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1957-04-09 第26回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月九日(火曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            秋山 長造君            竹下 豐次君    委員            西岡 ハル君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            永岡 光治君            八木 幸吉君   国務大臣    労 働 大 臣 松浦周太郎君    建 設 大 臣 南條 徳男君   政府委員    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    人事院事務総局    給与局次長   慶徳 庄意君    内閣総理大臣官    房公務制度調査    室長      大山  正君    総理府恩給局長 八巻淳之輔君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    労働省労政局長 中西  實君    建設省住宅局長    事務取扱    鬼丸 勝之君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    建設大臣官房日    本住宅公団首席    監理官     南部 哲也君   参考人    日本住宅公団総    裁       加納 久朗君    日本住宅公団理    事       吉田安三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員等退職手当暫定措置法等  の一部を改正する法律案内閣提  出) ○国家行政組織に関する調査の件  (堺市における公団住宅問題に関す  る件)   —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  四月五日付、井上知治君が辞任され、その補欠として迫水久常君が選任されました。   —————————————
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) まず、国家公務員等退職手当暫定措置法等の一部を改正する法律案を議題に供します。本案について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 田畑金光

    田畑金光君 給与担当国務大臣にお尋ねいたしますが、今回政府は、一般職職員給与に関する法律改正案を出しておるわけでありますが、これは、昨年十一月の公務員制度改革に関する公務員制度調査会答申に基いて、その中の給与関係のみをまた提案しておるということだと見るわけであります。給与体系の是正、あるいは地域給廃止をして今回暫定手当に持っていく等の方針を出したわけでありますが、今後この公務員制度全般について、具体的にどういう改革考えておられるのか、政府方針を承わっておきたいと思います。
  5. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 御指摘の問題に対しましては、今国会に提出いたしました給与体系を改訂するという問題は、今提案いたしまして、討議をしていただいておる最中であります。直接には、昨年の人事院勧告趣旨尊重して、提案いたしておるのであります。そのほか、人事院の方の勧告といたしましては、退職年金等の問題が関連して出ておりますので、これは、今後検討して善処いたしたいと思います。
  6. 田畑金光

    田畑金光君 人事院勧告に基いて出されたのが今度の給与体系改正であるようでありますが、それと関連して、公務員制度調査会から、公務員制度全般の問題について答申が出ているわけです。その中には、先ほど申し上げたように、給与問題も取り扱っておりますが、さらに国家公務員性格とか範囲とか、いろいろ出ているわけで、こういうようなその他の問題について、政府はどういう考え方をお持ちなのか、それをお尋ねしているわけです。
  7. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 御指摘の問題に対しましては、先ほども一部御答弁申し上げたのでありますが、公務員制度改革については、御指摘のよりに、一昨年の十一月に行われた公務員制度調査会答申に従って、目下事務的に検討させている次第であります。その内容は、現行制度は、戦前の封建的な官吏制度を、近代的な、民主的な公務員制度に切りかえたもので、この新制度根本理念堅持しなから、わが国の実情に適した、簡素かつ能率的な制度に改める必要があると考えておる次第でありますが、具体的な問題については、さらに今後、検討いたしたいと思っております。
  8. 田畑金光

    田畑金光君 たとえば、この答申の中に、こういう言葉があるわけですが、公務員制度改革に当っては、公務員国民全体に対する奉仕者としての本質を一そう明らかにし、少数有能な公務員が、公務員としての自覚に徹し、定年制のもとに、改善された待遇を受けつつ、安んじて公務に専念し、ての能率を上げることができるように配慮すること、こういうように定年制実施等についても、改革一環とし、考えているわけですが、すでに地方公務員については、先国会法枠が出、おりますが、国家公務員等につきまして、この定年制実施、こういうよりな点等については、どういうように行えておられるわけですか。
  9. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 適切な定年制の採用を考慮することとあるのでありますが、目下検討中でありますので、具体的な結論にまだ達しておりません。今、鋭意検討中でございます。
  10. 田畑金光

    田畑金光君 その鋭意研究中ということは、大体この国会で成案を得て出そうということなのか、次の通常国会めど公務員制度全般について考えておられるのか、どういうことなんですか。
  11. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) もう今国会も末期に近くなっておりますし、まだ十分の検討結論が出ておりませんので、来国会にはぜひ一つ提案いたしたいと、そういう目途のもとに努力いたしておる次第であります。
  12. 田畑金光

    田畑金光君 来国会には、伝え聞くところによると、公労法改正等についても、特に労働省研究を進めておるようでありますが、公務員制度についても、次の国会めどに、公務員法改正について考えておられるわけですか。
  13. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 公労法の問題については、今もいろいろ問題になっておりますけれども、いまだこう直すという方向をきめておりません、公務員の問題につきましては、御指摘になりましたように、来国会改正案を提案したいという意図を持っております。
  14. 田畑金光

    田畑金光君 公労法についてはまだ考えていない、国家公務員法については、来国会めど改正案を出すというわけですが、今伝え聞くところとむしろ逆に、公労法が先になるように見ているわけですが、公務員法改正を出されるというお話で、そうしますと、具体的には、この公務員制度調査人本答申趣旨に基いて、全般的な検討をなされようというお考えですか。
  15. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 大体お問いのような、公務員制度調査会答申に従ってやろうと思っております。
  16. 田畑金光

    田畑金光君 たとえば、この答申の中にもありますが、労働権及び労働条件の問題でありますけれども、これは、公労法適用の三公社現業についても、同様に検討を進められるものと考えますが、国家公務員について、この労働権等については、どういうお考えをお持ちなんですか。
  17. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 事務的な問題ですから……。
  18. 大山正

    政府委員大山正君) ただいま御質問労働権及び労働条件につきましては、御承知のように協議会方式をとるようにという答申になっておりますので、私ども、事務的にはこの線に沿うて立案したいと考えておりますが、なかなかむずかしい問題が含まれておりますので、ただいまのところ、具体的に結論を申し上げるという段階にまだ至っておりません。
  19. 田畑金光

    田畑金光君 協議会方式ということはどういうことなのか、今の公務員法に基いて、公務員等については、労働権というものが非常な制約を、受けておるわけであります。今度、協議会方式をとられるというわけですが、その協議会方式内容として、団結権とか、あるいは団体交渉権までは国家公務員にも認めようという考え方であるのか、あるいは団体交渉権等までは認めないで、今の現行法にあるような団体折衝という程度の、軽いものを考えておるのか、こういう基本的な労働権あり方というものについて、どういうお考えを持っておられるのか。ことにこの問題は、私は労働大臣にも強く考えていただきたいことは、人事院廃止の問題が出ておるわけです。この間も岸総理自身、今の人事院については、占領行政の所産であって、これを改めていきたい、こういう御答弁でした。内閣国家人事局を持ち、外局として国家人事委員会を設ける、こういう考え方ですが、当然人事院の改組ということは、公務員労働基本権と関連して考えなければならぬ問題だと思うのです。人事院廃止するとなれば、これは労働権を強化する、公務員基本的権利をより前進させる、そうして初めて両々相待つことになるわけで、今の協議会方式によるというようなことでは、何のことかわかりませんが、この辺はどういうことになるのか、
  20. 大山正

    政府委員大山正君) ただいまの公務員制度調査会答申内容は、御指摘のありました団結権団体交渉権等につきましては、大体現行法考え方をとりながら、団体交渉やり方につきまして、それぞれ当局側職員団体側とが代表を出しまして、定期的に会合して、いろいろ問題を処理していく、そういう意味協議会方式答申されたというように考えておりますので、私ども、事務的にはその線に沿うて検討していきたい、かように考えております。
  21. 田畑金光

    田畑金光君 大臣にお尋ねしますが、人事院廃止に関連いたしまして、これはすでに与党の政調会あるいは総務会でも、人事院廃止をこの国会に提案するということはきまっておると聞いておりますが、そうなっておるのかどうかですね。それと関連いたしまして、もしそのようなことになるならば、当然、先ほど申し上げたように、国家公務員の基本的な権利について当局としても考えておられると思いますが、その点はどのように考えておられるのか。
  22. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) これは、前の国会に、総合的な機構改革一環として出されておりまして、今国会において継続審議の形で検討されておるのであります、党といたしましても、人事院廃止という問題については、廃止する方がいいという意向が強いようであります。しかしながら、人事院が持っておるような独立性を有する国家人事委員会が、その利益を保護し、人事行政の公正を確保するために必要な機能を引き継ぐことになっておるので、公務員保護機能については、従前通りこれを確保していくと、いわゆる国家人中委員会というものによって、この公務員利益を保護し、また、人事行政の公正を確保するに必要な機能を引き継ぐものであって、公務員保護規定については、従前と全然変らないか行き方においてやろうと、こう思っておる次第であります。
  23. 田畑金光

    田畑金光君 変らないとおっしゃいますけれども、今度の国家人出委員会というものは、勧告権というものについて、政府内部にはありますけれども国会に対する勧告なんということはなくなっていくわけです、これは、従前と比較いたしますと、大きな後退であるわけです。言うまでもなく、現在は、国会政府に対し当然に勧告すると、こういうことに、なっておるのですけれども、今お話のような国家人事委員会というものは、政府勧告し、政府国会に報告する義務を負うにとどまるわけです。そういうふうになってきますと、性格的にも大きく変ってくるわけですね。現在は、政府から独立して権限を行事するといたしましても、今度は大きく政府の中に入って権限を後退するわけで、そういうことを考えたときに、当然それに相応する公務員の基本的な権利について、団体交渉権なら団体交渉権をはっきり保障するとか、こういう裏づけがなければならぬと思うのです。その点について、先ほどの室長の御答弁で、は、あいまいでわかりにくいのですが、どういうことになっていくのか、どういうことを今作業、縦討しておるのか、もう少し具体的にお答え願いたいと思う。
  24. 大山正

    政府委員大山正君) ただいま御指摘のありました公務員法改正、それに伴う人事院機構の問題につきましては、御指摘がありましたように、現在の案で、は、国家人事委員会内閣勧省をしまして、内閣がこれを国会に報告するということになっておるのでございますが、ただその際に、内閣実施するかどうかをすみやかに決定しまして、実施できないと決定したときには、理由を付してその旨を国会に報告しなければならないというような内容になっておりまして、ある意味におきましては、むしろ勧告の処理について、内閣責任を持たせておるというような点もあるかと存ずるのであります。  それから、これと労働権の関連につきまして、でありますが、先ほどお答え申し上げましたように、答申内容は、現在の団結権、それ団体交渉権という問題につきましては、現在の公務員法建前をとっておりまして、ただ、その団体交渉やり方として、それぞれ当局側組合側代表を出しまして、定期的に協議会を開いて、問題を処理していくという答申に相なっておりますので、私どもといたしましては、そての線に沿って、しからばどのようなところに協議会を置くのが適当か、あるいは協議会に出る人の選出の方法はどういうようにしたらいいかというような点につきまして、検討を加えておったのでございますが、何分にも、いろいろ問題が複雑でございますし、さらに、今回の給与法の改正守に、実は率直に申しまして、相当時間と労力を費しましたので、まだこの答申内容の具体的な検討にまであまり入っておりませんので、現在の段階におきましては、これ以上目具体的な検討の結果について申し上げるような段階に至っておりませんので、御了承いただきたいと存じます。
  25. 田畑金光

    田畑金光君 先ほど大臣は、公労法改正については考えていない、次期国会にも考えていないというような御答弁であったと存じますが、一番公労法改正については大臣が熱心なように承わっておりますが、次の国会も、通常国会にも出さないんだという考え方ですか。
  26. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 公労法の問題については、今どこを直すかということは、腹はきまっておりません、来国会に出すか出さぬかということもきまっておりません。
  27. 田畑金光

    田畑金光君 六日に裁定が出て、すでに閣議においてもこれを尊重する、安全実施のためにこれを尊重するという態度であるとわれわれは聞いておりますが、予算化問題等については、話し合いも進んでいるわけですか、本日の閣議等話し合いはついたわけですか。
  28. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 完全実施とはまだきまっておりませんけれども実施することは聞違いございません。移用流用の問題がありますから、移用流用で済む程度のものであれば、これは予算化する必要はないと思いますが、まあ国鉄郵政等は、予算化するの必要があるという議論はいたしましたが、まだ予算化するというところまでいっておりません。しかし、従来誠意を持って尊重するというものを政府実施する方針のもとに、予算並びに財政的、事務的の措置を講ずるということにきょう決定いたしましたから、大体御希望のように達せられると思っております。
  29. 田畑金光

    田畑金光君 それは、いつごろまでに予算措置等について最終的な方針がきまるわけですか。
  30. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) これは、御承知のように、この仲裁裁定が下りましたならば、十日以内に国会に対する処置をとらなければならないのでありまして、国会に議決を願うような内容であるならば、十日以内にやらなければなりません、従って、六日の日に出ましたから、それから起算いたしまして、十五日ないしは十六日までに、国会に出すか出さぬかということをきめなければなりませんから、どうするかという方針がきまらなければならぬと思いますので、十日以内にきまるであろう、かように考えております。
  31. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、予算移流用によってやる公社現業もありましょうし、あるいはお話のように、郵政関係等では、補正予算を組なくちゃならぬ、こういうところもあるようでありますが、そういうようなことも含めて、これは十日以内までにきめて国会に提案する、こういうことでしょうが、しかし、今までの時間的な経過、経緯から見ましても、これは、早急に政府としてもきめなければならぬ立場にあると思うんです。春闘の経過から見ましても、また、政府調停案に対してとられた態度と、仲裁に臨まれたその後の態度等を見ましても、これは最近のうちに政府としては最終的な態度がきまるものだと、こう考えているわけですが、それまでに、やはり十日間を待たなければ国会に提案できないのかどうか、この点どうですか。
  32. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) きのうも国鉄の力から、仲裁の方へ文書をもつして質問をいたしております。その文書の回答によって、どうするかということが討議されるようでございます。でございますから、十日前に各企業ごとに団交もあるような内容になっておりますから、その十日前に早く発表することができれば幸いだと思うのですが、十日ぎりぎりのところまでいくようなこともないと保証はできないのでありますが、大体十日以内とお考え願ったら間違いないと思います。
  33. 田畑金光

