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1957-10-11 第26回国会 参議院 逓信委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月十一日(金曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   委員異動 本日委員久保等君辞任につき、その補 欠として森中守義君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            松平 勇雄君            鈴木  強君    委員            石坂 豊一君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            宮田 重文君            横川 信夫君            三木 治朗君            光村 甚助君            山田 節男君            横川 正市君   国務大臣    郵 政 大 臣 田中 角榮君   説明員    郵政省電気通信    監理官     松田 英一君    日本電信電話公    社副総裁    靱   勉君    日本電信電話公    社業務局次長  千代  健君   参考人    日本放送協会会    長       永田  清君    日本放送協会副    会長      小松  繁君    日本放送協会経    理局長     首藤憲太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (電信電話拡充第二次五カ年計画等  に関する件)  (テレビジョン周波数割当に関する  件)  (ラジオ受信料に関する件) ○参考人出席要求に関する件 ○審査報告書に関する件 ○調査報告書に関する件   —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまより委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。本日久保等君が委員を辞任され、森中守義君が選任されました。   —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本日は、電気通信並びに電波に関する調査を議題といたします。  御発言を願います。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 私はこの際、電電公社公企体の問題について、ちょうど監理官もおられますしするので、公社の方とそれから郵政省の方からお考え方一つ教えていただきたいと思うのです。御承知の通り岸内閣公共企業体の再検討論を取り上げて、今、審議会を持たれておるようでありますが、私たちは、ことしの第二十六通常国会公社企業問題が非常に問題になりましたときに、いろいろと政府の方として現在の公共企業体に対して再検討をするんだというお話を聞いておりましたが、その際、岸総理は、まあもちろん明確な考え方はないのだが、国有に戻す、あるいはもっと民営に近づける、あるいは現行でいくか、こういった三つ程度考え方があるのだが、いずれにしても公共企業体に対して再検討したい、こういうお話でした。当時、しかし、二十九年に政府諮問いたしました公共企業体審議会が持たれておりましたが、原安三郎さんが会長になっておりまして、すでに答申案吉田内閣に出されておると思うのです。その際も、電電公社企業体に対しては、現行の体系をそう著しく動かすということでなしに、むしろもう少し自主性を持たした方がよろしいというような形になって答申案が出ていると思うのです。そういう答申があるにもかかわらず、さらにまた今回岸内閣が、まあ内閣がかわったからといえばそうかもしれませんが、一応答申案に対してどういう結論を出したかしりませんが、もし結論が出してあるとすれば、その結論に対してどう、その政府考え方を聞かしてもらいたいのです。  それから私はこの審議会に対して、たとえば電電公社当局はどういう考え方を持って働きかけをされているのか。郵政当局は今度の審議会に対してどういう態度働きかけをされておられるのか。この点を最初に一つ基本的な問題だけでけっこうですから、伺いたいと思います。
  5. 松田英一

    説明員松田英一君) ただいま公共企業体審議会動きの問題についての御質問でございましたが、正式に申しますれば、実はこの公共企業体審議会の仕事は、行政管理庁の方でやっておりますので、その方面を通じてでなければ申し上げるべきではないのじゃないかというふうにも考えます。私は何と申しますか、その公共企業体審議会幹事を命ぜられておりますので、そういった意味で私の知っている範囲のことを一応申し上げるという程度で御了承いただきたいというふうに考えます。現在まで私が知っております範囲では、公共企業体の問題につきまして、この前に確かに審議会がございまして、その後、ある程度いろいろと問題が検討された結果、改善意見等も出されて、またそれがかなりの程度実施をされてきている面もあり、また実施をされないで現在に至っている面もある。しかし、とにかく公共企業体というものが出発してからあるいは八年あるいは五年という程度の日が過ぎて、しかも、公共企業体の実際の運営というものについては、いろいろと世上に批判の声もあることである。そこでこの際、公共企業体というものの運営について、もう少し根本的にいろいろと考えてみて、そしてどういう動き方をすればいいか、それはあるいは公共企業体そのものの根本的な変革になるか、あるいは変革しなくて現在のままでいい、あるいはその動き方をさらに改善すればいいというふうな結論になるか、それは公共企業体審議会結論をお出しになることである。政府の方としては、とにかくこの際五年あるいは八年たったことでもあるし、この前の審議会答申の結果によって、いろいろと運用上考慮もしているけれども、さらに掘り下げて、根本的にいろいろと検討していただいて、結論を出してほしいという意味諮問をしたように私は記憶しております。それで、その後現在までの動きと申しますのは、これは各公共企業体からいろいろと説明を聞いたり、あるいは意見を聞いたり、あるいは大蔵省あるいは行政管理庁というふうなところから意見を聞くというふうな段階できておりますので、まだ公共企業体審議会としては具体的に意見をまとめるという段階には入っていないようであります。そこで、これに対して郵政省としてはどういうふうに臨むかという問題、これは実は政府としてはこの問題につきましてはどういうふうな態度で臨むかということについて、いわば、何と申しますか、行政管理庁がこの企業体幹事役をしておりますので、その場合にあくまでも政府としてはこう思うんだが、これについてはどうかというふうな諮問の仕方じゃなくって、全般的に諮問しておりますので、私ども政府公共企業体というもののあり方についての考え方としての意見は述べないというふうに私は了承しております。ただ、大蔵当局考え方なり、あるいはまあ行管がいろいろ調べてきたときの考え方なりというものは披露しておるわけでございますけれども、建前上、これは公共企業体審議会がいろいろと根本的に検討されて、その結論を出して勧告をされるというふうに了承しておりますので、こちらでは積極的にこういうふうな考えとしてどうかということは言わないように私は了解しておりますので、現在郵政省としても、そういうことは申し述べておりません。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 新聞なんかで見ますと、公社も非常に公共企業体全体に対する考え方があると思うんですよ、要するに、ここをこうしてもらいたいとかいう改正案がですね。これはいつの新聞か私はちょっと日はわからないんですが、公社総裁も、電電公社の第二次五カ年計画ですね、これに相呼応して今後の長期計画を立てる場合に、公共企業体というものが当然これにひっかかってくるわけですから、これに対してこうしてもらいたいという意見をまとめて、十三日ですか、郵政大臣梶井さんが会っているように新聞は報道しているわけです。その際に、具体的ないろいろ一、二、三、四というふうに改正してもらいたい意見として出されておることが載っておるのですが、私たち新聞で知るだけであって、実際に国政に参画しておりながら、そういった問題が知り得ないんです。むしろあなたの方で、委員会があるのですから、こういうものが現にあったとすれば、進んでわれわれに参考資料であっても見せてもらいたいと私は思うのですよ。われわれも重大関心を持っておるわけですから、それくらいの配意はあっていいと思うのです。もちろん、最終的な結論を出すのは委員会でありますし、それを所掌しているのは行政管理庁でありましょう。しかしながら、こういった郵政大臣梶井総裁が少くとも一つの案を検討して参考資料として出すということにきまったと、その経過に重大な問題が含まれているので、そういう点を私は聞いたのであって、あとで大臣が見えると思いますから、総裁が見えると思いますから、あなたからのお答えはいいですが、副総裁が見えておりますから、こういった公社として、郵政大臣に対して、新聞によると、参考資料として公共企業体審議会改正案を出すように了承を得たというふうにあるんですが、その内容はどういうことなんですか、一つ聞かしてもらいたいと思うのです。
  7. 松田英一

    説明員松田英一君) ただいまのお話でございますが、私が申し上げましたのは、郵政省としての今までの態度を申し上げましたので、今申し上げました中にもちょっと触れましたが、公共企業体審議会としては、各公社、これは国鉄、専売、電電全部でございますが、それに現在の実情、運営についての考えというものを聴取いたしますときに、公社としてどういうふうな希望、意見といいますか、今後の動き方について意見があるかということは聴取したわけでございます。そのときに、従って、公社としては当然現状のほかに、こういうふうにして動かしたい、あるいは公社動き方としてはこういうことを希望するというふうな意見を開陳しなければならないことになりますので、そのときには、公社はこういうことを望みたいといって、つまり公社はこう考えているということをお話しされたわけであります。そのときに、公社としてはこういう考えでしゃべりたいと思うが、あらかじめ郵政省の方にも話しておきたいということで、私も伺って、公社がそれを話される限りにおいてはけっこうである——政府といたしましては、先ほど申し上げましたように、この問題についての政府側態度としては、公社がどうだというふうな言い方をしないように私は考えておりますので、公社公社の立場として言われる限りにおいてはそれはけっこうであるという話になっておる次第であります。従って、内容については公社の方からお話をしていただきたいと思う次第であります。
  8. 靱勉

    説明員(靱勉君) ただいま監理官からお話がありました通りでありまして、公社としましては、今回公共企業体審議会において公社制度を再検討するというようなことになりましたので、きわめて重大なる関心を持ったわけでありまするが、別段公社委員とか幹事になっておるのではなくて、全く審議会民間の方と申しますか、そういう方だけで構成して御審議になると、こういうことでありましたので、私ども意見を述べる機会もあるいはないかと思っておりましたが、審議会の方から現状説明並びに意見を求めたいと、こういうことで出席要求がございましたので、公社といたしましては、かなり詳細なる意見を提出することにいたしました。審議会におきまして私が御説明申し上げたのでございますが、その前に、監督官庁である郵政省に、公社としてはこういう考え方で御説明しますということだけはお話し申し上げ、その内容も御説明して、そうして公共企業体審議会お話ししたわけであります。  そこで、まず公社は一体どうしてできてきたか、また電信電話事業の過去の事業計画はどうであったかということを御説明いたしまして、まず電信電話事業の特質というものはどういうものか、それから国営時代、これも相当長い、電信においては約九十年、電話においては七十五年というものを持っておりますので、国営時代においてどういうような経過をたどってきたか。中間におきましていろいろ民営論もありましたが、結局国営によって進んで参った。その間におきまして通信特別会計制度というものもできましたが、やはり納付金が非常に多く、あるいはまた戦争というようなことで、必ずしも電信電話設備拡充資金が得られなかった。むしろ常に不足であったために、電話の故障も生ずるし、設備上におきましても、きわめて普及しない格好であった。しかも、戦争によりまして半分機械が破壊されたというようなことで、戦後におきましては、どうしても電信電話というものをもっとよくしなければいかぬということで、内閣にも復興審議会というものが作られ、経営形態としてはどうあるべきか、また、なぜ日本電信電話というものが発達しないかというような検討の結果、やはり電信電話事業というものは一つ企業であるし、こういう体制にしなければならぬ。何と申しましても、資金というものが一番不足であったために日本電話が発達しなかったということは、これは最大の原因でございましたが、なお経営体制といいますか、能率的に、効率的に事業が発達できるような経営体制をとる必要がある。これは国営のような形であっては、やはり官庁的な、まず行政的ないろいろな制約があって、企業運営に沿うたようないろいろな制度が整備されていないということで、やはり企業的な性格を十分与えた公共企業体が適当であるという結論が出され、その後さらに内閣政令諮問委員会等もできまして、民営に移る段階として公社制度がよいというようなことで、政府としては結局そういういろいろな意見を総合し、国会決議等考えられて、公共企業体ということにして、日本電信電話公社法国会に提出した。その際において、いろいろ御審議内容におきまして、あるいは民営を前提とするのか、そういうような御質問に対してはそうでないというふうに、政府からも答弁されている。そういうふうなことで、ともかく日本電信電話公社は、例の二・一ストの関係あるいは公務員法改正というようなことじゃなく、何と申しましても非常に発達がおくれている、経営上の能率がよくないということで、経営体制をどうしたらいいかということで、結局公社形態ということになった、この沿革をよく御説明しまして、それでは公社になってから非常によくなったか、この点については、確かに国営に比しまして公社になってからこういうような点はよくなりました。しかしながら、もちろん現在十分ではありません。これはなおこの公社制度について改善を要するところがあると同時に、それは他にばかり責任を負わせるばかりでなく、公社はまだ発足五カ年でありまして、われわれまあ従事する人の努力ももちろん十分ではない。やはりこの際公社というものをさらに電信電話事業発展のために十分な体制を整えようとするならば、次のようなことをお願いしたい。  第一としましては、設備資金調達のために民間出資の道を開いていただきたい。結局、日本電話は常に資金不足であった。第一次五カ年計画におきましては、一応計画を上回った構成はできましたが、外部資金等調達においては、必ずしも十分ではなかったし、また政府資金の拝借ということもできなかった。今後相当の償還もやっていかなければなりませんし、第一次五カ年計画が完成されたとしましても、依然として電話需要に対しては三〇%くらいしかこの五カ年間に毎年充足していない。しかも、その需要というものが、今負担金社債等の特別な負担を新しい加入者の方にお願いして、あるいはまたこの局は二、三年たたなければ電話がつかないということで全くあきらめられておるという、そういうような事情も考えられるが、ほんとうにつけてもらいたいといって申し込まれた方の三分の一程度しか充足していない。五年間にそれは改善されていない。従いまして、第二次五カ年計画におきましては、さらにもっと幅の広い計画実施していかなければ、とうてい国民の需要に対応できないということで、それにはどうしても資金である。そこで、公社としましては、公社になりまして公募債券の道は開かれましたが、これは借金としてだんだん向うへ返さなければならぬ、そこで、何とか民間出資を得るような形はないだろうか、あるいは政府出資をどんどん増していただくのも手ですが、いろいろな過去の沿革からしましても、にわかにそういうことは期待できないから、民間出資の何らかの方法を求めてお願いしたいということを、まず第一に希望いたしておるわけでございます。  この次は、政府公社に対する監督性格を明確にしていただきたい。公社はやはり企業体としては政府から独立しておりまして、経営自主性というものは当然持ってやらなければ公社を作った意味はない。従って、政府監督というものを、単なる政府機関として、あるいは政府みずからやると同じように監督するというより、むしろ公社責任を持たし、政府としましては公共的な見地からまたこの事業発展サービス改善等、そういうような面から監督を願う。すなわち、率直に申せば、予算制度相当、もっと企業自主性を与えるような体制にしていただきたい。なお公社内部としましては、やはり経営委員会制度でよろしいではないか。同時に、内部監査の機構を充実していく、こういうような点で、もちろん非常に大きな企業体でありますし、その目的とするところが国の利益に非常に関係がありますから、実際の監督を廃すというような考えでは毛頭ないのであります。やはり監督の基本的な考え方というものを、事業公共性の保持と利用者利益の保護のために、政府通信政策面からの監督を行うようにしていただきたい、こういうことを申し上げます。  三としまして、公社自主責任体制を強化していただきたい。  まずそのイとしましては、拘束予算制度を廃止し、財務会計制度の刷新をはかっていただきたい。結局現在、損益勘定建設勘定、いずれも国会の御審議を経て、一般の政府予算とほとんど同じ形でやられておりますが、この企業体における予算というものは、やはり一定期間におけるところの経営計画の設定と、経営活動の調整ないし統制の用具として利用されるものであって、予算目的経済性機動性の向上を中心とする企業合理的経営にある。従って、行政活動統制し、行政における浪費を防止することを目的とする拘束予算制度とは本質的に相いれないものであるから、現状のごとく、全体的に拘束し、わずかに弾力条項により弾力性を付与する不徹底な予算制度には、ややもすればいたずらに予算のワクの獲得に専念して、かえって経費合理的消費に対する意欲までそぐものがあるから、結局、基準予算的なものと申しますか、これは前に公共企業体審議会においてずいぶん問題になったのでございますが、一つ拘束予算制度を廃止していただきたいと、従って、その際におきましては、決算会計制度の活用によりまして、企業計画統制経費管理を一そう推進するというような体制でいいのではないか。  ロとしましては、給与総額制度を廃して高能率、高賃金、低コストの実現をはかるようにしていただきたい。もちろん給与総額制度によりまして若干、要するに、定員法とかあるいは給与法の適用を排除いたしましたので、若干の前進はあるのですけれども、結局におきましては、やはり給与総額制度は、定員とまず標準単価と申しますか、それの掛け合せということになって、それが予算で確定されますれば、ここにやはり給与総額制度には弾力性が必要になってくる。しかし、私どもはやはりこれでもって公社責任としまして、高能率、高賃金、低コスト、これは公社設立の際、国会の御審議においても言われたことでありますし、そういうような給与総額制度は廃止していただきたい。  さらに、これと関連しまして、ハとしまして、正常な労使関係の確立のために、公社自主性を付与していただきたいということ。やはり労使関係の、要するに、賃金労働協約によってきめるわけでございまして、給与総額制度は当然なくしてしかるべきものであるし、また結局仲裁裁定等が出ましても、政府は必ずしも拘束されないということでは、かえって公社に対しまして労使紛争解決の当事者としての能力は与えないで、本来公社内部の問題を政治闘争化させておるから、やはり給与総額制度を廃し、公社責任において紛争自主的解決ないし仲裁裁定完全実施をさせて、正常な労使関係を確立させる方がいいのではないかということを申しております。  さらに、ニとしまして、資金国庫統一の原則を廃して、資金管理合理化をはかること。これは全部国軍に収入は納めることになっておりますが、私どもはやはり公募債券あるいは将来民間出資の形を持ってきますれば、民間金融機関、市場と関係を持たなければならぬ、そういう意味合いにおきまして、やはり資金をすべて国庫に納めるという形じゃなくやっていただくことが、公社資金獲得上にも便利であるというような意見を持っております。これもまあ公社自主的体制強化内容でございます。  さらに第四番目としまして、通信機工業の振興に協力する体制を整えていただきたい。もちろん電信電話事業サービスを提供するいわゆる電信電話公社と、それからまあ技術研究それから製造面、こういうものが三位一体になってやっていかなければならぬ。これはまあ同じ経営形態でやるという意味じゃなく、これは非常に連絡したきわめて統一された協調的なものでなければならぬが、まあ外国例等はそういう形が非常によく整っておる。しかしながら、わが国においては必ずしもそういうような形でなく、まあ戦前に比べましても海外輸出の力も今のところありませんし、今後やはり東南アジアその他通信技術の進歩によって、外国にそういうものが進歩できるような体制にするためには、公社一つ国内独占企業体として通信系の設計とか、あるいは工事の施行まで協力できるような、また研究に対しても、民間その他とも十分協力できるような体制にしてやっていただかなければならぬじゃないか。これは現在の公社法においては若干問題もあるのではないかと思いますが、そういう能力を与えていただきたい、こういうような趣旨で申したわけでございます。  きわめて簡単に御説明申し上げました。以上のようなことを詳細に御説明し、これでまあ一応公社としての意見としまして提出したような次第でございます。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 今御説明を伺ったのですが、説明の中に具体的に触れておらなかったと思うのですが、その際、この公社郵政省との間に共同委員会を設けてそうしてその設備資金調達のためだと思いますが、ちょっと新聞によりますと、そうして今副総裁の御説明ですと、資金調達民間出資を願うのだと、こういうことなんですが、すでにそのことが新聞によると、即民間資金というのは、外資導入ということにも通ずるような格好に出ておる。しかも、その外資導入運用部資金等からの投資をいろいろと検討するという意味において郵政公社との共同委員会を設けるというようなことが新聞には載っておるのですが、こういう点非常に重要な問題だと思いますが、その点はどうなんですか。
  10. 松田英一

    説明員松田英一君) その問題につきましては、公社がただいま副総裁から申し上げましたような事柄を私どもに報告せられますときに、やはり私ども郵政省としても、これは根本的な問題は別といたしまして、第二次五カ年計画の遂行の点からいっても、資金を確保するという面は現実問題としても最も必要な問題である。従って、その場合にいろいろとその資金獲得するための方策というものは、これは公社においても考えられなければならぬし、われわれも郵政省として真剣に考えなければならぬということで、大臣公社郵政省事務当局とよく連絡をとって、まあ委員会といいましても、そうひどく形式的なという意味委員会とは私どもは了解しておりませんでしたが、よく了解をとって資金獲得のための努力をするというふうに私は考えております。そこで、外資等の問題につきましては、これはなかなかむずかしい問題でございますししますので、私ども直接は関係しておりませんで、むしろ大臣あるいは総裁、副総裁あたりのところでいろいろと考慮があったと思いますが、それらの関係あるいはいわゆる国家資金と申しますか、財政投融資との関係においてももちろん、さらにまた公社の方で意見を申し述べております民間資金の受け入れ問題、そういった問題について公社とよく連絡をしていこうというふうに考えておりますが、まだ具体的にこういった、問題はどうしよう、こういった問題はどうしようというまでの打ち合せをやっていないわけでございます。
  11. 靱勉

