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1957-04-19 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十九日(金曜日)    午後一時十九分開会   —————————————   委員異動 四月十八日委員吉江勝保辞任につ き、その補欠として小滝彬君を議長に おいて指名した。 本日委員小滝彬君及び久保等君が辞任 につき、その補欠として吉江勝保君及 び山本經勝君議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君    委員            伊能 芳雄君            小柳 牧衞君            館  哲二君            成田 一郎君            吉江 勝保君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            山本 經勝君            森 八三一君   委員外議員    吉田 法晴君   衆議院議員    綱島 正興君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治庁財政部長 小林與三次君    経済企画政務次    官       井村 徳二君    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    法務省刑事局長 井本 臺吉君    大蔵省銀行局長 東條 猛猪君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁長官官房    調査官     山本 晴男君    大蔵省銀行局検    査部長     福田 久男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○離島振興法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○地方行政改革に関する調査の件  (県財政運営に関する件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開会いたします。  委員異動がございました。昨日吉江勝保君が辞任せられ、小滝彬君が選任せられました。本日小滝彬君が辞任せられ、吉江勝保君が再び委員になられました。また本日久保等君が辞任されまして、山本經勝君補欠選任されました。以上御報告申し上げます。   —————————————
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本日はまず、離島振興法の一部を改正する法律案議題に供します。昨日に引き続き質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 加瀬完

    加瀬完君 ただいま提案されております、離島振興法の一部を改正するこの内容というものに対しましては、私は全面的に賛成であります。しかし離島振興法のねらっております大きな目的といいますか、本質的な問題について付随して若干伺いたいと思うのでございますが、これは主として政府に伺いたいのでありますが、離島振興法というものを一応施行をしてみまして、結局ここに修正されるような問題ももちろん部分的には起っておりますけれども、初め政府計画いたしました計画というものが、あるいは掲げました目的というものが、どういう点非常に達成されまして、またどういう点未解決で残っておるとお考えになっておられますか、この点ます。
  5. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 離島振興法法律ができまして少したっておるわけでございますが、目的は達成されてないわけでもございません。逐次達成される方向に向っておるわけでございます。一番の問題は、計画予定しましたところの予算がその通りにつかないということが一番の問題でございます。十年計画におきまして、国費で二百四十億の計画に相なっておりますが、そういたしますと年に二十四億ずつの予算がつかないと、予定通り事業執行できないということになるわけでございますが、最近はだいぶふえて参りましたけれども一時は十億程度にとどまりまして、最近は十三億、十五億程度にまでふえて参っておるわけでございます。予算のつき方が少いということが、この問題での一番の隘路かと考えております。
  6. 加瀬完

    加瀬完君 この離島振興対象地域にはあるいはならないかもしれませんが、私は本年の当初奄美大島に本委員会から出張を命ぜられて見てきたわけでございますが、結局同じようなことが言い得ると思うのですが、土木工事とかあるいはその他公共的な事業といったようなものは、振興法によりまして相当進められる形勢にはなっておる。しかしそれが島民といいますか、住民経済生活をどれだけ高めたかといいますと、まだ非常に問題が残っているんじゃないか。この離島振興法によりましても、一体住民経済生活というものをどれだけ高めるか、そういう点についてどういう考慮が政府において払われておるか、こういう点はどうでしょう。
  7. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) ただいまお話のございました奄美大島は御承知通り別途法律がございますが、やはり奄美大島計画を担当しております地方自治庁の方から話を聞いてみますと、当初公共事業をやっておりまして、その賃金収入があります際にはその島の住民には相当貢献するわけでありますが、それが一わたり終りましたあとにおける住民所得の増加、それから生産方面配慮と、こういう問題につきましてはやはり相当考えなきゃならぬということも言っておるようでございます。奄美大島につきましては、何らかの新しい産業考えなければならぬということを自治庁も申しております。それと同じようなことは、他の離島振興対象にありますところの離島につきましても言い得ると思うわけでございます。もちろんそういうことまでいたしませんでも、国の補助によりまして港湾道路整備されますれば、それに伴って地元の資金によって漁業が活発になりますとか、あるいは道路がつきました関係で他の特産物開発されますとか、そういう形におきまして島の開発ができる場合も多かろうと思います。しかしながら現在離島振興法の系列に入っておりますものは、そういった産業の基礎になる公共事業的なものが多いわけでございまして、ただいまのところその面までの手は政府といたしましては届きかねておる状況でございます。これは離島に住んでおられる方々の奮起を促さねばならぬとともに、今後政府としても十分その点についての施策を考えなければならぬものと存じております。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 これは経済企画庁の示されました統計を見ましても、農村地帯というものよりも離島地帯というのは、もっと収入あるいは生活程度が落ちているとみていいと思う。神武景気とかいろいろなことをいわれますけれども昭和二十五年には大体農村地帯平均収入が五万程度、二十九年になりましてから七万五千円程度、これが都市的な形態産業になりますと十四万程度が二十二、三万程度というふうに個人所得が非常にふえている。ところが都市的な形態をとっておらない原始産業については、収入伸びというものが非常に少い。この収入伸びの少さは離島なんかにおきましてはもっとひどいんじゃないか。それだけまた経済問題というものもいろいろ打開してやらなければならないところの多くの原因というものを含んでおるんじゃないか。今地域産業の問題が出ましたけれども、たとえば漁業でスルメを特産とする所もありましょうし、あるいは特殊なる物産を特産とする所もありましょう。そういった地域産業というものにもっと本腰を入れた離島振興法というものでなければ、道路を直したって電燈をつけたってそれだけで私は解決しないと思う。この点が今までの離島振興、あるいは未開発地開発計画というものには全然盛られ方が少いんじゃないか。こういう感じを持つんですが、その点は企画庁ではどのようにお考えになっておられますか。
  9. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私どものところにおきましては、この離島振興法のほかに、ただいま国会で御審議を願っておりますところの東北開発等も所管いたすことに相なっておるわけでございます。住民所得の向上ということは一時的な建設段階の問題ではありませんで、長期にわたって所得伸びますように配慮いたさねばならぬわけでございます。従いまして産業をどう伸ばしますかを考えまして、それに合うような基盤施設を準備いたすのが当然でございます。東北等につきましてもそのようにいたしておるわけであります。離島につきましてもその点は同様でございまして、産業伸び基盤ばかりで万事が解決するわけではありません。私、離島に参りまして、これは離島によってもいろいろ違うかと存じますけれども、一離島漁港を利用するのは離島以外の船が多くて離島の船はあまり利用していない。しかも離島方々はイカの一本釣りといったような零細漁民的な仕事に多く携わっておられる。こういうようなことを見まして、これでは離島ほんとう振興になるかどうかということを私自身も疑ってみたこともございます。これは離島事情によって異なるかと思います。そういったことにつきましては、これは単に公共事業的な配慮だけでなくて、一般産業政策を担当している役所の方でその点について十分の理解をしてもらわねばならぬ問題だと考えておりまして、今後もその点については経済企画庁としても留意して参りたいと存ずるのであります。  ただこの際一言申し上げておきますと、離島におきましては、内地におきますところの各種の事業採択基準とは若干違った採択基準をとりませんと、思うように国の事業をやってくれないわけでございます。農地にいたしましても内地農地採択基準をそのまま当てはめていきますと、これは合わないのでございます。そういう関係でとかく離島を各管理庁ともあまり重視しない傾向がございます。この傾向を私どもが微力ではございますけれども努力いたしまして、努めて離島に重点を置くように、離島を軽視することのないように努めて参りたい、かように考えております。
  10. 綱島正興

    衆議院議員綱島正興君) ちょっと私が補足して御説明申し上げます。  ただいま大へんよい御説明開発部長からございましたが、実はたとえば大体離島は特殊な所以外農業開発水産開発でございます。この水産で非常に困りますことは、製氷冷凍設備がございませんと、近代的な漁業ができない。一本釣りとか何とかいうものはもはや全国的に行き詰っております。近代的な沖合い漁業に転換いたさねば経済的には成り立たぬような時期にきておりますのに、これは実は電気設備がございませんと製氷冷凍ができませんために、この離島振興法には特に電気導入補助金を出すことにいたしてあるのでございますが、その他港湾整備がございませんと、これもって離島も発達して参りません。現在のところは、開発部長先ほども御説明通り、一〇%離島離島港湾を利用しておるのは珍しい、みんなそれ以下でございます。みな本土の船が寄港して中間基地にしているわけなのです。それでは離島自身開発に十分なりませんが、離島も勢い港湾漁港整備されてき、電気が備わって製氷冷凍設備等ができますと、勢い離島近代漁業に転換するきっかけを作りますので、大体この地域漁港港湾整備をまずいたす、それによって近代的な産業形態漁港を作ることにする。  それから先ほど開発部長から説明されましたが、その通り、どうしても農林のやつは、御承知通り本土のうちでも特に平原地帯を中心にして開発基準が立っておりますので、林道にいたしましてもあるいは農道にいたしましても、あるいは土地改良対象にいたしましても、何十町歩以上の土地をどうするとか、小団地は特に低くいたしましても、おのずからやはり十町歩以上のものがほとんど事実上予算化されるというような制約がございますので、幾ら離島予算を十分組んでいただきたいとしても、ただいまのところの一般扱いからいたしますと、乗らないのでございます。それで特に役所一つにして専門的な考え産業部面を全部見ていただくということでないと、この離島開発の実が上らぬものですから、その二つを合せて立法いたすつもりでおりましたところ、幸いに三月二日に閣議決定で特別な扱いをして企画庁で一括して予算をとっていただくようになり、予算を編成をしていただくようになりましたので、これが大へん離島としては今後益するところが大きいと存じております。  かような事情質問者の御質問通り、もうまことにその通りでございまして、最初から提案者も多少そのことを懸念いたさぬではございませんでしたが、この前の提案者代表も私でございますが、予算の都合とか各役所との折衝とかいうようなことで勢いこういうことになっておりまして、ただいままで非常に努力をいたしましても、奄美大島は一人当り四千円、公共事業その他の国家から交付する金が大体一人頭四千円になっておる。それから全国は大体二千円になっておる。このただいまの離島は千円でございます。面積からいっても同じようなもので、ぜひこれをできるだけ早く開発のできるような軌道に乗せたいということで今度の改正を提案いたしておるわけでございます。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 問題は今提案者から御説明のありましたように、産業開発計画というものが、具体的に振興方法として乗ってこなければ、ほんとう意味離島振興にならないと思う。
  12. 綱島正興

    衆議院議員綱島正興君) その通りです。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 そういう点ですね、ぜひさらにこの法の運営の上で政府の方から措置が講じられるように、予算のために進捗がおくれておるというようなことのないような方法を講じていただきたいと思う。そこでさっき一番の問題点といえば予算が十分取れないということだということがございましたが、こういう法律を通すからには、やはり裏づけされた予算というものが盛られて進捗を早めるということでなければ私は意味がないと思う。ところが、えてしてこういう振興法というものができましても、振興法内容を具現するような予算がこれに伴って参らないというのが現状ではないか。こういう点はどうも各省のなわ張り的なセクト主義といいますか、そういうものが災いしておるところが多いのではないか。そういうところを企画庁あたりで一本にして法律目的を達せられるような方法をもっと強力に講ずべきではないか。そうでなかったら、そういう総合計画というものはとても推進できないと、こう思うのですが、この点いかがですか。
  14. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私どもといたしましては、この法律施行以来三十二年度までにおきましては各省の協力を求めまして、経済企画庁といたしましてはそれを推進するだけにとどめたわけでございまして、また昭和三十一年度、三十二年度におきましては、離島関係予算を各事業別事項をきめまして、その通り関係各省執行することを期待しておったわけでございます。その実績から見ますと、どうも企画庁離島関係の者は一生懸命になりましても、各省へ参りますと、それぞれの事業の中での離島をどう見るかということになりますから、非常に熱心な所もございますが、場合によりましては、経済効果という点だけ考えまして、離島に対する予算の付け方が少い場合もございます。また先日この席でもお話がございましたように、地方自治体におきましても、離島の勢力というものは必ずしも強い県ばかりではございません。そういったことも影響しまして予算執行が思うように参らない。またこの予算執行を通じまして、強い要望が大蔵省に届きませんと、離島予算もふやすことができない。こういうようなことに考えまして、昭和三十二年度においては間に合いませんでしたけれども先ほど綱島先生からお話になりましたように、本年の三月に、三十三年度からは離島振興関係予算経済企画庁に一本に計上するということに決定を見ておるわけでございます。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 最後自治庁財政部長にちょっと念を押しておきたいと思うのですが、奄美大島振興法とか離島振興法とかこういう特別法ができましても、根本には地方財政そのものがこういった未開発地域といいますか、未開発地域振興に対する裏づけられたところの財政というものの措置が講じられないと、あるいは貧弱町村がそれ自体ではそういう開発計画が進められないという地方財政の問題になってくると思う。将来地方財政計画を進めて参る上に、離島などはもとよりこの本土の中にも、離島以上に未開発的な所で困っている所もある。こういった貧弱町村といいますか、未開発地域といいますか、こういう点がやはり都市的形態まではいかなくても、あまり大きな差のないような住民の福祉が確保できるような財政の裏づけというものをしていく、単位費用の計算なりその他について、未開発地域に対しまして特殊な考え方財源の流れるような考え方をしていくと、こういう御計画なり御構想なりはお持ちですか。
  16. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは結局地方財政計画の問題であるとともに、交付税の配分の問題になるだろうと思うのでございまして、われわれといたしましてはすべての市町村、すべての府県に最低限度行政水準を確保するような措置だけは財政的に講じなくちゃいけない、これはもう基本的にそういう考え方でございます。そこで特にこの点につきましても、未開発地帯の建設的な仕事をやり得るような財源をできるだけこれは与えたいという考え方でいるわけでございますが、まあ最後一般的なこれは財源そのもののワクの問題もありますので、必ずしも従来思うようにはいっておらぬと思いますけれども、そういう点は源財の増強と見合せながら、できるだけレベルを上げていく方向考えたいと存じております。
  17. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて、直ちに討論採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。……別に御発言もなければ討論は終局したものと認めて、採決に入ります。  離島振興法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手
  19. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第百四条による本会議における委員長口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     大沢 雄一 館  哲二     成田 一郎 小林 武治     森 八三一 小柳 牧衞     加瀬  完 中田 吉雄     山本 經勝 鈴木  壽
  21. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕   —————————————
  22. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を始めて下さい。次に、地方行政改革に関する調査として県財政運営に関する件を議題に供します。質疑のおありの方は順次御発言願います。  なお政府側からは田中自治庁長官小林自治庁財政部長山本自治庁長官官房調査官東條大蔵省銀行局長福田大蔵省銀行局検査部長出席しておられます。なお井本法務省刑事局長も追って出席予定であります。  どうぞ順次御質疑の方は御発言願います。
  23. 加瀬完

