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1957-03-28 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十八日(木曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員森田豊壽君及び鈴木万平君辞 任につき、その補欠として前田佳都男 君及び新谷寅三郎君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            加瀬  完君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            小林 武治君            小柳 牧衞君            新谷寅三郎君            館  哲二君            前田佳都男君            占部 秀男君            久保  等君            鈴木  壽君            成瀬 幡治君            岸  良一君            森 八三一君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁財政部長 小林與三次君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      相沢 英之君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十一年度分として交付すべき  地方交付税に関する特例に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (学校給食に従事する職員の待遇に  関する件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  前回に引き続き、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案を議題として質疑を行います。質疑のおありの方はどうぞ御発言を願います。
  3. 加瀬完

    加瀬完君 きのう大臣がおいで下さいましていろいろ御説明をいただいたわけでありますが、その要点はいろいろ当面の問題になっております地方債処理を一応今提案されているような形で行う。しかし根本的な解決というものは三十三年に持ち越される形になる。そこで三十三年になってから抜本的な対策を考え直すのだ。しかしその方法というものはまだ明らかではないけれども。こういう御説明に私承わったわけであります。で結論的に言いますと、聞き取りました点は公債費処理というものを特別に政府として考えておるのだ。それは交付税ワクの中ではないのだ。しかし本年は交付税ワクの中でやったのだ。これらの解決は三十三年になってから当然特別の対策が生まれのだ。こう了解したのですけれども、それでよろしいでしょうね。
  4. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) その通りでございます。
  5. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵大臣の御答弁とは食い違いがありますが、これはまた他の委員の方からいろいろ御質疑が出ると思いますので、私は別の点で伺ってみたいと思うのです。それは大蔵大臣の申すには、交付税単位費用を変えてそれで交付税ワクの中で公債費処理をするのだ、こういうお話があったのですが、そういたしますと、一応交付税というものは地方独立財源という見方でありますから、従って交付税がふえればそのふえた額だけは、地方それぞれの新しい財政計画というものが見込まれるわけで、また新しく得た財源によって見込まなければならないのが交付税性格じゃないかと思う。大蔵大臣のような言い方をすれば、いつでも交付税増額分というもについて政府の方でワクを作るということになって、これは交付税法からいってもはなはだしく私は違反になると思う。大臣はどういうお立場を今のような対立した議論においておとりになりますか。
  6. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 交付税増額があったら、新しい単位費用を設定して、各方面にそれを使うことは当然だ、こういう説は私の方はとらないので、交付税増額があった場合は現行交付税法の不足に基く単位費用というものをそれぞれ増額をしてもいい、こういう考え方でなければなりません。これが原則でなければなりません。増額があったからあらゆる方面の新単位費用をふやして、それに交付すべきだというようなことは変形考え方で、そこでこのたびは変形になっておりますワクで、新しい単位費用をわざわざ設定して、やや増額されました金を使っていこうということになって参りましたのは、本来国の責任において補給をすべき公債費元利金というものが、財源の都合上、国の建前においてはどうしてもこのたびはやりたいのだが、それは今年なおできにくいから、そこでせっかく一次、二次の補正において得ました増額分を、新しくこの方面に使っていこうということをやむを得ず考えた、こういう事情でございます。増額になったら当然にそれは新単位費用方面に使わなければならん、こういう考え方は持っていないわけです。
  7. 加瀬完

    加瀬完君 私どもも、自治庁大蔵省に対する折衝過程を見ても、今大臣のおっしゃる通りだと思うのであります。そうまた伺っておったのです。そこで自治庁としては、地方交付税そのものの幅も広げなければならないというので、地方交付税の率の引き上げというものを一応折衝基本線としてはおとりになったと伺っておるわけです。交付税を上げなければならない。しかも公債費利子補給対策もある程度立てなければならない。こういう二本建で地方財政計画のバランスというものをとっていった、こう考えてよろしいのですね。
  8. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) その通りです。
  9. 加瀬完

    加瀬完君 そういたしますと、昨日の大蔵省見解としては、交付税そのもの公債費処理というものをするのだ、交付税として公債費処理するために、ただ交付税単位費用というものを公債費に対応するようにかえるのだ。こうおっしゃるのですけれども、そういうことではないわけですね。
  10. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) これは大事な点でございますが、そういうことではないわけでございます。そういうことであるのならば、これを一年限りの措置などにはせんわけであります。二五%が二六%に一%だけ上っても、七十二億というものは将来ともにこの法律が存する限りは、永久に増になるわけでございます。それを当然に今度新単位費用を設定いたします交付税の中で公債費処理に使うべきものだ、こういう見解でやっているものなら、一年限りの措置などは行いませんものでして、国のやるべきことを、地方交付税においてやむを得ずこれをやるのだから、そこでこういう臨時応急措置は一年限り、こういうことで法律の改正をお願い申し上げて無理をしておるという事情でございます。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 他の委員質問に続いて問いただすべき点を私の方から横取りをしてしまったような形になりますけれども大蔵省はそういう御見解はおとりになっておらないのであります。私ども長官のおっしゃる通りのお立場をおとりになっていただかなければ困る。また長官の御主張に賛成をするわけなんですけれども大蔵大臣は強く閣議決定というものはそういうことじゃない、交付税単位費用を改訂して、交付税ワクの中で地方債処理をさせるのだ。こう言っておるわけですが、そうするとこの点について当然来年問題になるわけですから、至急閣議等におきまして、長官の今御主張なさるような点ももう一度明確にして、かりにそれぞれの担当の大臣がかわりましても、来年同じ議論をもう一回蒸し返されないように御処置をいただくことは可能でしょうか。
  12. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 大蔵省の申しておりますことも、どうも私は聞いておりまして間違ったことを言っておるというふうには考えないのでございますが、法律の表を言っておるのではないか。また閣議の表を言っておるのではないか。それはなるほど大蔵大臣の申します通り交付税増額された、増額分使い道単位費用を変えてというより新しく作って、公債費処理という方にこの金を使うのだ、こういうことになったわけで、穴などはあいておるわけはありません。自分の使うべきものを自分使い道を新しくきめて、その方面に使っておるのだから穴はあいておりません。それを埋めるとか、埋めんということをきめるはずはございません。こういうことは、大蔵大臣法律の表をその通りに言うのではないか。また表はその通りであろうと思う。しかしながらこの問題は、政治的にこれを観察いたしますときには、政治的必要があれば法律の構成も改めなければならん情勢は当然のことですが、その政治的な観察をいたしますと、表はそうでありましようけれども、一体公債費対策というものはどういう財源においてやるべきものなのか、交付税公債費対策などをやるという筋のものでない。それは国の責任を明らかにして、地方に対して元利金の一部の補給を行うべきは当然であるという理論は、政治的判断理論におきましては、これに四の五の意見を言うやつはどうかしているのじゃないかと私は思う。そういう政治的なはっきりとした一つのここに区切りがあるということが私の主張根拠であり、これが唯一の強味でございます。  またわが党のことをここでお尋ねもないのに申し上げるのはいかがかと存じますが、わが党も公債費処理は国の責任においてやるという看板を上げており、その背景に立って政府というものが存在しているわけでございます。交付税の内部において、自分の自賄いで公債費対策をやるのだというような気違いじみたものなら、公債費対策という言葉自体がおかしい。そんな言葉をわが党が使うわけはない。党が天下に声明いたしました公約の中に大きな看板を上げているわけです。それを実施することは政府の役目である。そういう立場に立っておりますので、このたびは特に臨時一年限りの無理な措置をするのだ、これを足がかりにするのだという考え方に立って、私の発案でやったことで、大蔵省閣議もこれに了承を与えているわけでございます。ただ問題は、公債費処理については、根本的な考え方も考えなければならぬが、同時に年々歳々起ってくる交付税の税源と申しますか、巾と申しますか、そういうものの取扱いについても、それは平衡交付金時代より一般進んできたのであるけれども、なおかつ同じような、税率を上げるとか下げるとかいう問題が例年繰り返されることは間違いない。そういうふうに思う根拠は、例年、これから毎年々々自然増収があるに伴って減税が行われるはずである。減税のたびにこれの引き上げという問題が起ってくる。これじゃ制度の根本を変えた意味が非常に薄くなってくる。よってここで根本的な解決もしなければならない。そういう公債費対策も根本的にしなければならぬ。交付税制度においても根本的に考えなければならぬ。それは三十三年にはいやでも考えなければならぬ。こういう場面が目前にあるものでございますから、私の方では無理をしましてでも一年限りの措置を講じて、理屈以外の理屈自分先食いをしよう。これは今さら閣議も相談するもしないもないのでありまして、閣議決定によってこの法案を提出しまして、皆さんにお願いしているわけであります。この理屈はもう改めて考えなおすとか改めて大蔵その他呼んでいただいて、もう一ぺん聞いていただくというような筋のものではないわけでございます。そういうふうに考えまして、私は確信をもって三十三年からは交付税の中も大いに広げてもらわなければならぬ。それからもう一点は、その交付税の中において処理をするということはごめんこうむるということでございまして、国の責任において、別個独立予算項目において新しい柱を立てて、本来の態度である交付税対策というものを講じていかなければならぬものだ、こういう確信をもっているわけでございます。それがわが党の看板にも沿うわけでございます。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵大臣法律的責任がないということを強調しておったわけでありますが、自治庁長官は、法律的云々ではなくて政治責任として、当然政府が声明をしていることでもあるし、党の決定でもあるから長官のおっしゃるように行くべきであって、改めて大蔵省に問いただす必要もなければ、あるいは大蔵大臣にもう一度念を押す必要もない。きまっていることだ、こういうふうに了解してよろしいですね。
  14. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) その通りでございます。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 そうでしたら、こういう形で公債費処理方針というもの、あるいは方策というものを打ち出す打ち出し方に問題があるのじゃないかと思う。大臣がおっしゃるように、交付税の額が広がってくれば、それは現行単位費用というものをふやすということが建前であって、私はその通りだと思う。そうでなければ、独立財源とか、あるいは地方に対する財源保障だという交付税意味はなくなると思う。なお交付税法の、きのうも申し上げたのですけれども、三条の二項には、条件をつけたり、使途について制限をしたりしてはならないということがあるわけです。しかし、これはどうしても新しく条件をつけたり、使途について制限をすることに私はなると思うのです。公債費処理ということであるならば、公債費合理化に関する特別措置法といったような、形の変った法律というものを出した方が、大蔵大臣からいろいろ交付税ワクの中だとか何とかいわれるような、疑問の余地というものは生じなかったのじゃないか。そこで交付税法にはちゃんと交付税法性格なり規定というのがありますのに、それを曲げてこういう特例措置をなぜとったのか。そうでなくて、大臣のおっしゃるようならば、公債費合理化に関する特別措置法といったようなもので、はっきりと国の政治責任において公債費処理してやるのだ、ということが明確になるような打ち出し方の方が、当を得たということにならないか。私は、こういう方法をおとりにならなかったのはどういうわけなんだという疑問が生ずるわけです。この点はいかがでしょう。
  16. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) それはこの交付税制度の外で扱うという理想的な方法によりたいという場合は、財源がなかったということ、ほんとうに財源折衝しておきましたのですが、大蔵省の財布の中をあけさせてだんだんと検討することが数日続いたわけなんですが、財源が見つからなかった、こういう点でございます。ただそれ理由一つでございます。しかしながら、ここに幸いなことに、幸か不幸かよくやってみないとわからぬわけですけれども、幸いなことに、当然第一次補正、第二次補正で百億、当時は百億の見通しでございましたが、結果において百十億の収入があったと、こういう場合に、現在の法律上に基く単位費用の割当から、配分から申しますと、この金は百十億の中で二十四億の金は使えるのですが、八十六億の金は使えない。使えない場合はこの八十六億という金はどうするのかというと、これは三十二年を通り越して三十三年度に繰り越されるという形になる。今せっぱ詰まって公債費対策が息の根がとまるようにみな心配しておるときに、自分の自まかないの金であるけれども、この金が一年置いて三十三年度に繰り越されていく、ちょっと待った、その金を押えてみよう、この金を便宜ここで使おうじゃないか、そのかわりこんな例外的な変則的なことは一年限りだということで、その金をここで押える気持になって、繰り越さずに二年度において使うということになったのが真相でございます。ひょっこり財源がこんなところに現われてきたものですから、これをとらえたという大へん簡単な事情ございますが、大蔵省から押しつけられたわけでも何でもない。それじゃこの金をこういう方向に使ったらどうか、それを合理的に法律上何か使う道があるかということで、事務を呼んでただし、大蔵省に了解をさして、私のさしがねでこういう変則的なことを一年限りにおいてやったということが実情でございます。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 そうでありますと、大蔵大臣説明のように、結局交付税ワクの中で公債費処理するのだということに私はなってしまうと思うのです。そうではなくて、公債費処理に対する特別立法というものをはっきり打ち出して、その財源というのもをこういう形で持ってくるという法律であるならば、これは大臣のおっしゃるようになると思う。やはりこれは実を捨てて名ばかりとろうとするわけじゃないのですけれども、名分のはっきりと明白になった法律でありませんと、これは金を出したがらないのが大蔵省でありますから、あと三十三年にこの処理をしようといっても、やはり今のこの特例だけではどうも問題が、大臣のおっしゃるように簡単に解決するということにはならないんじゃないかという心配が持たれるわけです。公債費特別措置法をとり得なかったのは、今大臣の御説明するそれだけでございましょうか。
  18. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) そうでございます。ちょうど今御質問をいただきましたような心配もいたしまして、こういうような法律を作って新単位費用を作るということになれば、何だか公債費対策交付税制度の中において講ずるような一つ足がかりを作ってしまうというか、先例ができてしまうのじゃないかということも、私自身心配をいたしたわけでございますが、それゆえにこの変則は一年限りということに釘を打とう、これでその考え方はだいぶ消えるだろう。もう一つは、本来から申し上げますと、こういうことも考えてみたのであります。折衝過程におきましては、この八十六億金が余るとすると、この八十六億をワク内で使おうという努力をしないで、三十二年一年に限り八十六億の金を使わないでこれを外に出そう、特別会計から別個特別会計にその金を入れよう、これは法律を改正すればできることでありますから入れよう、それを受け取る特別会計はどんな会計かというと、新たなる特別会計は、公債費対策を目的にした公債費処理特別会計というものを作りまして、その特別会計に一たん八十六億を遠慮して入れよう、入れて、そうしてその金を公債費処理という形において使っていくということなら、まことにどうも理屈ははっきりいたしますが、それならば八十六億をワク内で使うことを遠慮して、それをワクの外にはみ出して、新しい特別会計がこれを受け取って、そうしてそこで公債費対策をやるのだということになりますと、非常に態度は明確になるわけでございますが、あまりにも一時扱いのそしりを免れぬのではないか。それならば、もうそういうことを講ずるならば、公債費対策という根本的な考え方が確立した上でないと、これはなかなかそういう行き方はできぬのではなかろうか。こうも考えましたので一年限りということに強く銘を打ちまして、ここで臨時変則的な応急措置を講じよう、しかしこの応急措置は講じないよりは講ずる方がはるかにいい、確かにいい。こう考えまして、これの実現をお願い申し上げておるようなわけであります。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 それならば、大臣のおっしゃるように七十六億でも、八十六億でも、公債費処理が具体的にできてくるのですから、その点については大臣のおっしゃることはその通り私は受け取るのにやぶさかではございません。しかし、この方法によって交付税を受ける地方団体側にすれば、新しくまた問題が生ずるということが考えられる。大蔵大臣もきのう何回も繰り返して申されましたけれども、何か交付税増収分というものを、その年度々々において、それぞれある程度の一つ行政方針といいますか、政治方針を作って政府がやる、増収分というものは相当見込まれるのですから、それでいろいろの操作ができるというふうなことをだいぶおっしゃっておった。これは私は交付税を受ける方の側からすれば非常に問題だと思うのです。今の三十一年度の特例の問題でも、当然地方交付税を受ける方の側からすれば、これは当然の、くどいようでありますが、独立財源としてもらうべきものなんですね。その中から一つ公債費処理という、地方自治体のためになるといえばなることで、関係がないとは申せませんが、一つワクをつけられたものにカットされた形にもなる。そうすると自治庁初め交付税率を上げる、それから公債費利子補給項目を新しく盛ると言っておったのに、交付税の率もそれほど上らないで、しかも交付税を当然受けられるものの中から、一応公債費処理というもので七十六億でも八十六億でも片づけられる。こういうことになってこれが一つの慣例になりましては、交付税性格はまるでなくなってしまうと思うのです。また七十六億でも八十六億でも、そういう処理にするというなら、穴うめ穴埋めという言葉を非常にきらいましたけれども、受ける地方側からすれば、もらえるものがワクにそるれのですから、その穴を三十三年度にこういうふうにして埋めるのだ。ただ当然新しく支出すべきものを、いろいろな関係で、財源的な関係もあって、交付税の一部を流用したのだ。これを新しく三十三年度で埋めるのだということを明確にしなければならぬ。実は交付税を受ける団体側からすれば、受ける率がだんだん減らされる御心配をせざるを得ないと思うのです。この点はいかがですか。
  20. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) お説の通りと存じます。二つの方法公債費対策において考え得るのですが、今私が申しておりますことは、あくまでも国の責任上明らかにすべき筋のものについては、自まかないの運営でやるべきものではない。すなわち交付税制度でやるべきものではない。こういう立場でございますが、一つ考え方といたしましては、この交付税の中から、運用において公債費対策をやったっていいんじゃないかという議論もあるのじゃないか。ただし、その場合においては、そういう議論を是認いたします前提一つある。それは本来の交付税税率、その税率公債費対策に見合う金額の税率引き上げていただいて、それで公債費対策を自まかないでやれと仰せになるとするならば、国の責任がはっきりしておる。でございますから、大蔵大臣もいろいろのことをおっしゃるようでございますが、この交付税税率が思い切り引き上げられて、一口に言えば公債費をまかなうに足るだけの財源が現在の制度以上の率において引き上げられるというようなことがあります場合においては、それはそのワク内においてやれと仰せられましても、これは、私は無理なことではないと思う。もう一つ方法は、かりに現在の交付税率というものが、このまま動かないという前提に立って、先行きずっといきますというと、国税三税というものが増収になってくる。法人税所得税増収になってくる。それがどんどん増収になってくる。従って四分の一、二五%という特別会計収入もだんだんふえてくる。これは公債費対策なんか別に率を引き上げなくても、だんだんふえて、やれるのじゃないかと思う。ここ数年の間に必ずそういう状態がくると思うのです。そういう場合において、政治の筋を立てるという点から申しますと、その場合においては、税率を下げる、あるいはその場合においては、この特別会計から新たなる会計に対してこの金を渡すなら渡すと、こういう方法を講じまして、ワク外において公債費処理をする。これは当然のことなんであります、そういう当然のことを考えないで、ワク内でやることは、お前の方の勝手にやることだ。今年やったら来年もやるという、そういうことはあり得ると、こういう考え方大蔵当局が持っておるといたしますと、これはよほど反省を求むべきじゃないか。こういうふうに考えておるわけです。そういう反省はいつ求めるのかと申しますと、来年の今ごろの予算折衝の段階においては、この議論が、どちらの主張が貫かれるか知りませんが、私はこの主張を貫く用意もあり、確信もある、こういうふうに考えております。
  21. 加瀬完

