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1957-03-08 第26回国会 参議院 内閣委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年三月八日(金曜日) 午後一時三十分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
亀田
得治
君 理事 上原 正吉君
大谷藤之助
君 秋山 長造君 竹下 豐次君
委員
松岡 平市君
荒木正三郎
君 伊藤
顕道
君
田畑
金光
君 八木 幸吉君
国務大臣
国 務 大 臣
小滝
彬君
政府委員
防衛庁次長
増原
恵吉
君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長
林 一夫君
防衛庁教育局長
事務取扱
都村新次郎君
防衛庁人事局長
加藤
陽三
君
防衛庁経理局長
北島 武雄君
防衛庁装備局長
小山 雄二君
事務局側
常任委員会専門
員
杉田正三郎
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
防衛庁設置法
の一部を改正する
法律
案(
内閣送付
、
予備審査
) ○
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○国の
防衛
に関する
調査
の件 (
強行軍
による
自衛隊員
の
死亡事件
に関する件)
—————————————
亀田得治
1
○
委員長
(
亀田得治
君) これより
内閣委員会
を開会いたします。
防衛庁設置法
の一部を改正する
法律案
及び
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
両案を便宜一括して議題に供します。 まず
提案理由
の
説明
を願います。
小滝彬
2
○
国務大臣
(
小滝彬
君)
防衛庁設置法
の一部を改正する
法律案
及び
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
の
提案
の
理由
及び
内容
の
概要
について御
説明
申し上げます。
最初
に
防衛庁設置法
の一部を改正する
法律案
について申し上げます。
政府
は、現下の情勢に対処し、わが国の国力と国情に応じて
防衛力
を整備する必要があることを認め、
防衛庁
の
職員
の
定員
を八千四百九十八人増加することといたしました。すなわち、現在の
定員
二十一万五千三人を二十二万三千五百一人に改めようとするものであります。この八千四面九十八人の
増加分
のうち、六千九百二十三人が
自衛官
で、残りの千五百七十五人が
自衛官
以外の
職員
であります。
自衛官
の
増加分
は、千四百三十人が
海上自衛官
、五千四百九十一人が
航空自衛官
でありまして、
海上自衛官
にあっては、新造されまたは
米国政府
から引き渡される
予定
の艦艇の就役及び
航空部隊
の
整備充実等
のため必要となる
要員
であり、
航空自衛官
にあっては、
航空集団司令部
の
新設
、二
航空団
の
増設等
のため必要な
要員
であります。 第二に、
技術研究所
が、部外からの
委託
を受け、
技術的調査研究
、考案、設計、試作及び試験を行うことができることとする必要を認め、その
事務
に
支障
のない限りこれを行いうることとし、
所要
の
規定
を整備することといたしております。 次に
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
について申し上げます。 第一に
海上自衛隊
に
乗艦訓練
のため
練習隊群
を
新設
するとともに、
警戒隊群
を廃止してこれを
自衛艦隊
の
編成
から除くこととして、その
編成
を改めるほか、
航空防衛力
の
整備増強
のため、
航空自衛隊
に二
航空団
を基幹とする
航空集団
を
新設
するとともに、二
航空団
を増設する等の
規定
をしております。 なお、
航空集団
の
新設
に伴い、
長官
は、必要があると認める場合には、
航空集団司令
に
補給処長
又は
病院長
を
指揮監督
させることができることとする等
所要
の改正をいたしております。 第二に、
防衛出動
または
治安出動
を命ぜられた場合または
海上
における
警備行動
、
災害派遣
、
訓練
その他の事由により必要がある場合には、特別の
部隊
を
編成
することができることとなっていますが、今回さらにこれらの場合において、特別の
部隊
を
新設
するまでの
措置
をとることなく、
所要
の
部隊
をその隷属する
指揮官
以外の
指揮官
の一部
指揮下
に置くことができることとし、
事態
に即応した
自衛隊
の一体的かつ
能率的運用
をはかることといたしております。なお、この
措置
により、特別に
編成
される
部隊
または同一
指揮官
の下に置かれる
部隊
が、
陸上自衛隊
の
部隊
、
海上自衛隊
の
部隊
または
航空自衛隊
の
部隊
のいずれか二以上からなる場合、その
部隊
に対して行う
長官
の
指揮監督
について
幕僚長
の行う職務に関しては、
長官
の定めるところによることとしております。 第三に、当分の間、
自衛隊
の
任務遂行
に
支障
を生じない限度で
自衛隊
以外においては、その
養成
または
教育訓練
を行う施設がないと認められる一定の
技術者
の
養成
または
教育訓練
の
委託
を受けて、これを
実施
することができることとして、
所要
の
規定
をいたしております。 以上両法案の
提案
の
理由
及びその内、容の
概要
を申し上げた次第であります。なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
加藤陽三
3
○
政府委員
(
加藤陽三
君) 二月の初旬に行われました、
広島
県の
原村演習場附近
における筑三
管区隊
の
徒歩行進
によりまして起りました不幸な
事件
につきまして、
事故
の
概要
を御
説明
申し上げたいと思います。 今回第三
管区隊
で行いましたこの
演習
の
目的
は、
普通科部隊
の
徒歩行進能力
を強化いたしまして、強靱なる
持久力
を
養成
することを
目的
としたものでございます。 この
演習
の根拠は、
陸上自衛隊
の
部隊等
における
訓練
に関する
訓令
、
昭和
三十年
陸上自衛隊訓令
第三十一号、及びこれに基く達によるものでございます。 この
演習
は
共通基本訓練
と申しまして、新しく
隊員
が入りました際に二カ月半の
基本訓練
をいたしますが、その際は一日二十キロメートルの
徒歩行進
をいたし、これを終って露営をする
能力
を養うことにしております。この
共通基本訓練
の過程及びその後さらに二カ月半行います本
技基本訓練
、これは一日三十二キロの
行進
をいたしたのちに
防衛能力
を有することを
目的
といたしております。本
技基本訓練
及び
部隊訓練
は
分隊訓練
、
小隊訓練
、
中隊訓練
、
大隊訓練
、さらに
野外機動訓練
というのがございまして、この
野外機動訓練
におきましては相当遠距離の
徒歩行進
も
実施
することにしておるのでございます。この三
段階
の
訓練
を経ましたのち、経ました
隊員
に対する
補備訓練
の
段階
において行いました
訓練
でございます。
訓練
の
計画
につきましては、先ほど申し上げました
昭和
三十年の
訓令
三十一号に基きまして、三十一年度の
計画
といたしまして
昭和
三十一年の一月十九日に
陸上自衛隊一般命令
をもちまして、
昭和
三十一年度の
教育訓練
の
実施
に関する
命令
が出ております。この
命令
及びこれに基く達によって
計画
が立てられたものでございます。 この築三
管区
の
計画
は
広島
県
原村演裡場附近
七十七キロメートルの
徒歩行進競技
でございまして、
隊員
の
装備等
の重量は約三十キログラムでございます。第三
管区隊
の各
普通科連隊
よりの
選抜大隊
によってこの
徒歩行進競技
