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1957-04-02 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            加瀬  完君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            小林 武治君            小柳 牧衞君            鈴木 万平君            館  哲二君            占部 秀男君            久保  等君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            成瀬 幡治君            岸  良一君            森 八三一君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁行政部公    務員課長    角田禮次郎君   —————————————地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方公務員人員整理に関する  件) ○農業事業税設定反対に関する請願  (第一五六号)(第四六三号(第一  五九〇号) ○農業事業税創設反対等に関する請願  (第一五二四号) ○公衆浴場業に対する事業税軽減の請  願(第三四四号) ○大工職等事業税軽減に関する請願  (第一三七六号)(第一四三七号)  (第一四九六号)(第一五四〇号) ○地方鉄道軌道業事業税所得課  税とするの請願(第六八六号)(第  七四〇号)(第七四一号)(第七八  二号)(第七八三号)(第七八四  号)(第八八五号)(第九二五号)  (第九二六号)(第九二七号) ○二輪三輪小型及び軽自動車課税の市  町村移譲に関する請願(第六〇〇  号) ○遊興飲食税減免に関する請願(第一  五号)(第三一号)(第四五四号)  (第五二〇号)(第五四三号)(第  六一三号)(第六四七号)(第七四  四号)(第九五六号) ○遊興飲食税引上げ反対に関する請願  (第一一三〇号) ○旅館宿泊料等遊興飲食税軽減に  関する請願(第一四六五号) ○地方税法の一部改正に関する請願  (第六八号)(第一二二号)(第一  二九号)(第一四五号)(第三六四  号)(第四二〇号) ○地方鉄道軌道業固定資産税減免に  関する請願(第六八五号)(第七四  二号)(第七四三号)(第七八五  号)(第七八六号)(第七八七号)  (第八八四号)(第九二二号)(第  九二三号)(第九二四号) ○大規模償却資産税に係る固定資産税  に関する請願(第三五五号) ○製氷冷凍業電気ガス税に関する請  願(第五九号) ○軽油引取税軽減に関する請願(第二  七五号) ○軽油引取税引上げ反対に関する請願  (第六八四号)(第七四五号)(第  七四六号)(第七八八号)(第七八  九号)(第七九〇号)(第八八三  号)(第九一九号)(第九二〇号)  (第九二一号)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  本日は、前回に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案審査を行うわけでございますが、ただいままでに、本法律案に関連のあります請願が六十件付託になっております。よってこの際、法律案審査の参考とする意味におきまして、これら請願審査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めます。  お手元請願一覧表が配付いたしてありますので、この表に従って審査を行なって参ります。  請願第十五号、遊興飲食税減免に関する請願外五十九件を議題に供します。まず、専門員より説明を聴取いたします。
  4. 福永與一郎

