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1957-07-10 第26回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年七月十日(水曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            柴田  栄君            関根 久藏君            田中 啓一君            仲原 善一君            北村  暢君            上林 忠次君            島村 軍次君            千田  正君            北條 雋八君   委員外議員            羽生 三七君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    防衛庁防衛局長 林  一夫君    文部省管理局学    校給食課長   宮川 孝夫君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  尾村 偉久君    厚生省引揚援護    局援護課長   小池 欣一君    農林省農地局長 安田善一郎君    農林省畜産局長 谷垣 專一君    食糧庁業務第一    部需給課長   小池 彌六君    水産庁長官   岡井 正男君    運輸省海運局長 粟澤 一男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (船舶航行漁業に関する件)  (特殊漁船遺族補償に関する件)  (常勝丸拿捕に関する件)  (愛知用水公団に関する件)  (鮮魚保存用オーレオマイシンに関  する件)  (酪農に関する件)  (水害に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開催いたします。  本日の委員会の議事は、お手元にお配りしておきました通りでございますが、ごらんの通り、問題が少したくさんございますので、なるべく、きょうこれだけの問題をできれば片づけてしまいたいと、かように思うのでございますので、なるべくそのつもりで各委員の御協力をお願い申し上げます。  重ねて船舶航行漁業の件を議題にいたします。昨日に引き続いて御質疑を願います。
  3. 重政庸徳

    重政庸徳君 昨日、運輸省課長から、瀬戸内海掃海は三〇%ぐらいという話でしたが、防衛庁にお伺いいたしますが、どのくらい瀬戸内海掃海が進行しておるか、それから、いつごろから始められたのか、なお、これから将来、いつごろそれを完了するのか、なおもう一つ、三〇%の掃海と申しましても、おのおの瀬戸内海全体の区域にわたった私はそれは御答弁だろうと思うので、あるいはその沿岸の愛媛県関係、あるいは広島県関係、岡山県関係海域について、おのおのどのくらい進行しておるかということをお尋ねいたします。
  4. 林一夫

    説明員林一夫君) 瀬戸内海掃海完了域区は、約三〇%でき上っております。この完了区域は、大体主要航路を優先的に行なっておるのであります。主要航路の大部分は完了したものと、こういうふうに考えております。もちろんまだたくさん航路はあります。そういうような所で、完了していない所もございます。まあおおむね主要航路については完了したものと見てよいと思います。総危険面積海面について、三〇%完了しておるというのが現状でございます。  この掃海を始めましたのは、正確な期日は存じておりませんが、数年前からこれは始めておりまして、毎年航路啓開業務計画というものを防衛庁で作りまして、本年度はこの方面掃海するという計画を作りまして、長官の御承認を得まして、その計画に従って航路啓開に当っておるようなわけであります。でございますから、大体瀬戸内海につきましては、どの方面重点を置くとか、どの方面が多いということはないのでございます。四国並び中国、阪神、九州、この各府県全般的にわたって、その主要航路について、優先的に掃海を行なっておるわけであります。その中で、完了予定の件でありますが、もちろんこれは危険海面というものは非常に多いのでございまして、掃海完了いたしたのは三〇%でございますから、あと約七〇%というものの危険海面というものは残っておるわけであります。これを全部やるについて何年かかるかということは、ちょっとまだ計画はできていないのでございます。毎年計画を立てまして、航路啓開上大事な所からやっていくということでございまして、全部これをやるのに何年かかるかというまだ計画、見通しはできていないのでございます。この点御了承願いたいと思います。
  5. 重政庸徳

    重政庸徳君 昨日も議論が出たのですがね、船舶航行を主としてまあこの掃海をやっている、これはいろいろな観点からそういうことも言えるだろうが、しかし、今防衛庁がお述べになったような、計画なしに、そういう無計画でやっておって、いつまでたったならばこの掃海が終了するかわからぬというような御答弁によると、そうすると、いわゆる漁民というものは別途に扱って、ともかく漁民は被害をこうむっても、ともかくやむを得ぬというような立場、気持ではないだろうけれども漁民側からいえば、そういうことが言い得られるのだろうと思う。その点はどうお答えになりますか。
  6. 林一夫

    説明員林一夫君) もちろん、この掃海するに当っては、毎年度掃海計画を作りまして、その掃海計画に基いて掃海をやっておる。どこを掃海するかについては、十分に部内で検討いたしまして、その検討によりまして計画を作りまして掃海をやっているのであります。その掃海漁業者との関係でございまするが、実は私の方は、掃海することによって漁業者に、掃海するその掃海そのもの漁業者に御迷惑が及んではいけないということで、掃海する場合においては、漁業組合方面、地元の県庁あたりの御意見を聞いて、迷惑の及ばないように掃海いたしているわけであります。できるだけ漁業者の方々に迷惑の及ばないようなふうにして、掃海を御了承を得てやっているわけであります。
  7. 重政庸徳

    重政庸徳君 それはもっともだろうと思います。ところが、防衛庁考えとは逆の方に問題が生じてきているから、本委員会が非常に昨日から究明しているのであります。漁業者協力して掃海する、ところが、その後においては運輸省は、いわゆるこの航行令政令によって、特別水域を指定する、指定すれば、そこで従来の慣行を破って、従来の漁船が操業しているときには、必ず船舶はそれを避けねばならないという慣行を破って、逆に船舶をよけて通る、漁業者は操業中でもなんでもこれを避けねばならぬというような義務を負わせたこの指定をやってきている。そこに矛盾がある。この点は政府考えが統一しておらぬと思う、防衛庁の今の答弁と。この点、運輸省局長はどう思われますか。
  8. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) 昨日も申し上げましたように、航行令海上衝突予防法に基きまして規定されました政令でございまして、その規定に、運輸省が指定しました特定地域においては、海上衝突を予防する、航行安全をはかるために、漁船一般船の進路を避けなければならないという規定があるのでありまして、これは海上においてはいずれの船でも、要するに海上の事故、あるいは衝突を防止するということは非常に大事なことでございまして、このためにいろいろな方法を定めまして、各船にある程度義務を負わせ、そういう方法によって航行することが安全であるという規定をしているわけでありまして、一般の陸上におきます交通規則のようなものでございまして、法律並びに政令精神が、特定の、以前からございました備讃瀬戸、あるいは釣島水道といったものと並びまして、掃海の完了しました狭い水域は、やはり船舶航行安全をはかるため、海上衝突予防をはかるため、特定水域というものを作りまして、それによってある程度義務を課して船舶航行安全をはかるというふうな規定になっております。従いまして運輸省としましては、掃海が行われたということは、要するに船舶航行水域航路を設定するということでございまして、それが完了いたしました場合に、特に狭い水路でございまして、航行安全のためには海上衝突予防法精神からいって、これを指定した方がいいのだという認定のもとに指定しておるわけでございます。従いまして、予防法精神から申しましても、海上航行安全のためには、ある特定水域はこれをむしろ運輸省としては指定しなきゃならない、こういうふうなことを考えるのでございます。従いまして、全部ではございませんが、やはり特定の狭い掃海水路は、運輸省としましては指定すべきである、こういうふうに考えております。
  9. 重政庸徳

    重政庸徳君 これは、局長は昨日われわれが議論したことを、そのときに欠席であったものだから、そういう御答弁をなさるのでね、われわれはその規定してあるからそうやるということを聞いておるのじゃない、その規定そのものがおかしい、悪いのじゃないか……。それでこの点は、海上衝突予防法なるものはこれは当然なんだ、その二十六条には御承知のような規定がある、ところが、その海上予防法による政令特定水域航行令というものが大体矛盾しておる、漁業権を侵害しておる、こういうことなんです。規定してあるから指定するのじゃというようなことをわれわれはここで論議しようと思うておらぬということをまず第一に申し上げる。  そうすると、きのうあなたのところの課長は、漁業の最も関係のある農林省とも協議したと言われたのです。おそらくこの協議は私はこの海上衝突予防法協議をなさったのだろうと思う。これには問題はない。あの三十条の第二によって政令を設けた特定水域航行令に問題がある。この政令を最も関係の深い農林省協議せられましたかどうか。
  10. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) かようなことを申し上げましていかがかと存じますが、御承知通り航行令政令でございますので、関係各省と当然協議をいたしまして、内閣で決定いたして発効——規定されておるのでございまして、私ども当時まだ在任いたしておりませんけれども、この政令を出しましたときには当然農林省あるいは水産庁とも御協議あったものと——特に次官会議閣議も経ておるはずでございますので、あったものと承知いたします。
  11. 重政庸徳

    重政庸徳君 その点が重要な問題なんです。水産庁長官、十分な協議を受けたですか、この政令に対して。
  12. 岡井正男

    説明員岡井正男君) 念のためと思いまして、昨日帰りまして、さっそく弔う一度確かめてみましたのですが、非公式に私の方の漁船課の方の係の方へ、やはりお話はあったそうでございます。しかし、正式なものでございましたら、私どもの方でも庁議にかけるとか、あるいは私自身も知っているはずでございますが、そこまでの段階に至らず連絡したといえば、そういうあり方はあったそうでございます。その点について、まあ課長自体も十分に把握していないようでございましたが、まあ長官としてもう少し下の情報を気をつけて、どんな話でもわきまえておらなきゃいかぬじゃないかといえばそうでございますが、決して公式的な御連絡というように私は解釈いたしておりません。
  13. 重政庸徳

    重政庸徳君 こういう重要な、漁業法衝突するような、こういう政令に関してですよ、特に協議したということは、正式に局長から局長、あるいは大臣から大臣という、責任ある手続を私はとらにゃならぬと思うのだ。今水産長官が言われたような方法で、運輸省はこれを協議したと、こういう公けの席上で公言することができますか。運輸局長、その点お伺いいたします。
  14. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) 重ねて申し上げますが、局長から局長でなければ協議ではないというのもいかがかと思いまして、課長のところへ連絡いたしましても、一応の協議ではあると考えます。なお、政令でございますので、法制局においても審議の際は、関係水産庁意見も聞いておるのじゃないか、この点をなお確かめて御報告申し上げたいと思います。
  15. 重政庸徳

    重政庸徳君 そういう係から係にちょっと耳打ちをして、こういうものはどうかというようなことは協議にはならぬ。それだから重大な誤りを生ずる、この点はあなたの考えは全く違います。将来気をつけてもらいたい、こういうことは。
  16. 千田正

    千田正君 議運の理事会がありますので、私関連だけ、ちょっと。防衛庁局長にお伺いするのですが、今の掃海の問題ですが、これは、だから、今結果としてはいろいろな問題が起きてくるのですが、わずか三〇%しか今まで掃海が効果をおさめておらない。これは掃海をしなくちゃならない日本側義務を負わされたのは、多分占領された当時から、日本側として敷設した水雷、あるいはその他に対しての掃海をしなくちゃならない義務があったと思うのです。もうすでに終戦後十年以上経過した今日に至っても、まだ三〇%しか掃海ができない、しかも、それが重要航路に面しておる辺だけしか掃海しておらない、こういうことは私は非常に道義的に疑わざるを得ない。毎年あなた方の方としては、内閣に向って一応の予算計画を持って、この計画に基いて予算請求しておるにもかかわらず、今まだ政府としては三〇%しかやれないだけの予算しかとれない、こういうのですか。それともその掃海という問題は、一応船舶航行の分だけをやればそれでいいのだ、そういうようなお考えでやっておるのだとすれば、何年たっても掃海というものは徹底できないと思うのですが、その点、あなた方の方ではっきりした方針を示してもらいたい。
  17. 林一夫

    説明員林一夫君) 危険海面掃海につきましては、防衛庁としましても大いに努力をいたしておるのでございます。何分にもその地域が非常に広いのでございまして、毎年計画を立てまして掃海艇を繰り出して大いに努力いたしておるのでありまするが、なかなか急速にその掃海面積を広げるということができないので、毎年計画的にこれを行なっておるのであります。現在のところでは、大体予定といたしましては、三十六年度末には七〇%ぐらいいくのではないか、こういうふうに考えております。もちろん、これは一応の予定計画でございまして、これだけいくか、あるいはこれ以上にいくか、これははっきり現在のところ申し上げることはできませんが、一応の予定計画としましては、そのような計画は持っておるのであります。
  18. 千田正

    千田正君 三〇%しかやっておらない、今までの予算請求だと。それだと毎年の計画に基いてどれだけの予算を請求して、どれだけの実行予算がそれに伴っておるのですか。
  19. 林一夫

    説明員林一夫君) 掃海に要する予算というようなことは、別に科目は別になっておるわけではないのであります。もちろん、普通の掃海艇維持費とか、あるいは訓練費とか、あるいはその他の整備費というようなものに入っておるのであります。もちろんこの掃海というものについては、現在のところ大いに重点を入れておるわけであります。従いまして、今後毎年六、七%ぐらいその掃海面積を広げようということで計画をいたしておるのであります。
  20. 千田正

    千田正君 だからそれを聞いておるので、実際にどれだけやっておるということを。それから防衛庁のきょうは長官がおらないから言うておくのですが、あなたにも要望しておくのですが、防衛というものは、現在の日本にとっては民生の安定に特に留意しておらなかったならば、あなた方に対して協力しませんよ、国民は。そういう点からいけば、少くとも日本国民協力を得るようなことに重点を一面置かなければならない。十年たった今日、わずか三〇%しかやれないということに対しては、私は国民立場からいっても、はなはだ不満です。重点的にやりなさい。そういうようなことでは、あなた、何年たってもやれないというそんなばかなことはない、早く計画を発表して下さい。  資料を私は要求します。過去、防衛庁となってから毎年の計画と、それから毎年の予算と、それに伴うところの実施状況に対しての資料を提出して下さい。  そうしてこれは今日特に要望しますが、今申し上げました通り、いかに防衛体制を整えるにしましても、国民協力がなかったならば、単なる皮算用にしかすぎない。少くとも民生の安定にあなた方は一応寄与しながら、国民の盛り上る力を持っていかなかったならば、日本防衛体制なんというふうなものは完全なものはでき上らない。そういう意味からいたしまして、今のような掃海というものを一つ重点的な立場であなた方はやってもらいたい、これは要望しておきます。  それから今海運局長重政委員から質問されておりましたが、あなた方は政令を施行するに際して、閣議決定した、閣議で了解をした、こう言うけれども、今水産庁長官から話を聞くというと、わずかに漁船課あたりの係員に話し合いをしたという程度であって、それは閣議の決定にはならない。昨日から重政委員からたびたび言うておられる通り法律政令というものの区分をあなた方は混同している。法律は厳然として憲法の施行のもとに置かれてあって、政令というものは、それは法律との調整をとりながら行わなくちゃならない。本末転倒しているという点について、あなた方は反省しなければなりません。これから各委員から御質問があると思いますから、私は今用事がありますので失礼しますけれども、その点をもう一度十分研究してお答えをいただきたいと思う。
  21. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 防衛庁の方にお伺いしますが、先ほどからお話のあるように、これはいつからということもはっきりしないのでありますけれども、数年前からやっておって三〇%しか完了していないということは、私どもまことに驚きのほかないのでありますが、あの狭い瀬戸内海において、今もって七〇%程度の危険があるということは、これは船舶航行はもとより、漁業の上からも非常な重大な問題だと思うのです。何をおいてもこの辺は早く掃海して危険を除くべきものである、こういうふうに私は考えるのでありますが、今日まであなたの方で一生懸命やっているかもしれませんが、われわれの方から見ますと、まことに遅々として一向進んでおらないように見える。この原因はどこにあるか、あなたの方のそういう掃海に携わるところの機構の不十分な点にあるのか、あるいは予算が十分でないためにそういうふうにおくれているのか、あるいはまた掃海海域というものの調査ができていない、その調査もできないということも、今申し上げましたような装備その他の不備によるものか、どういう原因によってこれが非常におくれているか、その点を一つお答え願いたい。
  22. 林一夫

