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1957-08-12 第26回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月十二日(月曜日)    午前十一時十五分開会   —————————————   委員の異動 七月九日委員山田節男辞任につき、 その補欠として伊藤顕道君を議長にお いて指名した。 七月十六日委員野溝勝辞任につき、 その補欠として田畑金光君を議長にお いて指名した。 八月十日委員田畑金光君及び荒木正三 郎君辞任につき、その補欠として千葉 信君及び柴谷要君を議長において指名 した。 本日委員柴谷要君、亀田得治君及び松 本治一郎辞任につき、その補欠とし て大矢正君、横川正市君及び光村甚助 君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            永岡 光治君            竹下 豐次君    委員            迫水 久常君            苫米地義三君            伊藤 顕道君            大矢  正君            千葉  信君            光村 甚助君            横川 正市君            八木 幸吉君   事務局側    参     事    (委員部第二課    勤務)     指宿 清秀君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    総理府総務長官 今松 治郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査の件  (公務員給与に関する件)   —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員の変更について、参事より報告いたさせます。
  3. 指宿清秀

    参事指宿清秀君) 七月九日付山田節男君が辞任され、その補欠伊藤顕道君が選任されました。七月十六日付野溝勝君が辞任され、その補欠田畑金光君が選任されました。八月十日付田畑金光君及び荒木正三郎君が辞任され、その補欠千葉信君及び柴谷要君が選任されました。本日付柴谷要君、亀田得治君及び松本治一郎君が辞任せられまして、その補欠大矢正君、横川正市君及び光村甚助君が選任されました。  以上でございます。   —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、国家公務員制度及び恩給に関する調査のうち、公務員給与に関する件を議題に供します。  まず、人事院当局から七月十六日付国会及び内閣に対しなされた国家公務員給与に関する報告及び勧告並びに八月八日付の石炭手当薪炭手当についての勧告及び要望の概要について御説明を願いたいと存じます。なお、本日ただいまのところの政府側出席は、今松総理府総務長官増子公務員制度調査室長淺井人事院総裁瀧本給与局長でございます。
  5. 永岡光治

    永岡光治君 議事進行についてちょっと。私は、相当問題点があるので、政府責任者が、しかるべき答弁に立ち得る責任者おいでにならなければ——、特に私は委員長にこの点ただしたいと思うのですが、実は、当委員会防衛関係をめぐりまして、特に岸総理アメリカに参りましてからのどういう経過か、そういう問題について十分この国会を通じまして国民に明確にいたしたいということで、岸総理出席を求めるように、何回か手続をお願いいたしておるのわけであります。特に岸総理出席につきましては、まだ総理アメリカに渡る前、六月十六日に向うに渡られたわけでありますが、十四日の日にもぜひ総理出席を求めた、やはりどういう所信を持ってアメリカに参るのかもこの委員会を通じて、つまり国会を通じて国民に明確にいたしたいということで、出席を要求をしたのでありますが、なかなか出席ができませんでした。これは非常に残念と思うのであります。やはり一国の総理が、特に外交関係が主になります関係上、国民にどうしてもこの所信というものを明確にしなければならぬし、国会を通じて、また、私たち国民要望総理に伝えて、誤まりのない折衝をしてもらいたいというのが当然だと思うのでありますが、そういう意味で何回か要求いたしましたけれども、なかなか出席ができない。そのうちに六月十四日に防衛計画がきまる、ところがきまればきまったで、なおさらこれはただしたいことがありますので、というのは、防衛問題がアメリカに渡っての折衝中心になろうかと考えましたので、特にそういう感じを強くしたのでありますが、この問題をただしたいということで、少くとも十五日には一つ出席できないだろうか、こういうお願いをいたしました。ところが財界の御挨拶回りだとか、あるいは新聞記者との話し合いがあるとか、やれああだ、こうだということで、とうとう国会へも出席できませんで、そのままアメリカに行かれて、帰ってきたのでありますが、私たち国民の代表として非常に残念に思うのであります。帰ってきてからは、直ちにそういういきさつもありますので、当委員会を通じて国民にその経過を明確にしてもらいたいと、こういうことで出席要望いたしましたが、これもなかなか出席されないで、今日まで、私の記憶に誤まりなければ、四回ないし五回の委員会、あるいはまた理事打合会で問題にしたのでありますが、出席できないのでありまして、非常に私は残念に思うのでありますが、承れば、明日は憲法調査会発会式があるやに承わっております。その席に総理出席されるようでありますが、まあ暑いさなかでありますから、休養も必要でありましょうけれども、新聞紙上を通じて聞くところによれば、ゴルフの練習もされておるようでありますから、そのくらいのひまがあるならば、当然私は国会に出て、その経過を少くとも国民の前に明確にすべきだと思うのであります。そういう観点からいたしましても、きょうまでは、まだ明確に出席という御回答がないのでありますが、辛いにいたしまして明日は憲法調査会出席されるというのであれば、たとい、時間でも一時間でも明日出席されて、本委員会の私たちの質問に答えてもらう、こういうようなぜひ手はずをしてもらいたいと思うのでありますが、理事会で何回かお願いしたのでありますが、委員長、その間にどういう御尽力をされて、そしてどういう経過になっておるのか、理事会ではいろいろ承わっておりますが、成規委員会に、やはり明確にその経過等も私は話していただきたいと思うのです。そうして委員長は今どういう決意でおいでになるのか、その辺のところを明確にしてもらいたいと思います。
  6. 藤田進

    委員長藤田進君) 委員長からお答えいたします。今、質疑の中にありましたように、六月の十五日に予定をいたしましたが、出発前日ということで、出席がなかったわけであります。しかし、これは七月の十四日に長期防衛計画を立てるという、いわゆる国防会議が開かれるという予想がついたので、六月の七日の日に総理出席を要求いたしまして、相当な時間はおいたのでありましたが、実現はしなかった。それから七月の六日、翌七日、日曜日を休んで八日と、二日間予定して、アメリカから日本に帰ってみえてから直後の委員会に、ぜひ防衛問題について、アメリカとの折衝中心に、委員会において発言せられるように、また質疑もあるからということで折衝したのでありますが、これも出席がなかったわけであります。その後、同月七月十五日、十六日に予定をいたしまして、同様出席を促したわけですが、これも都合がつかないということで、出席ができない。そこで七月の二十九日に、委員長理事打合会をもって、今度は総理都合のつく日にこちらが合せるということにしようということに一致いたしまして、八月の七日から十日、この四日間を内閣委員会予定日として、この間に岸総理都合のいい日にきめるから出てもらいたいということで、愛知官房長官にも、八月二日だったと思いますが、私そのことを伝えて、さらに一昨日防衛庁長官に私も会いまして、総理出席していただくように、外務大臣が取りなしたような格好に、やはり内閣委員会にも出席一つ取り計らってもらいたいということで話したのでありますが、ただいままでのところ、本日ない明日の予定いたしております委員会にも都合がつかないということのようであります。なお、八月の七日ないし十日の間に開くということについては、さように出席がないものですから、予定いたしました七日—十日の間に委員会を開くことができなかったので、委員各位には何かと不便であったと思うのでありますが、九日の日に各会派の理事さんにも横の連絡をとって、本日十二日、十三日に開こうということに日程を変更いたしまして、さらに総理並びに防衛庁長官出席を求めて現在おります。防衛庁長官については、明日午後出席するという連絡が参っておりますが、岸総理についてはまだ参っておりません。先刻会議に入ります前に、委員長理事打合会を持ったわけでありますが、委員皆さんの中にも、この際出席を求めるべきだという強い御主張もありますので、委員長といたしましては、引き続き総理出席を求めるよう手配をさらにいたしてみたいと考えますので、委員皆さん方十分一つお含みいただいて、御協力をいただきたいと思います。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 関連して。その問題について、岸総理渡米前後二回にわたって私どもの要請に応じなかったということについては、これは永岡委員から詳細あったのですが、これは非常に大きな問題だと思います。国会の審議を軽視するという点のそしりは免れないと思う。そこで、とりあえず明日もあることでございますので、当委員会の総意として、強力に一つ委員長から岸総理に申し入れていただいて、一つこの悪例を断っていただきたい。ぜひ明日は、たとい一時間でも二時間でも、出席するように、強力に一つ申し入れていただきたいということをお願いします。
  8. 永岡光治

    永岡光治君 なお、委員長が努力されたことはよくわかりました。先ほど申し上げましたように、明日憲法調査会出席されるのでありますから、わざわざ箱根から出るということでもないし、東京に来て、そのあとで出てもらうというのでありますから、私は、これこそそう困難な問題じゃないと思いますので、ぜひ従来のいきさつもありますので、出席していただきますように、格段の御配慮を願いたい。と同時に、与党委員の方々にも、またそういうことで格段の御配慮をいただいて、与党委員責任でもやるというところまで、私は一つ要求し、お願いをしておきたいと思います。
  9. 千葉信

    千葉信君 関連して。どうも首相出席の問題については、渡米前云々の問題は別としても、これから開こうとしている委員会に対して、出席しようという誠意を全然示さないような回答になっているようですが、これはもう国会軽視もはなはだしいし、実に不愉快千万な話だと思うのです。委員長の方で御努力されていることもわかりますし、また、これから与党の諸君にも協力してもらうことは、これは当然ですが、この委員会に今御出席になっている政府委員の方のうちで、そういう点について何かの責任を持った答弁をここでされる資格のある方は、ここにおいでになっておらないのですか。
  10. 藤田進

    委員長藤田進君) お答えいたしますが、今、御承知のように行政機構も若干の改正の結果、総務長官が見えているわけでありますが、こういう問題は関係はないということにはならぬとおもうのでありますから、その点、総務長官がやはりこの際は内閣連絡なりそういった点について、お取りなしされるのが至当ではないかと、委員長は考えるわけですが。
  11. 千葉信

    千葉信君 そうですか。そういうことになりますと、ここで一つ総務長官にお尋ねしておきたいと思います。今、委員長がおっしゃったように、大体官房長官に御質問申し上げたり要求したりするのが筋かと思うのでありますが、今、委員長からお話がありましたように、総務長官といえどもやはりそういう点についてはある程度責任を持っておられる立場だと思うのです。先刻来の質疑応答の中で、首相のあすの出席等については、特に委員会としては強い要望を持っているわけですが、総務長官、いかがですか。
  12. 八木幸吉

    八木幸吉君 関連して、御答弁の前に……。私は、総理アメリカへ行かれる前日の委員会に出て来いという要請は、常識的に無理だと当時思っておりました。ところが、先ほど永岡さんからもお話がありましたが、岸さんはあした憲法調査会発会式に来られるのですから、その前後時間をはかってここへ出られるということは、これはもう常識的にでき得ると思うのですし、ことにこの防衛問題というのは非常に関係の深い問題であるし、国防会議も一応開かれることでありますから、ぜひ出席が望ましい。今、千葉さんからも総務長官答弁をお求めになっているようですけれども、多少官制上私はどうかと思うので、むしろ午後なり、なるべくすみやかな機会に、官房長官にこの席に御出席を願って、あすの総理出席の問題について、直接委員長なり委員各位から、官房長官にそのことを話すということの方がむしろ筋が通っているのじゃないか、こう思いますので、今、実は御答弁のある前に、関連してそのことをお聞きしておきます。
  13. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは逐次おはかりしてみたいと思いますが、あす岸総理大臣内閣委員会に御出席願うということで、委員会皆さん意思として、委員長を通じて、これを強く申し入れ、その実現方をはかるということについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 藤田進

    委員長藤田進君) さよう取り計らいます。  なお、八木委員からの御意見にありましたように、この際、後刻官房長官を呼んで意思を伝え、さらに経過を聞くということについても、さように計らってみたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 藤田進

    委員長藤田進君) さよう取り計らいます。  それでは先ほど申し上げました人事院総裁からの説明を聴取いたしたいと思います。
  16. 淺井清

    説明員(淺井清君) 七月十六日に行ないました報告及び勧告につきましては、すでにお手元に詳細な書類を配付いたしておるつもりでございまするので、私といたしましてはきわめて簡単に要旨のみを申し上げ、なお、その後の御質疑に応じまして御答弁を申し上げたいと存じております。  御承知のごとく、一般職職員給与に関しましては、前国会におきましてその改正法が成立いたし、四月一日にさかのぼって適用されることになりましたので、これによりまして俸給制度改善せられましたのみならず、また給与自体もこれに伴いまして上昇をいたすことになっておりまして、昭和三十一年三月と、今年三月と比較いたしますれば、公務員給与は四・五%ほど上昇しておるものと人事院調査いたしておりまするが、ここへさいぜん申し上げました給与改善による給与上昇が加わりまするが、それは六・二%ほど上昇するものと人事院は認めております。  次に、民間給与の実態と公務員給与との比較でございまするが、これは労働省の毎勤によりましても人事院調査によりましても、およそ四・五%もしくは四・六%ほどの上昇が、同じ期間にあったものとわれわれは認めております。人事院といたしましては、昨年の報告の中におきまして、この人事院の所管いたしておりまする一般職公務員のうちには、いわゆる俸給水準差によりまして一般職員よりも高い俸給を受けておる職種が相当ある。従いまして、これらを含めまして全一般職公務員民間比較いたしますれば、その差は四・二%の違い、四・二%ほど民間の方が高くなるということを述べたのでございまするが、今回の六・二%の改善と合せて考えますれば、前に述べました民間給与公務員給与との較差は、おおむね解消したものと人事院としては認めておるのでございます。  次に、人事院が毎年行なっておりまするいわゆる職種別キイポジションによる調査によりますれば、民間同種公務員給与は、およそ二・八%ほど高いという結果が出てきておりまするので、現在大体三%程度民間と全公務員との差であろうと考えております一、  次に、今度は特別給増加でございまするが、これは、同じ期間におきまして民間におきましては〇・二八ヵ月分の増加が見られております。これにつきまして、公務員同種特別手当、すなわち期末手当及び勤勉手当の合計は、年間二・四月分でございまするので、民間との間に〇・一七ヵ月分の差があるものと人事院としては認めております。  それから今年の勧告一つの特色となっておりまするところは、通勤手当支給人事院としては勧告しておるのでございます。この通勤手当は、人事院といたしましては数年来注目しておりました手当でございまするが、これは多数の民間事業所がその支給を行なっておりまして、その月額平均は五百五十円程度、また最高を制限しておる場合における最高制限額平均は、およそ六百三十円となっておるのでございます。  次に、毎年行なっております人事院のいわゆる標準生計費調べでございますが、これは大体お手元資料にも示しますように、月額七千二百三十円でございまして、昨年より約三百六十円の増加を見るのでございますが、この生計費に該当します金額給与として与えるに適当いたしておりますものは、高等学校卒業者試験採用の場合の初任給月額でございまするが、この金額に対してはおよそ見合っておるものと人事院としては判断をいたしております。このような人事院としての判断から、俸給表金額を改訂する、いわゆるベース・アップということは今直ちにその必要を認めないという結論に達しましたが、期末手当を増額することと、新たに通勤手当支給することを必要と認めた次第でございます。そこで勧告といたしましては、毎年十二月に支給する期末手当を〇・一五ヵ月分増額すること。それから職員通勤の実情に対しまして、最高六百円までの通勤手当支給すること。この二つのものを勧告したのでございます。なお、御参考までに人事院の計算によりますれば、この期末手当支給に要する経費は、約十一億円、通勤手当支給に要する経費は約十三億円でございます。もちろんこれは人事院所管職員のみに対するものでございます。人事院といたしましては、どうぞ国会におきましてもこの勧告の趣旨を御了解下さいまして、これが実現をいたしますように、御協力あらんことをお願いいたす次第でございます。  次に、八月八日に行いました、石炭手当等勧告、これは法制上内閣総理大臣のみに対する勧告でございますが、これはお手元に配付いたしました資料による石炭の価格の上昇にかんがみまして、トン当りを七千百五十円に上げるということでございまするし、なお、さらに付加いたしまして薪炭手当について現在支給されております金額を、人事院勧告いたしました線まで引き上げていただきたい、勧告通りにしていただきたいという要望を、あわせていたした次第でございます。  なお、必要とあらば給与局長から補足して詳しく御説明を申し上げたいと思います。
  17. 永岡光治

