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1957-04-03 第26回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月三日(水曜日)    午前十時二十九分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員荒木正三郎君辞任につき、そ の補欠として北村暢君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            秋山 長造君    委員            木村篤太郎君            迫水 久常君            西岡 ハル君            松岡 平市君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            北村  暢君            田畑 金光君            永岡 光治君            森中 守義君            八木 幸吉君   政府委員    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    外務政務次官  井上 清一君    外務大臣官房長 木村四郎七君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    農林省農地局長 安田善一郎君    郵政政務次官  伊東 岩男君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    外務参事官   安藤 吉光君    文部大臣官房総    務参事官    斎藤  正君    郵政大臣官房人    事部長     大塚  茂君    郵政省経理局主    計課長     上原 一郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。本日付、荒木正三郎君が辞任され、その補欠北村暢君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案に関し、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起して。
  5. 八木幸吉

    八木幸吉君 ただいま行政管理庁からいただきました資料によりますと、文部省に現在欠員が千三百六十二人ございますが、これはどういう分布になっているのですか。
  6. 斎藤正

    説明員斎藤正君) これは大部分国立学校関係でございます。その分布状況はちょっと持ち合わせておりませんが、大部分の数が大学でございます。
  7. 八木幸吉

    八木幸吉君 現在増員を要求しておられます三百六十一人のうちで大部分学年進行関係になっておるのでありますが、これと欠員関係はいかようになりますか。
  8. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 実は大学欠員ができますのは、それぞれ一人の人を埋めますにつきましても、専門のその講座適任の学者を選びますためで手間取るということで、こういうふうに欠員が、ある時期を押えますと、出るわけでございます。学年進行と申しますのは、これは御承知のことと思いますが、ある年次学部を創設する、ある年次学科を設置する、こういうことをいたしますとそれを四年計画で充実して参りますので、過去においてたとえば航空学科東京大学に置くといたしますと、それを大体四年間に逐次人員の充足をしていくということがまあ学年進行でございまして、学年進行は、昨日行政管理庁で申し上げましたように、三百十四名、大部分のものが学年進行でございますが、これは東京大学以下二十一の大学院の整備、あるいはたとえば鹿児島大学の医学部というように学部を創設したと、あるいはただいま申し上げましたように、東京それから九州等航空学科その他技術関係学科を創設した、それから夜間の短期大学を若干国立大学に創設いたしましたこと、そういうのが順次まあ毎年若干ずつ増員になってくるわけでございます。そしてこれは今までのところ大体三十三年、三十四年あたりで、一応のまあ学年進行の従来の分は峠を越す、かような関係になっております。
  9. 八木幸吉

    八木幸吉君 年を逐うて整備していという意味であれば、たとえば欠員か千三百余名あると、一年は臨時的に、何と申しますか、いわゆる常勤職員のようにしてその欠員等をアジャストするというような方法はむずかしいのでございますか。
  10. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 定員関係大学充足という観点から申しますれば、大学の側に立ってみますればこれでもまあ十分ではない。順次年を逐ってまだ内容を充実して参りたいということでございますので、その欠員関係を一挙にここで調整してしまいますることは、大学先生人事の運用の面から困ることになるのじゃないかと思います。で適任者がおられれば、これはまあ過剰な定員を抱えているということではございませんので、必要最小限度定員でございますので、適任者かありますれば、いつでも埋められるようにしておくことがいいと思うのでございます。ただおっしゃいますように、一見非常に多くの欠員を抱えておるようでございますけれども、これも実は何しろ大学にとっては講座適任者のたった一人を探すというようなことでございますので、行政管理庁一般職員充足するようなまあ軽易な方法ではなかなかいかないので、その程度の余裕は見ておくことがいいんではないか。もちろん過剰な、からの欠員がいつもあるという状態は好ましいことではございませんけれども、これを一挙に新規の増で調整いたしますことは、大学人事の面の上においてはかえって好ましくないのじゃないか、かように考えております。
  11. 八木幸吉

    八木幸吉君 少し他の問題でありますが、文化財保護委員会四百二十四名の定員があるわけでございます。この中はどういうふうな配置になって、どういうふうな仕事の分担になっていますか。簡単に伺いたい。
  12. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 大体庶務、それから管理関係職員が、これは事務局に二十五名、それから会計の関係が十九名、記念物関係をやっておりますのが十一名、それから美術工芸関係が二十三名、建造物関係二十一名、無形文化財が十名となっております。そのほか文化財保護委員会には御承知通り東京博物館以下付属機関がございます。東京博物館で百七十三名、京都の博物館で四十七名、奈良博物館で四十四名、その他研究所がございまして、東京文化財研究所三十六名、奈良文化財研究所十五名、以上のような分布になっております。
  13. 八木幸吉

    八木幸吉君 文化財研究所というものはどういうことをやっているのですか。
  14. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 文化財研究所と申しますのは、たとえば東京文化財研究所でございますが、これは昔の黒田先生がやりました美術研究所の後身でございます。私も実はここで全貌は承知いたしておりませんけれども、たとえば最近の文化財研究におきましては、いろいろ科学的な方法によりまして、たとえば仏像等調査いたしますにつきましても、透視等によりまして鋳造の方法あるいは接続の向き、そういうものを写真にとりまして、従来できなかったものを、知られなかった分野についても相当のまあ開拓をしております。その他いろいろの文化財関係の、東京文化財研究所のごときはいろいろな文献を十分整備しておりまして、その目録等につきましても、日本といたしましては相当程度整備したことをやっておりますので、文化財研究所としては今後もこの点は重点をおいてやるべき事項だと思っております。
  15. 八木幸吉

    八木幸吉君 私、文化財保護委員会仕事運営のことは何も存じないのですけれども、先般来当委員会においても、またこの予算分科会等におきましても正倉院関係について、初めて文化財の御当局といろいろ質疑応答を重ねたわけなんですが、その結果私の得た印象としては、文化財保護委員会最高首脳部というのは、非常になんと申しますか、文化財に対する熱意が足りない。他の各省に対する力が非常に弱いというふうな気がいたします。すでに四億七千万円という金を国が使っている。四百二十何名かの定員を擁しておりながらどうもやり方があれじゃ鈍い。文化財保護の見地からいって、決して万全ではないという印象を受けたのですが、そこで私は伺いたいのですが、文化財保護委員会というものを文部省の中に、本省の機構の中に入れてしまうということはどういう差しさわりがあるのですか。
  16. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 文化財仕事の特質といたしましては、まあ仕事専門性ということが第一点であると思います。そしてその専門的な知識に基きまして、まあ文化財管理あるいは規制という観点から、まあ国民の所有権その他について規制をするというような仕事がありますので、その点からは適材の人の行政委員会仕事をやる方がよかろうというのが、文化財保護法の立法の趣旨であったわけでありますので、文部省としては現在のところさように考えております。
  17. 八木幸吉

    八木幸吉君 私は行政委員会というもの、そのものも実は必要性というものを占領当時から認めない方の立場なんです。これは大臣に伺った方がいいんじゃないかと思いますけれども、たとえば今名前を出してははなはだ恐縮でありますが、文化財保護委員長に前の参議院議長河井先生がおられます。河井先生が必ずしも文化財法のおそらく非常な専門家かというとそうではないと私は思うのでありますが、やはり文化財保護のために各省間の折衝等からいえば政治性ということが必要であるし、文部当局としても直接責任を持つのが、責任分野が非常に明確になるという上からも必要であって、かりに今の機構をそのまま置いておいても、文部省の内局にする方が能率が上るんじゃないか。こういう私は気がいたしますので、この点を申し上げるのですが、お帰りになりましたら一つそういう意見が出たということを文部大臣にお伝えを願いたいということで、この点はやめておきます。
  18. 斎藤正

    説明員斎藤正君) ただいまの御意見はお伝えいたします。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 斎藤さんにお伺いしますが、最初定員振りかえということについてお伺いしたいのです。定員振りかえは、文部省ではここ二、三年来、昨年もそうでございましたが、ことしも毎年約三百名ほどの事務職員を減らしてその数だけ教官の方に振りかえておる。そういうことを聞いておるのですがね。たとえばそういうことによって、事務職員の中へ入っておる守衛さんの任務なんかも二十四時間勤務が週に大体三日もあるというようなことを、実際の例として聞いておるわけです。二十四時間勤務が三日もある。これは定員を減らされた関係だろうと思いますが、これでは人権無視もはなはだしいと思われる労働強化で、とてもこういうことは考えられないことなんですよ。こういう事態に対して文部当局としてどのようにお考えになっておるかどうか。
  20. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 主として大学職員振りかえ問題でのお尋ねでございますが、大学定員の増ということでなくて、振りかえという形でいろいろ定員内の操作が行われてきたことは御質問通りでございます。そこで今事務職員ということでございますが、大きなものは同じ事務職員でありましても、主としていわば教務系統のようなもの、そこで教務職員は実際上職の種類としては事務官でございますけれども、実際は助教授の下になっております助手と同じような仕事をしておる。実際上せざるを得ないような方もあるが、そういう方は逐次実際の状況に合せまして、事務的な系統のものから教官系統振りかえるという努力をして参っておるのでございます。今のお話の点でございますが、新制大学発足後、いわばタコの足大学等と言われまして、校舎等一つ大学で各地に分散しているという実情もございまして、非常に多くの守衛でありますとか、その他単純な労務に服しておられる方が多かったのでございます。そういう点は一面大学整備統合という観点から、逐次分散して非能率的な経営のないようにする努力文部省としては払っていきたいと思っております。お話守衛等定員が非常に削減をされて、極端な労働強化というようにならないように私たちも今後配意して参りたいと思います。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 労働強化にならないように善処するということですが、昨年の場合も本年の場合も大体三百名ずつ、概数そのくらい減らしておるということです。それから去年、本年度でなしに、さらにさかのぼってもそういう傾向があったということですね。そうしますと、相当数になるわけですね。しかも事務職員なりあるいは教務職員を補充しないで、振りかえで減る一方ですね。そういうことではいかようにおっしゃっても相当労働強化になると思うのです。加うるに大学学年進行とかあるいは学部の増設というようなことで、だんだん教官の数も必要でしょうが、それに並行して事務職員ないしは教務職員の数も、当然自然増に伴う増加が考えられなければならないのに、こういうようなこそくな方法事務職員ないしは教務職員から教官にするという、しかも教官になった方も事務職員の身分、教務職員待遇教官の職にあると思うのですが、その点はどうですか。
  22. 斎藤正

    説明員斎藤正君) その点は先ほど私一例で申し上げましたように、一応事務系統職員定員から教官振りかえますれば、それだけもちろん教官としての助手定員がふえるわけでございますので、助手としての任命ができるようになるわけでございます。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その待遇についてはわかりましたが、一方事務職員教務職員の数は漸減していくという傾向文部当局としては何か対策を考えておりますか。振りかえ振りかえでだんだん事務職員教務職員は数が減っていくわけですが、一方大学の数はふえる、学部はふえる、学年は進行するというような事態に対してどういうふうにお考えになっておりますか。
  24. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 御質問にございましたように、雇用人等定員振りかえることはことしも行なっておるのでございますが、これに対しまして、できるだけ学校運営方法ということを改善することによって、職員の不足ということをカバーして参りたいと思っております。なおこの振りかえ等の御要求も、実は大学個々実情というものがございますので、まあ大学の御希望ということも参酌をいたしまして、振りかえ措置をとっているわけでございます。でございますが、なお私どもといたしましても、いろいろ学年進行によりまして授業等がふえて参りますれば、それに伴っていろいろな雑用もふえるというのは御質問通りでございますので、予算折衝その他におきまして今後ともその点は十分配意して参りたいと存じております。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは非常に大事なことでありますので、一つぜひ大臣にもよくお伝えいただいて、これは堂々と要求できると思うのですよ。学年増学部の増、そういうことに伴う自然増ですから、当然これは一つはばかることなく堂々と要求していただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。  それから次に大学附属病院看護婦がございますね。この点についてお伺いしたいのですが、調べてみますと、厚生省関係国立病院看護婦については、その定員が明確になっておるのです。厚生省関係国立病院看護婦定員が何名とはっきり出ておるのですが、ところが全国に二十二大学付属病院があると思うのですけれども、その病院看護婦については看護婦何名という規定はないのですね。ただ事務職員として何名、その中に看護婦が含まれておる。結局看護婦定員がぼかされておるということですね。結局そうすることによって、最近全国病院等でも御承知のようにベッド数が漸増しておる。それにもかかわらずその看護婦定員については何ら定員のきめがない。しかも看護婦について実質的にもあまりふえていない。その結果看護婦先ほども申し上げたような例と同じく、結局労働強化ということで過労に陥って疾病に陥る。そういうような傾向相当濃厚であるということを承わっておるわけですけれども、この点について文部当局としてはどのようにお考えになっておりますか。
  26. 斎藤正

    説明員斎藤正君) お話のように文部省大学定員振り分け方でございますが、現在の制度といたしましては、大学ごとの総定数をこれは政令で振り分けておりますが、その区分教授助教授講師助手等区分は、大学ごと国立学校設置法施行規則という文部省令配分をいたしております。お話のように看護婦については特に区分をいたしておりません。現在の省令として区分いたしておりますのは、教授助教授講師助手養護教諭その他の職員ということで一括して、事務系統職員その他技術関係を一括しております。ただ予算の積算それから実際の配分等に当りましては、看護婦の問題を、数等を十分頭に入れておりまして、現在のところ従来の常勤労務者等との組み合せによりまして、一応病院看護婦の三交代制ができるように措置しているわけでございますが、今後とも看護婦定員等につきましては十分配慮いたして参りたいと思っております。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この点については先ほど申し上げましたように、同じ国の経営する病院看護婦さんで、片や厚生省関係病院看護婦については定員が明確になっておるので、そう過労というようなことも労働強化もないというように聞いておるのですけれども、そこで今申し上げたように、同じ国の経営にかかる病院看護婦さんで同じような仕事をしておるわけですから、公平の原則で一つ大事な大学付設病院看護婦さんについても、今後一つ定員を明確にとって、ベッド数に応じていろいろ定員が合法的に出てくると思うのですね、そういう方向一つ極力緊急に努力していただきたいということを重ねてお願いいたします。  それから次にこれは文部省調査による統計で見たわけですけれども昭和三十年度、三十一年度常勤労務者の数は、予算定員によりますと、三十一年度については四千百十四名でその内訳は大学が千五百七十名、付属病院は二千二百三名、付置研究所が三百四十一名、こういうふうに承知したわけなんですけれども、そこで付属病院看護婦についても、常勤労務者の数は今申し上げた三十一年度で二千二百三名なんですが、実際にはこれが約一万名もおるというふうに聞いておるわけなんですが、果してそういう実態であるかどうか。これについて伺いたいのですが。
  28. 斎藤正

    説明員斎藤正君) お話病院常勤労務者の、常勤職員定員につきましては、三十一年度二千二百三名、三十二年度においても二千二百三名増減なしということは今お話通りでございます。ただ私ども常勤職員常勤労務者定員以上に多いということを実は承知しておりませんわけですが、あるいは非常勤職員等でまあかなりその勤務の時間数の多いというものが、それぞれ賃金等で処理されているものがあって、その辺のお話ではないかと私どもは想像しておりますが、定員のワクをこえて常勤労務者が配置されておるというふうには、実は私たち承知しておりません。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今の病院のことだけについて今お尋ねをしておるわけなんですけれども、今申し上げたように実際の数は二千二百三名でこれもはっきりした数字ではございませんけれども、大体一万名実際にはおるということが、こういう事実がもしあったとすると、これは結局この実態の裏を返してみると、その看護婦さんについて非常に賃金の安い低額の看護婦さんを雇い入れておるということ、それからまた教官とか、あるいは付置研究所のそういう研究費をこの方に流用しておる。そういうことも伺っておるのですが、そういう事実が果してあるかどうか。もしあるとすると、これは世界でも日本大学教授は俸給が安いのでも有名だというふうに聞いておるのですが、その上研究費も少いということは、私ども日常大学教授にそういうことを痛切に話を聞いておるわけです。研究費がなくて困っておる。にもかかわらずこういう方向に流用されておるというようなことで、ますますもって研究費が足らぬ。大体少い研究費がさらに軽減される、削られておるということでは大学教育のためにも、ひいては日本文化学術のためにも非常に憂うべき事態であると思うのですがね。こういう実態についてどういうふうにお考えなのか。
  30. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 今大学教授研究費の問題でございますが、これはいわゆる大学教官研究費として校費の中で積算されておりますものもございます。また科学研究費等で国の特定の研究のために配分されます経費につきましても、その中にはいろいろの用途に使用されるものがあると存じます。たとえばそれは消耗品を買うものもございましょうし、機械器具等を買う金もございましょうし、あるいは今お話のように人手を要して臨時職員を雇用する、いわゆる賃金にも相当する部分が入っていることがございますので、一がいにその人に対する分が支払われるということが、科学研究費の性格上その研究費の効果を減殺するということにはならないと思いますけれども、しかしながらこれは一般の問題といたしまして、非常勤のいろいろ臨時に雇うべき性質の費用で、かなり長期にわたって常勤的な職員のような態様を呈するということが、大学のみならず各所で問題になりますので、人事管理の問題といたしまして、そういう点は今後も注意して参りたいと存じますけれども研究費の中にはある部分は、まあ、実験、あるいは一時的な調査等のための人件費相当する賃金が含まれることもあり得ると存じております。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは定員関係があるので、その大学教授研究費についてもお伺いしておるわけなんですが、実はここに資料があるわけですが、昨日群馬大学工学部学部長が見えたわけですが、私の所に見えてこういう資料を置いて行ったわけですが、これによっても工学部のいわゆる研究費予算として九百六十八万六千円ほどあるわけです。九百六十八万、そのうちでほんとうの純粋な研究費というのが四分の一にも満たない二百二十一万何がし、こういうことをもってしても、これが他の方、ガス代とか水道料電話料石炭代、その他雑費の方面に使われておって純粋な研究費が非常に少い、四分の一にも満たないというような実態、これはおそらく各大学でも同じような傾向じゃないかと思うのですが、結局そういうのが常態なんですか。
  32. 斎藤正

    説明員斎藤正君) これは実はよく問題になるのでございますが、大学運営に要するいわゆる校費といたしましては、その中には教官研究費あるいは学生経費等の基準的な経費をもって校費を組み立てておるわけであります。教官研究費でありましても、今お話のありましたように、光熱水料その他一括して大学で処理する方がより効率的である経費もあるわけでございますので、個々研究室で処理しないで一括して光熱水料等大学の本部で共通して使用した方がいいのでありますので、お話のようにその四分の一になったから科学研究費に使われないと、こういうふうにも判断できないのではないかと存じております。ただ大学運営というものは、まあ総合的にその大学でやる方がよろしゅうございますので、学生経費研究費等をまとめて校費という形で大学に与えて、大学において運営されておるわけでございます。ただいろいろ従来誤解を生んでおりますように、大学先生科学研究費教官研究費というものが行政関係のようなほかのものに使われておりはせぬか、こういう心配をずいぶん先生方もなさったことがございますが、これは予算委員会等でも一応御説明しておるのでございますが、全部大学へ行っておるのでございます。ただ、その使い方がどの部分をまあ共通的に使用するか、どの部分個々研究室で使用するか、これは大学経営やり方の問題ではなかろうか、こういうふうに存じております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほども申し上げましたように、日本教育文化学術等の大きな立場から、やはり十分に、少しでも一つ大学教授研究費をやる必要があろうと思うのです。実態は今申し上げたようなことがあるのですから、従って今後一つ純粋な研究費日本大学教授の手元に入って、つつましやかながらも、不十分ながらも研究のできるような、そういう対策を緊急に一つ講じていただきたい。これは大学教授からの強い要望もありますので、特にお願いしたいと思います。  次に文部省関係臨時職員の実数はどのくらいでございますか、これをまずお伺いしたいのですが。
  34. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 臨時職員の実数と申しましても、ちょっと私ただいまここに資料を持ち合せておりませんが、先ほども申しましたように、研究等に一時的に使っておる者も相当ございますので、文部省所管内では相当数あるものと想像しております。これは報告を取っておりませんので、後ほど調べまして申し上げたいと存じます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それじゃあこれはまあ資料は後ほどでもけっこうでありまするが、そこでお伺いしたいのは、この臨時職員が特に多いのは、大学の付属図書館がございますね、その付属図書館関係が一番臨時職員が多いと伺っておるわけです。ところが大学の性格上、その図書館では専門図書の取扱いが多いと思う、大学ですから、皆専門図書ということになって、これは相当学歴の者でないと、図書館員として用が足りないわけですね。そこで実際に今新高あるいは短大、それ以上の学歴の者が大体多いように聞いておるわけですけれども、こういう短大とか大学卒業の学歴の持ち主で、臨時職員なるがゆえに日雇い労務者同様の三百円未満のそういう低賃金で、実際には二年も三年も勤務しておるというような実態も聞いておるわけですが、そういうことになりますと、結局これは何年たっても恩給にも浴しないし、またいろいろ賃金の昇給の面についてもいろいろ不利益があるわけですね。そういうことについて、何か文部省としてもこういう面についてのお考えがございますか。
  36. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 大学の図書館等につきましては、実は私どもの実際聞いておる点等もあって承知しております。そしてやはり司書というような特殊な仕事をいたしますためには、一定の学歴とそれから一定の経験等を必要とするということは、お話通りでございます。ただ現在おそらく大学全体としても図書館にそれだけの人員をさき得る余地がなくして、便宜の方法として事業費としてそういうような育成等の方法によって処理しておるのだと思いますが、この点につきましては、なお今後の予算折衝を通じまして適正な配置ができるように努力して参りたいと存じております。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この大学付属図書館の今の臨時職員ですね、こういう人たちの人件費についてもこの研究費から充てておるというふうに聞いておるが、果してそういう事実があるかどうか。
  38. 斎藤正

