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1957-03-12 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十二日(火曜日)    午前十時四十分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君    委員            伊能 芳雄君            小柳 牧衞君            吉江 勝保君            久保  等君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            成瀬 幡治君            森 八三一君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁選挙部長 兼子 秀夫君    自治庁財政部長 小林與三次君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国会議員選挙等執行経費基準  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○地方行政の改革に関する調査の件  (昭和三十二年度地方財政計画に関  する件)   ―――――――――――――
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  本日は、まず国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案(本院先議)を議題に供します。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、もしさっきのお話のように、年度内に補欠選挙等がある場合に、予算措置はどうなっているのでしょうか。
  4. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 国の選挙につきましては、参議院通常選挙は、これはあらかじめ期日が予定されておりますから通常予算に組みますが、それ以外の選挙につきましては、これはそのつど予備費から要求いたしまして支出いたします。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 この計算でいきますと、このあとで行われることも予想されます総選挙とか、あるいは参議院の改選こういうものに必要な経費、これはどのくらいになりますか。これは予算書の方には来年度の分として四千二百万円ばかり入っておるようでございますが、分けてみますと、どういうふうになるのでありますか。
  6. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 予算の方に四千万円ばかり計上いたしておりますのは、府県の規模によっても違いますが、大体二回程度選挙をまかなえる予算を計上いたしております。  それから、参議院通常選挙または衆議院の総選挙がありました場合に、どうなりますかという問題でありますが、この法律地方に対する委託費だけの問題を扱っておるわけでございます。従いまして、本庁で必要な経費、たとえば全国区の場合の公営経費とか、あるいは衆議院におきましても公営経費等は、これはこの基準経費法律では触れてないのでございます。  それを申し上げますと、三十年の二月に執行されました衆議院議員の総選挙から申しますと、十五億三千四百万円ばかり要っております。そのうち本庁経費が一億二百万でございまして、そのうち事務費が一千万円、公営費が九千二百万円でございます。それから本庁経費に対応いたします、本法の対象となる地方委託費が十四億三千二百万円でございまして、これがまた事務費公営費に分れるわけでございます。これが事務費が十億四千六百万円でございまして、公営費が三億八千五百万円、それから国の方で、本庁で扱います公営費は、国鉄のパスとかああいうものは国で扱いまして、それ以外の公営費地方で扱っております。実績は、衆議院の総選挙につきましてはそうなっております。  それから参議院通常選挙、昨年の七月行われました通常選挙実績を見てみますと、十七億五千四百万円でございまして、本庁経費が二億四千四百万円でありまして、そのうち、事務費が千八百万円、公営費が一億二千六百万円でございます。それから地方委託費が十五億一千万円でありまして、事務費が十億六千百万円でありまして、公営費が四億四千八百万円でございます。この法律対象といたしておりますのは、前回衆議院の総選挙では十四億三千二百万円でありまして、また昨年の参議院通常選挙では十五億一千万円でございます。  それで、今回の法律改正でどういうふうな変化をするかという点を申し上げますと、参議院の方から先に申し上げますと、参議院の方は今回の改正によりまして、四千二百二十一万一千円の増加と相なっております。その結果、十四億三千八百一万四千円の経費と相なります。衆議院におきましては、六千四十一万一千円の増となりまして、結局地方委託費におきましては、十三億四千六百三十六万七千円と相なります。これは相当給与改訂と申しますか、超過勤務手当単価引き上げ立会人単価引き上げ等、主として人件費関係増加によって増加が結果いたしているのでございますが、一方町村合併等によりまして、開票区の減少等に伴いまして、相当の減がありますので相殺いたしますと、衆議院におきまして約六千万円、参議院におきまして四千二百万円の増加にとどまっているのでございます。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 いろいろな御説明によりますと、あるいはまた法案のそれを見ますと、今回の改正によって、費用弁償等実情に即するように改める、こういうふうなことが書いてあるのですが、一体実情に即するということが、正直にいってあなた方は実情に即するというふうに考えておられるのかどうか。事務的な手続としては、一応いろいろな旅費規程なり人件費問題等につきましてスライドしたというようなことはいえると思いますが、それが直ちに実情に即することになるかどうかということですね。
  8. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 一例を申し上げますれば、超勤単価で申しますと、区の平日の場合、単価でございますから同じでございますが、五十九円七十銭でありましたのを八十円二十二銭に三四%引き上げております。市は五十一円八十一銭を七十三円十八銭に引き上げました。町村におきましては四十一円三十五銭を五十八円七十銭、市並びに町村を四一%引き上げて、非常に引き上げ率は高いのでございますが、実情に即すると申しますのは、従前の単価は、国の委託費単価基礎にとっておりました関係で低かったのであります。それを財政計画基礎によりまして、財政計画単価実態調査数字によりましてこのように引き上げを行なったのでございます。これによりまして、従来超勤が少いという面につきましては、実情に即するように改善されるものと、そのように考えております。  なお立会人単価等につきましては、これは私どもの希望といたしましては、いま少しく上げたいというふうな考え方をいたしているのでありますが、これはやはりいろいろ国の都合がございまして、二百二十円を二百八十円まで引き上げたということに今回の改正はいたしているのであります。
  9. 鈴木壽

    鈴木壽君 実情に即するということは、いろいろ考え方はあると思うのですが、たとえば今のお話財政計画のそういうものから、あるいは実態調査実情の結果によって、いろいろ勘案してこれでいいのだとこういうふうなことですが、これは財政計画なりあるいは実情と言っても、一つのワクに押えられておったから一つのこういう結果が出てくるのであって、従来のやり来たったことが、あるいは財政計画に盛られておることが、きわめてゆがめられた格好に私はやっておられたと思うのです。それをそういうものに基いて直したのだから実情に即するようになったというようなことになりますと、私ここに問題が出てくると思うのです。それから後段のお話のございました立会人、それから管理者等の、これはどうしても実情に即するとは言いがたい。これはあなたもお認めになっていらっしゃるようでございますけれども、もっと何かの方法によって引き上げていくことが私は必要じゃないかと。これはまあ一つの、こういう人たちが報酬とかそういうものを考えないでサービスすると言えばそれまでですけれども、しかし一日、あるいは何日か出てくる場合にはそれ相当の、私は補償とまで言わないでも、相当の代価が支払われるべきであるというふうに考えるわけですが、そういう点から言いますと、私は今のお話からしましてまだ実情に遠いとこういうふうに言わなければいけないと思うのですが、今後そういうような点についてどのようにお考えになり、どのような対策を講じられているか承わりたいと思います。
  10. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 職員給与超勤単価につきましては、われわれといたしましては、これは財政計画見方がどうかという問題はあろうかと思いますが、われわれといたしましては、理論的にこれが実情に即しておるのではなかろうかとこのように考えております。大体三四%なり四一%の引き上げでございますから、引き上げ率相当高いのでございます。それから立会人費用につきましては、これは今後十分に努力をいたしたいと思います。
  11. 久保等

    久保等君 これは通信費だとか運賃値上げ等によって実情に即するように改訂をせられるというのですが、四月からの国鉄運賃もこれは政府の方針として国会に所要の手続をとっておられるのですが、この問題あたりは単金の引き上げにどういう考慮が払われておりますか。
  12. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 国鉄運賃等引き上げにつきましては、それが成立いたしました次の機会に法律改正を行う、従来そのような扱いをいたしております。
  13. 久保等

    久保等君 従ってこの場合には全然考慮をしておらないということですか。
  14. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) そうです。
  15. 久保等

    久保等君 それからこの改訂に当って、ただいまも御説明があったように、いろいろものによっては三四%あるいは四一%とそういったようなパーセンテージ引き上げが行われておるのですが、どういう根拠でそういう数字をはじき出されたのか。これは若干事務的に、また計数の問題になってきますから、あまりこまかいことをお尋ねするのはわずらわしいと思うのですが、ただ大ざっぱに言って、大臣の提案の趣旨の御説明等も、抽象的な理由としては一応了解できるのですが、ただ具体的にいざ数字的にどういう根拠に基いておるのかということになりますと、私もあまりこまかい数字的なことをお尋ねしようとは思わないのですが、それぞれの費目についてどういう比率ではじき出されたのか、またその比率はどういうものを一体根拠とされておるのか、これは見方によっていろいろあると思うのですが、一応提案せられております側の立場から、どういうところに根拠があるのでしょうか。そういうある程度基準そのものが、どういった基準によってはじき出された基準なのか、御説明一つ簡単にお願いしたいと思うのですが、もしちょっと簡単な御説明程度じゃ説明できない問題でしたら、一つ手元の方へ資料みたいなものを、これはあとでもけっこうですが、私個人として承わっておきたいと思うのですが。
  16. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 先ほど申し上げました超勤基礎の問題でございますが、これは従来は国が地方に各省の予算委託をしておりますその単価基礎になっておったのでございますが、それでは非常に実態と合わないということからいたしまして、財政計画単価をとりまして、その本俸が府県におきましては交付団体が一万三千四百九十円、それから不交付団体府県は一万四千二百七十七円でございます。それから市町村は、これは一本に組まれておりますが、一万二千四十六円、こういう数字財政計画であるのでございます。それから一方三十年の一月十日現在で国で大蔵省と共同いたしまして、公務員の給与実態調査を行なったのでございますが、その結果が出ましたのでそれを使いまして、それで参りますと、大都市所在府県は一万六千十八円でございます。その他の府県は一万三千六百九十二円、それから市町村五大市が一万七千三百二十八円、その他の市が一万二千二百二十三円、町村が九千八百六円、こういう実態が出ておるのでございます。この実態調査市町村を加重平均いたしまして平均を出しますと、一万一千三百六円という数字が出るのでございます。このような数字基礎から府県で申しますと、大都市のある府県でございますと財政計画の一万四千二百七十七円という数字年間昇給率、今回の改善というようなものを織り込みまして、それを十二倍いたしまして年額を出しまして、それで年間超勤時間が二千二百八十八時間という計算をいたしまして、割りますと八十二円五十五銭という数字が出るのでございます。しかるにこの財政計画数字等管理者が含まれておりますので、それを控除いたしまして、それを三%と計算いたしまして押えますと八十円二十二銭という単価が求められるのでございます。従いまして不交付団体府県、すなわち区は八十円二十二銭という単価にいたしたのでございます。これは従来の単価では五十九円七十銭でございます。同様な計算によりまして、その他の府県は一万三千四百九十円に同様な計算をやりまして七十五円八十銭という数字が出るのでございます。これは府県でございますから、府県事務費の方にその単価を使っております。それからその他の市は財政計画単価が一万二千四十六円でございますので、それに給与実態調査平均一万一千三百六円分のその他の市の実態が一万二千二百二十三円でございますので、その比率を見まして同様な計算をやりますと七十三円十八銭、これを市の単価にいたしております。町村も同様な計算によりまして一万二千四十六円の財政計画単価給与実態調査の九千八百六円というものの比率を見まして、五十八円七十銭という単価を求めています。これは従来四十一円三十五銭でございますので、四一%の増となるのでございます。  それから職員給与につきましては、ただいまのような計算でございますが、あと人夫賃につきましては、現在の賃金は二百三十円の単価でございますが、今回の給与の率で見ますと、一・六二をけかますと二百四十四円になるのでございますが、切り上げまして二百五十円という数字が出るのでございます。人夫賃は一人の単価で申しますれば、二百五十円で一人雇えるかどうかという問題があるのでございますが、これはその中でまあまかなうと申しますか、予算のやりくりの一つ基礎としてとっておるのでございまして、われわれといたしましても二百五十円では少いということから、これをまた二百八十円に引き上げておるのでございます。二百三十円を二百八十円にいたしております。それから選挙公報の発行の人夫賃でございますが、これは現行におきましてもほかよりも二十円高くなっておりまして、これは三百円といたしております。それから立会人につきましては現在二百二十円でございまして、六十円の引き上げを行なったわけでございます。大体算出の根拠と申しますか、そういう考え方でやっておるのでございます。
  17. 久保等

    久保等君 通信費だとかそれからまあ運賃といいますか、そういったようなことも何か一つ基準を設けて、加算しているのだと思うのですが、そういった方面基準はどうなんですか。
  18. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 通信費運賃につきましては、これは提案理由にも御説明ございましたが、建て方が十二キロ建が電話等におきまして十キロ建に変った、従来の七円が五円になったというような関係からその点を改正いたしてございます。それから旅費規則も同様にそのような改正をいたしております。
  19. 久保等

