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政府委員(岸本晋君) ただいま提案になっております
国家公務員共済組合法の一部を
改正する
法律案の
内容を簡単に御説明いたします。この
法律案は、大体いろいろな、全文にわたりまして
改正いたしておりますが、
内容的に大きく分類いたしますと、四つの
改正点がございます。
第一は、健康保険法の
改正に伴う
改正、第二は、
国家公務員共済組合審議会を設置するということ、第三は、共済組合の年金
制度全般にわたって
合理化をいたしたい、第四は、船員保険と共済組合との給付、この
関係の調整をするという点であります。
今申し上げました四点につきまして、逐次
内容を申し上げますと、第一の健康保険法の
改正に伴う措置でございますが、健康保険法の方につきましては、御
承知の
通り、前回の通常
国会におきまして、患者の一部負担制の拡大、その他あるいは保険医療機関の指定
制度、そういうものを含む全般的な
改正法が出まして、それが一応
国会では成立いたしませんでしたが、今度の通常
国会で、ほとんど同一
内容のものが提案されまして、これが最近通過いたしたことは、これは御
承知の
通りでございます。この国家公務賃共済組合法の
改正案も、大体その健康保険法の
改正法案にならいまして、所要の
改正規定を織り込んでおります。その中の一番大きい問題は、療養の給付につきまして、一部負担制を拡大するという点でございます。
法律の体裁といたしましては、健康保険法の規定によって行われる一部負担金と同じものを共済組合でも実施するという
改正規定にいたしております。先般
国会を通過いたしました健康保険法の一部
改正法律によりますというと、一部負担金は、初診の際百円、入院の際は一月間だけ一日三十円、まあこういうことになっております。これが自動的に
国家公務員共済組合の場合にも
適用されるという仕組みの
改正規定にいたしてあるわけでございます。共済組合が、この健康保険の
改正と同じように、一部負担金の拡大をいたしましたことは、その理由を申し上げますと、主として共済組合が健康保険の代行
制度である。しかも、健康保険の中の比較的財政状態の楽と見られる組合管掌健康保険におきましても、やはり一部負担
制度は
適用されておるというような点、また共済組合だけ一般の社会保険とは異なる別途の一部負担制をやるということは、またいろいろ、医師とか、あるいは支払い藩命等の
関係に、手続が繁雑になるおそれもある、こうした点を考慮いたしまして、やはり
政府管掌の健保と同一歩調で一部負担制を
適用するということにいたしておるわけでございます。
なお、健康保険の
改正に伴う
改正部分といたしましては、このほか、従来の保険医あるいは保険薬剤師が療養の納付を担当いたしておったわけでございますが、これが
改正健康保険法によりまして、保険医療機関あるいは保険薬局というものが療養の給付を担当することに改められたわけであります。それにならいまして、共済組合法の方も、この保険医療機関から療養給付を受けられるというような規定に改めておるわけでございます。
それから第二の、
国家公務員共済組合審議会の設置の問題でございますが、この共済組合審議会の設置ということは、多年
関係の方々からいろいろ
要望されておったのでございます。とりあえず一昨年の十一月十一日に閣議決定をいたしまして、事実上の大蔵
大臣の諮問機関といたしまして設置されておったのでございます。この
改正法律案では、その事実上設置いたしました共済組合審議会を法制上の機関にしようという
趣旨で、審議会に関する規定を盛り込んでおります。審議会の目的といたしますことは、共済組合に関する
基本的な施策あるいは組合に関する重要事項を調査審議するという点にございます。社会保険におきまして、厚生
大臣の諮問機関といたしまして、社会保険審議会がございます。これは、共済組合がこれにならった
制度ということが申されると思います。
第三点といたしまして、共済組合年金
制度の
合理化の問題でございます。現在の共済組合の年金制は、いわば雇用人につきまして、文官の恩給にかわる
制度ということになっておりますが、恩給法と比較いたしますと、年金
制度の面でいろいろ不利な面も従来あったわけでございます。これをこの際、あまり全般的とはならないで、しかも将来いろいろの年金
制度の統合の問題がございますので、全般的な
改正はもとより不可能でございますが、一応恩給法と歩調をそろえたような、あまり不利にならないような
改正をいたしておるわけでございます。そのうちで一番大きい点と申しますと、いわゆる組合期間の通算という問題でございます。従来組合員であった期間が、二十年未満でやめた者、つまり二十年
たちますと退職年金がつくのでありますが、それがつかないうちにやめた方は、退職一時金をもらってやめたわけでありますが、その人が再び組合員となった場合、この場合には、前後の組合期間を合算するということはいたさないわけでございます。いたしておらないのが従来の規定でございます。たとえば、十年勤めて退職一時金をもらった。またあと十五年勤めた。そして十五年勤めてやめますと、やはり退職一時金でございます。ところが、恩給の方でございますと、十年と十五年を合せて普通恩給がつくようになるのであります。その点が恩給に比較してちょっと不利な点でございますので、これを合算して、全部通算して年金を受けることができる、こういうような規定に
改正いたしております。
その他、廃疾年金の規定の整備、あるいは退職年金の若年停止の
制度がございますが、これに関する若干の
改正規定を盛り込んでおります。
最後に、船員保険と共済組合との給付の調整という問題でございますが、これはまた、非常に話が技術的なこまかいことに相なりまするが、官庁の船員は、船員保険の特に被保険者でありますと同時に、また共済組合の組合員でありますが、船員でありまする以上、今の社会保険といたしましては、船員保険は非常にレベルの高いものであります。船員は、大体船員保険で実際の保険給付を行う
建前になっております。従いまして、共済組合員である船員につきましても、船員保険の高いレベルはできるだけその利益を受けるようにという
考えをとっておるわけでございます。ところが、従来の規定では、船員保険給付あるいは共済組合給付と、どちらか客観的に見て有利な方を御本人に差し上げようと、こういう規定になっておったのでありますが、もともと船員保険の
制度と共済組合の年金
制度とは、
建前が違っておりますので、どっちが有利かということを客観的にきめることより、むしろ主観的に御本人の
立場からきめた方が
合理的な場合が多いのあります。そういう意味で今度の
改正規定では、御本人がどちらか有利と思われる方を選択した場合には、その選択した給付を差し上げるというように
改正をいたしておるわけであります。これが船員保険と共済組合の給付の調整の問題でございます。
以上申し上げました四点が
改正点の主たる
内容でございますが、そのほか、技術的な面について、従来の規定の不備、あるいは取扱い上こうした方が便利だろうというような点につきまして、全面的に
改正を見ております。あまりこまかくなりますので、その点は説明を省略さしていただきたいと思います。
なお、
国家公務員共済組合法の
改正法案が前回の通常
国会で提案されましたが、その後、やはり前
国会でございますが、健康保険法の方の規定が
改正をされまして、例の保険医療機関に対する罰則規定が、これが若干
修正になりました。それに合せまして、公務員共済組合法の一部
改正法につきましても、
衆議院でその趣意の
改正点が織り込まれまして、参議院の、こちら側に回って参っておるわけであります。結果的には、最近成立いたしました健康保険法の一部
改正法案とこの点は全く同一
内容になっております。念のために申し上げておきます。
以上、簡単でございますが、公務員共済組合法の
改正案の提案理由の
内容について申し上げます。