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1957-03-19 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十九日(火曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   委員異動 三月十五日委員吉江勝保君辞任につ き、その補欠として鈴木万平君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            加瀬  完君            大和 与一君    委員            小柳 牧衞君            館  哲二君            占部 秀男君            久保  等君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            成瀬 幡治君            岸  良一君            白木義一郎君   政府委員    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁財政部長 小林與三次君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      相沢 英之君    文部省初等中等    教育局財務課長 安嶋  弥君    労働省職業安定    局失業対策部企    画課長     中島  博君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (昭和三十二年度地方財政計画に関  する件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動について御報告いたします。  三月十五日吉江勝保君が委員を辞任されまして、鈴木万平君が補欠選任されましたので、御報告いたしておきます。   —————————————
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本日は、前回に引き続き、昭和三十二年度地方財政計画に関する件を議題として質疑を行います。なお、委員各位の御要求によりまして、自治庁大蔵省厚生省建設省労働省文部省の各関係政府委員にそれぞれ出席を求めておりますので、この点をお含みの上、御質疑をお願いいたします。  それでは、質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  4. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最初に、消防のことでちょっとお尋ねしたいわけですが、消防施設強化促進法というのがありまして、そこで補助金を出すことになっているわけですが、一体、財政計画の方で、どのくらい今年度出ることになっていますか。
  5. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今ちょっと、消防関係だけのこまかい数字がございませんから、係のものが来ましたら、すぐ調べて、申し上げたいと思います。
  6. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、私は、また改めて質問してもいいわけですが、資料として、消防施設補助額が、何か基準財政需要額の三分の一ときまっているようですが、そうしますと、昭和二十九年、三十、三十一年か二年までぐらいで、補助額義務制というのですか、消防手が常駐しているというのと、非常勤のところと、二つに分れると思いますが、それに対して、どのくらい出しておるかということ、それから、あわせて決算額を、二十九年から三十年まで出ているでしょう。三十一年はまだできておらぬかもしれませんが、二十八、九、三十ですか、そのくらい一つ資料としてお願いをしたいと思います。
  7. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 承知しました。
  8. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この前の地方制度調査会で、三十一年度のときに、御承知のように、市町村消防施設を充実するため、損害保険事業を行うものに対し、火災保険にかかる収入保険料課税標準として、消防施設税目的税として設けること、こういう一つ答申がなされ、そうして、三十一年にも、そのものずばりの答申は出されておらないけれども、大体これを推進するような方向答申がなされておるわけであります。それを尊重して、自治庁中心として、何か私は若干の努力をされたということはわかっておるのですが、しかし、いまだに消防施設税というものは日の目を見ていない。しかし、逆に、消防を充実強化しなければならぬということは、私が言わなくても、あるいは資料を出していただかなくてもいいわけですから、その後、そうしたものに対しての経緯と申しますか、いきさつと申しますか、そういうものをあなたのところでもしいかなければ、自治庁としてたれかやっていただかなければなりませんが、そういうことに対して御答弁願えましようか。
  9. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今お話の、いわゆる消防施設税といわれる問題だろうと思います。それにつきましては、お話通り、かつてそういう答申があったり、自治庁といたしましても、消防財源を充実強化する方法一つとしてなされたものだということで、むしろ積極的、そういう方向へものを考えたいという考えは持っておったのでございましたが、これにつきましては、まだ現在まで、政府部内としての意見の一致をみておりません。それで、実現に至っておらないのでございます。これにつきましては、大蔵省関係その他でいろいろ、消防施設税、こういうものについて、税法上のやっぱり議論もございまして、そういう形で、現在のところまでは、まだ話が一致しておらぬのでございます。
  10. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、この問題について、次の資料一つ出していただきたいと思います。国家消防本部というものがありまして、そうして、何と申しますか、消防組織法というのですか、何かに基いて大体基準というものは、こういうふうにしたらどうだというようなことを示しておるものがあると思います。あるいは国家消防本部が、このくらいの全体的な規模、こうあらねばならぬという、要求したものがあると思います。その一つ資料を、国家消防本部の方に御連絡願いたいと思います。それが一つ。  それから第二番目としては、市町村として消防をこういうふうにやりたいからという、私は要望の集計されたものがありはしないかと思うのですが、そういうものがあったら一つ市町村要望額というものは一体どのくらいか。もし総体的にできなければ、五大市か何かのものがあったら、それでけっこうですから、それを出していただきたいと思います。  それから第三点として、一般に、火災保険会社は、相当な利益を上げておるといわれておりますから、どんなふうになっておるか、それを一つ社内留保のいわゆる積立準備金というもの、そういうもの、それから、あるいは事業費にはどのくらい使っておるかということについて、最近の四、五年の資料一つ、もらいたいと思います。  それからもう一つ。何か、保険会社というものが実は寄付をしておると思うのですよ、消防に対してですね。どのくらいそういうものが年々寄付をしておるか、いわゆる保険会社が何か共同的なものを作りまして、それを寄付しておると思いますから、そういうものをお願いしたいと思います。  それから、大蔵省の方にお願いしたいのは、料率がこう戦前と戦後と、上っていますですね。そうして戦後、これは下ってもおると思います。そういう問題、それは、地区に分けられておるから、そういうもので、等分されておるものについて一つ資料をお願いしたいと思います。特に大蔵省の方が、私が今言ったように、保険会社がどんなにもうけておるかという問題は、一番よくあなたの方や銀行局の方でわかっておると思いますから、そういうような資料をいただきたいと思います。  そのくらいの資料をいただいて、この次に質問さしていただきたいと思います。
  11. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ちょっと、今資料のいろいろ御要求がございましたが、私のところで、この市町村決算上の消防費とか、そういうものは調べて作りますが、今お話のようなものは、消防本部の方に御要求願いまして、私の方からも御連絡いたしますが、こちらの方からも一つ、御連絡願いたいと思います。
  12. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 専門員を通してお願いしたいと思います。
  13. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それじゃ一つ、そういうふうに……。
  14. 占部秀男

    占部秀男君 一つ、緊急の問題でお伺いしたいのですが、市町村固定資産税ですね。それの問題なんですが、たしか去年でしたかな。固定資産税をかける場合に、公営住宅には、この何かかかると非常に影響が多いので、それについては、特別な財源措置か何かをして、公営住宅についての税が軽減……、まあ、市の方には欠損にならぬと、こういう工合に何か緊急な措置をとって、公営住宅に関する限りは、税の方を特別な措置をしたようなことがたしかあったと思うのですが、そういうことがありましたか。
  15. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今のお話は、国有資産等所在市町村交付金納付金制度がとられまして、そして、いわゆる県有でも国有でもそうですが、公営住宅については、地元市町村交付金あるいは納付金を受ける。そこで、それを家賃に転嫁するかしないかというような問題があってですね。去年はもう年度の途中で、そういう問題がきまったし、途中で家賃改訂をやるのはいかがかと、こういうことで、県は市町村に当然に交付金を納めんといかぬけれども、それを家賃に転嫁することは控えろ、そのかわりに、県としちゃ、交付金相当部分が要りますから、財源に……。その部分は、特別交付税でみようという暫定的な扱いを指導しまして、それで、この間の交付税の配分のときには、それを全部みることにしたのであります。だから、おそらく問題は、むしろこの次の三十二年度はどうするか、こういう問題でございまして、これにつきまして、今、建設省の方と自治庁税務部の方と、話を進めているわけですが、問題は、建前は当然交付金とか納付金、まあ税金家賃に転嫁すべき、家賃で払うべきが基本原則ですね。去年は、そういう暫定的な措置をとったのだから、基本原則になるべく早く戻ることを考えないといけない。しかしながら、今の実情を見ますと、この公営住宅家賃は非常にアンバランスなんです。作った時期によって、安いものもあれば高いものもある。その問題をやはり調整をする必要があるのじゃないか。合理化する必要があるのじゃないか。合理化の問題を建設省の当局の方でも考えている。その合理化が行われるまでは、今すぐ、今の交付金家賃に転嫁するということもどうであろうかというので、その調整措置をすみやかに講じてもらうことにして、その間、ことしもしばらく去年と同じふうな行政上の措置をとらざるを得ないのじゃないか、こういうふうに自治庁考えているわけです。
  16. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、一応去年と同じような形で、特別交付税を出すと、こういうふうなことであるのですね。  そこで、もう一歩突き進んで、やはり公営住宅というものは、住宅の性格からいっても、現在の公営住宅家賃が、それはほかの民間家賃よりは安いかもしれないけれども、必ずしも安いとはいえないし、特に公営住宅の問題は、家賃が上るということになりますと、これは、民間家賃の引き上げを誘発することになる。そういうふうな、非常に大きな問題にもなるので、この際問題は、どうですか、自治庁の何といいますか、そういうものをする意思はないものですか。
