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1957-04-24 第26回国会 参議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十四日(木曜日)    午後一時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            秋山 長造君            竹下 豐次君    委員            植竹 春彦君            木島 虎藏君            木村篤太郎君            迫水 久常君            平島 敏夫君            松岡 平市君            荒木正三郎君            伊藤 顕道君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    国 務 大 臣 小滝  彬君   政府委員    法制局長官   林  修三君    調達庁長官   今井  久君    防衛庁次長   増原 恵吉君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 北島 武雄君    防衛庁装備局長 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○連合審査会開会の件   —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、これより内閣委員会開会いたします。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案、両案を一括して議題に供します。両案について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 秋山長造

    秋山長造君 まず第一にお伺いしますが、総理は、国会終了次第、東南アジアアメリカ等訪問で、相当長期間留守にされるわけですが、副総理をお置きになるべきではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  4. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 総理が、東南アジアあるいはアメリカ訪問をいたしますその留守中において、総理大臣の職務を臨時に代行すべき臨時代理は、これはもう当然置かなければならぬことだと思っております。ただ、そういう場合に応ずる意味において、いわゆる副総理というものをあらかじめ指名しておくかどうかという点については、まだ何も考えておりません。
  5. 秋山長造

    秋山長造君 次に、総理外務大臣兼任されて、ずいぶん御多忙のように見受けるのですが、国務の渋滞ということもなきにしもあらずと思いますので、専任外相をこの際お置きになるべきではないかと思うのです。それとも、あくまで総理大臣兼任でお進みになる御意思であるかどうか、その点お伺いいたしたい。
  6. 岸信介

    国務大臣岸信介君) その問題につきましては、私の所信をかねて明らかにいたしておりますように、この国会中は、私が兼任でこれをやる考えであります。国会終了後、適当な機会専任外務大臣を置きたい。
  7. 秋山長造

    秋山長造君 総理大臣は、この前の本委員会で田畑君の質問にお答えになって、アジア緊張緩和努力することが自分外交方針根本であるということをおっしゃったわけですが、日本外交にとって、当面最大の課題は、何といっても中国問題だと思うのです。ところが、どうも見ておりまして、この中国問題と取り組むことをことさらにお避けになっておるように見えるのですが、その点はいかがですか。
  8. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 中共に対しましては、私は貿易、すなわち、経済関係におきましては、両者関係を一そう増進するという方針もとに、貿易増進に努めたいと思っております。ただ、中共政府を承認して、これとの間に正常なる国交を開くかどうかという問題に関しましては、私は、第一に考えなければならないことは、日本国際連合に加盟して、国際連合一員として、世界の平和を増進するという立場をとっておるのでありますが、その見地から見て、とにかく、まだ中共政府を、国際連合においては侵略者という決議規定をいたしておりまして、国際連合一員となっている日本としても、やはりその決議が取り消され、その国際連合における扱いというものが変ってこなければならないと私は思うのです。また、国民政府に対しましては、日華条約によってこの友好関係が設定されております。いわゆる中共政府国民政府との関係がどういうふうに調整され、どういうふうに定められていくかということのきまっておらない現在において、日本が直ちに中共政府を承認するとか、あるいはこれとの間に外交関係を開くということは、日本として適当でない。まだその段階でないという見地に立ってこの問題を処していく。しかし、そういう関系が長く続くということは望ましいことであるかどうかということについては、私は、決してそれが望ましい状態であるとは思いません。しかし、現在の段階において、直ちにそれではこの状況を、中共を承認するということによって、それじゃ打開できるか、こういうと、私は、そのことの必要な各種の客観的情勢というものがまだできておらない、こういうふうに考えております。
  9. 秋山長造

    秋山長造君 いろいろ困難があることは、私どもよく承知しておるわけですけれども、しかし、ただいまのお言葉のように、今のままではいけないということだけははっきりしておる。従って、そのことだけははっきりしておる以上は、やはり困難なら困難で、これを具体的に克服をしていく一つ段取りというものを政府として、また総理大臣として用意されておらなければならないと私は思うんです。まあ国連決議ということもございますけれども、しかしこれは、あの当時と今日とでは、すでに諸般の情勢がうんと変っておるわけです。しかも日本は、今国連のそとではなくして、国連に加盟して、その一員となっておるわけですから、ただ潮待ちをするように、国連の動向をじっと消極的に待っておるという態度でなしに、国連の内部に入っておるんですから、やはり積極的に、国連を自主的な立場で動かしていくだけの積極性を私発揮すべきじゃないかというように考えるんですが、その点はいかがでしょうか。
  10. 岸信介

    国務大臣岸信介君) もちろん私は、ただ国際情勢の推移を見守っておるとか、あるいは単にそういうものの受身の形でだけ事に処すべきものではなくして、日本の独自の立場から、日本考え一つ持って、そうして将来の見通しをつけた方向にあらゆる努力を出していかなければならぬことは、これは私は、御説の通りだと思います。しかし、現在の段階において、先ほど申したような情勢にあるときに、直ちに中共を承認するとか、あるいはこれと外交関係を開いていくんだということをわれわれが定めたり、また、そういう方向に直ちに取りかかって進んでいくということは、まだその段階でないと、こう考えております。
  11. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、段階的には、まず経済交流ということに力を入れるということになるだろうと思うんですが、ところが、この経済交流の問題にしても、きわめて政府態度は消極的なように見受けるのです。第四次貿易協定が行き詰まっておるのも、もとはと言えば、やはり指紋問題というものが一つの障害になっておると思うのです。で、ここらでやはり政府として、ただ民間にまかせるというのでなしに、政府として積極的にやはり一歩乗り出されるべき時期じゃないかというように思うのですが、その御意思はありませんか。
  12. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 指紋問題は、御承知のように、日本の現在とっておりまする制度そのものの性質から申しまして、これは、各国の要するに治外法権を持っておるような代表者や、あるいは特例の公務を帯びて入国する者に対して免除しておるだけであって、広くどこの国にもこれは取っておるのであります。おそらく数字から申しましても、決して特別な扱いをしてとるということじゃなしに、広く取っておるわけであります。それで問題は、この通商代表部というものが、この一つ外交上のいわゆる特権を持っておるものと見ることのできないことは、これは、外交関係が開かれていないことからいうと、私は当然であると思うのです。特別の一つ公務を帯びた者と見るか見ないかということが、一つ解釈上、もしくは取扱い上の私は問題であると思う。私は、これは今話が非常にこじれております前提には、いろいろななにがあると思いますが、一つは、中国側において、日本指紋を取っておるということ、指紋制度というものに対するほんとう理解ということに、私は一つの欠けておる点があると思うのです。この点については十分一つ——取る、取らないの結論は別として、何か指紋を取るということを、すでに何か自分たちを非常に排斥しておるというふうな気持自体を持つということじゃないだという点については、私は、その両国の間に、両者の間に十分な話し合いをして、その点は一つ理解をしてもらわなければならぬ。しかし同時にまた、これらの人々が指紋を取られるということ、これは決して愉快なことでないことはよくわかるのですから、そういう意味において、向う側の考えというものも、十分一つこちらにおいても考慮すべきものは考慮していかなければならぬが、同時に、今申すように、各国に対して同じようなそのなにでやっておるので、公けの、特別のなにでない、通商上の目的でもってこっちに駐在しておるとかなんとかいうよその国に対しては、これはみんな取っておるのです。そういうような事情については、十分両者の間の誤解を一掃する必要があり、また、しかしながら、同時に、日中の貿易を促進する上において、その持っておる使命もしくはこれを増進する上から言って、どうしても何者のそういうような前提が十分に尽されて、なおこの問題を処理するに適当な方式が考えられるならば、政府としても、単に法律解釈だけに拘泥してこの問題を考えるべきものではないと、こういうふうに私は考えておるわけでありまして、十分そういうことがさらに具体的に……、たとえばですよ、そういうことが抽象的に申し上げてま、ややご理解むずかしいか思うのですが、たとえば、その代表部に来る人を、それじゃ、何人来るか知りませんけれども、ことごとく指紋をやめるというようなことをどうしても要求するのかですよ、あるいはその主たる人だけをなにしておいて、ほかの方は指紋を、今の趣旨でわかったから、指紋を取るというふうにするか、いろいろなそういう点の具体的な話を、両方がもう少し指紋問題に関して理解ある話し合いができて、どうしてもこれだけは必要だ、こういうふうななにだというようなことで、妥当な私は解決案というものはおのずから出てくるのじゃないか。ただ通商代表部指紋を取るのがけしからぬとか、指紋を取るということは、これは認めないことだというふうな意味でなしに、もう少し両方で、この問題を真剣に話し合ってみる必要があるのじゃないか、かように思っております。
  13. 秋山長造

    秋山長造君 鳩山さんは、昨年の二十四国会で、参議院の予算委員会で私質問をしたのに対して、北京へ乗り込んで、みずから毛沢東あるいは周恩来というような向う指導者ひざを交えて会うことにやぶさかでないという、実に思い切った言明をされたことがある。まあ実現はしなかったが……。また、石橋さんにしても、相当この中国問題については積極的な意思表明をされておったのです。ところが、岸内閣ができると同時に、この線がうんと後退してしまって、そして今日では、中共、に対する日本政府根本方針というものは、総理大臣アメリカ訪問された上でなければきまらないのだというようなことすら言われておるのです。かつて満州開発に活躍をされ、また、中国事情に対しては非常にお詳しいはずの岸総理大臣こそ、まあこの、困難ではあるが、重要な懸案と、ほんとうに真剣に取り組まれるのに私は最も適格者じゃないかというようにすら考えて、期待しておるわけなんですが、少くとも渡米される前に、中共の問題に対する政府としての基本方針段取りをもって進むというなら、その段取りについての具体的な基本方針というものをはっきり確立された上で渡米をなさるべきだ、こう私は考えるのです。そうでないと、これは、向うへ行かれまして、あのココムだとか、チンコムだとかいうようなものの、形だけの緩和というようなことと引きかえて、かえって昭和二十六年の十二月二十四日の、あの中共を相手にせずという吉田書簡というものを、逆に再確認をさせられるようなことにならないとも限らない。私ども、国家のために、そういうことのないことを叫んでおるのですが、この点についての御用意はいかがですか。
  14. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 何か、私と石橋総理との間に、中共問題に関して、根本的に考えの食い違いがあるように、一部において伝えられておる節もありますし、今、秋山委員のお言葉のうちにも、そういう御意見のひらめきがあったように思うのでありますが、実は私、石橋内閣が成立しました当時に外務大臣に就任をし、外務大臣を引き受けるにつきまして、最も現在——この当時の石橋内閣としてはっきりきめなきゃならぬ問題の一つは、中国に対するわれわれの考えが一致しているかどうかということであるということで、前総理との間に私は相当な話をしたのであります。決して私と当時総理との間の考えは違っておらないのであります。総理も決して、中共との間に、今早急に国交を回復し、これを承認して、これとの間に正常なる外交関係を開く考えはない、貿易はこれをできるだけ増進したい、それについては、いわゆるココムチンコム制限というものは、これは緩和しなきゃならない、第一段のなにとしては、チャイナ・デイフェレンシャル、の問題を解決しなければならない。また、これの増進については、目下のところにおいては、とにかく民間のレベルでもって話し合って、それを政府は背後から援助するという形でいこうということ等の話につきましては、実は私と石橋総理との間におきまして、何らの考えの違いはなかったのでありまして、従いまして、私の今やっておる、また中国に対する根本考え方も、当時の今申し上げた考え方と少しも変っておらないのであります。ただ最近、御承知通り、従来アメリカがむしろこのココムチンコム制限を強化しようというような意向であったやに考えられておったのでありますが、私ども一員して、これが緩和を主張して参っておりましたが、最近アメリカ考えも変りまして、これを緩和する意味において、ある一つの提案が加盟国に対しなされております。まだ、私ども立場から言うと、アメリカ考えは、私ども考えと一致しているところまでは来ておりませんけれども相当程度緩和するという方向に来ております。われわれはやはり、従来考えておったわれわれの考え方を、さらにアメリカをして十分に了解せしめ、アメリカをしてその方向協力せしめるように、今後も努めていかなければならぬと思いますが、第一段的には、傾向としては、もとは右へ行こうとしておったところが、われわれは左へ行こうということを主張しておるから、方向だけは、左へ行くという方向が出ていることは望ましいことだと思います。程度において、なおわれわれとしては、従来の考え方アメリカに十分に説得して、その方向にさらにアメリカ協力するように持っていきたいと、かように考えております。  吉田書簡の問題は、これはもう単純な、吉田総理との個人的なもので、私は、何らこれに対して、日本政府として拘束される意思はございません。
  15. 秋山長造

