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1957-03-31 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月三十一日(日曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            加瀬  完君    委員            伊能繁次郎君            小林 武治君            小柳 牧衞君            鈴木 万平君            館  哲二君            久保  等君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            成瀬 幡治君            岸  良一君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより、委員会を開きます。  本日は、地方税法の一部を改正する法律案議題に供します。  本案につきましては、すでに質疑の段階に入っておりますので、前回の審査に引き続き、これより質疑を行います。質疑のおありの方は、順次発言を願います。
  3. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 大臣にお伺いしたいのでありますが、軽油引取税について、本税の創設以来いろいろの問題があるわけでありますが、私どもは、本税創設趣旨から見て、各方面課税を避けたいという気持には、これは変りはないわけでありますが、少くともこの種税金については、課税の公正ということと同時に、課税をする業態に対する実質的な十分な検討、調査が伴わなければならない、かように考えて、前国会においても、軽油引取税については、いろいろな角度から論議が展開せられて、衆参両院、ことに参議院においては、明確な付帯決議がつけられたわけです。その付帯決議のつけられた趣旨については、これは、前国会において公聴会その他開かれたわけでありますが、その際にも、揮発油税軽油税との課税均衡という問題が本税創設に対する大きな論点でありまして、その際には、課税均衡は、妥当を得ておるという議論もありました。と同時に、著しく均衡を失しておるという議論、両論があったわけでありますが、その後、政府において、この点について、揮発油税軽油引取税の間に、課税均衡について、どういう御調査がなし遂げられたか。と申しますことは、今回政府は、揮発油税軽油引取税は、課税均衡を得ておるという前提の下に、それぞれ五割増税という案を立てられたと思うのですが、その均衡を得ておるという具体的な基礎をお伺いしたいということ。  もう一つは、軽油引取税自体の本税創設の基本にさかのぼって、いろいろな角度から論議はありましょうが、ある一部のものに税金を課さない、あるものだけに税金を課しているということが、単にそのこと自体の不公平という事態を惹起しているばかりでなく、徴税上において、著しく政府自体がお困りになっておられる。この事態は、本税実施後、今日においても、なおいろいろと、脱税であるとか、あるいは不当な油がいわゆるやみに流れるとかいうような事態も起って、本税の課税上、大きな支障を生じておるわけです。これらの点についての、軽油引取税に対する今後の、何と申しますか、徴税上の改善措置について、どうお考えになっておられるか。  この二点について、大臣のお考えをお伺いしたい。
  4. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) この揮発油税軽油引取税との関係の実態につきまして、私自体が捕捉しかねておる点がありますから、今、部長から詳細に御説明申し上げます。
  5. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一つは、揮発油自動車軽油自動車との間におきます均衡問題でございます。揮発油を使用する自動車経費軽油を使用する自動車との、自動車経費につきましての調べにつきましては、いろいろなものがございまして、確たる、確定されたものはないわけでありますが、自治庁の方で昨年来調査をいたしまして、お示しいたしておりまする調べがあるわけでございます。その調べによりますと、ガソリンを使用する場合と、軽油を使用する場合におきまして、人件費を除きました経費が、ガソリンの場合に、トラックなどでありますと八一%くらい、バスでありますと九一・五%くらいに当るというふうな数字をお出しいたした一わけでございます。もし今回、揮発油税あるいは地方道路税が引き上げられる場合、軽油自動車の使用いたします軽油引取税税率を据え置きました場合には、これは、政府提案増税の率によっているわけでございますが、トラックの場合には、八一%であったものが七五・九%に引き下ります。バスの場合は、九一・五%であったものが八四・八%に引き下ってくるわけであります。これは当然のことであろうと思います。片方税負担がふえますし、片方税負担がふえないわけでありますから、当りえのことであります。これをさらに当初の政府案のように、軽油引取税を三千円だけ引き上げるという案によりましても、トラックでは、八一%であったものが七八・二%になお下るわけであります。バスの場合には、九一・五%であったものが八七・四%になお下るわけであります。これもある意味において当然かもしれません。揮発油税増税の幅が大きくて、軽油引取税増税の幅が低いわけでありますから、従前よりもなお、軽油を使用する自動車経費の方が少くなってくることは当然であるかもしれません。しかしながら、とにかく揮発油税を引き上げる場合は、軽油引取税をある程度これと均衡をとって上げて参りませんと、両者の経費の差というものがなおはなはだしくなりまして、不均衡をきたすのではないかと、かように私たちとしては考えておるわけでございます。  第二点は、軽油引取税においては、あるものは課税し、あるものは課税をしない。その間に多少問題があるわけでございまして、昨年この税を創設するときからも問題であったわけであります。従いまして、また今回、税率を引き上げるにつきましても、全面課税をすべきではなかろうか、こういう意見が自由民主党の内部においてもいろいろあったわけでございます。しかしながら、昨年非常に論議のありました、一部について課税をしない結果、混乱が起るのじゃないだろうか、こういう問題につきましては、実施の経過を顧みて参りますと、案外順調にいっている、こういうふうに私たち見ておるわけでございます。生時いろいろ言われたような、免税証の売買が行われるのではないかというようないろいろな問題が、案外円滑に今のところいっているようでございます。従いまして、積極的に全面課税をしなければ、軽油引取税税務行政というものが混乱するのだ、こういうことは、今のところ考えなくってもいいのじゃないだろうか、こう思っておる次第でございます。なお、今後の推移も見ていかなければなりませんし、私たちも、御懸念の点につきましては、十分注意をしていかなければならないと思うのでございますけれども、幸いにして円滑に進んでおると、かように考えておる次第でございます。
  6. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 私どもは、今、税務部長お話しになった、ガソリン自動車軽油自動車との比較、これについては、前国会においても、私は論議をいたしたと思いますが、その後何ら御研究がないということは、はなはだ遺憾で、きょうは、私もこまかい数字を持って参りませんが、私は、その後にいろいろと調査をした数字も持っておりまするのですが、こういうような、初めて税金をかけるときに、六千円というような、ドラスティックな大きな税金創設をするというような際には、その推移について慎重なる御研究が当然願わるべきだ、こう思うのですが、その後、ガソリン自動車軽油自動車との各般比較、御承知のように、軽油自動車ガソリン自動車では、価格の面においても四割程度の差がある。また、軽油自動車は、ドイツと日本において最も発達をしておるという関係から、政府としては、これが輸出その他各般育成措置をとっておるというような点、並びに修理上の各般事情、また、修理に関する人件費等の面においても、ガソリン自動車軽油自動車では格段の違いがある。それらの点について、地方自治体だけではなくして、政府として、一年間の実情に対してどういう御研究、御調査がなされたかという点について、お伺いしたかったのでありますが、遺憾ながら、それらの点については、周到なる御調査、またその結果についての御研究を聞くことができなかったのは残念でありますが、私自身、この問題については、いろいろ調べ研究しておる点もありますので、後刻それらの点について、さらに対照をしてお伺いしたいと、かように考えております。  それからもう一つ、この機会に、大臣にお伺いいたしたいのでありますが、地方の各府県において、最近、中央政府自動車行政といいますか、自動車税に対する考え方が非常に安易な、税金を何でも自動車関係から取ればいいというような安易な考え方が各府県びまんをいたしまして、いろいろな税金創設しようとしておる。