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1957-03-26 第26回国会 参議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十六日(火曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員西岡ハル君及び松本治一郎君 辞任につき、その補欠として横川信夫 君及び片岡文重君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            秋山 長造君            竹下 豐次君    委員            泉山 三六君            迫水 久常君            松岡 平市君            松村 透逸君            横川 信夫君            荒木正三郎君            伊藤 顕道君            片岡 文重君            田畑 金光君            八木 幸吉君   国務大臣    厚 生 大 臣 神田  博君    建 設 大 臣 南條 徳男君   国 務 大 臣 大久保留次郎君   政府委員    行政管理政務次    官       楠美 省吾君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    行政管理庁監察    部長      岡松進次郎君    外務政務次官  井上 清一君    外務大臣官房長 木村四郎七君    厚生政務次官  中垣 國男君    厚生大臣官房総    務課長     牛丸 義留君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    厚生省社会局長 安田  巖君    厚生省児童局長 高田 浩運君    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省河川局長 山本 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○外務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○厚生省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○建設省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○国家行政組織に関する調査の件(行  政監察に関する件)   —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告申し上げます。  本日付、松本治一郎君が辞任され、補欠として片岡文重君が選任されました。   —————————————
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、まず外務省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 八木幸吉

    八木幸吉君 今度、欧米局を廃止して新たにアメリカ局欧亜局をお作りになると、こういう改正案でありますが、そこで私お尋ね申し上げたいのは、各局の大きさの割合というものが必ずしも、バランスを得ておるかどうかという点について、多少問題があるんじゃないかと、かように考えるわけであります。というのは、たとえば国際協力局というのは定員は六十人、情報文化局というのは五十七人、移住局は六十九人、こういうふうになっておるのでありますが、経済局は逆に百八十二、アジア局は百二十六、こういうふうに非常にアンバランスになっておるのですが、これは沿革もあることでありますけれども、これを今度アメリカ局欧亜局にお分けになるというのですが、地理的にお分けになるなら、昔のように情報文化部といったような、逆に少し格下げをして、そうして地理的にいろいろな機関をこの方にくっつけるというふうな機構の立て方も一つ考え方じゃないかと思うのですが、御当局はいかようにお考えになりますか。
  5. 井上清一

    政府委員井上清一君) お答えを申し上げます。ただいまお説のように、国際協力局とか、情報文化局移住局以下、比較的仕事の量から参りますので、そういったそれに従って配置されております人員につきましても、欧米局アジア局経済局に比べまして少いということは、これは事実で、しかしやはりどうも仕事性質から言いまして、こうした分け方をしておきますことが、やはり仕事能率を上げます上からいたしましてもいいのじゃないかということと、それから対外的な関係、それからたとえば情報文化局などは絶えず外人の新聞記者等々との接触を毎日やっておるわけでありまして、一段、格が他の局よりも下だということは、やはりそういう関係から言いましても、どうもやはり適当じゃないじゃないかというふうに私ども考えております。若干人数におきまして、必ずしも全体が平均して職員が割り振られておるということではございませんけれども、まあ仕事性質上やむを得ないじゃないかと、ただいま考えておる次第であります。
  6. 八木幸吉

    八木幸吉君 外務省全体の定員は御承知通り今千七百四十二名で、戦前から比べますと、ほかの各省は敗戦にもかかわらずいずれも非常に膨張しておりますけれども仕事性質上、外務省戦前から見れば人数も半分強ぐらいに減っておるわけでありますが、そういう意味から言えば、もう終戦になってから十年以上もたつのでありますから、だんだん機構を整備して行くということは、これは私必ずしも反対するわけではありませんけれども機構を整備する上において、たとえば地理的に分けるというふうな方針をお取りになるなら、そこでやはり一貫した一つ方針をもって機構の改革に当られるということが必要ではないかと思うわけです。そこで、実は私、外務大臣がお見えになりましたら特に伺いたいと思っておったのですが、岸内閣は、御承知通り非常に経済外交重点を置く、こういったような御方針のようでありますが、その点、これは戦前からも通商局というものがあり、現在では経済局というものがあるわけなんですが、これを外務省の一局として別にこういう局を持っておるのがいいのか、あるいはたとえばアジア局とか、あるいは欧亜局とか、あるいはアメリカ局と、こういったような大きく地理的に局を分けた場合に、その局の中に経済関係の、たとえば参事官と申しますか、いろいろなスタッフを持つという方がより実情に適するかどうかというようなこと、これはかなり私は外務省機構の問題としては、大きな意味があるのではないかと、かように考えますので、これはまあ縦と横と両割れになっておるわけでありますけれども、それの利害特質をどういうふうにごらんになっているかということを、従来の経験に徴し、また将来の見通しに立って、大局的に一つ方針を伺ってみたい、こう実は思っておったわけですが、いかがでごさいましょうか。
  7. 井上清一

    政府委員井上清一君) お答え申し上げます。ただいま御発言の御意見、まことにごもっともでございます。岸内閣が、岸外交の中心を経済外交重点を置いて一つやって行こうということで、着々手を打っておるわけでございますが、そうした際に、経済外交を主管いたして参ります経済局のあり方というものが、たとえば現状のようなことでいいのか、あるいはまた各政務を担当いたしております地域別の局に分属きせるのがよいか、これはなかなか大きな問題だと思います。これらの点については省内でもずいぶん議論がございまして、私どもいろんな角度から検討いたしましたわけでございますが、各国の事例を調べてみますと、各国でもやはりみな地域局をおいて、これは主として政務を担当いたしておりまして、経済局とか通商局とかいうようなものは別に各国外務省では局を持っております。最近の国際経済事情、それはまあ貿易にいたしましても、国際金融の問題にいたしましても、非常に専門的な知識を必要といたしますわけでございますし、またそれは地域別分けましても、いろいろたとえばドルの関係とか、あるいはポンドの関係とか、いろんなそうした問題が必ずしも地域の問題とは限っておりません関係がございます。従いまして、貿易等におきましても、必ずしも地域でもって分けていろんな事態を眺め、そしてそれに対する対策を考えるというのは必ずしも適当ではないというふうに考えて、経済関係につきましては本省に一本にまとめまして、経済局でやらしておるようなわけでございます。これを各局分けますというと、どうも勢い専門家存分散するようなことになりまして、ことに最近の国際金融なんというものは、非常に高度の専門家知識を必要とするような状況でございますので、やはり現状のような分け方が一番適当ではないかと、こう思っております。それからまた先ほど情報文化局につきまして御意見がごさいましたけれども、実は前には情報部というのがあった時代がございます。しかしその当時には情報部文化部という二つの部があったわけでございますが、最近は情報文化一緒にいたしまして、一つの局にいたしております。これも仕事分け方から申しますと、いろいろ議論のある点だと思いますが、情報文化仕事、ことに最近におきます国際文化交流、そしてまたそれによる文化外交の推進ということも、経済外交とあわせまして、私ども重点を置いておる点でございますけれども、どうもこうした方面強化ということについては、われわれも極力主張いたしておりますけれども、なかなか思う通り予算がとれません。三十二年度におきましても、これの強化を実は私どもは考えたのであります。いろいろ予算折衝をいたしましたけれども、まあとりあえず、こうした形になりましたが、今後できるだけこうした方面に力を入れて行きたい。ことに日本の今後の進み方といたしましては、何と申しましても、やはり経済外交を推し進めて行くと同時に、世界各国との文化協定によって、文化交流によって、日本の国際的な地位を高めて行くということに私どもは努力をして行かなければならぬ。そういう意味から申しましても、国際協力局なり、あるいはまた情報文化局という局の方面に今後力を入れて行くのがいいのじゃないか、かように考えております。
  8. 八木幸吉

    八木幸吉君 従来、海外駐在財務官といったような制度もごさいましたが、大蔵省並び通産省との出先での関係はいかようになっておりますか。
  9. 井上清一

    政府委員井上清一君) 通産省あるいは大蔵省からの出先は、現在は大使館に一本にいたしておりまして、それで大使館勤務をいたしてもらって、外交方面緊密不離関係でもって仕事をやってもらっております。なおまたロンドン、あるいはまたワシントンには財務関係公使も置いておるようなわけでございます。現存各官庁から派遣されております職員の総数は、通産省の三十六名を初めといたしまして、大蔵省の十七名、農林省の十一名、運輸省の八名、その他まあ若干ずつでございますが、総計いたしまして八十九名というものを各官庁から受け入れまて、外務省一体となって勤務をしてもらっております。
  10. 八木幸吉

    八木幸吉君 たとえばタイやビルマで米を買うというような場合には、外務省はどの程度機構の上でこれに関係をお持ちになりますか。
  11. 井上清一

    政府委員井上清一君) ビルマには農林省から駐在をいたしておる職員がおります。その職員が絶えず外務省出先大使館員連絡し、各方面情報の収集に当っておりますると同時に、政府関係との連絡の主要な部門につきましては大使館員がこれに当る、そうしていよいよ具体的な問題になって参りまするというと、これはやはり専門的な知識を持った人が主として折衝に当るのでございますが、それとの連絡、またその仕事に対する監督と申しましては何でございますが、各方面との調整等につきましては、大使館の方で当っておるような次第であります。
  12. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一点伺いますが、国際協力局は主としてどういう仕事をやっておりますか、国際情報文化局とかりに一緒にしたら、非常に仕事の上に工合が悪いのですか。
  13. 井上清一

    政府委員井上清一君) 国際協力局仕事は、主として国際連合に関する仕事でございます。ことに国際連合は、現在国際連合プロパ一の仕事のみならず、いろいろなブランチを持っておるわけでございまして、エカフエとか、あるいはユネスコ、ILO、それから世界保健機構とか、いろいろな機構がございまして、そうしていろいろな複雑多岐仕事をやっておるわけであります。そして絶えずそれらの仕事接触をし、またしょっちゅういろいろな会議があるわけでございます。でございますので、絶えず平素から接触をもって仕事の研究をしておきませんと、いざというときには間に合わぬわけでございます。さようなわけで、どうも一般には国際連合の総会だけがぱっと浮かんで参りますけれどもブランチ仕事がなかなかいろいろございます。そうした方面国連活動の全体に関しましての主管局でございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この原案によりますと、予算定員ですね、これには増減がないわけですね。一応増減がないと言われておるわけですけれども局長はふえるわけでございますね。局長がふえますと、実質的には職務内容もふえると思うのですが。そうなりますと、結局定員予算増減がないということとにらみ合せて、そこに無理がくると思うのですが、その点はどうなんですか。
  15. 井上清一

    政府委員井上清一君) お説のように、今度局を二つ分けましても、定員増加はございません。実は増加をしてもらいたいと要求したのでございますけれども、全体的に人員増加しないという方針のもとに押えられたわけでございますが、現在、欧米局の中にヨーロッパだけを特に専管しております参事官がおるわけでございまして、その参事官を、参事官のポストをもって欧亜局長に充てたいと、かようにまあ考えておるわけでございまして、少い人員でございますけれども、できるだけ一つ一生懸命督励をいたしまして、能率を上げさして、仕事の万全を期して行きたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私も定員予算増加に賛成するものじゃないのですけれども、ただ、そこにこういうふうなことで非常に無理がきはせぬかと、そういう点を伺いましたのです。  それから、原案考え方によりますと、実際問題として、アジア中近東の問題ですね、それからまた特にアジア中近東等についてつながりのある問題の処理が非常に複雑になると思うのですけれども、その点の見解はどうなんですか。
  17. 井上清一

    政府委員井上清一君) お示しの点につきましては、先般来非常に私ども省内におきましても、これらの点については十分一つ今後考えて行かなければならぬということで、ずいぶん議論をしたところでございます。まあ非常にこの中近東の問題は、お説のようにアジアとは非常に関係があるわけでございます。特にAA会議以後におきまして、アラブ諸国わが国との関係も非常に密接になっておりますることは、申し上げるまでもございません。がしかし、何と申しましても、まだやはりヨーロッパアラブ諸国との関係というものは、私はアジア諸国とよりも密接関係があるということは、スエズの問題一つ例にとってみましても、これは英仏の問題でありますと同時に、やはりソ連にも若干の関係がある問題であります。そういう点から申しましても、中近東の問題というものが、アジアの問題でありますると同時に、アジアより以上にやはりヨーロッパの問題であるというふうに私ども考えます。そういう点で、ヨーロツパ、中近東、アフリカ、あるいはまた大洋州というものを一体として仕事を所管させるということは、やはり私は適当なのではないかというふうに思います。しかし、今後はやはり日本アラブ諸国との関係というものが、さらに一そう密接になって行くことは予想されますので、お説のように、これらの仕事調整については十二分か注意を払って行かなければ相ならぬと、かように考えておる次第であります。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在の外務省で大公使を置いておる設置基準というものがあろうと思うのですが、そういう基準があって配置しておるかどうか、そうしてまた現在どのように配置しておるか伺いたい。
  19. 井上清一

    政府委員井上清一君) 大 使を置きます基準と申しますと、やはり国の大きさ、あるいはまたわが国との国交の親疎の度合いとか、いろいろあるわけでございます。しかしまあ最近の傾向といたしまして、大体各国では、国の格ということを考えます関係上、公使をやめて大使にしようという傾向が非常に強いわけでございます。ことに第二次世界大戦後におきまして、世界各国におきまして独立意識というものが非常に強くなってきたこと、まあ独立意識と申しますと何であります、がやはり各国々自体がそれぞれ国の立場を強硬に主張するという機運が強くなってきております。そういう関係上、やはりどうも格式と申しますか、各国の権威と申しますか、そうしたような関係から、大使を交換しようというような世界的な外交上のいろいろな特色ということに相なっておるようなわけであります。現在は大使館が二十八、公使館が二十一でございまして、各国の例を申し上げますと、アメリカ大使館が七十四、公使館が四つ、イギリス大使館が五十八に公使館が十二、インドが大使館が二十六に公使館が九というような状態になっておりまして、まあ日本としては、まだ大使館公使館が、いろいろな点から申しますと、あるいは英国、アメリカなどに比べまして少いと思いますが、現在の状態ではこの程度で行って、将来のいろいろな情勢の変化によって、さらに増加をお願いしなければならぬのではないかと、こう思っております。
  20. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと参考にお尋ねしておきたいのですが、全世界地域別分けますと、結局欧亜局アジア局アメリカ局、この三つの局で三分して担当するわけですね。それぞれの担当地域にある日本在外公館の数、それからそれに関連してのそれぞれの地域人員の総計、これはちょっと数字は出ませんか。
  21. 井上清一

    政府委員井上清一君) 今、数を調べきしておりますが、現在、アメリカ局関係諸国が大体二十二カ国でございます。それから欧亜局関係が四十九カ国ございます。それからアジア局が十三カ国ということになっております。それから領事館を加えますと、アメリカ局関係公館が三十八でございます。それから欧亜局関係が五十二公館アジア局関係が二十二でございます。人員はちょっと計算をしないと出てきませんが、大体公館の数で一定のバランスがとれると思います。
  22. 秋山長造

    秋山長造君 もう私欲を言いませんが、この前も申し上げたように、どうも日本アジアの国で、しかも今後ますますアジア外交ということを積極的に推進しなきゃならぬ立場だし、しかもアジアそのものが、かつて戦前のような、もうほとんどがヨーロッパ植民地ヨーロッパ出先というようなことで、ヨーロッパにある本国とさえ大体話をつければ、アジアの問題も片づくというような時代とすっかり変っているのです。もうヨーロッパから皆離れてしまう、また現に離れつつある、また近く離れようということで、むしろヨーロッパのつきもの、ヨーロッパ従属国としてのアジア諸国ということよりも、むしろヨーロッパとは別個に、一つ独立した立場を持つたアジアという一つグループを建設しつつある、AAグループなどと言われておる、ですからどうも外務省のこの局の分け方なんかには、何か戦前の頭がやはりあって、こういう部局分け方になってきているのではないかというふうに思われてならないのですが、この前、政務次官にお尋ねしたら、いや、それはもうアジア局は、とても今で手一ぱいで足りないのだから、というお話であったのですが、今、こう数を当ってみても、大きい国と小さい国があるが、欧亜局は四十九カ国持つのですね。それからアメリカ局は二十二カ国、アジア局はわずか十三カ国、それから公館の数からいっても、欧亜局関係は五十二もある、アジア局関係は二十二、アメリカ局は三十八だから、こういう点から人員も同じことであろうと思う。アジア局の受け持ちが一番少いわけです。ということは、やっぱりそれだけアジア局というものの担当する分が非常に狭いことと、やはりアジア局あるいはアジア外交、あるいは最近のアジアの新しい情勢アジア連帯アジア一体性というような機運の非常に強く盛り上っておる最近の情勢というものに、あえて目をつぶって、単に昔通り考え方で割り切って行こうというやっぱり気持が腹にあるのじゃないか。もう少しこういう部局の割りふりからいっても、あまりにもアジア局の受持が狭くて貧弱なような感じを受けるのですがね、もう少しアジア局というものへ中近東なんかも持たして、もう少しアジア局というものを充実をして、アジア外交というものをもう少しやっぱり積極的にやるべきじゃないか。特にアジア最大国家である中共なんかというものも、いずれにしても近い将来に国交調整という問題が出てくるのですからね。そういうことを考えると、どうも外務省比重が、あるいは日本外交比重が、ヨーロッパアメリカの方へばかり片寄って、すぐ隣近所アジアの方はどうもおろそかになっておるようなことが、数字の上からも物語られておるように思うのです。いかがですか。
  23. 井上清一

    政府委員井上清一君) ただいまお説がごさいましたが、私どもとして、アジアにおきますアジア外交というものに決して重点を置いていないということじやございません。アジア地域を担当いたしておりまするアジア局は、実は定員を百一名置いております。欧米局は百十九名でこれを実は二つ分けるわけでございまして、アジア局に一番力を入れておるわけでございます。先ほどのお説のように、やはり何と申しましても、アジアに位しておりまして、アジア諸国との関係、そしてまたアジア諸国との外交、のみならず、あるいは経済関係その他におきましても、何と申しましても外交重点アジア諸国だと私どもも考えております。ただ、もっとアジア局を充実しなければいかぬじゃないかというお説もあろうかと思いますけれども、まだやはり国交の回復をしていない諸国もございます。そうした点も考慮し、また非常に仕事の多いという部面から申し上げますと、あるいは賠償の問題とか、戦後処理のいろいろな問題がずいぶんアジア地域にはあるわけでございます。そうしたいろいろな面を考慮いたしまして、大体現在の状態において事務を果し得ると私どもは考えておるわけでございます。しかし、今後アジア関係仕事が非常にふえて行くということになりますると、また人員の配置その他につきましても十二分の考慮を加えて行かなければならぬ、かように考えております。
  24. 田畑金光

