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1957-05-14 第26回国会 参議院 内閣委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十四日(火曜日)    午前十一時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之介君            秋山 長造君            竹下 豐次君    委員            植竹 春彦君            木村篤太郎君            迫水 久常君            前田佳都男君            松岡 平市君            松村 秀逸君            荒木正三郎君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            永岡 光治君            八木 幸吉君   政府委員    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    人事院事務総局    給与局次長   慶徳 庄意君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室参事官   尾崎 朝夷君    自治庁財政部長 小林與三次君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○一般職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○国家公務員共済組合法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付)(第二十五回国会継続) ○国家公務員共済組合法の一部を改正  する法律案伊藤顕道君外六名発  議) ○公共企業体職員等共済組合法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより内閣委員会を開会いたします。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上、三案を一括して議題に供します。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をやめて下さい。    午前十一時九分速記中止    ——————————    午前十一時二十三分速記開始
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起して。  それじゃ、地域給関係に入る前に、昨日の関連した点で、秋山君からちょっと質問したいということですから、それを済まして、それから移ることにしますから、御了承願います。
  4. 秋山長造

    秋山長造君 人事院へちょっとお尋ねしたいのですが、養護学校ですね。養護学校の教員については、第三表の適用があるのだろうと思うのですが、そう了解してよろしゅうございますか。
  5. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 俸給表適用範囲人事院規則案資料として国会に御提出申し上げてあるわけでありまするが、その中の教育職俸給表目適用範囲といたしまして、第十条にその範囲をあげております。どうもうかつで申しわけないのでありますが、国立養護学校はあったかどうか、ちょっと私ははっきり記憶はないのでありますが、ただこの養護教諭養護助教諭というものはございまして、養護教諭養護助教諭は、教育職俸給表適用いたすことに相なっております。
  6. 秋山長造

    秋山長造君 この俸給表適用範囲案という今御指摘のところを見ますと、第十条の二号のところに、「国立大学の学部に置かれる附属の盲学校又はろう学校に勤務する云々」で、養護学校ということがないのですが、これは、養護学校はあるのじゃないですか、養護学校という正規の名前のついた学校があるのじゃないですか。それは、この本を見ておると、私今ちょっと何ページにあったか見つからぬのだが、これありますよ、たしかこの中に。あちこちに養護学校というのがある。
  7. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) もう一度はっきり調べますが、国立にはたしかなかったと思うのでございます。それで、この人事院規則案におきましても、これは、御承知通り国立のみを対象としてありますので、国立にないために、養護学校というものがこの上にはっきり出ていなかったとたしか記憶いたしておるのでありますが、その点、もう一ぺんはっきり確かめて、お答え申し上げます。
  8. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) なお、ただいま御指摘の現在の関係法令集には、人事院規則でそういう言葉が載っておるのではないかというお話でございますが、現在の規則細則等には、地方のことまで考えまして書いてある部分がございまするので、今度の案には、一応国の場合を中心に書いておりまするので、多少その間にちぐはぐが出ておるかと思います。
  9. 秋山長造

    秋山長造君 今の点は、一つ至急に文部省の方で調べて見て下さい。私確かにあると思うのです。私はあると聞いているのに、これを見ると、養護学校というものが抜けているから、どうしたろうと思って。
  10. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 教育職俸給表の(二)ですね。人事院区分表、この(二)のところに養護学校があるが、これはなんですか、書いてあるでしょう。これは間違いですか。
  11. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまのお話教育職俸給表の(二)の備考に、養護学校というのがあるという御指摘でございますが、ことに養護教諭というのが書いてあるわけでございます。
  12. 亀田得治

    委員長亀田得治君) いや、私の言うのは、あなたの方からもらった区分表教育職俸給表(二)に、組織というところに、養護学校というのが四番目に入っているでしょう。養護学校があるから、養護教諭というものがあるのでしょう。
  13. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまの問題につきましては、なおちょっとはっきりいたさぬ点もございますので、十分調べてお答え申し上げますが、たしか国立学校には、養護学級というのはあるのでありますけれども、養護学校というのは、国立の場合にはなかったのじゃなかろうか、地方公立の場合には、養護学校というのがあるように記憶しておりますが、なお十分調べまして、お答え申し上げます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 関連。人事院の方では、養護学級はあるが、養護学校はないということですが、公立養護学校現実にありますよ。たとえば、一例を申し上げますと、群馬県の太田市に、結核の児童を学ばせながら、学習しながら療養するために、県立の、太田養護学校現実にあるわけです。もちろん養護学級は、学校によって一学級とか二学級当然ありますが、人事院がないというのは、それは当らないと思う。現実にそういう養護学校があるわけです。であるから、そこに養護教諭もおるし、また養護教諭は、養護学校だけでなしに、養護学級の設置せられておる学校にもむろんおるわけですからね。そういうわけで、ないということは言えないと思う。現実にはある。ただ数は少いですね。
  15. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま私が申し上げたのは、国立の場合は、養護学校というものはないのじゃないだろうか、はっきりしませんが。公立の場合にはもちろんあります。国立の場合には、養護学校というものはないのじゃないだろうかと思っておりますが、たまたまわれわれの方から御提出申し上げました代表官職例のところに、養護学校と書いてあるものでありますから、多少あいまいな点がありますので、さらに取り調べまして、お答えを申し上げます。
  16. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは引き続いて質疑を行なって下さい。
  17. 永岡光治

    永岡光治君 これは、地方自治庁の方にお尋ねいたしますが、御承知通り町村合併が行われまして、その際には、全く同一条件で、そういう不均衡是正を行えというのが強い要望事項として出ておったはずであります。いまだにその問題は解決していないのでありますが、自治庁といたしまして、どういう御努力をなされておるのか。そしてまた、今後の問題でありますが、この改正機会において、私たちできればこれを解決いたしたいと考えておるわけでありますが、自治庁当局としての要望の所信といいましょうか、そういうところを一つ御説明いただきたいと思います。
  18. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 合併に伴いまして、勤務地手当の問題が特に事柄が面倒になったのは、今お話通りでございまして、これは、自治庁だけの気持をここで申し上げましてもいかがかと思うのでございますが、われわれといたしましては、勤務地手当で、できるものなら行政区画単位に変えていただく方が一番いいのじゃないかという希望は、かねがね持っておったのでございます。これは、合併と変りなく、現在の制度がそうなっておりませんところに基本があるのでございまして、特にこういう勤務地手当制度を変えるような機会には、できるだけそういう方向に持っていきたいという希望をもって、この法律の立案の際にも、いろいろわれわれといたしましても希望も申し上げ、国会でもいろいろ御論議のときにも、そういう御意見を申し上げたことがございますが、この間いろいろな事情がございまして、こういう形で多少はこれで緩和されるということも事実だろうと思います。また、今後も衆議院の方におかれまして、できるだけ早い機会にやろうという御希望のようでございまして、われわれも、その方向をできるだけ早い機会に実現させたいというふうに考えております。
  19. 永岡光治

    永岡光治君 人事院お尋ねいたしますが、今度のは、体系の合理化という建前勧告されたのでありますが、その際、地域給について、なるほど昭和二十九年の五月でありましたか、勧告をされたものが生きておるのは仕方がないのでありますが、町村合併等の問題もあるのでありますが、こういう地域給改訂についての勧告をなぜ合理化しなかったのか。これだけ残した理由はどこにあったのか。そして今後、従ってどういうふうにこれを措置されようと考えておるのか、そういう基本的な問題をお尋ねいたしたいと思います。
  20. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 人事院といたしましては、地域給改訂に関する勧告が、先ほど永岡先生の御指摘のように、昭和二十九年に勧告をいたしておるわけであります。同時に、その勧告におきましては、町村合併等の行われたものにつきましては、人事院に御委任を願いたい。そのつど法律改正することなくして、人事院規則の運用によりまして、これを時々刻々情勢変化するのに応じまして改訂していくという弾力条項人事院におまかせ願いたいという趣旨を含めまして、勧告をいたしておるわけであります。法形式論を申し上げて申しわけないのでありますが、法形式論からいたしますれば、その勧告は現在でも有効であるということは、御指摘通りであります。ところが、実際問題といたしましては、その後において相当期間の経過もありまするし、さらにまた、従来一万以上もあった町村合併されまして、四千未満というようなふうになって参っておる。当時予想しておったより以上激減しておるというような実態的変化もございまするし、また、物価の方面から見まするというと、都市と地方とが漸次物価較差が解消してきておる。もちろん、生計費賃金等において、依然として相当較差がありますけれども、少くとも物価では、逐次較差が縮小いたして参ってきておるというような、勧告におけるいろいろの情勢変化があったことも事実でございます。しかしながら、人事院としましては、この問題は非常にむずかしい問題でもございまするし、また、先ほども申し上げたように、すでに勧告もいたしておるという慣例もございますので、事務当局としては、幾つか今までも検討を重ねて参ったのでありますが、人事院という立場において、最終決定する段階に至りませんでしたので、この際は、俸給表合理化ということに重点を置きまして、できれば第二段階の問題として、地域給の問題と取っ組んで、合理化をはかりたいというような趣旨のもとに勧告をいたした次第でございます。
  21. 永岡光治

    永岡光治君 合理化の線は一応考えたけれども、そこまで手がつかなかったという、つづめて言えば、そういう御答弁でありますが、そうしますと、これは検討を進めて今までもずっと来ておるのが、地域給だけは内容検討していないのか、つまり私の聞きたいのは、七月十八日ですか、一応勧告をし、報告をしなければならぬ期限が来ておるのですが、その際に、当然私は、二十九年の五月に勧告されて、そのまま放置されておる地域給の問題でありますので、その間に相当の不均衡の生じておることも事実であろうと思うのであります、ましてや町村合併等の問題であれば、なおさらのことであるわけでありますが、そういう問題についてこの際取扱うということで検討しておるかどうか、その辺の事情一つお尋ねをいたしたいと思います。
  22. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 先ほどお答え申し上げましたように、人事院としては、給与法の第二条第六号にも書いてありますように、常時調査研究することが人事院責務でございます。従いまして、人事院としては、従来とても常時諸費研究を進めて参ったことは事実であります。しかし、これはあくまでも事務当局として調査研究して参ったのでありまして、人事院という立場において公けに意思表示をするという段階にまで至っていない。それがために、公けには意思表示していないようなことが真意だろうと思うのが現状であります。
  23. 永岡光治

    永岡光治君 事務当局として資料が整っておる、その取扱いについての結論人事官の方で出してないと、こういうように承わるわけですが、そういうように解釈してよいのでしょうか。
  24. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 事務当局のことをここでとやかく申し上げるわけに参らないのであります。人事院といたしましては、人事院事務当局も一体でございまして、絶えず研究はいたしております。ただ、先ほどお尋ねの、そういうおかしな問題があれば、次期の勧告のときにでもその問題を取り上げるかどうか、その関係はどうなっておるかというお尋ねでございまするが、人事院といたしましては、あらゆる問題を、地域給に限らず、いろいろ研究はいたしております。しかし、七月に報告をいたすかどうか、まあ報告はいたすわけでありますが、その際に、勧告をあわせてやるかどうか、あるいは地域の問題を取り上げるかどうか、そういうことは、現在のところ何もきまっておりませんので、何ともこの機会に申し上げかねますので、その点御了承願いたいと思います。
  25. 永岡光治

    永岡光治君 その辺のところがどうもわからないんですが、不合理を認めておいでになるわけです。しかも、あなた方が勧告されております二十九年五月のものは実施されておらないのです。それを、この前の答弁によりますと、生きておるからいいのだという話でございますが、生きておる勧告が実施されていないという事実が一つと、その後、かなりの地域給相互間における不均衡も事実でございます。そういう問題もあわせて、当然私は、二十九年の五月勧告した精神から考えても、ここで手を打つべきが当然だと思います。ただ検討しておるだけでなく、それが人事院へまかされておる権限でありまして、かりにも不合理があるとするならば、これこそ五彩の開きがあるから勧告をしなきゃならぬとか、あるいはそれ以下ならば報告でとどめてよろしいとか、そういう筋合いのものでない、制限はないわけです。不均衡があれば、当然これの是正を行うのが人事院建前だと思う。少くとも二十九年の五月に大へん大幅な、いわば、財源についていうならば、九十二億の所要財源勧告があったわけです。これは、ついには流れましたけれども、大体両院の申し合せによれば、その約倍額の、百八十億程度のものが用意されておったわけですが、それが実現を見ていない今日でありますから、それを催促をするなり、あるいはまた、新しく追加をして勧告するなり、いずれにいたしましても、そのまま放置されてよろしいものでは私はないと思う。そうであっては、無責任のそしりを免れないと思いますから、特にこの人事院の機構の存否の問題が国会で強く取り上げられようとしておる今日の段階でありますので、人事院に対して、保護機関として期待しておる国家公務員はもちろんでありますが、国会におきましても重大なる関心を持っているわけでありますから、当然私は、それについての終止符なり何なりをつける段階がきておると思うのであります。地域給についての考え方というものをもう一度ここでまとめて、二十九年の五月の少くとも勧告が出ておるそのままを放置していいという筋合いのものじゃないと思うのであります。今日実施されていない、それが今日いいのか悪いのか、あるいはそれに追加する必要があるのかどうか、どうなのか、そういう点については、当然私は、この七月に出さるべき筋合いのものと考えるのでありますが、まだ結論が出ないというような筋合いのものではない。過去それでは二十九年から今日まで何をしておったか、こういうことになるわけでありますから、当然私は、七月に勧告さるべき筋合いのものと考えますが、その点はどうでございましょうか。もし給与局長でその点答えられないとするならば、人事官に御出席をいただきまして、私はこの点を特にただしたいと思うのであります。
  26. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院勧告をいたしまして、そうしていろいろ、国会におかれましても御修正等もあったのでありまするけれども、まあ事実問題としては、そのままになって参りました。今回この地域給問題を処理しようということで、こういう案が出ておるようにわれわれ承知いたしておるわけでありますが、今回の衆議院修正案を拝見いたしますると、地域給問題は非常にむずかしいから、これを凍結するのである。三月三十一日の現在において凍結するのである。多少の不合理はありますけれども、これを直すということは、非常に従来の経緯から見て至難であるから、これを凍結するのであるというような思想がこの修正案にあるようであります。そういうこと等も、人事院といたしましては、十分承知しなければならぬことであろうかと思うのでありますが、人事院といたしましては、あくまでこういう給与の問題、ことに今回地域給が廃止されましても、やはり人事院責務といたしまして、当然研究いたすことになるのでありますから、十分研究はいたしたいと思うのでありまするけれども、現在の段階におきまして、七月にどうやるかということにつきましては、何もきまっておりませんので、これ以上、何ともお答えを申し上げようがない次第であります。
  27. 永岡光治

    永岡光治君 これはまあ、事実どういう内容勧告ができるとか、報告になるとかいう、そういう最終結論を求めようという考えは、もちろん私は持っておりませんが、少くとも私の考えとしては、二十九年五月以来そのまま放置されているという、こういう現実の事態について、人事院が今日までそれを傍観しておるということは、これは、責務を十分果していないのじゃないか。確かに衆議院修正におきましては、これを固定しようという考えはありました。これは私は、ただいま給与局長答弁の中からもうかがわれることでありますが、この際、やはり不合理のままを存置した段階においてそれを固定するということは、非常に不均衡を生ずるでありましょうし、また内容においても、私たちも多くの疑問を持っているわけでありますから、できればこれは、一つの正しい、暫定手当という名目になりましょうとも、勤務地の差異による給与開きのあることは、人事院そのものも認めておるわけであります。将来といえども、それは存置さるべきであろうということも、お見通しになっておるだろうと思いますから、そういう観点からしまするならば、やはりこの際、地域給というものについての人事院考え方を明確に、七月の時期において、国会あるいは政府の方に勧告をされて、それに基いて、妥当な方法でそれを解決されるということが最も望ましいのではないか。それには、ぜひとも私は、検討した結論を出してもらいたいと思うのです。そうでなくては、このままうやむやの形で放置することはできないと思うのです。特に町村合併の問題はそのまま放置されておる。二十九年五月の勧告は、依然として実施されていない。今も自治庁の方から報告がありましたが、今また人事院の方からも、自治庁の方からもお話がありましたが、漸次地域による生計費の差というものは縮まっておる、そういう段階でありますので、それであればなおさらのこと、その段階に立っての正しい妥当な案が示されて、それを基本にして、国会では、これはあせる必要はないのでありますから、あせって拙劣な案を作って、そうしてあやまちをあとに引くというよりは、むしろ時期はここ一、二ヵ月であります。七月というのはごくわずかでありまして、もう再来月、来月は六月でありますから、そういうあせりはやめて、人事院検討された、しかもスタッフのおそろいになっておる人事院で妥当と考えられる、そういう勧告に従って私たちは案をきめた方が最も望ましいと考えられますので、その際のこともありますが、ぜひ七月にこの地域給についての結論を、その段階について、その時期についてでもけっこうでありますが、人事院考え方というものをお示しいただきたいと、強く要望いたしておきますが、その私の要望を受け入れて、勧告ないしは報告をしていただけるかどうか、その辺のところをお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  28. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 同じことを繰り返して、まことに恐縮でございますが、現在の段階におきましては、この問題につきまして、人事院はいろいろ研究はいたしておりますけれども、この方針等につきましては、まだ現在何もきまっておりませんので、そのことを繰り返して申し上げる次第であります。
  29. 永岡光治

    永岡光治君 私は、その地域給について、どういう内容にしたがいいという結論をここで出せということを言っいないのです。その七月の報告ないし勧告の時期までに、人事院結論を出してもらいたい。そうして国会にこれを報告してもらいたい。できれば委員会決議としてしてもらいたいと思うのでありますが、それができないとしても、当内閣委員会の一員といたしまして、強く要望したいと、こういうことでございます。ぜひそのことの結論を出してもらいたい、こういうようにお願いをして進むわけでありますが、その点、この要望一ついれてくれるように御尽力いただきたいと思うのですが、まず、私の要望についてのあなたのお考え一ついただきたいと思うのです。
  30. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまの永岡委員お話は、帰りまして十分人事官、総裁にお伝え申し上げます。
  31. 永岡光治

    永岡光治君 そこで、これは自治庁の方にお尋ねするわけでありますが、先般内閣及び地方行政文教等合同審査会が行われまして、その際に自治庁長官は、大へん責任がある態度で、しかも堂々たる態度で、はっきりと御答弁いただいたことは、この段階では大へん困難かもしれぬけれども、少くとも昭和三十三年度、つまり来年度の予算においてでありますが、完全に町村合併に伴う不均衡是正をいたします。事務当局にもそのことをよく申して、事務当局は十分それを承知しておるから、たとえ大臣がかわろうとも、その方針には寸分の動きもないことをはっきり皆さんにお答えできる、こういうことでございましたが、間違いなく、自治庁事務当局の方でも、その方針で進められておるかどうか、それをお尋ねいたしたいと思うのであります。
  32. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) われわれといたしましては、これは自治庁だけできめるべき問題でございませんが、自治庁気持は一貫しております。一応政府方針もきまっておりますから、これに持っていくよりしようがない。国会の方におかれましても、御決議がもう衆議院の方でありましたので、その趣旨によって動くよりしようがないのでありますが、しかし、機会がある限り、できるだけ早い機会に少くとも市町村単位方向に持っていきたい。これは、強い念願を持っておりまして、自治庁といたしましては、できるだけその方向に力を尽したいと思います。しかし、今申しました通り、これは、関係各省においてもいろいろ問題がございますので、そういう方面の協力が得られなければできませんことでございまして、ただ自治庁としての気持だけをはっきり申し上げておくにとどめたいと思います。
  33. 永岡光治

    永岡光治君 町村合併に伴う不均衡是正を行うというと、それに伴う財源は、大体どの程度で済みそうでありますか。人事院も御調査いただいておると思うのでありますが、一応自治庁の方から、その財源についての、検討をしておることだろうと思いますので、質問をしてみたいと思うのです。
  34. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、実は人事院の方で御調査になっておるのをわれわれも承知いたしておるのでございますが、われわれの方でも調べておりますが、今のところ、まだ正確な資料が手に入っておりません。人事院の御調査でいいのかな、もう少し要りやせんかという気持を持って、調査を進めておるところでございます。
  35. 永岡光治

