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1957-04-03 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月三日(水曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   委員の異動 本月委員大和与一君辞任につき、その 補欠として小笠原二三男君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君            成瀬 幡治君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            小柳 牧衞君            館  哲二君            安井  謙君            占部 秀男君           小笠原二三男君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            岸  良一君            森 八三一君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    警察庁刑事部長 中川 董治君    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁税務部府    県税課長    細郷 道一君    自治庁税務部市    町村税課長   鎌田 要人君   —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選地方行政の改革に関する調査の件  (特別職に属する地方公務員兼職  制限に関する件) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  本日は、まず、緊急質問の件についてお諮りいたします。  小林君より、特別職地方公務員兼職制限の問題について質疑したいとの旨でございますが、小林君の質疑を許可いたすことに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めます。
  4. 小林武治

    小林武治君 自治庁長官にお尋ねしますが、先般、予算委員会で、私が地方知事または市長等が、営利会社あるいはその他の団体の長を兼務して、行政支障がある、これらに対して自治庁はどういうふうな考え方を持つか、こういうことをお尋ねしましたが、その際、長官も、それらは非常に不適当であるというふうに御答弁があったのでありますが、この問題は、ある程度実態調査の必要もあると思うのでありますが、それらの点を明らかにされたい。まず、その点をお伺いします。
  5. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 予算委員会で、お言葉もございましたので、三月二十日付でもって、行政課長から各都道府県総務部長あてに、法人役員を兼ねておる市町村長について、その実態調査をいたしておりますわけで、しかしながら、つけ加えまして、なお、府県知事自身についても、これの該当者がある場合においては、お知らせ願いたいということを同時につけ加えております。従って、文書は市町村長についての照会のタイトルになっておりますが、内容的には、府県知事についても、その該当者があれば、これを詳細に知らすようにと、だいぶ長文のものでございますが、目下調査をしておるわけでございます。一、二の府県について回答が参っておりますが、まだその回答が全部出そろうところまで来ておりません。
  6. 小林武治

    小林武治君 今の問題は、むろん私は、知事あるいは副知事も同様な問題がある、こういうふうに思うのでありますが、その後、いろいろ聞き及ぶところによりますると、知事あるいは市一長がこれらの兼務をしておるために、非常に弊害を来たしておる、こういうことを聞き及んでおるのでありますが、これについて、自治庁は、総論的でよろしゅうございますが、何らかの立法的措置をする必要がある、こういうふうにお考えになるかどうか、その点を伺います。
  7. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 大へん詳細にわたる項目をあげまして、調査に着手いたしておりますので、その結果を拝見いたしました上で、適当な措置に出たいと存じますが、概括的に申しますと、私の意見は、知事市町村長にして常勤的な仕事をする、それからそれが有給であるような場合、常勤的な有給法人主要役員に就任いたしまして、しかも、その法人自分管轄区域内にある……、管轄区域以外のような場合にまで禁止をすることはいかがかと思いますので、自分の所管の管轄区域内にその法人があるような場合は、特に遠慮をしていただくような立法措置を講ずる必要があるのではないか、今のところ、まだ明確にお答えはできませんが、そういうふうに考えております。
  8. 小林武治

    小林武治君 ただいま御説明になりました資料というのは、私はむしろ詳細に過ぎる。しかも、町村長などは、やはり規模あるいはその範囲から、さしてこれを立法的に禁止しなければならぬとまでは考えておりません。知事、副知事、あるいは大都市の市長、こういうものについては、私は、ある程度目に余るものがある、こういうふうに考えるので、この措置は、何とか私どもとしては今期国会中にいたしたい、こういうふうに考えておりますが、今の調査があまりおくれるために、これらの措置支障を来たすということがあっては遺憾に思うのでありますが、これらの調査一つ至急おやりいただく、そうして、それについての善後処置政府当局でお考えになる、そうして、政府当局でみずから発案するだけの気持がなければ、われわれ議員立法によってでも、これを実現さしたい、こういうふうに考えておりますが、今の調査は、いつごろまでに終る、大体の資料を整えられる、どういうことに考えてよろしいか、その点をお伺いいたします。
  9. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 大体、今月の四月の中ごろまでには回答が全部出そろうのではないかと思います。それから、町村長につきましても、もののついででございますので、詳細な実態調査を一ぺん押えておきたい、こういう考え方から、町村長についても、また市についても、大きい小さいにかかわらず、全部・都道府県市町村、それの長と、こういう考え方で調べております。副知事については、公選でない関係がございます。また、副知事に似たようなものに出納長、最近問題を起しております出納長などというものもございますが、これは、この調査の対象にはいたしておりませんでございます。
  10. 小林武治

    小林武治君 重ねて申しておきまするが、かような措置は、なるべく緊急を要する、こういう考え方からして、この国会中に間に合わせる、いずれの方法をとろうが、間に合わせるようにいたしたい、こういうことでございますので、自治庁もそのおつもりで、この問題には対処していただきたい、それだけ今日のところ申し上げておきます。   —————————————
  11. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、昨日に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  12. 森八三一

    ○森八三一君 今度の改正の四百八十九条に、電気ガス税の問題が取り上げられております。このことは、多年問題になっておった案件の解決の一部が取り進められるということでありまして、一応了解するところでありますが、この提案を拝見いたしますると、製氷工場に併設されておる冷蔵倉庫のみが非課税になっておる。単独にそういう目的を持っておるものについては除外されておるということでありますが、これは、一体この措置をするという趣旨からいたしますれば、同様に扱わるべきものであると思うのですが、こういうように区別せられました趣旨がどこに存在しておるのか、その点をまず最初にお伺いいたします。
  13. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 製氷に用います電気非課税にすることにつきましては、いろいろな考え方があるわけでありますが、特に、零細な漁民製氷、こういうものの関係が非常に深いものでありまするので、漁民保護するという見地から、あえて製氷に用いられます電気につきましても、非課税とする措置がとられたわけであります。そうしますと、その漁民用の氷を作っている所と関連して、そういう所で冷蔵装置を持っておる所もございますので、直接そうした趣旨にあるものとして、冷蔵倉庫も関連して加えたわけであります。一般的に水産業者保護する、あるいは水産物関係保護するというような考え方でなしに、漁民保護という見地から非課税範囲をきめたのでありますので、自然製氷に限る。しかしながら、その製氷と一体をなしております冷蔵倉庫につきましても、それが八割以上水産関係で利用されているという場合には、同時に非課税にするという措置をとったわけであります。
  14. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまのお話で、零細な漁民保護するためにおやりになるという趣旨は十分理解しますが、そういう趣旨が貫かれているとすれば、そういう趣旨に適合する単独冷蔵倉庫についても、当然その措置がとられなければ、前段でおっしゃった、今回こういう措置をするという趣旨がそこでゆがめられていくというように私は考えますが、そうお考えになりませんか。
  15. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 冷蔵倉庫単独考えて参りますと、もっぱら漁民関係冷蔵倉庫を作っているという考え方に立ちにくいのじゃないだろうか、また同時に、それを独立して考えていきます場合には、水産物に限りませず、青果物あるいは肉類というような、いろいろな問題にも波及して参りますので、漁民と氷というものとは直接な結びつきがあるのでありますから、それを中心に考えまして、それと付随している冷蔵倉庫は、そういう意味で、あわせて非課税にするということにいたしたわけであります。従いまして、製氷関係のない冷蔵倉庫だけを引き出して特別な措置をとるということは、避けた方が穏当だろうというふうな考え方を持ったわけであります。
  16. 森八三一

    ○森八三一君 今の御説明では、どうしても了解できませんですが、製氷をやっておる漁業協同組合等がそれに併設しておるものについてはするが、同様の漁業協同組合等零細者が集まって、単独にやっておるものについてはしないということは、非常にへんぱなことであると思うのです。そういうものがあるかないかは別です。そういう存在現実にあるという場合に、それが除外されておるということはおかしいのじゃないですか。趣旨がそこでゆがめられていると思う。当然そういう措置がとらるべきである。それが他のものに波及するせぬは別問題です。それは、取締りなり何なりでやればいい。そういうことが困難だからどうこうということは、その趣旨をゆがめるという結果になりはしませんか。
  17. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 製氷関係電気非課税範囲をある程度幅を広く考えていくか、あるいは漁民保護に徹し得るように狭く考えるかということで、基準が変ってくるのじゃないだろうかというように思っております。製氷につきましては、漁民が必要に当りまして、氷を持って出かけなければならないとか、あるいは捕獲したものを直ちに氷詰めにしなければならないとかというような関係から、非常に直接的だと考えているわけです。それに対しまして、冷蔵倉庫の場合には、かなり間接的になってくるのじゃないだろうかというふうに思うわけであります。漁民主体考えるわけでありまして、水産物を商っている者を主体考えているものではございません。そうしますと、やはり氷に重点を置いているのではないだろうか、氷に重点を置いているわけでありますが、たまたま冷蔵倉庫も全くそれと同じように使っているのに、そのものだけを、ことに電気について課税をしていくということになりますと、せっかくの漁民保護見地が生かされない場合も生ずる、そういうことをおそれまして、付随しているものだけを非課税とすることにいたしたわけであります。同時にまた、そうすることによりまして、一般の水産物関係について保護を与えるのだという意味のものではない性格を明らかにしたいというふうに存じたのであります。
  18. 森八三一

    ○森八三一君 今お話になったように、範囲を拡大するというこの場合の質問は、その観点に立っての質問ではないのです。範囲はあくまでも今立っている範囲、そうして零細漁民が直接製氷をしてやるという場合もあるし、それに併設されておる冷蔵庫に入れるという場合もあるし、初めから冷蔵だけを目的として、零細漁民施設しておるという場合も、存在する存在しないは別ですが、理論的にはあり得ると思うのです。あり得るとすれば、それも考えなければ、非常に零細漁民そのものについても不公平な措置になりはしないか。範囲を拡大するという精神はちっともございません。一方にそういう冷蔵の場合には認められておるとすれば、同様の精神において措置されておる冷蔵についても、これを認めなければ不公平になりはしないか。範囲の拡大ではありませんよ。
  19. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、非常に局限して考えたいという趣旨から、冷蔵倉庫なるがゆえに特に非課税にしたということでなしに、もっぱら漁民関係において製氷工場が行われておる場合に、若干そこに付随しておるものについても非課税の恩典を与えたいというふうに考えたわけであります。お説のような趣旨に合致する製氷工場が果してあるものかないものか、それも将来研究して善処いたしたいというように思います。ただ、先ほども申し上げたように、冷蔵倉庫を独立して考えました場合には、冷蔵倉庫になって参りますと、どちらかといいますと、とった魚をすぐ冷蔵庫に入れて置いておくという問題が、氷ほど直接必要なものにはならないだろうという考え方もあったわけであります。さらに、他の物品に広がっていく。もともと水産物関係保護という見地から出発しておるものでもないというようなこともありまして、限定をいたしておるわけであります。
  20. 森八三一

    ○森八三一君 もう重ねてこの点は追及いたしませんが、私の申し上げておることと、今御回答をいただきました同等との間には、かなり距離があると思うのであります。で、申し上げまするように、ここで措置をされようとしておるものと、その実態において何ら相違しておらぬという存在がある場合に、そういうものを取り上げることが是か否かということだけ聞きたい。ここで措置をされようとしておるものと同様な存在——これを拡大するのじゃないのです。そういう問題がある場合に、区別することが妥当と考えるか、私は、そういう区別は否である、こういうふうに考えますが、どう御思考になるかを結論だけ伺いたい。
  21. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) もしその冷蔵施設が全く漁民の生業と直接したも  のであって切り離せない、こういう実態でありますれば、お説の通りだと思います。
  22. 森八三一

    ○森八三一君 その次に、今お話の中に出ましたが、今度は範囲の問題ですが、ここで非常に親切な措置をとられておりますゆえんのものは、日本の沿岸における漁業協同組合に組織されている漁民が、いずれも経営的に非常に小規模であって、その生活程度も非常に低い。そういうような零細漁民保護するという立場からとられておるという趣旨は、まさに了解するところであります。同様の存在に置かれている零細な畜産関係農民諸君がこれで保護をされぬという、そこにまた区別がなされておるということにつきましても、古来農林漁業ということで、原始産業をわれわれは同じ立場に並べて考えても参りましたし、歴代の政府も、そういう感覚で御考慮をなさっておると思うのです。組織を作る場合におきましても、農業に関する農業協同組合もあるし、同時に、漁業に関する漁業協同組合ができている。それぞれの協同組合が、終戦後の経済の混乱下に当りまして、非常に経営も困難である。どうしても再建しなければいかぬというので、再建整備法ができると同時に、それは漁業にも農業にも林業にも、同様の措置がとられておるということで、この原始産業の零細民を保護していくという感覚は、これは、いずれの場合といえども、並列して同様に考えられておる。これは当然のことであろうと思うのです。この場合に、これまた理論的の問題でありまして、そういう現実存在しているか、存在していないかということは別問題です。いやしくも法律を作るという立場考えますれば、同様に措置をしなければ、受ける側から見て、非常に政府の仕打がえこひいきだという感覚を私は持つと思うのです。そういうことで、いつかも次長にお尋ねしたことがありましたが、そういう存在がないと思われましたから、そういうことはこの際考えなかったと、こういうような答弁だったと思いますが、あるなしということは別問題なのです。そういう存在ができた場合には、同様の取扱いをするということが私は政府の当然の立場でなければならないと思います。でございますので、ここにいう水産ということのほかに、特に日本の食糧問題を解決して、国際収支健全化を期するというようなことからいたしまして、将来米麦に依存するという日本食糧政策ではいかぬので、どうしても畜産水産を含めた動物蛋白を摂取していくというような方向に考えていかなければ、私は、日本の食糧問題は解決し得ないと、こう思うのです。現政府もそういう感覚で、非常に熱心におやりになっておる。非常に私どもは意を強うしておるのでございますが、そういう感覚からいけば、当然枝肉等、あるいは鶏卵等畜産物保護されてしかるべきと思う。その場合といえども、やはり零細な畜産農民保護するという感覚に立つことは当然でございますので、畜産に関する協同組合等がそういう施設をした場合には、畜産物青果物を含めて、同様の措置をすべきであると思いますが、それに対しての御所信を一つ伺いたい。これはむしろ大臣から、方針の問題でございますから、お答えをいただきたいと思います。
  23. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一応私からお答えさしていただきます。  電気ガス税非課税範囲をどこで線を引くかという問題は、非常にむずかしい問題でございます。製氷に使います電気というものが、コストの中で非常に大きな割合を占めているわけでございまして、割合からいいますと、もっと以前にこれが非課税に入ってよかったものかもしれません。しかしながら、どちらかといいますと、消費財的な性格のものでありますので、あえて非課税にされて参らなかったわけであります。しかしながら、しばしば出ますいわゆる零細漁民保護という見地から、今回あえて非課税範囲を設けることに踏み切ったわけであります。製氷というものと漁民生活関係というものが、他の業態におきまする場合においても全く同様でありますならば、同じような考え方をとるべきであると思います。鶏卵とか枝肉とかいうものと氷との関係が、農民と氷の関係と全く同様であるかどうかということにつきましては、なお検討を要する点があるのじゃないかというふうに思っております。漁民と氷との関係が、全く他の業態と氷との関係が同じである、しかも零細であり、保護しなければならないというふうに考えられます場合には、同じような措置をとるべきだというふうに思います。
  24. 小林武治

    小林武治君 今のに関連して。  今、森委員からお話になったのは、私はその通りだ。それで、先ほどからお話があったように冷凍冷蔵等も付置しなければいけないということは、私は非常に合理的でないと思う。従って私は、この際はこれでともかくとしまして、この次の機会には、今の点などはぜひ改める必要がある、こういうふうに思うし、それから、水産業と並んで、他の畜産等の問題についても、さらにわれわれとしましては、たとえば、タマネギの貯蔵をするとか、お茶の貯蔵をするとか、こういうようないろいろな農産物についての冷蔵問題も相当進歩してきておる、こういうものも私は、ぜひ合せて次の機会考えてほしいと思うのであります。それで、もともと根本的な問題について言えば、私は、電気ガス税免税は再検討すべき時期にあると、こういうふうに思っております。あれはむしろ産業不振の時代に、少しでも生産費を安くしようと思って、電気ガス税免税にしたのでありますが、今では、これらの産業は非常に盛んになってきておって、もうこれらのコスト考えてやる必要はない、こういう事業が相当多数にあると思うのであるから、このものを一つ来年再検討してもらいたい。そうして、もし再検討して、これを整理するという意向がないなら、今のように畜産物農産物貯蔵等についても、免税措置を講じてやったらどうか、こういうふうに思いまするが、この二つの問題について、電気ガス税免税を再検討する意思はないか、あるいは必要があると思うか思わないか。それから、もしこのものを継続するならば、先ほど森委員の言われたようなものも、当然包含せしめてしかるべきだと思いますが、この二つの点についてお考えを伺いたい。
  25. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第一点の、電気ガス税非課税制度をやめるかどうかという問題でございます。これにつきましても、やはり一つの大きな研究課題かと考えております。現在までのところ、電気ガス税消費税に純化していきたいという考え方で進んで参っておるわけでございますが、実際問題として、どこで線を引くか、また、電気ガスについてだけ特典を与えて、結果的には特に有利な企業をさらに有利ならしめるというようなことになっていく点もあるわけでございますので、十分研究さしていただきたいと思っておるわけでございます。  第二点として、今回設けました製氷に用いられまする電気ガス非課税制度を、これをさらに合理的なものにすべきではないかという御趣旨、私たちもごもっともなことだと思っております。やはり実施の経過を見まして、さらにまた、いろいろ御意見が出ております冷蔵施設等実態をもよく検討いたしまして、必要があれば、適当な改正を加えなければならないだろうというふうに思っております。立案当時から、かなり問題のあった点でございまして、なお、将来にわたって検討、改善を加えていきたいというふうに存じております。
  26. 本多市郎