    加瀬完君 大臣や部長にお伺いする前に、現地に参られました山本調査官に伺いたいのでありますが、調査官はどういう点を特に調査をせいと命令を受けて参ったのか、その命令内容についてまずお伺いいたします。
  24. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 福岡県におきまする金庫銀行以外の金融機関に対する預託制度が、実際どういうように運営されておるかという実態の調査を命ぜられて参ったのであります。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 そのほか具体的にこの点、この点といったように特に調査をせよと指示された事項はございませんか。
  26. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 大体一般的な運用状況、それからその場合に預託制度金庫契約とか、その他の取扱い上行われておるわけでございますので、そういう取扱い手続状況、それから信用組合関係もありますので、信用組合についてどのような預託が従来行われておったかということ、それから監査につきまして監査委員報告の中に、この前の一億円に関係するものに触れておるかどうかというような点、そういうような事項を特に調べてきたというようなことであります。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 長官に伺いますが、長官衆議院決算委員会等で相当いろいろ報告はされておるようでございますが、長官として山本調査官派遣をいたしましたのはどういう点を主として知りたいというお考え派遣をされたか、またその報告を受けまして、現在新聞紙に伝えられておるような大問題が起っておるわけでありますが、それらに対してどういう御見解をお持ちであるか、並びに報告内容もあわせて承わりたいと思います。
  28. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) このいわゆる歳計現金取扱いにつきまして、どういう保管やり方を具体的にやっておるか、こういう点について調査するように山本君を現地派遣をしたという事情でございます。そこでこの調査をいたして参りました結果の報告を見てみました結果、いやしくも自治体の歳計現金歳計外現金というものも各方面とも多少あろうかと存じますが、主として歳計現金については、現在のような運用やり方ではあるいは制度的にも一つの欠陥があるのではなかろうかということを感ずるのであります。しかしながらこれは法律改正を必要とすることでもありますし、簡単に結論は出ないわけでございますが、とにかく何らかの法的措置によって、このたびのような事件の発生を未然に防止する努力を国として払う必要があるのではなかろうか。まだ結論に達してはおりませんが、そういう感じを深くいたしましたということが報告を受けました感じでございます。  それからなお一言だけ申し上げますと、本来この歳計現金保管の仕方というものにつきましては、この現行制度の上では出納長がこれに対してどの銀行に、どういう金融機関金庫銀行以外の所に預けるというような場合は、出納長がまず意見を聞きまして、知事がこれに対して同意をする、こういうことになっておるようでございますが、もう少し慎重な態度でこれをやっていくような道がなかろうか。現行制度ともにらみ合す必要がございます。御承知通り現行制度のもとにおいてはこの歳計現金扱い方と収支残高収支やり方というものについては月一回の検査を行う、それから当該会計年度においては二回は臨時検査をやる、臨時検査というのは抜き打ち検査という意味でございましょう。一定の日子をきめないで検査をする。その臨時検査に際しては、議会の選んだ議員議会を代表してこれに立ち会うというような制度を設けておるわけでございますが、こういう制度がしっかり実行されておりますと、根本的な制度改正などということの大げさなことをしないでもいけるのではないかと考えられる節も一方においてございます。節もございますが、どうもこの制度運用が現実のやり方と、目下調査をいたしておりますが、どうもこれが制度はあるがこの検査がうまくいっていないのではないかというふうに考えられる節もありまして、相当複雑な様相を呈するわけでございますが、これらの問題については現に犯罪的な方面を検察庁がタッチをいたしまして取調べをしております。何分重要な書類は全部押収にかかっておりまして、こちらの手には入らないわけで、山本調査官も詳細これについて写しを持って帰ることができなかったわけであります。そこで検察の手を離れましたこれらの押収書類につきまして、一つ今後詳細な調査もしてみた上で、以上概略申し上げましたような諸般の観点に立って、制度改正が必要なりや否やということを一つ考え直してみたい。もう一つ現行制度検査やり方というものについて、すなわち現行制度運用よろしきを得るという指導の方法が必要ではなかろうかというような点につきましても、これを深刻に考えておるわけでございます。
  29. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 関連して。地方団体の預託金の扱いについて数年前われわれは、多数は反対だったのですが、政令ですか省令ですかで金庫以外のものに預託してもよろしいというような道を開いた。これはしかし行政内容のことなんで、委員会は多数は反対の気持だったのです。そういう省令の改正をやって、極端に言えばどこへでも預託できるような形をとった、私どもはこれは危険だというようにその当時警告したのです。警告したのだけれども非常に金融機関の運動に動かされたか何かして、自治庁の方でそれをやってしまった。多分省令でしょう。それをわれわれはいかぬということをずいぶん強く言ったのにやってしまった。今日考えるとやはりこれに胚胎していると私は思うので、この問題をよほど慎重に考えないと、十分県が慎重に監督のできないような信用組合であるとか、信用金庫というような所へ、むやみに公金を預託するというのは、非常に危険だということを当時警告したのです。それにもかかわらずそれを続けておったというところに、私は原因が相当あると思うのであります。いわば落し穴を築いておったような感じを私は今度の事件で非常に感じを強くします。各県ともこういう傾向は多分にあると思うのです。自治庁は十分検討されて、委員会が当時そういうような空気であったにもかかわらずやったということについては、相当事務当局にやはり責任があると私は思うのですが、この点について大臣に一つどういう考えであるか、また財政部長はどういうふうにこれに対して考えておられるか伺いたいと思います。
  30. 小林武治

    小林武治君 関連して。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 質問の中心を濁されては困るから。
  32. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいまの点のみについて関連して小林君。それからあと加瀬委員がやはりその点について質問をされるのでありますから、一括して答弁願います。
  33. 小林武治

    小林武治君 今の点は伊能委員から言われた通りで、私はまあはなはだしい言葉をもってしますれば、汚職の種を自治庁みずから作った、こう言うていいと思うのであります。これは地方における議員その他の政治運動の一番大きな対象になっています、あらゆる怪しげな金融機関にまで県の預託金をさせるということについて狂奔をしておる。こういう状態であるので、私はこの際もうこういう事態を考慮して預託の先を、ああいうふうなほとんど無制限に拡張するというような道をふさぐ必要がぜひあると思うのでありますが、その点について一つ長官はどういうふうに考えておられますか。
  34. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 今の関連質問、伊能委員小林委員からの関連質問に対する答弁を願います。
  35. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 伊能、小林両先生のお言葉は今から反省をしてみますと、どうもごもっともな御意見と言わねばなりませんので、お言葉を深く反省の資料といたしまして、制度改正をいかに扱うかという問題について、重要な資料といたしまして考究をいたしたいと考えております。
  36. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 財政部長にも。
  37. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今大臣からも答弁がございましたが、この制度につきましては実は作ったときにいろいろ経緯もあって、御承知通り昭和二十五年に政令を改正して作ったのでございます。その従来の扱い金庫銀行が公金の管理及び保管をやる、そしてそれは銀行に実は限られておったのでございます。それを銀行に限らずに銀行その他の金融機関、こういうことに一点変えましたのが一つと、それからもう一つは、金庫銀行が出納保管とあったのを出納と改めたのであります。出納事務は全部金庫で当然やる。しかしながら保管については必ずしも金庫銀行に限らぬ、だから実質的な改正は二点あるわけでございます。それでございますから第一に、金庫銀行というものを銀行に限らずにほかの金融機関にやるという問題がございます。それでおそらく市町村あたりでは、この農協あたりに金庫銀行の事務を扱わせている所が相当私はあると思うのであります。そこの問題が一つございます。これは市町村の実態を考えれば銀行だけに限ることはいかがかと、こういうのが私は当時の議論だったと思います。  それからもう一つは、出納保管と限っておったのを保管を外したということは、その当時県の金とか市町村の金は相当多額の金でありまして、一つ銀行だけでもっぱら取引をやるということにつきまして、いろいろ他の金融機関からの運動というお言葉がございましたが、ある程度分散させる道も考えられるじゃないか、こういう問題も私はあったのだろうと思います。それからまたいろいろこの県の行政上の必要で、たとえば労働金庫の資金が要るとか、あるいは県信連の方で農業政策上ある程度資金が要るとか、中小企業金融のために商工金庫なり商工組合なりにある程度資金が要るとか、そういう問題につきましても自治団体はある程度行政上活動していいじゃないか、こういう含みであったのだろうと私は思います。そういう意味歳計現金に余裕があって、そして相手が確実であればそれをそういう目的にも活用していいじゃないか。  それからまた従来金庫銀行だけにやっておりますと、金庫契約で条件を定めておったのですが、大ていもうほとんど利息をとらずに、むしろ手数料を納めるとか納めぬとかいうような扱いでこれはやっておったのであります。そうするとむしろ財政的な見地から、ある程度の正確な金利を獲得した方が団体の財政にも道が開けるじゃないか。私はそういういろいろな考え方が元になってそういうふうに政令が改正になったものと今了解をいたしておるのであります。ただしそうするとやはりいろいろ危険がこれはあり得るのでございまして、現在の建前では出納長が出納保管について全責任を持っておるが、出納長だけにそういう事務を責任でやらせるということは扱い上適当であるまい、こういうことで当時地方自治庁と言っておった時代ですが、地方自治庁次長の通牒で、この政令改正の際に、もしそういうことをする場合においては、知事部局に協議をしてその了解のもとにやるということを明らかにし、その他この扱いにつきましての注意を実は明示してこれをやったのが実情でございます。そこで今のような事件が起ったのは、結局信用組合にある多額の金が預託された。こういうところが問題の発端になっておるのでございますが、現在のような経緯にもかんがみまして、一体今の政令の制度がそのままで置いておいていいか悪いか。単に運用上の改善だけで済むのか。そうでなしに政令自体についてもう少し検討を加えて、何か制限を加えるべきじゃないか。あるいは銀行だけに限るか限らぬか、これは銀行だけに限れば相当その他の、労働金庫預託の問題とか、信用組合とかいろいろの問題で議論が出てきます。そこの対象をどうするかということが一つの問題、かりに金融機関、ほかの金融機関全部排除することができぬとしても、その間に何か条件をつける必要がありはしないか、あるいはこの預託をする場合には、当然に予算に計上してはっきり議会の議決を経てやることにした方がいいか悪いかとか、かりにそうでなしにやはり盆暮あたりでちょっと金融政策上要るということも私はあり得ると思うのでありまして、そういう場合に、全部道をふさいだ方がいいのか悪いのか、かりに道を開くとすれば、その扱いをどうするか、何らかの規制を政令でやるか条例でやるか、そこは、やはり規制の方法考える必要がありはしないか、そういうことがありまして、今全府県の実情を調べて、資料を至急集めておるところでございます。これは府県だけでは問題が解決しない。市町村の実態も全部調べなければ、急激な制度の変更はできぬと思いますが、その実情も全部調べまして、制度的について検討すべき問題は至急対策を立てなくちゃならない、こういうふうに存じておる次第でございます。
  38. 加瀬完

    加瀬完君 先ほど伊能、小林委員からの御質問もありましたような状況でもあったわけであります。それから今部長の言うようなことも考えなければならないという実情でもあるわけでありますから、大臣がお答えになったように、保管やり方がどうかということではなくて、当然歳計現金保管運用について不正があったかなかったかという端的な調べ方というものが、山本調査官調査に行った目的でなければならないと私は思う。それはそのように考えてよろしいでしょうね。
  39. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 及ぶ限り不正が、不正と申しますよりはこの場合は違法の行為が、介在してあったかなかったかといことも、断定的に調べのできる筋合いではございませんが、でき得る限り調べてこい、こういうことではございましたが、あらゆる書類がことごとく押収になっているということから、この点の調べは不可能であったようでございますが、詳しくは本人から御説明申し上げます。
  40. 加瀬完

    加瀬完君 それでは参りました調査官に具体的な問題で、伺って参りますが、三十年の十二月以降、歳計現金、これはもちろん預託も含めてですね、金庫機関への預託状況を当然調査したと思いますが、その結果はどうですか。
  41. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 金庫銀行以外の金融機関に対する預託状況を調べるのが目的であったわけでありますが、何しろ資料等も、帳簿等を調べますと簡単に調べられることでございますが、直接そういう帳簿等にまあよりがたい事情がございましたために、大体この三十年の十二月末現在におきます預託状況と、それから調査に行きましたとろの三十二年の三月の終りごろにおきます預託状況を調べたわけでございまして、十二月末現在におきます預託預託先並びに預託額の状況は、お配りいたしております資料の「福岡県における金庫銀行外の金融機関に対する歳計現金預託状況」という印刷物の七ページに掲げてございます。それから三十二年の三月末のものは十一ページに掲げてございます。
  42. 加瀬完

    加瀬完君 そこで問題は、住宅協会に行かないで、トンネルじゃないかということが事件の中心でございますので、住宅協会の借入金の状況あるいは借入額、こういった点は十分御調査をされたと思われますが、この点どうですか。
  43. 山本晴男

    説明員山本晴男君) まあ直接帳簿等の確たるものによって確認するということは、今の状態では困難でございましたが、できるだけこの関係者等から提出されました資料を検討いたしまして、おおむねとの住宅協会についてどういう貸し出しか、信用組合から住宅協会に対してどういう貸付が行われておるかということについては、できるだけ調査をいたしたつもりでございます。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 それで、その間に問題の一億円について、県の信用組合歳計現金の調べ、住宅協会の借入額の調べで、食い違いはありませんでしたか。
  45. 山本晴男

    説明員山本晴男君) まあその信用組合内容についていろいろ調べるということは、私どもとしてそういう調査ができるかどうかということにつきましても問題があるのじゃなかろうかというように考えましたので、いろいろ提出されました資料がいろいろな方面からくるわけのものでございますので、そういうようなものを彼此勘案いたしまして、信用組合預託額とそれから住宅協会への貸付額というものは大体こういう額だということを、自分の判断で、大体こういうことだろうというように確認いたしたわけでございます。
  46. 加瀬完

