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1957-03-29 第26回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十九日(金曜日)    午後一時五十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員手島栄君及び片岡文重君辞任 につき、その補欠として苫米地義三君 及び藤原道子君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            秋山 長造君            竹下 豐次君    委員            木村篤太郎君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            永岡 光治君            八木 幸吉君   国務大臣    建 設 大 臣 南條 徳男君   政府委員    建設省住宅局長    事務取扱    鬼丸 勝之君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   参考人    公務員共済組合    対策委員会副会    長       堀江信二郎君    非現業共済組合    員代表協議会幹    事長      沢田 俊政君    日本官公庁労働    組合協議会福祉    対策部長    西塚喜久美君    日本住宅公団総    裁       加納 久朗君    日本住宅公団理    事       吉田安三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査の件  (共済組合制度に関する件) ○国家行政組織に関する調査の件  (堺市における公団住宅問題に関す  る件)   —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより委員会を開会いたします。  委員の変更について報告いたします。本日付片岡文重君及び手島栄君が辞任され、その補欠藤原道子君及び苫米地義三君がそれぞれ選任せられました。以上、御報告申しあげます。   —————————————
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、まず、国家公務員制度及び恩給に関する調査のうち、共済組合制度に関する件を議題に供します。本件に関し、各参考人から御意見を承わりたいと存じますが、議事の都合上、発言時間は、一人十五分程度でお願いいたしたいと存じます。最初に、公務員共済組合対策委員会会長堀江信二郎君にお願いいたします。
  4. 堀江信二郎

    参考人堀江信二郎君) それでは、私からは、公務員共済組合制度について、戦前戦後を通じて問題になっておる点を、簡単に経過的にお話してみたいと思います。  公務員共済組合制度について、健康保険その他の社会保険とは別種なものであるとか、あるいはまた、公務員共済組合制度は、社会保険の中の最も模範的なものであると思い込んでいる人が相当あるように見受けられます。公務員共済組合制度が、まぎれもなく、健康保険そのもの共済組合を通じて適用されているということは、きわめてはっきりしているのであります。しかも、この健康保険官業共済関係につきましては、大正十年健康保険制度が制定されるときに、きわめてはなばなしい論争が展開されているのであります。最初政府は、官業共済健保から除外するという案で臨んで参りました。ところが、その当時、共済組合制度というのは、単に官業のみでなく、大正六年当時の調査によりますと、一道三府三十六県にわたって、三百九十七組合ができておるのであります。さらに、これが第一次世界大戦前後を通じまして、大正十年ごろになりますと、民間で二千余の共済組合が設立されております。このように、わが国に共済組合制度を普及させた社会的、経済的諸条件が、当時政府健康保険制度を制定させるといち力であったわけであります。従って、官業共済だけを健保から除外するということに対しては、激しい反対意見が出たわけであります。それで、結局原則としては、官業にも健康保険を適用する。しかし、官業には、勅令をもって別段の規定をなすことができるという形で落ちついております。  官業共済健保から分離しようという理由は、いろいろあるのでありまするが、その中で、特に二つ大きな問題があったのじゃないかと思われます。その一つは、官庁には、御承知のように、恩給制度がその当時実施されておる。さらに、これと見合って、一部の官庁では、雇用人に対して老令保障がすでに実施されておりました。国鉄では、国鉄共済が明治四十年にできたときには、老衰救済金というものが実施されたのでありまして、これは、この当時、老令保障の全然ない日本におきましては、すばらしい特別保障といっていいことなのであります。従って、一般産業労働者と、このすばらしい特別保障を持っている官庁職員とを合流させるということが、やはりこれは避けたいことだったように見受けりれるのであります。それから第二番目は、組合管掌健保官業共済とを一緒にさせたくないという希望がはっきりあったようであります。御承知のように、健康保険法は、中小企業に対しは、政府が管掌する健保であります。三百人以上の雇用者を持つ大企業では、組合会を作って、管掌していく、いわゆる組合健保であります。官業は、もちろん三百人以上の職員を擁しておりまするから、これは、組合管掌健保と同じ取扱いをしなければならないわけであります。ところが、組合管掌健保は、組合会というものを作って、法人格を持たせて、そこで事業計画なり、予算なり、決算なりを一切決定する、そういう運営の仕方であり、しかもまた、組合会議員によって構成され、議員選挙される、こういう方式がとられているのであります。いわばかなりに民主的な運営方法がとられておる。従って、この組合員権利義務というものがきわめて明白だったわけであります。ところが、官庁勤務者に対しては、当時まだこの組合員権利義務ということを認めるというところまではいきかねた。  この以上の二つ理由が、非常にこの官業共済を分離しようという大きな理由だったようでありますが、ところが、先ほど申しましたように、結局は激しい反対にあいまして、官業にも健保を適用する。ただし、特例をもって別段の規定をなすことができるというところで落ちついたわけであります。ところが、実際に運用面におきまして、官業共済に対しましては、決して組合健保と同じ扱い方をしなかった。そのために、官業職員の間から、共済組合法人化運動というものが非常に激しく巻き起りました。これは、大正十五年に、全官業共済組合対策協議会というものが設置されまして、これは、呉とか横須賀、佐世保とかの海軍工廠、あるいはまた、八幡製鉄所たばこ工場、あるいは逓友同志会とか鉄道の同志会、こういったものが集まりまして、設立したわけでありますが、これが大正十五年から昭和の初期にかけまして、激しい運動を展開するわけであります。もちろん、この中で言わんとすることは、共済組合法人格を持たせて、組合員権利義務、これを明らかにしろという要望だったわけであります。  ところが、これは、御承知のように、その後、第二次世界大戦の中において、こういう運動は一切消えていった。終戦後、昭和二十三年に、この国家公務員共済組合法か制定されました。このとき、この法律を制定する趣旨を、政府は、まず第一は、共済組合法人として、権利義務の帰属を明確にするのだ。それから二番目には、共済組合運営を民主的にするために、運営審議会を設けるのだ。三番目には、共済組合給付の種類、金額を健保厚生年金と権衡をとるのだ。こういうことがこの法律制定趣旨だと説明されたわけであります。ところが、この権利義務明確化民主的運営ということについて、内容がやはり問題になりまして、衆議院におきましても、運営審議会というものではなしに、運営委員会として、その委員は、大臣が任名するのではなくて、選挙でやれ、こういう意見が強く出ておるようであります。さらに、参議院におきましても、これは激しい論争になりました。本会議における委員長報告を見ますると、このように述べております。運営審議会委員は、選挙によるべきで、各省各庁の長官が一方的に任命するというのははなはだ官僚的でないか、こういう意見に対して、当局は、審議会についても、かなり詳細な点まで法律規定されているので、特に取り立てて決議機関にかける余地は少い、もう少し成熟するのを待って考えたいとの答弁があった。こういうことを本会議で答弁しているわけであります。従いまして、現在の国家公務員共済組合法につきましても、かなりあいまいな点が残されて成立しているということは確かであります。しかも、今の法律を制定させるに当りまして、すべての問題は、今後の成熟を待ちたいということで、この法律ができているということも確かであります。  ところが、その後ほぼ十年、公務員共済の内部を見まするというと、どうやら成熟し過ぎたといった状態にあるのではないか。すなわち、公務員の疾病、災害、死亡または出産、育児、老令、失業、こういった社会的事故をめぐって、この共済制度生活との結びつきがきわめて強くなっている。ところが、あいまいな機構の中にある矛盾が非常に一方強くなって出てくる。たとえて申しますというと、保険経済に余裕のあるところが、生活向上を目ざして、給付改善をしたいと、こう思いましても、今の法律では、全然できないようになっておる。すなわち、付加給付をできるという制度にはなっていない。ところが一方、公務員共済と同じ性格のものである組合管掌健保をごらんになっていただきますというと、付加給付が非常に広範に実施されております。たとえば、傷病手当加給金とか、あるいは延長療養補給金とか、入院の補給金とか、埋葬料補給金とか、分娩の補給金、こういった名目で、非常に多くの付加給付組合管掌健保には実施されておるのであります。共済職員がこれを要求いたしますというと、公務員は全部平等にやらなくちゃならないのであるから、やれるところがあり、やれないところがあるということでは困るので、これはやれないということになっておるわけであります。  しからば、公務員共済はすべて平等に行っておるかと申しますというと、たとえば、掛金を見てみますというと、平均給与の低い官庁ほど掛金が高くなっておるわけであります。これは、今の法律では、必要な費用を五対五でまかなうということになっておるわけでありまするから、こういう結果が出て参ります。たとえば、外務省平均給与は一万七千七百八十四円であります。ここの掛金は二〇でまかなっておる。ところが、大蔵省の平均給与は、これに比較いたしまして、一万二千四百二十八円です。ところが、ここは三八でないとまかなえない。従って、同じ給付を受けるために、低い給与をもらっている人たちが余分に社会保険費を払い込まなければならないというとやっていけない、こういう状態になっておるわけであります。いわばこれは、きわめて平等のように見えて、きわめて不平等なのではないか。それで、各単位組合でもって、この掛金率給付改善を何とかしたいということで相談してみましても、今の法律では、各省大臣なり、そこの組合に対しては、何らの権限が与えられているわけではありませんから、できないのであります。言ってみるならば、公務員生活上から求めているいろいろな希望というものが、今のような動きのつかない制度の中では、持っていきようがなくなっておる、こういう工合に言えるのじゃないか。  これをさらに、この組合管掌健保と比較して見る場合、その相違が顕著であります。この働いて生活しなくちゃならない人は、雇用主からまず給与をもらう、その次は社会保険費負担分をもらう、その次は福利厚生費をもらう、この大体三本によって生活をささえております。ところが、組合管掌健保を見まするというと、これは日経連の三十一年六月の調査でありまするが、一月当り、従業員に対しまして、社会保険負担分として千四百九十円を雇用主が払っております。ところが、その他の福利厚生費として、一人当り二千百十三円払っております。給料は、もちろん公務員よりもさらに上回っております。ところが、公務員を見まするというと、給料はもちろん組合管掌健保より低い。それから、社会保険費負担分、これはやはりはるかに低くなっております。ざらに、それ以上決定的なことは、公務員福利厚生費というものがほとんど余分には出ておならい。そうして、福利厚生というものを何によってやっておるかと言いまするというと、この共済に積み立てた長期資金によってまかなってやっておるのであります。その開きというものは非常に大きい、生活に及ぼす影響も非常に大きいわけであります。  そこで、公務員共済組合員がこの共済組合制度に対していろいろ要望を出しております。それをまとめ上げますというと、まず第一は、国及び組合員権利義務を明らかにする必要がある。二番目は、財政負担割合を国と組合員協議決定をして、合理的な仕組みにする必要がある。三番目は、組合員生活向上に資するため、給付改善、新設を行う必要がある。長期給付積立金運用を民主的にして、組合員福利事業をより盛んにする必要がある。このために法律の目的を実態に正しく合わせて表現する必要がある。さらに、この公務員共済は、組合員に非常に理解しにくいようになっておるから、全般的にわたって条文を整理する必要があるのじゃないか。こういうことを組合員は、今の制度に対して希望として持っておるのであります。いわばこれは、公務員生活実態に見合った、弾力性のある共済組合制度にするたあの条件として考えているようであります。ところが、今のこの組合員要望しておる問題を見まするというと、これは、三十七年前の大正十年に健康保険が制定され、当時、産業組合員共済組合法人化運動を起して要求した問題そのものでありますが、さらにまた、昭和二十三年、終戦後において、今の公務員共済制度が制定されるときに、衆議院及び参議院において激しく問題にされ、繰り返された問題そのものであります。いわば公務員共済制度には、三十七年の間解決されていない宿題があると言っていいのではないかと思われるわけであります。  私のあとで、二人の方が意見を述べられるわけでありまするが、大体共済組合制度といったものは、今私が申し上げたような経過をたどって今日に至っており、組合員がまた問題にしている、また要望しているということをまず御了解願って、あとの話をお聞き願いたいと思います。  以上で終ります。
  5. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 次に、非現業共済組合員代表協議会幹事長沢田俊政君にお願いいたします。
  6. 沢田俊政

