運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-03-27 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十七日(水曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            加瀬  完君    委員            伊能繁次郎君            小林 武治君            小柳 牧衞君            館  哲二君            占部 秀男君            鈴木  壽君            成瀬 幡治君            岸  良一君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁財政部長 小林與三次君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方公務員給与に関する件) ○昭和三十一年度分として交付すべき  地方交付税に関する特例に関する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  本日の議題に入る前に、占部委員より簡単なる緊急質問をいたしたいとのことでございますが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 許可することに決しました。
  4. 占部秀男

    占部秀男君 どうも本筋に入ろうという前に、急に緊急質問して申しわけないと思いますが、御勘弁願いたいと思います。  実は、大臣にお伺いいたしたいのですが、けさの朝日新聞その他の新聞にも出ておったのですが、今度の給与改訂の問題について、自治庁として、各都道府県市町村自治庁方針通達をする、こういうような内容の記事が出ていたのです。もちろんその内容は、はっきりしたこうこうこういう通達をするのだということじゃありませんけれども、まだ国の給与の問題も、衆議院で、給与法内閣小委員会でああいう形で今やっておる最中でして、あの新聞が相当全国的に影響を及ぼすと私は考えるのです。そこで、そういうような通達あるいは通牒基本方針というものを流す考えがあるのかどうかという点と、それから、もし流すとするならば、どういうような点を流すのか、この点を第一にお伺いしたい。
  5. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) まだこの時期においては、これを流す意向は全然ございません。
  6. 占部秀男

    占部秀男君 それと関連してお伺いしますが、都道府県市町村給与というものは、これは、大臣御存じのように、地方公務員法の中で規定されておりまして、もちろん、国家公務員給与というものとあまりかけ離れのない形、いわゆる準ずるということが言われておるのですが、都道府県には都道府県としての地方的な特色があると思う。そこで、現在、大臣のお考えとしては、かりに給与法の問題が終って、国家公務員に対する引き上げの額と、それから給与体系とがきまったとしても、それをそのまま都道府県市町村に押しつけるようなことはないと思うのですけれども、その点はいかがでしょう。
  7. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 便宜私が御答弁申し上げます。これは、押しつけるという考えはもちろん全然ございませんが、これは、御承知通り地方公務員制度は、原則として国に準ずる建前をとっておりますから、国の制度に準じて、地方ではそれぞれ自主的に条例で作るように、そういう意味条例準則なり、指導方針なりは、これはとらざるを得ぬだろう、こういうふうに考えております。
  8. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、今度の給与体系の問題は、御承知のように、八ですか、職種のあれが分れているわけです。ところが地方実情は、ごらんになれば大臣もわかるように、ああいう形では、地方の方は国のほど分けること自体がこれはもう相当やりにくい問題になってくる。それからまた、金額の問題についても、もちろん、国家公務員に準じてという形ではあるわけですけれども、実際必然的に、たとえば大都市のごときは、従来からいって、国家公務員給与にこれは準じているわけですけれども、やはり地方色というものはそこに出ている。そういうような形から、一がいに給与の問題は、何といいますか、縛らないように、体系といっても、もちろん国の体系があるのですから、そう非常識な体系は作りっこないのですから、従って、給与表を作るにしても、これは地方自主性というものをはっきりと認めた形において作っていただきたい。これは一つ大臣の方でそういうことをやっていただけますか。
  9. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、占部委員御存じ通り、特に教員と警察職員につきましては、法律で、国家公務員基準にして定めるということを書いてありますから、これは制度としては、私は定めざるを得ないと思います。一般職員につきましては、それほどぴちっとした規定はございませんが、建前は、御案内通り、皆国家公務員に準ずる仕組で一切の財政措置もやる建前になっておりますから、基本的な制度は、私は準じてきめた方がいいと思います。ただ、御案内通り団体によってそれぞれ違いますから、現在でも同じ給与条例を使っているが、個々団体給与の額を上げ下げしているわけです。結局個々職員の号俸に対する当て方の問題ですから、そちらは、団体がそれぞれ実情に応じて、多少高かろうが安かろうが、私はとやかく言う必要はごうもないと思いますが、制度だけは一緒の仕組みの方がよくないか。ただ、今問題になっているのは、おそらくは国家公務員の方は、少し今度、この政府の案では、職種の分け方が少し複雑に過ぎるので、これは、地方では実情に合わぬのじゃないか、こういう問題が一つあろうと思います。この点は、県、市町村の中で、そう小分けにすることが適当かといえば、私はあまりにも適当じゃないと思います。これは行政部の問題で、そこらの点は、地方に準則を流すときは、建前は国に準ずるが、地方実情に合うようにそれは考えていいのじゃないか、われわれはそういうふうに考えております。
  10. 占部秀男

    占部秀男君 結局は、内容的には同じようにはなると思うけれども、今、部長さんの言われたことの中で一つ気にかかることは、地方給与法の作り方その他の問題は、地方実情に応じてやってもらうということを原則として、その結果、これはおのずから国の職員に準ずる基本的な体系が出ざるを得ないのであって、これは、小林さんの言われたのは、逆じゃないか。逆の形で流されてしまうと、やはり国の通りぴしっとやられる、特に赤字団体のごときは、ぴっちり合わぬとまた怒られるというので、そうした問題が起っちゃ困ると思うので、その点を念を入れていただきたいと思うのですが、特に制度調査会でも、国の給与給与体系地方で自主的にやってもらいたいとはっきり言っておるので、今言われたことで、経費実情でわかっていることなので、そういうことははっきり自主的にやってもらうのだ、その結果は、どうしても国家公務員体系に近いものに準ずるものをということだ、そういうような行き方でなくては、われわれとして納得できないのですが、大臣の方から、大臣がいいことを言ったら、どうも小林さんが……。
  11. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) あとから大臣最後のしめくくりをやっていただきますから、占部委員お話ですが、これは、今までわれわれがお聞きしているのとむしろ逆な点もありまして、これらの点は、占部委員は百も御承知通りだろうと思いますが、地方はむしろ国家公務員並みにやっておらぬのじゃないかという御意見が今までしばしばあったので、これは、最後の決定は自主的にやらざるを得ない、われわれはやるべきだと思う。しかしながら、建前は、国の事情を考慮して、基準にしてきめろという法律の趣旨になっておりますから、そこのところはやっぱり建前を確保しておかないと、都合のいいときもあれば都合の悪いときもあり得るのでございまして、やはり筋は、法律精神通り、国の建前基準として、そしてあとは、地方実情に合うように、自主的にきめるという基本で行くべきだと思っております。
  12. 占部秀男

    占部秀男君 通牒はまだ出さないわけですね。
  13. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) そうです。   —————————————
  14. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより、三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案議題に供します。  本法律案提案理由説明は、すでに聴取済みでございますが、この際さらに、内容、概要の説明を聴取いたします。
  15. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律内容でございますが、規定はやや複雑な格好になっておりますが、要するに、現在の交付税建前によりますというと、それぞれの年度で交付すべき交付税は、当該年度予算できまりました国税の三税の交付税の百分の二十五が基礎になりまして、それと、前々年度の決算で交付していないものがあれば加算されるし、交付すべき額で減額したものがあれば減額する、こういう仕組みになっておるのでございます。それで、三十一年度分といたしましても、そういう仕組みになっておるわけでございますが、御承知通り、今度補正予算が第一次、第二次ございまして、その結果、百十億の金額地方交付税として地方団体に交付さるべき金額が計上されたのでございます。しかしながら、この金額のうち、本年度内においてどうしても処置しなくちゃならない交付税の額といたしましては、〇・一五が去年の年末に支給されましたが、その跡始末をどうしてもしなくちゃいけない。これは、かねてからのお約束の金額でございまして、そいつを始末をつける。それからもう一つは、当初交付税を配りましたときに、交付税総額が足りません結果、基準財政需要額から積み上げまして、差額が少し出まして、その差額が八億七千万ほどでございますが、それをちょん切ったのであります。いわゆる調整減と申しますか、そういうのでちょん切りましたものがありまして、当然交付すべき普通交付税が、金が足りなくてちょん切ったのでございますので、これを当然に充足すべきものなんでございます。その金額が、両方合せまして二十四億ほどでございますが、この金額は、どうしても三十一年度交付税として地方にやるべきものでございます。そのあとの自余の金額、合せて八十六億になりますが、これにつきましては、明年度公債費対策一環として、その公債費の中の元利償還の一部に充当する。これにつきましては、別途地方交付税法改正によりまして、その使い方、三十一年度における特例措置規定して、御審議をわずらわすことになっておるわけでございますが、要するに、公債費対策一環に当てるために、本年度金額を繰り越すことができるようにいたしたいのでございます。元来、交付税法でいけば、本年度予算で組んだものは、当然本年度使うべき仕組みであります。あるいはほうっておけば、補正予算を組まなければ、昭和三十三年度交付税として交付さるべき金額でございますが、三十二年度における公債費の重圧に考えまして、これの経費に当てたいという仕組みで今度補正予算が組まれ、それに見合うような措置をする必要があるのでございまして、この法律特例によりまして、要するに三十一年度内に交付しないのだ、これを繰り越して、三十二年度交付税総額に加算して交付することができるという特例を設けたいのでございます。これは、三十一年度中の措置でございますので、どうしても三十一年度中に法律が成立いたしまして公布され、効力が生ずるような御措置をどうしてもおとり願いたいと、こういう緊急な事情がありますことをお含みおきを願いたいと思います。  金の使い方の問題は、あげて別途、地方交付税法改正案一つ説明を申し、御審議もお願いしたいと、こういうふうに存じておるのでございます。
  16. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより質疑に入ります。
  17. 鈴木壽