その最も典型的なものは、自動車取得税で、物品税のほかに、自動車取得税がかかっておる。いろいろな税金の二重課税というものは、これは私どもは、常識的には、いかなる場合においても避けらるべきものだ。ところが、最近では、各方面においてそういう税金がかけられ、しかも、前大臣、前々大臣の時代においては、再建団体である府県についての税金創設については、これは、再建団体財政健全化角度から、ある程度はやむを得ないが、しかし、そうでないものについては、政府として、これが認可の拒否については慎重に考慮しなければならないという御答弁があったのでありますが、最近では、どうも再建団体でなくとも、そういうような税金各地乱設をして、それを中央認可する傾向にあるということは、まことに遺憾な次第であります。ことに、前国会において、私が非常に遺憾に思って、これはいやな形ではありましたが、食いとめることができましたのは、長崎の自動車走行税であります。これは明かに、全部の道路有料道路であるという前提のもとに税金を取るというような、とんでもないもので、自動車がかりに百キロ走ったなら、百キロ分の税金が取られる。これは、商売の営業用でも、個人の自家用でも、走れば自動車走行税が取られる、たとえば、二百キロ走ればそれだけ税金が取られる。これでは、一体揮発油税等道路負担金を出す、そういうものを出すという意味が全くないのです。どこの道路でも、走りさえすれば税金が取られる、世界中にそんなばかな税金はありません。こういうような税金が横行するようになるに至ってはとんでもない。幸いにして、私ども民間のものが県知事に迫って、その税金は、取られる半額を寄付するということでこの事態は納まったのですが、今後、かくのごときいいかげんな税が各府県乱設される、こういうようなことになっては、私はとんでもない話だと思うのですが、これらの地方における自動車関係諸税乱設について、大臣はどういうお考えか、私はとくとこの際伺っておきたい。
  7. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) これは、法定外普通税の新設の場合に、許可はどういう考え方許可しているかという問題に帰するわけでございますが、ことに、今お言葉のございました自動車関係の税というものの扱いでございますが、その許可の際には、再建団体であります場合は、特に再建団体でもあるしということで、これに対して認可をしていきたいというような実情にあるわけでございます。しかし、再建団体でない場合におきましては、そう  いうこの種の税につきましては、できるだけ自制をさすということが方針であったことは、間違いはないのでありますが、何分にも法定外普通税の問題につきましては、その地方々々の自治体自主性を極力尊重して、大へんな差しさわりがない限りは、これに対して承認を与えようという趣旨でやって参っておるような事情でございますので、再建団体でないものに対しましても、数個の県について、自動車取得税を認めておるわけであります。こういうような事情があったわけであります。今後の方針といたしましては、何でもかんでも取りやすいからという意味で、自動車関係でそういう税を徴収をするというようなことにつきましては、自主性を尊重するとはいいながら、やはり一定の基準によりまして、その自治体財政状況というものをよく押えました上で、これに対しては極力自制をしていくように指導をすべきものである、こういうふうな考え方でございます。今、御意見をいただきましたことについては、従来の政府の許認可やり方につきましては、あるいは行き届かざる乱設のそしりがあるのではないかというような点も、多少はそういう傾向があるいは見受けられるかもしれませんが、この点につきましては、よく反省を加えまして、将来措置をして参りたいと思っております。
  8. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 どうも大臣の御答弁、非常に一般的で、私ども、これらの問題に対して、明確な政府としての御方針を承わることのできないのは、非常に残念に存じておる次第でありまするが、政府のそういった考え方府県びまんをして、ただいま私が申し上げたような事態各地に起りつつあるということは、私どもとして非常に憂慮にたえない。御承知のように、自動車関係税金もしくはこれに類似するものは、現在十一種類もあるんです。道路負担金であるとか、協力費であるとか、そういったものを加えまして、それらはみな大衆に転嫁される。そうしてバス運賃が上ったり、電車運賃が上るというようなことで、私ども、これらの点については非常に遺憾だと、かように考えております。ことに、きょう議題となっておりまする地方道路税につきましても、私どもは、政府の出された。資料に徴しましても、本年度は、一月末ですでに四十五億が余分に徴税されている。そうすると、地方道路税において、一体今年度はどのくらい余分に徴税されているのか、その点をお調べがあったらお伺いいたしたい。
  9. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三十一年度収入見込六十九億二千三百万円に対しまして、四億円ぐらいの自然増収がある見込でございます。六十九億二千三百万円と言いましたが、五大市に対する地方道路譲与税を落しておったので、訂正さしていただきたいと思います。七十五億弱でございます。その七十五億弱に対しまして、四億円程度自然増収が出る見込でございます。
  10. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっと委員長から質問しますが、今のは、御質問のように、地方道路税ですか。地方道路譲与税のことですか。
  11. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) さようでございます。
  12. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ちょっとどうも、そうすると、数字が合わないのですが、政府全体の比率からいって、五十億以上予定税額よりは過重徴税がなされると、これは、来年度は、御承知のように、五百三億ということになっておりますが、本年度は三百億だ。そうすると、それに対して、一割何分かの過重徴税がなされる。これは自然的な結果で、ガソリンが使われたがゆえにそういうふうに取られるので、これは別に、政府がどうこう言うことはないのでありますが、私は、結果として、国税の方の面と、地方税の方の面とのバランスにおいては、十億近く余分に徴税されなければ、つじつまが合わんと思うのですが、どうですか。
  13. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三十一年度地方道路譲与税見込額の中には、二十九年の揮発油譲与税特別会計への繰入未済額十八億円程度を含んでおりますから、揮発油税地方道路税税率比率だけでは計算が出ないと思います。
  14. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 わかりました。なおまた、私は、さいぜん奧野税務部長お話になりました、ガソリン自動車軽油自動車との徴税上の税金負担の公正を得ているかどうかという点についての御調査について、十分納得ができませんので、この点については、さらに私も資料を持って来て、一応質疑を重ねたいと思いますが、ただいまのところでは、これをもって私の質問は終ります。
  15. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御質疑の方は、順次御発言願います。
  16. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは資料なんですが、遊興飲食税客体別の税収、どのくらい税金を集めておるかというその見込と申しますか、あるいは欠損と申しますか、そういうものを資料があれば、いただいた資料の中のどこかにあれば教えていただきたい。もしなければ、資料として御提出を願いたいと思います。
  17. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 衆議院に別刷りのさらに詳しいものをお出ししておったようでありますが、今聞きますと、参議院には出ておりませんので、間に合いますかどうか……、この委員会の継続中に御提出いたします。
  18. 大沢雄一

    大沢雄一君 地方税改正におきまする住民税の第二、第三課税方式に対する基準率設定に対しまする問題でありますが、同じ所得を持っているものが、住んでいる町村によりまして、その住民税が非常に異なるというようなことは、まことに不合理でございまして、提案理由のように、課税方式の異なることによって、大体負担に対して著しく異ならぬようにという改正趣旨には賛成するものでございます。しかしながら、申すまでもなく、現在まで第二あるいは第三課税方式をとっておりまする市町村は、それ相応のやむを得ない財政上の理由によってそうなっておることは、申すまでもないわけであります。  そこで、この課税方式を改訂して、基準率を設定するに当りまして、具体的な関係市町村に対しまする影響を十分御調査になっておりますかどうか。調査になっておりますとすれば、それが具体的にどうなるかということをまずお伺いいたしたいと思います。
