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1957-02-12 第26回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十二日(火曜日)    午後二時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            島村 軍次君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            柴田  栄君            仲原 善一君            堀本 宜実君            安部キミ子君           小笠原二三男君            北村  暢君            小林 孝平君            上林 忠次君            河野 謙三君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 井出一太郎君   政府委員    農林政務次官  八木 一郎君    農林大臣官房長 永野 正二君    農林大臣官房予    算課長     昌谷  孝君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    日本国有鉄道営    業局長     磯崎  叡君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林水産基本政策に関する件)  (農林水産関係物資に関する国鉄貨  物運賃に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農林水産基本政策の件を議題にいたします。  去る二月五日の委員会におきまして、井出大臣から農林水産政策概要について、続いて七日の委員会において、永野農林省官房長から三十二年度農林水産関係予算案概要並びに再開後の国会提出予定農林省関係法律案について、説明を聞いたのであります。以上の諸問題に対して、ただいまから総括的の質問を行いたいと思います。
  3. 青山正一

    青山正一君 ちょっと農林大臣に、初頭にお伺いしたいと思いますが、去る四日、全国の鮭鱒関係漁業者が集まって漁民大会が開かれたのでありますが、この大会のあとで、日本鮭鱒連合会幹部方々が、大会で決議された中心的スローガン、つまり十八万トン絶対確保などについて話し合う目的でソ連大使館へ出かけて行ったところ、二等書記官でありますところのチェロノフさんが出てこられまして、鮭鱒漁獲量のことはすでに日本側イシコフ会談において、豊漁十万トン、それから凶漁八万トンということに決定されておる、もしお望みとあらばそのときの記録をお見せしてもよいというようなことで、そのときの模様について、大使館へ出かけられた幹部方々が、私のところへおいでになって、報告されたわけでありますが、これによって、いわゆるこの日本政府側とそれからソ連側と何か密約があるというようなことがはっきりと明るみに出てきたわけでありますが、日ソ漁業条約によりますと、日ソ間における漁業上の問題はすべて合同委員会において討議され、双方の合議に基いて決定されると、はっきりこの条約にうたっておりますが、このいわゆる日本側とそれからソビエトイシコフ会談のごとき、いわば裏話によって問題が処理されることは、この日ソ漁業条約のどこを探してもそのような条文は見当らないのであります。ところが、私にとって非常に不審にたえないことは、日本側とこのイシコフ会談話し合いを、相手は強大なソ連邦であるとのゆえをもって、この際仕方のないこととして服従しようという考え方が、日本漁業界の一部指導者の中に流れております。しかし、これははなはだ不合理きわまる考え方でありまして、私はあくまで、日ソ間の漁業上の一切の問題は、これから開かれる、いわゆるこの十七日ごろから開かれる日ソ合同委員会決定すべき事柄であって、それ以外のいかなる過去の話し合いも何ら拘束力はないと確信しておりますが、この点について大臣のお考え方を承わりたいと思います。
  4. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 今晩おそくクータレフ次官以下ソ連側の一行が到着をいたします。だいぶ遅延いたしたわけでございますが、十四日に正式な顔合せをいたしまして、逐次合同委員会が持たれる次第でございます。  ただいま御指摘になりましたように、漁獲量決定はこの漁業委員会においてなすべき議題でございまして、私はその非公式に伝えられておるというような話は承知いたしておりません。従いまして、当方といたしましては、十分に科学的、合理的な資料を整えまして、この会談に臨んで、北洋関係漁業者の非常な関心でございます漁獲量確保をはかりたいと、このように考えておるわけであります。
  5. 青山正一

    青山正一君 もう一、二点お聞きいたしたいと思いますが、ソ連邦はこの鮭鱒漁獲量資源保護という立場から決定されるべきだと、これは主張しております。もちろん、わが国もまたそういうふうな意向で進んでいるだろうと思いますが、ソ連側が最近、極東水域では鮭鱒資源は減退しつつある、その原因はすべて日本漁業乱獲だと、こういうふうなことをおっしゃっておりますが、これに対して、最近において、あなたの部下であるところの水産庁藤永研究部長は、鮭鱒資原はこれは自然環境によって大きく左右される、日本極東において漁獲しておる数量は、過去の統計に照らして決して資源を減退させるものではない。これは一矢報いておられる状態であります。まことに私どもの意を得た部長反論でありますが、この藤永部長は堂々とソ連邦に対して反論を加えられたのでありますから、これを裏づける十分な科学的資料を用意されておられると存じますが、聞くところによりますと、ソ連側日本側についての膨大な各種の資料合同委員会へ持ち込むそうでありますが、これに十分対抗できるところのわが方においてもソ連邦に関する資料を準備をしておられるかどうか。たとえばソビエト日本駐在大使館におきましては、ソビエトのいわゆる漁業に関する官吏というものが少くとも三分の一以上を占めておられる。ところが、わが国ソビエトに駐在なさる大使館には、漁業関係官吏というものはおそらくまだ、いまだに内容的にきまっていないのじゃなかろうか、こういうふうに考えますが、その点のことについて承わりたいと思います。
  6. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ソ連側からいたしますると、資源保護を非常に強調いたします。そうして日本乱獲をことさらに大きく強調して、一種の牽制作戦をやっておるのかと思いますが、藤永研究部長の、これにタイミングを合せて反論を発表いたしたわけでありますが、これは十分の基礎資料に基いておりまして、戦前戦後を通じての漁獲量統計というようなものもしっかり握っております。それから推論いたしまするときに、相当量とっても、それが翌年の漁獲に影響をするというふうなことはないというふうに見られるわけでございます。  それからソ連との国交が正常化いたしまして、門脇大使も近く赴任されますが、これに対しましては、農林省関係から一名、大使館付として配属をいたす予定でございまして、これには水産関係専門家を派遣する、こういうことに相なっておる次第でございます。
  7. 青山正一

    青山正一君 最後にいま一点お伺いしたいと思いますが、ただいま農林省関係から一名だ、こういうふうにおっしゃっておりますが、やはりそれに付随するほかの方も数人やって、ただ日本がその調査の材料にならぬように、向うの方も日本側として十分な調査を願いたい、こういうふうに考えております。  それから最後に、この歯舞色丹、これは社会党の東議員から前国会において数次いろいろ御質問なさった事項でありますが、この歯舞色丹、さらには国後択捉、こういった周辺漁業の問題についてお伺いいたしたいと思いますが、これらの島々の帰属は、平和条約が締結されるときまで未決定ということになっております。従って、同島周辺沿岸漁業は、相当長い期間きわめて不安定な状態のままに放置されるのではないか、こういうことを非常に私どもは懸念しております。現在ソ連邦が占領中の水域に限定して考えましても、戦前におきましては、これらの島々近接海域で約一千万貫から八百万貫近い水産物が、同島周辺漁民によって収獲されておったわけであります。ところが、現在においては、この周辺漁民が生存のためやむにやまれず出漁いたしておりますが、これはひんぴんと拿捕されております。この周辺漁民の不安は、これはまことに気の毒な状態ではなかろうか、こういうふうに考えております。昨日もこの根室、歯舞色丹漁民代表が、東さんなりあるいは私どものところへ来られまして、その窮状を非常に訴えられておりました。で、領土問題が決定されるまでわれわれはとても待つことができない。私が先年ソビエトに行きましたときに、ソビエト英国の間におきましては、ちょうどこの歯舞色丹、あるいは国後択捉漁業の建前と同じような、いわゆる英国ソビエトとの間に条約というものが結ばれておる。それによって漁民というものが擁護されておる。そういったイギリスとソビエト漁業条約を結んだと同じような条約を、はっきりと断定的に結んでしまう、そうしてこういった周辺漁民を援助していただくお気持があるかないか、その点について一つお伺いしたいと思います。
  8. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 領土問題につきましては、これはもうなるべく早期に解決をしなければいけませんが、歯舞色丹周辺に非常に豊富な漁場のありますることも、よく承知をしております。そこで領海侵犯というような問題がしばしば起るわけでありましょうが、ただいまおっしゃるような英ソ間において妥結に至った条約ども、これは確かに大きな参考資料でございまして、十分御趣旨のあるところを体しまして検討をいたしたい、このように存じております。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。今の日ソ漁業復交合同委員会についてですが、これの日本側を代表する構成メンバーについて構想をお伺いしたい。
  10. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) こちら側は、これはまあ条約に規定されておりますが、三名ずつの委員話し合いをいたします。それで日本側では平塚常次郎さん、それから岡井水産庁長官、外務省の法眼参事官、このお三名が日本側代表委員でございまして、そのほかに顧問団ども若干名ございます。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最近の新聞によりますと、その構成メンバー中、平塚常次郎氏が日本側議長になると報道せられておりますが、それが真実であるかどうか。と申しますのは、平塚氏はまあ衆議院議員でございましょうが、あるいは業界を代表しておる方で、常識的に考えて、私は、政府関係で交渉せられる委員会でございますから、顧問というような形において意見が反映されることは当然でしょうが、政府執行部を代表して議長としてやっていくということについては、どういう根拠をもって政府としてそういうお考えになっておられるのか疑点がありますので、お尋ねしておきます。
  12. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この議長の選任は両者顔合せをいたした上でなされるわけでございますが、まあ大体開催国の方から議長を出す、こういうことになるわけだと思います。それで平塚さんがそのように一応候補のごとく伝えられておりますが、今御指摘業界人であるとか、あるいは議員であるとかいうような見地もございましょうが、同時に平塚さんの場合は、非常に長いその道の経験者であられ、むしろ学識経験者と、こういう意味平塚さんをわずらわした、このようにお考えをいただきたいと思います。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、学識経験者構成メンバーにして、その種の対外的な折衝をやるというようなことについて、先例がございますか。
  14. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 日米加の三国の漁業条約がかつて取り結ばれました。そのときにもそういう先例があるようでございます。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう先例というのは、どういう資格になられた先例ですか。学識経験者の方がどういう責任の地位につかれたことですか。
  16. 永野正二