    説明員林一夫君) 掃海面積が少いというような御意見でございますが、なるほど三〇%強という比率は少いと思うのであります。これは少いと申しますのは、これに力を入れていないというわけではないのでございまして、大いに力は入れているのでありますが、何分、どうも掃海するには、やはりあともうこれで安全であるという確認をするまでには相当のしっかりした掃海をやらなければいかぬということになるわけでございます。事生命に関する、財産に関する重要な事柄でございます。十分掃海をして、あとこれで大丈夫だというところまでいかないとなかなか安心がいきません。そういうような点で慎重にやっているのであります。全般的に申しますると、掃海艇が少いというような点が最も大きな原因であろうかと思います。これはもちろん毎年二、三そうずつふやしております。これによって今後は率としてはだんだん上ると思います。でございまするから、先ほども申しましたように、この掃海面積比率を申しますと、三十六年度末の予定水域というものが七〇%、これも厳格に申しますと八〇%近いのでございますが、毎年のその掃海面積も順ぐりふやしていくというような計画でございます。掃海艇がだんだんにふえる、それによって面積もふえていくというような関係にあるわけであります。掃海ということについては、ただいまもお話があったように、民生の安定というようなことからいっても大事なことでありますから、地上におきまする施設と同じように大いに重点を置いてやっていく計画でございます。
  23. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 きのう私ちょっとお尋ねしかけて十分の回答を得られなかったのですが、船舶航行するいわゆる航路掃海重点的におやりになっておるということは伺いました。しかし、あの海面というものは、そうその船舶航行区域というものは縦横無尽にあるわけではない。ある限られた航路というものがあるはずであります。その他の水面は漁業者が十分に漁業している。この漁業者が自由に操業している所はおおむね危険区域である。そうして掃海された所だけが安全区域である。その安全区域というものには漁業者は十分に働けない。危険区域だけでいわば、極端にいえば働かなければならぬ。これは私は非常な矛盾だと思うのです。掃海されたところの海面、もちろん瀬戸内海にはきわめて狭い水道がありますから、そういう所は潮の流れも早うございましょうし、漁業するにも適当な所ではございませんけれども、その他の区域においては、いろいろな場所で仕事ができる。ことに、また漁業権を設定してあるような所もあるようでありますが、そういうところのせっかく安全な所を漁業者というものは押えられておって、危険水域だけでやれといったような格好に見えるのであります。これはきわめて私は矛盾した話じゃないかと思うのです。そこで、一刻も早くその危険区域を除くということが、先ほども申しましたような、民生安定の要素じゃないか、そういう意味からして、予算が少いならば予算を増加し、また装備が足りなければ、予算増加によって装備を整えてこの方面掃海を一日も早くしなければならぬのじゃないか。われわれは、国会議員としてそういったような予算の措置が十分でないということならば、今後われわれとしても十分考えなければならぬと思います。そこで、先ほど私がお尋ねしたように、予算が足りないのか、装備が足りないのかということをお尋ねしたのであります。これが極めて微少部分のものならばそこまでいきませんけれども、あの瀬戸内海というものは、御承知のように非常に密集した、四国中国が向い合っておって非常に密接した漁業をやっております。あるいは零細な漁業が常に危険区域においてやらなければならぬということになると、まことに気の毒な状態にある。これは一日も早くこれを除かなければなりませんが、せっかくやれる漁場を航行する船舶のために追いまくられてしまうということは、漁業者としては、漁民としては耐えられないことだと思うのです。この点は防衛庁あるいは海運局で十分考慮して将来やってもらわなければならんと思うのですが、この漁業者に対する危険水域を放置しておいて中央航路だけをやるということについては、非常に私どもは異論があるわけであります。防衛庁及び海運局として、運輸省としては、この点についてどういう考えを持っておられるか。これはもう漁業者危険区域であっても仕方がないのだ、こういうお考えであるのか。先ほどから、航路主要点を置いているということは、これもわかりますけれども、もっと広く漁業のことを考えてもらいたい。こういう点について、今後掃海をやる上の心がまえはどうなっておりますか。やはり主要の航路だけをやっていくおつもりか。私は大体今お話によりますと、主要航路というものは大半完了したということであるならば、他の漁業方面の重要な所が危険区域であるならば、そこを早く掃海してやるべきじゃないか。また、そういうお考えがあるかどうかということも一応お伺いしたい、掃海する点から……。
  24. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) ただいまのお話でございますが、私どもとしましては、一応所管は海運関係でございますので、航路に対して御心配いただきましたことを非常に感謝いたしております。しかし、一般の他の海面もできるだけ掃海を完了していただくということは、私どもの非常に強い希望でございます。と申しますのは、先ほど来問題になっております特定水域の指定問題にいたしましても、その特定水域を広げれば、原則に返って私は差しつかえないと思います。それが瀬戸内海全域が掃海が済んだ、七〇%まで掃海が済んだということでありますれば、特定水域というものはほとんど要らなくなるということが申し上げられるのでありますが、一日も早くそういう時期が来て、そういう特定水域の指定というものがやめられて、漁業者のためにも、また船舶航行の安全のためにも安全になるということが私どもの念願でございます。一日も早く航路の両側と、航路以外の海面掃海を早くしたいと考えております。
  25. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 防衛庁の方針を。
  26. 林一夫

    説明員林一夫君) 先ほど私が申し上げましたのは、航路だけを掃海するというふうに申し上げたのではないのでございまして、掃海する順序といたしまして、主要航路から始めておるわけでございます。で、主要航路以外の所は掃海しないかと申しますと、そうではないのでありまして、先ほど申しました予定計画も、三十六年度末に八〇%近くまでいくと申しますのは、やはり主要航路だけではないのであります。だんだん危険水面というものは狭めていくというわけでございます。全般的にこれを広げて、航行の安全その他の安全を期する、民生の安定に努めるということを目標として計画しておるのでございます。その点は一つ……。
  27. 河野謙三

    ○河野謙三君 運輸省なり防衛庁ではっきりしてもらいたいことは、掃海ということは急がぬでいいのかどうか。ゆっくりでもいいのか、急がなければならぬのか。その点をはっきりしてもらいたい。もし急がなければならぬということになれば、何がために今日までおくれておるか。物理的原因なのか、予算の面なのか。そこのところをはっきり教えてもらいたい。これはさっきから聞いていると、予算の面であるようであるし、物理的の原因であるようでもあるし、またいろいろ聞いても、急がぬでもいいような印象を受けるが、どうなんですか。そこをはっきりして下さい、どこに原因があるのか。
  28. 林一夫

    説明員林一夫君) 先ほども申し上げましたように、掃海を早く完了するということになりますれば、現在の掃海艇をもう少し数をふやし、人員をふやす、こういうことをすれば掃海のスピードと申しましょうか、速さは速くなるわけであります。その点は結局予算関係してくるというわけでございます。予算がこれからたくさんいただけまして、掃海に一そうの重点を置くということができるということになれば、この計画をさらに作り変えて、その目標を達するということができるというふうに考えられます。
  29. 河野謙三

    ○河野謙三君 それならば、あなたは初めから三十六年までいって七〇%なんという数字は出ないじゃないか。予算が三十四年に幾ら、五年に幾ら、六年に幾らとれるか、一日も早く完了するという気がまえでいるならば、とれるとれないは別ですよ。あなたの方は予算をもっとたっぷり要求して、かりにとれるならば、三十四年度にどうなる、三十五年度にどうなるという数字が出なければならない。それが初めから三十六年までたって七〇%という一体数字はどういうことなんです。物理的原因じゃないのですか。
  30. 林一夫

    説明員林一夫君) 現在の掃海艇の能力並びに今後毎年の予算の増加というものを見越しまして、大体ただいま申しましたような計画が出ておるわけであります。この際特に予算をたくさんいただけるということになれば、この計画というものはさらに繰り上げることができる、こういうふうに申し上げたのであります。
  31. 河野謙三

    ○河野謙三君 予算をいただけるようになればという、人ごとじゃないでしょう。あなたの方の責務じゃないですか。あなたの方の責務において一日も早く片づけなければならぬことなんです。それを予算をいただければどうだというようなことは、これは結局私がさっき申し上げたように、この事業はそんなに急がぬでいいのだ、他にもっと優先するものがたくさんあるのだというような私は印象を受けるので、急がぬでいいのですか。
  32. 林一夫

    説明員林一夫君) 掃海ということは、これはやはり民生安定に関係があることでありまするから、なるべく早くやるべきであると思います。そういうような意味におきまして、たとえば陸上について申しますれば、施設部隊というようなものがございます。これは災害の場合にこれを派遣して、大いにその復旧に協力する、あるいは工事拡張に協力するとかいうような、民生安定に関係する施設もあります。こういうようないろいろなものがありまして、こういうものとバランスをとりまして、なるべく早くやっていくというような計画で、このような計画を立てておるわけであります。別に掃海というものに力を入れていないというわけではないのであります。われわれの方としては、大いに力を入れてこのような計画を立てております。
  33. 河野謙三

    ○河野謙三君 入れておられるったってね、今日までまだ三〇%だということは、これはあなたの方でも非常におくれているということはお認めになるでしょう。そうじゃないですか。じゃ、ここで伺いますが、過去において、二年なり三年に掃海艇を建造の予算をどのくらい出して、どのくらい削られてどうなったかということをここで大づかみに伺いたい。よほど予算を削られたんですか。
  34. 林一夫

    説明員林一夫君) 掃海艇をどのくらい要求して、どのくらい削られたかということについては、ちょっと資料を持っておりませんが、現在掃海艇は大小合せて四、五十隻はある。ただし、その四、五十隻の中の相当な部分が昔の軍に属しておりました古い艇を改装して使っておるものとか、そういうものが相当入っております。もちろん最近になりまして、新しい装備掃海艇を毎年二、三ぞうずつふやしております。今後も二、三ぞうずつふやしていく計画でございます。そのような計画のもとにこのような計画を立てております。
  35. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、あなたの方では一日も早くこの掃海の事業というものは完了しなければならぬという熱意は持っておられるわけですね。持っておられますね。
  36. 林一夫

    説明員林一夫君) なるべく早く掃海を完了したいという熱意は持っております。
  37. 河野謙三

    ○河野謙三君 ところが、事志と違い、なかなか進まぬのは、これは一にかかって予算の問題だと、こういうことですか。
  38. 林一夫

    説明員林一夫君) 結論的に申しますと、そういうことになります。
  39. 河野謙三

    ○河野謙三君 それで予算の問題だと、ここに防衛庁の方では、今のところ予算関係の要求は、三十六年度までに七〇%を完了するようなことで予算を今考えておる、こういうことですか。
  40. 林一夫

    説明員林一夫君) ちょっと訂正を申し上げますが、先ほど七〇%と申しましたが、七〇・九%、約八〇%でございます。これだけは三十六年度末にはやりたいという、これも予定計画でございます。この計画は毎年度、やはり新しい装備をつけた掃海艇をだんだんにふやしていってやるという計画なんです。従って、今後の予定区域も、年々パーセンテージはふえてくるという計画であります。
  41. 河野謙三

    ○河野謙三君 そういう私からいえばのんきな防衛庁掃海計画を組んでおられるのだが、それに対して直接被害を受けておるところの運輸省なり農林省は、これに対してどういう予算の要求をしてもらいたいという希望を持っておりますか。それでいいのですか、運輸省農林省は。
  42. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) ただいまの水路でも、所によりまして掃海関係その他で不便の所もございまして、船の面からいきましても、もっとほかの便利な、あるいは短距離の掃海もしてもらいたいという所もあるのでありまして、三十六年度で八〇%ということで、決して満足とは存じません。いろいろ装備その他の関係もございましょうし、私も実際掃海というものに立ち会ってみましたが、実際やっております掃海員は決死の覚悟だと思います。実際にまたそのために事故を起しまして死傷のあったことも私現実に見ております。従いまして、だれでもこれはできるという問題でもないと思いますが、いろいろ防衛庁も御事情があると思いますが、できるだけ早くこれを繰り上げていただきたいということは私どもの希望でございます。
  43. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、いろいろ伺ったら、それは困難な事情もありますよ、だから私は物理的な原因かと聞いたら、主としてそれは予算の問題だと、こうおっしゃるから……。ところが、予算の問題は防衛庁の方では三十六年度まで七〇・九%というようなことを言っておられるが、それで運輸省の方は一体いいのか、農林省の方は一体いいのか、一体防衛庁掃海予算を組む場合に、あなたの方は相談を受けますか。受けないまでも積極的にこうしてもらいたいというようなことを要求されたことがありますか。これはちょうどあれみたいなものです。新宿から四谷へ来る地下鉄の工事みたいなもので、これがおくれたら両側の商店は商売ができない、そこで一日も早くということでがたがたやっておる。両側の商店に該当するものが運輸省であり農林省なんだ。地下鉄の方は地下鉄の会社がやっているんではない。あなた方みんな受益者なんです。一日も早くやってもらいたいということをあなたたち要求するのは当りまえだと思う。そういうことを要求されたことが、あるいはないと思いますが、ありますか。
  44. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) 掃海航路等につきまして希望を申し上げたこともございます。連絡も受けたこともございます。
  45. 河野謙三

    ○河野謙三君 それなら今の防衛庁計画にあなたは今満足されておるんですか。
  46. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) 先ほど申し上げましたように、決して満足はいたしておりません。できるだけ早く繰り上げてもらいたいと思います。
  47. 河野謙三

    ○河野謙三君 農林省はどうです。
  48. 岡井正男

    説明員岡井正男君) もちろん絶対安全な操業ということを希望いたしております。当初掃海の始まるころきつく要望したことはありますが、その後漁船の方の損害が割合に出なかったために、きつくそのつど要求はいたしておりません。
  49. 河野謙三

    ○河野謙三君 時間の問題はいいんですか、三十六年に七〇%。
  50. 岡井正男

    説明員岡井正男君) それは早いほどよろしいわけです。
  51. 重政庸徳

    重政庸徳君 防衛庁にお伺いしますが、三〇%今までやっておる。これは主として航路を優先的にやっておるんだけれども、そうすると、瀬戸内海全体の区域から三〇%で、航路を中心とするとどれくらいまで進んでおりますか、全体の。
  52. 林一夫

    説明員林一夫君) ただ、私も実はしろうとで、航路面積というものはちょっとわからないのでありまして、大体主要航路を見まして、そこが安全に航行ができるという所を優先的に考えましてやっておるのであります。航路に関する危険海域に対する。パーセンテージはちょっと出ておりませんで、危険海域全部に対するこれはパーセントであります。
  53. 重政庸徳

    重政庸徳君 これは広島県の海域からいうと、大体済んでおると、ほとんど掃海はそういう意味からいうと済んでおる、こういうことを僕は聞いておるんだが、運輸省、どうですか、その点は。広島県の海域のいわゆる航行する航路は大部分掃海が済んでおるということを私は聞いておる。
  54. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) 私もはっきり存じておりませんが、広島県の関係につきましては、特に皆様方の御協力も得まして、よそよりもよけいに掃海が進んでおるというふうに承知いたしております。
  55. 重政庸徳

    重政庸徳君 ということになりますと、瀬戸内海全域を対象とすると、掃海の済んだ所へ船が集中するから、だからその指定を大幅に必要だということも言えるんであろうと思うんだが、まあ大体今まで掃海協力して、漁民は、危険な所だけでお前ら漁業をやれ、こういう形になっておる。これは今までのことによってだれもそう思う。漁民だけは掃海の済んだ安全な所でやってはいかぬ、漁業権を持っておろうと何を持っておろうと、とにかく掃海の済んでおらない危険な所で漁業をせいと、こういう取扱いを受けておるんだから、だから少くとも今広島県の区域を対象にしてみるというと、大体にその航路が済んでおるということになるだろうと思うんですよ。私は事実これは漁業権を持っておる所においては、あるいはこまい海峡で潮流の急なというような特異な所を除いては、これは緩和していかなければならぬ事態に来ていると、こう思うんですがね、この点はどうお考えになりますかね。しかもですよ、しかも、従来支障を来たさなかった。機雷が来ぬ場合においては支障を来たさなかった。だから私はもう今となってはやはりこういう制限を設けたから、それで掃海したら直ちにこれをして、特定水域に指定していくという机上のそういう考え方でなしに、実態に即応した考え方をもってもう一度私は底を洗って、そして少しでも漁民の負担を軽うしてやるというように考えていただかなければならぬと、とう思うんですが、その点どうお考えになりますか。
  56. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) ただいまのお話、私どももふだんから決して漁業権の存在を無視しているわけでもございませんし、かねがねやはり考えなければいかぬと考えておったことでございます。特定水域の指定をいたしましてから数年になりますが、昨年まではあまり漁業権の問題で御意見も出ておらなかったのでございまして、昨年暮以来若干そういう声を聞きました。特に今年になりまして非常に大きな問題になってきたわけでございます。従いまして、私どももただいま先生お話のありましたように、もう一度これは再検討する必要があるというふうに考えまして、先般来瀬戸内海関係の各県に協議をいたしております。すでに県として、こういう程度でよろしいという意見の参った県も相当ございまして、もちろん県としましては、現地の漁民の方々の御意見も十分聞いて、意見を言ってきていただけるものと、こういうふうに期待をいたしております。私どもの現地の出先海運局でも十分地方の意見を聞きまして県庁と協議の上、具体的な案を本省へ提出してもらいまして、これによってこの特定水域の整理をいたしたいと、こういうふうに考えてただいま取り進めております。
  57. 重政庸徳