  17. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、全然そういう意思はないのでございまして、むしろそういうものなら、地元市町村にしてみれば、当然他人に使用さして、家賃を取っているのですから、そういうものに固定資産相当額というものを取らんといかぬじゃないかというのが、去年わざわざ交付金納付金法をお作り願ったゆえんでありまして、これは、当然取るべきものであろうと思います。地元市町村にしてみると、税金も取れずに、たくさん公営住宅ができる、学校もできる、水道もできる。これじゃ市町村はやっていけんじゃないか、こういう問題がそもそもの発端ですが、これは、市町村としては、当然取るべきじゃないか。それじゃもう一つ、県の方は交付金を払うものとして、その交付金財源をどこに求めるかということになると、これは、当然家賃でさばくべきものであって、これを今度は一般財源で穴埋めをするという建前は、これまた筋違いだと思う。利用者のために、ほかの税金家賃を補てんするということは、これは、建前からいって、筋が違うのでありますから、基本的には、それはあくまでも家賃でもって、それは、償却の年限をどうするかという、そういう問題はありましょうけれども合理的にカバーさるべき問題であろう、こう思うのであります。去年は、そういうわけで、もともとそうすべきであるが、ともかくも途中であるしというので、暫定的な措置をしたわけであります。公営住宅家賃は、なるべく安くしなければならないということは、これは明瞭であります。これは、むしろ住宅政策一般の面としてどう考えるかをきめるべきである。個々の府県だけでその税を減免するとか、そういうふうな、あるいはそれを一般地方財源である特別交付税でいつまでもみてゆくという筋合いのものじゃ私はないだろうと思う。それでありますから、本筋はやはり本筋として、早く確立することをぜひお考え願うべき問題だろうと思います。ただ、今応急的な始末として、すぐ右から左ということになると、いろいろ摩擦もあり、問題もありますので、今のような暫定措置をことしもう一ぺんとって、そして全体の公営住宅家賃調整考えてもらって、全体として運営合理的に考えていくことがいいじゃないか、こういう考え方をとっておるわけであります。
  18. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、根本的には、住宅政策の問題として根本的に考えなくちゃならぬというのですが、それはどこで考えることになるのですか。結局建設省なら建設省ということになるわけですか。
  19. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、もう当然に、住宅主管省である建設省考えるべき問題だろうと思います。また、そういう問題があるから、わざわざ国の補助も付けたり、安い資金も融資して、住宅対策をやっておるわけですが、それが要するに十分か不十分か、それでもなおかつ高過ぎるじゃないか、こういう問題だろうと思いまして、それならもっとどうするか、国の補助率を上げるとか、あるいは融資の条件を緩和するとか、そういういろいろな問題があろうと思いますが、そういう問題として、これは総合的に考えて解決すべき事柄だろうと思うわけです。
  20. 占部秀男

    占部秀男君 あとで、建設省の人を一つ呼んでもらいたいのですが、きょうじゃなくてけっこうです。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと、労働省関係の方に伺いたいと思いますが、三十年度一般会計決算における国庫補助金不用額に関する調というのがございまして、失対で六千九百六十八万円の残りですね。そして特別失対の方で四千五百十四万九千円残が出ておるわけです。それぞれの理由も私はあるかと思いますが、ここでお聞きしたいのは、地方負担があると思います。それとの見合いでできなかったのか、実際の仕事の量がなくって余ったのか、どうしてこういう残が出てきたのか、その理由一つお聞かせ願いたいと思います。
  22. 中島博

    説明員中島博君) 今の御質問の点でございますが、私ども、三十年度におきまして、支出済み額が、区分いたしまして、百三十一億九千二百万、かように相なっておるわけでありまして、それで、失業対策事業の全国の事業主体は千近くございます。しかも、各四半期ごと資金計画を作りまして、失業対策事業ワクを割り当てて、これを実施いたす、かように相なっておりますので、その間失業情勢変動によりまして、多少の予想と実際の使用額と、この間にズレがあるわけでございます。それで、多少の不用額を出しましたのは、このようにたくさんの事業主体で、個々事業主体をとってみますれば、非常にささいなものでありますし、また、今申し上げましたように、失業情勢は非常に変動いたすものでございますので、その不用額を生じました主たる原因は、やはり失業情勢の見込みと現実との多少の相違、そこから生じておるものであります。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 自治庁の方で、この失対なりあるいは特別失対で、しばしば市役所なりあるいは県庁等関係者が押し寄せまして、いつでもトラブルが起きておるわけですが、ということは、就労日数をふやしてくれとか、いろいろなことが出ております。そうした場合に、市町村におきましては、いわゆる仕事の量というよりも、いわゆる財源の問題で、いつでも行き詰っておるのですがというふうに私たちは聞いているのですが、今、残がなぜ出たかということに対する労働省の見解を承わったのですが、自治庁の方は、どういうふうにこれを把握しておるか、承わりたいと思います。
  24. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 自治庁の方では、この失対事業は、実際労働省の方でお使いになるやつに、必要な財源はこっちで受け入れて、それぞれの市町村でまかないのつくように、これはもうやらんといかぬので、これは、理屈も何もないと思います。労働省の方でお金をおつけになる以上は、そして現地にその必要がある限りは、当然やり得るような態勢をやらざるを得ない。それで、今までは、その大きなのはもちろん起債で一部みておりますし、起債だけではさばきのつかんものもあり得る。そういうものは、もし地方財源がなければ、特別交付税の配付になるような場合には、当然それを考えてやっておるのであります。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 今、成瀬委員の方からの質問で、だいぶ残額が示されているわけでありますが、それに対する労働省の御答弁もありましたが、事実は、これは自治庁関係があるのですが、事実は、失対事業をやりたくて、いろいろ自治庁なり、あるいは労働省なりに交渉をしても、いろいろの条件がきびしいので、その希望が満たされないところの団体が相当あると思う。こういう団体が残されておって、しかも、残額がこんなに出るということは、非常に不合理じゃないか。そこで、一応その失対事業というものの成果をあげようとするなら、もう少し労働省なり自治庁なりが相互に連絡をして、地方団体でも、小規模でも、失対事業ワクの中に入れるような措置というものが講ぜられれば、今のような問題というのは、ある程度救済できるのじゃないか。これらについてどのようにお考えでしょうか。
  26. 中島博

    説明員中島博君) ただいまのお尋ねでございますが、私ども失業対策事業運営方針としましては、御承知のように、安定所日雇い求職の申し込みをいたしました労務者につきまして、それらの方々が月二十一日の就労を確保する、こういう線で、一応個々地方におきまする失業対策事業の量というものを策定しているわけであります。それで、先ほどもちょっと申し上げましたように、現在の段階では、失業対策事業を実施しております事業主体は約千近くございまして、その中には、極端に申し上げまして、一日十人のワク失業対策事業を実施しておるというようなところもあるわけでございますが、私ども方針といたしましては、あまり小さい、十人とかあるいは十五人とかいうようなところにまで失業対策事業を実施いたしますることは、やはりむしろそういった面で、その程度の量につきましては、むしろ大都市におきましてたくさんの失業者をかかえておるところにおいて失業対策事業が円滑に運営できるということを中心にすべきだという観点から、なるべくそういった零細な事業主体につきましては、これを、いろいろな状況を勘案いたしまして、失業対策事業事業主体としないというような方法をとっておるわけでございます。しかしながら、個々事業主体ことにつきましては、失業情勢がいろいろ変動があるわけでございまして、私どもも、今申し上げましたように、たとえ十人でも、やらなければならぬと考えまするところは、すべて実施いたしておるわけでございます。なお、現在も、三十人以下の事業主体というものは相当多数でございまして、そのように失業者がおりながら、この一般失業対策事業を実施しないということは、私どもの方としては考えておりません。また、失業者が一人でも二人でもおられれば、そこに一般失業対策事業を実施して、それらの方々生活の安定をはかるということこそ、失業対策事業の使命と考えておるわけでございます。従いまして、私どももよく陳情を受けるのでございますが、その点、安定所に現われました統計から見て参りますると、実際失業対策事業ではなくて、失業者雇用吸収という観点よりも、むしろ何か建設的な事業をおやりになりたいというようなことで、詳細に、現地につきまして、下部機構を通じて調べさせますると、失業者はいないという場合が非常に多いわけであります。従いまして、失業者が少しでもおられれば、私どもとしましては、先ほど申しましたように、何とかこれをカバーして、その生活の安定をはかっていく、こういう方針でございます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も、全部のことを知っておるわけじゃないのですが、中村課長の話を聞きますと、なかなか就労は十分にいっておる、あるいは小林部長の話を聞けば、地方財政の方の財政圧迫ではなくて、まことにスムーズにいったかのごとき御答弁がなされておるのですが、実際は、年度末に参りまして、地方自治体の方では完全就労が二十一日ですね、年度末になると、少しもう四、五日就労をさしたい、普通公務員等賞与等が出れば、何とかそういう点も考えてやりたいと思っても、実際財政が窮屈で、何ら動きがとれぬというのが実情なんです。しかも、この年度は、失対事業の方では、約四億五千万ほどですか、大体予算削限をされておるわけですが、何にいたしましても、その補助率が三分の二とか五分の四等あって、そして地方で自主的にみなさいという、地方自治を非常に尊重したやり方でございますが、実際あなたの方の職業安定所等の規格がなかなかきびしいことを言われて、片っ方の日雇労務者の方では働かせろ、その難題を持ち込まれるのが地方自治体です。だから、労働者のしりぬぐいを地方自治体の長官がやっておるという、お気の毒な形になっておると思うのです。だから、そういうことのないように、私は、予算的にもいま少しゆとりを——なたの方も一生懸命になって大蔵省へ行く、自治庁の方も大蔵省へ当って、いま少し何とか予算面ゆとりのあるようなやり方をしていただかなければ、日雇労務者生活もよくなりませんし、そしてトラブルめいたものが絶えない。そして、御承知のように、日雇労働者の寄るところは、いわゆる単価が、地域給の低いところよりも高いところが日当がいいですから、高いところへだんだん寄ってくる。そういう形になって、大都市が非常に難儀しておるというのが実情だと思う。そういう点について、労働省の方も一つ目をあいてもらうし、大蔵省の方もしっかり目をあいてもらわぬと、私は、実際地方自治体の長なり、あるいはそういう機関の人たちが非常に苦しんでおるというところを十分一つ御理解を願って、こういう点について十分一つ、恵まれない、日の当らない、神武以来の景気の一つも来ない人たち一つ、温情のある施策をやってもらいたい、こう思うわけですが、どうですか。
  28. 相沢英之

    説明員相沢英之君) 失業対策事業費自体の問題につきましては、現在、私担当でございませんで、詳しいことを申し上げられないのを遺憾に思いますが、確かに、おっしゃる通り失業対策につきましては、そういう失業者都会地に集まってくる。その都会地財政状況が、必ずしも団体によって一様でないというところから、たとえば、補助率の問題その他をめぐりまして、いろいろ問題が起きているわけでございまして、失業対策事業はやりたいけれども地方団体としては、これらの負担を維持しきれないという点から、どうしても、ある程度事業の拡大を考えることができないというような事例もあるように聞いております。この点につきましては、正確なことは存じませんので、中村課長から御答弁願った方がしかるべきかと存じますが、特にその財政状況が逼迫し、なおかつ失業者が多いというような地域につきましては、補助率の点につきましても、特別な扱い考えているように聞いております。なお、地方財源の問題につきましては、財政計画といたしましては、もちろん、他の補助金と同様に、地方の義務負担額は、そのままの数字でもってこれを歳出に組んでおるわけでございまして、財政計画の面では、それを十分に見込んでおるわけでございます。ただ、現実の各市町村ごとにおける地方負担額の問題といたしましては、これはもちろん、私申し上げるまでもなく、普通交付税の形で、たとえば労働費、これは、失業者が一人当り幾らという単価に単位費用がなっておりますが、そういうような測定単位、単位費用の積算の形で配付されていくものでございますから、現実の地方負担額の問題と多少、その点においては、当然ギャップが出てくる点もあるかと思います。これは、何も失業対策事業地方負担に限る問題ではないのでございまして、その他の補助事業につきましても、現実に地方交付税がそのような形で配分されるということは、現在の交付税制度からいって、やむを得ないと私ども考えておりますが、こういう配分の方式でいく限りにおいては、その国の補助負担金の地方負担額と現実の交付税において算定するところの地方団体の所要経費との間に、多少のでこぼこがあるのはやむを得ない。全体として見て、要はその地方団体財政需要がまかなえる程度のものがいけばよい、そういうような形になっているかと思います。でありますから、この失業対策事業地方負担の問題につきましても、ほかと変って、特にこれにひどい取扱いをしているというようなことは全然ないのでございまして、要は、制度運営の問題で解決できるのではないかというふうに考えております。