    加瀬完君 それでは井本刑事局長に伺いますが、私ども調査によりますと、信用組合歳計現金預託という調べによりますと、三十年の十二月五日から三月間の期間で一億の預託がされておる。しかしながら、その一億というのは、当然住宅協会の借り入れになるという話でございましたが、借入額の方にはその一億が入っておらない、こういう事実がございますが、検察庁の方では、これはお認めになって当然いらっしゃると思いますが、いかがですか。
  47. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 私どもの方の調べでは、問題の一億円の歳計現金は、福岡県の方から直接第一相互銀行に預け入れがなされたというように見ておりますので、途中の信用組合は名義を借りたのにすぎないというような結論を出しております。
  48. 加瀬完

    加瀬完君 今のは、信用組合ではなくて住宅協会ではございませんか。
  49. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 私どもの方は、この問題の一億円は、昭和三十年十二月七日合計三千万円、同月十二円三千万円、同月十三日四千万円、合計一億円を、福岡県県庁信用組合組合長池田豊名義を使用して、据置期間一カ年、利子日歩一銭一厘二毛の約定で、第一相互銀行に通知預金として預け入れをしたというように見ております。
  50. 加瀬完

    加瀬完君 その通りだろうと私どもも思います。そこで、検察庁のお調べでも、住宅協会というものにこの一億というものが行っておらないということは、裏からお認めになっていると思うのです、裏から言えば。こういう点が当然新聞にも伝えられておったわけでございますので、調査官は住宅協会の借入額というものを調べなくては、この歳計現金がどういうふうに動いているかということがわからないわけでありますが、当然住宅協会の方もお調べになるのが妥当かと思いますが、この点お調べにならなかったのですか。
  51. 山本晴男

    説明員山本晴男君) できるだけ調べまして、住宅協会の預託内容というものは、大体調べて参ったわけであります。そうしてこの一億円という額は、住宅協会には信用組合から貸し付けておらないという事実は、大体確認できたと思っております。
  52. 加瀬完

    加瀬完君 もう一つ。原簿計算表の歳計現金の現在高、それから運用状況等について、金庫銀行についてお調べにはなりましたか。
  53. 山本晴男

    説明員山本晴男君) この調査の期間とか、いろいろな困難性というようなものもございましたので、金庫銀行にまで行っていろいろなことを調べるという時間的な余裕もございませんので、金庫銀行については調べなかったわけでございます。そして、その三十年のころの銀行の帳簿というのは非常に遠くの方へ保管を変えられておるわけでありまして、実際問題としてそこに調査に行くということは不可能だったというように思って、行かなかったわけであります。
  54. 加瀬完

    加瀬完君 それはまた他の方から質問もあろうと思いますので、それでは、もうあなたのどうしても調べなければならない問題だと思うんですが、この歳計現金取扱いについて、福岡県ではどういう条例とか内規とか、あるいは規定というものがございますか。
  55. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 歳計現金預託につきましては、先ほど財政部長説明されましたように、法令上の根拠としては施行令の白六十四条の出納及び保管となっておりましたのが、二十五年の改正で出納ということだけに改められました結果、保管につきましては、出納長の責任においてほかの金融機関にも預託できるというようになっておるわけであります。その取扱いにつきましては、まあ通達でやっていることになっておるわけでございますので、実際の運用金庫契約並びに県の内部におきます取扱いの内規と申しますか、そういう定めによって行なっているということになっておるわけでございます。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 その内規ですか、定めですか、それによりますと、五百万以上二億以内は普通預金、二億をこえる分については、これは三カ月の定期預金にすると、こういう規定があるように伺っておりますが、その通りですか。
  57. 山本晴男

    説明員山本晴男君) これはお手元にお配りいたしております金庫事務及び寄託事務取扱に関する契約書、まあ普通は金庫契約と申しておりますが、この契約の七条から十条までの間に範囲をきめておるわけでありまして、まあ御指摘の点は、金庫銀行につきましては五百万円を準備金にいたしまして、それをこえて二億円までは普通預金とすると、普通預金二億円をなおこえた部分については、一口一千万円の三カ月の定期預金にするという金庫契約の定めになっております。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 そこで三十年の十一月末では、県の定期預金は金庫に五億四千万、信用組合は約四千万、こういう額が出ておるのですが、この点は御確認なさいましたか。
  59. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 毎月末の歳計現金の資金の残高の金庫銀行以外の金融機関への預託額と、それから金庫銀行に入れます歳計現金の内訳というものは調べて参りまして、十一月の三十日におきましては、金庫銀行外では六千万、歳計現金としては七億四千五百万というような保管内訳になっておるわけであります。で、先ほど申しましたように、調査を短時間の間にまとめますために、主として十二月末の状態と三月末の状態をまとめまして、それを中心にして必要なものについてほかに触れていくという調査方法をとりましたために、十一月末の内訳が具体的にどうなっておるかということにつきましては、特に確認と申しますか、そういうことはいたさなかったわけでございます。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 それは私はおかしいと思うのですよ。長官も、今度のあなたを派遣した目的は、歳計現金保管運用について不正の、あるいは違法の有無というものを調べるためにやったのだ、こういうお話だった。そうであるならば、違法、あるいは不正と思われる事実の発生いたしましたのは三十年の十二月なんです。そこで十二月末の現在高を調べておっては、これは十一月から十二月の初めにかけて動いた金でありますから、違法か不正かというような事実は出てこないと思う。三十年の十一月末日というものを調べて、十二月の間にどうそれが変ってきたかということが問題の核心だと思う。これをお調べにならなかったというのはどういうわけですか。
  61. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 私が調査派遣されましたのは、いわゆる一億の預託ということに関連しての調査だというように理解いたしますと、十二月に一億円の預託というものが信用組合について行われたわけでありますから、その預託信用組合について行われておるということを確認すればいいわけでありますので、私は十二月に一億円の預託信用組合についてなされておるという事実が確認できればいいのだというように考えたわけであります。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 この違法という内容は、私はほかにもあると思うのですよ。まあそういう一点がありました。しかしながら、県金庫から信用組合に動いた金が違法でなかったかどうか、こういう問題もある。結局金庫事務及び寄託取扱に関する契約書ですか、この中にいろいろ述べられておりますけれども、こういうこの内容通りに事実が動いたか、あるいはこの間に違法性は存在しなかったかといったような点は、銀行から信用組合への金の動きというものが、調査対象に当然なると思う。そこで、十一月の現在、県の定期は五億四千万であったのであるけれども、この五億四千万の中から当然一億が信用組合に三カ月の定期預金に組みかえ、預け入れという形をとったと思う。そうすると、そういうやり方が適法であったかどうかという問題が一つあると思う。この点をお調べにならなかったのか。
  63. 山本晴男

    説明員山本晴男君) この、県から通知を出して、そして金庫銀行金庫銀行外の金融機関に組みかえをするということは、これは非常に専門家がやっておるわけなんでありまして、まあ大体こういうことはスムースに行われておるのだろうというように思うわけであります。こういう取扱いがあまり間違っておるというようなことは、一般にあり得ないのじゃないかというように考えるわけです。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 一般にあり得ないというなら、福岡の事件なんかも一般にはあり得ないことなんです。あってはならないことなんだ、あってはならないことがあったのだし、そのあり方というものは、金庫から金が信用組合に出て、信用組合から他の方に流れたと、裏利子やいろいろな問題がそこで生じたというところに問題があるわけです。そうすると、当然運用要領ですか、何かそういう規定があると思う。そういう規定によれば、銀行はですよ、こういう金の出し方というものはできないはずだ。それをしたというのは、当然これはどうも何か怪しいなと思われる金の出し方をしたというのは、怪しまないで済むような事件というものがここに存在しておる。あるいは知らずにやったとするならば、その経過というものは、銀行当局に聞いてみなければ、はっきりとしてこない。錯誤によってやったのか、当然知っておって故意にやったのか。あるいはそうさせられるような原因があったのか。こういうものを調べなければですね、出してはならない一億円が、出してはならない方法によって信用組合預託されたという問題の調査にはならない、解決にはならない。自治庁としてはですよ、犯罪があったか、ないかということよりも、こういう当然きめられている取扱いの規則に違反するような行為があったかなかったかということの方が、私は調査としては非常に重要だと思う。そういう調査というものが十分あったかどうかということを御報告いただきたい。
  65. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 金庫銀行のやっておりますことは、非常に機械的にやっておるのでありまして、問題は、むしろそういう県の歳計現金金庫銀行以外の金融機関預託する場合に、どういう実際の手続でまあ行われていくかということが、むしろ問題とすればそこが問題であろうと思うのです。この点につきましては、先ほど預託状況の資料の一番初めの行のまん中辺の二に、金庫銀行以外の金融機関預託する場合の運用方法の要領を書いてございますが、預託する場合につきましては、出納長が発議して行いますものと、それから預託することにつきまして知事部局から依頼があって行います場合と、二通りあるわけでございます。知事部局からの依頼によりまして行う預託は、知事部局の関係主管部長から預託の依頼書が出される。で、その預託の依頼書を見まして、出納長歳計現金状況、それから預託先の信用状況等を考えまして、妥当だと考えた場合には、またそのときの手続が二つに分れまして、一つは、関係主管部長がその依頼をするその依頼書につきまして、知事の決裁を得たというものにつきましては、直ちに出納長がこれを金庫銀行に指図して預託を行う。それから知事の決裁を得ていないものにつきましては、その預託につきまして知事に財務当局を通じてもう一ぺん合議をやった上で預託する。それから出納長限りで行いますものにつきましては、財政当局を経由しまして、その預託について知事に合議した上で預託をすると、そういう取扱い、おそらく伺い定めだろうというふうに思うわけでございますが、そういう取扱い要領によって運営されておる。この点につきましては、自治庁が通達いたしておりますように、預託につきましては知事と協議して行うのが至当であるという趣旨にのっとって運営されておるのだというふうに考えておるわけであります。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 運営されるはずだというお考えということではなくて、そういうお考えの、自治庁考えている通り、福岡では事実行われておったかどうかということでなければね、調査にならない。
  67. 山本晴男

    説明員山本晴男君) そういうことで大体運営されているということになっておるのです。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 そうするとですね、金庫事務の一部を他に代行させるときは、銀行と協議をするという、金庫事務取扱いの第三条の二項かにあるはずです。これは銀行はそうすると、当然知事からの話合いがあって一億円を出したと、こう了解していいのですね。
  69. 山本晴男

    説明員山本晴男君) その通りでございまして、その一億円の件につきましては、建築部から住宅協会の建築資金として必要だからという依頼書が出されまして、その依頼書に基いて出納長措置したわけでございます。これの依頼書につきましては、知事も決裁したというふうに言われておるわけです。
  70. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、その建築部長から知事に一億円の融資を願い出しました形式は、伺いでありますか、それとも何か伝票のような形式でありますか、どんなような形式をとられたのですか。
  71. 山本晴男

    説明員山本晴男君) そういう依頼をしていいかという伺いだろうと思いますが、この件につきましては、そういう資料は押収されておるということでございますので、事実について確認することは、これはできませんでした。
  72. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっとお諮りいたします。吉田法晴議員より本件について質疑のため発言を求められております。吉田君の発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう取り計らいます。
  74. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 加瀬理事が質問をいたしておりますので、私は関連ですから遠慮をいたしたいと思うのですが、別の方向質問が移りそうでございますから、その前にまあ明らかにしておきたいと思います。  これは県民からいいましても、あるいは責任者である知事からいっても、県民の金がどうなったか、結局こげついてしまって欠損がいったのじゃないか、こういう点は、これは県民といえども、あるいは責任者の知事といえども一番みんな考えたところだと思います。そこで、調査に行かれて一億円の問題はもうすでに明らかになっている。従って、その一億円がどういう工合に支出され、あるいはどういう工合に動いていったのか、あるいはそれが第一相互なら第一相互にいったか、こげついてしまって返ってこなかったかどうか、こういう点は、調査の一番大事なところだろうと思う。これは上司がどの程度の指示をされたかどうかということは、これは抜きにして、行かれた調査官としては、当然その辺について私は責任を持って調査をせらるべきだったと思うのでありますが、資料等で伺いますというと、衆議院で言われたような報告でもございません。それから山本調査官が行かれた当時あった資料等、県の帳簿その他等についても見られておるので、いわば、何というか、これは庶務部長であったか、誰であったか知りませんけれども、県の言い分をそのまま書き取って持ってこられた、こういうような感じしかいたしませんので、そこでまあ先ほどのような質問が出ているわけでありますが、歳計現金の中から一億円というものがどういう工合に出てきたかということは、これはまずお考えになり、御調査になるべき性質のものであったろうと思います。そこでそこのところを先ほど加瀬さんが御質問を申し上げておったのでありますが、私どもがこれはこちらにおって知り得たところによっても、先ほど言われたように、三十年の十一月末現在——これは一億円が引っ張り出された、引っ張り出されるときは三カ月の定期預金が五億四千万、金庫銀行にですよ。そのうちから一億を引っ張り出したのですから、当然それは定期預金の中から出ているはずだ、これは総額を見て、この契約を見られればすぐ出てくることと思います。契約書は、これはあなたが持ってこられたということだけれども、契約書はこっちで見られただけでなく、向うで見られたと、調査対象の事実、そうすると、そこのところで定期預金に入っておるべきはずのもの、この定期預金に入っておるべきものが、どうして出てきたか、この点は、銀行に行って調査をするせぬにかかわらず、ちゃんと調査をしてこられなければならぬはずですが、そうしてその定期預金が、規定によると、当座預金から預け入れられるということはあるかもしれませんけれども、定期から当座にかえられなければならない。かえられて、そのうちから入ってくる、こういうことであったろうと思うのでありますが、そういう点について全然調査をしておらぬ。これは金庫銀行に行けばすぐわかる。目と鼻の先にありますよ。まあ事実上しておられるのでありますが、それだけ任務について、十分任務を果たされなかったか、あるいは故意に得られた資料の中から選択をして報告されたか、どっちかだと思うのです。この点についてもう少し調査官の責任ある答弁を願いたいし、それからもう一つ、刑事局長が来ておられますから、これらの点等については、一億円が出てくるときの形、これは御存じであるかどうか、その点一つ関連してお尋ねをしておきます。
  75. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 歳計現金がありますと、当然毎日の現在によって、支払準備金の五百万円と、二億円をこえる部分につきましては、もう金庫銀行で自動的に定期預金にそれを組みかえているわけなんであります。そういう定期預金にしておりますものにつきまして、金庫銀行外の金融機関預託しろという指示が、出納長にきました場合には、金庫銀行は、それを自分の持っております定期預金をつぶしまして、金庫銀行に預入の組みかえを行うわけでありますので、との点の関係はきわめて機械的に行われるのでありまして、要は信用組合について、十二月でございますか——十二月に一億円の預託が行われておるかどうかということを確認すればいいと思うわけであります。その預託は、信用組合について、今行われておるというように私は確認したわけでございます。そういう手続等につきましても、大体県できめております要領によって行われたと、信用組合まではでございますが……。そういうようにいろいろのことを総合いたしまして、行われたのであるというように判断いたしたわけでございます。
  76. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) それでは、実際に金庫銀行について、行かれたかどうかは知りませんけれども自治庁から出しました運用要領、それからこの金庫事務及び寄託事務取扱に関する契約書の通りに行われておった、こういうことを金庫銀行か、その他について確認をした。そうすると、これは定期預金の中から一億円が出たのである。そうすると、定期預金の中から組みかえをするということになると、これについては金庫銀行について協議があった。他に預託がえをする場合には、乙と協議しなければならぬということでありますから、その協議がなされ、あるいは預託がえをする先は特殊なものであるから、それについては保証その他もございますが、ちゃんと金庫銀行の方でも確認をしてこれをしたという、こういう点が明らかだと思うのですが、そういう点も確認をされたのですか。
  77. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 金庫契約の三条に規定されておりますのは、県の金庫銀行であります福岡銀行以外の金融機関において金庫事務を行う場合についての規定でございまして、預託関係は七条以下に規定されております。金庫銀行以外の金融機関預託する場合につきましては、九条に規定されておるわけであります。従いまして、この関係は、出納長が知事と協議の上、金庫銀行預託するかいなかをきめて、それを金庫銀行に指図をいたしますと、金庫銀行は当然に自分の定期預金をつぶして、預け入れすべき金融機関の方に金を送っていくというような手続になっておるわけであります。その預託金庫銀行以外にやります場合につきまして、県と福岡銀行との間に協議するとか何とかいうことは行われないで、ただ出納長の指示通り銀行はやっておればよいというようなことになっておるわけであります。
  78. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) そういう事実を金庫銀行その他について確められたかというのが一つ。それからもう一つあとの点は、三条の点は云々と言われますけれども、これは歳計現金のうち、金庫銀行預託したものについては、金庫銀行は責任を持つと、第三条には、「乙は、県金庫事務の一部を甲の許可を得て、乙の責任において」云々と書いてあります。これは取扱わせる場合のあれでありますけれども、一応金庫銀行が責任を持った金について、それでは紙一枚持ってくれば、もちろん知事の判が押してあったりするでしょうけれども、そうしたら、どこにでもそれではやるかというと、そうではない。銀行が金を出すときには、一応納得して出すわけでしょう。その人間が犯罪人でないかどうか、ちゃんと確めて渡しておるでしょう。まして一億円の金を金庫銀行から出すときには、それは第三条そのままではございませんけれども、第三条の精神というものを運用の中に織り込まれてやられることは当然な話であります。だから、そういう点について、そういう契約なりあるいは指導要領の趣旨で行われたという点を確認されたかどうか、こういう点をお尋ねしておるわけです。
  79. 山本晴男

