今後かような問題の未然防止策を一体どうするのか、そういった点をひっくるめてお聞きしたいと思います。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のに関連して、つけ加えておきたいのは、農林省が大体市場を取り締る範囲の権限の問題、どの辺まで大体取り締られるのかという範囲と、その基準法律を一つ、何によってそういうものができるのか。一番大事なことですから……。それから先は、どこがどういうふうになるのであるか、その点をついでに伺っておきたい。
  47. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいまお話しでありました東京神田青果株式会社の今回の業務停止の事件に関しまして、ただいまの御質問の順序に従いまして御説明申し上げます。  今年の七月三十一日に、市場開設者であります東京都知事が、東京都中央卸売市場業務規程第五十二条第三号の規定によりまして、これは売買仕切金の不払い、すなわち東京神田青果が生産者に対して仕切代金を支払うことができなかったということによって、業務停止をいたしたのであります。  その仕切金ができなかった状況は、約八千三百万円でありまして、その中の大きいのを抜きとって申し上げますと、千葉県が約千五百万円、山梨県が千三百万円、埼玉県が千二百万円、これらが千万円をこえるものでありまして、五百万円をこえるものといたしましては、静岡の七百万円、青森県の六百万円余、東京の六百万円余、こういうふうになっております。百万円をこえるものといたしましては、愛知の一百万円余、大阪、それから兵庫、和歌山、長崎、福島、北海道、群馬、そういうところは百万円をこえております。そのほか、ほとんど各県に、小は数万円から数十万円の未払代金が残っておるのであります。そこで、こういうことがなぜ起ったのかというのでありますが、会社の経営内容が非常に苦しくなっておりまして、銀行からの借入金二億以上、それから仲買人、小売商等からの借入金一億以上、それに先ほど申し上げました未払代金、こういうふうに非常に大きい負債があります。この金繰りに行き詰まって、そうして仕切金の支払いができなくなった。そこで先ほど申し上げましたように、業務停止を講じたのであります。  そこで、こういう公的機関であります卸売市場において、こういう事件が起ることは、市場開設者といたしましても、また監督官庁といたしまして農林省といたしましても、非常に困るのであります。これらの善後処置について、まず第一は、生産者に一文たりといえども迷惑をかけてはならないということを根本の目標といたしまして、果して会社で、再建して、この生産者の仕切金が容易に返還できるかできないかということを検討さしておるのであります。会社におきましては、数次、会社の運転資金をどこかから仰がなければ、ただいま申し上げましたように、仕切金を返す、支払うということはでまませんから、各方面にわたりまして資金的な援助を頼んで回っておりまして、それからまた主要債権者に対しましても、債権について、借入金のたな上げ、その他のいろいろな協力を願っていたようであります。業務停止は一応先月末で切れたのでありますが、その間、さらに債権者側、あるいはそのほかの側との話し合いの進行過程というようなこともありましたので、九月の二十日まで業務停止の期間を延ばしまして、これが再建方策について検討を加えているのであります。  現在までの東京神田青果に対する再建の見通しでありますが、あるいはまだ少し、私の方から、できるかできないかということは、公開の席で述べることはどうかと思いますが、今月の二日――六日にわたりまして会議を重ね、また十二日に最終的結論を出すということで、会社当局、東京都、農林省等におきましても協議を重ねておりますが、なかなか会社の再建は困難が伴うようであります。しかし、私の方といたしましては、いずれにしましても、生産者に迷惑を与えるということは、特別法で市場を開設し、特別に公共団体に市場の開設権を与えているという建前からいたしまして、先ほど申し上げましたように、一文たりといえども損害を与えることはできないのでありますので、その措置についていろいろ考えております。  一つ方法といたしましては、会社が十二日の結論で再建計画ができまして、直ちに仕切金の支払いを可能ならしめる金の準備ができれば幸いでありますが、もしできないというような場合には、第二段の策といたしまして、東京神田市場の他の卸売業を営む者にこの仕切金の義務を背負っていただいて、他の卸売業者で処理してもらうというようなことも考えております。それはどういうところから出てくるかと申しますと、神田青果の業務停止によりまして、そのほかの卸売業者がその分だけ事業を拡大しているのでありますから、その拡大分に対して神田青果の分を按分で負担してもらうことはむずかしいことではない、こういうふうに考えているのであります。ただ、先ほど申し上げますように、せっかく会社当局において再建計画を債権者そのほかと協議しておりますので、先ほど申し上げますように、今月二十日の営業停止期間内に結論が出ればよし、結論が出なければ、当局といたしましても第二段の策を考えまして、卸売市場の信用を落さないように処置する覚悟であります。  で、今後の問題点といたしましては、こういう際には、一体農林省なり市場開設者の責任はどうあるのか、こういうのでありますが、これは直接には市場開設者、監督官庁として農林省が責任があるのは当然であります。責任があるということは、こういうことが起きたときの損害の処理もさることながら、こういうことが起きないような市場の運営、卸売業者のあり方というものにつきまして策を講じなければならないと、こういうふうに考えております。先般の中央卸売市場法の改正によりまして、農林省が直接の検査をする権限等も与えられまして、それに基きまして検査をやってきております。予算等不十分で、十分なことはでき得ませんが、大都市の分につきましては着々検査を進めております。それによりますと、結論的に申し上げますと、東京の神田市場が一番多いのでありますが、ここでは卸売人を六人認めております。一市場に対してそういうふうに卸売人が非常に多いということは、荷引きの過当競争を起す原因でありまして、従前から非常に問題になっております市場の卸しの単一制の問題、この問題を真剣に取り上げていかなければ、業者の乱立による過当競争はどうしても防止できませんから、今後そういうふうな見地から過当競争の防止ができる方向に改めていきたい、こういうふうに考えております。  農民の損害の処理の問題でありますが、これは先ほど申し上げましたように、会社の再建ができれば、当然第一にそれを支払わせる。そうでなくても、残った卸売業者の援助によって損害の起らないようにしていく、こういうふうに考えております。  未然の防止策といたしましては、先ほど申し上げましたように、やはり一市場について過当競争が起らないように、まあすぐはできないと思いますが、単一制に近づけることがどうしても必要じゃないか。独占の弊が出るということも考えますが、市場の機能そのものが、荷を引いて、それをせりで小売に出すということでありますので、飽くまでも委託売買ということになりますれば、監督のよろしきを得れば独占の弊も防げると、こういうふうに考えております。  それから清澤委員お話がありました卸売市場に対する権限の問題でありますが、中央卸売市場法に基きまして、農林大臣が最終的の権限を持っておりまして、市場を開設する場合には、開設者が業務規程、事業計画を具して農林大臣の認可を受け、そうしてこまかいことはその業務規程で開設者が監督し、指導していく、こういうふうになっております。しかし卸売業務の認可あるいは業務の許可の停止、そういうものは農林大臣が権限を持っておるのであります。でありますから、直接的には業務規程に基きまして卸売市場の開設者、現在は十五都市において開設しておりますが、市あるいは都当局が開設者になりますが、直接的にはそれが責任がある、それを農林大臣が監督する、こういうことになっております。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはあれですか、日常の監督は開設者が責任を持って終局的には、今言うように農林大臣が持っている、日々のものは開設者が持っている、こういう形になる。そこで、今の何で一番大事なところが非常にぼやけておりますが、問題は、その残余のこういう破綻しない会社が、非常な危険にさらされているのではないか、こう思われる。ということは、乱立による。あなたの御説明によると、取引市場の、会社、御売業者の乱立による過当競争による。それはどんなことをやったのかということが非常に重要な問題だということと、いま一つは、こういう卸売で公正な取引をさせ得べきものが結局仲買もしくは小売が、神田市場、小売も入るが、そういうものから資金を集めて一つの市場を持つことがいいことか悪いことか。青果会社と卸売市場というものは、常に公正な立場で委託品を卸さなければならない。委託品を市場にかけて一つの相場を出していく、それを引き受け手に卸して、それを買う人から資本を出して持つ、そこに何かやみ取引ができるという関係があるのではないかと、こういう疑いが出てきます。今の御説明によると、第一が銀行の借入金、第二はそういう仲買並びに小売業者等の明に直接関係ある人間から出た金、それから売掛代金、この三つに分けてある。そういうものから出ている会社なら、そういうところから金を借りて何するということは、株主ならいいけれども、そこから金を借りてやることはどうもおかしいじゃないかと。この問題は何か激変、大震災にあったとかいうこととまた違うと思う。これだけの四億からの赤字を出しているということになりますれば、もっと前に気がついておるはずであります。こういう点に対して、直接の監督指導の責任者である東京都の責任者は、どういう見解を持っておるものか、そういう点一つ明らかにしていただきたい。
  49. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 第一の卸売の乱立、これは、御承知通り、東京の神田市場が一番多いのでありまして、これは六社ありまして、東京青果、東京神田青果、東京丸一青果、全販連、東京秋葉原青果、東京一元青果、こういうふうになっております。その乱立の弊は、結局、産地から荷を引くために、非常に産地に対する奨励金とかあるいは勧誘金とか、そういうものがよけいかかっておるのであります。その金がよけいかかれば、いきおい無理な金も調達せなければいかぬというところが出てくるのじゃないかと思います。  第二に、特にこの会社について、仲買人、小売商、その他から借入金をしておる、こういう問題がありますが、御指摘の通り、これは非常に特殊なこの会社だけのあれで、この関係がこの会社の運営に相当影響を及ぼしておるのじゃないか、こういうふうに私ども考えております。お話のように、株式で持つのと、直接利害関係者から金を借りるということは、金を返さなければ代金を払わない、こういう手があるわけでありますから、その点もあれになっております。この会社は二十八年にやはり問題がありまして、それから再建計画を立てまして、銀行その他の融資を仰いで継続しておったのでありますが、市場開設者の東京都といたしましても、毎年そういう点につきましては注意を喚起してきておったのであります。
  50. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今の御説明の中で、四億からの借財ができたというのは、その原因でございますね、それは先ほどお話のあった銀行から借り入れたとか、あるいは仲買、小売から借り入れたとか、あるいは仕切金が払えなかったというものがたまっておったのですが、そういうことになった原因はどこにあるか。市場というのは大体、中間に立って、荷主から来たものを仲買に売って、そうしてその口銭を取っていくのが、これが市場の業務であろうと思うのです。そこで、従来市場が参る場合は、多くは仲買人の不払いですね、売掛金が仲買から入らない場合に、借り入れてこれをやりくりするというのが普通であって、仲買や小売から借りてまだ足りないというのは、一体どこに赤字の原因があるか。ただいまのお話では、荷引のために奨励金等が相当かかったというが、四億も荷引きにかけて奨励金を出してそんなものを作ったのか、一体その原因がどこにあるのかどうか。なければどうも処理はつかないのじゃないかと思いますが、先ほどもお言葉の中に、会社の債権、会社の債権ということがございましたが、あれは会社の債務の間違いじゃないかと思いますが、その会社に債権があるのですか。すなわち売掛金が未回収のものがあるのか、それがたまってそういうことになったのかということ、仲買から借りていることを見ると、そうでもないように思うのですが、その点はどこに原因があったのか、その点を伺いたい。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっとつけて言いますが、不当競争をやるならば、この会社だけじゃないと思う。ほかの方はやっぱりこういう危険性を持った会社になっていますか、あとの五社は。これは問題だと思います。この会社だけが過当な競争をしたから、四億の赤字を出す、ほかのものはうまくいっている。私はその奨励金等は取引の過程において、こなしていけるものだとこう思う。これが不純なものになって、取引市場の正常な機能を失うということは、問題になったかもしれぬけれども、それがために赤字というのは、言われておる通りだろうと思うが、結局すれば、私は原因はほかにあると思う。ほかに必ずある。経理上の何か使い込みが重役にあったとか何とかいうことがなければ、こんなものはできないと思う。中をつかないで、表だけでごまかすようなことで、あとの始末はなかなかつかぬと思う。これははっきりしてもらわなければ困ります。  だから、私たちの一番先にお伺いするのは、直接の監督をしておらぬからおわかりにならなければ、あなたは一応引き下っていただいて、直接の監督者である東京都から出てきてもらって、日常どういう監督をしているのか、業務規程をわれわれは少し勉強します。それを勉強して、そして何か日報ぐらいあるでしょうし、毎日の検査をするぐらいの規定も必ずつけてある。これはひとり一会社の業務停止だけじゃなく、この責任者を東京都にやはり持っていかなければならないと思う。そこまで追及しなければならないのに、きょう一日では追及できないと思うから、だから、あなた方の権限の範囲はどれだけなのか。最終の権限は農林大臣にあるかもしれませんが、日常の業務を監督するその規定とその責任者はだれか、こうお伺いしたのはそれなんです。靴の外にある人をいくらかいてみても、これは痛くないのですから、直接の人にわれわれは来ていただきたい。そこを一つはっきりしていただきたい。
  52. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) さっきお話の再建と申しましたのは、リコンストラクション、債権を持っているというのではないので、債権があれば問題ないのですが、会社としては、卸売業者としての責任から、再建計画を立てて迷惑をかけないようにしなければいかぬと、こう言わざるを得ぬのであります。そうして、先ほどお断り申し上げましたように、私の方でもまだ最終の結論が出ておりませんから、会社当局においてせっかくできるかできないか、とにかくやっておる途中でありますから、私どもの方である程度の見通しは立っておりますけれども、それをお話しすることはちょっと時期が早いのじゃないか、こういう気がしているので、ぼやけておるのであります。  それから御指摘の、過当競争、過当競争といっても、過当競争だけではそんなに赤字が出るわけがない。お説の通りであります。先ほどお話のございましたように、個人あるいは仲買からの借金等も、これは今もっと突き進んで調べるように言っておりますが、おそらく相当な高利についておるのもあるんじゃないかと思います。あるいは代金の支払いと借金とが相殺されるとか、そういうところもあるんじゃないかと思います。それから会社内部の背任関係の問題は、これは先般新聞に出ましたように、ある重役が社長を訴えておりますが、そちらの方でもしあるとすれば、わかってくるんじゃないかと思いますが、いずれにしましても、経営がうまくいっていなかった、その結果の業績ではないかと思います。  それから過当競争が、この会社だけではなしに、ほかの会社にも同様の悪い業績があるんじゃないかというのですが、それは業績の悪いのはあります。現在検査を行なっております。従って、これは先ほど申し上げますように、そもそも東京都の神田市場の六社の卸しを認めるか、認めないかというときに、非常にもめたのだそうです。そうなれば、必ずこういう結果が出てくるんじゃないか。そこで、今の市場関係者においては、単一制、複数制というのが非常にやかましい問題になりまして、戦争が済んで市場を再開する際に、こういうふうに複数になっておるのでありますが、ほかの方では、それではいけないというので、たとえば名古屋とか、大阪、神戸でも、どんどん合併を進めていっております。東京都におきましても、その声がないわけではなかったのでありますが、今度のこれを契機にして、そのことを急速に進めなければならないというふうに私どもは考えております。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは中央卸売市場の改正案を出すとき、それは非常に問題になりました。結局、単数ではやはり独占の危険があるからいけないが、市場の意向とし、われわれの意向としても、二つぐらいがよかろう。最大限の場合でも三つ以上は……。どうもこういう危険性があるから、単はいけないという結論が出ていたと思うのですが、どうなんでしょう、その点は。今のお話だと、単にまとめてしまうようなお話でありますし、そしてそれが業者だけできめていった場合に、単ができ上るという危険性に対して、保証してある。公取の方で、今の法律だけでその危険性があるがどうだと言ったら、それは絶対にさせません、そういう解釈は絶対にさせませんというので、あれは通っていると思うのですが、まだ単でやるつもりなんですか。
  54. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは、今の市場関係者の中では、単数制という声が非常に強いです。しかし、お話のように、こういう経過があるのですから、一挙に単にできるかという問題になってくれば、一挙に単はできないというので、大阪も二つ、名古屋も二つだったと思います。それも、二つよりもまだ一つがいいという意見が相当強くあるわけです。それで公取との関係等も、この前の法律改正の関係がありますので、私の方では、ほんとうに単がいいのか、あるいは二つくらいがいいのか。たとえば淀橋あたりのやつは、大きいのと小さいやつがあって、過当競争にならないでうまくいっておる例があります。ところが、同じような二つが対立した場合に、やはり過当競争になるかならないかという問題、これは卸売市場の荷引きとせりとの関係で、その独占の弊が防げるか防げないかという問題は、もう少し研究として残るのではないかと思います。
  55. 青山正一