    説明員(靱勉君) 委員会の問題、今監理官から御説明があった通りでございます。  外債問題につきましては、これは現行法上もそういう体制になっております。実際にそういうことが行われていないということ、第二次五カ年計画におきまして、ようやく公社としましても具体的な案を取りまとめたのでございますが、その際におきましては、五年間に三百六十億の借金を返さなければなりません。一方外国資金としては、加入者の債券も途中で切れますが、純然たる内部資金としては三百六十億を返すとしますと千四百六十億という内部資金がどうしても要る。これを五年で終りになりますと、かなり今までに比べますれば大きな比重になってきますが、郵政省におかれましても、何かこの資金を確保をするあれとして十分両者で相談して何か一つ資金の確保の道を講じたらという大臣のお指図もありまして、私ども予算案の設定等に当りまして、郵政省とよく御相談を申し上げていきたい。外資自体というものは、先ほど申しました民間出資とは関係ないのであります。私どもこの民間出資の道を開くというのは、何も具体的に申しておりませんが、一応私どもがこの基本的考え方としましては、国営に戻すということはどうも公社にしたときのいろんな理由、それからその後の経過を見ましても、どうもこれは賛成できません。さりとてこれを純然たる民営にするという形でなく、公共企業体をさらに企業的にもっとうまくいくような形にしていただきたいというのが、先ほど申した骨子でございますが、従いまして、民間出資の道を講ずるということは、短期の社債等では、これはすぐ返していかにゃならぬ。何か長期のものを確保したい。たとえば出資証券というような形で株券とは違った形のものが考えられないだろうか、あるいはまた永久社債的なものでも考えられないだろうかということで、この民間出資の道を開くということは、外債ということには直接関係ないわけでございます。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 一応副総裁説明でよくわかりました。あとでまたこれは大臣に、大臣考えのようですから伺っておきます。  それで、民間資金調達するということですが、私の考え方では、きのう大臣資金運用部の運用資金なんかの問題についても郵便貯金、簡易保険、それらの金が郵政所管でなくて、向うへああいう格好になっているわけですから、大いにおれは発言権はあるのだというようなことを言っておったのですが、ですからこの六十億の資金計画の繰り延べなんかについても、計画繰り延べなんかについても、大臣はおれはこれは何とかして復活させるのだというような強い意気込みでいるのです。従って、私はどうも公社考え方自体も非常に安易に副総裁もとっておるように受け取ったのですが、運用資金からの金あるいは財政投融資ということはなかなか考えてみても現実はむずかしいから、従って、その民間に道を求めたのだと、こういうように説明されておるのですけれども、もっと公社当局は勇気を持って、政府事業ですからね、ですから政府の安い利息で使える財政投融資なり運用資金からでもこれは金を借りるという強い決意で押す必要があると思うのです。何かしら民間資金を求めたというような考え方自体に対して私は非常に不満を持つのです。ですからその最悪の場合はこういう方法もとらなければならぬことはわかりますが、その際においても、それではこの五カ年計画を見たのですが、資金調達の問題でどの程度民間資金考えておるのか、こういうこともわれわれにはよくわからない。もちろんそういうことは今後の資金の中でやられると思うのですが、しかし、こういう計画を発表し、しかも、審議会に対して意見として出したからには、すでに第二次五カ年計画は来年度から始まるわけですから、来年度の予算はそれぞれ編成を急いでおられると思うのです。そういう中からある程度民間資金調達するとしても、どの程度のものを考えておられるのか、そういった点はまだわからないのですか。
  13. 靱勉

    説明員(靱勉君) 先ほどあるいは御説明がまずかったかと思いますが、決して社債等の募集において消極的な態度をとるわけでもありませんし、運用部資金等の借用において消極的な態度をとるわけじゃないのです。やはりこういうふうに長期に資産を固定しまして、長い間に収入を得ていくような電信電話設備におきましては、資金というものは自己資金だけではできないので、やはり借金をするということが原則でありますが、まあ現在の公社の資本構成から見ますると、資本としましては非常に少い、毎年々々借財がふえていく、それは利子をつけて、あるいは償還期限内に返していくということでいいわけでございますが、やはり資本構成としては、もう少し出資を増していただきたいということを申し上げた。それによって資本を獲得する以外に、いわゆる建設資金獲得というものにつきましては、財政投融資、あるいは純粋の財政投融資でない公募債券の募集、こういうようなものには相当今まで以上にやはりたよっていかざるを得ない。そこで、もちろん来年度予算等におきまして、目下郵政省、大蔵省の方で御審議を願っておりますが、それはやはり公募債券、財政投融資というものに現在期待しているという形になっているわけであります。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 この問題は審議会に出した意見ですから、一応この程度にいたしますが、次に、公社に対する監督性格を明確にするということですが、一般的には副総裁のおっしゃった点でわかるのですが、それでは具体的に現在郵政省は逓信省復元というようなことを考えて、その中に現在の電気通信監理官制度をやめて監理局にするというような案を持たれているようですが、監督性格を明確にするという意味は、具体的には、組織的にはどういうふうなことを考えておられるのですか。
  15. 松田英一

    説明員松田英一君) 今の御質問の趣旨は、実はまあ公社の希望しているこの監督体制というものは、今のお話とはおそらくちょっと違った面での答えになって出て参るのじゃないかと思いますが、副総裁の方から具体的に答えていただきたいと思います。ただ、私ども今度予算に出しております。あるいは郵政省としての重要施策として考えております電気通信監理機構の強化という問題につきましては、何も公社監督を強化するというためにそういうふうにしたいというふうに考えているわけではないのでございます。現在、電気通信監督体制というものは電気通信監理官ということで出発したわけでございますが、これは当初出発のとき、どういう考えであったのか、人数が非常に少数である。それからまた監理官というふうな、何といいますか、世間にあまり通用しない、いわば電電公社監督ばかりやっているように誤解される向きのあるような名前にもなっているし、実際の設置法にはそうなっていないわけでございますが、現在の電気通信行政というものは、単に公社監督をするという以外に、もっと大きな電気通信政策の問題が起りつつある。それは国際的にもいろいろ問題が起っておりますし、また国内的にも、あるいは先般国会で御審議をいただきました有線放送電話法の問題とも関連したり、あるいは一般的に公社あるいは国際電電公社というものが扱う公衆通信とそのほかの通信との調整の問題があったり、五年前に出発いたしました当初に比べまして、国際的にも国内的にも非常に重要な問題が現在電気通信については起ってきている。そういう問題を取り上げて将来の日本の方向というものを誤まらしめないためにもっとしっかりした機構というものを整備しなければならないという意味で、電気通信監理局制度というものを確立し、また人数もふやして、監督体制を整備していきたいということで出しておるのであります。公社監督する体制として強化するということで出しているわけではございません。従いまして、公社の方で、今度の意見の中で監督体制をこういうふうに考えているという点については、そのことと直接私ども郵政省として考えております電気通信監理機構の整備というものとは関連していないということだけを私からお答え申し上げます。
  16. 靱勉

    説明員(靱勉君) 政府監督をどういう体制にするかということをきわめて簡潔に申し上げますと、こういう事業にあっては一般の公益事業に対すると同様にしていただきたい、一言にしていえばそういうことです。従いまして、事業計画、外部資金調達計画等については、これはやはり政府としまして当然監督を強化するでしょう。さらに、これだけの企業でございますから、決算によって経営成績を十分判定して御監督を願いたい。つまりサービス面、それから要するに国民の利益にどういうふうにこの企業が対応しているかというような点を監督していただきたいのであります。率直に申しますと、一番現在監督の面の強いのは予算を中心とした監督ということでありまして、こういうものはやはり目的を、一般公益事業におきましても、御案内のように電力事業についてはいろいろ政府の財政投融資も行われている、そういうものについては別段拘束予算的なものではないのではないでしょうか。まあNHKあたりを見ましても、国の関係予算としては出てこない、あるいは国際電電でありますと予算は出てこない、こういう形になっています。やはり公益事業に対する、要するにそのサービスがどうあるべきか、計画がどうあるべきかという点を十分御監督願いたい。また経営政策というものは、当然政府の全面的な出資事業でもありますし、御監督を願いたい。そういう観念でやっていただきたい。決して監督を排除する意味ではないのであります。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 この問題については質問はこれで終りますが、特に電電公社公共企業体になりましてから五年間たっておるわけですが、この間における公社企業努力というものは相当にこれは評価していいと思うのです。ただ、いろいろ問題があるものですから、こういった意見も出てきたと思うのですが、この中には、一の設備資金調達等については、私はこれは民間出資に安易な道を開くということでなしに、やはりさっき申し上げましたような財政投融資の道を政府に講じてもらうという大方針をやはり公社としてはとるべきだと私は思うのです。そういう意味において一つこの点は大いに努力してもらうと同時に、二の責任体制については私たちも全く同感に思います。それから三の自主性の強化ですが、これはもう全くわれわれ賛成でして、確かに過去の労使紛争なんかを見た場合でも、給与総額制度というものが非常にじゃまになっているのは事実でありますが、こういう点、私たちはまことに当を得たものと考えております。従って、これからいろいろ公社当局として、この委員会から質問されることも、また意見を求められることもあろうと思いますが、そういう際には、私たち意見も十分参考にしていただきまして、公社意見として出していただいて、今後の公社制度の万全を期していただくようにお願いしておきたいと思います。  それから次に、第一次五カ年計画の中で、公社外国から新しい機械を導入しているといいますか、いろいろ持ってきてやられておるんですが、その中で特にきょう質問したいのは料金計算機のことなんですが、公社では今日IBMという機械とパワースアマスという二つの機械が、片やアメリカから、片やイギリスから入ってきておるようですが、私たち考えてみますと、確かにいろんな機械が世界にあるわけですから、どの機械を使うかということは、これは公社自主性によってきまるものだと思うのですが、ただ、日本のような非常に財政的にも貧弱な公社経営を見た場合に、どうも二つも外国から機械を持ち込んできて東京と大阪ではIBMでやっておる。これは借りておるんだそうですが、今度名古屋へ行ってみますと、パワースアマスというイギリスから持ってきた機械を入れて、そうして盛んに訓練をしているというようなことで、新しい機械を求めることは私は別に反対しませんが、その求め方がいかにも行き当りばったりじゃないか。IBMを入れてどうもこれはまずい、従って、今後はパワースアマスにしていくんだ——こっちの方がこれだけのよさがあるんだという確信に基いて入れてきているのなら私は別だと思うのですが、そうでない、両方今やってるわけですからね、大阪と東京と、名古屋で。違う所でやってるのですが、これはどういうことなんですか、われわれさっぱりわからぬです。そのいきさつをきょうは一つ明確にお聞きしたいと思うのです。
  18. 靱勉

    説明員(靱勉君) 料金計算につきましては、在来わが国におきましては、市外通話料金と、実際まあ総額だけを加入者の方に御通知して料金を納めていただくという形になっております。これにつきましては、サービスの点から申しますれば、やはりどこへかけ、その通話は何通話であって幾らであると計算書をつけてやる、これはもうアメリカの連邦通信委員会においては、国内の各企業体にすべてそういう指示をいたしておって、詳細な、要するに料金の細目を御通知してちょうだいしておる。日本ではまあ在来そういうような形は、国営でもありましたし、必ずしもとってなかった。そこで、戦後いろいろと御批判もあって、全く何かつけみたいなもんだという非難も強かったわけであります。しかも、これを全国的にやりますということは、非常に設備上あるいは人員の問題からいっても、手数からいってもできないというので、まず東京にそういう方法を実施したいということで、アメリカのATTの大きな電話局において使っておるようなIBMの方式を採用した。しかしながら、このIBMの機械は非常に優秀な機械でありますし、単に料金計算ということじゃなく、いろいろな諸統計をとるについては一番優秀といわれておるわけでありますから、料金計算だけをとれば、必ずしもそれによらなくてもいい、やはり経費の点その他を考えて、さらにできれば日本の国産のものでも考えていくというような方向にわれわれは進むべきものであると考えておりましたが、当時そういうようなものがなかった。もう四、五年前から検討してみますと、英国を中心として欧州の諸国の料金計算はパワースアマスでやっておるということがわかりました。それをまあ二年か三年検討した結果、料金計算はパワースアマスの方で十分間に合うし、しかも、それが経済的であるという結論に基いてようやく名古屋にこれから試験的にやってみよう。私どもはなるべくなら、むしろ国産の優秀な料金計算機が将来発展しますれば、これをまた大都市に採用していくという方法を当然考えておりますし、IBMを東京、大阪以外にさらに名古屋その他に直ちに持っていくということでは、やはりわれわれの研究も足らぬというような次第で、今試験的に入れてるわけです。そういうような次第でございますが、まあ両者の機能の特質その他について詳細にもし御質問がありますれば、業務局の次長の方から御答弁申し上げたいと思いますが、基本的な考え方はそういうところに立っておるわけです。無方針に、一つはアメリカ、一つはイギリスというような考えでは毛頭ないのであります。できるだけ経済的に、しかも、料金計算に間に合うような、比較的簡単なものは一つやっていきたいというような考えで、さらに将来は国産化されたものがあれば、これも採用していくというような形も考えにゃならぬ、これが基本的な考えです。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 IBMはIBMとしての特性があると思う。パワースアマスはパワースアマスの特性があることは私はわかるのですが、それで機械を日本に持ってきて、実際にやってみて、その結果いいか悪いかを判定して、それからどっちにするかをきめるのだ、こういうことだと思うのです。そういうことが私はちょっと問題があると思うのです。必要があれば、将来の非常に合理化として大きな問題ですから、人を派遣して実情を詳細に調査するとか、そういうこともあってしかるべきだと思うのです。現に機械は持ち込んでしまって、その中で実際にテストをやってみて、いいか悪いか試すということがちょっとずさんな考え方ではないでしょうか。私は名古屋においてもIBMを当初やっておられて、それが途中から変更になっておる事実も知っているのです。そうなりますと、もう少し的確な機械の性能の判断をした上でどちらにするかということをおきめになった方がいいと思うし、特に問題を提起したいのは、こういう発信交換証というのがあるのですが、御存じと思いますが、これに交換手が何番というとき書き入れるわけですが、それが鉛筆で横に書くわけだそうですが、縦のラインにかかると穴が機械的にあかないということでございました。非常に操作上困難が伴っているのです。ですから交換手の人たちが実際交換台について加入者から受信をする場合、必要以上に神経を使わなければならぬということで、相当にこれは問題になると思うのです。ですから確かに料金計算をやるそのものについては機械がするわけですから、IBMの機械そのものはいいかもしりませんが、一方仕事を実際にやる運用の面から見ると、交換要員の負担相当過重になっておる事実もあると思う。現にこの交換証でやるとすれば、相当運用部門の人もふやさなければやり得ない、こういうような一つ考え方も出ているように聞いておるのです。そうなりますと、そういったものを日本に持ち込むこと自体に問題があったのではないかと思うのです。その辺の判断はあらかじめわかっておったわけですから、どうして私はIBMをやめて途中からパワースアマスを日本に持ってきたか、そのいきさつが今の副総裁お話ではわからないのです。もう少しこの点一つ、どういう理由でパワースアマスの方が明確に、こことここはこれだけいいんだ、コストもこれだけ安いのだ、経済的に見て。そういうふうな自信を持って持ってこられたと思うのですが、そういう点がはっきりしないから、私はどうも行き当りばったりの政策ではないかと考えておるのですが、どうですか。
  20. 靱勉

    説明員(靱勉君) 試験的なという言葉に、そういうふうにとられたことははなはだ遺憾と思います。もちろん相当設備をする場合は、多年実験研究し、また実験の結果について十分検討しております。しかしながら、すべてみずから使ってみなければ、日本のいろんな事情からいろんな問題も出てくる、これは単なる計算機だけの問題ではなしに、クロスバーにしても、マイクロウェーブにしてもそうだと思います。やはり自信を持ってパワースアマスをもって料金計算はそれがベターであるという考え方に立っておるのです。直ちに東京、大阪のIBMをかえてしまうというところまで実際にやってみなければわからない。しかし要するに、そこは欧州諸国における結果から見ると、そういうふうなあやふやなものを持ってきてやっているというわけではない。そこで、どういう点がベターであるかということは次長からお答えいたします。
  21. 千代健

    説明員(千代健君) ただいま副総裁の申しました点について、このパワースアマスの方がIBMよりよいと、こういう判定を下した理由でございますが、一つは、経費の問題で名古屋自体を、名古屋の局の交換証全部のIBMによる場合と、それからパワースアマスによる場合と比較しますと、約千五百万円ばかり年経費の相違が出て参って、パワースアマスの方が有利でございます。それから作業内容としまして、IBMでございますと、一回交換取扱者が市外交換証を書きましたものを、IBMのパンチャーがそれを打ち直すということになっております。従いまして、どうしてもそこに間違いが起りやすいケースが一回多く出るわけでございますが、このパワースアマスの方法によりますと、先ほど鈴木委員の方からお示しされた交換証がそのまま機械にかかりまして機械の作業でパンチを入れる。従いまして一回間違いの起るケースが少いという有利さがございます。それからIBMの方はたしか八十けたと思いましたが、これが四十けた、半分の大きさでございまして、この消耗するもの等が一体に小さくて、先ほど申しました経費的に安いという以外に、置き場所その他においても非常に、あと四年とか五年とかいう保管の場所等も考えますと相当有利さが出てくる、こういうわけでございます。  それから先ほど御指摘いただきました交換取扱者の作業が非常にめんどうくさくなるのじゃないか、この点が私ども御指摘の通り最初から一番苦心して研究したところであります。ちょうど二十九年の一月からこれを研究いたしまして、私どもの内規で内定をいたしましたのが三十年の五月、ちょうど一年半かかってこのことをいろいろ研究したのでありますが、内定をいたしまして、さらに私どもの当時の営業課長はこの研究のために英国に行きまして、日本の番号の書き方、英国の番号の書き方というものを比較検討しまして、今度輸入しました機械は、英国にある機械に若干の改良を加えたものでございます。詳細は省きますが、操作穿孔機というものの中で、英国では八けたの方法をとっておりますが、その部分を日本に適するように九けたにしましてやったような次第でございます。この点は、英国において最初これをとられたときの話をいろいろ聞いて参ったのでありますが、最初はなるほど訓練が不十分であると非常な過労を伴うようなことを言われたのでありますが、なれるに従いまして、現在英国では日本とほぼ変らない能率でやっておるということで、われわれ非常に力を得た次第であります。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、いずれもIBMにするか、あるいはパワースアマスにするか、現在においてははっきりしていないわけです。今後どの機械を使うかということに対してははっきりしていないと思うのです。聞くところによると、十一月一日から名古屋では実施をするというようなお話なのですが、実際には今お話のありました運用部門における本切りかえに伴う交換要員の負担というものは、作業の負荷というものは相当多くかかってくると思うのです。ですから、そういう実態で果して十一月一日に切りかえできるのかどうか、私どもは非常に不安を持っているのです。ですから、そのパワースアマスを名古屋で十一月一日から実施して、また今度は何年かたってIBMは大阪と東京でやって、名古屋はパワースアマスだと、こういう二つの機械をある程度、一年なり、二年なり実施してみて、その結果IBMにするのか、パワースアマスにするのか、こういうことをきめて、どちらにするか、IBMにきめるのか、IBMは今借りているのだそうだが、将来日本に売ってもらえるのかどうかわからないのですが、そういうきめ方の方法でいくのかどうか、この辺の方針はまだはっきりしていないのですか。
  23. 千代健

    説明員(千代健君) 今お話があった点で、最初の切りかえの予定の問題でございますが、この方は一応十一月の一日というものを目安にいたしまして、五月から訓練を、まだ比較的短期間きりやっておりませんが、現在のところ、能率等を考えますと、当初の目安は少しむずかしかったのじゃないかという点を考えて、現在のところでは、大体十一月の十一日ごく一部を切りかえてみる可能性は出てきたように思いますが、なお、ここ毎日データをとりまして、もう少し結果を見なければまだ確定的なことは言えないというのが今日の状態でございます。切りかえも全部を一挙に切りかえるというようなことは、とても今のところではだれも考えておりませんで、よくこれは現場とも話し合って十分な自信を得てから切りかえよう、こういうようなことを考えておりますので、十一月の切りかえということを最初の目安に置いただけで、十分な成績が発揮できるというときに切りかえたいと、こういうように考えております。  それからこれはよければどうするのだというお話でございますが、この機械がこれでいいことは私どもは確信を持っておりますが、今経費計算等で、ごく最近の情報でございますが、アメリカの独禁法の関係で特許の公開という問題が、先般新聞にも報ぜられまして、このIBM機械も特許の公開に伴って出されたわけでございますが、この際、従来は全部貸していくというのが、アメリカ国内では五カ年間貸しつける、これは私の新聞その他から得た知識にすぎませんので、あるいは間違いかもしれませんが、五カ年間は借用で六年目からは定価の何割引きかで年々これを払い下げする方法をとる、譲渡する方法をとるということが言われておりますが、日本のIBMの方を聞いてみますと、来年の七月あたりからこれを実施に移して、五カ年の借用のあと、それから年ごとにいろいろ率が変りますが、定価の一定の割引きをもってこれを譲渡するというようなことも今考えられておるようでありますが、そういったことも関係ございますが、今のところ、私ども計算してみますと、なお、このパワースアマスの方が有利なように計算が出ております。これをあれやこれやするというようなお話でございますが、パワースアマスがこれが成功いたしますと、もちろん将来十五年先とか十年先のいろいろな料金の課金方式の機械化の問題が根本的にはございますが、この期間ともあわせ考えて、これを他の局にも拡張するかどうかというような問題を考えたいと思います。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 後段の方はわかりましたが、前段の切りかえの時期については、別にわかっておらないのだ。よくわかりました。ただしかし、あなたの説明ですと、イギリスではこういった交換書に記入する場合でも非常にいい成績をおさめておるのだというので、日本でもやれるのだというお話でありますが、この訓練は現地の今名古屋の中央電話局でやっておるようですが、その訓練の成果というのははっきりわかっておるのですか。それであなたの方では、かりに切りかえるときに全然運用部門に対して要員の補充ということをせずにやらせようとしておるのかどうか、その辺はどうですか。
  25. 千代健