    重政庸徳君 水産庁長官にお尋ねしますがね、漁業法によると、三十九条でこのまあ変更——この公益のために漁業権の変更、取り消し、または停止と、した場合においては、これはそれを停止することができると、しかし、それに対して補償をすると、こういうことになっておるんだが、もちろんこの場合は停止でも変更でも取り消しでもない。しかしながら、重要な漁場においてはですよ、もうほとんどこれも停止と同じ結果を来たしておるんですよ。しばしば操業中に航行するということになれば、それを逃げにゃならぬ、網を張っておっても、網をかけておっても逃げにゃならぬというような状況で、この期間が続くということになればですよ、何らかのこの法律の手前もあるし、漁業法の手前もあるし、水産庁長官は何らかの方法を講じて、知事と協議して、むしろ停止して補償すべきだろうと思う。この考え方はどうですか。あるいはこういう方法をとってもらわにゃならぬと私は思う。
  58. 岡井正男

    説明員岡井正男君) いや、御質問の御趣旨ごもっともでございまして、われわれは幾ら公共性の高い国の施策といえども、合法的な漁業権の行使が不可能になるとか、あるいは操業の自由が非常に制約されて生活の安定を脅かすという事態を来たすというような場合におきましては、国としても責任を持つべきだと思うし、またこれが関係民間であればその方で補償は出すべきものだと、かように考えております。この問題につきましては、今主務局長からもお答えがありましたように、これを実施されまして当分の間は問題も起らずスムーズにいっておった、それが割合近い期間において、非常に漁業者から猛烈に苦痛を訴え始めたというのは、しわ寄せが安全航行のために漁船にかかっておる。いわゆる同じ営業船でありながら、たとえば石炭船というような同じ木造船で機帆船が通る場合に、そこのけそこのけということになると、今魚がせっかくここでなければ取れないというような環境によりましてやっている漁船も、それを見のがしてかたへそれなければならぬ、あるいはまた定置漁業権の行使をかりにしておる、あるいはまたその他の漁業権行使を行なっている船といえども、のかなければならぬというようなことが最近非常にあるということは、おそらく、若干の想像を交えまするならば、戦前の姿は、一般航行をする船がむしろ漁船に遠慮して進んでくれた。また遠慮をすることを本態にしておった。ところが、この規定政令が出ましてからは、逆に漁船が退避せねばいかぬということになりましたが、当初政令が出ましても、従来の慣習に従って一般の船の方が漁船のそういう場合には若干遠慮して通ってくれておったのが、近頃びしびしと遠慮会釈なく漁船の方へ退避を強要するような態度で航行されるのではないかこれは若干の想像が入っておる——されるのではないか。また取締り関係におきましても、まあ主務官庁は海上保安庁になるかしれませんが、非常に厳重に取り締るような向きがあって、漁船が非常にそれで制約されるというようなことの事態が最近は非常に起るようになったのだと、従前の方は、当初は互譲精神航行が円満にいっておったのだというように想像される節があるのでありますが、その点は十分に実態を把握してお答えしておりませんから、若干の間違いがあるかもしれませんが、さように心得ております。
  59. 重政庸徳

    重政庸徳君 私も今の水産庁意見と同等なんです。いわゆる法律が下まで全部行き渡ってきた結果こうなった。これは法律の権利を行使するというようなまあ行き方で、こういう非常に従来円滑に——こういうものがなくても円滑に航行が互譲の精神で行われておったものが、この法律のためにこういうトラブルが生じてきた。それでこれはとにかく戦前の状態にできるだけ早く——一度に返す必要はないので、部分的によく、今海運局長からも御意見があったように、ぜひ一つ至急に私は協議して、もう一度再考慮してもらいたい。で、一度指定した場所でも、いわゆる実情に応じてそれを撤廃してもらいたいということをお願いします。なお、水産庁長官も一つこの点には骨を折って、力を入れてやってもらわにゃ、日ソや日韓ばっかりでなしに、この日本のほんとうのまん中の問題なんだから、足元の問題なんだから、やってもらうことを一つ御希望いたします。それでこれは至急にやってもらえますか、どうか。
  60. 岡井正男

    説明員岡井正男君) ごもっともな御示唆でございまして、至急に局長ともよく事務的に折衝いたしたいと思います。
  61. 重政庸徳

    重政庸徳君 局長も一つお願いいたします。
  62. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) 私どもも御趣旨に沿うて早急にいたしたいと思います。
  63. 堀末治

    委員長堀末治君) それじゃ、この件については、本日はこの程度にいたしますが、あらためて私からも申し上げます。政府当局においては、本日のこの委員会の経過にかんがみてすみやかに最善の措置を講じ、その結果を当委員会に報告されるよう、申し入れておきます。
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっとお伺いしますが、大体……。
  65. 堀末治

    委員長堀末治君) この問題ですか。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや、ちょっとけつだけさ。あまり簡単過ぎると思うのだが、目的は、何のためにこういう政令を作ったのですか。ただ特例といったってそう簡単にとれるのかどうか。目的もっとはっきりしてくれ、前に作った目的を。
  67. 堀末治

    委員長堀末治君) いずれ適当の処置を講じて報告をさせることにいたします。   —————————————
  68. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、議題に追加して、特殊漁船遺族補償の件及び常勝丸拿捕の件を一括議題にいたします。  この件については、青山委員から質疑の要求がありましたので、この際御質疑を願うことにいたします。
  69. 青山正一

    ○青山正一君 水産庁長官と、それから援護局関係の方にお聞きいたしたいと思いますが、高知県とかあるいは徳島県、和歌山県、宮崎県、こういった国々において、戦時中呉とかあるいは佐世保鎮守府の所属で二百六十名の特殊漁船船員はほとんど全部が戦没者である。その特殊船員の戦没者の遺族はわずかに弔慰金三万円を支給されたのみで、軍人のような、あるいは軍属のような年金とかあるいは弔慰金をほとんど与えられていない。特殊船員というのは海軍の指示、命令に従って強制的にその船が徴用されておる。それから宣誓によって海軍の軍属となっておる。それから自衛とか警戒のために大砲とかあるいは小銃とか拳銃あるいは手榴弾を与えられておる。そうして船主は海軍の高等官待遇の嘱託になっておる。船長とか乗組員とか、あるいは通信士も軍属として取り扱われておる。給料も海軍から与えられておった。それで自分の漁船が強制的に徴用されて無理に軍属として取り扱われておりますが、その全部がほとんど戦死しておる。船も沈没しておる。しかし、この戦死者の遺家族に対しては、ほかの軍属のようにほとんど取り扱われていない。こういう実情にあるものに対して、全然今まで処置を怠っておるが、これは大きい問題として最近あちらこちらで取り扱われておるわけですが、この問題について水産庁長官なり、あるいは援護局関係のお方に一つ詳しく今後の処置あるいはその問題点についていろいろ承わりたいと思います。以上です。
  70. 岡井正男

    説明員岡井正男君) 人の問題は主務官庁の方からお答え願うとして、船の問題について私が知っている限りをお答え申し上げたいと思います。    〔委員長退席、理事藤野繁雄君着席〕  戦時徴用された漁船は二通りありまして、一は軍の海軍並びに陸軍関係で徴用されたもの、他に農林関係で、やはりこれは軍のおそらく御慫慂があったものと思われますが、農林関係で徴用といいますか、役柄を仰せつけて働かした船と二通りあります。  前段の軍関係において徴用を受けたものが沈没した場合においては、軍の方で処理を全部されたものでありまして、私の方は話だけ聞いておりますが、関係ありません。それから農林関係におきましては、戦時保険というものの適用を当時いたしております。戦時保険を一応沈没された場合にはもらってある。ところが、終戦になりました八月十五日ですか、その終戦時におきまして、まだそういうふうな計算がはっきりできない船、そういうものが、いわゆる戦時保険に該当する金を滞って払っていないようなもの、いろいろあったそうでございまするが、全部義務を果しておるという船につきましては、十万円限度を一応渡しまして、その上オーバーしたものにつきましては、たしか預金を、強制的にあの当時その種のものについては預蓄をさしたというような話を聞いておりますが、何分にも非常に古いのでございまして、私の方はこれ以上詳しくわからないのでございます。
  71. 小池欣一

    説明員小池欣一君) 厚生省の援護課長でございます。ただいま特殊漁船の乗組員で戦争中に死亡した方々の処置につきまして不十分であると、こういう御指摘があったわけでございます。戦争中戦死をされた方、あるいは戦争によりまして傷痍軍人あるいは軍属となられた方々に対しましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法あるいは恩給法等で援護の処置を講じて参っておるわけでございますが、厚生省所管といたしまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法によりまして援護をいたしております分は、御承知のように軍人、軍属——この軍人、軍属の範囲につきましては、遺族年金及び弔慰金を支給をいたしております。このうちで軍属と申しますのは、有給の軍属でございまして、無給の軍属は除いておるわけでございます。ただいま御指摘ありました特殊漁船の乗組員は当時無給の軍属であったわけでありまして、こういういわゆる陸海軍の要請によりまして戦闘に協力をしたという方々につきましては、現在の制度では三万円の弔慰金を差し上げるだけの処置しかできない状態でございます。なお、この三万円の弔慰金を支給し得る範囲と申しますのは、旧国家総動員法に基きますところのいわゆる徴用工あるいは動員されました学徒、いわゆる動員学徒と普通いっておりますが、工場等に動員をされました学徒、あるいは今申し上げました特殊漁船のようないわゆる戦闘に協力をして死亡された方々、あるいは満州等におきまするところの満州開拓団のうちで満州開拓義勇隊に属しておった方々、こういうような方々等に三万円の弔慰金を現在支給をいたしておるわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘ありましたように、実情はまことにお気の毒な方々もこの中にも相当あるやに聞いておるわけでございますし、またそういう方々からいろいろ御要求も出ておることは十分承知をいたしておるわけでございます。またこういう問題に関連をいたしまして、いわゆる恩給、援護全般に関して相当不合理あるいは不均衡があるじゃないか、こういうような議論が前国会におきましていろいろ御検討されました結果、臨時恩給等調査会という調査会を内閣の諮問機関として設置をする法律が前国会で成立をいたしまして、現在この調査会が審議を継続中でございます。この調査会におきましては、当然ただいま御指摘の問題もあわせて、ほかの問題とあわせましていろいろ御検討をいただくことになるように私ども聞いておる次第でございまして、その調査会の結論を現在のところは待っておるというような形でございます。
  72. 青山正一

    ○青山正一君 ただいま水産庁長官なり、あるいは援護局の課長からいろいろお話を聞きましたのですが、戦争中におきましては、軍務局長なり、あるいは鎮守府の参謀長からいろいろ特殊漁船船員の身上の取扱いに関して非常な保護の道を講じてあった。たとえば論功行賞とか、あるいは公けに葬式をするとか、あるいは遺家族に対して援護、扶助が行われておった。ところが、ただ問題は、直接な軍人関係じゃなかった、間接的な関係にあったんだということですね。戦争中にはそういうふうな保護の道を講じておきながら、戦争が終ってから、その遺家族に対してわずか三万円、しかも、船は沈められ、ほとんど同等の扱いをすべき筋合いの者に対して、ほとんどそれが顧みられていない、こういう点が僕は非常にふに落ちないんじゃないかと思うんです。それから、その給与にしましても、これは船主は必ず軍属のような建前でいろいろ待遇を受けておったんだろうと思うし、それから高等官待遇であったというわけなんですが、やはり船長とかそういう者も、まあ名前は違いますけれども、軍の工員というような形になっておったわけなんです。そういう連中が、いわゆる差別待遇によって、一方においては非常な擁護の道を講じてある、こういう者に対してはほとんど擁護の道を講じていない、しかし、戦争中には非常に援護の道を講じてあった、戦争終ったらそういうものはペケだ、こういうことは僕はどうかと思うんですが、その点について、課長さん、もう一ぺんはっきりとした御見解を承わりたいと思います。
  73. 小池欣一

    説明員小池欣一君) ただいま御指摘のございました特殊漁船の戦時中の待遇でございますが、これは御指摘のような点、ごもっともだと思うのでございます。特にこういう方々は、なくなりましたときはいわゆる有給軍属に昇格をするという措置をとりまして、たとえば、当時靖国神社に合祀をするというような措置もとっておるやに聞いておるのであります。ただ、これは、いわゆる軍人あるいは有給軍属のように強制的な身分関係ではなかったというようなことから、他の、たとえば徴用工でありまするとか、動員学徒あるいは女子挺身隊と同じような扱いにいたしまして、そしていわゆる準軍属と俗に申しておりますけれども、そういう取扱いをいたしまして、三万円の弔慰金を支給するだけにとどまっておるわけでございます。ただいま御指摘の点は、まことにごもっともであろうと思うのでありまするので、十分検討をいたしたいと考えております。    〔理事藤野繁雄君退席、委員長着席〕
  74. 千田正

    千田正君 関連して。小池課長さんが今御説明になっております内閣にただいま審議会が設置されておりますが、今青山委員から申されたような問題は、相当たくさんあるはずです。そこで、戦後におけるこうした戦争の犠牲者に対する処遇の問題は、しばしば何回となく国会においては論議されておりますけれども、実際において、今のようなほんとうにたまに当って死んだり、いろいろな立場において戦没された人たちに対しては、やはり戦争という一つの大きな国家の運命をかけてやったその犠牲者に対しては、当然同じような処遇をやらなければならないのじゃないか。新憲法のもとでは、そうするのが当然だとわれわれは思うんです。しかも、残って帰って来た人たちに対しては、今軍人恩給が支給されておる。あるいは大将だとか中将の未亡人やその他は、何万円という一応の遺族としての年金が下付されておる。戦争目的の遂行のために、たとえ当時の身分が将であったとしても、人間としての人権は同じ立場において考えられなきゃならないという点から言いまして、今のような問題はやはり取り上げて国としての処遇問題を決定すべきものだと私は考えるのであって、これは何としても厚生省の一つの大きな仕事としてこの問題を推進してもらいたい。この点を強く要望しておきます。
  75. 青山正一

    ○青山正一君 それから委員長、第二番目の問題に移りたいと思いますが。
  76. 堀末治

    委員長堀末治君) どうぞ。
  77. 青山正一

    ○青山正一君 水産庁長官に承わりたいと思いますが、最近ソ連からの拿捕船がちょいちょいあるように思われておるわけなんですが、たとえば、一日の日には二十二日米丸が拿捕されておる。四日の日にもどこかの、宮城県の船ですか、福島県の船が拿捕されておる。それから、六日の日にやはり常勝丸という船が拿捕されまして、まだ帰っていないというようなふうにも承わっておるわけなんですが、その船主は田中常太郎ということで、トン数は七十六トン三〇、おそらく相手国はソ連だろうと思いますが、そういった拿捕されておる船に対してソ連の方の関係と十分に折衝しておるかどうか、今後の対策は一体どうなんだというふうな点について、現在拿捕されておる船は、現状においてはどういう状態で進んでおるか、また、それに対する対策はどういうふうにして進めておるか、その点について承わりたいと思います。
  78. 岡井正男

    説明員岡井正男君) ソ連に拿捕された船の種類を調べてみますと、ニシンの刺し網に従事しておった船、それからタラ釣と思われる船、そのほかに北海道の沿岸漁船で雑漁業に従事しておった船、大体そういう種類の船でございまするが、総括的な抗議を外務省を通じてきつく再三ソ連大使館の門脇さんの方から申し入れをいたしております。向うの方からはなお満足な回答は来ておりませんが、繰り返し日本漁船を拿捕するのはどういう理由で拿捕する、それから一刻も早く返さにゃだめじゃないかというようなことを申し入れているらしゅうございます。ただいま御指摘の例をあげられた三そうにつきましては、まだどういうようなことでどの地点でつかまえられたかというのの確認を私の方でいたしておりません。これは若干時間がかかります。海上保安庁の方から外務省とほとんど同時に私の方へも連絡があるはずでございます。また、私の方からも積極的にその点は海上保安庁へ常に連絡をいたしておりますが、そのうちはっきりするだろうと思います。
  79. 青山正一