    田畑金光君 特に私は、この際お尋ねしておきたいのは、仲裁裁定については、政府はこれを誠意をもって尊重する基本的な態度でおられるわけですが、特に今回の争議の責任者処分について、閣議の中でも、松浦労相は強く積極的な態度をとっておられるわけです、参議院予算委員会における答弁態度等を見ましても、実に勇ましい態度で、大声疾呼されていたわけですが、その後松浦労相あるいは政府の中には、裁定裁定として尊重し、実施をするが、処分についてもまた厳格な態度で臨む、こういうことを言っておられるわけです。ことに四月三日の党と政府首脳との連絡会議においては、処分に対してもし措置がとられた場合に、あるいはまた、労組側から反対闘争が起るだろうということを予測されて、輸送の確保とか、あるいは貯蔵の面まで手を伸ばしておられる、準備しておられる、こういうことでありますが、この点について、労働大臣としては、なおそういう考え方でおるのかどうか、裁定実施された後に、政府はこれらの労働組合の方に対して、強硬な措置関係当局に要求するのかどうか、承わっておきたいと思います。
  34. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) これは、しばしば発表いたしましたことでもございますし、御答弁申し上げたことでございますが、今別に当時と変った考えを持っておりません。私は、しばしば申し上げておりますように、従来仲裁裁定というものがそのまま用いられなかった方が多かったように聞いておりますが、今度は私は、仲裁裁定はどこまでも尊重すべきである、つまり平たく言うならば、与えるべきものは十分与えるべきである、しかし、法秩序を乱した場合においては、これはまことにお気の毒ではございますけれども国家法秩序を維持するために、やはりその償いをしてもらうべきであると、こういう考えを持っております、しかし、多数の中には、自分ではそういうことを自発的に考えていなかったけれども、他の誘導によって、心ならずも道を踏み間違えたという人が、私は多数の青年の中にあると思うのです。当時からそのことは申し上げていましたが、そういう方々に対しましては、十分情状酌量いたしまして善処すべきである、しかし、法秩序を乱した場合には、これは法治国として、お気の毒であるけれども、一応償いをしてもらわなければ、日本秩序は立たないという観点の上に立っておりますから、大蔵大臣との間に相当論争もいたして参りましたが、今後もし多少でも裁定内容政府こま切れをするようなことがあれば、私は、身を挺してもこれを保護したいと思います。しかし、法を間違った場合には、やはり法治国として、法の秩序の前には服してもらわなければならぬ、こういう考えを持っております。別に弾圧的なことを考えてはおりません。
  35. 田畑金光

    田畑金光君 仲裁裁定を百パーセント尊重し、実施のために身を張っても努力されるという、その態度は実にりっぱだと思うんですが、そういう態度が今日までの歴代の内閣に、あるいは関係大臣にあったならば、私は、いわゆる三公社現業の賃上げに伴う組合活動というものは性格が異なり、あるいは内容が違う、ニュアンスの異なるものが出ていたと思うのです。ところが、今のように、百パーセント実施するについて、担当大臣が身を張って大蔵大臣と当るのだというようなことを今まで聞いたことがない。これは実行はするが、そのかわり処分はするのだという、その処分の代償のために今回初めてとられたような印象をわれわれは強く持つ。今後とも政府は、人事院勧告等があった場合にはそれを尊重し、同時にこのことは、私は単に裁定のみじゃないと思うのです。人事院勧告等についても同様、これは百パーセント実施をするという裏づけが伴ってくるものと思うのですが、松浦労働大臣に特に私はお尋ねしておきたいが、そのような態度は、処罰をするため、国民諸君の手前、そういうような態度に今回出られるのか。そうじゃなくて、処罰とこれとは全く別だ、公労法の精神からいって、裁定は百パーセント実施するのが内閣建前でもあり、内閣の今後の方針だ、人も院の勧告についても同様な考え方だ、こういうような積極的な、一つ本来のあり方からくる政府態度と承わっておいてよろしいかどうか、承わります、
  36. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 私は、処分するためにやっているのじゃない、初めから私の思想は一貫しておるのですよ、それは、まだ問題にならない、実行にいかない前に、予算委員会でありましたか、あるいはどこの委員会であったかしりませんが、マホメットの例を引用いたしました。それから、まだ実力行使に入らないうちに、私どもは、もし仲裁裁定が下りたならば、これはあくまでも誠意をもって尊重するということを言明いたしております、今、その後十一日、十二日、十六日、二十三日というような問題が起きたから、そういう態度になるのじゃないかというのでありますが、私はその以前から申し上げておりますから、私の意思に変りはありません。人事院勧告尊重の問題も、仲裁裁定尊重と同じようにしたらいいじゃないか、人事院については、多少人事院の言う通りしなかったじゃないかという御指摘でございますが、許す限り尊重いたしたいという気持を持っていたしております。
  37. 田畑金光

    田畑金光君 人事院にお尋ねしますが、今回仲裁裁定がまた出て、一般公務員と三公社現業との給与格差というものはむしろ増大をした。昭和三十二年度の予算で、皆さん方が昨年七月に出された人事院勧告で、六・二%前後の給与改訂をなされておりますけれども、今回の三公社現業裁定で、さらに格差は大きくなったということはお認めになると思います。それからまた、ことしの一般民間給与ベースアップを見ましても、昨年より以上にベースアップが実現をしておる。従いまして、民間給与一般公務員とのベース格差というものは、さらに大きくなっておると思うのです。また、生計費の状況を見ましても、明らかにことしの財政やあるいは経済の動きというものは、物価強含みの傾向にある。インフレ的な要素を強く持ちながら、物価というものは強調を保っておる。ことに国鉄運賃値上げや、近く行われるような消費者米価値上げ、その他運賃値上げ考えれば、勤労者生計費というものは、昨年に比較して相当上回ることは明らかです、そうなって参りますると、当然人事院はまた、七月には人事院勧告というものも考えておると思いますが、こういう諸般の情勢を顧慮されまして、一般公務員に対しましては、人事院勧告準備等、あるいは統計の資料の収集調査等をやっておられると考えますが、この点について、人事院の見解を承わっておきたいと思います。
  38. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院といたしましては、これは、国家公務員法に規定してあります通り、まず公務員給与考えます場合、民間給与考えていくわけであります、民間給与考え生計費考え、その他人事院が適当と考える事情ということをあわせ考慮いたしまして、人事院としては判断を下す、こういうことになるわけであります。三公社現業——五現業は今でも一般職でございますが、三公社といえども現在政府職員であり、かつては一般職であったわけであります。そういう意味におきまして、三公社現業との関係を全然考えないというわけにはもちろん参らないわけでございます。従いまして、人事院といたしましては、例年のように、昨年三月ごろからすでに計画を始めておったのでありまするが、現在人事院がやりまする民間職種別給与調査というものを現在進行中でございまして、人事院といたしましては、その調査を基本にいたしまして、まあこのたび三公社現業仲裁裁定が出たのでございまするが、なお現在、国鉄当局から質問書が発せられておるというような状況で、なお内容等につきまして、十分わからない点もあるのでございまするが、おいおいそれらもわかってくると思います。それらの事情も勘案し、人事院のやりまする基礎調質を基礎といたしまして、本年の七月現在において、人事院は報青をもちろんいたすわけでありまするが、その際、必要があれば勧告をいたす、あるいはどうするか、そのときになってみなければわからないのでございまするが、現在は、まだどうするということはきまっておらないのであります。
  39. 田畑金光

    田畑金光君 しかし、私が先ほどあげたような諸般の事情というものは、当然人事院は、昨年より以上に勧告の条件を備えたものである。客観的な情勢は、より昨年よりも勧告を必要とする、こういう工合に私たちは判断するわけです。それは、先ほど申し上げたように、一般職公務員と三公社現業との給与の比較というものは、もうすでに具体的な資料を待たなくて明らかに出ておるわけです。それからまた、民間給与ベースアップも、今年は好景気に乗って、昨年以上のベースアップをしていることも御存じの通りだと思うのです。それからまた、経済の動きだっても、少くとも二十九、三十、三十一年度は、一つの均衡財政というものがとられて参ったわけですが、本年度は、予算規標も大幅にふえて、均衡財政、緊縮財政というよりは、むしろ拡大均衡の名にかりて、非常に予算の膨張を来しておる、財政的な膨張を来しておる。これはもう、経済の実勢を見れば、財政の実態を見れば明らかだと思うのです。こういう客観的な条件というものは、当然人事院勧告を発動する客観的な条件を備えておると私は考えますが、どうでしょうか。
  40. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院勧告をいたすかどうかという判断は、先ほども申し上げましたように、人事院が行いまする民間職種別給与調査、これが基礎になりまして、そのほか、その当時におきまする生計費等を考える、また、この三公社現業とのバランスという問題も、これはもちろん度外視はできないと思うのでありますが、その状態においてきめることでございます。従いまして、われわれといたしましては、たとえば、毎月勤労統計等によりまして、現在民間給与がどういう推移をしつつあるかというようなことは、補足的資料といたしまして、これは絶えず注視はいたしておりまするけれども、それを基礎にして勧告をするとかいう問題ではないのでございます。現在、われわれが見ておりますところによりますると、民間給与におきましても、いろいろ好景気というふうに伝えられておりまするけれども、この三十人以上の事業場の平均ということで見て参りますならば、大体昨年度中におきましては、本年三月までといってもいいのでありますが、多少推定も入りまするが、五%前後の上昇ではなかろうかというようにわれわれは見ております。また、公務員の方におきましては、いわゆる今回給与改善の措置が、もし法律通りますれば、行われることになるのであります。昨年から今までは、そういう給与改善の一時的な措置というものはなかったのでございまするが、昇給等によりまして、やはり平均ベースも五%前後上昇しているというようにわれわれは承知いたしております。また一般的に、消費事情等から見てみましても、消費者物価というものは、大体横ばい状態であるというように承知いたしております。しかし、それは単に傾向等をわれわれが見るために注意しているものでございまして、それで勧告をするかどうかということをきめるわけではございません。従いまして、先ほども申し上げましたように、人事院といたしましては、われわれが現在やっております調査が完了いたしまするならば、これはおおむね六月の終りごろに完了いたすことになるのですが、その調査を中心にいたしまして、現在の状況において民間給与との比較を考えていく、これが中心でございまして、生計費等も十分あわせ考え、また、三公社現業の関係も考え、こういうことで、そのときに判断いたすことになる、こういうような事情であります。
  41. 田畑金光

    田畑金光君 そのような諸般の条件を比較検討して、一般公務職員の給与について、人事院としては勧告しなければならぬ諸資料が出た場合には勧告をなされる、こういうような決意は当然お持ちだろうと考えておりますが、その点は、そう解釈してよろしいですね。
  42. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院は、国家公務員法に定めてありますところに忠実に従いまして、やっていく所存でございます。
  43. 田畑金光

    田畑金光君 大臣にお尋ねしますが、先ほど大臣は、裁定については完全実施をする、もし完全実施でなければ、大蔵大臣と身を張って戦うのだ、こういう勇ましいことを言われたのだが、これは、人事院勧告でも、当然態度については同じような態度を、とられるべきだと思うし、政府全体の態度も同様だと考えますが、七月に人事院勧告が出ましたならば、政府は同じような態度で臨むというふうに理解してよろしいですか。
  44. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 今度の仲裁裁定内容を見ますと、昭和二十九年を一〇〇としてやると、国家公務員は一二五ですね、それから三公社現業は一二三になっているようです。どこか新聞に発表してありますから、ごらんになればわかると思いますが、これは、元の単価が少し違うのです。元の単価が二百円ぐらい違うと思います。それで、今まで大蔵省の方で、国家公務員と三公社現業の方は相当差があるように言っておりましたが、これという具体的な数字は発表されませんでした。差があるような風評でしたけれども、今度の仲裁裁定は、今申し上げましたような比率であります。しかし、人事院が、民間給与並びに他の三公社現業と比べて国家公務員が安い、こういうふうな是正をしなければいかぬ、こういう勧告がございましたならば、これは十分私は尊重いたしたいと思っております。
  45. 田畑金光

    田畑金光君 この問の労働大臣の参加された与党と政府との連絡会議で、今度の処分の結果、相当また輸送等の波乱が起きるだろう、こういうわけで、自動車の手配をするとか、貨物自動車の徴発をするとか、あるいは消費物資について、主食等について消費先に貯蔵するとか、こういうような準備をとられたようですが、あれは、もうすでに実行されたわけですか、これからとろうというわけですか。
  46. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) それはまあ、水鳥の羽音に驚いたわけではありませんけれども、総評の方が抜き打ちのときに相当国民を脅やかしたのです。原因のいかんはとにかくとして、国民を脅やかした。その後直ちに、もし処分をするならば、われわれはこういう報復的なことをやるんだというスケジュールを発表した。そこで、国民の目から見れば、また総評は、一体いつストライキをやるかもしれないという懸念がある。そこで、われわれといたしましては、もしそういうことがあれば、一番困るのは食糧である。燃料である。これはやはり今のうちに確保すべきであるという考えを持つのは当然であります。つまり、どういうことで問題が起らぬとも限らぬから、大都市なり、あるいは食糧を他から持ってこなければならぬところ、燃料を他から持ってこなければならぬところは、それを確保する必要があるということは、国民の安寧秩序責任を持っております政府としましては、当然のことであると思っております。しかし、私の方ではそれらのことをやっておりませんから、運輸、農林、通産等では、そのときそういう申し合せをいたしましたから、それぞれやはりそれに向って実施されておられるものと思っております。
  47. 田畑金光

    田畑金光君 労使の話し合いで、処分については責任を追求するようなことはせぬ、こういうお互いの話し合いがまとまって、先般の春闘について了解がついていたような場合には、これはどういうことになるわけですか。それでも、処分処分としてやれと、政府が命令されるのか、強要されるのか、これらの点はどういうことになるのですか。
  48. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 労使とはどういうことですか。
  49. 田畑金光

    田畑金光君 当局と組合との間の話し合いで、過般の賃金問題でいろいろ紛糾が起きたが、その責任はお互いに問わないという話し合いがついていたような場合ですね。そんな場合はどういうことになるわけですか。
  50. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 公労法の規定によって処分される場合は、大体行政罰であって、それぞれの関係当局者同士の問において行われる問題でありますから、政府方針は、一応申し上げましたような方針でおりますけれども、それぞれの処分の実際の面については、われわれはいろいろ審議はいたしますものの、実際の面については、関係当局の間で行われるものでありますから、その関係当局勤労者との間で話し合いをつけるというようなことも、私は処分の上ではおかしいと思う、つけべきもんじゃないと思う。法を犯してやっているのに、それを勤労者との間に処分をしないような話し合いをつけるということは、あるべきものじゃないと思っている。やはり法を犯した者は、法の償いを受くべきものであると、こう思っているのです。
  51. 田畑金光

    田畑金光君 私のお尋ねしているのは、あなたの主観的な判断をお聞きしているのじゃなくて、かりに労使の話し合いで、当局組合側話し合いで、処分は不問に付せよう、そういう協定ができている。たとえば、二十三日の実力行使についても、話し合いがまとまっていた。そういうような場合は、労使の、当局と組合との話し合い尊重する意向であるのか、あるいは政府としては、公社のしりをたたいて、それは許されないというような形で処分の強要をするつもりなのか、どっちなんですかと聞いているのです。
  52. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ですから今申し上げたのです。今の三公社現業も、使用者は使用者側として、法の中に生きているのです。勤労者勤労者として法の中に生きているのです。でありますから、勤労者がなすべからざるストライキをやった、法の禁じておることをやったと、しかしまあ、両方が話し合ったから、われわれはもう処分問題に触れないということであるならば、国民はどう思うか。一番損失を受けたのは国民なんです。国民としてはやはり、どっちがいいとか悪いとかではなしに、どっちであっても、法秩序を乱した者は、その償いを負うべきであるというのが、政府として考えておるところであります。
  53. 田畑金光