を行なったのでございまして、右の
選抜
は
予選
により
決定
をすることにいたしまして、この
予選
をもちまして、
管区
の
競技会
の
予備訓練
とするという
計画
でございました。 次にこの
計画
の
決定
に至りますまでの経緯について申し上げますと、第三
管区
が
昭和
三十年の十月末から十一月の初めにかけまして、
管区
の各
連隊
が滋賀県の
饗庭野演習場
におきまして
野外訓練
を
実施
したのでございまするが、その
機会
におきまして
饗庭野
から
比叡山
に至る七十二キロメートルの
徒歩行進競技
を行いましたその経験をもととして、今回の
計画
を立てておるのでございます。
昭和
三十年の
徒歩行進
の
競技
には、第三
管区隊
の全
普通科大隊
二千九百名が
参加
をいたしまして、
小雨
の中を決行いたし、
落伍者
二十六名が出ております。ただし、これらの
落伍者
はいずれも事後の
訓練
に
支障
を生ずる
程度
のものではなかったようであります。今回の
計画
は
昭和
三十一年度の
計画
といたしまして初め第三・
四半期
に
考え
ておられたことでございますが、第三
管区
の
検閲等
の
事情
によりまして、第四・
四半期
の
特殊訓練
として
実施
し、この場所も昨年の
比叡山
にかえまして
廠舎
の利用が可能であり、
天候
の比較的安定をいたしておりまする
広島
県の賀茂郡
原村付近
とし、かつ各
連隊
からの
選抜大隊
によってこれを行うことにいたしたのでございます。この
徒歩行進競技
に当りましての
審判
の
基準
として
計画
いたしておりまするものは、
参加率
、
速度
、
落伍率
、
規律
の
維持
、隊が
隊伍
を正々と、あまりだらだらしないで
行進
をするかどうかというその
規律
の
維持
、こういう点を
審判
の
基準
として
計画
をいたしております。
計画
の
実行
に当りましては第三
管区隊
といたしましては、現地を反覆細密に
調査
をしておりまして、
夜間
の
行進
に備えまして
道路
の補修あるいは
石灰等
による標識の
設置
というふうなこともいたしております。
事前
の
予行演習
の
実施
によりまして逐次
体力
を増進して参りまして、不
適格者
をそれによって除いていくという考慮も払っております。
事前
の
健康状況
の
調査
につきましては、
昭和
三十一年の十一月に
定期健康検査
をやっております。そのほか問題の起りました第七
連隊
について申し上げますると、一月の二十一日に
予行訓練
ののちの
劇務休
の
調査
をし、一月の二十九日には不
適格者
を申し出によりまして
医官
の
検査
を受けさせまして除いておるのでございます。第七
連隊
について申しますると、二十四名受診をいたしまして十五名を不
適格
として
演習
に
参加
させないようにいたしております。一月三十日に隊長が
医官
を同行いたしまして
隊員
の問診と視診をいたしております。 さらに
救護措置
につきましては、この七十七キロの
徒走行
進区間のうち二カ所に
救護所
を
設置
いたしておりまして、そこには
医官
一名、
救護員
六名を配置し、
ジープ
一両と
救急車
二両を配属しております。さらに各
大隊
の
後尾
に
収容班
を配置いたしておりまして、この
収容班
には
医官
一名、
救護員
二名が配属になりまして、
ジープ
一両と
救急車
一両をもって
後尾
を追随して参っております。 次に給食の関係について調べてみますると、二月の五日の夕食時に
加給食
といたしまして氷砂糖及び
大福もち等
を与え、同夜二十三時三十分ごろに暖かい牛乳一本とあん。ハン三個を与えることにいたしております。六日の
朝食
は四時ごろ、
昼食
はおおむね十時ごろというふうに
準備
をいたしておりました。 次に
演習実施
の
状況
について申し上げます。まず気象の
状況
から申し上げますると、二月五日は午前中薄曇りでございましたが、午後二時ごろから
小雨
になりました。
夜間
は雨、ときどき風やや強く屋外では寒けを感ずる
程度
でございました。温度は七度から八度というふうになっております。二月六日は午前は
小雨
やや寒いという
状況
でございます。午後は雨が降ったりやんだりという
状況
でございまして、気温は明け方が七度から八度、十時頃になりまして六度に下っております。雨量は両日を通じまして合計約二十ミリぐらいということでございます。 次に
道路
の
状況
を調べてみますと、
行進
の
開始
後
道路
は雨にぬれましたが、水たまりを生ずる
状況
ではございませんでした。ただし一部
戸坂附近
及び
前代本郷
の区域には若干のぬかるみを呈する部分があったのでございます。
行進
の
開始
に当りまして
統裁部
のとった
措置
を調べてみますと、
統裁部
は
開始
前に
予定
のコースをだいぶ変更いたしております。すなわち標高八百メートルの
野路
山を当初通る
予定
にしておったのでありますが、
天候
の
状況
を
考え
まして、
野路
山を避けまして
平坦路
を
行進
することに変更いたしております。また
管理支援要員
を
休憩点
に先行させまして、採暖及び喫食の
準備
をいたさせております。さらにいよいよ
行進
を始めるに至りましては、
事故
の防止につきまして
事故
を出しては元も子もない、無理をしてはいけない、各人の
状態
、
装備等
を再点検し、体の不調な者を排除しておけ、危険な個所に
注意
しろ、
自分
の
部隊
の
能力
に合せて歩け、そのペースを守れ、他の
部隊
に牽制されてはいけない、
速度
にとらわれるな、遅くとも堅実に
最後
まで団結を
維持
し正々と歩く
部隊
がいいのだという
注意
を与えておるのであります。
行進
の
状況
について申し上げますと、三個
連隊
からそれぞれ一個
大隊
を
選抜
してこの
行進
に
参加
したのでございまして、一番
最初
に出ましたのが策十五
普通科連隊
でございます。この第十五
普通科連隊
は五口の十六時三十五分に
原村
の
出発点
を出ております。そうして六日の十二時二十四分に
到着
いたしております。
所要
時間は十九時間四十九分でございました。
参加者
は三百三人でございましたが、一名の
落伍者
もございませんでした。第二番目に出ましたものが第八
普通科連隊
でございます。第八
普通科連隊
は十七時五十九分に
出発
をいたしておりまして、翌日の十三時三十七分に
到着
をいたしております。この
所要
時間は十九時間三十八分でありまして、
参加者
二百五十一名のうち
落伍者
が十名でございます。問題の第七
普通科連隊
は
最後
に
出発
をいたしておりまして、この
出発時刻
は十九時三十一分でございます。そうして翌日の十三時四十三分に到置をいたしております。その
所要
時間は十八時間十二分、
参加者
一旦一千三名でございまして、
落伍者
は四人出しておる
状況
でございます。
行進
の
状況
を調べてみますると、
出発
後
降雨量
を増しまして、途中の
水越—安登
、約半分を少し行った所でございますが、その辺におきまして最も激しかった
状況
でございます。
演習
の
統裁部
におきましてはさらに雨が激化いたしますれば、
岡郷附近
、今の
安登
を少し参りました約四分の三くらいの所でございます、
岡郷附近
で
行進
を打ち切るという
方針
のもとに、そこから
廠舎
までの輸送の
準備
を進めたのでございますが、夜が明けまして雨が小降りになりましたので、
計画通り
これを
実行
したのでございます。
部隊
は
到着
後に直ちに集結をいたしまして、
行進終了
後の
身体
の不工合のものを点検いたしまして、十一名を
救護所
に収容いたしましたが、この十一名のうち虫垂炎の者一名を除きまして他は翌日それぞれ
原隊
に復帰いたしております。この
行進
の
競技
の結果の優勝は
所要
時間は長くかかりましたけれども、
落伍者
出ず
隊伍正
々と参りました第十五
普通科連隊
でありました。 次に
千頭
三
曹及び岸上士長
、この
御両人
が
死亡
されたのでございますが、この
御両人
の
死亡