    永岡光治君 そうしますと、まだ具体的には、地方財源等の問題についての検討は進められていないと、こういうふうに解釈されるわけでありますが、それではあまりにも誠意がないと思われるのでありますが、いやしくも、三十三年度で解消しようという限りにおいては、おそらくは今までも御努力されたと思うのでありますが、ぜひ一つそういう立場で、早急に実現できるようにお願いをいたしたいと思うのでありますが、そこで、これは、修正案を出された衆議院の提案者の方がいいかと思うのでありますが、人事院の方でこの案を検討されておれば、それについて御答弁をいただいてもけっこうだと思うのでありますが、三月三十一日で固定をする、こういう不合理性というより、むしろそのやり方について問題があることを指摘しなければならぬ。このことは、なぜかと言いますと、やはり拙速でこういう案を作りましたために、大へん不均衡が出てきておるということを私は皆さんに知っていただきたいために申し上げるわけでありますが、三月三十一日、つまり切りかえ直前の給与に対しまして一千六十二分の千を掛けて、それについてさらに扶養手当の地域給の平均を全部に一応つけ加えていく、こういうやり方であります。これをもって暫定手当と称しているわけでありますが、人事院の今回の体系の合理化というものは、どこまでも合理化でありまして、従いまして、今後切りかえられた後における給与法との比較をいたしてみますと、やはり相当の不均衡があるわけであります。たとえば、初任給の場合は、全般には及んでおりませんし、あるいは昇給期間についても相当開きがあるわけです。人事院勧告では、昇給期間は現行通りというにもかかわらず、政府の方ではこれを勝手に手を加えまして、最低十二ヵ月だと、その十二ヵ月にするために、給与の金額を、つまり昇給期間が倍になったために損をするであろう、不利を招くであろう金額を計算をいたしまして、現在の本俸に若干つけ加えをいたしました。それは必ずしも均衡を得たものとは、言えません。個々の号俸を見ますと、不均衡を生じていることは明らかであります。従いまして、こういうところにも矛盾がきておるわけであります。その矛盾のきておる号俸に対しまして、さらに一律に千六十二分の千を掛けていこうという考え方でありますから……、いや、千六十二分の千を掛けるもとは、三月三十一日ではなくて、切りかえられた後の給与でありますから、非常にこれは不合理、不均衡きわまりない内容であるわけでありますが、これでは、私は均衡を失するものと思いますが、検討されました人事院の方では、均衡を得ておるものと考えられるかどうか、お尋ねいたしたいと思うのであります。
  36. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) まことに申しわけないのでありますが、私どもの立場政府委員であります。御承知通り政府委員は、大臣の補佐をするのが職責であります。国会において議員提出法律案としてお作りになりました法律案は、おそらくは諸般のもろもろの情勢を勘案いたされまして、お作りになっておると思うのでございますので、それらの案について批判がましいことを、しかも速記録に載せて批判することは、まことにおそれ多い話でございますから、ひかえさせていただきます。
  37. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それは次長、人事院当局の意見を聞いているのですからね。人事院当局の意見は意見として、質問されれば率直に言って下さい、われわれの審議の参考にして参るわけですから。
  38. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 委員長のお言葉でございますが、たとえば、私的懇談の場合において私的な立場というのならば、いろいろ意見もありますし、また申し上げる場合もあろうかと思いますが、どうもやはり政府委員に任命されている限りにおいては、政府委員としての限度があり、慎しまなければならないのじゃないかと存ずるのでありますので、この辺のところでごかんべん願えれば幸いであります。
  39. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほど養護学校の問題で、あなたの方でよくおわかりにならないで、なお研究しておくからということであって、私は質問の当初に外に出ておりまして、どういういきさつであったかわかりませんが、そこだけ聞きました。それで、研究して下さるということでありますから、あとではっきりするだろうと思っておりますが、ただ、御参考のために申し上げておきますが、お聞きを願いますが、この国会で厚生省設置法の一部改正法律案が出て、それは可決されたのです。もう法律ができたのです。その法律というのは、更生指導所というものを作る。ろうあ学校みたいなものですね。もう一つは、国立精神薄弱児童の施設を作る。こういうわけであります。この二つができることになっているのです。定員はおのおの百人です。これは国立です。そうしてこの委員会で質問が出まして、たった百人くらいのものを作ったってしょうがないじゃないかという質問が出た。それに対する答えとしては、なるほどそうおっしゃればその通りだ。しかし、地方には幾つかあるのだが、岡立がまだない。地方にあるけれども、理想的な施設になっていないから、はなはだ小さい規模ではあるけれども、モデル・ケースとして一つずつ作りたい、こういう説明であった。それならばということで、こっちが承知したわけです。その条文を見ましても、その名称、位置及び内容、組織は厚生省令で定めるということになっておりますので、学校という名前がつくか、何という名前がつくか、これはまだわからないわけなんです。なおそのとき、私自身が質問したその部分をちょっと読み上げてみますと、こういうこともあると言っているのです。「国立ろうあ者更生指導所、国立精神薄弱児施設、両方とも新しい国立の施設ができるわけでありますが、この資料内閣委員会の調査室からもらった資料でありまするが、これによりますと、国立ろうあ者更生指導所が事務官七人、技官十一人、教官ゼロ、ほかに二人、合計二十人、国立精神薄弱児施設が事務官四人と技官三人、教官十人、」ここに教官という言葉がうたっているのです。「事務雇二人、その他一人ということになっておりますですが、ちょっと私疑問を起しておりますのは、国立ろうあ者更生指導所の方には技官が十一人であって教官がゼロ、それから精神薄弱児施設の方には、技官が三人で教官が十人ということになっております。国立ろうあ者更生指導所には、先生が一人もいないということになっておりますのですが、これはどういうことなんでしょうか。」こういう質問を私しておるのです。これに対していろいろお答えがありましたが、私は十分納得ができなかったのですけれども、まあこれで済んで、とにかく法律ができたわけですが、この記録は、この会議録の三月の二十六日に載っておりますから、よくごらん下さいまして、厚生省とお話し合いになりましたら、はっきりわかることだと思っております。どこかにやっぱり取り扱ってもらわなければならない問題だ、落しちゃ困ると思うのです。それだけ御参考のために申し上げておきます。
  40. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほど養護学校のことを取り調べましたので、御報告申し上げます。国立の場合には、養護学校はございません。公立の場合は、養護学校がございます。国立の場合には、養護学級というものはございまするが、養護学校というものはないのであります。で、いろいろ御指摘になったのでありますが、現在の規則細則等には、地方を想定いたしまして、養護学校という言葉を使っております。今後もこの給与法は、地方におきましても、ことに教育関係では準用されるわけでございまするので、十分注意いたしまして、地方に便宜なような形で規則細則等も作って参りたい。このように思っておりますが、その点をお含みおき下さい。なお厚生省の設置法の一部改正につきましては、会議録等も十分拝見いたしまして、厚生省当局とも十分相談いたしまして、そごのないようにいたしたいと思います。
  41. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 この養護学校という言葉は、現行の、何の基準でしたか、俸給表適用範囲という人事院規則に入っておるのですね。で、これは、養護学校として、今日まで地方のは認められておるのであります。さっきも申します通り、国にはない、しかしそのモデル・ケースとして作ると、こういう説明になっておりますので、私などとしちゃ、やっぱり地方養護学校相当すると申しますか、それよりもりっぱな国立学校ができるのだな、こういうふうに私は実は理解しておったわけであります。
  42. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) なお十分取り調べまして、厚生省とも十分相談いたしたいとは思いますが、今おっしゃいましたものは、養護学校の範疇には入らないのじゃなかろうかというふうに、ちょっと考えられるのであります。厚生省の施設といたしまして、光明寮でありますとか、そのほか補導施設等がございますが、そういった種類のものではなかろうかというように考えられますが、なおこの点は、厚生省事務当局とも十分連絡をいたしまして、そごのないようにいたしたいと思います。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 そうしますと、今もらっておる細則ですね。人事院細則には、至るところ養護学校という文句が使われておるし、これは、今のお話では、地方公立養護学校の便宜のために、そういう文句を使っておるのだという御説明で、さらに今後、地方の便宜のために、規則なり細則なりではそれをうたうつもりだというお話だったのです。そうすると何ですか、そういうものをうたう規則と、それから今ここに出ておる規則というのは、また別個なものでおやりになるわけでありますか。
  44. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) この適用範囲案といいまするものは、あくまで案でございまして、まだ未熟なものでございますから、従いまして、この適用範囲案におきましては、主として国の場合を想定して書いておりまするが、実際に適用さす場合には、地方において準用されるということを考慮に入れておきまして、規則細則等に書いておる。従いまして、俸給表適用範囲等におきましても。そういうことを考慮して、十分検討いたしてみたいと思います。
  45. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、この案にしても、ここのところへ盲学校、ろうあ学校及び養護学校に勤務する云々と、こう養護学校を入れてもいいわけでありますね。今までの例はそうなっておる。よくわかりました。それじゃおやりになるおつもりなんですか。
  46. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) そのようにいたしたいと思います。
  47. 永岡光治

    永岡光治君 先ほど地域給の話を続けておりまして、途中であれになりましたが、慶徳次長は、まあなかなか、政府委員の一人だから、答弁できにくくなる、その気持は私もわかるのでありますが、とにかくこれは、不合理きわまりない拙速のための衆議院修正案でありまして、私たちとしては、これは了解するわけには参りません。特にこの給与というものは、いわばきたないと申しますか、金に関する問題は、非常にやはり不均衡とか不合理というものを是正しなければ、なかなか了解しにくいものであります。わずかな金額のようでありますけれども、受ける方としては非常に不愉快なものであります。従いまして、できればこの不合理の問題について、人事院から解明いただきたかったのでありますが、言えないとなれば、また機会を改めてでもけっこうでありますが、いずれにいたしましても、この際は、この拙速案を私たちとしては了承することはできない。こういうことを強く申し上げたかったのであります。もとよりこの修正案というものは、衆議院段階で、国会修正ということで、この法案に便乗してと申しますか、出たものでありますから、その提案者に来ていただいて、質問した方があるいは妥当かと思うのでありますが、これはまた、機会を改めることにいたしまして、ただ、不均衡是正を、地方自治庁の場合、私は、何も法律で縛られておることでもないのでありますから、自治庁だけでできないものかということなんです。つまり町村合併等に伴う問題を例にとりますと、人事異動もできないというようなこともありまして、非常お困りになっておる状況もよく承知いたしておる。また、合併をされる条件として、それぞれの元の町村は、必ず地域給是正してもらうのだ、こういう条件で合併に賛成したこともあるやに聞いておるわけであります。それがなかなか、いよいよ合併してみましても、依然として地域給是正が行われていない、こういう実情でありますが、これは、自治庁限りでやってやれないことはないと思うのですが、やるわけにいかぬのでありますか。
  48. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、勤務地制度は、国の制度に準じてやるべきでありまして、地方公務員の給与制度は、皆そういう建前になっておりますので、これを自治庁限りで勝手に勤務地のところを変えるということは、これはとうていできません。それから、今の問題は、勤務地の本質問題で、単に合併だけの結果起った現象でありませんので、合併前からもそういう問題がございまして、どうしてもその考え方基本を変えるということが、われわれは、前提でなくちゃいけまい、そういうふうに見ておるのでございます。
  49. 永岡光治

    永岡光治君 考え方基本を変えなければというのは、どういう意味ですか。地域給は、町村合併その他不均衡のもの、その他全部是正して行うと、こういう考え方に立つべきだと、こういう意味でしょうか。
  50. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 私が申し上げましたのは、勤務地手当行政区画単位、こういうことにするかしないかと、こういう問題であろうと思います。現在の勤務地は、そういう建前になっておりませんので、それぞれの場所によって区分しておりますが、そうなれば、合併の市町村につきましても同じ条件になるわけでございまして、合併の市町村だけ別扱いということは、私は、制度上参らないと、こういうふうに考えます。
  51. 永岡光治

    永岡光治君 ところが、たとえば京都市は、御承知通り、現在四級地二割ですね。ある国家の機関の出張所が新しく四級地の京都市に合併された、無紋地ないし一級地に出張所としてある、それには四級地の手当が支給せられているわけですね。それに準じてやって私は差しつかえないと思うのですが、そういう例もあるのですから、現実には、そういうものを慣習としてでもやれないかどうかと思うのですがね。
  52. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今お話のようなものは、合併とかかわりないのでございまして、結局国の指定の勤務場所をどうきめたか、こういう問題であろうと思います。合併前からでも、京都なら京都に四級地の出張所ならば、ほかの地域に準ぜられて同じ扱いにしておったろうと思うのであります。
  53. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、あなたのお考えは今明確になったわけでありますが、区画単位ですね。その中へ余り段階を設けずに、やっぱり一つの町に合併されたならば、その最高のところで統一するというのが最も望ましいのじゃないか。こういう基本線をまずきめてもらいたいと、そういう方向に行くべきじゃないかと、こういうお考えだというふうに解釈してよろしいでしょうか。
  54. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまあ、自治庁だけの立場になりますが、自治庁気持としては、市町村単位できめていただいた方がいいんじゃないか。しかし、勤務地の実態が違うじゃないかという、別の議論があろうと思いますが、われわれといたしましては、地方の公務員制度考えております立場から、できたらそういうことが望ましい、こういうふうに存じております。
  55. 永岡光治

    永岡光治君 ところで、不均衡を生じておる同じ町村の中の問題ですが、これは町村限りでやることは、これは違法じゃないわけですね。そういうわけですね、市町村限りでやれば……。ただ、それに対する財源措置を自治庁が見るか見ないかと、そういうところが問題だと思うのですが、何か便宜的にも、だいぶ無責任のようだけれども、やっぱりそういう指導をされて、まあやれと、あとは何とか三十三年でやるのですから、あなたのあれでは……。そういう一つの実績を早く作って上げた方がいいんじゃないか。そういう方向でもとっていただくわけには参らないのでしょうか。財源のあるところはやってもいいということくらいは……。
  56. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、たいへんむずかしい御注文になったのでございますが、われわれといたしましては、勤務地手当の区画は、これは、国の制度に準ずる以上は、そらすべきだと思いますが、何も市町村職員の問題だけじゃなしに、国家公務員につきましても、やっぱり地方に勤務しておられる諸君がおられるのでございまして、それと、地方だから別扱いにするという考え方をとるべきじゃあるまいと、こういうふうに存じております。ただしかし、市町村自体がそんならやれないかといえば、市町村職員につきましては、私は、まあ市町村がそういう自主的な責任で条例を作ってやれば、これはもうけしからんという何もあるまいと存じております。ただ問題は、市町村職員よりも、実際一番大きく問題になっているのは教員の問題でございます。小中学校の教員の問題になってきますと、これは、給与負担者が府県でございますから、府県といたしましては、府県の職員全部に通じて問題を考えなくちゃこれはいけない。教員のことを特別に考えるというわけには、私はとうてい参らぬだろうと思うのでございます。そういたしますというと、府県全般の問題になれば、どうしたって公務員全般の地域区分に準じた扱いをとらざるを得ないというふうにわれわれも考えておるのでございます。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 関連。自治庁にお伺いしますが、永岡委員からの御指摘の、今の合併町村内の不均衡の問題ですが、この旧市域と新市域との間の人事交流がほとんど不可能なんですね。非常に関係者が頭を痛めておられる。実際問題としてほとんどできない。地域によっては二号俸、場合によっては三号俸くらい違う場合も出てくるわけです。そういうようなことでは、旧市域から新市域に移るということは、三号俸ないし二号俸くらいの格下げになる。そういうようなのが実情だ。こういう点からも、先ほど来から永岡委員指摘せられておるように、早急に不均衡是正する必要に迫られているわけだ。こういうことについて、どういうふうにお考えでしょうか。
  58. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今のお話しの問題も、実は二種類ございまして、市町村自体の吏員の問題が一つと、それから、むしろ非常にやかましいのは、学校の教員の問題と、まあいわゆる警察官とか、ほかにもあろうと思いますが、あるわけでございます。市町村自体の職員の問題になれば、これは、市町村が自分の条例で給与をきめるわけでございますから、これはまあ合併によって、合併前に非常にちぐはぐのあったところは合併によって、とたんに直すということは、これはもちろんできぬでしょうけれども、多少経過的に、逐次調整をして、私は大体同じベースに数年の間にはしているはずだと思うのでございます。一度にしておるところもございます。そこで問題は、そうでなしに、学校の教員の問題になってきますと、教員の給与の負担は府県でございますから、府県としてどうするかと、こういう問題になってきます。そうすると、それは実際は、人事の異動の場合は、市町村の教育委員会が中心になってやりますから、今は、任免権が県の方の教育委員会に上っておりますけれども、そこらの点は、これはあり得ると思いますが、これは、県全体の教員の人事異動の問題として県が考えざるを得ないというところでありまして、どうしても勤務地手当、そういうもとをたださない限りは、その点だけをどうこうするということも、これは私はいかがかと、こういうふうに存ずるのでございます。
  59. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ところが、実際自治庁の方でなんとか財源措置を講じない限り、赤字続きの多くの市では、ほとんど不可能に近い。これは、私の市でもいろいろ、勤務地手当是正せられるまで暫定的に、ほんのわずかでも、新市域から旧市域へ入った関係者に一部、ほとんどこれは補い程度のものを出しておりますけれども、それ自体がもうすでに問題で行き詰まっている。そういうような実情です。そこで、先ほど来からもこの前の内閣、文教、地方行政との合同委員会自治庁長官が、先ほど永岡委員指摘になったように、二十三年度予算内で必ず実施する、力強い発言があったわけですけれども、これもただあの場だけでどうも、それまで大臣が踏み切って、強力にこれを進めるということであれば別ですが、そういうことも約束しがたいことであるので、暫定的に、まずこういうような窮状をよく察知せられて、早急に何らかの具体的な手を打っていただきたいということなんですが、問題は熱意の問題だと思うのですがね。そういうふうな問題を一つ早急に解決しようということについて、どのようにお考えでありましょう。
  60. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、自治庁といたしましての気持は、自治庁長官衆議院で申した通りであると思います。ただ、そういうのは結局、今度は制度暫定手当に変りますけれども、要するにこの国の基本制度を変えなければ、それと食い違ったことを自治庁限りで勝手にやることも、こういう方式のことは私はやはりすべきじゃあるまいというふうに存じておりまして、その元の改訂につきましては、一応こういう形で法律もきまれば、法律のワク内で動かさざるを得ないと思いますが、しかしながら、できるだけ早い機会に、長官が申しましたように、なるべく早い機会にわれわれとしては、われわれの考えのようにでき上るように、政府部内ではこれはあらゆる努力を尽したいと思います。しかしこれは、先ほど申しました通り自治庁だけできめるわけにとても参りませんので、その点、十分了承願いたいと思います。
  61. 永岡光治

    永岡光治君 これと関連をして参りますが、実は隔遠地手当については、これは人事院お尋ねするわけですが、人事院の指令といいますか、規則ですか、それによって是正ができるものと解釈するわけですが、沿革的に見ても、相当問題もあることもありましょう。しかし、実は実際の状況とかなり違うといいますか、不均衡の出ている実情があるわけです。たとえば、交通機関のあるところから何キロという計算をするようなことも要素の中にあるようでありますが、その不均衡是正あるいはまた手当の額の引き上げ、こういう等々の問題について、御検討をいただく用意をお持ちになっているかどうか。特に私は、その点を御検討いただきたいという強い要望を持っているわけでありますが、人事院考えお尋ねいたしたいと思うのであります。
  62. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 隔遠地手当につきましては、たしか昨年だったかと思いますが、人事院規則及び人事院指令を根本的に改正いたしまして、従来の御指摘のありましたような地区区分等も、不合理がたくさんございましたので、新たにこれに対する点数制によるところの一つの基準を作りまして、その基準によりまして、全国漏れなくこれを合理化する。同時にまた、その給与のやり方も、俸給比例方式にこれを変えていくというようなやり方を昨年から実行に移しまして、今具体的な案はここへ持ってきておりませんので、ちょっと忘れましたけれども、金額そのものも総体的に相当ふやすというような、俗にいう抜本的な改正をいたしまして、現に実行いたしておるわけでございます。従いまして、昨年やったばかりでございまするので、現在のところ、それ以上これをさらに改正するというような意向は持っていない次第であります。
  63. 永岡光治

    永岡光治君 一つの方式はとられましたが、その指定について、やはりどうしても一つの基準をきめますと、これはしゃくし定木になりがちなのがどの場合でもあり得ることであります。私の申し上げるのは、この規則適用によって不均衡を来たすようなところ、事実不合理があるようでありまするが、こまかいどこがどうなっておるかということは、この際申し上げられませんが、いずれまた、あらためてそれは資料提出を私どもの方からもいたしまして、検討してもらわなければならぬという問題もあるわけでありまするが、そういう場合におきましても、人事院の方では、こういうことは一応きまったから……。これは昨年の七月から実施されているようでありまするが、かなり、地方の実情を承わりますと、新しく指定してもらわなければならぬ島嶼もありましょうし、場所もあるようであります。たとえば愛媛県宇和郡、半島で、長い所があるわけでありまするけれども、あそこにある官署についても問題があるようでありますし、いろいろ検討してみますると、この一つ規則で当てはめられますと、あるいは漏れたりあるいはまた基準が違ってみたり、該当の地域が下ってみたり上ってみたりというようなことで不均衡があるようですが、そういう問題について地方からそういう実情の申請があれば、検討して、人事院でもそれに対する回答といいますか態度をきめるようなことになっているのでしょうか。どういう取扱いになっておりましょうか。あわせてその辺のところもお尋ねいたしたいと思うのであります。
  64. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 先ほどお答え申し上げましたように、昨年根本的改正をいたしました。しかし、十分検討して実はやったつもりでございまするけれども、私どもの方としましても、神様ではございませんので、また、しかも全国の隔遠地の一つ一つを実地調査したわけでも実はないわけであります。従いまして、実行に移しました結果において、ある程度の部分々々の不合理あるいは実情に適合しないというようなものが出て参ることも、これは当然であろうかと思います。従いまして、そのような場合におきましては、できる限りその実情に適合させるということが、隔遠地手当を支給する趣旨でございますので、その趣旨に従いましていろいろ問題のあるところについては再検討いたしまして、決して修正することにやぶさかではないという考え方をとっております。ただ実施面の実際問題を申し上げますると、隔遠地手当を、級地をかりに引き上げ、あるいはまた新たに指定がえをするというようなことになりますると、必然的に財政が伴って参ります。御承知通り予算は毎年々々編成されておりますので、既定経費の差し繰り支弁で可能の場合もありまするけれども、不可能の場合もございまして、予算の新規増額計上という問題を必然ならしむる場合もあるわけであります。そのような場合においては、大蔵当局とも十分懇談し協議いたしまして、いずれにいたしましても、実態に即応していない不合理の点について是正するということについては、決してやぶさかではないという考え方をとっておる次第であります。
  65. 永岡光治