    説明員斎藤正君) そういうお話のような例があるようでございます。これはまあ実際問題はどの程度に行われているか、個々の場合によって違うと思いますが、全然違法なというか、使い方の違ったことだとも一がいにも申せないので、先ほど申し上げましたように、研究費の中に人員を使ってやるような、データを整えさせるような仕事も含まれておりますので、その部分をさいて人を雇用するということがあるのだろうと思いますが、まあそれと図書館の常務とがまざり合ってしまって、必ずしも適正でない部分もあると存じますので、今後よく実態をつかみまして善処して参りたいと思います。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは先ほども繰り返し申し上げたので、もう繰り返すことはやめたいと思いますが、一つこういう方面にもまた研究費を向けられるという事実があるとすると、これはいよいよもって大学教授研究費の少いということがはっきりしてきたわけですね。十二分に一つ緊急な対策を立てていただきたいと思うのですが、重ねてお伺いします。  それから次に、国立大学学年の進行とかあるいは学部の増減ですね、あるいはまた学生の募集人員の増減ということもあろうと思いますが、そういうことに伴う教官とかあるいは事務職員等の定員は、どのようにして今まで決定して来られたか、まずお伺いしておきます。
  40. 斎藤正

    説明員斎藤正君) たとえば学科増設等の場合でございますれば、当初申し上げましたように年度に割りまして、たとえば講座等でありますれば教授一、助教授一、あるいは助手二というセットにいたしまして、逐次年度に分けて増員して参るわけでございます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 結局整理することになりますと、定員がふえる場合はあまり問題はないと思うのですけれども、たとえば学部が減ったとか、学生の募集人員を減したような場合に、結局定員減というような事実が出てくると思うのです。そういう場合には今まで教官とか、事務職員、あるいは教務職員の身分が実際にはどうしてこられたか。その意に反して整理せられるようなことがあったかなかったか。そういうようなことを伺いたいと思います。
  42. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 学生の定員減の問題、まあことしも一部起ったことでございますが、この場合におきましても、今お話のように強制的にというか、直ちに退職ということの措置をとらないで配置転換等の措置により、あるいはまあ自主的におやめになられることは別でございますが、無理のない方向で処理いたすようにしたいと思います。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは今のお話を実際の場合に当てはめてみたいと思うのですけれども、御承知のようにことし群馬大学の学芸学部では、新年度入学志願者募集のうちで、二年制ですから二部ですが、二年制の二部の学生については、女子はそのまま存置したけれども男子については廃止したわけです。そうなりますと当然学生数が減りますから、若干の教授とか、助教授、あるいはまた事務職員教務職員等に異動がくると思うのです。これについてもだいぶ大学の学芸学部でも動揺を来たしておるというようなことを聞いておるのですが、今斎藤参事官のお話を承わって、これをその意に反してすぐ退職させるようなことはないということで、安心したわけですけれども、なおこの事実について群馬大学の場合もしっかりかように確認してよろしいかどうか、はっきり承わりたいと思います。
  44. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 私個々大学の現実の異動というものを承知しておりませんけれども先ほど申し上げましたように、今度の学生定員の減に伴いまして、直ちに制度として意に反して免職されるということでなく、学内の操作等によりまして処理できるようになっております。またそう指導するようにいたしております。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まだ若干ございますけれども、時間の制約もございますからまた後日に譲りまして、私の質問を終りたいと思います。
  46. 秋山長造

    ○秋山長造君 文部省のことでちょっとお伺いしたいのですけれども管理庁から配付された一月一日現在の定員表を見ますと、文部省には欠員が千三百六十二人ありますね。この千三百六十二人の欠員の内容と、それからその欠員と今度の定員増との関係はどういうことになるのか。その点二点、お伺いしたいと思います。
  47. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 千三百六十二人の欠員の大部分大学教官でございます。それから本年度の増員三百六十一人も大部分教官でございます。ただこの点は先ほど申し上げましたように三百六十一人の増員と申しますのは、大部分が過去におきますところの学部学科の増設、あるいは短大の新設、大学院の整備等の学年進行、あるいは最近の科学技術の進展に伴いますところの原子力、その他技術関係研究所等の増員でございまして、すべて緊急あるいは必要のものでございますので、この点を要求したわけでございます。  ただ、それでは千三百六十二名の欠員もあるくらいだから、実際問題としてはもう少し内輪に見ても操作できるのではないかという御趣旨だろうと思いますけれども、これはある時点をとりました場合には、大学教授欠員等はやはり人選に慎重を期するために、自然に出てきますので、これを文部省一般職員等の欠員補充のようなわけに参りませんので、その点はまあこの程度の欠員が出ますことも一応見ておきませんと、やはり大学人事運営としては困難ではなかろうかかと思います。こういうような欠員の出工合を予想いたしまして、当然の学年進行等で出て参ります定員充足をある程度切りますと、やはり大学の方ではある程度かかって定員のワク内で人を探すわけでございますので、やはりその点は学年進行のときの欠員の分は、慎重を期するためにやむなく出てくるものとかように考えております。
  48. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、こう了解してよろしいのですか。千三百六十二人の欠員は四月一日現在では相当減っているだろうということがまず第一点。それからもう一つは千三百六十二人の欠員とはダブらない別の専門増員を今度三百六十一名、専門の違う、その欠員とは性質の違う増員なんですね、この三百六十一名は。ということと、現在欠員がどれだけ減っているか知らないが、その欠員は近い将来において必ず充足するという目当てがあるのかないのか、その三点。
  49. 斎藤正

    説明員斎藤正君) お話のような欠員の千三百六十二名とこの増員の三百六十一名は違う専門のものでございます。  それから現在の欠員の千三百六十二名の大部分教官欠員につきましては、大学としては一日も早く埋めたいと思って努力しておるものでございますので、逐次この欠員を埋めていくものと思っております。
  50. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあ逐次ということはわかるのですけれども、しかしさっきの斎藤さんのお話では、常時この程度のワクはどうしてもとっておかないと、というようなお話があったのですが、そうするとなんですか、片一方は埋めた、また別の面で欠員が出る、そこを埋めた、また次の欠員が別のところにできる、こういう状態で、いつもこの程度の欠員というものがあるということになると、これはやはり定員そのものから再検討しなければならない、ということに一応なると思うのですけれどもね。これはある時点だけはこれでやって、次の時点ではほとんど大部分充足されるというようならお話がわかるのですけれども、大体今後のお見通しはどうなんですか。三十二年度中には少くとも全部充足できる見通しなのかどうか。
  51. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 今の状況は、大学における欠員全国三万人に対する五%でございますが、教官の任命状況が全部フルになるということはなかなか実際問題としてないと思いますけれども、常時千三百六十二名があるものとも考えておりません。ただ新しい予算定員の措置をいたします際に、従来すでに専門ごと、講座ごと等に分れております千三百六十二名と、別個に三百六十一名を措置したということで申し上げたわけでございます。
  52. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点はもうさっきお尋ねした通りで、だいぶわかっているのだけれども、千三百六十二名の一月一日現在というのが、今四月一日現在でどの程度減っているのか、具体的な数字を示していただきたい。それを今後充足していくのに何かやっぱり一つ充足計画というものがなければ、ただできるだけ埋めますというだけの答弁ではどうもしっくりこないのですがね。その両点をもう一つお願いいたします。
  53. 斎藤正

    説明員斎藤正君) この千三百六十二名の大部分職員というものは、たとえばある講座のある部分相当するという先生方でございますので、これは文部省として直ちに配置充足の計画というものを立てがたいということはおわかりと思うのでございます。大学によりましてそれぞれ大学の構成にふさわしい方をお選びになるので、文部省としてその充足について計画するということはいたしておりません。ただそれではこの欠員が常時このくらいあるものかということになりますと、大学といたしましては一人でも定員充足いたしまして、講座の内容を充実したいわけでございますので、大学といたしましてはなるべく早く大部分のそれぞれの大学欠員充足する、かように私ども考えております。
  54. 秋山長造

    ○秋山長造君 それはわかるのですよ、抽象的なことはこれはもうその通りだと思うのですけれども、ただこれは具体的な数字になって出ているので、だからこれはある時点で千三百六十二名欠員ができたということなら、必ずしもそれが恒常的な状態ではないとおっしゃるから、じゃあ三ヵ月たった現在はどの程度になっているのかということと、それからやっぱり文部省には、教授定員が足りなければ、欠員があればあったでそれをどの程度に、ことし上半期どれだけ大体補充していくのだ、下半期どれだけ補充していって来年の年度末までにはさらに全部補充してしまうのだ、あるいはさらに再来年どうするというようなこと、何か充足計画というものは立たないのですか。
  55. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 文部省定員の配置の仕方におきましては、これは全部充足されるものとして考えておるわけでございます。充足されることが建前として要求もしておるわけでございます。ただどういうふうに実際にやるか、全体の計画をというお話でございますけれども、これは他の支分部局等の行政官庁の職員充足と違いまして、あるいは大学における事務職員充足等の問題と違いまして、専門にかなり細分されておりますし、大学個々の事情というものもございますので、これを一括文部省で、たとえば助教授の何割を三月までに全部充足せいとか、充足しなければ定員上若干の措置をするぞというようなことは、かえって大学運営のためにはよくないのじゃないか、むしろ大学自体においてそれぞれの専門家を極力充足するようにしていただく方がいいのではないか、かように考えております。
  56. 秋山長造

    ○秋山長造君 欠員の内容を専門別にいうとやっぱり法律の教授なんか一番少いのですか、少くて困っているのですか。
  57. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 細かい資料を持ち合せておりませんが、お話の点大体の傾向といたしましては、法文系の方が若干欠員分布状態が多いように承知しております。
  58. 秋山長造

    ○秋山長造君 そこで地方の新制大学なんかの事情を聞くと、まあ法文系の教授充足が非常にむずかしい、非常に苦労しているということを聞きますから、おそらくこの中にも相当数を占めておるだろうと思うのです。そういうものの充足は、この手続を見ておりますと、結局地方大学東京大学とか京都大学とかいうようなところの研究室あたりへ渡りをつけて、それでそこで研究室にいる助手だとか、あるいは講師とかいうような人をいろいろなつながりで引っ張るわけでしょう。そうするとおのずからこの欠員充足するためのというか、学者の卵のプールといいますか、そういうものはやはり昔の大学院、大学がどうしてもそのプールになると思うのですね。そうすると大学院、大学研究室で法学部なら法学部研究室で、助手というものはやはり無制限に置いているわけじゃなくて、おのずから定員のワクがある。だからどこの大学の法律の研究室に何人の助手が待機しているということは、おのずから文部省ではその数字というものを把握できると思うのです。そうすると、そのプールされている助手あるいは講師というようなクラスと、それから欠員補充ができなくて困っている大学との間のつながりということもわかってくるわけなんだから、何か全然それは大学の自主性にまかせるということも、これはある意味では意味のあることですけれども、しかし同時に取りあえずできるだけ早く欠員を補充して、せっかく作った入れものだけはできている大学の魂を入れるということについては、このあっせんの労くらいは文部省で計画的にやはりやらなければ、なかなかもうそれぞれの大学だけに全部まかせっ切りということだけでも、実際問題として非常に困るのではないかという気がするのですがね、そういう点はどうお考えになるのですか。
  59. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 文部省大学学術局に視学官という制度がございまして、この視学官は、主としてことに教員養成学部その他地方の大学の方々からのいろいろの御相談があった場合に応ずる、という仕事が大部分でございます。でこれは実際問題といたしましてお話のような点、すなわち人事のあっせん等を頼まれました場合には、できるだけ従来も努力してきたわけでありますが、大学のお考えによりまして、適任者を得るためのあっせん等も、今後も文部省としてはいたしていきたいと思っております。
  60. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  61. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起して下さい。次に農林省の方に移りたいと思います。
  62. 北村暢

    北村暢君 官房長見えておりますか。
  63. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 官房長はちょっとお差しつかえがありまして、今農林大臣官房文書課長の松岡さんが来ております。農林大臣も要求はしてありますが、きょう日ソ漁業交渉の関係でやむを得ず欠席しておりますから。
  64. 北村暢

    北村暢君 それじゃ農林省関係につきましていろいろあるのですが、まず総括的に農林省全体の問題でお伺いしたいと思いますが、行政管理庁の配付されましたこの資料を見ていただけばわかるように、定員七万九百四十四名、欠員が九百六十六名、非常勤職員四十一万七千九百三十四名、休職者五百七十八名、それで非常勤職員各省の全体の合計五十四万八千九百六十名、そのうち四十一万七千が農林省ということになっておる。従ってこの表から見ましても、いかに非常勤職員が他省に比較して多いか。約八〇%は農林省が占めておるということになっているわけであります。この点から考えまして、私は過去三回の行政整理において最も大なたをふるわれておるのが農林省であり、二十四年当時十万からあった定員が、今日七万幾らになっておる、こういうのが実態だと思います。その中でどうしてもこの定員減によるものを常勤職員もしくは非常勤職員をもって補わなければならない。もっともこの四十一万七千の非常勤職員の中には、大部分がこれは林野関係職員を含んでおる。こういうふうに思っていますから、これは全部というふうには私は考えておりませんが、それにいたしましても、常勤職員、非常勤職員というものの割合というものは、定員をカバーするために非常に多く実質的におるのだということが立証されておると思うのです。それで、まず最初に行政管理庁にお伺いしたいのですが、従来聞いているところによると欠員は補充しない、あるいは新規の事業についても定員はふやさないのだというような、いわば申し合せといったようなもので、なかなか、定員を減らそうという政策に対して、ふやそうということは困るので、省内のやりくりでやっていくのだという基本線に立っておるというように伺っておるのだが、行政管理庁では一体そのことはそういうふうに処置しているのか、この点まずお伺いしたい。
  65. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) ただいま北村委員からお尋ねがございましたが、その前に念のために申し上げておきますと、農林省の非常勤職員が、各省の非常勤職員の大部分を占めており四十一万七千になっておりますが、その大部分は林野庁にあるという仰せでございましたが、そのうち林野庁は十二万四千人でございまして、その林野庁以外の、すなわち林野特別会計以外の非常勤職員は二十八万八千、そのうち大部分が統計調査に従事する職員、これは当然非常勤形態を持ちます食糧調査とか、統計調査職員が二十八万三千を占めるというような状態でございます。なお非常勤職員のおもな職種につきましては、お尋ねがございますれば申し上げてよろしいかと思っております。  それから第二点のお尋ね定員の抑制についてでございますが、もちろん政府が一貫してとっております根本方針といたしましては、国民の税金によってまかなわれている公務員のことでございますから、最小限度の職員をもちまして最大の能率を発揮して公務に努める。そのためには一人といえども冗員をかかえることのないようにというのが根本方針でございます。ただ時勢の進展につれまして、どうしても必要な部面が出て参りますので、そのための定員は部内の配置転換その他によって極力まかなうべきでありますが、それがまかなえない場合におきましては、必要最小限度定員の増加については、国会の御審議をお願いするという建前で、今年度におきましても二千九百余名の定員の増加はお願いしておるわけであります。  それから第三点といたしまして、欠員の補充を押えておるかどうかという点でございますが、これは最近の例を申し上げますると、二十九年、三十年の二年度にわたって行われました行政整理が完了いたしますまでは、一方において整理しながら欠員を補充するというようなことは矛盾でもありまするので、その点は押えましたが、整理が完了した後におきましては、現在ある定員必要最小限度定員考えておりますので、欠員補充は押えておりません。
  66. 北村暢

    北村暢君 それではまず整理が終った後における定員は押える考えはない、現在の定員が正しい定員である、こういうふうにおっしゃられておるのだが、その点、給与予算定員との関係でありますが、実際は人事管理をやっていく面において、現在の給与予算実態では、欠員を置いて定期昇給なり何なりの財源に充てていかなければ人事管理ができないというのが、各省実態であろうと思います。これはそのように認められておりますが、どうでしょうか。
  67. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) これはいろいろな要素を含んでおる問題でありまして、黙っておりましても定期昇給を完全に実施するためには昇給原資をどうするか、これが年来の問題でありまして、定員定額制の中においてそれを実施する場合におきましては、おそらく適切な昇給原資というものをつけるのが本筋だろうと思うのであります。問題は、そういう場合におきましては、昇給原資を何パーセントつけるかという問題でございます。現実に必要があります場合、定期昇給を完全に実施いたします場合において、四%の昇給原資が要るという場合は、三・五%しか予算上昇給原資がない場合には、〇・五%の昇給原資をどこから生み出すか。それが職員構成が非常に若いというような場合におきましては、現在の予算の中でやれる場合もございます。しかし、なかなか職員が詰まっておりまして、現在のそういう昇給原資の中でやれないという場合におきましては、欠員を利用するというようなやり方をやるのが、自然の勢いになろうかと思いますけれども、あくまで昇給原資というものがやはり適切であるべきなのが本筋である、こう思っております。
  68. 北村暢

    北村暢君 その点について、ここに大蔵省が見えておらないので、あまり突っ込んで話してもこれは進まないと思う。従って私は行政管理庁に、これだけの定員が正しいということを認めるならば、それに必要な給与予算というものは当然大蔵省で組まれるべく、これは定員確保の上からも一つ今後努力をしてもらわなければ、せっかく行政管理庁で査定した定員というものが実際に運営できないという結果に陥っておるのがもう現状でありますので、これは大蔵省がおれば特にやりたいところなんですが、きょう見えておりませんから、この問題はそういうふうにしておきますが、行政管理庁では給与の関係と連絡されて、定員の円滑なる運営ができるように一つやっていただきたい。この中で私は定員というのはプラス、マイナスあるのが当然だと思うのですがね、運営する上に、定員なんですから。ところが少いところはありますけれども、ふえているところは一つもないわけですよ、定員実情からいってそういうような点からしても、現在の給与というものがいかにこれを左右しているかという点は、もう明らかだと思いまするので、この点くどいようですけれども一つお願いしておきたいと思うのです。  次に部局の方に入りたいと思うのですが、まず食糧庁の関係でちょっとお願いしたいのですが、食糧庁では約常勤職員が四千九百名おりまして、これは人事院へも提訴いたしまして、人事院でもこの職員というものは、勤務実態からして定員に繰り入れなければならないという判定を下しているのです。しかしながら定員増ということは許されないという現状からして、これが抑えられてきているのでありますが、特に一般の趨勢として押えられているという点について、私は承服はいたしませんけれども、特にその中でサイロの定員、横浜と名古屋にサイロが建設されておるわけでございます。これに対する新規事業としての四百五十名の定員要求を昨年いたしておるのですが、これが一つも認められておらないのです。そして二百名の非常勤職員充足して、まあ、賃金をふやしたということで終っておる。その結果が御存じのように、あのサイロを運営する上において、船が着きますと非常に業務が忙しくなりまするので、近所の食糧事務所その他から動員をして、その仕事の処理に当ってきたというのが実態であります。それで昨年の夏だったと思いますが、あすこのサイロの職員がサイロの中へ埋まって、麦と一緒に押しつぶされてしまったという事態も起っているわけです。それで、農林水産委員会から実態調査にまで行って、これではこのサイロに要する人員というのは労務過重であって、とてもこれではたえ切れないのじゃないかというところまで見て、はっきりしております。従って本年度もこれに対する要求があったと思うのですが、それに対して一人も認めておられない。当時は三十年度でありましたから、やむを得ず、まあ年度の途中でありましたので、二百名の賃金増ということで大蔵省も了解して、非常勤でしのいできたのですが、非常な無理をして全国から配置転換をやりましてやってきた実情も御存じだと思うのです。それに対して一人の定員も認めないということは一体どういうことなんですか、その点、お伺いしたい。
  69. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) サイロが横浜、名古屋に完成いたしまして稼働し始めたことにつきましても今お示しの通りでございます。それの職員につきましての問題でありますが、これは要するに食糧庁が直接管理経営する事業でありまするので、食糧庁二万五千の定員の中からわずか数十名の職員でございますから、配置転換が可能であると私ども考えておったわけであります。ことに年度の半ばから運営されてきたような状態でございます。それでこれがただ農林省として新しい事業でありまするので、最初から非常に熟練した職員を得がたかったという事情があるのでございます。そのためにいろいろな不祥な事件が起きたということは残念に思っておりますが、あれは私どもも拝見しておりますが、非常に機械化された事業でありまするので、ふなれな職員を何十人置きましてもかえって操作がダブったり不便になったりするのでありまして、専門的な優秀な職員を少数配置することが至当であろう、ことにああいうのは民間の製粉会社その他と非常に操作が似ている仕事なのでございますから、民間の製粉工場その他と同じようなだけの職員、同じような運営レベルの職員をもって配置すれば足るのじゃなかろうか、というような考えを持ちまして農林当局にもお話いたしました。ただなかなか適切な技術者が得がたい、従って全国の食糧事務所の中から、電気技術について資格を持っているあまり熟練者でないような者を集めてきた、そのために当初においては運営に円滑を欠いたというような事情があるのでありますが、私どもはこの二万五千の職員の中から、欠員もございますので、すみやかに適切なる優秀な技術者を集めましてあれを運営していただきたいと、こう考えております。
  70. 北村暢

