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1957-04-02 第26回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員異動 三月三十日委員上原正吉君及び八木幸 吉君辞任につき、その補欠として松野 鶴平君及び鮎川義介君を議長において 指名した。 四月一日委員松野鶴平君及び鮎川義介辞任につき、その補欠として上原正 吉君及び八木幸吉君を議長において指 名した。 本日委員藤原道子辞任につき、その 補欠として森中守義君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            竹下 豐次君    委員            泉山 三六君            迫水 久常君            西岡 ハル君            松岡 平市君            松村 秀逸君            荒木正三郎君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            永岡 光治君            森中 守義君            八木 幸吉君   国務大臣   国 務 大 臣 大久保留次郎君   政府委員    行政管理政務次    官       楠美 省吾君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより内閣委員会開会いたします。  委員変更について御報告をいたします。三月三十日付上原正吉君及び八木幸吉君が辞任され、その補欠松野鶴平君及び鮎川義介君が選任されました。四月一日付松野鶴平君及び鮎川義介君が辞任され、その補欠上原正吉君及び八木幸吉君がそれぞれ選任されました。以上御報告申し上げます。
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) まず理事補欠互選の件を議題に供します。上原正吉君の一時委員辞任に伴い、本委員会理事が一名欠員になりましたので、その補欠互選を行いたいと存じます。互選方法は、成規の手続を省略してその指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めます。それでは私より上原正吉君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは行政機関職員定員法の一部を改正する法律案議題に供します。本案に関し、行政管理庁長官に対する一般質疑をお願いしたいと思います。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 八木幸吉

    八木幸吉君 長官にお尋ねいたしますが、行政機構等改革案が先国会以来衆議院継続審議になっております。その成り行きはどういうふうになっておるのか伺いたいと思います。
  7. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) いい機会でありますから、経過一つ説明しておきたいと思います。実はただいま衆議院提案になっております機構改正案は、御承知の通り鳩山内閣のときに成案ができまして、目下衆議院継続審議中であります。その後それは二十四議会提案になったのですが、二十五議会にはそのまま継続審議となり、この二十六議会に持ち越され、ただいまも内閣委員会で御審議なされております。この案は出発する当時から反対議論もありましたし、賛成議論もあったのでありますが、とにかく一応出すというので出したのです。ところがその後、時がたちますし多少のいろいろの変化も参ってきましたので、大体今の政府の意向として、こういう問題が起っているのです。案をどういう扱いをするか、この継続審議について。一応それでは党の調整をはかって調整して、まず党の方との関係了解のついたものからやっていこうじゃないか、了解のつかないものはあと回しにしよう、こういう内輪の話が起りまして、目下どういう点を進める、どういう点をあと回しにするかということを協議中であります。だいぶ進行はしておりますけれどもまだ結論に参りません。今提案されたうちで一番問題とされておるのは、内政省設置問題、これにはかなりの賛成反対もあるようであります。これもすぐすらすらということはなかなかむずかしいのじゃないかという見通しをもっておりします。  もう一つ困難なのは、予算編成に当ってある少数の閣僚予算会議編成しようとする案であります。これも一体閣僚が十五、六名しかいないのだから、そうした特別に閣僚を選んで方針をきめる必要もないじゃないかという反対論もだいぶ強いのであります。これもなかなか進行はむずかしいと私は思う。肝心のそういう点については反対が強いので、予算編成の問題、内政省設置問題等については、私は今の見込みでは困難と思っております。  そのほかの問題、人事院をやめて人事院にかわる国家人事委員会を設置し、同時に内閣の中に人事局というものを置いて、人事行政を統制していこう。今までは一体内閣人事の中心がないのです。そのために人事行政に対する取扱いが区々になって、ある特定の閣僚給与担当主任ぐらいを命じてお茶をにごしているといった程度で、これをもう少しはっきりして人事行政をやっていこうとする案であります。これは党としては賛成がだいぶ強いようでありますけれども、これもまだ決定しておりません。  それから政務官を増してもっと政党政治を強化したらどらか、あるいは近頃議会が長くなって、議会開会中は一般事務議会事務が非常に繁雑をきわめているから、これを応援する意味においても政務次官を必要に応じて増したらどらか。こういう議論もありまして、これもまだ決定になっておりませんが、そのうちに結論が出ると思います。もし結論が出ましたならば、あるいは国会提案されるようになるかとも存じますが、今せっかく調整中であります。まだ調整決定には参りません。そのうちに決定がつくと思います。もし決定がつきましたならば、あるいは御審議を願うようになるかと存じますけれども、今日の段階ではまだもう少し時聞がかかると考えております。以上が大体の経過であります。
  8. 八木幸吉

    八木幸吉君 少し突き進みすぎるかもしれませんが、予算局政府に置こというような前の河野さんの原案がございました。あれに対して長官は何か具体的なお考えをお持ちですか。
  9. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) この問題は、一部の人には賛成がありますが、これは前にも一ぺん内閣として経験して、あまり芳しくないので、やはりもとの通り大蔵省に返ってしまったのです。私としてはやはり今の通りいった方がいいのじゃないか、こういう感じを持っております。
  10. 八木幸吉

    八木幸吉君 一昨日でございましたか、予算総括質疑でちょっと私伺ったのですが、公社のあり方について、専売民営に移す、国鉄はむしろ国営に移すというふうな考え方で、行政管理庁の内部で検討していらっしゃるというふうなお話でありまして、長官に伺ったけれども事重大であるからちょっと言うをはばかる。こういうよらなお話であったのですが、確定版でなくていいですから、大体のお考えの片鱗をお話いただくわけには参りませんか。
  11. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) その問題はほんの雑談として二、三の者の間に起ったので、まだ公式の問題でないのを新聞が書いてしまったのです。実際はそういうことです。ただこの間の争議の関係から見まして、国鉄その他の公企業体というものがこのままでいいだろうか、あるいはもう少し運営をうまくする方法はないだろうか、検討したらどうかという空気は起っているのです。しかしこれを正式にどういう扱いをするか、どういう方向にするかということは簡単にきめられません。おそらくやるとしても、これはまだきまっておりませんけれども、そういう問題についての調査会でも作って検討するような方向にいくのじゃなかろうか、これは私の想像であります。まだきまってはおりません。
  12. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一点だけ。だいぶ古い話になりますが、昭和二十六年の政令諮問委員会答申がございます。その中にやはり公社の問題にふれておるのですが、これでは公社のうちで電気通信仕事民営方向に移すということが出ているのですが、専売の方もそういう研究をしようと、国鉄もさようであるといったような答申が出ておるのですが、今長官お話にもありましたように、これは非常に大きな問題でありますけれども、先般の総理経済政策に対する基調として、自由経済の基盤に立ってすべてのものを律したい、というふうな内閣基本方針から申して、今お話のありましたような何か審議会でも早急にお作りになって、なかなか重大問題でありますが、真剣に一つこれに取り組んで御研究いただきたいように思うのでございますが、これいかがでございましょうか。
  13. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 先ほど申しました通り国鉄一つだけでなくいろいろの企業体がありますからして、これを含めておそらくどういう方向にもっていくべきかという調査会ができるんじゃないだろうか、こう想像しております。まだ決定はしておりません。
  14. 八木幸吉

    八木幸吉君 次に非常勤職員の問題でありますが、非常勤の中にも常勤的の労務者があって、いつも内閣委員会で、仕事常勤者と変らないなら、その身分定員の中へ入れたらいいじゃないか、ということが常に言われておるわけなんですが、長官はこの問題はどういうふうに処置されようと思っておられますか。
  15. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) これは始終論議の種になっておる問題であります。今日の数の上から考えてみますと、常勤労務者というのは約六万人、それから常勤的非常勤職員を含んで非常勤職員は約五十万ということでありますが、これも毎日々々異動があって正しい統計が出てこないのです。そういうふうな実況にありますが、これをどう扱うかということは年来の問題であります。そこで一体ただいま現行の定員法というものには、この常勤労務者の数は入っていないのです。常勤的非常勤者もこの定員に入っていない。これを定員の中へ入れろという空気がこの数年来圧倒的に強いのであります。この態勢に応じて目下内閣の中に公務員調査室という部屋ができておりまして、そこの主任人事院の方に来ていただいて、約二十人くらいおりますか専門にかかっている。で公務員制度をいかに扱うべきかという、この全部の問題としてあすこで研究しておりますが、そのうちにまっ先に提案になりましたのが今回のこの給与改正の案であります。これだけはことしの議会で可決しよう、あとの問題は順次に可決していこう。どのくらいかかるかというと、およそ二年か三年を期してこの公務員に関する問題を一応完了しようじゃないかという方向でやっております。ところが公務員に関する事項といってもなかなか多いのですよ。たとえば試験制度から始まり、試験から任用から服務から懲罰あるいは恩給、退職あるいは団体の行動政治行動等の問題、あげてくればたくさんの数がある。これらの数を二年、三年のうちにうまく解決できるかどうか、ことに恩給がひっかかってきます。これは非常な疑問である。けれども大体の方向はことしを初めとして、二年ないし三年の間にこの公務員に関する全部の問題を解決していこうという方向に進んでおります。  そこで定員の問題です。これも一体公務員をどの線で切るかということであります。現在の線で切るかあるいはもら少し広い線で切るかという問題が起ってくる。広い線で切れば今あなたの言われた常勤職員常勤労務者という問題もある程度入ってくる可能性があるのじゃないか。またそういう方向に進ませるのが今日の政府としての心がけじゃないだろうか。こういう考えを持っておりますが、この調査室定員の問題及び公務員の定義をどこで切るかということは、いつ決定するかまだわかりませんが、その当時においてそういう方向に進むべきものだ。そしてもう少し常勤的非常勤職員及び常勤労務者待遇考えてやらなければならぬ、こういう考えを持っております。で、調べてみると、昭和三十一年度に常勤的非常勤職員待遇でその一段上の級に上げたのが約一万六千人ある。それから三十年度においては約三千人くらい下の級から上の級に上げておるということであります。それで欠員があり次第なるべく下の常勤的非常勤職員なりあるいは常勤労務者なりを、上の級に上げていくという方針はとっておるのですけれども、それでも今申します通りたくさんの数がある。しかもその数の中にはあるいは三年、四年という古い人がある。普通の公務員と実質的には変わりない人が多いのであります。また人間もいい人がいる。これらの者に向っては同情的に扱って、なるべく定員のワク内にはめていくというのが私どものとるべき方向でなければならぬと、こういう考えを持っております。
  16. 八木幸吉

    八木幸吉君 先般岐阜県の食糧事務所に伺ったときに、地方の模様を伺ったのですが、常勤的非常勤の方の待遇はほとんど一般公務員と違わない、何か一つか二つの待遇上で差異があるように伺ったのですが、ほとんど実質的に違いない。こういうことを伺ったのですが、地方ではいろいろ職種によってもまちまちですが、これは政府委員の方でけっこうですが、どの程度待遇の問題で違っておりますか。
  17. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 常勤労務者常勤的非常勤とに分けてお答え申し上げなければなりませんが、常勤労務者は本年度からは名称が変りまして、この四月一日からは常勤職員という名称になるのでありますが、この常勤職員待遇につきましては、給与法上何級何号という格づけもございますし、その他勤務条件につきましても、定員内の職員とほとんど変るところがございません。政府側といたしましてもできるだけ常勤職員待遇改善措置を講じて参ったわけでありまして、ただ制度上この常勤職員、すなわち旧常勤労務者というものは二カ月以内の期間を限って雇用されるものという制限がございますので、その制限の範囲内においてはやむを得ざる、二カ月ごと身分が更新されるという制限はございますが、従いましてそのようなものは定員法からはずすということになっておりますので、これは定員法からはずれておりますが、それ以外にはほとんど処遇の点においては変るところがございません。ただ常勤的非常勤職員の方は、非常勤職員の本質から申しまして、あくまで給与日給制にも相なっておりますし、そういう関係でいわゆる定員内の職員であるとか常勤労務者であるというのとは待遇が違っておりますが、これも逐次待遇改善にできるだけ努めるとともに、また先ほど大臣から申されました通り、三十年度、三十一年度においても大幅に常勤労務者の中に繰り込むというような措置を講じております。
  18. 八木幸吉

    八木幸吉君 ちょっと問題が横へそれますが、ついでだから伺っておきます。今日給の話が出ましたが、この間伊丹の自衛隊に参りましたところが、あすこの管区、昔でいえば陸軍少将並みの方が、あるいは幕僚長でも日給制だということを伺ったのですが、それはどういわけですか。
  19. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 自衛隊職員のうち防衛庁内局に勤務する以外の全部の職員日給制度をとっておりますが、これは実にわれわれといたしましても感じがおかしいと思っております。これは自衛隊創設のときに、おそらくアメリカ側の指導によりまして、日給制の方が何と申しますかいろいろ勤務条件に応じまして給与を支給するという意味において、計算上便利だということで日給制をとっているわけでありますが、自衛隊につきまして日給制をとらなければならぬという理由はないわけでありまして、確かに御指摘のようにいろいろ問題があることと思っております。ただその日給制をとっておりますけれども、それは計算基礎だけで、普通の月給制職員と同じように有給休暇もありますし、病気休暇もあるわけでありまして、そういう正当な理由によって休んだ場合において、日給が引かれるというわけではないのでありまして、そういうその他の点においては全く月給制度と同じなんであります。ただ計算基礎として一日幾らということなのでありまして、普通の非常勤職員と同じような日給制ということではございません。
  20. 八木幸吉

    八木幸吉君 政務次官もお見えになっておりますので、幕僚長日給制ということはいかにも常識からいってかけ離れたことだと思いますので、行管としての立場からこれは至急に月給制に改めるように御検討いただきたいと思うが、どうでしょうか。
  21. 楠美省吾

    政府委員楠美省吾君) ごもっともと思いますので、できるだけそういうように考えてみたいと思います。
  22. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて下さい。   —————————————    〔速記中止
  23. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけて。議事の途中でございますが、委員変更について御報告いたします。本日付藤原道子君が辞任され、その補欠森中守義君が選任されました。以上御報告申し上げます。   —————————————
  24. 八木幸吉

    八木幸吉君 この機会資料をお願いしたいと思います。一つ非常勤職員、それから休職者並びに欠員の計数的の資料がありましたら、最近のものをちょうだいいたしたいと思います。
  25. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) ただいま八木委員からお尋ねのございました資料につきましては、詳しく資料として御報告申し上げますが、今この場でわかっている限り申し上げますと、非常勤職員総数五十四万九千でございます。五十四万九千というのが非常勤職員各省を通じての総数でございます。それから休職者は、各省を通じまして六千四百九十九名というのがその現在員でございます。それから欠員につきましては私の方で毎月各省欠員状況の調べをとっておりますが、最近の手に入りました資料によりますと八千四百名と覚えておりますが、いずれ資料でまた御提出申し上げます。
  26. 八木幸吉

    八木幸吉君 ありがとうございました。
  27. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それは正確なところを資料で別途に出して下さい。  議事を進める都合上、今長官がちょっと座を外しておりますからこの間に政府委員より本案に対する細部の説明を一応お願いしたい、こう思いますから。
  28. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) それでは定員法改正内訳について御説明申し上げますが、先般大久保大臣から提案理由説明として申し上げました通り、今度の定員法改正趣旨は、結局三十二年度の各省予算に即応いたしまして、各省を通じまして二千九百四十六名の定員増をお願いするというのがこの趣旨でございますが、内訳につきましてお手元に差し上げております定員法改正資料内訳表、その第四ページをお開きいただきます。  それでは御説明申し上げます。各省ごとに順を追って簡単に御説明申し上げますが、まず総理府について申し上げますと、総理府木府では六名の増員に相なっておりますが、その内訳はまず、ただいま御審議をいただいております雇用審議会総理府に設置いたしますので、その事務に従事させるために審議室に二名ふやすというのでございますが、これは労働省からの配置がえでございます。第二点は公務員制度調査室充実でございますが、これも人事院から二名を配置がえをするということでございます。それから南方連絡事務局強化拡充のために、厚生省と警察庁からそれぞれ配置がえをするということで、総理府本府六名でありますが、これは純増ではございません。その次には警察庁が二名の減に相なりますが、これは南方連絡事務局に一名出すのと、それから外務省在外公館要員として一名を移すということでございます。その他総理府の外局につきましてはずっと異動がございませんで、自治庁に参りまして、自治庁国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の施行に伴いまして、五名の増員を行います。それから防衛庁につきましては八千四百九十八名の増員に相なりますが、これは特別職でございますから定員法の適用はございません。その次のページをめくって見ますと、科学技術庁増員について申します。すなわち総理府につきましては科学技術庁増員がそのおもなものでございますが、これは百二十四名の増員に相なります。その内訳を申し上げますと、第一点は原子力局増員でございます。これは原子力平和利用の促進に伴う事務増加で、十名ふえまして現在七十八名に相なります。その次が航空技術研究所年次計画によって整備いたしておりますので、これは三十五人の増員をお願いいたしております。その次は金属材料技術研究所年次計画によりまして、四十人第二年度においてふやすという計画でございます。第三点は、放射線総合医学研究所を茨城県の東海村に設置いたしますので、これも年次計画によりまして、初年度分だけ四十人増員をお願いいたすことになっております。それから、科学技術庁から科学技術アタッシェを西ドイツに出す予定になっておりますので、その定員外務省に移すのが減員の理由であります。  以上で総理府を終りまして、法務省に参ります。法務省では、三百四十一名の増加をお願いしております。その増員の主な内訳を申し上げますと、第一は旧豊多摩刑務所駐留軍から返還になりまして、そのあと中野刑務所として開設いたす予定でございますので、それに伴う要員百五十八名の増が大きなものでございます。それから、小菅刑務所拡充に伴う増加六十二名。第三点は監獄事務強化に伴う振りかえ増、これは刑務所職員増加をする必要がございますので、その六十名でございます。第四点は、少年院の教官が勤務過重にあえいでおりますので、ことに夜勤教官充実する意味におきまして、九十二名の増加をお願いいたしております。
  29. 竹下豐次

