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1957-03-14 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十四日(木曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君    委員            伊能繁次郎君            小柳 牧衞君            安井  謙君            吉江 勝保君            占部 秀男君            久保  等君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            成瀬 幡治君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁財政部長 小林與三次君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君    大蔵省主計局主    計官      相沢 英之君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (昭和三十二年度地方財政計画に関  する件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  前回に引き続き、昭和三十二年度地方財政計画に関する件を議題として質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  3. 加瀬完

    加瀬完君 大臣が参ります前に、財政部長に、技術的といいますか、事務的といいますか、こまかい点を数点伺いたいと思います。  これは、まあ大臣が来られなければということになりそうですけれども、結局自治庁では、特に再建計画を施行してみて、幾つかの、再建計画によりましては、通常な行政には支障を来たすという、たとえば、最低行政水準を割る、あるいは計画の内容に無理がある、あるいはまた、赤字は一応とまったけれども、事業を圧縮しての赤字のとめ方であって、根本的な問題の解決にはならないといったような点を、自治庁みずからが指摘をしておるわけでありまして、これらの点につきまして、三十二年度財政計画は考慮されなければならないといったような御見解も御発表になっておられるわけでありますが、今度のこの財政計画を見ますと、確かに投資的経費などについては、これは、国の予算公共事業費がふえた関係がありまして、一応ふくらんでおるわけでありますが、再建法の適用によりまして、一番極度に圧縮をされたのは消費的経費、特に給与費という形になっておるわけでありますが、これは、昇給昇格の停止とか、あるいは定員削減とか、いろいろの問題が起っておったわけであります。こういう点については、若干の手直しというものは考えたのか、それとも、給与関係については、再建計画をそのまま推進させるという建前でいっているのか、この点はどちらですか、
  4. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今の再建団体状況をいろいろお話がありましたが、これは、われわれもそういうふうな感じを持っている面が多いのでございます。それで、個々再建団体再建計画の問題と、全体の地方団体財政計画の問題とは、多少、直接関係のある部分とない部分とございまして、結局再建団体がそういう苦労をしなければならぬのは、一面には、過去に大きな赤字をかかえているという面もありますが、いま一つは、地方団体全体が必ずしも十分な財源が与えられていない、そういう問題がありまして、結局再建計画も非常に無理な計画をしておる。特に三十二年度以降などは、一応は計画上は昇給をみないとか、公債費の累増がずっとあるものだから、そのはね返りで事業を押えたり、その他の経費をずいぶん押えて、形だけはつじつまは合っておりますが、その通り、文字通りその計画をやれるかといえば、私は、もうとてもできない計画の方が率直に申して多いのでございます。それでございますから、そのために、それを解消するためにはどうするかといえば、結局地方団体全体についての財源をいかにするなり、問題になっている公債費についての手当をするなりしなければ、これは処置なしでございまして、そういう意味から申しますというと、三十二年度財政計画は、従来から見れば、まあともかく一千億も全体としてふえておりますから、非常なゆとりを持つことができるだろうと思うのでございます。それでまた、現に個々団体から計画変更の相談がございます。また、三十二年度の問題は、本格的には給与予算経費もきまりませんし、その他まだ本ぎまりに国の施策がきまっておりませんから、本ぎまりの計画変更はどこの県も持ってきておりません。それでございますから、本ぎまりになれば、どの県ももう一ぺん計画変更をやって、おそらくはベースアップの問題とか、昇給問題その他もはっきり組む計画を変えるだろうと思うのでございます。また、当然そういうことが前提になって、取りあえず計画変更をやった、骨格予算を組んでおる。こういう状態だろうと思うのでございます。それで、ともかくも財政計画といたしましては、給与費等につきましては、当然国家公務員に準ずる昇給もできれば、ベースアップもできるという前提で、これはこまかく私の方でも計算いたしまして、計画上は、それが可能なような財源だけは十分に見込む。その他人口増に伴う消費的の増だって、当然これはあるわけでございますから、そういう意味経費も、必要なものは見込む、こういうことにいたしておるのでごごいます。それならば、これですべての団体が全部百。パーセント何でもかんでもできるかということになれば、それは、個々団体の具体的の問題になりまして、簡単に百パーセントそうだとも言い切れませんが、少くともベース改訂等は、これはもう当然に行なわれるに違いなし、昇給だって、普通並みのものは、年度の多少のズレがあるかないかの問題はありますが、ある程度当然に私は行われるに違いない、また、そういう向きで、われわれも、計画変更の場合には、必要なものは組むような、必要な指導はいたしたい、こういうふうに考えております、
  5. 加瀬完

    加瀬完君 去年の財政計画では、昇給昇格というものを停止したわけではないわけであります。しかし、是正本俸というものを一つ押えて、もう一つは、定員削減計画というものを作って、その是正本俸定員削減計画というものを合せて、一つ財政計画給与費に合せようという形をとっていったわけです。ですから、結局高給者整理するか、あるいは定員削減するかしなければ昇給昇格ができない。しかし、高給者を急に整理するということも不可能です。といって、突如として定員削減するわけにもいかないので、ある程度あまった定員をかかえて、あるいは高給者をかかえてという形であったから、地方団体は、昇給昇格を停止延伸せざるを得なかったというのが実情だと思うのです。問題は、本年度財政計画では、国家公務員に準じて給与改訂をするという大筋はわかった。だけれども、今、地方団体がかかえておるこの削減計画で、まだ削減できないところの定員というものがあるわけです、特に再建団体などは。こういう問題になっておる、特に定員ワクをある程度地方実情に応じて再建計画手直しすると、こういう線で臨むのか、それとも、再建計画定員削減は、削減計画通りにあくまでもやらせるのだとおっしゃるのか、どちらです。
  6. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 定員の問題は、去年の財政計画では、一応ある程度の人員を減少する、合理化するという建前で、計画上も多少人も減らしておったのでございますが、三十二年度につきましては、もうそういう整理前提とする計画はわれわれ考えないで、財政計画では、全部現状定員基礎にして、特に教職員などは、当然の児童増に伴う増員を見込んで、定数をふやしまして、そしてそれを基礎にして、昇給昇格を組んでおるわけでございます。それでございますから、その意味から申しましても、去年の場合と、計画の上におきましても、多少事情が違うものがあると思うのであります。退職財源も、去年六十億見込んでおったのを、今度は一応落して、普通の退職というか、大幅な新陳代謝による退職前提として、三十億程度のものを考えることにしたわけでございます。そこで、個々再建団体整理計画でございますが、全体はそうなっておりますが、個々団体では、やはり給与費の問題につきましては、他の団体と必ずしもバランスがとれているとは言い切れぬところも、これはないわけでもないのでございます。そういうようなところは、必要な調整をある場合においては加えざるを得ないと、こういう場合もあり得るのであります。それから整理の問題も、一応従来の前提で、財政合理化しようとする場合においては、ある程度定員合理化をせなければならぬという場合も、これは私はあり得るかと思うのであります。ただ、それが非常に無理で動きがつかぬ、動きがつくかつかぬか、こういうことが実はあるのです。実際、三十一年度状況を見ておりますと、計画通りいっておるところもあります。計画通り事実上は必らずしもいっておらぬところもこれはあるようでございます。たとえば、まあこれも議論になろうと思いますが、たとえば、高等学校の分校の統合などを前提にした整理というようなものは必ずしも実際上その通りできるとは限らぬ、できないところもありまして、そういうようなものは、みんなずれてきておるのでございます。現実にずれてきておるものは、もちろんズレに合うように、これは考えるより仕方がない。しかし、まあわれわれといたしましては、それからさらにそれぞれの団体で、どうしても仕事がふえてくる、高等学校でも、学級その他がふえるというようなところは、それぞれに応じて増員計画をみな作っておりまして、計画を作った当時と違った状況で、どうしても人が要るというところは、これは増員もあってしかるべし、こういうことにはしております。一般的に、ただ何となく、もうあの計画をゆるめようじゃないかというようなことは、われわれは、それはいかがなものか、そういうばく然として、ことしは多少交付税もふえたりするから、もうやめようじゃないかというようなことは、むしろ計画をくずしちゃう、これは厳に戒しめんといかぬ、こういう方針で臨んでおるのでございます。特に、この再建団体は、初年度はまだいいですが、次年度以降になってきますと、ところによっては、計画赤字がふえていく実は団体もあるのです。そうしなければつじつまが合わぬ、毎年々々二億ずつもふえていく、計画上そういうところもあります。こういうところなどというものは、今かりにやれても、次年度赤字がふえるということになりまして、その計画自体計画としては適当じゃないのでありまして、それは、ある程度考えなければいかぬのじゃないか。また、逆に言えば、次年度以降に非常に仕事を押えつけておる計画のところがある。ですから、そんな計画で、数年後に仕事をどかんと抑えつけるなどということは、私はもう実施不可能だろうと思うのであります。そういう意味で、多少は今ゆとりができつつあるのは事実であります。そういういろいろな税の伸びもあれば、交付税も意外に行ったという県が相当ありますが、そういうものにつきましては、やっぱり後年度計画が平常のままで少くとも動くような仕組みで、財源が余ったら、後年度計画に備えるように使うべきじゃないか、こういうのがわれわれの基本的な考え方でございまして、そういう意味で、一部ゆとりがあったら、赤字をすみやかに解消するようにしろという指導をいたしております。そういうことで、ばく然とした。この整理計画とか何とかも全部ずらすのだというふうな考え方は、私はまだその時期でない。一般的には、そういう方向で臨んでおるのでございます。
  7. 加瀬完

    加瀬完君 後段お述べになった通り再建計画というものを御破算にする、あるいは再建計画の目的がそごするような計画変更をする、こういうことがいけないということは、これは、われわれもあえて異論を申すものではありません。今、財政部長からのお話の中で、二つの点が確認されたわけでありますが、それは、今度の財政計画は、現状定員で組んである。それからもう一つは、三十一年度計画というものに相当無理がある点もあるので、非常に無理な点は必要な調整ということもある場合は考えられる。こういうふうに承わったわけでありますが、問題は、具体的に限って申しますと、自治庁でも、行政格差が生ずることを非常に心配しているわけです。そこで、再建計画による定員削減の問題で、一番行政格差を生ずるおそれのあるものは、私は義務教育関係だと思う。一方では、たとえば、隣の府県再建法を適用されておらないので、定員ワクもゆるやかであるし、一学級児童数も少い、教育効率も非常に高く上り得る。ところで一方は、定員削減されたために、一学級児童数も多い。あるいはその他、再建法ワクの中に入れるために、給与費その他も相当無理をしておるということでは、これは、当然国家が保障しなければならない義務教育階段が生ずるということでは、これは行政水準に差等を生ずるということのうちでも、大きな問題と考えなければならないと思う。そこで、そういった定員ワクというのを、再建計画通りにぴっちりとはめなくても、どうしても必要だという場合は、ある程度調整は本年度はできるのだ、結論的にそう解釈してよろしいかどうか。
  8. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 特に今、教職員定数の問題のお話がございましたが、これはまあ、その段階があろうかと思います。再建団体の中でも、教員の数の多いところもあれば、少いところもある、それはその通りであります。必ずしも非再建団体が多くて、再建団体が少いとは言えぬのでありまして、全体を通じて見ましても、再建団体でも、全国的な基準から見ますと、相当多いというところがありまして、それがやはり県の財政に大きな圧迫を及ぼしているというところがあるのも事実なんでございます。それでありますから、再建団体だから、当然みな低いレベルで無理をしておるというふうには必ずしも見るわけにはいかない。計数的にもそういう数字が出ているのであります。そういう一般的なところは別といたしまして、ただ計画上全くだれが考えても無理だ、実現ができないということは、それはあり得ることと思います。全然それは、絶対にないかといえば、私は絶対にないという断言ももちろんこれはできないと思います。それから、今申しました通り、事実上人がふえたり、教室がふえたりしていけば、その部分は、これは当然増員をせざるを得ない。それで、今の再建計画を作っておったときにはわからなかったけれども、現実教室がふえていく、実学級がふえていくと、そういう証拠があれば、そこの部分は当然調整せざるを得ないのでございまして、そういう意味で、現に調整を加えている例があるのでございます。だから、漠然としたことでゆるめるという考え方ではなしに、ほんとうにこれは、実際的な基礎の上に立って考えれば不可能だ、こういうことがあれば、私は、必要な調整を加えざるを御ない。それが全体として再建計画支障がない限り、合理的な達成ができる限りは、実情に応じて考えていけるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  9. 加瀬完