    説明員(千代健君) ただいまのお尋ねの訓練の成果でございますが、これはずっと継続的にとっておりまして、非常に成績がよくなっております。それから要員の補充が必要かどうかという問題でございますが、これは必要があれば当然補充する。ただ現在のところでは、切りかえを徐々にやっていきますと、そういった今あと何名補充しなければいかぬという問題が起るということは非常に疑問に思いますが、もちろん人が足りなければ補充したいということは当然考えられる点でございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 何か自信のないようなお話なんですが、質問の中で、IBMを持ってきてこれを試験的にやったのだが、大体調子がいいので東京、大阪ではすでにこれによって交換書を発行しておるようですが、その中で名古屋でも同じようなことをやっておったのだが、途中でパワースアマスを持ってきた。そういうことが今の次長のお話ですと、パワースアマスの方が非常に機械が優秀であるし、また経済的に比較した場合一千五百万円ぐらいですか、それが安い、作業内容についても若干いい、こういうことでパワースアマスを入れてきたのだ。このパワースアマスはすでにイギリスからも買ったものですから公社の所有になっておると思うのです。ですから、公社の所有になっていると思うのです。そういう何といいますか、二つの機械を持ってきて、いずれにしても今どちらがいいのか、ある程度成果を見比べておるようなことにもなると思いますが、そういったことがやはりそこに働く従業員なり、一般的に見た場合に、何かしら疑義を持ってくると思うのです。ですから、どうして公社はIBMとパーワスアマスと二つを持ってきて、こんな狭い日本でやっておるのかという疑義を持っておる人も多いと思う。その点は私は非常に疑義を持つこと自体に対しては、何といいますか、遺憾な気持を持つわけですが、しかし、現実的にはどうしてそういう機械を持ってきたのだ、しかも、相当期間IBMを訓練してなれてきたところへまた切りかえられてしまった、そういうところから揣摩憶測が起ってくると思う。そういう点、国会の中で今までこの二つの機械を持ち込まれた経緯というものが明確になれば、それで国民も納得すると思うし、従業員諸君も納得すると私は思うのですが、その点、副総裁の御答弁では明確になったと思うのですが、しかし、まだ私の気持の中に残っておる点は、あまりにも、何と申しますか、こちらにこういう機械があるからこれを持ってきた、こちらにこういう機械があるから持ってきた、そうしてどちらがいいか比べっこしているのだ、そういうものの考え方に対して、もう少し的確な見通しを立てて、そうしてこういった機械を持ち込む場合には考えていただかなければならぬというように私は思うのです。これは過去の問題ですから、そういう何かいろいろな憶測が立つようなことでなしに、十分に二つの機械を検討していく立場に立って持ってきたんだということははっきりしたと思うのですけれども、しかし、どうもまだ副総裁の答弁でパワースアマスを入れてきた経過というものが若干不明確のように思うのですが、この点をもう一ぺん明確にしていただくと同時に、今後この問題の取り上げ方について、千代次長からもお話があったのですが、どういう方針で、どのくらいの計画で、どちらかへ整理するのか、あるいは二本建でやろうとしているのか、この点を一つ総裁から明確に御答弁いただいた方がいいと私は思うのです。
  27. 靱勉

    説明員(靱勉君) 前に御説明申し上げましたように、IBMの機械が優秀ではないとは申さないのです。これは計算機といたしましては非常に高度の計算機でございます。しかしながら、やはりそれの借料等経済的に考えなければならぬ。この問題につきましては、全般的にも私は問題があった、それで料金計算という見地から見れば、パワースアマスによって経済的にやった方がいいという結論でやったわけであります。それは小さい国に二つあるとおっしゃるけれども、それは東京、大阪にはそういうものはなかった。それでこれは三年なり四年かけて検討した結果、料金計算としてはパワースアマスが有利である、よりベターな点が多い、こういう結論に達したのであります。先ほど申したように、さらにたくさんなものが、もっとよくなって、簡便で安いものができてくれば、ほかの都市に当然及んでくるということは考えられますが、当時の情勢としてはそういうことまで考えられなかった。そうかといって、IBMは私の方としては全然不要とは申しておらない。いろいろな統計資料を作るためには非常に優秀な機械でございますから、使うわけでございます。料金計算という見地から見れば、さらに安いものを使っていくことは当然だと思うのであります。さらに技術の進歩がやってくればさらに対象を考えなければならぬ、こういう点からも、ただあちらからも、こちらからもというものでは絶対ございませんから、その点十分御了解願いたい。  最後におっしゃられた点、はっきり聞き取れなかったのですが、どういう……。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 今後この機械を二つをどういうふうに取捨選択していくのか、二つとも使っていくという考え方か、それともどちらか一方に持っていこうというのか、さらに優秀なものがあればどこから持っていこうというのか、話を発展させればそういうことだと思うのです。ですから、その方針というものをできたらここで明確にしてもらいたい。
  29. 靱勉

    説明員(靱勉君) それは東京のIBMになれた人を名古屋に移すとか、あるいは将来福岡へ移すとかいうようなことじゃないのであります。やはり先ほど言ったような特徴があり、有利と思われる機械について訓練をして参りますれば、これは東京で一つ使い、名古屋で別のものを使っておっても、それ自体私は問題ないと思う。そこで、先ほど来から申し上げておりますように、IBMで将来永久にということはもちろん考えないわけであります。パワースアマスは今後本格的にしよう、非常にパワースアマスがわれわれが確信を得たように便宜であり、経済的であるということが全体にわかって参りますれば、あるいはこれを、先ほど申したように、現在の段階でいいものにこれを取りかえるか取りかえないかという問題は起りますが、それはやはりただいま申したように、本格的な実施を待って検討する、こういうことであって、それは進歩でございますから、当然そういうことは考えていいことだと思います。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 非常に不明確ですから、私は自分の意見として申し上げておきますが、やはり日本のような国で二つも三つも四つも、新しいものができたからということで持ってくるというのは、けっこうでしょう。しかしながら、そういう私は段階でないと思うのです。ですから、IBMを入れたところで当然IBMならIBMとしての長所、パワースアマスはパワースアマスとしての長所、短所があったと思うのです。全国的に、全世界的にどういう計算機があるのか、これは資料をとって十分検討した上で、日本の国情にどれが一番合うか、その上に立ってやるのが私は一番正しいと思う。当時占領下ですから、あるいはアメリカの鼻っ柱の強いやつが来て、これを使えといったようなことがあったかもしれませんが、これは憶測ですからわかりませんけれども、いずれにしても、そういう経緯でIBMが入ってきたのだが、その後イギリスへ行ってみたらこういういい機械がある、これを使ってみたらどうかということで持ってきたと思うのですけれども、そういうことが、いかにも今から考えてみると、無計画なような点があったのじゃないかということを私は心配するのです。しかも、こういう交換手を使ってやる場合には、人は確かに向うからこっちへ持ってくることはないのです。しかし、パワースアマスによって生ずる運用の部門というものは、IBMと違った問題点が残るから、そういう点を総合的に判断してみると、IBMがいいのか、パワースアマスがいいのか、はっきり私は結論が出せないと思うのです。だから、そういったことでなしに、もう少し以前の検討があって、これからいろいろ新しい機械も入ってくると思いますから、今後の問題もあるので、その研究調査一つ綿密なる計画によってやっていただきたいということ。それからできればIBMについても、料金計算ということも当然機械化されていくでしょう。だから、同じ紙を使っているのでも、名古屋ではこういうものでやっていく、東京、大阪では別のIBMでやっていくということではなくて、できれば一つの機械で統一していく方がいいのじゃないかという気持も持っているわけです。ですから、将来また新しい機械ができたら入れるということも一つの方法かもしれませんが、しかし、それを切りかえるたびに訓練することを考えてみれば、しかく簡単にもいきませんが、IBMならIBM、パワースアマスならパワースアマス、二つの機械が入ったのですから、どちらかにきめて今後おやりになった方がいいと思いますから、この点は私の意見として申し上げておきたいと思います。
  31. 山田節男

    ○山田節男君 今の鈴木君 の質問に関連して一応御質問申し上げたいと思うのですが、過日ロスアンゼルスに電電公社、それから国際電電会社の生産性向上視察の一行が来ておりまして、まだサンフランシスコへ着いて一週間足らずの間に、サンフランシスコとそれからロスアンゼルスの電話会社の視察をやった。四日目に私は会ったのですが、君たちは一体どういうふうにこれを感じているか。ところが、これはお話になりません。とにかく非常なこれはオートメーション化です。これは私たちも今度は施設は見ませんでしたが、この前行ったときに見ても、ことに電信電話サービス業というもののオートメーション化、これはことに電子科学——エレクトロニクスの科学が進歩したために、もう過去三年間に想像すべからざる進歩をした、ちょうどレセプションのときに、あそこのジェネラル・テレホーン・カンパニー・オブ・カルフォルニアの技師長をしているバーンズという人なんですが、この人が言うのに、この人はおそらく今私たちが極度のオートメーション化をしているけれども、この数年間にまだもっとこれは、何といいますか、過激な、ドラスチックな変化があるということを予想して、今のサンタモニカ地区の新開拓地はそういう意味で今企画を立っている。これは今後の電信電話サービス業のオートメーション化、機械化ということも避くべからざる趨勢なんです。われわれ今ここに示されている第二次五カ年計画においては、いろいろ新規サービス計画が立っている。これはオートメーション化ということがなくてはもうできないはずです。そこで、鈴木君がいろいろ質問されている中には、人口過剰な日本ではオートメーションと不要の人員との大きな労働問題、社会問題が起るわけですが、しかし、これは大勢としてはしようがない。サービス改善サービスの質をよくする、能率をよくするという点からいえば、これはやむを得ないと思う。ですから、人員の排除の問題はこれは別問題としまして、やはり公社自体として、電信電話サービス改善ということになれば、オートメーションに対する一つの基本方針というものを公社は立てなければならない。立てないところに、今鈴木君が指摘されるようなIBMなり、あるいはイギリスの機械ということを言われますが、これは私は機械は比較検討して最も国情に合うようなものを採用するというためには、これは三つでも四つでもテストするということは非常にけっこうだと思う。ただしかし、そのテストする場合に、これだけの大きな組織ですから、そうすればただ単にダイヤルを自動化するというようなことに伴う計算をオートメーション化するということ以外に、もっとオートメーション化するものがたくさんあると思う。ですから、むしろ公社としてはこれは技術専門家に将来のオートメーション化、これは日進月歩しておりますが、しかし、現在においてベストのものは、日本に最も適しているものは何かということを絶えず比較検討する一つの部局といいますか、ラボラトリーを持つべきではないか。ですからビジネスとしてのオペレーションから、そういうことをやるから今みたいな人員の不平が出ますが、大きな組織で全国に普遍化するにはどれかということを比較検討することが最も必要なことである。ですから、私は公社の将来のオートメーション化という避くべからざる趨勢に向っている以上は、そういう一つの専門の比較検討する電気通信研究所もあるのですから、これをもう少し善用されれば、いかに比較検討するかということを今のような現場でやらないで、研究所で自信がつくまでおやりになる、そしてこれなら大丈夫だということを、これはやはり私は極力実際化していかなければならぬと思うのです。こういう点どうですか。また私よく知りませんけれども、今まで電気通信研究所のような非常にりっぱなものを持っておって各部局が研究をされていると思うのですけれども、どうも現場における実際に見る電気計算機ということが総合的に比較検討されるというようなことが割合に今日までおろそかにされたとは言いませんけれども、総合的な調査研究が足りないのではないか。ですからこれは総裁その他の技術専門家にしても、これは私は時期が来ているのではないかと思うのです。この第二次五ケ年計画のこういうサービス改善ということは、当然これは大きな問題だと思うのですが、これちょっと今拝見したところでは、そういうオートメーションという言葉を使っていませんが、公社としては、将来やはりそういうことについて今のような問題を起さないようなやり方があるのではないか。今の副総裁の御答弁を聞けば、そういう言葉はないのですが、もしそういうことをお考えになっていないならば、私は今後そういうやり方でやってもらいたいと思うのですが、なお、それによって生ずる人員問題、これは私は当然一つの人事問題になるわけですから、これもやはりあわせてオートメーションのスピード化と人員排除をどうするかという、これまた大きな問題だと思います。ですから、私はどうしてもここに基本計画公社としてお立てになる必要があると思います。御答弁いただければ御答弁いただきますが、もしそういうなにがなかったならば、私はぜひそういうように一つやってもらいたいということをお願い申し上げます。
  32. 靱勉

    説明員(靱勉君) まことにごもっともな御意見でございまして、オートメーションの将来に対する、ことに、電信電話事業を中心とした問題につきましては、御指摘のようにやはり何か総合的な部門を設けまして真剣に検討していく必要があると思います。私まあ技術のことをよく存じませんけれども、私どもの当然の知識といたしまして、さらにいわゆる電信回線、電話回線を用いまして各会社等のいろいろなデータを電送して、そうして整備して資料を作るというようなことが民間においてはだんだんと進められているわけです。私どももこの電気通信技術を中心として、それらとの連絡と申しますか、こういうことも考えていかなければなりませんし、これはまあ全体的な問題でございます。御指摘の公社内部における自動化、機械化の将来の体制というものにつきましては、実は第二次五カ年計画におきましては、必ずしもまだそれほど発達した段階では私はないと思います。あるいは将来もっと電子交換機の発達ということも考えていかなければならぬと思います。また一方御指摘の要員問題、これはなかなか重大な問題でございますので、第二次五カ年計画としては、両者あわせて現在想像し得る、実用化し得る段階において考えたというのでございまして、初めの御紹介になりました話、あるいはアメリカにおける非常な発達した形というものが、今この第二次五カ年計画においてはまだ必ずしも考えられていない。しかしながら、たとえばニューヨークその他において実施されておりますところの料金の計算といいますか、アマというシステムで全都市外通話のものまで自動的に記録するというような方式についても、目下通信研究所でも研究しております。今のところ、すでに向うで実施されているものでもなおこれの技術研究につきましては、研究所でただいま真剣にやっているというような段階でございますから、今御指摘のように、全体的な問題を総合的に専門的に検討する組織というものを持つ必要があると思います。そういうような点も十分検討して実施していきたいと思います。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 第二次五カ年計画を拝見したのですが、この中で、今山田先生も触れられておったのですが、この中で要員問題が非常に大事な問題だ。ことに、第二次五カ年計画におきましては、ややともすると計画を立てる場合に要員対策というものが若干おろそかになったきらいもありまして、そのことが労使間においても相当紛糾を起しておったと私は思うのです。そこで、この計画を見ますと、その点に相当配意をして、この目標のところに「要員問題並びに関連産業に及ぼす影響等をも考慮して、計画の適正を図る」と、こういうふうに基本的に考えておられるので、これは私も非常にけっこうだと思います。そこで、具体的には五十三ページの三にあります「要員問題」を見ますと、第二次五カ年計画を遂行する中で、いろいろな設備の近代化もやられるようでありますが、五年間の要員の増減を見ますと、減る部門もありますが、またふえる部門もあるということで、「全体としては相当多数の増員を必要とする見込である。」、こういうふうに書いてあります。しかも、その減員に当っては円満に行けるように計画を立てていきたい、こういうことですから、われわれが年来主張して参りました考え方がこの中に出ておることは、非常に私は喜びにたえぬのでありますが、なお念のために聞いておきたいのですが、いずれにしても、要員問題の中で示されておられますように、私も総体的には人がふえなければならぬと思います。しかし、ふえるのだが、全国的な組織の中でふえるわけですから、部分的に見ますと、やっぱり配置転換ということが、職種転換ということが相当起ってくると思う。ところが、今日一番ガンになっておるのは、賃金において非常に段差といいますか、地域によってアンバランスがあるということ、それから率直に言って、住宅事情等も非常にまだ不完備である。さらにまた、局舎事情につきましても、ある局は非常にりっぱな局になっておるのですが、ある局はまことにきたない老朽な庁舎の中で仕事をしておる。作業条件が全然違うのです。そういったアンバランスがあまりにもひどいと思うのですよ。ですから、そういった点を総合的に判断をして、長期に配転、職転はどうしてもやはり考えなければならぬと思う、最終的には。ですから、そういう場合に、職員が受け入れられやすい条件を備えてやるということ、これが一番大事だと思う。そういった点につきましては、残念ながら抽象的に、円満に行けるように配意するのだ、計画を立てていくのだということですが、具体的な内容が盛られておらないのですけれども、それらに対する配意はどういうふうにお考えになっておるのか、この点を一つお聞きしておきたいのですが。
  34. 靱勉

    説明員(靱勉君) 御指摘のように、この要綱におきましてはきわめて簡単に書いてございますので、そういう御質問になったと存じます。ただ、この要員計画につきましては、私ども地方通信局あるいはその通信部段階におろしまして、詳細にこの計画に基きまして、過剰あるいは少いと申しますか、足りないというものを検討しまして、全国的に一つのいろいろな、何と申しますか、要員地域というようなものを考えてみまして検討して参っておるわけであります。そこで実際におきましては、あくまで当然能力があり、またこの職業に従事したいという希望がある場合には、これを外へ排除しないで、内輪で吸収していくというような措置を当然まず第一に考えなければならぬわけでございますけれども、女子等におきまして、特に地域的に必ずしもそれが可能でないというような事態がありまして、その問題の解決に一番腐心しておる次第でございますが、そのためには、あるいは新しい、要するにサービス面におきましては改善なり、ただ無駄な仕事をしていただくというのじゃなしに、積極的なプラスになる仕事をしてもらって、そこに人が従事できるという態勢をあれやこれやと現在検討しております。と同時に保守面その他の面におきまするところの配置転換、あるいは現在考えておりまするところのいろいろ臨時的な作業員の問題、これらにつきましても、二年、三年ということで期間的にお約束して、そのままやめていただけるかどうか、これらもあらためて今検討をいたしておるわけでございますけれども、まあ明らかに二年か三年で自動化になってしまう、その要員は、その付近を見回わしてもなかなか配置転換をする余地がないという場合において、ある程度のやはり臨時作業員といいますか、期間的な要員というものを前提にせざるを得ないじゃないかというような問題もありますし、あるいは労働条件についてもなお検討を要するものがあるかどうか、そういうような面で今総合的な実はこれの具体的な細目は検討しておるわけであります。大部分完了しつつあるのでございますが、なおもう少し検討を要するものがありますので、公社といたしましては、ただいまのところ、もちろんこの五カ年計画も組合にも示して、また組合からもいろいろ要求事項が出ておりますので、労働条件に関する問題等については、今後十分話し合っていい案を得たいと、こういう段階でございますので、この案におきましては、きわめて抽象的に書いたような次第でございます。
  35. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記やめて下さい。    〔速記中止〕
  36. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それじゃ速記をつけて下さい。
  37. 山田節男

    ○山田節男君 今のオートメーションと人員配置の問題で鈴木君から重ねて質問があったわけですが、これは少くとも第二次五カ年計画は第一次五カ年計画とはだいぶ性質が違うと思う。第一次五カ年計画では、やはり戦災による破壊されたものの整備とそれから電話の拡張、それからサービス改善ということが主たる内容だったと思う。第二次五カ年計画になって、百数十万の電話をふやすというこの電話、そういうものを主体とした五カ年計画で今までと違うということは申すまでもない。従って、第二次五カ年計画は、時勢から申しましても、やはりサービス改善ということになれば、オートメーション化することは必然な勢いである。そういうことになれば、今鈴木君が提示されておるようなこの問題は避けることができない問題で、そういうことになれば、一応公社として、それははっきりした数字は、何万人要らなくなるということは、これは言えないと思う。しかし、ごく大まかにいえば、これはもう現在の人員ではもう余るということは言い得るのですから、ですからこういう五カ年計画とあわせて、こういう人的方面をどうするのだということの、公社経営者側としての一応の私は基本的の態度というものはきめなければならぬ。そのうちに、労働組合と団体交渉の形式なり、あるいは団体交渉でない協議の形態において、労働組合といえどもそういう趨勢をやはりあくまで否認して、いわゆる神風連のような態度をとるということはこれはあり得ないことですから、ですから一応公社としては第二次五カ年計画においては、当然起ってくるヒューマン・ファクターの、人的要素をいかに扱うか、この基本態度は私は一応これと時を同じゅうして発表さるべきものだと思う。これにはただ計画を羅列しただけで、最も重要な人的方面に対する五カ年計画というものの態度というものが示されておらぬわけです。これは単なる電電公社の労働組合に対する問題でなくて、これは国会にも堂々と表明さるべき——どうもこれは電電公社ばかりじゃありませんけれども、すべて計画を立てる場合には、人的方面はどうするのだということを基本的に態度を明確にしないところにいろいろな争議、あるいは何といいますか、従業員からいえば、不満、苦情が出るのだ。だから今度お立てになった五カ年計画は、計画としては私は技術的にりっぱなものだろうと思いますけれども、これだけの人員をかかえての組織ですから、ぜひ一つ別冊でいいですから、別冊において、われわれはどういう態度でいくかということを一つこれは示されて、そうして労働組合にも示し、同時に国民並びに国会にこれを示すというようなことをされることが、これが一つ事業合理化の一歩なのです。どうも今まで日本事業界を見ますと、そういうことが非常におろそかになっておる。人的方面をもう少し重視していただくためにも、それから不要な労使紛争を避けるためにも、私は計画をお立てになると同時に、その方面の一つ計画も立てて、国会、組合、あるいは国民全般、あるいは政府に対して明示されることが必要である。私はさように考えておるから、一つこういう意見もあるということを十分勘案されて、こいねがわくば、私は別冊としてあなたの方の公社態度一つお示し願いたいと思う。希望になりまするから答弁はあえて要求いたしませんけれども、どうも私この点は日本事業家において忘れがちの弊害の大きなものの一つだと思う。
  38. 靱勉