    永岡光治君 もう少し数字の問題について総裁でなくてもけっこうですが、給与局長の方からも、大体の大綱はわかりましたが、もうちょっと詳しい計数の説明をしてもらいたいと思います。
  18. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 七月十六日に行いました勧告につきましては、ただいま人事院総裁から数字をあげまして御説明を申し上げておるのでございまして、付け加えることは別にないと思うのでありますが、総裁が言われましたことをさらにもう一度はっきり申し上げてみますると、昨年勧告いたしました際には、おおむね六%程度給与改善を行なってもらいたい、このような勧告をいたした次第であります。それは公務員の中で一般俸給表に適用されておる——制度の場合であります、四月一日以降新制度になっておりますが——一般俸給表に適用されておりまして、しかも調整額等優遇措置が講じられていない、はだかのままで一般俸給表に適用されておるグループ、こういうグループについてわれわれは民間キイポジション比較をやるわけでございますが、それは平均いたしまして一一%程度の差がある、しかし、公務員の中におきましては特別俸給表あるいは調整額というような名目で、一般俸給表適用者よりも優遇されておるグループが約三五%ほどあるわけでございます。こういうグループ先ほど申し上げましたはだかの一般俸給表が適用されておりますグループ比較いたしますと、水準は一五%高いのでございます。この両者を合せて民間比較いたしますれば、おおむね六%ないし七%程度民間の方が公務員より高い、こういうことになるわけでございまして、そこで去年はおおむね六%程度改善をしてもらいたい、こういう勧告をいたした次第でありますが、それは時期がおくれましたけれども、本年の四月以降におきまして現にその改善が、行われつつあるわけであります。大部分はもう終了したといってよろしいのでございます。で、去年の状態におきましてはそれだけの差がございましたけれども、これでおおむね民間との一般的な差はなくなったということは言えるのであります。去年民間比較するために行いました民間キイポジション、それを今年も調査する、これは去年と今年でございまするから、同じ対象というわけには参りませんが、まず同じものであります。そうして去年と今年の民間キイポジション同士比較をいたしてみますと、これが約平均いたしまし二・八%と、今年の方が上っておる、このようなことに相なるのでございます。去年の残りも多少はございまするので、おおむね公務員民間との給与の差は三%程度であろう、このようにわれわれは考えております。ところが、民間におきましては基本給というものを少くきめまして、そうして諸手当を多くきめておる所もございますし、また、基本給を相当、重く見ておる所もございまするし、いずれにいたしましても公務員基本給と直ちに比較できるというようなものはないのでございます。従いまして、ここに仮定を置かざるを得ない、たとえば毎月きまって支給を受けております給与から、たとえば公務員の場合におきましては家族手当——扶養手当でございます、こういうものは公務員と同じようなものをかりに民間がもらっておるものとして一応差し引いた、また、地域給——現在暫定手当であります。それに相当いたしますものも差し引くというふうにいたして、公務員俸給に相当いたしまする全額というものを想定いたすわけでございますが、従来はその想定のもとに、民間において相当一般的に行われている——民間の約六五%の事業所において行われております通勤手当、これも平均的に入っておったのであります。そういう通勤手当というようなものがわれわれが対比いたしまする本俸の中に入れて比較することが的確であるかどうか、これは数年来人事院といたしましても問題といたしております。しかし、公務員通勤手当がないのでありますから、全体として公務員民間との給与水準比較する場合に、やはり入れざるを得ない、それを除外して比較することはできない、こういう状況にあるわけであります。ところで、全体といたしまして通勤費まで入れて考えれば、公務員民間はおおむね三%程度の差があるということになったのでございまするが、もしわれわれ人事院勧告いたしておりまする通勤手当国家公務員一般職に対しましておおむね年間十三億円ほどかかるのでございますが、この手当政府実現されまするならば、これがおおむね俸給の一、五%ないし一・七、八%にはなるはずでございます。従いまして、これをあわせて考えますれば、公務員民間との差は、おおむね一・五%程度になるのではなかろうか、その程度の差であるならば、ここで俸給表の改訂をする必要はないのではないか、このように考えた次第でございます。それで、民間におきましては、先ほど申しましたように六五%の事業所通勤手当というものが支給されております。ところが公務員においてはどういう状況であるか、公務員とはいえないかもしれませんが、公務員と非常に近い関係にございます三公社におきましては、この支給は行われておるようでございます。また、公務員比較的近い関係にありまする公社、公団等におきましても、ほとんどその大部分が通勤手当支給をいたしておるという実情でございます。これを調べてみますると、無制限に要るだけやるということをいたしておりまする事業所もございまするし、また、一定額を支給するというような所もありまするし、また、やるにしても最高制限額を設けまして、そうしてその範囲内で支給する、あるいはそういうものを実物給与でやる、いろいろなことがあるのでありますが、われわれが本年調査いたしました結果によりますると、民間では平均五百五十円くらいの通勤手当支給されておる、支給されておらぬ所につきましては、それくらいなものが出ておる。また最高制限額を置いておりまする所におきましては、六百三十円程度にその平均がなっておるというようなことから、人事院といたしましては、やはり最高制限額を一応設けるのが適当であろう、で、最高制限額を六百円ということにいたし、そうしてほぼ民間と同程度通勤手当支給できるように勧告をいたした次第であります。  生計費等につきましては、先ほど総裁が申された通りでございます。  次に、石炭手当でございまするが、この石炭手当は、いわゆる国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律というようなものがございまして、この法律の第三条の規定に基いて定められておる石炭手当支給額、その支給額を人事院は現在販売されておるところの一般世帯が消費いたしまする石炭の市場価格の平均というものを調査いたして、その結果に基いて、内閣総理大臣勧告する、これは国会ではないのであります。内閣総理大臣勧告いたしますれば、それに基いて内閣総理大臣総理府令を改正いたされまして、そうしてこの支給額がきまる、こういろ手順になるのでございまするが、本年この調査をいたしてみましたところ、われわれは毎年こういう方法で調査をいたしております。それはこの一年間、ことしの場合でありますれば、昭和三十一年の四月から昭三十二年の三月までの間に、いわゆる暖房用炭として販売されましたものがどういう状況であるか。すなわち塊炭、中塊炭、粉炭といろいろ種類がございまするが、それがどのような割合で売られておったか、また、これは中塊炭にいたしましても、カロリーはいろいろあるわけでございまするから、そのカロリーを品種別に見たならば、それがどういうふうな割合であるかということを調べて参るのであります。そうしてその結果、われわれは、昨年売られました炭は六千四百五十六カロリーから六千二百五十七カロリーの間の炭が平均的に一番多く売られておるという事実を、調査の結果知ったのであります。また塊炭、中塊炭、粉炭の売られております割合は、塊炭はおおむね二五%、中塊炭が五〇%、粉炭が二五%、このような割合で売られておるという事実を、調査の結果知ったのであります。そこでこれは毎年の例でございまするが、最近の石炭の価格によってそういうものを出してみると、どういうことになるかということをやってみますると、すなわち本年七月一日現在で塊炭、中塊炭、粉炭のそれぞれカロリー別の値段というものを北海道において調べられまして、これは各販売会社により多少のカロリーに対する価格の凹凸がございまするので、われわれの方でこれを補正いたしまして、なめらかなものにいたす操作をいたしておるのであります。で、六千四百五十六カロリーと六千二百五十七カロリーの間で売られておるのでありますから、これの中間をとりますれば六千三百五十七カロリーということになるのであります。それで、六千三百五十七カロリーに対しまするこの七月一日現在の塊炭、中塊炭、粉炭のそれぞれ使用割合を考慮いたしました平均価格、こういうものはどれくらいになるかということを調べてみますると、それは七千百五十八円くらいになる。従いまして人事院といたしましては、トン当り七千百五十円、こういうことにいたして、世帯主に対してはそれの三倍、すなわち二万一千四百五十円、その他の職員、非世帯主に対しては七千百五十円、このような勧告をいたした次第でございます。  なお薪炭手当につきましては、これは国会におきまして議員立法として成立したので、説明を申すまでもございませんが、そのときに五千円以内の勧告をしろということになっておったのであります。昨年人事院は五級、いわゆる寒冷地手当を五級地に対しましては世帯主に対して五千円、それから四級地に対しましては世帯主に対して二千五百円、このような勧告をいたしたのであります。ところが昨年は予算はなくして、法律だけ通ったような次第であります。政府側におかれましては、既定経費の範囲内でやるという制約もあったでありましょうが、これを五級地に対して世帯主四千円、四級地に対して世帯主千八百円、こういう金額を支出されたのであります。また、三十二年度の予算にはそういう金額で計上してある次第であります。  ところで、われわれの方でこの木炭及びまきの価格をそれぞれ調べてみたのでございまするが、木炭はおおむね三割前後昨年に比べて上っておるようでございます。また、まきにつきましてもそれより多少低いのではありまするけれども、やはり相当の上りを示しておる。木炭とまきとの使用に割合は、おおむね半々ぐらいに承知いたしております。そのような事情がございまするので、また、一方におきましてこの法律が通過いたしまする当時におきましては、三公社、国鉄はまあ別会計でありますが、そのほかの専売公社、それから電信電話公社あたりにおきましては、五級地四千五百円というものが支給されておったのでありますけれども、この法律が通りましてから二公社は五千円になっておるのであります。そういう状況等をいろいろ勘案いたしまして、われわれの五千円、二千五百円という勧告はもちろん生きておるのでございまするけれども、なお念のために、この昨年の勧告通り金額を上げていただきたいという要望をいたした次第であります。また、この点につきましては、先般の給与改正のときに、付帯決議といたしまして、やはりこの問題の要望があったように記憶いたしております。
  19. 永岡光治

    永岡光治君 これは総裁になりますか給与局長か、どちらでもけっこうですが、ただいま勧告の問題について承わったわけでありますが、この質問に入る前に、この給与法の改正に従いまして当委員会の方から相当の要望、付帯決議がなされておるわけであります。目下その切りかえ作業中だろうと思うのでありますが、果して私たち要望したようにこれが実現しているかどうか。聞くところによれば、必ずしもそうでもないようなことも耳にしますので、非常に心配しているわけでありますが、十分私たち要望を生かされつつ切りかえ作業が進められておるかどうか、その進捗の模様もあわせてこの際承わりたいと思います。
  20. 淺井清

    説明員(淺井清君) まことにごもっとものお尋ねでありまして、私どもといたしましては御要望の、いわゆる付帯決議に現われました両院の御要望をよく研究いたしまして、これを実現するに努めたつもりでございます。その具体的の問題を給与局長から申し上げます。
  21. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 四月一日にさかのぼって適用することになりまして、七月三十一日までに一応の格づけをいたしたのであります。その格づけをいたしますにつきましては、人事院規則、人事院細則等を定めまして、そうして俸給表の適用範囲でございまするとか、あるいは等級の基準でございまするとか、そのようなものを定めております。もっともこれは通過いたしました法律の精神に準拠いたしましてこのようなものを定めておるわけであります。それに従って等級別定数を定め、格づけをいたすということになるのでございます。その際に、両院において決議されました付帯決議というものがございまするので、この点は十分これを尊重するという建前でいたしておるのでございます。一々申し上げてもよろしいのでございまするが、あるいは私がここで口頭だけで申し上げますると、なかなかお聞き取りにくいかと思いまするので、これは委員長の方から特に御要望がございまして、付帯決議を中心といたしました切りかえ関係についてどのようにやったか、また今後やるつもりであるかという取りまとめをいたしております。委員長の方へは差し出したのでありますが、部数が少なかったものでありますから、さらにこの写しを取りまして、印刷物として差し上げたいと、このように思います。ただ、申し上げたいことは、人事院といたしましては付帯決議通りやったつもりでありますけれども、受ける方の側の気持といたしまして、なかなか御満足が行っていないような向きもございます。また、この法律が通りました時期が非常におくれておった。格づけを七月三十一日までに完了しなければならぬ。その間にわれわれはできるだけの手段は尽したのでありますけれども、なおかつ各省側から提出されまする資料等に多少は十分でないものもございましたし、また時間の関係もありまして、われわれが十分検討をいたす余裕のなかった面も多少あるのでございます。そのようなものにつきましては、本年の十月までにこれを再調整をいたそうということで、これは各省と連絡をいたしまして、目下その作業に入る準備をいたしております。そういう状況でございまするが、おもな点を申しますると、この問題は研究職の問題等にそういうことがあるわけでございます。また、国会政府提出法律案におきます行政職俸給表の(1)と行政職俸給表の(2)が一緒になったわけでございます。そうして行政職俸給表の(1)の五等級の次に、政府案の行政職俸給表の(2)の一部分が入って参ったような関係がございまして、その辺の取扱いについて、一体どのように考えるかという問題が多少残っておるのであります。その結果、いわゆる五等級の次の六等級の辺の扱いに多少各省としてきつく感じておるところもあるようでございまして、この点につきましては、等級別定数はきめたのでありますけれども、なお暫定措置といたしまして、暫定定数というものをあわせてきめるということをやりまして、一応の御要望にこたえたつもりでおるわけでございます。なお、将来は切りかえ関係につきます各付帯決議の要望事項別にどのような措置をやったかということを、書きものにして差し出したいと、このように存じております。
  22. 永岡光治