に至るまでの
状況
について御
説明
申し上げます。 まず
千頭
君でありますが、
千頭
君は昨年十一月の
身体検査
当時は異常はございません。十一月以降この
連隊
は三回の
予行演習
をやっておるのでございますが、この
予行演習
も無事に終了いたしております。五日の
夕刻
に
出発点
を出まして六日の午前三時三十分ごろ、途中の
宮原附近
、約
行程
の
中間
でございます
宮原附近
に参りました際に、右足全体が重く、足が前に出ないということを
中隊長
に申し出まして
ジープ
に乗車いたしたのであります。
ジープ
に乗車いたしましてしばらく進んでおりましたが、四時から四時二十分ごろの間、この
部隊
は
附近
で
朝食
をとっております。
千頭
君はこの
朝食
後
疲労
を回復したと言って
原隊
に帰りまして
歩行
を続けております。途中
ジープ
に乗ったり、またおりて歩いたりいたしておりまして、進行を続け全
行程
の約三分の二に当ります
中畑附近
で
歩行
中、
疲労
を増し、
同僚
から
あと押し
をされて進んでおります。そうして約四分の三に近い
岡郷附近
から再び
ジープ
に乗車いたしております。
岡郷
から約一・七キロ進みました
樋詰附近
で、これは約十時四十分ごろでございます。
介添え
を受けまして
統制点
を
通過
いたしました。
統制点
と申しますのは、この七十七キロの
行程
の途中に六個の
地点
を設けまして、その
地点
を歩いて通らない者が
落伍
になるということにしておったのでございます。
統制点
を
介添え
を受けまして
通過
をいたし、十一時ごろ
ジープ
に乗車し、その後
樋詰北方
一キロメートル
附近
で
容態
が急におかしくなりまして、
救護員
が
応急処置
をいたしますとともに
医官
に急報いたしました。
医官
が参りまして
連続強心剤
の注射をいたしましたが、
重態
でありまして、
西条
町
国立広島療養所
に
救急車
に乗せまして向う途中、十一時二十五分
西条
町
字田口道路東側
で、
車中急性心臓衰弱
で
死亡
されたのであります。 次に
岸上
君について申し上げます。
岸上士長
は十一月の
身体検査
当時は異常ございません。一月以降の
予行演習
では、三回やりましたうち、初めの二回は
参加
いたしておりません。
最後
の一回に
参加
いたしておりますが、この
演習
では
落伍
はいたしておりませんけれども、約四キロメートルほど
ジープ
に乗車した事実がございます。今回の
演習
に当りましては、五日の
夕刻出発
をいたしまして六日の午前四時四十分ごろ
川尻附近
、先ほど
千頭
君について申しました
宮原
よりか少し前進したところでございます、
川尻附近
の川岸の
河岸道
を通行中、石につまずいて転倒いたしました。その後
行進速度
がおくれがちになりましたので、
小隊長
が
ジープ
に乗車させて
行進
を続けております。さらに進みまして
安登
、
岡郷
、
樋詰
それぞれここに
統制点
があったのでありますが、これらの
統制点
は
同僚
の
援助
によりまして
通過
をいたしております。そうして十時五十五分から十一時半までの間、この
部隊
は
樋詰
を少し越えまして
中郷
との
中間
で
昼食
をいたしておりまするが、この
昼食
時には
同僚
とともに食事をとりましたほか、鶏卵二個を喫食いたしております事実がございます。その後さらに
ジープ
に乗車いたしまして
行進
を続けまして、
中郷
の
統制点
に参りました。これが
最後
の
統制点
でございますが、この
統制点
でも他の
統制点
と同様に
同僚
の
援助
を受けて
通過
をいたしております。そうして十二時二十分に再び
ジープ
に乗車いたしまして、そのまま
最後
の
目標地点
に午後一時四十三分に
到着
をいたしました。この
目的地
では
同僚
に拘かれて
ジープ
をおりておりまするが、この
容態
が異常であると見まして、
医官
が診断をいたしましたところ
重態
でございました。そこで直ちに
救護所
に収容いたし手当を加えまして、
西条
町の
国立療養所
に送る
処置
をとったのでございますが、八本松町の同
救護所
内におきまして十四時十分
急性心臓麻痺
により
死亡
されたのでございます。 以上がその大要でございます。
亀田得治
4
○
委員長
(
亀田得治
君) 本件に関し御質疑のおありの方は順次御発言を願います。 ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
亀田得治
5
○
委員長
(
亀田得治
君)
速記
を始めて。
田畑金光
6
○
田畑金光
君
小滝長官
にお尋ねいたしますが、この
事件
について
長官
としてはどういうようにお
考え
になっておられますか。
小滝彬
7
○
国務大臣
(
小滝彬
君) 私就任早々このようだ不祥な
事件
が起りましてまことに申しわけないと感じまして、ぜひこういうことが
再発
しないように最善を尽さなければならないと
考え
ておる次第でございます。つきましては、この
事件
につきましてもただいま
人事局長
から
説明
いたしましたが、一応こうした
状況
を
調査
いたしました上に、特にこの不幸な
犠牲者
を出しました点についてその原因、また当時の
実情等
をよく踏査するために
防衛庁
の本部の方からも
いろいろ人
を派遣いたしまして、この
事情
を大体
調査
を終了いたした次第でございます。従いまして、今後
自衛隊
が
国民
からほんとうに信頼される姿でなければならないので、このような
事件
について
責任
のあった
向き
につきましては、十分これに対して
調査
の上最も適切なる
処置
をとりますると同時に、今後こういうことの
再発
しないように、いろいろ
各地
に分散しておりまする各
自衛隊
の
部隊
に対してこういうことのないような
指示
を与えるべく、いろいろその
指示
の
内容
についても検討いたしておる次第でございます。これまでもすでにこの
事件
は
各地
に通報いたしまして、こういう
事態
の起らないように
注意
するということは
指示
いたしておりまするが、さらにこれが
再発
を絶対にないようにするためには、もっと詳細な
指示
も与えなければならないと存じまして、そういう
事態
についても検討いたしておりまするし、さらにまた近いうちに地方に分散いたしております各
自衛隊
の
責任者
を東京に招集いたしまして、十分私もひざを交えていろいろ話し合いまして、その士気を阻喪させないと同時に、こういう問題の絶対に起ることのないような細心の
注意
をするように
十分警告
を発し、またそれについての資料を与えたいという
考え
で進んでおる次第でございます。
田畑金光
8
○
田畑金光
君 今、
加藤局長
から
報告
がありましたが、
報告
を聞いて感じましたことは、まことにこれは今の戦後の日本の社会のもとで、しかもいろいろ
憲法論議等
もかわされて、その中から現実に出てきておる
事例等
の中でこのような
事態
がまさかあるとはわれわれも想像していなかったわけです。特にこの
犠牲者
の二人の
最後
の終末の
状態
を聞いておりますと、
ジープ
に乗せられていた、そうして
統制点
の前に来るとおろして
同僚
から支えられてあるいは引っ張られて、また
統制点
を出ると
ジープ
に乗せて
目的地
に向った、まあこれあたりはちょっと想像以上のものが実感として伴ってきたわけです。こういうあり方に対して
長官
としてはどのようにお
考え
になりましょうか。
小滝彬
9
○
国務大臣
(
小滝彬
君) まあ最近におきましては、いろいろ新しい兵器もありまするし、進歩したいろいろな車両もありまするが、
普通科
の
部隊
というものはもちろんこうした
方針
の
訓練
もしなければならない。従いましてその忍耐に耐え得るという方面の
訓練
が必要でありますが、しかしながらそれが実際の
体力
をこえて、ことに今度のような
事態
を起すようなことをやるということは、これは決して
国民
の信頼を受けるゆえんでもないし、またそれは現在のような志願の制度によって
自衛隊