    青山正一君 局長に簡単に一つお答え願いたいと思います。  今従業員が百四十人ですか、百七十人ですか、その連中はほとんど食わずに生活しておる。これらを一体どういうふうにして救済するかという問題、  これが一点。  それから、先ほど秋山さんからお話があったように、このケースは普通のケースとは違う。たとえば、会社自体がこういうふうにして迷惑をかけている。普通ならば生産者にのみ迷惑をかけているということで、しばられるわけなんですが、この会社の場合は、銀行にも迷惑をかけている、仲買組合にも迷惑をかけている、小売組合にも迷惑をかけている。もちろん生産者にも非常な迷惑をかけている。それが集まり集まって四億九千万円というような数字になっている。そうすると、この原因はどこにあるかということになると、これは真偽のほどはわかりませんけれども、やはり会社の重役の中にいろいろ不正をなしたというような面があるのではないか。たとえば、これは私ははっきりしたことは知りませんが、会社の役員の中の三人なり四人のお方が、一千万円ずつ借りている。そうして毎月一万円ずつ返している。一千万円の金を毎月一万円ずつ返せば、孫子の時代まで返すことはできやせぬ。そういうふうなことは、これはうわさだろうと思いますけれども、そういうふうな内容が集まり集まって、こういうことになったのだろうと私は思いますが、そういうことはお聞きになりませんかどうか、その点も承わりたいと思います。
  56. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいま具体的に御指摘になったような話は聞いておりませんが、この間新聞に出ておりますように、ある重役が社長を背任で訴えておりますから、そういうことがあるいはあるかもしれませんが、私の方の検査で出てきたところでは、出てきておりません。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の局長説明では、過当競争もこういう赤字の原因だという。じゃあ、それが重点かというと、いやいやそうじゃない、よそにもあるのだという。どういう調査をしっかり監督官庁としておやりになっているのか、わからぬ。もう少ししっかりした調査をして、あとで御報告になられますか。そうして、何かすると、今度は市場法の方で、こういう団体の単一とか二つとか、そういう法律改正の問題の方に引っぱっていくということは、何が原因かということをはっきりつかんだ上で、主張される単一なら単一という問題が出てくるので、その事前の問題について、さあ、そういうこともあるかもしれませんが、ちょっとわかりかねますというようなことでは、先々の話はまだ早いと思いますが、どうなんですか。
  58. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 御指摘のような点、御質問の点で、私どもの方で明確にできる点は、あとで御報告、当然いたします。
  59. 青山正一

    青山正一君 従業員の関係は……。
  60. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 従業員の関係は、再建すればそのままです。そうでなければ、ほかの方にある程度引き継いでもらうということになってくると思います。
  61. 青山正一

    青山正一君 それを先にやってもらわなければ、だいぶ弱っておれるようですが……。
  62. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) それは、先ほど申しましたように、ただいま会社の方でやっておりますもので、あんまりこちらでこうやれ、ああやれと言うことを、控えておるわけであります。これがある程度結論が出ますれば、私の方で、次の段階としては、こうやれ、ああやれということを言い得ると思います。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、四億何がしかの赤字が出たので、まあ倒産せざるを得ない、業務停止という形になったというのですが、その原因は、何年から何年までのものがふくらんで、四億九千万に出てきたのか。
  64. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 業務停止の関係は、先ほど申しましたように、業務規程の五十二条の三で、売買仕切金の不払い、こういう生産者に金が払えなかったから、業務停止をして、あと払えるように会社を整理しようというので、やっておるわけであります。
  65. 堀末治

    委員長堀末治君) 何年から……。
  66. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) いや、不払いは継続的に順次にやって、手形が落ちないから、ある時期にきて、それが八千万円になっておるわけでありますから、何年からというわけじゃないのです。これは短期の、ほかの方の借金を、返済期が来て返せない。だから、銀行がやかましくいって、手形を落してくれない。こういうので、売買代金を支払う金の融通がつかなくなった、こういうことなんです、この会社は。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私が何年から何年までというのは、四億九千万払えなくなった、そのこと自身を言うのでなくて、そのもとになったのが、そういう順調でなくなった時期というものは、いつなんですかということを聞くのです。
  68. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは先ほど御説明申し上げました、二十八年に一応行き詰まりまして、そこで銀行等に金の融資を頼みまして、それからやってきているのでありますが、その後毎年業績は、赤字なんでありまして、毎年、東京都開設者の方からはやかましく言っておるのであります。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、その株の配当なんという、黒字で配当なんというのは、何年まであったのですか。
  70. 堀末治

    委員長堀末治君) 会社の経理状況説明なんだよ。
  71. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいま手元に、二十八年の整理以降のことしか資料を持っておりませんから、二十八年からその数字が毎月出ておりますから、その前、何年くらい損があったかという資料は、あとで調べて……。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、まあ貸借対照表なり損益計算書なり、年々出ておるものがあるのでしょう、そういうものは取り寄せて、あなたの方で持っておるのですか。
  73. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) それは持っております。
  74. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 持っておればいつから赤字になっておるか、わかるでしょう。
  75. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) わかりますが、ただ、今ここに資料を持ってきておりませんから……。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、二十八年からそういうおかしくなってきた、欠損が出てきたというときに、監督官庁としてどういう扱いをしたんですか。
  77. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 二十八年に会社の整理といいますか、再建計画を作りまして、そのときに、自後の運営に必要な金の融通等を、千葉銀行その他から相当多額の金を借りてやってきておるわけであります。その金をもとにして業務の運営を継続して、毎年東京都において監査をいたしまして、やり方のまずい点を指摘してきておるのであります。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、さっき他の同僚委員からも質問がありましたが、日常あるいは年々の指導監督は東京都がやってきておる。従って、二十八年度以降の再建計画というものも、東京都が十分それを承知しておる。そしてそのことで再建ができるということで承認を与えておると思うのですね。ところが、年々工合が悪くなってきたということであれば、東京都の監督責任というものは重大だと思うのですが、どうですか。
  79. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) お話通りになると思います。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、そういう事態になった東京都の監督責任について、農林大臣としてどういうお考えを持っておるのか……。
  81. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 事態がこういうふうな段階に到達しておるのでありますから、市場開設者として絶対に生産者に迷惑をかけないと、生産者に迷惑をかけるということは市場の信用をゼロにすることでありますから、そのことだけは東京都もはっきり明言しておるのであります。それが具体的な格好としてどういう格好になるかということは、先ほど申し上げますように、この会社の再建計画ができるかできないかによって変ってくると思います。
  82. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題ですが、できましたら、再建整理を、二十八年において計画書があるわけですね。幾らの金を融資させて、ここで貸す、その償還をどういう方法でやるというようなものが、必ずあると思うのです。無方針じゃないと思うのですね。大体取り扱う青果物の量はきまっておるし、それに入る手数料もきまっておるから。そうすると、融資する金額などによっては再建ができないことにもなるので、そういうものがきちっと一つの計画ができておったと思うので、そういう計画書を一つ、計画――プランというか、計画書というようなものではなくて、プランがありましたら、参考に出していただきたい。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 東京都が最終的には市場開設者として責任を持ち、生産者には迷惑をかけない、その点はよくわかったが、しかし、その支払いの時期というものは、会社の再建計画ができたりできなかったり、どうしたらいいかということの問題となって、ずっと時期的にはおくれるわけでしょう、生産者に金が渡るというのには。ところが、もう今日以前に不払いになって、長期に支払いを受けていない生産者があるわけです。今後もまた相当期間を要するというふうになれば、零細な生産農家としては、これは非常な迷惑ということになるのです。で、その支払いの促進についてはどういうことを農林当局として、東京都と話をせられる方針なのか、方針があったらお伺いしたい。
  84. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 会社の再建計画というのは、結局、この仕切金を払う資金の調達ができるかできないかということだけと言ってもいいのであります。もしそれができなければ、当然の処置としては、業務の取消命令を出しまして、これは清算に出す、清算本位に解散をするということになるわけであります。そこで、その際には第二段として、生産者の受け取るべき金をどう穴埋めするかという問題でありますが、これは先ほど申し上げましたように、残った卸売業者に責任を持ってもらうという話が一つあります。どうしてもそれがいけなければ、これは生産者の声として今盛んに出ておりますが、東京都――開設者が当然持つべきじゃないか、こういう議論も当然出てくるわけであります。これはその段階に応じて考えなければならないと思うのであります。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、いつごろそういう整理をつけ、生産者への仕切金の支払いというもののめどをつけさせるお考えで、指導しておられるのですか。
  86. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは業務停止の期間が今月の二十日になっておりますから、二十日までにそれがはっきりすると思います。
  87. 関根久藏

    ○関根久藏君 先ほどちょっとお話しの、最終的には東京都の責任に問われるという生産者の要望だというお話でありますが、法律的に、あるいは政治的に考えて、東京都が責任を持つのですか。
  88. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 東京都が持たざるを得ないと思います。その東京都のしりがまた国に来るかもしれませんけれども、しかし、私どもの方ではまだそこのところまで考えておりません。もしこの会社の再建ができなくても、たとえばこの会社が市場の中で店を張っているわけですから、それがほかの業者に渡りまして、それでここへ来ておった荷物が全部ほかの方に渡るわけでありますから、残った人は当然負ってくる、そういう話もいろいろ部内ではあるように聞いておりますが、まだはっきり……。
  89. 関根久藏

    ○関根久藏君 そうすると、最終的には生産者は損をしないということですね。
  90. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) そうです。
  91. 清澤俊英

    清澤俊英君 今聞いておりますと、経済局長相手にだけこれを議論してみてもいかぬと思いますので、委員長委員会に諮って、次の委員会には東京都のこれの責任者、それに農業協同組合の販連の会長、それからもちろん農林省の関係者は出ていただくが、それらを集めて、われわれはこの会社がどうなったというようなことはそう容隊したくない、こういうものがどういう監督をやって、どういうふうなことから……。これは一日でなったんじゃない。今も聞いている通り、二十八年、その前からということはわかっている。それがここまで来るまで、だんだんと来るような結果に来たことに重要性があるんで、その点一つやらなければならぬし、また同時に、それらの清算責任を、共販の体制なり何なりで指導をやって、相当の責任を持っていかなければならぬ協同組合などが、あまりに等閑に付しておるところもあると思うのであります。そういうような点があるので、そういう責任者の意見も聞きたいし、またこれらのものを聞いて、次善の道を発見するために一つ研究するのである。われわれは決してこのものをどうするこうするという、検事の役割はやりたくない。そういう建前において一つやりたいと思いますので、委員会に諮って、そうして次の農林委員会にそれをやると、こういうことを一つ諮っていただきたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  92. 島村軍次

    島村軍次君 簡単なことをお伺いしたいのですが、協同組合系統として、日園連というのがありますね。これはこの問題には関係ありませんか。私がお聞きしたいのは、日園連の扱っておるものに、これが影響があるかどうか。
  93. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 日園連の当局から聞いたところでは、ほとんどないわけであります。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も、さっきの提案のように、委員長において措置されることを強く希望しますが、ただ、局長も、答弁としては、二十日に何か再建計画が出るだろうと、あるいは出ないかもしれぬ、その後のことだということで、まあ方向を抽象的に二つばかり言いましたが、局長としては御調査になられた結果、そういうばく然としたことを言っておれるような段階なのかどうか、率直にお伺いしたいと思います。ということは、過当競争によったことばかりでなく、会社内部には不正があるかもしれぬ。あるいはその他の事情もあっただろう。それはまあ捜査なり調査の結果、明らかになるだろう。そういうような会社がまた再建されて、そうして過当競争をとどめる何らの法的な措置もなくて再建されて、りっぱな会社になっていく、また育てていくのだ、こういう方針というものにも疑義がある。これだけのことをやった会社を再びまあ育てていこうと、そうしてりっぱにやらせようと、こういうことについても、私はまあ市場のそういう単一制なんかを今後考えられる上からいって、矛盾する点がある、疑義があると思う。この会社はやりようによっては再建できる、りっぱなものになる、そういうふうなお考え局長は持っておられるのですか。
  95. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ちょっと困るのですが、まあ現在会社が一生懸命やっているのでありまして、ある程度データがそろわないと、お前そんなことをやったってだめだと、こう言うわけにはいかないのでありまして、だから、第二段、第三段のいろいろなことは考えておるのでありますが、幾ら再建するとしましても、今までの当事者がそのまま残って、どこから金を持ってくるかしらないけれども、そのままおったのでは、これは再建にならないのじゃないかと思います。人的信用というものが相当大きいウエートを持っておるのでありますから、会社として残すけれども、今までと全然関係ない人がその各方面の迷惑を処理するだけの金を調達してくると、こういうことになると、頭からいけないと、こういうわけにもいかないのであります。それで単一制に、あるいは少数制にもっていくのは、その再建ができて、その上で合併を進めるなら進める、こういう順序になると思うのであります。私のところでは、現在はまだそうはっきりしたことを言うわけにはいかないと思うのであります。
  96. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは、はっきりしたことを言えない事情も、それはわかりますよ。わかるけれどもだね、これだけのことが明るみに出ておるのに、少くとも再建計画を立てたら、従業員が百何十名もあるものに対するその措置はどうするかといえば、他の会社の方に引き取ってもらって困らぬようにさせたいという答弁もしておるのだからですね、結局、少数制というコースへいく段取りも考えたら、再建計画を一応立てたら、合併によってこの赤字の返済等も今後においてやらせるのだとかなんとか、もっと具体的な方針で指導されて、私は再建計画というものは逆に出てくるというような点もあるのじゃないかと思って尋ねたわけなんだ。独立してこれは再建できる見通しが立つというようなお考えで見ておられるのですか。  まあ、これは次の機会に聞いた方が適当だと思うから、これ以上はお尋ねしないけれども、しかし、この問題があるぞというので委員会に呼ばれてくる局長の答弁としては、まことに抽象的で、しかも生産者の利益を守るような熱意があるのかないのか、わからないような答弁をされては、私としては不本意なんだ。もう少し、監督責任が農林大臣にあるというのならば、歯切れのいいところをお聞きしたかったのですけれども、次回にします。
  97. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、お諮りいたしますが、先ほど清澤先生から御提案があり、小笠原君からもその御提案を強く支持するということでございましたが、それでは御提案の趣旨に従って、次期の委員会にこれを取り上げて処理することにいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 堀末治