    説明員山本晴男君) この金庫銀行というのは、出納だけを行うわけでありまして、保管の責任は出納長が責任を持って行うわけで、その保管内容が、金庫銀行におきまする当座預金と普通預金と定期預金と、それから金庫銀行外に預託した場合の定期預金と、そういうふうに管理の内容が変っておるわけであります。この場合のどこにどういう格好で預託するかということは、出納長の責任におきましてきめることであります。その出納長のきめたことに従って、金庫銀行は指示通りに動いておればよいという建前になっておるわけであります。金庫銀行出納長の指示した金融機関についていろいろ検査をするとか、調査をするとかいうようなことは、する必要はまあない、出納長の責任できめた通り金庫銀行は動いておればよいということになっておるように私は考えますので、それで金庫銀行につきましては、そういう手続はきわめて事務的に機械的に行われておりますので、ことさらに確認をする必要はないという観点から、金庫銀行につきましては調査をいたさなかったのであります。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 今吉田議員が聞いているのは、金庫事務及び寄託事務取扱に関する契約書というものの第三条に、こういう場合は当然県と銀行は協議をしなければならないということになっておる。その協議が行われておらないということであるならば、契約書の内容は履行されておらないというか、契約書の違反ということを県は犯しておるのではないか、あるいは銀行は犯しておるのではないか、そういう問題が生じておるのではないかということを、私は伺っておるのだと思う。
  81. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 三条の方は、先ほど申しましたように、金庫事務を金庫銀行以外のものに行わす場合のことを書いておるわけであります。私の調査に行きましたのは、県の歳計現金をどういうふうに預託されておるかということが調査の眼目でありますので、七条以下のことが行われて、そうしてこの県の内部手続におきまして、こちらが指導しているような要領で運用されているかどうかということを調査すればいいというように考えているわけであります。
  82. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) これは出納長の責任云々と言われますけれども出納長が全責任を負っているのではなく、知事が全責任を負っているわけですが、これは出納長は出納管理の責任を、知事の分を出納長が負っているのであって、知事が責任は最終的に負う。それはそういうことを言われても、その点はまあ争いになりますけれども、その点は一応おくとしても、出納長の言う通りにしておけばこれは済むのだ、こういう話ですけれども、契約にはそうは書いてない。この精神は……。  それからもう一つ。それは契約が、強い県と、金庫銀行である弱い乙の契約であるから、甲の言うなりになっていればいい、こういうようにあなた解釈されるかもしれないけれども、私はそうじゃないと思いますがね。問題の点について、あなたの方で指導しておられます運用要領の五の(1)のところを見ても、「金庫に対して出納長が、当該金庫銀行以外の者に預金することを指示した場合は、金庫としては、指示にかかる当該当座預金から一時組替えの整理をし、預金先へ払込みをすること。」と書いてある。そうして契約の中には先ほど言われたように、五百万円をこす二億については普通預金、二億をこした金額については三カ月定期預金、これも金庫銀行に責任を持たせる意味において、平生の出し入ればともかくとして、この点についてはちゃんと定期預金にして預けておけ、こういう指示もあると思う。それにさらに指導要領は、小林さんが首を横に振るけれども、必ず事前に知事の承認を得て云々ということで、制度は変ったけれども、知事の責任を加えて、そうして出納長が直接の責任者であっても、預託なりあるいは保管なりをせよと書いてある。そうしてその中に、金庫以外に預託する場合には、「当座預金から一時組替えの整理をし、」云々という精神が出てきておる。そういうように自治庁で指導をされた通りに行われたかどうかをお調べになるのは当然だと思う。その場合、当座預金からでなく、定期預金から出ておる。こういうことであれば、これは指示に従わないで問題の起るようなお金の支出である云々ということで、当然その点については調査もし、指導監督もなければならないと思うのですがどうなんですか。
  83. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 金庫契約扱いの解釈の問題がありますから、調査の事実の問題は山本調査官から説明させますが、今いろいろお話がありますのに、われわれの理解しておるところと少し食い違いがありますので、こちらの考えを明らかにいたしたいと思います。  この問題は、要するに三条と、金庫契約における九条との間における誤解が一つあろうと思います。金庫契約の問題は、要するに金庫との間において、県とどういう形で金庫事務を扱うかということが書いてあるわけでありまして、三条の問題は、その出納を委託された金庫銀行が、委託された出納事務の一部を他の金融機関に扱わせる。つまり金庫契約によって責任を負わされた銀行が、自分の責任の一部を他の金融機関にまかせる場合の規定でありまして、そういう場合には当然県にあいさつなしにやらせるわけにいきませんので、三条でその手続をはっきり書いたのでございます。今度の問題はそうでなしに、県の金を、保管の責任が出納長にありまして、知事との関係はまた別に御説明申し上げますが、現金の出納保管は、これは自治法上出納長の絶対権限にあるわけでありまして、知事は収支命令権は持っておりますけれども、そういうものにつきましては、権限を持っておりません。これはわざわざ出納長という特別の職を作って権限を分配しておる建前上がそうなっております。知事はもちろんそれに対して監督の責任を負っておる。そこの点だけははっきりしておきたいと思います。そこで、この金庫の保管の問題は、出納長の権限にあるわけでございまして、その保管をきめる場合に、金庫銀行に現に預金されておる金につきまして、金庫銀行以外に出納長において保管の必要があると認めた場合の手続をこの金庫契約の九条において書いておるのでございますが、この九条が、先ほど仰せられました自治庁通知の五の(1)に書いてあるのでございまして、「金庫に対して出納長が、当該金庫銀行以外の者に預金することを指示した場合は、」どうするか、その手続金庫契約で定めろと、こういう自治庁の通知に基きまして、この金庫契約の九条ができておるのでございます。そこで、この場合は当然出納長の権限でございまして、出納長保管に属する金をどういう金融機関にどう預けるかということは、出納長の権限の問題であって、金庫銀行がどうするか、いやだという筋合いの——理屈だけの問題でございますが、これはないわけでございます。だから九条で、出納長からの指示があれば、その指示に基きまして、その指示通り金庫銀行としては動くのが当然の措置なんでございます。  もう一つの問題は、それならば、出納長が勝手にそのような指示ができるか、勝手に自分一人だけでできるかという問題があるわけでございます。そういう場合に、自治法の建前では、出納長の絶対責任であるが、それはほかの金融機関、いろいろの問題がありますので、その場合に知事部局と必ず協議をしろと、こういうことを運用上の指導方針として自治庁が書いたのでございまして、それが一の(2)に書いてある、「かならず、事前に知事の承認を得なければならない。」こういうことを自治庁が指示したのであります。その指示に基いて、各県においてもその手続の段階はいろいろありましょうが、事前に知事の承認を得てやると、こういう扱いをさせておりますが、全府県について調べましたところ、すべての府県はやはりこの指示通り扱いをいたしておる。福岡についてはどういう手続でやったかというと、先ほど山本調査官が申し上げましたような手続でやっておる。これが手続上のわれわれの見解と解釈なんでございます。
  84. 加瀬完

    加瀬完君 その点はわかった。そこで問題を次に進めますが、結局この一億円というのは、住宅の建設資金としての融資ということになっておる。ところが、各府県ともいずれも住宅協会というものが作られておるけれども、それは大体資金については県の保証によってやっても、県が利子補給くらいの程度で、あとは県の保証でいつでも銀行から金を借りられるという体制で協会が運営されておるはずなんです。福岡県でも例外ではないと思いますけれども、この点はどのような調査をされて参りましたか。
  85. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 福岡県におきまする住宅協会のやり方でございますが、住宅問題を非常に県の方では重視されまして、賃貸住宅等につきましては以前は頭金に相当するものを全額県費補助というような形で出しておったのでありますが、三十年の半ばくらいから県の財政が逼迫しておりますので、そういう全額補助やり方をやめて、そうして全額元利補給をやるというようなことにやっておるようでございます。それから分譲住宅につきましては、今までは全額県が無利子で貸し付ける。それが途中からまた変りまして、利子補給を全額県がやるというようなことにやっておるわけであります。従いまして、住宅協会が運営いたします場合には、そのための資金が要るわけであります。その資金につきましては、それまでは福岡銀行と取引関係ができていなくて、県が住宅建設資金というような関係で金融をしてやらないと困るというような客観的な事情はあったようでございます。
  86. 加瀬完

    加瀬完君 これは、刑事局長に伺いますが、大体府県の住宅協会は、私が先ほど述べたような運営をしておると思います。そこで、三十年の八月ごろ、福岡におきましては、建築部長から、この歳計現金のうちから県信用組合預託をして、それを住宅協会に使わしてもらいたいという申し出を知事にしたわけです。ところが、この申し出は、知事が却下をいたしておるわけでございますが、この事情は御存じでしょうか。三十年の八月です。
  87. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) われわれの方の調べでは、三十年の十月三十日ごろに、ただいまお尋ねのような金を預託してもらいたいという申し出があって、それは却下をしておるということの調べが出ております。
  88. 加瀬完

    加瀬完君 それは期日が違うと思います。三十年の八月ごろこのような申し出を建築部長からしたときには、知事は却下しておる。なお、同年の十二月末現在として、協会の貸付金は、土地の購入費が六千九百九十三万、概算です。住宅の建築資金、概算一億、計二億六千九百九十三万というものが県の信用組合から貸し付けられておるわけです。従来、県の信用組合が組合員に住宅資金として貸し付けておって、住宅協会そのものからどうこうするという形は、福岡ではとっておらなかったようです。この点も、住宅協会そのものから言えば、特別に資金をどうこうしてもらわなければならないというならば、あらためて預託をさせる必要というものはないというのが十二月ごろの現状である、こういう状況のように私ども調査では理解されるわけであります。こういう状況のもとで、一億の金が第一相互というものに行ったということになるわけでありますが、これは、検察庁のお調べでも、私ども調査のように理解をしてよろしいということになりましょうか。
  89. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 問題の一億円は、福岡県の歳計現金でありますが、第一相互にその金が預託されたというふうに私どもは見ておりますので、その途中の送金の経過といいますか、名前を使ったのが、あるいは信用組合でありますとか、三菱信託福岡支店とか、いろいろな銀行の名前が出て参りますが、それらのものは、送金の経路に使われただけのもので、金は福岡県の県庁から直接第一相互銀行に入ったというふうに見ておるわけでございます。これは、この問題の金が福岡県庁から第一相互に入ることにつきまして、県知事が一応判を押しておりますので、これがどの程度関係があるかということにつきましては、先般来いろいろ調べておるわけであります。現在の状況では、われわれどもが起訴するに足るほどの事実はまだつかんでおらないのでありまして、将来どうなるか、現在のところではわかりませんが、ただいまのところでは、犯罪ありというようなことになっていないのが実情であります。住宅協会の関係につきましてはさようなことで、金がそちらの方に回ったのではないということは明らかで、直接県から東京の第一相互に来たというようにわれわれは見ておるわけでございます。
  90. 加瀬完

