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1957-04-08 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月八日(月曜日)    午前十一時六分開会   委員異動 本日委員小柳牧衞君辞任につき、その 補欠として成田一郎君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君    委員            青柳 秀夫君            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            鈴木 万平君            館  哲二君            成田 一郎君            安井  謙君            占部 秀男君           小笠原二三男君            久保  等君            中田 吉雄君            岸  良一君            森 八三一君            千田  正君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (公職選挙法改正に関する件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  委員異動がございました。小柳牧衞君が辞任されまして、成田一郎君が補欠選任されましたので御報告いたします。   —————————————
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 地方税法の一部を改正する法律案議題に供します。  本案につきましては、前回をもって質疑を終局いたしておりますので、本日は直ちに討論に入るわけでございますが、森君より、委員長の手元に修正案提出されておりますので、討論に入ります前に、森君提出修正案議題といたします。  まず、修正案趣旨説明を聴取いたします。
  4. 森八三一

    ○森八三一君 私は、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党の大沢委員の御同意をいただきまして、ここに次の修正案を提案いたします。  まず、修正の案文の全部を朗読いたします。    地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案   地方税法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第七百条の七の改正規定中「八千四百円」を「八千円」に改める。   附則第一条中「昭和三十二年四月一日」を「公布の日の翌日)に、「同年七月一日」を「昭和三十二年七月一日」に改める。   附則第二十三条及び第二十四条中「二千四百円」を「二千円」に改める。  以上であります。  今日わが国の一番重要な課題は、何と申しましても日本経済の自立安定にあろうと存じます。この大課題を解決いたしますためには、国際収支均衡を得なければならぬことは申すまでもございません。このために輸出の増強、増進が要請せられまするゆえんにつきましても、すでに周知のことであります。最近の日本経済の伸長に関連いたしまして、この目的を遂行達成いたしまするために、基幹産業である鉄鋼や電力、輸送等隘路が招来されて参りまして、この打開をしなければならぬという急に迫られておるわけであります。昭和三十二年度一般会計予算におきましても、この点が強く取り上げられて、それぞれ施策が推進せられるという情勢に置かれておりますることは、われわれの同意をいたしておるところでありますが、他面、予算全体が一兆一千三百七十四億円というような有史以来の大規模予算であること、あるいは前年度に比べまして、財政投融資等におきましても七百数億円の増加が企図せられておりますることなど、財政規模は非常に拡大をせられておりまするのでありまして、これが、ややともいたしますれば、インフレを招来するのではないか、インフレの要因になるのではないかという懸念がないわけでもありません。十分注意をして行かなければならぬところでありますることは申すまでもございません。そういうような観点から、物価に変動を来たさしめぬというような措置は、あくまでも細心の注意のもとに取り進められるべきであると思うのであります。さような観点からいたしまして、ここに提案されておりまする軽油引取税が増徴をせられますることについては、でき得る限りその目的を達しながら、税率軽減に努力しなければなりませんことは、申すまでもないと思うのであります。さらにまた、この軽油引取税につきましては、三十一年度から創設をせられた新しい施策でありまして、この引取税創設に際しまして、昨年の四月六日、衆議院におきましては、将来に対する希望を決議いたしております。本院におきましても、四月二十三日に、軽油引取税につきましては、消費実態等にかんがみまして、次の国会において税率軽減その他適切なる措置を講ずべしというような趣旨決定をいたしておるのであります。この決議に対しまして、当時の自治庁長官は、付帯決議趣旨を尊重して善処する旨の約束を発言されておるのであります。