    久保等君 それから、このそれぞれの費目の単金がまあ非常にこまかい数字になると思うのですがね。こういったものを数字的にある程度端数整理みたいなものをやらなくても、事務上さして支障がありませんか。とにかく見ますと、これはもうほんとうに七千九百八十七円だとか何だとかかんだとか非常にこまかい数字が、全部もう端数になっておるのだけれども、これはパーセンテージをかけてはじき出せば、こういう端数は当然出てくるのだと思うが、あまり煩瑣になる数字は若干の端数を切り上げるとか切り下げるとかいうことで整理をせられることの方が、非常に予算編成あるいは経費の点、その他事務上非常に簡素化せられるのじゃないかと思いますが、そういう点については特に御検討はされなかったのですか。どうもこういうことはとても暗記して覚えることはできないですね。
  20. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 御指摘の点はごもっともだと思いますが、予算等につきましての金額が、これは銭単位がありましてもそろばんの方でやりますから、比較的問題はないのでございます。これはわれわれ事務の方といたしましても、大蔵省といたしましても、やりは若干の端数のあれによって金額があれするものですから、こういうこまかいことになるのでございますが、思ったよりこれは苦労が少いのでございます。ただわれわれが選挙の問題で一番苦労がありますのは、例の得票の票数計算でございます。これは非常に実際の一票々々が、同様な名前がありますと分けますので、あれが一番難儀な点でございます。これはまあ話は別でございますが、財政の問題はこれはそろばんでやりますから、それほど時間も要しないのでございます。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この前ちょっと資料をお願いしたととろ、ことに出ておりますので、一つ資料の問題について。
  22. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) との前御要求がありました立会演説会回数予算関係につきまして、資料の御要求がございましたので御説明をいたします。立会演説会につきましては、この表にございますように、府県別に一区から七区までの前回衆議院選挙の全区につきまして拾っております。そういたしますと全国の第一区の平均は五十一回、第二区が四十九回、第三区が四十八回、第四区が四十三回、第五区が四十四回、第六区が六十八回、第七区は東京だけでございますが六十八回、こういう数字になっております。これは開催度数をとっているのでございまして、たとえば北海道の候補者数、十人、六十四回、こうなっておりますが、これは二班の編成でございますので、五人づつ班を作るということになりますと、実際の開催数は三十二回、こういうことになるわけでございます。それで予算の方は衆議院選挙につきましては、各班二回の計算をいたしてございます。でございまするからこの一番下の欄の第一区二千三百五十九からずっと各区を合計いたしますと、五千七百九十回に衆議院は相なります。これに対しまして予算は各班二回でございますので、七千二十回の予算を見ております。従いまして前回衆議院実績では八二%になっております。それから参議院の方につきましては千六百七十四回でございますが、予算は二千七十回、これは一・五班、少し数字が変でございますが一班半をみているのでございます。これで二千七十回の開催をみまして、実績は千六百七十四回でございますので、これは約八〇%になっております。でございますので、立会演説会をふやそうという所は、現在の回数予算で十分にふやし得ることができるのでございます。また御参考までに候補者の方から見た立会演説会回数ということを別な資料からとってみますと、参考の欄にあがっておりますように、申し込んだ候補者数が千五十人でございます。一候補者当りが三十一回、こういうことに相なっております。御心配の予算が少くなりはしないかという点はこれは差しつかえないと思います。  それからこの前御指摘がございました山口県の選挙公報の問題でございますが、山口選挙公報の誤まって印刷いたしました事件につきましては、昨年の七月八日の参議院通常選挙山口県の全国区の選挙におきまして、十二名の候補者選挙公報を誤刷いたしたのであります。その原因は山口県が県内の防長新聞という新聞社選挙公報印刷を請け負わせたのでございますが、その新聞社が自分で刷らずにさらに下請けに出したということでございます。門司の業者に下請けに出したのでございまするが、写真印刷でやるということから、県の係もそれから新聞社の係もその点を非常にルーズに見たといいますか、写真だから間違いない、このような判断のもとに刷り上ってから見て誤りを発見いたしたのでございます。これはまあはなはだ手落ちで申し訳ないのでございますが、結局十二名の候補者の政策、スローガン等が間違いましてほかの所に飛んでいってしまったわけでございます。その結果七月の四日に山口選管ではこれを発見いたしまして、直ちに翌日その晩から中国新聞社に交渉いたしまして、正しい公報を刷り直しまして、五日午前八時までに校正を完了し、五日の午前九時から印刷を開始いたしまして、午後二時までに三十九万部全部の印刷を完了し、印刷のでき次第各地区に発送いたしたのでございます。これに対しまして、これは山口県の候補者ではなく、県の有権者の方でございますが、好川不二美という方が、選挙公報配布漏れ地区がある、また行ったとしても法定期限におくれておるということを理由にして、選挙無効の訴訟が提起されたのでございます。八月六日に訴訟が提起されまして九月十一日第一回公判、十月六日第二回公判、第三回公判が十月八日にある予定でございましたが、十一月七日になりまして訴訟取り下げが行われまして、選挙無効の訴訟事件としては取り下げによって結了いたしたのでございますが、内容はただいま申し上げましたように、写真印刷にたより過ぎて校正をおろそかにした間違いでございます。今後このような間違いがないように十分注意をいたすつもりでございます。  なお選挙公報につきまして、制度的に何らかこのようだ誤まりが防げないかという問題でございますが、これは一方立候補締め切り期間との関係がございまして、公報原稿締め切りを実際問題としては繰り上げ、時間のゆとりをとりたいのでございますが、立候補締め切りをそう繰り上げられないという関係からいたしまして、立候補はしたけれども選挙公報に載らないという面が出て参りまして、前回参議院選挙でも憲法違反なりといって訴訟が起っております。そのような関係がございますので、そのような方面から現行締め切り期限の繰り上げが困難であります。実際といたしましてはその点を何とかいたしたいというふうに考えておるのでございますが、理論的にむずかしい点があるのでございます。  あとは、技術的に各府県印刷を現在いたしておりますものを集中印刷をした方がいいかどうか、あるいは万一集中印刷をいたしました場合に、誤まりがございますと全部に波及いたしますので、危険分散の意味からは現在のシステムの方がいいのじゃないかという議論もあるのでございますが、この点につきましては目下研究をいたしております。いずれにいたしましても、校正によってあやまちを発見し得る問題でございますので、その点につきましては今後十分力をいたしたい、このように考えております。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 資料説明わかりましたのですが、若干意見を加えながら御質問したいと思いますが、第一点は立会演説回数なんですけれども、選挙公営に、次にはやはり立会演説などを多くふやした方がいいと思います。ところがこの資料を見ましても、衆議院を見ましても、これは候補者数との関係もございますが、大体において回数が減っていく。あるいは参議院の方を見ますと、高知県において候補者が二名ある。これはわが党の方と保守党とのいわゆる保守、革新の両派なんですが、保守の方が全然拒否されるということによって立会演説は行われなかったというようなことがあるわけです。こういうことに関連して選挙法では百五十二条におきましては「義務制公営立会演説会」というその見出しのもとにまあ立会演説を行うということになっておって、義務規定かのごとき解釈ができるが、実は選管においては、片一方がどうこうと言えばやらずに済むようなことになっておるのです。そこでまあこれに関連してどうこうということなんですが、百五十三条の第四項を見ますと、「立会演説会開催については、事情の許す限り、その回数を多くするように努めなければならない。」こんなふうになっておりますから、まあ高知県がなぜ行われなかったかどうかということは御調査になっておりましょうし、私が調査したことをここでかれこれ申し上げてもいかがかと思いますから、そういうことではなくて、一つ公営をやるように自治庁の選管としては努力していただきたい。で、それにどんな方途をもっていくのか。これじゃ私は公営がだんだんと回数が減っていくというのは、これは公明選挙を汚す方向にあると思うのです。ですからそういうことに対してはどうぞ抜本的な対策をお立てになっておると思うのですが、何かそれに合せて、聞くところによると近々中に全国選挙管理委員長会議ですか、何かをお持ちになるということを聞いておりますから、そういうことに関連してあなたの方も一つお考えいただけば幸いだと思います。
  24. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) ただいまお話のありました高知県におきまして立会演説会が行われなかったという問題でございますが、これは当時におきましてもわれわれは立会演説会をやったらどうかということで勧奨いたしたのであります。県を通して勧奨いたしたのでございますが、義務制の立会演説会というのは、これは行う方、選挙の管理主体に対して義務を課しておるのでございまして、候補者の方は義務になっておらないのでございます。でございますから、これを候補者も必ず参加しなきゃならぬという規定をするかどうかという問題でございますが、現在のところはわれわれの方からできるだけ御参加いただくように、まあ勧奨をするという以外になかろうかと思います。なお会議等がありますれば御趣旨の点を十分伝えまして選挙の公明化に努力をいたしたいと、このように考えております。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はね、もう少しあなたの方で親切な答弁がしてもらいたいのです。実際PRの予算にどのくらい予算計上をしておって、そうして全国選挙管理委員長会議において、公明選挙をやるのにこんなことをどんどんやろうとして、たとえば今年度の計画はこうだというようなことを、招集して何にもやらぬということはないと思うのですよ。だからこういう問題等については何かあなたの方には結論があると思う。調査して、義務制じゃないのだからやむを得ぬ、けっこうですというものじゃないと思うのだな。だからそういう点についていま少し聞かしてもらいたいと思うな。
  26. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) ただいま申し上げましたように、できるだけ立会演説会に御参加いただくことが望ましいのでございまして、これは候補者の方には義務は課しておりませんけれども、そのように選管から勧奨をするということ以外にないと思います。このような例につきましては会議等で十分に徹底をはかりたいと考えております。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 立会演説会数が減っているのですよ。各党の演説会数が減っているわけなんですよ。私はふえるなら文句言わないのですよ。それは各県候補者数によると思いますが、ふえておる所もありますが、回数が事実減っている所があるのですよ。
  28. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) この前の、と申しますか、十九国会改正でございますか、選挙の運動期間が短縮になりまして、府県によりましては御指摘のごとく立会演説会の日程が非常に詰ってきた所はございますが、全般的に見ましてこれは前々回の選挙より前回選挙の方が伸びております。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたの方の調査によって、私は詳しく調べておりませんから、あなたの方が伸びておるとこうおっしゃればそれを私は信ずるほかはないのですが、間違いございませんですか。
  30. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 第二十六回の衆議院議員選挙立会演説会開催度数は全部で五千四百十四回でございます。前回の二十七回の衆議院議員の総選挙におきましては五千七百九十回でございますから、約三百七十六回ふえております。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ふえていますか。
  32. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) はい。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあこれを今すぐ法律改正をされるというようなことは、私は考えられないと思いますが、少くとも選挙公営の立場であって、しかも立会演説は義務制なんです。なるほど候補者には義務が課せられないということは確かに法文上言えると思うんです。しかし、道義的には候補者も、義務づけるというのは少しきついけれども、良識というんじゃなくて、常識で立会演説に参加するというのが私は当りまえだと思うんです。ところが、立会演説やると不利だから、口下手で、腹芸の政治家になるんだからというようなことだろうと思うんですが、何か高知の話を聞きますと、農繁期だからやらないというのが大きな相手側の理由のようですけれども……。少くとも立会演説には候補者も参加すると、しかし立会演説に参加しないような候補者に対しては、県民が批判をするというような、私は、アッピールをあなたの方がやる必要があると思うんです、この条文において。そうすればやらざるを得なくなる、こう思うわけですから、そういうような立場に立って何か、たとえばことしはやらないけれども、来年のときはPR活動としてやろうじゃないか、あなたの方はそういうふうな予算を計上しておるんでしょう。だからそういうことについて、ただここで努力するんだと、こうおっしゃっただけでは私は納得できない。いま少しあなたの方に具体策があるかないか。(「議員提案、議員提案」と呼ぶ者あり)いやいやそうじゃない。これは執行上やることなんだ。だから何かないかということを……。
  34. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) これは関係者は選挙管理委員会候補者でございますので、そういう方々に、できるだけ法の趣旨に従いまして、立会演説会を執行するように、まあ勧奨するということ以外になかろうと思います。そういう努力は十分いたしております。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 選挙民に対してはどうですか。
  36. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 選挙民は、直接の立会演説会をやるかやらないかということには関係はないのでございまして……。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 じゃPR活動として何をやるか、こういうこと。
  38. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) これはやはり関係者の良識に待つ以外にないと思うんです。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そんなばかなことないな、実際。この公職選挙法の第一条にある「民主政治の健全な発達を期する」ために、こういうことがあるわけなんです。私は、ほんとに選挙というものは大事だと思うんです。これからは私はだんだん選挙というものは、衆議院等においてはないかもしれませんが、参議院などにおきましては候補者が二名にしぼられる所が多いわけなんです。一人一区制の所が多いんですからね。そうしますと、だんだんこの風潮が伸びて、保守革新でしぼりまして二名になる。そうすると大体保守党の方々が拒否されると思う。そういう風潮ができてはゆゆしい問題だと思うんです。だからあなたの言うように、候補者になるたけ勧奨いたしますというようなことではいかぬと思うんです。それよりも、これは法律はこれでいい、条文はこれでよろしい、しかし立会演説を拒否するような候補者は、選挙民の方からそういうことをさせないように持っていくのが、私は最も好ましい姿だと思うんです。だから一般有権者に対して、あなたの方の――こういうことのためにPR活動の予算が計上してあるわけです。だからそういうことをおやりになるかならぬかということを言ってる。(「やるって言えよ」と呼ぶ者あり)
  40. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 選挙の公明化の見地から申しますれば、御説は非常にけっこうだと思うのでございますが、具体的の選挙の場合に、その……。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いやいや選挙じゃない、普通の時に日常活動としてやれというんだ、私は。あなたのは、選挙の時だけだと思うんです。
  42. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 常時啓発としては、当然立会演説会候補者である以上、参加してやるべきだということは差しつかえない。(笑声)またそれによって、啓発活動によって、選挙の意義の徹底をはかるということは当然やらなきゃならぬ問題だと思います。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 だから、私はあなたの方の常時のPR活動として、何を主点にしておるか、何もないのか。今度委員長会議をやろうというのだから、何を主点にしておるのですか。
  44. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 現在われわれが考えておりますのは、直接選挙に結びつくよりも、有権者が政治的判断をする基礎の力を作りたい。これは社会教育なり、われわれの方でやっておりますが、話し合い運動という形で、現在ここ三年かばりやっておるのであります。こういう動きを徹底させまして、物を判断する。個々的に自分の村を、どうしたらよくなるか、自分の県をどういうふうにすればよくなるか、また、政党の政策はどういう判断をすべきかというような点について、自発的にこう話し合って、こちらから知識を与えるというよりも、適当に話をさせることによって、自発的に力が出てくる、こういうやり方が今適当であろうということで、話し合い運動を徹底いたそう、このように考えております。  なお、都市におきましては、必ずしもそういう人たちの集まりが期待できませんので、成人講座等を設けておりますところに、政治講座というような形で公民講座を付設いたしまして政治教育を行なっていきたい、このように考えております。それ以外は講演会、座談会等によりまして、選挙の意義の徹底をはかるというようなことは、従来通りさらに強化して参りたいと考えます。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はあなたの方の広報活動があまり活発じゃないから、民間におけるたとえば公明選挙期成同盟会とかいろいろな民間に団体ができまして、そうして適切な講演等もやっておるんです。これも好もしい姿だと思うんです。しかしこういうことが出てくるのは、あなたの方が十分おやりにならぬから、じっとしておれないからおやりになると思うんです。だから私はあなたの方が恥ずべきだと思うんです。だからそういうことについていま少し、予算が足らなければ、その問題について努力するとか、あるいはこういうことについて啓発をやるというようなことを打つべきだと思うんです。何かあなたと私の質問との間が若干ズレて、あなたは選挙期間中だけの候補者に対する……、私は常時活動における主点のことを言っておるわけなんです。
  46. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 選挙の常時啓発につきましては、御承知のごとく委託費で一億の予算化を現在考えております。一億の予算でどれだけのことができるかと申しますと、これは全国に割りますと、非常に小さな金額になるのでありますが、今まで財政計画の中で一億見込んでおりましたが、実際に各地方団体で実現されておりましたものは、三割ないし四割程度でございますので、一億の金額によりまして、組織的にただいま申し上げましたような教育活動を行いますと、相当の成果が期待できるんではないか、少くとも選挙管理委員会はそちらの方に努力しなければならぬという相当の気分的重荷を感ずるだろう、またそういうことによって、実際の選挙管理委員会としての仕事が進みますし、また民間運動自体も、これによって相当の力を得て、両々相待って、選挙の公明化が徹底できるんじゃないか、このように考えておるのでございます。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一億地方委託費だ、ちょっとお話をお聞きしますと、大体鳥取県のような小さな県で八十万のPR予算だと聞いておるんです。そうすると相当なことが私はできると思う。ですからあなたの方が講師などを招聘せずに、その村なりあるいは部落なりを中心とした一つの話し合い運動を進める、私は非常にいいことだと思うんです。何か特殊な色はついておらぬとおっしゃるけれども、色のついておる人を講師に持ってくるというよりも好ましい姿だと思う。ですから、そういうことについては、一つ全国選挙管理委員長会議等で、十分趣旨を徹底されて、そしてただ単に一年だけじゃなく、何年かの――聞いておりますと三年くらいやったそうですが――一つ計画的におやりになることを要望して、この次の参議院選挙のときに、二名区の所で立会演説をやらなかった……、高知県みたいなような、こういう恥さらしのようなことがないように、私は責任をもってやってもらいたい。こういうことが出たら、これはあなたの方の手落ちですよと申し上げたい。  続いて山口県の問題ですが、ここに櫻澤さんのお書になったものがありますが、私は了承しますが、問題は、やはりあなたも指摘された防長新聞というような、そういう印刷能力のないところに頼んだということ、それから二名しか校正に実際行っておらぬところがいけないと、雑誌「選挙」に櫻澤選挙管理課長が「反省」として書いておる。こういうことがもとであって、締め切り期間を早く繰り上げるとか何とかいうところへもってくるとかいうことになると、やはり少し立候補のおくれたお方が、締め切り前に届け出されるというようなことがあっても、これはやはり選挙の公平を失することになると思いますから、やはり与えられた期間、このプログラムを見れば、六月二十二日の日に第一回の原稿を印刷に送付して、七月一日ですかに印刷が完了するというふうに出ておるのですが、そうしますと、大体約八日、九日ほど日にちがあるわけなんですよ。ですから私は十分だと思うんですよ、これだけで……。ですから、その間にやってこなせるだけのいわゆる印刷能力があるかないか、頼んで……。もう一つは、校正をやる場合に、二名しか人を派遣していなかった。しかもその二名の人が若い人だから、大事なところも校正せずに知らぬ顔をして回すということは、ほんとうに不手ぎわなことだと思う。そういうことについては十分反省もしておられるようだし、それについては指示もしておられるようでありますから、これについては私はこれ以上追及しませんけれども、こういうことがないように十分やっていかないと、どうも全国選挙になると、この前も平林君の問題とか八木さんの問題とかいうように、出てくる。現に訴訟問題がある。こういうこともあるので、これは、今度全国区はどうこうしようというようなことに発展せぬとも限らぬですから、ですから与えられた現存する法律において、私は最善の努力をして、そういう不手ぎわによって全国区が云々されるというようなきっかけだけは作ってもらいたくない、そういう理由だけは、根拠だけは、与えるということは、選挙管理委員会としてやってもらいたくない、こう思います。
  48. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) ただいまの御意見十分拝聴いたしました。私どもといたしましては、今後選挙の公平の上につきまして十分注意いたしたいと、このように考えております。
  49. 加瀬完

