○山田節男君 これは田中
郵政大臣のみならず、前の平井
大臣も村上
大臣も、今の田中
大臣のおっしゃったように、具体的なパーセンテージまでつけての御
説明じゃなかったけれ
ども、教育放送というのは言われた。これは御参考のために申し上げますが、たしか九月の十三日だったと私記憶しますが、BBCの
会長、サー・ウィリアム・八一リー氏、この方はBBCのディレクター・ゼネラルを八年間やって、現在ロンドンタイムスの主筆をしておりますが、この人にぜひ会った方がいい——古垣大使並びにイギリスの大使館からぜひ会ったらいい、この人は将来
日本として無視することのできない人である、ことに放送
事業の大先輩の人であるからというので、大使館のアレンジによって私らサー・ウィリアム・八一リー氏に会いました。そのとき
日本では教育放送というものを盛んにやかましく言っておる、公共放送は教育放送に専念すべきものである、娯楽放送は主として
民間放送がやるべきだというようなことが言われておるが、あなたの八年間のBBCの
責任者としてどう思うか、しかも、
民間放送の盛んな
日本においてどうあるべきかということを私は
意見を求めたのです。そのときにサー・ハ一リーはどう申したかというと、こう申した、公共放送であろうが、
民間放送であろうが、プログラムの精神においては同じである——これは私はきわめて含蓄のある言葉であると思います——何となれば
民間放送はスポンサーのものであるから娯楽を主にするものだということは公共放送の堕落である、アメリカの例を見ればよくわかる。しかし、
日本の事情はわからないけれ
ども、公共放送を持っておるイギリスの多年の経験から見れば、
民間放送と公共放送の分業的な線を引くということは、これは非常に愚かなこっちゃないか、そう私は率直に思う、ということを言うたですね。この言葉は私は今日今
大臣としてそういう教育放送、準教育放送というような、きわめて従来
日本にありがちな
一つの規格を作る上においてパーセントで規格を設ける——今日の民主主義の国家において、しかも、放送
事業は番組においては編成もあくまで自由であります。そのためにプレス・コードがあり、しかも、民放陣においては
一つのプレス・コードを持っておるわけです。ですからうまくそういうパーセンテージによって純であるとか、準ずる準であるとかいうことを設けることは、私は戦前の、少くとも終戦までの
日本のいわゆる官僚主義的なやり方であって、今日の新しい憲法において、しかも、番組編成ということは
政府が規格を設けるべきものではない。ですから、私はこれをはなはだ遺憾に思うのですが、そういう道の大先輩に聞いてみたら、そういうことを申すのです。これは私
たちとしては非常に慎重に
考えなければならぬことじゃないかと思います。いろいろなことを数々言われたのですが、今
大臣の御答弁に付随してこのことを私想起しますと、今のようなパーセンテージによって教育放送かいなかということをきめるということは、まことにまずいんじゃないか。で、もしNHKは準教育放送ばかりやれということになれば、
大臣が非常に念じておられるNHKの公共放送としての存在は全く将来は暗黒なものになってくると思う。先ほど申し上げましたように、テレビにおいてはBBCとITVという商業放送が昨年設けられましたけれ
ども、BBCのプログラムは非常に貧弱であるということが言われておる。イギリスにおいてすでにしかり、かような事実になっておるわけです。ですから、NHKの公共放送を暗い方へ押しつけるということは、
大臣がせっかく好意を持っておられるのに、そういう基準でおやりになると、NHKを暗やみに葬ってしまう第一歩である、こういうことになりはしないかという私は危惧すら持つわけです。ですから番組の編成に関して、そのパーセンテージによって教育放送であるというようなことをきめるということは、これはきわめて不備である、教育放送の番組の編成の自由ということを認めておる憲法の上からいえば、
大臣のせっかくのお
考えもずいぶん再
検討してもらわなければますます混乱と公共放送の低下を来たす、これはもう明らかな事実であると思う。今度見て帰ってきたわけです。どうぞ、
大臣におかれましてもこの点を
一つお
考え願って、あるいは今日あたり
相当なチャンネルの免許のことについて御確定になる
答申を今求められているんじゃないかということも私は聞いておりますけれ
ども、しかし、こういう根本問題を早く再
検討するためには一カ月、二カ月延びても私はいいと思う。
大臣のきわめて公正な国を思うための放送
事業の
発展ということになれば、今のようなしゃくし定木の
考え方は
大臣としてはお持ちにならぬ方がいいのじゃないか、かように私は
考えます。ですから、今おっしゃったようなそういう
考え方だと、私は非常に将来テレビジョンの混乱を来たすということが明らかに見えるわけです。
これに関連して私NHKに
質問しますが、大体一昨年以来テレビのチャンネルの割当問題は、
政府も案を立てて、NHKも公共放送の建前として、当然そのチャンネルのプランはNHK自体も立てておるわけです。私二カ月ばかり留守にして帰ってみますと、これは
大臣の非常に苦しい条件のもとでおやりになっておるということは十分わかりますが、
大臣は政治家であり、
行政の
責任者である、党派あり、またその他いろいろな
関係があってなかなかむずかしいだろう、これは重々わかるのです。NHKは少くとも公共法人として国民に対する
一つのあなた方は
責任を持っておるわけですから、このチャンネルの割当については、NHKはもう少し私は強く当るべきじゃないか。どうもこの点において永田
会長にしても、もう少し
国会に訴えるなり、あるいは国民に訴えるなり、あるいはまた
大臣にあらゆる手段、
会長自体がもう体当りによって国民のためのテレビのチャンネルの確保を、優先的に確保するということは放送法から言えるわけです。そういう点について、どうも私今日二月ぶりに帰ってみると、その結果から私申しますと、NHKの当事者がもう少し私は熱意をもって国民に対する
責任感が足りないのじゃないかというぐらい私は思うのですが、永田
会長は
責任者として田中
郵政大臣 に
相当強く言われておると思うのですが、この点どうなのですか。言われておるけれ
ども、
郵政省が聞いてくれないのかどうか。この点はNHKの将来について、全く私は十字路に立っていると思う。NHKとしては、理事者一体となって
郵政大臣になぜ体当りしないか、まことに私歯がゆい感じがしておるのですが、私は
国会にいるからそういうことを言っておるのかもしれませんが、NHKの将来のために、もう少し対処されることについて議論を尽されたかどうか、
大臣の面前ではなはだ私恐縮ですけれ
ども、永田
会長が今日までそういう線でおやりになったのかどうか、決して
大臣の前ではばかる必要がないと思いますから、
一つ会長の御
意見を承わりたいと思います。