    参考人沢田俊政君) 共済制度の大体現状と申しますか、現在組合員がどんな不満を持って、これをどうしてもらいたいかといったような点を要望、お願いしておるかというような点につきまして、そのほかのものと対照しながら、大体述べさしていただきたいと思います。  先ほどもありましたように、共済制度は、もともと与えられたものだ、われわれに与えられたものだということで、今日まで、比較的公務員の間に認識がなかったと思います。しかるに、最近におきまして、やはり公務員社会的地位と申しましょうか、そういうものの中に、それと、昨今言われております社会保障制度の前進というようなこと等の関連において、もっとも、公務員だけがいい待遇をしてくれというようなことじゃありませんが、まず、その基盤になっておるものは、やはり今日の公務員経済的地位であろうとこれは思います。たとえば、これは簡単な例でございますが、先生方承知と思いますが、次官級あたりで大体五八%の給与をもらっている。局長、課長、係長級なんかは大体六七%、これは大体人事院の方で言っている線でございます。また、初任級なんかに至りましても、新制高校の場合には五千七百円、これを三割アップ、手当がありますから、やりますと、七千四百十円くらいになりまして、この倍率は大体まあ二百倍、戦前昭和十年の二百十倍くらいになっております。大学出の方になりますと、六級職の試験を通った者で八千七百円、これを三割アップいたしまして一万一千三百円と、こういうことになりますが、これを当時の七十五円にしますと、倍率が百五十倍、まあいわばそういう経済的に非常に低い地位の中において、共済組合制度というものの不平不満というものが生じておるわけでございまして、この問題については、給与の問題とは別だと、こうお考えになるかもしれませんが、一応そういう基盤の中に共済制度というもののあり方というものを御検討願わなきゃならぬと、そういうふうに私ども考えております。英国なんかにおきましても、この公務員をライフ・ワークとして、一生の仕事としてやれるような制度ということが大体目標になっておりますが、今日の公務員制度におきましては、やはり一生の仕事としてやれないと、いいかげんな地位になりますと、これは退職して、あとのことを考えなきゃならぬ。また、在職中に不正事件が起るとかいって、国会あたりで御指摘を受けておりますが、やはりそういった点も、そういう昔のような制度じゃない。生活に不安があるというような点があると思います。それからまた、御承知のごとく、私どもは、年じゅう労働争議労働問題でもってお世話をかけておりますが、こらいったことを一歩でもなくしていく考え方をどうしてもここでお考えを願いたい、こういうふうに思うわけでございまして、この共済制度は、まさに給与の問題とうらはらの問題である、こういうふうに考えております。  それで、私ども公務員に対して、お前たち恩給があるじゃないかと、こういうことをしばしば申されておりますが、これは確かにございます。しかしながら、恩給は、御承知のごとく、毎月われわれは千分の二十五を払っております。これは、公共企業体等職員につきましては、年金制度恩給制度は一本になりまして、もっとも選択の余地がございますが、これは、千分の四十から五十くらいの程度を払いますと、大体パーパ一でやれるというようになっておりますが、年金恩給制度の問題につきましては、これは、今後御研究を願わなければならぬ問題と思いますけれども、少くともわれわれは、千分の二十は払っている。年金の方につきまして、雇用人の方には、雇用人という言葉は語弊があるのでありますが、甲種組合員につきましては、千分の三十八をもって大体恩給にかわるものとしております。従いまして、恩給制度とともに、年金制度が同じ公務員の中にあるということが大体不合理ではないか、こういう議論も出されるゆえんだと思います。  なおこれは、軍人恩給なんかも問題になりますと、これは、掛金率がおそらくなかったのではないかと、こういう点に新らしい御観点を持っていただきたい、こういうように感じております。私どもは、掛金は半分は払っている。それで、これに見合うのは、ほかの厚生年金とかいろんなもので、事業主と雇われておる者とのパーパーでいくという考え方が、恩給の方では若干甘くなっている、こういう点で違いがございます。  さらに、これは先ほども出ましたが、各組合でもって掛金率アンバランスという問題が非常に頭の痛い問題になっております。先ほどもありましたように、大蔵、通産、労働なんかは千分の三十八になっておりますが、外務省の場合は二十、衆、参議院の方では二十七、こういったように、同じ公務員で、事業主が同じでありながら、勤め先が違うということでもって掛金が違うということは、これはまさに、われわれの公務員の側におきましては、経済的に大きなアンバランスが生じている、こういうことを言っていいと思います。その大体原因といたしますところは、通常いわれておりますのは、俸給に差がある。各省、各庁に差があるという点と、それから直営機関の有無、直営機関でもってやっているところと、民間のお医者さんにかかるところの差違、もう一つの大きな問題は、結核給付の問題が非常に大きく取り上げられなければならぬ問題と思います。われわれ公務員共済において、結核給付に充てられるところの費用と申しますものは、これも非常にまちまちでございますが、ことに最近は下っておりますけれども、これを大体の実際の数字を洗ってみましたところ、総給付に対する割合というものは非常に高いのでございまして、たとえば、本人の場合でございますと、昭和二十八年には四割九分九厘、五割に近くなっております。だんだん下っておりまして、三十年には四割四分五厘ということになっておりますが、家族の場合でも、昭和二十八年には二割五分、それから三十年には一割九分、二割弱になっております。その給付に対する割合を調べて参りますと、これは、非現業だけでございますが、昭和二十八年には四三・三%、それから二十九年には四割、それから三十年には三割七分、大体半分以上は結核給付のために、われわれ共済組合短期掛金と申しておりますが、医療給付費用はそれの方に食われておる。こういう現状でございまして、しかも、その人員を調べてみますと、公務員の中の大体一割程度人間のために、われわれの掛金率の大体半分は食われておる。こういうように考えていただいてけっこうだと思いますが、御承知のように、結核国民病だといわれておりまするし、結核予防法なんかもございますが、これらの恩典は地方にまかされておりますので、われわれ公務員にはほとんど恩恵をこうむつていない。で、結果から申しまするならば、われわれ公務員は、共済組合法掛金をもって、われわれみずから結核対策をやっておる。こういうような現状でありまして、この点については、何らかの方法で御考慮を願わなければならぬ。もちろん、ほかの結核対策とともに考えていただかなければなりませんが、公務員につきましては、結核が非常に多いということで、一つ考え願いたいと思います。これは、診療がらまくいっているからだと、こういうようにおっしゃいますが、実際に食っておる金と申しますのは、ベッドに入っておる人間給付でございます。  なおさらに、結核関連いたしまして、結核給付は三年になっておりますが、その三年が切れまして、相当の人間が、この給付にあずからないという哀れな人間が相当ございます。で、これらの人間を何とかして救いたいというのが、これが私ども友だちとし、あるいは同僚としての願いでございますが、現在の共済制度のもとでは、これを救い得ないというような現状にございます。さらに、不満といいますか、何とか改善をしなければならぬというような点につきましては、先ほどもちょっとございましたが、健康保険組合のわれわれは代行をしておるということをしょっちゅう政府から聞かされておりますが、その健康保険のうちで、保険組合と私ども共済との関連と申しますか、振り合いと申しますか、これはもちろん、健保組合におきましては、業務管理、あるいはお互いの使用主と、それから、使われる者と使う者との関係でもって成り立ってはおりますけれども、しかし、少くとも公務員給与民間と歩調を合せて、あるいはそれと関連を持たせて考えていただく、こういうシステムになっておるからには、こういった給付の面についても、そのバランスをとっていただくということが——これが一番いいところをとれと、こう申しますと、勝手なことを言うなといって、おしかりを受けますけれども、少くとも中くらいのところをとっていただく。こういうような考えのもとに分析いたしますと、まず、掛金割合が、国の場合におきましてはパーパーになっております。五対五になっております。ところが、組合の場合におきましては、事業主が使用人を、まあこれは、かわいがるという考え方でございましょう。仕事をよくやれという意味でございましょうが、大体大きなところになりますと、健保掛金を相当事業主が出しておる。大体それを平均しまするならば、事業主が七に対しまして個人が三、こういったようなのが大体普通だと思います。この点についても、相当考えてもらわないと、アンバランスという問題が生ずると思います。それから、健保の方には、最高限度を法律でもってきめております。これは、千分の三十五をオーバーしたならば、事業主が払いなさいという規定がございます。で、今の現状から申しまするならば、事業主がたくさん払っておるのでありますから、こういった規定を要しないという現状でございます。ところが、われわれの公務員の場合におきましては、これは、全然野放しになっておりまして、月給の安いところの組合員をたくさん擁しているところは高い掛金を払い、月給の高いところにおきましては低い掛金を払っているという、非常に矛盾した現象を来たしておるわけでございます。  それから、付加給付の問題につきましては、先ほど堀江さんから話がありましたので、省略いたしますが、さらに、組合員の範囲の問題について、これは非常にむずかしい問題でございますが、一言にして申し上げますならば、定員法の現在の矛盾を、この組合員と非組合員との間のアンバランスの問題をくしくも現わしておるわけでございまして、現在、各省において、常勤労務者ということで、定員外の職員を、これも共済に入れておりますが、それができないところにおきましては、常勤的非常勤職員とか、あるいはまた、補助員とか、常用作業員とかということの名称をつけておりますが、いずれにしても、勤務の実態が一般の公務員と同じであり、机を並べて、われわれと同じような仕事をしておる者が共済組合でなしに、ほかの建保、あるいは日雇いなどによって追いやられておる。こういうのが相当ございまして、農林省なんかの例をとりましても、常勤的非常勤職員、こういう格づけをいたしまして、その人間が三千五百人もおります。また、建設省なんかにおいては五千六百人、林野におきましては三千八百人、こういったものが、実態的には公務員と何ら違わない仕事をしておりながら、共済から追いやられて、別な健保によっておるというようなことは、いやしくも、健保の代行をやっておる共済においてはおかしいではないか。こういう問題につきまして、何とか合理的にこれを解決していただきたい、こういうふうに思っております。  簡単でございますけれども……。
  7. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 次に、日本官公庁労働組合協議会福祉対策部長西塚喜久美君からお願いいたします。
  8. 西塚喜久美