    委員長堀末治君) なお、次回の委員会は、いずれ十一日の理事会で一つ取りきめたいと思いますから、もしも皆さんの御希望があったらば、それぞれお申し越しを願いたいと思います。  午前中は、これにて暫時休憩いたします。午後は、午後一時半から再開いたします。    午後零時三十二分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十五分開会
  99. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、午前中に引き続き、委員会を再開いたします。  特定水域航行漁業の件を議題といたします。  この件については、去る七月九日及び十日の委員会の問題になり、政府当局の善処が求められておりましたが、本日重ねて議題にして、その後の政府においてとられた処置について説明を求めることにいたします。  水産庁長官と、運輸省海運局海務課長の井上君が出ております。防衛局長は今、間もなく来ることになっております。そのつもりで一つ質問をお願いいたします。
  100. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 去る七月の本委員会において、二日間にわたって特定水域航行漁業に関する件について、いろいろ政府の意見を徴したのでございますが、その節、次の委員会までに水産庁と運輸省と十分打ち合わせの上、結果を持ってきていただくように、委員長から要請いたしたのでございます。一応七月の委員会における私どもの見解、並びにその委員会における政府見解について、結論的に一応申し上げたいと思うのでございます。  海上衝突予防法では、航行する一般の船舶は底びき網その他の網またはなわを用いて漁撈している漁船の進路を避けなければならないという原則があるのでございます。しかるに、特定水域航行令第四条では、運輸大臣が告示で指定する特定水域では、逆に漁船の方に回避の義務があることになっております。これはすなわち漁業権を侵害し、漁民の生活をおびやかしている現状であるという見解は、私どもはちょっともも変っておりません。  その結果、すみやかにその指定を解除するように要請いたしたのでございますが、その節、政府見解といたしましては、掃海が完了した水道について、いつまでも特定水域を置く趣旨ではない。これは了承できるのでございます。まあそういうことなら、すみやかに解除すべきではないか、一々検討して、と、こういう議論になるのであります。第二番には、掃海水域が広がれば、それに従って順次解除していくという見解を披瀝されたのでございます。第三には、まあそのときに、いろいろ特定水域で漁撈しておる船舶は、していない船舶に遭遇した場合には、回避の義務がこの航行令で課されておると。しかし、これは漁撈を禁止しておるのではないというような説明があったのだが、まあそういうようなことを承わろうとはわれわれは思っておらない。  なお、航行の安全のために、特定水域を作ったのだという御答弁があったのだが、これはもちろんその通りで、この特定水域の指定というものは、いわゆる戦争中に機雷の敷設を当時の敵国がやった。これを掃海するために、その期間中にこういう特殊な政令を出して、そうして航行の安全を期するというのが、これが目的で、そのほかの目的は私はないように思う。その後船舶が頻繁になったから、あるいは大型の船が通るようになったから、それに籍口して、この政令によって特定水域を維持するというような理屈にはならぬ。これはあくまで機雷を掃海するのであるという法律なのでございまして、その後の状況によって、船舶の航行が非常にひんぱんになったから、その間の調整をしなければならぬというのは、別の法律によらなければ私はそういうことはできぬ、こういうような見解を持っております。  なお、漁業権の問題でありますが、これはまだ漁民がここまでは要求しておりません。しかしながら、これをこのままにして少しでも遷延することになったならば、私はこの漁業権の補償の問題が生じてくるだろう、こういうように考えております。試みに七月の委員会においてそれに触れたのでございますが、そのときの政府見解も。漁業の自由が非常に制約されて生活の安定を脅かすような場合には、国としても責任を持つべきであるというはっきりした水産庁長官の答弁があったのでございます。これは、まだこういう要求の声は出ておりません。また私どももそういうことがないように早くこの問題を解決したい、かように考えておるのでございます。  結局、最終における政府当局見解は、指定解除については再検討を急速に加える。なお、瀬戸内海各県に協議して、地元の実情による具体案を得て、そうして急速に処理する、こういうことであったのでございます。しかし、地方長官は、御承知のように、一方では漁業者抗議に接し、また一方ではこの特定水域指定によって機帆船等いわゆる船舶の団体に特定な権利を新しく与えたのでございまして、船舶組合等はこれはまあそのままにしておいてもらいたいというような地方長官に対する陳情があるために、結局中間にあって、ほんとうに正しい意見をよう出さぬ長官がおるように私は承知いたしております。これははなはだ遺憾に私は考えておるのでございますが、今申し述べたような政府見解をはっきりいたしておるのでありますし、なお七月の委員会においては、来たるべき委員会にはすみやかにその結果を報告せよという委員長の最後の要請もありましたし、七月の委員会から本日はすでに二カ月をたっておる、先月は委員会はなかったのでございますが、その間における調整の経過及び結果について、水産庁並びに運輸省から御説明をお願いします。
  101. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) 特定水域の解除の問題に関しまして、かねてから当委員会において、実情に即した解決方を強く要請されておったのであります。これにつきまして、運輸省及び水産庁の間におきまして、話し合いが具体的な解除の区域にまで運んで参りましたのが、先週のことでございます。運輸省の方から、瀬戸内海の特定水域の図面でごらんいただければ容易に御理解いただけると思いますが、枝線的な内容を持ちました部分について解除をいたしまするとともに、まだやはり相当な路線が依然として残っている案をお示しになったのでございます。これに対しまして、水産庁の方といたしましては、解除を進めていただくのはこれはけっこうなことであり、それはそれで急速にお取り計らいを願いたいと存ずるのでありますが、しかし、また同時に、残されている路線につきまして、二海里、あるいは所によれば四海里というような広い範囲の路線を必要とするかいなかということについて、地元及び水産庁、運輸省との間におきまして、よくお話し合いをさらに継続して、それらのものについての今後の合理的な解決を推進したい、こういう考えをもちまして御返答申し上げた、かような状況でございます。
  102. 井上弘

    説明員(井上弘君) 運輸省といたしまして、特定水域につきまして各方面のいろいろな御要望もございますし、なお掃海の進捗状況もよく勘案いたしまして、この際削るべきものは大幅に削りたいという方針に基きまして、大体本線の航路なり枝航路の必要でない部分は、思い切って解除していくという方向に進みたいと思いまして、なお水産庁と協議を継続している次第でございます。
  103. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 どうも二カ月も、七月の委員会後、もちろん水産庁は長官もかわられたのだけれども、しかし、そのとき水産庁長官水産庁次長であって、この事柄は十分承知しておられると思う。二カ月も経過して、まあ慎重にやる必要はあるかもわからぬが、これは少し私は両省の怠慢ではないかと思う。むしろ私は、一方からいえば、機帆船組合に圧力を加えられているのじゃないかというように、そういうことはないだろうと思うけれども、官庁だから、そこまでにも私は考えられる。それは考えたって、あながち、二カ月も遷延するということになると、私はこれは決して常識をはずれている考え方ではない。  まあ、それはさておいて、原則として、私もたびたび繰返しておるのでございますが、結局掃海があらかじめ完了した区域においては、当然これは解除すべきではないかと私は思う。これは理論上から申し上げましても、その点、水産庁長官、どうお考えになりますか。
  104. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) 掃海が解除されれば当然、漁業の実態に応じ、また船舶の航行の安全ということのために、最小限度の必要な範囲にまで縮減をして、特定水域の解除ということが行わるべきである、かように考えておる次第でございます。
  105. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 運輸省、今の……。
  106. 井上弘

    説明員(井上弘君) もちろん、この政令にうたいました機雷関係の特定水域は、機雷の掃海が完了いたしますれば、旧に復するのは当然でございます。私どもはそう考え、そう理解しております。
  107. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今度は具体的に申上げますと、瀬戸内海の呉、広島間の航路、これは漁業に相当影響がある地域であります。その航路の部分を全部、広い区域を今指定せられておる、運輸省に。この航路はほとんど掃海が完了せられておる。まあ一部分残っておる所もあるかもわからぬけれども、大体において完了しておると考えていいかと思うのであります。そういう所はですよ、ほんのちょっとの部分が不完了、非常に長い航路のちょっとのある一部分がまだ完全に完了しておらぬという、小区域の不完了を、それを理由に、全体の区域を私は指定を解かぬという理由はないと思う。だから、私はこれはどうしてもやってもらいたいと考えておるのでございます。単にもう呉、広島間のみならず、そういう原則的な原則論を頭に置いて、私はこれを農林省及び運輸省が折衝したならば、そう何カ月も要する非常な議論が生ずるというようなことはないと、私は思うのでございます。  なお、防衛庁は、瀬戸内海を三〇%しかできておらぬと、こういう御説明でありましたが、各委員から、その進行状態も遅々として進まざる状態について、いろいろ質問があったのでございますが、要するところ、予算の関係ということで逃げられたのであります。これは非常に遺憾とするところであります。こういう漁民漁業権という法律的なりっぱな権利を持っておるのに、これを中止して、漁民をいろいろ掃海のために協力さしておるという形になっておるのでございますが、しばしば言う通り、これが迅速に解決せねば、補償問題も立ちどころに私は生じてくるじゃないかと、かように考えるので、防衛庁も特に、航行はもちろん漁業権に非常な関係のある所を、優先的に私はこれは掃海していただきたい。またそういう考慮を頭にもって、今まで掃海の区域を決定しておるのですかどうですか。
  108. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) お答えを申し上げます。防衛庁といたしましても、掃海につきましては、非常に重要な問題だと思いまして、努力はいたしておるのでございます。ただ、現状をもっていたしましては、現在の掃海能力というものは年間に一万一千平方キロメートルでございます。しかも、同じ水面に対しまして完全なる掃海を実施いたしますためには、一地域を九往復、十往復往復しなければならぬということからいたしまして、遅々として進まない状況でありますることは、非常に遺憾に存じております。  その掃海のやり方、どの区域を優先的にやるかということにつきましては、今まで防衛庁としてやっております所は、瀬戸内海方面に重点を置いてやっておるのでございまして、今後におきましても、瀬戸内海を重点的にやっていきたい、かように考えております。
  109. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは漁業者は、掃海しておろうとしておらぬと、全区域で漁業しておるのだろうと思う、漁業者は。そこへもっていって、この区域は掃海をするから、漁業権はほとんど停止ですね。船舶が出ておれば、漁撈をしておる舟は逃げにやならぬというような特殊なことが生じてくる。漁業者とすれば、大体今の掃海で、私は、どんどん、瀬戸内海どこへ行っても漁撈をしておるのだろうと思います。だから、いわゆる機帆船とかそういう船舶のために、こういう漁業権の侵害が起るのだから、しばしば言うように、これはすみやかに解決をしてもらいたいと思う。どのくらいあとたったら結論が出ますか。水産庁並びに運輸省。できるだけ早くやるというのでは、どうも二カ月も待った以上は、そういうふうにいかぬようになった。およそです。
  110. 井上弘

    説明員(井上弘君) 私どもの方は、現に今水産庁お話し合いを進めておるのでございまして、早急に解決したいと思っております。
  111. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) ただいま具体的に解除するべき区域として話し合いをいたしております点につきましては、これはできる限りすぐ措置をしていただくようにいたしたい、かように考えます。ただ、それを解除するとともに、その他の地域についても、現在の特定区域の残存をそのまま認めてくれ、こういうふうな考えは私たちは持たないのでございまして、その他の地域につきましても、引き続き漁業の実態及び航行の安全という両方の目的に合致するように、現在しいております範囲につきまして再検討を引き続きやっていく、こういうことにいたしたいと考えます。
  112. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これはどうですかね。七月の委員会で、次の委員会には結論を出して説明する、こう言われて、しかも八月には委員会はなかった。それで、九月の委員会を本日初めてやっておる。そうすると、二カ月。私どもは、きたるべき委員会ということは、八月の委員会を想定しておった。委員長もおそらくそうだろうと思う。それを今まで延ばしておるのですから、これはいつ、すみやかにというような抽象的ことでは、もうわれわれは得心できない。まだ委員会は十一日まである。だから、徹夜してもやる義務があるだろうと思う。十一日の委員会までにその結論を出してもらえるかどうか。
  113. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) これは、私の方は意見を申し上げる側の方でございます。運輸省において今御提案なさっておられる点につきまして、さらに積極的に話を進めまして、運輸省において急速に措置をお進め願うように、私の方からもお願いをいたしたい、かように考えております。
  114. 井上弘

    説明員(井上弘君) ただいま水産庁長官が言われましたように、さしあたっての解決というものと、それから今後まだかかるという二つの問題でございまして、さしあたっての解決は、話し合いがすぐつくものと私ども考えておりますし、なお水産庁とも十分に協議したいと思っております。そうしてそのほかの問題と申しますのは、これはやはり掃海の進捗状況をにらみ合せましてやっていかなければならぬ問題が起ってくる問題でございまして、この点、防衛庁もまじえまして、いろいろ掃海の実施計画、その他に関しまして、われわれの方もよく御希望を申し上げて、解決したいと思います。
  115. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それは一つ、どこまできまったかということを、私ども、両省が合致しないから、はあそうですかというわけにいかない。とにかく根本の議論は、掃海があらかじめ大体においた完了した所は解除すべきだという根本的議論です。だから、その議論に沿うておれば、私どもはこれはやむを得ない。これはまだ半分も済んでおらぬというなら、これはやむを得ない。その点は運輸省、異議がないでしょうね。これはもう長い間、一つことばっかしやっておるのだから。
  116. 井上弘

    説明員(井上弘君) 異議ございません。
  117. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 じゃ一つ、そうお願いします。十一日に、大体そのとき納得いくようなものは示してもらいたい。
  118. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。私も全然不用意に、準備しないものですから、聞いておってどうも変だと思って、もう一度確かめたいのです。その何とか令というその政令ですね、その政令で与えられている漁業権を停止させる、漁業法にある法律事項であるものを停止させることができるのですか、行政命令で。
  119. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) ただいま一番冒頭に重政先生から問題の内容を明らかにしていただきましたように、一般的には海上衝突予防法によりまして、航行船舶は漁撈中の漁船に対しまして避航の義務を負うのでございますが、特定水域として政令で特例を定めることができることに相なっておりまして、特定水域航行令によりまして指定されておりまする水域につきましては、漁撈中の漁船が一般航行船舶に対して避航の義務を負うと、こういうことに相なっておるのであります。従いまして、瀬戸内海におきまして現在広範に指定されておりまする特定水域におきましては、漁業権自身の法律的な効果に対しましては拘束を加えておるわけではございませんが、実際問題といたしまして、漁業上いろんな施設をしなければならない場合等におきましては、その水域においては漁業権の行使が阻害されておる、これが実情でございます。
  120. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで実際上阻害されているということは、漁業権を与えておる法律の趣旨にまっこうから反することだ。それを政府はお認めになるのですか。そしてまた、漁業法では漁業権がそういうふうに侵害される場合には補償されなければならないことが、やはり、法律事項として明らかになっている。ところが、この際は補償もない。それから政令の出た母法においては、船舶の方が回避するようになっているものを、母法にない内容の政令事項としてはそれが逆になっておる。それで特定地域でそういうふうな逆なる運用の仕方でやってもいいし、漁業権が実質的に侵害されておる場合でも補償の必要がないということは、母法において何ら規定されていない。それを政令で初めてそういう新しい内容を盛り込んでおるのですね。その政令を水産庁長官としては不当だと思いませんか。
  121. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) これは海上衝突予防法の解釈の問題になりますので、私よりも運輸省の方でお答えを願いたいと思いますが、当然その政令は法律の上に根拠づけられておる政令である、かように了解をいたしております。
  122. 井上弘

    説明員(井上弘君) 海上衝突予防法とこの特定水域航行令の二つは関連しておりますが、いわば交通安全の規則でございまして、陸上におきましても、道路を走る自動車あたりが信号に従って走る、たとえば交差点に差しかかりました場合には、青信号のときには出てよろしいが、赤信号のときにストップすると、そういう趣旨の規則でございまして、その場合に自動車の免許云々という本質的な問題まで入っていない規則でございます。そういう意味の交通安全のための規則でございますので、これを漁船も本船もともに安全のために順守していただきたいという、さような道徳的なと申しますと誤解がございますが、そういった軽い規則のように御解釈願えれば……。
  123. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何か、私、法律専門家でないからわからぬですが、軽かったり重かったり考えるとは何事ですか。規則に軽い重いがあるのですか。
  124. 井上弘

    説明員(井上弘君) どうも私の言葉が足りませんで申しわけございませんでした。要するに、衝突予防法並びに特定水域航行令は、海上の交通安全の規則であるということでございまして、従いまして、一般原則といたしましては、漁船と本船が行き合う場合には本船が避けて行くけれども、特殊な狭い水道におきましては、相互の安全のために、漁船の方でよけてもらいたいという制約を課しているのでござまいまして、そのために漁業権を禁止するというような深い制約を設けているものではございません。
  125. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 漁業権を制約するようなことは考えておらぬ。しかし、水産庁長官は実質的に阻害せられると言う。こういうことが明らかになった際には、それは交通安全の上のそれだけが優先して他は顧みる必要はないのだという、あなたの方の考え方なんですか。
  126. 井上弘