今回の改正に際しまして、前段申しまするような、一般的な経済問題に対処する心がまえがなければならず、さらにまた、委員会決議に対して尊重をされなければならぬはずでありますので、各同僚委員から、そういう点について詳細な質疑が行われたのでありまするが、第二点に申し上げました付帯決議趣旨については、閑却をせられておるというように受け取らざるを得ない状況にありますることは、非常に遺憾にたえないところであります。がしかし、一面、申しまするごとく、日本経済発展、貿易の拡張に努めなきゃならぬ重要な要素でありまする輸送隘路になっておりますることについての打開も急速にはからなきゃならぬ。それらの点を双方勘案いたしますると、この際、二千四百円という衆議院送付原案に対し、さらに軽減措置をとるべきであるということに相なろうかと思うのであります。各般情勢を比較検討考慮いたしまして、さらに揮発油との関連もあることでありますので、揮発油車軽油車、それぞれ公正な立場において公正な競争のできるようにいたしますることも、業界の実態から考えまして考慮すべき要素であろうというようにも思われまするので、さような諸般の点を考究しんしゃくいたしまして、ここに衆議院送付二千四百円の引き上げ原案に対しまして、引き上げ率を二千円にとどめることが妥当であるという結論を得ましたので、先刻申し上げました修正を提案いたしました次第であります。  さらに第二点といたしまして、原案では、四月一日からこの修正引き上げが実施をされることに相なっておりまするが、本院の詳細な審議の過程からいたしまして、結論を得る日が延びて参った関係からいたしまして、施行期日につきましても、公布の翌日からということに事務的な修正を行い、付則におきましても、本修正案の結果といたしまして、当然生ずる事務的な補完をいたす意味においての内容を盛り込んだ次第であります。  以上、提案いたしました趣旨を、きわめて簡単でありまするが、御説明申し上げまして、皆さんの御賛成を得たいと思う次第であります。
  5. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいまの修正案について御質疑がございましたら、御発言願います。
  6. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 衆議院修正にかかる六百円の減、それにあわして今回の修正四百円で一千円を引き下げるということが、ガソリン税の過般施行になりました改正法律に見合っているという考え方で、この千円引き下げということを御決定になったのであるとするならば、その根拠をお示し願いたい。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 御案内のように、ガソリン揮発油消費税につきましては、合計で現行が一万三千円ということであり、軽油引取税が六千円ということで推移をして参ったのでありますが、その双方の決定が行われまする段階において、本院におきましては、軽油引取税について全会一致をもって六千円を引き下ぐべしという決議が行われておるのであります。一万三千円と六千円という決定を与えるに際しまして、六千円は軽減すべしという趣旨全会一致をもって行われておるという経過に徴しまして、今回揮発油税が五千三百円引き上げられ、軽油引取税が二千四百円引き上げられるということは、基礎が妥当であるといたしますれば、まさに比率はとれておるかと思うのでありますが、その基礎につきまして、委員会全会一致の議決がございましたわけでありまして、その点を勘案いたしましたことと、さらに提案いたしました四百円の軽減をはかりますることによりましても、最近の消費の実績なり、あるいは軽油につきましては免税措置に相なっておりまする用途もございますので、そういうもの等の実際の取扱いにおける公正な処置が望まれますれば、企図する事業の遂行に必要な財源に支障はないのではないかというようなこと等をも勘案をいたした結果として、修正案を提案いたした次第でございます。
  8. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、ガソリン税軽油引取税も、現行法並びに本日の修正案、これの出る前の昨年までの対比においては、当委員会として軽油引取税の六千円は不当である、高い、引き下げるということは、大体四千円程度かが改正前のガソリン税に見合うものである、そういう考え方を持っておった点は、今日においてもやはり維持されておるということでございますか。そうだとすれば、衆議院修正に加えるに当委員会の四百円の引き下げということは、いまだ不十分であるという結論になるように思われますが、この点はいかがですか。