    専門員福永與一郎君) お手元に差し上げてございます地方税関係請願六〇件の一覧表を順序によりまして簡単に御説明申し上げます。  まず、最初の百五十六号以下三件は、農業事業税創設に対して反対請願であります。健全な農業経営を阻害するという意味で、本税の創設には反対であるというものであります。  その次の千五百二十四号は、今申し上げました農業事業税創設には反対であるというほか、さらに、市町村民税の第二方式本分に統一せられたきこと。固定資産税免税点大幅引き上げ等をあわせて要望するものでございます。  その次の三百四十四号は、公衆浴場業を第三種事業に移して、これに対する事業税軽減せられたいというものでございます。御承知のように、本件は、今回の改正案にその通りに織り込まれておるものでございます。  その次の千三百七十六号以下四件は、大工左官板金業者に対する事業税軽減を要望するものでございます。すなわち、これらの業者のうち、五十万円以下の低額所得の者に対しては、標準税率を百分の四まで引き下げられたいというのでございます。  その次の六百八十六号以下十件は、地方鉄道軌道業事業税を、現在の外形標準課税から所得課税に改められたいというものでございまして、これも御承知のように、今回の改正案には、その要望の趣旨は取り入れられておるのでございます。  その次の六百号、これは、自動車税は現在府県税となっておるのであるが、市町村自主財源を強化するため、事動車のうち二輪、三輪の小型自動車及び軽自動車税市町村に移譲せられたいという趣旨のものでございます。  その次、十五号以下九件、大衆飲食税に対する遊興飲食税について、免税点を引き上げ、チケット制一品の免税額を二百円に引き上げ、それから税率を千円以上は百分の十、以下は百分の五とせられたいという請願でございます。  その次の千百三十、これは、普通飲食遊興飲食税税率軽減を要望するものでございます。  その次の千四百六十五は、旅館宿泊及びこれに伴う飲食のうち、八百円をこえ千円までのものについて、基礎控除額現行五百円から八百円に引き上げる。なお、宿泊を伴わないものに対する「免税点」を「基礎控除」に改められたいという趣旨のものでございます。  その次の六十八以下六件は、市町村民課税は、前年の課税所得金額基準として賦課することが原則になっておるが、青色申告者は、専従者一人について八万円を控除されるために、一般住民市町村民税との間に不均衡が生じておるので、これを是正されたいというものでございます。  その次の六百八十五以下十件は、地方鉄道軌道の全部の施設固定資産税対象とするのを改めて、これらの事業公益性にかんがみて、直接運輸に使用する施設については、課税対象からはずしてもらいたいというもの  その次は三百五十五号、大規模償却資産に対する固定資産税について、人口三万以上の市町村課税限度額をさらに分類するとか、それから、基準財政需要額に対する割合を高めるとか、工場新設の場合の財源保証割合をさらに拡張するとかいうようなことを要望するものでございます。  その次は五十九、製氷冷凍業公益性にかんがみて、電気ガス税を免税せられたいというものでございます。  その次は二百七十五号、軽油引取税に関するもののうち二百七十五号は、前回の国会の付帯決議趣旨に沿って、本税の軽減をはかっていただきたい。  その次の六百八十四号以下十件は、道路整備一般財源をもってまかのうべき国家の基本的事業であり、自動車に対する課税はこの税だけではないというような理由をもって、軽油引取税の再検討をお願いしたいという趣旨のものでございます。
  5. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、各請願に対する政府意見を聴取いたします。
  6. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) この請願趣旨が今回の改正の中に取り入れられている部分につきましては、省略さしていただきます。  大工等事業税軽減に関する意見につきましては、このような考え方基礎にいたしまして、第一種事業に対しまする事業税税率について、年所得六十二万円以下のものについて六%の軽減税率を適用することにいたしたわけであります。もし、これらの関係事業を第一種事業から抜き出しまして、第三種事業に移すといたしますと、別に大工職だからといって事業税は課していないわけでありまして、請負業に該当する場合にだけ事業税が課されるわけであります。そうしますと、請負業をさらに細分するということになってしまうわけであります。そういうような考え方をとりますと、物品販売業でありましても、露店の商人のような人で、もし事業税が課されておれば、その部分だけは抜き出して、第三種に移すというような問題にもなって参りまして、非常に混乱をしてくるものでありますから、全面的に低額所得者については軽減税率を用いることにして、この種の問題の解決をはかろうとしているわけであります。  自動車税関係で、自動車税のうちの一部を市町村に移譲してもらいたいという意見があるようでございますが、現在、自動車として検査を受けなければならない、従ってまた、陸運事務所自動車としての登録をしなければならない、そういうものは一括して、自動車税として府県段階課税することにしております。ただ、広い意味では自動車の範疇に入るかもしれませんけれども、スクーター、軽自動車のうちで、単に届出さえすればよろしいものがございます。こういうものは、すでに市町村税として織り込んでいるわけでございます。やはり検査でありますとか道路とかいうもので範囲を確定いたしませんと、その間に取扱いの混乱を生ずるのではないだろうかというふうに思っております。  遊興飲食税の問題につきましては、改正趣旨をたびたび申し上げておりますので、御遠慮申し上げます。  住民税の問題で、青色申告者について認められております家内専従者控除を、住民税の場合については採用しないという考え方のようでございます。これにつきましては、青色申告すれば、直ちにこのような形において減税になると、こういうような運用が現在実態だと思います。法の精神は、そうではないと思いますが、そういうようなことから、また、国税当局においても、今までの取扱い方について反省を加えて、適正な運営に努めたいから、直ちに制度的な解決、言いかえれば、国税については青色申告者について家内専従者控除を認めるが、地方税については認めないというようなやり方はしてもらいたくないと、こういう意見があるのであります。制度としては、また認めることは適当でございませんので、なおしばらく国税青色申告者についての課税適正化を待って、さらに考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。  固定資産税につきまして、鉄軌道固定資産税の中で、直接運輸関係のものは課税から除外するということになりますと、一部のものについて特例を認めていく、さらにその範囲が広まっていくということになりまして、適当でないように思うのであります。現在、新設部分につきましては、五年間に負担を三分の一にし、あとの五年間はその負担を三分の二にとどめるというような制度をとっておりますので、特にさらにそれを非課税の方に拡大することは、適当ではないと考えておるわけであります。  電気ガス税の問題につきましては、電気ガス税非課税範囲を設けておりますところの趣旨に沿って、住民関係のものだけを課税からはずすというような改正を今回試みておるわけでございます。
  7. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいま、説明並びに意見を聴取いたしましたが、この請願について、この際質疑がありましたらお願いいたします。……別に御発言がなければ、本件はこの程度にいたします。請願の願意を参酌されまして、法律案審査をお願いいたします。   —————————————
  8. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、地方税法の一部を改正する法律案議題に供します。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 主として遊興飲食税のことについて質問を申し上げたいと思いますが、遊興飲食税昭和二十六年から以降の大体決算並びに税収見込額の報告を見ますと、二十六年に約百十二億、二十七年で百三十一億、二十八年で約百四十二億、二十九年度で百四十億、三十年度の見込みが約百五十一億と、こうなっているんですが、これも決算が大体出ているんじゃないかと思います。これを一つお答え願いたいと思います。  それから、三十一年度は、資料によりますと、三十一年度の見込みが約百六十二億と報告されているのと、百六十六億と報告されているのと、二つあるわけであります。そこで、これはどちらの方のが……。三十二年度は約百六十九億、こういうふうに報告されているんですが、そこでお伺いしたいのは、三十年度はもう決算も出ているんでしょうが、決算はこれだけになっている。三十一年度は、資料に、税収見込みが百六十二億というのと百六十六億と二つあるがどちらか。
  10. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三十年度は決算ありますので、今手元数字を調べまして、あとでお答えさせていただきます。今調べておりますから。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それでは、その数字についてはあと一つ、といっても、間もなく出てくるだろうと思いますから、その資料に基いて、また意見等もまじえて御質問申し上げたいと思います。  次に、数字でお伺いしたい点は、今度、三百円から五百円が現行法で五%なんですが、これは大衆飲食なんですが、これが一〇%になった場合、五%だというとどれだけ収入があるか、一〇%にした場合はどれだけ収入があるか、あるいは旅館の方は、八百円から千円までは、五%にした場合にはどれだけで、これを一〇%にした場合はどれだけになるか。
  12. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先ほどの御質問の、三十年度の決算額は、百五十一億円であります。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 見込みでなく決算で。
  14. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 決算です。それから三十一年度の見込みは、百六十六億円であります。もし旅館につきまして、八百円から千円の間の税率を五%に据え置きました場合は、現在よりもなお二億二千三百万円の減収になるわけであります。なおまた、普通飲食につきまして、三百円から五百円の間の税率を据え置きました場合には、六億余りでありますが、ちょっと今、この数字も正確なところをあとで申し上げます。六億と七億の間であります。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の質問しているのは、もう一度明確に申し上げますが、大衆飲食の方で、三百円から五百円までを現行にしておくと、本年度幾らになるか、これを一〇%にした場合には幾らになるか。どれだけふえるか減るかということでなくて、額で一つお示し願いたい。旅館の方も同じ、八百円一から千円を五%にした場合は幾ら、これを一〇%にした場合は幾ら、そういうふうに一つ、額をお示し願いたいと思います。芸者花代のことですが、これは、なぜ現行法を半分にしたかという理由を聞きますと、類似行為をやる人が非常に多くて、芸者そのものが、何か戦前八万だか九万だかあったものが、現在二万数千名に減ってしまった。だから、類似行為とのバランスをとる、あるいはカフェーとかバーというようなところが百分の十五になっておるから、そちらの方との関係で一五%にするんだ、こういうような御説明があったわけですが、そうしますと、現行の百分の三十を百分の十五にした場合に、芸者その他これに類似する者の花代と、こうなっておるわけですが、これは前の法律にもこう書いてございますが、それでは一体、芸能学校とかなんとかいうようなことで、料理店にあげて、芸者と同じようなことをやっているわけですが、そういう人に対して徴税することが可能であるかどうか。いわゆる百分の三十を百分の十五にして、そういう人から税を取ることができるかできないか、税の伸びは、これによってどのくらいになるか、あるいは伸びずに減るのか、一体税はどのくらいになるかという点と、その今いう類似行為をやっている人に対して、どうやって徴収しようとするのか、その二点をお伺いしたいと思います。
  16. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在類似のものにつきましては、立てかえ金等格好で支払われているものがずいぶん多いように見受けられるのでありまして、こういうものの面が客の現実消費金額として的確に把握されてくるようになるんじゃないだろうかというふうに存じております。  その理由一つは、領収書を受け取ります場合に、花代として記録されることを、領収書を受け取る側できらって参ります。その結果、両方相談づくで、正規の消費金額から落してしまう、こういう点が一つございます。  もう一つはまた、貸席の接待と申しますか、芸者の看板をはずしまして、単に手伝いのような格好でやっておりますものにつきまして、一種のチップのような格好料金が支払われていく。それが立てかえ金のような格好で経理されてしまうものでありますから、課税標準からはずれていってしまうわけであります。こういうものが、私たちとしては、捕捉されることになるんじゃなかろうか、こう思っておるわけでございまして、こういうようなところから、他の一般の業態におきましても、とかく乱に流れておりますその種のサービス料といいますか、そういうものを適正に把握していくことが可能になって参る、かように考えているわけであります。  それからなお、先ほどの質問に対しまする答えがおくれて、恐縮でありましたが、飲食店におきまして、三百円から五百円までの間の税率を五%から一〇%に高めますことによって、六億四千三百万円の増収になるわけであります。逆に、税率を据え置きました場合には、六億四千三百万円の減収になるわけであります。旅館につきましては、先ほど申し上げましたように、五%を一〇%に高めることによります増収が二億二千三百万円であり、逆に、据え置くことによる減収が二億二千三百万円ということになるわけでございます。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 芸者花代はどうなんですか。