    竹下豐次君 ちょっと半ばですが、この3のところの監獄事務強化に伴う振りかえ増六十人という御説明がありましたが、どこからもっていくのやら、もう少しこまかくそういう点が大事だと思います。そっちを減らしていいのかという問題もございましょうから。
  30. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 承知いたしました。それでは、第三点に戻りまして、監獄事務強化に伴う振りかえ増と申しますのは、中野刑務所あるいは小菅刑務所等拡充の必要がございますので、振りかえをもって参るわけでございまして、その振りかえをどこからもって参りますかというと、一番終りに書いてあります、巣鴨刑務所がだんだん業務量が減って参りますので、これを思い切って減らしまして、これの六十人をもって振りかえていく予定でございます。そして、巣鴨刑務所は、東京拘置所職員をもってこれを運営する。こういう計画に相なっております。その次第五番目は、入国管理事務所出入国審査事務充実に伴う増三十名でございますが、これは主として外国船舶増加に伴いまして、港出張所及び入国管理事務所職員充実をはかるために、三十人を増加するということでございます。それから在外公館要員派遣に伴う振りかえ減一名、これは外務省への振りかえでございます。法務省につきましては、以上が増加内訳でございます。  次に、外務省は三十六人の増員になっております。これは結局もっぱら在外公館新設及び増強に伴うものでございまして、在外公館新設し及び増強するために、四十九人在外公館配置いたしますが、そのうち十三名だけは省内から捻出いたしまして、残りの三十六人のうち十八人は各省から配置がえをいたします。そうしてあとの十八人は純増ということに相なるわけであります。で在外公館新設につきましては、別途外務省設置法あるいは在外公館名称及び位置を定める法律改正法律によって御審議いただいておるわけでありますが、四十九名の配置がえの内訳は、在外公館新設が二十入ヵ所、それから増強が二十一ヵ所、御承知いただきたいと存じます。  その次に大蔵省に参りますが、いろいろな増加要員減少要員もございますが、結局差引三名の減に相なっております。その内訳を申し上げますと、まず増加要員といたしましては、税関の監視船を新造いたしましたので、これはたしか門司だったと思いますが、それの乗組員の増加を十名見ます。それからこのごろ税関事務が輸出入ともに非常に増加いたしまして、手が回りませんので、東京、大阪、門司、横浜というような特に忙しい税関に、百十人の増員をいたしたいと、こう存ずる次第でございます。他面におきまして、印刷局と造幣局の所掌事務は、これを合理化する余地がありまするので、現在の事務に支障がなく、かつ実員にも影響しない限度におきまして、その定員を削減する余地が出て参りましたので、印刷局現在定員七千六百四十一人のうちから、九十五人を減ずることにいたしました。また造幣局につきましてもこれを機械化することによりまして、現在定員千六百七十二人のうちから二十五人を減ずるということにいたしまして、差引き大蔵省といたしましては、在外公館派遣要員の分だけ三人減ずるということに相なりました。  次に文部省に参りたいと存じますが、三百六十一名の増加に相なっておりますが、これは別途国立大学職員法によりまして御審議いただいておりますが、その三百六十一人の内訳は国立大学の学年進行、及び附置研究所の整備に伴うものでありまして、その内訳といたしましては、学年進行がその大部分でありまして、三百十四名を占めております。残りにつきましてはそれぞれ大阪、京都、東北というような大学におきまして、原子力研究に従事する職員充実であるとか、あるいは東大に今度物性研究所を設置いたしまするために、それに所要の専任職員七人であるとか、あるいはその他いろいろな研究部門の増設整備に、約六十人を増加するというようなのがその内訳に相なっております。  次に厚生省に参ります。これは百三十九人の増加に相なっておりますが、その主なものは、厚生年金業務の強化に伴う増でありまして、厚生年金保険法がようやく実施の段階に入って参りましたので、厚生年金保険の被保険者の台帳を中央に集中いたしまして、これをその実施に備えてその準備に入らなければならない。すなわちそういう時期に入りましたので、厚生年金業務室を設けまして、ここに百人の職員配置することにいたしましたが、そのうち六十三人は地方事務官からの転用でございますので、純然たる増加は三十七人と相なっております。第二点といたしましては、厚生省設置法で御審議いただいております、国立ろうあ者更生指導施設を新設いたしまするので、これは三十三年の一月から発足する予定でございますが、その職員二十名。それから国立精神薄弱児施設を中央機関として新設いたしまするのでそれに伴う職員二十人、合わせて百四十名でありますが、南方連絡事務局へ一名配置がえいたしますので、合計百三十九人に相なります。  次に農林省でありますが、結局総職員につきまして、本省外局を合せますと七万九百四十二人の定員と相なりまするので、総数におきましては二人を減ずるということに相なっております。まず本省につきましては三人の増加でございますが、結局これはお手元の資料に書いてあります通り新しい、あるいは新年度における農林行政の重点的な部面に、定員を重点的に配置がえをするわけであります。それに伴いまして、内部のやりくりで配置がえを行なって、結局本省においては三人の増員にとどめたわけであります。この増加の重点化の内容につきましてはここに書いてある通りでございますが、また後ほど詳しく御説明申し上げたいと思いますが、とりあえず、こういうような配置がえの方法によって、その重点的な点の必要性をカバーして行ったというように御了承いただきたいと思っております。  次に参りまして食糧庁におきましては二名の減に相なっております。これは結局農林省全体としての配置がえの数字でございます。次に林野庁につきましては二名の減に相なっておりますが、一面におきましては、林業試験場に原子力利用による林産研究などという点に定員増加をやっておりますが、他に配置がえの点も考えておりますので、純増にはなっておりません。それから水産庁におきましても、それぞれ新しい漁業取締船の増加というようなことで増加要因もございますが、他面において事務の合理化に伴う減員ということも考えまして、あるいは古い船の廃止に伴う減ということも合せまして、マイナス一ということに相なっております。そういうわけで農林省全体といたしましてはわずかに二名の減ということでございます。  次に通産省に参りまして、本省では百十七名の減に相なっておりますが、特許庁では百名、中小企業庁では五名をふやしましたので、差引き十二名の減に相なっております。まず増員の方から申し上げますと、工業技術院試験研究業務の強化に伴う増が二十五人でございます。これは機械試験所、東京工業試験所、名古屋工業試験所、電気試験所等におきまして、それぞれあるいは生産加工技術であるとか、分析技術であるとか、あるいは電子技術であるとか、そうい方面の現在最も緊要な研究部門を充実する必要がありまして、新規に増加することにいたした次第であります。ただこれに見合うような一般行政事務の運営の合理化をいたしまして、ちょうど二十五人をあわせてひねり出したわけであります。それから在外公館に対しましては、通産省からさらに五人を外務省に出しまして、経済外交として経済、貿易関係充実に努力することにいたしました。なおアルコール工場が現在九つありますが、そのうち佐賀県の相知にあります工場を職員ぐるみ払い下げることになりましたので、それに伴いまして百十二人の減があるわけであります。次に外局に参りまして特許庁につきましては、御承知の通り年々定員増加をお願いしているのでありますが、依然として特許出願件数がふえるばかりでありますし、また審査処理の未決の件数もふえる一方でありますので、思い切ってことしは百人の増員をお願いした次第でございます。これによりまして何とか現在の未決の処理件数の増加を食いとめ、それから審査官のノルマの引き上げによりまして、少しずつでも停滞している件数の処理減少をはかろう、こういう考え方でございます。中小企業庁におきましては、ここに書いてあります通り、中小企業信用保険事務増加して参りましたので五人の増員をお願いしております。  次に運輸省に参りまして、本省では八十五人の減でありますが、その増減の内容につきましては、まず増加要因といたしましては、航空交通管制業務の引き継ぎに伴う増加が六十人、これは毎年年次的に増加をお願いしておるわけでありまして、現在のところ三十四年において駐留軍からこの航空交通管制業務の引き継ぎを完全に受けたいという予定でございまして、今までにこれに従事している職員は三百六十四名になっておるわけであります。なお引き続き計画的にこの管制要員増加をはかっていかなければならない状態でございます。次に航空機検査事務増加に伴う増でございますが、これは御承知の通り航空機検査事務が非常にふえて参りましたので、現在十六人のところに九人をふやすということであります。減員のおもなものといたしましては外務省振りかえが一人、それから科学技術庁航空技術研究所へ三人配置がえをいたしますが、そのほか船用米配給事務簡素化に伴いまして、大幅に八十一人の減を本省及び各海運局を通じて行うことにいたしました。それからなお航空保安協力業務が減少して参ります。すなわちわが方で駐留軍の飛行場の建設、維持、管理に協力して参ったのでありますが、それがだんだん手が薄れて参りましたので、六十九人を減少することができることになりました。その結果本省では八十五人の減少をみることができるように相なりました。次に海上保安庁では約九百トンの水路測量船を新造いたしますので、その乗組要員として四十人の増加をお願いいたしております。また海難審判庁におきましても審判件数の増加に伴いまして、これは著しく増加しておりますものですから二人お願いいたします。それから気象庁におきましては、これも上層及び高層気象の観測業務を整備する必要がございますので、鳥島と福岡管区気象台にそれぞれ十五名と十四名の増加をお願いいたしました。それから北海道の広尾に測候所を新設いたしますので、それに伴う人員十人をお願いするわけであります。気象庁で三十九名増加をお願いするわけであります。それで差引き結局四名の減に相なっております。  次に、郵政省は例年郵便業務量の著しい増加に伴いまして、相当数の増加をお願いしておるのでありますが、本年度におきましても必要最小限度といたしまして千九百六十一名の増加をお願いいたしておるわけであります。その増加要員といたしまして、まず特定郵便局を全国で五十局設けまするので、それの要員五十人。それから郵便取扱業務が例年約三%ないし四%の増加を免れませんので、それに必要な最小限度の人員として六百九十六人の増加をお願いしているわけであります。それから第三番目といたしましては、郵便年金保険の加入者の優遇施設といたしまして、別府に老人ホームを建設いたしましたので、それの管理要員として七人の増加をお願いしているわけであります。第四番目に、これが大きいのでありますが、電電公社の電話増設計画に伴いまして独立の電信電話局を作るに至らない部分、すなわち特定郵便局に電話施設をお願いする分につきまして、電話口数四万一千余の増加に伴います必要な交換手、技術員の要員といたしまして千七百三十二人をお願いいたしますが、これはもっぱら電電公社計画に従いまして電電公社の経費負担でやっておる分でございます。次に五番目といたしましては、保険年金数理統計事務能率向上に伴う減が二十四人ございます。これは要するに簡易保険というものは、将来ますますこれをオートメーション化する、機械化することが非常に可能なのでありまして、現在機械化の段階が進みつつあるのでありますが、現在におきましてはようやく二十四人を減じ得る余地が出て参りましたので、機械化に伴う減でございます。次に六番目といたしましては、電電公社から委託を受けまして郵政省がやっております電話事業のうち、規模の拡大に伴いまして電電公社が直営として引き受けるという局が出て参りましたので、それが新年度におきましては二十局の予定でございます。一局当り二十五人でございまして、合せて五百人を電電公社の方へこれを移管いたしますので、その分だけは定員を減らすことができ、ます。結局差引き千九百六十一人の増ということに相なります。  次に労働省におきましては差引き三人の減に相なっておりますが、本省では労働金庫検査業務を強化するために五人増員いたしますが、他面におきまして、先ほど申し上げました、雇用審議会事務に従事するために総理府審議室に二人移します。それから存外公館のデュッセルドルフに一人派遣いたしますので、マイナス三ということに相なります。なお公共企業体等労働委員会事務局から五人を減らしますが、これは公共企業体等労働委員会の前身である公共企業体等仲裁委員会と、公共企業体等調停委員会との統合によります事務簡素化に伴うものでございます。  次に建設省におきましては在外派遣要員一人の減だけでございまして、実態につきましては変更ございません。はなはだ簡単でございますが、以上をもちまして一応御説明を終ります。
  31. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは引続いて一般質疑をお願いいたします。
  32. 竹下豐次

    竹下豐次君 岡部さん、お尋ねしたいのですが、この増員減員について各事項別にそれぞれの省から立案されまして、それで予算関係大蔵省と御相談になっておきめになるわけですが、その経過中において、この問題に関しての行政管理庁はどの点まで関与しておられますか。ほかの言葉で申しますならば、あなたの方はやはり全体の定員関係をみていらっしゃる、まあ責任があるわけなんですね。相当深い程度で関与していらっしゃるだろうと私どもは想像しているわけですが、各省からあなたの方に、やはり大蔵省に対して相談あるように一々こまかい数字や人員の状況などを説明になって、それを御了承になってこの案ができたということになっておるのでありましょうか。その点を一つ
  33. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) この定員法定員の増減につきましては、行政管理庁が責任を持つわけでございますが、人員整理その他の場合と、毎年の予算に伴う人員の増減の場合とではいろいろ事情が異なるわけであります。今年度のような場合におきましては、まず政府といたしまして政府職員定員についてどういう態度をとるか。たとえて申しますると、常勤労務者というふうなものをどういうふうに扱うか、あるいは従来の整理計画をどういうようなことにするか、極力人員の圧縮をはかるべきであるが、どういう点に必要最小限度の人員を認めるべきであるか。あるいは引揚援護関係についてまだ引揚援護事務が終らないので、従来の整理計画との食い違いをどうするか、あるいは警察官の整理計画があるけれども、それを現在の治安、交通というような状況と比べてどうするかという基本問題につきましては、大蔵省行政管理庁とで協議をいたしまして、そこで基本的な方針をきめるわけでありますが、個々の具体的なそのときどきの予算に伴う、すなわち予算がふえればそれだけ人がふえるというような状態につきましては、予算の最後の折衝の段階に入りまするので、予算規模に伴って定員を付けるか付けないかという最後の判断の、予算が最後にきまる叩き合いの段階になりますと、これは主としてもっぱら大蔵省に任せておくということに相なるわけでありまして、大蔵省がこういうように査定したからこれで異存ないか、という通知を受けるわけであります。それでこちらもそれに対する態度をきめるわけであります。ただその前に各省予算査定と並行いたしまして、私の方も各省から人員増加の要求、来年度の要求につきましてはこれを説明を聴取しておりますが、これは各省大蔵省に対する予算の要求が非常に膨大に上りますので、その膨大な量に伴う相当膨大な新規増加要求の定員を伴っているというような状態でございます。
  34. 竹下豐次

    竹下豐次君 予算関係で金がないから要求通りにはいかない、これだけに減らしてもがまんしろというようなこと、これは大蔵省の立場としては当然そういうことがあるはずだと思う。あなたの方の平常の事務監査の場合、この問題とちょっと切り離しまして、そういう場合にもこの役所で人の数が多過ぎやしないか、あるいはこの事務では人が足りないのじゃないかというようなことも、平素監査の中に包含されておるわけではないのでしょうか。
  35. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 平素から各省定員が適正であるかどうかということにつきましては、これを管理する責任は私の方にあると思っております。
  36. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますると、大きい数字の増減というようなことについて、あなたの方で運用されるということ、これはもう当然のことですが、それほどでもない場合であっても、やはり平常の事務監査の立場とやはり同じことでありますから、相当にこまかい点までやはり御相談にお乗りになって、政府方針がきまらないとかいうようなはずのことじゃありませんですね、それは。ことしは大げさに減員しろとか、うんとふえてもあまり小言をいうなというような政府方針があるとすれば、これは別でありますけれども、そういう方針が示されない以上は、やはりあなたの方としては厳密にそれを審査されるという立場でなくちゃならないわけだと思いますが、先ほどの御説明によりますると、少くとも今回のこの案についてはそう深くタッチしておられないようなふうの感じを抱かされたのですが、どうでしょう。
  37. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 何しろこれは膨大な各省定員に直接関することでありますので、私どもの管理部の定員の十数名ではそう詳細なところまで手が及ばないことは事実でありますので、結局大筋の点につきまして押えていくというよりほかなかろうかと思うのであります。しかし、できるだけ事情の許す限り各省説明も聞きまして、あるいは最後の段階まで大蔵省とも折衝するということはやっているつもりでございます。
  38. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうまでこまかくやられましても、各省の立場としても大蔵省にも相談しなければならない。あなたの方にも同じようなことを言わなければならないというようなことで、そうこまかくやられても困るという事情があるだろう、それもよくわかります。ただまかせておかれたのじゃどうかという気持がいたしましたのでお尋ねしたわけであります。  それからそうすると、大体この設置法の定員の改正をやって法律改正案が出てくる。それが通る。大体この表というものはそれをあなたの方としてはお受け入れになって、そのままお出しになったというようなふうの感じがするのですね。そういうふうに了解してよろしゅうございますか、少くともこの際は。
  39. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) この際におきましては内容によっていろいろなのでございます。たとえば船を新造するからそれに定員をつけるというようなことは、これは非常に機械的に出て参ることなのでございまして、そちいう定員を十人つけるか十二人つけるかということは、これはもう事務の進捗上大蔵省にまかせようということになっておりますが、大きな根本問題につきましてはいろいろ打ち合せて、行管大蔵省とで各省了解を得て基本方針をきめ、実際問題として取り運んでおるわけであります。
  40. 森中守義

