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1957-02-07 第26回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月七日(木曜日)    午前十一時六分開会   —————————————   委員の異動 一月二十二日委員田中啓一君、吉田法 晴君及び横川正市君辞任につき、その 補欠として苫米地義三君、秋山長造君 及び永岡光治君を議長において指名し た。 二月六日委員寺本広作辞任につき、 その補欠として榊原亨君を議長におい て指名した。 本日委員榊原亨辞任につき、その補 欠として寺本広作君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            上原 正吉君            大谷藤之介君            竹下 豐次君    委員            寺本 広作君            荒木正三郎君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            永岡 光治君            松本治一郎君            八木 幸吉君   国務大臣    法 務 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    警察庁長官    石井榮三君    警察庁刑事部長 中川 董治君    調達庁長官   今井  久君    調達庁総務部長 眞子 博次君    法務省刑事局長 井本 臺吉君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選派遣委員報告委員派遣承認要求の件 ○国の防衛に関する調査の件  (相馬ケ演習場事件に関する件)   —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより内閣委員会開会いたします。委員の変更について御報告いたします。  一月二十二日付田中啓一君、横川正市君及び吉田法晴君が辞任され、その補欠として苫米地義三君、永岡光治君及び秋山長造君がそれぞれ選任されました。二月六日付、寺本広作君が辞任され、その補欠として榊原亨君が選任されました。本日付榊原亨君が辞任され、その補欠として寺本広作君が選任されました。以上御報告いたします。   —————————————
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 次に理事辞任の件を議題に供します。井上清一五が二月六日付文書をもって今般外務政務次官就任により、本委員会理事辞任いたしたい旨のお申し出がございました。申し世の通り許可することに御思議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めます。よって辞任は許可されました。  つきましてはこの際ただちに理事補欠互選を行いたいと存じます。互選の方法はその指名を委員長に御一任願うことにし、御承認いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めます。よって理事大谷藤之介君を指名いたします。   —————————————
  6. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 次に委員派遣報告議題に供します。  先般、飛行場基地及び国の出先機関行政運営等実情調査のため、第一班として愛知県及び岐阜県、第二班として大阪府、兵庫県及び鳥取県に委員派遣を行いましたので、その報告をお願いいたしたいと存じます。まず第二班田畑金光君にお願いいたします。
  7. 田畑金光

    田畑金光君 それでは私から第二班の調査報告をいたします。  内閣委員会決定に基きまして一月二十三日より同月二十九日までの一週間、大谷八木田畑の三委員大阪兵庫及び鳥取府県下飛行場基地、その他国の出先機関行政運営実情調査して参りました。この視察には正式の派遣委員ではございませんが、大阪調達局では亀田委員長が、また伊丹飛行場では亀田委員長荒木委員参加せられました。  視察先大阪府庁大阪管区監察局大阪調達局伊丹飛行場自衛隊第三管区総監部及び美保飛行場でありまして、なおこの機会を利用いたしまして防衛産業工場視察の意味におきまして、神戸製鋼所神戸工場及び新三菱重工業神戸造船所の二工場視察して参りました。  以下視察いたして参りました順序に従いまして簡単に御報告いたしたいと思います。  まず大阪府庁に参りまして、第一に伊丹飛行場拡張整備について大阪府としていかなる所見を持っておるかということにつきましてただしましたところ、米駐留軍管理下にある現状のままにおいて伊丹飛行場拡張整備することは反対であるが、羽田方式による国際空港として飛行場拡張整備することは関西財界も強く要望しておるところであって、大阪当局としても同様の要望を持っておるところである。なお伊丹豊中池田等関係市町村においては、たとえ国際空港にするとしても飛行場拡張についての賛否は不明であるとのことでありました。  第二に過般、一般職国家公務員給与の改訂に関する人事院勧告についての所見でありますが、人事院勧告及び勧告に基いて大蔵省案が実施された場合には、大阪府においては勤務地手当の一割減少、昇給期間延長昇給頭打ち等、実質上の給与切り下げが起るから、地方実情に照して慎重に検討を加えてもらいたい旨の所見が述べられました。  第三に、国の出先機関の問題でありますが、外務省出先機関大阪府に設置してもらいたいという点及び陸運事務所が制度的には府県機関でありながら職員国家公務員であって実質的には国の出先機関とほとんど変らない実情であるから、これを府県の完全なる機関に改正してもらいたいという点、以上二点が要望せられました。  午後、大阪管区監察局に参りまして、行政事務運営現状昭和三十一年度中において実施した監察業務実績等について調査いたしました。監察局は各行政機関の実施する業務を対象として、その行政が本来の企図のごとくに運営されておるかどうかという点を監察しておるのでありまして、中央において統一計画を樹立し、その中央計画のもとに中央庁、管区地方監察局全国一体となって活動しておるのであります。監察当局説明によりますと、監察運営に当っては、改善所見適時関係行政機関に指示して、その行政運営の面に反映させ、特に行政能率の向上を眼目として、不正不当行為及び国損の防止に相当寄与しておるという説明でありました。私ども監察業務実績について詳細にわたり説明を聴取いたしましたが、相当の成果をあげておるように看取いたしました。なお私ども印象に強く残った点は、監察局が本来の監察業務のほかに苦情相談業務を取り扱っておって、一般に好評を博しておるということであります。監察局はややもすれば非違の摘発をするおそろしい役所という印象一般に強く与えがちでありますが、それだけに一方でかかる業務を合せ扱うということは、監察行政運営の妙味を発揮し得る上からも大へんけっこうであると感じた次第であります。なお監察局より人員不足旅費予算不足の点が訴えられ、あわせて行政監察という特殊業務にかんがみ、現在の一般俸給表より警察検察等特別俸給表への切りかえを考慮してもらいたいという点が強く要望せられました。  翌日、二十五日は神戸製鋼所神戸工場と新三菱重工業神戸造船所視察いたしました。神戸製鋼所資本金約四十億円、従業員約一万人でありまして、神戸工場従業員は約六千五百人であります。製作種目圧延鋼材鉄鋼二次製品、化学、セメント、建設用その他の諸機械及びプラント、鋳鍛鋼品、車両、造船用品、軽合金鋳鍛造品等を製作しております。防衛生産としては、戦争中は陸軍の大砲、弾丸、鉄かぶと、海軍ではディーゼル・エンジン、船体、水雷のエア・コンプレッサー等を製作し、戦後は米軍注文により昭和二十八年に設備費五億円を費し、翌二十九年一月より百五ミリ榴弾百七十万発を納入したということであります。これの契約価額百六十億円(四千六百万ドル)で、そのうち二〇%が神戸工場、八〇%は他の専門のメーカーで分担して製作し、この納入は三十一年度末で終了したということであります。なおこの機械設備は現在同工場に保存しておるが、これではせっかくの優秀な機械が遊ぶことになるから、工場で製作したものは防衛力として保存することを政府において考慮してもらいたい旨の要望が述べられました。現在の特需部門としては、米軍関係注文はなく防衛庁関係のものばかりであって、その種類は爆雷を撃ち出す迫撃砲潜水艦水雷発射管、七十五ミリ、七十六ミリの戦車の大砲、百五ミリ榴弾砲等で、年間にして百万円から二一百万円、総生産額のわずか五〜六%にすぎぬということでありました。私ども工場実地視察しましたが、防衛産業工場としての印象は強く受けなかった次第であります。  午後は新三菱重工業神戸造船所視察いたしました。この会社資本金は五十六億円、従業員総数は約一万四千五百人であり、製品種目貨物船、貨客船、艦艇、油槽船等船舶新造並びに修理、次にタービンディーゼルボイラー等舶用機械、それから発電用タービンボイラー、ガス・タービン等陸上機械及び鉄塔類、橋梁、鉄骨等鉄鋼製品であります。発電用ボイラーは全生産の四〇%で、本邦第一、タービンは三四%で本邦第二、水力発電は十万三千キロで日本最大ということであります。直接造船関係生産は全生産の約六〇%であるということであります。創業以来今日までの造艦船総数は五十八隻でありますが、戦後は防衛庁の千七百排水トン甲型警備艦ゆきかぜ」を建造し、引き続き同型艦を建造中ということであります。現在の手持ちは約五十万トンであって、三十四年ごろまでは手持ちに涸渇を来たすことはなかろうということでありました。造船工場はさすが造船界の好況を反映して活況を呈しておりましたが、この工場におきましても、直接防衛生産としての役割は、現段階におきましては私どもの考えていたほどのことはないと感じた次第であります。  翌二十六日私ども大阪調達局に参りまして、行政事務運営現状米駐留軍伊丹飛行基地現状等につきまして調達当局より簡単に説明を受けた後、当日は土曜日で米駐留軍は休みになりますので、午前中に伊丹飛行場に到着する必要があり、調達局を早く引き上げました。伊丹飛行基地米軍接収以来、昭和二十六年十月及び同二十七年四月に拡張計画がなされたのでありますが、そのつど地元民反対陳情によりましてその拡張は中止されて今日に至っておるのであります。二十七年に米軍から示された拡張計画滑走路の長さ六千フィートをさらに三千フィート延長しようとするものであります。その延長方向は主として豊中方面であります。一昨年も当内閣委員会より現地委員派遣がなされ、実情調査が行われましたが、拡張計画は今日まで持ち越されておるのであります。私ども伊丹飛行荘地におきまして、米駐留軍アトキンソン司令官会見伊丹飛行場拡張問題について若干の質問をいたしました。この後同司令官案内飛行場実地視察いたしました。  次に豊中市役所におもむき同市役所におきまして、地元陳情団より陳情を受け、陳情団代表者数名と私ども内閣委員との間に若干質疑応答がかわされたのであります。さきのアトキンソン司令官との会見の詳細、及び豊中市役所における陳情団陳情要旨は、時同関係口頭報告を省略し、委員会会議録末尾報告書として添付することにいたしましたから御了承願います。  私どもはこの陳情を受けた後、第三管区総監部に参りまして第三管区隊人員、装備、施設等現状、隊員の募集状況と現在の演習地使用状況予備自衛官応募訓練召集状況自衛隊における諸物資調達状況等について説明を受けました。この目はちょうど土曜日でありましたので、訓練現場等は見ることができませんでしたが、隊内諾施設を見て参りました。割合にすべてが明るく朗らかに取り運ばれておるようでありました。  翌二十七日午前十時半伊丹飛行場より、航空自衛隊加納空将補及び航空自衛隊臨時美保派遣隊長案内で、自衛隊航空機で、鳥取県の美保飛行場に飛び、現地視察いたしました。美保には米駐留軍が約百四十人駐屯し、日本駐留軍労務者約五百人が勤務しておるとのことであります。またここには航空自衛隊美保派遣隊が配置され、その総人員は六百三十人、そのうち輸送機のパイロットは三十三人、整備人員百五十人、なお輸送機は二十八機あるということであります。美保飛行場米駐留策管理下にあるのでありますが、これを実際に使用しておるのは日本航空自衛隊であります。ここで現在起きておる問題は、飛行場拡張の問題と米駐留軍通信施設拡張の問題であります。飛行場拡張につきましては、すでに昨年当内閣委員会に対して、地元より拡張反対陳情がなされております。私ども航空自衛隊臨時美保派遣隊におきまして、隊長及び調達事務所長等よりこれらの問題につきまして説明を受けました。飛行場拡張の問題につきましては、将来美保に第五航空団を設け、ジェット機五十機を配置するためには、現在の飛行場滑走路六千フィートをさらに九百メートル延長する必要がある。そのため海面を九百メートルばかり埋立工事をしなければならないが、自衛隊側においては地元住民に悪影響を及ぼさぬよう滑走路方向を慎重に考慮しておるから、地元民の言うがごとくには地元に迷惑をかけることにはならないというのであります。これに対し、鳥取、島根の両県当局においては、現在計画中の中海干拓事業に正大な支障が起きるという理由反対しており、また地元側においても、海岸線から突出して埋立工事をすれば、海流に変動を生じて海水産業が破滅するし、その他ジェット基地周辺住民日常生活を脅かされ、被害甚大であるという理由から強く反対しておるのであります。  米軍通信施設拡張計画は、美保基地の西側にある現在の通信施設拡張するため高さ八十尺の鉄塔を百八十本、これにケーブルを地下四尺の深さに埋める工事計画中というのでありますが、この計画に対しましても地元住民から、水利施設が破壊され、耕作が不能となる等の理由から強い反対がなされておるのであります。私どもはこれらの問題につきまして、自衛隊及び調達局当局からそれぞれ説明を聴取いたしました後、地元足鹿代議士のあっせんにより、美保基地拡張反対同盟代表者十数名より陳情を受け、同時に美保基地拡張反対請願書を受け取って参ったのであります。この後飛行場周辺及び米軍通信施設現場実地視察して参りました。  以上の詳細につきましても、時間の関係上、口頭報告を省略し、委員会会議録末尾報告書として添付することにいたしますから御了承願います。以上をもって報告を終ります。
  8. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて下さい。    午前十一時二十四分速記中止    ——————————    午前十一時四十四分速記開始
  9. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけて下さい。  委員会を再開いたします。第一班の報告寺本広作君からお願いいたします。
  10. 寺本廣作