    ○加瀬完君 大臣の提案の御説明の中に、選挙費用の問題が常に実態に即するよう基準の確保に努めてきたし、今度の改訂もその線に沿って実情に即するように改めたいんだと、こういうお話があったわけでありますが、実情に即するように改まった、こういうような御確信でございましょうか。選挙部長でけっこうです。
  50. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 今回の改正によりまして、超過勤務手当単価改訂は、先ほども申し上げました通り、財政計画並びに公務員の給与実態調査数字によりまして、合理的に算出いたしたのであります。これにつきましては適正に改正をいたしていると、このように考えております。なお、立会人費用弁償等につきましては、いろいろ御意見もあろうかと思いますが、従来二百二十円でありましたものを二百八十円に引き上げまして、これまた適正化をはかったのでございます。その他の点につきましては、同様趣旨によりまして人夫賃等も適正化をはかっているのでございます。
  51. 加瀬完

    ○加瀬完君 適正化をはかったというその努力は認めるにやぶさかではありません。しかし額面の通り実情に即した基準に改まったという判定を下していいかどうか、といいますのは、先ほどから超過勤務の問題などで、たとえば大きな府県あるいは六大都市あるいは市町村、こういうものに段階をつけて、それぞれの給与実態調査をして、それで、それに対する超勤の割合というものも出したわけでありますが、給与改訂ということは、当然現状において考えられているわけですし、それから実態調査の結果は、市町村などの給与が、これは合理的なものでないという線も打ち出されているし、そういったような点を勘案しなければ、ただ実態調査だけを押えて超勤の率を出しても、これは実情に即した基準ということにはならない。次の理想的形態というものをどれだけ加味して、一体あんばいしてあるのかということなんです。もっと率直に言うならば、給与改訂運賃改訂が行われれば、すぐ改訂しなければならないようなこれはものじゃないか、それが実情に即したと言い得るかどうか、こういうことなんです。
  52. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 超過勤務の単価の算出につきましては、先ほど申し上げましたように、財政計画と公務員の給与実態調査に基きまして、それぞれ算出をいたしたのでありますが、ただいま御指摘町村の現実の給与単価が低いと、それが理想の姿ではないではないか、そういう将来理想の姿になるということを、どれだけ加味しているのかというような御趣旨の御質問ではなかったかと思うのでございますが、これは法律では、選挙があります場合に交付いたします予算基礎となる法律でございまして、現実の単価というものがやはり基礎になって支払いがなされるのでございます。と申しますのは、もし市町村で同じ単価で組んで参りますと、給与実態の高い市におきましては、一超過勤務時間が足らなくなる。平日で五時間半と見ております給与超勤の時間が、四時間ぐらいになる。一方町村では同じ単価で組んで参りますと、五時間半が六時間半になる。そういうふうに勤務の実態と合わなくなってくるのではないかと思うのでございます。  また将来給与町村方面におきまして改善がなされますならば、適当な機会に私どもの方は調査をいたしまして、この単価改訂を行うつもりでございます。なお給与改訂につきましては、今回の給与改訂に織り込んでいるのでございます。
  53. 加瀬完

    ○加瀬完君 織り込んでいる……、今度の給与改訂に織り込まれているのですか。
  54. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 今回の給与改訂年間昇給率とは織り込んでおります。
  55. 加瀬完

    ○加瀬完君 給与改訂がどういう形できまるかということがわからないのに、織り込めるわけがないじゃないですか。織り込んだとすれば、それは一方的な考え方でといいますか、想像的な一つの標準というものを押えて、織り込んだという形になると思う。で、私の言いたいのは、織り込むべきならば、今度また給与改訂があって、また今度はこの単位費用改訂するというようなことのないような結論の出るような織り込み方をしなければならないじゃないかと、で、部長の先ほどの御説明を伺っておりますと、給与改訂ができれば、またこれも変えるんだと、変えるようなものならば、織り込んだことにならない。そこでいつでもこういう選挙費用とかその他の委員会費用というようなものは、国できまったものをあとを追っかけている、だからその期間といいますか、時間だけは、いつでもこういう傍系といっちゃ悪いけれども直接的な行政ではないんですね、行政担当の者が満たされない条件に置かれ続けてきた、だからそういうことをも解決するような改訂でなければ、私は意義がないと思う。それがほんとうに織り込まれているかどうかという点、もう一回はっきりして下さい。
  56. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 給与改訂がありますれば、その実現を見た暁に、それを改訂をいたすというのが建前でございます。なお、今回の給与改訂につきましては一・〇六でございますか、そのような改訂が予想されますので、それを織り込んでございます。
  57. 加瀬完

    ○加瀬完君 じゃあ織り込んであるというなら伺いますがね、よろしいですか。悪い言葉でありますが、いわゆるニコヨンと言われておる方々の費用も今度は二十円か上って三百二円かになったはずです。ところがこの立会人等の日当といいますか、費用といいますか、これは上って二百八十円、これは一体実情に即していると言われるのか、あるいはこれがその他の賃金の値上りとも見合った実情に即した上り方だと言われるのか。
  58. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 立会人経費につきましては、これは先ほど申し上げましたように、現在が二百三十円でございまして、まあこれは公務員ではございませんから、給与改訂の率を掛けるのはどうかと思うのでございますが、そのような考え方をかりにとりますれば、二百五十円弱になるのでございます。二百五十円は国の予算単価も二百五十円でございますが、われわれといたしましては、それでは実情に沿わないのじゃないかというような見地から、二百八十円まで引き上げておるのでございます。なお、これで実情に合っているのかどうかというお尋ねでございますが、なおこれでは不十分な点が若干あろうと思いますので、今後努力をいたしたいと、このように考えております。
  59. 加瀬完

    ○加瀬完君 まあ申し上げては悪いのですが、まことに役人仕事という感じがするのですよ。二百三十円を二百八十円に引き上げて、若干不満足ながらどうやらどうやら、ここらでいいのじゃないかという考え方が、私ははなはだ実情から遠いと思う。それぞれ職業を持っておる人もおれば、あるいはその一日生業につかなければ暮し向きのできないような人でも、開票立会人あるいはまた投票立会人に依頼をしなければならないような場合もある、あるいはまたこれが特別の何か犠牲奉仕という形でなければ勤まらないということでは、私はおかしいと思う。やはりそれ相当費用弁償というのがあってしかるべきだ、国の大きな、選挙というのは、事務ですから、それならばニコヨンといわれる者よりも低いようなところで押えて、幾らか上ったからまあ一応これでいいじゃないかという考え方ではなくて、抜本的にここいらで変えていっていいのじゃないか、また変えるべく大蔵省との折衝というものには相当自治庁は強腰であってもいいじゃないか、自治庁自身が、これではだめだということは、暗黙のうちに認めておる、認めておるなら、なぜ一体普通これくらい出すのが至当であろうというところに持っていくだけの努力をなさらなかったか、こういう点を私は非常に不満に思う。いかがでしょう。
  60. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) この二百八十円の単価が低過ぎはせぬかという御意見でございますが、それはごもっともと思うのでございます。しかしながら現在二百三十円でございまして、国の予算単価が二百五十円で一般のはできております関係上、二百八十円まで私どもといたしましては引き上げをはかっておるのでございます。なお、この点につきましては十分努力をいたしていきたい、かように考えております。
  61. 加瀬完

    ○加瀬完君 それから選挙関係の方々からいつも私どもは御注文を承わっているのは、結局こういう単位費用をかりに変えても、財源措置というものが非常に確実でないので、町村の持ち出し、あるいは管理委員会そのものが非常に事務に支障を来たすというような事態があった。そこで選挙費用というものについては、一つのワクを設けてくれることが一番いいという希望もたびたび私どもは承わっておった。こういうふうに単位費用を変えまして、この財源措置は今度はどういうような方法をとられたのですか、財政計画の上で。
  62. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 地方団体が単位費用をきめてというお話でございますが、地方財政計画の方は御承知のごとくこれは実財源でございますから、まあ単位費用をきめても、その通りは経費が、実現がはかられないということはあろうかと思います。この法律は、国が仕事を委託いたします場合の予算を算出する基礎でございますので、この通り算出いたすのでございます。でございますから、御心配の点はないのではないかと、このように考えております。
  63. 加瀬完

    ○加瀬完君 これで算出された総額が委託費か何かという形で地方には流れていくものだと、こう考えていいですね。
  64. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 府県及び市町村にそれぞれ人口、段階、規模、それから投票所の数、そういうデータをとりまして、その通り算出したものが委託して流れていくのでございます。
  65. 加瀬完

    ○加瀬完君 委託費で流れていくというその財源というものは、確保されておるわけですね。  これは直接この法案の内容には関係がないわけでありますが、成瀬委員からも出ましたが、常時啓発の費用が不足しておるという声も、これは御承知の通りであります。そこで今度の改訂の中に、常時啓発の費用の総額というものを入れてないのは、これはどういうわけですか、また今後この問題はどういうふうに御解決をするお考えですか。
  66. 兼子秀夫