    ○青山正一君 まだ水産庁の方へはこの連絡はないわけなんですか。
  80. 岡井正男

    説明員岡井正男君) つかまったという連絡だけあったわけであります。
  81. 千田正

    千田正君 関連しまして。ソ連に完全につかまったというものと、それからどうもつかまったらしい、あるいは激浪その他遭難したのかわからない、その原因不明なものと、こう両方あるのですが、それらのリストを一ぺんお知らせ願いたいのです。というのは、現実にソ連側につかまったらしいが、当人たちは帰ってこない、外務省に聞いてみてもはっきりしない、海上保安庁としてもいろいろ調査したけれども不明である、こういうので遺族に相当する人たちが非常に心配して陳情してきているのもあります。でありますから、そういう点の不明な船舶もありますので、一応そういうのは、あなたのお手元の方に報告がありましたら、お知らせ願いたいと思います。
  82. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはちょっと飛び離れた話になりますが、ついでだからお伺いしておくが、漁業法が変って、一応農地改革のようにいろいろな海上漁業権のようなものが、個人の持っているものがみんな取られて、そうして漁区を定めて協同組合か何かに渡ったのですが、その際金をもらって定置網とか、いろいろな権利を放した人が、今度協同組合を作って他の者を全然入れないで自分らだけでやって、もう非常な利益をあげておるのがある。これは確かに漁業法精神に違反していると思うのですがね。これはどういう見解になりますか。これは御存じだったと思いますが、佐渡のあそこでは年々数億の漁獲をやっておるけれども、旧網元が協同組合を作ってそっくり漁区を占領して、その付近にある漁区の者は一人も入れない。そして佐渡における所得税の一番から十三番がそこの漁区を持っておる旧網元が占めておる。大体役員として分けている。こういう問題が出ているが、これは漁業法の改正をした精神に全く違反しておると思うが、どういうことになりますか。
  83. 岡井正男

    説明員岡井正男君) 新漁業法によりますと、漁業協同組合はその地区におって漁業者の資格がある者は加入を拒まないのが原則でございますので、ただいま先生から御指摘があったように、組合の既存の者たちが加入しようという者を理由なくして拒むというような実態がありましたら、それは不都合でございますので、県を通じまして実情を調べ、不都合があれば適当な処置をとりたいと考えます。
  84. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで知事もそれを認めているが、前に一応許可したんだから、この許可期限の切れるのを待って、そして今知事が中へ入って漁獲高の二割を他の漁区の者に提供させる、ただし、個人に分けてもこれはつまらぬものだから、それが漁業発展上に有効になるように使わしたい、知事がこういう意向を出しておるが、なかなかまとまらないらしいのです。それだけお伺いしておけばあとまた……。
  85. 仲原善一

    ○仲原善一君 一つだけ関連してお伺いしたいのですが、ソ連の拿捕問題ですが、拿捕までには至っておりませんが、例の沿海州に底びきの関係で出て、帰れというので帰った船が相当ございます。裏日本の底びきの船でございますが、鳥取県も入っておりますが、それで将来出れる見込みがあるのかどうか、業者の方ではまだ施設をちゃんと準備して、いつでも出れる態勢をしてその日を待っているわけですが、その後あの事件はどういうふうに展開しているのか、将来の見込みはどうであるか。
  86. 青山正一

    ○青山正一君 今の仲原さんの御質問に関連しまして申し上げたいと思いますが、これはもう昨日の千田さんの報告事項にもあるわけなんですが、山陰ばかりでなく、石川県も新潟県もあるいはその他の地域も、知事自身が一生懸命になっておる問題ですが、との前の長官の御返事によりますと、九月から再開でき得る可能性があるのではないかというようなお話でしたのですが、それをまあこの際再確認されますかどうか、その点について承わりたいと思います。
  87. 岡井正男

    説明員岡井正男君) 試験操業といえども、時期と場所によって、九月から再開いたしたいという気持がありますので、外務省を通じまして門脇大使から厳重に、沿海州の試験操業で出た底びきを戻したのは理由がないじゃないかというので、再三繰り返して言うているのです。向うの方からわれわれが入手した範囲でお答えしますならば、現場の方へよく照会して、その理由を的確に把握してお答えしたい。ただ言えることは、あのあたりの海区は自分の方でも軍国係で非常に使っているような海であるので、むしろ日本漁船が危険であるというようなことがあっては困るという意味で一つ避けていただこうかというような気持で言うたんではあるまいかという想像的な話が門脇大使に向うの方からあったそうでございます。その程度でございます。
  88. 青山正一

    ○青山正一君 その向うのただいまお話しになった事柄について、水産庁長官はどう考えておりますか。果してそれは信を置かれる問題ですか。そういうふうに考えられますか、どうですか。
  89. 岡井正男

    説明員岡井正男君) その問題は外務省あたりとも非公式にいろいろ話し合っておりますが、おそらくウラジオストックは向うは軍事施設として相当大切なものだということは想像できます。従って、あまり近寄って日本漁船が操業すると、防諜関係あるいはその他の関係で、向うはいやだという気持をもってそういうふうな答えをしたのではあるまいか、こういうふうなことを話し合ってみたことはありますが、実際こちらの方があの当時の事情を聞いてみますと、やはりとにかく帰ってくれ、まあまあ帰ってくれというようなことであったというように、いた者からは聞いております。
  90. 青山正一

    ○青山正一君 農林省水産庁なり、あるいは外務省あたりがどこそこが危険でないとか、あるいはどこそこに試験操業をしてしかるべきだというようなことまで折衝するのが当然だと思うのですが、そのことについて水産庁長官の御意見を承わりたいと思います。
  91. 岡井正男

    説明員岡井正男君) だから、九月の操業ということも、やはり理由のいかんにかかわらず、理不尽にでも外国の方から強要されて操業が不可能であるという場合には、結果論といたしまして迷惑するのは漁業者である。従って、試験操業で若干でも危険を伴うと思われる地区につきましては、あらかじめ関係府県の責任者も呼ぶし、業者代表の意向も打診いたしまして、万一若干の危険が伴った場合、経済的に損がいった場合、自分たちも覚悟の上でございます、それはいたし方ないというように話を進めていなければ、そういうふうな区域では試験操業はやらしません。
  92. 青山正一

    ○青山正一君 各県の指導者、つまり県の長官の直轄にある指導者もその操業に従事させる用意がありますかどうですか、その点承わりたい。
  93. 岡井正男

    説明員岡井正男君) 国の試験船も同様に全然むだ骨を折るというようなことにささぬようにしたいと思いますので、念には念を入れまして、門脇大使を通じてなおよく実情を確かめさして、そうして九月にはできれば出したい、こういうふうに思います。九月に出す場合には、こちらの方もあるいは船のやりくりによりまして、向うの方へ適当に徴用して出すか、あるいは自分の方で直接でも出すか、そこらあたりよく研究いたしたいと思います。
  94. 青山正一

    ○青山正一君 各県の指導者、つまり県知事の直轄にある県の指導者なり、あるいは県の水産学校の船で調査したいというふうな建前のものが相当あるわけなんですが、そういうふうな船を試験操業に従事せしめる用意があるかどうかという問題なんです。
  95. 岡井正男

    説明員岡井正男君) それは府県とよく相談いたしまして、前のように府県の方も万一のときにも自分の方で了承していくというのであれば、そういう府県の船を出すということも、身辺に危険があるとか、拿捕ということは毛頭ないと思います。ただ経済的な面だけでございますので、確かめてから右するか左するかいたしたいと思います。
  96. 仲原善一

    ○仲原善一君 この前追い返された場合、あの場合相当何といいますか、経済上の損失をこうむっているわけですが、あれについて水産庁は見舞金といいますか、補償金といいますか、そういうものは出される用意があるかどうか、その点をまず……。
  97. 岡井正男

    説明員岡井正男君) いつかも委員会お答えいたしたのでありますが、一応私の方では事前に、試験操業する前にこれは大体危険はないと思うけれども、経済的な損があった場合には国も損だし、それから県も損だし、業者も損だ、いわゆる三万損だが、それは覚悟の上で出てくれますか、覚悟の上で出ましようというので、三万損でいくという話がついて出たわけでございますので、今回は国の方から見る意思はございません。
  98. 仲原善一

    ○仲原善一君 最後に希望を申し上げておきますが、今の試験操業の問題ですが、各県では施設を用意していつでも出る態勢にしておるわけですが、見通しを早くつけて、だめならだめだということを早く指導していただかないとずいぶん——人まで雇っておりますし、相当長引いては困りますので、その点の見通しを早くつけて御指導願いたいということと、できればいろいろな隘路があっても出て、円満に操業できることを大いに希望はいたしますけれども、四囲の情勢でどうしてもだめなら早く結論を出して御指示願いたい、これを希望申し上げておきます。
  99. 堀末治

    委員長堀末治君) 本件については、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  100. 堀末治

    委員長堀末治君) 次いで愛知用水公団の件を議題にいたします。  この件については、前回の委員会お話し合いの次第もありましたので、本日重ねて問題にいたした次第であります。本日は、農林省から資料が提出されておりますので、まずこれらの資料に基いて農林当局の説明を求めることにいたします。
  101. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 愛知用水のことにつきましては、昭和一二十年に農林省におきまして、関係庁と打ち合せの上に計画を、案を作りまして、所要の法律案の御審議を願いまして以来、農林委員の諸先生方にはいろいろ御指導と御援助を賜わりましたが、その後三十年十月に公団が設立せられました。公団の人的、物的の整備をいたしますとともに、第一に、農林省が与えました同事業の基本計画、すなわち農業と発電、上水道、工業用水の水道を含めました多目的な事業についての資金、技術、受益効果等に関しまする基本計画に基きまして、公団が具体的な計画を立てておったのでございます。大へん事業の実施がおくれたという御意見もありましたが、当時の基本計画、すなわち農林省が二十五年から本格的にこの調査を取り上げまして三十年までに調査しましたものになお正確な実測、測量、技術計画等を検討する要がありますのと、世界銀行借款、余剰農産物見返り円の獲得等を前提にいたしておりましたので、その方面との関係もありました。また世界銀行からの借款の関係としましては、エリック・フロアという方の企画、技術の指導、協力を受けることの約束もありまして、それらとの関係もありまして今日までおくれました。ある意味では、少くとも私は、この大事業計画は三百億をこえる事業資金をもちまして三十五年までに短期間に、農林省関係では例を見ないほど短期間に多目的である事業でございますので、それだけに設計技術もしっかり立てる要もある等々もございまして、そのくらいの期間はかかるべきものかとも今からは考えられるのであります。あわせまして事業施行地域が長野県、岐阜県、愛知県にわたりまして、同一の県内に受益地域と工事施行地域とが一致するものでありません。いわば被害県と受益県とでもいうべきものが分れる等の困難もございまして、補償、着工同意等につきましては、非常にこまかい、田畑から家屋その他の農具等に至りますまで詳細な調査をいたしたことによって今日までかかった報告を受けまして、一応農林省としては不満足ながら了承いたしているのでございます。  長野県の補償の調査、物件調査——補償の基礎になるわけでございます。これはおおむね完了をいたしたところでございます。昨年末ダムと幹線水路を中心にしまして、その他の支線水路、調整池、また発電と上水道等の計画等の技術計画をおおむね終りまして——おおむねと申しますのは、調整池の一部、愛知県下の調整池の一部、支線水路と幹線水路が連結するところの部分、この部分に一部具体的な実施計画に至らない計画がございますが、大体そういう意味でございますが、大体できましたので、公団の理事が技術計画を持ちまして、農林省との打ち合せの上で世界銀行に向いまして、説明、了承を受けるために出発いたしまして、本年の一月末に技術計画としては了承をするという事実上の折衝をして帰りました。  その後、その前後におきまして資材の値上りとか、設計の変更、特に重要なダムにおきますコンクリート・ダムをロックフィル・ダムに変えますこととか、その他のことにつきまして変更等もございましたので、また幹線水路等の経費見積り等においても、実測をいたしました結果、相当の変更がございましたので、資金計画及び事業費の各受益者のグループの負担及び国庫及び県の補助、そういうものにつきまして、ごく最近まで公団及び関係庁との間で協議をしまして、これに相当時間がかかりました。それも五月の終りごろには大体話がつきましたので、その結果に従いまして基本計画を一部修正いたしました。基本計画というのは三十年に法律に従いまして農林省がきめて出してあるものでございますが、総資金その他においてある程度の変更をいたしました。特にそのうちの重要なものは、設計の変更、資材費の値上りのほかに、余剰農産物資金を三十年に期待いたしておりましたものが、第三次余剰農産物の一応の中止ということに伴いまして、国内資金にこれを置きかえる政府計画を立てましたので、金利の変更がございました。それに伴いましてまた公団の事務費を、もとは安い金利をもって、金利差をもってまかなう予定でありましたものが一応できなくなりましたので、それに伴うものでございます。そういうことにおきまして、以後は手続をすみやかにとりまして、着工を早期にいたしまするという観点からいたしまして、事業の実施計画を公団が立てて、これを農林省に告示方申請がございました。昨年末に実はございましたが、世銀折衝のための技術計画と並行して世銀の了承を受けましたもの、そのものではございません。と申しますのは、公団からの実施計画、告示方申請は長野県のダムの部分だけでございます。あわせまして、ただいま申しました資金計画上、負担区分上の最近情勢の変更を織り込まずに、三十年の基本計画通りの内容で、計画として、関係農民の施行区域及び受益地域関係者の同意を得べく告示する実施計画案として添えてありましたので、第一には、実施計画は末端の支線水路まで含めるべきことと、最近の資金計画、負担区分の予定につきまして、これを記載することについて意見の調整をいたしまして、若干の時間がかかりましたが、この六月二十五日に訂正をせしめまして、農林省においてこれを告示をいたしました関係町村、四十数個町村ございますが、二十八日から縦覧をいたしておるのでございます。また資金計画の一部でありまする世界銀行借款交渉につきましては、公団、農林省、大蔵省が一体となった代表団を昨日午前にアメリカへ送りました。そのような過程でございまして、今後は実施計画を告示して処理し確定をいたしまして、それが終りますれば着工いたします段取りになりますが、三十二年度までの、少くも三十二年度そのものの予算資金計画は、過般御審議をいただきまして国会においてすでに議了をせられておるのでありまして、資金上に不安は、資金の量においては不安はないのでございます。そこで、着工当時補償等のことを、今後七十五日の間に、着工に必要な程度は少くとも片づけまして、最終的にも円満にこれを片づけまして、本年度は相当の工事をするということで進んでおります。最近までは、世銀借款の見通しが確実になりますまでは、年々予算資金を確立して、長期の三十五年までの資金計画等の概定を見ておりましても、本格的工事には着手しないという政府部内の申し合せが三十年できておりましたが、先般これは撤廃することにいたしました。いつでも、手続が完了して地元の納得を得ますれば、本格工事をすみやかに始めることにいたします。  今年度の工事の見込みは、工事用の道路の幅員をはかること、つけかえ道路をつけること、また国道第十九号等の地元負担等において考慮すること等の道路工事をいたしまして、次に——次にと申しますよりも、全部並行してでありますが、工事の中心的な部分であるとも言い得る牧尾橋のダムの着工をいたすつもりであります。主として本年度内にこれを希望いたしておりますものは仮排水路、仮締め切りまでを考えております七また三十五年までに早期完成をいたします目標を持っておりまするので、いろいろな部分について数個所から工事を並行して、あるいは接続して工事を着工する要があると思います。幹線水路につきましても、岐阜県の兼山取入口から始まるのでございますが、そこの地元の関係意見の調整をはかりますとともに、幹線水路におきましてもトンネル工事二本を予定いたしまして着工をいたしたいと思います。その後その他補助ため池、支線水路、開墾、区画整理についても、基幹の工事につながって必要な分は本年度も行えましたら行なってもいいのじゃないかと思っておるのでございます。  以上数字を入れませんで経過を御説明申し上げましたが、便宜御説明を簡明にいたしますために、今般告示をいたしました愛知用水事業の実施計画というのは、このくらい膨大なものでございますが、要点だけを要約いたしまして、黄色な表紙の愛知用水事業計画概要として要点を抜粋いたしました。関係町村を明瞭にしまして、事業計画、資金計画、負担区分等について、御関係の向き向きに意見を問い得るもの、それが片づけば実施計画は確定し得るものとしての計画考えておりますそういう縮図と、事業施行区域の町村、大字を明らかにいたしますとともに、三十年から予定する、最近さらに詳しくなっておりますが、農業部門の計画、発電、水道部門の計画、農業計画との関係ということでございますが、さらにその事業効果の予定と水の分配の計画、また主要工事についてダム、貯水池から水の取り入れ施設、水路またダムと幹線水路につきましては、農業と他の受益部門との共用部門と専用部門とがございますが、それぞれにつきましてこれを明瞭にいたしました。さらにその事業費の内訳を大体概定をいたしまして、総額も十億ばかり三十年度よりふえておりますが、それに触れまして負担区分の要領も書きました。概要図また補助金及び農民負担の変化の度合い等を要点抜粋いたしましたものを御配付を申し上げておりますが、それにつきまして御一覧願いまして、また御質問がございましたら、お答え申し上げたいと思います。
  102. 千田正

