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1957-04-24 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十四日(水曜日)    午後零時二十二分開会   —————————————   委員異動 四月二十三日委員木下友敬君及び小笠 原二三男君辞任につき、その補欠とし て久保等君及び椿繁夫君を議長におい て指名した。   ————————————— 出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            加瀬  完君            成瀬 幡治君    委員            小林 武治君            小柳 牧衞君            館  哲二君            吉江 勝保君            占部 秀男君            鈴木  壽君   政府委員    自治庁行政部長 藤井 貞夫君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    文部省初等中等    教育局地方課長 木田  宏君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方公務員人員整理に関する  件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動について報告いたします。  昨二十三日、木下友敬君、小笠原二三男君が辞任されまして、久保等君、椿繁夫君がそれぞれ補欠選任されました。  以上、報告いたします。   —————————————
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本日は、地方行政改革に関する調査を議題に供します。  地方公務員人員整理問題について占部委員より質疑の通告がございましたので、まず、占部君に質疑を許可いたします。
  4. 占部秀男

    占部秀男君 文部省にお伺いをいたしたいのですが、局長が御無理だというのであれですが、なるべくなら一つ局長にも一ぺん聞きたいと思っているのですけれども、実は静岡の市で、学校用務員、まあ東京では用務員と呼んでおりますが、静岡あたりでは学校小使さんですか、小使さんに強制勧告——まあこれはわれわれ考えても強制勧告だと思うのですけれども——したために、ショック死をしたという事件が起っているのですが、静岡では大きな騒ぎの一つになっておりますが、その点に関連をしてお伺いをいたしたいのですけれども学校用務員の方の任命権者というのは、あれはどういうことになっておりますか。
  5. 木田宏

    説明員木田宏君) 学校用務員任命権は、その学校を管轄しております教育委員会任命をいたしておるわけであります。
  6. 占部秀男

    占部秀男君 その教育委員会任命をされておるわけですが、これはもちろん地方公務員の一人だと思うのですが、それで持に小使さんのような場合には、いろいろな労働関係その他の問題もあって、これはたしか単純労務のあの政令にかかっておるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうですか。
  7. 木田宏

    説明員木田宏君) 学校用務員は、地方公務員法の五十七条でございますか、そこに規定しております。単純な労務に従事するもの、こういうふうに考えております。
  8. 占部秀男

    占部秀男君 そこで第一にお伺いをしたいことは、小学校小使さんのような場合の労働関係、特に退職させるとか、あるいはそういうような問題は、これは地公法扱いをするのですが、それとも例の地方公営企業労働関係法ですか、地公労法ですか、あの扱いでこれをやって行くのですか、その点を一つ
  9. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これは今、木田君もお答え申し上げましたように、単純労務者になっておりますので、この労働関係等につきましては、地方公営企業法規定に基いてやるということが建前でございます。ただこれ、はっきりと現実の姿を申し上げますと、全国的に見まして、例の単純労務者関係について、統一的にそれぞれ組合を単独で持っておるという例は、実はあまりないわけであります。この点、それらの人々の労働意識の問題というようなことを言うのは、これはあまり適当でないかもしれなませんが、理事者側等との関係もありまして、むしろ一般職員、あるいは教職員の中に溶け込んでやって行った方が、むしろいいのじゃないかという考え方もあると思いますが、そういうふうなことから、現実の姿は例の法律の適用がそのまま動いておらないというのが、一般地方団体の現状じゃないかというふうに考えております。
  10. 占部秀男

    占部秀男君 私もどうもそういうふうな感じをしておるのですが、そこで、かりにまあ身分の取扱い、あるいは辞職のこと、首切りの問題やいろいろな問題が起ったという、そういう場合に、その問題についての責任者と言いますか、責任者は、やはり溶け込んで行われるような場合には、市長になりますですか、それとも教育長になりますか、その点はどうですか。
  11. 木田宏

    説明員木田宏君) やはりこういう身分上の処分の問題でございますから、それぞれ任命権を持っておりまする本件の場合につきましては教育委員会責任者になる、こう考えております。
  12. 占部秀男