    森中守義君 私はいまさき岡部部長が定員については責任を行管が持つと、こういうようなお話でありましたが、ここに出ているいわゆる定員法によっては各行政機関の運行が十分ではなかろう、そういう前提に立っておるわけです。それで、各省庁がこの定数でやってみた場合にいろいろな問題が予想されます。どういう問題かといえば、これはもう今までたとえば会計検査院が指摘をしているとか、あるいはまた一年間に行管の方でも各省庁の関係を問題にされておるようです。こういうような問題を考えると、やはり責任に当っている各省庁が責任を結果的にはとっておるようですが、その責任の分限というものはどういうことになりますか。  それともう一つちょっと私は奇異に感じるのですが、先刻の説明の中で特に目立つのは農林省、この中で指導監督事務移管に伴う増であるとか、あるいは災害営農資金融資事務の強化に伴う増とか、こういうことで数字が二名とか三名とか、あるいは一名とか、こういうことをいわれている。能書きというものは監督強化ということで非常にこれはいかにも強化されたような印象を受けるのですが、実際ふやされている人間は二名か三名、一体どういう仕事の内容なんでしょうかね。それと私は二名ないし三名を配置して、いかなる優秀な人材を充ててこの指導、監習強化をされようとしているのか、そういうところを少し具体的に説明願いたいと思います。
  41. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 各省がその所管事務につきまして、これを国民の期待に沿うように適正に執行するということは、これは各省大臣の責任でございます。ただそれを実施する手段として適正な定員をきめるということは、やはり現在の制度におきましては行政管理庁長官の責任と相なっているわけでありますが、行政管理庁長官がもちろん定員を独断できめるわけではございませんで、これは予算に伴う定員でございますので、大蔵省行政管理庁とが共同でこの作業をしなければなりませんし、また大蔵省行政管理庁もあくまで独断できめるわけではございませんので、各行政機関の長である大臣了解の上で、この定員でやれる、あるいはこの予算でやれるということの話合いがついた上できめるわけでありますが、この法案を国会において御審議いただく主務役所としての責任は、行政管理庁がしょっている、こういう意味でございます。  それからあとからお述べになりました農林省の増員の点につきましては、これもこういうふうに御説明申し上げたいと思うのでありますが、ひとり農林省ばかりでございません、各省におきましても毎年新しく重点を置きたいという仕事がたくさんふえるわけでございます。その仕事のために定員を要求するということになるわけでございます。で、新しい仕事がふえるたびにそれに伴う定員をつけていけば、定員の増がとどまるところがないので、結局重点を置けば、重点を置かなくてもいいところが出てくるはずでございますので、それを配置転換するということが第一の仕事で、第一に定員の適正な配置においてはなすべきことでありまして、その配置転換がどうしてもできない場合において、初めて最小限度の新規定員をつけるというのがその建前であるわけでございまして、今度の場合におきましては、農林省におきまして、ここに書いてありますいろいろな部門、あるいは一例を申し上げますと、商品の市場関係が重要になれば、そちらの方面に最小限度の定員を回す、そのかわり余裕のある所からこれを振り向ける、それがどうしてもできなかった場合におきましては、新規の定員増加をされるわけでありますが、今年度におきましても、幸いに農林当局も、この定員配置がえによりまして、本年度の予算を執行できるということに相なりましたので、こういうような形に相なったわけであります。また二人、三人と申しますが、主としてこの配置がえを行いましたのは監督事務、デスク・ワークの方面でございますので、現在におきましてはそのデスク・ワークによりまして二人、三人、一項目についての二人、三人の増加ということは非常に有力な要素であると私は思っております。
  42. 森中守義

    森中守義君 前段のことはまああとで質問いたしますが、農林省のこの二名、三名ということですね、これはいかに能書きを言われても、しかもデスク・ワークだと言われても、一名、二名、三名ということで非常に複雑な農林行政が、私はここにうたわれているように、いわゆる、監督強化になるという工合にはどうしてもとれない。どういう農林省の仕事ですか、ちょっと常識的に考えてみても、東京都内であるとか、あるいは一県とか一郡とかというような小範囲の仕事を農林省はやっているとは思えない。たとえば食糧事務にしろあるいは山林事務にしろ、そこに持ってきていかに優秀な人材を配置しても、ここに表現しているような監督強化ということは、とてもこれは一名、二名ということではできないというのが常識じゃないでしょうか。だから農林省が、大蔵省あるいは行管に出した新しい増員の要求というものは、もっと大きかったのじゃないか、その実数を示して下さい。要するに私はここに能書きにいわれているように、監督の強化には二名、三名では絶対ならぬだろう、こういうことですよ。
  43. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 先ほども申し上げました通り各省が新規予算の要求に伴いまして、新たなる定員増加要求は、先ほど竹下委員からのお尋ねがございまして申し上げたのでありますが、私ども十一月ごろから各省の要求を聴取しておりますが、これは実に膨大な数字に上るのであります。
  44. 森中守義

    森中守義君 どのくらいですか。
  45. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) これは六万をこえております。
  46. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 全体ですね。
  47. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) はあ、そういうような膨大なものでございますので、結局相当大幅に切られるわけでありまして、毎年相当膨大な増加要求でございますので、それを切り詰めまして、毎年三、四千名の増加に現実にはなっているというような状態でございます。しかし各省どうしても必要な増加要求というものは、やはり御審議いただかなければならないとこう考えておりますが、本年幸いに農林省の増加要求というものはきわめて内輪でございまして、主として問題たなりましたのは、常勤労務者定員化の問題と、公共事業の拡充に伴う新規増加の数百名がその主なるものであります。あるいは詳しく数字で申し上げますと、常勤労務者定員化を含めまして、定員増加としては八百七十七名の要求に相なっているのでありまして、今申し上げました本省定員につきましては、ほとんど配置がえによってこれをまかなうという方針は、農林省も最初から堅持しておりまして、農林省の、要求はきわめて内輪だったということははっきり申し上げられます。
  48. 永岡光治

    ○永岡光治君 竹下委員の質問に関連して。基本方針でちょっとお尋ねしたいのですが、竹下委員からもちょっと指摘されておりましたが、この審議に当って、あなたに聞けば全部答弁できるのか、それとも各省に聞かなければわからないのか。従って今度の定員法の改正について、あなたの責任の持てるのは、どこまでタッチされたのか。そうしてたまたま今常勤の問題が、非常勤問題等も含めまして説明がありましたが、そういう方針について閣議等で論議してきめたことがあるのか、ないのか。各省の実情を聞いておられるのかということを聞きたいわけですが、私は、第一点を要約すれば、あなたがこの資料についてはっきり説明できるのかどうかが第一点と、それから行政管理庁として、定員法について、この三十二年度においてどういう方針をきめているのか、その二つは明確にしておいてもらいたいと思うのであります。
  49. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 第一点につきましては、もとより私が数字をあげているだけ、すなわち定員法審議に御参考になる範囲においてできるだけ御説明申し上げたいと存じますが、一府十一省にまたがる事項全部が含まれますので、私のわからないところにつきましては、随時関係各省政府委員からお聞き取りいただきたいと思っておりますが、定員法の御審議に差しつかえない範囲において私から御説明をできるだけ申し上げたいと存じております。  それから新年度の定員基本方針につきましては、一番問題になりましたのは、常勤労務者をどうするかという問題でございました。これにつきましてはここ数年定員法定員以外に常勤労務者増加が著しい、で、これは実は常勤労務者の数が増加するということは、定員法制定の趣旨にももとることでございますし、また常勤労務者自体につきましても非常に多くの問題を生ずるところで、この常勤労務者増加ということはなるべく避けるべきである。こういうことで昨年の九月十七日に閣議決定で、明年度の定員外の職員増加の抑制については、極力大蔵省行政管理庁とで力を合せてこれを抑えるということを基本方針にいたしまして、あわせて三十二年度の増加も必要最小限度のものは除きまして、極力定員増加は抑制したい、こういうことでやりましたので、三十二年度におきましては、常勤労務者につきましてはほとんど増加を見ないという結果に相なっております。
  50. 永岡光治

    ○永岡光治君 常勤労務者等に今触れられたのでありましたが、その前の段階、それじゃ一応説明できる、あなたがここで大きなしろうとわかりのするような筋については大体説明できる、こういうふうに解釈していいかどうか、それが第一点。  それからもう一つは、院の決議等について忠実に尊重する意思であるのかないのか、あったのかなかったのか、その点を一つ明確にしたいと思います。院の決議を尊重するということは当然だと思うのですが、そういうことは尊重しているかどうか。
  51. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 大臣が見えましたので、大臣からお答えいただきたいと存じます。
  52. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) これは議会でありますから、院の決議は当然尊重しなければならぬと考えます。
  53. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  54. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて下さい。
  55. 永岡光治

    ○永岡光治君 今、大臣は院の決議は尊重すると言われましたが、非常勤職員について、第二十二国会で、「現在、行政機関職員定員法のワク外にある常勤労務者及び非常勤職員の中には、その職務の性質、勤務の条件等において、定員法による職員と実質上何ら異ならないものが相当多数含まれている。従来、政府は、これらの者の処遇について、早急に検討を加え、適当な対策を講ずる旨言明したにかかわらず、いまだ今日に至るも、何らの措置を講じていないことはまことに遺憾にたえない。政府は、すみやかにこれらの職員の処遇について、根本的検討を加え、具体的措置を講ずべきことを要望する。右決議する。」ということでこれは決議になっておるわけです。しかもこのことの裏づけの討論の中には、全員とはいえなくても、少くともある一定の年限を非常勤職員の勤務をした者、これは定員法に入れるべきであるということを述べられているわけですが、それは今の答弁からすれば、この三十二年度は尊重されておると解釈せざるを得ないと思うのですが、その点間違いないですか、大臣の方に。
  56. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) ただいまのお尋ねでありますが、これはちょうどあなたのお留守中に実はその問題を説明しておいたのですが、そのときは出席の方が少かったから、もう一ぺん概要を申し上げます。
  57. 永岡光治

    ○永岡光治君 いや、尊重しているかどうか。
  58. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 公務員制度及び今お話の出ました常勤職員の問題、これはまあ数からいえば常勤職員というものは約六万人といわれている。そのほかの常勤的非常勤を入れると五十万近いのではないか、数ははっきり出せませんけれども。これをどう扱うかということは、これは二、三年来の問題でありまして、あなた方からもずいぶん強く主張されておる点はよく承知しております。ところが一方においてこういう問題が起っています、公務員という制度を根本的に変えようじゃないか、常勤職員とか、常勤的非常勤とかいうものばかりでなく、日本の戦後の公務員のあり方について、もう少し検討すべきじゃないか。一体日本の現在の公務員制度というものは、どっちかというと占領政策に基いてやられた公務員制度なんでありますからして、これはもう一ぺんじっくり一つ研究し直そうじゃないかということが起って、公務員制度調査会が起り、この決議を受けて公務員調査室というものがある。ここには人事院からおもに来ております。人事にたんのうな人を選んで、専門家を選んで、専門にこの問題に取り組んでおります。そこで、この問題を解決するのにどのくらい時間がかかるかと申しますと、二年ないし三年はかかるので、一番初めに結論が出て、今日提案されましたのが今国会に問題になっております給与の問題、これは真先に解決しよう。給与の問題を解決した後に、そのほかの公務員制度の問題を解決しよう。一体公務員制度と一口にいえば簡単ですけれども、任用の試験の問題があります。任用の試験をどうする、給与の問題、今度きまりますけれども、服務の問題、懲罰の問題、団体の問題をどう規正するか、政治行動の問題をどう規正するか、あるいけ恩給の問題をどうするか、いろいろの問題がひっからんできまして、非常にむずかしい問題であります。またむずかしいが、ひっからんでいる問題であると思いますので、先ほども申しました通り、二年なり三年、三年ぐらいをかしてこれをやろうとしておるのであります。今年はとりあえず給与問題を解決して、おそらくこの次の年にあなたのいわれる定員の問題を解決する道に進む、こう私は考えておりますが、これは私の所管でなく内閣の所管でありますから、勝手な議論はできませんが、一つの私の想像ですけれども、少くも方向としては私はあなたの言われる通り非常勤職員というものは、ほんとうに中にはいいのがあるのです。五十人もいる中にはよほどいい者もある。長く勤務した者もいる。三年、四年、五年、恩給局あたりには、中には現にもっと古いのがいる。中にはもっとかわいそうなのもいるのですから、私はこういう問題については非常に努力をしておるわけであります。おそらく今回の公務員調査室でもまっ先にきめるのは、もう日本の制度において公務員をどこで切るか、現在常勤非常勤労務者定員に入ってないのです。定員外の職員、これをどこへ入れるのかというのが、おそらく調査室において検討されて、決定されるのだと思う。その機会にぜひ定員の方へできるだけ多く入れるように努力をするというのが、今日の筋ではなかろうかと思うのであります。あなたは院議を尊重していないと言っておりますけれども、十分尊重して、その通りじっくりじっくり歩いているのですからして、この点だけはそう気をせかないでゆっくり見ていただきたい。私はこういうような方向へ進んでいる。すぐそのようにやるということは、なかなか議会制度予算制度もからんでくるのですから、即座にはできませんが、あなたの言われる方向には間違いないのであります。その点どうぞ。
  59. 永岡光治

    ○永岡光治君 大臣も実情はよくわかっておるようであって、五年以上、八年以上勤続しているのがたくさんあるのです。だから国会では三十年の六月三十日に決議したのですが、すでにその前から何回も何回も決議してやっているけれども、一向にやらぬものだから、重ねて念を押す意味でこういう決議をしたのです。従ってこれを定員の方に入れなさい、こういうことを決議しているのですから、あなたの今の答弁からすれば、公務員制度とは全般的な関係はない、関係ないといわないが、尊重したことにはならない。公務員制度調査会ではいろいろ意見がありましょうけれども、それは政府部内の機関であります。国会の院の決議、国民の代表の院でこういうことをやりなさいということで、院議を尊重するという建前に立つならば、ひとまずこれをやるべきだと思う。そのあとにおいて検討すべき対象になるとすれば、全般的に検討することは、私はもちろんけっこうだと思います。従って、私は院の決議を無視していると言わざるを得ない。予算等のこともありますけれども、現に給料を払っているわけですから、あと身分の問題ですから、従って、私はなぜ定員にしないかということが非常に不満なんです。今の答弁では尊重したということにならないと思うのです。私はそういう意味であらかじめ念を押しておきたいと思って質問いたしましたが、院の決議を尊重しますと、しかも尊重していないじゃないか。尊重しておるとするならば、具体的にどういうふうに尊重したかということが出なければ尊重したことにならぬ。この院の決議は何も公務員制度調査会によって検討してもらって、その結論を待って適当にやりなさいということではないのです。これはやはり定員法の改正の際に定員の中に入れなさい、すなわち定員増員をしなさいということを明確に言っております。これはあなたも御承知の通り、全く定員法に縛られておるわけです。定員に、本採用にならぬというだけでありまして、仕事の内容にいたしましても、何にいたしましても、全く普通の人と変りない仕事をして、おる人がある。しかも八年以上勤続しておる者が相当たくさんいるのです。そういう意味で、尊重しているというふうにはどうしても考えられない。院の決議を尊重すると言うなら、具体的に出てこなければ尊重したことにならぬと思う。この点ははっきりした御答弁をいただきたいと思う。ごまかしでない御答弁をいただきたいと思うのであります。
  60. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 先に概要申し上げました通り、決して院議を無視しておりません。院議を尊重しているからこそ今日の制度を今検討中でありまして、ただ、すぐ即座に今出せということは、これはちょっとなかなかむずかしいのですから、そうせっかちでなくて、待って下さい。私はあなたの方向に大筋は進んでおりますから、決して院議は忘れませんし、その方向は誤まらぬということです。
  61. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは誤まるか誤まらないかは今後の問題でありましょうが、私は院議の尊重ということは、これはすみやかにですよ、これは三年も四年もいろいろ検討して結論を出しなさいという決議ではないのです。この委員会で、次期国会においてということが意思表示されておるのは間違いない。それにもかかわらず依然として態度をきめないのは……。しかも公務員制度調査会というのは、これは国会で何も認めたわけでも何でもない。あなた方が勝手にきめて、政府の諮問機関としてきめた機関でありますから、これは何ら権威はないのです。これはあなたは明確に誠意を示すならば、これについてたとえば二年以上、三年以上、こういうものは当然やるべきだということは、これは改正に当っては出てしかるべきだと思うのですが、それをやらなかったことに大きな不満があるわけです。やる意思はないのですか。
  62. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) やる意思は十分に持っておるのですけれども、あなたのしばしば言われる通り、十分に尊重、十分に活動をしているのですが、とにかく事業が事業として非常に大きなものであるから、ただ定員化という問題だけを解決したんでは公務員制度の根本的な改革にならぬのですから、全部ひっくるめてやろうとしておるから非常に時間がかかる。ずいぶん努力をしておるのだから、決して無視しておりません。尊重しております。
  63. 永岡光治

    ○永岡光治君 私の言うのは、あなたが今公務員制度調査会公務員制度全体について全般的にわたっての検討をしようというのは、非常勤のための公務員制度調査会ではなく、現在の公務員制度全般について検討されておることだろうと思うのです。だから私はひとまずやりなさいと言うのです。予算だってこれは大した問題ではないのですよ。今、給料が出ておるのですから。出ておるのです。この人たちが本採用の形をとれば、あるいは共済組合の適用を受けるとか、あるいは恩給の恩典に浴するという点があるのです。あるいはまた昇給期間、あるいは休暇を正規にもらえるとか、もらえないとか、こういう非常に影響するところが大きいのです。予算上では大した問題はないのですから、当然やるべきです。これはすでに三十年です。三十年も何回目か知りませんが、何回も何回もにわたって政府に要望したが、一向にやらない。三十年の六月、ことしは三十二年の四月です。もう二年間経過しておるわけです。その間に努力をした形跡も私たちはうかがうことができないのです。この際やるべきだと思うのですが、その意思はないのですか、この国会に。大久保大臣一つ……。
  64. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) もうこれはしばしば申し上げる通り、十分に意思を尊重してやっているのですよ。ただ、定員法だけでなく、公務員全体の問題になってきまずから、これはどうかというと、一体日本の公務員制度をどこに切るかという問題が起ってくるのです。現在は、事務官は雇いまでということに切ってあるのですから、これをどの辺で切るかというのはこれからの問題です。切りようによって、定員の中に入るものと入らぬものができるのです。十分あなたの言うこともわかり過ぎるほどわかっておりますからして、どうかしばらく推移を見て下さい。今年度すぐにということはなかなかむずかしい。
  65. 永岡光治

