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1957-04-04 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月四日(木曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員森田豊壽君辞任につき、その 補欠として青柳秀夫君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事      大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君            成瀬 幡治君    委員            青柳 秀夫君            伊能繁次郎君            小柳 牧衞君            館  哲二君            安井  謙君            占部 秀男君           小笠原二三男君            久保  等君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            岸  良一君            森 八三一君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    厚生省保険局長 高田 正巳君    運輸政務次官  福永 一臣君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  前回に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  3. 大沢雄一

    大沢雄一君 私は、多少、税から一般地方行財政にも関係いたしておりますがこの際、健康保険税等に関連をいたしまして、国民健康保険につきまして、少しお尋ねをいたしてみたいと存じます。  まず、初めにお尋ねいたしたいのは、国民健康保険会計は、保険でございますから、自給自足建前であると思いまするが、大体どの程度国保会計自給自足ができておりまするか、まず第一に、そういう点をお尋ねいたします。
  4. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一応答弁すべきほかの関係者が参ります間に、私から、三十年度の国民健康保険特別会計収支調べを持っておりますので、これを申し上げたいと思います。  歳入総額三百四十六億円のうちで、保険税ないし健康保険料でまかなわれました分が百二十二億円で、三五・二%になっております。一般会計から繰り入れられております額が三十七億九千二百万円で、一〇・九%に当っております。それから、一部負担金が三十六億一千九百万円で、一〇・四%に当っております。それから国庫支出金が六十六億二千二百万円で、一九・一%、診療報酬が五十九億二千百万円で、一七・一%、その他若干ございます。
  5. 大沢雄一

    大沢雄一君 この保険税保険料との大体内訳でございますね。どのくらい保険税徴収され、また、どのくらい保険料徴収されておりまするか。その内訳と、税あるいは徴収料未納ですね。未納といいますか、滞納といいまするか、そういうものがどのくらいになってるのか。保険料それから保険税、別にもしわかっておりますればお伺いしたいと思います。
  6. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三十年度の国民健康保険税収入済み額が百三億  千八百万円であります。国民健康保険料を含めました総額を先ほど申し上げましたが、その差額二十億円足らずのものが国民健康保険料の形で徴収されているものと考えております。三十年度の国民健康保険税の方の収入歩合が七四・五%となっております。従いまして、この年の分につきましても、二五%余りの滞納が生じているということになるわけでございますので、三十億をこえる滞納額は、税の面においてもあるわけでございます。国民健康保険税として従来からの滞納額が幾らあるかという調べを今持っておりませんので、との徴収工合から御想像いただきたいと思うわけであります。国民健康保険料も、大体似たり寄ったりじゃなかろうかと思いますが、税の場合より一般的には徴収歩合が若干悪いようであります。
  7. 大沢雄一

    大沢雄一君 二十九年度あるいは二十八年度というふうには、この保険税あるいは保険料徴収工合は、おわかりにならぬかと思いまするが、大体、年々この徴収はよくなっておりますんですか。それともまた、あまり変らない——最近の傾向はどういうふうな傾向になっておりますか。
  8. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 具体の数字を申し上げますと、二十六年度が七四・二%、二十七年度が七六%、二十八年度が七七%、二十九年度が七二%、三十年度は七四・五%ということでありまして、国民健康保険料自体から考えますと、よくなったと考えております。しかし、国民健康保険税になりますと、今申し上げましたように、若干上下しているようであります。一般の税は、これに比べまして、二十六年度が八二・七、二十七年度が八二、二十八年度が八三、二十九年度が八三、三十年度が八四と、どちらかといいますと、上昇傾向をたどっておりますのと比べますと、問題があるように考えております。
  9. 大沢雄一

    大沢雄一君 まだ厚生省当局はお見えになっておりませんか。
  10. 本多市郎

    委員長本多市郎君) まだですね。
  11. 大沢雄一

    大沢雄一君 この保険税徴収成績の向上のために、どういう行政といいますか、指導あるいは奨励といいますか、監督といいますか、そういう措置を講じておられますか。
  12. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 国民健康保険税は、一種の目的財源でありますので、国民健康保険事業認識納税者に深く持ってもらうことが基本的な問題だろうと思うのであります。ただ、どちらかといいますと、受診率が非常に向上して参りましたりする結果、全体としての負担というものがかなり多くなってきていると思います。そのことがまた、国保赤字問題にも発展して参ってきているわけでございますが、そういうように、一納税者当り負担額が非常にふえてきているところに、税に切りかわったけれども、若干徴税成績がよくなっただけで、なかなか伸びていない事情があるのだろうと思うのであります。また、赤字になって参りますと、一そう徴税成績にも悪い影響を与えてくるんだと思うのでありまして、やはり、国民健康保険事業を住民が連帯して育てていくという気持を強く持っていただかなければならぬことは当然だと思いますが、同時に、赤字問題を並行して解決していかなければ、なかなか抜本的な解決にはならないんじゃないかということを心配しているわけでございます。
  13. 大沢雄一

    大沢雄一君 先ほど、市町村一般会計からの繰り入れが約二%足らず三十年度におきましてあるように伺いましたわけでございますが、この一般会計からの繰入金は、近年大体同じ程度を保っておりますか、それともまた、繰り入れが増加しておりまするか、減っておりまするか、近年の傾向を。
  14. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) ここに資料を持っておりませんので、正確なことをちょっと申し上げかねるのでありますが、国民健康保険の仕事も若干ふえているだろうと思うのでありますが、同時に、一般会計負担はある程度ふやさなければ、なかなかまかない切れないという事態になっておりますので、若干ずつふえて参ってきているというふうに存じております。あとで関係者が参りましたら、正確にお答えしていただくように連絡いたしたいと思います。
  15. 大沢雄一

    大沢雄一君 国民健康保険は、事業の性質上、その会計でまかなうべき建前になっておると思うわけでありまするが、年々一〇%以上も困窮している地方財政から繰り入れていかなければやっていけない、こういうふうな状態になっておるわけであります。これにつきまして、市町村財政健全化あるいは再建という観点から、自治庁としてはどういうふうにお考えになり、どういう御指導なり御措置なりをなさっておりましょうか、それを伺っておきたい。
  16. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 便宜私からよろしければお答えさせていただきたいと思います。御指摘になりましたように、国民健康保険事業は、国民健康保険税と一部負担金国庫負担金、これでまかなわれる建前になっておりまして、一般会計の金をつぎ足すことは建前にはなっていないわけであります。また、一般会計財源措置を講じます場合に、国民健康保険事業のために持ち出しを前提とした計画もいたしていないわけであります。そういう意味におきましては、なるたけ、国民健康保険事業特別会計は、との特別会計の中で収支のつじつまの合うように運営していただかなければならないと、こう言わざるを得ないと思うのであります。しかしながら、実体的には非常に困った姿になっておりますので、現在国としましても大きな問題でございます。また、この解決につきまして、厚生省当局でもいろいろ心配されておるわけでありますが、いまだ完全なめどがついていないわけであります。その間におきまして、それじゃ絶対に一般会計から入れちゃいけないんだ、こういうような工合にいたしましたところで、現状は非常に困っておるものでありますから、あるいは保健婦のようなものについては、一般会計である程度負担をするとか、名目の立つものについては、一般会計負担してもよろしいのじゃないかと思うのであります。ただ漫然と赤字を埋めるという意味において一般会計から特別会計へ継ぎ足していったのじゃ、いつまでたっても問題の解決にはならないのじゃないだろうか、こういう考え方を持っておるわけであります。
  17. 大沢雄一

    大沢雄一君 一面には、市町村財政健全化あるいは再建ということで、いろいろ再建措置法まで作って、再建計画を立てさして健全化を図っておる。その他面におきまして、年々三十七億も三十八億も繰り入れるところの国保がそのままになっておる。そういう現状のもとに、ただ町村歳入の確保ということをやってみたところで、私は、ある意味においては、言葉は過ぎるかもしれんが、これはナンセンスじゃないかと思っております。これは、社会保障のうち最も基盤をなす医療保障のもとであって、国民保険という目標に向ってこれが拡充されなきゃならぬということは、もう論を待たないことでありまするが、それも、現状の問題をそのままに放置しておくということとは、もとより別な問題でございます。私は、自治庁当局として、町村財政健全化ということをほんとうに取り上げていくという場合におきましては、この国保の問題を、これは厚生省の問題としてでなしに、地方財政地方自治の大きな一つの問題として、この現状、年々三十八億もくれている。これがだんだんと事業拡充に従ってふえていくことはもう明かでありますから、これをそのままにしておるということであっては、私は、とうてい地方財政の確立とか、地方自治の強化ということはできないと思うのでありますが、これに対しまして、これは、自治庁長官にお答え願いたいと思うのでありますが、どういうふうに将来なさるつもりでありまするか、お伺いしたいと思います。
  18. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 今の御質問に対する政府対策としましては、現在の運用のやり方において、赤字の出る原因がどこにあるかということを究明をして、その赤字原因と見られる要因を改めていくことに努力をしないと、お言葉のごとく、将来との制度が現在の形で行く限りは、赤字は永久に消えない。それは、地方財政に対して相当な重圧になってくる。まあこういう事情でございます。これはもう御承知通りでございますが、まず第一は、問題は、さきほどからお言葉の出ておりまする、保険税徴収が十全でないという点でございます。これにつきましては、今部長から御説明申し上げましたように、一般の人々の認識も改めていただきまして、保険税は納めなければならないものとのまず観念も徹底し、徴収にはいま一段と熱意をもって徴収事務に当らす、こういうことに指導方針を持っていくべきものだと考えまして、そういう措置をとっておるわけでございますが、三十二年度におきましては、特にこの点について力を入れたいと存じております。  それから第二は、事務費の問題でございますが、医療制度審議会のまあ妥当な意見だと存じますが、その意見は、百七円をもって単価と見ておるわけでございます。ところが実際は、三十一年度までは六十八円でやってきたと、ここにしかし、政府は反省をいたしまして、八十五円にこれを引き上げることに努力をして、三十二年度からこうなっておるわけでございます。この点は、若干の赤字の修正ができるのではないかと見ております。さらに、財源のゆとりが漸次できる状況でございますから、三十三年度以降におきましては、百七円とはいかないにいたしましても、これに近い金額にまでこれを少くとも改めていく必要があるのではないかということが事務費単価の問題をめぐる対策でございます。  それからもう一つは、御承知保健婦経費に関する問題でございますが、これも、保健婦に関する経費は、やはり単価の問題がありますことのほかに、保健婦の頭数が、だいぶ政府の押えるところと実際使っておりますところとが違うわけでございます。こういう点についても、人員を補助の対象として合せますことと、そうして保健婦に対するところの単価につきましても、やはり事務費単価と同じ意味におきまして、赤字の生じないようにこれを修正していくと、いずれも、こういう三つ方向努力していかないというと、非常に大きな重圧になってくるという事情でございます。今部長の方から資料を読み上げました、これは三十年度の決算でございますが、三十年度における自治体の、一般会計から保険特別会計繰り入れました全国総額が三十七億九千二百万円という数字を申し上げたことと存じますが、これは、一般会計から繰り入れた繰入額だけがこの三十七億九千二百万円となっておるわけでございます。にもかかわらず、なお、保険の方の赤字は、正確なことの記憶がさだかでありませんが、たしか二十二億前後の赤字であろうかと思います。そうすると、三十年度の決算におきましても、少くとも六十億内外という大きな赤字が生じてきておるということにもなるわけでございますので、この点については、今説明をいたしました三つ方向十分力こぶを入れまして、それぞれの面から赤字の漸減に漸次努力をして参りたい、こういう考えに徹して参りたいと存じます。
  19. 大沢雄一