    占部秀男君 ところで現実に、たとえば首切りの問題が起ったり、勧告の問題が起ったりすると、まあ大きな県や大きな市では別でしょうけれども中小都市以下の市の場合は、先ほど行政部長さんが言われましたように、市長発表したやり方中心に、それに従って教育委員会関係雇用関係の方々もやられておるのですね。で、責任は確かに雇用という形式的な問題から言えば、教育長あるいは教育委員会という形になりますけれども、実際運営は市長中心になってやっておると、こういうのが現実の姿ではないかと思うのです。で、そういうような点からいって、やはり教育長プラスというか、イコール市長と、こういうような責任の問題に、これは問題にもよりますけれども、なってくる場合もあるのじゃないかと思うのですが、そういう点についてはどういう見解でございますか。
  13. 木田宏

    説明員木田宏君) 市の教育委員会は、教育関係職員のまあ任免その他の事務を行なっておるのでございますが、その中には学校職員以外に、御指摘のような用務員等もございまして、学校教職員を含めて論ぜられることでございますけれども、他の市長部局職員等との人事処理上の均衡ということを考えて、やはり処理をしなければならぬと思うのでございます。そういう観点から、市の教育委員会市長部局人事処理方針とできるだけ連絡をとりまして、共同で同一の方針を打ち出すことを可とするものにつきましては、そういう方向処理をすることもあろうかと考えております。そのことはやはり同じ市の団体の、広い意味での同一団体職員人事をそれぞれ分担しておるわけでございまして、そういう点から、とらえてくるのでございますが、しかし権限といたしましては、教育委員会の管轄しておりますものにつきましては、教育委員会があくまでも責任をもって処理すべきもの、こういうふうに考えておるのでございます。
  14. 占部秀男

    占部秀男君 その管轄上の責任の問題はわかるのですが、今言われたように、市長部局との均衡上からという場合が、これがほとんどなんです。実際の現実の場合は、そうすると、やはり最高責任というものは、一応は教育委員会というものも、市長が負うように負わなければならないのじゃないかと考えるのですが、その点はどうなんですか。
  15. 木田宏

    説明員木田宏君) その点はやはり行政上の責任問題として考えて行かなければならぬ点につきましては、これはその任命上の責任者であります教育委員会のことと、こう考えなければならないものと、こう思います。ただ、市の人事管理全体を通じて、こういう方向で行こう、こういうことでも、市長さんの方針もあり、教育委員会それと行動なり、止調を合わせるということでございますならば、そのことにつきましては、両者の間にそれぞれ何と言いますか、方針についての相談があり、そのことについて、ある意味での一種責任と申すものがあるかもしれませんが、現実事務処理なり、公務員法上の規定上から出て参ります行政上の責任者としては、やはり権限が分割されております以上は、その権限を法規の上において有しております教育委員会が考えるべきではないか、相談がございましても、事務処理場はやはり教育委員会のその職員につきましては、教育委員会責任において処理されるものと こう考えておるわけでございます。
  16. 占部秀男

    占部秀男君 これは中小都市のそういうような問題を見ると、確かに行政上の問題もあるのですが、市政という一種の市の政治ですね、市政上からいう、何を言いますか、言い回しがおかしいかもしれませんが、そういう立場から、むしろ教育委員会権限の問題はそれにのまれて、その中に含まれて、そうして首切り問題や勧告問題が起ってくるのが現実の大部分の姿ではないかと思うのですが、そういうような場合に、結局、そのものから、起ったところのいろいろなトラブルについては、その責任はやはり行政上は一応独立しておるのだからといって、何と言いますか、教育委員会ですか、教育長ですか、それだけにとどまるものであるというふうには私は考えないのですが、そういう点はどういう御見解を持っておられますか。
  17. 木田宏

    説明員木田宏君) ただいまの点は、やはり教育委員会が、たとえば一定の職員について退職なり整理なりという方向を打ち出すにつきましても、市議会等予算もきまり、その予算執行上、そういうことが行われるものと考えておるわけでございますから、そのいった事柄の起って参ります諸情勢ということにつきましては、それぞれ予算の議決をされる場合には、議会がそういう方針を打ち出されたという意味で、一種のそのことについての責任をとられるべきものと考えるのでございます。しかし、やはり事務処理をして行きます上におきましては、執行者一としての責任を分担によって処理すべきものである、こう考えております。
  18. 占部秀男