    永岡光治君 大体の説明はわかりましたが、特に今の切りかえの問題につきまして説明のありましたように、やはり研究職、教育職、医療職というのが、この委員会でも特別な職種として問題とされたわけであります。本来研究職等に例をとってみましても、これは役づきだから給料は高くする、そういう筋合いのものではないではないか。研究職本来の優遇措置といいましょうか、科学振興の立場からいっても、特別な考慮を払うべきである。従って、それは格づけの場合も定数の場合も相当考慮すべきだという、大まかにいえばそういうところで強く要望されたわけでありますが、果してそういう実情が実際に実現できているのかどうか、まだよく承知しておりませんものですから、ここで具体的にどうこうということは、今御質問申し上げるわけには参りませんが、果してそういう方向に行っているかどうかを非常に懸念しておるものですから、特に私はその点どういう経過かを質問したわけですが、いずれ今のお話によりますと不備な点も時期的な関係である、それは十月までに再調整を行いたい、こういう意向のようでありますから、その間に人事院の方からの切りかえの措置の模様を私たちの方にいただきますならば、検討し、また実情を承わって、要望すべきものは要望して、是正に進んで参りたいと思いますので、その辺十分一つ含んでおいていただきたいと思います。  これから質問に入るわけですが、大ざっぱに言って、政府の方は、総務長官おいでになりますが、何か特別に検討せられているのでしょうか。せっかくの出席でありますので、概括的にどういうお考えであるかという程度でけっこうですが。
  23. 今松治郎

    説明員(今松治郎君) 私、先般総務長官になりました今松でございます。  実は、先週の九日の閣議でこの公務員制度の担当が石田労働大臣から私の方へ移管されたような形でございます。自来私といたしましては、極力従来の経過を聴取いたしておりますが、まだ腹に入りかねる点もたくさんございますので、私から御説明を申し上げて、皆さんの御参考になるようなことがないと思いますし、また間違っても困りますので、ただ政府としての方針は、従来岸総理大臣愛知官房長官を通じまして、人事院勧告は努めて極力これを尊重して、その勧告の意に沿うように事務的に調査をしておる、こういう程度のことしか私申し上げられないのであります。御容赦を願いまして、少し詳しい点で御質問がありますれば、公務員調査室長からお聞きになっていただきたいと思います。
  24. 永岡光治

    永岡光治君 それでは、まず勧告政府のいろいろな態度なりその他については別の機会にただすことにいたしまして……
  25. 千葉信

    千葉信君 ちょっと今の永岡君の質問したことに関連するのですが、第一番に、従来石田労働大臣が担当されておりました公務員制度を、今度総務長官が担当されることにきまったようですが、それは官制上の、まあ国家行政組織法であるとか総理府設置法等の改正に伴って行われた担当がえ、そう了解して差しつかえありませんか。
  26. 今松治郎

    説明員(今松治郎君) 前国会におきまする法律の改正に伴いまして、多分当委員会だと思いますが、政府委員から答弁いたしましたように、この仕事は本来総理府の仕事であったと思います。総理府総務長官が八月一日から発足いたしました関係で、それまで石田労働大臣が担当した、こういうように承知いたしております。
  27. 千葉信

    千葉信君 そこでお尋ねをしたいと思うのですが、今人事院の方から出ておる勧告については、大体至急事務的な作業を進めるというそういうお話で、その仕事に着手せられる段階だというお話がございました。従来岸内閣として、少し従来の内閣の労働政策とある程度変った傾向というのは、しばしば石田労働大臣が言明してこられましたが、これからは、仲裁裁定であるとか勧告については、これを実施をするという態度を表明せられ、同時に一方においては、労働法親等については十分お互いにこれを順守するようにするという特色ある態度を表明されたのです。おそらくこの労働政策については、何らその拙当者の変更によって変化はないものと考えております。もしそうだということになりますと、今人事院の方から勧告されている勧告のうち、ことしの八月三十一日に、今月の末に支給しなければならない勧告が出ているのです。これに対して、もう勧告が出ましてからそんなに時日はたっておりませんけれども、政府の方として一体事務作業をするに当って、これを実施するのかしないのかということを一応めどをつけないでその作業に入っているとは思われない。やはりどちらにするかということについては、閣議でどの程度話が進んだかどうかは別として、作業に入っている以上は、やはりある程度政府の方としては、その方向くらいはさまっていると思うのですが、この点については総務長官いかがですか。
  28. 今松治郎

    説明員(今松治郎君) 八月八日の人事院勧告につきましては、私が実は就任いたしましてから後でございました。早速翌日の閣議に、こういう勧告があったということをまず報告をいたしておきました。そうして、私の方の事務当局に命じまして、お話のように期限が八月三十一日でございます、それに間に合うように一つ極力作業を進めるように、今せっかく努力中でございます。なるべく近い閣議に、案を作成してはかりたい、こういうように考えております。
  29. 千葉信

    千葉信君 まだそれ以上は進んでいないのですか。
  30. 今松治郎

    説明員(今松治郎君) そうです。
  31. 永岡光治

    永岡光治君 今そういう質問が出ました。あとで私は一括して政府の所見をただそうと思ったのですが、急を要します八月末に支給しなければならぬこの今お話が出ている手当問題ですね、今も千葉委員からお話がありましたように、岸内閣は、やはり勧告は尊重するという、完全実施するということになるわけですが、いやしくも私は勧告を、たとえば石炭手当あるいはその他問題があるわけです、薪炭手当等の問題が五千円……。しかも三十一年、昨年の分ですが、昨年のも実施されていない。ことしも人事院は重ねて完全実施しろ、当委員会での給与改正に当りましても、当初この合理化という文字が使われていたが、それはいかぬということで、改善ということに字句を変えられたそのゆえんのものは、完全に実施するのだぞということを、よく因果を含めて、その通りでございますということを、大蔵省の給与課長が出て確認をしておるわけですが、従って、これは完全実施しなくて、あとでどうだこうだというのでは、これは筋の通らぬ話ですから、どうかその辺のところは誤りのないように、時期もそうのんびりした時期でないと思いますので、おそらく数日中にきめなければ末端までの支給ができない。時期を過ぎれば高い炭を買わなければいかぬというのが実情でございますから、その辺を考慮して、早急に一つ態度を、完全に実施できるようにしてもらいたいという要望だけをいたしておきます。  それで、今度は人事院の方にお尋ねするわけですが、ただいま給与関係勧告中心に承わりましたが、今回もまたベースの改訂は行わないと、こういう勧告であります。この前の給与改正の際にも、三年間給与がそのまま据え置きになっておる、そういうことでいいのかどうか、民間でも相当上ったじゃないか。こういうことでただしましたところが、確かに、瀧本給与局長説明の中で言われましたように、一一%の差もあるじゃないか、しかし、それはいろいろ検討すると、そのままそっくり一一%上げてやるという趣旨でもない、こういうような趣旨の説明にもとれたわけでありますが、そういう関係もありまして、現職者についてのみの給与改善がこの前行われたわけです。もちろんこれは国会の修正におきまして、初任給では若干の修正がなされました、新制中学及び高等学校については。ただし、短大及び大学、これについては全然上っていないわけであります。従来のままの据え置きであります。ところが、それでは民間の方で給与が新大その他で三年前に比べて上っていないかどうかということになると、相当上っておるという実績があるわけであります。これも私も細かい数字を持っておりませんので、数字をここで披瀝してどうこうという検討は、この際差し控えたいと思いますが、少くともそういうことは当然考えられることでありますが、にもかかわらず、今度また勧告をし、勧告に当っては給与改訂は行わないということになっております。しかも給与局長の今の答弁ですと、昨年大体民間と比べて六%から七%の開きがあったと、こういうわけであります。今度これが給与改訂によって六・二%上ったが、その結果民間も若干上ったが比較すると二・八%の開きしかない、合せていろいろの要素を含めても三%の開きしかないから、これは給与改訂の必要はないと、概括的に言えばそういう結論のようです。しかし実際問題として給与改訂の行われておりますのは、必ずしも三月以前でもないと思う。資料調査以後においてもかなりの給与改訂があったと思うのであります。たとえば三公社五現業についてもやはりまだ実施はされていないわけであります。こまかい資料はおそらく検討の対象にされていないと思うのであります。そうなりますと、この資料に若干の疑義が私はあるような気がしてならない。いつもいつもあとを追っかけていくために、いつも不当に不利をこうむるのは公務員の立場じゃないかと思うのでありますが、昨年も六%から七%あったにもかかわらず、そして民間も四・五%ぐらい上っておる、で今度六・二%改訂したために昨年に比べて四・五%上っていると、こうなっている。そうすると、矛盾があるようですが、依然として六、七%の開きがあるのじゃないかというしろうと考えですが、そういう印象を受けるのですが、先ほど申し上げましたように計数を持っておりませんので何とも申し上げられませんが、どうも今の説明を聞くと、いまだに疑点が残っていると思うのでありますが、これはどういう結果になりますか。
  32. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 御指摘のように、六・二%が改善されましたのは本年四月以降であります。しかしこれはもう法律で確定しておりまして、現在すでに八月でございますが、七月三十一日の切りかえも済みまして、大部分はこれが実現しておる。三月現在では六・二%しか上っておりませんけれども、多少のズレはありますけれども、これは六・二%は上るというまあいわば既定の事実のようなものでありますが、先ほど私が申しましたのは、この既定の事実であるものを含めての話でありまして、ある時点を押えてこれを比較したものではございません。この点をつけ加えて申し上げたいと思います。なお報告の一番初めの方に、公務員はおおむね四・五%上っておる、民間も四・五%上っておるということを言ったのでありますが、これは公務と民間との職員構成、あるいは学歴構成、そういうものを無視いたしまして、とにかく民間において支払われておる五十人以上の事業場の平均給与、いわゆるベース、それの上り方が四・五%、公務においても四・五%、こういうことを申したのであります。三%ということを申しておりますのは、これはキイポジション調査でありますので、いわば昇給という要素がこの中には入っておらないのであります。すなわちポジションの相場というふうにお考えを願いたいと思うのであります。そのポジションのいわば相場、相場というものは去年と今年と比べてみると、おおむね三%程度上っておる、こういうことを申し上げておるのであります。最初の四・五%というのは、民間においても昇給ということがあります、公務においてもあります、またいわゆる出入りもあるわけであります。民間の方が多少多いようでありますが、新しく新規採用、それから退職する人があるわけであります。そういう要素を総合いたしまして、総合平均を出してみますと四・五%上っておる。すなわち四・五%というのは、そういう意味の、すなわち動態的に見ていくと、その平均ベースというのは大体同程度に上っておるということを言ったにすぎないのであります。われわれが判断をする基礎はむしろポジションそのものの評価、この中には昇給という要素を含んでおらない、そのポジションの評価というものがどのくらい上っておるかということを第一段で報告しておるのでありますが、そのポジションの相場の上りは三%で、俸給表を改訂する必要があるかどうかということにつきましては、そのポジションの相場といいますか、そういうものに着目して判断する次第であります。
  33. 永岡光治

    永岡光治君 昇給は民間もそれから国家公務員の場合も大体四・五%上ったわけですね。昨年の開きは六%から七%公務員が低いと、こういうわけであります。その後公務員は六・二%上ったわけですが、民間もその程度上っているはずですね。そうするとやはり私は相当の開きがあると思うんですが、それが依然としてこういう疑点があまりはっきりされていなくて、給与改訂の必要がないというのは、私には納得ができないのでありますが、もう少しそこらを詳しく説明してもらいたいと思います。
  34. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) まあ六・二%というのはむしろポジションに着目いたしまして、そうして去年もフィッシャー方式によって比較するということを申し上げたのでありまするが、そういう観点から公務と民間、これは従いまして公務と民間とを比較いたしまする場合に、たとえば男女構成も同じであるような場合を想定するといいますか、そういうふうにいたして、それからまた労職別、労務者と職員との割合というものもまずどっちも標準化して同じようなものにして比較する、それから学歴、高学歴と低学歴の割合といいますか、それも民間と公務とは違う、これを同様にする、すなわち両者を標準化して比較するというやり方を去年はやったのであります。いわゆるフィッシャー方式による比較であります。そういう方式から参りますると、おおむね六%程度低いということを言ったのでありますが、これは本年の三月以降にずれておりますけれども、この給与改善をいたせばそれでその点は大体民間と見合うことになる。一方それとは全く別個に、昨年の一ヵ年間において民間平均ベースの動きはどうであったかということを見て参りますと、四・五%ないしは四・六%、公務の方の年間平均ベースも四・五%、従って、昨年から本年にかけましていわゆる平均ベースにおいては、同様の動きをしておるということが明らかになるのでありますが、ところが昨年一ヵ年間におきまして報告にもつけておりまするが、民間においては給与改善がいわゆる昇給ということだけでなしに、比較的規模の小さい事業場等におきましては、いわゆる公務で言えば俸給表の改訂に当るような、たとえば課長なら課長そのものの給与を上げる、ただ昇給によって上げるというのでなしに、そういうベース・アップ方式によっておるものも相当あるということをこの報告で言っておるのであります。そういう評価がえということが総体的に見れば三%程度である、こういうことを言っておるのであります。で今御指摘のように本年の四月以降に民間は上るかもしれない、まあ上る可能性があるということをおっしゃる、それはわれわれが報告に出しておるところによりましても、四月以降の毎月勤労統計のベースの上り方が、三月以前に比べまして上りが多少カーブが急になっておるのでありまして、その点は認めておるのでありますが、人事院勧告というものは将来を予想してやるものではないのでありまして、あくまで既定の事実に基いてやるのであります。統計ならばそのときまでに出ておる統計というものに基いてやる。ただ今回の給与改善というものは三月以降に行われるのでありますけれども、これはすでに国会でお定めになりました法律によりまして確定いたしておるのでありますから、これだけは勘定に入れない、このような次第でございます。
  35. 永岡光治