    大沢雄一君 保険局長さんがお見えになったようでございまするから、重ねて申し上げまするが、私は、国民医療保障基盤として、国保全国市町村にこれを普及するという目標で、拡充運動に入っておるということは、非常に好ましいことであると喜んでおるものでございます。しかしながら、これと現在の市町村財政国保が圧迫をいたしておる現状の問題とは、これは別でございまして、先ほど伺いましても、年々窮迫した市町村財政から、一般会計から繰り入れているものが三十七、八億というふうに聞いておるわけであります。国保普及が進めば、さらに一そうこれが増加するのではないか。そういう中にありまして、国保拡充をはかっていきまするためには、よほど国保の、この財政財源その本来の建前に立って、国保自給自足ということを進めていかなければ、現実においては普及ができない。現在、自治体当局から聞きまする苦情は、国保普及はけっこうであるが、現状のままでは、普及どころではない、もうわれわれも背負い切れない、現在やっているものもやめたいのであるという苦情をひんぴんとして伺うわけであります。そこで、いろいろお尋ねをいたしておるわけでありまするが、この町村財政からの繰り入れを少くし、あるいはまた、国保収支健全化する、赤字を解消するということの努力を、ただいま自治庁長官側から、自治庁としてのお話を伺ったわけでありまするが、厚生省においては、どういうふうにこれを指導なさっておりまするか、伺いたいと思います。
  20. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) ただいまの大沢先生の、国保市町村財政を圧迫いたしておる、将来国民保険というようなことで、国保全面普及をはかっていくならば、これが財政基礎を確立することは非常に急務ではないかというふうな御趣旨の御質問でございますが、その点につきましては、私どもも全く先生仰せのように考えておるわけでございます。  なお、この三十年度の決算につきまして、私の方で大体全国国保特別会計収支状況等資料をとっておりまするので、大体申し上げてみますると、三十年度の決算におきましては、形式的な赤字としましては三千四百二十五万円、実質赤字と認むべき繰り上げ充用が九億二千万円、未払額が十三億五千五百万円があるほか、決算剰余金が八億八千五百万円となっております。従って、この決算剰余金等黒字の団体でございまするので、赤字の方の累積額を計算いたしてみますると、二十三億九百二十五万円、このうち繰り上げ充用につきましては、二十九年度からの繰り上げ充用がこれを上回って、二十九年度の過年度分療養所費十三億一千九百万円がありまするので、単年度としては、財政健全化の道を進んでおるというふうに、まあ認められるのでございます。なお、未払い十三億円余のうち、請求の受付時期等もからんで、黒字を残しながら未払いもある保険者もございますし、赤字保険者についても同様のものがあり、約半分はむしろ恒常的なものと認められまするので、十七億ないし二十億程度が実質的な赤字と私どもは見ておるわけでございます。それで、先ほどお述べになりましたような、こういう、今私が申しましたような実情を眺め、先ほど仰せになりましたような趣旨に立ちまして、今後どうしていくかという問題でございますが、これは、おそらくこの自治庁長官の方からもお答えがあったかと存じまするけれども、まず、私どもといたしましては、事務費というふうな、法律で国が補助をするということがはっきりいたしておって、しかも、その補助単価というものが実情より低いというふうなものにつきましては、まず事務費が主でありますが、これに十分なる補助金計上していきたい、そういう観点から、先ほど田中大臣の御説明のように、三十二年度におきましては相当大幅に、八十五円ということまで引き上げて、予算にお願いを申し上げておるわけでございます。なお、これらにつきましてもこれでいいということではございませんで、三十二年度、今年の夏ぐらいに、一つどもの方と関係の省と一緒になりまして、共同調査を実施をいたしたい。そして、実はこの現状では、国民健康保険事務費につきましては、三十年度の決算じりがたまっているという数字でございますけれども、人間の、事務員の数等も非常にばらつきがあるわけでございまして、どの辺が妥当であるかというふうな点を十分究明をいたしまして、妥当な線までにはこの事務費補助単価をも引き上げて参りたい、こういうふうなことを考えておるわけであります。  それからいま一つは、療養給付費の問題でございますが、実は三十年度にも、療養給付費補助金予算が、当初計上されましたものが十分でございませんで、従って、この国保収支決算に非常に悪い影響を及ぼしておるというような事情がございましたので、これは、御存じのように、第二次補正で十億円ほど計上をしていただきました。なお、この三十二年度につきましては、この療養給付費補助金計上額が、三十年度のごとく、この金額が足りないということでありますると非常に御迷惑をかけまするので、これにつきましても、一つたっぷり計上をいたしたい、こういうことで、三十二年度の予算は、相当な金額計上してございます。まず大きいところといたしましては、事務費補助単価の問題、それから療養給付費補助金額予算金額を十分計上して参るというようなことで、まあ三十二年度におきましては、今までよりは非常に、何と申しますか、国保市町村当局にとりましても進歩をいたしておる、こういうことに相なるかと存じます。  なお、将来の問題といたしましては、ただいまこれは、政府で全部まとまった意見ではございませんけれども、私ども、やがて次の通常国会には、法律案で御審議をお願いしたいと思っておりますが、現在の療養給付費の二割補助というもののほかに、非常に負担能力の低い階層に対しまして、この保険税均等割部分につきましての何らか足し前をしていくというふうなものの考え方で、別途な調整交付金というふうな国庫補助金等も、実は私どもといたしましては、今検討をいたしておる最中でございます。しかし、これは将来の問題でございまして、どういう形に相なるかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、今大沢先生指摘のように、これを全面普及をいたして参りまするには、その全面普及ができるような前提条件というものを十分整えていかなければならない。その意味におきまして、三十二年度には、今申しましたような措置を講じておるわけでございますが、将来の問題としては、この国庫補助金の問題につきましても、十分検討いたしたい、かように考えてやっているわけでございます。
  21. 大沢雄一

    大沢雄一君 局長さんから事務的な御答弁をいただいたわけでありまするが、局長さんは、保険財政健全化の方に向っているというふうな御認識でございまするが、三十七、八億も一般会計からやむを得ず繰り入れられておるということを十分御認識いただきたいと思うのであります。一体自治庁は、こういうものがあるにかかわらず、健全化に向っているというふうなお考えになっておりまするが、財政計画で当然これは認めておりますのですか、この支出を。これは赤字と私は思うのでありますが。
  22. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 財政計画で認めておりますのは、直営診療所関係だけは、これを認めておるわけでございます。それ以外、ここに出ておりますような赤字、三十二年度も相当の金額赤字が出るものと考えますが、これは財政計画には当然認めるべきものではございませんので、これは認めていない。
  23. 大沢雄一

    大沢雄一君 そうといたしますれば、これは要するに、たるの底が抜けているということになるわけでありまして、この問題を考えずに、保険財政健全化というようなことは言われないと私思うのでありますが、保険局長は、この繰り入れに対しましては、どうされるつもりでございますか。
  24. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 過去におきまして、今御指摘のような、一般会計からの繰り入れがございましたことは仰せ通りでございますけれども、私ども一般会計繰入金の問題につきましては、これは、自治庁ともいろいろ事務的にも御相談を申し上げておるわけでございまするが、事業の、たとえば医療費赤字分一般会計から繰り入れしていくというふうなやり方は、私どもといたしましても、指導方針としてはとっておらないのでございます。やはりそれらの分につきましては、この保険税なり国庫補助金なりでまかなってゆくべきものである。将来もさような方針で参りたいと思っております。過去の一般会計入分の大きな部分といたしましては、何に繰り入れたということははっきりいたしておりませんけれども、私どもの見方といたしましては、先ほどお話の出ておりました、百七円もかけておる事務費に対して、国の補助金が六十何円というのが単価である。その不足分でございますとか、あるいはいろいろな福祉施設といいますか、そういうふうなものもやっておるところもございますし、あるいは直診を運営いたしまして、その直診の運営費赤字というふうなものもあるだろうと思います。そういうふうなものが非常に大きな部分を占めておるのではあるまいか、かように考えておるのでございます。将来の問題といたしましては、この一般会計からの繰り入れを仰ぐというふうな費目といたしましては、何らか筋の立つようなものにつきましては、市町村にほとんど全部が均霑をするというふうな性格のものにつきましては、これは別でございますけれども、いわゆるこの医療費赤字分に対して一般会計からの繰り入れをするというふうなことにつきましては、これは指導方針としてできるだけ避けて参りたい。かような考え方をいたしておるのでございます。もちろん、地方の財源のことでございまするので、これは地方の自治体が決定をいたすことでございまするけれども、私ども主管省の指導方針としては、さような気持を持っておる次第でございます。
  25. 大沢雄一

    大沢雄一君 大へん局長さんは、保険経済について楽観なさっておるようでございまするが、従来の地方の市町村における保険経済の実際を見まするというと、年々何十億一般会計から繰り入れなければならない。そのことを地方団体の理事者は非常に苦しんでおって、これが保険普及に非常に支障をきたしておるわけであります。そこで私は、問題を究明いたしたいと思っておりますわけでありますが、今のようなお考えでございますると、この町村の理事者当局としては、一般会計からの繰り入れは、これは好んでいたしておるのではなくて、泣く泣くこれはいたしておるわけであります。そうといたしますれば、今お話になったような、特別な場合の繰り入れはしてもよろしい、しかし、一般的な療養費の補給をするような繰り入れは、これは国の方針に沿わないものである、やらなくてもよろしい。それで経済の立たぬところは、先ほどからお伺いいたしておりますると、本来徴収すべき保険税が七〇何%、非常に工合が悪い。一般の税から見ても、約一〇%程度徴収工合が悪い、そういう現状の下であるから、もっと保険税徴収を上げるなり、あるいはまた、やむを得なければ保険料を上げるなりしてまかなえ、こういう指導自治庁がされて差しつかえないのでございますか。お答えからいくと、そういうふうになると思います。
  26. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 指導方針としましては、さように考えておるわけでございます。医療費のまかない分ということにつきましては、これは保険税なり保険料を引き上げる、あるいは収納率を高めるということによってまかなっていくのが筋である、私どもさように考えておるわけであります。
  27. 大沢雄一

    大沢雄一君 そういたしますると、自治庁といたしましても、今のような所管省の御方針に従って、一般会計からの繰り入れにつきましては御指導なされるわけと思いまするが、それで差しつかえありませんですか。
  28. 柴田護