    参考人西塚喜久美君) それでは私の方から、同様公務員制度につきましてのしんがりを勤めまして、最終的な官公労として請願しております内容に対する見解を明確にいたしたいと思います。  御承知のように、国家公務員共済組合法の適用を受けることになっている公務員というのは、国家公務員である非現業職員及び現業職員、これに、地方公務員でありながら適用を受けるという、県庁職員、警察職員、公立学校教職員等が含まれておるわけで、およそ二百万をこえておるのであります。私ども二百万の官公庁所属職員に対してのこの共済組合は、健康保険法の第十二条でいっております社会保険という面がもちろん主力でございますが、それに労務管理としての恩恵的な面との二つの要素を内容とした制度として実施されているというふうに把握せざるを得ないのであります。そのために、すでに述べられた二人の意見にもありましたように、性格としては非常にあいまいな性格づけがなされているという結論を持たざるを得ません。すなわち、社会保険の立場から見ますというと、健康保険組合より低い、悪い面が残されたまま、今日まで改善が保留されてきておるということがその一つであります。  また一方、労務管理の面から見ますと、健康保険法の適用を受けているいわゆる民間会社の労働者に対しては、御承知の通り、社会保険である健康保険組合とは別個に、労働基準法を基準とした諸種の労働環境の安全策及び労働者のレクリエーションあるいは災難に対する保障等の諸制度並びに施設が確保確立されています。しかるに、公務員に対しては、この労務管理としての面は労働基準法の一部適用と、身分法ともいうべき国家公務員法あるいは地方公務員法等において若干の措置は講ぜられておりますが、その他は大幅に、この共済組合の事業にゆだねているのであります。従って、健康保険組合が十分国民や公務員の中に理解される以前においては、共済組合という制度が恩恵的に感ぜられていたのでございますが、今日の労務管理に対するところの社会常識が進展した段階においては、この共済組合の実情というものに対しまして、大きな疑問と不満を持つという結果が招来したのでございます。もちろん、われわれとしては、公務員がひとり一般会社の労働者よりも上を進まなければならないという一方的な考えを持っているものではございません。今申し上げましたような労働環境の整備というものが、今日の近代産業の構造の中における大きな一つのポイントを持っておる。それに見習うところの行政の効果を最も上げる一つ公務員制度の中に、この労務管理というものをどのように明らかにしていくのかということがやはり政府の政策として明瞭を欠いているがゆえに、このような状態になっているのではないかという不満を若干持つわけでござ  以上のような観点から、今日の職員共済組合に対する考え方及び要望というものを基本的に申し上げますならば、この社会保険としての共済組合という性格を明確にするか、そして、いわゆる労務管理的なものは別個に切り離してしまう、すなわち、国家公務員法の第百八条及び第百七条でいっておりますところの恩給制度というものを先頭にいたしまして、労務管理的な面というものを共済組合から分離させてしまうという行き方の方がいいのじゃないかという考え方一つ。もら一つは、現状のように、共済組合の中で、社会保険的な性格と、さらに労務管理的な面の二面を持つ内容でよろしい、しかし、その場合には、掛金、負担金というものは、あくまでも社会保険的な性格のものは、その性格なりに財源的なものを明確にし、その上積みとして、労務管理的なものが国家補助なり国家負担金の増という形で表われたものでないと理解ができない。 この点が、今日の官公庁に所属している職員考え方が、二つの観点で論議がかわされて、今の段階では、もちろん十分な討議を重ねたとは申されませんけれども、ここ一年間の討議に基きました結果から言いますというと、現状のように、労務管理的な面を社会保険の中に含めた性格でよろしい、しかし、その中で、あくまでも健康保険法の第十二条でいっておりまするように、少くとも共済組合は、健康保険給付する種類及びその程度以上でなければならないということを健康保険法の第十二条で規定しているのであります。従って、この規定にのっとると同時に、労務管理に上積みする形を共済組合制度において改善をする必要がある。このことが、現在の職員としての結論付けをしている共済組合に対する基本的な見解であります。  以上の見解に基きまして、現在の国家公務員共済組合法の問題点を検討いたしまして、請願の中に、別添参考資料という形で、共済組合法の一部改正を、当面緊急に、次のことをやっていただきたいということになった次第でございます。その観点から、若干その一部改正を必要とする点を補足して、見解を明らかにしたいと思います。  一つには、先ほどから言われましたように、現在の共済組合組合員の範囲という考え方でございます。一つの職場を持っている公務員民間の会社の現場というものを想定して、健康保険組合があるということを想定し、二つの職場を想定した場合に、どういう現象が現われるかといいますというと、いわゆる労働管理的な面が非常に強く認められている。恩給を受ける公務員というものと、それから恩給を受けない公務員というものと、大きく言えば二つにまず分れるわけです。従って、共済組合では、恩給を受ける公務員につきましては、乙種の組合員という取扱いをする。そうして恩給を受けない公務員につきましては、共済組合の中では、甲種組合員という扱い方をする。このまず扱い方を明らかにしておるわけでございますが、その中でも、さらに定員法との関係で、その共済組合組合員からも除外されるという現象が出ておるわけです。同じ職場におりながら、先ほど出ましたように、農林の中に、官公庁職員と同じ仕事をし、同じ職場におりながら、健康保険法のいわゆる組合加入をしていくというものと、両方に分れるという現象が今日出ておるわけです。従って、これらの問題を一本にまとめるという観点に立つならば、どうしても健康保険法規定しておりますところの、いわゆる健康保険組合員というふうに認め、組合員というものをそのまま、共済組合の場合でも、共済組合組合員に認める考え方に統一さるべきである。その観点から言いますと、非常勤職員あるいは臨時職員というものについては、一カ月をこえて引き続き国に使用、されるという場合においては、当然組合員として取り扱わるべきであるという見解をとるわけでございます。これが組合員の範囲に対するところの見解で、現在のように、六カ月以上の常勤職員でないと、それも一部でございますが、共済組合組合員として取り扱わないという考え方改善して、範囲を拡大すべきである。もちろんこれは、根本的には定員法でも改正されて、定員が当然それだけの職員を必要とする観点から、定員法の改正されるのが当然だと思いますけれども、それが各般の情勢で困難だという場合に、私たちとしては、やはり同僚として、少くともこれは共済組合組合員にはすベきである。こういう観点を持っておるわけです。しかも、これらにつきましては、甲種の扱いをするか、乙種の扱いをするかということについては、いろいろ議論をいたしましたが、乙種組合扱い方をするという、いわゆる恩給をもらった公務員と同じ取扱いをする。こういう考え方に一応したわけです。なぜこういう考え方にしたかというと、この点は、現在の共済組合の中で行われております、恩給に相当する年金制度がございますが、この年金制度の適用をさせましても、少くとも十年以上経過しないというと、自分で納めた掛金をこえる年金を、一時年金にしても一時金にしても、支給ができないという内容になっておりますので、こういう臨時職員や非常勤職員というものを共済組合組合員に適用させても、かえって本人のためにならないのではないか。こういう観点から、いわゆる共済組合運営上行われておりますところの社会保険のいわゆる短期給付の面だけの適用をさせるという考え方でございます。以上が組合の範囲拡大に対する見解でございます。  次には、短期給付のいろいろな、いわゆる法定給付の内容の改善でございます。この点は、いろいろございますが、最も大きなものは、家族の療養費でございます。御承知のように、現在の公務員生活状態は、月々の生活が俸給によって、いわゆる設計されて維持されておりますが、不時の災害やあるいは疲労の原因という形から、病魔に襲われた場合に、あるいは家族がかかる病魔に襲われた場合に、当然予定外の医療費の出費という現象が出てくるわけです。このことによって生活が困難となり、ひいては生活を破壊するという形になりますので、家族の療養費につきましては、現在半額給付という形になっておりますが、社会保障制度審議会で答申いたしておりますように、最低七割は実現させるべきであるということを、共済組合のみならず、健康保険組合においても、七割は確保すべきであるという答申をいたしております。われわれとしては、その答申をもちろん尊重しておりますけれども、少くとも現実には、家族療養費というものを全額給付すべきである。このことは、かりにある程度掛金が上るということがあっても、家族療養費の全額を実現させるべきであるということは、現在市町村条例によりまして、市町村における公務員は、市町村のいわゆる国民健康保険組合に義務加入させられておるわけです。従って、本人の療養費は全額給付なので、別にそれに入らなくてもいいことになるのでございますけれども、家族の半額が共済組合及び健康保険から保障されているだけでございますので、あとの半額のために、どうしても市町村の条例に基いて、国民健康保険組合に加入せざるを得ない、こういう現状があるわけでございます。従って、これが全領給付という形にして、国民健康保険組合からその加入を除外するという一項をやはり明らかにしていくならば、それ相当の掛金というものが、この共済組合の場合にある程度上るといっても、家族の療養費というものは全額給付すべきである、こういう見解でございます。  次には、結核療養給付についてでございますが、基本的には、結核予防法等、国の政策によって、国民病として、この結核の療養費というものはまかなわれなければならないという見解を持っておりますけれども、現実にはなかなかわれわれとしても、それまでいくには、一つの年間計画、五年間なり三年間なりの長期計画という形で解消する以外にないという見解をとりますので、そういう観点から、現実に、公務員結核に罹病されまして、三年を経過した人がどういう形になっておるのかということを調べた結果、相当数が三年間でもなお治癒することができなくて、復職もできずに、そのまま退職となり、一家がそれこそ心中しなければならないといううき目に追い込まれておるという実態を把握いたしましたので、この結核療養につきまして、何らかの措置として考える必要がある。これもやはり現行の共済組合制度の中において、その一部面を、今でも相当、沢田さんが申しましたように、六割程度の療養費というものは、この結核が占めておるのでございますけれども、やはりこれを、現行の三年というものを二年間延長して、五年に改正すべきである、こういう見解を暫定的なものとしてわれわれはとらざるを得ない、こういうことになった次第です。  次に、分べん費及び配偶者分べそ費でございますが、本人の分べん費が一カ月分、配偶者が分べんした場合には〇・五カ月分が現在の給付額でございます。この考え方については、いろいろと議論のあったところで、われわれも十分検討いたしましたが、やはり実費弁償をすべきであるという基本的な考え方一つと、もう一つは、本人であろうが配偶者であろうが、分べんしたときには実費弁償という形から、その給付考え方としては、一カ月分なり〇・五カ月分なり、二つに分離をするという考え方ではなくて、同一の金額に統一する。同一の率に統一すべきである。こういう理論的な結論づけをいたしました。そうして、実費弁償という形から、最低二万円の保障制度、最低保障制度というものをここに打ち出すべきである。その最低保障額二万円という線にいたしまして、それ以上の俸給をもらっている場合には、本人であろうが配偶者であろうが、その一カ月分の俸給と、こういう考え方で、分べん費及び配偶者の分べん費というものを改善していく必要がある、こういう見解でございます。  次に、保育手当でございますが、今日の経済状態の中で、保育手当は月四百円、それを期間としては六カ月間てか支給しないというのが現行でございます。今、月四百円、六カ月間の保育手当というものは、ミルク代にもなりません。従って、今日の社会における保育手当としての考え方からいえば、当然これに抜本的な検討を加える必要がある。こういう見解で検討を加えましたが、われわれとして、今出されました結論として、四月円を月一千円に引き上げる。それから期間につきましては、六カ月間を一年間に延長する。このように改善する結論を出した次第です。  次に、埋葬料と家族埋葬料でございますが、これもそれぞれ、本人の場合が埋葬料が一カ月分、家族埋葬料が半月分、それに最低保障金額というものの制定が現行とられているわけですが、この考え方の間には、現行の経済状態の中において、やはり相当に金額を増額する必要がある。こういう観点から、一カ月分になっている点をニカ月分に増額する。それから〇・五カ月分になっている家族埋葬料を一カ月分とする。最低保障領としては、共通的に二万五千円とする、こういう考え方でございます。  次に、傷病手当金ですが、これは、先ほどの二番の結核療養の給付の支給期間を延長するということに付随している問題でございます。現在、一般公務員等の給与法の中で、結核になった場合には二年間、いわゆる任命権者から俸給をもらったままで療養休暇を受けるということに認められてございます。従って、共済組合の方で、俸給が払われない場合には、三年間の傷病手当金を俸給に見合ういわゆる生活資金として共済組合で支給するということになっているのでございますが、現実にはこれは、二年間というものは空文でございます。最初の二年間というものは、任命権者が負担しますので、共済組合の方では、現実には負担しない。あとの一年より負担しておらない。教員の場合には、予算の範囲内で三年間ということに、教育公務員特例法の第十四条で規定しておりますので、この十四条によりまして、ほとんど三年間任命権者が支給して、療養休暇を与えておりますので、この傷病手当金というものは、一銭も出していないという形になっているわけです。従って、この傷病手当金というものを、二年間療養期間が延長されると、それに相当する二年間のやはり傷病手当金を支給するという形に延長したい。このことによって、実質的に今後三年ないし二年という傷病手当金を出さなければならないという形になりますけれども、現実の三年間を出すという用意のあった考え方に立ちますというと、これは財政的にもそんなに問題のあるところではない、こういう考え方が成り立つわけでございます。  次に罹災給付でございますが、その罹災給付の中の特に弔慰金につきまして、現行一カ月分、家族弔慰金が〇・五カ月分ということになっておりますが、それをそれぞれ、弔慰金が二カ月分、家族弔慰金が一カ月分というふうに引き上げをしたい。  以上が現行の法定給付というものの短期給付改善をすべき点でございます。  これに新たに、結婚手当というものをわれわれとしては新設したい。このことは、戦後、労働運動の中でも相当大きな問題として、現在の俸給生活者に対するいわゆる給与の決定の方法の中で、どうしても、結婚するという場合には、結婚資金というものが毎月の俸給にプラスした形で出ない限りにおいては、正当な結婚生活に入ることができない。こういう観点から、結婚資金というものの要求が非常に強かったわけでございます。一部の市町村においては、この結婚手当金というものを出しているところがございますが、全面的に出ているという状態にないわけでございます。本質的にいうならば、この結婚資金というものは、給与法と並列しております寒冷地石炭手当法律のように、結婚手当金を支給するという別途の単独法律で、これは給与法と並列していくべき筋合いのものだと思いますが、それも現在の情勢の中では非常に困難だと思いますし、われわれは、自分らが出しました掛金等によってまかなわれるこの共済組合の中で、お互いにこの結婚資金を出し合おらという意味を含めて、共済組合の中で、結婚手当金というものを支給する制度にしていきたい、こういう考え方から、新たに共済組合の中に、結婚手当給付という条項を新設いたしまして、結婚する者について、三万円の結婚資金相当の結婚手当金を出すと、こういう見解でございます。  最後に、同じく給付の問題といたしましては、付加給付の新設でございます。これは、堀江さんや澤田さんのところでも十二分に述べられましたが、健康保険法に相当する、いわゆる同一のレベルにするという観点から、付加給付制度というものを設ける。こういうことで、この付加給付でどういう内容を盛るかということについては、お互いに、単位組合によって違いがあると思いますが、いずれにしても、かかる付加給付制度を新設するのは当然である。特に今日の健康保険との関係からいいまして、従来共済組合におきましては、赤字になった場合には、当然掛金を引き上げて赤字を埋めると、黒字になった場合には、掛金を引き下げてそのバランスをとる、こういう考え方で今日まで長い間運営しております。しかるに、今度の政府で提案されております健康保険法との関連で、共済組合が、従来の掛金負担金によるところの財源補てんというものと別個に、健康保険に右へならえをして、医者の取扱いや、いわゆる現在の社会保険制度の中で、赤字になるという理由で一部負担をしなければならないという厚生省の、いわゆる政府側の見解に相当した健康保険の改正に伴う改正というものを、やはり国家公務員共済組合の場合でもしょうという考え方一つにあります。  このように、健康保険法共済組合法との関連が、結びつきがあればあるほど、その見解が、当然政府側として、この付加給付制度等は、むしろ政府提案で当然出てくるべき筋合いである。このように私は考える次第であります。以上が法定給付についての見解です。  最後に、長期給付についての改善でございますが、長期給付というのは、御承知のように、恩給をもらっていない公務員に対する恩給に見合うところのいわゆる年金でございます。この年金につきましては、いろいろ問題のあるところで、去る二十四国会におきましては、国鉄、専売、電々公社の三公社の公共企業職員共済組合法という形で、この国家公務員共済組合法から独立いたしました。独立いたしました大きな要因は、この退職年金恩給関係であったわけでございます。今日、国家公務員共済組合法の中に残されておる現業の中でも、郵政職員等におきましては、やはり郵政職員共済組合法という形で独立すべきである、こういう見解を持っておるようであります。一方、公立学校共済組合並びに地方職員共済組合等におきましても、国家公務員共済組合法の適用を受けて、地方公務員であるいわゆる地方職員がこの同じ法律の中で適用されるということがどうも組織上問題がある。従って、これも公立学校共済組合ということで独立するか、あるいは地方職員という形で独立するか、いずれにしても独立する必要があるだろうという問題になるわけです。といいますのは、国家公務員法の第百七条及び第百八条で、公務員に対する恩給制度化して適用させるということが明確にされておるわけです。明確にされておりながら、一部にのみその恩給の恩典を与えるというふうな考え方が、昔のいわゆる恩給制度を引き継いだ恩給ということから、現在の年金としての恩給という考え方に、考え方自体が前進していないという面もございますけれども、一緒に働いている中で、恩給をもらう、者と共済組合の年令をもらう者に、二つに分離されておるという、このことがやはり国家公務員法の違反であるということさえ言えるものだと私は思うわけです。地方公務員においても同様でございます。従って、その観点から、少くともこの共済組合の中で行う退職年金につきましては、恩給と同様な程度のものに、給付の内容及び加算率等におきましても同様のものに改善すべきである。こういう見解が基礎になって、この退職年金の改正を暫定的にも今日する必要があると、こういうことでございます。もちろん、現在、共済組合の退職年金が二十八年間勤続した場合には、いわゆる公務員恩給制度よりは、その給付される金額が上回る形になっております。二十八年以下の勤続でやめた場合には、その率が恩給よりも悪いという形になっておりますので、私たちとしては、十七年から恩給はもらえるということになっておりますが、その十七年以上の勤続の場合に退職年金がもらえるという形に線をそろえるということが一つと、もう一つは、二十八年以下の勤続年数でやめた場合でも、恩給をもらっている公務員と平等に行われるような給付内容に改善するという、二つのポイントをここで明らかにしているわけでございます。以上が長期給付改善に対する見解です。  もう一つは、これら共済組合の実際の運営に当って、相当な事務費を必要とするわけです。この事務費につきましては、国が負担するという一応の建前になっているわけでございますが、御存じのように、定員法との関係で、共済組合の事務を行ういわゆる人件費、事務というものは非常に制限をされておりますので、とうてい国で負担する人件費ではまかなえない。従って、やむを得ず共済組合が独自で、その共済組合私弁職員というものを設けて、共済組合が独自に職員を使って運営をせざるを得ない、こういう現象があるわけでございます。この現象によって採用されました共済組合の私弁職員という者が、現行の共済組合法の中では、組合員になることができないわけです。共済組合仕事をしておりながら、共済組合組合員になることができない、こういう形になっておりますので、私たちとしては、やはりこれも共済組合組合員になれるという形に、ぜひ法律上の改正をしていただきたい。  以上、現行の共済組合法を少くとも緊急にして当面解決すべき問題として、以上の見解を明らかにしている次第でございますので、何分御研究の上で、官公労の請願も出ておりますし、何分内閣委員会としても、適切なる処置をお願いしたいと思うわけでございます。
  9. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 参考人に対して御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  10. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 共済組合について、参考人に、数点について伺いたいと思います。どなたでもけっこうでありますので、お答えいただきたいと思います。  まず、共済制度は、公務員に対する唯一の社会保障制度であるわけで、これも私どもよくわかりますが、また、公務員が受けることのできる権利でもあると、そういうふうに考えます。そこで、この制度のあり方は、公務員生活権にもかかわる重大な問題であるにもかかわらず、案外組合員が無関心である。こういう点については、もちろん政府に責任があることはもう明白ですが、同時に、このような点について、組合員に対する、組合としても、今までいろいろな点で、啓蒙が足りなかったのではないか、こういうふうに受けとられるのです。この点……。
  11. 西塚喜久美