    田畑金光君 法秩序を乱したといっても、労使の関係は、これは相関関係なんです。一朝にして法を乱すというようなことは、あるいはそのような行動に出るというようなことはあり得ないのです。従来の当局や、あるいは特に政府態度が組合を刺激したというところに問題があると思うのです。そういうことを考えたとき、これは労働関係の法律というものはどれでもそうでありますが。やはり労使の慣行、労使の話し合いというものを第一に尊重すべき問題だと、こう考えるのです。これは、当局が組合と話し合いをして、一つの態度がきまったということは、やはり長い当局と組合との慣行とか、あるいはその企業体の歴史とか、いろいろな条件からして、そういうよな話し合いが生れてくると思うのです。あるいはアベック闘争というような言葉が使われておりますが、かりにそのような性格を帯びたということは、要するに、政府態度というものが常に法をじゅうりんしていたということなんです。政府態度が、当然国鉄なら国鉄の企業に対してとるべき態度が、あるいは行き過ぎが政府の中にあったとか、あるいはまた、政府の従来の態度が、仲裁裁定等について、いつもこれを尊重しない、こういう非協力的な態度があった、こういうようなところにやはり問題があろうと思うのです。やはりこういうような問題は、重大な一つの政治的な判断で処理することが私は妥当じゃないかと、こう思うのです。ことに政府が強く強硬態度をとるに至ったのは、世論が今回いろいろこの争議を批判したから、世論の影に隠れて、政府は必要以上に強硬な態度をとろうとしておる。輸送や貯蔵の確保措置をとるというようなことは、これはまことに軽率な、むしろそういうふうな軽率な態度をとる政府あり方というものは笑うべき姿だと、こう思うのです。ことにこの処分問題については、十六日の両党首会談で、岸総理は、慎重に考慮しよう、こういうようなこと等もなされておる。従来の政府態度等考えたとき、強硬態度だけでこれを処理するということは、今後にまた問題を残す危険が多分にあると思うのですが、この点は、労働大臣そういうような気持はありませんか。
  54. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 先ほど来同じことを大体繰り返すことになるのでありますが、私どもは、政府が償うべきものはやはり償うべきである。つまり、今度の問題については、裁定はどうしても、これは非常な困難があっても、私は裁定されたものは法を守るために政府は払うべきである。同時に、法を犯した者は、やはりその償いは犯した方が負うべきである。それでなければ、日本国家秩序が立ちませんから、私はそういうふうに考える。もし政府の一員にして、勤労団体との問に約束を不履行した者があったならば、それはやはり道徳的な責任、政治的な責任は負うべきである、かように考えております。
  55. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  56. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。
  57. 永岡光治

    ○永岡光治君 退職年金制度でちょっとお尋ねしたいわけですが、人事院から改正方の勧告がなされましたのは、たしか昭和二十八年の十一月と記憶しております。その後今日まで足かけ五年になりますけれども、いまだに政府の手ではそれが提案されない。こういう事態になっているわけですが、この点についてこの前、地域給でもそういう問題がありまして、あらためて勧告をしなければ、その勧告はもう事情が変っているのだから尊重しなくてもいい、というような意味答弁がしばしば政府の方からなされておりました。そういうようなもし政府態度で、あるとするならば、人事院勧告の権威というものは非常に害されてくると思うのですが、人事院の方では、この退職年金制度勧告をされた、その後ずっと政府の力ではこれに手をなつけていいのですが、どうそれを考えておいでになるのか、人事院としての一つこれに対する態度をまずお聞きしたいと思うのです。
  58. 慶徳庄意

    政府委員(慶徳庄意君) 人事院勧告が行われまして、相当長きにわたりましてまだ実現を見ていない点につきましては、まことに遺憾に存じておる次第でございます。しかしながら人事院勧告は現在でも有効でございまするし、また人事院勧告を契機といたしまして、御承知公務員制度調査会内閣の中に設けられまして、しかもその中には退職年金制度も明らかに答申いたしておるわけであります。同時にまた政府におかれましても、その答申実行に移すためにわざわざ内閣部内に公務員制度調査室という新たな組織を設けられまして、目下検討中と伺っておる次第であります。従いまして人事院勧告を契機といたしまして、今申し上げますような進展を見ております。また人事院勧告は現在でも有効と存じておりますので、政府側におきましても、一口もすみやかにこれが実現されることを期待し、かつ希望いたしておる次第でございます。
  59. 永岡光治

    ○永岡光治君 人事院態度はわかりましたが、そういたしますと、この前の勧告は生きておる、従ってここであらためて別に勧告するる必要はない、こう考えて差しつかえございませんか。
  60. 慶徳庄意

    政府委員(慶徳庄意君) おっしゃる通りでございます。
  61. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで給与担当大臣にお尋ねするわけですが、人事院勧告は生きておる、二十八年十一月に勧告されてからいまだに放置されておるわけですが、政府はどういう考えなのでしょうか。これは実にけしからぬと思います。来年のことを言うと鬼が笑うということがありますけれども、五年たっていまだにそれが実現しないというのは、まさに勧告尊重するなんという、絶えず担当大臣はあるいは委員会、本会議等で答弁をされているのですが、これは尊重したと私は思えないと思うのですが、どうでございましょうか。
  62. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 二十八年に行われたことでありますが、私はこの問題はそう簡単に、今人事院の方でお答えになりましたように、簡単にで、きる問題ではない。でありますから一つの機構まで作って政府は今日まで検討いたしております。けれどもまだその検討内容はきまっておりません。今後恩給局または人事院、大蔵告その他と連絡をとりながらさらに検討を進めたいと思っております。この問題は五年前にやったもので、何をしているかとおっしゃるのですが、機構もまた新しく政府が作ってやらなきゃならぬほどの重大な問題でございますから、相当今後も長くかかると思っております。けれども今後誠意をもって検討をし、その実現を期したいと思っております。
  63. 永岡光治

    ○永岡光治君 なかなか簡単なものじゃないというようにお考えになったようでありますが、私は人事院勧告による制度実施いたしましても、現在の恩給の所要財源とそう大して変らぬと思っておりますが、おそらくこういう点についても、人事院は無関係には勧告していないと思うのです。財源の問題を一応考慮に入れて勧告はいたしておると思うのでありますが、その辺の事情はどうでございましょうか。それは人事院の力からお答え願いたいと思います。
  64. 慶徳庄意

    政府委員(慶徳庄意君) ただいま計数的なものを持って参りませんので、はっきりした計数的なお答えはいたしかねると思うのでありますが、この前勧告のときに資料等も添付いたしてあるのでありますが、現在の経費よりは若干よけいにかかるという計数にはなっております。なっておりまするけれども、そんなにたくさんの経費がよけいにかかる、ということにはなっていなかったように記憶いしたております。遺憾ながらはっきりした数字を持って参りませんので、大へん抽象的なお答えで申しわけありませんが、一般的な方向としてそのような方向であったように記憶いたしております。
  65. 永岡光治

    ○永岡光治君 ただいまの御答弁で、私たちも当時勧告をいただいて検討いたしましたその資料を、私もはっきり数字を覚えておりませんが、きわめて微々たる金額と承知いたしております。そういたしますと、労働大臣のおっしゃる、簡単なものじゃないということはどういう内容なのでございますか。何がそう複雑で困難なんでしうか。
  66. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 金額よりも制度の改廃が私は相当の問題だと思うのです。恩給制度にも非常に影響を及ぼしますから、それで今こういうふうに直しますということをまだ言いかねる内容でございますから、今後誠意をもってこの実現を期したい、それに十分検討いたしていきたい、こういうふうに思っております。
  67. 永岡光治

    ○永岡光治君 その恩給制度に相当影響するというのは、どういうふうに影響されるのですか、勧告実施された場合。
  68. 大山正

    政府委員大山正君) ただいまの退職年金制度につきまして人事院から勧告、意見の申し出がありましたあと、政府公務員制度調査会を設けまして、これらの点につきまして、やはり退職年金制度だけでなしに、やはり公務員制度全般との関連があるという考え方から、全般的な公務員制度改正について答申があったわけでございます。私どもその答申があったのと前後しまして、公務員制度調査室を設けられたわけでございますが、その後この公務員制度改正につきましていろいろ検討して参ったのでありますが、何分にもはなはだ機構も貧弱でございますし、またはなはだ微力でございまして、全般的な具体的な検討になかなかまだ結論を得ないというような段階でございますので、従いまして退職年金の問題につきましても、十分具体的な結論に達しておらない次第であります。実は私ども当初の考え方といたしましては、まず現在の国家公務員法にあります諸制度改正考える。その基礎の上に立ちましてやはり退職年金制度考えるべきだというように考えて、そのような順序で作業を進めたいと思っておったのでございますが、いろいろ当面する問題に追われまして、公務員法の基本的な事項につきましても、まだ具体的に検討が進まない状態でございますので、退職年金制度につきましてもまだ具体的な検討に入っておらないのでございますが、ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、私どもといたしましてもやはりこれを実現するという方向で、関係当局と今後十分連絡しまして、できるだけ早く結論を得るように努力したい、かように考えておる次第であります。
  69. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の御答弁ですと、スタッフが足りないので検討が進められていない、こういう結論にしかならないと思うのです。私は勧告が出ておる以上、その勧告尊重する、人事院のそもそもの権威という問題、あれをなぜしいたかという問題、やはり政府は少し忘れているのじゃないか。人事院が置かれたときのいきさつというものを、もうちょっと真剣に考えなければ、依然としていまだに検討しておると、その検討もどういうところに支障があるのか、どういう影響を及ぼすのかと、それで困難だという理由を申し述べるとするならば、それを一つ御説明いただきたいという質問をいたしましても、それすらも答えられないというならば、これは全然手をつけていないと極言されても抗弁の余地は私ないと思うのです、二十八年に勧告されたのですから。いまだにそれが大よその方向もきまらぬというような、そういう怠慢はないと思う。これはいつごろまでにそれじゃ結論を出す所存なんでしょうか。これは給与担当大臣でないとわからないと思うのですが。
  70. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) いつまでに出すという時間をまだ検討中でありますから、ここにはっきり申し上げる機会になっておりません。
  71. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはおかしいじゃないですか。やっぱりおのずから仕事を進める上にはプログラムと申しますか、目途がなければならぬでしょう。いつ結論を出してもいいというのならそれは仕事は進みませんよ。やはりいつまでに結論を出すということで叱咤激励してこそ、初めて案ができ上ると私は思うのです。ところがそれがまだ目途もわからないと、これからさらに検討するというのであっては、ほんとうの勧告尊重ということにならぬと思うのですが、検討されたとするならば、具体的にどういう個所が問題があるとか、そういうことぐらいは、もうすでに五年もかかっているのですから、わかりそうなものだと思うのですが、それすらわからないのですか。説明できないのでしょうか。
  72. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) まあ鋭意検討いたしておりますが、しいて御答弁を申し上げるということであるならば、これは来通常国会までに出したいということを目途として、事務当局を督励いたしたいという以上に申し上げることはできないのであります。いろいろおしかりでございますが、まあ保守党政府をおしかりであるのでありまして、私は昨年の十二月拝命しただけであって、二十八年の場合においてはほとんど私は責任はないのです。しかし保守党内閣として私は御答弁いたしておるのでありますが、いろいろ去年なんかも、今御審議顧っておる給与体系の問題が出まして、それに没頭しておって、実はこっちはあまり深い検討をしていなかったように今大山局長が答弁いたしておりますが、それはまあ手不足でそうできなかったということもあり、ますし、また政府及び与党の方針がきまらないから手を多く預けても、大山君の方ではできたいということもあると思うのです。こういう点はただいま御指摘になりましたから、われわれ政務調査及び総務会にもこの意向を十分反映し、政府にも反映いたしまして、今年は一つこれに十分手をかけて、来国会に出すということを目途として専務当局を督励したい。こういうふうに私は今考えております。
  73. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の答弁の中にやはり、はしなく出ておりますが、政府態度も与党の態度も、きまらぬからなかなかこれが現実の運びに至らぬということなんですが、そういう筋合いのものでない。だからそういうところに問題の本質があるのだということを私はしばしば指摘しているわけです。勧告というものをどう考えるかということです。勧告をされた以上はこれを尊重するという建前なんですから、そう私は時間をかけるべき筋合いのものでないと思うのです。これをどうまげようか、どう変更しようかという考えが先に立つからなかなか仕事が進まないのです。だから尊重するというなら、人事院が部厚なものを出しておるのですから、しかも地方財源等もおそらく明記されておると思うのですから、そういうものだったらすぐできると思うのですが、そういう態度をまず変えなきゃならぬと思うのです。従って私はここに念を押しておきたいのですが、尊重する考えはあるのかないのか。これは一つただしておきたい。これは内閣が変ろうと変るまいと影響ないと思うのです。現給与担当大臣としての松浦国務大臣はどう考えておるか、人事院勧告を。
  74. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 国家公務員はあらゆる面に制約されておりますから、その代弁者である人事院勧告は私は給与担当大臣として尊重いたします。
  75. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 永岡君まだかかりますか。
  76. 永岡光治

    ○永岡光治君 それじゃ簡単に。
  77. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 一つ大体まとめて下さい。
  78. 永岡光治

    ○永岡光治君 わかりました。それでは、まあ時間があればもうちょっと質問もいたしたいと思うのですが、省略いたしますが、最後に要望だけいたしておきます。  恩給局長さんもお見えになっておりますし、人事院勧告責任者もおいでになっておりますし、給与担当大臣としての松浦さんもおいでになっております。どうかこの問題はいろいろ、まあ公務制度全般がきまらなければこれをきめられぬという筋のものじゃないのでありまして、必要とあればそれはまた改正段階には改正すればけっつこうでありますから、永年持ち望んだこの退職金制度が確立したならば、この際やめていきたいという考えの人もあって、待機している人も相当あるわけですから、そういう関係からいたしまして、今労働大臣の方では、担当大臣の力では来通常国会を目途に、検討してすぐに出すように努力したいということでありますから、まあその言を信用し、その方向で最善の努力をしてもらいたいということを要望しておきますが、それについての再度担当大臣の決意のほどを伺って私の質問を終ります。
  79. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 先ほど申しましたように、来国会に提案可能になるように事務当局を督励して実現いたしたいと思っております。
  80. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 他に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めます。……それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御意見がなければ討論は終局したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。国家公務員等退職手当暫定措置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  81. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容ノ第七十二条による議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     松村 秀逸  永岡 光治     西岡 ハル  伊藤 顕道     八木 幸吉  田畑 金光     大谷藤之介  上原 正吉     秋山 長造  竹下 豐次
  83. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 次に、国家行政組織に関する調査のうち、行政監察に関連して、堺市における公団住宅問題に関する件を議題に供します。本件について、日本住宅公団総裁加納久朗君及び同理事吉田安三郎君を、参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めさよう決定いたしました。本件に関し御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  85. 秋山長造