    千田正君 愛知用水公団資金計画につきましてお尋ねいたします。この中で基本計画において開墾の面が二十二億になっておって、実施計画が十五億、その実施計画によって減ったという理由はどういう理由ですか。
  103. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 開墾につきましては、三十年に農林省の目標計画、基本計画、言いかえますと、それまでの農林省の基礎調査に基く計画としましては、約三千町歩を予定しておりました。これが実測をいたしてみまして、また開墾という工事を計画的に愛知用水公団事業としまするというと、若干面積の変化も土地台帳等の関係でございまするとともに、もう少し詳細に計画を立てる要も実はございます。ダム幹線水路に当りまする実施計画的な精密さの点から申しますると、まだ落ちるのでございますが、必要に応じまして、なお告示が改訂される、改正の法的手続の——将来着手する場合——状況もございますかと思いますが、内容的に、変化は面積関係にあるかと思います。資金計画上の予定としましては減らしておきまして、さらに明確にするのがいいという考えでおります。
  104. 千田正

    千田正君 それで今度の国際収支緊急対策におきまして、資金計画三十二億のうちから二十億繰り延べするという、先般六月二十六日の大蔵省からの通達が農林省に来ておるときのう官房長から説明を聞きましたが、愛知公団の分も二十億繰り延べした場合において、実施計画にどういう影響を及ぼすのですか。
  105. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 結論を先に申しますと、ただいま三十二年度に工事を予定しておりまするものとして申しましたつけかえ道路、工事用道路、ダムの関係の幹線水路関係、そのうちの最初の一部でありますが、それには支障はございません。その他と申しました補助ため池、支線水路、開墾、区画整理、この分は、ちょうど御質問に応じまして、開墾について申しましたように、工事着工に当りましては、さらに具体的な幹線水路やダム程度の詳しい計画を立てなければいけないかと思いますので、その分については若干の影響があると思いますが、来年三月までの工事としましては支障がないつもりでおります。  数字について申し上げますと、三十年度は約六億の予算資金を予定しまして、実際は三億強の金を使いました。三十一年度は二十三億六千余の予算をもちまして十四億三千余の決算状況でございます。そこで、三十一年の本年度への繰り越しは約九億ございます。そのほかにまあ余剰農産物愛知用水用として確保しましたものは、公団予算に入れておりませんが、余剰農産物に見返り円としての五十九億全体としては予定しておるわけでございます。本年度予算審議をお願いしましたと同様でございますが、補助金で過去の支払い分も含めて四億、資金運用部資金で三十二億予定をいたしておりまして、世銀借款を本年度分として約十八億入るといたしますと八十六億本年度固有の資金として計上してあります。それに九億の繰り越しがありますから九十五億になります。先ほどの、時間的で工事力を勘案しました予定の工事内容としましては九十五億は使いません。そこで、二十億繰り延べをいたしましても支障がないと目下考えております。
  106. 千田正

    千田正君 そうしますと、この間岸総理大臣が帰ってきてからの発表の三億ドル借款のうち、あの内容からは愛知用水公団には何ら関係はありませんか。
  107. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) ああいう短期な金は、この土地改良の工事費の、長期計画を要するものには不適当と思いまして、関係ありません。
  108. 千田正

    千田正君 この資金計画の四ページにありますところの農民の負担の反当について、これに詳細に説明がありますが、イ、ロ、ハのハにおいて「余剰農産物資金等低利長期の資金を利用し得る場合は、」という御説明がありますが、実際において高利の資金に置きかえることとしての農民の負担の軽減ができるというお考えですか。
  109. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 基本計画に比べましては、いろいろの計画がございまして、この農林委員会の諸先生にも大へんお世話になりましたのでありますが、私どもの案の経過、過程及び大蔵省、公団案としましては、これは平均が出ておりまして、工事完了後に一年間に一反歩、いかなる地目におきましても平均いたしまして出したものでありまして、一反歩一年当りの償還額として、基本計画が二千八百二十一円目標されておりましたものが三千六百円ぐらいになったのでございまして、種々工夫をいたしまして、大蔵省等と話を一応きめましたのが三千百八十一円、十円くらい世銀借款の関係で動くかもしれませんが、それを一応概定しまして、なお建設利息負担に伴うことが非常に大きくなりまして、ことにその利息のもとである調達資金の金利が高いものになる、言いかえますと余剰農産物資金がなくなった、国家資金に置きかえた、国の資金に置きかえたという計画にしたことに伴いますものが大部分でございますが、それは今後なお第四次余剰農産物等を国内農業生産の需給等の関係考えまして、また受け入れ方式等をも考慮いたしまして、その他国で施策を講じ得ること等も今後措置しまして、基本計画のラインに近づくように今後努力することをあわせて関係庁、政府部内で協定をいたしております。この表はその最高を示しておりますので、一応これを最高限度として実施計画に表わして、そこまでの同意を得るように告示しておりますが、これ以下において下げるように努力をしたいと思っておるわけであります。
  110. 千田正

    千田正君 そうしますと、この表にありますところの基本計画と実施計画において、大体十億以上の開きが出ておりますね。増額になっています、実施計画については。そうしたパーセンテージはやはり農民の負担の方へかかってきませんか、実施計画になった場合に。ことしはこれで一応御説明になっていますけれども、資材の値上りであるとか、いろいろな問題でもっと上るんじゃないかという、私自身はそういう杞憂を持っているんですが、また来年になって上った場合、こちらにまた農民の負担の方へその。パーセンテージがかかってくるんじゃないか、こう思うわけですが、どうなんでしょう。絶対これを動かさないで三千何ぼでやるという……。
  111. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 千田先生の御指摘の点、私ども全く不安がないというふうには考えないのでございますが、その一番大きいのは、工事をすぐ着工できるほどまでになっていないある種の部分の工事計画がどうなるかということでございます。それは地元の用地その他の補償の関係で未定のものもあるからでございますが、それと補償金を、水没農家あるいは間接公共補償その他で補償を幾らくらい最終的に払う結果になるかということであります。特に予測ができませんのは物価の変動であるわけでございます。あわせまして、この物価が下れば減ることもあるわけであります。それらの両者を考えまして、基本的にはどうしても事業費をいかに負担するか、だれが持つかということによるのでございますが、事業に要する金と、その金利は経費といたしまして、公団の事務費も中に入れまして今では考えなくちゃいけませんが、これを農業、電力、水道の受益産業部門において身がわり妥当投資法に基きまして、支払い能力があると認められる範囲内において三者で負担する、こういうことが原則だと思います。多目的ダムの受益者負担と同じでありまして、その根拠は電源開発促進法に基きまする費用負担の政府の基準と、愛知用水公団関係規定に基いてそういたすのが当然やむを得ないことと思いますが、電力、水道はまた幾らを持ってもらうかということと、事が農業全体としてどれだけ——残りを負担するわけでありますから関係がありますが、そういうことと、農業の中を、国庫の補助をいかにして、県の補助をいかにして、そうして狭い意味の農民の負担がどうなるかということが問題になるわけでありますが、一応国庫は工事費を、国営級の工事は六割国庫負担、県営級以下は国庫が五割負担、あわせまして農民が負担金を払います場合に、償還金利をいかにするかということが相当にむずかしいわけであります。過般土地改良特別会計を御審議願いましたときに、干拓その他で負担の問題の生ずる一つの焦点は金利であります。建設及び償還後の金利でございましたが、それらを合せまして今回はただいまのような御説明をしました。この告示に盛りました負担はあがりましたけれども、その計画は国庫において国庫補助金を十八億増加いたしまして、三十年には百十七億余でありましたのを百三十七億五千、そのうち二億は今後の変動の予備費と見まして、その予備費を入れますと、約二十億余を増加いたします。また県営級の、その一部でありますが、たとえば県営級のものとして取り扱って、補助率を五割としておりましたものを国営級に上げまして、例をあげて申しますと、幹線水路に接着する水路部門ということになるわけでありますが、それらの工夫をこらしまして、補助率を維持するとともに、国営級補助をなす内訳部門を増すことによりまして、また公団事務費を、事業費の国庫負担の割合で国庫が負担することにいたしまして二十億余の負担にいたします。また県も国庫負担を除きました残りを県と農民が折半する建前でありますが、関係県知事とお会いいたしまして、関係の県会の御同意を得ますれば——これは大体得ております。県の負担を若干増して農民の負担を若干軽くする、こういう措置をお約束しております。その結果、県は五億前後の負担増、農民は八十一億の負担を予定をしておりましたのを、九十四億で十三億余の負担にとどめるように、ふえながら苦心をいたしました。さらに基本計画の目標に引き下げる努力を一応概定して、今後一応努力することを、大蔵省その他とも明瞭に協定をして今後努力することにいたしております。
  112. 千田正

    千田正君 そうしますと、農民の負担は全部合せて一反歩、今、現在御報告になっておられる基準に基いて計算した場合に、一反歩の負担はどれだけになるのですか。何カ年……完成後十五年を計算しまして。
  113. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) この横に長いガリ版刷りの四ページでございますが、国営級の工事は、農民の負担は十カ年で年利均等償還をいたすのでございます。県営級として取り扱いまする以後のものは、まあ普通でいえば団体営級というものもございますが、これは十五年間で元利金の償還をすることになっているのであります。いずれも工事完了後であります。従いまして、負担金を払いますのは十五年間といってもいいわけでございまして、最初の十年間には国営級の負担と、県営級以下の負担との合計があるわけであります。その合計が年三千百八十一円ということでございます。この中には、その次に書いてありまする工事完了後十一年から十五年という一年一反歩当りの千八百九十九円が入っておるのでございまして、残りが千三百円ばかりになりますが、これが国営級の負担ということになるわけでございます。十年過ぎれば、残りの五年は一反歩当り千八百九十九円、まあ千九百円ばかりになり、これを限度に押えて、その上欄のもとの負担計画程度に下げて参ろう、下げる努力をしよう、これを限度的に考えて御賛成を願いたいという告示を目下出しているわけであります。
  114. 千田正

    千田正君 そうしますると、大体一反歩四十万円くらいになるわけですか。
  115. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) あとで正確に申し上げますが、そのくらいであります。
  116. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質疑ございますか。
  117. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の説明では、来年の負担までの分全部ですか。
  118. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) その通りでございます。
  119. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 国の負担といいますか、国の補助金といいますか、六割、五割と種類がありますが、これは各年度について六割、五割で出るのですか、どうですか。
  120. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 公団法を御審議のときに御承知通りのことをそのまま続けているわけでありますが、この事業は国営クラスから団体クラスまで一公団事業として行うことになっているわけであります。また電力と水道は事業主体が関西電力と愛知県でございますが、資金を供給して高い金利を取って農業に資しようというわけです。農業部門は公団自身が工事の責任者になるというわけで、開拓も含めるわけです。そうして今のお話一般の国営級なら六割、県営級なら五割、団体級なら一般の団体級の補助率でございます。開拓だけはちょっと違いますが、三分の二国庫負担ということになっております。残り三分の一は融資になっております。そういうのは三十年に政令も出ておりますが、その負担に応じて公団に繰り入れるわけでございますけれども、補助部分を繰り入れるわけでありますが、残りは当初世銀及び見返り資金、県では世銀及び見返り資金と資金運用部資金、その資金を先に調達しておきまして、事業費及び公団事務費はそれで先にまかなってしまう。そうして工事が完了して、工事完了後受益者に負担をしていただいて、十五年、二十年と払っていただくことになっております。
  121. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 私の今伺ったのは、国の持ち分があるわけですね、利率はいろいろ違いますけれども、農業についての……、その国の資金というものは、たとえば三十二年度に五十億なら五十億を使った場合に、それの何割になるかわかりませんが、五割なら五割まで、その年度年度にきっちりと国が出していくことになっているのかどうかということをお聞きしているのです。
  122. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 今般実施計画としての資金計画考えます場合に、一番実は悩み、また工夫をこらしたところでございますが、三十三年度以降におきましては、その年々に行われまする工事の事業費、そのときの公団の事務費として想定いたしまするものを、負担の割合に応じまして、割合をかけただけ出てくる実額そのものを一年ごとに入れることに予定いたしておりません。三十五年までに工事を完成いたしませんと、工事費も増加すれば事務費も増加してますます農民負担がふえるのであります。工事期間が延びればふえるので、合せまして三百三十一億、基本計画は三百三十二億でありますが、事業費、事務費の総額を予定いたしますと、御承知の国庫負担分によります補助金は、三十五年までといたしますと、三十五億以上三十九億まで年々国庫の一般会計で負担をいたさなくちゃいかぬのであります。そこで、八郎潟の実施等も考えましたり、他の全国的な土地改良、干拓、開墾等の事業も考えまして、まあ概数でありますが、二十六億から二十九億までに約十億くらい一年分の負担を軽くしたい、あわせまして国庫の繰り入れだけは三十七年度までにいたして、五年内で、工事完了後あと二年にしたい、二年と申しますのは、ほんとうは三十九年なんですが、終りの方の八年と九年は一年分が少いので、三十七年以後の三年分を合計しましても二十数億になる予定でございます。そういうふうにいたしまして金利は一部ふえますが、他の全国的な農地開発事業の方に負担をもたらさない、また予算総額は相当増額を要求しなければいけませんけれども、あまりに一事業に、法律がありましても負担をかけるのはいかがかと思いまして、簡単に申しますと、補助予算の繰り延べ支出と申しますか、そういうことを一応予定したのが、この資金計画でございます。いろいろ御批判もあろうと思います。
  123. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 今の御説明を聞きますと、その分その分に対する金利だけは少くとも農民がよけい負担していく、こういうことになろうかと思うのですが、そういうことは、他の国営事業はこれと逆に、全部国が出しておって、あとに農民が償還していくということになっているので、国の支出を繰り延べて後年度に出すということになると、ますます農民の負担する金利でもって大きくなってくる不利があるのですが、そういう点は不均衡じゃないでしょうか。
  124. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 私も、本来及び当初はその通り意見でございましたが、中ごろ大所高所に立ちまして、いささか考えを変えました。土地改良特別会計で事業を、七年において八郎潟も実施する場合に、事業に使いました資金の金利を急行料という言葉は適当でありませんが、大蔵省の人はときどき平素申しております。事業に伴う資金の負担を受益者が持つ制度ができました。しかも、あの制度は、地元負担金だけを借入金として、その金利を持つことにして農林省は推進することにいたしたのであります。この分は国庫を繰り延べするために先に借り入れをしていく、国庫の繰り入れの身がわりの資金の金利と見えますが、面を変えてみますと、考えを変えました理由でありますが、事業を今年の秋から着工いたしまして、三十五年までに特別に日本の農業土木の土地改良事業の例を破りまして、団体営まで一括完成するというものでございますから、妥当投資額といいますか、農民の増産予定は、三十年以降予定いたしておりますものより若干今回は下げましたが、その範囲内でやむを得ないという程度までは、補助金の身がわりとしてしいて見るばかりでなしに、事業を早期、総合的に完成するために要る資金は、農民といえども受益者として負担するのもやむを得ない。場合によっては県営級、国営級の一般会計でやったり、あるいは今度の特別会計でやっておりますものとの均衡も、ある程度の公平の面もあるかと思われますので、やむを得ないと思いまして、そういうふうにしているわけであります。
  125. 仲原善一

