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説明員(
瀧本忠男君) 七月十六日に行いました
勧告につきましては、ただいま
人事院総裁から
数字をあげまして御
説明を申し上げておるのでございまして、付け加えることは別にないと思うのでありますが、
総裁が言われましたことをさらにもう一度はっきり申し上げてみますると、昨年
勧告いたしました際には、おおむね六%
程度の
給与改善を行なってもらいたい、このような
勧告をいたした次第であります。それは
公務員の中で
一般俸給表に適用されておる
——旧
制度の場合であります、四月一日以降新
制度になっておりますが
——一般俸給表に適用されておりまして、しかも
調整額等の
優遇措置が講じられていない、はだかのままで
一般俸給表に適用されておる
グループ、こういう
グループについてわれわれは
民間の
キイ・
ポジションと
比較をやるわけでございますが、それは
平均いたしまして一一%
程度の差がある、しかし、
公務員の中におきましては
特別俸給表あるいは
調整額というような名目で、
一般俸給表の
適用者よりも優遇されておる
グループが約三五%ほどあるわけでございます。こういう
グループ先ほど申し上げましたはだかの
一般俸給表が適用されております
グループに
比較いたしますと、
水準は一五%高いのでございます。この両者を合せて
民間と
比較いたしますれば、おおむね六%ないし七%
程度民間の方が
公務員より高い、こういうことになるわけでございまして、そこで去年はおおむね六%
程度の
改善をしてもらいたい、こういう
勧告をいたした次第でありますが、それは時期がおくれましたけれども、本年の四月以降におきまして現にその
改善が、行われつつあるわけであります。大部分はもう終了したといってよろしいのでございます。で、去年の状態におきましてはそれだけの差がございましたけれども、これでおおむね
民間との一般的な差はなくなったということは言えるのであります。去年
民間と
比較するために行いました
民間の
キイ・
ポジション、それを今年も
調査する、これは去年と今年でございまするから、同じ対象というわけには参りませんが、まず同じものであります。そうして去年と今年の
民間の
キイ・
ポジション同士の
比較をいたしてみますと、これが約
平均いたしまし二・八%と、今年の方が上っておる、このようなことに相なるのでございます。去年の残りも多少はございまするので、おおむね
公務員と
民間との
給与の差は三%
程度であろう、このようにわれわれは考えております。ところが、
民間におきましては
基本給というものを少くきめまして、そうして諸
手当を多くきめておる所もございますし、また、
基本給を相当、重く見ておる所もございまするし、いずれにいたしましても
公務員の
基本給と直ちに
比較できるというようなものはないのでございます。従いまして、ここに仮定を置かざるを得ない、たとえば毎月きまって
支給を受けております
給与から、たとえば
公務員の場合におきましては
家族手当——扶養手当でございます、こういうものは
公務員と同じようなものをかりに
民間がもらっておるものとして一応差し引いた、また、
地域給——現在
暫定手当であります。それに相当いたしますものも差し引くというふうにいたして、
公務員の
俸給に相当いたしまする全額というものを想定いたすわけでございますが、従来はその想定のもとに、
民間において相当一般的に行われている
——民間の約六五%の
事業所において行われております
通勤手当、これも
平均的に入っておったのであります。そういう
通勤手当というようなものがわれわれが対比いたしまする本俸の中に入れて
比較することが的確であるかどうか、これは数年来
人事院といたしましても問題といたしております。しかし、
公務員に
通勤手当がないのでありますから、全体として
公務員と
民間との
給与の
水準を
比較する場合に、やはり入れざるを得ない、それを除外して
比較することはできない、こういう
状況にあるわけであります。ところで、全体といたしまして
通勤費まで入れて考えれば、
公務員と
民間はおおむね三%
程度の差があるということになったのでございまするが、もしわれわれ
人事院が
勧告いたしておりまする
通勤手当、
国家公務員一般職に対しましておおむね
年間十三億円ほどかかるのでございますが、この
手当を
政府が
実現されまするならば、これがおおむね
俸給の一、五%ないし一・七、八%にはなるはずでございます。従いまして、これをあわせて考えますれば、
公務員と
民間との差は、おおむね一・五%
程度になるのではなかろうか、その
程度の差であるならば、ここで
俸給表の改訂をする必要はないのではないか、このように考えた次第でございます。それで、
民間におきましては、先ほど申しましたように六五%の
事業所で
通勤手当というものが
支給されております。ところが
公務員においてはどういう
状況であるか、
公務員とはいえないかもしれませんが、
公務員と非常に近い
関係にございます三公社におきましては、この
支給は行われておるようでございます。また、
公務員と
比較的近い
関係にありまする公社、公団等におきましても、ほとんどその大部分が
通勤手当の
支給をいたしておるという実情でございます。これを調べてみますると、無制限に要るだけやるということをいたしておりまする
事業所もございまするし、また、一定額を
支給するというような所もありまするし、また、やるにしても
最高制限額を設けまして、そうしてその範囲内で
支給する、あるいはそういうものを実物