  19. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第二課税方式税率につきましては、課税所得金額の七・五%以内で、市町村が任意にきめられるわけでございます。その関係から、市町村相互間におきまして、非常に大きな幅がございます。第一課税方式の場合であれば、得られるであろう額よりも二倍、三倍の増収を得て、同じような所得者をとりましても、はなはだしいところは三倍、四倍の開きさえ生じているようでございます。従いまして、第二課税方式について、今回準拠すべき率を法定したその通りに、市町村が条例を改正いたしたとしますと、減収の生ずる幅というものも、市町村によって非常に区々でございます。もとより、第二課税方式についてなされました率も準拠すべき率でありますので、それに拘束されるというわけではございません。しかしながら、大体それに似通ったところにもっていってもらはなければ困るわけでございますので、なるべくその率までもっていってくれることを期待しているわけでございます。  そういう意味においては、特に激減団体につきましては、国におきまして、財源補てんを大幅にそれらの市町村については行なっていくというようなことにしなければならないと思います。一様ではございませんので、私どもの方で調査いたしておりますが、非常に激しいところと、ほとんど変りのないところと、いろいろあるわけでございます。ただ、その減収を全体として見積りました場合には、四十九億円程度になるだろう、かように推定いたしておるわけでございます。
  20. 大沢雄一

    大沢雄一君 概括的な説明といたしましては、私もすでに承知をいたしておるわけでございます。具体的な町村に対する影響につきまして、もし調べてあれば、その資料をいただきたいと思います。後刻でけっこうであります。  全国町村会から配付されました資料によってこれを見まするというと、減収比率が、個人所得税割りにおきまして三割以上、三一%余になっておりまするようでございます。もっともこれは、全市町村について調べたものではないようでございますが、多数の市町村について調べたものであります。その町村税に対する減収比率は九・三%ですから、約一割。そういたしますると、町村財政からいいますると、非常なこれは影響であると思うわけであります。これに対しまして、国からの財源補てん等考えるとか、考えたとか、今お話がありましだが、どういう財源補てん方法をお考えになっていただいたか、その点をお伺いいたします。
  21. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第二課税方式をとることによって増収を得ている団体が、市町村間の負担均衡を保持するために税率が法定された場合には、間接的にはその率を採用するように強制されるだろうというふうに思うのであります。そういう場合におきまして、一挙に税収入が減って参りますと、市町村としても運営に困ってしまいます。ことに地方交付税計算いたしました場合の基準財政収入額は、第一課税方式をとった場合に得られるであろう収入額を見ておるわけでございますので、従前、第二課税方式によって増収を得ておりましても、これは一種の含み資産のようなものであっただろうと思うのであります。従いまして、三十二年度において制度が改正されましても、地方交付税計算においては、別に今までの基準財政収入額が減って参るということにもなりません。そうすると、普通交付税財源補てんするという行き方は不可能でございます。  そこで、経過的に特別交付税で穴埋めをしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。具体的な方法としては、たとえば、第一課税方式であっても、二割程度税率の幅があるわけでございますので、三十二年度市町村民税所得税割り基準財政収入、これを標準税収入におきまして、たとえば、これの二倍を超える税収入を第二課税方式の採用によって前年度において得ておったといたしますと、それを超える部分は、全額特別交付税で見ていく。あるいはまた、一・八倍を超える部分については、五割を特別交付税で見ていくというような方式を採用しながら、全体としては、半額程度のものは特別交付税補てんされる。しかし、非常にきつい課税をしておった団体については、特に多く補てんをしていくというようなやり方をしていきたい、かように考えているわけでございます。大体三年くらい、順次補てんの幅を縮めていって、平年度にもっていきたいと、かように考えているわけでございます。
  22. 大沢雄一

    大沢雄一君 御説明趣旨はわかりましたが、減収の問題によって生じますることは、今お話通りに、基準財政収入計算が第一課税方式でとられておるということにあるわけでございます。従いまして、経過的にこの基準財政収入の見方を第一課税方式でやることこれ自体を何らか変更して、そうして減収を緩和するというような方途は考えられないものか。それから、関係市町村からの陳情では、これは、私は、個人としては決して賛成するものではありませんが、そういう要望がありますので、これに対する御見解を伺うわけでありますが、一年程度実施時期を繰り延べてやってもらいたい、そういう要望をしているものもありますが、こういう要望に対するお考え、御研究あるいはまた、この特別交付税で今調整をされるというお話で、今のこの状態においては、これはまあ、私はやむを得ない措置ではないかと思うのでありますが、しかし、やはりこれに対しましては、要するに地方団体全体の既得財源じゃないか。その既得財源で、法の改正によって生じた穴を埋めるということは、要するに、これは真の財源措置にはなり得ないじゃないかという不服が関係者の方にあるわけであります。こういう点に対しまして、どういう御研究、どういうお考えなのか。要するに、新たな、たとえば、たばこ消費税増率というような、そういうことは一応考えたのかどうか、そういうことに触れて、一つお答え願いたいと思います。
  23. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第二課税方式を採用しております市町村といたしましては、今回法定されます率にそのまま準拠した場合に、収入激減を生ずるわけでございますので、できるなら一年ずらして、三十三年度からそういうことにしてもらいたいと言われるのも、無理からぬところだと私たち思っております。ただ、そうなった場合に、かえって市町村としては、財政運営に困難を来たすのじゃなかろうかという考え方を私たちとしては持っておるわけであります。その理由は、今回法定いたします準拠率も、第一課税方式の場合の負担均衡をとって考えているわけであります。ところが現在、現実に市町村が採用いたしております率は、市町村によって違うわけでありますけれども、第一課税方式の場合の負担よりも、はるかに大きな率をきめていることになっているのであります。この第一課税方式の率そのものが形式的には引き上げられましても、実質的には下ってくるわけでありまして、市町村民税だけをとりましても、三十二年度よりも三十三年度は、五十七億四千四百万円減って参りますし、また、三十四年度以降は、八十三億千八百万円減ってくるわけであります。第一課税方式そのものについて減税方式がとられておるわけであります。そうしますと、かりに三十二年度については何ら措置いたしませんで、三十三年度において、直ちに第一課税方式の場合の負担と似たような率を第二課税方式について法定したとしますと、今の収入が減るよりももっと大きな収入ががたっと一挙に減ってしまうわけであります。そうしますと、市町村としては、財政運営に非常な困難をなめなければならないのじゃなかろうか。それよりも、徐々に減っていった方が、市町村としては財政運営がやりやすいのじゃなかろうか、こう考えておるわけであります。ことに昭和三十二年度におきましては、幸いにして、一般の地方税収入につきましても、相当な増を期待できますし、地方交付税につきましても、相当な増が期待されておるわけでございますから、基準財政需要額そのものも大幅に引き上げられるわけであります。言いかえれば、全町村を通じまして、相当収入に恵まれる際でありますので、こういう際であれば、市町村民税について若干減る場合であっても、財政運営についてやりくりがつけられやすいのじゃないだろうか、こういうような考え方を持っておるわけであります。そういう意味においては、三十二年度に一応第一課税方式の場合に比例をとった準拠率というものを示しておいた方が無難だろうと、かように考えておるわけであります。  なお、第二課税方式について、こういうような準拠率をきめる結果、四十九億円の減収が生ずる、これについては、たばこ消費税等で補てんした方がよいじゃないかという、こういうお考えでございます。