    鈴木壽君 先だっての委員会で、大沢委員から、いろいろこの問題についてのお尋ねがありましたし、関連して、加瀬委員からもお尋ねがあったわけでございますが、それに対する大臣のお答えの中で、どうしても納得できないような問題がございましたので、重複するようですが、二、三お尋ねしてみたいと思います。  その一つは、一体これは、ただいまの説明にも、公債費対策一環として考えてやることだと、こういうふうなお話がございましたが、果して政府がやるところのいわゆる公債費対策というものであるのかどうか、これは私は、非常に疑問だと思うわけでございます。現在における地方財政のいろいろな問題のうち、これは解決をしなければならない。公債費の問題は、これは確かに重要な問題であり、一日もこれはゆるがせにすべからざるところであることは、だれでも考えるところでございますけれども、その対策をする場合に、こういう形において対策を立てるということが果して公債費対策になるのかどうかという点ですね。この点について一つお伺いしたいと思います。もっと申し上げますと、これは、せんだってのお話の中にも出ましたように、明らかに昭和三十三年度において当然地方が受け取るべきところの交付税のそれを、いわば先食いをした格好でございます。それを公債費元利償還に充てる、こういう形をとっておるようでございますが、それは、自治体が当然自分のものとして考えるべきその金を繰り上げて、そっちの方へ回して使わした、こういうことになって、私は、本来の意味公債費対策にならないと思うわけでございます。ほんとうにその公債費の問題を解決するためであるならば、自分の金を自分で食うという形でなしに、政府としては、別の方から金を出して、それを償還させていくような形をとるべきが本筋であろうと思うのでございますが、これに対しまして、政府考えておりますところをまず第一点お伺いしたいと思います。
  18. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 自分の金で公債費対策をしておるではないか、これは、そういうお言葉をいただくと、その通りであると申し上げるより方法がないわけであります。本来の姿から申しますと、交付税でまかなうという形でなしに、予算独立の柱を立てまして、その実行のために必要な、別個独立法律案を作って、国の責任を明らかにして、公債費のある中で、この分とこの分とこの分は国の責任において補給をしてやりたい、よってこの法律を必要とする、こういうふうに法律を作りまして、交付税の外でこれをやっていくということが筋でございます。ところが、それじゃこれは一体何をしておるのかという問題になりましょうが、私の考え方といたしましては、まあ自分の金ではありますが、第一次及び第二次補正で百十億をいただき、そのうちの昨年の年末分の〇・一五分と、それから減額調整の八億分とを三十一年度に使った残が八十六億というものを交付税の中において公債費に使う、こういうことを決心をいたしましたのは、本来は、これを交付税としての方式をとらないで、本来の姿において国の責任を明らかにしていくということにしたいのでありますが、これはどうしても財源都合上、本年はこれはやれそうにもないということの見通しがつきまして、初めてここで、自まかないではございますけれども、この財源公債費という特定方向に傾けまして、配分を行うということに決心をいたしましたわけでございます。  そこで、政治的に眺めますと、それじゃ国家のやるべきものを国家が金を出さないで、自分の自まかないでやっておるのではないかというようになります。金額が八十六億あるわけでございますから、この八十六億について、将来、これを清算をいたしました翌々年ということになりますと、ちょうど三十三年に当るわけになりますが、三十三年においてどういうふうにこれを処理するかという問題でございます。これを、政府の統一された意見として、この八十六億は、ことしは本来国が出すべきものであったのだが、自分の金でやらしたのだから、この八十六億については、国家責任をもってこれを特別会計補給をする考えをとろうということに意見一致をいたしますと文句はないわけでございます。しかしながら、その意見一致がこの予算の折衝の段階においてはできないで、いろいろ苦心をしてみたわけでございますが、三十三年のことを今から方針をきめることも要らぬから、三十三年になってこれをやろうじゃないか、ただ、性質上国責任を明らかにするための経費ということはわかるから、また本来の考え方に基いて、いかにこれを扱うかということを三十三年に至って考え直そうじゃないかということの話し合いはあるわけであります。従って、具体的に言えば、先食いをいたしました八十六億分を特別会計に対して一般会計から埋めるとか埋めんとか、繰り入れるとか繰り入れんとかのいずれも方法は明らかになっておりません。なっておりませんが、こういう行き方をしてでも、公債費対策第一歩を踏み出していっておく方が、やらないよりはよほどよい、こういう考え方に立っておるわけでございます。なお、事を明白にいたしますために、どういう点が異なっておるかというお言葉もありましたが、まず第一に、交付税の中でやるのと外でやるという点が違う。それから財源が、こっちの自分持ちのものでやっておるという点が違う。さらに、それから大事な点は、交付税の中でやります場合は、当然の結果でありますが、これは、不交付団体には回らない性質上、国の責任上明らかにしていくべきものであるならば、これは、相手が交付団体であろうと不交付団体であろうと、当然に補給すべきものは補給するということになるわけでありますが、交付団体限り対策が講ぜられる。不交付団体に対してはノー・タッチという形で行われておるという点でございます。  それからもう一点、大事な点は、今度の公債費対策は、八十六億円をもって一応その場をにごそうとする努力をしているわけでございますが、本来の筋を立てて考えますものについては、かねてより何回も申し上げておりますように、とても八十六億では足らないので、大体二百億近く資金を必要とする。これを分けて申し上げますと、給与費関係についても、年々歳々金額が違ってくるわけでございますが、三十二年度について申しますと、まず二十億。それから一般普通の公共企業、小中学校の建築の経費、それから失業対策事業費、こういう三種類のものの公債となっておりますものが、その利息分が百五十五億。少くともこの百七十五億というものが必要になってくるわけであります。そのほかに、それを利息の全額まで国家補給してやるということになるならば、これ以外の公債についても、貧困な弱小団体については、さらに元利金の一部を見てやりたい。それが合理的であると考えて、そういうふうに考えて、予定しておりますものが二、三十億ございます。そういうところから考えますと、少くとも二百億に近い金が三十二年度においてございませんと、理想の対策というものが、交付税外方法でやるといたしますと、この金が必要となってくる。それをたった八十六億でごまかしておる。悪い言葉で申しますと、その場をにごしているというような形には見えるわけでございます。しかしながら、そういう無理をいたしましてでも、この八十六億をそういう特定方向に使うべく単位費用改正をいたしまして、これを交付税に使う。こうして三十二年度は、無理をして自まかないでやったのだ、このやった分はどうしてくれる、さらに、こうして第一歩を踏み出して、対策としてこれを立てた以上は、三十三年以降において国はどうするか、こういうことでございます。そこで、三十二年度は、特に一年限りということに銘を打ちまして、御審議をお願いするという方針をとっておるわけでございまして、三十三年度以降は、堂々と交付税の外において、予算対策費を立てまして、公債費対策を講じていく、こういうことのきっかけを作るというような意味において、無理な対策を立てておるということがその実情でございます。
  19. 鈴木壽

    鈴木壽君 詳細にお答えいただいたわけでございますが、そうしますと、当初あなた方が公債費対策考えた場合には、現在のような形、すなわち交付税先食いするというような格好でなしに、別に他からの金でこれを政府責任において解決する、こういうふうに考えたわけでございますか。
  20. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) その通りでございます。その総額が百九十五億でございます。
  21. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、先ほど長官からも触れられましたが、かりに、やむを得ざる措置として、このようなことがとられた事情はある程度わからないわけではございませんが、かりにそういうふうなことをいたしました場合でも、これは将来、すなわち三十三年度におけるところのいわゆる穴埋めのことは、これははっきりしなければならない問題じゃないかと思うわけでございます。あなたの今の御答弁なり、あるいは衆議院予算委員会におけるあなたの答弁、あるいはまた、大蔵大臣答弁の記録を見ましても、この点はすこぶるあいまいな格好になっておると思うのでございます。穴埋めするともしないとも言わない。そのときになって考えようじゃないかと、今のあなたのお言葉の中にも、そういうことがございました。しかしこれは、当然前に繰り上げて支給するのでございますから、穴のあくのは、これは当然の義務として、理屈も何もなしに、情勢がどうとか、そのときになっての財政状態がどうとかいうことでなしに、これは当然穴埋めされるべき問題であろうと思うわけでございますが、そこまでのことの取りきめができないで、こういう格好で、現在に至っても、この点についての何ら取りきめがないとすれば、私としては、実に不可思議なことだと言わなければならないわけですが、この点、さらに、現在の政府部内の話し合い長官見通し、そういうものについて一つお伺いいたします。
  22. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 非常に深刻に御心配をいただいておりますので、ありのままのことをその点について申し上げますと、一体、交付税という制度は、平衡交付金制度以来、御案内のような経過をもちまして、今日二五%ということになっておるわけでございます。しかしながら、本年は、一千億をこえるような大減税をやって、それが国税の三税中、特に所得税法人税等に影響するところが甚大のものがあった。これがわが党と申し上げてはおかしいのでありますが、保守党の政策といたしましても、本年のみならず、来年も一段と減税、自然増収あるに伴ないまして、年々歳々減税を行なっていくという建前を堅持しておるわけであります。そうすると、来年、大減税が同様にして行われるということになりますと、同じような、交付税税率をめぐる問題が起ってくるわけであります。国が減税をして、収入が少くなるならば、交付税税率引き上げてもらって当然のことだということは、交付税法の明文の上からも、これは明確のことでございます。特別の事情ということになるのであります。逆に増税が行われる、これはあり得ないことでありますが、かりに、逆に増税が行われたということになると、これは、交付税税率というものは、特別の事情になっておりますから、むしろ交付税率は引き下げるべきであるという議論が交付税法そのものの条文から出てくると、こういうふうに考えられるときに、年々歳々交付税税率引き上げをめぐって、この混乱が起ってくる。これは一体、平衡交付金制度のように、不足分を国が持とうというときの時代と全く同様な混乱、不安定な状態が続くわけであります。よって、こういう状態は、せっかくこの交付税法というものの立場をとってきたのだけれども、もうこの段階においては、国の地方財政に対して持っております責任を明らかにするためには、交付税法法律自体の根本的な改革考えなければならぬときではなかろうか、現にわが党の一部におきましては、この声も明白にあがっておりまして、その方向に具体的な立案を進めようとしておるような事情にもございます。そういう事情でもございますので、根本的にこれを改革しなければ、何年たっても、減税が行われるたびごとに、同様のことが起って来るのだという実情考えるときに、この三十三年度に埋めるとか埋めぬということを目にかどを立てて、この三十一年に三十二年度予算の操作をしております際に、あまりむずかしく考えなくてもいいのじゃなかろうか。いずれこれは、根本的な改革をしなければならぬのだからというようなことも、実は裏にひそんでおります相当有力な事情でございます。そういう事情もございまして、本来から申しますと、これを埋めるとか埋めぬとかいうことを明確にすべき……、埋めないということは、明確にやりようがないのです。きめるならば、埋めるということを決定するよりほかに方法がない筋の事柄であることは、先生お説の通りであります。そういう事情でございますので、交付税の根本的な検討というものともにらみ合せまして、とにかく三十三年度に至っては一つ考え直そう、適当な方法考えようということで、とりあえず一次、二次から入りましたうち、八十六億をこれに充てようということにやむを得ず措置をしたというような事情でございます。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうもお話が、私のお聞きすることとぴたっと来ないような気がするわけですが、交付税法の根本的な改正なり検討なりというもの、これは当然将来あるべきだと思うわけでございます。たとえば、減税に伴う率の引き上げとか、あるいは増税の場合にどうするかというような問題、さらに、まあそういうものを含めて、現在の国家財政と地方財政との間のいろいろな問題について、これは検討すべきときが来るだろうと思うわけです。しかし、その問題はその問題として、現在の法に定められてありますところの、当然三十三年度に、三十一年度分として地方へ交付すべきこの金が先食いされておりますから、しかも、あなたがたの政府なり、あるいは党の一つの政策として公債費対策をやるのだ、こういう形において先食いされておる関係上、これは、他の問題をどうのこうのと言う前に、埋めるか埋めないかというこの問題だけは、私ははっきりさせなければならぬと思うわけでございます。将来、いろいろな改正があるから、そのときに考えよう、これは、現在の立場において埋めるということをはっきりしておいても、そのときになったら、あるいはまた考え直されるという段階が来るかもわかりませんが、少くとも今の段階におきまして、私は、当然地方に交付すべきこの金の穴埋めだけは態度としてとっておくべきである、こういうふうに考えるのですが、どうでございましょう。
  24. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) お説の通りであると存じます。お説の通りでありますが、政府部内の意見としては、これを埋めるか埋めぬかという問題について、態度を決定いたしておりませんことは、しばしば申し上げておる通りでございます。しかしながら、私の考え方といたしましては、国のとるべき当然の責任上生じたる事実であるから、この八十六億については、埋めるべく最善の努力をする、どうしても自分はその努力をするということを言明をしているわけでございます。私が埋めることに努力をするということの程度から、さらに政府意見といたしまして、これを埋めることにするのだという決定をしておるわけではない。大へんややこしい言い方でありますが、私は埋める努力をする。しかし、政府の方としては、意見はいまだ一致していない、こういうことでございます。
  25. 鈴木壽

