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政府委員(
奧野誠亮君) 第二
課税方式を採用しております
市町村といたしましては、今回法定されます率にそのまま準拠した場合に、
収入に
激減を生ずるわけでございますので、できるなら一年ずらして、三十三
年度からそういうことにしてもらいたいと言われるのも、無理からぬところだと私
たち思っております。ただ、そうなった場合に、かえって
市町村としては、
財政運営に困難を来たすのじゃなかろうかという
考え方を私
たちとしては持っておるわけであります。その
理由は、今回法定いたします準拠率も、第一
課税方式の場合の
負担と
均衡をとって
考えているわけであります。ところが現在、現実に
市町村が採用いたしております率は、
市町村によって違うわけでありますけれ
ども、第一
課税方式の場合の
負担よりも、はるかに大きな率をきめていることになっているのであります。この第一
課税方式の率そのものが形式的には引き上げられましても、実質的には下ってくるわけでありまして、
市町村民税だけをとりましても、三十二
年度よりも三十三
年度は、五十七億四千四百万円減って参りますし、また、三十四
年度以降は、八十三億千八百万円減ってくるわけであります。第一
課税方式そのものについて減税
方式がとられておるわけであります。そうしますと、かりに三十二
年度については何ら
措置いたしませんで、三十三
年度において、直ちに第一
課税方式の場合の
負担と似たような率を第二
課税方式について法定したとしますと、今の
収入が減るよりももっと大きな
収入ががたっと一挙に減ってしまうわけであります。そうしますと、
市町村としては、
財政運営に非常な困難をなめなければならないのじゃなかろうか。それよりも、徐々に減っていった方が、
市町村としては
財政運営がやりやすいのじゃなかろうか、こう
考えておるわけであります。ことに昭和三十二
年度におきましては、幸いにして、一般の
地方税の
収入につきましても、相当な増を期待できますし、
地方交付税につきましても、相当な増が期待されておるわけでございますから、
基準財政需要額そのものも大幅に引き上げられるわけであります。言いかえれば、全
町村を通じまして、相当
収入に恵まれる際でありますので、こういう際であれば、
市町村民税について若干減る場合であっても、
財政運営についてやりくりがつけられやすいのじゃないだろうか、こういうような
考え方を持っておるわけであります。そういう
意味においては、三十二
年度に一応第一
課税方式の場合に比例をとった準拠率というものを示しておいた方が無難だろうと、かように
考えておるわけであります。
なお、第二
課税方式について、こういうような準拠率をきめる結果、四十九億円の
減収が生ずる、これについては、
たばこ消費税等で
補てんした方がよいじゃないかという、こういうお
考えでございます。これにつきましては、
地方交付税なり
地方税なり、全体につきましてこれだけの減を予定して、なおかつ、千億円内外の
増収の得られるような
財政計画になっておるのでございますので、四十九億円と見合わせに、直ちにそれに相応した
たばこ消費税という
考え方をするには及ばないだろうと、こう思っておるわけであります。要するに、
地方財政全体について穴のあかないようにしていきたい。
たばこ消費税で
補てんをいたしましたにいたしましても、
市町村民税の多い
団体に必ずしも
たばこ消費税が多くふえていくわけには参らんじゃないか、かように
考えておるわけでございます。
なお、
特別交付税で
補てんをするといいましても、
地方財政全体として、それだけ
財源がふえたことにもならないことはもちろんでございます。しかしながら、幸いにして
地方交付税がかなり増額されるものでございますから、
特別交付税そのものの金額におきましても、三十二
年度においては、前
年度よりも二十億円
程度の増額が行われるわけでございます。従いまして、この
部分をそっくり
市町村民税の方に持って参りましても、他の
団体に対しまして、それほど大きな迷惑をかけることにはならないのじゃなかろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
もとより、
市町村におきまして、
たばこ消費税増率の希望も非常に強いわけでございますので、さらに、
市町村民税の一般的な
減収が具体化します三十三
年度の場合に、
地方税収入がどう伸びるかということとあわせて検討されなければならない問題だろうというふうに心得ておるわけでございます。