  18. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 芸者花代は、さしあたりの減収が二億八千六百万円と考えておるわけでありますので、もし据え置きました場合には、この減収がなくなるというように考えております。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 芸者類似行為を行う人たちですね、いわゆる芸能教室であるとか、あるいは芸能学校だといって、東京で、少し蔵前の方へ行って、いろいろ実情をちょっと見て参りましたときに、そういうことを盛大にやっておる人がおるのですが、そういう人たちは、無登録で実はやっておるわけです。そういう人たちに対して、芸者の方は、何か昔の検番みたいなところが税を集めて、そうして納税をしているようでありますが、そういう人たちは無登録でおるのですが、そういう人たちに対して税をかけようとするのか、それとも今言ったように、料亭等で税を取ってくれるんだ、だからそれで税が集まってくるんだ、こういう考えなのか、その辺、御答弁願いたい。
  20. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 料亭が客から料金を受け取ります際に、今おっしゃいます人たちに払うべきサービス料というようなものが全部含まれておると思うのであります。それですから、全体の消費金額基礎にいたしまして、客から料亭において遊興飲食税として徴収してもらう。それをそのまま府県に納入してもらうというように考えておるわけであります。従業者個々の人をとらえまして税を取るのではなくて、その場所遊興飲食行為について支払われます料金全体を基礎にして、その場所経営者に客から税を取ってもらうと、こういうことになるわけであります。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 実際出さないから問題であって、そういう人たち遊興飲食申請をしなくちゃならない私は義務があるだろうと思うのでありますが、その条文を今探してみたのですが、ちょっと見つからないのですが、そういうことはないのですか。そういう人たちは、そういうところが特別徴収者にならなければ、実際料亭では、ああいう人たちから税を取ることは、今まで取らなかったのですから、不可能ではないかと思うのです。現行法では、ああいうところを特別徴収者に指定すると申しますか、ああいう人たち申請をすべき義務というものが出てくるか出てこないか、どうなんでしょう。
  22. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今御指摘になりましたような人は、法律の上では、別に申請義務は生じてこないと思います。客から料金をもらいます場合に、税金を一緒にもらっておく方が都合がいいわけであります。そういう便利を有するものを特別徴収者として府県の方で指定をすることになっております。客から料金をもらいますものを特別徴収義務者として指定するわけでありますから、従って、料亭特別徴収義務者になっておるわけであります。ただ、地方によりましては、料亭検番芸者等関係がいろいろ複雑な問題がございまして、若干芸者自身特別徴収義務者になっておるところがございます。これは、全体から見ますと一部でございますけれども、そういう地域もございます。そういう場合には、建前は、芸者が直接客から料金をもらっておるという建前になっておると思うのであります。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、料亭が大体そういうものを取ってくれるのだと、また特別徴収としてやらなくちゃならぬと、料亭がもし取らないとすると、それに対して、何か現行法では罰則がついておるかと思いますが、だから、建前としてはあくまで料亭特別徴収者になるのだと、そういう義務があるのだと、だから取ってくれると、それを期待して、そうして取ってくれるのだというふうに大体お考えになりておるわけですね。そうすると、芸者の今までの三十を十五にした場合に、そう行って遊ぶ人がふえるわけではないだろう。だから、単に二分の一になったから二分の一に落ちたのだという計算基礎なのか、そういうような料亭人たちが、十五になれば安くなるのだから、大体進んで納税をしてくれるだろうと、そういうものを期待して、何か調整と申しますか、そういうようなことをして、大ざっぱな見込みとして二億八千万の減になると、こう数字がなっておるのか、この二億八千万を算定された基準と申しますか、どういう格好で算定されておるか、御説明願いたい。
  24. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一つは、芸者に類するもの、こういうものについての把握が、芸者であっても、そうでありませんでも、税率が同じになって参りますから、逃げる努力をすることが意味がなくなるわけでありまして、そういう意味で、その辺の面が課税対象に把握されてくるであろうというふうに存じておるわけであります。  もう一面は、現在料亭等におきまして立てかえられておる不明瞭な部分が、現実に、税率も同じになって参りますので、ことさらにそういう無理なことをしなくても済むようになってくる。ことに花代という金額が必要でなくなりますと、名義が必要でなくなりますと、公給領収書を採用いたしましても、それがそのまま料金額の中へ入れていけるわけであります。そういう意味から、立てかえ経理されているものが表へ出てくるだろう。  こういうような両面から見ているわけでありまして、前者に類するものがどの程度把握されてくるか、二十八年におきまする芸者に類するものの数が一万七千九百十三人あったわけでありますが、現在、そういうもので課税されておりますのは二千七百三十五人にすぎないのでございます。この間に、非常に減って参っておるわけでございます。そこで、芸者の数も全体に減って参ってきておりますから、二十八年にありました類するものの数が現在でも九〇%くらいに減ってきているだろう。それと、現に課税対象にしておりますものとの差額、一万三千三百八十七人になるわけでありますが、このうちの七五%くらいが、こういうような切りかえによって課税対象として把握していけるだろう、こういう計算一ついたしております。  もう一つは、料亭等におきます立てかえ金を調べたのでありますが、その中で、立てかえ経理されておって、将来花代として区分経理が必要でなくなるというような事情から、消費金額の中に上って参りますものを一〇%見ております。この両者を、単純な税率引き下げによる減収に対しまして、増収計算をしておるわけであります。そうして差額が、先ほど申しましたように、二億八千六百万円のなお減収になるという計算をいたしております。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣がお見えになっておりますが、一体この間、井藤さんですね、一ツ橋の井藤学長が、芸者花代を三〇を一五に下げるというような思い切ったことをやらなくても、こういうようなものは現行通り据え置きにして、あるいは合せるというのが、一つは比較において、バーだとか、キャバレーだとかが一五%になっているのだから下げるというのじゃなくて、合せるとするならばこちらの方を引き上げたらどうか、こういう意見が開陳されておったのですが、私は同感だと思うのでありますが、大臣は、これに対してどういうようにお考えになりますか。
  26. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 芸者にしましても、類似行為にしましても、花代制度をとっておるかおらんだけの違いでございまして、行為自体は全く同じことをやっているというその考え方から、今のお説の問題でございますが、これを三〇%に引き上げて、バランスをとるという方も、確かに一つの方法かと思います。しかしながら、これを引き上げるということになって参りますと、実際の徴税面において、現在の徴税のやり方は、従来の三〇%を取っておったところは、花代制度をとっておるところは、それには大体大まかに見て二種類ありまして、いわゆる芸者検番を通じて芸者花代を取っておるというところと、一部、やとなと申しますか、こういうものにも、やはり花代制度をとっている、やとなというものもございます。従って、芸者でなくても、花代という方式をとっておりますものは、やとなでも、一部はやはり三割を納めている、こういう事情に実情はなっておるわけであります。そこで、これを三割に引き上げるということになりますと、今度は、花代制度をとらない場合の類似行為というものは、大体カフェにいたしましても、キャバレーにしましても、バーにしましても、その他一般料亭なんかにいたしましても、料亭などは区別のつきにくいものがございます。単なる女中もあるし、何といいますか、おかみというような、ごく少数でありますが、そういうものもある。女中でもなく、おかみでもなく、芸者類似をする接客行為をしておるというようなものがありまして、いずれもその接客行為自体に料金はいくらというふうには今までも取ってないわけでございます。みんな飯を食えば、それは料理屋に入っておる。これが料理代に入ってくる。だから、待合でありますと、そこにサービスして参ります者は、それは待合の貸し料に入ってくる。そういうふうな工合になって、大へん多岐にわたってくるというような状況であります。これをかりに三割に引き上げるということになりますと、本来の食事は一割五分を取り、それと裁然と分離をしなければ課税ができないことになる。今までは飯代に入れておるのを、飯代を分析して、本来の飯代が幾ら、それで接客行為に関するところの料金幾らというふうに分けさして、飯代に一割五分、引き上げる場合は、接客行為に対しても三割と、なかなか複雑な、技術上も困難であり、いろいろなそこに不合理が生ずるであろうというようなことも、実際に徴税のやり方からいって、三割に引き上げる場合は複雑になってくるということが一つ考え方。  それからもう一つは、考え方は少し理論の一貫せぬところもございますが、何にしても、党なり政府というものは、一応国税につきましては、減税の方針をとって努力をしておる。しかるに地方税においては、接客業者に対して、かりに一五%を二〇%に引き上げられてくる、その数も非常に多いことでございますので、そういうことになって参りますことは、大へんいやなことである。  そういうような、大ざっぱにつかみまして、二つの事由でございます。徴税の場合に複雑になる、それから中央が減税方針をとっておるときに倍額になるというようなことで、大きな金額の変化もございますので、そういう点から考えまして、やはり下げて均衡をとる方が理屈が合うだろうというようなことでございます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 意見になりますけれども、今の大臣の説明では納得いかんのです。何といっても、政府は苦しいとこだろうと思いますから、やってみたところがしょうがないから、この問題については、ほかの方なら別として、私は質問をこの点についてはやめますが、もとへ戻りまして、遊興飲食税のことですが、三十年度は十一億増になり、それから三十一年度は十五億、それから三十二年は、もし現行法だというと、これが二億増になるというふうにお聞きするわけですが、こういうように、遊興飲食税が非常に伸びておるわけですが、そういうところで、今度また大衆飲食の、なるほど二百円を三百円に上げたことは私たちはわかるわけですが、三百円から五百円までは公給領収書をつけるとともに、一〇%に上げることによって、約九億のこれは増税になっておるわけです。旅館、これを両方寄せますと、九億の増税になっておるわけです。こういうふうに、大衆飲食の方の税が伸びておれば、むしろこまかいここで質問をどうこうするということではなくして、私は、最終的な結論が伺いたいのですが、こういうことで、かりに来年度は一つ、三百円を四百円に上げる、あるいは五百円に上げていこうというような計画があるのかないのか、自治庁としては十分そういう点を考慮しているのかどうか、かれこれここで、こまかい理屈を質問しておっても、めんどうくさい話ですから、私は結論だけ伺いたいのですが、一体三百円を四百円にして、そして公給領収書は三百円から五百円までくっつけたが、これは五百円くらいまでは免税にして、来年あるいは再来年ごろは免税点を引き上げるから、結局、何といいますか、百分の十になったところはもうなしにしてしまうという考え方なのか、伺いたいと思います。