  29. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私は、先日私が資料をお願いしました国庫補助金不用額あるいは事業繰り越しに関します御質問が出ましたので、関連して、少しお尋ねをさしていただきます。まず、事業繰り越しについてでありますが、いただきました資料によりますと、二十八年度が百二十六億、二十九年度が百十五億、三十年度が百七十四億、繰越額が出ましたようでございます。もとよりこの繰越額は、財源もともに繰り越しておるものと、そうでない、からの繰り越しと、いろいろ内容はあると思うのでありますから、この数字そのものは、地方財政の実態を示しているとは言われぬわけでありまするが、この繰越額のうち、財源を伴わない、いわゆる赤字繰り越しはどのくらいになっておるか、そして、私がちょっとこの数字だけでけげんに思いますのは、財政が好転しておらなければならないはずの三十年度が、繰り越しの総額が非常に多い、これはどういう関係でこういうふうになっておるか。二十九年度は、たしか財政状況が一番悪いわけです。しかし、この表では、三十年度が非常に繰り越し総額が激増しているわけです。いまの純赤字の繰越額とこの関係をまず御説明願いたいと思います。
  30. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ちょっと、その繰り越しの中味の資料が手元にございませんので、改めて御説明申し上げますが、どうせ、今決算状況を調べた財政状況の報告書がたぶんきょうお手元にお配りできるだろうと思います。これに、そのうちでいわば赤字繰り越しに当るべきものと認められるような繰越額の内訳を書いたものも出るはずでございますから、その資料が出ましたら、ついでにあわせて御説明申し上げたいと思います。それで、大体事業繰り越しの問題は、今お話のように、財源が伴うものと、事実伴わないで、ほんとうの赤字のものと、二種類ございます。三十一年度になれば、従来の赤字は、例の再建団体で棚上げになっておりますから、その部分がほとんど皆棚上げされてしまうという数字になるはずでござしまして、状況は全く変ってくると思います。ただ、三十年度の場合には、それまでのほんの一部だけ再建債を起しておるのでございますから、私は、その影響はあまり出ていないはずだと思います。そこらの関係も、赤字繰り越しに伴うもののおのおのの数字と一緒に説明させていただきたいと思います。  なお、事業繰り越しの問題は、今後は、自治法が改正されまして、事業繰り越しをやる以上は、必ず財源をつけて繰り越せという建前をはっきりいたしました。そうでなければ、皆仕事を打ち切って、新年度事業として、新年度財政を見越して仕事考える、こういう建前に自治法を改正いたしましたので、これからの繰り越し関係は、きわめて財政経理上明確になるし、確実安全になると思っております。従来のは、従来のしきたりで、ずるずとやっておるものの数字が現われておるものでございますので、今後は、繰り越し関係については、全く名目が変っていく。こういう点だけを御承知おきを願いたいと思います。
  31. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 その繰り越しの内容を、説明の資料をいただけますならば、それをいただいてから、場合によりましては、なお伺わせていただきますが、それに関連いたしまして、今、失業対策費の国庫補助金不用額について問題になりましたが、ひとりこれは、失業対策費ばかりではないのであります。ことに私は、非常にけげんにといいまするか、掘り下げれば非常に問題があると思いまするのは、社会保障関係に直接関連いたしまする厚生省関係の繰り越しが非常に多いので、実はびっくりしたわけでございます。生活困窮者の受胎調節の費用、これが二億七千四百万円余っておる。保健所の費用が三億六千四百万、それからまた、結核予防費が四千八百五十万。ことに私がびっくりいたしましたのは、母子福祉貸付金、これが一億五千万、未亡人その他の団体から、血の出るような要求があるべきはずの母子福祉資金が一億五千万も補助の所要額が少なかったということで余されておるわけであります。これは、ただ単に形式的に看過すれば、それだけの必要がなかった、あるいは県、市町村財政等で、補助に見合う負担が計上できなかったのだからやむを得ないということで、先ほど、大蔵省の主計官からお答えがあったような、形式的な答弁でも、済ませば済まされるかもしれませんが、まじめにこの費用の性質というものを考えてみた場合には、そんな形式的な処理の仕方では、これは済まされない大きな問題が含まれておると思うのであります。おそらくこれは、もし不用であったとすれば、この所管省の配分の仕方が地方実情に即せずに配分されておったか、また、必要があって、裏打ちの財源がなくて、手の出るようなほしい金がもらえなかったとすれば、これは先ほど、今の制度ではやむを得ないという交付税の配分の仕方が、これは、地方財政実情に即していない現実の証拠であるわけであります。そのほかにも、経費の性質上、単に余ったと言われない経費が相当私はあるように思うのでありますが、その一々については申しません。その性質上、最も問題としなければならない社会保障の関係、先ほどから言われました失対の関係等を、ここに一例として申し上げておるにすぎないのでありますが、これにつきまして、所管省あるいはまた自治庁、大蔵大臣は、これに対して今後どう処理していくつもりであるか、その点をもう少しまじめな答弁がほしいと思う。
  32. 山口正義

    政府委員(山口正義君) ただいま御指摘の、生活困窮者に対する受胎調節の器具、薬品を無料配付いたします費用、あるいは結核の健康診断に要します費用、保健所の経常費に対します費用に、非常に不用額が多いという御指摘を受けまして、まことに恐縮に存じておりますが、生活困窮者に対します受胎調節の問題は、これは、政府が受胎調節の普及を積極的に取り上げるようになりましたのは、昭和二十七年度からでございますが、生活困窮者に対します器具、薬品を生活困窮者に対して無料で配付してほしいという要望がだんだん強くなって参りまして、昭和三十年度からこれを実施するようになったのでございますが、実際問題として、それに手をつけて実施いたしました際に、その対象者の把握あるいはそれの手続あるいは一般人たちのこの仕事に対する理解というようなことが、なかなか十分に行われておりませんでしたために、昭和三十年度におきましては、多額の不用額を出しまして、私ども、それを所管しております厚生省当局としては、まことに申しわけない結果だと思っておるのでございます。これは、仕事の性質がなかなかデリケートな問題をたくさん含んでおりますので、実際にそれがうまく行われ得なかったというような実情もございまして、こういう結果になったのでございます。昭和三十一年度におきましては、それをさらに徹底させるようにいたしたのでございますが、昭和三十一年度におきましても、なかなか思うようにそれが消化され得ないような、現在までの状態では、そういうことでございます。これは、ただいま申し上げましたように、実際にその衝に当るもの、あるいはそれを受けるものが、この仕事に対する理解と申しますか、それがなかなかうまく行われ得なかったという点もございますが、また、一面におきましては、この補助率が現在二分の一になっておりますので、それに対して、地方がなかなか、地方財政関係で、地方の予算を組みにくいというような、新しい問題でございましたので、組みにくいというようなこともあって、そういうふうな結果になったのでございまして、この点につきましては、私ども地方庁をできるだけ督促して、予算化するように、今努力をしているわけでございまして、昭和三十二年度におきましても、同様の仕事を続けていくわけでございますが、現在、各府県で県会をやって、当初予算を計上いたしておりますが、その様子によりますと、最近の私どもの方で集めております資料では、この予算の計上状況が非常によくなってきたというような情報を得ておりますので、この点につきましては、今後、その原因になると考えられました一般人たちの理解の問題と地方の予算化の問題、両方合せまして、この仕事をできるだけ推し進めて、御指摘のような不用額の出ないように持っていかなければならないと、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、結核の問題につきましては、先ほど私、健康診断というふうに申し上げたと存じますが、昭和三十年度におきましては、健康診断と医療費と、両方の御指摘があるのではないかと思うのでございますが、健康診断につきましては、従来は、主として三十才以下の人たちあるいは集団生活者を対象として、健康診断を行うという方針で参ったのでございますが、厚生省昭和二十八年から三カ年継続で実施いたしました実態調査の成績から考えまして、むしろ結核患者は三十才以上の人に多く見つけられる。しかも、それらの人たちが無自覚の人が非常に多いということから考えて、健康診断の対象を単に集団生活者あるいは三十才以下の人たちというふうに限定することなく、全国民を対象として、健康診断を実施しなければならないというふうに考えまして、結核予防法の改正をお願いしまして、昭和三十年の八月から、全国民に対して健康診断を実施するというふうにして、所要の予算を計上していただいたのでございます。ところが、集団生活者あるいは三十才未満というような人たちは、長い間健康診断を受けておりましたので、比較的その実施率がいいのでございます。たとえば、学校の生徒あるいは大工場の労働者というような人たちは、健康診断の実施率が、受診率が八〇%、九〇%というふうに高いのでございますが、一般の家庭の婦人あるいは一般市町村民の実施率と申しますか、受診率が非常に低いのでございまして、これは、現実の問題といたしまして、今まで健康診断を受けるということになれていなかった人を新しくつかんで、受けさせるようにいたしますために、非常に苦労が要るわけで、事前にいろいろ工作をして、やるのでございますが、なかなかその受診率が上らないというところに、私ども非常に悩みを持っているのでございます。昭和三十年度におきましては、そういう、一般市町村民に対する健康診断を年度の途中から始めますために、その実施状況が非常に悪かったのでございまして、率直に申し上げますと、予定いたしましたその人員に対して、一般市町村民におきましては、一〇%そこそこというような状態でございまして、三十一年度におきましては、これをさらに上回って、多く実施いたしております。三十二年度におきましても、さらにだんだんと実施率を上げるという方向に持ってきております。地区によって、九〇%以上の実施率を受けているという地区も相当多数に出てきているような状況でございまして、この健康診断に要します費用が、相当多く不用額になりましたということにつきましては、そのような事情で、新しい仕事を途中から始めますために、その消化状況が非常に悪かったということでございます。その点は、一般のこの健康診断に対する理解を深める、同時に私どもの方の行政当局の実施能力も整備して、それを上げて、この実施率を高めて、御指摘のような不用額の出ないように、今後持っていかなければならないと思うのでございます。  なお、この結核関係の予算につきましては、現在、市町村が実施いたします場合には、市町村が三分の一、県が三分の一、国が三分の一というような費用負担になっておりす。県が実施いたします場合には、県が二分の一、国が二分の一というような状況になっているのでございます。ただいま、国会で法律を御審議願っております、また予算でも御審議願っておるのでございますが、昭和三十二年度からは、健康診断、予防接種を全額公費で実施したいというように考えているのでございます。そういたしますと、地方財政の需要も負担も大きくなって参りますので、私どもとしましては、将来、この地方財政需要等から考えまして、国庫補助率をできるだけ大きく上げ得られるように努力していきたいと、そういうふうに考えているわけでございます。  それから、保健所の問題でございますが、これは現在、保健所の人員の充足率が非常に悪い。従って、結核対策を初め、家族計画もそうでございますが、一般公衆衛生対策が十分に行われ得ないのではないかという御指摘をしばしば受けているのでございますが、これは現在、保健所の建設費に対しましては、国庫補助率が二分の一、経常費に対しましては、三分の一というような状態になっておりますので、三分の一の補助率というのが、地方財政の現在の状態から考えますと、非常に低いのでございますので、従って、地方としても、なかなかその補助率では予算化しにくいというような状況があるのでございます。従って、折角国庫補助を計上して、予算を計上していただきながら、それが地方で十分消化され得ないというような状況になっているのでございます。この点につきましては、私ども、この保健所の整備ということにつきましては、公衆衛生行政の根幹になる仕事でございますので、何とかして、地方がこれを十分に予算化して、保健所の整備をはかり得ますように、国庫補助率を少くとも二分の一まで上げていきたいということで、両三年努力して参ってきておるのでございますが、残念ながら、まだ、諸般の情勢から、昭和三十二年度に実現し得なかったというような状況でございます。  そのような、ただいま申し上げましたような、家族計画あるいは結核の健康中断というようなことにつきましては、新しい仕事で、しかも、年度途中からやりましたというようなことで、十分に徹底しなかったというようなことでございます。保健所につきましては、補助率関係がございまして、十分に消化されていないという状況でございます。これは、私どもも非常に遺憾に存じておりますので、ただいまお答え申し上げましたように、それらの仕事をさらに徹底さしていきますためには、一般人たちの理解を深めるとともに、やはり国として、できるだけの地方に対する財政的なつっかい棒をする必要があるのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。  なお、母子福祉貸付金につきましては、これは私、所管でございませんので、私からお答え申し上げるのは適当でないかと存じますが、所管の局長も参っておりませんので、ただ、私の承知いたしておりますことだけを一言申し上げさしていただきますと、これは、やはり国庫補助率の問題があったようでございまして、これは、昭和三十二年度におきましては、従来の三分の一の補助率を三分の二に引き上げるように、一応案を作って、法律案並びに予算案を現在国会で御審議を願っている最中でございます。