    秋山長造君 吉田書簡に対する見解、きわめてはっきりしておるので、その点は私同感です。それから、おっしゃるように、中共政権との国交回復ということは、これは一足飛びにはいかない、段取りを組んでいかなければならないということは、これは私どももよくわかりますが、ただ、日本の防衛問題のおもなる対象というものは、だれが何と言いましても、中国なりソ連なりが主目標に置かれておるということは、これはもう公然の秘密なんです。しかも、中国ソ連軍事同盟というものがある。日本の再軍備論者は、日本の再軍備の有力な理由として、中ソ軍事同盟をいつも気にしておるのです。そこで、この状態でほおっておくのでなしに、日本中国との最高指導者ひざを交えて、こういう問題について話し合うという機会が必要なんじゃないか。現に、周恩来総理は、今日までしばしば、鳩山さんに対しても、あるいは石橋さんに対しても、岸さんに対しても、北京まで来てもらいたい、また、自分東京訪問したい、そしてひざを突き合せて両国の問題、またアジアの問題を話し合いたい、一度に懸案が解決できなくても、アジア緊張緩和のために有意義じゃないか、有益じゃないかということを言ってきておるのですが、総理大臣にその御意思がないかどうか。あるいはまた、周恩来総理の力が東京訪問したい、こう呼びかけてきた場合に、喜んでそれを受け入れられるおつもりがあるか、どうか、この点をお伺いします。
  16. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は、先ほど申しましたような情勢下において、今日北京訪問する意思もございませんし、また、周恩来首相がたずねて来られるということに対しましても、私は、先ほどのような、この客観情勢もとにおいては、まだ両国首脳部がそういう根本の問題について話し合っても、適当な結論の出る状態ではないと思うのであります。そういう意味において、もう少し国際的のいろんな関係を調整することに、現在はわれわれとしては努力をすべき段階である、こう思っております。
  17. 秋山長造

    秋山長造君 直ちに北京訪問されるということは困難なようですが、向うから申し入れをしてきた場合にも、それをお断わりになるのですか。それともビザは出されるのですか。その点、もう一度お伺いしておきます。
  18. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これは、具体的の事実でないというと、私はっきりしたことは申し上げかねますけれども、今の状況で、私は、周恩来首相東京をたずねられるということも一つの仮定であって、ほんとうにそういうことが実現する可能性については、私は非常な疑いを持っております。しかし、そういうことが現実に起ってきて、それを拒否する理由はなかろうと思います。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 総理大臣自身が乗り出されるということについては、もう少し準備段階が必要だ、こういう御意思のようですが、では、たとえば自由党の松村謙三氏だとか、あるいは高碕達之助氏だとかそういう、向う相当顔の広い、信用のある人を、しかるべき人を総理代理というか、特使というか、あるいは公けの特使でも、私設特使でもいいのですが、そういう形で北京に派遣をされて、将来の両国首脳者の会談の下準備というか、国交問題あるいは経済交流問題等についての下準備、下打ち合せというようなことをおやりになるべきじゃないか、こう思うのですが、その点いかがでしょう。
  20. 岸信介

    国務大臣岸信介君) まだ私は、そういう具体的の考えは持っておりません。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 今度の総理大臣東南アジアの御訪問で、特に私ども注目しますのは、台湾の蒋介石総統並びにインドネール首相との御会見だと思う。これらの指導者とお会いになって、具体的にどういうお話をなさるおつもりかということと、それから、特にネール首相は、年来日本訪問の希望をしばしば表明されておるわけですが、インド訪問された機会に、ネール首相日本来訪一つお勧めになったらどうか、いかがでしょう。
  22. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私が今回東南アジア諸国をたずねたいというのには、一つは、これら国々との友好親善増進する意味におきまして、日本から、従来首相がたずねた実例も実績もございませんし、しかも、これらの国々が、あるいは戦争中において、非常な日本から迷惑を受けたところでもあるし、また、これらの国々が新しく独立を確保した国々でもあるし、また、アジアに位している国々として、国際連合にわれわれが加盟するに際しても、いろいろな意味の援助も与えられておるし、これらに対して、日本を代表してたずねて、親善友好関係基礎をますます固めるということは、第一に必要であると思います。さらにわれわれが、アジアお互いが一国として、アジアの平和、ひいて世界の平和に貢献するという立場において、共通のこのものの考え方立場というものを持っており、また、国際連合においてさらに緊密な関係を持って、将来、第一段においては、アジアの平和とその繁栄、ひいてこれが世界の平和に貢献するということについて具体的な、あるいは経済面において、文化面において、いろんな面について、われわれの協力というものの基礎お互いが話し合うということも非常に必要であると私は考えておるのであります。こういうような意味におきまして、各国をたずねて参りたいと思いますが、特にインドにつきましては、昨年インドの副大統領も来訪されたのでありますが、日本からは、そういういろんな人人もたずねて行っておりますけれども、特に国を代表し、政府を代表してというような重要な人がたずねて行っておりませんので、そのこと自体インド国民に与えておる感じについてのいろんな情報なり意見等も私ども聞いておりますので、特に参って、そうしてネール首相がかねて、日本をたずねたいが、まず日本からそういう人が来て、十分話した上にしたいというような意向を持っておられるようにも伝えられておるふしがある、私たずねました際には、ぜひネール首相の都合のいいときに日本を来訪されるように、招聘するつもりでおります。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 時間がありませんので、さらに端的にお伺いしますが、今度のアメリカ訪問は、一国を代表して、総理大臣立場でお行きになるわけですから、これは当然、この国会中にまた、野党党首鈴木委員長その他ともお会いになって、十分野党意見をもくみ取られた上で渡米さるべきだと思うのですが、その御用意はおありになるでしょうか。
  24. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 秋山委員のお考えは、私も同感でありますから、適当な時期に適当な方法で私の所信を明らかにし、また同時に、党首とも会見する機会を持ちたいと思っております。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 今度総理アメリカに行かれるに先立ちまして、西ドイツのアデナウアー首相渡米をして、そうして、例の原子戦略の問題を中心に、アメリカ当局者と話し会うことになっておるようです。そのすぐあとを受けて、岸総理渡米されますだけに、必然アメリカ世界的な規模における原子戦略に対する日本協力態勢という問題が持ち出されるのではないかと思うのです。この深刻な原子戦略に対する協力態勢という問題に対しても、あくまで原子兵器持ち込みを拒否するという今日までの既定方針を断固として貫徹される御決意がおありになるでしょうか。
  26. 岸信介

    国務大臣岸信介君) その点は、私はかねて国会にその所信を明らかにいたしておりますように、日本国民感情並びに国情はそういうものの持ち込みを許さないという、私はこの実情にあることを前提として、もしもそういう相談に対しては、かねて申し上げておる通り、これを強く拒否するという考えにつきましては、少しも変っておりません。
  27. 秋山長造

    秋山長造君 その点について、従来口頭で、事前に相談するという程度の口約束があったにすぎないんですが、この際、渡米されたときに、やはりはっきりした外交文書、何らかの形の外交文書によって、原子兵器日本に待ち込まないという保証を取りつけていただきたいと思うのです。その御意思はおありにならぬでしょうか。
  28. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は、具体的には、内容的には、こういう公開の席で申し上げることは適当でないとして、避けて参っておりますが、ただ抽象的には、安保条約行政協定の全面にわたって再検討すべき時期に達しており、そういう問題についても、両方話し合いは当然触れるということを申しております。今の秋山委員お話は、今の安保条約規定においては、どういうものを持ち込み、どういうふうな兵力にするとか、部隊にするとかいうようなことは、アメリカの一方的意思によってきまるような建前になっておるじゃないか。だから、口約束でそんなことをしておっても、安保条約をたてにやられた場合においては、何もこれに対抗すべきものはないじゃないか。だから、少くともこれに対抗するような、他の協定なり文書でもって明らかにしておく必要があるんじゃないかという御心配であろうと思います。私は、今申しましたように、安保条約その他行政協定等の全面を検討して、その際に、そういう国民の不安なりあるいは御心配というものをなくするように一つ考えて参りたい、こう思っております。
  29. 秋山長造

    秋山長造君 すでに防衛庁では、アメリカのこの原子戦略に対する日本側としての協力態勢ということを積極的に検討されているやに聞いておるんです。で、アメリカに対して、防衛庁は誘導弾の供与を申し入れておることも事実です。こういうところから、私どもは、なしくずしにアメリカ原子戦略の中に組み込まれつつあるんじゃないか、こういう非常な疑問と不安を持たざるを得ない。それからまた、一昨年から、オネストジョンとか、あるいは原爆搭載用のB57爆撃機とか、あるいは小型原爆を搭載するところのF100Fジェット戦闘機、こういうようなものがどんどん日本へ持ち込まれつつあることもまた、その前ぶれではないかという不安と疑問を持つわけですが、で、こういうものの数量あるいは型、さらに、この持ち込まれた時期、さらに、日本へ持ち込まれるときの手続ですね、外交上あるいは法律上の手続というようなことがどうなっておるか、それからまた、誘導弾というものは、これは原子弾頭をつけなければ原子兵器じゃないとおっしゃるかもしれぬけれども、本来これは、原子弾頭をつけ、あるいは大型か小型か、とにかく原子爆弾を運ぶ輸送機関にすぎないわけですから、やはりこれは、原子兵器に通ずるものだと私は思うのです。これらの点について総理大臣の御見解を伺っておきたい。
  30. 岸信介

    国務大臣岸信介君) いわゆるこの原子兵器というものがどういう範囲であるかというようなことについての専門的な議論は、いろいろあろうかと思います。しかし一方、いうまでもなく、化学兵器の発達、またこのいろいろな研究や、そうして技術の発達から見て、最も新鋭な兵器によって装備されるということが、現在の防衛力を強化する上においては必要であり、われわれが本年においては量よりも質に重きを置いて防御力の漸増を考えておるという基本方針も、そこにあると思います。従って、そういう意味における化学兵器の発達におくれないような何をしていかなければならぬことは言うを待ちません。従って、いろいろな誘導兵器等につきましても、その供与方を従来防衛庁がアメリカに要求をいたしております。しかしわれわれは、あくまでも防衛という、その自国の自衛、防衛ということが主眼でありますので、攻撃兵器につきましては、われわれは今までそういうものの供与も受けておりませんし、また受ける意思もないのであります。そこで、一番われわれの問題になるのは、原水爆及びこれを中心としての核兵器の問題であると思います。これは私は、先ほども申し上げました、日本の、これはどこの国民とも違った、日本の国民が持っておる国民感情があると思うんです。また、日本の国情というものも、そういう原爆の洗礼を受けた実際の経験を持っておる日本としてのこれに対する考え方、国情というものも十分考えないというと、それを無視して、いかにこの優秀な兵器をもって何しても、ほんとうの防衛というものはできるものじゃないんだという私は見地に立って、力においては、そういう進歩する化学兵器についての研究なり、これに対処すべき手段というものは考えていかなきゃならぬ、研究していかなきゃならぬことは言うを待ちませんけれども、あくまでも原水爆を中心とするこの核兵器の使用、日本内地において使用され、もしくは持ち込まれるということについては、私は日本の国民の多数の意思であるところの気持を代表して、強くそれは拒否するというのが正しい考え方であると、こう思っております。
  31. 秋山長造