    政府委員兼子秀夫君) 常時啓発の経費は、選挙経費とは別に予算化を今回いたしたのでございまして、これは別に委託費として一億円、予算に計上してございます。これは、従来は御承知のごとく選挙の常時啓発の経費は、地方団体の仕事とされまして、国は財源措置をすれば足りるというような考え方から、財政計画で一億円を見込んでおったのでございます。それは府県は有権者一人当り八十銭、市町村が有権者一人当り一円二十銭見まして、そういたしますと全国で一億円になるのでございますが、そういたしますと府県が四千万円、市町村が六千万円の財源が地方財政計画上与えられておるという形になるのでございますが、現実の予算化を見てみますと、地方財政が窮乏して参った関係上、非常にはばまれておりまして、大体三割ないし四割程度しかそれは実現がはかられていない。そのことからいたしまして、選挙管理委員会関係者から、これは財政計画で見るだけでなく、国の選挙の常時啓発があるのだから、国の方で委託費を見てもらいたいという陳情が非常に強かったのでございます。昨年衆議院で御決議がなされ、また参議院におきましても十二月決議がされまして、幸い一億円の予算化が実現を見つつある次第でございます。
  67. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御質疑はございませんか。……御発言がなければ質疑は終局したるものと認めて、これより討論採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  69. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、ただいま提案されております法律案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして賛成の意を表します。ただし、さらに将来の選挙執行の目的を高めるために次のような要望をいたしたいと思うのであります。  一つは、今度の改正はまことに時宜に適したものではありますけれども、給与改訂運賃改正というものを控えておりますと、当然次の再改訂というものを必要とすることになろうかと思います。そこで、給与改訂運賃改正等がありましたならば、さらに実情に即するような再改訂の方法を至急おとりいただきたいということが一つであります。  第二は、選挙管理者関係といいましょうか、たとえば選挙管理に直接携わる事務担当の者に対しましては、超勤その他いろいろの方法が割合に合理的に考えられておるのに比べまして、民間から選挙の執行をさらに能率を上げさせるために参画してもらう立会人等の費用弁償ということになりますと、これは管理者側よりは若干軽視されておるというふうに私どもは判断せざるを得ません。そこで、選挙というものが大きな国家の行事でもあり、あるいは地方団体の行事でもありますことを考えまして、民間から選挙の執行に立ち合う者に対しましても、もっと十二分に費用弁償の方法を考えるという点を、さらに進めていただきたい、こういう点であります。  実情に即するように基準の確保に今まで努力をしておったというお言葉を、そのまま私ども信用したいと思うのであります。そうであるならば、さらに実情に即するためには、最小限今あげました二点は、至急解決の方法をおとりいただきたい。  希望を申し述べまして、賛成の意を表します。
  70. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ります。  それでは国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  71. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     小林 武治  加瀬  完     大沢 雄一  伊能 芳雄     吉江 勝保  小柳 牧衞     鈴木  壽  久保  等     成瀬 幡治  森 八三一     中田 吉雄   ―――――――――――――
  73. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、昭和三十二年度地方財政計画に関する件を議題に供します。  まず、政府委員より詳細説明を聴取いたします。
  74. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お手元にお配りしてあります「地方財政計画説明」という書類がございますから、それに基きまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  これによりますというと、第一に「地方財政計画の策定方針及びその概要」、これはこの前、大臣が財政計画説明で申し上げました基本的な考え方をここに書いてございますので、これは省略さしていただきます。その次に、三十二年度財政計画がありまして、これはお手元に配って今ごらんになっておる資料でございますから、それを飛ばしまして、そのおもなる「増減事由に関する調」というものが四ページに書いてございます。これをごらん願いますというと、今度の財政計画について、前年度の比較で、歳入歳出とも主要な項目が掲げてございます。その一つ給与費でございますが、給与費の主たる増は、給与改訂による増でございます。これは二百二十五億、これは今度国家公務員につきまして、人事院勧告に基く給与改訂が行われることになっております。その内容はまだ法律が確定しておりませんから、はっきりできませんけれども、要するに月給の六・四%を額として上げる、その中身は、今度の法律できまる内容によって確定すると思います。それで、地方財政計画におきましても、国できまった方針に基きまして、あらためて地方の条例を作って支給されることになりますが、財源的には国と同じ計算の上に立ちまして、月給の六・四%、それを組んだのが二百二十五億でございます。それからその次は昇給等による増で、昇給は〇・一五などの、これも国家公務員並みの増でございまして百九十五億、それから薪炭手当の増、それから合併による減、これは合併前に行われましたものの平年度化を考えた計画上の数字でございます。そういう数字で結局差引四百六億が給与費の増になっておるのでございます。  それから恩給及び退隠料の増が十四億、これも国家公務員並みに、同じ基準計算したのでございまして、大体恩給につきましては、前年度の実績の三%増というのが普通の計算でございまして、その実績とそれから恩給改訂に基く平年度化の分が一部含まれております。それで合計十四億です。それからその他の経費といたしまして、国庫補助金を伴うもの七十億、国庫補助金を伴わないもの四十八億、これは国庫補助金を伴うものは、全く国の予算に右へならえした数字で、それに対応する地方財源をあげたものでございます。この中に結核予防関係経費とか、新市町村建設関係経費とか、農山漁村建設関係経費、生活保護費とか児童福祉費とか、そういう種類の経費がみな織り込まれておるのでございまして、それに対応する地方負担分を計上したのでございます。  なお、これに関連してちょっと申し上げておきたいことは、国民健康保険につきまして、従来国民健康保険は独立採算を建前にして、一般財政に全然関係ないと、こういうことで全然財政計画に見ておらなかったもののうちで、保健婦及び直営診療所の設置に要する経費につきましては、これは事柄の性質上、一般会計でも一考えていいんじゃないか、保健婦や直営診療所は単に健康保険に関与しておる人だけじゃなしに、一般の住民にも供し得るものでありますし、また住民のために働いてもらう経費の一部でございますから、その分は一般会計でも考えていいんじゃないかという、そういうので、一般会計に対する経費として十四億ちょっとを新たに財政計画に計上することにいたしたのでございます。国民健康保険の問題は、健康保険の赤字をどう合理化するかという問題とからんで、町村財政への繰り入れをどうするかという問題が、健康保険改訂のためにも大きな問題でもあれば、市町村財政のためにもきわめて重要な問題になっておるのでございますが、われわれの考え方といたしましては、国民健康保険の会計で特別に筋を立ててやるべきものはその中で始末をする、そうでなしに一般会計で見ていいものは見ることをしようじゃないか、こういうことで、厚生省とも話をつけまして、そこで今の直営診療所や保健婦のように、一般会計で見ていいものは見ようじゃないか、そのかわりに、それ以外の給与プロパー等は、国民健康保険会計におきまして適正な国の補助金を獲得し、適正な健康保険税を取ることによって合理的な経営の基礎にして、その基礎を確立すべしと、こういう建前でおるのでございます。その点がちょっと重要な問題ですからつけ加えて申し上げておきます。  それから国庫補助負担金を伴わない経費で四十八億ございます。これは普通の人口増に伴ういろいろな経費とかあるいは旅費法の改正による旅費の増とか、消防団員の公務災害基金のための地方の負担分とか、そういう種類の経費をそれぞれ計上いたしまして、四十八億円となったのでございます。それで小計いたしまして五百四十億、こういう数字になるのでございます。  それから次は公債費でございまして、公債費は百四十三億、これは昭和三十二年度に増加すべき元利償還費のトータルでございます。  それから、道路、橋梁等維持補修費八十億、これは新たにこの項目を立てたのでございまして、道路、橋梁等の維持補修費は単なる消費的というのもこれはいかがかと――これは重要な経費で、われわれが明年度財政計画において最低の行政水準を確保せねばいかぬ、それで従来の計画においてはいかにも不十分なものがありましたのを、この際にある程度充実する必要がある、こういうことで主張してとった経費一つでございます。八十億円でもちろん十分とは申すことはこれはできません。大体この考え方は、道路、橋梁等あるいは河川等の維持補修につきまして、専門家の算定によってある程度の維持補修費というものは当然要ると、その経費を十分に見ることはとてもまだゆとりがございませんが、大体の計算では、それが既定経費に見込まれている部分を差し引いて、不足部分のまず三分の一、こういう見当でここに計上いたしてあるのであります。それでありますから、なお専門の技術者等の目から見れば、この程度ではまだ不十分で、もう少しふやさなくっちゃいかぬ、われわれも当初財政計画要求しておりましたときには、百数十億を要求しておった経費でございまして、まあ財源関係でこの程度でがまんをせざるを得なかった、しかし従来に比して、ともかくも新たにこれをふやすことができたということが、今度の財政計画一つの目ぼしい点になっておるわけでございます。  それから次は投資的経費でございまして、公共事業費及び失業対策事業費百五十三億、これは全く国の事業に右へならえでございます。その大きなものは道路でございまして、道路が百五十八億くらいであります。その他一般公共事業とか文教関係、臨時就労、食糧増産等のまあ国の施策に伴う経費でございます。
  75. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと道路の数字は……。
  76. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 百五十八億です。文教が六億六千、臨時就労が三億四千七百、食糧増産四億、それから一般公共四十三億と、こんなような数字でございます。
  77. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 資料があるのだろう……。
  78. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは国の予算に伴うものに全く右へならえでございます。  それから次の2は国庫補助負担金を伴わない建設事業費でございます。これは、地方はもちろん国庫補助金を伴う仕事だけが地方の仕事じゃないのでございまして、その他にもたくさんの仕事があります。従来はまあ単独事業という言葉を使っておりましたが、単独事業という言葉を使うと、いかにも地方団体が勝手にやっているという印象がありましたので、その言葉をやめまして、やはり普通の建設事業であるが補助金を伴うか伴わぬだけの差別だ、こういう考え方で一応こういう表現にしたのでございます。その経費が五十四億、その内訳は、下水等、環境衛生施設等の経費に六十億を計上いたしました。それから(ロ)が収益的建設事業への移りがえによる減十二億、これは、この両方をあわせて御説明申し上げた方がいいと思いますが、(イ)の方はいわゆる都市的施設が中心でございまして、下水とか清掃とか汚物処理とか、あるいは火葬場とか、その他の都市的な環境衛生施設というものははなはだ不備でございます。これはどうしても充実させる必要がある。そこでまあわれわれは行政水準確保のためにも、片一方では道路、河川等の維持補修費が足らぬし、片一方ではこうした主として都市を中心とした環境衛生その他の施設費が足らぬ、この施設費を相当増強すべし、こういう考え方でおったのでございますが、まあ不十分ではございますが六十億を新たに計上することができたのでございます。それでまあ合せまして百四十億が行政水準確保のために従来よりプラスすることができたのでございます。それからこの(ロ)の収益的一建設事業というのは、このうちで簡易水道とか、それから港湾の埋立事業とか屠場というふうな仕事がございまして、これはそれぞれ収益が上っておりまして、独立採算が可能な、あるいは独立採算的に経営すべき経費なのでございます。そこで、そういう経費はむしろ一般の財政計画からはずして、独立採算的に経営した方が事業の運営も合理化されるのじゃないか、こういう考え方でそれをはずすことにいたしたのでございます。その経費がまあ前年度比の計画では十二億減っておる、本年度といたしましては総体五十億を考えております。そのかわり、もうこれは全部起債でさばきをつける、起債で建設的な企業関係として五十億を考えております。でありますから五十億は実質的に地方財源として別ワクでふえる、こういうふうに御承知願いたいのでございます。でありますから、単に六十億がふえるだけでなしに、十二億減ってほかに五十億というのをワク外に置いておりますから、まあ差額の経費でありますが、この建設事業としてはふえる計算になるわけでございます。大体そういう経費でございます。  それから最後に、地方交付税の不交付団体における平均水準をこえる必要経費三十一億、これはまあ不交付団体に対する経費で、主として大府県、大郷市になりましょうが、これは当然に、交付税をもらわぬからといって、よけいな仕事をやっているわけじゃもちろんない。それだけの行政需要があるわけでございまして、そういう経費を一応交付税の税の自然増に見合って、この差額を計上してあるわけでございます。それで、歳出は全体として一千四億の増になっております。  歳入は、地方税の問題で、これは税の方でいろいろお聞きだろうと思いますが、普通税における自然増収、税制改正による増減で、差し引き五百七十二億、目的税においては自然増と税制改正の増を合せて五十五億、合せて六百二十八億増、地方譲与税では六十億の増と、こういうことになりまして、結局税におきましては、百億減税をやりましたけれども、差引六百八十八億の増と、譲与税を合せましてこういう計算になるのであります。つまり約七百億弱の税の増収があると、こういうふうに概括して言えると思います。それと、交付税がこの率を一%引き上げましたのと、自然増に伴いまして三百三十九億ふえまして、それから三十一年度に地方交付税の繰り越し見込額として七十六億、その七十六億は、第一次補正予算において組まれました百億のうちで、三十二年度に繰り越しを予定しておる金額でございます。このほかになお、まだきまっておりませんが、第二次補正において約十億見当増加するはずでございまして、その場合には財政計画をもう一ぺん修正する必要はございますが、この七十六億が八十六億にふえる。こういう第二次補正さえ通れば、そういう見当になるわけでございます。それで、合せまして交付税で三百二十五億ふえるという計算でございます。  それから国庫支出金は百七十七億増で、これは国の予算に伴うものでございますから特に申し上げません。地方債は百九十五億の減、この地方債につきましては、従来から財政計画をできるだけ健全化するために、一般財源の増強に見合いまして一般会計の起債はできるだけ減らしたい、今度相当収入が伸びますので、こういう機会に財政構造を合理化したいという考え方をとったのでございまして、そのうちで、特に前年度では御承知の通り借換債の八十億があり、退職債の六十億があり、そういう経費は、財政計画上見るのはこれは適当じゃない、そういう考え方でこれは全部はずしちゃう。その他事業もできるだけ一般財源に振りかえることにして、百九十五億減らすという考え方をとったのでございます。  それから雑収入は十二億の増、これは高等学校生徒増に伴う授業料の増でございます。これは授業料の値上げという問題ではなしに、自然増に伴うものでございます。  それから「その他」と書いてあります五億は、基地所在市町村の財源付与対策として、これは常にこの委員会で問題になっております経費でございますが、これはどういう形で出るかきまっておりませんので、一応「その他」として計上してあるわけでございます。それで、歳入も大体一千億ふえるという計算でございます。  要するに、つまり税が約七百億弱――六百九十億余りふえ、交付税が三百二十億ふえているので、それの結果何が出たかと申しますというと、給与改訂その他の義務的な経費並びに国の予算に伴う当然重要施策というものをまかなうほか、一つは従来足らなかった行政水準を少しでも充実するために百四十億余りの金を見ることができ、片一方では起債を約二百億減らしまして、起債による歳入構成をできるだけ是正することができた、こういうことが大観して言えるのでございます。  