    永岡光治君 私は、民間との比較を将来上るだろうという予想のもとに比較しておるのではなくて、三月以降にこの調査されたもとになった資料が上っておる所が相当あるんじゃないか、そういうものを考えておったかどうか。たとえば公務員の場合、身近に考えられます三公社五現業の場合そういうものを見ておるかどうか。たとえばあなたのたまたまそのポスト、ポストで比較されたというのは、たとえば高等学校の卒業者につきましても、三公社に比較してどのくらいの開きがあるか、相当に私は開きがあると思うのですが、ちっともこれで改善されておらないじゃないか。たとえば新制高校を卒業すると三公社あたりでは本俸だけで七千円になっておったと思うのでありますが、これだと六千三百円ですか二百円ですか、ちっとも改善されていないじゃないか、そういうことをどういうところで見ておるか疑問を抱くのであります。そういうことを見ていないんじゃないか。民間その他が上っておることを見てやらずに、単に前の資料だけで三%の開きがあるから、この際勧告の必要がないという結論を出されておる疑いがないか、ということを私は心配してあなたにお尋ねしておるわけです。
  36. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 人事院が、俸給表改正する必要があるかどうか、ということを判断いたしまするときに用いまする資料は、公務員法第六十四条によりまして、民間給与とそれから生計費と、その他人事院が適当と考える事情、この三つがあるわけであります。その中で民間比較するという場合に非常に大きなウエイトを占めておりますものは、人事院が毎年三月現在でやります民間職種別給与調査であります。それによって見るわけであります。従いまして本年の三月の民間状況を見ておるわけであります。三公社五現業において上っておる、そういうことを考慮に入れておらないではないか。そういうことでありますが、これは人事院のやり方といたしまして、原則として民間を見ていくということでございます。また三公社五現業等におきましてはきまったものもあるようでありまするけれども、まだまだ話し合い中のものもあるようでございます。なかなか参考に見るといたしましても的確な資料が得られなかったということもあります。  それから御指摘のように初任給の点でまあ多少問題があるかもしれません。しかしわれわれが申しておることは全体的なことを申しておるのでありますから、従いまして多少場所々々によって違いがあるかもわかりませんが、それによってその小部分まで勧告する必要があるかどうか、やはり勧告というものは大きくやるのが適当ではなかろうかというふうに人事院判断をいたしまして、そうして小さなところに多少問題がかりにあるといたしましても、それをもって俸給表改正というようなことに踏み切るべきかどうか、むしろそれよりも全体的に取り上げる必要のある通勤手当を取り上げる方が、勧告としては適当なのではないか、このように考えておるわけであります。また小さな問題でありますれば、非常に必要があるという場合には、これは十分研究いたしました結果、行政措置によりましてでき得る分野も多少はあるわけであります。そのようなことも考えておる次第でございます。
  37. 永岡光治

    永岡光治君 初任給の開きは認めるが、それは全体を見なければいかぬ、こういう話ですが、初任給の高いことはそれに比してみんな高いんです、比較して。たとえば短大卒や、あるいは新大卒ですね、大学卒業を比較してみても違うんです。私はそういう関係で相当考慮しなければならない点があるということを指摘しておきたいんですが、今御指摘の中に、はしなくも暴露しておりましたが、給与もきまっていないからどの程度比較していいかもわからぬ、こういうように私には受け取れたわけです、たとえば三公社に比較する場合に。それと同様に民間においても四月以降に上っているがあるわけですね。この公務員比較は、これは四月一日以降の給与改訂を、三月で比較すべきものを公務員は四月に給与改訂になったものとして、三月に改訂になったものという計算のもとに比較をしておるわけですから時期が違いますよ。四月一日から実施されておるものを比較の上ではこれを三月に引き直しておる、公務員は四月一日に給与改訂があったのに比較しておるんですからその点でも少し違うんじゃないですか公務員の三月現在の給与民間の三月現在の給与比較しておるんですか。これによると、どうも公務員だけは四月に給与改訂になったものとして比較をしておるように私は思えるんですがどっちなんでしょうか。
  38. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) それは先ほどから申しておりまするように、公務員民間と三月現在で比較しておるのであります。ただ先ほども申しましたように、公務員の六・二%の改善というのはこれはもう法律も通過いたしておることでありますし、確定したことでありますので、これは取り上げている、このように考えております。
  39. 永岡光治

    永岡光治君 ですから、公務員は四月一日で比較している、一般は三月で比較している。ですから四月以降の昇給あるいは給与改訂になったものは比較の対象になっていないわけです。ですからそれぞれ比較の対象は時点が違うわけですから、この問題はほんとうの正確な意味における比較にならぬわけです。そういうことを私は指摘しておるわけです。四月一日現在で改訂したものとしてやっておるわけですから、その後改訂したものがあるわけですからそれも検討してやったのかどうか、ということになるとされていない。たとえば明らかに、三公社についてあなた方検討していないわけですから、特に初任給その他の問題について比較していないわけですから不備じゃないか、こういう私は気がするわけです。
  40. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) そうは言われますけれども、公務員の方は確定した事実でございまするし、民間の方は一々これは聞いて歩くわけにもいかないので、まあわれわれが非常に大きな調査を企画いたしまする場合には、三月現在で出てきたものを考えるよりこれはいたし方がない。公務員の場合にそれは四月以降の六・二%の給与改訂を現に行われるのを、これを無視していいかということになりますると、これはまあ審議経過等もあって多少ずれたということもあろうかと思いまするが、確定しておるのでありまするからこれを無視するわけにはいかない、このように考えております。それからまた初任給問題で先ほどお話がございましたが、これはまあ新制中学校、新制高等学校につきまして、先般の給与改訂の際に国会で御修正になった経緯等もございまして、こういう新中ないし新高卒あたりにつきましては、また短大卒あたりにつきましても、われわれは大体民間の三月現在の調査とバランスがとれておるというように考えております。ただ新制大学卒業あたりのところにつきましては多少問題があるようには感じておる次第でございます。
  41. 永岡光治

    永岡光治君 それでは、民間給与が三月以後上った問題を一々聞いて回るわけにはいかぬと、だから三月末の資料で検討しておることになる。一方公務員だけは四月以降の改訂を確定してやっておるわけですが、民間といえども四月以降に改訂になった所、それから三月の闘争でまだ結着が手つかずにある所がある。そういうことを比較していなくて、民間やその他については四月以降で確定するものがたくさんあるにもかかわらず、四月の確定分を比較せずに確定前の分を比較しておいている。公務員だけは四月以降で確定したものをもう確定したものとして比較しているのです。民間の方は非常に低いベースできめておるにもかかわらず、こっちの公務員の場合は高いベースで確定したものとして、比較しておるのです。その比較に大きな疑問があるのじゃないか、不合理じゃないかというわけです。民間の場合はその他でも四月以降確定して切りかえられたものもあるわけです。それと比較して公務員も四月一日に切りかえられたからこうだと言えば、これは一つ資料だから一応考えられるのですが、民間やその他についてはまだ改訂は、きまっておるが幾らにするかということはまだ三月中には結論が出てない、四月以降に結論が出る所もあるわけですが、その分を計算に入れていないで比較しておるところに、不当に公務員は高い給与をもらっておる、という印象を与えようとしている資料の作成のように考えられるわけですね。そこに非常に作為があるのじゃないか、時点において非常に開きがあるのじゃないか、こういうことを私は言っておるわけです。
  42. 淺井清

    説明員(淺井清君) ごもっとものお尋ねでありまするけれども、われわれとしてはそういう意図をもってやったものではないのであります。公務員給与は四月以降に改善せられたと仰せられましたけれども、これは四月一日にさかのぼってやるのであります。民間との比較は三月でやっておるのでありますが、これは四月一日のことでありまするからそのような時点に大きな開きはないのでありますそれから民間給与は四月以降には上っておるものもあろうと思っております。これはお説の通りであります。その調査はこの人事院報告の中に表われておりません。それは仰せの通りであります。これはまたこの次に報告をやるときに表われてくるのであります。これは人事院が毎年三月現在をもって調査をやる関係上やむを得ないことであろうと思います。
  43. 藤田進

    委員長藤田進君) 人事院総裁に私がお尋ねしますが、つまりそうなると法律上の観点から労働協約において年末ないし二月、三月に四月一日以降何がしの給与にするのだという労働協約、賃金協定が結ばれる。一日の違いだと言われるが、三月三十一日までは従来のものであったが、四月一日からは新給与によるやはり協定を結ぶわけですね。それは同時に、三月三十一日現在における公務員その他の三公社等の賃金と民間とのベースの比較というならば、時点が同じだからいいが、そうでなければ少くとも一期ずつずれて、公務員はあとを追っていくという結果になるという点をどう考えるのかと、それではプロポーショナルな比較、それに対する人事院勧告にはならないではないかと、こう言われておると思うのですよ。
  44. 淺井清

    説明員(淺井清君) ごもっともの点でありますが、これは従来も人事院としてやむを得ぬと思っております。それは三公社五現業の方ですと団交を基礎として物事がきまっていく。ところが人事院はこの第三者的な立場から民間給与を取り調べてやります。この給与調査には相当の時間がかかるわけでございます。でございますから、給与改善勧告ということは、これは何回やってもいいわけなんであります。しかし全般にわたりまする給与改善は、その基礎となっておりまする資料をとるのに相当の時間を要するために、毎年一回しかできない、これが現実であります。それがいいか、悪いかはまた別問題であります。その点から仰せられるとすれば、ただいま御指摘の点はその通りだろうと思います。
  45. 永岡光治

    永岡光治君 それでは総裁もやはりその非は認めておいでになると思うのですが、たとえば郵政職員のごときはまだ係争中なんです。四月一日から支給することは確定しているけれども、ただその配分がきまらぬというだけなんです。これは当然人事院勧告をする際にそれを対象としてほんとうは比較しなければ、国家公務員だけは四月一日をとって、他のものは三月をとるということはおかしいと思う。同時に民間でも、協約した配分の確定はずうっと先になるんですが、四月一日からこうなるということはすでにきまっているわけですよ。しかし三月の資料にはそれは現われていない。だから民間の場合には、その意味では実際の給与より低い統計になっているわけです。三公社五現業の場合もそうです。公務員の場合だけは四月一日に上るのだからということで、上ったものとしてすでに比較している、それは少しおかしいじゃないか。時点において実質上の相当の開きがあるのです。そういうものは計算に入れなくて、三%とか、五%とかきめたってはじまらないじゃないか、非常にそのあたりは問題にすべきだと私は思うのですが、その点が明確に出ていないで比較していることについて、国家公務員にとってどうも不当に不利な資料を、これは意識的にそうということは言いませんが、結果的にそういう不利な状態になっているんじゃないかということを私は申し上げているわけです。
  46. 淺井清

    説明員(淺井清君) ごもっともであります。しかし公務員につきましては、国会の法律によってはっきりそれがわかってやれるのであります。同様の場合に関する民間の四月一日の資料というものは、三月を時点として調査をいたす限り、これを把握することが非常に困難なのでありますからその点は御了承願っておきたいと思います。
  47. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) さらにつけ加えて言わせていただきたいのでありますが、お手元に差し出してあります説明資料の四ページないし五ページをごらんいただきますと、毎月勤労統計、昭和三十一年の三月を基準といたしまして、そうして三月以降どういうふうに動いているかという統計が出ております。これによってみますると、たとえば本年の二月は、昨年の三月を基準にいたしますと、六・二%の上りであります。それから三月は四・六%、これはちょっと下っております。四月になりますと八・四%になります。五月になりますとまた六・八と下っております。で、こういう傾向を見て参りますると、この四月以降に三月末と比べまして、先ほども申しましたように多少上りが上向きになっておるということは認めまするけれども、今御指摘になりましたように、組合等の強力な大きな事業場等におきまして、団体交渉の結果かち得たものがあるじゃないかというお話でありますが、それはあるにはあるでありましょうけれども、三十人以上の全事業場を平均いたしてみますると、こういう数字にしかなっていないのであります。大勢を見るには、毎月勤労統計のこの推移と申しまするか、そういうものに着目してみれば、まあ大勢判断としてはそう誤まりはないのではなかろうかというふうに思うのであります。そういうふうに見て参りますと、なるほど国家公務員につきましては四月以降確定したのでありますけれども、それは事実問題として確定しておるのであるから、これを入れるということは、人事院としてはこれを除外して考えるということはできない次第でありまするし、民間の方においてもあるかもしれませんが、それが全体平均として現われてくることはそう大きくないのじゃないか、このような考え方を持っております。
  48. 永岡光治

    永岡光治君 それはやはりどうしても私はおかしいと思うのですが、すでに四月一日から給与改訂しますということを約束して、予算も通っておるし、たとえば三公社五現業につきましてもそうでありますが、しかしまだ配分はきまっていないから、それはあなた方は比較の対象にしていない、たとえば初任給を見ても大体そうです。これは新制高校で大体七千円くらいになるのですが、七千円という開きは大きい。これは暫定手当の二割を加えますと八百円程度です。六千三百円に対する八百四十円の開き、これは何といっても大きいですよ、そういうものがたまたま四月一日現在で確定されてないから、比較されていない。ところで国家公務員の場合は、これは勧告の趣旨は、民間の企業も調べなさい、それから非常に身近に感じている他の公社等も検討しなさいということになっておりますから、公務員の立場からしてみますると、それはやはり非常に三公社五現業等を気にするのです、やはり同じ立場にありますから。それが非常に大きな開きがある、にもかかわらずたまたまそれが一方は三月だ、一方は四月一日だということで、こういうふうに無視されておる。それで国家公務員は非常に大きな不満を抱いておるわけです。だから給与改訂の勧告はなっていない。その辺のところに私は不満がある、不合理だと思う。一方は予算が通って、上げるということがきまっておりながら、ただ配分の内容がきまっていないというだけで、確定がおくれているというだけで対象にならずに、こっちは確定したから、法律が通ったからというだけで、こっちは上ったのだ、そういうことで向うは上れるにもかかわらず上っていない、こっちは上った給与比較するのですから、パーセンテージはそう大きなものが出ようはずはない。ですからその辺のところは十分考えてもらわないと……、その意味では私はこの勧告に非常に大きな疑義があるとこういうことを申したわけです。
  49. 八木幸吉

    八木幸吉君 この資料の第一表の一番上の全産業の「現金給与総額」というのは、三月及び四月、五月とだんだん下っておりますが、どういうわけですか。
  50. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 「現金給与総額」と申します中には、臨時的に出ます給与等も入っておりまするので、むしろその次にありまする「きまって支給する給与」、これが大体毎月きまって支給します給与でございまするので、この二段目を見ていただきたいと思います。
  51. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  52. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を始めて。それでは暫時休憩いたします。    午後零時三十九分休憩    —————・—————    午後二時四十一分開会
  53. 藤田進