    秋山長造君 もう一点だけ。その点についての詳しいことは、改めてまた防衛庁長にお尋ねいたします。  この原水爆登録制ということを、日本政府の見解として、国連の軍縮小、委員会へ持ち出されておるわけですが、これは、皆さんが批判をされておるように、登録というと、一面において実験そのものは肯定するようなことになりまして、今政府がイギリスあるいはソ連その他に積極的に呼びかけ、また国民の中からも、非常に世論が沸騰しております原水爆実験そのものの禁止という呼びかけと、どうも矛盾するようなことになるわけです。そこで、まあ幸いに、総理東南アジアへも行かれ、アメリカへも行かれるわけですから、当然これらの国々の有力な指導者に対して、日本のこの国民感情というものを、これは真剣にお訴えになることだろうと期待をするわけですが、同時に、国際平和維持の舞台であるところの国連そのものが、まだまだわれわれ日本の国民が原水爆に対して抱いておるような鋭敏さといいますか、感受性といいますか、そういうものが欠けておると思うんです。まだ、どちらかといえば、無神経であり、無理解な点が多々あるんではないか。そこで総理大臣は、アメリカ東南アジア指導者とお会いになるたけでなしに、みずから国連本部へも足をお運びになって、そしてハマーショルド事務総長その他国連の有力な指導者たちにも会われて、そしてこの国民感情——深刻な国民感情というものを一つ率直にお訴え願って、働きかけていただきたい。それから、同時にまた、ハマーショルド事務総長は、あちこちずいぶん歩いておられるようですが、一本のこの深刻な国民感情というものは、やはり日本へ来てみなければわからぬという点もあると思うんです。で、事務総長に、一度日本に来て、日本の朝野の一つ各方面の指導者と会っていただいてこの原水爆実験禁止に対する国民感情、国民の世論というものを身をもって知ってもらいたい、こう思うのですが、それをお進めになるお考えはないですか。
  32. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 訪米の機会国連訪問することは、私も日程のうちに考えております。自然、国連の事務局の首脳部の方、ハマーショルド氏とも会う機会があると思いまして、こういう機会において、いろいろ日本考えておることを話しておくことは適当であり、特に今御指摘になりました原水爆の実験禁止の問題に関する日本国民の考えは、すでに文書等においていろいろ通告もしてありますし、あるいはまた、今おあげになりましたが、登録制度をわれわれが提唱する場合において、その演説において、決してこれをもって満足するものじゃなしに禁止すべきものであるという、その理想を実現する第一歩としてこれをやるのだという演説においても、日本国民の気持は述べられておりますけれども、さらにハマーショルド氏が時間の許す機会日本訪問されて、この問題、またそのほかの問題もありましょうが、いずれにしても、日本の朝野の意見を聞かれるということは、国連の仕事の上においても非常に有効でありましょうから、そういうことを進めるということももちろん適当であろうと、かように考えております。
  33. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 総理に数点についてお伺い申します。  岸総理は、去る十六日衆議院の法務委員会で、沖縄の施政権返還について努力すると、こういう意味の御決意がありましたので、私どもとしては、明るい希望を持っておるわけですが、近く総理には渡米せられて、この点についても交渉も重ねられることと思いますけれどもアメリカ側が簡単に返還しようとはお考えられないのであります。そこで、よほどの不退転の気魄をもって、粘り強く交渉を重ねられて、たとえ一挙に解決し得ないとしても、このことを断念するということは許されないことでありますので、一つ、たとえその一部分、たとえば教育行政権とか、あるいはまた交通の自由、こういうような点について、何とか確保していただいて、私どもと同様な、沖縄県民に明るい希望を持たせてやることがきわめて、この際大事なことだと私ども考えるわけであります。この点についての岸総理の御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  34. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 沖縄の現在のこのステータスというものは、日本国民として、とうていこれに満足のできない状態にあることは、すでに沖縄の施政権返還についての国会の議決等にもその意思は明瞭に表われております。ところが、アメリカ側としては、この極東の緊迫状態は、今の現状をやはり維持することが必要であり、それが緩和されない限り、これを返すわけにいかないということで、今日まで物別れになっておることも御承知通りであります。私は、やはりこの日本国民が、これはわれわれの同胞の沖縄住民の立場を同情して、全国民が今の状態を改善して、究極は、施政権の日本への完全な復帰を願っておるということは強い国民の要素であり、かつまた、今のような状態に置くことは、日米のこの理解ある両国の堅実なる提携もしくは協力関係を打ち立てる上においても、これは私は望ましい状態ではないと思うのであります。そういう二つの見地から、この問題に関しても、アメリカ側と十分に一つ話し合いをしてみたいと思っております。もちろん、今御指摘のありましたように、私は、それが簡単にいく問題であるとは絶対に思っておりません。しかし、今二つの私があげました理由は私の真剣に考えていることであって、日本のために、また日米両国のために、これを改善していかなければならぬという考えでおりますので、その方向に向って私はできるだけの努力をいたしたい、かように考えております。
  35. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、新年度の防衛関係費についてであります。政府は、昨年度に比してわずかの増額にすぎない、そういうふうに言うておられますけれども、実際問題といたしましては、繰越金が二百数十億ある。こういうようなものが来年度に必ず償われるというようなことを、アメリカに対しても一応報じておるようでありますのですが、しかもかつ、陸上の一万についてはこの際削りましたけれども、装備の強化とか、ロケット兵器、あるいはまたジェット、こういうふうに、海、空の面に相当強力な計画が推し進められると、こういうことを考えたとき、これがアメリカにおける原子戦争態勢に即応するものである、そういうふうに私としては考えられ、重大な関心を持たざるを得ないわけです。この点について、総理の御見解を伺いたいと思います。
  36. 岸信介