  28. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 大衆飲食の場合につきましては、ただいまのお説のように、これは何とか、来年度においては改正に苦心をして参りたい。のみならず、旅館の場合の八百円の免税点につきましても、一つ引き上げを考える、あるいは基礎控除の形においてこれをもっていく。それはどういうふうに参りますか、基礎控除の引き上げでいくか、免税点の引き上げでいくか、本年実施をいたしました上で、来年におきましては、この不合理をすみやかに是正していくように努力していきたいと考えます。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それは、税が改正された場合に、三十二年度は百六十億だ、これで、この場合には、約九億減税になって百六十億になるのだ、平年度は十五億のなお減税になるといわれれば、これが百六十億くらいになる伸びが、あるいは百五十五億に減っていくのか、ちょっとわかりかねますが、ほんとうの百六十億から十五億減らした百四十五億ですか一になるということだと思いますが、そうでなく、やはり税が自然の伸びもあると思います。これは大ざっぱに、今言ったように、三百円を四百円に引き上げるというようなことは、税の伸びがかりに百六十億にとどまっておってもやる予定なのか、あるいはこれが百七十億に伸びなければやらないという見通しなのか。ただ単にやるとおっしゃっても、それはやはり、税の伸びとも関係があると思いますから、その辺のところを御答弁いただきたい。
  30. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) この旅館の税並びに飲食関係の税だけにこだわるということでなしに、地方税全体の伸びというものも考えまして、財源にゆとりが生ずる見通しでございまする場合においては、これを思い切って考えたい。こういうふうに考えております。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、地方税全体が伸びれば、大衆飲食の方は免税をする。大衆飲食は伸びようが伸びまいが関係なしに、地方税全体が伸びれば、免税点を上げていくのだ。こういうふうに承わってよろしいわけですか。
  32. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) よろしいです。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その次に、大衆飲食と風俗営業の許可の問題なんですが、大衆飲食の方は保健所がやっておって、それにプラス風俗営業になる場合に、警察がそれを許可するわけなんですか。警察に届けるものか、あるいは君のところは大衆飲食じゃないのだ、これはサービスをしておるのだから、風俗営業なんだ、そういうふうに指導すると申しますか、風俗営業にして、君のところは一〇%ないし一五%だと、こういうふうにおっかぶせていくかどうか、警察がそれをやっておるのか。その間の事情を一つ説明願いたいと思います。
  34. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) もし風俗営業を営んでおりますと、その部分につきましては、公安委員会の許可を受けなければならないわけでございます。そういうふうな事情から、たとえば一階の方は普通飲食で、保健所の許可になり、二階の方は風俗営業取締法の許可を受けまして、公安委員会の許可になっているというような事例がかなりございます。そういう場合には、場所によって管轄が違ってくるということになって参るわけであります。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の聞いておるのは、そういうことではなくて、たとえば、私が大衆飲食のつもりでやっております。ところが、これはそうじゃない、君のところは風俗営業なんだ。こういうふうに警察が干渉すると申しますか、指導をしてきて、君のところは風俗営業なんだ、こういうことをやっておるかどうか、それとも、本人の自発意思で、いや、自分のところは大衆飲食から風俗営業になるのだというて申請をしなければ、あくまでも大衆飲食のものが風俗営業にならずにおるものかどうか、私の聞いておるのは、実は警察等が相当、君のところは、エプロンかけておかみさんがサービスしたじゃないか、一ぱいついだじゃないか、お酌をしたじゃないか、だから風俗営業にしなければけしからぬというような干渉をしておるようである。だから、いやらしいから、業者人たちが大体風俗営業の申請をするというふうに承わっておるわけです。だから、警察というものがそういうところに干渉をしてきてやるようなふうに今のことがなっておるのかどうか。一体、大衆飲食の許可というものは保健所であって、それにプラスされる風俗営業の許可は警察になっておるのですが、その場合に、警察の方がそういう取締り行為と申しますか、干渉をすると申しますか、そういうことを実際にやらせておるのかどうかという点を伺いたい。
  36. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 風俗営業取締法の規定によります許可を受けておりませんと、客席におきまして婦女の接待ができないものでありますから、もし婦女の接待が行われておるにかかわらず、その風俗営業の許可を受けておりませんと、やはり警察当局の注意を受ける。従って、あるいはある意味においては、許可を受けることが間接的に強制されるということにもなろうかと思います。御指摘のように、奥さんがエプロンがけで酒をついだから、これは婦女の接待だから、風俗営業の許可を受けろというようには指導はいたしていないように承知いたしております。ただ、遊興飲食税の運用に当りましては、単純に風俗営業取締法の規定の許可を受けた店であるか否かだけで適用率を区分していきますと、実態に合わない点が出てきますので、その点につきましては、かりに風俗営業取締法の規定の許可を受けた店でありますと、具体的な簡単な例で申しますと、カウンターの外に出てサービスをしておる店でなければ、普通飲食店として扱うという税法上の指導をいたしておるわけであります。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 実際行って見ると、風俗営業の店と大衆飲食の店と、何にも違わない。ところが、警察の干渉によって、片方は風俗営業、片方は大衆飲食、そういうようなアンバランスと申しますか、不公平が実際あるのだ。少し都内を回ってこられるとわかる。同じ警察区域内でも違う。管轄が違えばなお違ったことになる。同じ都道府県税であっても、そういうふうに違うことが出てくる。だから、こういうものに対して何かものさしと申しますか、基準めいたものをあなた方の方からお示しになって、あるいはこれは、都がきめてやらなければならぬと思いますが、あなたの方なり都の方として、一応風俗営業と大衆営業の基準があるということはわかりますが、実際実施される面においては、相当不公平な差別取扱いが行われておる。警察官のものさしによって、ちょっとサービスするようなところは風俗営業、大衆飲食そのままでどうもいけるようなところも風俗営業でやられてしまうというような、そういう矛盾が出ておると思いますが、そういうものに対する何か対策と申しますか、内面指導と申しますか、についてはお考えになっておりますか。
  38. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘になりましたような事例がかなり多いことを私も承知しておるわけでございます。三十年の十一月から、公給領収証制度政府がとられました際に、これが一つの問題になったおけであります。何分、従前、自治体警察であった時代におきまして、市町村におきまする取扱いがまた非常に区々であったわけであります。それが府県警察に統合された機会に、この扱いも全国的に同じような方向に持っていきたいという警察当局の考え方もございまして、たとえば、銀座あたりを見ていきますと、レストランであっても、のべつに風俗営業の許可を受けておったようであります。それを公給領収証制度の機会に、業者自身も改めたいというようなわけで、それから自発的に抜けていったように聞いておるわけであります。そうして、私たちとしては、大体風俗営業の許可を受けておる店でありましたならば、一五%税率適用になるし、そうでなければ、一〇%税率適用の店というふうにいたしていきたい。そういう気持で、警察当局とできるだけ協力をし合いながら、警察当局の今までの扱いの是正をはかってもらう。こういう方向で、警察は、警察の下部機構を通じて考え方を示しますし、私たちも、できる限り協力し合って是正をするようにという考え方を流したわけであります。しかしながら、直ちにそれがその通りになるわけでもございませんので、先ほどもちょっと申し上げましたように、かりに風俗営業の許可を受けておる店であっても、実態がそうでない場合には、低い方の税率を適用しなさい、しかし、将来にわたってできる限り相互に意見の交換をし合って是正に努めていきなさい、こういうことを指示しておるわけであります。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この風俗営業と大衆飲食とのアンバランスの問題については、一つ公平に行なってもらいたい。新橋裏の大衆飲食店というもの、おかみさんがちょっと一ぱい、エプロンがけでついでおる、これは風俗営業というものとは、何と申しますか、私は極端な違いがあると思いますから、そういうような点については、十分研究していただきたいと思います。  もう一つ伺っておきたいと思うのですが、大蔵省が大体物品税をかけようとする場合に、この間計画を出したわけですけれども、それはやめになったわけですけれども、そういうのを見ていきますと、奢侈品というものだけではなくて、大体一般のものにもがけようとしておるのですが、やっぱり奢侈品というようなものは残しておこう、あるいは取っておこうというような、そういう傾向があるわけです。そのときに、遊興飲食税の方においては、いわゆる大衆飲食というものと、いわゆる芸者等を入れたものとの比較なんですが、これは非常に区々だと思うのですが、いわゆる大衆と遊興とはむずかしいかもしれぬが、税金の取り方、いわゆる間接税の取り方というものが、片一方では奢侈品のようなものを重点的に残していくというふうに、国税の方がそういう方向にあるときに、地方税の方では、何か芸者花代なんかを下げていくということになると、何か私は、税の根本の方針と申しますか、そういうものがどうもずれておるようなふうに考えられるわけなんですが、そういう点については、どういうふうにお考えになっておりますか。
  40. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今回、遊興飲食税を合理化したいという意味で、花代税率にも手を加えておるわけでありますが、別に減税をしようという趣旨でやっているわけのものではないわけであります。またそういう意味においては、娯楽設備事業税で、ゴルフ場の利用者に対します娯楽設備事業税は二倍程度に引き上げておるわけであります。国税は引き上げをしているが、地方税は引き下げをしておる、消費税を引き下げておるとおっしゃる面は、私ちょっと誤解ではないかというように思っております。合理化したいというような考え方であります。消費税にいたしましても、遊興飲食税にいたしましても、それらの消費の機会を通じて消費者の担税を捕捉していく。相当な担税力のある者であれば、重い税率を使えばよろしいわけであります。しかしながら、課税技術の面もあわせて考えていかなければならないという問題もございまして、たとえて申しますと、映画館に入ります場合には、映画館に入るととろで、まず料金も税金も一緒に払ってしまうわけであります。遊興飲食税になりますと、料亭飲食をいたします前に料金も税金も払ってしまうならまだよろしいのでありますけれども、済んだあとで払う税金なのでありますから、なかなか徴税が容易でない。しかも、映画館なら、映画館の施設のあるところでなければできないわけでありますけれども、飲食行為ならどこでもできるわけでありますが、ある特定のところでやると、非常に重い税率をかぶせられるということになるということが、違ったところに場所をどんどん変えていくというようなことにもなって参るわけであります。全体の世の中の空気というものが、戦争中の場合でありますと、かなり無理なこともできるわけでありますけれども、平和な時代になって参りますと、あまり無理な課税の方法はとれないのではないかと思うわけであります。そうしますと、遊興飲食税について、社会政策的にこの税を運用するのだということでなしに、租税収入をある程度上げていくのだということを主体に考えていきますと、どうしても芸者花代だけを特定して三割の税率を使うということは、必ずしもこの税の運営を円滑ならしめるということにならないのではないかというふうにも思っておるのであります。今申し上げますように、国税の傾向と反して、地方税の場合には消費税を下げていこうとしている、こう一概に断定されることにつきましては、われわれ多少不本意な点があるわけであります。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 しかし、料亭が非常に私は優遇されているということは、結論的に言えると思います。ということは、大衆飲食の方は、とにかくそれは、二百円が三百円まで免税点が上ったということは優遇されたわけですけれども、三百円から五百円までは五%が一〇%かかる。旅館の方は、やはり八百円から千円までは五%が一〇%、しかもこの両者については、公給領収証という一つのものがついてきたというのに比較して、今度料亭で遊ぶ方は、芸者花代が何といったって三〇%が一五%に減った。どうもこの点の納得がいかないわけです。しかし、お聞きすれば、大臣は、来年度は一つ地方税が自然に伸びたという場合には、大衆飲食税の方をはずしていくのだ、こういうお考えのように承わりましたから、そういう意味で私は納得するというのではなく、方法がそういう方向にあると了承しますから、これで遊興飲食税質問を終ります。
  42. 占部秀男