これにつきましては、地方交付税なり地方税なり、全体につきましてこれだけの減を予定して、なおかつ、千億円内外の増収の得られるような財政計画になっておるのでございますので、四十九億円と見合わせに、直ちにそれに相応したたばこ消費税という考え方をするには及ばないだろうと、こう思っておるわけであります。要するに、地方財政全体について穴のあかないようにしていきたい。たばこ消費税補てんをいたしましたにいたしましても、市町村民税の多い団体に必ずしもたばこ消費税が多くふえていくわけには参らんじゃないか、かように考えておるわけでございます。  なお、特別交付税補てんをするといいましても、地方財政全体として、それだけ財源がふえたことにもならないことはもちろんでございます。しかしながら、幸いにして地方交付税がかなり増額されるものでございますから、特別交付税そのものの金額におきましても、三十二年度においては、前年度よりも二十億円程度の増額が行われるわけでございます。従いまして、この部分をそっくり市町村民税の方に持って参りましても、他の団体に対しまして、それほど大きな迷惑をかけることにはならないのじゃなかろうか、こういうふうに思っているわけでございます。  もとより、市町村におきまして、たばこ消費税増率の希望も非常に強いわけでございますので、さらに、市町村民税の一般的な減収が具体化します三十三年度の場合に、地方税収入がどう伸びるかということとあわせて検討されなければならない問題だろうというふうに心得ておるわけでございます。
  24. 大沢雄一

    大沢雄一君 私は、大体この問題につきましては、納税者の負担の公平を期するために、やむを得ない措置であるとして是認をするものでございます。大体自治庁当局のお考えといたしましては、自然増収が相当ある際であるから、一方自然増収によって、この歳入の穴は相当に埋まるであろう。もしそれでも及ばぬところには、特別交付税考えるというような考え方に伺っておるわけでございます。ただ、私の憂えまするところは、こういう課税方式を今までとっておりまするところは、それらの関係団体の訴えによりまするというと、当局のいうごとくに自然増収も非常にないところである。非常に少いところであるということを非常に訴えてきておるわけであります。私、具体的に各市町村について調べたわけではありませんので、一般的な問題といたしましては、やむを得ない措置として認めるものでございまするが、どうか一つ、そういう強い声があるということを十分当局としては頭に置かれまして、一つ綿密に、懇切に、特別交付税の配分その他を十分念を入れてやってくれまするように要望いたしまして、この問題は、私はこれで打ち切りたいと思います。
  25. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の問題に関連いたしまして、大沢委員から御指摘があったのですけれどもね。税の自然増収分というものを、だいぶいろいろな対象に見込んでおるようですけれども、第二、第三課税方式をとっておった市町村で、税の自然増分というものをそう見込めるかという問題があると思うのです。で、税務部長が最初に御説明なさいました中に、基準財政需要額と基準財政収入額の算定の上で、第二、第三課税方式で、第一方式よりよけい取る分というものは見込んでないのだから、たぶん減収ということにはならないのだ、それはその通りだと思う、形式的には。しかし、基準財政需要額というものが、市町村計算した通り基準財政需要額というものを認定していただいておるなら、今のようなことが言えるのですね。しかし、第二、第三課税方式をとっても、基準財政需要額というものにはまだまだ足りないというのが現況ではなかったか。そうすると、現実的に歳入歳出の予算面では、これは四十九億というものはやっぱり歳入の穴として生じてくるということになるのです。計画の上では、部長のいう通りであるけれども、実際上行政を執行する面からいえば、やっぱり第二、第三課税方式で現在取っておったのと、新らしい方式で取るものの差額というものは、やはり不足として生じてくるのです。これを自然増というものだけでは、税の自然増分だけでまかなうといったって、これはできない相談です。自然増分の幅がないのですから、やっぱりほんとうの意味で、前々からよく自治庁も御指摘になっておるように、市町村においても最低行政水準を維持させようというならば、今までの財政計画に無理があったのですから、市町村にとっては、特に第二、第三課税方式をとっている市町村にとっては、今までの市町村財政の計画に無理があったのですから、それを何か緩和してやるという方法をとらなければ、住民税を引き下げるということはけっこうです。もっと引き下げてもらわなければならないと思う。しかし、それに見合うところの財源というものを新らしく付与してやるという方法をやはり具体的に考えていただかなければ、やはりこの問題は解決つかないのじゃないか。特別交付税考えてやると、こう言う。しかし、特別交付税というものは、従前やはり特別交付税というものでもって、それぞれ使途がきまって使われておった。今、特別交付税というものをそういう団体だけの穴埋め的財源として使うというならば、今までの、特別交付税財源として一応期待を持っておった団体というものは、今まで通り特別交付税の恩典に浴し得ないという結果も生ずるわけなんです。そういう点といろいろ考え合せてみると、どうもやっぱり第二、第三課税方式をとっておる地方団体にとっての補足財源補てんというのは、まだ十二分な点というまでにはいっておらないんじゃないかという心配がやはり残る。こういう点、どうでしょうか。
  26. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先ほど私が、地方交付税計算する場合に、第二課税方式で従来増徴しておったその分は、基準財政収入額計算には入っていなかった部分だから、今度、法定された率に準拠する率を使って減収が生ずる。しかし、そのことは、地方交付税計算上現われてこないのだと、こう申し上げましたのは、だから気の毒だと、こういう意味で申し上げているわけであります。そこで、その気の毒なものは、特別交付税補てんしたいと考えておるわけでありますが、加瀬さんのおっしゃっているのは、そういう団体には、だから別な税源を与えなければならないのじゃないかという御立論のように伺ったわけであります。私たち考えでは、第二課税方式で、非常に無理な税率を使わなければならないような市町村に、果して独立税源を与え得るものがあるだろうかということになって参りますと、非常に疑問であるのでありまして、そういう団体こそ、地方交付税制度で救済していかなきゃならぬのじゃなかろうか、かように考えておるわけであります。そうしますと、今回、地方交付税全体におきましても、三百二、三十億円の前年度よりも増額があるわけでございますので、基準財政需要額そのものを大幅に引き上げていくことができる。そうしますと、自然増収がありませんでも、基準財政需要額から基準財政収入額を差し引きました交付基準額というものが、前年度よりもずっと多くなってくるわけでございますので、こういう面で救済されていくことになるんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけであります。これで救済されるほかに、なおかつ、従来からいえば、含み資産がなくなってくるわけだから、この含み資産の減少分について、経過的にさらに加えて、特別な配慮をいたしたいと考えているということを申し上げておるわけでございます。一応は、地方税自然増収地方交付税の増額、この財源を基礎にいたしまして、基準財政需要額そのものを大幅に引き上げることができる。その結果は、自然増収の少い団体におきましては、地方交付税がかなり前年度よりも多くなるんじゃないか、これが一つでございます。そのほかに、第二課税方式による従来の増徴分というものが一種の含み資産なんだから、これの減を別個にさらにこれらの団体について交付していきたい、さように、まあ二段がまえで考慮しておるわけであります。
  27. 加瀬完

    ○加瀬完君 基準財政需要額が、一応単位が上りますからふくらんでくる。これはその通りだと思います。しかし、若干単位を改正して、基準財政需要額を各団体ごとに上げてみたところで、それは、今までどうにもやりくりのつかなかった一部が若干緩和されるというだけで、特に第二、第三課税方式などをとっている、無理な財政計画を進めている団体の今までの問題が全部解消できるということにならないじゃないか。それは、自治庁が初め考えたような、地方交付税の率というものが上って、額がふえるということならば、一応の使途は違いますけれども、三%上げたいというものを一%しか上らないということであっては、これは、はるかに割引された需要額のふくらみということになって、まだまだ問題の解決はあとに残ると、こう思うのです。ですから、やはりそういう団体には、もっと、四十九億なら四十九億というものの実質的な不足分というものを考えてやらなければならぬのじゃないか。この考え方が、この交付税でまかなうのは当然だ。私はその通りだと思います。交付税でまかなってもらいたい。そこで、先ほどの御説明では、あたかもそういう団体にも、一部税の大幅な自然増があるような御説明でありましたけれども、それを期待するのは無理じゃないか。どうしても交付税のような形でまかなわなければ、まかなう方法がないのじゃないか。ところが、交付税でまかなうとしても、特別交付税というものでまかなうというのは、これは相当無理があるのじゃないか。だから、交付税そのものでまかなうということになれば、交付税そのものの額というものは、これらをまかなうについてはまだ少な過ぎるのじゃないか。結局四十九億円の大部分は、やはりどうにもならないで、未解決のまま残されてしまうのじゃないか、こういう点を心配しておる。結局交付税なり特別交付税なりで四十九億というものが、現実的に第二、第三課税方式地方団体の心配しておるようなことでなくて解決できるのだ、こういうお見通しでしょうか。