    鈴木壽君 非常に微妙な表現でございますが、あなたの考えとしては、埋めるための最大の努力をなさる。これは確かにその通りでございましょう。ただ問題は、先ほど私が申し上げましたように、他の、衆議院あるいはその他の会合におきまして、大蔵大臣も、埋めるか埋めないかは、そのときになってみなければわからぬというようなことを、これははっきり言っておる。そういう姿で、こういう問題を私どもとしては審議できないと思うのです。これは、今の交付税法その他からして、当然なすべきことなんです。私は、これは当然なすべきことであろうと思っておったところが、いやそうじゃないと言うのだから、実はそんなけしからぬ話があるかという意味でお聞きしているわけなんで、これはどうでしょう。一つあなたの決意もさることながら、あなた、三十三年度まで果しておやりになっていらっしゃるか、はなはだ失礼な言い分でございますが、いらっしゃるかどうか、これはわかりません。しかし、この問題は、今言ったように、私は現在の段階において解決をすべき問題だと思うのです。そういう意味におきまして、この法案が上る前に、一つ政府部内の意見をはっきり統一をして、はっきり埋めるものは埋めるというような発表ができる段階までこぎつけられませんか。
  26. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 私の決意はそういう決意でございますが、もうすでに、相当な時間と何をかけましてやったものでありまして、この法案が上るまでに、政府の意向を具体的に決定をしていくということは、なかなか困難ではなかろうかと思います。それから、もう一口申し上げますと、三十一年度に清算をする、三十三年にその処理をどうするかを考えるという、この政治問題でございますが、その政治問題を、本日この法案が上るまでに、あらかじめこれをどうしてきめなければならぬという——きめることにこしたことはないのでありますが、きめることは困難であるという事情になっておりますので、私は、その時期までにきめるということは、あるいはむずかしいのではないかというふうに思います。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 そのきめるのに困難な事情というのは何ですか。この交付税法からしますとね、これは、第六条によっても当然やらなければいけないことになっているのですが、法がそういうことになっているのですよ。それを、どういうふうな事情があるかわかりませんが、どうもお話では、それをきめるにこしたことはないけれども、きめるまでに至らない困難な事情がある、こういうふうにおっしゃるのですが、その困難な事情とは一体何ですか。
  28. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) それは、三十三年の予算に関することでもありますし、政治的な観察をしてみるときに、今からその財源の問題について、これを埋める問題について相談をして、話をまとめることがむずかしいという意味なのであります。それは、三十三年になってやればいいじゃないか、こういうことなんです、簡単に申し上げると。どうして三十一年の予算折衝のときに三十三年のことを考えるのか、この八十六億円の金を使って、公債費の処理をするということがいいか悪いかということは別なんです。それはやってよろしい、やることは当然であるということで、一方において御審議を願って、その法律が通ればやるのだ、やった跡始末は三十三年にする、その理屈はちっともおかしくない。三十一年度にどうして目にかど立てて話をしなければならないのか、こういうことなんです。三十三年にやって、ちっとも処置の方法としてはおそくない。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから、おそくないことを今きめたってこれは何も……、しかも、法でちゃんときまっておることを、どういう理由なんです。これはかりに今出せと、三十三年度分を別に今ここに出せということじゃないのです。当然出さなければいけないことを、あなた方は出すか出さぬかわからないと言うから、そんなばかな話があるものか、こういうことなんですよ。出すなら出す、出さなければならないと、こういうのであれば、これはだれも問題にしないところなんです。公債費対策として、今この金を使うか使わないかということはいろいろ問題があるにしても、金の出し方について、繰り上げてこういうふうな使い方をすると言った以上、そのあとをどうするかということは、私どもは、当然法に定められてある通りに、別に出てくるべき問題であろうと思っておった。それが出すのか出さぬのかわからぬと言うから、それじゃおかしいじゃないかという……。そこでお尋ねするのですが、それに対しても、三十三年度でやればいいことを、今さらそんなことに目にかど立てて論議する必要ないじゃないかというあなたのお話だと、まことにどうも、私は不思議な問題だと思うのですが、どうでしょう。
  30. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 今申し上げましたように、三十三年度に、三十一年度のいろいろな何をながめまして、三十三年度において処理をすればいいのだから、今話がまとまればいいけれども、まとまらないものを、ここでそれがためにこの公債費処理ということをやらないで、その話を先につける必要はないじゃないか、八十六億の使い方をきめるには、こういう法律で、こういう御相談を申し上げる、三十三年度までにこの方針をきめればいいじゃないか、こういう意味なのです。きめないということに力を入れて、どっちになるかわからないという意味ではないのでありまして、どうするか、どういう埋め方をするかということをきめる一つ方法としては、三十三年度に間に合うようにすれば、何も今あわてることはないではないか、こういう意味なのです。  それから、もう一つ御了解を願っておきたいのは、この八十六億を使う使い道の性質上、自まかないでやるべき性質のものでないということは、これはどの方面もわかっておるのです。そういう事情において自まかないをするわけでありますから、その部分については、三十三年度までに方針をきめればよかろう、こういう意味なんです。あまり消極的な方ばかり力を入れてお考えになっていただくと、話がややこしくなります。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 この八十六億という金の使途について、これは明らかに、何といいますか、あなた方の言う公債費対策だ。だから私は、はっきりさせろと、こういうことなのです。ただ、交付税としてことしに繰り上げて、あるいは三十二年度に繰り上げて使わせる、こういうことならともかく、あなた方がはっきり、過去の起債のうち、国は当然みるべきものだという事業関係のもの、あるいは公共事業、失対、義務教育等に使ったところの金の利子というようなものについては、はっきり、こういうふうに国の責任において措置をするのだ、こういうふうに使うと言うから、それじゃ、その使ったあとの穴はどうするのか、こういうことなんです。私は、何も消極的に今までは考えておりませんでした。あなた方の、あるいは大蔵大臣答弁を聞くまでは、これは当然三十三年度においては穴埋めさるべき性質の金であるというふうに考えておったが、そうじゃないようなことを言うのですから、私は聞いておるのです。そこで、いま一つ、あなたの言葉からしますと、これは消極的に考えるなというようなこともございましたから、じゃ一体、反対に、積極的に考えて、じゃ出すつもりなのか、そこまで聞くと、いやそうでもないと言う、まだ意見がまとまらないとおっしゃる、まとまらないということは、私、今も何べんも申し上げますように、この地方交付税のこういう建前からして、私はおかしいと思う。何か問題があってまとまらないのか、どういう勘案をしなければいけない情勢があるのか、私は、これは解せない問題だと思うわけなのです。何べんも申し上げますが、昭和三十三年度になって、かりに、出すことにしておいたと、政府の意思がそういうふうになっておった、ただし、いろいろな経済的な変動、財政上のいろいろな問題があって、そういう金の範囲でまかなえるか、地方財政がまかなえるか、あるいはまかなえないかという問題が出てくるということはあり得ると思う。そういう場合において、全部の交付税の問題をどうするかということは、これは、そのときになって出てくる問題であって、出てくるであろうから、そのときに出てくることを予想して、出すか出さぬかきめない、こういう考え方は、私は、ちょっと順序が逆になっておる考え方のように思うわけですから、その点一つ、どうも並行線のような格好でございますが、はっきりしていただかないと、これは大事な問題ですよ。
  32. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) どうするかということをきめないというふうに言われると、なぜきめないのだということになるので、きめるのです。きめるのですが、今すぐにむずかしい問題であるから、きめないでおこう。三十三年度に間に合うようにきめれば、だれも損はないのだからと、こういうことなのです。性質そのものからは、国が責任を負わなければならぬものだということは、だれが見てもわかっておることなのです。そういう意味において、きめる時期が三十三年度に近い時期までこれを持ち越すというような事情になっておる、これが真相でございます。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 私が心配で聞くことの一つの理由の中に、こういうこともあるのです。大蔵大臣が、衆議院予算委員会におきまして、いわゆる当時第二次補正がまだ出なかったときだと思いますが、七十六億の使い方についてですよ、一体政府で言う公債費財源として使うのか、使わせぬのかと、こういう質問があって、その答弁に、そういうふうな話を聞いております、という答弁をしておられますね。そういうふうな話でございます、聞いておりますと、聞きおく程度の話なんです。そこで私心配なのは、これはいわゆる公債費対策として、金の使い方がどうのこうのということは別にしまして、公債費対策として、果して政府部内において統一された意思のもとに、一つの政策としてこういうような金を使うということを決定しておるかどうかということを実は疑問に思ったのです。と同時に、大蔵大臣がそういう考えで、これはおそらく不統一の結果の表明だろうと私はまあそういうふうに、あるいは悪い考え方だと言うかもしらんけれども、そういうふうに考えた。とすれば、政府は、特に国庫関係当局では、そんなことを穴埋めすると言った覚えはないとか、穴埋めする必要はない、ただお前の方で、交付税の方で単位費用をそういうふうにきめてやったのではないかと、こういうふうなことでうやむやにされる心配があるのではないかというふうに、私は今言ったような大蔵大臣答弁から、そういうふうに感じた。ですから、単なる私の杞憂でもなければ、また一方あなたの言葉を信じないということではありませんけれども、一方においてそういう事実があるものですから、その点だけは、これはお互いにはっきりさせるべき責務があるのじゃないかと、こういうように私は思うのです。従って何べんも言うが、困難な情勢とか、あるいは困難な問題というけれども、どこに一体困難性なり、問題があるのか。私としては解せない問題でありますから、くどいようでありますけれども、そういうふうに今申し上げました大蔵大臣答弁等からも、一つあなたの考え方なりあるいは政府のはっきりした答弁を聞きたいと思うのです。
  34. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 池田大蔵大臣が発言をしたときは、私も聞いておったかと存じますが、これはそういうことになさるということを聞いておりますという筋のことではないのですがね。こういう金の使い方をするということは、特例法を出して御審議をいただいておる。それは閣議でもって公式に決定しておる。政府の意向は、この七十六億を交付税の中において使うのだが、その使う使い先は公債費なんだ。公債費対策として使うのだと、二つも三つも法律を出して、その法律を出すことをよしと閣議決定をして、国会に提出をしておると、こういうわけなんです。ですからそういうことを聞いておりますという言葉は、何らかの間違いと思う。聞くも聞かぬもないでしょう。政府の意思はきめてある。筋が立っておる話である。そういう状態でありますから、そんなふうなあやふやなことを大蔵省が言うはずはありません。大臣がおいでになったらよくお聞き下さいましたらわかります。ただ結論は、私がこちらの方でも何度も申し上げておりますように、直ちに三十三年になって埋めるのだということはきめておりませんが、埋めないのだということはきめてない。三十三年までに諸般の情勢をにらみ合して考える。諸般の情勢とはどんな情勢か。それは制度それ自体に根本的なる改革を加えなければならないこともあるだろう。そういういろいろな情勢の変化もありましょうから、三十三年の時期に至りましてよくものを考えよう。しかし法律上の性質は、国の責任として支出すべきものなんですから、それはもう法律改正を国会に、閣議を持って、提出しておるということで、事はすこぶる明瞭なものなんです。決してあやふやなものではない。ただ時期が三十三年に至って考えよう、具体的にこれを決定する時期がおくれておるという母上の意味はないのではないかと、こういうふうに思っております。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは大事な点でございますから、しつこいようでございますがお聞きしますよ。三月五日の委員会で、これは予算委員会でございますが、私予算委員会に傍聴に行っておってその空気を知っておるわけではございませんけれども、ただ記録によって見るわけでございますが、この中に北山委員からいろいろ今のような問題についてお尋ねがあった場合に、池田大蔵大臣は、いいですか、「三十二年度に繰り越した七十数億円かを、公債費財源に充てるかどうかという問題につきましては、私は自治庁長官から、そういうふうになさるように聞いております。」それからまた北山さんがお尋ねをして、その答えに、「繰り越しましたお金につきましては、別に単位費用に入れるという法律を出して、そして償還に充てることを認めることにいたしておるそうであります。」こういう表現で答えておられる。そうしてそのあと始末をどうするかということは、それはあとでなければわからぬ。地方財政全体の問題を見なければ、今直ちにどうこうということは言えないということを言っておられますから、これはあなたがおっしゃるように、はっきり閣議において政府部内の意思が統一されておったのだというふうな、少くともこれはそういうものの言い方ではないので、私は心配なんですよ。これは法律は出てきておりますし、形式的にはそういうことができておるでございましょうけれども、しかしいやしくも国庫の金を預る大蔵大臣が、こういう予算委員会の席において、こういう発言をしなければならぬところに、私は不安な点があると、こういうことを私は申し上げたいわけなんです。
  36. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 田中長官に申し上げますが、今の質問に対する答弁は引き続いてなさいますか。今衆議院の方の本会議に出席されなければならないという事情があるようでして、向うに出席になって、終了後にまたやりますか。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 続いてやってもらわなければ因るな、担当大臣が出て来ないのでは……。
  38. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ですからあなたの質問を継続することとして、衆議院の本会議に地方譲与税法案が提出されて、責任大臣として出席する必要があると思いますから……。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 今始まるのですか。
  40. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 今始まっているのです。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 今の委員長の計いでけっこうだと思います。どういう……閣議か、それにかわるべきもので申し合せをしたのか、それをはっきりと、鈴木君の質問に対して次にいらっしゃるときは御答弁願います。
  42. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 今一口だけ答弁しておきます、大事なことですから。申し合せとか閣議の決定とかいうことは何もございません。何もないのです。何かあることはこれを公債費に使うという法律案が、関係法律案が二、三出ておりますが、これは政府で閣議決定をしておる。その知るとか知らぬとか、聞いておるとか聞いておらぬとかいう筋のものではない、こういうことです。それじゃ改めて……。
  43. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 質問はどうしますか。
  44. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣が来てからします。
  45. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 暫時休憩します。    午後二時二十九分休憩    —————・—————    午後二時三十六分開会
