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1957-03-07 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月七日(木曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君    委員            伊能繁次郎君            小柳 牧衞君            吉江 勝保君            占部 秀男君            久保  等君            鈴木  壽君            成瀬 幡治君            岸  良一君   国務大臣    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    自治庁財政部長 小林與三次君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    運輸省自動車局    業務部長    國友 弘康君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○公営企業金融公庫法案内閣送付、  予備審査) ○地方行政の改革に関する調査の件  (基地交付金に関する件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  本日はまず地方交付税法の一部を改正する法律案公営企業金融公庫法案、以上予備審査の二法案を便宜一括して議題に供します。  まず政府より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  御承知のように、昭和三十一年度においては、地方行財政制度について各般の改正が行われ地方財政再建方途が開かれたのでありますが、政府は、これに引き続き昭和三十二年度におきましても、更に地方財政を健全化するため各種方策を講ずることにいたしたのであります。  その方策一環として、地方交付税の率を現行の百分の二十五から百分の二十六に引き上げ、その総額の増加をはかるとともに、これに伴い、単位費用について、給与改訂等に伴う改訂投資的経費算定適正化等をはかり、また、測定単位の新設、補正方法合理化等基準財政需要額及び基準財政収入額算定方法について、その合理化明確化をはかり、地方交付税の適正な算定方法を通じ増加された財源を、合理的かつ適正に配分する必要があるのであります。これがこの法律案を提出する理由でございます。  改正内容につきましてその概要を御説明します。  第一は地方交付税総額に関する事項であります。地方財政の情況にかんがみ、国税所得税の減税に伴い地方交付税に生ずる減収を可及的に回避するため、現在、所得税法人税及び酒税収入額の百分の二十五となっております地方交付税の率を百分の二十六に引き上げることとしたのであります。これにより、昭和三十二年度において交付すべき地方交付税総額は、昭和三十年度分の精算額六億円余を控除して、一、八六七億余円となるのであります。  第二は基準財政需要額算定方法に関する事項であります。  その一は単位費用改訂であります。すなわち地方財源の増強、歳入構成是正ともにらみ合せ、投資的経費算定適正化をはかることを中心とし、(1)職員配置及び職員構成適正化給与単価是正給与改訂期末手当増額等に伴う所要修正を行うこと、(2)各種委員の報酬、旅費、庁、単価合理化を図ること、(3)建築物及び機械類償却期間合理化、その他投資的、建設的事業費の充実をはかること、(4)地方道路譲与税軽油引取税等特定財源算入額適正化することなどとあわせ考えて、単位費用の全般に亘り改訂を加え、その合理化をはかったのであります。  その二は基準財政需要額算定方法明確化及び合理化であります。すなわち(1)投資的経費を充実する方法の一として、道路費及び橋梁費について、新たにその延長測定単位に加え、(2)道府県の「その他教育費」及び市町村の「産業経済費」については、種別補正を廃止しそれぞれ独立の測定単位を設けて、その算定合理化明確化を期するとともに、(3)道府県の「土木費」等に係る態容補正方法及び道府県投資的経費に係る態容補正係数連乗方法を改める等、補正方法合理化をはかることとしたのであります。  第三は基準財政収入額算定方法に関する事項であります。今般改正を予定しております地方税制度改正において、特別とん譲与税が創設せられ、また、入湯税目的税とすること等が予定せられておりますので、これに伴い、特別とん譲与税収入額はこれを基準財政収入額に算入し、入湯税収入額はこれを除外することとしたほか、地方税法改正に伴い必要な修正を加えたのであります。  第四は、目下別途御審議をお願いいたしております、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案規定により、昭和三十一年度分の地方交付税の一部が、昭和三十二年度分の交付税総額に加算されることとなった場合の特例に関する事項であります。