    永岡光治君 大体考え方はわかりました。そこでお尋ねしますが、ある僻遠地にある官署相互間において、この僻遠地手当に相違はないか。大体同じ額の手当、同じ率と申しますか、大体均衡のとれた手当が支給されておるかどうか。私の聞くところによると、だいぶん違うような話で、ある逓信官署では低いとか、あるいはもらっていないとか、ところがある学校ではもらっておるとか、あるいはまたある団体ではそれを出しておるとか、いろいろあるようでありまするが、そういう不均衡の事実があるかないか。あるとすれば、それについてどういう考えを持っておるか。それらのところもお尋ねいたしたいと思うのであります。
  66. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 御承知通り人事院の所管しておりまするのは、国家公務員のうち全体で約三十六万でございます。大まかに言いまして隔遠地手当を支給する官署として指定しておりますのが、約二千近いわずかの官署でございます。ところが一方三公社五現業の関係もございまするし、また地方公務員の関係もある、いろいろの点があるわけでございます。従いまして、私どもここでお答え申し上げておりまするのは、あくまでも国家公務員であり、かつ人事院の所管に属する、先ほど申し上げた二千程度の官署を前提として実は申し上げておるわけでございます。従いまして、私どもの考えとしては、少くとも国家公務員たる官署につきましては相当研究を重ねて作り上げましたので、あるいは部分々々には永岡先生の御指摘のようなものがあるいはあるかもしれませんが、総体的に言えばそう不都合はないであろうという確信を持って、まあ根本的改正を行なったつもりでございます。ただ三公社五現業との関係、あるいはまた地方公務員との関係、なかんずく教育公務員との関係というようなことになって参りますと、遺憾ながらこれは私どもの所管外の問題がございまするので、その点については私ども何とも申し上げかねるのでありますが、とにかく国家公務員としてはあまり御指摘のような点がないと、私は実は確信いたしておる次第でございます。
  67. 永岡光治

    永岡光治君 そこで自治庁の方にこれはお尋ねをするわけでございますが、たとえば教育職員、そういう場合にはやはり人事院規則を準用しておるのか、あるいは別にまた自治庁の方できめられたもので隔遠地手当を出しておるのか。だいぶ私は不均衡があるような話を地方に参りますと聞くのでございます。そういう事実は、聞けば大体国家公務員給与に準じてということを言っておるようでありますが、これはやっぱり、これに従ってやっておるのでございましょうか。その点をお尋ねいたします。
  68. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは地方の団体がそれぞれきめておるわけでございますが、もとは国の、人事院規則を大体そのまま私はまねをしておるだろうと思います。そんなら全部全国均一かと、額まで一緒かとおっしゃられますと、あるいは多少の食い違いがあるかもしれませんが、自治庁といたしましては独自のものは作っておりませんで、もっぱら公務員の、国できまった制度を基礎にして作ることを指導いたして参るわけでございます。
  69. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、人事院規則ですね、これによってみな適用しておる。これに応ずる分は、たとえば国で負担をすべきものと定められておる分担のものについては当然支払っておるわけですね。そう解釈してよろしいでしょうか。念のため聞いておきたいと思います。
  70. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 個々の府県でやっておるのを全部承知いたしておりませんが、基本は、人事院規則を基礎にして府県で適正な規則を作って、それを適用してやっておるはずでございます。
  71. 永岡光治

    永岡光治君 これは隔遠地手当についても、一応人事院にも別の機会において尋ねなければならぬと思うのでありますが、この地域給に関連してもう一つ質問いたしたいのは、寒冷地給の問題であります。特に北海道等におきましては、地方の調停委員会等にこの問題が提起されまして、今きめられておりまするたとえば一世帯あたり三トンという石炭手当の石炭の額、それが非常に低い、これは少くとも三・七トン以上なくてはならぬじゃないか、こういうようなまあ調停案も出ておるように承わっております。ところが、そういう問題については、現在は三トンということになっているわけでありますが、特にまた、その金額の単価の算出の問題でありますが、これも公定価格ということに法律の上ではなっておりますが、今日公定価格はないと思うのでありますが、その金額もどういうところを基準にして算定をしておるのか。これは人事院が指示するのか、あるいはそれぞれの所管官庁でその金額をきめるのか、私もあまりよくわからないのでありますが、どうなっているのか、その取扱いを一つお示しをいただきたいと思うのであります。
  72. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 石炭手当及び寒冷地手当並びに薪炭手当、三つとも大体同じような建前になってできているのでありますが、今御指摘の、たとえば石炭手当の場合の支給すべき価格、つまり金額の決定は、人事院勧告に基いて内閣がこれをきめる、こういうふうに法律がなっているわけであります。従いまして、毎年大体八月ごろに勧告をいたすのが慣習になっているわけでありますが、従って、御指摘の金額は人事院がみずからこれを調査いたしまして、できる限り実態に適合するような金額を定めまして、それによって三トン分の金額を計算し、勧告をするというやり方をやっております。すなわち、勧告の基礎となる金額の策定は、人事院みずからの判断においてこれを行うという体系に相なっております。
  73. 永岡光治

    永岡光治君 その際にとられるカロリーの計算の仕方ですね、同じ三トンでも、低いカロリーと高いカロリーとで相当開きがあると思います。北海道の話を聞くと、どうも人事院の算定によると、とてもじゃないがこれではいけないという話をしばしば地方に行って聞くわけでありますが、そういう何カロリーを基準にして計算をしているのか、そうしてそれは運賃その他も十分みているだろうと思うのでありますが、そういうものも計算しているかどうか、それを明確にしてもらいたいと思います。今直ちにそれが答弁できなければ、資料でもけっこうです、後ほどでもけっこうですが、それぞれ算出の基準を明示してもらいたい。
  74. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 石炭の単価をきめまするときには、ちょうど一般の給与が民間賃金とのバランスをとるという原則をとっておりまするのと同じように、たとえ北海道に在勤する国家公務員であるからといいまして、民間における一般に消費されているところの実態よりも著しく上回ってもいけないであろうし、もちろん下回ってもいけない、やはり北海道に在勤するところの一般の方々が、消費しているであろう実態にできる限り適合したものを詳細出しまして、保障するというのが基本方針でございます。従いまして、北海道の各全部の地区というわけには参りませんけれども、代表的な地区を選定いたしまして、一般民間の方々が消費しておりますところの炭の内容といいますか、あるいは塊炭であるとかいろいろ炭の種類があるようでありますけれども、こういうようなものを調査いたしまして、その消費されているところの実態をまず一方においてとらえまして、他方において小売価格の適正なものを考えまして、それを掛け合せまして、幾つかの炭の種類がありまするけれども、それの総体を合計して金額をきめる、また消費カロリーをきめる、こういうやり方をとっております。従いまして、あらかじめたとえば六千五百カロリーとか七千カロリーとかいうような何といいますか、勝手にきめたもので金額を推定するのではないのであります。あくまでも北海道に在勤している者と同程度のものを保障するという観点からカロリーも計算し、金額も計算するという方針をとっているわけであります。もし必要でございまするならば、現在やっておりまする分の算出の基礎がどのようなものでやっているかというような点になりますと、遺憾ながら本日資料を持ち合せておりませんので、いつでも資料として御提出申し上げてよろしいと思います。
  75. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、毎年やはり金額はそのつど計算してそれを勧告する、こういう形になりますか。
  76. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 御指摘通りであります。原則は御指摘通りでありまするけれども、炭価も毎年変るというものでもございませんし、あるいは炭価が変りましても消費カロリーの質が変ってくる、いろいろやはり変更がございます。従いまして、ここ二年くらいはその前に勧告したままで新たに勧告いたしておりませんけれども、建前としては、毎年調査いたしまして、毎年その実情に適合したものに基いてこれを勧告する、ただ、大体前年と同じ程度のものであるような場合においては、あらためて勧告する必要がございませんので、そういう場合においては勧告を出さないというやり方をとっているわけであります。
  77. 永岡光治

    永岡光治君 最近石炭が相当値段が上っていることは御承知であろうと思うのでありますが、去年に比べてかなり私は開きがあると思いますが、ことしはこの額は改訂になる見通しではないかと思いますが、どうでございますか。
  78. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 北海道の方方から、御指摘のように、小売公定相場も非常に上ってきているということも伺っておりまするし、また人事院としては北海道に地方事務所も持っておりまするので、他方事務所のいろいろな報告もございます。従いまして、そういうような実態資料に基きまして、かつ、先ほど申し上げたような観点に立って調査いたすのでありまするけれども、まだ現在のところ具体的に調査いたしておりません。大体従来の慣習からいきますると、八月の中旬ないし下旬ごろ勧告するのが大体の慣習になっておりまするので、御指摘のような点は、先ほど申し上げた根本の趣旨に従いまして、十分検討いたしたいと考えている次第であります。
  79. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、その値段は時価ということに改めていいのじゃないかと思いますが、公定価格なんか今日ないと思うのです。時価でいいのじゃないかと思いますが、その辺の所見はどうでございますか。
  80. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 法律的にはまさに御指摘通りでございます。この法律は御承知通りインフレがたけなわな時分に、公定価格がまだきめられておったときに、しかも議員提出法律案として作られた経緯がございます。従いまして、厳格な意味におきましては公定価格がないのでございますので、法律的にはいささかいかがであろうかという問題がございまするけれども、解釈上いわば小売価格という観点に立ちまして現在運用いたしております。
  81. 永岡光治

    永岡光治君 それからその一世帯当り、世帯主及び独身者で違っておりまするが、これに対する消費量、これは三トンを決定するに当っての経緯もいささか私も承わっていることもあるのでありますが、三トンということでくぎづけにされておりますが、実情は、たとえば北海道の例をとりましても、調停委員会ではこれではいけないという結論を出して、労使双方に提示されているいきさつもあろうかと思うのでありますが、そういう実情を尊重される意思はあるのかないのか、当然尊重されるべきだと思いますが、どうでございますか。
  82. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 現在の法律におきましては、三トンというふうに明らかに書いてございまするので、この法律改正しない限りにおきましては、三トンを上回った運営は遺憾ながらできないと考えます。ただ問題は、三トンそれ自体が果して適正であるかどうかという問題は、依然として残るであろうと思います。これはまたあらためて検討してみなければならない問題であろうと思いまするけれども、ただ、従来の経緯からいたしまするならば、一般的な給与の中に何と申しますか、必ずしも石炭とのみ限定する必要はありませんけれども、一般の給与の中にいわゆる何といいますか、燃料費といいますか、こういうふうな方面のものは入っているわけであります。従って、北海道特有の越冬に必要とするところの、つまり暖をとるべき必要量、一般的給与の中に当然含まれていると思うところとの差額をどう求めるかということに、理論体系からいえばなろうかと思うのでありまして、その辺になりますると、いろいろ問題のあることは私どもも十分承っているのでありまするけれども、さらに将来検討してみませんと、今ここでにわかにお答えすることはちょっと困難であろうかと考えます。
  83. 永岡光治

    永岡光治君 それでは石炭の法律で三トンがいいとか、三・七トンがいいとか、そのつど、これは改正するのはどうかとも思いますし、筋からいえば、これこそ公正妥当と考えられる人事院という一つの機関にまかした方が、たとえば今の特価と同じだと思うのですが、それが正しいのではないかと思いますが、その点の考え方はどうですか。人事院の方に一任した方がいいのじゃないかと思うのですが。
  84. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) どうもこれは立法論になりますので、いろいろ御議論があろうかと思いますが、終戦直後のようなインフレ時代で、物資がきわめて欠乏し、いろいろとやりくりをしなければならないというような時代ならいざ知らず、もう経済界もきわめて安定しておりまするし、あるいはまた、石炭の需要供給の関係も安定の状態に向いつつある。一般の生活状態も、少くとも終戦直後の混乱状態から見ると、非常に安定した。その安定しておるという前提に立って立法論的に考える場合と、不安定的な状態にあるという前提に立って考える場合とによりまして、おのおの立法論として違ってくるのではないかと思うのでありますが、従いまして、私、政府委員として直ちにここで結論的なことを申し上げることは困難と思うのでありまするが、比較的安定したような今の状態においては、消費トン数というものにそう大きな出入りはないのではなかろうか。価格等については変動があるにいたしましても、消費量そのものについては、あまり変動がないのではなかろうかという前提に立つといたしまするならば、やはり消費量は法律によって明示しておいた方が、一般の納得もいくし国民にも納得していただけるというのが、これが建前としてはあるべき姿ではなかろうかという感じがいたすのでありますが、これはあくまでも感じを申し上げた次第であります。
  85. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、石炭の三トンがいいか、三・七トンがいいか、あるいは四トンがいいかという、そういう問題について当然これは人事院勧告の対象になると思うのですが、北海道における調停委員会結論、これにつきましても、しばしば人事院の方でも実情を伺っておるのではないかと想像はいたしますが、そういうものについて検討をし、国会に対して勧告する必要があるとすれば、当然これは勧告しなければならぬと思うのでございますが、そういう内容のものであると解釈していいと思うのです。従って調停委員会の調停案が示されておるのでありますが、これについて人事院検討して、結論を出しておりますかどうか。まだ検討の最中であるのかどうか、その辺のことをお尋ねいたします。
  86. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 地方委員会で裁定が出ておりますることは承知いたしております。従って人事院としても検討はいたしておりまするけれども、これは非常に見方によって違う点がございまするので、申すまでもなく、まだ結論は出ておりませんが、検討はいたしております。
  87. 永岡光治

    永岡光治君 いやしくも労使双方の間の紛争を解決するために、調停委員会というものを持たれ、その権威ある機関が調停をした内容でありますから、それについて、これは原則として私はこれを尊重するという建前をとるベきが至当だと思うのでありますが、もちろん人事院の所管するところは国家公務員でありますから、国家公務員を対象とはしますけれども、その国家公務員に影響のある炭の消費量を決定するということに当って、権威ある機関から三・七トンがよろしいと、こういう結論が出たということは、あなた方の調査も、一つ法律によって調査の権威があるわけでありますが、同時にそういうものが出たということも、一つの大きな権威があると見なければならないと思うのでありますが、いつごろ結論を出すのか。八月といえば、そう長い期間でも、ないのでありますが、いつ結論を出す予定でありますか。
  88. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 人事院としましては、いろいろ検討いたしておるのでありますが、問題は二つあると思います。あとから御指摘になりました三トンが適正であるかどうかということになりますと、法律改正という問題に発展せざるを得ないのでありまして、申すまでもなくこれは相当慎重に検討を加えなければならない。地方の裁定においてなされたところの三・七トンということも承知しておりまするし、人事院としましては、給与のあるべき姿というような立場において、やはり検討を加えなければなりませんので、先ほどお答え申し上げましたように、これは目下検討中でありまして、まだ結論は得ていないわけであります。  それからもう一つの、さしあたりの炭価をどうするかという問題でありますけれども、これは従来の例からいいますると、これは先ほども申し上げましたように、八月中には大体結論を出さなければならないだろうというふうに考えておりますので、これも検討を加えております。従って、前者につきましては、今直ちにどうこうということは遺憾ながら今お答えしにくいのでありますけれども、後者につきましては、少くとも八月一ぱいまでには結論を出さなければならないであろうというふうに考えておる次第であります。
  89. 永岡光治

    永岡光治君 それから、地域に従いまして本俸に対して一定の率、二〇%以下が支給されることになっておりますが、それをパーセントを上げてもらいたいということは、つまり実際の状況として、それだけの今までの率では所要経費をまかなうに足りないというところに根拠があるわけでありまして、これも地方の方から強い要望があるようですが、もちろんこれも法律改正しなければならない問題でありますが、こういう問題についても、人事院の方は検討を加えておられると思うのでありますが、結論は出ておるかどうか、まだ検討しておる最中であるかどうか。
  90. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまのは寒冷地手当の問題であろうと思いますが、寒冷地手当につきましては、御承知通り、先回国会で議員提出法律案として出されまして、それが通った、いわゆる薪炭手当というものがございます。この薪炭手当というものと寒冷地手当というものの性格は、一体どう違うのかという、これはいろいろお話がありましょうが、よほど問題があると思うのであります。実は非常に性格の似た二つの手当が並存して出ておるということでありまして、考えようによりましては、従来の寒冷地手当が増額された形と同じようであるとも考えられるわけであります。寒冷地手当あるいは薪炭手当にいたしましても、それだけで冬季の採暖をするという手当というふうにはわれわれ考えていないのでありまして、程度の差こそあれ、そういう寒冷地手当のついておらない所でも、やはり冬季に採暖の必要があるというようなことはあるわけであります。一般的に冬季の採暖費というものは、普通の給与の中でまかなわれるということが原則でありまして、それが足りない部分を補うというものが、これが寒冷地手当であり薪炭手当であろうかというように思うのであります。従いまして、そういう点について果してそれが適正であるかどうかということにつきましては、さようなところは十分検討いたさなければならぬ。また現在やっておる次第でありますが、さしあたり、われわれとして検討を進めておりまするのは、まあそういう議員提出法律でございまするけれども、寒冷地手当と薪炭手当が並存しておるという形は、いかにもおかしいのではなかろうか。従って、これを統合いたしまして、形をすっきりしたものにするということは、考えるベきであろうというふうに思うのでありますけれども、さらにその水準を上げるかどうかということにつきましては、これはよほど研究してみなければいけないのじゃなかろうかというふうに思うのであります。  それから先ほどの石炭手当の問題でございますが、北海道は寒冷地手当の長岡級地、薪炭手当と両方支給されておるのであります。これまた両者多少ダブっておる感じもいたすのでありますけれども、しいて考えまするならば、北海道は石炭の産地でございます。石炭を使用する度合いが内地と非常に違うということもございまするので、この両者の並存は、ある程度意味があるかと思います。しかしながら北海道における一般的な冬季の採暖に三・七トン使っておるから、それがそのまま石炭手当の石炭の使用量として考えなければならぬというわけには参らないのではなかろうか、このように考えておる次第であります。
  91. 永岡光治