を構成しておりまする際には、ことのほかりっぱな青年に入ってもらう
機会
を失うおそれさえあるわけでありまするから、こうした点については
厳重注意
をいたしまして、こういうことのないようにいたしたいと
考え
る次第でございます。 今の
説明
にもありましたように第一
連隊
、第十五
連隊
、
最初
に出ました
連隊
またその次の
連隊
の方は無
事故
で済んでおる。なるほどまん中に挾まれた
部隊
の方は
落伍者
は出たかもしれないけれども、とにかくきちんとした
規律
で進んでいる。ところが
最後
の第七
連隊
の第二
大隊
の方は、どうも
訓練
を真剣にやろうという心がまえにおいては間違いはなかったかもしれませんが、その
実行
に当りまして
妥当性
を欠いておったのじゃないか、行き過ぎがあったのじゃなかろうかというように
考え
まして、大体そうした
調査
に基きまして、この
責任者
に対しても十分適当な処分をいたし、またこういうことのないようにもっとこれまで以上に詳細な指令をむいたしまして、こういうことの
再発
のないように努めたいと
考え
ておる次第でございます。
田畑金光
10
○
田畑金光
君 このような事実が発生した以上は、たとえ
訓練
から出たものといたしましても、当局としても十分反省されておると思いますが、世にいわゆる倒れて後やむ
精神
の具体的な現われであって、あたかもこれが賞賛すべき
事件
であったかのごとく見ておる
人方
もあるわけです。また
敢闘精神
の現われである、こういうようなことで賞賛されておる
向き
もあるようでありますが、
長官
はこういう事実を見られて
敢闘精神
として賞賛すべきであると判断されるか、倒れて後やむ
気持
の現われとしてこれをたたえられるというお
気持
であるか、どのように判断されていましょうか。
小滝彬
11
○
国務大臣
(
小滝彬
君)
敢闘精神
の現われであるというようなことをいろいろ言われた人もあるかに聞いておりますが、これは一になくなられた方が非常に
責任感
を持って
自分
の
任務
を全うされようとしたという
意味
において、なくなられた方に対して敬意を表される
意味
で申されておることだろうと私想像いたします。私といたしましてはこのような無理をいたしますということは、各
自衛隊員
の
基本人権
にも関することであって、こういうことは絶対にないようにしなければならないことで、今のもしそういうような
気持
があるとすれば、これはあくまでも根絶するようにわれわれの方で適当な指導を加えなければならないという
考え
でただいま進んでおる次第でございます。
田畑金光
12
○
田畑金光
君 そういたしますと、
長官
としてはこのような行為あるいは度を過ぎた
訓練
というものは決してほめたものではない、倒れて後やむ
精神
、あるいは
敢闘精神
などと言ってほめられたものではない、こういう判断で、お
気持
でおられるわけですね。
小滝彬
13
○
国務大臣
(
小滝彬
君) 大体その
通り
でありまして、
訓練
ももちろん必要でありまするが、
部隊
として十分のことはやらなければなりませんが、そういう度を過ぎたことは排撃しなければならないという
気持
で進んでいるわけです。
田畑金光
14
○
田畑金光
君 そのような
気持
であるならば、私も全く同感であるわけであります。ことに
長官
並びに塩原次長並びに
加藤局長
、いずれも文民の各位であり、良識を持っておられる各位であるわけです。しかしながら、この
事件
が起きました直後に、私たちは新聞でこれを見たわけでありますが、
長官
の
指揮下
にある最も有能な陸上
幕僚長
の筒井竹雄陸将は、倒れて後やむ
精神
としてこれをほめている。あるいはまたこの
演習
を直接統裁された第三
管区
の
幕僚長
の橋詰一佐は、
部隊
では賞賛の的になっている、まことに
責任
観念の強い態度であるというような
考え
方でいるわけです。そうしますと、文官である
長官
以下皆さん方の
気持
と、直接制服を着ておられるその
人方
の
訓練
に対する
考え
方等々というものは、相当隔たりがあると私はお見受けするわけですが、そのように見てよろしいかどうか。
小滝彬
15
○
国務大臣
(
小滝彬
君) 先ほどちょっと私言及いたしましたように、この言葉の表現は多少違っているようでありますが、あるいは今申されましたようにとれる発言があったかに思いまして、私も陸幕の
幕僚長
にただしてみたのでありますが、先ほど私が
説明
いたしましたように、決して死んでもやれという
意味
で言ったのじゃなくて、このなくなられました故人に対した敬意を表するという
意味
で言ったので、何も他意があるわけではないというようにるる
説明
しておったのであります。私はこの
責任
ある地位の連中が、そういう今御指摘のような
気持
で申したものじゃないと確信いたしておりますが、しかし御承知のように、戦前の軍隊にいた者も相当加わっていることでございますから、こういう間違った
考え
がかりにあったら大へんでございまするので、これは紙きれの上で
指示
をしただけじゃなかなかわかりにくいことかもしれませんから、よく意を尽してそういう点を
説明
して十分
考え
てもらいたいと思いまして、先ほど申しましたように東京において、普通の日はいろいろ
委員
会で忙しいものでありますから、日曜に全部に集まってもらって、私の真剣な
気持
をみんなに伝えて、こうした
精神
を体してもらうような
措置
をとりたいと思う次第であります。
田畑金光
16
○
田畑金光
君 この
事件
が起きましていろいろ
長官
としても心痛されたようでありますし、また増原次長以下統幕も大へん心痛されて、それぞれ現地に中央から
調査
に派遣され、
調査
の結果に基いて適切な
措置
をとられる、特にこの
事件
において
責任
をとるべき、あるいはとらすべき地位にある人に対しては、それぞれ相応の
措置
をはかるというようなことも私たちは伝え承わっておりますが、この点に対しましてどのような
措置
をとってこられたか、承わりたいと思います。
加藤陽三
17
○
政府委員
(
加藤陽三
君) この不幸な
事件
が起りまして、
長官
は非常に御心配になりまして、すぐに管下の
部隊
に対しましては
訓令
をされておりました。こういうことのないように
注意
しなければならないということを厳命せられております。この
事故
の原因の
調査
につきましては、当初監察隊及び人事当局の者を派遣いたしまして、東京の方で直接調べを始めておったのでございますが、その後
調査
に従いましてだんだんと
事件
が複雑になり、かつ新聞等に掲載せられましたごとく一部暴行
事件
のようなこともあったというふうなこともありましたので、警務隊を派遣いたしまして、警務官をして厳重なる
調査
をさせておる
状況
でございます。先ほどの大臣の御
説明
のごとくほぼ
調査
も完了いたしまして、近い
機会
にこの
責任者
の追及に関する、追及と申しますか、
責任者
についての処断をいたしたい、かように
考え
ております。
田畑金光
18
○
田畑金光
君 警務官が
調査
されて大体
調査
も最終にきた。その結果に基いて
責任者
についてはそれ相応の
措置
をとられる、こういうようなお話でありますが、大体それはいつごろになる見通しでありまし、ようか。特にまたその捜査に当って、どのような観点から、この
事件
を当局としては究明されるように
指示
しておられるのでしょうか。この点について、どういう観点に立ち、どういうような角度から
事件
の本質を究明されておられるのか、この点を承わりたいと思います。
加藤陽三
19
○
政府委員
(
加藤陽三
君) 再びかような
事件
を起してはなりませんので、こういうふうな
事件
を起した素因がどこにあるかということにつきまして、
計画
の
段階
、
実施
の
段階
、また直接
部隊
を指揮して参りました者と、三
段階
に分けまして、それぞれ専門的な見地から
調査
を続けて参っておるのでございます。処断は数日中に行われることに相なろうと思います。
田畑金光
20
○
田畑金光
君 この
事件