    政府委員永野正二君) 日米加漁業条約に基きます国別委員部委員といたしまして、関係官吏及び学識経験者が同じような資格委員になりまして、国別委員部を構成するわけでございます。国別委員部がおのおの一票を持ちまして、日本委員部が一票、アメリカの委員部が一票、カナダの委員部が一票持ちまして、委員会の表決をいたすわけでございます。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の申し上げているのは、平塚君が委員になられるのを拒否しているのではない。委員長におなりになられるということなので、そういう先例があるのかお尋ねしておって、今の御答弁なんですから、日米加漁業条約の場合のそういう委員会において、学識経験者委員長というような総括責任者になられるような先例がおありになったのかどうかということです。
  18. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 今、小笠原委員のおっしゃいます委員長という考え方でございますが、これはわが方を代表する三名のキャップということになるでございましょう。けれども、今回の場合は委員長というのではなくして、委員は三名、これは同格でございまして、その会議を進行して参りますための議長日本側でお引き受けをする、こういう場合の議長ということに御了承を得たいと思います。
  19. 小林孝平

    小林孝平君 最近政府は、食糧管理調査会でございますか、そういうものを作られるという話ですが、その性格とか、あるいはそういうものができた場合はどういうことをされるのかということについて、お尋ねいたします。
  20. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) これはまだ最終的には固まっておりませんが、大体内閣特別調査会を設けます。そしてこれは食糧管理あり方その他米価問題等にも触れて、食管の合理化健全化というような問題と取り組む次第と相なっております。それで構成メンバーはせいぜい十五ないし二十名ぐらいの学識経験者をお願いいたすという程度には進行しておりますが、まだ最終的には、もう少し固めた上で申し上げたいと思います。
  21. 小林孝平

    小林孝平君 今の農林大臣お話を聞くと、まるで全然、まだ何ら構想は固まっておらない。ところが、この問題は参議院の本会議においても、わが党の代表質問に対しまして、大蔵大臣はそういうものを作って検討するというような御答弁があったと思うのです。あるいは間違っているかもしれませんけれども、われわれとしては政府相当この調査会に期待をかけてやられておると思っていたのです。ところが、今お聞きすると、どうもあいまいです。たとえばこの委員会米価の問題にも関連して審議する。ところが、これは米価審議会というものがある。それとの関係は一体どうなのか。それと、食糧管理全体について検討するとおっしゃいましたけれども、これも、米価審議会も従来相当そういう面についてやっておるのです。それと非常に混同するのじゃないかと思うのです。そういう点は、今の御答弁を聞くと、ともかく何かうるさくなったからちょっと何か作ってみる、こういうことのように受け取られるのですが、どうなんですか。
  22. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 決してうるさいからそういうものに逃げ込むのだということではございません。御承知のように、米価問題についてはいろいろ紆余曲折がございましたが、政府は最終的には、この問題はきわめて重要であり、また世論にもかんがみまして、十分慎重な検討をしなければならぬ、こういうことから調査会を作り、そうして米価問題ないしは食糧管理あり方機構等について、政府心がまえを作り上げるための諮問機関、こういうものをこしらえるということで進んでおるわけでございます。大体今週中には閣議決定の線まで持ち込みたい、このように考えておる次第であります。  なお、米価審議会と混同するのではないかというお問いでありますが、御案内のように、米価審議会農林省設置法によってできておる機関でございまして、これは主として米価の問題を取り扱います。つまり今回の調査会はそれ以前の段階でございまして、そこで政府の腹がまえができましたものを米審へお示しをして、御審議を得る、こういう運びに相なると思っております。
  23. 小林孝平

    小林孝平君 そうしますと、米価審議会というのは今までは全く形式的のものなんですな。今後は形式的のものになるし、従来も、今大臣の御答弁を聞いておると、全く米価審議会というのは、政府原案を作って、ちょっとまあ意見はどうだというようなことを聞くだけのように、今受け取られたのですがね。こういうものを作られるなら、もう少し具体的に、こういうことをこういうふうに検討するのだということがなければ困ると私は思うのです。特に米価審議会というものが一方にある、そういうときに、それと大体同じような機関を作り、しかも従来は米価審議会国会議員が入っていたのを、今度は国会議員は入らないと聞いておるのです。そういう点が実にはっきりいたしませんな。こんなことでどんどん調査会などを作られては、困ると思うのです。もう少しはっきりした性格一つお示し願いたいと思うのです。
  24. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 米価審議会は、法律によってできておりますきわめて権威のある機関でございまして、これはただお義理に米価の問題をかけるのだというふうなことでは決してございません。従来とも非常に慎重な御検討をいただいておることは、小林さんも御承知通りでございます。その点は、扱い方はちっとも変らないつもりであります。  それからこの米審の方に国会議員がお入りいただくという従来の方式は、これはこのまま踏襲するという予定でございます。で、今回の内閣へできまするものは、つまりそれ以前の問題を固めると、政府案を慎重にきめるためにそういう機関を作るのだと、このように御了解を得たいと思います。
  25. 小林孝平

    小林孝平君 そうすると、この機関、新たにできる調査会は、米価審議会原案を作る機関ですか。
  26. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 米価審議会というよりは、むしろ政府原案を作りますための諮問機関であると思います。こういうように御了承をいただきたいと思います。
  27. 小林孝平

    小林孝平君 そうすると、これは米価審議会に提案する政府原案を作る機関ですね。そういうものはこの調査会の最大の使命ですか。
  28. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほど来申し上げます通り政府は、この問題の慎重を期する意味におきまして、学識経験者をもって構成される特別調査会諮問をいたす、そうして政府の腹がまえをきめて、そこから価格の決定等がなされました場合には、これをあらためて米価審議会にかける、こういうことに相成ります。
  29. 小林孝平

    小林孝平君 従来の米価審議会の運営の仕方ですね、そういうものに非常に支障があったのですか。米価決定について、そういう調査会を設けなければならぬという支障が、どういう点にあったのですか。そういう政府原案を作る能力がなかったのですか。あるいはそういう政府の作った原案では、著しく米価審議会を運用するのに不都合があったのですか。
  30. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 従来必ずしも不都合があったというわけではございませんで、今後も米価審議会に対する政府の態度は少しも変らないつもりでございます。今回の調査会というのは、政府があくまでも問題を慎重に処理いたしまするために、政府部内においてその心がまえをきめるための諮問機関である、こういうように区別してお考えをいただけばよろしいかと思います。
  31. 小林孝平

    小林孝平君 だから、今まで具体的にどういう支障があったのですか。農林省として、そういう原案を作るのに、そういう能力がなかったのですか。今の大臣お話を聞くと、どうもないから今度新たに作るという考えしかないようですね。もしそういうものが——ともかく責任のがれに、ちゃんとした機関があるのにわけのわからない機関を作って、いたずらに責任所在を不明確にするということは、私は困ると思うのです。
  32. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 責任所在は決して不明確になるようなことはございません。米価審議会という機関は、これは厳然として存在いたします。そうしてこれは、御承知のように、価格問題、値段の問題を中心検討をいただく機関でございますが、今回はそれ丹前の、あるいは食糧管理の問題もございましょうし、価格問題にも触れましょうし、ともかく食糧管理制度あり方というものが、まあいろいろな批判も受けて参っておりますから、この機会政府としてはむしろ慎重を期して——最終責任政府にございます。最終責任政府はある。慎重を期する意味においてこのような機関を設ける、こう御解釈をいただきたいと思います。
  33. 小林孝平