  46. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは休憩前に引き続きまして、委員会を再開いたします。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 お忙しいようですから、簡単にお尋ねして、また簡明にお答え願いたいと思います。  私ども今審議しております問題の一いわゆる今度三十二年度において行われるという公債費対策についてでございますが、今問題になっておりますのは、三十三年度地方に交付すべき交付税先食いをやっておるが、その穴を三十三年度で埋めるのかどうかと、こういう問題でございます。そこで、先般来その問題につきまして、当委員会におきましてもしばしば問題になりまして、お尋ねをなされておるわけでございますが、田中長官お話からでは、埋めるとも埋めないともきめてないのだ、そのときになって情勢を見てきめるのだ、こういうまことにたよりのない答弁しか得られないわけでございます。のみならず、実は大蔵大臣が、去る三月の五日でございますか、衆議院予算委員会におきまして、この問題の質問に答えられた。その中にも、やはり埋めるのか、埋めないのか、はっきりされない答弁をいたしております。この点が一つ。  さらにいま一つは、こういういわゆる公債対策というものを、どうも政府部内の、特に大蔵大臣が、はっきりこういうものを認めて、同意を与えてやっておるのかどうかということを疑問に思わせるような御答弁をあなたがなさっております。というのは、自治庁長官からそういう話を聞いておりますとか、そういうふうになさるそうですとかいう答弁がなされておりまして、この点についても、果して政府が完全に一致した意見においてこういう対策がとられたのかどうかということに対して、疑問を持つわけでございまするが、この二つの点について、一つ大臣からお答えをいただきたいと思います。  簡単にもう一度申しますと、一つは、穴埋めを、三十三年度に私どもは現在の地方交付税法等からいいまして、当然すべきものであるというふうに考えるが、するともしないとも言いかねるという事情は何か。するのかしないのか。それからいま一つは、政府部内において、こういう措置に対する意思統一が果してなされておるかどうかということ、この二点についてお伺いしたいと思います。
  48. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) これは言葉が悪かったらいつでも改めまするから……。その穴埋めということでございますが、私の見るところでは、昭和三十一年度補正予算によりまして、三税の歳入増を見た以上は、法律規定によって、当然地方交付税として交付しなければならない。それを先食いと、こういう言葉でございましたが、先食いじゃなくて、当然のことなんで、補正予算を組むことがいいか悪いかということになると、これは別問題ですが、補正予算を組んだ以上は、当然歳出として出さなければならぬのだから、先食いとか何とかいうことはない。従って、穴埋めということも私は起らぬのじゃないか。ここが根本の問題なんです。補正予算を組まなかったならば、先食いということもないし穴埋めということもない。しかし、補正予算を組む必要があった場合にはこれは当然、先食いとか穴埋めという問題でなしに、起る問題ではないでございましょうか。従いまして、私は各委員会におきまして、先食いとか穴埋めの方策について議論しないのは、議論できないのじゃないか。そこで、私は問題を掘り下げて申しますと、補正予算を組んだために、三十三年度交付税が非常に少くなりはせぬかということが前提になっております。少くなったときにはどうするのか、これは、穴埋めという言葉が使われるかわかりませんが、本年の百億あるいは百十億というものが非常に多くて、決算年度末になって、三十三年度の分はそれで全部なくなったかと申しますると、私の見るところでは、今年の自然増収を千百億と予定いたしております、そういたしますると、所得税、法人税、酒税を通じまして、八百億円はございましょう。今四百億円を法人税の方で使い、あと酒の方で四十億円使っておりますが、なおかつ三十三年度において交付する財源としては、主税の残りが三百数十億円はある、四百億円あるとすれば、今年の分についての交付税の決算によってふえる分が百億以上あるのじゃないかという気がしている。まだこれは決算が確定しなければわかりませんが、従って、三十三年度には、全然三税の増収による交付税の増加がないというわけではございません。先食いという言葉を使っていいかどうかわかりませんが、先食いじゃない。当然今出さなければならないことである。穴埋めと言われるが、そのときはやはり相当の金額がある。そこで、私はそういうことを予想しておりますから、先食いというのじゃなくて、これは補正予算から当然出てくることなんで、先食いとは言えません。今度は穴埋めしなければならないかといえば、いや、三十三年度においては、相当主税の自然増収による交付税がある、こういうことで関連で言っておりますから、大蔵大臣はぼやぼやしているというふうにお考えになるかわかりませんが、私は、地方財政の状況を見まして、この際、補正予算を組まなければならぬことは当然でございますが、組んだ以上は、交付税は当然法律上お出ししなければならない。そこで、第二段目の百億円、あとから出た十億円——百億円につきましては、二十数億円というものは今年度使う、そうすると、七十数億円というものをどうするか、これは、やはり今地方で一番お困りになっている方にお使いいただくのがいいじゃないか。自治庁長官の方は、これを公債財源にして、三十二年度交付税に加算して使う、こういうことは閣議でお話になっておりますので、私は了承しております。了承というか、聞いている、というと言葉は悪いかもわかりませんが、そういうふうにお使いになるのは適当だ。これは、私の方で、これをどういうふうに使うとか使えとかいうことは指示はいたしません。そこで、私は結果から見まして、地方財政においても、補正予算を組んで、それだけ入る、そしてそれがまた三十三年度にもこういう特別な自然増収があるならば、相当入る。いつもよりも多く入るということになれば、皆様方の御議論は一応解消するのじゃないか、こう私は考えております。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣は、先食いではない、こういう点から考えておっしゃっておるようでございます。そこで、これがあなたのおっしゃったように、補正予算案を出すことがいいとか悪いとかいうことを抜きにしてですよ、そういう問題もあろうと思いますが、いずれ、繰り上げて使って、地方へ交付する、これだけであれば、私は何も先食いとか穴埋めとかいうこともあなたのおっしゃる通り言いません。問題は、単にそういう措置だけでなしに、これは現在地方財政において非常に問題となっておりますところの公債費の問題を、国の責任において措置をしなければならぬというところに私は今申し上げたようなことを言わなければいけないと思う。しばしば自治庁長官は、国の責任において措置する金なんだ、しかし、今は財源上そういう別の金を出すわけにはいかないから、やむを得ずこれを使ったんだ、こういうことをおっしゃっている。しばしばおっしゃっている。ですから、当然これは国の責任においてその幾分かを措置しなければいけない金が、今第一、第二の補正で八十六億という数字になってきておる。とすれば、これは当然穴埋めをしなければならない金だと、こういうふうに田中大臣も言っておられるし、われわれもそう考えておるわけなんでございます。そこで、そうでない、どういうふうに使うか、自治庁長官からそういう話があったから了解した、こういうふうになりますと、私がさっきお尋ねしたように、閣内においてどういう話があって、いわゆる公債費対策というものを打ち出したのか、これはまた問題になると思うのでございますが、どうもあなたのお話から言えば、ただまあ了解しただけなんだ、使い道についてはとやかく言わぬ、こういうことなんでございますが、そういう点にまた問題が出てくると思う。問題は、政府公債費対策として打ち出したその金額は、便宜交付税の三十三年度に交付すべき交付税を繰り上げて使っておる、こういうところに私は問題があると思うのです。その点どうですか。
  50. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) これは、話がだいぶわかって参りました。まず第一の、地方債の償還に交付税を穴埋めとして使うということは自治庁長官から話があって、これは了承した。これは了承したので法律になっております。だからもうこれは動かすべからざるものです。法律に書く場合に、了解して法律になった、これでまあおわかりになりますね。第二段の問題の穴埋めとか先食いとかいう問題は、これは、国が今の地方債を償還しなければならぬ、国の責任だと、こういう前提でございますが、私はそう考えてはいない。あなた方が国の責任であるという法律上の根拠は、私はないと思う。ただ、国も地方も同じなんだ、困ったときにはお互いに考えようというお気持ちなら、国も地方と不即不離の関係ですから、将来十分考えなければいけません。しかし、国だけの責任であって、地方は知らない、国の歳出でまかなえ、こっちは全然関係ないのだというのでは、私は直ちに承服できない。だから、われわれといたしましては、地方交付税の算出の根拠に地方債の元利償還金というものは一応は認めます。しかし、今までは、これを単位費用として見ておりません。それから交付税の総体の算出のときには考えておりますが、これをどの地方にどういうふうに配分するかということは、それはすっきりいかない。観念上は考えておるけれども、実際上はそこまでいかぬ。そこで、三十二年度においては、これを単位費用の中へ入れよう、これは一つの進歩です。だからわれわれは賛成しております。だから、今後三十三年度から、交付税算出その他について、地方債の元利償還というものを、単位費用に入れるか入れぬかという問題を解決して将来の問題を論議しなければならぬと思いまするが、過去の地方債について、国だけが責任があるのだ、それでそれは国の責任でやらなければならぬ、こういうふうな御議論に私はちょっとくみしかねる。お互いに検討していこう、こういう気持なんでございます。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も今の地方債の全部が国の責任だというふうに考えてはおりません。これはなかなかむずかしい問題で、どの程度国の責任であり、どの程度地方責任だかということは、にわかに判定できない問題だと思うわけでございますが、しかし、田中長官はしばしば、国の責任において措置をすべきものと考えて、こういうふうないわゆる公債費対策というものを立てたと、しばしば言っておられるんです。それとあなたの考えていること、あるいは今のおっしゃったこととは違ってきているんです。あなたは国の責任とか何とかいうことじゃないと、ただ地方も国も同じで、困ってるときには何とかしなきゃいけないというのでおやりになったんだと、こういうふうなことなんですが、少くとも今たとえば給与関係に使った起債の元利償還、あるいは公共事業その他義務教育費等におきまして使った起債の利子というものは、これは国の責任においてやらなきゃいけないと思ってやったんだ、こういうことをしばしば言っておられる。そうしますと、そこら辺、どうもこれははっきり意見が違ってくるように私には感じられるんです。私は何もあなたがおっしゃるように全部が全部国の責任だから全部国が見ろとか、そういうことを押しつけがましく申し上げておるんじゃございませんで、ただ今回とられた措置が、国の責任において当然見るべきものを今回見た、しかし財源がないので、いわば先食いを応用したんだ、こういうようなお話だったものですから、先食いだったらあとの始末はどうなんだと、こういうことなんです。そうすると、自治庁長官大蔵大臣との間に大きな意思の疎通を欠いておるというふうに言わなきゃいけませんが、この点どうでしょう。
  52. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) これは自治庁長官がそうおっしゃったかもわかりませんが、大蔵大臣は、法律的に国に責任があるか、ということになりますと、私は、自治庁長官法律的に国の責任だとはおっしゃらぬと思います。昨年の暮れの義務教育費関係なんかも、国として法律的に責任のあるものなら国が予算を組んで出しております。ただ過去において、まあ地方債でまかなっていけとか何とかいうようなことがありましても、そのときそれならなぜこれは国の責任だということが法律的にきまっていないか。国と地方というものはこれは一つの、大きな意味からいったら一体としてあるべきものなんですけれども、そこには法律的に截然と区別してあるべきなんです。地方が、国の方で給与をふやしたと、地方がふやされぬから公債によったというときに、もし国に責任があるとすれば、この分は国で責任を負うべきだという法律が出るはずなんです。私は、そういうところは、やはり大蔵当局としてははっきりしておかなきゃいかぬ。だからいろいろな、常識的にどうこうという問題と、法律的な問題とは、これは違えて考えなければいかぬと思う。ですから、私はもし自治庁長官が、国に責任があるんだとおっしゃるならば、法律的に責任があるんですかと私は反問したい。それは表向きなことで、居直ってやるようなものでございますから、実際面としては一体だから、今後これを協調連絡して、そうして解決することは、われわれとしても考えなきゃならぬと思っております。
  53. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話ではどうもちぐはぐな、大臣によってみな答弁が違う。同じ政府大臣で、みんな違った観点からものを考えておるという感じを強く持つわけでございますが、法律的にどこにもそういうものは書いていません、そういうことは私も承知しております。ただしかし、現在の地方債の中には、これは常識的かもしれませんけれども、国が相当責任を感じるべきところがあると、これはまただれしも認めると思うんです。そこで、今回政府はそういう意味におきまして、国の責任においてこの問題を一つ解決をしていきたい、その第一歩を踏み出したい、その措置を今回したんだ、こういうふうなお話なんです。ですから私どもはそういう観点に立って、そういう第一歩から物事を考えていかなければならぬと思って、いろいろお尋ねをしてみたりしておるわけなんです。もしあなたがおっしゃるように、そうでないんだと、法律にないものについては国の責任というものはないんだということになると、この今回の措置そのものも、私は非常に違ったものになるんじゃないかと思うんです。単にまあ三十三年度に交付さるべきそのものを三十一年度に持ってくる、さらに三十二年度にそれを繰り越す、こういうこと、しかも交付の内容に至って単位費用をどうするというような単なるそういうことであるならば、これは私また問題が違ってくると思うんです。はっきりこういうふうに、いわゆる公債元利償還に充てるんだと、こういうことをやっておりますから、これは現在の地方交付税法あるいはまた地方財政法にもいわば触れる問題になってくるんです。触れるからまた新しい法律を立てようということになってくると思いますが、そういう問題にもなってくる点なんですよ。そこで、単にこの際一緒に、地方が困っておるときには国もめんどうをみてやろうというような、さっき委員長が休憩中に話した慈善的な思いやりでお恵みをするというような措置では今回なかったと、私は少くとも現在までの御説明なり御態度からは、そういうふうに感じておるものです。少くとも私のみならずそういうふうに感じておられると思うんです。で私は、一体そういうふうな国の態度として、一つの施策としてこれをおやりなさるとすれば、これは当然別に金を持ち出さなければいけないものじゃないかと、こうお尋ねすると、自治庁長官はその通りだ、では一体今回はこれでいいとしまして、三十三年度の穴をお埋めになるかどうかというと、それはわからぬ、こういう答弁だものですから、しかもさっきも申し上げましたように、あなたの衆議院における予算委員会答弁なんかもそういうふうにしておりますものですから、これはおかしい、こういうことなんです。どうもちぐはぐな感じがいたしますがどうでしょう。
  54. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私のお話でおわかりいただけると思うんです。今言葉を返すようではございますが、三十三年度に交付すべきものを今交付したとこうおっしゃるけれども、これは根本的に考え方が違う。これは法律上本年交付しなければならぬものです。三十三年度に交付すべきものを今年先に交付したとこうおっしゃるのは、これは今の交付税法その他からいって誤まりだと思う。だから先にというものではありません。国の法律上の責任ではないということを一応認めていただいたようでありますが、しからば地方債の過重、今後の元利償還に非常に苦労するがどうするかという問題になると、これは今後の問題で、国と地方で十分相談してやっていきたい。これで私はおわかりいただけるんじゃないかと思うんでございますが。
  55. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵大臣まことに率直におっしゃっていただけますので、おっしゃることはわかるんです。ふには落ちないんだけれどもおっしゃることはわかる。私も率直にお尋ねするんですが、法律責任ということにも私は責任がないとは言えないと思う。しかしそれは一応おきます。しかし内閣の責任というのは、法律責任だけじゃないと思う。行政なり政治なり広義の意味において政治責任というものがあるわけです。まあ問題は公債費でありますが、地方団体の赤字の直接原因というものがいろいろ報告されております中に、大きくこの公債費の問題があげられておるわけです。そこで、この前私文部大臣お尋ねしたときに引例をしたんですが、府県の団体が学識経験者の七人の委員に委嘱をいたしまして、実態調査の報告書を出さしたことがあります。その中に、府県が赤字を出さない覚悟であれば赤字が出なかったかもしれない。しかしその反面、府県は法律できめられておったこと、あるいは府県自体がみずから課せられている行政というものの職責を、当然果し得なかっただろうと思う、そういう点を勘案しますときに、赤字の原因は地方側だけではなくて、国の側にもあったということを示すものである、こういう報告があります。こういう傾向は、法律的に、大臣がおっしゃるように、穴を埋める責任があるということではなくて、地方の赤字の一つの原因が国の側にもあったであろうということをお認めになりますか。
  56. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) それは、今の予算制度が補助金的なものもあり、そしてまた国と地方とで分け合って使う場合とがありまして、一応われわれの方では、国の歳出にこれだけ立てれば、地方の方ではこれだけ要るということで立てております、形式的には……。しかし、それが実際上において合わぬ場合が起るということも私は知っております。そういう意味で、実際上それがそっちにやってみていかなかったということによって、ある程度の地方の赤字が出たことも、これは私は認めざるを得ぬと思います。だから、そういうところをつかまえて、国の責任だとは言えない。計画が悪かったから、将来直すということは言えますけれども、その意味において、私は先ほど、法律上の責任はないと、こう言ったのであります。で、実際問題として、今、そこに書いてありますように、予算の執行上、地方の方で赤字を出さないようにすればできたということもこれは認めます。しかし、国と地方との関係で、補助金その他の関係、行政上いろいろな手違い等があって、それも赤字の原因になったということも私は認めます。しかし、そのウエートの点は、また別個の問題だと思います。
  57. 加瀬完