  33. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 ただいま、二、三の点につきまして御説明を伺いますると、不用額になりました原因の一部が、法律の年度の中途からの施行あるいはまた、その行政に対する趣旨の徹底の不十分というようなころからきておりまするが、主として理由は、地方負担を背負いきれないという地方財政上の事情からきているというふうに、所管の当局においてはお考えになっているところが非常に多いように思うわけであります。  ついては、関連してお伺いするのでありますが、年度の最後にきて、この不用額が出ることがわかったのか、それともまた、年度の途中で大体こういうことは推測をされる、従って、これを消化できる県に回すことに相当努力されて、なおかつここに余ったのか、その辺の事情はどういうふうなことになっておりますか。
  34. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 決して最初から不用額を予想してというようなことでは毛頭ないのでございますが、実際は、各県の財政状況がいろいろ差がございますので、私どもとしては、事務的に地方庁にいろいろ働きかけて、できるだけ予算化してもらうように努力をして参っておったのでございますが、途中において、いろいろなかなか思うように予算化されないというようなために、途中におきましては、比較的予算化されやすい方から要望があります場合に、そちらに対して大体の見通しをつけてそちらに回すというようなことをやったのでございますが、それにもかかわらず、こういうような状態になったわけでございます。
  35. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 三十二年度の政府の予算の編成方針等から概観いたしますると、今、問題としておりまするような費用は、むしろ政府としては、社会保障の拡充という観点から、予算額を大幅にふやしておる。もとよりその裏付けとして、補助率を改訂しているものもありまするが、大体は、この経費の必要は一そう痛切に政府としても認めておりまするように思うわけであります。そうしてみますれば、やはり地方財源の所与のし方が、やはりなお検討を要するものがあるように私は思うのでありまするが、こういうように、関連いたしまして、交付税の配分のし方なり何なりにつきまして、検討を加える意思自治庁大蔵省の方ではありますのかどうか、その点についてお伺いいたします。
  36. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 結局、今の補助金の不用の問題は、一面におきまして、仰せの通り一面というか、あるいは大部分というか、地方団体財政が必ずしも十分ではない、そこで受け入れができにくいということは、これは基本的にあろうと思うのでございます。財政計画におきましては、もちろん国の補助事業に見合う当然地方財源というものは、これはぴしっと計算をして出しておりますけれども、結局一般財源が不十分であるというと、なかなか補助事業までも手が回らぬということがこれはあり得ると思うのでございます。それと、もう一つは、そういうそれぞれの府県と補助事業との具体のマッチと申しますか、そういうものも私はあり得ると思うし、それからこれは各省の方にすでにお願いしているのですが、なるべく早く補助金は配っていただきたい、年度の終末になってちょびちょび出るというような事例も、これは必ずしもないというわけではないのでありまして、そういうふうなことが消化しにくいということになる。これは、もちろん全部の理由じゃありませんが、一部の理由にもこれはなり得るのでございまして、そういう面からも、出すものはきちんときわめて早期に出すということは、ぜひ各省にも、こちらからも徐々にお願いしておるでございますが、一そうやっていただきたいと思うのでございます。結局そういうことをいたしましても、最後は、地方財源全般が十二分にゆとりがあれば、どういう形で流れてこようとも、これは容易に受け入れることができるのでございますが、そこが必ずしも十分でない。現にたくさんの赤字を抱えた再建団体もようやく発足いたしますけれども、再建団体だって、仕事もある程度押えて再建をやろうというような態勢でありますし、それから黒字団体だって、黒字と赤字の線を彷徨して、どうかしてつじつまを合せようというものもあるようでございまして、そこにやはり一般財源難というものはあろうと思うのでございます。交付税の配分に当りましては、もちろんこれは、きまった交付税を公平に分けるという建前でいくのでございますから、その場合は、それぞれの各経費につきまして、こっちといたしましても、実際の状況に応ずるように、公正に単位費用を計算して、配分をすることにいたしております。これはまあ、別途、交付税法の改正で十分御審議を願いたいと思うのでございますが、それは結局、ある交付税を配る、公平に配るというだけの話でございまして、それによりまして絶対額がふえるわけでもございませんから、どれだけ公平に配ったと思っても個々団体の需要とは必ずしも合わぬということは、これはあり得るだろうと思うのでございます。それでございますから、そこはまあ、全体の財源の問題としてゆとりがあるかないか、かつかつであるかどうか。かつかつであるということになれば、それぞれの団体では、これは動きがつかぬという場合もあり得る。これはやむを得ぬことだろうと思うのでございます。そこらを総合的にどう判断をするか、補助事業をやっているのだから、ほかの単独事業を全部やめてしまって、補助事業をやるべきだという考え方も成り立たぬわけでもございませんし、別に補助事業だけが重要ではないので、地方団体によっては、補助事業よりも単独事業で重要性のあるものもありましょうし、そこらの団体自体の運営考え方も、これはあろうと思うのでございますが、そこらの問題を総合的に検討して、これに対する対策を考えるよりほかないというふうに存じておるわけでございます。
  37. 相沢英之

    説明員相沢英之君) 自治庁財政部長から話がございました点に、特に付け加える点はないのでございますが、ただ、三十年度に限っての繰り越しの特異な原因といたしましては、御案内の通り、三十年度は、暫定予算が当初たしか三月かあったと思います。その点が一つと、それから地方団体に対する財源措置の問題で、補正予算におきまして百八十八億円の財源措置を講じている、その時期がたしか十一月ごろになっておったかと思いますが、そういうような関係がございまして、繰越額もほかの年度に比べて特に多かったのではないかというふうに存じております。三十一年度につきましては、その交付税におきましても、税率三%の引き上げを行い、あるいは国有資産についての交付金制度その他の財源措置をいたしております。かたがた国税の大幅の自然増収に見合いまして、地方税収につきましても、相当に増収が期待できるというような点がありまして、この事業の執行は、三十年度よりもかなり促進されておるのではないかというふうに考えております。それから、蛇足でございますが、補助率の問題が、先ほどから、この事業繰り越しの一つの原因としていろいろ御指摘になっておりますが、この補助率の問題は、私どもといたしましても、最も論議の多い点でございまして、ことに地方団体に対する補助率は、国、地方のその利害の関係、あるいはその補助金というものが地域的にどういうふうな配分になるか、これは、直接は地方団体財政状況とも関連を持つわけでありますが、どうなるかというような点をにらみ合せて決定せねばならない問題になるわけであります。一言にして申しますと、補助率を非常に上げて参りますと、国の財政力にも限度がございますので、事業量を圧縮するか、あるいは地方に対する一般財源を、つまり交付税等を削減して、補助金に回すかというような関係になるかと存じます。また、この点につきましては、私ども考え方としましては、できるだけ、こまかい補助金については、これを整理統合いたしまして、地方一般財源に振りかえていく。もちろん、考え方は、その交付税の中にたたき込めばいいというような気持ではございませんので、地方の自治体の意思を尊重して、事業の執行を考える方が適当ではないかと思われるような補助事業がなお現在でも相当ございます。これは、大蔵省といたしましても、過去両三年来そのような補助金の整理をも考えておったわけでございますが、諸般の情勢がございまして、なかなか実現をしないという現況なのであります。この補助金をふやしていくとすると、国、地方を通じて与えられた財源の範囲内においては、どうしても地方一般財源を縮小せざるを得なくなる。そうなると、地方自治体の自主性が失われ、それから補助金をできるだけ切って、地方一般財源へ回して、そこで何とかやっていくという方法考えますと、事業の執行が確保されないというような点と、それから、補助金を切ること自体についても、いろいろな方面からの抵抗がある。この両方の方向をどのように按配していくかということが、補助金の問題を考える場合に当って、私どもとして最も困難を感ずる点なのでございます。従前の大蔵省考え方としましては、やはりできるだけ地方財源の充実ということをはかり、かつまた他面、国の補助金というものは、もちろんどうしても生活保護とか失業対策とか、そういう基幹的な補助金につきましては、これは整理することは考えてありません。これは、地方財源との関係もありまするし、地域的な不均衡というような問題もあるわけであります。しかしながら、できるだけその補助金というものは、こまかい補助金は整理統合いたしまして、これを地方財源に振りかえていくというような方向で問題を考えておるわけでございます。