    ○占部秀男君 徴税関係の問題で、第一番にお伺いいたしたいのですが、この住民税の第一課税方式の問題なんですが、これは、平年度は結局どのくらいの税の増ということになりますか。
  43. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 税率を引き上げますことによって、百十一億円の増加になります。しかしながら、ネットになります所得税そのものが減って参りますので、その関係では二百二十七億の減になります。
  44. 占部秀男

    ○占部秀男君 百十一億円の増のうち、これはそちらに数字が出ているかどうか、およそ三十五万円かあるいは四十万円程度の人の税の伸びというようなものは調べてございませんか。見込みというものは、全体の中の区分みたいなものになるのですが……。
  45. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 改正資料の中で、三段階ごとに、三十二年、三十三年と、それと平年度というふうに、どう変っていくかということを示しておるわけでありまして……、
  46. 占部秀男

    ○占部秀男君 いや、それは個人の場合でしょう。税収全体としての、およそこの百十一億なら百十一億のうち、五十万円科程度の人までが何割くらい、それから五十万円以上かりに二百万円くらいの人が何割くらい、あるいはそれ以上の人が何割くらい上るというような、そういう見込み調べはありませんか。
  47. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在、そういう数字で作ったのはございません。やってやれぬことはないだろうと思いますけれども。
  48. 占部秀男

    ○占部秀男君 それはやってもらって、すぐはできませんか。
  49. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一応努力してみましょう。
  50. 占部秀男

    ○占部秀男君 それから続いて、この今度の引き上げの問題なんですが、これは、この前の鈴木さんの話とも重複するかもしれませんけれども、市町村の所得割の問題ですが、これは、この調整による三十二年度の減が四十九億ですか、調整によるやつが出るわけですけれども、この四十九億の中で、ほほ第二課税方式をとっているところが今市町村では多いわけですね。第二課税方式をとっているところの数だけでもけっこうですけれども、減で一番多い減、たとえば、四十九億の減の中で、二十万円くらいまでの所得の人あるいは五十万円くらいの所得の人、百五十万円くらいまでの所得の人、それが全体としてどのくらいの率を占めておるかということはかわりませんか。
  51. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 全体については、ちょっとわかりかねると思います。個々の人につきましてどうなるかということはわかっておりますけれども。
  52. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうすると、自治庁の方で、この今言ったような、第二方式を受けておる所得金額別の人数といいますかね、そういうようなものの調べはないのでございますか。
  53. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一応持ってはおります。持ってはおりますが……
  54. 占部秀男

    ○占部秀男君 それは資料としていただいておりますか、われわれの方で。
  55. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 出しておりません。ただ、所得段階の人数がわかりましても、それぞれの段階で、どのような税率を使っているかということになって参りますと、非常にむずかしい問題で、区分できないわけであります。国民の所得全体につきまして、段階別の人数を調査しておりますから、それは資料としてはあるわけでございます。
  56. 占部秀男

    ○占部秀男君 それ、あとでいただけますか。それから、この市町村民税の今度の調整でですね。この調整に、平年度のやつを見ると、第二課税方式だと、五万円以下の金額は百分の二ということになっておりますね。ところでこれは、第一課税方式だと、御承知のように、所得税に対するあれなんですが、第二、第三の方は課税が総所得だ。そこで、第一ではかからないような人もかかってくるんじゃないかというように考えるのですが、一般の、農村の中心の第二課税方式の方のあれですと。そこで、第二課税方式でもある程度まではかからないという免税点の問題は考えられないのですか、調整について。
  57. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第二方式におきます免税点とおっしゃるのは、結局基礎控除額だけは必ず控除するわけでありますから……。
  58. 占部秀男

    ○占部秀男君 いやいや、それ以外……。
  59. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) これは、免税点とおっしゃるのは、いわゆる基礎控除制度だと思うのですけれども、あと税額を計算した場合に、百円未満は課税しないということじゃなかろうかと思うのですけれども。
  60. 占部秀男

    ○占部秀男君 だから、課税総所得額というのは、基礎控除したあとのやつでしょう。それ以外に、低額所得者に対するそういう問題は検討されなかったのですか。
  61. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 端数計算法がございまして、端数をはずすというような制度があるのであります。これが一種の免税点に相応することになるのじゃないかというふうに思うわけであります。
  62. 森八三一

    ○森八三一君 先刻、成瀬君の質問に、大臣は、飲食税が二百円から三百円まで、百円は免税点を引き上げた。三百円から五百円までは五%が一〇%になるから増税だ、そのことについては、来年度の税収は、地方税全体を通じて増収になる見込みだから、その際には、このことを優先的に解決するように考えるということをきわめて明確におっしゃっておるのです。だとすると、私は、来年度自然増収がこの改正税法によって当然予見されるということであって、このことは、優先的に一つぜひとも考えるというような情熱があるといたしますれば、今こういうことでいろいろ問題をまき起しておるときに、これを積極的にやることは当然じゃないかと思う。来年度の税収が見込まれぬという不安があるなら、これはやってみてからということに理解されるのですけれども、もうそれは、予見されておるという断言的な御答弁を聞くと、だとすれば、今減税という方向を打ち出しておるときに、たとえ一部分であっても、増税になる措置というものは、どうも感服できぬと思うのですが、それはどうなんですか。ほんとうに来年度はおやりになるということがこの場の答弁だけであって、内容がそれに伴っておらぬというような誤解が生じてくるのですが、それはどうなんでしょうか。
  63. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 自然増収の問題が、今見通しておりますような自然増収があると一応見込んでおるわけでございますが、それは、普通税、目的税、地方譲与税、この三種類を合計いたしますと、増収分が六百六十八億というものを見込んであるわけでございますが、これは、譲与税にいたしましても、目的税にいたしましても、普通税はなおさらでございますが、やってみませんと、一応の地方財政計画における見通しが、実際面において果してこの増収があるかどうか、あるいは場合によりましては、三種類の地方税増収分はあるいは六百六十八億をこえるような好況を呈するような見通しもないものではないと、こういうふうに考えますので、国民経済全体から考えてみないとわからないことでありますが、やや見当のつきかねると申し上げては、なぜ一体財政計画がそうなっておるかと、こう仰せられると困るわけですけれども、実際はつきかねておるところもあります。これを予想もしくは予想をこえるような方向にうまく増収が参りました場合は、何というてもこの旅館の場合及び大衆飲食の場合に、ごく一部ではございますけれども、倍率になっておりますので、との点は、将来の問題といたしまして、三十三年度に処置する態度でございますが、まず、何よりも先に考えて善処していきたい。こういう気持はほんとうに持っておるわけでございます。ただ、この税率を据え置くという点は、大へん痛いことでございまして、これは、五分というものはなくして、一割と一割五分にするのだという、こういう簡易な手続的方針というのは、案外われわれが思います以上の簡単な方法で、効果があるものと考えておりますので、これを五分に据え置く方法に改正しようということは、一応考えないのでございます。一応免税点という点につきまして、これも一つ是正の方針を考えて行きたいということは、真剣に現在も持っておるわけでございます。
  64. 森八三一