    加瀬完君 計画上の基準になるものをどこに置くかという問題だと思う。その基準再建計画の類似県という線に置けば、それは低いものになる。文部省政令というような形に置けば、今の再建計画よりいずれも高いものになる。そこで、一応ある程度手直しをするというならば、文部省できめている政令、こういったような線というものを押えなければ、私は意味がないと思う、再建団体でなくても、非常に低いところもあるのじゃないかというので、この平均値というものを出しておったのでは、これは、行政水準の向上ということにならないと思う。この点、一応文部省政令というものを押えて差しつかえないかどうか。
  10. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、文部省政令という問題では、ほんとうの筋が出ないので、それで、文部省は何か教員の標準的な定数を作れぬかということを別に考えておることは、私も聞いております。そんないい数字が出るか出ぬかということは別といたしまして、そういう意味で、文部省もいろいろ研究はしているようでございます。その研究の過程における数字を見ましても、今の再建団体だって、その数字の上でも多過ぎる、やはりもう少し全体的に減らした方が調整がとれるというふうな案も、実はこれは、ないわけじゃないのでございます。それでありますから、それは、実体的に問題を考えるより仕方がないと思います。で、それとつまりその団体再建計画というものとやはり結びつけて、私は具体的に考えていくべき問題だろうと思うのでございまして、形式的に、一人当り何人とか何とかという形だけでは、それはいく場合もあれば、いかぬ場合もこれはあり得る、こういうふうに考えておるのでございます。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 小学校の学級規模調査をいたしたのが私の手元にあるんですが、鹿児島では、一学級六十人以上の編成が一〇%に当っているのです。それから熊本が七%、それから新潟も七%、中学校にいたしますと、熊本が八%、新潟が七%、これが六十人以上の多学級を持っている全体の構成比です。こういうものは、再建計画団体だからというので、このまま一体認めるのか、これは手直しをするのかどうか、具体的にどうぞ。
  12. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) だから、具体の問題は、ただ、これを認めるとか認めぬとかという問題よりも、それぞれの県の再建計画が合理的に達成できるかできぬかということで判断をするよりしょうがないと思います。そこで、それぞれの県がそれぞれの力を基礎にして、ともかくもこうやらなければ赤字は解消できないということで、一応確立した再建計画なのでございますから、それは、その後の事情によって、もちろんそれは、調整を必要とするものは加えていいと思いますけれども、その調整は、あくまでもその計画方針に従って考えるべきでありまして、ある県が一人当り幾らだから、同然にこれでいいのだと、こういうことで、直ちに私は再建団体再建計画の問題を議論することはいかがかというふうに存ずるのでございます。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 結局、今言っていることが自治庁本心なんです。あなたのさっき言っていることは、今言っていることとまるで違うのです。あなたは初め、現状定員というもので予算は組んであるのだがら、ある程度幅があるのだということをおっしゃった。それから、必要なる調整もできると、こうおっしゃっている。ところが今は、それぞれの県がそれぞれの事情によって再建計画を作っておるのだから、なお、再建計画を推進するためには、結局あなた方自身でどうこうと言うよりは、県の事情によるものだと、こう言っておる。県の事情によっては、はるかに行政水準を割ってしまったということを自治庁は認めておる。そこで、今度の財政計画では、はるかに行政水準を割るような点も、どう手直しするかということが問題だというので、われわれは質問しているのです。だから、財政計画上、たとえば、こういう鹿児島熊本新潟といったような、かりに例を出すならば、今言ったような無理のあるところは、義務教育などというものは、府県によって階段を作るべきものじゃないのだから、せめてそういう県だけでも、ある程度の県の事情による手直しを、一体自治庁は認めるのかどうなのか、こういうことを聞いておる、これをはっきり答えてもらいたい。
  14. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 私は、もう別に本心も何もないのです。要するに、それぞれの団体再建計画の問題でございますから、それぞれの団体再建計画が合理的に一日も早くあるいはやらせ、あるいはやり、率直に言って、再建計画を法律で縛ってやるということは、それぞれ団体も好まぬところだし、われわれも、そういう団体がいつまでもあることは好まぬところでございまして、早くその縁を切ってもらうような形で計画を合理的に進めるということは、もう基本前提でございます。それでございますから、そういう前提基礎にして、しかし、実際子供は現にふえていくのに先生はおらぬ、それでは教育できない。そんなばかなことはできっこないのでございまして、現実にどうしても要るものは、もちろんふやさざるを得ない。そういうことを申し上げておるのでございまして、それぞれの計画を無視して、この県はこうだから、当然に上げるべきじゃないか、こういうふうなことは、われわれとしては、それは申し上げにくい。それぞれの団体で、どういうふうに計画調整し、合理化していくかという、これは判断の問題でございますから、そういう意味でまあ申し上げておるわけでございます。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 問題は、再建計画を施行してみたけれども、再建計画には無理があるということは、自治庁みずからが認めておるわけです。その無理の一つの例として出せば、前述のような例もある。そこで、現度の財政計画は、この無理をした再建計画にも、ある程度手直しをするというような含みもあるというように聞いているから、それならば、今言ったような問題がある程度解決されるのか。具体的に言うならば、政府は、こういう無理な点は、財政的にある程度裏づけをして、解消しようという考慮を払ったかどうか。もう一つは、その団体再建計画変更を申し出た場合には、こういう無理な場合は、自治庁変更を認めるのかどうか、こういう点なんです。
  16. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは、私も繰り返して申しました通り計画が全く無理で、もう実行ができそうにもない、そういうようなところにつきましては、現に来年度財政計画で、相当税も伸びるし、交付税も伸びる。財政的なゆとりが出てきたから、いかにも無理なところを調整しよう。そういう県の総合的判断というものがあれば、私は、それは何も拒否するつもりは一つもございません。そういう実情に応じて、計画さえくずれなければ……、しかも、計画が後年度にわたって非常に無理がある、そいつは先ほども申し上げたのですが、後年度の無理も考えながら、その無理が今日あることによって、その無理がさらに加わるというふうな計画変更だと承認できませんが、そうでない限りは、後年度にも影響がない見通しがはっきりしておるということになれば、これは、もちろん私は、必要な調整を加えていってしかるべし、こういうふうに考えております。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 もちろん、後年度財政計画をこわすようなことであってはいけませんが、そういうことでなくて、その団体が、後年度再建計画も順調に進み得るという前提のもとに、今言ったような点の変更を求めてきた場合はこれはもちろん、自治庁において阻止する考えはないか。あるいはこの程度変更についての財政的な裏づけというものは、今度の財政計画ではしてある、こう考えてよろしいですか。
  18. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) まあその程度財政的裏づけは、全部の団体にしてあるということになるかならぬか、そこはちょっと、個々団体と全体の問題ですから、私も言いにくいのですけれども、しかし、少くとも今度の財政計画は、従来よりも非常にゆとりが出てきたことだけは、これは事実だろうと思います。それでございますから、それぞれの再建団体にも非常ないい影響をこれは与えておるはずでございます。それで、もう一つは、その後の年度影響という問題は、これは、よく誤解があるのでございますが、計画計画通りにやってでも、とてもそれは無理だという計画がある。計画通りにやっても、たとえば先ほど申しました通り、後年度計画上の赤字がだんだんふえていって、一県で十億も三、四年たったら計画赤字が出るというふうな計画さえ、これはあるのでございます。これは、考えてみて、そんな計画計画としておかしいのでありまして、やはり計画上だって赤字がなくなるようにならなければならぬ。そうして、後年度もう一ぺん借りかえをする。借りかえというのは、もう一ぺん再建債をやるというのでございます。そういう計画さえありますから、そういう計画だっておかしい。さらに、公債費が一億、二億と、だんだんふえていくものですから、その割合で仕事をずっと減らしていく、そういうことは実際問題として考えようがないのでございます。計画そのものさえも、初年度基礎として、少くとも右へならえするような、平衡化するような運用をしなかったら、動きがつかぬのでございます。そういう意味で、後年度計画自体合理化するという必要があるということを申し上げたのであります、ちょっと、県の実際とか市の実際を見ておりますと、計画が承認になるというと、計画上の赤字になるということは当りまえだ、計画上の赤字は二億なら二億、そのまま作っておくのが計画を忠実に実行するゆえんじゃないか、こういう考え方が非常にあるのでございます。赤字の出ることが権利のような考え方が現にある。そういう考えはこれは一掃せんといかぬ。そんな計画自体がそもそもおかしいのでございまして、当初は、そうもしなかったら作りようもなかったというのが実情でございますから、そういう意味で、ほんとうに健全な運用ができるように、計画調整する必要がある。これは、実質的に調整するという意味でなく、形式的にも調整すべき問題が残っておるのでございます。それらを見通しまして、しかも、なおかつゆとりがある限りは、これは実際に合うように調整していくことは一向にかまわぬ。われわれといたしましても、それは十分に受けて立つつもりでおるのでございます。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 別の問題に移りますが……。
  20. 占部秀男

    ○占部秀男君 今の問題ですが、計画がくずれなければという前提がついておるわけですね。そこで、ことしのように自然増が……これはあとから聞きたいのですが、各県においても、私も国会始まって以来県を歩いてみましたが、やはり自然増がある。そうするならば、この自然増の問題は、やはり一つの問題として、結局こういう状態が続くならば、計画そのものは当然変更されていくような事態も起き得るのじゃないかと私は考えるのです、終局的の問題として。そういうふうな点もこれに含めるというと、何か小林さんのような今の話では、かりに各県、市の税の伸びは出てきても、それは別の問題である。計画上の問題だけはきちっとやってもらわなければならぬ、こういうふうに私はとれるのですけれども、そういうふうな意味合いではないわけですね。
  21. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そういう意味じゃ全然ございません。だから、税が伸び、交付税も伸びれば、どうせ計画変更をせざるを得ぬのですから、当然にしなければいかぬ。計画変更の仕方の問題です。仕方の問題が、今日苦労しておるから——苦労しておるに違いないが、それを全部すぐ、その実体を二割とか三割ベースアップするか、そういうことをするというと、あとの計画が動かぬということがあり得るのです。それですから、今も申しました通り、毎年赤字がふえていく計画さえ作っておる。そうすれば、今、少しゆとりがあれば、毎年ふえていくような計画を早くならしていく必要があると思うのです。ある程度ゆとりがあれば、一部、後年度のためにリザーブして、ならしておかなかったら、ことしはいいのです。来年、再来年になったら、もう動きがつかなくなった、こういうことだけは考えていく必要がある。当然計画変更していっているわけです。
  22. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、今、小林さんの言われた、非常に計画そのものが無理だ、こういうやっと、まあまあ普通の計画だというやつとある。そこで、無理だという問題じゃないのです、僕の言うのは。一般を含めての全体の問題ですけれども、その自然増なら自然増が見込まれる以上、そのそれぞれの団体がその年に幾らか譲ってしまうという問題がある。こういう点については、常識的な一つ基準というものはないかもしれないけれども、少くとも税の伸びに対して、それに応じただけのものは、僕は機械的のことをいうわけじゃないけれども、応じただけをやはり給与の問題で、県市の事業の問題でこれを譲れるという指導が行われていいじゃないか。どうもお話を聞くと、そうじゃないような場合がある。たとえば、これはきのうも言ったのですが、長野県の問題、これはまあ、長野県の知事のやっておることが常識以上に出ておるのかもしれぬけれども、やはり自然の伸びがあるので、積極的な事業をやりたい、こういうことで持っていったところ、それを切られて、六千万円の問題は、よく御存じの通り、県会で今やっておる。こういうような事情があるわけなんです。そこで、その程度の問題は、私は相当むずかしいと思うのですが、いずれにしても、全部の伸びがある場合には、そういう方向に各団体が持っていく場合には、これをまあ率直に言えば、団体だって決して非常識なことはしないと思うので、自治庁の方としては、自然の税の伸びに応じて許すという方向をとってもらうのが私は望ましいのじゃないか、こういうふうに思うのですがね。そういう点どうなんですか。
  23. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それはもう、われわれも、基本的には全くそういう気持でおります。考え方はいろいろありました。それは、ここに大蔵省の方がおられますけれども、自然の増があったら、まず借金を返すべきだ、再建債を返すべきじゃないかという理屈も、私はないわけではないと思います。しかし、それは、そもそも一応の計画と実際の行政がそれほど十分でないのに、多少ゆとりができたからといって、すぐ再建債を返すべきだというふうな考え方は、われわれの今の段階では、とるべき問題ではないと考えております。そういう意味で、非常に無理がある事業をある程度調整せざるを得ない。特に、今の交付税などが伸びれば、それは、投資的経費とかなんとかいうことを重点的に考えていこうという、仕事を積極的にやらせるための財源なども当然あるのですから、そういう意味で、仕事をできるだけやろう、こういうようなことは当り前で、そういうものについても、ともかく申すつもりは全然ないのでございます。それでございますから、ただしかし、多少は調子がよくなったからといって、従来合理的にやろうといっておったやつを、どんでん返しをしようというような考え方は、今とるべき段階ではあるまいじゃないかというのが基本的な考え方でございます。今、具体的な例をいろいろあげましたけれども、それは、計画が後年度になってどうなるのかということをやっぱり頭に入れて、今年はそれで済むかもしれませんが、来年の計画さえもやれぬということになっては困るので、そこの見通しを常に考える。場合によっては、その後年度財源をリザーブしながらやっていく必要がある。そういう点だけは、われわれといたしましては、はっきり見通しをつけて見ざるを得ない、こういうことでございます。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 そこでですね。さっきの点、占部さんからの関連質問がありましたので、ここで一つ確認しておいていただきたいと思いますが、再建計画をこのままのワクで進めれば、少くも義務教育においては、各府県によって行政格差を生ずる、あるいは生ずるおそれがあるということはお認めになりますか。
  25. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、個々再建計画で、このまま進めればという、こういう問題があろうと思いますが、このままということはいろいろあります。たとえば、整理計画を立てて、初年度だけでなしに、後年度以降もだんだん人を減らしていく計画を、まあそれほどでもないと思いますが、これはあり得る。そんなことをだんだんやっていけるかといえば、そこに無理なこともあるじゃないかということは、私は、これはあり得ると思うことであります。だから、その教育が当然に再建計画だと格差を生ずるかということは、これは私は、非常にむずかしい事柄であって、非再建団体だって、教員定数については、県によってずいぶん開きがあるのでございます。その県と再建団体とが特別に違う、こういうことは、私は一般論として必ずしもこれは言えぬと思っておるのでございまして、それで当然再建団体だけは、分ければ悪くなるということは、それは私は、少し具体的には言い過ぎだろうと思います。しかし、個個の県によって、これはどうしても動きがつかぬという問題は、当然これは考えざるを得ない。先ほども申しました通り、学校統合などということを前提で、無理にしている、学校統合は、具体的にそう簡単にできるかといえば、私は、それはきわめて難事業だろうと思います。どう考えてもやった方がいいことであるし、それは、最初ははっきりせずに、ともかく三十あるやつを十にしてしまえというようなものもあろうと思います。ところが、実際は、具体的な計画を考えてみるというと、それは二十五にしかできぬじゃないかということも、私はあろうと思うのでございまして、それは、計画は相当慎重に考えてお作りになったに違いないが、なおそれは、具体的に精細に考えて、調節を加えるべきものがあれば、これは私は、ゆとりのある限りは、調節を加えていいのじゃないか、そういうふうに考えております。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 調節を加えればいい悪いじゃなくて、結局このままの再建法ワクを推進していけば、一層各団体間差格を生ずるということは、これは否定できないと思うのですよ。そこで、格差を進めるような財政計画をそれならばなぜ立てるか。私は、次の問題を質問したいのです。大蔵省も参りましたから、大蔵省にもお答えいただきたいのですが、昭和二十九年は、生徒増に伴う教員増を小学校は一、中学校は一・四と押えた。これは二十八年度から比べれば少い。ところが、三十年度以降は、中学校も一学級に対して一と抑えた。それで、今、小学校の生徒増に対する教員増をもとにして、何人の子供がふえるに従って教員が一ふえたかという計画をいたしますと、三十年は五十六、三十一年は六十三、今度は七十一になっているはずです。こういうふうに、だんだん生徒当り教員数というものを低めている。これではますます、これは、義務教育というものは低減されると言わざるを得ない。こういうこと大蔵省御存じかどうか、またこれを、定員削減をしようという意図でなくて、どうしてこういう教員のふやし方をするのか。それで三十一年度は、二十九年度を押えるということだったが、一つも二十九年を押えておらない。これは一体自治庁の考えか、文部省の考えか、大蔵省の考えか、どちらか。
  27. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 私、たまたま文部の方の予算も今担当しておりますので、その点申し上げたいと思いますが、義務教育教員につきましては、これは、地方財政計画の見積りと、それから、義務教育国庫負担金の見積りと、両方に関係するわけでございます。義務教育の国庫負担金は、御承知の通り、国庫負担法によりまして、実質支出額の二分の一を見る。ほかの補助金にほとんどその例を見ない、実質額の二分の一という建前になっておるわけであります。そこで、教員の数を毎年度どう見るかということは、ほかの補助金と違いまして、それによって予算で縛るというような考え方ではございませんので、いわば来年度どのくらい先生がふえるだろうかという想定を立てて、そのもとに教育費の適正額を計上するというような考え方になっておるわけであります。事実、査定もそうしております。その国庫負担金の見積りに合せまして、地方財政計画では、その裏の地方負担額では、このような形になっております。国庫負担金を積算する際に、教員の教をどういうふうに見ているかという問題でございますが、ただいま手元に資料を持っておりせんので、詳しい数字は申し上げられないのを残念に思いますが、三十一年の国庫負担金の積算をする際に、教員は、御承知の通り、これは児童生徒数の増減と関係あるわけでありますが、その児童生徒数の増減見込みから学級数の増減を推定いたしまして、その学級一に対しまして先生一名というような計算をしておったわけでございます。その増加の見込みが、多少不正確でありますが、約七千人かと思いました。ところが、実際に三十一年度に各都道府県において増加いたしました教員の数は、その予算の見込みを下回っております。その原因は、いろいろなところにあるかと思いますが、その予算の積算で各都道府県における教員の増加を押えたという事実のないことは、その点でも御推察いただけるかと思っております。  三十二年度義務教育職員の見込みにつきましては、来年度は、小学校が約三十三万人ほどふえますが、中学校はちょうど波が参りまして、二十二万人ほどの減になっております。差引十一万人ほどの増加。そこで、小中学校込みにいたしまして約千五百人ほど、これは、三十一年の五月一日の指定統計による実数に対する増加数でございますが、千五百人ほどの増加を見込んで国庫負担金を計上しております。財政計画では、その負担金に対応ずるところの地方負担額をこえて歳出額に上げておる、このような計画になっおります。従いまして、義務教育の職員の定員に関しましては、国庫負担金及び地方財政計画の面でこれを現在以上に締めていこう、そういうような意図は盛り込んでおりませんし、また、そういう考えは持っておりません。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 私が指摘いたしておりますのは、二十九年度を押えて財政計画を立てていくということを三十一年度には明確にしたわけです。三十年度の積み種ねではなくて、二十九度を押えて、二十九年度赤字を解消するという建前で、三十一年度財政計画を立てるということであった。そういう前提に立って、児童生徒増に対する教員数というものを見てくると、二十九年度は、中学校は丁四、小学校は一という割でふやしてきた。そのときには、たしか五十前後の児童生徒増に対して一の教員増であった。ところが、三十年になると、児童生徒数五十六に対して教員は一しかふえていない。それが三十一年度になると、六十三に対して一しかふえていない。今度は、七十一に対して一という割合でふやしている。そうすると、これはだんだん、逆に言うならば、一人の教員に対する生徒児童の数というものは、ふくらんでいるじゃないか。それだけ、生徒児童の増の割合には教員の配当率というものを下げているのではないか、こういう事実を一体どうお考えになるか、こういうことなんです。  それからもう一点、ついでに。この予算説明書によると、御説のように、大体十一万弱ふえて、それで千四百六十五人教員が増加ということになっている、財政計画によると、千百六十人になっている。これはどういうことなんですか。
  29. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 一学級当りの児童生徒数がここ数年ふえておるということにつきましては、御指摘の通りの事実があろうかと存じます。私一学級当りの今お話ございました数字は詳しく承知しておりませんが、そういう傾向があろうかと存じますが、その一つの原因は、これは従前は、東京、大阪、神奈川と、そういう大都市をかかえた府県における生徒児童の社会増というものが相当多かったわけでございます。これは、戦後そういう傾向があったわけでありますが、たとえば二十六年、東京都に対する人の転入の制限が解除になりました直後における人口の増加というものが相当多かったわけです。そういう社会増がここ一、二年におきましてはかなり低くなっておりまして、正確な数字は覚えておりませんが、一ころ毎年四、五%の社会増による児童生徒増がありましたのが、最近、ここ一、二年では、一・二%というような数字になっております。そうしますと、児童生徒の伸びがいわば全国的にある。つまり人口の自然増というものが児童生徒の増加の大きな原因になっておる。そこで、自然増でありますと、大体各市町村に同じような割合で考えられるのでありまして、つまり四十五人くらいのところが約一%くらいふえるとか、二%ふえるとかいう割合でふえるわけでありまして、学級の増加をもたらす程度の増加にならないというようなことが一つの原因になっているのではないかというふうに考えられるのであります。と申しますのは、現在、小学校、中学校の一学級当りの児童生徒数は、全国平均では、たしかこれは政令府県と申しますか、東京、大阪、神奈川のような不交付団体とその他の団体とおのずから違いますが、大体政令県で一学級五十人くらい、それから非政令県で四十五人くらいだというふうに記憶しております。そういうふうな状況でありまして、まだ非政令県などの増加は、かなりその一学級の児童生徒の中に吸収できるというような状況があるわけでありす。  そういうようなことで、自然増は、学級の増加に至らないでも、ある程度吸収し得る、こういうことが、児童生徒の絶対数の増加にかかわらず、従前ほど学級数がふえないことの原因ではないかというふうに考えております。  そこで、三十一年度教員を算定する際に、児童生徒の伸びを見たわけでございますが、この児童生徒の伸びをどう見るかということが、実は一つ問題がございまして、かなりこまかい学年別の児童生徒の見込みも作って試算した結果、数字にして、込みで十一万人になっておりますが、それをもとにして、政令県では五十人に対して一クラス、非政令県では四十五人に対して一クラスという学級数の増加を見込みまして、これに対応する教員の増を算定いたしましたのが約千五百人ということになったわけでございます。
  30. 柴田護