    加瀬完君 ここの調査報告書が指摘しておりますのは、これは大蔵大臣一つ御認識を改めていただかなければならないと思います。赤字を出さないで済ませようと思ったら、赤字は出なかったかもしれない。しかし、行政能率というものは停止をせざるを得ない。そこで、ある程度の行政効果というものを期待する限りにおいて、国の側にも責任といいますか、赤字の処理の対策責任といいますか、一応大きな、広い意味考えての責任はあると考えなければならないであろう、こういうことなんです。これはお認めにならざるを得ないと思う。しかしそれは、法律的にどうこうとおっしゃいますけれども、法律的にも、交付税法の六条の三項の2ですか、これには、結局地方の収支が引き続いて合わないときには、地方財政もしくは地方行政にかかる制度改正、あるいは第六条第一項の定める率の変更を行うということがあるわけですから、結局、当然国が地方に対して法律的にも負担をしなければならない支出を、何といいましょうか、十二分にその負担効果があがらなかったために、いろいろの地方に、第三者として公平に考えて、これは国の責任ではないかと思われるような欠陥というものが生ずる場合は、これは、法律的にも国は責任を負うべきだということが、私は法律的にも言い得ると思う。だから、地方は無制限な支出をして、そのカバーをみんな国に持っていこうと、こういうことではございません。これはもう地方側に立つとか大蔵省の立場に立つとかいうことではなく、第三者として考えて、これは、国がまかなうべきものではないかという点がありとすれば、これは、国がまかなうということが法律的にもいわれることなんです。たとえば、今いろいろ問題になっている地方債にしても、当然一般財源として支出しなければならなかったようなものは、一般財源の肩がわりに地方債が使われるということが、そういうことが、いろいろなことが国の責任だという立場であるからこそ、今度の特例をお出しになったと思う。ですから、もっと、私は何も大蔵省を責めておるわけでもなく、地方行財政というものを客観的に考えて、お互いに地方の節約すべきところはうんと節約しなければなりませんが、国がめんどうをみるところはめんどうをみるという点をお認めいただかなければならないと思いまして、今のような質問をするわけであります。この点、大臣はどうお考えでしょうか。
  58. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 今お話の、六条の三項というふうに規定がございますから、その規定によりまして、交付税率も変えていっておるのであります。従いまして、これによっての法律上の責任はないわけだ。それから、やはりどうも私が違いがあるのは、国の責任があるから、昭和三十二年度において地方債の穴を埋めるのだと、そうじゃございませんよ。それは、交付税法の当然の結果として、三税から出てくる、これをどう使おうかというときに、法律改正いたしまして、三十二年度交付税に加算してこれを使い、そうして地方債の償還がいいと考えてやっているのでございますから、これは責任を果すためにというわけではございません。法律上当然の結果でございます。その点が、私はよほど違うのじゃないかと思う。
  59. 鈴木壽