    ○森八三一君 そこでお伺いしたいのは、今のところでは、大体ある程度の増収というものが見込まれる。けれども、これはやってみなければわからぬことでありますが、そこにまた、そうなるかもわからぬという心配感がある。心配される内容をなすものは、どんなことを考えておるのか。こういうような点が起きやしないか、だから将来見込んでおる収入に蹉跌を生ずる、こういう心配の種になっている原因とは、一体どんなことを想像されておるのか。非常にむずかしい問題ではあろうと思いますが、通常すらっと考えるというと、かく相なります、だから、来年度はそういう措置が当然とれるであろうと、こうお考えになっておると、しかし、それは他のいろいろなファクターによって、そういう結果が生まれぬかもしれぬ。だから、最初のようなことであれば、私の言うように、今年減税というか、免税点をもっと引き上げてもいいはずでありますけれども、その措置ができない。その心配されるという要素、どんなものを一体見込んでおられるのか。
  65. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 一言に申し上げますと、目的税、それから地方譲与税につきましては、大体の増収の見通しは、目的税の方は五十五億内外、地方譲与税につきましては六十億内外を見込んでおる。これは大きく動くことはないと思う。問題は、普通税の場合に、四千四百九十二億見込んおるわけでございますが、これには百二億の減収分も実際はあるわけなんです。それで、五百七十三億も普通税に減収がある。こういうのですが、実際は百二億円減収するが、主として法人税の関係でございます地方鉄道等の外形課税をやめて、所得課税にするということをしておるわけでございますが、そういう意味において、事業税を中心とする百二億の減収がある。減収があって、なおかつ、五百七十三億円の増収がある。こういうのでありまして、この五百七十三億円というのは、百二億円を引いております。そういう関係で六百七十五億、普通税だけで増収がなければならぬ。こういう見通しになっておりますが、いかがなものか。私の個人的な考え方も多少入っておるわけでございますが、どうもいろいろな資料を詳細に、山のような資料を何日も何日もかかって突き合せました結果、大蔵省との突き合せの結果は認めなければならないということに、理屈の上ではなったわけでございますが、普通税の上においてどうかということが、若干危惧を持っております内容でございます。
  66. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ただいま長官は、目的税については明らかに自然増収があるというお話、私は、前の委員会においても、この点を明確に指摘したわけです。そうすると、奧野税務部長は、本年度の自然増収は四億程度だろうというお話があった。私は、この点については、すでに政府その他で計算されておるところでも、一月末で四十五億、三月下旬においては五十億をこえるだろう、揮発油税関係に関しては五十億をこえるだろうということが当然予想されておる、これは明確に資料に出ております。ところが、一万一千円の揮発油税と地方道路税の二千円、これを比べますと、比率は四・五分の一、五分の一であれば一万円、一万一千円に対して二千円でありますから、当然私は、十億の増収は本年度においてもあると算定しております。また、事実あるだろうと思います。ところが、来年度においても同様な増収が予想されるということは、私どもは常に指摘しておるところでありまして、その自然増収が予想されておるにもかかわらず、揮発油税についても軽油税についても、過酷な増税をやるという政府の御見解はどういう根拠か、その点お伺いしておきたい。
  67. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 目的税による増収を、三十二年度におきましては五十五億円見込んでおるわけであります。その五十五億円の内容をなします一番大きなものは都市計画税で、都市計画税は三十一年度に新設されたものでありますから、初年度、税率を半減いたしております。そういう事情から、かなり大きく伸びて参るわけであります。なお、地方道路譲与税につきましての三十一年度の増収前回伊能さんにお答え申し上げたのでありますが、これも四億円程度と申し上げておるわけであります。これは、三十一年度においては自然増収でございます、今、私五十七億と申しましたのは、三十一年度と三十二年度の間における増収分でございます。
  68. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 今のお話は、私どもにはどうも理解できないので、われわれが数字計算しておるところでは、揮発油税関係全体として三十一年度には五十億、これは決算で現われるのでありますから、私はこれは明らかに、もしわれわれの予想通りであった場合には、政府は一体どうなさるか、一万一千円に対して二千円ですから、当然その比率だけは自然増収があるわけです。それが四億ということが、私にはどうも理解できない。従って、この点は水掛論だとおっしゃった際には、もし決算で現われた際には、減税をなさるおつもりかどうかということを大臣にお伺いいたします。
  69. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) それは軽油でございますね。
  70. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 いえ、揮発油税でございます。
  71. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 揮発油税について、決算の結果を見て減税をするということは、この揮発油についても軽油につきましても考えておりません。
  72. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 そうすると、政府は常に過重増税をなさろうという御意図であるかどうか、私どもは、税というものは、適正な税を取るべきであって、揮発油税のような、毎年々々予想よりも数十億余分に徴税されるというようなやり方を政府は意図して、意識的にやっておられるのかどうか、この点について、もし余分に税金が取られても、減税をする意思がないのだということであるならば、なぜその計算をルーズになさろうとしておるのか、こういう点について非常に不可解でありますが、この点、明快に御答弁願います。
  73. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一応私から、事務的なお答えをさしていただきます。  自然増収といいます場合に、三十一年度で見込んでおりました金額決算においてはどう伸びてくるかという問題、これが一点ございます。もう一つ、自然増収という言葉が使われておりますのは、三十一年度で見込んだ場合と、三十二年度で見込んだ場合、この間にかなりな増収があるわけでありまして、その場合の自然増収と、二つあると思います。揮発油関係の税につきましては、最近自動車の台数等がふえて参ってきておりますので、三十一年度の見込みにおいて使いました揮発油の分量よりも、三十二年度におきましては、ずっと多い分量を基礎にして、税収入見込み立てているわけであります。もし、これを三十一年度にそのまま持っていきました場合には、三十一年度で大穴があいただろうと思います。要するに、自動車の台数等が徐々にふえて参りまして、揮発油の消費量もだんだんとふえて参った。年の経過に応じまして、課税標準がふえてくるわけであります。従いまして、三十二年度に見込みます際には、別に特に過小な見込み基礎にしておるわけじゃございません。三十一年度に見込みました基礎をそのまま三十二年度に持ってきます場合には、御指摘の通り、多少過小な見積りをしております。見積りは、そのときそのときの実態に即して改訂を加えて参ってきておりますので、この点につきましては、御了解をいただきたいと思います。三十一年度におきます見込みについても、地方道路譲与税収入につきましては、四億円の見込み違いがあった。案外に揮発油の消費量がふえて参った、こういうことを申し上げておるわけでありまして、三十二年度におきまして、揮発油関係の税収入見込みます場合には、現状を基礎に置きまして、新しい課税数量を押えてきておるわけでありまするので、ことさらに少ない見込み立ててきておるというわけのものでないことを御了解願いたいと思います。
  74. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 伊能委員に申し上げますが、森委員質問に対する関連質問でもございましたので、さらにまた、午後から、主としてその問題について連合審査会もありますから、また……。
  75. 小林武治

    ○小林武治君 関連して。今の、大臣がたとえどんな自然増収決算に出てきても、税率を変えるつもりはないなんて、非常におかしいので、自然増収が出れば、一体税というものは、見込みだけ取れればいいことです。そういうために税ができているのであって、それが、政府がずさんな見積りをしたために、自然増収があるというなら、当然それを調整するために、税率を下げるのは当りまえなことじゃないか。一体政府というものは、初めから自然増収を見込んで作っておる、こういうことになりますか。その点私は、政府が今年減税するというのも、自然増収が多いから減税しておる。これは当然だと思う。課税というのは、政府が見込んだ税さえ取れればいい。それ以上取るということはおかしいし、また取れたとすれば、見積りは非常にずさんだ、こう言わざるを得ない。だからして、これらについても、もし多額な自然増収が取れれば、税率の見積りがずさんだった。従って私は、見積っただけ取れるような税率に直す、こういうことが当りまえじゃないかと思うが、しかし、どんなに増収があったって、直すつもりはありませんという御答弁はおかしいと思いますが、その点どうですか。大臣、どうですか。
  76. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 今の場合は、目的税についての御所論になるわけでございまして、従って、一定の目的のもとに税を取る。しかし、予測しておる以上の増収があっというような場合において、目的税の場合も同様に、増収があっても減税はしないのだということが果して言えるかどうか、と申しますと議論になりますけれども、従って私は、目的税を取ります場合において、予想外の増収があっても、やはり目的のためにこれを使うということに努力する方がよいのではないか、こういうふうに思っておるわけで、別に政府がその方針をそういうふうに立てておるという固い話じゃないわけでありますが、本来の目的税というものの税の性質から考えて、そういうふうなものではなかろうかと、こう大体の常識を、間違っておるかもわかりませんが、常識を持っておりますから、そういうお答えを申し上げた、こういう事情でございます。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 関連質問でございました油の関係の税につきましては、きょうの午後の連合審査もございますしいたしますので、私は、ただいまの大臣の御答弁に関連して、このことについても質問がありまするし、小林委員の税の根本観念についてのことについても意見はありまするし、お伺いしたいのですが、時間の関係もありますので、それは他日の問題にいたしまして、遊興飲食税の問題を中心に、もう少しお伺いをしたいと思います。  そこで私は、昭和三十二年度の一般経済界の情勢を見通して参りますと、おそらく大臣がお考えになっているような自然増収は、私は確かに決算面に出てくるものと確信しております。が、しかし、その半面、必ずしも現在の物価水準というものが維持せられていくということも困難ではないか。そういたしますと、地方団体の財政全体を考えますると、自然増収というものがありましても、全体の経理の面から参りますれば、既定の事業を行うために、それは必要の対象になってしまう。減税の対象には考えられないという結果が生れはせぬかということを心配する。そういう場合でも大臣は、この遊興飲食税の不合理な部分については是正をするということを確約されるかどうか。もっと端的に申しますれば、自然増収はある。あるけれども、財政需要の方も、物価の値上りなんかでふえてくる。だから、それを見込んで初めてバランスがとれるというようなことになると、そういう場合でも、今確約をされている遊興飲食税については、是正をするというように私は理解をいたしますが、それでよろしいかどうか。
  78. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) その通りでよろしゅうございます。
  79. 小林武治