    ○秋山長造君 質疑をする前に、この間公団の方から文書で簡単な報告書が出ておりますので、私ども一応は拝見したのですけれども、さらにこの報告書についてあるいは補足するということもあるでしょうし、総裁は自身現地を見られたわけですが、それらを含めて説明を一応聞き、それからさらに建設省からも専門の方が調査に行かれたようですから、それらについても一応報告を聞いた上で質疑をしたいと思います。
  86. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) この間大阪に参りまして、第一に金岡、それから刈田それから中宮という団地を二カ所、関根という団地を二カ所、千里山、服部、曾根こういう所をずっと回りまして、そうして私が来るというので大体待っていてくれた入居者もあります。そういう方々と親しくお話をし、それから故障のあります場所を拝見しまして、家の中に入りまして一々カビのはえている所、それから窓から雨の降り込みました所を、外からどういう所から割れ目が出て入ったかというようなことを、言われた所などもよく見て参ったわけでございます。  そこで結論的に申しますと、何といってもそういう厳たる事実があるのでありますので、これは工事の上で設計が悪ったか、あるいは施工が悪ったか、監督がよくなかったかというような点はもう少し研究してみないと、これははっきりしないだろう。と申しますのは、この日本においてこういう住宅をコンクリートで造りました場合に、こういうようなケースの生じましたのがここばかりではないのでありまして、ほかの団地にもそういうのがございますし、また私の方の作ったものばかりではない、他の建築においてもあるのでございます。これはどうしても公団の技術員を動員いたしまして日本でも一つモデル・ケースを作ってみたい。一番故障の多いのは一階なんでございます。その一階の通風をよくして、しかも盗難のおそれのないように設計をするというようなことも必要であります。それから乾燥を促すために入居者の協力を求めまして、春先から夏にかけてはできるだけ風通をよくしてもらうというようなことも、協力を求めなければならないと思います。もう一つは何といっても家主とたな子の関係というのは、ビジネスの上でも一番人情のデリケートな問題でありまして、それをお役所仕事のようなふうに公団がやったのでは、入居者から文句が出てくるのはこれは当然のことでありまして、この点については大いに反省いたしまして、そうして入居者とも個人的によく了解していただくように、ふだんからサービスをよくするということを努めなければならないと思います。それからそこにおります管理人などもただ通り一ぺんの仕事をするというのでなしに、親切に団地の世話をするということでなければ、ほんとうに快適な集団的生活団地を作ることはできない。こういうふうに存じておりますので、できるだけこれからこの管理人の人選等も厳選いたしまして、そうして入居者のために早くサービスをして満足を与えるようにしたい、こういうふうに存じております。その点を最も強く感じて帰ってきたわけであります。  すなわち要約いたしますと、一つは技術面の研究をする、設計においていろいろ研究をしなければならないということ。第二はサービスの上におきましてもっと改良しなければならぬ。こういう点を痛感して帰ってきたような次第でございます。
  87. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 建設省の方からも一応。
  88. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 南部監理官から、現場に参りまして調査いたしましたので御説明申し上げたいと思います。
  89. 南部哲也

    説明員(南部哲也君) 私は命を受けまして三月三十一日から四月三日まで、なお技術的な問題につきましては四月八日までかけまして、金岡団地の工事につきまして検査をいたして参りました、その結果を御報告申し上げます。  第一に、本団地の建設は公団発足当初、準備態勢その他いまだ十分でない際に行われたものでありまして、全国でも一、二を争うほど早く公団としては着手したものであります。その関係上設計におきましても、監督体制におきましても不十分な点がいろいろ見られまして、これが合同工事の結果とし出ております。設計上不備だと思わますのは、たとえばバルコニーの排水不良の問題であるとか、あるいは排気孔から雨水が浸入するとか、あるいは給水塔内のアスフアルトこて塗り仕上げであるとか、こういうような設計に基いて工事をしたために、その後の雨水の浸透、あるいは給水の不便、断水、こういうような問題が起きております。  それから監督上の問題につきましても、監督者を調べましたところ非常に未経験者が多くて、これではおそらく十分な監督はできないであろう。従ってその結果、先般御指摘いただいたような不都合な点がいろいろ出てくるということも、まあやむを得ない結果でなかったかというふうに見られるわけであります。  さらに本団地は公営住宅の大阪府営金岡団地と隣接しております。この片方は公営住宅であります関係上、家賃も公団住宅に比較いたしまして格段に安い。その家賃の安い公営住宅の方が環境が整備されておりまして、家賃の高い公団住宅の環境が、たとえば道路等におきましても排水溝がない、というような劣っている点がございます。これらの点につきましては相当入居者に、高いものの方が悪いということで、疑惑の念を持たれる根源になっていやせぬかというふうに感じて参りました。  具体的な、私どもが行きまして、いろいろ故障の個所は全部四月四日現在で調査いたしました。全個所にいたしましては数百件に上るクレームが出ております。そのうち最も大きなものは結露現象、カビの発生、それから排水関係が悪い、あるいは便所のフラッシュ・バルブに故障が多い、あるいはたてつけが悪い、それから水道の飲料水中に異物が混入して出てくるというようないろいろな問題がありまして、これらの問題につきましては先ほどの設計、監習と関連いたしまして、やはりそれらが疎漏であった結果といたしましてそういう現象が現われておる、かように認定いたしました。  なお実際のコンクリートの強度試験につきましては、ハンマー・シュミットをもちまして、一応各棟につきまして七十個所ばかり試験いたしました。その結果、コンクリートの試験した個所における強度というものにつきましては、大体工事請負契約で百八十以上ということになっておりますが、われわれの認定では、現在のところ二百以上も強度を持っておるということで、強度については思ったよりもしっかりしておるというふうに感じたわけであります。ただその後さらにただいま切り取りの準備をいたしまして、これのコンクリートの配合の分析試験を行いたいと思っております。これはちょっと分析の結果の出るまで間がかかると思いますが、その手はずで進んでおります。  それから、そのようなクレームが多多出ておるのでありますが、これに対する公団側の措置は適切でなかった。ことに業者の瑕疵によると認められる故障の個所につきましての修理、これが非常に一月半ばに申し出て三月半ばにその修理に着手するというような例もございまして、長引いておりまして、これは大へん入居者に迷惑をかけておる。このために入居者の公団に対する感情も相当悪化していることは、先ほど加納総裁がお認めになった通りであると思います。以上簡単でございますが、御報告申し上げます。
  90. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 大阪の金岡団地の状況につきましては、以上公団総裁並びに南部住宅公団監理官から御説明があった通りでございますが、これにつきましてかかる事例を再び生ぜしめないようにどういう対策を講ずるかということにつきまして、建設省として考えておるところを申し上げたいと思います。  まず、建設省自体といたしましては、公団に対する監督及び工事の監査を一段と強化して実施して参りたい。その方法といたしましては、住宅公団監理官が現在南部君ほか一名ございますが、この監理官が中心になりまして、随時適切な監査を行うとともに、また建設省内部の監察官もございます。ので、監察官制度を活用いたしまして、総合的な業務監察を、監理官とともに実施して参るというようなことを考えております。それから特に公団住宅建設の技術的基準につきまして、建設省といたしましても再検討を加えて参りたいと考えております。  先ほど南部監理官からちょっと触れましたが、建設費の単価の問題でございますが、単価が公営住宅と比べまして金岡団地の場合はたしか三千円から五、六千円くらい違っております。つまり公団側の方が安いという状況でございますが、これはその後予算折衝の過程におきましても十分考究いたしまして、昭和三十二年度におきましては、建設費の単価は、これは住宅の構造別によりましてもちろん違いますし、規模によっても多少の差異がございますけれども、おおむね公営住宅と公団住宅は同額に予算考えております。昭和三十二年度におきましては、金岡団地の場合のような差異はないということを申し上げまして、御了承を願いたいと思うのであります。  それから公団側において措置せしめたい事柄につきまして、若干申し上げますと、先ほど総裁から、特に苦情処理に対するサービスの改善、それから技術面の研究検討につきまして、すでにいろいろ考えているというお話がございましたが、この点ももちろん当然でございます。従いまして設計をさらに検討して工夫する、あるいは施工面におきましての監督面を、技術的にももっと合理化するということが、先ほどのお話のようにまず重要な点であろうかと思いまするが、そのほかに公団関係の先般の金岡団地工事関係につきましては、関係者の責任を明らかにしまして、適当な措置を講ぜしめたいと考えております。  ただ、これはなおいろいろ実情を精細に調査する必要もありまするので、若干の時日を要すると思いまするが、そういう責任者の処置につきましても、ぜひ公団側に適当な適切な処置を講ぜしめたいということでございます。  それからさらに今後のこういう事態の防止をはかる意味におきまして、公団側におきまして内部監査的な制度考えてもらいたいというふうに思っているのでございます。特にこういう現場関係の事故なりあるいは苦情等につきまして、迅速にこれを把握し、これに対する迅速適切な処置を講ずるというようなことを推進する意味におきまして、本所も支所も一体的な体制を固めるというようなことを、今後具体的に検討してもらいたいと、かように考えていることを申し上げまして、以上建設省として考えていることを申し上げまして、御参考に供します。
  91. 秋山長造

    ○秋山長造君 質問に入る前に、先だって公団からいただいている資料について計数的なことをちょっと確かめた上でと思う、それはこの資料の報告書のあとにつけてある別表の一ですね。金岡団地工事の請負業者名、工事請負金額、この工事請負金額の欄ですが、これについてそれぞれ公団側の底札といいますかね、おわかりですか、底札と言ったらわかりますか。
  92. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 一番安い価格ですか。
  93. 秋山長造

    ○秋山長造君 それはわかりますか。
  94. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 今ちょっと資料は詳細なものは持っておりませんが、これは落札しました価格のものもございますし、落札いたしませんで六回くらい入札いたしまして、落札をいたさないので最低の業者と随時契約をいたしたものもございます。今ちょっと資料を持っておりません。
  95. 秋山長造

    ○秋山長造君 しかしやはりなんでしょうあの公団側の……。
  96. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 予定価格ですか。
  97. 秋山長造

    ○秋山長造君 予定価格です。それはあるわけでしょう。それは今わからないのですかね、公団側の予定価格。ここに書いてあるのは入札価格なんです。予定価格はわかるならばちょっとこの表について読み上げていただきたい。
  98. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 第一番目の銭高組の関係を申し上げますと、予定価格は八千七百万円、第一回の契約金額は八千七百万円、そうして契約変更は一度ございまして、ここにあげたような表になっております。
  99. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっと途中ですが、そういたしますとあなたの方の予定価格と、それから銭高組が入れた札とが一致したわけですね、八千七百万円。
  100. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 第一回の入札結果は第六回まで入札をいたしまして、最低のものは……今申し上げましたやつは、その次の欄と私間違えて申し上げました。訂正いたしたいと思います。今申しましたのはB地区の問題でございます。B地区につきまして申し上げますと、予定価格は八千七百万円でございますが、六回まで入札いたしました場合の最低の札は八千七百二十六万円でございます。ここに掲げました表はその後設計変更をいたしておりますので、最終の工事金額を御報告申し上げた次第でございます。全部そういうような資料だけは持っております。申し上げます。
  101. 秋山長造

    ○秋山長造君 それだけでいいですから、A地区からずっと引き続いて言って下さい。
  102. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) その次は三番目の……
  103. 秋山長造

    ○秋山長造君 A地区はどうです。
  104. 亀田得治

    委員長亀田得治君) さっきのはB地区ですね、A地区は。
  105. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) そうです。A地区を申し上げます。A地区の方は第六回まで入札をいたしまして、銭高組、これも札が八千七百三十万円でございます。公団の予定価格は八千七百万円、C地区へ参りまして、C地区は四千五百四十八万円が落札価格でございまして、公団の予定価格は四千五百六十万円でございます。先ほども申し上げましたようにここに例記いたしてございます工事請負金額は、その後の設計変更による最終の請負金額を例示いたしてございます。  次はD地区でございますが、D地区は、公団の予定価格は六千九十万円でございます。第五回までの最低の落札は六千百四十万円でございます。随時契を六千九十万円でいたしたわけでございます’。  E地区につきましては、公団の予定価格は四千六十万円で、落札価格は四千三十万円で、五回目に落札いたしております。  F地区は、公団の予定価格は四千六十万円で、五回目に落札いたしましたのが四千二十万円でございます。そこまで資料がございまして、あとは資料をただいま持ち合せがございません。
  106. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ちょっと今の資料で私も伺いたいのですけれども、契約月日と工期との関係ですが、たとえばA地区で工期が三十年の九月二十二日から三十一年の三月三十一日までになっております。ところが、契約月日がその後約半年を経て三十一年の九月二十一日になっているというのは、どういうわけですか。
  107. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) これははなはだ失礼いたしました。三十年のミスプリントでございます。
  108. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 その下もそうでございますか。
  109. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) そうでございます。以下全部契約月日の方は三十年の間違いでございます。申しわけございません。F地区からは三十年になっておりますが、その次の明産興業の所も間違っております。
  110. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほど開会前のいろいろ雑談のときに申し上げかけておったのですが、監督の問題ですね。私はこれは非常に大事なことで、今起っているこの問題についてはかれこれ今申し上げるわけではございませんけれども、この間の委員会でも出ましたように、工事の手抜かりと申しますか、悪い場合には手を抜いてしまうという、そういうことがあって、そうして監督が不行届のままにでき上ってしまう、あとはどうもしようがないというようなことが世間ではよくあるわけです。この問題につきましても、そういうことがあったかもしれないという疑いを持つわけなんですが、この後もその点は特に念を入れて監督されないと、いろいろな問題が起ってくる心配があるのではないか。  先ほど、総裁の御視察の結果の御報告について、その後いろいろ設計等について注意しなければならぬというお話がありましたが、総裁のお話のうちには、工事の監督を厳重にするような方針をその後きめるというお話はなかったが、私はおそらく言い落されたのだと思いますが、建設省の方では先ほど南部さんからそのお話を承わり、まあさもあるべきだ、建設の方は一そうその後厳重に監督されるのだと思いますが、これは間接のことになりまして、建設省の立場としては公団を監督しなければならぬということになりますので、建設省からお調べになるというときは、こういう問題が起ったときとか、よほどあとのことについて、これも何とか善後処置に、はなはだ困るというのだが、さしあたりはあなたの方の監督を厳重にしていただかなければ、ならない。ところが先ほど雑談中に申し上げましたように、いただいた資料を見ると、年輩の人が三十才、あとは二十五才、六才、七才ということで、われわれの常識から見ると、監督の能力のある人が非常に少いのではないか。一方請負業者の方では相当に経験のある年輩の人がやっているので、ちょっと監督しようとしても手が出せない。口を出してみても、まああなた方はお若いからということで、ひやかされるくらいのことが落ちじゃないか。南部さんを引き合いにしては失礼ですが、この御年輩くらいの人でしたら、ちょっと行かれれば、監督に来たと思えば、される方はきゅっと身が引き締ると思いますが、二十五、六才の人が行きましても、これは初めからなめられる。ほとんど監督をなさらないで、この工事はでき上ってしまったのじゃないかというような、実績によって、そういう疑問さえ私どもとしては起します。その点は予算の関係で、こういう人事をやっていらっしゃるのかわかりませんけれども、よほど公団でも予算が窮屈で、年輩の相当月給の商い人が採用されないで、やむを得ずこういう顔をそろえているのかもしれないと思うが、私どもの見ますところでは、やはり監督というのは、しろうと目に見ましても毎日やることじゃございません。節々が、電気工事にしろ、ダムの建設にしても、何にしても大事な時期というものはわかっているわけですから、目のきく、押しのきく人がたまにおいでになってごらんになれば、工事が完成しないうちに厳重な監督が、できるはずだと思うのです。これではちょっとできかねるだろうと思う。これは金岡だけで問題でありますけれども、方々にやっぱりこれと似寄った工事をお進めになっているはずだと思っておりますが、公団の職員というものは、大体こんな若い人がそろっているわけでございましょうか。そういう事情を承わりたいと思います。
  111. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 今の年輩の問題でございますが、金岡の場合でも、そういう若い者ばかりではございませんで、上の方では五十才と四十五才というのがやはりおるのでございます。
  112. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それは事務家じゃございませんか。
  113. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 全部技術でございます。
  114. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) それから今御注意のありました点は、もちろん今後とも注意しなければならないと思っております。現に今度のような窓のワクのところから水が漏れてきたというような工事は、たまたまやっぱり監督の目が漏れておったというのに帰すると私は存じております。
  115. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 三十才以下の人が技師、技師補と書いてありまして、年の上の人は副参事と書いてありますので、これは私の誤解で、事務の人だと思っておったのであります。  それから南部さんにちょっとお尋ねしたいのですが、セメントの検査ですね、分析、それはそんなに幾日もかかるものですか。問題が起ってから相当長いですね。私は、セメントの分析ということがこの問題の跡始末には一番大きい部分じゃなかろうか、ということさえ考えたのであります。結局手を抜かれたかどうかというような疑いを起すとすれば、それが一番大きな問題じゃないか。実は私自身はコンクリートの家に住んだことはございませんが、私の子供がそういう経験がありまして、ちょっと総裁のお話にありましたように、やはりしめり気が多い。特にできたてのときはしめり気が多い。二、三日閉め切りにするとカビが出てくることも子供によって経験しておりますが、しかしその程度によっても、セメントの質というものが非常に大事なことじゃないかと思っております。どうも全くのしろうとが考えるというと、セメントの分析というものは、そんなにそう幾日もかからないでも、比較的簡単にいくのじゃないかというような気持がするのですが、そんな簡単なものじゃありませんですか。
  116. 南部哲也