    説明員(柴田護君) この説明書に書いてあります教員数の算定増減と、大蔵省から出ております予算説明との差異でございますが、これは、政令で頭をちょん切られます府県の人数が違う分であります。その他の、国庫が実額負担をします府県に対しましては、これは小学校四千七十三人増、中学校が三千六百七十六人減るというこの計算は、大蔵省から出ております基礎と合っております。政令府県の計算が違いますのは、これは、従来からもそうでありますが、政令府県と、結局地方交付金を受けません不交付団体分でありますが、この分につきましては、国庫負担金の計算は、義務教育費国庫負担法によります政令に従いました計算でございます。財政計画では、その分は頭が押えられるわけでありまして、単価も、国庫負担の負担金の積算数の単価とは違いまして、もっと高いのであります。それから計算につきましては、政令県につきましては非政令県と同じような一学級当り一人の計算を財政計画上はいたしております。その関係の相違で単価が高いから人数が少い。国庫負担金の方は単価がおさえられているから低い計算をしますが、人数は十二分の十三、九分の十三の計算をする、このために人数がふえて参る、こういうわけであります。もう一つ事務職員の増が国庫負担金の計算の中には入っておりますが、これは財政計画上は既定財政規模の中に織り込まれているような格好でありまして、ここには出ておりません。その数字は百二十四人でありまして、この数字は総額におきましてはそれぞれ中に入っておりますが、この説明書の中の増減教員数算定方法の中には事務職員が省いてありますので、その分が違うわけであります。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵省にはまだいろいろ言いたいことがありますけれども、あとでまた伺いたいと思います。  次に歳入と歳出の構成について財政部長に伺いますけれども、財政計画の御説明を承わりますと、地方税が構成比で二・二%ふえている。それから地方交付税が一・四%ふえておりますし、その他国庫支出金とか地方債とか雑収入といったようなものは減っておるわけです。これで見ますと非常に三十二年度地方地方財源の付与といいますか、地方財源を付与することに政府が熱を入れたのだと言いますけれども、国属支出金を減らして、それから地方債を減らして、地方交付税はふやしてはありますけれども、それ以上に地方税というものを非常にふくらませている。この地方税とその他のものとをにらみ合せてみると、財源を付与したといっても結局これは地方税を非常にふくらませた。財源は与えられたのではなくて自分の方からかせぎ出したという結論になりそうに思うのです。この構成について一体これが妥当かどうかという点が一点。それから地方税ということになりますと、これはあとで大蔵省にも伺いますが、地方税の伸びというのは地域的に非常に偏在していると思う。そこで地方税が伸びても財源的にはさっぱりふくらまないところの地方団体ができてくる。こういう団体に対して偏在分を交付税によって十二分にバランスをとるという形に一体なっているのかどうか、こういう点二点を一つ伺います。
  32. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今歳入構成の数字をお述べになりましたがその通りでございます。これはまあこの表についてどういう判断を下すかということはいろいろ意見があろうと思いまけすれども、われわれといたしましてはともかくも三十一年度よりも歳入構成が幾分でもまともになった、よくなったということはこれは言えると思うのでございます。ただそこで今の地方税がえらい伸びて逆に国庫支出金や地方債などが減っているじゃないか。こういうお話でございますが、これは全体の比重からいって国庫支出金も伸びておりますが、全体の割合は税の伸びの方がはるかに大きいということはその通りでありまして、これは私は、それこそ地方自治体としては本来の姿であるべきでありまして、自治体固有の財源ができるだけ自分の歳入の構成のうちで重要な部分を占めるようになるのが、これはまともな姿だと思うのであります。これは何も国が与えたのではないのではないか。そういえば国庫から出したわけではありませんが、幸いにして地方の税が自然増収で伸びて行ったということは、これは私は慶賀すべき問題だろうと思うのでございます。それからなお税が伸びるのは地域的にへんぱじゃないかとおっしゃいますが、私はその通りだろうと思います。必ずしも四千の団体が均分をとれて伸びておらぬわけでございまして、それはその通りでございまして、そのアンバランスをまあ交付税調整する、交付税も幸いにしてある程度伸びております。この伸び方が十分か不十分かという議論はもちろんあろうと思いますが、ある程度伸びております。それによって税のアンバランスがこちらの方で調整され、また調整をするのが交付税の目的でございますから、そういうことによって調整が百パーセントと言うか、言わぬかという言い方の問題がありましょうが、相当できることは間違いないと思っております。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 もう一度念を押しますけれども、地域的な偏在というのはお認めになった。そこで地域的偏在をカバーするだけに交付税等で財政的措置ができておる、こう解していいですか。
  34. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) われわれといたしましては、まずまずのところ行われる、そのまずまずという限度が十分か不十分か、これは非常な議論はあろうと思います。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵省に伺いますが、国税でも非常に伸びを大きく見てあるわけです。特に法人税の伸びを大きく見ておるわけです。それで地方税の伸びを相当大きく見てあるわけですけれども、具体的には住民税が減って来る。そうすると法人の方に結局かぶさって行くという形になろうと思うのです。そこで三十年度に比べて三十一年度の工業生産の伸びは二一%、国民所得の伸びが一二%、このように去年政府が発表されたように記憶しているのです。今年は工業生産の伸びは一二・五%、国民所得の伸びは七・五%から八%というふうに、去年より見込みは低くなっているのじゃないか。それで大企業なんかが相当伸びているということは事実ですけれども、一応非常に中小企業を多く対象としておる地方団体にとって、法人関係の伸びというものを強く期待するということは相当無理があるのではないか。そこで徴税強化というふうな形になって、それだけの収入がなくても、地方税だけよけいかぶせられて来る、こういう形にならないかということをおそれるわけです。この点は国税そのものにも少し私は見込みの過大があると思うのですけれども、特に地方税にとっては構成比からいって二・二%の増、具体的に言えば相当上っているわけですね。こういうふうな伸びというものが、これをこのまま地方住民に無理がなく進められるというふうに大蔵省はお考えになっておるかどうか、この点。
  36. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 地方税の税収の見積りは、主税局の税制二課が主としてやっておりました関係上、私こまかい点につきまして御説明ができないのを遺憾に思います。もしなお御質問がありますれば、税制二課の担当課長等をよこしてもよろしいかと存じますが、ただ地方税の見積りにつきましては、これは地方財政予算折衝の過程におきまして、自治庁の担当部局と私の方の主税局との間で連日にわたりまして検討をしました結果の数字でございまして、しばしば、大蔵省は交付税を出すのがいやさに、地方税の税収を無理やりに引き上げて押しつけたのではないか、というような話がございますが、そのような事実はございません。このことは先般来自治庁の田中長官もしばしば言明されておるところでございます。なお地方税収の見積りの基礎は国税の見積りと合せまして、たとえて申しますと、住民税のうち法人税割及び法人事業税は三十二年度における法人税の税収、というように非常に計数的にも密接な関連を持たしておるわけでございまして、もし地方税収の伸びの見方が無理であるならば、国税の税収の見方も無理であるというような形になると思います。一方国税の方におきましては御承知の通り三十一年度も相当な伸びを示しているわけでありまして、最近の資料によりますとさらにこれが若干伸びるというような見込みもあるようでございます。従いまして三十二年度における国税の税収の伸びも、昨日でしたか衆議院の大蔵委員会における公聴会におきましても、まだこれでは少いのではないかというような参考人の意見の陳述もあったくらいでございまして、決して無理な税収の見積りをしておるのではないということを申せるかと思います。国税の税収の見積りにリンクしまして計算しました地方税、従いまして法人税とか法人事業税とか個人の事業税、あるいは住民税も法人税割、所得割というようなものは、そう無理な見積りになっていないということが申せるかと思います。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 大体この地方税を見ると今御指摘のように、事業税と住民税の法人税割が非常に増徴になっておるわけですね。これは大都市を含むような都道府県あるいは大都市そのものであれば、お説のような形で済むと思うのです。ところが事業税の税率が減じられておるにもかかわらず、今度は税収そのものは多く見積って、その住民税も一応低くなると言いながら税収そのものは多く見積られておる。こういう形になりますと、大事業を持っておらないところの地方におきましても、やはりある程度事業税のワクというものを大きく見積らざるを得ないんじゃないか、あるいは住民税の法人税割というものを多く見積らざるを得ないんじゃないか。そうなってくると結局この見積り課税というか見込み課税というかは、どうしても徴税強化という形になってくる心配があるんじゃないか。この点そういうふうなことはこのようにして防いでいるんだから必配ないという対策が自治庁にありますか。
  38. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今この税の非常に伸びの関係から徴税が無理に行われやせぬかというお話がございましたが、まあこの税の見積りは、今大蔵省から話がありましたように、これを責任をもって慎重審議してきめたのでございまして、私はこれによってそう無理が行われるということは考えておりません。また無理を行わせるようなそんな数字を作るはずはないと思います。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 それでは中小企業関係の法人しか含まないような地域に対しては、事業税なりあるいは住民税の法人税割なんというものに対しては、特殊な考慮を払うという対策でもお持ちですか。具体的に何か行政指導でもなさるというお考えがあるんですか。
  40. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今のお話のちょっと意味がわかりませんが、税は税法の定めるところによって適正に取るという前提でこれは見積られておるわけでございまして、そこに特別な無理がないということを申し上げたわけでございまして、取るべき税金はこれは適正に坂らざるを得ぬだろうと存じます。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 聞くところによると青色申告については二五%ですか、白については二三%まあ多く増収するという計画を国税庁では考えておるとかいうふうに聞いておる。これがやはり地方にもはね返って参りますので、やはり徴税強化ということはどうも防ぎようがないという形になって現われてくるのじゃないかと思うのです。業事税の率を下げるということは事業税そのもが無理だということを認めてのことなんですね。住民税もやはり同じだ。ところが率は下ったけれども、今度は税額としてはたくさん取られるという形では筋が通らない。見積りがふえたのだからといっても、見積りのふえるような法人もあれば、経営困難でそういうつかみ方はできないところの法人もたくさんある。特に地方に参りますれば私は弱小法人が多いと思う。それも大きな法人と同じように地方税をかけられるという心配が私はあると思うのです。適正に見積ったのだから適正に課税されるだろうからそういう心配はないと言ってしまえばそれまでのことですが、そういう心配がないような対策というものを一体お持ちかどうか。こういう点です。
  42. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまあ税の問題ですから詳しいことはまた税務部長にお尋ね願いたいと思いますが、われわれの見るところでは、これはもう税ですから適正に取っていくので、かりに従来の取り方に適正を欠いておると、あるいは見落しがある、見積り過小があるとすればそういうものを直すのもこれは当り前の話だろうと私は思います。減税すべきものはもちろん減税していくが、取るべきものはやはり取ると、こういうことで税とし七は筋を通すべきだろうと考えております。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 それは逆に言えば、取らるべからざるものを取られたり大へんだ。納める者からすれば取らるべからざるものを取られないような対策というものを当然、こういう、税率を下げて税収を上げるといったようなときには、そこに問題が起ってくるわけですから考慮してもらわなければならない。税務関係の方だと言われるならばあとで税務部長に伺うことにいたします。  それからもう一つ。歳出の構成の方で、まあ消費的経費というものを一応下げて、投資的経費というものを上げるという形をとったとおっしゃるのですが、問題の公債費というものに割合に幅を取られておりますので、財源の一部というものを公債費に加えておるので、消費的経費がくずされても投資的経費というものがそれほどふえたことにはならないということも言われるのじゃないかと思う。それでまあ維持補修費というものを新しくとったとおっしゃいますけれども、これは維持補修費と投資的経費というものとを比べてみると、結局これは増減なしという形になっております。あまり去年と変りがないじゃないか。問題のその公債費というものをどう処理して、その分を投資的経費に回し、その他の一般の行政費に回すという根本的な対策がとられない限りにおいては、やはりこの歳出構成もまだまだ不満足だと言わざるを得ないと思うのですが、この点はいかがですか。
  44. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) まあおっしゃいました通り、この歳出構成は必ずしも満足すべきものとも思いません。しかしこれは消費的経費を下げて、どこまでも全体のバランスの問題ですから、減した方がいいのかということになってくるとこれまたむずかしい問題であります。消費的経費も当然必要なものは出さなくちゃなりません。ただこの表の公債費がふえておるということは、これはもう目立つ事実でございます。これは事実を明らかにするために書いたのでございまして、この公債費があるやつをどうこうするかという問題は、これはもう現実の義務的支出として続くのですから、そのことだけをここに書いてあるに過ぎないのでありまして、そういうものの圧迫はもちろん歳入の方において考えるべきものだと考えます。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、公債費というものをやはりこれだけ現状においては幅を大きくとらなければならないだろう、その財源というものは今御指摘のように、歳入においてその公債費というものが何か初め自治庁の考えておられた線ぐらいは、前提として形作られていなければ、公債費によって自己財源を食われるという形になる。そうすると前からおっしゃっておる行政水準の引き上げというものはなかなか困難になってくると思う。そこでこの表だけから見ると、行政水準は上っておるということにはならないのじゃないか。行政水準がこれだけ引き上げられたという形にはならないのじゃないか。そこで公債費の問題というものを、大臣もこの前申しましたが、将来どう処理するかという結論がもっと打ち出されなければ困る。希望意見になりますが、そこで一体公債費というものの財源的な裏づけというものを将来どう考えていこうとお考えですか。
  46. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 公債費はふえておるからそれほど行政水準が上っておらぬのじゃないか、こういうお話でございますが、そういう面もあろうと思います。公債費は百四十何億去年よりふえておるわけであります。しかしそういうものをカバーして、なおかつ行政水準を維持というか、確保するために必要な維持補修費とか、その他投資的経費をふやすことができた。まあそこが多少はよくなったのじゃないか、こういうように申し上げておるわけでございます。なお、公債費の問題につきましては、明年度以降の予算につきましては、大臣もしばしば申し上げておるようでございまして、今年の措置は、われわれといたしましては、これはきわめて不十分なものだと心得ております。特に、来年度限りの特別措置でもございますし、それから議論になっておる中身につきましても、これはわれわれとしても満足はしておりません。われわれの考えておったような方向でもっと考えてもらいたい、こういう考えは今でも持っております。これにつきましては、いろいろ異論のあるところもあろうと思いますが、自治庁としてはそういう考え方は今も堅持しておるわけであります。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 もう一つ伺いたいのですが、この前の御説明によりますと、第六表の、新市町村建設促進費、それから農山漁村建設総合施設費、こういうものが何か同じ新市町村の建設計画ワクの中に入るみたいな御説明がありましたけれども、私はそう聞いたのです。新市町村建設計画というものと、農山漁村の建設計画というものとは全くこれは別のものだと思う。農山漁村の建設計画というものに、新市町村の建設計画よりもはるかに予算額を多く取られておるということは、これは話が逆なのじゃないかと思うのです。自治庁の所管で両方が総合的に運営されるわけでもないわけでありますが、この点はどうですか。
  48. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、新農村関係経費の総額と、自治庁の新市町村建設の経費の絶対額は、今お話通りそれは多少の食い違いはございます。しかしそれだからといって、これは逆じゃないかという理屈は必ずしも出ないのでございまして、それぞれ事業の性質、中身によって実態的に考えるべきものだと考えております。自治庁といたしましては、自治庁として扱い得る経費については自治庁予算を計上する。各省関係経費はそれぞれ各省の事業関係でお考えを願うべきものだと思っておるのでございます。ただ、この財政計画の上におきましてはその部分だけでなしに、既定の経費の上においても相当ある。要するに合併関係経費で、今度財政計画関係あるものの総数をあげればこの程度になるぞ、こういうことをこの間御報告申し上げただけでございます。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 新市町村建設促進の費用は相当地元の持ち出し分もあって、二十八億程度。農山漁村の建設総合施設費というのは、地方の持ち出し分を入れなくて二十九億。これでは新市町村建設促進法などというものを作って鳴りもの入りで宣伝して、町村合併などというものを非常に進めて、その結論として、裏づけとして建設を促進するために、ある程度の補助をすると言いながらも、額面として現われたものは十四億五千万、片一方は農山漁村という特殊な地域に限られておって、けっこうなことですけれども、それが二十九億、こういうことではこれは町村合併などに対する新市町村というものはちょっと、大臣に聞くべきことですけれども、政府数字というものを疑わざるを得ないということにならないか。
  50. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 新市町村建設の経費というものは、私は、自治庁だけの仕事ではない、各省がそれぞれ各省の所掌に従ってやっていただく、こういう筋合いのものだろうと思うのでございます。それでございますから、この関係経費というものは全省を通じで総合的に見て御判断を願わなければならぬ。われわれのところの部分はこれで十分かといえば、もちろん私は十分だとは申しませんが、昨年よりも相当にふえておるのが事実でございます。この合併関係経費につきましては、これは資料が今日ちょっと間に合いませんでしたが、全体の予算関係経費を合せて報告を申し上げたいと思います。大体この一般、単独、補償事業等のほかに学校等の経費もありまして、そういうものを合せますと百十六億ぐらいございます。そのほかに新農村建設関係事業費全体として見れば約七十三億ぐらいあります。ちょっとこの前申し上げた数字よりもふえているはずでございますが、このこまかい数字は内訳を作って差し上げますから、それによって御判断願いたいと思います。なおそのほかにたとえば電信電話の統合関係経費は別にあります。そういう式で各省それぞれ所掌に従って計上いたしておりますから、政府全体といたしましては、これはあるいは不十分ということにはなろうと思いますけれども、新市町村育成のためには相当の経費を計上いたしておるということが言えると思います。
  51. 加瀬完