  28. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 加瀬さんのおっしゃっていますことはよくわかりました。要するに、第二課税方式で無理な増徴をやっておる団体についてまで、十分潤った財源が行くについては、なお地方交付税その他について不十分なところがあるのじゃないか、こういう御趣旨のように伺ったおけであります。もちろん、これで十分であるか十分でないかにつきましては、議論のあるところだと思います。ただ、私の特に申し添えたいことは、従来の地方財政計画において、収入支出を見積っていきます見積り方について、第二課税方式採用による無理な増徴分を収入に加えてバランスを合せておった点が、五十億程度減額された。そのことによって、ほんとうに使える収入がほんとうに必要な支出に与えられる合理的な地方財政計画へ一歩前進したということは言えると思うのです。従来、第二課税方式によって相当な増徴を得ておるであろう。それも必要な支出をまかなうための財源として、地方財政計画の収入に合っておったわけであります。これを五十億程度減額いたしました。減額いたしまして、なおかつ、従来作成しております地方財政計画がバランスの合った姿になってきておるわけでございますので、無理なつじつまの合せ方が、五十億円程度合理的な姿になってきておると、こういうことは言えると思うのであります。ただ、そういうような姿になって、各団体についての基準財政需要額が引き上げられておるが、この基準財政需要額は、なお現実の町村財政実態から見た場合には少いのじゃないか、こういう御議論、これはよくわかるわけでありまして、これは、見方によりまして、いろいろな見方ができるだろうというふうに思うわけでございます。
  29. 加瀬完

    ○加瀬完君 今まで、第二、第三課税方式をとっておった地方団体が、ある程度無理のない財政の運営をしておったということであれば、五十億程度がかえって合理的になったという部長さんのおっしゃる御意見も、その通り賛成できると思うのです。しかし、今までの第二、第三課税方式をとっておった団体は、第二、第三課税方式をとりたくてとっておったのじゃないと思う。とらざるを得なくてとっておったと思うのです。それには、基準財政需要額の見積りそのものにも無理があるだろうし、あるいは当然基準財政収入額としてもらいたい交付税その他にも、希望のような結果が得られなかったということにもあろうかと思うのです。この基準財政需要額の立て方の無理、あるいは収入額の立て方の無理といいますか。収入額で取得できる総額がいつもマイナスされてきてしまって、バランスがとれなかったという条件ですが、こういう条件は、このたびの財政計画によっても、やはり大部分というものはまだ未解決のまま残っておると思うのです。そうなって参りますと、地方団体の言うように、やはり四十九億円あるいは五十億円という、この地方団体側から見れば、現在の第二、第三の課税方式から低くなる、この不足というものを何かの形で補ってもらわなければという声も、これはそういう点ではやはり当然だと思うのです。そこで、これは、今度の税制改正の基本的な問題にもなるかと思いますが、第二、第三課税方式のようなものをやはり減税という大きな方針で低めていくというなら、低めても、やっぱり現状通り運営ができるという別の財源考えてやるということでなければ——それは特別交付税でやるということではなしに、はっきり別の財源考えてやる、あるいはその税制の上で別の財源というものが考えられなかったならば、交付税でもいいんですから、こういう団体というものにまた別の補正係数を設けるとか、具体的な数字でやはり安心させるとかいう措置がとられなければ、私は、今度の税制改正という一つの成功をみたとしても、ここだけは谷間になって残るというふうなことが感じられる、この点いかがでしょうか。くどいようですけれども、もう一回言いますが、自然増というものが全然期待できないような対象団体ですね。ですから、無理やりに第二、第三課税方式というものをとって、非常にその過酷な徴税をしておる。これを改めるというのはけっこうですけれども、過酷な徴税になっておったかわり財源というものがなければ、現実に収入の不足というものを来たすわけです。収入不足を来たせば、これは行政の規模というものを縮小するか、あるいは別な形で、ほかの方でやはりその不足分というものを増収するという形をとらざるを得ないのじゃないか。それは、他の面がいろいろとあんばいされておる割には、こういう対象団体というものに、今度の税制の改正というものは考慮というものが行き届いておらないということにはならないか、こういう点を伺いたい。
  30. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 四十九億円の減収というものが、特に限られた財源貧弱団体における減収でありますから、四十九億円そのものの数字が大きい上に、限られた団体の問題でありますだけに、与える影響は非常に大きいと、私たちも思っておるわけでございまして、加瀬さんの御心配いただきます点、まことに私どもももっともだと思っておるのでございます。ただしかしながら、町村であれば、どの町村もみんな同じだといえないわけでございまして、第二課税方式をとっております団体が七十数パーセントございます。逆に言えば、第一課税方式をとっている団体も二割内外はあるわけでございます。と同時に、また、七十数パーセントの第二課税方式採用の団体の中にも、第一課税方式と大体似たり寄ったりな負担を着せておるところもあれば、三倍、四倍の負担を着せておるところもあるわけでございます。もしどの町村も同じようなやり方をしておるといたしますならば、そのまま、一方で下げるかわりには、他方で全体的に補てんされる制度ということにもなろうかと思うのでありますけれども、たまたま、非常に事態が違っておるわけでございますので、そうも参らんのじゃないかというふうに思っております。しかも、かりに何かの補てん措置をやるにいたしましても、一応交付税、これよりないのじゃないか。そういたしますと、結局は基準財政需要額を引き上げていくという問題と、もし第二課税方式で無理な増徴をしておる団体についての財政需要額の測定の仕方が誤まっておるならば、それを是正していくという問題とに帰着していくのじゃなかろうか、かように考えるわけでありまして、幸いにして千億円に上る大きな財源の増加のある際でありますので、この機会に、過酷な住民負担を軽減する。その結果、市町村財政運営に相当な支障を与える場合でありましても、一般的に財源はふえる際でありますから、非常にいい機会ではなかろうか。こういうような考え方を他面には持っておるわけであります。一応基準財政需要額の増額によって補てんされる。あるいはまた、基準財政需要額の算定の内容につきましても、投資的な経費その他を重視することによって、従来のもし不均衡があったとするならばそれを是正していく、そうやっても、なおまかなえない部分については、これは特別交付税で経過的に見ていくと、かように考えておるわけであります。やはり激変緩和という意味で、特別交付税制度を用いたいだけのことでありまして、財源補てんとしては、あくまでも一般的に基準財政需要額を引き上げていくのだと言えるであろうと思っておるのであります。御指摘になりました、従来からの弱小団体、やりたくて増徴しておるわけじゃございませんので、それらの点についての財政需要額の測定につきましては、一そう注意をしていかなければならないと思いますし、その点につきましては、財政部ともよく連絡をとって参りたいと思っております。