    田畑金光君 一、二お尋ねしたいのですが、今のアジア局の問題に関連しまして、私、去年東南アジアを回ってきて痛切に感じたことは、今の日本外交重点というのが、相変らずアジアではなくしてヨーロッパあるいはアメリカ重点が置かれておる。たとえば大使館等を見ましても、十名内外の貧弱な陣容を持っておるにすぎない。またいろいろ予算令達等を見ましても、まことに貧弱な予算しか令達をされていない。特に東南アジア重点を置くと言われておりながら、実際そういう出先機関人的構成あるいは予算の面から見ても、第二位、第三位に置かれておる。こういうことを私は痛切に感じたわけです。ことに御存じのように、東南アジアというのは非常に暑いところです。そして同じところに外交官の諸君を二年も三年も置かれると、結局暑さで精神的にも肉体的にも参ってしまう。内地の新聞なんかのくるのを見ましても、とにかく一部しかこない。しかも数日もおくれてくる。自然と刺激もなければ勉強し修養しようとする熱意もなくなってくる。こういう状況環境に置かれておるわけです。イギリスなんかの場合を聞いてみましたが、とにかく年に一カ月はちゃんと休養の期間を与えておる。日本の場合でも、実際そういうように一年に一カ月なら一カ月これは何ぼ与えるか知りませんけれども予算がなくて与えておらない。だから二年も三年も同じところでやっておる。自然とぼけてくる。ほんとうに優秀な人方が、会ってみると大してわれわれが話をしてみても、おっしやるところがあまりない。こういうことは、いわゆるぼけてきた私は一つの現われだと、こう見て残念に思ったわけです。こういう点等について、たとえば今言ったように、暑いところにおるから特に予算等も重点を置かれて、規定にきめられた一年の中の休暇等は十分与えて、あるいはその期間に内地に帰って内地の動きを見る。あるいはまた勉強もする機会を与える。あるいは健康の保健のための機会も与えてやる。こういうことが大事だと思いますけれども、そういうような点については今度の予算でどういうことになっておるのか、一つ聞かしていただきたい。
  25. 井上清一

    政府委員井上清一君) 東南アジア外交について力を入れなければならぬという御質問はごもっともでございますが、いろんな考え方から、東南アジア諸国に配置いたします外交官についてはできるだけ優秀な人間を配置するように心がけております。以前は東南アジアにどうもみな行きたがらなかったという風習もあったやに聞いておりますが、このごろはそうではございませんで優秀な人間が進んで東南アジア諸国に出ておりますし、また外務省としても、そういうようなところに優秀な人間を配置するというようなことを心がけておる次第でございます。御承知のように、東南アジア諸国は気候が非常に不順でございまして、行く人たちには、まことにどうもそういう点では大へんお気の毒には思いますけれども、大いに一つやってもらいたいというように思っております。大体二年間ぐらいで私ども交代きせるということで、そうした方針でもって人のやりくりを現在考えております。長く置きっ放しにしておくというようなことはなく、二年間みっちりやらして、そして今度適当なところにかえるというふうにそれで進んでああした東南アジア諸国勤務するような気風を馴致いたしておるようなわけでございます。先ほどお話がございましたように、どうもああいう暑いところに行っておると非常に不勉強になって刺激がないのじゃないか。そんなことがあっては困るわけで、実はせんだってアジア公館会議というのを開いて、東南アジア駐在しておる公館長を集めて内地の情勢を伝え、また世界情勢、またいろいろな緊要な問題についての指示をいたしましたし、横の連絡をもはからしたわけでございます。今後こうした方面会議を一年に一回あるいは二回開きまして、絶えず新しい知識と新しい刺激を与えて、外交官に勉強きせるように、一つ努力をいたしたいと思っております。本年度の予算にはこうした方面の経費も若干見てございますし、またそうした方面の通信関係におきましても、そうしたつまり内地の情報をみな即刻に東南アジア諸国に伝えられるような電信の関係の設備も今度考えておりますので、できるだけ一つ向うの方に新しい知識をやるように、はつらつたる気分で勤務きせるように予算にも若干考えてございます。
  26. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  27. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけて。
  28. 田畑金光

    田畑金光君 あなたの御答弁はちっとも具体的でないですよ。私のお聞きしたことは、外務省の従来の人事方針を、ヨーロッパアメリカ重点を置かれて配置しておる。それからまた外交官を志望する人方の諸君もヨーロッパのみを希望しておるのです。ところが、それは伝統的に外交がそうであったから今でもそれが強く残っておるのです。ところが、東南アジアの方に行く人方は、実際みずから進んで行くのじゃなくて、上からの命令だからやむなく行くのだ、こういう気持が強く残っておるのです。それは大体今までの外務省の人事というものがそうであったから、その傾向が強く残っておるのです。そこで私はやはりこういう人方に希望を与えるためには、もう少し予算的な措置等においても重点的に考えてもらわなくちゃならぬと、こう思うのです。先ほど政務次官のお話では公館会議を開いて新しい知識あるいは世界情勢アジア情勢についても総合的にいろいろ検討してもらった、あるいは勉強してもらったと、こういうお話ですが、公館長それ自身はそれでいいかもしれませんが、しかし館員の諸君、最も大事な館長以下の諸君は、先ほど申し上げたような状況にあるわけです。具体的に申しますと、外務省は規定がありましようから、一年のうち1カ月なら一カ月の休暇が与えられると、そういうことになっておると思います。ところがそういう休暇が実際に実行されていないということなんです。予算がとられていないということなんです。東南アジアというと、飛行機で行っても一日もかからぬでしょう。予算さえあるならば、十分これは内地に帰ってきたり、あるいは内地の動きを見たり、あるいは内地にかかわらず、そういう予算があるならば、もっと健康のためにも頭のためにも休養する機会を与えるべきだと思うのです。ことしは予算の中でどうなっておるのか、具体的に私はお聞きしておるわけで、政務次官から一つ具体的にお答え願いたいと思う。
  29. 井上清一

    政府委員井上清一君) お答え申し上げます。非常に東南アジア諸国勤務する在外公館員に御理解ある、御同情があるお言葉で……。実は東南アジア公館員の宿舎の新営費に千五百万円を今度の予算で計上してあります。これはわずかですが、今年度初めて組んだわけであります。将来これは一つやって行きたいと思います。まず、とりあえずレバノンのベールートにサマー・ハウスを作って、館員の暑さを避けるための施設を作ってやりたいと、こう思っておるのです。その他休暇の話がありましたけれども、休暇のことは、予算を実は出したのでありますが、出したのだけれども、いろいろ国家財政の関係から本年度は認められませんでしたが、今後できるだけ一つ休暇の予算を認めてもらって、ある程度こちらへ休暇で順番にでも帰すということはぜひ一つ考えたい、こう思っております。これは将来の問題として研究きしていただきたいと思います。なおまた、先ほどもお話申し上げましたが、係官の会議というものも相当ひんぱんに開いて、公館長のみならず、領事館の会議とか、いろいろそうした会議を今後一つひんぱんに開いて、東南アジア諸国勤務する館員諸君と中央との接触をきわめて一つ深くやって行きたいと、こう思っております。
  30. 田畑金光

    田畑金光君 私は委員長から時間の制限を命じられておるので、これ以上発言しませんが、希望として申し上げることは、係官の会議等も開かれて非常にけっこうなことだと思うのです。そういうような会もできるだけ持っていただきたいということとそれからレバノンにサマー・ハウスを作って、それでことしは終るのだというようなことでは、現地の者は浮かばれぬと思うのです。これは実際現地の人方は一生懸命やっておりますよ。やっておるけれども、何しろあの暑さでは肉体的にも精神的にも参ると思うのです。しかも新聞というものは大使館に一部くらいしか送ってきていない、日本新聞も読めない。そういう不便なところへ勤務しておる人方なんです。文化的にも生活の面においても非常な不便を忍んでやっているのですよ。東南アジア日本外交重点を置こうとするならば、りっぱな外交官を置くことが必要だと思う。そのためには外交官に大いに勉強してもらわなくちゃならぬ。それから健康、処遇等も考えてもらわなくちゃならぬと思う。ヨーロッパその他の環境のいい国々と同じような考え方、ところがそういうところには重点を置かれて予算もあるのだから、東南アジア等においても、これは外務省としても、ことしもまた予算がとれなかったということでは救われないと思う。ちゃんと休暇を与えるようになっていてそういうようなことでは、東南アジアに、外交上でも、あるいは今後の日本経済関係からいっても重点を置かれようというようなことは口頭禅に終ってしまうことで、どうか一つそのことを念頭に置いて今後努力してもらいたいと考えるわけで、いずれ外務大臣等にまた御質問する機会を私は待って、きょうは遠慮申し上げて、この程度にとどめておきます。
  31. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは議事の中途でございますが、委員の変更について御報告いたします。  本日付、西岡ハル君が辞任され、横川信夫君がその補欠に選任されました。  以上、御報告いたします。  他に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見がなければ、討論は終局したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。外務省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  32. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条により本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めます。よってきょう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますので、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    秋山 長造  田畑 金光    片岡 文重  八木 幸吉    伊藤 顕道  上原 正吉    松村 透逸  迫水 久常    横川 信夫  松岡 平市    竹下 豐次   —————————————
  34. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  35. 片岡文重

    片岡文重君 厚生省設置法の一部を改正して、幾つかの新しい施設なり、セクションを作られるようでありますが、その中の一つで国立精神薄弱児施設を新たに設けられる御希望のようでありますが、それに関連をして、二、三大臣の御所見を伺っておきたいと思いまするので、若干の質疑をお許しいただきたいのであります。  申し上げるまでもないのでありますが、親として子供のかわいさに変りはないと思います。なかんずく精神薄弱児、それから肢体不自由児という普通の状態でない子供を持った親たちの苦労というものは、けだし私たちの想像に余りあるものがあると思うのですが、ことにこういう普通でない子供たちを持っておるために、その子供たちがおるために働きにも出られないという未亡人がおったり、あるいはその子供のために一家がはなはだしく経済的に困難な状況に置かれたりしておる事例は非常に多いわけであります。しかしこういう精神薄弱児あるいは肢体不自由児等にも特別な教育を施し、深い愛情をもっていたしまするならば、多少の時日はかかっても、日常生活に耐え得る能力を会得し、社会生活にとにかく応じ得るものになり得る者が非常に多いわけであります。そういう点からすれば、親たちとしては、また兄弟としては、すべてがそういう特別な教育を施し、育て方をしたいと思うのですけれども、その子供たちをかかえておることによってだけでも家庭経済に大きな影響を受けるような人たちは、いわんやそれ以上に金のかかる特別教育を施すというようなことはとうていなし得ません。そこで、これらの子供たちに対する特殊な教育というものは、どうしても国でめんどうを見てやるよりほかにないと思うのですが、どうもこういう点については、具体的にあまり積極的に政府の施策が進められてきたとは思えない状態にあると思うのであります。しかし歴代厚生省の関係の諸君が、常に熱意をもってこれが対策に腐心されてこられたことは私も認め、これをはなはだ多といたしております。  そこで、大臣にお尋ねしたいのは、二十八年の十一月九日に、次官会議の決定として精神薄弱児の対策基本要綱というものが決定をされております。で、これによりますと、大臣十分御承知のことと思いますが、児童憲章の精神にのっとって、この精神薄弱児に対する適切な諸対策を樹立推進して、国民の理解と協力のもとにその福祉を積極的に保障しようと、こういうことを言っております。このお考えは非常にけっこうであり、こういう御決定をいただいたことは私ども非常に喜ばしいと思いますが、この基本要綱を決定せられましてから、すでに二十九年、三十年、三十一年とまる三カ年を経て、まさに三十一年度が終らんとしているのですが、この基本要綱に基いて一体具体的にどういうふうに推進してこられたのか、また今後はどういうふうにこれを進めて行かれるおつもりであるのか。精神薄弱児、特に私のここで問題としたいのは、いわゆるろう精薄とか、あるいは盲あ精薄とか、重精薄に対する対策を、特に御所見を伺っておきたい。それは特にそういう重精薄児に限るわけではありませんけれども、何といっても富裕な家庭に生れた重精薄児に対しては、物質的な面において不自由がないだけに十分特別な教育がなされ、援護がなされるわけでありますけれども、中産以下の家庭に不幸にして生を受けたこれらの精薄児は非常にふびんな状態におかれております。ことに重精薄児に至っては、これは子供ばかりでなく、一家があげてこの困窮の中に追い落されておる、従って一ぺんに全部の対策ができないとすれば、最も困窮の中にあるこの重精薄児に対して御処置をいただきたい。で、この三十二年度の予算には、とりあえず百人程度の収容をする予算が計上されております。この努力を私は重ねて多といたしますが、全般的に見て具体的に一つ精薄児対策の基本要綱をどう推進されておるか、この点をお伺いいたしたい。
  36. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) ただいま片岡委員の精薄児童に対する御同情、なおこれらの御家庭に対する御関心の非常に深いことを承わりまして、私ども全くこの方面仕事を担当いたしておりまするものから考えまして、非常にありがたく、敬意を表する次第であります。  お尋ねのございました精薄児童の教養と申しましょうか、補導と申しましょうか、問題は非常に大きな問題でございまして、今御指摘になりましたように、昭和二十八年の十一月に次官会議の決定もつきまして、そうして諸施策を一つ進めようというようなことに相なっておりまして、現在までに精薄の収容施設が全国で八十五カ所、収容人員が約四千九百人、こういうようなこと、それからさらにこれは軽い方の関係でございますが、精薄児童の通園施設を全国で六カ所ほど今建設を準備いたしております。そこで一番問題になりますのは、今お述べになられたような重精薄と申しましょうか、二重——盲あ等の重なったような児童、しかも貧困の家庭等におきまして、全くこれはお述べになられましたような事情でありますもで、よく私ども承知できますので、今度三十二年度予算で国立精薄施設を一つ設置いたしたい。ここには主として精薄の重い者特に今お述べになられたような不幸の重なった者を、しかも貧困の家庭の方を一つ先に収容いたして補導をやってみたい。まあ今までの職業指導設備を強化してやって参っておるのでありますが、どうしても一カ所に収容してそうして相当長期にわたっていろいろな職業補導あるいはまた肢体不自由児等の、まあ治癒と申しましょうか、なかなか困難なことでございまするが、そういう面も考えまして、できるだけこの方面の不幸な方々を何とか世の中に処して行けるようにいたしたい、こういう念願で予算措置等、あるいはまた厚生省設置法の一部改正等をお願いしておるようなわけでございまして、熱意の現われを示しておるわけでございますがしかし何しろ全国に八十万ないし九十万というような膨大な数があるようでございまして、これはまあ推定でございますので正確に言うとどの程度になりますか、大体八十万ないし九十万というようなことが推定されておるようでございますので、そういう数から参りますと、ほんとうに今の施設自体がまだ弱体だということになるのでございますが、とにかく今日まで今申し上げたようなことをやって参りまして、精薄児童の施設をふやすと同時に、一体どうしたら一番精薄児童をできるだけ健康体の人に近づけることができるか。そこでまあ職業指導をいたしまして、社会に一つ帰してやりたい、家庭に帰してやりたい、こういうことを念願として、この設置法の一部改正、あるいはまた予算の御審議をお願いしているわけでございます。最近抗生物質等を使う関係もございまして、精薄児童の数がふえるのじゃないかというような心配もございますので、今後におきましても、これを手がかりといたしまして、逐次増加いたしまして、こういう施設の充実をいたしまして、今御心配されるようなことを逐次解決して参りたい、こういう所存でございます。
  37. 片岡文重

    片岡文重君 この精薄児に関する国家施設、また補導等の面は、厚生省だけでなしに、たとえば就学児童については文部省の関係があるでしょうし職業補導については労働省、その他教護院等の法務省と、各省にわたっておりますから、厚生省だけでその責任をとるということは少し当らないかもしれませんけれども、まあしかし、主体は何といっても厚生省で推進をしていただかなければならないと思いまするので、一そうの積極的な熱意を御要望申し上げるわけですが、大体の数でけっこうですけれども一体、今日厚生省の所管の対象となるべき精薄児の数というものは、大体どのくらいと見ておられるのですか。
  38. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) お答え申し上げます。精神薄弱児の数につきましては、この児童の特殊性から申しまして、なかなか正確に把握できませんし、また精神薄弱児も各種の段階がございまして、この各種の段階ごとにほんとうは数字を出すのでなければ実際の施策の参考としては不十分でございますが、そういう点もきわめてむずかしいものでございまして、この席で確信のない数字を申し上げるのもいかがかと思いますけれども、しかし一応の御参考までに申し上げたいと思います。  大体、精神薄弱児につきましては、全児童のうち大体二・八%がIQ七〇以下の精神薄弱児と、いろいろな学者の見解によってそういうふうに考えられておりますし、これは大体私どもの方で精神衛生の実態調査をいたしましたり、あるいは文部省の方で精神薄弱児の調査をいたしましたのと、大づかみとしては大体においてその見当と見ていいのでございます。そういうところから申しまして、精神薄弱児全部で大体九十万前後と、そういうふうに推定されるのでございます。もちろん、このうちにはIQの程度の高い、つまり知能の程度のどちらかと言えば高い方の者が大部分を占めておりまして、そのうちの大体九〇%前後というものはそういう性質の者である。すなわちIQ五〇以上の者が大体そういうものでございまして、これらは大体文部省の方で学校教育の一環としていろいろお世話をなさっておる。そういうやり方になっておるわけでございまして、従ってそれ以外のIQ五〇以下の者を主として厚生省の方ではお世話を申し上げるということでございますが、それを大体私どもの方では、IQ二五以上五〇と二五以下と、両方に分けて考えておるわけでございまするけれども、これらを大ざっぱな見当から申し上げますと、IQ五〇ないし二五、これを痴愚級と称しておるのでありまするが、それが大体七万足らず、それから二五以下のいわゆる白痴級、これが大体一万六、七千と、そういう見当に踏んでおるのでございます。なお、今回の国立の精神薄弱児施設に入れる準備として、いろいろ過去において児童相談所等を通じまして調査をいたしましたところによりますともっと、これよりも非常に少い数になっておりまするけれども、これらは調査の方法等も違いますので、一がいにどうということは申し上げかねますけれども、大体この見当とにらんでいいのではないかと思います。
  39. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  40. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。
  41. 片岡文重

    片岡文重君 今の精薄児の数でありますが、お伺いしておると、大体の数字ではあっても、IQ別にお調べになっておるようでありますが、このうちIQ七〇ないし五〇以上の子供たちは、特殊教育の対象として文部省で補導される、補導というか、教育をされる。それ以下の子供については厚生省が何とかしてめんどうをみて下さることになると思うのですが、先ほど大臣の御説明の中にあった数字は、現在収容されておる子供たちの数だと記憶しますが、大体四千何がし、五千足らずの数字だったと思います。いわゆる痴愚の程度、IQ五〇から二四程度という子供たちだけでも七万近い数だというお話でしたが、このIQ五〇ないし二五程度の子供たちだけを対象として考えても七万、しかるに現在収容されておる者は四万六千と言われましたか、九千と言われましたか、わかりませんが、とにかく五千には足らない数です。一割にも達しておらないようでありますが、しかもこの五千足らずの子供を収容しておる施設は、公立ばかりではなしに、私立と言いますか、私の経営もほとんど半数近くあるのではないかと私は考えますが、こういうことではもちろん不十分であるという御認識はいただいておると思うのですけれども一体いつごろから収容施設というものができ始めてつまり何年くらいこの収容施設というものは日本にできてから経過しておるものか、その点を一つ伺いたいのです。
  42. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) お話の通りに、精神薄弱児の先ほど申しました数と、それから現在収容施設ないし通園施設に、あるいは収容され、あるいは通っている児童の数とは非常に大きな開きがありまして、まさしく精神薄弱児の対策というものは、まだいわば緒についたと申しますか、そういう程度で、今後大いに馬力をかけて推進しなければならないことを如実に物語っていることはお話の通りでございます。ただ先ほど申しました数字が、しからば全部収容しなければならない該当者であるかどうかということについては、これはまた別個の考え方というものもあり得ると思うのでございまして、この収容しなければならない児童は、さらにこのうちから、まあ幾らであるというふうなことになり得るんじゃないかと思うのでございます。その点はその点としましても、今後とも私どもこの施設の拡充なり、対策の充実に努力をして参りたいと思うのでございます。  そこで、今お話の施設の増加状況でございますが、手元にある資料について申し上げますと、児童福祉法が施行されました昭和二十三年のときに十六カ所、収容員数は約千五百でございました。それが今日は、先ほど申し上げました数字でございますが、そのまん中をとりますと、昭和二十六年が四十カ所、それから二十七年が六十一カ所、そういうようなことで、大体の傾向はこれで御判断いただけると思います。それより前、しからばいつごろからこれらの施策が行われてきたかということにつきましては、これはさかのぼれば相当古いことだと思うのでございますけれども、正確な数字がございませんので、戦後の数字一つ御判断をいただきたいと思います。
  43. 片岡文重