    加瀬完君 自治庁長官お話とはまるでうらはらなお立場の御説明が、大蔵省側においては、昨日長々と述べられたわけです。そこで私はくどいようでありますが、念を押して伺いたいのでありますが、交付税率引き上げなければならないとともに、公債費利子補給予算というものも新しく盛らなければならない。こういう立場自治庁はおったけれども交付税率も所期のようには上らない。公債費利子補給も初めの目的のような形では実現ができなかった。そこで便法として交付税特例でやったんだけれども、それはあくまでも、政府のあれで、交付税の、地方団体側が受ける収入には将来とも響かないような形で処置をされるべきだ。こういう政府としてはお立場なんだ。大蔵大臣のおっしゃることは違っておるのだ。こういうふうに受け取ってよろしいのですね。
  22. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 大蔵大臣の言っておりますことは、どこまでも法律上の表を言っておると思う、今の御説の中には、お前の言うことと池田の言うことじゃうらはらだという言葉がございましたが、どうも私は食い違ったところは一点もない、実に明瞭である、法律上の表を申しますと、自分の金で自分が勝手に新単位費用を作って自分で配分しておる、法律が通れば間違いないのだ、国会できめられてやるんだから穴を埋めるとかいうが、穴なんかあいてやしない、ということは法律の表なんで、実に明瞭な議論ではないかと思う。そこで、その法律論は認めながら、政治論はどうかというと、先ほど私が言いましたような政治論におきましては、冗談じゃない、穴を埋めることは国家の責任じゃないか、政治論の上からこの穴を埋めることは国家の責任だと思う、こういう議論になっておることもこれも少しも違っておらない、法律論の表現と政治論の表現が、結果だけ見ると食い違っておるように思われますが、よって立つ論拠だけ申しますと、両方とも明瞭だ、こう思います。
  23. 加瀬完