    委員長藤田進君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  国家公務員制度及び恩給に関する調査のうち、国家公務員給与に関する件を議題に供します。本件について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  54. 永岡光治

    永岡光治君 午前中に引き続きまして質問を続行いたしますが、報告の第二の「民間給与の実態と公務員給与との比較」の第三項になりますか、第三項の方に期末手当比較の問題が出ておりますが、民間では昨年に比べて〇・二八ヵ月分の増加が見られた。ところで国家公務員の場合は従来年間二・四ヵ月分であるので、民間に比べて〇・一七ヵ月分の差がある。それで今回は勧告によりますと〇・一五の勧告をしている。こういうことになるわけですが、これは十二月期の期末手当の〇・一五になるわけですから、民間でも〇・一七ヵ月分があるのですから、〇・一五と比べますと〇・〇二の差額です。非常にみみっちいわけですが、どうもいつも比較をされましてある程度数字が出ると、それを内輪々々に見て、もともとわずかな少いものだけれども、それをさらに小切るくせがあるようですけれども、あっさりとこれ以上を上回る、たとえば〇・二とかいう工合にはいかないのでしょうか。
  55. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 御承知通り〇・〇以下の相違があることは事実でありますが、これはラウンド・ナンバーでやったという以外に何も意味はありません。
  56. 永岡光治

    永岡光治君 その外にも同じような例があるわけですが、たとえば交通費の問題ですが、民間の場合ですと、平均月額が五百五十円程度になっている。最高の制限の平均は六百三十円になっている。こういう資料が出ている。国家公務員の場合にはみみっちい話ですが、三十円削って、これはラウンド・ナンバーということもありましょうが、それではみんながみんなラウンド・ナンバーをとっているかというと、そうではない。暫定手当の場合は非常にこまかい数字をとっておる。そういうことを考えますと、ラウンド・ナンバーならむしろ上回ったラウンド・ナンバーにできないのかと私は考えているのですが、何か国家公務員なるがゆえに……、先ほど基本的な本給の問題についても追及いたしましたようにいろいろな問題もありますし、それからまたここで期末手当になるとまた一般より低くする、今度また通勤費を出す場合でも、これも民間よりも非常に低い。わずかな金のことだけれども印象が非常に悪い。こういうものは七百円とか何かにどうしてできないのでしょうか。その辺のところ、たとえば六百三十円ということですと、通勤距離から考えてみますとどこら辺でしょうか。六百円というとそう私は遠い所じゃないと思うのです。みんなずいぶん遠い所から通っていると思うのですが、六百円というと東京駅を中心とするとどこまでになりますか、中央線ならどこ、京浜線ならどこというふうにわかっていると思うのですが、そういうものとかね合わせて、この際こういうみみっちい数字でないような方法をどうして考えられなかったかということについて、非常に私は疑問を持っているのです。
  57. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 六百三十円というのを特にラウンドにしたわけではございませんが、おおむねこういうものが通勤費として支給されまする場合に、六百円までは免税になっておるというような点も合せ考慮いたしまして、六百円ということに一応いたしたわけでございます。六百円ということになりますと、国鉄でおおむね十五キロぐらいになるのでありまして、山手線なら東京を起点として全部入る。京浜線でありますれば大森と蒲田の間ですから大森まで、東北線であれば赤羽と川口の間ですから赤羽、中央線でありますれば東中野、それから総武線であれば小岩、この程度であります。
  58. 永岡光治

    永岡光治君 今の数字そのものにも問題がありますが、たまたま通勤費の問題に触れたわけですが、今話がありましたように、環状線の場合は一応救われる、あとは赤羽まで、それから中央線が東中野、それから京浜線が大森といいますと、どうも実情に合わないのじゃないかと思うのですがね。かなり遠い所からずっと通勤していると思うのです。やはり東京都内くらいは、これもあまり遠い所は別でありますが、旧都内くらいで通勤できるような所は、これはやはり通勤する者は全部負担するというのが建前じゃないかと思うのですがね。五百五十円というこういう数字が出ている、平均が五百五十円ですから、最高六百円に押えますとどうでしょうかね、果して五百五十円までいくかどうか疑問だと思う。ずっと低い数字になりはせぬかと思うのですが、今公務員の住居を実際に聞いてみますと、環状線の中から通勤している者はあまりないようで、国で作っている住宅の敷地との関係で遠方に多いような状態で、私鉄を利用する、さらにまた省線を利用しなければならぬ。中央の官庁というのは民間の会社と違いまして、ほとんど集中して中央部ですから、その辺のところはやっぱり考慮してもらいたいと思うわけですが、そうなりますと、やはり免税点が六百円だという、こういう一つの観点だとしても、私が先ほど申し上げましたような意味で何でもかでも小切るということじゃなしに、若干の考慮を払い、たまには人事院も上回ったものを勧告してもいいのじゃないかと思うのですが、そういうことから考えますならば、もう少し引き上げた方が妥当じゃないかと思うのですがね。せめて荻窪あたりとかあるいは蒲田あたり、大体旧都内から通う者は全部含まるのだということが妥当じゃないかと思いますが、そういう実情に合った検討をされたのでしょうか。そういうことでなしに、大体免税点ということで一つの線を引いたのでしょうか。
  59. 淺井清

    説明員(淺井清君) これはただいま御指摘がありましたように、月額平均をとれば民間は五百五十円になっている。しかし公務員はこれより下回るかもしれません。それは民間の方は無制限に出している所があるのです。それで一方においては最高額を制限している所もある。そうすると、民間に形が二つあるわけです、最高額を制限している所としていない所と。そういう場合に、公務員として人事院勧告します場合どっちをとるか、やはり最高額を制限している方向をわれわれとしてはとらざるを得ない。そうなってくると平均は六百三十円になる、それなればまずまず免税点一ぱいということで六百円になったのでありますから、その六百円の最高限度はどこかと申しますと、ただいま給与局長から申し上げました通りになりますから、永岡さんの御指摘のような点はこれはあると思いますけれども、私はまずこの通勤費をこの程度出すことそれ自体それは給与改善だと、こういうふうに思っております。
  60. 千葉信

    千葉信君 淺井さんにお尋ねします。  今度の石炭手当、寒冷地の薪炭手当に関する勧告の問題について昨年の国会薪炭手当制度が新たにこの法律に改正案としてつけ加えられた。当時の国会の審議の状況なり国会の審議の内容等からいいますと、当時その改正案の制定が予算の決定後に行われました関係上、やはり最初の年度においては、五級地等に重点をおいて問題を推進する以外に道がないであろうという考え方であった。従ってそういう条件の上に立って法律の審議を行いましたが、しかし最終的には、五級地に対する薪炭手当支給という問題は、同時に四級地、三級地、二級地、一級地もそれぞれの度合に応じて当然支給さるべき条件を持っているはずだから、これに対してやはり恒久的にはそれらの地域も含めて、この手当支給されるようにならなきゃいかぬという国会の意見であったのです。その問題については、提案者の方でも質問者の方でも十分その点は了承され、同時にまた人事院の方でも、そういう点については肯定的な態度をとっておられたと思うのです。そういう点からいいますと、今回出ました薪炭手当勧告に対して、まあ、これは前年度の勧告を尊重しろということになりましたが、私は、これでは少し人事院としては画龍点睛を欠くどころか、少し怠慢に失するのじゃないか。私は今回の勧告の場合には、当然この問題については十分踏み切って、一級地も二級地も三級地も、薪炭手当の問題をどうするかということを人事院としては検討し、それに対する勧告人事院としてはやる必要があったと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  61. 淺井清

    説明員(淺井清君) ごもっとものお尋ねでありますが、人事院といたしましては、大体五級地、四級地に薪炭手当支給すると、これでいいんじゃないかという立場に立っておることは事実であります。もちろんいろいろ御意見もあると思いますが、人事院としてはまずこの程度でいいんじゃないか。つまり三級地以下の地域と申しましても、寒冷地手当は同時に燃料費を意味することでもありまするから、この程度でいいんじゃないかと思いますが、その数字的な調査の基礎について給与局長からお答えを申し上げます。
  62. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 人事院といたしましては、寒冷地手当そのものが議員立法でできておりまする関係上、いかにこれを解釈するかというようなことで、いろいろ研究はいたしておるのでありまするが、なかなか理論的にこれを的確に裏づけするということは困難であります。ただいろいろ研究した結果によりますると、まだこれは決定的ではございませんので、従ってまだ結論が出ていないのでありまするけれども、おおむね寒冷地の現行一級地、二級地、三級地という辺は現在出ております程度で、いわゆる寒冷増高費というものをまかない得るのではなかろうか、大体そういう見当に立っております。従いまして、これはまだ結論ではないのでございまするけれども、そういう状況のもとに、直ちに三級地以下にこれを広げるということにつきましては、なかなか人事院として判断がつきかねる。むしろこれはその最初に設定されました薪炭手当の趣旨そのものが、北海道の南部地区と本州の青森、岩手、秋田、まあ比較的北海道に近い地区とのバランス上の問題、そのことが三公社五現業の薪炭手当に相当いたしまするものとして出ておりまする関係上、というようなことでこれが設定された趣旨で、これはやはりいろいろのことを考えまして、今回三級地以下にこれを拡大することを見合した次第であります。
  63. 千葉信

    千葉信君 どうもただいまの淺井さんの答弁、いつもは筋の通った答弁をされる淺井さんが、今のような答弁をされることは全くおかしいと思う。どういう点かというと、人事院としては五級地、四級地で足りるという見解に立ったという御答弁、どうして一体その判断人事院が持たれるのか、私は不思議でたまらないのです。これはもう人事院側としても、御承知のように、あの薪炭手当制度が立法化されるあの法律案の改正の当初は、国会でもその前の国会で、これは二十二国会でしたが、その当時提案されました法律は、薪炭手当支給については各県全部じゃなくて、限定された地域が法律案には記載されていた。その限定された各県というのは、当時も現在も五級地の寒冷地給を支給されている地域のある各県だけだったのです。ところが今度二十四国会で制定されました法律の場合には、これはそういう限定された点を除いて、内閣総理大臣のきめる地域ということに法律が拡大された。その拡大された理由それから内容については、これは五級地だけに限定するということは、どうしてもこの給与の性質上無理が生ずるから、従ってその人事院の検討の結果に基いて、たとえば最初五級地、四級地等を検討しながら、次いで今度は三級地をどうするかという点等について検討が行われて、そうして当然そういう検討の中からそれぞれの傾斜は合理的には描かれても、やはりそれに対してはある程度考慮しなければならぬから、従ってそういうふうに五級地ということに最初から限定することはやめて、現行法律案として提案されたわけです。そういう経緯を人事院として私は知らないはずはないと思います。従ってそういう点からいけば、最初のように五級地に限定しようとしたのが、五級地だけじゃいかぬということになって拡大されたのですから、その経過を知っていれば、私は人事院としては今のような御答弁は出てこないと思うのです。  それから給与局長の方から御答弁のありました、人事院としてはこれでいいという考えに立って自分の方ではやったのだというお話でしたが、これはまた私はそういう御答弁は筋が通らないと思うのです。なるほどおっしゃる通り、問題の提起されました一番最初の出発点は、石炭手当支給されている地域と寒冷地給だけしか支給されていない地とに関して、非常な不利益に対して、これを救済しなければならぬというところに出発点はありましたが、そういう出発点ではあったけれども、しかしお互いによく考えて研究し尽していった結果、私は今のような五級地、四級地ばかりじゃなく、それ以外の地域にも支給しなければならぬという、そういう考えに立ってあの法律案が提案された、これは衆議院の方で修正された分です。もしも給与局長のおっしゃるように、一級地、二級地、三級地等に対してはこれでいいが、四級地、五級地だけに対しては、寒冷地給では足りないから薪炭手当支給しなければならぬ、一体そういうことがどこから出てくるか私はわからない。最高八割に制限されていて、そうして従来ずっとおのおの合理的な傾斜を描いて支給されてきた各地域に対して、全体としてやはり手当支給されなければならない条件に応じて出されている給与であるけれども、その支給額が非常に低いからこれを救済しなければならぬ。従ってもしできればその寒冷地域の支給割合等を上げるということが一つの方法で、その方法がとられなければ、寒冷地給の場合は、北海道も最高八割支給されておりますから、従って寒冷地給の支給の割合を上げるということは、また北海道については格別に有利な条件が出てきては困るからということで、従ってそういう寒冷地給の支給の割合を変更しないで、そうして陥没している地域から合理的な傾斜を描いて支給しなければならぬ。その場合は一級地も五級地も大体全部それで妥当だという線で支給されていたのですから、そこへ薪炭手当制度が創設されて、どの県にも公平にこの問題を処理しなければならぬという条件が出てくる。それはおのおの合理的な傾斜を描きながら、五級地に必要なものは三級地に対しても当然ある程度考慮しなければならぬ。二級地も一級地もある程度は考慮しなければならぬ。こういう考えに立ってこの法律が制定されているはずです。そういう観点については私は人事院としてははっきりしていると思うのです。どうもそのただいまのようにこれでいいということを考えられた根拠、つまり三級地以下は要らぬ、四級地以上だけでいいのだという考えの上で措置がなされた。去年のように予算がもう通ってしまったあとで、この法律案が提案され、当時の国会の審議においても、三十一年度はどうも暫定的な方法としてこの問題を解決する道はないかもしれぬけれども、将来としてはやはり合理的に各地域に対して不公平を作らぬようにやるという確認が委員会の席上でもあったと思うのです。私はここに速記録を持ってきています。その点を一体どうお考えが変更になられたのか。
  64. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 人事院といたしましても、先ほどから申し上げておりますように、この問題は研究は十分積んでおるわけではございません。現在までの段階におきまして、いわゆる冬季における寒冷増高費というような問題を研究いたしておりますと、一級地、二級地、三級地というあたりにおきましては、おおむね現在出ておる程度のものでまかない得るのじゃなかろうかということが、研究の途上ではございまするけれども、大体そういう見積りでおるわけでございます。しからば四級地、五級地についてはどうかというお話でございますが、これは人事院がそういう理論づけをいたしておるものではないのでございまして、議員立法として法律として制定されましたものに、忠実にその立法の精神と申しますか、そういうところに着目いたしまして五級地に出しておるわけであります。しかしこれは当時法律の提案者もおっしゃっておりましたように、薪炭手当と寒冷地手当とはまあ大体性質も同様なものでございます。で、人事院はかねて寒冷地給につきましては合理的に検討をいたしたいということを申しておったのでありますが、それが手間取っておりまするうちに、応急措置として薪炭手当というものが法律案になったわけです。従いまして現在の寒冷地手当薪炭手当というものをいかに合理的にこれを組み合わすかということは、これは大問題でございまして、われわれ研究をいたしておるのであります。今回の法律、給与改正の付帯決議におきましても、最初合理化ということが出ておったのが、改善と言葉は変っておりまするけれども、やはり底にその精神が流れているのだろうと思う。そういうわけでありまして、人事院といたしましては、やはりこの問題は寒冷地手当薪炭手当、これをいかに合理的に組み合わすかということをまず研究いたしまして、そしてその研究の結果に基いてこれはやっていくべきものである。現在のところまだそこまで研究が進んでいない、こういう状況であります。
  65. 千葉信