    ○仲原善一君 どなたが事業費を負担するか、地元が負担するか、国が負担するか、県が負担するかは重要な問題でありまするが、事業全体としての経済性、それはどういうことになっているかをちょっとお伺いしたいのです。三百三十一億という事業費でありますが、これを見ますと、内容的に受益事業はそれぞれ農業、水道、電気とあります。妥当投資額というのが出ておりますが、この妥当投資額を加えたものが、大体事業」費と合うのかどうか、もしそれが合わないならば、どういう説明をそれはやっておられるか、妥当投資額というのはおそらく純収益を見て、それを一定の利率でキャピタライズしたものと思う。そのときの利率が非常に影響すると思いますが、その利率はどういうものを使っておられるか、その点を大ざっぱに、全体の計画の批判のために伺いたい。
  126. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 見合いましたそれ以下でございます。それ以下でなければ農林省は行いません。ただその計算がいいかどうかということはあるかと思います。愛知用水の受益地の増産見込分は、妥当投資額をはじき出す基礎でありますが、蔬菜、果実がかなり多いのであります。三十年には品質改善による価格の増加を二割五分と見込んでやっておりましたが、そういうものは見込むべきでないと思いまして、今回は削除して下げました。そうしまして農業、電力、水道を合せますと約三百五十億であります。ほほ資金もそうこれ以上はふえていかない。物価の変動、工事の状況もありまして、農業の受益面積、発電量、上水道、工業用水など水の点の制約もございますので、それが拡大しなければ、事業費は遺憾ながらそうふえてはいかない、こういうふうに思っております。資本還元の利回り率は、農業は六分、電力が九分です。水道は六分五厘、こういうふうに見ております。
  127. 清澤俊英

    清澤俊英君 今度はダムの位置とそれから様式が変ったのですが、これは何かアメリカが、世界銀行が文句を言って変えたという話ですが、それはどうなっているのですか。
  128. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 私が農地局長になる前のことで、実は的確にいかに判断したかは別でありますが、公団が変えたのであります。その変える動機は、世銀推薦の公団を契約をして雇うことにいたしましたエリック・フロアという会社の指導もございます。計画はあとですが、すでに着手は愛知用水より早くやっております。発電の御母衣というのですが、御母衣ダムは牧尾橋ダムと同じ方式のロックフィル・ダムで、大きさは三倍でありまして、すでに着手をいたしておるわけであります。技術的には不安はないということでございます。農地局の技官もそう言っております。それから経費は非常に安くなります。コンクリートの二子持ダムの経費よりは約四十億経費が節減できまして、三十年の基本計画のときにはすでにロックフィル・ダムは牧尾橋ということになっておりましたが、今回約一億八千万円ばかりでありますが、なお減少をいたしております。
  129. 堀末治

    委員長堀末治君) 本件は、本日はこの程度にとどめて、これで暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩    —————・—————    午後一時四十六分開会
  130. 堀末治

    委員長堀末治君) 午後に引き続き委員会を再開いたします。  議題に追加して、重ねて鮮魚保存用オーレオマイシンの件を議題といたします。まず、その後の政府当局においてとられた処置に関して説明を求めます。
  131. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 先月の当委員会におきまして、この問題につきまして厚生省として至急食品衛生調査会の開催をいたしまして、この点の審議を早く終了する、こういうことをお答え申し上げまして、直ちに手配をいたしまして六月二十日、それから引き続き二十七日、それから七月二日と三回にわたりまして、このオーレオマイシン問題のみを議題にいたしまして審議を進めてもらいました。実は、当初から私の方から各委員には当委員会の御要望を最初から伝えまして、できるだけ六月末までの終了を求めたのでありますが、二日になりまして二日ほど超過いたしました。いろいろな準備と資料作成の都合で、この点は申しわけありませんでした。で、二日に審議の結果終結をいたしまして、この問題に対する特別部会としての答申の決議をいたしまして、その答申の決議案お配りするといいのでございますが、ただ、これは特別部会に調査会から付託をされまして結論を出しましたので、当然私どもの予想では、これを成規の手続によりまして、衛生調査会そのものの結論になることは間違いないのでございますが、ただいま手続き中でございまして、この規定がまず常任委員会というものを開きましてこれで議決をして、この常任委員会が議決をすれば総会を省くことができる、こういうことになっておりますので、ただいま、あらかじめ常任委員全部に個々に私どもの方から手分けをいたしまして判こをまずとるということにいたしまして、開けば直ちに議決できるような、有効な手配をいたしている最中でございます。九割まで了解を得ましたので、あとは皆が集まって成立する都合のいい日でありませんと、またむだになるものでございますから、これは過半が集まりませんと、総会にかわる——有効でありませんので、さように今いたしております。至急これは終了する。従いまして、特別部会できめましたこの決議の案は、若干の字句の修正はあるかもしれませんが、本質は変らぬと思いまして、ここに読み上げさせていただきます。   抗生物質を食品の保存に使用する  場合は、薬事法第三十二条第一項に  基く抗菌性物質製剤基準に適合する  塩酸クロルテトラサイクリンを氷中  に五PPM以下含有せしめ、以西遠洋  底曳の漁船中で魚肉ねり製品原料用  の魚類に使用する場合に限り差し支  えないものとする。  これが決議の本文でございます。これにあわせまして、特別部会の付帯事項が付記されております。五つございます。  1 右物質の氷はどの部分も右の物   質の含量5PPM以下であること。  2 右の氷にはその他の氷と区別出   来る方法を講ずること。  3 右の氷が右に定める船内以外で   使用されないような方法を講ずる   こと。  4 右に定められた抗生物質以外の   抗生物質が使用されないように適   確な方法により監視すること。  5 右の氷を使用した魚類が右に定   めた用途以外に使用されないよう   監視すること。  以上でございまして、これに基きまして、昨年の七月に省令をもちまして、全面的に食品に抗生物質が混入しないという建前で、保存用にもこれが使われないようにいたしたものから、ただし書きで、近くこの正規の調査会の答申に基きまして、今言いました事項について、これを除外する、こういう手続を至急進める手はずになっております。さように御了承をお願いいたしたいと思います。
  132. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 いろいろ御配慮をいただきまして、今読み上げた程度のととろまできたことは大へんけっこうだと思いますが、この点につきましては、まだ実際問題としてはいろいろあると思いますけれども、ともかくも、御承知のように、もう盛夏の候となっておりますし、一日おくれればそれだけまた損失も多いということでありますので、至急にこれを実施するような段取りにしていただきたいと思うのですが、手続等もありましょうけれども、一体いつごろにこれが実施できるようなお見通しですか。
  133. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 私の方といたしましては、今省令改正の実際上の書類、手続等は並行いたしまして進めまして、ただこれを発布する日までに今の一応正規の調査会の開催による議決を経てもらうと、こういうことを並行していくつもりでございますので、きょうもいろいろ委員長以下、常任委員会の幹部と折衝中でございますが、来週の木曜なら成立するだけの人が可能であるという、今のところ大体見当がつきましたので、そういたしますと、来週の木曜にはおそらくこれは正規の議決を経ると、とう存じておりますので、そういたしますれば、それと、あと省内で書類を用意いたしておりますので、省内決裁の時間、これは一日で済みます。さようにいたしまして、これを施行したいと、かようなことで今努力中でございます。
  134. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、大体来週中には実施できるような、発布できるようなことになりますか。
  135. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 大体そのつもりで、あまりおそくなってはいかぬと思うものでございますから、それを目標にただいま努力中でございます。
  136. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今も申し上げましたように、どうせとれが使用を許されるものなら、一日も早くなすことが、食料の面からいきましても、業者の面からいっても仕合せなことですから、ぜひ一つ一日も早くこれが実施できるようにお願いいたしたいと思います。いずれこれは使用上のことについては、これはなかなかむかずしいような格好でもありますが、なるべく非常なむずかしい手数のかからないようにしてやらしていただきたいと思います。
  137. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 審議が三日間にもわたりましたのは、学者からそれぞれの専門的な立場からいろいろ意見がございまして、ようやくこういうふうに私の方で分類いたしまして、一番付帯事項のついたのが問題なんでございます。やりまして、これならば実現可能という場合の見込みも入れまして、ようやくここにまとめた次第でございまして、もちろん、ねらいは本文にあります通り、こういうものなら使うということをきめる以上は、実際にそれが今後いろいろな付帯事項によりまして実現不可能になってはいけませんから、付帯事項にある趣旨も十分取り入れながら、終局において実現できるようにわれわれの方としては十分努力いたすつもりであります。時期も極力早くいたすつもりでおります。
  138. 堀末治

    委員長堀末治君) 私から一つお尋ねしますが、今の底びきの漁船中で魚肉練製品原料用の魚類に使用する、こういうことになっておりますが、そうすると、なまのものには使ってはならない、こういうことになりますか。
  139. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) これはこういうことでございまして、たとえば水産庁の研究部長以下にも三回とも御参加願いまして、しろうとばかりではかえって的がはずれますので、映画も見せていただきました、底びきの漁撈の実態を。審議を進められたのでございますが、その中で底びき網で年間約八千万トン上るそうであります。その中の二割は、いわゆる途中で業者の手によって加熱をしないでなまのまま家庭に入り得る魚、たとえばタイとか、さようなものがあるそうであります。加熱をしないで家庭に入った場合に、家庭で煮たり焼いたりするなり、あるいはなまのまま食べる、あるいは酢で食べるというようなことは、これは法的に個人の家庭の中まで規制できないものでありますから、食品衛生法の建前から、業者の手を離れる以前に必ず加熱をする、加熱ということによってイソペトラサイクリンに変って無害になる、こういうことが前提になりましてやったものであります。従って、八〇%の使途を含んでおります。かまぼこその他の魚肉練製品と専門的に言っておりますが、この原料用に充てる、そういうことでありまして、従いまして、具体的にはどういうことになるかというと、底びき網でとりましたものを、魚種ごとに箱に分類して冷却するのでございますが、そのうち八〇%のこれに使うものには、この氷、積んでいった氷を使う、あとの二〇%は従来通り普通の氷を使う、こういうことでございまして、これは実際可能なそうで、水産庁の御意見でも可能だそうであります。さしあたりはそういうことにいたしまして、国民がいたずらに不安を抱かないようにするのがいいのじゃないか、こういう結論でこういうことになったわけでございます。
  140. 堀末治

    委員長堀末治君) この間みな集まって検討したときに、なまのやつは絶対だめだという学者の結論ですか。
  141. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) この点は、だめだというデータも、まだ実験成績がないわけです。というのは、人体実験によりまして、魚に含ましたものを、試験用に人を募集してやったという成績がないものでありますから、従いまして、だめであろうというような推測だということで、加熱をしたものは大丈夫という実験成績が国内で出たものでありますから、それならということできめられたわけであります。
  142. 堀末治

    委員長堀末治君) もう一つお尋ねしますが、そうすると加熱したものは心配ないということは学者の定説で、みな一致したものでありますが、漁業者の希望するのは、やはり全部に使わせてもらいたいというのが、漁業者としておそらく希望だろうと思う。至急に今の別な試験を進めて、なまでも人体に心配ないというような試験を早くやってもらうことが非常に大切だと思うのですが、それはどうでしょうか、厚生省のあなた方の御意見は。
  143. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) それはこの特別部会でも、なまにも使えたら、ほんとうに無害なものときまれば経済的にいいのじゃないか、こういう問題が出まして、しかも、どうやって実験するか、実験台を募集してやるかということで結論を得ないのでございます、役所としては。これは非常にむずかしい問題でありまして、従来もペニシリンの場合には、偶然使っておるうちにショックが来て、そんな結果から見ますと、ショックを起して死なれたことが実験台になっちゃった結果でございます。起すか起さないかの、実験的にやるということは非常に困難でございまして、結局ほかの医薬品として使って、しかも、類似の使い方で、量でということから類推する以外にはない、かように思われるのでございますが、この間のときには、一体だれがどういう方法で人体実験をするか、結論は出なかった次第であります。
  144. 堀末治

    委員長堀末治君) もう一点お尋ねしますが、これは動物試験なんか大体やりますね。それをどこかの研究室に頼んで、特に研究してもらうというようなことにできないですかね。
  145. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 抗生物質に関する限り、動物試験いうのは、ほかの直接中毒物質と違いまして、作用が全然違うものでございますから、非常に困難なようでございます。
  146. 堀末治

    委員長堀末治君) では、この問題はこの程度にとめておきます。どうもありがとうございました。   —————————————
  147. 堀末治

    委員長堀末治君) 引き続いて、酪農の件を議題といたします。  この件については、かねて御要求があったのでありますが、本日ようやく問題とすることとなったのであります。本日、農林省及び文部省から資料の配付を受けておりますから、まず、これらの資料に基いて農林、文部両当局から説明を求めることにいたします。  なお、本件について政府から出席している委員は、文部省の監理局学校給食課長の宮川君、厚生省の衛生部長の尾村君、同じく乳肉衛生管理官の阿曾村君及び畜産局長の谷垣君であります。  そうすると、文部省、どうぞ一つ資料の説明を始めて下さい。
  148. 宮川孝夫