    北村暢君 先ほど私何回も言っておりますように、食糧庁もやはり行政整理で大なたをふられている一つ、農林省の中では統計と食糧は行政整理は非常に過酷にやられているところなのです。従って先ほど言っているように、常勤職員も四千九百名から食糧庁におるわけですね、検査業務が主ですけれども、そういう中で仕事をやっておるんですから、そのサイロを運営するために要求したのが四百五十名、両方で四百五十名と思っておりますが、要求しておるのですが、数十名でできるというものでなくして、また配置転換で定員の中で操作ができるというふうには私ども考えがたい。それでなくても常勤職員相当多数置いて運営しているのですから、その上新規事業として明らかにあれだけのものが要るということになったのですから、それを食糧庁の中で埋める、しかもおっしゃられている通りにあれは特殊な技術を要するわけなので、非常に養成をしなければならない職場なのです。そういうような点からして、これはどうしてもやはりしっかりした定員というものを設けて、そして熟練した職員運営されるというのが望ましいのであって、決して二万五千の中からだれでもかれでも持っていってよろしいというものではない。従って私はやはり民間から補充するにしても、何にしても、そういう特殊な技術を要する人なのですから、新たにやはり定員として持っておかなければ、事業の運営は円滑にいかない。その結果がやはりああいう不祥な事件まで起しているのだという結果になる。これはもう行った農林水産委員の人が一致して認めている点なのです。今後こういう問題について、こういう合理化された機械化された所なのですから、それが一般定員へ食い込むということは、私はどうしても承服できないので、この点は一つ考慮してもらわなければならない、こういうふうに思っております。  それから次に申し上げたいのは、統計調査部の定員のことなんですが、統計調査部はここも約一万七、八千くらいおったと思いますが、それが現在一万一千足らずに定員が切られてきておる。そうして業務の内容はどうかといえば、決して業務は減っていないのでありまして、ただその間において考えられることは、この農林統計の業務というものは戦後始めたものでありますから、相当熟練してくれば人員は節減できる、こういうことは私どもも了承できるので、ある程度減ってくるということはわかるのでありますけれども、しかし非常に極端に減っているために、いわゆる常勤の調査員というものを常勤労務者ということによってこれをやっている、これはまあ事実なわけなんです。これが約千七十四名いるわけです。これを一つ定員化してもらいたいということは、これは一般常勤労務者の、各省に通ずることだと思いますので、ここでは私強く申し上げませんが、もう一つ問題なのは、被害補助員、これはもうよく知っておられることだと思うんです。被害補助員は、昭和三十年度の農業災害補償法に伴う農業共済、これのための被害調査のために要する人員なわけなんです。この被害補助員六百四十八名というものが相当学歴もある、大学もしくは高等学校卒業程度の学歴者の中から選考をして採用をしておる、採用をしておるんです。が、これは常勤労務者でもないわけです。で、非常勤で人夫賃で支弁されておる、これが六百四十八名いる、これは御承知通りなんです。ところが今農業共済の問題が非常に問題になって参りまして、重要な災害の評価、いわゆる農業の共済保険の査定に使われるところの被害調査をやっている職員なんです。それが責任も何もないこれらの六百四十八名の職員臨時の人夫賃によって支弁されている職員によって、これは実施されているわけです。それで農民の現在の共済保険の給付というものが、これによって最終的に農林省で査定をするのである。そういう重要な仕事をやっているのにかかわらず、これが定員にも入っておらなければ、常勤労務者でもない、一般職員と同じような手当をもらうわけでも何でもない、人夫賃で支弁されている。こういうことからして実際には農業共済制度の破壊にまで発展するおそれがある、こういうことすら今いわれているのであります。従って末端の町村なり現段階における農業共済の被害状態の査定と、農林省の本省で調査をする間に開きが出まして、そうしてこの被害調査に当った統計の職員が、非常に農民との間につらい立場に置かれておる、そうして農業共済制度そのものが今危殆に瀕しているというのが実態だと思うのです。そういうような観点からして、この被害補助員というものは私はやはり身分の安定、責任というものを考えるときに、絶対これは定員化していかなければならない人じゃないか。これは行政管理庁の岡部さんが一番よく知り尽している問題だと思うのです。それに対して昨年度の場合は常勤労務者にまでするということを、ほぼ了解点に達したのでありますが、今年度において常勤労務者にもなっておらぬ、これは一体どうしたことなのか、一つお伺いしたい。
  71. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 今北村委員からお尋ねのような問題、私どもも非常に真剣に考えている問題でございます。で、統計調査事務所には被害調査定員内といたしまして八百四十人おりますが、それの補助として非常勤職員六百四十八人お示しの通りついているわけであります。この被害補助員はたしか昭和二十七年か八年に採用をされたものでありまして、比較的学力も高い、高等学校以上を出ておる優秀な職員もこの中に入っていることも承知しておるわけであります。で、この非常勤職員が、勤務の形態として恒久的な仕事をするのに好ましくないということも私わかっております。それで農林省当局もこれを定員化することが困難なら、常勤労務者にでもせめてして、その待遇の改善をはかってくれないかというようなこともあるわけなのでありまして、この問題につきましてはいろいろ苦慮をいたしたわけでありますが、本年におきましては、常勤労務者の名称を今度変えました常勤職員は、各省にまたがりまして六万余に達しております。これをどうしても、国会のだんだんの御決議もございますし、いつまでも放置してもおけませんし、われわれといたしましても準備も整いましたので、次の通常国会においては、何とか解決するという関係省の決意も一致しておりますので、その際にこれらの問題を一挙に解決したい。こう考えましたことと、それからもう一つは、常勤労務者というものは三十一年度におきましても約一万六千名増員いたしたのでありますが、それによっては問題を解決しない、常勤的非常勤常勤労務者にしただけで何ら問題は解決せず、かえって職員の不満をあおるだけのことである。また本来定員内の職員ならば、国会の御審議をいただいて堂々たる職員なのであるけれども、それをいわばやみにもぐったような常勤労務者の数をふやすということは、これはいかがであろうかというような見地から、昨年の九月十八日に閣議の了解で、三十二年度においては常勤労務者の増加はこれを極力押えるというような方針もありましたので、それにものっとりまして結局本年度はほとんど常勤労務者の増加を見なかったというような事情もありまして、この被害調査関係に従事しておりまする非常勤職員及び常勤的非常勤といわれる六百四十八人は、そのままになったわけでありますが、これは私どもといたしまして、今まで申し上げました方向に沿いまして何とか早急に解決しなければならない問題である、こう考えておりますから御了承いただきたい。
  72. 北村暢

    北村暢君 今のことで納得できないのです。この農業共済の給付金というのは約百億からの膨大な予算を持っているのですよ。そうして、今農林省でいろいろな問題で会計検査院その他で指摘せられている、何というか不正的なものの起っているのも、ここには非常に多いのですよ。そういうことからして、今農業災害補償法も改正されようという段階へきているのですが、そういう重要な仕事に携わって、しかもそれを査定する重要なファクターを作る被害補助員、しかもそのために高校、大学といったような学歴を有する者で、そうして相当試験をやって採用しておる者が、もうこれで五年もほったらかされて常勤にもならない。一体将来どうなるのかということで、全く不安の中に陥れられている。こういうような中で、事務能率を上げる、作業能率を上げると言ってみても、これは言う方が無理なんであって何らかの保障をしていないわけです。ですから常勤職員にすらしない。そのほかに常勤職員が千七十四名もおるのですから、その人方と一緒のところにおって、しかも学歴はその常勤職員よりも高い学歴を持って、同じ職場に非常に不合理な形においてこういう人が配置されている。これは人事管理上もとてもできないことなんです。そういうことをあえて、常勤労務者をふやさない方針になったからといって、ほうっておくということは許されないと思うのです。実際に常勤労務者というのが制度がないならともかくですが、現実にあるのですからそれを早急に解決すると言っていますけれども、解決するときにそれじゃその六百四十八名というものは直ちに定員として処理されるのかどうか、それらの保障も今のところ何もないわけです。そういう中で不安にさらされているというのが実態でありますから、これはやはり大蔵省と早急に話をつけて、常勤労務者ぐらいにはすべきじゃないか。これは行政管理庁責任を持ってやるべきじゃないか、農林省当局ももちろんやるべきであると、こういうふうに私は要望しておきます。そうでない限り、これは非常にまずい結果がもう起っておる実態でありますから、この点一つやっていただきたい。
  73. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  74. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。
  75. 北村暢

    北村暢君 それでは農地局関係について、これは一度農林水産委員会でも農地局長に質問して、一応答弁はもらっておるのですが、さらに定員法の改正ということですから質問したいと思うのですが、今度の予算とそれから定員法の改正に当って、農地局は当初五百六十六名の定員増加の要求をしておるのでありますが、それがこの表を見ますと、農地局で二名だけふえておるように出ておるのですが、まず全くゼロという査定になっておるわけです。これについて、今年度から、今衆議院で農地局長を呼びに来ている土地改良法の改正、それから土地改良事業特別会計の設定に伴いまして、従来の土地改良事業というものが、非常に経済効果が悪くて、いつになったらできるかわからないというようなことでは、経済的に見て非常に不経済であるということから、特別会計を創設して、そうして国営の灌排事業、干拓事業、あるいは代行事業、これらを特別会計で政府から資金を借り入れて、地元負担分を借り入れて、工事を早期に完成して、効率的な施行をやる。そうして資金の円滑化と事業に経済性を持たせるのだと、こういうことで、特別会計法が今衆議院でかかっておるわけでございます。そうしますと、どうしても従来の農地局の定員をもってしては、これらの法律の精神に合うところの事業遂行ということは非常に困難になる。今年度の新規事業として、六カ所の国営事業が新設されるわけです。特にその中で一番大きい八郎潟の建設は、総工費約八十億という膨大な予算をもって、八郎潟の干拓事業を本年度から着工する、こういう事態になってきておる。そういうような時期に五百六十六名の定員を増加して、そしてこの事業の遂行に当ろうという決意をされた。農地局当局はそういう決意でこの定員を要求したと思う。ところが全くゼロということは、一体この土地改良法の改正なり、特別土地改良事業特別会計の創設というものに、事業遂行上、農地局長は自信があるのかないのか、まずお伺いしたいと思います。
  76. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 三十二年度の農地局の行政及び事業の業務に即しまして、定員増加をお願いをし、常勤労務者及び非常勤職員実態に即しまして、その適当な範囲を定員化していただくのは、予算及び定員に関しまして、関係省に要求をしましたときの気持と現在も同様でございます。  第二点の、しからば三十二年度において自信をもってできるかということでありますが、これは職員の協力を得まして、職員も、業務も、行政組織も、とにかく続いて将来を期すべきもので、解決すべきものは本年、三十二年度で片付けなかったものは三十三年度ではぜひ実現をするように、私ども考え方も再整理いたしまして、また、行政管理庁、大蔵省あるいはその指導理念を御決定になりまする政府の最高の方々にも、三十三年度では相当解決をしていただくということをきめまして、三十二年度は事業を実施して参る所存でございます。
  77. 北村暢

    北村暢君 今の農地局長の答弁は、全くわかったようなわからないようなことを言っておられるのだが、その定員を要求したときの考え方というもの、五百六十六名というものを要求した、そのときの考え方について、今も何も変っておらないということですが、それなればその変っていないということと、三十二年度はその定員が増加されなくてもやっていけるということとは、非常に矛盾するようでございますし、私は、実際に実際問題として今、八郎潟の干拓に配置転換をするということで農地局長は非常に苦しんでおる。実際問題として苦しんでおる。強制命令まで出して今、配置転換をやろうとしておる、こういうことを伺っておるわけです。従って、これは非常な無理をしてやる。これが聞くところによると、この特別会計そのもの、土地改良事業そのものが、公共事業その他の審議会の答申等がありまして、非常な合理化を要求されてきておる。そういうような段階の中で、私は、農地局長としては特別会計を創設して、そして国民経済的にも有効な土地改良事業というものに持っていこうという、その熱意と仕事に対する計画というものについては大いにわかるわけなんですが、その特別会計を創設する仕事に対する熱意と同時に、私は、やはりこの事業を遂行するところの定員確保ということについても、やはり同じ程度の熱意というものが示されなければならなかったというふうに考えるのでありますが、この特別会計法を通すために、大蔵省から人員をふやすということが押えられて、それと交換でこの特別会計が設定せられ、創設されるというようなうわさすら私聞いておるわけです。従って、政府のいう完全雇用であるとか、合理化であるとかというようなことが、一体この土地改良事業このものを見ましても、私はどうしても納得できないものがある。従って、事業の合理化なり何なりというものの犠牲がこの職員に一方的に押しつけられておる。農地局長は非常命令まで出して、そうしてこの事業遂行を強行しなければならない、非常に苦しい立場にみずから陥っているのじゃないかというふうに考えるので、農地局長の今の答弁ではどうしても納得できないものがあるのじゃないか、こういうふうに思うのです。
  78. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 五百六十六名の定員を増加要求いたしましたのは、愛知用水と、農業機械開発公団の公団業務がありますが、事業がだんだん着工、最盛期になって参りますと、その監督及び指導推進に当ってもなお四名、農業水利実態調査には少くとも専門知識者が一人要る。土地改良事業の監査につきましては官房に考査官がございますが、われわれが直営また代行補助の事業として行なっておりまする土地改良事業では、会計検査院の検査におきまして、まことに申訳ございませんが、件数が非常に多いと、最近若干の減少を示しておりますが、まだその努力が足りないというために、監査を局においても特に力を入れて行うための十名。それから先ほど御指摘になりました土地改良事業特別会計の出発に当りまして、御指摘になりましたような趣旨によりまして五名の要求をいたしました。これは本省の経理事務がおもでございまして、逐年事業は増加し、新しい事務も末端の事業所までふえるのでございますが、事業開始に当りましては、特別会計で採択をいたしまする事業を比較的少くまずしぼっておりますので、五名を要求いたしました。その他災害査定は、これも補助金の適正化に力をうんといたすべきであるというので、特に財務局や、いわんや会計検査院の事前査定を受けてやっておるのは、まことにりっぱなことではない。農林省の事項としてみずから査定を最終的に、できれば唯一の査定事務を行う官庁となるべきのが筋合いであるという建前から、災害査定官十二名をお願いしまして、なおこの補助金あるいは建設事務の適正化、資金の効率化をはかるために、職員年々六百名前後は府県庁の職員をも、農林省の職員をも入れまして研修をして、設計過大見積りの誤まりなど、あるいは工事施行上の監督、竣工検査の適正化という技能を養いたいと思っておるのであります。現にもう行なっておりますがその関係で十五名。八郎潟干拓では百六名。その他の部分で、常勤労務者でありながら、各事業所におきまして、ほぼ係長級の方が、定員でなしに責任ある仕事常勤労務者でやっておりますことが、ここ数年来のことでございます。貴重な税金を使っております公共事業でありまして、また会計検査院の批難事項等のことも考えまして、適当なるものと判断いたしましたので、四百六名を要求いたしたのでありますが、その計が五百六十六名、こういうわけであります。その結果といたしましてはまことに事務当局としては残念でございますが、来年はぜひ公務員制度調査室の結論を待って定員の調整を行い、行政管理庁のここにいらっしゃる岡部管理部長ども、非常に理解をもって考えて下さるふくみをもっていらっしゃる。大蔵省においても、予算面でまず定員予算を組むのは、本年度は一応全面的に押えるということでございましたので、一つはそれぞれの事業につきまして、今の定員を要求いたしましたこと、常勤労務者定員化することにつきましても、予算の結果が、委員及び予算をあわせて要求しておるときよりも、ある程度減少をいたしました。土地改良特別会計の新しいやり方とか、事業の進展とかがございますが、事業規模としましては、予算一般会計において二十一億、災害関係は約三十億減少でございます。特別会計の事業としても七億増でございます。融資額を含めまして十五億増になりますので、八郎潟も最初は第一年度としまして約五年で完成するつもりで、第一年度は十六億くらいの仕事をしたいと思っておりましたが、諸般の事情から四億に二割の借入金をつけて初年度はやるということになりました。それらの事情を勘案いたしまして、三十三年度及びそれ以降においては、政府全体の良識ある解決を期待することとして、遺憾ながら定員増加をやめたのであります。その反面には、こういうことも私は了承して、業務の三十二年度の遂行のことを考えた結果でございます。農地局は定員が三千二十名、常勤職員が二千六百二名でございまして、現在定員をおのおの比較しますと、欠員定員において五十名、常勤で百四十五名ございます。四月一日現在の調査でございますが、合せまして御指摘がありましたように、新規の事業所を開くべき所は、国営灌漑排水におきまして鬼怒川その他の四カ所、干拓は八郎潟その他一カ所がございますが、三十一年度の完了地区は明治用水、碧南その他干拓においても開墾においてもございまして、事業所を廃止してもよろしい所がございます、と同時に三十二年度に、予算面でもお示ししておりますように、国営灌排では三カ所、干拓でも三カ所、開墾でも三カ所の完了予定をいたしておるのであります。将来私どもの方は資金の獲得を十分にいたしまして、事業の推進をする、その反面におきまして、事業所は冬期の厳寒期等を除いては、あるいは準備期間等を除きまして、フルに活動をしていただきたい、職員もそういう気持でおると思いますが、予算関係からいたしまして、年々それほどの多くの仕事がございません。従って残余は研究、設計等をいたしまして、定員が足りないこともあわせまして、技術職員が事務の仕事等を行なっておることもございます。三十二年特別会計の設置、一般会計による事業の施行に伴いましても、予算を重点化してつける等の予算措置が取られましたが、三十三年度以降はこれがますます発展すると思います。そういうこととあわせまして、三十一年度の完了事業所、三十二年度においても早期に完了した事業所で人をさき得る部分、これと先ほど欠員のことを考えまして、かねて農林省は、先ほど食糧庁その他についてお話がありましたように、充員の停止等の措置がとられておりましたが、率先して農林大臣にもお話を申し上げまして、すみやかなる充員と、事業完了地域における配置転換を、実情に即して職員の生活に支障を来たさない範囲におきまして、家庭の事情もよく見まして充足したいと思っておるわけでございます。例を八郎潟にとりますと、四十名をこえる程度の職員でも三十二年度の事業は遂行し得るという見通しを持っておりますが、それをもって足れりとしませんので、今後私どもの方としても大いに努力をしますし、行政管理庁、大蔵省あるいは内閣の最高方針としての御理解を得るように、また得つつありますが、三十三年度を期して事業とマッチするように、また常勤労務者責任を持った工事竣工の検査を、定員でなしにやるような事態を解消するように極力努めたいと思っております。事務折衝の過程ではその含みを十分に持って今回はがまんしていただきたい、政府の方針でもあるからということでございましたので、事業費予算等の当初の要求よりは、きまりました予算が減っておりましたこととにらみ合せますると、その他申し上げましたようなことにおいて、事業官庁の継続性と、職員の業務を愛する御協力を得まして、不当な生活の圧迫をする配置転換等のないように、円満に職員方と話しまして行いたいと思っておるのであります。ただお話の中にありましたように、配置転換を非常手段をもって行おうとしておることは、全然ございません。御了承願います。
  79. 北村暢

    北村暢君 今の農地局長の言われておるように、会計検査院の決算の報告の指摘事項のうちで、農林省は親玉なんですが、そのうちでも一番多いのは農地局なんです。で、一般会計の指摘事項のうち七百八十四件、そのうち農地局が五百六十二件会計検査院から指摘されている。あれだけの膨大な直覚工事を、あるいは代行工事をやっておりまするので、これはもう当然事業の性質からして、こういうこともあり得るかとも思うんですけれども、とにかくこの会計検査院の指摘事項が多いのです。ところがここで要求しておる土地改良事業等の監査のための十名の、要求が、これで二名認められておるのですかな、こういうことなんですね。これは非常に遺憾だと思うんですが、約二百億、三百億近い予算をもってやる直営工事なり国営事業も持っておるのに、これの監査機構として今まで何にもないわけです。業務監査をする機構というものを持っておらない。それで官房の調査官というようなものがある、こういうようなことではこれはもう当然こういう経理上の不正使用と思ってやるのじゃなくして起ってくるということは考えられる。ですから、この土地改良事業等の監査のための十名くらいの要求がなぜいれられないのか。これは非常に不思議に思うところなんです。  それからもう一つは、末端の現場へ行きますと、農地局長が言っておられるように、事業の責任を持つ、いわゆる事業の主任といったような人が、これが定員である農林技官とか事務官といったような人ではなしに、常勤職員で何らの責任のない人がそういう仕事をやっている。この実態は、もうこれは常勤労務者について各省共通することかと思うのですけれども、農地局の実態はとにかくそういう点が実際多いのです。従って、これら会計検査院の指摘事項も多くなってくるのは、これはもう当然のことなんです。そういうふうになっておるのですね。従って、農地局長がいかに中央で目を光らしてもそういうことが起るようにちゃんとできておるのです。監督機関もなければ、責任のない人に仕事をやらせておる。これがもう実態であります。でありますから、こういう会計検査院の七百八十四件のうち五百六十二件という、農地局だけが半分以上を占めているという実態が出てくる。これは一つ十分行政管理庁でも考えていただかなければならない。こういうふうに思う。  それからもう一つ。農地局長は、政府の方針でもあったようでありますから今度の定員はあきらめた、こういうことを言われたんですが、行政管理庁の岡部部長にお伺いしたいのだが、これは政府の方針であったのかどうなのかお伺いしたい。
  80. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 先ほども申し上げました通り定員を抑制するということ、必要最小限度定員はこれはまあ認めますが、もちろん政府の方針として絶対的に定員を一人もふやさないなどという方針はございませんが、極力定員の抑制をはかるということは政府の方針でございます。
  81. 北村暢

    北村暢君 絶対に定員をふやさないということではないとこうおっしゃられるのですが、私は、特に農林省の各部局のあるうちで、今年度のこの定員の要求の中では、農地局以外はほとんど熱意を入れて定員を要求しているところはないのですよ、相当ある中に。それでこの農地局の定員要求というのは、ずいぶんあるほかの部局とは農林省の中でも非常に違うという点、先ほどじゅんじゅんとお話しした通りなんです。この特別会計創設に伴う新規事業の増設なり、あるいは事業促進のための事業の充実というような点からして、どうしてもこの定員はほしい、それからまたあらゆる会計監査から指摘された事態からしても、これは絶対に必要である、こういう考え方に立っておるなら、農地局のこの分については、政府のいう、そのどうしても必要なら認めるというものに該当しないのかするのか。私は当然すると思うのだが、どうなんでしょうか。
  82. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 農地局の増員要求五百六十六人のうち、三百五十八人は常勤労務者定員化の問題であります。この点につきましては、これは実は、同じ職種の職員が建設省、北海道開発庁、運輸省にもおるわけなんでございまするが、この農業の公共事業に使われております三百五十八人の職種というものは、建設省その他と違いまして、定員化するのに比較的ふさわしい職種のものである、ということを私ども十分認識しておりますので、この点につきましての手直しをいたしたいということは十分考えたわけでございますが、何しろ常勤労務者という問題は各省にまたがる問題、ことに建設省の一万余に関する問題でもありまするので、これはどうしても政府として一挙に解決したい。それは次の国会までにはどんなことがあっても解決したいということを関係省が集まりまして、固い決意をいたしまして、そのかわり本年度においては、これは延ばす、ただ名称の点につきましては不自然な点があるので、名称だけの変更にとどめたことはまことに申しわけないと思っておりますが、その程度にいたしまして、この点は明年を期するという政府全体の方針にいたしました。大蔵省、行政管理庁はもちろんのこと、関係各省最高首脳部の間におきましても、その点の了解点に達しましてこういう措置をとったわけであります。あとの約二百名の増員につきましては、これは先ほど安田農地局長から御説明申し上げました通り、いろいろな部門に分れております。で、これは直接事業量と関係する数名の問題でございますので、これは予算の最後の折衝の増減の場合に農林省と大蔵省とで話し合いで査定する問題で、それについて行政管理庁が異議がなければ通してもらいたいということでありまするので、この点につきましては、大蔵省と農林省とで今年度においてはこの点がやれるという話し合いがつきましたので、他の新規定員の増加と同じように取り扱ったわけでありますが、御指摘の監査関係につきまして、わずか二名で数巨億の事業の監査をできるかということのお話でございましたが、特別の監査機関がなくとも、本省及び農地事務局のそれぞれの部局というものは、事業の適正な執行について、現場について十分監査をする当然の権限があるわけなんでございます。それが特に必要な場合におきましては、特別な官職を設けることもありますが、本来農地局長以下農地局全体の責任あるいは農地事務局責任考えております。それに加うるに、会計検査院、行政管理庁あるいは大蔵省の財務局の監査というようなものも、側面から監査いたしまして、事業の適正な執行を期する。こういうことに考えておりますので、この十名の要求が全部満たされれば不正が非常に減る、それが二名だから非常に不正が依然としてあとを断たないというようなことは考えておりません。
  83. 北村暢