    永岡光治君 時間もありませんので、これは一つ十分検討していただきたいと思うのですが、現在のそれぞれの支給の率についてもかなり問題があるようでありまして、新しくまた指定しなければならぬところがあるやにも承わっておりますし、十分これらの問題につきましても早急に結論を得るようにお願いをいたしまして、一応私の質問はここで終ります。
  92. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは委員会は暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩    ——————————    午後二時三十七分開会
  93. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案(第二十四回国会閣法第百四十七号)、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案(参第三号)、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題に供します。  まず、第一案の国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案について、内容の御説明を願います。
  94. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) ただいま提案になっております国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案内容を簡単に御説明いたします。この法律案は、大体いろいろな、全文にわたりまして改正いたしておりますが、内容的に大きく分類いたしますと、四つの改正点がございます。  第一は、健康保険法の改正に伴う改正、第二は、国家公務員共済組合審議会を設置するということ、第三は、共済組合の年金制度全般にわたって合理化をいたしたい、第四は、船員保険と共済組合との給付、この関係の調整をするという点であります。  今申し上げました四点につきまして、逐次内容を申し上げますと、第一の健康保険法の改正に伴う措置でございますが、健康保険法の方につきましては、御承知通り、前回の通常国会におきまして、患者の一部負担制の拡大、その他あるいは保険医療機関の指定制度、そういうものを含む全般的な改正法が出まして、それが一応国会では成立いたしませんでしたが、今度の通常国会で、ほとんど同一内容のものが提案されまして、これが最近通過いたしたことは、これは御承知通りでございます。この国家公務賃共済組合法の改正案も、大体その健康保険法の改正法案にならいまして、所要の改正規定を織り込んでおります。その中の一番大きい問題は、療養の給付につきまして、一部負担制を拡大するという点でございます。法律の体裁といたしましては、健康保険法の規定によって行われる一部負担金と同じものを共済組合でも実施するという改正規定にいたしております。先般国会を通過いたしました健康保険法の一部改正法律によりますというと、一部負担金は、初診の際百円、入院の際は一月間だけ一日三十円、まあこういうことになっております。これが自動的に国家公務員共済組合の場合にも適用されるという仕組みの改正規定にいたしてあるわけでございます。共済組合が、この健康保険の改正と同じように、一部負担金の拡大をいたしましたことは、その理由を申し上げますと、主として共済組合が健康保険の代行制度である。しかも、健康保険の中の比較的財政状態の楽と見られる組合管掌健康保険におきましても、やはり一部負担制度適用されておるというような点、また共済組合だけ一般の社会保険とは異なる別途の一部負担制をやるということは、またいろいろ、医師とか、あるいは支払い藩命等の関係に、手続が繁雑になるおそれもある、こうした点を考慮いたしまして、やはり政府管掌の健保と同一歩調で一部負担制を適用するということにいたしておるわけでございます。  なお、健康保険の改正に伴う改正部分といたしましては、このほか、従来の保険医あるいは保険薬剤師が療養の納付を担当いたしておったわけでございますが、これが改正健康保険法によりまして、保険医療機関あるいは保険薬局というものが療養の給付を担当することに改められたわけであります。それにならいまして、共済組合法の方も、この保険医療機関から療養給付を受けられるというような規定に改めておるわけでございます。  それから第二の、国家公務員共済組合審議会の設置の問題でございますが、この共済組合審議会の設置ということは、多年関係の方々からいろいろ要望されておったのでございます。とりあえず一昨年の十一月十一日に閣議決定をいたしまして、事実上の大蔵大臣の諮問機関といたしまして設置されておったのでございます。この改正法律案では、その事実上設置いたしました共済組合審議会を法制上の機関にしようという趣旨で、審議会に関する規定を盛り込んでおります。審議会の目的といたしますことは、共済組合に関する基本的な施策あるいは組合に関する重要事項を調査審議するという点にございます。社会保険におきまして、厚生大臣の諮問機関といたしまして、社会保険審議会がございます。これは、共済組合がこれにならった制度ということが申されると思います。  第三点といたしまして、共済組合年金制度合理化の問題でございます。現在の共済組合の年金制は、いわば雇用人につきまして、文官の恩給にかわる制度ということになっておりますが、恩給法と比較いたしますと、年金制度の面でいろいろ不利な面も従来あったわけでございます。これをこの際、あまり全般的とはならないで、しかも将来いろいろの年金制度の統合の問題がございますので、全般的な改正はもとより不可能でございますが、一応恩給法と歩調をそろえたような、あまり不利にならないような改正をいたしておるわけでございます。そのうちで一番大きい点と申しますと、いわゆる組合期間の通算という問題でございます。従来組合員であった期間が、二十年未満でやめた者、つまり二十年たちますと退職年金がつくのでありますが、それがつかないうちにやめた方は、退職一時金をもらってやめたわけでありますが、その人が再び組合員となった場合、この場合には、前後の組合期間を合算するということはいたさないわけでございます。いたしておらないのが従来の規定でございます。たとえば、十年勤めて退職一時金をもらった。またあと十五年勤めた。そして十五年勤めてやめますと、やはり退職一時金でございます。ところが、恩給の方でございますと、十年と十五年を合せて普通恩給がつくようになるのであります。その点が恩給に比較してちょっと不利な点でございますので、これを合算して、全部通算して年金を受けることができる、こういうような規定に改正いたしております。  その他、廃疾年金の規定の整備、あるいは退職年金の若年停止の制度がございますが、これに関する若干の改正規定を盛り込んでおります。  最後に、船員保険と共済組合との給付の調整という問題でございますが、これはまた、非常に話が技術的なこまかいことに相なりまするが、官庁の船員は、船員保険の特に被保険者でありますと同時に、また共済組合の組合員でありますが、船員でありまする以上、今の社会保険といたしましては、船員保険は非常にレベルの高いものであります。船員は、大体船員保険で実際の保険給付を行う建前になっております。従いまして、共済組合員である船員につきましても、船員保険の高いレベルはできるだけその利益を受けるようにという考えをとっておるわけでございます。ところが、従来の規定では、船員保険給付あるいは共済組合給付と、どちらか客観的に見て有利な方を御本人に差し上げようと、こういう規定になっておったのでありますが、もともと船員保険の制度と共済組合の年金制度とは、建前が違っておりますので、どっちが有利かということを客観的にきめることより、むしろ主観的に御本人の立場からきめた方が合理的な場合が多いのあります。そういう意味で今度の改正規定では、御本人がどちらか有利と思われる方を選択した場合には、その選択した給付を差し上げるというように改正をいたしておるわけであります。これが船員保険と共済組合の給付の調整の問題でございます。  以上申し上げました四点が改正点の主たる内容でございますが、そのほか、技術的な面について、従来の規定の不備、あるいは取扱い上こうした方が便利だろうというような点につきまして、全面的に改正を見ております。あまりこまかくなりますので、その点は説明を省略さしていただきたいと思います。  なお、国家公務員共済組合法改正法案が前回の通常国会で提案されましたが、その後、やはり前国会でございますが、健康保険法の方の規定が改正をされまして、例の保険医療機関に対する罰則規定が、これが若干修正になりました。それに合せまして、公務員共済組合法の一部改正法につきましても、衆議院でその趣意の改正点が織り込まれまして、参議院の、こちら側に回って参っておるわけであります。結果的には、最近成立いたしました健康保険法の一部改正法案とこの点は全く同一内容になっております。念のために申し上げておきます。  以上、簡単でございますが、公務員共済組合法の改正案の提案理由の内容について申し上げます。
  95. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  96. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 給与課長にお伺いしますが、まず、健保の改正に伴って、共済組合の方でも一部負担、初診料百円、入院料一日につき三十円、これを移行する根拠について、具体的に承わりたいと思います。
  97. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 一部負担制を共済組合において健康保険法に同調する理由ということでございますが、もともと、昭和二十五年でございましたか、健康保険で初診料の制度が初めてできたわけであります。一部負担の制度は、それにならって共済組合もいたしたわけであります。今般健康保険法の力で初診料の一部負担を引き上げ、それから入院料の方も一部負担ができるということになった場合に、なぜ共済組合も同調しなければいけないかということでございますが、これは、いろいろ理由はございますが、第一点は、共済組合が健康保険の代行制度であるということでございます。健康保険法を見ましても、健康保険法の第十三条におきましては、国家公務員共済組合は健康保険の被保険者である。ただし、共済組合法におきまして健康保険の給付のレベル以上のものを行う場合には、健康保険法による給付は行わない、こういう建前に相なっております。つまり共済組合は、完全な健康保険の代行制度であるということになりますと、母法であります健康保険法におきまして、一部負担の拡大が行われるという場合には、これに同調して行わざるを得ないのじゃないかという考え方が第一でございます。  第二の点といたしましては、他の社会保険全般とのバランスという問題でございます。たとえて申しますと、船員保険におきましては、従来一部負担の制度がなかったのでありますが、今回から、やはり初診料は百円という一部負担の制度が新しく施行されることに相なっております。また、日雇い労働者を対象といたします日雇い労働者健康保険におきましても、初診料の一部負担という制度は現在ございますし、さらに、国民健康保険になって参りますと、これは医療費の大体五割程度と申されておりますが、相当程度の割合は患者自身が負担しておるという実情でございます。このように、ほかの社会保険全般で一部負担が行われておる。特に日雇い労働者であるとか、そうした面にまで行われておる点を見まして、あるいは政府管掌の方で行われておるわけでございますが、それを見まして共済組合だけは、自分たちだけは別だということは、なかなか理屈としては全体のバランスの上から成り立たないのじゃないか、こういうことが第二の理由として考えられておるわけでございます。  それからもう一つは手続上の問題でございますが、これは共済組合員にだけ一部負担として、従来の初診料を見ますと五十円だけである、ほかの社会保険の被保険者は百円、あるいは入院の際は三十円と、こういった異なった扱いをするとお医者さんの方も困るわけであります。患者の一々種別によって伝票を書かなければならない、請求書を番かなければならない、また支払い金において区別して別に取扱わなければならないということはなかなか手数が繁雑であります。手数が繁雑なことは理屈に相ならぬかと思うのでありますが、先ほどちょっと内容説明のときに申し上げました共済組合審議会におきましても、手続が繁雑だからこれは一緒にしたらどうかと、こういう意味の答申が行われておるわけであります。そういう意味で私ども手続面も健康保険に同調した一つの理由に相なろうかと考えておるわけであります。
  98. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 健康保険の方は、多くは赤字経営などで一部負担というやむを得ない措置をとったと思うわけですけれども、ただそれとは反して共済組合の方は黒字経営ですね、健全な運営をしておるわけです。従って現在甲地については五十円、乙地については四十六円の負担をして出しておるわけですけれども、これでさえも廃止していいという考えを持っておいでですか。現在の五十円ないし四十六円でも廃止して、いわんや百円に初診料を上げるということについては納得できないと思うのですが、共済組合の立場から言うならばこの点はどういうふうにお考えですか。
  99. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 共済組合が赤字でないから一部負担の拡大を行う必要がないじゃないか、という御質問でございますが、確かに共済組合は最近赤字を出しておりません。しかし共済組合の中には非常に財政内容がよくないものがある、よくないと申しては語弊がございますが、保険料率が非常に高い、組合員の掛金も高いので非常にお困りになっておるところもあるということは事実でございます。従いまして赤字ではないが非常に財政の苦しいところも若干ある、これも一つの理由でございますが、根本的に考えまして、今度の健康保険法の一部負担、これは私どもの趣旨でありますが、これは私ども申し上げるより厚生省あたりから御説明した方が妥当じゃないかと思いますが、今まで政府としては一部負担の拡大ということは単なる赤字解消だと、そういう意味だけで取り上げてはいないようでございます。今日の医療保険制度内容を維持しておる、あるいは相当何と言いますか、この数年間社会保険医療制度内容がよくなっております。よくなって給付レベルが上っておる。従ってそれに伴う支出も相当増加いたして参っておるわけでございますが、これも現実の被保険者だけで負担させる、健康な者、病人もすべてがその高いレベルを受けるために保険料をどんどん上げていくということは、ある意味では被保険者に耐えがたいという面も出てきておるわけであります。それを実際病気にかかった人に一部負担をある程度やっていただきたい。そうすれば現在の給付のレベルも落さないで悔い水準を維持する、そのために一部負担をわずかであるが、やっていただきたい、こういう考え方であると言われておるわけであります。従いまして共済組合におきましても、同じ社会保険医療制度のもとに立つ限りは、制度内容を全く同じものにしてゆくのが、これは至当ではないかという感じがいたすわけでございます。特に健康保険の一部負担は、今度の政府管掌ばかりでございません、比較的財政内容が豊かであるといわれておる組合管掌についても、この一部負担の制度がとられております。つまり何といいますか、現在の健康保険制度一つの支えておる柱になっておるわけですが、そういう意味で共済としても、赤字ではございませんが、同調いたしておるわけでございます。
  100. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほども申し上げましたように、現在の共済組合は余裕があり過ぎて、最近御承知のように掛金率を下げておる、これはお認めだろうと思います。そういうふうにそれほど余裕があるのに、政府管掌の健保におつき合いをして一部負担をしなければならぬということは了解しがたいので、特に健保法の第十二条を考えた場合、結局共済組合については給付の種類と程度については、健保以上でなければならぬというふうに明確に出ておるわけであります。そういう根拠からいってもこの際、赤字経営の政府管掌の健保のおつき合いをしなければならぬという理由は了解しがたいと思います。この点についてお伺いしたいのです。
  101. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 確かに共済組合の多くの組合が最近非常に財政内容がよくなってきたということは確かでございます。しかし先ほど申し上げましたように、まだまだ非常に内容の苦しい、たとえば掛金率にいたしまして俸給の千分の三十八の高率な保険料を取られておるところもあるのでございまして、楽になったからということは、必ずしも一部負担はやらなくてもいいというところまで、まだまだ極言できないんじゃないかというふうに感ずるわけでございます。同じ国という同一の事業主体のもとで働いておるわけですから、あるところでは楽だから一部負担はやらない、あるところはやるということではバランスという点から若干問題がある。それよりもさらに根本的にこれを、たびたび同じことを申し上げて恐縮ですが、今日の医療保険制度を維持してゆくための必要な制度ということで、国の方針としてこの一部負担制を取り上げておるわけでございます。共済組合だけ自分たちは楽だから知らぬのだということも、ちょっと全般の感情からいたしましていかがであろうか、こう考えるわけであります。
  102. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 結局私も社会保険全体という、そういう立場から申し上げておるんですがね、健保も共済組合も社会保険の一環であるということは言うまでもないのです。そういう点から考えると一部負担というようなことは社会保険全体の後退である、そういうふうに私どもには考えられるわけです。社会保険全体から見てどういうふうにお考えになりますか。
  103. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 一部負担の問題は、実はもともと母法である健康保険制度で採用いたされておるものでございます。これにつきましてすでに国会でも御審議、御賛成を得まして法律が成立いたしておるわけでございまして、共済組合としてもこれにならわざるを得ないのではないか、かように考えるわけでございます。健康保険法の制度が後退になるかどうかということになりますと、いろいろ御議論のあることと思いますが、一応健康保険制度基本ラインとしても、諸外国でも相当程度実施いたしておるものでございまして、そういう意味におきまして、共済組合としても一部負担制の拡大ということは、どうしても取り上げざるを得ないのではないか、かように考えるわけであります。
  104. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 保険を中心に考えた場合に、共済組合が健保と異なった一部負担をやると非常に困る、そういうような内容がうかがわれたわけでございますけれども、そういう点からいえば、現在でも健保でもあるいは日雇健保、国民健保あるいはまた生活保護ですね、これは現在でもみんなまちまちなんですね。だから今回健保の方は初診料百円で、共済が従来通り五十円ないし四十六円ということであっても、混乱を来たすことは何もないし、保険医としても何ら困ることはないと思う。現在ただいまでもまちまちだから、そういうことで一部負担について、この点からも政府管掌の健保のお付き合いをしなければならぬということが、こういう点からもうかがわれると思うのです、この点はどうですか。
  105. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 確かに保険医療制度としましては、ばらばらな取扱いであることは確かでございますが、しかし今御指摘になりました保険医療制度、これは大きく分けますと健康保険、つまり勤労者系統のものと、それと言い方がおかしいかもしれませんが、国保というのは日雇労働者健康保険、それから地域保険である国民健康保険、船員保険と申しますのは国から保険料の全般、医療ばかりでございませんが、一般の勤労者の保険制度と違ったものをやっておるわけであります。こうした四つの種別に分れておるわけでございます。それぞれの種別の保険制度に適応した一部負担制度ということをやっておるわけであります。われわれの共済組合法は、そのうちの第一に申し上げました勤労者のための健康保険制度、つまり健康保険法による保険給付、これを代行いたしておるのでございますから、その意味におきましては政府健康保険法に同調するのが筋であろうかと思っております。
  106. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 医療保険ということを考えた場合、医療保険はあくまで医療保障を目的としておると思うのです。そういう場合、病気したとき費用の一部を被保険者である患者が結局負担するということは、結局医療保障制度自体の矛盾であろうと思うのですよ、そういうことは、社会保障制度の後退ともなるわけなんです。こういうわけで病気をしたらもう日ごろ掛金しておるわけですから、一部負担は根本的に考えても要らぬわけです。それを現在の五十円をさらに百円にするというようなこと、こういうことに大きな矛盾があるように考えられるのです、その点はいかがですか。
  107. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) つまり一部負担というものをなぜ取り上げたかと申しますと、これは先ほど申し上げました、一つの医療保険という保険システムを維持していくための制度である、よそから援助を仰ぐというようなことを考えればこれは別でございますが、一つの保険グループといたしまして、そのグループの中でお互いに保険医療制度の給付を受けていこう、こういうことになりますと、そうしますとやはり被保険者が自分の持ち寄った保険料で給付を受ける。ところがその保険料ではどうも給付の支出が多過ぎてまかなえないというようになった場合、これはやはり一つの保険システムの中で問題を処理していこうということになりますと、やはり現実に病気にかかられた人に若干なりとも負担していただく、これはやむを得ない措置じゃなかろうか、かように考えるわけであります。こうした一部負担の制度というものは、医療保障制度の後退であるという御議論になりますと、これはまた何と申しますか、今政府が今度の健康保険法の改正で御同意を得ました考え方とは、また若干異なって参るわけであります。まあ基本考え方についてはちょっと私ども賛成申し上げかねる次第でございます。
  108. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ところが共済組合の場合は給付額がふえていけば、黒字になるまでまた一方掛金率を引き上げておるわけですね。ところが掛金率を引き上げ過ぎて、あまり順調にいき過ぎて最近では掛金率を引き下げたということは先ほど申し上げた通りです。そういうわけで健保の経営と共済とはこれはおのずから違っておったわけですね。そういう立場からもそのまま健保の一部負担を共済へ導入するということについては、重ねて申し上げるようですが、納得しかねるということを申し上げておるのですよ、この点はいかがですか。
  109. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 共済組合の財政状態は最近よくなって来た、と申しますのは、これはいろいろ事情がございますが、医療内容というものは、健康保険制度と同じように、最近非常に高いものになっております。しかし収入の面がよくなって来た、国は、政府管掌の健保関係と違いまして、毎年予算の上で昇給原資を、五%くらい昇給できるような原資を確保いたしております。それに二十九年、また今回ベース改訂もございます。従いまして収入面で恵まれてきておる、そういう意味で状況がよくなっておることはたしかでございます。しかし状況がよくなって参りましても非常にちぐはぐでございます。楽なところもあれば、先ほど申し上げました千分の三十八というような掛金率があって非常に苦しいというところもあるわけでございます。楽なところをみますと、またその楽なところ苦しいところを問わず、ある程度この共済保険の医療給付に対しては、いろいろな面で政府は援助しているわけであります。たとえば共済組合に対して国の事務職員が仕事に従事する、あるいは国の施設を使用させている、あるいは一般会計で共済組合の連合会に対して病院の施設の補助をしている。共済組合に対してはそうしたいろいろな補助が別途あるわけであります。そういうものがあっても、やはりある程度保険料が安くなっているという面もあるのでございます。従いまして一がいに共済組合は楽だから一部負担をやらなくてもいいのだということまでは、なかなか私どもはそうは言い切れないのじゃないかと思います。
  110. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ところが、この一部負担がだんだん拡大されますと、どうしても早期受診ということなど医療上必要なことに非常な支障を来たすということ、わずか百円ぐらいだから問題ないじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、世の中には百円の初診料も出せない気の毒な方々があまりにも多いわけであります。こういう点を考えた場合に、わずか五十円ないし四十六円が百円になったぐらいと簡単には私どもは考えていないのであります。五十円でも相当苦しかった、さらにこれが百円だ、そのうち百円を都合つけてさあお医者さんにかかろうと、そういううちに時期を失してしまうということもありますし、入院しても一日三十円の割合で医療費がかかる、これでは入院の時期を見合わせようと、そういうところに実際の問題として支障が起きてくる。そういう点を私ども心配いたしております。この点についてお伺いいたします。
  111. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 確かに一部負担制を拡大いたしますと、満足にお医者にもかかれないのじゃないか、こういうことが一部には心配されておったわけでございますが、これは健康保険法の改正についても同じ問題があったのでございますが、厚生省といたしまして初診を一日百円、入院三十円と、この程度ならば正当な受診を抑制させないで済むだろう、こういう見込みをもってやっております。それを私ども機械的に、と申し上げては語弊がありますが、とにかく健康保険の代行制度であるということで同調いたしているのであります。そうしたことのほかに、国家公務員の共済組合員というものは、給与レベルがそう低くない。政府管掌の健康保険で申しますと、これは大体ベースが一万三千円前後でありますが、ところが公務員の給与ベースは、今度の給与改訂法が通りますと、一万八千円をこえるわけでありますから、相当日常の経費に恵まれてくるわけでございます。その給与レベルの低い政府管掌の健康保険、先ほど申しました日雇労働者の健康保険制度、こちらでも一部負担はおやりいただいている。それで一万八千円の共済組合員が一部負担を負担しきれないかというと、これはなかなか実態的に見て議論があるのじゃないか。一般のほかの方が負担しているくらいは負担してもいいのじゃないかというように考えております。