すなわち右の特例法が成立し、昭和三十一年度分の地方交付税の一部が昭和三十二年度分の地方交付税として交付せられることとなった場合においては、その額は、同法の立法趣旨に基き、昭和三十二年度における地方債元利償還費の一部に充てるように配分することとなるのでありまして、これがため昭和三十二年度の特例として「特別の措置として発行を許可された地方債に係る元利償還金」と、「公共事業費等特定事業費財源に充てるため発行を許可された地方債に係る利子」の二を基準財政要需額の測定単位として設け、これに必要な単位費用を定めることとしたのであります。  以上のほか、なお、地方交付税交付時期及び普通交付税算定に関する錯誤取扱い等について規定整備を行うことといたしております。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案趣旨でございます。  続いて公営企業金融公庫法案について、その趣旨を御説明申し上げます。  地方公共団体経営しております公営企業は、水道、交通を始め多岐にわたっておりますが、これが整備拡充は、民生を安定するためにも地方産業を振興するためにも、きわめて緊要と存ぜられ、政府といたしましても、一段とその積極的な推進をはかりたいと存ずるのであります。すなわち地方債につきまして、一般会計分公債費対策一環としてこれを漸減し、必要な限度にとどめる一方、公営企業債は可能な限り増額することといたしましたのもこのためでございます。しかしてこれら地方債につきましては、できるだけ政府資金で処置することが望ましいのでありますが、政府資金原資関係もあり、或程度はいわゆる公募資金に依存せざるを得ないのであります。  しかしながら、公募地方債の消化につきましては、一部の地方公共団体を除き、必ずしも容易でなく、またその条件も必ずしも低利かつ安定したものとは申せないのでございます。従いまして、公営企業推進ためには、これがため必要な資金のワクを拡大するとともに、その調達を容易にし、その資金低利かつ安定した条件で供給することがぜひとも必要であります。このような要請に基いて、公営企業のうち特に低利、かつ安定した資金を必要とする地方公共団体公営企業地方債につき、当該地方公共団体に対し、その資金を融通する公営企業金融公庫を設け、公営企業の健全な運営に資し、住民福祉増進に寄与したいと存じます。これがこの法律案を提出する理由でございます。  次にこの法律案内容概要を御説明します。  第一章は総則でございまして、公庫目的のほか事務所、資本金その他必要な規定を設けております。即ち公営企業金融公庫賃本金は五億円とし、政府産業投資特別会計からその全額を出資することといたしております。なお公庫対象とする公営企業は、地方公共団体が行う事業のうち、主としてその経費当該事業経営に伴う収入をもって充てるもので政令で定めることといたしております。  第二章役員及び職員に関する規定でございまして、役員の数、職務、権限、任命及び任期など必要規定を設けております。いずれも既存の他の公庫と同様な規定を設けているのでありますが、その機構はできるだけ簡素を旨といたしております。  第三章は業務に関する規定でございます。公庫業務は申すまでもなくその目的に即応し、公営企業地方債につき資金の貸付を行うとともに、必要な限度においていわゆる起債の前貸資金を貸し付けることといたしております。公庫地方機関を設けることを避け、その業務の一部は地方公共団体及び金融機関に委託できる方途を講じております。このほか業務方法書資金計画及び事業計画は、他の公庫と同様、主務大臣認可事項といたしております。  第四章は公営企業債券に関する規定でございます。公庫発行する公営企業債券については、政府がその元利の支払を保証するものとし、昭和三十二年度におきましては七十億円の発行を予定しております。  第五章は会計でございまして、この公庫には公庫予算及び決算に関する法律の適用がございますほか、利益金国庫納付余裕金の運用、資金交付などについて必要な規定を設けております。短期借入金は、公営企業債券の前借として必要な場合に限り金融機関から借入できるものとしております。  第六章は監督規定でございまして、一般的な監督役員の解任、報告及び検査が内容でございます。  第七章は補則でございます。公庫主務大臣内閣総理大臣及び大蔵大臣とし、公庫職員につきましては、短恩給年限に達しない者について恩給通算の道を開くことといたしております。  第八章は罰則でございまして、この公庫は、地方公共団体対象といたします関係上、必要最少限度規定にとどめております。  以上のほか、付則におきまして設立の手続規定するとともに、各種税法設置法など関係法律改正を行うことといたしております。  以上が公営企業金融公庫法案趣旨でございます。
  4. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に両案について政府委員より補足説明を聴取いたします。