    千葉信君 そういたしますと、今の瀧本さんの答弁からいきますと、さっき言われたように、人事院としてはもう一級地、二級地、三級地については考慮の余地なしとか、四級地、五級地だけ支給すればそれでいいという、そういうはっきりした結論に達しておられるのじゃなくて、やはり一級地、二級地、三級地等についても寒冷地給との関連において、どうこれを調整するかということについては、目下研究中だとそういうことに確認していいですか。
  66. 淺井清

    説明員(淺井清君) その通りであります。さいぜん私が申し上げましたところは、ただいまのところさように考えておるということです。
  67. 千葉信

    千葉信君 まだこの問題終っておりませんけれども、次にあります問題は、これは当然人事院の方としてもそれぞれ調査、研究中のことと存じますけれども、現在の寒冷地給の支給区分等について、どうも人事院の方で寒冷地手当の級地の変更については、もう当然やらぬという態度をとられてからかなり長い年月がたっておりますし、私どももその後の調査、いろんな人事院の研究等から見ましても、それから私どものずぶのしろうとの方のいろいろ聞きました地方の実情からいいましても、どうも現在の緑地についてはある程度不均衡がはっきり出てきている。これはある程度修正しなければならぬ状態になってきていると思うのですが、この点についてどうお考えになりますか
  68. 淺井清

    説明員(淺井清君) それもただいまの御答弁と同じことに結論はなります。大体この寒冷地の区分というのは、これは地域給における地域の物価差のように変動の激しいものではないのであります。でありますから、かつて地域給の地域区分の勧告をしばしばやったような必要はないとは認めております。しかし現在の寒冷地の地域給の区分が、決してこれでいいとは考えておりません。ただこの点は、寒冷地手当というようなものを第二の地域給のようなものにしないために、よほど慎重に考える必要があると思って研究中であります。
  69. 千葉信

    千葉信君 今年になってからも、人事院の方では相当寒冷地給もしくは薪炭手当制度に関して、地方の実情等を調査されたはずですが、その研究の結果はまだはっきり出ておりませんか。
  70. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 人事院が直接やったわけではありませんので、総理府統計局に依頼いたしまして、総理府統計局がやるということで、いわゆるCPSに該当いたしますところをふやして調査いたしておりますが、その結果等につきましても、われわれ早いことを期待いたしておるわけでありますけれども、一部はできておりますけれども、まだいろいろ集計途上のものもございまするし、できておりますものにつきましても、まだ現在いろいろ分析、研究を加えておる現状でございまして、まだこの席で詳しい御報告を申し上げる段階に至っていないわけであります。
  71. 千葉信

    千葉信君 それでは最後に淺井さんにお尋ねしたいと思うのですが、ただいまの質疑応答から見ましても、寒冷地給の現在の級地の状態については、人事院の方としてもその検討なり修正が必要だということはお認めになっておられるし、それからまた薪炭手当の方の支給についても一級地、二級地、三級地等については、これは考慮しなくてもいいんだという考えは人事院としては持っていない、人事院としても、これは当然寒冷地給の関連等についても十分研究して結論を出さなければならぬ、そういうお考えを持っておられて、今年度も総理府の方に連絡をとられて、いろいろ暖房に関する調査等を行われて、目下研究中である、従って近い機会に、その時期を承わりたいと思うのですが、近い機会に人事院の方としては合理的な結論を出すというような作業をずっと続けていく、そういうふうに私どもこの席で確認して差しつかえございませんか。
  72. 淺井清

    説明員(淺井清君) お説の通りでございますが、その近い機会というのがいつになるのか、これはまだこの席で申し上げかねると思います。
  73. 千葉信

    千葉信君 淺井さんの方で寒冷地給の関係薪炭手当等の関係について、またかつての勤務地手当の二の舞をやるということについて非常に慎重に考慮をされる、私はこの考慮は必要だと思う。しかし考えようによっては、今のような生活給の水準の中で当然必要な勤務地手当支給の問題については、いろいろごたごたもありましたし、困難な問題を伴いましたけれども、しかしあの制度はあの制度でやはり一応の成果を上げておると思うのです、現在の生活給の水準の中では。同時にあの問題は残念ながらこういう結末になりましたけれども、しかし今淺井さんもおっしゃいましたように、寒冷地給と薪炭手当支給しなければならない要素なるものは、そんなにしょっちゅう変るものではなくて、ある程度恒久性を持った、安定した条件の上にこの問題が打ち立てられておるわけですから、従ってそういう問題に対して、これは従来の勤務地手当について非常に私ども苦い経験をなめましたけれども、しかしそれだからといって、現在のような生活給の水準の中でそういう問題を全然オミットするわけにはいかぬと思う。ですからそういう意味では人事院としてはできるだけ調査研究を進めて、なるべく早い時期にこの問題についての勧告を出すように、もしくはその制度改正のために人事院としては踏み切ったやり方をしながら、これはぜひ早い機会にやっていただきたいことをこの席で要請しておきます。一つよろしくお願いいたします。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 総裁に二つ三つお伺いいたします。人事院のこのたびの職種別民間給与の実態調査、この報告を分析してみますと、大体常用従業員五十人以上の事業所調査対象としておるわけですね。五十七職種、これは人員にして十二万三千五百七十四人になる。そういうふうに聞いておるわけですけれども、これを見ますと、五百人以下の小規模事業所が大体八割も占めておる。その他調査不能とか不適格事業所、こういうものも相当あったわけです。これはほとんど小事業所だと思うのです。そういうのを加えると八割以上になる。八割と押えてもこういう小事業所との比較において、民と官との給与の差を論ずるということは非常に不適当じゃないか、そういうふうに考えるわけです。その上民間給与の実態を正しく把握していないことになりはしないか、そういうふうに考えられる。そういう点についてどういうふうにお考えになりますか。
  75. 淺井清

    説明員(淺井清君) ごもっともの御質疑でございまするが、極端に申せば、国のような大きな事業所民間に絶対にございません。一方から極端に申せば、民間事業所比較すること自体に問題があるだろうと思っております。また今度は公務員給与というものは納税者たる国民の負担だ、公務員ばかりよくなって中小企業などは一体どうだという声もこれも世間に非常に多いわけであります。これは従来人事院勧告国会で論議せられますときに、双方からまことに相反するその点について御意見が非常にあったように思いますので、従来からまず五十人くらいのところに見当をつければ大体よろしいのじゃないか、一方においては公務員諸君にもしんぼうしてもらえるだろうし、他方においては公務員給与を負担しておる民間の納税者にもしんぼうしてもらえるのじゃないかというところで、五十人という数字ができたのでありまして、現に今回の勧告が出ましてからでもまたそれじゃ中小企業は全然考慮しないのじゃないか、というようなことも言われておるのであります。これは議論の立て方でありますけれども、人事院としては従来の通り、まず大体この辺のところで基準をとればいいのじゃないか、こういうことからきておるのであります。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういう一応のお話ですが、小事業所は大体八割以上ということになりますと、大事業所も相当あるわけですね、そういうことの割合ですね。ま少し大事業所を入れて考えるべきじゃないかということになると思うのです。なおそのことは先ほどの期末手当〇・一五のこの点についても言えると思うのです。民間特別給との差額があったといっても、民間それ自体が小事業所中心をとっておるととは非常に不合理性があると思うのです。年末手当についてもさらに申し上げると、〇。一五では公共との差が解消しないと思う。すべて公共との差を解消するためには〇・一五では足らぬと思う、どなたが考えても。そういうふうにして今回の勧告給与引き上げではない、これに対して当然公務員が不満をもつであろう。そういう不満を押えるための一つの〇・一五が政策的なものとしか私どもには考えられない。そういう点について一つはっきり納得できるようなお答えを願いたいと思います。
  77. 淺井清

    説明員(淺井清君) 給与改善の方法は必ずしもベースアップ方式ばかりではないように思いますので、今度やられました給与改善もつまり一種のこれは給与改善であります。ベースアップ方式は要するに俸給表数字を変えるという意味においての給与改訂、今回実施されておりますものは俸給表数字は変らないのでございますが、実質的な数字は変らないのでございますが、これも確かに給与改善だろうとわれわれは思っております。それから期末手当の問題でございますが、これはさように数字が出てくるのでございますから、大体この程度増せばよい、こういうふうに考えてやっておるのであります。なおちょっと給与局長から補足させます。
  78. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 伊藤委員の御質問の中で、人事院調査によると八割以上が小さい規模の事業所である、そういうことは不当ではないかというお話であります。人事院民間職種別給与調査をやりますやり方は、これはいわゆるランダム・サンプリングという方法によっておりますので、従いまして現実に調査いたしました数字は先ほど御指摘のようでございますけれども、実は五十人以上の事業所を全部調査したと同じ効果を持っている、統計推計学上そういうことになっております。従いましてわれわれの方の調査は、五十人以上の全体の事業所について調べた値であるということでございますので、特に大規模事業所にウエイトを多くおいてやるとか何とかいう作為はいたしておらないのであります。そのことを申し上げておきます。  三公社五現業との比較でございますが、大体人事院給与勧告というものは民間事業所中心に考えているのであります。昨年の特別手当を申しましたのはこれは異例でございまして、本年はやはり常道に戻りまして、民間との対比ということを申しているわけであります。三公社五現業につきましては、いわゆる業績手当というものがございまして、これはたとえば非常に業績が上った、経費の節約があった、総額制限制によってやっておりますので、そういうことができるのであります。ところが一般職国家公務員についてはそういう方法はない。また作業の実態もそういうことではないのでございます。この業績手当とは比較できないのでございまするけれども、三公社五現業につきまして六月及び十二月に支給されますものは、これは名称の如何を問わず大体において公務員期末手当勤勉手当に対比さるべき性質のものではなかろうか、このように考えているわけでありまして、昨年〇・一五の特別手当を三月末において支給してもらいたいということを勧告いたしたのでありますが、これは時期並びに方法こそ違いましたが、〇・一五は期末手当実現いたしているのであります。そのことによりまして、三公社五現業とはおおむね三月末の業績手業を除外いたしますならばバランスはとれるのではなかろうか、このように考えております。また今回確定分等が出ておりますけれども、それにいたしましてもその差というものはごくわずかでございまして、今度も〇・一五の期末手当の増額が実現いたすといたしますならば、年間を通じて見ますれば期末、勤勉手当についても民間ともバランスがとれますし、三公社五現業ともそれほど食い違いないのではなかろうか、このように考えております。
  79. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどお伺いしたので、小規模事業所でこれが八割、その他不適格、そういうものを入れるとまだ多くなると思うのですが、一応八割とおさえても大事業所との割合ですね、これは何か規定でもあるのですか。小事務所については大体八割くらい、また大事業所については二割くらい、その割合の問題ですが、何か規定でもあるのですか。
  80. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 先ほども申しましたように、人事院調査はいわゆるサンプリング方式によっております。しかしながらこれは悉皆調査と同じでございます。ただ小規模事業所が非常に数が多いために、サンプルいたします際にその割合を大規模事業所よりも小規模事業所の割合の方を低くしてございます。これは調査能力との関係もございます。しかし全体といたしましては全部調査したと同じことになっている次第でございます。
  81. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお通勤費の問題、先ほど永岡委員から指摘があったのですが、これは現存の住宅状況から見て、結局通勤範囲が非常に拡大されている。そういうような実情から見て、いわゆる実額補償というような線を出すのが最も至当だと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  82. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 御指摘のように現在まだ住宅事情が非常に十分でないので、実際上は居住の制限がある程度あるのと同じ状況でございます、しかしこれは非常にあるというわけでもございませんので、従いまして、自分の実家が少々無理をすれば通勤できる所にあるからというような個人的事由で、無理に遠い所から通勤しておるという人も現実にあるわけであります。そういう人にまでその通勤費の全額を支給する必要が一体あるか。また通勤費ではございますけれどもこれはやはり多くの方に恩恵といいますか、通勤手当を実施することにより利益が均霑いたしますためには、やはりある程度制限をして、そのかわりそれに均霑いたしまする範囲を広げるという方が、より多くの人に対して都合がいいのではないか、このような考えから六百円という線を出した次第であります。
  83. 八木幸吉

    八木幸吉君 この民間の各事業所なんかで相当従業員のために住宅なんかを支給している、しかもその家賃がきわめて低額だといったような場合があるのですが、そういったような現物給与に類するものの給与は、やはりこういう給与比較をされる場合にお入れになりますか。
  84. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいま御指摘の住宅でございまするが、この問題につきましてもわれわれは着目いたしております。しかし現実に住宅手当ないしは住宅を非常に安く貸しておるといいますか、その現物給与というような場合は非常に全体といたしましては少いのであります。非常に割合が少いものでございますから、まだこういう問題を取り上げる必要はないのではなかろうかというふうに考えております。それから現物給与の問題につきましては、これはかつていろいろ調べて換算をいたしまして、本俸に算入するというようなことをやっておったのでありますけれども、被服の貸与というような問題あるいはまれに食事の給与というような問題がある所がありまするが、これが調査に的確に現われて参らないのであります。これは調査技術上の問題でありますが、そういう次第でございまして、なかなか的確にとれませんのでいたずらに調査を困難にする傾きがございますので、最近はそのことをやめておる次第でございます。
  85. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからもう一つ。国鉄にパスが出ておるのですが、それは通勤関係上どういうふうに算定されるのですか。
  86. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 国鉄にはパスが従前から出ておるわけでございます。われわれが比較いたしまするものは民間事業所でありますので、国鉄の場合にどういうふうに計算されますか、あるいは調停の場合等にそのことが問題になったようであります。しかし直接われわれの問題でございませんのでわれわれ自身ではやっておりません。ただ言い得ることはこの手当公務員に新設いたしましても、国鉄ではすでにそういうものが事実上あるわけであります。新たにこういう問題が追加して起ることはないであろう、このように考えております。
  87. 八木幸吉