    国務大臣岸信介君) すでに、本年度の防衛予算の編成の根本の趣旨といたしましては、当時政府所信を明らかにいたし、その後いろいろな機会に、それを敷衍して申し上げておるのでありますが、われわれは、やはりわれわれのこの国力と国情に即応して防衛力を漸増して、そしてわれわれの力でわれわれの国を防衛するという態勢に持っていき、アメリカ軍隊の駐留をなくして、撤退するような方向に導いていかなければいかぬという考え根本考え方であります。特に、その見地に立って、むしろ量よりも質に重きを置くべきであるということを強調いたしまして、そういう観点から本年度の予算を編成したのであります。先ほども申し上げましたように、近時化学兵器の進歩もきわめて著しいものがありまして、これに対して即応するような装備を持っていかなければならぬことは言うを待たないのでありますが、しかし私は、先ほど申しましたように、原水爆を中心とする核兵器の日本における持ち込みというようなことに対しましては、強く反対するものでありまして、そういう意味におきまして、いわゆる原子力戦というものに日本が巻き込まれていくということは、私は決して……そういう態勢をとるための量よりも質と言ったわけではないのであります。もっとも、日本の防衛を遂行していって、日本の安全を保障するという場合においてのいろいろな起り得る事態、侵略のいろいろな形態なり、いろいろな場合というものに対しましては、防衛庁を中心として十分に研究もし、検討もいたしまして、日本の国が不当に他から侵略されるということがないような態勢に向って、今申したように、防衛力を増進しているわけでありますけれども、決していわゆる原子力戦にわれわれが巻き込まれるというような見地から、そういう量よりも質ということを考えているわけではないのであります。
  37. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 アメリカの西欧軍事態勢の変革、こういう問題が今起きているわけですが、首相渡米せられた際には、そういう問題にも触れられると思うわけです。そういう際には、一つ基地問題その他の形で、日本の役割に関する諸問題が打ち出されるわけだと思うのです。どのような態度首相としてはおとりになるか、この問題について、首相としてのおとりになる態度についてお伺いしたい。
  38. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 基地問題等につきましても、当然日米の間にあるいろいろな問題の一つとして触れなきゃならないことは当然でありますが、その根本考え方は、先ほども申し上げましたように、われわれが国力及び国情に応じて防御力を増強して、そうして日本の防衛については、少くとも第一段として、日本自身が責任をとれるだけのものを持って、そうして外国軍隊の駐留というものをなくしていく。しからば、今問題になっているような基地につきましても、そういう見地から整理すべきものは整理し、また、平時においてそういう常時基地として使うというようなことのない方向に向って、いろんな考え方をしていかなきゃならぬと思います。前提として、われわれ自身が、今申すような、国力や国情に応じた自衛力を増強して、そういう方向に進んでいくというのが私は根本考え方でなければならぬ、こう思っております。
  39. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 現在の安保条約あるいはまた行政協定を見ますと、原子、兵器持ち込みについては、あるいは原子部隊の駐留等について、このような一連の問題に対する規定等については何ら触れてないと思うのです。そこで、今後原子兵器の通常兵器化、こういう進展に伴って、打ち込み等に対する政府態度とか、あるいはまた、規定に対する政府態度の決定、こういうようなことについても、首相渡米の際に、いろいろと会談の内容にならうと思うわけです。これに対する首相としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  40. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほど秋山委員にお答え申し上げましたように、御指摘のありましたように、今の安保条約行政協定等から見まするというと、いかなる兵器を米軍が持ち込むか、どういう部隊を駐留せしめるか、どういうふうにそれを撤退するかというようなことは、アメリカ側の一方的意思できまるような条文になっていることは、御指摘の通りであります。しかし、従来のこの話し合いから見ましても、あるいは国務省や国防省等の声明等に見ましても、特に原子力部隊の駐留については、日本国民感情等もアメリカ考えまして、日本意思を聞かずに、単独で持ち込むことはしないという言明もあったことも御承知通りであります。しかし、それは一方的の言明であり、あるいは口約束であって、そういうことでは安心できない、何か条約の上にそういうことを明記し、そういうことについての不安を一掃しなきゃいかぬではないかという御意見につきましては、私も、できるだけ国民のそういう不安や、そういうことに対する疑念を一掃するような建前にすることが、日本の安全保障の上から申しましても、日米の協力の上からいっても望ましい、こう考えておりますので、安保条約行政協定を全面的に検討する場合には、そういう点につきましても、十分一つ留意をして考えていきたい、こう思っております。
  41. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私ども日本人は、あげてイギリスの水爆実験に対して強力な反対を申し入れてきたわけですが、軍備の強力な点を誇ろうとしておるイギリスにおいては、なかなかに、これを馬耳東風と聞き流して、きわめて冷淡な態度をとっているわけです。そこで、私どもこの際考えてみなければならないということは、もしかりに、現在の日本に陸、海、空の強力な軍備がもしあったといたしますならば、アメリカ、ソ連ないしはイギリスに負けまいとして、盛んに原水爆を作って、今、ころは南太平洋辺でどかんどかんと盛んにやっていることだろうと、一応考えられるわけです。ところが戦争の悪夢からさめた現在の日本人は、御承知のような強力な反対の態度をとって、これを堅持しておるわけです。そこで人間が強力な軍備というものを持ったとき、いかにその理性を失い、また非人道的な行動をとるかということを、私どもはこの際断じて忘れてはならないと思うのです。で、このような暴挙に対して強力な抗議を申し入れ得る私ども日本人は、人間としてむしろ非常に仕合せであるとさえ考えられるわけです。このようなことについて総理としてはどのようにお考えになっておるか、所信をお伺いしたい。
  42. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 原水爆の実験禁止の問題につきましては、私も同様に、これは人類の福祉からいい、また人類を破滅から守る意味において、こういうことはやめさせなきゃならぬという強い決意のもとに、あらゆる機会にわれわれの所信を明らかにし、そうして抗議を提出して、その実験を行おうとする国々の反省を求めております。イギリスのクリスマス島における、実験に対しまして、松下特使を送ったのもそういう趣旨でありますが、私はこの抗議によって、まだクリスマス島を中心としての核兵器の実験を中止せしめることができないことは非常に残念でありますが、遺憾でありますが、しかし今お言葉にもありましたが、私は決してわれわれがやっておるこの抗議というものが全然無効であって、イギリスは馬耳東風と聞き流しておるという簡単な問題じゃなしに、相当に私はイギリスの首脳部にも道義的の反省を与え、また英国内におけるところの世論、ひいて世界の世論を高揚する上において、非常に私は役立っており、またそれを近き将来に私は、ぜひ実現させなきゃならぬと思いますが、三国の間にかかる実験の禁止なり、あるいは制限、あるいは中止というようなことについての協定なり、申し合せ等ができる機運を醸成しつつあると思います。そうしてこの両陣営の言い分を聞いてみまするというと、要するに、罪はむしろ相手方にあるので、相手がやめない間はやめられない、これの優秀性を持っておるということが要するに世界の平和を保つ唯一のものである、自由主義陣営の方から言えば、それが自由主義陣営の要するに人類の自由を擁護し、平和を確立、維持するゆえんであるというふうに申しております。これは、私はその理論は決して人類の理想からいって正しい理論だとは思いません。しかし国際の現実がそういう事情状態にあるということも、これも確かに一つの現実の国際的の事実としては見逃すこともできないのでありますが、われわれはあくまでも理想に立って、そうして現実をつかんで、この核兵器の実験の禁止に向って、国民の強い要望を実現するように今後ともあらゆる努力をいたして参りたい、こう思っております。
  43. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 さきに自衛隊機が妙義で墜落しまして、また最近新聞を見ますと、またまた十人のうち八人の犠牲者を出した、二人は幸いに助かったと、こういうような問題が新聞に報道されておりますが、これを仔細に検討いたしますと、前の場合もそうであったと思いますが、アメリカからいわゆるMSAの協定で、現在アメリカで使用していない、現在製造を中止している機械、しかも相当老朽品で、老朽機であるということを伺っているわけです。こういうふうに次々に尊い人命が、このような機械の老朽品であるというような意味もあって失なわれているということは非常に遺憾なことだと思うのです。これに対して抜本的にお考え直されることが必要だと思うわけです。その点に対して総理としてはどのようにお考えになっておりますか。
  44. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 自衛隊の航空機が二回も事故を起して尊い人命がそこなわれたことに対しましては、私どもも同様に遺憾に考えております。ただ私は、詳しい技術的なことは防衛庁長官からお答えした方がよいと思いますが、MSAのこの協定によって、日本に供与されるものが何か非常な中古品で、非常な故障の多い、また使用にたえないものであるように一部では言われておりまするが、決してそうではないようであります。ただ、もちろん全然新しいものでないことも事実であり、飛行機によりましては非常な修繕もし、いろいろな方法によって、あるいはその性能に応じて、練習機であるとか、あるいは実際の第一線機であるとか、いろいろな性格をきめてこれを使用しているわけでありまして、一番望ましい姿から言えば、日本の防衛産業が、防衛の充実に必要な飛行機の製作もでき、最もその性能の高いものができるというようなところ京で日本の航空機製造業が行っておれば、これは一番望しいことだと思います。しかしまだそういう段階になっておりませんので、その間において、MSAの援助によってアメリカから供与されたものを、われわれは使って行くということもやむを得ないことだと思います。決して一部で伝えられているように、用にたえない老朽機である、そのための事故であるというふうには、今日までの調査研究では、そういうことになっておらないのであります。
  45. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 伊藤委員、もう時間です。
  46. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は総理に自衛隊と憲法の問題についてお伺いしたい。この問題は非常に古い問題であり、同時に新しい問題とも言えるわけでありますが、吉田内閣、鳩山内閣、それぞれ自衛隊の合法性について見解の表明があったわけでありますが、岸内閣といたしましても、自衛隊は憲法九条との関係において合法的であるという根拠を承りたいと思うのであります。逐条的に伺いたいのでありますが、すでに一応この防衛計画を終れば、十八万人の陸上自衛隊、十二万四千トンの海上艦艇、千三百機の飛行機を持つ、これだけ大きな常備的な編成された自衛隊というものが、憲法第九条の二項にいう戦力でないとは、われわれは考え得ないのでありますが、この点についていかようにお考えになりますか。
  47. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 八木委員も御承知通り、この憲法第九条は、自衛権そのものを否定しているものではないという解釈が憲法九条の私どもは通説であると信じております。政府もまたそういう見解をとっております。そうするというと、その自衛権に基いて、わが国が外国から急迫不正な侵害を受ける、それを防止するというだけの必要な最小限度の力を保有しても、それは当然自衛権の内容として、これは憲法に違反するものでないという見解を私どもはとっております。しかして現在われわれの持っているこの防御力、自衛隊の力というものは、そういう意味において、最小限度のものをわれわれが持つという建前のもとに、今日まで増強して参ったのでありまして、私ども解釈では、これは自衛権の当然の内容であって、いわゆる憲法九条が禁止しておる戦力には当らないと、こう解釈いたしております。
  48. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 独立国家に自衛権があるということは、これは何人も否定をしないところでありますけれども、問題は、この自衛権を行使するということにあると思います。で、吉田内閣当時は、自衛権は国が持っておるけれども、急迫した侵略に対して、正当防衛権の発動の名によって従来いろいろの戦争が勃発されておるのであるから、自衛戦争といえども認めない、であるから、憲法第九条においても、第一項では侵略戦争の問題を規定いたしておるが、さらに、自衛権の名における戦争も禁止するがために第九条の第二項がある、しかも、これをなお二重に禁止するために、戦力——顕在戦力も潜在戦力もこれを保持し得ないのみならず、国の交戦権すらも否定するというきわめて強い戦争放棄の規定である、こういう説明があったわけでありますが、今の総理の御説明によりますると、自衛権は国が持っておる。当然自衛権がある以上は自衛権の行使も許される、それの最小限度の自衛力であるから自衛隊は違憲でない、ここいう御説明でありますが、自衛権と自衛権の行使の間に論理の飛躍がある、こう私は考えるのであります。吉田内閣当時には、戦力を定義して、有効適切な戦闘力というふうな説明があったわけでありますが、もう少し、自衛権の行使の問題と戦力との関係、交戦権との関係について、具体的の御説明をいたたきたいと思います。
  49. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほど私が政府の見解としてお答えを申しました以上に、具体的の法律解釈の問題に関しましては、法制局長官からさらに説明させることにいたしますが、私はこの憲法九条の解釈に当りましては、やはりこの条文が制定され、今、八木委員も御指摘になったように、法律論は別として、実際の自衛権の行使の場合においては、第三者からこれを批判すれば、侵略戦争と思われるような戦争も、あるいは自衛の名前において行われたような過去における実態というものを十分に頭に置いて、この憲法九条は非常に厳格なる意味における自衛権の程度に、この内容と言いますか、行使につきましても、そういう厳格な意味において解釈しなきゃならぬということは、私も全然そう考えなきゃならぬと思います。しかし、先ほど申し上げましたような程度における自衛力を持つということは、これは憲法違反ではない、かように考えております。なお、交戦権等に関する法律構成につきましては、法制局長官からお答えをいたします。
  50. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 自衛権行使の問題に対する総理の御答弁は、きわめてばくといたしております。たとえば、十八万人の自衛隊員、これは防御計画が一段落したときの人数でありますが、現在は十六万人の自衛隊が常備されておる。しかも編成されておる。これは数字ははっきり覚えておりませんけれども、満州事変当時の日本の陸軍の兵隊とあまり違わないんじゃないか、こう思うのであります。吉田内閣当時は、近代戦争を有効適切に遂行し得る実力が戦力である、こういうふうな定義がまずされたのでありますが、それでその当時、木村防衛庁長官は、原爆を持っておっても、原爆を運ぶ航空母艦とか、いろんなものが必要であるから、それでさえも必ずしも戦力とは言えないというふうな御答弁もありましたが、ソ連、アメリカ並びにイギリス等、原爆保有国に対しては、日本の現在の自衛隊というものは必ずしも脅威にならないでありましょうけれども、東洋諸国、原爆を持たない諸国に対しては、日本の自衛隊の現有勢力というものは、やはり相当な脅威になるだろう、こう思うのでありまして、今の自衛隊のすべての訓練等を見ましても、昔の陸軍とほとんど変らない。憲法第九条をすなおに読んでみれば、明らかにこれとは反しておると、こう私は考えるのでありますが、今の自衛隊の現有勢力でも、なおかつこれを戦力にならない、いわんや陸軍のようなものではないというふうに総理はお考えになるかどうか、重ねて伺っておきます。
  51. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今日一応の目標として陸上自衛隊を十八万ということを考えられておりますが、かりにそれが完備した場合の力を、あるいは今おあげになりました日露戦争当時の状況から比べてみると、非常に違うものは、いわゆる動員能力と言いますか、それを行使する場合における動員し得る力というものは、今の自衛隊法においては、十八万できますれば、大体十八万が限度であって、かつてありましたような予後備の制度とか、そういうものがないわけでありまして、また、これがそれじゃアジア諸国に対して相当な脅威になっていないかというようなお話もありましたが、御承知通り、今私ども承知しておるところでは、韓国の持っておる陸上の兵力は五十万ないし六十万と言われております。北鮮もそれだけの六十万のものを持っておる。台湾も四十万というふうなものが言われております。もちろんソ連、中共等は、これはけたが違っておりますけれども、これらから見まして、日本の現在持っておる自衛力が東アのごく近接している諸国に対して非常な脅威になるというふうな力のものでは絶対ない、こう私は思っておりまして、従って、この程度のものは、いわゆる憲法九条が認めておる自衛権の内容であり、自衛権というものを充たす意味においてわれわれがやっておる最小限度のものである、かように考えております。
  52. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 東南アジアの諸国と日本の自衛隊の現有勢力と比べてみれば、必ずしも日本の自衛隊の力が、これらの諸国に脅威を与えないと言い切れないと思うのでありますが、今の総理の御答弁でありますと、つまり隣接諸国に脅威を与えないような程度の人員、装備であれば、これは戦力とは認め得ない、また、徴兵制度をしかれておらぬから、その意味で動員の能力というものは非常に限定されておるから、憲法第九条には違反しないと、こういったような論拠であるかのごとくに考えられるのでありますが、なお岸内閣としてのこの点に関する法律的の解釈を、一応あとから法制局長から承わっておきます。  なお、この機会にもう一点だけつけ加えておきたいと思いますが、憲法調査会は、社会党の不参加のままで御発足になるようでありますが、憲法調査会が、かりに憲法改正の草案を作るといたしましても、憲法改正の提案権の問題について、いろいろ、議論があったところでありまして、一番妥当なのは、やはり国会が提案することであろうと思います。そこで私は特に社会党の参加を得ない憲法調査会の発足を見るよりも、いっそ与党として国会内に憲法調査会的な委員会をお設けになるということを、積極的に岸内閣として、自民党から憲法調査会を国会内の憲法調査委員会に振りかえるという力が、より合理的である、かように思うのであります。私は憲法改正は自衛隊と憲法の関係から、特に第九条の関係において必要だと思うのですが、国会に憲法調査委員会を設けるように憲法調査会を振りかえるということに関する総理の御見解を最後に承わります。
  53. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 憲法調査会法は第二十四国会において成立した法律でありまして、自来その委員の構成等についていろいろ議論もございまして、まだ実際に発足しておらないのであります。私は実は憲法改正の問題につきまして、私自身は自主憲法論者でありますが、しかし国内において、いわゆる平和憲法擁護論と、それから憲法改正論とが対立しておるという実情にあることは、私はこういう国の基本法であるものについて、そういうふうに政党において対立した考えを持っておるという形は、非常に私は遺憾の状態であると思う。もちろん国民が全部こぞって一致するということにはできないかもしれませんけれども、少くともこれは当然のことでありますが、憲法で、国会において三分の二以上の同意がなければいけませんし、さらに国民投票において過半数を得なければならないものでありますから、私はやはりこういう問題については超党派的に研究をされ、結論を国民に示して、その国民の理解と判断にまかすというような形に進んで行くことが望ましいことである。そこで憲法調査会法を、私が当時自民党の幹応長として提案をする際に、社会党にもわれわれの考えを率直に申し込んで、両党の共同提案にしようということを私は申し入れたのであります。またそうすることがこの法律の性質上望ましい形であると私は信じておったのでありますが、不幸にしてその同意を得ることができなくて、自民党の単独提案という形になりました。しかしこれが国会を通通し、法律が成立した後におきましても、私はこの調査会においては、両方の理論を持っておる人が十分に各方面からこの憲法を検討して、その議論がこの調査会において現われ、たとえ少数の意見でありましても、二つの意見として国民に示されるというような形において、多数はかりに甲という結論になったけれども、少数の意見として乙という意見があるということも示して、その理由も十分国民に明らかにして、そして国民の判断と理解によるところのものにして行かなければならぬ、こういう見地に立って、社会党の方々にもこれに参加されるように、幾たびか私はあらゆる方法でこのことを説得いたして参ったのであります。しかし今日までついにその同意を得ることができません。そこで、もちろん国会に席を持つ者だけでなくて、広く国民のうちに憲法に関する有識者を網羅して、この問題を検討することが望ましい、こう考えております。従ってたとえ社会党の方が参加されないという場合においても、私はこの調査会の運営を見られ、またいろいろな国民の世論等も聞かれて、社会党が一つ考えをひるがえして参加されるようになるように期待いたしまして、奥議員の定数のうち、社会党が参加される場合の席をあけておいて、実は出発したいというのが私の考えであります。私はこれはまじめに、社会党の方も国民の世論を聞き、憲法というものに対して考えられるならば、そういう態度が正しい態度であり、望ましい態度である、実は私自身、我田引水でなく国家のためにそう考えておる。そういう意味において、私はやりたいと思いますが、今お話のように、国会にそういう制度でなしに委員会を置いて、そうして両党の国会における構成に準じた委員会を作ったらどうかというお話でありますが、私は今のような趣旨でできた調査会にも御参加にならない社会党では、そういう国会内に置いた委員会にも入らない、もしくはそれをそういう制度にするということで、またさらに混乱を生ずるようなことが絶対にないということの保証が私にはつかないのでありまして、むしろせっかく国会意思としてきまった法律を、先ほど申したような悲願を胸に込めつつ一つ出発いたしたい、こう思っております。
  54. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 国会内に置けば社会党も場合によっては参加するというような声を、憲法調査会が案になったときに、私は社会党の議員から聞いたことがあるのです。ですから、この点はなお一つ慎重に御検討をお願いいたします。
  55. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 以上をもって内閣総理大臣に対する質疑は終了いたします。  ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕
  56. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起して。
  57. 林修三

    政府委員(林修三君) 先ほどの八木先生からの御質問でございますが、憲法九条の第一項が自衛権を否定してはおらないということにつきましては、先ほど総理からお答えした通り考えます。そういうことから考えまして、私どもといたしましては、この自衛のため必要最低限度における実力を持つ、これは憲法第九条第二項の禁止しておりますところのいわゆる戦力には入らない、かように考えておるわけでございます。  もう一つ、交戦権のことについての御質問がございました。これにつきましては、従来私どもが実はお答えいたしております通りに、あの意味は、戦時国際法において交戦国が持つ諸権利の総体的な、何と申しますか、そういうものを総称したものであろう、かように考えております。この点は大体私ども多数の説ではないか、かように考えております。その具体的な内容をあげれば、たとえば中立国の船舶を臨検するとか、あるいは占領地行政をやるとか、そういうことが含まれる、かように考えておるわけでございます。これはいわゆる自衛権に基く自衛行動権とは別のものである、かように考えておるわけでございます。
  58. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 法制局長官の御答弁を聞いたのですが、自衛のための最小限度の必要能力というふうな御説明でありますが、これは鳩山内閣のときと同じような見解のように私承わるのでありますが、さようでありますか。
  59. 林修三