    片岡文重君 二十三年に十六カ所千五百人、それが三十一年度末に今なろうとしているのですが、そこで大体四千七百人、こういう速度でかりに将来行ったとすると、これはIQ五〇以下二五以上としても大体七万近い。このうち、もちろん通院可能の者もあるでしょうし、全部が収容を要するとは限らないし、また収容しなくとも、どうにかやって行けるものもあるでしょうけれども、かりにこれが半数としても三万五千あるわけです。これらの児童を収容するために、一年に百人くらいを収容して行ったのでは、一体いつになってこれらの子供が、子供ばかりじゃありません、家庭、両親、兄弟等もみな影響を受けるわけですが、それらの者は一体いつ笑顔を見せることができるのか、どの程度このテンポを早めて行こうとお考えになっておられるのですか。
  44. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 何しろこの精神薄弱児の対策というものが、先ほども次官会議の決定云々というお話がございましたように、まあ児童福祉の仕事それ自体がほかの行政に比べればおくれている上に、児童福祉の関係でも、さらに精神薄弱児の関係がおくれておるような格好でございまして、現状をとらえてみれば、お話の通りこれはまさしく不十分きわまることは言うまでもないのでございます。この今後の計画として、本来からいけば、これを何年計画で全部収容してしまうためにはどうする、こうするというのが、本来の筋としてはあるいは適当かと思うのでございますけれども、しかし今申し上げましたように、とにかく収容しなければならない対象がきわめて膨大である。手元の施設はきわめて少数であるということで、何年計画というところまでまだ行きつけない格好になっているのが、偽わらさる現状だと思うのでございまして、私どもそういう点から考えまして、実は設備費の補助なんかにつきましても、三十二年度におきましては三十一年度の約二倍にするし、あるいは通園施設等につきましても三十一年度よりも増額をするし、その他民間関係におきましても、共同募金でありますとか、あるいはお年玉の年賀はがきによります募金でありますとか、そういった資金の活用、利用をはかるように努力をいたしているのでございまして、今後、先ほど来この精神薄弱児の問題についてお話がありました御趣旨を十分体しまして、急速な整備充実をはかって参りたい、かような考え方でおることを御了承いただきたいと思います。
  45. 片岡文重

    片岡文重君 この問題はやはり大蔵省関係の諸君にも来ていただいて御意見を伺いたいのでありますが、きょうはその手配もしてありませんから、その点は後日に譲りたいと思うのですが、やはりこういう問題は、今、局長もお述べになられたように、たとえば五カ年計画なら五カ年計画、三カ年計画なら三カ年計画ということで大体の目安を立てる、その目安というのは、その範囲をつかんで、その範囲に適応すると言いますか、適切な対策、具体策を立てて、強硬に、何が何でもこの実現を期するという強い御決心であっていただかないと、どうも大蔵省あたりでは、こういう問題に関する誠意が、誠意はあるでしょうけれども、ほかの方に財布を向けがちに見えます。従って一つこの際具体的に早急に、少くとも収容を必要とする子供たちの収容施設の計画を立てていただいて、これを推進するように御配慮いただきたいと思うのですが、特に最近の発生状況を見ますと、あるいは先天性のものもあるでしょうけれども、現在置かれておる精薄児のよってきたる原因を調べてみると、戦時中の栄養失調とか、あるいは戦時中勤労奉仕その他による母体の過労とか、戦後における社会的な風潮からと思われる中絶の方法の失敗とか、いろいろあるようです。必ずしも激増という状態ではないでしょうけれども、安心をしてその対策を放置できるような減少の状態には少くともないと思われます。早急にこの対策は立てなければならないと思いますが、こういう点はぜひ一つ大臣の所見を伺いたいのですけれども、厚生省当局として、従来の経験から、この際具体的な対策を一つ立てべきであるということにはお考えいただけぬものでしょうか。
  46. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 精神薄弱児の対策としては、先ほど大臣から申し上げましたように、重度の者については国立の精神薄弱児施設に収容するし、その他の者で収容しなければならない者は、それ以外の収容施設に収容するし、それから通える者はいわゆる通園施設でやって行く、片一方この職業指導の関係も充実して行く、大体まあ方策としては、体系としては、さしあたりそういう線を今後推し進めて行くということに考えておるわけでございます。その後、また将来、新しいやり方なり新しい方策というものができれば、それはまたそれに応じて考えて参りたいと思いますが、当面の問題としては、それらの施設なり対策というものを、どうやってスピードアップして充実をして行くかということに腐心をいたしておるような次第でございまして、先ほども申し上げましたように、たとえば収容施設につきましても、収容しなければならない児童が精神薄弱児のうち幾ら幾らあるから、これを何年計画で収容するについては、一年これだけやらなくちゃならぬ。そのためには予算がこれだけ要る。それが普通の私どものやっておるやり方でございますけれども、収容しなければならない児童の正確な数字も、これは調べたこともございますけれども、なかなかはっきりつかめない面もございますし、しかし推計をいたしましても、これは相当に、やはり数万という数になるのでございまして、これをまあ一つの計画に組みましても、短期間であればやはり相当膨大なものになりますし、実際の実現の問題等を考え合して、まあ気はあせりながらも、それらの計画を立てて計画通りやって行くというところまで、まだ実は進んでいないのでございまして、一日も早くそういうふうな方向に参りたいと思って考えておる次第でございます。
  47. 片岡文重

    片岡文重君 まあ対象が対象ですから、特にこういう子供を持っておる御家庭では、とかくそういうお子きんのあることを隠したがる傾向もあるやに伺っておりまするので、御調査になることは非常に困難とは思いますけれども、この精神薄弱児対策の基本要綱の中には、明らかに不就学児童中の精神薄弱児の実態調査、要保護児童中の精神薄弱児調査ということが、厚生省の責任においてなされるということを明確にいたしております。従って調査の困難はあっても、困難だから調査しないということではなしに、困難ではあっても調査をする具体的な方途は計画なされておると私は考えるのですが、その調査をする方法等については何も考えてはおられなかったのですか。
  48. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 私の申し方があるいは誤解を招いたかもしれませんけれども、実は調査はいたしました。いたしましたけれども、調査の結果というものについて、ある程度これならばという数字であるかどうか、その辺のところが実は多少疑問に思いましたので、あえて数字を申し上げなかったのでございますが、実は昭和二十八年に要保護児童の調査ということをやったのでございますが、それによりまして、緊急に施設に収容しなければならない精神薄弱児の数というのは、一応四万三千というふうに出ているわけでございますが、これが果して妥当な適切な数字、正確な数字であるかどうかということを、確信を持って申し上げかねるのが実情でございますし、また二十九年には、精神衛生の実態調査というものを行いまして、これの数字もまた非常に実は食い違っておりましてそういうような事情で、試みましたけれども、ほかの調査と違いまして、なかなかむずかしい点があるということを一つ御了承いただきたいと思います。
  49. 片岡文重

    片岡文重君 これは大へん調査はむずかしいと思います。特に厚生省でお調べになる場合、この末端機構における調査機構等も非常に問題があるでしょうから、対象が対象であり、かつ調査の具体的な手足というものを、そう機動的に厚生省関係としてはお持ちになっておられないでしょうから、なかなか御調査になることは困難でありましょう。しかし困難ではあっても、まだ困難であればあるだけに、熱意を持って積極的にお調べをいただかなければ、いつまでたっても把握はできないのであり、把握ができないからということで、その対策が立てられないということであれば、いつまでたってもこれは収容はできぬことに相なるかと思います。従って、この際は相当な困難がおありになっても、ぜひ年々続けて調査をやっていただいて、できるだけ早くかつ多く範囲を拡げて収容することに御努力をいただきたいのですが、二十八年の要保護児四万三千という数字は、おそらくこれはこれ以上多いことはあっても、これ以下だということはあまり考えられないかもしれません、調査の内容からいって。そこで、たとえばの話ですが、たとえば四万三千というものをベースにして、これを全部収容するためには、一体何年たってできるかということで具体的な対策をお立て願うことも一つの方法だと思うのです。これを二十八年度だけでなしにまた三十二年度ですか、ことし三十二年度に今なるわけですが、この三十二年度にさらにお調べいただいてこれを把握していただく、こういうことも一つの方法だろうと思われます。何にしても四万ないし五万の数字が、収容、補導もしくは教育を要する数だということが大ざっぱに見られるというのであるならば、この際、一つこういう問題についての具体的な年次計画というものをぜひ早急に私は立てていただきたい。で、かりに五万と見積ってこれを一ぺんにやってみたところで、大蔵大臣は何か在外資産の利子につかみ金として十億か二十億をいともやすやすと計上したようでありますが、そういう金がすぐどこからでもっかみ金で出てくる余裕があるなら、こういうところには私は進んで一つそのつかみ金とやらの方法で出してもらっ、たらどうか、こう思う。で、なかなか厚生省の方々は熱心にはやっておられますが、大蔵省との関係であまり具体的に実現をされないようでありますから、その点、はなはだお気の毒には思いますけれども、この際、いま一段一一つ熱意を持って大蔵当局に当っていただきたい。私たちも一つ機会を得てぜひ大蔵省当局の意向もただしてみたいと思うのですが、そこで、具体的な年次計画というものを一つお立てになるつもりはこの際持てませんかどうか、くどいようですけれども、私はどうしても具体的な対策を立ててほしいと要望しておりますので、いま一度、一つできるだけざっくばらんに、できないとするなら、なぜできないのか、お聞かせいただきたいと思うのでありす。
  50. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) お話の点は私どもも全く同感でございまして、今後十分その線に沿いまして努力をいたしたいと思います。なお、念のために申し上げておきたいと思いますが、施設の関係について、いろいろ予算の点御心配いただきました点ありがたく思っている次第でございますが、これらの施設につきましては、国の予算と同時に、やはり地方の負担になります分がかなりございますし、なお、できましたあとのいわゆる運営費というものにつきましても、これもやはり相当な額になりますし、これらについて国がまあ八割、公けで持たなければならない費用の八割を持つというしかけになっておりますけれども、その残りの分を地方で持つということにいたしましても、やはりこれも相当な額になりますし、従ってやはりこういう施設の増加というものは、その辺の実情も考えれば、あまり急速な進展を計画をいたしましても、なかなか意のままにならない事情がその辺にもあるということを、一つ十分、おわかりとも思いますけれども、お含みおきいただきたいと思います。
  51. 片岡文重

    片岡文重君 今この施設を、公営として持っておられる都道府県は一体何個所で、どことどこにあるのですか。
  52. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 施設はまあお話のように公立と私立と両方ございますが、大体先ほどもお話がありましたように、両方の振り分けは半分々々というふうに御理解いただいていいと思います。
  53. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと。幾らあるのですか、全部で。
  54. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 四十個所でございます。
  55. 片岡文重

    片岡文重君 全然こういう施設を持っておらない府県がありますか。
  56. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) ございます。
  57. 片岡文重

    片岡文重君 どことどこですか。
  58. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 青森県、岩手県でございます。
  59. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと。収容所が全国で四十個所でしょう、それで府県の数は四十六あるから、少くとも六府県はないことになるけれども、青森と岩手二県かないというのはおかしいではないですか。
  60. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 施設は先ほども申し上げましたように八十カ所以上あるわけです。それで全然公立も私立もない、精神薄弱児の施設がからっきしないところが二カ所ある、そういう意味でございます。
  61. 秋山長造

    秋山長造君 そうそういう意味か、全然ない……。
  62. 片岡文重

    片岡文重君 この厚生省当局の方々はわかり切っておられるのですから、あまりくどくお尋ねするのはどうかとは思うのですけれども、児童精薄児の対策基本要綱には、児童福祉法による精神薄弱児施設を拡充強化しこれに必要な職員の養成並びに現任訓練を行うとともに、満十八才をこえた者に対しては、必要に応じ生活保護法による教護施設の拡充強化をはかること、これは厚生省のやはり所管においてなさるべきことをきめておるようでありますが、この問題については、厚生省としては今までどういうふうに考えてこられ、またどういうふうに措置を講ぜられたのか、その点を一つ
  63. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 精神薄弱児の施設等に勤務いたしまする職員につきましては、国立の教護院であります武蔵野学院に養成所を付設いたしておりまして、そこで大学を出た者を一年間訓練をするわけでございます。そこで養成をいたしておるのでございます。それからなお児童でなくなった者につきましては、一般の教護施設の充実によりましてカバ一する態勢にいたしたいと思っております。
  64. 片岡文重

    片岡文重君 そこで養成をされて、こういう施設に行かれる職員、この待遇について若干伺いたいのですけれども、大ざっばでけっこうですが、現在の状況をお知らせいただきたいです。概略でけっこうですから。
  65. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 養成所で訓練をいたします者は、地方の教護院、それから精神薄弱児の施設、主としてそういったところに参るわけでございますから、もちろんそのほかの施設もございますが、大体今までのところ、毎年この養成所を卒業いたしました者は、大体全部そういう方面に就職できておる実情でございましてその場合の採用条件でございますが、これは大学を出ました者でございますから、県に採用される者といたしますれば、いわゆる地方公務員法に定められた給与の基準に基きまして採用されておるのでございますし、その他の民間側につきましても、大体それに準じて取扱っておるのが実情でございます。そこで御質問の趣旨は、あるいは一般以上にどういうふうにやっているか、その辺を考えなくちやいかぬじゃないか、あるいはそういう趣旨かとも思うのでございますが、私ども実はこれら教護院ないし精神薄弱児の施設に勤務している職員につきましては、ほかの一般の公務員と違うわけでございますから、それらの勤務の実態にかんがみまして、号俸調整をするなり勤務の加算をするなり、そういった点を考えなければいかぬのじゃないかというようなことで、予算的には努力をいたしておるのでございますが、さしあたり、国立の教護院につきまして調整号俸が三十一年度からついたのでございまして、今後ともその趣旨で努力をます。
  66. 片岡文重

    片岡文重君 その養成所で養成をされる、今の御説明ではなかったのですけれども、大体これはやはり高校卒業で二年くらいの養成期間でしょうね。
  67. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 大学を出まして一年の養成期間であります。
  68. 片岡文重

    片岡文重君 大学を出て一年の養成期間を修業して、そして国立、公営なり、あるいは私営の施設に就職される、で、公営の場合には、おっしやられるように地方公務員としての待遇を受けられるでしょうから、まあまあということが言えるでしょう。しかしこれとてもしきいに考えれば、こういう職員は子供たちと同じ寄宿舎にあって、ほとんど母親のような、常時寝ても覚めてもまつわりつかれておる状態の中で生活もし、ほとんど私というものを没し去っての生活ですから、相当給与、待遇等の面については幅を持たせ、優遇をしてやらなければならないと思いますけれども、実際には公営の場合でも普通職員並みには行っておらないのが現状のようであり、特に私立の場合には、期末の手当さへ、盆暮の手当さへないというところが多いようです。特に長い間勤めておっても昇給等もほとんど行われない、青春の純情な時代には、青年としての純情から、こういう不幸な子供たちのためにということで、ヒューマニズムそのものの権化のような気持で赴任をしてきます。しかし二年たち、三年たって、さて人間としての生活、家庭を持たんとすれば、とても家庭どころではない、自分一人がやって行けないという状態に置かれているわけです。ついにはせっかくの崇高な気持も消し飛んで、家庭のために、人間生活を送るためにこの療養所から去って行かなければならない、こういう実情も例の少い話ではないように私は聞いておりますが、こういう点について、厚生省としてはもちろん施設に対する援護はされるでしょうけれども職員のそういう待遇についてまでは考えておられないのじゃないか、もしこの待遇等について、国から出された補助費が流用されるようなことがあれば、たしかこれは不当事項として検査院の指摘を受けるような仕組みになっているのじゃないかと思うのですが、こういう点について厚生省は今どういうふうなお考えを持っておられますか。
  69. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 今お話がありましたように、これらの施設に勤務するということは、決して、いわゆる俗っぽい言葉で言えば、銭金でできる仕事ではないと思うのでございますし、非常に献身的な気持で、崇高な気持で仕事に邁進をしておられるのでございまして、それらにつきまして私ども常々非常に感謝と敬意を払っておるのでございます。そこで今お話のありました給与の面、待遇の面でございますが、これはもちろん施設なり、あるいは地方公共団体の職員でありますので、第一次的には当該団体なり、あるいは県等が給与については責任を持つことは当然でございますけれども、それについて、国の予算というものがある意味においてはその裏づけと申しますか、そういった性格を持ってくるのでございますので、私どもとしましては、これらの待遇改善に予算のたびごとに腐心をいたしておるのでございます。三十二年度におきましては、ベースアップはこれはもちろんのことでございますが、ベースアップをやりますと同時に、期末、勤勉手当についてはいろいろ折衝いたしましたけれども、残念ながら、ことしは実現を見なかったのでございますが、超過勤務手当につきましては、三十二年度から、これも額はきわめて寡少の額でございますけれども、補助の正式の対象とすると、そういうようなことになったのでごさい点す。それから、先ほど申し上げました調整号俸の点につきましても、三十一年度から国立の施設に実現をいたしましたし、今後その線に沿って、地方の施設につきましても努力をいたしたいと考えておるのでございます。ただ、そういうふうに給与なり、あるいは待遇の改善については、私どもも非常に気にかけて努力をいたしている次第でございますが、ただ、先ほどお話のありました事業費と、それから給与等のいわゆる事務費との間でございますが、この事業費を事務費の方、給与等に流用いたしますことは、これは費用の性質からいたしましても、あるいは実態から申しましても不適当のことでございますので、私どもの方としては、そういうことが絶対ないように指導あるいは監督をいたしておるのでございまして、この点は事業と申しますと、結局収容施設であれば、児童の福祉の問題と関連をする問題でございますので、その辺は事業費を吸い上げて事務費の方に回すということが適当でないということについては、一つ御了承をいただきたいと思います。
  70. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  71. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけて。  暫時休憩したします。    午度零時三十九分休憩    —————・—————    午度一時三十九分開会
  72. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 休憩前に引き続き、委員会を開会いたします。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  73. 秋山長造