  9. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま小笠原委員からお話しのように、二十四国会軽油引取税六千円が創設せられるに当りまして、当委員会において非常に真摯な詳細な審議が行われました結果として、その当時の情勢において、おおむね二千円程度引き下げが妥当ではあるまいかというような内容的な存在があったことにつきましては、私も承わっておるのであります。可能な限り、趣旨説明に申し上げましたように、今日の日本経済の安定、拡大発展を期しまするために、低い方がよろしいということも十分理解はいたしておりますが、他面、輸送隘路を急速に打開しなければならないという差し迫った必要等をも勘案いたしまして、必ずしも二千円ということにこだわることがいかがであろうかというような感覚も持ちまして、今日の諸般経済事情を勘案しながら、日本経済の安定、拡大をはかりまするためには、この程度が妥当ではあるまいかという結論を得た次第であります。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点はいろいろ御苦心のあったところでございますから、これ以上は申し上げませんが、それでは提案者といたしまして、今後この種の税がまた引き上げられる、そして道路財源に充てられる、こういう施策については、基本的な態度としてどういうお考えを持ちつつ、この修正という問題を御提出になっておられるのでございますか。
  11. 森八三一

    ○森八三一君 私個人の見解にこの点はなろうかと思うのですが、私は輸送の根幹でありまする道路整備拡充につきましては、一刻も早く目的を達成する努力を払わなければならぬことを確信するのでありますが、といって、そのことを達成するために、ガソリンとか、軽油とかというような油にのみその財源依存をするということは必ずしも妥当とは存じません。すでにガソリン消費税創設せられる当時におきましても、あるいは他日こういうような目的税創設せられる結果として、道路整備に要する財源は、あげてこれに求められるというようなことになって、かえってそのことが道路整備を妨げるという結果が生まれるのではないかという杞憂をもちまして、そういうような質疑をいたした経過もありまして、将来でき得る限りこういうような目的税というものに依存をし、それによってこの重要な道路整備が行われるべきではなく、ひとしく国民全体が利用いたしまする道路につきましては、一般財政から支弁すべきことを私は基幹として行かなければならぬという感覚に立っておるのであります。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政府提案の三千円引き上げに伴う増収分が十七億かになっておりますが、そうしますと、三分の一波ですから七億弱の歳入が減るのでありますが、この点はどういうふうになって行くのか、奥野部長からお伺いしたい。
  13. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 政府に対する質問は終局している。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 終局しておっても、その点説明ができればいいのですけれども、責任のあるところは政府ですからな。
  15. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、この修正案決定した結果、地方財政に及ぼす影響について政府説明を求めます。小笠原委員からの質問に答えていただきたい。意見を求めるわけです。
  16. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 参議院修正によります減収が期間のズレも合わせまして三億円程度と見込んでおります。衆議院修正部分と合わせますと、全体で六億くらいになるわけであります。平年度六億五千万円くらいの見込みであります。軽油引取税道路財源に充てられます目的税でありますので、減収になりますと、それだけ道路費が圧縮されるということになろうかと思います。今後の推移も見なければならないわけでございますが、一応現状のままでありますと、その程度道路費が圧縮されるということになります。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 当委員会修正が通れば地方道路費が圧縮せられるということですが、実際上は本予算が通過し、またガソリン税施行になると、直轄事業の方の割り振りもきまり、地方道路の方の割り振りもそれに伴ってきまって行く、現在もう大体その配分は内定しておるのではないかと思われる、いつもの年度で言えば。そういうものが圧縮されるという形だけで行く、それで仕方がない、こういうことになるのですか、軽油引取税目的税なんだから、それが取れなければ、それだけ道路事業費は減って行くのだ、こういう考え方自治庁としてお持ちになっておられるのですか。そうであれば、これは目的税で、道路事業費の一部には充てるのだけれども、これが減れば道路事業費は減るのだということになれば、これは緑風会さん、ひどい修正案を出したというそしりを免れません、矛盾もはなはだしい。輸送隘路打開のために云々という主張が通らなくなるのですが。