    説明員(井上弘君) つまり、海上衝突予防法の本則で定めている原則に入り得ないような特殊な水域におきましては、やむを得ず、漁船に避航義務を課すということでございまして、そういう状態が撤去されましたならば、解除していくということでございます。
  127. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その政令ができます際には、水産庁に協議があったのですか。
  128. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) 水産庁には事務的には全然御協議はございませんでした。ただし、政令でございますから、次官会議にはかけたのでございますが、しかし、その際におきまして、この問題の所在点を農林省として申し上げる機会は事前には与えられなかったわけでございます。
  129. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは課長に聞いても、答弁する権限の範囲でないと思うのですが、こういう重政委員の御質疑せられるような実態にあるということについて、運輸省としてはどういう所見を持っているのですか。これはかまわぬと思っているのですか。なるべくすみやかにと言っておったところで、予算上掃海を完了するのには相当の日時を要することは、防衛庁関係から御説明があった。この際にどうしようとするのですか。
  130. 井上弘

    説明員(井上弘君) 具体的に御説明申し上げないとわからないかと思いますが、私ども今日考えておりますのは、瀬戸内海を航行いたします大型船のメーン・ルートでございますが、これはその周囲がまだ未掃海区域でございますし、鋼船でございますので、浮遊機雷の心配もございます。なお保険その他の関係もございまして、その区域はなお掃海の大幅に実施されますまで、特定水域として残したい。そのほかの枝航路につきましては、その重要性を具体的に勘案いたしまして、できるだけこれを解除していくというふうに持っていきたいと思っております。
  131. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その枝航路でも、掃海されない所であっても、解除をしていくという方針であると、こういうのですか。掃海が絶対前提条件で、掃海されない所は、枝航路であろうが何であろうが、解除はできない、それが安全を保障する道だ、こういうのですか。それとも部分的には、その実情を勘案して、まあまあよかろうと思われる所は解除するのだと、こういうことですか。
  132. 井上弘

    説明員(井上弘君) 枝航路におきましては、やはりこれは掃海と関連いたしまして、今まで掃海しました所は非常に狭く、そこに本船が多数入るような場合には、そこの所は一応残す必要があるのではないかと考えております。
  133. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、やはりあなたの方の考えとしては、交通安全ということが最大前提条件となって、掃海できていない所は部分的にも解除はできないのだ、そういう方針だと了解してよろしゅうございますか。そうだとすると、今後話し合いをしていっても、その限度というものはもうまことに微々たるものであろうと思うのです。重政委員希望せらるるような状態には立ち至らないだろうということなんです。あなたの方では極力水産庁と相談して大幅な解除をしたいようなことを、それは一般論としては言うけれども、実体に入れば、必ずしもそうはならないのだろうと思われるので、この際その点を明らかにしていただきたいと思います。
  134. 井上弘

    説明員(井上弘君) 掃海が済みますれば、解除していくことが当然でございまして、はなはだお言葉を返すようで恐縮でございますが、小笠原先生が言われました具体的な点というのは、ちょっと私理解できなかったのでございますが。
  135. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の言っているのは、今後枝航路その他については大幅な解除をやっていくように協力するような御答弁だったのです。しかし、それは掃海がされておらぬ所は解除できないのだという方針のもとに立つならば、結果はそう大幅な解除にはならぬのではないだろうかということを聞いているのです。
  136. 井上弘

    説明員(井上弘君) 瀬戸内海の掃海の進捗状況につきましては、この間のこの委員会で防衛庁からも御説明がありました通りでございまして、水産庁、と申しますよりも、水産業者の方々が要望されますのは、これは全面解除をしてほしいという御要望でございます。しかし掃海の実施状況をにらみまして、全面解除を今やるというわけにはいかないというふうに私どもは考えておるわけでございまして、この問題からいたしまして、ただいま申し上げましたメーン・ルートの問題でございますが、これに関連いたしましては、今後の掃海の進捗とにらみ合せまして、つまり必要な所をどんどん掃海して広げていく。それに関連いたしまして、行き合い船の心配のなくなった所は解除していくという方針でございます。そのほかの枝航路につきましては、この際大幅に解除していくという考えでございます。
  137. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、最後に、私非常に詭弁的なことをお尋ねしますが、あなたがそう言うのなら、先ほどは漁業権の侵害ではないのだ、だから行き合ったときだけ漁船の方が避ければいいのだ、こういう考えですね。ですから、その水域でその漁船は漁撈をやることは何ら差しつかえない。じゃ、漁撈中に行き合った場合には、避けるために、その漁撈が終って、網でも何でもとって、そうして避けるまで船舶の方には待ってもらう、こういうことは可能なわけですね。今すぐ行くのだから、お前は立ち退けというわけにはいかぬ、漁撈しておるのだから。五時間でも六時間でも、ある一定のえさを与えて、浮なわでも、底なわでも、一切完了してから、あるいは底びきなら底びきも、網をあげてから……。そういうことになってもかまわぬでしょう。時間そのものは何ら制約されないわけですね。非常に詭弁的な質問で、はなはだ恐縮ですけれども、そうでしょう。
  138. 井上弘

    説明員(井上弘君) 場所によっては、それは可能でございます。特定水域ができましたのは、これは戦前の特定水域につきまして申し上げるとよくわかると思いますが、たとえば釣島海峡のように、潮流が激しくて非常に狭隘な所は、行き合いました場合には、大型船がストップいたしますと、非常に流されて、いきおい衝突を起すというおそれがある。そういうために、こういう義務を課した次第でございます。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 瀬戸内の方の関係では、その点はないわけですね。そういう潮流や何かの関係で船舶の航行を中止するという水域はないわけですね。
  140. 井上弘

    説明員(井上弘君) 今の釣島海峡は瀬戸内でございます。
  141. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今、小笠原委員からの話は、何かちょっと答弁も何もそれてしまったように思うのだが、瀬戸内のこまかい水域の急流な所を問題にしておるのじゃない。そんな所で漁撈を落ちついて、しやしない。今問題にしておるのは、そういう所じゃない。漁撈の適地で漁業権が設定してある所を言っておる。そこの所は漁業権が設定していない。たとえていえば、音戸の瀬戸は漁業権を設定していない。そんな所は航行令であろうと、特定水域であろうと、何であろうと、漁業者は何ら損失を受けない。  防衛庁に御質問をいたしますが、防衛庁の掃海ということは、私どもはただ船舶の航行を目的としてやっておるように思っておった。ところが、こういうように研究してみると、非常に漁民影響がある。そういうことになると、今までの掃海の区域を、何年にどこをやろう、どうやろう、こういうことは水産庁並びに運輸省に御協議して、そういうことを決定せられておりますか。防衛庁一つ……。
  142. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) まことに恐縮でございますが、先月防衛局長を拝命いたしまして、その点について御答弁する用意がございません。
  143. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 おそらく私は……。水産庁はどうですか。そういう経験がありますか。
  144. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) 私の水産庁在任期間中において承知したところでは、具体的にそういう掃海区域についてのお打ち合せをするというふうに運んではいないように、私は了解いたしております。
  145. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは防衛庁、けしからぬ。おそらく運輸省には協議しておるでしょう。それから水産庁もあまりぼんやりしておる。(笑声)これは大きい問題です。たとえて言えば、船舶を目的としておれば、狭い区域の、船舶の航路だけを先へずっとやっていった場合においては、そうしたら運輸省のこの特定水域の解除は、これは済んでおらぬからできぬということになる。そうすると、いつまでも漁業権を侵害して、補償の問題も生じてくる。私は補償の問題当然、やれと手を上げれば一ぱい、動きが取れぬようになる。そういうことをしないように思って、私、四月から全くしろうとの漁業権のこの問題を研究して、皆さんとの御質疑しておる。だから、これは将来防衛庁は、水産庁と、とにかく漁業者の身になって、漁業者の方も考えて、ただ船舶のみの掃海でなくして、一つの航路をやったら、その区域を全部掃海して、そしてすぐ解除できるようにやっていただきたい。お考えどうですか。将来水産庁と協議するかどうか。
  146. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) ただいまの御意見でございますが、毎年度の掃海の計画を立てまするにつきましては、私はやはり海上保安庁のみならず、水産庁ともよく協議をいたしまして、限りある掃海能力で最も有効的に実施計画を立てるようにしたいと存じます。
  147. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 水産庁長官も、今までは水産庁知らなかったいうてぼんやりしておっては、かなわぬ、漁業者は。将来一つ積極的に防衛庁と協議する意思があるかどうか。
  148. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) もちろん、われわれとしまして、水産行政上非常に大きな関係を持っておる問題でございますので、防衛庁に対して積極的に連絡をとって、最も必要なる個所に重点的に掃海をしていただくということにいたしたいと存じます。
  149. 清澤俊英

    清澤俊英君 現在そういう特定地域にはまっている地域は、何個所くらいあるのですか。
  150. 井上弘

    説明員(井上弘君) これは個所で申し上げますというと申し上げにくいと思いますが、航路がつながっておりますから、網のようになっておるわけであります。
  151. 清澤俊英

    清澤俊英君 どこからどこの、何という区域になるのですか。もし何なら図面で出してけっこうです、参考書類で。
  152. 井上弘

    説明員(井上弘君) 特定水域は、これは瀬戸内海だけでございますが、御説明しにくいのです。これ、ごらんになっていただきます。
  153. 堀末治

    委員長堀末治君) あとで図面をわかるようにして出して下さい。  本件について、他に御質疑ございませんか。
  154. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 水産庁長官、さっきね、課長へ質問したら、漁撈中は船舶にとまってもらってもいい、潮流等であれな所のためにこういうものが戦前できておったので、船舶が停止し得るような水面では船舶はとまっておる。こうなっておるのだから、補償の問題等が起きない前に、漁撈は従前通りやりなさい。そして漁撈が済んで船舶を避け得る事態になってから、避ける。それまでは船舶の方はとまってもらっておって差しつかえない。こういう形で関係者に周知徹底さえすれば、この問題は解決するじゃありませんか。
  155. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) 特定水域につきまして、ただいま運輸省の方から、場所によっては漁船の仕事が済むまで一般航行船が待つということの可能な所もあるというお話がございました。しかし、これはおそらく場所によってと、こういうことでございまして、具体的にそういうことの可能な場合は非常に少いであろうと、かように存ずるのであります。現在一番問題がここまで紛糾を来たしますのは、やはり漁船の方が常に航行船舶から漁業の中止を要求されるという実態があるのでございます。そしてそういうことが一方において、この特定水域において海上衝突の予防をする目的でそういう制度がしかれておるのにかかわらず、かえって逆な不安をわれわれとしては感ぜざるを得ない。あくまでもこれにつきましては、実態に合うように特定水域の範囲を縮減していく、こういうことが絶対に必要であろうと、かように考えるのであります。
  156. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その趣旨は、まあもっと前に話してもらえば大へんけっこうだと思ったのですが、その趣旨で運輸省と協議を進めて……。その趣旨には原則として運輸省も賛成しておるのですか。
  157. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) その趣旨には運輸省においても、原則論としては賛成をしておられるように、私は了解いたすのであります。そういうことの現われとして、現に瀬戸内海の特定水域について相当なる部分を――もっとも枝線だけでありまして、いろいろまた現地については不満が残っておるようでございますが、相当なる部分を解除しようというふうな線で、運輸省の方でいろいろ御検討をしておられるという状況でございます。
  158. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後に、それでまあ残るのは、何と申しますか、本航路の部分になる。それは残っていくのだという問題ですが、重政さんの方で、漁業権補償の問題を出そうが出すまいが、実質的に侵害されることが今後長期に及ぶという実態が把握されており、水産庁としては、前言のごとく実態としては非常に困るということであれば、漁業者を守る立場から、積極的に補償問題にも取り組まなければならぬ、こういう覚悟を持っておられるのだろうと思いますが、運動が起らなければほおっておくという政府ではないと思う、貧乏追放の政府なんですから。積極的に、損害を受けている問題については補償するという取り運びについては、御検討になるお考えがありますか。あるべきだと思うのですよ。
  159. 奧原日出男

    説明員奧原日出男君) まあその点につきましては、非常に微妙ないろいろな関係がございまするので、われわれといたしましても、よく現地の実情に合いまするように、また現地の諸君の納得いきますように、善処いたして参りたいと、かように考えております。
  160. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質疑がなければ、本件は本日はこの程度にしてやめておきます。   ―――――――――――――
  161. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、農林水産関係の災害の件を議題にいたします。  先ごろ来数次にわたって、暴風及び洪水等の被害が各地に発生し、また一部地方には地すべり等の災害が起り、被害者各位に対してはまことにお気の毒にたえない次第でありまして、遺憾なき救済と復旧が希望されておるところでありますが、本日はこの問題を議題にして、農林省当局から、これら災害及び地すべり等による農林水産関係の被害の状況及びその対策等について、説明を聞くことにいたします。農林省からは官房長の齋藤君、林野庁から指導部長の山崎君、及び振興局長の永野君が見えております。  記速をとめて。    〔速記中止
  162. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をつけて。
  163. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) 一言、今回官房長になりましたので、何かと御指導及び御協力を願うかと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、お手元にお配りいたしました農作物、農地関係、それから林野関係、水産関係の最近における災害における被害状況を御説明申し上げたいと思います。  作物の関係をまず申し上げたいと思いますが、実はもう一枚この上に、九州の災害、つまり七月下旬の農作物の災害を資料として配付する予定でおります。今ここにございませんが、後ほどお配りいたして御説明いたしたいと思います。従って、まずこの前に九州の七月下旬災害がございまして、それから後の災害の資料がここに三枚あるわけでございます。  八月上旬の農作物の災害は、ここにございますように、全体といたしまして、被害の総面積が一万一千二十七町歩ということに相なっているわけであります。そのうち、一番上にございますが、水稲が九千六百三十町歩、あと陸稲、水陸稲、それからカンショ、バレイシヨ、雑穀、野菜、工芸作物でございます。この八月上旬における豪雨災害におきましては、主要な被害県といたしましては、一番左の欄にございますように、岩手県、栃木県、岐阜県、愛知県、これが大きな被害県になっております。被害総額につきましては、目下詳細な検討はいたしておりますけれども、概算いたしまして約二億八千万円の被害額になろうと、かように推定いたしておるのであります。金額はこの表には載っておりません。概算一万一千二十七町歩、それから数量はおのおの被害石数が出ております、それを推計いたしますと、ざっと二億八千万円程度の被害額になる、かように相なるわけでございます。  それから次が八月下旬の豪雨によりますところの被害面積でありまして、これは合計面積で七千六百二十八町歩の被害面積に相なっております。被害県は宮城、秋田、山形と出ておりまして、この場合における被害額は、被害県は少いのでありますけれども、推計いたしました被害額といたしましては、約二億五千万円の被害額になっております。かように推定いたしておるのでございます。  それからその次が台風七号による農作物の被害でございまして、被害の総面積が二十五万町歩でございます。主要な地域は、山口、佐賀、熊本、大分、長崎、鹿児島となっております。この被害総金額は、この方の推定はまだできておりませんですが、これ以外に、先ほど申し上げました九州地方の災害があるわけでございます。これで今お配りいたしましたのが七月下旬の豪雨による農作物の被害、九州地方の先般の被害を現わしたものでございます。被害額といたしましては、水稲が総数といたしまして三万九千三百三十町歩、それから水稲、陸稲、カンショ、雑穀、野菜、果樹、工芸作物、桑、茶となっております。合計金額といたしましては、七月下旬の豪雨はここに出しておりますのはこの線だけ出しておりますけれども、全体の総被害額といたしまして、私の方で推定いたしましたのは、約二十五億と見ております。被害総面積は六万九百八十六町歩でございます。被害額は約二十五億七千六百万円と推定いたしております。  以上が農作物の被害状況でございまして、それに続きまして、農地及び農業用施設の被害関係を御説明申し上げたいと思います。四、五、六月の融雪災害を除きますと、今回の九州災害並びに八月上旬下旬の豪雨による災害、それから第七号台風、これが七月災害と八月災害に合計されておるわけでございます。七月災害、八月災害の農地の被害面積、それから農業用施設の被害金額、個所数、それから八月災害の農地の金額並びに農業施設の金額が一応計上してあるわけでございまして、合計欄を見ていただきますと、一番最後に、表でございますが、七月災害では、農地では十七億、それから農業用施設では五十三億八千九百万円、それから八月災害では、農地が一億三千五百万円、農業用施設が五億六千八百万円、こうなっております。そのうち九州の、先般の特に被害を受けた九州各県の累計を申し上げてみますると、この中に今ありました欄のうち福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、宮崎、それから大分の各県を累計いたせば出るわけでございますが、そういたしますると、被害を受けた西九州の被害総額といたしましては、農地が十六億二千七百万円、これはこれを累計すれば出るわけであります。つまり七月災害の十七億二千三百万円のうち九州災害は十六億二千七百万円であるということに相なるわけであります。それから同様農業用施設を比較いたしてみまするというと、五十三億八千九百万円中九州関係が四十五億三千九百万円と相なるわけでございます。
  164. 清澤俊英