    小林孝平君 今あなたは、私は米価の問題はやらないと思っておったところが、今あなたはおやりになる、こう申されましたので、しかもそれは相当に重要な部分を占めるのだというような御発言だったものですから、私は御質問をしたのです。ところが、だんだん米価審議会との関係をお尋ねしたら、いや、そのほかにこういうことをやるんだと、こういうふうにおっしゃっているのです。私は、初めからそういうようにおっしゃられれば、またお尋ねのしようもあったのです。それほど要するに何をやるのかはっきりしないのだということを、あなたがみずからここで告白されているようなものです。  それから、まあそれはこれからいずれ機会をあらためてやりますが、さらに、実はこの委員会ができるのは、私が申し上げるまでもなく、あなたがえらい煮え湯を飲まされて、そうして与党の内部がてんやわんやの騒ぎになって、そうしてこういうものを作られることになったことは、私が申し上げるまでもないと思う。そこでまあ、こういうものを作って今度やろうとおっしゃいますが、今ですらあなた、閣議でもって決定したことがひっくり返るような、まあ、あまり前例のない、たった一回しか例のないようなことが起きたのに、それが今度こんなあやふやな、あなたがその性格説明もようできないような委員会を作られて、ここでかりに成案ができたとしても、それでもって党内がおさまるものかどうか、問題じゃないですか。そのとき、案ができたけれども党内がさっぱりまとまらぬというときに、それは一体だれの責任になるのか。  それと、もう一つさらにお尋ねしたいのは、それと同時に党内にもそういうものをもう一つ作るというのですが、それとの関係はどうなるのですか。大体私はこんなものは党内にお作りになるだけでたくさんじゃないかと思う。この間も党内がまとまらないであんなことになった。だから、党内にそういう調査会を作られて、まず党内をまとめられたらいい。それを、こんなわけのわからないものを作って、一体この間からずいぶん長い間かかっておりますが、きょうあたりは明確な答弁があるだろうと思って、聞いても仕方がないのだが、念のために聞いたのです。ところが、さっぱりどうもはっきりしないというようじゃ困ると思う、大臣、どうです。
  34. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) お答え申し上げます。この特別調査会は、大体今週中には目安をつけて閣議決定まで持って参りたい。その内容は先ほど来申し上げる通りでございまして、まあ、それがはっきりしないとおっしゃるのですけれども、私の方は大体そういう心がまえで、はっきりしているつもりでございます。  それから党との関連でありますが、これは党も十分に了承をして、こういうものを作り、あわせて党内との連絡協調を緊密にやって参るということになっているので、この点はさほど御心配はなかろうと思っております。
  35. 小林孝平

    小林孝平君 もう一つ。これは党と連絡を緊密にしてやるとおっしゃっているが、むしろこれは党できめられるがいいのです、こんなものを作らなくても。この間だってあなたたちはちゃんと閣議決定して、こういう方針でやるということをきめられたのです。ところが、何だか党内の反主流派とかなんとかいうのが騒いで、だめになった。だから、あなた方は党内をまとめられれば、こんなことは必要ないのです。こういうものを作って責任所在をだんだんぼんやりさしていくということは、どうも私は困ると思う。これはいつまで言っても、あなた方だけに申し上げても仕方がないので、また予算委員会等においても大蔵大臣にもとくとお尋ねしたいと思いますが、どうも筋を通される井出さんが、こんなことをおやりになるのは、これはどうもあなたの最初の仕事としちゃ非常にまずいのじゃないかと思います。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して、同じ問題で。私も非常に疑問があるのですが、事の起りは、まあ大蔵大臣にも責任がある。で、一つお尋ねしたいことは、内閣調査会を置くということは、内閣総理大臣諮問機関として置かれるんだろうと思う。そうしてそれは食管制度なり食糧行政全般なり、いろいろ御諮問になられる。そうして価格の問題が起ってくれば、その答申を受けた内閣が総理大臣から農林大臣に渡されて、今度農林大臣として米価審議会に価格の問題を諮問するということ。おかしくないですか。総理大臣諮問をして、諮問事項となって出たものを、それを今度は、農林大臣諮問機関である米価審議会にこれをかける、こういう点はどういうことなんでしょう。もともと、皆さんの始末に困る点から、調査会を置くというようなことでできてきた経過上、いろいろな矛盾の起る点はわかりますけれども、しかし執行上、同一内閣における首長と国務大臣とが、どういう法律上の手続、根拠があって、そういう二重の諮問が行われるようなことになるのか、私にはわからないのです。この点、伺いたい。
  37. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まあ内閣総理大臣諮問を受ける機関ということになりますでしょうが、これは閣議全体が一つの一体化したものであって、連帯性を持っておりまする以上、これは米価の問題にせよ、何にせよ、閣議責任をとるということに相なりましょう。そうしてその中で農林大臣がそれを受け取って、閣議全体で決定をしたものでございますから、農林大臣一つの。パイプとでもいいますか、そういう形で米価審議会諮問を申し上げる、こういうふうに御了解いただけば解明がつくと思います。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 御了解できないですね。農林大臣米価審議会に所管事項として諮問をして、その答申を得て、所管大臣たる国務大臣として態度がきめられて、閣議に持ち込んで米価の問題がきまる、こういうことが従来の手順なんです。それが総理大臣諮問したら、答申を受けて諮るのは閣議です、あなたのおっしゃる通り閣議決定になったら、これはもう所管大臣には執行を命ずるだけであって、その農林大臣米価審議会にあえてまた諮問をして、その諮問された結果によっては閣議決定は動くなんという、そんなばかな運営はあるはずがない。それは大臣の御答弁、間違っていませんか。そんな勝手なことをしてどうしますか。
  39. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 今の御指摘の点でございますが、この特別調査会が、政府心がまえを作りますために、諮問機関として存在をする、これはまあおわかりいただけると思います。そこで閣議決定米価審議会諮問が、あるいは私さっきの表現が前後したかと思いますが、内閣としての方針を決定いたしまするために、ただいまの特別調査会というものが非常な意味を持っておるわけであります。そこで米価決定いたしまするに当って、閣議として非常にコンクリートなものにしてしまって、それを米審にかけるということじゃなくて、そこは私は弾力性を十分に持ちつつ処理ができるのではないか、こういうように考えております。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはまたおかしいじゃないですか。総理大臣として諮問をして答申を受ければ、それは内閣全体で、もう閣議に諮られる答申なんですよ。それはそれでちょっと弾力性を持たせておいて、農林大臣農林大臣責任で別個の機関である米価審議会に、農林大臣の所管事項として、米価の問題をどうしたいというようなかけ方をするというようなことは、おかしい。また了解事項として閣議ではそれをとっているにしても、一たん総理大臣に答申せられたものを原案として農林大臣米価審議会にかけるということは、これをのめということだけなんです。米価審議会において異なる意見を持ってさておいたところで、これはウエートの上からいえば、それはもう総理大臣諮問機関の答申した方が、それはウエートが大きい。このやり方でいえば、どうしても米価審議会という機関を軽視している、そう言わざるを得ない。  この問題は、当初において、消費者米価の値上げを閣議決定する前に米価審議会にかけなくちゃいかぬのじゃないかという議論さえもあったものだ。そういうこともなしに事態があのような状態になって、そのしりぬぐいとして出てきながら、首尾一貫しないということはおかしい。あなたが農林大臣として諮問する米価審議会が、もう完全に軽視せられる、開店休業の状態になるというような、こういう調査会を、あなた自身が設置することに賛成したということは、この今までの質疑の過程からいっても、おかしいと思う。あなた自身の責任はどこにあるのですか、所管大臣として。
  41. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まあ、その点でございますが、政府の腹がまえを作りまするための一つ調査会、こういうふうに了解を願いますならば、それで政府原案を作成をいたしまして、実際米価でございますね、これを米価審議会へお諮りをするという手続は、私は決してその米審を軽視するとかなんとかいうふうなものではなかろうというように考えておるのでございます。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、まあ、かりに調査会米審と異なる答申が出た、食い違いが出たということになれば、政府責任でこれは処理するのだ、言葉の上ではそう言えるでございましょうが、農林大臣としてはどの諮問を尊重せられるのですか。閣議にお諮りになられるそれは、どこの諮問に関する答申を尊重せられるのですか。
  43. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほど来申し上げますように、政府といたしましては、この調査会にお諮りをいたしまして、そこから出てきたものを、もちろん尊重をしつつ、政府責任に基く原案というものを作るわけでございます。それで小笠原さんは、それはもう閣議決定をしたのだから、それと農林大臣責任における米価審議会と、まあ何かウエートが非常に違うのだというように御解釈のようでありまするが、従来とも農林大臣責任において米価審議会へ価格問題をお諮りをしております。それと私はちっとも違わない形でお諮りをするということになるのじゃないかと思っております。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ、この問題は私はこう思う、思うということで、思った通りおやりになり得ることは、それは差しつかえなくできるでございましょうが、それは総理大臣なり、あるいは所管大臣なりとして、それぞれ権限なり職責がある。あるいは、各省にはそれぞれの設置法もある。これらに照らして、運用の上でおかしいということを議論しているので、今のように、こう思う、こういう運用でやるのだというだけでは、納得できないわけなんです。それで結局あとで私、別な質問もあるから、もうこれはやめますが、あとでまた質問をしたいと存じます。  そこで結論としては、こういう混淆したことが起ってくる。米審あり、内閣調査会あり、党内にまた調査会がある。そうしてこの食管会計の赤字補てんのための米価の問題が早晩再燃してくる。政府部内において、委員会政府との関係において、党と政府との関係において、いろいろ錯雑した問題が起ってくる。そうして非常な紛糾する事態が起るということになれば、さっき小林君がおっしゃったように、あなたは責任をとられますか。  それから第二には、事の起った原因は、あなたが大蔵大臣に対して、消費者米価を値上げするものをのむ、そのことが閣議決定になったところから起ってきているのです。あなた自身農林大臣に御就任になられて、今日の食管会計の赤字補てんのためにはあの程度の消費者米価の引き上げはやむを得ない、農林行政上所管大臣として必要であるとあなたはお考えになっておられたのですか。そうだとすれば、今日においてもその態度は、大臣としては変改がない姿で、調査会あるいは米審の方に大臣の意向というものが出ていくのじゃないかと思う。あのときはそう思ったけれども、こういう事態になったからおれは考えが変って、反対なんだとか、再検討するのだとかいうようなことでは、ここで農林大臣、嘱望されている大臣としてはおかしい。当時、この値上げが必要であると大臣が承認をされた根拠をお伺いしたいし、今日において大臣の御心境はどうなのか、こういう点をお伺いしたい。
  45. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この問題につきましてはいろいろ紆余曲折がありましたことは、御承知通りでございます。私といたしましては、食管会計というものに対しまして、経済も正常化いたしました今日、ただいつまでも漫然と、赤字が出ればこれを一般会計からやるという形がいいかどうか、このあたりにまず検討のメスを入れたわけでございます。それで、その結果まあ若干の消費者米価値上げはやむを得なかろう——もちろん内容を検討してみますると、たとえば食管の管理費の問題でありますとか、あるいは在庫量が、二年連続豊作の結果、異常に膨張しておるというようなことから、正常在庫量というものは一体どう押えるのか、それをこえた、上回ったものは別途処理をしてもよかろうではないかというような考え方に立ちまして、若干の消費者米価は値上げすることもやむを得ないではなかろうか、こういう判断に立ったわけでございます。自来いろいろと紆余曲折がございまして、もうちょっと問題を慎重に考えまするためには、特別調査会でさらに再検討をしていただくということがこの段階においてはやむを得ないのではないか、こういうふうに考えております。
  46. 堀末治