    加瀬完君 各省所管の市町村関係のものというものを集めてくれば、当然住民というのは市町村に分れているわけですから、市町村に関係のない予算というものは一つもありません。そうではなくて、新市町村建設促進法に基くところの裏づけ予算というものが、農山漁村建設総合施設費などと比べて、これが一体妥当だと言われるかどうかということなのです、問題は。
  52. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それで先ほど申し上げました通り、新市町村建設促進法は、これは自治庁だけの問題を拾ったわけではないので、全部を、つまりあらゆる面から考えて建設事業を促進しょうという建前になっておるわけであります、それから今お話通り自治庁関係プロパーのものがこれで十分か、こういうことになれば、われわれもこれは十分だとは考えておりません。が、しかしこれは国の予算全体の問題もありましょうし、相当、新市町村一町村単位であれば、単価四百万円ぐらいかになっておるはずでありまして、これならば使い方によって相当な仕事ができるだろうということは、私は申し上げることができると思います。そのほかに御承知の通り交付税では合併関係の補正を考えたり、あるいは起債のつけ方につきましては、新市町村というものを重点的に考えてあらゆる面において新市町村を総合的な立場で育成助長していきたい、こういうことで初めてほんとうの建設が私はできるものだと思っておるのでございます。
  53. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今の点に関連して、新市町村計画というものの促進について、各省の予算をみんな集めてそれを総合した形において、新市町村の育成に当っていくのだ、こういうお話でございますが、そういう考え方ももちろんあるでしょうが、その総額を集めたものが、とりもなおさず、町村合併に伴う、法によるところのいわゆる新市町村の計画というものになるかどうかということですね。これはちょっと私はおかしいのじゃないかと思うのですがね。特にあの法の趣旨に基いて、従来よりも経費がこれくらい大きくなったのだ。こういうのであれば別ですが、たとえば道路予算などは新市町村計画とは一応切り離された形になっている。これは予算の作り方そのものがそうなっておると思うのです。これをみんなかき集めてきて、これは新市町村育成の予算だ。こういうことではちょっと甘い考えじゃないかと思いますが、その点どうでしょう。
  54. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それはごもっともでございます。私の申し上げましたのは、そういう意味でなしに、とにかく予算の上で、直接新市町村というものを頭において出した経費だけをまあ拾いたい、こういう考え方でございます。それに新市町村建設促進法は、御承知の通り、新市町村建設の総合的な計画でございますから、それはもう計画の中身は各省各般にわたっておるのでございます。  そこでこの仕事の中で自治庁としてあんばいすべき問題は何かといえば、たとえば学校のことは当然文部省が考えるべきで、学校統合の経費は建設促進法にもありますが、促進法の精神に基いて、文部省が統合の促進のために、予算を相当ここにも増額しているわけでございます。自治庁といたしましては、そういう個々事業でない、新市町村の建設をやる場合の土台になる経費しか考えられない。市町村統廃合とか、そういうものの土台の経費しか考えられませんので、この部分だけは自治庁予算で計上しょう、こういうことであの経費ができておるのでございまして、全部の道路とか、川をこっちでやるということは、それは初めから考えておりません。そういう意味でございますから、自治庁経費もおのずから性質上限度があるのでございます。それにいたしましても、各省関係で、ほんとうに合併自体を目標にした予算が相当ございまして、私の方で資料を提供しょうと申しておりますのは、そういう合併に直接関係のある経費だけについての資料を作っておりますから、それで一ぺん御判断を願いたいと思います。
  55. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 それではあとで資料を見せてもらってからまたいろいろお尋ねしたいと思うのですが、いわゆる新市町村の育成というような場合に、これは何かあなたの方で目標になるもの、計画というものを持たなければならんじゃないか。こういうふうに考えるのですが、そうでなしに、いろいろな各省に分れておる予算、これも新市町村の育成に役立つのだ、こういうことでは、私少くともあの法に盛られておる精神からは、逸脱した考え方じゃないかと思うのですが、そうした場合に、現在、これは今度の予算でも、新市町村の建設計画調整というようなことにも手を着けられるようでございますが、そういう上に立って、一つのあるべき姿、あるいは順序を追うていく二次計画、こういうものは当然用意されておらなければならないと思うのです。そういう基礎に立って、いろいろ予算の要求をなさり、あるいはまた各省との折衝をなさり、調整をしておられるのかどうか。この点一つ念のためにお聞きしておきましょう。
  56. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これもごもっともでございますが、ここらの問題、詳細なことは行政部の所管でございますから、私からお答えするのは差し控えたいと思いますが、自治庁といたしましても、この新市町村建設の総合計画を作る必要が当然ございまして、それで新市町村建設審議会というものがあって、中央における計画調整の仕方なり建設のための基本方針を考えて、地方にも指導もし、またそれに基いて各省の協力も願う、こういうことにいたしておるのでございます。しかし具体的のそれぞれの計画の中身は、地方の各建設審議会で作りました計画がやはり土台になっておりまして、それを基礎にして全体としての総合計画を実は考えておるのでございますが、そういう意味の詳細につきましては、ここに資料がないわけでもございませんが、改めて一つ行政部長の方から詳しくお聞きとりを願いたいと存じます。
  57. 占部秀男

    ○占部秀男君 さっき加瀬さんが質問しました自然増の問題にからんでちょっとお聞きしたいのですが、六百二十八億という今度の地方税の自然増なんですが、これは昨年、一昨年あたりはどの程度の自然増でございましたか。何かそれの資料は私の方に来ておりますか。
  58. 柴田護