    秋山長造君 大臣にこの法案の内容についてお尋ねいたします前に、南條建設大臣御就任になって以来、建設行政に対して相当な抱負を持っておやりになっていると思うのですが、まあざっと、どういう抱負でもって建設行政を進めておいきになるおつもりだということをお伺いしたいと思います。
  74. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) お答えいたしますが、広範にわたりますので、要点だけを申して御了承を得たいと思いますが、建設省の行政事務につきましては、御承知通り道路、河川、ダム、及び営繕、官庁営繕等のいろいろな事業がございますが、もとより住宅問題もございますが、主として三十二年度の予算を計上いたしまする上からいえば、重点的には道路と住宅に政府は重きを置きまして、この国会に臨んでおるような次第でございます。  そこで、道路行政につきましては、御承知通り最近の日本の自動車の非常な増大、膨張とともに、日本の産業経済が非常に発展いたしました関係からどうしてもこの道路整備を完璧にいたしまして、そしてこれらの交通の隘路を打開いたしまして、日本の産業経済の規模拡大に貢献しなきゃならないという建前に立ちまして、経済企画庁の十カ年計画等の策定にも即応いたしまして、今後の道路整備計画を立てまして、今まで五カ年計画が策定されておったのでございますけれども、三十二年度に大体今までの五カ年計画の完璧を期する予定になっておりますけれども今までの五カ年計画ではなお不足でありますので、三十二年度からはさらに十カ年計画を立てまして、日本の一級、二級の国道につきましては完全な舗装を整備いたして、そして日本の道路というものを国際水準にまで運びたいというような考えをもちまして、三十二年度には、昨年よりもこの面におきまして二百億円ほどの予算の増額を御審議を願っているというようなわけであります。これだけでは満足いたしませんので今後におきましてはもっともっと予算を拡大していただいて、そして十カ年間くらいには、ぜひともこの考えを達成したいと考えておるようなわけであります。  また住宅問題につきましては、三十一年度未におきまして、大体二百四十万戸が住宅不足といわておるのでありますが、この両三年来、鳩山内閣以来、御承知のごとくこの住宅建設につきましても相当大幅に政府援助、あるいは民間自力建設等によって、この住宅難の緩和に政府は努めて参ったのでありますけれども、今年、三十二年度におきましては、一そうこの点につきましては予算を増額してもらいまして、政府援助による分が約二十万戸、民間自力建設の分を三十万戸と策定いたしまして、三十二年度は約五十万戸の住宅の建設の計画をいたしておるようなわけであります。従いまして日本の経済、国民所得の伸び等をも勘案いたしまして、ここ五、六年間には、この二百四十万戸の不足分を解消したいという方向に施策を進めていきたいと考えておるような次第であります。  ダムにつきまして特に申し上げたいのでありますが、今まで多目的ダムは、各電力業者、あるいは公共自治体等が共同出資によりまして計画をしておったのでありますけれども、なかなかこれの計画が一貫性を欠いておったために、効率的にこの完成が促進を見なかったというようなうらみがありましたので、今年はこれを一元化しまして、この促進をはかりたいというので、特別会計を設定いたしまして、この促進をはかることにして、この国会に多目的ダムの特別会計法案を御審議願っているようなわけであります。  かような点におきましても、日本の国土開発と申しますか、この河川の水のはんらんを防ぎますための障害排除の施設、あるいは灌漑用水、あるいは発電等の面におきまして、相当効果を発揮できるものと考えておるようなわけであります。  その他いろいろございますが、以上が大体におきまして今年なり、明年なりにおきまする将来の建設行政の計画の一端でございますが、何とぞ御了承願いたいと思います。
  75. 秋山長造

    秋山長造君 ただいま大臣の抱負を承わったわけですが、今議題に上っておる建設省設置法の改正法律案は、結局大臣が、道路なり、住宅なり、あるいは多目的ダムなり、まあその他建設行政を、新しい抱負をもって進めていかれんとする場合に、まあこれに即応するいろいろな部内の体制を整えよう、こういうことで提案されておられるのですか。それとも、これは全然そういう大臣の大きな抱負とは別に、ごく事務的な、この一部改正ということで御提案になっておるのですか。
  76. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) 当委員会に御審議を願っておりまする設置法の改正は、三点ほどございますが、ただいま私が申し上げました建設行政を推進する面におきまして、直接間接に相当関係がある法案でございます。たとえば研修所の問題につきましても、道路でも住宅でも、その他営繕関係の建築にいたしましても、技術というものに相当今後は研究の方法も変えまして、そして十分この研修をきせなきゃならぬということから、建設研修所というものを設置するようなことにいたしておるようなわけでございます。また、河川審議会の問題にいたしましても、従来この建設省だけで審議会がございましたが、これを性格をはっきりいたしまして、そして河川の問題、また海岸法によりまする海岸の堤防等の施設につきましても、学識経験者の十分なる御意見を拝聴、参考にしたいということで、この法案を提出し、また多年懸案でありました水道、下水、工業用水というような問題が、厚生省やあるいは通産省等にまたがりまして、従来事務の紛淆を来たしておったのであります。非常に国民には不便を感ぜしめた問題があったのであります。そこで、今日は一応水道は厚生省、下水は建設省、工業用水は通産省というように分けることによりまして、相当下水道の設置と申しますか、拡大と申しますか、改良と申しますか、今日の日本の都市の建設には欠くベからざる施設でありますので、十分この点についても力を入れて、そして日本の都市計画を促進したいと考えまして、かような設置法の改正を提案したような次第であります。
  77. 秋山長造

    秋山長造君 水道の関係が建設省、厚生省にまたがって、そのために非常に事務が繁雑になっていくということはよくわかりますが、これを上水道は厚生省、下水道は建設省というように、なぜはっきり分けないで、終末処理場を建設省のワクからはずしたのですか。
  78. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) この終末処理場の問題につきましては、当時いろいろ省内にも意見があったのでありまするが、これは、いわゆる環境衛生と申しますか、衛生方面について十分関連があることであって、これは厚生省が直接国民の保健衛生という点を勘案しなければならないことでありますので、終末処理の分だけについて厚生省に所管をかえる方が正しかろうということで、さように決定したようなわけであります。もちろんその建設の技術あるいは方法につきましては、建設省にも相談がありまして、これを協議する。協議と申しますか、協力をいたすことは論を待たないのでございます。
  79. 秋山長造

    秋山長造君 それは終末処理場を厚生省に残した方が便宜だから残したのだとおっしやることは、これは答弁にならぬと思う。それは説明にそう書いてあるから、それはその通りだと思うのですけれども、その理由を聞いているのです。なぜ終末処理場を——水道行政について、これだけ権限をお互いにはっきりするということは、これは画期的なことだと思うのですけれども、しかもどうも終末処理場だけは除くというようなことで、やはりきっぱり割り切れないものがある。またちょっとあと戻りして、途中へひっかかったような感じを受けるのですが、こういう点はやはり上水道は厚生省なら厚生省、また下水道は全部一本にして建設省、これははっきりされた方がいいんじゃないのですか。
  80. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 上下水道の所管が、従来両省の間で共管であったのを、分割をする分け方につきまして、お話のように上水道は厚生省、下水道は、それにつけ加える終末処理場も含めて建設省なら建設省に一括して分割する方が、分け方としてはすっきりしていいじゃないかという考え方も、確かにあると存じます。そういう点につきましても、この共管行政を分割するに当りましては、厚生省、建設省の間におきましても、十分研究を尽したのでございます。また行政管理庁や閣議で決定します問におきましても、それらの話が出ましたのでございますが、ただいま大臣からお話がございましたように、屎尿処理ということが、環境衛生」申しますか、衛生上の見地から、これははっきり厚生省の所管になっております。下水道と関係のない一般の屎尿処理というものは、清掃法の適用を受けておりまして、その清掃法は厚生省が所管をいたしております。下水道の単に終末処理場として加わる部分につきましても、下水道の方から見ますれば、下水道の物理的につながっていく一環であるということに相なりますけれども、やはり終末処理の機能は、機能の面から申しますれば、屎尿の処理をするものでございまして、それにつきましては、厚生省が一般の下水道に関係のない屎尿処理と同様に衛生の見地から所管していく方が適当であろう。終末処理場を下水道と一緒に結びつけてやりますれば、なるほど上水道、下水道の関係におきましてはすっきり割り切れますというお説の通りの長所が現われますが、屎尿処理という厚生省の立場の衛生上の行政としては、今度はその屎尿処理行政が二つに分れるという厚生省の側から見たところの一つのかえって不便も起る。これはやはり分割の方法であるかと思いますので、考え方はそのように二通りあるかと思いますが、今回の処置といたしましては、後者の方法を選びまして、下水道につきましては原則的に建設省が所管をいたしますけれども、終末処理場はやはり屎尿処理の機能という点に着眼いたしまして、厚生省の所管にいたした、そういう分け方も考えとしてはあるわけでございますが、今回の措置はこういうふうにいたしまして、これまた大臣からお答えがございましたように、その間の不便の方の面は、両省間で十分協議をいたしましてやって参るということで、欠点がなおありますれば、これを補って参りたいという考え方でおる次第でございます。
  81. 秋山長造

    秋山長造君 それに該当する終末処理場というのは、全国でどのくらいありますか。
  82. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 終末処理場が独立しておりませんで、いわゆる下水道に結びついた終末処理場を持っておりますのは、きわめて現在は限定されておるというわけでございます。現存下水道を持っております都市が百三十市にまたがりますが、下水道に終末処理場を加えてやっております所は、大きな都市では七市である、かような状況でございます。
  83. 秋山長造

    秋山長造君 それから、暗間があまりないようですから次に進めますが、河川審議会ですが、河川審議会は前にあったのが、各種審議会の整理統合といった時代に一応廃止になったのですね、それをまた今度法制化しよう、こういうことになったのですか。
  84. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 河川審議会は歴史をさかのぼりますと、名前はいろいろございますけれども、要するに河川行政に関する審議機関というものといたしましては、いろいろに変化して参っておる歴史を持っておりまして、あまり古いことは申し上げるまでもないことと思いますが、戦前におきましては非常に長い期間土木会議というものがございまして、その土木会議で道路、河川、港湾その他土木に関する重要事項を調査審議いたしておりました歴史がございます。これは当時土木行政は内務省が所管をいたしておりました。これは戦前の話でございます。戦後におきましては、昭和二十四年に、建設省の付属機関といたしまして、河川審議会が設けられまして、さらにこれは昭和二十五年に至りまして、河川審議会と道路審議会を合せまして、土本審議会というものが設置せられたのでございます。この土本審議会がその後、今お尋ねのございましたように、審議会等の整理という政府の御方針がございまして、それに基きまして、一たん廃止せられたという歴史は持っております。しかし、この河川審議会は、河川行政につきましては、昔からいろいろ名前は変えられておりますが、河川行政につきましての治水、利水の見地から、民間、学識経験者、関係各庁の非常に関係の深い問題でございますので、どうしても審議会が要るということでございまして、一方道路の関係は、戦後におきまして道路法の改正がございましたので、その際におきまして、法律に基く道路審議会が土本審議会の廃止後生まれております。そこで、河川審議会につきましては昭和二十九年から、建設大臣の諮問機関といたしまして、法令に基きませんけれども、河川審議会を建設省限りにおいて設けて参っております。道路審議会につきましては、道路法の改正の機会がございましたので、これも非常に根本的な改正の機会がございましたので、道路審議会が一方に生まれまして、同じように大事な河川審議会は、河川法の全面的な改正の機会がございませんでしたので、事実上の機関としてやって参っております。それでさらに昨年あたり、いつもこの委員会の整理の問題が政府の間においても出ておりますけれども、その場合におきましても、河川審議会は、今法令に基かないものとして建設省がやっているものであるけれども、これはその後道路審議会も生まれておるし、河川審議会は大事と思われるから、適当な機会に、法令の改正がある機会に、法令に基くものにすることによって、さしあたりこの河川審議会は建設省限りのものであるけれども、存置しておってよろしいというようなことにきまっておりまして、法律の改正の機会を待っておったような実情でございます。それで、昨年建設省設置法で河川審議会を設けていただきたいと思っておりましたが、たまたま昨年は内政省の設置法が国会に提案せられましたので、その内政省の設置法の中に河川審議会を提案いたしておったのでございますが、今回は建設省設置法を出せるという時期になりましたので、建設省設置法におきまして河川審議会を法定していただきたい、かようなお願いでございます。
  85. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、沿革的に見ましても、それからまた事の性質からいいましても、これは道路行政における道路審議会、河川行政における河川審議会というものは、全く同じようなものですね、そう考えてよろしいですか。
  86. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 大体において同じようなものに考えていただいてけっこうであります。
  87. 秋山長造

    秋山長造君 道路審議会は道路法の第六章に道路審議会という章があって、そこで道路法の中の一環として道路審議会というものが設けられているのですね。ところが、今度の河川審議会というのは、別に河川法の中にうたわれるわけではなしに、ただ建設省設置法の中に掲げられるにすぎないということになるのですね。で、そうします、と、建設省のやられる河川行政というものは、これはもう河川法が一番基本法だろうと思うのですが、その河川行政の一番基本になっている河川法というものとは全然関係なしに、単純な設置法の中にうたわれるにすぎないということになりますと、道路行政における道路審議会に比べて、河川行政における河川審議会というものの法的な、どう言いますか、裏づけといいますか、性格といいますか、そういうものが非常に薄弱になってくるのじゃないか。やっぱり今まで非公式に設けられておったもののそのまま延長のような形になってしまうんじゃないかというように思うんですが、なぜこれを道路法と同じように、河川法の中にはっきりその性格、組織、あるいは委員の任期だとか、権限だとかいうようなものをうたわれないんですか。
  88. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 審議会等の諮問機関を設置いたします場合に、それぞれの法律がございまして、それぞれの関係法律で設置する場合もございますし、それからそれぞれの各省等の設置法によりまして設置をいたしておる場合もございます。いずれの法律によるかということによりまして、その審議会の重きが変るということは私はないと思います。先ほど申し上げましたように、道路審議会につきましては、道路法につきまして戦後昭和二十七年に根本的な改正の機会がごさいましたので、審議会につきましてもこのそれぞれの法律に入れるという方式ができ上ったのでございますが、河川法につきましては、これは非常に古い法律でございまして、その法律が現在もりっぱに生きてやっているわけでございますが、河川法の根本的な行政の機会というものはまだないわけでございます。それで、もちろん今の道路審議会、河川審議会が同じような形であることが法律の形としては整って、理想的な形になるかと思いますが、これは河川法の改正の機会におきまして、今お話がございましたように、河川審議会につきましても河川法の中にもこれを入れるということは適当な方法であるかと考えておりますけれども、一方別な方法によりまして、設置法だけで審議会を設置している事例も多々あるのでございます。建設省の設置法によりますという、各種の審議会がございますけれども、住宅対策審議会というのは、これは建設省設置法だけによりまして設けているものでございます。また道路審議会も道路法の中にも掲げてございますが、同時に建設省設置法の付属機関として同じように掲げてあるわけでございまして、この河川審議会につきまして建設省設置法に法的根拠を持たすということになりますと形としてはなるほど道路審議会と同じ形ではないという状態ができ上ると思いますけれども、しかし、設置法も各省の所掌事務の権限をきめた法律でございますし、それぞれ法律で、同じものでございますので、いずれに掲げたから非常に軽く見ているとか重く見ているということはないと思います。河川法の根本的な改正のような機会がありました際には、これも同じように河川審議会を河川法の中に入れるということも適当な方法であると考える次第でございます。秋山長造君 道路法は戦後昭和二十七年に新しい時代の要請にこたえて、全く新しいものができているんですね。ところが、河川法の方は明治二十九年にできた法律がそのままずっと今日まで持ち続けられてきておるんですが、それからまた水道条例あたりもそうですね、明治二十三年にできたのが、ずっと今日まであるんですが、どうも道より水の関係の方がおろそかになっているんじゃないかという感じを受けるのですけれども日本のような大小河川の多い国では、やはり河川法というものは道路法と並んで非常に重要な基本法だと思うのですよ。建設行政の上でも一番基本的な法律だと思いますが、この河川法の根本的な改正というものが、なぜ今日までできないで、明治二十九年の法律がそのままずっと続いてきておるのか、その理由について御説明を願いたいと思うのです。明治二十九年当時の河川法のままで、別に今日においても改める必要がないからそのままずっと続いているのか、それとも改める必要はあるのだけれども、何か大きな障害があってなかなかうまくいかないとすれば、どういうことがその障害になっているのか、それからまた建設大臣として今後この河川法というものをどういうふうになさるおつもりなのか、その三点についてお伺いしたい。
  89. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) ただいまのお尋ねにつきましては、いろいろ原因もあるようでございますが、日本の河川につきましては、その発達の歴史が非常に沿革が古いのでありまして、従いまして河川法は多少今日の段階におきましてはいろいろ治水、利水の問題につきまして改正しなければならぬいろいろ大きな問題もありますが、総括的には道路法のように、道路行政というものは最近になりまして目立って改革を要する面が出てきたために道路法を改正したようなわけでございますが、それほど河川法の場合においては必要がなかったままに今放置せられておりまするけれども、この河川法につきましてもいろいろと各省間の調整、いろいろな問題、ことに今発電その他の問題につきましては懸案の問題もありますので、改正の要がありまするが、まだその時期に至っておらぬというような状況であります。
  90. 秋山長造

    秋山長造君 根本的改正の必要はあるがその時期に至っていないというのは、もう少し具体的にはどういうことなんですか。
  91. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) お答えいたします。河川法に関係する問題といたしましては、例の国土総合開発審議会に水制度部会というものが設置されまして、二カ年有余にわたりまして水制度の問題につきまして検討されたのでございますが、その結論もまだはっきり出ていないというような点もございます。そんなような状況でございまして、その河川法は改正しなければならぬという点は考えられるのでございますが、その方向をいかがにするかという点につきまして、政府といたしましてはまだ確定したところまで持っていけないというのが実情でございます。従いまして時期的にもそういう点で今直ちにということは申し上げられない、こういうことでございます。
  92. 秋山長造