    説明員(南部哲也君) お答えいたします。実はコンクリートの分析試験も、すでに全部が打ち上っておるものでございますから、構造上耐力を持たしておるところを切るわけにいきません。それで、切る場所でございますが、これも相当検討を要するわけであります。そこで、また切る大きさでありますが、これは建設省の建築研究所と打ち合せまして、一個一立方尺程度のものということでございます。そういたしますと、これをハンマーで削るわけにいかんので、のこぎりみたいなものでうまく切り取らなければいかん。その機械の手配その他がちょっとかかりまして、切り取ってしまいますれば、あとはこちらで一週間くらいで結果が出ると思いますが、各棟棟別、請負業者別にこれを取るということで、いろいろ検討いたしまして、現地でいたしておるというようなことで、大へん結果がおくれましてございますが、入居者に迷惑をかけないで、なるべく切り取って、あとすぐ充填しておくというような措置の手間のために、そういった機械的準備のために、ちょっと遅滞したようなわけであります。
  117. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今度の問題で、しめっておるという問題、だれが考えても、セメントがどうだったかということが一番先に疑問を起す問題だろうと私は思うのです。窓の入口の所がちょっとすいておったとか何とかいうようなことは、これはむしろ小さいことです。どこでもそんなにすきがあるわけじゃない。セメントの質が悪かったということであったら、これは全体に及ぶ影響ですから、私としてはきょうの御報告には、それを一番先に御報告があるだろうと期待しておりました。しかし、どうも今まで承わっておりますと、なるほど強度を持たしてある所をぶち壊したら、それは大へんなことになる。そんなにたくさん取らないでも、方々何個所か少しずつでも取って調べれば、大体の見当はつくものじゃありませんですかね。それがおくれますと……。私の見込みじゃ、セメントが非常に大きな問題だ、疑惑のもとになるというようなことが多いのじゃないかというふうな気持がします。そうだとすれば、私のような疑問を持つ人が世間に多いとすれば、この問題は何とか早くはっきりされませんと、何だか故意にでもその問題を発表されないというような、また重ねての疑惑が起らないとも限らないわけであります。せっかく今準備中と承わりましたから、なるべく早くそれを一つ……、そして結果がよかったということになることを私は期待しておるわけですけれども、そういう意味で参考のために申し上げておきます。
  118. 西岡ハル

    ○西岡ハル君 ただいまいろいろ監督の点も出ましたが、ここの監督、現場監督、またこの指名を受けられた会社は、相当日本でも有名な建築業者の方でございますが、大きいからといって、必ず良心的にやっているか否かということ、公団の監督の方はむろんのことでございますが、この業者の監督、業者が良心的に工事を進めるということが一番大事じゃなかろうかと私は思うのでございます。この点で、今度のような非常な大きなミスまた大きな被害、生命まで落した、こういうような問題につきまして、私はどうもコンクリートの工合が悪いのじゃないか——この間から新聞にいろいろございました、子供さんの頭にコンクリートのかけらが落ちたり、ああいうふうな問題から考えますと、やはり良心的にいろいろ研究しなければならないし、また業者の力が良心的に仕事をすれば決してそういうことはあり得ることじゃないと私は思うのです。この工事の面で非常に不備な点があった、また不完全なものがあったというときには、今後請負また指名業者につきましても、指名に入れないでおきゅうをすえるぐらいに一つやっていただきますと、業者も今後建築に対して良心的にやられるのじゃないかと私は考えるのでございますが、この点につきましてどういうふうにお考えでございますか。
  119. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 公団におきましては、業者の選定というものはずいぶん厳重にやっております。それからもちろん成績の悪かった者は、その次の指名には入れないようにいたしております。そういうようなわけで、私は一番大事なのは良心的に仕事をしてくれる業者の選定にあると思うのでございます。いくら監督を厳重にしようといたしましても、良心的に仕事をしてくれませんというと、どこかにミスが生じてしまいます。それでございますから、どうしても良心的な業者、そうして何か瑕疵があったらすぐにでも行って直してくれるというような業者を選ばなければならない、こういうつもりで、相当業者の選定は厳重にやっているつもりでございます。従って、公団の仕事になれていい成績であったというものを、漸次数をふやしていきたい、こう思っております。漸次そういうふうにして、公団の仕事を良心的にするという業者、だれが見ても過ちのない業者というものが公団の仕事をしていくというふうにしていきたいと私は存じております。  今の子供の事件につきましては、あれは私の方ではなかったのですが……。
  120. 西岡ハル

    ○西岡ハル君 そうではないのですが、例として……。
  121. 秋山長造

    ○秋山長造君 私は前回、前々回、二回にわたりまして、金岡団地の工事の疎漏な点をいろいろ実例をあげて建設大臣なり公団総裁に御質問をいたしました。その結果、建設省でも公団の方でも現地について調査をされ、そうしてその結果、先ほど双方から現地視察の結果と将来の対策ということについて御発表があったわけであります。いずれにいたしましても、設計なりあるいは工事そのものなり、あるいはこれに対する監督面なりについて、きわめて不十分な点が多々あったということを、事実についてお認めになったわけです。さらに、それに対処する方針をも十分承わったわけですから、私はそれらの点は、一つ建設省並びに住宅公団総裁のおっしゃったことをそのまますなおに受け取りたいと思う。で、ぜひおっしゃった通りに必ず実行していただきたいということを申し上げまして、それらの細かい点についての質問は、きょうはもうくり返さないことにいたしたいと思います。  少し角度を変えて、別な面について御質問したいと思います。  まず第一に質問したいことは、この建設省の御報告にも、それから総裁の御報告にも、結露現象ということがしきりに使われておるのですが、あの結露現象を防ぐためにコンクリートの建物には防水セメントですか、何かそういうものを外に使うことになっておるのじゃないのですか。この点はいかがでございますか。
  122. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 結露現象につきましては、将来の研究課題でありまして、今やっておるわけでございます。御質問のありましたように、モルタルで内部を仕上げます場合にはいろいろな防水材を使ってもみ、いろいろなものを使っておるわけがございますが、そういうようにコンクリートの、地盤に接した中の方から水が出てきて、表面にたまるという現象ではないようでございまして、室内におきまする水蒸気と申しますか、その水蒸気が冷たい面に凝結してそこに露を結ぶと申しますか、そういう現象になるのでございまして、この前にもちょっと例を引いて申し上げたのですが、一番わかりいいのは、たとえ外から水のこない列車その他のガラス面がございましても、木部よりはガラスの方が外の温度の影響が、伝導質の関係ですぐ冷える、そうなりますと、中でスチームをたきますと、体温その他の熱で温度が上りまして、空気内の水蒸気が凝結する、そういう現象になるわけでございまして、われわれの方でもいろいろ研究はいたしておったのでございますが、非常に寒冷な所におきましては従来からもそういう現象の頻出が割合多く感じられますので、対策としても技術的にも考えておったわけでございます。大阪その他におきましては、そういうことが絶無であったとは申し上げかねますが、大体におきまして今までいろいろな経験上、多少そういうようなきらいはあったのでございますが、こういう問題にまで発展するような契機になりましたのは、いろいろな原因がありましょうが、今回が初めてでもございますので、そういう意味合いからいたしまして、われわれの技術陣容だけでは不十分かとも存じましたので、長期にわたって今後こういう結露現象の防止には、材料等においてどういうものをに使えばいいか、あるいは技術的には、これは話が変になりますが、美術館とか宝物殿とか、そういうものにつきましては、これは非常に私の引例はよくないかもしれませんが、空気の遮断層を取ったりいたしますと、そういたしますと、空気そのものがそんなに温度を伝導いたしませんから、外からの結露の方も相当防げるものでございます。ところがそういうことにいたしまするには、はなはだわれわれとしてはふがいないことのようにお聞きになるかもしれませんが、いろいろ単価その他の方に制約をいたされますというと、そういう十分なこともなかなかいたしかねたのでございます。もちろん内部には宝物でないわれわれ日本国民が居住いたすのでございますから、いろいろな点は十分考えたのではありますが、こういうようにひどくなってくるようなことは考えなかったのであります。この点は、先ほども申し上げましたように、われわれも、公団住宅を手塩にかけましていろいろこういう結露現象のできる原因につきましては、居住者の方々の御使用状況、これは今も統計的に公団自体としても調べておるのでございますが、やはり例をあげて申しますれば、アパート生活は留守が要らないので共稼ぎの方もおられれば、どうしても出がちの方がおられる。そういうような状況、それから内部でスチーム暖房よりはガス暖房の方がそういう現象が多いのでございます。そういうような事柄も、居住者の暖房の使用状況その他のものも、公団ではよく調べておるのでございます。これは、先ほど総裁から御報告のありましたように、われわれといたしましてもよくないことは再び繰り返したくないというので、謙虚な気持で居住者の方にも各戸について細大漏らさずお見せを願うように、公団職員も先ほど来現地に参りましてやっておるのであります。従いまして、秋山委員の御指摘になりましたように、材料その他の関係だけでもいきがたい点もございますので、二種工法その他の、工法もないでもないのでありますが、やはり住宅としての、何と申しますか、家賃と申しますか、そういうものとのはね返りの、見返りの範囲内で、何とかして、そういう現象のないようにしたいと思いまして、先ほど来研究を続けてきているような状況でございます。少しくどくなったようで恐縮でございますが、御了承願います。
  123. 秋山長造

    ○秋山長造君 私は、建築なんかのことについてはしろうとですけれども、しかし、ただ金岡団地は初めて手がけた住宅だから、まあ経験がなかったからということをしきりにおっしゃるのですけれども、なるほど住宅公団としてお建てになったのはこれは初めてかもしらぬが、しかし日本には民間住宅でも何でも昔からアパートなんかはたくさんあるわけなんで、だから当然昔からやってきた経験を持った業者も多いことだし、だからたまたま住宅公団が費用を出して建てた建築が初めてだという、初めてなるがゆえに工事そのものもやはり粗漏があったのも初めてだからやむを得ぬというのは、これはちょっと筋が違うと思うのです。だからやはりこういう結露現象に限らず、雨が吹き降りになってコンクリートの壁をしみ通って中まで入ってくる。この前、総裁のお言葉によると、これはコンクリートに雨がしみ込むのはあたりまえだと言わんばかりのお話があったのですが、しかし、それはあたりまえじゃないので、やはり雨が吹き降りになっても中にしみ通らぬような、何か技術的な工夫というものがしてあるはずなんです。だから、これはもう長い建築の歴史の上に公団も出発しておるわけですから、だから初めてやったことだからいろいろ手ぬかりがあったり、技術的に足りない点があったということは、私はあまりその理由にはならぬと思うのですよ、やはりこれは、先ほども建設省なり総裁が率直におっしゃった通りだと思う。だから、まあそういう点は私もくろうとでないから、あまり専門的なことは言いかねますけれども、とにかくこれは今後の改善を期していただくよりほかに方法はないと思います。それからこの工事の監督のことについては、先ほど竹下委員からお尋ねがあったのですが、私もやはりこれをいただいたときに、工事の期間とそれから監督をつけられた期間、監督官の勤務の期間ですね。そういうものとの食い違いがあったり、それからまたこれだけの大きな工事にしては、監督員のどうも数からいいましても、それからまた年令、まあ若いからいかぬということを私は言いませんけれども、若い古いにかかわらず、監督員の資格その他について、どうもこれでは十分な監督はできかねるだろうという感じをやはり持った。あなたの力で出されている住宅公団の年報がございますね。これを私ちょっと拝見したのですが、この中には工事の監督については特に重点を置いておるように書いてあるのですね。これは「業者の選定、設計上における斬新な創意、優秀な現場監督員の配置等の面に」特に注意しているということが書いてあります。これは去年ののであります。それからさらにまた建築部職員のうち、その半数を現場監督要員として充てて、特に工事の監督に重点を置いておるというようことが書いてあるのですが、しかしこれはもう全く今の金岡の話を聞きますと、この年報に書いてある事柄は全くこれは食い違っておる。それからもう一つは、私先ほどお尋ねした予定価格と、それから落札価格、さらに設計変更による最終価格、このうちで全部の工事が途中で設計変更になって費用がふえておるのですね。こういうことは、何ですか、これはもう始終あることなんですか。私この点がよくのみ込めないのですが。
  124. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 先ほど御指摘になりました監督員の点等につきましては、総裁からも報告書に書いておかれた通りでございまして、将来十分こういう点については強化をしていくようにいたしたいと存じます。なお、参事と書いてございますが、公団の職制の方は技師、参事は会計別で、専門職は全部建築出になっておりますので、その点は十分注意してやりたいと思っております。なお、設計変更の事柄でございますが、多少の設計変更の増減というのはあるのが相当多いのでございますが、この例につきましても調べてみましたところ、五階建をやっておるような所につきましては、一部根立工事をいたしまして——掘ってみて、そういうことをやりますと、地耐力の点でやや不足でありますので、基礎の大きさを大きくしたり、あるいはまた水道のパイプの引き込みその他の関係につきましてインチの小さいものを大きくしたとか、いろいろそういう事例があったのでありまするが、できるだけ当初に十分なそういう基礎調査をいたしまして、中途において設計変更等のないようにすることが望ましいのでございまするが、何と申しましても相当工期その他について張り切り過ぎて無理をしたという点もございまして、設計の期間も十分でなかったようでございます。そういう点につきましては、今後十分注意をいたしまして、できるだけ中途でそういう設計変更のないような設計で臨むように努力したいと、かように考える次第でございます。
  125. 秋山長造