  18. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お話しになりました国の直轄事業でありますとか、あるいはまた国からの補助事業だとかいうようなものがございますが、それに対します地方負担分にもこの軽油引取税は充てられるわけであります。国の予算は変っておりませんので、国の方で計画いたしました事業分量には何ら影響を及ぼさない。軽油引取税目的財源としておりますので、目的財源としてはそれだけ減る、こういうことでございます。目的財源が減りましても、一般財源をそれだけよけい道路費に持って行きますとかいうようなことをいたしますれば、道路事業分量には影響を及ぼさないということになるわけであります。今後の推移を見ましてと申し上げましたのは、税の増減の問題もございますし、あるいはまた起債の配分の問題もあるわけでございますので、今後の推移も見て、政府としても道路事業重要性を十分認識しながら善処して行くべきものだろうというふうに存じております。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、この税のこの程度軽減修正ということについては、大臣として、政府としてどういうお考えを持っておられますか。
  20. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 道路事業費重大性にかんがみるときに一当委員会の先の御決議もあることであって、ここでこの程度の御修正をいただきました場合でも、一般財源からこの減額分は補てんをいたしまして、道路事業費には変化を及ぼさないように措置をする決意でございます。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ非常にけっこうなお考えでございますから、そういうことで、もしも地方財政計画上、七億弱の金でもゆがみが出ましたときには、交付税その他で措置せられる、結局そうなると思いますし、本修正案政府同意しておられることとお聞きしますので、最後に大臣にお尋ねしますが、当委員会でたびたびさっきもお話になったように、ガソリン税並びに、軽油引取税創設当時の比率としての軽油引取税六千円は高きに失する、これを下ぐべきであるというのに下げかねてきたという形で、また今回二千円なら二千円、結果として引き上げになる。今後ガソリン税引き上げになったら、その見合いとして、対応して軽油引取税引き上げる、そして目的税として道路財源をよけいに確保するのだ、このもので確保するのだ、こういう考えは今後においても自治庁として堅持せられるのですか。
  22. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 御質疑に対して申し上げにくいのでありますが、これはあからさまに申し上げておかなければならぬと存じますが、揮発油引き上げられますということは、結局この揮発油を用いております揮発油車というものと、軽油を用いております軽油車というものとの均衡が破れる理屈になって参りますから、いやなことではありますが、揮発油引き上げられますと、大体とのバランスにおいて、これに伴うて半額程度引き上げを大体においてやって行くと、こういう方針は将来といえども、好まないととろではございますが、とって行かざるを得ないのじゃないかと、こういうことでございます。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今後どういう大臣でも、国務大臣としてはそういう考え方になるだろうし、自治庁長官立場から言えば、限度がきているというようなことも言えるでありましょうが、少くとも当委員会としては、こういう自的税をもって道路財源に充てるという点にはおよそ限度がきている、しかもこの揮発油税並びに軽油引取税比率そのものが、現行法においてもこれは不当である。公正な揮発油車並び軽油車との競争営業、こういう点から考えても不当であるという議論が熾烈でやまないのです。従ってもう二度目の、この委員会をこの法案が上るに当っては、今後においても、税務当局はもっとこういう点を各般意見を聞いて検討を加え、そうして資料を整備せられて、公正を失することのないような税額をきめられる、このことだけはぜひ次回においては芽を出すようにやっていただきたいと思うのですが、この点はどうですか。
  24. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 揮発油が上る場合は軽油も上げますということは、先ほど申し上げたようにバランスの問題で申し上げておりますが、燃料油全体として、こういうふうに上げて行くことが妥当かどうかということは、お説のごとく慎重に考える余地のある問題であると存じますから、将来の問題としましては、これを慎重に検討をいたしまして、いやしくも運賃、バスの料金というものの値上りが、いたずらにすることのないように、十分に考慮をして行く必要があると存じますから、将来の問題といたしましては慎重に検討を加えて参りたいと思います。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 質問したときにだけは、慎重にやることをどの大臣もお答えになるけれども、軽率にして、そういうことはちょっと知りませんでしたなんと言うて釈明するようなことが起るようでは困るのです。もともとこの修正案が可決せられるにしても、三十二年度ガソリン税軽油引取税が、やはりアンバランスである。基礎がアンバランスなのですから、アンバランスであるということには変りがない。で、そういう点に根本的にメスを入れて一つ検討を願っておきたい、こういうことなんです。非常に御苦心なすって、こういう修正案が出てきているのに、いろいろお尋ねするということは、はなはだ信義に欠ける点もありますから、もうこの程度質疑は終ります。