    秋山長造君 たとえば河川法を見てみますと、文章も昔の文語体で、まことにこれは古色蒼然たるものですが、中に使われている用語なんかも、たとえば地方長官という言葉があちこちに出ておりますが、今は地方長官という言葉は使わないでしょう。その他いろいろあるのですが、こういうものは、なんですか、このままつぶしをきかせて昔の地方長官と言ったら、今の府県知事だからというので、府県知事ということに読みかえてやっておられるのだろうとは思いますけれども、しかしやはり、大臣はその時期じゃないとおっしゃるが、その時期はまだどころじゃない、とっくに来ておるのだけれども、いろいろな関係でじんぜん時日が延びておるということじゃないのですか。今度の河川審議会でもできたら、一つ早急に河川法というものの根本的な大改正ということをおやりになる御意思はないですか。
  93. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) ごもっともな御質問でございまして、先ほど申し上げましたようにいろいろ河川法の重要な問題について改正を迫られておることも事実でございます。先ほど河川局長から答弁いたしましたように、今これに関する答申等も整いませんので、おくれておるのでありますが、今度御審議願っておりますこの河川審議会等ができますれば、もちろんこれらの審議会にも諮問いたしまして、各方面の御意見を承わって、その方向に進めたいと思う次第でございます。
  94. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ちょっと関連して今の問題で……。ただいま秋山さんから御質疑の点、私も実は疑問を持っておったのであります。この間承わりました提案理由の説明によりますと、どうもはっきりしない点が一つあったのであります。それは、河川及び海岸に関する重要事項で、建設省の所管に属するものを調査審議させることとするという御説明なんですね。この説明をそのままに、狭い解釈になるかもしれませんけれども、判断してみますというと、現在河川の管理について、一部分は農林省の所管になっておる、下流の方は建設省でやつておる、建設省で所管されておる部分のその河川の所管、つまり現行法の建前としてのその所属の分を審査させるというふうにも聞えました。その点疑問を持っておるわけであります。私の頭にしみ込んでおりますのは、農林省と申しましても林野庁との関係の所管の、具体的に申しますというと、下流の方は建設省で、山及び山に近い上流の方は農林省で所管されておる。これが河川の管理には非常な障害を来たしておる。ある所に行きますというと、川の流域でこっち側は建設省で見なければならないような所もあり、こっちは山林の方で見た方がいいというような所もある。こういう所でぽつっと切っておられるために、建設省の方で幾ら力を入れて河川の改修をされても、あとでどさっとくずれてしまう。現に箱根の二子山では、今申しますようにこっち側は建設省、こっち側は農林省の所管でやって、一方の方は植林をよくしておる、建設省の方はよくしておる、一方の方はしていない両方とも雨が降るから水が出れば幾ら建設省がりっぱにおやりになりましても、片一方でぞんざいにやればがけくずれがあるのは当りまえです。こういうことが方々にあるようであります。こういうことは、私はしろうとでどうしたらよいかわかりませんけれども、しろうと考えで言いますと、この流域はずっと山の奥まで建設省の関係が主であるのならば建設省で所管する、ほかの流域は山林の方が主だから山林の関係で所管されるというふうに分担させるかあるいは一本にいくということも一つの方法であり、分担させるとすればどういうことにさせるか、いろいろ検討の余地があると思います。私の承知している限り、長い間の数十年来の伝統で農林省とあなたの方との争い、これは政治的の争いということよりも、立ち入っていえば技師の仲間の争いであり、どうも今日までうまくいっていない。これは私は非常な障害だというふうに今日も思っておる。数年前にも内閣委員会でその問題を取り上げたことがありますが、なかなか長い間の伝統を破って両方うまく話し合いをすることができない、今日までやはり同じような状態というふうに承知しておる。たまたま河川審議会というものをお作りになつたということで、私はそういう問題をこの際にしっかり解決されるというのが、大きな看板じやありませんが、そういう種類のことを解決されるということが大きなねらいじゃなかっただろうかというふうに想像しておりましたところが、この間の御説明がどうもはっきりしない点がありましたので、お尋ねしたいと思っているところに、ちょうど似寄ったようなことを秋山さんから御質問があったわけであります。私としても、この問題は、この審議会は大きい審議会にして、ただ建設省だけの事務的な問題でなくして、政治的にもいろいろ上で研究されていく必要がある、ついてはこの関心があられる人にいたしましても、委員はもとよりでありますが、建設省が主ということじゃなくて、農林省とその他の広い部面もすっかり取り込んだ本来の審議会として活躍されるようにしてもらいたい、こういう私は切なる希望を持っておるわけであります。その点どういうお考えでありましょうか。今の秋山さんの御質問に対しては、そういうようにお考えになっておられるかのように聞きましたけれども、もう一ぺんはっきり御説明願いたい。
  95. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) ただいまの御質疑は全く私ども同感でありまして、先ほども申し上げましたように、河川審議会が今度設置されますれば、広く国土総合開発というような面から、日本の河川の治山治水というような面も十分勘案いたしまして、広く学識経験者の意見も尊重いたしまして、そうしてこれらの対策をしたいというのがねらいでございまして、だだ先般の説明の中に、建設省に関する云々ということがごさいましたのは、できるだけ他省に関係することまでも加えるということは少し僭越であると考えましたので言葉の上ではきょうになっておりますが、審議会におきましては、広く日本の国土総合という建前から河川に関する一般の事柄についての御審議をさしていただきたい、こう考えておるわけであります。
  96. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 わかりました。そうしますと、広く御審議をきせるということになっているようでありまするが、この案ができるまで、つまり河川審議会というものを作って大々的に検討きせるのだということにつきましては、閣議はもとよりといたしまして、農林省と建設省との間には完全な了解ができているのでございましょうか。
  97. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) もちろん、お尋ねの点でございますが、次官会議、閣議を経ておりまして、この法案を国会に提出しましたわけでございまして、その間におきまして次官会議の前等におきましても、この法案を農林省通産省、運輸省、厚生省という関係のところに十分協議をいたしております。そうして今お尋ねのような点につきましても非常に広範にまたがる場合の問題も出まして、建設省の付属機関でございますから、お尋ねのように建設大臣と書いてございますけれども、この議題の影響するところがほかの省の行政に関係がある場合には、議題等につきましてもあらかじめ今申し上げましたような各省に十分事前に連絡をいたしまして、かつ審議会のメンバーには必ずそれらの省の次官級のものに入っていただく、こういうようなことで、了承を完全に得ております。
  98. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 実はこの内閣委員会において数年前に今私の申しました問題からきまして砂防局というものを一つ作ろうじゃないかというような非常に熱心な主張も一部から出たわけであります。しかし、この水の問題はそう簡単に解決できないので、両省の関係もさっきも申しますように、非常に長いいききつもあるので、そう簡単にここできめるわけにいかないというようなのが多数意見でございまして、そのままになったような経過もあるわけでございます。そういう点をお含み下さいまして、この機会に、ぜひ何とかこの大きな問題をあなたのお手によって解決していただきたい、切なる希望でありますから、申し入れしておきます。
  99. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  100. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。  三時まで休憩します。    午後二時三十四分休憩   —————————————    午後三時十九分開会
  101. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  国家行政組織に関する調査のうち、行政監察に関する件を議題に供します。本件に関し、まず行政管理庁当局から監察の現況について御説明を願いたいと存じます。
  102. 岡松進次郎

    政府委員岡松進次郎君) 私から現在やっております監察、なお来年度四月からやります監察の現況につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。従来行政監察の監察方針といたしましても、いわゆる政府の重要施策に即応してやっておったのでございますが、本年度、昭和三十二年度におきましても、やはり政府の重要施策に即応して監察計画を立てることが必要だということで、本年度大体四つの柱を立てたわけでございます。それは、一つは政府の重要施策として道路行政あるいは税務行政、あるいは社会保障行政等、重要施策について臨察して、その合理化をはかりたいということが一つでございます。  一つは公団、公庫というものが、従来あまりなかったわけでございますが、この二、三年来相当公社、公庫というものがふえまして、大体事業を始めておる状態に達しましたので、本年特にこの方面にも監察をしたいということで、一つの柱として立てたわけでございます。   なお三番目には、公共企業体、及び特別会計、これは御承知のように食糧管理特別会計等も含めておるわけでございますが、そういうものの業務運営に関して、非常に国民的な関心が深いわけでございます。この方面にも監察の計画を立てていきたい、こういうふうに考えております。なお、従来からもやっておりますけれど、あるいは調達問題につきまして、いろいろと会計検査院その他から非難を受けておるというような官庁に対しまして、あるいは従来もやっておりました補助金の運用等につきまして、これは設備の合理的使用というものに重点を置きまして監察をやりたいというふうに、一応の方針を立てたわけでございます。ただ、この監察に関連をいたしまして、なお根本的には官庁業務が能率的に行われるということが必要でございまして、従来ややともすれば非能率に行われるということを改善いたす上におきましても、こういった方面にも留意をして監察をしていきたいというふうに考えております。なお官紀、綱紀の粛正ということも強く要請せられております際におきましては、監察に関連して各省がやっております執務体制の改善あるいは責任体制の確立という点につきまましても、特に監察計画の途上におきまして、これに留意して見ていこうというような方針で、本年度監察計画を立てたわけでございます。ただ、私の方の役所は、あらかじめ一年間の計画を固定的にきめますということは、非常に、あまりに固定いたしましても……、やはり時々刻々の問題をとらえて監察をやっていくということも必要でございますが、一応一年間の重要な項目は、こういう項目をやりたいという予定は一応立てておるわけであります。その中で、第一四半期、つまり四月から四、五、六、第一四半期に考えております項目といたしましては、防衛庁の監察をやることにいたしております。これは今述べました第四の調達等につきまして、依然として各方面から批判を受けておるという柱に該当する項目といたしまして取り上げたわけでございます。これは相当防衛庁は機構も膨大でございますので、第一四半期だけではとうてい監察を完了することはできませんので、第二四半期にかけてやりたい。とりあえず第一四半期といたしましては、陸幕関係の調達という点に重点を置きまして監察いたしたい。第二四半期に空幕、海幕というふうに進んで参りたく考えております。  それからもう一つの一四半期の項目といたしましては、食糧管理行政監察、いわゆる食管の実態を調査いたしまして、その運営の改善に資するわけであります。これは御承知のように、先般の国会におきましても、相当論議された問題でありまして、また別の意味におきまして、内閣に特別調査委員会というものが設けられているようでございますけれども、私どもの方の立場といたしましても、それとは別個に、食管行政につきまして、事務的改善の余地があるかどうかという点に重点を置きまして、監察をいたしていきたいと考えております。大体食管の赤字の分析により、赤字の実態がどこにどういうふうな赤字が発生するのかという点が、今の食管会計というものが非常に複雑でございまして、非常に不明朗であるというような声もありますので、これを各項目に分けて、赤字の所在、実態というものを監察して参りたい、また従事いたしておりまする職員の、本庁並びに食糧事務所の事務の管理状況、いわゆる事務量に対してどの程度人員というものが、つまり事務増減に応じて、人員が適当に配分されているかどうかという点についても見て参りたい。それから食糧の保管管理の状況が適正に行われて、そうしてむだな費用がかかっていないかどうかという点にも監察を進めていきたい。それから黄変米及び麻袋の処理状況が不適正のために、国に非常な損失をかけているという点についても監察して参りたいというふうに考えております。  もちろんわれわれの監察の結果というものは、でき得る限りこの委員会にも反映して委員会としての結論の資料として反映さしていきたいというふうに考えております。別個にやりまするけれども、その結果は委員会に十分反映いたしたいというふうに考えております。その結果、非常に時期的にあまりおそくなりますと意味がございませんので、六月末ぐらいまでには、一応の私の方の監察結果を取りまとめて参りたいというふうに考えております。  それからもう一つといたしましては、これは現在御承知のように政府職員には定員外の職員が、常勤的非常勤職員、それから常勤労務者、たしか来年度からは常勤職員という名前にかわったと承知しております。この二種類があるわけであります。これを将来適当な職種とし申しますか職務の者を定員の中に繰り入れるという問題があるわけであります。この問題は、実は監察部ではなくして管理部で所掌する事務でございますけれども、その判断資料といたしまして、現在の常勤的非常勤職員並びに常勤労務者がどういう勤務状態にあって、これを定員の中に組み入れる適当な職務態勢にあるかどうかという判断の資料を作るために、その実態を調査するということをやることになっております。  第一・四半期といたしましては、そのほか公共事業におきまして、各推計別にいろいろと総合的な仕事が行われていまして、それが総合的にうまく行われてないような現状が多々あるわけでございますが、これは全国的に申しますと非常に対象が多いのでございますが、人手の都合によりまして適当な規模の推計三カ所ぐらいを選びまして、われわれの方では技術監察と申しておりますが、主に技術者を主としましてその総合的運営というものについて監察いたしたいというふうに考えております。現在第一・四半期に予想しております監察は以上でございますが、先ほど申しました政府の重要施策に応じまして、今後なお取り上げなければならない問題が非常に多いわけでございますが、何分にも人員その他の機関等の都合によりまして、全部が全部一年間にやるわけに参りませんので、その他のことを勘案いたしまして、第二・四半期以後の計画をきめて参りたいと思っておるわけでございます。  御参考に今後こういうことはぜひやりたいと考えておりますのは、一つは道路整備事業でございます。これはいわゆる道路公団を含めた意味におきまして考えておるわけでございまして、道路公団発足以来すでに仕事を始めておりまするが、その運営の状況を兼ねて、あわせて一般的な道路の整備監察をやりたいというふうに考えております。  もう一つは、やはり政府の重要施策である住宅対策事業の監察もやっていきたいと考えております。これはやはり日本住宅公団及び住宅金融公庫、公団、公庫を監察するという意味において、監察計画として考えておるわけでございます。  もう一つは税務行政監察でございますが、現在まだ今取まとめ中の税務行政監察をやっておるわけでございますが、これはいわゆる徴税方面事務能率化、事務改善という意味で現在実施いたしまして、ただいまその結果を取りまとめ中でございますが、今申し上げます税務行政監察は、さらに課税の方面におきまして適当な監察項目を考究いたしまして、いわゆる税務行政を一貫した監察に取りまとめていきたいというふうに考えております。  その他社会保障行政につきましてもいろいろ項目があるわけでございますが、まあそのうちの適当な一項目なり二項目なりを選んでやろうというふうに考えております。  なお公共企業体につきましては、一昨年ですか、国鉄の調査をやりまして勧告をしたのでございますが、その後、現在においても国鉄につきましてはいろいろ問題があるようでありまして、本年におきまして、従来勧告いたしました線の相当改善にも国鉄は努めておりますけれども、なお勧告の線に沿って十分改善が行われているかどうかという実態を監察いたしまして、なお改善が十分行われなければ、さらに推進的にこの改善を促進するという意味で取り上げて参りたいというふうに考えております。  その他なお監察項目としては相当考えておりますけれども人員の都合、行政機関の都合によりまして、またそのときのいわゆる重要施策のウエイトに従いまして、時々考えてやって参りたいというふうに考えておるわけでございます。  簡単でございますが、御質問ございますればなお御説明いたしたいと思います。
  103. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 長官が来られましたから、一つ質疑をやって下さい。
  104. 田畑金光

    田畑金光君 今いろいろ行政管理庁でこの一年間にやろうと計画されておる諸般の項目をご説明になりましたが、限られた行政管理庁の機構人員で今述べられたようなことを全部やり遂げるというようなことは、これはとうていできないことだと思いますが、所管大臣といたしまして、これらの事項のうち何を当面最も重要な問題として取り上げられ、かつ調査等を進めらるる御方針であるか、承わりたいと思います。
  105. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) ただいまの御質問でありますが、私ども行政管理庁と申しましても、定員も限定されておりますし、全国に各局が置かれてありますけれども、これも定員が少いのでございまして、もちろんこれは皆さんの御期待に沿うだけの仕事はやりかねると存じておりますけれども、できるだけの努力を払ってせいぜい勉強しておる次第であります。その方針として私はまあ大体二つ考えておるんです。  第一番の方針は、国の国策というものを重く見なくちやいかぬだろう。たとえば今年度は住宅政策に重きを置くんだ、あるいは減税政策に重きを置くんだという場合も、そういう国策の線に沿うて監査宿していくというのが第一点だろうと思います。  もう一つは、世間から見て問題にされ非難の起りやすい点、たとえば道路の補助の問題とか、あるいは河川の改修問題とか、あるいは住宅の建設問題とか、あるいは税金の問題とか、あるいは企業体におきます収入の問題とかいうような、世間からややもすると非難され問題にされるような点を注意して進むべきじゃないか、こういう私は考えを持っております。  で、大体は、年の初めにおきまして一カ年の計画を大体立てております。一年を大がい四つぐらいに割りまして、その間に標準に従ってやっていくという大きな方針を立てております。と言っても必要あったならば、これはどうしても緊急のものであればその緊急のものをやらなければならぬということはできますけれども、大体の方針としては以上申し上げたような方針でやっていくつもりであります。
  106. 田畑金光

    田畑金光君 国策に重点をおいて、国策推進の立場から管理庁としても調査案件を進めていかれるということはよくわかりますが、仰せのように、国策の内容といっても広範多岐にわたっているわけです。当面どの国策に重点をおいて行政管理庁として取り組んでいかれようとしているのか。私のお尋ねしておるのはその点でありまして、たとえば先ほどのお話の中にもありましたが、行政管理庁として食糧管理特別会計、特にこの点はいろいろ世間で疑惑を持って見ているわけです。同時にまた本年度の予算審議の中で、野党が最後まで追及したのは食糧管理制度赤字の問題であるわけです。その赤字問題についても行政管理庁として検討を進められる。こういうような御説明があったわけですが、そういたしますと今度内閣に持たれる、政府に置かれる臨時食糧管理制度調査会との関係はどういうことになっていくのか。これと行政管理庁が今後やっていかれる仕事の内容とはどういう関係を持っていくのか、全然別個であるのか。あるいは同じ内閣の下で本来のできた目的はあるいはいささか違っておるかもしれぬが、取扱いの内容については同一の問題を調査検討を進めていかれるといたしますならば当然両者の関係等にも何らかの横の連係等もあってしかるべきだと、こう考えるわけです。で、最初に取り上げられるのは何を取り上げられようとしているのか。この点と、例といたしましてお話のありました食糧管理制度赤字の問題をあげられましたが、これと政府に今回設置された臨時食糧管理制度調査会との関係はどういうことになるか。この点を承わりたいと思います。
  107. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 食管会計の検査でありますが、これをこまかく分析してみますと、まず第一に赤字の実態をつかみたいと思います。いろいろ赤字がどうなっているのか、赤字の実態をつかんでみたいというのが私どもの希望の一つであります。その次には食糧本庁並びに各地方の食糧事務所の事務管理の状況事務管理といいますか執務の状況といいますか、事務管理の状況、それから品物を保管しておる保管管理の状況、物を保管している管理の状況、それから黄変米及び麻袋の処理の実態、こういうのを主眼にして一つ仕事をしてはどうだろう。こう考えておる次第でございます。  なお今御指摘になりました食糧政策を中心とした委員会設置、これはもう御承知通りできましたのですが、これを、ある程度どもは結果によってはこれを補助していきたい。この委員会と連絡をとって、この委員会が、こういう点は、どうかというようなことがあったならば、私どもの調べた範囲においてその材料を提供しまして助けていきたい。こういう考えをもって目下のところ調査が始まっております。もうすでに私どもの方は調査が始まりました。
  108. 田畑金光

    田畑金光君 今お話の四点を中心として食管会計にメスを入れるというわけになりますが、そうしますと、今政府に置かれました臨時食管制度調査会と、取り組む内容についてはほぼ同様なことではなかろうかと、こう見るわけです。と申しますのは、今度新しく設置された調査会でも赤字の原因というものは那辺にあるのか。どこから出てくるのか。それは保管の状況もありましょうし、あるいは外米の輸入、黄変米のような問題もありましょうし、あるいはまた金利の問題等もありましょうし、いろいろ経理から食糧の買上げ売り渡し等々諸般にわたりますけれども、中心はやはり先ほど大臣のお話になった点が中心になるのじゃないかと、こう思うわけで、そうしますと大体取扱う仕事についてはあれとこれとは同じことをやるのだと、こう見てよろしいですか。
  109. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) あるいは同じ面があるかとも存ぜられまするが、私はある面においては異なった面が多々あると存じます。第一おそらく今度できます調査会は、地方にまで出張をして倉庫なり事務所まで見ることはおそらくできまい。結局農林省の提供した材料によってこれをやっていくのじゃないか。私の方は今回の計画はこの全国の管理機構一切を動員しております。たとえば黄変米にしても東京にばかりないのです。北海道にもあるのですよ。こういう問題についての保管あるいは保管量の問題、一例をあげればそういうような工合に全国に網を張ってこれを一つ材料を収集してみよう。ですから範囲においても私ども広いのです。また調べる事柄もおそらく私の方が広いじゃないか。もちろん一致した点もあると思いますけれども一致しない点もある。範囲においては私どもの方が広い、こういう考えを持っております。
  110. 田畑金光