それからその次のページは、これはもう前年度との比較でございますから、申し上げる必要はないと思います。  それから七ページに、本計画における歳入歳出の構成比率と、三十一年度財政計画との比較を載せてございます。税収入の構成比率が三十一年度、三十二年度にどう変ったか。たとえば地方税で見ますというと、去年三八%であったものが四〇%にふえる。譲与税も二・三%から二・六%にふえ、交付税は一五・六から一七%にふえる。国庫支出金は、額ふえておりますが、総体的に率が減る。地方債が六・八から四・五になる。これでごらんになります通り、税がふえ、地方交付税が伸びて、地方債のようなものは総体的に減って、歳入構成が去年に比してやや堅実になったと、こういう姿が見られるわけでございます。  それから歳出の方は、消費的経費が六五・八から六五、公債費が六から六・七、維持補修費が一・七から二・三、投資的経費が二六・五、から二六と、公債費の増がここに目立っておるわけでございます。維持補修費は、新たに立てましたので、こういう数字が出てきております。これがまあ大観でございます。  それからその次に「歳出の概要」というものがございまして、ここにそれぞれの経費算定の基礎を書いてございます。これは、それぞれお読み願えばおわかり願えることだと思います。第一番が給与費でございまして、一般職員及び義務制以外の教員の給与費の算定の基礎を交付、不交付に分けて書いてございます。その中心は、昇給率を見込んで、その他給与改訂を見込み、〇・一五とか薪炭手当とかを見込んだ結果であるというゆえんをここに書いてあるわけでございます。警察職員につきましても似たような問題で、ただ警察職員につきましては、従来警察職員は数年にわたって整理をすると、こういう問題がございまして、三十二年度はその最終年度に実はなっておったのでございます。これにつきましては、三十一年度の計画通りという数字になっております。それは警察官につきましては、その後のいろいろな情勢の変化によりまして、ある程度増員の必要があるという警察庁の強い要望もあったのでございますが、増員の必要はない、ともかくも従来の整理を一応据え置くと、こういうことで十分間に合うのではないかという結論に最後になりまして、そこで三十一年度の計画上の人員をそのまま三十二年度においても固定するという考え方職員数がきまりあと給与費の増加要因をつけ加えまして算定いたしたものでございます。義務教育につきましても同じような問題でございますが、これにつきましては、教職員数に異動がございます。それは、児童生徒数がやはり三十二年度に増減がございまして、小学校におきまして三十万ふえますが、中学校において二十万減る、こういうことで、差引三十二年度において児童生徒数が十万ふえますので、それに対応する教職責の増加数を計上したものでございます。これはみな、国の義務教育職責の国庫負担関係経費に対応いたしまして、そこに計上されたものに全部右へならえをして、必要な経費財政計画で見ることにいたしたのでございます。  それから「議員委員の報酬」等は、これは特別に申し上げることはございません。  恩給及び退隠料は、先ほど申し上げました通り、前年度の実績への三%増に、文官恩給の是正等の実施に伴う平年度化に要する増加見込み九億を加えたものでございます。  それからその他の経費は、国庫補助を伴うものが一つ。これは十ページにそのとまかい表がございます。先ほど申し上げましたことはみなここに載っております。国庫補助金、負担金を伴うものの経費で、前年度との比較が書いてございますから、これで御了承願いたいと思います。このうちで、当委員会に直接関係がありますのは、新市町村建設促進費というのが上の総理府所管にございます。これが三十二年度には二十七億、補助予算が十四億五千四百万ありまして、地方負担がふえまして、二十七億の金を財政計画で見ることになっております。これは、二十七億しかないのかという誤解があってもいけませんが、これは、補助に伴いますものの部分だけでございまして、そのほかに、たとえばこの下に、農林省所管にあります農山漁村建設総合施設費、これは、いわゆる新農村建設経費というのがございます。これは二十九億。その他学校統合に要する経費、これは、あとの補助のところに出ておりますが、その経費とか、その他財政計画の土台にそもそも経費が入っておりまして、そういう経費を全部通算いたしますと、直接合併の対象としておる経費が百二、三十億になるはずでございます。この資料は、まとめて国会の方へ提出するはずでございますので、きょうはちょっと持ってきておりませんが、すぐに、合併関係経費は、まとめてごらんに供したいと思います。  その次の表が、国庫補助率の変更及び新設された普通補助金に関する調べで、明年度の予算におきまして、国庫補助金で変更があったものをここに拾ってございます。新たに増加したものも入ってございます。  それから次は、国庫補助負担金を伴わない経費で、これは、先ほども御説明申し上げたことでありますから、申し上げません。  その次に、第八表に、一般財源に振りかえられた国庫補助経費に関する調べがございます。これは、いわば少額補助と申していいと思いますが、ここに書いてありますような金額の補助制度がやめになりまして、一般財源で見る、こういう建前になった経費でございます。総額二億三千八百万、全部で十八、九件あるのですが、総額二億三千万で、実に少額な補助でございます。これがともかくも補助金整理という基本的な目標のために、来年度まあ、不十分でございますが、実現をした経費の一部でございます。  その次は、公債費でございまして、公債費は、この内訳を書いてございます。三十年度までの借り入れ、三十一年度借り入れ、三十二年度借り入れ、合計、三十一年度の元利償還額として、元金三百十一億、利子が三百十二億、これは三十一年度ですね。それで、計六百二十三億であったものが、三十二年度では元金が三百九十九、利子が三百六十七、合計七百六十七で、百四十三の増になっております。これをごらん願えますと、おわかり願えると思いますが、つまり去年は、元金と利子がとんとんであったのが、明年度は――ことしはそうでありましたが、明年度は、元金の方が多くなっております。この傾向が当分続きます。利子がだんだん減って、元金の方が実はこれから多くなっていく傾向にございます。  それから三番目は維持補修費で、例の八十億でございますが、ここに算定の基礎が書いてあります。さっき申し上げました通りで、道路、橋梁、河川等の維持補修費で、どうしても必要だとわれわれが一応考えられる経費二百四十二億の三分の一を計上した。それでございますから、八十億ではまだ不十分で、あのでこぼこの道路は、まだまだこのままでは十分に解消しない、こういうことでございます。  それから次は投資的経費で、公共事業費でございます。この公共事業費の内訳は第十表にございます。これをごらん願いますれば、普通建設、災害復旧関係経費全般で、どういうものがあるか、その増減がごらん願えると存じます。これは、大観いたしまして、災害関係経費が減って、災害関係は全体で五十六億減って、そして普通建設事業が二百十二億ふえておる。その一番ふえたのが道路整備であり、災害は幸いにして最近ありませんので、こういう形になっておるわけでございます。  それから、これはごらん願いまして、次は失業対策事業費でございます。失業対策事業費は、この基礎もここに書いてありまして、国の経費も減っておりまして、こちらも多少金額は減っております。普通失対で十八万七千、特別失対で一万八千、計二十万五千人の三百十七日を前提にして、経費が計上されております。そのうちで、一割は高率補助の適用を行う。特に失対事業が集中的に現われて、一般の事業に比してはなはだしく多い、全国平均より見て多い、こういう所では、高率補助の適用をすることになっております。一割がそういう前提で計算されております。  それから、国庫補助負担金を伴わない建設事業でございまして、そこに、下水等環境衛生施設等の整備、新市町村建設事業の増十億、住宅公団に対する地方団体出資金の減四億、収益的建設事業費への移しかえによる減十二億、災害復旧の減一億、合計五十四億の増になっております。実質的には、環境衛生等の整備六十億、それから先ほど申し上げましたが、国庫補助とかかわりのない新市町村の建設事業を十億ぐらいふやすことにいたしておるのでございます。  次の交付税の不交付団体における……これは申し上げるまでもございません。  それから第三は、歳入の概要でございまして、これは、税の方でもうすでに御説明をお聞きのことと思いますので、申し上げません。  次は譲与税の収入見込み額等でございます。  それから十九ページに地方交付税、地方交付税の国税三税の昭和三十二年度収入見込み額七千二百六億の二六%が千八百七十三億でございまして、これが昭和三十年度の精算に伴う減六億を控除すべく、それを差し引いた金額地方交付税の千八百六十七億七千二百万という金でございます。その上に、三十一年度地方交付税の繰り越し見込み七十六億、それが第二次補正によってさらに十億ふえるであろう、こういう前提でございます。  国庫支出金が二千九百五十六億、前年度より百七十七億ふえておるのでございます。  それから次は、地方債でございます。地方債は、全体で五百二十億、去年の計画では七百十五億だったのが、そのうち五百二十億に減らしたわけでございます。そこで、このうちの地方債計画の比較に関する資料がございまして、その一般会計五百七十五億、それから収益的建設事業、退職手当債等で百四十億ございます。これは、三十一年度は、これは合したものが財政計画で載っかっております。一般会計分に退職手当債をプラスして七百十五億、それを三十二年度の財政計画では五百二十億に落すことにしたわけでございます。そうして収益的建設事業の五十億と退職手当債の三十億というものは一応ワク外に置いて、地方債計画上これを予定する。要するに、一般財源を保持すべき財政計画に、こういう不完全な要素を組み入れることはおかしい、こういう前提で、この五十億、三十億を購政計画外に置くことにいたしたのでございます。退職手当債は、去年六十億円組んでおりましたが、まあ大体におきまして、六十億円は実情から考えて無理であろう、こういうので、三十億円に減らしたのでございます。公営企業会計におきまして、そのかわりに、できるだけ起債をふやそうというので、三百六十五億を四百七十億にして、百五億ふやすことにいたしたのでございます。一般会計は、できるだけ一般財源でまかなう。しかしながら、公営企業会計は、できるだけ地方債を充足して公営企業の充実をはかりたいという考え方に立脚しております。この百五億の中で、一番大きいのが水道でありまして、水道の整備をできるだけ急速にはかりたい。なお、地下鉄等の交通関係経費も一部ございます。  それから財政再建債は、二百億計上しております。これは、もちろん要りませんから減らしております。なおこれは、二百億という計画に見ておりましたが、実際の計画は二百二十億、ちょっとふえておるはずでございます。  雑収入は、全体で千百三十四億、十二億の増でございますが、ここに財政の内訳が書いてございます。  大体、以上が財政計画の概要の説明でございます。
  79. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この資料ですが、これはまあわれわれとしては、もう少し各府県市町村等の財政構造がどうなっているかというようなことを知るには、これはまあ要約ですから、すべての集大成なんだから、このもとの各府県別に仕分けたような、やはり警察の職員、一般の職員とか臨時職員とか、地方債の各府県別とか、そういうものはできないものですかね。私は、お宅の自治庁を見て、税務部はなかなかよく資料が整っておる。それから行政部でも、給与実態調査等浩瀚な資料がまとめて出ているのですが、なかなかよほど専門家でないと、これで地方財政計画の当否というようなことを判断するには、もう少し資料を――やはりこの背後にある、これの基礎になったものをまとめて一つ出せぬものかどうか。あまりにも簡単に過ぎると思うのです。まあ小林さんや柴田さんのような専門家だと、一見してわかるでしょうが、やはりもう少し判断することのできる資料をお願いしたいと思うのですがね。それは早急に間に会いませんか。
  80. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今お話しになりました府県別というようなものは、ちょっとこれはできぬだろうと思います。各府県のものを一々積み上げたというわけでもありませんから、たとえば、教員数なら、従来国の予算に計上された教員数を基礎にして、こっちは右へならえ、こういう形で作っておりますから、国の建設事業でも、そういう態勢で作っておりますから、そういうものは少し無理だろうと思いますが、具体的に、こっちとしては、できるだけ詳しいものは、それは作れる限りのものは差し上げるということでいいと思います。衆議院の方でもいろいろ要求があり、たとえば交付団体と不交団体とにわけたものを、もう少し詳しいものはないかとかいうふうな御注文も実はありまして、それはできるだけ、作れるだけ作って差し上げようという約束はいたしておるのであります。各税のような、こまかい積み上げのようなものは、あるいはむしろ決算の過去の実績なら、これはあるのです。つまり決算書のようなものは、これは国会の方にも御報告いたしましたから、これは相当詳しいものはできておるわけです。三十年度の決算書は、そういうものはできておりますが、ここはあまり府県別に分けたようなものは作ってはおりませんし、従来そういう形からは必ずしも作っておりませんで、向うの集計を基礎にして、こっちの集計を作るという仕組みの方がものによっては多いのでございます。その点、御了承願いたいと思いますが、できるだけのものは出したいと思います。
  81. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 しかし、ちょっとこれは古いのですが、大蔵省は、どの課でやっていますか、まあ金融何とか統計調査月報ですか、かなり浩瀚な、それは財政部でもあれば非常に便利なような、なかなかよくまとめておるのです。私はそういうものをもっと、資料をたくさん持っておられるのだから、一見して私たちがこういう財政計画というものの当否をちゃんとめくって見てやれるようなものを一点出してもらいたいと思うのですがね。それはまあ、交付税を配分されたり、地方債の配分等で、なかなか忙がしいとは思いますが、まあ大蔵省の諸君に言わせれば、相当地方財政も余裕があるのだから、これを洗うには、これだけ調査をしていかなければならないというようなことを言っておる。大蔵省すらやっているのですからね。これではちょっと簡に過ぎると思うのです。どうでしょう。もう少し至急に間に合うようにできませんか。
  82. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ですから、この財政計画が足るか足らぬかと、こういうことの判定の資料としては、まあ一つは、これは決算の問題だろうと思います。決算の資料、これはもちろんできております。きっとお配りしておるだろうと思いますが、これは衆議院の方でもその決算とこれとの比較をもう少し明らかにしろという御注文がありまして、そういう資料は差し上げるつもりでおります。もう一つは、結局行政のレベルの問題で、これで一体足りるのか足りぬのか、こういう問題がありまして、これは、衆議院の方でも御要求が強いのです。たとえば道路修繕費をこれだけ組んであるけれども、役に立つのかどうか。学校の建築にしろ、敷地の問題にしろ、さばきがつくのかつかぬのか。住宅の問題にしろ、そういう意味で、そういう建設を必要とする仕事、その仕事はどれくらいできておるか。それを果すためにどれくらい金が要るか。そういうような一連の資料も作れんかという話がございまして、これは、私の方も、実は大車輪で各省と話をして作っております。そういう意味で、できるだけのものは御要望に沿うようにいたしたいと思っておりますが、なお、御注文がございましたら、具体的におっしゃっていただきまして、できる限りのものは作りたいと思います。
  83. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 じゃ一つ、それができてからにいたします。
  84. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは一つ大蔵省ですね。自治庁担当の主計官ですか――ほんとう言うなら、主計局長くらいの人、そうはいかないと思いますが、そういうような人の出席ですね。それから、あるいはまあ一つ、項目的になってくると、文部省関係もありましょうし、建設省関係問題等、水道の問題、あるいは住宅関係等大きいと思いますけれども、あるいは国民健康保険の問題ならば厚生省の問題でございましょうから、そういうような関係一つ、理事会等でお打ち合せ願いたい。少くとも大蔵省はだれか、そうして各省をやる場合には、それに相当な人を出席させるようなお手配等をお考えいただきたいと思います。
  85. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これは、質疑予定者から、こういう人が答弁させるために必要だということで御連絡下されば、向うと連絡して、責任のある人に出てもらうようにしたいと思います。
  86. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一つお願いします。
  87. 加瀬完