    清澤俊英君 カッコと違うな。
  165. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) カッコは、これは実は今回あらためて資料をお出ししましたゆえんは、先にお出ししましたのがカッコでございまして、今回カッコでない今申し上げたような数字に訂正した、こういうことの意味でございます。ですから、カッコ外の今申し上げた数字が今のところ判明している被害額、かように御了承願いたいと思います。  以上で農地、農業用施設の関係につきましての被害の概況を申し上げたわけでございます。  次は、林野関係の数字について申し上げたいと思います。  林野の被害数字につきましては、これまた資料としては一度お出しいたしたのでありますが、その後数字が若干変りましたので、今回修正してお出しいたしたものでございます。一番初めの荒廃地災害、これはまあ新生崩壊になるわけでございますが、主として地すべり等による災害になるわけでありますが、それが七月災、七月下旬災、八月災、それから七号台風、かような項目に分けて被害金額を出しているわけでございます。そこで一枚めくっていただきますと、七月下旬災で合計の欄にありますように、被害額が十七億三千二百万円、九州災害はこの項に入っております。そうしますと、十七億三千二百万円、面積にいたしまして千三百七十町歩、大部分は九州に集中しておるわけでありますが、それに入っておるわけであります。それからなお八月災では四億四千六百万円、それから七号台風で一億九千四百万円というふうに相なっておるわけであります。これが新生崩壊となった所の復旧を要する被害金額でございます。  林野関係では、そのほかに、治山施設と林道との被害額があるわけでありまして、その次に、治山施設災害被害額調というのがその次に書いてあります。これによりますと、七月災が治山施設の被害額として千二百九十六万円、それから八月災で四千九百万円、七号台風で四百万円、かように相なっておるわけであります。  それから林野は最後に林道関係の被害額がございます。これは一枚めくっていただきますと、七月豪雨による災害と、それから八月(七号台風を含んだ)豪雨災害との欄の合計額を見ていただきたいと思いますが、七月豪雨における林道災害といたしましては、箇所数が五百九十六箇所で、一億九千五百万円の被害額になる。それから八月豪雨については合計六百九十七箇所について、約一億五千万円の被害額になっておる。かようなことに相なっておる次第でございます。  最後に、その次の水産関係の被害額を申し上げたいと思います。三枚とじでありますが、西九州水害による水産関係被害額というのがございます。これは漁港共同施設、非共同施設、漁船、漁具、そのほか養殖、増殖関係がございますが、総額といたしまして合計六億六千六百万円、漁港がそのうち六千四百万円、共同施設四百万円、非共同施設、個人の網だとかそういったものが約八百万円、漁船が一千百万円、漁具が四千三百万円、合計して六億六千六百万円と、こういうことに相なっておるのであります。これも先般差し上げました資料が変りましたので、お含みおき願いたいと思います。  それから、その次は台風七号による水産関係の被害額でございますが、合計して一億九千六百万円、項目としては今申しましたような項目でありまして、漁港が一番多いということに相なっております。  それから八月上旬の家風による水産関係被害は二百九十三万円で、岐阜、愛知でございますが、増殖関係の施設についての被害額が現われておるわけでございます。  以上で、先般すでに御配付申し上げました資料と若干修正されましたわけでございますが、農作物、農地、林野、水産関係の被害の概況を申し上げた次第でございます。  そこで、次に、このような災害に対する措置として、現在まで農林省でとって参りました応急措置の概要につきまして申し上げたいと思います。それは九州水害についてというとじがございますので、それをごらん願いたいと思います。被害額につきましては今申し上げた通りでございまして、ここにあげております数字はいずれも変って参りました。別紙と書いてありますが、この別紙は今お配りし、御説明した金額であるというように御了承願いたいと思います。従って、この数字は全部修正されるべきものでございます。現在までとりました対策の概要を次に書いてあるわけでございます。  まず、応急対策といたしましては、何をおきましても、とりあえずの罹災者に対する食糧に事欠かない措置をとるということが必要でございますので、ここにございますように、罹災者に対しましてはたき出し用の米穀の配給を一日も早く行うことにいたしたのであります。また食糧事務所におきましては、かような災害に応じまして、いつでも出し得るような乾パンを用意しておりましたので、これも罹災者には給食用にいち早く出すということで、現地の所長限りで売却措置を講ずるということにいたしましたのであります。一方消費県における罹災者に対応いたしまして、生産世帯におきましても、水害のために食糧に事を欠くような農家もございますので、かような農家に対しましては米の配給追加額を出した。長崎県に四百四十八トン佐賀県に五十六トン増加いたしたということに相なっております。当座の配給をかような措置でやるに応じまして、卸、小売についての手持ちが、一定のランニングを罹災者にすぐ配給するというような操作のために、罹災者に対する追加額に応じて卸、小売の手持米の応急措置も講じたわけでございます。また罹災者に対する米の販売代金の猶予をはかるという意味ももちまして、従来とも食糧庁が卸業者に対する米の販売代金については延納措置を認めておるのでありますが、今回はさらにその延納期間を災害救助法の適用期間中は五日以内のさらに代金の延納措置を講ずるということにいたしたのであります。最も被害の大きかった大村及び諌早市につきましては、延納をさらに五日延ばしまして、十日以内の延納措置をとることにいたしたのでございます。  第二は、食糧に次いでの住宅用その他の復旧用資材でございます。復旧用資材の第一に掲げるのは、何と申しましても、住宅あるいは建物用の建設資材でございますので、復旧用資材を確保する措置といたしまして、熊本の国有林の林材を優先的に被害地に供給するということにいたしまして、熊本営林局管内では四万石、それから大阪営林局では九千石、高知営林局では二千三百石をとりあえずの措置として用意いたしたのでございます。それに伴いまして水害地、長崎あるいは佐賀等に緊急輸送の措置をとったのであります。この林材の復旧用資材としての主要な用途でございますが、大体は次に(ハ)以下で書いておりますが、公営住宅あるいは罹災者の緊急住宅、あるいは橋梁の応急復旧用資材というようなものがおもなものでございまして、公営住宅、緊急住宅、橋梁の応急復旧用資材として、それぞれ従来の素材額のその五割減で処分するという措置をとったのでございます。公営住宅の払下石数、罹災者緊急住宅用の払下石数、橋梁応急復旧用資材の石数は、ここに書いてある通りでございます。なおそれに伴いまして、たとえば地元においてある程度の急場の復興資材の需要を満たすという意味で、官行造林地における繰り上げ伐採処分をするとかいうような措置も、あわせてとった次第でございます。  次は罹災農家に対する営農対策でございます。まず考えられるのは種苗でございますが、七月の下旬でございまして、非常に技術的に、あるいは時期的に、むずかしい時期であったのでございますけれども、農林省があっせんし、各県の協力を得まして、長崎、熊本両県に対しまして近県より苗の緊急手配をいたしたのでございます。四ページにございますが、長崎県には植えかえ面積約二百町歩、隣県福岡、佐賀県、あるいは県内より輸送いたしました苗は百三十三万束、熊本県におきましては、六百四十町歩、植えかえ計画面積の九八%を緊急輸送によりまして手配するということにいたしたのであります。  それから水害がありましたあとは、とかく病虫害の異常発生のおそれもあることでありますので、これに対する植物防疫の手配をいたすことにいたしたのであります。すでに長崎、福岡県に対しましては動噴だとか、あるいは撒粉機等を貸し出しておりますが、なお長崎、熊本につきましては、この四ページにありますような台数を、門司の植物防疫所に設置して、いつでも貸付できる態勢を整備いたしておるような次第でございます。しかし、まだ現在のところ、そのような事態は幸い起っていないというような状況に相なっております。  それから、その次は五ページでございますが、冠水地に対して水をはくということが緊要でございますので、この点につきましては、冠水用のポンプ、あるいは災害用の建設機械を他の農地事務局、たとえば岡山であるとか、あるいは、京都の農地事務局から、熊本の農地事務局に急送、保管いたしまして、必要に応じていつでも動員し得るという態勢を整えたのであります。すでに長崎県に対しましては、一部ポンプを貸し出しておるという状態になっております。  その次は資金の問題でございますが、とりあえず農地の復旧事業資金といたしまして、農林漁業金融公庫から六億三千三百万円の融資を出すことにいたしまして、ここにありますように、長崎、熊本、佐賀、宮崎、鹿児島、愛媛の六県に指示いたした次第でございます。大体現在の状況では、この資金額で今のところ満たし得るような状況ではないではなかろうかと考えているような次第であります。それから次は被害農林漁家に対する経営資金の融通でございます。これにつきましては、天災法によりまして従来とも資金の融通をはかることになっておりますので、これに必要な資金需要をいたすため、せっかく努力いたしておるのでございまして、大体今週一ぱいには資金額をきめて、政令を改正し、公布の運びになろうかと思っておる次第であります。この点につきましては、大体従来の額を含みまして、約二十五億程度の融資額をもって経営資金の融通に充てる。これはもちろん、今回の九州災害ばかりでなしに、従来の災害を含めての額であることは申すまでもございません。大体これらの資金によりまして、現在の資金需要はおおむね満たすことができるのではなかろうか、かように考えておる次第であります。それから保険についての支払金の問題でございますが、これについては、概算払いについて各県の連合会に必要な手続を指示いたしておりますので、その手続ができることを待っておるということになっておるわけでございます。  次は畜産関係対策でございますが、家畜防疫対策につきましては、これは当然法律によりましてもできるわけであります。いつでも予備費で要求することができる性質のものでございますので、そのような措置をとっております。飼料につきましても、人間に対する食糧同様、飼料の需給がその不足を来たして、おりますので、福岡食糧事務所の保管ふすまを緊急に払下措置をとった次第でございます。  次は、農地、農業用施設の復旧事業でございます。相当広範囲の復旧事業であります。さらにまた急を要する、できるだけすみやかにこれに対する措置を講ずる必要がございますので、農林省といたしましては、農林省の末端の職員の努力のほかに、各県からの協力を得まして、できるだけ早く現地における計画書の作成、あるいは予備的な現地査定を行うというふうにいたすという考えで現地には、各県から技術要員の援助を要請して農林省職員のほか五十六名を派遣して、現地査定ができるようにという計画を立ったのであります。大体佐賀県は八月下旬、熊本、長崎両県は九月上旬には査定を完了するということにいたして、手続を進めるということにいたしておる次第でございます。  それから第五は治山、林道関係の災害対策でございます。これも農地同様すみやかに復旧計画の樹立実行をはかる必要がございますので、現地査定を急ぎ、必要な係官を派遣するということにいたしまして、手続の促進をいたしておるのであります。その中で新生崩壊、主として地すべり関係、ここで本日御議論になる問題だと思いますが、これは農地、林野ともに相関連するわけでございますが、これに対しましても、この問題につきましても、目下鋭意調査をいたしておるような次第でございまして、それによりまして必要な予算措置をとるというふうにいたしておる次第でございます。  最後に水産の被害対策であります。これは先ほどの被害状況説明でも明らかでありますように、漁港共同施設等に対する復旧が主なようになろうかと思うのであります。現在までのところ漁港、共同施設については、あるいは天災法に基く融資、あるいは農林漁業金融公庫からの融資等によって措置するというふうにいたしたい、かように考えておる次第であります。  以上重要な災害応急対策、なおこれまでとりました経緯につきまして、御説明を申し上げましたのでございます。
  166. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 二十八年の災害がまだ残っておる。二十八年というと五カ年を経過しておる。災害は三、五、二で一〇、復旧を三カ年で消化するということは、これはもう一昨年強く取りきめた。それで私は、農林省はもうそういう重要な問題については、担任局にまかせるとか、いわゆる官房としてそういう重要なところは大蔵省と折衝しておかなければならぬと思う。二十八年の災害が二〇%近く残っておる。それが全部今度再災害をこうむっておる。それでね、それはどういう農林省は努力したのですか、どう考えておるか、その点は。
  167. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) まだ重政先生に答弁するだけ十分な経験を持っておりません。二十八年災害は、御承知のように、非常な大きな災害額でございまして、従来の六倍ないし七倍程度の災害が二十八年に集中した。従って、その後の状況によりましても、確かに二十八年災害の進度が今もって十分にいっておらないことは、御指摘の通りであります。進度といたしましては、三十二年度予算で残度が……。三十一年度までの進度が八六%になっておる。三十二年度にできるだけ進めるべきであると考えております。
  168. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 三十二年度で完了すするのですか。二十八年度災害は、完了するのですか。
  169. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) ただいま申し上げましたのは、ちょっと言葉が足りませんでした。三十二年度で八六%でございます、予算のとれましたのは。従って、三十三年度予算におきまして残事業を完了するということにいたしたいと思います。
  170. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、三十三年度で全部完了する、こういう計画ですか、二十八年災害は。
  171. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) 従来の比率からいいますと、そういうことになるかと思いますが、予算の折衝によって最終的にはきまることになります。
  172. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そういうことは困る。とにかく災害は忘れたとき来るというのは、余のことじゃない、日本の土地は忘れられぬうちに災害が来るということを覚悟してかからにゃいかぬ、特に三十二年度の災害の予算及び三十一年度の災害の予算というものは、大幅に減額されているんです。これは昭和三十年度、三十一年度に災害がなかったということで、減額して貫いている。のほほんとしている。そうじゃない。しかも、二十八年の災害をまだ今に至るまで残している。そうして今度の七月及び八月の災害にかかっている。これは私はもっと将来真剣に考えてもらわなければいかぬと思うのです。真剣に考えますか。まだ従来の通りあまり考えないで、つらつらやるんですか。これは災害地にいって見ると、非常に困っているんです。局長がお見えになっているようでありますから……。
  173. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 農業施設の本年度までの復旧率、特にそれに充てるべき本年度の予算上のことと今後のことの御質問のようでございますが、新官房長有能でございまして、来年度で対処することについて大臣の意向を受けて官房長はお答えになったと思いますが、農地局といたしましては、第一に、従来災害が少いときに災害を復旧し、関連事業をあわせて行うこと、また防災事業をもっと強化することについて、国の負担が総額として少いときは災害の少い年でございますから、そのときこそ復旧率を上げるべきだという主張を持っておりますが、今までは逆に、災害が少いときもそれほどふえず、二十八、九年災のように、災害が多かったときは復旧率が上る程度が少い、こういう実情であったようでございますので、目途といたしましては、当年災は予備費でまず復旧事業に着手するわけでありますが、三十三年度は本年災の第二年目に当るわけでございます。目下のところ、三十二年災の見込みを加えましても、来年度の災害復旧及び関連事業並びに防災事業については、それほど大きな金が要るとも思いませんので、この際を期してかねての主張を通しますように、来年度は本年災以前の過年災の残事業を全部解消するように、強力に要求するつもりであります。あわせまして、従来の政府措置が足りなかったところを埋めまして、災害復旧事業の日本の農業耕作に合いますように、もっと仕越し工事をしてよろしいこと、そのために資金をつけること、また国会で御審議して下さいました現行法の国庫補助金の支出方法が足りない場合は、義務をなるべくはっきりしてもらいまして、仕越しを資金でやること、またその一歩前に計画的に予定量を資金でしようとする――予算でするのがほんとうでございますが、資金でした場合、必ずそれに要する利子負担が農民にかからない制度を加えまして、強力にやりたいと思っておるわけであります。来年のことは今後に属しますので、皆さん方のぜひまた御指導、御協力を得たいと思っております。
  174. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私は災害復旧に関して、農林省並びに政府が非常な熱意を持っているとは考えられない。また議院は三、五、二の割合で三カ年に復旧するという強い要求をいたしております。それから国民もまたそういうふうに考えておる。しかるに、二十八年の災害はまだ残っておる。しかも今年災害を受けた。それで予算を見ると、三十二年度予算、三十一年度予算というものは、災害があまりなかったというような理由で、どかんと災害費の予算を削ってしまっておる。この点についてお話がありましたが、私らはそういうことを考えてみると、農林省及び政府は災害復旧に対して熱意を持ってこれに当っておるとは考えられないのです。今の局長の意見のように、そういう年にこそ私は過年度の災害復旧を進捗すべきであろうと思う。これはよく一つ、もっと力を入れてやってもらいたいということを希望いたしておきます。  なお、局長見えましたから、ちょっと……。その関連工事というものですね。災害復旧は原形に復するという建前で従来いっておったのですが、私どもはそういう復旧は意味をなさないということで、だいぶ主張してきた。それで関連工事というものをやってもいいということになっておるのだが、これにはやはり非常な制限を加えて、しかも実地に農林省の局長、部長等はそういうことをお知りにならぬだろうと思うのだが、現在、今年度の災害を査定しておる状況を見ますと、査定官はそれを非常に圧縮しておるのです。農民は今度こそ、少々の雨でもくずれぬようなものを作りたいというので、原形復旧にプラス・アルファをどうしても関連工事として認めてくれという希望があるにかかわらず、非常な圧縮を加えておる。そういうことを考えれば、このたびの九州の災害等は災害の復旧じゃない。これはさいの河原だ。さいの河原を復旧するということは、災害復旧にはならぬと私どもは思うのです。それでこの点については、とにかくわれわれの意思をくんで政府がおやりにならぬということになると、私どもはこれに対して一つ法律でも改正して、強くこの点をはっきり規定しようという熱意を持っておるくらい、今の査定しておる状況は遺憾ながら非常に従来の例にとらわれて、関連工事というものを査定して参っております。この点は一つ十分末端に注意をしていただきたい、今査定が進行しつつあるのだから。
  175. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 重政先生のお話、ごもっともでございます。ただ、災害復旧は原形に復旧することが、狭い意味ではその通りでございます。しかし、法律でもこの点は必ずしもそうではない。もとの効用を復旧することが災害復旧の目的でもあるので、そうなっている部分がございます。また原形復旧、もとの場所にもとの形を復旧することの不可能なものは、同等の効用を持つ関係ある工事として、他の場所に作っていいということがございまして、その範囲は狭い意味の災害復旧でございますが、多年の経験と技術の方面から、財政事情が入っておるかに思いますが、予定しました工事以上に災害が起りますと、洪水なら洪水の量が違いますと、それにはたえない工事になるわけであります。最近不連続線の雨量とか梅雨末期の雨量とか、その他特に九州等で、あるいは和歌山水害等で現われましたようなものが、連年頻発しております事情は、考慮に入れるべきだという御見解でありましょうし、私どももそのお考えと同様の考えで今後に進みたいと思うわけです。  現在は、災害関連事業は災害総工事費の五%の範囲内でという取扱いになっておりまして、これがまあ私ども行政庁に与えられました法律または予算の範囲内であるわけでございます。さらに広い災害復旧設計と防災事業の工事の設計をいたします場合に、災害復旧またはその関連関係の予算で行わずして、より多き防災の目的をもちまして、工事を、災害が起きた土地について、川とか田畑とか施設について、土地改良費そのものを使って行うことにはやぶさかでございませんが、御指摘にありましたように、末端の行政庁、特に緊急を要する災害復旧の査定事務、それに伴う工事の設計等に当りましては、私どもの気持までいっていないで、査定が厳密なこともあるように伺います。ただいまもここへおくれて参りましたのは、九州から同じことについての陳情もございまして、今回は九州災害に当りましても早くその点を注意いたしまして、単なる災害復旧ばかりでなしに、区画整理とあわせて設計をいたしますように、畦畔その他がわからなくなったとのことでございますが、また災害関連工事を積極的にこれを付して使いますよう工事の設計をして、それを本省にあげてくるようにいたしまして、その指示を実はいたしておるのであります。八月十四日に県知事あてにその旨を通達いたしております。長崎の県の結果を注意を払って見ますと割合よくできていますが、そうでない県もあるかに思いますので、今後なお内容を防災の意味、災害関連の範囲を広げる意味、土地改良事業をこれにくっつけて、より大きな防災事業たらしめる意味、具体的な災害査定においても、その復旧計画を立てる上においても、気持をそこにおいて、違法はこれは困りますけれども、違法でない範囲にやるように、せっかく留意をいたしておりますし、いたすつもりでございます。
  176. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 本年度の水害、特に九州の水害は雨量が非常に多くて、従って、地すべりが特別多いように聞いてもおりますが、それがために、地すべり対策として建設省が恒久的な、また範囲の広い根本的な対策を立て、また場合によれば、法制化もしようということも考えておられるようですが、もともと農林省においても地すべりについては、特に農地に関連する地すべりについては、昔から仕事もやっており、また研究もされておりますが、今の建設省がもくろんでおるそういうような対策について、農林省はどういうふうなお考えを持っておられますか、またどういうふうな役割を果そうとなさっておるか、承わりたいと思います。