    ○永岡光治君 公務員制度の問題について、どこまで公務員にするとかしないとかいう問題は、それはあなたの方で検討されると思います。しかし、あなたの言う雇員以上は公務員と解釈するという方向から固められていないとすれば、少くともその程度のものはやっておいても差ししつかえないわけです。これはやらないという理由がおかしい。八年以上も勤務しているのですよ、八年以上も。どうするのですか、こういう人方は。それでもなおかつあなたはやらないというのですか。
  66. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) いや、やらないじゃないのです。あなたの言う通り制度は今進行中で……ばかりでなく、今具体的に実例をあげますと、常勤職員上の級欠員があり次第上げています。たとえば、あなたの留守中にさっき説明したのですが、三十一年度には一万八千人も上の位に上げているのです。三十年度においても上げているのです。だから、十分できる機会を作って、相当に待遇改善をしようというのですから、あせらんで一つ見ていて下さい。
  67. 楠美省吾

    政府委員楠美省吾君) 大臣はいろいろ慎重にお答えになっておりまするが、私も、先般衆議院でもちょっと答えておきましたが、私はせっかちなたちでありまして、こういうのはやはりせっかちに片づけた方がいいと思いまして、大臣を助けまして、この次の国会にはぜひまとめて出したいと、そういう決意でおりまするから、どうか一つ、今度は延ばさずに結論をつげてこの次の国会に出て参りますから、それまで御猶予を願いたいと思います。
  68. 森中守義

    森中守義君 大臣にお尋ねしますが、やっているやっているということなんですが、一向に進まないというのが今質疑応答の中で大体明瞭になりました。そこで、ほんとうにやる気があれば、私は、相当膨大な数を一挙に定員化していくということは、これはまあにわかにできることかどうかは一歩を譲るとしても、今度の国会でいわれているニコヨン——失対労務者が三百二円になりましたね。ところが、この官公庁にいるいわゆる非常勤職員は、二百八十円が最高であったと思うのですが、最低は二百三十円、こういうような条件下に今雇用されているのですよ。これはもちろん東京と地方、地域給を若干この給料の中に、一応、まあ正確な形としては出ていませんけれどもそういうことを勘案して、最高二百八十円と最低二百三十一円であったと思うのです。だからこれも、先刻その給料を支払われているので、そう私は膨大な予算関係ないと思うので、とりあえず失対労務者程度には昇格するという意思はありませんか。これは、私は今度の国会でもできると思うのですよ。次の国会まで待つとか、全体的な、公務員制度調査会ですか、こういうところの審議を経なくても、私はできるのじゃないかと思う。五年も八年も長く勤めていて、それでなおかつ一回の昇給もない、扶養家族手当もない、地域給もない、当たりまえの賞与もない、こういうことで、私は、国がこういうような雇用条件下に置くということは、理不尽もはなはだしいのじゃないかと思う。だからこれは、その調査会に検討をさせるとかどうとかという問題でなくて、賃金のアップぐらいは私は今国会においても行管の方でお考えになってもいいと思う。大臣が、意思がある、意欲があると言う以上はですよ。  それからもう一つは、上級者が欠員があればだんだんふやしておる、こうおっしゃっておるけれども、私は、そういう反論になりますが、六級職とかあるいは五級職、こういったような人事院の国家試験を受けた人は、これは各省庁とも毎年相当多数採っている。こういう人はいけないという意味じゃないけれども、残されたこういう膨大な人は一体どうなる。そういうところに、私は少し行管そのものに認識の相違があると思う。果して積極的な意欲をもって非常勤の諸君を救済しようという意思は、まあ私はそうないのじゃないかという、そういう気もするのです。それですから、今の賃金の問題くらいはお考えになってもいいのじゃないかと思いますが、大臣、どうですか。
  69. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 今回の予算に、一般公務員のベース・アップが計上されております。これに伴っているんです。私は、非常勤職員も上るべきものであると考えておりました。おそらくそういう方向に進むと思います。
  70. 森中守義

    森中守義君 私は、賃金の問題は法律で制定をするのだと思っておりましたが、一般公務員がアップになったら自動的にスライドする、そういうことではないのですよ。従って、これは現行法を変えなければできない。その法案はまだ出ていないのでしょう。
  71. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 御承知の通り政府職員の俸給につきましては、一般職については一般職の俸給表、特別職については特別職の俸給表で規定しておりまして、一般職の俸給表につきましては、常勤職員については例の俸給表で何級何号ときまっておりまして、これが定員内の職員及び常勤労務者——新年度から常勤職員名称が変りまして、常勤労務者という名称はなくなりましたが、常勤職員について適用があるわけでありまして、これに基きまして、六万の常勤職員は、新しい格付によりまして給与が当然上るわけです。ベース・アップするわけです。非常勤職員給与はどうなっているかと申しますと、その職務の内容に応じまして、一日三千円以内の——二いろございますが——審議会委員、それとその他の一般の労務者との問題でありますが、これはいろいろな経済事情を勘案して各省の長がこれを定めるというのが給与法の二十一条か二十二条にあったと思います。それに基きましてやりますので、個々の者については別に法律の改正を必要としないわけです。
  72. 森中守義

    森中守義君 私はそう思っていなかったのですが、これは法律を持っていないからちょっとわかりませんが、最高と最低を抑えてあるはずですよ。これは、たしかさっき永岡委員が言われた二十二国会のときにこの問題が再び問題になって、一般公務員の俸給表の制定のときに、非常勤賃金の最高は幾ら最低は幾ら、それは各省庁の賃金の配算の状態によってきめる。そういう法律があるはずです。
  73. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 一般職の職員給与に関する法律の二十二条には、委員、顧問もしくは参与の者について第一項で規定してありまして、「勤務、一日につき三千円をこえない範囲内において、」云々と、こうなっておりますが、第二項で「前項に定める職員以外の常勤を要しない職員については、各庁の長は、常勤職員給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給する。」こうございますので、これは予算の範囲内において支給するということでございますので、別に法律を必要といたしません。従いまして、予算の問題になって参るものと考えております。それから一般の非常勤職員につきましては、私だいぶ前のことで、今たしかでございませんが、PWという一般職種賃金表がございまして、現在でもその適用を受けておる非常勤職員が非常に多いものと考えております。
  74. 森中守義

    森中守義君 今の問題ですが、私は昼からもう少し根拠をはっきりして来ます。  そこで、第二に、ちょっとお尋ねしたように、管理部長の答弁によると、各省庁が持っている予算によってこれをきめる。こういうことですが、その場合でも三十二年度の各省庁の現有しておる非常勤の人員、これに対する賃金の原資というものは、やはり私はさっき言ったように二百三十円あるいは二百八十円を最高とした額を出ないのじゃないか、人間の数が減れば自動的にその額も上るでしょうが、数が減っていないから賃金の額そのものは上らない。こういうことになりますと、やはり三百二円の失対労務者程度にはいかない。こういうことなんです。従って、こういう問題は一体どういうことになるのか。先刻大久保大臣がしばしば言われるように、二十二国会の院議に照らし、院議を尊重して善処しようという積極的な意思があれば、こういう問題くらいは何とか解決しそうなものだと思うのですが、率直に申し上げるならば、各省庁が賃金要求を出して、これをそのまま大蔵省にのませる、あるいはのませないにしても、若干程度の減査定等でもってやっても、せめて三百二円ぐらいまでは、これはやはりアップすべきものだと思う。さっき言われるように、八年を最高、あるいはもっと長い人がいるかもしれません。そういう工合に長く置いて、家族だってこれは四人、五人、六人という人もいるでしょう。それを二百八十円を最高にして国が雇っておくという手はありません。その点どうでしょう大臣……。
  75. 永岡光治

    ○永岡光治君 予算に組んであるのですか、明確に説明して下さい。
  76. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) これはさっき管理部長が説明した通り各省庁にまかしてあるし、省庁においては、一般公務員がベース・アップになるのです。それからそれに伴う非常勤職員も入るということで、当然入ってくるものと考えております。
  77. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の話によると、当然上ってくるようにということで、行政管理庁長官が言明されておるのですから……、行政管理庁としては、どのくらいの予算が組んであるということぐらい、やはり明確に把握していなければ、ほんとうに私は果してそのままいけるかどうかわからぬと思うので、おそらく把握されておると思う。だからどのくらい予算を上げているのか。常勤労務者六万といえば、それはかなりなものですからね、どのくらい予算を組んであるのですか、総額……。
  78. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) ちょっと話がこんがらかっておると思うのでございまして、今、永岡委員のおっしゃるのは、常勤労務者すなわち新しい常勤職員の問題でございますが、この常勤職員につきましては、これはすべて給与法の級別定数の適用があるわけでございます。これはすべて予算常勤職員給与といたしまして、適正に給与が計上してございます。必要があれば、これについての超過勤務手当の原資も計上してございます。各省通じまして。これは予算書を見れば、はっきり出ておるわけでございます。賃金予算の各事業に伴う分ですね、これは積算の基礎があるわけでありまして、これは事業に伴いまして、何十億とか何百億とかいうようなことでありますので、これは私どもの権限外でもございますし、私どもは、これは正直に言って把握いたしておりません。これは各省にどうぞお聞きいただきたいと思っております。
  79. 永岡光治

    ○永岡光治君 把握されていなければこれは各省に聞いてもいいと思うのです。今言った常勤労務者はあれですか、ベース・アップに伴うものは当然組んであると、それは間違いないと私は思うのですがね。どの程度組んであるか、それは予算各省別に明示してもらえばいいと思うのです。従来はこうだったから、今年度はどのくらい上れば、それが果して見合うべきものかどうかは、検討すれば出ると思います。  それからお願いしておきたいことは、各行政庁の長官が、これはそれぞれその他の非常勤の問題ですね、労務者側についての……、あれをきめるわけですが、その際は、私は、全然知らないのだということでなしに、やはり行政管理庁ともあれば、一般の日雇い労務者の賃金が上れば、当然これは上るべきじゃないか、今までは、総体について三十億であったから、五%上るならば、その五%分を見込む、これは当然の行き方じゃないかと思うのです。そうでなければ事業は回らないということになるわけですから、そういう点は十分一つ管理庁の方からも各省に明確にしておいてもらいたいと思うのです。   あとで、午後のあれで明確になると思うので、明確になればまた質問を続けたいと思います。この点について……。
  80. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    [速記中止
  81. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始め  て。
  82. 田畑金光

    ○田畑金光君 大臣にお尋ねいたしますが、現内閣としては、行政審議会に対して、行政制度あるいは行政運営に関する重要事項等に関し諮問されるというような御方針はありますかどうか、お尋ねいたします。
  83. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 鳩山内閣当時作りました調査会ですね、あれは一応任期が切れましたが、ああいう制度そのものも必要であると存じますから、適当な機会にあるいは作るかもしらぬ。まだきまっておりません。
  84. 田畑金光

    ○田畑金光君 大へんたよりのない御答弁でありますが、先ほど来の森中委員その他の質問に対するお答えでは、政府としては、公務員制度全般に関する問題の解決を、一つ一つ進めて参りたい、このようなお話であるわけであります。もしそうであるといたしまするならば、そういう重要なる事項等については、それは公務員制度だけでなく、行政機構の問題、行政制度一般の問題にわたるわけでありますが、行政審議会というのは当然存置されておるわけで、審議会答申を経て具体的な施策に反映なさるのが内閣の今日までとってこられた立場であるわけです。行政審議会というものがあるのかどうか、あることは御存じだろうと思うのです。ことに行政審議会は、鳩山内閣の折に河野さんが行政管理庁長官をやっておられた場合に改組、強化をされて、公務員制度あるいは行政機構一般についての諮問をなされたわけです。答申も出ているわけです。で、その行政審議会について、大久保さんはどういう今後運営を考えておられるのか。必要とあれば開いてみてもいいという、これはどうもお答えにならぬわけですが、どういうようなお考えなのか、はっきり承わりたいと思います。
  85. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 先申しました通り審議会は任期が切れましたのです。一応それでまだ任命に至らぬでおりますが、これはせっかくの制度でありますから、新たに任命して、これを活用していくという考えであります。それからこの公務員制度調査会で逐次審議している——審議じゃありません、もう公務員制度調査会というものは、数年かかって結論は大体出ているのです。この結論に基いて、今調査室事務官たちがそろって公務員の問題の解決に努力しているようです。その結果となって現われたのが、先にも申しました通り給与の問題も一つ解決いたして、次におそらく定員とか服務とか、いろいろな問題——まあおそらく来年に出てくるのじゃないか、こう思っております。
  86. 田畑金光

    ○田畑金光君 私がお尋ねしていることはこういうことです。公務員制度調査会もすでに答申を出しているのです。お話のように行政審議会もすでに答申を出しているのです。そこで、しからば現内閣公務員制度についても、行政制度、行政運営一般についても、今までそれぞれの機関が答申した答申の内容を尊重して、今後法律を作るとかあるいは行政措置をやるとか、そういう御方針であるのかどうかという問題なんです。公務員制度調査会答申は、お話を承わりますと、一つ一つ具体化していっているということですが、行政審議会というものが、行政制度改革に関する答申をやっているのです。これはお話によりますと、やろうという御意図はないようであります。そこで私は、行政制度に関する答申、前内閣における答申をやろうとする御意思がなければ、改めて行政管理庁設置法第七条に基く行政審議会を開かれて……あなたのお話は任期は切れたということだと思う、そうじゃなくて、あなたの言うような委員の任期とかいうのじゃなくて、行政審議会という機関を活用されて、新たに行政制度一般についてはその答申を待って現内閣は処理をされるというのか、この点を承わっておきたい。
  87. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) それは、さっきあなたのくる前に一通り済んで、説明したのですが、こういうことです。鳩山内閣のときに、今の通り審議会を作って審議会結論を得て案を出しました。結論が出ております。これは衆議院に今かかっているのです。衆議院にかかって継続審議になっておる。第二十五国会においても継続審議になっておる。今のこの二十六国会でも継続審議中です。ところがこの問題はだいぶ時間もかかっておりますから、なかなかすらすらとこれは通りそうもないのです、ほんとうを言えば。そこで政府はこれを無理に出して、通らないものを無理に出してもしようがないから、案をなるべく妥当な案に練り直して、そうして通るようにした方が妥当ではないかということで、それでは、党と折衝をはかって、これならいけるという見通しをつけてやっていこうということで、今政府と党とが折衝をしております。さっき申し上げましたように一番の難関は、内政省設置です。これはなかなか反対が強い。賛成もありますけれども、反対も強い。これはなかなかむずかしいと私は思っている。それからもう一つ難関と思われるのは、予算編成についての閣僚会議の問題です。これは今日の閣僚全部でなくて、数人の閣僚が集まって基本の方向をきめようじゃないかとする案でありますが、これにはだいぶ異論もありますから、これも私は通すのがむずかしいのではないかと思っております。これが一番むずかしい問題であります。そのほかに人事院の問題、あるいは人事局を置く問題、あるいはまた政務次官を増そうとする問題等については、せっかく折衝中でありまして、この折衝がつき次第、あらためて私は衆議院及び参議院において御審議を願いたい、こう思っておりますから、審議会答申の結果を十分尊重して、進行をしているわけであります。
  88. 田畑金光

    ○田畑金光君 具体的に話が進んで、非常にわかりやすくなって参りましたが、そうしますと、話を進める上から一つ一つお尋ねして参りますが、あらためて行政審議会に諮問をされるということは、今のところ政府考えておられないわけですね。
  89. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) この問題は、答申に基いて機構改正案を作りましたものですから、十分この審議会の意向を尊重してやっておるわけですからして、またすぐにというのは、はなはだ不都合ではないかと思います。
  90. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、現内閣は、昭和三十一年二月二十三日、行政審議会会長阿部真之助氏から当時の河野行政管理庁長官に対するこの答申に基いて第二十五国会から提案されておる行政機構改革の諸関係法律案に関しましては、話し合いが非常に困難であるから、困難な部分については無理押しをしたくない、こういう御答弁でありますが、その内容としては、内政省設置の問題、あるいは予算編成閣僚会議を設ける問題等々については、与党との折衝が非常に困難であり、与党の内部でもいろいろ意見が分れて、まとまる見通し困難であるという観点に立って、この問題は無理押しをされない。無理押しをされないということは、要するに、この国会でこの問題を推進しようする政府としては考えを持っていないのだ、このように理解してよろしいですか。
  91. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) その通りであります。調整のついた部分だけ進行さしたい、こう考えております。
  92. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、調整のついた部分というと、今、現内閣はこの国会でどの部分について調整をつけようという考え方のもとに努力をされておられるわけですか。それは人事院の問題と、政務次官設置の問題、あるいは総理府に総務長官を置く問題、こういう三つの点で今与党との調整に努力しておられる、これの調整がつけば、この国会法律化したい、こういうお考えでありますか。
  93. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) そのほかこまかい問題がたくさんあります。たとえば防衛庁と調達庁の合併、合併と言っては語弊があるかもしれませんが、調達庁を防衛庁の所管に移したらどうかということであります。また、公取委員会内閣の所管から、これを経済企画庁に移したらどうかというような、いろいろな問題がありますけれども、大きな筋は、さっき申し上げた通りでありまして、調整のつき次第、議会に御審議をお願いしようと考えておりますが、まだ決定しておりません。
  94. 田畑金光