    北村暢君 今の監査のことにつきましては、もちろんそういうことは行政官庁である限り全部あるのですよ。地方の局長、農地事務局長は管内の事業について監査なり監督する権限はもちろんあるのです。しかしながら監査の制度というのは、やはりこういう国営事業の非常に大規模でやっておる所は、おおむね監査機構というものを持っているんですよ。林野庁にしても監査課というものがあって監査官が七、八名もおって、そして各営林局に三名の監査官というものがおるんですね。そして業務監査をやっておるわけです。ですからこの監査というのは、会計検査院の会計検査だけが監査、または行政監察だけが監査ではないので、やはりそういう機構というものは、あれだけの膨大な事業をやってればやはり必要だ、この点はやはり私は農地局にはこれは必要だと思う。それがあったから、設けられたなら、すぐ会計検査院の指摘事項が急に減るとは考えられないでしょう。しかしながら、監査制度というものがやはり考えられる点はどこの官庁にもあるんです。郵政省にしても何にしても監査制度というものはあるんです。ですから、今まで全然と一言っていいくらいなかったものですから、農地局には、非常に大きな仕事をやっておりながら、なかったということの欠陥が指摘されていいんじゃないか、これは十分認めていただきたいと思うのです。  それからもう一つは、三百五十何名かの常勤を繰り入れるという問題については、これは建設省、北海道開発庁とほとんど同じケースですから、これは私は除いたとして、八郎潟の干拓の事業が百六名、そのほかこまかいのが、先ほど言ったように五名、十名というのがあるわけですが、この八郎潟の干拓事業の百六名というのは、今、農地局長は、四十数名でも第一年度はやって行けるんだ、第二年度になれば、まあ三十三年度はふやさなければならないというようなことをおっしゃられておるんですが、しかし新規事業として起ったのは八郎潟の干拓だけじゃないんです。静岡の庄内の干拓事業、これが大体三十五名くらい。それから鬼怒川の農業利水事業、三重県の宮川の農業利水、それから愛媛県の道前道後の農業利水事業、それから愛知県の、濃尾の農業利水事業、こう六つの新規事業があるわけです。従って、農地局長は三十一年度で工事の完了するものを配分して、そしてやって行くということを言われておるんですが、もう実際問題としてこの配置転換は終っておるんです。この三十一年度に事業が終るというものについては、配置転換は終っておるんです。それでなければ、農地局のところは一つの事業によって五年なり十年なりかかって大体終るということはわかるんですから、その前から逐次配置転換をやって、事業の終るころにはスムーズに配置転換が終るようにできてるんです、実際問題として。ですからこの新規事業の起るところには、それはもちろん配置転換では行くんですけれども、しかしながら、三十一年度の事業の大体終っている時期において新規事業が起ってくるということになるというと、全部が必要とは言わないですが、とにかくこれだけの膨大な新規事業というものが起るということになると、これは定員増ということが絶対に必要だ、これはもう何としても必要なんです。それが完全にゼロということでやられているということは、それは四十二名なら四十二名ということでも八郎潟の干拓はいいんだが、それじゃなぜ四十二名というものを認めないのか。全然ゼロでもってやれということは、五十人要るところを二十人でやれというなら、それは仕事を割合減らしてできるかもしれないけれども、ゼロということはこれは成り立たないと思うのです。しかも先ほど言っているように、ほかの事業所から、それじゃ融通してやって行けるかというと、ほかの事業所も全部特別会計になって事業を促進するんです。今まで二十年かかったものだったら、五年なり十年かかるというものはまずないんです。今までの干拓事業は、二十年かかってのんべんだらりとやってきた干拓事業というものはたくさんあるんです。八郎潟のような大規模な干拓事業すら五年でやろうとしているんでしょう。そうしますと、ほかの事業所から差し繰って新規の事業所に持って行こうとしても、持って行く人員的な余裕は絶対ないんです。今までも常勤を使ってやっているんですから、そういう実態で事業を促進するという中で定員をゼロということはどうしても納得できない。だから農地局の分についてだけは、私はやはり修正でも何でもしてもらわなければならない。これだけは私は理屈も通るし、事業の実態からいっても農地局長は非常に苦しい立場に追い込まれておると、いうふうに、実は農地局長に同情をするんですよ。そういうのが事業の実態なわけなんです。そこら辺を考えないで、この定員の中で差し繰るといってゼロで査定するということは、どうしても納得できない。これは事業の実態からきて私は言っている。よくわかるだろうと思うのですが、これをどういうふうに処分してくれるんですか、処置しておるんですか。
  84. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 北村委員の御質問、まことにだんだん傾聴して参りますと、ごもっともでございまして、ことに公共事業を能率よく一定の短期間に仕上げるということは、きわめて大事なことだろうと思います。それにはまた必要な定員もつけなければならないということも、これも当然なことだろうと思うのでありますが、ただ少し私言いにくいことになるのでございますが、これは必ずしも農林省の公共事業のことを申すのではないのでありますが、公共事業がいろいろ予算関係もあります、あるいは人員配置の関係もありまして、なかなかその各事業所で定員がフルに使えているかという点につきましては、定員がなかなかフルに使えていない。定員が遊んでいるんじゃないか。で、事業所の職員といたしましては、一ぱいに働きたいのでございますが、仕事の手順あるいは予算の配置の関係で遊ばなければならないというような余儀ない事情がある。あるいはまた仕事が縮小いたしまして、だんだん手がすいてくる。一方、他の方面においては新しい仕事がふえてくるので、そちらの方に本来すぐ振り向けなければならぬ仕事を、依然として仕事が減っているのにかかわらず、定員をそのまま置いておくというような事業所間の配置転換がきわめて円滑に行われていない。このことは一カ所見れば少いようでありますが、たくさんの事業所を見ますと、そういう点のロスというものが非常に多い。そういうようなことを全部引っくるめまして、民間の企業に比べて、政府の公共事業の能率が低くなっているということは一般に認めなければならぬことで、私どもが必要な定員をつけるのは、それはできるだけ民間企業と同じ能率を上げて、同じだけの能力を発揮するのに必要な定員というものを理想と考えているわけなんです。しかし現在のところ、いろいろな会計法規の制約その他がありますので、とても民間企業と単位を同じくするわけには行かないと思っておりますが、そういうように根本的な疑問の点がありまして、これは何も農林省あるいは建設省が解決しろと言ってもできないことでございます。政府全体が解決しなければならぬことでございます。そういうようないろいろな問題がありまするので、なかなかこの公共事業関係定員の恒久化、適正化ということが今までできなかった実情だろうと思います。この点は御了察いただきたいと思うのでございますが、私どもも、今度、土地改良特別会計ができまして、これを非常にスピード・アップして能率よくやるという方針には全面的に賛成でございまするし、それに必要な職員というものを、たとえば八郎潟につきましては、今年は準備設計調査の期間だろうと思うのであります。来年に着手することになれば、当然必要な職員は認めなければならぬだろうと考えております。それからまた農地事務局が六カ所ございますが、各農地事務局の事業分量に応じまして、これに重点的に配置転換の努力をする、これはなかなか困難だと思いますが、そういうことも、とりあえずやっていただかなければならぬことだろうと思うのでありまして、そういうようないろいろな努力を農林当局が重ねまして、今年度におきましては、新規定員の方はこれでやれるということでありますので、ことしはこれでがまんしていただいておるという事情でございますが、北村委員の御意見は十分尊重いたしたい、こう思っております。
  85. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  86. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。  暫時休憩して一時半から再開いたします。    午後零時五十四分休憩    ―――――・―――――    午後一時四十五分開会
  87. 秋山長造

    ○理事(秋山長造君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員長が暫時おくれますので、委嘱により私が委員長の職務を代行いたします。  休憩前に引き続き、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案に関し御質疑のおありの方は順次御発言をお願いします。  政府委員として出席の方は、外務政務次官井上清一君、外務大臣官房長木村四郎七君、外務省人事課長廣田慎君、それから行政管理庁岡部部長、以上、四名が出席されております。
  88. 田畑金光

    ○田畑金光君 定員法によりますと、外務省の方は今度三十六名ふえることになっておるわけです。そのふえる理由は、在外公館の新設及び増強に伴う増が四十九名、一般行政事務の運営合理化に伴う減十三名、差し引き三十六名ふえる。そのふえる三十六名のうち、十八名は各関係者からの振りかえ充当になっているわけですが、その内訳をさらに読みますと、警察庁一、防衛庁二、科学技術庁一、法務省一、大蔵省三、農林省二、通産省五、運輸省一、労働省一、建設省一、こうなっておるわけですが、この十八名の人方について、どういう配置にこれは外務省としてなさるのか。おそらく在外公館等に配属されると思うのですが、その仕事の割り振り、配置ですね、それらについて御説明を願いたいと思うのです。
  89. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 田畑さんの御質問にお答え申し上げます。御指摘のように、昭和三十二年度の定員におきまして、外務省の定員増三十六名をお願いをいたしているわけであります。そのうち十八名は配置転換で、他の官庁から外務省に派遣を予定しているものでございます。これの配置先並びに派遣官庁を申し上げますと、アメリカ合衆国の大使館に二名、これは内訳を申しますと、防衛庁が一名、法務省が一名でございます。カナダ大使館に運輸省一名、メキシコ大使館に通産省一名、カンボジアの大使館に農林省から一名、シンガポール総領事館に通産省から一名、インド大使館に大蔵省から一名、オーストリア大使館に一大蔵省から一名、イラク公使館に建設省から一名、トルコ大使館に通産省から一名、ドイツ大使館に科学技術庁から一名と労働省から一名、エジプト大使館に通産省から一名、それからソ連大使館に警察庁から一名、防衛庁から一名、大蔵省から一名、農林省から一名、通産省から一名、合計五名、全部通計いたしまして十八名他省から派遣を受けることに相なっております。  この駐在いたしますものの仕事といたしましては、駐屯の非常に多いのは経済関係で、大蔵、通産、農林、科学技術庁あるいは建設というように、経済関係の官庁からの派遣者でございますが、経済外交の一翼を担当してもらいたい、かように思っております。その他防衛庁とか、法務省あるいはまた警察庁というようなものは、派遣先の制度の研究とか、あるいはまた情報の収集というようなことが任務になろうかと、かように考えております。
  90. 田畑金光

    ○田畑金光君 今の配置の状況によりますと、各省からそれぞれ係官が在外公館にそれぞれの任務に応じて配置になっておるわけですが、防衛庁関係で幾ら現在のところ在外公館に配置になっておるのか、警察庁から全部で幾ら、今お話の経済外交の一環として経済官僚の配置が幾らになっておるか、これを一つ全体として幾らになっているか教えてもらいたいと思います。
  91. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 各他省からの派遣者は三十一年度におきましては七十名でありまして、三十二年度は、御承認願いますと十八名ふえまして八十八名になるわけです。その内訳を申し上げますと、現在員は通産関係はアメリカのワシントンに二名、ニューヨークに一名、サンフランシスコ一名、トロント一名、ブラジル一名、アルゼンチン一名、それから英国が二名、フランスが二名、ドイツが一名、インドが一名、タイが一名、パキスタン一名、中華民国一名、ビルマ一名、フィリピン一名、ジャカルタ一名、シドニー一名、香港一名、トルコ一名、イラン一名、総計二十五名でございます。それから大蔵省が十三名でございまして、ワシントンが二名、ニューヨーク二名、英国が五名、フランス一名、ドイツ一名、タイが一名、香港一名、レバノンが一名、合計十三名、それから農林省は、アメリカ二名、ブラジル二名、英国二名、イタリア一名、インド一名、タイ一名、パキスタン一名、ビルマが一名、合計十名、それから労働省は、ジュネーヴが一名、英国が一名、合計二名、運輸省は、アメリカ一名、カナダ一名、ブラジル一名、英国一名、ハンブルグ一名、インド一名、合計六名、それから郵政省がジュネーヴ一名で一名、文部省がフランスが一名で一名、法務省がオランダ一名で一名、建設省がフィリピンが一名で一名、それから防衛庁がアメリカ三名で計三名、警察庁はフランスが一名、イタリアが一名、香港一名で、合計三名、それから国鉄がニューヨークが一名で総計一名、科学技術庁がアメリカ二名、英国一名で総計三名、合計七十名でございます。
  92. 田畑金光

    ○田畑金光君 警察庁がフランス、イタリア、香港に一名ずつ派遣になっておりますが、特に香港なんかの場合は、これはどういうわけで香港に一名行っているのか、またフランス、イタリアに一名ずつ、それぞれ派遣になっておりますが、警察庁の人方はどういうような仕事を、これらの国々でおやりになっているわけですか。
  93. 井上清一

    政府委員(井上清一君) フランス、イタリアは主として各国の警察の制度と申しますか、そうしたことについての研究をやっております。香港はアヘン、密輸出入の関係のために特に派遣をいたしておるようなわけであります。
  94. 田畑金光

    ○田畑金光君 これは派遣になっておるというのは、そこで駐在しておることなのでしょう。
  95. 井上清一

    政府委員(井上清一君) そうです。
  96. 田畑金光

    ○田畑金光君 駐在しておるということは、単に制度の研究にとどまるのか、あるいはその他の目的をもってとどまっておるのか、もし警察制度の研究であるならば、当然、日本の現行警察制度はアメリカに学んでおるはずですから、アメリカとか、イギリスとか、そういうところならば話はわかりますけれども、フランス、イタリアあるいは香港、特に香港の場合は、制度の改正ということでなくして、密輸出入の監視と申しますか、そういうようなことであろうと、およそ想像はつきますけれども、一人でもって、香港でそういうような仕事ができるのですか。
  97. 井上清一

    政府委員(井上清一君) なかなか一人でやるのは困難と思いますが、いろいろな方面に連絡いたしまして、いろいろな情報、犯罪情報の入手について努力しておる、そのように思います。またフランス、イタリア等に配置いたしておりますが、必ずしも一地方に長くおるわけではありませんで、各地を旅行し、視察し、いろいろ各方面の警察制度の調査研究、そしてまた犯罪に関しまする諸般の情報というようなものの連絡についてやっておるのでございます。
  98. 田畑金光

    ○田畑金光君 防衛庁の三名は駐在武官の仕事をやっておるよう、なわけですね。
  99. 井上清一

    政府委員(井上清一君) かつての駐在武官で、アタッシェでございます。
  100. 田畑金光

    ○田畑金光君 文部省のフランスに駐在しておる一名、これはどういうようなことをやっておるわけですか。
  101. 井上清一

    政府委員(井上清一君) これはフランスにございますところの日仏文化会館の関係仕事とか、ユネスコの仕事をしております。
  102. 田畑金光

    ○田畑金光君 それから経済外交とお話になりましたが、通産省から二十五名出ておるのですが、先ほど二十五名、各国についてお話がありましたが、そのうち東南アジア方面に何名ぐらい出ておるのですか。それともう一つは、それはなかなか数字はめんどうでしょうから、どういうような仕事をやっておられるのか、伺いたい。
  103. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 今、東南アジア方面に派遣されておりまする通産省関係の技術者は全部で八名でございまして、主として現地におけるところの市場調査とか、あるいはまた向うの物価の関係調査とか、あるいはまた貿易関係調査とか、また日本人の向うに商談のために参ります者と現地との間に立ちまして種々のあっせんをやったり、あるいはまた経済情報を収集して日本に送るというような仕事を主としてやっております。
  104. 田畑金光

    ○田畑金光君 建設省からフィリピンに一名派遣になっているというのは、賠償関係のあれで……。
  105. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 賠償関係もございますが、技術援助というのがおもなことでございますし、またもう一つは、現地におきますところの建設事業に協力をさせるということが主たるねらいであり、また日本の建設業が海外に進出して行くための一つ調査とか、あるいはまたそれらの足がかりを作るというような意味で出しておるわけであります。
  106. 田畑金光

    ○田畑金光君 これら派遣された各省の人方の身分はどういうことになるのか、また給与の問題等はどういうことになるのか、それは在外公館に派遣されておる外務省関係職員についても同様ですが、給与関係は特別の措置がとられておることは承知いたしておりますけれども、それがたとえばヨーロッパに行く、あるいはアメリカに渡る、東南アジアに行く、こういうような、それぞれの国で給与、身分の違いがあるのかどうか等について御説明願いたいと思います。
  107. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 各省から派遣されておりまする人は、それぞれ外務省の定員の中に繰り入れられておるわけでございますので、外務省の職員として、外務省の職員と同様に扱い、外務省の職員と同様な監督もし、また指導もいたしておるようなわけでございます。それで身分はそれぞれ一等書記官とか、三等書記官とか、参事官とかいう外務省の職員と同じ身分になっておりまして、従って待遇も同じ待遇をし、また任地によりまして在勤加俸がつきますことも外務省の職員と同様な扱いをいたしておる次第でございます。
  108. 田畑金光

    ○田畑金光君 この予算を見ますと、外務省本管所管の予算で、アジア諸国との経済技術協力に必要な経費として一億五千七百三十六万九千円が計上されておりますが、これを見ますと、「アジア諸国との経済協力に関する企画立案及びその実施の総合調整を行うとともに、コロンボ計画に基く技術者交換等技術協力の実施並びに財団法人国際学友会、社団法人アジア協会および財団法人日舞学会等の事業を補助するため必要な経費である。」、これ全部について御説明を願いたいとは思いませんが、このアジア諸国との経済協力に関する企画立案、あるいはコロンボ計画に基く技術者交換等、技術協力の実施のために必要な経費であるとなされておりますが、その内容について、特に私はこのコロンボ計画というものについて、あるいはアジアの諸国との技術、経済協力について、予算上どういう内容になっておるのか、昨年あたりからこの面における予算の充用、今年の予算等の比較の上に立って、それについて一つ外務省の方針をあわせてお聞かせ願いたいと思うのです。
  109. 井上清一

    政府委員(井上清一君) アジア諸国に対する経済協力の推進のための経費として、総計において約一億二千万円計上いたしておるわけでございます。その中に、あるいはアジア協会の補助金とか、アジアの学生を受け入れまするところの団体に対する補助金というものを別にいたしまして、先ほど御指摘になりましたコロンボ計画に基く技術協力のための予算というものが、この中の一番おもなものでございます。経済協力推進のための経費と銘打ってありますけれども、その中の中心は、何と申しましてもコロンボ計画の技術協力のための予算というものが主でございます。これは御指摘の通りでございまして、これは今さらここで申し上げるまでもなく、東南アジア諸国の経済開発に協力するというようなことで、一九五四年の十月、コロンボ計画にわが国として参加をいたしたわけであります。で、コロンボ計画によります援助には、資本援助と技術援助とがありまして、わが国の現状といたしまして、資本援助はいたしておりませんけれども、技術援助というものを主としてやっておるわけでございます。その内容を申し上げますと、技術研修生の受け入れ、あるいはまた専門家の派遣、専門家の派遣に伴います実習用の器具機材の費用というようなのがおもなことでございまして、それに必要な経費や、三十二年度の予算におきましては、八千二百七十八万六千円、このうちには機械器具の供与費五百万円を含んでおります。この八千二百七十八万六千円のほかに、技術協力審議会事務局経費の分担金として、これはコロンボ・プランの中心になっております事務局でございますが、技術協力審議会事務局経費の分担金として三百万円を計上いたしております。これによりまして研修生を六十二名、そのうち三十一年度から三十二年度に引き継ぐものが十一名ございますので、新規のもの五十一名を受け入れる計画でございます。なおまた専門家は六十七名、その六十七名のうち、内訳を申し上げますと、三十一年度から三十二年度に引き継ぐものが二十三名でございまして、新規のものが四十四名でございますが、この専門家六十七名を東南アジアの各国に派遣するという計画でございます。  なお、先ほど質問がございましたが、三十一年度の関係予算というのが、五千二百九十七万七千円であったのでございまして、この八千二百七十八万六千円との差額が、新たに今年度増額いたしました経費でございます。この一方針について先ほど質問がございましたが、わが国といたしましては、現在の状況におきましては、東南アジア各国に対して資本援助をするというところまでは行っておりませんけれども、わが国に持っておりますところの技術を東南アジア各方面に紹介し、わが国の技術者を向うへ送って日本の技術を紹介する。また各国から日本研究生を連れて参りまして、日本の産業を見てもらう、日本の進歩した工業技術というものを、できるだけ東南アジア各国に紹介をいたしまして、そして東南アジア諸国の開発に協力して行こうと、こういうことを今後とも逐次一つ積極的にやって行きたいというのが、東南アジア経済外交に対しまする技術協力の一つの方針でございます。
  110. 田畑金光

    ○田畑金光君 詳細に御説明をいただいてよくわかりましたが、そうしますと、日本の今後のアジア後進地域諸国に対する援助というものが、資本援助という考え方ではなくて、どこまでも技術援助でやって行こうとする方針であるのか、また将来は資本援助ということも考えられるのかどうか、と同時に、もう一つお答えの中にもありましたが、技術援助の中には施設援助というものも含めて考えておられるのか、この点はお話によりますと、本年度の技術協力実施費八千二百七十八万六千円の中に、機械器具等施設提供費というのが五百万円含まれておるというのですが、技術援助の中には、施設援助等も含めてお考えになっておるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  111. 井上清一