    説明員(靱勉君) まことにごもっともな御意見でございます。私ども当然そういうことも考えまして、この五カ年計画の要綱で最後の要員問題はきわめて簡単に書いてありますので、いろいろなそういう御指摘を受けるので、これはまことに申しわけない次第でございますが、この計画考えました場合に、常に要員問題を考えつつやりました。従いまして、自動化のスピード・アップ等につきましても相当調整をいたしました。そこで、公社は前から持っております基本的方針というのは、実は確立いたしておるのでございまして、公社の社員につきましては、自動化、機械化、合理化によって強制的な解雇はしないという原則に立って検討しておりますが、その点につきましては、実はあまり問題はないのでございます。ただ、明らかにこれはもう数年、二年か三年かして自動化されるところに、それでもなお電話をどんどん増設して、市外線を増設していくという場合に、新しく要員を必要とする、それをそのまま増員していきますと、あとでどうにも、何と申しましても、機械化されちゃえばその要員の処置が困難であるというので、本委員会におきましても問題になりましたが、期間的な臨時作業員を採用しておる、これが一つの問題になっております。これらをどういうふうに解決していくかということが、私ども一応一番大きな問題であると思います。なお、御注文の基本的な要員計画と申しますか、そういうものはできるだけ早くごらんに入れたいと思います。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 副総裁、山田委員は答弁要らないと言ったのだが、それに立って言ったのですが、確かに本社員の場合は、公社がお考えになっておるように原則的にやめてもらうことはしない、これはけっこうだと思うのですがね。ただ、そのことだけじゃ済まぬのですよ。部分的にはあれですか、九州で相当人が減る、それをどこかに持っていくのだが、たまたま九州には持っていけないので中国に持ってくるということが出てくる。首は切らないでも当然配置転換をしなければならぬでしょう。さっきあなたも言っておったのだが、女子の場合は、まさか北九州から東京へ持ってくるわけにはいかぬと思う。そういうことがあるので、問題は本社員は首切らぬということを言っておるけれども、その裏にはやっぱり実質的にはやめなければならぬ合理化が進んでくるのだ。だから、それに対する対策をもっと真剣に立てなければならないし、場合によったら九州から中国まで配置転換をしなければならない事態が進んでくると思う。そのためには、やっぱりさっき私が言つたように、裏づけをつけて、そうして配置転換をしてもらうのにもらいやすいような条件をつけるということが必要じゃないか。いろいろと施策を考えなさいということを山田委員が言ったのだと思う。あなたは人員採用のことだけをおっしゃいましたけれども、それでは危険だと思う。その点はそうでなくて、さっき私に答弁したようなそういうことであることを私は確認しておきたいと思う。
  40. 靱勉

    説明員(靱勉君) 配置転換等に全く問題ないというふうに簡単に申し上げましたので誤解されましたが、基本的方針としましては、本社員の方は強制的解雇はしない。その場合に職種転換、配置転換等の問題がありますけれども、今女子の場合におきまして、ある程度自動化した場合に、市外回線をうんと増して、今まで市内電話にかかっていた人を市外電話に回していくというような計画の調整をとっていって、女子社員におきましては比較的九州の人をそう遠くまで配置転換するなんということは考えていないのであります。こまかい点は、先ほど山田委員にお約束しましたように、一つ具体的に案を作ってごらんに入れたいと思います。
  41. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) しばらく休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。    午後零時二十六分休憩    —————・—————    午後二時開会
  42. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまより委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行います。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 最初に大臣にお尋ねしたいのは、現在政府公共企業体の再検討をなされておるのでありますが、御承知の通り公共企業体審議会が持たれております。そこで大臣、御就任なされてからいろいろと電電関係の問題についても御配慮いただいておるのでありまするが、特にこの事業は、五カ年間たっておるのでありまするが、この五カ年間において電電公社電信電話拡充五カ年計画を立てまして鋭意努力をして参っておるのでありまするが、この間において経営上どういう点が悪かったのか。大臣は、もちろん政府審議会諮問されているわけですから、その答申案が出なければ、答申案に対する結論も出てこないと思いますが、大臣としては、まあ政府の閣僚の一人ですから、大体電電公社をあずかる大臣として、どういう点が悪いというふうにお考えになっているでしょうか。その点一つ、最初に基本的な問題だけでけっこうですから。
  44. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 私は、電電公社の現在の制度に対しては、よりよくなることはけっこうでありますが、三公社五現業といわれるうちでは非常に実績を上げておるということでありますので、公共企業体審議会が国鉄その他に対していろいろなことを考えておるようでありまするが、私は電電公社の地方局長会議にも出て参り、私の意見を明確に発表してございますが、公共企業体審議会でいろいろな面から考えて、日本公社はこうあるべきだという線が出れば別でありますが、現在の段階においては、電電公社は三公社のうちでもりっぱに運営せられておるという基本観念を持っておるわけであります。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、現在の公社制度自体に対して、改正するとすれば、経営はうまくいっているのですが、しかし、制度自体についてはどう考えるのですか。
  46. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 制度の問題は、民営にするか、それから官業に戻すか、現在のままかというのですが、これは私、官業に戻すという意思はありません。民営という問題に対しては、できるだけ民営論を私も唱えているのでありますが、電電公社の現在の状態と、日本における電信電話ということ、それからもう一つ、もうすでに終戦までの荒廃したものを復興するという段階じゃなく、これから一つ国際的にもいろいろな第二次五カ年計画を進めようという大きな目標を持っておる現在の立場で考えますと、電電公社の機構は拡充いたしたいと思いますが、企業体そのものの形態は公社形態の方がいいんじゃないかという考えを持っております。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 それで大体わかりました。まあ民営論というのも、遠く昔からあったわけですが、今日まで実現できなかったのは、やはり電気通信事業という特殊的な事業でありますし、全国的な組織の関係ですから、そう簡単に民営論は打ち出されてないと思うわけです。そういう意味では大臣民営のことを考えておられるようですが、どうか一つ、現在の公共企業体運営が正しいという確信の中に今後一つ努力していただきたいと、この点はお願いしておきます。  それから、先般電電公社から審議会に対して意見を出しておるのでありまするが、その際に、大臣梶井総裁といろいろ御懇談をいただいたようでありまするが、新聞の報ずるところによりますと、当然第二次五カ年計画等をやる場合に、問題になりますのは設備資金の問題であります。従って、この資金を捻出するのに、これは大臣のお考えだと思うのですが、公社郵政省との間に共同委員会を作って外資導入、さらに資金運用資金からの追加投資、こういう方法を研究したい、そういうお話が出たようでありまするが、非常にこれは重要な問題でありますから、この際、大臣に御質問をしておきたいのは、外資導入と申しますが、現行公社法上はもちろんこのことも可能だと私は思いますからいいのでありますが、その方法ですね、どういうふうな形でやるのか、非常にこれはやり方によっては、とかく今までの外資導入は何かしらひもをつけられて、これをやるがこうなさいという何かしらひもつきの形になるというように考えるわけですから、こういう点心配するので、どういう形でこれを導入しようとするのか。それから資金運用資金からの追加投資ということですが、これは非常にけっこうです。私たちぜひ一つ、この点は昨日の大臣のお考えの中にもあったようでありますが、ぜひともこういう方向で私はやっていただきたいと思うのでありますが、これらに対する構想等一つ、この際お聞かせ願いたいと思うのであります。
  48. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 公共企業体審議会に対して、日本電信電話制度についてという公社側の原案を提示をすることに対しては、私も異議を差しはさまず賛成いたしております。この問題に対しては、電電公社総裁を初め事務当局から詳しい説明がございました。郵政事務当局としては、これに対してはまだ議論があるようでありますし、少し飛躍論もなくはないのでありますが、いずれにしても、現業の第一線におられる方々がより拡充しようという立場で出されたものでありますから、このまま、郵政省等の意見を加えるべきではない、これは公共企業体審議会にそのまま出して公正な判断の資料とすべきであろうということを私が結論づけまして、これをお出しになってけっこうでございますと、こう申し上げたわけでございます。  なお電電公社及び郵政省との間に何らかの形を持った調査会のようなものを設けて考えようと言いましたことは、これは五カ年計画が四千百億でありますが、五カ年計画で、現在三十二年まで行われて参りました予算計画よりもオーバーするものは大体年間二百億—千億であります。自然増収があったとしても七百五十億が不足すると大ざつぱに見ておるわけでありますが、これは最小やむを得ずどうしてもやらなければならない計画だというふうに郵政省も認定をしておるわけであります。特に私はこの問題に対しては郵政大臣として大蔵当局との折衝に入っておりますから、これは最小限の計画であって、まだまだこれ以外に一つ資金の道があればやらなければならぬじゃないかというふうに感じておるわけであります。それは、この間から内閣一つ関係閣僚懇談会のようなものを作って考えたいというものの中に、今国鉄がマイクロウエーブをやっておるように、自衛隊も警察もやりたいというような話もあったようでありますが、これはやるならば電電公社がやることが正しい、電電公社に悪いところがあったら直せばいいのであって、これは各省各企業体でやるということよりも、電電公社資金計画を改めて電電公社に一貫してやらせるような処置をとりたいという原則論を私は貫いております。そういう新しい問題がたくさん出てきておりますので、郵政省電電公社との間に、相互に協力できるような機関を作って資金の道を研究したらどうか、こういうことを提議をしまして、電電公社側もそれはぜひそうしていただきたいというので、作ろう、こういう段階にあります。特に資金運用資金のワクをどうするか、それから簡保の運用権の問題にも関係して参りますので、私の方でもせめて地方公共団体に貸し付けるもの等に対しては、郵政大臣が妙な権限を振り回そうとは考えてはおりませんが、郵政特別会計や国際電電電電公社に対しての少し発言権を強めてもいいのではないかという考えが底にありますので、そういう問題も一つひっくるめて、お互いがより合理的な結論を得るように、一つ調査会のようなものを設けて調査しようじゃないか、こういう段階にあります。  外資の問題は、五カ年計画で四千百億、約一千億というものを外資にたよるという場合が考えられないか、こういうことも私も考えたのです。これは東京の地下鉄などは都営でやりますが、地下鉄は一つ外資を入れようかというので、東京都債を一つニューヨークで募集しようかということをやっております。東京都がやるものであるならば、これは電電公社やその他の公共企業体でもって国が急速に計画を縮めたいというものは外資を入れるように考えたらいいじゃないかということを、私も一応考えたわけであります。これは電電公社総裁お話をして、外資の道を一つ考えようじゃないか、ただ、外資の道を考えても、何も外国からだけ入れなければ事業ができないというのではないので、政府は全体的な外資のワクを考えて、外資にたよるよりも、来年度は御承知の通り政府資金は潤沢にありそうでありますので、外資という線を出しておっても、資金運用資金を十分に活用できる、また新しく低利で長期な別な道も開けるというのであれば、外資にたよることもないというので、非常に気楽な気持で外資の道も考えておるわけであります。外資を入れるとすればどういうことになるかといえば、大体アメリカの民間銀行から借りるということになるでしょう。民間銀行から借りるということになりますと、いろいろドルを借款計画によって持ち込みますが、このドルは外為特別会計に入れられる。政府日本円をもって電電公社に肩がわりをして貸し付けるということになるでしょう。ただ、民間銀行との借款に対しては、政府がやはり保証しなければいかぬという問題があるのです。政府はその外貨を今度はよそへ使いますから同じことじゃないかというのですが、大蔵事務当局の間では、なるべく個々の企業体が借りられるからといって気楽に外債を募集したり、また外国からの借款をしないでほしいというような意見も強いようであります。十二日から電電公社総裁がアメリカへ行かれますので、その過程においてはこういう問題も出るだろうと思いますが、外債を、いわゆる外資日本へ入ってくるといっても、これは政府が裏づけをし、日本円を貸し付けるのですから、資金運用資金を借りるのと何ら変らないという形態になるのじゃないかと思います。私はただ外資の問題だけにたよろうとしておるのではなく、大蔵当局資金運用資金でもって十分まかなえるというならば、それで一向差しつかえないという考えであります。しかし、今年度の六十億さえも出し渋っておったような状況もありますので、もし貸せなければ仕事をしないというわけにいかないので、別な道も考えなければいかぬという一つの方策として外資の問題も真剣に考えている状況でございます。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、別に必ずやるのだということではないようでありますが、私も、しかし、外資導入については相当慎重にやりませんと、従来、たとえば何か物を買いましても、売ってやるけれども、保険もアメリカの保険をつける、船もアメリカの船で運べというような格好で、何かしらひもをつけられる、そういったことが日本にとりましては損なことですから、むやみやたらに——もっと国内の資金というものを政府が真剣に考えていただいて、どうにもならぬというときには、ほんとうにひもつきでないものは入れることも、これまた考えなければならないと思いますけれども、まだまだ私はそういう努力をすれば、電電に対する、政府の協力しようという気持があれば、熱意があれば出せる問題だと思います。安易な考え方でなしに、一つのテーマとしてそういうことを雑談した、と言うと語弊がありますが、話があったという程度でありますか。新聞に出ておりますのは、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  50. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) そう考えてけっこうです。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 その次に、今お話のありました電電事業計画の中で約六十億の政府の財政投融資の金融引き締めによって繰り延べになっておる問題があるのですが、これは七月二十三日に大臣の初めてのごあいさつをいただきましたときに、大臣は、私は六十億を切ったのは非常に心外である、従って、全力を尽して一つ復活したいのだ、しかも、三十億以上、これは議事録にもあるのですが、どんなことがあっても復活させたいのだという意見を述べられまして、私は非常に心強く思っていたのですが、その後その見通しはどうなんですか。
  52. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 今年度は第一次五カ年計画の最終年度でありますし、来年度から第二次五カ年計画の四千百億をやろうというのでありますから、当然政府は今年度の繰り延べ予定額であるところの六十億を支出するのが正しいという考えはいまだ変えておりません。この六十億のうち三十億は最小限度今年中に電電公社に使えるようにしてもらいたいということは、大蔵事務当局に強硬に申し入れておりますし、また実現させるように努力をいたします。  ちょっと速記を……。
  53. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  54. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をつけて。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 これは第一次五カ年計画の締めくくりでありますから、何とかして復活してもらいたいという非常に強い希望を私たちは持っておりますが、大臣もおっしゃっておるように、これは繰り延べでありますから、たとえば来年の二月ごろになって急に見通しがよくなってきたから上げるぞ、こう言われましてもこれは実際にはやれないことですから、計画は延びてしまうことになりますから、できるだけ早い機会に御努力をしていただいて、そうしてせっかく最終の美を飾ろうとしておる計画をくずさないように今後も努力を特にお願いしておきたいと思います。  それから次に、ラジオ、テレビの聴取料の値上げの問題について、ちょっと大臣の所見を伺いたいのです。これは九月十六日だと思います。衆議院の逓信委員会で森本委員大臣に対して質問をしたのでありますが、そのときに大臣は、ラジオ、テレビの聴取料は値上げしなければならなくなるかもしれない、こういうように発言をされておったのであります。もちろん私たちは逓信委員会の中でいろいろとNHKの公共企業体としての経営を見ておりますと、聴取者も大体リミットに来ておるように思うのです。従って、設備を拡大していきますと、勢い経営が料金値上げによらなければならないというような方向にありますことは、私たちも実はおぼろげながらわかっておりますが、しかし、これを値上げすることになりますと、諸物価との関係もありまして相当慎重に考うべき問題であろう、こういうふうに私たちは理解しておりますが、大臣の就任早々、たしか新潟と思いましたが、どこでしたか、上げるというような新聞に発表があったように思います。それはともかくとして、九月十六日に逓信委員会においてこういう御発言をなさったわけですが、その後、われわれが了承するところによりますと、十月一日の閣議では、政府の権限の及ぶ諸物価は一切値上げしない、こういう申し合せになっておるということが新聞に報道されております。従って、こうなりますと、大臣がおっしゃった値上げの問題は当然に消えたのだと、こういうふうに私たちは理解しておりますが、その点いかがでありますか。
  56. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 聴取料の値上げ問題等に対する前に、ちょっと外資に続いた問題を申し上げますが、外資だけじゃなく、資金運用資金を低利で長期に借りられるというものであればそれが一番いいと思うのです。そういう意味資金運用資金の来年度における原資の増大をはかるために、関係閣僚間でまとまるならば、郵便貯金及び簡易保険の制限額の引き上げとか、それから利子の値上げ等を早急にきめて、できれば臨時国会に提案をしたいということを先ほどの閣議で議論をいたしました。そういう意味でまあ資金運用資金の原資が増大すれば、おのずから外資にたよらなくてもいいじゃないかという問題もあるわけでありますので、こういうことも一つお含みで御了承いただきたい、こういう考えであります。  で、ラジオの聴取料及びテレビの聴視料の一部値上げがあり得るかもわからない、こういうことが報道せられました。これは確かに、これを申し上げたのは、衆議院の逓信委員会で私に対して答弁を求められて、そのときにそういう発言を私はしたと思います。これはですな、民間のテレビやラジオがどんどんと進んでおるが、NHKの一体ラジオはどうなっておるんだ、来年度の予算は今年度並みでいいのか、民間のテレビが昭和三十五年までに大体全部できるというふうにわれわれ見ておるが、NHKの五カ年計画は三十七年度ということであるが、民放に先行しなければならないNHKは一体どうして先行させるのか、こういう話があったわけであります。そういう御質問に対して、ラジオはこのままで参りましても来年度からは非常に困るのであります。というのは、長いこともう設備も老朽しておりまして、現在の状態でラジオを整備するというだけで年間六、七十億ずつの金を三、四年間かけなきゃいかぬだろう。合理的にNHKのラジオを整備するためには、最低二百億から二百五十億くらい見なきゃならない状態であります。これを三年ないし五年に割りますと、どうしても一年間に五、六十億の金がラジオだけでも要るということになります。だから、その意味政府資金運用資金を低利に出してくれるか、もしくは借り入れのワクを三十億から百億に拡大をしてやるか、しかも、その場合には、政府民間資金の借り入れに対しては一つ裏づけをしてやるような法的措置が必要であるかもわからないし、それもできないとなれば、外資にたよるという道もあります。で、まあ一番いやなことでありますが、ラジオの聴取料値上げをするということでも片づけられるわけであります。こういうことを私は言っておるわけであります。だから、ラジオの聴取料を値上げをして、それだけでまかなうということになれば幾らぐらいかというと、大体年間六十億として、現在の六十七円が百円になると、五、六十億は何とかまかなえるようであります。この中には、ラジオの老朽を更新するというだけではなく、当然ベース・アップの資金等も全部見込みまして、月間百円か百五円にすると何とか聴取料の値上げだけでまかなえる。ただ、これはそういってもなかなかできるものではないでしょうから、先ほど申し上げたように、資金運用資金の貸し出しの問題、それから外資の問題、なおワクの拡大をして、政府がこれを法律で保証するという道を開く等ありますので、いずれ決定をしましたら御審議をわずらわしたい、こういう答弁をしておるのであります。  テレビの問題は、三十七年度まで五カ年計画をやるにしても、これは一カ月三百円のものを千円に値上げしても、これだけでテレビの五カ年計画はできるものではありません。これは今の状態ではどうしても何らか新しい資金源を考えてやらなければならぬということでありまして、NHKでも自主的に考えておるようでありますが、郵政省といたしましても、何かいい方法はないかということで考えております。これも聴視料の値上げはもう三百円のものを四百円にし、五百円にするというわけにはいかないでありましょう。テレビの普及の問題、特に教育テレビをどうするかというふうな問題がありますので、こういう問題をひっくるめますと、NHKで理想的にラジオ、テレビをやると、しかも、ラジオに対してはFM放送等を活用いたしまして、教育、教養、産業教育、技術教育というようなものまで円満にやるとすれば、三十二年度の予算よりも百億ないし百五十億くらいの資金源が提供できるならば、非常に合理的に日本放送協会の業務ができる、こういうことを申し上げたわけであります。まだその計画に対しての最終的な段階に至っておりません。
  57. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記やめて。    〔速記中止〕
  58. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記始めて。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、私のお聞きしているのはこういうことなんです。大臣は値上げをしなければならぬと、こういうお考えを衆議院の逓信委員会でお述べになったのですが、ところが、その後閣議で——新聞の報道ですから私間違いないと思うのですが、十月一日の閣議で政府の権限の及ぶ物価は、さしむき上げないと、こういうことをきめましたので、大臣の九月十六日におっしゃったそのお考えというものは、閣議の決定によって、まあ平たい言葉でいえば、そうなったのではないか、私はそう理解するが、さしむきという言葉でありますから、三十三年度のNHKの予算は本委員会によって審議されることになります。従って、その際にも問題が起きると思いますから、そういう点はどうなのか、大臣としてはまだ今日でも上げようという意思には変ってないのか、それは閣議での関連をお聞きしたのですから、その点を。
  60. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 閣議で新聞紙の値上げ二十円の問題が話題に上ったときがあります。新聞社は、自発的に新聞協会はおやめになったようでありますが、当時は米の値上げ、ふろの値上げ、値上げ値上げが続いておるときであって、もう物価を引き下げるためにも、また国民にも協力を要請しておるのだから、値上げということはなるべくやりたくないという発言があったようであります。閣議でも大体了承したようでありますが、私はこのときに、ラジオ及びテレビの持つ、特にNHKの予算に関しては、その原則に従えるかどうかわかりませんぞということをはっきり申し上げております。ただいま私がここで発言をしたと同じことを閣議でも発言をしまして、政府はラジオの聴取料及びテレビの聴視料等の値上げをしないということであれば、何らかのことで別の財源を出してやらなければおさまりません、こういうことを言っておりますので、政府としてはいろいろなものは値上げをしないが、ラジオは、この前に審議をしたときにも、七十五円というふうにきまりかけておったものが、六十七円、三カ月二百円でありますかになったのだから、幾らか値上げをしよう、足らざるところを別な方法で見ようじゃないかというようになるかもわかりません。これはNHKが自主的にどういうふうな計画を立てるかという問題もありますので、私のところで今出しております計画は今調査中でありますし、今の段階においてテレビの聴視料は上げないということは僕は言えないと思いますが。  それからラジオの聴取料の問題は、これはやはり上げることがあるかもわかりません。ただし、これは国会の議決を必要としますから、国会で押えられればどうにもならぬ問題でありますし、政府も原則的に、国民に及ぼす影響もありまして、できるだけというよりも、まあ原則的に上げないようにしようという方向に進めておりますので、この間の調整はこれからいたさなければならぬと、こういうふうに考えております。明らかに上げないのだということは、事情によって変って参りますので、そのときにまた御相談を申し上げるということにしていただきたいと思います。
  61. 光村甚助