    ○秋山長造君 それから次にお尋ねしたいのは、この金岡団地の用地の買収のことについて私少しお尋ねしておきたい。金岡団地の用地の買収価格を調べてみますと、大阪府が農民から坪八百円ですか、坪八百円で買ったものを、今度公団が大阪府から買う場合には三千八百円で買っておるのですね。その間のいきさつを一つ具体的に私承知したい。
  126. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 大阪府から公団は買収いたしたのでありまするが、大阪府の方におかれましては、当時、今御指摘のような価格で買収されたかどうか、さだかに記憶いたしておりませんが、大阪府の方では買収された価格とその後の金利等も考えられ、また公団の方にお分けを願うときのその付近の土地の時価等を勘案せられ、なおまた、その土地は大阪府におかれましては公営住宅の予定地として買収をなされておりましたので、そういう方については、それぞれ建設省関係の方に大阪府の方から御了承の取りつけを願い、また大阪府におかれては、その買収価格の決定につきましては、府議会の議決を経た上、でないと公団の方では買収ができないということになっておるわけでございます。従いまして、当初は、内々の適正な、今申しました価格で譲渡をしてやろうという了解はついておったわけでありますが、府会の正式に決定になるまでは、正式の取得権を公団は受けることはできないわけであります。従いまして一時公団としましては、大阪府から土地を賃貸いたしまして工事を始めたわけであります。そうして、その次のたしか十一月府会か何かで、今言いましたような基礎に立ったというお話で、大阪府の方では譲渡価格はこれ以上とするというように、府議会で御決議をせられたのでありますから、公団といたしましては、十分その価格を検討いたしまして、適正な価格であろうと存じまして、その価格で大阪府から譲渡を受けたような次第でございます。
  127. 秋山長造

    ○秋山長造君 それはきわめて形式的な御説明なんです。私がお尋ねするのはそういうことじゃない。公団の方が三千八百円で買収されたということは、それはもう適正なる価格だと思ったから買収したとおっしゃるにこれはもうきまっています、聞かぬでも。だけれども、私が質問しておる要点は、八百円だったものがどうしてわずかな問に三千八百円に値上りしたのか、その間のいきさつですね、まあ府会が決議して要求したということもそれは肝実としてあったかもしれぬけれども、府会が議決さえすれば、いくらせり上げられてもじゃ買うかということにもなってきまずから、おのずからあなたの方にはあなたの方で、坪についてあの土地はどれだけという何か基準があってしかるべきもの、そうでなければ、ただ府の方から吹っかけられただけを、はいさようですかと言うわけにはいかないと思うのです。だから、その間の詳しいいきさつを聞きたい。それで、今あなたがおっしゃったのは、金利その他という、金利ということについては具体的なお話があったのですけれども、金利は百二十二円でしょう、坪について。買収されたときの金利は百二十二円と私承知しているのですがね。
  128. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 私の申し上げましたのは、大阪府の方におかれましては、そういうような金利その他のものを考えたのが一応最低限といいますか、下限として考える、時価そのものを相当なものに考え、それを両方で大阪府の中で検討されて、そういうような三千八百円という議決をされたわけであります。公団といたしましては、その付近の長居その他の方も買収いたしておりますので、それをその付近のその当時におきまする隣地あるいは最も近い所の売買実例その他のもの等比較検討いたしまして、今申しました価格が適当だろうというので買収をいたしたような次第でございます。
  129. 秋山長造

    ○秋山長造君 公団が土地を買収される場合に、まあ時価ということを一つのたてにされると思う。その時価が出て、幾らかということを判断される基準というのは、やはりあの土地だったら堺市ですね、市の固定資産の評価額というものが、一つの一番有力な基準になると思うのですが、その点はいかがですか。
  130. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) お説の通り買収いたしますにつきましては、その付近地におきます当該市町村の土地に対する固定資産の評価額と、できるだけ最近における売買実例等を見まして、そのあたりは固定資産の評価額に対して倍率がどれくらいかということを見まして、そして譲渡をしてやろうとおっしゃる会社、民間の方には、その払っておられる固定資産の評価額を換算いたしまして、そういう倍率からすぐにわかるわけであります。この土地につきましては、当時幾らで買収されたのか、私もさだかに記憶いたしておりませんが、原則としては、今申しましたように当該地方における固定資産の土地に対する評価額と売買実例がそれに対して何倍ぐらいの倍率になっておるかということをキャッチいたしまして、そして買おうと思う土地の固定資産の評価額を調べまして、それとその倍率以内になっておるかというようなことを十分検討いたしてやっておるような次第でございます。
  131. 秋山長造

    ○秋山長造君 あなたの御答弁では、あまり具体的なことにお触れにならぬから、私の方から私が調べたことを申し上げます。  大阪府があの用地を買収したのは二十八年から二十九年にかけて、そして坪八百円で買っておる。だから少くともあの土地での売買価格というものは二十八年から二十九年当時は坪八百円だったわけですね。これは間違いない。大阪府が特に農民から安くたたいて買ったというわけではないでしょうからね。だからあの場所柄で坪八百円というのが売買価格と認めざるを得ない。それから堺市の三十一年、去年ですね、三十一年の堺市の固定資産の評価では、あの長居町分のこの土地は、坪が九百八十円、それから黒土町の分は坪が八百四十円なんです、市の固定資産の評価で。ですから、大体これはもう今日現在もあるいはそれくらいだと思う。それからまたあなたの方で買収された当時も、おそらく大阪府が買収した八百円程度から九百円そこそこぐらいの問とこれは認定せざるを得ない。にもかかわらず、それが一躍三千八百円で買われたというところに、どうも私は、ただときによって多少のそれは上り下りということはこれはあるにしても、あまりにもこれは倍率が大き過ぎる。四倍ですからね。その内容について詳細に調べてみますと、とりあえずこういうことになっているようです。大阪府が農民から買い上げたのが坪八百円、それからそのほかに買収当時から三十年、公団に売り渡した時までの利子が百二十二円ついているのです。それからこの受け渡しに必要な事務費に十八円、それからガス、水道施設費として坪当り六百円、締めて千五百四十円、こういうことになっている。で、千五百四十円というものがいろんないきさつがあって三千八百円まで値上りしているわけなんですね、受け渡しの過程において。だから千五百四十円ならば、まあまあ必要経費を含めての売買価格として一応うなずける線だと思う。それが三千八百円、二千二百六十円というものがプラスされて、三千八百円で府から公団の手に渡っておる。この点がどうも第一に疑問なんです。それからもう一つはさっき言いましたガス水道施設費の六百円というのも、私実は納得がいかない。と申しますのは、あの用地は最初三万坪ばかり坪八百円で府が買っておりまして、そうして半分ばかりを府営住宅を建てたわけですね。あとの半分ばかりはまだ手がつかずにおったわけです。それに公団の方が目をつけられて府から買収されたわけです。なるほどあの前の半分の府営住宅を建てた所は、これは府の手でガス水道の幹線を引かれたようですけれども、ところが公団が買われた土地は、これはもうただ農民から買い上げたままで、そのままになっておって、ガスや水道はあそこまでは引いてなかったのですね。そういうことを私は承知しているのですが、それらの点はいかがですか。
  132. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 私の申し上げましたことは、公団が土地を買収いたします場合には、時価を相当念頭におきましていたすわけでございまして、御指摘のように公団の方へ原価そのままでお譲りをいただくようになればこれにこしたことはないのでございますが、おきめになりました価格が三千八百円、時価その他から考えて、そう無理がないということで考えたわけであります。なお、ガスその他につきましては、計算はちょっと今の場合なんですが、普通土地を買います場合には、ガスあるいは水道の施設がその土地から何キロのところまできておるかということによって、公団として買う価格に相違をつけているわけであります。と申しますのは、今AならばAという土地と同じ価格の土地でありましても、そこへ建築いたしました場合に、現在いわゆる都市ガスなら都市ガスがきております所とその団地との間の離距が遠ければ、それだけ団地の中ヘメイン・パイプを引っぱってくるのに、ガス会社に対して、あるいは水道工事等について分担金を出さなくちゃならないようになっているのであります。従いまして、そういうことを考えられたのではないかというように考えられるわけでありまするが、公団としては、そういう事例がございますので、ガスがそばまできておりますれば、あとは団地内だけの工事でございますから、そういうようなことによっても土地の評価を変えておるような次第でございます。
  133. 秋山長造

    ○秋山長造君 こまかい御質問になって恐縮ですけれども、そうすると、大阪府は最初三万坪ばかり、現在の金岡団地の敷地を含めて全部で三万坪ばかり、この三万坪ばかりの全部の土地にガスを引くものという計画でガス供給法ですか、法律によって工事の助成金というのを幾分もらえることになっているのですね。それを九百六十六万円もらっているのですね、三万坪分として。全部へ住宅を建てるという前提のもとに九百六十六万円もらっている。ですから今度その半分をガス水道の施設費ということで公団側が坪について六百円も大阪府へ払われたとすれば、当然この九百六十六万円というものの中から、公団の買収された一万四千坪余りのものに該当する助成金というものが、公団の方に還元してこなければならぬのじゃないかと思うのですがね。ところが、それが公団の方へ入っていないように私は聞いているのですが、その点はいかがですか。
  134. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) そういう点につきましては、私もさだかではございません。ガス関係につきましては、確かに一戸当り、ガスを道路からアパートへ引きます場合に、個人住宅の場合も、ガス会社によって相違がございますが、三千円ないし五千円あたりの工事費はガス会社の方へ出すわけでございます。それは、その家の前の道路からその家に引く工事についてでございましょう。さらに今頭に浮びましたが、東京都内で青戸団地がございまして、ここに公団が千戸余り家を建てたのでございます。買収いたしましたときの価格は七千八百円くらいだったと記憶いたしております。数字は多少記憶でございますから確かでございませんが、それが千戸余りの住宅ができますと、現在はあの辺の土地が現にもう二万円くらいしておりまして、相当高値になっておるような状況でございます。従いまして、時価と申しましたのは、金岡の土地に大阪府が六、七百戸のアパートをお建てになりますというと、まわりの土地はうんと上るのが通例でございます。これのよしあしについては、いろいろ論議もあるようでございます。そういうようなことから、府の方では、時価はこうだああだというようなお話があり、とどの詰まりは、先ほど申し上げましたように、いろいろな角度から検討して、府は売るのならこの価格というように、これはまあ向う様のことでございますので、いろいろ所要の手続を経ておきめになったものであります。われわれとしましては、やはり公団内部で、先ほど申し上げましたように、普通の土地を取得する場合と比較いたしまして、その価格が適正だと考えて買収いたしました次第でございまして、それ以上、向う様の方でどういう計算をされたかどうかということは、私も今ちょっとわかりかねておるような次第でございますので、御了承願います。
  135. 秋山長造

    ○秋山長造君 当時、府と公団との間で、この用地の売買の局に当ったのはどなたですか。
  136. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 大阪支所の計画部の賃貸住宅課の方でそういう仕事を所掌しておったわけであります。従って支所長の指揮によって、そういうところで処理されたと記憶いたしております。
  137. 秋山長造

    ○秋山長造君 私の聞いたところによりますと、大阪の支所の元吉勇太郎という計画部長がおいでになる。その元吉計画部長と、それから府の建築部の幹部との間、ごく少数の人の間で話し合いが行われて、そしてこの三千八百円という線が出されたというように聞いておるのですが、これはあなた方、そういうことを御承知じゃないですか。
  138. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 私の聞いておりまするのは、先ほど申しましたように、こういうことに関係いたしましては、やはり府の方の総務部関係のところ、いわゆる府の財産の管理をいたしております部門のところがそれでございまして、買うときには安く、売るときには高くというのは、これは何と申しますか、人情と申しますか、公共団体であろうが、どこであろうが、変りはないんじゃないかと思いますが、そういうような折衝をされたのは、総務部のたしか会計課ですか、そういうような関係と、それからやはり評価委員会が大阪府にもあって、そういう方で時価の点で相当問題が大いに論議されてやったように聞いております。なおもう一つは、大阪府の方におかれて、これは率直に頭に浮んだので申し上げるのでございますが、あの土地は建設省から、いわゆる公営住宅の次年度用地というので、大阪府では国の補助金を得て取得された土地でございます。従いまして、その年度において、将来、そこに鉄筋の住宅をあれで建てられたので引き続いて建てていこうというような計画があったやに聞いております。しかしながら、いろいろ国の御方針その他によりまして、鉄筋アパートの大量のものは住宅公団が引き受けるように相なりまして、従いまして公営住宅の中の鉄筋の部分が、少しその年は減ったわけであります。従って大阪府におかれても、鉄筋を建てるのに、建てる場所として取得はしたけれども、すぐ建つ計画はないということ、私たちの公団の方といたしましては、土地の取得が何と申しましても、こういう面には一番でございますし、ちょうど格好な土地と存じまして、大阪府の方へ譲渡することを申し上げたわけであります。そこで譲渡をするについては、国庫補助も受けてある問題でもございますから、その土地を買収しても、さらにまた将来の計画として、大阪府が土地を買収するのに支障を来たさないように処理をするのがいいという条件で認可をされたように聞いております。従いまして大阪府がそれによって利潤を得ようとかどうとかいうようなことよりも、将来また木造住宅その他の公営住宅用地に、他に取得しなくてはならない、そういうので、そういう事柄も勘案されて、いわゆる正味の取得価格、先ほど御計算なさいましたそういう価格よりも、金岡の土地を売っても、その他の場所でそれに身がわるべき土地を将来買って、大阪府の住宅建設計画を遂行される、発足した公団にもすぐに使えるような土地を譲ってやれる所なら譲ってやれというような空気も、全国にみなぎっておったものでございますから、そういうような観点からせられたのかと私は推察いたす程度でございまして、その内容につきましては、さだかに申し上げる資料を持っていないのを遺憾とする次第であります。
  139. 秋山長造