    委員長堀末治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  47. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう少し率直にお答え願いたい。その当時は若干の値上げはやむを得ないと思った。そうして予算上もそういう措置をとることとして閣議決定に賛成をしたが、しかしその後慎重に考える必要もあろうかと思うので、調査会等でやってもらうことにしたということなんです。しかし大臣の職責として、最も慎重に考え、最も国民生活に影響を及ぼすこの種の問題の、日本国における最終決定をする、最高の決定をするところは閣議です。その閣議決定までやったものが、もっと慎重に考えてみなくちゃいかぬということで、調査会に移ってきたということで、大臣責任がそれで果せますか。軽率であったということをあなたはおっしゃるのですか、その点をはっきりしていただきたい。国民は、井出農林大臣が今日において、消費者米価値上げの腹を持っているのか、持っていないのか、この点にやはり注目しておる。閣議決定を変改した今日において、農林大臣はどうこの食管特別会計を持っていくのかということについて関心を持っている。もっとはっきりお答え願いたい。  それから将来において、先ほどの調査会その他がいろいろな紛糾をした場合においては、農林大臣はどういう責任をとられるか、お答え願いたい。
  49. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほども申し上げましたように、食管の内部をいろいろと洗って参りますと、やはり若干消費者価格へ手をつけなければおさまらないのではなかろうか、こういう考え方は今でも変りありません。ただ、その幅でありますとか、あるいは時期でありますとかいうような問題については、もちろん再検討の余地はあろう、こう存じておる次第でございまして、この間確かに手続その他においてまことに慎重を欠いたということは、おとがめをいただく通りだと思いますが、さらに慎重を期しまして、特別調査会にゆだねたい、こういう考え方をいたしております。  それから後段の、これが紛糾を来たす場合はどうかというお問いでありますが、私は十分調整をつけて、そうして処理して参ることができる、こういう見通しの上に立っております。
  50. 小林孝平

    小林孝平君 関連して。私は、立場は違いますけれども、その消費者米価を値上げするというのは、一つの理屈だと思うんです。あなたは農政の専門家として多年研究されて、農林大臣になられて、その考え方を貫こうとして閣議決定されたということも、これは自由民主党内閣における非常に重要な一つの政策の転換として、問題だと思うんです。それはそれでいいんです。それを、この閣議決定までされて、党内の派閥抗争のあおりをくって、これがうやむやになった。この場合にあなたの責任はいずれ他日われわれは追及しなければならぬと思いますが、その際に、そういうことがあったから、それじゃ今度調査会を作りましょう、こういう考え方はおかしいと思うのです。調査会を作るなら、それは党内に作るべきです。あなたはしろうとじゃないんですからね。長い間農政の専門家として、衆議院において重きをなされた人なんです。きのうやきょう、ちょっと農林大臣になられた方じゃないんですからね。それが、そういうことで転々と考え方を変えられるということじゃ因ると思うのです。特に、今、小笠原君の質問のお答えによれば、あなたはなお消費者価格の値上げやむを得ないと考えていられる。それは私は、あなたなりにりっぱな考え方だと思うのです。それならすみやかに党内調査会を作って、党内意見をまとめられたらどうですか。そういう派閥抗争のあおりを食って、ふらふらしているようじゃ困りますから、そんな内閣に作る前に、党内に作られたらどうかと思う。  内閣に作るその性格を最初にお聞きしたら、きわめてあいまいです。あなた、あとで速記録をごらんになればわかりますけれども、全く最初に御説明になったのと、終りに御説明になったのとでは、非常に食い違っています。それから今まで政府からこの問題について非公式にいろいろ発表されたのとも、非常に違っております。こういうことでは私は困ると思うのです。これは、今日は時間がありませんから、この程度にしますけれども……。
  51. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ちょっとお答えしておきます。党内に作ってこれをまとめろ、こういう御指摘でありますが、これも十分やって、その間不一致のないようにいたしたいと……。
  52. 小林孝平