を境といたしまして、特に世論が批判検討を加えたのはもちろんでありますが、
自衛隊
の内部に、しかも
事件
を起した
部隊
の中に相当批判が起きてきた。あるいは幹部のやり方に対する不満が爆発してきたことは御承知の
通り
でありますが、ある者は、国会に出て証言に立ってもよろしい、こういうことまで言っていたことは御承知の
通り
であります。ところがいつの間にか、そういうことも世論から埋没していったわけですが、私は、こういうような
自衛隊
の中における士気あるいは軍紀というのかどうかしりませんが、
規律
、秩序の弛緩の問題、こういうことを
考え
たとき、今の
自衛隊
に何かしら欠けているものがありはせぬかとこう思うのです。おそらく新しく入ってきました
自衛隊員
というものは戦後の教育を受けてきた者でありましょうし、これを指揮する幹部の諸君というものは、今お話の中にもありましたが、多く古い軍隊制度の
規律
訓練
を身に体した諸君が幹部になっておるわけです。こういうように指導幹部は古き日本の旧秩序を学んできたわけです。そういうように徹底した軍隊
精神
を植えつけられてきた諸君です。ところが今日、
隊員
として
訓練
を受けておる者は、新しい教育を受けてきた諸君です。この三つの断層が今の
自衛隊
の中に強く流れておると私たちは見るわけです。このように
自衛隊
の実態を
考え
たとき、私はこの
教育訓練
、あるいは
自衛隊
の方向というものをどのように持っていくかということは、実に大きな課題であると私は
考え
ておるわけですが、
長官
はこういう
自衛隊
に対して一片の
訓令
を出されるだけで、ことが済まされるとは
考え
られぬと思っております。
長官
の
訓令
であるからけんけん服膺して、その
通り
動いてくれるならばありがたいわけですが、昔のように詔勅の威力を持つならばとにかく、小瀧
防衛庁
長官
がせっかく出された
訓令
も、なかなかその初志の
通り
には浸透すまいと思いますが、それはとにかくといたしまして、
小滝長官
としてはどういう
精神
的な支柱と申しますか、
自衛隊
を指導していくのにどのような
考え
方、
精神
的な柱を立てて指導されていかれようとするのか。また今申し上げた二つの、幹部級と兵隊クラスとの大きく違った断層、これに対しましてどのような調整をはかっていかれようとしておられるのか、その点を承わりたいと思います。
小滝彬
21
○
政府委員
(
小滝彬
君)
自衛隊
ができまして以来、御指摘のようにその中にはもとの軍隊におった人もありまするが、しかしこれらに対しましては、ただ単にそのままかつて教育があったから、出ていって
部隊
を指揮させるということではなく、十分幹部学校その他において教育をして、新しい
精神
を十分体得さして、そうして
責任
ある地位につかせるという
措置
をとってきているのであります。特に今こういうような問題が起った際で、私も
自衛隊
の方を担当することになりましたので、今御指摘のような、幹部と、そうして普通
隊員
との間に、ものの
考え
方の大きなギャップがあるというようなことでありましたら大へんでありますから、さらに今後もそうした指導
訓練
という点に重点を置いていきたいと思いまするが、戦前のようにただ幹部が著いつけたら絶対権力をもって下を抑えるというようなことは実際上としてもできないことでありましょう。昔のような義務でやられるものではないし、みんなが納得しなければほんとうの
指揮監督
もできないわけでありまして、その点は大体みんなわかっておるはずでありまするが、しかしそれを逸脱することがないように、現在の
自衛隊
というものはこの民主主義下においてほんとうに平和を守るためのものであり、そうしてこの国土を守るための
任務
を持っているのだという点につきまして、十分理解させる努力をしなければならないと思うのであります。これにつきましては私就任早々
国民
の皆さんに
自衛隊
の
任務
、
自衛隊
の実質というものをよくわかってもらうように、PR運動を盛んにしなければならないということを第一声として申したのでありまするが、この必要は外に対してばかりでなしに、内部の者がまずほんとうに自覚して、
自分
の
任務
を自覚してかからなければならない。現在の
自衛隊
というものがいかなるものであるべきか、ということを自覚しなければならないのでありまするから、私はただ単に外部に対してのみならず、特にまず外部から信頼を受けるのには、内部をととのえなければならない。その
意味
において、ただ紙きれで何か指令をするとか、あるいは月刊とか、週刊の隊内で読まれるような雑誌、たとえば「朝雲」というようなものだけではだめであって、もっとほんとうに全部がこうした
任務
を理解するのには、視聴覚教育と申しますか、いろいろな方法で十分各個の人々が理解するような
措置
をとらなければならない。こうした
考え
方で、予算も限られておりまするけれども、私はいろいろ工面をいたしまして、こうした教育に特に力を尽したいと
考え
ておる次第でございます。
伊藤顕道
22
○伊藤
顕道
君 関連して
長官
にお伺いいたしますが、この問題は
自衛隊法
の以下申し上げる個条にも相当関連が深いと思うのです。第五十六条ですね、職務遂行の義務がここに明記してありまするが、読んでみますと、「
隊員
は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、」、ここからが非常に大事な問題だと思いますが、「職務上の危険若しくは
責任
を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。」、そこで問題になるのは職務上の危険ですね。今この法文に当てはめますと、行軍隊中にあって
目的地
へ達する、それまでが職務になるわけですね、
隊員
から見ますと。そこで身に耐えられないそういう苦しさをもしのんでどうしても、そういう日ごろ
訓練
を受けておるわけですから、そういうところに相当の無理があった。また一方上官としては、これを昔のいわゆる軍隊がその事のいかんを問わず上官の
命令
には従わなければならぬ、旧軍隊ではそういう
精神
を、そういう
訓練
を強行したと思う。そういうところにこの問題が非常に関連があると思うのです。この五十六条ないし五十七条ですね、特に五十七条、「
隊員
は、その職務の遂行に当っては、上官の職務上の
命令
に忠実に従わなければならない。」、ここで問題になるのが、今申し上げた、その事のいかんにかかわらずですね、ということであれば、こういう問題は絶えないと思うのですね。ただ上官が、その上官としての
適格者
であって、よくそういう点を了解しておればよろしいが、旧軍隊式な観念からそのことのいかんにかかわらず、もう一たん
計画
を立てたら死して後やむというような
最後
までこれを強行する、その事のいかんを検討しないで強行する。そういうところに問題があったと思うのです。これは非常に重大関連の
内容
だと思うわけです。この点について明確にお
考え
をいただきたいと思います。
小滝彬
23
○
国務大臣
(
小滝彬
君) まことに仰せの
通り
でありまして、
自衛隊
は普通の官庁などと違いましてこういう
部隊
でありますので、この五十七条のような
規定
を必要とするのでありまするが、しかしその前提条件としては、最も良識のある指揮者として
適格者
でなければならぬというところが一番大事なわけであります。今度の件につきましても結局現地で当時の
天候
、あるいは実際の
状況
を判断して、そうしてこういう
犠牲者
の絶対に出ることのないような判断を下さなければならぬ。その指揮者の良識、またその人の正しい判断ということが最も重要でありまするので、その
意味
で先ほども申しましたように、幹部の教育というものには細心の留意をいたしまして、間違いのないようにいたしたいと
考え
ておる次第でございます。
伊藤顕道
24
○伊藤
顕道
君 このことにさらに関連して、
事件
後上官が
自衛隊
の亀鑑であるというような
意味
のことを放言したり、先ほども御指摘のあったように、国会で真相を証言しようとする
隊員