    ○田畑金光君 たとえばお話の中にありましたが、調達庁はまだ防衛庁に移っていなかったでしたか。
  95. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) さようでございます。まだ調達庁は防衛庁と並んで総理府の外局に残っております
  96. 田畑金光

    ○田畑金光君 それで、人事院の問題ですが、この点に関しましては、いろいろ政府の中でも与党の中でも考えておられるようです。現内閣としては、人事院の改組について、この国会の間に成案を得たいと、その成案というのは、行政審議会答申に基いて、前内閣から引き継ぎの、要するに総理府人事局を置く、あるいは総理府の外局として人事委員会を設ける。それで人事委員会については給与についての勧告、給与待遇改善に関する勧告権を与えるが、その勧告は、内閣に対する勧告にとどめる、こういう趣旨人事院の改組でありますが、この点については、現内閣としてはこの国会のうちに提案されるという御方針であるかどうか。
  97. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) それはさっき申した通りに、元来政党政治でありますから、そういう手段をとっておるのであります。与党の中との調整はなかなかこまかい点になるとむずかしい。まだ出すとも出さないともきまっていないので、もうしばらく待って下さい。きまらないうちにこうだと言っては、私はしゃべり過ぎたということになりますし、想像して言うと混乱を起しますから、これは何とも申し上げられない。もうしばらく調整をするまで待っていただきたい。
  98. 田畑金光

    ○田畑金光君 この点は非常に大事な問題だと思うのです。特に政府は、今回の春闘の経過等にかんがみて、三公社五現業の問題について、特に公社制度について検討を加えられていることは周知り事実です。ことに今度の予算の中で、公務員給与についても昨年七月人事院勧告に基いて引き上げのための財源措置を百五十六億取られておりますが、今度また仲裁裁定が公社に下りますと、さらに公社職員一般公務員との給与の差というものは較差が激しくなってくるわけであります。両者の較差を調整するために今回の予算措置をとられたわけなので、今度また一般より高いベースで公社に裁定が下ってくる、そういたしますと、結果においてはまた公務員公社職員との給与ベースの差が出てくる。当然こういう事態が生まれてきますならば、あるいはまた御承知のように一般産業、一般企業が好景気を反映して、昨年以上にベース・アップを遂げているわけなんです。あるいはまた今年度の財政経済の動きを私たち見ますと、やはりインフレ含みである。なるほど卸売物価が昨年は一割程度上ったかもしれませんが、消費者価格については二・六%であると言っておるが、ことしは消費者価格もやはりどうも今の経済の雲行きからいうと、上る危険性がある。そうなって参りますならば、当然人事院人事院の権限に基いて勧告というものがまた夏ごろには出てくると予想されるわけです。そういうことを考えたとき、政府はこの際人事院制度というものを、諸般の客観情勢からして改組しようとする腹があることは、これはもうわれわれとしては確かな方向だと見受けるわけだが、今少し待ってくれというのだが、いま少し待ってくれという今の内閣の腹は、人事院を改組するという方向で与党との調整をはかっておられるのか、それともそうじゃなくて、やはりこれは人事院という制度は本来の制度として大切なんだ、内政省設置と同じようにこの国会に早急に提案することは無理なんだという方向に与党との調整をはかっておられるのか、どっちに政府の腹はあるのか、これを私はお尋ねしているわけで、もう少し待ってくれというようなことは答弁になりません。
  99. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 内輪を申せば、実は党の方の政務調査会にかけて審議している最中であります。まだそれ以外の役員会にかけてないのですからして、それによってきまるのであって、従って、まだ閣議にもかけていないのです。ですから、そういう時期にそうするのだこうするのだということは、私はしゃべり過ぎは控えたいと思うのです。さきにあなたの話したこれだけの態度ははっきりしています。調停が下るだろうということ……。
  100. 田畑金光

    ○田畑金光君 裁定ですね。
  101. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) ええ、これは近いうちに下るだろう、これは十分に尊重するという態度だけははっきりしています。きまった後にこれをどう扱うかということは、これは架空の議論になってしまって、具体的にどうするかわからないうちに、どうするこうするということは、具体的にきめようがないから、決定の後に、尊重するという方向をどういう工合に現わすかということをきめたいと思います。まだ具体的にはどうとききまっておりません。ただ尊重するという点だけはさまっております。
  102. 田畑金光

    ○田畑金光君 大へん話が少しズレてきたようですが、あなたの御答弁を聞いていると、尊重するということはどうも即実施するということでもなさそうですが、先月二十九日に岸総理自身が閣議で発言を求めて、裁定が下ったら実施をする、同時に春闘については労使双方に対して厳格な処分を求める、そういうことをあらゆる新聞が報道しているのです。ラジオもそれを報道している。尊重するということは即裁定を実施することだと、私はあるいはわれわれは、判断しているわけですが、お言葉を聞いておると、そうでもなさそうです。これはどういうことなんですか。
  103. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) それは尊重という意味をあまり軽く扱われては困る、私は十分実施するという意味を含めて話しているので、尊重ということは私は軽く考えません。
  104. 田畑金光

    ○田畑金光君 だから大臣も答弁としては正直に素直にお答え願えばいいわけです。尊重するということは、十分に尊重する、十分に尊重するということは実施することを含めている、こういう回りくどいことを言わぬで、実施するなら実施する、こういうようにお答えなすった方が議事進行のためにいいと思うのだ。そこで、そういうようなことも予測されますが、そうなってくると、次に出てくることは、当然公務員との給与の不均衡のことだと思う。また一般民間企業はここ二、三年来にないベース・アップを今回やっておるということなんです。それからまた本年度の経済の動き等を見ましても、インフレ含みだということなんです、そうでしょう、国鉄の運賃は値上げしておる、あるいは私鉄の運賃もあるいはバス運賃も値上げになるわけですが、消費者米価もおそらく値上げになるのだろう、こういうような諸般の情勢を考えたときに、当然これは人事院人事院の立場において勧告というものをやるべきだとこう私は考えますが、この点については大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  105. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) これはどうも人事院のことでありますから、私から申し上げるのはこれはまたしかられますから、はっきりしたことはむずかしいのでありますが、人事院の規則を見ると、五%以上変更する必要がある場合にやれと書いてある、五%というこれに当てはまるかどうか、これまた人事院の解釈だと思うのですが、ですから人事院がやるとかやらぬとかということは、私はちょっとわからぬという点以外にないと思います。私にはわからない。  それから政府としてもさきに申した通り決定後でなければ、これをどう扱うかということは、ほんとうに方針をきめてないから、決定すればこの扱いをどうするか、あるいは議会提案してやるようになるか、あるいはそのほかの方法を講ずるか、これも具体案としてはほんとうにきめてありません。
  106. 田畑金光

    ○田畑金光君 私はその点もお聞きしたいのが実際ですけれども、それを直接あなたにお聞きすることは、所管外ですから、今言ったような答弁しかいただけないと予定していたのです。私のお尋ねすることは、人事院のこの制度そのものについて、行政管理庁長官としては、行政機構を改革するのだ、しかも先ほど来御答弁を承わりますと、行政審議会というものを、あらためて今現内閣は開こうとは考えていない、前内閣の行政審議会答申を尊重しようということを言われているのです。その尊重する具体的な内容がしぼられてくると、今人事院の問題と政務官、総務長官設置の問題になってきたんです。そのほかいろいろこまかい問題はありますけれども、この点に関しまして、人事院の存廃について、現内閣方針として尊重しようというのか、行政審議会答申方向に沿うてこれを改組しようとする御方向なのか、政党内閣であるから与党の政調会があるいは役員会が結論を出さなければならぬ、それは政党内閣の一面を物語るが、しかし内閣内閣としての立場と政策はあるはずです。岸内閣には岸内閣としての方針があり、政策があるはずです。この大事な行政機構の問題について、現内閣方針がないはずはない、現内閣人事院の存廃に対する方針はどうなのか、これを存続する方向に与党との話合いをつけておるのか、あるいはそうではなくて、すべて与党にまかせきりなのか、どっちなんです。
  107. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) それは先ほど申しました通り、もう鳩山内閣時代に案ができて、衆議院にかかっているのですからして、そこで与党との調整をはかって、与党がこれはやってもいい、これなら通すという調整がついた点だけ進めていこう、こういう腹なんです。ですから、人事院の問題も政調会あるいは役員会でこれをやるべきだという決定ができたら、これをやるというのです。だめだといったら仕方がないから練り直す……。
  108. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうすると、このように解釈していいのですね、現内閣は前内閣から継続法案として残っておる行政機構改革の法案中、人事院問題、政務官、総務長官設置の問題等についてはこの国会で成案を得たいのだという考え方で、総務会あるいは政調会等の調整をはかっておられるのだ、こういうことでよろしいのですね。
  109. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) もうたびたび申した通りでありますが、了解を得たものは出します。了解を得がたいものは出しませんが——出す、出さぬではありません、出してありますけれども進行しないと考えております。
  110. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、もし人事院というものが改組された、現内閣考えておるように。あるいは現内閣考えの底には人事院を改組しようというようなお考えであることは、お言葉からよくわかるわけでありますが、そうしますと公務員制度の民主的な運営あるいは公務員身分の保障、待遇の維持改善、こういうような問題等について、現内閣は従来の人事院の持っていた要するに特に公務員から罷業権等を奪い、あるいは団体交渉権等を奪ったその代償として人事院というものが置かれたが、今回もし政府考えておられるような方向に改組発展きせるなら、そういうものに対する償いと申しますか、補充というか、どういう考え方でおられるわけですか。
  111. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) その問題は行管の問題のあるいは範囲を越すことになると思いますが、方針としては、どんな場合があっても、現在の公務員給与をどうするとか、あるいは不平等な扱いをするということはない、人事院の一番重要な任務は公務員の保護にある、公務員の平等なる扱いにあるのですから、この二つの原則は、どんな場合であっても私は破れないような工夫をすると思います。
  112. 田畑金光

    ○田畑金光君 人事院の問題については大よそ御答弁を通じ、現内閣方向というのがわかったわけですが、今問題となっておる公社制度の問題ですが、これは結局人事院の改組と公社制度の改組というものは相関連しているわけなのです。本日の新聞等を見ましても、すでに政府の中では、与党の中では、公社制度の根本的な改革について審議会を設けて検討しよう、こういうことも出ております。それは人事院制度の改組というものと、その底に流れる考え方、ことに今回の春闘を通じ、公社制度に対する政府の批判検討という底に流れる考え方とは同じ一本の考え方なんです。この公社制度について現内閣としてはどういう考え方でおられるのか。これは当然行政管理庁としても行政運営の面から重大な関心を持っておられるし、考え方も持っておられるし、方向考えておられると思いましすので、この点も承わっておきたいと思います。
  113. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) この国鉄とかあるいは専売とか、いろいろの公企業体の機関に対する考え方でありますが、これはまだ公式には問題になっておりませんけれども、うちうちの話、心がまえとして、もう少し、調査会を作って根本的に検討していったらばどうかという空気が出ております。ただ決定には至りません。そういう話がぼつぼつ起っておるとい程度であります。
  114. 田畑金光

    ○田畑金光君 そういたしますと、その点は調査会を設けるというわけですが、調査会内閣に置かれるのかあるいは国会に置かれるのか。まあ国会というわけでもありますまいが、内閣に置かれて、そしてその調査というものは、この国会中に成案を得ようというあるいは次の国会あたりを考え調査会を置かれるのだと、こういうところまでいっているかどうか。
  115. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 先ほど言ったのですが、公式の決定がないのですから、何を目当てにするか、どこに置くかということは、まだきまっておりません。ただ、そういう話がうすうす持ち上りつつあるという程度であります。
  116. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  117. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩    —————・—————    午後二時二十四分開会
  118. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案議題に供します。  本案に関し、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  119. 森中守義

    森中守義君 私は二点にわたって大久保国務相の意見を承わっておきたい。  その一つは、官界の刷新ということでありますが、石橋さんが総理に就任をされ、その重要な政策として官界の刷新ということを国民に誓いました。もちろん岸内閣もこれを継承した、こういうわけでありますから、当然このことは具体的に現在の内閣の手によって実施されるものと信ずるのであります。おそらくどういうことを官界の刷新としてお考えになっているのか、具体的な内容について御説明を願いたいと思います。  それと、もう一つは、いわゆる国家公務員が現在明確に定年制がありません。しかしながら、私どもが今までしばしば国会審議を通じて問題にしてきましたのは、いわゆる恩給法の改正であります。これは一向に進捗せずして、むしろ恩給審議会にかかっている中で、マイヤーズ勧告をすみやかに何がしかの方法で実現すべきであるという国会の意思であるにもかかわらず、このことがまだ明確になされていない、従って定年の問題、即恩給の問題あるいは退職年金の問題、こういうことが一連の重要な案件となっておるわけでありますが、これについてどういうようにお考えになるか、意見を承わりたいと思います。
  120. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 官紀の振粛の問題でありますが、これは石橋内閣当時の声明にもあります、いわゆる五つの誓いのうちの一つになっているのであります。それを受け継いだ岸内閣におきましても、当然この官紀の粛正ということは考えております。石橋さんの声明の中に、まず政府が慎しめ、こういう言葉があります。政府が慎しめ、慎しむべきはまず政府であるという言葉が入っております。従って、行政機関に関係ある人はみずから率先して官界の粛正に当り、そうしてこれを国民の全般の気風に及ぼす、こういう方針であるように思うのであります。従って、総理大臣の施政方針演説の中にも行政監査をやれという言葉が入っているのです。行政監査を盛んにやれという言葉が入っているのです。これも私は官紀振粛という方針を受け継いだところから出た、施政方針の演説の言葉と信じております。従って、私はそういう意味において行政監査を徹底的にはかって、少くとも官紀振粛の上に寄与したい。私は、行政監査をやるについても、少くともむやみに人殺しをするのじゃなくて、人を責めるよりもまず改善、そうしてこれを直そう、人間も直そう、自分も直そう、こういう心がけでやっておりますが、万一ごく悪質な者があったら、適当な措置に出るのはやむを得ないのじゃないか、こういう考えを持っておりますが、原則としては直す、改善——人を改善し自分を改善する、こういう考えで進みたいと思っている次第であります。そのほかいろいろな問題があると思いますけれども、これは内閣全般の問題になりますから、私は主として自分の持っている問題についての所感を申し上げる次第であります。
  121. 森中守義

    森中守義君 もう少し具体的に、一つ率直に、今行監の方でお考えになっていることがあれば伺いたいと思うのです。ただ懲悪善道的なそういう官界の刷新ではなかろう。少くとも今日においてこれから私が承わらんとするところは、いわゆるごく最近の実例でありますが、新内閣ができて、大臣政務次官のあるいは配置をやった、こういうときに、大体大臣政務次官が了承した事項を、官僚である局長あるいは部長というような人たちがどうしてもそれに納得しない、承服できないということで、辞表をたたきつけてとうとうこれを阻止した、こういう実例があります。従って、これは私は今日の、政党内閣であり、しかも議会制度下における官僚のとるべき道ではなかろう。一体そういうことになるならば、大臣もいらなければこれはもう次官もいらない。明らかに官僚の専横です。ほしいままに許すということになるのじゃないか。私はそういうふうに官僚機構の抜本的なところにメスを入れることこそが、いわゆる官界刷新でなければならぬ。こういう工合に考える。もちろんこれは一朝にしてはそのことをくずすことは困難でありましょう。かつて天皇の名の下に、あるいは枢密院、貴族院を背景にして官僚が君臨をした、こういう残滓がある。戦後官庁の民主化が熾烈に叫ばれながらも、これが一命に弊風として打破される気運がないのであります。私はきょうここに上程されている定員の問題についても、各省庁が大蔵省に個別的に事務折衝をやる、あるいは行監を通じて事務折衝をやる、そういう際にも、予算編成権という一つの問題もありますが、ややもすると大蔵省各省庁に行政干渉をやっておるのじゃないか、こういうことも私は指摘できるのじゃないかと思うのです。だから先刻の説明の中にも、農林省の問題あるいは各省の実際の定数が明らかにしかも詳細に説明がありましたけれども、果してこれがほんとうに国の行政機関を責任をもって運営できる定員であるかどうかということは、私ははなはだ問題であろうと思う。むしろ予算を中心にして、各省庁の運営に当って人間の配置を行なっておる、こういうことでは、私は言うところの官界の刷新にはならぬのではないか、こういう工合に思います。  それともう一つは、いわゆる新聞あたりがしきりに今問題にしていますが、学閥というような、こういうはなはだもって耳ざわりのよくない問題があります。私学の振興法ができ、しかも私学に対して相当国が補助をやっておるとはいいながらも、今なお実際私学を卒業した人たちが官公庁の重要なポストにすわっているという実例は非常に少いのであります。従って、こういうところにやはり国の行政機関というものが一部の人たちによって壟断をされる、しかもそれが政党政治であり、議会政治下にある今日の日本の一つのガンではなかろうか。こういう工合にも考えております。この点、私はただ単に、表面に出た汚職を摘発するとか、あるいは金の使い方がどうもうまくないから、これを取り締る、こういう程度の行政監察ということは、私は当らないと思うのですよ。もっと抜本的に官界の刷新をやろうとするには、学閥を打破して、あるいはまた温存されている官僚の弊風というものを打破していく、これによって初めていわゆる各省庁が国民に奉仕をし、国民から預っている国の仕事を完全に消化していく何よりの原因ではないか。こういう工合に考えるのです。もちろんこれは公務員制度調査会というようなものがあるという御答弁であるかわかりませんが、やはりこれは大臣として、政治的な責任においてこれをどういう工合に処理されようとするのか、こういう具体的な内容について御意見を聞かしてほしいと思います。
  122. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 学閥の問題が出たのでありますが、この人事院の規則を規ますると、公平の原則を確保する。公平の原則。人事院においては一面において公務員給与を保護すると同時に、公平の原則を指示する。あるいは水平の原則といいますか、公平の原則といいますか、この原則のうちに学閥というものは私はおのずから打破されつつあると思う。と申しますのは、任用にしても、あるいは初任給にしても、とにかく閥というのを眼中に置かず、なるべく優秀な者を上げるという意味を含んでいると思う。人事院においてもおそらくその方針で進んでいるに間違いございません。私どももそういう見地に立って、人事院と協力をしてこの問題を解決していきたい。ことに私の感じまするのは、政党政治になってからそういう学閥の弊害というものは比較的打破されつつあるのじゃないか。現に最近総理大臣になっている人を見ましても、あるいは総理大臣の候補者を見ましても、官界から出た人ばかりじゃないのです。むしろ早稲田大学とか私学を出た人がいばっている。いばっているといっちゃ語弊があるかもしれないが、多いのです。それから各議会内における各委員の活動を見ても、早稲田とか慶応とか私学の人も相当の地位を占め、相当の活動をしている人が多いのです。こういうところを見ても、政党政治が発達するにつれて私は比較的公平の原則は保たれつつあるのではないかと思うのです。従って、私は公平の原則を維持する意味において、人事院とともに協力すると同時に、政党政治の確立をはかって、こういう弊害は打破していきたい、こういう考えを始終持っております。  それからさきに申しました恩給の問題です。これは実は政府も苦慮している一つの問題であります。いろいろの恩給増加してくれという運動がありますし、いろいろ困っているのであります。そこで、政府の一部には恩給制度調査会というのを作ろうじゃないかということもあります。しかし、一面に恩給制度扱いについてどうするかということは、今、政府の部内に設けました公務員制度調査室においてもこれを研究しております。おそらく退職の資金をどうするか、退職手当はどうするか、あるいは共済組合の問題をどうするかという問題と同時に、この恩給問題もあすこにおいて私は研究されていると思っております。必ずあすこにおいて結論を作るものと、こう見ております。しかし、議会においてもそいう問題がありますから、どちらが早いかわかりませんが、調査室においても解決さるべき問題ではないか、こう思っております。
  123. 森中守義