    委員長本多市郎君) この際、奥野税務部長は、さいぜん懇談で申し上げました通り衆議院トン税譲与税の採決のため呼ばれておりますので、あと細郷府県税課長、それから鎌田市町村税課長がおりますので、質疑はこのまま続行いたしておきます。奥野部長も、向うが済み次第戻ってこられる予定でございます。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 それでは、きわめて事務的なことでございますが、あと二、三点お伺いしたいのであります。  その一つは、この改正案の第四項です。「製氷設備に係る製氷能力合計」という表現がされておりますが、その主体別合計するという考え方と、この施設はそれぞれ工場別に経理されておるという実態とを考えまするというと、工場別にこの措置がとられることが、この親切な特例措置を生かすゆえんになると思うのでありますが、合計ということをおきめになった考え方ですね、どういうことでこうなったのか、実態をよく御承知なくて「合計」となさったのではないかというふうに考えるが、いやしくも立法される限りは、そういう点について、十分な御調査をなさったことは当然であると思いますけれども、その点について、私の考えとちょっと食い違いますので、私は、工場別措置すべきものであり、それがこの趣旨を生かすゆえんであると考えるが、それを「合計」と書かれたゆえんはどこにあるか。基礎が零細漁民が組織する協同組合というならば、十分に個別に考えていいのではないかと考えますが、その点はいかがですか。
  28. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) お答え申し上げます。この製氷冷凍に関しまする電気ガス税非課税の問題が起って参り、ました当初から、私ども考えておりましたのですが、例の日本冷凍とか、そういう非常に大規模製氷冷凍企業者が一方にございます。また、片一方におきましては、先ほどから問題になっておりましたような漁業協同組合なり、あるいはそれに類するような、非常に小規模製氷冷凍工場があります。そういったものを全部引っくるめまして非課税にするということにつきましては、私どもは、絶対に反対なのであります。問題が、魚価の安定を通じまして、零細漁民保護、こういうことにしぼられて参りました関係上、漁業協同組合等製氷工場を設置する、あるいはそれに冷凍工場を付置しておる、こういったようなものだけに限定すべきじゃないか、こういうふうに考えて参りましたのは、企業的な製氷冷凍工場でございますというと、電気ガス税非課税にいたしましても、その分だけ氷の代金が下る、あるいは冷凍倉庫の使用料というものが下るという保証はどこにもない。ところが、漁民が相寄りまして作りました漁業協同組合の場合でございますと、結局その分はそのまま漁民に還元されるのではないだろうか、こういうふうに考えておるのであります。そういった考え方からいたしますと、一応製氷能力の大きなものというものにつきましては、当然漁業のみならず、そのほかのいろいろな用途にもその氷というものを使っておるわけでありまして、極端に申しますと、アイスクリームを作っているものまで非課税にするということは適当でないだろう。そういたしますと、やはり純粋に漁民に直結いたしました小規模のものに限定すべきじゃないか、こういうふうに考えたわけであります。大体水産庁の方におきまして、全国の製氷工場実態を調べてみたわけであります。そうしますというと、大体製氷冷凍工場を組合が行なっておりますものの能力といいますものが、平均いたしまして、三十トン未満のものが非常に多いのであります。あるいはまた、それに関連いたしまして、大体主体別に、三十トンがよろしいか、五十トンがよろしいか、実は今なお政令の段階におきまして、政府部内で検討いたしておりますが、そのくらいのものを主体別に一応限った方がいいのじゃないか、丁場別に一定の能力で切りますというと、中小企業くらいの工場を全国的に持っておりますというと、そういったものは、たとえ全体を総合いたしますと製氷能力は一日百トンを超すものでも非課税になる、こういう不合理なことが生じますから、主体別に切るということにした次第でございます。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 今の御説明は、この法律に書いてある趣旨が私はゆがめられていくと思う。というのは、ここにはっきり、漁業協同組合連合会という字句を使われておるのです。漁業協同組合連合会というのは、これは、全国の組織もあれば、府県段階の組織もある。その傘下には、零細漁民の組織する単位組合がある、これは御承知の通りなんであります。そういうものが集まって、百トンとか、百五十トンになる場合を除外したら、これはまるきり政府が、中小企業についても、農村漁村についても、自主的に相互扶助の観念で立ち上っていく、自力更生を主眼としてこういう組織を奨励している、その奨励している組織を破壊していくということに通ずると思う。単位組合だけを考えておって、連合会というものをちっとも考えておらん。連合会を考えれば、当然十トン、二十トンというのが十集まれば百トンになるのです。それがいかんということになると、まるきりいかんことになりはしませんか。連合会組織というものを念頭に置かずに、法律には連合会を書いている。まるきりでたらめじゃありませんか。
  30. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) ちょっと私の申し上げようが足りなかったのかもしれませんが、この四百八十九条の第四項の規定は、漁業協同組合から水産加工業協同組合連合会までは、これは全部、今の製氷能力の条件にはかかわらないのであります。「これらの法人以外の法人又は個人でその所有する製氷設備に係る製氷能力合計が政令で定める基準に満たないもの」ということでございまして、組合は全部、ここで頭から、製氷能力のいかんにかかわらず、この適用を受けるということに相なっているのであります。
  31. 森八三一

    ○森八三一君 わかりました。それでは、私の解釈が違っておりましたので、その点は了解いたします。  その次に、「もっぱら漁船その他政令で定める場所における水産物の保存」、こういう字句が用いられているのですが、この点はどういう趣旨なのか、製氷した氷を出漁する船に積んでゆくという場合、その氷の生産に要する電気ガス税というものは免税になるという趣旨ですね。その場合に、「もっぱら漁船その他政令で定ある場所における水産物の保存」というのはどういうことを意味されているのか、その意味一つお伺いしたいのです。
  32. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) この「その他政令で定める場所」と申しますのは、具体的には水産物の陸揚げ場におきますところの荷さばき場、水産物の荷さばき場を考えているわけであります。
  33. 森八三一

    ○森八三一君 この問題はその程度にいたしまして、もう一点お伺いしたいのは、きのうの連合審査でも問題になったと思いますが、軽油の引取税につきまして、前々国会で両院の付帯決議がございましたことは、御承知の通りであります。その趣旨が今回の改正に織り込まれているのか、織り込まれておらんのかという点が一点、もし織り込まれているということでありますならば、その織り込んだ考え方の基礎を一つお伺いいたしたい。
  34. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 昨年軽油引取税が創設されましたときに、消費の状況に応じて負担の緩和をはかれという付帯決議をいただいたわけであります。当時軽油の年間の消費量は、百万キロというふうに見込んでおったわけでございますが、その後の実情を見て参りますと、だいぶその百万キロが減って参りまして、通産省が立てております計画に従いましても、現在九十一万キロぐらいになっているのでございます。これは、いろいろの理由があるかとも思いますが、かなりの部分が灯油に転換をする、免税軽油を使えるものでありましても、灯油の方に転換をしたというような事態もあったかと思います。そういった点を考えてみますと、現在、当初の予定よりももっと消費があるのじゃなかろうかという見込みは、実績において違って参りましたので、付帯決議の御趣旨もございましたのでございますが、その御趣旨をそのまま生かすことがむずかしいという状態になったわけでございます。それから、そういうようなものがございましたので、今回の軽油引取税の税率引き上げをどうするかということは、かなり私ども竜頭を痛めた問題であったのでございますが、なにぶんにも、軽油自動車の最近の増加の趨勢等を見て参りますと、揮発油税の税率が上るのに対しまして、このまま放置をいたしますことは、負担の均衡上よくないのではなかろうかというふうに考えました結果、同じ程度の引き上げをしてはどうだろうかというので、今回の案を提案したわけであります。
  35. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話で、付帯決議の趣旨というものは、今回の改正には採用されておらなかった、はっきりした御回答ではなかったのですが、おおむねそういうことである。それからもう一つは、その付帯決議の趣旨の受け取り方が問題点だと思うのです。それは、消費の実態にかんがみてということは、今お話のように、百万の消費量があるだろうと見込んでおったのが九十万程度になった、その数量の点だけを言っていらっしゃいますが、この前の国会における付帯決議の趣旨というものは、そういうような消費量ということも、もちろん問題ではあったでありましょうけれども、すでに十分精査をされておりまするように、ガソリンの車と軽油の車とは、車自体の構造も違う。あるいはその償却、修繕等に関する場合も差異があるというような、いろいろなことを考えてみますると、消費の実態にかんがみ善処すべしという趣旨は、すでにこの前の消費税なり引取税がアンバランスだ、それを修正しなければいけないのだということを私は意味しておったと思うのです。そういうことについて、その当時政府当局も具体的にそういう了解があったということを私は申し上げませんけれども、気持の上では、そういうことをも含めての了解がすでになされておったと私は理解しておる。ところが、今のお話では、量的な問題だけは考えたが、しかし、あの精神は、そういう量的な問題と同時に、質的なと申しますか、内容的な問題が存在しておる。その点を全然考慮されなかったということは、委員会の決議に対して十分考慮いたしまするという当時における政府の言明が踏みにじられておるということになると思うのですが、そうなったんでは、われわれがここで行う各般の付帯決議というものは、何ら意味を持たないということになり、これは問題になると思うのです。そういう点をあわせ考慮なすったのかなさらなかったのか、そのいきさつについて、もう少し詳細に承わりたいのです。
  36. 細郷道一

    説明員細郷道一君) ガソリンと軽油を使います自動車との間におきます負担の関係がやはり一つ、この問題を考える上においてのポイントになるんじゃなかろうかと思います。そういたしましたところ、昨年の創設に当りまして、いろいろ御説明を申し上げたわけでございますが、現在、現行法によります揮発油一万三千円の税率によります負担と、六千円の軽油の税率負担とを、それぞれの車体について平均的な調べをいたしてみますと、私どもの調べた範囲におきましては、なおガソリン車におきますよりも、軽油車の方が租税負担が軽くなっておる。燃料を含めました租税負担が軽くなっておるということがいえるのでございます。もとより、ガソリン車あるいは軽油車の燃料費あるいは修繕費、そういったものの資料につきましては、いろいろ見方もあるかと思います。しかし、大体の傾向といたしまして、私どもの見ておりますような方向が出るのではないだろうか。まあそう考えて参りますと、一方ガソリンがなお税率が上ります際に、軽油の税率をそのままにしておくということは、両者の間の負担の均衡が保てなくなるのではないだろうか、まあこういうふうに考えたわけでございます。
  37. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 今森先生は、「消費状況の推移」にかんがみという細郷課長のお答えに対して再質問されたのでありますが、それは、衆議院の付帯決議であって、参議院の付帯決議においては、「軽油引取税については、税率の軽減その他適切な措置を講ずる」と、「消費状況の推移」なんということは書いてないのです。これは、衆議院の付帯決議と、その後に行われた参議院の審査の状況においては、非常に参議院においては慎重をきわめて、この問題を審議した結果、こういう付帯決議にしたのであって、今のお答えでは、少くとも参議院のわれわれはまだ了承できないと思うのですが、参議院の付帯決議について、明確な御答弁をいただきたい。
  38. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 参議院の方は、お説の通り「税率の軽減その他適切な措置を講ずること。」ということがございましたのでありますが、当時の状況からいたしまして、一番問題になりました点は、軽油の消費量がもっと政府の見込んでおるよりも多額にあるのではないだろうかという点が一点と、それから、おっしゃいますようなガソリン車と軽油車との負担の関係、それから、創設当初に、いきなり六千円の税率が高いのではないだろうかといったような問題、それから軽油について、自動車用途だけに課税をするかどうかといったような問題、いろいろな面が込みになって、こういった文面になったものであろうというふうに私どもは受け取っておったわけでございます。従いまして、私どもの方といたしましても、何分にも税収をある程度上げるという問題も非常に重要な問題でございますので、消費量の問題が一番大きく私どもには響いたので、その問題を中心にお答えいたしましたので、若干もの足らない点があったかと思うのでございますが、私ども考えました経緯につきましては、消費量の問題もあり、ガソリン車との負担の均衡の問題もあり、かつは軽油の課税の方式もございまして、現在のところ、現行の六千円を引き下げるというところまではとてもいかなかったということを申し上げたのでございます。
  39. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 私は、森先生が質問を済まれたあとで、今の御答弁では承服しかねるので、森先生の御質問が済んだあとで、これらについて質問をいたしたいと思います。
  40. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま私は、消費の実態にかんがみということについての決議の受け取り方というものが不十分ではなかったかということを承わったのです。それに対して伊能先生から、参議院の決議が具体的に示唆しておる、それをどういうように理解をしたか、そうしてそれをどう具現することに努力をしたかというような意味の御質問があった。私は、衆議院の決議の受け取り方をどうしておるかということから、だんだん話をそこへ発展をせしめていこうと考えておったのですが、もう伊能先生から出ましたので、端的にそこへ参りますが、そういうような消費の実態に関する政府当局の見解というものと、われわれ議会側における見解なり調査の結果というものが食い違っておる。そのために、研究すべしということを衆議院では指摘されたことが、さらに参議院では、具体的に見解の相違点をはっきりと認めまするがゆえに、引き下ぐべしという具体的な打ち出し方をしておる。あくまで政府のお調べになったその実態調査というものだけが正しいのであって、議会側で考えた消費の実態考えれば、一万三千円、六千円というものは妥当でないということ、それから、それをさらに参議院では確認をし、引き下ぐべしというような打ち出し方をしておる。それを、やはり去年通り政府調査というものが正しいというような感覚にお立ちになることについては、私はどうしても了解しかねる。もしそういう政府調査なり実態の把握というものが正しいとあくまで御主張でございますれば、これは、もう少し事務的なことになりますけれども、一体同一のトン数の車で、購入の原価がどうで、耐用命数がどうで、そうしてその間における修繕費がどうでといったようなことを詳細に議論しなければ、政府の見解が是であるか、われわれの考え方が、調査が正しいかということを理解するわけに参りかねるのであります。そういう点を十分調査をして、結論的に引き下げなければいけない、こういう結論を出してもちっとも……、そして政府考え方だけがオンリーで、議会側の考え方というものはだめだ、こういう感覚に立たれることは非常に遺憾なんですが、そういうことで今後も進められていくということなのか、そういう方針は大臣、どうでしょうか。
  41. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 参議院の御決議の趣旨が、具体的に、税率を下げて、その他適切な措置をやれという御決定があったわけであります。そこで、このガソリン車と軽油車との実質的な負担の重い、軽いというものも一つあるという話は、この当時から私も聞いたことでございますが、主として問題となりましたのは、やはり消費の実態という方面でございます。消費量の経過がどうも、百万キロ程度に考えておったものが九十万余りしかないというような情勢にもなり、かつ、軽油車とガソリン車との負担の軽重もあるというようなことも考えに入れました結果、このたびの案を御審議いただくということに決意したようなわけでございます。しかしながら、ただいまお説を承わっておりまするというと、なるほどこれは、本院で御決定をいただいた税率そのものをとにかく引下げるべきであるという御方針には沿いかねておる、沿うていない案であるとも考えますので、この点につきましては、慎重に一つ考えをめぐらしまして、将来の問題ということで、はなはだ申しわけのないことでございますが、次年度以降の問題といたしまして、私もこの軽油税につきまして、税率の引き下げを行うということは大へん賛成しておるところでございます。そこで、この問題はここでお許しをいただきまして、この趣旨を尊重をして、税率の引き下げをするということは、一つ慎重に検討を加えていってみたいと、こういうふうに、申しわけないのでございますが、考えるのでございます。
  42. 森八三一

    ○森八三一君 この問題については、大臣からきわめて率直に見解の表明がございましたので、その実現をいつにするかという問題もありまするが、われわれの考えと軌を一にするという点について、一応私は、問題の所在をはっきりしたと思うので、了解いたします。  ただ一点、ここで申し上げておきたいのは、ガソリンの消費税にいたしましても、軽油の引取税にいたしましても、こういう措置が講ぜられる当初に、私は当時、税関係の大蔵の方におったんですが、目的税的なこういう存在を作ることは非常におくれておる。日本の道路事業を進めていく上に非常に障害になるのじゃないかと、将来これはもう、この税金からあがってくるものだけが道路の整備費に充足せられ、一般国費をつぎ込むということがなくなってしまうのじゃないかという心配をしたのです。だから、道路の整備をするという趣旨は大賛成だけれども目的税をそれに持っていくということは、プラス・アルファになるのじゃなくて、それも非常に障害を来たします。むしろ考慮すべき問題だと主張いたしましたけれども、遺憾ながら、当時の情勢はこういう結論を導き出した。ところが、今の大臣の御答弁を聞きますと、まさに私の心配がそこに実現しておると思うのです。今、税率を引き下げなければならぬということは、参議院の決議もあるので考えてみたが、いかんせん、道路の整備をするためには、一般国費なり都道府県費というものをそっちの方にさくということが実体的に困難になっておる。だから、この限られた目的税をもって、荒廃している道路の整備に充てなければならぬという、非常に苦しい立場に私は追い込められておると、それを考えながらも、さてどうするかというのが真相だろうと思うのです。その点もよく理解できます。理解できますが、それであるがゆえに、どうも決議がじゅうりんされるということは許すべからざることなんです。まあこの点は、大臣のよくお考えになった、そしてまた含みのある御答弁がありましたので、その措置をどうするかは別問題として、私は一応了解しますから、この問題に関する私の質問はこの程度にいたします。まだ他にもございますが、他の諸君からも相当発言があると思うので、私一人してもいけませんから、他の問題は、他日に保留いたしまして、一応きょうの私の質問は打ち切ります。
  43. 小林武治

    小林武治君 今の関連で一つ。  今の軽油引取税の問題は、去年のこの委員会でいろいろ論議をされたことをあるいはお読み下さっているかと思いますが、実はあの当時、私は緑風会におりましたが、緑風会から、軽油引取税六千円は高い、二千円を軽減する、この修正案を出すことは、もう実は自由党も了解し、また自由党は、衆議院の方ともお話になってやっている、その内容は、私は奥野税務部長に当時知らせてある。やむを得ない、こういうことになっておったのでありますが、たまたま小選挙制がこの委員会に付託されたために、この混乱を避けるために、ことしは難きを忍んで、修正案の提出を中止してもらいたい、これは特別な懇請があって、当時私は、それなら来年出すよということを、当時の自由党の地方行政委員長をやっておった松岡君にも断わり、関係者にも断わって、皆さんの了解のもとに、私は提案を中止した。こういういきさつがあるのであります。従って、もう当然、去年六千円から二千円差し引いた四千円が税率になる、これはもうほとんど既定の事実になる、これはもうほとんど既定の事実といっても差しつかえなかった。そういう了解があるのに、ことしまた、突然自治庁がガソリンとの関係を云々して、そうして三千円の値上げ案を出すということは、私は、きわめて政府が信義にもとる態度をとっている、こう言わざるを得ないので、税務部長がおれば、そのことを私はただしてみたいと思いますが、これは、今の府県税課長ですか、その方もよく御存じのはずだと思うのであります。そういうわけで、私どもは、実はことしこの三千円の増税が出るなんということは思いも及ばないことで、むしろ二千円を減税をしたい、こういうようなことで、従いまして、ガソリンが値上げになるというのはやむを得ない、せめて昨年計画した二千円の減税だけでも取りやめてもらえたら、それで均衡が保たれる、こういうような考え方を持っておったのであります。こういうふうなわけでありまして、私は、今年度のこういうふうな自治庁措置というものにはどうしても承服できない、こういうふうに考えておりますが、自治庁長官は、これらのいきさつというものを多少でもことしお聞きになったかどうか、その点まずお聞きしておきたいと思います。
  44. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 道路の十カ年計画に関連をいたしまして、このいきさつは承わっております。また、参議院において具体的な御決議のあったことも、後に存じ上げているわけでございます。しかしながら、それにもかかわらずというまあことになるわけでありますが、大へんまあ政府立場で、この点のその申し上げる御答弁が苦しいわけでございますが、どうもありのままに少し申し上げにくいのでありますが、この目的税を設置いたしまして以後のものの考え方というものが、目的税によって道路整備費を充足していくんだ、それ以外のものは、まあ必要なしと考えているわけではありますまいが、どうも軽く見られている、国の一般財源によって見てもらうことが筋なので、その筋の上にプラスする、こういう考え方でいきませんと、何も法律目的税を設けた意味がないわけでございます。そういう点も私は、閣議においても相当長い時間をかけましてこのことも話をし、予算折衝の際においてもこれを言い、地方財政計画を立てます際にも、このことを役所の者にはいろいろ話したような事情でございまして、万事わかっておりますが、どうも本年は、一般財源から道路整備に要する経費として、これをちょうだいするわけにはいかないような事情があり、まあだんだんと国自体の自然増収も出てくることもあろうし、だんだん楽になってこようということで、本年はとにかく、申しわけないが、これはこういうことでお許しをいただこうじゃないかということになったととが真相でございますので、先ほどお誓いを申し上げたように、次の機会におきましては、先の付帯決議の御趣旨に沿いますような方向に努力をしていきたい。こういう気持でございます。
  45. 小林武治