    ○小林武治君 今のにちょっと関連して、これは長官は、今の遊興飲食税の是正をしてもいい。場合によると、何か免税点でも上げてもいいようなことを私は意味しているのだと思いますが、私どもこの点をいろいろ考えたが、とにかく今、大衆飲食の点については三百円、この次直すなら五百円、また、旅館もすでに八百円まで免税点になっておる。これを直せば一千円、こういうふうに当然ならざるを得ないが、そういうふうにすることが、非常に私は変な結果が出てきはしないか、そんなに一体免税点を上げることができるか、こういう点をわれわれも議論したのですが、私は、来年度になって、一挙に五百円、千円にするなんてことはできまい、こういうふうに思いまするが、一体大臣は、税率をそのままにしておいて、免税点をそんなに上げることによって調整ができる、こういうふうに考えておられますか、その点、念のためにお伺いしておきます。
  80. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 税の増収を見通した上で考えていくというお答えの内容をいろいろ問い詰められて、それでは免税点をどうするか、基礎控除はどうするのかという話になりますというと、だんだんここに提出しております法案がややこしくなってくるわけでございます。従って、そこまで具体的には申し上げられませんが、とにかく旅館免税点を、今まで五百円の基礎控除から新しく八百円の免税点をここに新しく設けたということにつきましては、理屈はいいのであります。いいのでありますが、非常に不合理であると考えております点は、大都会で宿泊をされる旅行者というものにつきましては、八百円をこえます場合においては、免税点というものもすっかりなくなってしまって、もとの五百円の基礎控除が生きる、という形になりますので、税率は全く倍の率になる、こういうことは大へん心苦しいということは、政府といたしましても大いに議論もし、考えてもおるわけで、そういうことでございますから、何もそれを千円にとび上げなければならぬという理屈もありますまいが、この不合理を極力是正をするということは、その財源を見通しまして、やってもいいことではないかと私は思うわけでございます。ただ、不合理を是正するために、もう一種類こしらえて、その五%をもとに戻すのだということになりますと、少くとも税率の簡素化という趣旨に合わないというふうに、その点は考えておるわけでございます。飲食店につきましても、必ずしも五百円に一足とびにやろうという趣旨を申し上げておるのではないのでございまして、とにかく財源を見通しました上で、ここに不合理の是正を考えたいということにつきましては、名実ともに、言葉だけではなく、真剣に考えていくということは、先ほど申し上げたようなわけでございます。
  81. 小林武治

    ○小林武治君 私は、今のような免税点の引き上げとか、あるいは基礎控除の引き上げというようなことは、今後も、来年もまた続けてやるということは、とても不可能だと思うのです。いろいろ考えてみたことですが、私の個人的意見では、五%でいい、やっぱりある程度大衆飲食に対するそういう特典、あるいは宿屋の宿泊料について、そういうふうに値上げをすることは非常に不適当である、こういう考え方からすれば、もう一割とか一割五分というものにとらわれることなく、五分でかまわない、こういう考え方を持っておる。それ以外には、この問題の解決は来年になってもつくまいと考えております。その点だけ申し上げておきたいと思います。
  82. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと関連して……。来年になりますと、この不合理を是正する、こうおっしゃるが、その不合理は、今の改正案に出ておる、今、政府みずから不合理と感じて、それを確認しておるものを、一体提案されるということはどういうことなんですか。不合理であれば、今、小林委員発言もありましたけれども、小林委員のような説に、あるいは政府が不合理を是正した新しい案にこれははっきりと修正して出すべきだ。不合理だということはわかっておるものを提案して、不合理であるけれども、これを認めろということは、私ははなはだふに落ちない、この点どうですか。
  83. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) そういう御意見になろうと思うから、なかなかこれが言いにくいところであったわけでありますが、その通りでございます。その通りでございますが、それなり八百円というものはやらないで、五百円の基礎控除というもので、旅館なら旅館というものを見ていくということで、一体現状を据え置くことが、少し不合理でありましても、不合理はよくわかっておるが、その不合理を含めたものではあるが、八百円という旅館については改正を行い、飲食については三百円という免税点の引き上げを行なって、そうして不合理ではあるけれども、その不合理を含めて改正をすることがいいのか悪いのか、改正と現状とどっちがよいかといえば、改正の方がより一段の進歩でしょうが、財源を見た上で、含んでおる不合理の点については、さらに来たるべき時期において考えたい、こういうような説明をするより道はないのであります。また、実際そう考えておる。不合理はわかっておる、しかし、この不合理を含んだ改正をやる方が現状よりは一段と進んでいい、こういう信念で、ここで御意向を伺っておるわけであります。
  84. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 関連質問。先ほどから、いろいろと御質疑御答弁等伺っておりますると、何か遊興飲食税を課することが不合理であり、率直に言うと、悪いことでもやむを得ずやっておるかのようなふうに聞えたのでございます。それは、あるいは私の聞き違いかもしれませんが、私は、決してそのこと自体が悪いことでもなければ、不合理なことでもないと思うわけであります。アメリカのことを持ち出してまことに恐縮でありますが、ほんの一ドル以内の飲食をいたしましても、大てい地方税をどこの都市に行っても私ども現実に支払って参ります。ほんとうにその中には、大衆もあるけれどもアメリカといえども貧困な人もある、そういうわけであります。問題は、私は、やはり地方財政の必要、そしてまた、それによって行われる地方団体のいろいろな施策の必要性、そういうところにやはりこれは重点を置いて考えなければならないかと思います。従いまして、明年度の地方財政の需要がどういうふうになるかということは、今からこれを予測いたしまして、明年のことをはっきり、ただ税率の一点だけを、あるいは免税点の一点だけをとらえて、その可否を論じてきめておくというようなことは私はできないのではないかというふうに私なりに考えるわけでございますが、税率についていろいろと問題のあるところを政府がおやりになりますることは、私は今まで、税率の簡素化、徴収の事務の簡素化というようなことに重点を置いて考えておると思ったのでありますが、そうといたしますれば、結局、免税点を引き上げるか、あるいは基礎控除を引き上げるか、どちらかしなければ緩和をするということはできなくなってくるというわけでございます。先ほど小林委員から、免税点を引き上げるということは不可能ではないかという、地方財政の実際を、また遊興飲食税の実態をよく御存じになっておるから、そういう点が出たと思ったのです。私も、お話を承わっておりまして、なかなかこれは簡単に免税点を引き上げるというようなことは、これは容易でない、ほとんど遊興飲食税は課することができなくなってしまう、こういうことをおそれるわけであります。そうしてみれば、基礎控除を引き上げるということも、別に手が残されておるわけであります。そういう点についてどういうふうにお考えになっておるか、もう少し突っ込んでお伺いしたいと思います。
  85. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 再来年の話を……、予算の建前は、鬼が笑うが、来年のことをやるわけでありまして、再来年のことを今ここで議論しようとするから、何としても見通しの問題以上のことは言えぬわけでございます。そう軽々しくやるべきでないということも、お説の通りでございますが、若干の不合理という言葉がややこしいのですが、若干の無理がある、ごく一部に、つまり八百円をこえて千円以下で泊る人の場合を考えると無理があると、こういう意味なんです。その無理を覚悟で、やらぬよりはやるがいいということで、八百円の免税点を新たに作ってやっているんですということを先ほど申し上げたわけでございます。来年のちょうど今ごろになりまして、三十二年度における税収というものもしっかり見通しがつく、従って、再来年の、三十三年度の税収というものについても一定の見通しが、今よりは確かに正確なものが立とうかと存じます。その状態になって、それを見通しました上で、まず手をつけるべきは、若干の無理が大衆飲食旅館税率についてあるわけでございますから、この多少の無理を早く是正していきたい、こういうことについては、ほんとうにそう考えておるのだという決意を申し上げたのでございます。
  86. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの問題は、大臣のはっきりした御答弁で、私は一応了解をしておるのです。不合理ということは別にいたしまして、今回の措置には無理がある。その無理は、財政需要の変化等は考えずに、来年度予見される自然増収があった場合には、この問題を優先的に是正する、こういうはっきりした御答弁でございますので、そういう趣旨においてこの点は了解いたします。  それで、芸者花代関係は、非常に徴税技術上困難性がある。そこで、そういうことなんかを考えて、三〇%から一五%に引き下げるということでありますが、どうもこの感じが、何とはなしに遊興というものについて奨励するというほどの意思はないだろうけれども、そんな感じが出てくるのですね。そこで、お話の、客席に出て給仕をするというやつと、やつと言ってはいけませんけれども、そういう人と、うたを歌ったり何かする人とを、これで同じに考えるということ自体がおかしいのではないかと思うのです。当然そこに区別があっていいのではないか。また、これは業者負担するのではなく、そういう行為に出た人が負担をするのですから、うたを歌ったりなんかすることを楽しむ人は、今、こういうふうにだんだん落ちついてきて、日本の経済を堅実に拡大して行かなければならぬというときに、そういう余裕のある面からは、むしろ私は五〇%ぐらい取った方がいいのではないかという感じも持っております。そういう感覚からいくと、もぐりだというものをもぐりでない方向に持っていくという努力が払われるべきであって、ほんとうの単純にお給仕をするという程度のものは、これは私は、遊興ではないと思うのです。当然それは、飲食をするに付随する行為である。そういうものが料理代その他に入ってきておるというのは、これは一五%でいいか、あるいはもっと下げてもいいかという感じを持ちますが、遊びという部類に属する方を下げるというようなことは、どうも感覚がずれておりはせんかというふうに思うのですが、その辺の整理をなさっておるかどうか。ただ均衡をとるという、徴税技術を簡素化するということだけに重きが置かれて、今、日本が何をねらっておるか、今行かなければならぬ堅実な経済、産業の発展という眼目を達成するための社会制度というものを育成するという感覚がずれておりはせんかという感じを持つのですが、もちろん、これは詳細、そういう点についても御議論があったと思いますが、その点についての大臣の所見を一つ伺ってみたいと思うのです。
  87. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 大衆飲食と申しますか、簡単に飯を食う場合と、それから高級料亭の飯というものを考えてみますと、ぜいたくという観念がそこに出てくるわけです。ところが、実際の業態を眺めてみますというと、高級料亭で従来三割取っておる所と、キャバレー、それからカフェー、バーというものを眺めてみますと、それはどちらがぜいたくか、どちらが享楽かというほど高い金を払っておるわけです。ただし、そのカフェー、キャバレー、バーというのは、花代幾らで、食べたものは幾らだという区別はないのです。一緒に含めて高い料金を取っておるということで、それでは、どちらがぜいたくで、どちらが国の再建の方針に適当かということになると、どうも区別がつかないような感じがいたします。そこで、大衆飲食とはそれはよほど違うものでございます。大衆飲食には、婦女の接待というものがないわけでございまして、ある場合においてもサービスが違うのですけれども、このキャバレー、カフェー、バーというのと高級料亭とどちらがぜいたくか、どちらが金を取っておるかということになると、これは区別がつかぬもので、むしろ私の考え方は、日本座敷か洋室か、洋装か帯を結んでいるかということよりほかに、あまりやっておることも違うことはない。しかし、とうてい説明のできぬようないやらしい事柄があるときは、これは制度の事柄とは別個でございます。そういうふうに考えてみますときに、同じことをやっておるのだ。しかるに、どうも一方は三割で一方は一割、これはどうも、これぐらい大きな不合理はない。これは保守党でやっていったことでございますけれども、これはどうも、保守党の気がつかなかった不合理ではないか。私が長官になりまして以後、考えてみまして、私は、早くから、これほどわけのわからぬことはない。なるほど芸者がだんだんやめていって、芸者にあらざる芸者になっていくのも、これは無理はない。とにかく前には八万からあったのですが、今は二万四、五千になっている。二万を切っているのじゃないかと思いますが、何もそれを保存しようという努力をしようというのじゃないですけれども、そういうふうに考えて、提案したようなわけでございます。
  88. 森八三一