    加瀬完君 局長に重ねて伺いますが、三十年の下半期に第一相互は焦げつきで預金集めに必死であった。こういう状況一つあろうと思う。それから福岡県の首脳部といいますか、これらの状況調査いたしてみますると、新聞の報道するところによりますと、知事の選挙の運動資金というもので非常に金を使った。それから議長選挙といいますか、与党派工作といいますか、社会党が二十五人に対して、中間派が十六人、知事派が四十一人、この社会党と中間派が結ばれますとなかなか県政がやりづらいというので、中間派の与党化の工作資金に相当金が使われた、これは西日本の三月二十八日付の紙面でこういうことが述べられておるわけであります。その後も中間派は離合集散が続いておるので、与党派工作に今もって金が非常に要ったんだ、こういう福岡県の首脳自体にも金の要る必要があった。それから第一相互では預金集めをしなければならない必要がある。そこで、導入ブローカーとして踊りました向井氏なるものは、県知事と最も近しい人である。知事選挙におきましても、中心的な存在として活躍をした人だ。この人が実際に導入ブローカー的な役割をいたしておるわけであります。そうすると、知事と向井氏との関係からしても、知事が全然知らないという形でこういうことが行われたという想定が先に成り立つか。第一相互の資金事情、それから福岡県首脳の資金事情、しかも、知事自身と最も近しい人が仲介の労をとっておる。こういう人的なつながりの事情、こういうものを私ども勘案いたしますときに、どうも検察当局が、知事が関係ないという判断をどこから出したかということが、まだ先ほどの御説明では理解できないのでございますが、お差しつかえない程度で、事件のお調べの上から、知事は法律的の責任がないという現在の見方を、もう少しお話しいただきたいと思います。
  91. 中田吉雄

    中田吉雄君 関連して。向井は土屋知事と一緒に住んでおったんですよ。そういうこともわかっていますが、そういうことと関連して、一緒に同居しておったのです。そういうことも含んで一つ
  92. 加瀬完

    加瀬完君 そういうお調べができているかどうか。
  93. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 第一相互銀行が一億円の預け入れを受け入れた当時におきまして、非常に預金が不足で資産状態がよくなかったということは、ただいまお尋ねの通りでございます。それから向井定利という方が福岡県の幹部にいろいろ懇親の方があるということも、われわれわかっておりますが、この問題の預金が第一相互銀行に入りまして、定期預金のようになっておるわけでございますけれども、その関係では、特に山本兼弘という副知事が東京へ参りまして、自分で第一相互銀行に行って工作しておるという状況が出ておるわけでございます。また、山本氏も向井氏とは非常に懇親のようにわれわれの調べが出ておるわけでありまして、従って一昨日の起訴状では、この一億円を第一相互に預託した件につきましては、岩佐出納長山本副知事の背任、それからリベートの一千万円を受け取ったという点につきましては、山本副知事の収賄ということで起訴しております。向井氏は収賄幇助ということで起訴しておるわけでございまして、ただいまのところ、お尋ねのようないろいろな情報と言いまするか、政界の事情につきましても、とくと検討中でございまするが、ただいまのところでは、そのほかにも根橋という第一相互の重役が一人贈賄で起訴されておりまするが、その四名以外の者につきましては、起訴するに足る事実がないので、引き続き関係者を調べておるというのが実情でございます。
  94. 加瀬完

    加瀬完君 話が前にかえりますが、この預託をするについて出納長命令をしたのだ。しかし出納長は当然、知事に、建築部長の要請があってこうしたのだ、建築部長は従って当然、知事に伺いを立てて知事の決裁があったと認められる。このような御説明のように了承したのですが、それでよろしゅうございますか。
  95. 山本晴男

    説明員山本晴男君) それでよろしゅうございます。
  96. 加瀬完

    加瀬完君 この決裁の内容というものは、住宅協会へ回す資金だということで決裁をとったと思いますが、それでよろしいですね。
  97. 山本晴男

    説明員山本晴男君) そういうことでやったということでございます。
  98. 加瀬完

    加瀬完君 住宅協会へ回すべきものであって、建築部長からその要請があったとすれば、建築部長は当然、その金が住宅協会で使われておらないのだから、早く使いたいという要請が、これは知事なり、部長会議なり、あるいは出納長に対して申し出されなければならない。知事も住宅協会で使うということで一億円を回したというならば——住宅協会の一体責任者はだれです。知事も入っておる。自分の関係する団体で自分の決裁したものが行っているということであれば、これはその通り使われているか、使われておらないか、知事が目を通さないというはずがない。こういうふうに考えられるわけでありますが、この間の事情を福岡県の県庁はどう御説明なさっておるのですか。
  99. 山本晴男

    説明員山本晴男君) この一億円の額が、住宅協会の建築資金として、大体県で取扱いとしてきめております手続によって信用組合預託された。そうしてその信用組合が住宅協会に貸し付けるべきものが住宅協会に貸し出されておらないということは、いろいろ出されました資料によって、これは間違いないのではないかというように私は思ったわけであります。それからもちろん金庫銀行以外に預託をするという制度の建前は、この金庫銀行が県の歳計現金を自分の銀行の業務として運用されておって、それが金庫銀行で独占されておったわけでありますからして、従いまして、そういう資金の運用の恩恵を受けまする対象も、金庫銀行の限られた取引関係でありますために限定される。それを金庫銀行以外にも預託を行いまして、そういう取引関係の範囲を拡げまして、県の歳計現金がいろいろな資金として利用されるのに恩典を広く及ぼそうということが、おそらく二十五年の預金制度というものが創設された趣旨だろうと思います。そういう趣旨において金庫銀行以外にも預託されまして、そうしてこの一億円につきましては、住宅建設資金として住宅協会というもののためにやられたということになりますと、その預託がそういう趣旨によって行われておるかどうかということでありまするが、実際には住宅協会には行っていないということになりますと、預託の趣旨にはずれたことが、その預託の趣旨からいって適当でない運用が行われておるのだということが言えるというように私ども考えます。
  100. 加瀬完

    加瀬完君 刑事局長の方に伺いますが、あなたの方のお調べでは、知事はこの一億は決裁はしなかった。住宅資金に使うといって建築部長から申し出があったが、これを却下した。新聞によると、こういうふうに申し立てておるように伺っておりますが、そうですか。
  101. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 私はこの歳計現金一億円を、県庁の信用組合預託するのにつきまして知事は決裁したというように供述しておるように報告を受けております。
  102. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、それを住宅資金として使うということで一億円が県庁の信用組合預託されるということについて知事は知っておる。こうお答えになったのですか。
  103. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) その通りでございます。
  104. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、住宅協会というのは知事も責任者の一人。(「理事長だ」と呼ぶ者あり)三十一年の二月九日の歳計現金預託調べなどによりましても、一億の金が住宅協会に行っていないということは明らかなんです。それはあなた方のお調べの通りです。そういうことを自分が決裁をしておって知らぬというはずはあり得ないと思う。この間の事情を検察庁はどのように御判断なさったでしょうか。
  105. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 何か住宅協会の方から、少し金を信用組合を通じて歳計現金を回してもらいたいということの申し出があって、三十年の秋には、それを一応断わっておるようでございますが、知事の決裁で住宅協会の方に行くということで信用組合に金が預け入れられて、その金を理事長でありまする県知事が知らぬはずはないということで、いろいろ調べをしてきたわけなんでありますが、さような点から、知事につきましても一応の嫌疑をかけて、いろいろ調べを続けておるのが現在の実情でありまして、ただいまのところでは、ほかの四名ほどの嫌疑があると言いまするか、事件といたしましての起訴するほどの理由があるかどうか、なお疑問がありますので、疑いは疑いとして今調べを続けておるというわけでございます。知事側の方にもいろいろ弁解もあって、住宅協会の理事長だけの仕事をしておりますれば、これは明らかに金が行っていないことは明瞭なんでありまするから、自分で判こを押して自分の協会に金が行っていないのに、それを請求しないのもおかしいし、相当問題があると思うのでございますけれども、非常に忙しい方のようでありますし、ただそれだけの事実で、すぐにその金が東京に行って、東京の第一相互に入ってリベートを受け取ったというようなことについての、ただいまは証拠が集まらないので、見送っておるというのが実情でございます。
  106. 中田吉雄

    中田吉雄君 去る十五日の午後三時五分ですか、土屋知事は板付の飛行場に着いて、自分が却下した書類を副知事が勝手に判こを押してやったのだから、自分は刑事責任はもうなくなったのだ。今、井本刑事局長が言われたようなことと違うのですが、まだいろいろ疑問もあるし、また捜査の過程のようなお話ですが、自分が却下した書類を、それを山本副知事らが勝手にこの書類を利用して、知事の決裁印をとり、協会の知らぬ間に第一相互銀行に流して、一千万円かのリベートを取ったが、自分は関知しない、だから刑事責任はもう免かれたのだ、こういうことを言っておるのですがね。どうしてもこの金が出る過程から言えば、私は山本副知事、岩佐出納長が贈収賄や横領で罪になり、起訴されれば、むしろこれと一体不可分の関係でやっておることは、この改正金庫制度運用要領の(2)から言っても、これは当然です。どうもその辺が、実際は責任者であるが、知らぬ間にまあやったので、刑事責任はのがれるというように、そこにエスケープするところに問題の焦点があるのではないかと私は思うのですが、もうそういうふうに検察当局は打ち切られてしまったのですか、この知事に関する段階は。
  107. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) この信用組合長の池田豊君ですか、この人は実は二十日余り勾留をして調べを続けてきたわけでございますが、これも自分の名前で金が預け入れられておるわけでございますから、この問題につきましては相当責任があるわけでございますけれども、現在のところ処分留保でございまして、いずれとも処分はきめておりません。なお問題の福岡県知事の点につきましても、ただいま調べを続けておるわけでありまして、調べの模様によりましては、また違った結論が出るかとも思いますけれども、現在十七日に処置し得る状況では、先ほど申し上げました岩佐、山本、根橋、向井、この四人が起訴されたのでありまして、そのほかの方につきまして、これと同時に起訴するほどの証拠が集まってなかったので、今までのような状況で調べを続けておるというのが実情でございます。
  108. 中田吉雄

    中田吉雄君 知事は、副知事や出納長を福岡県議会に提案して、自分が任命権者で同意を得てやるのですが、そういう者が、却下したものを判こを盗んで独断でやったために、自分は知らなかったのだから責任を免れる、そういう自分の却下したものをやっているということを知れば、当然その上司として解任の手続もとるべきでしょうし、そういうこともとっていないというような過程からして、また議会の与党化工作等に知事と一体になってやったことに資金を使ったりしておって、どうもその辺が……。そういう却下したものを実際に行なっていた期間がだいぶあるのに、そういうことでずっと……、それなのに、なお知事はそういう者を罷免もしないでいる。そういう却下書類を任命権者である自分の意思に反して判こを押してやっている者を解任しないというところから見ても、やはりわれわれとしては、むしろ副知事や出納長よりもっと悪質だ。また総括責任者としても、そういうことであってはならないと思うし、もっとこれはやはり土屋知事が板付飛行場で言うように、刑事責任を免れたというような青天白日の段階じゃないと思うがどうでしょうか、もう打ち切ったのですか。
  109. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) お話の板付飛行場で土屋知事が話されたという内容は、私どもが受けた報告内容とは少し違うように考えております。それから先ほど申しましたように、私どもは十七日に四人起訴しておりますけれども、そのほかの方につきまして、これで全部おしまいで、あとは嫌疑がないのだということで終局処理をしたのではないのでありまして、引き続いてまだ調べが続いておるので、一応勾留が十七日で満期になりまして、そのまま起訴するか釈放するかきめなければならぬ状況になりましたので、さような処置をとったわけでありまして、調べがもうこれでおしまいになったというのではないので、引き続いていろいろな事情調査しているわけでございますから、あとの起訴にならなかった方々についても、これから先あるいは問題になるかもわからないので、これで全部おしまいなのだというのではないのでございます。
  110. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) あまり議論をしないで、事実を伺って参りたいと思うのですが、金庫事務、寄託事務取扱いに関する契約書は、知事と福岡銀行頭取との間の契約ですね、名前は知事、その点の御確認を願いたい。それから歳計現金を他に預託をするときに、一億の金を出すようなときは、だれの名前が出ておるのか、金を預託がえをする場合に、だれの名前になっているのか、実際の取扱いのことについて……
  111. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 金庫契約は県の代表者としての知事と、それから銀行の頭取との間の契約であります。それから歳計現金保管の責任者は出納長でございますので、おそらく歳計現金の定期預金をする場合の名義は出納長になっておるんじゃなかろうかというように思います。
  112. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 運用要領によると「かならず事前に知事の承認を得なければならない。」云々と書いてありますが、それはどういう形で承認が得られたんでしょう。
  113. 山本晴男

    説明員山本晴男君) この依頼書を一部局から依頼してやります場合には、関係部局から委託の依頼書というものを、これはまあどこまでとるか知りませんが、知事まで決裁をとるものはそういう決裁をとっております。出納長の方では依頼することについて決裁があったわけですから、通牒で申しております協議というものが、そこで合致しておるわけでございます。その場合には、あらためて預託についての合議は行わない。それから知事の決裁を得ていないものにつきましては、寄託するということについて知事に合議して決裁をとる、そういう取扱いに福岡県はなっております。
  114. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 文書について、知事の承認をどういう書類で得られたと確認をしておられるのか、そのことを自治庁と、それから刑事局長に伺いたい。
  115. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 知事が決裁されたというのは、依頼書について決裁されているんだというように私は思ったわけであります。これはそういう書類がございませんので、知事は決裁された、それから財政当局を経由して参りますので、財政課長その他はそういう書類に決裁したのであるというようなことから判断いたしまして、おそらく依頼するにつきましての依頼の書類に決裁されたんだというように判断いたしたわけでございます。
  116. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 刑事局長どうですか。
  117. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 知事が歳計現金を住宅協会に貸しつけるべき金として、県の信用組合預託するという書類に決裁をしたというように私ども報告を受けております。
  118. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 書類がないんですが、書類は検察庁は見ておられると思うのですけれども、その決裁書は今自治庁の方からは依頼書というお話です。預託がえの依頼書等について、どういうように確認をせられましたか、どういうように知事がはんこを押しておると、決裁をしてると、こういう工合にあれしておられますか、今多少答弁は違いましたが。
  119. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 私実は関係書類を直接見ておりませんが、要するに知事が県の歳計現金信用組合預託する、その預託は住宅協会に提供する金として、信用組合預託することを承認する書類にはんこを押して決裁したというように報告を受けておりますので、具体的の書類はよく点検しましてから、もし正確な点が御必要でございますれば、後ほどまた適当な機会にお示ししたいと思います。
  120. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) それは写しなり何なり提出を願っておきまして、銀行局からおいでになっておりますが、これは官庁ではございませんけれども、民間の取扱い等を考えますと、まあ百万円程度ならともかくですが、一億の金を金庫銀行から移しがえをする場合に、どういう取扱いをなされておるのでしょうか。
  121. 福田久男