  5. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 地方交付税法の一部を改正する法律案要綱をお手元にお配りしてございますが、その要綱に基きまして御説明を申し上げたいと思います。交付税法の一部を改正する法律の第一は、交付税総額に関する規定でございまして、「地方交付税総額は、所得税法人税及び酒税収入額のそれぞれ百分の二十六」と改める。これはただいま大臣から説明のあった通りでございまして、特に御説明申し上げることはないと思います。規定は簡単でございますが、今度の改正の一番眼目でございまして、この改正中心にいたしまして、これに伴う必要な規定整備したといってよろしいと思うのでございます。  第二は基準財政需要額及び基準財政収入額算定方法に関する事項でございます。交付税総額がふえることになりますのでこの配分方法を適正に行う必要がある。これがため基準財政需要額及び基準財政収入額算定方法につきまして、それぞれ必要な改正を加える必要がございます。その一つ単位費用でございまして、「単位費用について、給与改訂等に伴う所要改訂を行うとともに、投資的経費算定適正化を図ること。」交付税総額が増加いたします場合に単位費用改訂する必要がございます。この単位費用改訂考え方の重点といたしましては、一つ職員のベース・アップが今度国家公務員法に準じて行われることになろうと思うのでございまして、これに伴いまして各人件費について給与改訂に伴う改正を加える。なお所要定期昇給その他のものも組み入れた改正を加えることが一つでございます。それから〇・一五分とか薪炭手当とか、そうした改正が従前行われておりますので、そういうものも加味いたしまして単位費用改訂いたしたい。それからもう一つは、この交付税は、単位費用算定に当りましてはできるだけ投資的、建設的な事業を充実させることを考えたい。消費的な経費をできるものなら抑制をいたしまして、できるだけ投資的経費に金を回すように考えるべきじゃないか。そういう意味投資的経費算定合理化するということを根本にいたしたのでございます。  そこで投資的経費につきましては二番に書いてございますが、「投資的経費に係る基準財政需要額算定方法合理化するため、新たに道路費等について測定単位を設けること。」これはあらためてこれにつきましては資料をお配りいたしまして、各行政項目別単位費用測定単位基礎を明らかにいたしまして、詳しく御説明申し上げたいと思うのでございますが、まずその大きな問題といたしまして道路費につきまして、従来は測定単位として道路面積基礎にして単位費用を計上しておったのでございますが、維持修繕の問題につきましてさらに手を加える必要から、むしろ未改良道路改良建設という問題をもう少し積極的に考える必要がある。この際財源が増強されました機会に、一番不足に考えられておりましたその費用を、十分ではありませんけれどもできるだけみたい、こういう考え方道路面積のほかに、道路延長橋梁面積のほかに橋梁延長を新たに測定単位として立てることにいたしまして、道路橋梁面積につきましては維持補修費をみよう、それから延長基礎にいたしまして今後の建設改良費をみよう、こういう考え方単位費用を立てることにいたしたのでございます。それが一番中心でその他港湾費その他につきましても所要改訂を加えているのでございます。  それから三番目は「道府県の『その他の教育費』、市町村の『産業経済費』等について種別補正を廃止して新たに測定単位を設け算定方法明確化を図るとともに、測定単位ごと補正方法合理化すること。」道府県教育費につきましては「その他の教育費」で、小中学校高等学校以外の教育費は一本で、人口を基礎にして測定単位を立てておったのであります。そして盲学校、ろう学校養護学校等特殊学校につきましては、種別補正制度を活用して総理府令按配をしておったのでございますが、むしろこれははっきりさして、できるだけ種別補正を簡素にして単位費用を立てるものは立ててはっきりさしていった方がよかろう、こういう考え方で今後新たに盲ろう学校養護学校につきまして単位費用を立てまして、これに必要な経費をはっきりみる。それからなお同様なことで市町村産業経済費につきましても従来十分でない、産業経済費一本でみておったのでございますが、これは必ずしも実情に合わん点が従来の実態調査等の結果明確になりましたので、これを農業行政費商工行政費、それからその他の産業経済費、林業、水産業鉱業等のその代の産業経済費との三つに種類を分けることにして、それぞれにつきまして必要な単位費用を計上して市町村間の産業経済費実情に合うようにみたい、こういう種類改正を加えることにいたしたのでございます。  その他地方税制改正に即応いたしまして、財政収入額算定方法合理化する。これは先ほど大臣説明にもございましたが、今度入湯税目的税になりますし、それから今のとん譲与税制度改正がございますので、その改正に伴うて収入額算定方法をこれは変えたのでございまして、これは技術的にその改正に伴う整理といってよろしいかと思うのでございます。  大体項目としてはそういうことでございますが、単位費用につきましては全部の単位費用につきまして、先ほど申しました通り給与改訂等一つ頭におき、並びに投資的経費をできるだけ充実したいということをもう一つの頭におきまして、昨年一年市町村実態を精細に調べまして、その調査の結果必要だと思われる経費につきまして、それぞれ所要単位費用の額を改訂する、こういうことにいたしたのでございます。その詳細は追って資料で御説明申し上げたいと思います。  