    加瀬完君 それはその通りだと思う。私どもはどっちの理論が正しいかということではなくて、三十三年度の地方財政計画長官の御説明になる政治論的なお立場財政計画が組まれるか、大蔵大臣の言う法律論で交付税の中で処理をしろという方針で貫れるかが心配なんです。
  24. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 三十三年度ですか。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 三十三年度です。長官のおっしゃるように政治論的な解釈に立つ財政計画が当然組まれる、こう考えてよいと思いますが、それでよいでしょうね。それからもう一点。従って三十二年度の財政計画は、長官のお考えからすれば、はなはだ不満足なものである、こういう方法を私は二度ととらない、所期のように交付税引き上げなければ、公債費利子補給も別ワク政府政治責任として行うようにすべきであると思う、事志と違ったので三十三年度に対しては実現するんだ、こう解釈してよいでしょうな。
  26. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 前段のお尋ねでございますが、三十三年度に累が及ぶというようなことは断じてございません。ございません根拠は、一年限りということに特に措置をしておることで明瞭でございます。それからあとの点でございますが、交付税率引き上げについて将来は努力すると同時に、別個立場で本来の制度における公債費対策をやるということに、ぜひこの信念を貫いて参りたい、こういうふうに考えるわけでございます。この点も税率引き上げるといううことの目標は、一般行政水準の引き上げという点に置かるべきものである、一般行政水準が引き上げられるということと公債費対策が講ぜられるということとは別個のものですが、行政内容的に無関係なものとは言えませんので、法律措置と財政的措置といたしましては、別個独立のものとして両様相待って推進しなければ相ならぬものであります、将来は、三十三年度以降においては、この方面に大いに努力をする考えであります。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官のいろいろお話を聞いていますと、すこぶるはっきりしておりまして、かつ頼もしいのでございますが、この前にもお伺いをいたしましたし、その点については多少私、若干政府部内の意見の統一ということがないのじゃないかという心配がありましたものですから、きのう大蔵大臣に来てもらって、いろいろお尋ねしたわけでございますが、やはり私の考えておりました、心配しておりましたように、どうもあなたの考えていらっしゃること、あなたの主張されてきましたこと大蔵大臣の答弁の中には、はっきりした食い違いが私はあるというふうに感じたわけなのでございます。そこで今、加瀬さんのいろいろなお尋ねから、あなたの御答弁こういうのを見ましても、やはり私はまだこれが氷解されておらないのでございますので、重ねてお伺いしたいと思うわけでございます。それはきのうの大蔵大臣お話では、これはあくまでも当初予定されておった地方交付税の額よりも自然増収等によってふくれ上ってきたのだから、そのふくれ上ってきた分のある部分についてこれを使うことにしたのだと、こういうことの一点張りなのでございます。私は、いや形はもちろんそうだけれども、しかしその裏にあるものは、いわゆる政府公債費対策というそういう意味においてこれは使われておると考える。現に田中長官もそういうことをはっきり、国の責任において公債費対策をするために今回これはやむを得ざる措置としてとったのだが、いずれ根本的な考えとしては国の責任において公債費対策をするために、その一環として使うのだ、こういうお話があったものだから、この点とは違うのじゃないか、こう言ったら、われわれの方はそんなことは考えておらない、こういうことをあくまでも主張しております。きのうのことですからまだ速記録は出ておりませんので、おっしゃった言葉そのまま私は申し上げるわけにはいきませんけれども、そういうことを何べんもおっしゃっておるわけです。従って、私どもよく言うところの先食いであるとか穴があいたとか、穴埋めをするとかいうようなことは絶対にあり得ないことだ、こういうことを言っておられる。しかし反対にあなたの方では、これは当然将来において穴埋めすべきものである、はっきりするという取りつきまではまだ得ておらないけれども、当然そういうふうにすべきものであるということを言っておられるのですから、そういうことについてはどうかと言うと、それは今言ったような立場から、そういうことはないのだ、こういうことを言って、何か田中長官間違っておられるのじゃないかというような言葉すらおっしゃっておったわけなんです。そうしますと、今回の措置というものは、これは先ほどからのお話にもわかりますように、ことし限りのやむを得ざる措置である、こういうことで一応かりに了承いたしますにしても、しかし政府責任において、国の責任において公債費対策をするという、そういう、そういう建前からするならば、いずれ将来どういうことになるか、ともかくそういう意味におきましての財源補てんというのは当然これはしなけりゃならぬと思うのです、私どもは。しかし、今言ったように、大蔵大臣はそういう責任もなければそういう必要もない、はっきりおっしゃっているのですから、この点非常に私はさっきのお話の法理論といいますか、あるいは政治的なという立場から、二つの論がある。うらはらな違いはないのだと、こうおっしゃるけれども、私は考え方に大きな相違があると思うのです。従って、この点いま一度あなたからお聞きしたいと思いますが、あとでこれは大蔵大臣とお二人おそろいの上で、あらためて私は尋ねたいと思いますけれども、これは大事な問題です。単にことしだけだからがまんせいとか、将来何とかなるだろうというようなことで、私は済まされない問題だと思いますので、この点はっきりお考えなり、私は政府態度としてそれをお聞きしたいわけなんです。
  28. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) この大蔵大臣の言いました言葉意味は、大蔵大臣にお聞きいただくより道はありませんが、先ほどからもくどく申し上げておりますように、純粋の法律論から申しますと大蔵大臣の言う通りになるのではないか、何もおかしいことはないと思う。しかし私の申しますように、法律論よりもっと大事な政治論というものから申しますと、国の責任で明らかにすべきものを、その財源地方財源でやった。この一事をもってして、私がどう言おうが大蔵がどう言おうが話の筋道からいって、これに対する補てんの道を考えることは当然のことなんです。これは何もおかしいことはない。私の言っておることはちっとも間違っていない。池田大蔵大臣の言っておることもちっともおかしいことはない。妙な話をいたしますけれども大蔵大臣立場というものは、なるべく法律論でもの静かな答弁をして、将来金を出す負担にならないようにする、私は大蔵大臣はそういう心持ちだと思うのです。ですから大蔵大臣が今この審議をしておる三十三年度に問題になることを、三十一年度のこの委員会の席上において、それは自治庁の言うことはもっともでございます、これは考えなければなりませんということを、ここで言うようであれば……、閣議の席でちゃんと話ができております。閣議の席では穴は埋めるとも埋めぬとも言わぬ。何も言わない。閣議決定も何もないということをくどく昨日から申し上げておりますような状態でございますから、私も大蔵大臣がここに参りましても、何とか逃げ口を張るよりほかに道はないと考えております。ちっとも食い違いはないのでごごいます。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは食い違いはないということ、これはあなたの考え通りでいけば、これは何も食い違いは出てきません。問題は単に法律論的に考えて、大蔵当局——大蔵大臣は、ただことしの金が、さっき申しましたように、よけい入るのだから、それをこういうふうに、それに費用を作って使うのだということだけしか考えない。あなたの言うような政治的な責任というものを考えておらないという考え方なんです。だから問題がある。だからあなたが何べんもおっしゃるように、閣議においても意思の統一ができないということなんです。そうでしょう。あなたは政治的な責任をはっきりしろと言う、政治的な責任を明らかにするためには、将来当然これは補てんさるべきだ、こういう主張をしておられる。しかし大蔵大臣はそれを承知しておられますか。大蔵大臣はあくまでも、ただ交付税は本年度から増してやるのだ、これだけのことしか考えておらないので、そこで私は食い違いがあると言うのです。双方とも将来政治的なそういう責任において解決するという出発点から同時であるならばともかく、そうでないと私はいろいろな答弁から察しられるわけなんです。これはあなたの考え方は、さっきも申しますように私は賛成ですよ。そうなければならぬと思います。現在までの公債費がこういう大きな問題になったことの大半の責任は、私は政府が負うべきだと思うのです。閣議におけとるころの二十九年以来の地方財政計画の作成においての誤まりが、今日このような事態になってきておる。これは今さら私がくどく申し上げなくても十分あなたもお認めになると思います。全部とは言いませんけれども、少くともその大半は政府において責任を感ずべき点です。これは問題なんです。従ってあなたのおっしゃるような政治責任を持つということは私は正しいと思う。私はそれを支持するのですよ、そうしてあなたのような態度であるべきだと思うのです。手続の上では、ことしどうも妙な格好になった、こういうことは私もさっき言ったようにあり得ると思うのです。従ってそのことは私はあまりここでどうのこうのと言わなくてもいいと思うのですが、しかしことし限りという、そういうまあいわば正常でない姿で解決しようとして、公債費対策というものが、さて将来一体どういうふうな保障があり、どういう取りつきがあるかということの基本的なことは、政府部内においてはっきりと、少くとも大蔵大臣とあなたの間には、そういうことが取りかわされていなければならぬと思う。ところがあくまでもあれは国会答弁あるいは委員会答弁という一つの逃げ口だというふうにあなたがおっしゃるのですが、まあそういうふうにごまかして、ぬらりくらりして金を出さないという態度であれば、これは遺憾しごくなんですが。こういう問題が突き詰められて、現在こういう段階まできておった場合に、そういう態度は私は許されないと思うのです。だからそういう意味におきまして、やはり大蔵当局とあなた方のお考えの中には、基本的に食い違ったものがある。あくまでもこれは、大蔵当局におきましては、交付税の総額の中において将来ともまかなっていったらいいのじゃないかというふうな思想があるのじゃないかと、こういうふうに私は考えるわけなんです。こういう点で私、両者の意見の食い違いというものがあるというふうに、依然として考えざるを得ない。ですから、あとでこれはぜひ大蔵大臣に来てもらって、お二人一緒に御答弁願いたいと思うのですが、一つ委員長においてもしかるべくお取り計らいを願いたいと思います。
  30. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 私がちょっと申し上げましょう。お話をだんだん聞いてみますと、食い違いがあって、両大臣出席の上これを一つ究明されようという気持もごもっとだと思いますが、また、だんだん聞いておりますと、政府のその予算案の決定についての意見は、一致しているものと思います。従って、その線についてこれはこの際は適否を論ぜらるべきであって、田中長官のさいぜんから答えておられるのは、来年の予算要求についての心組みというようなものが多かったと思いますが、来年の予算要求の際の意見を、この際両大臣一致させておこうということは、これはなかなかむずかしいことと存じますので、やはり今の意気込みで自治庁長官立場としては来年の予算要求に当るのである、大蔵省は聞かなくもその意気で実現をさせるのであるという程度にとどめておく以外にはないのじゃないかと思います。鈴木さんの質問して究明されようとしている点も、来年の予算編成について、あるいは来年の法律案について、心組みをここで一致をさせておこうということでありますけれども、ちょっとこれはここで結末をつけるということはなかなかむずかしいのじゃないかと思います。それからもう一つは、現実に大蔵大臣の時間的余裕が、何しろ予算案が切迫しているものですから、差し繰りしてもらうことが非常に困難だと思いますから、できるだけ田中長官に御質問いただいて、そしてわれわれが今責任をしょっている法律案について政府の意見の不統一があれば、そこをはっきりさして、どうしても来なければならぬというところへいかなければ、きわめて時間の差し繰りをつけてもらうのがむずかしいように思いますから、そのお含みを願います。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 委員長のおっしゃることもわかりますがね。ですから私ども、たとえば大蔵大臣法律論の上に立って言っている、それから田中長官は、いや政治的な責任があるからそういう面で問題に対処すべきだと、こういうようにおっしゃるのですが、だから、まあ二つの論のあることも私わからないわけじゃないのです。ただ問題は、しからば政府は、ほんとうに公債費対策というものをやるのかやらないのかという問題だと思うのです。ほんとうの公債費対策というものは、こんな格好になるものじゃないと思うのです。そこで、そういう点について、政府では一体どういうように考えておるのか。田中長官お話ははっきりしておりますよ。私はそういう意味においては支持します。賛成です。しかし、単に法律論とか政治論とかいうことでなく、一体政府自分たちの掲げている公債費対策という面に対しては、これでいいのかどうかという問題になると思います。
  32. 本多市郎

    委員長本多市郎君) その点については、田中長官に、政府を代表しているのですから大いに聞いてもらいたいと思います。さいぜんから承わっているところによると、そういうふうなものを実現すべく努力する考えであると、こう言っておられるのであって、政府として必ずやるという答弁はできもしますまいし、そういう答弁でもなかったように思いますが……。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから問題は、公債費対策というものを政府がやるのかやらにいのかということです。そうでないと、こういう変なものを出されたって、これはどうも僕らは審議のしようがないのですよ。当然いくべき金を、単位費用をきめてやった、これであなた方は公債費対策である、地方がこれで救われるだろうと言っている。しかしこういう新たな法律案を作ったり単位費用を計上したりしなくても、現在の法律からいって、地方交付税法なり地方財政法からいって、地方へやる気になればやれるのです。金が余った場合にどうするかということは、地方財政法にちゃんと載っている。どういうふうに使わなければいけないかということを法律である程度きめてある、こういうものでやれるのです。さらに昭和三十二年度に使わなければいけないような法律を新しく今あなたは出されておりますが、それもこういう法律を出さなくても繰り越しできないはずはない。今の法律でも繰り越しできるのです。額が大きいからそのままじゃ悪いから、新しい法律で繰り越しを認めようというのでしょうが、そんな、額が大きいとか小さいとかいう問題じゃないと思うのです。これは今の法律で当然できると思う。そういうことがあるにもかかわらず、あえてこういうことをしようというのは、やっぱりあなた方はいわゆる公債費対策といって看板にうたったそれをやろうとするつもりなんですね。それに対する私は言葉は悪いけれどもゼスチュアでこういうことになってきておると思う。だから、問題は別ですよ、従って当然私は人の金を使って将来どうするかわからぬというそんな無責任な話はない。穴があくという言葉は悪いかもしれませんが、いわばよそ様の金です。当然地方公共団体の金なんです。それをこういうふうに使えといって使わしておいて、しかも法の建前からいっても、違反になるようなことをあえてして公債費対策というものをうたっているかと思うと、大蔵大臣は一向そんなことは存じませんと言っている。これは私は法律論とか政治論とかじゃないと思うのですよ。だからそういう意味におきまして、私はあくまでも、一体今の岸内閣の政府としてこういうことを本気でおやりになるのかならぬのかということを、当然私は聞きたくなるのです。もしこうなったら全然私はごまかしだと思うのです。そういう意味におきまして、私はどうしても大蔵大臣の今までの答弁ですと納得できない、納得できないばかりじゃない、あなたの御答弁との間に大きな食い違いがある。単に法律論でいけばこうだとかいう、そんなこと私たちでもわかりますよ。法律じゃどこにも公債費は国で見てやらなければいけないというふうに規定もありません。そんな問題じゃないと思うのです。私は委員長のおっしゃる言葉ですけれども、これはきょう中に時間を見て、私どもこれをきょう中にやらないということではありませんから、あくまでもおそくなっても審議いたします。ですからぜひともお二人のおいでになるところで、あらためて私は政府態度というものを聞きたいと思います。そうでなければ総理大臣でもけっこうです。
  34. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 政府態度と言われますと、これは田中国務大臣がおられるので十分であると思いますが……。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 大蔵大臣、しかも財布のひもをにぎっている大蔵大臣との間に大きな食い違いがあって、政府の意見だといって統一された意見とは思われない。もし池田が忙がしかったら岸総理大臣に来てもらいましょう。
  36. 本多市郎

    委員長本多市郎君) そう言われてもやりくりがつくかどうかわかりませんが、要求ですからできるだけそれは出席を求めるように努力いたします。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 しかも、きのう大蔵大臣はこんなことを言っている。私何ぼ呼ばれてもこれ以上は私の言うことは正しいのでというようなことまで、捨てぜりふみたいなことを言ってここを去っている。
  38. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 私の聞いていたのでは、不一致はない、来年の予算の約束をするかしないかという問題が残っておると思います。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 来年の予算ということは、政府公債費対策としてこれを出すか出さないかということですよ。
  40. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これは田中長官答えて下さい。ことしは、ここに現われておることが政府の言う公債費対策、これがいいか悪いかということはわれわれのこれから大いに論じなければならないことで……。
  41. 占部秀男

    ○占部秀男君 今委員長の言われた通りだと思うのですよ。ことしの公債費対策は、ここに表われておる。これがいいか悪いか、これからきめるわけです。問題はそのきめ方に、いいか悪いかの判断に関連して、この問題は来年度の予算にも関係してくるわけです。来年度の予算については、委員長の言われるように田中長官としてここで個人的に約束するわけにはいかぬ。かりに、言われることが正しいとするならば、予算でもって……、約束していただかなくてもけっこうなんだから。鈴木委員の言われるのは、別個のいわゆる完全なる柱を立てて公債費対策というものを、それを打ち出すのかどうかということ、はっきりそれをやるのかどうかという点について言質をとるというのでしょう……。
  42. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 三十三年度ですか、ことしですか、そのはっきり柱を立ててやれというのは……。ことしやれといったって、やれないことをきめてこういう対策を出してきているのだな。やるかやらないか、大蔵大臣に三十三年度にやるかやらないかということを聞くのはけっこうです。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 私の聞きたいのは、食い逃げをして逃げてしまうかどうかということなんです。はっきり言うと……。問題はそこなんですよ。むずかしい問題じゃない。
  44. 本多市郎