    参考人西塚喜久美君) この問題は、たしかに伊藤先生の指摘する通りだと思いますが、何せ、直接本人なりあるいは家族なりが医療制度にかかってみなければ、その共済組合からの給付あるいはその制度としての恩典というものが理解できない、こういう面が一つあるわけでございます。従って、組合の中で、それぞれ組合の理解をさせる努力は、労働組合の立場も、共済組合の立場も、お互いにこの点は協調し合いながら理解をさせるために努力はしておりますが、何せ、そういう経験をしなければ、なかなか理解できないという面が大きな理解の届かない点になっておると思います。しかし、このことは、福利事業等におきまして、私が先ほど指摘はいたしましたけれども、相当労務管理的な面である面を、福利事業として戦後相当拡大いたしましたので、健康な人でもその恩典に浴するという形になりましたので、そこから最近は、相当共済組合制度というものの内容を理解するような状態になっておるというふうに判断をいたしております。
  12. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、日本の社会制度は、今御説明いただいたように、私どもとしては、非常に複雑、多岐多様であって、まことにいろいろな豊富な問題を含んでおる。改善すべき点は相当山積しておる。そういうふうに考えるわけですが、一方、日本の公的補助制度、これは、御承知のように、戦後、生活保護法という形で一本になっておる。ところが、社会保険共済組合については、一方に健康保険、一方に共済組合というふうに、文字から受ける感じは、全然別個の印象をだれにも与えておる。こういうような点で、将来、健保共済というようなものを一本にすることがより至当じゃないか、そういうふうに思います。今すぐということではないのですが、そういうことについて話し合ったことはございますか。
  13. 堀江信二郎

    参考人堀江信二郎君) それは、労働組合の内部では、やはり大きい宿題として検討されていると思います。先ほども私が申し上げましたように、共済という言葉は、社会保障的な意味を決して表わしていない。社会保険の前段階における名称でありまして、だから、ほんとうに正しく実態を表現すれば、共済といったような名称は、これはほんとうは変えるべきである。けれども、これは、やはり伊藤先生おっしゃるように、組合員自身がそういう考えで自分の組合を見てこないというと、なかなか当局は変えようとしないのじゃないか。ということは、やはり共済という言い方で非常に有利な面もあるということです。すなわち、どういう有利な面かと申しますと、共済というのは、お互いが助け合うことで、当然これは、組合員と当局が五対五で出す。これは、共済なんだから当然なやり方だ。ところが、五対五という比率は、何ら根拠のないものでありまして、そういったところからも、何しろ社会保険が発展するためには、やはり当局の社会保険政策なり、社会政策なりの前進も必要でありますが、それに見合う労働者の社会保障活動というものが前進しないと、そこまでいかないのじゃないかということで、目下労働組合の内部では、そういう勉強をやっておるという状態だと思います。
  14. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほど御説明いただいて、よくわかりましたが、同じ社会保険の中で、健康保険には付加給付はあって、共済組合にはない。こういうようなことについては、組合としても、前々から政府当局に対してそういう働きかけはやってきましたでしょうか。そして、もし働きかけしてきたといたしますならば、政府はどういう見解を持っているか。それについて承わりたいと思います。
  15. 堀江信二郎

    参考人堀江信二郎君) それは、共済組合というのは、おのおのできた時期が違っておりまして、たとえば、明治四十年にできた国鉄などは、その基礎が非常に強固だ。単に掛金だけでなしに、政府福利厚生費というものを相当つぎ込みまして、自分のところの自前の病院を持っておる。従って、健康保険の単価よりも安い医療費でやっていけるというようなやり方をとっております。従いまして、共済の中で、いろいろ歴史が違うということと、その内部の実力が違っておる。たとえば、国鉄などでは、やろうと思えば、結核の五年給付もやれるわけです。これは、私は、昨年かおととしあたり出た問題だと思いますが、国鉄組合員要望によって、実際においてそれを実施しようとしたという工合に聞いておりますが、ところが、これはやはり国鉄共済も、国家公務員共済組合法によってやっているのだから、やってはいけないということで、とうとう引き揚げてしまいました。自分のところでやろうと思ってもやれない。だから、今の共済組合法というものが全体に付加給付がやれるように改正されなければ、実力のあるところもやれないという状態があるわけです。従って、組合員がこの共済を通じて、生活改善ということで、いろいろ検討しておりますが、それは、おのおの現業、非現業、地方職員によりまして、歴史の違いもあり、内部の違いもあり、まだ全部が統一されているというわけではありませんが、おのおのそれなりに、やはり運動は持っているわけです。そういう中をしぼってみるというと、今の法律を、少くとも組合管掌健保の中くらいなところと同じように運営できるように改正するということがまず何よりも必要だということにしぼられているのではないかと思うのであります。
  16. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、健康保険法第七十五条を見ますと、「健康保険組合ハ第七十二条ノ規定二拘ラス其ノ規約ヲ以テ事業主ノ負担スヘキ保険料額ノ負担ノ割合ヲ増加スルコトヲ得」、こういう条項があるわけです。それと、さらには、同じく第七十五条ノ二には、「健康保険組合組合員タル被保険者ノ負担スヘキ保険料領カ一月ニ付標準報酬月額ノ千分ノ三十五ヲ超過スル場合ニ於テハ其ノ超過部分ハ事業主ノ負担トス」、こういうことがある。いま一つは、健康保険法第六十九条ノ三を見ますと、「保険者カ健康保険組合ナル場合ニ於テハ本章二規定スル保険給付ニ併セテ其ノ規約ヲ以テ保険給付トシテ其ノ他ノ給付ヲ為スコトヲ得」、そこで、この三つの条項と、健康保険法の同じく第十二条を見ますと「前項ノ共済組合給付ノ種類及程度ハ」、ここが大事だと思いますが、「本法ノ給付ノ種類及程度以上ナルコトヲ要ス」、これは一言にして申しますと、共済組合の内容である給付は、健保よりまさっていなければならない。それ以上の優位でなければならないということを健保第十二条でうたっているわけです。こういうりっぱな政府に対する交渉の足場があったわけですね。今まで、こういう点について、どのように政府に交渉し、共済組合として、また、政府としてはどういうような見解をとってきたか、その点を明確に伺いたい。
  17. 西塚喜久美

    参考人西塚喜久美君) この問題については、現行の国家公務員共済組合法というこの法律の中自体で、交渉の相手というものが明確でないわけです。われわれは、各省組合と、それから地方職員それぞれの共済組合単位組合というものが作られて、その単位組合ごとに規則をこしらえまして、それで運営されているわけです。それから運営審議会というものが作られて、いろいろ議論はいたしますけれども、その一単位組合では、この問題の結論づけということはどうにもできないわけです。やはり総体的に監督をしております大蔵省の、大蔵大臣の見解がこうするという考え方にならない限りできないということが一つと、もう一つは、この法の中で、それらが単位組合でできるような形をとるか、もしくは大蔵大臣と組合員代表なり、あるいはその単位組合の代表なりによって構成される一つの今の健保との関連に関する問題点の討議をする機会を設置されない限り、大蔵大臣と交渉して、それらをきめるという方法ができないわけです。ここに大きな問題点が一つあるわけです。従って、そういう観点から、国家公務員共済組合法にはっきり、大蔵大臣の諮問機関としての一つの機関を設けることにとどまらないで、やはりそのような大蔵大臣と一緒に、同等の立場で、組合員代表なり、単位組合の代表なりが構成される形で、決議機関的なものがやはり権利義務として、組合員権利義務というものをあわせて行えるような一つ会議制度なり何なりを作らない限り、それらの決定をするという機関にはなり得ないわけです。そういう措置をやはり僕らとしてはとる必要があるという見解を持つわけですけれども、まだその点の十分なる形が想定されないので、きょうも、私の見解としては、そこまでは表明しなかったわけです。しかし、私たちの討論の中で、それらもおいおいは明らかにしていきたいというふうに考えております。もう一つは、現在大蔵大臣の閣議決定に基く諮問機関として、共済組合審議会というものがございます。この審議会で、付加給付の問題や、これらの条項との関連で、一応討議はしておりまして、すでに付加給付制度健保と同じようにやるべきであるという答申がなされております。しかし、いかんせん、諮問機関でありますので、運営審議会でなくて、単なる審議会でございますので、建議をするということができるという程度で、もっと強い発言力を持つ内容のものにはなっておらないところに一つの問題があるわけでございます。この点から、今まで当局に、それらの機関を通じて要望はされておりますけれども、また、建議も出されておりますけれども、それを尊重して、大蔵大臣の責任において法の改正をしようとか、あるいは行政措置をとるという段階まで、いまだに具体的にはなっておらない現状であるわけです。
  18. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほどの御説明の中で、共済組合の福祉部門の運営ですね。これは、民主的な運営に切りかえなければならない、そういう意味のことを承わったのですが、何か民主的なということで、具体的な方策でもお考えになっていますか。
  19. 西塚喜久美