    森中守義君 どうも問題の焦点に対するお答えがないと思うのですよ。まあやはり公務員の任用制度にもこれはむろん問題がありますし、一定の任用試験を受けて入ってきたので、そこに特別に違った学閥という差別はない、こういうこともあるでしょうが、やはり問題は任用制度そのものに問題があるのではないか、こういう工合に思うわけで、やはりこれは長い伝統と風習というものが、大臣政務次官配置しても役人がこれに反対をする。どうしてもこれを大臣政務次官が実施しようとすれば、それじゃ私はやめます。こういう工合で、辞表をたたきつけられてふにゃふにゃとなる大臣大臣だし、それくらいに今日の役人は強い。そういうことが予算編成各省庁の運営に当って、形式的にはなるほど議会政治下における、あるいはまた政党政治下における、体はなしているでしょうけれども実態は違う、こういうことですよ。こういう点についてどう思いますか。
  124. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) そういう点を克服していくのが私は政党政治の確立だろうと思っております。こういう意味におきまして、私は、今度の行政機構の改革においても、政党政治を完成するというのは、一つの場面じゃないかという感じを持っております。この政党政治が確立して、政策本位の政策を強行するという信念、その風習が強くなれば、自然と私はそういうものに反抗するというものがなくなってくると思うのです。政党政治の確立強化というものが必要である、こう考えます。
  125. 森中守義

    森中守義君 私はだれに限らず、国が老後の安定をはかり、あるいは将来を保障すべきであるということは、これはもう当然だと思うのです。ただしかし、いわゆる学閥的な官僚を特別に私は保障し過ぎている、こういうような印象を特に受けるのですよ。というのは、中央において事務次官をやった、あるいは局長や部長、次長をやった、こういう人たちはその将来というものは、おそらく弊履のように捨て去られているという実例はありません。ほとんどない。ところが、下級公務員の場合には、五十五才になった、あるいは五十八才になった、こういうことでまさに弊履のように捨て去られている。これが実情なんです。だから私は先刻もすみやかにマイヤーズ勧告を中心にして、新らしい恩給法の制定をすべきである、こういうことを主張しているのですが、まあやはりどういうことをやっても、自分の将来というものは、これはだれかが拾ってくれる。こういう安心感も私は官僚を温存している一つ理由になっているような気もするし、そうしてまた実質的に行政の中心はやはり学閥によって行われておる。これを打破するためには、私はやはり時の内閣の非常に大きい力による以外にないと思うのですよ。もしも、行政管理庁にはそういうことはないかわかりませんが、各省庁に、ことに大蔵省あたりにはそういうきらいが非常に強いと聞いております。たとえば定員予算折衝をする場合にも、ややもすると実態の要求を無視して、あくまでも予算上これでは困るということで、その省の運営ができようとできまいと押えている。これは実質的に私は、その省に対する大蔵省一つの行政干渉じゃないか、こういう工合に思う。従って、もっと大乗的な見地から官界の刷新というものの手をつけてほしいのは、そういう点にあるわけです。
  126. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) そういう弊害を去ることはほんとうに望ましいところであります。ぜひ、さっき言いました通り、あるいは人事院の手を借り、あるいは政党政治の力を借りて、そういう学閥の弊害あるところはぜひ一つ矯正していただきたい。私もそういう方向にいくことに同感であります。賛成であります。
  127. 森中守義

    森中守義君 これはただ同感だ、賛成だということでは事は済みませんよ。行政管理庁は少くとも各省庁に対して、その庁の私は責任があると思うので、具体的に各省庁に対して率直に、そのような事実を認めんとするならば、どういう措置をしようとするのか。そういうことの答えが出なければ、私の指摘している官界の刷新にはならない。
  128. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) もし一歩進めて露骨に言いますならば、私の方とこれはどうしても人事院の力を借りなくちゃならない。人事院人事行政の根本をつかさどっておるところでありますから、人事院と私どもが協力して、具体的にそういう極端な例があるというならば調査して是正をいたします。
  129. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、大綱的に今日の学閥を中心にした官僚独裁ということは認めると、こういうことになりますか。あなたは同感ということを言われましたね。
  130. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) それは見ようによるかもしれぬが、私はそんな極端に学閥によって左右されておるのじゃないと思います。さっき申しましたように、政党が発達するにつれてだんだん学閥というものは薄くなってきた。現に、さっきも申しました通り、現内閣の中で、各大臣で羽ぶりをきかせているのは学閥ばかりでやってないのですよ。学閥のよその人が相当羽ぶりをきかせている。こういう点から見ても、政党政治が確立すればそんなに心配することはない。といって、いいことじゃありませんから、お互いに協力して打破していかなければならない。行政管理庁もこれにはもちろん力を入れます。人事院の力も借りてやりたい、こう思っております。
  131. 森中守義

    森中守義君 それは議会にまでそういうような官吏が肩で風を切るような状態になれば、これはまさしく末期ですよ。私はそういうことを言っているんじゃない。各省庁の中におる、先刻も一つの問題で、大臣政務次官も了承したのに、どうしてもそれを役人が反対して、大臣政務次官がおやりになるというなら私は辞表を出しますと、こういうことで大臣政務次官を強迫したというような事実もあるのですよ。そういうことをどうお考えか。こう言っている。これは一省のできごとなんですが、大蔵省においてもあるいはその他の省においても、そういう問題はずいぶんあるのじゃないか。そういうような役人ばかりでないかもわかりませんが、中には、国会なんというものはいいかげんな所だと、出て来て、何か質問でも受ければその場限りのことで済まして、委員室を出れば舌を出しているというような、こういう極端な役人もないとは言えぬのじゃないか。こういう工合に思っているのですよ。だからもう少し積極的に行政管理庁として、役人の分限はこれまでだと、あるいはまた果してそのことが国の行政として行われているかどうかということを、もっと積極的に各省庁に対してやる意思はないか。こういうことを言っているのです。
  132. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 多くの官吏のうちに、そのぐらい信念に忠実な人があるのは実に私は奇特だと思う。そういうのはなかなか私は少いと思う。けれども万一上官の正しき主張に屈しないで極端な行為をするならば、これは相当の行政処分にしていいと思う。で、私の方の権限においても、もしそういうことがあって曲った行政をする者があれば、総理大臣に申告して、その行政官庁に向って処置することができると書いてある、行管の規則に。そういう極端なことがあったならば、その条文をつかまえて具体的に処置してもよい。
  133. 森中守義

    森中守義君 それはまあ確かにそうなくちゃいかぬと思います。それで、先刻も永岡委員の方から、二十二特別国会の中におけるいわゆる院の決議というものを、もうすでに三年有半になんなんとずるのに今なお実施しない。これはまあ私は大臣は何人かおかわりになっておるから、あながち大臣の責任だとは言い切れないのですけれども、行管でもすでにして院議というものを無視しているのじゃないですか。私は非常に遺憾だと思うのですよ。従って、一番大事な行管ですらそういうことなんだから、各省庁でいっていることはこれはもう論外だと思うのでナ。もう少し官界の刷新ということは積極的に、ただ制度の改革とか、あるいは懲悪善導というお題目ではなくて、まず官界の刷新ということは何をおいても学閥グループの弊風の打破、これに私は重点を置いてもらいたい、こういう工合に思います。   それから恩給の問題ですが、これは先刻ごく上層部にある官僚というものはいずれどこかの外部団体なり、民間の会社に拾われていっていますけれども、ほとんど多くの各省庁にまたがっての下級あるいは中級公務員というものは、わずかの退職金とそれに雀の涙ほどのそういう恩給をもらってほっぽり出されてしまっております。おそらく五十五才でやめてもまだ子供が全部大きくなっていない。あと何か仕事を探さなくちゃならない。こういう実態になる。こういう事実を認識しながら……。マイヤーズが来たのは占領当時だから相当なると私は思っておる。もちろん日本の恩給法の新しい体制というものがそのことに全面的によるべきかどうかは問題として、少くとも今日の恩給制度、あるいは支給の額、こういうものが当を得ていないということは、審議会の中で最も重要な中心課題になっていますから、はっきりしております。一体これをいつごろまでに実施しようとするのか。今日の退職していく下級、中級公務員の実態というものを、行管としてはどういうふうに思っておいでになるか、これを一つ聞かしていただきたいと思います。
  134. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) この恩給の問題ですが、恩給というものの将来の見通しについていろいろな意見があります。ある者は恩給というものはやめて、社会保障の一種にしろという議論がある。これも一つの私は意見だと、こう思っているのですが、ところが、これを今すぐそういうように一足飛びにするかというと、これはなかなかむずかしい。そこで現在の恩給をどう扱うかということになってきておるのでありますが、私どもの見通しとしては、決して上の人を高くする、下の人を低くするという方向には進まぬ、あべこべの方向に進むと思うのであります。たとえば二、三年前に行われた軍人の恩給を見ても、大将、中将あたりの将官と兵卒の差は非常に少くなっております。こんなことを見ても、差はあります、あるけれども差は少くなっているのだからして、決して下に薄くするというような結論は出ない。そこで恩給の改正はどうするかという時期の問題になります。これはしばしば繰り返して申されますが、公務員制度結論として恩給の問題も入っております。退職手当の問題も入っております。共済組合の措置の問題も入っております。こういうものを一括して調査室において結論を出すと思います。主管は調査室の問題でありますから、行管が差しおいて下手に結論を申し上げてもまた叱られても大へんでありますから、私の考えだけに一つしていただきたい。
  135. 永岡光治

    ○永岡光治君 今たまたま恩給の問題が出たわけですが、これはもう大久保さんがかつて給与担当大臣でしたか、あるいは行政管理庁長官でしたか、その当時私は大久保大臣にも予算委員会その他において、しばしば要望しており、必ずやりますからということで、非常に僕らの期待の持てる御答弁をいただいて期待しておったわけですが、今のあなたの御答弁を承わりますと、まだ公務員制度調査会結論を待ってというなまぬるい返事をしておるわけですが、これは二十八年の十一月と私は記憶しております。人事院から退職年金制度の勧告が出ております。この勧告の出ておることは承知でございましょうか。まず、それを一応確かめてみたいと思います。
  136. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) そういう話は承わっております。
  137. 永岡光治

    ○永岡光治君 話ですか、あなたは。話程度に聞いておるのですか、実際の勧告がされておるということを。
  138. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) いや伺っております。
  139. 永岡光治

    ○永岡光治君 二十八年十一月と思っております。従って、退職年金制度が改まらないために、今までずっと毎年一年延ばしに今の恩給は延ばされておると思いますことも御承知であろうと思います。ところが、人事院の勧告は尊重する尊重するということをしばしば口がすっぱくなるほど大臣が答弁され、また耳にたこのできるほど私たちは聞いていた。その退職年金制度をいまだに実施しないということは、明らかに人事院の勧告を無視しておるといっても抗弁の余地はないと思いますが、どうですか、その点は。
  140. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) これは無視と言われては少し困るのです、長くかかったから無視といわれるのは。そういう非難が出るかもしれませんが、政府としては一環の政策をもって、公務員制度を一環して、これに付随するものを、これを一環して解決しようとしてかかっておるのですよ、もかかっているのですよ現在。だからほんとうを言えば尊重しつつあるということです。決して尊重していないのじゃないのですから、実行にかかっておるのですから、その点は一つ了解して下さい。
  141. 永岡光治

    ○永岡光治君 尊重しつつあるというのですが、どうも尊重しつつないじゃないですか。二十八、二十九、三十、三十一、三十二年と四年間です。そうしてあなたは委員会で、必ずやると言いました、そう答弁されましたよ、予算委員会で、私は覚えておるのです。それ以来あなたとはもうなつかしくなって、ぜひこれはあなたにやってもらわなければならないということを廊下で会うたびに私はあなたにお願いしておりますが、尊重しつつあるということは、どういう形で尊重しつつありますか。
  142. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) それはさきに申し上げたと思いますが、二年ないし三年の間において公務員制度を完成したい、それはさっき申しました、公務員制度はなかなか広いのです。今の問題もそうです。団交の問題もあり、そのほかに懲罰の問題もあれば、組合結成の問題もある、それから就職制限の問題、公平の原則、試験の原則、そういう問題を全部ひっくるめて解決しようとしておりますから、何人おりますか、二十人くらいが今一生懸命にやっております。決して尊重していないのではなく、尊重しつつありますから。
  143. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは、私が何回も言いましたように、公務員制度調査会政府の機関でしょう。人事院はあなた御承知の通り公務員法によって、公務員を保護する立場の、国会の議決に基いて認めたりっぱな機関です。その人事院からこういう退職年金制度を早く作りなさい、こういう勧告が出ておる、ところが一向に政府が改正しないものですから、旧態依然たる恩給法のままで現在移ってきておる。そのために二十八年以来勧告が出てから今日まで、やめた方々は人事院の勧告に非常に期待をかけておった、その期待を裏切られて、前の恩給を現在そのまま適用されておる、これはまことに気の毒である。そこであなたは尊重しつつあるということでえらく言葉の上でごまかしているのですが、これはいつあなたは実施されるつもりですか。いつ立案して国会提案される予定ですか。
  144. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) それはさつきも申しましたのですが、公務員調査室の実行に移って、そこで研究をしてやっておるのですが、ここはそれ専門にかかっておる所です。ところがあそこは私の所管じゃないですよ、私の所管でないところをいつまでにやるかということを断言するのはこれまた僭越である、官紀を乱しますから。官紀を乱してはいかぬと思いますから断言はできませんが、大体の発足点としては、二年ないし三年の間に公務員制度を片づけてしま5という意気込みでやっておりますから、今年は給与法を出した、来年度はおそくもどの問題を取り上げるか、来年にはかかってくるのじゃないかと、こう予想しております。これは予想です。
  145. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはあなたの所管外かもしれませんが、行政管理全般ということは士気高揚、能率増進という目的の一つに私は入っておると思うのですね、その反面はやはり何といってもやめた後において、今、森中委員からも話がありましたが、路頭に迷うということでは、精神こめて公務員たる立場で働くわけにいかないでしょう。だからそういう意味で、早くこういうものを作りなきさいということを勧告しているにもかかわらず、依然として政府はこれについて誠意を示していない。聞けば、公務員制度調査室ですか、室の方で一生懸命研究しておるという、それでは人事院の勧告を尊重しないというのもはなはだしいじゃありませんか。しつつあるというのは、ただ考えておるだけじゃ問題なんで、やりなさい、やることが尊重することですから。これはあなた所管外としたら、国務大臣としても、岸内閣の一国務大臣としても当然責任があると思う。その点あなたは、給与担当大臣として私に、予算委員会で、今極力やっておりますから、この次には必ず結論を出して提案するようになるでしょうという非常に期待の持てるような答弁があったわけですが、いまだにこれは実現していない。だからそういう意味でもあなたは努力しなけりゃいかぬと思うのですが、まあしかしこの問題は私あまりここであなたを追及いたしましても、はっきりした答弁が出ないと思います。これまた総理大臣なりあるいはしかるべき責任のある大臣から答弁をいただきたいと思うんですが、今、定員法にからみまして、私は若干の質問をこの際行いたいと思いますが、定員法定員について質問があったかもしれませんけれども、これも承われば、行政管理庁各省別にどこまでどうということは答弁におのずから限界があるように思いますけれども、私は一つ基本方針として承わっておきたいのですが、先ほどは基本方針一つとして、非常勤のつまり常勤労務者についてどういう考えかということを質問いたしましたが、それも今回はやめて、そうして公務員制度調査会結論を待って国会提案したい、しかし次官の御答弁によりますれば、非常に積極的にこれはやるべきだ、次期国会にはこの結論を出して提案するという、こういう御答弁でありました。そこで今年度の三十二年度の定員の改訂についてでありますが、岡部部長さんの方からもいろいろ説明を承わっておりますと、この中にはだいぶ、運営の合理化をはかってということをしばしば言われておりますが、運営の合理化というのは何か基準があるのでありましょうか。それともそれは各省にまかしておるというのでありますか。
  146. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 各省によって事情は違うのでございますが、結局先ほど申し上げました通り、重点的に仕事をしなけりゃならぬ部面につきまして仕事が張って参りますので、必要の定員を必要とする、そういう場合においては、それにすぐ新規の定員をつけるということなしに、既存の定員配置転換によってまかなっていただく。そうしてそれがどうしてもできない場合は新規の定員をつける。郵政省なんかはそのティピカルな例でございますが、そういうようなやり方をやって参りますんで、まずそれに必要な人間を各省から配置転換によってまかなっていただく。その配置転換によって可能になった人間の出し方を、運営の合理化ということでこの説明書には表現してございます。
  147. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、運営の合理化というと各省で差し繰ってやれということを運営の合理化だというのですね。必ずしも何パーセントの能率を上げろとか、そういう点は実はないわけですね。
  148. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) ごく現業的な機関におきましては、あるいは機械化によって何パーセントを浮かせろとか、そういうようなことはできょうかと思いますけれども、一般行政事務につきましてはそこまでいっておりません。
  149. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうするとある省でこれだけの、たとえば一定の能率でみな算出しているわけですから、能率をもって算出してこれだけ必要があるのだ、そういう増員に対しては節約をしてやれというようなことになりますと、何か基準があってこれだけの能率を上げろということは、別段行政管理庁としてはタッチしていないという、ことですか。
  150. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 基本的な方針といたしまして、極力公務員増加して人件費の増大することを防ぐという政府方針もあるものでございますから、できるだけ現在の仕事を能率を上げ、簡素化することによって、新しい方面に人を振り向けていくという基本方針にのっとっているわけです。
  151. 永岡光治