    委員長本多市郎君) そこらで速記をとめて。    〔速記中止〕
  45. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を始めて。  この辺で休憩いたしまして、午後一時より開会いたします。    午後零時九分休憩    —————・—————    午後二時十七分開会
  46. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 委員会を再開いたします。  さいぜん鈴木委員からの申し出がありましたが、大蔵大臣と交渉いたしましたところ、予算委員会に出ることになっており、その他の委員会にも呼ばれておるので、まことに遺憾でありますが出席できかねますということでありますから、その点お含みの上、田中長官が出席になっておりますから、一つ質疑を願います。   —————————————
  47. 本多市郎

    委員長本多市郎君) この際、委員の異動がございましたから、御報告いたします。森田豊壽君、鈴木万平君が委員を辞任されまして、前田佳都男君、新谷寅三郎君がそれぞれ補欠選任されました。   —————————————
  48. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 午前中に引き続き、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案を議題として質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 大蔵大臣予算委員会その他の委員会に出席するために、こちらの方へ出られないでまことに遺憾だということだそうで、私もまことに遺憾だと思います。実は午前中でも話し合いましたことですし、さらにまた、昨日来いろいろ田中長官との考え方の相違、これは政府部内における一つの施策の問題でございますから、どうしてもはっきりさせたいと思いましたが、事情がそういうことであればやむを得ないと思います。そこで、田中長官にお聞きいたしますが、繰り返すようでございますが、一つ政府の考えるところをはっきりお願いしたいと思います。何べんも長官公債費対策は国の責任において行うのだ、こういうお話でございます。私どももそういう意味におきまして公債費対策というものが立てられるべきであるというふうに考えるわけでございます。なおつけ加えまして私こういうふうに申し上げるのは、現在までの地方債の状況を見て参りますと、結局において、全部とはいわないけれども地方債がこういうふうにふくれ上り、従って年々の公債費が今のような状態で、大きな地方財政にとっての圧迫になっておる。さらにまた将来もっともっとひどくなるというような事態になった一つ責任は、相当大きな部面において私はこれは政府責任であるというふうに考えるわけであります。と申しますのは、昭和二十五年だったと思いますが、あの地方平衡交付金でございますか、あの制度ができて以来、地方財政計画の立て方というものは、私は非常に遺憾な点が多かったと思うわけでございます。できるだけ地方の財政というものをもう不当な形にまで圧縮しようとするそういう考え方、従って平衡交付金なんかは、できるだけ出さないような形において考えられてきておったんじゃないかというふうに思うわけであります。従って地方の団体におきましては、当然仕事をしなければならない、しかし一般財源がないために、その不足分は地方債に仰がなければならない。また政府はそういうふうに仕向けていったと思うわけでございます。その結果が、現在のような姿に今日なっておる、こういうことが私ははっきり言えると思うのであります。特にしばしば長官からもお話がございましたように、給与費に必要なものを財源に求めるとか、あるいは公共事業、義務教育の施設に必要なそういう金、あるいはまた失対事業等、こういうものは当然一般財源によってまかなわるべきであり、従ってまた政府地方財政を考えます場合に、当然見てやらなければならなかったそういうものに対してすら、ただ公債をもって一時しのぎをさせてきたというのが、今日の公債費の問題の一番大きな一つの問題であったろうと思います。そういう意味におきまして、私は全部とは言いませんけれども、今申し上げましたような事柄につきましては、私はできれば元利とも政府責任において、一度でなくても、解消していくべき性質のものであるというふうに考えるわけでありますが、これは今申し上げましたのは、私二、三の例で申し上げますが、私どもはそういう考えにおきまして、あくまでもこれは長い間の政府、歴代の政府のやってきたあやまちが現在まできており、従ってその清算というものは、これは当然現政府において考えられなければならないという意味におきまして、私は国の責任において、政府責任においてこれを解決すべきであるというふうに考えたわけでありますが、少し前置きが長くなったようでございますが、そういう点で、私はあらためて今の政府として、そういう観点に立って今後公債費対策を進めていく決意があるのかどうか、この点を一つ長官からお聞きしたいと思うのでございます。
  50. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 地方財政の問題につきまして、大へん御厚意のある御発言をいただきまして恐縮に存じております。三十二年度におきましては、まことに不十分な臨機応急措置にすぎないような措置をしたわけでございますが、三十三年度以降におきましては、お説の通り、全力を傾けまして国の責任を明確にし、交付税ワクの外に置きまして、別個独立の本来の公債対策を立てていくことに全力を尽していきたいと考えておるわけであります。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 はっきりした御決意を伺えてありがたいと思いますが、ただこの際、いま一つお聞きしておきたいのは、私が今申し上げましたような観点、あるいは長官の考えておられますような、こういういわば国の責任にすべきものが相当ある。これは当然国の責任において解決すべきであるというこういう考えでなしに、一方には、地方は勝手に仕事をやって、勝手に公債を作ったのだ、今さらそのしりぬぐいとは何ごとか、こういう意見が政府部門内においてもあるやに聞いたことがございますが、こういう点につきましてどうでしょうか長官政府考え方はどういうふうになっておりますか、重ねて……。
  52. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 三十一年度現在で申しますと、問題となっております公債費は五千二百億円に及んでおりますが、その全額について国の責任を適用せよということになりますと、いろいろ政府部内においても議論があることでございます。しかしながら、かねてより御心配いただいております給与費の関係分としての公債並びに今お話のありました普通一般の公共事業の関係、失業対策事業関係、小中学校の建築関係、こういうものにつきましての元利金の全部または一部を、国の責任において償還を補給すべきものである、こういう点については異論を唱える人はほとんどないわけであります、問題は財源だけいうことであると私は了解をしております。そういう事情でありますから、申し上げました部分に限りまして国の責任を明確にするという方向に向いますことについては、相当自信を持って、三十三年度以降において実効があげ得ると、こう私は当面の責任者でございますので、そう考えているわけでございます。
  53. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういうふうにお考えになるといたしますと、今年のように交付税の一部をもって補てんする、こういうことは筋の通らないことに考えらられるのでございます。これをかねてしばしは長官からお話がありましたように、別に立法措置をするなり、あるいはまた特に財源の面におきましては、交付税によらざる別途の手当をしなければならぬことになると思いますが、もしかりにそういうことでなしに、交付税の中で見たらどうかというような考えも、私は妥協的な考え方として、なきにしもあらずだと思いますが、そういう際におきましても、現在のこういう場合においては、とうてい交付税の成立当初から、あるいは現在までの過程におきましては、そういう要素が加わっておらない交付税の配分率でございますから、そういう点からしますと、現在の法律をもってしては、これはとうていなし得ないことであり、またなすべきことじゃない、こういうふうに私は考えるわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
  54. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 国会のお許しをいただきまして、三十二年度以降において二六%ということが、かりに引き上げのお許しがいただけるといたしましても、この二六%の税率をもってしては、本来の目的でありますところの行政水準の確保、維持ということに精一ぱいなので、なお足らざるものが多いと考えます。従って、それ以外の目的であり、本来国の行うべき義務としてのこの公債費対策というような方面にこれを振り向けるというようなことは、筋から申しましても当然のことでございますが、財源的に見ましても、そういうことはとうていできる筋合いのものでないと、こういうふうに考えるのでありますので、二六%の税率のもとにおいては、どのように財源的な操作をいたしましても、公債費対策などを行う余地はない。公債費対策とは、この率以外の率をちょうだいすることによって、事情によってその公債費対策交付税の中においてやれというようなことがあるといたしましても、税率は二六%では、やる余地はないと、こういうふうに考えます。
  55. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は心配なことが一つあるわけでございます。と申しますのは、昨日池田大蔵大臣に来ていただいていろいろお尋ねしたわけでございますが、どうも交付税の中でまかなっていったらいいんじゃないか、それで足りなければまた交付税の率等も考えたらよろしかろう。あるいはまた地方財政全般について国との関係において考えなきゃいかぬ、こういうようなことをしきりにおっしゃったわけでございます。従って、私は今、長官お話にもかかわらず、どこかこう心配なところがあるわけでございます。そこで、現在の二六%の率では、これをとうていまかなうことができないし、またまかなうべき筋合いのものでもないと、こういうことがありました。しからば二八%にした場合はどうか、こういう問題が私は出てくると思います。ことに来年度に相当また税の自然増収があるというような場合、もっと今の規模よりふくれ上るから、またそれでまかなえばいいじゃないか、こういうふうな形にこの問題の解決というものを根本的な形においてでなしに取り扱われる心配を私持つわけでございます。私は今の交付税のああいう考え方は、これはもう昨日来いろいろ論議がありましたが、やはり一つ独立財源として、しかも国と地方が国税三税の上り高から、ある立場において分け合う性質のものだと思うわけです。ただくれる性質のものじゃなくて、その分け合う率がいいか悪いかはいろいろありますが、当然そういう性質の金じゃないかというふうに考えます。そういう性質の金に今申しますような形において公債費対策の所要の額を見て、ぶち込んだ形においてプールして使うんだ、こういう格好になるとすれば、私は交付税本来の姿も失われてくる、こういうふうに考えるわけなんです。そこでくどいようでございますけれども、どうもそういう心配があるように思いますので、大臣でないのですが、相澤さんもそこにおいでですから、一つ大蔵省としての考えもあわせてこの問題についてお聞かせ願えればありがたいと思うのですが、まず最初に大臣から一つお答えをいただきたいと思うのです。
  56. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) やはり抽象的なお答えを申し上げることになって恐縮でございますが、現在の一六%といえども行政水準を維持確保するには足らないという現状でございまして、ことに御存じの全国の市町村を一括してながめてみますというと、せっかく合併をいたしました新市町村の育成というようなことについては、これは広く申しましてやはり行政水準の維持に関係あることでございますが、こういう方面の経費においても不足を告げておるような実情でございます。従って、文部省関係とか農林省関係であるとかあるいは逓信省関係であるとかいうようなところから、地方の施設に対して支出をいたしますこれらの金を総合をいたしまして、しかも十四億六千万という新市町村の建設費固有のものを加えまして、交付税等とにらみ合せて、大へんまあ苦しい行政水準の維持のための対策を講じなければならぬといったような現状に、この二六%のときにおいてなおかつそういう事情があるわけでございます。従ってこれがあるいは二八%であるとか二七%であるとかいう率だけでは、何とも申しかねるのでありますが、これには三十三年度以降における国税三税の増収のあり方というものによらなければ、何とも言えないわけでございます。とにかく私の考えますのは、現状の国税の収入程度として、そして二六%という率を前提にして考えますというと、これではとうていこのワク内において公債費対策のごときは思いもよらぬ。これは特別中の特別の臨機暫定的な処置としてここにこの八十六億を三十三年度に繰り越すかわりに、これを一時先食いをしようということに決した次第であって、これは本来の姿でないということは、これはあくまでも私の信念として考えておるところであります。従ってこの率の引き上げということにつきましても、先ほどお尋ねをいただきました公債費対策を必ずやるという決意とともに、この交付税税率引き上げにつきましては、完全な行政水準の確保を行うに足る金額に及ぶまで、あくまでもこの率の引き上げということについては、政府の部内において大いに私は公債費対策と劣らざる熱意をもって努力を重ねていきたい。こういう考えであります。