    小林孝平君 それだけでいいのですよ。
  53. 河野謙三

    ○河野謙三君 関連して。今度調査会諮問されようという事項は、これを現在の米価審議会諮問をされましてもね、違法でもなければ、おかしくもないと思うのですよ。現に、今までの米価審議会の速記等をごらんになればわかりますけれども米価審議会というものは、現実に相当幅広く、あらゆることを論議しています。食糧行政にまで及んで論議をしております。しかも構成メンバーは、東畑精一さんなり、大川一司さんなり、だれが見てもその道の第一人者がおられるわけです。だけれども、これを特に避けて特別委員会を作られようということは、作られる以上は、もう少し別の角度から検討してもらう、こういうことだと思うのです。別の角度と申しますのは、人が別になるということですね。たとえば、今具体的に名前を申し上げましたが、東畑さんなり、大川さんなり、こういう権威者もいいけれども、もっと別の角度から、別の人によって検討してもらう必要がある、こういうふうな意味だと思いますが、そういうことになりますか。
  54. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 大体そのように考えます。
  55. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、現在およそ日本の一流の食糧問題に対する学識経験者は、私は米価審議会にもう入っていると思うのです。失礼ですけれども、あの米価審議会学識経験者を除いた他の学識経験者を求めるということになれば、私はいわゆる二番せんじのようなものになると思う。しかし、今の大臣お話ですと、現在の米価審議会委員を重複して特別審議会の委員にするというようなことはあり得ないわけですね、別の角度から別の人にやってもらうのだから。そういうことになりますか。(「あったらおかしい」と呼ぶ者あり)
  56. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まだ人選の問題まで今行っておりませんけれども、まあ人によっては御関与いただく方もできてくるのではないかと考えます。
  57. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は必ずしも特別委員会というものがいけないとは言いません。いけなくないということは、別な人によって別な角度から検討してもらうというところに意味があるのであって、米価審議会学識経験者を二人でも三人でもこっちへ持ってきて、そうして論議してもらうのなら、何もあえて米価審議会を避けて特別審議会に持っていく必要はないと思う。米価審議会がこれを論議していかぬという法律もなければ、先ほど冒頭に申しましたように、現に万般にわたって論議をしておるのであります。でありますから、この点は、特別委員会を作る以上は、特別委員会性格が十分に出るようなお取扱いを当然お考えになると思いますけれども一つこれはぜひやっていただきたい。  それから資料といたしましてお願いしておきますが、これから特別審議会ができますと、それらの委員から食管制度、また食糧行政についてあらゆる資料の提出が農林省に求められ、また経審に求められると思う。それらの資料は、われわれが要求するとしないにかかわらず、たまたま国会開会中でありますから、細大漏らさず全部農林委員会に御提出願うということはできると思いますが、これはお約束していただけますか。
  58. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) それは、そのように取り計らう予定でございます。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の河野君の話の通り、現に、きょうの新聞あたり見ると、東畑さんにやっぱり委員長になってもらうというような交渉をしておるという記事が出ておる。これはおかしいと思うのだな。全くおかしいですよ。どっちかが無能力な要らぬものになっちゃう。そういう点に対して確信がありますか。
  60. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほど来申し上げますことは、あるいは若干重複をするという方もできてくるのではなかろうか、こういうふうには考えまするが、先ほど来の御意見もございますので、十分その辺も勘案して取り運びたいと考えております。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 あと、まだたくさんありますけれども、保留しておきます。    〔安部キミ子君発言の許可を求む〕
  62. 堀末治

    委員長堀末治君) 次にして下さ  い。
  63. 安部キミ子

    安部キミ子君 しませんがね、緊急な問題があるのですよ、李承晩ラインの問題が。この次にしますから、岸外務大臣農林大臣と一緒に、委員長の方でそろえてもらって……。お約束していただきたいと思います。きょうは保留します。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 質問は保留しておるのですよ、私。
  65. 堀末治

    委員長堀末治君) よくわかっております。  ちょっと速記を止めて。    〔速記中止〕
  66. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  それでは、農林水産関係物資に関する国鉄貨物運賃に関する件を議題にいたします。  この問題は、すでに御承知通り委員会でもずいぶんたびたび問題になっているのでございますが、この農林物資に対しては非常な影響がございまするので、特に運輸省から説明を、もう一度皆様の御参考にお聞きしたいと、かように存ずるのであります。
  67. 島村軍次

    ○島村軍次君 先般来新聞紙上によりますと、すでに原案を作ることを相当御進行になっているようです。今の進行状態はどうか。それからわれわれの申し出をしました遠距離の物資に対する逓減の問題はどのくらい真剣にお考えになっているか。その点を一つ、先に伺っておきたいと思います。
  68. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 運輸省の国有鉄道部長でございます。進行状況につきまして御報告をいたしたいと思います。  運賃の一三%値上げは、御承知のように、閣議決定をいたしております。運賃値上げの方法はそれぞれ、旅客の賃率、あるいは貨物の賃率、いろいろあるわけでございますが、これにつきましては、国鉄から案が出ておりますものを運輸省といたしまして修正をいたしまして、運輸省の省議としましてはきめたわけでございます。これは閣議決定は、実はまだ見通しが立っておらないのであります。今いろいろ各方面からの御意見を承わっておりまして、これもあとから国鉄の方で説明をしてもらう予定になっておりますが、農林省との間にも、運輸省原案でいろいろ折衝を、国鉄との間に一応はしていただいておるような状況です。
  69. 島村軍次

    ○島村軍次君 省議の御決定は、最終段階といいますか、いわゆる国会に御提出になる詳細なる別表に相当するようなものまでも、省議で御決定になっているのか、あるいは大綱について御決定になったのか、それが一つ。  それからさきの遠距離逓減に関する問題については御答弁がなかったようですから、あわせてお聞きしたい。
  70. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 省議決定は四日でしたか、五日でしたかと思いますが、それで運賃表のこまかいものまで一応きめております。それからただ、法律に出ますもの、法律の条文にそのまま入りますものと、それから運輸大臣限りで認可をするものとございます。これを一緒にいたしまして運賃ができるわけでございますが、そういうもので運輸省の案はきめております。  それから最終的云々というお話でございましたが、法律案として出しますものは、申し上げるまでもなく、閣議決定が必要でございます。  遠距離逓減につきましては、国鉄の営業局長から申し上げます。
  71. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の遠距離逓減について、その後どういうふうに考えているかという御質問に対しまして、現在までの作業の過程につきまして御報告を申し上げます。  前回、先週の水曜日でしたか、当委員会に出席いたしまして、内容を御説明いたしましたが、その当時は、そのときに申し上げました通り、まだ詳細は作業中でございましたので、総論的な資料を御提出申し上げたのでございます。その後各旅客あるいは貨物につきましても詳細な計算をいたしました結果、本日お手元にお届けいたしました運賃改訂資料、これは実はできたばかりの資料でございます。もう一冊、農林物資の等級軽・重量減トン及び公共割引の一覧表というものも調整いたしまして、現在の農林物資関係の私の方のいろいろの措置について、御理解の願えやすいような資料を調整いたしまして、これらに関連いたしまして、遠距離逓減につきましては、一応私の方といたしましては現在、過日御説明申し上げましたままの形で進んでおりますが、ただ先週御説明申し上げましたことと一部変更いたしましたことは、北海道関係の特別割引、これは約十七品目、そのうち農林水産関係の物資が十五品目でございますが、金額にいたしまして約一億四千万程度のものでございます。これは前回は廃止いたしたいというふうに申し述べたと記憶いたしておりますが、今回これらの遠距離の問題と関連いたしまして、これを存置する、据え置くという形で参りたいということにいたして、作業をいたしております。従いまして、お手元の資料の中の北海道関係の物資につきましては、従前通りの北海道関係の割引を存置した計算をいたしておりますので、今まで各業界から出ております数字とは若干異なっておるというふうに御理解願いたいと思う次第であります。  なお、その他の全般的な問題につきましては、やはり前回申し上げました通り、この作業が一応私どもの現在考えておりますベースででき上りましたので、これを現在農林省及び通産省等に事務的に持ち込みまして、現在個々の物資につきましていろいろな計算をいたしており、またこれによりまして非常に運賃負担に、ことに遠距離の関係で急激な変化を伴うものにつきましては、いろいろ具体的に御相談申し上げるという段階になっておるわけでございます。  なお、お手元の資料のうちには百三十八の例示しかあげておりませんが、実は前回御説明申し上げました通り、今回の運賃改訂は、運賃改訂だけでなしに、昭和二十八年から今まで懸案になっておりましたいろいろな制度の改正を若干いたしたいというふうに、この前御説明申し上げましたが、この制度の改正と運賃の改訂とはからむわけでございます。制度の改訂は、今の遠距離逓減の問題を除きましては、あとは内容は前回御説明申し上げましたが、全部荷主側に、何と申しますか、有利になると申しますか、私の方から申しますれば、減収になる制度の改正をいたしておるわけでございまして、これは各業界その他から多年にわたって要望されました等級の改正、あるいは減トンの問題、あるいは最低運賃の問題その他たくさんの事柄が今まで重なり重なっておりますものを、この際、制度改正をいたして、一応国民の皆様の御要望に沿いたいという意味の制度改正でございます。それらによる減収と運賃改訂による増収とを見合いまして、現在の賃率表ができております。従いまして、現在やっております段階といたしましては、遠距離逓減自身につきましては、一応私ども原案のベースで作業をいたしております。前回申し上げました通り、個々の物資につきましては、具体的な問題について現在関係各省と打ち合せ中の段階であるということを申し上げておきます。
  72. 青山正一