    占部秀男君 執行者としての責任はわかるのですが、そうするとそういうようなトラブルが起った場合には、市長には全然責任がないと、こういうような見解ではないわけですが、その点ちょっと。
  19. 木田宏

    説明員木田宏君) 市長さんは、やはり市政全般方針について、一つの立案をされ、あるいはそれが提案されて予算の形で議会に出て行くという意味におきましては、市長さんの方にも、そういった点についての政治上の責任ということはあると思います。しかし、個々人事処理につきまして、個々に具体的に発生して参ります事件につきましては、所管の教育委員会の方で責任をとるべきもの、こう考えております。
  20. 占部秀男

    占部秀男君 今、個々に発生した問題については教育委員会責任である、こういうふうに言われたのですが、個々に発生したそうした事件と言いますか、問題が、結局、市長なら市長のきめたところの人員首切り、あるいはまた勧告、そういうような最高方針に従って現われたような場合については、これはやはり最高責任市長であるということになるのか、その点についての見解はどうなんですか。
  21. 木田宏

    説明員木田宏君) 何と申しますか、御説明がちょっとうまくいきませんで、繰り返すようなことになって、非常に恐縮にも存ずるのでございますが、この市政方向をきめますにつきましては、一つ予算という形で出てくる、その予算上人員が減少するとか、予算が減少するというようなことで、何名かの整理ということが、市の職員全体を通じて行われることがあろうと考えるのでございます。そういう場合につきましては、予算作成過程におきまして、教育委員会も一応自分の希望意見を、事実上、市長の方に提案をいたしまして、所要の職員を要求するということに相なるのでございまするが、まあ協議が一応ととのったという形で、市長さんの手でその予算が出る、議会に提案され、また議決された予算について執行する、こういう段階になって参りますと、担当責任機関として、教育委員会も、市の方針としてきまりましたそういう市政執行については、その担当の部門につきまして、やはり最高責任を負う、こう考えざるを得ないのじゃないかと思うのであります。
  22. 占部秀男

    占部秀男君 その最高責任を負うということは、部局内における問題については市長責任と全然切り離した形の最高責任という意味ですか。
  23. 木田宏

    説明員木田宏君) 今の御質問で、受け取り方が違ってないとすれば、それで私もそういうふうに申し上げたつもりでおるんでございますが、あるいは中味が食い違っておるのじゃ、ちょっといかぬかと思います。
  24. 占部秀男

    占部秀男君 それじゃお伺いをいたしたいのですが、静岡で、市で、首切り強制勧告の問題が起って、その強制勧告をされたところの学校用務員の一人の人は、その場で死んだという事件が起った。これはショック死、私たちショック死と言っておるのですが、そういうような事件については、報告あるいはお調べということはまだございませんですか。
  25. 木田宏

    説明員木田宏君) 率直に事実を申しまして、先生からの御質問等の趣きも伺いまして、さっそく市の教育長に当時の事情を、電話でございましたけれども、聴取してございます。
  26. 占部秀男

    占部秀男君 今度の問題は、それじゃもうすでにお調べになっておるから、よくわかっておることと思いますけれども、私も実は現地に行って、現地の方の二、三の調べをしてきたんですが、第一に、市の職員の方がやめるという場合には、これは御存じのように、地公法上のちゃんときめ方がありまして、たしか二十八条でしたかに、きめ方があって、それに該当しない者はこれはもう首にならないと、こういう保障的な規定があったかと思うのです。で、特に羅列五つばかりしておりますけれども、その五つばかり羅列をした以外に、たしか第三項か何かで、意に反して首を切る場合、まあやめさせるような場合には、特に条例その他を設けておかなくちゃならぬと、こういうことが明文としてうたってあると思いますが、今度の静岡事件を見ると、これはそんなような条例もない。また、二十八条の列挙に該当するような問題でもないと、こういうように私たちは考えるのですが、そうなると、これは地公法違反やり方じゃないかと、こういうようにわれわれは考えるのですけれども、その点についての一つ所見伺いたいと思います。
  27. 木田宏

    説明員木田宏君) 私どもの方で地元から聞いております経緯によりますと、今回の退職勧告につきましては、市の方で一方的に、地方公務員法二十八条の分限規定でございますか、この規定援用を受けまして一方的に整理しょうということではなくて、まあできるだけ退職を勧め、ほかの職もあっせんして、本人退職願を待って、それによって処置をしたいと、こういうことのように聞いておるのでございます。
  28. 占部秀男