    政府委員(林修三君) 私は鳩山内閣の法制局長官をいたしておりましたときと同じような趣旨で御答弁申し上げた次第であります。
  60. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 防衛庁長官にこれに関連して伺うのですが、自衛のための最小必要程度の能力そういうことになれば、原子力を近代戦争では使うようになりますと、これに対応するためには原子力、原子兵器もやはり持たなければ必要最小限度の能力には達しないと思うのですが、そういたしますと、核兵器を日本が持ちましても憲法第九条には違反しない、当然論理のケースとしてそうなると思いますが、そう解釈してよろしうございますか。
  61. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 日本で核兵器を持たないというこの考え方、今の内閣の決意というものは、もうすでに総理から申された通りであります。なるほど、ただ理論的に申しますれば、今、八木さんの御指摘になるような解釈をする人があるかもしれませんが、私どもといたしましては、そうでなしにこの憲法の規定もあり、かつまた日本の国情なり国力というようなものを考えて、最小限度のものを使う、それで足りないところは、申すまでもなく、核兵器も使わなければならぬ、そうでなければ自衛を達成し得ないというような際には、これは集団安全保障の機構に頼るという基本的な考え方を持っておるのでございます。
  62. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、政府解釈では、核兵器を持つということは、はっきり憲法違反になる、こういう解釈をしておられるのですね。そこをはっきりして下さい。
  63. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 私は核兵器というものについて、戦略兵器としての原水爆などというものは、これは憲法の第九条に反するものである、こういうふうに考えております。
  64. 秋山長造

    秋山長造君 核兵器は戦略兵器、一ころには戦略兵器にしか使われなかったようですが、最近はずっと小型になって、戦術兵器としてどしどし使うという情勢になってきているのです。が、ただいま長官がおっしゃった戦略兵器としてというのは、むろん戦術兵器としていうことも含めた意味でおっしゃったのだろうと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  65. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) こちらの方で、こうした核兵器を持たないというはっきりとした意思を持っておることは再三申し述べた通りであります。ただ戦術兵器としての非常に小型の弾頭というものは、果して法律上憲法違反になるか、違反にならぬかということは、これは別個の問題でありまして、あるいは、それは法制局長官が答えた方がいいかと思います。その点は私どもは戦術兵器というものは今後どう発達するかわからない。私は少くとも攻撃的、外国に脅威を与えるような性格の核兵器であれば、これは憲法違反である、こういうふうに解釈しております。
  66. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、この前の委員会、きょうの委員会総理大臣がおっしゃったことと多少ニュアンスに違いが出る。総理大臣は、この委員会でも、この前の委員会でも、きょうの委員会でも、核兵器は絶対に持たないということは、あらゆる核兵器ということを含めての核兵器は絶対に持たない、それからこの前の委員会では、核兵器をもって自衛隊を武装するということは絶対にしない、これはもうきわめて簡単明瞭に言っておられる。ところが今の長官の答弁のおしまいの方を聞いていると、何か小型のものは持ってもいいのだというような感じに受け取られる。これははっきりしておいていただかぬと……。
  67. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 今の速記をお読み下さいましてもわかりますが、私は政府としては持たないということをまず前提として申しまして、そうして今後どういう兵器が発達するかは知らないが、私は憲法論については別として、政府方針はこうである。また総理政府方針を述べられたはずでございます。
  68. 秋山長造

    秋山長造君 政府方針はむろんそうです。それから、そうだということは、憲法違反になるという解釈政府はとっておられるから、そうだとなるのだと思うのですが、そうでしょう。そうでなければ政府は政策として持たない、しかし憲法違反ではないというのだったらこれは物騒な話です。だから少くとも、いろいろこれは解釈はああるかもわかりませんが、つむじ曲がりの人はいろいろな解釈をするかもしれませんが、しかし政府政府としての公式の解釈は、憲法違反になるから持たない、こういう解釈だろうと思うのです。
  69. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 先ほどから繰り返し申し上げまするように、そういう侵略的なと申しまするか、攻撃的な兵器であるならば、それは持たないというのが政府の見解でございます。
  70. 秋山長造

    秋山長造君 これは攻撃的というても、これはまあ言葉のあやで、攻撃という意味はどういう意味かというと、これはいろいろなまた、特に法制局長官あたりは、もういろいろな解釈を自由に駆使される、(笑声)これはくろうとだと思うのですが、そこらはやはり、ここまで、この間の岸総理の言明から、ずっと一貫して、はっきり持たないということを述べておられるのですから、だから何かあいまいな点を残さないで、防衛庁長官としては、やはりこの点ははっきりしていただきたいと思うのですが、それは速記録を読んでもはっきりしませんよ、これは。
  71. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 今まで答弁いたしました通りであります。
  72. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 法制局長官の、自衛のための最小必要限度の実力ということになれば、私は核兵器まで、その論理を進めて行くと、発展すると思います。先ほど秋山委員が言われました、核兵器は政策としては持たない、しかし憲法違反ではないというのが政府解釈のように法制局長官の話では私は思うのですが、法制局長官、いかがですか。
  73. 林修三

    政府委員(林修三君) 私ども実は核兵器の内容をそう存じませんけれども、少くとも私ども現在において理解いたしておりますところは、核兵器というと大体原爆水爆というものが代表的なものと思います。こういうものは私は憲法上持ち得ないもの、かように考えております。しかし将来、科学の発達によって、いかなるものができるか、これは私ども保証できません。その場合のことは別でございますけれども、私は現状においては当然憲法違反になる、かように考えております。
  74. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私も兵器のことはよく存じませんけれども、防衛庁長官に伺いたいのですが、弾頭だとか何とかいう核兵器類似の、一発で何百人も殺すというような兵器で、それを持つことが、やはり憲法違反でないかのごとく、あるかのごとく、非常に答弁があいまいなんですが、いわゆる原水爆以外の核兵器を持つことは、政府の見解としては憲法違反とお考えになるのか、違反でないとお考えになるのか、法制局長官は兵器のことは知らないとおっしゃるので、これは防衛庁長官から、その点はっきり伺っておきたいと思うのです。
  75. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 戦略的に非常に大量殺戮をするというようなものは、急迫した不正の侵略に対する防禦の域を脱するおそれのあるものでございまするから、そういう威力を持ったものというのは、これは憲法違反になる、こういうように考えております。
  76. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 誘導弾はいかがですか。
  77. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 最近は航空機のスピードも非常に速くなりましたし、高くなりましたし、またロケットとか、いろいろ新しい兵器が発達して参りまするので、自衛を全うしようとするからには、遠いところの距離にとどくような誘導弾は、それはこの自衛の範囲を逸脱するかもしれませんが、新しい時代に対しては新しい装備をしなかったならば、ほんとうの自衛の目的を達成することができない。幾ら十八万おりましても、それが役に立たない自衛隊であったら何にもならないわけでありまするから、この今の実情に即した装備編成をしなければならない、この意味におきまして、日本は実際上は、いま工業力あるいは財政的な制限がございまするので、誘導弾を作るということはできないことでありましょうが、少くとも、われわれは誘導弾は研究しなければならない。できればこれを開発するということに努めなければならないという見解を持っているのでございます。
  78. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そういたしますと、原水爆以外は憲法違反じゃない、大体こう考えてよろしうございますか、政府の見解は。
  79. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) ただいまも申しました通り、非常に遠く行くところのICBMとか、IRBMというような、何千マイルも行くようなものは攻撃的な性格を持っておる。しかしながら、日本の上空にくるのに、真上にきてから押えようとしてもだめでありますから、二十キロなり三十キロなり、四十キロの距離まで、そこまで飛ぶものを持って、それを直ちに憲法違反になるとは考えられないのでありまして、こういう自衛の最小限度の必要を満たす兵器は私は憲法違反にはならない、こういう見解でございます。
  80. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと関連して。非常に遠くまでとおっしゃったのですけれども、非常に遠いとか、非常に近いとかということも、これは限界がしごく漠然としておるわけですが、誘導弾というのは、もう大体その性格からして、性能からして、これは誘導弾そのものは、要するに弾を運ぶ、輸送をするわけですから、これはだからそれだけでは意味がない。やっぱりそれに原子弾頭をつけるということが前提となって発達してきたことは、これは間違いないのです、大型、小型にかかわらず。そうなると誘導弾は憲法違反でないが、原水爆は憲法違反だというようなことを口先だけで分けてみること自体がナンセンスだと思うのです。で、現に長官は、日本にはまだそんなものを作る工業力はないとおっしゃったけれども、先日の二十九日に、相馬ケ原で防衛庁誘導弾の試験をやられて二回とも失敗しておるじゃありませんか。あれは国産の誘導弾です。失敗したからないというお話だけれども……。
  81. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 先ほどすでに申し上げた通り、私どもはこれを研究、開発しようという段階でありまして、試作の段階で、すなわちこれが直ちに装備に編入されるような段階にきておらないというのが私の趣旨でございます。なお、誘導弾は、あるいは場合によっては原子弾頭をつけることもあるではないかとおっしゃいますが、それは誘導装置によりましては、そういうものを使用する場合もありますけれども、もし誘導弾がそういうものに関係があるからとおっしゃるなら、飛行機も小さな原子弾頭をつけられますから、あらゆるものが原子兵器であるということになりますので、日本はいかなる装備もできないという結果になります。(笑声)
  82. 秋山長造

    秋山長造君 これは笑いごとではないですよ。それと誘導弾とは違いますよ。誘導弾というものは、大体この原子弾頭をつけるとか、あるいは原爆を運ぶその目的のもとに作られて、これは不可分のものなんですよ。羽田にある輸送機も原爆を述べるじゃないかという、それは運べぬこともないけれども、それは不可分の関係も何もない。ところが飛行機だって、今B57だとか、こういうようなものになると、これは本来原水爆を運ぶ目的で運びいいように作られたものだから、これは相当不可分になってくるけれども、それとこれとをごっちゃにやられるのは三百代言ですよ。
  83. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) たとえばそれは一部の非常に進んだ、大きな距離に行く誘導兵器には、米国あたりでは原爆搭載、核兵器をこれに用いるということを考えて、それを研究しておるようでありまするが、これは決して私の論弁ではなくして、誘導兵器には普通のもちろん爆薬も用いられるものもありましょうが、しかし私どもの今の構想といたしましては、原子弾頭のようなものをこれに利用しようという考えは全然ございません。
  84. 秋山長造

    秋山長造君 この点はさっきの憲法の問題とも関連して、これは非常に重要な問題だと思うのです。で、この点をはっきりしておかないと、これはやはり近距離攻撃の誘導弾ならかまわぬじゃないかというようなことで、だんだんとやはり既成事実ができて行くおそれが私はあると思うのですがね。先ほどの核兵器が、その規模のいかんにかかわらず憲法違反であるかどうかという問題についても、長官の御答弁と、それから法制局長官の答弁をされたことと食い違があると思う。で、私ども先般来、岸総理から聞いてきたことともまた食い違いがあると思う。これは一つ総理大臣から、はっきり私はこの点についての見解をもう一度表明していただきたいと思うのですがね、委員長
  85. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 必要があれば私総理に申し上げまするけれども、しかしながら、私が申し上げましたことは、総理の言っておられることと全然違っておらないと思うのであります。核兵器はわれわれとしては絶対に使わないという見解も申し上げましたし、かつまたそういう攻撃的な性格のものは憲法に反するものと解しておるという点においても一致しておるという考えを持っておるわけでございますので、そのように御承知を願いたいと存じます。
  86. 秋山長造

    秋山長造君 まあその点は御承知できません、私は。だけれども、それは委員長の処理にまかせるとして、長官にさらにお伺い……、よろしうございますか。
  87. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 一点だけ。今、秋山委員が仰せられたように、核兵器と憲法の関係法制局長官と防衛庁長官と総理とどうも話がぴったり合っておらないと思います。そこでこの席でしいて答弁は求めませんが、核兵器と憲法第九条との関係、核兵器の種類別に、一応、適当な機会に、どこまでは憲法違反である、どこから憲法違反でないというところを一つ政府部内の意見を調整して、はっきりこの席で適当な機会に御言明をいただきたいということを委員長を通じてお願い申し上げておきます。
  88. 亀田得治

    委員長亀田得治君) この点は若干微妙な点もありますから、委員会終了後の理事会で相談してみます、扱い方を。そういうふうに一つ御了承願って、次の方に質問を進めてもらいたいと思います。ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  89. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起して。  一つ防衛庁長官にお尋ねする前に、今井長官にちょっとお聞きしたいと思うのですが、例の伊丹飛行場返還ということが、米軍側から通告があったのですが、その後の具体的な条件とか、時期とか、そういうことが相当明確になったのかどうか、あるいは先だって通告があった、ああいう簡単な文書、それだけに終っているのか、その辺の事情をまず御説明願いたいと思います。
  90. 今井久