  38. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 ただいまの補助事業、単独事業との関係、また、補助率の問題等に関連いたしまして、御答弁いただいたわけでありますが、社会保障の関係の給費とか、あるいはまた、失業対策の経費とかいうものは、とにかく地方団体の自主性とか何とかいうことを言う前に、およそ地方行政あるいは政治に関心を持っておるものといたしましては、もう最優先的に今考えておりまする経費であり、また、そうなければならぬ経費があります。かような経費は、要するに地方団体の側から見ますれば、三分の一なりあるいは二分の一、それ以上の国庫の補助のありまする、いわば国の政治の大きな方向に沿うた経費でありまするので、金繰りさえつけば、これはもうどの地方団体にしても、のどから手の出るくらい得たいと思っております経費に実際は相違ないわけであります。形式的な議論といたしましては、補助事業をやめて単独事業をやったのかもしれぬとか、何とでもこれはここで形式上の議論はできるわけでありまするので、さような水かけ論をしておっても仕方がないわけでありまして、私といたしましては、要するに三十二年度において、行政水準の確保ということで、単独事業に対してさえ相当の、百三十億をこえる増額の経費を財政計画上盛り込んでおるわけであります。さような中にありまして、かような大きな国の政治の方向に関しまする社会保障、失対に関する給費が大幅に、地方財政の裏打ちができないという理由で残されておる。そこに非常に大きな問題があるし、行政やり方が適正を得ているかどうかという大きな反省の資料があるのじゃないか、かように思うわけでありまして、その点について、私は、財政部長から現在の交付税の配分その他のことに関して御答弁いただいている趣旨はよくわかるのでありまするけれども、もう一歩、政治的にやはり踏み込んで、この問題の本質といいまするか、持つ意味の重要性、そういう点に関してさらに御工夫を願いたい、こういう趣旨でありますので、希望を申し上げまして、私はこの問題を一応終ります。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 今、大蔵省なり厚生省なりでいろいろ御答弁があったわけですが、補助事業だから補助をするのだと、補助率の問題として、結局国の財政圧迫にならないような観点に立たなければならないといったような筋で御答弁があったように思うのです。そこで、たとえば、結核対策とか、人口対策とか、あるいは国民健康保険の問題とか、生活保護といったような問題は、これは一体、国の事務を地方が委任をされてやっておるのか、それとも地方の固有事務なのか、こういう立場というものをやはり明確にする必要があると思うのです。国が地方に委任をしておいて少くとも今いったような、例にあげた点は、国の委任事務と考えた方が適当だと思う。そういう点までも、これは地方事業であるから、補助率は国の財政的な立場に立ってやるのだという考え方では、これは、国のしわというものを地方財政は全部背負うような形になって、いつまでたったって、健全な、財政計画というのは立っていかない私はこういうふうに考える。そこで、衛生局長は、今言ったような仕事を、一体地方単独の仕事とお考えになりますか、国の仕事地方にさせておるのだとお考えになりますか。こういう点、それから大蔵省には、こういう問題を国の事務であるとか、地方に委任をさしておるようなものまで、一般地方の固有事務と同じように、国単独の考えで一体いろいろ補助率というふうなものを考えていいのか、そこの点に区別はないのか。もう一度申しますと、国の固有事務に対するところの補助率というものと、それから委任事務に対する補助率というものを同等に考えるという考え方でよろしいのか、どうも大蔵省には、そういう考え方が強いようですけれども、この点どうか。その二点をそれぞれの方からお答えいただきたい、これは、政務次官も一つ答えていただきたい。
  40. 相沢英之

    説明員相沢英之君) この生活保護、保健所、結核、法定伝染病、性病、寄生虫及びらい病予防に関する経費、予防接種、精神衛生、その他の経費につきましては、これは、地方財政法の第十条に、このようなことが書いてございますが、「地方公共団体又は地方公共団体の機関が法令に基いて実施しなければならない事務であって、国と地方公共団体相互の利害に関係がある事務のうち、その円滑な運営を期するためには、なお、国が進んで経費を負担する必要がある左の各号の一に掲げるものについては、国が、その経費の全部又は一部を負担する。」このように書いてございます。私ども考えといたしましては、この地方財政法にも書いてございます通り、このような経費は、国、地方相互に利害関係がある事務である。そうして国がその経費を全部または一部負担する、そのように考えております。そこで、その補助率の問題及び国の委任事務と補助事業とについて、補助率をどう考えているかという御質問でございますが、これは、国と地方の利害関係の態様によりましてもちろん補助率に差等はあるわけでございます。たとえて申しますと、生活保護費につきましては十分の八の補取率をとり、それから、失業対策につきましては三分の二の補助率を用いる等、いろいろと補助率のバラエティはありますが、これはやはり、国の持つ利害と地方の利害とがどのようなバランスにあるかというようなことを一つの判断のめどとしまして、考えているわけでございます。それから、国が直接地方に国の事務として委任しているものにつきましては、補助金ではなくて、いわゆる委託費としてこれを出しているわけでありまして、委託費は、建前としまして全額国が見るというような形になっております。
  41. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 国と地方との関係につきましては、ただいま相沢主計官のお答えになった通りでございますが、たとえば結核予防法におきましても、その第二条に「国及び地方公共団体は、」というふうに書いてございますので、やはり相互に義務があるものだというふうに考えるわけでございます。どちらにどういうふうに重きを置くかというような点は、その仕事の内容いかんによってくると、こういうふうに考えております。
  42. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいま大沢委員及び加瀬委員から、非常に地方行政財政の問題と、それから社会保障との関連したような点につきまして、非常に核心にふれた御質問がありまして、それに対しまして、各省の政府委員からもいろいろ御答弁がありまして、私はかなり重大な問題に御審議が進んでいることを知って、大へん難問に逢着したように考えておるのでございますが、率直に言いまして、今から三十年前くらいの地方行政でございますと、こうした問題は、七種類の伝染病が八種類になり、九種類になるというようなことで、地方団体の衛生費なんというものは、伝染病の予防隔離病舎ぐらいに限られておったようなものでございまして、それから見ますと、近代の行政で、公衆衛生とか社会保障とかいうことの需要がこの三十年ばかりの間にものすごい勢いでふえてきまして、しかも、それには一種の社会政策の理念が入ってきているということを、特に昔の時代を回想して考えるのでございますが、また、補助金負担金の類にいたしましても、今から二十四、五年前は、全国の補助金は、義務教育費国庫負担金等文教関係補助金が国全の補助金負担金の九割を占めておったのでございまして、そういうことから見ると、私、長い間の歴史を考えますと、今日の行政形態が昔の府県制、町村制時代と全く変っているということを感ずるのでございます。それで、そのサービスの範囲が非常に広くなったにつきまして、一例を申し上げますれば、結核予防でございましても、ただいま公衆衛生局長から一つ、私も疑問に思って、細部を聞いたのでございますが、最近私の県等におきましても、公立の結核病棟、国立の結核病棟に入院する患者が少い。これは、県の医師会長の説によれば、結核予防法で、被保険の患者に対しましては三分の一国庫負担、三分の一県費負担で、三分の一自己負担だ。で、三分の一の県費負担まではどうにかなりましても、三分の一の自己負担ができなければ、入院ができないわけでございまして、そうした負担割合が種々ございまして、この単なる地方財政の力が足りないということだけのためでなくて、負担ができないために国庫補助の消化ができないことも事実あるのでございます。それからまた、受胎調整等でも、助産婦等を動員したりして、いろいろいたしておりますけれども、それに対する活動を十分刺激し得るだけの経費が果して適当なのかどうか、そういうような点もあるだろうと思いますし、また、保健所が非常に今問題になっておりますけれども、今回も、保健所の経常費の国庫補助の率が上らなかったと思いますが、どういたしましても医者は農村に行きたがらない。それで、あるいは開業準備金、あるいは博士号をとるための研究準備金を蓄積する必要があるので、やはり税引き六、七万円も月給を出さないと、なかなかいなかの診療所等には来てくれない。また、保健所も医師の充足率が少い。で、この前申し上げましたようなことがどうもあるようです。それで、そうしたようなことから、まあ私の県なんかでも、定員の四、五名の保健所に専任のお医者さんが一人というようなこともありまして、これらも今度給費制度のような、貸費制度のようなことでだんだん改善されていくとは思いますが、この社会保障のような諸種の事業は、これは、単に財政問題でなしに、すべての国の行政政策の立て方による点がかなりあると思います。現に、社会福祉貸付金でございましても、民生事業が非常によくいって、また、この社会福祉指導者のよく動いている所でございますと、同じくらいの地方財政の困窮している府県同士の間でも、一つの県ではほとんど全部消化している。その隣の県では消化ができないというような実態もあるのでございまして、そういうことから見ますと、どうも私は、そういう社会保障、社会政策等が地方団体でわれわれが望むように行われますためには、もうちょっと総合的な、一般的な指導が政府にはある必要があるのじゃないか。また同時に、そういう一般的な行政指導機関として、今の府県なりあるいは市町村なりというものに、ことに府県でありますが、そうした機能が十分あるかどうか。そういう点に疑いを持っているわけでございます。  私が六年三カ月ばかり、いなかで市町村長をしておりましたけれども、初めの四カ年くらいは、実際のところ、社会政策とか社会事業とか社会保障とかいうような点は、ほとんどそれらに心を労する前に、まず、あるいは六・三制の整備とか、あるいは水道とか消防とか、そうした、どうも一日も捨ておきがたいものの方にはほとんど心を奪われまして、もちろん、生活保護とかその他の事務は続けているわけでございまするが、積極的な指導的な社会施設というようなものについてはなかなか踏み込めない。たとえば、母子寮を作るとか、あるいは保育所を増設するとか、あるいは結核の病棟を公立病院にふやすとかいうようなことまでなかなか進めないというのが実態のようでありまして、実際、現在の地方財政計画や、地方交付金制度ですべての国の出先の行政が完全に行われるというような形の、そういうふうな考えはまだまだ持ってないのでございまして、それであるからこそ、地方財政を国の御協力によって、ますます強化していただいて、国の末端においての行政がその実を上げ得るように御協力をお願いしたいのでございます。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 今、政務次官の最後のお話のように、もろもろの制度をもろもろの法律をもってしても、結局末端の地方行政というものは完全にはいっておらないのだ。そこだけは間違いなくその通りだと思います。で、いろいろ大蔵省なり厚生省なりが御説明なさいましたように、委託費に対しては、全額の補助金を出すのだ、それぞれの補助率に対して、十分の八とか三分の二とか三分の一とか、法律にきまっている通りやっているのだから、できないはずはないのだという前提の御答弁なんですがね。できないことは、先ほど大沢委員成瀬委員の指摘しておる通り、現実において繰越額になったり、残額になっておるのですから、資本金の能率の上っておらないことは事実です。現実の地方財政というのは、義務的経費にほとんど取られてしまって、多くの方が指摘しておりますように、独自の民生行政といっても、独自の民生行政なんかできる幅というものは、非常に狭められていると思うのです。そういう中で、そういう地方財政の現状において、たとえば、山口さんの御担当の結核対策とか、あるいは厚生省全体の健康保険の問題とか、あるいは生活保護の問題とか、これは、国の一つの政策でもあり、社会保障という大きな立場から言っても、国の事務としての方が傾向としては強い。そういうことをやろうといっても、このまま捨てておいてはできない。そこで、一体どうするのだということも私の質問なんです。地方に何分の一かの責任があるのだから、地方が何分の一か責任をとれ、できないのは国だけのことではなくて、地方が責任があると言っておってはできないじゃないか。そこで、こういう国の事務的な傾向の強いものには、もっと補助金を増すとか、補助率を上げるとかいう形をとらなければ、行政的な進捗というものはできないのじゃないか、こういう問題を一体どう考えるかということなんです。大蔵省も、まるで人ごとのようなことを言ってないで、現状の地方財政というものは御承知通りです。そこで、補助率が十分の八にきまっていますの、三分の二にきまっていますのと言っていないで、きまっておってできないというこの現状をどうするのだということを、もう少し考えなければならない。そこで、今いったように、少くも厚生省の直轄の仕事などというものが、これは国の事務という方の傾向が強いから、こういうのが最低限できるように補助率を上げるなり、あるいは委託費を増すなりという形を一体とるというお考えはないか、こういうことなんです、伺いたいのは。