  112. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 共済組合では、これが正し通れば一部負担をするけれども、その一部負担金についてはこれを組合に払い戻しをする、あるいはその他の措置で大蔵大臣の定める方法によって措置する。こうあるのですが、私ども考えますと、還元の方法といたしましては、当人に還付する場合、そういう場合が一つあると思います。それから掛金率を引き下げるということと、それから付加給付の実施ということで措置できると思います。ここでは「一部負担金の払戻その他の措置で大蔵大臣の定めるものを行う」、そうあるわけでありますが、ここで言うどの方法を考えられているか、「その他の措置」とは一体何を意味しているか。こういう点についてお伺いいたします。
  113. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) その他の措置として考えておりますのは、ただいま御指摘になりました掛金率の引き下げあるいは付加給付の実施、そうした面があろうかと思います。ただそれを、どれを取り上げるかということは、今のところ私どもは具体的に検討いたしておりません。できれば各共済組合の実情に即した一番やりいい方法、しかも、あまりある組合でやってほかの組合から文句が出るというようなことのないようなもの、そういうようなものを実施いたしたいと考えておりますが、これはまあ、法律案がかりに通りました場合、そのあとで、各組合と御相談をいたして処置を考えたいと思います。
  114. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、これは後ほど付加給付のところでまたお願いしたいわけですけれども、まだ具体的にどれにもきまっておらんということでありますので、十分この点については慎重にお考えいただいて、実際組合員がどういうことを熱望しておるかということを十二分に一つ考えいただきたいと思うわけであります。  次に、一部負担金の徴収責任は一体お医者さんにあるのですか。それともまた、ほかの医療機関という表現になりますか、あるいはまた、徴収できない場合も予想せられるのですが、非常に気の毒な方々がありますから、こういうふうなことについては、どういうふうにお考えですか。
  115. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 徴収責任と申しますか、現実の支払いの問題としましては、お医者さんに行きました場合、その五十円なり百円に相当するものは御本人がそこで払っていただく、その医療機関としましては、全体の医療報酬の請求書のうちから、その一部負担で御本人からいただいたものを差し引いたものを組合の方に請求して参る、こういうことに相なるかと思います。  実際に払えないものはどうするかということでございますが、この点は事実問題でございまして、それぞれその際に、実情に即して御処理になることと思いますが、私どもは、この百円以内というような初診料でございましたら、これは、公務員の現在の給与からして、払えないことはまずあるまい、かように考えておるわけであります。
  116. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 共済審議会がしばしば答申しておるのですがね。その初めの段階では、共済組合においても、一部負担金は、還元をすることを条件として、やむを得ない、おつき合いをするというような趣旨の建議がなされたと思うのですけれども、その後、この共済審議会はさらに検討して、共済組合に一部負担を同意をするということについては再考の余地あり、また、前回と変った結論を出しておるように伺っておるわけですが、この点を一つ明確に伺いたいのですが、どのような実情か。
  117. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 一部負担の最初の答申では、やむを得ない、同調やむを得ないということを申しております。その後、大蔵大臣に対します答申あるいは建議として、一部負担は反対であるということはまだ申されておりません。ただ、共済組合の審議会の内部のいろいろな審議の過程で、ことにこの一部負担の払い戻しのやり方が非常にむずかしいということからして、一体どうしたものだろうかという議論がいろいろあったことは聞いておりますが、正式に、これは困るというまだ答申なり申し出はございません。
  118. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この一部負担ということで、これを実施せられて、たとえば当人に還付した場合、負担金を本人に還付した場合には、そういう余分な事務がまた出てくるわけです。今までなかったような、一応負担金を取っても、これをまた本人に返す、そこにややこしい複雑な事務分野が出てくると思うのですけれども、こういう場合には、今までの事務員では事足りないと思うのですが、こういうことについては、具体的にどういうふうにお考えですか。
  119. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 今度の一部負担制の負担金の内容は、昔の健康保険法の改正案と違いまして、割合簡単になっております。初診の場合と、それから入院の際も、これも一ヵ月だけということになっております。従いまして、事務としてはそれほど、私ども、複雑に、繁雑には相ならない、かように考えております。大体現在の事務員、あるいは経費、人件費、物件費の中でやっていける、かように予想いたしております。
  120. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、掛金についての幾つかの問題をお尋ねしたいと思いますが、掛金について、各省各庁ごとにみな違っておるわけですね。まちまちだと思うのです。ところが、低給者ほど負担率が大きいということは、これはまことに不合理だと思うのですがね。共済組合全体を考える場合に、たとえば、これは、最近掛金率が先ほど申し上げたように順調になりすぎて引き下げたということで、数字は少し違っておると思うのですけれども、労働省とか大蔵省は、今までは百分の三十八であったわけです。これは少し引き下げられたと思うのですけれども、ところが、一方外務省等については、これは高給者が多い関係だと思うのですけれども、千分の二十というふうに、相当開きがあるわけですね。こういうふうに、非常に不合理だと思うのですね。苦しい者ほど負担金が多い。掛金が高いということは、まさに矛盾するものだと思うわけです。そこで、問題としては、低給者については、ある程度政府の方でこれはやはり支援することが必要じゃないか、こういうふうに、共済組合全体を考えた場合に、そういうことが考えられるわけですが、この点はいかがですか。
  121. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 確かに、御指摘通り、高給者の多い役所では、割合掛金率が低い、低給者の多いところでは掛金率が高い、これは確かに実情でございます。医療給付の内容は、高給者であろうと低給者であろうと、同じような給付を受ける。ところが掛金の方は、これは俸給に比例して払いますので、やはり高給者の多いところが掛金が少くなる。やむを得ないと思います。ただ、私どもこうした実情は好ましいとは必ずしも考えていないわけでございます。同じ給付の内容でありますから、できるだけ掛金率は統一したいと考えております。そのために、低給者の方に何か補助を出すという前に、共済組合全体といたしまして、現在の保険料をプールする、同じような保険料率にもっていく方法がないであろうか、これを私どもまず先に考えておるわけであります。今日の組合員につきまして、給与の面でいきますと、これは、どこの役所に勤めておろうと、同じ給与であります。それから差し引かれる税金にしても、同じ所得税法で差し引かれる。ところが、全く同じ医療給付では、掛金がばらばらでございます。給与とか税の取扱いから見ると、決して正しい理想的な形とは費えないのであります。できれば組合全般としての同じ掛金率に持っていきたい。これがわれわれの希望でありますと同時に、保険制度としては、まずそこから手をつけていかなければならぬと、かように考えておるのでありまして、そういたしましても、なおどうにもならない組合がありましたら、その上で特別な措置を考えるなり、必要な措置を検討すべきであろう、かように考えておるのであります。
  122. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は、共済組合は、健保と異なった、五対五の率になっておりますね。これを乗り越えなければ、とうていそういう問題は解決できないと思うのです。今すぐにということではありませんけれども、十分この点をお考えいただいて、五対五についての割合を再検討をして、先ほど申し上げた、低給者は逆に掛金率が高いというような点を是正しなければならぬと思うのですが、こういう点について、どのようにお考えですか。
  123. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) この医療保険については、負担割合は、使用者である国と組合員と五分々々の負担であるということが正しいかどうかという、これはいろいろ議論があろうと思いますが、その前に、先ほど申しましたように、組合全体としまして、少くとも国家公務員であるならば、同じような保険料にならすという作業がまず必要になるのじゃないかと思うのでありまして、ならした上での負担率が非常に高い、これは、政府管掌の健康保険等に比べて、非常に公務員だけ損をしておるというような保険料率であったといたしますと、これはまた、別途の角度から検討する必要があろうかと思います。現状のまま放置しまして、全般的にあるいは低いところだけ国の負担割合を増すということは、まだ、現段階では、そこまで踏み切ってないような感じがいたしておるわけであります。
  124. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 試みに健康保険法の七十五条を見ますと、「健康保険組合ハ第七十二条ノ規定二拘ラス其ノ規約ヲ以テ事業主ノ負担スベキ保険料額ノ負担ノ割合ヲ増加スルコトヲ得」こういうふうにあるわけです。さらに七十五条ノ二を見ますと、「健康保険組合ノ組合員タル被保険者ノ負担スベキ保険料額が一月二付標準報酬月額ノ千分ノ三十五ヲ超過スル場合二於テハ其ノ超過部分ハ事業主ノ負担トス」、こういうふうに、組合管掌の健保では、共済組合と違って、五対五の比率ではなくして、現実には六十四対三十六、こういうような非常に有利な比率をもって運営されておるわけです。この点、先ほども申し上げましたように、健康保険法の第十二条の精神からいっても、共済組合は健保以上でなければならぬというような面からみると、これは将来是正しなけりゃならぬ点だと思う。この点について御意見をお伺いしたい。
  125. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 今おあげになりました条文は、これは、組合管掌の健保の規定でございます。共済組合というものの健康保険の中で、政府管掌の健康保険に比較して考えるとか、組合管掌の健康保険に比較して考えるとか、これはなかなか議論が分れるところだと思います。ただ、給付の点につきましては、先ほどおあげになりました十二条の規定によりまして、政府管掌の健康保険よりは給付の種類、内容はよくなっております。現実にも、政府管掌の健康保険より融合管掌の保険はよくなっております。しかし、それよりさらに進んで、保険料の比率とか、あるいは使用主の負担割合というものを組合管掌までそろえるかどうかということになりますと、これはやはりものの考え方自体として、いろいろ議論の分れるところだと思います。特に、組合管掌となりますと、民間の大企業でありますから、純粋の民間の大企業なみに給付の負担割合をもっていってしまうということは、別の意味から批判があろうと思います。もちろん、さらに現実問題にいたしましても、今日の共済組合の掛金率が、組合管掌の被保険者の掛金率に比べて非常に悪いかといいますと、私どもの調べたところでは、必ずしもそう悪くないのであります。もちろん、組合管掌といいましても、非常に大企業で、被保険者の負担が百分の一くらいにしかならないというような、また行き過ぎたところがあるわけでございますが、まあ、組合管掌は総体的によくなって、平均的に見た場合、今日の共済組合の負担に比べて軽過ぎるかといいますと、必ずしもそこまで言いきれないのじゃないか、実態からいっても、そこまでもっていく必要はさしあたりのところないように考えております。
  126. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 以上、私の方から申し上げたような観点から、掛金と国庫負担の割合については、これは、組合と大蔵大臣といろいろ交渉の結果きめる、そういう道を開くことが適切であろう、そういうふうに考えられるわけですが、この点についてはいかがですか。
  127. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) この保険料の負担割合を使用者と組合との交渉できめるという問題でございますが、これはやはり、今日の健康保険法でも、必ずしもそれまで組合管掌につきまして踏み切っていないわけでございまして、そこまで自由自在に話し合いでものをきめられるということはまた別の問題で、これは、国家公務員は、こんなことを申すのは何でございますが、ほとんど租税によってすべてが、人件費がまかなわれているというふうに考えますと、当事者限りできめられていくということは問題だろうと思う。
  128. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今の点については、今すぐそういう方向に決定できないとしても、将来十分検討の必要があろうと思います。今後機会あるごとに、そういう方向にいくように十分御考慮願いたい。  次に、時間の関係で、新たな面に進みたいと思いますけれども、給付の改善ということについて数点お伺いしたいと思いますが、今度の政府のあれを見ますと、組合員が非常に熱望している給付の改善という点にはあまり触れていないので、ほとんど問題がないのです。何ら見るべき具体的な改善案はないわけであります。  そこで、率直に申し上げますと、健保改正に伴う一部負担、こういう点を骨子として打ち出しておるわけであります。ただ、それだけ提案したのでは、あまりにも風当りが強かろうというような観点だと私は思うのですが。そこで、閣議決定の共済組合審議会を動かしたり、また、年金制度合理化とか、あるいはまた、その他の幾つかの問題が出ておりますけれども、率直に言えば、健保改正に伴う一部負担がねらいであろう、そういうふうに思うのですが、政府改正案において、給付の改善ということに少しも触れていないという点は、まことに遺憾だと思うのですが、そこで、この給付の改善について、以下幾つかをお尋ねしたいと思いますが、まず、社会保険による給付については、企業とか組合員の数、あるいは地域のいかんを問わず、統一されているということは、きわめて望ましいことだとは思うのです。望ましいことだとは思いますけれども、そういうことになると、形式にこだわって、各社会保険が非常にその活動が消極化するおそれがあろうと思うのです。その実際の例として、日本の中小企業の健康保険については、政府管掌になっておるわけです。政府管掌にしたために、組合員自身も、また中小企業自身も、何ら積極的な運営がなされてない、見るべき活動がなされてないわけです。そういう状態にあると思うわけです。ところが、大企業の健康保険については、組合管掌にしたために、組合員自身も、また企業主自身も、健康保険を通して、疾病とか災害あるいはまた出産、死亡、育児、老齢、失業、こういうような面について、非常に活動が活発化してきている。そうして、現在のような段階にまで進んできたと思うのですけれども、この点については、大蔵省としてはどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  129. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 一々お言葉を返すようで失礼でありますが、最初の、今度の改正案が何もねらいがなくて、健保の一部負担ぐらいがねらいだろうというお説でございますが、これは、私どもやはり、それほどまでには極端に考えておらないのでございまして、年金制度内容の改善ということも大きな一つのねらいでございます。これなどは、相当組合として助かるわけでございます。本格的にいろいろな給付の内容検討するということは、この法案で今度審議されております共済組合審議会の御審議におまかせしよう、こういう考え改正法ができておるわけです。  次の御質問の、あまり給付の内容を法定し過ぎてしまっているから、こうした保険制度内容がよくならないのじゃないか、こういうことでございますが、給付の内容を法定したから、組合員として、民間の組合管掌の健康保険でやっておりますようないろいろな、何といいますか、福祉関係の活動ができないのじゃないかということでございますが、必ずしもわれわれはそうは考えておらないのでございます。今日の健康保険の給付に比べまして、共済組合の給付の種類とか内容は、健康保険以上でございます。場合によっては、組合管掌の健康保険よりも上回るような種類のものがあるわけでございます。もちろん、組合管掌としましての健康保険としても、この健康保険にない給付、また、それをこすようなレベルをやっているところもあるかと思いますが、半面、共済組合でやっていないことをやつているようなところもあるわけでございます。その辺、全体としてどっちが有利かということになりますと、なかなか判断のつきにくいところであろうかと思うわけでございます。特に共済組合では、この健康保険の医療給付をそのまま代行しているというほかに、年金制度の長期積立金を利用しまして、ある程度の福祉施設はやっているわけでございます。そうした面もあわせ考えますと、共済組合の福祉事業の内容が組合管掌に比べて著しく劣るというところまでは考えられないというふうに存じておるわけでございます。
  130. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今申し上げましたのは、組合管掌の健保の社会保険としての積極的な活動は、現在付加給付という、そういう名称で呼ばれているのであります。その付加給付は、年々拡大されておるのが実情であろうと思うのです。試みに数字を拾ってみますと、昭和三十一年 昨年の四月一日現在で、健保の組合数が九百十あったのですが、そのうち実態調査の結果を見ますと、九百十のうち八百七十六だけが回答を寄せているわけですけれども、その八百七十六のうちで八百八という、ほとんど大多数の組合が付加給付を実施しておるわけですね、現実に。こういうような現実を大蔵当局としてはどういうふうに見られるかということをお伺いしたい。
  131. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) ただいまおあげになりました数字は、おそらく健康保険組合連合会で調査なすった数字だろうと思います。私どももその数字を持っておりますが、大体それだけ多くの組合がやっていることは確かでございますが、その種類とか内容から見ますと、またこれは区々でございます。総体のレベルとして、果して共済組合のやっております給付より非常によ過ぎるものか、あるいはどうかということは、これはなかなか判断のしにくいことでございます。まあちょっと一例を申し上げますと、この給付の種類にいたしましても、ほとんどが法定給付を若干上回ってやっているというのが大多数でございます。法定給付以内の給付をやっている所は非常に少いのでございます。それに、法定給付以上の給付をやっております所でも、その法定給付の内容を上回る率というものはそれほど高くはない。もちろん幅はございますが、非常に有利なものをやっているのはわすかな所でございます。そうした意味におきまして、現在健康保険法の法定給付以上の給付をやっております種類といたしまして、共済組合の方が総合判断で非常に悪いのかどうか、これはやはりそう一概には言い切れないのではないかと考えているのでございます。
  132. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 組合管掌の健保と公務員共済組合を比較した場合ですね。この両者の運営は同じものでなければならぬ。特に共済組合の給付の種類とか程度については、健保より以上でなければならぬ。これは先ほども申し上げたことですが、これを沿革的に見ても、また法文から見ても、そういうことがはっきり言えるわけです。こういうような点をどういうふうにお考えになっていますか、お伺いしたいと思うのですが。
  133. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 共済組合の給付が健康保険法の給付以上でなければならぬ、これは確かに健保に規定がございます。現実に共済組合法の規定を見ましても、たとえて言いますと、短期給付の面で、健康保険法にない給付があるのでございます。たとえば、罹災給付でございますか、弔慰金とか、あるいは災害見舞金、あるいは給与給付のらち休業手当金、こうしたものは、みな健保にない制度でございます。健保にある制度、たとえば分べん費にいたしましても、出産手当金にいたしましても、こうしたものは政府管掌の健保よりは高い金額には相なっております。
  134. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 従来からの政府態度を見ますと、政府は、公務員共済組合に対しては、付加給付を実施させないような方向に力を注いできたと思うのです。付加給付を実施させないことによって当然積極的活動ができないような、そういうことになるわけです。国家公務員共済組合は、先ほどから繰り返して申し上げておるように、現在健全な黒字経営でもあるし、こういう点からも、付加給付については実施できる状態に置かれておると思います。そこで、この付加給付を実施しようとする考えが大蔵省になければ、たとえそういう恵まれた可能な情勢の中にあっても、いつまでたってもこれは実現できないと思うのですけれども、結局この付加給付に対する大蔵当局の熱意とか考え方によってきまると思うのです。実施しようとすれば、以上申し上げたような観点からも、当然実施されなければならぬと思うのです。この点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  135. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 付加給付を共済組合でなぜ今までやらなかったかということをちょっと申し上げたいと思いますが、この付加給付を共済組合でやらなかった理由は、二つございます。第一が共済組合内部の問題、それから第二がほかの社会保険制度との関係でございますが、第一の共済組合内部の問題といたしまして、非常に困りますのは、先ほど指摘があったのですが、共済組合が現在各省庁単位でございますから、掛金率が非常にまちまちになります。楽なところもあり、苦しいところもある、そういうところに付加給付制度を施行いたしまして、それぞれ組合財源範囲内で好きなことをやったらどうかというようなことをいたしますと、これは、財政の割合楽なところ、高給者の多いところ、そういうことで何でもできる、そうしてほかの組合では、それを指をくわえて見ていなければならぬということになる。これは、同じ国という事業主のもとに立っている組合として、そうしたばらばらなことをやるのは、やはり好ましくないわけであります。これは、組合管掌の健康保険でありますと、一つの会社内部だけでやることでございますから、ほかに響くことがない。よその組合が見ましても、あすこは割合経理状況がいいのだから、ああいうことをやつているのだなというくらいでおさまるわけでありますが、国という、同じ事業主の中にある共済組合では、事がそれでは済まないわけであります。やはり苦しいところにも何かやりたいという気持が起きてくるのは当然でございます。この点が私どもとして、非常に今までこの付加給付を取り上げることがむずかしかった事情でございます。もちろん、付加給付の内容いかんでございますが、各組合共通でできるような軽いものからやるという考え方ももちろんあるのでございます。しかし、それにいたしましても、その前に、まず各組合の財政負担、各人の組合員の負担の均衡ということをはかってからでございませんと、ここまで突き進めて参ると、いろいろあとで問題が起きてくる。これが今まで付加給付を取り上げなかった一つの理由でございます。もう一つ、共済組合の外部に対する問題、つまり他の社会保険との関係でございますが、組合管掌の健康保険では、御承知通り、付加給付をやっておりますから問題がございませんが、今一番問題になっております政府管掌の健康保険、これの方との給付のバランスがますます開いてくる心配もあるわけでございます。共済組合員に対して、保険料の半分を国が負担している。国が負担しても、これは事業主としての負担であって、いわゆる純粋な意味での国庫負担ではもちろんないわけでありますが、それにいたしましても、国が一般歳入のうちからその負担金を持ち出していることは間違いないところであります。現在相当いいレベルの給付をやっているのに、さらにその上に、国の負担まで持ち出して、政府管掌と差をつけるとかというような批判がまた一部出て参るわけであります。そうした点を考えますと、なかなか私どもとして、共済組合だけ独走していいというところまでまだ踏み切れずにいるわけでございます。
  136. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと関連……、今の付加給付の問題ですが、課長の御答弁によりますと、付加給付にするというのはとんでもないことだとまではおっしゃらなんだけれども、それに近いような感じを受けたのですが、一体なんですか、大蔵省がわざわざ成文化してまで大いに尊重していこうとせられておる国家公務員共済組合審議会がこの二月二十五日に大蔵省に答申していますね、付加給付をやれと。大蔵大臣がそこまで信頼されて特に設けられた審議会がそういう答申をしておるところを見るというと、やはり付加給付というものは共済組合の趣旨に反するどころではない、共済組合の趣旨に非常に沿うたよりいい制度なんで、これは、大いにその方向に一歩でも二歩でも踏み出していくべきものではないかというふうに私は思うのですがね。この審議会の答申に対しては、大蔵省としてどういう扱いをされたのですか。
  137. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 実は、ちょっと私の言葉の足りなかった点かと思いますが、付加給付はとんでもないものだからやる気持はない、こういうことを申し上げたわけではないのであります。今まで大蔵省として踏み切れなかったのは、今申し上げたように、二つの理由があったのだということを申し上げたのであります。共済組合審議会でそうした答申が出たことは、建議の出たことは確かであります。それに基きまして、大蔵省といたしましても検討はまだいたしておるわけでございます。その前に、各共済組合からも、この付加給付について一体どう考えるのかという、建議に基いての措置を、措置と申しますか、この建議に基いて、こういう建議があるから、各組合ではどうお考えになるかということで、正式に意見を聴取したのでございます。最近ようやくその全部が出そろって参ったわけでございます。これに基きまして、至急私ども内部で最終の結論を得たいと、かように考えておるわけでございます。
  138. 秋山長造