    ○光村甚助君 聴取料の値上げの問題、これに関連してですが、大臣の言われることがこう誤り伝えられているのかどうかしりません、どっちがほんとうか。テレビを値上げしても数が少いから、これによるところの聴視料は少い。だから、テレビをもっと発達させるにはラジオの聴取料を値上げして、それでもってこのテレビの発達をやらなくちゃいけないということが伝えられている。そうすると大衆の方では、何だ、おれたちはテレビには関係ないのだ、テレビをどんどん発達させるためにラジオの聴取料を値上げして、そしてやるのはけしからぬじゃないか、こういうことが伝えられていますが、こういうことはないのですね。
  62. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) それは全くございません。ラジオは老朽しておりますので、最小やむを得ざる必要経費はラジオでやらなければならない。特に建設費は聴取料の値上げでやらないで借入金でまかなうと原則がきめられておりますので、そうあるべきだと思いますが、いずれにしても、国会の御審議の過程にどっちの方がいいかということに対しては、いずれにしても、NHKのラジオは聞えなくてもいいのだということが原則でない以上、どうしても金は要るのでありますから、政府は出すべしということになりますか、やむを得ず聴取料の一部値上げを認めて、一部は政府が出すべしということになりますか、とにかく国は外資でも何でもいいから道を開けということになりますが、いずれにしても資金供給の道は講じてやらなければならないという状態であります。
  63. 山田節男

    ○山田節男君 電電公社の方がおられるから、これに関連して大臣と靱副総裁の御両人のいらっしゃるところで確認したいことが一つあるのですが、けさいただいた電電公社の第二次五カ年計画の中で資金計画、二十八年に電電公社が発足したときに第一次五カ年計画を発表された。われわれもそれについて詳細な説明を聞いたわけです。その当時の資金計画におきてましては、これは私は計画書そのものの冊子を持っておりませんから明確に言えませんけれども、私の記憶では、四百六十億円ぐらいな一カ年間大体平均になっておったのじゃないかと思います。ところが、最終年度の今年度において、ああいったような政治上というか、日本における外貨の急激な減少ということから、三十二年度の予算政府がきめておったいろいろの資金放出の便も極度に押えてしまった。その波及が電電公社の最終年度の五カ年計画においても支障を来たしておるということは、これは事実なんです。来年度から始まる三十七年度までの五カ年計画資金計画を見るというと、今度は年間平均約八百億円の金が要るのです。電電公社としてこれだけの四千百億に近い、四千七十三億に達する資金計画というものについては、これは発表される以前において、少くとも政府、すなわち郵政大臣電電公社の間において資金調達についてある程度の了解あるいは約束があってこういう数字が発表されておるのかどうか、この点を郵政大臣電電公社の方から……。
  64. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) お答えを申し上げます。四千百億円という五カ年計画の数字を五カ年で割ると大体一カ年八百億であります。現在自己資金、借入金等を合せまして六百億円でありますから、年間大体二百億だけ第二次五カ年計画におきましてふえるわけであります。ところが、第一次五カ年計画が遂行せられておりますので、今までよりも収入面におきますと、第一次五カ年計画の結果が収入面に出て参りますので、第一次五カ年計画の最終年度における三十二年度と自己資金が同じだというふうには考えられませんが、いずれにしても百四、五十億から二百億くらいなものは新しく資金源を設けなければならぬ。資金源を設けるその資金源は外資によるか、資金運用部によるか、またいろいろな方途に対しては別に考えることにして、まず五カ年計画は四千百億は最小やむを得ずどうしても必要だから、この五カ年計画一つきめるようにしよう、こういうことで、残余の約千億、少く見積っても七百五十億という不足金をどこから出してどうするかというところまでは決定しておりませんが、いずれにしても、第二次五カ年計画はこのようにしていこう、そうして不足金はどうしても見つけよう、こういうことで第二次五カ年計画を決定した次第でございます。
  65. 山田節男

    ○山田節男君 副総裁に聞きますが、私の記憶が正しければ、二十八年の三月だったかと記憶いたしますが、電電公社の発足と同時に立てられた五カ年計画の中の資金計画、これはたしか五百億以下だったと思います。四百六十八億か九億ぐらいだったと覚えておりますが、私の記憶の間違いかもしれません。これはとにかく五百億以下だったと思う。あなたはたしか、少くとも過去四年間の、実際の実施に当っての資金額というものは、今大臣の言われたように六百億円ということになると、少くとも百億はこえておる。副総裁にお伺いしたいことは、第二次五カ年計画の初年度から四年度までに至る資金、あの計画と実際の所要資金というものはどのくらいの差があるか、パーセントでよろしゅうございますから……。
  66. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答えを申し上げます。山田委員の御指摘のように、二十八年度は当初予算としましては四百六十九億ということでございましたが、これは純粋の外部資金と申しますか、公募社債は七十五億を予算といたしましたが、六十八億程度しか入りませんでした。結局電話の数をふやしまして負担金あるいは加入者債券また建設勘定への繰り入れというようなものをできるだけ大きくするということで、実績におきましては五百四億を実施いたしました。そこで、二十九年度におきましては、当初計画六百十億に対しまして、これは御案内のように、二十九年はデフレの影響を受けたのでございまして、当初計画は六百十億、予算としては五百三十一億というふうにきめられまして、その通り実行してきました。それから三十年度におきましては五百七十九億の当初計画を持っておりましたが、予算としましては五百十三億、実行で五百三十億という形になりまして、三十一年度におきましては、予定は五百六十九億が、予算としましては五百五十五億、実績は六百六十九億、概計いたしまして四年間に当初計画につきましては二千二百十九億、これに対しまして、予算としてお認め願いましたのが二千六十八億、すなわちここに約百五十億の減ということに予算の成立はなっておりましたが、予算弾力条項がございましたので、実績決算におきましては、二千二百五十四億ということで、予算よりは約百七十億ばかり増しておりますが、当初計画に比べますと、約四十億弱、三十七、八億というものが増加したわけであります。こういう形になっております。
  67. 山田節男

    ○山田節男君 これはおそらく二十八年の第一次五カ年計画をお立てになった当時は、マイクロウェーブの計画はおそらく入っていなかったと私は思う。御承知のように、テレビジョンの発達ということとかね合せて、その他の問題で急激に、これはおそらく計画以上な急激な私はマイクロゥエーブの開拓をやったんだろうと思うのです。その費用は幾らくらいになっておるのですか。今日まで使った、少くとも三十一年度まで使った計画外の所要資金ですね。
  68. 靱勉

    説明員(靱勉君) マイクロ計画は二十八年度設定当時必ずしも明確に確定いたしておりませんでしたが、第一次五カ年計画実施中におきましても、新技術導入ということは考慮に入れておいた次第でございますが、率直に申しまして、五カ年計画の概要というものは、かなり当時御提出しましたのでは大きな骨格をごらんに入れまして、そうして計画を実行の上におきまして、毎年度予算で五カ年計画の予定と予算というものを対照しつつ予算の成立をお願いしたわけでございまして、今マイクロウェーブを五カ年間にどの程度やれましたか、大体百二、三十億ということになると思います。
  69. 山田節男

    ○山田節男君 今の靱副総裁お話によると、大体第一次の五カ年計画の所要資金、わずか百四十億ぐらいしかオーバーしていない、そういう御説明ですが、来年度から始まる第二次五カ年計画は、何と申しても、八百億の所要資金というものを、これは最大限か最小限かしれませんけれども、とにかくこれだけ要るものとしての事業計画されるのですから、政府が少くともこれに対して承認を与えたとおっしゃるからには、私はやはり、ことに、電信電話サービス事業に至りまして、この第二十六国会直後に始まったようなああいったような資金の復活といったような場合におきまして、やはり郵政大臣政府責任者としては、最大限の努力というのではなくて、これだけ確保してやるということがありませんと、これは普通の産業とは違いまして、サービス事業であって、事業設備ができなければ利潤が出てこないのですから、同時にテレビとかその他のものに非常な派生的な重要なサービス業ですから、政府がこれを容認するからには、これは内閣がかわってもこの所要の資金は確保してやる、もし国内でできない場合には、外資導入ということもして援助する、これだけのことは私は暗黙裏に承諾を与えられないというと、これは一つの画餅に帰するのじゃないか。今、先ほど申し上げたように、第一次五カ年計画と第二次の五カ年計画とは内容がよほど違う、計画そのものは同じでありましても意味が違う。今日までは基本的のものをやった。戦災の一つのリカバリーといいますか、復興であって、今度からほんとうの建設であり、近代化する設備である。ですから、第二次の五カ年計画で最も必要なものは、所要資金をどうするか、これが画餅に帰するようなことがあれば何にもならないと思います。ですから、先ほど私申し上げたように、こういう資金計画を発表する前には、当然政府一つの容認といいますか、承認を得てやっているに違いない。承認を得てやっているならば、いかに内閣がかわろうとも公社の形態は永遠のものですから、しかも、事業体でありますから、この点は大臣が、田中郵政大臣としてその一つの何といいますか、ギャランティを与えるということはしなくちゃいかぬと思います。この点どうでしょう。今の御答弁ではまだはっきりしないのです。
  70. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) これは実際のところを申し上げますと、私たち相当関心を持ち、この計画を支持しておりますが、この計画そのものを政府が最終的に認めるということは、三十三年度の予算編成の最終的政府態度が決定したときに承認したというわけになるわけでありますが、私は第二次五カ年計画はこれはどうしてもやりたいという熱意を持っておりますし、電電公社が作られた四千億の五カ年計画を、個人的にも、また郵政大臣としても支持をいたしておりますので、この計画が遂行できるように一つ重大な決意をすると同時に、万全の態勢を整えたいということを考えているわけであります。私はこういう五カ年計画を作りまして、これが最優先的な事業であるというふうに認定するとした場合には、これは何か法律か何かをもって電信電話整備五カ年計画法というようなものに基いてやることが好ましいというふうに考えております。私も前に道路整備五カ年計画法を作って、今日の道路のことを案じて、そしてやったことがありますので、こういうものは準拠法を作ってやれれば一番いいという考えでありますが、いずれにしても、三十三年度のまだ予算の規模もきまりませんので、三十三年度の予算編成に当っては、この第二次五カ年計画が完全に遂行できるように努力をいたすつもりでございます。
  71. 山田節男

    ○山田節男君 NHKの参考人が当然来ているものだと思って、来ていないから質問大臣だけになりますが、先ほどのラジオの聴取料、それからテレビの視聴料の問題、大臣はラジオに関しては値上げするかもしらぬというお言葉のように了解しますが、これは私は決して大臣がまだそういうことをよく御存じないからという意味で申し上げるのじゃないのですが、ラジオの聴取料というようなことは世界に例がないわけです。ラジオの聴取料を取るという、聴取料という形で取るのは、これはNHKの三十年来の伝統なんです。ヨーロッパへ参りましても、カナダへ行きましても、オーストラリアへ行きましても、聴取料ではないのです。あれはいわゆるセットの、受信機に対する一つの課税と、それからもう一つは、これは昔からあるのですが、あれを聴取するというライセンスを売る、国からライセンスを売るというアイデアで、ライセンス・フィーという意味なんです。片方は税金であり、片方は聴取料というけれども、あれは特許に対する一種の料金、ですからNHKのやっているような聴取料というものは世界に類例がないわけです。ところが、今大臣が軽々に聴取料ということをおっしゃいますが、今日の日本のラジオの業界を申せば、もう民間放送がこれだけ発達して参りまして、ことに、東京におきましてはNHKの第一、第二を入れれば六つぐらいになって放送をやっているわけです。だから、民間放送が非常に隆盛になってきた今日において、依然としてNHKがなお公共放送として聴取料というものを取ることがいいかどうか、これはもうすでに数年来問題になっているわけです。早い話が、もうNHKの放送を聞いていないから聴取料を払いたくないという者もある。テレビの聴視料が高いことになれば、これはもうダイヤルをとめてほかのだけ見るようにして料金も払いたくない、こういうのも世論が出ているのですね。そうなってきますと、従来のNHKが聴取料をとるということは、これは根本的に考えなくちゃいけない。ですから、これはNHKが三十三年度の今度の方針書を見ますと、永田会長が一番はっきり言っていることは、今大臣がおっしゃったように、明年度からの資金計画が一番困るわけです。結局今の説でいけば、料金を上げなくちゃならない、これは大臣にも資料をもってお願いをしているのだろうと思うのです。しかし、これは政府として考えなくちゃならぬことは、現在までの聴取料ということは、この民間放送がラジオ、テレビで業界がこれほど盛んになってきた以上は、従来の聴取料ということでは国民も承知しなくなってくるということですね。ですから私は、あなた、若い大臣として大いにこれから張り切ってやるとおっしゃっておられるからには、あなたが大臣として御在任中、もしこの問題が起きた場合には、一つ私はここに画期的な、根本的な問題を考える必要がある。私は過日ハンブルグの放送局、イギリスのBBC、フランスの中央放送局に行って参りましたけれども、収入はどんどんふえていく。これはなぜかといえば、今のような課税で、もうセットを買えば必ずそれに持っていって税金を毎月払わなくちゃいかぬわけです。ですから、これは一つの税金として聴取料を確保する、現在でもこれは脱税といいますか、聴取料を払わないで聞いているものが何百万あるかわからないわけです。千五百万と申しますけれども。ですから、そうすれば収入もこれは漸増するわけですね。現在の制度ですと、いわゆる今後減るというのが当然だと思う。テレビの料金、月三百円というのはみんなこれはきらいます。そういうことになってくると、これはNHK自体が収入が減ってくるということは、もう彼ら十分知ってなくちゃならぬと思うのです。ですから、聴取料という問題を私は政府として根本的に再検討しなくちゃならないと思う。ですから、今責任ある大臣から、聴取料の値上げというようなことは、よしんばNHKが言うても、政府としては、この世界に類例のない、一法人が聴取者から聴取料を取るということ、こういう旧式なやり方は、ことに、これほど普及した今日におきましては、これはもう実に封建的というか、不思議きわまるものです。のみならず、NHKの財源確保からいえば、もう聴取料というものは必ず払わなければならぬということは、これはもう見え透いたことなんです。ですから、私は大臣からラジオの聴取料値上げというようなことをおっしゃる前に、もっと根本的にNHKの財源確保という面から見て、あるいは従来の聴取料ということを根本的に一つこれを考え直していただきたい。これは一つあなたの部局に命じて、外国の例も調べられて、現に私は今年度イギリスへ行きましても、パリへ行きましても、ハンブルグへ行きましても、もうラジオは全然減ってないということですね。それはやはり料金の徴収の形式が違うからです。現にラジオ放送、民間が始まりまして、われわれは最初に東北へ行ってみますると、もうNHKがあんなに独占して、われわれはただで広告主になってやっているのですが、われわれは困っているから、NHKがもらっている金をわれわれに少し返してくれ——これは今代議士の竹内君 あたりが主宰して、東北の民間放送連盟がわれわれに陳情に来たことがある。そう言われてもしようがないのです。だから、そうじゃなくて、いわゆる政府がそういう形で保留をする。すなわち一〇〇%取り、五%はこれは郵政省が金を取っていいわけであります。あとの九五%は、八〇%をNHKにやって、一五%は保留しておく。これがおそらくアメリカ以外の各国のこれは共通の原則と申していい。これはNHKの理事者がいないから私はわかりませんけれども、NHKとすれば、三十年の伝統を非常にこわすことをいやがるだろうと思うのです。しかし、これをいやがれば、やはりNHKは旧態依然として今後ますます困ると思うのです。どうしてもここに革命的な根本的な検討を加えなければならぬということは、私は再三申しておる。依然として大臣に聴取料の値上げという一点張りできていることは、これはNHKの理事者自体の頭を疑うわけです。ですから、大臣としても料金の値上げということをする前に、そういうことを一つ十分にお考え願いたい。
  72. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 非常に示唆に富まれた御発言でありますので、郵政省の見解ここで一つ、全部申し上げるわけには参らぬと思いますが、大ざっぱな考え方だけを一つ申し上げてみたいと思います。私も聴取料の値上げをするということを原則的にここで認めておるわけじゃありません。現在の放送法によるNHKの経営状態を見ますと、その法律上の性格云々は別としましても、いずれにしても運営資金が足りないということは、これは当然のことであります。その場合、運営に必要な資金を何に求めるかということになりますと、借り入れに求めるか、それから政府から法律を改正して補助金をもらうようにするか、もしくは聴取料を値上げするかというような方法になるのでありまして、現在のままでいればやはり聴取料の値上げという問題も過程において出る問題である。ただ、これがそういう手段に訴うべきじゃないということで、新しい資金の道が開ければそれでいいのだということでありますから、聴取料を値上げしたくないということは、国民一般と同じ共通な気持でありますが、現在の法律のもとにおいてNHKに対して資金を与えるということになると、こういうことも過程において出て参るということを言っておるだけであります。しかも、その前に今あなたが言われたようなことを郵政当局でもって考えております。それはその法律上におけるNHKの性格をどうするかという問題からまず考えていかなければならぬと思いますし、もう一つは、今の放送法によってNHKは聴取者との間に契約を結ばなければならない、契約を結んでも払わない者はどうするか、とめるわけにいかないのです、ほかの波を聞いておればいいのですから。ですから、非常に不合理であり、むずかしい状態におきながら、良識をもって今契約をするから契約通り払う、こういうことになっておるようでありますが、私たち電波税のようなもの、それか受信機一台に対して物品税を取って、それでもっと別の意味でNHKに対する資金を出してやる方法もあるのじゃないかというようないろいろなケースを考えております。考えておりますが、今の放送法によるNHKというものは、アメリカにおけるスポンサー付の民放のように自由でもありませんし、それでなお英国のように一切のものは国が作ってやる公共放送というはっきりとした性格もありませんし、どうも戦後できたあいまいな、国有でもないし、また何でもやれる民営事業と軌を一にするものでもない。だからNHKが自主的に国民と契約をして一方に承認を求めると同時に、承認があったら外部から資金を借り入れて施設をしろ、こういう非常に国としても無責任な、また法律自体に対しても明確な性格を規定しておらないところに非常に困ると思うのです。だから、NHKも民放ができたから要らないのだという考えにでもなれば、全部スポンサー付でもって民放と一緒にしてやればいいのじゃないかという議論になるのですが、今の私たち考え方では、NHKは日本にいかに民放が発達をしても、公共放送的な性格を持つものはどうしても必要であるという考えに立っておりますし、特に教育、教養、産業教育とか、技術教育とかいうものに対しては、これがNHKだけをしてやらしめるというのではもちろんありませんが、最小限必要なものはNHKにやらしめたいという考えがありますので、現在の段階においては、これは法律上の問題もさることながら、とにかく三十三年度の予算編成の前でありますから、何とか具体的な資金供給の道を開いてやらなければいかぬと、こういう考えに立っておるわけであります。いずれにしても、今の御説のようにわれわれも考えておるのですが、同意契約という不合理なことをしないで、政府が物品税を徴収して、それを年次計画によってNHKに交付をするということにすれば、官業と公社の中間のようになりますか、もう一つ公社のようなものにするか、もっと今のままでも、特別に資金だけ国が供給するという道を開くか、どっちかを、何らかの道を一つ考えたい。ある時期には、やっぱり放送法にNHKの性格が明記されておりますので、今あなたが言われたような問題に対して結論が出たと、その時期には必然的に放送法の抜本的改正という問題が起きて参りますし、電波法の問題、特にNHKという、日本放送協会法を作った方がいいという議論も生まれるでしょうし、特に教育をやろうという場合には、教育放送法というものも必要じゃないかという問題も出てくるですが、政府が今こういうことをするのだというふうに踏み切るわけにいかないし、非常に慎重を要するのでありますので、そういうこともあわせて研究しながら当面の問題に対して何らかの処置をとりたい、こういうことでございます。   —————————————
  73. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 参考人についてお諮りいたします。  電気通信並びに電波に関する調査のため、日本放送協会会長永田清君、副会長小松繁君、理事溝上ニ君、理事稻葉駿作君及び経理局長首藤憲太郎君、以上五人の方々を参考人として本日出席願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    「異議なしと呼ぶ者あり〕
  74. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  75. 山田節男