    説明員(柴田護君) 保険財政の問題につきましては、先ほど来いろいろ御意見ございましたごとく、財政再建整備法なり促進特別措置法の施行に関連いたしまして、その保険赤字をどうするかという問題がまあ問題になってきましたのに伴いまして、昨年でございましたか、若干抽出調査を私の方でいたしました。抽出調査をいたしました結論から申し上げますと、赤字の大きな原因は、事務費負担金の算定基礎が低い。それから国民健康保険税徴収実績がよくない。それから第三点といたしましては、保険会計の中で、一般会計負担することが適当だと考えられるものが一緒に混入しておりましたり、あるいは保険税徴収に非常によけいな人員を置いておるといったような問題も起ってきている。そこで、それらの問題につきまして、厚生省事務当局と何回かにわたりましていろいろ相談をいたしました。その結論は、保険の給付費会計だけは、国庫負担金をちゃんとした単価に直して参りますこと、それが可能でありますならば、あとは、給付費に関します国庫負担金の早期の支払い、それから保険税の適正な徴収ということによって、給付費会計だけは完全な自まかないができるという結論に達したわけであります。ただ、従来保険会計の中で、一般会計で持ってもいいようなものが混入しておる。たとえば、保健婦のごときは、むしろ保険会計で持つべきだというよりも、むしろ一般会計で持つべき筋合いのものではないかといったようなことがわかったわけであります。  そこで、明年度からは、これらの欠点を直しますために、国庫負担金につきましては、医療保障制度審議会の答申等にもよりまして、厚生省当局でいろいろ折衝されまして、六十八円の単価が八十五円に上ったわけであります。また一方、未払いになっておりました国庫負担金につきましては、十億円ばかり三十一年度の補正予算をもって計上されまして、支出することになったわけであります。一方、国民健康保険会計で持つことが適当でないと考えられるものにつきましては、これは財政計画にちゃんと計上いたしまして、直営診療所に関します経費と、保健婦に関します経費とは、財政計画に明年度からあげたわけであります。そういうことにいたして参りますならば、あとは事務費の内容をどのように合理化していくかという問題と、それから収入をどのような格好に持って確保していくか。まあ経費支出をどういうふうにして合理化していくかということによりまして、給付費会計だけは、今後におきましては赤字を出さないという態勢ができ上った。ただ、従来から単価が低かったため、あるいは保険税徴収が悪かったためにできました赤字につきましては、これは、一般財政再建の場合と同じような道程をたどって、なしくずしにこれをくずしていかなければ仕方がない。それにつきましては、今後ある年限にわたりまして、計画的に一般会計から繰り入れによりまして、これを消していくという方法をとらざるを得ないのではないかと思います。すでに地方団体に対しましては、そういう意味から給付会計の再検討をするように依頼をいたしておりますし、今後の方針といたしましては、給付費会計におきましては、今後はもう赤字を出さない。新しい赤字の発生を見ないように、これを完全に運営していく。一方事務費につきましては、たとえば一例をあげますと、保険税徴収のために独立に人間を置いているが、こういったものは一般の徴税吏員に委託して徴収することとし、保険会計からその徴税費相当額というものを徴税交付金といったような形にして、一般会計から交付すればそれで済むわけでありますし、金額も安く済むわけであります。そういうような方法で、事務費についてもなお合理化をはかっていく。ただ、どの辺が一体事務費として妥当かということにつきましては、厚生当局でも大蔵当局でも疑問を持っておりまして、私どもとしても、その点についてはなお検討の余地があるかと考えておるわけでありまして、たしか大蔵省、厚生省ではすでに、私の方もかかるかと思いますけれども、共同して実態を調べようじゃないかということになっておるのであります。  大体方針はそういう方針でいって、赤字の解消というものはどうにかできるのではないかといったように考えております。
  29. 大沢雄一

    大沢雄一君 ただいまお伺いしたように、給付費会計が自まかないができまして、その基礎の上に立って国民保険が進められるということであれば、私も非常に喜ばしいことと思うわけであります。御計画通りにいきまするように、今後とも診療の単価の引き上げ、あるいは療養費の給付予算の十分なる獲得等について御努力を願うことといたしまして、その点は、これでお伺いをやめますが、この保険税徴収の向上につきましては、厚生省保険局といたしましては、どういう御努力をなさっておられるのでありますか。
  30. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 保険税の収納率と申しますか、徴収成績の悪いことは非常に遺憾でございまして、これは、極力私どもといたしましても、国保会計健全化ということで努力をしているわけでございますが、ただ、最近のこの資料、三十年度におきましては、先ほど七十何%というお話がございましたが、実はこの古い過年度分がなかなか取りにくいのでございまして、現年度といたしましては、保険税保険料とを合算した全国平均の収納率は、八八・二五%ということになっております。また、三十一年度におきましては、これは全体が出ておりませんが、すでに保険税または保険料の収納率が九〇%以上に達すると見込まれる保険者が、全保険者の約五〇・五%を占めているような状況でございます。これでまあ現年度分といたしましては、だいぶこの改善のあとが見えて参っているわけであります。私どもといたしましても、これは自治庁当局の御援助も得まして、これらの収納率の強化ということにつきましては、十分努力もいたし、また指導もいたして参りたい、かように考えているわけであります。
  31. 大沢雄一

    大沢雄一君 保険税徴収が、だいぶ私どもの現地で伺っておりまするよりは非常にいいように、ただいま御答弁をいただきましたので、安心をややするわけでございまするが、現在、この奨励金の交付につきまして、保険税徴収の歩合と何か関連して、奨励金の配分等を考えておられますか。その点お伺いしたいと思います。
  32. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 国庫補助金の配分のことであろうかと存じますが、療養給付費補助金の配分の基準につきましては、今の収納率の勉強のし工合というものを一つの基準の中に入れてやっております。
  33. 大沢雄一

    大沢雄一君 この収納率を補助金の配分の基準に加える点でございまするが、これにつきまして、現地の声としては、単にこの収納のその歩合だけを見て、徴収改善のその努力のあとが割合そのうちに見られない要するに現状ですね、徴収の歩合の悪いものが努力をして、相当努力をして改善しても、ある一定の徴収歩合にならなければ奨励金がこない。そういうことで、改善の努力の意欲を非常に鈍らせるという声を非常に耳にするわけであります。徴収率を高めていく上におきましては、徴収のきわめて悪いものを一挙によくするということは、これは非常に困難であります。従って、単に徴収歩合のいいところだけを見るというだけでなく、現状をどれだけ改善しているが、前年度とくらべて改善しているかというようなところを見て、これを加味していくという配分方法をとれないものであるかどうか、その点、伺いたい。
  34. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 現在は、さようなことになっておりませんのでございますが、ごもっともな御質問と存じますので、将来の課題としまして、研究をさせていただきたい、かように考えております。
  35. 大沢雄一

    大沢雄一君 ただいまの保険局長さんの御答弁は、私としては非常にありがたいと思います。ぜひ一つその点を御検討して、適当な措置を講じていただきたいと思います。これは、現地の関係者の声を私は代弁しているわけでございます。  次に、私は、国民保険の実現を一日も早く願っておるものでありまするが、これだけこの健康保険普及して参ったのでありまするから、私は、むしろ国民保険を実現するには、一歩進めまして、この保険組合の未結成の町村の解消というような形でいくよりは、むしろ府県単位の国民健康保険組合を設立するということにいく方が、いわゆる事務費の点、その他の点でも非常に便利じゃないか、そして各市町村に支部を設けていくということがいいのじゃないかと思いますが、こういう点について、どういうふうにお考えでありますか。
  36. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは、なかなか議論のあるところでございまして、大沢先生仰せのような御主張も相当あるのでございます。  ただ、またそれの欠点もいろいろ指摘されておるところでございます。最近市町村合併等が行われまして、市町村の規模も以前よりはだいぶ変って参りまして、また、財政的な力等もだんだんと強くなって参っておりまするので、まあいろいろこれは、専門家、関係者の間に議論のあるところでございまして、今後も十分研究をいたして参る必要があると存じますけれども、当面の私ども考え方としましては、やはりこの市町村というものを保険者としてやっていく建前が原則ではあるまいか。もちろん、この市町村が集まりまして、市町村組合を作って運営をすることは、これは認められるわけでございますが、小さい町村におきましては、そういうことも認められるわけでございますが、これが今直ちに、府県を保険者として運営をいたすということになりますと、いろいろ問題もあるようでございますので、当面としては、まあさように考えておるわけでございます。しかし、この国民健康保険の重要な研究の題目といたしまして、私どもも、今後もこの点につきましては、検討を加えて参りたい。いろいろな方々の御意見も拝聴して、検討を加えて参りたい、こういうつもりではおります。
  37. 大沢雄一

    大沢雄一君 なお私は、この保険料の問題でありまするが、これが保険税として徴収しているところ、あるいは保険料として徴収しているところとあるわけでありまするが、これも、今の段階といたしましては、むしろこれを一本にして、保険税ということにして、そしてその徴収を厳格公正にやっていくということの方がいいんじゃないかと思いますが、これにつきましては、どういう御指導をなさっておりますか。
  38. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 何といいますか、理屈としましては、今大沢先生仰せのように、どっちかに一本にすっかりした方が気持がいいのでございますが、実は、実情はたしか、現在保険税が七〇%ぐらいで、料が三〇%ぐらいの実情になっておると思うのでございますが、その料の方が、実は収納率その他がいいのでございます。それで、その辺のところでは、よほどその実際とあわせて物を考えて参りませんと、あまりしゃくし定木にやりまして——その保険料というもののまたうまみもあるようでありますから、私どもとしましては、まあ当面としましてはこの一本に、税にもう割り切ってしまうということにつきまして、ちゅうちょをいたしておるような実情でございます。
  39. 大沢雄一