  31. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 加瀬さんのに関連いたしまして、ちょっと質問いたしますが、結局その第二方式というものがその通りにお行いになることによって減収をする、減収をしたのはどうするかというのが、結局いろいろ自然増収もあるだろうけれども、とにかく住まっておる場所によって負担が二倍も三倍も違うという不自然をなくするためにやることですから、幸い自然増収もあるときだから、何とかやりくりがつくだろう。つかないところは、その市町村財政規模を縮小してもやむを得ない。そういう考えにはっきり立っておるものではないですか。そして、それはまた、大きな負担不公平を是正するためには、過渡的なそういうものもやむを得ないというふうに私は認識しておる。  それから、もう一点聞きたいのは、特別交付税でこれを緩和すると言われるけれども特別交付税というものは、予算を実施してから一年間、最初に予測しなかった特別の事情が生じた場合、それに対応して交付するという性質のものであって、法律案を出すときにはっきり予測のできることを、そこを思い切って断行するのだという信念なくして、特殊事情であるから、特別交付金で補てんしてやるのだと、ことに、さいぜんの話によると、その減収率の一定割合以上のものについては、そっくり補てんしてやるような話もありましたが、特別交付税というものは、そういうふうに使うべき性質のものではないと、ことに法案提出の際はっきり予定しておる事柄について使うということは、特別交付税の性質に反しやしないか。しかるに、実際問題としては、部長の言われる通りに、そういうことで、できるだけの考慮は加えられるべきものだと思いますが、今申し上げた、この際一応負担均衡のために踏み切るのだと、そうしてその経過的措置はこの範囲でやる、この範囲で、なおこまかいところは、過渡的には一年なり二年なり、市町村財政規模の縮小もやむを得ない、がまんしてもらうという根本的な考えはあるのですか。
  32. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第一点は、過酷な住民負担を抑制する、その結果財源の不足する面については、場合によっては財政規模の縮小もやむを得ないのじゃないかと考えておるのじゃないかという、これが一点。これは、私も同じように考えておるのであります。説明がかなり不徹底であったかと思いますが、しかしながら、その場合におきましても、幸いにして財源がふえることによって、無理な財政規模の抑制にはならないようにできるのではないか、こう思っておるわけであります。そういう意味においてまた、特別交付税というものを激変緩和という意味において使いたい、こう申し上げておるわけでございまして、財源補てんのために使うのだという意味で申し上げているわけじゃないのでございまして、財政運営の激変を緩和する、こういう意味合いにおいて特別交付税制度を運用したいのでございます。  第二点において、特別交付税制度の運用の問題でありますが、どちらかといいますと、従来基準財政収入額の面においては、そういう団体について実際よりも少く見ておった。で、今度は実際通り見ていくとこういうことになってしまうだろうと思うのであります。そうしますと、逆に基準財政需要額にプラスしなければならないじゃないかという問題も起るかもしれないのですが、そういう画一性の結果、必要な財源補てんされない。その意味において、経過的に特別交付税制度を運用したいというわけでございますので、特別交付税制度運用の本旨には反しないのではないか、こう思っておるわけであります。また、おっしゃいましたように、なるたけ早い機会に、こういう程度において補てんをしたいという算式を地方に示さなければならないだろうというふうに思っておるわけでございまして、大体、かりに三十二年度において二十数億円この面に向けられるといたしますならば、三十三年度はその二分の一、また、三十四年度はさらにその二分の一というふうなことで、漸次減少していきたい。そうして、まあ三年間ぐらいは経過的にそういう団体の救済を行えば、あとは、おっしゃいましたように、もし過酷な住民税の増徴ができない、その結果は財政規模の縮小だ、それもやむを得ない、こう思っておるわけでございまして、直ちに財政縮小に追い込む行き方につきましては、私どもとしてもとるべきでない、かように考えておるわけでございます。
  33. 本多市郎

    委員長本多市郎君) もう一点伺いますが、大体、日本の地方公共団体は、今の平衡交付金制度のもと、それに基く行政を自分の自主的財源と合してやっていくという建前になっているのだから、だからして、それ以上の、つまりこの基準財政収入額に算定されていない収入というものは、それにむしろプラスしておるわけです。ほかの市町村よりも二倍も三倍もよけいにまあ取っていると、その取った分が、いろいろ事情はあるでしょう。しかし、それは、その交付金制度できめている政府のとにかく予定している、予想しているもの以上のものを取って、そして、以上のものは自主的に使われているわけですね。その団体に対して、無理してよけいに取っていた所には交付税をよけいにやろう、あるいは特別交付税でよけいに見てやろうというようなことは、少しそこに矛盾があるような気もするのです。ですから、今、非常に困難な団体をあなたが対象にして説明されておるから、そういうことになっていくのだろうと思いますけれども、どうも高い税金を無理して取っていた所ほど、今度は特別交付金がよけいにもらえるのだというような点が、ちょっと不合理に感じますが、どうですか。
  34. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第二課税方式で、かなり無理な増徴をしている団体がございます。この点につきましては、従来地方財政計画を策定いたしますに当りましても、歳入面において、無理な増徴分を財源として見込んでおったわけであります。この辺にも私は一つの無理があったのじゃないだろうかというふうに思っております。無理な財源を見ている。しかしながら、実際問題として、基準財政収入額にはそれを加えようがない。従いまして、各団体について、ある規模の行政水準を想定いたしましても、そこまで基準財政需要額を引き上げることができなかったわけでございます。そういう事情もあるわけでございますので、少くとも無理な課税をしておった、無理な課税を直ちにやめて、その結果、団体財政運営に激変を来たして、混乱が起きてくる。これは、政府としても、できる限り混乱を避けさせるような運用をしなければならないのじゃないだろうか。こういう意味で、もし第一方式の場合の二倍、三倍に上るような増徴をやっておったといたしますならば、なるたけ住民負担均衡を早い機会に得られ得るようにいたしますためには、二倍以上の分を全額特別交付税補てんするとか、あるいは一割八分以上の部分については、他の場合よりも若干多く補てんをするとかいうやり方をしなければならないのじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。もちろんこれは、恒久的にするわけじゃございませんので、激変緩和でありますから、救済する程度というのはだんだん下げていくわけであります。三年ぐらいで、そういう意味でやっていきたい。そういう事情でありますので、従来非常に無理なことをやっておった、その場合の財政規模は、無理なことをやめるかわりに、これを一挙に引き下げるということは、これもたしかにむずかしい問題だと思いますので、そういう団体につきましては、住民負担均衡化をなるたけ早い機会に得られるように、財政負担の平常化といいましょうか、今やっていることがそのまま将来もやっていけるかもしれませんが、基準財政の引き上げによってやっていけることが一番われわれとしても望ましいのでありますが、やっていけるかもしれませんが、やっていかれない場合につきましても、なるたけ平常化への移りかわりを円滑にするために、特別交付税補てん程度を高めるということもやむを得ないのじゃないかと思います。ほんとうにいいとは思っておりませんが、やむを得ないのじゃないか、こういう考え方に立っているわけであります。
  35. 本多市郎

    委員長本多市郎君) もう一回、ただいまの交付税の増額によって一般財源を充実して、そうしてこの問題に無理が起らないようにということは、これはけっこうなことです。しかし、今の地方団体は、これは、交付税制度のもと、算定された交付税、それによって、自主的運営は自己財源とその他の金とでやらなければならぬことになっている。従って、その中に、自治団体なら自治団体の自主的意見によって第一方式によるか、第二方式、第三方式をとって、三倍、四倍取るかということは、全く自主的にやったものです。その自主的にやっておったことが、非常に思い切って、四倍も取っていたという場合には、一年か二年か知らないけれども、その二倍以上の分、第一方式の二倍に当るものを政府が見るというようなこと、これは、よけい取ったものにはよけいやるというようなことになるのであって、どうもそこに、公平の観念を欠くようであるし、交付税にしても、そういうことにもし使われるとすれば、何か別に法律がなければ、交付税の趣旨に反するような気がしますが、どうですか。