    ○加瀬完君 十一ページの単位、違っていませんか、第八表の……。
  88. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、実は正誤表を……申し訳ありませんが、ミスがところどころございまして、一番大きな違いがこの百万と千円の違いでございます。
  89. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それじゃ、引き続き質疑を行いたいと思いますけれども、一時半まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩    ―――――・―――――    午後二時四十二分開会
  90. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和三十二年度地方財政計画に関する件を議題とし、質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  91. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私は、まず、地方財政計画の持っておりまする意味、性格をう当局がお考えになっておるかにつきましてお伺いを申し上げまして、それから、これに関連する二、三の問題につきまして、お尋ねを申し上げたいと存じます。私も、現在の地方財政計一画が、国あるいは地方予算そのものでもないし、また地方団体に対する法令または訓令でもないということは承知しておるのでございます。しかし、単に国会に発表されるだけでなく、地方団体に対しても通達はされておるのではないかと存じます。まず。地方財政計画の持っておりまする性格ないしその意味は、どういうふうにお考えになっておるか、また、どうあらねばならないかということにつきまして、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  92. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 地方財政計画は、平衡交付金の時代というものと、今の交付税の建前の時代とでは、多少違っておるかと思うのでございますが、御承知の通り、平衡交付金の時代は、積み上げた金を基礎にして、足らん金は国が補いをつける、こういう建前になっておりまして、地方財政のあるべき経費というか、標準的な収支を積み上げて、そしてその差額を交付税で補てんをするということになっておったわけでございますが、現在は、そういう仕組みじゃなしに、交付税は、率でこれはさまっておるわけでございます。そこで、それなら、今の地方財政計画は、そうでございますから、法律的な効果があるかといえば、私は、これはないと思いますが、国といたしまして、地方に対する税財政の問題を考える場合におきましては、どうしたって、地方財政の収支全般についての資料並びにそれに対する判断がこれは必要でございまして、地方の歳入並びに歳出の総体の見込みというものをつけなければ、地方財政の運営について、適切な施策を講ずることができないと思うのでございます。  そういう意味におきまして、交付金の時代と同様に、地方財政の収支につきまして、できるだけ実態に合うような収支の見込みを立てて、これを基礎にして、国の地方財政に対する施策を考えてゆくということになるだろうと思うのでございます。そういう意味の資料として、重要なこれは意味を持っている。これは何も、今お話のように、地方の個々の予算の積み上げでもなければ、また、これによって、地方の個々の予算を拘束するという、拘束的な意味も持っておりません。しかしながら、今お話しの通り、きまったものは地方に連絡をいたしております。それは、結局国といたしましては、地方財政についてこういう見方で国として必要な財政対策を考えている、こういうことを明らかにいたしまして、個々の団体の財政運営につきましても、これは重要な参考資料にしてもらいたいという考え方で、送っている次第でございます。大体さような意味合いのものじゃないかと考えているのでございます。
  93. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 ただいまお答えいただきましたように、地方財政計画が、地方財政の全般を見通して、これに対する国の措置を考え、これによって地方に指導的な効果を持たせる、こういう意味に使われておりますということは、私にもわかるのでございます。そういう意味においては、これは一つの国政審議の資料であり、地方財政運営のための資料であるということになると思うのでございまするが、しかし、私は、この持っております意味というものは、それ以上にきわめて重要な意味があるように思うのでございます。国庫よりもむしろ大きな財政規模を持っておりまする地方団体の年間財政規模、財政のあり方等がこれによってわかります。国家財政地方団体の財政的関連が示されまして、これによって、地方団体といたしましては、どう年間財政を運営していくべきか、どう新年度の全体予算編成すべきか、これらの指針がこれによって初めて明らかになるわけでございます。従って、まじめに地方財政の運営を行なって、過誤なからんことを期しております団体の当事者にとりましては、法令や訓令より以上に重要な意味を持っていると考えるのでございますが、こう考えますときに、私は、現在の地方財政計画の策定の時期や、その取扱い方に対しましては、大いになお、改善工夫の余地があるように考えるのでございまするが、大臣は、初めて今回、この御策定に当られたのでございますから、ここでお伺いすることもいかがかと思いますが、私は、これについて、大臣の御所見なり、御感想なりを一つ承わりたいと思います。
  94. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) この地方財政計画に関する性格でございますが、今、小林部長から御説明を申し上げましたように、また、お言葉をいただきましたように、当該会計年度における大づかみの収支を明らかにしたもの、内容的に言えば、そういうことでございます。その当該会計年度における収入支出をほんとうの大づかみで示したものというのでありますが、こういう財政計画は、いかなる意味を持っておるかと申しますと、政府においてこれを策定いたしました以上は、政府地方の都道府県市町村実態を指導して参ります上における行政上の一つ根拠基準を明確にしたものというふうにお考えをいただきたいのでございます。ところが、今までのこの財改計画は、そういうところまで性格が明確でない。地方の大づかみの収支をきめて、とれを一つ参考にするといったような程度に扱われておるようでございますが、これは、誤まりではなかろうかというのが私の見解でございます。  いやしくもその収支の総額は、収支いずれも、御承知の通り、一兆一千四百六十一億という大きな金額に及んでおるものでございます。これは、あたかもこの財政収支の規模は、国家財政の規模に匹敵をする。従来は、国家財政よりは少し上回った規模を持っておったものと考えられるのであります。従って、これをおろそかにして参りますというと、国政を中心とする国家財政計画というものだけでは、国民経済の動向というものを見ていくことができないという状態になるわけで、その同額のものが動いておるということになるわけでございます。しかしながら、これは、御承知のごとくに、あくまでも、特別会計と一般会計との関連のごとく、重複しております経費もあるわけで、たとえば、このたび発表をいたしました地方財政計画の中の収入の面をごらんをいただきますと、国庫の支出金、それが受ける立場からは、こちらに収入の形になっておりますが、そういうものも、三千億円に近いものがある。しかし、この三千億円というのは、国の、中央の会計からは一たん支出になったものが、今度、こちらの立場からいいますと、収入になっておる。こういうことになりますから、一兆一千億円の中央と地方とを合計したものが全部財政の規模かというと、そういうわけには参りますまい。こういう通り抜けのものを勘定から一本引いた金額をもって国の財政計画に合して参りましたものが、わが国の国民経済全体に及ぼす収支の影響という形になってくるものであると存じます。でありますから、国家の財政計画地方財政計画というものをすっかり合計した金額ではありませんけれども、相当額、国の財政計画にプラスいたしましたものをもって、国民経済に対する影響を考えて、国家の財政地方財政というものを見ていくことになりませんと、一国の中における地方財政計画にはならぬわけでございます。こういう非常に重要な意味をもって、その年度における収支の大づかみ見込み額というものをきめておるものでございますから、従来までの軽い取扱いでこの財政計画を取扱うことはよくない。それじゃ、せっかく苦心をして作りましたものが意味をなさないと私は思いますが、従来の取扱いは、財政計画を立てると、今、部長から御説明申し上げましたように、どうぞ諸君の御参考にというわけで、参考資料として、これを地方自治体に送付しておるということが実情でございます。  それで、本年は、私就任の早々であって、十分の処置を講ずることもできないし、また、いかにこれが重大なものかということは、手塩にかけて三十二年度を作ってみて、初めて私もわかったのでありますが、今後のこの地方財政計画の取扱いといたしましては、国の財政計画と同様に取り扱いまして、衆参両院の本会議の席上においてもやはりこれの報告を申し上げ、質疑があれば質疑応答をする、そうして質疑応答を通じて、国民の前に、地方財政計画というものを国家財政計画と並んで、これを明白に鮮明をすべきものだ、同時に参議院地方行政委員会及び衆議院地方行政委員会においては、やはりこれに相当なるウエイトを持たせまして、御説明を申し上げ、御質疑を通じて、国民の前に地方財政計画を明らかにしていくべきものである。こういうふうにいたしましたその上に立って、いやしくも政府、特に自治庁が内閣総理大臣なり私の名前をもって地方を指導し、あるいは許認可を与えるという場合においては、すでに策定をしたその年度内における大づかみの計画というものに基礎を置きまして、指導に当っていくようにすべきものである。そういう重要な任務を地方財政計画自体に持たすようにしていきたい。こういうふうに考えておるわけでございますので、将来につきましては、その運用、扱いの方法につきましては、特段の留意をいたしまして、政府全体にもこの地方財政計画を頭に入れていただくと、こういうことをいたしまして、閣議におきましても、慎重にこのことを討議をしていくように持っていきたい。慎重審議をして確定した上は、地方財政を指導する一つの尺度としてこれを取り扱うように持っていきたい。そういう重要性に応ずる扱いを国会においてもしていきたいという気持を持っておるわけでございます。
  95. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 ただいま、自治庁大臣から、地方財政計画に対するその重要性に深い御認識を持たれまして、そうしてこれを将来における地方団体に対する指導の根拠基準にして参りたい。国会におけるこれが取扱いも、それに即応する重要性を持たした取扱いを検討したいという御答弁をいただいて、私としては、非常に満足をいたすわけでございます。しかし、なお若干、いろいろ私の考えておるところと、多少時期的に取扱い等について違うこともありますので、私の意見を述べながら、お伺いいたしたいと存ずるのでございますが、私は、本来、この地方財政計画実態は、自治庁が地方関係の税制の改正を考え、あるいは行政措置に対する財政措置を大蔵当局に要求する、この予算の査定を受けますると同時に、あるいは少くとも前に、私は、新しい年度の地方財政計画実態というものを自治庁当局が持っておらなければ、ほんとうのものはできないのではないか、こう思うのでございます。むしろ新しい年度の税制、あるいは財政措置の改正を生み出す基盤となり、母体となっておらなければならない。この地方財政計画の素案と申しまするか、あるいは母体と申しまするか、そういうものが策定されまして、そうしてこれに基いて税の改正が企てられ、あるいは地方行政に対する財政措置を大蔵当局に予算要求として出されると、こういうものが、この地方財政の有機的な、総合一体的な関係を現わすものとして策定され、発表されまして、これをバックとして、強く大蔵省当局に予算の措置を要求するという形をとっていかなければ、このほんとうの査定というものは私は受けられないのではなかろうか。なおまた、これを地方団体側から見ました場合には、現在地方では、定例県議会を開きまして、通年予算提案を、年度開始の三十日前でございまするから、三月二日までに開いて、そこで予算提案しなければならぬようになっておりますが、現在のこの財政計画策定を、時期的に見まして、二月二十八日に初めて衆参両院の地方行政委員会に発表されるというようなことであっては、地方団体といたしましては、新年度の通年予算編成の最も重要な基本となるべきこの資料がもう予算編成にはとうてい間に合わない。三月二日までに提案をするには、少くとも予算の査定を知事なり町村長なりは二月の中旬ごろにはすでに了しておらなければならぬわけであります。そうしまするというと、その新年度の予算編成なり、財政運営の指導の根拠になりまする財政計画というものは、二月の少くとも中旬には、これは地方に発表されておらなければ、今、大臣がおっしゃったような、これに対して意味を十分に私は持たせることができないのではないか。そう考えましたときに、ただいま大臣が御構想になりましたこの時期では、いささか私はおそいのではないか。もっとこれは、早く自治庁としてはその基本を整えて、大蔵省に対する予算要求も、税制の改正も、これを母体として、そうして地方関係者一体の世論のバックのもとに当る、こういうことでなければ私はならないように思います。  なお、ただいま大臣からお言葉があったので、大体満足いたしておるのでございまするが、大臣からもお説がありました通り、この財政計画は、国民経済上から申しましても、国民経済の動向を左右する、国家予算よりむしろ上回る規模を持っておりまするし、また、あらゆる国の施策というものは、すべてこの地方予算の裏打ちがあって、そうしてこれが実施に移される。国家予算だけでこれが行われるのでないということは、申すまでもないのでありまして、国民生活に直結する、教育にしても、あるいは保健衛生にしても、あるいはまた、警察の問題にしても、すべてこの地方財政を通じて行われておるのでありまするから、国民生活上も、きわめてこれは重要な問題でありまするので、総理の施政方針あたりにも、当然この地方財政計画策定に関しまする基本の方針は、これは表明さるべきでありまするし、なおまた、現在、国家予算地方財政計画となんだか切り離されて、時期的にも、これは審議されていっておりますが、これも私としては、非常に納得のいかない点でありまして、予算委員会にも、当然その開始とともに、財政計画は示されなければ、これはほんとうでないように思うわけであります。こういう点について、なお多少、この時期的その他に違っておる点もありまするので、十分一つ御検討下さいまして、地方財政に対する重要性の認識ということを十分、国会におきましても、また、国民に対しましても、喚起せられまするようにすることが、とりもなおさず地方財政を確立して、自治の進展を期するゆえんではないかと、かように思いますので、まあ重ねてでございまするが、さらに大臣にお伺いいたしたいと思います。
  96. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) ただいま、自治庁が立てております地方財政計画は、時期おくれではないかと、国の予算編成時期においては、すでにこの地方財政計画の予備的な骨子はできておらなくてはならぬのではなかろうかという、まことにごもっともな御意見でございます。御承知の通りに、この地方財政計画が本格的にきまります時期は、今ごろになるわけであります。国の予算編成が先に行われまして、その編成された予算に基きまして、地方自治体に送られる金額がきまってくる。従って、そこで予定が立ってくるということになっておるわけでございますが、この実際のやり方は、どういうふうにしておるかを申し上げますると、たとえば、来年度――三十二年度の地方財政計画の立て方に至るまでの大体の順序でございまするが、三十一年度の地方財政計画というものは、もうすでに立っておるわけでございます。それが基本にあるわけであります。その三十一年度を基礎にいたしまして、収支ともに三十一年度と比較をして、三十二年度の新年度においては、どの項目の収入がどれだけふえるか、減るか、どの項目の支出が――財政需要がとれだけ増減があるか、三十一年度を基礎にして、その増減を見まして、そうしてその増減の実態予算できまる時期を待って、確定をいたしました数字をとらえて、予算のきまりました後に地方財政計画が新たにきまる、こういう状態であるわけであります。  そこで、今後における行き方でございまするが、やはりどうもこの行き方は、算編成時期に――たとえば再来年の予算編成時期には、ここにきめております三十二年度の地方財政計画の収支の状況の出入りというものを一応予測をいたしまして、さらにこちらの理想を盛り込んで、こういうふうに行きたいという線をここに打ち出して、予算折衝をやると、そうして予算折衝できまりました線に基きまして、新しい三十三年度の財政計画の本格的な決定をするというふうに行くより道はなかろうかと、こう私ども思うわけであります。しかし、実際の理想を申しますと、ただいま御質問をいただきましたように、地方の行財政というものはこうあるべきだということを、国の予算がきまる以前に腹をきめておくと、そうしてこれでなければ相ならぬから、予算はこうしろという行き方をすることが一番理想でございましょう。理想でございましょうが、何といいましても、実際面の扱い方としましては、そういう意図をもって、地方財政計画のあり方というものをよく判定をいたしまして、それに基いて予算折衝をやると、実際、地方財政計画が本ぎまりになるのは、国の予算の直後でなければきまらないという時期的な運び方は、これ以外には、実際の方法としては方法はないのではなかろうかと、こう考えるわけでございます。しかし、ただいま御質問いただきまして、非常に参考に私がなると――はなはだ恐縮でございますが――思いますのは、実際面を見たときに、いわゆる消費的経費として扱っておりまする国の補助負担金を伴う経費及び伴わざる経費というものの二つに分けまして、消費的経費として、ここに財政計画上支出面を打ち出しておるわけでございますが、こういう二つの、伴うもの、伴わざるものの経費にいたしましても、それから、いわゆる行政水準の維持のための経費といわれる道路、橋梁等の維持補修に要する経費というものを見ましても、さらに国の補助のあります公共事業なり、失業対策事業を見ても、補助には無関係な、地元における単独事業というものを見てみましても、やはり今、御質問の中に出て参りましたように、全体計画の指導方針を先にきめまして、これに基く予算折衝をやると、こういうふうにしていきますためには、地方財政計画の予備的なあらかじめの計画というものを先に持つことがあるいは必要ではなかろうか。そうして、それについて閣議の了承を受け、それに基く予算折衝が行われるということができますれば、まことに力強い予算折衝が行えるのではなかろうか。こう思いますので、この点は、ただいまいただきましたお言葉の内容は、深く反省の資料にいたしまして、新しい一つ構想を十分に練りまして、地方財政計画をもっと太い線で、力強く打ち出して、むしろ国の予算と並行して、地方財政の計画というものが推進できますような方向に努力をして参りたいと思います。