    政府委員(井上清一君) お答えを申し上げます。現在の日本の経済状態から申しまして、どうもやはり資本援助というほどの日本の経済的な力というものは、私はまだまだおそらく、資本援助をするにこしたことはございませんけれども、そこまで私は行っていないと考えております。ただ、まだ賠償の問題が解決しました国が二国、解決せんとする国が相当ございますし、また戦争中の特別円の問題なんかも、先般フランスとの間には解決を見、またタイとの間にも解決を見たのでございますが、これらはある見方から申しますと、やはり資本援助の一種というふうにも、賠償を援助というのは、はなはだあつかましい言い方かも知れませんけれども、結果から見ますと、同じような影響を持つわけでございますので、今のところ賠償に日本としては手一ぱいであって、資本援助をするという程度までは私は行かぬ。できるだけ日本の技術援助というものが、現在としては経済協力のために必要な日本としては本筋じゃないかと、こう考えております。  それから先ほど産業設備の援助、いわゆるプラント輸出というような点について御意見がございました。賠償の中でそうしたブラント輸出をすることによって、つまり賠償の一環にしたいという計画は、日本としてはずいぶん持っておるわけであります。たとえばタイに、あるいは精油所を作ったらどうかという意見もあったり、あるいはまたビルマに発電所を作る計画が進んでおる、いろいろしております。こういうことは今後とも進めて行かなければなりませんが、何と申しましても、国の力というものは限りあるわけでございます。今後、日本と海外諸国の経済提携の実を上げて行くためには、やはり何と申しましても、民間ベースによるところの経済協力というものを、今後大いに私どもは期待しなければならないし、この水先となって最初の道をつけて行くという役目を、経済外交のやはり一つの行き方として考えて行かなければならぬ、こう思っておるわけで、こうした関係で、今度輸出入銀行法の改正という点で、できるだけ日本の資本が東南アジアの諸国に出て行って、これらの諸国の経済開発に資することができるようにというような考え方をもちまして、輸出入銀行法の改正も今度はやったようなわけで、できるだけ東南アジアの開発、経済開発に協力するということは、やはり日本の経済的な今後の発展とは非常にうらはらな問題とも思いますが、私どもとしましては、経済外交の推進ということに、特に重点を向くべき地点は、何と申しましても、やはり東南アジア地区じゃないか、こう思って、今後ともそういう方面に努力いたしたい、かように思っております。
  112. 田畑金光

    ○田畑金光君 今お話の中にありましたように、いわゆるプラント輸出と言われるような、ブラントをもって援助をするというようなことは、それはなかなか日本の経済力の現況からは無理であるかもしれませんが、しかしコロンボ・プランというのが、東南アジア諸国の非常に大きな、今日の経済開発にとって要素になっているわけです。それぞれの国において年次計画を立ててやっているが、同時に並行して、コロンボ・プランに基く経済援助、技術援助というものが、それぞれの国の大きな経済開発の原動力になっているわけです。日本お話のように、一九五四年に参加はしたけれども日本の参加している援助の実績というものは非常に微々たるものです。お話のように、資本援助はまだやっていない、たとえば、これは一昨年でありますが、カナダの場合は、コロンボ・プランに百億の金を出している、豪州は五十億、ニュージーランドは十億、日本は、一昨年は四百万前後であると私は聞いておりますが、昨年はこれが約六千万円になり、ことしは八千二百七十八万に上げた、これはだんだんふえておりますけれども、まだ一億に満たない額なんです。カナダなんかが一昨年すでに百億これに援助をしている。非常な大きな雲泥の差ですが、特に今お話の中で、技術援助といっても、なかなか日本の技術援助というものは消極的で、現地から見ると歯がゆくてならぬということの批判を受けているわけです。たとえばイギリスにしても、西ドイツ、西ドイツは直接にはコロンボ・プランに参加していないようですが、いずれにいたしましても、技術援助等をやっているのです。そのときは単なる技術じゃなくて、同時に必要な機械、そういうようなものを持って行っている。同時に技師とともに機械が、それぞれの設備援助に入って行って、そこで動いている、このことを通じ、将来の取引関係というものの基盤を築いて行っている。ところが日本の場合は、技師を派遣はするが、それに必要な機械器具というようなものはなかなか持ってこない。こういうようなところに、日本の経済的な発展の立ちおくれが、つぶさに現地に行くと感じられるわけですが、今年度は、お話によると、機械器具五百万余を予算化したというのですが、これはどういう内容のやつですか、またどのような方向にこれを使われようとする計画なのか。
  113. 井上清一

    政府委員(井上清一君) お答えをいたします。田畑さんは昨年東南アジアをずっと視察されて、現地についてごらんになった御経験、かつまた実際を見られた結果について、いろいろ御指摘があり、先ほどお話を聞いて、私ども非常に参考になり、また実際その通りだと思うのであります。ただ、どうも日本としましては、これまでやはり何と申しましても、財政的に貧困のために、技術援助はしているけれども、技術援助の実質的な裏づけになる機械器具という面について、予算が少いために力を入れていないし、今までそういうことが無視されておったために、経済開発の実が上っていなかったという点においては、私はやはり御指摘の通りだと思います。今年度は五百万円を予算に計上したわけでございますが、これはまだ具体的にどこに何をどうするという計画は、外務省としてはきまっておりません。各国からのいろいろな要望を取りまとめました上で、逐時一つ具体的な計画をきめて、技術援助とうらはらに一つこの問題を進めて行きたい、こう思っております。ただ五百万円と一応書いてございますけれども、なおこのほかに民間から相当現物でもって御協力を願える部分が私は相当あるのじゃないか、またそれを相当見込んでおるわけであります。で、そうした点で今後の技術協力という、ものを、まあできるだけ一つ御期待に沿うように進めて行きたい、こう考えております。
  114. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は今の御答弁の中で、五百余万円を計上したが、具体的にその方法、計画等が立てられていないということは、これはやはり怠慢のそしりを免れずと申し上げたいのです。私は現地で、これはセイロンの場合を申し上げますが、一昨年の五月にセイロンから大蔵次官補が日本に来まして、特に家内工業の機械施設について七十四品目の援助を求めているわけです。当時のセイロンの公使、今は大使ですが、大村さんの時ですか、十一品目についてはよろしい、引き受けましたと、こういう約束をなさっていたけれども、さて日本へ行っていろいろ折衝してみたところが、大蔵省との話し合いでなかなかうまく行かなかった、こういうわけで非常に現地の出先、在外公館としても困ったし、これがセイロンとの経済取引関係に重大な障害を及ぼしておる。特にお聞きいたしましたところが、セイロンと日本の場合は十対一の日本の輸出超過ですね。向うは十倍も輸入超過だ。そういうような経済関係にあるにかかわらず、日本はどんどん持って行くだけで、現地において、将来を見通した生きた経済的な協力とか、開発とか、そういうようなことが何もなされていない、こういうことを私たちは見て参ったわけです。ことに家内工業の施設として七十四品目の援助を申し入れて、当時の公使は十一品目は責任をもって引き受けた、ところがいまだにもってものにならぬ。その中には歯ぶらし製造機械のようなものも含まれているが、それすらもいまだに具体化していない。こういうようなわけで、非常に日本としてのセイロンに対する信用失墜を来たしている。こういう話をお聞きいたしまして、まことにこれは日本の外交、あるいは大蔵省あたりの考え方というものは狭過ぎる、遺憾なことだ、こう感じて来たわけですが、これはその後どういうことになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  115. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 機械器具の予算五百万円の内訳がまだきまっていないのは怠慢じゃないかというおしかりを最初に受けたのでありますが、実はきまっていないのは何を幾ら、何を幾らというのがきまっていないだけでございまして、実は各国からの要望というものが全部こちらに参っておりまして、どれを取るべきかということは、まだ三十二年度においては最終的に決定していないということを申し上げたわけであります。先ほどお話がございましたセイロンの十一品目の点につきましては、これは三十二年度には、ぜひともこれを入れるということで計画を立てております。ことにセイロンは日本の片貿易と申しますか、こちらから出ている何が非常に多うございまして、今後とも、ぜひとも一つセイロンの経済開発には協力してくれという非常な強い要望もあり、かつまたセイロン自体が非常に親日的な気分のあるところでございまして、今後とも、御指摘がございましたセイロンなどには相当力を入れて行かなければならないと思っております。
  116. 秋山長造

    ○理事(秋山長造君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  117. 秋山長造

    ○理事(秋山長造君) 速記を始めて。
  118. 田畑金光

    ○田畑金光君 それじゃ話を進めて……。先ほどの話によると、本年度研究生六十一名、専門家六十七名、これはコロンボ・プランに参加している諸国に対する研究生を呼ぶとか、あるいは専門家を派遣する、こういうことだと思いますが、そんなにたくさん、今までの実績から見ましても上っていないように見て来たのですが、たとえばセイロンなんかみますと、一九五五年の一月から一九五六年の五月末までに、専門家の派遣は十三名、訓練生の受け入れ数がわずかに八名、こういうことになっているので、むしろインドよりもセイロン等に、専門家の派遣あるいは訓練生の受け入れ等は多いように私は現地で見て来たわけですが、そんなにたくさんなされていないように見受けたわけですが、これは間違いありませんか。
  119. 安藤吉光

    説明員(安藤吉光君) それでは私から御説明申し上げます。初めの間は、今、先生のお述べになりました通りでございましたのですが、ちょうど昨年の秋ごろから、日本に対する研修生の受け入れ、あるいは専門家の派遣というものが非常に要望が殺到いたしまして、数字で申しますなれば、ただいま本会計年度の分として、すでに要請がありましたものが、研修生については七十名でございます。それから、専門家については大体四十六名が今予想されております。かような次第でございまして、もちろんこれらはその機関とか、あるいはまたそういったものを受け入れする施設があるかどうか、いろいろそういうことをやっておりますうちには、どうしても受け入れがたいものもあるかもしれませんが、とにかく現在すでにこれだけの申請がきております。さらに内々に、タイ国なんかは相当大きな数字のものを受けてくれないかということを申してきております。昨年の初めあたりまでとは様子が非常に変ってきております。
  120. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ、そういうような要請がなされているということで、先ほどの数字とにらみ合わすと了解がつきますが、これが実際具体化し、実現できるように当局としては御努力を願いたいと、こう思うのです。特に私は今セイロンの例を一例申し上げましたけれども、その他の諸国についても同様であろうと思うのです。私が参りましたときに、昨年の十月二日でありますが、西ドイツから経済担当の外務次、官、これは名前は違っているかもしれませんが、シェリペンベルグという人ですかが、わずか一週間の滞在で、経済技術協力協定を結んで、西ドイツは百名の訓練生を受け入れるのだ、こういう思い切った手を打っているのです。ところが日本の場合というものは、まことに優柔不断と申しますか、消極的である、こういう感じを持ったわけです。  それから話は違いますが、たとえばいろいろ外国からお客さんが参りますね。これは賓客として遇するような人は、それはまあいろいろそれだけの費用を持って参りましょうが、もう少し、たとえば東南アジア諸国から日本にいろいろな人が来ておりますが、こういう人を受け入れやすい、受け入れ得るような施設を設けることが大切じゃなかろうか、それくらいの外務省としての準備等は、もうこの段階では大事じゃないかと思うのです。あるいは帝国ホテルとか、あるいはまた東京ホテルとか、こういう一流のホテルに参りますと、とても向うから政府の役人なんか来ましても、これは日本でも同様ですが、日本の役人がたとえば外国を旅行する、われわれ国会の人方が、あるいは海外派遣で海外旅行をしても、なかなかこの予算というものが制限されて、ふところ勘定で歩かぬと旅館にも泊れない。そこで強く現地では、たとえば政府の方で一つホテルくらいを借り上げてというか、指定して、そこにまあ安くて泊れるとか、サービスも十分行き届いている、そういうような施設を日本の場合設けてくれるならば、海外からも非常に喜んで日本旅行ができるんだが、これが政府機関等の話し合いの場合でも、相当これは効果的じゃないか、こういうような話等もあるわけですが、それらの点等についてはどうですか。この間、在外公舘長会議を開かれておりましたが、現地の意見等も出ておると思うのです。その点について何か考えておりませんか。
  121. 井上清一

    政府委員(井上清一君) 今、田畑さんの御意見、まことに同感なんです。実は先般の会議を開きましたときも、実はそうした意見も出ておりました。まあ、東南アジア諸国から日本に参りますところの研修生を受け入れるための一番問題は、やはり住の問題が一番問題なのであります。それで東南アジアとか、ビルマとか、タイとか、参りましても、さっそく住むのに一番困る。そのために先般住宅公団と打ち合せまして、政府の住宅公団の費用をもって、住宅公団から金を出してもらって、そして東南アジアからの研修生のためのアパートを今作る計画を立てております。これは二百人くらい収容できるものを作りたい、こう思っております。これは結局まあ日本の住宅難の緩和にも一応は間接的にはなってくるわけでございますから、そうした点で設備をはかって、そして東南アジア諸国からの研修生を受け入れる態勢を作りたいと、こう思っております。  それから最近、ことに東南アジアの方面からもずいぶんたくさんのお客さんもくるわけで、そのためにずいぶんいろいろな接待をしなきゃならぬということで、外務省もそうした受け入れ施設を持っている方が非常に便利じゃないかというような意見も実はあるのです。あるのですけれども、やはり相当経費を伴うし、一々接待するときに、いや帝国ホテルでやるとか、どこでやるとかいうことも費用が非常にかかるわけで、何かそうした設備があれば、私ども非常に便利じゃないかということも考えているわけで、今後とも十分この点はお説のように考えて行きたいと思っております。
  122. 田畑金光

    ○田畑金光君 お話のように、住宅公団から、これらの研修者のために、予算の上から言うと百戸の住宅建設を予定されておりまして、いろいろ衆参の関係委員会等でも論議があったようですけれども、やはり私たちは大きな視野に立って判断した場合に、それくらいの積極的な手を日本政府としても、また直接担当される外務省としても準備されることが私は大切だと思うのです。こういうようなことを、私たちはむしろもう少し積極的に進められることが必要じゃなかろうかと思うのです。また私は今後ともこのことを継続されることを希望いたします。同時に、今お話の中で、研修生じゃなくて、もう少し上のクラスですね、あるいは政府の代表とか、あるいは国会の代表とか、相当それぞれ旅費をもらってくるかもしれないが、いずれの国もそれと同様で、帝国ホテルとか、その他の大きなホテル、幾らとるのか、われわれも内地にいて泊ったことはありませんが、自民党の皆さんはちょいちょいこれはお泊りのようですが、われわれはなかなかそういうところに泊ることもできませんが、そういうことも考えたときに、やはりそういうことが東南アジアなら東南アジアの経済交流、親善関係を深める一番大事なことだと思います。井上さんはいつも抽象的な答弁で、ちっともやろうという誠意のある御答弁でないので残念ですが、これは一つ外務省としても考えていただいて、やっていただきたいとこう思うのです。  まあ、いろいろ質問しますとたくさんありますけれども、きょうはこの辺で、またあとに継続いたします。
  123. 秋山長造

    ○理事(秋山長造君) それでは外務省関係はこの程度にいたしまして、八木委員から発言を求められておりますから、発言を許します。
  124. 八木幸吉

    八木幸吉君 農林省に資料の要求をお願いしたいのです。それは、昨年の多久島事件、それから昨今新聞で問題になっておりますいわゆる河村事件、それから北海道の黄変米にからんでの不正事件、この三つの事件は農林省の機構の問題と密接な関係がありますので、この際その資料を要求いたしたいと思います。  第一は、多久島事件に関係した問題でありますが、農協の事務の系統の図解表をいただきたいのです。というのは、あの事件の発生いたしました公金詐取事件の、金を送ったり、もらったりする系統が私たちにわかりませんので、農林省はどういうような機構で、どういう人が事務に当っているかということが一目瞭然にわかる詳細の説明いただきたい。これが第一点。それから第二の河村事件は、肥料に関係する事件でありますが、肥料の割当並びに全購連へ肥料を、価格の安定を図るために十五、六万トン委託保管させておって、その金利、倉敷料が約三千万円に上っておると、こういう新聞記事があるのでありますが、この肥料に関係ある事務系統の詳細、これも図解にしていただきたい。第三は北海道の、食糧庁の関係と思うのですが、黄変米の毒素をとるために再搗精する、つまり二度つき直す、その問題と関連して不正事件が発生したのでありますが、その事件の発生の原因を明らかにすることのできるような事務系統の図解表、これもいただきたい。この三つを農林省の行政の機構と関連いたしまして、真相が直ちに把握されるような、なるたけ詳細の図解表をちょうだいいたしたい。こういうことをお願いしておきます。
  125. 秋山長造

    ○理事(秋山長造君) ただいまの八木委員の御発言の資料要求、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 秋山長造

    ○理事(秋山長造君) それでは委員長の手元で当局に提出を要求いたします。  次は、郵政省関係について。  政府委員として政務次官の伊東岩男君、それから説明員として人事部長大塚茂君、それから文書課長浅野賢澄君、それから主計課長上原一郎君、その他の方々が出席されております。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  127. 森中守義

    ○森中守義君 昨日の一般質問の中で若干触れた面もありますが、ごく細部の事項にわたって少し質問を展開したいと思います。  その第一は、郵政が毎年定員を大蔵省あるいは行管の方にお話される前提として、全国にその組織を持っている郵政省でありますから、当然地方の郵政局あたりから、郵政省に対して定員資料と申しましょうか、あるいは要求と申しましょうか、こういうものが当然出されていると思いますので、この全国の郵政局から出ている数字を、まず最初にお示しを願いたいと思います。
  128. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 郵政省といたしましては、地方機関から毎年度予算編成を前にして、全部定員の要求を取りまとめるというようなことはいたしておりません。ただ特別な事情によって、必要な局からはそのつど定員の要求が出されてくるということでございます。各事業の定員要求に必要な取りまとめというものは、各郵政局内の各部局において、全国的なものを事業の系統において責任をもってまとめるというようなやり方をやっております。
  129. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、たとえば今年六千名の要求を出された、これは要するに平素郵政省が全国のサービス提供の状態を見て、要するに非常に根拠のある数である、こういう工合に見てもいいんですか。
  130. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 今年度大蔵省に概算で要求として出しました数字は、仰せられる通りに六千名余りございますが、これにつきましては、郵便事業については本省の郵務局、貯金事業については貯金局というのが、それぞれ責任を持ちまして、需要数を取りまとめ、それと内部的にいろいろ相談しました結果、最後的に省内で取りまとめた数字でございます。
  131. 森中守義

    ○森中守義君 私は行政官庁でなくて、事業官庁ですから、すべてその現場に出先があって、少くとも郵便あるいは貯金、保険、こういったようなきわめて公衆にサービスを提供して行く動的な官庁であるだけに、おそらく年間にサービスの標準というものはきめてあると思うのです。それを今年は六千名でよろしい、あるいは来年はこの程度でよろしい、こういう、いわば出されている要求が現場からの実態に照らした定員要求でない限り、その根拠については非常に信憑性がない、脆弱な根拠じゃないか、こういう工合に思うのです。それで予算要求、定員要求そのものの要求の仕方にも、これはかなり問題があると思うのですが、従来そういう方法をおとりになった前例はありませんか。
  132. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 従来から大体現在のようなやり方をとっている次第でございます。仰せられるように、何と言っても現場が主体でございますので、現場の要求あるいは実態に即したものをわれわれとしては取りまとめなければいかぬというふうに考えておりますので、各事業部局においては、いつも現場の状況について、監視と申しますか、実情を熟知しております。従って必ずしもそのつど現場から要求をとらないで、大体本省内の部局がそれを代表し得るというふうに考えておる次第でございます。
  133. 森中守義

    ○森中守義君 そのつどという話が出たのですが、そのつどということは、えてして特殊な問題が発生した場合、それは人間が足りないから、こういう人をほしいというようなことが一般的にあり得ると思うのです。そのことが即、要するに地方郵政局の意向を聞かずして、大蔵省なり、あるいは行管に出し得る非常に内容の充実した、しかも絶対に実態に即した、そういう要求の資料あるいは根拠にはなり得ないと思うのですよ。どうしてもやはり一般的に見た場合に、特殊な問題を中心に人間の要求が上ってくる、こういうことになりはしないかと思うのです。それで本年の場合、六千名の要求の場合も、結果的には千九百六十一名ということに落ちているのですが、その根拠の絶対的な内容というものがどうしても乏しいような気がする。それですから、これは明日の総括的な問題の際に、特に行管あたりにもその意向をただしたいと思うのですが、要するに、定員の要求の仕方そのものにも郵政省の場合には若干問題があるように思います。それですから、私が言っているそういう常時実態の把握ができておると言いながらも、やはり要求する場合には、定員資料を作る場合には、年度の更新ごとに、予算編成のたびごとに、地方の郵政局から、こういう資料というものを的確におとりになる必要があるのではないかという工合に思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  134. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) われわれの方におきましては、先ほど申し上げましたように、大体現場の実情は常時把握しておるというふうに考えておる次第でございますが、しかし、これは念には念を入れて間違いはございませんので、おっしゃられるような点については、よく一つ省内で相談をいたしまして、念には念を入れるというようなふうにいたしたいというふうに考えております。
  135. 森中守義