    秋山長造君 付加給付のことについても、もう少しお尋ねしたいのですが、その前提として、大蔵省に設けられたこの共済組合審議会が二月二士五日に大蔵大臣に対して建議をやつておりますが、その内容はどういう点を含んでおったのか、ちょっとお示しを願いたいと思います。
  139. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 今の二月二十五日の建議の内容は二つございまして、一つは、付加給付制度を設けること。簡単でございますから読みますと、「健康保険組合との権衡からも、各組合の、実情に即するためにも、労務管理に資するためにも、一定条件のもとに、共済組合の短期給付に付加給付制度を設けることは必要と認められる。」これが第一であります。第二、「組合事務に従事する職員が共済組合に加入できる途を開くこと」。共済組合の事務専従職員を入れることでございます。理由といたしましては、「他の関係法規との権衡からも、共済組合の運営合理化の見地からも、一定条件のもとに共済組合に所属する職員が当該共済組合に加入し得る途を開いておくことは必要と認められる。」この二点であります。
  140. 秋山長造

    秋山長造君 今お読みになったところを聞いておりますと、むしろ国家公務員共済組合について付加給付をやらないことの方が、むしろ他との均衡というか、あるいは時代の推移というものにむしろおくれているような感じを受けるわけですね。だから、当然付加給付というものは、これは共済組合という建前からして、一歩でも二歩でも、その建議の中にも「一定条件の下に」云々という言葉がありましたがね。「一定条件の下に云々」というのは、やっぱり漸を追うてと、漸次一歩、二歩、三歩と進めていくべきだという意味じゃないかとも思うのですけれども、とにかく付加給付のどれだけの範囲で一挙にやるかということは、まあ議論があるとしても、とにもかくにも付加給付に踏み出すべきだということは、これはもう間違いない。しかも、これだけの大蔵大臣の信頼して集められた学識経験者の知能を集めて審議をきれた結果、そういう結論がしぼり出されたということは、これは、よほど大蔵省としても尊重されるべき筋合いのものだろう。しかも、それと並んで、後ほどどうせ問題になると思いますが、共済組合の事務職員の組合加入、これにしても、やはり他のいろいろな方面との均衡上からいっても、また職務の実質性からいっても、これは当然組合に入れるべきだという結論になっておるので、この二つの点とも、これはもうこの建議が出て、相当今度の予算審議に入るまでに準備期間というか、大蔵省の方で考えられる期間というものはあったわけなんです。だから、当然こういう点は考えられてしかるべきじゃないかというように思うのですがね。その点、二つの点についてどうお考えになるかということを重ねてお伺いしますが、同時に、こういう閣議決定で設けられたものを、あえてこの際、法律の条文にはっきりうたって法制化しようとされるくらいだから、この審議会というものはよほど尊重されてもおり、また今後も尊重されていくおつもりだろうと思う。そうであるならば、なおさらこの審議会がたった二つの点にしぼって、丹精こめて建議をしたものを、これはもう一文の値打もないような格好で放任して、そうしてほおかぶりして通ろうというのは、私は間違っていると思う。もしそんなことだったら、これは法制化なんてする必要はない。これは、この条文は削除したらいい。どうですか、この両点についてお尋ねしたい。
  141. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) まず第一に、共済組合審議会の意見を尊重しないということでございます。まあ私ども、もちろん大蔵大臣が共済組合制度の諮問機関として、重要問題の審議あるいは答申をお願いいたしておるわけでございますから、その結論はできる限り尊重いたして参るということは、申し上げるまでもないわけでございます。ただ、今回のこの建議につきましては、先ほど申し上げましたように、一応これは審議会の答申でございます。建議でございます。従って、この審議会の建議をそのまま受けてやれるかどうか、実行する側の立場もやはり考えなければいけないということで、私ども、各共済組合にその意見を、これについて一体どう思うかという意見を行政官庁としてまた別途の角度から意見を出したわけでございます。これの各組合の意見が出そろって参りましたのは、つい最近のことでございます。建議自体は二月二十五日でございます。私どもまた、それに対する各組合の意見はできるだけ早く出していただきたいということを要望いたしておったのでございますが、実は、各組合の意見が出そろったのはつい最近でございます。これに基きまして、至急今いろいろ資料を整えまして、検討いたしておるというのが実情でございます。
  142. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 最近各組合からの意見が出そろったというのですが、これはまあ、いずれ整理されたものを私どもまた拝見したいと思うのですが、大体の傾向ですね、各組合から来た意向、つまり大体の、というのは、問題になっておる付加給付なり、その、二点についてやれという方向のことなのか、そんなものやつちや困るという方向なのか、それは大体わかっていると思うのですが、どういうふうなものが出ているのですか、参考までに。
  143. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 実は、各組合の意見を求めましたのは、この付加給付の点だけでございますが、付加給付の面では、ほとんどは賛成でございます。ただ、無条件賛成とばかりは限っておりませんで、中にはやはりよそとのバランスにおいて付加給付はやってほしい、しかし、自分のところは財政が苦しいから、何とか面倒を見てほしい、あるいは付加給付といっても、各組合のばらばらなのは困る、横に統一のとれたものであってやってほしい、こういうふうな条件のついたものはございます。しかし、ほとんどは賛成であることは間違いございません。
  144. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、この審議会の意思も付加給付制度を採用すべきだということだし、それから、それに基いて組合の方へ諮問された、それに対する組合の回答も、条件のあるなしは別問題として、とにかく採用してもらいたいということなら、もう大体結論はきまったようなものですがね。もうあとは、ただ実行あるのみだ。ただ、この法案自体が、実はこの審議会の建議が出る前からの継続になっていたものだから、だから、ちょっとこの法案へこれだけのことを挿入するということが技術的にむずかしかったかもしれぬけれども、しかしそれは、国会修正という手はあるのですから、だから、結論はわかっていることなら、この際一つ政府国会と協力して、この点修正したらどうですか。そういう御意思ありませんか。
  145. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 建議もあり、各組合の意見も賛成であるということは、申し上げた通りでございますが、ただなお最後に、内容の問題といたしまして、これ自体どうするか、どういう付加給付でやるかということは残っておるわけでございます。これをどうするかによって、国庫負担も相当違って参るわけでございます。わかりやすく申し上げますと、今日の各組合の出して参りましたものを見ますと、みんな医療給付期間を、現在の三年というのを一年延長してほしい、これが第一順位に全部あがっているわけでございます。建議自身も医療給付期間を延ばす、これは非常に金のかかる問題でございます。と同時に、政府管掌健康保険にも影響する問題でございます。現在三年で済んでおりますものを、四年にするということになれば、これは、財政状態が楽になったから、その中の余裕でやれるだろうという程度のことでは話が済まなくなるという私どもの見通しでございます。もう一つは、政府管掌健康保険の方でまた医療給付期間を一年延ばすという問題が必然的に起きてくる問題であります。その方の見通しがなかなか立ちにくいということで、この点については、実は私ども困っているわけでございます。まあ付加給付制度というものをそういうところに何もしぼらない、あるいはもう少し軽いもので始めるということが各組合の御希望であれば、これまた事務当局としましては、それほどそう検討に日時を要しないわけでございます。何分にも、これが一番のこの保険制度の焦点となっております医療給付期間の一年延長というところに来ております各組合の御希望、これはやはり各計数を固めて検討していきませんと、先の問題が生ずるわけであります。そういう意味で、若干検討の日取りで、ちょっと手数をかけておるわけでございます。
  146. 秋山長造

    秋山長造君 その点は、限度の問題でもあるが、同町に、やはりここまできたら踏み切りいかんの問題だと私は思う。だけれども、私の質問は関連ですから、また伊藤さんの方へ質問を返して、また後ほどもう少し突っ込んで伺います。
  147. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと私から、もう一つ関連してお尋ねしたいと思いますが、現在ある閣議決定に基く審議会ですね。これは、私どもがもらっている資料によると、直接労働組合関係の人というのは、十一名のうち三名しかおらない。あとはみんな、給与課長が御心配になるような点などを、そういう立場をよく平生から考えておられる人たちですね。そういう人たちがみんな委員に入っている。ことに大蔵省の場合には、主計局長みずからがこれに入っているわけですね。こういうような点、いやそれは、審議会としてやった意見であって、大蔵省の主計局長ということになったらまた違うのだ。まあ一応は形式的にはそういうことは言えるけれども、そうせつ然と区別されるものではないと思うのですよ。主計局長も、これが審議会として決議をされ、進んで行けば、どういうことになるかということは、これは当然予見できることですからね。ほかの官庁のいろいろな、管理局長とか人事部長なんかとは相当違うと思うのですよ、主計局長をわざわざここへ入れておるのは。これは、むしろそういう財源等の裏づけ等もやはりつけてやらんといかぬ。そういう意味でやはり入っていると、私どもは常識的に感ずるのですね。先ほど答弁から見ても、ほんの大体了解される程度のようなことに思うのですが、どうなんですか。この十一名中ほとんどこれは大部分が組合以外の人が入っていて、こういう決定をしているわけですね。そういう立場からいっても、これはもっと具体化に熱意を示すべき問題じゃないかと思うのですが、そういうことは問題にならないのですか、内部でこういう構成でやられていること自体について。
  148. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 今委員長のおっしゃっておりますのは、現在の審議会の構成メンバーのことでございますか。法律に基くものでなくて……。
  149. 亀田得治

    委員長亀田得治君) いや、現在のです。
  150. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 確かに現在のメンバーは、いわゆる職員組合代表という意味での方は少いということは確かでございます。しかし、共済組合というのは、またいわゆる職員組合と官側という意味の構成メンバーからばかりで作るというのは、必ずしもそれが適当なんだとばかり言い切れない面がございます。まあこれが、今日のメンバーがこういうことになっているわけでございます。これは、改正法案が通りまして、新しく法定されます場合、この改正メンバーの構成をどうするかということは、すべてこれは政令に譲られるわけでございます。改正法案の九条の二の第八項で、「組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。」ということになっております。この「政令で定める。」という場合に、今までの審議のお約束としましては、審議会にかけて公正なメンバーになるように努力しようということに相なっております。法律案通りました後の新しい審議会の顔ぶれは、若干変って参ろうかと思うのでございます。ただ、今日までの建議とか答申でありますが、これは、大蔵省が一枚加わっているから、もうそこでほとんど了解しているのじゃないか、こういう趣旨の御質問だろうと思いますが、実はこれは、委員としては加わっておりますが、事務局の代表としての意味で加わっているにすぎないのでございます。従いまして、委員会の席上では、発言はほとんどいたしておりません。同時に、採決には加わっていないのでございます。大蔵省代表は、この採決には加わらないという慣例になっておりまして、今度の、先ほどの建議にも、慣例により、大蔵省の代表は加わらないということは、わざわざ注記しております。これは、単なる事務局の代表という程度で入っております。こういうように御了解願いたいと思います。「(政府側を代表する二委員は慣例により採決に加わらない)」、これは建議にも注記してございます。
  151. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 政府側を代表する委員というのは、どれとどれですか、この十一名の中で採決に加わらないというのは……。
  152. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは、大蔵省の主計局長と厚生省の保険局長でございます。
  153. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちゃんと委員になっているけれども、結論については責任を持たないのだ、そういう委員ですか。
  154. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 普通の委員会における責任を持つという意味のものではないわけでございますが、これは審議会ができましたときに、これは主として内輪話になるわけでございますが、当時の委員の今井さん御自身の御希望もございまして、こういうことに相なっておりますが、今度法制化いたしました場合には、これはまた別途の構成には相なっておると思います。
  155. 亀田得治

    委員長亀田得治君) まあこれはしかし、希望を申し上げておきますが、こういうふうに委員十一名と並んで、私が質問したからいいようなものの、質問されなければ、だれだって私が最初持ったような疑問はこれは持ちますよ。もしそんな責任を持たぬものならば、消しておいてもらわなければね。しかし、それにしてもここに名前が出ている以上は、これはやはり責任を持ってもらわなければいかぬですよ。今のような答弁はちょっと了承できませんよ。この程度にしておきます。
  156. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 関連しまして……。各種の委員会がありますね、審議会というものがある。その場合に、役所を代表して出ておられる委員の諸君のお立場というものは、特に大蔵省を代表しておられる立場というものは、われわれとしても苦しいことがあるだろうということは、よく察しがつきます。しかし委員として顔ぶれに入っておられる以上は、今、内閣委員長の言われるような論法でいかないというと、ちょっとおかしなことじゃないか。もしどうしてもそれが悪いということでしたらどうするかという問題です。しかし、政府の人がさっぱり委員会に顔出ししなければ、審議するにしても都合が悪い。そのときに幹事という名前で、あるいはほかの名前でもけっこうです、委員以外の立場で説明の役に当るという制度にするのが正しいのであって、委員という名前をつけておいて、採決に加わらないとか、責任を負い得ないというようなことは、ちょっとおかしいのじゃないか。ただ、理屈としましては、これは委員立場と、また政府といってもそのときに自分が大臣であるというわけでもないわけですから、理屈としては、使い分けができなければならないはずだと思っております。その点は、この問題もさっそく起る問題ですが、審議会ができますれば、よくそこをお考えになりまして、今の御説明のようなことが繰り返されないように、一つ研究願っておきたいと思います。
  157. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 確かに今日の事実上の審議会の変則でございますね。これは実際は関係行政庁の委員二人を除いたところの九名の委員をもって組織するというくらいに了解願ってもらいたいと思います。事実はそのように運用いたしております。今度の新しい改正法案が通りました場合には、できるだけ御趣旨に沿うような組織は考えたいと思っております。
  158. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それで、その採決の場合に加わるとか加わらないということになりますと、政府の方の立場として、都合のいいときは多数決で勝ちたいから加わるが、都合の悪いときは加わらないというようなこともできるわけでして、あまり御都合主義な委員会になっては、審議会の権威というものはなくなりますから、これはよく御検討願っておきたいと思います。
  159. 秋山長造

    秋山長造君 これはもう政令案はできているのじゃないですか。大体二十四国会から継続案件なんだから、もうずっと前にすでに構成メンバー、——具体的なことはきまらないでも、大体今のような点は、どういうようにするということは、準備ができているのじゃないですか、その点いかがですか。
  160. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 実はまだ政令案は、不勉強で申しわけないのですが、できておりませんのですが、法律案通りました場合に、今日の事実上ございます共済組合審議会、現在もうすでに期限が切れてなくなっておりますので、一応そのメンバーの方の意見も伺いまして、その上で政令も考えたいというふうな段取りにいたしておるわけでございます。
  161. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 あなたにお尋ねするのは無理かもしれませんけれども、御存じだったらお話し願いたいのですが、ほかの審議会というものは、役所から出ていらっしゃる委員の人は、やはり採決に加わらないというのが今日までの例になっておるでしょうか、ほかの審議会御存じでしたら一つ……。
  162. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 大体法制上きまっております審議会というものは、委員はみな意見を述べ、採決に加わることができるのが建前でございますけれども、これは私どもの力は事実上の審議会として出発いたしておりませんので、まあ勝手もよくわかりませんし、この方がむしろ実際は関係者の意見を聞けていいのじゃないかということで、むしろ委員にしておいた方が意見を勝手に言ってもらうのに都合がいいじゃないかという会長の御希望もあったわけでございます。まあそういう取扱いをいたしております。しかし、事実上は幹事でございますから、これを採決に加わらせるということは適当でないということで、落しておるわけでございます。一般的には委員は全部採決に加わるというのが常識でございます。
  163. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 実際上は、大蔵省からはどなたが出ていたわけですか、委員であろうが、幹事であろうがいいですが、実際上はどういう方
  164. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 実際上私ないし私どもの課でこの方の事務を主管いたしております予算実地監査官の穂刈さんという人が出ております。
  165. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それじゃあなた自身としては、まあ幹事役のようなことをやってきたのでしょうから、大体この建議には賛成していたわけですね。とてもいかぬというなら、若干こういう非常に融通性のあるような委員会ですから、ちょっと待ってくれというのが普通なんです。その辺の色合いというのはどういうふうですか。
  166. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) まあ幹事でございますからして、いろいろな問題を聞かれました場合に、そのいろいろな角度の、賛成の角度もありますし、反対側の角度もある、そのいろいろの角度のまあ批評と申しますか、そういう角度のものの見方だけは申し上げておりますが、まあこの程度のことなら建議してもらってもいいからやって下さいということを言っておるわけです。その辺のことは、やはり審議会が自主的におきめになっておることでございます。
  167. 秋山長造