  57. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) お尋ねの問題は、主として三十三年度以降の地方財政をどう処理するかという点にかかっておるかと思いますので、この点につきましては大臣なりあるいは内閣として、三十三年度の予算編成をどうするかということの問題の一環になるかと思います。ただ、事務的な見解を申し上げますと、公債費の問題は、私から申し上げるまでもなく、二つの面があるわけでございまして、一つ地方団体全般としての公債費の増加をどうするか、これは主として地方財政計画の問題になりますが、この点におきましては年々地方財政計画におきましては、当該年度において償還さるべき元利を全額見込んでおるわけでございます。  それからもう一つ公債費の問題としましては、そういう公債費の総額の問題でなくて、個々の団体における公債費の歳出需要というものに対して、いかに財源を付与するかという問題であるかと思います。もっぱら問題になるのは、この第二の、個々の団体における公債費の問題をどうするかという点にかかっておるかというふうに考えておりますが、これは確かに現在の、と申しますのは三十一年度までの、地方交付税法の立て方で参りますと、結局災害復旧事業債を除きましては、公債の元利償還というような単位費用が立ててございません。従いまして地方団体全体としての財源は、地方交付税で一応何とか確保されているわけではございますが、各地方団体ごとに配分される際におきましては、それが土木費なりその他の費用におきまして、昨日主計局長から答弁がございました通りに、その施設のいわば償却費というような形を見込まれておる。従いまして施設に応ずるところの償却の形で見込まれているその財源と、それから各地方団体における現実の元利償還額との間にギャップがある。言ってみますと、ある団体においては行き過ぎになっておるし、ある団体においては逆に足らなくなっている面がある。従いまして交付税の配分の問題として、そういう地方債におきましての元利の償還額を測定単位に取りまして、単位費用を設けることによってその配分の適切を期し得る面があるのではないかというのが、私ども大蔵省事務屋が従来主張しておった線でございます。そこで、そういうような公債費対策を、単に地方交付税の配分の方式として解決するだけでは、この問題は解決できないというところに、公債費の元利補給予算要求があったと存じますが、私どもの考えといたしましては、要するにそれに相当する財源を、交付税の内ワクにおいて配分するかあるいは交付税からはずして別途予算的に、いわば元利補給の形でやるかという問題に帰着するかと思っているわけでありまして、国の財源としての問題では、これは元利補給の場合には、その措置によりますがあるいは不交付団体にもやるというようなことになるかと思いますが、その一点を除きましては、国の財源負担としてはいずれも考うべきではないのではないか、現に自治庁から元利補給の要求がございました際に、もしこの元利補給予算措置を認めるならば、その分は交付税から引いてもいいというような御意見すらあったわけでございまして、それらの点を考えますと、やはりこれは配分の問題及び予算措置交付税の内ワクとしてやるか、あるいは外ワクとしてはっきり予算へ計上してやるかという問題に帰着するかというふうに考えておるのでございます。そこで三十三年度におきましては、やはりこれは、いずれにしましても、地方団体全般に対する財源措置の問題でございますので、これはやはり三十三年度においての地方税収の伸び、あるいは国税三税の増収に対応する交付税の伸び、また歳出の面におきましては、給与費の増加というような面をあわせて考えないと、今ここでその交付税の率をどうきめるか、あるいは公債費対策をどういう形でやっていくかという結論は出ないのではないかというふうに考えております。  なお、公債費の今後における伸びを申し上げますと、これは多少積算の根拠が、今年度の地方債の計画と若干違っておりますが、大体今後における起債を本年度程度、六百億に据え置いた場合におきましては、三十三年度におきましては九十六億円の増加、三十四年度におきましては十億円の減、三十五年には六十八億円の増、三十六年は十七億円の増というような、多少これは狂いがあると思いますが、経緯をたどる見込みになっております。従いましてちょうど公債費の増加の山が、ここ両三年にあったわけでありまし  て、三十三年度以降の増加は、もし地方債ワクを三十二年度程度にとどめ得た場合においては、大体数十億の増減にすぎない、してみますと、毎年度における給与費の増加が、これは定期昇給だけでも百億円をこえるわけでございますが、その増加の要因に比べますと、問題のウエートとしてはその各団体ごとにおける増減状況、そういう点を除きますと、地方財政全般の問題としては、問題のウエートはやや軽いのでないかというようなふうにも考えられるわけでございます。  私どもといたしましても、この公債費対策の問題を、決してないがしろに考えているわけでないのでございまして、いかにしてこの公債費の重圧を緩和し、また現実の各地方団体ごとにおける公債費支出の需要に対応して財源配分を考えるかという点については、いろいろと苦心をしておる点がございまして、一つには新規の地方債を削減すること、それからまた利子の引き下げをはかること、あるいは償還期限の延伸をはかること、そういった面におきまして将来の公債費対策もあわせて考えている次第でございます。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 自治庁の方も一つ聞いていただきたいのですが、今の相沢さんのお話の中で、現在の事務的な考え方として一応お話がございました。それの中でちょっと気になることがあるというふうに私聞き取ったわけです。というのは、かりに元利の補給をするにしても、まあどういう形にやるにしても、全体の交付税との金額の上でほとんど変らないのじゃないか、こういう話、それからいま一つは、自治庁においても現在の交付税の一部を削っても元利補給をしたいからというような話があったと、これはまあ予算折衝過程でございますから、一々私それをとらまえてどうのこうの言うつもりはございませんが、ただそういう言葉から、またさっき申しますように心配なのは、将来何かやっぱりそういうような格好に落ちつくんじゃないか、もしあなた方の方でそういうふうなことをかりに漏したとすれば、これは大臣の言っていることはだいぶ違うんで、ですからそういう点、私念を押しておきたいわけなんです。ですからまあ相沢さんのお言葉ので、個々の団体にとっての公債費の全体に対するウエートの問題、これはいろいろあると思います。一概に言葉が——総額で大ざっぱな話をしておりますから、もっとこれは突っ込んだ論議までしなければいけないと思いますが、ともかくそういうことは一応抜きにしまして、どうもそのいわゆる公債費対策というものを、さっき長官がお述べになったような格好でなしに将来いきそうな心配、単なる心配に終ればよろしいのでございますけれども、そんな心配をするわけなんですよ。どうなんでしょうね、これは。
  59. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 関連して。公債費対策は、先ほど長官は自由党の看板としてあげたという、ですからここで、公債費対策をどう解決するかというようなことは、もし自治庁でまとまった一応自治庁としての案があるなら、関連してお答えが願えたいと思うのです。たとえば交付税の外か中か、あるいは期間の延伸の問題もございましょうし、あるいは交付税の一定率の中で自由に地方自治体でやれとか、いろいろ問題があると思うわけですが、そういうような問題で、もし固まったものがあるとするならば、お答え願いたいと思う。
  60. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) この抽象的な方針として、公債費対策を独立の建前で実現したいということは、これは自治庁といたしましても政府といたしましても、そういう抽象的な考え方を持っておることは間違いはない。ことに自治庁立場を申しますと、かねてより御心配いただいております公債費の重圧という点が、年々歳々強まって参りますことにかんがみまして、どうしてもこれは対策としてやりたいということの方針は、もう堅持していきたい。その方針の庁としての一つの決意の現われは、百九十九億円に及ぶ予算折衝の際に、別個独立予算ワクを要求したという有名な事実がございます。この事実をもって見れば、それは表明されておるわけでございます。わけでございますが、そこで、一体それならば絶対にその交付税の中においてまかなうことはいやなのか、これは大蔵当局の意向は、私はここで言うのはどうかと思いますが、大蔵当局考え方としては、交付税の中でまかなったっていいじゃないか、というふうな考え方はあろうと思う。これは何も無理はないと思う。ただ問題は財源です。二六%でさえ行政水準の最低確保はやりかねておる、そのときに、その中でまかなえなんということは気違いじみた話なんで、それをまかなえというこであれば、まかなうに足るべき金額に照応するように率を引き上げていただいた上でこれだけは別個の使い方を考えて、公債費対策をやってくれと、しかしながら、そういう場合においては、何といいますか、不交付団体に対してはその場合はいかない結果になるのですが、それはもう不交付団体は力があるんだからがまんしてくれ、交付団体だけについて一つやるというのならば、交付税の中でまかなうことが妥当じゃないかというような意見が、私は出てくる余地もあると思う。しかし、その場合はあくまでも財源の立て方が、行政水準を維持、確保をするための財源をさいてやるなどという考え方は、こちらから言った事実もない、またお聞きになったはずもないと思う。行政水準の維持のために使う金とは別個の金を与えられて、外でやるか中でやるか、どちらでやるかということは多少議論がございましょうか、これは大蔵さんでそういうことを仰せになれば、これは大いに検討してもらわなければならない問題じゃないか。あながち外で——断じて形式は外でなければ相ならぬといって拒否すべき筋合いのものじゃないんじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 相沢さんにお聞きしますが、元利補給をしても総額において変りはないじゃないかということは、もっと少しおっしゃっていただきたいと思うのですがね。
  62. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 私の先ほどの発言が、あるいは不用意な言い方がありまして、それが要するに既定のワクの中から引っ張ってくれば、それが公債費対策になる、あるいは中に入れても同じゃないかというふうに受け取られたかと思いますが、その点は、私最初にお断わりいたしました通りに、やはりこれはただ外にするとか内にするとかいう問題ではなく、ただいま自治庁長官から御答弁がございました通りに、やはり地方団体に対しての財源措置を全般的にどの程度考えるかという問題と当然関連を持つわけでございまして、地方の行政水準を非常に切り下げても、つまりそこから財源を捻出しても、別ワクとして公債費対策ができるということを自治庁主張なすったわけではございませんし、また私どもといたしましても、そういう方法なら考えられるではないかということを申し上げたこともございません。やはりこれは自治庁並びに各地方団体が非常に御要望になっております地方行政水準の同上、このための財源はどうするかという問題と、やはり財源的には切り離し得ない問題でございまして、その点は、三十三年度以降の問題としまして、やはり現在なお地方行政水準の向上のための財源を要望されておる、他面また公債費の増加の財源が必要になっておる、この財源を何でまかなうか、また交付税の形でいくか、あるいは元利補給の形でいくか、いずれにしましても全般的な問題としてこれを解決せざるを得ないじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。なお交付税の中からその別ワク予算として取られる場合には、その財源を引っ張ってもいいという議論がございましたのは、これは主として地方制度審議会なり、あるいは臨時税制調査会の、関連して問題になっておりましたが、その審議過程におきましての事務当局間の話でございまして、それを自治庁が、正式にきめた交付税からその金額を何がしか引っ張って、それを元利補給として計上してほしいという要求があったわけではございません。その点説明しておきます。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ大体今の問題につきましてはこの程度で終りたいと思います。ただ一つ、これは要望みたいなことになりますけれども、先ほど来長官が……、いや先ほど来じゃない、前からずっとでございますが、一つはっきりした態度で単に長官の個人的なかなかありたいという、そういう希望的な御意見でなしに、一つこの問題の推進、解決のために努力していただきたいと思います。それをまあ一つ要望みたいに申し上まげすが、一つ交付税の今回の特例に関する措置について、二、三これも前からいろいろ論議がありましたが、お聞きしておきたいと思いますが、三十二年度に繰り越して使用できるというふうな新しい法律なわけなんです。まあ内容とは非常に違って、形の上ではただそういうふうな格好になっておるわけなんです。そこで、私内容のことは今申しましたように一応抜きますが、形においてこういう法律を作らなければ、今度くる補正予算に盛られておりますところの八十六億ですか、これを使えないかどうかですね、これは私強勉のためにお聞きしておきたいと思います。今の財政法なんかからしますと、そう新たな立法措置をしなくとも使えそうだという気がするのですが、この点どうでしょう。一つ大蔵省の方かもらお聞きしたいと思います。
  64. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 今御指摘の現行法によりましても繰り越しの規定があるわけでございます。しかしこの繰り越しの規定で、今回の八十六億を処理をするということはできないこともなかったのでありますが、しかしながらこれを、二つの理由によって、新しい別個の改正をお願いしたわけでございます。一つの理由は、本来現行法による繰り越しの規定というものは、ごく自然の姿において不用に帰したもの、使用配分をしなかった場合、残が残った場合、こういう場合において初めて三十三年度に繰り越されるという数字になるわけでございますが、正直なことを申しますと、このたびの八十六億というものは、不用に帰したのでなしに、わざとこれを三十二年度から公債費対策に使おうという特別の意図をもって、わざと残したものである。その結果形の上では同じように繰り越しになった、こういうふうなものでありますので、一体自然不用に帰したものではないのではないか。お前たちが故意にこれは残しておいて、三十二年度に使おうとしておるものではないかと言われますときには、衆参両院に持って参りましておしかりを受けるのじゃないか、こう深く考えました結果、事をはっきりするために、この際改正をして、改正のお許しを得れば、おしかりを受けることもなかろうという意味で出したことが一つの理由でございます。これは大蔵省も私の方も共通した理由とお聞きとりいただいて間違っていないと思います。  それからもう一つ大蔵省ではそうとは申しませんが、私がこの腹の中で考えました一つの特別の事情がございます。その事情は、この法律をわざと改正をしないでやります場合は、公債費対策交付税でやった前例があるじゃないか。三十二年度の前例に基いて三十三年度以降もやれと、こういうふうな妙な足がかりにされてはまことに迷惑である。わざと法律を作っておいて、わざと作った法律を一年度限りということを銘を打っておけば、大へんここで区切りがつく。これは大蔵省の方へ言わなかったことで、私どもの方で考えたことでありますが、そういう気持も内面にはありまして、わざと改正してお手数をかけた、こういう事情でございます。
  65. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) ただいま自治庁長官の御説明ありましたところに別につけ加える点はございませんが、その後段の点につきましては、私どもとしてはまことに承知していないことでございますが、交付税及び譲与税配付金特別会計法の十五条におきまして、「この会計において、毎会計年度の歳出予算における支出残額は、翌年度に繰り越して使用することができる。」という規定がございます。この規定を適用すれば、あるいはその支出残額は当然本件の場合におきましては、三十二年度に繰り越して使用できるのではないかというふうな解釈もありましたのですが、ただいま自治庁長官から御説明がありました通り、この規定は、何と申しますか、一行政官庁の裁量だけで毎会計年度の交付税をある程度の額出したり出さなかったりすることまで認める規定ではないのではないかというような疑念もあったわけでございます。そこでまた繰り越す額も相当な額になりますので、現行法の規定によりましてもあるいは解釈が可能かと存じましたが、やはり国会に法律をもちましてその承認を経て、実行することが穏当ではないかという考え方に立っておったのでございます。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 相沢さんの方からお聞きしたいのですが、今の譲与税等の特別会計のことと、いま一つ地方財政法の四条の二は、これはどういうことになりますか。これでいったらどうかということですね。
  67. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 地方財政法の四条の二は、各地方団体ごとに、その団体において余剰財源のある場合の措置を規定しているものでありまして、地方交付税特別会計の経理の問題ではございません。そこで、交付税及び譲与税配付金特別会計法が、何と申しますか、毎年度一定の資金を繰り入れておきまして、歳出の面におきましてはそれぞれ当該年度の需要に応じてこれを支出するというような考え方に立つ特別会計でございますならば、その点は第十五条を拡張解釈いたしまして、その必要がないと認められる場合には、その一定部分を随時翌年度以降に繰り越して使用ができるというふうに考えられないこともないのでありますが、現在の交付税特別会計のシステムでは、大体三税の二五%を交付税特別会計に繰り入れ、そうしてそれを当該年度に支出するというのが大きな建前になっておるものですから、その点は多少十五条だけの解釈による疑問があるというふうに考えておる次第であります。
  68. 鈴木壽