  177. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 雨森先生の言われました地すべり対策というのは、本年度まで予算に計上して、各省を通じまして行なって参りましたことより、範囲が広い対策のことだと思いますが、建設省が研究をいたしており、その前に根本建設大臣が九州へ行かれましたときに、とりあえず所感のようなものとして意見を述べられ、新聞にも出ました範囲のことについては、当然農林省もともども研究し、また省内でも林野庁と農地局におきましてそれぞれ固有の立案をして、省内省外突き合して取りまとめ中であるわけです。  そういうことでおりますが、本年度の状況を見まするというと、林野庁で治山の中に約一億五千の予算がございまして、建設省が砂防の中に約一億五千の予算がございまして、私の方は、地すべりが起りまして、災害が起きて、それを農地及び農業の施設を復旧する費用として、二千三百万円の予算が計上されて、事業をいたしておるわけであります。簡単に申しますと、地すべり防止と申しますか、地すべりによる災害の防止をすることよりは、災害の起きたものを復旧することの方にむしろ重点が従来置かれておりました。予算も本年度あるものについてはその対策を従来通りやろうと思っておりますが、観点をさらに広げまして、すでにそういう問題に対する調査はかなり、林野庁、建設省が、もちろん農地局においても相当研究をしておりまして、地すべり地帯で現にすべりつつあり、今後すべる可能性の非常に多い、特殊の専門技術を要しますが、認定をいたしまして、これに対しまして排水等を行いまするというと地すべりは防止し得るものだ。多くは地すべりというものは、地層が違いまして、下の方に粘土質のような土層があるときに、そこに水が滲透しまして、大規模な地すべりが起るというようなことが多いようでございますが、各種類の地層、土層につきまして、いろいろ内容は違うようであります。またその上の、地の上は林野事業が適当な所もあるし、田畑にまた地すべりが起りそうかもしれませんが、利用し得るものである、こういう所もあるでしょうが、工事としましても、目下の土木工事では抑え切れないというものも相当あるようであります。そこで内容を防除施設と、災害が起きたときに復旧する施設を考えますとともに、さらに多くは山村、農村でございますので、この上に土地利用をいたしております。たとえば農家で住宅、畜舎等のある場合につきまして、事態が明らかになった地域については、施設の移転の補助をしますとか、防止可能な所については、従来以上の防止施設と、そういう地帯に独特の土地利用施設を設けることにいたしますとか、危険がはっきりしましたときは、かえ地を、代替地を予定しました移転入植措置を、はっきり対策を講じますとか、その土地を政府自身で買い取って、ある事態まで保管をいたしておきますとかいうことを含めまして、大体その対策の要綱をまとめつつあるのでありまして、今後においてそれに必要な予算も計上するよう要求するつもりであります。  とりあえずは農家の、地すべり地帯における農家の住宅の移転等につきまして、県条例をもちまして、佐賀県と長崎県でありましたか、あとで中央政府がこれを引き継ぐ、その分は少くとも引き継ぐ予定をもちまして、融資をして、その融資の利子補給をする措置を、条例をもって講じてもらっているわけであります。対策はその県条例内容ばかりではございませんが、以上申しましたようなことを中心にしまして、今後に処したいと思っているわけであります。
  178. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 七月の九州災害の際は、農林省においては農林大臣、官房長、その他各部局長の方がおいでになって、いろいろと実地調査をしていただき、また参議院としては国会を代表して視察していただいて、大体の状況はごらんになり、またその際もいろいろと意見を述べておき、農林大臣もそういうふうなことをしよう、こういうふうな話まであっているのでありますが、その後その問題がどういうふうになっているかということを、まず最初にお伺いしたいのであります。  それは、さっき重政委員お話があったように、長崎県の今回の水雷は未曽有の水害であって、長崎の海洋気象台の報告によってみるというと、世界始まって以来の大水だった、こういうふうな話をしているのであります。しかし、その被害が非常に局地的であって、広範ではないのであります。局地のものはとことんまでいかれている。さいの河原になっていると重政さんは言われますが、その通りで、ほとんど手のつけようがないのであります。こういうふうなのを、災害復旧をやるためには一体どうすればよろしいか、従来のやりでやることができるのであるかどうか、こういうふうなことを心配したのでありますから、私は農林大臣にも、また建設大臣はもと農林大臣であったから、あなたは農林のことは御承知だからということで、いろいろと話をした。その結果は、耕地の被害が非常に甚大なものは、これは普通の団体営ということで、土地改良をやろうとしたってほとんどできないのだから、大きいところは国、県あるいは市町村というようなものが、災害復旧の責任者となってやってもらわぬければできないじゃないか、こういうふうな意見を述べたのでありますが、それに対して農林大臣は、できるだけそういうふうなことにしよう、こういうふうな意見を述べておられるのであります。現在農林省としてはどういうふうなことにこの問題が進行しつつあるかということを、まず最初にお尋ねいたしたいと思うのであります。
  179. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 九州災害はいろんな面において災害を起しておりますが、お話はやはり主として農地、農業用施設の点に触れておることと思います。私もその方面についてお答えを申し上げます。災害復旧に対しては早く手を打つこと、査定を早くしまして、査定の内容も、先ほど申し上げましたように、原形復旧と法規、予算に許される範囲内においての区画整理、災害関連事業、あわせて復旧計画を立てて早く本省にあげるということがございますが、大体九州につきましては査定を終りつつありまして、間もなく本省にあがってくるはずでございます。直ちに予備費支出をする予定でございます。また、つなぎ融資が、急ぐ意味においても要りますので、農地、農業用施設としましては、六億三千万円をおそらくすぐ公庫から融資を県までおろして、いつでも御利用願えるようにいたしておるのであります。この予備費支出による補助金と補助残の事業費の融資につきましては、実情に即しまして、融資率を、去年、一昨年六割ぐらいになっておるということでございまして、少くとも八割は確実に出すようにという手配を公庫と打ち合わせて、用意をいたしているのでございます。また非補助融資でやるべき制度になっている分につきましては、その点について藤野委員の御意見についての答えになりますが、県または市町村において事業をすることをお勧めする。その中には小被害――私どもの申している農地、農業用施設では十万円未満の小被害は、補助の対象になっておりませんので、目下のところ、内閣では法の改正を予定しているということでございます。特に町村営または県営において、起債によって事業をしてもらいまして、特別交付金でもちましてその穴埋めをする。そうして農民の負担を少なからしめるし、復旧事業もいける、こういうことを県直接及び事務局を通じまして打ち合せてやってもらっているわけであります。意思を、方針を明確にいたしますために、農地局長名をもって知事あてに通達も出してあるのであります。  また、雨による被害でございましたので、河川の復旧が当然必要でございますが、これは準用河川以上の大きなもの、これは建設省が河川法に従っておやりになりますが、普通河川につきましては、河川だけを単独にいたしますというと、田畑、農業用施設の復旧事業が単独に取り残されまして、あるいは小被害のため補助がない、補助があっても被害農家で割ってみると低率の補助率になるということのおそれもございますので、農林、建設で打ち合せをいたしまして、その打ち合せの方針に従って、県知事が個々の河川について、これはどちらでやるということをきめますれば、それに従おうということにいたしました。その従う方針も、それをやるための方針も、普通河川は田畑の用排水路と概念をいたしまして、一体の被害としていたしまするというと、補助率と小被害の非補助の問題の解決に資するという意味で、これをも明瞭にするために、農地局長名をもって県知事に通達がずっと以前に出してございます。  長崎県の例を見ますというと、準用河川、適用河川を除きますと、普通河川は五十数本あるようでございまするが、そのうち九割は農林省関係の被害として取り扱うことにいたしまして、それに応じた査定と復旧計画がなされて、先ほど申しましたように、間もなく本省にあがってくることで、そういう報告を受けているわけでございます。  その復旧施行地帯の県市町村がおやりになれば小被害で非補助の現行法でも、その他の補助が行くべき被害になりますれば、農地及び農業用施設の災害復旧の国庫補助の法律に従って補助を出す、その他は特別交付金で処理する、こういうことも明瞭に指示をいたしているわけであります。
  180. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 ただいまの農地局長お話によって、大体のことは了承したのでありまするが、現在のところでは、こういうふうな話が出て農民が迷っている。それは、一反歩の復旧費が二十万円をこしたならば、補助金の対象にならないのだ。自分のところの被害は二十万円以上の所だから、もうほっておくよりほか方法ない。それから十万円以下のはだめだというような話をしているから、そういうふうなことはあるはずはないのだ。全地区を平均してそういうふうな数字が出てくるのだから、そういうふうなことで考えを誤まるようなことはないようにしていただかなくちゃできない、こういうふうな私は注意をしておいたのであります。そして、そういうふうなことであればいいがと、こう言っておるのでありますが、今問題になっているのは、長崎県の今度の例からいえば、従来の川は水が流れずして、新たな川ができておって、今回の耕地を復旧する場合において、復旧であるということであれば、従来の川によらなくちゃいけない。改良ということになれば新たな川ができたのに沿ってやっても差しつかえない、こういうふうになるのじゃなかろうかと思うのであります。  で、いま一つ問題になるのは、川になったらば、災害復旧の際の河川敷になったらば、それは政府がただ寄付を受けるのだ、こういうふうなことにもなっているように聞いているのでありますが、従来の川と今度新たにできるところの、先ほど申し上げたように、改良工事によってできるところの川が、従来の工事であったらば、それが災害復旧であれば、ただで出さなくちゃできないのであるか、あるいは、それは従来の川がさらに耕地になるのだから、それと交換することができるのであるか、こういうふうなことを非常に迷うておる者が非常に多いのでありますから、その迷いを解くために、今私が申し上げたようなことについてお答えをお願いしたいと思うのであります。
  181. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 原形復旧の災害復旧事業と耕地整備とを関連せしめるがごとく復旧計画を立てていただきたい、こういうふうに本省名をもって通達を出しておりますのは、その意味でありまして、流失埋没のひどい所で、区画割りで、大体前の土地がおおむね見当ついても、交換分合、換地計画等が行われるならば、望ましいことだと思うのであります。そういう方針はおろしてありますが、まあ現地の実情でほんとうに理想的にいっておるとか、少し予算処理、会計検査院のこと、二十八、九年の現地査定がだいぶ中央査定で狂った実例などあったり、会計検査院が余分に事前査定に行ったりするようなばかげたことがあったりして、少しリジットになっておるところもあるらしいのであります。それがために、現地査定と復旧事業の取扱いは、また法の適切巧妙な運用と私は言っておるのでありますが、それにあまり怯懦になってはいけません。特に本省から大臣の決済をいただいて通達を知事に今回は出してあるわけであります。その中で担当事業費の点については、過般よそのところでも御質問がございましたが、狭い意味の復旧と関連工事とを、加えた復旧計画を、一応適正と信じ得る限りは、そのまま立てなさいということでやっております。法律では適用除外という部分がございまして、御承知通りでございますが、担当事業費の限度について現行法はあるわけでございます。そこで計画が出て参りましたものを一々実は当っておるわけでございます。  ただいま私どもの検討しているものでは、長崎県の諌早市以下南北の高来郡、島原、大村という災害のひどい所にも、一、二の地区を除いて、ほとんど二十万円以上ばかりになっておりまして、その軽いところ、査定と復旧計画を講ずる、土地改良費は使えないものだ、そういうことで、一般方針はすでにおろしたあととしまして、具体的ないい解決方法考えて処理するつもりでございます。
  182. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから今度の被害を受けたところのものは、例を長崎県にとってみるというと、さっきから申し上げたように、非常に狭い範囲の土地がひどくやられているのでありますから、その土地を耕作しているところの者は、全く栽培するところの土地がない、こういうふうなことになっているのでありますから、できるならば、その農家を安定させていくというようなことには、どうしたって来年の植付までには完了する、復旧工事が完了するというようなことになっていかなくちゃできない、そうしなくちゃ生活の方法がない、こういうふうになると思うのであります。これについては、重政委員からもお話があったように、二十八年災のが三十三年度で完了するというようなことに、今回の災害も長く延びるというようなことであったならば、困るのであるのでありますから、仕越し工事というようなことでもやりまして、そしてできるならば来年度の植付には間に合うようにしていきたい。また来年の植付に間に合うようにいろいろの策を講ずるためには、さっきから申し上げるように、県あるいは市町村というようなものが経営主体になっていたらば、書類の作成上、あるいは補助金等の適正化の法律なんかのこともいろいろと適正に行われるから、また農地局長の話によれば、できるだけ融資のワクを拡大していくというようなことであれば、考えようによってはできないことはないと思うのでありますが、やはり災害復旧であるから三、五、二の割合でやろうというお考えであるかどうか、承わりたいと思うのであります。
  183. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) その通りであります。
  184. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、三、五、二の割合でやるというようなことであれば、来年の植付はできないというようなことになるのじゃなかろうかと思うのでありますが、その救済の方法は何かお考えでございましょうか。
  185. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 三、五というと、三、五で八になるわけでありますが、この二割の国庫支出をもって八ということに一応なるわけでありますので、八割は植付までにやりたい、やるように努力しなくちゃいかぬ、こういうことになりますので、来年度の予算をもって五をやるところは、年度の始めに予算の支出をする要があるわけであります。あわせまして、国費の補助金の支出はそういうふうにいたしますが、なお復旧事業を進めさせるということがあるわけでございますので、それはさきに御指摘もありましたように、私も申し上げましたように、仕越しを認めて政府資金の融資をつけるということが、その方法になると考えておるわけであります。
  186. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから災害復旧は、これは決算補助と思っておりますが、決算補助であるということになれば、非常に現金の支出がおくれるというようなことになってきますが、ある程度中途で計算して、今回のような特別の場合においては、支出の方法考えられないものであるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  187. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 御承知のように、農地局の農業施設の復旧は、現行法に従いまするというと、一年間の被害額を――市町村内の被害地でありますが、被害農家数で割ったことで補助金率の基金が出ておりますので、県からその下部にわたりましては、決算補助になるのはやむを得ないことが出ておるわけでございますが、国から県に対しましては、まず高率補助でない分についての国費を支出しまして、予算補助をいたしておるわけでございます。その残りを融資をつけて、融資率もむやみに減らさないように注意をしまして、今回特にやっておりますが、そこで被害の激甚地で当然高率補助になるところをいいますと、予算補助と一部決算補助とが両方出てきておるわけであります。それを救う道は、目下の制度では融資だということになるわけでございます。そういう考えでやっておるわけでございます。
  188. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから次は自作農維持資金の問題でございますが、政府の方では特別の方法によって二億数千万円を現在長崎県に割り当ていただいておるということは、まことに感謝にたえないのであります。しかしながら、農地の被害というものが約五十億にも達しておるのでありますから、この農地の復旧をやり、そしてこれを維持していくためには、どうしてもある一定の金額がほしい。そのためには、現在においては自作農創設維持資金によるよりほか方法がないと、こういうふうに考えるのであります。現在では政府の予算の範囲内においては最大限をいただいておるのでありますが、将来この自作農維持資金のワクは、ある程度増加していかなくてはできないじゃないか。そうしなくては、自作農地を処分しなくちゃできない羽目に陥るのではないか。そうすると、政府の自作農奨励の方針にも反してくるようにもなってくるんじゃないかと、こういうふうに考えられるのでありますが、この自作農創設維持資金を将来においてどういうふうに資金のワクを設けられるというような考えがあるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  189. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 将来に対する考えという点でございますが、本年度のことと来年度のことということになりましょうが、本年度のことを申し上げますと、本年度自作農資金のワクは、前年度が予算編成期において二十五億でありましたに比しまして、五十億になっております。たまたまもって予算財政投融資の御審議、また法律案の御審議等の際に、前国会で、この自作農資金の仕事を、早く農民のところにまで届けるように配慮せよという、衆議院は特に御決議がございました。おっしゃる意味は、三十一年度が年度の前半と年度の後半との二期に分けまして、前半期の方が額は多くありましたが、二期に分けてやっておりましたものを考え直せと、こういうことでございましたので、本年度は第一四半期の当初におきまして五十億資金のワクのうち四十億資金は、自作農維持創設の本旨に従いまして、各県に資金ワクの割当を完了してしまっておりました。その後長野、岐阜等の豪雨もありました。さらに九州水害、また岩手、山形、秋田その他の水害が起きまして、今回十号が来ているわけでございます。従いまして、残りのワクは十億になっておりましたが、他面開拓関係の法律の審議の際におきましても、約五億は開拓者の個人負債の借りかえ、償還に充てさせるようにという御決議もいただきましたので、そのワクはそれとして使いまして、固有のワクといたしましては四億に残がなっておったわけでございます。これを使いますと、五十億の本年度のワクはみな使用したことになります。従いまして、重点主義に、まず長崎二億七千万円余、佐賀九百万円、熊本七千六百万円余、その他六県にわたりまして、すでに県が災害用にお使い下さるように、自作農の維持、農地を手放さないことにお使い下さるように処理済みでございます。  しからば、全国的に同種のことが、程度の差はあるけれども、あるが、いかにするかということになりますが、農林省としてもさらにワクの拡大を実効的に本年度でもはかりたい、農地局においては具体的に少くとももう七億ばかりはふやしたいと思っておるのであります。それでいいかどうかは研究の余地がありますが、数日来の台風被害とにらみ合せまして、その処理をいたしたいと思っておるわけであります。
  190. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今自作農資金が出ましたが、実際問題といたしまして、十万円以下は非補助でやれと、こういうてみたところが、これはなかなかできるものではない。それで自治庁のいろいろ意見も聞いてみましたのですけれども、特別交付税でやろうといったって、これはまた性質が違って、そういうわけにはいかぬと、こういうことなんで、私は、自作農融通資金でそういうものを復旧して、そうして自作農を維持するというよりほかに方法がないように思うのです。もちろん、今年はもう追加予算でするより方法がないので、まあできればそういう方法でいきたい。なお、さればといって、一年にそういうものが全部復旧できるものではない、長崎等の大災害地を見ると。だから、やはり翌年度は農林省も災害におけるいわゆる非補助になる分を考慮に入れて、自作農資金で復旧させて自作農を維持するという考え方で、私は一つ自作農資金の計上の要求をしていただきたいと思う。われわれもそれよりほかに方法がないのだから、とにかくそういう世話を、十万円以下の農地の復旧に対してはそれを使うという考え方で強く推進したいと思うのでありますが、一般の自作農に必要な自作農資金にプラスそういう性質の自作農資金を考慮に入れて、私は考えていただきたいと思います。多分御意見もそうだろうと思うのですけれども、念のため局長の御意見を聞きたい。
  191. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 大体の気持は、先生の御意見と同じで処理をしておりますが、端的に申しますと、自作農資金は来年、目的がいろいろありますが、二百億要求したいといっているのですが、話を伝え聞いて、大蔵省もびっくりしておるようであります。がっちり固めてやると思います。本年度の自作農資金で、ただいま藤野先生からお話の出ました点も関係して申し上げますが、自作農資金も金融の建前でおりますので、作物被害――田畑が冠水をいたしまして作物被害を受けた場合には、農業共済制度の適用があるものは農業共済制度の資金を考え、また翌年の営農資金につきましては、法律では経営資金といっておったと思いますが、天災法の利子補給による資金を考えまして、それらとの関係もやはり重複しないように、金融制度間に混淆を来たさないように、私、整理をして、努めて増額措置をとりたいと思っておるのであります。  また重政委員からのお話の点でありますが、公庫の補助残の事業費に対する融資と非補助融資で、土地改良、災害復旧について予定しております自作農資金以外の農林漁業公庫の融資との間も、やはり同様に混淆を来たさないのが建前であるかと思っておるのであります。  あわせて自作農資金以外で非補助土地改良、災害資金についても、金利償還条件は現行の通りでいいかどうかということは、まだ検討の余地があると思っておるのであります。それを一方確立いたしますとともに、自作農資金の増加をはかりたい。自作農資金は災害、病気、相続、その他農地取得もございますが、それらの点で、自作農が現在の経営規模より零細化しないように、また拡大できるような趣旨で、農地を中心に守っていく、経営農地を中心に守っていくということで、特に低利長期になっておるのでありますが、そういうこととにらみ合せて、拡大強化をはかりたいと思っております。
  192. 堀末治