の申し出があったにもかかわらずこれを押えた。こういうようなことについは
自衛隊
のあり方について十分再検討する必要があろうと思うのです。この点についてのお
考え
をいただきたいと思います。
小滝彬
25
○
国務大臣
(
小滝彬
君) 私は何も亀鑑であるというようなことを言ったはずはないのですが、どういうことですか。
伊藤顕道
26
○伊藤
顕道
君 新聞によりますとですね、
長官
ではないのです。上官がですね。
小滝彬
27
○
国務大臣
(
小滝彬
君) 先ほど申しましたように、あるいはそういうような誤解を受けるような失言があったかもしれませんが、申した者はそうした趣旨ではなくして、気の毒なこの
隊員
の方に敬意を表するという
意味
で申したということであります。私はこうした誤解のないように、一つぜひこれからもしそうした
考え
方があればその
考え
方の根本を正さなければなりませんが、そうした言動についても十分
注意
をして皆さんの信頼を受けるような何にしなければならないと
考え
ておるものでございます。
伊藤顕道
28
○伊藤
顕道
君 私はこの死の行軍
事件
については二つの大きな問題があると
考え
ておるわけであります。一つは人権問題としてそれ自身が非常に重大な問題であるという点、これは先ほどから
田畑
委員
が指摘されておるわけですけれども、この人権の問題。それと同等もしくはそれ以上に重大な問題が
考え
られるわけであります。と申します
意味
は、たとえば旧陸軍が、あるいはまた海軍が比島や中国でああいう残虐な行為をやったと、そういうことが
考え
られておるわけですが、こういう軍隊がどうしてできたかということを検討しなきゃならぬと思うわけです。旧軍隊が一切の自由とか権利を奪われて、そうしてあのような牛馬にひとしいような
訓練
を受けてきたと、そういう兵隊があったことを思い起していただけば、この死の行軍を強制されるこの
自衛隊
が将来どういう行動に出るかということもまたあわせて
考え
られると思うのです。そういうような
意味
でこれは非常に重大な問題だと思うのですね。手っとり早く言いまして、結局大陸でああいうような残虐行為をやったということは、日ごろ旧陸軍や海軍がそういう日ごろの牛馬にひとしいような人権無視の行動を受けておった。そういう
訓練
からこれは生まれてきたと、そこに大きな問題がある。で、問題自体人道上の問題であると同時に、将来にそういう非常に憂慮せらるべき本質が残されておるという点、こういう点で二重な問題だと思うわけですね。この点についてどういうふうにお
考え
ですか。
小滝彬
29
○
国務大臣
(
小滝彬
君) ごもっともでして、そういうことを現に現在の
自衛隊
がやらしておるとすれば大へんなことでありますから、さっきから申しまするように、これまでのいろいろ
訓令
を私もずっと調べたのでありますが、今まで各
部隊
で出しておるものには相当詳細な
規定
を設けております。こういうように救護しなければならない、あるいは何についてはどうしなければならない、からだが悪いと訴えた者についてはそれは医師に診断させなければならない、相当微に入り細に入った指令も出ております。しかしこれは何としても、紙で幾ら書きましても、本人の
精神
、
考え
方というものが大事でありますので、これはただ紙切れだけではいけないのでありましょうから、この点は特に今後
注意
していかなければならないものであろうと
考え
ております。でありまするからそうした面につきまして、ただ単に固い
通り
一ぺんの
訓令
というだけでなしに、もっとわれわれの
考え
ておるところを徹底させるような手段、それは単なる一種の
訓令
だけでなしに、いろいろな、手段を通じまして各人の自覚を促すようにしなければならない。こういう
気持
で進んでおる次第でございます。
伊藤顕道
30
○伊藤
顕道
君
防衛庁
でいろいろ苦心せられて、いろいろまあいい条件を作られて
隊員
を集められると、そうして一たん集めてみられても、
隊員
が銃をとる
理由
を本人が自覚するのでなければ、銃をとる
理由
を
隊員
一人々々が自覚するのでなければ結局ものにならぬというような観点から、結局強制的に外部から自衛意識を注ぎ込むと、そういうことになろうと思うのです。そういうような一つの今度の問題は現われであろうと思うわけで、そういうようなことから、死ぬほど強い
訓練
を課すことによって、またこれは違う問題ですが、遺髪を切らしてこれを保存させる、そういうようなことにも関連があると思うが、こういうことによって逆に自己の
任務
がいかに重大であるかを悟らせよう、そういう一つの現われであるように
考え
られるわけです。遺髪と死の行軍をあわせて
考え
た場合、そういう点が明白にうかがわれるわけですが、こういうような点でこれを繰り返されることになりますと、ゆゆしい問題だと思うわけです。それでこの点について一つ
長官
のはっきりしたお
考え
を伺いたいと思います。
小滝彬
31
○
国務大臣
(
小滝彬
君) 今、例として御指摘になりましたつめを切らしたとかあるいは髪を切らした、ほんとうに戦前の出征のときと同じような
訓練
をさしたということは、確かに行き過ぎと存じまして、私どももさっそく
注意
を与えてきたわけでございます。何分にも
自衛隊
ができましてから数年足らず、そうして今二十万にもなりましたので、その間に十分な基礎もできていないまま、そうした熱心のあまり行き過ぎた行為に出る者もなきにしもあらずでございまして、この点はなはだ遺憾に思っておりますが、私は、だんだんこうした努力を私どもが払っていくことによりまして、こうしたことを根絶することといたしたい、この決意で進んでいるわけでございます。
伊藤顕道
32
○伊藤
顕道
君 なおお伺いしますが、
防衛庁
は最近誘導弾などの高級兵器をいろいろ要求したり、それから今回の死の
強行軍
、あるいはまた先般のC46の航空猛
訓練
からこういうようなことがうかがわれるわけですが、こういう一連のつながりのある仕事は、
自衛隊
の
訓練
を昨今非常に強化しようと、そういうふうに受け取られるわけです、一応は。非常に猛
訓練
を急がれておる、そういうふうに
考え
られるのです。
防衛庁
としては、憲法で保障されている人権尊重の点についてはどういうようにお
考え
か。こういう点はやはり現行憲法で明白に人権尊重をうたっているわけですから、先ほどの五十六条、五十七条との関連があるわけですが、こういう点についてはどういうふうにお
考え
ですか。
小滝彬
33
○
国務大臣
(
小滝彬
君) われわれは、もちろん行政関係に携わっている者は、ことのほか憲法の条章を守らなければならないことは当然でございまして、憲法に
規定
されております自由、たとえば人権というようなものを侵害するというようなことは絶対にあってはならない。これはもちろん根本的な
自衛隊
における
規律
以前の最も大事な基礎でございまするので、いやしくもそれに反するようなことをさせるという意思は毛頭持っておらないことは申し上げるまでもないところであります。特に
訓練
を急いでそうした重大なあやまちを犯すということになれば、せっかく
自衛隊
をりっぱに作り上げようという意途が葬り去られることになることは当然でありまして、先ほどから申し上げますように、ほんとうに皆から信頼されるような
自衛隊
にならなければならない。そういたしまするならば、ただ功を急ぐということによって、かえってその結果において
国民
の反感を買うということでは、ほんとうの使いものになる
自衛隊
はできないわけであります。こういう
意味
で、私は最近C46の
事故
が起ったのも非常に遺憾に思っておりますが、必ずしも
訓練
を急いだという結果ではなく今
調査
中でございまして、結論的なことは申されませんけれども、いわば不可抗力と申しまするか、
天候
に災いされてああいうようなことになりました。こういうようなことが、かりにその
状況
が急に変じたためにそうなったといたしましても、これもまた
自衛隊
に対する疑惑を起す原因にもなるおそれがあると思いまするので、こうした点についても十分留意をいたしまして、