    青山正一君 ただいま北海道を中心とした運賃だけは逓減になると、はっきりそういうふうに結論的に御説明があったわけであります。これは北海道ばかりじゃないと思う。たとえばいろいろ農業用のかますにしましても、あるいは硫安にしましても、たとえば九州から新潟に送る、あるいはかますなど相当、岩手へ送るというようなことを調べてみますと、二五%内外の運賃になるわけなんです。それからもう一つ考えられることは、これは水産の方の関係で以西底びき、たとえば山口からとか、あるいは博多、あるいは戸畑、長崎、こういった方面から送る下級魚にしましても、三〇%から二五%になっておるわけなんです。で、そういう点を——委員会としては、遠距離の逓減ということは、ただ北海道の物資というようなことじゃなしに、つまり五百キロに打ち切る、切ってしまうというやつを、従前通り八百キロにしてもらいたいという決議でありますから、その点、はっきり本会の決議通り一つ操作していただきたいということを、特に希望すると同時に、各品目ごとにこれははっきり、その点を全部平均してこうだというお話ならばまだ話にも乗りますが、水産物あるいは農作物、こういったものに関していろいろ対照して、ほかのものを送るよりもずっと高い、たとえば木炭を送るにしましても相当高いというようなことは、一つ一つ十分に御研究願いたいと思います。
  73. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいまお話のありました通り、北海道、北海道という御説明がありましたが、九州方面も同じように遠いわけであります。過般来いろいろ協議をしておった際のお話の中に、例の九州方面の六大都市に対する割引、これは従来通り据え置くというふうに承わっておりますが、その点はお間違いがございませんか。もう一点、それは等級改訂の問題、これは過般来この運賃引き上げの改訂といいますか、引き上げの際の必須条件になっておるようですが、これはいつごろ行うつもりでありますか、この二点を伺いたいと思います。
  74. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問につきまして、私の申し上げ方が少し抜けておりましたために、誤解をなすった方もあろうかと存ずるのでございますが、私が申し上げましたのは、北海道につきましては、私の先週御説明いたしました原案の中では、青函の航路のキロ程を百キロ短縮することによりまして、それと見合いで北海道関係の物資の割引を廃止いたしたいというふうに前回申し上げましたが、その点につきましては、北海道関係の物資の値上りの関係その他を見ました上で、やはり現在のまま存置する方が適当と存じましたために、存置することにいたしたのでございまして、全般的な遠距離逓減その他によります今回の各物資の運賃への影響につきましては、これは北海道だけでなしに、たとえばお話のございました以西の問題にいたしましても、またあるいは九州の問題、あるいは山口県の問題等にいたしましても、個々の問題といたしまして具体的に目下検討中であるわけでございます。  なお、もう一つの以西の一割の問題につきましても、実は目下農林省の方とも御相談して検討中でございますが、私ども原案といたしましては、以西で一割の割引をいたし、また東北、北海道については五分の割引しかいたしておりません。逆に輸送の面から見ますと、むしろ東北、北海道の方が輸送力が非常に不足でございますために、市場列車、すなわち東京市場あるいは大阪市場へ直接入ります列車の数も、どうしても少くなってくる。以西の方は、山陽線にいたしましても、東海道線にいたしましても、東北、北海道方面よりは輸送力が、全線複線でございますので、輸送力が潤沢だという関係上、輸送列車が非常に便利にできているというような輸送上のいろいろなハンディキャップもございますし、輸送上の状態も両者異なっておるわけでございます。これらにつきまして、割引率が逆に以西の方が高いということにつきましては、いろいろ問題もございますし、また業界からもいろいろお話も承わっておりますので、この際、現在やっております割引中いろいろ検討いたしておりますが、以西の一割につきましては、これを東北と同じように五分に引き下げたいというふろに考えております。  しかしながら、そういたしますと、先ほど青山先生のお話の中にもございましたが、以西関係のものが今度等級の変更をやるわけでございますので、従いまして、一部その等級の変更にかかるものは、この一例をごらん下さいましても、むしろ下るものもございますが、その等級の改訂は今までの上級魚と下級魚の方の入れかえでございまして、これは御承知かと思いますが、今まで上級魚の四級魚であったものを下級魚の二十二級に引き下げるというような措置もいたしますので、それらと関連いたしまして、以西につきましては全般的に高くなる。先ほどのお話のように、非常に高くなるものと、それからむしろ一般より下るものというふうに、いろいろございますが、高くなるものにつきましては、別途の何か方法を講じたいということで、現在事務的に検討いたしておる次第でございまして、まだ具体的に申し上げるまでに至っておりませんが、急激な変化を来たさないような措置を講じたいというふうに考えているわけでございます。  なお、等級全般についてどう考えているかという御質問でございましたが、現在の等級制度は、御承知通り、昭和二十八年に約一年がかりでもって作った等級制度でございます。いろいろ広範になりまして、緊急を要する問題等も起きましたために、予定を多少短かくいたしまして、現在の等級ができたわけでございますが、その後すでに五カ年を経過いたしまして、新しい品目が、たとえば化学工業関係のいろいろな新製品がたくさん出回っております。また新製品の出回ることによりまして、現在までございましたいろいろな物の価格が下るということもございまして、そういったいろいろな見方をいたしまして、来年度早々にやはり等級審議会というものを作りまして、これは私どもの知識ではとてもできませんので、関係の各省あるいは関係業界学識経験者にも入っていただきまして、等級審議会というものを作りまして、まあ現在の私の考え方では約二年間、少くとも二年間くらい費さないと十分、八千品目くらいございますので、とても短期間にやりますと、いろいろな計算とか、あるいは相互の比較等の問題もございますので、必ずしも妥当な結果は得られませんので、大体二年計画くらいでもって根本的な等級の改訂を今後いたしたいというふうに存ずるのであります。従いまして、今回行います改正は、昭和二十八年度のときに、先ほども申し上げました通り調査が間に合わなかったもの等を主としていたしましたために、ごく小範囲にとどまっているわけでございます。
  75. 島村軍次

    ○島村軍次君 遠距離逓減の問題についてここに資料が出ておりますが、詳細はあとから拝見するとして、一体八百キロを五百キロに逓減するということで、運賃収入がどのくらい増額になるか。
  76. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 新ベースで見まして、約十五億五千万円でございます。
  77. 島村軍次

    ○島村軍次君 十五億五千万円で、これを農林省なりあるいは通産省等と事務的に打ち合せた結果、一割三分という基本線をある程度まで変えられるということの操作ができる見込みですか、どうですか。
  78. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は、御質問の趣旨が十分私に理解できませんので、あるいは違ったお答えをいたすかもしれませんが、今の御質問は、遠距離逓減をやった上で一三%の値上りするのかどうか、こういう御質問……。十五億五千万円、これは私の方から申しますと、増収になる見込みでございます。逆にこれがもし落ちますと、一三%の増収が確保できないということに相なると思います。ですから、逆に申しますれば、もし約十六億のものを落しますといたしますれば、その分をほかの物資に、何と申しますか、かけ方はいろいろございますが、いずれにいたしましても、ほかの一般物資に全部かかってくるという形にならなければ、一三%の増収が確保できないということでございます。
  79. 島村軍次

    ○島村軍次君 貨物の運賃収入総額は幾らなんですか。
  80. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昭和三十二年度の、現在すでに提出いたしました予算の中では、運賃値上げによる増収分を三百六十六億と見込んでおります。その三百六十六億のうち、旅客収入が百九十一億、貨物収入が百七十五億でございます。そのほかに、現在の輸送情勢によりましてお客さんがふえる、貨物がふえるという輸送量のふえる、いわゆる増送の分の増収は、そのほかに二百八十五億でございます。(「全体の収入を聞いているんだよ」と呼ぶ者あり)
  81. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうすると、貨物運賃によって百七十五億の増収分を見込んで、そうしてプラス貨物の増加分によって二百八十五億、合せますというと、貨物だけで四百六十億以上の増収分を見込んである。これに対して、遠距離逓減の圧縮によって十五億五千万円、こういうことに了解してよろしゅうございますね。
  82. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) まことに申し上げかねますが、それではもう一ぺん数字を申し上げさしていただきます。  昭和三十二年度におきまして、貨物収入の見込み、これは千三百八十二億でございます。これは現在の運賃ベースで参りました場合の収入でございます。このほかに、運賃値上げによります増収分を百七十六億、貨物におきまして百七十六億を見込んでおります。合計千五百五十八億でございます。これが来年度の、三十二年度の貨物収入の総額でございます。
  83. 島村軍次

    ○島村軍次君 さらに、それへもっていって二百八十五億というのは、どうなんですか、さっきお話になった……。
  84. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は、先ほど申しました増収分の中の貨物の百十四億は、冒頭の千三百八十二億の中に入っておるわけでございます。三十二年度の総収入千三百八十二億の中には、増収の百十四億を含んでおります。増収と申しますか、貨物の数量増加に伴う増収でございます。これが、百十四億は千三百八十二億の中に含まれております。従いまして、先ほどの二百億、三百億は、旅客、貨物と一緒になって、非常に混乱いたしましたので、もう一ぺん申し上げますと、全体の貨物の三十二年度の収入が千三百八十二億、これは三十一年度に対しまして百十四億の増収に相なっておるということでございます。このほかに、百七十六億の運賃値上げによる増収分が計上されておる。従いまして、三十二年度の、全体の貨物収入は千五百五十八億ということに相成るわけであります。
  85. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうしますと、遠距離逓減によって、十五億五千万円ですか、そうすると、全体の貨物収入の約一%程度ですね。こういうことになるわけですね。
  86. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの十五億五千万円は、三十二年度のベースによります計算でございますので、この十五億五千万円に対しまして、一応それほどの大きな数字は違いございませんが、大体四%増になりますので、まあ大体一%少しにはなります。こまかいことになりますと……。十六億ぐらいということになります。
  87. 堀末治