    鈴木壽君 あのね、大臣、あなたのおっしゃることね。交付税として三十一年度のものを交付するのだと、その配分の中においてこういうふうに変えてゆくのだと、それだけの処置であれば、私どもこういうことをお尋ねするわけではございません。何べんも申し上げますように、あなたのそういう考え方と、担当大臣である田中長官考え方とに、非常に大きな差異があるわけなんですよ。そこで私は、一体政府としてこれをどう処置をするように意思統一をなされているのかと、こういうことをさっきもお尋ねしたのです。こういうのは、きょうもいろいろありましたが、はっきりその証拠に、きょうの記録はまだ出ないでございましょうから、前の記録からいいますと、三月の十二日のこの委員会におきまして、大沢委員がこの問題について相当突っ込んで触れられております。その大沢委員の質問を受けて立ちました答弁の中に「今お言葉をいただきました通り公債費中、今申し上げましたような種類のものにつきましては、国の責任を明らかにして、国が元利金補給をすべきものだ、こういう建前に立ちましてやることでございます。」、こういうことを言っている。なお、重ねての大沢委員お尋ねに対して、またこういうふうにも言っている。「今のお言葉で、得べかりしというのは得てしまった、こちらの方に入ってしまった。その金を、国家責任措置をすべき方向に、国にかわって自分財源自分で使ったという理屈がそのまま出てくるわけであります。従って、これは、いつのときにか、この穴は埋めなければならぬということは、当然の理屈が出てくるわけです。」と言っている。いいですか、そうすると、単に交付税をただ増収があるからプラスしてやるのだと、単に交付税法の手続上の問題では私はないと思うのですよ。考え方がですね。だから、しつこいようでございますけれども、どうなるのか、こういうふうに穴埋めするのかしないのか、こういうことをお聞きしているわけなんです。お互いに、大蔵大臣大蔵大臣で、法理論といいますか、法律上の責任はないとかなんとか言って今いらっしゃる。一方その担当大臣、直接担当している責任のある大臣が、私どもに対しては、これは明らかに国の責任において処置すべきものを、今こういう急場に間に合わないから、まず金を借りてやっているのだと、立てかえてやってもらったのだと、言葉はちょっと違いますが、そういうことを言っていらっしゃるのですよ。立てかえたと、借りたものは当然返さなければならないということは、これは当りまえです。ところが一方において、あなた方は、これは返すか返さないかわからんと、こう言うのだから、それじゃおかしいと、これだけの話です。どうです、それは。だから私は、あなた方は、閣内の意思が統一されておらないと言うのは、そこなんです、こういう大事な問題は、しかも、あなた方政府として、地方財政の圧迫から、一つもっと対策を立てなければいけないときに取り上げた問題としてのこの公債費対策で、一つの看板みたいなものです。私どもに今回示されましたところの地方財政計画の中にも、ちゃんとそれはうたってある、来年度はこういうふうにいたしますと。いかにもけっこうな話だが、内容を探ってみると、ごまかしみたいなものだから、不思議な感じに包まれるわけなんです。ですからね、あなたが何べんもここでお話しになりましたように、単に地方税法での交付をこうするのだと、配分なり単位費用というものはどういうふうになるか、それはそれとして、そういうことであれば、私どもこういうことを言っているのじゃないのです。政府一つの施策として取り上げたということをはっきり言っているのですから、それではおかしいじゃないかと、こういうことなんです。一つはっきりしたことを……。
  60. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 自治庁長官がここでどういうふうにおっしゃったか、私は存じません。今聞いて、予算を要求せられるときのようなお考えでずっとおやりになっておるのか……(笑声)しかし政府といたしましては、そういうふうな説はございましたけれども、内閣として決定いたしましたことは、先ほど私から申し上げた通りでございます。私には包み隠しはございません。そうして、今後の問題につきましては、私は申し上げたような方法で、大蔵大臣としては考えていきたい。これは私の信条で、内閣の方針だと思います。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから、あなたのさっきからのお話通りだとすれば、問題は何もない。先繰りだとか穴埋めだとか、何も問題はない。それはあなたのおっしゃる通りです。ところが今度は、こういうことを言うと、おそらくばからしいことを言うやつだと思っていらっしゃるに違いありません。(笑声)そこで、あなたの考えていらっしゃるようなことであれば、私どもも、これは問題にすべき筋合いのものではないと思うのです。ただ、私がさっきからはっきり例をあげて申し上げますように、こういうことが前提となって、こういう問題が何回も論議されておるわけなんですから、どうもあなたはあなた、田中さんは田中さんで、総理にでもこれは来てもらいますかな……一体どういうことなんです。閣議の決定なんというようなときには、あるいは法律を出すというようなときには、あなた方は聞きおく程度でございますか。そういう無責任なことではないと思うのですね。こういう不統一なことでやったら、私ども、議案の審議など、まじめになってやる必要はございませんよ。非常に大事な問題だから、私どもはそれこそ大事に取り扱っておるわけなんです。(「自治庁長官が出まかせばかり言っておる」と呼ぶ者あり)いいかげんなことをやっているということなんですよ。
  62. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は、大蔵大臣として先ほど来申し上げたような趣旨によって進んでおりますから、私の想像では、内閣もそうだと思います。私と自治庁長官のおっしゃるのと、どちらがほんとうかとおっしゃれば、私は私の方がほんとう……(笑声)  それで、いろいろ問題がございまするが、とにかく過去のことは過去としてとは申しません。過去の事実を十分再認識しながら、今後の国、地方の財政をもっと合理的に健全化することがこれからのやり方だと思います。で、言葉が先繰りとか穴埋めとかありますが、実態は私が申し上げた通りでございます。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、委員長、非常に大事な問題ですから、大蔵大臣は、閣議の決定は自分の言う通りだ、こうおっしゃる。しかも、責任のある担当大臣は、別の角度から僕らにこの案を説明し、審議をさしておるのですよ。だから、これは非常に大事な問題だと思いますから、一つこれは、一緒に出てもらってやらなければだめです。いずれあとの機会に一緒に出てもらって、あるいは場合によっては、総理大臣にも来てもらうかもしれませんが、どうもこのままでは、私どもは審議できません。
  64. 占部秀男