    鈴木壽君 四条の二でどうかというのは、地方団体が三十一年度中に交付してしまった場合ということを想定した場合です。これは時期的にもう少し考えなければ三十一年度中に交付できるものなんですから、そういうふうにすることもまた可能じゃないか。むしろそれは地方自治団体のいわゆる自主性といいますか、今の交付税建前から見れば、独立財源を与えて、ワクをつけたり、ひもをつけたりするそういう建前に触れないで、あなた方の御指導とか何とかいうようなものをやることが一つの行き方じゃないか。むしろその方がすなおな行き方じゃないかと、こういうように考えたものですから、一たん渡してしまってからという格好をとったらどうか、こういうことなんです。と同時に、そうしますと、今の四条の二もこれでやってもやれるんじゃないかということを考えておる。ただ一つ、これは悪いような言い方ですが、どうも長官の前段と後段のさっきのお話は、後段の方に強くウエートをかけられて、一つこういうことでやるのだぞというようなことで、こういうような特別な立法を、あちこちに触れるおそれのあるようなことまでしたのじゃないか。こういうふうに疑ぐり深くなるのですが、これは少し道が行き過ぎたかもしれませんが、そういう感じを持つ。もっとなすおな格好においても、現在の法の範囲でも、やれるところはやれるんじゃないか、こういう観点から私はお聞きしているわけなんです。
  69. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) お説の通り三十一年度におきまして特別補正予算に組みました交付税の追加額を、そのまま各地方団体に配分いたしまして、第四条の二の規定に期待いたしまして、地方団体の自主的な財源の調節を期待することも考えられるわけでございまして、その点はあるいは本年度において交付するということも考えられるわけでございます。ただ三十一年度といたしましては、すでに大部分の地方債の元利償還は済んでおります。そこで問題になるのは、三十二年度の公債費対策をどうするかということに関連を持ってきたわけでございますので、そこで当該年度において交付するよりも、むしろその一部を来年度に持ち越して交付した方が適当ではないかということが一点と、もう一つは、この公債費の元利償還額を単位費用の中に織り込みまして配分するにつきましても、なかなか技術的にむずかしい面もございます。その時間的余裕もあるいはないかどうかというようなことも考えたわけでございます。
  70. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはしばしばここでも問題になったことでございますが、僕ら、現在の交付税に、それを使うとか使わないとかいう自主的なことは別として、あまりひもつきのような格好をとることは、やっぱりとるべきじゃないと思う。交付税本来の姿において、よき指導さえあれば地方団体だってそんなにでたらめな金の使い方は今しない、するべき段階じゃないと思うのです。ですから、何かあまり地方を信頼しないで、こちらからはっきり別の法律を立てて、そういうような格好で法改正までやって、こういうことに使うというようなことについて、どうかと思うわけなんで、そういう意味からいいまして、今回の措置は、私はこれはむずかしい、いろいろ法規的な論議はあるにしても、まあ普通の常識から考えての交付税建前、あるいは地方自治団体のそういうものからして、不当な、少し行き過ぎじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。繰り越しの問題は、相沢さんからお話がありましたが、これは三十一年度中に、もう少し時期的に早くやって、交付税単位費用の問題は別に、今のような改正の仕方でいいんですが、そういうようなことをやって、早く交付をして、かりに三十一年度の公債費の元利償還が終ったにしても、これは今言ったような、地方財政の方の手続として来年度において使えるものだと、使わせるべきじゃないかと、こういうことが常識的な言い方だと思いますし、私の考え方の基本にあるわけなんです。そういう点について、もし……。
  71. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今の問題についてお答えいたしたいと思います。  これは今いろいろ相沢主計官の方からも御説明がありましたが、三十一年度の交付税は、これはもう本来三十一年度に交付するのが交付税法の精神であると思います。先ほどの、支出残額があれば繰り越せるという規定は、これはもちろんございますが、三十一年度にいやしくもきまった以上は、三十一年度の財源に充てるのが建前でございまして、それを自治庁長官が恣意的に七十億も八十億もことしは使おう、来年度は繰り越そうと、こういう仕組みになって、交付税法の精神に反します。そこでそういう問題は、やっぱり法律でもって、自治庁長官がやれるならやれるということをはっきり書かなければ、交付税法の精神に反するじゃないか。そういうことで、今度の問題は、三十二年度における公債費の重圧緩和に充てるように金を配りたいという気持がございますので、それがためにはやっぱり繰り越せるという根拠を与える必要があるじゃないかと、これは基本的に一点あるわけでございます。  それとともに、そうでなしに、三十一年度中に、今お話のように配ったらどうかと、これは事実三十一年度に残るものがあれば、単位費用を変えて配るということはできますが、それは三十一年度分の公債費に充てるということで配るより仕方がないのでございまして、三十一年度に配って、三十二年度の公債費に充てるために金を配るということは、これは事実法律上も困難だろうと思うのでございます。そういう意味で、ただ金を配っちゃって、それぞれの団体で財政法の四条の二でございますか、その趣旨で運用させるということは、これは考えられぬわけじゃございませんが、そうするというと、三十二年度の公債費に充てるために金を配ろうという趣旨が全然なくて、結局三十二年度はゼロになる、公債費のために必要な金は配りようがないという問題が出てくるわけです。  それともう一つは、四条の二で、それぞれの団体がやろうとするためには、どういう金の配り方があるかどうかという問題もあるわけです。三十一年度に金を配ってしまおうとすれば、そうすると、おそらくは現在で、三十一年度、二年度のための単位費用を立てようがないということであれば、今の交付税法の規定でも適用して、三十一年度の特別の財政需要があるから配るんだと、こういう仕組みに実はせざるを得ぬのです、今の交付税法の精神からいって。そこは現在の状況から考えれば、三十一年度の一般の財源は、一般の経費は、公債費の償還費もひっくるめて三十一年度分としては一応財政措置がしてあるので、その未措置のものが例の〇・一五とか、その他の調整の経費で、それだけ見てやればいいのであって、それ以上に特別の財政需要があるといって今配るという必要はないのじゃないかという、その三十一年度のことを考えれば、考え方が成り立つわけです。しいて三十一年度に配るというならば、三十一年度に繰り上げ償還にでも充てるために配るかということは、これは考えられぬわけじゃないと思います。三十一年度に繰り上げ償還を前提にして配ることなら考えられますが、これは三十二年度の公債費の問題とはかかわりのない問題になるのでございまして、そういうようないろいろ法律上の問題、技術上の問題、それから政策上の問題、そういうようなことをかれこれ考えまして、どうしてもこういう措置をとらざるを得ない、全くそれはお説の通り変則だと思いますが、とらざるを得ないというのがわれわれの考え方なんでございます。
  72. 鈴木壽

    鈴木壽君 ただいま成瀬さんからもお話がございましたが、これはまあ私ども不用意に公債費対策公債費対策としきりに言っているのですが、これはまあいろいろあるのですが、基本的な考え方として、これは旧債に対してどういうふうな措置をなさろうとするのか、あるいは今後の起債のワクを、いわゆる適正化という面においてどういうふうに考えていくのか、さらにまた償還年限の問題、あるいは利子の問題、金利引き下げの問題等がいろいろあるわけなんです。特に私考えなくちゃいけないのは、過去の公募債で相当困っておるという面もだんだん出てきているわけですから、こういう問題の借りかえとか、何かそういうこともぜひこれは考えなければいかぬのじゃないか、それから、これはまあこれからはあまりないだろうと思いますけれども地方団体においては一時借り入れのために非常に大きな利息を払っているはずなんです。何か三十年度の決算を見ますと、利子だけ八十四、五億という数字が出ておったように記憶しますが、相当な利息を払っておる、こういう実態があるわけでございまして、こういう全般の問題を考えてみますと、単に今回あなた方がおやりとなろうとしたこのある特定の起債についての元利の補給というようなことだけでは、いわゆる公債費対策にはならぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけですから、どうでしょう一つそういう問題について、いま少しく今後の基本的な考え方を承わることができれば……。
  73. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今お話通り公債費対策は、いろいろお述べになりました問題を総合的に考えなくちゃならないので、今まで議論されておりますのは、既発行公債の償還費に対する対策にこれは限られておるわけでございます。われわれといたしましては、今後の公債の発行自身を、今度のような轍を踏まないように合理的にやっていくということがこれは根本でございまして、それがためには今までの公債、金が足らぬから起債で仕事をしろといったような式の考え方が、そもそも財政計画の上からとられたところに根本的な錯誤がございまして、そういう財政をとられたものだから、金のないむしろ貧乏な団体に起債をつけたというようなことが、今日の欠陥を招いたのでございます。それをまず財政計画の上から排除しなければいかぬ。今度の財政計画では、幸いにして交付税の伸びもあり、税の自然増もありまして、まだ十分じゃないかもしれませんが、できるだけ起債の額を減らしていって一般財源に切りかえる、地方の仕事はできるだけ一般財源を基礎にして仕事をやっていく。しかし仕事の性質によって、ある程度起債でやった方が適当だというものはもちろんございますが、そうでないものは一般財源でやる、恒常的に続くような仕事はむしろ一般財源でやるべきだ、起債でやるべきじゃないという意味で、今後起債の額なりあるいは運営の仕方というものを、ぜひ合理的に運用していきたい、こういうのがまず第一番でございます。  それからそう発行の条件というのも、できるだけ実情に合うようにするために、一つはこの償還期限の問題でございまして、これは大蔵当局ともいろいろ相談をして、本年度分より償還期限をある程度実情に合うように延長する措置をとったのでございまして、今後その条件に従って運用をしていきたい。それから今一つは、利率の問題がございまして、利率の問題は政府資金と公募債の問題と二つございますが、政府資金の問題につきましても、資金コストを許される限りぜひ下げてもらいたいというので、かねて大蔵省にお願いをしておりまして、今度六分五厘を二厘だけ下げてもらうことになったのであります。これも今後の発行する公債だけでは意味がない、過去にさかのぼって既発行の公債、一般会計分につきましては既発行公債全部をひっくるめて二厘下げていこう、それで平年度にしますというと九億以上の実は額の軽減になりまして、これも非常にありがたい措置でございます。それからなお今まできまっているのは政府資金のそういう問題ですが、もう一つは直轄事業の交付公債の問題がございまして交付公債についても六分五厘の利子を現在払っております。片一方をともかくも二厘下げてもらった関係から考えましても、交付公債の問題につきましては、これは私は資金コストの問題もありませんし、もっと思い切って下げてもらいたい。場合によってはただでいいじゃないかという理屈も成り立たないわけではないのでありまして、これは大蔵省とまだ話がつきませんが、お願いをしておる次第でございます。つまり直轄の分担金を分納でもするというような意味で考えてもらうとして、今は交付公債の形ですから利子は払っておりますが、これはできるだけ下げてもらいたい、これは私の方の希望でございまして、まだ大蔵省との話はついておりませんが、これはできるだけお願いして協力してもらいたい。それからいま一つの問題は、結局公募債の問題でございまして、公募債はもう少し低利に、よい条件で借りられるようにしようというのが公営企業金融公庫の構想でございます。あの公庫だけではいまだ今のところでは不十分かもしれませんが、ともかくもそれによって公募債の合理的な償還というものを可能にいたしたい。それからさらにお話になりましたのは、過去の公募債をもっと低利に借りかえることが可能でないか、これはごもっともでございまして、自治団体が自主的にできる分につきましてはできるだけそうするようにわれわれの方でも慫慂もいたしておりますし、それから大蔵省に間に入ってもらって銀行とのあっせんにも力を入れております。だいぶ高利のものは団体によっては借りかえを行なっております。しかし、これも実は自分でやれるのは大きな団体だけでございまして、貧乏な市町村はなかなかそう有利な借りかえはできっこありません。ほんとうはできるものならこれを政府資金に切りかえるなり、あるいは最小限度金融公庫でもその仕事を扱って、そういう方向にできるならば、そういう道を考えたい。特に再建団体の公募債なんというものは、これは利子補給していますから、団体にとってみればそれほどの負担ではございませんが、利子だけ払って高い公募債を貸し付けるくらいなら、むしろ政府資金にゆとりがあるならば、こっちに切りかえてもらいたいという気持もわれわれは持っております。しかし、これもまだ向うの資金の関係もございますので、そう簡単に話が進みませんけれども、そういう問題をわれわれといたしましても総合的に考えて、できるものはぜひ実現することによって、今後の公債費というものを十分に合理的に動くようにしたい、総合的にその対策を進めていきたいというふうに存じており、一部実現し、一部につきましてはなお考慮中である、こういう段階でございます。
  74. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、今のお話で、考えていることは大体わかりましたが、もっと具体的な、はっきりしためどなんかついておらないかどうかということなんです。これはまあ償還年限の延長の問題にしましても、これは将来そうしなければいかぬと思うと、こういうふうなお話なので、ある程度やったものもあるそうでございますが、また過去のものについても非常に私は問題があると思いますし、そういう点について、私は、もっとはっきりした一つ態度というものが決定されておらなければならぬのじゃないか。これからまあ大蔵省と話をする、あるいは関係方面といろいろ話をすると、こういうことでなしに、私は、もっと具体的なそういうところまで打ち出しておるのじゃないかということを期待しておったのですが、これはどうでしょう。もっとはっきりしたことを近いうちにきめられませんかな。
  75. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) いや、今のお話でございますが、今の償還期間の延長はもうきまっちゃって……。
  76. 鈴木壽