    ○森中守義君 入念にやってもらうのはいいのですが、東京都内でこういう実例が一つあるのです。最近、新開地と言われているのですが、板橋の方で郵便物の持ち戻りがある。その理由はともかくとして、私はやはり一面を物語るものは人間が足りない、しかも道路が悪い、自転車の更新の時期がおくれている、あるいはもう少し新しい郵便局舎を別に建てる、そういう方法論はいろいろあるでしょうが、やはり東京都内で郵便物が一口に千五百通も、あるいは二千通も持ち戻りになっているという事実は、これは私はやはり郵政省は、今、大塚人事部長の御説明で行けば、常時把握していると言われるけれども、やはり実態はそういうものもあります。この点が私はやはり、まあ今の問題は一つの例にすぎないけれども、やはり常時把握しているというような見方というのは、若干実情に即していないのじゃないか、こういう工合に考えるのです。それですから御相談をいただいて、将来定員の要求あるいは定員の策定に当っては、もう少し慎重に、少くとも企業官庁であり、事業官庁であれば、公衆にいかにサービスを提供するかというのが、私は郵政省の最大の目的であり、使命であると思いますから、そういうように、将来の問題として定員要求の方式の変更、これを御検討いただきたいと思います。  それから、地方郵政局からそういうことだということですが、中央の段階ではかく分れておる、保険局あるいは貯金局、または経理局、人事部、こういう工合に各部局が分れておるが、おそらく私は貯金部門なり、あるいは各部門ごとに、おそらく定員の要求が経理局の方に集められてきたのじゃないか、あるいは人事部の方でお取りまとめになったのじゃないか、その内容を示してもらいたいと思います。
  136. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 予算要求をいたします前に、各事業部局から、それぞれ来年度の物数増加その他の予想を立てまして、それに基きました人員の要求というものがはじき出されるわけでございますが、これは内部的に、いろいろの事業局の立場から必要な計画を立て、あるいは希望的な観測その他をまじえまして作りましたものを、経理局が中心になりまして、予算と言いますか、収入その他の経費の面等ともにらみ合せまして調整をいたすわけでございますが、この途中の数字は、まあ作業の過程にあっていろいろの数字が出るわけでございまして、これを一々私実は記憶をいたしておらないのでございますが、要するに、取りまとめた最後の数字として、省である程度の権威を持って言えるものは、大蔵省に出しました六千三百名余りということでございます。
  137. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、この大蔵省に出された六千名というものは、郵政省としては絶対ぎりぎりの数字であって、この六千名がとれなければ事業の経営は困難である、こういう工合に理解していいのですか。
  138. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 先ほどから申し上げましたように、それぞれ事業部局で、来年度の事業計画あるいは事業の増収と言いますか、物数増加の見込みというようなものを立てまして、はじいた数字でございまして、その見込み通り、またはその計画通り実施するということになれば、これは必要欠くべからざる数字というようなことにも相なりますが、必ずしも希望通り、計画通り来年度事業計画をやれるというわけにも参りません場面もありますし、また増収等も、必ずしも当初事業局で予想した通りの伸びというようなことも、その通り行くというわけにも参りませんし、また予想以上に増収その他がありまして、人手等が要ります場合には、予算総則によります弾力条項等によって、必要な経費はふやせるというような点もございますので、まあ、それやこれやをにらみ合せて六千三百名という数字が出た次第でございます。
  139. 森中守義

    ○森中守義君 一千九百六十一名に結果的にまとまっていますから、やはり要求人員と、大蔵省と話がついて国会に出されてきている人員とには、四千数百名の差異があるのですね。そこで人事部長は、権威ある数字である、こういったようなお話でしたし、私のぎりぎりのものかという質問に対しては、的確なお答えがないのですが、少くとも四千数百名の差異ということは、私はかなり大きいと思うのですよ。そこでこれだけの数字をことしもらって、果して郵政省が計画をしている各事業部門の事業が、果して計画通りに行けるものかどうか、その責任が持てるのかどうか。さらにもう一つお聞きしたいのは、今弾力条項というような話も出たのですが、一歩下って、どうしても四千数百名の差異が生じたから、この際郵政省では若干事業を縮小する、ないしは事業変更をする、こういったようなこともお考えですか。
  140. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 六千三百名余りの数字につきましては、先ほど御説明を申し上げた通りでございます。これが予算査定の結果におきまして、千九百何名に決定を見まして、その間に四千何百名かの差ができましたことは、事業をやる立場から言いますと、相当つらいことではございます。    〔理事秋山長造君退席、委員長着席〕  しかし、まあいろいろ先ほど言いましたように、弾力条項というようなものもあり、まあこの定員のほかに、賃金予算というようなものも相当成立をしており、あるいは超過勤務手当というようなものもございますので、これらを総合しまして、何とか大体計画されたものに近いものは、まあやり得るというふうに考えておる次第でございます。
  141. 森中守義

    ○森中守義君 私はどうしてもこの六千三百名の要求の根拠に、相当以上に郵政省は確信をお持ちであろうと思います。また年間の事業を遂行されるには六千三百名が必ず必要である。そういう観点に立つだけに、今弾力条項の発動ということでありますが、これには一定の限度があると思う。あるいは非常勤賃金についても、後ほどこれは出したいと思っていますが、それにしても、その際四千数百名をオーバーして行くには、これもまた私は相当問題じゃないかと思うのです。こういうことになりますと、大体四千数百名の差異を何とか消化して行くには、どうもやはり問題が残りそうな気がする。そういうことになりますと、やはりその不足している分というものは、職員労働強化に待たざるを得ない。超勤も出そう、こういうことでありますが現在、現行年度まで、おそらく郵政省が職員に対して仕事をさせられて、それで完全に私は超過勤務が支払われている、こういうことには思っておりません。いわんや労働基準法で定めているいわゆる法定休暇が完全にとられていないというのが郵政省の実態じゃないか、こういう工合に思える。従ってこの六千三百名の、要求を出して、一千九百六十一名に落ちた、しかしその分については弾力条項の発動をやる、あるいは賃金や超勤、こういうことで埋め合そうということでありますが、なかなか私は人事部長の言われるように、簡単にはいかぬのじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか、労働強化もせずにする、いわんや予定通りに年間の専業計画が遂行できる、こういう工合に確信をお持ちですか。
  142. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、労働強化と言いますと、ちょっと語弊がございますが、どうしても従事員の諸君に能率をあげていただくというようなことはしていただかにゃいかぬというふうにも考えております。まあそういうふうな手を、いろいろ先ほどから申し上げます総合的な施策によって、とにかく計画に近いものを一つ遂行して行きたいというふうに考えておる次第でございます。
  143. 森中守義

    ○森中守義君 ここで私は行管の岡部管理部長にちょっと伺っておきたいんですが、郵政省の場合、元来これは現在の定員法を適用すべきかどうかということは、昨日の質疑応答の中で、行管の意向は大体明らかになっている。しかしまだ決定的ではないのですが、このように、企業官庁であり、あるいは事業官庁である郵政省の定員要求の仕方ですね、こういうものはどうお思いですか。
  144. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 大きな問題でございますが、第一点の、企業官庁の形態をどうするかということで、これが一つの政府としては大きな問題でございます。戦後、司令部の要請及び国会側の御意向もございまして、国鉄、専売、電電は公社形態にしたわけでありますが、残る五現業と言われるもの、造幣、印刷、郵政、林野、アルコール専売の五つにつきましても、これも公社形態にすべきかどうかというようなことは、これは年来、政府が検討しておる問題でございますが、この経営形態をどうするかということは、全然まだ結論に達しておりません。ただ根本方針といたしましては、現在の形態のままに置きながらも、なお企業能率の増進をはかるような措置を講じなければならない。それは経理面におきましても、機構の面におきましても、人員の面におきましても、職員待遇の面におきましても同様でございます。で、職員関係につきましては、御承知通り公労法の適用をはかっております。それから機構面につきましては、特に国家行政組織法に特例を設けまして、別個の組織形態、この企業体に適する形態を作れるように特例ができておるわけであります。それから定員の算定につきましては、これはもとより国民に対するサービスを提供する官庁でございますから、能率よくサービスのできるに必要な定員を計上しなければならぬ、こう考えておりますので、現在におきましても、六十四万の定員のうち、ついに郵政省が二十六万を突破するというように、年々必要最小限度定員の増加は、他の省につきましては抑制をはかりましても、必要最小限度定員だけは、郵政省については年々認めておるというような状態でございます。
  145. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、この定員法をとった方がいいかどうかということは、これは一応おくとしても、郵政省は六千三百名なければ、三十二年度の事業計画の推進はできない。国民に対するサービスの提供もできない。こういう根拠に立っているわけです。おそらく私は、今郵政省の大塚人事部長は非常に控え目な発言をされたのですが、この六千三百名というものは絶対不可欠な人間であると思うのですよ。こういうことを年々おやりになってきている。ところが定員法に縛られているということと、それと行管や大蔵省との関係で、郵政省がさか立ちをしてみても一千九百六十一名これ以上ことしはのんでいない。それですからきのうたしか管理部長であったか、どなたかよく記憶しておりませんが、こういう国家事業に対しては、定員法というものを当てはめておく方がかえって職員の身分保障の点においては有利である、こういうお話があったように記憶するのです。で私は、あながち、そういう見方もあるのじゃないか。定員法がないということで職員の身分が不安定になるということは、おそらく今日の国家機関としてはおかしいと思うのですよ。だからこういう論拠は第一成り立たないし、やはりこの今までの慣例で郵政省が必要とする六千三百名が当てられない。そうなりますと、年間の事業計画は予定量にいきたい、どこかに無理がくるのです。こういうものを大蔵省と予算折衝するような場合、行政管理庁としては郵政省に対してどういう見方をされているのか。その点をもう少しつまびらかにお聞かせ願いたい。
  146. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 私は定員法自体には今、森中さんの御指摘の点については罪はないと思うのです。適正な郵政省の定員を計上いたしまするならば、私はそれで足りるとこう思うわけであります。ただ、適正な業務量の増加に伴う定員が何人か、ということについて問題があるわけでありまして、これは郵政省当局が六千三百余の増員要求をいたしまして、これにはなかなか根拠はある、こう思っておりますが、私これが絶対不可欠の数字であるとは、私どもも大蔵省も考えませんので、必要最小限度定員の増加でがまんしていただくということの基本方針で、大蔵省と行政管理庁と協力してお願いしているわけでございます。しかし私どもも現在の二十六万余の定員をもっていたしましても、戦前に比べてさえもまだ郵政サービスというものが落ちている面が多いということも存じております。でこれは定員の増加ばかりではなしに、郵政業務全体の合理化、機械化、施設の改善という面も多いのでありまして、ひとり定員の増加にのみこの国民に対するサービスの改善を求めるのではなしに、もっと施設の増加、たとえば集配関係につきましても一そう機械化をする、もっといい器具機械を与えるというようないろいろなやり方が、私はあると思います。これを総合してやらなければ、郵政サービスの改善というものは望めませんし、またそういうことを郵政省もわれわれも考えておる次第でございます。
  147. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連質問。今の森中委員質問の中でちょっと重要な問題があるわけですが、まあ定員法にたまたまからんで、出た問題ですが、郵政の機構のあり方といいますかね、今御承知通り、郵政事業の中で普通局といえどもこれは委託業務を設けているわけです。それから特定局に至っては完全に電信電話業務を委託を受けているのですね。こういう企業の形態が、果して今のような形で完全なる国家機関としていいのか、あるいは公社形態がいいのか、あるいは何か別なそれに似通った特殊な方法がいいのか、これは一つの大きな課題だと私は思うのですが、そこでいずれはこれは公務員制度調査会の結論を待って、公務員制度全般についての検討もして、結論を出すという昨日のお話がありましたが、特にこの問題は非常に研究の課題の大きな問題の一つとして取り上げて、ぜひその際には結論を得ていただくように、まず要望しておきたいと思うのですが、そこでこれについて、やはり現実に今日まで運営しで、参りました郵政当局の意向というものが、相当大きなウェイトになるのじゃないかと思いますが、郵政当局で何かそういう研究をされたことがあるのかないのか。全然まだ話題の程度で正規の研究をしたことがないかどうかですね。あればお聞かせいただきたい。
  148. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) 事務的にはある程度まで研究しておりまするけれども、まだ具体的にどうすることがいいというところまで参っておりません。
  149. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは定員法の問題、それからこの身分の問題等とも関連して参ると思うのですが、特にこの今逓信委員会で問題になろうとしておりますお話を承わりますと、退職年金制度、つまり共済組合制度の改正、あるいはこれも強い要望が出ておるようですが、たまたま国家公務員であるというところに、これが非常な何といいましょうか、検討の対象になっておるように承わっておりますが、同じ庁舎の中に一方には電電公社あり、一方には郵政、郵便局ありで、待遇の面についても、身分の、退職後における保障の問題についても、かなり不公平といいましょうか不均衡が出ていることは事実であります。そのことが結果的に業務の運営にかなり支障になっていることも、私はもっともだろうと思います。もともと通信というものは一体で経営されるべき性質のものと考えるのでありますが、そういう点から考えますならば、やはりこの郵政としてのこの研究がいまだに結論が出ていないというのは、私はやはり不満だと思うのですがね。これは逓信委員会の所管かもしれませんけれども、やはり郵政には郵政なりの一つの五カ年計画なり、あるいはまた国策なりがあってしかるべきだと思うのです。そういう一つの通信国策なり、そういうりっぱな一つの大きな方針を立てて、それに従って一体機構はどうあるべきか、運営はどうあるべきか、従って定員はどう置くべきか、そしてまた身分の保障はどうあるべきかというようなことが検討されなければならぬと思うのですが、戦後もうすでに十二年を経過いたして、電電公社と分れましたけれども、あの機構が分離されたのは、たしか二十四年か六年のことだと思いますが。
  150. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) 二十八年です。
  151. 永岡光治

    ○永岡光治君 八年でしたか、公社に分れたのは八年ですか。二つに分離しましたのは二十六年ごろだと思っておりますが、それにいたしましても、これについてやはり結論が出ていないのは、これは怠慢とか何とかいうことでなしに、真剣にこれは考えてもらわなくちゃならぬ問題で、もとよりこれはサービス機関であるから、その見地に立って論議をされなければならぬと思いますが、ぜひこの次の公務員制度の問題に触れる際には、全般についての検討を管理庁は一つ出していただきたい。と同時に郵政当局におきましても、そういう大きな意味の通信国策といいますか、そういう大前提に立ったところのあり方について、早急に結論を出していただくように、特に私は政務次官がおいでになりますので、お願いを申し上げておきます。その結論は、そう私は長い間検討する期間は必要じゃないのじゃないかと思いますが、早急にそういう結論を出し、当内閣委員会にもお聞かせいただきたい。こういうようにお願いをいたしておきます。
  152. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) ちょっと私は先月九州の都城の電波監理局を見たのでございますが、そこでその待遇問題をいろいろ調べてみますと、同じ立場の人たちにおいて非常に待遇関係が均衡がとれない。私はそのときにぜひこれは是正しにゃいけないという強い感じを持ったわけでございます。ただこれは小さい例でございまするけれども、全般に通ずる議論だと思いまするので、ぜひ御意見のように、早急にこの問題は解決するように推進したいと存じます。
  153. 永岡光治

    ○永岡光治君 そのころいう研究をされる機関は郵政当局にお持ちでございますか。そういう機関はあるのでしょうか。
  154. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 行政機構の問題になりますと、それだけは文書課でございますが、通信政策今般の問題に関連して機構定員、その他の問題に及ぶということになりますと、大臣官房の調査課が中心になって研究をするということになります。
  155. 永岡光治

    ○永岡光治君 ぜひ、スタッフも十分おいでになると思いますが、不足すればこれはわずかな数で済むと思いますが、ぜひそういうスタッフもそろえていただきまして、早急に結論を出していただくように、特に本委員会から、要望いたしておきたいと思います。
  156. 森中守義

    ○森中守義君 政務次官にちょっとお聞きしたいのですが、同じ省内のことですから、郵政監察の定員が今ここに出されている総人員、それから増員の分、これとの関係がどういうものか、それから電波監理局はどういう関係にあるのか、そういう関連をちょっと御説明願いたいと思います。
  157. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) お答え申し上げますが、本年度の増員の中には郵政監察関係では特にございません。それから電波関係、電気通信監理関係におきましても増員はない次第でございます
  158. 森中守義

    ○森中守義君 この中で私は一番問題なのは電波関係だと思うのですよ。今政務次官もちょっと言われたのですが、最近非常に電波業務はだんだんだんだん拡大してきているのですね。NHKがある、あるいは民間放送がある、その他船舶無線、陸上無線、航空無線、さらに昨今ではまたテレビが非常に時代の脚光を浴びて出ようとしているのですが、こういう状態の中で、果して電波法に定められているような電波行政を今日のような人員で完全にやっていけるのかどうか、こういうことについてはどういう工合にお考えですか。
  159. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) 重大な問題でございまするが、お話のように、電波事業というものは日本において今後長足の進歩を来たすことはもちろんでございます。従いまして業務量も非常にふえて参りまするので、これに関連する人員等についても相当考えなければならない、現場を見て特にそういうふうに考える次第であります。
  160. 森中守義

    ○森中守義君 電波の問題は私はこの際特に具体的に何とか処理する必要がある、こういう工合に考えております。最近チャンネル・プランの問題が非常に政治的な問題になろうとしていますが、これもよく考えていけば、郵政省の行政措置としてできる問題でもあるのですよ。もちろんこれにはいろいろチャンネルの問題が非常に政治的に発展せざるを得ない要素が多分にあるにしろ、ただその一面を物語るものは、やはり電波行政に携わっている人が少い、十分なる調査研究ができない、こういうところにも私は一面の問題があろうかと思うのです。しかも当分チャンネルの仮免許をする、そういったような場合に果して法規に照らして適合するか、あるいは不適格であるか、こういう判断をつけ得る人員の能力、こういうものは、私は残念ながら、ここまで拡大してきた電波行政の業務の範囲の中における定員の配置では、とてもこれは困難じゃないかと思うのです。それで、三十二年度における電波監理局が人事部の方に要求を出してきた人員は、具体的にどのくらいであるか、そしてまたこれはどういうことで一名もふえていないのか、その点を明らかにして下さい。
  161. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 三十二年度の定員要求の過程におきまして、電波局から増員の要求が出ておるわけでございますが、一応われわれの方でとりまとめましたところは二百六十三人増員を必要とするというふうに考えまして、財政当局とも話し合いをしたわけでございます。さようでございますが、電波につきましては業務の特殊性等から見まして、必ずしも人員の増加というだけで問題が解決しない。むしろ非常に技術的な行政でございますので、設備の強化あるいは施設の増強、また従事員につきましては、電波科学に関する教養の向上、あるいは電波技術の向上という面においてそれを修得させ、あるいは向上させるということが、かえって人間をふやすというよりも急務ではなかろうか、そういう設備の面あるいは技能、学術的な面における向上という面にまず重点をおいていきたいというようなことで、今年度の増員は一応見合せて、その方面に重点をおくというようなことになった次第でございます。
  162. 森中守義

    ○森中守義君 それは、まあ今人事部長の言われる技能の練磨、あるいはそういうことは何も電波に限ったことではないのです。おそらく郵政省あるいは各省庁全体を通じて言えることなんですが、私は今の電波の二千八百名か二千九百名の定員は、これはかなり年数がたっている。おそらく三年か四年くらいたっている定員の状態だと思うのです。そこで、こういう歳月がたった中に、当時電波の持っていた業務の範囲と今日では格段の相違がある。民間放送がふえていますよ、あるいはテレビがふえている。そういう業務の幅がふえているのに、なるほど言われるように技能の練磨その他は必要でしょうけれども、今の電波の定員の算出の根拠は、ここ数年前の業務の範囲を基礎にした定員の算出であって、その後時間の経過の中にただいま申し上げたように、業務というものは大幅に広がっている。しかも電波行政というものはおそらく今日の日本全体を通じて非常に重要な仕事なんです。そこへもってきて今言われるような技能の練磨その他ということで、大体当面を打開し得るというような考え方は、私はちょっとおかしいのじゃないかと思うのです。この点、二十九年あるいは三十年くらいの定員の算出でないかと思うのですが、その点をもう少し明らかにしてもらって、さらに私は質問したいと思います。
  163. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 仰せられますように、電波の仕事は非常に日進月歩でございまして、仕事の面も量も増加してきておる次第でございます。従いまして先ほど申し上げました従事員の技能の向上、あるいは設備、施設の機械の増置というようなことで全部を補うというわけにも参りかねる点もございまして、たしか昨年度においては四十何名かの増員がありましたし、一昨年においてもたしか何人かの増員があったというふうに記憶いたしております。
  164. 森中守義

    ○森中守義君 この問題はもう少し電波当局と十分協議をされて、私は先刻しばしば申し上げているように、電波は非常に急激に業務がふえている、ことにチャンネル・プランはすぐ当面している問題ですし、こういうことで、もしも定員が少い、足りなかったために大事な国の仕事が片手落ちになるとか、あるいはまたチャンネル・プランが公平に決定できない、こういうことにでもなれば、私は郵政省の責任は非常に取り返しのつかぬ問題じゃないかと思うのですよ。それですからこの定員の問題は、この委員会であした上げようというような意気込みで、われわれもやっていますけれども、明日これについて総括的な問題がもう一回出ますから、その間に電波当局とほんとうに、二百六十名を電波は要求したということですが、このうちの何名あれば今日の電波行政は完全にやっていけるのか、この答えを私は明日まで出してもらいたいと思うんです。  それからもう一つお尋ねしたいのですが、この行管から配られた表の中で郵政は二千九百六十七名欠員になっているようです。これについては午前中行管の岡部管理部長の答弁ですと、大体行政整理の跡始末がついている所については、欠員の補充は押えていない、こういうことだったんですが、この郵政省の二千九百六十七名の欠員ということはどういう工合になっておるのか、これについて御説明をお願いしたいと思います。
  165. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 郵政省は御承知通り全国一万数千個所の局所に分散をいたしておりますので、そこで突然職員が死亡とかあるいは退職したという場合にも、直ちに翌日後任者を採用するというわけにはなかなか参りませんで、その間に何日かの期間があるというようなことに相なります。それが全国的に見ますと相当の数に上りましておるのでありますが、そのほかに多少俸給、経理の面から見てある程度の欠員というものを置く必要というようなことも加わりまして、約三千名近いような欠員があるという状況でございます。
  166. 森中守義

    ○森中守義君 言われることは大体においてはわからぬでもないのですが、こういう数字をそのまま放置しておいて仕事に差しつかえはありませんか。
  167. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 定員の面におきましては欠員ということになっておりますが、実際問題といたしましてはほとんど大部分賃金非常勤でその分を補っております。従いましてそう大して支障があるというまでには至っておりませんが、何分定員によってやるにましたことはございませんので、われわれの方は逐次それを是正していきたいというふうに考えております。
  168. 森中守義

    ○森中守義君 それから休職者の二千六百九十一名というのが、四月二日現在の行政管理庁の郵政省関係の数になっている。で、これはおそらく私は胸部疾患者が大半を占めていると思うのですが、大体病状の内容と、ここ一、二年の間にこの休職者の数はどういうように進行しているか、減少しているか、進んでいるかですね、それをちょっと説明して下さい。
  169. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 実は休職者全体の数字はここに内訳を持って参っておらないのでございますが、結核性の疾患によります欠勤人員につきましてはここに一応の数字を持っておるわけでございます。これは毎年おかげさまによりまして減少いたしておりまして、現在においてはたしか総人員の一・七%ぐらいに当っておると考えております。まあ一カ月以上の長期欠勤者が三千三百三十三人というふうに、これは二月一日現在でございますが、なっております。これは総人員の一・七%でございますが、ほかの方に比べて率としては低くなっておるというふうに考えております。
  170. 森中守義