    八木幸吉君 たとえば国鉄の給与と私鉄の給与の場合は、パスの場合はおそらく同じであろうと思いますが、国鉄の従業員諸君の給与民間の鉄道でない者の給与比較する場合に、通勤手当のあるなしで多いとか少いという議論をする場合、国鉄パスもやはり比較対象上の一つの要素になると思うのですが、その辺はどうですか。
  88. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) おそらくその通りだろうと思います。われわれは国鉄とわれわれの方を直接比較することがございませんものですからそういうふうにやっておりませんけれども、調停委員会あたりにおきましては、そういう要素はある程度問題になっておるようであります。
  89. 八木幸吉

    八木幸吉君 たとえば公務員あるいは政府機関の職員民間給与とを比較する場合には、当然国鉄もその中に包含されるのではないのですか、包含されないのですか。
  90. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 当然包含して考えるべきだと思います。
  91. 八木幸吉

    八木幸吉君 そうするとそのパスのことが問題になるのですがどうですか、通勤手当が問題になっているのですから。
  92. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 人事院勧告では人事院所管の三十六万の一般職だけであります。従いましてそれを民間との対比で出しておるのでございますから、この際には国鉄の給与という問題が直接問題にならなかったわけであります。
  93. 八木幸吉

    八木幸吉君 少し問題は飛躍するようですが、そうすると先ほどから永岡さんからお話がありましたが、三公社五現業と民間との給与比較の問題はどういうふうにお考えになっておりますか。
  94. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 人事院比較いたしまするものは、これは民間事業所でございます。ただ三公社といい五現業といい、五現業は現在一般職でございまするから、三公社ももとは一般職であったわけでございまするから、こういうことは全然考慮の外におくことはできません。従いましてそういうことに注意は払いますけれども、直接に比較いたしまする対象は民間でございます。今回の勧告民間との比較ということから、この通勤手当が出てきておる次第であります。それでけさほど私が申し上げましたのは、事実三公社五現業と国家公務員一般職との給与の間にはいろいろ関係がございまするので、これを出したらどういう影響があるであろうか、また現に行われておるかどうかということにつきましては、言及をいたしたのでありまするけれども、直接比較の対象にはいたしていないのであります。
  95. 八木幸吉

    八木幸吉君 五現業が一般職であるなしはこれは別問題として、通勤手当の問題もまた別問題として、三公社と民間と、電電公社や郵政の方は別ですが、国鉄と私鉄との給与関係は、あなたの方でごらんになってどういうことになっていますか。どっちが安くてどっちが高いか、お調べになっておりますか。
  96. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 実は三公社五現業の方は、直接人事院の所管でないものですから、一応の注意は払っておりますけれども、それは公務員と対比するという形で注意いたしておるのでございまして、三公社五現業と民同とどういう関係にあるかということまでは、われわれの方で研究を十分いたしておりませんので、ちょっとお答え申し上げにくいのであります。
  97. 八木幸吉

    八木幸吉君 鉄道、私鉄と国鉄はどうですか、大体はわかっているでしょう。
  98. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) いろいろわれわれの方でも調査はいたしておりますけれども、現在的確な資料等も手元に置いておりませんので、もし御必要がございますれば、われわれの知り得る限りの資料を整えましてごらんに入れたいと思います。
  99. 八木幸吉

    八木幸吉君 こまかい資料は要りませんが、どっちが高いか、大体の大づかみの見当、お見込みというか見当がついておればちょっとお伺いしたいと思います。わからなければ仕方がない。
  100. 淺井清

    説明員(淺井清君) ちょっと問題がこんがらがったようでありますから。八木さんの御質問は国鉄と民間の私鉄との関係、それは人事院の所管でございませんので、さようなことは調べておりませんのでございます。人事院としては人事院所管公務員とそれから民間と、あるいは場合によっては三公社五現業の比較はやっておりますけれども、私鉄と国鉄との比較ということはわれわれの方の所管ではございません
  101. 八木幸吉

    八木幸吉君 そうすると、三公社と一般職との給与関係はどうですか。
  102. 淺井清

    説明員(淺井清君) これは第二次的に調べるよりほかないのであります。第一に三公社五現業の給与の実態を調査する権限は、人事院は直接には持っておりません。それで非常に事実困難でございます。しかし大体やっている、こういう程度であります。
  103. 八木幸吉

    八木幸吉君 大体三公社と一般職とはどっちが高いのですか。
  104. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 実はただいま総裁から申し上げましたように、なかなか実際はむずかしいのでございまするが、昨年度におきましては大蔵省で行われました三公社五現業の調査がございましたし、それから労働省の民間職種別調査、またわれわれの方の民間職種別調査というようなものがございましたので、いろいろ継ぎはぎいたしましてこれを比較検討いたしてみたのでございまするが、当時においてはいわゆるこれは三公社五現業と一般職とは職員構成がそれぞれ違いまするから、単なる平均ベースで比較することは意味がないと思いまするが、従いまして両者を標準化して比較するということになるのでございます。これは去年も当時の報告の中で申しましたように、相当一般職より上回っておるものが多い。で六%程度給与改善一般職に行われましても、一般職は三公社五現業に近づきまするけれどもまだ差があるのではなかろうか、このような程度のことを去年は申し上げております。
  105. 永岡光治

    永岡光治君 今の八木さんの質問の中で、給与局長答弁ですと、三公社五現業は注意はするけれども比較のあれにはしない、こういうように言っておられますけれども、注意ということは何ですか、私はやはりそれは注意ということは、調べて比較しなければ注意にならぬと思うのですが、当然またそれは通勤費の問題にしても、やはり検討の対象になると思うのですが。たとえば民間と私鉄はあなた方は調査の対象になるけれども、国鉄は権限はないということではなくて、国鉄でも直接調査をしろということになっておるのですからね。どこで調査しちゃいけないという制限はないはずです、公務員法では。あるいはこれと民間とか、それから言うならば、公務員に近い体系ですね、つまり三公社五現業等はやはりできると思う。それらを検討して出しなさいということに私はなっていると思うのです、あの建前は。あなた方は今注意という言葉で言ったのですが、注意ということは、一体何ですか。具体的にはどういうふうにするのですか。私はやはり相当比較しなければ意味がないと思うのですが、その辺はどうですか。
  106. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) これは一般公務員法によればできなくはない、おっしゃる通りだろうと思います。しかし現実の問題といたしましては、たとえば公企体等労働委員会において、あるいはむしろ内閣総務長官の管轄のもとにあるる公務員制度調査室というような所で、全般的な調整はやるということになっており、まするので、そういう所でむしろおやりになる問題であろうかと思います。われわれが注意するということを申しましたのは、民間事業所を調べまするのは、たとえば三月現在で一斉調査をやります。しかし三公社五現業につきましては、そういうことが事実問題としてなかなかできない。なかなか困難でございまするので、労働協約でどういうふうにきまったとか、そういうことをよく調べまして、そして三公社五現業の会計がどうたっておるか、給与水準なんかもなかなか三公社五現業はわかりにくいのであります。また労働協約にも公表されまする部分と、またプラス・アルファ、ベータというような部分等がございまして、どこまでがほんとうなのかよくわからないというような面もございまするし、また去年でございましたか、人事院がある程度入手した資料で、政府側に期末、勤勉手当の増額を勧告したのでありますが、そのときの資料のごときは四方八方から袋だたきになっておるという事実がございます。従いましてわれわれは三公社五現業のことは的確にはなかなか知り得ないのでございまするが、できる限り労働協約等は十分研究いたしまして、その実態を知りたいと思います。その結果を、やはり民間給与調査をやりまして、人事院判断いたします場合に、あわせて考慮する、このようなことになっております。
  107. 永岡光治

    永岡光治君 私は国鉄と公務員の調整はあなた方がはかれと、こういう意味を言っているのではない。それは給与の所管官庁がありますし、それはそれぞれの公社で団体交渉できめ、紛争すれば仲裁裁定委員会で裁定し、そして国会でこれをどうするかということをきめるわけですが、それを言っているのではない。あなた方が勧告をされるに当っての資料を作成されるわけですが、そのときに国鉄というものがどうして対象にならないのですか。私は当然それを調べて然るべきだと思います。それをあなた方は調べる権限はないというのはおかしいと思います。調べてもいいんです。そこで、あなた方がなかなか国鉄はわからないと言われた、あるいは電々公社はわからないと言われた、政府の所管、つまり関係のある官庁ですらもわからないようなものが、どうして民間が的確に把握できますか。もしそうだとすれば、この勧告の仕方は信憑性が薄いと言わざるを得ない。そんないいかげんなもので、政府の国営事業ですらあなた方が給与の実態がわからないくらいのものが、民間を的確に資料が把握できましょうか。全然私はできないと思います。私はおかしいと思います。だから、そういう勧告に基いてこれは三%だから改訂の必要はないというような資料を出されたとすれば、この勧告そのものが私はもう大きな根底から再検討しなければならぬ、そういう意味の印象を受けるわけですが、そういうことじゃないか。当然通勤費を調べる場合にも、私鉄にしても国鉄にしても出ているということは、それはあなた方はやっぱり調べた上で、公務員はどうあるべきだということをされるべきだと思うのです。それをあなた方はどうお考えでありますか。もし国鉄や電々公社の資料もわからずに、そういうことは単なる注意であって、あなた方は資料を決定する上において参考にしていないということになれば、もう一回言いますが、政府事業ですらわからない、そういう人事院民間給与がわかるということはとんでもないことだと私は思う。これは常識で考えられることだと思います。そういう不安定な、わからないような資料に基いてあなた方は勧告するということになれば、もうこの勧告については信憑性はきわめて薄いと思うのです。だから私は改訂が今まで行われていない理由がそこにあったのじゃないか。公務員給与改訂が今日まで行われなかった理由は、こういういいかげんな資料に基いて作成されたからにほかならないのじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  108. 淺井清

    説明員(淺井清君) 永岡さんの御質疑でありますが、私は民間給与実態調査は、相当人事院としては科学的にかつ正確にやっておると思っております。従いまして人事院民間職種別給与調査というのは、私は相当信憑性があるのじゃないかと思っております。ただ三公社五現業について人事院が直接実態調査をやりませんのは、そういう権限が人事院にはないからであります。しかしわれわれは、この三公社五現業の給与の実態を何かの方法で把握するというような努力は絶えずいたしておる次第でありますけれども、注意すると申しましたのは、結局比較することでありますけれども、これを民間給与実態調査のような責任を持った比較ができない。ただそれだけでありまして、そのために、ただいまこの勧告はきわめて信憑性がないように仰せられますけれども、私どもはそうじゃないと思っております。
  109. 永岡光治

    永岡光治君 淺井さんのおっしゃること、わからぬわけでもないのですけれども、私の心配するのは、公務員法の、民間給与とかこれに類似する事業、国家公務員関係するということになれば、三公社五現業は、だれでもしろうとが考えても、類似する事業、関係する官庁だろうと思う。だからそれを比較して勧告をきめなさい、こういうことになっておるわけであります、言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが。そうなっておるのに、調査する権限がないからということになれば、こういう関係についてあなた方、比較していなかったということになるわけです、今まで。将来もまたできないということになる。そういういいかげんな資料勧告されたということになれば、大きな疑問があるということを私は言いたい。あなた方はたまたま今の発言の中では、国鉄や電々公社その他は調査できないけれども、民間については信頼性のある調査ができる。しかし、それは信憑性がないのです。国の経営する事業すら、あなた方、給与の実態がわからないでいて、そうして民間給与の実態がわかるはずがありますか。むしろ、だれが考えても、それは民間給与の方がもっとわかりにくいというのは当りまえだと思う。そうだと思う。だから、それは五十人、六十人の企業もありましょう、一千人、五千人の民間の企業もあると思いますが、そういう民間の企業は、どういう権限で調べておるかといえば、検察庁の権限で調べるのじゃなくて、単なる報告、それに対する照会ということでしか調べられないと思う。出てきたもの以外にあなた方はどうして知るかといえば、それは知り得ないことになるわけであります。これだけしか出していないと言えば、ああそうですかと言わざるを得ないと思う。そういうことになりますと、一般公務員にとって類似比較して検討される三公社五現業の給与すら、検討してどう違うかということが資料の上に現われてこないで、そうして勧告していくということになれば、この勧告そのものに根本的な、私は大きな疑問を抱かざるを得ない。それはなぜならば公務員法にうたってあるからです。三公社五現業と表現してありませんけれども、そういうものは十分に比較検討して出しなさいということを言ってあるはずですよ、公務員法では。今ここに持っておりませんが調べればわかると思います。それを三公社五現業に現在全然あなた方タッチしていない、ただ注意する、注意するのは何かといえば、何でもないわけです。あなた方の今の発言を聞けば、何もない注意です、実質上は。そういういいかげんなもので給与改訂をしなくてもいいとか、そういうあなた方の発言に賛成できるかといえば、大きな疑問を持たざるを得ないと思います。
  110. 淺井清

    説明員(淺井清君) 永岡さんのお言葉でありますけれども、公務員法の規定では、三公社五現業との比較は直接出ておらぬのであります。それは五現業三公社の法律の方に、国家公務員との比較ということが逆に書いてあるのであります。われわれの方の公務員法六十四条でございますか、民間の賃金、生計費と書いてあるわけでありますから、これほ法律論をここでやる必要はないのでありますが、ただ、われわれは民間職種別賃金調査は正確にできると思っておりますが、三公社五現業は権限外でありますから、この実態調査を直接やる権限を持たないのであります。この実態調査を直接やる権限を持ちますれば、それは民間の賃金より三公社五現業の給与の方がもっと正確にわかるだろうと思うのでありますけれども、そうではないのでありますから、これはまず間接に比較すると、こういう程度にならざるを得ないと思います。
  111. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほどの民間一般職公務員との比較の問題なんですが、民間資料はどういうふうにしておとりになりますか。
  112. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 民間給与につきましては、われわれまず事業所を選定いたしまして、そしてわれわれの比較しまする対象となりますような所に職務があるかどうかということを調べまして、ある場合にはその職務についておる人の給与を個人表によりまして調べるというやり方で調べております。
  113. 八木幸吉

    八木幸吉君 アンケート的なものをお出しになって、それに記入して報告をおとりになるのですか。
  114. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) こちらから調査員が参りまして、そして記入して報告をとるのです。
  115. 八木幸吉