    説明員福田久男君) 金庫銀行から他の金融機関預託がえをする場合の取扱いはどうかという御質問でございますが、ただいま自治庁の方から御説明がありましたように、それぞれの金庫を扱います場合に、金庫の事務に要する契約がございますので、その契約に基いてそれぞれ措置しておるものと思います。従いまして、私は福岡県の場合は実はただいま拝見したわけでありますが、第三条と第九条との解釈の点につきましては、自治庁の方からお答えがあった通りだと思いますが、第九条で金庫銀行以外に預ける場合というのが本件の場合に該当すると思います。その場合は出納長の指示を受けたときには、その指示の通りに事務的に扱うということでやっておるものと思います。
  122. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) そうすると、契約書は土屋香鹿の名前になっており、定期預金の中から一億という金を移しがえをするわけでありますけれども、その場合には、福岡県知事土屋香鹿氏の名前でなくて、出納長だというのですか、それとも金庫契約の責任者あるいは金額あるいは金の性質、そういう点からいって土屋香鹿という名前で移しがえをするのか、その点はどうでしょう。
  123. 福田久男

    説明員福田久男君) 実は私預金口座が知事の名義になっておるのか、出納長の名義になっておるのか、その辺の実情をよく承知いたしておりませんが、少くとも出納長の指示以外では移しかえはいたさない、この契約通りにいたしますと、出納長以外の者の指示では移しかえないということではないかと思います。
  124. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 一億の金を十二月の五日に、最初一口で銀行からは出ておる、それからあとで二口になっておりますが、最初十二月五日から三カ月預託をいたしまして、その次に預託をいたしましたのは四月の二十四日と四月三十日であります。その間に五十日ばかり差があるようでありますが、これは一ぺん銀行に返ったんでしょうか、日にちは六日の違いはありますが、三千万円と七千万円のあれは、二十四日と三十日の違いはありますが、この辺はどういうように検査調査してこられたのか、承わりたい。
  125. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 先ほども申し上げましたように、知事の話では、返ったんだという話でございます。また調査をできるだけ早くまとめますために、十二月の状況と、それから三十二年の三月の状況と、返ったのは二月か三月ごろ返ったはずなんでありますので、そういう返っておる事実があるかどうかということを主眼として調査いたしましたために、ずっと一億円の金が私は信用組合にあったんだというようなつもりで調査いたしたわけであります。で、三十二年の三月末の状況では、一億の金は月末の歳計現金保管内訳の総額と、それから信用組合の三月二十五日の日計表によります貸借対照表のようなものから判断いたしまして、一億円という金は信用組合にはなくて、県に返っておったんだというように判断いたしたわけであります。途中の過程につきましては、重点でないと考えまして詳細な調査をいたしておらないわけであります。
  126. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) その十二月の五日に預託をした、県金庫から預託がえをした。そうして一二カ月たって、三月の五日から四月の二十四日なり三十口まで、一カ月以上、とにかく五十日ばかり期間がございますから、もしそういう期間があれば、これは当然金庫に返っておる。こういう判断をして差しつかえないかどうか。その点については、これは事実は明らかでなければ調べを願って、あとで報告を願いたい。  それから事実はとにかくでありますが、一カ月と二十日、二カ月近くも間があれば、これは当然県金庫に返りますね。
  127. 山本晴男

    説明員山本晴男君) そういうわけであります。
  128. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 当然返るという話です。そうすると、一ぺん金庫に返っておる。三月五日から四月二十四日ないし三十日までに返っておる。そうすると、新たにもう一度預託がえをするということになると、これはどうですか、知事の承認を得なければならぬものだと指導要領によると考えられますが、その点はどうでしょう。
  129. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 実際、福岡の場合、まあ長い間入っておったので、おそらくその間、期間は三月という建前になっておりますから、更新の手続をとっておっただろうと思います。具体的にどういう手続をとっておったか、私承知しておりませんが、更新の手続は、一体どうするのがこの指導要領の趣旨か、こういうお尋ねでございますが、われわれの考えといたしましては、当然更新する場合には、このまま更新によってやるのが当り前だろう。福岡の場合は具体的にどうしたのか、私ちょっと聞いておりません。
  130. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) これは一億が、検察庁の御説明による信用金庫云々というのは、これは口実で、実際は県からまっすぐに第一相互に入った。こういうことですが、この三十一年の三月から四月の三十日まであいておって、帳簿上新しく一億が今度は三千万円、七千万円と分れて預託をされたところを見ると、一億というものが二つ動いているのではないか、こういう疑いも持たれる。それからもう一つは、これはその後御訂正になられたかどうかと思うのですが、八千万円の焦げつきができたので、そこでその八千万円の歳計現金の穴を埋めるために、新しくまた九千万円預託が行われた。こういうことですが、この点は自治庁あるいは刑事局長も、前に衆議院において御説明になりましたところを御訂正になりますかどうか、その辺、まあどういうように調査になり、あるいはお調べになっておるか、その点を……。
  131. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 三月末現在の預託の内訳を検討いたしますと、西日本相互に五千万円、それから福岡相互銀行に今までのものが一千万、新しく四千万預託が行われておるという事実は間違いないであろうというように考えます。
  132. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) ただいまお尋ねの点、三十一年の三月から四月にかけての県庁と信用組合との関係、あるいは本年の二月、三月の県庁と信用組合関係等につきましては、私まだ御説明申し上げたことはございませんので、別に訂正する点はないというように考えます。
  133. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) それでは自治庁の方は、三月五日から四月二十四日あるいは三十日までというのは、これは新しく別な金が預託されたのではなくて、初めからの一億の金がずっと預託されているのだ、五十五日ばかりのものは、帳簿上の記載の手落ちだと言われるのですか、その辺はどうなっているか伺います。
  134. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 私は先ほど申しましたように、三十年の十二月の状況と三月の状況とを判断したわけでありまして、その間の過程につきましては、詳しい調査をいたしておらないと、そういうわけでございます。
  135. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 明らかでないところは、あなたがおいでになったときにあった帳簿を調べてないのですか、それを調べて報告を願いたい。それからもう一つ、この点は、これは調査官が行って調査をしなかった証拠です。刑事局長の方は、三月五日から四月の二十四日、あるいは三十日に、初めは一億だったものが四月三十日に三千万円、四月二十四日に七千万円と二口になって新しく帳簿上に出ている。こういうことは御承知であったかどうか。それからもう一つは、あとの九千万円はどういうものだというようにお調べになっておるか。
  136. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 先ほど申しましたように、私どもは福岡県の歳計現金が第一相互銀行に入っているというように見ておりますから、途中の県信用組合はトンネルのようなものであるという考え方で、三十一年の三月、四月の問題では、これは帳簿上さようなことが行われたかもしれないけれども、直接本件の刑事事件には関係はないというような考え方を持っております。なお、帳簿上は確かに三月五日に三カ月の定期満期のものが、四月の末に県の歳計現金の定期預金が、また何というか、切りかえられているというか、さような手続がとられておるようでございます。なお、昭和三十二年の二月、三月の西日本相互銀行、福岡相互銀行と福岡県庁との関係につきましては、確かに五千万円、四千万円の預託が行われておったようでございますが、この金が第一相互銀行との間にどういう関係になっておるか、ただいまのところでは直接の関連は認められておりません。常識的には、とにかく八千万円の金が当時返っておりますので、それについて何か関係があるような感じもするのでありますが、帳簿上は関連があるという点は出ておりません。
  137. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 銀行検査部長さんにお尋ねをいたしますが、三十二年の二月一日に二千万円第一相互から県に返済をされた。これは、焦げついておったものの中からですが、第一相互として出せるような状態にあったかどうかという点を第一に伺いたい。それから三月二十三日に一千万円第一相互から県に返っておる、こういうことです。これは信用組合であるかどうか知りません。それから三月の十六日に、福岡相互に四千万円、西日本相互に五千万円、県から歳計現金をそれぞれ預託をしておる。その中から一千万円ずつ引いて、西日本から四千万円、それから福岡相互から三千万円、これが第一相互を経由しておるかどうか知らないが県に返っておる。こういうことは、これは県が西日本相互あるいは福岡相互及び第一相互と話し合いをしなければ、これは福岡県庁に西日本相互なり、あるいは福岡相互から返るはずがない。その辺の、これは銀行を監督しておられる立場からして、第一相互の事情、それから金融界の事情として、どういうふうに考えられますか。それを伺いたい。
  138. 福田久男

    説明員福田久男君) お答えいたします。第一相互銀行の、ちょっと前置きになりますが、業況が非常に危い状態になっておるということは、昨年の二月の検査の際に私ども承知いたしたわけでありますが、その後、再建計画を業界の方でもいろいろ心配をされまして、各相互銀行が協力態勢で再建の方策を検討されたわけでありますが、その際に、いろいろと援助のために総額二十億円の援助資金の供給というものが計画され、実行に移されたのであります。同時に、典型的な導入預金につきまして、その処理の方策等も立案され、実行に移されたわけであります。従いまして、それぞれいよいよ本格的に再建に入りまして、実行に移されたのが大体昨年の七月から九月の間でございます。その後、新経営陣が入りまして、再建計画にのっとりまして、極力努力をいたしまして、大体その線に沿った方向に業績も進みつつあるのであります。少し余談になりますが、今事業年度におきましては、若干ながら黒字が出るという段階までこぎつけておるのでございます。そういう状況でございますが、お尋ねの福岡県庁信用組合からの預かり金につきましては、これも余談になりますが、一年間払い戻しをしないでもいいという約束があったように聞いております。で、三十年の十二月に通知預金の形で預け入れを受けまして、一年間たちましたのが三十一年の十二月になるわけであります。その時期が過ぎましたので、払い戻しの請求を逐次受けてきたということで、二月の一日に二千万円、三月の二十三日に八千万円払い戻しをいたしております。なお別に、西日本相互銀行及び福岡相互銀行から、第一相互銀行はこの八千万円の預金の払い戻しに伴う資金繰りを順便ならしめるために、両行に対して第一相互銀行は預金をしてもらいたいという懇請をしたようでございます。その結果、西日本相互から四千万円、福岡相互から三千万円——(中田吉雄君「それはいつですか。」と述ぶ)これはたしか今年の三月二十二日でございますが、三カ月のインターバンクの定期預金を受け入れております。なお福岡県から預託を受けておりますのは、西日本相互五千万円、福岡相互四千万円と聞いております。また関係相互銀行から聞きましたところによりますと、この県から預託を受けた金と、第一相互銀行に対して両相互銀行から預金いたしました資金とは直接の関連はない。つまりこれは関係相互銀行説明でございますから、率直にそのままを申し上げますと、自分の余裕資金の中から、つまり支払い準備として持っております余裕資金の中から第一相互銀行へ預け入れた。別の、県から預託を受けましたものは、県内の中小企業のために融資をするという説明でございます。
  139. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) そうすると、このことから、これは銀行局として確認できませんか、八千万円とにかく焦げついている。従って第一相互銀行が一千万円、それから西日本、福岡から七千万円、五千万円、四千万円という預託を受けて、それから四千万円、三千万円を福岡県に第一相互が返した。八千万円は、一千万円返していますから、七千万円が焦げついている。それから県と福岡相互、西日本相互、それから西日本相互、福岡相互と第一相互との間に関連はないと言いますけれども、常識的に考えて、これは関係があるという以外に考えられないのじゃないですか、この二点について、あなたの判断を伺いたい。
  140. 福田久男