    ○永岡光治君 どうもあれを見ますと、私は各論に入るつもりではございませんが、それらの省庁によりまして、増員をこれだけやるんだということになると、その中でこれだけの節約を運営の合理化で補いたいということになるわけです。それを比較して見ますと、増員の多い所ほど運営の合理化の人員が多いわけですね。だからどうもおかしいのです、私の気持としては。当然増員が多ければ多いなりに一応まず認めて、運営の合理化というものはどういうようにやって、どうするのだということになると、各省協定ないしはそれに近いものでなければならぬと思うのですが、そういうものが出ておるのかどうか。そしてまたそれが運営の合理化というような、何か基準があるのかないのか。どうしても私はそこに到達せざるを得ないわけです。
  152. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 永岡委員のお尋ねごもっともだと思うのでございますが、各省によって事情が非常に違うと思っております。ことに一例を引きますれば、郵政省のごとき郵便物量の増加というものが具体的に把握できる、あるいは電話の加入個数が具体的に把握できるというような場合におきまして、しかもこれが臨時の仕事でございませんので、それに必要な最小限度の定員は必ずつけなければならぬということになりますし、文部省のごときは学年進行であるとか、あるいは研究所の創設というような場合におきましては、これも必要な職員をつけるわけでありますが、ただ同じ今までの事務的な仕事をやっております、あるいは現業的な仕事をやっておりましても、その仕事が少しある部面においてふえてきたというような場合におきましては、他の部面へ回して補われる余地が相当あるものとこう考えておりますので、そういう点は話合いによりまして、がまんしていただけるのはがまんしていただくということになっております。
  153. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、現在の定員は必ずしも合理的でないと、こういう考えのように受け取れるのです。むだがあるというように解釈するのですが、そういう意味で、今の定員法はできたのですか。
  154. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 現在の定員は六十四万、あるいは定員法制定のときの約百万の定員と申しますものは、その時現在の定員の合理的なものと算定いたしまして計上したわけでございますので、各省千差万別でございますが、率直に申し上げまして現在の業務量と人間とが緊密に一分のすきもないほどマッチしている、こう申し上げることはもちろんできませんけれども、現在の業務量測定の範囲内において、できるだけ合理的な定員であるように年々心がけてはいるつもりでございます。
  155. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはいずれまた質問を続けていく際に明確にしたいと思いますが、要は各省画一にどうこうということは考えていないということだけのようでございますから、その点を確認して、そこで今も出ました現業及びその他の官庁についての定員の算出の方法は、やはり事務量の増加、一例でいえば、郵政なんかにつき、まして物数がふえると当然ふえなければならぬ。だからそういうような官庁と、それからそうでない行政事務、純然たる行政事務ということは当っているかどうかしれませんが、そういうものは監督行政的な色彩の強い、たとえば大蔵省とか通産省とかそういう所があると思いますが、そういう各省定員のはじき方とおのずから異ならなければならぬと思いますが、そういう区分はしておるかどうか。従って、もしそれが是認されるということならば、企業官庁というのはお客さんのお役所です、定員法があるからこれはどうも引き受けるわけにいかぬとか、あるいは仕事、サービスを低下させるということにも参らないと思います。そういう現業官庁、現業といいますか、企業官庁といった方が適当かもしれませんが、そういう官庁の定員について、定員法という法律でワクをはめることがいいのか悪いのか、ということについてはかなり私は疑問をもっておる一人でありますが、そういう問題について行政管理庁は何か検討してみたことがあるのかないのか。ありとすればどういうような過程をたどっておるか、その経過でもお示しをいただきたいと思います。
  156. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) ただいま永岡委員からお尋ねになりました件は、定員法の根本問題に関するものであります。昔は御承知の通り官制定員につきましては局長、書記官、事務官、属、技手というような工合に、いわゆる官吏についてだけ職種別に定員を定めまして、現業機関におきまして業務量に応じて増減するようなものは、これはすべて予算にまかせて、物件費予算から出しておったというような状況でございますが、先般来お尋ねがあったのでありますが、そういうやり方ではおかしい。身分事務官、雇員、用人の区別はあっても同じく政府の国家公務員であるから、この総数を規定する以上は、すべて一律に各省っくるめて規定するのがよろしい、という戦後の方針にのっとりまして、そのときの総数行政機関職員定員法で規定し、たわけでございます。従いまして今お示しの企業官庁の業務量に応じて増減すべき部分につきましても、定員法の中に入れてしまった。従って一例を申し上げますならば、郵政省のように短年増加していく業務量に応じて増加するような職種につきましては、毎年また増加をお願いしておるような状態なんであります。こういうようないわゆる五現業の職員定員規制方式をどうするかということが、定員法の今後の取扱いにつきまして、真剣に考えなければならない問題であるとかねがね思っておるわけであります。公務員法の改正と関連いたしまして三公社公務員制度から離れていった、従って定員法の適用を受けなくなったということも一つの例として参考になるのでありますが、現在残っております五現業、すなわち印刷、造幣、郵政、林野、アルコール専売というものにつきましては、それぞれ企業形態が異なっております。一つの省全体のものもありますし、一つの局に入っておるものもある。そういうものを直ちに定員法からはずせるかどうかということは、これは慎重に考えなければならぬ問題でありますが、そうかといって、いわゆる行政職員と同じ規定の仕方をしていいかどうかということにつきましても、十分考えなければなりません。しかし現在現業関係職員を、ほかの行政職員から直ちに別個の扱いをする、ということもまた他面いろいろな問題も起きるのでありまして、この定員法の構成、構造をどう扱うかということも、公務員制度とあわせまして、実は公務員制度調査会のことはたびたび出ておりますので、あの答申につきましても定員法についても考え直すということも出ておりますので、十分考えたいと思っております。
  157. 永岡光治

    ○永岡光治君 先ほどの答弁の中で、画一ではないと言いましても、やはり大蔵省各省別に定員をはじき出す場合においては、各省個別のそれぞれ折衝があるわけですが、そういうことになりますと、えてしてこれは画一方針を取りがちなことになりやすいと思うのです。従いまして、まあ五%の削減だと、今年はだからこれで一つ定員考えろということになれば、それぞれの特殊事情はあっても無煙にそれが押えられる、一つの実態にそぐわないということが適当な表現だと思うのですが、そういうことが間々私たちのかつての経験からいたしましてもあるわけですが、そういう意味からいたしますと、何としても企業官庁とそうでないものについては、定員の取扱いというものはおのずから別なあり方があってしかるべきじゃないかというふうに考えておりますが、それがまた国民にサービスするゆえんのものであろうと思っておりますが、行政機関はとりもなおさずこれは国会決定に従ってその決定を執行する機関でありますが、要は国民にサービスするということが本意でありますから、たまたま定員法にしばられてそのサービスが低下する、あるいは向上ができないということであっては、これは国民の期待するところと逆の方向に私は行くと思いますので、十分この点はこの委員会におきましても一つ審議しなければならぬ問題だと思っておりますが、もし、そういう結論が出るとするならば、これは別の取扱いをしなければならぬという結論が出るならば、これは行政管理庁としてもこの国会の意思に従って当然措置すべきものと思いますが、どうでしょうかね、その点は。
  158. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) まことに御説の通りでございますが、ただこの五現業といわれるものにつきましても、それぞれ独立採算という見地もございますので、その範囲内において人件費をどう持っていくか、そうしますと、これはその料金がやはり別個の見地から、単に利潤追求であるとか採算が取れるとかいう点ばかりでもございませんので、そういう点からまた考えなければならぬ点があろうかと思いますので、非常にむずかしい問題でございますが、非常に重要な示唆に富んでおるお尋ねと思いますので、これは真剣にかねがね考えておりますが、今後も考えたいと思っております。
  159. 永岡光治

    ○永岡光治君 もちろんこれは定員法をかりにはずされましても、予算というものを伴う問題でありますから、自然予算総則におきまして、予算の算出の基準としては出るべき筋合いのものと私もその点は了解いたします。しかし定員法という法律で何名だとこうきめられておる、そのきめ方と、予算総則できめられた場合は運用において若干の妙味が出てくると思うのですが、法律で何名ときめられておると定員をますわけには行かぬと思います。ただし、予算で縛られている場合は、これは移流用の方法もおのずから出てくる問題もありますので、私はそれこそがほんとうの国民の期待に沿い得る、新しい、正しい行き方じゃないかと思いますので、どうかその辺のところは、まあこれは委員会でも審議の過程において明確になろうと思いますが、そのときには一つあまりこだわらずにぜひあるべき姿に進んでもらいたいということを、特に私は要望しておきたいと思います。
  160. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) あわせてちょっと申し上げますと、この定員法が窮屈な作用をなしている一面もありますが、この定員を減らす場合におきましては国会の御審議を経なければならぬという意味におきまして、国家公務員身分の保障の点については非常に大きな働きをなしておりますので、単に予算だけで計上されているということは、これは公務員身分上の不安を与える一面もあろうかと思いますので、そういう点も一つの御考慮をいただかなければならぬ点があろうかと思います。
  161. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはまあ身分の問題は定員法にかかわろうとかかわるまいとにかかわらず、たとえば今の例に出されました郵政が国家公務員身分で残る限りにおいては、それは国家公務員としての保障というものは、どの公務員に限らずこれは受けるべきでありますが、私の申し上げておるのはそういうことでなしに、やはりこの組織がまた企業官庁の特質はあるわけですから、思う存分にこの効率をあげ得る態勢、それはやはりあまり窮屈に縛らないようなやり方の方がいいのだ、それが少々予算の流用について若干幅があったにいたしましても、そのことで混乱を来たすといいますか、不利という言葉は適当でありませんが、何か支障になるということよりは、むしろ別な意味で効率を上げ得るよう、国民の期待に添い得るという方面の方がより大きなプラスがあると私たちは考えておりますので、そういう意味で申し上げておるわけですから、これは同じく公務員という身分を持つ限りにおいては、当然一緒にならなきゃならぬことは当然だと思うのです。そういうことも考慮の対象になりましょうが、企業官庁が独自性を持ってというとあまり強い言い過ぎかもしれませんが、サービスに臨機即応の措置がとれるような定員扱いが最も妥当なあり方じゃないか。こういうことを申し上げておるわけでございますから、その辺のところをはずさないように定員審議に当り、あるいはまた今後これがどう改正さるべきかにつきましても考えていただきたいと思うわけです。これを要望だけいたします。
  162. 田畑金光

    ○田畑金光君 大臣に午前の質疑に続いてお尋ねいたしますが、内閣制度についてお尋ねしたいと思うのですが、その前にこの人事院の廃止の問題で、内閣としては与党の意見が調整つけば提案するという腹であることははっきりいたしましたが、そこで考えていただきたいことは、この国会がわりに与野党、国会運営の面において協力をして正常な運営がなされてきた、こう言われているわけです。これについては、それは両党の協力でありますが、同時にまた一つは与野党が鋭く対決するという法案が出なかったということだと思うのです。岸内閣内閣の主体的な条件かうして無理をしない、野党を刺激しない、混乱を招くような法案はできるだけ控えよう、こういうことでこの国会が正常に今日まで運営されてきた。こう言われているわけですが、もし人事院廃止というような大きな問題が出てきますと、これはまた相当国会というものも刺激をする、こういうことになってきょうと思うのです。もうすでに予算通り一応政府の側からいうと峠を越したという会期の状況ですが、こういう状況を前にしてあえて平地に波乱を招くような人事院廃止法案等を出して、それを決行するという御意思なのかどうか。またよく話し合いということが言われていますが、この重要法案については野党とも話し合い、野党の意見も聞いてみるということをたびたび岸総理以下現内閣の人方は言うし、またわりとそういうことが守られてきたと思うのです。そういうことを見ましたとき、人事院廃止のかりに法案を出すような場合には野党と事前に話し合いを遂げるか、野党の意見も聞くのか、この点について一応大久保大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  163. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) さきに私申しました通り、この問題は党で調整中であります。ざっくばらんに、言えば、政務調査会にかかっているような次第で、まだそれ以上進行していないのです。私からこの機会に言うのは少しこれは越権と思いますけれども、そういう状況にありますから、この扱いについては何ともまだきめかねておるのでありますが、しかし大勢としては与党も野党も協調していこう、共通の広場を持っていこうという方向に進みたいと思っております。かりにこの案が提案されましても事前に話をするかどうかは別にいたしまして、それは話があるかもしれません、これもまたきめかねておりますが、この委員会もあるのですから、こういう委員会一つの広場とされて十分に意見を拝聴して、多数をもって直すべきものがあったらば一向直して差しつかえないと思うのです。そういう心がまえでおります。
  164. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちょっとはっきりしませんが、委員会で話をする。委員会も話し合いの場所だ。それはごもっともだと思うのです。だが、法案を出すということになって参りますと、勢いのおもむくところ、提案される政府あるいは党としては、これをどうしても成立させたい、こういうことになってきましょう。人事院という制度公務員制度一つの根幹であるとするならば、委員会において話し合いの場を求めることも一つ方法だが、その前に、十分党の意向も聞いてみる。野党の、社会党の考え方や、これに対する態度についても聞いてみる。これがほんとうの話し合いであろうと思うのです。また、重要法案については、野党と事前に話し合いをしょう、国会提案する前に話し合いをしようということだと思うのです。でありまするから、われわれ社会党の側からいたしますと、人事院廃止という事柄は、非常に大きな問題でありますから、当然これは、重要法案の提案ということで、提案される前に、話し合いがあるものと期待しておりますが、この点は、どういうことになりましょうか。
  165. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) それは、まだ案がきまりませんので、具体的にその先をどうするかというところまで考える余地もないし、きめてもおりませんです。従って、案ができてみてから、一つよく相談してきめたい。先に申しました通り、今、政務調査会にかかっておりますから、それ以上に出ないから、まだ幹部会にもかけてないし、まして総務会にもかけてないものですから、それのきまらぬ前に、先ばしって社会党の諸君と相談するということも、これはちょっと先ばしったことになりますから、そこまでは私は申し上げかねると思います。
  166. 田畑金光

    ○田畑金光君 いや、そういうことでなくて、なるほど今、政調会で審議をしておる。総務会へこれからかける。その前に野党に相談しようということは無理かもしれませんが、一応成案ができて、まあ与党の方でも、これは出そうというようなことになりました場合に、さてそれは、与党だけで国会審議を進めるはずはないんで、当然与党の出してきた案について、反対の角度から論議を進めるのが野党ですから、まあそういう意味で、成案がもしかりに与党の方で出たならば、政府は与党に一応話し合う段階は終った。今度は、野党と提案する前に話し合いをなされるかどうか。このことです。  同時にまた、私は、国会正常化で今日ここまで来たが、今度は、国会の末期になって、相対峙するような法案を無理やりに政府は出そう、こういう方針なのかどうか。一と二と関連いたしますが、この点について伺っているわけです。
  167. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 与党と野党が協調を保って、共通の広場を持って進んでいこうとする気分には変りはございません。ただ、先にもしばしば申し上げました通り、政務調査会にかかっている程度でございますから、今、社会党の方へ言うのか言わないのかということも、これは少し出過ぎると思います。ただ、あなたの気持は、これは幹部に伝えます。これだけ一つ了承していただきたいと思います。
  168. 田畑金光

    ○田畑金光君 私の気持あたりを伝えてもらっても、これは意味のない話で、そういう腹でいかれるのならいかれる、重要法案については、話し合いをするということがはっきり両党の間で話をなされているのですから、これはまた、党首会談などでも、はっきりそのように岸総理も言っているのですから、それはそれとして、やっぱり守ってもらはなければ困ると思うのです。  それで、同じ問題でやり取りをしてもどうかと思いますが、この内閣制度について、この間も若干私は触れましたが、内閣制度の改正と申しますか、内閣法等についての改正は考えておられませんか。
  169. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 今度の機構改革において、内閣制度そのものについての改正の考えは、今のところ持っておりません。また、機構のうちにも、内閣制度そのものを変更するという案は入っておりません。ただ、総理府の整備をしようとする案は入っております。そうして、総務長官を置くという案は入っておりますけれども、内閣そのものをどうするという案は入っておりません。
  170. 田畑金光