  36. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方交付税法の第十五条の特別交付税の額の算定についての規定におきまして、「基準財政収入額のうちに著しく過大に算定された財政収入があること、」という言葉がございます。今の場合は、これと全く逆な場合だと思っているのであります。また、あとに、「基準財政収入額の算定方法の画一性のため生ずる」「基準財政収入額の算定過少」、これもまた、こういう種類の規定もあるわけでございます。要するに、画一的にやっていきますために、従来の財政運営から見ました場合に、非常に激変、差が激しいわけであります。従来やっておったことは、それじゃ全く自主的にやっておったのか、こういう問題になってきますと、地方財政計画の上で、かなり無理な市町村民税につきましての増徴分を見込んでおって、そうしてバランスを合せている、こういう点もわれわれとしては考慮しなければならないのじゃないか、こう思っているわけであります。おっしゃる点、よくわれわれもわかるわけでございますが、経過的には、地方交付税法の第十五条の規定を、今私が読み上げました点をそれらの市町村について考え、同時にまた、従来の地方財政計画の策定の経緯というものを考慮いたして参りますと、ただいままでに申し上げて参りました運用の仕方をすることが、必ずしも地方交付税考え方に違反するものであるとは言えないのじゃないか、こう思っておるわけであります。しかしながら、なお、どのような形において市町村財政運営の激変を緩和すべきかということにつきましては、慎重に考慮をして参りたいと思っております。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 今のお話委員長の御質問やら、あなたのお話から、いろいろな問題を考えなければならない段階にきておるのじゃないかと思いますが、一つ、第二課税方式等によって、他の団体と著しく比べてみて多い税の取り方をしておる。しかし、それは市町村独自のやり方であり、その多く取った税金で独自の仕事をしておるのだ。独自の仕事ということは、ほかの団体と比べてみました場合に、ほかの団体のいわゆる行政水準を上回るような仕事をしておるかどうかということですね。問題はやはりここにもあるのじゃないかと思うのです。第一課税方式等、他の団体のとっておる課税方式をとっては、そういう他の団体と比べてみて、その水準に達しないために、やむを得ずそういう方法をとっているのじゃないかと、それが実情じゃないかというふうに私は考えるわけです。従って、独自な、勝手な取り方をして、勝手な仕事をしておる。行政水準にプラスをしておるというような実態では私はないと思います。そこら辺に当って、これはやはり、問題は一つ考えていかなければならないのじゃないかということも私今考えます。その点が一つ。それから、私の見るところでは、私、全部の団体について承知しておりませんが、少くとも私ども従来見て参りました地方の、いわゆる税を多く取らなければならない貧弱町村におきましては、そういう姿であり、それなしには、いわゆる最低の、あるいは他と比べての行政水準を維持できないということ。だから、関連して私は財政需要額の問題にもなりますと同時に、根本的には、現在のこの課税方式の——詳しく言えば五つもある、これにも私は関連してくると思うのです。そういうふうな税の取り方をしなければならない建前にあるというような課税方式、それから、従ってそれに対する地方財政計画の立て方、こういうところに私は問題が生じてくるのじゃないかと思いますが、二つの問題ですが、先の問題から、実情はどうかということから一つお話をいただきたいと思います。
  38. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第一点は、無理な課税をしておる団体財政需要額そのものが、そのまま是認できるものであるかどうかというような点であります。どちらかというと、市町村として、財源さえあればやりたい、あるいはやらなければならない仕事がずいぶん多いだろうと思います。従いまして、やっている仕事そのものが要らない仕事だという見方は、私たちあまりいたしたくないのであります。ただ問題は、見合いになる財源の問題でございますが、財源の問題につきましては、第二課税方式をとれば、また、市町村の実態からいいますと、第一課税方式は、村の人の中でほんの数人しか所得負担をしないということもございまして、自然第二課税方式をとるようになると思います。第二課税方式をとった場合には、法律の上には、最高七・五%という率しか書いてないのでございます。市町村できめておるその条例が、村民全体に非常に過酷な税負担を強要されているのだという認識がそれほど強くなかったということもあるのじゃないか、こう思っております。私たち、条例準則というものを示しておりまして、その条例準則では、大体第一課税方式の場合と似たりよったりの負担になるような率を示しております。ところが、これは通達で示しておりますから、市町村会が条例をきめます場合に、議員さんたちもあまりよくご存じないわけであります。法律になって参りますと、これは非常にみんなに熟知されるわけでありまして、自然また議会でも、二倍、三倍になるような率をそう簡単には議決できない。自然激変が生ずるということで、理事者当局に非常に騒がれておる実態でございます。両面相待って是正されていくのじゃないかと思います。もとより、財源がなければやめる財政需要というものもかなりあるかと思いますが、どちらかといいますと、財源と見合って財政需要を考えているのが市町村の実態でありますから、よけいな仕事をやっているというように一がいに考えてかかることについては、私たち多少勇気を要すると思っております。  第二点の、課税方式の問題でございますが、おっしゃいます通りに、課税方式にいろいろございまして、第一課税方式の場合には標準税率を示し、しかも、それをこえて課税する場合にも、一・二倍以上の税率はきめられない。ところが、第二課税方式や第三課税方式の場合には、最高の税率をきめておるだけであって、あとは野放しにして、その結果、大きな負担の差が出てきたと思います。そういう意味において、もしこれらの方式をそのまま残していきます場合には、どの程度の率を用いれば、大体同じような負担になるのかというようなめども、法律の上で示す必要があるのではないかと思うのでありまして、そういう意味では、今回の改正が、五通り方式を残しながらも、負担均衡を維持していくという役割ができるのではないかと思います。ただ、どちらかといいますと、第二課税方式において、市町村で任意な課税の仕方を認めておきながら、所得の段階について法定をする。準拠すべき率について法定をする。市町村のやりたいことにつきまして、かなり大きな制約を加えるわけでありますから、第二課税方式を認めていくという大きな考え方からいくと、それに対してはかなりの制限を加えまして、ある意味においては、矛盾した改正だともいえます。しかしながら、市町村間の負担均衡、あるいは現状から見た場合には、これもやむを得ない、こう思っております。もし将来統一という問題が起ってくるならば、第二課税方式に統一することになるのではないか。今回率を法定したということによって、もし将来それを希望した場合にはやりやすくなるのではないか、こういう考え方を持っております。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 前の問題ですが、私申し上げたいこと、そうしてお聞きしたいことは、ほかの団体と比べてたくさん、何倍もの税金を取っている。それがいたずらに財政規模をふくらませて、仕事を多くやり、ほかと比べてもっと要らない、要らないという言葉は変ですが、そういうことまでしておる実態とは私は考えないのです。やはりどうしてもそれをしなければならない要請からして、そういうようなやむを得ないところに追い込んでいっておるのだ、私はこういうふうに考えておるわけなのですから、これは、委員長さんのお言葉の一部分を捉えて言うようで恐縮ですが、おそらく委員長も、そういうような御趣旨ではないと思いますけれども、何かよけい取って、仕事をたくさんやって、あとから、今回の措置において穴があいたから、それによってあいた穴を補てんする。交付税等によってやることはうまくないのではないかというようなお言葉もありましたものですから、ちょっと私、そういうようなことから確かめておきたい、こういうふうに私考えたわけです。それから、課税方式の問題は、これは、やはり私は、今の直接の問題ではございませんけれども、これは、きわめて近い将来に一つのものにするということは、これはかえって地方実情に沿わないというようなことにもなるかと思いますが、整理する必要があるのではないか、もっと住民の負担が他と比べて著しいアンバランスを生じないような形において税を負担していく、こういう形を私はとらなければならないのではないか。そうしてまた、実際第一、第二、第三、あるいはただし書き等の、それの今実際に行われておりますところのものを見ますと、大体固まってきている。第二が最大七七・八%、それから第一が十数パーセントというように、大体固まってきているのではないか。ここに、現在の市町村のいわゆる財政の実態が出てきているんじゃないかと思うわけなんですから、これをさらに合理的にやることによって、合理的に整理することによって、不足の財源は何かの別の形において考えなきゃいけない、こういうふうな段階に私は来ているんじゃないかと思うわけなんですから、そういう点も、できれば一つあらためてお考えを、現在持っておられるそういうところを一つお聞かせ願いたいと思います。