    参考人西塚喜久美君) 現在、共済組合運営につきましては、事務費を国が負担するという建前をとっておる関係上、それぞれの役所が、いわゆる官庁側がその共済組合の事務及び運営をしておる、こういう実態になっておるわけです。従って、組合員要望なり、あるいは組合員不満というものがどこにどういう形で運ばれていくのかということが、何ら明確にされておらないわけです。私どもは、少くとも組合員掛金を半分出して運営されているこの共済組合運営というものは、組合員権利義務というものが十分尊重された形で運営されなければならない。そのためには、現在、各単位組合運営審議会というものがございますが、その単位組合運営審議会というものが諮問機関であるのか、決議機関であるのか、明確にされておらない。むしろ諮問機関という程度に押えられておる。ほんとうに民主的な運営をするならば、少くとも単位組合決議機関というものに運営審議会というものが位置づけられなければならない。その上に、さらに国家公務員共済組合の全体の決議機関というものが、ここに新たに作り上げられていく形にならない限り、ほんとうに組合員一人一人の要望なり声が通るような形の運営にはならぬだろう、そういう形の運営をやはり作るべきである。こういう見解を持っているわけです。
  20. 沢田俊政

    参考人沢田俊政君) 今の問題についてちょっと……。御質問が共済組合の福祉部門を民主的にやると、こういうお尋ねでございますが、この問題につきましては、御承知のように、福祉部門を受け持っておりますのは、これはどこから金が出ておりますかと申しますと、長期掛金というやつでございまして、大体甲種組合恩給受給者以外の者が掛金を持って、それでもって、非現業の場合は、この下にございます連合会が資金を集めまして、その資金を各組合に貸し与えて、要するに、各組合が借りてきまして、そしてそれで金を貸したり、あるいは洋服なんかの購買なんかをやる、そういう運営をいたしておるわけです。共済組合連合会自体も、宿泊所とか、そういったものを作っておりますが、要するにこの金は、組合員の金と、それから国の年金に該当する金と合せましたものを連合会が運営すると、これについては、利息をつけなければならぬことになっておりますが、その利息を見込んだものでもって運営しておりまして、そして福祉部門を行なっております。従いまして、それは全く、一応連合会に金を預けたわけですから、その運営については、組合員の意向というものを全然無視されておると、どこに何を作ってもらいたいとか、どこにどういう福祉部門をこしらえてもらいたいということを申しましても、なかなか通じないと、そこで、われわれの金も半分入っておるんだから、その運営につきましては、われわれの要望を聞き入れて運営をしてもらいたいと、こういう問題でございます。
  21. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、事業主である国の負担すべき保険料額を増額させたいということですが、もちろん現状では、そういう必要もあろうと思いますけれども、何か具体的にどのくらいということは、まだ腹案としては考えていないわけですか。
  22. 堀江信二郎

    参考人堀江信二郎君) それは、官公労としては改正案を出しております。そして、それの数字計算もしておるわけです。これが各組合に割り当てた場合に、どの程度になるかというふうなこともほぼ検討しているようであります。それで、先ほど沢田さんが言いましたように、組合管掌健保ですね、それの中どころと少くとも同じような扱いをされることが、これが当りまえだ、しかし、組合管掌の健保では、大体掛金事業主の負担割合は三対七とか、少くとも四対六くらいではないか。だから、共済組合も、大ざっぱにいって三対七か四対六ぐらいの負担割合に持っていくということは、これは当然ではなかろうか。これは、単に組合員代表の声だけでなしに、共済組合で三十年も専門に仕事をしておる人たち一つの集まりを持っておるわけです。これは、共済組合各省大臣が代表者ですから、そういう各省大臣によって一応作られておる共済連盟というのがございます。そして、その中で、業務調査会というものを作って勉強しておる。ところが、そこで共済組合制度の改正案というものを検討させたことがあるのです。そうしますと、そこでは、共済組合のやはり負担割合を六対四にすべきだと、こういうことを、こまかい数字の計算もして、意見を出しておる状況です。ですから、大体はこの掛金の最高を押えて、それ以上を必要とする場合は、国庫の方で負担すべきじゃないかということと、それから、負担割合を五対五から動かせないのだということでなくて、四対六なり七対三なり、それは、公務員生活の実情に合して変え得るようにやるべきだと、大体七対三、四対六というところにいくんじゃないかと、組合としていろいろ違いがあるわけです、各組合に分れておりますから……。
  23. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 結核の例の給付ですね。今まで、現在三年であるのを五年に延長したいと、これは、結核の病気の性質から、せっかくよくなってもすぐ就労できないと、アフター・ケヤーということがそういう点から最近非常にやかましく叫ばれておるわけです。そういう点を考慮した場合、どうしても五年というのは必ずしも長い年間ではないと思うのです。今までが短か過ぎたと思うのです。そういうような考え方から、公立学校共済組合で、もうすでに四年くらいとっているところさえあるわけです。こういう事例もありますので、皆さん方、もう少し熱心に交渉していただけば、何とかなるのじゃないかと思うのですが、もちろん、私ども協力したいと思いますけれども、こういう点については、一つ重点を置いて、皆さんも努力していただきたいと思うのですけれども、何かこういうことについて、働きかけをしたことがございますか。
  24. 西塚喜久美

    参考人西塚喜久美君) この問題については、伊藤先生御承知の通りに、各県で、労務管理的な面から、結核の療養に対するところの休暇というものの与え方が検討されて、それぞれ三年あるいは四年、長いところでは五年をすでにとっておるわけでございます。これは、県によってもちろん教員の場合は違っておりますが、そういう形があるにもかかわらず、県の方から療養休暇をもらって、給与を支給されながら療養をしておりますが、せっかく療養をしておるのに、共済組合の方では、三年よりも療養の給付を受けることができないということになりますので、あとの二年間というものは、共済組合組合員でありながら、療養給付を受けることができない。こういう形に現在なっておるわけです。従って、私の先ほど見解として申し上げたのは、そういう実態があればこそ、五年間の療養費はどうしても最低出すべきであるということが一つ。あわせて、現在三年より給与の支給を受けて療養休暇としてもらえないという形になっている場合には、この三年間でかりに退職になっても、共済組合としては、やはりあとの二年分というものを、療養費と、それから生活資金であるべき傷病手当金というものの支給をすべきである。こういう考え方先ほど申し上げた次第で、これをぜひ実現させたいというふうに考えておる次第です。
  25. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  26. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。  本件に関する調査は、本日のところこの程度にいたします。  参考人の方々には、お多忙中のところ、大へん貴重な御意見をいただきまして、委員長からかわってお礼を申し上げます。私どもの今後の審議の参考に十資したいと存じます。   —————————————
  27. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 次に、国家に政組織に関する調査を議題に供します。  本件に関し、日本住宅公団総裁加納久朗君及び同理事吉田安三郎君を参考人とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本件に関し、質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  29. 秋山長造

    ○秋山長造君 私は、昨日の本委員会におきまして、大阪府堺市の金岡団地にあります日本住宅公団の住宅建築のきわめて不完全というよりも、これはもう全くでたらめきわまるあの建築の問題について、若干具体的な事例をあげて、建設大臣並びに建設当局に対して質問をしたわけでございますが、建設大臣におかれましては、早急に事実を調べて、そうして今日の、ただいまの委員会に報告したい、こういうお約束があったわけでございますので、まず、質問を展開していく前に、本件についての建設大臣の御説明を一応承わった上で、質問したいと思います。
  30. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) 昨日、本委員会で問題になりました、堺の金岡団地の公団住宅の建築の疎漏、不完備問題につきまして、早速、公団の幹部、理事者にも手配いたしまして、最もその責任者であります大阪の吉田理事に上京をしてもらいまして、当委員会にもただいま出席をしてもらっておるようなわけでございますが、同時に、加納総裁にも、この問題につきまして、参考人としてただいま出席を願っておるようなわけであります。従いまして、この詳細なことにつきましては、私から申し上げるよりも、参考人に具体的に一々御質疑を下さいまして、そうしてこれらの問題に関する答弁を聞いていただくことが、最も機宜の処置でないかと考えられる次第でありますが、もちろん、建設大臣といたしましては、一応調査した点から申しまして、当事者の間に相当手落ちの面もあるように考えますので、今後の措置につきまして、十分善処いたしたいと思っておるような次第であります。
  31. 秋山長造

    ○秋山長造君 では、加納総裁にお尋ねしますが、私の質問しておる問題は、もう十分お調べになっていることと思うのです。去る三月十四日の大阪の読売新聞に、鉄筋の壁に空洞——ほら穴ですね、空洞、ひどい雨漏り、こういう見出しで、写真入りで、相当詳しい新聞記事が載っております。その内容は、耐震耐火のモデル住宅といわれる日本住宅公団のアパートが、壁を一皮はいだらすき間だらけ、おまけに雨漏りがする、壁にひびが入るなどで、何がモデル住宅やと、居住者には不満の声が高まっておる。一方公団側では、そんなはずはないかと、首をかしげているが、公団住宅居住者が、この四月から固定資産税がかかってくるやさきでもあり、なおさら不満が大きい。こういう書き出しで、まあいろいろ具体的な例がたくさん並べられております。こういう具体的な例は、順次申し上げますけれども、ともかくひどいのですね、この内容は。しかもこれは、あの新聞だけでなしに、同じような記事があの大阪地方の新聞のあちこちに載っておるわけなんです。ですから、この問題について、当然これは住宅公団の最高責任者として、これはもうすでに早く調査をされ、また、何らかのこれは対策というものを考えておられるに違いないと思う。まず、それらの点についてお伺いしたいと思います。
  32. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。金岡の団地のただいま御指摘がありました新聞記事、このことは、私も読みまして、まことに驚いたわけでありまして、事実を調査いたしたわけであります。金岡の団地は、六百七十五戸であります。そうして雨が吹き込んだのでありまして、雨漏りではございません。  それからもう一つは、カビがコンクリートの壁に生じた。この点について、こういう瑕疵が生じたということは、確かに工事の施行が悪かった。これはまことに相済まぬことでありまして、至急にこれを直すことに努力いたしまして、さっそくこの建具がたてつけが悪いとか、あるいは工合が悪いとかというような点は直させまして、それからして、故障がございますのが二十九戸なのでございます。二十九戸のうちで、請負業者の瑕疵担保になっておる期間でありますので、請負業者に命じて、さっそくこの修理をやらしております。二十九戸のらち二十八戸は、すでに修理を完了いたしました。1戸残っておりますが、これは両三日——今月一ぱいと申しておりますが、今月一ぱいに修理を完了することになっております。壁のカビでございますが、これは、ただいますぐにいたしましても、まだ空気が乾燥しておりません。それで、五、六月あるいはこの夏を経過いたしましてから、きれいにペンキ塗りをしたい、こう存じております。こういうような瑕疵を生じましたために、入居者としては、雨漏りがするというのは非常に不愉快な問題でありまして、雨漏りじゃありません。これは雨が吹き込んでくる。それでこういう方々に御迷惑をかけたということは、大へんに申しわけないことと思いまして、将来については、十分注意をいたすつもりであります。どういうふうに注意をするかと申しますと、ただいままででも、請負業者の選択というものを厳重にするということに努力いたしまして、そうして良心的に仕事をやってもらうようにということで、いい業者を選定いたしております。それが第一でございます。同時にまた、公団といたしましては、仕事をさせておる間は十分監督をさせるということを努力いたしております。  今度の問題は、業者においても瑕疵がありましたし、公団の監督においても不行き届きであったために、こういう問題が起ったということは、大へん遺憾なことでございまして、まことに申しわけございません。将来につきましては、今申し上げました、業者の選定と監督を厳にすることと、それから、あとでまた管理を十分にすること、この入っておられる方々に対して、故障があったというような場合に、すぐかけつければこの方々も気持をよくするし、また公団の誠意も買っていただけるのですけれども人間が足らなかったりなんかして、ここの故障があるぞと言われても、ついその日に行かなかった、二、三日おくれたというようなことになりますと、どうしても入居者の感情も害するということになりますので、そういう点についても、今後、管理ということをもっと敏速にサービスできるように努力するつもりでおります。
  33. 秋山長造

    ○秋山長造君 ただいまの総裁の御答弁は、これはもうきわめて抽象的な、日本住宅公一団として工事を進めていかれる場合の一般的な心構えをおっしゃったにすぎないと思う。それで、総裁は、この金岡団地を御存じなんですか。
  34. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) たびたび参りまして、よく存じております。  それから、先ほどの、新聞記事に出ております、コンクリートを割ってみたら、穴があいていたとか、中から何か物が出てきたということは、これは過大に過ぎるものでありまして、問題は、窓をつけてございます、そのコンクリートの窓とワクとの間のモルタルの塗り方が不十分であったために、そこから雨が漏ってきたのでありまして、従って、雨漏りがどこから来たかということで、そこへ穴をあけて、修理のために穴をあけたわけであって、そのたまたま横がすいておったというのを見て、そういうふうに誇大に言われたものであるという報告を得ております。それから、中から木くずが出たというようなことまで書いてありますけれども、それは、全くの工事というものに対する知識の不備から生じたるものでありまして、この窓のワクをつけますのには、すぐコンクリートにくぎを打つわけにいかないで、やはり木の小さいブロックをちょいちょいと入れて、そうしてコンクリートを打ったのでありまして、そこへワクを入れて打ちつけるというだけでありますので、そういうようなことも、コンクリートをくずしたときにたまたま出てきた。それで、エキサイトして人たちは、これをくずだというようにとられたというように私は了解いたしております。
  35. 秋山長造

