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政府委員(増原
恵吉君) その点は、御趣旨の前半は、先ほど
田畑委員から
長官に御質問がありまして、
長官からお答えをいたしたのでありまするが、今回の
事件の処理につきまして、一部に、いわゆる旧
軍人と
文官出身との問に
意見の相違、あつれきがあったというふうに伝えられておる向きがありましたが、私
どもこれに
関係をいたしまして、慎重にいろいろ研究、論議をいたし、それに参画をした者といたしまして、先ほど
長官が申したように、そういうふうなことはございません。もとより人によりまして、当初から
意見がピタット一致をしたという、今回の問題はいろいろ
事件が複雑でありまして、真相の究明にも私
どもとしても
調査をいたし、折り返し
調査をするという形で、だんだん真相を究明してきたということもございまして、当初からみんな
意見がピタットと一致しておらなかったことは私は当然かと思いますが、事実であります。しかしだんだんと事実を究明し、それに従って
意見が出て、
長官のもとで私
どもが話し合いをして、
長官に
意見を申し上げる段階には、
最後においては完全に
長官を補佐する私
どもの
意見が一致をし、
長官はそれを参考とされて
最後の決断を下されたということに相なっておるわけでございます。で、平素いわゆる旧
軍人と
文官出身の間にいろいろあつれきその他があるというようなことを、これまた一部に伝えられることでありますが、これは私率直に申しまして、旧
軍人の方々の何と申し上げまするか、受けられた教育なりその環境、そうしてすべての人が終戦直後に、その地位職を全部失って、相当の期間はいずれも一般の社会に入って生活をしたという経験を皆持っておるわけであります。そうした経歴なり、教育の経世というものを、
文官は
文官として、これは非常にバラエティがありますが、それぞれの教育を受けてきた。そうして
文官と申しましても、また一年志願というような短期間の
軍隊の経験を持っておる者が非常に多いわけでありますが、そういう者と比べてみまして、若干ものの
考え方なり
意見の立て方の相違があっても、それぞれには若干似たような
考え方があるということは、私は言い得るのではないかと思います。しかしそれは、そのことがいわゆる旧
軍人と
文官出身というふうな、比較的明瞭な形となって対立を現わしておるということは、私確信を持って申し上げまするが、
自衛隊の中にはないと思います。経歴なり教育のあれによって、
考え方として、ある似た方向を一方の人が持っておる。
文官は
文官として似たようなまた
考え方を持っておるという、ある方向というものは若干あるかと思いますけれ
ども、しからば、ある問題についての
意見を旧
軍人は全部一致いたし、
文官は全部一致しておるかというと、そういうことはありません。今度の具体的問題についても、
文官の中にもいろいろの
意見が当初ありましたし、旧
軍人の中にもいろいろ
意見がありました。決して両方が完全に一致をして、旧
軍人の方は上を軽く、下を重く、
文官の方は上を重くし、下を軽くしようといったような事実は毛頭ございません。私
どもは旧
軍人というところは御
承知のように、昔で言えば少将級から大佐、中佐という、一将、二将というクラスには相当多いわけであります。もう大尉、中尉という、一尉、二尉ということになりますと、ほとんどおりません。だんだんこれから出てくる者は、全部旧
軍人としての経歴のない、新しい教育を受けてきた者であります。全体を通じましても、陸においては、旧
軍人幹部については二〇%くらいであります。でありまするから、これはそうした
意味の傾向というものは、だんだん乏しくなるわけでありまするが、しかし旧の人々が持っておった経歴と教育というものは、いろいろ御心配になるようにもいい点と悪い点を持っておりまして、その悪い点が出てきてはならないということについては、その人々も十分私は自戒しておると
考えまするが、われわれとしては、その点は十分注意をして行かなければならぬということを
考えて、平素その点については注意をいたしておるわけでありまするが、私をして言わしめますると、少し、何か常にそういう面にあつれきがあるかのごとく一部の方で唱えられることが、場合によっては、人間としては反射的な悪影響を及ぼす場合もありはしないかということを心配いたしておるのであります。
部隊内におります者は、そういうふうなことは解消をして、
自衛隊内の一団の
幹部として、新しい
自衛隊のあり方、育成に努力をするという基本的な
考え方は十分持っておるのであります。そういう方向がますます助長されて、いやしくも旧
軍人と
文官というような対立のないようにという方向に私
どもも一緒に努力をいたしまするし、皆さん方も御援助、御鞭撻を願いたいということが私
どもの念願でございます。