  97. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 財政計画の性格なり取扱いなりに関しまする質問につきましては、大臣の誠意のある御答弁でございますので、一応このくらいにとどめておきまして、次に、財政計画の内容の一、二につきまして、お伺いいたしたいと思います。  この歳入の3の地方交付税、(ロ)の昭和三十一年度地方交付税の繰越見込額七十六億円の、このいわゆる公債費の処理対策、これにつきまして、公債費の処理対策に一歩進めていただいたことは、非常にその努力を多とするものでございまするが、これが計上の趣旨と積算の基礎につきまして、まず御説明を願いたいと思います。
  98. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) この第一次補正で、百億の交付税特別会計に収入があったわけでありますが――きまればあるわけでございます。そのうち、昨年末の年末手当、いわゆる〇・一五分の年末手当の財源がいまだ地方の方に渡してございませんので、これは、交付団体分としては二十二億ございます。しかしこれは、当時閣議決定がございまして、それぞれ、国も地方相当程度節約をするということが示してありますので、節約が行えるものとの前提に立って、大体七割程度は渡さなくてはならぬのではなかろうか。〇・一五分の財源二十二億、交付団体、その二十二億の七割、大体大まかな計算でございますが、これで十六億は、三十一年度の交付税の中で、これを地方に配分をするわけでございます。それから、最初の交付税の金額が少なかったものでございますから、減額調整分として、八億切り捨てております。今度、補正予算で財源が入って参りますから、この八億が復活する。調整減額したる分を復活する分八億でございます。その十六億と八億とを合せますと、二十四億ということになりますが、百億の中から二十四億を差し引きまして、残る七十六億、交付税の中において余るわけでございます。余りますものを、本来は三十一年度分に交付をしてしまわなければならないという規定でございます。規定でございますが、この規定に修正を加えまして、…十一年度分の交付税収入のうち、そういう経費を差し引きました、具体的には七十六億というものを、翌年の、三十二年度の交付税総額にプラスして、加算して、三十二年度で交付することができるように法律改正をしたいというので、今御審議を願っておるわけでございます。そういうふうにいたしまして、付則を訂正をいたしまして、付則の改正によって、新単位費用をここに作り上げまして、公債費の関係はこれによって処理をしたいというのでございます。ところが、この公債費処理の具体的な内容でございますが、七十六億の使い方の内容でございますが、それは、地方制度調査会の答申にも大きくうたわれましたように、給与費財源に充当するために、こういういわゆる給与関係の公債が本年の年度末――三月の年度末の現債額が九十七億円余りになります。これで、来年、三十二年度に償還をすべき元利金がちょうど二十億とい、金額になります。この二十億はまず返そう。これは、元利金ともに償還金二十億でございます。七十六億の中からこれを返していく。それからもう一つ返しますものは、配分いたしますものは、失業対策の経費、一般普通の公共事業、小中学校の学校建築の施設費というものでございます。この三種類の総額が現在二千六百四十億内外という公債が残っております。これはまあ、元金は別にいたしまして、これの来年度――三十二年度分に国に返さなければならぬ利息がある。支払うべき利息の総額だけが百五十五億円になります。これはせめて――全体と言いたいのですが――せめて百五十五億円の二分の一、その二分の一程度のものは、どうしてもこれは、交付税の中から交付をしていきたい。そういう必要のために、新単位費用を付則を改正して作るわけでございます。そうすると、まあ大体これは、七十五億程度ということになるわけでございますが、しかしながら、これは、七十五億全体はどういう数額かといいますと、交付団体も不交付団体も加えて、いやしくも現に存在をする百五十五億の償還分をいうておるわけでございますから、交付税を通じてこれを交付をするということになりますと、不交付団体には、この金はいかぬわけでございます。大体不交付団体分が十億内外あるものと思います。こういうところから、この七十五億というものは、まあ大体七十億程度でこれが済むのではないか。そうすると、これで七十億と……ちょっと私の言葉間違いましたが、半額といたしまして、十億程度は不交付団体に行く金でありますが、これは渡さなくてもいいというわけではない。渡しようがないということになる。そうすると六十五億というような金額で措置がつくわけであります。そういたしまして、これを交付団体だけに二分の一を払っていくということになりますと、七、八億経費が足らなくなってくるということになります。それを本日の閣議にかけてやったわけでございますが、不足分は何によって補うかと申しますと、明日か明後日には、三十一年度の第二次補正を出しまして、第二次補正でお手数をわずらわしたいと考えておりますが、その第二次補正分が、今の見通しにおきましては、大体その不足分ちょっとの十億程度が交付税特別会計に繰り入れられるものと見通しております。ですから、最初の百億と、これから入って参ります十億と、百十億の特別会計の収入が前後を通じてある。こういうわけであります。これは、差し引くものなしに、金額、今度措置をせんとする公債費対策にこの十億を加えて、そういうふうに一次の補正、二次の補正を合せまして、ようやく百五十五億の利息分の二分の一、しかも、そのうち交付団体分だけということ。それから、公債費関係の来年償還分の元利二十億、この二十億の中に、不交付分がどれだけあるかということでございますが、大体三億内外。とれも必要がないということになるわけでございます。大体それで使い道のそろばんがやっと合うように計算ができてくるのでございます。そういうふうに使って参りますために必要な付則の改正を行なって、新しい単位費用を立てまして、これによっていこう。ただし三十二年度限り、こういうことで、来年度はその一歩を踏み出そうということになったわけでございます。  ざっぱな説明でございますが、大体そういうことであります。
  99. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 計上の積算の基礎あるいはその使途につきましては、非常に御懇篤な説明で、よくわかりましたが、この公債費の元利補給の経費を計上いたされましたのは、地方団体の今あげられましたような公債費について、少くとも政府にこれが処理の責任がある。こういうふうにお考えになった結果ではないかと思いまするが、この点は、いかがなものでございましょうか。
  100. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) こういう交付税の内部において、交付税の運用において、公債費対策を処理をして、若干でも公債費の地方財政に及ぼす重圧を緩和しようと考えますのは、今お言葉をいただきました通り、公債費中、今申し上げましたような種類のものにつきましては、国の責任を明らかにして、国が元利金の補給をすべきものだ、こういう建前に立ちましてやることでございます。それならば、こんなやり方をしないで、なぜ予算で別の柱を立てないか、予算の別の柱の実行として、必要なる独立の法律を設けてやればいいではないかというお言葉が出そうに思うのでありますが、その通りに考えておりますが、財政の都合上、別柱を立て得なかったということで、再来年はどうしてもその方向にもっていくためにも、来年度につきましては、どうしても、たとえば交付税を通じてでも、公債費対策の一歩を踏み出していかないといくまい。こういうことで、いろいろ苦心をいたしました結果、こういうことにでき上ったわけでございます。
  101. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 ただいま、私のさらにお尋ね申し上げようといたしましたところを、賢明なる長官がお答えになりましたので、政府のお考えはわかったのでございますが、しかし、政府地方団体の公債について、少くともこれが処理を国として講じなければならないという、少くとも職務上の責任をお考えになってのことであるといたしますれば、私は、ただ交付団体だけについてこういう措置が講ぜられるということは、これは私は、地方団体といたしましては片手落ちな、納得がいかないのではないか。ことに、今お話になりました、給与財源として政府が当然一般財源措置を講ずべきもの九十六億円、これを公債をもって一時しのぎをつけたというようなものにつきましては、これは当然、交付団体、不交付団体を問わず、これが処理をしなければ、今の大臣の職務的な良心から申しましても、私は、済まされないのじゃなかろうか。従いまして、そうといたしますれば、これを交付税の中で公債費対策を講ずるということは、これは、お話のように、今年度一時限りのやむを得ない出発でございますので、やむを得ない措置として、かような措置がとられたのであります。来年からは、交付団体、不交付団体を問わずに、公債費の処理対策というものは、大きく柱を打ち立てる方向で、大臣としては御努力をしていただくと、こう考えてよろしゅうございますか。
  102. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) その通りでございます。
  103. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 それから、大臣の公債費処理に対しまする御方針につきましては、私もお考えについては、少くとも非常に満足いたすものであります。  しかし、なおこの際、お尋ねをしておかなければなりませんことは、今年度はやむを得ない措置としてとられたということは、ただいま御答弁の通りでございますが、三十二年度に回りまする七十六億というもの、これは当然、私から申し上げるまでもなく、交付税法によりまして、これは三十三年度の交付税に送られまして、そうして地方団体が交付税財源として得べかりしものであることは申すまでもないのであります。これが政府の責任とお考えになっておりまする公債費の処理に使われたのでございます。この金の補てんということについても、当然私は政府に責任があるように思うのでありまするが、これについては、大臣はどう責任をおとりになりまするお考えでございますか。
  104. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 今のお言葉でございまするが、これは、三十一年度の補正で入ってきたものは三十一年度中に交付税として配分を終らなければならないと、こういう建前を、今年配分をしないで、この八十六億――第二次補正の十億を加えた八十六億として、来年度に繰り越して使うという事柄になるわけでありますが、それだけ穴があいておるのじゃないか、今まで七十六億穴があいておると、こういったことですが、第二次補正が来ますと、十億を加えた八十六億穴があくということでありますが、これはもう、今のお言葉で、得べかりしというのは得てしまった、こちらの方に入ってしまった。その金を、国家の責任で措置をすべき方向に、国にかわって自分の財源を自分で使ったという理屈がそのまま出てくるわけであります。従って、これは、いつのときにか、この穴は埋めなければならぬということは、当然の理屈が出てくるわけです。そこで、これを使ってやりたいのだ、そのあとは埋めなければならない。埋めなければ、国家の責任を明らかにするということが出て参りませんので、埋めるか埋めぬかという議論は、ずいぶん私と大蔵大臣との間で長い時間かけまして、日時を傾けて論議を重ねたのであります。その結論は、交付税を  一%しか上げないで、そして交付税の内部においてこういう操作をやって、自分のものを自分が使うということになるのだから、穴は当然埋めるべきものだ、これは大蔵当局も、政府全体としても、決して否定はしないわけです。否定はしないけれども、何分自然増収の状況というものが、三十二年度においては、七百億内外もあろうかと見られる時期でもあり、まあ、ことしはこういう臨時応急の措置で、来年に繰り越してやってみようと、そして来年の税収の現状というものを見て、そしてこれは、漸次ふえてくる財政需要というものにも見通しをつけてみて、検討して、どうにも穴を埋めなければならぬというような状態になれば、そのときに一つ考えてみようじゃないか、こういうことで、今日の段階としましては、埋めるとも約束はいたしませんが、埋めないとも言明をしていない。埋めないという言明のもとにおいては、この予算の成立は、私は、予算案を立案するということを閣議できめることには賛成をする意向はなかったのでございます。しかし、情勢を見た上で、いかに扱うかと、穴は穴として、いかに扱うかということについて、政府は慎重な考慮をもって考えるということが強く標榜されたものでございますから、そういう誠意のある話ならば、一応とにかくないよりましであるから、先食いをしようと、こういうことになって先食いをやったという事情でございます。そういう事情でございます。
  105. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の問題というよりは、この前の大沢さんの質問に関連する問題でありますが、公債費の処理について、自治庁では、大体当初の見込み額を百九十五億というふうな推定をしておったのではないかというふうに記憶しておるのです。それが七十六億、十億ふえて八十六億になるわけですが、百九十五億と推定したときには、どういう対象で、どういう処理の仕方をなさろうとしたか。で、八十六億は今わかりましたけれども、そこで、百九十五億を対象にしたときと八十六億では、大きな差があるわけですから、残った問題はどういうふうに解決をしようとお考えになっておるのか、あわせましてお答え願いたいと思います。
  106. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 最初予定いたしました金額は、仰せの通り百九十五億でございます。その内容は、給与関係を、交付団体、不交付団体を加えまして二十億と見て、そして公共事業関係の利息分百五十五億まるまる全部見たわけでございます。これは、全額交付すべきものとの見解でございます。それで、あとは二十億足りませんが、この二十億は、以上二つのもの以外で、当然地元で負担すべき公債費関係ですね。そういうものは、理屈はその通りであるけれども、実際赤字再建その他の事情で、当然地元で見るべき筋合いのものであろうけれども、とにかく貧乏で困っておる、圧迫の程度は極端である、こういうものについて、せめて最悪の団体の関係分だけをとらえまして、元利金の一部を、二十億だけ見てやれば、非常に楽になるところがある、こういうわけで、二十億を見まして、合計百七十五億と二十還と、合せて百九十五億というふうにやったわけでございます。ところが、財源の都合上、公債の償還費の一部は交付税の中でまかなうということになりましても、財源の都合上非常に困難でございますから、その最初の二十億と申しました、給与関係の二十億の中で、不交付団体分の三億は、これはやらないで、ことし暫定的な方針としては、二十億のうちの十七億だけを交付税の方でまかなう。それから、百五十五億は、これは大体大ざっぱに見て、全部はやってやれんから、利息の半分を見よう。半分は地元負担で、一年だけ我慢をしてもらうということで、七十五億を見たわけでございます。その七十五億の中でも、約十億は不交付団体分になります。これは、八十四、五億ということでとどめていこう。それから最後の二十億という、貧乏な気の毒な団体について特別に見ようというやつはもうなくなってしまう、こういうことになりますと、今申し上げたような八十五億内外の数字で、一時の余裕があるという程度しかならんわけであります。あくまでも、措置の対象につきましても、不満な点はあるわけであります。やむを得ず、手元の都合上という言葉に全く尽きるわけでございますが、都合上そういう半端の形のものになってきた。しかし、予算折衝を通じまして、明確にしてございます二十億分の給与関係交付団体たると不交付団体とを問わず、筋を通して国家が将来見るべきものである、さらにもっと多くなりましょうね。これは全部見るべきものである。利息の関係は、百五十億ぐらい公共事業なんだから、公共事業で金を持って行っているものを、全額出すというけれども間違いだ。利息ぐらいは国家が見るべきものだ、こういうふうな建前も明確にするのでございます。それを明らかにしてございますので、今後理想の方向といたしまして、最後の二十億がないとは言えませんが、少くとも百七十五億は、全体として表に出して、そうして本格的に国家の責任を明らかにしてゆくという方向に向っていこうと思っております。
  107. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連質問でありますから、その部分だけをお伺いして、また改めて伺いたいと思いますが、大沢委員の方から御指摘がありました、交付税交付金に一つのワクをはめて、今御説明のあったような形で交付をする、こういうことは、交付税法の違反ということにはなりませんか、どうですか。
  108. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 現行法で、今私のしゃべりましたような、対象を局限をして、それに交付をしていくということは、確かに交付税法違反である。そこで、交付税法の本則及び付則の改正を、予算計上と同時にお願いをしている。その法律を、少しおくれましたけれども、目下提出をいたしまして、予算関係法律だという理由で、衆議院で先に御審議をいただいております。この法律案が御承認をいただきますれば、改正の項目に従っていつでも、改正ができますれば、無理なく交付税で処置がつくことになっております。
  109. 加瀬完