    占部秀男君 今文部省で聞かれたようなやり方なら、これはまあ本人辞職をする場合ですから当然なことである。法的な処置としてもこれは当然なことだと思うのです。ところが、事実はそうではなくて、この七十五名という人をどうしてもこの際やめさせたい、そうすると、この七十五名は、五十五才以上の人全部に該当するわけです。静岡市役所内における五十五才以上の人全部に該当する。これが七十五名いるわけです。この人たちに、いわば、定年制がもうじきしかれるのだから、従って今やめておけば五割増しにするけれども定年制がしかれてしまうと、これは普通の退職金以外には出せないのだから、そこでまあやめろと、こういうような問題が起きたのですな。そこで、その組合がこの問題を取り上げて、七十五名の人たち委任状を取ってしまったのです。委任状を取ってしまったというのはおかしいけれども、一切は組合にまかせるという委任状を取ってしまった。そこで市長側は非常にあわてて、団体交渉を……一方的にそういう発表をしたやつを、これはまあ大てい、そういうような新陳代謝発表の場合でも、普通どこでも、われわれ組合のあるところでは、一応組合と話をして発表するのですけれども、これは一方的に発表したその後、委任状を取ったために、あわてて団体交渉をしたいということが市長側から申し出があって、その結果いろいろとやった末に、第一番には、本人の意に反して強制退職はさせないということが第一ですね。それから第二には、退職希望条件はいれる、これはまああと就職やその他のあっせんの問題です。第三番目には、話を受けてもやめないという人については、今後不利益な取扱いはしない、こういう三つ条項の約束をして、これは文書協定したのです。そして七十五名の委任状をそれぞれの人たちに返させて、その結果、まあ一応五割増しということで、単に文書だけによって辞職する人の申し出を待とうということになった。ところが申し出が八名しかなかったので、団体交渉により協定をした後に、あっちでもこっちでも、その五十五才以上の人を中心強制勧告をやってきた。しかも七、八人が……、多い人で八人くらい、少い人で四人というのですがね。課長係長、それからいろいろな人がずっと囲んで、その人を呼びつけて、もう自治庁としては定年制をとると言ってきているんだから、定年制をとった場合にはあれだからということで、もう、二日、三日、四日、多い人は八回強制勧告を受けた。こういうのですね。そうすると、これは本人申し出を待つというのではなくして、これは強制勧告をしておる。こういうふうにまあ私たちは見ざるを得ないのですが、そういう点はどうでございますか。
  29. 木田宏

    説明員木田宏君) この予算の削減、その他の事情につきましては、実は、私ども市全般のことにもわたりますし、まだよく事情を聞いておらないのでございまするけれども、まあ多くの場合に、予算の減、あるいはその他の事情によりまして、職員の定数なり、あるいは高給者の隠退を求めるという場合には、万やむを得なければ地公法第二十八条の規定もあるわけでございまするけれども、多くの地方公共団体におきまして、そういった法の援用によって一方的に処理するということでなくて、できるだけ御本人事情等をも考えながら、お話に応じて退職をお勧めするという形を広くとっていると私ども聞いておるのでございます。今回のことにつきまして、その具体的なものの言い方なり勧め方なりがどの程度であったかという点につきましては、これは私ども事実をどうも的確に受け取るわけにいかないのでございまするがまあ報告を受けましたところによりますると、一番最初に御指摘になりましたショック死と言われるこの用務員につきましては、校長から二回ほど退職を勧め、また、市の教育委員会職員二名で退職を二回勧めておる。その場合に、市役所人事係の人が同席したことがあったということも聞いておるのでございまするが、それは後々の就職あっせん等お話の都合がありまして、同席をして別の職をお勧めしておったそうでございます。そのことについて、本人もいろいろ納得をしておったというふうに聞いておるのでございまするが、そういった事情等もございまして、普通、多くの場合やむを得ず高齢者その他に引いてもらうように勧めなければならないような事態の通常の状態であって、極端に、法的に強圧的な勧告をした、こういう状況は、まあ報告の言葉だけでございまするけれども、私どもにはちょっとうかがえないのでございます。
  30. 占部秀男