    寺本広作君 御報告申し上げます。寺本永岡委員は一月の二十三日から二十七日までの五日間、当内閣委員会決定に基きまして愛知県、岐阜県に出張し、米駐留軍航空基地米駐留軍キャンプ防衛産業工場並びに当委員会関係の国の出先機関事務運営状況実情調査して参りました。以下その経過について簡単に申し上げたいと思います。詳細につきましては、別に文書として提出して記録に掲載していただきたいと存じます。  まず日程の第一日は名古屋管区監察局に参りまして、監察業務運営状況並びに今年度中に実施した監察具体的成果などについて調査いたしました。特に監察業務運営説明に当って、監察局の行なっている行政監察と、他の会計検査院、大蔵省及び政府機関などの自体監査との関係機関による重複監察について、局長からは、監察局の行なう行政監察が単なる会計事務監察にとどまらず、行政能率の点をあわせて純粋に客観的な立場から監察が行われるものであるとする点においてその本質と特色があるという意見をるる申し述べておりました。この点は行政機関全般を見ます場合に特に注意すべき点であると考えます。本年度中に実施した監察具体的成果につきましては、十五に及ぶ計画的な監査調査実施状況とその結果及び苦情相談業務並びに所見表示等について詳細な説明がありました。  最後に監察局としては、現在の定員と監察及び研修のための旅費では監察局が責任をもってその所管業務を実施するには不十分であって、この点については国会においても御理解を願いたいという陳情がございました。  日程第二日は亀田委員長も御参加になりました。この日は午前中は名古屋調達局に参りまして、行政事務運営状況米駐留軍小牧飛行場基地現状接収不動産解除状況米駐留軍労務者の現況などについて調査いたしました。小牧飛行場拡張問題の現状について局長より説明を受けたのでありますが、同飛行場閣議決定による拡張面積現在約二十三万坪については、昭和三十年十一月、十二月及び昭和三十一年三月、八月、十月の五回にわたり、それぞれ楠町、小牧市、豊山村、春日井市、北里村の地元関係者との間に、土地提供の同意を得ることができ、賃貸借契約の成立を見、そのうち約十三万坪については、昭和三十一年十二月二十七日に売買契約を締結したということでありました。現在なお強硬に反対を続けておりますのは北里村の小針市之久田部落の九戸、土地坪数にして約五千坪であるとのことでございます。なおこの際北里小針市之久田部落代表者から陳情を受けました。  午後から私ども小牧飛行場に参りまして、基地司令官ハーベイ大佐会見し、飛行場拡張の必要なるゆえん及び拡張工事進捗状況等について説明を受けました。その際委員長から飛行場拡張した場合に原爆基地とする計画があるのではないか、技術的に原爆基地にし得るようになるのではないかというような点を突っ込んで質問されましたが、基地司令官からは明確な答弁が得られませんでした。実際に現地調査いたし、ついでに各務ヶ原の米駐留軍キャンプ視察いたしました。  日程の第三日目は岐阜に参りまして、午前中は防衛産業工場としての川崎航空機岐阜製作所におけるT33ジェット練習機などの製作状況オーバホール工場の実際製品防衛庁出先機関への引き渡し状況等視察したのでありますが、同工場は、防衛庁よりのT33の第一次契約分として一昨年十月より本年九月までの間に九十七機を製作し、次いで本年十月より明年六月までに八十三機を製作することとなっております。その生産も順調に軌道に乗ってきておりますが、今後は米国のロックヒード会社技術提携を強化してT33よりT104ジェット機製作に移行したいとの希望を述べておりました。なお技術提携にはいろいろの機密事項が伴うので、今の国内法規では、技術提携がこれより以上高度のものになることは非常に困難であるという意見を述べておりました。  午後から岐阜食糧事務所に参りました。ここで八木委員参加をせられました。ここの食糧事務所では予約供米制度運用状況黄変米、古米などの管理状況などを中心とする食糧事務所行政事務運営状況調査いたし、あわせて臨時職員の数やその処遇取扱状況及び食糧事務所統計調査事務所との統合問題などについて調べました。特に常勤労務者超過勤務手当についての予算配付常勤非常勤職員処遇改善、庁舎新営費、旅費予算等の考慮をしてほしいということについて要望がありました。  日程第四日は、愛知県の挙母市に参りましてトヨタ自動車工場視察を行いました。同工場外国系自動車会社提携をせず、純国産の自動車会社として最近急速な生産実績を上げつつある工場であるとのことでありましたが、ちょうどその日は電休日で工場が休んでおりました。視察の上からは適当な日でなかったと考えます。また同工場は本年度防衛庁調達関係がなく、単なる視察に終ってしまったという感じがございました。これで全日程を終了いたしました。  以上簡単に経過概要を申し述べました。関係諸資料は調査室の方に保管させておりますから、適時御覧下さるようお願いいたします。以上でございます。
  11. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまの口頭報告のほかに別途報告書が提出されておりますが、これを本日の会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めさよう決定いたしました。  ただいまの第一班、第二班両件の御報告に関しまして御質疑がありましたら御発言を願います、……ありませんか。  それでは委員派遣承認要求に関する一件についてお諮りいたします。飛行場基地及び国の出先機関業務運営等実情調査するために福岡県、大分県及び宮崎県へ一班、茨城県へ一班、計二班の委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めます。  つきましては本院規則第百八十条の二により、議長に提出すべき委員派遣承認要求書の内容及び手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  それでは暫時休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩    ——————————    午後二時二十七分開会
  15. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。国の防衛に関する調査として、相馬ヶ演習場事件議題に供します。まず本事件概要について当局から御説明を願います。
  16. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) このたび群馬相馬ヶ演習場に起りました不祥事件は、まことに遺憾にたえないところでございます。本件の概要を申し上げて御参考に供したいと思います。  事件の発生いたしましたのは一月三十日午後二時十分ごろと推定されるのでございます。場所は申すまでもなく群馬相馬ヶ演習場内でございまして、物見塚と称せられておる付近でございます。被害を受けられた方は群馬相馬村の坂井なかさんという方でございまして四十六才の御婦人でございます。ただいま申しましたように、三十日午後二時十分ごろ事故が起りましたことを、地元警察には当時の現場目撃者から届出がございましてこれを知るに至ったのでございます。そこで警察といたしましては直ちに関係警察署、すなわち高崎警察署渋川警察署、この両署から係員が現場に臨検をいたしたのでございます。さらに引き続き目撃者方々に当時の模様をお聞きする、いわゆる私どもの方で言う供述調書の作成に取りかかったのでございます。そうして翌三十一日被害者死体解剖群馬大学の先生にお願いをいたしまして執行いたしたのでございます。当日の被害が起りました当時の模様でございますが、当日は埼玉県熊谷に駐屯いたしております第八騎兵連隊の第二大隊の陣地攻撃演習が午前七時三十分ごろより行われたのであります。そうしてこの演習の行われまして午後二時十分ころ部隊が一時演習を休止しておるときに、ただいま申しました今回の不祥事件が発生をいたしたのでございます。当日地元附近住民方々数十名の方が演習場内に入りまして、これは演習のあるたびごとにあることでございますが、演習あと薬黄を拾う方が多いのでございます。当日も約五、六十名の方が演習場内に入りまして、薬莢拾いをされたわけであります。午後二時十分ごろ被害者が、先ほど申しました物見塚の北方の高地におきまして、同じ村の同じように薬莢拾いをしておられました小野関さんという方と一緒にその附近におられたのでありますが、そのときその物見塚附近におりました米兵の一人が被害者坂井なかさん、またただいま申しました小野関さん等の方に向いまして薬莢を見せて、くれるようなそぶりを見せたのでございます。被害者などがこれをもらおうと思って米兵の方に近寄ったのであります。そのとき突然米兵が小銃を向けたので驚いて小町関さんがまず逃げたのでございます。米兵がうしろから発砲しまして第一弾は附近の地上に落下しました。さらに第二弾を発射したのが不幸にして被害者坂井なかさんに命中いたしたのでございます。先ほど申します通り、三十一日に群馬大学において解剖をしました結果によりますと、被害者の第七、第八胸椎の間に銃器による射入口と認められる損傷があり、小銃弾の薬莢一個が発見をされたのであります。この薬莢が肺臓をかすめて大動脈に突き刺さりこれにより出血多量のため死亡されたものと認められるのでございます。そこで先ほども申しました通り、この事故の起りましたことを現場目撃者から届出を受けました警察といたしましては、さっそく現場臨検をいたしましたとともに、目撃者より当時の状況を聞き取りまして、先ほど申しますように三十一日の死体解剖の結果を得ましたので、米軍捜査当局と捜査の打ち合せをさっそくにいたしたのでございます。そうして二月一日に被疑者を割り出すために米軍当局に要請いたしまして、当日演習参加をいたしました三十数名の者を集めていただいたのでございます。そして、当方よりは先ほども申しました当日の現場目撃者五名の方にお願いをいたしまして群馬警察本部の刑事部長、捜査第一課長が出向きましていわゆる首実験をやっていただいたのでございます。その結果その三十数名の米兵の中から一人の被疑者と目されるものを確認することができたのでございます。そうして直ちに群馬県刑事部長並びに捜査第一課長がこの被疑者と目される者にあたりまして捜査を開始いたしたのでございます。当日は被疑者は終始犯行を否認をしておったのでございます。その後米軍捜査当局と緊密に連絡をとりまして、被疑者に直接当っての捜査は米軍捜査当局に依頼をいたし、日本警察当局目撃者その他関係者から参考になるべき種々の供述を経まして双方の捜査の結果を持ち寄り突き合せまして、さらにこの点を追及すると申しますか、真実発見のために継続捜査をいたすごとにいたしまして今日に至っておるのでございます。その間二月四日に被疑者は初めて犯行の一部を自供するに至ったのでございます。しかし被疑者の自供だけではまだ納得のいかない点が多々ございますので、さらに引き続きその疑問の点を解明すべく日夜努力を続けて今日に至っておるのでございます。  大体本事件の発生いたしましてから今日までの状況は以上申し上げましたようなことに相なっておるのでございます。なお御質問によりまして委細御説明を申し上げたい、かように存じております。
  17. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  18. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 犯行の一部を自供したといいますが、全部を自白しないのですか。一部というとどういうことですか。
  19. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 銃口にから薬莢を挿入しまして空砲により発射をしたという事実をやっと自供をいたしたのであります。それがどういう目的、どういう意図のもとにそうしたことをしたかというようなことにつきまして、われわれまだ十分に納得のできるまでの自供を得ておらない、こういうことでございます。本人の今日までの自供によりますと、当日上司から機関銃その他の銃器の警備に当ること、並びにその附近日本人が薬莢を拾うために多数蝟集してくるのを排除することを命ぜられておった、かように申しておるのでございます。そうした点につきまして私ども日本側の目撃者から今まで聴取しておることと突き合せてみましてまだ十分でない、不十分な点が多々ある、疑問の点が多々ある。かように存じて今日までまだ被疑者がその全貌をさらけ出して自供しておるとは申しかねる、かように考えております。
  20. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 空砲を打ったということだったら、そうすると結局被害はないはずだということを本人は言っておるわけですが、それともそういう被害がある……。ちょっとそこがわかりませんが。
  21. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 本人は空砲をそういう形で撃つということは、いわば威嚇射撃、殺意と申しますか、そういったものはもちろん持っておらない。単に追っ払うための方便としてそういうことをやったものであり、またそれほど威力があるものではないと思った。ところが現実にはこうした不祥事態を惹起したので、事の重大なることに驚くと同時に、まことに被疑者に対して申しわけないということは自供いたしております。
  22. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私はこの空砲というか、それと実弾ですね、その関係がよくわからないのですが、解剖して出てきたものは何ですか。
  23. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) から薬莢でございます。先ほども申しました通り銃の口先にすでに撃ったたまのから薬莢を逆に挿入いたしまして、そして空砲を込めて発射をしますと、そのから薬莢が飛んでいくわけでございます。ある程度の距離までは威力があるものではないかと、かように考えております。
  24. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ちょっと伺いますが、かりにただいま警察当局が言われますように、調査を昼夜兼行でやっておる、そうおっしゃるのですが、私どもお見受けするところ、まだまだ不徹底のような気がするのです。申し上げるまでもなく行政協定の第十七条第六項ですか、これにはもう演習地に対する日本の司法警察権の行使ができる、と明確になっているわけです。そういう点で合法的に調査は十分できるわけなのです、その決意さえあれば。米軍に遠慮することなく徹底的に追及する、地元民の納得するような合法的な結果を一刻も早く出していただきたいと思うのですが、その点について伺いたいのです。
  25. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) まことにごもっともでございまして、私どもも鋭意捜査を続けまして一日もすみやかに結論に到達し責任の追及をしたいと、かように考えておるのでございます。決して米軍当局に遠慮気がねをしているというようなことはございません。さいわいにいたしまして米軍捜査当局もきわめて協力的でございまして、われわれの方がこの点をこういうふうに調査をしてもらいたいという申し出に対しましては、十分誠意をもって今日までのところやってくれているものと思っているのでございます。同時にわれわれ日本側においてできることは、逐次最善を尽して捜査を続行いたしておる次第でございます。
  26. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その問題に関連して裁判管轄権の問題ですね、これについては公務執行中の犯行であるかどうかということが重大な論点になる点ですが、目撃者三十数名もりっぱに証言しておりますし、これは結局公務執行中でなく演習休止の状態にあった、これは長官も先ほど説明されたばかりです。この点はもう明確になっている。そうだといたしますと、結局日本側に犯人を引き渡さなければならないと思うのですが、いまだにこちらへ引き渡されていない、そういう一つの事実がある。それから、それに伴う第一次裁判権も当然日本側にある、この点について、まだそのことが実行の段階に入っていない。その点について一つ強力に交渉を重ねて、早急にそういう段階に入ってもらいたいと思うのですが、その点いかがですか。
  27. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) ただいま御指摘の通り公務中の行為であったかどうかということが、裁判権の帰属に重大な関係を持っていることは、お話の通りでございます。今日までの捜査に徴しますと、まだ公務中であったか、あるいはそうでなかったかという断定を下すにはいささか資料が不足しておると、かように私どもは考えておるのでございます。先ほど概況説明のときに申し上げましたように、本人の自白している今日までの状況では、当日その時間に被疑者は上司から機関銃その他の銃器を警備するよう、同時に附近は薬莢拾いに蝟集する日本人を追い払うようにという命令を受けておった、こう言っております。そういう命令が果して上司から出されておったかどうか、またそういう現場状況が被疑者の言う通りの状態であったかどうか、そういう点を私どもはさらに追及しなければならぬと思うのであります。もし、それが本人が責任をのがれんがためのうそ偽わりの供述であったとするならば、これは問題であろうと思うのでありますが、もしそれが事実であるということであるならば、上司の命令によって、いわゆる他の一般演習参加兵員は休憩をしておったかもしれませんが、その人間が一般隊員の休憩時間中に持にそういう命令を上司から受けて、公務に従事しておったということになれば、公務中の行為であるということもあるいは起り得るのじゃないか。こういうまだ疑問があるのでございますから、さらにこの点は深く掘り下げて追及し、捜査を続行して事件の結論を得たい、かように考えておるのでございます。なおかりに公務中の行為でないということになりまして、いわゆる第一次裁判権が日本側にあるという結論に到達いたしましても、日米行政協定の覚書によりまして、被疑者が米軍の手中にある間は、公訴を提起するまでは米軍側において拘禁をする。こういう約束になっておりますので、公訴提起以前においては身柄をこちらに引き渡しをするようにという要求はできない建前になっておるのでございますので、御了承を願いたいと存じます。
  28. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 被疑者の自白によれば、上司からそういう命令があった、その上司に該当する面の交渉はまだやっていないのですか。
  29. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 当日の演習参加部隊の被疑者が申します上司というのは、中尉の階級にある者でございまして、この中尉が果してそういう命令を下しているかどうかという点につきましては、目下捜査をいたしておる段階でございます。まだその結果報告には接しておらないのでございます。
  30. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この事件は三十日で、きょうは七日なんですね。そんなに長くかかるものなんですか、上司の中尉に会ってその話をなさるだけで。どうもその点納得できないと思うのですが、事実そんなに困難なものですか。
  31. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) まことにごもっともでございますが、日本国内における日本人の事件日本人の警察官が捜査する場合と違いまして、直接日本警察官が被疑者に当ったことも先ほど申し上げましたが、何分言葉が通じないということでずいぶん手間どるのでございます。先ほども申しました通り、二月四日に初めて本人が自白をいたしまして、その自白の供述調書群馬県捜査当局に送られましたのは二月五日でございます。その五日に受け取りまして書類を翻訳いたしまして内容を検討し、この点をさらに追及してもらいたい、この点は不足じゃないかというふうな注文をさっそくいたしましたが、先ほど申す通りそれが五日であり、六日、きのうであるわけですから、今日までの段階ではまだその結果の報告は到達しておらない、こういう状況であります。
  32. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その点については早急に結論を出していただきたいと思います。そうしてその結果によっては、日米の意見が食い違うことになる場合もあり得るわけですね。そういう場合には今お話しのあったように、日米は合同委員会の裁判権分科委員会ですか、そういうところで結局協議し結論を出す、そういうことになってくると思うのですが、そういうような事態になった場合は、先ほどから申し上げておるように一つ日本の自主的な立場に立って、米軍に何ら気がねすることなく、追及すべきところはあくまで追及して、公正な結論を出していただきたい、そういう点についての御決意を承わりたいのですが。
  33. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 私ども先ほども申しました通り事の重大性にかんがみ、また国民感情からいたしましても、この問題の結論に今後すみやかに到達し、責任の追及が明らかにされることを念願をいたしておるのでございまするが、私ども警察の立場におきましてはおそくも今週中には警察としての結論を得て、検察庁の方に事件を送るという努力目標をもって鋭意捜査を続行いたしたいと思います。なお裁判権帰属の点について結論を出し得ない場合は日米合同委員会にかけて問題の解決をはかるという点につきましても、最善を尽してこの事件の解決のために努力したい、かように考えております。
  34. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この問題について過失であったかあるいは故意の殺人であったかという点も一つの大きな問題点になるだろうと思うのですが、その点について目撃者が相当おったわけですが、そういう人の話を総合すると、第一発は、なくなった坂井なかさんと同行した小野関英治さんですか、最初の一発はその方の足元をかすめたということを小野関さんは言われておる。そして二発目が坂井なかさんの背中に命中した。しかも数メートルの近距離でうしろからねらい撃ちにしたということは明確になっておる。従ってどなたがどのように考えましょうともそれは故意の殺人であるということは明確じゃないですか。その点について一つ見解を承わりたいと思うのですけれども
  35. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 先ほどもお答えいたしました通り、本人の自供によりましては、単に威嚇して追っ払うつもりで発射をいたしたと、また空砲であるからそれほど威力はないものと思っていたところが意外な結果を招来したので、事の重大なるに驚き、かつ遺憾の意を表している、こういう自供をいたしておるのでございます。しかしそれだけをもちまして直ちに結論を出すわけに参りませんので、当時周囲の状況等から勘案をいたしまして、本人は自分の責任をできるだけ軽くし罪を免れたいという気持もありましょうから、自分に有利な自供をするということは考えられることでございますので、本人の自供をそのまま受け取るというわけにも参りません。かりに本人がそういう自供をいたしておりましても、周囲の情勢から客観的に、これは単なる過失でなく犯意ありと断定し得る資料を得ますならば、そういう結論に到達しようかと思います。その点につきましては、先ほど来申し上げました通り、さらに慎重に検討を加えまして結論に到達したいと、かように考えております。
  36. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 大体小銃のから薬莢を銃口にさかさに入れたということを二度繰り返したわけですね。一度撃ってそれは足元をかすった、命中しなかった。いま一回撃ったということでこれは明らかに過失ということはどなたが見ても断定できないと思うのです。故意にやったということは明確じゃないですかね。これは米軍側としては米軍側に有利な証言もいたしましょうけれども、とにかく簡単なようで、一回から薬莢を詰めて撃って、いま一回同じ行動をやっておる。これは故意でやっておるということは明確であると断定せざるを得ない。その点については十分確信をもって強力な交渉をやってもらいたいと思うのです。
  37. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そのことに関連して。何メートルくらいのところから撃ったのですか。
  38. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 正確に距離は何メートルであったかちょっと記憶いたしておりませんが、四、五間というふうに私聞いておるように記憶いたしております。
  39. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは前から撃ったのですか、うしろから撃ったのですか。
  40. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 解剖の結果等から見まして後方より発射したものと考えられます。
  41. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると坂井さんが逃げて行くところをうしろから撃った、その距離は四、五間だと、こういうことになるのですか。
  42. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) その通りでございます。
  43. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今のお話では二発撃たれておるようですが、二発とも同一人が撃っておるわけですか。
  44. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) その通りでございます。
  45. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこれは新聞で見たのですが、第一騎兵連隊ですか、の司令官が何か談話を発表しておるように新聞記事に出ておりました。それによると、空に向けて撃ったのだというようなことが新聞に載っておりましたのですが、そういう発表があったのですか。
  46. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 本人の自供におきまして、先ほども申しました通り、本人は威嚇のための発射で上向きに発射をしたと、こう言っておるのでございますが、おそらく、米軍側で発表しましたかどうかわかりませんが、本人の自供のその部分をそういうふうに取り上げたのだと、かように考えます。  なお先ほどお尋ねの意味を私は、同一人が二発とも撃ったのかというお尋ねであったと思いまして、同一人が二発とも撃ったと申しました。その通りですと私はお答えいたしましたが、二発とも被害者である坂井なかさんに向けて撃ったものではございません。先ほども申しました通り、一発は付近におられた目撃者の一人である小野関さんの方向に向けて最初の一発は撃たれたもののようでございます。第二発が被害者である坂井なかさんの方向に向けて発射したのでございますので、ちょっと訂正しておきます。
  47. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その目撃者である小野関さんというのは、一緒にたま拾いに行っておった人でございますか。
  48. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) その通りでございます。
  49. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうするとこういうことになりますね。一発は小野関さんに向けて撃たれた。他の一発は坂井さんに向けて撃たれたということははっきりしておるわけなんでございますね。
  50. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 目撃者小野関さんその他の方々の供述をいただきましたのから、そういうふうに私ども判断をいたしておるのでございます。被疑者の供述は今日のところそこまで詳しくまだつかめておりません。今のところただいまお答えしたような状況になっておるということでございます。
  51. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はしろうとでよくわかりませんが、そういう事実の認定ですね、これは現場検証というのが必要だろうと思うのですがね。そういうことはもう済んでおるのですか。
  52. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 先ほども説明いたしました通り、現場検証をいたしております。事故の起りました当日、届出に接しまして直ちに関係地元警察署である高崎警察署、並びに渋川警察署から警官がおもむきまして現場検証をやっております。さらにその後におきましても群馬警察本部長その他の幹部が実地検証をいたしております。
  53. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、現場検証の場合ですね、もう死んだ人はどうもできませんけれども目撃者、それに加害者ですね、これを現場に連れていって現場検証をやらなければ、十分うまく実相をはっきりさせることはできないのじゃないかと思うのですが、その現場検証の際、目撃者及び加害者は現場に連れてきておるのですか。
  54. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 今日までのところ米軍捜査当局日本側捜査当局はそれぞれの立場において、資料を収集といいますか、捜査を続行いたしております。それらを突き合せまして、必要に応じてまた合同捜査と申しますか、そういうこともやる必要があろうかと思うのでありまして御指摘の京のごときも、今後また必要に応じてそうするかもわからぬ、かように考えております。
  55. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは一元的に捜査するということは、これは私は非常に重要な問題ではないかというふうに思うのですが、その点についてアメリカ当局に対して何らかの意思表示をする段階にまだ来ていないのですか。それを必要を感じてはおられるようですがね。それは今後の問題として考えておられるのか。私は現場検証としてまつ先にこの問題は処理されなきやならんというふうに考えるのですが、いかようですか。
  56. 石井榮三