    小林武治君 今の問題は、私は昨年も、まるで自動車業者から税金をとるために目的税にしたのではないか。こういうふうなひがみまで持ったぐらいで、これは、道路をよくするということは、自動車業者のためによくするのではありません。日本国民全体のためによくするのですから、当然一般経費でもってやるべきことで、このやり方というものは、非常に安きにつく、あるいは取りやすいところから取る、弱い者いじめ、こういうふうにしか考えられないのであります。大臣は、今の道路の整備というものを、こういう税金だけで、ガソリン税、軽油引取税だけでやるということも非常に不合理であるということを反省もされておるように見えるのでありますが、一体こんな状態をもしいけなければ、今年直してもいいじゃないか。私どもは、自民党のいろいろな意見がありますが、これに対する態度は保留しておりますが、私ども承服できない。あくまでこの委員会において、そういう主張をするつもりでおりますが、もしこれが一般会計から相当補充する、あるいはこの税率を何とかしたいというのなら、われわれはこれからの審議の問題で、これを慢然として将来に残すというわけにはいきませんが、これらについて、何かお考えがありますかどうか。その点も念のため伺っておきます。
  46. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) ここにお願いしております案については、どうかこの場合は一つお許しをいただきまして、誠意をもって、次の段階において考えていきたい。こういうことでございます。
  47. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 さいぜん森先生が御質問した問題にさらに関連いたしまして、私、いずれゆっくり全体の問題を質問しますが、もう一点伺っておきたいのは、参議院が、軽油引取税については税率の軽減その他適切なる措置を講ずることといって、その他適切なる措置を講ずること、という付帯決議を本委員会でつけたことは、決していいかげんな考え方でつけたのではないのであります。さいぜん奥野税務部長細郷府県税課長並びに大臣から、消費の消長ということを強調せられましたが、私どもは、前国会において質問がせられて、あの法律案の欠陥自体について十分な検討もし、政府のあの法律案の建前が間違っておるということを指摘したのであります。ということは、われわれは、軽油引取税ではいけない。庫出税にすることが脱税を防ぎ、すべての人から税金を取ることがいいのだ、もちろん、私は農林水産の連中にまで税金をかけろということではありません。少くとも元から税金をかけなければいけない。そうして農林水産免税を必要とするというものについては、これは、一たん税金を取ったあとでも、払い戻し等もできるし、適当な措置は講じられる。そうすれば、政府が計画した百万キロ以上の税金が確実に取れるのだ。庫出税でなければ取れませんぞ、必ずや脱税が行われて。しかもまた、昨日の委員会においても同僚議員から指摘されましたように、地域的に、東京付近では、東京で品物を買ってしまって、山梨県等では、なかなか品物を買わないから、目的税本来の趣旨にも反するのだということもしぱしば指摘した。ことに国有鉄道のごときは、一カ所で軽油を買う。それを自分の手で配給をする。従って一神奈川県なら神奈川県で買ってしまうと、神奈川県へ全部税金が入って、ほかでは入らないというような事態が起るということを指摘した。これは国有鉄道をして、非常な手数をかけて、各地で使う油の量に応じて税金を按分して払わせるというような手続までとらしておった。こういうようなことで、国鉄のようなところはできますが、そのほかのところでは、従来のそのほかのところでは、一銭でも安いところから買って、神奈川県あるいは東京都あたりは必要以上にこの税金が入って、埼玉県とか山梨県なんていうようなところは税金の入り方が少い。こういうような不合理も引取税では出てくる。だから、これは国税にして、全部から取る形にして、農林水産その他特に免税を必要とするものについては、それに即応した措置がとれるということを言ったのに、なさらなかったものだから、脱税が行われて、このような、予定以上に使われているにもかかわらず、税金は取れない。従って、奥野税務部長のところで、政府は、あの軽油の標準の範囲についても政令で出したものを直ちに改正をして、政府の醜態を暴露するというようなことまでなさっておる。また、ああいう不当な課税を、脱税が行われることを見越して、高い六千円なんというものをかけるものだから、灯油に逃げたり、いろいろな方向に、発動機油に逃げたりするということになって、現在、税金というものは、御承知のように、法律の内容をごらんになると、数十条の罰則ばかりで、とんでもない法律です。こんな罰則なんかしないだって、ちゃんと庫出税で、元で取れるようにできる。そのために、私ども、こういうことも改正をしなさいということが適切なる措置ということでわれわれは指摘したわけです。ところが、今回においても、政府はこの問題について何ら大蔵省と——政府部内において意見が一致しないとか何とか言って、脱税をみすみす見逃して、善良な連中だけが損をするというようなことをなさっておる。こういうことでは、この税金がいかにおかしいかということは天下公知の事実だ。だから、正常な税体系に直せば、四千円でも、はるかに百万キロ以上のものが現に使われる。そして適正に税金が取れるというようなことをなさらないで、いたずらに税金の税額だけを多くして、国民の負担を加重して、しかも、へんぱな格好になるというようなことがいけないんだということを私ども指摘しておる。これらについて、何ら政府は御措置をとられないということは、非常に私ども遺憾に思う。ただいま同僚の小林先生から、基本的な問題についてお述べになりました。私も全く同感で、かような状態であっては、今回の法律案について、政府の提案にはどうも承服しかねるということを申し上げたいのでありますが、これら税体系の問題、また税軽減の問題について、現実に軽減しても余分に取れるにもかかわらず、そういうような形になさっておるという点について全く理解に苦しむのですが、大臣の御所見を伺いたい。
  48. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 私がこのガソリン税、軽油税等については全くしろうと中のしろうとであります関係もございまして、行き届かないところがあろうと存じますが、今御説を伺ってみますと、やはり税の徴収のやり方についての制度についても、根本的にやはり検討をしてみなければならないものがあると今伺って思う。税率の引き下げという点につきましても、国が一般財源からこうすべきだという筋を立てた上において、これを一つ思い切って措置を講ずべきものと思われますので、これらの点は、いずれも貴重なる資料としまして、この御説を十分に尊重いたしました上で、来るべき次期における措置をして行きたい、こういうふうに考えます。
  49. 本多市郎

    委員長本多市郎君) どうです。今質疑の進行の都合上、なるべく関連質問というのを……質疑を許さぬという趣旨じゃありませんよ。簡単にしていただいて、伊能さん、もし質疑が続きますならば、伊能さんの質疑のとき全部続けてやっていただきたいと思いますが……よろしゅうございますか。
  50. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 よろしゅうございます。
  51. 本多市郎

    委員長本多市郎君) では、ほかの方もそういうお含みで願います。
  52. 占部秀男

    ○占部秀男君 事業税の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  個人事業税の分で、第一種事業を行うもので、年間五十万円以下の課税所得金額について二%下る、これは、この場合の課税標準は、一口に申しますと、利益ということになると思うのですが、その点はいかがですか。
  53. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 法律上は所得と読んでおりますが、おっしゃる通り、利益という形だろうと思います。
  54. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、月額五万円ということになりますので、給与所得者のような場合に比較しますと、まあ相当いい所得の方になるというような感じを受けるわけですけれども、実はこの五十万円以下というところに問題があるのではなかろうかと思いますが、昭和三十年でしたかの自治庁の調べによりますと、この第一種事業の納税者の約三七、八%は、国の所得税を納めてない零細業者であるということがたしか調べにあったと思うのでありますが、そういうようなことになりますと、この際、この税をいじるという場合に、せめて国の所得税さえ納められないような零細業者の場合には、特段の何らかの形の、さらに引き下げをこれは考えるべきじゃないか。特に中小企業というよりは、もう零細企業が非常に痛んでおる現在において、そういう点の考慮をすべきじゃないかと私は思うのですが、そういう点について。今度は自治庁としては、何らかの検討はしなかったのでありますか。この点をお伺いいたします。
  55. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 零細な事業所得者に事業税を課するのをもっと軽減する方法はないだろうかというお話だろうと思います。まあ所得税と事業税の性格の違いがございますものですから、必ずしも所得税と同じような範囲の人が納めるというわけには参らないと思います。従来の沿革も、そういうものを示しているわけであります。そこで、事業税の場合には、どういう負担軽減の方法があるか。控除等を上げる方法もございましょうし、また、税率を下げるという問題もございましょうし、また、所得の計算をもっと合理化するという問題もあるかと思います。そこで、私どもも、中小企業対策の一つとしてこれを考えます場合に、いずれの方法がいいであろうか、いろいろ検討いたしました結果、控除の引き上げということになりますと、非常に大所得者についても同じ問題が適用されてしまうのじゃないか。また、所得の計算を合理化するということになりますと、所得税と別個の計算をするために、非常に納税者に煩瑣な手続を与えるのではないだろうか、そういうようなことを考えました結果、今回、こういう税率の引き下げという措置をとったわけであります。
  56. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっと申し上げますが、あなたの質問を継続することにして、どうでしょうか、休憩して……。
  57. 占部秀男

    ○占部秀男君 けっこうです。
  58. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょうど畳ですから、それじゃ占部君の質問は、さらに午後に継続することといたしまして、午前の会議はこの程度にいたします。休憩をいたします。    午後零時二分休憩    —————・—————    午後一時三十八分開会
  59. 大沢雄一

    理事(大沢雄一君) それでは委員会を再開いたします。  委員長が所用のため、出席がおくれまするので、その間、委託を受けました理事の私が委員長の職務を行います。  まず委員の異動について報告いたします。大和与一君が委員を辞任されまして、小笠原二三男君が補欠選任されました。以上御報告いたしておきます。   —————————————
  60. 大沢雄一

    理事(大沢雄一君) 次に、この際、理事補欠互選についてお諮りいたします。  当委員会におきましては、去る三月二十六日以来理事に一名欠員を生じておりましたところ、ただいまの大和君の委員の辞任に伴う理事の資格消滅と合せまして、理事に二名の欠員が生じた次第でございます。よってこの際、理事補欠互選を行います。互選は投票によることなく、便宜その指名を委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 大沢雄一

    理事(大沢雄一君) 御異議ないと認めます。理事小林武治君、成瀬幡治君を指名いたします。   —————————————
  62. 大沢雄一

    理事(大沢雄一君) 次に、午前に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。
  63. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題になった案件ではありませんが、この際政府に、資料の提出を求めたいと思います。私の要求いたしまする資料は、競輪関係資料でありますが、現在施行しておりまする施行主体別に、最近年次の一カ年間における開催日数、それに伴う売り上げの総額、それから経営費等、その経理の全貌がわかる数字的な資料をお願いいたします。私がこういう資料の要求を求めておりまするゆえんのものは、自転車競技法が数次にわたって改正が行われておりますが、その改正機会に、かような射幸的な競技は、漸次廃止すべき方向をとるべきであるというような感覚に従いまして、そういう趣旨の院議を決したことがあると記憶をいたしております。それにつきましては、その後政府のとられておる趣旨には必ずしも満足するわけに参りません。といって、施行者である地方自治体がそれぞれ施設をいたしておるわけでありますので、急激にその廃止、停止等をいたしますることは、さなきだに困難をしておる地方自治体の財政上に不測の損害を与えるということ等も考えられるかと思いますので、そういうことを見きわめつつ、われわれの考えておる目的を達成いたしまするために、最短コースをどう選ぶべきかということを見きわめたいという趣旨に基くものでございますので、そういう趣旨を御了解願いまして、その趣旨に沿うような資料の提出を求める、こういう趣旨であります。
  64. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) ただいまの資料、早急に提出できるように、関係事務局に連絡いたします。
  65. 占部秀男

    ○占部秀男君 午前の質問に引き続いて、奥野さんに御質問したいと思うのですが、実は、ちょうど奥野さんがおられなかったときに、事業税のうちの個人事業税の問題につきまして御質問を申し上げたわけですが、月五万円の所得以下の者が、しかも、その中では、国の所得税を払わなくて済むような者は零細業者であると思うのですが、約三〇%以上であるということは、自治庁資料で私は承わっておるのですが、そういう人については、この税制の改正機会に、もっと引き下げるべきではないか、かように私は考えておるわけです。特に零細業者の場合には、いわゆる企業者であるか、働く勤労者であるかわからぬというものも相当あるのでありますし、また、一般の物品販売にしましても、全く、何と申しますか、非常に零細な販売をやっておる。かような情勢からしましても、ここに段階をつけるのは当然ではないかというように私は考えるのですが、そうした点については、自治庁として検討されなかったかされたか、されたとしたならば、どういうようなわけでかようになったか、その点を一つ知らしていただきたいと思います。
  66. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 事業税の性格からいいますと、所得の段階によって税率区分を見るということは、従来は適当でないとされておったわけであります。しかしながら、御指摘のような関係もございますので、あえて零細な所得者の負担は比較的にも軽減しようというようなことで、数年前に、免税点の制度を基礎控除の制度に切りかえたわけであります。しかも、その基礎控除の額を例年引き上げて参りまして、そして現在では、基礎控除の額が十二万円になっているわけでありますから、税率が比例税率でありましても、低額所得者の負担は比較的に低くなっているわけであります。今回の改正に当りまして、基礎控除引き上げの措置によるか、あるいはまた、税率引き下げの措置によるか、事業税を全体として軽減する場合にも、いろいろの考え方があったわけであります。しかしながら、どちらかといいますと、事業税は府県の独立税でありますので、府県施設から受益しております事業に広くある程度の経費を分担してもらう、そうしますと、今以上にさらに基礎控除額を引き上げていくということは、事業税の建前からいいますと、必ずしも適当だといえないのじゃないだろうか。広く事業を行なっている以上は、府県経費の分担をしてもらう。しかし、なるたけ税負担を軽減することが望ましいわけでありますから、相対的に低額所得部分について税率を引き下げる、こういう考え方をとったわけであります。従来から比べますと、事業税の納税義務者数は、基礎控除制度をとり、しかも、この基礎控除額を例年引き上げて参りましたので、非常に少くなってきております。そういうような事情から考えまして、現在のように税率引き下げによるが、一般的な税率引き下げでなしに、課税所得金額で五十万円以下の部分について二%の引き下げを行う。しかし、基礎控除額はそのまま据えおくという方針をとったわけであります。
  67. 占部秀男

    ○占部秀男君 この地方税が、応益の原則といいますか、そういうような形のあれを残しておる点については、これは一つの問題があると思うのですが、少くとも広く事業からくるところの利益を均霑するところの人たちに広く税を課そう、こういうような意味合いはわからないことはないのですが、やはり現状のような経済情勢のもとにおいては、これは、生活を基準にして考えていくということを重点にしないと、これは、税の課税過重というような問題に関連してくるような問題になると私は思うのでありますが、特に今、奥野さんが言われましたように、確かにパーセンテージは下げておるのですけれども、まあいわば職種別的な形でこれは下っているわけですね、第一種事業について。まあ第二種、第三種という問題もありますが、第一種事業について一律に下っているわけですね。そういうような行き方でなく、やはりそういう行き方もあるかもしれませんけれども、所得別の下げ方をもっとはっきりと私は出すべきじゃないかというふうに考えるのですが、特に今度は、百分の八が百分の六になるわけですけれども、非常に零細な人たちについては、それは、奥野さんが考えておられるように、払い得るところの能力のある人も相当あるでしょうが、まあ税金を払えずに、そのまま夜逃げしたというようなものは相当数実際の職場ではあって、それが赤のけつになっておるような形も実際職場では出てきているのであって、そういうような点は、やはりあまりに零細業者といいますか、そうした者に税金をかける無理な結果が現われておるのじゃないかと思うのですが、そういうような意味合いから、何らかのやはりこの中にも、もう一つの段階をつけるようなことを考えなければならないのじゃないか。かように私は、第一種なら第一種の中でも、やはりその所得によっては、さらにまた、百分の六を百分の四にするとか、あるいは百分の二にするとか、それはいろいろあるでしょうが、そういうような形の段階を考える必要があるのじゃないかと思うのですけれども、そういう点については、御意見はいかがでございますか。
  68. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在、事業税につきましては、第一種事業から第三種事業まで区分しておりまして、第一種と第二種、第三種との間には、税率で二%の差があるわけであります。このこと自体におきましても、いろいろと問題があるわけでありまして、必ずしも税率を区分することについて、合理性があるわけではないと思うのでありまして、どちらかと申しますと、沿革に基くものと言わざるを得ないかもしれません。そういうような事情もございまするので、第一種事業につきましては、低額所得の部分についての税率を引き下げることによって問題の解決をはかろうといたしたわけであります。事業税でありますので、所得税のような形において、所得段階ごとの税率を刻むことは適当ではないというふうに考えておるわけでございます。しかし、そう言いながらも、現在基礎控除制度をとり、さらに、今日のような低額所得部分についてだけ税率引き下げのような改正案も出しておるわけでありますが、その辺に、占部さんのおっしゃる考え方と、物税だといわれて参っております事業税の性格との妥協があるのではないだろうかというふうに思っております。このように、業種相互間に税率の差を設けますること自体につきましても、業界の幹部といたしましても、やはり低い税率の適用を受けませんと、責任が果せないというようなことにもなるのじゃなかろうかと思うのでありますが、非常に紛糾の種になりますので、そういうことは避けたいというようなことで、今回の改正をいたしたのであります。それから、できる限り業種の中で特権階級を作るといいましょうか、そういう行き方はやらないで、全体として同じような扱いをしながらも、零細な部面については特別な考慮を払っていきたいと、かように考えておるわけであります。
  69. 占部秀男