    占部秀男君 今の場合は、地公法の二十八条に列挙している四つの問題のうちの一、二、三の問題は、もちろんこれに該当しないのですが、第四に「予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」、こういうような一つの場合があるわけですね。これに該当するというような場合と、今度の静岡の問題は違うのですよ、静岡赤字団体ではなくて、これはいわゆる給を安くするための新陳代謝をこの際して、高い給の人を低くしょうということで、第四条の場合とは違う問題である。しかもその後にいろいろな意に反してやめさせる条例静岡にはないわけであります。そういうような前提が一つ考えられるということと、それから今、課長さんが言われるのでは、校長から二回、教育委員会職員が二名も立会ったというのですが、この人のときはやはり六七名きておるのですよ。しかも市の人事課長とか、教育委員会人事課長ですか、全部に取り巻かれて、たとえば小使さんのような場合は、もうそう五、六人の人たちにいろいろなことを言われることは、勤めてから終りまで普通あり得ないことなんで、そういうような中にあって、しかも言うことは、これはもう定年制ができるのだ、自治庁はそういうふうに通知してきておる。そしてこういう問題は今のうちにやった方が得だ。だからというので、その当人があれしませんと言っているやつを、二回も三回も呼び出して同じようなケースでやっておるのですね。しかも死んだ人は、実は私も持ってきておるのですが、非常に問題なんです。これはあとの問題になるのですけれども、残念だ、残念だ、くやしいといって死んでおるのです、その人は。証拠も持ってきておりますけども、非常に環境というものは、あなたの言われたようなことではないのですがね。これはもうどう見てもその事実からいって、法に定めるところのやり方ではなくて、強制的にやっておるということが、あとの団交の問題にからんでも明瞭じゃないかというように私たちは考えるのですが、あなたの方で、それ以上その問題を聞いてないからと言われるとなると、これは話がやや水掛論になってくるのですが、一応それはそこでとめておいて、さらに今私が一番初めに述べましたように、三つ条件組合との間に話がまとまって、そして委任状を返させた。こういう事実はそこに報告がありますか。
  31. 木田宏

    説明員木田宏君) 組合との間の協定内容等につきましては聞いておりません。
  32. 占部秀男

    占部秀男君 おりません……。
  33. 木田宏

    説明員木田宏君) はい。
  34. 占部秀男

    占部秀男君 組合との協定内容については聞いておらぬということですから、これは非常に困るのですが、実は私が強制退職をやっておるという証拠一つにあげているのは、先ほど言ったようなことがありますけれども、もう一つはこの問題なんです。つまり組合市長あるいは教育委員会委員長等も入っておる中で、本人の意に反して強制退職はさせないという、さっき申した三つ条件をやっておきながら、しかもうしろへ回っては、そういうふうに大勢の人を擁して一人一人呼び出して五回も六回も八回もそういうことをやっておる。これはもうこの事実だけでも、これは地公法団体交渉のあそこの条項、五十五条ですか、その前に強制勧告をやっておる証拠ではないかと私は思うのですが、そういう点に対する何か御見解をお伺いしたいと思うのです。
  35. 木田宏

    説明員木田宏君) 今御指摘になりました方につきましては、校長から本人に対し二回説得をして、本人の将来の生活のために他の職にあっせんもするということで、校長から、大体本人についてもこの基本線については納得があったというような事情を、市の教育委員会としては一応聞いた上で、市の教育委員会からは人事係長から二回相談をしておる。そうしてまあ市役所人事課の係員も二回懇談をしておるということを聞いておるのであります。その場の人数あるいは空気等につきましては、何とも具体的の判断の材料がないのでありますけれども、まあ一方的にやめさせるということではなくて、できるだけ本人希望条件等も勘案しながら、高齢者の方に職を引いていただこうという場合に、ある程度強くお勧めするということもあろうかと思うのでございます。その度合いが非常に極端になることは、これはもちろん慎しまなければならぬことでございますけれども、まあどの程度でもってよいとか悪いとかということも、抽象的にはなかなか申し上げにくいものでございますが、そういう事情教育委員会からの報告等を聞いて、本人に対しては、別の職も具体的に当時お話も出ておったように聞いておりますので、とにかく私どもといたしましては、そういった配慮なり手続というものから考えまして、そう極端なことではなかったのじゃないかというように考えたわけでございます。
  36. 加瀬完