    ○秋山長造君 いまの新聞記事の点だけではないのですよ。これは、この新聞記事に出ているようなことはずいぶんたくさんあるのです。  それから、今、総裁は、雨漏りでなしに、それは雨が吹き込んだと、こうおっしやるけれども、雨が吹き込んだにしても雨漏り、あるいは雨漏りというよりも、正確には水漏りですけれども、水漏りはずいぶんあちこち多いのだ。それはあとで言いますが、雨漏りは、雨が吹き込んだにしても、壁は全部コンクリートでしょう。コンクリートの建物で、雨が少々吹き込んだからといって、壁を通して、中へ雨水が平ら一面にしみ込んでくるということは考えられないと思うのです。
  36. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 今の御質問でございますが、コンクリートの建物というものは、まことに不思議なものでございまして、私も実は三年前に、自分の家をコンクリートで建てました。大成建設というものに頼んだが、ずいぶん信頼すべきものだと思って頼みました。また、大成建設も非常に良心的な仕事をしてくれたのでございますが、それにもかかわらず、どこから漏れてくるかわかりませんが、雨の吹き工合によりましては、家の中にざっと水が流れてくるのであります。実に子れは不思議なんです。そして三年たった今日でも、いまだに雨の吹き工合によっては水が漏る。そういうことがあるので、私も、この工事については、ほんとうに困ったものだ、何か日本の技術が悪いのか、これは、建築の技術の方でも、よほど研究してみなくちゃならぬものだと、こういうように存じております。
  37. 秋山長造

    ○秋山長造君 コンクリートの建物というものは、雨がしみ込んでくるのは当り前のようなお話なんですけれども、そんなことがかりにわかっているのだったら、これは、住宅公団なり建設省なりで、もう少し徹底的に調査し、研究されたらどうですか。それでなければ、これは人間が住む部屋なんですから、われわれの住んでおる部屋に、ちょっと雨が降れば、いつでも壁に水がしみ込んできて、そのために壁の上塗りが落ちてしまって、また塗り直さなければならないということを繰り返しておったのでは、これは始末が悪い。しかもこれは、雨水が外からしみ込んでくるということで、窓の側だけじゃないのですね。あすこは、押し入れの中から何から、とにかくしめって、じめじめして、そうして青カビがはえているということをほとんどの入居者が訴えている。それからあるいは、コンクリートの建物だったら、二階の音が下にそう響くはずはないのでずね。ところが、まるで木造のバラックのように、上の物音、下の物音が響き合う。それからあるいは、二階から水道の水その他の水がしょっちゆうあっちこっちに漏れてくる。これを一々読み上げましょうか。ずいぶんあるのです。それでしかも、その修理について、去年の五月から入っておるのですね、居住者は五月から入っても、入ったときから、たとえばとびうがぴったり締らない。従って、かぎ穴が合わない。あるいはガラス窓がこすり合って、ぴしっと締らないとか、あるいは押し入れのふすまが締らなかったり、あるいは食い違ったり、あるいは畳の下の床板が高低があったり、すき間があったりするために、畳が出たり引っ込んだり、あらゆることがある。しかも、それらがすぐ公団の管理所ですか、その方へ届け出られておるにもかかわらず、なかなか直さない。それで途中一回ぐらいちょっと来て見て、すぐ直してくれると思ったら、そのまま今日に及んでおるということを、これは軒並みに訴えておるのですよ。たとえばこういうことを、これは模範的な例なんですが、十三棟の四百二号という部屋ですが、これは故障個所として、食堂、四畳半、六畳のガラス窓及び各障子のたてつけが全く悪く、ために砂ぼこり、すき間風が吹き込み、冬は暖房してもそのきき目がなく、非常に困る。各部屋の壁のひび割れが出てきて、大へんみにくい、玄関から食堂に行くところのドアがゆるんで、締めておいても勝手に開いてしまう。同じくふろ場のドアもその通り、ふろのたき口から水が漏れたり、青さびが流れて、床が染ってきたない。洗面所の排水口から水漏れがして、湯をたくわえること等ができない。敷居がゆるんで、上を歩くたびにきしんで、妙な音が出る。天井が空洞になっておるのではないか、階上の人が歩くたびごとに、ごとごと音が増幅して響いてくる。ちょうど木造二階建ての階下に住まっておるような感じだ。流し場の排水の締りが悪く、また、水道器具のパッキングが悪いために、水がいつも漏れておる。炊事場の袋戸棚の上かう、常時コンクリートの固まりがぼろぼろ落ちてきて、いくら掃除してもきりがない。以上、補修個所を数えれば際限がないが、この程度にとどめておくと、こういうのがここにある。その他いくらでもありますが、こういうことはただ、今総裁がおっしゃる程度の、これはたまたま六百七十五戸のうち二十九戸程度のもののほんの簡単な軽い故障だと、しかもそれを、二十八戸はすでに修理したのだから大丈夫だと、こう文句を言っておるのは誇大に言っておると、こういうような簡単なことで片づけられますか。
  38. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 今、御指摘の点は十分注意いたしまして、先ほど申し上げましたように、業者の選定を厳重にすることと、それから、監督を厳にいたしまして、そういうことの再び起らないように注意いたすつもりでおります。それから、今御指摘のありましたいろいろな故障は、おそらく今日までに全部直っていると私は信じております。
  39. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは、三月十五日の調査なんですよ、この資料は。それで、しかも、先ほど総裁がおっしゃったのは二十九戸、故障はただ二十九戸にすぎない。そのうち二十八戸はすでに直しておるのだとおっしゃったけれども、しかし、私がここに持っておる資料によると、これは何百戸……ほとんど全部だろうと思うのです、数を数えると。もうたえず湿気があって困るとか、あるいは水洗便所がもういつも漏れて困るとか、あるいは天井や押入れの中にしょっ中水のしみができて青カビができて困るとか、錠前の工合が悪いとか、畳がきしむとか、あるいは柱がかもいを支えておるのが全然止めもどうもしていない。従って、始終柱が動くので、つちでもって一々柱を起すためにたたかなければいかぬとか、ずいぶんこまかく具体的にあるのですが、それから、四階なり五階なりある一番上ですね、四階なり五階なりが、すぐ屋根の上がベランダになっているわけですね。あの上のベランダの排水が悪いとか、あるいはコンクリートの固まり方が不十分なのかしらぬけれども、非常にあっちこっちのすき聞から水がしみ込んでくるということを、あっちこっちで普通の入居者が訴えておるのです。私は、やっぱりこれがコンクリートの建物で、規則通りやられて、良心的な工事が施行されておるものだったら、こういう種類の故障というものをそう軒並みに訴えるものじゃないと思う。これは人間のやることですからね。だから、どんな完全な工事をやっても、たまたまこれは思いがけないミスがあったということは、これは了承します。了承しますけれども、これは、ない方が不思議なんです、どの部屋も。しかも、これが十年、二十年も風雪に耐えてきたという建物じゃないのですね。一昨年の暮に着工して、去年の五月に竣工して、そうして人を入れたわけですから、まだ一年にもなっていないのですね。一年にもなっていない。しかも、日本住宅公団が六億の国費を使って、そうしてモデル・ケースとして建ったというこの建物に、これだけの短時間に、建具が締らんとか、柱が動くとか、壁がどうとかこうとかというようなことが軒並み出ているということは、これは、どう考えても、あなた方の仕事が正しく行われておるとはわれわれは考えられない。また、業者の監督、あるいは業者の指名等の手続において、私は公明正大なことが行われているとは考えられないですよ。これは、おそらくだれだってそうだと思いますよ。はっきり言って下さい。
  40. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 今の公明正大なことが行われていないとおっしゃるのは、何か証拠があるのか存じませんけれども、私は公明正大にやって参りましたということをここに誓います。  それからもう一つ、戸ががたがたするとか、あるいは乾燥がよくないとか、しめっぽいとかいう点でございますが、これは、私どもの方で、アパートの入居者の注意書というものを皆さんに差し上げ、また皆さんに来ていただいて、入居者に講演等をして、注意を促しておるのでありますが、まだ日本の方がコンクリートのうちに住むということについて、十分なれないものでありますから、初めのうち、ある程度まで空気の流通をよくして、夏分乾燥をはかるとか、あるいはまた、子供なんかが遊びますのに、ドアに引っかかっていくものですから、ドアのヒンジがゆるみますとか、そういうようなことがございますし、また、水洗便所でございますというと、今まで水洗便所を使いつけなかった人が来るので、不必要にがたがたやるという小さな故障が多うございます。しかし、これは、おそらく一年くらいたちましたならば、だんだん入居者もなれてきて、小さい故障もなくなるということを予期しておる次第であります。
  41. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは、あなたの説明を聞いておりますと、とにかくそういういろいろな故障があるのは、故障があるのではなくして、入居者の方が悪いのだ、こういうように聞えるのですがね。私がさっき、公明正大に行われておるとは思えない、こういうことを申し上げたのは、あなた自身が妙なことをやっておられるということを言ったわけじゃない。この点は、誤解のないようにしていただきたい。ただ、現地において、あなたがさっきおっしゃるように、きわめて行き届いた考え方でやっておられる、そうしてこの指導監督についても十分気をつけてやっておられるとおっしゃるにもかかわらず、こういう問題が現地において起るということは、出先のどっかにおいて、私は、公明正大でないことがあるから、そういうことが起るのじゃないか、こう思う。これはもう、そう思うのが当りまえだと思うのですよ。これは、断定はできませんよ。それは断定はできないけれども、そう思わざるを得ないじゃないかということをあなたに聞いている。あなたが責任者だから。
  42. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) そうお思いになれば、全く私の不徳のいたすところであります。それから、私の監督が不十分で、そういうことになったことと思うのでありまして、おわびを申し上げます。しかし、先ほど申し上げましたように、最善を尽して、そういう故障を除いております。その点は御了承願いたい。
  43. 秋山長造

    ○秋山長造君 総裁のおっしゃるように、最善を尽して悪い点は直しているのだとおっしゃるのだけれども、直しておるのだとおっしゃるにもかかわらず、これだけのほとんど全部から、水が漏れるというのが一番多いのですね、水が漏れるというのが、あるいは溜まるというのが。それから、建具、いろんなものがとにかくすき間ができたり何したりして、きちっとしてないという訴えは非常に多いんですよ。これはただ、この故障を見つけ次第直すということは、これはもちろん、徹底的に直すという、これは公団に責任と義務があると思う。しかし同時に、ただそれだけじゃないんじゃないかと思ろ。それだけにとどつまては、やっぱりこういう問題の再発を防ぐために私は十分でないんじゃないかと思うんですね。さっきもおっしゃったが、この業者に請け負わす場合のその業者の選択、あるいは選択した後においても工事の監督、さらにまた、でき上った上でのこの竣工検査、こういうような面において、私はやっぱり、これだけの多数の、少々の故障でなしに、これだけ軒並みの故障が起るということは、これは何か、そういう点について、もっと根本的な手落ちなり、あるいは足りない点、あるいはあやまちがあったんじゃないかというように考えるのが、これはまあ常識だと思うのですね。その点は、おそらく総裁も、私の疑問を御了承下さると思う。そういうことについて、ただこの通り一ぺん、二十九戸修理を訴えて、すぐ直したから、それでもうよろしいんだ。あとぐずぐず言うのは、それは入居者の方が少し誇大に言い過ぎるんだと、あるいはアパート住まいになれないから、そういうことを言うんだというようなことで、ごく茶飲み話のような格好で片づけられては、私はたまらぬと思う。これでは、この事件はおそらく私は解決せぬと思うのですね。いかがですか。
  44. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 私は、入居者にも、こういうことがありますので、小さい故障はそういう点からも起るのでございます、こういうことを申し上げたんでありまして、根本は、私の方の監督が悪く、そして業者の施工が悪く、そのためにこういうことが起った、これが根本でございます。それは直します。
  45. 秋山長造