    ○秋山長造君 ただいまの御答弁によりますと、あの土地を大阪府が最初農民から買収するときから、これは建設省が相当関係しておる、そうして買収の費用についても、建設省からかなりの補助金が出ておる、こういうお話なんですね。もし、そうだったら私はなおさら、ただ一般の商取引のように、売る方はなるべく吹っかけて高く売りつけるというようなことが、この公団と府との間で行われるべきではないと思うのですね。大阪府は建設省の指導によって、建設省から補助金をもらって、そうして農民から坪八百円で買っておったのでしょう。しかも、それが一度に三万坪全部建ててしまうということもできなくて、半分だけ建てて、あと遊ばしておったのでしょう。それと今度同じ建設省が関係し、また国の大きな金を使ってやっておる住宅公団が、同じ住宅建設という目的のために使うのだったら、主体がただ府と公団と、府と国と変るだけで、その趣旨はもう全然同じなものですから、なおさら府の方からむやみに一般の商取引のように吹っかけて高くされるということはあり得べからざることなんです。それからまた公団と府との間にあって、建設当局としてもその間のあっせんということか、何かそういうことがあったに違いないと私は思うのです。だから、わずか八百円で二年前に買ったものを、二年後には今度同じ目的でただ府がやるべきところを公団がやるというように主体が変っただけで三千八百円で買わなければならぬということは、どうも私はふに落ちないのですが、その点は一つ建設省の方からも私御見解を聞きたいし、それからなお、公団の方でももし聞かせていただければついでにそこらの事情を、もう一度聞かしていただきたい。
  140. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) この問題につきましては当初申し上げましたように、公団といたしましては近郷の価格の時価とも比較をいたしまして、公団の内部の価格、評価委員会等にもかけまして、それで適正だと思って買収してあるわけであります。いろいろお尋ねもありましたが、うろ覚えの聞きかじりのことを御参考に申し上げただけでありまして、それ以外のことにつきましては、八百円で府が買われたかどうか、そういうことにつきましても、私十分記憶もございませんので、その点は誤解のないように申し上げておきます。
  141. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 先ほど来お話の金岡団地の公団住宅の敷地は、私の承知しておるところでは、たしか公営住宅建設用地として大阪府が買収しておったものの一部を、公団に当初年度の事業を急いでやるというためにも、公団に協力する意味で譲渡されたというふうに承知いたしております。ところでこの三千八百円の価格の適否の問題でございますが、あの当時たしか二十八年、二十九年両年度にわたってだったと思いますが、公営住宅の敷地がだんだん取得しにくくなったという情勢にかんがみまして、次年度以降の用地取得の予算をつけたのであります。二十八、二十九両年度その補助、これは補助をいたします予算でございますが、その予算に基いて大阪府初め各地公共団体で公営住宅用敷地を次年度以降に公営住宅を建てるための敷地として買収しておると、ところがそれを特に協力する意味合いにおきまして、公団に譲渡しますについては、これは補助金が入っておるもので買ったのでございますから、補助金は、今度公営住宅…川敷地にならないと、補助金を返さなければいかぬというような事情に相なるわけでございます。それから公営住宅の建設計画といたしまして当然でございますが、なお大阪府としては相当の敷地が必要であるという事情もございますので、しかるべき別のかえ地を必要とするということになりますと、そのかえ地にはその年におきましても相当の時価でなければ入手できないというような事情があると考えられるわけでありまして、そこで公営住宅用敷地として買った土地を廃しまして、譲渡した以上別にかえ地を求める必要もあるというようなことから、その時の適正時価ということで、今の価格が検討された結果、決定されたものではないかと、これは、私はっきり断定的に申し上げるわけにはいきませんが、そのように推察されるのでございます。
  142. 秋山長造

    ○秋山長造君 建設省は、先ほど吉田理事がおっしゃったように、最初大阪府が農民から用地を買収したときに、まあ補助金は渡されたということはただいまお話があったのですが、それ以外に、あっせんするとか何か関係をなさったのかどうか。それから今度府から住宅公団へ譲り渡すときに、建設省がどの程度関係されたのか、その点ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  143. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 私が聞いておりますところでは、特にあっせんしたという事実はございません。これは公団側と府側との話し合いによって進められたと存じております。
  144. 秋山長造

    ○秋山長造君 吉山さんはその当時は大阪におられたわけじゃないのですか。
  145. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 買収業務の始まっているときは、もうすでにこちらの方へ参っておりまして、大阪ができると同時にこちらへ参っておりまして、大阪支所の方へは——本省として監督の責には任じておりましたが、直接向うに参っておりません。
  146. 秋山長造

    ○秋山長造君 では結局当時この用地の買収の現地の責任者といえば支所長ですか。
  147. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) さように存じます。
  148. 秋山長造

    ○秋山長造君 田中さんですね。
  149. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) そうでございます。
  150. 秋山長造

    ○秋山長造君 ただいまの住宅局長からも御答弁があったわけですけれどもね、どうも私はわずか二年前に八百円で農民の手から取り上げた土地が、二年後にはもう三千八百円になったということには、私納得いかない、ただいままでの御説明を聞いたところでは。で、この点は私どうも納得いかないままで、引き下がるといつまでもあと味が悪いから、一つ適当な機会に、なるべく早い方がいいのですが、一つ現地の当時のいきさつをよく知った人に来ていただいて、私は詳しくこの点を説明していただきたいと思います。と申しますのは、もう総裁も御承知だと思うのでありますけれども、六日に私大阪駅で買った新聞ですが、読売新聞の社会面に、五段抜きで住宅公団の大阪支所をめぐるこのいわゆる不正事件という見出しで、まあいろいろなことが出ているんです。これはおそらく御承知だと思います。で、私これはこのまま全部確かなものだということを受け売りをして申し上げることは、これは遠慮しますけれども、ただこの中に書いていることをいろいろ読んで見ますと、うそだと私は言い切れない節があるのじゃないかという気もするんで、特に読売新聞という権威を持った新聞がこれだけ大きく書いていることなんですからね、私は全然事実無根なことを初めからしまいまで書かれているとは思えない、あるいはこれに似たり寄ったりなことがあるのじゃないかという気がするのは、これはあたりまえだと思います。で、これはある大阪弁護士会所属の弁護士から大阪府の警察本部に対して告発状が出されたその内容なんですけれども、まあ詳しくは申し上げませんが、この金岡団地の総管理人藤井勝治という人についての告発状なんですね。何か水道料金を昨年の五月から九月まで五ヵ月間、二万四千円水増しをして余分に集めて、それを横領しておったということが一つの告発の事実として上げられておるのですがね。この点はきわめて具体的に書いてあるわけですけれども、これらの点は公団の方でどういうふうにお考えになるのかということと、それから公団のとの請負入札のときに、マッチの軸木で落札者等をきめる抽せん談合をやっているグループがあるということも、この中に書いてあるのですが、この前も私御質問したのですけれども、入札り場合にまた談合をやるということは、これは公然の秘密一のようなことで、この問も新聞へ出ておったかと思うのですが、建設省から行かれた南部さんですか、あるいは不破さんでしたか、どちらかの、この新聞へしゃべっておられた談話の中にも、どうも談合ということはあってはいかぬことだけれども、どうも現実の問題として、これは今のところ、どうにもいいきめ手がないのだということを語られておったと思うのですがね。どうもこういうような一連のことを考えて見、さらに八百円で農民から取り上げたものが、一、二年たつ間に三千八百円になるということは、これはすぐそれとこっちとをくっつけるわけじゃないけれども、どうも私不明朗なものを率直に言って感ぜざるを得ないのです。これらの点は、先ほど座談的には、加納総裁はそういうものは誣告罪で告発するというふうにおっしゃっておられましたけれども、しかし、これはいずれにしても住宅公団というものが、これは当初の目的通り私正しく公明正大に、しかも効果的に運営されるということを、私も国会議員の一人として、国民の一人として念願するにやぶさかなものではございません。これだけのものが新聞に大きく出ておりますから、こういう問題についてどういうように対処されるか、総裁の御見解をお伺いしたい。
  151. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 今の新聞の記事でございますが、私も調べております。そうしてそういうことはないと思っております。しかしこれは司直が調べまして、いずれほんとうのことがわかると思います。それまでは私はその記事を信じておりません。
  152. 秋山長造

    ○秋山長造君 信じておらない……。
  153. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) はい。
  154. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) ただいま御指摘のありました水道料金云々につきましては、私が今まで調べ、報告に接しておりますところを申し上げます。本日も大阪支所と電話その他で打合せをいたしておりますが、水道料金の問題は、まず第一は、ああいうような団地に水道をつけます場合に、できるだけ各戸にメーターをつけまして、各戸で各家庭の方々が使用になられました水道料金を、直接当該水道関係、堺で言えば堺市でございます。堺市で取り扱いを願うのが、われわれの念願でございます。ところがやはりそういう点につきましても、一戸々々の検針はなかなか困難だというふうな事柄に、まず当初直面いたしたのでございます。従いまして、現在におきましては、水道料金は各戸検針をしていただいて、堺市に直接お納め願っておるような次第でございます。当初は、こういうアパートに対しまして、そういう各戸横針という点になかなか市の力で御理解を願えませんでしたので、やむを得ず公団住宅の水道料金は、公団住宅へ参ります本管のところに取水のメータを取りつけまして、そこのメーターで一括検針をしていただきました料金を堺市の力へお支払いをしておったようなわけでございます。ところがやはり水道料金は各戸からいただかなくてはなりませんので、公団といたしましては、公団の管理人その他が各戸のうちのメーターを見て参りまして、そして全部の金と照し合せながら、いただくようになるわけでございます。そのときにも、堺市の各戸に検針をした場合の条例によるような料金を算定いたしますというと、使い方が幾らか少くても、基本料金というのがございまして、極端な場合には、その年に使わなくても水道料金を出さなければならない、そういうような水道料金の算定をいたしまして、集めて支払いをしておったわけでございます。従いまして、そういうようなことをやりました三月間の期間は、全体のもとで検針をして払いました価格と、各戸から集めました価格とは差がございます。総計で数千円程度でございますが、そういうものが三月間たまったわけでございます。従いまして、管理人の藤井何がしは、公団住宅のそういう幹部の、住宅会その他の幹部の方々のでも、これこれしかじかの理由で、これくらいの金額が水道料金として残ってございます、どういうようにいたしましょうかということを申し上げたそうでございます。それがどういうように回り回って間違いましたのか、ただいまお読みになりましたような新聞記事になったように聞いております。しかも電話でございましたので、その点は文書その他で確認をいたしたいと思いますが、告発された方につきましても、そういう事柄をお取りやめになったようにも聞いたのであります。なおまた、先ごろ来、建設省からもおいでを願い、公団からもおくればせではございましたけれども、それぞれ補修その他もやりましたので、地元の金岡住宅の方々が、その管理人の藤井何がしに、どうも済まないことだったというように言われたという電話連絡があったということを先ほど聞いたのでございます。そういう程度でございまするので、その点もまだ電話連絡でございますので、詳細の点が聞き違い、言い違いもあるかもしれませんが、そんなような状況でございます。  なお、第二に御指摘になりました業者のマッチその他による談合云々でございますが、これはいろいろな風評も私も耳にいたしております。しかしながら、そういうことは私はないものだと信じております。もしそういう談合その他のことがありますれば、やはり先ほど御指摘の、工事がよくでき得るはずもございませんし、またよくできましても、そういうような事実があれば、将来の指名その他については、われわれ顧慮せねばならぬと考えております。
  155. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあその水道料金云々ということは、ここへたまたま書いてあるから、たとえとして言たっだけで、今おっしゃるようなことであってほしいと私も思います。ただ談合ということについて、古田理事は全然そんな事実はないとおっしゃったのですが、この同じ日の同じ読売新聞ですが、監督理官ですか、この監理官の現地を見ての談話の中には「業者の選定は官庁工事の経験者である藤原建築部長、元吉計画部長の二人できめられた。入札についての談合は建設行政のガンになっているが、工事単価をあまり切り詰めると工事を手抜きされるおそれがあり、全面的に禁止するわけにいかないようだ」と、こう語られて、この公団住宅の入札について、やはり談合があったということを事実として認められているような発言が新聞に載っておるんです。この通りしゃべられたかどうかという問題は残りますよ、残りますけれども、そういうことがここへ書いてあるんです。この点はどう解釈したらいいんですか。
  156. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 人様のおっしゃったことでございますし、新聞で書いておることの事実がどうかということは、私お答えいたしかねるのでございます。ただ、そういうことがよく言われるのは、ときどき耳に入りますが、そういうことのないようにやるように指示もいたしておりまするし、今回の場合においても、そういう事実については私はないと信じております。
  157. 秋山長造

    ○秋山長造君 あなたのお話ははっきりしておるので、そいうう市実はないとおっしゃるんですけれども、片一方は、そういうことはやむを得ぬというように肯定的なことをしゃべっておられる、しかし、それは菅さんがここにおいでにならぬのだから、言うてみても始まりませんが、これは菅さんからあらためて聞きたいと思いますけれども、しかし、もしあの工事の入札についてそういう事実があった場合、あなたが今ないとおっしゃることは、もしあった場合には、これはうそをおっしゃることになるわけですね、そのときにはどうなりますか。あなた方はきっぱり責任をおとりになる心がまえというものは持っておられるんですか、いかがですか。
  158. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 私は先ほど来申し上げておりますように、そういう事実はないと信じております。もしそういうことがありますれば、そのときにおいて、対業者の処置、あるいはみずからの処置につきましても、そのときに適切な処置をとりたいと、かように考えております。
  159. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあ今の点は、これは菅さんがまたこの席においでになった場合に、あらためてそのあなたの御答弁との食い違いについて御質問したいと思いますが、さらにこの新聞記事を読みますと、もっとひどいことが書いてあるのでです。「公団職員に落札予定額の内通謝礼」、内輪に知らした謝礼ですね、「内通謝礼および工事期間中の買収や、もてなしの費用として約一割、落札業者の荒利益約二割というのが常識化しているといわれ、これでは採算がとれないと、落札者はセメントや建築資材の横流しで、この穴を埋めるため、工事には公団支出金の五割程度しか使われていない」といった実情だというようなことを書いてあるんですね。私はこれがもうこのまま一分一厘間違いないとは保証できませんけれども、しかし、全然こういうようなことに類するようなことがないとも私は保証できない。まあいずれにいたしましても、前々回から申しますように、国家的な、大きな国策に沿って国の大きな資金を入れて、そして勤労者の住宅不足を解消して行こうということで出発し、またそういう大きな国家目的を追求しておる、この住宅公団について、こういう種類の、まあ、えてして公共事業なんかにありがちなことですけれども、同じようなことが公団住宅についても、とやかく世間で言われるというようなことは、私は実に不愉快なんです。これはもうおそらく総裁以下、またそういう質問をこの席でお受けになる方はもっと不愉快だろうと思う。これはもうお互いに不愉快なことなんです。不愉快なことだけれども、かりそめにもこういう、これに類するようなことが事実としてあれば、これはもう断固として、やはりあなた方の責任において、私は処置してもらわなければいかぬと思う。そうしてあくまでこれは、ほんとうに文字通り公明正大な運営をやっていただかなければ、これはもう事はただ国の住宅政策の根幹をゆるがすということだけでなしに、政治そのものの信頼にかかわり、また建設当局政府そのものの信用にかかわると思う。こういうことは疑ってかかればきりがない、疑ってかかればきりがないけれども、また、これはもう絶対にそういうことはあり得ないといって、いいかげんにほうっておいて、事実あった場合にはこれまた大騒ぎしなければならぬ、こういう問題について、まあ総裁が現地に行かれて、こういう金銭的な問題はともかくとして、工事そのものについて疎漏な点、監督について疎漏な点、また現地の事業運営についての不十分な点、サービスの不十分な点があったということは、これは少くともはっきりお認めになっておる。その上、こういう問題が、そのほかには絶対ないということであってほしいと思うのですがね。建設大臣いかがですか。こういう問題について何かもう少しはっきりしたというか、すっきりしたというか、そういう運営の方法というものはないものですか。たとえば入札なんかの手続その他にいたしましても、それから公団の運営、特に現地での運営ですね、そういう面について、あるいは業者とのいろいろな接触面について、もう少しすっきりしたやり方というものはできないものですか、いかがですか。
  160. 南條徳男