    委員長堀末治君) これは表にして書いて下さい。
  88. 島村軍次

    ○島村軍次君 これは資料としてもきょう御提出になったばかりでありますし、そうしてその各品目別については、たとえば二割上る、三割上るというものも相当あろうと思います。その結果がいわゆる生産者の農産物価にしわ寄せされるということに対しては、相当認識があるはずだと思う。そこで、あまりに画一的に考えられるので、遠距離逓減の問題は、これは当委員会の総意の意見で、これは党派を離れての意見なんです。それはまあよく御承知と思うのですが、少くとも生産者にしわ寄せされるということは、何千万の農民ないし水産業者の代弁なんですが、それがわずか一%ということに対しては、もっと一つ検討をするということを、ここで確約ができますか、どうですか。
  89. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまのお話はよく、今の運賃値上り分が全部そのまま生産者にかかりますかどうかにつきましては、私も十分研究をいたしましたと申し上げる段階にはなっておりませんので、それらを十分考慮いたしました上で、各物資がどの程度運賃が上ってくるかというようなことにつきましては、個々具体的な問題、たとえばこの百三十八億の例をごらん下さいましてもおわかり下さいますが、同じ品物でも同じように上る——距離によって上り方が違いますし、非常にケースがたくさんございますので、これらをさらにたくさん例を出してみまして、そのうちの不合理なものを是正していきたいというふうに存じている次第でございます。
  90. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで私は、この際こういうことを希望申し上げておきたいと思うのです。国鉄運賃については、これは賛否両論あるわけです。一割三分の値上げについても賛否両論がある。賛成者はないが、やむを得ぬという人と、それから絶対反対だという人がある。しかしながら国鉄そのものには、たとえば米価審議会のような、今度米価調査会の、今農林大臣相当強い御意見が出たのですが、少くとも米価の問題に追われてしまって、国全体の一割三分の問題は、あなた方どう考えられるか知りませんが、国民生活に影響を及ぼすところは米価以上の問題だと思う。いわんや農産物資についてはそうです。そこで国鉄運賃の、国鉄内部についての問題はたくさん残っている。相当検討を加えられた問題でありましょうが、たとえば国鉄については含み財産がまだあるのじゃないか。それはわずか一%の問題は、この際は検討を加えて、広い意味内閣責任において、調査会を持ってでもやるべきじゃないかという意見さえある。そういう矢先におきまして、これはわれわれがいたずらに遠距離の問題を強く要求するというふうに考えられずに、もっと広い視野から一つ、大いに検討を加えてもらいたいと思う。まだ作業中であるということでありますから、一つわれわれの申し出の線をこの際ぜひとも透徹するように、実現するように特に希望いたしておきます。そして同時に、その決定になります場合には、当委員会決定前に一つ御報告を願いたい、それだけ希望を申し上げておきます。  それからこの次には、一つ政府委員の方に、責任者の人に、運輸大臣の出席を希望いたします。
  91. 河野謙三

    ○河野謙三君 島村さんの質問に関連して。先ほどの遠距離逓減の影響について、十五億増収になる。十五億増収になるというその基礎数字の輸送量は、どこを押えておられるのですか。
  92. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま申し上げました十五億は、昭和三十年度の実績を基礎にした数字でございます。それから昭和三十二年度は、これは経済企画庁の日本の経済五カ年計画に伴いまして、国鉄の輸送量を昭和三十一年度の実績に対しまして約四・五%伸ばすということを前提といたしましたものに見合う収入が、先ほど申しました三十二年度の収入でございます。
  93. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、この十五億というものは、三十年度の遠距離の輸送のこの分に該当する数字に掛けたものであって、三十二年度の想定されている輸送量からいうと、十五億よりかもっと多くなりますね。幾らになりますか。
  94. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) それは、先ほど途中まで申し上げたのでありますが、約四・五%、それに一・〇四を掛けたものであります。従いまして、金額にいたしまして約六千万円。十六億でございますから、四%で約六千万円から七千万円になります。
  95. 河野謙三

    ○河野謙三君 そこで、私はあなたの方のその計算が非常に間違っているということは、この間細田さんに言ったのですが、遠距離逓減を八百キロを五百キロに切って、遠距離に該当するのは非常に運賃が上るわけです。上った分は、今は荷主から見れば、荷主の計算において、これは海上輸送を経由した方がいいという分が出てくるわけです。その分だけ、あなたは非常に影響は微弱だと言われるけれども、微弱であっても何でも、とにかく遠距離に該当するものは数量が減るわけですよ。減った数字にその一三%なり一五%をかけていけばいいんで、減らないという数字でかけていくということは、非常に私はおかしいと思う。それは、あなたたちはどこまでも、こういう遠距離に該当する運賃の大幅の改訂をしておきながら、輸送量というものは、絶対に想定輸送量はこれは確信があるのですか。私の言いたいことは、輸送量が減る。減れば、それに運賃値上り率というものをかければ非常に数量が減ってくるのだから、影響は十五億どころか、私は十三億になり、十億になり、八億になると思う。そういうごくわずかなもののために、なぜこれだけの大騒ぎをやらなければならないかということです。それが三十億も五十億も大きな影響があるなら、別ですよ。そういう御意見はありませんか。
  96. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) その前に、島村さんのお尋ねになりました点でございます。先ほど来米価につきましていろいろ御意見があったようでございますが、運輸省といたしましては、昭和三十年に、たしか五月と思いますが、日本国有鉄道経営調査会というものを設けまして、運輸大臣から国鉄の経営形態はどうあるべきか……。
  97. 島村軍次

    ○島村軍次君 それは知っていますよ。
  98. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) それで約八カ月以上もんでいただきまして、それで一応の結論、御答申をいただいたわけです。それから約一年たっておりますが、その後輸送情勢その他が非常に変っておりますので、会としましては、臨時のものでございましたから、終ったのでありますが、いろいろなその後変った情勢については、調査会方々にもいろいろお話を申し上げておるような次第でございます。  それからただいま河野先生のお話がございましたが、数量がこの値上げをするほど自信があるかというお話でございますが、運輸数量は、出荷の状況は、農林省、通産省、経済企画庁と相談いたしまして、これよりはるかに大きい数量があると考えております。国鉄の輸送力がどこまでついていけるか。今年の一月、二月は二百二十万トンくらいの滞貨を持っております。これは間違いないことでありまして、十二月よりも滞貨が上回るという状況でございまして、数量はあるのでございます、全体といたしましての数量は。それから遠距離のものにつきまして、御指摘のように若干減るのではないかという点は、これはどう見込むかということでございますが、減るものは若干あると言わなければならないと思います。
  99. 河野謙三