    大沢雄一君 先ほど奥野税務部長の御答弁では、保険税の方がいいようにお伺いしたのでございますが、もっとも、資料がなかったわけでございますので、あるいは食い違っておるのではないかと思いまするが、私、どちらがいいかお伺いしたのでございますが、今のように、保険料が実際にいいとすれば、これは私の少し研究が足らないかと思います。しかし、私としては、おそらく保険税の方がいいのじゃないかと思いまするが、これは、あとで一つ調べてみたいと思います。いずれにいたしましても、現状、他の税と比べて、どうも保険税徴収がうまくいかないということを、私ども現地の方からいろいろと声を聞いております。これについては一つ、十分徴収のうまくいくように、さらに一そう御研究をお願いいたしまして、私はこれで質問を終りたいと思います。
  40. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  41. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記つけて。  それじゃ、午後一時より委員会を開くことといたしまして、午前の会議はこの程度にいたします。休憩いたします。    午後零時三分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  42. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 委員会を再開いたします。  委員の異動がございました。森田豊壽君が辞任されまして、青柳秀夫君が補欠選任されましたので、御報告いたしておきます。   —————————————
  43. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 午前に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案について質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは、運輸省になるのでしょうか、建設省になるのでしょうか、自動車関係のいろいろな税金が目的税のような形でかかっているので、受益者負担というようなことなら、道路に対する投資をする、その経済効果の分析ですね。たとえば、鮎川さんのところなんかで、道路に対する投資を一〇〇とすれば、それが関係するものに対する受益のパーセントなんかをいろいろ出しておるようですが、そういうものはありますか。
  45. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 現在、道路が改修された場合とされない場合と、どのくらい原価が違うかということに対しまして、権威のありますものは、鮎川調査会の御報告が一番権威があるといたしまして、われわれの方は取り扱っております。私の方といたしましても、従来そういう点でいろいろ研究いたしましたし、業界方面も、そういう点でいろいろ各部会を、技術部会というようなものを持ちまして、研究したデータがあるわけでございますが、まだ的確な、何と申しますか、信頼の置けるという数字はなかなかつかみにくいわけでございます。鮎川調査会の調査を御批判申し上げるようになって、非常に恐縮なんでございますが、一応その実験室の研究過程において、われわれとしてもわかるわけでございまして、実情が、何といいますか、実際に照し合せてやった調査がないというので、確信が持てないわけでございます。といいますことは、この今までいわゆる砂利道ばかり走っていましたものが、アスファルト道路、あるいはコンクリート道路をずっと走ったというようなことで、詳細な毎日のデータをとってみればはっきりするわけでございます。御承知通り、舗装したところもあり、改良されたところもあり、未改良のところもあるというようなところを毎日走っておりますために、ああいう研究データがそのまま響くかどうかということに対して、実験的な結果はまだ得ていないわけでございます。われわれの方といたしましても、そういう点で今後研究していきたいと思いますし、これは、建設省の方からお答えがあると思いますが、道路公団におきましても、本年度そういう点について御研究をされると聞いておりますので、今後いろいろ、一般自動車道あるいは有料道路というような自動車専用道路というようなものが延びていきますので、非常に根本的な問題でありますので、われわれとしては、将来十分な調査をいたしたいと、かように考えております。遺憾ながら現状におきましては、まだ官庁において的確なる資料は持っておりません。
  46. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この揮発油税、地方道路譲与税、あるいは軽油引取税等の税率をどうするかということを決定する際には、いろいろコスト分析その他をやって、自治庁、運輸省、大蔵省、建設省というようなところから話し合いをされてきまると思うのですが、建設省の方では、道路整備五カ年計画とか、道路整備十カ年計画というような計画が立てられているのですが、やはりその経済効果が十分分析されて、そうして、その受益の度合いに応じて負担をするということがやはり正しいと思うのですが、有料道路等の関係もあって、そういう計算もやっておられると思うのですが、建設省の方はいかがですか。
  47. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 道路を整備いたしますには、その整備によりまして、どのような経済効果があるかということは、一番基本的に大事なことでございます。建設省におきましても、この経済効果の測定のために、いろいろの調査を進めてきておるわけでございますが、先ほど自動車局長からお話のありましたように、現在あります道路の経済効果の推定は、鮎川調査会が出したものが、まずわが国においては権威のあるものと考えておるわけでございます。その道路の経済効果につきましては、各国ともこの測定をやっており、いろいろの調査をし、それに基いて経済効果を出しておるわけでございますが、直接走行費によります節約でありますとか、あるいは道路が短かくなって節約できる運賃でありますとか、こういうことは比較的簡単にできるわけでございますが、この間接効果につきましては、なかなか算定がむずかしいわけでございます。建設省におきましても、直接走行費につきましては、いろいろの試算もございますし、その計算もいたしておるわけでございます。道路整備計画を立てまして、道路の整備の実施をいたしておるわけでございますが、お話のように、五カ年計画とか、また将来には十カ年計画とかを立てて、実施いたして参りたいと思いますが、この計画の経済効果の大きなものから整備をしていきたいという考え方を持っておるわけでございます。ただ、お話のように、それでは、そういう経済効果があれば、自動車にどれだけの負担をさせてよろしいかという算定は、私どもの方には、なかなか必要な資料もございませんので、そこまではいっておらぬのでございますが、道路を改良すればどれだけ利益になるかという算定はいたしておるわけでございます。
  48. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それは、私はまあ主として大蔵省のあれかと思うのですが、やはり国の道路整備に関する予算の一〇〇%ですか、業者の負担で、いろいろな形でやらしておる。そうすると、受益者がほとんど自動車関係業者だけに帰属するという形なら正しいと思うのですが、そうでなしに、私が持っておる鮎川道路調査会による、これから道路整備十カ年計画でやって、そうしてその経済効果が、その受益者をずっと分けてこう見ると、必ずしもこの業者だけに経済効果が帰属するものでないということははっきりしておるので、やはり国民に税をかける。税の公平な負担という見地からいうと、やはりお宅の方が何としても、大蔵省をしてあやまちのない、公平な税の負担をさせる点からいっても、また、道路政策を本格的に進められるにしても、そういうやはり経済効果をはっきり分析して、そういう見地に立って課税をし、道路政策を推進するということでないといけないと思うのですが、ちょっと今の御説明では、鮎川道路調査会以外にはないということなんですか、その点は。
  49. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 鮎川調査会の実施いたしました経済効果の測定が、今、日本ではこの程度のものしかないわけでございますので、そういう意味で権威があるということを申し上げたわけでございます。私どもの方でも、先ほど申し上げましたように、道路が改良されることによりまして、自動車の直接走行のためにどれだけの節約があるかということは、いろいろ計算はいたしておりますが、全体にわたりましての経済効果を測定いたしましたのは、この鮎川調査会の実施いたしたものが一つあるように承知いたしております。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはどうなんでしょう。鮎川道路調査会の結果では、道路整備十カ年計画の経済効果の分析として、これの受益の度合を分析しているのですが、自動車の走行経費の節約というので、直接自動車業者の経費の節約になるものは全体の三四・二%、二番目は、国民一般的利益として、たとえば、道路がよくなって、運搬中の梱包したものがいたまないようになる、あるいはその梱包のコストが低くなるとか、あるいは生鮮食料品等の品質低下を防止できるとか、いろいろあって、そういう国民一般の利益に帰属するものが三二・三%、それから第三番目には、自動車運行経済に関係なく、道路がよくなって、その周囲の土地の価格が高くなる、沿道の地価が上ってくる、あるいは道路がよくなって、商品の流通がよくなって、倉庫の経費が少くなるというようなものが二五%、あるいは交通事故その他が少くなるというふうになって、実際そういうふうに、道路に対する投資というものの自動車業者に対する受益は、直接的なものとしては業者には三四・二%だと、こういう計算が大体はじき出されている。ところが、大蔵省や自治庁からいただいた資料では、ほとんど国の道路整備費を業者の負担で持たしている。四月一日に自治庁からいただいた道路橋梁費の財源に関する調べによると、国の方では、九二%は揮発油税、国の持ち出しは四十三億六千万で八%、しかも、これに自動車物品税四十億を加えると、全然国費においては、一般会計からの負担なしに、全面的に持たしていると、こういう関係が出ているので、私は、やはりこれは、特に大蔵省に質問したいと思うのですが、ここにおりませんので、負担は今やるが、実際受益者が将来にわたって変っていくというようなことがあって、非常に問題になると思うのですが、鮎川道路調査会以外にないということですが、有料道路等については、やはり料金の決定等においては、相当精密な原価計算をされたと思うのですが、そういうものの収支の何はありますか。
  51. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 有料道路の料金をきめますのは、これは償還を要すべき金、すなわち建設費その他維持費、管理費でありますが、この償還を要する金を償還したら、その道路は無料になるというようなことを前提といたしまして、その有料道路を作ったために、従来使っておった道路とどれだけ有料道路を通るために利益を受けるかということを算定いたしまして、その二つの条件に合うように料金を定めておるわけであります。従来使っておった道路と比べて、どのくらいの利益になるかということを算定いたします際には、現在は直接走行費をとっておるわけでございます。その直接走行費を利益と考えまして、その範囲内で料金をきめているようなわけでございます。
  52. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それは結局、有料道路は、投資はペイする、採算が合うというような計算が出るのですか、それはどうなんです。
  53. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) この有料道路の中には、成績のいいものもありますし、悪いものもあるわけでございます。三十一年度から着手いたしましたものにつきましては、さきに申し上げましたような条件で計算いたしまして、ペイできるというものを取り上げておるわけでございますが、ただ、この有料道路のやり方というものは、日本の道路の整備を早めるためにとられた、やむを得ない措置考えておるわけでございますので、全部が採算の線に乗ってくるというものばかりじゃないわけでございます。そこで、補助費などが入れられておるわけでございますが、しかし、補助費は、これは償還を要すべき金じゃありませんので、料金の対象にはしておらぬわけでございます。料金の額をきめますのは、先ほど申し上げましたような、計算のできる利益、受益を計算いたしまして、その範囲内で料金をきめておるわけでございます。
  54. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 きょうは時間がありませんので、他日のために、有料道路の原価計算といいますか、そういう計算ですね。一つありましたらいただきたいという点をお願いしておきます。  次に、大蔵省に質問します際に、揮発油税が高いじゃないかという際に、諸外国と比較して、小売価格に占める税の負担が必らずしも日本は高くないということを一つの反証とされておるのですが、そういう角度でなしにお尋ねしたいのは、イギリス、フランス、アメリカ、イタリア等で、道路予算に対して業者の負担する額と割合というものはわかりませんか。
  55. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 私どもの方で調べておりますのは、やはり諸外国の、揮発油に対してどれだけの税金がかけられておるかという調査をしたものばかりでございまして、その他の税金については、資料を持ち合せておりません。
  56. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 さきに言いましたように、きょうなければお願いしておきたいことは、主要な西欧諸国の各国の道路予算において受益者の負担する額と割合、たとえばドイツならドイツで道路整備に幾ら使っていると、揮発油税とか物品税とか、いろいろそういう受益者負担で持たしている額があると思うのです。そういうものを一つきょうでなくてもけっこうですから、お願いしておきます。  次に、建設省が外国の調査団に委嘱されて、膨大な調査をされたようですが、あれはやはりかいつまんだ結果としては、道路に対する投資というものは採算が合うようになっていますか、どうなんですか。
  57. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 昨年米国から道路の調査団を呼びまして、名古屋と神戸間の高速道路の調査を委嘱いたしたわけでございます。この調査団の報告書が出たのでございますが、この中で、一般の道路につきましても言及いたしておりますが、日本の道路整備は急速に進められなければならぬということをいっており、なお年間千八百億程度事業をやらなければ追いつかないだろうということをいっておるわけでございます。この千八百億というのは国民所得の二%という考え方のようでございますが、それは米国の例を日本に適用しようという考えのようでございます。なお、名古屋と神戸間の有料道路につきましては、これはペイできるという結論を出しておりますが、ただ最初の数年間は、たとえば交付金、補助金というような金を入れる必要があろうと、こういう結論を出しております。
  58. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大蔵省がおいでになりましたら質問しようと思っているんですが、建設省に希望しておきますことは、私はいろいろ道路整備に対する中央地方の予算を検討して、やはり受益者負担に大きな限界がある、もっと新しい見地からやはり考えなければいかぬのじゃないか、きょうはそれに対するいろいろな私の見方を申し上げることは差し控えますが、私はそういう考えをもってこの揮発油税、地方道路税、軽油引取税というものをまあ見ていきたい。特にわが日本社会党でこの問題をきびしく取り上げています点は、政府は本年度は輸送、鉄鋼、電力というような三つの隘路産業を打開する、そうして道路は昨年に比べて一・六倍の道路予算を組んだというようなことを言っていますが、全然一般会計からは出さずに、関係者負担だけでやる、これでは私はもう限界にきている、新機軸を出さるべきではないか、これは連合委員会でも少し申し上げたのですが、そういう角度で一つ検討していただきたいと思うわけであります。その点を希望しておきます。  もう一点建設省にお伺いしたいのは、税率をどうするかという問題と、取り立てたものを地方にどう分配するかということについて、一つ建設省の御意見を聞いておきたいと思うのでありますが、地方道路譲与税の各府県に対する配分ですね、これはまあ自治庁がおやりになるわけですが、これはまあ道路の修理に見合っていろいろな補正係数で調整して出しているんですが、この地方道路税の補正係数の決定に対しては、その道路がどういう割合でいたむかということを一番よく知っておられる建設省と相談して補正係数というものはきめられているんですか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  59. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 補正係数を定める際には、建設省も御相談にあずかっております。
  60. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この自治庁の方の道路、橋梁の補正係数の中に、種別補正、密度補正、耐用補正、寒冷補正とあり、寒冷度の中に寒冷度と積雪度というようなものがあるようですが、これには、降雨というようなものが、雨量というものが、この道路をどれほどいためるかということが、全然補正係数の中に入っていないのは、私は非常な隘路だと思うんですが、富樫さん、これにはとにかく幅員、そこを通る自動車のフリークェンシー、頻度、それから、降る雪の量、寒冷度というようなものだけが補正係数になって、雨量というものが、この乾燥地帯と、雨が降って、道路の砂と砂の間をこう固めている土砂を雨が流して、道路を損傷する度合いというものは、私は非常に多いと思うんです。それからもう一つは、積雪度は、ただたくさん雪が降ってそれを除雪する、雪をのける費用だけが補正係数に見られて、人夫賃だけが補正係数に見られて、雪が降る、そうしてそれが解けるときなんかに、降雨とからみ、春暖とからんで、それがもう道をいためて、春先に道路を修理整備するということは、これは大へんなことです。そういう点が非常に加味せられていないように思うんですが、雨量それから雪の解けるとき、春先というような、そういうものは入れる必要はないものでしょうか。そういう点はどうでしょうか。
  61. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 便宜私からお答えをいたしておきます。どの程度まで補正していくかということは、実は非常にむずかしい問題だと思います。現在のところ、積雪地帯でありますと雪解けの費用等も見なければなりませんので、そういう意味におきまして、御指摘になりましたような補正も行なっているわけであります。雨量についてはいたしておらないわけでありますけれども、そこまで持っていきますと、非常に複雑になってしまうのじゃないかというふうに思っているわけであります。むしろ補正係数を簡単にした方がいいのじゃないだろうか、地方交付税制度をどう運用していくかという基本の問題にも触れていくわけでありますけれども、今の補正事由が多過ぎるのじゃないかという意見もあるわけでありまして、その辺の問題は総合的に考えていかなければならないのじゃないかと思っております。あまり何もかも見た結果は、道路の中に入ってしまって、全体のものがわからなくなるおそれがあるものですから、ある程度地方団体の方でわかりやすい補正をしなければならぬ、そういうことがたえず議論になっておるわけであります。さしあたり地方道路譲与税につきまして補正をする場合には、基準財政需要の道路費を算定しております。その道路費の算定につきましても建設省と相談しておるわけでありますが、それにのっとって現在のところやっておるわけであります。しかし御指摘のようないろいろの問題もありますので、三十二年度からは地方道路譲与税の補正につきまして、もう一つ検討を加えてみたいと思って、今研究いたしておるわけであります。
  62. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、やはりこれは降雨が道路をいためるという点は、これは寒冷度なんか以上に、それは寒冷なら凍結して、いろいろ霜ができたりしていためたりする点もありますが、雨がたくさん降って、そして土砂を流して、タイヤの損耗においてもそうですが、非常に東北なんか、除雪だけでは、積雪度をせっかく見ても、雪が春先解けるときには、もう一ぺん道路に新しく砂利を入れ直すぐらい、春先にはやらねばならぬ。これは除雪の人夫賃だけです。積雪度に比べて、人夫賃だけを補正係数で見てあるというようなことで、奥野部長が直截簡明に、わかりやすくと言う点もあるが、そういう点も考慮して、三十二年度は検討して見ようということですから、了解いたしますが、この人夫賃なんかは、これは補正するわけですね、補正をかえるわけですね。人夫賃、昭和三十一年が二百四十五円ということですから、これはかえるわけでしょうね。
  63. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方交付税制度につきましては、単位費用等につきまして、全面的な改訂がある。道路費につきましては、思い切った増額を今回提案をいたしておるわけでございまして、当然検討されると考えております。
  64. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これで、道路橋梁の補正係数で補正した各府県別の割当を見ると、たとえば島根県は千五百平方メーターというのですか、キロメーターというのですか、それが、補正して、千に三分の一と減っちゃうのです。三分の一減るのです。それは交通量、幅員その他で減ってくるのです。これでは修繕費ということで、現状維持を中心にしてですが、これは財政部の所管かと思いますが、昨年こういう改良工事申請を取り戻して、四十億をとった補正係数というものがございまして配分されたように思うのですが、そういうふうにしないと、これは大体こういうことですと、千五百平方メーターですか、それが千に三分の一減るというようなことでは、ますます差がひどくなるのではないかと思うのですが、奥野税務部長のところで、これは配分されるのですから、補正係数のときには考慮していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  65. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、地方道路譲与税の配分につきましての補正の仕方のこれにつきましては、改訂を加えたいと思います。その際に、建設省ともよく御相談をいたしたいと思っておりますが、率直に申しまして改良済みの道路と未改良の道路との間にウエートをつけたらいかがなものかと思っております。こういう補正事由を加えて配分をすれば、ある程度問題の解決に役立つのではないかというふうに考えております。
  66. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 建設省の方には私はもうけっこうです、自動車局長お尋ねしますが、臨時税制調査会では、道路整備に対して揮発油税はかけろ、こういうような答申が出ておるわけですが、その際にはお宅の方も相談にのられたわけですか、どうですか。
  67. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 直接かどうか私記憶しておりませんが、大蔵事務当局を通じまして、各省の意見を求められました、それで、昨日大蔵委員会におきまして、あるいは連合委員会におきまして申し上げましたような意見を、臨時税制調査会の方に私の方の意見を開陳いたしております。
  68. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 バスやハイヤーその他の自動車運送業といいますか、そういうもののこの業態別の収益率並びにその経費に占める税の負担の割合というようなものはありますか。
  69. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) ちょっと資料が、昨年度いろいろ事業関係資料等まとめておりますので、昭和三十年度の収益率というもので出しておるわけであります。昭和三十年度におきまして収益率を出しますと、たとえばバスをとってみますと、営業収入が二百三万三千六百九十四円でございます。それで営業費が百九十二万七千六百一円、営業損益が十万六千九十三円、収益率が〇・九四七八とこういうことになります。ハイヤー、タクシーにおきましては、営業収入が百九十万九千五百八十六円、営業費が百七十八万七千九百七十八円でございまして、営業損益が十二万一千六百八円となりまして、営業収益率が〇・九三六八となります。トラックにおきましては営業収入が百五十七万三百八円、営業費が百五十四万二千三百五十五円、損益におきまして二万七千九百五十三円の益でございまして、収益率が〇・九八二二と、こういう数字になっております。これが現行でございます。
  70. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは他産業に比べると収益率が非常に低いということは言えませんか、どうですか。
  71. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 一般産業の大蔵省で出しておられます昭和三十年の法人企業統計年報によりますと、収支率が九六・二三八%となっておりまして、私どもで今御説明いたしましたところによりますと、バス及びハイヤーは一般よりもよいけれども、トラックは低いという格好になっております。
  72. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この経費を一〇〇とすればです。揮発油税その他油関係負担はどれくらいな割合ですか。昨年はどれくらいで、今度増税すると、その負担はどうなりますか。
  73. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) バスにおきましては、揮発油を使っておるのと軽油を使っておるのと両方ございますが、揮発油に関する部分が九・一九、軽油が六・五六という数字で、この和が燃料費になります。
  74. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 改正するとどうなります。
  75. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 揮発油が五千三百円上りまして、軽油が二千四百円上るということになりますと、この数字が揮発油におきまして一〇・四四、軽油におきまして七・〇三という数字になります。
  76. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは運賃改訂なしに大体消化できますか。これとからんで運賃の改正なんかを申請する動きとかそういう動向はどうですか。
  77. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 運賃につきましては、各業種でまあいろいろ動きが違うわけでございます。と申しますのは、道路運送法第八条によりましてその第二項の第一号で運賃は原価を償い、適正な利潤をこれに加えなければならないということになっておりまして、これは申請に基いて行われることになっております。それで、現在申請のありますのはバス関係でございまして、このバス関係におきましては、実は昨年の四、五月ごろからもうすでにそういう申請がありまして、運輸省におきましてそれを受け付けまして、まあいろいろな角度から調査いたしまして、ケース・バイ・ケースにその運賃の改訂をやっておるわけでございます。現在終りましたのが秋田県、愛媛県関係で、大体九社ぐらい終っておるわけでありまして、そのほか相当数の申請が出ておるわけでございます。それで、まあわれわれの方といたしましては、税金だけでなくて、いわゆる原価が支出を償えるかという問題でございますので、もちろんこの税金が上りますと、これも原価に加えて考えなければならないわけでございますが、バスにおきましては、もうすでに改訂の準備を進めておりますが、現在ではまだきまりませんので、これは原価に算入しては計算しておりません。もしも最終的決定があれば、また考慮しなければならない問題だろうと思っております。ハイヤー、タクシーにつきましては、まだそういう申請がございません。経理内容につきましては、ただいま御説明をいたしましたように、一般的にこういう数字がどう動くかということは、机上では計算がつきます。しかし具体的になりますと、さらに詳細に各会社の申請あるいはモデルの、非常に合理的に経営しておられるといわれる会社については、特に詳細なデーターを出していただきまして、それを検討した上で、いわゆるこの模範的な経理における原価というものはこれだけである、これだけかかるというものを算定しなければなりませんので、軽々にはここで上げる上げないということは言えないわけでありますが、相当程度まあもちろん税金の負担がかかってくるわけであります。ただ、はっきり申し上げられますことは、昨日来申し上げておりますように、トラックにつきましては〇・九八二二という数字をもうすでに出しておりますので、常識的にもうこれではやっていけない状態にあるということは言えるわけでありますが、これも昨日詳しく御説明いたしましたように、トラック業の特異な形態から、公定価格までも取っていられない、まず公定価格まで取ってみて、できるかできないかということも残された問題であるし、あるいはそれに加えて業界が希望すれば、われわれの方も本格的にそのトラック運賃の検討をしなければならないということは考えております。
  78. 小林武治