    八木幸吉君 私は先ほどから永岡さんと総裁との質疑応答を伺っておったんですけれども、われわれ常識からいえば、やはり三公社は一般公務員の親類筋だから一番密接な関係があるわけですね。民間の方へ今のお話のような問い合せ式といいますか、報告式の調査表を配る必要があれば人が行って調べると、それがきわめて正確であるというふうな御自信がおありになるならば、三公社も同じ方法がとれそうなもんですがどうですか。
  116. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 先ほどから総裁が申しておりますように、三公社五現業は人事院の所管でもございませんし、従って、われわれの調査権はないわけであります。公務員法六十四条に書いてありますことも、民間の賃金、生計費その他人事院が適当と考える事情と、この最初の二つが柱になりまして公務員給与を考えていく、こういうことになっておるわけであります。三公社五現業は一方で団体交渉をやっておりますけれども、その給与準則等によりますと、むしろ国家公務員給与というものを考えてやれ、こういうことがむしろ三公社五現業の給与準則の中には書いてある、このようなことになっております。  それで、私が先ほど永岡委員に対してお答えいたしましたなかなかつかみにくいということは、実態調査をやりますればこれはわかるのです。現に一昨年大蔵省が実態調査をやっておりまして、その資料をわれわれ利用さしてもらいました。その結果昨年は勧告をいたしております。この実態調査をやりませんから的確な比較がなかなかできない。給与準則等を見ましても、あるいは管理者側に聞きましても、十分われわれの納得できるような回答は、事実問題として出にくい、こういうことを申し上げたのであります。
  117. 八木幸吉

    八木幸吉君 民間の方は権能は、何か法律に、民間はその報告を出さなければ何か罰を食うというような規定があるのですか。
  118. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) これは罰を食うということはございませんけれども、人事院民間給与を十分調査して研究するということになっておりますので、自然とこれはできることである、このように考えております。
  119. 八木幸吉

    八木幸吉君 民間がもしその調査を拒否した場合、もしくは虚偽の報告を出した場合、何かこれに対する罰則がございますか。
  120. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) これは統計法に基きまして、もしそういうことが頻発するようでございますれば、指定統計ということにしてもらいますれば当然罰則はあるわけであります。ところが現実の問題といたしましては、多少調査をきらわれる向きがあるようでありますが、事実問題としてほとんどの事業所調査に応じられておる現状でございますので、あえて罰則を振りかざす必要が現在ございませんので、事実問題としてこの調査を行なっておる、こういうことでございます。
  121. 八木幸吉

    八木幸吉君 指定統計でなければ罰則がないということならば、人事院民間との関係人事院三公社との関係は、私は同じだと思うのですがね。ただ公社というものはたとえ人事院であるといえども調査を拒否すると、非常な何というか、外部を排除するといったような官僚性というか何かがあれば別ですけれども、民間が権能のないものに出すものを、同じ政府機関の親類筋になるものが人事院調査に協力しないということは、われわれには考えられないのですがね。
  122. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいまのお話でございますけれども、現在の法律の建前から申しますならば、民間比較いたしまして一般職国家公務員給与がきまり、それにならって三公社五現業また地方公務員というものがきまっていくという建て方になっておるようでございます。もっとも三公社五現業は一方に団体交渉がございますので、その給与準則等に書いてありまする、一般職公務員給与というものを考慮して定めなければならないという、その問題がどの程度に事実問題として動くかという問題はありますけれども、建前といたしましては国家公務員中心でございます。それにならって地方公務員はきまっていく、三公社五現業もきまっていくということになっておりまするので、そのならう方の側に立っておりまする地方公務員あるいは三公社五現業、そういうようなものは従来人事院調査しておらないのであります。
  123. 八木幸吉

    八木幸吉君 今までの給与が、民間公務員比較して公務員給与をきめる。公務員給与がきまればそれを見て、公社の給与をきめるといったような建前であるというような、今のお話なんですけれども、一番不平の大きな問題は、一般公務員と親類筋の公社との間に非常に大きな差があれば、民間との差よりも、どちらが高いにしても問題が起き得るわけですから、調査のあるなしは別問題として、当然三公社の賃金形態というものは十分把握していなければ、一般公務員給与が適正であるかどうかという問題を判断する上においては、これは非常に大きな一つのエレメントじゃないかと思います。ことに今ちょっと先ほどお話があったが、たとえば業績手当というものは額がわからないと、こうおっしゃればおっしゃるほど、そういうわからないものを入れて、果して三公社がどれだけの実質賃金を取っているか。これが一般公務員比較してどうであるかということを、国会の立場において査定するときに、当然これは資料としてやはり出なければ、公正な判断はできないのじゃないか。ただ法律の建前等で三公社は民間よりあと回しということは、実態を把握するという点からいえば、私は順序としてはこれはどうも逆じゃないか。こう思うので、今までのことはいたし方がありませんが、今後ともに公社の中を調べることがむずかしければむずかしいほど、何とかこの政府部内で、あるいは三公社の総裁なり理事を呼んで、政府の方の幸い今度総務長官もできているようでありますから、ああいったような機関を動員して、やはり正確な実態を把握されるということは、人事院として私は当然の責任じゃないかと思うのでありますが、総裁いかがでしょうか。
  124. 淺井清

    説明員(淺井清君) お説でございますが、ちょっとどうも法律の建前上人事院が三公社五現業の実態調査をやることは、私はできないだろうと思っております。そこで、まあ昨年のように、大蔵省のやった実態調査を利用するという程度しか実際問題としてできないのじゃないかと思います。
  125. 八木幸吉

    八木幸吉君 人事院からこれは政府の方へ、そういう実態調査をしたいがと話しかけて、政府の方が応じませんか。
  126. 淺井清

    説明員(淺井清君) つまり一般職公務員しか所管が人事院にないのでありますから、それから抜けているところの三公社五現業に対して、人事院からちょっとさようなことは、正式の強制権のある調査人事院がやるということは、ちょっとむずかしいのじゃないかと思います。
  127. 八木幸吉

    八木幸吉君 民間並みにつまりアンケート式に調べることはできるでしょう。民間でさえやっているんですから、三公社に対しても、民間だって、今のお話し聞いておれば、統計法上の指定統計という強制権のない調べをやっていて、それで十分正確だとおっしゃるのですから、法律の調査権というか何というか、権能はなくても、向うが協力する気になれば調べるのは何でもないと思いますが、いかがでしょう。
  128. 淺井清

    説明員(淺井清君) 向うが応ずる気になるかどうかが問題なんであります。民間の方はこれは従来の経験上支障なくやっている。
  129. 八木幸吉

    八木幸吉君 しかし、応ずるか応じないか、こっちが話しかけてみなければ、向うで調べて下さいということは言わぬでしょう。人事院の方がお調べになるという気があるかどうか、それをまずお聞きしたい。三公社の総裁に、こういう話が出た、あなたの方の給与の実態を調べたいのだがぜひ協力してくれ、民間並みに協力してくれと、お聞きになるお気持があるかどうか。この点お聞きしたい。
  130. 淺井清

    説明員(淺井清君) 大体大蔵省で実態調査をやっているのでありますから、これを利用すれば正確なところはわかると思いますが、中途半端なものではわれわれの方では役に立たない。やるならば精密な強制力のある調査が必要だろうと思っております。
  131. 八木幸吉

    八木幸吉君 正確とお考えになっている大蔵省の実態調査をおとりになって、それをこちらに人事院責任でお出しになるということはできますか。
  132. 淺井清

    説明員(淺井清君) 昨年大蔵省の同意を得てその資料は使いました、それは昨年の報告の中にあるわけであります。
  133. 藤田進

    委員長藤田進君) これは人事院総裁に伺いますが、六十四条には「生計費民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」六十七条には「人事院は、給与準則に関し、常時、必要な調査研究を行い、」ということであって、三公社五現業については調べることは相ならぬと、今権限論で主張されておりますが、これは現行法の建前で、より大きい影響と規模を持つ民間給与あるいは生計費というのが例示してあるのであって、その他人事院が決定する適当な事情ですね、しかも常時必要な調査、研究を行うというのだから、権限がないがために必要があっても調べることができないのだということでなくて、今八木委員からおっしゃったように人事院が欲すれば現行法で何ら抵触しないと思うのですが、もし御議論のように権限上全くこれは否定して調べてはならぬという積極的な規定がどこか他にありますか。
  134. 淺井清

    説明員(淺井清君) 問題が二つあるようでありますが、永岡さんにさいぜん私がお答えしましたのは、公務員法の上に三公社五現業を調べるという規定が表われておるのじゃないかというふうに私は聞いたものですから、それはそういう言葉はないのだ、民間給与生計費、その他人事院の定める事情とそれだけしかないのだということを申し上げたわけなのであります。  さて次の問題は、人事院が三公社五現業の給与を調べる権限があるかどうかという問題であります。それはただいま八木さんにお答えいたしましたように、法制的に調べる権限はないと私は考えております。  しかしながらこの第三の問題といたしまして、人事院が三公社五現業の給与比較してはいけないのかどうかということになれば、これは私はそういうことはないのだ、三公社五現業の給与との比較論は人事院としてもちろんやって、それに基いて一般職公務員給与報告勧告をして差しつかえないのだ、現に昨年は三公社五現業との給与比較ということは報告の上に表わしておるのであります。それは差しつかえないとかように思います。
  135. 藤田進

    委員長藤田進君) そういたしますと、現行法によって調べてはならぬという積極的な他に実定法はない、従って調査権については民間の場合もこの公務員法には調査権までは触れていない、しかし事実問題としては、今ほど来言われておるような方法で民間給与調査がなされている、しからばやはり公務員についても八木委員の指摘され、永岡委員の言及しておるように、三公社五現業についても何ら法に抵触しない、調べることについてただ相手が拒んだ場合にどうするかということで、民間と同様に法制上はなっておると言わざるを得ない。もし御議論のように権限がないから調べるわけにいかないという、要約すればそういうことであれば、立法府としては検討を加えなければならぬと思うのですが、その点は積極的に調査することは相ならぬということではないように私は思う。民間と同じように置かれておる、法文上としては。その点について変った御意見があれば、そういうことではない、現行法に他にそういう点があるのだということであれば、御指摘願いたいということを私は申しておる。
  136. 淺井清

    説明員(淺井清君) その点でありますけれども、別にそういう調べてはならないという規定はありません。しかしながら大前提といたしまして、人事院の所管しておる職員のことについてのみ人事院が権限を持つということは、これは公務員法の大前提でありますから、三公社五現業の職員給与問題に関する限り人事院から抜けておるわけであります。ですから人事院としては給与問題に関する権限は持たない、かように考えております。
  137. 藤田進

    委員長藤田進君) 実態調査をするというカテゴリーを私はやっておるわけで、民間企業の給与についても三公社五現業と同様にこれが賃金の改訂、その他勧告、裁定はなさらないわけです。ただ公務員給与をきめる際、給与準則をきめる際に、基礎となる給与実態、一般国民生計費なり、あるいは民間給与水準なりその他の事情を勘案して、公正妥当な給与標準ですか、基準を作れということを示されておるわけですね。そうであれば当然大規模かつ相当な人員になる、言葉をかえれば親類筋のような三公社五現業の給与が全く別個にたな上げされて、法文に例示してある生計費民間給与というだけでは少し失当ではないか。その他の事情、すなわち公務員以外の公労あるいは現業といったようなことは、かなりのウエイトを持っておるのだから、勘案されるのが今の御議論の帰結としても必要ではないだろうか。それは注意しております、にらんでおりますということならば、ある程度比較がなされておるはずなんでしょう。それがなぜそれでは私鉄と国鉄、あるいは公労法による労働者と公務員との関係の差はどうかと、こう指摘されると、いや全然その点はわかりませんというお答えであるところに御主張のやはり食い違いがあるように思うのです。従って質疑が混迷になっている。
  138. 淺井清

    説明員(淺井清君) その他の事情という言葉だけでは、人事院が三公社五現業の職員給与の実態を強制的に調査することにはならぬと思います。民間の方は民間賃金ということが明確に出ておりますのでこれで調査をいたすのでありまするが、この場合も民間がもし拒否すればそれはできないわけです。これはただいま給与局長から申しましたように、指定統計にでもして強制力を持たせるほか仕方がないのでありますが、幸い今日まで民間におきましてはこれに協力しておりますので調査ができる。三公社五現業につきましては、われわれがその三公社五現業の給与を考慮に入れないというのではない、それは面接調査しないということを言っておるだけであります。
  139. 永岡光治

    永岡光治君 ちょっと今条文をめくっておってはっきりした条文が見つからぬから残念ですが、いずれ見つけたいと思うのですが、この前当委員会給与法の改正があったときに、こういうこともあろうかと、これは当時もあったわけですが、当時給与局次長でしたか、いや給与に関する問題はすべて人事院はどういうことでも調査できるのだ、また必要とあれば勧告ができるのだ、こういう説明があったと思います。だれもそう聞いておるだろうと思うのですが、それは当然だろうと思うのです。そうでなくて精巧なる資料が作れるものですか。今お答えを聞いておりますと民間だけだと言うのですが、念を押しておきます。今の給与の問題については三公社五現業の内容がわからずに、注意はしたというのはそれは当てずっぽの注意をしたのだろうと思う。精巧な資料が得られないとするならば、そういうことで民間比較のみでこれが勧告された、信憑性のあるものはそれではそれ以外にないと、こういうわけですね。
  140. 淺井清

    説明員(淺井清君) 結論はお説の通りになるわけですが、昨年度の三公社五現業の給与の実態については人事院は大蔵省のを利用いたしましたから、それは資料がある、その後の経過のものはないとこういうことです。
  141. 永岡光治

    永岡光治君 いずれこの点はあとでまた私はいろいろ法的にも調べてみて疑義はただしていきたいと思っておりますが、きょうのところはこの程度で質問をとどめたいと思います。
  142. 藤田進

    委員長藤田進君) いずれ次回の委員会においてそれぞれさらに具体的な調査を進めるここといたしまして、本件に関しましては本日はこれにて終了いたしたいと思います。なお、休憩前に引き続いて開会いたします直前に、皆さんの懇談をしていただきまして、午前中官房長官出席を求め、総理出席等について御質疑をなさる予定でありましたが、あの懇談の席上で明らかになりましたごとく、岸総理は金曜日十六日に午後出るという連絡与党委員を通じてありましたので、明日十三日予定いたしました委員会防衛庁長官出席でありましたが、御懇談の際に出ました線に沿いまして、明日はこの委員会を取りやめまして、十六日に岸総理出席と同時に、防衛庁長官についても、調査を進めていただくということにいたしたいと思いますので、何分御了承いただきたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会