    ○加瀬完君 おそれ入りますが、もう一つ。交付税法の一部改正によりまして、これを合法的にするということでございますが、その間の事情は、私も承知をいたしているわけであります。しかし、私が伺いたいのは、結局政府の都合、失礼な言葉ですが、政府の都合によりまして、基本的な法律を一部修正という形で、次々便宜的に変えていってしまいますと、本法と申しますか、基本的な法律というものの性格というものは、だいぶ変ってくるわけです。行政的な利便のために、大きな目的から考えた本法の性格までも変えるような修正をしていくというやり方自体が非常に早まっているのですね、こういうやり方は、好ましいことのようには私には思われない。大臣の御所見はいかがですか。
  110. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 御心配いただきました通りの実は心配を、私たちもしておったわけでございますので、これは三十二年度、一会計年度限りの処置であります。もう二年目からは元に戻される。一年間だけこれは、ゴムまりを押えたようにへこんで、理想じゃございませんで、残念でありますが、それでもやはり改正のお許しをいただいて、交付税としてでもやって置く方がよかろうという見解に立ちまして、来年度だけの措置といたしまして、改正をお願いいたしたわけであります。
  111. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 次に私は、行政水準確保というのが新しくうたい出されましたが、この経費につきまして、ちょっとお伺いしたいのでありますが、この道路等の維持補修費の対前年度比の増加額八十億円と、国庫補助を伴わない建設事業費の対前年度比増加額の五十四億円余りを行政水準確保の経費ということでうたい出されました。私はこのことは地方自治進展の上から大きな進歩であると喜ぶものでございますが、決して非難する意味でありませんが、しかしながらこの行政水準の確保ということは、大体行政水準をどういうふうに見て、これをどう測定して行政水準維持とか、確保とか、こういうことをいうのでありまするか。私にはちょっと了解いたしかねまするので、具体的に何を一体基準として行政水準というようなことをここでうたい出されたのか、これはどういう意味合いをもっているのかということをまずお伺いいたしたいと思います。
  112. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) この行政水準という言葉でございますが、何だかこれはわかったようなわからんような妙な言葉でございますが、しかしまたよくわかる面もあるわけであります。そこで今度の予算に関連をいたしまして行政水準という言葉を使いましたのは、特に道路、河川、橋梁の関係ですね、それから学校建築関係、特に重要なのは農村、山村、漁村関係の総合的な対策、ちょっと細かい話になりますが、郵政関係の電信電話局、郵便局といったような関係の統合の問題、そのほかに単独事業としましては、上水道、下水道、工業用水道というような水道の関係、そういうものを合せまして今非常に不都合な低水準におかれておりまして、水準ともいえんかもわかりませんが、郵便局のない村がある、電信局のない村がある、無医村をなくすると同時に、こういうことはどうしても解消しなければならんことです。それから道路にいたしましても非常に荒れたまま、河川にいたしましても非常につぶれたままで、橋にいたしましても人間は渡れるが、荷物を積んだ一人前の車は橋が渡れない、高札を立てて横に回れと書いてある橋が数百本ございます。これは橋にならん。まあまあしかしこれは形のあるものは、低水準でも橋は確かにかかっていて通る道はあるわけであります。郵便局や電信局に至りましては、もうてんでない所がたくさんあります。そういうものは最低水準で役立つごとくに、橋は荷物を積んだ一人前の車がやっと通れるように、郵便局は一つだけは統合した町には作るようにもっていくというのが、行政水準の確保ということになっておるわけであります。解釈がむずかしいのでわかりにくいけれども、具体的に申し上げたら早わかりだというので申し上げたわけであります。そういう意味におきましてこれを改めまして、行政水準を確保するというか、行政水準をアップするという方向にいきたい、こういうふうに考えまして、行政水準という言葉を使って参りまして、これに応ずるごとく相当程度の大きな予算の計上がこのたびにおいては出てきた、こういう事情でございます。
  113. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 その趣旨はよくわかりましたが、それではこの百三十五億の増加経費、またもととなっている経費もありますが、主として増加経費は単独事業だろうと思うのでありますが、この経費が、今大臣がお話になり意図されておりますような経費に間違いなく使われるという保証はございますか。私はそれを伺いたい。
  114. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) いずれも項目別に示してあります経費は、間違いなくこの方面に使われる、他に流用されない、こうお考えいただいてよろしいと思います。
  115. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 どうも私はそれが了解いかないのですが、地方財政計画というものの先ほど来の性格から考えましても、これは決して訓令でもなければ何でもない。この経費が補助経費であるならば、これは今大臣のおっしゃる通りに、これが補助の裏打ちとして支出されなければ、これは補助を引き上げるから使われないということは言えますが、しかしながら今御説明がありましたように、これは補助経費ではない、単独経費でございます。従いまして、これを受けた地方団体といたしましては、これはどこへ使おうと今の財政計画だけからいえばこれをどうすることもできないのではないか、その点をお伺いいたします。
  116. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) ごもっともなお尋ねでございますが、たとえて一つの例をあげてみますと、この地方財政計画の歳出の面に道路橋梁の維持補修費というものが出ております。これは二百五十七億出ておりまして、昨年と比べますと八十億ばかり増となっております。これはどういう積算のやり方でここへ二百五十七億という数字が出てきたかと申しますと、この二百五十七億の数字は、各自治体の予算の見通しを見ました結果、こういう経費計算をして与えますについては、この自治体はどの橋をどういうふうに直す、どの程度直す、どの橋梁をどういうふうに、どの河川はどういうふうに直すということを明確にいたしました上で、この単位費用計算をして参ります。その結果、全国を総計いたしますと二百五十七億になるという財政計画数字が盛ってあるわけです。それでございますから、まあ経費をもって行ってもその経費はそういう方面に使われないのではないかという御懸念が全くないとも一言えませんが、これはこちらから渡します経費、そういう経費についての実行のやり方を十分に監督して参りますれば、それは他の経費に使われて行政水準の維持に使われないことになるというような心配はおそらくないのではないか、こう考えます。
  117. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 ただいま大臣は非常に地方団体の財政運営ということについて善意にお考えになっておられるようでございますが、しかし私が申し上げましたように、また先ほどから財政計画の性格論でお答えがありましたように、これは単なる資料で、それ自体訓令でもなければ何ら地方団体の財政運営を制約する力を持っておらんわけであります。ことに単独経費は補助経費と違ってひももついておらんわけでございまして、そういう計画のもとに自治庁は積算をされ、予算をお取りになって、それに即応した交付税の配付をいたされると、地方団体といたしましてはこれをどこに使うかということは、その限りにおいては自由でございます。従いまして、たとえば現在のように国家公務員等の水準をこえる給与費を地方団体が出すのも、これも自由であります。こういうふうな中におきまして、こういう経費を見積っているのでございますから、もしその団体においてこの単独経費の金を他の給与費あるいは食糧費等に振り向けて使うということにいたしたからといいまして、今のこのままでは私はこれはもうどうにもしようがないのじゃないか、これに対して私は心配をいたしまするから、今申し上げておるのであります。その点いかがでありますか、重ねてまことに恐縮でありますが。
  118. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 今御心配いただいております点を一口に申し上げますと、自治庁の基準財政需要額をどう算定をしてみてもひもが付いておるわけでもなく、かつ行政法上特別な圧力のあるわけでもないから、ほかの方向に使っても使われるような心配がないとは言えぬじゃないかというお言葉でありますが、それは全くその通りでありまして、表面上は拘束力を持たぬわけでございますから、何に使うかわからぬということも言えぬことはないと思います。ないと思いますが、いやしくも交付団体につきましては、それをどの方面に使うたかということは、手にとるようにこちらでわかるのであります。それでありますから実際問題としましては、使い道が間違っておればその指導は十分にできることでございますので、交付団体につきましてはいやしくも大きなそこに食い違いが出てくるようなことがないのでございます。実際の扱いとしてはそう考えております。
  119. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私は大臣の御所信の通りであれば非常にけっこうと思うのでありまするが、地方団体の実際はそうでない。第一もう給与一つとってみましても、これはどうも大臣のおっしゃる通りにはなっておらぬのが実情でございます。ことに現在給与改訂の時期に到達いたしておるのでございまして、この地方財政に対する給与費の財源措置というものは、おそらくこれは私は一つの水準をもって考えておられると思うのであります。ところが実際に地方団体といたしましては水準をこえておるものでも、それに対して国家公務員と同様の給与改訂が必ず企てられるのではないか。これは単なる一例でございますが、さらに性質のよくない場合におきましては、これが食糧費にもどこにでも回るわけでございまして、私は、将来この行政水準確保の金をとったということは非常に自治の伸展の上でいいことでありますので、この金が現在は所要額の三分の一というふうに説明書に拝見しておりまするけれども、これが実際の、将来伸ばすためには私はこれの使途が目的通り使われるような工夫がどうしても必要じゃないか。これを要望するためにしつこく申し上げたようなわけでありまして、十分この点については事務当局に検討、御研究を願いたいと思います。私の質問はこれで打ち切ります。
  120. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) ただいまのお言葉は大へん重要でございますので、そういうことがままあろうかとも考えますので、少し厳格に使途については指導をいたしますように、具体的にどのような方法を講ずるかという問題につきましては、役所内におきまして十分一つ考えをめぐらしまして、万遺憾なきを期していくように努力をいたしたいと思っております。
  121. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと資料要求をお願いいたしたいと思いますが、昭和三十年度における各省から出ております補助金等の支給内容を都道府県市町村における使用状況、できましたら三十一年度も概要でもわかりましたらお願いいたしたい。  次に「三十二年度地方税及び地方譲与税収入見込説明」というのを資料をいただきました。そこでその内訳として交付団体、不交付団体分の内訳をお出しいただきたい。
  122. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 今のは資料で出ておりませんか。
  123. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の交付団体、不交付団体に分れたものはないように思われますので。
  124. 柴田護

    説明員(柴田護君) この中にあります。
  125. 加瀬完

    ○加瀬完君 ありますか、あったらけっこうです。  それからもう一つ都道府県及び市町村に対して国の委任事務の一覧表といいましょうか、これは財政計画その他を検討するのに必要と思いますので、それらの資料をお願いいたします。
  126. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私も資料一つお願いしたいと思うのでございますが、地方団体がこの財政窮迫のために、負担しきれないために返還されたり、あるいは繰越されたりした経費費目別、件別の金額がおわかりになっておりましょうか。これを最近の三年度くらいですね、私はほしいのでございますが。
  127. 柴田護

    説明員(柴田護君) それは三十年度分でよろしゅうございますか。
  128. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 三十一年度はまだ年度が終らないからあるいは無理かもしれませんが、それなら二十八年度、二十九年度、三十年度の三年度くらいほしいのです。
  129. 柴田護

    説明員(柴田護君) 総額はわかりますが、費目別にはちょっとできないかもしれませんが、できるだけ努力いたします。
  130. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは本件に対する質疑は次回に続行することにいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後三時五十八分散会