  40. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 課税方式を統一するという考え方、従来からいろいろ論議のあった問題であります。団体の数から言いますと、御指摘になりましたように、八割近いものが第二課税方式をとっております。国税で所得税を課した、その所得税額の何割ぐらいがそのまま市町村民税課税標準に使われているかといいますと、七割ぐらいになるわけであります。あとの三割分ぐらいがそのまま課税標準になりませんで、課税所得金額等が課税標準になってくるわけであります。言いかえれば、大都市におきましては、全く所得税に右へならえをして課税をしていくのでありますから、団体数としては少いけれども、税額としてはかなり大きなものになっているわけでございます。国の所得税について、将来どういう考え方を入れていくかということが、課税方式を統一するかしないかという一つの分れ目になるのじゃないかと考えますが、経済政策あるいは社会政策というものを大幅に所得税にとり入れていくような傾向が将来さらに強化されていくとした場合には、今のただし書きと本文と、両方を残した、第二課税方式の統一ということになるのじゃないかと思います。もし所得税について、あまり国自体の政策を露骨に入れていかないのならば、今のままに、課税方式をそのままに残しておいても何も差しつかえないのじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。要するに、所得税について、今後どのような方法がとられるかということが、課税方式統一論を決定する基礎になるんじゃなかろうか、こう思っておるわけであります。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連でございますから、これでやめておきます。
  42. 加瀬完

    ○加瀬完君 大臣に伺いますが、たびたび例にとり上げて恐縮ですが、結局財政計画なり、あるいは地方税改正に当っても、私は同様だと思うのですが、行政最低水準をある程度割るような団体もあるので、努めて行政の最低水準だけは確保したい。それから、財源的に非常にへんぱを生じているので、行政に格差を生じてきた。それで、この各団体間の行政の格差は縮めたい。従って、こういう配慮のもとに財源を作っていくという考え方が、今度の地方税改正の中にも基本線としてあると私は解釈しておるんですが、そのように考えてよろしゅうございますか。
  43. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) その通りでございます。
  44. 加瀬完

    ○加瀬完君 従いますと、今まで問題になりました第二、第三方式団体は、やはり財源的に相当無理があった、これを修正してやらなきゃならない、こういうお考えも当然含まれておると考えてよろしゅうございますか。
  45. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) はい。
  46. 加瀬完

    ○加瀬完君 奧野部長に伺うのですが、先ほど委員長も御指摘になりましたように、基準財政需要額を引き上げていくのだ、あるいはまた、基準財政需要額を是正していくのだ、この点は、激変緩和ということはわかりますけれども、どうしても基準財政需要額を引き上げていくということよりは、是正していくという傾向が強くなってくるんじゃないかと思うのですが、第二、第三課税方式団体に対しましては、そうなりますと、行政規模がさらに縮小されるという形になりまして、行政水準の格差というものはさらに新しく生じてくる、こういう心配もないわけではないと思うのです。どうしても基準財政需要額を引き上げるのだということであるならば、これは、普通交付税の単位費用というものを引き上げる、改訂をするという形を踏むべきじゃないか。そうでなくて、特別交付税だけでこのアンバランスを埋めていこうということに無理があるのじゃないか。今度の交付税の単位費用の改訂というものの中には、こういう貧弱団体にまで基準財政需要額が相当引き上げになったというほどの改訂というものは、私は織り込めなかったと思う。それは、あなた方がお見込みになりました地方交付税の引き上げ、あるいは他の財源として考えました地方債の処理の財源、あるいはたばこ消費税の問題、こういうものがからんできて、全部ある程度自治庁見込額が通るならば、今のようなことも可能ですけれども、非常に制限をされておりますから、どうしても地方の望むような結果が交付税だけによっては——交付税の配付額が上昇するということだけによってはまかない切れないという、私は今までの欠陥がそのままどうしても残ると思う。それが、具体的にいうならば、四十九億をどうするのだという地方の声になって現われてきておるのじゃないかと思います。この点は、今度またあらためてお伺いしたいと思いますので、今まで御説明になった点を具体的に、四十九億というものが地方の心配するようなことにはならないのだ、その方法はこうするのだ、こういう具体策をこの次の委員会一つはっきりとお示しいただきたいと思うのです。一応質問をその点で留保します。
  47. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御質疑ありませんか。
  48. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 このいただいた資料をちょっと見たのですが、ないようですけれども府県税と市町村税を直接税と間接税に分類して、その比率は出せませんか。出ていますか。私ちょっと見たのですが……、厳密には分けられるものもあると思います。ありますれば指摘していただきたいし、なければ、府県税と市町村税を直接税、間接税に分けて、その比率ですね。
  49. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 府県税と市町村税に分けてないようですから分けた数字を作成いたします。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 やはり私は、シャウプ税制をもう一ぺん反省してみる時期じゃないかというような点で、やはり間接税と直接税、国税と地方税とは比率が違っておりますが、そういう角度から取り上げたいと思いますので、一つこれを知らしていただきたい。  それから自動車関係税金ですね。伊能さんもさっきだいぶ質問されたのですが、こういう資料はできますか。道路費と財源関係ですね。それは、国道、県道、市町村道というふうに分けて、年次別にそれぞれの予算、そして、この軽油引取税並びに地方道路譲与税等が創設されてから、実際ほんとうによくなっていっておるかという具体的な経済効果ですね。実際これが、軽油引取税地方道路譲与税とがプラスになって、これまでの既定の道路整備費によくなっていっているかということを、一つ、国と地方、県と市町村に分けて。それから、実際道路というものは、県道と国道とを、現状を維持するのに、一体どれくらいの経費が要るものか、そういう計算はできるでしょうか。やはり自動車業者が、毎年油の税金が高くなってしょうがない、しかも、それで道路がよくなって、はね返ってくるのならいいのだが、そうでないという杞憂があるわけです。だから、それらにこたえるためには、具体的な数字一つやってもらいたいと思うのですが、そういうものはできますか。地方財政計画では、なかなかそれがはっきりわからないのです。
  51. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今、私たち手元に持っておりますのは、事業費総額が幾らであり、直轄の分と、国庫負担の対象になるものと単独のものと、こう分離いたしました数字は持っております。これ以上にさらにこまかく、国道分にプラス県道分幾らということになって参りますと、ちょっと調べがつかないのじゃないかというふうに思っております。なお、今のものをそのまま維持修繕していくだけ幾らかとおっしゃいますと、あるいは改良工事を除いたものが全部現在使っているものだ、そういうことになるのかと思うのでありますが、自動車の発展の趨勢もあることでありまして、非常にむずかしいのじゃないかと思います。ただ、おっしゃっている趣旨を建設省に伝えまして、もし出せるものがありますならば、出してもらうように連絡したいと思います。
  52. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 じゃ一つ、この税の審議のときには、建設省も来ていただきたいと思うのですが、やはりこの税の効果ですね。そういうものを納得させることも必要ですし、計数的に一つお願いします。
  53. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 質疑はさらに続行することといたしまして、本日はこの程度で散会いたします。    午後零時十三分散会