    ○森八三一君 そこで、私の申上げているのは、そういうふうに、変っておる方に税率を変えて均衡をとるのじゃなくて、そういう方向へ逃れていく、もぐっていくという人を芸者と同様の地位に引き上げていく——引き上げてと言っては誤弊がありますが、そういう方向に持っていって、三〇%を課税する対象にしてしまう、そういくべきじゃないか。つまり大衆飲食のお給仕をするのは、これは全部問題なし。キャバレーとかそういう所に、花代という形ではなくて存在している、芸者と同様の行動をしている者について、芸者と同様の資格条件を与えて、そっちの方で均衡をとるということが、私は、健全な発展を導いていく政府の基本方針に沿うのじゃないか。逆に持っていかれているので、そこにズレがありはしないかという感じを持つ。
  89. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 今のお言葉をいただきましたほどには当時議論は出ませんでしたが、やや似たような議論がありましたことは、業態が違うものでありまして、たとえば、芸者を呼んで飯を食おうというようなことで、何時何十分からどこどこの座敷でどこの芸者を呼んで飯を食う、こういう業態になっております。ところが、カフェー、バー、キャバレーにしても、そこで女給を呼ぶということでなしに、三百六十五日、二十四時間のうちに大体何時ごろまで女給をしておらなければならないというような一つの業態になっております。これを花代制度と同じように、検番制度ということもいろいろ所見は出ましたが、これは、地方制度調査会においてもだいぶん議論が出ておりますが、なかなかそれぞれの業態に従ってやっておりますことを、徴税のために一つの一貫した制度、統一した制度をとって仕事をやらすということには、なかなか実際の面においては困難ではなかろうかというようなこともありましたわけでございます。
  90. 森八三一

    ○森八三一君 まだ、この点は多少申し上げたいと思いますが、午後の連合審査の方は、他の委員会も一緒になるわけで、これら委員会に御迷惑になると思いますから、質問は留保します。
  91. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほど、私が地方税の伸びがある、あるいはそれは遊興飲食税の伸びがなくても、一つ免税点を引き上げていこう、こういうことを大臣にお尋ねをし、大臣からそういうことのお答えを願ったのは、ともかく芸者花代は、何といっても二億八千万の減税になった、大衆飲食税の方では、全部で五億二千万の減税になっている、こういう内訳になっております。何と言ったって不合理なんです。そこで私は、今度のこれに対しては反対なんだけれども、委員会の構成なり、あるいは参議院の構成等を見て、大体政府原案が通ると仮定しても、とてもたまらん。そこで、そういう趣旨において御質問申し上げたわけです。そこで、自然増の伸びがあったり、あるいはこういう前提を置いたわけですが、そうではなくて、やはり問題をもう少し根本的に言えば、芸者花代を片方で下げているじゃないか、だから、自然増があろうとなかろうが、この大衆飲食もほんとうは、小林委員から指摘があったように、税率を上げるということが一番いかんことなのです。ところが、こうなって、そういうものがわれわれが反対にかかわらず上ってしまえば、やむを得ないから免税点を引き上げる以外に道がないのじゃないか、こういう趣旨でお尋ねをしておったわけです。ですから、大臣もそういう意味のいわゆる、何と申しますか、来年度の処置だというふうに了解をしていいものかどうかということを、あらためて一つ御答弁願いたいと思います。
  92. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) その通りでございます。
  93. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本案についての質疑は、なお継続するといたしまして、この際占部委員より、公務員関係について緊急簡単なる質問をいたしたいということでございますので、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  94. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは、四日ばかり前に、実は藤井さんに来ていただきたいと思ってやったのですが、どうしても連絡がつかずに、またきょう、どこかへお出かけになったということで、角田さんと大臣がいらっしゃるから大臣にちょっとお聞きします。  実はちょうど五日ばかり前に、静岡の市役所でもって、辞職の強制勧告のようなことがあって、勧告された人がそこでショック死をしてしまった。死んでしまった。こういうような問題が起っているのです。そういう点は、全部がわかるわけじゃないでしょうが、何か自治庁の方で、そういう点について連絡がありましたら、その内容をお知らせいただきたいのです。
  95. 角田禮次郎

    説明員角田禮次郎君) 初めて今伺いました。
  96. 占部秀男

    ○占部秀男君 実は、この問題は、内容を調べてみますと、静岡で約七百か八百の……あれはやはり千ぐらいでありましたか、千ぐらいある中で、約七、八十人の人を首を切ろうという問題が先々月から起っておる。そこで、三月の十五日ごろ、強制勧告はしない、退職勧告はしないということで、組合側と市長との間に文書による協定ができて、問題が解決ついた。ところが、解決のついたあとで、約一週間ぐらいたって、市長側は、その文書協定を破って、個々に呼び出して強制勧告をやっておる。その中の一つが、今言った教育委員会系統の職員が呼ばれて、課長、係長その他五、六人に五十三歳の人が呼ばれて、わっとやられた。そこでその人は、もう組合と市長の間の文書協定で、首切り問題が終ったと思っていたところへ、おそらくそういうふうにやられたのでびっくりしたのでしょうが、その場で倒れてしまった。そこで、すぐに病院にかけつけたところが、もう死んでしまった。こういうことなんです。私は、この内容がショック死であるかどうかということは、医者の立場に立ってみなければわからぬと思うのですが、一つは、地方公務員法の交渉権のあるあの条項の中で、文書協定をした問題は、お互いに尊重して、これを守らなければならないという規定になっておることは御存じの通り。それを一方的に、市長が文書協定をしておきながら、これを実際は破約して、そうしてそういうようなことをやっておる。職員の側については、そういうような問題があれば、これは罰則その他があるのですが、市長や知事さんにはその罰則が全くない。そういうところから、こういうような問題が私は起っておる一つの原因であると思う。かりに私の言ったことは、今問題は、単に組合だけの問題でなく、それが法律上のいわゆる告訴という段階にまで進み、人権擁護委員会へ提訴という問題にまで進んでおる。非常にこの問題が大きく拡大しつつあるわけです。静岡の新聞あたり、持ってこいというので取ったところが、非常に大きく取り上げられておる。そこで、私の希望というか、自治庁の方で一つ調査をしていただいて、第一に、そういうような文書協定を理事者側が意識的に破るような場合、これは法律的ないろいろな問題はすぐにはどうにもできませんでしょうが、とにかく自治庁として、そういうようなことのないように、責任のある指導を私はしていただきたい、こういうふうに思っておるわけなんですが、その点について、大臣でも角田さんでも、どちらからでもけっこうですが、調べていただくということについて……。
  97. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 初めて承わります。いつごろのことでございますか。
  98. 占部秀男

    ○占部秀男君 約一週間前。
  99. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 直ちに調査をいたしまして、御報告を申し上げます。なお、その点に不合理がございましたならば、これに対しても、指導的立場からよく指導することにいたします。
  100. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは、あとでまた質問いたします。
  101. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本日は、この程度で散会いたします。    午後零時三十六分散会