    秋山長造君 関連して。そうしますと、私はますます不思議に思うのですけれども、あなたが幹事で出ておられて、委員会としてこれだけの結論をまとめられるまでには、よほどその過程で担当課長としてのあなたの意見というものは、各委員から聞かれたと思う。あなたは、今われわれに答弁なさっておるようなことを、やはりおっしゃっただろうと思う。にもかかわらず、あえて委員会がこういう結論を出したということになると、それはもうあなたなんか全然関係出席もしていない委員会で、ただ一般的の学識経験者が集まってこういう結論を出したというより、よほどこれは強い結論だとこれは判断せざるを得ない。そうでしょう。専務を担当しておられるあなたのいろいろな意見を聞いた上で、あえてこういう結論を出したわけですからね。だから、これはただ漫然と付加給付制度を採用せいと出したよりは、さらにこれは強いですよ、この付加給付制度をやれという結論は……。だから、そうであるとすれば、なおさらこれはやっぱり大蔵当局として、これは今からでもおそくないのですが、一つ付加給付制度というものの採用ということでも、まあ範囲、程度というものは一応別問題としても、付加給付そのものに対しては、やっぱりこの際踏み切られるべき段階ではないか、こういうように私は思う。
  168. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) たびたび申し上げておりますが、ともかく各組合の意見が出そろったところで、その意見の主眼点について、今最終の計数整理などいたしまして、いろいろ最後の検討をいたしておるわけでありまして、頭からこれはだめであるということを、意見をきめておるわけではないわけであります。
  169. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 審議会のメンバーですがね、最初十一名のうち五名が組合代表というふうに委員長から話がありましたけれども、これは正しくは二名ですね。官公労の豊田氏と共済協の沢田氏であって、二名ですね。これは訂正する必要があろうと思う。おそらくこの海野氏も入っておったと思ったのですが、これは事務当局側から出ておるのであって、労組の代表からは二名であるということを訂正願いたい。  それからそういうふうに十一名中わずか二名の労働組合の代表、そういう構成で、決してこれは労働組合の交渉の——それは百パーセント受けがたいということは考えられますけれども、政府の責任者も相当入ってですね、しかも労働組合の代表は二名と、そういうことで、先ほどあなたの方では大体みな賛成だったということですが、私どもはもう全会一致できまったというふうに聞いておるのです。そこにもだいぶ表現の相違があろうと思うのです。そこでですね、さような事情で、全会一致できまったこの審議会の結論はですね、相当重視しなければならぬということについては、ただいま各委員の方々から御指摘があったわけですが、私もこの点は特に強調したいと思うわけです。そういう点で、さらにこれに加えて健康保険法の六十九条の三を見ますと、組合管掌健康保険においては「本章ニ規定スル保険給付ニ併セテ其ノ規約ヲ以テ保険給付トシテ其ノ他ノ給付ヲ為スコトヲ得」、そういうふうにあるわけです。「其ノ他ノ給付」というのは、まさしくこの付加給付のことをさしておることは御了解いただけると思うのです。付加給付をなし得るということなんです、結局結論は。そこで、この趣旨は、当然共済組合の中でも生かされなければならぬと思うのです、先ほど来から申し上げておるようにですね。その点については、どういうふうにお考えですか。
  170. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) ちょっと誤解の点がございますので申し上げますが、大体において意見が一致していたと申し上げましたのは、これは共済組合の審議会の建議に対して、各組合が大体賛成しているということを申し上げたのです。建議自体は、申すまでもなく審議会で全会一致で出て参っております。この付加給付を、健保と同じように共済組合でもやるべきじゃないかとおっしゃいますが、共済組合全般のことになりますと、先ほど申し上げました共済組合内部の問題、外部の問題、同時にさしあたり各組合でこういうものは付加給付としてやりたいといっても、医療給付の一年延長という問題、こうした問題もございます。いろいろ今最終の検討を急いでおる段階だということでございます。
  171. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さらにこのことに加えて、健保法の第十二条には、先ほどから繰り返し申し上げておるように、共済組合の給付の種類と程度は、健保以上でなければならぬと、これは繰り返して申し上げたところですが、こういうふうに考えてくると、これは当然即刻この付加給付というものを政府は尊重して、実際に実施しなければならぬ、そういう責任があろうと思うわけです。で、大体政府は労働者に対しては法を守ることについては相当峻厳な態度をとっておるわけですね。最近の問題の春闘についても、一方的に判断してこれを厳罰に処しておる。途方もない厳罰に処しておる。ところが最近この内閣委員会でも問題になった岸総理が原子力基本法を無視して核兵器を持とうとしているというようなこと、それからまた、大蔵当局が先ほどから申し上げておるように健保十二条とか六十九条の三、それから審議会の結論、こういうような当然尊重しなければならない面をさえ、受け入れていない。こういうような点は、まことに不可解、遺憾だと思うのです。この点十分お考えいただいて、先ほど秋山委員からも御指摘があったように、今からでも決しておそくない。今決断していただければちょうどいい時期だと思いますから、即刻その点には付加給付実施という線を打ち出していただきたいと思います。この点についてのはっきりした御答弁をいただきたいと思います。
  172. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 一々こまかいことを申し上げて恐縮でございますが、この健康保険法第十一条の規定は、これは現在の共済組合が確実に実施しておるわけであります。この健康保険法にもないような給付をいたしております。またあるいは健康保険法にある給付よりレベルの高いものを実施しておるわけであります。その健康保険法にないような、あるいはそれ以上のレベルで実施しておるもの、これはある意味におきましては、健保の六十九条の付加給付に相当するわけであります。共済組合法では、ただそれを法定しておる、付加給付まで法定しておる。それに加えてさらに何か自由自在にできるような付加給付をこの際作ったらどうか、こういう御趣旨かと思います。これにつきましては、建議ももちろんございますが、いろいろまだ検討すべき問題が残っておりますので、いましばらく私どもとしては検討いたしたいと、かように考えております。
  173. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここで私どもが付加納付を共済組合にも導入すべきであるということを強調しているのは、組合管掌の健保と今度同程度の非常に有力な、たとえて申し上げますと、組合によっては、結核療養費の面を付加給付で担当しておったり、あるいは家族療養費は半額本人負担ということになっているのですけれども、その五割全額を組合が付加給付によって担当しておるところもある。そういうことになると組合員の家族は、組合員の本人同様一銭も要らないで療養が続けられる、そういう組合も相当あるわけです。最初、先ほど申し上げました八百八という組合が現実に付加給付を実際に実施しておるわけです。そういうことからも、十二条の点からもまた六十九条の三の法に照しても、さらにまた審議会の尊重すべき結論考えても、繰り返し申し上げておるわけですが、当然これを実施しなければならぬと思います。この点いかがですか。
  174. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 付加給付の問題につきましては、まだ結論を私ども最終的に得ているわけではないのであります。ただ、先ほどから繰り返し申し上げておるわけでございますが、共済組合内部の問題、そうしていろいろ財政状況がまちまちでございますので、今踏み切りにくい問題があるということが第一でございます。もう一つは、政府管掌の健保との関係も、すでに今日の共済組合の法定自身が、健康保険と比較すると、付加給付的なものをも含めた法定給付ということになっているわけであります。さらにこれに医療付加給付をいたしますと、よそへの影響もいかがであるか、こういう点をも検討いたさなければならない。以上申し上げた二点の観点から、今なお検討を加えておるわけでございます。
  175. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで付加給付について、今この席でそれでは付加給付を導入いたしますということは言われないと思うのですよ、立場上……。そこで、付加給付の導入については緊急に、慎重に検討していただける誠意があるかないか、それを最後にお伺いしたいと思います。
  176. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) もちろん私どもこの問題にじんぜん日を送っているわけではありませんので、建議がありましてからすぐに各組合の意見の照会もいたしまして、出そろいまして、同時に私どもいろいろ資料を集めておりますので、とり急ぎ結論を得たいと考えております。
  177. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もありますから、次の方について質問いたしたいと思いますが、次に、先ほど申し上げました給付の改善の一環として、今まで付加給付について申し上げたのですが、結婚資金について、これは今まで御承知のように短期給付の中に結婚資金というそういう給付はないわけですけれども、従って、これからお願いする点は、こういう点について、どのように大蔵省としてはお考えになっておるか。こういう点を幾つかに分けてお伺いしたいと思います。  日本の青年労働者は、明治以来からの低賃金政策で、結婚適令期になると、非常に結婚資金の工面で相当苦慮を重ねておるわけです。これは現在までそういう実情であって、特に公務員の場合は、民間の一般結婚の平均年令よりは、三年ないし五年くらいおくれておるように、ある資料では見たわけです。これは絶対確信を持っておるわけじゃございませんが、そういう資料もあるくらいに、さように公務員の場合はおくれておるわけです。これは公務員の生活が苦しいという一つの現われだと思います。そういうふうに、結婚資金については相当苦慮しておることは現実の姿のわけです。こういう点について、どのようにお考えになっておるか、まずお伺いをしたいと思います。
  178. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 結婚資金を出すのがいいか悪いか、これはなかなか意見の分れるところと思いますが、われわれが短期給付の運営を考えておりますのは、やはり主として病気でございますが、その医療給付の方をできるだけ充実させていく、その医療給付をやるために、各組合員にそれほど負担もかからない、その程度に短期給付の総体を抑えて考えていきたい。それ以外の結婚給付とかいう面になりますと、これは人によって考え方の違うものでもございますから、それほどほかの案件に比べて優先順位をもって考える性質のものかどうか、非常に疑問を持っておるわけでございます。現に付加給付に関しまして、各共済組合からの意見をとりました場合に、いろいろの給付が出ておりますが、結婚手当金をやりたいと希望してこられたところは二十五組合のうち、わずか二組合でございます。大多数の組合は療養というものに重点を置いてほしいと言っておるわけであります。
  179. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは根源にさかのぼらないと問題の解決のことにならぬと思いますが、これは後ほどまとめて御質問いたしますけれども、共済組合というのは非常に名称からむずかしい。そこで、社会保険の一環であるというような今まで認識もないわけです。皆さん相当骨を折ったでありましょうが、啓蒙運動の不足も一部にあって、非常に共済組合のことについて、従来はあまり関心がなかったわけです。ところが最近賃金の問題とあわせて、賃金と、社会保険である共済組合によってわれわれは支持されるのだという認識が、ようやく高まってきたわけです。最近の高まり方は相当熱が入っておるわけで、見るべきものがあると思います。そういうことで、前の資料とごく最近の資料ではだいぶ違うと思います。最近は各組合の代表からも、結婚資金の新設については相当強い要望があるわけです。そういうことで、これらの結婚難を解決しようという組合員が、社会保険である共済組合の中で結婚資金を解決しようというのは、当然と言わなければならぬと思います。こういう点について、どのようにお考えになりますか。
  180. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) ともかく共済組合の短期給付というのは、健保の保険制度を代行いたすものであります。しかも国の負担が半分まじっておるものでございますから、やはり世間並みの相場というような給付をやるのが至当かと思うわけであります。ほかの政府管掌はもちろんございませんし、組合管掌でもそう全般的にはやっておる制度でもないわけでございます。共済組合で今これを取り上げるというのは、やはり少し時期が早すぎるのじゃないかという感じもいたします。同じことを申し上げますが、先ほど組合の最近の付加給付に関して調査をいたしました、その報告を見ましても、ほんのわずか二組合でございます。余裕があったらまず療養の方にできるだけ力を注いでほしいというのが大多数の組合の希望でございます。
  181. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これにあわせて、民間産業労組の実態について申し上げますと、一番早く結婚資金の獲得について運動し始めたのが日通です。日通は最初にごくわずかな額を要求したわけですが、二千円に対してまず五百円を獲得した。それが重ねて熱心に運動した結果、会社側の了解を得て、現在では二万円の結婚資金を獲得しておるわけです。さらに結婚祝金とかあるいは結婚貸付金、こういうような面で、民間の多くの産業、労働組合が、相当、以上申し上げましたような名目で、一部はむろん返済を要しないお祝金としてもらっておりますし、また中には貸付金として返済をするものもありますが、そういう面で相当多くの産業労働者は結婚資金について恵まれた環境下にあるわけです。しかも民間産業労働者は、福祉機関にも相当恵まれている上に、さらにこういう面もあるわけです。公務員は民間の産業労働者に比較していわゆる福祉機関にはあまりにも恵まれていないという点も指摘できる。なおかつ結婚資金については、申し上げますような実情下にあるわけです。そこで民間産業とのいわゆる均衡の点からも、この際、結婚資金についても一応この短期給付の中に考えるべきだと思うわけです。この点について見解をお伺いしたい。
  182. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 民間のいろいろな結婚資金のお話がございましたが、民間では結婚資金というのは健康保険法の系統でやっているところはまずないわけでございます。政府管掌はもちろんでございますが、組合管掌でも、健康保険連合組合の調査で見ましても、結婚手当金というものは、保険給付としてはいたしてないのであります。別途民間でいたしておりますのは、これは事業主が事業主の立場で支給するもの、あるいは共済会というようなものを組織いたしまして、保険組合以外の別途の相互扶助組織で金をためてやっている、こういうのが大多数でございます。従いまして、われわれの共済組合法、健康保険の代行である共済組合法にこれを取り入れるということは、やはりそうした民間の例から見ても、若干筋違いじゃないかという感じがいたすわけでございます。かといって、共済組合はこの結婚資金の問題に全然手を触れないかと申しますと、必ずしもそうではないのであります。共済組合には別途長期給付の積立金がございます。年金の積立金がございます。これを五分五厘ないし六分ぐらいの低利で組合に貸付をいたしますところの生活資金として、その貸付の項目として結婚資金というものを貸し出す制度はもちろん共済組合でもいたしておるわけでございます。これは民間の場合と同様です。しかしまた、これは民間の場合と同様、あくまでも短期給付として取り扱うべき性質のものでは、今のところは、ないように考えられます。
  183. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もありますので、結婚資金については以上にとどめたいと思いますが、ただ、結婚資金についても今後十分御検討いただいて、一つ短期給付の中に新たな項目として加えられるよう、各位にお骨折りをいただきたいということを要望して終りたいと思います。  次に、同じく組合員から相当要望の高い分べん費、扶養者分べん費、これは御承知のように現行では、本人の場合には一ヵ月、配偶者の場合には半ヵ月というふうな給付があるわけですが、そこでお伺いしたいのは、分べん費については、これは療養費と同様に全額これを給付にすることが至当であろうと思うのですが、その見解についてまずお伺いしたいと思います。
  184. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) いろいろな短期給付の種目の中で、実費をまるまる見るのか、あるいはその一部を見るのか、これは理論的にどれが正しいということはもちろん言えないであろうかと思います。しかし、保険財政といたしまして、総体のワクがきまっている。これ以上の保険料は組合員から取れないというようなワクがきまっております場合には、やはり優先順位に従ってその全額を見るか一部を見るかということを考えていくのが筋だろうと思います。そういう意味で、現在の組合の掛金率から考えますと、やはり療養給付以外の給付の面につきましては、ある程度で、必ずしも実費までは参らない、補助程度のもので満足していただかなければならぬ面も出てくるのは、これはやむを得ないかと考えております。
  185. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしたいのは、組合員の場合と配偶者の場合では、今言うように二対一の割合になっておる。この点についても、組合員の場合と組合員の配偶者の場合では、差別を設けるのは非常に不合理だと思う。一軒の家を中心に考えた場合には、本人の場合であろうと配偶者の場合であろうと、かかるものはかかりますし、何らそこに変りがないわけです。こういう点について、組合員の場合と配偶者の場合に差別をすることが不合理だとお思いになりますか。それともその逆ですか。この二点まず見解をお伺いしたいと思います。
  186. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 今日の共済組合の本人の場合の療養費は全額組合が持つ、家族の場合は半額を組合が持つというシステムになっておりますが、これは共済組合制度というものは、健康保険も同じでございますが、特に共済組合には、やはり企業に対する、事業に対する貢献といいますか、貢献によってものを判断するというのが、共済組合全体を通じている一つ考え方でございます。やはり本人と家族とでは、その点貢献度が違うということは言えると思うのであります。さらに保険制度といたしましても、先ほど申しましたように、現在の掛金は、ある組合ではぎりぎりにきておる。これ以上掛金率を上げてまで家族を全額にする必要があるかどうか問題でありまして、今の保険料の範囲でいきますと、やはり家族は半分程度で満足していただくというのはやむを得ないかと思うわけであります。
  187. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 日赤の中央病院その他の資料によりますと、こういう実態になっておるわけです。日赤中央病院に、分べんのために、三等で一週間入院の場合に、これは最低ですが八千六百五十円を必要とするわけですね。それからその他の経費として、それに付随した経費として二万三千四百十一円、合計しますと三万二千六十一円、大体三万二千円前後の金が実際にかかる。しかもこれは二等、一等でなしに、三等の入院の場合ですね。これは今申し上げたように、権威ある日赤中央病院での調査ですが、こういう点から見ても、分べん費、本人の場合は一ヵ月、扶養者の場合には半ヵ月、あまりに実態を無視した額であろうと思う。少な過ぎると思う。この点について、どのようにお考えになるか。
  188. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) ただいま日赤病院の数字をおあげになりましたけれども、これは私どもの共済組合でどのくらいになるか、数字の点よくわかりませんので、これほどの高額になるかどうかはちょっと判断に苦しみますが、分べん費を俸給一ヵ月に押えておるのは、分べんというのはわれわれの普通の生活で、つまり病気として扱っていないことからきておるわけでございます。分べんは医療給付としては扱わない。これは健康保険制度全般を通ずる扱いであります。その建前からきております。従って、実費を必ずしも全部見ない。現在の保険料支出の中でまかなえる範囲なら、せいぜい俸給一ヵ月分というようなきめ方になっておるわけでございます。もちろん全体の保険料計算で許せば、これは多ければ多いにこしたことはないのでありますが、しかし、これ以上の負担は今日では困難であろうと考えておるわけであります。
  189. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは相当高給者の場合はあまり問題はないと思いますが、下給者の場合、しかも奥さんがお産をするというような場合、半月ということでは、相当お産のために苦しまなければならぬという実態になろうと思う。そこで、最低保障額というものを一応きめておけば、下給者に対しては相当な支援になろうと思う。この点いかがですか。
  190. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 分べん費の最低保障額の制度につきまして、確かに最低の実費をまかなえない場合にどうするかということで、問題があるわけでございますが、しかし何分にも、この点、分べん費という制度も、やはりこれは健康保険法と歩調を合せて考えておるわけでございます。物事は共済だけで片づけば、それでいいわけでございますが、よそとのお付き合いということも考えざるを得ないと思います。現在では、一応この一ヵ月程度が妥当であろうかと、かように考えておるわけであります。
  191. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、時間の関係もありますから、次をお尋ねしたいと思いますが、今、非常勤職員とか臨時職員については、統計によってまちまちですが、大体三十五万とかそれ以上の数が出ておりますが、そういう方々のその勤務の実態については、ほとんど一般の定員内の職員と変わるところはないのに、ただ雇用の形式が常時勤務に服しない。臨時に使用されておると、こういう理由だけで共済組合の適用を受けられない者が相当おるわけです。これもまことに不合理だと思うのですけれども、この点についてまずお伺いしたい。
  192. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 非常勤職員二十数万、そのうち常勤と同じような仕事をしている人間の数がどれくらいあるか。これはちょっと私ども今数字がございません。そうした常勤職員と同じような仕事をしておられる方は、共済組合に入れたらどうかということでございますが、この問題、実は私ども共済組合だけでちょっと解決できない問題でございまして、御承知通り、臨時職員の場合、共済組合はもちろん、給与法においても一般の俸給表適用さしたらどうか、あるいは定員法に組み入れたらどうか、こういう問題があるわけでございます。そうした公務員制度全般を通じての一つの取扱いの問題として私ども考えざるを得ないわけでございます。この非常勤職員問題につきましては、なるほど公務員制度調査室におきましても、根本的にその対策を考えております。その一環として、われわれは、国家公務員共済組合加入の問題も検討いたして参りたいと、かように考えております。
  193. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在の実情を見ますと、常勤労務者の給与支弁職員というのがあるのですね。こういうワクを設定して、これはまあ行政措置だろうと思いますが、ある程度加入を認めておるということを聞いておるわけですが、大体該当者はどのくらいになりますか。
  194. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 現在組合に加入いたしておりますのは、定員内職員のほか、いわゆる昔の常勤労務者を、今日では予算上常勤職員という言葉を使っておりますが、この常勤職員というのは、今、伊藤先生のおっしゃいました非常勤職員のうちの常勤的なものということは、またグループは別でございます。ただ、その数字につきまして、ただいまちょっと資料の持ち合せがございませんので、至急取り調べまして御報告いたします。
  195. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この共済組合法の基本法ともいえると思うのですが、その健康保険法の十三条の二の二項を見ますと、「二月以内ノ期間ヲ定メテ使用セラルルモノ」にして、その「期間ヲ超エ引続キ使用セラルルニ至リタル」もの、こういうものについては健保に加入を認めておるわけでしょう。そういう点を考え合せた場合、この項を共済組合にも当然に適用されてしかるべきだと思うわけなんですが、この点はいかがでしょう。
  196. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) この問題もちょっと私どもの考えておりますところと、おっしゃるところは、趣旨は違うのでございますが、共済組合制度は、やはり職員の相互扶助の組織といいますか、やはり事業主としての国の一つ制度でございます。国も片足突っ込んでいる制度でございます。そういう意味で給与制度、あるいは年金制度、あるいは定員制度、こうしたものの国の制度の一環として、やはりこの問題は考えていかなければならない、かように考えておるわけであります。従いまして、たまたま二ヵ月以上働いていたからということだけをもちまして、常勤職員と認定いたしまして、共済組合に入れるということになりますと、やはり国の制度全般の一部に異例的な取扱いが出るわけであります。そこまで共済制度として今踏み切るだけの実は自信も、私どもないわけでございます。いずれにいたしましても、二カ月というだけでちょっと線は……。国の制度の一環としては、そこまでは踏み切れないというのが実情でございます。
  197. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっとそれに関連をしてですが、二ヵ月ということに非常にこだわるわけですが、どの程度であればそういう非常勤職員というものを共済の立場からいっても組み入れていいかという点ですね。これは給与の問題であるよりも、むしろ収入の少い人にとっては、病気になった場合の手当ですね、これの方がよほど痛切だと思うのです。それに対して、実際上普通の国家公務員と同じような立場にありながら救済されない。二ヵ月といいますと、若干それが早過ぎるとかいったような疑問が出るかもしれませんが、その二ヵ月にとらわれないで、どの程度なら共済組合制度にも包含していいものだろうか、そういうふうな点は、どういうふうにお考えでございましょうか。
  198. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは、やはり公務員制度の根本に関連する問題だろうと思います。給与法にいたしましても、共済組合制度にいたしましても、やはり国の恒常的なポスト——官職を占めている職員、これが対象になろうかと思うわけでございます。その場合に、恒常的な官職を占めている職員というものは一体何かということになるわけでございます。これをたまたま二ヵ月だと、これはまずいから六月だというようなことでは、ちょっとやはり判断しにくいのでございまして、やはり国の恒常的な官職のポストというものはどれだけであるか、それに携っている人間は国の制度としてすべてに加入できるのだ、適用させていく、これが筋だろうと思うわけであります。この方面の検討は、まだまだ政府として……、これはまだ公務員制度調査室で根本的にやっておる段階でございます。ですから二カ月とか六カ月とか何ヵ月が妥当かというようなことは、ちょっと申し上げられないわけでございます。
  199. 永岡光治

    永岡光治君 これは岸本さんもおそらく御承知のことだろうと思うのでありますが、この非常勤というのは、二カ月という一応の制約をしておりますけれども、これは実は切りかえでやっているのです。二カ月で、また二カ月、切りかえる。しかし採用するときは補助職員というような名目で本採用にして採用しているのです。それがたまたま定員法で縛られているから、本採用にならないだけで、仕事というのは同じことをやっているわけです。そういうものは公務員制度の問題ではなくて、定員法の問題です。だからこの前も本内閣委員会でも行政管理庁にただしたわけでありますが、こういう全く同じ内容の仕事をする者を非常勤職員という形でそのまま据え置くということはけしからぬじゃないかということで、この前も強く要望したのでありますが、それは今度は必ず解決いたしますというようなことで、大へん大みえを切っておりましたけれども、そういう性質、内容であれば、単に二カ月とか三カ月とかいう一応の名目にとらわれず、そういう非常勤職員というものは、——それは全くの臨時に四、五日雇ってすぐやめてもらう、あるいはたとえ二カ月やっても全くの臨時の職員であって、当然その時期がくればもう仕事がないような、そういう職員であれば別でありますが、そうでない補助職員という名目で雇っているような非常勤職員ですね、これは当然私は対象になってしかるべきだと思うのです。これは公務員制度の問題じゃないです。定員法の問題で、定員さえあれば、みんな本採用になるはずです。だから、それを公務員制度全般の問題だということで逃げられたのでは、ちょっと私は筋が通らぬと思うのですが。
  200. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) ちょっと今最初におっしゃいました点ですが、二ヵ月切りかえでやっているということですが、これはいわゆる非常勤労務者でございます、これは組合員に正式に入れているのでございます、現に今でも。それから後段の方の常勤労務者以外の実質常勤の非常勤といいますか、これは問題だろうと思います。これは確かに今日の定員法自体の問題でございますが、しかし定員法がなぜああいう漠然とした定員法になっているのかと申しますと、根本的に公務員制度がはっきりしたものになっておらぬということになると思います。これは共済組合以外になりますので、私の所管外になりますので申し上げませんが、公務員制度と定員法、これはうらはらの問題であろうとわれわれは考えております。この両方が正されていった暁に、初めてこの共済組合の問題も正しく解決されていくだろうとわれわれは考えております。
  201. 秋山長造

    秋山長造君 今の点は、先だってこの委員会で行政機関定員法ですかね、あの改正案を審議したときに、ずいぶん非常勤職員の公務員法上の扱いについての論議が出たのですが、そのとき、従来この委員会でも再三にわたってこの非常勤職員の身分をはっきりしろ、それから常勤の非常勤の職員を定員の中に入れろというような付帯決議をしてきて、それらの決議を何回やっても、ちっとも政府当局によって尊重されておらないじゃないかということに対して、岡部行政管理庁の管理部長ですか、あの岡部さんが、これはもう政府部内の申し合せによって来年度から必ずこれはやるのだということになっておるのだから、一つこの定員法は何とか通してもらいたい、来年からは必ずやるのだから、解決をするのだから、こう言って約束されたわけですがね。政府部内でもそこまで見通しが立っていることであるならば、これは大蔵省の方でもまだ将来未知数の問題だということで放っておかれないで、やはりその見通しのもとに立って、今質問が出ている問題に取っ組んでいかれるべきものじゃないか、かように私は思うのです。
  202. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 定員法の改正について、行管の方から、来年は根本的にやりたいというお話があることは確かで、私も承わったことがございますが、ただ、定員法の改正ということは、やはりまた同時に公務員制度改正ということも関連することは間違いないのでございます。簡単にわかりやすく一つ例を申し上げますと、定員法は、いわゆるわれわれ行政官庁の役人でございますね、そのほかにいわゆる現場の公共事業の労務者まで官職に入っている、しかも、臨時的なものでございます。そうした種々雑多な官職が入っている、それをきれいにするということは、統一的にやはり公務員制度の新しい建前から分類されなければならないということは確かであります。その両方の作業がおそらく必要になるだろうと思います。定員法の方については、今行管の方でおやりになる公務員制度については、公務員制度調査室で目下御検討中でございます。そうした非常勤職員の取扱いも、それによってきまりますれば、これは給与法とか、あるいはこうした共済組合の制度は、むしろ付随的に、それに伴っておのずから改まってくる。これに入る人もおのずから自動的にきまってくるのであります。そういう性質のものだろうと思うわけであります。全体の作業は、われわれはまだ内容を存じておりませんので、今その見通しの上で解決してしまうということは、ちょっと時期尚早だと思うのです。
  203. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、私の質問に対しては、労務者は非常勤であっても、あなたは適用することにしておる、こういう答弁でしたね、そうですね。
  204. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 労務者というものは、昔は常勤労務者、今は常勤職員という名称を用いておりますが、これはともかく一年以上継続して勤務することを要するという一年以上という条件はないのでございまして、全く定員内職員と同じような勤務に服する職員、これのことを常時勤務職員、その数を予算上きめております。この者は無条件に組合員に入ります。しかし、常勤職員という範疇に入っておって、実態は非常勤だというものは全然ないわけでございます。
  205. 永岡光治

    永岡光治君 官庁の実態はそうじゃないのですよ。やはり非常勤職員は、あなたの言ったように、常在非常勤という一つのワクがある。そのワクに入った人は皆それを適用させます。それ以外は皆だめです。そこに問題があるわけです、私の言うのは。そのワクがあるために、常在非常勤というワクをはめて、それと同じ仕事をきせているのに、その人は二ヵ月ごとに切りかえになっていかなければならぬ。全く同じ仕事ですよ。一方は、定員がないために、木採用にならないために常在非常勤、一方は、常在非常勤というワクをはめているために、常在非常勤のそのワクに入っていけない、全く同じ仕事をしている非常勤職員がおるわけです。あなたは常勤職員と言いましたが、同じことをやっていて、一方は常勤労務者という名前のついたものを入れて、同じ仕事をしていながら、たまたまワクがあるために、ワクに入らない人は適用させないというのは全く精神に反している。あなたは、定員に入らなくても、非常勤であっても、常在非常勤はこれは入れるのだと言っている。適用させていると言うならば、なぜ全くそれと同じ仕事をさせておる非常勤職員、しかもそれは、常勤労務者というワクのために、その中に入っていけない人ですよ。私たちは、そういうものは適用してもいいじゃないかということは、あなたの答弁の中からは当然引き出してこれるものじゃないかと思うのです。そうでしょう。あなたの趣旨は少し不徹底じゃないですか。
  206. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) ちょっと私の申し上げ方が足りないと思いますが、現在共済組合の組合員に入っておりますのは、定員内職員が第一、第二には、定員内職員と同じように、常時勤務に服すべきものとされております常勤職員、この二つでございます。それ以外の非常勤職員は全然組合員に入れない。たとえその実態が常勤的なものでございましても、常勤職員ないし定員のワクに入ってない限りは組合員といたさない、こういうことになっております。それが不合理であるという御指摘だろうと思いますが、この点は、やはり国の制度として考えます場合に、こういうことになろうかと思うわけでございます。国の常時勤務に服する官職の数、これだけの数があれば国の仕事はやれるのだというのがこの定員であり、常勤職員の数でございます。それ以上のものがありましても、これは、国が予想してなかった常勤職員であるわけであります。他方この給与制度にいたしましても、共済組合法にいたしましても、やはり国が恒常的に業務を遂行していくために必要な職員のための制度でございます。やはりその適用対象になって参りますのは、常勤職員あるいは定員内職員であるというのが筋じゃなかろうかと思うわけでございます。これは、共済組合ばかりでなく、給与法でも、常勤職員に入らない限りは、非常勤職員として別途の手当だけを支給するという建前になっております。それに共済組合法も平仄を合せておるわけでございます。もしそれがいけない、それじゃどうもおかしいということになると、おかしいのは定員の問題でございまして、制度自体の罪ではもちろんないのじゃないか、常勤の数がどんどんふえるからといって、制度をごちゃごちゃ変えていくということもちょっといかがかと思います。
  207. 永岡光治