    説明員(柴田護君) 計画上は、私の記憶でございますが、昨年はたしか四百億くらいだと思います。それからその前の年は二百億前後じゃなかったかと記憶いたしておりますが、それは計画であります。決算上でどうなっておるかというお尋ねにつきましては、後刻資料でお答えいたしたいと思います。
  59. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで今度の自然増加は、一応計画上の問題だけになるかしれませんが、昨年よりは三分の一以上ふえておる。一昨年よりは三分の二はふえておる。一昨年よりは約三倍だというような形になっておるわけですが、これは六百二十八億の自然増をこの地方財政計画に盛る場合に、たしか各県市町村の長からやはり自然増の見込みの調査資料というようなものを、私はとっておるのじゃないかと思うのですが、そういう点は何かやっておりませんか。
  60. 柴田護

    説明員(柴田護君) 決算の今年のやり方の詳しいことは税務部の方からお聞きとりを願いたいのでございますけれども、私の承知している限りでは決算の報告書は三十度年でございますと、大体五月から六月ごろにあらかたの荒い数字が出て参りまして、十月ごろに大体まとまってくる。そのまとまってきた決算を今度分析してこの国会に報告するわけでございます。でございますが、税収入を組みます場合にはその決算に出てきた税収入を一応参考にはいたします。ただ税収入を計算、いたします場合には、通常たとえば法人事業税でございますと、法人税の基礎になった所得額というものを出し、それによって地方税法上の控除計算あるいは加算計算をいたしまして出していく。その際には実績というものはあまり参考にいたしません。国税の所得に乗っかるものにつきましては国税の所得というものをそのまま借りて参って、それに対して地方税法上の操作を加えて徴収見込額を出す。ところが地方税だけの分野、たとえば固定資産税みたいなものがありますが、これにつきましては実績等の分析と合せまして、実績そのままにむしろ乗らずに客観的な資料から別に、固定資産の総額がいくら、それに対する伸びはいくら、これは償却資産の増加状況、設備投資の状況といったようなことからいろいろ判断いたしまして伸びをはかる。こういう計算を実はしておるのでございます。実績をここで見ますと、困りますのは特に市町村税でございますと標準税率超過課税をやっておるところがございます。標準税率超過課税のものが、なまで決算の中に入って参ります。従ってその間の分別がむずかしゅうございますので、通常はその方法によりません。
  61. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうすると総括的にいって、地方の知事あるいは市長と各県市でもそれぞれその都市の地方税の自然増の見込みについていろいろやっておるわけですが、そういう点は一切地方財政の策定をする場合には参考にしてないということになるわけですか。
  62. 柴田護

    説明員(柴田護君) 税目によりましては参考にするものもございますけれども、先ほど申し上げました事情等から、大体あまり参考にしないというのが現在の見込みの現状でございます。
  63. 占部秀男

    ○占部秀男君 これはやぼなことを言うわけではないのですけれども、法ではちょっと読むと、例の歳入歳出の計画を作る場合、当然交付税を作る場合にはたしか徴税税収見込みを調べなければならぬように、出させるようになっていたと思うんですが、そういうことはやってないわけですか。税収の見込みについて財政計画をたてる前に知事や市長の資料をとるということにしないのですか。  そこでそうなると私考えてみるに、地方財政計画に基いて一応起債のある程度ワクなんかも考えられるし、いろいろと地方の方は相当影響があるわけじゃないですか。かりにこれが六百二十八億というものがさっき加瀬さんの言われたように過大であったということが、三十二年度の決算期でもいいが、途中でもいいが、おおよそ税収見込みというものがわかっておると思うんですが、そういうようになった場合に、相当各県市ではこれは迷惑をこうむらなければならぬという場合が、私は現実問題としては出てくるのじゃないかと思うんですが、それぞれの県市の予算をたてる場合に、地方財政計画の根本的な問題はいずれにしても重大な参考としてやるわけですから、そういうような場合にはどうなるのですか。六百二十八億の自然増加がなかったというような場合に、各県市がそれによっていろいろな方針を、予算をたてて、結局穴があいたり、いろいろやりくりをしなければならぬというような場合には、自治庁の方として、たとえば部分的な財源措置をするとか何とかやってくるというような、そういうような善後措置はやられるわけなんですか。
  64. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは計画で見積った見積りが、何らかの経済界の変動でどんでん返しになったというようなことは、想像すればないわけでもないと思いますが、われわれのみるところによれば、現在の情勢では確実な見通しをつけてやっておるわけです。そういう事態になるときには、国税だって同じような問題があり得るわけでございまして、地方税がひっくり返るようなときは、国税だってひっくり返るような経済上の変化でもなければ、私はまず考えられないと、こういうように思います。
  65. 占部秀男

    ○占部秀男君 私の言う場合は、一つの県や二つの県で組み方が悪いという場合でなくて、加瀬さんの言われるように総括的な問題として自然増の見込みが過大じゃないかというような話から、さっきの話があったと思うんですが、そういう事態を言っておるのです。確信があるというならば、それはまた何ですけれども、そういうことが、もし確信がはずれたような場合が大部分出てくると、どうも国の予算の問題と関連して心配があるのですが、そういうような場合は部長さんに聞くより大臣に聞く方がいいかと思いますが、この点はまた大臣が来られてから一つ
  66. 柴田護

    説明員(柴田護君) 先ほどお尋ねがありました税収の伸びでありますが、決算書で申し上げますと、二十八年度の決算が普通、目的を合せて三千三百六十億、二十九年度の決算が同じく普通、目的合せて三千六百五十八億、ただしこの目的税の中には国民健康保険税は入っておりません。それから三十年度の決算見込みは三千八百十四億、この三十年度の決算見込みはちょっと古いかもしれません。そういうふうに計算して二十八年度から二十九年度への伸びは二百九十八億円、二十九年度から三十年度への伸びは百五十六億円ということになっております。
  67. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 地方公共団体予算の編成期に際して、財政法でしたか指針を与えられておると思うのですが、三十二年度の各地方公共団体予算の編成に対する指針を一つ見せていただきたいと思います。  それから非常に問題になっておるのは、いろいろ再建法の措置で再建法の適用を受けた団体予算編成が、最近の経済界の好況、自然増収等にもかかわりませず非常に困難をきわめておる所もあるようですが、それらにしても何か特別な指針を与えておられるかどうか。私の聞く限りでは何かもうこれまでの計画通り組めておるような何があって、あっちこっちで非常に困難をきわめておるように聞いておるのですが、そういう点どうなしですか。
  68. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今の明年度予算編成方針につきましては、私の方で案を出して自治庁の名前で自治庁考え方を述べておりますから、これは後刻資料として差し上げたいと思います。これは再建団体、非再建団体を通ずる問題であります。それで予算がおくれたものですから、その前にどうなるかわからないというので、再建団体につきましては見通しがつかぬというので、これは地方でもほんとうは困っておったことでございます。私の編成方針がおくれて、おそらくはそれが出る前に計画をたてて予算を作った所が多いと思うのであります。あとから出しましたものは当然交付税もきまりましたし、税の自然増収もきまりましたので、それを前提として合理的な基礎で見るものは見得るような指針を出しております。ただいまの昇給の問題とかそういう問題はまだ国できまりませんから、そういうような関係財源はみなリザーブしておけという、こういう方針で指示をいたしております。で各県におきましてもその点はっきりした見通しがつかぬものですから、一応そのままの計画でやっておるという所の方が多いと思います。しかし多少調整を加えておる所もございます。これは県によっていろいろなやり方をやっておるようでございます。
  69. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 再建団体の方はどうですか。
  70. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 再建団体につきましても実は出そうと思っておりましたけれども、もう時期もございませんし、もう向うでも作ってしまっておりますから、今の予算の編成方針だけで間に合わすよりしようがあるまい、こういう考え方であります。これは再建団体を通ずる原則でありますから、それで考え直しておると思いますが、もうその時期さえなかったろうと思います。率直に申しまして、今の編成方針の方が、おそらく県会も予算を出してしまったあとで、あとをついておる際でこれは私ども申しわけなく思っております。
  71. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それで再建団体は一応もう指定は大体終ったと思いますが、手直しをされぬでも、たとえば徳島のように十五年も再建の期間があるようなことで、実際今度の地方債に対する特別措置等で、大体あのままで手直しなしにやれると思われるのですか。その点も予算委員会でも少し質問してみたいと思うのですが、どうですか。
  72. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまあ地方再建計画は、今申し上げました通り、作ったときは全くそれは見通しのつかない状態で作っておりますから、先ほど加瀬委員からもいろいろお尋ねになりましたが、計画自体も非常に無理で、計画通りでさえやれるかやれぬかわからぬ、かりに計画通りやったって、もうどうなるかわからぬというような面が私はあったろうと思うのでございます。それで明年度財政の実態がきまり、公債費の対策はきわめて不十分で、おまけに明年度限りだからこんなものであとの計画が立つかという問題がありましょうが、明年度の確定した予算と対策を基礎にして、当然計画は構成されなくちゃならない、私はままそういうふうに考えております。それでございますから三十二年度の今の計画変更も、ほんとう骨格予算を組むための計画変更を今やっておりまして、実体的なものは、予算がきまりまして、交付税の配分の基準もはっきりきまり、公債費の配分の基準もきまってからもう一ぺん本格的な計画変更をやってもらわなくちゃなるまい、ですから問題はむしろそういうところに残しておくべきだ、こういう考え方指導いたしておるのでございます。
  73. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この「事業繰越額に関する調」というのは、これは最近の経済の好況等が、地方団体にどういう影響を及ぼしておるかという一つの判定する材料にもなるのですが、三十一年度の大体の傾向はどうですか。まだ出納閉鎖にもなってないので何とも言えないのですが、三十年度の調べはあるのですか、傾向としてずっと減るでしょうか、どうなんでしょうか。
  74. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは三十一年度はずっと減ると思います。それともう一つは、例の自治法を改正いたしまして、事業を繰り越すような場合には、はっきりした財源を見通しを  つけなければできないという建前になっておりますから、その面からいっても、これは激減すると思います。単にからの事業繰り越しということが、従来財政の運営上いろいろ赤字を作った原因でもございまして、できないものはできないでその年で仕事を打ち切って、明年度は明年度財源を考えろ。こういうふうな考え方になっておりますから、この数字はずいぶん減ると思います。
  75. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは午前はこの程度にいたしまして、午後は二時より再開いたします。    午後零時四十四分休憩    —————・—————    午後二時五十二分開会
  76. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより再開いたします。昭和三十二年度地方財政計画に関する件について、質疑を続行いたします。質疑の方は、順次御発言を願います。
  77. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 地方財政で問題になりますのは、何と申しますか、財源、片一方では整備を指定されている、片一方は、不交付団体みたいなような、非常にいいところと、まあ並みのところと、あるいは市町村でいうと、個々アンバランスの問題が非常にたくさんあると思うのです。そういう問題についてですね。これは、地方おのおの自主性であるから、やむを得ないとかなんとかいうことでは、私は、片一方の理屈は立つと思いますけれども、それかと言って、片一方では非常に貧弱町村として、何と申しますか、苦しんでおる、片一方はゆったりしておられるというのではですね。どうもそこに、済まぬような気がすると思うのです。そういう抜本的な問題についてですね。自治庁並びに大蔵省が一つ、今後とるべき対策と申しますか、そういうふうな問題について、一つお聞かせ願いたいと思います。
  78. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今のお尋ねの問題は、これはきわめて大きな問題でありまして、これこそ大臣の答弁でなければ工合が悪いと思いますが、結局この問題は、まあ地方財源を一体どう考えるかと、現在で、足るか足らぬか、どこまでふやしたらいいのかというような問題に結局帰着するだろうと思います。まあ個々団体の間のやり方の問題とか、団体の間の力の問題が一部ありますけれども、大きく考えれば、地方財源全体をどう考えるか、それを考えたところで、われわれはその配分を公正にやると、こういうことに結局なるわけでございまして、今度の財政計画でも、それは、当初われわれが考えておった線よりもだいぶ後退して見ざるを得なかった。当初考えておった線だって、それならば、みんなが満足するような線であったかといえば、私でも、それはそうじゃないと思います。しかし、まあそれからも相当後退したわけですが、これも結局国全体の財政との、バランスの問題もありますので、われわれとしては、この際はこの程度でがまんをせざるを得ぬじゃないか、このがまんをする範囲内において、できるだけ公平に財源を配分をして、そしてまあそれぞれの団体と相待って、できるだけ行政の成果をあけるように考えていくよりしようがないと、こういうふうに存じておるわけでございます。
  79. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 来年度財政計画自治庁で作られたものを私どもでまた協議をしたわけでございますが、この交付団体、不交団体、富裕団体と貧弱団体との問題ですが、これは、財源の点から見ますと、これは、税収の伸びがやはり法人税等を中心とする関係になりまして、非常に不交付団体の方に片寄ってきておる。たとえば、来年度府県税で申しますと、普通税の収入が、不交付団体につきましては約四〇%伸びるのに対しまして、これは大ざっぱな数字でございますが、交付団体では約八・一三%しか伸びないというようなあれもあるのでありまして、やはり財源偏在がある。今後税収の伸びは、やはり法人税を主として、大都市を中心として伸びて行くことを考えますと、かなりその偏在の度が従来よりもなおはっきりして行くんじゃないかと、この点が多少お気にさわる点であろうと存じますが、やはり今後、地方財政を考える場合に、非常に注意しなければならない大きな問題であるというふうに私どもとしては考えている次第でございまして、やはり地方財政財政面における全般的な伸びがどうかという問題とあわせて、この交付、不交付団体における税収の伸びの差といういうものを主に考えなくちゃならない。三十二年度予算が始まる前に、臨時税制調査会におきましても、この問題が取り上げられたわけでありまして、ある程度財源偏在是正を考えるべきではないかという、一部強い主張があったわけでございます。まあ交付税の率の問題等がからまりまして、この問題は、私どもといたしましては、未解決のまま年を越すことになったわけでありますが、歳出面におきましては、給与費も増加、公債費も増加しますと、交付、不交付甲乙なく伸びるのに対しまして、その財源面においてそのような片ちんばなところがある。やはりこの点は、何らかの形において、その偏在是正を考えるべきではなかろうかと、かように考えている次第でございます。
  80. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう少し具体的にお聞きしたいのですが、貧弱と申しますか、貧弱という言葉を使っちゃ非常に悪いかもしれませんが、そういうところで、非常に財源に困っているということ。たとえば、教育費なんかというのは非常に大きいわけですね。それに対して、半額国庫負担というもので、そういうところのものにバランスが失われないようなふうにやっておりますが、なお二分の一を片一方で負担しなければならないというようなことで、非常に圧迫しているというのも事実だと思いますが、特にそういう場合、年末手当を出せるとか、出せないとか、今日こういう問題になってくると、片一方は出せる、片一方は出せないところがあるというようになってくる。そういう問題について、事務的にどうやったらいいか。今、お聞きすれば、三十三年度の見通しでは、なお差は開いて行くということになる。これを何とかして縮めなくちゃならぬというようなことになってくると思うのてす。そういう問題については、たとえば、処置としてこんなことをやったらどうだ、あるいはこういうふうにやっているから、こういうものがこうなったと……。小林さんの御意見を聞いておると、非常に抽象的な話ですけれども、もう少し具体的に一つ、対策と申しますか、こういうようなことをやったらどうだろうというような、そこらあたりの見解を一つお聞かせ願いたいと思います。
  81. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、現在の問題と今後の傾向の問題と、両方あろうと思います。相沢主計官がおっしゃったのも、それは傾向の問題で、どうせこういう経済の姿ですから、従って、平たく言えば、単に税の伸びが不均衡になっていくということは、ある程度避けがたい情勢であろうと思います。それにしても、府県の間では、最小限度のいろいろの調整をせざるを得ない。これもまた事実なのでございます。そこで、政府調整方策が現在あるならば、国税が中心になっておるわけでございまして、その交付税で調節をやっておるのが、それでもなおかつ、足りるか足りぬかということだろうと思います。われわれの見るところでは、今年度計画、来年度計画等におきましては、交付、不交付を問わず、必要な、国が考えておるような行政の水準はもちろんこれは確保される、こういうふうに現在はそれは考えております。それでもなおかつ、そのレベルが低いのじゃないかということは、これはあろうと思うのです。そうすれば、そのレベルがもし低いときは、上げるためにはどうするか、こういう問題になってくれば、自主財源でさばきがつかんということになれば、調整財源をさらに何らかの形で与えるほかに仕方がないのじゃないかという問題に、これはなろうと思うのであります。でありますから、ただ、その調整財源をさらに与えるというのならば、どれだけどういう方法で与えるか、そういう問題が、まあそれは交付税の率の問題があったり、いろいろな方法があり得ることだし、片一方では、今も相沢主計官がおっしゃったように、その財源の再配分という問題がまた別の方法であり得るのじゃないかということがある。その問題は、だから、結局地方団体の間に現在与えられておる税源をならす方式でやるか、これがいわば従来一部の方で主張されておる一つ考え方。われわれの考え方はそうじゃない。そういう足らん部分があるとすれば、それはやはり国の責任で足らん部分を出すべきである。現在、自分の団体は富裕だといっても、富裕な団体行政がまともに行われているかといえば、これはまともに行われておるとは思わない。富裕団体といえば、東京都がいい標本だと思いますが、東京都にだっていろいろな問題がこれはあって、もっともっと仕事をやらなくちゃならないことがたくさんあるわけでございます。だから、そいうことで、非常に地方財政を考える上において一番困難なというか、根本的なそれは問題だろうと思います。そういう問題でございますから、そう右から左へ割り切れるような私は策というものは、そうは簡単に出るはずがないと思いますが、いわば交付税論議というものは、その問題の一つのやはり解決の現在の方式では、一つのポイントに私はなっておるのじゃないかと、しかし、まあまあそれは、国の財政事情もこれはありますから、そう明確なことが言えるわけでもありません。その間で、ほどほどの間でなるべく合理的にやろうということを、今日の段階においては考えざるを得ないというのがこの姿なのでございます。
  82. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大蔵省の方から一つ……。
  83. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 根本的な考え方としましては、今、財政部長から御答弁がございましたことと、そう懸隔があるわけではございません。ただ、私どもとしましては、ただ国の負担が軽くなることを願うという気持だけからではなく、やはり現在、交付団体と不交付団体においては、かなりな差が見られる。これは、歳入面ばかりではございませんで、歳出の面でも、給与費をつかまえてみましても、そういう傾向は相当はっきりしておると思います。やはり地方団体全般に対する財源の充実ということとあわせて、地方団体間におけるそういう不均衡のある程度の是正というものは考えるべきではないかというふうに思っております。
  84. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大臣がお見えになって、鈴木君が何か質問あるそうですから、私はまたあとにしたいと思いますが、今現に、富裕団体から貧弱町村というか、貧弱団体との調整をとるものとして、一つ交付税の問題を考えられる。あるいはたばこ消費税というような問題が考えられるのですが、これが安全弁的な役割を果しているのではないかとするならば、私は、安全弁的な役割を、実際問題として今年度一つ果すようなことにもならなければならぬと思うのですが、新しい法規も出ておるのですから、また、それでやってもいいと思いますが、そういう問題についてやはり、何と申しますか、次回に、いま少し掘り下げた論議というものを一つ作って、やってもらいたいと思います。
  85. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 地方財政計画の具体的な問題についてお尋ねする前に、大臣おいでですから一つ……。  私自身、大事な基本的な問題だと思われます事柄につきまして、若干お尋ねしたいと思うわけでございます。地方財政に対する先日の大臣お話からする考え方というものは、私どもも、これは賛意を表するにやぶさかでない、非常に重要視せられた考え方を持っておられるようでございます。特にこの問題は、国家財政よりもむしろ規模において大きいのだ、こういう重要な問題を本会議において一つ説明をし、また、質問があればそれに答弁したいというような決意のほども示されておるわけでございまして、こういう点からいたしまして、その重要性なり、これをいかに持っていくかということが重大な問題になってきておると思うわけでございまして、今申し上げましたような基本的な問題について二、三伺ってみたい、こういうふうに思うわけでございます。  まず第一は、地方財政というものに対する現在の規模なり、あるいは性格なりというものに対する見解を承わりたいと思うわけでございますが、と申しますのは、昨年の暮に、地方財政に対する見方として、政府で設けた二つの委員会におきまして、異なる見解が示されておるというふうに、私読みとったわけでございますが、一つは、臨時税制調査会におきまして出されました地方財政に対する考え方一つは、地方制度調査会におきまして、これは中間発表のような形でございますが、一応の結論として出されました地方財政に対する考え方、これは私は、今申しますように、異なった考えに立っているのじゃないかというふうに受け取ったわけでございます。  具体的に例を申しますと、特に地方税の自然増収の取扱いに関しての見解でございます。臨時税制調査会におきましては、この地方税の自然増があった場合には、まずこれを減税に振り向けるべきだ、なお次には、公債費の問題の解決に使われるべきだ、その後に行政費の面の充実に使ったらいいだろう、こういうようなことになっておるようでございます。それから一方は、減税というよりも、むしろ現在の地方行政の姿というものが、いわば、よく使われている言葉でございますが、行政水準が非常に低くなっているから、これを引き上げるために使われるべきである。もし余裕があったら、公債等の解決のために、さらに減税も、これは最終段階において考えられるべきだというようなことを言っておるわけでございまして、しかも、結論としましては、臨時税制調査会の方におきましては、地方財政の規模を現在以上にふくらましてはいかぬ、極力圧縮した形において地方財政というものを考えていかなければならぬ。言葉はちょっとその通りじゃございませんけれども、そういう趣旨のことははっきり言っておるわけであります。極力膨張を防止すべきである、こういうふふうなことを言っておる。それに対して地方制度調査会の方では、今申しましたように、行政水準の引き上げにこそ金は使われるべきであり、そういう面における財源の充実というものが考えられなければならない。よってこれは、当然現在よりも財政規模を大きくしなければ解決がつかないというようなところになってきておると思うのですが、そこで、こういう二つのりっぱな機関におきまして、違う見解が示されておるわけでございますが、大臣は一体、こういう二つの委員会から出されております見解について、どちらをおとりになるのか、それについて一つ考え方を伺わしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  86. 田中伊三次