    説明員福田久男君) 八千万円の点につきましては、すでに第一相互銀行は払い戻しを終えておりますので、現状におきましては焦げつきという問題の批判の余地がないのじゃないかというふうに思います。なお、西日本、福岡相互銀行につきましては、支払い準備等も相当額経営の健全化の建前から持っておりますし、四千万円、三千万円の預金の払い戻しに事欠くというようなことは絶対ないだろうというふうに私は考えます。  なお次のお尋ねの点でありますが、預託の五千万円、四千万円と、両行から第一相互に対して預けました四千万円、三千万円との関連でございますが、日にちの関係等から考えますと、そういうことも考え得るかと思いますけれども、ただ事実関係につきまして、なかなかその辺の判断は、想像ではちょっと困難ではないかと思います。なお実情につきましては、さらに関係相互銀行から事情をよく聴取いたしたいというふうに考えております。
  141. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 自治庁に伺いますが、三月十六日の五千万円、四千万円をそれぞれ西日本相互と福岡相互とに預託をいたしました。これは新しく預託をいたした。運用要領によりますと、これは金庫銀行以外の金融機関預託をするのでありますから、指導運用要領の一の二に従って必ず事前に知事の承認を得なければならないことだと思うのですが、そういう性質のものであるか、あるいは知事からの承認をどういう工合にとっておられるか、どういう趣旨で預け入れたのか、調査の結果を一つお述べを願いたい。
  142. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 三月に行いました西日本相互、福岡相互に対する預託は、趣旨は中小企業の資金の運転を円滑ならしめるという趣旨だったそうであります。それから扱いは、これは出納長発議のものだということであったと存じます。従いまして、この運用要領で申しますと別のことでありまして、手続は成規の方法によって行われたと思います。
  143. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 小林部長に伺いますが、出納長発議ということですが、中小企業金融にいたしましても何にいたしましても、先ほどは知事部局から云々という……、これは政策金融でありますから、建築部長あるいは商工部長から申請をするのが、これは当然だろうと思う。それから実際の今までの運用からいって、二十五年、以前においては県議会が議決をし、要請をして、あるいは経済委員会でありますとか、あるいは社会労働委員会であるとか、そういう委員会から要請をして、政策的に金庫銀行以外に預託をするというのが、これは常道だと思う。出納長逮捕直前です。逮捕直前に出納長が申請をして、九千万円を預託を申請をした、知事の承認を得たというならば、これは焦げついておった一億のうちの、二月過ぎておりますので八千万円ということになっておりますが、その八千万円の焦げつき救済のために出納長が知事の承認を得た。従ってその場合には知事は金の性質、あとから第一相互を通じて福岡県に返ってくるようにという意図を含んで出納長から知事に相談をし、知事もこれに了承を与えた、こういう以外に解釈するほかないと思うのですが、小林部長説明を求めます。
  144. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この出納長扱いの問題でございますが、これは山本調査官から申しました通り、両方の扱いをいたしておるのでございまして、本件の場合には出納長の方から知事の承諾を得てやった、こういうことになっておるのでございます。この扱いはどっちが先に行くか、こういう問題でございまして、必ずしもどういう場合はこっちでなくちゃいかぬと、こういう扱いにしていないようでございます。いずれにしろ、事前に必ず出納長は知事の承認を受けよ、こういう基本方針のもとに扱っておるように存じております。なお、そういういろいろ政策上の場合には、県会あたりの要請に基いてやるのが、まあ常道じゃないかという御意見でございますが、私は、まあ県会からそういう要望に基くこともこれはあろうと思います。あろうと思いますが、必ずしもそうでなくちゃならない必要もない。それぞれ執行部局において必要があると認めれば、そうやってよろしいし、また各金融機関からの要請に基いて、出納長としてでも保管上支障がない、こういう判断ならば知事と相談をしてやることも、これはあり得ると思うのでございます。本件の場合におきましては、先ほど申しましたような趣旨で行なっていると、こういうふうにわれわれは報告を受けておるのでございます。
  145. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 井本刑事局長に伺いますが、これはこの福岡県から二つの地元相互銀行預託をし、それから地元の銀行から第一相互に、何と申しますか、融資と申しますか、預託がえを一部して、そうして第一相互から来た、返った、こういう点について、これは新聞なり、その他を見まして、みんな私が考えるように考える。それは住宅協会の場合には住宅資金云々ということだし、そのときの模様は、金を必要とするに至りませんでしたけれども、名目はそういうことである。ところがその場合に名目がないわけですね。そうして、しかも出納長からとにかく承認を求めたというならば、私が先ほどから申し上げたように、逮捕寸前の出納長なり山本副知事なり、それが知事と相談して穴埋めに、証拠隠滅ではございませんが、一つの証拠隠滅になるかもしれぬが、穴埋めを企図したのだ、こう考えるのはこれは当然常識だと思う。そういう点について、検察庁においてはお調べになったかどうか。
  146. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) もちろんいろいろ調べておりますが、信用組合の名前で第一相互に一億円入ったときの事情とは今度は少しく違っておって、とにかく福岡県の相互銀行に入って、相互銀行からこちらの銀行へ来たというような関係で、手続上と言いまするか、一応金が性質が違って入って来ておるというようにもとれまして、これが直接福岡県の歳計現金がまた第一相互に入ったというようには法律的にはどうも扱いかねるので、常識的にはどうもおかしいという点はございますけれども、ただいまの状況では、福岡県の歳計現金が第一相互に入ったというような結論は、ちょっと出しかねるというのがわれわれの結論でございます。
  147. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) その点については、まあさらに捜査をしておるということでありますから、世論と言いますか、常識が考えるところは、そういう点だということで、その常識なり世論なりにこたえて捜査をしていただくという要望をいたして、次に移りますが、検察庁で、先ほどちょっとお尋ねがございましたが、向井何がしと土屋知事との関係をお尋ねがございましたが、検察庁では前に土屋——これは副知事であります。前副知事時代に道路協会をトンネルにして、杉本知事退職のときに五十万円、奥田副知事に三十万円という金を贈ったり、あるいは道路課長の渡米に当って八十万円をこの道路協会をトンネルにしておった。そのトンネルにして県の外郭団体と申しますか、県知事あるいは副知事等が役員をしておりますいわば傍系団体、そういうものを通じて金を贈るというやり方は、これは土屋氏独自のものである。前にもそういうことがありまして起訴猶予になっておる。あなたはまあ先ほど山本副知事と向井という人が仲がよかって云々というお話がございましたけれども、こういうやり方は、協会をトンネルにして金を贈るというやり方を、前にも土屋香鹿氏がやっておって、その点起訴猶予になっておるという点を御承知でありましたかどうか。
  148. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) ただいまお尋ねのような点は、実はまだ報告を受けておりませんので、地検の方ではあるいは調べておるかもしれませんが、私どもは聞いておりません。従って、帰りましてから、主任検事などによく状況調査させまして、調べていなければ、その点も十分調べさせたいというように考えます。
  149. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) この土屋知事がやめさせられた、それから続いて山本総務部長がやめた、そのときに緑荘事件というのがあった、それからこれは、今度の選挙の直後でありますけれども、これは筑後川にかかっておる両筑橋の架橋に当って、土木部長が土木業者から資金を集めまして、土屋知事選挙の選挙資金にしたといううわさがあります。そういうことを知っておられるかどうか。  それから三十年の五月選挙の後に議長の選挙が行われましたが、その選挙に当って、これは一千万円と関連がございますが、関連があるかないかは、あなたの方でお調べになることですけれども、多額の金がばらまかれたということは、これは隠れもない事実です。県民全部が知っている。そういう点について、十分御存じの上で取調べをされたかどうか、伺いたいと思います。
  150. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 今の緑荘事件並びに両筑橋架橋関係の事件というようなものは、私まだ報告を受けておりません。福岡県の政界で、金が相当ばらまかれたということは、これは相当風評も立っておりますので、当然主任検事が調べてきたと思いますが、ただいまお尋ねの点は、よく主任検事に確めまして、おそらく調べはしておるとは存じます、けれども、調べをしていないようならば、その点につきましても、十分調べさせたいと考えております。
  151. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) あとの議長の選挙に金が多額にばらまかれて、しかも、新聞紙上によると、一千万円のうち六百五十万円はこの議長選挙の穴埋めに使われた。これは各紙ともが報じておるのです。ある程度検察庁の調べでも明らかになったかのように言われておりますが、その点が明らかでないようでありますが、その点はどうですか。重大な点について答弁が落ちております。
  152. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) お尋ねの額と似た額の金が東京から福岡に送られて、山本副知事などが相当操作をした点は、調べの結果出ておりますが、こまかい点は、今なお引き続き調べ中でありまして、その調べの結果を待ちませんと、どのように調べておるかということは、ただいまのところでは御報告できかねますが、いずれ調べが済みましたならば、適当な機会に御報告申し上げたいと考えます。
  153. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) そうすると、六百五十万円に近い金が議長選挙にばらまかれた、そういう点については取調べをしておって、これをうやむやにするつもりはない、明らかにして参りたい、こういうことですか。
  154. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 私、先ほど申し上げたのは、ただいまお尋ねのようなことをはっきり申し上げたのではないのでありまして、とにかくリベートの金が東京から福岡に相当金額が送金されております。その金の行き道につきまして、今調べをしておるのでありまして、それが政界にばらまかれたかどうかというようなことはまだ判明していないので、そのこまかい点につきまして、引き続き鋭意捜査中でございます。そこで、その捜査が済みましたならば、使い道などにつきましても御報告ができるというふうに考えております。
  155. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 先ほど、向井氏と土屋氏との関係、土屋氏のこれは内政部長時代だったと思いますが、同居しておったということは御存じかというような御質問がございましたが、そのころ、向井という人は右翼団体の人で、大陸から引き揚げて来て、土屋氏のところに同居をしておった。それからその後、塩の特配を受けて、これは、塩その他物資が非常に少い戦後の話でありますが、つけもの屋をやって、塩の特配を受けて、相当もうけておった。その当時、東中洲に事務所を持って、壮士らしいものが数人出入りしておった。そのつけもの屋の時代に、土屋氏との間に塩の特配云々について関係があったやに言われております。  それから、土屋選挙の際に、非合法文書と申しますか、選挙違反の文書を流したり、あるいは選挙事務所の前に、向井氏なり、あるいは、何と申しますか、子分どもを使って、火炎びん事件というものをやらせたり、それから自動車のブローカーをやって、県の教育委員会が自動車を買いたいと言ったところが、自動車を買うのをやめさせて、待っておれと、県から買ってやったところが、車は同じもので、しかもそれが二十万円高かった、こういう事実がある。あるいはジープを二十台、向井氏のあっせんで入れたが、それは、買い上げたのではなくて、三カ年借り上げということで、価格は一台について五万円も高かった。二十台ですから、百万円の損害を与えているということがいわれている。それから、かおる会という、これは土屋夫人を中心にした会でありますが、それからは、その団体にはどこからも金は入っておらぬが、向井氏がそのかおる会に自動車をあっせんをして、そして、何と申しますか、自動車のあっせんをして、そこでもうけた、こういう事実等もあるようでありますが、これらの点については御存じか。あるいはそれらの点についてお調べになったことがあるかどうか。
  156. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) いろいろ詳細な事情を伺ったわけでございまするが、私、この関係の概要を聞いているだけで、こまかいことは実はまだ聞いていないのでありまして、主任検事は、先ほど申し上げましたが、いろいろこまかい事情も調べたとは思いますが、ただいまお尋ねいただきましたような点も十分申しつけまして、これを参考にして、調べさせたいというふうに考えております。
  157. 山本經勝

    山本經勝君 今度の福岡の問題で調査に行かれました山本事務官にお伺いしたいのですが、このお出しになりました調査の資料ですね。金庫以外の金融機関預託をさせた調べ、この資料はどこでお取りになったのですか。
  158. 山本晴男

    説明員山本晴男君) これは、県の財政課に命じまして、提出させました資料によって作成したものでございます。
  159. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと、この県の財政課の方で、これは出せと言われて出したと、こういうことなんですか。
  160. 山本晴男

    説明員山本晴男君) そういうわけでございます。
  161. 山本經勝

    山本經勝君 この調査の資料によりますと、歳計現金預託先として、第一番に福岡県庁信用組合があげられている。そこで、預託額として一億八千九百九十二万八千円というのがあげられている。その下の備考欄を見ますというと、住宅協会貸付金一億六千九百九十二万八千円、こういうことになっておるのですが、これは、山本さんも御承知のように、この調査先ほど同僚議員の皆さんからたびたび質問のあった点なんですが、山本事務官の方の御答弁にもありましたように、今度の問題にからんで、金庫銀行以外の預託状況、それから信用組合預託状況、それから取扱い手続き等の状況、それから県の監査委員会の状況、こういうものを調べられたと、こういうふうにお話があったのです。そうしますと、その中でやはり大きな具体的な内容を持つ問題点というのは、県の信用組合は、元来二千万程度の資金があれば、その運転は十分なせるというふうなんです。ところが、一億八千九百九十二万何がしという多額な金が預託されて、しかも問題は、一億の県の歳計現金が第一相互に流れて云々という問題の中で調査に行かれたものだから、勢いここの備考欄に出ておる住宅協会貸付金一億六千何がしという金額は大きな問題になるはずなんです。この点はどうお考えになったか、ここら辺がさっぱり私どもわからない。
  162. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 一億八千九百九十二万八千円の内訳として書いておりますのは、県の歳計現金がどういう趣旨で信用組合預託されたかの内訳を下に書いておるわけでございまして、そのうちの信用組合の運転資金としては二千万円、これが預託されておる。それから名目として住宅協会に対する貸付金として一億六千数百万円、そのうちの、土地を買いますために、県が資金を信用協会に融資する——結果的に融資になるわけであります。信用組合を通じて融資したものが六千九百万円、それから問題の住宅建設資金として一億円を住宅協会の貸付金に譲るという趣旨で、信用組合預託したのが一億円、この一億円につきましては、別に信用組合から住宅協会が今まで借りておりました内容を検討いたしますと、住宅協会にはこの金は行っていないということを私としては確認できたというようなことになっておるわけであります。
  163. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと、県住宅協会の方の経理の実態等について、お調べになりましたか。
  164. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 住宅協会からは、三十年の決算とかというようなものにつきまして、概略見ましたのですが、住宅協会の内容自体につきましていろいろ調査をするということは、目的でもございませんので、大体住宅協会に対しまして、県の預託信用組合を通じてどういうように融資されておるかという状況は、できるだけ調べることにして調べたわけであります。
  165. 山本經勝

    山本經勝君 これは、きわめて重要なことだと思うのですが、先ほども申し上げましたように、調査に行かれた目的は、つまり歳計現金の流用による問題なんですかどうか、そうしますと、歳計現金信用組合預託されて、信用組合を通して住宅協会に流れて貸付金になる、こういうルートであった。ところが、たまたまそれが実はそうなっておらないということで今度の問題でしょう。そうしますと、住宅協会のその資金の実態を正確に調査せずしては、これはお話にならぬと思うのですが、そういう点では、住宅協会でどういうふうな資金の取扱い等をやってきておるのかということが、これは大事な問題になってくると思うのですが、どうなんですか。
  166. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 預託の趣旨からいって、住宅協会にそういう融資を、結局事実は融資になるわけであります、そういう融資が必要であるかどうかということは、預託制度運用上必要なことであります。当時の段階として、住宅協会にそういう資金の貸付を求めなければならないという事情があったかどうかということは、これは、住宅関係のものから事情を聴取いたしております。先ほどもちょっと申しましたように、三十年ごろから県の財政が相当逼迫いたしておりますので、従来住宅対策のために、県が信用協会に対しまして貸付金を行うとか、あるいは補助金を出すとかいうような援助をやっております方法を変えて、元利補給にするとか、あるいは利子補給を行うとかいうようなことに変えておる。それからまた、住宅計画そのものがなかなか思うように進捗しないので、できるだけ馬力をかけてやらなければならないのじゃないかというような事情もあった。そうして、その住宅協会は、現在福岡銀行と取引関係を持っておるようでございますが、当時の状態では、そういうつながりもまだできておらなかったような状態で、当時の状況としては、住宅協会として、事業を遂行いたしますために、そういう資金の需要はあったのだというように判断いたしたわけでございます。
  167. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと、こういう書類があるはずなんです。それは、昭和三十年十二月十六日提出で、福岡県知事土屋から、福岡の県議会に、義務負担をしようとする金額——これは、歳入歳出予算外義務負担及び損失補償契約の締結についてという案件がある、第百四十五号議案として出された。その損失補償の限度額として別表がついておりますが、この別表によりますと、賃貸住宅貸付金六千六百何がし、それから、建ち売り住宅建設資金一千四百何がし、それから、農漁村モデル住宅建設資金一千四百何万円、それから産業労働者住宅建設資金、それから、住宅造成事業資金、合計一億六千七百四十六万何がしという議決が行われているが、この金は、やはり当然住宅協会を通して施行されるものであろうと思うのですが、こういう問題はお調べになったのですか。全然それは触れられていないのですか。
  168. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 先ほど申しましたように、今まで全額補助でやっておったものを全額元利補給に切り換えた。五カ年間の元利補給に切り換えた。そういたしますと、その場合には、翌年度の予算外義務負担契約というものをやっておって、そうして年々必要なものを予算に組んでいくという、そういう建前になるわけでございます。それから、分譲住宅の頭金につきまして利子補給をやる場合も、後年度にわたってやるわけであります。予算外義務負担の契約をやってやる、そういうことだと思います。
  169. 山本經勝