    永岡光治君 国が認めておるのは定員法だけですよ。今言った、常勤職員は何名ということは、法律じゃきめません。国会の承認じゃないのです。政府が勝手にやっているのです。あなた方が勝手にワクをきめているわけです。そのワクも、非常勤職員の中から、常勤職員といい、非常勤職員といい、全く同じ仕事をさせていて、形式の上では皆非常勤なんです。あなた方は定員法に縛られておるために、その中で常勤職員のワクをきめているだけですよ。そのワクをあなた方きめたものだけは適用される。これは、政府の勝手じゃありませんか。何も国会で承認したわけじゃない。そういう数を何名にしろということは、国会も認めておりません。そのワクをあなたがたがはめたわけですから、そのワクを広げるか、広げないとするならば、全く同じ仕事をしているものを勝手にあなた方適用させているのですから、常勤労務者には共済組合法を、そういうわけですから、そういうふうな、同じ性質を持っている非常勤職員も、当然ワクがあるために入れなかったのですから、なぜあなた方の責任においてやらないのですか。これこそ政府の責任じゃないですか。だれが聞いてもそうだと思うのです。国会の承認したのは定員法だけです。非常勤職員が何名でよろしいという決定はしておらん。その非常勤職員の中から、あなた方が勝手に常勤労務者というワクをきめただけですから、各省に割り振っただけですから、だから、同じ仕事をしていて、そのために二カ月切りかえになっているのです、ワクをはめられたために。だから、なぜ同じ仕事をやっているのに共済組合の適用を受けさせないのですか。やがてその人は、皆同じように一年か一年半すれば本採用になるでしょう。あるいはその中間において、常勤職員というワクの中に入ってゆくでしょう、当然じゃありませんか。私の言うのは、毎日全くニコヨン的な臨時的に雇う者を言っているのじゃない。常勤労務者あるいは定員法の中の職員と同じ仕事をやっている非常勤職員には、あなたの言う趣旨から言えば、当然適用されてしかるべきじゃないか、そういうことを私は主張しているので、政府の責任じゃありませんなんて、とんでもない話で、政府の責任ですよ。
  208. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 定員内職員は、たしかに定員法で国会の承認を得ております。しかし、常勤職員につきましても、これは、予算書にその定員数はあげておりまして、これはやはり国会の承認を得ております。それ以上に常勤職員の数は、政府として勝手にふやせない仕組みになっております。その点は、定員外常勤職員も同じでございます。
  209. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと聞きますが、定員法以外の、例の新しい名前でいえば常勤職員、これは予算上、予算を通して国会の承認を得たのだ、こういうことらしいのだが、法律上の根拠はないわけですね、どれだけの人数を使うという。
  210. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 法律上は、何名という根拠はございません。
  211. 亀田得治

    委員長亀田得治君) そうであれば、いわゆる常勤的な非常勤職員、これについても、政府が同じような取り扱いをしようという気持になって、そうしてその予算上の裏付けをして、国会の承認を求めればそれでいいわけです。ただあなたの方でそういう気にならないというだけのことであって、なりさえすればちっとも差しつかえないわけですがね。というふうな疑問が出るわけです。その点どうですか。
  212. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) つまり予算上常勤職員の数を、今の御説に上ると、ふやせばいいじゃないか、こういうことでございますね、国会で承認して。確かにその通りでございますが、ただ、毎年政府の方で定員になる予算上の常勤職員として御審議願っておりますのは、やはり事務、事業の観点から考えまして、これだけの常勤職員があれば国の事業ができるというところで定員をきめまして、御審議を願っているわけであります。
  213. 亀田得治

    委員長亀田得治君) そこで、実際上の事情は、そこに非常に無理があるから、同じことをしていながら違った扱いをするのは無理があるから、そういう政府考えを改めたらどうか、こう言うているわけです。その政府考えでいいのだという前提だったら、何も改まらないので、そういう立場で、やはり質問に対して、もう少し自分の立場も振り返ってみて答えてもらいたい。
  214. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) つまり今の実質的常勤の非常勤の取り扱いという問題が、これが制度の面で落ちた。それを給与制度の面とか共済組合制度の面とか、制度の面で考えるのか、あるいは事務、事業の実態から見て、それだけの定員をもっとふやす必要があるから考えるのだ、そういう考え方もあります。どちらでゆくのが正しいのかということになろうかと思います。ただ、今まで、これはひとり共済組合法ばかりでございませんで、給与法でもそうでございますが、少くとも常勤職員として予算上あるいは法令上認められた数の範囲内でこの制度適用していくということはとられて参っておるわけでございまして、同じ国の制度でございますが、共済組合だけ異った取扱いをするというのは、ちょっと私どもとしてまだ踏み切りかねるということを申し上げておるわけであります。
  215. 永岡光治

    永岡光治君 今、おかしなことをあなたはおっしゃったものですがね。定員法は、確かに国会承認を求めて予算に組まれる。しかし、常勤職員については、予算の上であなた方は承認を求めたからこれを認められているのだと、こういう表現ですね。非常勤職員だってそうですよ。あなた方、予算を提出するのに、常勤職員及び非常勤職員と分けられるのは別として、賃金の点で、予算があるのに人員がなくてどうするのですか。みんな分けておられるじゃありませんか。この中に含まれておるのですよ。賃金の予算の中に、常勤職員幾ら、非常勤職員幾らとおそらく出しておる。出さなければ算出根拠はないのですから、おそらくあなた方各省から国会に出された予算の概算要求書を見てごらんなさい。必ずあると思う。なくてあなた方、非常勤の予算が幾ら要るということを国会が承認するものですか。そうでしょうが。少くとも国会で、最終段階何名ということがなくても、この算出の根拠は何名のものだ、常勤労務者については何名のものだということの積算があるはずですよ。そういうあなた方詭弁を言われれば……、非常勤職員も常勤職員も、これすべて国会で承認を得ているのですね。それはどういうふうに考えておるのですか。
  216. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 非常勤職員の予算につきましては……。
  217. 永岡光治

    永岡光治君 単価幾らと、何名と出ておるのでしょう。
  218. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 単価幾ら、何名と出しておるものもございます。あるいはそれのない、たとえばこの事業では、賃金予算では、この範囲内で処理できるという賃金予算で一括したものもございます。その点は、必ずしも歩調はそろっておりません。しかし、非常勤職員というものは、あくまでもやはりやる仕事の実態は非常勤であるという建前考えておるのであります。やはり同じ員数で国会で御審議を願ったとしましても、これは、常勤職員の員数とはおのずから性質が違うものだろうと、かように考えております。
  219. 永岡光治

    永岡光治君 おかしなことを言うな。それは各省によって、人員をもとにして、人員を含めて予算を出しておるところもありましょう。あるいは一括して何円という、総額の何千万円というものを出しておるところもありましょう。しかし、それは単価がなくてきまりますか。何人雇うという根拠がなくて、その金額がきまりますか。きまらぬでしょうが。もし常勤労務者幾らという計算をして出したら、これは予算の上で認められておるのだから、定員の上で認められておる、その他のものは、ただ賃金という金額で認められておるから、これは認められぬということになったら、おかしいと思います。非常勤職員は、これもおそらく賃金要員の中においては、賃金要員の問題だとか、賃金予算で出されておるのじゃないですか、給与総額の中に入っておるのですか、どっちなんですか、賃金予算でしょう。
  220. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 非常勤というのは、賃金あるいは非常勤職員手当という名称を使っております。
  221. 永岡光治

    永岡光治君 そうして非常勤職員はどうなっておるのですか、賃金予算でしょう。
  222. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 賃金予算ばかりでなく、非常勤職員手当という特殊な名目を用いておるのもございます。
  223. 永岡光治

    永岡光治君 そうでしょう。それなら、みんな承認されておるのじゃありませんか。国会でそういうことを前提にして承認しておるのじゃないですか。あなたの論法をもってすれば、常勤職員同様、非常勤職員についても国会で承認を与えたということになる。そうだとすれば、その予算を認めたから、これは定員並みに扱うのですというのであれば、非常勤職員と全く同様なことがいえると思うのです。私は、しかしながら、そういうさまつなことを申し上げておるのではないのです。本質的なことを言っておるのです。ワクが、非常勤職員というものは何名ということが各省に割り当てられておるために、同じ仕事をやっておりながら、二ヵ月ごとに切り替えられておる。そういう非常勤職員についてこの共済の適用を受けないというのはおかしいじゃないか。あなた方が、定員法があるためにそういう非常勤職員が受けられないというのがおかしいからということで、常勤職員まで作ったのですから、だから、そのワクを当然広げて適用すべきじゃないかということを、本質論を言っておる。これは常識論じゃありませんか。毎日、日々雇われる人を言っておるのではないのですよ。全く常勤職員と同じ性質を持っておる非常勤職員をなぜ共済を適用しないのかということを言っておるのですから、これは政府の一存でできるわけでありますよ。政府の一存で、政府の責任でこれはできると思うのです。何も国会でそのことを認めないという口実はどこにもありません。
  224. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 実質的な常勤である非常勤を政府の一存、行政行為ということでございますか。
  225. 永岡光治

    永岡光治君 行政措置
  226. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 行政措置では、これは不可能でございます。少くとも常勤職員ということで、その数は国会の御承認を得ておるわけでございますから、それをこえて常勤職員の数をふやすという措置になるわけでございます。それはやはり行政措置では不可能であろうと、かように考えております。
  227. 永岡光治

    永岡光治君 どうもおかしいな。それは、常勤職員について国会承認を与えているのですが、何名以上雇っちゃいけないということを、そういうことを承認した覚えはないのですよ。それは、あなたの方で勝手にふやしてもかまわないのですよ。腹は痛まないのですよ。同じ貸金をやっているのですから。給与、出すものはちっとも変りないのですよ。名前が違うだけですよ。
  228. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) つまり予算の面で申しますと、常勤職員給与という、一つの予算の目がございます。常勤職員給与は、普通の定員職員給与と同じように、扶養手当、勤務地手当、そういうものを込みにした計算でできております。人数幾ら、そういうことで、目の予算ができ上っております。非常勤職員は、一括した総額を積み上げてございますし、あるいは常勤職員よりも低い単価で、それに人数を積算したこともございますが、いずれにしても、常時勤務に服する職員として予算上認定いたしておりますのは、常勤職員の数だけでございます。それ以上、またその数をふやして人を採用するということは、できないことに相なっております。
  229. 永岡光治

    永岡光治君 私の言うのは、ちょっとあるいは行き過ぎであったかもしれませんけれども、臨時者を共済の対象にするという、これは法律改正はもちろん必要でありましょう。必要でありましょうが、そういう意味で、行政措置でできないというあなたの理由も正しいと思うのですが、考え方としては、当然常勤職員と非常勤職員と同じ性質のものですから、それを区別する理由はないのですよ。区別する理由がどこにあるか、私にはわからない。ワクがあるためだけです。ワクがあるために、常勤職員に採用できないのですよ。仕事は同じことをやらしておいて、待遇だけ区別つけるというその精神がそもそも間違っているというのです。だから、当然これはやってしかるべきだと思うのですよ。どうですか。もう一点、本質的な問題で尋ねたいのですがね。
  230. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 今の実質的常勤の非常勤職員の取扱いの問題でございますが、そういう問題を定員の一面で、たとえば定員をふやすとか、常勤職員の数をふやすとかいう面で解決するとか、給与制度の面で、こうした給与制度とか、共済組合の制度という面で、制度を何か変えて救済していくとか、これは、考え方は二つあろうかと思いますが、今までといたしまして、給与法も共済組合法も、少くとも制度自体をそのために変えるという方法はこっておらないわけでございます。制度というものは、そういう定員査定と違いまして、軽々にそう変えるべきものでないと思います。これは、もっぱら定員の問題として処理さるべき性質のものであろう、今まではそういう取り扱いにいたしております。
  231. 永岡光治

    永岡光治君 実に頭が固いと思うのです。これは、適用するという方針がきまれば、これを定員の中に入れるか、あるいはそうでなくて、他の方で解決するかという方法論です、あなたの言うのは。私は、全く同じことをさしておいて、区別をする理由はどこにのるかということを言っているのです。なぜ救済してあげないかというのです。同じ仕事をさしているのです。同じ性質の仕事を長期にわたってやらされておる。たまたまその人が非常勤であるという名前で、しかし、常勤のワクの中に入る人はそれで救済できる。もともと常勤職員という制度を設けたのは、定員法で救われない人を救おうという精神じゃありませんか。その精神を伸ばしていくならば、長期にわたって非常勤職員になる者は、同様の精神をもってこれは救済するのが建前じゃないか。その方針さえきまれば、これは簡単に方法論は幾らでもあるわけですから、これは、もしたとえば本採用することがこの次の通常国会まで待たなければならぬというのであれば、共済組合だけでもこの際は救済しようということになれば、これは法の改正も必要でありましょう。だから、そういうことについて、あなたは、それを適用することがいいのか悪いのかということに、本質論を私は聞いているのに、それは定員法でどうだこうだ、こういう定員法であるから、こういう不合理が出ている。その不合理を直したいから、あなたにこういうことを聞いておるわけです。必要があるかないかというその前提を抜きにして、縛られているからできないという、その現状の説明を私は聞いているのではないのです。
  232. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) この問題は、同じことを繰り返して恐縮でございますが、制度面と定員面と、両方あわせて検討しなければならない筋の問題かとも思います。なおその関係した方面との歩調も一にいたしまして、検討はいたしたいと思います。
  233. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 常勤職員の俸給ですね。これは事業費から出ているのではなくして、別にその予算は、給料、俸給として組んであることになるのですか、事業費から出ているのですか。
  234. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 常勤職員給与は、一般の事務官庁では特別の予算で持つわけでございまして、そこに計上してございます。
  235. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 非常勤の方はいかがですか。これは、事業費の方からみんな出ておるのですか。
  236. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) つまり事業という言葉でございますが、いわゆる公共事業とかいうものをやっております建設省とか農林省とか、そこにあります事業費、そこの中に入っておりますものもございます。それ以外は事業費ではなくて、一般の官庁では、単独の目で出ております。非常勤職員の手当、これは諸手当という目のうちの細目として出ております。
  237. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 二カ月目に非常勤職員を切りかえるというのですね。まあ継続していくと……。これは、すべての人がそういうふうにして切りかえて、長く常勤職員のように続いていくということになっておるのでしょうか。ある者は長く続くけれども、ある者は、それが少数であっても、二カ月で、あるいは四カ月目にはやめるとかいうようなことになっておるのですか。
  238. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 非常勤職員は、これは大体日々雇用の形式をとるか、あるいは二カ月以内の期間を定めて雇用される者か、どちらかでございます。それ自体更新しない。長く続いておれば日々更新する。たとえば、三十日で契約した者は、三十日が終ったとき更新する。これは、二カ月以内で更新するというお話は、常勤職員のことだと思います。
  239. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 非常勤職員じゃないんですか、二カ月目に変っていくというのは。そうじゃないんですか。私は勘違いしておるのですか。
  240. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは、定員法の関係から申しますと、雇用期間二カ月以上の者が定員内職員で、二カ月未満の者はすべて定員外の職員ということになっております。定員外の職員でありましても、事実上常勤職員がございますので、これを予算上常勤職員ということにして、人数を査定いたしまして持ってくるわけでございます。しかし、その常勤職員につきましても、定員法との関係から申しますと、二カ月未満の期間を定めて雇用される者、こういう建前になるわけでございます。そこで、実質上は、その常勤職員は、二カ月ごとに雇用期間が切りかえられて、無期限にずっと恒常的に採用されていく、こういう建前をとっております。
  241. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私、どうも理解がよくできない。永岡さんの御質問を聞いておるというと、常勤職員も非常勤職員も、ちっとも事実上違わないじゃないかという建前に論理を進めておられるように私は聞いておるのです。そうすると、それをほかの言葉でもう少し詳しく言うと、両方とも長く勤続するのじゃないか、少くとも大多数は、非常勤という名目のつく者でも、やはり長く継続して働いておるのじゃないかという前提のもとにお尋ねになっておるように私は理解しておるわけなのです。しかし私は、永岡さんよく御研究になっておるから、間違いないだろうと思いますけれども、この際、疑問を起しましたのは、非常勤職員の方で長く続かない者が相当ある、あるいは少数でもあるというならば、その二つの者の待遇を別々にするということも、必ずしも理屈の通らないこともないのじゃないかということを疑問を持ちましたので、非常勤職員という名前がつく者であっても、長く続いていく者であるか、あるいは二カ月なり三カ月、四カ月というようなもので、あるいはそれ未満でやめる者が相当あるのだということであるのか、その実質が違うか違わないか、両方のですね。それによって同じ待遇をすべきか、することができないかという問題が分れていくのじゃないか、こういう疑問を持ちましたので、お尋ねしておるわけです。
  242. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これはやはり、今の定員制度建前からちょっと申し上げますと、この定員内職員というものは、常時勤務に服する職員でございます。ところが、定員外にもたくさん職員がおるわけでございます。その中にも、相当長期間にわたって常時勤務に服する職員があるわけでございます。その者は、やはり定員内職員と同じような処遇はいたさなければならないわけでございます。そこで、その定員外職員のうちのある部分を限りまして、これを常勤職員といたしまして、これは、予算上いろいろ各省と御相談して、これだけの数は要るだろうという査定をいたしておるわけでございます。これを常勤職員と定めて、この定員外の職員のうちの常勤職員は、これは、定員内の職員と全く同じような処遇を受ける、給与の上でも共済組合の上でも、同じ処遇を受けるわけです。ところが、定員外職員のうち常勤職員に入れなかったその他の者がまだおるわけであります。これがいわゆる非常勤職員でございます。この非常勤職員のうちに、実質上常動的に長く勤めておる者がまだいる。その部分は、予算上常勤職員として査定された人と同じような待遇をしなければいかぬじゃないか、これは永岡先生のおっしやる通りであります。ところが、その定員外職員のうちから常勤職員を除いた残りの職員は、一応問題の考え方といたしましては、それだけの常勤職員は、国の事務、事業の必要からいえば、国の事務、事業の常勤職員を認めた以上は、さしあたりそういう個所はないだろう、こういう査定をいたしておりますので、その定員外のいわゆる常勤職員以外の一般の非常勤につきましては、これは、その中に常勤的な者がありました場合には、これをどういう形でめんどうを見ていくかということは、これは、定員をふやすという場合もあります。と同時に、制度面で、これは永岡先生のおっしゃる点でありますが、常勤職員の定員には入れなくても、制度面で同じような待遇をしたらいいじゃないか、こういうことでございます。つまり制度でいくか、定員でいくかという問題があるわけでございます。今までの過去の取扱い方から申しますと、やはりそれは、定員の数の問題として処理することが建前であろうということでございます。私どもの考えでは、これは、国の事務、事業の必要から、これだけの人員が要るという査定をいたすわけでございます。その査定されたものはすべて同じ取扱いをされて、それ以外はやはり制度としては別の制度になる、まあこう考えておるわけでございます。
  243. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 この一応オミットされた非常勤ですね。その職員の現在の現在のものですよ、職員のうちにやはり常勤的なものが残っておるのか、あるのかないのか。まああなたの今の御説明を聞くというと、ないものと仮定して、大蔵省の方ではそういうふうに思い込んでの御説明のように聞くのです。そういうふうに聞こえるのです。しかしそれは、実際調べればわかることなのですね。実際調べればわかることであるから、これからお調べになってもいいわけなのですが、しかし、もうお調べになっておるのかもしれないと思うのですがね。だから、そういうものがあれば、永岡さんの御議論は、私は筋道が通っておるのじゃないか。しかし、私が言ったように、それに該当しない者が相当あるのだということだったら、今の非常勤職員を、永岡さんのおっしゃるように、全部常勤職員と同じように扱えというのもちょっと無理がありはしないか、そういう気持がするのです。
  244. 永岡光治

    永岡光治君 そういうことを私は言っておるのじゃない。同じ条件でなくても、実態の同じものをやりなさいと言っているのです。
  245. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうですか。それならばそれでいいわけですが、ただ、問題が残るのは、その実態を一々検討する場合に、どれだけの手かずが要るのか、あるいはその変動が非常に著しく起ってくるのかという問題が起ってくるのかもしれない、そういう気持がします。
  246. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 非常勤職員の中に実態の同じものが相当数ある。それから、ほんとうの意味の非常勤もありますよ。委員とかでありますが、実態の同じものが相当ある。何人か、はっきりつかんでいないかもしれぬが、あるということだけはわかっているのですね、あなたの方で。
  247. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは、人事院の調査でございますが、われわれ、そういうものがあることは承知いたしております。
  248. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  249. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起して。共済三法に関する質疑は、本日はこの程度にいたします。  委員会は散会いたします。    午後五時二十七分散会