    政府委員(今井久君) 伊丹の飛行場の、返還につきましては、先日当委員会において、通告のありました直後におきまして、とりあえず御報告いたしたのでございます。その際に、米軍といたしましては、近き将来において伊丹飛行場を返還する用意があるという通告が参っております。その時期、その内容等につきまして何ら示してありませんので、当時から米軍にさっそく交渉いたしまして、その時期、内容等について明確にしてもらいたいという交渉をいたしたのでございまするが、今日までのところ、まだこの点について明確なる返答が参っておらないのでございます。
  91. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 相当もう日数がたっているのですがね。返そうという意思表示があった以上は、やはり何か相当具体的なめどがあって、そういう意思表示をされたと思うのですね。今お答えになったように、何にもあと、交渉をしておるけれども意思表示がないのかどうか、いや、いつごろというくらいのことは言っているのだけれども、正確ではないから、ここで言えないということなのかどうか、何もないということになると、あれは少しおかしいぞということになるのですが、その辺もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  92. 今井久

    政府委員(今井久君) この点は私の想像でございまするが、伊丹の飛行場の返還ということの米軍の意思が決定いたしましたので、伊丹の飛行場につきましては、いろいろ問題もあるところであるし、重要なる施設であるので、とりあえずその通告をしておこう、そのことを知らしておこうということで通告をして参ったものであるように存じておる次第でございます。今日まで、ただいま御指摘のありました通りに、その時期、内容等につきまして、実はいつごろ返還になるというようなことは私どもの方もいろいろ聞いておるのでございまするが、何らのまだ正確な返事がないのでございます。これはおそらくは移転先の受け入れ準備でありますとか、兵舎、その他施設の処理、引き継ぎ等のために、完全な飛行場の解除ということについての問題につきましては、数ヵ月要するものでありますから、それらの点のめどがつきました際に、私どもの方に大体の日取りを通告するのじゃなかろうか、こういうふうに実は想像しておるのであります。私どもといたしましては、これらの時期はなるべく早いときにおいて、知りたいということを念じておりまして、今後も米軍に対して、それらの点の交渉をいたすつもりでおる次第でございます。
  93. 亀田得治

    委員長亀田得治君) もう少し早く明確にしてもらいたいと思います。  それで防衛庁長官にお尋ねするのですが、聞くところによると、これが返ってくれば、自衛隊の方で若干これを使いたいというふうな意思表示をされておるやに聞きます。そういう意思表示があるということを聞きますから、おそらく時期等も相当明確になっているの、じゃないかと思ったのですが、その点は今、今井さんからお話があった程度でありますが、しかしいち早く防衛庁の方からそういう意思表示がある、これはどの程度のことを考えておるのか、それから絶対にそれは必要なものなのかどうか、そういうような点について防衛庁当局に一つ考えを聞きたいと思います。
  94. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 防衛庁といたしましては、できればあの伊丹の飛行場が返還されまして、おそらく運輸省の管轄下に入ると思いますが、その際にその一部分でも使わせていただきたいという要望を打っております。それは決してジェット機などに使うというのでなくして、輸送機がちょうど大阪という日本で中央部にあるところの近くにある飛行場にとまる、離着陸するということは非常に私どもとして望ましいことであり、できれば、そういうふうな取りきめが今後できるようになるということが、私どもの業務を遂行する上に非常に適切である、こういうような考えで、今申しましたような希望を持っておる次第であります。
  95. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 今、防衛庁長官から触れられたような希望、考え方については、これは正式に関係当局、たとえば運輸省なり、そういうところと意見の交換でもされておるような段階まで行っているのですか、単なるあなたの内部だけの気持なんですか。
  96. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) そういう話し合いは何も進んでおりませんが、私どもの希望は承知しておると思います。しかし具体的にどうというふうにはなっておらぬようでございます。
  97. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 具体的には、まだ返還の時期すらも明確でないようですから、具体的にはきまっていないでしょうが、単に防衛庁内部だけで考えておるのでなしに、運輸省当局なり、そういうところに、そういう意思表示を、たとえ非公式であろうと、しているという事実だけはあるのでしょう。それはどうなのですか。
  98. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 書きものをもって申し出るというようなことはございませんが、係の方からそういう希望は申したことはあるはずでございます。
  99. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 書きものでなくても、非常にこれは重要なことになるのですが、係というのは、これは防衛局長、そういう責任のあるポストの方でしょうね。
  100. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) もちろん担当している者の方で、そういう希望を言ったはずでございます。
  101. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それに対する運輸当局の、これも正式なものでないかもしらんけれども、どういうような意向があなたの方には一応きているのでしょうか。
  102. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 私の承知しているところでは、原則としては否定的でありまして、何も話は進んでおらないのであります。
  103. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 今のお話では、運輸省がどうも防衛庁の意向に対して否定的だ、こういうふうに言われたのですが、それは私はもっともだと思う。大体あそこに米軍が飛行場を拡張しようということは、これは第二の板付と同じことになります。大都会の近接地ですから、全く近接するというか、中みたいなものです。それはもうどういう立場に立とうが、軍用は不適当だ、こういうことなのです。だから米軍が返したのも、若干やはりそういう点がくまれたのかもしらんと僕は思うのです。そんなところで無理をやっても、らちがあかぬと、これは常識的にだれだって持つと思う。そういういきさつのあるところに、それじゃ返ったらおれの方が割り込んで行こう、こういうのは、やはり自衛隊の態度として、何かはなはだいじましいような感じを与え、何か喜んでおるところに水をぶっかけるような感じを与えるのですが、そういうやり方は、この伊丹飛行場に関する限りは、やはりおやめになった方がいいじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  104. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) これは決して運輸省の方に頼みまして、われわれの方で運用したいとか、あるいはその大部分を使うというような意味で、そういう意思表示をしたのではございません。現に羽田の方も随時使わせてもらうことになっておりますが、何分基地の問題は非常に重大な問題でありまして、新しいところを持つことは困難でもあり、また拡張することも困難であり、現にアメリカから返されたものは、できるだけ多くこれを民間に返そうとしておるのでありまして、まあ基本的に社会党の方ではお考えは違っているようでありまするが、とにかく今の航空自衛隊を持っております以上、どこかに離着陸するところがなければならぬ。このような意味において、限られた数の離着陸するところを認めてもらうという趣旨のものでありまして、決してそれによって国際空港として、あるいは民間空港として迷惑をせられるというような方向においてお願いする意思は全然ない次第でございます。
  105. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと誤解があってはいかぬと思うのですが、社会党の方ではお考えが違うようですが、というのが説明の中にあったのですが、ああいう伊丹のような場所でそういう軍用的なものが並行しちゃいけないというのは、これは社会党だけじゃないのです。地元へお帰りになってお聞き願えば、これは社会党以外の人だってほとんどが、やはりそういう考え方を強く持っている。そういう意味でこれは解釈願いたいと思います。
  106. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) それは速記に出ていると思いますが、これは航空自衛隊についてはという前置きにしたのでありまして、航空自衛隊を持つについては基本的にはお考えは違うでしょうけれども、こういうものがあるからという意味で、決して伊丹のことではございません。
  107. 亀田得治

    委員長亀田得治君) そこで今井さんにちょっとお聞きしておくのですが、伊丹飛行場では地下の弾薬庫とかずいぶん軍用関係の設備がある。でこれは私は、返還の時期等が明確になれば、当然そういうものの処理等も明確になってくるのだ、と思ってお聞きしたのですが、その点がどうも時期そのものがまだ不明確だからお尋ねするのはちょっと早いようでありますが、こういうものの処理ですね、これはどういうふうになるわけでしょうか、あなたの方でやるのか、あるいは運輸省に移ってからやるということになるのですか、手続等は。
  108. 今井久

    政府委員(今井久君) 伊丹の飛行場の施設につきましてはただいま御指摘のありました通りに、これに付属する施設があるのであります。それで先般お答え申し上げました通りに、国有財産につきましては一般のものについてはこれを大蔵省に返す、それから行政財産につきましては当該行政官庁に返す、一般私有のものについてはおのおのの所有者に返す、こういうような手続をいたすことになっております。今弾薬庫の点について御指摘があったようでございますが、伊丹の付属施設といたしましては猪名川の川の中に中村弾薬庫というのがあるのでございまして、これはたしかその敷地等が私有地になっておるのじゃないかと思いますが、これらは伊丹の飛行場の返還と同時に、やはり返されるものであるというふうに私どもは了解しておる次第でございます。その他は伊丹の施設が返還になりますにつれまして住宅地区等につきましても返還になるものが想像されますので、私どもといたしましてはこれらの施設につきまして、伊丹の飛行場の返還と同時になるべく多く返還のなるように努力したいと考えておる次第でございます。
  109. 亀田得治

    委員長亀田得治君) そうするとこの肝心の弾薬庫のある所が一部私有地がある、これは個人に返すという、そういうふうにばらしてしまってもらえれば、これはあとに問題が残らぬと思います。ところが防衛庁がこれをあと若干軍用に使いたいというような気持があると、そういうものはちょっと処分を延ばす、こういうふうなことが起きてくると、せっかく返還になったこの伊丹飛行場の問題のあとの処理というものが、はなはだこれは複雑になってくる。そこに疑心暗鬼が起きます。だからそういうことにならぬように、まあ防衛庁が希望を引っ込めてくれれはこれははっきりするのですが、引っ込めない。希望だけは自分で持っておってもいいが、まあ認めるわけじゃありませんが、やはり調達庁の方としては規定通りにさっさとやはり個人に返すべきところは返していくというような、私はもう伊丹飛行場に関しては処理していくのが適当だと思うのですが、どうお考えでしょうか。
  110. 今井久

    政府委員(今井久君) 先ほどお答え申し上げました通りに、公有地並びに民有地というような、いわゆる国有に属するもの以外のものにつきましては、おのおのの所有者に返還する、伊丹の飛行場の返還される時期におきまして、すみやかにこれの返還の手続をとるという考えにつきましては何ら異ならないのでございます。
  111. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今私有地の問題がありましたが、私はそれをお尋ねしたいと思っておったのですが、伊丹の飛行場の敷地を買収されるときに民間との契約はどういうふうになっておるのですか。アメリカが引き揚げるときには買い戻しができるというような約款でもつけておるのですか。それとも全くそういう条件はなくして、当然もう国民に返せといって出てきたところで取り合わなくてもいいか。法律的にも解釈はそういうことになるのでしょうか。
  112. 今井久

    政府委員(今井久君) 伊丹の飛行場の敷地につきましては、その大多数が国有地であるのでございます。この国有地は、
  113. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 もとからの。
  114. 今井久

    政府委員(今井久君) もとからではありませんで、かつて民有地でありましたものを買収いたしまして、そうして国有地になりましてその後拡張いたしまして、今日の伊丹飛行場の敷地になっておるようなわけでございます。これらが返還になります際には、ただいま御指摘になりましたような、もとの所有者に返すというような約束のついておるのではないかという御指摘がありましたが、これはその約束はついていないものと、こういうふうに存じております。
  115. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうしますと、アメリカがほしい基地を提供したいので基地を買い上げたいのだがと、で調達庁で民間の所有者に相談されますね、そういうことはそのときにはお話があったのだろうと思いますけれども、それでなければ話が進みませんので、しかし引き揚げたときには返すという約束はしておられない、こういうわけですね。
  116. 今井久

    政府委員(今井久君) 御指摘の通りでございます。
  117. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 伊丹の分はわかりましたが、ほかの基地はみんなやはりそういうことになって買い上げたらすっかり完全に国有になり、返す義務はどこにも負っていないということになっておりましょうか。ほかの飛行場基地につきましては。
  118. 今井久

    政府委員(今井久君) 大体国有地に買い上げますものについては、将来もとの所有者に返すというようなものはついていないと思います。
  119. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 全体の、これに対して。
  120. 今井久

    政府委員(今井久君) はい。
  121. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっとそれに関連して疑問をもっているのですが、戦時中買い上げてそして戦争終了後ずっと引き継いで軍用地になっておったというようなものですね、軍用をやめる場合に、戦時中買い上げるときに明確に買い戻しの条件等はついておらないけれども、実際上強制的に買収したというようなものの明確なものについては、もとの農民に返したのが相当ある、事実上。で買い上げの条件に、はっきりそういうものはなくても、国が一定の目的をもって相手がいやがるのを買い取った場合には、その事後処理というものは場所々々によって相当変ってくる場合があり得るのじゃないか。今井さんとしては国の方の立場に立てば、一たん自分の方にもらったものは、どういう場合にも放さないというような立場においての答弁がしたいところであろうが、公平な第三者から見たらちょっとこれだけでは不公平、過酷に当るというようなことも出てくるのじゃないかと思う。その一般論だけでは全部私の上言うようにしなければならないということはないと思うが、その点若干場所によっていろいろ違う場合があり得るのじゃないか。
  122. 今井久