    ○占部秀男君 この点は、部長の御答弁で、あとは私の意見になるようになると思うのでありますが、低額所得者という、その低額のとり方に、やはり私の考えておることと奥野さんの考えておることとは非常に開きがあるのじゃないかと思うのでありますが、五十万円以下というようなこの規定の仕方、これをもっと段階的に分けて、もう一段階でも二段階でも分けて、もっと税率を下げてやらなければならないような低額所得者が私はあるというふうに考えておるわけです。そういう点では、意見の違いですから、一応この問題はこれだけにしておきますが、次にお伺いしたいことは、固定資産税に関する事項でありますが、今度の問題で、外航船舶に対する課税標準というものを半分に下げたと、こういうことでありますが、この下げたことによって、減税の直接利益を受ける対象というものは、およそどういうようなところでございますか。その職種を知らしていただきたいと思います。下げることによって利益を受けるところの企業といいますか、何といいますか……。
  70. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 外航船舶につきましては、固定資産税の額の六分の一を軽減する。従来から三分の一でありましたものを六分の一にいたしております。その他の船舶につきましては、遊覧船等の例外を除きましては、従来の負担を、三分の一を軽減しまして、三分の二にしているわけであります。船舶全体について原則として下げておるわけでありますから、漁船などにつきましても軽減されるわけでございますので、海運関係者、漁業関係者の租税負担が軽減されているということになろうかと思います。
  71. 占部秀男

    ○占部秀男君 この調べによりますと、約九億近い減に両方でなっていると思うのですけれども、この九億近い減が、今言った通り漁業関係のところへ、あるいは船舶会社のところへというように、分けて見積られたような資料はないのでございますか。産業別といいますか、何といいますか、減税の結果九億の問題がどういうふうに各産業に振り当てられて減税になるか、こういうふうな点の資料はございませんか。
  72. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御質問の継続中に調べまして、お答えさしていただきます。
  73. 占部秀男

    ○占部秀男君 電気ガス税に関する事項でありますが、この中で、製氷関係の問題で、「漁業協同組合漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会並びにこれらの法人以外の法人又は個人」というふうにうたわれているのでありますが、「これらの法人以外の法人」というのは一体どういうものか。「又は個人」というものはどういうものか。その点も知らしていただきたいと思います。
  74. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 漁業協同組合等であれば無条件で、主として漁船関係の氷を作っておりますれば、この電気ガス非課税になるわけでありますが、その他のものにつきましては、中小の規模のものに限定しているわけであります。個人または法人を広く指しておりますから、経営主体はだれがやってもよろしい、こういう意味であります。
  75. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 せんだっても、実はいわゆる改正点とあまり直接関係のない問題ですけれども、市町村の住民税のいわゆる課税方式の問題についてお尋ねをしたわけですが、私は、今の第一、第二、第三、二、三に続くただし書き、この五つの問題につきまして、これがあることによって、住民の負担にも非常な均衡を失するというような問題、こういう問題から、整理すべき段階に来ているのじゃないか、こういうことをまず一つ考えるわけなんでございますが、せんだって奥野部長から、将来やはりそういうような方向に行きたいというようなお話がございました。私は将来、まあいつごろになるかわかりませんが、今の段階、少くとも明年度あるいは明後年度あたりにおいて、この問題に手をつけるべき段階であるというふうに考えるわけでございます。第一方式の場合においても、今回のように、国税において所得税が軽減せられるというような措置をとってきたことによって、また非常にその不合理が出てきておる。こういう問題にも当然連なってくるわけでございまして、こういう問題について、一つもし御検討をしておるとすれば、この前お尋ねしたことと重複するようでございますけれども、どのように考えておられるか、ちょっと一つ……。
  76. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 率直に申し上げますと、私は、第二課税方式の本文とただし書きを、両方認めた方式に統一するのがよろしいのじゃないかという考え方を持っているのです。しかしながら、一挙にそういたしますことにつきましては、相当な問題があろうかと思います。また、従来のままで一挙にそうすることにいたしますと、所得段階ごとの準拠すべき率の法定もございませんでしたので、やはり一段階をその場合でも経なければならぬじゃないかと、こう考えております。今回準拠すべき率を法定いたしましたことによって、もしやろうとすれば、第二方式に統一することが可能になってきたということは言えるのじゃなかろうか、かように思っております。
  77. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私も、今のあなたのお話のように、これは、現在の各方式を実際にとっておる団体のパーセンテージ等からいたしましても、一つの固まった方向というものは出ているんじゃないかというふうな点、それからいろいろ、いわゆる負担の均衡を保つというような点からして、私も第二方式、あるいはそれのただし書きと、二つくらいの範囲において、この問題をしぼる必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えておるわけなんでございます。的確に数学的に私申し上げることはできませんが、考え方としては、こういうふうな方向にいくべきである、こういうふうに考えておるわけです。ただ、その実施の段階と申しますか、改正の段階に、これについていつごろどういうふうになさるというようなことについての御検討はないわけなんですか。
  78. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在のところは一応、課税方式を各種目とも存置したままで運営していきたいというふうに思っているわけです。ただ、今後の実施の経過を見ました上で、御指摘になりますような点ももとより検討していかなきゃならない。その場合に、個人的な見解を申し述べさせていただければ、先ほど申し上げたようなことであります。  それから、先ほど占部さんのおっしゃいました、船舶に対しまする固定資産税の軽減の影響がどのようになっているのかということでございますが、御承知のように、外航船舶に対しまずる固定資産税の軽減は五億二千四百万円であります。大部分は海運関係でございますが、その中には、遠洋に出ております漁船も入っておりますが、大型のものだけでございます。そのほかの船舶について軽減されるものが三億五千六百万円でありますが、そのうち漁船が一億三千三百万円の見込みであります。その他の方は、沿岸航路に従事しております船舶が大部分でございます。
  79. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今の課税方式の統一といいますか、ちょっと言葉は変ですが、整理して大体二つくらいにすると、こういうような考え方、それは、私も先ほど申し上げましたように、大体意見が一致しているように感じられますが、ただ、その実施の時期でございます。これは、将来いつの時代にどういうことになるかということは、なかなかむずかしい問題だと思います。あなた方の今の立場から、こうするとはっきり言い切れない問題であるとも私考えますが、ただ、こういう、国においても来年度は相当の自然増収が出てくる、地方においても約七百億程度の自然増収があるんじゃないかというふうにあなた方が見ておられる。こういう段階ですから、もし手をつけるとすれば、こういうまあ、一年くらいはそういうふうな今のままでやってみて、今後の一年間、三十二年度というものを一つじっくり検討する期間として、その次の年度において、さらに私は手をつけるべき段階にきているのじゃないかというふうに考えるわけなんでございます。これが減収を見るような時期とか、また、非常に変動が予想せられる、税の収入において。そういうときでは、ちょっとこれは危ない仕事だと思うのです。私は、現在の日本の情勢、こういうような経済情勢なり、いろいろの情勢からいって、一つの安定期を迎えたという、これは、いろいろ考え方はあるわけですが、少くとも税収入等におきましては、国税、地方税を通じて、そういう時代になってきたと思うのですが、そういう時期においては、私は取り上げて、これはほんとうにじっくり検討すべきときだと、私はそういうふうに思うのですから、あまり長い将来においてこれをやっていくのだというようなことでないことを私は期待したいのでございますが、いかがでしょうか。もし、できましたら政務次官からも、あとお答えいただきたいと思うのです。
  80. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一応私から先にお答えさしていただきます。  課税方式を統一すべきだという考え方をお持ちの方もずいぶんあるわけでございますが、そのあげられます一番大きな理由は、課税方式が異なっておることによって生ずる租税負担の不均衡がはなはだしいということではなかったかと思います。この点についての解決をはかりますために、第二課税方式、第三課税方式につきましても、今回のどちらかといいますと減税できる機会に、率を法定することによって行おうといたしておるわけであります。従いまして、この結果、どのような姿になっていくものだろうかということについて、なおやはり若干推移を見た上で、鈴木さんのご指摘になります問題に踏み切るかどうか、検討してよろしいのじゃないかと、こう思っております。従いまして、課税方式を統一すべきだという結論を先に立ててしまうことにつきましては、いかがなものであろうかという不安は持っておるわけであります。
  81. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私は、課税方式をただ一つのものにせいとかなんとかいうことを—さっき例として、第二方式あるいはただし書き、二つぐらいでいいのじゃないかということを申し上げましたが、必ずしもそれによらなくともいいのじゃないか。例として私は申し上げたので、ですから統一、あるいは一つ二つにするということを前提にして考えるということは、必ずしも必要ではないというお話ですね。私は、それは内容によると思うのです。私は、固定した一つの線を出して、これによって統一をせいとか、これに全部ならわせろというようなことは、私は主張すべき的確する根拠もございませんし、そういうことは言いませんが、やはり私は、税は負担の、何といいますか、公正といいますか、均衡といいますか、これは、多少の地域的な居住地による差は、いろいろ、地方自治団体という今の仕組みの中においては、当然あっていいと思うのですけれども、その点において、あまり懸隔のある税負担をする、国税、地方税を通じて、そういう負担をするということは、これは私は、税として不適当である、こういうふうに考えるわけであります。そういう建前で、今申しましたように、きちんとこの方式でやれということを言っておるのじゃなくて、ほんとうに公正に、均衡を得た税負担ができるような一つの市町村民税というものを設定するような、そういう検討の時期、あるいはまた、その検討の結果実施すべき時期に来ているのじゃないか、こういうことを申し上げたのですが、そういう点ではどうでございましょうか。
  82. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいま鈴木委員からの御提案になられた問題は、非常に大きな問題だと思っておるのでございまして、一面、住民税というものが発生した当初からの問題から考えてみる必要があるのじゃないかと私は思っております。これまた、非常に長くなりますと、答弁が長過ぎるというようなことになるわけでございますが、おしかりを受けなければ、私の考えを申し上げたいのですが、従前、この住民税というものは、これが一種の所得税的な形も与えるし、従来の、浜口内閣当時の税制におきましては、これは、住民の負担分任精神を確保するという目的のもとに、非常に低い税率でないと許可にならなかった税でございますことは、御承知の通りでございます。その後、市町村の財政窮乏その他によりまして、非常に住民税が強化されるようなことにもなりましたし、また、そうなった現実においては、これは、むしろ所得税付加税的なものに変えて、そして従来の戸数割時代的な取扱いというものからもうちょっと違ったものにしていこうということになってきているのでございます。それが現。打法にある住民税の本質に残っているのじゃないか。すなわち、均等割というものは、負担分任の精神を現在にまだ残している証拠だろうと、こう思っておりますので、そういう沿革的事由によって発生してきたものでございます。そうしたいろいろな観念上の要素が入ってきておりますので、現在におきましては、もう住民税の問題は、私は、これは所得税の問題と切り離して考えることがでなきい問題じゃないかと思っている。そういう関係から見まして、住民税の大部分は、所得税的な、人頭課税で、主観課税であるということになると思うのであります。ところが果してしからば、所得税の方は非常にたびたび変化している、改正があった。所得税法の理念が変り、制度が変るたびごとに、住民税はそれに追随していく。それならば、地方財政の収入を得るための意志活動というものが自主性がなくなっているじゃないかということがここに問題になってくると思う。そういうような関係から、住民税をどっちへもっていくかということにつきましては、私も非常に大きなこれは研究題目だろうと思っているのでございます。しかしながら、それと同時に、非常に技術上の問題がございまして、大都市におきましては、果して一軒々々、住民所得の実態を、税務署からの所得税をかけるところの資料に基きまして、かからぬ部分の所得の内容を一々調べなければならぬわけでありますから、オプション・ツー、スリーになりますと、そういうことが可能かということになります。そういう課税技術上から、オプション・ワンとツー、スリーと並行してやっていく、どっちでも課税の仕方の好ましい方でやった方がいいんじゃないかという問題になるのでございますが、しかしながら、それが果して許されるかどうか。先ほど鈴木委員からも熱心に御希望があったように、大体私は、市町村で実際に自分でこの税をあずかってみましても、扶養家族控除のこの定額を条例できめるということによりまして、同じオプション・ツーをとりましても、非常に市町村ごとに負担の不均衡があるわけです。そういうようなことから見まして、それすら問題であるのにかかわらず、今度は大都市に居住ずれば、そうしたもう所得税納税者の相当狭い範囲外は、全然均等割以外にはかからぬということになっております。そうした不均衡は許されるかどうかということは、これは、社会の負担、国民負担の、市町村団体住民も国民ですから、その国民負担の均衡の上から許されるだろうかどうかということが問題になると思う。かれこれ考えております際に、先ほど税務部長がオプション・ツー、しかもただし書を含めたオプション・ツーを中心にして、新しく統一するということが好ましいことじゃないかという発言があったのでございますが、私たちもそういうふうに考えておるのでございますが、徴税技術上、大都市等において、にわかに従来のオプション・ワンを捨てて、課税の非常にむずかしい、込み入った、オプション・ツーがとれるかどうかという問題が技術上ありますので、三年とか四年とかの猶予期間を置いて、ある方式に統一することが望ましいことじゃないかという考え方をしております。
  83. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私は、今の住民税のあの課税方式の問題で、やはり問題になるのは、課税の方式というのは、統一された理念に貫かれておらないというところに問題がある。従って、そこにいろいろな負担の不均衡が出てきているのだ、さっき申しましたように、税の負担というものは、あくまでも個人を中心として、個人といいますか、お互いの人間のそれを中心として考えるべきであって、あまりそこに地域差とか何とかいうことは、私は考えるべきじゃないと思うのです。国及び地方を通じてですよ。ですから、そういう点からいって、かりに所得税中心にいくというのであれば、また、今の次官のお話のように、それならそれで私いいと思うのです。ところが、一方に、第一方式においては、所得税の付加税的な性格を持ったような形で課せられておるところもある。そうでないところは、所得金額を中心にして考えておる、こういうところに私は、今の各方式の間に、統一のとれておらないという指摘をしなければいけない問題が一つあると、こういうふうに考えるわけなんでして、これはやっぱりいつかの時代に、しかも早急の間に、これは解決しなければ私はいけないというふうに、私なりの理屈から考えるわけなのでございます。それから、今の市町村民税で、均等割の問題があるわけなんです。これも私は、税そのもの考え方からすれば、いわゆる能力に応じた税負担をするという税のそういう建前、これは私は正しいと思うので、そういう意味からすると、これもやっぱり問題がある。額はそんなに大きい額じゃないから、大した影響はないのじゃないか、こういうふうなことも一応言う人もあるわけでありますが、しかし私は、今言ったように、根本的な問題があると思うのです。そういうような問題がからんで、いろいろな不合理が私は露呈されておると思うわけなんですから、この問題は、単にお互いに将来研究してみるということだけでなしに、どうしてもほんとうにやる気になってやらなければいけない問題であると、こういうふうに考えるので、口は悪いようでございますが、おざなりに、将来研究しますとか、長い時間かけて検討してみましょうという、そういう私は問題じゃなくて、もっと差し迫った問題であるように考えられるわけなんですから、そこら辺一つ、十分お考えいただきたいと思うわけなんですけれども、重ねて一つ次官から、いかがでございましょうか。
  84. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいま期限を設けると申しましたのは、研究の期限を設けるのじゃなしに、これは案外、立法としては簡単な問題なのでございますが、実施に、たとえば、オプション・ワンをとっております大きな都市が、どうも一軒々々所得の実態をこまかく調べるということになるのは、この税務行政の体制にも関係あると思うので、その準備期間が必要じゃないか、そういうことになりますれば、そういうときには、施行の猶予期間を設けるのが、三年とか四年とか設ける方がいいのじゃないかと申し上げたのでして、これは非常に、私自身だけの考えからいえば、地方税全体の問題のうちで一番大きな問題だと、私はかねがね考えておったのであります。それで、地方制度調査会におきましても、相当これは、ことに一千億減税にからんで、なおでしょうが、相当重視しまして、今度の段階別基準を作ったわけであります。決して政府も、なおざりにして考えている問題ではないと考えます。私自身の個人的な考えをあまり言いますと、また非常に問題を起すかもしれませんけれども、私はどうも、所得税法のいろいろな改正がそのつどぴんぴんと地方住民税の課税額に響いてくるということですね、たとえば、配当課税とか分離課税の問題とか、概算課税の問題とか、それがみんな響いてくるのでございますから、そういうものであっては、地方税の最大の眼目である住民税がそういう状態であっては、地方財政の自主性というのは、基本からこれはくずれるのじゃないか。で、実際に私、市町村を見まして、賦課しておりました時代にも、相当な、たとえば株の所有者とか、あるいは山林所有者とか、実態に比較して負担が安過ぎるというのです。それで、給料生活者は非常に高くなっているわけなんです。そういうものを考えますと、想起しますのは、戦前の戸数割の制度でございまして、この戦前の戸数割は、十分の四あるいは十分の二というものが資産点数といいまして、資産の、住民の所得の状況を勘案して、審査して課税するという部分があったんでございますが、それがいわゆる政治的に悪用されたりしたので問題になって、住民税というような格好になったわけでございますが、そういうふうな、もう資産とか所得の評価技術が、測定技術が非常に進歩した現在におきましては、ある程度そうしたものを総合的に、習慣的に総合して課税するということが事実上できる時期になったんじゃないか。資産のうちの大きな、土地、山郷屋等については、かなり市町村税務当局者も相当科学的に研究して、固定資産税というものを運営して今日に至っておるわけでございますから、漫然と資産、資力を算定しておりました従来の戸数割時代とは、今は違うと思うのであります。そういうことによりまして、所得税だけでは、補足できない実際の所得の内容を補完的につかまえることができるわけでございますので、そういう意味で、諸般の状況を考慮し、また、国民の所得のうち所得税にどれだけ回すか、住民税にどれだけ所得を課税標準として配当するかということによって、地方交付税木で徴税しておりまするような現在の地方財政制度を、地方交付税の部分ではほんとうに純粋の徴税部分だけにして、そして独立財源についての所得税的の住民税を少し強化するから、所得税の税率の方を少し下げまして、住民税の所得に対する課率の方を引き上げるという面に向っても、突っ込んでこれは研究していくべきもんじゃないかということを真剣に考えております。いずれにしましても、地方制度調査会にもかけなければなりませんので、直ちにそういう立法ができるかどうかということにつきましては技術上の困難はありましても、地方制度の中の最重要な問題だということを考えておりますわれわれといたしましては、これを重要視しまして、あまり時間が延びないような工合に、できるだけ早い機会に結論を得まして、立法をいたしたいというような考えを持っております。決意だけを申し上げましたので、はなはだどうも抽象的で困るというおしかりを受けるかもしれませんけれども、現在のところ、そういう状況であります。
  85. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 お話、大体わかりましたが、これは、今のお話の中にもありますように、税制調査会の方でも、一応はやはり検討なされたようなことが報告の中に載っております。ただ私、その際にも、その記録を見て感じましたことは、先ほど来あなたのお言葉にもあったわけでございますが、大都市の場合は的確につかめないというような徴税上の技術的な問題、あるいはそれに伴ういろいろな困難、あるいはそれに伴うところの経費の問題等、徴税費の問題等で、なかなか容易でない、第方式を捨てて、別の方式になるのはなかなか容易でないようなことがいわれておるようでございまして、しかし、そういう技術的な問題、徴税上の手続の問題が、いずれもそう前面に押し出されてきて、そのたびに、こういうこともできない、ああいうこともできないというようなことは、私は、税というものを考える場合に、やはり当を得た考え方じゃないのじゃないかと、もちろん、そういうことも十分考えなければいけませんよ。考えて、果してこれが可能であるか可能でないかということも確かめなければいけませんが、表面的に出ているそういうことだけで、こういうような問題の解決に当ることは、やはり筋の通らない結論が出てくるのじゃないかというふうな心配を持ってその答申を見たわけなんですから、こういう点で、今のあなたのお話、十分わかりましたが、一つぜひとも御検討いただいて、早急に一つの結論を出して、私がしばしば申し上げましたように、税のほんとうの正しいあり方、あるいは負担の公正というようなものが期し得られるような一つのものに作り上げていただきたいということを要望的に申し上げておくわけでございます。
  86. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいまの鈴木委員の御意見は、全く私たちも同感でございます。ことに遊興飲食税等におきまして、大都市は、どうせ課率が十割の時代にも、花代等は二割くらいしか取っていないということは常識になっていて、しかも、いなかでは十割取っているというようなことは、課税技術上のいろいろ困難がありましても、都会の複雑さによって課税技術上の困難はありましても、あれを認めていることが根本的に間違いだといって、それによって、公給領収証というような問題が起きてきたわけで、税務行政の進歩に従いまして、まさしく鈴木委員の指摘されるように、全国を通じまして一つの税が正しく賦課され、課税されるということにもならなければいかぬと思います。その意味からも、鈴木委員のお説に全く同感でございますので、お答え申し上げておきます。
  87. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今の問題は、その程度で終りといたしたいと思いますが、関連して、地方税の問題について、二、三ほかの税についても考え方をお聞きしておきたいと思います。ただこれは、私はお断わりを申し上げておかなければいけませんのは、私の個人としての考えが相当入っているのじゃないかと思いまして、そういうことをついでに申し上げて、私の考えるところを申し上げて、お聞きしたいと思うんです。  現在の地方税の中で、特に市町村税の中で、私、二、三の問題は、これは考えなければいけないものであるというふうに思うわけでございます。その一つは、私、今まで地方におって、実態を見てきての、そういう体験を通してのそれなんでございますが、鉱産税の問題でございます。それから、いま一つは木材引取税、いま一つは固定資産税、この三つをさしあたり私は今取り上げなければいけないのじゃないかというふうに思うわけなんでございます。鉱産税の問題というのは、あるいはまた木材引取税は、非常に税が偏在しているんです、地方に行って見ますと。特に鉱産税の問題なんかは、全県何十ヵ町村かあるうち、それが入ってくる所は、ごく限られた町村しかない。しかも、入ってくる額というものは相当大きい額であって、他と著しく均衡を失している状態で、それあるがために、その他の税金というものは、その土地の人は非常に安くなっているというようなことがあるわけです。そこで、国、地方によって、税の負担の多少の違いはあってもいいということは、先ほども申し上げたのですが、こういうふうに、非常にいびつな形において行われているということは、私は、これも一つ考えなければいけない問題だと思う。そこで、もちろん地元にも取れるし、しかし、ある部分については、都道府県の方に吸い上げて、全体のために使う、こういう考え方一つの固定資産税においてとられたような形においてとられてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うわけなんで、固定資産税のことも、従って現在の府県と分け合う、あれももっと、ものによっては分け合う率を、府県の方に入る率を多くする必要があると思うものもあるわけなんです。そこに一つの発電の施設があることによって、何といいますか、太鼓腹をたたいてやって、いろいろな施設がよくなり、それがよくなっただけでなしに、過去において行いました町村合併の一つの大きな障害になっておるというところもある。こういう点は、やっぱり見直されなければならない問題じゃないかと思うわけなんです。あくまでも地方の住民の負担というものは、少くとも同一府県というようなところは、あるいは近接町村においては、そんなに違いのあっていいものじゃないと思うわけなんで、この点は、私が見ておる範囲内で、私のかつて住んでおった狭い府県のそれなんでありますけれども、性質上、それが今申しましたような性質を持っておる税金じゃないか。全国的にいって、そういうふうな税金じゃなかろうかと思うわけなんで、今私が申し上げたような観点から、できれば先ほどの市町村民税の考え方、あるいはそれに伴って、将来改められなければならないとする地方税においては、そういう問題も当然取り上げて私はいいのじゃないかと思うわけでございまして、こういう点について、一つ部長さんから、今申しました木材引取税、鉱産税あるいは固定資産税のあるものについてのお考え方をお聞かせしていただければありがたいと思うのであります。
  88. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘になりました点は、まさしく地方税制を検討していきます場合の大きな問題点だと思います。しかし、現行制度につきましては、またそれなりの考え方があるわけでございまして、現行制度考え方を申し上げさせていただきたいと思います。  従来は、一つの課税客体に対しまして、国も課税する、府県も課税する、市町村も課税するというやり方をしておりました。いわゆる地方税は国税に対する付加税を本体にするという姿であったわけであります。そうすると、その客体に対します課税の責任というものが国にあるのか、府県にあるのか、市町村にあるのかわからないじゃないか、わからないような姿にしておいたのでは、府県自治なり市町村の自治の運営が、果して住民から適正に批判できるだろうかどうか、そこに問題が起ってくるのじゃなかろうか。やはり地方自治を発展せしめていくためには、それぞれの行政について、責任がどこにあるかということを明確にすべきである、そういう意味においては、一の課税客体に対する課税は、一の団体においてやらせるのが適正ではなかろうかというようになって参ったわけであります。戦後、地方自治を強化する方向がとられまして、これは総司令部の関係じゃありませんで、日本政府自体の考え方から、大体今申しましたような気持が基礎になりまして、国税付加税制度を昭和二十二年に全廃しております。しかしながら、府県税付加税の制度はなお残しておったわけでございます。それを、その後来朝しましたシャウプ税制使節団の考え方に基きまして、府県税付加税の制度も全廃したわけであります。そこで、課税客体が国と府県と市町村とに全面的に配分される。一の課税客体に対して、二団体以上で課税しないことを原則とするということに改められたわけであります。日本政府自身が考えました考え方も、シャウプの勧告いたしました考え方も、基本はやはり同じだと思うのであります。その結果、それじゃ税目によっては非常に偏在してきているのじゃないか、これをどう思うかと、こういう議論になってくると思うのであります。おあげになりました鉱産税や木材引取税は、市町村すべてにあるわけではございませんので、そういう意味においては偏在しておると思います。しかしながら、それらの市町村の財政需要がそれなりに多ければ、若干の税収につきまして、特に多くの収入があげられても、偏在しておるから、そのことが財政上不適当だということにはならないと思うのであります。鉱産税や木材引取税は、どちらかといいますと、他の税収が乏しい。しかしながら、鉱業の関係において、あるいは林業の関係において、財政需要が相当に多い。幸いにして鉱産税や木材引取税が市町村税なのだから、それらの財政需要に適合した財源を関係の市町村に供与しようじゃないか、こういう姿が見られるのじゃないかと思います。そういう意味において、鉱産税や木材引取税を市町村税にしておきましても、特に必要以上の財源を与えているということにはなっていない、そういう意味の偏在にはなっていないんじゃないだろうか、こういうふうに私たちは思っているわけであります。固定資産税につきましては、御指摘のように、巨大な発電施設等ができるようになりましてから、小さい区域の市町村に全額の固定資産税収入を与えて参りますと、必要な財政需要を上回る財源が与えられるということになってしまうわけであります。従いまして、昭和二十五年に、償却資産に対しましても全面的に固定資産税を課するようにいたしました際に、やはり巨大な償却資産に対する固定資産税については、所在の市町村の財政需要から見まして、あまりに過大な財源が与えられるというような場合には、そのこえると認められるものを関係市町村に配分するというようなやり方をしたわけであります。これでは、行政措置で左右されるわけでありますし、また、陳情を誘発することにもなりますので、昭和二十九年から、現在の大規模な償却資産につきましては、一定規模以上を府県団体の収入に移す、こういうようにいたして参ってきているわけでございます。固定資産税と鉱産税と木材引取税との間には、若干私たち相違があるんじゃなかろうか、そういうふうに考えておるわけであります。また、そういうような理由で、ただいま申し上げましたような措置になってきているわけであります。
  89. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 現在の税制の建前は、まあお話通りだと思います。そこで、付加税的なものがなくなって、固有の財源を地方団体に与えるという建前は、私はそういう意味においては正しいと思うんです。そういうのを否定するんじゃなくて、実態は、あなた方は、偏在というような、現在行われている大規模資産の償却とは違ったというふうな考え方をお持ちでいらっしゃるようでございますが、私は、必ずしもそれと違ったということでない実例を見てきておるものですから、申し上げておるわけなんです。これは、水田地帯に石油が出た。それのために、そこに入る鉱産税というものは非常に大きなものなんですよ、税金を低く取って。しかも、その税金を低く取ってもなお余るものですから、余ると言っては少し語弊がありますが、非常に豊かなものですから、施設がどんどんふえてくる。こういう事態があるわけなんですよ。出ているわけです。あるいはまた、単に石油だけでなしに、ほかの、私の住んでおりますところの秋田の鉱山地帯には、そういう事例が幾つもあるわけなんです。と同時に、木材引取税におきましても、それほどの大きな収入ではないけれども、それあるがために、ないところと比べれば、いろいろな面で違っておるというふうに、現実がそういうふうになっておるために——私は、必ずしもそれを全部取り上げろという意味でもございません。まあそういう、府県税としたらどうかというようなことを先ほども申し上げましたが、それを全部市町村から取り上げてしまって、府県税にしろというようなことを言うんじゃありませんが、大規模償却資産のあの場合と同じような考え方でやってもいいものがあるんじゃないか、こういうことなんでございます。で、考えられておりますところの現在の税体系といいますか、それを貫く考え方については、私はそれを全然ひっくり返して、あちでも取れ、こっちでも取れとか、分け合ってしまえとか、付加税をかけろ、こういう意図で申し上げているんじゃなくて、実態はしかし、どうも見ておって、このまままでいいものかと、放置できないという感じを持つ例があるわけでございますので、そういう点等を一つ検討願えればというつもりでございますが……。
  90. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいまの問題は、私たちただいま御発言をお聞きしている間、どうも石炭やあらがね鉱山のことを考えておったのでございますけれども、私はそう考えておって、税務部長は全般を考えての答弁であると思うのです。しかしながら石油のような場合には、鉱害も非常に少いでありましょうし、また価格が非常に上るので、鉱産税が非常に豊かになると思うのでございます。こうしたような問題の解決は、まあシャウプの考えたように税制を複雑にしないように考えたり、かれこれ考えますと、何かこれは地方交付税制度なんかとも関連して解決する、すなわちマイナスの交付税というような考え方をも中に入れて、根本的解決ができるような問題じゃないかというような気がいたしましたので、まあそれも現在のところマイナスの交付税制度というようなものも非常にむずかしい問題でございましょうが、一つの研究題目として、われわれも研究さしていただいたらいいのじゃないかというような気がいたしております。
  91. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 お話のように、当然こういう問題を考える場合には、まあ租税一つでなしに、現在の交付税の関連とか、その他の税と、それからその町村における財政需要額と、これはいろいろな面で検討されなければいけないと思うのです。ただ、私くどいようでございますけれども、それあるがために特別の財政需要を必要としないところでそういうことがあるという一つの例として申し上げたので、検討一つの手がかりとして私申し上げたのでございますので、今後一つ十分御検討いただきたいと思うわけでございます。こういう問題と関連して、私はこの前にちょっと触れましたように、もちろん大きな問題としては、ここで地方税を通じる税体系の一つ検討の時期じゃないかということも私実は考えの中にあるので、そういう全体の問題として一つ考えていきたいということなのでございます。  じゃ、成瀬さんから別の御質問があるそうですから、私それが済んでから続けさしていただきたいと思いますので、一応打ち切ります。
  92. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 刑事部長さん大へん忙しそうですから、大へん鈴木君の質問の途中にはさんで申し訳けないのですけれども、お伺いしたい点は、例の風俗営業のことなのですが、あなたの方が風俗営業の取締りと申しますか、飲食店から申請があった場合に許可される、あるいは大衆飲食であってもこれはどうも風俗営業に見られるじゃないか、だから内面指導等をされて、風俗営業にもって行かれる、こう思うのですが、実際の実情として、ここはわれわれが見たって大衆飲食でいいじゃないか、ここは風俗営業でなければならぬが大衆飲食になっておる、実は私たちもよくわかりませんけれども、業界の人に案内をしてもらって二、三時間都内を見て回ったのです、そういう目立つような所だけ……。そうしましたら、大へん不公平だというふうに実は見てきたのですが、どんなふうにやっておられるのか、その辺の御説明が承わりたいと思います。
  93. 中川董治