    政府委員石井榮三君) 米軍捜査当局日本側捜査当局がそれぞれまずやるべきことをお互いに分担をきめまして、連日捜査に当っておるのでございまして、そしてその捜査の進展の状況に応じ、相互に捜査の結果を持ち寄りまして、互いにこれを交換し、お互いさらに追及していく点を追及すべく打ち合せをして、捜査を続行いたしておるのでございます。決してまちまちの捜査ということじゃなくして、そういうふうに相互の分担をきめまして、とりあえず必要な証拠資料の収集に鋭意努力をしている、こういう状況でございます。
  57. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  58. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。
  59. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの問題は非常に重要な問題であるというように考えているのです。少くとも国民の安全を保障する問題になっているわけです。人命の安全の保障の問題である。禁止区域に入って、薬莢を拾いに行ったということについては、それはよくない点もあると思います。しかしそのことによって射殺されたということは、非常に重大な問題であると思うのです。こういう問題を政府としては、国民の納得するように処置する決意でやっておられるのかどうか、そういう点、最高の責任者である法務大臣から伺っておきたいと思います。
  60. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) お説の通り、私どもといたしましては、非常に重大な問題でございますから、最も公正な結論を得るように最善を尽したいと思っております。
  61. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題を処理していく上において非常に重要な問題は、すでに加害者というものが明白になっているのですから、加害者を日本側に引き渡すようにアメリカに要求するということは、この事件を公正に解明する一番重要な点になってくるのじゃないかと思うのです。先ほど私も若干質問をしましたが、アメリカ側はアメリカ側でやっておる。日本日本側だけでやっておる。こういうことで公正な解明ということは私は困難であると思います。ですからこの際やはり加害者を日本に引き渡すように、政府としてはアメリカに要求すべきであるというふうに考えるのですが、この点について政府の態度なりお考えを伺っておきたいと思います。
  62. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) この点、私本委員会に参りましたときに石井長官から御説明しておったようでございますが、行政協定の第十七条によりますと、米軍側が身柄を拘禁しておる場合には、日本側の方で公訴を提起するまでその引き渡しは求められないようになっているようであります。しかし実際問題として従来どういうふうに運んでおりますか、それらの点につきましては類似のケースは従来もあったかと思うのでありますが、そういう点につきましては間違ったお答えをしては相すみませんから、事務当局から申し上げるようにいたしたいと思います。
  63. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) ただいま大臣の答弁になりました通り、行政協定第十七条の五項の(C)にさような協定ができておりまして、日本側が第一次裁判権を持っている事件でも、身柄をアメリカ軍当局におきまして抑えている場合には、公訴の提起まではアメリカ軍側の方でこれを続けるということになっております。しかしながら調べは差しつかえないのでありますから、昼間借りてきてこちらが調べるということもほかの事件ではままあることでございますし、本件につきましてもアメリカ軍当局も誠意をもってやっておりますので、現在それぞれ手分けをして調べておりますが、場合によってはこちらに借りてきて調べをするということもできないことはないというふうに考えております。
  64. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私はこの問題は、行政協定の今おっしゃったような取りきめがあるために十分な解明ができないということになれば、政府としてもこういうような部分については、行政協定のその部分の改訂それ自身としても考慮すべきだと思うのです。もし今の行政協定があるためにこの事件の真相というものが十分に解明できない、そのためにこの問題の解決が十分でないというふうな問題が起れば、これは私は非常な問題だと思うのです。ですからわれわれはもちろん行政協定を結んでいる以上、行政協定というその取りきめの中において処置すべきであると思います。しかしこの事件がそのためにうやむやになるということになれば、これは非常な問題であると私は考えているのですが、そういう点、法務大臣としてどうお考えになりますか。
  65. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 従来の似たようなケースについて、私どもの聞いたところによりますと、大体支障のないように、こちらで捜査をするために身柄の必要なときには身柄を借りてきてそうして捜査をするというふうなことで、そう正面から衝突するような事態は起していないようでございます。本件の場合におきましても、県の刑事部長が当初に本人に当って直接取調べをしているようでございます。なお聞きますというと、今後も必要に応じて米軍側に交渉すれば米軍側では取調べに多分応ずるだろう、こういう見通しに立っているようでありますから、大体支障なく取調べはできると思うのでありますが、何といたしましてもまだ日にちのたちませんことで、十分に基本が明確になりませんものですから、なお十分慎重を期して公正な結論を得たい、かように考えている次第でございます。
  66. 永岡光治