  26. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御発言もなければ、これより地方税法の一部を改正する法律案原案及び森君提出修正案を一括して討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  27. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を始めて。  それでは大沢君より付帯決議案提出されておりますので、これをも一括して討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  28. 占部秀男

    占部秀男君 日本社会党を代表して、地方税法の一部を改正する法律案反対の意を表するものであります。癖今度改正されます各税目の内容を見ますと、まず、住民税ではこれを引き上げて、その金で地方減収を一部埋めよう、かような工合に政府は出てきておるのでありますが、この減収そのものは、地方財政上の独自の理由があって、かような減収が生じたものではなくて、国の減税措置に伴って税法上当然起る自動的な結果であります。しかも今度の国の減税が、政府の一枚看板である政策的なものである以上、税務行政の筋道から言いましても、ほんとうに国民負担軽減をはかるという意味から行きましても、これは別個の財源措置をして補うのが当然の正しい政府のあり方であると考えます。国の減税そのものが非常に高額所得者には厚く、低額所得者には薄い、かような中で、特に大衆課税的な性格を持つところの、この地方税引き上げに対しては反対をいたしたいと思うのであります。また、事業税にしましても二%引き下げた、そのために個人並びに中小法人は助かるのだと言いますが、この税金そのものは、もともと三割以上も国に所得税を納めなくてすむような零細業者にかけられた大衆課税でありまして、むしろとの引き下げはおそきに失し、軽きに失するものであると思うのであります。固定資産税につきましても、外航船舶、内航船舶の両方で九億の減収、この金が海運資本のふところに流れ込むことは、これはもう明らかでありまして、一方では県市民の大部分にかかるような住民税引き上げておきながら、かような形で大資本のふととろを肥やすというような行き力からしても、われわれはこれは賛成できないのであります。三税がかようで断りまして、他の税金地方税に至りましては、やはり一事が万事でありまして、今度の電気ガス税の問題にしても、一般、家庭の支払う料金の中の、その税金引き下げるならばとにかく、非課税品目の追加であるとか、製氷会社等免税範囲拡大であるとか、一部の大会社に奉仕するものである。特に遊興飲食税のごときは、芸者の花代の税金引き下げる、しかも大衆に直結するところの大衆飲食宿泊料については倍に上げる、ちょっとわれわれには考えられないような今度の改正であります。  今ここに修正案が出ております軽油引取税に関しましても、政府原案よりは下げたということでは一歩進めているかもしれませんが、元来これを上げるということにわれわれは反対でありまして、従ってかような意味合いから、他のあまりこまかい点については触れませんけれども、通覧いたしまして、政府がこの改正によって地方税軽減していると言っておりますけれども、その内容大衆収奪の強化と、資本に対する奉仕というものを土台にして、その上に組み立てられた改正案である、かようにわれわれは断ぜざるを得ないのでありまして、そういう意味合いから、この改正案には反対であります。同時に、こうした改正案地方財政の上に、これは私が申すまでもなく、地方財政計画の問題と関連して、政府地方にしわ寄せをさして、現在の国家予算を温存しようとする、その政策の一つの表れでありまして、かような意味合いからも、今回の改正は決して地方財政の上にもよい結果を及ぼさない、むしろ圧迫的な結果を及ぼす、かようにわれわれは考えざるを得ないのでありまして、そうした二つの理由からいたしまして、この法律案改正案については、日本社会党としては反対の意を表する次第であります。  なお、修正案の問題も言っておきますが、これはもうもちろん先ほどの私の討論の中でも申し上げましたが、さような意味合いから反対をいたしたいと思います。
  29. 大沢雄一