    政府委員(中川董治君) ただいまの成瀬委員から御指摘がありましたように、現行法で風俗営業取締法という法律がございまして、風俗営業取締法に定める風俗営業であるかどうかということが御質問の要点だろうと思います。この法律は、御案内かと思いますけれども、中央が許可官庁でなくて、各府県の都道府県公安委員会が実は許可官庁でございます。東京でいえば東京都公安委員会、愛知県で言えば愛知県公安委員会が許可官庁でございますが、各都道府県公安委員会が許可すべき対象であるかどうかが御質問の要点であろうかと思いますが、それに対しては、一定の統一した考え方を持っておらぬと、確かに不公平になるのであります。許可すべからざるものを許可したり、許可して規制すべきものを見のがすということになりますと、確かに不公平になるわけでございます。それで、各県とも不公平のないように努力しておるのでありますが、努力の中心は次に申すようなことでありますが、その風俗営業法の文字からくるのですけれども、また精神からもくるのですけれども、名称はいろいろ用いますけれども、まあ理屈を言いますと、法律ですから名称のいかんにかかわらずこうしたものかと思うのですが、実態が「客席で客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」かどうかということになろうと思います。それで御質問が飲食店についての御質問でございますが、単に行って、飲食するだけ、コーヒーを飲むだけ、あるいは飯を食べるだけというものにつきましては、風俗営業の対象外でございます。その飲食させる場合に、客席で客の接待をする営業であるかどうかということによってけじめをつけておるわけでありますが、けじめは飲食ということがあるだけでは風俗営業ということになりません。単純な飲食店でございます。単純な飲食店ですが、厚生省御所管の関係の法例の規定がございますけれども……。風俗営業の規定、この風俗営業の対象になるのは、客席で客の接待をするかどうか、こういうことなんですが、客席で客の接待をするということは、どういうことかといいますと、これは、何といいましても風俗営業の立法の精神からくるわけですが、男女間の享楽的雰囲気を提供するということが接待の要件だと思うのですが、男の客に対しては女、女の客に対しては男、男女平等ですからそういうことになるのですけれども、(笑声)男女間の享楽的雰囲気を醸成するため、客席で客の接待をする、単にものを食べるというのでは接待じゃなくて、男の場合でいえば婦女が出てそこでお酌をする、そういうことを実態とする内容であれば、名称のいかんにかかわらず風俗営業の規定の対象になる。そういう場合に、なぜこの規定の対象になるかと申しますと、この法律は、男女間の享楽的雰囲気が程度をこして、いろいろな制限を逸脱して、風俗を乱すような行為になりがちだというような実態、これは日本ではありませんで、外国でございますが、客席で客の接待行為を内容とするかどうかということによってけじめをつけておるわけであります。  そこで、成瀬さんの御質問に戻るわけでありますが、大衆飲食の名目で行なっておる事業であって、そこで率直に申せば、女の従業婦が出て参りましてお酌をする、そういうような状態でなければ、風俗営業の許可の対象にすべきでない。ところが女の関係者、従業婦等が出て参りまして、接待行為が行われるという内容であれば、風俗営業の対象として許可する、こういう建前で、法律精神からもそういうわけでございますので、その法律精神を体し、また風俗営業法の文字に従い、各府県の公安委員会の御趣旨に基いて、警察が具体的にその状況を見まして、客席で客の接待行為があるにかかわらず風俗営業の許可をとらなければ、風俗営業法違反である、無許可営業である、こういうことになるだろうと思います。その無許可営業があれば、刑事責任をとられますので、無許可営業にならないような行政措置等は当然行うべきでありますので、行うことは各府県とも行なっておりますので、それが判断の基準であり、風俗営業法の執行に当りますわれわれ関係者のものさしと申しますか、めどをそこに置きまして、客席で客の接待行為を内容とする営業でなければいけない、これが風俗営業の対象にするかしないかというけじめでございますので、その実態を持ちながら、そういう営業でありながら、許可をとっておらぬ、許可を得ずして営業を行なったものは刑事責任を問うと、こういう性格を持っております。そういう内容で、名称はいろいろありますけれども、名称のいかんにかかわらず客席で客の接待行為を内容とする営業であるかどうか、これをけじめにして各府県でも運用しておるのでありますが、けれども皆さん第一線をごらんいただきまして、その基準でもってどうも不公平であるかどうかという点を  判断いただきますと、まあ各府県ともいろいろ苦心をしておると思いますけれども、不公平等のかどがございますときは、是正いたして参りたいと思っております。
  94. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 中川部長の御説明で大体わかるわけですが、客席で客の接待という非常に幅の広いことで、たとえば芸者がきて歌を歌い、あるいはダンサーがきてお酒もつぐが一緒にダンスもやると、こういうのはよくわかるわけです。ところが大衆飲食と申しますか、非常に狭いところで、スタンドでやっておるところで、カウンターの向うから酒をついだら、これは風俗営業に私はならぬだろうと思いますが、まあそういうことはないだろうと思いますが、よしんば客席の方に回ってきて  スタンドでついだとすれば、これはどうも男に対する女じゃないかというところで風俗営業になってしまう。だからせっかく大衆飲食であって、しかるべきところが少しなわ張りが広がるというわけじゃないと思いますけれども、あなたの申すようなものじゃないと思いますけれども、とにかく風俗営業の許可をとらないと、これはもう刑事事件対象じゃないかといって追及されるから、どうしてもやらなくちゃならぬ。実情を申しますと、おやじさんとおかみさんと二人でやっておる、おかみさんがエプロンかけて料理も持ち運ぶし、ちょっと酒も一ぱいつがなければならない。これはもうお酒をついだのだから、客席で客にサービスするんだから風俗営業としてやらなくちゃならぬ、こういうふうにびしびしおやりになっておるようであります。ですから小さい所はそれでいじめ抜かれておるという状態なんですね。ですから、この客席で客の接待をするということは、文字通りいけば、ぐっと解釈していけば、みな客席で客のサービスだと思うのです、ああいう所でやっておるのは全部。お茶をついだということはまあそれにならぬかもしれないが、酒をやっておる所は一ぱいつぐのが常識だと思う、持ってきておかんのおかわりをしたわ、一ぱいだけついでいくわというのは常識だと思うんです。ですから、そういう所をびしびしやられては、たまったものじゃないですから、もう少し、文字はまさにその通りだと思うし、あなたの解釈通りだと思いますが、そこは税金との実は関係が出てくるわけです。ですからその点を実は心配をして私はあなたに質問をし、まあ一つあまり不公平にならないように、適当と言っては非常に語弊があるかもしれませんけれども、あなたの方でいえば税の問題ではなくして、むしろ風俗を乱すか乱さぬかの問題だと思うのです。ですからサービスはしても、酒は一ぱいついでも、風俗を乱すか乱さぬかはこれは非常にむずかしいと思います。かりにそこで行われなくても、取引が行われるかもしれませんから、非常にむずかしい問題だと思いますけれども一つ常識的な判断でやってもらいたいものだと思っておるんですが、この解釈通りあまりびしびしやられては大へんだと思うのです。その点はどんなものですか、運用という点で一つ……。
  95. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 確かに成瀬委員のおっしゃる通りなんですが、結局、われわれなわ張りを広げるなんという考えはないと思いますが、実際問題は、法律の解釈を文字に対してやりませんと、やっぱり一定の事業でございますので、業界仲間でアウトサイダーの問題があるわけです。われわれはこんなに規制を受けておるにもかかわらず、同じ類似の実態でありながら規制を受けていないということになると、アウトサイダーとアウトサイダーでないものとの結局バランスの問題になる、そういう問題等もありますし、また私たちの立場からいいましても、成瀬委員からも御指摘がありましたように、こういうふうなことを、風俗営業法という国の法律があるから規制するという形式なんです。形式的に見ればそうですけれども実態は男女間の享楽的雰囲気を醸成する事業というものは、一定の規制のワクに入れなければならない、規制のワクというものは条例できまるんですが、たとえばそのそばに寝室があってはいかぬとか、まくらがあるとすぐ寝たくなるからいかぬという、そういう制限があるわけです。そういう制限がある根拠は、男女間の享楽的雰囲気を醸成する事業であるかどうかということが、これが実態になるわけですが、あとはその精神を体して適正にやっていくということになりますので、それを具体的に言いかえて参りますと、酒をつぐのも一つの方法ですけれども、そこのスタンドに非常になまめかしいような状態でおるというようなことがもうすでに実態になる、そういう男女間の享楽的雰囲気に浸る目的でそこに行くと、こういうような施設は、風俗営業法の内容がその精神でございますので、その精神にのっとって適正にやっていく、そこにまあ適正ということがややくずれますと、アウトサイダーとかアウトサイダーでないという問題だけでなくて、われわれも困りますばかりでなしに、業界がいろいろ、すでに自由競争の時代ですから、あるものは規制され、あるものは規制されぬということになりますと、これはやはり憲法の平等の原則から始まると思いますが、平等からいってこれは工合が悪いのでございますので、その意味からいって、ただいま成瀬委員の御指摘のごとく、法律の文字に従うということは形式論ですけれども、その基礎は、男女間の享楽的雰囲気を醸成する営業であるかどうかということをめどに置きまして、そこをやはり非常に適正にやって参りませんと、当委員会でも御批判のあることは当然ですけれども、当委員会以外におきましても、たとえば業界仲間においてそういう基準でこう当てはめていくという一つのものさしがないと、どうしても不公平になりがちで、そういうものさしの基準は、ただいま申しましたけれども、そのただいま申しました根本は、男女間の享楽的雰囲気を醸成することを営業の内容としておるかどうか、こういうことに基きまして各府県ともやっております。それで、まあ実態は、こういう事業でございますから、いろいろバラエティがございまして、たとえば自分の所の営業主の許可しておる女子従業員を使わないで、顧客がお客さんの工場においてお入れになる婦女子の方々が、その男女間の享楽的雰囲気ができるようにしむける営業もあるわけであります。それも今の精神から申しまして、男女間の享楽的雰囲気を醸成することを目的とする営業の実態であるという場合につきましては、今申しましたような公平の原則に基きましてそれをワクにはめていくと、こういうふうに努力しておりますので、具体的な認定は、ただいま私が申しましたことに違いないのですけれども、そのるる申しました事柄の最終の基礎は、何と申しましても健全なる良識と申しますか、そういうことになろうかと思いますので、そういう点はよく注意して運用して参りたいと思います。
  96. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 奥野税務部長にお尋ねしますが、実際警察の方からあなたの方に、各税務署にこれは風俗営業に申請されたから許可したのだというような通知がくると思うのです。そうすると、その通り風俗営業として税をかけるのか、税は税として、これは風俗営業であっても、そういう申請をし許可を取っておっても、これは大衆飲食の方が主である、まあ重点的なものであるという場合は、そうであるから税は大衆飲食の方で課税をするのか、警察からそういう連絡があるかないかしりませんけれども、風俗営業を申請していれば、それは風俗営業としての税率を適用していくものかどうか、その辺はどうなんですか。
  97. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在府県で指導しておりますのは、風俗営業取締法の規定の許可を受けた店でありますと、一五%の税率を適用すべき店と推定すべきである。しかしながら、現実の取扱いが地域によって区々にもなっておりますので、関係警察当局の意見等をも参酌して、実態に応じた課税をしなさいと、こういう指導をして参ってきております。しかしながら御指摘にもなりましたように、一五%税率を適用すべき店であるか、そうでないかという区分が非常にむずかしいのでありまして、また区分したところで、その中間のところは判断に苦しむ問題がございます。その結果、税負担の不均衡をも招来しておりますので、今回むしろ税率を思い切って普通飲食店については一〇%に単一化するかわりに免税点をうんと引き上げる、こういう措置をとろうとしておるわけであります。
  98. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 中川部長にお尋ねしますが、あなたの方は、これは申請されてそして許可制だと思うのですが、そうすると許可したものに対しては、全部その関係税務署へ通達をされるかどうか。許可されたものは許可だけで知らぬ顔をしておられるのか、あるいは店に何か風俗営業の看板でもかけることになっておるか。看板だけかけておるだけで税務署の方には御連絡ないものかどうか、その面はどうなっておりますか。
  99. 中川董治