    永岡光治君 今のお話ですと、基本が明確にならないので、という話でありますが、こういう事件は私はやはり日にちがたてばたつほど証拠隠滅と申しますか、何と申しますか、やはり証言の口裏を合せて、そうでないという方向にもっていこうとすればそういう方向をたどるようなおそれがあると思うのです。承わればまだ一部しか自認をしていないというのは、明らかにそのことを物語っているのではないかと思う。やはりそういう証拠隠滅のおそれのないといいますか、証言をうまく逃げるような方法を防ぐためにこそ、直接私は被疑者を呼び出して、身柄拘束をして、厳重に、公正なる追及をすることが必要だと思うのですが、それができないということは、それはもう大へん日本の将来の問題について憂慮すべき問題ではないかと思うのであります。ですから、そういう観点からするならば、必要とあればということをしきりに言っておりますけれども、今必要がないと言わさんと思うのです。一部しか自認をしていないということを、石井長官は今答弁をしているのでありますから、これは明らかに、直接身柄を拘束をいたしまして、日本の裁判権の管轄のもとに、やはり私は、これを調べるべきものは調べるという態度でなければならぬと思うのですが、そういう観点からいたしますならば、当然これは、行政協定の改正という問題も考えなければならぬと思うのですが、それはお考えにならずに、十分できるとお考えになっておるのでしょうか。今の石井長官のあれによると、一部しか自認をしていないというのです、今日。
  67. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 本件の場合は、他に目撃者もございますから、その距離とか状態、そういう当日その現場における情景については、たとい本人がどういう自供をしようとも、ある程度把握することは不可能じゃないと、私目下のところ観測しておるのですが、ただ問題は、公務中なりや否やといら点が基本的に問題になっていくんじゃないか。そこで日本側としましても、それが公務中と言い得るか、公務中にあらざるものと日本側が断定していいか、そういうような点が基本的なことになると思いますが、その点については、特に注意をして調査、追及を進めるように、私どもからも事務当局にも言っておりますような次第であります。
  68. 永岡光治