    大沢雄一君 私はただいま上程されました修正案並び修正案を除く地方税法の一部改正に関する原案並びに付帯決議案に関しまして、自由民主党を代表いたしまして賛成の意見を述べたいと思います。  まず、私は修正案について申し上げますが、修正案の第一点は軽油引取税税率及び税額に関してでございます。軽油引取税税率揮発油税均衡をとるということにつきましては異論のないところであろうと存じます。地方道路税分を含めて、今国会におけるこの衆議院送付揮発油課税の引き上げの一キロリットル五千三百円に対する軽油引き上げ二千四百円は、その趣旨に沿ったものと思うのでございます。しかしながら、問題は元にさかのぼりまして、第二十四国会における軽油引取税創設の際にあるのでございまして、その際、現行税率地方道路税分を含めまして、揮発油関係の一キロリットル一万三千円に対する軽油一キロリットル六千円が、果して均衡を得たものであるかいなかについては、少からず論議のあったところでございまして、これに関しまして、当時、本院の地方行政委員会におきましても、また軽油引取税について、次の国会において税率軽減その他の適切な措置を講ずることと、付帯決議を付して可決されましたことは、各位御承知の通りでございます。もとより、私どもは政府の重点施策として中央及び地方における道路整備の必要性とその施策に関しましては、これを支持するにやぶさかならざるものでございまするが、事情の経緯にかんがみまするときに、この修正案通り、軽油税率、税額を定めることが、付帯決議趣旨に沿うものというべきでございまして、問題は、この引き下げ程度いかんにあるわけでございます。すでに昭和三十二年度予算も成立いたしまして、これに基く地方財政計画も一応策定せられておりまする現在でございまして、四百円を切り下げて二千円といたしまして、揮発油地方道路税関係分を含めて、一万八千三百円に対して軽油八千円とすることが現状においては最も妥当なるところであると考える次第であります。  第二点の施行期日変更の点は、原案の四月一日の施行が事実上不可能となりましたる現在、当然の修正であると存ずるのであります。  次に、修正部分を除いた地方税法原案についてでございまするが、今回の地方税法改正は、国税における所得税の大幅減税によって当然生ずべき地方税減収を、地方団体の税収入、地方財政の自主自立確保のため必要限度において税率引き上げと調整によって補てんすることといたしました。あわせて地方税における負担の合理化と軽減をはかりまするために、住民税における負担軽減事業税における低額所得部分負担軽減遊興飲食税における普通飲食及び旅館に対する免税範囲引き上げ固定資産税の大規模償却資産に対する市町村の課税限度額の引き上げ、その他所要の改正を行わんとするものでありまして、その内容はおおむね臨時税制調査会、地方制度調査会の答申並びに過去における本委員会付帯決議等の趣旨に沿う改正でございまして、おおむね内容は適切妥当、あるいはやむを得ないものと認めまする次第でございます。  この際、私は付帯決議提案者といたしまして、付帯決議案を朗読申し上げたいと存じます。     附帯決議(案)   地方税制の内容については、なお  検討の余地があるものと認められ  る。政府は左の諸点につき検討を加  え、昭和三十三年度において適当に  措置すべきである。  一、遊興飲食税に関しては、遊興面   の徴税に重点をおくとともに、普   通飲食の免税範囲をさらに拡張す   るほか、徴収実績等を勘案して、   公給領収証制度の検討負担の合   理化、徴収事務の簡素化をはかる   こと。  二、住民税は方式が錯雑し、かつ、   負担はその居住地域の異同によっ   て著しく不均衡を生じ、特に給与   所得者には過酷となる場合が多い   から、これが軽減につき適当の考   慮を加えること。  三、軽油引取税については、これが   取扱いにつき将来、適宜考慮を加   えること。  四、冷凍、冷蔵事業に対する電気ガ   ス税の免税は製氷事業に付置せざ   るもの及び農畜産物等についても   将来これを考慮すること。   右決議する。説明は省略いたしますが、何とぞ委員各位の満場の御賛同をお願い申し上げまして、私の討論を終ります。
  30. 森八三一

    ○森八三一君 私は、ただいま議題となっておりまする地方税法の一部を改正する法律案に関しまして、修正を含め、さらに付帯決議案を含めまして原案に賛成をするものであります。  本来、委員会における決議が尊重されなくてはならぬことは申すまでもありません。今回修正案が提案せられておりまするゆえんのものも、そこに多くの理由が存在するわけであります。今ここで、私どもはこの法律を決するに当りまして、四つの付帯決議をつけているのでありますが、これが将来不問に付されるというようなことになりますれば、今回の改正と同様な措置をとらざるを得ないということに逢着するわけでありまして、非常に遺憾なことであります。十分との点は基本的な態度として堅持をしていただきたいと思うのであります。  さらにまた、税法全体につきまして再検討を要すると申し述べているのでありまするが、元来、税の問題を中心として、地方が当然自治体の本分を発揮すべきでありますにもかかわらず、中央依存であるというような、補助金に依存をするというような悪弊が見られないわけでもございませんので、今後、自治体の本分を発揮する方向へと、税の問題から十分推し進められて行くという基本的な態度についても、この際特別の御留意あられますることを特に私は申し述べておきたいと思うのであります。  そういうような基本的な態度について、政府の最善の留意を望みつつ、修正付帯決議を含めて賛意を表する次第であります。
  31. 千田正