    鈴木壽君 どのくらいになりますか。
  77. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、仕事によりまして早いおそいがございますが……。
  78. 鈴木壽

    鈴木壽君 それじゃですね、これはあとで一つ、簡単でいいから、プリントしてくれませんか。
  79. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 承知しました。  それから、政府資金の利率の引き下げもきまっております。それから、あとは公募債の問題ですから、公募の問題で問題は解決するから、大ていの問題はもう解決しております。
  80. 鈴木壽

    鈴木壽君 ああそうですか。公募債ですがね。これは、もっと私は政府資金を出すべきじゃないかと思うのですな。どうでしょう。まあたとえば、民間の営利会社でも相当出したり、利子補給なんかしたりなんかしているところもありますしね。いわば、何といいますか、これは、大きくいえば一つの世帯の中だというふうに私は考えるわけですがね。そういうところにどうも出し惜しみをするのじゃないかというような……。今回の補正だって、相当金を出すのだが、これは一時に出すとか出さぬとか、取っておくのだとか、いろいろあるようでございますが、そういうくらいの余裕があるのならば、私はこういうことにもやはり手を伸べて、積極的に解決の手を差しのべるべきじゃないか。公募債を簡単に、これは、全部を今すぐに書きかえろといっても、あるいは政府資金によってまかなえといっても、あるいはむずかしい問題があるかもしらぬけれども、いずれにしても、そういう方向だけは私は踏み出すべきだと思うのですが、これは長官、どういうふうな話し合いになっているのでしょうか。まだそこまで行っておりませんか。
  81. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) はあ。
  82. 鈴木壽

    鈴木壽君 大蔵省の方では、お考え方としては……。
  83. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 地方債におきまして、政府資金引受分を増加することは、将来の金利負担の軽減にもなりますし、また地方としても、資金の獲、得に非常に容易な面がございますので、私ども地方財政の関係の者としましては、従来から、政府資金の割合をふやすことを非常に強く主張しておりたわけでございます。そこで、三十一年度は、普通会計債総額七百十五億のうち、五百二十億が政府資金、それから百九十五億が公募債であったわけでございますが、三十二年度は、これは退職債及び収益事業債を含めまして、六百億になっておりますが、六百億のうち、大体五百五十億程度は政府資金でまかなうというようなめどをつけております。若干あるいは異同があるかと思いますが、そのように、政府資金の引き受け割合は、相当大幅にふやしておりまして、その一面において金利負担の軽減を考えております。
  84. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ほかに質疑はございませんか。
  85. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、さっき小林部長からもお話がございましたが、再建債に伴う地方からの金を借りるやつね、これは利子補給があるから、大したことはないと思うのですが、あの借り方で非常に苦労しておるわけですね。やはり八分五厘でなければいけないとか、あるいは八分三厘、八分三厘では高いから、もう一分まけるとか、これは一分、五厘といえども、やはりこれは、長い間の計算でいけば、相当大きな額になるのですから、ああいうものでも一つどうでしょうか、これは早急に、政府資金でまかなうようなことはできませんですか。これは、利子補給があるからいいということも、これは、政府だってあまりいいことじゃないと思うのですよ。
  86. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ごもっともでございます。再建債は、借りるときは、実はそういう苦労をいたしましたが、現在では、もちろん全部手続が済みまして、借金の方は完結しております。平均八分ちょっとくらいであるはずでございます。
  87. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、それは全部政府資金で出す……。
  88. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) いいえ。
  89. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから、それをどうなさるかという……、これは政府にとっても、私は、利子補給の面からいっても、あまりけっこうなことじゃないと思うからですよ。
  90. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 要するに、再建債の結局財源政府資金に振りかえたらどうかということなので、われわれはそういう希望は持っております。ただ、あのとき政府資金のワクの問題もございまして、ああいう割り振りをせざるを得なかったのが一つ。  それからもう一つは、やはり従来、一時資金を借りておった銀行との関係もございまして、ここで全部縁を切るわけにもいかんので、やはりある程度公募せざるを得ないという事由も、これはあったのでございます。基本的には、資金のゆとりができればそうした方がよかろうと、こういう考えを持っておりますが、これは新しい、新規地方債に対する資金の需要の割り振りとの関係でございまして、われわれは、まあともかくも新規な部分は、できるだけ政府資金という方針でいっておるものですから、それで、なかなかそこまで手が伸びない。資金的にゆとりがある限りは、そういう方向に大蔵省でも考えてもらいたいという希望は持っております。
  91. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の点について、具体的なまだ大蔵当局との話し合いができておりませんかということと、それからもう一つ、ちょっとまた違う問題ですが、先ほどちょっと触れました、あの地方の団体の一時借り入れの利息ですね。これは、相当な額に上っていることは、私申しました通りです。そこで、これはあまりこれからは、過去のような、三十年度のようなひどいことは私はないだろうと思います。しかし、それにしても、地方の資金というものは、相当これは資金繰りは苦しいことなので、これの手当というものを、これは一応政府としても考えなきゃいけないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、たとえば、例を申しますと、補助金等がおそくて、やはり金を借りなきゃ仕事ができないということがあるのです。そういうような関係もあるものですから、まあそういうのは、補助金を早く交付するようにすることももちろん大事ですが、その他の事情によっても、相当資金繰りが苦しくて、一時借り入れをする、その利息が相当高い利息になる、こういうことは争えない事実なんでございますから、こういう点を解決することも、私は、今の地方の財政の健全化を目途とする立場からするならば、相当大きな問題だろうと思うわけなんですが、こういう点について、今後どういうふうにお考えになって、また、対策を立てていかれるのか。二つの問題について……。
  92. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 前の問題は、すぐに政府資金に振りかえる問題は、まだ具体的な話には入っておりません。そういう希望を述べておるという程度なのでございまして、その段階は、資金事情から見て、まだ段階ではあるいはないのじゃないかというような気もいたします。  それから、あとの一時資金の利子の問題は、これはもっともでございまして、これは、一つは、赤字が非常に多かったときのつなぎ資金が多かったのでございますから、赤字の減少とともに、額は私は減るという見当をつけております。  それからもう一つは、補助金がおくれるという問題は、ごもっともでございまして、これは、去年から、大蔵省も中心になりまして、補助金の早期交付をやかましく言っておりますので従来よりもすこぶる改善をされておるはずでございます。  それからなお、この一時資金につきましては、従来高い金利の金融機関から借りているのは、できるだけ政府資金の方で、やむを得ないものは融通をしてもらう。これは、大蔵省の方でも、今後積極的にそういう方向に協力しようという考えでおりますから、必要やむを得ないつなぎ資金は、一つ安い政府資金の方であんばいをつけるように、われわれの方でも必要があればあっせんをすることになっておりますので、その点はずいぶん今後改善される、こういうふうに考えております
  93. 鈴木壽