    ○小林武治君 今要するに油に対する税金の値上りが運賃にどういう影響を及ぼすか、こういうような主として関係ですが、軽油引取税について昨年六千円のが一応通っておる、その六千円はその後原価計算の中へ入れたのですか。
  79. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 昨年の軽油税の六千円をいかに原価に織り込むかということにつきましては、われわれといたしましても非常に苦慮したわけでございまして、と申しますことは、当然原価に入れるべきものでございますが、別途そういった原価の計算も進めておりました。それで、あの軽油税に衆参両院でさらに再検討をされるというような付帯決議がありましたので、もしも再検討の結果、そのままであればけっこうなのでございますが、低くなるというような可能性があれば、さらに運賃を値下げをしなければならないということも考えられますし、税金の値上りをそのまま消費者に転嫁すべきものかどうかという点につきましても、いろいろ議論がありましたので、まずわれわれは一応入れて考えましたが、最終的にはその程度のものはほかの業界においても同じようなハイヤー、タクシー、あるいはトラックにおいても別に運賃に算入していなかったのだから、この際は一応企業の合理化において吸収してもらいたいということで切り捨てまして、現在原価の計算をいたしておりますが、最終的にまあはっきりいたしますれば、当然原価としては考えなければならないものだというふうに考えております。
  80. 小林武治