    政府委員(中川董治君) これはまあ成瀬委員も御指摘されましたように、風俗営業は全く風紀を乱さぬように規制する目的でありますので、その精神で、るる申しましたような要領で許可しておるもので、都道府県公安委員会が許可する、許可する行政行為を行うわけでありますが、その行政行為を行なったものにつきましては、もちろん私どもの方の必要に基いて、台帳等があるわけです。許可したか許可しなかったかということは、きちんと書類等によって明らかになるわけですが、そういうことで、積極的にその許可した公安委員会地方税務機関に報告すべし、通報すべしと、こういう規定はございません。従って、都道府県公安委員会は、許可したことに基きまして、風俗営業の法に定める規制がうまくいっているかどうかを監視するということを建前といたしておるのでございまして、それが実情でございます。ところが別の必要で、これは奥野さんの方で御存じだと思いますが、地方税を賦課し徴収するという問題、そういう職務をお持ちの公共団体の機関におかれましては、いろいろ課税対象がどこにあるかということを自分で探すのも一つの方法でございますけれども関係行政機関と連絡を密にいたしまして、関係行政機関が許可している内容等を承知して、それを参考にして、いろいろ賦課とか徴収とか、そういった税務をおやりになるのが、けっこうだろうと思いますが、そういった点についての税務機関からの要望で、あの店を許可したかどうかということをお聞きになることがございます。たとえば、あそこは何月何日許可になったと、こういうことは、よく関係機関の警察と連絡のあることは事実でございます。
  100. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 奥野税務部長は、先ほど、そういうこともあるけれども、税務署は税務署で独自の立場で、大衆飲食か風俗営業か、税務署独自の判断によってやっていきたい。しかしそういうことは、非常に困難である。そういうことは言うけれども、結局できない相談だから、今度税制改正をして、そういう所は全部風俗営業の方へ押しやると同じような税率改正をすることによって、責任をのがれていこうというような格好の御答弁だと実は思うわけです。しかし実際は、大衆飲食というものと、いわゆる享楽的な飲食というものとは、区分されてしかるべきだと思うのです。それは取締りがめんどうくさいから税制改正して、業者間から文句のないように、税率改正しておきさえすればいいということで問題が片づくものとは思いません。そして税務署の方から警察の方へ風俗営業かどうかということは問い合せしているということはほぼ想像できます。だから警察の方で風俗営業を許可したかどうかということは、税を徴収される側のものさしになっていると思うのです。そういうことは、私はどうもいけないことであり、今少し大衆飲食というものと、風俗営業と申しますか、享楽的な飲食というものを区分して、ぴちっとやっていただかないと、やはり業界は混乱して、こんなことをしていったら、喫茶店とか何かでも、お酒を出す所は風俗営業だという拡大解釈がされてしまう。男女間の享楽的雰囲気の醸成とかいいますが、そういうところで解釈すれば、お酒の出る所はたとえ一本出る所でも、全部風俗営業じゃないかという結論にもなると思うがどうですか。
  101. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 遊興飲食税は遊興に対し課税する税率でありますと同時に、消費の金額が多ければ、ある程度そこに担税力を推定して、若干税負担をしてもらいたいという消費税でもあるわけであります。そういう意味において、大衆飲食とおっしゃるわけでありますが、今回思い切って、三百円までは一切課税しないと、こういう線を出しておるわけでありまして、三百円をもっと上げるべきかどうかということは議論があることと思いますが、一応の立場としては、三百円をこえるような場合は、若干負担してもらってもいいのじゃないか、こういう建前であることを御了承願いたい。なお御指摘になっているところは、婦女のサービスを伴うかもしれないが、特にそこに遊興的な雰囲気ということでない面で一五%課税を受けるのじゃないかという御懸念だろうと思います。事実そういう点も相当あろうかと思います。そういうことを心配しまして、私たちの方では、小料理店に準ずるもので、風俗営業取締法の適用を受けているものであっても、設備が簡易で、単に婦女が客席で客にお酒を一ぱい勧めるような行為を行うような程度の場合は、一五%適用なさるなという通達を出しているわけでございます。なお、今後におきましても一五%税率の適用を受けまする店の遊興的な程度と申しましょうか、そういうものをある程度考慮して、一五%税率の適用をするような方法に工夫をしていきたいと思っております。
  102. 加瀬完

    ○加瀬完君 刑事部長に伺いますが、そうすると、取締りの対象は風紀を乱すかどうかということにしぼられるのですか。
  103. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 法律精神は、風紀を乱すおそれのある事業の実態がどうかということでありますので、法律もそうなっておりますが、客席で客を接待しておる行為があるかどうか、客の接待をする業態の内容いかんということにしぼられる。
  104. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは非常にあいまいだと思う。客席で客を接待しても、接待の仕方が男女間の享楽的雰囲気を醸成するのでなければ、この法律は適用されないと解釈すべきが妥当と思うのですよ、今までのあなたの説明からいうと、たとえば客席に来て、たまに一ばいお酌をするくらいでは、男女間の享楽的雰囲気が高まったとは認定できない(「可能性がある」と呼ぶ者あり)そういう可能性があっても、これは風紀を乱すおそれというまではいかないと思う、一回でも客席に来て客に酒をつぐということが風俗営業と解釈することは、たとえば地方から弁当を持って出て来て、上野あたりで腰かけて食べる。たまにはどこか飲食店に入って、一ぱいぐらい入れるか知れない、その場合に、女の給仕がいる、これは風俗営業だ、具体的にいえば、こういうものも風俗営業になってしまう。営業の主体が普通サービスで、男女間の享楽的サービスでないということであれば、これは風俗営業のワクから除くというのが妥当と思うのですが、そういう解釈でよろしいですか。
  105. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 風俗を乱してしまえばおしまいで、風俗を乱すおそれのある事業を対象にしたわけです。それで、今の御質問に関連して申しますれば、酒の運搬をした、それだけでは風俗営業ではございません、酒の運搬をして、酒とか飲食物をそこへ運搬して持って行く、これは風俗営業の対象外であります。ところが運搬するほかに、客席にはべってお酌をして、そこで男女間の享楽的雰囲気を与えるというものを内容とするものであれば、風俗営業の対象となります。別に風俗を乱さなくとも、男が女に対して、また女が男に対して、そこに相当雰囲気を醸成するというものを内容としておれば、風俗営業の対象にするわけです。
  106. 加瀬完

    ○加瀬完君 それの判定がなかなかむずかしいと思うのですよ。大体のケースが、これは男女間の享楽的雰囲気を高めるような状態ではない、普通の大衆飲食といったような傾向が強いと、こういう店であるけれども「たまに酒を運んで来て、一ぱい酒をついで帰って  いくというくらいのものは、これは風俗営業というワクから除かれなければならないと思うのですよ、しかし現在の取締りといいますか、行政はそうじゃない、こういう点を、私どもは実際見て参った、そこであまりおそれがある、おそれがあるというので、そうなると男と女しかいないのですから、みんなおそれがあります旧そういうことでなくて、もっと幅の広い取締りというか、享楽的というのは淫蕩的な雰囲気を作るというものでないということが認定されれば、それは風俗営業から除くという方法はとれないものか。
  107. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 酒または飲食物を運搬する限度において必要な行為は、風俗営業の内容にならない、こう解釈いたしまして、そういう点はよく徹底して推し進めているつもりでございますし、今後も努めたいと思いますが、運搬の範囲をこえて、そこにはべって話をしながら酒をつぐ、こういうことになると、風俗営業の内容になってくる、こう思われるわけであります。
  108. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 先ほど奥野さんは通達を出されたと、小料理店で、何かカウンターのこちらから向うへつぐようなものは、それは大衆飲食だというような通達を出しておられる。あなたの方の風俗営業の解釈というものは、まことに警察の解釈とどんぴしゃりで、運搬はいいけれども、話をしながらちょっとつげば、これは風俗営業だ、こういう解釈だと思うのです。そういう解釈がやはり裏表に、今お読みになった通達で出ておるのじゃないか。もう一度それをお読みいただくとともに、風俗営業と大衆飲食との解釈をもう一度お聞かせ願いたい。
  109. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 小料理店に準ずるもので、風俗営業取締法の適用を受けているものであっても、なお、設備が簡易で、単に婦女が客席と区切られた場所から客に飲食物を勧める行為を行うような程度の場合は一五%課税はいけませんと、こう申しているわけであります。どちらかといいますと、全体の雰囲気から判断をしてもらう方がよろしいのではないだろうか、こう考えているわけでありまして、そういう趣旨のことも通達の中に加えておるわけであります。
  110. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 実際ここに通達が出ておりますが、これが死文化しておるものか、実際はこれが生かされて、警察等の風俗営業の許可がありましても、実際大衆飲食にしておる例が相当数あるわけですか。
  111. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) やはり府県自治庁から出ている通達に準拠して運営しようと努力しているものと思っております。しかし、実際の問題になりますと、非常に区分がむずかしいだろうと思います。その結果、あるものについては寛大であったり、あるものについては過酷であったりする面がおのずから出てくるだろうと思うのであります。従いまして、運営の面において改善を加えると同時に、今回のような制度の面においても改善を加えたい、両面から是正していきたい、かように考えておるわけであります。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと速記をとることをやめていただきたい。
  113. 大沢雄一