    政府委員(今井久君) ただいまの御指摘の点につきまして、もとやはり民有地を買収して国有地になったものが返還になります際には、先ほど申しました通り大蔵省が一般国有財産については、その国有財産の処理をするというふうになっておるのでございます。その国有財産の処理の際に地元の御要望等がございまして、そしてそれが公共の用に供しないというような場合に、それをやはりもとの所有者に返してゆくというな措置を、行政措置としてとったという場合は私はあるのだろうと思います。ただ先ほど御指摘のありました買収して国有地にしたという場合に、法律的な条件として、返った場合には元の所有者に返すというような条件はついていないというのが原則だというふうに、お答え申し上げた次第であります。
  123. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどの誘導弾の問題に返りますが、防衛庁はアメリカに対して、誘導弾の供与を申し入れられておることは二月の初めに長官が正式に言明された。あの誘導弾はすでに入りつつあるのですか。それとも今後いつどういう種類のものが、どれだけ入ってくるという見通しになっておるのでしょうか、その点をまず伺いたい。
  124. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) われわれの方からも希望を申し入れてはおりまするが、まだいつこれを見本として日本一つのセットづつ提供してくれるかどうかは、見通しがついておりません。と申しまするのは、やはり日本でただ日米相互防衛援助協定によって提供を受けて、装備なんかに使うのと違いまして、これを見本にして日本でこれを分解して研究しよう、そうして改善しようというのが、これまで試作には失敗しておりまするが、それを種にしていろいろ日本日本式に、もっと距離の短かいものにするとか、いろいろ改善をしてやった場合に、向うからもらったものを種にして作った場合に、自然そのアイデアというものが新しくできたものの中に入ってくる。ところが今のMSA協定によるところの秘密保護法というものは、そういう見本に作られた際に、その見本品の形になった場合の秘密保護というものが十分でないという見方があり、また事実日本の今の法律構成からいうとそうなりますので、これを受けるということになりますと、結局こうした装備品の秘密保護をする措置がないと、提供できないというような意向もあるようでございまして、まだこの話は具体的には進んでおりません。
  125. 秋山長造

    秋山長造君 申し込まれたのはやはり型はどういう型とどういう型という、型なり数量なりそれを具体的に指定して申し込まれておるのだろうと思う。その点を明らかにしていただきたい。
  126. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) これは種類を指定して申し入れをしております。そうしていずれも一つのセット、一そろいということにいたしております。そうしてその名前はすでに他の委員会でも申し上げた通りでございます。
  127. 秋山長造

    秋山長造君 新しい秘密保護法を作ってもらいたいという希望を、アメリカ側は強く持っておるというお話ですが、これは何ですか、具体的にアメリカ側からそういう話が日本政府の方へあったわけなんですか。
  128. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 日本に作ってもらいたいという希望を申し出たのではなくて、日本側から要請したのに対して、こういうものには相当機密の部分もあるので、それが現在の秘密保護法では十分カバーできないから、これを受け入れるとすれば、そういうことは必要になるであろうという趣旨のことを、日本におる顧問団の方が申しておるわけであります。
  129. 秋山長造

    秋山長造君 顧問団も顧問団ですけれども、われわれの聞くところによると、アメリカ側としては日本の秘密保護法なんか問題にならない、新しいもっと大がかりな秘密保護法を作るべきだ、こういう非常に強い意向を持っておって、そうして今度岸総理渡米されたときには、当然日本の防衛問題についての話が出ると思う。そのときにもやはりこの問題を一つの重要な項目として、持ち出されるのじゃないかというような話を聞くわけですがね、その点はどうですか。政府の方でも向うがそういう意向ならば、とにかく新しい秘密保護法を作ってもやはり誘導弾の供与を受けたい、こういう御意思なんですか。
  130. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) これまでも再再申しておりますように、日本の自衛力を漸増するという意味においては、ただ数を増しても何もならない、結局現在の新しい戦略と申しますか装備による、世界の防衛力の増強というものに対抗いたしまして、もしものことがあった際日本を守るということをするには、ただ在来の装備品、兵器だけでは不十分であるから、もっと効率的なものにする必要がある、質的にこれをよくすることが必要である。その立場から言えば、二年や三年のうちにはできないけれども、こういうものを少くとも研究しておかなくちゃならぬ。そうしてできればそういうものを国産で、一番日本の実情に適するものに製作する、というような考え方を持たなければならぬという見地から、私どもはこの研究を進めたいという、強い希望を持っているのであります。そこでこの日本の希望を達成するには、向うから作れと言われるのでなくして、達成するには、日本でABCからやれば十年かかるかもわからぬ、向うで何十億何兆円にも匹敵するだけの部分のサンプルがあれば、それだけ効果的でありますから、この見本をもらいたい、そのために私ども立場から言えば、最小限度の秘密保護の措置がとられるということを望んでいるわけでありまするが、まだ政府としてそういう決定をいたしている次第ではございません。ただ防衛庁といたしましては、これをもらい受けるに必要な、最小限度の秘密保護の措置はとってもらいたい、こういう希望を持っている次第であります。
  131. 秋山長造

    秋山長造君 それはなんですか、今ある秘密保護法を改正するという形でおやりになるのですか、それは別個に、あるいは今の保護法をも含んだ、新しい秘密保護法というものをお作りになるおつもりなんですか。
  132. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 具体的には、まだ法律の形について、きまった私どもの試案を持っているわけではございません。
  133. 秋山長造

    秋山長造君 それから去年の予算で決定したエリコンの誘導弾ですね、あれはもう入ってきたのですか、どうなんですか。
  134. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 今年度の予算に、もう半額に当る一億六千万円ほど認めていただいておりますので、大体十月ごろ入ってくるはずでございます。
  135. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと防衛庁としては、あちこちからいろいろな誘導弾を持ち込んで研究をされる、こういうことであろうと思うのですがね、この点はどうなんですか。エリコンの誘導弾は三億幾らということだったのですがれ、しかもエリコンの誘導弾はもう相当古い型だということも当時国会で議論された。そのときの話では、アメリカだとかその他どんどん新らしい誘導弾を作っている国の誘導弾を持ち込むということには、いろいろ政治的その他の問題があるので、スイスというようなああいう国柄の誘導弾を貰い入れることがまあ政治的な、どう言いますか背景がつかなくて、純技術的な問題として処理できるから、それでスイスから買うのだ、こういうような説明があったのです。ところがもうすでにその後アメリカから誘導弾をどうも今度は金を出すんではなしに供与を受ける、また受け得る、こういうことになってくるんだったら、何もエリコンの誘導弾にそんなにたくさんな金をかけてまでわざわざ買ってこなくても、アメリカの新しいいろんな型の誘導弾の供与を受けて、それで十分じゃないかという気もするのですが、その点はどのようにお考えになっておるか。
  136. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) エリコン誘導弾を買いまするときに御説明を申し上げた趣旨は、今秋山委員が仰せになったようなことを申し上げなかったつもりでございます。当時は一応米国には何といいますかMSAの関係がありますので、誘導弾をくれないかということを話をいたしました。当時としては全然問題にならなかったわけであります。それでまあ相当多額の金を要しまするが、当時買い得るものとしてはエリコンしかなかったのであります。現在でも大体エリコンしかございません。エリコンを買ってこれを基礎にして研究の確実性、期間を短縮するということをやろうとしてお願いをして、国会でも本誌をいただいたわけであります。その後昨年さらに米国へ要望をいたしたわけであります。それに対して何といいますか好意的に考え得るというふうな通報があったのでありますが、それが何かもうすぐに渡すように新聞等で報道されたのであります。まだ事実は今長官から申し上げましたように、こちらへ受け渡しをしてくれるという、具体的な話し合いにはまだなっていないという段階でございます。
  137. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、昨年はエリコンを買い入れるときには、他からの道がないから仕方がない、エリコンと、こういうことになったわけでしょう。ところが、その後その当時予想しなかったことではあるが、新事態としてアメリカ側から供与を受けられることになったというのでしょう。そうすると、いつになるかしらぬけれども、遠からざるうちにこれは供与を受けられるものと思うのですが、そうすると、エリコンの誘導弾というものは特にどうしてもこれを買わなければならない、という必要もそのときには解消してくることになるのじゃなかろうかというように思うのです。
  138. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) わが方のいろいろ財政上の問題等考えますれば、当時米国から若干十種類のものを一セットぐらいくれるということでありまするならば、おそらく大蔵省もエリコンを買うことを認めてくれなかったろうと思いますし、国会でも御承認されなかったと思うのでありますが、当時そういうことを国会で承認をいただいて、契約をして着手をしたのはだいぶ前でありまして、この十月ごろに入ってくるという状態でございます。これはとても契約を解除するということには参らぬと思います。これはしかしむだなことではございませんので、たとえば米国から参りますナイキとエリコンはいろいろ異なったアイデアがございまして、これは両者を比較検討するならば比較的高い研究成果を得られるというものでございます。決してむだなものではありません。
  139. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 関連しまして。秘密保護法の問題ですが、私は現在の秘密保護法では範囲が狭くて足りない。一方先ほど防衛庁長官からのお話のように新兵器の研究は着々進んでいる。おっしゃる通りきわめて必要だと思うのです。日本自身で研究する新兵器の問題につきましても、それだけのことを、考えましても今の範囲では狭い。それだけでも急いでやはり仕事を進めるとすれば、さらにもう少しきびしいというか広いというか、秘密保護法の制定を急ぐ必要がある。まあアメリカから向うの新兵器でこちらにないものを借りるなり、もらったりして研究を進めていけるという便利があるわけであります。自衛力を増強するというために兵隊をたくさん増したりするというようなことは、この際あまり好ましくないと思いますが、そういう方面の研究を進めて増強することはきわめて適切なことである。アメリカも現在、先ほどお話のように、こちらから注文しているものは秘密保護法がなければ、それは貸すわけにもいかないという鮮度をとることも私はわかると思うのです。両方考え合せましても、どうしてもこれは早く制定しなければならぬ必要に迫られていると私はそう思っております。ところが防衛府ではそういうようにお考えになっているように承わるのですが、政府の方でそれがきまらない。おそらく防衛庁の長官は閣議でそのお話をいろいろ持ち出されたか、あるいは総理自身にいろいろお話になったのか知りませんけれども、防衛庁の意見を受け入れられないということには、反対する人の事由がまずなければならないと思うのです。なぜ防衛庁の希望を受け入れないか、それはどういう経過になっているんでしょうか。ただ世間で一部の者が反対する、そういう気がねだけでそれを決行するだけの勇気をお持ち合せにならないのか、政府として。ただぼんやりそんなことで、……そうなのか。あるいはその必要はまだないのだというような政府考えなのか、その点を今日までの経過はどういうことになっておりますか、お話を願いたいと思います。
  140. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) この秘密保護法が従来ので不十分だろうという大体の見解においては、政府といたしまして一致しておりまするが、御承知のようにこれは行き過ぎになりますると、いろいろわれわれの予測しない批判もあり、その点は十分国民に、あるいは戦前のような法律を作るというような気持を与えないようにして、慎重に取り扱う必要があるというような趣旨において、まだはっきりとした態度がきまっておらないのでありまして、私どもすでにこれは要望しているところであり、ぜひこれを早く具体的に法案化するように努力をいたしたいと考えております。
  141. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 行き過ぎの点ですがね、これは秘密保護法制定に反対する人の意見の大きな部分を占めている点だろうと思う。しかし行き過ぎの点はこの法律だけの問題じゃない。どの法律でも行き過ぎをやったらいけないのです、警察法規というものは大体そういう性質を持っております。それは心配の程度の問題であって、それをあまり気にし過ぎておっては、これはいつまでたっても解決される問題では私はないと思う。それはそれだけのことでありましたら、もう少しそれをどう判断するかということは、もう判断がつき得る時期まで私は研究しておられるはずだろうと思う。どうだろう、こうだろうと考えられますが、いつまでたっても同じことを繰り返すだけなんです。もうそろそろ元気を出して決定される時期に迫られていると私は思うのですが、それだけ申し上げておきます。
  142. 秋山長造

    秋山長造君 長官時間をお急ぎになっておるようですからもう簡単にお伺いいたしますが、先ほど総理へもちょっとお尋ねしたのですけれども、御答弁がなかったので、重ねてお伺いするのですが、オネスト・ジョン、それから誘導弾、これはアメリカ側の誘導弾、あるいはB57爆撃機、それからF1OOFジェット戦闘機、こういうようなものが一体日本に今どれだけ入っているのかということと、それからこういうことは一々政府の方で確認をされているのかどうか。それからこういうものが入ったり出たりする手続ですね、手続というものは、どういうようになっているのか、これらの点を一つお伺いしたいのですが。
  143. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) オネスト・ジョンの部隊は一隊こちらにきていることは御承知通りであります。なおF100、B57というものもこちらに参っておりまするが、これは限られたる数でありまするけれども参っております。しかしその数字などにつきましては私どもの方へはその出入りというものについても通報はありまするが、軍事的な立場もあるので公表しないという約束で私どもの方に通報を受け取っておるため、ここでちょっとこれを御披露申し上げるわけに参りません。が、この移動等につきましてはたえず日本側に通報するという取りきめになっております。
  144. 秋山長造

    秋山長造君 あのオネスト・ジョンは一隊というのはですね、一昨年の夏入ってきたあれだけなのですか。その後増強されていないのですか。
  145. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) その後入ってきておりません。あれだけでございます。
  146. 秋山長造