    ○山田節男君 今の大臣の御答弁、御趣旨はわかるのですが、これは政府が放送法の改正をうたい出して、あなたは四代目の郵政大臣である。これは早晩今日のこの放送界の変化が放送法を改正しなくちゃならぬということは必至の要請です。今の視聴料の問題にからんでのあなたの御答弁もよくわかりますが、二十八年と記憶しますが、二十八年度にNHKの聴取料が月額六十八円、三カ月二百円にするということで、前後して電電公社電話の料金の値上げの問題が出た。その当時すら、すでに民間放送は始まったばかりでした。今、先ほど申し上げたように、民間放送界からのNHKの聴取料の独占ということについてかなり強い批判があったのです。今回もしそういう再び聴取料の値上げということになれば、この五年後においては、今日において非常に進歩しておる民間の放送界、これはとてもただじゃ置かぬという空気があるのですから、五年前と今日とでは条件がずいぶん違ってきておる。そういう点から見て、聴取料値上げという大臣がおっしゃったようなことは、軽々にはきめるべきことじゃない。その意味でやはり将来の基本方針を、どうあるべきかということ、これは現状がむずかしいという結論になれば、これはいたし方ございませんけれども、少くとも公共放送と民間放送とあの激甚なる競争のもとにおいて育成していこう、それには財政的に確保していかなければならぬので、それならば、これはもう一番生命の問題として、政府ももっと柔軟性を私は考えてやらなければいけないと思います。で、今現行法がどうのこうのとおっしゃいますけれども、これは先般ハンブルグに行ってテレビジョンの、これは御承知の通り、ドイツは今日西ドイツが六カ所の放送法人の連合体になっております。ところが、他の五カ所はこれは十分まかなってきているわけです、聴取料といいますか、視聴料を税金の形で取りまして。ところが、ミュンヘンは、ミュンヘンの放送団体は赤字でどうもやっていけない。ところが、他の団体から金を出して助けてやるということを向うはしないのです。ミュンヘンだけはスポンサーをつける、公共放送でありながら、ミュンヘンだけは。しかも、夕方の非常な黄金の時間、ゴールデン・タイムと申しますか、その三十分ないし一時間を一番高い料金の取れる時間を売る。そうしてその収入でやらしておる。こういうちゃんと伸縮性のあるやり方をしている。ですから、私は前の二十六国会で申し上げたのですけれども、たとえば内閣の重光君 あるいはその他の大臣民間放送に出て公共放送を利用しない。これなんかは私は政府自体が公共放送に対するまだ理解が足りないと思う。ですから今大臣が、これは民間放送が何と言おうとも料金は上げていくのだそういう方法でなくて金を得る方法があるかといえば、今言うように、少くとも政府がスポンサーではなくて、政府のいわゆるために使う料金を払っても、あるいはもしいけない場合には、これはスポンサーのついたものを公共放送でも許す。それで財政の道を開いてやるというようなことも私は考えるほかないと思う。特にドイツのような公共放送でありながら、ミュンヘンのみは財政的援助のないためにスポンサー付のプログラムを許しておる、こういう行き方ですね。ですから、私はもう少し政府が公共放送、NHKの将来の資金問題について、今までの三十年の伝統にこり固まっているものでいいかどうかということから政府考えなくちゃいけない。NHK自体も考えなくちゃならぬ。しかし、NHKは三十年間のからに入っておりますから、どうしてもこの現状を捨てるということは非常につらいだろうと思う。そこで、政府が客観的に見て、国策としてこうしなくちゃならぬ、NHKの財政を確保しなくちゃならぬということになれば、これは涙をのんでも私はあるべき道はあるのですから、それだけの大臣の英断を私はお願いしたいと思う。
  76. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 非常にいい御発言でありまして、郵政当局も今考えておるのであります。ここで今申されたことに平仄を合して私は発言をしたいのでありますが、非常に慎重を要する問題でありますし、特に相当波紋を描く問題でもありますので、もう少し時期を見て成案を得たら、皆さんに御相談申し上げたいということを考えておる段階であります。とにかく、結論的に申し上げられることは、NHKに対しては三十三年度の予算編成期までには、どういう方法か、国民が納得する方法で何カ年計画か、もしくは新しい計画に即応するような資金の道を法律的にも講じてやらなければいかぬ。また必ずそれを一つこの通常国会で片づけたいというふうな熱意と目標を持っておることだけ明確に申し上げられると思います。だから、先ほどの質問で聴取料の値上げがあり得るかもわかりませんというようなことを申し上げましたが、いずれにしても、何らかの方法で計画を立て、特に資金の道を講ずる具体的な措置を講ずる、講じたいということだけ明確に御答弁申し上げておきます。
  77. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 大臣は三時までのお約束でございましたので時間が過ぎましたから……。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  78. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて。
  79. 山田節男

    ○山田節男君 これは電電公社の靱副総裁にお聞きしますが、第一次五カ年計画を見ると、マイクロウエーブ計画が、三十五年度までにおいて基幹的なものがほとんど計画完了するというのですが、これはもう既定の事実としてある、必ず一〇〇%実績上げられるという自信を持っておられるのですか、所要資金が確保されるという条件のもとにおいては、実施し得る確信があるかどうか伺いたい。
  80. 靱勉

    説明員(靱勉君) 資金の問題はもちろんでございますが、私どもといたしましては、前三カ年間のうちに一応整備していくということは自信を持ってお約束できると思います。
  81. 山田節男

    ○山田節男君 NHKの方にお伺いしますが、われわれにここに示された電電公社の五カ年計画において、マイクロウエーブの部面においてもこれだけの線ができるわけですね。そうするとNHKとして、もちろんこれはテレビジョンの周波数の割当問題、チャンネルの問題があるから、大臣と並べて一つお尋ねしたいと思ったのですが、この電電公社の発表した三十五年度に完成するマイクロウエーブ網だけ見ましても、もうNHKとしたらば、テレビをこれは普及させんがための目的があるから、電電公社が特に急いでやるのじゃないかと思う。そういたしますと、これは郵政省態度のいかんによりますけれども、NHKとしたらば、やはりマイクロウエーブの完成に従ったテレビジョンの全国のネット・ワークを作ることは、公共放送の当然のことであります。チャンネルの割当ができるという条件が果されれば、NHKとしたらば、当然三十五年度に完成されればこのラインにおいてはテレビ綱が完成されなくちゃならぬわけであります。NHKとしては、そういう計画をこの電電公社の第二次五カ年計画の中において果されるマイクロウエーブの建設にマッチするような計画をお作りになっておるのか、あるいは作らんとされておるのか、この点ちょっとお伺いしたい。
  82. 永田清

    参考人(永田清君) NHKといたしましては、電電公社のマイクロウェーブの完成と歩調を合せて第一次五カ年計画を立て、全国のネット・ワークを完成する案の提案を持っております。そしてその実行ができるように郵政当局とも絶えず折衝を続けております。ただ、当初の計画よりも電電公社計画を少しくスピード・アップされておるようでありますし、またNHKプロパーといたしましても、最近民放について郵政当局が急速に免許されるような情勢になっておりますので、一そうわれわれはそのネット・ワークの完成を急がねばならぬ責任が生じてきたわけであります。それに応じて第一次五カ年計画を三カ年計画に縮めて全力を注ぎたいという計画でございます。
  83. 山田節男

    ○山田節男君 今靱副総裁が言われたように、果してこの計画通りにマイクロウェーブに関しての完成ができるということになれば、これは先ほど来、まだNHKの理事者がお見えにならぬうちに大臣質問したわけでありますけれども相当所要の資金というものがふえるわけでありますね。で、それに関連して今聴取料とか何とか問題になったのですが、これは私もNHKの方には質問いたしませんが、ただこれは大臣が見えてからの質問に再びなるかもしれませんけれども、NHKとして、こうして電電公社がNHKとして使えるマイクロウェーブのラインがはっきり示されたわけでありますが、もう当然公共放送としてテレビジョンのチャンネル割当は、このラインを利用するだけのものは与えられておることは、これは当然のことだと思う。ですから、五年計画を三年計画に短縮したということになれば、年間の所要資金というものは短縮されただけふえなくちゃならぬ、これをどういうようにして確保するか、これは一つ会長として、予想でもよろしゅうございますから、どうしてテレビジョンとしての所要資金を確保するか、こういう問題についての根本的な態度でもいいから、お示し願えれば、願いたい。
  84. 永田清

    参考人(永田清君) 御承知のように、NHKのこういう事業計画なり、資金計画なりは、放送法に基く重大な責任を果すという意味においてやられるわけでありまして、従って、それに応じて資金計画が付属して起ってくる、こういう順序になっております。そういうわけですから、聴取料が幾らになってどうというのじゃなくて、事業計画に応じて資金計画をわれわれは作っていく、こういう建前であります。そこで、その結果、それじゃどういうことになるかということについては、まだ郵政当局とも折衝中でありまして、私どもの方としては、総合的な資金計画を立てて、それがどういうふうにしてまかなえるかという折衝はこれから起ってくると思いますし、またこれはやはり国民が納得する形でその聴取料の問題はきめられなければならないと思いますので、当然こういう、国会を通じておきめ願うことじゃないかと思います。重ねて申し上げますが、昨年度の予算審議のときにも、これは当然、いわば国民大衆の声として付帯決議がついておるのであります。御承知のように、設備の問題、奨励金の問題、国際放送の問題並びに老朽設備改善化の問題、なお難聴地域の解消の問題、そういう当然NHKが社会的に果さねばならない職務が国会の付帯決議となっておりますので、私どもは忠実にそれを実行いたしたいと思います。その実行を織り込んだ形で実はこの計画を作って提出いたした次第であります。
  85. 山田節男

    ○山田節男君 これはNHKの理事者がお見えになる前に、大臣からテレビ聴視料を据え置きにしても——ラジオの聴取料の問題について御所見が述べられたのです。これは私は前にもNHKの方に述べたからここでは述べません。ただしかし、所要資金の問題は、現行法によれば起債も限定されておる。それからラジオの聴取料金もテレビの経費には使えないという法律の建前になっておりますので、臨時であるけれども、莫大な資金計画を控えておるNHKのテレビ網の整備、これはどうしても私先ほど電電公社の方にも申し上げたのですけれども現行法で許された範囲資金を許されなくなれば計画が実行できない、こういうことは私は一つの大きなジレンマにあると思うのです。これはNHKの責任じゃなくて、法律自体がこういうジレンマに陥るような形になってしまう、それだけ事態が変ってきているのですから、今後政府に対する所要資金の確保という点についても、大臣もおっしゃいましたけれども、これは公共放送の建前からして、少くとも電電公社の三十五年度に完成するときと同じくということは言えないけれども、それと大体並行して、テレビの放送網というのは完成されなければならぬということは、今次の放送法の建前からいえば、NHKの当然の義務なんです。ですから所要資金という問題は、これは私はNHKとして従来の考え方を一掃すべきじゃないかということを大臣に申し上げた。政府も慎重にこれは私は研究されるだろうと思いますけれども、NHKとしても、何とか財政確保をどうするか、BBCを見ましても、テレビに関しては非常にBBCのプログラムは貧弱である。ITVの民間放送の方が非常に活発であるということが、悲しいかな、私の行って見た感じであります。私の実際見たのは、これはわずかな間でありますけれども、ITVの方が活気がある。非常に国民に訴えるようなセンセーショナルなものをテレビがやっておる。これが実情なんです。イギリスのBBCにおいてもしかりである。これは大体公共放送の面を控えておるNHKとして、画期的な決意をしないと、同時に政府もこういう公共放送に対するNHKというものに対して、これは格段の私は一つ検討をしていただかないと、これはわれわれ国会議員として、テレビのチャンネルの問題が二十六国会において起きたときに、文教委員会すら、公共放送を優先すべしということを申しております。ですから、これは大臣に申し上げたことでありますけれども、NHKの三十年の旧殻を脱して、真剣にぜひ公共放送の使命を果すということの決意をきめていただけば、それから敷衍した財政の問題も、プログラムの問題も、経営上の問題も、おのずから解決のかぎが出てくるのじゃないかと思います。そういう意味で私は大臣並びにNHKの永田会長に申し上げたのであります。決して他意あるわけではないということを御了承願いたいと思います。  大臣がお見えになりましたから、お伺いするのですが、これは第二十六国会、平井郵政大臣ですが、例のテレビのチャンネルの周波数の割当問題はすったもんだのあげく、こういう結果になった。そのあとを受け継いだ田中大臣は非常に公明であり、しかも、非常に公正な態度でこの問題に対処しているということは十分わかるのです。私は数日前に帰ったばかりでありますが、大体今日のこの周波数の割当については、郵政大臣の苦慮されていることは非常によくわかるのですけれども、根本方針として、やはり公共放送というものを、少くともこの参議院が意思を明らかに表示しておる公共放送というものを第一にして周波数のチャンネルの割当ということをお考えになっていくことには全然変化はない、かように信じていいかどうか、このことを大臣にお伺いしておきたいと思います。
  86. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) NHKに対して何らかの強化の方法をとろうという考えを持っておりますことは、先ほども申し上げた通りであります。NHKが公共放送としての使命を果すために、周波数の割当にしてもNHKを優先的に考えなければならないということも、その通り考えております。東京都に対しては一波予定されておりまするが、まだ免許になっておりませんが、近く民放に対する免許に先立ってこれも免許を与える予定であります。
  87. 山田節男

    ○山田節男君 大臣としたらば、いろいろ平井大臣が遭遇されたと同じような非常に苦難な苦しい立場にお立ちになるかと思うのですが、私は帰って聞くところによると、大阪ですね、このチャンネルの割当について非常に大臣も苦慮なさって、姫路の周波数を大阪へ持っていく、大阪、北海道を一波ふやす、こういうことを電波監理審議会にお出しになって答申によってきめられておる。私はこういうことを見て感じたことですが、これは関門にいたしましても、大阪にいたしましても、東京にいたしましても、われわれが見ておっても、これは行政の最高責任者として、まことにこれは苦しい立場に立っているということはよくわかります。わかりますけれども、ラジオと違いましてテレビというものは、所要資金というものが莫大なものだ、国民に対する影響がきわめて強いものであるという立場から、政府はそれぞれの周波数の割当ということについては、これはどうしてもいわゆる明鏡止水といいますか、これは村上大臣の時代から極言しておることであります。しかし、いろいろな政治的その他の要件から、村上大臣にしても、平井大臣にしても、なかなか自分の思っておりたことが実現できない。田中大臣は若くもあるし、非常に勇断な人であるからして、私は非常な期待をしているわけであります。しかし、これはさらしものになればなるほど、いかに明敏な田中郵政大臣といえども、これはむずかしいことになると思うのです。しかし、公共放送ということの建前は、これは全国網を少くとも、三十五年度の電電公社のマイクロウェーブの完成のときにおいては、少くともいわゆる公共放送のテレビ網だけは完成する、これは党派という問題ではなく、国民の一人として申し上げておるのです。そういうことが郵政大臣の頭にはっきりしておれば、私はこういう混乱を起さないのじゃないかと思うのですが、技術的のことは決して私は質問申し上げません。ただ、大臣が公共放送を第一にしてこのチャンネルの割当をおやりになりつつあるのかどうか、このことを一つお伺いいたします。
  88. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 先ほどお答えいたしたわけでありますが、私も明鏡止水という気持で、しごく公平に、特にNHKの公共放送の使命を果すためにチャンネルを割り当てたいという原則は変えておらないのであります。ただ、大阪の問題でありますが、姫路から持って参りましたチャンネル二、及び現在あいておりますチャンネル十の二つがありますが、これを具体的に取り上げて、では、その通りの発言であるならば、これのチャンネル以下十は間違いなくNHKにいくのだろうな、こういう御質問であると、あとからまたいろいろな問題が起るかと思いますので、ここに明確にいたしたいと思います。NHKに対しても、私は先ほどから申し上げておる通り、抜本約に放送を整備して、どうしても公共放送としての使命を果すように万全の措置を講じたいという決意には変りありません。具体問題として出て参ります大阪に対しましても、全国あまねく教育、教養放送が行われるような措置をできるだけ早くとりたいという考えでありますが、NHKの財政問題が今壁にぶつかっておりますので、こういう財政問題に対しての今道を開くとともに、年次計画を立てて、これに合うように教育放送その他に対しても免許ができるような態勢を整備して参りたいという考えでございます。もっと端的に申し上げますと、そういう意味でありますが、大阪につきましてはチャンネル二及び十は、現在のところ民放に与えるという方針で今立案をいたしております。しかし民放にチャネル二及び十を与えるということが、NHKの大阪地区における教養放送をNHKが行えないというようなことでは絶対にないのであります。これは東京をまず免許して、実施計画に合せてNHKを整備しつつある過程において、東京を、同じようにNHKが公共放送の実をあげられるという自信を持った計画を進めております。それを前提にして、その前提を変えず施策を進めて参りたい、こういうことであります。
  89. 山田節男

    ○山田節男君 それから今回、大臣諮問に対して電波監理審議会答申を見まするというと、従来教育放送、教育放送ということが言われておった、いわゆる準教育放送、準ずる教育放送、こういう新しい用語が言われておるわけでありますが、これは一体何を意味するのか、すべて放送事業は、これは程度の差こそあれ、教育的なものであるということは、放送の番組の本質として、だれも準教育放送、教育放送、非教育放送という区別はあり得ない。なぜ準ずる準教育放送という言葉をお使いになるのか、この点がどうも私、ふに落ちないのですが、そのあなたの意味される点をお伺いしたいと思います。
  90. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 今、法律に教育放送、準教育放送とかいう明確な規定がありませんので、教育放送という字句を使うこと自体にもなかなか問題があると思います。だから、教育放送を特に特殊な機構、すなわちNHK等でやらせる場合には、やはり教育放送とはかくあるべきだ、教育放送とはこういうものだという準拠法が必要だと思います。現在の放送及び電波法には教育放送なる字句はどこにも出て参らないわけであります。ただ、一般観念上教育放送とか準教育放送とか、一般商業放送とかいうことで表されておるのでありますが、私は民放が非常にたくさん免許になるし、特に国民の間にもラジオ、テレビに対してレベル・アップを要望する声がたくさんありますので、その声にこたえるという立場から、法律的に明確な定義はありませんが、少くとも準教育放送を民放陣に、全くでありますが、全くの教育放送を民間にやらせるかどうかという問題に対しては、これは私は就任当初に申し上げた通り、私個人としては相当な疑問を持っておりますので、いずれにしても、ほんとうの教育放送は別な機関、すなわちNHK等でやらせるべきだという考えを持っておりますので、過去に東京等において免許されたものは別でありますが、これからのものは法律上から言いますと、一般の民間放送でありましょうが、レベル・アップを要求するために、準教育放送というような観念で一つ運営をしてもらいたいというために、準教育放送というような表現を使ったわけであります。今までの免許の実例から見ますと、教育放送は五〇%以上教育を行い、三〇%以上教養を放送するもの、八〇%から八五%以上、教育、教養を合せて放送するものを教育放送と定義しております。それから一般のものに対しては、教育、教養含めて三〇%以上というような付帯的な条件をつけておるようでありますが、少くとも準教育放送という場合には、どのようなラインを引くかということで、慎重に研究したのでありますが、今の段階で申し上げられるのは、教育放送を二〇%、教養放送が三〇%以上と、こういう条件で免許を与えたいという考え諮問をいたすつもりでございます。なお、準教育放送というような字句を出し、特に表現を使い、特に一般の民間テレビに対してもレベル・アップを求めたいのでありますから、教育とはいかなるものか、教養とはいかなるものかということに対して議論はあると思いますが、政府行政措置を行う最小やむを得ざる限度において定義を作りたいということから、郵政省、法制局、文部省等の合議の結果に基いた教育とはかくあるべきもの、教養放送とはかくあるべきものであるというような一応の基準を作りまして、その基準以上にレベル・アップをしてほしいということを今考えておるわけでございます。
  91. 山田節男