    委員長堀末治君) では、本件はだいぶ広範にわたる問題でございますので、本日はこの程度にとどめて、次回にまた取り上げることにいたします。   ―――――――――――――
  193. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、輸出農産物の件を議題にいたします。  この件については、島村委員及び東委員から特に発言を求められておりますから、この際御発言をお願いいたします。
  194. 島村軍次

    島村軍次君 農林省が発表されました農林水産政策の要綱によりますと、第四聖に「農林水産物の販路の拡大、流通の合理化及び価格の安定」ということがあります。そこで、今日のわが国の刻下の財政経済から見ますると、輸出の農産物を伸ばすということは当然でなければならぬと思います。戦争後における情勢から見ると、伸びたものもありましょうが、しからざるものもある。そこで輸出農産物の国際収支改善のための気がまえというものに対して、農林省のまず考えを承わっておきたいと思います。
  195. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 御指摘の通り、戦争前に比べまして、戦後の農産物の輸出の状況は非常に変っております。戦争前は生糸が大宗を占めまして、六、七十万俵も出ておったのでありますが、最近はそれがうんと減ってきておる。こういうような関係で、そのかわりに伸びておりますものとしては、水産物、特にカン詰等であります。従いまして、これを最近の状況等を見ますと、約三億前後になっておりますが、戦争前の生糸を含めました農産物の現在の価格に比べますと、まだまだ戦前に復帰しないというふうな状況であります。しかし、御承知のように、農林水産物は漁業とかあるいは合板、そういうふうなある程度資本主義的な経営ができるものと、極端にいいますと、球根類でありますとか除虫菊、ハッカ、シイタケ、タケノコ、そういった非常に零細な農業経営の中からそれを集めて輸出商品として伸ばさなければならぬ、こういうふうな二つのものに分れるのであります。従いまして、これが輸出の振興をはかるとしても、非常に工夫と努力が要るのであります。まず国内的には、集荷の面、国内価格と輸出価格の調整の面、それから戦後の輸出先の状況を見ますと、輸出先において同種の商品が出ておるもの、あるいはほかの国の経済状態、あるいは嗜好状態が変ってきておるもの、たとえば茶とかあるいはハッカ等のようなもの、除虫菊というようなものは、非常にほかの国の競争品が出てきて、輸出が伸びない。そういうふうにいろいろ変ってきておるのでありますが、農林省としましては、とにもかくにも農家の収入を少しでも上げる、そのためには少しでもいいものを作って、非常に種類は多いのだけれども、これを集めて輸出できるものは輸出いたしまして、日本の農家の経営の向上に資したい、こういうふうに考えているのであります。  そのためには、国内的にはそれぞれの施設をすると同時に、何と申しましても、海外の市場の状況をもう少し把握しないと、戦争中、戦後を通じて鎖国の状態でありましたので、その間にほかの農産物とか、あるいは農産物にかわる化学製品というものが出ておる。そういった状況から、なかなか伸ばしにくい。私の方では農産物は初めは、数年前に農産物の輸出振興計画を出したときには、食糧の輸入は農産物の輸出で、こういうふうなスローガンを掲げて、やっておりました。年々相当ふえてきておりますが、これは主として水産物、あるいは合板等であります。そのほかのこまごました農産物、あるいは過去において優位を占めた農産物については、必ずしも順調な伸びを見ておらない、こういうのが大ざっぱに申し上げましたものであります。
  196. 島村軍次

    島村軍次君 ゆっくり一つ御高見を承ろうと思いましたが、時間の関係がありますから、簡明にやりたいと思います。そこでこの新政策の要綱によると、一に例示が上っていますが、「生糸、真珠、カン詰類及び冷凍魚類並びに合板」としてあります。その他農産物のうちにはどういうものを考えられますか。
  197. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) そこに掲げましたのはおもなものを例示しておるのでありまして、農産物全般についてどういうようなことを考えたい。しかし、それにはまとまるものとまとまらぬものがありますから、それぞれの品目に応じてある程度の工夫を考えなければいかぬ、こういうふうに思っておるのであります。
  198. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、「私の意見を加えて、一つぜひ強力に取り上げてもらいたい問題は、そのうちのその他農産物」中におけるハッカ、除虫菊の問題です。これは経済局長も相当耳に入っておると思うのでありますが、この間農政研究会で、北海道へ、前の井出農林大臣と二、三人で参ったのです。あそこの北見、網走地区のハッカは、これはあの地方の農家の唯一の作物です。まあ約一万町歩ですね、現在。それから、ハッカといえば北海道だけだと思ったら、そうでないので、私の県にも相当あります。ハッカの試験地も持っております。これは岡山県だけでありませんで、三備地方といいまして、広島県にも、備後地方にも相当ある。それから岡山県内でも備前備中、美作の昔の三国にわたっておるわけです。ところが、最近の輸出は伸びない。これはやはり価格の問題と、それからブラジル関係から来たものでありますが、この問題に対しては北海道の陳情は十分お聞きになったろうと思いますが、端的に具体的な問題をどういうふうにお考えになっておるか、それから一つ承わりたい。
  199. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ハッカの問題は、この春からいろいろお話を承わっております。しかし、これは除虫菊も似たようなケースでありますが、ほかの国において、何といいますか、相当割安に生産が伸びてきております。それとの競争力をどういうふうにつけるか、こういうことについては、なかなかむずかしい問題がありますので、先ほど申し上げましたように、海外市場の調査とか、そういうものについてはいろいろやっておりますけれども、それにあわせて対策をどう立てるかということについては、まだ結論が出ていないような状態であります。
  200. 島村軍次