    ○田畑金光君 私がお尋ねしたいと思うのは、総理府の整備という点になってこようと思うのですが、それは総務庁を設置される。これも一つの内容だと思うのです。ところが、総理府について見ますと、次から次にと申しましては言い過ぎるかもしれませんが、いろいろな外局ができているわけです。たとえば、調達庁も、なるほど先ほどお話のように、総理府の外局という形になっておりますが、行政審議会答申した内容等を見ても、防衛庁の中に調達庁を移管する、こういうようなこと等が載っているわけです。たとえば、防衛庁の問題ですが、一例をとりますと、だんだん長期防衛計画の結果、内容が充実強化されていく。全体ではすでに二十万を超えている。こういうことになってきますと、長期防衛計画の一環として、防衛庁が強化されて参りますならば、これを総理府の外局として取り扱っていくということも、実際問題として、他省との比較からいっても、無理が出てきはせぬかと思うのです。そういう意味において、防衛庁を省に持っていくとか、あるいは先ほど、内政省の設置は、与党の政府で見合すということですが、そういうこと等を考えたとき、将来の統廃合等にも、あるいは昇格等について、内閣としては考えないのかどうか、こういうことは一切手をつけないのかどうか、この点どうでしょうか。
  171. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 防衛庁を省にせよという一部に論者はありましたけれども、今度の機構の改革の中には入っておりません。また私は、現在においても、防衛庁を今直ちに省にするという根拠は薄弱だと思いまして、その方針をとっておりません。
  172. 田畑金光

    ○田畑金光君 それで私は、たとえば内閣法の二条によりますと、「内閣は、首長たる内閣総理大臣並びに従来の各省大臣及び国務大臣の定数以内の国務大臣を以て、これを組織する。」こういう工合になっているわけです。これによりますと、非常に解釈が広いし、またばく然としているし、また別の意味から言うとあいまいである。内閣法のできた昭和二十二年当時においては省が十であったが、その後十一になっておる。こういうわけで、各省大臣も、省がふえれば大臣もふえていく。また、「定数以内の国務大臣を以て、これを組織する。」定数というのは何名なのかはっきりせぬ、こういうようなことを見たとき、こういうようなところ等にも、これはだんだん解釈の不明、ばく然たる点を改めていくというような内閣制度改革等というものが考えられてくるのではないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  173. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) この前ここでお答えしたかと思うのですが、この内閣法の二条ですか、私はこの書き方は実にうまいと考えておるのです。これを読むと、国務大臣が何人おるかわからない。何人と書いていない。しかし「定数以内」と書いてある。「定数以内」というのは、「定数」というのは、現在あるのが定数なんですから、現在以上ふやさないという意味である。現在は何人かといえば、全部引っくるめて十六人、全部の閣僚を入れて……。だから、これをたとえば十六人なら十六人にすると、ついでにこれは、もう一人くらい増せというので十七人、あるいはもう一つついでに増せということで十八人にするということで、増加しやすい。こう書いてくると、解釈するのに一日ぐらいかかるのです。これはどういう解釈をするか、そこで非常に私は、定数を増すのに妨害というと語弊がありますけれども、こういう書き方をしておけば、簡単に改正ができないから、これでいいのじゃないかという感じを持っております。しかし、あなたの考えられておるような議論もあります。もう少しはっきりして、各省大臣何人という議論もあるが、そうするとあまりはっきりし過ぎて、すぐ改正して、定員に入れるか入れないか議論が起ると、あともう一人おまけに国務大臣をふやしてしまえ、こういう議論が起りやすいのです。これは私は、頭のいい書き方だと思って、非常に感心しておる、この点では。
  174. 田畑金光

    ○田畑金光君 大へんこれは感心されたようだが、内閣法制定の非常に早々の時期にこの法律も作られたので、今言ったように、いろいろ解釈の不備が現われておるのです。だから、現在の定数が定数だと言われるけれども、しかし、これを読むと、そうにも見受けられないのですね。たとえば、先ほど質問したことにも関連いたしますが、総理府にいろいろな外局ができていく。経済企画庁ができる。あるいは科学技術庁ができる。自治庁ができる。北海道開発庁ができる。それぞれまた国務大臣が衝に当っていくわけなんです。そういうことになって参りますと、これは、総理府にいろいろな外局がふえるに従って担当国務大臣がふえていく。十六名のワクをこすようだ。こすことも考えられる。あるいはまた、総理府の外局を諸般の情勢から機構改革で省に引き上げた。そうなってきますと、各省大臣もまたそれによってふえていく。こういうことになってきますると、もう少しはっきりこれは書くべきじゃないかと、こう思うのですが、これは特別、与党の中で、大臣なんかにたくさんなりたい人方がおいでになるようですから、それを消化するのに好都合な規定かもしれぬけれども、やはりこれは、もう少し明確にすべきじゃないかと、こういうような感じを持つわけなんです。  それからこの第四条ですね。「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」と、こうなっているのですが、これなんかも、いろいろ意見があるのですね。「閣議による」というのですが、これは、閣議というものは、多数決なのか、全会一致なのか。それから、持ち回り閣議というのがよく出ておるのですが、あれは一つの閣議の決定として、権威あるものと取り扱っておられるようですがね。やはり閣議というものは、あくまでも一堂に会してものを議して、そうして全会一致できめるということが閣議の権威を保持する道だと、こう思うのですが、こういうふうな点等については、閣内等でも、もう少しこの内閣法全体について考えてみるべきじゃないか、こういうような意見は出ていないのですか。
  175. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 近ごろはやりで、持ち回り閣議というのがございます。これはやはり全会一致の形式です。大がい持ち回り閣議はそうです。サインをすれば賛成したということになるのです。これは全会一致しておる。しかし、持ち回り閣議が一致しなければ有効か無効かということになれば、一致するのが常識です。また閣議の決定というのは、総理大臣を中心として、各閣僚が意見を言って、一本にまとめるのが常識です。ところが、歴史を見ると、たまには反対をする人がある。生命を賭して、身体を賭して反対するという人が出てくる。そこで、もしそういう人があったらどうするか。これは政治的な判断、常識的な判断ですが、多数に従って決定して、多数に従うことができなかった場合には、その人はやめるほかないと思うのです。責任を負って、これはとるべき筋で、それがあって、なお有効か無効かという議論が出れば、私は有効だと思う。全部の決定をとらないでやった例はあります。それでもやはり施行していますから、有効か無効かという議論になると、有効と解釈する。政治的生命から言えば、もし自分の主張が通らなければやめるしかない、これがとるべき筋だと思います。常識としては、全会一致するのが原則です。
  176. 田畑金光

    ○田畑金光君 閣議を主宰する者は総理ですが、総理がかりに欠席をした……、よく欠席をしておるのです。しかしまた、臨時総理または副総理を設置していない、こういう場合には、だれが主宰するか。総理なく、しかも副総理なくしてやって、一つ決定をやった。こういうような場合等は、これはどういうことになるのですか。  もう一つ、今の持ち回り閣議をよくひんぱんにやっておると言われるのですが、やっぱりこれは閣議で少くとも決定ということになってきますと、持ち回り閣議というようなことは変則のように考えるわけです。それは、問題の内容によって、持ち回り閣議に付し得るものはこうこうだということになっておるのですか。あるいはなっている規則等があるかもしらぬが、閣議運営のあるいは規則等があるかもしれませんが、読んでおりませんので、それは、持ち回り閣議等に付せられる場合はどういう場合なのか。
  177. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 持ち回り閣議というのは、たとえば、人が死んで、叙位叙勲するような場合、勲章とか、そういうものを授ける場合に、そういう場合になりますと、閣議というのは一週間二回しかないのです、定例閣議というのは。だから、御承知のように、火曜日と金曜日です。その閲に、たとえば人が死んだという場合は、すぐその日に大体の方針をきめなければならぬ。そういう場合には、どうしても持ち回り閣議でする。各大臣了解を得て実行するよりほかない。といって、そういうものの一つのために、各閣僚が集まって相談するようなことでもないですから、近ごろはぼつぼつそういうことが行われています。  それから、総理がいない閣議というものは、これは近ごろは、内閣が非常に円満で、たとえ閣僚が一人二人いなくても、総理がいなくても、実情は円満で、問題はありません。問題がしかしあった場合は、さっき誓うような解釈になります。つまり反対する人があったならば、その人は政治責任を負ってやめるかどうかという問題が起ってくる。しかし、今日の閣議は実に円満です。そういうことは起りません。
  178. 田畑金光

    ○田畑金光君 いや、円満かどうかということは別にして、それは、骨のない大臣ならば、それが集まっているから円満だということは言えるでしょうし、それはいろいろあると思うのです。そうじゃなくて、実際問題として、閣議というものは総理が主宰する。ところが、その総理がいない。事故あって欠席した。それからまた、しかもその場合、副総理というものがあらかじめ指名されていなかった。こういうような場合は、当然これは、いろいろ問題が出てきょうと思うのです。だから、そういうような場合のために、私の言うのは実際の運営もさることながら、あなたの御答弁のような内容だけではないのですね。実際の運営というものを考えた場合に、この内閣法についてやはり検討をする必要がありはせぬかどうか、このことを私はお尋ねしているわけなんです。お認めになりませんか。
  179. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 全面的に研究してみますと、これは、さっき二条の問題がありましたが、こういう問題も問題になります。これは全く不明瞭な問題です。ほんとうから言えば……。あなたの言う通り、はっきりした方がきれいですけれども、これはどういう意味か、こういう歴史になっているのですけれども、これはまあ、内閣制度ばかりじゃないのです。この次に出てきます各省の設置法、あるい総理府設置法だとか各省の設置法、その他の問題にしても、検討すれば数限りがないから、始終気をつけておりますけれども、といって、まああまり機構いじりばかりやるのも、人心を撹乱するものですからして、まず、今のところは、さっき申しました通り審議会を作って、その結論に基いて、とにもかくにも衆議院提案しておる機構改革を中心として当分進めたい。といって、ほかの問題について、それがために怠っているわけではございません。始終注意をしておりますけれども、大体本筋は、あの案をどうするかということを中心として進めたいと、こう思っております。
  180. 田畑金光

    ○田畑金光君 それじゃ、約束の時間が来たので、簡単にお尋ねしますが、先ほど政務次官は、大臣は非常に慎重を期しておられる。おれはせっかちだから、せっかちにまかせて、一つ次の国会までには必ず提案する。こういうようなお話があったわけです。次の国会に何を具体的に提案されるかというと、要するに、先ほど来のお話を承わっておりますと、常勤労務者が六万以上おる。非常勤労務者が五十万以上いる。しかも、これらの常勤労務者も非常勤労務者も、いずれも定員法内における職員と同じような責任と仕事と、そして労働については従事をしておる。そこで当然、これは常勤労務者についても非常勤労務者についても、特に建設省なんかの場合を見ましても、さっきは郵政省の問題が出ましたが、建設省の場合なんか見ますと、定員法職員というものが九千九百八十三名、それから常勤労務者というのが一万一千四百三十九名、それから非常勤労務者というのが五千六百九十五名、定員法内の職員の倍前後のものが常勤労務者、非常勤労務者としているのです。しかも、実際の仕事は同じことをやっておる。この問題は今に始まったことではなくて、先ほど永岡委員からも、第二十二国会における本委員会における内閣委員会における決議案も読み上げられましたが、あれは前からもう出ているのです。当時でありましたか、その後、河野一郎氏が行政管理庁長官になられて、本委員会において、次の国会には、必ず責任をもってこれは提案いたします。こう言っておられたのです。あの実力者といわれた河野一郎氏の御答弁でありますから、われわれはさぞかしこれが大幅に出るだろうと思ったが、何一つ出ていない。そういう歴代の内閣がとても手をつけられない重大な問題について、楠美さんの何もあげ足をとるつもりではありませんが、責任をもって次の国会には出される、こういうような御答弁がありましたので、安心いたしましたが、この点について、行政管理庁長官大久保さんは、今度は給与問題だ、この次は定員法の問題だ、こういうようなお答えでありますが、ほんとうにこれは、取り組んでやられる決意なのかどうか。まあこれは、決意であるとおっしゃいましょうが、行政管理庁より、むしろこれは、大蔵省の問題でしょう、ガンは。大蔵省はなかなか予算出きないでしょう。大蔵省が、公務員制度全般について一つの見通しがつくまでは、これはなかなか定員法には入れないのだといってがんばっておるのが、これが現実の姿でしょう、ほんとうは。その大蔵省の難関を乗りこえてこれを解決するということがほんとうにできるものかどうか。長官一つ承わりたいと思うのです。
  181. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 政務次官の話が出ましたが、私は、政務次官の言った通り、協力一致して前進します。この点は御安心下さい。  それから、大蔵省も、それはガンのところもあるかもしれぬが、大蔵省ばかりじゃないのです。定員の問題は、やっぱり何といったって内閣調査室、ここがある程度関係してきますから、やはりこことの連絡、了解も必要だと思います。
  182. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ正直に言って、長官から力強い御答弁がありましたけれども、これだけはあまりどうも信頼、信用できぬような感じを持つのです。しかし、非常に決意ある御答弁であるので、信用いたしますが、そこで、これはどうでしょうか。そういうような答弁をされて、すぐ内閣がかわる。しかし、同じ政党の内閣です。次に聞くときは、また別人が出て来て、同じ答弁をまたやられる。いつまでたっても繰り返しておるのですね。こういうような点はどういうことになりましょうか。長官一つ、御見解を承わりたいと思います。
  183. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) さっき申しました通り、あるいは参議院の院議、あるいは人事院の通告等は、これは十分尊重しつつあるのでありますからして、今すぐ尊重せよと言われると困るのでありますけれども、これは詭弁と言うかもしれませんが、尊重しつつあるのです。人事の問題についても、給与の問題にしても、あるいは定員改正の問題にしても、実行に移しつつあるのです。実行の頭の中に入っているのですから、尊重しないということだけは一つ取って下さい。私は十分尊重して努力します。
  184. 森中守義

    森中守義君 ちょっと一言。さっき私、とうとう大臣に言う機会を失いましたが、恩給の問題で、軍人恩給を例にとって、非常に完璧である、ここういうような答弁であったのですが、これはやはり認識が違う。将官と、それから下級将校あるいは下士官というものは、どだい基本ベースが違うのですから。一例をあげるならば、東条未亡人が五十六万円、それから、下級下士官に至っては四万円、こういうような実態ですから、もちろん、そのことが全体を通じていいか悪いか別問題として、そういう軍人恩給の実態ですからして、完璧でないということは、よく一つ承知してもらわないと、このまま速記録に残れば、あたかも大臣の一方的な答弁で了承したようになりますから、それの一つ認識を直してもらいたいと思います。
  185. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) しかしそれは、私一書説明を加えておきたいと思います。私の申し上げましたのは、戦争前の軍人恩給です。戦争前の軍人恩給はもっとひどかったのです。それがさらに、戦後一ぺん停止になって、新たに恩給法が生まれて、新しい恩給法のもとにこうなって来たのです。その恩給法と前の恩給法を比較すると、前の方がずっと差が多いのです。今度のが少い。私は、そういう意味で言ったのですからして、現在の恩給法には、大将と兵隊の差はありますけれども、従来と比して少くなっている、こう言っているのですから、お含みおき下さい。
  186. 森中守義

    森中守義君 大体これでやめますが、対象のとり方がやはり問題なんですよ。戦前こうであった、戦後はこうである。そういう比較は、これはやはり、方法論としてはすっきりしないと思う。むろん、今日の国家公務員恩給支給の状態と、それと軍人恩給が比較されるのは、これは当を得ているけれども、同じ軍人恩給を、戦前と戦争後を比べられるということは、これは私は、質問の要点とだいぶはずれておるし、そういうことを聞いているのではない。ただ問題は、今申し上げたように、元軍人の恩給が非常に完璧であるというような、そういう印象を受けましたので、ただいま実例として、東条さんの奥さんが五十六万円もらっている。下級下士官が四万円、三万五千円、こういう不合理が今日の同じ軍人恩給の内容である、こういうことを言っておるわけなんです。だから、少くともマイヤース勧告を中心にして、すみやかに国家公務員恩給は、これはかりに所管が違っているにしろ、国務大臣の一人として、すみやかに善処してもらいたい。こういうことを最後につけ加えておきたいと思います。
  187. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、一般質疑を一応この程度に本日のところいたします。  引き続いて、各省別の審議に移りたいと思います。  まず、総理府関係についての御質疑のおありの方があれば、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  188. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。
  189. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 午前中に、永岡委員からお尋ねがございました点についてお答えいたしますが、常勤労務者の紛与について、ベース・アップが予算に計上してあるかどうかということにつきましては、計上してあると申し上げたのでありますが、なお、念のために、実際に予算書に当って申し上げますと、一例を農林省にとってみますと、農林省の常勤労務者、すなわち、新年度から常勤職員といっておりますが、これは、総数二万一千六百五十六人で、本年度と昨年度と増減ございませんが、予算書を見ますと、常勤職員給与という項目におきましては、前年度が一千百八十一万円の給与費に対しまして、本年度は一千二百六十六万九千円を計上いたしまして、差引八十五万九千円の増と相なっております。これは、常勤労務者の各級別に定員内の職員と同じ六・何%のベース・アップを計上した給与改善費でございますから、さよう御了承いただきたいと思います。
  190. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは、いずれ大蔵省等が参りました際において、金額の算出の根拠等は明確にしていきたいと思っております。一応答弁だけは聞いたということにしておきたいと思います。
  191. 亀田得治

    委員長亀田得治君) さよう取りはからいます。速記をとめて。    〔速記中止
  192. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。  これで散会いたします。    午後三時五十八分散会