    加瀬完君 極端なことでなかったといったところで、現実ショック死という形で死亡しておるのですね。それで今、課長さんのお話によっても、本人基本線納得しておった。基本線納得しておるというような条件のもとで、何人もの人で強制勧告というような本人の受け取った感じとしては、ショックによる死亡をするほどの強制勧告という受け取り方をするような形で退職勧告をするということは、一体適法かどうかという問題が一つ。それから結局問題はここでありますから、文部省としては、一体何人でどういう形で勧告をした場合にショック死をしたのか、こういう実情を十二分に調査してなければ、これは大体普通の方法でやったとか、あるいは行き過ぎであろうといったところで、その判断はできないと思う。この調査ができておるかどうかという点。それからいま一つは、承わっておりますと、教育委員会人事の係だけではなくて、市の人事課の課員も参加をしておった。それも二回もそんなことをしておった。そうすると、教育委員会職員に、市の人事課退職勧告にいかなる形によっても立ち会うということが、それが一体適法として許されるかどうか、これらの点について文部省はどういう御見解を持っておられるか。
  37. 木田宏

    説明員木田宏君) まあショック死というように今言葉を使わせていただいたわけでございますけれども本人が気分を悪くいたしましてから、教育委員会としてはいろいろの手当をいたしまして、さらに静岡病院の院長からも、市の教育委員会自体としても、本人の病状と死因との関係等につきまして、陳述を教育委員会で得ておるようでございます。その教育委員会の会議の席上における病院長の言葉によりますと、「本人の体質から判断すると、相当の飲酒家であったため、血圧が高く、動脈硬化症が進行していた。この体質の者は、気候の変り目、筋肉労働、急激な立居振舞、入浴等の際、いつ発作を起すかわからない状態にある。たまたま市役所で発病したが、医者の立場からみると、いつどこで発病するかわからないものである。市役所における発病が緩慢であったのは、かかる体質の故である。」、こういう病院長の口頭の陳述を教育委員会としては聞いておるわけでございます。そういう上から考えまして、相当退職勧告したことと、この病気による死亡との間に関連が、相当の因果関係があったかということは、非常にむずかしいことでございまするけれども、こういった医師の言葉から考えますならば、非常に不幸にして、その時期にこの病気が発生したと、こういうふうに考えられるのじゃないかというふうにも思うわけでございまして、これも確信がある判断というものは、なかなかつきにくいのでございますが、必ずこの勧告とこの死因との間に相当の因果関係があったと言い切れるかどうかという点につきましては、私どももちょっとまだわからないのでございます。  それから市役所の方の職員が、退職勧奨の席に居合わしたという点につきましては、本人の行く先の職場のことにつきまして、自転車置場の管理人の職をあっせんしておったそうで、ございまして、就職先のことを一緒に相談して、そして本人との間の話をまとめようと、こういう当事者の意向のようでございまして、そういう関係から、こういった御相談の席に就職先のことについて世話できる方がおられるということは、あながち違法とか何とかいうことじょないんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  38. 占部秀男