給与でやる、いろいろなことがあるのでありますが、われわれが本年
調査いたしました結果によりますると、
民間では
平均五百五十円くらいの
通勤手当が
支給されておる、
支給されておらぬ所につきましては、それくらいなものが出ておる。また
最高制限額を置いておりまする所におきましては、六百三十円
程度にその
平均がなっておるというようなことから、
人事院といたしましては、やはり
最高制限額を一応設けるのが適当であろう、で、
最高制限額を六百円ということにいたし、そうしてほぼ
民間と同
程度の
通勤手当が
支給できるように
勧告をいたした次第であります。
生計費等につきましては、先ほど
総裁が申された
通りでございます。
次に、
石炭手当でございまするが、この
石炭手当は、いわゆる
国家公務員に対する寒冷地
手当、
石炭手当及び
薪炭手当の
支給に関する法律というようなものがございまして、この法律の第三条の規定に基いて定められておる
石炭手当の
支給額、その
支給額を
人事院は現在販売されておるところの一般世帯が消費いたしまする
石炭の市場価格の
平均というものを
調査いたして、その結果に基いて、
内閣総理大臣に
勧告する、これは
国会ではないのであります。
内閣総理大臣に
勧告いたしますれば、それに基いて
内閣総理大臣は
総理府令を
改正いたされまして、そうしてこの
支給額がきまる、こういろ手順になるのでございまするが、本年この
調査をいたしてみましたところ、われわれは毎年こういう方法で
調査をいたしております。それはこの一
年間、ことしの場合でありますれば、
昭和三十一年の四月から昭三十二年の三月までの間に、いわゆる暖房用炭として販売されましたものがどういう
状況であるか。すなわち塊炭、中塊炭、粉炭といろいろ種類がございまするが、それがどのような割合で売られておったか、また、これは中塊炭にいたしましても、カロリーはいろいろあるわけでございまするから、そのカロリーを品種別に見たならば、それがどういうふうな割合であるかということを調べて参るのであります。そうしてその結果、われわれは、昨年売られました炭は六千四百五十六カロリーから六千二百五十七カロリーの間の炭が
平均的に一番多く売られておるという事実を、
調査の結果知ったのであります。また塊炭、中塊炭、粉炭の売られております割合は、塊炭はおおむね二五%、中塊炭が五〇%、粉炭が二五%、このような割合で売られておるという事実を、
調査の結果知ったのであります。そこでこれは毎年の例でございまするが、最近の
石炭の価格によってそういうものを出してみると、どういうことになるかということをやってみますると、すなわち本年七月一日現在で塊炭、中塊炭、粉炭のそれぞれカロリー別の値段というものを北海道において調べられまして、これは各販売会社により多少のカロリーに対する価格の凹凸がございまするので、われわれの方でこれを補正いたしまして、なめらかなものにいたす操作をいたしておるのであります。で、六千四百五十六カロリーと六千二百五十七カロリーの間で売られておるのでありますから、これの中間をとりますれば六千三百五十七カロリーということになるのであります。それで、六千三百五十七カロリーに対しまするこの七月一日現在の塊炭、中塊炭、粉炭のそれぞれ使用割合を考慮いたしました
平均価格、こういうものはどれくらいになるかということを調べてみますると、それは七千百五十八円くらいになる。従いまして
人事院といたしましては、
トン当り七千百五十円、こういうことにいたして、世帯主に対してはそれの三倍、すなわち二万一千四百五十円、その他の
職員、非世帯主に対しては七千百五十円、このような
勧告をいたした次第でございます。
なお
薪炭手当につきましては、これは
国会におきまして議員立法として成立したので、
説明を申すまでもございませんが、そのときに五千円以内の
勧告をしろということになっておったのであります。昨年
人事院は五級、いわゆる寒冷地
手当を五級地に対しましては世帯主に対して五千円、それから四級地に対しましては世帯主に対して二千五百円、このような
勧告をいたしたのであります。ところが昨年は予算はなくして、法律だけ通ったような次第であります。
政府側におかれましては、既定
経費の範囲内でやるという制約もあったでありましょうが、これを五級地に対して世帯主四千円、四級地に対して世帯主千八百円、こういう
金額を支出されたのであります。また、三十二年度の予算にはそういう
金額で計上してある次第であります。
ところで、われわれの方でこの木炭及びまきの価格をそれぞれ調べてみたのでございまするが、木炭はおおむね三割前後昨年に比べて上っておるようでございます。また、まきにつきましてもそれより多少低いのではありまするけれども、やはり相当の上りを示しておる。木炭とまきとの使用に割合は、おおむね半々ぐらいに
承知いたしております。そのような事情がございまするので、また、一方におきましてこの法律が通過いたしまする当時におきましては、三公社、国鉄はまあ別会計でありますが、そのほかの専売公社、それから電信電話公社あたりにおきましては、五級地四千五百円というものが
支給されておったのでありますけれども、この法律が
通りましてから二公社は五千円になっておるのであります。そういう
状況等をいろいろ勘案いたしまして、われわれの五千円、二千五百円という
勧告はもちろん生きておるのでございまするけれども、なお念のために、この昨年の
勧告通りに
金額を上げていただきたいという
要望をいたした次第であります。また、この点につきましては、先般の
給与法
改正のときに、付帯決議といたしまして、やはりこの問題の
要望があったように記憶いたしております。