    ○国務大臣田中伊三次君) 申しわけございませんが、衆議院の選挙特別委員会で提案理由の説明をするということが昨日来きまっております。時間が参っておりまして、お許しをいただければ、できるだけ早くその方にかけつけて参りたいと思います。  今の御質問に対する答えでございますが、臨時税制調査会と地方制度調査会の方で、その結論のもたらした方が違うということは、お説の通りでございます。今、先生からお説をいただきました通り地方制度の調査会の方は、あくまでもこの余裕財源と申しますか、自然増収というか、そのゆとり財源は、これは行政水準アップに傾けていくべきであるとの見解を強く、もうずいぶんくどくそれを主張してくれておるわけであります。ところが、その主張に対しては、臨時税制調査会、大蔵省の臨時に設置しております委員会の方では、合理的にものを言っておるように見えるのであります。まず減税に財源を使え、しかる後公債費の重圧緩和のために対策を講じよう、それから行政水準でもおそくはないではないかということを言っておるのであります。これは、やはり法律の制度上根拠を持っておる地方制度調査会の言っておりますことが、この地方制度の行財政の内容、実態というものをよくつかんでおるものだと私は思うので、私は、どちらを尊重するかということになりますと、少し極端かもわかりませんが、臨時税制調査会の方の主張するところはとにかく第二段といたしまして、一意専心この地方制度調査会の答申の内容に力こぶを入れていきたい。それは、地方財政の実態にまことに即した考え方を持っておるからであると、こういうことでございます。それから、どうして、地方財政の実態からいって、行政水準の維持、アップに特に力を入れていかなければならぬかと申しますと、いわゆる行政水準といわれますものを具体的に申し上げますれば、まず道路であります。それから橋梁を含めた河川であります。こういうものの実態を見ましても、現在はもうとうていお話にならぬ。形だけ、姿のままだけのものが多い。こういう状態でございますので、橋にいたしましても、かかっておるけれども、危なくて人間は通れない。小さな動物は通れるが、牛は通れない。それから、荷物を積んだ車はもう通れない。自転車に荷物を積んで疾走することは許されぬ。おりて歩け、こういう橋が数百に上るものがある、これは一つの例でございます。こういうものを、とにかく赤字が出る、赤字が出るという、国の責任を忘れてしまって、赤字が出るということに強く着眼をした結果、何でも収支のバランスをとるために、地方事業を圧縮することに努める。事業を極端に圧縮して、そして支出を極力減少せしめて、収支のバランスをとるという、まことに不合理な行財政の運営のやり方を今日までしてきております。そういうやり方でございますので、この実態を知っておられる地方制度調査会は、行政水準の維持に最も力を入れろという決意でございますから、私は、この方を尊重して、これに全力をあげていくべきものである、一方を無視して一方を重視するというのじゃないのですが、実態に即したという点から申しますと、この方に力こぶを入れずにおれない。こういう意味で、これを尊重していきたいと思うのであります。
  87. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 大臣お話はわかりましたが、これはあれでしょうか、はなはだ失礼なお尋ねの仕方でございますけれども、政府の態度として、私そういうふうに受け取ってよろしうございましょうか。
  88. 田中伊三次