    ○小林武治君 最終的にと言うが、最終的も何もないでしょう、現に六千円取られてしまっているのです。それを原価に入れない、それで運賃を考えておるなんということは、運輸省はもともとこの問題には甘すぎて話しにならぬ。自治庁なり大蔵省が取るというのは幾らでも取るものはかまわぬと、まるで、世間でいえば、これくらいふがいのない、たよりにならない運輸当局はないと、こういうことまでも世間は申しております。その六千円も去年はわれわれはぜひ二千円値下げしたい、こういうことをこの委員会でも論議をし、そのことは運輸当局承知していると思うのです。ところがことしになるとまた三千円の値上げを、いわば唯々諾々とのむ。これではさっぱり原価計算というようなことを、コストというものをどういうふうに考えておるか、われわれにはちっとも理解できない。ことし三千円の値上げになったら、今二千四百円になっておりますが、こういうことが実施されたらどういうことにいたしますか。去年の六千円さえすでに高い。ここでまたこれだけ加わって、それで原価の問題はどういうふうに考えておりますか。
  81. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 私どもといたしましては、ただいま御説明申し上げましたように、国会の御意思が付帯決議に出ておりますので、これをまあ全然ないものとしてまあ原価に算入すべきかどうかという点を非常に考えたわけでございますが、お話のように、原価に算入すべきものであると、理論的にはわれわれも考えております。しかし、何と申しますか、百パーセントそれではそれを原価に入れていいかと、いろいろお話しのありましたように、あれから調査会でも、三四%の直接の利益があるというお話もありましたが、これを半分原価に算入すべきであるものかというような、いろいろな意見があるわけでございますが、その際に、われわれといたしましては、国会の御意思もありますので、一応ほかの業界の運賃の改訂もやっておらないので、ハス業界だけ原価に算入するということもどうかということで、その点は業界が一つ企業の合理化を進めていただきまして、運賃をほかのデータで値上げする際であるから、切り捨てて計算をいたしたいという経過になっております。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連。どうも私、営業なんということは経験したことないからわかりませんが、もうかろうが、損しようが、そんなことは私の関することではない。原価に計算しないというのはどういうことなんですか。ですからあなたの考え方で言えば、企業の合理化ということで吸収するということは、損しておったものはもっと損せいと、もうかっておるものはもうけた分を少くせいということなんです、切り捨てということは。そうでしょう。それ以外にないでしょう。そうすると、去年の六千円そのものも原価の中に入れて計算してない。ことし三千円上る、こうなれば、九千円というものは新しくあなたの方では見なきゃならぬ、もしも計算するとなればですよ。そうなったら、運賃そのものに響かぬということになりますか。一挙に九千円ですよ。
  83. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 私どもも、もとよりそういうことを考えてやっておるわけでございまして、それで実はまあはっきりしてからそういう原価というものは入れた方がよろしいわけでございまして、業界には、われわれの方も基本的にそれは入れるべきであるという態度をとっております。しかしきまらない前にまあ出して参った、この六千円はきまっておるわけでございますが、一応衆参両院で決議をつけてもらいましたので、それを尊重いたしますと、下がりました場合に、それではどうするかということになるわけでございますが、それもまあ一つ考慮に入れまして、実はわれわれといたしましても、きまれば当然入れなければならない。現在まだ審議中でございますが、その点何といいますか、最終決定をいたします際には、業者にその旨を言いまして、はっきりきまれば全部を入れるけれども、その前にどうしてもやっていけないという会社については、一応ほかの関係があるので、この点はオミットして計算をする。最終的にはまたその会社について調整の余地はあるということを申し上げております。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうするとかえって国会等が、われわれはいい意味でいろいろな条件を付したのだが、あなたの方のやり方によって、国会の意思が変に作用してしまって、全く業界そのものは六千円取られっぱなしの分は全然しわ寄せ、犠牲であったということですね。そうしてそれに積み重ねて、今度三千円出てくる。そうして本年から、ようやく原価計算に将来入れていく、こういうことなんです。去年の分はお前たちでもう丸抱えで、それは持て、知らぬというのが運輸当局の行政なんです。そうなるじゃないですか。
  85. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点につきましては、まだ現在運賃の改訂の実施をいたしました会社が、先ほど申しましたように全国で九社でございます。その九社につきましては、そういう事情も十分業界において了知の上で、実施をいたしておりまして、と申しますことは、われわれといたしまして運賃論として、それは当然原価に入れるべきであるけれども、昨年の六千円はもちろん考えなければならないものでございますが、本年の三千円というものは、提案になりましてまだきまらない先に、われわれとしましては幾らという原価がはじき込めませんので、きまりましてから、またあらためてその原価に入れるということで、それを原価に入れて計算をしてもらいたいという向きにつきましては、この原価がはっきりきまってからそれじゃ算定をするということで仕事をやっております。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いやもう関連ですからまたあとで私はゆっくり聞きますが、一言にして言うなら、政府当局である一方の自治庁は、六千円取るべからざるものを六千円取っておったという形であり、今後においてまた三千円ふやして取ってくるのだ。業者の負担だ。それにまた呼応して、あなたの方は今まで原価計算には入れないで、お前たちはがまんせい。呼応して政府が道路を作るということのために、業者へよけいな負担をかけているということは、業者の利益になるか損になるか、そういうことを抜きにしても、行政上そういうことであったといわざるを得ないのですね。そうでしょう。認めますか。
  87. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 従来の経過でまあ御承知通りでございます。ただ私どもといたしまして、その何と申しますか、運賃というものは非常にまあ民衆に響きまするので、取り過ぎて一はいけないということでございます。もしもこれをたとえば今年度のように初めから八千円という話が出ておりまして、八千円盛り込んでしまいましたあとで認可をいたしまして、今度値下げをするといたしましても、なかなかこれは自動車の運賃は三角表を出して参りまして、全国非常にたくさんの会社がございまして、運輸省で一々行きましてそれを算定するということは困難でございます。それで、まあ安くいけばいいというわけではないのでございますが、安く算定をいたしましても、あとで補正の可能性がある。高く見積り過ぎますと、もう全然補正の余地がございませんので、その間はっきりいたしましてからこういうことはやりたいというのが念願でございますが、どうしても一日も早く実施をしたいという業者の要望、これまた無視できないところでございますので、そういう点につきましては一応やるけれども、将来またはっきりきまったならば補正をしようということで、最近認可をいたしておるわけでございます。全然これは原価に入れるべからざるものであるということを考えておるわけではございません。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それなら、それほどあなたの方もお困りになって今日までおられ、そうして国会の審議を注目しているということであれば、準備はなければならぬと思うのですね。何と申しますか、あなたの方は業者に対して冷たいのじゃないのだ。まことにあたたかい気持でやっておるのだということであれば、準備はちゃんとできておると思います。原価計算に九千円入れればどういうふうな影響があるか、その試算表を出して下さい。そうして結論としては、運賃部分影響がありますかありませんか。重ねて立ちらで聞いたのを聞きます。今まで全然六千円は入っておらぬ。去年新たに出た六千円が入っておらぬ。それに三千円増して一挙に九千円となってなお運賃部分影響しない試算表になりますか。そこをはっきりしておいていただきたい。
  89. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 私どもの方では原価計算各項目に分ってできております。それに九千円出せばという数字もすぐできると思います。ただ、こういう点がございまして、バスの運賃につきましては、全国で四百数十社ございます。われわれの方の運賃の改訂のやり方といたしましては、一社、モデル的に非常に合理的な経営をしてもらえると考えられます会社を抽出いたしまして、それでそれぞれのいわゆる原価につきまして算定をいたします。そうしまして全国に一応合理的な単価といたしましては、一キロ当り修繕費は幾ら、人件費は幾らという計算をはじき出すわけでございます。次に、各業者から個別の原価計算の資料の提供を求めまして、その各会社のいわゆるそういう原価が標準的な経費に対して果して多過ぎはしないかという算定をやりまして、それが標準以上であるものは切り捨てますし、標準以下であるものはそのまま会社の数字を認めて使っております。その結果、バスの業態が一路線一営業主義をとっておりません。一つの路線に二社も三社も入るということもありますので、区域的な調整も与えなければなりませんということもありますので、大体全国の料金を七段階にとっております。それは四円五銭を最高といたしまして、三円八十五銭、三円六十五銭、三円四十五銭、三円二十五銭、三円五銭、二円八十五銭という七段階制の運賃率をとっております。それで各社の収入と支出をキロ当りに計算をいたしまして、その社の運賃が一キロ当り幾らあればよいかという数字が出ます。そうしますと、ぴったりこれに出てこないことが多いわけでございます。そうしますとこの刻みが二十円の刻みを持っておりますので、ただいまの御質問の場合に下るべきものが上るという結果になる可能性が相当出てくるというふうに考えます。現実の運賃の問題でございます。
  90. 小林武治

    ○小林武治君 ちょっと今の問題ですが、六千円も一挙に値上りをして、そしてしかもこれを算入していないということは、私ども非常に不合理だと思うし、六千円上って、昨年われわれが軽減したい、こういったのは、約二千円軽減したい、こういう希望を持っておったのはあなたも知っておったかもしれないが、六千円のうちの何割を原価に入れて、何割を業者が負担する、こう考えるのが当りまえじゃないか。全額をそのままこれを無視するということは、私は適当でない、こういうふうに思うし、ことに今年どういうふうになるか知りませんが、ある程度値上りをすると、一挙にこれが原価にまた加算しなければならぬということにならざるを得ない。従って、これは質問も出ておると思いますが、必ずこれは運賃に影響する。すなわちこのことが一つ原因となって運賃の値上げを当然しなければならない、こういうふうに理解しなければならないと思いますが、その点はいかがですか。
  91. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 繰り返して申し上げておきますが、きまれば運賃の原価に入れまして、従来入れてない九社につきましても、将来それを補正するということは業界にも申し上げております。こういうことは申し上げなくていいのかもしれませんが、この六千円を入れるべきか入れざるべきかということは、われわれも非常に悩みまして、業界の意見も聞きまして、一応それではなるべく待とうという了解も得ておるわけであります。
  92. 森八三一

    ○森八三一君 どうも今の小林委員なり小笠原委員と自動車局長質疑を聞いておりまして、全く私わからなくなるのですが、六千円ガソリン代が上った。それを原価に織り込まぬということで、会社なり運輸業者の経営が成り立っていくということであったといたしますれば、今までの許可がずさんであったということになるのでありますが、そういうふうにお認めになりますか。
  93. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) われわれといたしましては、ずさんにやっておるつもりはございません。その点はそれだけ利益率が下るということでございまして、先ほど御説明をいたしましたように、適正な原価に適正な利潤を加えて計算をするということを申し上げましたが、われわれといたしましては、各企業につきまして一割配当のできるということが一応適正利潤であるというふうに考えまして計算いたしております。そうしますと、六千円というのは三%に当りますので、七%ぐらいの利益を算入したという結果にもなるわけでございます。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この三十一年度の調停見込額では十七億出るのですよ。六千円……。そうするとこの十七億部分というものはよけいもうけさせておったということになるのですよ。あなたの方は業界に……。平年度になってくるともっともうけさせているという形が出てくるのですよ、逆に言えば。何か運賃が適正でなかったということが裏からいえば言われるのじゃないか。間に合っておったというのだから……。
  95. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) どうも運賃論になりますと、なかなかこまかくなるわけでございますが、実はやはり企業でございますために、われわれの方で考えております原価計算よりも、出すべき経費を削って利益に回すという点もあるわけでございます。たとえば減価償却の問題でございますが、税法上は大体バスの減価償却は五年をとっておるわけでございます。ところが会社によりますと、それが九年も十年も使うという会社がございますと、それだけ利益に回るか、あるいは赤字がそれだけ少くなるという決算をするわけでございます。われわれの方といたしましては、その場合に税法上が五年であるから全部のバスの減価償却を五年とるということになりますと、これまた実際に合わない場合も非常に多いわけでございます。それで、われわれの方といたしましては、実際に会社がやっておりますところの減価償却の費用と、税法上で五年ときめられておりますところの数とたしまして、二で割ったものをもってその減価償却の額とする。減価償却の額に実情を算定しようという方式をとっているわけでありまして、この企業が詰まって参りますと、そういう点であるいは修繕費を含むとか、そういうところで利益をはじき出すというのが、こういう考課表に出て参るわけでありまして、実際上には運賃をはじきますときにはやはり交通の安全の見地からいいましても、十分なやはりそういう減価償却もし、十分に修繕もするという余地、十分でなくても、十分であり過ぎてもまたいけないわけでありますが、相当妥当なそういうものができるという運賃を見込んで、会社にはそのかわりやかましく安全性を要求するわけでございます。その意味におきましては実はそういう数字の場合も出てくるわけでございまして、その点は企業の実際と、われわれ理論的に考えますときに、ある程度のギャップが生ずるということは御了承願いたいと思います。
  96. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 こういう方面の質問に対しては、あなたの方でそういう御答弁をますます強調される段になれば、今度一挙に九千円を原価計算に入れるということになると、大勢は運賃値上げである、こういうことになっていくわけなんですね。あなたがさっき業界の方には補正をすると言っておるということは、大企業等で、企業合理化で吸収する部分のある一部の会社はともかくとして、大勢としては運賃は値上りするのだ、こういうことはお考えになっておられるわけですね。そういう点を率直に言ってもらいたい。
  97. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) もちろんただいまバスの問題につきまして御説明したわけでございますが、きまれば、それを原価に入れまして、運賃の値上げをやらざるを得ないわけでございます。
  98. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうはっきり言ってもらえばいい。
  99. 森八三一