    理事(大沢雄一君) 速記をやめて。    午後三時十四分速記中止    —————・—————    午後三時三十七分速記開始    〔理事大沢雄一君退席、委員長着席〕
  114. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を開始して。
  115. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 先ほど中川部長の、速記がとまっておるときの御答弁の中に、風俗営業の許可は取っておる、しかしそこはいす席になっておる、そしてしかもいす席と畳との境は全然ふすまもない、あるいは境があってもそこにはつい立ぐらいの境しかない、実際そこに風俗営業の許可を取っているわけです。あなたの言うのは、非常に健全な風俗営業だと、こうおっしゃるわけです。そういう所に対しては、先ほど奥野税務部長は小料理店とこれに準ずる所、風営法の適用を受けているけれども、そういう所については一つ大衆飲食税を適用するという通達を出しておられるのですが、そういうような所まで一つ小料理店で、何と申しますか、ちょっと話がおかしくなりましたですが、あなたの方の通達を出しておられるものを今少し前進をさせて、風俗営業の方から見れば非常に健全で、ここでは若干の、なるほど女の人は一ばいお酒をつぐかもしれないけれども、まあ間違いがないというようなふうに認定をされるなり、一つ大衆飲食の方の課税対象にするというような通達を出すことはできないものだろうか。
  116. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘のようないろいろな問題から、今回税率について改正を加えようとしておるわけでありますが、それが成立しました暁には、普通飲食店とそうでない店との間の税負担の差が少くなってくることもありまして、かりに風営法の適用を受けておる店でありましても、むしろ実態的には普通飲食店として扱った方がよろしい場合は、積極的に普通飲食店の方に移したらどうだろうか、そういうような方向について指導を重ねていたしていきたいと考えております。
  117. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私がなぜこういうことを主張するかと申しますと、警察の方としてはやはり取締りで営業の取り消しとか、いろいろ刑事処分等の問題があって、やはり権力が強いと思うのです。だから、受ける業者の方でいえば、まあ間違いない、一つ風俗営業で届けだけ出しておこうというふうになって、大衆飲食というものがだんだん狭められていって、風俗営業法の適用を受ける店の方が多くなってくる。これは好ましい姿じゃないと思う。ですから、ぜひそういうふうに税の方から一つ業態をはっきりするようなふうに特にしてもらう必要も非常に大事だと思うのです。それとからみ合って、先ほども話に出ておりましたが、旅館において風俗営業法の適用を受けてしかるべき所が、そういう税の面から見れば受けてしかるべきところが、全然忘れておられるというあれは、片手落ちだと思うのです。そういうような点についても、私は十分一つ検討をせられて、次期には一つ適切な結論を示してもらいたい。
  118. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今回の制度改正と並行いたしまして、運営の面につきましても、普通飲食店と料理店等との間における負担の均衡が確保されますように、適正な指導を行なって参りたいと思います。
  119. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さっき懇談中に話をしたんですが、結局旅館における実態と、あるいはこの大衆飲食的なもので多く課税せられるというもの等とをいろいろ考えると、この一五%の適用を受けておるキャバレー、バー、貸席、料理店その他の中で、私は具体的には例示しませんが、いわゆるあなたたちの方で享楽的な、濃厚な雰囲気をかもすという部分に、もっと具体的な業態に一五%の税を狭めて、そうして他は一〇%同様にするということになれば、旅館における隠れたいろいろな営業とその他とが権衡を得られるというふうにも考えられますが、もっとこの一五%適用の業態を締めると申しますか、しぼっていくという考えをお持ちになりませんかどうか。
  120. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘のような考え方を基礎にして検討して参りたいと思います。
  121. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 先ほどの点に続いてお尋ねいたしたいと思いますが、実は法定外の普通税の問題でございます。この問題は、最近特に地方財政の窮迫したような事態に伴って、いろいろな形の法定外の税金が出てきておると思うわけでございます。そこで、今行われておりますこういう税金を見た場合に、どうも不合理な問題が幾つもあるのじゃないかというふうに感ぜられるわけでありますが、これは先ほどもちょっと触れましたように、現在の地方財政の逼迫—各地方団体の苦しい状態からして、やむを得ざる手段ではあろうと思いますが、しかしまた、さればといってこれをそのままに放置していいかというと、私は必ずしもそうは思わないのでございます。そこで、これは法によって自治庁長官が許可することになっておるわけでございますが、そうしてまた許可する場合の基準といいますか、考え方といいますか、それについても法に示されておるわけでございますが、この問題について、一つ最初に……ぼんやりしたような問い方でございますけれども一つ基本的な考えをまず承わっておきたいと思います。
  122. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現行地方税法は、地方自治団体の考え方というものを強く尊重していく、また地方自治団体の考え方というものが非常に尊重されるのだから、地方自治団体が物事をきめる場合には、それだけ慎重でなければならない。そういうところから自治が健全に発達していくということを物語っているように思われるわけであります。そういう意味において、法定外普通税についても、特別な条件に該当しなければ、自治庁長官は許可を与えなければならないと、こういうことになっているわけであります。法制はそうでありますが、それじゃ地方団体が好きなように大いにやりなさいというようなやり方をしていっていいのか悪いのかという問題がございます。従来どちらかと申しますと、地方財政が非常に窮屈でありましたために、おぼれる者がわらをもつかむたぐいで、法定外普通税をあさったきらいがないわけではないと思います。幸いにして地方財政が漸次健全化に向って参っておりますので、法定外普通税創設に当っては、特に慎重な態度を地方団体にとってもらうような指導方針でいきたいというふうに存じております。
  123. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これはまあ地方自治の進展のために、地方独自の考え方によって税を起すと、それによって申請があった場合には、支障のない限り自治庁長官は許可しなければいけない。これはまあその通りだと思うのです。ただ、私申し上げたいのは、現在の、特に府県というよりも市町村においてやられておりますところの法定外の普通税においては、果して、これあるために地方自治の進展になるのか、かえって今までのいろいろな税の負担の重い住民に、特にまたそれに加重をしていくというような結果、あるいは現在の税の体系なり、あるいは税の考え方からして見ますと、変なものにまで課税をしておるというふうに思われるものがたくさんあるわけです。また、適確な税源があるからということが自治庁長官の許可の一つの条件のようでございます。しかし、実際を見ますと、その適確な税源が確保できる、税収入が確保できるという点から見まして、すこぶる怪しげなるものがある。額もきわめて少いものがあるわけなんです。こういうものが果して税として許されていいものかどうかというと、私は疑問があると思う。これは、あなたの方でお調べになったものの中に、資料として私どもいただいておるものの中に、私指摘できると思うのです。幾ら小さい団体であるかわかりませんが、たった二千円しか、税を起して収入見込みがそれしかないという数字が出ておるのがあるのです。あるいは七千円とか一万円とか一万二、三千円。これは地方自治団体でいわゆる税として存在の価値と意義があるものかどうかということも私は実は疑問だと思うわけなのでございます。そういういろいろな観点からいたしまして、私、現在の地方財政の逼迫の状況はわかりますが、だからといって、理屈に合わないような、何でも税の対象にできるのだと、ウの目タカの目で、あれからは税金取れないか、これからはどうだというような態度で税源あさりをするようなそういう態度は、私は慎しむべきことであり、自治庁としてもこれは許可を与える場合に考えていかなきゃならない問題だと思う。将来のことは今のお話のように一応納得できるとして、現在まで行われておる税にそういう事実が指摘できると思うのですから、こういうものを是正するというような考え方、これはどうでしょう。
  124. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一応法定外普通税を許可するに当りましては、三年なり五年なりの許可の期限をつけておるわけでございますので、法の精神に反しない範囲におきまして、鈴木さんの御指摘になりましたような気持で公正に許可の事務を取扱うようにしたいと思っております。
  125. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 奥野さん、あなたの方からいただきましたこの参考資料を見ますと、たくさんの法定外の普通税があるわけなんですが、その中に、今私が指摘しましたように、その団体でわずか二千円とか七千円とか九千円とか一万円、あるいは二、三万円と、こういう税があるのですから、これで果して地方自治の進展に役立つ税と言えるかどうか。それからこれくらいのやつは、さっきも申しましたことに関連しますけれども、今の地方財政の全体のあり方、それに対してどう見て、どう手当すべきかということから、私は解決できる額だと思うのですよ。それを扇風機があるからそこで税金を取る。その総計わずか二千円と、まあこれは一つの例ですがね、扇風機にかけることがいいかどうかというのではなく、一つの例として申し上げますが、そういうような税金が横行するようでは、私はかえって地方自治の進展というより、地方住民感情のそういう観点からして、地方自治進展には役立たないのではないかということすら言わなければならないのじゃないかと思うのです。これの実施には三年なり五年なりという一応めどもあるのでしょうが、そういうものを全部、いただいた資料から拾ってみますと、府県で四億八千万円程度、それから市町村では五億一千万円程度、合せて十億程度でございます。この中に、もちろん現在法定外の普通税といいながら、むしろ法定税のような格好になってきております牛馬税とかああいうポピュラーになっておる税もあるのです。そういうものを差っ引いた場合に、今の十億の金からすれば、これはわずかなものだと思っておるのです。そういうことのために、果してこういうわけのわからないような税金というものを残しておくことがいいかどうかということは、はっきり検討さるべき問題だと思うのです。いかがでございましょうか。
  126. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘になりました考え方、同感に存じております。法定外普通税が、受益者に負担させる法定外普通税を除きますと、大きく分けて課税をしないと均衡上どうも適当でないというようなものを負担さしておるものがございます。もう一つは、ただ財政収入を上げたいために課税をしていくものがございます。単に財政収入を上げたいために課税をしていくものでありますれば、私たちはむしろ法定普通税の税率によって考えた方がよろしいのではないかというふうに考えておるわけであります。近来、そういうことを通達によっても、指導いたして参っておるわけであります。扇風機税がごくわずかであるのに、なお残っておるということ、御指摘になられたことは私も承知しておるわけでありますが、従来法定税目であったものが、そのまま法定外普通税で継続されてきておるのではないかと思うのです。こういうものは、やはり法定税目からはずされた際に、当該団体で再検討されなければならない問題だと思うのであります。われわれは責任を転嫁するわけではございませんが、どちらかといえば、自治を非常に尊重する精神の方が先に進んでおって、地方団体が自分できめる問題について、住民が自分たちでいろいろ検討批判する気持がそれほどに至っていないという点があるのではないかというふうに思われるわけであります。制度制度といたしまして、実態に応じた適正な通貨を指導していかなければなりませんので、御指摘になりましたような心組みで指導いたしたいと思っております。
  127. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今の問題ですが、現在、三十二年度はもうすでに地方においても決定されておると思いますし、あなた方としても今すぐ手を打つということでは、かえって地方のせっかくのあれを混乱させるというような結果にもなると思いますから、やむを得ないとして、三十三年度あたりで、これは真剣にやっぱり検討しなければならない問題だと思いますが、長官、小さな問題でありますが、いかがですか。私は税そのものからすれば、不合理なものが幾つもあるのではないか。奢侈的なものとか、あるいは取らないことによって他との均衡を失うというようなもの、こういうものは、先ほど部長からお話のようにやむを得ないと思う、あってもいいと思うのです。しかし、必ずしもそうではないものがたくさんある、しかも、税の総額からいってもきわめてわずかなものを、わずかだからいいという理屈もありますが、そういう問題ではないと思うのでございますが、一つ考えていただきたいと思いますが、お心組みとしてはいかがでございましょうか。
  128. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) すでに数十種目にわたって法定外普通税が取られておるという実情になっておりますが、お説の通り、この問題は地方税全般の立場から見ましても、慎重に再検討をすべき時期が来ておるのではないかというふうに私も考えるのでございます。将来の問題といたしましては、この検討についても慎重にやっていきたいと考えております。
  129. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 いま一つの問題でございますが、これは直接奥野さんの方の関係というよりも、むしろ関連する地方財政の問題になってくるのだと思います。従って、あなたからのお答えだけでは解決のつかない問題じゃないかと思いますが、いずれあと小林部長等がおいでになった場合に、またお聞きしなければいけないと思いますが、とりあえず、一つあなたからも考え方を聞き、なお自治庁長官もおられますから、これに対する考え方をお聞きしていきたいと思います。それは、現在のいわゆる赤字団体、特に再建団体におきますところの増税の問題でございます。これは今から私、再建団体の財政計画そのものについてどうのこうのということを申し上げるつもりはございませんけれども、一応ある一定の期間において増税をしなければならないように組まれた財政計画のもとに、運営に入っておる所がたくさんあるわけなんでございますが、この問題は、地方団体も赤字だから、住民も当然ある程度の増税は覚悟しなければいけないのじゃないかという考え方も、もちろんあると思いますが、しかし、私は今の地方の財政の赤字の問題の解決のために、こういう形で住民にしわ寄せすべきじゃないというふうに考えておるわけなんです。従って、将来もあくまでも現在立てられましたそういう増税という一つの柱をもって、将来の財政の再建に当るという、そういう考え方をとっていかれるのか、あるいは当然近いうちにこれを何とか考えなければいけないというふうにお考えになっておられるのか、この点を一つ、まず最初にお聞きしたいと思うのです。
  130. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 再建計画を立ててみましても、再建計画の基礎になっております財政収入なり財政支出なりが変って参りますれば、その内容は当然改訂されてしかるべきものだと思っております。
  131. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 今のお尋ねの御趣旨でございますが、赤字再建の指定を受けた再建計画中の団体の場合に、一応、何年かの計画で、お説の通り何年度はこの程度、何年度はこの程度と増税の分がくっついた所もございます。そういう増税による収入を見越して再建計画が立っておるときに、相当の増収が考えられるようなことも迫っておることでもありますし、また、再建計画というものがいろいろ大きく変更されることはいかがかと考えるわけでございますけれども、まあ再建団体といえとも、増税によって再建団体の収支を償っていこうという考え方は、普通一般の考え方とは違って、やむを得ざるにいでたる措置、こう判断をしておりますので、この法定外普通税のような場合と同様に、やはりこの問題も将来の問題ではございますけれども、漸次税収の状況がよくなっていくに伴いまして、この問題についても検討を加え、従って今、部長が御答弁を申し上げましたように、その検討を加えたる方針の限度においては、収支の関係で狂いが生ずる場合においては、これに対しては変更計画の承認を与えるという方向に持っていかなければなるまいと存じます。
  132. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 まあやむを得ない措置としてとられたということですが、それはその通りでございましょう。ただ、私、考え方としてはやむを得ざる措置という考え方でございますが、赤字の全部の責任が地方自治団体にあるというのであれば、これは私はそういうことはやむを得ざる措置だと思うのです。しかし、赤字の要因で、私はまあほかの機会にも指摘しましたが、国で当然しょわなければいけない責任というものを持っておると思うのです。これを、お前の方で赤字を出したのはけしからぬという今の格好の再建計画というものは、もちろん国でも再建債についての利子補給は多少いたしておりますけれどもあとは全部その地方団体あるいは住民に責任を負わしたような格好で、この再建計画というものは作られておると私は思うのですね。今私は、さっき申しましたように、根本的な問題についてここで触れようとは思いませんけれども、そういう観点からいたしまして、増税ということは私はとるべき方策ではなかったと、こういうふうに考えるわけです。大体一割程度の、あるいはそれ以上の増税を大体させられておると、こういう格好なんです。しかも、その一割程度の内訳を見ますと、やはり住民税であるとかそういうことに相当のウエートが置かれておるわけなんです。こういう点が私は問題だと思うのです。ですからこの問題は、さっきも申しましたように、ただ単に税率をいじるとか何とかという問題でなしに、地方財政全般の問題でございますので、もっとあと地方財政計画の場合に私いろいろお尋ねしたいと思いますが、やはりこれは早急に、将来というのでなしに、早急に私はこれは考え直して、財政計画の一つの変更というものをここに持ってこなければいけないんじゃないかと……。まあ幸い地方税の伸びがあるというような見通しの年でもありますし、また、それ以上の国税の伸びというようなことも考えられておる現在でございますから、これは一本としてやらないと、税の負担の上からいっても、非常な不公平なそういうことをもうすでにやっておるのでございますから、ぜひ改訂をしてやるべき段階にきておる、こういうふうに思うのですが、重ねて一つ長官考えのあるところをお答え願いたいと思います。
  133. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) お説の通りであると存じますので、国税三税の増収に伴うて入って参ります増収と、それから地方税それ自体において生ずると期待をしております増収等の状況をよく勘案いたしました上で、押えるべき点は押えていかなければならぬ、そういう意味においての変更計画は、将来においての問題という言葉を使ったわけでございますが、あまり遠からざる将来において、この問題は検討することが妥当であるというふうに私は考えるのでございます。
  134. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 奥野さん、あれですか、再建団体で、増税をもって再建計画を立てておる所、府県の分とそれから市町村分、これは分けたのございますか。
  135. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 再建団体のうちで、府県の中で超過課税をやっておりますのは五県であります。市町村の中で再建団体とそうでないのと分けたのはございませんので、ちょっとそういう意味での分離は今のところ申し上げられません。府県では、秋田県、山形県、佐賀県、長崎県、鹿児島県であります。
  136. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 長官から今お話がございましたから、これはやっぱり早急に検討なさいまして、正常とは言えないにしても、単にこういう格好によっての財政再建というものは、これは避けるべきであると思いますので、一つ善処方をお願いします。  そこで、先ほどから長官のおらない間から、今の問題、それから法定外の普通税の問題、あるいは現在の地方税におきますところの、まあ税の偏在するような市町村税の問題について、私お尋ねをしたわけですが、こういうものを一貫して考えまして、地方税のあり方というものを一つ検討願わなければいけないというふうに私は思うわけでございますが、いつかこの前、奥野さんが、しばらく税法のことについてはあといじらないつもりだ、手を触れないつもりだというような意味のことを、ちょっとおっしゃいましたように私は記憶しているんですが、間違えていれば取り消しますけれども、そういうふうなことを記憶しておりますが、そうでなしに、やはり税率とか何とかのことは、いろいろ私はあると思うのですが、根本的なこういうふうな問題を一つ検討していただく必要があるというふうに思うわけですが、先ほど政務次官からもいろいろ御答弁がございましたが、最終的に一つ長官から、今の問題についての考え方を承わりたいと思います。
  137. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 前半の御質問の点は、私が不在中でございましたが、今重ねて伺いますと、今仰せのような点につきましては、早急に地方税全体というものと、また赤字再建中の団体の再建計画全体というような点もよくにらみ合せまして、慎重にかつ早急に考究をしていきたいと思います。
  138. 占部秀男

    ○占部秀男君 先ほど固定資産税の問題について、今度の減税がどういう方向に流れるかということについての計数的な質問をしたわけですが、奥野さんからお答えがありましたが、その内容をざっと見るというと、漁船その他の関係へいく方が一億三千万円程度あるけれども、その他の点については海運関係の外航あるいは沿岸、そうしたところが大部分である。かように見られるわけでありますが、そうすると、今度のこの減税というものが、相当海運各会社を潤おしておるということを考えるわけでありますけれども、どういうわけでかような外航船舶に対する課税標準を半分に引き下げたか。こういう点についてお伺いいたしたいと思います。大臣でもけっこうであります。
  139. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一応、私から事務的なお答えをさせていただきます。  船舶に対しまする固定資産税は、国によって制度が非常に違っておるわけであります。国際競争を行いますようなものにつきましては、他の国々の租税負担よりも日本が特に重い租税負担を課しておることになりますと、それだけで国際競争に負けていくということになりますので、現行制度のもとにおきましても、外航船舶及び国際路線に就航する航空機につきましては、軽減措置をとっているわけでございます。しかしながら、全然固定資産税を課していない国の場合と比べますと、軽減措置はとっておりましても、なおかなり重いわけであります。そういうことから考えますと、もっと軽減した方がよろしいわけでありまして、またそういう議論も従来からあったわけでありますけれども関係の市町村の税収入が滅って参ることでもありますので、なかなかそういう改正もできなかったわけであります。  幸いにして今回トン税の税率を引き上げるという問題が起りましたので、この一部を譲与してもらって、固定資産税収入の減額した穴埋めに使っていく、そういうことが可能になりましたので、自然また、外航船舶に対しまする固定資産税のもう一段の軽減措置がとれるようになったわけであります。これとの関連におきまして、均衡上内航船舶の負担も若干引き下げたい、そうすれば、同時に漁船の負担も軽減できると、こういうことで今回の改正案を立案いたしたわけであります。
  140. 占部秀男

    ○占部秀男君 内航船舶の問題について、外航船舶との均衡をとるために、というお話しなんですが、均衡をとるということは、一体どういうふうな考え方でございますか、その点一つ
  141. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 外航船舶といいましても、全く外航ばかりに従事しているものじゃございませんで、中にはやはり国内の沿岸航路に半分は従事している、半分はまた国外に出ている、こういうものもあるわけでございます。やはり国際競争のことを考えて参りますと、半分は沿岸航路に従事しているものでありましても、固定資産税の上におきましては他の外航船舶と同じような扱いをしないといけないんじゃないかと、かように考えるわけであります。そうしますと、外航船舶であり、同時に内航船舶である、そういうものがかなりの負担の軽減を受けていく。そうしますと、内航ばかりに従事しております船舶との間におきましても、あまり大きな差の生じますことは適当じゃございませんので、内航船舶の固定資産税の負担も軽減措置を講ずる必要があるということになって参ったわけであります。
  142. 占部秀男

    ○占部秀男君 この問題について、ちょうど一カ月ぐらい前でしたか、だいぶ株式の市場においては船会社その他の株が上っておるというふうな現象が、この問題についてじゃないんですけれども、あの当時あったわけです。相当海運界はもうかっているんじゃないかと思うんですが、そのようなときに、これはまあ政府の方としては、競争にたえるためというような趣旨で下げられたというのですが、下げるところの税金の税源というものは、これはみんなわれわれのふところから出ておる金なんでありまして、どうも何だか、破産するとか何とかというような場合ですと、われわれとしてもぴんとくるんですが、もうかっているときに、こういうような金を出すというような印象を受けて、何かどうも神武以来の景気だというところに、いやだいやだというのに、もっと税金を安くしてもうけさしてやるというような感じが、われわれとしてはするんですが、そういうような点については、税を変更する場合は、そういういろいろな点についてのファクトも考慮しながらやられると思うのですが、そういう点については何にも考えはしなかったわけですか。
  143. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) お言葉でございますが、これは実際のいきさつを申し上げますと、今の部長の御説明によりますと、これを引き下げて減収を生ずると、そこで特別トン税については一部を譲与をいただくことにして、特別トン譲与税を考えたというふうに聞えましたが、むしろこの話は逆のことになりますので、ありのままに申し上げますと、いきさつ上は、特別トン税を引き上げて、そのうちの一部について特別トン譲与をしていただくということになった。その財源が地方財政計画にも出ておりますように、たしかちょうど五億になっております。そこで、そういう五億の増収が船舶について生ずるわけでございますので、もうそれならば外航船舶の固定資産税はやめてしまえ、これはだいぶ保守党と——こう申し上げるとなんですが、党内じゃいいじゃないかというお話があったんですが、漸次計算をさしてみますと、それは大へんなことで、十億をこえるような減収になる。ですから特別トン譲与税でいただくそういう増収に見合う限度において、これを減税するほか道がなかろうというので、三分の一を六分の一と、こう半減したわけであります。これによって失います税額が大体五億二千万内外、大体見合うわけで、そういうことでありまして、まあ景気のいいのに、たのまれもせぬのに、別に半減せぬでもよかったんではないかと、確かにこの面だけではそうお考えいただいても無理はないのでありまするけれども、そういう事情でこれを半減したというようなわけでございます。
  144. 加瀬完