    占部秀男君 この機会に、今の問題について、池田さんにもう一歩進めてお尋ねしたいことがあるのです。それは、今のように、田中大臣と池田大臣のお考えが食い違っておる。これは、私どもはよくわかりました。わかりましたが、ただそれだけでは、現在の地方実情では問題の解決にならない。これは、大蔵省は大蔵省としての地方財政に対する見方がございましょうけれども、われわれの考えておるところでは、少くとも自治庁が大蔵省に要求したところの百九十五億の問題ですね。ああいうような問題は、これはやはりどうしても通してもらわなければ、現在の地方自治体の行政水準というものは、私は、これより下る一方であって、どうにもならないじゃないか。そこで、田中さんが食言をしたとか、池田大臣の言うことがほんとうだとかいうことは別として、百九十五億の問題を何とか特別財源で処置をするという、こういうようには、まあ今度の国会ではいくかいかないかわからないが、ともかくも大蔵省としては考えてもらえないものですか。その点、もう一つお伺いしたいと思う。
  65. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 百九十五億というのは……。
  66. 占部秀男

    占部秀男君 それは、こまかいことを言うと、二十六年度、二十七年度、二十八年度ですか、給与改訂のあのときの地方債がたしか百四十五億、その後元利補給と、その後の六・三学校施設の問題、災害復旧の問題の利子補給の問題が四十何億でしたね。それは、例の自治庁からたしか予算の編成のとき要求したはずですよ。
  67. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は、今の百九十五億、これは過年度における公債発行並びにその利子の問題だと思いまするが、今、こういう特定の問題について考えたがいいか、五千億あるいは全体の赤字、地方債の問題等々、全般的な考え方で進んだがいいか、これは地方のため、国のためどちらがいいかということは、十分検討していかなければいかぬと思う。百九十五億だけを解決すればいい問題じゃございません。これは、全体の問題として考えなければいかぬと思うのであります。そして、まあ地方債の問題がずっとあがっておりますが、今、地方自治の行政水準の問題は、これは地方債と非常な関係がございますが、やはり全体として私は考慮していかなければならない。地方債の問題ということにあれしますれば、今まででも、大蔵省の立場からいえば、元利償還は全体の地方財政需要のうちに入れているわけです。実際問題として、配分がうまくいっていないから、今度は単位費用のうちに入れてやれば、これからの問題と過去の問題も相当改善されるのではないか、こういうふうな気持でおるのでございます。だから、今特に百九十何億の問題をどうするかという御質問を受けますと、私は非常に答弁に困る。そんな問題じゃないと私は考えておる。
  68. 占部秀男

    占部秀男君 わかりました。ただ、田中長官は、三十三年度分の歳入なので、三十三年度の当該のときにはこの問題は処理しなければならない問題であるとして、全国的に歩いているわけです。歩いているか、歩いていないかわからないが、(笑声)とにかくここでも言い、全国の市町村長はそれを期待しているわけだ。そうすると、この問は、今言ったように、池田大臣考え方と田中長官考え方とは違うにしても、いずれにしても、地方の知事や市長としては、三十三年度のその問題は、そのときには解決してもらえるのだからという期待感を持っているわけですね。私は、やり方によっては、今大臣の言われたように、いろいろな方法があると思いますけれども、知事や市長の期待している、しかも田中大臣が言っているところの三十三年度の六十八億を解決するその時期までに何とか、どういう方法でもけっこうでありますが、今大臣の言われた、いずれかの方法でけっこうでありますが、根本的な、いわゆる改革のけじめの出るようにするのが現在の政府責任ではないかというふうに考えるわけなんですが、その点について一つお願いしたいと思うのですが……。
  69. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) それは、なんでございます。今年度の自然増収も、当初は、九百億というときにずっといろいろ考えたのが千百億で、それから普通のときならば、三税の自然増収による決算の分は、そう百億も百五十億も出ることはなかった。まあ皆さんの言葉をもってすれば、先繰り百十億にしても、三十三年度には、また百億以上も出てくるような状況になっておるのであります。こういうところを考えながら、一つには地方債を片づけたいし、一つには行政水準の非常に低下したところをまた回復するようにいたしたい。で、地方債の元利償還をどうするかという問題が非常に強く出ております。地方債の元利償還について特別の措置をとることも、あるいは交付税率によって単位費用その他に入れてやることも違いはない。ただ違うのは富裕府県だけの違いなので、だから私は、地方債を取り上げることよりも、それの行政水準の非常に低下したところを回復すると同時に、地方債を一ぺんにやるということが地方自治体のためにいいことじゃないか。問題は富裕府県との問題をどうするかということが残りますけれども、私はそういう方向考えていくべきだと思います。
  70. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵大臣の御説明ですね、その限りにおいてよくわかるのです。そこで、田中さんのおっしゃることを、あなたに責任を伺っても、これは的が違うわけですから、それは、二人いらっしゃる上で、大蔵大臣のおっしゃることが正しいのか、あるいはまた、将来において田中大臣のおっしゃるようになり得るのか、このことに対して一つ、池田さんのお考えをもう少し確認したいと思うのですが、結局責任の所在ということが大分問題になりまして、法律的な責任において何も、七十六億にしろ、八十六億にしろ、この公債費の処理について、あらためて責任をとる必要は政府においてはないのだ、このようなお考えのように承わりましたが、それでよろしいでしょうね。
  71. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) はい、今、法律制度の上において政府責任をとる何はございません。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、占部委員からも出たんですけれども、これはどういうように御理解なさっていらっしゃいましょうか。たとえば、三十二年度地方財政計画で、自治庁がこの見込額として掲げました数字と、政府で決定されました数字では、地方税、地方交付税公債費の利子の補給、たばこ消費税、こういうものを自治庁は取り上げておったようですが、これらだけを計算いたしましても、七百億ばかりの決定と見込みでは差があります。その中でも、一応地方財政を推進していくためには、地方交付税を二八%程度に自治庁は押えたようです。決定は二八%にはなりませんで、その決定の間には百四十八億の開きがある。それと、公債費の利子補給も、自治庁のだと、額は百九十五億ということでございましたが、これは七十六億というのが交付税の方から回ってはきましたが、そこでも約百十九億の開きがあります。開きを埋めろとか何とかということじゃなくて、私の言っておることは、このように、自治庁考えていることと決定された額との間には相当にへだたりがある。ということは、今度の処置だけをもってしては、地方の赤字を解消するという根本策はまだ完全には参らぬのだ、こういう点はお認めいただけますか。傾向として、額はあげませんから……。
  73. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) それは、自治庁考え方というのは、当初の考え方でございます。政府で決定したものは、自治庁も大蔵省も同じ考え方で決定しているのでございますから、それは、予算の要求というものは、一兆一千億円いれておりますが、二兆六千億くらいはある。一兆五千億の分は政府責任かと、そういうふうにおっしゃっても、それは通らない。自治庁が当初からお考えになりましたが、大蔵省とも相談し、そして内閣で吟味の結果、自治庁は、今予算で決定し、法律案が出ている通り自治庁も了承せられて、そういう意思になっている、自治庁は。
  74. 加瀬完

    加瀬完君 それは、決定された額で政府の案がきまっておるのですから、今は、この項目にあげられたものが自治庁と大蔵省が違っておるということを私は申し上げておるのじゃない。そう非常に水増しをして自治庁も計算したわけじゃないでしょうから、少くも交付税公債費の利子補給という問題では、決定された額では、まだあとに幾分か処理できない部面が残るというふうにはお考えにならないかと、これで完全に、七十六億で、公債費の一切の処理が、交付税特例を設けただけで完全にできるという御認定をなさっておられるかどうか。
  75. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私はそう認定いたして、閣議で了承いたしました。自治庁長官も、それで了承せられたと私は想像いたしております。
  76. 加瀬完

    加瀬完君 それならば伺いますが、この交付税法がきまりますときに、自治庁長官は、今お宅の政調会長である塚田さんでございました。そのときに、提案説明をなさいました中に、二つの点を特に強調をされました。一つは、これは地方に対する財源保障をするのだ、一つは、これは地方独立財源、こういう点を強調したわけです。それで、特にその逐条の説明の中で「国は、交付税の交付に当っては、地方自治体の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」ということを三条の二項にうたってある、これによっても、独立財源という点が明らかだと言って、この独立財源というものを強調したわけであります。大臣の先ほどからの説明では、交付税を何か額できめてあるような印象をわれわれ受けた。交付税は、申すまでもなく、一つ法律できまっておるわけですから、国の財源といいますか、収入が広がってきて、交付税がやはりひとりでに広がってくることは、それだけ国と歩調を合せて、地方独立財源が交付になったのだから、それだけ地方としての新しい仕事ができるのだ、こういう御説明も繰り返されて、その当時われわれ承わったわけであります。ところが今度の方法は、この交付税というものに一つのワクをつけてある。独立財源であるならば何も、またワクをつけてならないということならば、これは新しく交付税というものに特例のワクをつけて、今問題になっているような処置をするということもこれはおかしい。もしそういうワクをつけるということであるならば、またこれは、そんなことを大蔵省は考えていないといえばそれきりですが、自治庁大臣説明するように、これは便宜の措置として交付税をやったのだ。従って、この問題の処理というものは、やがて当然別な財源によって補いができるのだということでないと、交付税法の性格ともこれは背反をするわけです。そういう点、もっとこの地方財政全体を建て直すという大きな政治的なお立場あるいは政治的な責任という点から、この問題の処理というものを考えていただけると、また考えていただいているのだと、そういうことじゃないのですか。交付税法のきめられたワクの中でだけの操作だと、こういうことですか。
  77. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) どうも御質問の趣旨が私にははっきりしておりませんが、もし答えがピントはずれだったら、おっしゃっていただきたい。交付税というのは地方独立財源です。これはもう、自治庁長官も私も違うところは一つもありません。はっきり法律できまっておる。交付税独立財源だということと、交付税使い方に、これは単位費用に入れるのだということとは別個の問題です。災害復旧のごときも、そういう何を設けたことがあるやに聞いておりますが、私は、交付税独立財源だということを何ら阻害するものではないと思う。今までの事例につきましては、主計局長から御答弁いたさせます。
  78. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 単位費用特定地方債の元利または利子の一部を基準として採用するということは、これは交付税独立財源であることを何ら阻害していないと思うのでございます。現に災害復旧費につきましては、災害復旧事業費の財源に充てた地方債の元利償還金一円につき九十五銭を見ておりますることは、御存じ通りでございます。これはそれだけの償還はやるわけでございますが、別にひもつきにしておるという趣旨ではございません。それと同じような意味合いでの単位費用の追加をいたすわけでございますので、交付税の本旨にもとっていないと思います。
  79. 加瀬完