    永岡光治君 まあ公務中であるかないかという問題にも、これはやはり直接拘束をしておくかどうかということが大切な私は証言のあれになると思うんですがね、お伺いしたいのは、今のままで十分できるかどうかという問題です。私のただしたい点は、石井長官の答弁をもってすれば、まだ一部の自認だということを言っておる。全面的にこれを認めていないということを明らかにした点については、非常にこっちも制約を受けておるということは、国民としても、国民の立場から考えるならば、そういう疑いを持つわけです。だからそういうようなことになっておる行政協定はやはり望ましくない。いつでも日本がそれを身柄拘束をして調べ得る状態で、やろうと思えばできるが、そういう協定に改める必要があるのではないか、こういうことを質問しているわけです。協定の改訂を必要ないと考えておるのですか。私たちは改訂の必要があると見ておるが、その点はどうかということを伺っておるのです。
  69. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 従来も、大体支障なくこの行政協定で取り扱われて来ておるようですが……。なお、ヨーロッパにおけるNATOの取りきめの方式を大体日本行政協定も取り入れておりますので、直ちにこれを改訂することについては、目下考慮いたしております。
  70. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、かりに、もし本人がどこまでも目撃者の証言と違ったことを主張する場合に、法務大臣としては、この点をどういうふうに解決しようとして——一応身柄を拘束して、そうしてただそうという態度に出るのか、どうなんでしょうか。明らかに今、一部の承認しかしていないわけです。どうなんでしょうか。そのままの形にしておくわけには参らんと私は思うのですが。
  71. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 日本側とアメリカ側で協力をしまして捜査を徹底させれば、私は事態の結論は完全につかみ得るものと、目下のところ、さように考えております。
  72. 永岡光治

    永岡光治君 事件はすでに三十日に起きて、本日はすでに二月の七日です。約九日間ですが、その間においても、まだ目撃者の証言と被疑者の証言というものが一致していないというこの事態、これは、やはり私たちの受ける感じとしては、何だか二元的な調査をされておるという印象を強くするわけです。やはり日本の裁判権によって、管轄権によって被疑者の身柄を拘束して、そうしてただして、その上で、なおかつ違ったというのであれば、これはやはり、何と言いましょうかね、多少のあれがあるわけですが、こっちも二元的に調べておいて、日本の方の調べた証言と、それからアメリカさんの方で言うところの証言とが二致しないということになると、これは裁きようがないと思うのですが、その際にはどういう措置をとるのですか。やはり私は、ここに明らかに支障ができておる。一週間経過した今日支障ができておるのに、行政協定はこれを改訂しなくてもよろしいという理由にはならぬと思うのですが、不便を感じないのですか。
  73. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) もちろんこちらが身柄を拘束し、あるいはしからざる方法等によりまして、直接取調べをするといたしましても、御承知の通り、自白の強要はできませんから、これは国内事件、こういうような国際的事件を問わず……。従いまして、本人の自供というものは必ずしも真実ではないし、また、それが証拠力のあるものでもないと思いますので、その他の状態、あるいは関係人の供述、こういうものを総合いたしまして、適正な判断を下す以外にはないと思うのです。さような方法によりまして十分結論を得ることができるのではないか、かように考えております。
  74. 永岡光治

    永岡光治君 私は、やはり十分な結論が出るのではないかという法務大臣のその答弁には、やはり国民の一員としては疑義を抱くわけです。日本の裁判権と言いましょうか、そういう管轄権のもとに行われてなおかつ自供しないという場合における国民の一部証言についての見方と、それから身柄を拘束をしたまま二元的にアメリカ軍の方で調べておる場合における一部の証言と、自供しない場合との受け方は非常に違うと思うのです、これは。ですから、私のおそれることは、日にちがたてばたつほど、やはりそういう疑いを濃くしてくるし、そうしてまた、証拠隠滅的な証言の方向に進むおそれはやはりあると見なければならぬ。その保証はどこにもないわけです。その保証は、どういう方法でそれじゃとろうとしておるのか。ただアメリカ軍を信頼するというだけでは、国民は了解できないだろう。口裏を合せますからね、それは、三十数名の兵隊さんがそれぞれ……。そうしますと、こちらの目撃者は一致いたしましても、相手も相当の多数ですから、そうなってくると、裁きようが非常にむずかしくなってくると思うのです。そういう意味では、この行政協定は非常に支障になっておると断定せざるを得ない。それでも、なおかつ法務大臣は、いや行政協定は改訂しないとおっしゃるのか。私はちょっと、日本の国民の立場としては、もしそういうことを強く主張される法務大臣の言を新聞紙上等で見るとするならば、どうも日本政府はあまり信用がならぬ。何かアメリカ軍に気がねしているとか、そういう印象を強くすることになりはしないかということをおそれるわけです。当然私は、これは改訂をいたしまして、いつでも日本が裁判権を発動できる、そういう事態を招来するということの方がより大切ではないかと考えておる。事件はどう片づこうとも、問題は、やはり二元的に調査されているという姿が望まし  いのか、そうでなくて、やはり日本は、しばしば政府が発表しておりますように、独立したと言っておるのですから、そういう日本の裁判権が完全に自由に行えぬということは、やはり改訂する必要があると見なければならないと思うのでありますが、その点をしも、やはり法務大臣は改訂する必要がないと考えておられるのか、その点もう一度私は、やはり政府のはっきりした態度を伺いたいと思います。
  75. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) なお、捜査の具体的な技術的な面に関する部分につきましては、私どもからお答えを申し上げまするよりは、むしろ事務当局から、捜査の技術的な面についてはお答えを申し上げた方がよかろうかと思います。ただ、本件の場合は、撃った人間も明瞭でございますし、それから被害の事実等も明瞭でございましてただ、かかっておりますのは、撃った本人が今弁解しておるように、おどかしのつもりで撃ったというのか、殺意を持って撃ったというのかという点でありますが、これはおそらく、直接加害者としては、自分に不利な供述はなかなかしないのではないかと思います。従って、本人の供述を頼るよりは、そのときの情景を十分に浮き出させまして、その事実に基いて判断を下す以外にはないと思います。それと、日本側が裁判をするケースになるということになりますならば、日本側としては、それに所要の証拠も整えることが可能だと、かように考えます。その他捜査の技術的な事柄につきましては、私ども専門でありませんので、むしろ直接事務当局からお答えをいたさせたいと思います。
  76. 永岡光治

    永岡光治君 私の質問しておるのは、やはり私は、今日の段階でも不便を感じておるのではないか、不便を感じていないと言うのか、私は、国民の立場からするならば、不便を感じているのではないかと想像するわけです。そういう意味からすれば、行政協定はない方がいいのじゃないかと思うのです。こういう項目があるが、それはあった方がいいのかない方がいいのか、どっちがいいのかということを質問している。ああいう協定がある方がいいのか、ない方がいいのか、どっちがいいのか、それを質問しておる、どうですか。その点だけを伺いたい。
  77. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 安全保障条約というものがある以上は、この根本についての御議論はいろいろございましょうが、安全保障条約がある以上は、安全保障条約の実施細則的なものとして、行政協定がないわけにはいかないだろうと思うのです。そういう意味から言いますと、行政協定を置かなければならぬとするならば、やはり国際的に他の方式もありますので、そういう方式等をにらみ合せて、両国間に協定する以外にはない、かようなことではないかと思うのでございます。従いまして、今お話のように、本件並びに従来の過去の例に鑑みて、この行政協定第十七条の規定が不便があるか、これでは処理ができないかできるか、こういうことになってきょうかと思います。過去の事例等につきましては、私ども今までは不便なしに来たと聞いておりますが、具体的にどういうふうな状況になっておりますか、これについては、政府委員から御答弁を申し上げるようにいたしたいと思います。
  78. 永岡光治

    永岡光治君 どうも、私の質問の真意がまだ十分おのみ込みいただいていないと思うのですが、確かに安保条約があって、行政協定があるのだからという、この論法をもってするならば、行政協定というものがあり得ることは、それはいいと思うのですが、その行政協定が絶対条件かということになれば、何もこれがないから行政協定ということが成り立たないということは私はないと思う。そういう観点からすれば、この条項はない方がいいのではないかということを、法務大臣として、私はお尋ねしているのですが、あなたはあってもいいというのか、ない方がいいというのか、私はない方がいいのじゃないかと思うのですが、その点はどうかということなのです。
  79. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) これは、まあ安全保障条約があり、それを実施するための部隊というものが日本にあります間は、これらのものを犯した犯罪に対する処理方法というものはおのずから必要でありましてこの犯罪の起きた場合における取り扱い方法というものが、この行政協定によってきめられておりますので、これ一項目だけでなしに、いろいろ関連した規定があるわけでございます。で、それらを総合いたしまして、今日まで相当期間この行政協定が実施されてきておるわけでありますが、さしたる表面的な衝突もなく、また、どうしても公務中であるか、公務中でないかとのいろいろな疑義が起きたりいたしました場合には、行政協定による合同委員会の中に、刑事裁判の小委員会ができておりまして、この小委員会で交渉をいたしまして裁いてきておりますので、大体今までのところでは、支障なく来ておるようでございます。本件は、とにかくこういうできごとで、一名を射殺されておりますので、非常に事柄が重要でございますから、まあ一そう慎重に取り扱わなければならないと思いますが、行政協定全体としての関係から出てきておる一項目でありますので、私ども、今直ちにこれを取り上げてどうしようということは、この席で申し上げかねることであります。
  80. 田畑金光

    田畑金光君 けさの各朝刊を見ますと、すべてこの問題を取り上げておりますが、同時にまた、ワシントン発共同によりますと、米国防総省の当局談話等も載っているわけです。あるいはまた、この関係のある米騎兵第一師団の方でも声明を出しておるわけであります。しかるに、この事件が起きましてのち、われわれといたしましては、政府がこの問題を取り上げて、これに対してどう対処するのか、そういうことが新聞等を通じ一言も聞いていない始末でありますが、政府といたしまして、この問題についてはどういう考えを持っておられるのか、あるいはまた、閣議等におきまして、この問題について話し合い等がなされたのかどうか、まずこの点から伺っておきたいと思います。
  81. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 閣議におきましても、この問題が起りましてから、話を交換いたしまして、結局警察担当、法務担当、調達庁担当、外務大臣と、これらの関係大臣で協議しつつ万全を期するように、こういうことで今朝も集りまして、各庁それぞれ事務当局から入手いたしました事実並びに情報に基いて協議をいたしましたが、目下の段階では、まだ決定的な意見を申し上げるところまで材料が整わない、こういう現状でございます。
  82. 田畑金光