    国務大臣(南條徳男君) ただいま金岡団地の問題につきまして、いろいろと御心配、御配属願いましたけれども、まことに感謝もし、恐縮に存ずるものであります。ただいまの御注意の問題につきましては、すべての建設省が扱っておりまする請負業者の指名の問題でございますが、これは今までも、いろいろこれらの問題につきましては、事故のあるようなこともありますために、これらについては、指名のやり方、方法等については十分研究いたしまして、さような疎漏のないような措置をとっておるわけであります。しかしこの住宅公団のような、あるいは公営住宅のような、特別公共性のあるものにつきましては、この点については、とくと留意しなければならぬ問題でございまするので、ただいま御指摘のような新聞記事等がありますると、特に国民の疑惑を受けるわけでありますので、これは特にすっきりした形において処理したいと、こう考えるようなわけでございます、まあこういう問題が起きたのを機会に、私ども建設省としては、このことが起きたことはともかくとして、今後どんどん公団住宅というものが拡大され、建築されるわけでありますので、先般来、建設省といたしましても、公団当事者、理事者側にも十分建設の場合における監督、請負契約等についても、すっきりした形においてやるべきことはもちろんまたこの管理という面に非常に、今後住宅がふえればふえるほど、力を増強して、そして手落ちのないようにしなければ、とかく集団的な団地でありますから、借家人同盟というものもできたり、それと借家人と家主というものか対立的な団体交渉がふえたのでは、一そうどうもうまくない。でありますから、管理の面において特にこれは考えなければならぬというようなことを考えまして、今度の問題につきましても、事実さような手落ちもあったと思いますが、この管理の面において、どうも私は公団の方の現地の人等が手落ちがあったように思われます。そういうような点が入居者の感情を刺激したことが大きな原因でなかったかと思いますので、今後は、これらの点について十分公団の理事者側に注意をしてもらい、そうして今後の公団住宅の運営というものについて、国民の疑惑なり、あるいは御心配をかけないようにか行きたい、こう考えておるような次第であります。
  161. 秋山長造

    ○秋山長造君 先ほど住宅局長のお話では、今後の監督あるいはこの技術面の改善、あるいは公団住宅の建設費の基準の再検討というようなことのほかに、今回の金岡団地の問題についても、さらに厳重に調査して、そしてはっきり責任者の処置までつけると、こういうお話があったのですが、これはもう建設大臣のはっきりした方針と承わっていいでしょうね。
  162. 南條徳男

    国務大臣(南條徳男君) 先ほど住宅局長からも御答弁いたしましたように、この問題はまだ綿密に調査をいたさなければならぬ点も残っておるようでありますから、これらを十分調査いたしまして、その結果において、処置すべき点については十分この責任者等についての処置を考えたい、信賞必罰を明らかにして、きびしい形で臨んで、将来に禍根を残さないようにしたい、こう考えております。
  163. 秋山長造

    ○秋山長造君 私はぜひ早急にその通り実行していただきたいと思うのですが、さらに詳しく調査を続行されるということですから、その続行される場合に、先ほど私が公団当局に繰り返しお尋ねしておりました用地買収の手続上の同順、それからただいま新聞に書いてあったことの一端をちょっと読み上げたのですが、こういうような問題あるいは請負、入札にからまる談合等の問題、こういう問題についても、あなた方警察官でないですから、あまり無理なことの要求もできませんが、しかし監督官庁としては、ある場合はこれは警察当局なんかよりも、もっと徹底したこともやれないこともないと思う。私は一つこれはぜひ徹底的に調査していただきたい、そして黒白を明らかにしていただきたい、これを建設大臣にお願いします。
  164. 南條徳男

    国務大臣(南條徳男君) 今申し上げた通りでありますから、至急その点の処置をいたしまして、なお今御指摘の土地の売買価格の点において、いろいろ疑惑なり、御疑念があるようであります。これは先ほど来このことを聞きましても、公団側においても実際に売手の方の事情はわからぬ面があると思う。これはやりは大阪府の側にその真相を聞いてもらわなければ、すっきりしないと思っておりますが、建設省といたしましては、当時の大阪府における売買価桁あるいは契約当時の状況等も、建設省の方からも向うに問い合せまして、これらの資料をまた加えて申し上げたいと思います。
  165. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと私から追加して二、三お聞きいたします。  先ほど南部監理官からの報告によりますと、四月四日付現在で調査したところによると、数百件この瑕疵のあるところを発見した、そうでしたね、四月四日付。
  166. 南部哲也

    説明員(南部哲也君) 住居者のクレームです。住居者が、あそこが悪い、ここが悪いという苦情です。
  167. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 苦情が数百件と言いますと、はなはだ数がばく然としておるのですが、もう少し詳しく、どの程度ですか、三百件とか、四百件とか。
  168. 南部哲也

    説明員(南部哲也君) 約六百件であります。
  169. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 約六戸件ですか。そこで、この前加納総裁が、この委員会で秋山君の質問に答えられた場合には、二十六、七軒悪い点がある、それに対してはほとんど直して、一軒だけまだ直さないのがある、そういうように大阪の支所の方から聞いておるという御答弁であったように思います。そうでしたね。……そうすると、十軒や二十軒の違いなら私ども聞き逃がせるのですが、あまりにもその間の数の開きが大き過ぎる、そういたしますと、大阪支所の住宅公団の本部に対するいろいろな報告ですね。こういうものは全くでたらめじゃないかという感じがするのです。もちろんこの約六百件の苦情というものが、全部苦情通り不当個所ということにはならぬかもしれませんが、これは私はその半分が実際に手入れしなければならぬ不当個所だとしたって、それにしたって数の違いが多過ぎる、二十六、七と六百じゃ。こういうところから見ると、ずいぶん大阪支所の一つの運営と言いますか、相当問題があるのじゃないかという感じを受けておるのですが、たまたまこの南部監理官から、こういう数字を聞いたのですから、その感じを非常に強くしておるのですから、あなた方どう考えますか。
  170. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) どういうふうに速記になっておるか存じませんが、二十九軒そのときにあって、二十八戸だけは修理を終えて、あと一戸はじき一両日のうち直しますと申し上げたのは、つまり窓のふちから雨が漏れて入って来ておる、その修繕の個所のことを申し上げたわけです。その他故障というものは、もう家を持っておりますと、のべつにあるのであります。これは非常にクレームがあるのでございます。申し上げたのは今の窓ぶちのことだけ申し上げたのです。
  171. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 委員長ちょっと……。
  172. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それに関連してですか。
  173. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) そうです。先般来、前の委員会で総裁が申し上げましたのと、今度調査の違いについて率直に申し上げます。前回報告がありまして集計いたしましたのは、大阪支所が、金岡団地の居住者の方々の方からクレームがありましたものを受け付けて、受理しておる内容のものだけの集計を申し上げた次第であります。もちろん集計の方法が、集計と言いますが、みずから飛び込んで行ってまで調べないような積極性のなかった点については、先ほど来、遺憾の念を表して参った次第でございますが、今回参りまして、秋山委員からお示しのありましたような事例があるかどうか調べに参ったのであります。秋山さんの方にお出しいたしました資料は、これも突き合わせたわけでありませんから、さだかにはわかりませんが、金岡団地にございます住宅会という方で、十五日に、公団の力には全然別途に、どういうところをどうしてほしいかということをお調べになったのがある、それが四百幾ら、四百四、五十あったわけで、そのときにはっきりと、秋山委員から数字のお示しがなかったのでありますが、われわれの方の資料は、大阪支所がクレームとして、受け付けたものの処理並びにそれの集計を持って来ておったので、ありまして、秋山委員の御指摘のありましたのは、クレームとして公団の方にはじきじきお持ちを願えませんで、はなはだこれはわれわれとしては申しわけないのでありますが、秋山委員の方へ、こういう資料だと言ってお持ちになったのと、そういう工合で食い違ったのでありまして、さっそく大阪支所におきましては、住宅会の方々にも、そういうものがあれば一日も早くこちらの方へお示しを願えば、至急に直しもいたしましょうというので、そういう資料をやっと住宅会の方々からもらいまして、それを突き合してみましたら、いろいろ大小さまざまのやつが四百何件ある、こういう事情でございます。
  174. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 四百幾つですか。
  175. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) その点もはっきりした集計もいたしてございませんが、四百四、五十と記憶いたしております、それから、その当時さらに公団からも参りまして、いろいろ留守のところも全部回つたのでありまするが、まだ幸か不幸か、回りましたときに居住者の方がお留守で、中へ入って調査のできなかった点も一部ございます。そういう点につきましては、われわれの方といたしましては、言ってこられたクレームだけを取り上げてやっておったことは、これは公団としても非常に消極的でございました。秋山さんからお示しを願うまでもなく、われわれの方から飛び込んで行って、そういうクレームに応じなくてはならないのでございます。そういうものが四百四、五十あった。なお一部はお留守その他で、さらにまた全戸について調べておりますから、やって行きたいと思っております。そういうものの中には、やはり御存じなくて、うちはもうカビなんかございませんよと言われましても、やはりよく調べよということで指示をいたしましたが、そういううちへもお許しを得て中へ入りまして全部調べております。先ほど申しましたように、カビの発生は結露の関係が唯一の関係でございます。先ほども指摘がございましたように、私どももこの席でお誓いいたしましたように、十分その点を調べまして根本的に解決をいたしたい。なおまたクレームとして追加いたしましたものなどに関しましても、急速手直しをいたす、あるいはまた補修をしなければならぬものについては補修をいたす、そのため関係方面とも連絡をいたすなど、ただいまそういうような処理で取り進んでおるような次第でございます。はなはだ、われわれの方が飛び込んで行かなかった結果、こういうことになりましたことは、私どもといたしましても非常に皆様に申しわけないと思っております。
  176. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それからもう一つ、私はまあ技術的な点がよくわからぬ点があるのですが、お出しになった報告書の付録の別紙三に、竣工検査状況というのが書いてありまして、竣工検査月日というものがここに書いてあります。これはもうほとんどまあ一日で検査をしておりますが、これはどうなんでしょうかね。実際にどの程度時間をかけてやっておるのか、ただぱっと見て回った程度ということなのか、どういうことなんでしょうかね。たんねんにやれば相当日数がかかるようにも思うし、それからこれほどたくさんのあとからの問題が出ておるのですから、その当時に相当発見されるべきものだと思うし、この竣工検査日というのは一日ぐらいでいいのですかね。
  177. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 竣工検査につきましては、その建物の規模によりまして検査の日数は違ってくるわけ、であります。特にこういう住宅におきましては、各戸について、それから建具その他につきましては、全部動かして一応やるわけでございますので、相当な日数を要するわけであります。これはおのおのそういうようなことに関連いたしまして、監督課長を班長といたしまして、監督官を随時出しまして、延べにいたしまして約五百日ぐらいになったと思いますが、そういうような監督をいたしたわけでございます。御指摘のように、そのときなぜわからないかという御質問でございますが、今の結露現象その他につきましては、遺憾ながら、そのときには全然そういう現象が出ていないのでございますので、これはそのときには、そういうことはわからないのは私どももやむを得ないと思います。なおまた、窓その他からの雨水の侵入その他も、これはよほどのものがない限り、異状があるかどうかをずっと見て回るわけでございますから、非常に変な工事がありますれば、すぐわかります。それがない場合には、一々それをずっと見て目を通して行くわけであります。その方の指示はいたしてございます。十分検査はいたしております。ただ、中には節やその他のものがあるものですから、そういう点で、後刻そういうふれとか、曲りとかいろいろ出て参りますが、検査をいたしました直後には、そういう事例がなかったように聞いております。それが真相だと私は考えております。
  178. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それから手直し完了日というところに、ずっと日を書いてあります。ほとんど全部手直しをしておるようですが、これはどういう工事でも必ず若干の手直しというものは全部あるものですか、手直しをしなくてもいいように思うのですがね、しっかりやれば。これは全部してますね。こういう点はどうですか。
  179. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 工事につきましては、大小手直しというのがほとんどあるのが通例でございます。これは申し上げ方が非常にへたかもしれませんが、必ず検査をしましたら、あとに手直しをやらすのが通例でございます。
  180. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 最後に、この管理の問題ですが、住宅公団の場合には、一応国が家主のような格好になる。しかしそこの居住者ですね、居住者はああいう集団的にたくさんいるわけですし、そうしてまあその家賃の構成と言いますか、そういうものは、公団の職員の人件費等まで全部含まっているものなんでしょう、計算の仕方で。そういうふうになってきますと、もともとあれは税金で建てた建物ですし、だからその普通の個人の家主がたな子を入れているというふうなものと、若干感じが違ってくるのじゃないかと思いますね。全部公けの費用なんですから、言ってみれば、洗ってみれば……。そうしてたくさんの人がそこに住んでいる、そういうようなものですから、この金岡団地なら金岡団地自身を運営して行く場合に、公団の職員の人だけが何か家主というような立場で支配して行くのじゃなしに、やはり居住者自身の一つの組織と言いますか、そういうものが金岡団地の運営にも堂々とタッチして行く、こういうことの方がほんとうのように思うのですが、これは少しそうでなく、何か非常に無理があるように思うのです。むしろその方がスムースに行くのじゃないか、だれだって自分の居住地をお互いにきれいにしたい、住みよくしたいという希望を持っているのですから、そういう善意の希望はみな持っているのですから、むしろそういうものなら、もともと全部これは税金ででき上っているものだから、積極的に公団の運営自身に参加させる、参加のさせ方にはいろいろ検討の余地があろうと思いますが、これはしかし公団だけの気持だけでは処理できない、若干法的な問題にも影響するかもしれませんが、こういう点について、今度のまあいろいろ争いが起きたことを契機にして、私ちょっと感じた点ですが、やはりものすごい勢いで皆さんやって来ましたが、そういう点、建設大臣の方でどんなような感じを持っておりますか。
  181. 南條徳男

    国務大臣(南條徳男君) その点については、先ほど私からも今後の処理として、だんだん住宅がふえればふえるほど管理がなかなかむずかしい、管理の方法としては、十分これは一つ新しい考え方をもって、そうして入居者に不満を与えないように、感情的に対立しないようにやらなければならないということを公団の方にも指示しておりますが、今の委員長お話のようなことも十分考慮に入れまして、今後の管理、運営方法、善処方については、十分とくと考慮いたしたいと思っております。
  182. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ほかに御発言ありませんか。……他に御発言がなければ、委員会はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会