    山本經勝君 この住宅協会の経理状況、つまり事務の実態等については、全然見られなかったのではなくて、一応調査をなさったということですか。
  170. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 今申しましたように、この前の一億円の預託というものは、市住宅協会の事業運営状況というものと密接な関連がございますので、その限りにおいて、事情を聴取いたしたわけでございます。
  171. 山本經勝

    山本經勝君 いま一点、先ほど吉田議員の方からも質問のあった点なんですが、歳計現金預託された一億円というのは、刑事局長のお話だと、直接第一相互へ県から行っている、こういうことになっているわけであります。そこのところが、歳計現金調べを見てみますというと、一応一億円というのは、信用組合預託されたことになっておりますが、その際に、その歳計現金は、いわゆる県の金庫ですね。金庫銀行から出たのか、そうではなくて、その他のどこからか出たということにならなければならぬでしょうが、そういう点については、全然お調べにならなかったか。
  172. 山本晴男

    説明員山本晴男君) この信用組合に対して預託しているわけでございますので、県の金庫からは信用組合に対して行っていると、そういうようになっておるはずでございます。それから、信用組合から先のことにつきましては、それは、そういう判断をいたした私がしかられるかもしれませんが、信用協会の業務内容につきまして、自治庁調査官として、こういう調査をする権限があるかどうかということにつきましても、いろいろ考えてみなければなりませんし、それから、この金が住宅協会に貸し付けられておりますれば、今度の問題は起らないわけであります。それが協会に貸せられないで、この信用組合からどっかほかのところへ行ったということが問題の中心になるわけでございます。そういうことにつきましては、問題の核心になる点でございます。もし調査いたすということになりますれば、よほど正確を期さなければならぬ。まあ問題が問題でございますので、そういう正確な調査ができるかできないかということは、当時の状況といたしましては、資料も、関係者もああいうふうな状態でございますので、私としては、自信のある調査というものはできないというように考えまして、まあ、あの段階としては、その信用協会からの先の状況というものが、私の権限並びにそういう一般的な情勢から判断して、あまり立ち入るべきではないというような判断をいたしまして、実を申しますと、詳細な調査をいたしておらないわけであります。
  173. 山本經勝

    山本經勝君 そう詳細な調査をしておらないと、率直におっしゃるならば、それもいたし方ないでしょう。しかし、ちょうどおいでになったのは、三月の三十一日と承わっておりますが、そうですか。
  174. 山本晴男

    説明員山本晴男君) さようでございます。
  175. 山本經勝

    山本經勝君 そして、何日まで向うにおいでになりましたか。
  176. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 三十一日の晩に着きまして、一日調査しまして、それから、二日の四時の飛行機で帰って参りました。
  177. 山本經勝

    山本經勝君 私は、ちょうど二日の午後、福岡へ帰った。そして、今のようなこれは問題があるので、私、まあ非公式に連絡、調査等の任務を帯びて帰ったわけですが、そこで、私の手元には、これはごらんにいれてもいいんですが、こういう資料がある。で、たとえば信用組合の問題にしても、住宅協会の借入金の問題についても、昭和二十七年以降における現在までの県の歳計現金預託状況、こういうものもはっきり資料があるのですが、あなたがおいでになったときは私よりも前なんで、多少それは逆に前なんだから、むしろあの捜査があったあとに、なおこれは資料が得られると思うのですが、第二歳計現金の出入りがどういうふうになっているのか、これは重大な問題だろうと思うのですが、てんでこれは調査資料の中にはない。そして、何かわけのわからぬようなことを書いた資料が二、三出されておる、こういうことなんで、この点はどうなんですか。
  178. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 私が先に申しましたように、非常に衆議院の決算委員会にも早く報告しなければならぬ、それから、急速に中間報告もしろということで、できるだけ早く事柄の全貌をつかむということが、状態として非常に必要であったというわけでございます。私としましては、十二月末、三月末というものの状況を提出させまして、それにつきまして必要な調査をして、自分としてそういう資料から確認できます範囲のことを確認いたしたというようなことでございます。
  179. 山本經勝

    山本經勝君 監査委員会へはおいでになりましたか。
  180. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 監査委員会へは参りませんでした。これは、監査委員検査報告内容を検討をいたしまして、この監査委員検査内容につきまして、この預託について触れた点が、言及した点があるかどうかということの調査を命ぜられたわけであります。その内容を逐次検討いたしますと、そういう内容に触れたものがございませんので、監査委員関係調査は、その程度で打ち切ったわけでございます。
  181. 山本經勝

    山本經勝君 それからさらに、こまかなことを伺うようですが、大村総務部長にお会いになりましたか。
  182. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 会いました。
  183. 山本經勝

    山本經勝君 何日ですか。
  184. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 三十一日の日も、それから一日の日も会っております。
  185. 山本經勝

    山本經勝君 それから出納課長は……。
  186. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 出納課長にも会って、状況を聴取しております。
  187. 山本經勝

    山本經勝君 二日の午後にはおいでになったのですね、四時の飛行機に乗られるまでは。
  188. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 四時ごろというのは、何ですか、四時でございますね、あの飛行機は。四便というのですか。
  189. 山本經勝

    山本經勝君 三便。
  190. 山本晴男

    説明員山本晴男君) そのころの飛行機で帰ったのです。
  191. 山本經勝

    山本經勝君 そこで、時間がありませんから、また日をあらためて質問をいたしたいと考えますが、歳計現金の出入りの状況、問題の三十年はむろんのことですが、その前後の状況が、総括的に資料として必要だと思います。それから、住宅協会の実態、それから信用組合、こういうものは、一応検察庁等に、資料として押収された部分もあったと思うのですが、信用組合の方はお調べになったかどうか。
  192. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 信用組合につきましては、何というか、ちょっと名前は覚えておりませんが、関係の人に来ていただきまして、状況だけは聞いたわけでございます。
  193. 山本經勝

    山本經勝君 内容はわからない……。
  194. 山本晴男

    説明員山本晴男君) この主眼の一億円が信用組合にとどまっておるかどうかという関係もございますので、三月二十五日の日計表はたまたま提出されましたので、それによって調査をいたしております。
  195. 山本經勝

    山本經勝君 歳計現金の毎月調べをずっとここに持っておるわけでありますが、その中には、信用組合もずっとありますね。一億円というものが三十一年の二月二十九日現在、そうして、それ以後の三千万円と七千万円と、二つに分れて、先ほどどなたかの質問にもありましたが、その形で現在までずっとあっておるのじゃないですか。
  196. 山本晴男

    説明員山本晴男君) 私も、一億円というものが十二月に預託いたしまして、二月と三月ごろに入っておるというので、三月の状況では、一億円が入っておるということを確認したわけでございます。
  197. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 山本さん、まだ長いですか。
  198. 山本經勝

    山本經勝君 ちょっと簡単でないですね。
  199. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 資料が出なければ、実際に行って調べなければ……。
  200. 山本經勝

    山本經勝君 こういうふうに考えるのですが、特に今、山本調査官から御報告を伺っておるというと、さっぱり重要な焦点といいますか、問題点ははずされて、肝心な資料が実はありません。そこで、調査をやってもらうか、あるいは参考人その他関係者を、今はもう、検察庁の調べも大体において一段落の状態と考えてよろしいと思います。ですから、関係者をこちらに呼んでいただくか、あるいは現地に行って、直接必要な資料に目を通して調査するということがなされなければ、私の見た範囲でも、しろうとですが、ずいぶん紊乱の状態にあると思うのです。先ほど吉田議員お話になっておりましたもろもろの事件が、これはあげて、地方公共団体としての福岡県の実態というものがどういうものであるか、実に重大な問題であろうと思うのです。そういう意味から、さらに委員会を続行してもらうことは申すまでもなく、この問題を十分に掘り下げた調査検討をお願いしたい。そこでまず、これは、委員の皆さんにも当然必要なことと考えますが、少くとも昭和二十九年以降現在までの歳計現金の実態、預託状態、こういうものをやはり明らかにしていかなければならぬ。それから、いわゆる金庫銀行預託状況、その資金の流れ、これは大へんでしょうが、一つ具体的に調べて明らかにしないというと、この根本問題である財政あるいは運用面における紊乱状態に、根本的なメスは入れかねると思います。そういう意味調査もしくは委員会に対して参考人を呼んでいただく、こういう一つ機会をお願いして、十分掘り下げた調査を進めたい、こういうように考えますが。
  201. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本件の今後の取扱い方については、一つ協議の上決定して進めたいと思います。また、調査等のお話も、理事会等で相談してみたいと思っております。
  202. 中田吉雄

    中田吉雄君 福田検査部長にお願いしておきますが、さきにお話になりました預託のやりくりですね。福岡相互、西日本第一相互、福岡銀行、その金額と日付なんかをさきに御発表になったのをちょっと書きもらしましたので、お願いしておきます。  それから、井本刑事局長に、これは、全国の地方公共団体の金庫事務というものは、なかなか実は伏魔殿なんです。私、ここでは名前は公表しませんが、私の大学の同級生がある大きな銀行の支店長になりまして、そこの知事夫妻が外遊するから、金庫事務、県金庫に指定されているのだから、それだけの御利益があるのだからというので、二百万円のせんべつを出しているのがあるのです。これは絶対です。まあ公表はいたしませんが、私の同級生が、これは一つ、地方自治をやっている同窓として十分検討してくれ。銀行は、よその銀行に持っていかれたら面子にもかかわるし、背に腹はかえられぬから、二百万出して、知事夫妻がMRAの何とかいうことで外遊しているというのを、私、実際名前も知っているし、確たる証拠があるのです。それほど、これはなかなか、知事のポケット・マネーの入る非常に大きな問題だと思うのです。そういう点で、特に私いろいろ御質問したいが、時間もありませんが、このただいまいただいた住宅協会の理事、これは知事なんです。土屋氏が住宅協会の理事長なんです。そこの住宅の資金が要るから、一つ福県庁の信用組合預託してくれというようなことをやって、実際知事が住宅協会の理事長なんです。そうして、そこは全然トンネルにただ利用しているのです。それにもかかわらず、山本副知事や岩佐出納長だけが容疑者として起訴される状態にある。知事が全然刑事責任を免れるというようなことは、もう少しやってみれば——いろいろ預託金の動きを見ねばわかりませんが、少し私としてはふに落ちぬような……。この点は、これはなかなか、小林部長もおれば質問したいのですが、相当な預託銀行、県金庫になれば、その銀行は資金が潤沢になり、また、県内における信用能力も高まり、いろいろな利点があるのです。そういう点から、ちょっと副知事以下だけに責任を持っていかれるような捜査については、われわれとしては、少し疑問があるのです。一つ、公正な当局の御捜査ですから、もっとこの問題の本質をきわめて、金庫制度をどうするかというには、やはりもう少し捜査が進んで、公表できる段階になりましたら、いろいろ資料をいただいて検討したいと思うのです。新聞にはいろいろ発表されておるようですが、あの程度の概要を一つ印刷にして、当委員会に出していただけますか。ほとんど中央紙各紙には、担任の検事さんがだれで、いつどういう段階だというような発表が出ているのです。そういうものを一つ出していただければ、もっと簡潔なスピーディーな審議ができると思うのですが、それできますか。
  203. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) 十七日に裁判所に回しました起訴状の写しは、これは差し上げられると思いますが、そのほかの調べでは、実はまだ、起訴はしておりますけれども、調べの中途でありまして、新聞記者の記事は、そう言っちゃあれですが、記事でありまして、全部が全部正確なものとは限りませんし、私どもの差し上げますものは、一字一画違っても、これは問題になりますので、正確を非常に尊んでおりますから、ただいますぐに捜査の内容を文書に発表しろとおっしゃっていただきましても、ちょっとそれは、御猶予いただきたいと考えるわけであります。
  204. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは、起訴状のそう詳しいことでなくても、金の銀行相互の動きですね。日にちとか金額とかいうようなことの梗概はいただけますか。
  205. 井本臺吉

    政府委員井本臺吉君) さしあたり起訴状の写しをすぐに提出させるようにいたします。
  206. 中田吉雄

    中田吉雄君 山本調査官、これはまあ小林部長質問したいと思うのですが、福岡の事件をきっかけにして、地方自治法施行令に規定する金庫制度をどうするかということは問題ですが、やはりこの昭和二十五年の八月四日に出ております「改正金庫制度運用要領」、まあ制度的な欠陥でなしに、私は運用の面だと思うのです。だから、福岡の事件があったからといって、やはりどこか特定の銀行だけに歳計現金保管制度をして、そこだけにやるということは、やはり県の大事な金庫業務を取り扱うのですから、安全性とか確実という点は重きを置かなければなりませんが、やはり県の金融政策とか、そういう面も合せて考えねばならぬので、私は、これをきっかけに、もとのような制度にいきなり変えるということについては、小林、伊能議員とは別個な見解を持っておるものです。私は、いろいろ見て、福岡のようにこうばらまかずに、ほとんど一つ銀行だけにしているところもあるのです、あまりよそに出さないところも。しかし、そこはそこで、またとても問題があるのです。そういう点で、私は、いきなりこれをきっかけにして、やはりこの前のような制度歳計現金保管制度を復活するというような改正は必らずしも当を得たものでない、巨大銀行だけがまた集中的な利益を得て、やはり県の知事、市町村長がそこの地元銀行を育成するとか、あるいは年末金融その他広範な金融財政の面も考えてやらねばならぬのですから、その点をば、私また委員会でも別な日に言いたいのですが、一つほかの事例で、角をためて牛を殺すことのないように、一つ希望をしておきます。
  207. 福田久男

    説明員福田久男君) 先ほどの御質問にお答えいたします。  関係相互銀行について事情を聞きましたところによりますと、第一相互銀行が県庁信用組合から受け入れておりました預金の払い戻しは、本年の二月一日に二千万、三月二十三日に八千万、それから、第一相互銀行が福岡相互銀行及び西日本相互銀行から預金を受け入れた日は三月二十二日でございます。それから、その福岡相互銀行と西日本相互銀行が福岡県から預託を受けました日は三月十六日であります。
  208. 中田吉雄

    中田吉雄君 それをちょっと資料にしてやって下さい。
  209. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を止めて。    〔速記中止
  210. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を始めて、本件の質疑はこの程度にいたしまして、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十四分散会