    加瀬完君 これは法律論になりますから、質問の対象を別にしなければならないかもしれませんが、交付税法という一つ基本的な法律ができましたが、この基本的な法律の性格というものは、ちょいちょい行政的な便宜によって変えていくという方法はとらない方が、私は法律の運用からしても当然だと思う。そこでそうするとその交付税法の性格でありますところの独立財源、特に三条の二項のように条件をつけたり使途を制限してはならないという条項があるにもかかわらず、三十一年度分として交付すべき地方交付税だけについて特例を設ける、単位費用を変えるなり今度単位費用の中に、たとえば公債費の処理の単位費用というものを永久に変えていくという項目をつけて、交付税というものをふやすというならば話はわかります。そうでないですね。これは一つの便宜的な方法なんですよ。これが三十二年度、三十三年度、三十四年度と永久に公債費の処理がされる限り続いていくというものでもないと思う。またその続いていったとすれば、交付税自身が一つの一定のワクだけ特殊の目的の方向に動くわけですから、交付税の性格にもこれは合わなくなってくるわけでありますね。そこで池田さんのおっしゃるように現在は政府できめた通りが決定なんで、自治庁も大蔵省も変らないというならそれきりのお話ですが、そういうこともありますから、地方債の処理というものを自治庁が今まで考えておりましたのは公債費の利子の補給という形で、これは地方交付税法とは別なワクで予算的な措置をしてもらいたいということが今までの自治庁の主張であったと思う。地方制度調査会などと大蔵省は見解を異にしておったようですけれども、地方制度調査会なんかの答申も交付税でこれを埋めろとは言っておらない。そういう地方制度調査会自治庁の主張はとれないので、交付税でこれをくるんでしまったというところに問題があるのじゃないかと私は思う。問題をくるんでしまったということは、すなわち交付税法そのものの性格というものを根本から変えてしまうような一つの改め方じゃないか。そういう交付税法というものの性格を変えるような便宜な法律というものをちょいちょい出されて処理をされては、これは交付税法というものを信頼して、いろいろ地方の財政計画を立てていくということからすれば、非常に支障を来たすことになる。こういう点をどういうふうに考えておるかという点なんです。
  80. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 元来ごの問題は先ほど大臣からお答えもございましたが、地方財政計画の中には毎年度公債費の増加額をずっと見てきておりますですね。問題はそれが各団体に分けられる場合に、公債費の多い所には多く行くようになっておるかどうかという問題なんです。今までの単位費用の立て方では、災害復旧費につきましてはそのものずばりに交付税が分けられるようになっておりましたけれども、そのほかの起債につきましては、起債額そのものを見るかわりに、土木費なり何なり、つまり投資的な事業を表わすような単位で見ることによって、いわば償却費を見ておる。それによって返済用の資金なり利子なりが間接的には出てくるというようなそういう分け方であったのであります。そういう分け方をされるにつきましては、一つの理由があったと思います。つまり財政運営に当って、安易に起債に頼ったところに、ただそれだけのことで交付税が余計いくというようなことになっても困る、というような配慮もあったかと思うのでありまして、それにはそれなりの理由があったかと思います。しかし現実に地方債の負担が重くなってきていろいろ問題が起ってきた。この際過去の特殊の起債につきましては従来の方針をかえて、災害復旧債と同じような意味で起債、公債費そのものずばりを単位費用に入れる、これまた時代の変遷に伴う一つのやり方でございまして、私はむしろそういうやり方が必要じゃないかとも思っておったくらいでございます。それを三十二年度限りの臨時措置として提案されておるわけでございますが、三十三年度以降においてどうするか、私どもの率直な考え方では、むしろこれは臨時的な制度でなくて、ずっと将来にわたってもそういう考え方をされた方がいいのじゃないかと思うくらいでございますが、しかし三十三年度以降の問題は、これは政府部内ではまだきまっておりません。それをどうするかという問題は、来年度予算編成の際に政府部内で相談をしてきめる問題になると思います。しかし臨時的にそういうことにしたからといってそれが交付税法の趣旨を没却するものでは私はないと思います。そのことは、この災害復旧の元利につきましてすでにそういう分け方がされておるということから考えましても、決して交付税法の趣旨を没却する、こういう性質のものではない、こういうふうに考えます。
  81. 加瀬完

    加瀬完君 交付税法の趣旨を没却しているかいないかという法律論はここでは避けます。交付税法で、さっき大蔵大臣もおっしゃるように、強調したのは、これは独立財源だということなんです。二つの点を伺いますが、独立財源という性格をますます強めていくならば、これは交付税法の性格を強めたということになりますが、独立財源にいろいろの新しい法律によってワクをつけるということは、独立財源というものの性格を薄めていくことになるのじゃないか。前にどういう例があっても、そういう例はいい例じゃないわけなんです。そこで独立財源の性格というものを強めるような方向に大蔵省は協力すべきだ、この点がどうかが一つ。それからそうすると今度の七十六億なり八十六億なりという対象は、あるいは目的は、公債費の処理をやるのだという目的ではなくて、ただ交付税の分け方を公債費の処理に適合するように変えたのだ、こういうことなんですか。
  82. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 後段のような趣旨です。何も八十五億が八十五億として分けられるのじゃなくて、来年度交付税の分と合されまして、それが各団体に分けられるわけですが、そのときに各団体基準財政需要の中に、公債費の一部につきまして元利の一部を単位費用として採用すると、つまり配分の基準公債費を一部取り入れるということでございまして、ただいま御質問のございました第二点のような考え方になるわけでございます。従いまして、第一段のワクをつけるというお言葉でございましたが、ちょっとその意味がはっきりのみ込めませんでございましたが、あくまでも交付税を分ける際に、各団体公債費を分ける基準に取り入れるということでございまして、ひもつきでこの交付税を分けるということではないわけでございます。
  83. 加瀬完

    加瀬完君 それならば、なぜ一体三十一年度分として交付すべき地方公付税に関する特例として、七十六億を三十二年度に繰り越すような形にさせて、ここで公債費の処理をするという措置をとったか、こういうふうな交付税法の方の改正ではなくて、それならはっきりと、公債費の処理に対する単位費用の改訂をするというはっきりしたものを出せばいいじゃないですか。特別に七十六億なり八十六億なりというワクをきめて、それを三十二年度の方へ交付税と一緒にして繰り越さした分だけを、公債費の処理に充てるということであることは、公債費の処理ということを目的としているのじゃない。しかも交付税というものに特別のワクをつけたということじゃない。あなたのおっしゃるようならば、そういうことは別にして、単位費用だけを公債費の処理に対応できるような、改訂というものだけ一本でやっていけばそれでいいということになるのじゃないか。そういう方法をとらなかったのは、どういうわけですか。
  84. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 今年、三十一年度の産特会計への繰り入れその他の関係で、五百四十七億の補正を組む必要があったわけであります。その場合に、財源として、主税関係では、四百四十億の補正を計上した。そうしますと、交付税法規定によりまして、その四分の一は当然一般会計の歳出として、交付税特別会計に繰り入れなければならぬわけでございます。それが三十一年度交付税になるわけでございますが、ところが、一方年度末も差し迫った際の補正でもございますし、この交付税年度内に、いかなる基準によって配付するかということにつきましても、いろいろ問題がございました。そこで、当初の交付税で不足になっておりました約八億ですが、この分と、それから年末に、公務員につきまして一・五の期末手当の増額をいたしました、その分の処理が未解決になっておりましたので、その分はぜひともこれは年度内に処理する必要があるであろう。残余の分は年度末幾ばくの余日もないことでございますから、これを今年の単位費用として改訂、分離配付する必要もあるまい。そうしますと、使い残りが出て、来年度に繰り越されるわけでございますが、その場合にはかねていろいろ問題になっておりましたことでもございますし、公債費単位費用に加えて配分をすることが、今日の地方財政の現状から考えて、最も適正ではあるまいかというようなことから、今回の臨時特例並びに交付税法の付則に書いてございまするように、繰り越しある場合には、単位費用にこういうものを加えることができるという趣旨の臨時措置をお願い申し上げたわけでございます。それを三十三年度以降についてどうするかという問題が、お尋ねのポイントになるわけでございますが、その点につきましては、来年度交付税がどうなるかという問題もございましょうし、来年度予算編成の際に、政府部内におきまして、とくと相談いたしました上で結論を出すということにいたしておるわけでございます。自治庁長官がしばしばお述べになりました御意見も、おそらくはその予算編成に臨む自治庁長官のお考えをお述べになったものと考える次第でございます。
  85. 加瀬完

    加瀬完君 私の理解が乏しいのかもしれませんけれども、あなたのおっしゃるようなことであるならば、交付税率を上げて交付税の総ワクをふやして、そこの中で単位費用を変えて、単位費用の改訂によって公債費の処理というものに対応させるということでなければ筋が通らない。一体七十六億なら七十六億というものを三十二年度に特別公債費の処理に充てるということであるならば、これは公債費の処理というものを目的とする方針だと、こう解釈しなければならない。それならば七十六億でも百億でも、これは交付税として当然地方独立財源として入ってくるものであるのに、その当然入ってくる地方独立財源に対して、これは公債費に充てろの、これは何にしろのというワクをつけることは、交付税法からいえばおかしい、こういう質問も私は成り立たないことはないと思う。どっちなんですか。その目的は、この七十六億によって一応三十二年度公債費の一部を処理させるということなんですか。それとも交付税法というそのワクの中で単位費用の改訂によって公債費の処理というものを考えたということなんですか、どっちなんですか。
  86. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 繰り越します交付税も来年度のプロパーの交付税も、これは同じ交付税でございまして、それ自身に別にどういう使途に充てろというひもがついているわけではございません。今年度からの繰り越しがあります機会に、ちょうどいい機会ですから、単位費用公債費を入れて配分をするのが現在の地方財政実情に最も適合するであろうと、そういう考え方に出ておるわけでございまして、この分をひもつきで公債費財源に充てろというわけではございません。もちろんこれによって各団体につきましての公債費問題の解決に資し得ることは当然でございます。しかし、法律的にはあくまでもひもはついてないわけでございます。
  87. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵省の考え方は主計局長の説明によってわかった。その大蔵省の見解と自治庁の今まで説明された見解とはまるっきり違う。(「違う、違う」と呼ぶ者あり)そこで、両大臣にいずれ同席をしていただいて、はっきり確かめなければならないと思います。確かめなければならないということだけいろいろ答弁してもらってわかった。だから、一応大蔵大臣お帰りになるようだが、また田中さんに来ていただいて、大蔵大臣の言うことが正しいのか、田中さんの言うことが正しいのか伺いたいと思いますが、それまで質問を一応保留いたします。
  88. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先刻委員会で私の申し上げたことは、ここへ顔を出そうが出すまいが、速記録にはっきり載っておりますから、それを読みまして私の意見としてお扱いいただけるようにお願いいたしておきます。
  89. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) もう一言補足いたしますが、交付税の配付に際して、公債費の一部を単位費用に入れることは、これは公債費対策になると思います。しかし、七十六億とかあるいは八十六億そのものが、公債費対策としてひもつきで分けられるというわけのものではないということを申し上げておるのであります。
  90. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方の考えはわかった。わかったけれども、自治庁の、大臣の言うことと違うということなんだ。
  91. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 今の食い違いの問題については、大臣が二人そろうということもなかなか困難じゃないかと思いますけれども、できるだけ二人そろえてそして意見を聞く方がよかろうと思います。しかし、自治庁長官が見えられましたならば、池田大蔵大臣の言われたことと同じ考えでいるかどうかということを確かめて解決する道もあろうと思いますから、できるだけ御趣旨に沿うようにはいたしますけれども、御承知のような状況ですから御了承願います。  主計局長まだよろしいですか。……それでは御質問を願います。ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  92. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記をつけて下さい。  本日はこれをもって散会いたします。明日午前十時より委員会を開会いたします。    午後三時五十五分散会