    秋山長造君 誘導弾はどうですか。
  147. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 誘導弾はまだ入っておりません。
  148. 秋山長造

    秋山長造君 全然。
  149. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) ええ。
  150. 秋山長造

    秋山長造君 それからまあオネスト・ジョンの持ち込みのときに非常に問題になったあの原子弾頭の問題ですね、この原子弾頭はすでに日本のどこかへ貯蔵されているんじゃないかというような説もかなりあるのですね、これは御存じだろうと思う。この点はどうですか。あるかないか確認をされて知りますか、どうか。
  151. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) そういうものは絶対にないはずでございます。今年も新聞に一部国防省及び国務省の意向であるというので、こういう問題が出ました際にも国務省の方でさっそく、これは事実に反することであって必ずそういう場合には日本へ通報する、ということを世界に公表しておりまして、その通り実行しているわけでございまして、日本にはそういうものは参っておらないのが事実でございます。
  152. 秋山長造

    秋山長造君 まあ原子兵器は事前の了解なしには持ち込まない、こういう口約束には一応なっておるのですが、この点特に防衛庁とアメリカ軍との問で問題は具体的になり得ると思うのですが、この点はただ総理大臣あたりが片の口頭答弁でおっしゃるだけでなしに、あなた方の方でも防衛当局としてもこの点は特に注意をされておられるはずだと思う。その点は何ですか、秘密で持込まれるというようなおそれはないような仕組みになっておるのですか、どうですか。
  153. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 一々警察的な意味においての取り扱いはできませんけれども、最近においては特にまた日本の内地に対する移動のみならず、アメリカの国内の問題につきましても始終定期的に通報してくれておりまして、その間に何を隠してどうするというような意向は絶対にないだろうということは、私はレムニッツアーその他の連中に始終会っていまして得ている印象で、相当詳細に私に対しましては伝達してくれまするから、そういうことは絶対にないはずでございます。また私もまことに御趣旨ごもっともなのでございまして、そういうことのないように就任以来注意いたしましたところ、最近は相当他の地域についても知らせてきております。
  154. 秋山長造

    秋山長造君 日本の本土の中に貯蔵されるということはまあないと一応しましても、たとえば韓国だとかあるいは沖縄あたりへ運ぶ途中を、一時的に日本のこの本土内のどこかへ貯蔵する、というようなことはあり得るんじゃないかという気がするのですがね、その点はいかがですか。
  155. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) これは私の想像でありますけれども、オネスト・ジョンというのはなるほどそういうことに使えるかもしれませんが、アメリカで言う何というのですか原子支援部隊、アトミック・サポート・コマンドというのは今度もうアメリカに二ヶ所置くようになったそうでございますが、そういう新部隊も持ってないところへ原子弾頭を持ってくる、というようなことはちょっと想像もできませんし、私はそういうことはあり得ないと思いまするし、あれほど総理も始終言っておりまするしわれわれも注意を喚起しているので、黙って一時的だからという日本に持ってくるということも想像できない。また事実そういうものを使う部隊も現在のところはこちらにはない、と見るのが正しい見方じゃないかと考えます。
  156. 秋山長造

    秋山長造君 私の聞いているのは目的地として日本に持ってくるということではなくして、中継ぎ地として日本に一時的に持ってくるということはないかということです。
  157. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 今申しましたようにまあ総理も始終言っておりまするし、私どももこれについては非常に国民感情を刺激するからということで、万一あるときは知らせてくれなければいけないし、そういうことは絶対日本は許さないからということを十分に承知しておりますから、一時的といえども日本には持ち込むことはないはずでありまするし、またそういうこり通報を受けたこともございません。
  158. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これは防衛庁長官、どうなんでございましょうか。米軍からある程度詳細な報告等は受けておられるようですが、委員会を秘密会等にしてそうしてその点の御説明を願うというようなことはできないですか。
  159. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) これは外国の軍事関係のみならず、外国とのきわめて簡単に思えるような取りきめにいたしましても、向うと話し合って向うもよかろうと、双方で発表しようとか、また一方に特に必要があるから発表をするということについて向うも合意しないと、一方的にきめることは困難だと考えます。
  160. 亀田得治

    委員長亀田得治君) まあわれわれがですね、たとえばB57、F100、オネスト・ジョンにしても来ていることは来ている。しかしその量が皆目わからない。実情はやはり説明をしてもらえば、ああそういう程度かというふうなことで納得がいくわけだね。でこれはやはり政治家としても非常に関心を持っているところだし、それからこの間僕ら板付の基地へ行ったときにですね、昨年の十一月ごろから来ておるF100の数、二百くらいと言っておりましたがね。これは記録がありますから調べればわかりますが、だからまあ基地の司令官に聞くと案外簡単にあれを言うわけですがね。でこれは原爆機ですと、こういうこともつけ加えてはっきり言っておりましたがね。だからその辺のところをまあ大体これくらいのものは来ているのだと、そうしてこういうふうに動いておるんだと、まあここで御説明願って差しつかえない程度のことは、ソ連側だって知っているんじゃないかと思うし、そんな程度のことは。ですから僕ら皆目知らないといろいろなやっぱり想像が出てくる。だからあまり公けじゃ工合が悪ければ、適当に秘密会等にこれを切りかえてもいいですからね、ある程度のことはやっぱりおっしゃってもらった力が。これは少しも刑事特別法にもひっかかる問題じゃないと思うのです
  161. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) いや、刑事特別法の問題なんかじゃなしに向うとの関係でありますが、大体の一般的な報道をもとにしての話は、きょうも予算委員会でいたしたのでございますが、向うから機密扱いにして直接通報を受けたものを、ここでそのまま出すかどうかということは、一方的にきめられないということを申した次第でございます。
  162. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それじゃ向うとある程度防衛庁長官として国会の中でこういう要求が、ここだけじゃないと思うのですね、おそらくそういう気持を持っていろいろな質問がどこの委員会でも出ておると思います。だからこの程度はどうかというふうな一つ折衝をされて、そうして適当な措置はとれぬものですか。
  163. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) その点は大体の兵数というようなことは向うとも話しまして、国会でもすでに説明いたしておりますが、そういう機数とか何とかということについては、今までのところは量を伏せておくということになっていますが、また委員長の御趣旨もございますの、で、私も始終会っておりますからその点は話し合ってみたいと思います。
  164. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 長官に二三の点についてお伺いいたします。  一つは最近集団安全保障による国の防衛という基本方針が明らかにされてきたようですが、ところが一方防衛分担金は昨年に比して今年だいぶ少くなっているようです。そこでその後防衛費に関してどのような措置をとられるか、対米折衝とか予算措置、そういう点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  165. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 日本の防衛問題については、日本で今国防会議で検討しようとしておるわけであります。防衛分担金につきましては、御承知のように、昨年の五月重光外務大臣の時代に、日本の防衛費及び施設提供費の額が、前年に比して増加した額の半額だけを減していこう、こういう取りきめができておるわけでございます。しかしこれが必ずしも未来永劫まで変らないわけのものでもなしに、たとえば、たとえばですが安保条約の改訂でもあって、全然アメリカの駐留軍がいないということになれば、そういうものと関係なくゼロになってしまう、これはその一部を負担するというような行政協定もございますからゼロになるわけです。今後必ずしもこの原則がいつまでも続くわけじゃございませんが、現在あります重光外務大臣時代の取りきめから言えば、防衛費の増額した分に応じて、その半分だけ防衛分担金が減っていくという仕組みになっているわけです。
  166. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと昨年と今年の場合で、予算を見ますとだいぶ減っておりますが、それだけ在日の米軍が少くなったということですか。
  167. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 昨年は、八億上防衛費がふえましたのが四億減ったので、その前年よりは減ったのが非常に少いわけであります。しかしそれじゃ四億に値するだけ、今度三百億になったのだからその前の四億だけの人数が減ったかということになると、必ずしもそうではございません。アメリカとしては長く日本に軍を駐留させたくない、日本の力で自衛力が伸びるに従って早く帰したい、これは向うも国費の負担になりまするので、なるべく帰したいという気持を持っておりますが、それとこの防衛分担金の減額とがちょうど正比例をして変るというのではなく、昨年ああいう自動的に防衛分担金が減されていけるような方式を、重光外務大臣のときに作ったわけでありまして、もちろん分担金が減ればだんだんそれに応じても減るでしょうが、正比例するというわけではありません。
  168. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは四月十二日ごろの新聞報道によるわけですけれども、キューターというアメリカの極東空軍司令が、極東における空車力の増強計画は順調に進んでいる、それでその増強の一端として、日本はF86ジェット戦闘機をもって三十三個中隊を目標に目下順調に進んでいる、こういう意味の新聞報道があったわけですけれども、これについてどの程度現在進んでおるかということと、それからいつごろこの計画は完成するかということ、この二点お伺いしたいと思います。
  169. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) ジェネラル・キューターはアメリカの極東空軍の司令官をしておりますので、日本の航空自衛隊の増強には重大なる関心をもっておるのであります。おそらく三十三の部隊と申しまするのは、かつて二、三年前に防衛庁が試案として作り、その後防衛六カ年計画といわれましたもの、すなわち空については千三百機ということを申しておりますが、そういう目標を完成したならば、その三十三の部隊ができるようになる、まあその方向努力をしているという趣旨を申し述べたものと思います。現在は全体で空軍の方は五百機余りありまして、本年度の計画は全部でき上るわけでありますが、実戦機としてはまだ百数十機にしか満たないのでありまして、今ジェネラル・キューターが言っているのとはだいぶ離れております。
  170. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 アメリカの陸軍は、明年度の計画として全世界に六カ所の原子機動部隊を作り、そしてその一カ所は日本に設置したい、そういうふうに先般発表されておるわけですが、こういう問題については、私ども重大関心をもたざるを得ないわけなんですが、これについてはどのようにお考えになっておりますか。
  171. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) 六カ所云々ということは確かに新聞にも出まして、これは日本でキャリーされたニュースでございますが、あれは新聞の方での批評でありまして、そうすればその中に日本が加わるだろうという見方を示したものであって、先方の正式の発表ではございません。その後先ほども申しましたように、国務省でも日本にそういうものを置く意思はない。そういうときにはもちろん日本に相談しなければならぬし、そういうことは考えておらないという否定的なものが出たわけでありますが、当時発表になった大体六つのASCと申しますか、原子力支援部隊を置くというような構想が出たものですから、それについて、そうなれば日本もその一つになるだろうという軍事専門の新聞記者の人が書かれた記事でございます。
  172. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間が超過しておるのですからこれでやめたいと思いますが、ただお願いしておきますが、二十日ごろの海上自衛隊のPV2機が墜落しておりますが、これについていずれ適当な時期に御報告いただいて、それについて御質問をしたいと思うのです。時間の関係でこれでやめます。
  173. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどお伺いしたアメリカ軍の兵器あるいは航空機それから兵員、艦艇、こういうようなものの日本の国土への出入りですね、これは一々通報は受けておる、確認しておるというお話だったのですが、これは日本向うとこちらとの間にはっきりした取りきめがあって、それに基いてやっておられるのですか、ただ運用の上でそういうふうにやっておられるのですか。
  174. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) そういう書きものはございませんので、実際の慣習として始終定期的に会ってそういう情報を交換しておる次第でございます。
  175. 秋山長造

    秋山長造君 あと一点でやめますが、その点はやはり先ほど総理大臣原子兵器持ち込みの問題については、何らか書きものの形でやりたいというお話があったのですが、やはり特に非常に微妙な問題、しかもまかり間違うと相当問題をはらむ性質のものですから、何か出入りについて一つの取りきめというものをはっきりしておかれた方がいいのじゃないかと思うのですが、私ども聞いたところによると、何かこれらの問題については、まあ大体半前に来月の計画は大体どうだということを、今月向うから通知される。あるいは緊急の場合にも四十八時間前にこちらへ通報されておるというようなことも聞くのですが、そういう点やはりはっきりした文書による取りきめをすべきじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  176. 小滝彬

    国務大臣(小滝彬君) その点はさっき総理も触れておりましたように、根本的にいえば今の安保条約というものがあういう格好でスタートしておりますので、この安保条約根本に触れないと、こちらの完全に希望通りにはいかないと思うのであります。しかしこちらの方も自衛力もだんだんふえたので、われわれが向うに要請しまして今のような取り計らいをしておりまするが、これが満足でないことは御指摘の通りでございまするので、こうした点が、幸いにして総理努力されて、だんだん基本的な問題も解決の緒につけば、そういうものも付帯的にできて参りまするが、しかしそれと同時にわれわれの方でも今御指摘のような点は十分注意いたしまして、できるだけのことはいたしてはっきりさせたいと考えます。
  177. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記を中止して下さい。    〔速記中止〕
  178. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて下さい。連合審査会に関する件についてお諮りいたします。本院規則第三十六条に基き、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、地方行政委員会及び文教委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会