    ○千田正君 私は無所属クラブを代表いたしまして、ただいま提案になっておりますところの地方税法の一部を改正する法律案政府原案並びに修正案、さらに付帯決議案に対しまして反対の意を表します。  簡単に申し上げまするというと、まず第一に住民税の問題でありますが、政府は、昭和三十二年度予算において、国税に関していわゆる一千億減税をうたい、国民負担軽減を盛んに放送しておりましたが、これは政府資料によって見ても、純減税は結局七百二十億となり、それさえも年所得五十万以上の人たちだけが主として減税の恩典をこうむる結果となっております。しかるに地方税に関しては、逆に住民税税率現行二一%を昭和三十三年度において二六%、昭和三十四年度以降においては二八%に引き上げ、増徴をはかっております。政府はこれを所得税減税に伴う住民税の自動的な減税を防ぐものとして説明し、税金税率が上ってもふえないなどと言っておりまするが、本委員会におきましても、田中自治庁長官は、税率を調整するのだと述べております。しかし税率の調整があくまでも税率の上昇である限り増税となり、これを政府の言うごとく増税ではなくて調整であるとするならば、税率引き上げによるいわゆる一千億減税減税でなくなるはずであります。国税において減税し、地方税において増税するならば、政府の言う国民負担軽減もだいぶあやしくなるのでありまして、さらに第一課税方式を採用しているところと、第二ないし第三課税方式を採用しているところとの間の、住民の負担の不均衡が是正される方向に一歩前進しているということはいいといたしましても、四十九億円の赤字に対して、政府が確固たる対策を立てられないのみか、大臣から何らの責任ある答弁もないというに至っては、まことにわれわれは寒心せざるを得ないと思うものであります。  第二に、事業税及び固定資産税に関しては、法人の事業所得と個人事業所得の税率を下げた点はよいといたしましても、固定資産税において、船舶、鉄道、軌道、電気事業等々に大きく恩典を与えておき、それを継続するのみか、さらに優遇しようとするに至っては、税制負担の不均衡を一段と拡大するようなもので、そのはなはだしいものは、今回の外航船舶の課税標準の引き下げと、特別とん税の関係によく現われており、反対せざるを得ないのであります。  第三に、軽油引取税に関して、これと密接の関係を持つ揮発油税引き上げについて、先般、本院の大蔵委員会において、税率引き下げ修正案を可決したにもかかわらず、与党の諸君はこれを本会議で否決しております。こういうようにきわめて遺憾なことが続出しておるのでありますが、これに関連して、軽油引取税税率について修正案提出されましたが、私どもはこの際、原案についても修正案についても、わずかばかりの軽油税をかけることは、本来反対であることを明言したいと思います。道路整備事業を充実させることは必要でありまするが、その財源として、むやみに目的税を課するという方法は、きわめて安易なやり方であり、道路整備事業を根本的に再検討しない限り、このままでは、翌年も翌々年も気軽に目的税の増税を考えるであろうということを私どもは考えざるを得ないのであります。たとえ、先ほど大臣は、将来はそういうことのないように慎重に考えると言いましても、これはわれわれは田中大臣がおる間は大丈夫でありまするが、ほかの大臣に変った場合は、われわれはそれを信用するわけには参りません。これは同時に物価高を将来するものであります。かりに一歩譲って、現行六千円の課税で計算してみても、自治庁予算五十五億一千四百万円は、運輸省のあげた三十二年度軽油消費量八十四万五千四百九十七キロリッター、五十億四千万円となり、その差は四億四千万円であり、これを埋めるために一挙に修正案のごとく二千円増徴しなければならないという根拠は、はなはだ薄弱なものと思うのであります。  第四に、遊興飲食税に関して、普通飲食店や旅館の宿泊について免税点を引き上げて、税率を五%から一%に引き上げておりますが、この税率現行税率に据え置くのが当然でありまして、またいわゆる芸者の花代等、明らかに奢侈税と見なされるものを三〇%から一五%に引き下げるということは、決して賛成でき得ないのであります。  以上、かいつまんで四点に限って問題点をあげましたが、総じて、地方自治及び地方財政の健全な発達に資するところが積極的に見出されないのは、まことに残念であり、以上の理由をもちまして、私は原案並びに修正案反対討論を申し上げた次第であります。
  32. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認めて、これより採決に入ります。  まず、森君提出修正案を問題に供します。森君の修正案に賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  33. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 多数と認めます。よって森君提出修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  34. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって修正議決すべきものと決しました。  次に、大沢提出付帯決議案議題に供します。  大沢提出付帯決議案を本委員会付帯決議とすることに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  35. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 多数と認めます。よって大沢提出付帯決議案は、多数をもって委員会付帯決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続きにつきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  また、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名             青柳 秀夫             小林 武治             大沢 雄一             伊能 芳雄             安井  謙             伊能繁次郎             鈴木 万平             館  哲二             成田 一郎             森 八三一             岸  良一   —————————————
  37. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 田中長官が御出席なのでお尋ねします。  七日に、新潟市に小澤組織委員長、塚田政調会長が行かれて、記者団会見において、小選挙区法案を検討して、臨時国会を開いて、この法案を通して解散になるだろうということを、七日に新潟市で声明されておりますし、極秘裡にやはり小選挙区制をもう一ぺん再検討しておるといううわさがあるのですが、最近ひんぴんとして各紙にそういう報道がされますが、担当大臣として御案内でしょうか。
  38. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 私は存じません。それから臨時国会を開いて小選挙区制をあくまでも強行するという意図は、自治庁長官たる私の意図の中にはございません。
  39. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それで田中大臣の担当大臣としての御意見もよくわかりましたが、また別の方では、小選挙区制については非常に強い反対もあるし、また第一段階として、人口の増減に伴う選挙区の定数をまず第一段階として取り上げよう。そのために最近、選挙制度調査会をもう一ぺん任命して、やはりこれについて諮問されるというようなことが出て、このことについては、田中長官のもとで作業をしておるといううわさがあるが、そういうことはありますか。
  40. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) その種の作業は、いつでも法案の形ででき上りますように、万端の準備を完了に近いところまで整えております。ただ、誤解のないように一口申し上げますと、これに大事なことと思いますから申し上げておきますが、この問題は小選挙区制とは別個のものではございますけれども、これをあくまで法律に命ずるところに従ってやりますと、ふえるところ二十九、減るところ二十九、こういう重大な事態になって参りまして、それぞれ選挙区の定員に影響のあることであります。こういう重大な問題は、法律の命ずるところとは言いながら、何しろ世をあげて二大政党両立の時代に入っておるわけでございますから、そこで私の希望といたしましては、調査会の会員を任命いたしまして、その任命いたしました調査会にこれをかけるというようなことをいたします以前に、二大政党間において、トップ・レベルで何とかお話し合いを願いたい。これによって大体の方針、基準というものをお示しいただいて、その基準が異議なくきまりましたところにのっとりまして、私のところでも早急に事務を進める。こういう方針が二大政党時代においては理想のやり方ではなかろうかということを、私は信念として持っておりますから、今のところ、この方針を変更いたしまして、突如として事を起し、突如任命して、それに諮問いたしまして、いち早くその法案を提出して、皆さんに御心配をいただくような考えは毛頭ないわけであります。
  41. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと、両党間のトップ・レベルで、小選挙区とは別個に、別表の調整をもやるというようなことがありましたならば、今国会に選挙制度調査会の任命等をやってやるというふうに理解していいのですか。
  42. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) トップ・レベルの間において大体の基本方針が一致をするということは、なかなか容易でないと存じますが、幸いにして、そういうことが容易に行われますような事態がかりに起りました場合は、これも法制化するためには直ちに準備をする用意がございます。同時に直ちに任命をいたしまして意見を聞くことも用意をいたします。
  43. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次回は決定次第公報をもって御通知いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時十一分散会