自衛隊
が健全に発達するように最善を尽したいと
考え
ておるものでございます。
伊藤顕道
34
○伊藤
顕道
君 現行法では証言を申し入れた
隊員
を説得するだけで、これを服務
規律
違反では処罰ができないと思うのですがね。そういう説得だけなんです、今は。証言を申し出た
隊員
がおったわけですね、これは説得して中止させたと思うのですけれども、服務
規律
では違反として処罰できない、そういうことで法を強化するような動きが内部であるように、二月十二日の「日経」で拝見しておるのですけれども、こういう事実はあったかどうかという点ですね、もしあったとしますと、今私が指摘した人権無視という点で一つの問題点だと思うわけでありますけれども、そういう事実がありましたかどうか。二月十二日の「日経」で拝見したわけですけれども。
加藤陽三
35
○
政府委員
(
加藤陽三
君) 私どももそういうふうなことがあったやに実は新聞で承知しておるのでございます。ただ
防衛庁
としましては、
長官
が他の
機会
に申されましておりますごとく、この
事件
は
防衛庁
を通じてお調べを、国会の方で厳重な御審議をいただきたいということで、国会の方にお願いをして参っておるわけでございまして、直接その
隊員
自体に対しまして、証言しちゃいけないとかあるいは国会に出頭しちゃいけないというようなことを言うた事実はございません。
伊藤顕道
36
○伊藤
顕道
君 先ほど繰り返し申し上げたように、五十六条、五十七条、非常に問題点はあるわけなんですが、こういうことにも関連して、もしもかりにこれだけでも私どもは強過ぎると思うのですよ、このことが。先ほども申し上げたように職務上の危険はあっても、これはどうしても回避してはならない、そういう
意味
なんですね、五十六条は。そうして五十七条はそのことのいかんを問わずというふうにもとれるわけですね。そういうことで、
長官
がこれは人の問題だから
適格者
の有無ということがそのときの問題だと、そういう
意味
のことを言われたわけですけれども、法規としてはこういう明文が五十六条、五十七条にあるわけです。これでも私ども非常に強く感じておるわけです。この上二月十二日の「日経」の報道のごとく、さらに法を強化しようというような動きがあるとすれば、これは非常に問題だということを今申し上げたわけで、そういう点を今お伺いしたわけであります。そういう動きは全然ないわけでございますね。
加藤陽三
37
○
政府委員
(
加藤陽三
君) お尋ねはまことにごもっともだと思うのでございますが、五十六条、五十七条の
規定
につきましては、私どもといたしましてはやはりこれは基本的人権の問題とか、常識的に
自衛隊
の
任務
等に即応して
考え
てみまして、許され得る限度のことをここでは命じておるのだと思うのであります。決して違法の
命令
だろうがどんな
命令
だろうが従わなければならないのだ、というふうには私は了解いたしておりません。
伊藤顕道
38
○伊藤
顕道
君 その点は了解できますがね。そこでそれ以外に
自衛隊法
の五十六条、五十七条に拘泥せず、別途動きとして、先ほど申し上げたような点があっては問題だということを今申し上げたわけであります。必ずしも五十六条、五十七条をさらに強化とかそういう
意味
で申し上げたのじゃない。
加藤陽三
39
○
政府委員
(
加藤陽三
君) お尋ねの点は
隊員
が証人に出ることを押えるかどうかということであろうと思いますが、私どもといたしましては現実の問題になりました場合にはいろいろ
考え
なければならないことがあると思いまするが、私どもといたしましては、今のところ
防衛庁
を通じて国会の方で御審議いただくことを希望しておるということを申し上げたいのでございます。
竹下豐次
40
○竹下豐次君 倒れてしこうして後やむという
敢闘精神
の問題ですね。衆議院でもそういう質問応答があったように新聞で聞き及ぶのであります。 結論から私の
気持
を申しますると、私は
敢闘精神
の
養成
ということはきわめて必要である、かように
考え
ております。これはひとり
自衛隊
だけではありません、われわれ政治家にいたしましても、実業家にいたしましても、教育家にいたしましても、職務を忠実に
実行
しようとする人は、その
敢闘精神
が絶対私は必要だと、こう思っております。どういう
気持
でどなたでしたかね、おっしゃった……。
加藤陽三
41
○
政府委員
(
加藤陽三
君) 筒井
幕僚長
……。
竹下豐次
42
○竹下豐次君 その
気持
は私にはわからないのでありますけれども、今
長官
のお話によりますると、なくなられた人に敬意を表するというような
気持
でおっしゃったのじゃなかろうかというようなお話でありました。私は筒井さんのお
気持
は、それだけでなくして、やはりそういう教育が必要であるということをしっかり頭の中に入れておいて発言されたのじゃないか、こういうふうに私は想像しておったわけであります。私は各個人が職務に忠実であって、倒れてしこうして後やむというところまで決心をしているということは、非常に貴重なことで、各自がそうあることを心から私は希望する。しかしそのことと、上司が下の者に無理して、
自分
で判断して、そうして事実、
敢闘精神
のない者を無理に引きずって、死ぬまで働かせるというようなことは、これは絶対にいけないと思う。その二つの使い分けははっきりしておかなければならないのであって、どうも新聞ではそこがはっきりしませんね。いろいろな質問に対して
政府
当局が遠慮がちに言いたいことも言い切らずにいらっしゃるのじゃないかというような感じを私は新聞を見て感じておりました。それでは困ると思うのです。ことに
自衛隊
の
隊員
というものは、いざというときにはほんとうに命がけで第一線に立たなければならぬ、その人たちに対する教育が倒れて後やむ、正しい
意味
で倒れて後やむのだという
精神
を持たないような教育、これでは私はほんとうに筋金の通った
自衛隊
はできないのではないか、かように私は
考え
ております。その二つの使い分けがはっきりできることということは、きわめて必要なことでありますから、これはこの下級の
自衛隊員
にも自主的にすべてを判断して、いやしくも生命を軽んじ過ぎるようなむちゃな判断をして、みずからを誤まることがないように、これは絶対に教育しなければならない。上の方ではまた職務に熱心のあまりはき違えて、下の者に無理のいかぬように、また
自分
自身もそういうことのないようによく教育してやらなければならない。こういうふうに使い分けをはっきりされて、そしてこの
精神
はどこまでも強く、やっぱり教育してもらうように私は切に希望しておるわけでありますが、その点は
長官
どうでございましょうか。どういうふうにお
考え
になるのでございますか。
小滝彬
43
○
国務大臣
(
小滝彬
君) 私申しましたのは、本人が非常な
責任感
をもってやられたことに対して敬意を表するという、それは言いかえれば
敢闘精神
をもってやられたことに対して敬意を表するという
意味
で納得しておるのでございますが、ただこれに批判を加えられると同時に、
敢闘精神
を大いに賞賛すべきことであるということを
幕僚長
が言ったということは、そういうことをやらせておいて、それがよろしいという弁護の辞であるというように、一般的にはとられておるから、そういう
意味
で言ったのではないかという
意味
でありまして、
幕僚長
も、私は詳細には本人でございませんから申されませんが、先ほど
田畑
さんにお答えしたような趣旨で申したものであると思います。私といたしましては、
隊員
が困苦に耐える
精神
を養わなければならない必要は十分に認めておるものであり、そういう指揮をいたしておりまするが、しかしいやしくもこれを指揮する者が、これは
敢闘精神
だからよろしいというような
考え
であってはならないのであって、あくまで生命を重んじ、そうして
国民
も、この
程度
はなるほど国を守る
任務
につく者としては持っていなければならない、納得される限度においてこれを指揮する者としてはやるべきものであるということを申したつもりでございます。