    田畑金光君 事の真相と申しますか、あるいはまた、故意か過失か、あるいは偶発的な事故であるのか等々、いろいろ今後の取調べの結果出てくるかもしれませんが、しかし、いずれに認定するにいたしましても、今まで知り得た事実からして、すでにこれは、国民感情としても許されないような、人間生命の全く軽視だと思うのです。犬ころのように殺人が事実として起きておる。これは、国民の世論からいっても、国民の感情からいっても、許されない問題だと思うのです。特に基地問題で、いろいろ国民は感情上も許されない気持を持っておる。こういうさなかに、このような事件が起きたわけですが、こういう問題に対して政府としては、直ちに何らかの声明等を出して、政府のこれに対する態度等を明らかにしなければならぬと思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
  83. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 政府として声明を出すというようなことは、もう少し事態が明瞭になってから考慮すべき事項ではないかと思うのです。今朝もいろいろ、警察警察、法務関係は法務関係、それぞれ現地からの報告等を参考にいたしまして協議いたしましたが、明確に結論を出し得る段階に至っておりませんので、一そういろいろな点を注意いたしまして、基礎的な材料の地固めに全力を尽すように、事務当局に手配をいたさしておるような次第でございます。
  84. 田畑金光

    田畑金光君 大臣の答弁を聞いておりますと、すべて事務当局事務当局にと、問題を事務当局に転嫁されておるようでありますが、私はそこに問題があると思うのです。私は、こういう問題をもう少し政治的な観点に立って、政府はどうこれを見るのか、どう政府としては対処するのか、こういう政治的な判断と政治的な決意を明らかにするのが問題じゃないかと、こう思うのです。たとえば、先ほど申し上げました米国防総省当局談の中に、こういう言葉があるわけです。「事件が純粋に偶発的なもので、故意にしたものではないと確信している。いたずらとも考えられない。気違いでもない限り、どのような状況のもとでも、米国人がそのような行為を犯すはずがないからだ。在日米軍当局は、事件の真相を明らかにするため万全を尽していると思う。」こういう談話が出ているわけです。米人がまさかこんなことはすまいというのが米本国の見方であり、それは誇りであるかもしれない。またアメリカ・デモクラシーというものは、人命を最も尊重するものであると、こういうことをわれわれ日本人も教えられ、またそう信じておる。しかしながら国内基地における問題を見た場合に、アメリカ・デモクラシーというものについて大きな疑問を持っておるものも、また日本の国民の中に多々あると思う。まさにその典型的な具体的な現われが今回のこの事件だと思う。こういう問題について、先ほど来法務大臣は、あるいはその他の大臣もそうでありますが、事務当局事務当局に、その詳細は調査の結果を待たなければ、政府の態度を明らかにされないのだ。私はこういうような問題は、そういう事務当局の問題ではないと、こう思うのです。たとえば今度の岸外務大臣の外交演説の中にも、政治、経済、国防の面において日米は共同目標を持ち、共同の行動をとり得るのだということをとても誇らしく述べておられるが、こういう基地に伴うような、基地に起きる事件においても、一体アメリカと日本は共同に、こういうふうな事件も何らの価値ないものとしてこれを放任するのかどうか。私はこの点について、先ほど来の答弁を聞いておりますと、まことに納得がいかない。そういうようなことで済まされるならば、事件はいつ解決のめどがつくのかわからぬと思うのですが、どうですか。
  85. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 私どもといたしましては、事実の基本が明確になることが、最終的な意見を表明するといいますか、考え方を決定する基本でございますので、目下事実関係の究明に全力を尽さしておりますような次第で、その事実関係が明確に把握できないうちに、政府としてこれに対して、今米軍の第一騎兵師団ですか、こういう声明が出たかどうか、私もよく存じませんが、それに対応するような意味の声明なぞをすることは、慎重を期した方がよかろう、こういう考え方に立っておる次第でございます。
  86. 永岡光治

    永岡光治君 関連。ただ法務大臣の答弁を聞いていると、事実関係がまだ基本的なものが明確にならないと言うが、何が明確にならないのですか。何ですか、具体的に、基本事項の関係で明確になっていないのはどういうことですか。さっきからそういうことを言っておるが、わからないのです。それはどういうことですか。
  87. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) これは撃ったこと、それから死亡した事実、こういうことはもう明らかであります。それからそのときの情景につきましても、目撃者がおりますから、これも大体わかっておりますが、問題は、日本側が裁くべき事件——日本側の管轄権に属する事件になるのか、アメリカ側の管轄権に属する事件になるのか、この点をはっきりさしてから、われわれとしては結論を出していきたい、こう考えておるわけであります。
  88. 永岡光治

    永岡光治君 それが基本的事項ですか。
  89. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) それの一つでございます。
  90. 永岡光治

    永岡光治君 一つというと、まだほかにあるのですか。ちょっと問題点を言って下さい。何と何が不備なために進展しないのか、その点を一つ明確にしてもらいたい。
  91. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) なお、今申し上げたように、できごとの状態は一応わかっておりますが、なお、そこには大ぜい、何といいますか、薬莢を拾いに入った他の人たちも、小野関さん以外の方もおるわけであります。これらにつきましても、現地警察及び検察関係で十分な事実をつかんでもらいたい、こういうような点も、一つの重要な点として考えておるわけであります。
  92. 永岡光治

    永岡光治君 その目撃者が明確にそれを証言し、そうして群馬の医大でそれを解剖したところが、薬莢も出てきた。これほど明確になっておるものはないのですけれども、その基本的条項が明確でないというのは、まだ日本側の証言が足りないのが一つと、それから向うが裁くのだか、こっちが裁くのだかわからぬという、その要素は何によって決定するのですか、その点を明確に言って下さい。その二つだと思う。足りない事項は、今の法務大臣の答弁からするならば、それだけが明確になっていない、二つだけでしょう。
  93. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 実は小野関さんという人が目撃者でございますが、その目撃者の今までとりました証言では、果して、その米軍の兵隊が薬莢を銃の頭に詰めて撃った、こう言うのですが、それはねらって撃ったのか、そうでないかまえであったか、ねらう場合と、ただ、おどかしだと本人は弁解しておるようですが、おどかしで射つ場合とはかまえがおのずから全然違ってくると思うのです。そういうような点についてなお慎重にそういう点を詳細に取り調べを、調査をするように、こういうことも指示をしてございますし、そのほか、先ほど申し上げましたように、演習を行なって休憩をしたときだと言うのですが、その休憩とはどういう状態であったのか、そういうようなことも、あまり日本政府が事実をしっかりつかまないうちに意見を表明しますよりは、そういうようなものも、演習休憩というものとの関係、その他関連した事項等を十分に、こちらはこちらの立場で、米軍側がどういう主張をされようとも、こちらはこちらとしての主張をなし得る基本をかためた上で、日本側の意見の結論を出したい、かように考えて、慎重を期しておる次第であります。
  94. 田畑金光

    田畑金光君 米軍が何と言おうと、日本日本の立場でよく調査して結論を出すというお話でありますが、そういう態度をとっておるうちに、事件はいつの間にかうやむやのうちに葬られる、そういう危険性が十分であり、また主張すべきことも主張しない。当然政府として態度を明らかにすべきにかかわらず、態度を明らかにせぬ、それが今までの政府であったと思うのです。そういうような大事な問題について一々刑事局長から話を聞かなければ、私の質問する政治的な判断の問題すらも答えられないようなことでは、私は、今の政府がほんとうにこの問題を、日本人がああいう形で生命を失ったと、日本の今置かれておる一つの悲劇だ、基地に伴う国民の感情が最も集中的に爆発しようとするこういうような問題だという認識をそもそも政府は持っていない。法務大臣も持っていない、そういう私は証拠だろうと見ざるを得ないのです。  で、先ほどの大臣の御答弁の中には、騎兵師団の方でどういう態度、あるいは声明を出そうとも、わが方はわが方だと、こういうお話でありますが、たとえばその声明の中にこういう言葉があるのです。「これまでの予備調査報告によると、演習参加していた第八騎兵連隊所属の一兵士が、射撃線の前面にいる群衆に警告の意味でライフル手榴弾投射器で空包弾薬を使って空薬キョウを空中に向け発射していた。」空中に向けて発射をしたのだと、こういうことになっているのです。明らかにこれは、この言葉の前後からいうと、公務中であり、要するに先ほどの説明の中にもありましたが、警戒線に近づいてはならぬぞとか、あるいは武器を監視しておるとか、こういう仕事の警戒中、たまたま空に向って空砲を射ったところが、あにはからんや射撃していたと、こういうような声明なんです。これは、先ほどいろいろ米当局も誠意をもって捜査に協力してくれておると、こういうお話でありますが、こういう態度でもって、こういう考え方で臨まれた日に、今までの日本側の弱腰からいうと、果して自主的な捜査権で事の真相というものをきわめ得るかどうかと、われわれはそれに不安を持つのです。この声明に対して法務大臣は先ほど、見ておらないとおっしゃいましたが、見ておられないなら見ておられないでけっこうですが、今読み上げたような趣旨の内容でありますが、これに対しましてどうお考になりましょうか。
  95. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) これは、騎兵師団のだれか責任者のようにお聞きいたしましたが、積極的に声明を出したものか、あるいは報道機関が質問したのに対して答えたものか、私どもにもよくわかりません。また、それを拝聴いたしますというと、おそらく本人の自供——本人はえてして有利な自供をするものでありますが、その本人の自供を一方的に取り次いだ声明談話のように私どもには受け取れます。もっと真相をきわめる方法をとりまして、われわれはわれわれの日本側の見解を明確にして参りたい、かように存じております。
  96. 田畑金光

    田畑金光君 こういう声明が出たり、あるいは国防総省の談話が発表されたり、アメリカ側としては、それぞれこれに対する見解を表明しているんです。こういう節に、特にこれは日本の国内に起きた問題であるし、日本の軍事基地で起きている問題なんです。しかも、これは、この事件を身近に眺めているのは日本国民です。その日本国民のこういうような事件に対して政府がなぜもっと積極的に明らかに態度をしないのかというわれわれは疑問を持つわけなんです。そういう気持にならないのかどうか、私はこの点は、単なる野党とかという問題じゃなくて与党の中にも私は、そういう気持を強く持っておられる方もある、こう思うんです。あるいは国民感情がそういうような気持を強くそれは要求していると思うんです。こういうことに対して、私どもは、なぜ日本政府はもう少しはっきりとした態度をとらないのか、そういうことは、閣議の席上でもお互いに意見の中に出なかったのですか、どうでしょうか。
  97. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) お気持の御趣旨は、全く私ども同感でございます。ただ、政府として、できるだけ事態をはっきり把握いたしまして、そうして日本側は日本側としての見識ある結論を得たいと、こういうことに目下努力中でございまして適当の段階に日本側の考え方は明瞭にいたしたい、かように存じております。
  98. 田畑金光