    ○秋山長造君 ただいまの総裁の御答弁ではっきりしました。総裁が責任を持ってこれを直すと、こうおっしゃったんだから、これははっきりしたわけです。そこで、私の方の責任だから直すと、こうおっしゃるんですが、これは、具体的にどういうことをおやりになるのですか。おそらく私は、金岡の団地の住宅というものは、住宅公団としても、これは一番早い時期の住宅だと思う。それだけに、今日政府のこの住宅政策、こういう大きな国策の、まあいわば先端をになって、非常なこれは意気込みと抱負を持って建てられた住宅だろうと思う。そういう意味で、私は、一つの、あなたのところでは、モデル・ケースといってもいいようなものだろうと思うのです。そういうものについて、いかに突貫工事をやったとはいえ、これだけ入居早々軒並みに、いろんな故障が一斉に出てくるということは、これはもう、今後の住宅政策、政府の住宅政策ということを進めていく場合にも、これは根本的に考えなければならぬ問題だと思うのです。それから同時に、われわれ住宅問題と取り組む場合にも、その取り組む前提として、この問題に突き当らざるを得ない、これは重大な問題です。あなた方の住宅公団にとりましても、これはもうこの生命にかかわる、住宅公団の存在意義を左右するような私は大きな問題だと思うのです。ですから、この問題について具体的に、じゃどうやってこのあやまちを救済されるのか。それから同時に、その他あちこちで、あなたのところで住宅建設をやっておられるわけです。ことしは、昨年よりもさらに一万戸たくさん住宅建設をやられるように予算も出ておりますが、同じようなことが他の地域での住宅建設についてもあるのじゃないか。何か話に聞けば、東京あたりの住宅公団の建築についても、多少のことは聞いておるのです。同じような種類のことがあちこちにもしあるとするならば、これはゆゆしい問題だと思う。
  46. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 今おっしゃった通りに、初めての工事でありまして、そういう手落ちが多くあったということは、まことに遺憾に存じております。それは、東京にも同じことがありまして、東京の場合は、もっとひどうございまして、稲毛という所で第一の工事をいたしましたときには、これはほんとうの雨漏りです。上から雨が入ってくる。これは大へんだというので、非常に努力いたしまして、今日ではすっかり故障がなくなって、入居者も満足しておるのでありますが、東京で一番先の工事にそれがありましたということで、以来非常に反省いたしまして、注意いたして、東京の方は、その後その種の故障は少くなったのでございます。常に大阪、名古屋、福岡の支所に対しましても、雨漏りがあったということが一番入居者の不愉快に考える問題でございますから、そういうことはないんだろうねということを常に念を押しておったのでありますが、不幸にして、やはり一番先に大阪でやりました金岡団地として、こういうことが起りましたことは、大へんに申しわけないことでありまして、いかにしてこれを是正するかという御質問に対しましては、個々の場合に全部当りまして、徹底的に直す所を直しました。
  47. 秋山長造

    ○秋山長造君 個々の場合に徹底的に直すと同時に、個々の場合に徹底的に直すということについては、今直ちにどうしてどうするということまで、私は御答弁願いたいと思うのです。  それから第二に、ただそれだけで私は済む問題かどうかということに疑問を持つのです。で、当時この工事をだれが監督してやったのか、あるいは請負契約は、だれが局に当ってやられたのか。それから、さらにまた、竣工の検査はどういう人がどういう手続きでおやりになっておるのか。竣工検査というものが、十分これは合法的に手を尽して、やられるだけのことはやられておったのかどうかということです。もし竣工検査が十分にやられておったにもかかわらず、こういうことがすぐそのあとからあちこちで出てくるということになれば、その竣工検査というものは、きわめていいかげんな、でたらめな検査であったという結論にならざるを得ないと、それらの点についてお答え願いたい。
  48. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) その点は、十分調査をいたしまして、そういう責任者が何か不行き届きであったといたしましたならば、十分今後注意させまして、再びそういうことの起らないようにしたいと思っております。
  49. 秋山長造

    ○秋山長造君 吉田理事から一つ、それらの点についてお答え願いたい。
  50. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) ただいまお話のありました事柄に関連いたしましては、個々の場合につきまして、私どもも十分請負の契約の方法、あるいは工事監督の状況、竣工検査の状況その他につきまして総裁の御趣旨を体しまして、十分尊重いたして、善処いたしたいと、かように考えております。  それからなお、私この席で一つ申し上げたいことは、監督員にいたしましても、現場の監督にたいしましても、当初の工事でもございましたので、できるだけ真摯な気持で、張り切ってやったように承知いたしているのでありますが、やはり五階建てあるいはポイントハウスと、初めての形式のものも取り上げましたので、私から見れば、やはり不手際であった、かようなことも考えております。われわれも、技術的なそういう指導の方も、十分やったつもりでありますが、やはりその点にも反省する点があるのじゃないかと考えております。  なおまた、設計その他の点につきましても、実施の経過にかんがみまして、十分検討してゆく問題が残されているように考えております。先ほど来お話のございました、押入れその他につきますカビその他につきましては、従来から、寒冷地の方に参りますというと、ややそういう傾向が出るのでございます。調査をそういう点にも、かねてから各方面に御協力を願ってやっているわけであります。竣工後、冬に向いますというと、暖房その他が、やはり居住者の生活状況にもよりまして、しかるべく暖房をおとりになるのは当然でございますが、卑近な例を申し上げますと、列車なんかで、相当中が暖こうございまして、外側が寒いような場合には、よく、凍結といいますか、汗をかいたように、水がガラスにつくのであります。ああいう作用が影響するのじゃないかと思っております。これに対する適当な措置も、費用の点もありますが、十分考えていかなくちゃならないのじゃないか、かように考えているようなわけであります。  なお、その他個々の問題は、これはむずかしい問題もございます。十分、そういう点につきましても、正せるものは、研究をして行って、いい設計でいい施工ができるように、十分注意を払っていきたい、かように考えておりますから、御了承願いたいと思います。
  51. 秋山長造

    ○秋山長造君 あなたは、この工事をやるときから、現在のポストにおられたわけですか。
  52. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 公団が発足いたしまして以来、本所の計画関係を担当して、今日まで参っております。
  53. 秋山長造

    ○秋山長造君 あなた、大阪におられるのですか、今。
  54. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 公団へ参ります前には、大阪の方におりましたわけでございます。
  55. 秋山長造

    ○秋山長造君 今は、大阪の支所におられるわけではないのですね。
  56. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) ただいまは、東京の本所の計画並びに建築関係を担当いたしております。
  57. 秋山長造

    ○秋山長造君 いや、私は、ちょっとさっき、あなたは大阪からわざわざ出てこられたのだという話を聞いたものだから、あなたがこの工事の現地での責任者だろうと思って、責任者にしては、どうもおっしゃられることが間接法で、あまり直接見知っておられるような話でないから、それでちょっとお尋ねしたのですけれども……。
  58. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 大阪へ調査に行ってこられたのですか。
  59. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) こちらの方からも、かねて検査にも行っておりまして、報告も聴取いたしております。今回、いろいろ御質疑等もございましたにつきましては、直接大阪の方からも上京いたしまして、資料その他によっていろいろ検討いたしましてごく概略な点は、先ほど総裁から申し上げられたような状況でございます。
  60. 秋山長造

    ○秋山長造君 わかりました。では、さらにお尋ねしますが、現地を調査に行かれて、この建物をこれは徹底的に見ておいでになったのですか。それとも、そこの管理人か何かから、ちょっと話を聞いて帰られた程度ですか。
  61. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 参りましたものは、竣工検査その他の状況をつぶさに見、そのときの状況はみな見て参っております。しかし、今回のこの問題からは、本所からは人が参っておりません。現地の方から人を呼び寄せまして、そして親しくそういうものの監督をしておったものから、状況をつぶさに聴取いたしたような次第でございます。
  62. 秋山長造

    ○秋山長造君 きのうのきょうですから、まあ総裁なりあなたなりに一夜のうちに現地を見て、一つ一つ故障個所を見てこいというのはこれはできない、無理なことはよくわかるのですが、しかし、あなた方で、なんでしょう。総裁は御存じないにしても、少くともあなたは、こういう問題が前々からくすぶっておるということは、当然早く承知されておらなければならないはずだと思うのです。同時に、承知される以上は、これはもう直ちに足を運ばれて、ただ、現在から人を呼んで、机の上で適当に聞くということでなしに、やはり実物について、徹底的に調査をされるくらいな熱意を持ってやっていかなければ、これは、年々何百億という国費をあなた方に預けて、そうして住宅を建ててもらっているのですから、そのくらいな熱意は持ってやってもらわなければ、あなた、この住宅公団の模範的なこういう住宅について、こういうように、あっちこっち軒並みに故障が起って、しかも、こういう状態がいいかげんに放っておかれるということは、これは断じて許さるべきことじゃないと思うのだ。これは、一面から言えば、国費の乱費ということにもなるでしょう。同時に、他面から言えば、これは綱紀の頽廃、弛緩ということにもなってくると思う。同時に、一般国民の立場から考えても、これは実にけしからぬことだと思うのです。どうですか、あなたはそうお考えにならないのですか。
  63. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 私も、過去におきましても、適時現地の方は見て参っております。また、本所にも、建築部あるいはその下部機構としていろいろな課もございますので、そういう技術官もまた、現地の方へ行って、報告を聞いておるわけであります。従いまして、御指摘のように、今後ともそういう事例がございますれば、できるだけ私ども、お言葉のように率先し、関係のものを現地に派しまして、総裁も適時適切なときに、皆さま方のそういうお申し出を直すようにいたしたいと、かように考えております。
  64. 秋山長造

    ○秋山長造君 適時適切にお申し出を直すとおっしゃるのは、これは、総裁なりあなたなりが机の上で、そうなければならぬという指導方針を言っておられる。ところが、現地の話を聞いてみますと、これはなかなかちょっとやそっとで、直しもどうもするものではないらしい。どうもそれが事実のようですね。  さらに、さっきちょっと読みかけた新聞記事の中に、窓ワクばかりでなしに、天井裏のセメント壁に空洞があって、水がたまり、鉄筋の一部が腐蝕していたり、あるいはベンチレーターのワクがはずれて落ちたり、あるいは天井板にひびが入って落ちかけたり、あるいは水道管から何か黒いアスファルトの粉末のようなものが始終流れ出して、どうも飲んでいいものかどうかわからないということが新聞に書いてある。これは事実だと思う。私の手元に持っておるこの資料の中にも、あっちこっちに、そういう水道のパイプからいろいろなまざりものがいまだに出て、不潔でいかんというような訴えがある。それからまた、この新聞記事の中には、ある入居者の話として、結局これは、あの建築工事のときに、一立方坪におよそ四十五袋のセメントが割り当てられておったにもかかわらず、そのうち半分程度しか実際には使われてなくて、あとの半分は、どこかへ行ってしまったのではないかというようなうわさが流れておるのですね。こういう点はどうですか。私は、しろうと考え考えてみて、コンクリートのしっかりした建築で、そうやたらに、上の水道の水が下へ漏ったり、上の方でちょっと土間へ水をまいたら、それがいつとはなしにずっと下の部屋へ漏れてきたりというようなことが、そう簡単にあるものではないのですがね。これはやはり、どこかにセメントをごまかしか何かして、そうして簡単に水がしみ通るようなことになっておるのではないかと思うのですがね。そういうところまで徹底してお調べになったらどうですか。これは、今後のためにいかがですか。
  65. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) おっしゃるように、こういう点につきましては、徹底的にわれわれの技術陣をあげて、さらにまた、必要に応じましては、各専門の学校等とも連絡をいたしまして、那辺に問題があるか、究明いたしたいと考えております。
  66. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは、幾ら聞きましても、あなたが徹底的に現地の問題個所についてお調べになっておらないのですから、だから、もう結論は出ないと思う。結論は出ないと思いますが、しかし、これだけの問題がすでに起っておって、そして、それがまた、地域でも大きな問題になっている。こういう事実だけは、これはもう否定できないのですからね。だから、これは一つ、早急にあなた方の手元でもう一度徹底的に、この建築の構造その他に至るまで、徹底的に調べていただけませんか、どうですか。
  67. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 徹底的に調べてみたいと存じております。
  68. 秋山長造