    ○国務大臣田中伊三次君) これは、自治庁長官の答弁でございますが、政府全体の意向としてお受け取りをいただくい間違いないと思います。
  89. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっと鈴木君、御相談ですが、大臣が向うで、提案理由の説明ですか、その時間の約束をしておるそうですから……。
  90. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 それじゃあとで……。
  91. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それじゃ、向うが済んだら、また御出席を願います。  続いて大臣に対する質疑以外の質問を願います。
  92. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ただいま、まあ政府の態度として、そういうことをはっきり申し上げることができるというお話でございました。私、妙な、今のようなお尋ねをしたのは、この点について、政府自体ではっきり意思統一がされておらないんじゃないかという実は懸念を持っておるからでございます。これは、まあ極端な言い方になりますが、先ほど、二つの委員会におきますところの見解の相違について私述べましたが、その臨時税制調査会の結論といいますか、見解といいますか、あるいはそういう態度といいますか、それを代表するものは、政府部内では大蔵省じゃないか。一方地方制度調査会は、これはもちろん自治庁が中心になったのでしょうから、そっちの方の意見の代表が自治庁、こういうふうになってきまして、財政計画その他地方のいろいろな問題の解決の際に、どうも意見が食い違っておるのじゃないか、まだ私はしっくりした、先ほど大臣からはっきり答弁のあったような形において、政府部内の一つの思想統一というものが見られないのじゃないかと思うのですが、この点一つ、さらに私、念を押して、政務次官にお尋ねしてみたいと思います。
  93. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) どうも、政務次官からでは不十分でございますかもわかりませんが、まあ率直に、私たちの考えておりますところを申し上げますると、臨時税制調査会は、御承知のように、政府の諮問機関でございまして、その通り政府が考えているわけではないのでございます。また、地方制度調査会も、内閣に設置せられたる政府の諮問機関でございまして、政府がその結論通りに考えているわけではないことは、もちろんでございますが、一言申し上げておきます。  それから第二番目に、政府の考えが統一されているかされていないかということでございますが、政府予算編成の大綱におきまして、地方財政の健全化をはかり、また、行政水準の確保を目ざして、また、公債費の措置をするというようなことを、今回の予算編成では目途としているのでございまして、その点におきまして、大臣が先刻申し上げましたるごとく、大体地方制度調査会の目途としているところと大体合致しているのでございます。政府の公表しております政策方針の方はございますね。しかしながら、政府も、臨時税制調査会には、相当な尊重の気持を持っているのでござしまして、政府全体の税制の改革につきましては、相当部分、臨時税制調査会の意見をいれている部分もございます。まあ国税の、所得税の一千億減税のごときも、臨時税制調査会の案よりも、はるかに大幅にこれを採用しているわけでございますが、その他諸般の地方税につきましても、臨時税制調査会の意見を採用しているところもございます。また、たばこ消費税のごとく、その答申通りやらないところもございますが、技術的な面につきましては、相当臨時税制調査会の専門家たちの調査の成果を活用しているところもあると存じております。また、国税、所得税、住民税、また事業税等の関係は、有機的一体化の関係にもございまして、たとえば法人に対する税負担の場合と個人事業の税負担の関係、法人事業の税負担の関係というようなものは、法人税それから法人税割とか法人事業税とかいうもの、個人の所得税、個人の事業税、個人の所得割というようなものを制度上設定しまする際に、その間の均衡問題が出てくるのでございまして、それらの際に、臨時税制調査会の意見、ことに技術的な意見を尊重したところは相当あるのでございますが、そうしたようなわけで、まあどっちかと非常に率直に言えば、臨時税制調査会の理論だけに従えば、これは縮小均衡のようになりまして、地方団体というものは、ますます萎擁していくという弊害を生ずるおそれが全然ないとは言えないのでございます。それからまた、臨時税制調査会の考え方の底には、どういたしましても、従来からの地方制度の沿革に基く地方自治理念というものよりも、地方財政を、あるいは地方行政国家行政地方的設備と考えるような面が相当あるのでございます。しかしながら、いずれにしても、相当の権威者を集めた調査会でございまして、政府といたしましては、その諮問機関の答申のうちで、とるべきものはとって処理していっていると、こういう実情でございますから、さよう御了承をいただきたいと考えております。
  94. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私まあ、先ほど少し極端な表現を使いましたが、たとえば、政府部内において、臨時税制調査会の見解を代表するのが大蔵省じゃないかと、こういうような言い回わしをしたわけでございますが、真意は、全部を取ったとか全部を捨てたとか、こういうことじゃなくて、地方財政の全般に対する考え方において、そういう傾向があるのじゃないか、もしお話のように、地方財政というものを健全なものにし、ほんとうに自主的運営できるような態勢に持っていく、それから、従って地方行政の水準というものを確保し、さらに引き上げていく、こういう全般的な、非常に大事な点について意思統一がなされておるならば、私は、今回作られました地方財政計画において、これはもっとはっきり現われて来なければならなかったのじゃないかと、こういうことなんでございます。行政水準の引き上げあるいは確保ということにつきまして、先ほど大臣からも、道路の問題あるいは橋梁の問題を具体的にお話がございました。しかし、問題はそういうところにあるのじゃなしに、もっといろいろな、各方面にわたって憂うべき現状にあることは、私が今さら指摘するまでもないと思います。従って、ほんとう地方行政水準を確保する建前であるならば、そういう点に向ってもっと力を注ぎ、地方がそういう仕事をする場合に困らないだけのこれは程度問題ですが、そういうものがある程度最小限度、これをもって確保できるというような程度財源を私は与えるべきだろうと思います。ところが、実際の数字に当って見ますと、これは、そういう点からいたしますと、明年度地方財政計画というものは、昨年度よりは多くなる。全体としてふえておりますけれども、そういうことの期待においては、はるかに私は遠いものだと思う。一つの例を申し上げますならば、昭和三十年度決算のあらましについて示されたことを見ますと、この中にはっきりあるわけでございますが、地方自治団体の全部についてのいわゆる地方行政の水準を確保する上において、最も大事だと思われますところの投資的な経費、これが二十九年度からいたしますと、相当の減が行われております。四百六十億ぐらいの減額になっているわけでございます。これは、三十一年度の決算は、私どもまだ示されておりませんが、これは、二十九年度と比べたら、三十年度ほどではないかもしれぬけれども、相当の減がありはしないか、こういう点で、しからば明年度地方財政計画において、それをカバーすることができるだけ財源に見込まれておるかどうかということが一つ、さらに問題になるのは、たとえば、二十八年、二十九年でも、それ自体の投資的な経費の硬い方ということがやはり行政水準の維持のために満足な数字であるかどうかということ、こういうことに問題はあると思うのですが、そのことは、別な観点からまた検討することにしまして、そういう点で、私は何度もうるさいように申し上げるわけでございますが、どうも本気になって、地方行政の水準確保のために、あるいは向上維持のために、努力を払っているのだというふうな政府は一致した態勢にあるとは、私は考えられないのでございますが、もしやるとすれば、いわゆる神武以来の景気といわれているこういうときにおいてこそ、ほんとうにそういうことの措置をすべき段階に来ていると思われるわけでありますが、こういう点につきまして、一つお考えを伺いたいと思うわけでございます。
  95. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) はなはだ不十分な説明しかできなくて、恐縮でございますが、国の財政地方財政とは、並行して、二つの国の政治における重要な財政であると思うのでございますが、その二つの中に相当重複関係、重複勘定がありますことは、御承知の通りであります。そうして、国の財政地方財政とは、終戦後も大体年々同じ大きさを持っておりまして、片方が一兆三百五十億なら、片方が一兆四百五十億、片方が一兆一千三百億なら、片方が一兆一千四百億という、大体似た大きさでございまするが、戦前におきましては、財政需要の増加は、国の財政よりも地方財政の方が大きいような傾向を示しておったことも御承知の通りでありまするけれども、終戦後は、ことに戦後の安定期に向いますると、特に戦後的な様相を呈しまして、国の財政需要に非常に増加の趨勢が出てきておるのでございまして、一種の戦後型でございまして、それでたとえば、戦後の賠償とか、あるいは異常な恩給費のふえ方とか、そういうようなものが相当ございまして、しかも、一面におきましては、民生の、民力涵養のための減税の必要というようなことも相当強い必要になって参っておりまするし、そうした関係から、国の財政の方の面の財政需要も、相当これは考えなきゃならぬ時期になったというような気もするのでございます。で、それに比べますのに、一番大きな問題は、御承知のごとく、ごく最近起りました電力、総合輸送力及び鉄道、鋼等のそうした大きなネックが国の経済面に出て参りまして、それを処理するためには、相当な予算及び財政投融資を必要としてきているようなわけでございます。そのような関係から、国の行政全般、地方行政、国の行政を含んだ面におきまして、これを、たとえば、大きな国鉄の業務の改善、施設の改善というようなもののほかにも、国、地方を通じての輸送力の増強のための道路、橋梁、港湾なんかの大きな打開策が必要になってきているわけでございます。そうしたような面と並行して、われわれ多年念願しておりまするところの地方財政の健全な公債費の措置、また同時に、行政水準の確保ということを、これまた実践しなければならぬわけでございますので、そうした問題の調整の上に立って、三十二年度の国の財政及び地方財政の具体的なものが築き上げられることになったのだと、まあ察しているのでございます。で、地方財政だけで申しましても、現在の交付税率一%上げ、その他のまた、三十一年度交付税の自然増収を使っての三十二年度公債費地方財政に対する圧迫緩和の措置その他をもって、決して現在の地方財政を解決するのに十分だとは政府も一思っておらないのでございまして、将来にわたりまして、鋭意この地方財政健全化並びに行政水準の確保に努力をいたしたい考えを持っているのでございますが、そうした諸般の事情から見まして、現在の段階では不十分ながら、今度の予算編成並びに地方財政計画の設定の程度で満足しなければならぬような実情に立ち至ったわけでありまして、その点は、われわれ関係者といたしましても、決して十分だとは思っておらないのでありますが、事情がさょうなような状況でございますので、御了察を願いたい、こう考えておるわけでございます。
  96. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 いろいろお話がございましたが、国と地方の問題は、いろいろ関連して考えなければいけないということ、これはもちろん、私もその通りであると思うわけでありまして、何ら異議のあるところではございません。ただ、先にも申し上げましたように、自治庁の方あるいは政府の方では、今回の地方財政計画を立てるに当って、一つの大きな題目が行政水準の維持、確保ということになっているわけなのでございまして、そういう観点からして、問題をもっとしぼってお聞きしたいと思うのですが、さっきもちょっと申し上げましたように、昭和三十年度の決算、これは概要でございますけれども、それを見ますと、投資的な経費の減が、二十九年度に比べまして、四百六十六億の減少になっている。これはまあ一つの例でございますが、これはしかし、三十一年度あるいは三十二年度の今度の計画において、どの程度にあなた方の、確保できるという、もっとはっきり言うと、二十九年度と比べまして、三十年度の決算に表われたような、こういうことでなしに、どの程度の、たとえば減るのか、あるいはふえてきているのか、そういう見通しを、これは一つ財政部長からでもよろしゅうございますから……。
  97. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今のお尋ねでございますが、実際三十年度の決算の上において、そういう数字が出ているのは事実でございます。しかし、この数字は、三十二年度においては、もちろんわれわれは逆転するものだと考えております。三十一年度の決算にどう表われるかと、こういう問題は一つ、われわれとしても非常に関心を持っているのでありますが、三十一年度の決算では、まさか三十年度のような形で減ってくることはないのじゃないかと思っております。大体地方の方も、自然増収その他の伸びもございますし、全般的に、やはり三十一年度は三十年度より好転の勢いを強めているということは事実でございますから、総体的に見れば、こういう減の形にはならないだろうと、これは、まだ正確な数字ではございませんが、そういう推測をしているのでございます。
  98. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは、三十年度では、二十九年度から比べて、さっきも申し上げたような数字になっておるわけでございますが、三十一年度においては逆転するだろうというようなことなんですけれども、これはしかし、私からすれば、あるいは三十年度から比べたらどうか知りませんけれども、二十九年度に比べたら、やはり相当な減になって表われてくるのではないかと、むしろ私は、三十一年度において、特に再建団体等ができまして、いわゆる公共事業というものが相当に圧縮をされていることは、これは、今さら指摘するまでもないことでございますが、あとで多少の追加みたようなこともありましたけれども、再建団体においては、大よそ当初七五%くらいに押えられている。ふえたにしても、八五、六%どまりじゃなかったかと思うわけでございますが、そういう点から言うと、部長のお話は、ちょっと私はふに落ちないわけでございます。しかしこれは、まだ決算も出ておらないのでございますから、これ以上こまかい数字のことについて、どうのこうのということは私も言えないのでございますから、これはいずれ、あとでまたお尋ねする機会もあろうと思います。なお、いわゆる行政水準の確保という問題を考える場合には、単にこういういわゆる投資的な経費というだけでなしに、私は、現在における地方の、府県といわず、あるいは町村といわず、教育施設の問題、こういう施設全部が、私今申し上げました投資的な経費ワクの外にあるとは言えないわけですけれども、教員数の問題にしましても、いろいろ教育上の問題がある。あるいは公務員の給与の問題、これも、私今さら指摘するまでもなく、延伸とかあるいはからの発令とか、いろいろなことが行われておる。こういうようことがある。それから、見のがすことのできないのは、民生安定関係仕事が非常に減っておることなんです。三十年度決算に見まして、あるいは産業経済費が相当に府県においては減少を見ておる。これは、私は今、数字を申し上げてもよろゅうごしざいますが、あまりこまかくなるので申し上げませんが、こういうふうに、全般的に非常に、何といいますか、前年度、二十九年度と比べて、そういうふうな経費が落ちておるわけでございます。私は、そのほかに、まだこれは、実際に仕事をしておらないことでございますので、申し上げることは何だか変でございますけれども、過年度災害のまだ仕事をしておらないのは、これはもう町村至るところにあることも、これは御承知の通りでございます、ある人は、これは千億を越すだろうといっておる、国費の持ち出しだけで、こういう点を考えます場合に、地方行政水準というものは、非常に憂うべき状態にあると思うわけなんです。もちろん、先ほど政務次官からお話のありましたように、地方財政といえども、国の財政を考えるワク外において考えられぬのは、これは当然でございますけれども、もし真に政府地方行政水準の引き上げあるいは確保と、少くとも現状を維持するというような、そういう観点に立つならば、もっと私は、違った施策がなければならないと思うわけであります。先ほど次官は、公債費の問題とか、そういうこともお話がございましたが、これはあとで私、公債費の問題について、別にお尋ねしますが、これは、ほんとう意味公債費対策ではないのでございまして、ですから私は、ここで結論的に申し上げ、そしてお聞きしたいのは、一体行政水準というものの線をどこにあなた方は求めようとしておるのか。将来どの線にまで引き上げていこうとする計画があるのか。非常に広範な問題でございますので、単に自治庁だけの机上プランで私はできないと思いますが、ともかくしかし、地方行政の水準を維持し、確保し、引き上げる、そういう大きな命題に取っ組む自治庁であるとするならば、私、当然、困難であるけれども、そういう計画を持たなければいかぬと思うのです。こういう点について一つ考え方なり、あるいは現在の作業の状態なり、もしありましたら、一つお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  99. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいまの御質問は、私たち、地方行政に長年経歴を持っているものにとっても、多年疑問としておったところでございまして、非常に大きな問題に関連していると思っておるのでございまして、とうてい御満足のいくようなお答えを申し上げることはできないだろうということを前提にいたしまして、それでも、私たちとにかく勉強して考えておりますることの輪廓を申し上げたいと思っております。と申しますのは、地方自治体というものは、とにかくこれは、住民に対してあらゆる可能な、あらゆる望ましきサービスをしなければならぬというのが私は本来の姿だと思うのでございまして、それで、そのサービスをどの程度にするかということは、住民のこれは自主的な決定を主にすべき部分が相当多かろうと思いますが、国の行政の委任事務的な面がまた一つございまして、その部面におきましては、全国的な、ある程度の同一性を保つことが、この個人、地方というものが国家として結合する一つの最小限度の必要であろうと考えております。それで、そういう面からいたしまして、しからば具体的にはどういうふうな形になって現われるか、また、政府の措置としては、それがどういうふうに具体化してくるかという問題でございますが、これは、私の考えを率直に申しますれば、地方財政と一口に申しましても、その間には、数千の地方団体が生活しているのでございまして、その間の大きな総和というものが地方財政というものになっておりますので、その内部には、非常な多様性があるということが考えられるのでございまして、その多様性のままに、それならどんな水準におっつくかと申しますれば、そこには、各地方団体ごとの住民の住民意思が世論になって、各自治体の議会を動かして、最終決定するという形になるという一応の理論だろうと思います。そうでございますると、地方財政計画というもののこの政治的な、社会的な意義というものも、現在ある状態を大体容認しまして、それにある程度将来の理想を織り込むということで、非常な飛躍は考えられない、徐々に改善していくという形になってくるのじゃないかと思いますが、単に、貧乏人は麦を食え式の縮小均衡の理論で行くときには、弱小団体はますますひどくなる、また、地方財政全体が非常な力のないものになって、住民の生活や生産の上に役に立たないものになるということになると思いますし今回、たとえば、道路費の測定単位に道路の面積だけをとらずに、延長をとったという一つの改善ですら、これはもう、非常な大きな改善になってくるのだろうと思うのでございまして、そこには、従来の現在的現在の考え方の上に、今度は、未来的な現在の考え方が生れてくるというような一つの発展があると思うのでございます。それで、私たちは、具体的な姿で、それならば、どの程度の水準に抑えられるかということになりますと、あるいは再建計画指導なり、あるいは起債のときの一坪当りの建築費とか、あるいは一坪当りの埋立費とか、そうした具体的な尺度がとられまして、それが積み上げられ、また、それが一つ基準になりまして、知らず知らずの間に、各地方団体予算編成をしますときにそれに近づく、もっと社会学的に言えば、同一県内の市町村は、その同一県内の市町村の財政規模、施設の水準等に比準して、そうして予算を組んでいくというような形のものになるだろうということを考えているのでございます。  で、鈴木先生のような点につきましては私たちも非常な現状に対する矛盾を感じております。たとえば私が地方団体として最も貧弱なる財政力しか有してない東北の県の実情を体験しているのでございまして、たとえば保健所のごときは、五人の医者の定員の保健所でございましても、現実にはお医者さんは一人しないない。また結核予防法の予算の不足から、また国民健康保険の経済の逼迫から、入院の承認ということがなかなか手数がかかるように仕組んであったり、またあまり適時に適正に承認を与えない、少し承認を与え渋るというような関係から、結核療養所や公立結核病棟等の入院患者が非常に減ってるというような、悲惨な状況を呈している事情もあったのでございます、で、これも保健所において医師を招聘するについては、現在の医師は開業資金をなるべく早く準備したい、あるいはなるべく早く学位を取りたいというような別の目的も相当ございまして、そしてまた自己の一身の都合を顧みず地方の予防衛生、治療衛生に貢献したいという気持の人ばかりじゃないのでございまして、税引きで六、七万円の月給がなければなかなか地方に来てくれないというような場合におきましては、この保健所という制度で予想されておりまするところの一つのサービスの基準が、実情は非常に低く見積られてるんじゃないか。これを国庫補助事業の場合についていえば、補助基本額という概念で考えられているのでございますが、往々にして政府が考えております補助基本額なるものが、実情に合わないというようなことが非常に多くありまして、また補助基本額そのものは実情に合った場合におきましても、その事業の実施に関連して起る経費について国がなお財政措置を要する場合があります。たとえば学校を作りましても、その建築そのものには補助、起債がありまして、それが財政的な措置を施されておりますけれども、敷地の買収費とか整地費とか、通学道路の費用とか、あるいは水道を引く費用とか、こういうようなものについては十分措置されていないし、また地方財政ワク外に相当な基準外の必要経費財源を持っている団体におきましては、それが何らかできますけれども、そうでない団体におきましてはそれがきわめて困難であるというようなところが、現状におきまして非常に行政水準が不十分だという点だろうと私たち考えているのでございます。で、たとえば今回はそれらの点にかんがみ、保健所法の改正によりまして、ある程度国庫の補助率を増すことを希望されたのでごごいますが、国の財政で十分にいかなかったのであります。また医師の充足率の向上につきましては、かねての軍医養成とか、あるいは師範学校の給費とかというような制度を新しく考え出しまして、今度立法になっていることは御承知の通りでありますが、そうしたようなわけで地方財政だけでも地方財政の問題は解決できないと、国の施策の面で相当な施設をやって、そして地方財政の負担を軽くする。国が相当の保健所勤務の医師の養成費を出しておれば、それに関連して何年間か地方の保健所に勤めなければならぬという場合には、さき申しました税引き六万か七万円の月給を取らなくても保健所に勤務してくれて、それによって行政水準が適正に確保されるという面もあるのでございまして、学校建築そのものには敷地の獲得の経費、整地費等はありませんけれども、警察法の改正におきましては警察署の敷地の購入費、整地費等に国が助成する、起債を考えるというふうな面も加味されたというようなことでございまして、この地方財政の水準を上げるためには、単に自治庁のみならず各省がその気になってこれに協力してくれるということによって水準を確保し、また向上させていくものだろうと、そういうふうに考えております。
  100. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 いろいろお話ございましたが、それはいろいろな面で行政水準の確保、あるいは引き上げのために手を打っておることもございましょう。私お尋ねしたいのは、一体その水準の確保という場合にどの程度のところを確保するというのか、あるいはまた引き上げるというような場合、どの程度まで引き上げなければならないというような、そういう計画性があるかどうかということなんであります。そこで私も、ある引き上げの目標を立てた場合に、一挙にそこまで引き上げすることが金の面等においてできるとは言っておりませんので、これは年次計画なりいろいろの手を打っていかなければいけないということも私も承知しておるわけでございますが、そういう前提になるいわゆる水準というものを、たとえば予算ワクにおいて言うならばどの程度ワクがあればいいというのか、そういうところの計画性が私は必要だと思うわけです。何べんも申し上げますようにこれはむずかしい問題でございますが、しかしあなた方が一つのこういう計画を立てる場合の大きな眼目としてあげられたこういうことの前提には、そういうものが私はどうしても必要だと思うわけなんです。
  101. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいま申し上げましたように、端的に言えば地方財政計画が現在もっと適正なものなり、また地方交付税の積算の仕方測定単位の取り方が非常に適当になってきた、単位費用が非常に現実に間に合うもの、あるいは好ましいものになってきたということが、今のその標準になるだろうと私は考えております。それ以上は、これはどうも国が地方財政計画を立てますのに、ある点からいって実際は不十分なんだということの建前は言えないわけでございます。そしてまた同時に国で地方団体に一定の水準を示すことは、これは地方自治の本旨という面からみましても必ずしも妥当でないんじゃないか。私は自治庁に来まして一番心配したことは、地方財政の均衡の理念から、あの程度起債とか再建計画を押えるわけでございますけれども、その点で果して自治庁が各省の行政の標準を判決するという立場がどれだけあるのだろうかという、そこに非常に疑問を持つくらいでございます。昨日も文部大臣に個人的に会ったのでございますが、一学級当りの生徒数とか教員数なんかの基準を作る場合には、十分注意してくれということを灘尾文部大臣からも懇々と言われたのでありますが、そういう面は政府各省の間に非常に大きな意思の連絡、行政の技術の連絡等も必要だと考えておるのでございまして、そういう意味では現在の自治庁の機構が少し小さくありはしないか、また権能が少し小さくありはないかということをひそかに考えているものでございます。いずれにしましても、地方自治法では地方財政は全く自主的にやるべしという大前提をおいて、当分の間起債その他で地方団体に対して統制を与え得ることになっておりますが、現実的にはその例外の方が主になるような形になりつつあるというほど、それほど地方団体は貧困なんじゃないかということを考えるのでございますが、一面またより痛切な問題といたしましては、国民が全般に非常に貧困になって、国の生産力が非常に大きな率で上昇しているにかかわらず、現段階においては、国民がまだ非常に貧困であるという面からすべてが不十分なのかも知れませんが、私たちといたしましては、その中におきまして、乏しきを憂えずにひとしからざるを憂えるという立場で均衡のある地方行政の水準を確保していきたい、こういうことを考えておるのでございます。
  102. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私も何も自治庁地方自治をそこねるような、それを完全に規制してしまうような計画を立てて押しつけろと、こういうようなことじゃないのです。問題なのは、現在の地方財政というものは、これはいつでも問題になることは、ほとんど自立できないような団体が多いということです。いわゆる自主的な地方自治というものの運営に支障があるという段階にきているわけです。従って国ではいろいろな措置をしておる。これははっきりしておると思います。いろいろな措置をする場合に、一体何を目標にして措置をするのか。赤字が出たから赤字を消せばいいのか。そういう意味において一つの水準なり、標準なり、計画なりというものは当然持たれなければいかんと思うのです。そこでことしのたとえば交付税の単価を変える、あるいは配分の項目を別に立てるのだ、これで水準が維持できるというのであれば、これは三十二年度計画をもって地方財政のいわゆる地方行政の水準だ、こういうことになるわけです。私はそういうことじゃないと思うのです、あなた方が言っておる水準の引き上げということは。ですから、これは予算書じゃございません、地方に金をやって、地方仕事をせいという性格のものじゃないということははっきりしているから、私は何もそういうことを言っているのじゃなくて、国がどうしても見てやらなければいけない部面が非常に多くなってきておる。そういうところにどの程度金をやればこれが一人立ちできるのか、何とかやっていけるのか、そういうめどなしに金を出すわけにいかんと思う、いろいろな名目をつけたとしても。そういうことのために、あなた方が言う水準確保というのは、どこに一体めどをおいていくということなんですか。  それからいま一つ。もし私の言うようなことをあなた方否定されるようなことがあれば、さっき大臣が言った、橋を直すとか、道路を直すとか、一体どの程度直せばいいのか、こういうことも全然理屈が合わなくなってくるのです。地方の自主的な判断に委せて、やりたければやればいいし、金がなかったらやれない、それでいいというものじゃ私はないと思うのです。いわば地方というものは、理屈めきますが国の財政一つの分身、そういうものにおいて賄われている性格が非常に強くなっているわけです。ですから何か話を聞いておったり、あるいはあなたの方の計画なり予算措置を見ますと、行き当りばったりのそれこそいっか言われたそのつど外交という言葉があったが、そのつど地方財政計画に終る心配があるわけです。今まで公債の問題に手を焼いてあわてて今やった。これはなにも前からあることである、これをどうするかというと、これはあとの問題だ、私は、そこに一貫した計画性というもの、あるいは一つの目標というようなもの、そういうことの設定がないために、そういう行き当りばったり主義のことが起ってくるのじゃないかと思うわけなんで、非常に問題が大事な問題だと思うのです。何も理想的に一ぺんにうんと引き上げて何百億、何千億の金をぶち込めというのじゃございません。ただしかし目標なり維持しようという線なりというものは、これはむずかしい仕事でありますけれども、担当の自治庁としては当然持っているべきものである、こういうふうに考えるわけです。
  103. 加藤精三