竹下豐次
44
○竹下豐次君 先ほど申しましたように、私は
政府
の答弁のいかんによりましては、
隊員
の士気を阻喪せしめる危険が大いにあるというように心配いたしておりますので、その点の
内容
にはっきりしただれでもそういう誤解の起らないような答弁をやっていただきたいと、こう思ったわけであります。 ついでにお伺いしますが、これはあなた方にお伺いするのは少し無理かもしれませんが、戦前旧軍隊時代に今度起ったような行軍中の
事故
というものは相当一に起ったのじゃないか、それが世間にわからずにおったのじゃないかという
気持
がしておるのです。私も実は知りませんけれども、そうしますと元軍人であった幹部の人たちがやっぱり古い
自分
たちの経験になれ過ぎちゃって無理をしでかす、というようなことが繰り返される心配がありほしないかと思うのでありますが、戦前の事例、などお聞きになったことはございませんか。
加藤陽三
45
○
政府委員
(
加藤陽三
君) 私の方でも調べてみたのでありますが、ちょっと手元に資料を持ち合せておりませんが、記憶によりますと、富士の
演習
場から相模ヶ原にかけての行軍中に数十名の者が倒れたという事実があるようであります。
竹下豐次
46
○竹下豐次君 戦前ですか。
加藤陽三
47
○
政府委員
(
加藤陽三
君) 戦前であります。 しかし今
自衛隊
に入っておる旧軍人の諸君もたくさんおられますが、
隊員
庁死に至らしめるような
訓練
でもよいのだというようなことを
考え
ておる者は、私は一人もいないと思います。やはり
訓練
は正当でなければなりませんけれども、
隊員
が
死亡
するような
訓練
をしてよいと
考え
ておる者は一人もいないと思います。
竹下豐次
48
○竹下豐次君 この事例で一部の隊にはこれが起った、一部の隊にはそれが起らないということなんですね。そういうことから
考え
てみますと、一部の人にはやはりそういう無理な
考え
方が昔ながらに残っておった結果が、こういうことになったのじゃなかろうかという疑いも起るわけなんですね。それでお尋ねしておるわけであります。今お話のように、ないということなら非常にけっこうなことだと思いますが、その点は十分に御
注意
願いたいと思っております。
田畑金光
49
○
田畑金光
君 私の質問しようと思っていたことが、それぞれ関連質問の中ですでに取り上げられたわけであります。私は特にこの
自衛隊法
の、先ほど伊藤
委員
からも御発言がございましたが、五十六条と五十七条、それから刑法二百十一条との関係についてお尋ねしてみたいと思うのです。 第五十六条は「
隊員
は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しくは
責任
を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。」この
規定
の解釈ですが、それは
加藤
人事局長
のような良識で判断する問題だと思うのです。ただしかしこの条文は主として
自衛隊
というものの
任務
とかあるいは
自衛隊
あおかれた
目的
、こういうことを
考え
たときに、やはりこれは何らかの天災というものを
予定
しておる。そういうことを
考え
たとき、五十六条というものが生きてくる条文であろうと
考え
ておるわけなんです。で、第五十七条の一
隊員
は、その職務の遂行に当っては、上官の職務上の
命令
に忠実に従わなければならない。」私はここに少し掘り下げてみる必要がありやせぬか、そういう条文でなかろうかと
考え
ておるわけです。というのは、今回のようないわゆる死の行軍、こう呼ばれておりますが、これは上官の職務上の
命令
として忠実に従わねばならぬものであるかどうか、これは
隊員
は上官の
命令
を忠実に服するというならば、その
命令
自体に私は問題があると思うのです。
命令
が行動を求めるならばそこに限界があるだろうと思うのです。今回の死の行軍というものは、一体上官の
命令
に服従する義務を持つものであるのかどうか。それともですね、もしその
命令
の限界を越えておるとするならば、しからばどこにだれが
責任
を負うか。こうなってきますと、私は刑法二百十一条の業務上の過失致死罪、こういう問題になってこようと思うのです。業務上の必要な
注意
を怠り、よって人を死傷に至らしめた、これは今回のこの
事件
において当然問題として出てくると
考え
るわけなんです。で、私が今回のこの死の行軍の
事件
、しぼりますと二名の人を
死亡
に至らしめた、しかもその
最後
は惨たんたるものです。後ほどこれについてばお尋ねいたしますが。で、この場合に一体結果として出てきたこの事実に対し、小瀧
防衛庁
長官
は五十七条の上官の
命令
に服従する義務としてこれは処理されようというのか、それとも服従する義務の限界を越えておるとするならば、刑法二百十一条の業務上の過失致死罪として処断しようとされるのか、どういう判断でおられるか、これを承わりたいと思います。
加藤陽三
50
○
政府委員
(
加藤陽三
君) この
行進
は
訓練
の一つとしてやったのでございまして、これは私は
隊員
といたしましては従うべきものであると思います。ただ御質問にありましたようにこの隊長がこの
行進
を
指揮監督
したのでございます。この隊長の
指揮監督
された隊の管理につきまして業務上必要な
注意
を欠いておったかどうかということは、私はこれとはやはり別の問題であろうと思います。この点を私の方でもいろんな角度から現在
調査
をいたしておる
段階
であります。
田畑金光
51
○
田畑金光
君 二つは性格は異なる、そうしますと皆さん方が
責任
を追求される、
調査
の結果に基いては処罰すべきは処罰する、こういうことを御答弁になりましたが、その場合に処罰の
内容
というものばあくまでも行政処分というような形で
考え
ておられるのか。それともこのように、それは予測されざる
事態
、予測されざる
状況
、あるいは予測しがたい、予見せざる、
自分
の知らざる地域においてたまたま起った
事件
ではないのです。
加藤局長
が御
報告
になりましたように、とにかく歩けない、だから
ジープ
に乗せる、注射をする、
統制点
の所に行くとおろしてそして綱で引っぱる、はたでお互いが支え合う、青竹でたたいてやる、そして
統制点
を
通過
させ
ジープ
に乗せる、注射をうつ、それはもう相当時間は経過しておるのです。にもかかわらずそれが刑法上の問題には何ら抵触しない、こういうようなことで行政上の処分だけで
考え
ておる。こういうことになって参りますと、皆さんが、特に
長官
が先ほど処罰をすると言われた
内容
というものは、まことにこれは問題にならぬ。こう私は見るわけですが、
長官
としてこの点どのようにお
考え
になりますか。
小滝彬
52
○
国務大臣
(
小滝彬
君) この行政処分は、もちろん
防衛庁
の方で
考え
なければならないと思うのであります。その
計画
実施
においてやましくはなかったか、それが重大なる過失というようなものがある場合には、もちろん行政関係においてはその点について処分しなければなりません。しかしあなたのおっしゃいますような過失致死というような点につきましては、警備隊は特別司法警察官の資格を持っておるものでございまして、この
調査
の結果は全部検察庁の方に
報告
するものであって、これがこの刑法上の犯罪になるかならないかということは検察庁で
決定
するところでありますから、結局行政処分は一面で
考え
なければならぬ。同時にこれは詳細向うに連絡し、そして刑法上の点については検察庁の方で処断される。こういうことになるわけでありまして、それがどういうふうになりますか、その辺は検察庁の方で
考え
なければならない。
防衛庁
に関しまする限りは行政処分ということについて検討しておる次第でございます。
亀田得治
53
○
委員長
(
亀田得治
君)
速記
とめて。 〔
速記中止
〕
亀田得治
54
○
委員長
(
亀田得治
君)
速記
をつけて。 本日の
委員
会はこれにて散会いたします。 午後三時一分散会