    田畑金光君 見識ある見識あるとお話しになりますが、それは別の言葉で言うと、いつも逃げていることなんです。逃げよう逃げようという別語なんです。先ほどの大臣の御答弁の中にも、第一きわめるべきは、公務上であったかどうかという問題であると、こうお話しになりました。公務上の問題であるかどうかというようなことをお互いに話し合っていると、アメリカ側と論議し合っていると、果してそう簡単に日本側の主張する、これは公務上でなかった、公務外であったというような結論が来るかどうかという問題なんです。たとえば六日の日に、これは衆議院のやはり内閣委員会で、この点について井本刑事局長はこういうような趣旨のことを答えているんです。「ただ今回の事件について米軍側もいろいろと釈明しており、また犯人の身柄も米軍側にあるので、日米双方の意見が一致するにはなお時間がかかるかもしれない。公務中かどうかの認定については、いままでも日米双方が了解に達するまで一年近くもかかった例がある。」これは新聞記事ですから、またこれは、おれの言ったことと違うとお話になったら、これまた速記録を持って来ぬと……、私は別の機会に持ってきて何しなければなりませんが、とにかく公務であるかどうかというものの認定というものは、おそらくまた相当かかると思うんです。その間ずっと公務であったかどうかの認定がつくまでは、こういうような形を続けていこうというのですか、それとも、こういうまことに遺憾な事件が起きたならば、政府としては、勇気をもって、なるほどいろいろ、日米行政協定の第十七条には、身柄の引き渡し等について規定はしてあるが、しかし第十七条の六項によると、捜査については相互に援助しなければならない、また、場合によっては身柄を引きとって積極的な捜査もできるのだ、こういうようなことも可能であるとするならば、われわれといたしましては、この問題に対する政府の決意とか心がまえというものが大きく左右すると思うのですが、この点についてどういう方針であるのか、はっきり聞かしていただきたいと思います。
  99. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 政府の結論としましては、先ほど来しばしば申し上げた通りでございますが、今のように、公務中であるかどうかというような問題につきましては、これは、おそらくその事犯として一番数の多いのは交通事犯であると思うのです。そういうものについて、具体的にどれが公務中であるか公務中でないかというような疑義のある案件は常に起ることと思うのですが、刑事局長がどういうような答弁をされましたか、私その席におりませんでしたから、また、その内容等については、私も承知いたしておりませんので、もし必要がございましたら、政府委員から答弁をさせるようにしたいと思います。
  100. 田畑金光

    田畑金光君 今の御答弁では、私の聞きたいということに答えていないのです。これは交通事故じゃないのですね。交通事故をあげられたが、私は交通事故を今取り上げて言っておるのではない。五問うしろから、とにかく向う側の言い分を聞くと、空に向って打ったのが、どういう間違いか知らぬが、当って、とにかく肺、心臓を突き刺して、一人の人間が死んだということなのです。これが一体公務上のできごとなのか、そうでないのか、この認定というものがもし長期の時間を必要とする、かけるということになれば、この問題の解決というものは、とても、とてもじゃないが、国民の記憶から遠ざかったころにようやく何らかの話が出た、こういうことでは許されないと思うのです。また、そんなことは法務大臣としても考えていないと思うのです。だから私は、この事件の取扱いについて、法務大臣としては、今は自分の所管に来てないとお話になるかもしれないが、しかし、これは関連しておることだし、同じことだと思うのです。法務大臣としては、この事件に対してどういう態度で臨まれているのか、これをまず第一に私はお聞きしたいことなのです。それからまた、井本刑事局長の言葉の中には、こういうこともあるのです。非常にこれは、私は井本刑事局長の勇気を多とするものでありますが、「事件の真相がいま伝えられておるような場合なら、たとえ公務執行時間中に行われた犯行でも、公務遂行のためにやむを得ず起ったことではないから、当然日本側に裁判権があると思う。」こういうように、これも速記録を見ないとこのままであるかどうか、まことに私はりっぱな態度だと思うのです。りっぱな態度だと私は敬意を表したい。その上司である法務大臣が、先ほど来のつかみどころのない、のらりくらりとした答弁では、これはとてもわれわれとしては納得いかぬわけですが、法務大臣としては、どういう覚悟で、決意でおられるのか、いつごろまでにこの事件のめどをつけて、はっきり黒白を天下に明らかにしようという考えでいるのか、これを聞かしていただきたい。
  101. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 気持は全くお説と同感でございます。本件につきましては、急速にそれらの点については結論を得たいと、かように考えております。
  102. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 関連して。この休憩時間中の行動であるということが問題でありますが、先ほど大臣の御答弁の中にも、この問題はよく研究しなければならない大事な問題だということであります。その通りだと思っておりますが、政府の方では、休憩中のできごとであるということがはっきりした場合には、それはいかなる場合でも、アメリカの裁判管轄権に属するという工合にお考えになっておりまするのか、あるいは休憩といっても、休憩の種類に、——一つは、まあ自由行動を許されているある時間内の休憩であるとか、あるいは非常に短い、ただの休みというぐらいの休憩であるとか、いろいろあります。で、日本の管轄権に移すという場合には、どの種類の休憩であったら、それを強く主張されるという心組みでありますか、その点を伺いたい。
  103. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) お説の通り、休憩にもいろいろな種類があると思います。そこで、公務中にあらざるものとしての判断を下し得るかどうか、そういう実態を目下把握するために努力中でございまして私としても、今どの程度ならばこれは公務中にあらざる休憩であると言い得るかどうか、的確なまだ目標を持っておりませんが、前後の事情、そのときの状態等をよく検討いたしまして結論を得たいと、かように考えております。
  104. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 まあそういう考え方もありましょうが、公務中であるかないかということをきめる実態調査、もとより必要でありますけれども、それと並行して、むしろ先立って、いかなる種類の休憩かということをまず定義してかかっていくということが、これはきわめて必要なことじゃないでしょうか。そうしないというと、向うの言い分とこっちの言い分と食い違いまして、いつまでたっても、先ほど田畑君の心配されるように解決することがない。どうしてもこれは、理屈でぐんぐん押していかなければならない。その準備を理論的に、これは、休憩は公務中の休憩で、公務であるかないかということをこっちで腹がまえをきめておかなければならないと思いますが、それはいかがでございますか。
  105. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) その点も、実は従来の先例等も、まるきり同じケースはないと思いますが、類似のケースがあるかと思いますから、政府委員からお答えさせます。
  106. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 さっきからたびたび話が出ておりまするように、これは、私など、アメリカをしいて疑い傷つけるということはしたくありませんけれども、どちらかというと、やはりこちらの手で調べて、ぐんぐん進めることが手っとり早くいくのじゃないか。国民感情としては、もとよりその方をより多く信ずるという気持がありますので、その点はぜひ一つ急速に、何とかはっきりした態度をとっていただきたいと、かように考えております。  それからもう一つ、ついでにお伺いしたいのですが、空砲を撃ったと、加害者は故意に殺そうというつもりではなくてそんなことはあると思わなかった、そういう威力があるとは思わなかった、こういう供述をしておるのでありますが、どのくらいの威力があるものかということについては、アメリカ軍の上司の方から、上役の方から下の者に平常教えてあるはずのものじゃないかと私は思う。もしこれが、この場合だけじゃなくて薬莢拾いにたくさんの者が出ていく、それをじゃまだから空砲を放って威嚇するというようなことがほかの場所においても何べんも行われたとするならば、——あったのじゃないかと想像するのでありますが、その点も事実あったかどうかもお伺いしたいのでありますが、あったとすれば、どのくらい威力のあるものだから気をつけなければいけない、威力は全くないからもう安心して撃ってもいいよとかいうようなことを、平素教えてなければならないはずだと思うのです。それを本人が知らなかったということだとすると、本人ばかりでなく、ほかにも知らなかった兵隊がたくさんあったんだろうと想像されます。これは、アメリカの指導者の立場としては、非常に無責任なやり方でありますので、これは、しっかり政府から向うの政府を責めてもらわなければならない大事な問題だと思うのです。それをただ、威力も何も教えないで、空砲を放つことを許しておったということであるならば、これは、アメリカの軍としては無責任きわまることだと私は思います。そういう点は、もうお調べになっておるのかと思いますが、いかがでございますか、今日までの経過といたしましては。
  107. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) これは、まことにごもっともな、重要なことと思います。ただ、おそらく米軍側におきましても、単なる空砲の場合には、空砲で危険の範囲は何メートルぐらいであるとかいうようなことは、常時からはっきりしておると思うのでありますが、本件の場合は、空砲に、さらに銃の頭に薬莢をつけて、空砲を撃ったと、そういうケースでありますから、そういうようなことをやった場合に、その薬莢がどの程度まで危険区域として飛んでいくものか、そういうようなことも、これは本人がどの程度まで認識しておったか、あるいは他の部隊がどの程度まで認識しておったか、あるいは他の責任者はどういうふうな考え方を持っているか、そういうふうな点も十分内偵をしてこちらでそれをつかんだ上で交渉もし、結論を出していきたいということで、目下いろいろ実験をしたり、研究中の段階にあるわけでございます。
  108. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 空砲を撃って威嚇射撃をしたという事例は、ほかにも前に相当ございますか。
  109. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 従来ないようでございます。
  110. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 その点をなるべく早く一つ御調査願います。
  111. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 承知いたしました。
  112. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどの大臣の答弁では、早急に処置したいというわけですが、その早急にという言葉でこの際答弁されるのではなくして、具体的にどういう考えでこの事件の処理を促進しようと計画を持たれておるのか、それを私はお聞きしたいわけです。本会議ならば、早急にということであの演壇から逃げられましょうけれども、ここは委員会です。委員会においてはもう少し親切に、しかも具体的にお話を聞かしてもらいたいと思うのです。と申しますのは、先ほど警察庁長官の話によりますと、おそくとも今週中に結論を出して検察庁に送りたい。こういうお話なのですが、今週中というと、もうあす、あさってで今週が終るんです。そこまで捜査は来ておるわけなんです。これは検察庁に回って来る。そうすると、ここでこれは、今度は法務大臣の所管に入って来るわけなんです。この事件については、われわれはもう相当の段階において、およそ事の真相というものが、われわれしろうとから言ってもわかるような感じがするのです。こういうような事件に対して早急に解決しようというのじゃなくしてもう少し私は、検察庁あるいは法務大臣としては、事件の処理というものを具体的に解決促進をはかるべきだと思うわけですが、この点について、法務大臣の考え方を承わっておきたいと思う。
  113. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 大体、この委員会の席上におきまして御議論の出ましたような点が、目下努力をしておる捜査上の要点だと思うのです。石井長官が先ほど、今週中に警察としての取りまとめをつけて、すみやかに検察庁の方に事件を移したいと、こういうことを申し上げたそうでございますが、大体進み方として、そういうような方向で進んで参りますので、石井長官の言ったことは間違いないと思います。私どもは、そういうような基礎的な調査が、現在警察庁が中心になりまして、取り調べが済みましたら、早急と申し上げましたのは、そういう段階に参りましたら、すみやかに結論を出したい。こういう趣旨でございます。
  114. 田畑金光