    鈴木壽君 じゃ最後に一つ。  いまの一時借り入れの問題ですが、大蔵省とも話し合いがついているというお話ですが、これは、やはり先ほど私が申しましたような理由から、その金利というのはばかにならない負担をしておるのでございますので、これはつなぎの融資といいますか、あるいは短期にやはりめんどうを見てやる必要が確かにあると思うのです。ですから、その点一つ大蔵当局にもよく考えてやっていただきたいと思うが、あまり心配ないようにやれるというようなお見通しなんでございますか。
  94. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 地方団体についての一時借入金の利子の増加、その原因があるいは補助金、負担金、委託費等の交付の遅延等も一つの大きな原因になっているかと思いますので、その点につきましては、現在主計局の中におきましても、どうしたら交付決定を促進できるかということで検討しております。各省についての補助金等についての交付決定計画というものをきめまして、その計画の線に従って、できるだけ早く補助金等交付決定し、金を出すようにしたいというふうに考えております。なお、補助金等の交付とうらはらになります地方債の額の決定につきましても、これは先日も、自治庁大蔵省関係部局で話し合いまして、できるだけ早くしようではないかという申し合せになっております。なお、短期一時資金として、預金部等の短期融資をできるだけ使うという点につきましては、私、実はよく承知しておりませんので、確かなことをここで申し上げるのを差し控えさせていただきます。
  95. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの一時借り入れの問題に関連して、相沢さんからもちょっとお話がございましたが、起債の決定はもっと早めるべきじゃないかということ、もし起債が、いわゆる内定でもいいのですが、もっと早くきまっておれば、市中銀行から金を借りる場合にもいいのです。果して来ないのか、今きまっておるものかでは、地方銀行だってあまり当てにしない、話に乗らないというふうな実情であるので、そういうところに、利息とは別に、一時借り入れの困難さが出てきておるのですから、これも、めんどうな作業がたくさんあるでしょうけれども、いろいろな事情、財政状況を考えておやりになるのでしょうけれども、できるだけ早く決定して、三月、年度末ぎりぎりになってようやくできたということのないように、ぜひ一つ御努力願わなければいけないと思いますが。
  96. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、むしろ私の方の仕事でありまして、私は全くそのつもりでおります。ただ、従来は、補助金などに伴うもので、補助金に見合うようにしておったものですから、そういうことがありましたが、今度は、そういうことにはかまわずに、早く決定してしまおう、第一四半期あたりにおよその見当をつけてしまおう、災害とか何とかは別でございますが、そういう方針でやりたいと思います。いつか大臣からお話がありました、たとえば水道の継続なんか、数年度にわたってきめてしまっておりますから、万事そういう方法でやりたいと思います。
  97. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御質疑ありませんか……。御発言がなければ、質疑は終局したものとして、討論採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、これより討論に入りたいと存じますが、討論準備のため、このまま暫時休憩いたします。    午後三時三十七分休憩    —————・—————    午後三時三十九分開会
  99. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  100. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本案に反対の旨の意見を申したいと思います。  政府地方財政にとって非常な重圧になっておりますところの公債費対策というものを打ち出しまして、われわれは、おそきに失するとは感じながらも、しかし、また一方において、大いに期待をしておったわけであります。しかし、今回私ども審議いたしました限りにおきましては、どうも政府のいわゆる公債費対策というものは、まことにずさんきわまるものであるというふうに感じたわけでございます。  まず第一に、これは真に公債費対策じゃなくして、看板に偽わりがあるというふうなことを私は申し述べなければならないということを残念に思うわけであります。公債費対策というからには、これは、過去の起債の相当部分について、政府責任を感じ、その政府責任において公債費対策を進めるべきであって、従って私は、今回とられたような交付税ワクの中で操作をするというようなことは、許されないはずだと思うわけでございます。にもかかわらず、政府は、別途に金を出すことを惜しんで、補正予算によって生じたところの、当然地方が三十一年度分として受け取るべきところの交付税増額分、第一次補正によって七十六億、第二次補正によって十億、計八十六億をもって、いわゆる公債費対策としようとしたのであります。これは、今申しましたように、別途に財源措置をすべきものであるにもかかわらず、地方固有の金を使って、同時に使わるべき交付税をもって、自分たちの政府看板であるとか、自民党の看板であるとかいう、そういう公債費対策を推し進めようとする、まことに欺瞞的な私は考え方であると思います。しかも、このいわゆる交付税先食い、当然将来において補てんをしなければならないはずのそれに対しては、政府は現在まで、われわれに補てんするということをはっきりいたしておりません。補てんいたしたいとは言いながら、補てんをするとは言っておらないのであります。そうしますると、これは、政府が掲げるところの公債費対策ではなしに、自分の金を使って自分公債費に充てたということになるわけでございまして、前述する通り、私は、これはごまかしの措置であると言わなければならない。これがまず第一点、この点において、私は本法案に対して反対をせざるを得ないのであります。もちろん本法案は、法案だけを見ますと、三十一年度分の交付税を三十二年度に繰り入れて使うという特例の、それだけの法案でございますから、法案の表面それだけからすれば、いずれあとで申し上げるような二、三の問題はあったにしても、大したことはないようでございますから、内容とするところは、今言った、いわゆる公債費対策のための措置でございますので、そういう意味におきまして、私はまず第一に、この点から反対するものであります。  さらに私は、今回のとられましたこの法案についての法的な点において、行き過ぎがあるというふうに考えるわけであります。私から今さら申し上げるまでもなく、地方交付税は、国税三税のある割合をもって分けられました地方独自の財源であるはずでありまして、しかも、それは決して制約を受けたり、他から使途を拘束されるような筋合いの金ではないはずでございます。そういう地方交付税の本来の精神を踏みにじって、特にこういう法律を作ってやるというところに、私は一つの問題があろうと思います。のみならず、その金の使い方につきましても、先ほど来質問において私が言いましたように、地方財政法からいっても、かりに公債費に使うにしても、やりようは幾らもあるのでありまして、そういうものを抜きにして、今回特にこういうものを作って、この法案によって公債費対策をしようというのは、すこぶるこれは誤まった考え方であり、この法さえできれば、基本的なもとの法はどうなってもかまわないという、御都合主義のしからしむるものであると私は断ぜざるを得ないのでございます。こういう観点からいたしまして、私は、今回のこの案につきましては反対をせざるを得ない。あくまでも地方交付税本来の姿において地方財政をまかなわせるべきである。もし言うごとく公債費対策であるならば、別途に私は金を持ち出し、別途な法律を作定することによって、初めて目的が達成せられるものであるということを考えるがゆえに、この法案に対しては反対をいたすものでございます。  次に私は、今回のいわゆる公債費対策交付税ワク内においてまかなおうという当然の一つの欠陥として、本来の公債費対策にはあらずして、これまた、すこぶる都合のいい、便宜主義的な考え方に堕してしまったということを指摘せざるを得ないのでございます。と申しますのは、交付税によって配分が定まるとするならば、これは、不交付団体には行き渡らない金になるわけでございます。大臣は、不交付団体は財源に余裕があるから、まあまあがまんせいと、こう言うのであるけれども、これは、いわゆる公債費対策という、そういう一貫したものの考え方からすれば、交付団体であろうが、あるいは不交付団体であろうが、過去の起債について国の責任をもって解決するという、そういう線からすれば、私は、これは誤まった措置であろうと思います。当然これは、不交付団体から文句の出る筋合いのやり方でございまして、こういう方法によって糊塗しようとする今回の政府措置に対しては、反対をせざるを得ないという第三の理由でございます。  さらに私は、先ほど最後にもお聞きしましたが、政府が本気になって公債費対策を考えておられるかということにつきましては、残念ながら、答弁からはそういうふうに受け取られないのでございます。と申しますのは、過去の起債の分につきましてのやり方も、単なるこういう元利補給の道だけではございません。償還年限の延長の問題もあり、さらに、全般的な利率引き下げの問題もある。あるいは将来の起債に対するいかなるワクを設定するか、いかなる適正化の方向をとるか、と同時に、その中に含まれてくるところの、当然施設の耐用年数に応ずるような償還期限のきめ方は、あるいはまた、不合理でない利率のきめ方というものがはっきり打ち立てられていなければならない。そういうはっきり打ち立てられた全体的な一貫したものの中で、今回の公債費対策が考えられなければならぬのでございまして、単に、来年度において使える金ができたからというような理由で、また単に、来年度は相当の地方債の重圧が地方財政に加わるというような理由で、こういうこそくな手段をとるべきではないと私は考えるのでございます。将来、もしこういうような形において進むならば、過去の起債に対する政府責任の所在というものは、これはぼやけてくるのでございまして、そういう意味におきまして、一貫した私は公債費対策を立てるべきであるという観点から、今度示された案、あるいはまた、審議の過程におきまして明らかにされた政府の答弁からしましたならば、私はそういうものを受け取ることができないという、従って私は、こういう公債費対策の正しい姿としては、この案を受け取ることができないというのが私の反対をせざるを得ない第四の理由でございます。  以上申しましたが、今回のこの法案並びにこれに伴う措置は、すこぶる宣伝価値はあるいはあるかもしれません、看板にはなるかもしれませんが、中味は至ってお粗末な公債費対策と言わざるを得ない。よく言われるように、羊頭を掲げて狗肉を売るという話がありますが、これは、狗肉を売るのじゃなくて、むしろ狗肉をまた持ってくるようなやり方であると思うわけでございます。特に大臣に指摘しましたように、私は、将来の財源の補てんということの全然取りきめがないということに対して、最も本案の国の態度を表明する際に遺憾に思う点でございまして、私は、今申しましたような理由から、本案には反対をせざるを得ないことを申し上げたいと思います。  以上でございます。
  101. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私は、本案に賛成をいたすものでございます。この際、次のような付帯決議を提案いたしたいと思います。  本案に賛成いたしまする理由は、本案は、第一次、第二次の補正予算におきまして、交付税として計上せられました合計額百十億のうち、三十一年度の交付税の調整減額の復活分八億円、三十一年度の年末手当の〇・一五分の財源充当額十六億円、これを除きました残額の八十六億円を、本年度の交付税としてこれを配分することなく、明年度に特別にこれを繰り越しまして、そうしてこれを、別途提案いたされておりまする交付税法の改正案の中におきまして、特別に単位費用をもって、いわゆる公債費対策財源にこれを充当せんとするものであることは、申し上げるまでもないのでございます。この政府のやり方に対しましては、いろいろ批判の余地もあり、われわれといたしましても意見のあるところでございまするが、しかしながら、現実に八十六億円の金が、目下焦眉の急になっております公債費の償還財源として、交付税ワクの中ではありまするが、配分されるということは事実でありまするので、要するに、公債費処理対策といたしまして、とにかく一歩これを進めんとするものであることは、否定のできない事実であると思うのであります。なさざるはなすにまさるという意味におきまして、私はこの法案に対して賛成をするものであります。  しかしながら、この法案の審議の過程の中におきまして、いろいろこれに対する御審議が進められたのでありまするが、この中におきまして、大蔵大臣初め大蔵当局自治庁長官自治庁当局、要するに、自治庁長官の意のあるところは別といたしましても、ことに大蔵当局公債費に対する政府責任の観念が、はなはだその説明によりましては不明確であったと私は聞き取ったのでございます。法律的責任のないことをもっぱら強調いたされたのでありまするが、しかしながら、この公債費の中におきましても、給与財源として充当されました百四十七億の減債額七十七億、これに対しましては、その元利二十億が配分の目標になっておるのでございますが、これらのごときは、明らかに私は、政府にこれが処理責任があるものと断じて差しつかえないものと考えるものでございます。その他の対象となりました、特定起債の減債額二千三百二十億、三十二年度の元利償還額が二百九十六億、これに対しまする金額の点におきましても、はなはだこれは不十分であると存ずるのでございます。ことに公債費に対する政府責任をありと信じまする私ども立場からいたしましては、不交付団体を、当然交付税の配分でありまするから、除外いたしておるわけでありまするし、また、当然交付税として地方団体の自己財源たるべきものの中からこれが対策財源を生み出しているというような、この点、公債費処理ということは、当然償還を了するまで続けられるものであるにもかかわらず、ただ単に一年限りの対策費になっておるという点、これらの点はきわめて不合理ではないか。要するに本案は、公債費の問題の根本対策としては、きわめて不明確で、不十分で、かつ不合理であって、とうてい、われわれ地方財政の再建を心から願っているものにとっては、満足のできない案であると考えるのであります。  よって政府は、本年度のこの措置といたしましては、これはやむを得ないところでありますが、この際進んで、公債費処理の根本的方策を樹立いたしまして、地方財政の確立を期すべきであると考える次第であります。  右の意味をもちまして、本案に対しましては賛成するとともに、ただいま読み上げる付帯決議をこの際提案いたす次第であります。    附帯決議(案)   本特例は深刻な公債費問題の対  策としては極めて不明確不十分且不  合理であって到底満足できない。  よって政府は、この際進んで公債費  処理の根本的方策を樹立して昭和三  十三年度以降地方財政の確立を期す  べきである。  右決議する。
  102. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、採決に入ります。  昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案を問題に供します。  本案を原案通り可決することに御賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  103. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、大澤君から討論中提出せられました付帯決議案を議題に供します。  本付帯決議案を委員会の決議とすることに賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  104. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 全会一致と認めます。よって、大澤君提出の付帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  また、報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりまするから、本案を可とされた諸君は、順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     前田佳都男  大沢 雄一     新谷寅三郎  小柳 牧衞     伊能繁次郎  館  哲二     伊能 芳雄  森 八三一   —————————————
  106. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、緊急質問があるそうでございますから、これから質問に入ります。
  107. 占部秀男

    ○占部秀男君 簡単なんですけれども、実は、この前大臣が出席にならないときに質問をした問題でありますが、大臣の御意見も聞いておきたいのです。  こういう問題ですが、それは今、小学校で、中学も同様ですが、高等学校の一部もやっておりますが、給食をやっておるのです。この給食に従事している給食婦というものがあるわけですが、この給食婦さんは、現在、御存じだと思いますが、非常に安い金で、大てい八時間労働をしておって、しかも身分が確定されていない。未亡人やその他が多くて、非常に困難な生活をされておる。そこで今、各地では、この給食婦の身分の確定をどうするか、この待遇問題をどうするか、こういうことが大きな問題になりつつあるわけです。そこで、自治庁の方で、今度非常にこの問題で御苦労下さって、基準財政需要額の中にこれを入れていただいた。こういうことが一歩問題の解決には前進であるという意味で、私も非常に喜こんでおる一人でありますが、しかし、問題はそれで解決したのではない。従って、根本的に問題を解決してもらわなければならない問題であると、かようにわれわれは考えておるのですが、そこで、一昨日でしたか、当委員会におきまして、灘尾文部大臣、学術局長、初等中等教育局長さんにおいでを願って、この問題で話をしたのでありますが、そのときに、灘尾文相が、改善の余地のあるということはお説の通りだ、従って、これはいわゆる制度上の問題としての合理化も必要だし、これは立法的な関係もあります、法律上の関係もあります、予算的な措置も何かしなければならない、こういうような、非常にむずかしい問題であるもので、まず、明年度は二百七十億の予算を組んで、全国的に給食婦さんの根本的な調査を行い、その調査の結果に基いて、今のような方向に一つ進めていきたい、かようなお話があったわけです。もちろんこの問題は、文部省だけの問題でなく、これは同時に自治庁とも関連のある問題で、文部大臣も、自治庁長官と話し合って問題の解決をはかりたいということを言っておるわけです。  そこで、簡単でけっこうなんですが、田中長官としても、灘尾文相と同じように、この問題の解決には一つ、調査という大きな機会があるのですから、これを機会に、根本的に今言ったような形で解決をしていただきたいと思いますが、その点についてのお考えを伺いたい。
  108. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 一つ々々の学校につきましては、大へん重要な問題であると存じまして、私の方でも、その人員は一つ、残らず明白であるというわけではございませんけれども、とにかくその実態について調査を行う前に、すでに本月の十五日付であったかと記憶をいたしますが、自治庁次長の名をもって、全国府県知事に通牒を出しました。その通牒の内容は、このような重要な給食職員と申しますか、そういう給食職員の身分がさだかでなく、かつ給与の財源が、あるいはPTAから、あるいは父兄からというような、寄付によっているというようなところもございますし、半ば父兄の負担により、半ば学校の雑費のようなものの中から出して、まかなっているという事実もございまするので、すみやかに身分を正常化せよ、地方公務員として明確にこれを取り扱え、こういう通牒をとりあえず出しております。そして、そういう取扱いをする人数はどういう状況であるか、給与の財源の扱いはどういうことになっているかという問題については、追って調べをいたしました上で、御期待に沿うように、必ず処理をして参りたいと存じます。
  109. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、本日はこれにて散会いたします。明日は、午前十時より委員会を開きます。    午後四時四分散会