  44. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 先ほど、相澤主計官もお答えになりましたように、こういう公衆衛生の仕事、結核予防、性病予防、いろいろございますが、新しく制定されました、むかしの伝染病予防法なんかには入っておりませんが、そういうことを具体化されました法律の中には、国及び自治団体双方に責任があるということは書いてございますが、先ほど申し上げましたように、結核予防あるいは保健所というような問題で、国庫補助率が低い。ことに保健所なんかは、低いために、地方で予算化が十分行われない。従って、国の意図しますような行政が十分浸透できないというようなことを先ほど申し上げたわけでございます。それが一つの原因であるということを申し上げたわけでございます。従って、私どもとしては、地方財政状況を緩和し、また、先ほど相沢主計官も言われました通り、国の財政全体の問題もございますが、これらの行政を浸透さして、国の意思を、もっと社会保障の線を突き進めていくというようなことをやって参りますためには、私どもとしましては、現在の補助率を上げて、地方が予算化しやすいように持っていきたいという気持で従来も努力して参りましたし、今後もその線に沿って、大蔵当局と相談して参りたいと思っております。もちろん、国全体の財政の問題は、先ほど主計官からお答えになった通りだと思います。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 教育関係の問題で、ちょっとお尋ねしたいのですが、実は、町村合併促進に基いて、町村合併が施行されたのです。そこで、一番問題になりますのは、教員の地域給というのが非常に問題なんです。同一行政区域によって、まあたとえば、五級地のところへ零級地がきた、そうすると二割のアンバランスがある。それが地方自治法の改正によって、法定外の諸手当の支給は禁止されている、こういうことになっておる。何か、片方ではそういうことになっておって、私どもは、特別交付税の交付で、自治庁の方では何か今度の問題について、少しはここらあたりに、何と申しますか、あやをつけてやられるのかと思って、実は期待しておった。そしたら、知事あてに、厳守せよというような通達が出ている。特別交付税の問題もあるのですから、こういう問題についてどうするかというようなことは、少し文部省自治庁で話し合ってもらわなければ、教員の異動だってできない。そういうことについて、文部省並びに自治庁はどういうふうに考えているか、お答え願いたい。
  46. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今の問題では、結局勤務地手当の問題で、勤務地手当が、同一行政区画内において級地が違うことがあり得る。こういう問題、それは、合併の問題で特にそれが目立ってきたという問題だろうと思います。これはもう、根本的には、勤務地手当をどうするかという問題でありまして、必ずしも合併だけの問題じゃないのでありまして、合併の前からでも、たとえば京都にも敵地の違うところがある。大都市なら当然あるのです。同じ行政区画単位に勤務地手当をきめるということには現在法律がなっておりません。それぞれの場所の実態によってきめるという仕組みに実はなっておりまして、その元をどうしても私は変えてもらわなければならないと思うのでございます。それがまあ勤務地手当の制度を改正するという根本問題にからんでおるのだと思いますが、その元を変えずに、あとは適当にというわけには、これは私は参らないのでございます。当然勤務地手当は法律にきまっておる通りによって支給せざるを得ない。それに準じて市町村、府県も、これはあんばいせざるを得ないのでありまして、それを無視してやるわけにはこれはできません。特に今御指摘の問題は、小中学校の教員の問題であると思いますが、小中学校の教員は、これは府県が負担すべきものでございまして、市町村はそれについての給与費を持つべき筋合いではございません。でございますから、これはやはり負担関係というものは明瞭にしておく必要がある。元が悪いからといって、現地で適当にやれと、こういうことは私は指導すべきものでもなし、そういうことをなおざりにしておくべきものでないのでございまして、そういう問題があれば、根本はすみやかに是正するという方向で事を考えなければならない、こういうふうに存じておるのでございまして、そういう方向に、ぜひ問題を合理的に解決するように、国会の方でも御協力をお願いしておきたいと、私はむしろそういうふうに考えておるのでございます。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 関連して。町村合併促進法が通るときに、付帯決議か何かで、地域給の問題を解決しなければならないということがついておったはずなんです。その後、これは特に今、成瀬委員の御指摘のように、教職員の異動などでは一番異動を不円滑化している原因なんです。町村合併促進法ができてからもう数年になるのですが、その後、自治庁は人事院等とどういうふうに地域給の、促進法の当時に考えられた問題になっておった問題の処理を進捗さしておるか、今までの経過について一つお話をいた、だきたい。
  48. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今お話通りでございまして、われわれも最小限度勤務地手当を根本的にどうするかという問題が一つ。それと共に、勤務地手当制度がかりにあるとしても、それは少くとも行政区画単位できめてもらいたい。従来からそれは同一行政区画とか、かわりなくきめておりますが、そのプリンシプルを変えてもらいたいというのが、自治庁としての基本的な考え方でございまして、人事院ももちろんその趣旨をよく承知しておりますが、人事院以上に、これはまあ給与制度をどう変えるかという問題で、大蔵省あるいは給与担当の関係の方にも、その点はよく申し入れてあるわけでございまして、それで、今勤務地制度の問題をどうするかという問題は、御承知のように、政府の方でも関係官庁あたりと今慎重に鋭意御研究中でございまして、私はまあその機会に根本問題は合理的に解決するとともに、最小限度今の行政区画の問題も何とか合理的に解決してもらいたいということを強く希望いたしておるのでございます。ただ、これを一度にやるというと相当な資金が要るのでございます。そこで、その金の問題が常にこれはからんできておりまして、どうせ勤務地手当制度合理的に解決しようとすると、現にもらっておるものをなかなか削るわけにいかぬ。そうすると、もらっておらぬものを上の方に上げるほかにしょうがない、こういうことになれば結局財源の問題とからんでくる。こういうことで、この問題の解決はなかなか言うほど簡単ではないのでございます。しかし、これは一度にできなくても、少くとも順次にそういう方向に早く解決して行くことを考えなければ、この問題は永久に残る問題でございますから、そういう方向で、われわれとしてはわれわれの趣旨がいれられるようにいろいろ折衝いたしておるのでございますが、まだ政府としては最終の結論に到達していないというのが現状でございます。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 文部省はどうした……。
  50. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 勤務地給の問題が教職員の人事異動に非常な支障を来たしておるという点は御指摘の通りでございまして、特に町村合併が進捗いたしました現状におきましては、その問題が特に顕著になっておるようでございます。文部省はそういう点にかんがみまして、昨秋来、大蔵省、人事院、自治庁、内閣の公務員制度調査室に対しまして、勤務地給制度合理化について、すみやかに適当な措置をとっていただくようにお願いをして参っております。今、財政部長からお答えがありましたように、まだ最終的な結論には到達していないようでございます。  それから御指摘の点は、地方自治法の二百四条の二の改正に基きまして、いわゆる法定外給与が禁止されたということに関連する問題かと思いますが、この条項の運用につきましては、文部省といたしましては、経過的に若干の緩和措置を講じていただくように、従来から自治庁にお願いをいたしております。これに対する自治庁のお答えが、今、財政部長がおっしゃいましたように、勤務地給制度の根本的な解決に待ちたいということでございまして、文部省としましては、そういう経過的な緩和措置を講じていただきたいということで自治庁にお願いをしておる現状でございます。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 なるほど人事院が行政区画単位でなくて、同一行政区の中にも一つの段階の差はある。ところが今度町村合併をやったら最大四つ違うのです、ゼロから最高の五まで。そういうことができたから非常に私は心配しておるわけです。ただこれが規則の問題だからやむを得ぬという突っ放し方の答弁は私はないと思う。実際Aという一村でですよ、一学校しかない、学校が。それがたとえば名古屋のような大都市に合併をしたとする、ここから一人の人がこっちにくれば二割の増俸になる、ところがこっちからこっちに一人行くということは二割の減俸になるのですよ。そういうものに対して、法律がこうだから、それは君の方で厳格にやれと言ったってやりようがない。以前みたいに五分の違いだといったら、なおほかにいろいろな緩和の仕方があると思う。たとえば教員住宅で見るとか、いろいろ見方があったと思うけれども、そういうふうにあまりにも較差が大きい。そこでそれに対して、法律はこうだという、それからこの予算編成についての依命によるところの通達を出されるなんて、厳重にやれなんてこれじゃどうにもしょうがない。しかも前文がふるっている。「小、中学校間の教員の配置転換をも考慮し」と書いてある。何もできないですよ、矛盾があると思う。こういうものに対して、突っぱねた答弁じゃなくて、もう少し幅のあると申しますか、たとえば経過的にそういうものを見てやるというやうな努力が私はされてしかるべきだと思う。法律は冷厳なものだから、これはこういうふうにきまったものだからやれ、そんなことならだれでもやれる、部長要らぬですよ。
  52. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この通牒の問題は、それは今お話しのような点があろうと思います。小中学校間の教員の配置転換を書いたのは、実は前段の方にかかるのであって、小学校と中学校と児童生徒の増減がありますから、そういう場合に、それぞれ資格のある者は、中学校が減るからといってすぐどうこうというよりも、小学校の方に配置転換できるものなら考えてもらいたい、そういう趣旨を書いたものでございまして、今の問題に直接触れておるつもりじゃございません。ただ後段はまさしくその通りでございまして、自治法の改正によって法定以外の給与を出した、この問題は小中学校だけの問題じゃない、全部の給与関係の問題でございまして、たとえば議員によく退職手当を出すという問題がありますのも、当然にそういうものは出しちゃいかぬぞ、自治法の趣旨に従って十分にやるべきことを留意を求めておるのでございます。今の勤務地手当の問題は、それはおっしゃる通りでございます。私は現在がいいとは一つも思っておりません。すみやかに改正を要する問題だと存じております。しかしそれは理屈を言えば従来通りであって、従来より悪くなるわけじゃございません。悪くすることはもちろんするわけにもいきませんので、悪くなるわけじゃない。さりながら、放っておいていいかと言えば放っておけない。しかもこれは教員だけの問題じゃないのでございまして、一切の国家公務員、地方公務員のこれらは全体の問題で、全体の問題について勤務地手当の問題ということをこれは考えなければいかぬことでございます。それでございますから、これは勤務地手当制度そのものが不合理があるのだから、それを是正するためにわれわれとしてはあらゆる努力を払っておるのでございます。これはわれわれといたしましては、その法律の運用を、元を変えるべきものは元を変える、それは元がそうである限りは、それに従って運用することは、これは考えるのが当然でございまして、法律に違反するように考えろという含みを持つようなことは、もちろんするべきことじゃないと思います。でございますから、せっかく勤務地手当の元を一つ、今がチャンスでございまして、やっぱりこれは今度のようなある程度ベース・アップが可能である、それでも十分なベース・アップかという議論はいろいろありましょうが、こういう機会にやっぱり一つ勤務地手当の改正の一歩を踏み出すということが必要だと思っております。(「政府はやらないと言っているじゃないか」と呼ぶ者あり)そういうふうに政府としては考えてもらいたい。これは自治庁がきめるわけじゃございませんので、私一人おしかりを受けましても何ともしょうがございませんので、われわれといたしましては、できるだけやるように努力をいたしますから、お許しを願いたいのでございます。
  53. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はそういう法律違反をやれということじゃないのですよ。特別交付税で、たとえば退職者の問題なんかたくさん出た場合には、若干みるのでしょう、あなたの方は。だから、そういうことができるようなら、勤務地手当、非常に今言ったように違っているようなものは、若干見たって差しつかえないじゃないか、こういうことを言っておる。行政でやれるじゃないか、それを法律はこうだといったって、そういうふうなことなら何でもやれる、こういうことなら。ですから私は血の通う政治は……、それはこのように地域給は根本的な問題だから、地域給の改訂をやらなければならぬことは私はわかる。ところが特別交付金がある。しかもそれにはこれをみると、今度のときには、退職手当が多額にですよ、余分に出過ぎたから、その一割たけはちょっと見てやろうというようなことが書いてある。そういうような見方をしたら、実際片一方では町村合併というものが、あなたの方が中心になって進めておる、そういう趣旨を生かすものじゃないか、こう言っておるわけです。そんなことはできぬはずはないじゃありませんか。