    田畑金光君 私は、この問題はそのような過程を経て、今法務大臣の話のように早急に、法務大臣においても所管事項として結論を出すように努力を払われる、それを強く希望するわけですが、かりに私は、この問題はそのような形で解決されましょうとも、刑事裁判問題として一つの結論が出ましょうとも、これは、あるいは単なる刑事裁判として処理すべき問題じゃないと思うのです。もう少し私は、当初から申し上げたように、政治外交上の問題だと思うのです。と申しますのは、今回のこの事件というものは、あまりにも人命を軽視しておる。あるいはあまりにも日本というものに対する、全体とは言わぬが、駐留軍の一部の中にそういう軽べつの念をもって日本人を見ておる、こういう私は端的な現われだと思う。これは、一つの民族としての侮辱だと思います。こういうことは、単なる刑事事件じゃないと思う、明らかに。これは一つ、高い段階における政治外交の問題だと思う。であれば、この事件のおよその事の性質が明らかになれば、これは単に刑事裁判の事件として処理するのでなくして、もう少し高い段階において、国の政治外交の面から、当然アメリカに対してしかるべく私は反省を求むべき筋合いのものだと思うのだが、この点については、法務大臣どうお考えなされるか。
  115. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 御説のような点につきましても、将来結論が出ました上で、十分検討をいたしたいと思います。
  116. 田畑金光

    田畑金光君 法務大臣は、私の考え方に同意ですか、どうですか。
  117. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) もっと高い角度から、政治的かつ外交上考慮すべきではないか、こういう御意見に拝聴いたしましたが、そういう高い角度からも検討することは結構だと、かように存じております。
  118. 田畑金光

    田畑金光君 私は、そういう段階になれば、具体的な方法として、アメリカ当局あるいはアメリカ大使館等を通じまして、国民の気持あるいは民族の感情等を、政府は正式に伝えるべきだと、こう思うのです。同時にまた、私は、その一つの具体的の現われが日米行政協定、あるいは軍事培地、こういう姿に現われておる日本の今日の不完全独立の姿に対してどういう角度で行くべきかという問題に入って来ようと思うのです。私は、この点について、先ほど永岡君からいろいろ質問がありましたので、この点を今追及いたしましてもどうかと思いますから、これらの点は、なお、今後の政府のこの問題に対する態度を見て、またいつかの機会に、後日質問を継続したいと思う。
  119. 八木幸吉

    八木幸吉君 法務御当局は、この事件の発生が公務執行中であるのとないのとでは、裁判権の帰属が日本とアメリカと違うというお話ですが、それの法的根拠はどこにあるのか、わかりやすくお示し願いたいと思うのですが。
  120. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 法律問題でありますので、私からお答え申し上げます。行政協定の第十七条三項でございますが、三項の(b)に、一般的な日本の法律に定めた犯罪につきましては、日本側が第一次裁判権を持っておりますが、例外的に、公務執行中作意または不作意から生ずる罪というのは除かれております。この犯罪につきましては、第一次裁判権がアメリカ側にあるということが明記されておりますので、この行政協定の規定から、さような結論が出るように解釈しております。
  121. 八木幸吉

    八木幸吉君 もうちょっとゆっくりわかるように、(b)は「その他の罪については、日本国の当局が、裁判権を行使する第一次の権利を有する。」これですか。
  122. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 行政協定の第十七条の三項というのがございますが、三項の(a)と(b)をお読みいただきますとわかるのですが、裁判権が競合する場合に当るわけです。本件のような場合は、そのうちで、一般的には第一次裁判権が日本側にあるわけです、特殊の、公務執行中の作意または不作意から生じた罪でありますとか、あるいはアメリカ側だけが損害を受けたものが除かれております。そのものは、第一次裁判権がアメリカ側にあるということが書いてありますので、本件の問題は、もし公務執行中の作意または不作意から生じた罪であるという認定がありますれば、これは第一次裁判権がアメリカ側にいく、さような認定ができない場合には、これは当然第一次裁判権は日本側にあるということになるわけでございます。
  123. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほど、竹下さんからお尋ねがありましたが、休憩は公務執行中であるかないかという点、大臣の御答弁がちょっとはっきりせぬのですが、たとえば、小休止というようなときと、あるいは昼飯のときに休んでいるというようなときでは公務執行中になりますか。日本の方の見解はどうですか。
  124. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 結局休憩中であるかどうかということは、公務執行中の作意または不作意か生ずる罪というふうに認定する材料になるかどうかということでございますが、演習でたまをお互いに撃ち合っておるというようなときに、そのたまが当ったということになれば、これは当然公務執行中の作意または不作意から生ずる罪ということになると思うのですが、本件のような場合には、空砲の先に薬莢をつけて撃ったわけですから、演習じゃないわけです。従って、小休止の際にやったのであるから、休憩中であるから、これは公務の執行にはならぬというのは、ちょっとまた考え方が違うので、アメリカ側が主張しておりまするように、たま拾いがたくさん入って来て困るから、何とかしてそれを追い出せというような命令が上官からあって、その威嚇のために空に向けて発砲したというようなことがもし認定されれば、さようなものはおそらく公務執行中の作意または不作意から生ずる罰になるというふうに考えられますが、また、反対の解釈といたしましては、兵隊が小休止中に、いたずらに、日本のたま拾いが来たから撃ってやれということで、鉄砲の先に薬莢をつけて撃った、それが当ったということになれば、これは当然、かりに演習の場合でありましても、さような場合には、公務執行中の犯罪であるというふうには認定されないように考えられますので、その間の事情がどのように認定できまするか、それを今鋭意検討中でございます。
  125. 八木幸吉

    八木幸吉君 かりにまあ威嚇のために撃った、上官の命令がなかったという場合に当らなくて、最初に撃って当らなかった人がありましたね、それは未遂になりますか。未遂罪を構成しますか。
  126. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 本人の意思がどういうことに認定できますかわかりませんが、日本人を傷つけてやれというようなことで鉄砲を撃って、それが当らなかったのだということになりますれば、これは、当らなくても私は暴行罪が成立すると思います。さらに殺意がありますれば、殺人未遂罪も成立することがあり得ると考えるのであります。
  127. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一点、死んだ方の人が過失であった場合、そういう者は未遂罪になりますか。
  128. 井本臺吉

    政府委員(井本臺吉君) 過失致死ということになりますれば、これは結果犯でございますから、未遂というのでなくて過失致死罪という罰条が刑法にございますから、その罰条に当るということになると思います。
  129. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  130. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけて下さい。  ほかに、法務大臣に質問ありませんか……。  それでは、私ちょっと、法務大臣中座でしたら聞いておきます。  けさの新聞に出ました米軍側の声明ですね。毎日新聞では、初めての公式声明、こういうふうになっております。これは非常に国民が注視しておる問題であるだけに、重要だと思うのです。で、この内容が、先ほど法務大臣からも言われたように、もう事実関係日本側が見ておるのとまるっきり違う、今のような段階で、こういう声明を一方的に出す、まあ新聞によって若干書き方が違いますが、大体同じようなことですから、やはりこういうことが語られたのだと思いますが、これは私は、日本政府の方で、法務大臣が一つ、はなはだこれは軽率な声明だというくらいの何か手を打ってもらいませんと、やはりこういうものが非常に響いていくと思うのですが、この点どういうふうにお考えでしょうか。
  131. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) その点、果して公式の声明であるものかどうかを調べまして、事実そうだとすれば、両方の見解が明瞭に、事態が明瞭にならないうちに、こういう公式声明をされるということは、非常にわが方にとっては迷惑な話で、お説に従いまして、適当な処置をしていきたいと考えております。
  132. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それからもう一点、これに関連するのですが、公務執行中であるかないかということの一つのポイントが、休憩中にたま拾いを追っ払うような指示が上官——中尉の人らしいが、その人からあったかないか、そういう点が一つのポイントのようです。ところが、その点の取り調べというものは、本人に聞くよりも、一体上官がそういう命令をしたのかどうか、これは日米間の、政府間の交渉ではっきりするはずなんです、本人はどのように言おうと。命令をした方の側に電話ででも聞けば、これはすぐわかるはずであります。そういう点が不明確なままで来て、そうしてこの声明を見ると、あたかも演習の警告の意味で発射したというふうな言葉使いを使っているところをみると、米軍の内部では、これはもう命令が内部的にあったのだというふうな考え方で、どうもここへ出してきておるように見える。しかも、実際にそういう命令があったのであれば、この声明に私は堂々と書いたらいいと思うのです。そういう命令を出したということは書かずに、何かそういうふうなことの感じがするような、こういう書き方になっているのです。だから、この辺に私は、この声明の持つ意味は非常に重要なものがあると思っておるのですがね。こういう点は、何らかの、米軍に対して、政府として抗議ぐらい一つ申し込んでもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  133. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 実は、そういう点を考慮いたしまして、まだこういうような新聞等……昨日、日本側の刑事裁判に関する小委員長米軍側の第一騎兵師団ですかの、横浜にあります米軍側の刑事裁判に関する小委員長、その委員長を訪問させまして、事態のそういう基本的な事実を確かめにやりました。ところが、先方でも報告を取り寄せておるのだそうですが、多分けさまでにはわかるだろうという昨日の話であったそうですが、きょう、向うから電話がありまして、ヘリコプターでその報告を取り寄せるつもりでおったら、天候の関係で、ヘリコプターが来ないので、他の方法で取り寄せるから、予定のように入手ができない、こういう返事であったそうでございます。私の方としても、できるだけいろいろな角度を通じまして、基本になります事実を目下確かめ中でございます。
  134. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 法務大臣ね。これは、相当な責任者の方がこういうことを新聞記者の方に語られたと思うのですがね、相当上位の方が。そうすると、この現場演習の上官の、中尉の方がこういう声明と反する事実を、一体軍の組織という面からいって、しゃべれることかどうかというふうな点、私ども常識的に非常に心配するわけです。そうすると、米軍側のこの事件に対する態度が、もうすでにワクがはめられている。だから、そのワクのはめ方が非常に無理なので、簡単にわかる……、そういう中尉が一体命令を出したかどうかということが暇がかかっているというふうに感ずるのですがね。その辺は、法務大臣もぬかりなくこれは追及されているところだと思いますがね。ちょっと時間がかかり過ぎるように思うのですがね、どうでしょうかね。この声明というものをもう少しはっきり否定するような、一応否定するような、まあ政府側の明確な、最終的な見解はもう少し先になるといたしましてもね、これだけのことは一応否定しておかなければ、非常に事態の取扱いが複雑になり過ぎると思うのですがね。いかがでしょう、最後に。
  135. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) お説の通り、一方的にこの段階でそういう声明をされるということは、先ほど申し上げましたように、わが方にとりましては迷惑なことで、この点につきましては、さらに昨日に引き続きまして、日本側としては、委員長のただいまお話のございましたような趣旨を一つ徹底させるようにいたしたいと、かように考えます。
  136. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止
  137. 亀田得治

    委員長亀田得治君) では速記を起して。本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十五分散会