    ○河野謙三君 若干減るということは認められるんでしょう。ところが、今の十五億とか、十五億に四%かけたものが減らないという数字でやっているわけですよ。そうでしょう。だから、減るというなら、ここまで追い詰めてきたのほどのくらい減る。だから、それによる運賃の収入増は幾らだという、その減るということを言いながら、減らない数字で計算してわれわれに説明されるのは、いかぬですよ。
  100. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は私の説明が不十分だったと思いますが、来年度の輸送情勢につきましては、全体といたしましては、先ほど細田部長から申しました通り、すでに現在私どもの手元に集まっている数字だけでも一億八千八百万キロの予想が参っております。そのうち、それがどれだけ足が延びるか。物資別によって足の延びるものもあれば、石炭のように足の短かくなるものもございますので、現在各物資ごとの足の長さというものをいろいろ検討いたしております。従いまして、先ほど私が簡単に四%というふうに申し上げましたのは非常に軽率でございましたが、三十年度の実績が十五億五千万円あるというふうに申し上げたのでございます。それがそのままスライドして、全体の輸送量の四・五%ふえるから、そのまま四・五%ふえるというふうにはならないと思います。
  101. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 こういうものを、大体国鉄は幾ら増収にするということを初めにきめて、そうしてこれとこれは上げられぬというものをきめて、そうして近距離は自動車にやられる、だから上げても収入にならぬ、遠距離は上げても、船の方が高いから大丈夫だと、こういう前提のもとに計算してきているから、こういうことになるので、一つ私は農林水産物に限って、一六%上げたらば国鉄の今の計算よりもどれだけの減収になる、一四%上げたら幾らの減収になる、一三%上げたならば国鉄が幾らの減収になる。今のこの上げる単位ですよ。一六%基準とか何とかきょう初めて聞いたのだが、こういう計算を一つ出してもらいたいということを一つ。  それから急激に上ったものについては、農産物に対しては農林省とまた協議して、特別割引、それから等級の変更もあるというようなことを言われても、そんなことはわからぬですよ。ごまかしですよ。それはせられるんでしょうけれども、われわれとすれば、一々、どの物資が、これをきめてしまったあとで、その結果がどうなるというようなことを、「は、そうですか」というわけにいかぬことになるから、急激に上ったものはどのくらいを急激と見ているか。われわれは急激と見ている。農林物資のほとんどの物資が一七%、一八%となっている。われわれほこれ全部を急激と見る。あなた方は、そんなことは当りまえで、急激はおそらく二〇%以上と考えている。それはどういう限度を考えておられますか。急激に上った場合については、特殊割引とか何とかいう方法で緩和するというようなことを、たびたび言われるけれども、わからぬのだ、何回言っても。急激の限度は、どのくらいの限度を急激と考えるかということですね。何回やっても……。
  102. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 急激の限度は何かという御質問でございますが、実はこの点につきましては、昭和二十八年の運賃改正の際にも、やはり参議院の農林水産委員会の御決議で、急激な値上りを防げというような、何と申しますか御決議を承わりまして、それに基きまして、お手元に差し上げてございますような、いろいろな割引が現在できておるわけでございます。そういう一つのまあ前の実例もございますので、それらをよく検討いたしまして、実際に今度上ります物資につきまして、先ほど申しました通り、まだ百や二百の実例ではなかなか具体的な実態が現われて参りません。従いまして、それをもっとたくさん検討いたしました上で、どこが急激であるかということをきめなければならぬと思います。
  103. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そこに問題があるので、われわれは一三%以上を急激と考えておる。だから、幾らここで議論しても、そこの何がなければわかりはせぬ。結局、私が資料を御依頼したのを持ってきて下さい。そのくらいのものは、国鉄がマイナスになったっていいんだ。
  104. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 議事進行について。私は冷静に客観的に皆さんの御質問をされるの聞いて、答弁を聞いておりましたが、この方々はお二人とも事務当局の方々で、内容的な説明をすることはできるけれども、これをこうせえ、ああせえと言われても、自分一存で、運輸省の省議がきまっているものを、さあこうしましょうか、そうしましょうかということはなされぬですわ。大体この論議そのものは、運輸大臣なり国鉄総裁、副総裁、こういうような政治的に処理のでき得るそういう人に出てもらって、この質疑の過程を聞いてもらい、そして農林物資についての認識を得てもらわなければならぬ。それによってだね、事務当局に下命されて、初めて積極的にも動けるものなんだ。ですから、大体はこの質疑においては、事情はだんだんわかってきたところで、なかなか——こうしぼられる点が出てきたのですから、今後質疑を続けられてもいいのですが、私はもうやめますから、次の機会に運輸大臣、あるいは事務次官、国鉄総裁なり、副総裁、こういう方々に御出席を願うように、委員長において扱っていただきたい。そうでなければ、事が進まない。
  105. 堀末治

    委員長堀末治君) そう考えております。
  106. 上林忠次

    ○上林忠次君 他日、大臣あるいは首脳者の来られるときのお考えの参考に申し上げますが、だれでも一番最初にこれは考えるのです、今回の値上げの問題に対しまして。大体日本の産業全体がこれまで長い間続けてきた、長距離のものは割安だということで、今の産業構造はできておるのじゃないかと思います。それがにわかに今度は、八百キロを五百キロに下げるというようなことになりますと、消費者も、あるいは生産者も、大混乱を来たすと思うのであります。そういうような点からいきますと、上げるのなら一様に、全体何%上げたらいいじゃないか、なぜこんな変なことをやるのだ。日本のたとえば肥料についても、北海道に行く肥料もある、南から北へ行く、北から南へ下る、あらゆる物資がこういう工合になっている。それは運賃が長距離は割安だ、こういうことで今の構造ができておるからで、それをにわかにこのようなことで破って、しかももうけは十五億円、かようなことをどうして考えたのだ。こういうようなことはあまりに、かりそめにも一時的な収入を得るためにやっちゃいけない。わずか十五億円だ。もっと収入をふやす方法があるだろう。全体の日本の生産、消費の今のバランスを破るようなことは、もう少し考えてもらわなければいかぬじゃないか。そのことをつけ加えておきます。
  107. 柴田栄

    ○柴田栄君 資料をお願いしたいのですが、どうもいろいろお話を承わっておりますと、混乱してしまうのだ。そして、しかも一三%上げるということにいろいろ御説明になって、改正になったのがあの結果だと思うのだが、農林物資の遠距離輸送には、一六%以上というようなものがまた出てきた。大体一三%という看板を掲げたんだが、出ている資料を見ると、ほとんど二八%だということは、これは納得ができない。なぜこういうものがありながら、一三%平均なのかということのわかる資料を、一つちょうだいしたいと思い  ます。
  108. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから、この間も言っておりますが、資料一つもらいたいことは、三十二年度の国鉄輸送問題に対して、大体目安がついている。それで経済企画庁で四%増強しているのだが、そうすると、前もって何か五カ年計画の中に輸送の計画というものがはっきり出ているのじゃないかと思う、今まで。まさか運賃値上げをして輸送計画を拡大するなんという話は、聞いていない。われわれはとんでもない話だと思う。だから、その資料を経済企画庁に行って、一つはっきりもらってもらいたいと思う。委員長、もらってもらいたい。僕らはそんなこと聞いてないですよ。まさか国鉄運賃を三十二年度から一三%、一八%に上げて、そうして五カ年計画をやるなんて、一度も聞いていない。聞き間違っていたら別な話だけれども……。それはとんでもない話であって、果してやったのかやらないのか。われわれの注文を、去年のうちにやったのかやらないのか。まさか、貨車を一日で作るのと違います。少くとも半年やそこらはかかる。機関車を作るのは一年ぐらいかかるじゃないですか。近ごろはかからないかもしれませんけれども……。そんな、金だけとってしまって、そのあとでやるということは……。
  109. 上林忠次

    ○上林忠次君 距離の関係で一番損をするのは、農民なんです。売るものは安くなる、買うものは自分で自腹を切る以外に手がないということになりますと、この問題は農村問題としては大きな問題です。もっとほかの手で十五億をかわってとる。極端に言うならば、平均して何%上げる、そういう方向に全体の行き方を変えていただきたい。
  110. 堀末治

    委員長堀末治君) 最後に私、申し上げますか、この資料をさっきからずっと調べて見てみますと、百三十八品目、その中で農林水産物資が九十八品目ある。九十八品目の中で、上るやつが全部で七十五ある。一四%以上のものが七十五ある。下るやつが十五ある。あとは同じもの。そうして、その中の六十品目が、今言った通り、農林水産物資なんです。この表だけで、さっきからちょっとお話の間に私が計算してみたら、こういうことになる。そこをこの委員会では非常に心配して、すでに農林水産物資の実情にかんがみて、こういう決議を上げてあるのです。実際、それをあなた方がよくわかっておって、そうして出してくる表は、今言った通り、みんな上っている。まるでそれは、今上林さんも言った通り、実際農林水産物資にばかりしわ寄せしてきているのが、この表だけでもわかる。どうかそういうことですから、この委員会の空気をあなたがたよくお察しの上、十分一つ事務当局は事務当局としてお考え下さい。  それからなお、もう一つ願っておきますが、先ほど来から資料の要求がずいぶん出ているが、なかなかめんどうで骨が折れるだろうけれども、真剣に論議する上においては、どうしても資料がなければ納得のできないものがありますから、この間頼んである資料、きょうまた要求した資料を、早急に出して下さい。そうしてあまり早いことを言ってもあなた方もお困りだろうから、十五日に委員会を開きますので、十三、十四と二日あるから、その間になるべくできたら、できた資料だけ出して下さい。そうなれば、皆さんに来ただけのものでも御検討願って、十五日午前は本会議があるそうでございますから、午後から委員会を開いて、なるべく運輸大臣にも、企画庁の長官にも来てもらいまして、私の方から話をしますから、どうどそういうことにして……。
  111. 河野謙三

    ○河野謙三君 本件については、特に委員長を初め自民党の委員各位に、私は御健闘を一つ期待いたします。
  112. 堀末治

    委員長堀末治君) では、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会