  54. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 特別交付税の問題は、合併に伴っていろいろな経費が要る場合にはこれはもちろん見ております。その他今の大都市が要る金があるとしますれば、もちろん見ております。それはもちろん財源は、必要なものには見るということで、これは私の方として、運用で、財政部長だけじゃもちろんできませんが、私の考えをある程度入れて運用できまずから、やれるものはやれます。ところが元は、そもそもそういう法定以外の手当をやれるかやれぬか、やっていいか悪いかという問題は……(「それはわかっている」と呼ぶ者あり)ですから、そこの問題は、そこの筋が通るように一つ解決をさしていただきたい。またその方向一つ御協力をお願いいたしたい。こういうふうに存じておるわけでございまして、その点だけを一つお願いいたすところでございます。
  55. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 文部省の方もそんな弱腰じゃいかぬと思う。三年かかって経過措置も何もとれぬ、とにかくこんなあほうなことはないと思う。ですから何とか一つこじつけて、そうして三年も一つの学校に固定して先生がかわれぬということは、教育を阻害するものなんですよ、実際。そういう点については、なるほど法律は法律、しかしこれがどれだけ教育にマイナスになっているかということも、片一方では何とか考えてもらわなくちゃいかぬと思う。この四月からもうすでに人事移動が行われるわけなんです。それに間に合うような方途というものを考えてもらいたい。
  56. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 大体私がお答え申し上げることは、先ほど申し上げたことに尽きているわけでございますが、文部省としても問題が重大な問題でございますので、できるだけの努力は続けたい、こう考えております。
  57. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次官にお伺いしますが、これはけしからんですよ、この通達は。そこで一つ、私はどれだけ悪いものかということを、ちょっとあなたの方にはその実例がないからおわかりにくいかもしれませんが、名古屋市の例をとりますと、名古屋市は最高の二割をもらっているのです。合併した一つの町村がゼロなんです。しかもこれは一村一校というような例がある。そうすると、教員も全然異動がきかないのです。非常に悪いことだと思います。ですからこれに対して、たとえば校長も何とかしなくちゃならぬ。あるいは教頭の問題、人事の問題でも、何とかしなくちゃならぬと言っても、それは固定してどうにもしようがない。そこでこの通達は、一度、大臣等とよく御相談願って、一つ検討してもらえるのかどうか。もうこれは出してしまったのだから、しようがないのか、その用意があるのかどうか、その御答弁を願います。
  58. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 時間の関係がありますで、なるべく簡潔にお願いします。  なおまた、建設省の富樫道路局長厚生省の伊部保険課長、尾崎保護課長も出席しておられますので、これらの関係質問をこの際簡潔に済まして、午前の委員会を終りたいと思いますから、その分も願います。
  59. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) 成瀬委員の御質問にお答えいたしますが、先ほど地方自治法の改正によりまして、給与が法定のもの以外は出せないことになったということは、従来、地方団体が諸種の名義でいろいろな支出をして実害があったことは御承知通りであります。それをためるために、行き過ぎがあったかというような傾向も考えられ得ることでございまして、しかしながら、過度的にはある程度厳重にこういうふうな改正をしておくことが意義があったのじゃないかと思いますが、私も長くなるから簡単に申しますけれども地域給の場合でございましたら、合併もしなかりしとせば、あるいは五級地あるいは無級地というようなことになる。それよりもっとひどいのは、合併してどうしても役場の職員が出張所の方に非常な人数になって、本庁へ行くとすると、その交通手当を出そうと思っても、今のこの地方自治法の改正でできなくなっちゃったのです。それほどまでの不合理な点もある。いろいろ私たちも実際に当って研究いたしておりますが、それで私も非常にたくさんの町や村を、十数ヵ町村を私の郷里の市と合併したのでひどくそれを痛感しているわけでありまして、そんなことも事務当局と研究しておったのです。交通費だけの問題でもですね。しかしながら、町村が一体化意識を特に持って、新町村を建設する必要にかんがみまして、地域給について、同一市町村になったところについて、できるだけ地域給を均等させることは、これは当然であります。で、これは今の勤務地手当の法律改正につきましては、自治庁としても十分政府に発言いたしてありますから、できるだけ早い機会に実現するようにいたしたいと、こう考えております。ただそれまで待ち切れないで、地方自治法の法定経費しか出せないというこの規定を破って、しかも県の教員の待遇は県費支出であるのに、市町村支出にするということだけは、やはり小林財政部長と同じように、現行法ではできないのじゃないか、そう考えております。
  60. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いやいや、あの法律がそうなっていることはよくわかるのですよ。ところが市は若干出してもいいと、こういう気持はあるのです、実際問題として。だから私は加藤君が先ほど言ったように町村合併促進法を決議したときの趣旨というものを体されて……。
  61. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) それはもうわかっております。
  62. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 人事院に働きかけるとか、内閣にお働きかけになることは、それはそれとして、別途自治庁内において、運用において若干そこが緩和されるような用意があるかないかということを言っているわけです。それより、ここに出されたものをいま一度検討される用意があるかないか、だから、あるかないかだけでいいのですよ。
  63. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) この二百四条、この規定に違反することになるわけですから、市町村で出しますと、特別交付金というのは歳入の問題でございまして、歳出の問題になりますと、この地方自治法なり、地方財政法なりで支出することになるわけでございまして……。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 関連。法律に違反する、地方自治法に違反するということを非常に言いますが、それならば、結局枝葉末節と言っちゃ悪いけれども、枝葉の法律に違反するということよりも、大きな憲法に違反するという措置になりかねないということを、まず政府に御反省していただかなければならないと思う。というのは、主として教育を受ける権利というものは憲法で保障されている。ところが義務教育に階段がついてしまって、地域給というものの一つ措置を誤まったがために、優秀な教員に指導されるものもできれば、そうでない教員に指導される向きもできるという傾向を生ずるのは、これは主として教育を受ける権利というものを、対象になっている地域は侵害されるわけです。そういう立場から考えて、憲法違反にならないような措置というものを当然考えられるということも、そういう法律を作る経過措置として、あるいは法律を作ったときの、何か施行上のいろいろな細則か何かの形で、便法というものを講じておくというのが当然だと私は思うのですよ。しかも、合併促進法を、先ほど申し上げましたように、きめたときにも、この問題は至急解決しなければならないということになっておったのです。それをですよ、今度の給与改正のときには解決できるだろう、給与改正が地域給の問題を取り上げないといったようなことになると、またできない、できなければ、またその次の給与改正ということになって、いつまでたっても解決つかない、こういうことになると思うのですよ。ですから、もっと根本的な法律をよく守るということを先に考えていただかなくては、自分たちの便宜的に作ったようなものを一番最高の法律のように考えておっては、これは迷惑する幅が非常に広くなるのですよ、そういう点、これは成瀬委員の指摘のように、至急何らかの措置を具体的に講ずるような御研究を願いたいと思います。
  65. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) 将来、給与法その他の立法に際しまして、ただいまの御趣旨を十分に考えまして立案いたすようにしたい、こう考えております。
  66. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  67. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記をつけて。
  68. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はちょっとガソリン税のことで……。これは道路五カ年計画というのをずっとやっておると思います。そしてそれについて地方に譲与税があるわけですが、巷間伝えられるところによると、その金が地方において道路に償却されずに、他の流用されておるというようなことをしばしば伺うわけなんです。ですからそこでお尋ねしたい点は、そういうことがあるのかないのか。もう一つは、あなたの方が計画されたものが大体収支見合うて、そういうことでなくて順調に、大体計画通り行っておるのか、それとも計画を上回ったような形で進捗しておるのか、そうした点についてお答え願いたいと思います。
  69. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 地方道路税が道路に使われておられないようなうわさがあるというお話でございましたが、この点に関しまして私どもの方も調査いたしましたが、府県の実施しております道路事業は国が補助しておる道路事業よりも上回っております。そういうことから参りまして、地方道路税は道路に使われておると確信いたしております。  それから道路整備五カ年計画を実施いたしておりますが、これは計画通り行っております。ことに三十二年度におきましては道路整備費に二百億ふやしてもらいましたので、五カ年計画は計画通り実施されることになっております。それからこの五カ年計画は、国が補助し、または負担してやる事業について計画いたしておりますが、このほかに県単独の事業があるわけでございます。従いまして、県単独の事業を合わせて考えますと、計画以上に仕事がなされておるといって差しつかえないと思います。
  70. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 お聞きしますと、非常に道路が計画以上に伸びておる、非常にけっこうなことですが、その伸びておる根本的な理由は、何でどういうふうで伸びておりますか、それは県単も含めて一つ。県単の方を一つ財政部長の方からも御答弁を願いたいと思います。
  71. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 関連して。今、局長の言われたようなことはあるでしょうが、しかしそういうことは個々の府県なり、市町村地方財政がノルマルな状態に言えることで、なるほど地方道路税でやったやつはやるでしょうが、県で組んでおったやつをはずしてしまってプラスというふうになりますか。それは私は財政状態がノルマルな場合においてのみ言えることで、やはりバスやトラックをやっておる人がぶち込んだって、またガソリン税を払ったって、やはり府県の財政が赤字なら、なるほどそれはやるだろうが、これまでのやつをどこかにやってしまったり、だから私は今、局長の言われたようなこと、成瀬さんの言われたような問題は、地方財政がノルマルな状態にはそういうことは言えるが、非常に窮迫したところは、なかなかプラス・アルファにならぬじゃないかと思いますが、その点どうですか。
  72. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 先ほど五カ年計画は計画通り実施されておることを申し上げたのでございますが、これは全般的に申し上げて、そうなるわけでございます。なお五カ年計画のほかに、県は県の単独の事業も実施されているわけでありますが、この県単独の事業は府県によりまして差等がございます。財政状態の悪いところはそれだけ県単が伸びないということは言えると思います。
  73. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の質問した伸びた理由は、どういう理由ですか。
  74. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 五カ年計画が計画通り実施されております理由は、計画通り財源が充てられたということになります。