    ○秋山長造君 それからさらに、調べてそうして、この問題の所在というものを、これはもうはっきりとしていただいて、そして再度、われわれのこの内閣委員会にこれは報告していただきたいとお願いします。一つその点、いかがですか。
  69. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 承知いたしました。
  70. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 いろいろ秋山委員からお尋ねがあり、総裁や吉田さんからお答えがありましたのでありますが、私といたしましても、まだ十分了解実はできかねる。総裁の先ほどからのお話を承わっておりましても、もとより現場に、災害のあとにおいでになるひまもなかったから、ごらんにもなってないだろうと思いますけれども、吉田さんだけは、はっきり現場も御視察になったんだろうと思っておったわけであります。どうも先ほどからのお話を承わっておりまするというと、私の感じといたしましては、地元の監督者などから報告が来て、それをそのままにお受け入れになって、ここでお話しになっているんじゃなかろうかというような実は気持がして、聞いておったわけであります。秋山さんからいろいろお尋ねがありましたが、私なぞ、この国会の立場といたしましては、いろいろな不正な工事が行われるというようなことについては、何も住宅公団とかいうような限ったことではありませんが、終戦後は、私から申し上げるまでもなく、いたるところあるのです。あるいは府県庁において、あるいは市町村において、その他の公共団体において、不正な工事があり過ぎて、実は会計検査院も非常に困っている。会計検査院の報告なんぞ、ごらんになったことあるかもしれませんけれども、それは、実際私、日本人として非常に恥辱だとまで痛感した報告を受けたことがあります。その後、監督も厳重になりまして、近ごろそういうことがだんだん減っていく傾向にあるように思いまして、喜んでおるのであります。特に建設省の関係も、相当にそういうことが会計検査院なりあるいは行政監察部の方で見つかったのでありますが、会計検査院の方の報告は、これはもうはっきりしておるのだし、農林省関係などは特に多うございまして、そういう状態を私などは見せつけられております。何とかこれが正常な状態に返っていくことを心から念願しておる際に、こういう問題が——私などは知りませんけれども、秋山さんが資料を集められまして、お話が出まして、拝聴しているというと、やっぱり何か手ぬかりがあったんじゃなかろうかという感をせざるを得ないのであります。私どもとしては、こういう疑惑の起ることがないように、公団でも十分気をつけていただくということは、特に住宅問題については、政府ももとよりそうでありますが、われわれ国会議員といたしましても、非常に大きな問題だから、何とかりっぱな建物がたくさんできるようにということを念願しておるこの際でありますので、特に一つ、この点はよくお調べ下さいまして、この際これをはっきりしていただく。もし公団の方の下のお役人あたりに、責任を果さない人がかりにあったとすれば、十分な責任をやっぱり問うてもらわなければなりませんし、それから、請負人が不正な工事をしておったということであったならば、またとそんな請負人に仕事を授けられちゃ困る。あるいは新しいことを初めて請け負った人で、十分手がとどかないで、不注意であったとか、悪意でなかったという点が出てくるかもしれませんが、お調べによっては、何が出てくるかわからないというような感じを持っておるわけであります。われわれのそういう気持でおそらく、申すまでもなく秋山さんもそのつもりでお尋ねになったのだろうと思います。私も、心からそういうことに思っておりますから、ただこれだけの問題だというふうにおとり下さらないで、ほんとうに大きな広い問題として、一つよくお調べの上で、この次の機会にお話を聞かしていただきたいと思います。
  71. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) ただいま、非常に御同情のあるお言葉をいただきまして、まことにありがとうございました。私ども、この重責をになっておりますので、できるだけあらゆる方面から、悪いところを指摘していただくことが、住宅公団の将来の仕事のためからいっても、けっこうなことだと思っております。どうぞそういう意味で、何でもお気づきの点は、御注意いただくようにお願いいたします。
  72. 秋山長造

    ○秋山長造君 もう一つ、ちょっとお尋ねしておきますが、この工事を請け負った業者はわかりますか、今。
  73. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) わかっております。
  74. 秋山長造

    ○秋山長造君 その業者の名前と、それから工事費ですね。それぞれの業者別の。それをちょっと教えていただきたい。
  75. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) ただいま、名前がわかっておりますので、名前を申し上げさしていただきます。おのおの業者別の金額の方は、ただいま資料ございませんので、後刻申し上げます。  建築工事につきまして申し上げますと、銭高組、これが百六十戸でございます。松村組百六十戸明産産業七十五戸、安藤組、これが百二十戸、中道組、これが八十戸、畠中建設、これが八十戸でございます。
  76. 秋山長造

    ○秋山長造君 次の機会に、その業者別の工事費、契約額ですね、それを一覧表にして出していただきたいと思うのです。で、私が聞いておることも、総裁もおられるのだから、これはもう、ざっくばらんに一つ申し上げておきますが、こういう問題が起るについても、これは、最終検査を公団でおやりになったときに、いろいろ疑惑の目を持たれておるのです。この最終検査は、これは、公団の係の人と業者とのいわばなれ合いですね。いわゆるなれ合いでいいかげんに行われて、あまりこまかい点までの検査というものは全然行われていないということを私は聞いておるのです。そのことも、参考までに申し上げておきます。  それから、工事の請負入札のときの状況も、いわゆる業者の談合で、きわめてルーズな入札が行われ、業者の決定が行われたということを聞いておるのです。そういう点もあわせて申し上げておきますから、どうか一つ、早急に、徹底的に、あらゆる面の調査をやられまして、そして責任の所在をわれわれの前にはっきりしていただくことをお願いしておきます。よろしゅうございますな、その点。今の点をちょっと、重要なところですからね、今の点一つ、総裁からはっきりもう一度お答え願いたい。
  77. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 私は、就任以来——就任のときにも全部を集めて訓示をいたしたのでありますが、国家の大事なお金を使って発足する住宅公団においては、スキャンダルというようなことが絶対にないようにということを前に希望いたしまして、今日まで、幸いにしてさようなことが起っておりません。それから、業者の選定ということにつきましては、私は、できるだけ公平にこれをやらなければいけない。そしていい業者を選定するということで、その点も十分注意いたしております。  それから、工事費でございますが、これをあまりにひどい工事費にしますと、かえって不正な安い赤字の請負というようなことになりまして、工事が悪くなります。それでありますから、どこが適切な積算であるか、またどれだけの利益を業者に与えれば最もいい工事ができるかということで、公団はそういう点で一つの権威を持とうじゃないかということを、就任のときにも皆に希望した次第でございます。そういうようなわけでございまして、業者の選定は、相当からくやっておるわけでございます。今後もそういう方針でやっていくつもりであります。
  78. 秋山長造

    ○秋山長造君 あとからこれ、ごらんに入れてもいいですがね。これはまあ、この写真をごらんになれば、おそらく加納総裁も認識を改められると思う。これはずいぶんひどいものです。まああとからごらん下さい。とにかく今のお言葉の通り、一つこの問題は徹底的に究明して、責任の所在を明らかにしていただきたい。それから、建設大臣に、関連してお尋ねしますが、今ちょっと席をはずされておりましたが、まあきのう、写真もごらんに入れたんだし、また、大体のことは承知しておられると思う。こういう問題の発生することを事前に予防していくということは、やはり住宅建設を進めていかれる場合に、一番重大なことだと思うのですよ。たとえば、今問題となっているこの工事にしても、これは、きのう住宅局長のお話にもちょっとあったし、ただいまも、総裁なり吉田理事の御答弁の中にもちょっとあったのです。要するに、この当事者の手落ちあるいは設計等についての云々ということがあったのですがね。これは、竣工したときの竣工検査ですね。竣工検査がきわめてルーズに行われておったということに一つの問題点があると思うのですよ。で、これは何ですか。公団が業者に請け負わせて、そして工事をやる。そして竣工したときに、その検査というのは、もう公団のその出先の係の検査だけで、それでいいんですか。この点はどうなっているのですか。
  79. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) その点につきましては、今までの方法としては、一応公団の総裁に一切おまかせして、信頼をして、公団自体において竣工検査その他の調査をすることに相なっておりますので、本省には、公団のなお監理官という者がおりまして、いろいろ会計監査その他の監理をすることになっておりまするけれども、一応この技術の方の竣工検査等のことにつきましては、公団の側においてこれを監督して、その責任を負うというような建前になっておるのであります。しかし、国会等に対する最終的な責任は、もちろん建設大臣が負う。こういう建前であります。
  80. 秋山長造

    ○秋山長造君 本年度の行政管理庁の監察計画の大きい一つの柱として、公団のこの監察ということがうたわれているということを、この間、大久保長官から聞いた。私は、やはり行政管理庁あるいは会計検査院あたりが手をつけて、何かそこで問題を起してくるというようなことがない前に、やはり第一には、住宅公団自体が、これはもう総裁もおっしゃる通り、末端の職員に至るまで、公明正大に仕事をやってもらうということが第一ですが、第二として、やはり建設省の方でおまかせになるということも、人を信頼することだから、いいようなものですけれども、何分にも膨大な国の費用を扱うのだし、しかも、やる仕事は、国策の中の最重要国策——住宅建設という重大な仕事をやっているわけですから、もう少し建設省自身も、こういう問題についてまで、徹底的な関心を持って、監督に遺漏のないようにするべきじゃないかと思うのですが、その点、今後ともどういうようにお考えになりますか。
  81. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) 政府として、一般に公団に対する行政管理の面を強化するという方針については、お説の通りでありまして、建設省の所管でありますこの住宅公団、あるいは道路公団もございますが、これらに対しても、十分この点は監督を厳重にいたしまして、この政府の方針に従うようにしなければならぬと考えているのであります。たまたま今まで、そういうような問題もなかったので、一応公団の監督にこれを委託しておったのでありますけれども、遺憾ながら、かような事態の起りました以上は、このたびは、特に本省から監理官等も現地出張をいたし、具体的にこれらの実態調査いたしまして、十分この政府の方針に合致するような方向を堅持していきたい。こう考えております。
  82. 秋山長造

    ○秋山長造君 先ほど、加納総裁の方から、これは、早急に徹底的に調査検討して、この責任の所在を明らかにするという御答弁があったのですが、これはもう、ただいま建設大臣がおっしゃる通り、これは、公団の責任であると同時に、最終的には大臣の責任になるのですから、一つ、大臣も責任をもって、この点を早急に徹底的に調査して、抜本的な措置をとっていただきたい。同時に、それをあらためてわれわれの委員会へ御報告願いたい、これをお願いしておきます。よろしゅちございますか。
  83. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) 全く、今回のこの不祥事件でございますが、他山の石といたしまして、将来、かようなことの起らないように措置をとるべきが最も重大だと思う。ことに、お説のように、建設省は、住宅政策に非常に力を入れている途上でございますので、まだいろいろ問題が大きくならないうちにこれを処理していき、そうして、今後の指針として、さようなことが再び繰り返されぬような方向にすることが将来の住宅行政の上に大事なことだと考えますから、十分御質問の意のあるところを体しまして、善処したいと考えます。
  84. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 総裁に私、二つ伺います。  六百七十五戸、ほとんどすべてに不正工事が行われたということは、先ほどの秋山委員の質問で、大体はっきりなったと思うのですが、大体三月十五日ごろから、そういうことが報道せられて、問題になっておる。それからきょう、二十九日ですから、二週間にもなるのですが、二週間にもなって、このような大きな問題が、公団の責任者として、みずから現地に行っていないということは、はなはだ遺憾だと思うのです。そこで、先ほど来から、調査善処するというわけですが、総裁みずから現地に急行して、調査する御意向があるかどうか。
  85. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 明日でも今晩でも出発いたしまして、調査して参ります。
  86. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 調査された上は、さっそく、この六百七十五戸全部じゃないでしょうが、大部分の住民に対して、早急に修理工事を敢行するということを十分に約束して、住民に安心を与える、そういう意図があるかどうか。それもあおせて伺いたい。
  87. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) ただいま御指摘の点でありますが、先ほど申し上げましたように、そのつど大部分の修理はやっておりますですが、どの点が、まだ足りない点があるとか、また、将来に起るべきようなことがあるならば、これは申しわけないことでありますから、さっそく参りまして、調査したいと思います。
  88. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 秋山委員の御質問に対して、総裁は、最初の段階では、これは誇大な報道であるとか、あるいはまた、コンクリートというものは水の通るものだというような御回答であったわけですが、最後の段階で、これは監督不行き届きで、私の責任だと、そういうようなことをおっしゃったわけですが、最初、この不正工事、こういうような粗悪工事の把握が足りなかったゆえに、そういう御回答であったか、その点がはっきりしないのですが、その点明確に……。
  89. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) 先ほど申し上げましたのは、コンクリートの工事というものが、ずいぶん注惹いたしましても、そういうことがたまたま起ることがあるのでございます。将来もおそらくあると思います。それでございますから、業者に対しては、一年間の間、瑕疵のあったときには修理をするという約束でやらしておりますし、また、公団といたしましても、それをやらずだけの義務があると存じております。それでございますから、先ほど申し上げましたのは、コンクリートというものは、水が入ってこないものだということは、そういうことはないのであって、どうもそういうことがあり得るのでございますということを申し上げたのでございます。
  90. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 コンクリートは、その場合によって、水が通る場合もあるし、通らぬ場合もあると思うのです。ほとんど通るということじゃないと思う。
  91. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) じゃありませんです。
  92. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 従って、私もずい分工事にも経験ありますけれども、私が今まで経験したところでは、そういうことはかってなかった。今、特にコンクリート工事が進んでおって、いろいろ加工されておって、こういうことはないのです。しかも、模範的な公団住宅にそういうことがあったということは、はなはだ遺憾であると言わざるを得ないわけであります。
  93. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) コンクリートの厚みがちゃんとしておれば、雨の漏るというようなことはございませんです。今度の場合には、雨漏りがあったというのじゃなしに、窓ワクがついてある場所の接着している面のモルタルの不十分であったということから、北風の吹いたときに、同じような向きのところから雨水が降り込んできたと、こういうことなのであります。
  94. 秋山長造

    ○秋山長造君 総裁ね。その点は、あなたそういうように断定されますけれども、これは断定されていいんですか、これは。
  95. 加納久朗

    参考人(加納久朗君) ただいま私の信じておるところを申し上げるわけでございます。でございますが、今の御疑念もありますし、私の責任上、さっそく参りまして、現地について調べて参ります。
  96. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止]
  97. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起して。  それでは、本件に関しては、本日はこの程度にして、あらためて政府並びに公団の報告を待って、調査することにいたしたいと存じます。  委員会は、これにて本日は散会いたします。    午後四時五十一分散会