    政府委員(加藤精三君) ただいまの鈴木先生の御意見は非常に広範な問題を含んでおられるようで、どうもこの地方財政というものが地方団体だけのための面、端的にこれを言えば固有の事務的な面の問題と、また地方財政が国の行政一つ地方的な設備だという面と、両方実際はあるだろうと思うのでございます。それで後者でいえば、たとえば道路五カ年計画とか砂防六カ年計画とか、もっと広くいえば、これは語弊がありますけれども、長期経済計画というようなことにも関連してくる問題だと思うのでごがいまして、一カ年で国道や重要な地方道や、あるいはそれに接続した重要な町村道等を完成するわけには行かないのでありますから、現在は十カ年計画というものを取っているようでございますが、そういうもので逐次年々水準を上げてゆく。それから社会保障の問題でございましても、一カ年では全部の住民に国民健康保険をしこうなんていうことはできないけれども、これは五カ年間にだんだん計画を立てて社会保障の水準を上げてゆく、こういうふうな問題に関連してくることと思うのであります。それからそれ以外に固有事務的な面におきましては、これはたとえば現在四千五百億ぐらいの国庫補助があるような場合に、その中の二千億ぐらいを地方の自主的な使用に委せるような意味財源付与をするという格好になれば、ある程度地方団体ごとに行政水準のめどが立ってくる。そうして年々その固有事務的な面についての行政水準を上げる計画が立ってくる。こういうことになるのでございましょうが、現在まだその段階に一躍飛び越すことは、近代行政の習熟程度とか、あるいは国家行政を均衡をとって進展させる必要とかいうことから、若干の疑問はありましょうが、そういうことになるだろうと思います。しかしながら、だんだん交付税の率の引き上げ等によりまして、地方税と交付税とをプラスした自主的財源を多くして、そして行政水準の目標の設定が、各地方団体で自主的に行われていくということが必要じゃないか。それは国の行政地方的設備としての面の地方団体の営みにおいては、どういたしましても国家的な道路十カ年計画とか、港湾五カ年計画とか、経済六カ年計画とか、そういうものをもとにして行政水準の標準を作るものだろうと思いますが、そうでないものにつきましては、自主的な標準設定になっていくのが正しいんじゃないかと、こういうふうに考えます。で、まあ真に全国的に同じような行政の水準を求めるとするならば、たとえば学校の先生の待遇あるいは給料等も国庫で、定員定額で給料を全部国家で持って、そして支給するというような形になりまして、現在とは非常に違ったものになるのでございます。そうすれば、目標は非常にはっきりしてくるわけでございますけれども、それが国民教育は同時に地方の教育でもある、国民の教育であって同時に地方の教育でもあるという点から、なお必ずしも一足飛びにそこまでいけない事情もあるのでございます。で、そういう意味から見まして、私、鈴木委員のお考えになっておりまする、地方行政の水準、確保すべき水準はいかなるものか、ということを端的に言えとおっしゃられましても、非常に簡単には言えないものがあるような気がいたしますのであります。
  104. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 何か、こうピントが合わないようですから、あとで伺います。
  105. 加瀬完

    加瀬完君 関連して。加藤政務次官、自治行政は住民に対するサービスが第一だ、こういうお立場をおとりになっておるということは非常にけっこうだと思うのです。そういうお立場で、たとえば例に引きますように、非常に各地方団体問に行政格差がある。少くともこの格差の低い方の行政水準を引き上げるのが、今度の財政計画一つのねらいである、こういうふうに私ども了承したわけであります。そこで鈴木委員の方からいろいろ質問が出ておりますけれども、具体的なお答えがないので、何かちぐはぐになっておりますので、私は資料といたしまして自治庁の方から、確かに道路や橋梁等の補修に一応のワクづきの予算ができたということはわかりました。その他たとえば今、国民健康保険の問題が大きく浮び出ておりますが、この国民健康保険なんかについてはどうであるか、あるいは失業対策はどうだ、教育費はどうだ、あるいはその他の社会保障、あるいは災害の復旧等、あるいはまた公債費の処理、こういったいろいろの点について、このように行政水準を引き上げようと意図しておるのだという一覧表を出していただけば、これはうなずけると思います。その資料を一つお出しいただきたい。
  106. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今お話のことは、しごくごもっともでございますが、私の方でも実は資料を今作っておるものがございます。ただこの問題は、結局これは各省の行政施策全般を追うておりますので、なかなか全部そろえるということは困難でございますが、しかも今の道路の問題でも道路整備五カ年計画なり、あるいは今の橋梁でも、通れるものもあり通れぬものもある。舗装もされておるものもありされておらぬものもある。今どれだけできてあとどれだけ残って、これをやるためにどれくらい金がかかるか、今年の予算はどのくらい見込まれたか。学校でも老朽校舎もあれば不正常授業もある。そういうようないろいろな資料を私の方で集めておりまして、これはいまだ不十分かもしれませんが、もうすぐできるものがございますから、それを一つごらんに入れたいと存じております。われわれも大体そういう国の補助を伴うものにつきましては、地方財政を考える立場からいえば、国の施策にタイアップしてこっちとしての必要な財源を確保する。もう一つは国の補助を伴わない、単独事業でやらなければならない問題がある。それが今の道路河川等の維持補修費の問題とか、都市的な下水道とか汚物処理とか清掃とか、いろいろなこういう問題がありますから、そういう問題につきましては、こっち独自で各省とも打ち合せた数字を作っておりますから、それをできるだけ早く、もう今週中にはもちろんできるはずでありますから、ごらんに入れますからごらん願いたいと思います。
  107. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは本件に関する質疑は後日に譲ることにいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。次回は公報をもって御通知いたします。    午後四時十七分散会