    田畑金光君 確かに取り扱われる範囲は広いということは理解できますが、行政管理庁としては全国に出先機関を持っておられるし、取りかかられる以上は全国の機関を動員されておやりになるわけですから範囲も広いし、また調査検査の結果も権威のあるものである、とこう見ますけれども、今度置かれるやはり臨時食管制度調査会にいたしましても、とにかく今の食管制度というものは伏魔殿であると、なかなか内容がわからぬ。歴代の食糧庁長官であってもほんとうに内容がわかっているのかどうか疑わしのだと、所管の長官であってもなかなか万事について承知しているとは言えない。ことほどきょうにこの内容というものは複雑にわたっていると言われているわけなんです。で、今度政府に置かれる調査会というものはそういう万般について根本的な検討をやるのだと、そうしてその検討の結果どういうわけで赤字が出てきたのか、あるいはそれをどう是正すれば食管会計の健全化がはかれるのか、一般会計と食管会計との関係はどうすべきであるのか。あるいはさらにそういうもろもろの検討の中から米価の問題等がどうなければならぬか。あるいは生産者価格と消費者価格等についても問題が出てきましょう。そういうことを考えましたとき当然今度できました臨時食管制度調査会というものは、その仕事を進める裏づけとしては政府部内から出てくる権威ある資料というものは当然必要であるし、また要求すると思うのです。で、その場合に、それは食糧庁でやるのか、あるいはせっかく行政管理庁でこれだけの大きな機関を動員しておやりになるとするなら、むしろ行政管理庁にやっていただいた方が、あるいはまた行政管理庁がいろいろ検討された結果を、今度できる調査会等に連絡されてやられるのが妥当、適切であり、また実際的であるような感じを持つわけですが、これはどういう関係になりましょうか。
  111. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 私ども行政管理庁としては、あくまでも事務的に、まあ是々非々主義といいますか、善は善とし悪は悪としてほんとうの是々非々主義で進みたい、事務的にものを見、ものを解決したいという立場に立っておるのであります。この今度できます調査会ですが、これは全く事務的のものかどうかは運用を見ないとわかりませんけれども、多少政策というものを加味していくじゃあないだろうかとこういう考えも持っておるのですが、私どもはそういう考えと全く離れず、ほんとうに事務的にこの事務はこう処理すべきだ、この事務はこう処理すべきだという具体的の問題を取り上げて、事務的にこれを解明してみたいと、ですから、ここに多少の私は違いが出てくるのじゃないかとこう考えるのです。
  112. 田畑金光

    田畑金光君 今までは、行政管理庁として食管制度等に対し調査されたことはないのですか。
  113. 岡松進次郎

    政府委員岡松進次郎君) 事務的でございまするので私からお答え申し上げます。従来食糧庁の業務につきましては三回やっておるのであります。食管会計と申しましてもいろいろ広い面がございますので、それを全部にわたって一どきにやるわけには参りませんので、一次、二次、三次と従来やっております。最初にやりましたのは、簡単に申し上げますと、食糧庁がたとえば災害用に乾パンというものを備蓄しておるのでございまするが、これが実際災害にあまり使われずに、いわゆる一カ所に固まっておったりしまして、実際災害用に使われずに古くなって参ります。そうしますとそれを安く払い下げるわけで、そういう結果非常に国損をかけている。もう少し配給計画といいますか備蓄計画を綿密にやる、また実際の災害の予想した数量を備蓄するということになれば、非常にそこに国損が救われるというような点につきまして監察いたしまして、改善方を勧告したわけでございます。また特殊売却用の加工原料の砕米とかあるいは外精米の売却につきましても、もう少し価格につきまして改善の余地があるのではないかというような、あるいは事故米あるいは不適食糧の売却等につきましても改善の余地があるということで勧告いたしまして、これが第一次の大体監察の内容でございます。  第二次は米の輸送費の問題につきまして主として見たのでございます。これにはいわゆる鉄道運賃の納金の問題がございます。プール的に納金しておるというような面につきまして、それでは非常に費用がむだであるというような点につきまして、あるいは日通が請負っておりまする輸送費の問題につきまして、市場実勢と照し合せまして不合理な契約の改善方を勧告いたしたのでございます。これは事務的には非常にこまかい、いろいろな貨車の積みおろし料とかあるいは集配料、貨車の清掃料、あるいは貨車に積む積載の効率の問題とかいろいろな面につきまして見まして、改善方を勧告したのでございます。  それから第三次といたしましては、外国米を商社が買って参りましてこれを船から港に運びます、その荷役運賃の問題につきましてこれの経費の節約方につきまして勧告いたしたのでございます。この一、二、三次の勧告改善につきましては、大体事務的にもすでに改善が行われておると承知しております。  大体こういうような改善をいたしますと、十三億くらいになるというふうな勧告を従来やっておるのでございますが、今回の監察は、今大臣からも御説明ありましたように、一つのまあ国策と申しますか、食糧行政につきましていろいろ問題があるというので、観点を変えまして今まで見ません面につきまして見るわけでございます。  で、私からちょっと一言補足させていただきたいと思いますのは、この委員会といたしましても、もちろん農林省から資料を取って研究されるのでありまして、単に机上調査をやるというふうに即断するのは非常に失礼であると思います。ただ委員会といたしましては、もちろん国会でも問題になりましたように、食管の赤字をどういうふうに補てんしていくか、事務的にこういうふうにむだがあるというような問題ももちろんタッチされると思いますけれども、この赤字を補てんするためには、われわれ監察といたしましてはタッチできない面、つまりまあ政策に関する面が非常に多いわけであります。たとえて申しますれば、米の買入価格というようなことにつきましても問題があるわけであります。あるいは麦の買入価格というような問題もあるわけであります。また実際赤字ができた場合にこれをどっから補てんするか。まあこの間問題になりましたように、米を値上げするかどうかというような問題は非常に重要な委員会の目的ではないかと思います。その資料といたしまして、こういう面に節約があるということで赤字が少くなるのじゃないかという問題はあると思いますが、最後は国策政策に関することで判断しなければならぬ問題が非常にこの行政には多いわけでございます。われわれの方の政府部内の管理庁の監察結果といたしましては、今大臣も説明されたように、事務的にこの改善の余地を検討するわけでありまして、いわゆる政策的な面につきまして云々するということは監察の結果としては少し行き過ぎではないか、権限外ではないかというふうに考えております。その判断の資料は委員会で大いに活用していただくように研究いたしたいと思います。まあわれわれの監察は、今申しましたように非常に広いとも言えますし、また、われわれの監察としてはタッチできない面も委員会としては相当あるのじゃないか。が、委員会としてやられる面も非常にあるのじゃないかというふうに考えております。
  114. 田畑金光

    田畑金光君 御説明、御趣旨はよくわかりますが、私のお尋ねしたいことは、今度できる委員会というのは、大臣お答えのように、確かに政策的の問題を中心として取り扱うことは明らかです。また、そのための委員会であることもこれは設置の趣旨からいって当然なことだと思うわけです。ただ、政策あるいは方針を決定するにいたしましても、問題は食管会計の内容がわからないということです。なかなかうかがい知れないというところにあるわけです。そうしますと、そのうかがい知れないところ、今回行政管理庁が今まで第三次の食管会計、食管制度についてメスを加えてこられましたが、今回、第四次にさらに第三次から進んで赤字の実態を具体的にどこに赤字が出てくるのか、それと本格的に取り組まれる。こういうことになっているわけなんです。従いまして、今度できました委員会等も政策を立案するにしても、食管制度の内容全体が明らかにならなければ政策の立案自体もできないと思うのです。従って今度の行政管理庁でやられる仕事の結論というものは、今後の委員会の結論に対して、委員会の政策立案に対し、あるいは委員会の答申に対し大きな比重を占めるものと私たちは判断するわけですがこの点はどう大臣としては見ておられましょうか。  さらに関連してお尋ねしたいことは、政府に設けられました今回の委員会というものは、もうすでに発足しておりますが、第一回の会合も先般持ちましたが、で委員会は動いておると思います。いつごろまでに政府に置かれた委員会は結論を出し、政府に答申される予定であるのか、関連して承わっておきたいと思います。
  115. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) ただいま御質問の通り調査会のメンバ一には限りがあるのです。二十数名ですか、この人だけで全国の調査はできないし、中の調査もなかなか困難だろう。そこで私どもはそこに目をつけて一つ調査会が調査する前に、調査に着手して、赤字の実態を把握しよう、そうしてできましたならばこの調査会と連絡をとって調査をされるために材料を提供しよう、こういう心組みをもっております。従って私の方はまず大体六月ごろには一応の目安をつけたいこういう心組みで三月から仕事が始まっておる次第であります。調査会とはあくまで提携し、調査会を助け、国の政策立案に資したい、こういう心境であります。
  116. 田畑金光

    田畑金光君 行政管理庁で取り上げておられることは、事務的な仕事が中心であるということもよくわかりますが、しかし行政管理庁はたとえばその関係長官に対し勧告も出すことができるわけです。あるいはまた行政管理庁でいろいろ監査をやられた結果に基いて、総理大臣に対しあるいは総理大臣を通じ、関係行政機関の長に改善を指示するように意見の具申もできる。また長官は監察の結果、綱紀を維持するため必要があるときは関係行政機関に対し意見を述べる、こういうようなこともできるわけなんです。そういたしますと、行政管理庁自体として扱っておられる仕事は、確かに事務的な仕事のように見受けますが、出てきた結論というものはそのまま国の政策立案に通じていくわけなんです。そういう状況を見ましたとき、今回のこの食管制度の問題等についても重要な結論行政管理庁でやられた結論というものは、重要な国の政策立案に影響を及ぼすものと私たちは見ているわけです。  従いまして私は先ほどお尋ねした、今度の政府に置かれた委員会の答申というものと、非常に行政管理庁の検討と関係深いように見受けるのですが、この点いま一度一つ意見をお聞かせしてもらいたいと思うのです。
  117. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 私どもさきに申しました通りあくまでも実際に立脚して赤字の実態を把握する、そうして把握したものは一方においては委員会と連絡をとって、新たにできましたこの調査会と連絡をとってこれを伝達していく、資料を提供していくということ。同時にもう一つは管理庁長官としての立場から閣議においてこれを提供してその目的の完遂のために尽すと、こういう二つ方面で進んでいきたいと思うのであります。従って私どもの今回の責任はよほど重いということは今から考えておるわけです。ま、たどこから批評されてもこういう結果をむしろ妥当だという見方を受けるように期待しておるわけであります。そういう心境で私どもは今回のこの仕事に当りたいと考えております。
  118. 田畑金光

    田畑金光君 三公社五現業についても監察を始められるようでありますが、三公社五現業といってもこれは非常に大きなことで、とりあえずどの公社あるいは現業からまず手をつけて始められようという方針であるのか。
  119. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) これは昨年度におきまして多分雪女公社とそれから専売公社の二つはやったと思います。あとの残ったのを順々にやりたいとこう考えております。
  120. 田畑金光

    田畑金光君 順々にといっても何から手始めにやろうという御方針なのか。電々公社と専売公社についてはもうすでに済まされたようですが、今度は特に最近問題としてクローズアップされてきたのが国鉄の問題です、これは今回の春季闘争にからんでいろいろ政府部内で検討を進められているようです。あるいは公労法の問題にも手をつけるやのごとく、あるいは法改正案を出されるがごとく巷間伝えられているわけで、あるいは公共企業体自体についても政府は検討を進められるようでありますが、どうもわれわれが察するところでは国鉄等に今度は向けられるのではなかろうかと、こう見ておるわけなんですが、国鉄に対しまして行政管理庁長官としてはどういう考え方でおられるのか承わりたい。
  121. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) さきに申し上げた通り、私の方の定員には限りがあって一ぺんに全部はとてもやれません。今、力を注いでいきたいのは防衛庁の関係と食管会計、これに力を注ごうとしているのであります。国鉄の問題について今お話がありましたが、これは多分二年前に、と思いますが、調査しまして警告すべきものは警告し、改善を促すものは改善を促してやりましたような次第で、なかなかこっちの手が及ばないのではなかろうか。まあ主として防衛庁と食管会計に力を入れるというのがただいまの心境である……。
  122. 田畑金光

    田畑金光君 政府の中では国鉄の公共企業体としての性格をやめて、純然たる国有にもっていこう、こういうような考え方等もあるように聞いておりますが、この点はどうなんですか。
  123. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) いわゆる総評を中心とした春季闘争といいますかこれを中心として国鉄その他の公共事業に対して国論が各方面から沸騰している実情である。従ってこの機構をこのままにしておいた方がいいかどうかという調査をしようじゃないか、という心がまえが多少関係閣僚の間に起っているように見受けますけれども、これはしからば具体的にどういう時期にどういう人によってやるかということについては何ら決定をしておりません。ただそういう意向がちょこちょこ漏らされている程度であります。
  124. 田畑金光

    田畑金光君 先日の予算委員会では、宮澤運輸大臣から明確にこの企業体についても再検討するということが答弁になっていたようですが、そうしますと、それは所管大臣のまだ考えであって、政府としては国鉄企業体に関してこういう方針でいくとか、あるいはまだ今回の春闘を通じ公労法あるいは組合運動の面についてこういう規制を考えておるのだとか、こういうようなことは閣議等で何ら話し合いに上っていない、こう理解してよろしいのですか。
  125. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) さきに申しました通り関係閣僚の間でこそこそ話は起っておることはあるようでありますけれども、公式にどうするとか、どういう委員会を作るか、どういう工合に組織するかという具体的問題については全然閣議の議題に上っておりません。
  126. 田畑金光

    田畑金光君 そういたしますと、今度は行政管理庁自体といたしましては、今のところ防衛庁関係と食管制度関係の監査に手一ぱいで、その他の公社、現業関係について乗り出すという予定はないのだと、こう理解してよろしいのですか。
  127. 岡松進次郎

    政府委員岡松進次郎君) 先ほどちょっと私から計画として触れましたように、従来二年前にやりました際の勧告に、またその前にすでに三回ばかり国鉄はやっておるわけであります。その前の勧告に、実は最近決算委員会で問題になりました部外貸付転用の問題、こういうような問題も勧告しておりますし、あるいは構内営業料金が非常に高いから安くしろ、こういうようなことも勧告してございますし、また一番最後にやりました勧告におきましては、いわゆる外郭団体が一手に工事を請負ってそれをほとんど下請に出しているというような極端な例もある。また請負金額が非常に実績に比して高い、こういうような事柄、その他多くの事柄の改善事項を勧告しておるわけでございます。これは国鉄といたしましてそのつど改善いたしておるわけでありますが、いろいろな事情でまだ十分に改善されていないというようなものが、最近国会でも問題になっておるわけでありまして、従いまして本年度国鉄をやりたいという、私の方の監察の内容といたしましては、従来勧告いたしました内容がどの程度改善されておるか、また勧告した内容についていろいろ事情もあるだろうけれども、まだなかなか手をつけていないというような問題は、至急に勧告の趣旨によって改善したらどうかというふうに促進したいという意味でございまして、これは大臣の御答弁になりました公共企業体をどうするかというような問題とは別でございます。
  128. 田畑金光

    田畑金光君 それでは次に一つお尋ねいたしたいのは、行政組織法との関係でありますが、内閣法について政府は再検討を進められておる、行政管理庁で準備を始めておられるということを聞いているわけです。これは特に臨時総理の問題から、あるいは臨時総理の権限等と関連いたしまして、現行の内閣法が幾多の点において不備がある。それは法規の形式から申しましても、あるいは解釈の点からいっても、あるいはまた実際の内閣運営の面からいって多くの不備を持っておるので、行政管理庁の方で法規の解釈や、あるいは今までの運営の面から照しまして再検討を始められた、こういうことを聞いておるわけですが、この点どうでしょうか。
  129. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 行政機構の改革の問題と存じますが、この問題は御承知通り鳩山内閣の末期に一つの案を作りまして、閣議決定を経て目下衆議院に継続審議中であります。ところがこの問題につきましてもなかなか議員の仲間にも反対があり賛成があり、容易に進行しない状況なのであります。特に鳩山内閣のときに作ったうちでいわゆる内政省設置の問題、これには賛成もありますし、なかなか反対もある。それからもう一つ予算篇成についての閣僚会議を開く云々という制度ですね。これについてもなかなか反対が強いわけです。そこでこの案をどうしたらいいかというのでせっかく党内において調整に努力中であります。その中には政務次官を増したらどうだ、あるいは事務次官を増したらどうだというような案ももちろん入っておりますけれども、そういう案が今衆議院に継続審議になっております。まだ党との調整がうまくつきませんので、そのままになっております。おそらくこの問題に関連しての御質問と思いますけれども、この中には内閣法を改正して大臣の定員を増したらどうか、という議論も起ったようでありますけれども、現在においては増すという考えはございません。それから総理大臣の問題でありますが、これはただいまの内閣法に明記してある通りまず大体差しつかえないという考え方の下に、これも改正する意向もただいまのところ持っておりません。以上申し上げておきます。
  130. 田畑金光

    田畑金光君 行政機構の改革問題を私はお尋ねしたわけじゃなくて、最後に御答弁になりました内閣法について政府としては再検討をされる用意があるのかないのか、こういうことをお尋ねしたわけです。臨時総理の問題等がその一つでありますが、たとえば内閣法第二条で内閣の構成等について規定されているわけです。内閣の構成について規定いたしておりますが、非常にこの文章が不明確である。たとえば内閣は「内閣総理大臣並びに従来の各省大臣及び国務大臣の定数以内の国務大臣む以て、これを組織する。」ところがこの内閣法が施行された当時の各省大臣の数とその後の各省の数とが違っておる。あるいは国務大臣等についても定数以内といって非常に不明確である。一例でありますが、こういうような点等について再検討をせにやならん、こういう議が閣議の中でも上った、こういうことも聞いたわけであります。大臣の今の御答弁になりましたのは内閣法第九条の内閣総理大臣に事故があったとき「その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」この問題でありますが、特に石橋総理が病気をされて岸臨時総理代理ができた。その臨時代理の権限問題についていろいろ議論が出たわけです。臨時総理は法定代理者としてすべての内閣総理大臣の権限を受け継ぐものである。ただ現行憲法に基いて総理大臣は国会の指名を受ける。この国会の指名という手続から生れた性格からくる閣僚の任免権を除いては、その他一切の権限を受け継ぐのだ、こういうような考え方、あるいはまた解散、総選挙の問題等について、いろいろ臨時総理のときにおいてできることとできないこととの論議があったわけです。こういう点について、内閣法全体について閣議としても、あるいは現内閣としては、検討するというような方針はないのかどうか、触れないのかどうか、この点をお尋ねしておるのです。
  131. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 先ほど申しました通り内閣法は閣僚の定員をはっきり明示してないのです、あなたの言う通り。これは条文を読めば読むほど実に味のある文句だと考えておる。(笑声)これが国務大臣何名ときちんと出してしまうとすぐ改正したがる、ほんとう言うと。だからきちんと書いてないので、実に味のある文句で、よほど頭のいい人だと感謝しているのです。そういうふうに部内で考えていますから、今大臣を増すという考えは持っておりませんし、内閣法を改正するという考えも持っておりません。
  132. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  133. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけて。  次に、午前中に一応質疑を保留いたしました厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  134. 片岡文重