    ○森中守義君 それからもう一つ聞いておきたいのは、郵政省の行政組織法によれば電信電話あるいは放送、こういうものを監督をするという条文があるのですが、郵政省では電気通信、あるいはもちろん電波関係があるのはありますが、主として電通を中心にした監督業務ということに配置されている人員はどのくらいですか、そうしてその機構はどういうものですか。
  171. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 電信電話の監督には、本省に御承知のように電気通信監理官室というのがございまして、これの定員はたしか二十名だったと考えております。それで本省はやっておるわけでございますが、地方におきましては、電波監理局の要員が一部その仕事をやっておるというふうな状況でございます。
  172. 森中守義

    ○森中守義君 あまりこの官僚的な監督を強化するというのも考えものでしょうが、電電公社を相手にしてまあ郵政本省で二十名くらいで足りますか。それと電波監理局というお話もありましたが、これは有線の電信電話の程度であって、おそらく電電公社の、設置法あるいは行政組織法に定めるような仕事の全体をやっていない、という工合に私は思っているのですよ。そこの食い違いがあるようです。
  173. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) おっしゃられますように、電信電話公社というりっぱな企業形態がございますので、それに屋上屋を架すような監督というものは、そうこまかいものは必要がないというふうにわれわれも考えましてやっておる次第でございます。それにしましても仰せられますように二十名ではちょっと少いのでございまして、実際問題としましては、郵政特別会計あるいは電波の一般会計の方から、たしか合して十名あまりぐらいの応援をやっておるという状況でございます。
  174. 森中守義

    ○森中守義君 国鉄、運輸省と電電公社、郵政省を同じ比率に置くのもこれはどうかと思うのですが、国鉄の関係では運輸省というものが一省をなしている。しかも膨大な人員を持っているのですよ。で、それに対して、電電公社に対し郵政省は二十名の要員を配置し、かつまた直接責任を持っている者は監理官二名、地方の電波監理局あるいは地方の郵政局に電気通信業務課というものがあるようですが、これは主として電電公社から委託されている、いわゆる郵政部内における業務をやっているに過ぎない。で、私はこの際どうしても有線あるいは無線を統合した、郵政省における一つの監督機構といったものを設置する必要があると思うのです。で、こういう点について政務次官の方では、郵政省内にすみやかにこういう先刻永岡委員が言われたような問題とくるめて、何か検討されるような御意思はお持ちかどうか。
  175. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) 森中委員先ほどから郵政行政の振興のためにいろいろ御指導的立場から御質問がございました。先ほどからだんだん事務当局からもお答えいたしておりまするように、郵政事業が事業官でありまするので、すべてではございませんが、多くは郵政のごときは人、いわゆる労務を中心にした仕事でございます。むろん機械化その他によって能率を増進させることは当然でございますけれども、何としても人の問題でございまするので、それについて先ほどからだんだんお話がございました。ことに事実を突きつけて御質問になった、配達あたりが完全にいっておらぬというのは、私は事実だろうと思います。例だけじゃありません、その他たくさんあると、こう思うのでございます。かようなことがやはりサービスの上において批判を受けるわけでございます。ことに電波事業のごときはいよいよチャンネル・プランを決定するといったような、最近の行政としては最も重大なときに当面いたしておるわけでございまするので、今後電波を中心にして通信業務というものが多々ますます繁栄することは当然でございます。そこに相当の人を配分するということは、つとに必要でございます。事務当局ではただ機械化によってとこういうことをおっしゃるけれども、私はやはり機械と人間と並行していかなければ、この業務の振興はできないと考えるわけでございます。そこで予算の問題について、先ほどから定員を中心にして御質問がございまするが、率直に申し上げますると、私は言い過ぎるかもしれませんが、予算の仕組みということが今のところでは自由にいかない。これは根本問題に触れるのでございますから多くを申し上げたくないのでございまするけれども、やはり予算というものは事実に立脚しなければならぬのが、どうも事実と遠ざかっておるという点については、先ほどから御指摘の通りでございますので、私どもはこの点については相当考えなければならぬと思います。  なお最後に、御質問の問題のごとき、まだ十分なる検討を加えておらぬということは申しわけございませんけれども、ぜひすみやかに検討を加え、ことに電波を中心にした人員増大のごときは、来年度には期してこの問題の増員のために一つ尽さんならぬ、こう、いう覚悟を御質問によって新たにいたしたようなわけでございます。
  176. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 私からも補足して御説明申し上げますが、三公社ができました場合、ことに電電公社はおくれて発足したわけでありますが、あの当時におきましては、国会の御意向といたしましても、なるべく公社の独立性を発揮させて、企業性、能率性を高めるためにはあまり官僚的な監督はしないように、従って監督機構はなるべく簡素にするようにという御意向と承わっておるのでありまして、国鉄ができました場合におきましても、この膨大な国鉄の監督のためには、鉄道監督局の中に国有鉄道部がございますが、これが定員三十六人でやっております。それから専売公社につきましては、大蔵省に専売公社監理官一人を置きまして、その人に十人ばかりのスタッフを置いて大綱について監督しておるような状態でございます。それに対しまして、ことに電電のときは一そうあまり細部にわたって監督しないようにというので、監督機構を控え目にいたしまして、電気通信監理官二人、その下に現在参事官は六人置いている、なお若干のスタッフを置いておるという小規模な態勢でやっておるわけでありまして、こういう公社の監督機構が不十分ではないか、もっとこれを強化する必要があるのではなかろうかという御意向も承わっておりますが、同時にあまり公社の自主性をそこなってはいかぬ、もっと自主的な活動をさせるべきではないかという御意向もありまするので、この監督機構をどうするかということは、なおいろいろ御意向を承わりまして検討したいと思っております。
  177. 森中守義

    ○森中守義君 大体考え方としては、これはもうあるべくして公社があるわけですし、それに不必要に人間を配置して官僚統制を加えるということは、なるほど私はその通りだと思うのです。ただ、今検討しようということですから、いずれその答えが出るとは思うのですが、郵政省における有線あるいは無線、これに対するいわゆる一元的な機構の検討というものは、当然行われてしかるべきであろう。特に無線の場合には今まで申し上げたように、かつてなかったような仕事がどんどんふえているわけですから、この点についてもう少し郵政省の独自の立場から、あるいはまた行管とも相談をされて、適正な機構の設定、あるいは人員の配置、こういうものを私はどうしてもこの際とるべき方法ではないかと思うのです。  それであと少しく質問をいたしたいと思うのですが、郵政省の場合に、大蔵省と交渉された経緯というものが、どの程度大蔵省に認識をされたのか。もっと極端に申し上げるならば、六千三百名の要求に対して一千九百六十一名、どうにも査定のしようがひど過ぎる、こう思うのですよ。それで、六千三百名の要求というものは、郵政省としてはどうしてもなければならない人であるし、その積算の根拠については大いに自信があった。こういうようなお話でありますので、大蔵省と交渉された経過、あるいは行政管理庁と相談をされた経過をもう少し詳細に御説明を求めたいと思います。
  178. 上原一郎

    説明員上原一郎君) お答え申し上げます。大蔵省に対してわれわれ定員を要求するわけでございますが、一応予算要求の根拠がございましてそれによって要求をいたしました。ことに郵便の問題につきましては従来の積算根拠がございますし、それから物数増が一般的な形として要求するという立て方になっておりますけれども、しかし物数増のふえるところはどこかという局所ごとに洗って参りまして、そこに重点的に定員を配置すればいいじゃないかというふうになりまして、こういったような数字になったわけでございます。それから貯金、保険といったようなものにつきましては、なるほど業務量の増は多少ございますけれども、しかしこれは機械化あるいは施設の能率の向上というようなことでやって、結局こういうふうな定員になったわけでございます。
  179. 森中守義

    ○森中守義君 どうしても、これはさきに申し上げたように実態定員の要求でない、あくまでも一種の想定的な、想定したような定員の要求であるという印象をことに強くするのですが、一千九百六十一名に下った結果、やはり何といってもこれは職員に対する一種のオーバー・ロード、こういったように形が変っていくような気がするのですが、その点についてどういう工合にお考えでしょうか。
  180. 上原一郎

    説明員上原一郎君) ただいまの御質問の要旨は、定員の要求に当っては、事実に基いて具体的ないわば何と申しましょうか、理論的な根拠に基いてやるべきであるという御指摘はまことにその通りでございまして、今後そのように定員の要求については措置していきたいと存じております。  それからこの六千名要求して千九百名ばかりでは非常に少な過ぎるではないか、という点の御指摘につきましては、やはり過去の年度もやはりその程度の割合であったということを申し上げておきたいと思います。
  181. 森中守義

    ○森中守義君 過去にこの程度であったということでは問題は解決しない。過去のやり方が私は当を得ているのかどうかというのははなはだ問題だし、むしろ過去においてそういうことが十分行われていないところに、先刻指摘したように東京都内ですら郵便物の持ち戻りがある。こういうことですから、過去のことを正当だ、あるいはそのことが一つの基準になるというお考え方は、郵政当局は私は捨ててもらいたいと思うのですよ。そこで大体郵便物の取扱いですが、これは四十六億通の増になっているのですね。これに対して郵便関係定員の増加というものはわずかに六百九十六名に過ぎない。一口に四十六億通といいますけれども、これを積んでみたら大へんなものですよ。こういう四十六億通の増加ということを実績としておきながら、六百九十六名ということで、果して増加した人間を含めて完全にサービスの提供、あるいは完全な事業の運行がはかれるという工合に思っておいでですか。
  182. 上原一郎

    説明員上原一郎君) 四十六億通に対して六百九十六人で完全な事業をはかれると思うかという御質問でございますが、これにつきましては四十六億通のそのふえ方の問題が実はございます。それでふえる所にはふえる、そこにまあ重点的に定員を配置するといったようなやり方で、一応定員としては六百九十六名というふうになっておりますが、賃金で百四十名ばかり整理しております。なおその積算の根拠については四%増を見込んでおりますが、さらに物数増がある場合には、先ほど事部長から申しましたように、弾力条項等の発動といったようなことで処置して参りたい、こういうふうに考えております。
  183. 森中守義

    ○森中守義君 これはまあそういうことで自信をお持ちであればいいのですけれども、おそらく今までの実情を見てみますと、やはり各現場で絶えず紛争が絶っていないのです。何かの形で紛争が生じておる。これは私は、こういう紛争が生ずること自体が、非常に無理な経営をしておるのではないかという工合に言わざるを得ないのですよ。そして今主計課長が言われるように、いわゆる弾力条項でやるとかあるいは賃金でみるとか、そういうことでなるほど四十六億通は一緒にたまるわけじゃないので、一種の流れ作業ですからそれはそれとして、おそらくそういうことだけでは済まぬのじゃないかと、こういう工合に思うのですよ。そういう点ほんとうに確信がありますか。六百九十六名、それに実績としては四十六億通の増加、これを比重にかけた場合ですね、問題が起らずに円満に事業の運行ができるか、こういう点どうでしょう。
  184. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 仰せられますようになかなかむずかしい問題でございまして、従業員の諸君にも能率を上げていただかなきゃいかぬというような点もございますが、とにかくわれわれとしては先ほどから言いましたように、賃金をもって、あるいは弾力条項その他を総合的に考えまして何とかやらなきゃいかぬし、また何とかやり得るというふうにまあ考えておる次第でございます。
  185. 森中守義

    ○森中守義君 善良なしかも良識ある郵政省の職員諸君は仕事はするでしょう。しかしながら私はその大半を職員の能率の向上に期待をかけられるという気持はわかるのですが、これには限度がありますよ。おそらく労働基準法が完全に守られているかどうか、私は非常にこれは問題だと思う。そこで何もかにもこれはやはり言ってしまえば、一千九百六十一名の約三分の一である郵便関係のこの定員増というものは、とても四十六億通の増加を消化し得る人間ではないと思うのです。この際あと何とか少しふやしてもらわなくちゃならぬ、そういうような気持ありませんか。そのことが現実に可能かどうかということは別問題として、この状態を一歩打ち破って何とか定員を少しでもふやしたい、そういう気持はありませんか。
  186. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) われわれ事業経営責任を負っておる者の立場から申しますと、もちろん定員をふやしていただくにこしたことはないというふうに希望はしておるわけでございますが、いろいろ事業経理の面その他の制約もございまして、必ずしもわれわれが十分満足というふうにいかぬのが普通でございますので、まあ少くも来年度はこれでやりまして、足らざるところは賃金で補っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  187. 森中守義

    ○森中守義君 やはりそうしますと、これは困難であろうけれどもやってみようということですが、もしも予想できないような問題が発生をした場合、つまり勤務については例の労働基準法にいうところの三十六条協定というのがありますね。これであなた方の相手には職員組合がある、職員団体がある。この職員団体がこういうことではどうしても仕事ができない、だから勤務時間の延長は困るのだということで、三十六条協定を結ばないというような場合、これは私はあり得ると思うのです。あまりにもひど過ぎれば、そういったような所期の事業計画の遂行ができないという場合に、若干事業を変更するとかあるいは縮小する、そういうこともお考えですか。
  188. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 従業員の諸君に例年通り程度の超過勤務をやっていただかなきゃいかぬということは、これは従来とあまり変っていないと思うのでございますが、そういう点につきまして、公共事業に従事しておる従業員諸君として、十分この事業の性質を承知いたしておりますので、何とか御協力を得られるものというふうにわれわれは考えております。
  189. 森中守義

    ○森中守義君 これは労働省に聞く方がかえっていいと思うのですが、今郵政省中で労働基準法は守られていますか。たとえばなすべき厚生施設であるとか、あるいはまた勤務時間の問題とか、その他いろいろ基準法に定めた条項がありますね、そういうものは守られていますか。
  190. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 基準法にもいろいろのあれがございますが、大体において基準法に準拠をして、われわれの方ではやっております。
  191. 森中守義

    ○森中守義君 大体においてでは、これはどうも労働基準法が泣きますよ。労働基準法は近代国家にふさわしい私は労働者の保護法だと思っていますから、やはり確実に国の事業としては基準法は守ってもらわなくちゃ困ると思うのです。そこで、大体においてという言葉ですから、若干は守られていない、こういうことも言えると思うのです。そこでこの四十六億通の増加、六百九十六名の定員増、これを見たときに、大体に守られているのが、かえって守られなくなる。こういう労働強化を強要する結果になるのではないかという工合に危惧するのですが、その点どうですか。
  192. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 労働基準法を守らなければならぬことは当然でございまして、われわれといたしましてはこれに忠実に従っておるつもりでございます。ただ地方で多少小さな問題で基準局あたりから指摘を受けた事項もございますので、現実に指摘を受けた事項についてはこれ何とも申し上げかねるのでありまして、そういう意味においてまあ大体ということを申し上げた次第でございます。われわれとしてはあくまで労働基準法を遵守しながら、しかも従業員の良識ある協力を得て何とかやらにゃいかぬし、またやり得るものというふうに考えておる次第でございす。
  193. 森中守義

    ○森中守義君 そこで一千九百六十一名の問題ですが、これは実質的にはふえませんね、現在かかえている人員からですね。つまり三十一年度の例から参りますと、定数非常勤を正規に定員化したに過ぎない、実質的な増加じゃない。おそらく三十二年度も私はそういう仕組みでおやりになるのではないかと思うのですが、一千百六十一名をただもう定員に変えただけ、これだけでは話にならないのですが、どうなんですか。
  194. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 千九百六十一人全部が、おっしゃられますような非常勤定員に組み入れたというものではございません。大部分のものがそういうようなあれにはなりますが、新たな拡張分として成立をいたしたものもある次第でございます。それから、たとえ非常勤定員に組み入れられるだけでございましても、その人だけを見ますとそういうことになりますが、組み入れられたあとにまたあいた非常勤を採用できるということになりますので、実質的にも増加になるということになるわけでございます。
  195. 森中守義

    ○森中守義君 六級職の試験を受けて新しく採用される諸君が二十名、それから研修所を出てくる者が約八百名、こういう工合に聞いておる。その中で六級職の諸君はすぐ実務要員として役に立つかどうか、これは私は疑問だと思うのです。従って、実質的には一千九百六十一名がまるまる非常勤の定数組みかえとは言えないにしろ、約半数というものは実務要員にはならない、こういう工合に私は考えているのですが、どうなんです。
  196. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 六級職は、おっしゃられますように、二十二名でございまして、これは短期の養成をやりまして、すぐ現業に配置をいたしております。窓口に出て実務を担当する者、その他実際に仕事をやっております。それから研修所で一年の研修を経ます四級職の八百何十名の者につきましては、ただちにこれが実務要員として働くということになりますので、現場においては大いにプラスになることを考えております。
  197. 森中守義

    ○森中守義君 今私は予算書を持っていませんし詳しく記憶していないのですが、三十二年度で郵政省の施設の拡充はどのくらいになっていますか。
  198. 上原一郎

    説明員上原一郎君) 郵便施設の拡充ということでございますが、郵便局のことをお答えしてよろしゅうございますか。
  199. 森中守義

    ○森中守義君 ええ。
  200. 上原一郎

    説明員上原一郎君) 無集配郵便局五十局、簡易郵便局百局ということになっております。
  201. 森中守義

    ○森中守義君 簡易郵便局は郵政省の正規な公務員の配置ではないのですね。特定郵便局の五十名というのですが、これに対する要員は一千九百六十一名のうちに入っていますか。
  202. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 五十名が見込まれております。
  203. 森中守義

    ○森中守義君 五十名という人はどういう人です。
  204. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 局長要員でございます。
  205. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、五十局の全国の無集配郵便局は局長一人でやる、こういう郵便局ですね。
  206. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 一応本年度の定員面からだけ見ますとそういうことになりますが、実際問題といたしましては一名ないし二名の実務要員を必要とするわけでございまして、これにつきましては、二十六万の定員の中から差し繰りをいたしまして実行をしたいというふうに考えております。
  207. 森中守義

    ○森中守義君 二十数万の中から差し繰りということですが、どういう工合にするのですか。
  208. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 御承知のように、市町村合併に伴います集配事務の統廃合というようなことなどもありまして、多少浮いてくる人員等も考えられます。その他、何といいましても二十六万おりますので、まあ百人やそこらのあれはやりくりがつくというふうに考えておる次第でございます。
  209. 森中守義

    ○森中守義君 どうもこのデスク・プランに過ぎるようなきらいがして仕方がないんですよ。よく常識的な配置転換か、あるいは非常識的な配置転換かということが、常々各省閥でもこういうことが問題になるんですが、おそらく郵政省が町村合併に伴って、行政区が区画変更になって、それで統廃合しようということなんですが、これはこれなりに問題があるとして、果して五十局の新設に局長だけ五十名作っておいて、あと二名なり三名を何とか差し繰りしょうというのは、どうしてもこれは無理がいくし現実的にそういうことは可能でしょうか。
  210. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) やり得ると考えております。
  211. 森中守義

    ○森中守義君 やり得るということであればけっこうですが、私は行管あたりでもあるいは大蔵省でも、新設の局を五十局作る。これに対する事務要員の二名なり三名ということが取れないんですか、おそらく主張されたのかどうか、その点がどうもあいまいなんですが、そういうことすらも行管も認めないあるいはまた大蔵省も認めぬ、こういうことであれば、これは非常に大へんな問題なんですが、その間のいきさつを少し詳しく説明してくれませんか。
  212. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) われわれの一応の要求といたしましては、特定局五十局増置に伴う増員としまして百五十名を要求いたしたわけでございます。しかしそれが、いろいろ話し合いの結果、先ほど申し上げましたように、何とか差し繰りでやったらということになりまして、五十名ということに落ちついた次第でございます。
  213. 森中守義

    ○森中守義君 今の特定局の新設の問題ですが、これは実際問題としてできるというお話ですけれども、ほんとうにできるかどうかということはかなり問題だと思うのです。たとえば人事管理の面から見てみた場合もそのことは言えると思うのですよ。A局からB局に人間を移す、みんな働いている人たちがいい所に行くのはいいんですけれども、集配局から無集配局へ直って行くということが、幾ら相談づくでやってみても、ほんとうにきん然としていくかと、これは私は、今まで郵政省が扱ってこられたそういう人事管理の面からも言えるのではないかと思いますし、また新設局というものは物量の状態あるいは地域の状態、設置法にいうところの特定無集配郵便局を設置しなければならないという、理由と根拠に基いて作るものですから、何も今まであった郵便局を分けるということではないんです。だから従来の郵便局には郵便局なりに、それぞれの業務の分母がある、新設の局は必要であるからこそ作る、そこにはそこの分量がある。こういうように考える以上は、今人事部長、さりげなくできますということですが、現実面から照らせば、人事管理の面あるいはまた実際の新設の必要とする理由と根拠に照らして、さほど簡単にはいかんのじゃないか。従ってこの際はどうしても五十局の新設であれば五十名の局長だけでなくして、ほんとうに必要とする最小限の二名なり三名なりの定員を持つように、予算としてあるいは定員とし組むべきである、取るべきである、こういう工合に考えるんですがどうです。
  214. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) おっしゃいますように現実に隣の局から配置転換をするというようなことになりますと、なかなか実行上に問題があろうかと思いますが、そういう場合もないとは申し上げませんが、現実問題としては、そういう実在員の配置転換によってという意味ではございませんので、実在員は実在員として定員を差し繰りいたしまして、新しい局に増員をする、他方へ減らすべき面においては、自然減等を待つというようなことに実行面では相なろうかというように考えております。
  215. 森中守義

    ○森中守義君 この問題は、私は、行管なりあるいは大蔵省なりに、郵政省は相当強く主張された問題点ではないかと思うのですが、よく考えてみれば独立採算である。だから、所定の収入を上げるには人間をふやさなければならない、これは私は、当然の推移だと思うのですが、それに対して、大蔵省あたりで、人間は減らす、事業の収入を上げろ、こういう理不尽なことがどうも行われておるような気がするのですが、そういう点についてもう少し説明して下さい。つまり五十名の、五十局の特定局を作った。局長要員五十名だけでよろしい、あとの人間はいかん、おそらく私は、郵政省みずからこう言われたとは思わない。行政管理庁なりあるいは大蔵省が、金の問題だとか、あるいは全体的な政府の方針で、この際国家公務員はふやさないのだというような理由づけによって、郵政局はやむなく下ったのじゃないかと、こういう工合に思うのですよ。それならば、ただいま申し上げたような事業官庁であり、独立採算をとっておると、所定の収入を上げるにはこれだけの人間が必要だと、こういう郵政省の要求というものが逆に今度は削られて、しかも無理な配置転換をして特定局の運営に当る、これじゃ私は、どだい理屈が合わぬ、こういう工合に思う。その点をもう少し、行管なりあるいは大蔵省にどういう折衝をされたか、内容を承わりたいと思うのです。
  216. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 先ほど申し上げましたように、私どもとしては、一応百五十人ほしいと要求をいたしたわけでございますが、話し合いの結果、まあ局長要員は、これは差し繰りというようなことはむずかしい。しかし、とにかく総員で二十六万の人数がおりますので、その中で百人の人間がどうにもならぬかという話になりますと、これはどうにもならぬとは申し上げかねるのでありまして、何とかできるというふうに言わざるを得ないし、また、実際問題といたしましても、百人くらいの差し繰りならば、まあ何とかできますので、そういうことに話が落ちついた次第でございます。
  217. 森中守義