    ○山田節男君 これは田中郵政大臣のみならず、前の平井大臣も村上大臣も、今の田中大臣のおっしゃったように、具体的なパーセンテージまでつけての御説明じゃなかったけれども、教育放送というのは言われた。これは御参考のために申し上げますが、たしか九月の十三日だったと私記憶しますが、BBCの会長、サー・ウィリアム・八一リー氏、この方はBBCのディレクター・ゼネラルを八年間やって、現在ロンドンタイムスの主筆をしておりますが、この人にぜひ会った方がいい——古垣大使並びにイギリスの大使館からぜひ会ったらいい、この人は将来日本として無視することのできない人である、ことに放送事業の大先輩の人であるからというので、大使館のアレンジによって私らサー・ウィリアム・八一リー氏に会いました。そのとき日本では教育放送というものを盛んにやかましく言っておる、公共放送は教育放送に専念すべきものである、娯楽放送は主として民間放送がやるべきだというようなことが言われておるが、あなたの八年間のBBCの責任者としてどう思うか、しかも、民間放送の盛んな日本においてどうあるべきかということを私は意見を求めたのです。そのときにサー・ハ一リーはどう申したかというと、こう申した、公共放送であろうが、民間放送であろうが、プログラムの精神においては同じである——これは私はきわめて含蓄のある言葉であると思います——何となれば民間放送はスポンサーのものであるから娯楽を主にするものだということは公共放送の堕落である、アメリカの例を見ればよくわかる。しかし、日本の事情はわからないけれども、公共放送を持っておるイギリスの多年の経験から見れば、民間放送と公共放送の分業的な線を引くということは、これは非常に愚かなこっちゃないか、そう私は率直に思う、ということを言うたですね。この言葉は私は今日今大臣としてそういう教育放送、準教育放送というような、きわめて従来日本にありがちな一つの規格を作る上においてパーセントで規格を設ける——今日の民主主義の国家において、しかも、放送事業は番組においては編成もあくまで自由であります。そのためにプレス・コードがあり、しかも、民放陣においては一つのプレス・コードを持っておるわけです。ですからうまくそういうパーセンテージによって純であるとか、準ずる準であるとかいうことを設けることは、私は戦前の、少くとも終戦までの日本のいわゆる官僚主義的なやり方であって、今日の新しい憲法において、しかも、番組編成ということは政府が規格を設けるべきものではない。ですから、私はこれをはなはだ遺憾に思うのですが、そういう道の大先輩に聞いてみたら、そういうことを申すのです。これは私たちとしては非常に慎重に考えなければならぬことじゃないかと思います。いろいろなことを数々言われたのですが、今大臣の御答弁に付随してこのことを私想起しますと、今のようなパーセンテージによって教育放送かいなかということをきめるということは、まことにまずいんじゃないか。で、もしNHKは準教育放送ばかりやれということになれば、大臣が非常に念じておられるNHKの公共放送としての存在は全く将来は暗黒なものになってくると思う。先ほど申し上げましたように、テレビにおいてはBBCとITVという商業放送が昨年設けられましたけれども、BBCのプログラムは非常に貧弱であるということが言われておる。イギリスにおいてすでにしかり、かような事実になっておるわけです。ですから、NHKの公共放送を暗い方へ押しつけるということは、大臣がせっかく好意を持っておられるのに、そういう基準でおやりになると、NHKを暗やみに葬ってしまう第一歩である、こういうことになりはしないかという私は危惧すら持つわけです。ですから番組の編成に関して、そのパーセンテージによって教育放送であるというようなことをきめるということは、これはきわめて不備である、教育放送の番組の編成の自由ということを認めておる憲法の上からいえば、大臣のせっかくのお考えもずいぶん再検討してもらわなければますます混乱と公共放送の低下を来たす、これはもう明らかな事実であると思う。今度見て帰ってきたわけです。どうぞ、大臣におかれましてもこの点を一つ考え願って、あるいは今日あたり相当なチャンネルの免許のことについて御確定になる答申を今求められているんじゃないかということも私は聞いておりますけれども、しかし、こういう根本問題を早く再検討するためには一カ月、二カ月延びても私はいいと思う。大臣のきわめて公正な国を思うための放送事業発展ということになれば、今のようなしゃくし定木の考え方大臣としてはお持ちにならぬ方がいいのじゃないか、かように私は考えます。ですから、今おっしゃったようなそういう考え方だと、私は非常に将来テレビジョンの混乱を来たすということが明らかに見えるわけです。  これに関連して私NHKに質問しますが、大体一昨年以来テレビのチャンネルの割当問題は、政府も案を立てて、NHKも公共放送の建前として、当然そのチャンネルのプランはNHK自体も立てておるわけです。私二カ月ばかり留守にして帰ってみますと、これは大臣の非常に苦しい条件のもとでおやりになっておるということは十分わかりますが、大臣は政治家であり、行政責任者である、党派あり、またその他いろいろな関係があってなかなかむずかしいだろう、これは重々わかるのです。NHKは少くとも公共法人として国民に対する一つのあなた方は責任を持っておるわけですから、このチャンネルの割当については、NHKはもう少し私は強く当るべきじゃないか。どうもこの点において永田会長にしても、もう少し国会に訴えるなり、あるいは国民に訴えるなり、あるいはまた大臣にあらゆる手段、会長自体がもう体当りによって国民のためのテレビのチャンネルの確保を、優先的に確保するということは放送法から言えるわけです。そういう点について、どうも私今日二月ぶりに帰ってみると、その結果から私申しますと、NHKの当事者がもう少し私は熱意をもって国民に対する責任感が足りないのじゃないかというぐらい私は思うのですが、永田会長責任者として田中郵政大臣 に相当強く言われておると思うのですが、この点どうなのですか。言われておるけれども郵政省が聞いてくれないのかどうか。この点はNHKの将来について、全く私は十字路に立っていると思う。NHKとしては、理事者一体となって郵政大臣になぜ体当りしないか、まことに私歯がゆい感じがしておるのですが、私は国会にいるからそういうことを言っておるのかもしれませんが、NHKの将来のために、もう少し対処されることについて議論を尽されたかどうか、大臣の面前ではなはだ私恐縮ですけれども、永田会長が今日までそういう線でおやりになったのかどうか、決して大臣の前ではばかる必要がないと思いますから、一つ会長の御意見を承わりたいと思います。
  92. 永田清

    参考人(永田清君) この問題は公事でございますので明確に申し上げます。御承知のように放送それ自体は、電波そのものが公共のものであるという前提に立っておりますし、そういう意味で各国ともいろいろな放送制度を作っておるわけですが、日本のように公共放送と民間放送とが並んでいるという例は全くまれでありまして、一般は公共放送中心であり、ただ公共放送だけの独占ではどうかということから、今お話が出ましたように、イギリスでは日本とまたきわめて違った形で、きわめて厳密な国家統制を受ける形での商業放送をテレビだけに小さく許しておる、こういうわけであります。従って、日本はこういう特殊事情にございますので、それを前提にしますと、私どもはなはだ苦難の道にあるわけでございます。しかし、公共放送は放送法に規定されておりますように、重大な責任を社会的に与えられておりますので、まっしぐらにその責任を果したいという一念で進んでおります。それでNHKといたしましては、当然その社会的責任を果しますために全国のネット・ワークを完成すること、そうして今お話がありましたように、今後三年、五年、十年とたてばたつほど教育放送の必要は重大化してくるということはきわめて明瞭でありますので、これは当然公共放送としてのNHKがその責任を果さなければならないということは重々わかっております。そういう意味で絶えず主張も続けてきたような次第であります。ただ、今申しますように、民間放送と並立した形を、そういう特例になっておりますので、現実論といたしましては、その間どういうふうに調整をとるものか、まことに難問題に遭遇するわけでありますが、ただ、繰り返しますように、NHKとしてはその職責上ひたすらいかにしてそれを果すかということに問題は集中されるわけですし、それが果すことができなければ、これは社会に対して申しわけないことと思いますので、それでNHKの方針といたしまして、VHFによる教育放送のネット・ワークを完成したい、これはイギリスでもBBCで熱心に試験放送をやっておる次第であります。この教育放送につきましては、概念規定もこれはきわめて明瞭だと思いますし、また実施の過程について絶えずこれは改善していかなければならないものだという問題がありまして、学校教育、職業教育、社会教育、婦人教育、技術教育その他大学講座の解放といったようなことで、一応概念規定は明瞭でありますが、NHKに関する限り、教育放送の方針ははっきりいたしておるわけであります。ところが、実際にVHFでこれができないというふうなことになりますと、われわれとしては、それならばキー・ステーションはVHFでやらせていただきたいという主張であります。もとよりUHFによって教育放送をやってはどうかという考え方もございますが、これはもう御承知のように技術的にはいろいろ研究も必要だと思いますけれども、何といたしましても受信者が新しい機械をつけなければならない、アダプターをつけなければならない、負担が重いということ、それからまあどうしても故障も起ってくるだろう、それでそれらの条件が満たされないと、それによって教育放送をやることは、NHKとしては設備費が少しよけいにかかるとか、そういったことで放送はむろんできないことはございませんが、いかにも受信者の迷惑になるという意味で、われわれはあくまでVHFによるネット・ワークの完成ということが必要だと、こう見ておるわけであります。そこで、いろいろな経過を経まして、現実といたしましてはキー・ステーションはNHKのVHFでやっていくことは望ましいのであって、そういうことが社会的にも要望されておる、こういうことを絶えず主張し続けておるのであります。  ただ、最後に一言私の真実の言葉を述べさせていただくならば、これはそのプリンシプルはきわめて明瞭にして、その職責を果したいと想いますが、どうしてもそれができないという場面にぶつかってどうするかということになりますと、それに応じてまたわれわれも対策を立てねばならないというのですが、NHKとしては、現在まで譲るべきものはみな譲っております。これ以上はお譲りすることはできないという段階に達しており、それも十分了解をいただいて対策を練っていただいていると思います。
  93. 山田節男

    ○山田節男君 大臣、非常に時間を費して申しわけありません。これは臨時国会までの最後と思いますから御了承願いたいと思いますが、今のNHKに非常にじれったい思いをしておると申しましたが、今の会長の話を聞いて、キー・ステーションとしてはVHFにして、その他はUHFでも仕方がない、これはたまたま私アメリカにおりまして一月から八月までのFCCの発表が新聞に出ておりました。あそこらは民間放送、教育放送もUHFの免許を与える、それを実施した消息が出ておりましたけれども、私今ここに新聞の切り抜きを持ってきておりませんが、免許されておるものの、UHFの免許されておるものが実施したものが、たとえば三十許可されておるものなら十、三分の一ぐらいしか実施せない。その理由は何かといえば、やはり問題は視聴者に対する、テレビを見るUHFの場合の人が少い。それでやはり商業放送の建前で、教育放送としてもあのアメリカにおかれてすらUHFの免許は実施されない。これは現実の事実なんですね。私先ほど大臣に申し上げたように、少くともいかなる場合においても、国民のためならば、あの放送法の第一条にあるように、やはりテレビの場合にはNHKでなければならない。NHKはVHFで全国のネット・ワークをやるべきだ。それがキー・ステーションだけはVHFで、あとはUHFでもいいということに譲歩せざるを得ないという立場に置かせるということは、先ほど来、私ほかの問題についても申し上げておるように、公共放送を一種の暗い方面に追いやるというのは、商業放送に押されてそうなる。この事態が将来のテレビの放送について少くとも私は杞憂を持たざるを得ない。だから、私は今NHKにどれだけ責任を果すべく大臣に折衝しておられるかということを申し上げたらば、今のような会長の御答弁だ。ですから大臣として、重大なテレビのチャンネルというのは、政府のものでもなければ、一放送業者のものでもない、これは国民のもの。全国民の財産を分配するという場合に、早くから公共第一主義でやるべきだ。これは私は自由民主党といえども社会党といえども、これは私は同じことだと思う。どうもその点に私は目標が失われつつあるのではないかということを非常に遺憾に思う。大臣の政治力をもってすら、そういうような方向に向かざるを得ないということは、まことに私は将来を思うと非常に暗い気持がするわけです。ですから、今のように永田会長の言われるように、キー・ステーションだけVHFであとはUHFでやる。これは周波数を割り当ててしまった以上は、将来これをどうのこうのということは、一既得権であります。三カ年どうのと言うけれども企業に与えた免許というものはよほどのことがなければこれを取り消すということはできないのです。その事前において大臣が腹をきめられなければ、悔いを百年に残すということになる。これは私は国民の一員として非常に心配しておるわけです。
  94. 永田清

    参考人(永田清君) 私の答弁が少し不十分だったと思いますが、NHKといたしましては、現在やっております第一放送はもとよりVHFで全国ネット・ワークを打ち出してもらいたい、これはまたそういう了解もできております。全部行います。今申し上げておりますのは、第二放送の教育放送のテレビ・ネット・ワークのことであります。教育放送については、第二放送として行います教育放送については、キー・ステーションについてVHF、あとどうしてもできない——私は希望は捨てておりませんけれども——事実上できてない、チャンネル・プランの割当もできないというようなそれはUHFで社会的な機能を果すべきだというように熱意をこめていたしております。
  95. 山田節男

    ○山田節男君 その点が私はNHKの公共放送の責任者として決意が足りない。これは一永田さんの問題ではない。あなたは九千万の国民の将来テレビの公共放送は、たとえどうあろうとも、第二放送でも全部確保するというのが一応私はあなたの使命だと思うのです。だれしもこの点は考えるものだと思うのです。第二放送というものは、やはりテレビジョンのキー・ステーションだけVHFであとはUHFでいいという、これはあなたとしては最後の譲歩かもしれませんけれども、国民の立場からいえば、そこが私はNHKがもう少ししっかりしなければいけない。大臣もこの点は商業放送は犠牲にしても、公共放送は確保するために、国民のために確保するというお気持があれば、こういったような情ない事態にはならないのじゃないかと思うのです。大臣、どうですか。その点において現状としてはそういうNHKのキー・ステーションだけはVHFによる意思で、あとはUHFでやらざるを得ない、こういう現状にあるのかどうか。もし御発表できれば現状をお知らせ願いたいと思います。
  96. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) これは一つの例を申し上げますれば、二つしか割り当てておらないところはたくさんございます。こういう状態においてNHKが第一波、第二波を持つということになりますと、民放は全然なくなるわけであります。NHKが民放とのネット・ワークができるような状態になれば別でありますが、現在の状態ではそうでないのであります。その場合にはどうしてもNHKに一本は免許を与える、あとの一本は一般民間放送業者に与える方針を今までとってきておりますので、二本しかない場合は、やはり教育放送を第二波として行いたいという場合にはUHFでやるということになります。ただ、現行十一チャンネルというものが不変のものではありません。不変のものではありませんから、私は今の段階に明確な御答弁はできませんが、ある時期においては、NHKが今全国的にもう一波考えるという場合にも可能なる時期が来るのではないかということを考えております。それが可能でなくてもUHFでも当然やり得るという考えであります。これは全国の例を申し上げますと、今十一チャンネルでNHK及び民放にチャンネルを許しても、日本の面積からいうと半分ぐらいしか的確に放送せられないという状況であります。現在のチャンネル・プランから見ますと、全国をもう一ぺん全部動かしてみてもこれよりもチャンネル・プランが増大するとは考えられないわけであります。増大できるとしてもごく小部分の一波か二波しかできないという状況でありましょう。そうするとあまねく放送しなければならぬという放送法の精神をそのまま具現するには、現行VHFの波ではむずかしい状態であります。ですから、どうしても教育放送をする場合にUHFを使って全国あまねく放送するということになる。しかし、十一チャンネル以外に近い将来にVHFの波が出るという状態が来た場合には、これは民放に与えようという考えはありません。この場合には当然NHKの第二波として教育放送等の用に供したいということを明確に考えておるわけであります。
  97. 山田節男

    ○山田節男君 今大臣が波が余っておるとおっしゃいますが、おそらく日米安保条約に基く駐留軍の使用しておるものをおっしゃられるのだと思います。そうであるとすれば、安保条約並びに行政協定があの条約の期限にきまっておるものではない。半永久か知れない。あるいは来年度、そのうちの一波、二波——今も見越して十一チャンネルおやりになっておるのでありますから、これは駐留軍の現在使用中のものを解除するという予想のもとに今割り当てておる。さらに現在駐留軍が必要としてやっておる——十数チャンネルあると思いますが、そのうちの数チャンネル来年の春解除するが、現在のところ政府が割り当てておるものもこれは来年になると解除する分も含まれておる。今駐留軍の使っておるやつはおそらく明年後半期以降のもの、これは実際の問題である。ですからラジオの完成、テレビジョンの建設も、なるほどこれは、これも今お許しになっても来年度完成される、おそらく明後年度以降にわたるでしょう。ですから予想、仮定のもとに大臣が言っておるのだが、しかし、公共放送を主体にしてお考えになれば、それはやはり二年先のことは、むしろ民放において私はおあずけをされる方が、現在民放にお許しになってもまだ事業に着手し得ない面が相当あるような状態ですから、むしろこの点は逆に大臣としてはお考えになるべきだと思う。かように思うのです。
  98. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 非常に重大な問題でありまして、私も就任の当初、当委員会で同じ問題に対して、基本的なことに対しては少し不見識であったかもわかりませんが、個人的な意見はということで申し上げておるはずであります。できるならば、テレビというものは二度、三度割り当てたものを取り返せるものではないし、国民に十年、十五年後にテレビの及ぼす影響は非常に大きな問題でありますので、現行電波法や放送法を抜本的に改正をして、準拠法を作って、日本のテレビ放送はかくあるべきだというふうに基準を明らかにしてからでなければ免許は出すべきではないという個人的な見解を持っておりますが、いずれにしても、何代かの大臣にわたって踏襲されておる一つの方針に基いて、もう一部においては民放に免許を与えられておる状況であります。この現実を無視をして、理想的にだけ走れるものではないのでありますので、特に日をかけて十分に慎重に調査はいたしますが、いずれにしても、前大臣が残された残余の問題に対してはこの方針を踏襲せざるを得ないのじゃないかと思いますが、ただ、民間放送に教育放送を免許するというようなことに対しては、まだ十分慎重に考える必要があると思いますから、いずれその問題も含めて解決点を見出してから早急に免許を与えたい、こういう表現で発言をしておるわけであります。だから理想的には確かに、今までにすでに一部民放に与えられたが、まだ相当数残っておるのだから、誤まりであるならば、今日ここでもって差しとめて、そして一年でも二年でも慎重に審議をしてからやってもおそくないのじゃないかという議論も確かに成り立つわけでありますし、そういうことも私も今の過程において考えたわけでありますが、いずれにしても、もう民放の一部には免許が与えられておりますし、民間の全国各地における無線局開設の申請に対しては熾烈な熱意があるわけであります。このNHKを一方に考えますと、これからNHKをどうすべきか、NHKはどうあるべきかということを考えて、放送法に手をつけ、電波法を作り、教育放送法なるものを作り、なおその上に、教育放送法の中からNHKを取り出してNHK法を作り、しかも、NHKと一般民放との問を一体どういうふうに調和するのかという問題を考えて、その上になおNHKが今の計画でさえも資金難にぶつかっておるわけでありますから、民間でやれば少くとも昭和三十三年、早いのは三十三年の末に波が出る。おそくも四年の末には波が出るという状態に押えて、NHKの膨大なる、これからの十カ年計画を立てて、五カ年に縮め、三年に縮め、二年に縮め、昭和三十四年末までに全国あまねく波が出せるかどうかという問題にもぶつかるわけであります。こういう現実の問題を全部調査をいたしまして、NHKの公共放送の使命を達するように諸般の準備を進め、強力に施策を進めるとともに、現在各地で出しているところの民間申請の熱意もあわせ調査をいたしまして、今日の段階においてはやはり当然第一波はNHKに少くとも割り当てるようにしておきながら、残余のものに対しては民間放送の申請者の中に適格者があったならば、やっぱり早急に免許を与える以外に道はないのじゃないかという結論に到達しているわけであります。だから今の状態では、NHKが東京の教育テレビの免許を受け、これの波を出すことに努力をし、なおかつ全国各地に割り当てられる予定であるところの、第一波ぐらいに対しても相当な数、局数になります。これは五、六十局になると思います。こういうものに対しても膨大な資金が要るわけでありますので、こういうものの計画を進めて参りますと、年次計画で推して参りますから、どうしても三十七年になり、三十八年になり、場合によっては四十年になるというところもありますが、どうしても最小計画でも三十七年などということはやめて、民放はもう三十五年の末にはどうしても出しますと、こう言っているので、実際には三十四年末には出る。マイクロウェーブが三十五年になるもの以外には、三十四年の末には楽々波が出せる状況にございますので、三十七年までのNHKの計画をずっと三十五年まで計画を繰り上げようということで計画を進めているわけであります。計画の第一歩で聴取料を値上げしなければならぬか、法律改正しなければならぬかという問題にぶつかっておりますので、そういった諸般の情勢を全部爼上に乗せて検討の結果、少くとも放送法上のNHKの考えをくずさないようにして、民放と合せて免許を行うという方針になっているわけであります。
  99. 山田節男