    片岡文重君 大臣お忙しいのにたびたび御出席をいただいて、まず誠意のほどに敬意を表します。従って、私も質問はなるべく簡単にいたしたいと思います。ただ質問の冒頭にお願いをしておきたいのは、この対象となる数が他の諸問題に比べますと非常に零細でもあり、与える影響も社会的にはそう深刻なものはない、ただ個々の家庭々々においてのみ深刻な問題になっておるということでありまするので、とかくこれに対する対策が熱意の不足を来たしがちであると考えられまするので、この点はぜひ一つ大臣のできるだけの努力を傾注してやっていただきしたいということを、まず私は冒頭にお願いをして質問を続けたいと思うのですが、先ほど、つまり午前中の質問に対して、厚生省当局から御答弁になられました数字を見ますとIQ七〇以下の児童は実に九十万に達するような数である。そのうちに、この収容を要するかいなかについてはわからないが、とにかく特別な補導を必要とする対象となるべき痴愚の状態、IQ五〇から二五くらいまでの人員が七万近くある、こういうことでありましたが、その七万近くの現在の精薄児の中で、さらに収容を要する者は大体の数としてどのくらいであるかということもお尋ねしたのですが、これは大体四万三千ぐらいというお話でありました。ところが、昭和二十三年に全国で収容施設は十六カ所、収容されておる者は千五百人である、それが三十一年度の調査では、先ほど大臣のお話になりました公立私立を加えて八十五カ所、収容されている者は概数四千七百人、この政府から出されました資料によると、四千六百九十六人ということであります。この二十三年に一千五百人、ことしこの三十一年度に四千七百人ということになりますと、八、九年の間にようやく三倍程度ということであります。こういう程度で進んでおったのでは少くとも四万三千ないし五万の子供たちを救済するということは、いつのことやらわからぬという状態になります。経費の点等についても、そうおそるべき金でもなかろうと思いますが、こういう施設の急速なる実現を見るためには、やはり具体的に年次計画でも立てて、継続事業として必らずこれだけはやらなきゃならぬという基礎を作っていただかなければならぬと思うのですが、大臣としてそういう具体的な年次計画でもこの際立てていただくようなお考えはいただけませんでしょうか。
  135. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 先ほどちょっと参り決して、またあと出かけておりまして、わがままみたいなことで恐縮いたしております。お許し願いたいと思います。  そこで、ただいま片岡委員から冒頭に激励を頂載いたしまして、実は恐縮をいたしております。お尋ねのございましたこの精薄児童の施設につきまして、ここ数年の間に、お述べになられましたような若干の増員はあったのでございますが、しかし該当者の割合から見ますと、もうお説の通り全くこれは貧弱な数字でございまして、今、年次計画を立てて、そしてこの際思い切ってこれらの気の毒な児童、特にまあこういうお子さんをお持ちになっておられる御家庭の負担を軽減する、しかも社会的な活動力を与えるようにということでございますが、私も全く同感でございます。今年度はいろいろな事情でそういったことに十分な力を入れることができなくて残念でございましたが、よく一つ検討いたしまして、お説のように年次計画等を一つ樹立いたしまして、できるだけこうした薄幸の児童の収容、また補導を、一ついたしたい、家庭の負担を軽減して、社会的な活動に入れるようにいたしたい、こういうような気持を新たにいたした次第でございます。御趣旨に従って十分一つ推し進めて参りたいと思っておりますから、御了承願いたいと思います。
  136. 片岡文重

    片岡文重君 さっそくの御快諾で非常に私は満足であります。そこで、せっかく御了承いただいたところで不足がましいことを続けて申し上げては、はなはだ恐縮ですけれども、といって、この際三十二年度の予算はもうあとわすかで議決されるところに参っておりますから、これの組みかえをせいということはこれは無理です。私はそういう無理なことは申しませんが、この三十二年度に御努力をいただいて新たに計上していただきましたこの国立精薄児の収容施設の経費が、三カ月分の運営費として新設費を含めて五千七百六十五万円ほど計上されております。この計上をあえてして下さった熱意に対しては敬意を払うにやぶさかでないのですが、この百人の子供たちを収容する構想といいますか、この設計というものが、すでにできておるのかまたこの構想に対して、あるいは設計に対して、大臣が何らかの指示を与えておられるのかどうか。特にこれは子供を対象としておるのですから、男女別というような部屋割り等についてはあるいは御考慮にならないのかもしれませんが、とにかく男女別のむね等も考えておられるのか、それから職業補導の点についてどういう構想を持っておられるのか、そういう点について、できるだけ具体的に御説明いただきたい。
  137. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 今度予算にお願いしております精神薄弱児施設の内容でございますが、今御心配になられておられるようなことを大体予想いたしまして、男女別にしたい、それから職業補導もいろいろ具体的に考えて実は予算折衝をして参ったのであります。実際の実施計画は、この予算が通ってから十分検討することになろうかと存じますが、いろいろ担当局で苦労をしておりまして、一応の考え方もあるようでございますので、詳細なことは政府委員から一つ答弁させたいと思いますが、非常にこれは長いことの懸案でございまして、これと国立ろうあ更生施設とどちらか一つだけ認めようということになっておったのを、無理を言って、二つをこの年度でちょうだいできたようなわけでございまして、この方には特に職業補導の方も十分したい。そこで敷地等も相当広くちょうだいしまして、相当長期にわたるといいますか、これを年女採用するとすれば、数が増すわけでございまして、拡張等も頭に描いて一つ設計したいというような、うちわの構想の一端でございますが、そんなふうに考えております。詳細は政府委員からお答えさしたいと思いますから、お聞き取り願います。
  138. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) ただいま御心配になりました点でございますが、もともと国立の施設を作ることに至りましたゆえんのものは、精神薄弱児について、ある程度の分類収容をしたいということがもとでございますし、従ってその趣旨に従いましてこの国立の精神薄弱児施設の内部におきまする収容児童に対しましても、今お話のありました男女の別はもとよりのこと、精神薄弱児の種類、そういったものも考えまして四寮編成で参る、四寮編成で分類をして収容していく、そういうような考え方をとっておるわけでございます。これに当ります職員は二十九名を考えておるのでございます。それからお話のありました職業指導につきましても、職業指導の特別の部を設けまして、木工でありますとか、縫工でありますとか、あるいは農作、畜産、そういった各般の部門にわたりまして指導をする態勢でいきますように準備を進めている次第でございます。
  139. 片岡文重

    片岡文重君 職員二十九名の中に、内訳については御提出の資料の中にこまかに書いておられますが、技官三名といううちには、お医者さんも含むのですか。
  140. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 医者二名と栄養士一名、そういう考え方でございます。
  141. 片岡文重

    片岡文重君 順序はあとさきになったようですが、この場所についてはもうきまっておるのですか、まだきまっておらないのですか。
  142. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) さしあたりこれはまあ全国に一つの施設でございますし、この施設の運営を完璧にすると同時に、他の精神薄弱児施設等の運営についても、あるいは職員の養成ということにつきましても、この施設は相当大きな役割を果すべきものと考えますので、そういった関係から、東京に最も近い所を選びたいと考えておるのでございまして、そういう見地から現在検討中でございますが、もちろん特殊の施設でございますので、環境でありますとか、その他いわゆる技術的な観点から慎重に検討をいたしまして、最終決定をいたしたいと考えておる次第でございます。
  143. 片岡文重

    片岡文重君 東京近郊、まあとにかく東京を中心として一つ、つまり全国で一カ所ということですが、この際少くとも私は北海道、東京、関西、九州、まあでき得れば各府県ごとにほしいところですけれども、とりあえずこの四カ所ぐらいには五百人程度のものがほしいと、こう思うのですが、もし三十二年度予算においてこれがなし得ないどするならば、三十三年度にせめてこの四カ所ぐらいの実現を見るように、これは御努力をいただきたいと思うのですが、この点について大臣はいかがでしょう。
  144. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) これはもう今の片岡委員のお述べになられましたことはごもっともでありまして、全国を五つに割っていいか七つに割っていいか、これはいろいろ割り方があると思いますが、少くともそういうような考え方でこれは逐次ふやして参るべきものと考えております。ただしかし、私ども心配しておりますのは、これはやっぱり特殊教育といいましょうか、いろいろ国費を使う関係上、効率をよくしたいということになりますと、今度お願いしておりますこの施設は、まあモデル・ケースといいましょうか、実績もやはり見ていかなければならぬのじゃないかと思うのでございます。長いこといろいろ折衡いたしまして、ようやく日の目を見たようなわけでございまして、これを十分一つ実績を上げるということと、それから今お述べになりました五カ所がいいか七カ所がいいかは、十分一つ検討いたしまして、先ほどの、地方にも一つもっと施設をふやすという年次計画を立てろというの一緒に、検討をいたしまして、できるだけ一つ全国のこういった気の毒な家庭、気の毒な児童等の収容をいたして参りたいと、かような考えでございます。
  145. 片岡文重

    片岡文重君 問題が問題ですから、もう私はくどくど申し上げる必要は毛頭ないと思うのですが、数が少いということになると、必然的に入所基準といいますか、今生活保護法や健康保険法によって結核療養患者等が収容されておるあの療養所の入退所基準がやっぱり非常に問題になっております。これはやはり施設と経費の両面から問題になってきておると思うのですが、この精薄児の収容施設については、もっと深刻な問題が私は起ってくると思う。結局四万人ないし五万人というところから百名程度の者を収容される。で、これはモデル・ケースだからということで収容されることになると、この入所を許される子供たちは一体どういう基準で選ばれるのか、これが問題になってくると思うのです。この入所基準といいますか、こういう点については、すでに何か具体的な案をお持ちになっておるのかどうか。たとえばこれをきめるのに省令でなさるのですか、まさか政令というようなことはないでしょうが、省令でなされるのか、局長の通達かなんかで府県に流されるのか、そういう点についても具体的にできておるのですか。
  146. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) ここに入ります精神薄弱児の種類と申しますか、それは法律にもありますように精神薄弱の程度の重い者、著しい若、それから盲及びろうあとのダブルになっております精神薄弱児、そういうふうになっておるわけであります。すなわちさらに詳細に申し上げますと、大体IQ二五以下の薄弱児及びそれより以上、盲及びろうあとのダブルの者はそれ以上の者もあり得るという考え方でございますが、そういう精神薄弱児を入れるにつきましては、やはりここではただ収容をして保護をするというだけよりも、先ほど来職業云々ということでお話がありましたように、ある程度の生活訓練をし職業練訓をして、それで社会生活にある程度適応できるよりになっていってもらうそういうことが目的でございますので、従ってその辺も入る場合の一つの条件になり得ることは言うまでもないのでありますが、そういったような観点から、児童相談所というのが全国にございますが、これの機関を通じまして、心理単的、医学的な基礎に立って入所児童を選択をする、そういうような考え方で、詳細の点はまだ法律通りませんので、通牒等の公けの措置をとる段階ではございませんけれども、衛生、民生部長会議ないし児童課長会議において、内々そういう考え方を伝えておるような次第でございます。
  147. 片岡文重

    片岡文重君 法律に示された通りとおっしゃっても、今その内容というのは、出されたこの設置法の一部を改正する法律案の二十七条の二をいっておることだと思うのですが、この二十七条の二には「国立精神薄弱児施設は、精神薄弱の程度が若しい児童又は盲若しくはろうあである精神薄弱児であって児童福祉法第二十七条第一項第三号の措置を受けたものを入所させて、」とあります。しかしこれはこの措置を受けた者全員が入所できるなら私はこの入所基準をお尋ねしないのです。ところがこれだけではなしに、この中から大部分がふるい落されてしまうのでしょう。そこでその入所基準というものは、非常に私は厳密なものになってくると思う。特に今あなたは、白痴級、つまりIQ二五以下ということをおっしゃったけれども、大体対象になるのは、IQ五〇ないし二五までの者が大部分この対象になるのであって、その中からまたきびしい選択を受ける、こういうことになるのじゃないですか。
  148. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 御承知のように今まで精神薄弱児の施設には都道府県あるいは私立等がございました。これはもちろんIQ五〇以下の者で収容を必要とするものを入れる、特に国立の精神薄弱児施設を設けましたゆえんのものは、それらのうちからいわゆる特殊の薄弱児を分類、収容するようにするという考え方でございまして、そういう見地から、この国立の施設に入れますのは、今申し上げましたようにIQ二五以下のいわゆる白痴クラスと、それから二〇以下、ダブルの精神薄弱児、そういうような考え方でございまして、従ってIQ二五以上五〇以下の者につきましては、従来の地方にありまする精神薄弱児施設に収容する、そういうような考え方をとっているわけでございます。  それから今お話のようにIQ二五以下の白痴児と申しましても、これは相当な数になりますし、従ってこれに入りたいという希望ないしそういったものは非常にこれは多かろうと思います。とうていこの百人でまかないきれるということはこれはむずかしいと思うのでございます。まあ最初の間こういうふうに、特にいわゆる重度の精薄児だけを収容してやっていくということは、これは日本でいえば初めての経験でございまして、私どもも準備その他に非常に慎重を期しているのでございますけれども、しかし入れました以上は、一人でもこれは故障なりあるいは事故等が起きましては申しわけないので、その辺のところは特に慎重を期して参りたいと思っておるのでございます。従って入れるにつきましても、その辺の配慮も加え、非常に多いという事態を考えれば、結局は県に何名あてというふうに割当をするような結果にならぬとも限らぬと思いますけれども、その辺は実際の問題に当りまして十分両方話し合って、無用の摩擦が起きないように気をつけて参りたいと考えております。
  149. 片岡文重

    片岡文重君 少しくどいようですが、相当ゆとりのあることであるならば、話し合ってとかいう抽象的な示達で話はつくかもしれぬと私は思うのです。けれどもこの数字を見ると非常に厳選をされるのであるし、この入所を希望する親たちにとってはきわめて真剣な問題です。従って選ぶ方も非常にお困りになると思うのです、抽象的な省令だとか示達ではやはりこれまた対象が対象ですから、そう、しやくし定木に基準を決定するということもはなはだ困難でありましょう。またその生活環境も考えなければなりませんし、その病状等も考えなければならぬから、基準をおきめになるのは非常に困難でありましょうけれども、困難であればあるだけにその基準をやはりおきめにならなければ、実際に事務を取り扱うところで私は非常にお困りになると思うのだが、そういう点についての具体的な示達の案というものは、もうそろそろ準備されてあってもいいのではないかと思うのですが、まだそういうものはお持ちになっておられぬのですか。
  150. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) ただいま申し上げました以上の基準と申しますと、これはなかなかむずかしい問題になるかと思いますし、一応先ほど来申し上げましたことで一つ進んで参りたいというので、準備を進めておるわけでございますが、ただここで念のために申し上げておきたいと思いますのは、現在地方にあります精神薄弱児の収容施設につきましては、これはいわば軽い者から重い者まで込みに入っておるわけでございます。それで込みに入っておるために、一面においては児童の福祉に欠けるところもあるし、指導の徹底を欠くところがあるということで、能率上もあるいま運営上も非常な難点があるというようなことがあるわけなんです。そこでそういった収容施設に入っておりまする児童で、これに該当しますいわゆる重い特殊の精神薄弱児というものがこちらの方に移ってくるという場合が、これは相当あり得ることだと私どもは考えておるわけでございます。もちろんこれは家庭から直接児童相談所を通じまして来る場合もあり得るとは思いますけれども、従って全然そういう今までの施設収容というものがなしに、一足飛びに来るという場合もあります。そういうことでありますと相当あるいは困難が起るかと思いますけれども、多少は今申し上げましたようなことで緩和されるのじゃないだろうかと考えております。
  151. 片岡文重

    片岡文重君 どうも私はその程度の御答弁ではこの問題はちょっと納得しかねると思うのです。もっと具体的なものがなければ、これは実際において都道府県で事務はきばき切れません。ですからこれはやはり専門家意見を徴されるなり何なりされて、早急にやはり具体的な入所基準なり何なりをお定めになるべきだと私は思う。そこで大臣は非常にお急ぎのようですから、大臣応対する質問だけをまとめて聞きたいのですが、まあ入所基準といいますか入所範囲に対する具体的な案もお持ちにならないところをみると、東京一カ所でそう大した不都合はないとお考えになっておるかどうかわからぬが、実際に収容を希望する人たちが東京の近郊にでも編在しておるのならまだ解決をしやすいでしょう、だが実際はやはり北海道にもおるでしょうし、九州にもおるはずです。で幸いにして家庭が経済的に恵まれておって九州であろうが東京であろうが、とにかく収容をさせることのできる経済的な負担に大して苦痛を感じないような家庭に生まれた、こういうお子さんたちばかりであればこれまただいぶ問題は解決をしてくるでしょう。しかしそうばかりは限らないのであって、むしろ問題はこの国立の収容所ということになれば国立というこのシステムに頼ってくる子供らがまあ大部分でありましょう。たとえ近くに私立の施設があっても私は国立を希望されるに違いないと思います。たまたま家庭の経済が困窮であるということになれば、その私立にも行けないのですから、どうしてもこれは国立に来る。従って金のある者もない者もこの国立を目指すことになるのだし、で結局は東京だけになるというのならば金がある者だけが収容されて、金のない者がまた選に漏れるような事態にならぬとも限らぬでしょう。幸いにしてその病状あるいはその環境等によって入所を許されたとしても、経済的にとうてい東京まで連れて来ることもできぬのだという家庭もあるかもしれない。まあブロック別に数を調査をされておられるかどうかわかりませんが、概数四万幾らという数が出ておるのですから、ブロック別には大体数字はわかっておるのですか、概算は。
  152. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) これは特定の地域に濃く、特定の地域に薄くとそういうような現象はないように承知をいたしております。
  153. 片岡文重