    占部秀男君 今のショック死の問題で、その点ちょっと御参考までに言っておきますがね、加瀬さんの途中であれですが。病院長は、実際問題としてね、その人を見ていないのです。その人を見ている医者というものは、田中哲夫さんという医者が見ておる。その田中哲夫さんの陳述は、もう勧奨のショックが死の誘因となったことは明らかである、こういう断定を下しておる。それはどうしてそういう断定を下せるかというと、その人の体質の問題や、いわゆる病理学的にある程度判断して、そのときの状態から、その前のおうのうしておる状態などを判断して、その現実に診断した人がそういう断を下しているのです。しかも相当飲酒家であったとういことですが、それは全然でたらめである。その人は一合ぐらいしか酒は飲めない、酒の飲めない人、むしろ酒のきらいな人である。どうして飲酒家であるというあれをつけたかというと、病院に行く前にアルコールでふいて注射した。注射して病院に持っていった。病院に持っていったときにアルコールのにおいがしたということを、他の人が、係員が言ったということが喧伝されて、その人が酒飲みに変わってしまった、そういうような作られた事実があるのですから、その点念のために申し上げておきます。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 課長お話占部委員お話で、どちがら真実かということを私どもはここでは申し上げません。しかし因果関係の有無ということは、一応因果関係がなかったとしても、こういう形でいわゆるショック死というふうに第三者から思われるような死に方をしたのですから、行政官庁としては、因果関係があったのじゃないかという調査が当然行われなければならないと私は思う。もし因果関係がなかったというならば、その退職勧告が顔見知りの間で、たとえば校長と子弟との間で、お茶を飲みながら和気あいあいのうちに、どうだと、次の就職はこういう口もあるのだから、この際おやめになっても心配はないのだからと、よくわかりましたという形で行われておったならば、因果関係がないということが言われるだろうけれども、とにかく何人かの人が集まって、その中には当然その場所には出られない人まで出て、大勢の人たちによって、一人の人を取り囲んで勧告が行われたとすれば、もしや因果関係があるのじゃないかと、これが原因でショック死をしたのじゃないかという調査が行われなければおかしいと思う。そういう調査を行なってないようでありますけれども、一体行わなかったのはどういうわけか、あるいは行わずに、教育委員会だけの報告で、大へん御信用になっておられるようですけれども、それは一体どういう根拠によるのかということが一つ。もう一つは、就職先の世話をするために、市の人事課の人が来ておったというけれども、その退職勧告する席に来ておったということが一体それは妥当なことなのか、あるいは、適法なのか、そんなことであるならば、校長を通じても、あるいは他の機会でも、個人と個人の形で話し合いを進めるということが、これは普通の常識だと思う。何人もの中に自分も入って、人事課が、就職先の世話ということに籍口して、とにかくその立場で、職場というものから去らせるということを勧めるということは、これは不法もはなはだしいじゃないか、こういうことをもし許しておくならば、いつも教育委員会を初め行政委員会職員というものは、これは市なり県なり、そういった地方団体の意思にあまりに支配されて、行政委員会の意思は全然通らないということにもなるのじゃないか。特に人事管理の問題ではそういうようなことも考えられる。これらの点等でも、御説明は私どもふに落ちない。もう少し文部省見解を詳しくお聞かせいただきたい。
  40. 木田宏

    説明員木田宏君) ただいま占部先生から御指摘のありました事実については、私どもとしても、あらためて問い合せてみたいと思っております。教育委員会の方から、私どもといたしましては、通常の場合、本来、県を通じて県内の状況については報告を聴取しているのでございますが、本件につきましては、直接、教育長から電話で意見を聴取したような事情でございます。一般事務運営上、どういう事情であったかという点につきましては、行政上のそういった系統を通じて、その報告に頼るほかないものでございますから、ただいま申し上げましたように、市の教育長からの報告によりまして、病院長の陳述書につきましても、私から御説明申し上げたようなわけでございます。他の事情等もあるようでございますから、さらにその点は私どもから、再度関係のところに確かめてみたいと思っております。  それから第二点の、他の職員が同席したということにつきましては、これは先ほども申し上げましたように、就職先のあっせんにつきまして、市の担当者の同席を求めたということを教育長から聞いたわけでございまするが、具体的な話として、本人の今後のことにつきましても相談しながら退職を勧めるという点から、その行先のポスト等についての必要上、市の職員が同席したということについては、その事限りはそう不都合なことだというふうには私考えてないのでございます。ただまあ市の職員がどの程度の発言をどこまでしたかという点等、新たな私ども知らない事情等があれば別でございまするけれども、筋道としては加瀬委員のおっしゃるように、担当教育委員会職員において本人に懇談をすべきものでございます。ですから話の筋は確かに御指摘の通りと私どもも考えるのでございまするが、事実上の話として、あとあとあっせん等もあわせてやっておるようでございまして、そういうことの必要上、市の職員の同席を求めたという教育長報告の通りであるといたしますれば、私はあながち、とがむべきことじゃないんじゃないかと、こう考えるわけでございます。
  41. 占部秀男