    説明員(宮川孝夫君) 御要望によりまして、お手元に差し上げました資料の概略を申し上げます。  学校給食法は、これは昭和二十九年の六月三日に公布されましたのでございまして、その後二回にわたりまして改正を加えております。この内容は、特に御説明を省略さしていただきます。  それから第二の事項は、三十二年度の学校給食関係予算関係でございます。第二表になっておるのであります。この文部本省は、一般の指導その他の旅費を中心にいたしました経費でございます。  それから、学校給食費の、助成に必要な経費というのがございます。これは準要保護児童生徒——これは御存じの生活保護法の適用を受けまして、その援助を受けます児童生徒の上に位いたしまして、学校給食費の支払いが困難であるという児童生徒の数を私どもといたしましては大体四%という線を見込んでおるわけでございます。それに対しまして、この予算としては一億百五十八万九千円というのを見ております。文部省の考えております四%の線からはかなり低いものでございますが、だんだんと増額をいたして参りたいと、かように考えております。  それから第二番が、学校給食の施設及び設備の整備費の補助でございます。これは小学校及び中学校におきまして、学校給食を新たに開設をいたします場合に、国が所要基準につきましてその二分の一を補助する、こういう経費でございます。小学校が四百五十校、中学校が百五十校に対しまして、一応これだけの予算を盛っておるわけであります。  それから第三は、定時制の夜間高等学校の給食がこの四月一日から実施になりますので、これに対しまする前と同じような施設、設備整備費の補助の経費を千三百万ほど計上いたしております。学校数は大体二百校と見ております。一校当ての平均人数は大体百名というような見込みでございます。この補助は、基準の三分の一補助ということになっております。  それから給食用物資、特にミルクの扱いをいたしますために、特殊法人の日本学校給食会というのが設立されておりますので、それに対します業務経理上の補助といたしまして、千五百三十万円を計上をいたしておるわけであります。  それから北海道の冷害の対策といたしまして、本年の七月末までの学校給食の、準要保護児童生徒に対します補助として、二千百万円ほどを計上いたしております。大体それで国が半額を補助いたしまして、半額を設置者が負担するという建前から申しますと、二万七千名が補助の対象になる、こういうことになっております。  この表に載っておりませんが、小麦の補助といたしまして、本年度十三万九千トンを粉として使用をいたすことになっておりますので、それに対して百グラム当て一円の補助が十三億九千万円に相なります。これは農林省の方に計上をされておるわけであります。これで予算関係の概略を御説明いたしました。  それから第三の表は、学校給食が現在どういうふうな姿で実施されておるか、これを一覧で申し上げたいと、こういう考えであります。これは十一月三十日現在の統計表でございますので、現況は若干これよりも進んでおります。二月末現在のものは目下集計中でございますので、ちょっと古うございますが、十一月末の資料を差し上げたわけであります。この中に、完全給食と補食給食、その他というように三段階に分れておりますが、学校給食法の関係から申しますと、完全給食を一応学校給食と申しておるわけであります。これがこの完全給食の最後の計のところにありますが、小学校におきまして教職員を合せまして、大体六百三十一万ほどが完全給食を受けておるわけであります。中学校の方は、昨年の四月一日から始めました関係上、まだ二十万そこそこでございます。合せまして六百五十万ほどが完全給食を受けておる対象数であります。  それから補食給食と申しますのは、ミルクを主にいたしまして、若干の料理を加える、これは主食は与えないというような性格のものを申しておるわけであります。  それからその合計の次に、その他とございますが、これは政府の援助物資を全然使わないで、たとえば冬季間中におみおつけだけの給食をするというような形のものを一応その他の給食として参考のためにとっておるわけであります。大体この数字によりまして、小学校におきましては四九%、全部の生徒数に対しまして四九%ぐらいになるわけであります。中学校の方はまだわずか四、五%程度でございます。  それから第四の資料は、日本学校給食会におきまして学校給食広報というのを出しておりまして、この中にいろいろ法律の改正とか、そういう問題が出ておるのでございますが、この二ページのところに、学校給食法の一部改正等に伴う事務取扱いの問題、それから夜間課程を置きます高等学校における学校給食に関する法律並びに同法施行令等の施行、こういうようなものが出ておりますので、御参考までにお目通しをいただきたい、こう思いまして加えておいたわけでございます。  それから日本学校給食会で農村の地区におきまする学校給食の啓蒙をはかろうという意味で「問答「学校給食」」という小冊子を発行いたして配布をいたしておりますが、これも御参考までに入れておいたわけであります。  ごく簡単でございますが、以上でお手元に差し上げました資料の内容を御説明申し上げたわけでございます。
  149. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に、農林省資料の説明を一つお願いいたします。
  150. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) お手元に「酪農関係資料」というのをお配りいたしておりますが、それの一番初めに書いてございますのは乳牛飼養頭数及び農家戸数の推移を示しております。三十二年度の推定五十八万頭、これは目下統計調査部の方で集計を急いでおりまするが、若干違って参る点が生じるかもしれませんが、大ざっぱのところ大した違いはない数字になる模様であります。  第二表の牛乳及び乳製品生産量の推移、これも同様でございます。この中の牛乳総生産量、その右側の内訳のところに飼用となっておりますが、これは飲用の間違いでございます。  それから第三表は、この第二表の内訳を第三表に詳しく書いてございますが、その中で最近五カ年間におきまする牛乳の生産数量、二十九年以降は毎月の生産及び飲用及び加工用その他、その他と申しますのは、これは農家の自家用、犢の育成用等でございますが、そういうもののそれぞれの月別の数字を出しておきました。  それから四の最近五カ年の乳製品生産量の実績、これは乳製品と申しましてもその中でいろいろ変化がございます。その乳製品の中の実績数字を出しております。  それから五ページの方は、最近三カ年におきまする原乳、農民の手から出まする価格及び市販いたしました場合におきまする卸売価格、小売価格、これを市乳及び乳製品の両方に分けまして三十二年の五月までの数字を出しております。  六表が学校給食のために出しました脱脂粉乳の供給量でございます。国産品と海外からの輸入量と両方を対比いたしております。  第七表、これは現在酪農関係予算といたしまして大体考えられるものを計上しておきました。ただ、これはたとえば事項名で申しますと畜産技術振興に必要な経費三千三百四十七万七千円となっておりますが、これは単に乳牛にとどまりません。そのほかの家畜も入っております。その他以下同様になっておりますので、その中で私たちの方で一応これは酪農の方に向けられるであろうという推定をいたしましたものを次の欄にそれぞれ出してございます。これはこの予算総額の総計数字がございませんが、総計数字をちょっと申し上げておきますと、予算総額八億九百三十二万六千円、そのうち酪農に入っておりますものが六億四千二百十四万一千円というような数字に相なります。それから(2)の方は統計調査部の方で統計等の関係で主として酪農の方に使われておる予算を掲げてあります。それから(3)の振興局関係でございますが、これは主として新農村建設の中にいろいろの項目が入っておりまして、三十二年度二十七億六千八百万計上されております中で、これは村の方の計画が上りました場合に、その中で酪農関係の方に使われることに相なるわけでありますが、これは数字がはっきりいたしません。三十一年度におきまする実績を申し上げますと、約一億九千二百九十一万円程度が酪農関係に使われておるというふうに考えております。  次のページもこれは農林漁業金融公庫の中で、これは単に酪農だけではございませんが、主として酪農になると思いますので、全部掲げておきましたが、約十億の融資が予定されておるわけでございます。  (5)のところに掲げましたのは、現在開拓地の方は別の局の予算になっておりますが、その中で乳牛を導入いたしておりまする予定表というものを一応御参考に掲げておきました。  それから八ページのところには、国で持っておりまする種畜牧場、8の国の施設の概要のところでございますが……。あとで少しミス・プリントで訂正いたしましたので、ページが狂って失礼いたしましたが、8に、国の施設の概要、種畜牧場現況一覧というのがございます。これは種畜牧場の中で、それぞれ経営をいたしております家畜が違っておりますが、この中の乳牛といたしておりますのが酪農関係に相なっております。  そのあとのページは、家畜衛生の関係から、乳牛の方にかなりの重点を置いておるわけでありますが、これはどの程度がどうというふうに、金額的にちょっと出しにくいものでありますから、一応現在の家畜衛生の組織、仕事の内容等を御参考までに摘録いたしておきました。  以上大体資料の御説明であります。
  151. 島村軍次

    ○島村軍次君 時間の関係がありますから、要約して、まず文部省の学校給食と畜産の関係について伺いたいと思います。  第一に、学校給食の問題は、本日は局長がおいでにならぬことは、はなはだ私は遺憾だと思います。それは片手間に学校給食というものを考えておられるというそしりを免れぬと思いますが、これは私の感じといえばそれまでのことですけれども、このいろいろな印刷物を見ましても、とにかく学校給食に関するわが国民の栄養上の立場から、あるいはまた健康上の立場から、これは非常に重要なものだと思うのですが、かような見地から、まずこまかく伺ってみたいのは、地方の実情を申し上げまして、普及の率から申しますると、まだ全部にわたっていないようでありますが、まず第一に、学校給食に関する設備が不完全である、それからそれに伴って、現在畜産統計に上っておるように、学校給食用のミルクは、輸入のものを主体にした脱脂ミルクが主体である、それから同時に、主食になるべきパンは、食糧庁の配給を受けて、それを委託加工をして、そうして配給されておる、ところが、まずこの主食の方については、露骨に申し上げるというと、パンの質が非常に悪い、これは元来が補助基準というものが、戦時時代のそのままを踏襲されて、しかも、一食分について一円というような額で、あてがい扶持である、従って、父兄の負担が、たしかこれは二十何年でしたか、四、五年前の基準をもってやった、従って、父兄の負担が非常にふえておる、それから砂糖なり、いわゆる副資材に関するものが、やはり一定の基準額をもってやっておる、もちろんこれらの問題を十分とは考えていないと思うのですけれども、このごろのまあ統計を見ましても、ずいぶん小学校なり中学校の子供の体位がよくなっているけれども、こういう基礎になるところに、学校給食そのものに非常な、従来のそのままをもって、不良なものとまあ申し上げては語弊があるかもしれぬが、きわめて貧弱な、ちょうど戦時中のような給食をしておる、そのままを踏襲しておる、こう申し上げてもいいと思う。こんなことで一体給食そのものが完全と考えておられるかどうか。それから、同時に脱脂粉乳の内容を見ますると、これは調理の方法も悪いんだろうと思うんですけれども、いなかの例からいきますと、子供が乳を飲むことをきらう、そうして同時に、乳を飲むと下痢をするという先人観を持っておる。パンは悪し、ミルクは下痢をするんだというんでは、一体学校給食というものは、どこに目標を置いておるのか、子供はパンを食べぬでそのまま持って帰る、牛乳は飲まぬでそのまま放置しておる、こういうふうなのが現実に私はたくさん知っております。実例をあげろといえば私は申し上げますが、こういうふうなことは、一体文部省というものはどういうふうに考えておられるのか、まずこの点から一つ伺ってみたい。
  152. 宮川孝夫

    説明員(宮川孝夫君) 局長が、実は七月五日からジュネーブで国際教育会議がございまして、そこに出席をいたしまして、目下次官が事務取扱中でございますので、私が御説明に上ったような次第であります。御了解いただきたいと思います。  ただいまお話のございました設備が不完全である、これは学校給食法が二十九年の六月に公布になりまして、これでこの施設、設備の補助に対しまする措置が若干できたわけでございますが、まだ、先ほど申し上げましたように、十分な補助はできない状態でございまして、現在新しく始めようとする学校数に対しますと、まあ三分の一位きりしか実際は回っておらないというような状況でございます。それでもう一つは、給食法の補助に対する規定が、学校給食を開設する場合に補助を与えると、こういうふうな規定になっておるわけでございます。従いまして、学校給食法の公布以前におきまして学校給食を実施しておるという学校は、補助の対象外になるということになっておるのでございます。この点は従来から学校給食を実施しております学校は、相当の無理をいたしておりますので、この給食法を改正をいたしまして、いわゆる学校給食の実施に必要な施設、設備の補助ができるようにしてもらいたい、こういう要望を、従来から学校給食をいたしております学校側からは受けておるわけであります。しかしながら、現在は学校給食がまだまだ普及の段階にございます。特に中学校等につきましては、まだ始めたばかりであるというような状態でございますので、それに予算そのものも十分満足の程度まで獲得もできないというような状況からいたしまして、従来のものにつきましては補助をいたしておらない。ただ県の教育委員会等を通じまして、従来の設備で不十分のものは、これはできるだけ施設者において改善をしてもらうように私どもとしては指導をいたしておるわけであります。  それからパンの問題でございますが、これは島村先生のおっしゃる通り、私どもも十分りっぱなパンを与えておるとは思っておりません。終戦後の非常に食糧事情の悪かったときの配給パンの基準をそのまま実は使っております。それでこれらの問題は、現在学校給食は、文部省に保健体育審議会というものがございまして、その審議会に、学校給食の分科審議会というものがございます。この中ででき得れば、この九月から小学校から高等学校を通じまして一貫した実情に沿った基準を作りまして、そうして実施をして参りたいというので、目下会議を継続して開きまして検討を進めておるわけであります。ただパン粉の問題が業界方面からは、混合びきにしてもらいたいという要望を強く受けておるわけであります。それらの点も農林省とも十分お話し合いをいたしまして、いろいろの面から混合びきにした方がよろしいのだという結論が出るならば、一つこれらの改善もやって参りたい、こういうふうに考えております。
  153. 島村軍次

    ○島村軍次君 混合食ですか。
  154. 宮川孝夫

    説明員(宮川孝夫君) 混合びきと申しますのは、単びきというのでございますか、いろいろのものをまぜまして、そうしてひくらしいのですね。これはパンの業界で使っておりまするパンは、混合びきのものを使っておるというように私どもも聞いておるわけであります。
  155. 清澤俊英

    清澤俊英君 製粉の際ですか。
  156. 宮川孝夫

    説明員(宮川孝夫君) 製粉の際です。こういう面も私どもとして聞き流しておるわけではないので、今のような基準の改訂に沿いまして、こういう問題も農林省の専門的な御意見を伺った上で、できるだけ改善をして参りたい、こう考えて今操作中でございます。  それからもう一つ、粉ミルクの問題でございます。これは終戦後アメリカ側からもらいましたもので実施をしておりました当時は、かなり悪いミルクも実際にあったわけであります。で、その当時は、これを飲みますと、下痢を起すというようなことも間々聞いたわけでございますが、現在は幸いにミキサーができまして、ミキサーで十分に攪拌をいたしまして給食をする、で、そういたしますと、攪拌が十分になって参ります関係上、今までのような非難は非常に少くなって参ったように思うのであります。まあ私どもとしては、この粉ミルクが現在のところ比較的低廉に入手をいたしております等の関係からいたしまして、かつまた栄養的な面からもかなり重要視しておるような関係上、これで下痢をするというようなことはないようにいたして参りたい、かように思っております。
  157. 島村軍次

    ○島村軍次君 この学校給食の問題は、ただひとり文部省の所管だけにとどめるということは、私はいかぬのじゃないかと思うのです。これはまあ理屈は申し上げるまでもないところですから省略しますが、厚生省なり、あるいは農林省の畜産局及び食糧庁あたりが一丸となって、そうしてこの推進をはかっていかにゃならぬと思うのですが、こういう問題に関しては、何かそういう連絡会議というものをお作りになっていますか。
  158. 宮川孝夫

    説明員(宮川孝夫君) 今仰せになりました問題につきましては、事務的には絶えず連絡をいたしております。特にこの粉ミルクが輸入されます場合におきましても、この検査は厚生省の方で全部検査をしていただきまして、合格品のみを使用するというようにいたしておるのであります。  それからパンの問題につきましても、パンの品質向上のために、農林省と私どもは一緒になりまして、食糧事務所の職員と、県の教育委員会の職員を集めまして講習会を開くとか、あるいは末端におきまして各学校から。ハンの供試体を提供させまして、これを共同で検査して品質の向上をはかるというような工合に、あらゆる面におきまして連絡を十分にとっているわけでございます。先ほど申し上げました学校給食の分科審議会の委員にも、農林省側からも厚生省側からもそれぞれ適当な方をお願いいたしまして御審議を願っている、こういうふうな工合に連絡は十分とっているわけであります。
  159. 堀末治

    委員長堀末治君) 島村さん、ちょっとお待ち下さい。今宮川君からのお話のあった混合びき、ちょっとわからないようでしたから、幸い食糧庁の需給課長がよくわかっているそうですから、小池君からちょっと説明して下さい。
  160. 島村軍次

    ○島村軍次君 簡単に……。
  161. 小池彌六

    説明員小池彌六君) 簡単に御説明します。ただいまの混合びきということは、現在御承知のように、原麦、小麦の原料の原麦にはかたい、硬質のものであるとか、あるいは軟質のものであるとか、いろいろあるわけでございます。カナダの小麦とか、アメリカの小麦とかいろいろあるわけでございます。それらを別々にひいて、それで別々に政府の方で売り渡しをしているわけであります。それをパン屋さんのところで一定の割合でまぜまして、それでパンを作るわけでございますが、今の混合びきという問題は、製粉工場でもって原料をまぜまして一ぺんにひいちゃう、それでそういう粉を今度パン屋さんがそのままを使う、パン屋でまぜることをしないで、原料の段階で製粉工場でまぜてひく、そういうものでございます。
  162. 島村軍次

    ○島村軍次君 配給パンは、今のお話を聞きますというと、戦時中のそのまま使っている、それで栄養改善というものが一体期せられるかどうか。この間の新聞に出ておった高等学校の体格を見ますと、戦時中の子供は体格の、身長も、体重も栄養不足であったという関係からよくないということで、基礎になる小学校の子供にこういう栄養の足らぬ戦時中の配給パンを——生きているんですよ。改善するったっても、これは今研究なんかしておっては私は間に合わないと思うんですが、農林省はこういう問題に対しては、一体食糧庁関係で学校給食用のパンに対して、原麦に対してどういうふうな考えを持っておられるか、給食用の原麦ですね。戦時中の基準と同じようなものを使っておって、混合びきのお話はこれから相談をするというようなことでは、これは非常におかしな問題だと思うんです。一応一つ食糧庁の方から……。
  163. 小池彌六

    説明員小池彌六君) 私どもが原麦を粉に委託加工をする場合におきましては、いろいろ現地の事情等を文部省を通じて伺いまして、それで現地の事情によく合うように、それぞれの原料の麦をそれぞれの地方で委託加工して、その粉をそれぞれの県の給食課に入れるというわけでございます。
  164. 島村軍次