    片岡文重君 そこで大体平均して存在するということであればなおさら、もうくどくど申しませんが、この北海道、東京、大阪、九州ぐらいはどうしても作っていただかんければ、かりに百人づつここで四カ所作っても四百人しか入れぬ、一%収容できぬということですからまあモデル・ケースにしてお作りになるにしても、このくらいの数は私は必要じやなかろうかと思う。今後の成績等も見て、いろいろと改良し工夫をこらしていかれることはけっこうでありまするし、もちろんそうお願いを申し上げたいのですが、とりあえずこの四カ所ぐらいには何とか作っていただけないものだろうか。特にモデル・ケースとしても私はこの四カ所ぐらいは必要だと思うのですが、この際大臣として、この四カ所ぐらいは、といって別に私は四カ所にこだわっておるわけじゃありません、もっと多くのものがほしいのですが。けれどもとしりあえずこのくらいは何とか実現に努力はしたいというお気持はいただけませんでしょうか。
  154. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) ただいまの片岡委員の御要望は私全く同感でございまして、特に片岡先生大へん御関心とまたいろいろ御研究の深いのをお聞きいたしておりまして、実際敬意を表する次第であります。これはまあ長いこと懸案になっておるが、児童憲章ができ、次官通達ができ、当然これは今までに成果を上げるような年数を経ていなければならなかったのでありますが、ようやくまあ今度日の目を見るというようなことでございまして、先ほどお答え申し上げましたように、それも、ろうあ矯正施設とどっちかというような財政当局の話でございまして、厚生省へ私参りまして、これはもう相当たくさんの方々からこの施設を一つ作るように長い懸案なんだができないのだということと、それから予算二つは取れない、一つだ、そこで一体どれを捨てるかということが、これは事務的にはどっちもこれは大事なので、大臣に一つきめてもらわなければならぬのだというようなことでございまして、私もこれはもうそれは一つというどころの騒ぎでない、二つどうしても設けなければならないのだというようなことで最後になって浮び上って参ったようなわけでありまして、今までのいききつを考えますると、なかなかすぐ四つ五つできるということは容易じゃないとは考えておりますが、しかし今も政府委員の答弁もありましたように、全国に相当これは散在しておりまするし、それからこういう施設がごく限られたわずかの人だけが受益していくということでは、私は国の施設としては当を得ないと思います。お述べになりましたようにこれが四カ所がいいか、五カ所がいいか、七カ所がいいかということは、分け方と財政の都合等を勘案しなければならないと思います。しかしこの施設をなるたけ早くやっていくということは、もうどなたも異議はなかろうと思っております。先ほど片岡委員の述べられたように年次計画を一つ立てまして、十分一つ財政当局と検討いたしたいということ。それからもう一つ、今御心配になられている、一体この採用をどういう某準でなさるかというお尋ねでありまして実は私もその点を心配いたしておったのでありますが、いろいろなことでまだ、ここで御一緒政府委員から、考えているようなことをお聞きした程度であります。これはいろいろ考え方はあろうと思いますが、よく一つ検討いたしまして、御質問の御趣旨に沿うような一つ入所基準というようなものを定めたいと、かように考えます。それからここでぜひ一つ、これは初めての仕事でございますので御関心をお持ちの方々には特に御支援をお願いしたい、できるだけこういったこの家庭の困っていること、本人にとっても気の毒な問題でありますから、御支援をお願いいたしたいと思います。
  155. 片岡文重

    片岡文重君 大臣の今の御答弁、なかなか慎重に御答弁なされるようでありますが、具体的に三十三年度で四カ所なり五カ所なりの約束をここでせいと御要望申し上げても、これはよろしいとお引き受け下さるわけには参らぬかもしれません。しかし年次計画の中にその点を十分考慮に入れてということで、私はこの四カ所なり五カ所なりを当然含めたものと了解してよろしいのですか。
  156. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) その意味でお答え申し上げました。
  157. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をとめて。    〔速記中止]
  158. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。
  159. 片岡文重

    片岡文重君 それから、時間をだいぶ急がれているようですからきわめて簡単にお聞きいたしますが、この基本要綱の定められたときにも、本施設の設置の件に対しては漏れなく設置せしめるというようなことが、この基本要綱ができたときに、もううたわれているのです。ところがこれ、伺いますと、まだ青森とか岩手とかいうところには、全然こういう施設がないということなんです。こういうことは、私ははなはだいかぬと思います。岩手県にしても、青森県にしても、非常に財政的にお困りだと思いますが、こういう県に対しては、やはりこの際でございますから、一つ厳重にもう少し関心を深めて、施設等を考慮するように、少くとも急速に設置するように、一つ強い御注意を促していただきたい。  それから最後に、この精薄児ということで収容されておる子供たちは、たしか二十才をこえると、これは、一応児童福祉法によって収容されておっても、どうしても家庭復帰をしなければならないと、こういう子供たちが完全に社会性を持つまでになっておればいいのですけれども、なっておらぬときには、その子供が帰ってきたために、かえって家庭で勤めておるものが外に出られなくなったり、その他いろいろな事情で、一そう困難な状態に立ち至る場合が非常に多いように聞いております。この際、これは三十一条でしたかね、児童福祉法三十一条を一つ改正をされて、そういう子供については、さらに収容を続けていくことのできるようなことを考えてもらえぬだろうか。政府提案として、一つこの改正案を出していただけぬか。これを一つお尋ねしておきたいと思います。
  160. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 第一点のお尋ねの、青森、岩手というような例をあげられた、この施設の皆無の府県に対して、大臣から特に懇談して、この設置を促すようにということは、これはもう当然のことでございまして、ぜひ一つ、ほかにもいろいろ、母子福祉等の関係その他県によりまして、計上しておらぬという県があるようでございまして、今、実はそういうものを調べております。該当府県に対しましては、よく事情も申し上げまして、こうした、みんなが施設の恩恵を受けるような方法にいたしたいと、かように考えておりますので、御了承願いたいと思います。  それから第二の、一定年令に来たら、これはやはり帰さなくちゃならぬじゃないか。二十歳をこえると、親もとへ帰すということは、児童憲章にございますが、この国立の予算をとるときには、国立の場合は、もう所期の成果をあげるまで置くという建前で話ができておりますので、この点については、御心配はないと思います。しかし、他の施設の方でそういうものが目立って参るといたしますならば、なおまた検討いたしまして、そういう問題を取り上げて、一つまた御審議願うということになろうと思いますので、御了承を願いたいと思います。
  161. 片岡文重

    片岡文重君 今の御答弁についてちょっと。国立の施設に収容される場合には、二十才をこえても、とにかく本人が社会復帰のできるまで収容していただける。これはけっこうです。しかし今、その他の公立、私立の施設に収容されている者で、これが二十才になった場合、児童福祉法によって収容されている場合、これが二十才になると、これは家庭復帰をしなければならぬでしょう。帰されます。これを帰さなくてもいいように、一つ改正をしてほしいと、こういうことであります。この点、いかがでしょうか。
  162. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) その点もよく一つ検討いたしまして、善処いたしたいと思います。
  163. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 大臣お急ぎでしたら、私は、大臣おいでにならないで、政府委員の御答弁でけっこうでございます。係の方から、私午前中、審議会の方に参っておりまして、いろいろ質問があり、お答えがあったのだろうと思っております。あるいは重複するかもしれませんが、それだったらばお許しを願いたいと思います。ごく簡単であります。  国立ろうあ者更生指導所、国立精神薄弱児施設、両方とも新らしい国立の施設ができるわけでありますが、この資料は、内閣委員会の調査室からもらった資料でありまするが、これによりますると、国立ろうあ者更生指導所が事務官七人、技官十一人、教官ゼロ、まあほかに二人、合計二十人、国立精神薄弱児施設が事務官四人と技官三人、教官十人、事務雇二人、その他一人ということになっておりますですが、ちょっと私疑問を起しておりますのは、国立ろうあ者更生指導所の方には、技官が十一人であって教官がゼロ、それから精神薄弱児施設の方には、技官が三人で教官が十人ということになっております。国立ろうあ音更生指導所には、先生が一人もいないというようなことになっておりますですが、これは、どういうことなんでしょうか。
  164. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 国立ろうあ者更生指導所の方の技官でございますけれども、これは、医療関係もございますので、お医者さんも二人要りますし、それから職能判定等、心理の方の技官も必要でございます。そのほかまあ言語訓練、そういったようなものにつきまして、それを技官というような形で置くわけでございます。
  165. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そういう施設の先生は、教官という名前をつけたいような気持がするのです。それが技術者だろうとね。これはもとより技術のある人でなくちゃできない。実質を見ますと、そういうお話のような人たちだと思うのです。これは教官といえないのですか。下の方でも、やはり国立精神薄弱児施設の方も、技術を要する人じゃないかと思いますけれども、十人の先生というものを使い分けしてあるのはちょっとわからない。
  166. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 大体、社会福祉施設の場合には、普通私どもの方の関係の施設ですと、教官といわないで、技官でありますとか、あるいは事務官となっておりますものですから、そういうふうな職名、官名で実は何しているわけであります。
  167. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 精神薄弱児施設の方は、実質が違いますか。
  168. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 児童に対しまする指導という立場から、従来教護院等におきまして、教官というふうにいたしておりますし、御審議いただいております国立精神薄弱児の施設につきましても、まあ教える、あるいは指導をするという面が非常に多うございますのでそういう意味で、教官というふうに資料に書いているわけであります。
  169. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 どういうふうに違うのでしょうかね。両方とも技術の要る人というわけでしょうが、一方教官、一方技官というものは、今までの使い方がそうなっているからというような使い分けでしょうけれども、何かはっきりした説明はできないのでありますか。
  170. 安田巖

    政府委員(安田巖君) ごもっともな御質問でございまして、そう言われてみますというと、なるほどそういうふうな気持もするのでございますけれども、今まで、たとえば身体障害者の更生指導所でありますとか、そういうところで、いろいろな職能判定等をいたします場合、これは、指導もありますけれども、いろいろ心理学的な、あるいは理学的な判断等をする場合がありますがそういった場合には、そういった、その人の行なっている仕事自体からいいますというと、まあ教官というよりか、そういった判断なりをするような仕事の方がおもでありまして、まあ技官というふうにいたしたのだろうと思います。ことにお医者さんなんかがおりまして、簡単な医療でありますとかというようなことをいたしますとこれは技官の方が適当ではないか。それから職業の補導なんかも、私ども、おとなの施設であるという関係もあろうかと思うのでありますが、教護院などでございますというと、ほんとうにまだ子供でございますし、それをまず訓練するというような意味で、昔からのしきたりといいますか、伝統で、教官というような名前をつけたのではないかという感じであります。
  171. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 大学の先生でも、お医者さんはやはり教官です、りっぱな博士が。どうも筋道が立たないような気持がするので、お尋ねしたのですが、それでよろしいです。  もう一つ待遇の点で、教官というのと技官というのとでは違いますか。
  172. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 文部省の方の教官職というのは、もちろん一般行政職の方と違うのでございますけれども、厚生省の中の教官と技官というのは、同じ俸給でございます。
  173. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 同じですか。もし違ったら、片方を優遇して、片方を虐待するような誤解が起りはしないかと考えたのです。  それから今度は、ほかの問題でありますが、水道の関係ですね。上水道と下水道で、建設省と厚生省の所管を少し改めて、今度はっきりさせたい。このお考え方は、大へんいいのだろうと思うのです。私も従来、両方にわたって、非常に困るということを、建設省にお願いしておる立場の者なので、相当に多いということを聞いておりますが、具体的にどういう点が今日まで困っておられたのか、おもな点だけ一つ、かいつまんで……。
  174. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) お答えを申し上げます。これまで長い間、建設、厚生両省に所管がまたがっておりました。この配分の内容は、厚生省においては総括的なことを実施し、建設省においては工事の監督並びに指導を行うと、こういう配分方法でございました。ところが、実際問題となりますと、この工事に関係いたしましても、やはり許認可等は、両方が合議をしなければならないというようなことがございますので、書類等は、いずれも厚生、建設両省に提出される。なお、この陳情等をいたしますにも両省にまたがる。また一方、実施者の私どもの面におきましても、工事の竣工認定というようなものは建設省が行うことになっておりますので、その間十分な連絡を欠く場合もございまして、ややもすると、補助金の執行と工事の認定等が食い違いを来たしまして、心ならずも会計上の批難を受けるというようなことも事務的にございます。しかしながら、特に最も不便といたしました点は、各市町村、地方が両省にそれぞれ気がねをして、両省にまたがっておるというところに一番大きな問題があったように思っております。
  175. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そこで、お尋ねしたいのは、今の御説明によると、総合的かことは厚生省で、それから工事の設計監督などは建設省でやるということになっておるわけなんですね、従来は。今度、水道と下水の二つ分け、ただし例外はありますけれども——書類上の問題でありますけれども二つ分けるということになるというと、厚生省の方では、上水の建設設計工事というようなことについて監督のできる職員がおいでにならないのではなかろうか、指導監督ができる人が。そうすると、そういう人は、従来建設省でやつておった人が厚生省の方に回って、つまり配置転換をやりまして、今後仕事を進めていく計画になっておるのか、それとも今の人員で間に合うのか、そのままにしておいて。この点は、どうもはっきりしないのでありますが。
  176. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) お答えを申し上げます。元来、水道工事あるいは下水道というようなものは、単なる建設事業とは全く異なりまして、むしろ純粋な衛生工学の面でございまして、従いまして、技術の内容は、全然建設技術と違っております。従って、従来も厚生省には、これらの専門家がおりまして、しかも、この所管の問題は、世界各国においては、いずれも衛生関係あるいは厚生関係がこれを担当しております関係で、外国の施設の勉強に行くとか、あるいは外国に出張するとかいうようなものは、すべて厚生省の技術職員が外国に出ておりまして、建設省は、これは建設行政のことは存じませんが、上下水道のことに関しましては、外国等を見てきた人間はおらぬ。技術のことは、率直に申しまして、非常な特殊性から、現在厚生省に確保されておるものと、かように信じております。
  177. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうすると、従来も、今の御説明から考えますと、厚生省ですっかりやっておいでになってよかったので、技術者は向うには、向うと申しますのは建設省ですが、建設省にはいない。あなたの方はおいでになる。先ほどの御説明によると、工事の監督は向うでやっておるということになっておりますが、向うが実際困っておったということよりも、そんなことで、両方に願書を出きなければならないから困っておったということだけだったのですか。技術面、運営の上では、別に困ったということはないのですか。
  178. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) この総合計画を立案いたしましたり、あるいは許認可を判断いたしましたりするのは、これは技術的な基礎が持に必要でございます。従って、さような観点から、従来私どもの方にも技術者がおったわけでございます。ところが、ただ両省の犠限配分におきまして、工事の監督指導が、これは建設省ということになっておりまして、そこに明らかな二重行政が行われておったわけでございます。従って、今回かような姿に変えられたわけでございます。私どもはかねて、これらのものは世界各国の例にもならいまして、すべて厚生省が所管することが妥当であるという気持は持っておりました。しかしながら、何分にも、長い間の両省にわたります懸案事項でもあり、また、なかなか建設省にもそれぞれ言い分がございます。従って、長い間その解決を見なかったわけでございます。今回、幸いにかような結論を得ましたので、大いに今後は、行政の簡素化等につきましても能率が上ることと期待をいたしておる次第でございます。
  179. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今度は下水の方ですが下水の方は建設省の所管ですか、あなたの方でも従来関係していらっしゃるのでしょうが、それらに関係しておった人が建設省にくらがえする必要があるわけですか。
  180. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 下水につきましては、全部建設省に所管されるものではございませんので、配管に関しましては建設省、それから終末処理場に関しましては厚生省という配分に相なっております。従って、従来私の方におりました下水関係職員も技術者も、やはり今後、下水の終末処理の事業のために必要でございますので、今のところは、定員その他については、従来通りと考えております。ただ、両省がお互いに連絡し合い、今後も十分な協調を保っていく面というようなところは……もちろん、別な面では、人事の交流ということはあるいは考える余地があるかもしれませんけれども、現在出ておる技術者の移しかえというようなことは、考えておらぬ次第でございます。
  181. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 下水の関係で、終末処理場に関係しておいでの事務官、技官とありますね、それから、それ以外の下水道に関係していらっしゃる技術の人があるだろうが、少くとも事務の人がおありだろうと思う。あとの分だけは浮いてくるのじゃないか、厚生省としてはですね、何人か事務の人がなくちゃちょっとできない。
  182. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 従来は、水道の事業のうち、一部竣工認定等が建設省に依存をいたしております。しかしながら、今回水道が厚生省の専管になりましたので、これら従来建設省がやっておりました工事の竣工認定等も、厚生省が実施をしなければなりませんので、むしろ人の配分というものは、彼我融通をいたしましてこういうことになるものと、かように考えております。
  183. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私の質問は終ります。
  184. 八木幸吉

    八木幸吉君 きわめて簡単に、厚生省の方に伺いたいのですが、ろうあ者と、それから精神薄弱児に対する対策として、年間どれくらい予算を使っていらっしゃいますか。
  185. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 三十度年の例をとりますと、計算をいたしますとわかるのでありますが、更生医療費というのがございますが、それが六百二十九万円ばかりでございます。それから補装具と申しますのは、主としてこれは補聴器のことでございますけれども、それが三千八百二十六万五千円でございます。大体それだけで、施設は今度が実は初めてのようなわけであります。三十二年度は、今度の国立ろうあ者の更生指導所の建設費と、それから三カ月分の運営費を加えまして約六千万円でございますが、そのほかに、ここに書いてございます三十一名の人件費が別に組まれておるわけでございます。
  186. 八木幸吉

    八木幸吉君 今、六千万円とおっしゃいましたが、施設費二つで一億一千万円でございますね。
  187. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 六千万円と申しますのは、ろうあ者の方の施設の建設費と、それに三十二年度三ヵ月分の運営費を入れてございますのを合せまして六千万円、こう申したのでございます。
  188. 八木幸吉

    八木幸吉君 今おっしゃった四千四百万円ばかりは、ろうあ者だけですか。精神薄弱児も一緒に私は聞いているのですけれども
  189. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 実は、私はろう者だけを申し上げまして、精神薄弱児の方は、児童局長から御説明申し上げます。
  190. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 精神薄弱児の施設につきましては、国立の精神薄弱児の施設に要しまする経費は、ろうあ者の施設と同額でございまして、約六千万円でございます。それから、従来の精神薄弱児施設の事業費、人件費と、そういった運営に要しまする費用の補助金、これが約二億円でございます。それから新しく精神薄弱児の施設を作るにつきましての補助金が約三千五百万円、それから精神薄弱児の通園施設、——通わして訓練をする、そのための施設の整備に要しまする費用が約一千八百万円、そのほかに多少精神薄弱児の職業補導の施設に要しまする費用の補助金が組んである、そういう状況であります。
  191. 八木幸吉

    八木幸吉君 両方合せますと、約三億六、七千万円と、こういうわけですね。  そこで、もう一つ私伺いたいのですが民間施設には補助金はございますか、両方とも。
  192. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 民間施設につきましては、新設の場合には、その設備費については補助はいたしておりません。ただ経営費につきましては、公けで持ちまする経費の八割分を国が負担をする、そういうことになっております。
  193. 八木幸吉

    八木幸吉君 ろうあ者の方はどうですか。
  194. 安田巖

    政府委員(安田巖君) ろうあ者の方は、身体障害者福祉法で一応こういった保護更生施設は、国または公共団体がやることになっておりますために、補助金の方の規定がそういうふうになっておりますために、現在のところでは、私立の施設には補助がないような工合になっております。
  195. 八木幸吉

    八木幸吉君 つまり民間施設には、ろうあ者の方は一文も補助していないと、こういうわけですか。
  196. 安田巖

    政府委員(安田巖君) ろうあ者の方は、もう全般的に施設が非常に少いのでございまして、御承知通りに、身体障害者福祉法といたしましては、国の補助は現在のところございません。
  197. 八木幸吉

    八木幸吉君 その身体障害者福祉法の法律関係でなしに、ほかで何か補助していらっしゃいますか。国から一文も出ておりませんか。法律関係なしに。
  198. 安田巖

    政府委員(安田巖君) ろうあ者専門の保護施設につきましては、今のところ私記憶がございませんので、また、調べてみたいと思いますけれども、ただ、一般の身体障害者の施設といたしまして、これが生活保護の保護施設に、従来身体障害者福祉法ができる前等の関係からありますものは、生活保護法の方で見ておる例がございます。
  199. 八木幸吉

    八木幸吉君 このろうあ者と、それから精神薄弱児に対して、国がどれくらい金を使っておるかということを一覧表にして、一つ資料として、なるべく早く御提出下さることを申し上げま  して、私の質問を終ります。
  200. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 八木委員の御希望につきましては、委員長の方で適宜取り計らいます。それでは、本案の審議は、本日のところこの程度にいたします。委員会はこれにて散会いたします。    午後五時二十八分散会