    ○加瀬完君 私どもが伺っておるのは、自治庁としては船舶税というのを下げるというお考えは初めはなかった。特別トン譲与税によって五億ないし六億の増収というものを見込んでおった。ところが特別トン譲与税というものが五億八千六百万円ですか、一応こういう数字が出て参りますと、いろいろ運動が激しくなりまして、結局船舶税の方にはね返ってきて、船舶税の引き下げをするという形になった。本邦籍の外航船舶では船舶税は五億二千五百万円減税になる。それから本邦籍の内航船舶は三億五千七百万円減税になる。これは自治庁資料で、特別トン譲与税は五億八千六百万円、差引すると地方の受取勘定は二億九千六百万円少くなる、とんとんじゃない。二億九千六百万、三億前後少くなる。これは他のところで私は質問をしようと思うんですが、今度の税制改革の性格というものを非常にあいまいにしていると思う。一方においては税を強く取り立てているところがある。ところがこういう大資本などを対象とする税というものを、こういう二億九千六百万円も現実において地方が損をしながらも減税をしておる。筋が通らないと思う、また、自治庁の初めの計画も、おそらく特別トン譲与税を取っても船舶税でマイナスになってもよろしいという考えで始めたのではないというふうに聞いておる。一体二億九千六百万、三億近い金が関係の市町村にはいかない……関係の町村はないでしょうけれども、団体では非常にこの特別トン譲与税というものに反対をしている。これが現状だと思う。それにもかかわらずこういう方法をおとりになったというのは、どういうことなんですか。
  145. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 今のお説でございますが、内航船舶の場合も、大体船舶全体として考えますと、今仰せの通りの数字になって減収が生ずるわけでございます。しかし、課税上の一つの対策的な見地から申しますと、内航船舶と外航船舶とを一応区別をしておる。外航船舶に対するものはあまりこれが負担が重くなりますと、やはり開港所在地に入港して参りますことに関連して、貿易にも影響するということがございまして、なかなかこの点はやかましいものでもありますので、特別トン譲与税ができたならば、もうこの外航船舶の固定資産税はゼロにしてもいいじゃないか、制度はやめていいじゃないかという議論が強くあったわけでございますが、計算をしてみると五億以上の減収になるということで、これを半減してみるというと、ちょうど、まあ雑駁に申しますと、とんとんになる。それは外航船舶だけを押えての考え方でございますが、内航船舶は考え方を別個にしておるというわけでございます。
  146. 加瀬完

    ○加瀬完君 内航船舶でも三億五千七百万今度減税になっているじゃありませんか。これはどうしたのです。
  147. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今、大臣がお話になりましたように、外航船舶と内航船舶とは、課税上異なっておるわけであります。外航船舶につきましては、先ほども申し上げましたように、固定資産税というものが、国によってあったりなかったりでございます。そういうことから、数年来外航船舶についての固定資産税はやめてもらいたいというような意向が強く表明されておりました。他面、トン税の方は、外国船舶でありましょうと、日本船舶でありましょうと、開港に入港してきます場合には課するわけでありますし、しかもそのトン税は、世界各国の税率から見て参りますと、非常に低いわけであります。そういう意味では、トン税を上げてもらって、日本船舶も外国船舶も同じ負担をしていく、そのかわり日本船舶だけの負担しておる固定資産税はやめてもらいたい、こういう考え方があったわけであります。今回固定資産税を全廃するのじゃなく、軽減をして、トン税を引き上げる。その引き上げたトン税でもって、外航船舶の固定資産税の軽減の結果起る減収の穴埋めをするということになっておるわけであります。内航船舶につきましては、別にトン税というような問題がございませんので、これは他の税の場合の軽減と同じような姿になっておるわけであります。内航船舶の収入が相当な分量を占めておりました市町村としては、財政上相当な打撃だと考えております。それは、他の税を軽減した場合に市町村が打撃を受けます場合と同じように、必要に応じて緩和の財政措置は工夫して参らなければならないというふうに考えておるわけであります。
  148. 加瀬完

    ○加瀬完君 本邦籍の外航船舶の固定資産税を減税して——減税してというよりも、特別トン譲与税ができたので、これを減税しても大体つり合いが取れるからということで、そういう措置をしたと、こういう御説明で、それはその通りだと思う。ところがそれに加えて、本邦籍の内航船舶の固定資産税の引きおろしの運動が激しく起ってきて、これは自治庁は初め予期しておらなかったのだけれども、三億五千七百万というものを減税せざるを得なくなったというのがほんとうじゃないでしょうか。初めからこれは内航船舶も減税しようという予定でしたか。
  149. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはやはり加瀬委員質問とあわせて……。私は造船利子の補給の打ち切りがやっぱりはね返ってきて、地方税がある意味で、そういう面でしわが寄っているという面も含んでいるのじゃないですか。
  150. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方制度調査会なり、あるいは臨時税制調査会なりにおいて、いろいろ議論しておりまする過程におきましては、一応先ほど私が申し上げましたように、外航船舶についての固定資産税を全免することが可能であるかどうかということは、話題に上ったことはございます。話題にはなりましたが、答申案に織り込むまでの議論はいたしておりません。従いまして、その当時自治庁の事務当局としては考えておりませんでした。しかしその後、だんだんと政府案を作成します過程におきまして、外国船舶と日本船舶との間における負担の均衡化ということが、これが議論になって参りました。その結果、トン税を引き上げて固定資産税を軽減すれば、そういう意味において均衡化が得られるわけでありまして、日本船舶にだけ不当に、というと適当ではございませんが、特に外国船舶よりも重い負担をしょって競争するというこの不合理はやめた方がいいのじゃないか、トン税を上げますと、外国船舶も日本船舶と同じように負担はふえるわけであります。反面、固定資産税は軽減する、プラスマイナスしまして、外航船舶は一億四千四百万円の軽減になっております。固定資産税は五億二千五百万円の軽減でありますが、トン税と特別トン税で三億八千百万円の負担の増加になっております。差引一億四千四百万円の軽減であります。しかし外国船舶の方は、トン税と特別トン税がふえただけ負担が増加しているわけであります。そういう事情に基くものでありまして、特におっしゃっています利子補給の問題は、この間におきまして、話題に上ったごともございません。  なお、内航船舶につきましては、漁船の負担につきまして、従来から大へん議論のあったところでございます。ことに固定資産税を作りました際に、漁船等の問題もございますので、船舶税というものを従前通り独立さして、そうして負担を軽減する道はないものだろうかと、こういう問題もございまして、そういう問題が依然として残っておったのを、今回外航船舶につきましての固定資産税を軽減するものですから、それとの権衡上、一そう内航船舶の負担を軽減すべきだという議論が強くなって参りましたので、この問題の改正を行うことにいたしたわけであります。
  151. 加瀬完

    ○加瀬完君 もう一つ。固定資産税で五億二千五百万減になって、特別トン税で二億九千三百万取られることになったのでしょう。五億二千五百万と二億九千三百万ですから、まだ外航船舶の側は、はるかに得をしているということになるのじゃないか。
  152. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) トン税の増で……。
  153. 加瀬完

    ○加瀬完君 トン税は八千八百万でしょう。八千八百万と二億九千三百万を足しても五億二千五百万にはならない。結局得してるじゃないですか。あとの分は外国の船舶に肩がわりをさした、こういうことになるでしょう。結局船会社が非常に有利になっている。地方はトータルにおいて三億近く来年度減ったと、こういう形になるのであります。こういうことで、地方の財源が三億でも幾らでも減ることを、さっき鈴木委員からも質問がありましたが、万という単位にならない税金まで取っている地方団体が、三億の財源というものをみすみす減らすということを、自治庁みずから認めていく、こういう考え方がおかしい。どうも奥野さんがいつもおっしゃっていることと筋が違う、こう思うのですよ。
  154. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 外航船舶とトン税との関連においての措置でありまして、御承知のように国内の外航船舶の所有者の負担は、一億四千四百万円の軽減、地方団体六千百万の増収、国庫に一億七千六百万の増収ということになっているわけであります。ただ、外国船舶だけに単純に負担が増加しているわけであります。この問題は内航船舶の問題とは全然別個の問題であります。地方税におきましても、住民税、事業税等におきまして大幅な減税等もやっているわけであります。同時に内航船舶につきましても、三億数千万の減税をやっているわけであります。それにつきましても、別途また増収の得られるような財政措置もあるわけであります。地方財政全体との関連において措置されているということを御了承願いたいと思うのであります。トン税でありますと、外国貿易船が開港に入ってきているときに、これに課税をするわけであります。内航船舶は、トン税とは全然関係がございませんので、他の税の軽減措置と同じように考えていただいていい問題ではなかろうか、かように考えているわけであります。もとよりトン税の収入をもっと地方に回したらいいじゃないか、こういう考え方もあろうかと思いますけれども、トン税でもらうことがいいのか、あるいは地方交付税その他の財政措置の方がいいのかということも、また同時に検討されなければならないというふうに存じているわけであります。
  155. 加瀬完

    ○加瀬完君 あとでまた伺います。
  156. 占部秀男

    ○占部秀男君 引き続いてなんですが、今は内航船舶の問題について、漁船その他の減税といいますか、それをやかましく言われておったのだというお話だったのですが、三億五千六百万円の中で漁船の減税が占めるものは一億三千万円、そうすると二億ちょっと、その場合の額というものは、沿岸航路の方の減税になっておる、かように了承してよろしゅうございますか。
  157. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 沿岸航路のみならず曳船その他輸送船、本船から石炭を積んできたり、いろんなものがあるわけでございまして、全く漁業に従事しております純然たる漁船の登録を受けておりますものだけが一億三千三百万円と、こう考えておるわけであります。その他の船は、別に大型というわけではございませんが、小さい船がたくさんあるわけであります。
  158. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、漁船の問題が非常に問題になっていたときに、大型でない船も相当あるでしょうが、船の今の構成から見て、海運界の構成から見て、やはり幾ら小さな船だといっても、独立して船を持ち、船をやっておるというのはほとんどこれはもう少いのであります。何といっても会社組織で経営されておるのが大部分であるとわれわれは見ていいと思うのです。その漁船関係の問題については三億五千六百万円のうちの三分の一の減税、三分の一の金額の減税である。あとの三分の二の問題については、別に問題が起っていないのを、何か均衡上ここのところで減税したというような私は印象を受けるのですが、どうもその点がはっきり割り切れないのですけれども
  159. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一応私からお答えさしていただきます。  昭和二十五年に固定資産税制度ができましたときに、船舶税というものを固定資産税から独立して設けて、そして低い税率を適用していきたいという考え方は、漁船だけじゃございませんで、やはり外国との競争の問題もあったわけでございますし、船舶に対する負担をできるだけ軽減して海運の発展に資していきたいというような考え方もあったわけでございます。漁船についてだけ起っておったわけではございませんで、船舶全体について当時から起っておった問題でございます。ただ、私たち地方税制に関係しますものから考えますと、特例措置を設けることはできるだけ避けたいと思っております。これはその通りでございます。しかしながら、別に国の大きな経済政策というものも考えていかなければなりませんし、その見地地方税制に加える結果、均衡問題が起ってきて、他についても若干の特例措置を設けなければならないという事態もやむを得ないと思います。船舶の固定資産税の軽減問題については、そういう見地からお考えいただきたいと思います。
  160. 占部秀男

    ○占部秀男君 今の問題で、外航船舶の問題については、今言ったように譲与税の関連もあるのですが、この内航船舶の問題については、他の制度の見合いといいますか、関連のもとに、減収なら減収の問題は、いわば地方財政全体としては、穴埋めされておるような形になるということを奥野さんおっしゃったと思うのですが、私はそういうふうな考え方にはどうも納得できない点があるのです。というのは、今言ったように漁船の問題などやかましくかりにあったと、そこで、外航船舶の問題と一緒に問題を処理したという点については、われわれわかると思うのですが、内航船舶の他の問題については、必ずしも今すぐにやらなければならないというような火のついたような問題ではなかったと私は考えておるのであります。ところで、地方財政の方は、一方を見れば、御承知のようにこういうような非常に幾らでも一億でも二億でもほしいというような時期で、しかも政府側から言わせればそうではないでしょうけれども、われわれから言わせれば、相当政府の財源措置をすべき問題まで実は財源措置がされていないというような部面も出ておって、そうして地方財政全体としては、いわゆる政府の財源措置の分までも自然増でもって、何というか、政府の肩がわりを食っておる、というような言い方は少しあくどいかもしれませんが、ような印象をわれわれは持っておるこの際に、こういうような形の減税というものは、これは地方財政全体の上から見ても、私はすべきでないというふうに感じるわけなんですが、これは水かけ論になりますから、この程度でやめておきますけれども、相当この問題は誤解を招く問題になってくるのではないかというふうに、率直に言えば考えるわけであって、どうも奥野さんの今言われたことでは納得ができないのでありますけれども、それは今後続けても同じ答弁しか得られないと思うので、この辺で一つ私としては打ち切っておきたいと思います。
  161. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 外航船舶なんかの固定資産税、この種の、外国との国際競争等を考えて、それと足をそろえるというようなことは了承できるのですが、そういうことは、単にそういう固定資産や大規模な生産だけでなしに、私は人の部面でも、物やただそういう生産だけを限定して国際的な競争力等を考えて足をそろえるというような考えは、やはりこれは個人の負担にしたって、それは必ず生産のコストに響くことだし、私はもっと広くそういう考えをとられることもけっこうだが、それを物やただ人のそういう生産だけに限定せずに、やはり広範な関連で取り上げられてもらわぬと、そういうことが結局住民税や大衆課税の方にはね返ってくると思うのですがね、それはどうでしょう。
  162. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) あるいはお話を誤解しておるかもしれませんが、私たちも租税制度の上で特例的な措置はできるだけ避けるべきだということを基本として考えておるわけであります。ただ、国際関係の部分につきまして、国がいろいろな政策的な配慮を必要とする場合が多いと思います。国の政策的な配慮を、それを直ちに地方税制にしわ寄せしていくことも、これも避けるべきだと思っております。しかしながら、国際競争に関係のありますものについて、直接それでは地方税に対して国の方で別途に補助金を出して参る、こういうことになりますると、一そう国際関係を複雑にするのではないかと、こういうふうに思うわけでございまして、そういう意味合いからいたしまして、外航船舶についてとっております国の施策というものは、必要全くやむを得ない例外的な地方税制上の措置だと、こう思っておるわけであります。従いまして、こういうような考え方を今後もどんどん他の部面について広く広げていくというようなことも考えてもおりませんし、将来とも最小限度にとどめる努力はしていかなければならないと考えております。
  163. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今の特別トン譲与税をその開港の所在市町村に与えるわけですね。このことと、港湾の管理者へ与えるということ、これは今市町村の財政がどうとか、府県の財政がどうとかということでなしに、その還元みたいな一つの方法だと思うのですが、どっちがいいものか、私もちっと今いろいろ考えてみておりますけれども考えてみますと、所在の市町村に与えるということよりも、むしろ港湾の管理者へやって、港湾のそれこそ維持管理のためにプラスさせるようにする。これは必ずしも所在の市町村と管理者と同じでないのですから、それとどっちが建前上いいものかというような点を、ちょっと考えてみたりしております。これは私も今言った通り自分自身のはっきりした考え方は持てないでおるのですが、それはいかがでございましょう。参考のために一つ
  164. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 特別トン譲与税の総額が五億八千六千百万円であります。もし港湾の管理者に交付していくということになりますと、この金が港湾関係目的財源になっていくということでございます。現に地方団体が使っております港湾管理費のごく一部にしか当らないわけであります。そういうことから考えまして、かりに目的税にした場合に、どれだけの実益があるかということになりますと、別に特にそれによって好ましい結果が生まれてくるということにはならないと思います。もともと港湾管理に要します経費というものは、所属の地方団体が負担をしていることでございますから、港務局を設けましても、やはり地方団体の分担金でまかなっていくのでございますので、地方団体が港湾の維持管理に要する経費を、一般にその財源から注入しているわけであります。このわずか一部だけを、その関連から切り離しまして、直接管理者の方に持っていって目的税にしてしまいますと、地方団体が全体の港湾の維持管理に要する経費を負担してまかなう責務を持っているという任務との関連からいって、むしろ円滑を欠くおそれがあるのじゃないだろうかという感じすらあるわけであります。ことに今回の特別トン譲与税の制度が、一般財源であります固定資産の減少の穴埋めでございますので、その意味からも、やはり一般財源の形で与えた方がよろしいのではなかろうか、こう考えております。
  165. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 さっきも申し上げたように、自分自身ではっきりしたものはないのですが、ただ、今の、ことに固定資産税の穴埋めという考え方だと思いますが、しかし、それだけでこういう性質の金を考えていいかどうかということだけなんです。そういう意味から、むしろ管理者の方へやった方がいいのじゃないかという私の一つの単なる思いつきで、先ほど申し上げたように確たる考え方ではございませんが、そういう考えをしてみたわけなんです。ただ、今のお話の所在の市町村で港湾の維持管理のための費用を負担するのだ、こういうお話、それは確かにあります。同時に大きな府県において、管理者が知事の場合がありますから、府県においてそれ以上の負担をしているという場合もあるわけです。ですから、ただ単に負担ということだけでやるということでなしに考えていけば、むしろ大きな責任を持っている所へいくことも一つ考え方じゃないかということなんです。そこで、繰り返しますけれども、固定資産税そのもの考えていった場合に、減ったための穴埋めだ、こういうことだとすれば、それで私はいいと思うのですが、ただ、船舶と港湾との関係あるいは港湾と港湾管理者の関係、そういうものからいって、こういうものを今の観念にとらわれないで、どういうふうな与え方、立て方にしたらいいかということとを考えた場合に、そういうふうに思ったものですから。これは単なる私の参考のためにお聞きしたのですから……。
  166. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本日は、この程度で散会いたします。    午後四時四十五分散会