    ○島村軍次君 だんだん承わりたいこともありますが、時間の関係もありますから、また他日に譲るといたしまして、牛乳の生産が非常にふえて、市乳が、この統計によって見ましても、その増加の割合というものは目ざましいものがあるということがうかがわれるわけですが、ところが、学校給食に関する限り、脱脂粉乳を使っておって、ミキサーを使って質はよくなったという弁解はありましたけれども、これはもう脱脂粉乳にたよっておって、しかも、設備のないところで、また精神的に脱脂粉乳では味が悪い、しかも、下痢をするのだという先入観がある。これはむしろ市乳も相当ふえたんですから、市乳の普及に対して、これは文部省の要求を待つまでもなく、農林省においてこの消費の面に対して、学校給食に対する施設をうんと拡充してやるべきじゃないかと思うのですが、何かこれらの関連における積極的な対策をお考えになっておりますか、どうですか、一つ畜産局長から……。
  165. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 今御指摘の問題は、非常に私たちとしましては重要な問題だと考えております。数年前に需給のバランスがくずれましたときには、学校給食をなま乳でやる、そのために施設等について補助しよう、こういう施策を数年前に行われたわけでありますが、その後現在までの状況におきましては、その他のところに乳が流れる状況に経済的に相なって参りまして、当時の成果をそのまま発展さしていくことの実際問題としてできなかったことを非常に残念に思っております。でありますが、御指摘のように、幸い非常に生産の方は伸びております。市乳の増加率もかなりいい成績で伸びておりますが、若干、近年増加率が少し低めになってきつつある状況でございます。そういうような形で、今後なま乳の供給が、学校給食等につきましても考慮される事態が漸次起きて参ろうと思います。そういうような問題が生じまするようなときに、この学校給食になま乳が使われるようになりますれば、非常に私たちとしてはおもしろい政策であり、また望ましいことである、かように考えておる次第でございます。
  166. 島村軍次

    ○島村軍次君 文部省、その点に対してはどういうお考えですか。
  167. 宮川孝夫

    説明員(宮川孝夫君) 生乳を学校給食に使いますこと、そのことにつきましては、私どもも全く賛成であります。ただ問題は、学校給食費のこの負担能力の問題が実は私どもの学校給食実施上は大きな問題になるわけであります。昭和三十年の六月に指定統計で学校給食調査というものをいたしたわけでありますが、そのときの調査によりますと、大体郡部等におきましては、一食当て十二円程度でやられておるようであります。十二円と申しますと、大体文部省が現在考えておりますものは、大体パン等の父兄負担を四円九十銭と本年度考えておるわけでございます。それから粉ミルクを飲むといたしますと、大体一円二十九銭、二十二グラムを約一合にいたしまして飲ませる、こういう考えであります。それに料理を八円五十銭と見ておるわけであります。そういたしますと、私どもの机上の計算だけでも十四円と六十九銭というものになるわけであります。これを月二十食実施いたしますと、大体二百八十円から三百円の負担になる。で、生乳は非常にけっこうでございますけれども、これをどの程度の安価に料金をしていただくかということが、学校給食で使用いたす面からいいますと一等の問題になるわけであります。そういう面が解決いたしまして、でき得るだけ安い価格で給食に提供していただけるならば、私どもは喜んでこれは使わしていただきたい。実は三十一年度農林省お話し合いをいたしまして、この酪農指定地域、全国六十一カ所の中で、この生乳の殺菌設備をしたいというところがあれば、それに補助をしていこうという話をいたしまして、七百九十三万円ほどの予算を計上いたしたわけであります。それで農林省お話の上で各県に回しまして希望をとりましたところが、岐阜県に一校と岡山県に一校、それから北海道に一校あったわけであります。ところが、北海道の方は途中でやめたいという申し出がありまして、結局岐阜県に一校と岡山県に一校、一校当て二十六万円に対しまして十三万円の補助をするということでございまして、二十六万円の補助で二カ所の学校だけがこの施設をしたというようなわけでありまして、これらの問題もやはり生乳の値段の問題が大きな問題になっているんだというように私ども考えているわけであります。
  168. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、学校給食に使っておるパンは、今四円九十銭と言われたんですね、そうすると、普通の市販のコッペパンというようなものでも十円でしょう、半分の値段でいいものが出るはずはないですよ、そういうふうに考えられませんか。それから一々聞けば際限がないことですが、副資材についてはやっぱり基準を持っているでしょう、だから砂糖にしたって、油にしたって、そう大した基準量以外のものではいかぬというようなことでやっておる。それから進んで製粉に対する委託ですがね、これは食糧庁の所管になるんでしょうが、われわれの聞いておる範囲では原麦を委託加工にすると、そうしますると、政府は価格の安いものを買って高く配給しておる、これに対しての食糧全体に関する食管会計の問題があるわけですが、この方でもうけて、そうして米の問題と関連をして食管会計をまかなっておるというのが現状です。しかも、この委託加工をするのは、率直に申し上げれば、委託加工の結果はふすまをよけいに出して、委託業者がもうけるといえば失礼ですが、その差額のものは食糧庁へ逆に返納するといいますか、納めるというような形をとっている。こういうような問題であまりにこの国民の基礎になる小学校の学校給食を始めておいて、すべてを型にはめて事務的に処理しておるというところに私は非常に大きな矛盾があると思う。食糧庁の方ではこういう問題についてはどうお考えになっておりますか。長官おいでになっておらぬようですが、まあ御答弁はそれではきょうは時間の関係がありますから要求いたしませんが、次の機会までに一つこの問題に関する見解をはっきりしていただきたいと思います。  それから文部省の方は、今申し上げた第一に設備の問題、それからパンの問題、パンの品質の問題、それから脱脂粉乳のミルクの問題、そうしてあわせて生乳に関する問題、私はむしろパンへ生乳を加えて混乳で給食するというようなことに考えれば、非常にこれは子供自身が好んで飲むということになると思うんですが、そういう問題、あるいはミキサーの設備をどうするとかいうような問題については、もっと一つ基本的な問題として御考究を願い、かつ、小麦粉の委託については、食糧庁なりあるいは畜産局は、これらが将来の学校給食に関していかにあるべきかというような問題を、食糧管理の審議会をお開きになるような暫定的のものでなくて、将来の基本的な問題を一つ取り上げて、同時に、厚生省はただ食品の取締りという問題だけに考えずして、この基本的の問題についてあわせて十分な——環境衛生の取締りの法律を作ることばかり考えぬで、一つこういう将来に対する問題として検討を加えてもらいたい、こういうことを希望いたし、なおかつ、本来ならば委員会において委員各位の御賛同を得て希望決議でもすべき素材のものだと思うんですけれども、なお皆様の御質問もありましょうし、次回に譲りまして、この問題はさらに検討を加えるということで、本日、私は委員長から時間を制約されましたから、一応この程度で質問を打ち切ります。
  169. 東隆

    ○東隆君 私は、脱脂粉乳の問題をお聞きしたいんですが、だいぶ学校給食に回ったのがやみに流れておるというような話も聞いておるんですが、今後海外からの輸入の見通し、それから国内製品でどういうような需給関係になっておるか、そういうものをお話し願えませんか。
  170. 清澤俊英

    清澤俊英君 それに付帯して。脱脂粉乳の問題で、この表を見ますと、脱脂粉乳が、内地の分が、二十九年が五百トンというやつが、だんだん三百トン、百トンと減って、三十二年には五十トンになっている。その半面、輸入の脱脂粉乳が非常に高率にふえております。九千トンから一万五千トン、一万九千トン、二万三千トンというふうにずっとふえておる。その半面、内地の脱脂粉乳の生産量が、二十七年を一〇〇としてここへ出ておりますが、これも約倍額ぐらいふえておる。国内の生産粉乳がふえておるにかかわらず、外国のものがたくさん配給せられて、逆に日本の国内製品が減ってきている。こういうことはどういうわけで出てきたんだか、それもついでに一緒に一つ御説明していただきたい。
  171. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 主として脱脂粉乳の問題でございますが、学校給食の脱脂粉乳の問題は、これは米国からの学校給食のための贈与というような形におきましての数字が大部分であろうかと思います。この数字の増加いたしておりますものは、おそらく学校給食関係計画が大きいからこうなったのではないかと思いますが、国内の脱粉の学校給食に回りますものが漸次減って参っておるこの点は、実は脱脂粉乳の需要が国内におきまして非常に高まっておるわけであります。従いまして、年度当初に私たちが学校給食の方、に国内産のものを回そうという計画がその後の市場の状況によりまして、価格その他の面から、実はなかなかつり合いがとれない、そういうような状況が出て参っております。従いまして、そのような数字に漸次減ってきておる。全体の生産量が非常な勢いでふえておりますのにもかかわらず、そういうような格好になっておる状況でございます。それで脱脂粉乳の問題は、これは、御存じのように、バターと非常に問題があると思います。バターを取りましてそのあとのものを脱脂粉乳にいたすわけでございますが、従来むしろバターの方が需要が比較的に強かった。従いまして、脱脂粉乳のものが割合割安に市場に出ておった。近年むしろ脱脂粉乳の方が需要が非常に増加して参りました。これはハウザー式の宣伝であるとか、あるいはこのごろの家庭料理等の栄養上の点からの増加でありますとか、いろいろとそういう面におきまする脱脂粉乳の需要が急速に増加いたして参っております。そういう関係から、現在のところ、むしろバターの方の市況が重くなっておるのにかかわりませず、脱粉の方が値段がかなり高くなっておる、需要が強い、こういうような事情に相なっております。これは、今後バターの対策をどうするかという問題と含めまして議論をすべき問題であろうと考えております。また、その問題とひっからみまして、従いまして、バターあるいは脱脂粉乳という形をとらないで全粉乳といたしましての生産を増加させるというような形が今後進んでゆきましょうし、また、そういう方向に需要面の増大をやっていくことができますれば、これはまた一つの新しい方法ではないか、まあ着実にこのごろは全粉乳かそういう意味でも伸びておる、さような状況でございます。
  172. 田中啓一

    ○田中啓一君 資料でありますが、文部省の方へお願いをいたしたいのです。本日「実施状況」という子供の数だけ書いたのをいただきましたが、これをもっと発展せしめまして、A型とかB型とか、私どもよくわかりませんし、それはどういうものだということ、それでいわば学校給食の白書みたいな数字を入れたものを、どうせ次回は一月ほどあとになりますから、お作りを願いたい、なかったら。やはり学校給食は積極的にやっていくべきものだと思いますから、それにはやはり現状かどこまで進んできたということを知ることは非常に大事なことで、私どもまた熱心に第二段の推進をやりたいと思っておる。これは文部省に対するお願い。  それから次に厚生省にお願いしたいのは、最近いろいろ栄養関係がよくなったというので学校の生徒も非常に身体がよくなりましたのでありますが、あの近日発表になりました文部省の学校の生徒、児童、学生等のああいうような体格がよくなったということは何に基くであろうかということの一つ分析をやっていただきたいということが一つ。と言うても、私は学校の生徒の食べ物で厚生省の栄養基準から見られたら、まだまだ不足しておるものがたんとあるだろうと思うのです。それを実は具体的に何を何ほど食べさしたらいいのか、これはもう季節別くらいにやってもらいたい。たとえばニンジンをこのくらい食わせるとか、こっちは農業ですから、この委員会は、そういう農産物を作らなければいけないのです。で、そこで、初めて農業と厚生が手を握っていくことになると思います。そういった一つ資料を、これはずいぶんうんちくを持っておられるのでありますから、なるべく具体的なわかりやすい一つ資料をお作り願えぬかということであります。
  173. 上林忠次

    ○上林忠次君 大体先ほど島村君の話したように、うまくないのを食わしておる。戦争中、戦後のあの状況とちっとも変らぬような給食をやっておるというので、これが国民体位の低下を来たしておるもとだと、先ほどの話の結果では最近体位が向上しておるのだというふうに言いますけれども、果してあの給食で皆が満足して食っているのか、食わないのか。食わないとなりますと、これは何とか考えなくちゃならぬ、ああいうような粗末なものでいいのか、食わない。無理に食わないようなことにして、国民体位が反対に、もう少し増大さるべきものが増大されないという傾向にあるんじゃないか、そういったことを考えますと、給食を皆喜んで食っているかどうか、その調査。私の聞いているところでは、学校給食はまずいので、皆食わない、昼飯は持っていけない、これで営養が欠損しているのであれば、これは国民体位の問題からいうと大問題だ、果して皆が喜んで食っているかどうか、その調査を文部省から一つ、一応この統計の数字がありますならば出していただきたい。
  174. 堀末治

    委員長堀末治君) 本件については、まだまだ検討すべき点がたくさんあると思いますが、御承知通りきょうは三時から議長の催しがございますので、本日は、と思います。これで散会いたしたい   —————————————
  175. 堀末治

    委員長堀末治君) なお、その先に同僚羽生委員から、緊急の問題について、ごく簡単な委員外の発言を要求されておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 堀末治

    委員長堀末治君) それじゃ、どうぞ羽生さん。
  177. 羽生三七

    委員外議員(羽生三七君) 時間がありませんようで非常に恐縮でありますが、簡単にちょっと発言させていただきます。  実は、私の長野県の下伊那地方の災害のことでありますが、これは実は新聞やニュースにあまり大して報道されませんでしたけれども、実際にはわずかな地域で死者が二十名、重傷四十一名、軽傷者は数知らずであります。災害の総額は、今までわかっておる範囲で二十何億、まあおそらく数十億に上るだろうと思います。建設省は災害のことで翌日すぐ係官を、私大臣にお目にかかってお願いしましたが、派遣しました。それから農林省も先日、農林大臣の部屋で関係の方に御参集をいただきまして、すぐ災害復旧課から派遣をしていただいたことと思っております。しかし、何分にも僻遠の地方でありまして、一部には道路の欠壊がわずか三里の間に七十数カ所もあり、食糧の運搬もできないので、自衛隊が今二百四十名出て、背中で食糧を運搬してくれているというような事情、あるいは春繭の出荷ができませんから、これも自衛隊が一部かついで出してくれるということもありますが、これらの関係はそれぞれ片づいたと思いますが、いずれにいたしましても、何とか高率適用を受けなければ、全然復旧の可能性もないというような事情にあるわけであります。そこで、当委員会で、もし見ていただけるならば、現地に出張していただけるならば、はなはだありがたい次第でありますけれども、費用の関係等、それが困難であります場合には、どうか当委員会におきまして、高率補助の適用その他この救済について何らかの御措置を願えれば非常にありがたいと思います。衆議院でも近くやって下さるそうでありますし、建設委員会でもやって下さるそうでありますので、特に、きょうは委員外でありますが、発言をお許しいただきましてお願い申し上げる次第であります。  どうかよろしくお願いいたします。
  178. 重政庸徳

    重政庸徳君 いつの災害ですか。
  179. 羽生三七

    委員外議員(羽生三七君) 先月の二十七、八の両日であります。
  180. 堀末治

    委員長堀末治君) 羽生さんに申し上げますが、せっかくのことで、われわれも出かければいいですが、実は、あす、あさってすでに約束した予定もできておりますので、ちょっときょうはその御相談はできかねる、委員としては発言はできないかと思いますが、幸い農地局長ここに出てきておりますから、農地局長から御答弁いただいて、至急農林省を督励して御趣旨に沿うようにいたしたいと、かように存じます。
  181. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 台風第五号と言っておりますが、豪雨——羽生先生御指摘の豪雨でございますが、長野県、岐阜県、特に長野県に大被害がございました。南信地方を中心に冠水、流失、埋没、井せきのたくさんの被害がありまして、刻々に被害額の増大が報告されておりまして、私どもの方からは今人を派遣して現地調査中でございます。統計調査部で調べていることもございますが、よく実情把握をすみやかにいたしまして、お話のような御趣旨に沿うように努力をしたいと思っております。他の局の方にも省内連絡をいたします。
  182. 清澤俊英

    清澤俊英君 この問題で、大体局長もそう言っておられるのだから、経費の関係上見に行けないというならば、明日までにそちらの方で一応決議を作っていただいて、あす出発前にそれだけ決議をしておいたらどうかと思います。きょうこれから間に合わぬなら、十二日のあすの出発前に、ここに零時二十分に集まるのだから、そのとき、ものの一分か二分もあればいいのだから、原案を読んでもらって一応決議して、決議の形式を整えて関係大臣に……。
  183. 堀末治

    委員長堀末治君) 委員会を開くのですね。
  184. 清澤俊英

    清澤俊英君 委員会を開くのだろう。行くときに集まるのだから、委員会の一部です。委員会が全員行くのだから……。
  185. 堀末治

    委員長堀末治君) 委員会を開くことにいたしましょう。それじゃ、清澤さんの御趣旨の通り委員長の方で取り計らうことにいたします。
  186. 羽生三七

    委員外議員(羽生三七君) よろしくお願いいたします。
  187. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは本日は、これにて散会いたします。    午後三時八分散会