    ○森八三一君 そうはっきりしてしまうと工合が悪いのですが、(笑声)というのは、予算委員会ではしばしばそういうような論議もありまして、いろいろの政府の施策によって生ずる物価の値上りというものは、企業の内部に吸収せしめて、これが一般民生なり産業に影響を持ち来たすことのないように措置をするのだ。だからわれわれの心配しておる物価の値上り、それに伴うインフレというようなことはなくなるのだという説明をなすっておるのですが、今のお話のように、前年度の分まで含めて、六千円まで含めてここで運賃改訂をする。値上りをするのだということを、同じ政府のもとではっきりおっしゃってしまうとなると、これは予算審議で、総理から明確に答弁を聞いておるのと食い違ってしまうので、これは重大な問題になると思うのですが、それはもう一ぺん考え直されぬと、理屈の上ではそうなるでありましょうが、しかし実際の政治的には考えるというようなことであれば、一応の了解はできますが、上りますということに明確に答弁になりますとね、ちょっと私は奇異な感に打たれるし、問題が複雑になると思うのですが、どうでしょうか。
  100. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点はいつも御説明いたしておりますように、運賃をはじきます場合には、当然に原価に入れて考えなければならないということは、われわれは終始考えております。それは六千円の場合にわれわれはなぜちゅうちょいたしましたかということは、これも繰り返して恐縮なんでございますが、付帯決議その他で、まだペンディングの面もあるということで、私どもははっきりきまるまでなるべく業界にもそれがきまるまで待ってほしいということで、待っておったわけでございます。それで、それではこれが入りましたので、すぐそれが運賃に響くかと申しますと、直接には響くといわざるを得ないと思うわけであります。これも一予算委員会で、大臣もケース・バイ・ケースにやるのだということはそういうことでございまして、それではここに二割くらい配当をいたしております会社がございまして、これがこの税金が上りましたために、すぐ運賃値上げになるかと申しますと、われわれの方は実質的に計算をいたしまして、今申し上げましたように一割というものを考えております。それで一割の中で、一割程度の収益があれば、公益事業として適正な利潤と考えておりますので、これ以上利潤が上がるという運賃をはじくわけには参りません。そういう会社につきましては、このガソリン税あるいは軽油税の値上げはその会社に負担してもらわなければならないということになるわけでございます。ただ、まあ非常に赤字を出しておる会社がありますと、それにはフルに原価計算上響いてくるというものもございまして、これは場合場合によりまして吸収できるところもあり、吸収できないところもあるという結果には、理論的にはなる問題じゃないかと、かように考えます。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあそういう意味でいいが、結局あなたのような運輸行政の方に携わっておられる側から、そうするとこの種のガソリン税でも軽油引取税というものでもながめた場合には、結局は一部であろうが大勢であろうが、運賃に影響するということは、一般大衆の利用者の負担になってくる部分があるということはお認めになるわけですね。
  102. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) それはガソリン税の場合に大蔵大臣も常に御説明申し上げておりますように、税本来の性格からいいまして、第三者に転嫁さるべき性格の税金でございますので、われわれの方は原価に算入をすればそういうことになるわけでございます。
  103. 森八三一