    ○森中守義君 今、特定局の問題をちょっと出しましたので、ついでに申し上げますが、特定郵便局の服務の状態は総合服務になっておりますね。その際に、特定郵便局長は執務定員ですか、それとも管理定員ですか。
  218. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 大体管理定員でございますが、小さなところにおいては、執務もある程度見るというふうな算出のいたし方をいたしております。
  219. 森中守義

    ○森中守義君 それは、定員算出上の問題なんですが、私は、今まで、特定郵便局長は、完全にこれは執務定員である、こういう工合に聞いていたのですが、もう少し正確なところを聞かしてくれませんか。
  220. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 先ほど申し上げましたように、大部分管理要員、一部が執務要員というような算出の仕方になっております。実際問題としましても、ですから、少しは執務を見なければならぬというふうになっているわけでございます。
  221. 田畑金光

    ○田畑金光君 関連。特定郵便局は、今年五十ふやすということになっておりますが、郵政省当局の方には、全国からたくさんの申請が出ておりますね。何千に上るのじゃないかと聞いているのですが、それで、これはやはり、郵便局の使命という点からずると、行く行くはふやさなくちゃならぬ申請件数だろうと、こう思うのです。で、あなたの方で一体、まあいろいろな条件からみまして、この申請に対しまして、どういう方針でその要望をいれていくという計画等が立てられているのかどうか。まあ、毎年五十ずつふやしていっておられるようですが、しかし、それではとても間に合わぬと思うのです。お聞きしますと、東京都内等では、昔郵便局のあったところでも、なお復活していないところもあるのだ、こういうようなことも聞いておりますが、同じようなケースは全国的にたくさんあるのじゃないかと思います。また、人口がふえてきたということ、あるいは町村の合併に伴って、いろいろまた配置も考慮しなくちゃならぬということが出ていると思うのですが、今、一体どれくらい申込数があるのか。これに対して当局としては、どういう計画で消化されていく方針か、お聞かせ願いたいと思います。
  222. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 現在郵便局の設置の申請数は、おっしゃられますように、相当ございまして、大体具体的に出ておりますのが千三百局程度ございます。これに対しまして、われわれの方では、まあ本年も五十局でございますが、昨年度も五十局でございました。この必要性を勘案いたしまして、必要度の高いものから、上から五十局をとって設置をしていく、こういうやり方で、現実には局の設置をいたしている次第でございます。その必要度の認定ということになりますと、既設の局からの距離、あるいはその周囲の亨便戸数あるいは人口というもの等の勘案をいたしまして、必要度の高い低いというようなことをきめている次第でございます。
  223. 田畑金光

    ○田畑金光君 千三百といいますと、毎年五十ずつふやしていっても、二十六年かかるという計算が出てきますが、おそらく今申請をなされている件数というものは、今お話のような必要度の点からいって、それぞれの地域においてそれぞれの必要からきているものと考えるのです。でなければ、毎年五十ずつふやしていくということも、これはおよそおかしい話であって、結局去年から五十ずつというわけですが、それは予算関係でそうなっているわけですか。当局としては、やはり申請されてきている件数に対しては、それ相応の必要があるのだが、しかし、一挙に予算の面から制約されて解消できないのだ、それで毎年五十ずつやっていくのだというような御方針なのか。予算がもう少しできれば、一年に五十といわなくても、百とか二百とか、必要なところについては、審査の結果ふやしていきたいというお気持なのか、この点はどうですか。
  224. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) 千三百余の希望があるということは事実でございまするが、局を新設いたしまするのに、さっきから説明申し上げるように、一つの基準がございまするし、その基準にはまったものから順次作るということになるわけで、希望局が全部省で考えた基準に当てはまっておるもののみではございません。しかし、これは地方の要望でございまして、また、必要があるから希望が出ておるのでありまするから、むろん予算が許せばこれは増設すべきものだと、かように考えております。
  225. 田畑金光

    ○田畑金光君 それで、逆にお尋ねしますが、千三百の件数が出ておるとすると、地方の郵政局等を通じ、調査なされておると思うのです。あるいは既設の隣接郵便局等を通じて、いろいろまた意見も出ておると思うのです。こういうような点から見まして、その千三百のうち、これは問題にならぬのだと、逆にお尋ねしますが、そういう認定を下されておるのは一体幾らくらいあるのですか。
  226. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) 大体基準に達するものが約五百前後あるようでございます。
  227. 田畑金光

    ○田畑金光君 五百前後としても、十年間かかるのです。十年待つわけにはいかぬと思うのですね、これはどうしても大事な通信機関でありまするから。そういたしますと、やはり地方の利便を考え、あるいは行政効果を高めていくためには、これは、少々無理をなさっても、もう少し、毎年五十局ずつという、しゃくし定木でお考えになるようなことはやめて、この際――この際と言っては何ですが、一つ来年度あたりからは、もう少し御努力願って、ふやすようなことはできませんか。政務次官の御答弁、まことにけっこうですけれども努力しますとかいうようなことはいつでもお聞きしている点で、何か、そのような話とは少し進んでおりませんか。われわれは、いつお聞きしましても、大臣や政務次官から、努力しますと、そのうち、次の年に来ると変っておられるし、(笑声)全くたよりないことはなはだしいわけですが、もう少し何とか、皆さんの方でも具体的に、こういうような話が進んでおるのだとか、いや、実はこういうような話をしたのだが、なかなか大蔵省で、壁が厚くて何とも進まないのだと、先ほど来森中さんが御質問しているのもそういう点にあると思うのですが、率直にお聞かせ願いたいと思うのです。政務次官一つ……。
  228. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) 率直に申し上げると、今のところどうにもなりませんので、将来十分検討することにいたしたいと思います。
  229. 森中守義

    ○森中守義君 さっきに帰りますけれども、五十局の問題ですね。これは、特に岡部管理部長に行管としてお聞きしたいのです。特定郵便局では、御承知のように、総合服務をやっている。外勤、内勤――内勤もいろいろありますが、こういうような状態の中で、配置転換をやろう、一人抜こう、とてもできませんよ。それと、無集配の郵便局にしろ、あるいは集配郵便局にしろ、設置基準に従って、必要だから作る。何も、さっき申し上げたように、一つの郵便局を二つに分けるのじゃないのですよ。だから、在来存在した局には、それだけの仕事もあれば、人間も要る。こういう状態の中で、一体その五十局新設はした、局長だけでやるような郵便局であればけっこうですが、やはりこれは、二名なり三名なりの従業員というものは必要なんです。そこで、郵政省の方では、さり気なく、できますとおっしゃっておられるけれども、私は、ほんとうにこれは、郵政省の腹の中じゃないと、おそらく予算要求を出した、定員要求を出した、やってみたけれども、涙をのまざるを得なかった。これが率直に言って、郵政当局の腹だと思うのですが、私は、六千名全部よこせということは言わぬのですが、せめてこの特定郵便局の五十局の新設くらいについては、行管では何とかめんどう見れませんか。
  230. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 特定郵便局五十局の設置に伴う要員といたしましては、局長要員一名のほか、平均二人つけると、従って総数百五十人新たにほしいと、こういう熱心な要望が郵政当局から大蔵省にあったわけでございますが、結局それじゃ、特定郵便局五十局は、最小限度これは必要である。それから局長要員の五十人も最小限度必要だ。そうしますと、あと残りわずか百人、この百人をどこからかひねり出せないか、結局今度の増員で二十六万をこえますし、それから、欠員につきましても、現実に三千、四千あるわけなんでございますから、何も隣りの局からひっ張り出すということではなくとも、百人ばかりのことならば、この欠員の操作、あるいは全体の操作の中で何とかやれぬだろうかということで話し合いがつきまして、それはもうやれないことはないという結論に達したわけです。これが正直なところでございまして、これ以上別にございませんから……。
  231. 森中守義

    ○森中守義君 どうも、正直だかどうだかわかりませんがね。これは私は、こういうふうに思うのですよ。年がら年じゅう郵政省の人事当局はこういう問題で苦しみ続けていますよ。しかも、地方末端の郵政局とか、あるいは統括局とか交渉相手局、こういう工合に組織的に系列があるのですが、こういう問題だけで一年じゅう暮しておる。サービスをいかに向上して、事業の収入を上げるかとか、あるいは郵政事業の生々発展を期するかとか、本来の目的が、これがもう一応棚上げされてしまって、配置転換だ、やれ常識的だ、非常識だということで、年がら年じゅう繰り返されている、郵政省の実態というものは。これは、国家的に見て大へんな問題だと思う。いわんや特定郵便局に持っていく事務要員は、三名にしても百五十名ですからね、人々みなよろしいという、その本年度の予算の中で、この程度の予算の、私、振り向けができぬことはないのじゃないか、そうしてまた、必要以外の人間を郵政省は出しているわけじゃないのですから、これは私は、行管の方でももう少し大蔵がどう言っているか知りませんが――あした聞きたいと思っていますが――せめてこの程度の人間は、私は、行管の方から郵政省にもう少しバック・アップしてもらったならば、この新設の局務要員百五十名程度は取れたんじゃないかと思う。
  232. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 御指摘の点、まことにごもっともなのでございまして、私どもといたしましても、郵便配達回数につきましても、先ほど申し上げました通り、戦前の域にも達しておりませんし、それから、特定郵便局一万四千と申しましても、ことに大都市における特定郵便局の業務が非常に過重だということも認めておりますし、今後ますます特定郵便局をふやさなければならぬという方向にあることも認めておりますが、それと同時に、この郵政省の職員が、毎年々々、切り詰め切り詰めて約三千名もふえていっております。三千名毛四千名もふえていっております。それと、そのふえるものに対しまして、全体の経理状況というようなことも考え合せまして、どういうところでこれをがまんしていくかというようなこともいろいろ考えなけりゃなりませんので、非常に私、不満足な点はあるだろうと思っておりますが、年々改善の努力を郵政省もいたしておりますし、私どもも、何とかそういう方向にお役に立つようにしたいと、こういうふうにほんとうに心から考えております。
  233. 森中守義

    ○森中守義君 そういうお話を聞いて、大体了承するのですが、私、やはり郵政省の現在の定員ですね、ほんとうにこれは正確なものかどうかというところに問題があると思うのです。御承知のように、その当時、管理部長おいでになったかどうか知りませんが、二十三年以降、三回、四回連続した行政整理、それがやはり問題なんですよ。おそらく郵政省が一番打撃を受けていたんじゃないか、こう思うのです。一時まだ電通、郵政が分れてないときには、約四十五万の人間を持っておりました。それを今電通、郵政合せて四十万になるかならぬかで、従って行政整理の結果、いわゆる今の定員が正当かどうかという問題になれば、私は断じて正当でないと、こう言わざるを得ないのですが、そういう古い郵政省の定員の歴史をたどっていかなければ、この結論は出ないと思う。だから年々歳々郵政は三千名に近い人間をふやしている。一体どこまでこういうものが続くのか、そういう認識そのものが私は行管としては非常に誤謬ではないか、こういう工合に思う。だから二十三、四年ぐらいまでずっとさかのぼって、果して郵政省はああいう行政整理の対象になったかどうか、これも一つ行管としてはお考えいただきたいと思うし、それと、ここ数年来の通信事業の傾向からするならば、郵便物は漸増の傾向にあります。あるいは簡易保険にしろ、あるいはまた郵便貯金にしろ――郵便貯金になれば、これはさらに問題なんですが、これはやはり郵政事業全体が上昇線にあることは事実なんです。そこへもってきて、毎年三千名ずつを要求していって、一体どこまでこの状態が続くのかというのが行管の認識としていささか不穏当ではないか、こういう工合に思いますので、これは歴史をたどって聞きたいと思います。
  234. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 古い歴史をたどると長くなりますが、最近のことを申し上げますと、二十九年、三十年度の行政整理におきましては、郵政事業の業務量のふえていることは十分承知しておりまして、郵政省を整理対象から除くことはできませんけれども最小限度の率でかけまして、ことに末端の特定郵便局の定員減少ということもいたしませんでしたし、ほとんど減少をしないという方針をとったわけでありまして、二十九年度を除きましては、毎年三、四千名の増員をはかっているわけであります。それで、先ほども申し上げました通り、六十四万の定員のうち二十六万を突破するという状態に相なっておるのでありまして、私どもといたしましては、必要な定員の増加とともに、施設の改善、拡充、その能率化もあわせてやっていかなければ、この問題は解決しないと、こう考えております。
  235. 森中守義

    ○森中守義君 そういう非常に重要な問題につきましては、門口また大綱的に私は申し上げることにいたしまして、郵政当局にあと二、三点御質問をいたします。  非常勤職員の問題でありますが、この中で特に問題になるのは、私は看護婦の問題だと思うのです。この看護婦は一昨年か、あるいは昨年のように聞いているのですが、正規に定員として採用になっているそれを、どういう理由だかよく知りませんが、これを非常勤に落された、こういう実情になっております。そうなりますと、この看護婦というものは、所定の学歴を持って、所定の国家試験に合格した人が当然看護婦として生まれ出てくるわけですが、一たん本定員で採用になったものを、いかなる理由のもとでこれを非常勤に落したのか、この点を一つ明らかにしていただきたい。
  236. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 看護婦を、一たん本採用したものを非常勤にいかなる理由で落としかというお尋ねでございますが、定員が減りましてそれが非常勤の方に回っておりますが、現実問題といたしまして、定員内で本採用をした人間を非常勤に落すというふうな措置はいたしておりません。結局本採用をされた人たちはそのままでございまして、あとから新らしくその欠員補充として採用する者を、定員で落された数までさしあたり非常勤で採用をするというふうな措置をとっている次第でございます。これはまあいろいろ考えねばならぬ問題でございますが、同じ医療関係の要員の中で、お医者さん、その他医療技術関係の人たちを定員化するために、看護婦定員をその方へ回したということでございまして、どちらを優先順位で定員として見なければならぬかという問題になりますと、まあやむを得ない措置ではなかったかというふうに考えておる次第でございます。
  237. 森中守義

    ○森中守義君 この非常勤の場合、本定員になる年数ですね、これは各機関によっても若干違いましょうが、私の調査では、看護婦が最高八年間非常勤でいる、こういう人がいるようですね、郵政省の場合に……。これは一つ調査してもらいたいと思うのです。そこで、一般的な問題として、裁判官や、あるいは判検事というような人たちが、生活に困るというようなことがあってはいけないということで、この人たちが今のような俸給の状態になっていると思うのですが、私はおよそ人命を扱う看護婦というような人たちが、身分上に不安動揺を来たすとか、あるいは処遇がいけないとか、こういうことで、いわんや注射を違え、あるいは投薬の取り違いがあった、こういうことにでもなれば私は大へんだと思う。それですから、同じ郵政省内における職種でも、人命に関係のあるような、こういう人たちが、八年間もその非常勤のまま置かれるということは、私はどういうことがあっても許されない、いわんや正規の国家試験を受けて郵政省に入ってきた人を、相当長期にわたり、こういう身分の不安定な非常勤ということは、どうしても許されるものではないというように考えるのですが、それで、できるなら今申し上げた八年というのが最高になっているのですが、漸次これに似たような傾向にあるのではないかと、そういう工合に思いますので、これはできれば明日中にでも大体納得できるような資料をいただきたいと思います。  それからもう一つ非常勤の問題でお尋ねいたしますが、郵政省のいわゆる非常勤賃金は、一日平均どのくらいですか。
  238. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 第一点の看護婦の問題からお答え申し上げますが、看護婦非常勤で最高八年というのは、私はないはずだと思っております。われわれの調査でいきますと、看護婦の最高の勤続年数は三年一カ月、非常勤でおりますのはこれが最高でございます。といいますのは、前は御承知のように定員になっておったのでございますから、そう長く非常勤でいる人がおるはずはないと思っております。それから非常勤と申しましても、看護婦の場合は養成施設を出まして、六カ月は本来の意味の日々雇い入れの非常勤という形をとっておりますが、六カ月たちますと、常勤労務職員ということになりまして、六カ月以降においては実質的な待遇の面におきましては、定員内の人たちと変らぬ待遇を受けているわけでございます。  それから非常勤の一日の賃金でございますが、これは予算単価としましては、職種によりまして二百五十円から三百三十円までございます。実際雇っているのも大体そういうふうな賃金でございます。
  239. 森中守義

    ○森中守義君 これはきのう私は大久保国務大臣お尋ねしたのでしたが、今度の予算の際に失対労務者でも三百二円になっているのです。そこで郵政省の場合二百五十円から三百三十円の間の中で、三百三十円支給されていればこれは問題ない。実際の実給額はどのくらいになっていますか。この基準通りに行なっていますか。
  240. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 三百三十円といいますのは医療職員のような特殊の技術的な人を非常勤で雇う場合でございまして、実際にそういう賃金でやっておるのもございます。平均をいたしますと、今二百九十円になっておるそうでございます。
  241. 森中守義

    ○森中守義君 この問題で私はこまかく言えば際限がないのですが、大体郵政省の場合に行監の表によれば、一万五千三百五十八名、これだけのものを非常勤として今郵政省に置いておいでになる。そこで、いわゆる三十二年度の定員要求としては六千名ですか、実際郵政省の実態の中から出てくる数字というものは、一万五千三百五十八名がどうしても郵政省には正規に定員化されなければ仕事ができない、こういう理屈が成り立つと思うのです。そこで、非常勤はさっき看護婦を八年と申し上げましたが、これはひょっとすると看護婦でなくて、一般の場合かもわかりません。その点は明日資料をいただくのですが、要するに看護婦であれ何であれ、大体八年という長い年月にわたってこういうような身分の不安定な、しかも安い賃金で、四名も五名もの家族を養なっているというこういう実態は、私はどういうことがあってもとるべき方法ではないと思うのです。従って、この賃金については、できるだけ大蔵省と交渉されて、実行予算でいけるかどうかしりませんけれども、大体最高三百三十円は支給できるように、少くとも失対労務者の三百二円から下に下らないように、こういう特別な配慮を郵政当局の方でおとりいただきたいと思いますが、そういう見通しはどうでしょう。この年間を通して。
  242. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 仰せられます非常勤は、大体一日平均して一万五千名という数でございますが、そのうちの大部分のものは、欠員補充、欠勤者のあと補充といったような、きわめて短期な、本来の意味における非常勤でございます。こういう人たちについては事業経営立場から見まして、必ずしもこれを定員に直す必要があるというふうには考えないのでございますが、非常勤の中には相当長い期間にわたりまして勤務をしておる、継続的に勤務をしておるという人もおるわけでございますし、また職種によってはそういう人でなければ間に合わないという職種もあるわけでございます。こういう人たちについては、今後努力をいたしまして、なるべく定員化するようにやっていきたいというふうに考えております。
  243. 森中守義

    ○森中守義君 郵政の場合に、大体非常勤賃金は、私の調査では、平均二百三十九円、こういう賃金になっておるようですが、これをもう少し正確に明日示して下さい。それから大体時間も相当経過しましたので、私はこの程度で一応質問を終りたいと思うのですが、明日もう少し整理をして、たとえば特定郵便局の五十局の新設の問題とか、あるいはその他三、四の点について整理をして、明日もう一度あらためて結論に近いような質問なり意見を発表したいと思いますが、最後に伊東政務次官にお尋ねしておきます。この問題は予算委員会か、あるいはどこかでやるべき問題かもわかりませんが、例年問題になるお年玉つきはがきの年賀郵便は、これは増収計画の中に非常に影響があるし、特にそういうものが定員にも勢い連なってくるわけであります。昨年の暮の実態からいえば、郵政省では相当膨大な、犠牲的の仕事をやっております。そこで四円、五円の問題ですが、原価計算がどのくらいか知りませんけれども、大体の通常のはがきが五円だとすれば、この四円、五円と区別をつげずに、全部五円のお年玉つきはがきを出すような意思はありませんか。
  244. 伊東岩男

    政府委員(伊東岩男君) 四円のお年玉はがきを五円にする意思はないかという問題でございますが、ただいまのところでは、そういう考えは持っておりません。しかし、これは郵政事業の経営の面においては、ある時がくれば、そういう事態があるかもしれませんが、今のところは持っておりませんことを、はっきり申し上げておきます。
  245. 森中守義

    ○森中守義君 持っていないという理由が那辺にあるかよくわかりませんが、特別にお年玉つきはがきだからということで四円にした理由、これは中央何とかというむずかしい名前のものがあったり、あるいは厚生省、日本赤十字、こういうところの要望にこたえて出されておるようですが、私はそういうことをいろいろ検討していけば、何も郵政省だけが四円のものを出す必要はなかろう。しかも暮になれば七億とか、九億とか、とても現在の郵政省の能力のはるかに限界をこえるような物量を扱っておる。だから明らかにこのことは、私どもは社会奉仕という面からいけば理解ができるのですが、こういう問題はやはり国全体の問題として、社会保障制度の問題として考うべきじゃないか、こういう工合に考えますので、ただ意思がないということでなくして、郵政審議会などに一回相談してもらいたいと思う。これは昨年の暮から今年の春にかけて、逓信委員会相当どもは問題にしております。当時の会議録を見ていただけばわかるのです。五円にしなければいけないという理由には、やはり理由があるわけなのです。それを私はここでちょうちょうと繰り返すことは、きょうは避けたいのですが、これはやはり必要なのです。それですから、事務当局の意向をお聞きになるなり、あるいは郵政審議会に一応意見を述べられて、審議会あたりにかけてみてほしいと思う。そういうことで、私はきょうはこの程度で郵政省に関する限りは質問を終ります。
  246. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  247. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十九分散会