    島村軍次君 振興局にも関係があると思うのでございますが、産地の農家というものは非常にこれは深刻なんです。たとえば私の県の販連あたりの特殊農産物の販売については、これは従前から非常な力を入れておる。そして御承知通り、ハッカについてはハッカの取卸油を取って農家が売るわけです。その取卸油を取る加工設備に対しても、相当の助成なんかをやっておる。それから除虫菊の方は製粉工場を作って、それでいわゆる農産物の共同販売体制の確立と加工事業というものをあわせてやっておる。それがいろいろな情勢で、今日、戦争で非常な衰退を来たした。これはしかし戦後において漸次に増産しまして、価格の問題は高低があって、なかなか取引上浮沈のある問題ですから、いわゆる換金作物としては、むしろ見方によれば投機的だという見方もありますけれども、地方の農家にとっては設備をしてやっておりますから、非常にこれは大きな問題です。どうも取り上げ方が非常になまぬるいじゃないかということを私はかねがね考えておったのですが、たまたま北海道に行ってみても、これは深刻さというものが非常に大きいということを感じてきたと同時に、この対策について今承わりますと、対策が全くないというようなお話でありますけれども、この新政策に取り上げられてやっておる以上は、これは筋金をぜひ入れてもらいたい、こう思うのです。  そこで、筋金を入れる方法は一体どうなのかということになりますと、これはほかの例でありますが、最近中共に対する輸出の、取引といいますか、貿易の問題が非常に強く取り上げられておる。中国にもハッカはできます。しかし、同時に、わが国の農産物があそこに出ていく。しかし、あちらの市場へ行ってみると、これは最近聞いた話ですが、輸出農産物に対しては全く無関心で、農林省に何らの施設もない。農林省にないばかりでなしに、政府も重要な輸出品を持っておって、市場の調査というものが全くできていない。だから、お話のように、市場調査に対して、まず、これは振興局の所管ですか、経済局の所管ですか知りませんが、一つ人を派して、常に情勢をキャッチするということをお願いしたい。これは香港の一つの例ですが、私の県のたとえばバレイシヨ、それからナシ、シンガポールで出ておるのと同様に、このナシなんかについての市場調査については、今市場課というものが置かれておりますけれども、まあ局長も非常にお忙しいでしょうが、両局長に特に来ていただいたのは、この深刻さに対してはもっと一つ真剣に取り上げて、部下の方に命じて、一つ常に局長から強く指示をしてもらいたい。同時に、やはり予算についても、これは新政策にあげられた以上は、この問題について真剣に一つ取り組んでもらいたい。これが第一の希望です。  それからもう一つは、これらの農産物の加工というものは、戦争中から共同販売体制として農業協同組合等で相当やってみたんです。ところが、これらの加工施設は、どうもややもすると農協のやっておることは伸びないということが現状であって、これはいろいろ悪い原因もあったろうと思うのですが、しかし、その取り入れ方に対する市場の把握はもちろんのこと、ここにもきれいに作文が作られておりますそのうちをとってみましても、技術の高度化ということがあがっている。その技術の高度化をやる場合にも、カン詰をする場合に、カン詰の業者というものは非常な進んだ技術を常にキャッチしておる。ところが、協同組合等のやる技術というものは非常におくれておる。そこで私の端的に希望を申し上げたいことは、技術員の高度の人を全国全体で雇い入れるような方法を講ずべきでないか。それの一番いい道は、やはり全販連等でやる方がいいと思います。同時に、それは物によってはプールにならぬものもありましょうけれども、物によっては甲の地区と乙の地区とにし、あるいは丙の地区にする。常に巡回的に技術の指導をやっていくという体制が、全販連等で直ちに取り上げるべきものじゃないかということを私は思うのです。これに対しても一つ農林省で、その新政策と同時に、こういう問題についてのお考えを、両局で一つ考えてもらいたい。  それから次に、ハッカ、除虫菊の具体的の問題としては、これは戦前、御承知であろうと思うのですが、輸出農産物の会社ができた。で、現に協会というものがあって仕事はやっていますけれども、農産物会社というのは、従前の農地局長であった土屋正三さんが会社の社長か取締役かやって、そうして相当の人を入れて、実際の商況調査はもちろんのこと、常に会社組織で農林省の出先のような別途機関のようなものでやっておった。それが全く消えてしまった。少くとも新政策で大々的にやられる場合には、この問題はただ私は一つの例を申し上げたにすぎないのですが、大資本であるところのほかのものはともかくとして、特にこういう農家としては深刻なものであるが、しかし、なかなか集荷なり加工がめんどうだというものに対しては、一つ奨励施設なり、あるいは別途にこういう会社を農林省の肝いりで作って、そうして第一には市場調査あるいは販路の開拓等をやると同時に、技術の高度化に関する助成施設を考えてもらいたい。  第三には、やはり価格の問題が非常に重要ですから、特に価格の調整についてある程度、まあ今入荷の問題、相当大きく取り上げられるようになりましたが、調整資金というようなものを何らかの形で一つ考えると。これまあいろいろの方法があろうと思うのでありますが、民間会社あるいは各地で、やはり戦前から各種の組合を作ったり、あるいは団体もあるわけです。協同組合体制であるとか、あるいは関係の会社であるとか、あるいはまた輸出業者というようなものとの間に、相当の資金を吸収して、農林省があっせん役を勤めて、肝いりでこういうものの何らかの組織を至急に考えていただきたい。それがやがて将来伸びる大きな推進力になるのじゃないかということを、私のこれは意見です。そういう問題について一つ、今直ちにというわけにいきますまいが、本日は、まあ委員会においてそういう問題に関してのお考えぶりを、あわせて一つ御高見を承わりたいと思いましたが、その余裕もないようですから、そういう希望を申し上げまして、いずれ予算の要求等もすでにおやりになっておることであろうと思うのですが、さらに一つねり直しをやって、次の委員会までの問にある程度の具体案を一つ、この委員会に示してもらいたいことを希望したいと思います。いかがでございましょうか。
  201. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ただいま御指摘になった点で、相当部分私どもの考えと同じところがございます。まず第一には、ほかの商品でもある程度そういうことが言えるのでありますが、農産物につきましては、たとえば昨年のミカンの例等を見ましても、ちょっと伸びかかると、ざっと出て行くわけです。そうしてとにかく商社が過当競争をして、向うの値くずれを奨励するということになりますので、この春ミカンの共販を作りまして、出ていくときには一本で出ていくということで、昨年の滞貨を全部はきまして、ことしは売行きよしで、まだ不足だと、こういうところまで売れてきておるのであります。  従いまして、どうしても一方では、市場調査といいましても、ただぷらっと行って、ある特定の人、あるいは役人なら役人が行って、調べてもなかなかむずかしいのでありまして、それはそれで必要でありまして私の方ではたとえばニューヨークに、水産委員を中心にして、駐在員も二人出しました。そうしてそれにニューヨーク、アメリカ大陸における市場の調査をやらしておりますが、来年度はこれをロンドンなりあるいは近東地域にも増すという予算を要求しようと思っております。それと同時に、業種別のメーカーといいますか、カン詰業者ならカン詰業者、あるいはハッカの生産者なら生産者というものが、業種別に調査するのと、それから総合商社がほかの商品とにらみ合して、たとえばハッカの場合でありますと、ハッカに対抗する化学薬品というようなものとの関係、そういうものを突き合した一つの統一的な見解がないと、貿易振興方策というものが立たないわけです。  そこで昨年来、この業種別の組合にも数回集まっていただいたし、それから総合商社にも数回集まっていただきまして、討論をいただきまして、結局農林水産物の輸出を促進する場合には、産地の状況をよく調べて、そこで国内商社が過当競争にならないことが一つの点であります。それから競争品ができてきた場合には、その競争品に対抗力をつけるのをどうしてやるかということ。それから輸出が伸びかかると国内の価格が上りまして、せっかく伸びかかったのが、国内価格が上ったがために引き合いが逆ざやになってもう伸びることができない、こういうふうな問題が提起されまして、どうしても業種別に、あるいは関連業種と一緒にして、外に向っては共販体制を強化する、あるいは抜けがけを防止する体制を強化することが一つ。それからもう一つは、国内需要、あるいは輸出需要にせよ、いずれにせよ、需要が多くなればそれぞれの価格が上ってくるわけであります。それによって輸出が伸びるのがとまるということは困るのであるから、国内価格と輸出価格の絶ち切りを工夫しなければならない。そのためには、輸出を伸ばすのだから、国内の生産者に安く売れといっても無理であるから、共販機関なら共販機関で買いとって、そこである場合には損が立つかもしらぬ。しかし、それは将来のもうけでカバーするなり、あるいは国の助成をお考えになる。こういうふうなことか考えないと、今までの経過を見ていますと、ちょと伸びかかると過当競争で値くずしになって、だめになってくる。あるいは国内価格が高くなって、せっかく販路を開拓しても伸びない。こういうことになるので、どうしてもそういうようなことを考えなければならないのじゃないか。そうして、そういう機関ができますと、たとえば、できすぎた場合に、それをかかえる金の融通のめども立ちやすいのじゃないか。ばらばらでかかえる金融をつけろといわれても、これはなかなか国が持っておる金をつけるのと違って、それぞれの金融機関に融資をあっせんするということになりますので、その関係がうまくいかないから、どうしても統一的な機関が必要でないか。こういうふうなことが、結論的にわれわれのところで各業者と討論を重ねた結果出ておるのです。その一部が促進政策の中に出ておるのであります。これを画一的に、あらゆる商品について一律というわけにいきませんので、順次できるものからやっていこう。こういうわけです。  すぐ議題になるのは、合板が今アメリカでボイコットを食っておりますから、これに対しては値くずしをしないように処置を講じなければならない。当然調整組合なり、調整法の二十九条の発動、あるいは共販機構の指定、そういうような問題が出てくるのじゃないか。ハッカ、除虫菊等についても、そういうことを考えなければ問題の長期的な解決はできないのじゃないか、こういうような気がいたします。しかしお話がありますので、さらに検討いたしまして、この次の委員会までに何らかのもっと具体的な回答を出したいと思います。
  202. 永野正二

    説明員(永野正二君) ちょっと、時間がありませんので、簡単に申し上げたいと思いますが、ただいま問題になっております輸出農産物の問題、特にハッカにつきましては、本年非常に生産がふえましたので、ただいま御指摘のような大きな問題として取り上げなければならない情勢にございます。この生産がふえました原因は、一つは冷害等のために強い作物が多くなったということで、本年は約二千町歩くらい作付がふえておるようでございます。もう一つは、反収がふえたということでございます。この三、四年の間に新しい優良品種が普及いたしましたために、非常に大幅な、反当約六斤から九斤というような、非常に大幅な反当収量の増加ということが原因のようでございます。そのために、昨年度の約六十万斤から本年度は約九十万斤へと生産がふえる見通しでございます。  この点で、ただいま御指摘がございましたように、ハッカ製品につきましては、輸出の増進ということが当面非常に私どもとしても重要な問題であると、こう考えております。これは国外の世界市場のことでございまするので、国際競争に耐え得るような、価格その他の関係につきましても、相当関連する問題が起きてくると思うのでございまするが、私どもといたしましては、ただいま経済局長からお話のございましたような、農産物の輸出増進の対策を根本的に強くやるということを、ぜひとも一緒になりましてやって参りたいと、こう考えおるのでございます。  なお、今後西欧諸国等といろいろ貿易の話し合いをいたします際にも、ハッカは日本の特産品でございますので、なるべくそういう協定の際に輸出が伸びていくような交渉も、ぜひ農林省全体としてやって参りたいと、こういう心がまえであります。
  203. 島村軍次

    島村軍次君 最後に、資料を一つお願いしたいと思います。農産物の各品目別に現在までの数量……。
  204. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 輸出のですか。
  205. 島村軍次

    島村軍次君 ええ。それと金額、それから戦争前の数量ですね、各年のでなくてもいいですが、特に変化のあったものについては備考上の注釈を加えて出していただきたい。  それが一つと、それからもう一つは、二つばかり意見を申し上げておきますが、輸出が伸びないということは、商工業の輸出入業者との間の抱き合せでやるということがあるでしょう。そこでそういう問題は、これは農林省と通産省の貿易関係との間の連絡が十分でない点があるとも思いますし、それからまた国外の業者との間の連絡というものが十分にいっていないというところもあると思うのですね。  それからもう一つ特に申し上げたいのは、幸いに、今お話しのように、非常に伸びた。しかし、たとえば総合開発でだんだんやっておられる。私の県でも今度農地局に関係のある仕事なんですが、県の山間部で、あんな所が一体開発になるのかというような所に、調べてみると、案外五千町歩ばかりの開拓地がある。そこで今考えておるのは、果樹をやるとか、それから畑作もやる。畑作物をやるにしたって、何を持ってくるのかということになってくると、相当研究の余地があるので、ちょうどハッカの産地で、そういった計画もある。除虫菊もある。そういう所に一体将来伸びるか伸びぬかという問題をあわせて考えないと、下手な計画は水泡に帰するということになりがちです。総合的に考えてもらいたいということを希望を申し上げておきます。  東委員も御意見があるようですから、この程度でやめておきます。
  206. 東隆

    東隆君 島村さんから詳しいお話がありましたから、簡単に私は希望を申し上げたいと思います。それは、生糸に水産物がかわって、輸出の増進になる、そういうお話がありましたが、水産物関係に、輸出水産業の振興に関する法律があるわけです。あれで非常にアウトサイダーやその他のいろいろな弊害を除去する。さきの国会で、より一そうそれを強化された。こういうような形で、この水産物に関しては、私は実に上手なやり方をやっておると思うのです。  ところが、水産物よりも、非常に集荷、それから製品の方面においても、農産物に関しては困難がある。従って、先ほどもお話があった通り、輸出入両方やっておる貿易業者が、抱き合せによって輸出をする、こういうようなことも行われてきて、値くずしを業者がやっている。そのような場面もだいぶあるようです。従って、除虫菊やハッカなんかは、輸出農産物としてはっきりした歴史的ないろいろな実績を持っておりますし、そんな関係で、昔の日本輸出農産物会社法のような機構のものをとりあえず作り上げて、そうして、その中に、まず最初に、除虫菊やハッカ、そういうようなものを入れて、具体的にそれを進めていく。それから自余のものでもだいぶふえてくると思う。そういうようなものを徐々に中に入れていく。こんなような形でもって、一応体系を整えて進んでいく、これがかえって日本輸出農産物を促進していく方法になろうかと思う、こういう考え方なのです。  それで、今年は、先ほどもお話がありましたけれども、除虫菊は、DDTでもって非常に阻害をされて、作付その他が一時頓挫をした。ところが、人畜に被害がある、こんなような関係で、アメリカ等の要望もあったりして、喜んで作付をした。そうしたところが、どうも今年は買手が一つもない、こんなような形で、大弱りになっておる。ハッカは、先ほどお話があったように、戦争中に、これは国の要請によって減反をして、そしてあらゆる方法でもって迫害を加えた。それが、今ようやく伸びようとしておる。外貨を獲得するのに大へん都合がいいのですが、この二つを一つ急速に取り上げるのが、これがおくれた輸出農産物の歩調を取り返すことになる、こう考えるのですが、いろいろな事情は、先ほど島村さんがお話しになりましたので、別に申しませんが、そういう考え方で一つ農林省の方で進んでいただきたいと、こう思います。その点を一つ
  207. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) お話ごもっともでありますが、私、昨年経済局長になってから、どういうところに農産物が伸びない原因があるかということで、業界の人にそれぞれ数回寄ってもらった結果、要するに、輸出農産物を加工して輸出の最終製品にする段階のメーカーが、非常に小さいですね。しかし、その人は市場調査をやろうと思っても、わからない。めくら貿易をやっているわけですね。だから、どうしても総合商社と手をとってやらなければならぬ。ところが、総合商社と手をとってやると、もうかったときには総合商社にうまい汁を吸われる、損をするとそれがメーカーに行く、こういうことがあるから、その点がつながりができなかった原因であるということがわかった。そこで、そういうことにならないことにするのには、どうしても、先ほどからお話がありますように、輸出農産物会社みたいな機構を作って、そこに生産者の意見が相当強く出てくる、そうして一方総合商社も全体的な資料の統合をはかるということもそこに入れまして、どこの地方ではこのくらいを出すということを共販でスクリーンして出せば、これは、去年の農産物で、ミカン・カン詰でも成功しているのですから、どうしてもそこに行かなければならぬということで、われわれは一応結論を出している。しかし、それに対しましては、むしろ今の輸出農産物の方のメーカーの足並みをこれからとりつけないと、ミカンの共販を作るときにも非常にもめた。また、とにかく弱小資本だから、押えられるじゃないかということで……。しかし今度非常に成功しましたから、われわれ自信をつけておりますから、そういう方法で参りたいと思っております。
  208. 堀末治

    委員長堀末治君) 本日は、これで散会いたします。    午後五時十六分散会