    占部秀男君 今の点なんですが、先ほど私も申し上げましたように、委任状を返さして、団体交渉の結果の覚書をとって、委任状を返さして、そこで出たのがわずか八名なので、そして今度は大勢で囲んで強制勧告、でなければ勧告でいいのですが勧告をした、こういうことの順序になっておるのですが、つまり団体交渉でお互いにきめ合えば、そうすれば、それに基いて今言ったように八名出てくる、十名出てくるというのを待って、そしてその人に対してやめさせる、これならば私は強制勧告とは言わないのです。ところがそういうふうな協定をしておきながら、出るのが、つまり自発的に退職するのが少いからといって、その後に裏へ回ってそういうことをどんどんやり出してきた、これは明らかに五十五条の団体交渉の結果の尊重云々の法違反よりも先に、これは今言ったように強制勧告じゃないか、こういうことは、もしあなたが言われたように、三条件については知らないと言われるのだからあれですけれども、この三条件がもしも団体交渉の結果できていたと仮定したならば、明らかに団体交渉の結果を践みにじってやった行為であって、しかもそれは強制勧告である、こういうふうにこれは当然考えられるべき問題であると思うのですが、その点いかがですか。
  42. 木田宏

    説明員木田宏君) その団体交渉の点につきましては、先ほど申し上げましたように私聞いておりませんので、どういう職員団体との間に団体交渉があったものか等についても、まあ判断の材料がないわけでございます。ただいま御指摘のありました、まあともかくその覚書の内容といたしまして、本人の意に反して強制退職等をさせない、退職希望条件はいれる、やめない人について今後不利な扱いをしないという三条件について考えてみまするに、本人の意に反して強制退職させないと申しますことは、何かこう私自身の、この文面からだけの受け取り方をいたしますると、二十八条の規定、法の規定援用して一方的な処理をしないということで、本人にいろいろと、関係者でお話し合いをした上で、いろいろと仕事を進めて行くという、こういうふうに受け取れるわけでございます。そういう意味で、一応のこの基準等も五十五才といった一つの線もあったかと思いますけれども、そういった該当の方々にそれぞれ個々に会って、そして退職を勧めて、新陳代謝事情等についても了解を得てもらうように骨を折る努力をいたします関係上、ある程度、何と言いますか、しつこいというようなことが一方出てくるのかと思うのでございますが、今まで私ども聞いております事情、御指摘事情等からいたしましても、これで意に反して強制的にというところまで行くかどうかということにつきましては、ちょっと私自身踏み切れないのでございます。
  43. 占部秀男

    占部秀男君 これは事実を知らないというお話ですから、これはまあとどめておいて私はあとで……。しかしあなたの方の受け取り方は少しまずいと思うのです。というのは、委任状まで返して、そして三条件というものを作った以上、あなたの言われるような考え方で二十八条の考え方を援用して、強制退職しない、話し合いの退職だと、こういうような取り方をすること自体が、少しあなたの考え方が、何というか、団体交渉するそうした結果についての認識に私は欠けていると思うのです、率直に言って。そういうことのないようにするために団体交渉をして、しかも委任状まで返したんだから、委任状を返したという事実を前提とすれば、今あなたの言われるように、本人の意思に反して強制退職しないというあなたのような考え方になると思うのですが、まあ問題は知らないというけれども、深く知っていただかなければいかぬと思う。  最後にお伺いしたいことは、今あなたは、市の教育委員会の方から、病院長はこれはどこでも、この場合だけの問題ではないという報告がきておる、私の方では吉井さんというその診察した医者が、もうそういうようなことを認定しておるのです。かりに現実にその見た医者が認定したのが正しいということになったとしたら、この死に対する責任というか、それはだれが負うべきものであり、どういう形でそれが負われるようになるかということについて、ちょっとおわかりになったら知らしていただきたいと思います。
  44. 木田宏

    説明員木田宏君) このお医者さんの診断によりまして、どの程度に因果関係等を考えなければならぬかということを判断して参る順序になろうかと思うのでございますが、そのかりにお医者さんの診断等によりまして、明瞭にショック死であるということになって、それが市の当事者のやった行為と直接の因果関係があるということに相なって参りますならば、そのことにつきましては、市の教育委員会において、そういった事件を起したことの責任をとるべきものと考えます。それがかりに、何と申しますか、経費等の負担にかかるものでありますならば、これは市の団体の機関の責任に属することでございますから、団体としての責任というものも派生して起ってくるかと考えます。
  45. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  46. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十二分散会