    ○森八三一君 今のに関連するのですが、そこで結論的にお伺いしますが、いろいろ運輸当局では原価計算をしてはじいていらっしゃる。そこで、そういうような今までの計算からいって、今回の税の増加が企業内部で吸収し得るとお考えになるか。計算上はなりますよ。計算上はなることはわかるけれども、大体企業の内部に吸収して、一般消費者大衆にはしっぽを持っていかんで済むという見通しをお立てになり得るかどうか、これは大づかみの見当でいいのです。
  104. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 概括的に見ますと、非常に企業内部で吸収することは困難ではないかと考えております。ただ、私どもの方でやっております業種にもいろいろございまして、これもしばしば御説明申し上げましたわけでございますが、独占価格でもってやっておりません。水道料金でありますとか、あるいはガス料金でありますとか、そういうような上げれば収入の上るという事業ではございません。いわゆる独占企業ではなくて、まあ比較的な独占企業とでも申すべきものでございます。例を申し上げますと、トラック事業は本来から申しますと、先ほど御説明申し上げましたように、三十年度の決算におきましても〇・九八二二という考課表上の決算が出ております。これは全国の平均でございます。たびたび申しますように、とのトラック企業というものは一万くらいあるわけでございまして、そのうちまず近代的な経営をしておると考えられるものは二、三十でございます。あとは十台以下のトラックをもってやっておる企業が大部分でございます。そうしますと、大体家内労働的な性格を持った会社も多いわけでございまして、相当赤字を出しておる会社が多いわけでございますから、運賃値上げの申請をしなければならないわけでございます。ところがこれは非常に企業の経営がむずかしいわけでございまして、あるいは各工場あるいは商店の専属社になっておりまして、なかなか公定価格も力の関係で取りにくいと、はなはだしい時代には公定価格の六割くらい値引きして荷物を取っておった時代もあるわけでございますが、それがある程度現在上っておりますが、まだ公定価格の段階にも達しておりません。そういたしますと、やはりこれが業態自体によりまして、ここですぐ運賃を上げて、収入をふやし得るかどうかということも、企業者の判断によらなければならないわけでございまして、役所の方から上げたらいいじゃないかと言うべき性格のものでもございません。もちろんこういう〇・九八二二という数字を出しておりまして、これに税金が加われば、この計算上でも赤字が出るということはしばしば言っております。ですから、運輸省といたしまして、そういう申請があれば、当然に運賃値上げをしなければならないと考えておりますが、業界自体がそれでは運賃値上げをしても、それだけの収益があるかどうかということを考えないと、申請が出て参らないわけでございまして、現在まだそういう申請がきておりません。またハイヤー、タクシーにおきましても、最近ようやく上向いてきておりまして、今までの赤字を消しておる状態でございますが、これが値上げをすることによりまして、客が減りまして、この税金負担をするということと、客が減って損失をするということと、どちらが収入面において有利であるかということの判断もしなければならないわけでございまして、役所はそういうことにつきまして、すぐ運賃値上げができるとかできないということは、ちょっと言えないことになるわけでございます。
  105. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それで、私も質問をして、運賃に対して考えざるを得ないのじゃないか、運転手等の労働強化だけじゃこなせぬのじゃないかという質問をやろうと思って……。はっきり言いますと、四月一日にもらった自治庁からの道路橋梁費の財源等に関する調べを見ても、揮発油税は、昨年は三百四十三億で、今年が五百三億で、これが百六十億、それから地方道路譲与税が、去年七十四億で、今年百十三億、これが三十九億、それから軽油引取税が、去年が二十四億五千で、今年、三十二年度が五十五億、これが三十一億、合計すると、二百三十億、去年より揮発油税、地方道路譲与税、軽油引取税で二百三十億増税になるのです。これは企業の経営の合理化だけではとうてい処理できない。そういうこともあって、なかなか運輸省が運賃の値上げを許さぬから労働強化になり、昨日でも警視庁のところを見ると、死者二名、重軽傷五十何名というようなことをやっている。これはどうしたって、二百三十億も私はとうてい—鉄道ですら三百六、七十億を上げるために、一割三分の値上げをしている。これはどうしたって、その七、八割に当る額ですから、それをこなすということは、私はおそらく不可能だと思うのです。  そこで、最後にお伺いしたい点は、運輸当局としては、免許制で、一種の公益事業みたいなもので、交通の安全、その他から、正常な発展を期するという点からいえば、単なる業者の利益の代表ということでなしに、やはりコスト計算を、もっと学者その他の参加でも求めて、不当にそういうことだけに道路財源を求めるというようなことを防止するということは、やはり自動車局長に課せられた免許制で、公益事業であって、営業の運賃の決定も運輸大臣がやるというようなことからいけば、私はもっと日本の自動車業の正常な、健全な経営と発展のためには、そういうことをされるべきだと思うのですが、これはたよりない感じがするのですが、どうですか。
  106. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) こういう税金につきまして、われわれ事務当局は、端的に言えば、少なければ少いほどいいということは、正直に言い得るわけでございますが、しかし別途また、大蔵省の代弁をするわけじゃないのでございますが、日本の道路がよくならないと、自動車業も伸びない。たとえば東京におきましては、ほとんど自動車をふやし得ないような状態にまで道路はきております。警視庁の調べによりますと、もうすでにリミットを越しておりますものが三十カ所くらいふえておるわけでございまして、こういう点で、やはり業界も応分のそういう道路の負担というものをやっていかなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、業者が健全に成り立つようにしなければいけないのじゃないかということにつきましては、われわれも十分そういうように考えておるわけでございまして、もしもこの結果、業界がどうしてもやっていけないという申請があれば、われわれの方もまた運賃につきまして慎重に検討をするということはやぶさかでないわけであります。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたの方の担当行政からいえば、道路のよくなることは望ましい、そこまでは賛成、けれども道路をよくするための財源をどこから出そうと、それはあなたの関知するところではない。ところがあなたは、業者も応分の協力をすることを肯定しておられる。そうして一方また、応分でない部分は運賃値上げで、大衆負担になる点もお認めになっておるわけです。どうも私了解しがたい。じゃ、あなたは、運輸行政のその方の担当の立場からいって、道路がよくなることは業界の利益にもなる。従って業界が応分に協力する。適正な税金額といいますか、この部分で道路を作る、道路費に協力するとなれば、適正な、応分な協力の限度というものは、どの程度だとお考えになっていますか。
  108. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) そういう点につきましては、運輸省だけできめるべきものでないわけでございまして、政府におきまして決定したものに、やはり運輸省もそれに賛成をいたしておりますので、その点で運輸省も今回の自治庁あるいは大蔵省の御提案につきまして賛成をいたしておるわけでございます。
  109. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今、政府のとっておられることに対して賛成だと、こういうお話でありますが、あなたの方から出されたこの資料はお認めになりますか。
  110. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 私は、政府がきめました現段階において申し上げておるわけでございまして、この揮発油税あるいは軽油税をきめるに至った経過におきまして、運輸省といたしましてもいろいろな意見を申し述べたことは事実でございます。しかし、それが政府全体の決定となりました以上、運輸省といたしましてもその政府の決定は、やはり決定といたしまして納得してきまったものでございます。
  111. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私どもの手元までこういうあなたの方から相当な詳しい揮発油税増額に対する意見として、結論をいえば、反対であるという、いろいろな観点から資料を出したりして、反対であるという意見が入っておるわけです。どういう経路で僕らが入手したか、どうもちょっと今的確に言えませんが、そこで、実は私あなたに、きょうこの内容について少しお尋ねしたいと思っておったのですが、これは、そうしますと、決定する前の、それ以前におけるあなたの方の態度だ、現在はそれでなしに賛成だと、こういうことですね。
  112. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 私どもの方は、お手元に持っておられます書類をお配りした覚えはないわけでございますが、そういう予算もございませんし、そういう冊子を作りまして配りました覚えはございません。ただいま御質問のですが、われわれの方は、やはりきまります前の段階におきまして、運輸省の意見はいろいろ申し上げたわけでございますが、閣議におきまして、運輸大臣がやはり政府のそういう原案に賛成した以上、われわれとしても政府の原案に賛成の態度であるということを申し上げる以外にないのであります。
  113. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そこで、きまるまでの過程におけるあなたの方の考え方、あるいは、きまって以後のあなた方の考え方は、御答弁でわかりましたが、そうしますと、これは先ほど申しましたように、どういう経路で私の手元にきたか、今はっきり記憶しておりませんので、調べなければわかりませんが、こういうものが出ておる、そこで、こういうものを出した覚えがないとおっしゃるのですが、一体、こういうものが国会議員のわれわれにまで出てきておる、これは業者も相当使っておるのです。そこで、これは一つ、いわば怪文書のようなもので、あなた方は責任をとられない、あずかり知らざるものであるのかどうか、これはやっぱり大事な問題だと思うのです。私はどうも至って正直だから、これがきまってからの態度はともかく、少くともあなた方の根本的な態度としては、こういう考え方であろう、こういうことで、実は今申しましたように、この内容について二、三お尋ねしたいと思っておったわけです。そうしますと、これはちゃんと印刷をしてあるのですから、あまりそうでたらめなものではないだろうと思って伺ったのですが、これは一つ調査の上で、責任の所在といいますか、これは一つはっきりしなければいけないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。これは私だけでなしに、相当あちこちに出ておるはずですよ。
  114. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) われわれの方で揮発油税増額に対する意見というガリ版は持っております。これは臨時税制調査会に意見を求められましたときに出しましたもの、と同時に、大蔵省に対して運輸省の意見を出したのが前内閣の十一月ごろ、前内閣の時代に、この揮発油税あるいは軽油引取税というものが問題になりまして、運輸省の意見が求められたときに出したものはございますが、これをただいまお見せいただきましたようなりっぱな冊子にいたしましてほかに配った覚えはございませんし、また、そういうりっぱな冊子を作った覚えもございません。手元に持っておりますこういうガリ版のものを運輸省では作っておるだけでございます。
  115. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは、もしあなたのおっしゃる通りだとすれば、あなたがたとしては、これは放っておけない問題だと思うわけなんですがね、これに対する何か措置をとられますか。
  116. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) どこでそれを出したかということをお示し願えれば、適当な措置をとりたいと思います。
  117. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私もわかりません。わかりませんが、こういうふうなものが、あなたの方から出たものだと思っていたのですが、そこで、あなたの方でお出しになった覚えがないとすれば、あなたの方で調査になって、あなたの方の責任でこれを解決しなければいけないのじゃないかと思うのです。
  118. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) よく調査をしてみたいと思います。
  119. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 それじゃ、いずれあとから調査の結果について……。
  120. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 お尋ねしますが、自動車関係業者が負担しておる税金その他一切がっさいわかりますか。このいただいた資料では、揮発油税が五百三億九千万円、それから地方道路譲与税が百十三億七千万、軽油引取税が五十五億一千四百万、それから自動車税が九十六億九千万、これでまあ七百六十九億七千万というものはわかっておるのですが、そのほかにたしか自動車物品税もあるはずですし、それから自動車取得税、それから受益者負担道路損傷負担金とかいろいろ受益者負担、有料道路の料金、それから自動車損害賠償責任保険負担金というようなものを、一切がっさいすると、業者関係負担しておるトータルが出ると思うのですが、わかりますか。
  121. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 各業種について申し上げます。バスにつきましては、国税、地方税合計いたしまして、営業収入に対する割合で私の方は出しておるわけでございますが、七・五七七%でございます。道路受益者負担金が〇・〇八三%、租税公課の合計で七・六六〇%でございます。ハイヤー、タクシーにつきましては、国税、地方税の合計で八・一九一%、道路受益者負担金が〇・〇〇五%、合計いたしまして八・一九六%となっております。トラックにおきましては、同様に国税、地方税の合計で六・七一九でございまして、これは道路受益者負担金が、金額が小さいのでないのでございますが、ほとんど数字が出ておりませんで、やはり合計が六・七一九%、これは営業収入に対する。パーセントで出しております。
  122. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういう形でなしに、トータルで幾らというのが出ませんか。
  123. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) ちょっと御質問にぴたりとする数字を持っておりませんが、御参考に今の基礎を申し上げますと、自動車一車両あたり年間どのくらい税を負担するかという数字でございますが、バスにおきまして、ただいまの租税公課の合計で十五万五千八百三円という数字が、七・六六〇という営業収入に対するパーセンテージになっておるわけです。ハイヤー、タクシーにおきましては、同じような計算で、租税公課の合計が十五万六千五百九円でございます。トラックにおきましては十万五千五百二十円でございます。
  124. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それではちょっとわかりかねるのですが、私がさきに言ったような形で一つ、きょうはしようがないでしょうから、まだ審議の時間もあることですし、出していただきたいと思うのですが、それは、私の申し上げますのは、さきに申された以外に、自動車物品税、自動車取得税、それから各地方の受益者負担とか道路損傷負担金とかいうような名目、有料道路の使用料、自動車損害賠償責任保険負担金、かれこれすると九百億ぐらいに負担しているんじゃないかと思うのです。  そこで、私が最後に言いたいことは、国はまあことし、中央、地方を通じて千六十七億の道路整備費を使っているのですが、こういうことでは、実際道路整備も限界に来て、新しい、道路政策の方向転換をやらねばいかぬじゃないかと……。私たちが、揮発油税、地方道路譲与税、軽油引取税というようなものをやかましく言いますのは、業者の要請というようなことではなしに、もうそういう負担だけでは、日本の道路を西欧諸国と同じようにりっぱにして国民経済の要請にこたえることができぬじゃないか、ここでずるずる奥野部長その他の要請でこの税金をのんでいくことは、この道路政策の一大転換にならない、ここでは相当日数をかけても、やはり本筋の道路政策を転換するきっかけにすべきだと、まあこういうきわめて善意の立場からですから、一つ至急に、大蔵省側が来ておれば、物品税その他もわかると思うのですが、それを一つ至急にお願いしたいと思うわけであります。  それから、自動車局長お尋ねしますが、御案内のように、この自動車税の課税率というものは職種別に異なっているわけです。そこでです、揮発油税と軽油引取税とのバランスは、一体コスト計算から言えばどうなるのか。どういう割合なら、原価計算からして大体バランスがとれているかということ。そして、衆議院の方において揮発油税を減額修正したら、軽油引取税の方も、もしこれがつり合ってこういうふうな改正が出ているとすれば、それに見合った修正をしなくちゃバランスがとれぬじゃないかと、こういう考えをを持つものですが、自動車税等含めてコスト計算でつり合いをとるには、どういう関係になりますか。それ、わかりますか。
  125. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 非常にむずかしい御質問でございますが、まあ私どもの方といたしましては、従前から軽油車の利用を業界に勧めて参っておるような経緯がございます。と申しますことは、とにかく原油を入れて自動車を走らせるわけでございまするが、その一キロ当り、軽油とガソリンでは、軽油の方が非常に走行キロが長い、そのために、結局外貨を使って外国から輸入する油であるから、経済的にまあ国のためにもなることである、国のいわゆる外貨の節約になるので、軽油をなるべく使うというような指導をやって参ったわけでございます。それには、われわれといたしましては、軽油を使う方がやはりガソリン車を使うよりも有利だというような状態に至りませんと、軽油車の普及の方にも役立ちませんので、何と申しますか、軽油車を普及させるために、いろいろ業界の指導あるいは技術的な研究その他をやって参ったわけでございます。現在では、ガソリン車を使うよりも軽油車を使う方が有利であるということには、もちろんなっておるわけでございます。それと、もう一つ、このなかなか比較がむずかしいのは、ガソリン車はある程度小さい車両が多いわけでございます。軽油車は馬力が強いので、大きな車両でなければこれは使っても損でありまして、その点、違うものを比べますために、どちらが得か損かという議論になりますと、非常にむずかしい問題がございますが、概括的に申しまして、現在の状態では、軽油車の方が営業用といたしましても一般用といたしましても有利であるというふうにわれわれは考えておりまするが、詳細の数字にわたりますると、今申し上げましたように、比べるものがいろいろ違いますし、もう一つ、軽油におきましては輸送力が大きいわけでありまするが、減価償却費でありますとかあるいは修繕費がかさむというマイナスの部分もございまするので、的確な資料はなかなかつかみにくい状態でございます。
  126. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 しかし、今度揮発油税と軽油取引税とそれぞれ上げておられますね、ある率。それは、やはり原価計算からバランスをとっているのだろうと思いますが、そういう上げ方をした基礎……、ただ目分量で、地方財政にこれだけ必要だからこれだけ取るという形ではないだろうと思う。そういうやはり基礎があってこれは上げられたものだと思う。ただ、地方財政がこれだけ必要だから軽油引取税をこれだけにするのだというようなことでは私ないと思うのですがね。やはり揮発油税と軽油引取税とを上げてきた。そういうバランスをとりながら上げておられると思うのですが、どうなんですか。
  127. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 予算の際の閣議決定におきましては、軽油の引上率の半額程度を上げるということになっております。
  128. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 奥野部長どうですかその点は。そういう根拠ですね、これだけ上げられた……。
  129. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 軽油引取税は、昨年新設されたものであります。その場合に、揮発油課税の二分の一程度の税率にしたいということで、現行が定まってきておるわけであります。言いかえれば、そのような軽油引取税を新たに設けても、揮発油を使う自動車と軽油を使う自動車とのバランスがくずれるものではないという考え方に立っておったと思います。そういう意味で、揮発油関係について、税率の引き上げが行われました均衡上、同じような考え方で軽油引取税の税率を改訂しなければならない。かように考えておるわけであります。今、自動車局長お話になりましたように、揮発油を使う自動車と軽油を使う自動車とには、それぞれの活動分野があるだろうと思っております。そういう意味から、直ちにその比較をとるととは、ある意味においては適当でないと思います。しかし、私たちは一応同じ分野で活動するものとして、いろいろなデータを集めて参りますと、大体揮発油を使う自動車に比べまして、人件費を除きましたコストが軽油の場合には八割から九割程度のものではなかろうかという推定をしておるわけであります。ただ、それらの数字の基礎につきましては、見方によりましていろいろな見解が出てくるだろうと思っております。大数的にはそういう数字を私たちは検討しておるわけでございます。
  130. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大局的にはわかるのですが、やはり活動分野が違っても、コストの中で、やはりどのくらいというものが、揮発油と軽油とではあると思うのですが、それはいただいた資料にあるでしょうか。その点はどうですか。
  131. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 昨年、軽油引取税を新設いたしますときに、当委員会にお配りをいたしました。今回は出しておりません。
  132. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それでは、今度六百円を九百円にしても、大体そのバランスはとれている。こういうことですか。
  133. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 昨年、私たちが国会に提出いたしました資料を基礎にして見てみますと、軽油引取税の税率の引き上げ分は、揮発油の場合の半額程度でありますから、従いまして、従来よりもなお軽油の方が若干有利になると、こういう計算になるわけであります。
  134. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 時間も時間ですが、私も資料を要求しておきたい。運輸省の方で、昨年、前内閣の時代ですか、臨時税制調査会の方に出した意見書があると思いますが、それを資料としてお出し願いたい。
  135. 森八三一

    ○森八三一君 一つだけ、局長がいらっしゃいますからお伺いしますが、現在外国車は外貨の割当で入る数はきまっておる。が、それ以上に入っていないとお考えになっているかどうか。もしそれ以上に入っておるとお考えになれば、どれぐらい入っておるか、それはどういうルートで来ておるか、ごく簡単でいいです。
  136. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 現在外国車が入っておりますのは、三十一年度で、正規の為替で七百二、三十両であろうと思います。そのほか相当量—今資料によりまして御説明申し上げ得ると思いますが、そのルートはいろいろありまして、まず大きなルートといたしましては、進駐軍が二型式年以上たった車を払い下げることができることになっております。この数量が相当あると思います。それからまた除隊になりました人のは、いわゆる三Aという一般人の車にかわるわけであります。これは、それからまた日本人の手に渡るという車のルートがございます。もう一つ、旅行者といたしまして車を持ち込みまして、これは税関に担保を供して一時使用するわけでございますが、それを放棄いたしまして転売されるという傾向がいろいろあると思います。数字といたしましては、われわれの方の陸運事務所の登録から取りました数字でございますが、軍人軍属から譲り受けたものが昭和三十一年度におきましての、これは暦年でございますが、四千六百四十九台ございます。それから外交官、移住者、一時入国者、身分喪失若者——と申しますのは現地除隊になりまして、ただいま申し上げましたように三Aの日本の登録にかえた人でございます。そういった者から日本人が譲り受けましたのは四百八十九台、こういうのがあるわけでございます。
  137. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十三分散会