    ○山田節男君 郵政大臣の率直な御意見を承わって私危惧の一部が消えたようにも感じますが、これは私まことに外国のことを言って恐縮ですが、ハンブルグのテレビジョン放送局外国部長ストラウス氏に会っていろいろ話を聞いてみますと、西ドイツの場合も、占領軍政下でアメリカが民間放送、商業放送を始めろということを非常にしつこく言ったそうです。ところが、ドイツは、われわれの国柄として商業放送までやるぜいたくな国柄ではないというので、非常なレジスタンスをやって、ようやく今日の形態を守り得たのだ。しかし、日本はおそらくドイツよりもよりアメリカ、アメリカとはっきり言いますが、アメリカの圧迫がひどかったのだ。であるから賢明な日本がこれに抗し得なかった。しかも、こうして民間放送と商業放送がはなやかに並立しているということは、まことに将来のために、日本のために、ためにならないということをはっきり言うておる。これは吉田自由党内閣の問題であり、以来鳩山内閣になり、村上郵政大臣 以来の、あなた三代目の大臣として今日のこの最も憂うべき状態を遺産として田中大臣がこれを受け継がれている。今あなたのお述べになった苦衷はまことに私ども御同情にたえません。ただしかし、こういう経済の底の浅い日本におきまして、占領軍政下の一つの遺産として、われわれがこういう悲しむべき運命に会っているということは、これはわれわれとしてまことに残念ですけれども、これは現実ですから、この現実下において、いかにして将来の国民に対するラジオ並びにテレビの放送を国民に有意義ならしめるかという根本問題は、これは大臣として十分お覚悟なさっていることだろうと思う。私は大臣のお継ぎになったこの遺産はまことにお気の毒だと思うのです。しかしながら、これは決してあなたの責任ではない。占領軍政下にあって日本の反抗し得なかった、これが今日あなたに御迷惑をかけている。こいねがわくは、どうぞ先ほど来繰り返しておっしゃっている国民のための放送は、内容はどうあるべきかということは、一つあなたのきわめて強い御信念と御識見と力に私は信頼するわけですから、どうか今後の、いろいろもめるテレビジョンのチャンネル問題にしましても、これは田中大臣の手で一つピリオドを打ってもらいたい。これは私の心からの熱望になっているわけです。この点を一つ了とせられまして、おそらくここにいらっしゃる委員の方々も、われわれ今日まで超党派できて、国民という以外においては私どもは目はございません。ですから、どうか一つ賢明な大臣として、慎重を期して将来の放送のあり方の基本を今あなたお作りになりつつあるのです。どうか一つこの点を十分より一そう御自重願いたいということを申し上げて、私はこれで終ります。
  100. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  101. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 先ほどのラジオの聴取料とテレビの聴視料の問題のときにも出ましたが、私たち三十二年度のNHKの予算審議するときにもつくづく感じましたが、やはり内容を見てみますと、聴取者も相当リミットに行っておりますし、聴取料からしますと、ますます飛躍するNHKの事業としては相当困難を予想されておりました。そこで、当時平井郵政大臣も、前の大臣もおいでになっておりましたが、今日対外放送も政府の命令で相当拡充強化されております。しかし、この対外放送に対する費用、こういった問題については、率直に言って政府が全額を見ていなかった事実があるわけです。この点は非常に私たち残念でして、政府が命令したからには、放送法に基いて全額を負担していただきたいということを付帯決議として出しておきましたが、この点は御答弁は要りませんから、ぜひ大臣予算編成に対しては配慮していただきたいということをお願いします。  それから簡単でけっこうですが、きのうも問題になりました逓信省機構の改革の問題ですが、これはすでに省議の決定を見ておりますかどうか。  それともう一つは、現在の電電公社監督するという窓口になっておる監理官制度を廃止して、電気通信監理局を置くということでありましたが、それもきまったのかどうか、きまったとすれば、もう一度その理由を示していただきたい。
  103. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 電気通信監理官制度電気通信監理局に改めたいということは省議決定してございます。同時に、現在政府関係機関内でもって折衝をいたしております。その理由といたすところは、電電公社に対する監督権を強化しようなどという考えはありません。そういう意図に基くものではないということを一つ考えていただきたいと思います。これは今の行政組織法及び各省の設置法はじっくりと時間をかけてできたようなものでないようであります。これは占領軍のメモランダムによりまして、われわれも審議をやっておるのでありますから、いいかげんじゃありませんが、どうも慎重審議をするのに時間がなかったということのようであります。それでありますので、内務省の解体等に伴って右へならへで全部やったというものでありますが、特に各省設置法はその後みな修正をされたり、改正をされたりして、大体現行法規になっておるのでありますが、郵政省はその上、なお二十三年に三省分離をやったり、また二十七年に電電公社ができて、その監督部門だけが郵政省に返って参ったり、どうも現行の運輸省設置法とか、いろいろな各省設置法に比べると不備な点が多いのであります。あのくらいの大きな仕事をしておりながら、官房長という制度はどこにもあるんですが、郵政省設置法にはないとか、特に運輸省と国鉄のように明確にしてあるようなものが、建設省の道路公団や、住宅公団に対する監理官制度をそのままとってあったり、郵政省設置法でとってあったり、どうも職員局や人事局がなければいかぬにかかわらず、そういうものが官房の一部であったり、いろいろ修正をしなければならないものがありますので、平たく申し上げますと現行の各省設置法に平仄を合せたい、こういうような考えがあります。  特に電気通信監理局を設けたいということは、有線放送とか、いろいろその他の問題が出て参りますし、各省との折衝もあります。有線放送に対しては自治庁及び農林省との問題もたくさんあります。なお、電気通信関係の業務は年々大きくなって参りますので、いずれにしても監理官というような制度ではなく、電気通信監理局にしたい、こういうだけの考えでありまして、電電公社に対して監督権を強化する意図に基くものであるというようなふうにお考えになっていただかないようにお願いしたいと思います。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 それからもう一つ、全国に各郵政局がありますね。そういう郵政局の中にも何か地方の電電公社の通信局を監督するといいますか、そういうふうな部門を設けるというような話を聞いたのですが、そういうことはないですか。
  105. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) そういうところまでまだ研究しておりません。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 もう時間がありませんから、いろいろ申し上げたいのですが、要は大臣の言われた、これ以上監督を強化するのでないということを私は了としますが、ただ、作ってしまいますとどうもいろいろの面でそういう格好になりやすいのです。ですから、私は有線放送がだんだん拡充していくという中で、事務も煩瑣になる。けさ松田監理官もそういうことをおっしゃっていましたが、そういうことであれば、何も監理局にしなくても、監理官のもとで人をふやせばいいのであって、局にする必要はないと思う。結局機構というものは、どう変えてみましても、長い経験を見てもわかるように、そこに働く人がしっかりしなければ、どんな機構を作ってもだめなんです。だから魂を入れるのは人であって、適切な人を得ることが大事だと思いますから、そういう意味で省議決定して、いずれ次の通常国会に出るのではないかと思いますが、下部機関なんかにつきましては、特に大臣厳重に考えていただきませんと、無用の混乱が起きるような気がしますから、この点御配慮願いたいと思います。
  107. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、私は電電公社に対しては、公共企業体審議会審議の結果を待っているのでありますが、郵政大臣といたしましては、電電公社は今の形態でよろしい。非常にうまくいっておる。戦後できたものにしては一頭地をぬきんじておる状態であるということを自認しておりますので、官業に戻す意思は絶対にない。できれば民業のいいところをもっと取り入れたい。ただ、今直ちに民業に移すということに対しては、いささか時間がないのだという考えが基調になっておるのでありますから、これは監督権を強化しようなどということは考えておりません。  もう一つ、今の電気通信監理官電気通信監理局になっても、電電公社を押えられるようなものではないことは、これは一つ十分お考えになっていただきたいのであります。これは押えようと思えば私が自分でしょっちゅう電電公社に行っておれば、一番うるさく押えられるのであって、そういうことは毛頭やろうという考えを持っておりません。ただ、私が平たく一言で申し上げさせていただくとしたならば、非常に大きな省でありながら、三省分離をやったりいろいろしておりまして、郵政省の看板も衆参両院のように逓信省に直したいと思っても、そのままぐずぐずと今日に来ておる。それで仕事は膨大もないものを抱えておるということから考え、しかも、その省の責任者として私としては、やはりほかの省もそうなのでありますから、監理官よりも、ちょっと考えて局が横に並ぶ方が非常に感じもいいのでありますので、そういう意味でどうしても局にしてやりたいという考えでありますから、統制を強化するとか、干渉が激しくなりそうだということに対しては、私も立法上十分注意をいたすつもりでありますので、その間の事情を御了承いただければ幸甚だと思います。
  108. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  109. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは速記を始めて。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 副総裁にお尋ねいたします。第二次五カ年計画の中の、特にわれわれが重要視しておりました要員対策については非常に配慮をしていただいていることについては、午前中も申し上げましたように、私非常にけっこうだと思います。ただ、この運用については相当慎重を期し、しかも、迅速にやっていただかないと依然として問題が残っていくように私は思います。従って、第一次五カ年計画の中で、とかく要員計画が後手々々を引いておりまして、そのために無用のトラブルが起きて予定の計画が必ずしもうまくいかなかったというようなこともあり得るわけですから、その点で当然余った要員については、首は切らないのだが、配置転換なり職場転換なりというものが出てくると思いますが、そういう場合に公社としてはどの程度の期間を置いて組合側と話をしようとしているのか、そういった点一つ具体的にお答えを願いたいと思う。というのは、第一次五カ年計画でもずいぶんわれわれがやかましく言っているのですが、現実に私たちが話し合いしてみますと、たとえば具体的の例ですが、岡山県の玉野という局があります。ここは来年の五月ごろに自動局になり、市外が若干集中されるものがあるのですが、行ってみますと、当該の局長自体も要員関係がどうなるかさっぱりわからない。ですから、組合の方がむしろ心配をして、今から早く手を打ってどういう対策を立てなければならぬじゃないかというのでありますが、新定員がどうなるか、さっぱり要員問題については上から話がない。通信局に地方本部というのがありますが、そこで聞いても明確な方向を示してくれない。こういうことで非常に問題があるのですが、どうも要員問題についてもう少し明確に——切りかえはわかっているのですから、この際にどういう格好になるのかということを、やっぱり早く明示してもらいたいと思うのですが、どうもおくれているように思いますから、特にこの点をお尋ねしておきたいと思ったのです。
  111. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答えいたします。今度第二次五カ年計画を、目下政府機関に対しまして予算を提出いたしまして、これから政府として予算を調整される段階で、まだそれが済んでおりません。そこで、第二次五カ年計画の初年度でございますから、私どもは非常に重大視しまして、いろいろとこの必要性も強調いたしますし、今後の体制に対しましてもいろいろと考えておる次第でありますが、大よそこの計画に基きますところの年度別の実施計画というものは、私たち当然持っておるわけであります。従いまして、それらが全般的に支持されますれば、少くとも二年前あるいは三年前ぐらいに大体はっきりわかってくる、それをなるベく私ども変更しないように持っていきたいと思っておりますから、要員計画につきましては、まあ第一次五カ年計画におけるよりもっと正確な計画に基いて、事前に相当準備をやっていくと、こういうような考え方に立っておるわけでございます。  今御指摘の、現実の局においてどうなるかわからぬということは、私ども非常に不可解なのでございまして、すでに改式配置の期日も明らかにしてございますし、通信局におきましても、相当この要員問題については対策を講じつつ現在やってきて参っておるのであります。あるいはそういうような具体的な例があるといたしますれば、はなはだ遺憾な次第でございますが、まあ個人的な配転の問題というのは一年前からやる、そういうことをあまりはっきりさせるということは、やはり仕事を継続していく上におきまして支障もあります。しかし、全体のワクというものはかなり早くわかってくるわけです。そういうわけで現在の体制としましては、すでに御承知かもしれませんが、期間的要員を採用することによって、本社員をそういたずらに配置転換しなくても、場合によっては救済できるというようなことを主体として考える。しかし、具体的にやはり付近の局、通勤可能な局、あるいはまた職種転換というような場合におきましては、半年から——第一次五カ年計画におきましてあるいは三カ月くらい前になっておりますが、具体的な人員の決定というものは私ども大体半年から三カ月までの間に発表しなければならぬだろう、こういう考えでおります。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 私はこの十月の三日の日に玉野の局に行ってみたのです。で、現場をあずかる局長さんにお会いして、大へんなことですね、とにかく要員問題は大事ですから、事前に一つよく協議をして円満にやっていただきたいと、まあお話をして、どうですか、計画はわかっておるのですかと言ったところが、全然わからぬと言うのです。これはもう現実に。組合の方もそう言っているのですね。ですから、五月の時期ははっきりしておるのだが要員措置がわからない。わかれば今言ったように事前に個人がこれは改式になるならば早くどこかに出ていくのだと、そういうことでなしに、総体的に臨時採用を雇う目安がないものですから、お先まつ暗で非常に不安を持っているということが実情であります。これは具体的な例でありますが、こういう点を私たち考えるときに、どうも国会でわれわれがお聞きしておると、公社考え方が下まで伝達されていないのじゃないかということを考えるわけでありますから、この点一つ、これは具体的な例としてあげましたので、一つこの点中央の通信局でありますから御指示を願って、そういうことがありましたら直ちに計画を発表して善処するように御配慮いただきたいと思うのであります。  それから資金計画が非常にこれは私は心配になるのですが——これは大臣がおられるところでやりたかったのですけれども——この資金調達計画を見ますと、三十七年度、要するに最終年度まで加入者負担金なんか計上されておるのですけれども、たしかこれは五年間延長されておりますから三十五年度で終るように私は思っているのですが、そうすると、三十六年、七年というのは、これはそういうことを想定して、さらに負担法を延長するということを想定してやられておるように思うのですけれども、この点は非常に危険を含んだ資金計画じゃないかと私は考えておるのですが、こういう点どうも非常に危惧を持ちますから、これがもしだめな場合はどうするかということも当然論議になったと思うのですが、その点一つお答え願っておきたいと思います。
  113. 靱勉

    説明員(靱勉君) 資金計画につきましては、第一次五カ年計画におきましても、二十八年度の当時の情勢から、五カ年間の資金をけだし政府機関におきましても、その他においても確定するというわけにはいかない性格のものだと思う。今日に至りましても、相当経済も安定した時期でございますけれども、なかなかこれだけの計画をそのまま——先ほど大臣がおっしゃられたように、これを法律でもって確定するという、あるいは継続期間を確定するということならかなり明確なものになるわけでございます。まあなかなかそういう状態にはなれませんので、毎年度毎年度この計画をもととして、できるだけこの計画を五年間に遂行できるように努力していくということが現在とり得る措置ではないかと考えます。  そこで、御指摘の加入負担金はまさにおっしゃる通りでございまして、三十五年度で切れますので、三十六年度、三十七年度はこれはゼロにしなければならぬ現在の法律の体制かと存じますが、これらにつきましては、この三十六年、三十七年に六十四億計上してありますのは、御指摘の通り、現在においては不適当であると申さなければならぬと思います。その点は訂正するのが正当と思います。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 この点は、要するに、政府自体の事業に対する積極的な支援体制ということがないからこういうことになると思うのです。結局、ずいぶん苦しい資金計画を作って、いわば一部架空の計画が入っておると言われても、これは何とも言えないと思うのです。非常に苦心は要ると思いますけれども一つせっかく決定をした計画案でありますから、できるだけの政府から予算援助をいただいて、この計画が実現できるように私は期待するわけです。  それから次に、この前の委員会で靱副総裁にお願いしておきました工作工場の経営の問題ですが、何とか不合理な工場計算をなくして、電気通信事業として当然に工作工場が必要だという建前に立って考えていただきたいということを申し上げておったのですが、やはり、まだ私たちが職場を回って見ると、いろんなうわさが流れておりまして、工作工場に働く人たちが不安な気持を持っておられる。非常に残念だと思います。やはり早く方針をきめてやることが必要だと思いますが、縮小するというような考え方、あるいは全然なくするというような考え方、いろいろあるわけですが、その後相当期間もたっておるわけですが、五カ年計画の一環として工場経営の問題が当然論議されておると思いますけれども、きまっておりましたらその方針をお聞かせいただきたいと思います。
  115. 靱勉

    説明員(靱勉君) これも御指摘の通りでございまして、前の委員会等におきまして、今後の方針をどう立てるかという御質問があったのでございますが、それに対しましては、五カ年計画の具体的なものができた上でそれに見合って工作工場の基本的方針をきめたいというふうにお答えしました。ようやく実は九月末に公社案というものが確定いたしたわけでございます。これからまあこれによりまして、各方面の御理解、御援助を得たいと考えておるわけでございます。これをもととしまして、工作工場に対する方針も近く御説明ができると思います。大へんおくれておることはおわび申し上げます。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 最後に、電信経営についてお尋ねしておきたいのですが、たしかこの前、電信合理化委員会でしたか、それを持たれて、今後の電信事業をどうするかということで一応結論が出ておると私たちは了承しております。そこで、どうも電信経営というものは今日百億近い赤字が出ておるのですが、電信電話というのは総合的な経営の中で運営をされておるわけですけれども、実際には、一通電報を打つと、百二十円とか百何十円とか赤字が出るという状態でありまして、何とかこの電信対策を抜本的に考えなければいけないという考え方を私は持っておるのですが、先般新聞等にも発表されましたように、料金値上げをしなければならぬというようなことも若干出ておったようですけれども、その後、電信の問題は、とかく電話が非常に発達しておりますので、公社の総力がその方に向っておるようにも思えるのですが、電信に対してほんとうに真剣にこれをどうするかということに対して、取り組み方が若干手薄になるのじゃないかという危惧を持っております。ですから、このままの状態で電信経営というものを放置しておくことは、当然いかぬと思うのですが、もう少しこれは英知を集めて、世論に訴えても、この経営を正しい方向に持っていくということを考えていかなければならないと思うのですが、何かその後具体的にお考えになったことがありますでしょうか。
  117. 靱勉

    説明員(靱勉君) 電信事業経営合理化と申しますか、ともかく百億程度の赤字を抱えておるということに対しましては、私ども非常な関心を持って、先般来その委員会内部に作りまして、一応審議の結果というものは私ども持っておる次第でございますが、この事業の将来の発展というものに対しては、私としては、実は疑っていないのでありまして、今後は、加入電信の普及ということがはかられまして、その面においては収支というものはかなりよくなります。と同時に、中継機械化によっても、もちろん若干の合理化というものは期待されるわけでございますが、ともかく、全国津々浦々、いかなる所へも電報を配達する、しかも、国民が、比較的低廉に電気通信機関を利用するという意味合いにおきまして、現在必ずしも電話が普及していない現状におきましては、やはり、今後におきましては、必ずしも収支のみを考えてやっていくわけにはいかぬ、電信電話総合経営の実体もそこにあると思います。そこらにつきましては、過般御説明申し上げた通りでありますが、その後どうなっているか、料金問題につきましては、私ども実は第二次五カ年計画のときに、総合的に調整をはかりたいという考えを持っておりましたが、それを同時にやることが非常に困難である、そこで、なお一カ年間かけまして、第二次五カ年計画の第二年度目ぐらいからそういうような案が得られるように私どもせっかく検討いたしております。この要綱の中に料金問題はあまり触れておりませんが、しかし、あくまで料金をもっと合理的にしたいという考え、それは値上げしようという考えではなく、ほんとうに全体的に調整をとっていきたいというところで目下大体成案を得つつありますが、これはなかなか重大な問題で、実は、私ども一般の方々の御意見も伺うように、そういうような機関でも設けたらと考えておりましたが、国鉄はすでにそういうような機関を最近発表になっております。私どもも、前から、相当これは慎重に検討しなければいかぬ、それはもう料金値上げという線じゃなく考えていきたい、こういう基本原則でやっておる次第でございます。これは、いずれ、もう少し成案を得た上で、郵政省の方にも御説明した上で、意見調整で相当期間をかけましても、慎重に検討していきたい、ただ、電信の赤字を料金だけで考えるとか、そういうようなことじゃなく、総合的に考えました施策とあわせまして、しかし、現状におきましては、世界各国の例を見ましても、なかなか国内電信の収支のほんとうにとれたという体制というものはきわめて困難なものであるということは十分覚悟しております。それを、ただ収支を合せさえすればいいという考えじゃなく、国民の利益と、また、やはりこれをだれが負担していくかというようなことを考えまして、何とか合理的な解決の道を見出したい、こういうふうに考えております。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと要望しておきたいのですが、工作工場の問題については、どうか一つ早目に成案を作っていただいて、私たちにも見せていただきたいと思います。  それから、電信政策については、やはり実態というものを、国民がよく知ってくれておらないと私は思うのです。ですから、電信が、確かに一通打ったら百二十円ぐらいの赤字になっておるのだということは、打っておる御本人は全然知らぬと思うのですね。ですから、そういう経営内容を国民に知ってもらう、こういうような意味においては、今副総裁の言われた新しいいろいろな民間の人たちを入れて、御意見を聞き、また、聞いてもらうというような一つの方法をとっていただくことは非常にけっこうだと思うのですが、本年も、そういうもうからない、赤字になる事業だということは覚悟して政府もやらしておるわけですから、だから私は、電話局の方で、電話料が安過ぎるじゃないかという意見はとんでもないことであって、東京で電話を引く場合でも、九万円も十万円も出さなければ引けないなんて、そういうばかな話はないので、もっと大衆の電話になるということは、当然国民も期待するところであって、今では、電話というものは金持ちでなければ持っていないということになるわけですから、そういう意味では、もっともっと電話サービスをよくするように、本来の電話の料金を使うのであって、赤字になっておる百億というものを電話料金から補てんすること自体が私は誤まりだと思うのです。これはもう私の考え方ですから、これは当然政府が幾ら合理化してきたってやはり限度はあるのです。合理化幾らやってみたって電話の赤字は出る。原価計算をしてみれば、委託局なんかやっておるのを見れば、百六十円も一通打てば損しておる。ですからそういうものを中継機械化によって人を五千や六千減らしてみたって赤字は私は消えぬと思うのです。だから抜本的な対策を政府はやっぱり考えてもらうという方向に私は持っていかなければ筋が通らないじゃないかという気持もあるわけです。いずれにしても、二年度くらいから考えたいということですが、そういうことでなしに、もう少し早目に私はこの電報電信政策というものについては御検討をいただいて、何らかの方向を見出していただくように特にお願いをしておきたいと思います。どうもありがとうございました。
  119. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  120. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。  本委員会は、閉会中電波法の一部を改正する法律案、郵政事業職員等共済組合法案並びに郵政事業運営に関する調査電気通信並びに電波に関する調査をそれぞれ審議して参ったのでありますが、いずれも閉会中に結論を出すことができないと考えられますので、この際、規則第七十二条の三により、審査及び調査の未了報告書を提出したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお報告書の作成並びに提出時期等につきましては、委員長に御一任願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十三分散会