  75. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 伸びているのは……。
  76. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) それから伸びていると先ほど申し上げましたが、県単独の事業を合わせて考えますと、五カ年計画のほかに県単独の事業がありますから、その面で道路計画は伸びている、こう申し上げたのであります。
  77. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは要するに五カ年計画が計画通り進んでおる。そのほかにある程度の道路事業が行われておる、こういうだけでございまして、それなら道路がとたんによくなりつつあるかと言えば、まああるところもある、これは明瞭でございます。その比較の話だけの問題だろうと思います。この趣旨は、やはり道路譲与税なり、ガソリン税などができまして、道路財源が最近目的税として相当増強された。これが道路事業を国の計画通り進めて、なお多少ゆとりがあるゆえんだろうと思います。しかしそのゆとりが、今申しましたような五カ年計画だけが道路事業ではないのでありまして、これは道路の整備計画のほんの一部分にすぎませんから、道路費としては、われわれはまだまだやはり考えなければならぬ問題があるだろう、こういうふうに考えております。
  78. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 やはりわれわれが陳情を受ける際に、バスやトラックの業者の人は、それは自分らの納めた税金がそのまま使われて道路がよくなるのだから、はね返ってくるから、まだ忍ぶべきだ。しかし今のような情勢なら、やはりこれまでの既定の、府県なり市町村で使っている公共事業費の中の道路費にプラス、ガソリン税、道路譲与税に行くかどうかという問題なんです。それはやはり背に腹はかえられぬと、その辺直感的に業者が感じていることは私はあるのだと思うのですが、それはやはり地方財政がノルマルな状態で私は局長さんの言われることはあるのじゃないかと思うのですが。
  79. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) お話通りだろうと思います。それで地方道路税、軽油引取税ができて、従来道路に充てておったものはそのままにして、その上に道路税がプラスになったかと言いますと、それはそうなっておらぬのであります。
  80. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ほかの問題ですが、地方財政計画の審議もだいぶ進んでいるのですが、私予算委員を兼ねているものですから……。地方財政状況報告はいつ出るのでしょう。地方財政法の三十条の二にはなっているのですが、これはもう少し早く出していただいて、やはりいろいろな自治庁関係の法案が妥当だかどうかということをやるにはこれが必要なんですが、いつごろ出ますか。
  81. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お尋ねの地方財政状況報告は今印刷中です。多分きょうできるはずの予定になっております。それでまだこぬので実は待っておるのですが、それが一つ。もう一つ中田先生のおっしゃいますのは、交付税法の七条に基く書類がございますですね。これはこの金曜日に閣議にかけて出そう、これはまあ各費目ごとの相当こまかいものです。それと従来概況報告というのを別に出しておりますから、それはできましたらきょう中にお配りいたしたいと思います。
  82. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私古いやつを出して見ると、いつも三月のしまいころになっているのですがね。もう四月一日からいろいろな地方関係の税法その他を施行せねばならぬのに、やはり決算は五月で出納閉鎖で、それを元にしてやられるのですから、もう少し審議に非常に役に立つように早く出してもらいたいと思うのですが、あれはどうなんですか。三月の早くて五日ごろ、大てい下旬に出ているのですがね。これはどうなんですか、規定があるのですか。
  83. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまことに申しわけないのですが、これは結局来年度の見込みですから、来年度の問題が逐次きまらぬというとできぬものですから。それでことしは非常におくれたのは事実でございます。それは国の予算がきまり、税が全部きまり、財政計画がきまり、それからやっておるものですから、非常にわれわれも申しわけなく存じております。全くそれ以外には他意ございませんのです。
  84. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 きょうできるのですか。
  85. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) きょうできますのは、地方財政状況報告というのをいつも印刷しております。これがもう印刷局で印刷でき上るはずでございます。これはすぐお配りいたします。
  86. 加瀬完

    加瀬完君 自治庁建設省一つずつ伺います。部長から詳しい説明がありましたように、道路、橋梁の補修費という新らしい項目をとりまして、たしか八十億くらいを、財政計画によりますと見積っておるようです。同じく財政計画でガソリン税あるいは軽油引取税というものを見ますと、六十億くらいしかならない、差の二十億というものはこれは地方の純然たる持ち出し分という形になるのですけれども、そこでガソリン税、軽油引取税というものが、あるいは修正されてもっと少くなってくると、地方持ち出し分というのがふえてくる。そうなってくるとなかなか初めの計画のように進捗しないじゃないか、こういう点を自治庁一つ。それから建設省に、えげつない話ですが、あなたの方の高官が、国道のみにとどまらないで、府県道に至るまで、ここは何千メートル舗装をしてやる、幾ら幾らわしが予算をとってやるというようなことを盛んに放言をしておる事実がある。特に道路、橋梁の補修費なんというものは、見方によってはえげつない取扱い方をされると、何か選挙の培養の機関に使われがちなことを私どもは警戒しなければならない。しかもあなたの方の高官がそういう放言をしているということは、これは許しがたいことだと思う。こういう点あなた方はどういう対策を前もってなさっておられるのか、まるで個人が道路を直すような放言をするというのはけしからん話だと思う。しかも予算がきまらないうちに、しかも管轄でもない府県道などに対して……こういうことは厳に一つ注意をしていただきたい。
  87. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今度の財政計画で道路関係の経費がふえましたのは、そういう道路財源も充実する、こういう前提が基本的にあるからで、それ以外の一般財源の伸びもございまして、その部分も道路関係のふえ方が足らぬから回したというのも事実でございます。それで今後この計画通りに道路財源がかりに入らぬということになれば、もう財政計画を縮小せざるを得ない、それだけ仕事をやらぬ、こういう結論にならざるを得ないと思います。
  88. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 道路の改良なり、橋梁の改築なりは五カ年計画に基いてやっております。それで五カ年計画そのものは閣議決定をしておりますが、これは事業量をきめただけのものであります。ただその内訳につきましては、各県と打ち合せいたしまして、五ヵにわたりまして個所だけこちらの方で検討しておるわけであります。先ほどのお話のようなことがあるといたしますと、まことに申しわけないわけで、厳に注意いたさなければなりませんが、私ども事業の進め方といたしましては、五カ年計画に基きまして、それの計画でやっておるわけでございますが、先ほどのお話のような点は厳重に注意いたしたいと考えております。
  89. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 車が大型化したということと、それからスピードを相当出さなければいけないというのとで、今度何か幅等を相当広げるとか、あるいはコンクリート並びにそういうものの下の固め方ですね、そういうようなことについてもあなたはお考えになっておって、お聞きすれば、確かに事業量を、金だけを決定しただけの問題であるから、質の問題で量の問題じゃないということをおっしゃるかもしれませんが、もしそういうことになれば、私は相当、量が実際交ってくると、こう思うわけですが、やはり五カ年計画等をそういうようなことでやって行きますと、若干変ってくるのじゃないかと思いますが、どんな今傾向にあるかお答え願えばけっこうと思います。
  90. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 今お話のように自動車が非常に大型化して参っております。ただ自動車の大きさにつきましては、道路運送車両法の保安基準で最大をきめておりまして、これ以上に出ている自動車はないわけであります。道路はその自動車で設計いたしておるわけでございますが、しかし通る自動車のうち大型が多くなれば、それだけ道路の負担が多くなるわけでありまして、丈夫なものを作って行かなければならぬわけであります。お話のようにだんだんに大きな自動車がふえて参りましたので、先にきめた五カ年計画の量は、先に考え財源では実施いたしにくくなっております。本年で三年を過ぎたわけでございますが、この五カ年計画につきましては、残る二年につきましては検討いたして改訂いたさなければなるまいかと考えておりますが、また別に、この五カ年計画のような規模ではとうてい間に合いませんので、もっと長期的な計画、大きな規模の計画を立てなければならぬかと存じます。ただいまそれについて建設省において検討中でございます。
  91. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そういうふうに、片一方ではりっぱな道路ができるということが一つですね。ところが貧弱町村へ行きますと、実際トラックが制限されておるというような実情の橋梁がある、それに見合うようなまた道路が非常にアンバランスになっておる。実際道路は、通ったらそれがどこまでも通って行かなければならないのに、ふん詰まり的な道路が日本の大体実情だと思うのです。そういうことに対して、あなたの方はどういうふうにお考えになるのでしょうか。また、そうしたものを打破する方途というものがなければならないと思う。特にまた貧弱町村においては大へんなことだから、そういうようなことに対してはどういうふうにしようとしておられるのか、お伺いしたい。
  92. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 日本の道路の状態につきましてはお話しの通りであります。ただ限られた財源で実施いたしますので、実施の方法といたしましては、やはり幹線に重点を置いて、ここ十年くらいには完成したいという考えで進んでおるわけでございます。その他の地方道につきましても、地方的な幹線を先に直そう、こういう考えで進めておりますが、お話に出ましたような、木橋が荷重を制限しておるというようなことになりますと、その点で自動車の大きさが支配されるわけでございますので、橋梁につきましては、できるだけ早く木橋を永久橋にかけかえて行きたい、こういう趣旨で計画を立てております。
  93. 占部秀男

    占部秀男君 あとから来てこういうことを申しては悪いのですが、この前も加瀬君からお話があって、地方財政計画に関する件を早く上げたいと、こういうお話があった。それでわれわれは毎日やってきているのですが、予算委員会がある、予算委員会があるからといって大臣がちっとも出てこない、大臣に聞きたいと思ってうんと聞くものを持っているのだけれども、発言もせずにのんべんだらりとしているのですが、この点は自治庁に……どっちにウェートを瞬くのか、私は自治庁考え方だと思うんですが、どうも少しけしからぬと考えておるんです。これは初めての委員だからそういうことを思うのかもしれませんが、この次は大臣出るんでしょうな、これはどうなんですか、出ないならば、のんべんだらりとして、こんなことをやっていたんでは仕方がないんですね。従ってもう休むなら休むで、大臣がくるまで休むとか、はっきりとしてもらわぬと、何だかぬるま湯に入っているようで、どうにもならぬというのが実情なんです。
  94. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) 本日は大臣が予算委員会と、それから衆議院の地方行政委員会で特に大臣の出席を求められまして、合併問題で……どうにもならないので、私が代理に出たわけでありまして、できるだけこの次からは大臣が出てくるよう取り計らうようにいたします。
  95. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本日は質疑の進行上大へん時間がおくれて恐縮でございます。これにて散会いたします。    午後一時十二分散会