それから次は第三の「昭和三十二年度の特例に関する事項」でございまして、一つは「昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税の一部が昭和三十二年度分として交付すべき地方交付税総額に加算されることとなった場合においては、昭和三十二年度分として交付すべき普通交付税総額は加算される前の地方交付税総額の百分の九十二に相当する額に当該加算された額を加えた額とし、特別交付税総額は加算される前の地方交付税総額の百分の八に相当する額とすること。」これはちょっと表現がおわかりにくいのでございますが、さきに提案予備審査で御説明がありました昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税特例法案がございまして、これに基きまして、今度第一次の補正予算で計上されておる地方交付税百億の中の一部、大体七十数億を予定しておるのでございまして、情勢によってなお一部加わるかもしれませんが、その金額が一部三十二年度分の公債費償還費に充てる含みで繰り越されることになるのでございまして、その繰り越される交付税扱いを明確にいたしたい。そこでこの交付税法改正付則で三十二年度の特例を設けることにいたしたのでございます。それでこれがために必要な規定は、一つはその繰り越される金額が、普通交付税になるのか特別交付税になるのか、その計算をどうするのか、こういう問題が一つ。それからその金はどういう方法で使うか。そういう二つの問題がございまして、この一番目の問題は、これは普通交付税として配りたい。そこで普通交付税計算方法といたしましては、その加算される、繰り越される前の本来の、三十二年度の交付税につきまして、この百分の九十二と百分の八で、その通り普通交付税特別交付税を分けることにして、その普通交付税の上に今の額が加算されるのだ、こういうことをまあ書いてあるのでございます。  それからその配分方法が次に書いてございまして、「前項の場合においては、昭和三十二年度分の基準財政需要額算定については、経費種類特別地方債償還費を、測定単位特別措置として発行を許可された地方債に係る元利償還金及び公共事業費等特定事業費財源に充てるため発行を許可された地方債に係る利子を加えるものとすること」。これの配り方を明らかにするため特別地方債償還費、こういう柱を一つ立てることにいたしまして、この特別地方債償還費の中には性質の違った公債償還費が二つあるのでございます。一つは御承知通り給与等財源に充てるため発行された、誰が考えても国の責任で始末をすべきと認められる地方債のかかるものでございまして、それにつきましては元利償還の一〇〇%を単位費用でみる、それが一つでございます。それが前段に、なかなか表現がむずかしいものですから、特別措置として発行許可された地方債、こういう表現を使ったのでございます。それにつきましては単位費用一円につき一円、こういう表現全額元利償還をみる。それからもう一つ公共事業とか失業対策事業とか、義務教育施設建設事業に充てるため発行された地方債につきましては、利子の半分をみることにいたしまして、測定単位としてそうした地方債利子をあげ、単位費用として一円につき五十銭、その計算基礎を明らかにすることにいたしたのでございます。これは今申しました通り、三十二年度限りの一応の措置としてきまったものでございますから、付則におきまして、そういう趣旨を明らかにして規定をすることにいたしたのでございます。  それから「第四その他」といたしまして、「地方交付税交付時期及び錯誤に関する取扱その他規定整備を図ること。」これは実質的なことはあまりございませんで、むしろ規定整備、ものによっては従来の規定に少しミスがあったといってもいいというようなものを直したものもございます。多少意味がありますのは、交付税交付時期の特例について規定を設けたのでありますが、これは御承知通り普通交付税につきましては、交付時期が法律で特定されております。ただ制度改正とか予算扱いなどの関係で、どうも動きがつかぬときには総理府令特例を設ける、こういう規定があるのでございます。そういう場合はもちろん特例の必要があるのでございます。それと同時にもう一つ考えられますのは、非常に災害があった場合には、地方団体は非常に資金に困る、こういう事情がございまして、そういう場合には、特別にその団体について交付時期の特例を考えた方がいいのじゃないか。現行法でも読めるか読めないか相当議論がこれはあるのでございますので、むしろこれをはっきりさせて、災害の事態に応じて当然当該団体にいくべき交付税ならば交付時期は按配をしてやってもいいのじゃないか。こういう考えで、そういう災害の場合には特例を設け得るという趣旨を明らかにいたしたのでございます。  それからあとは錯誤に関する規定取扱いで、これは技術的な錯誤の場合の異議の申し立ての手続の問題とか、それから錯誤のあった場合の、この超過、よけいやった金の還付を命ずる手続等を書いたものでございます。特に重要な問題でもございません。大体以上が交付税法の一部を改正する法律案内容でございます。  それから引き続きまして、公営企業金融公庫法案要綱につきまして御説明を申し上げたいと思います。  公営企業金融公庫法目的といたしまして、「公営企業金融公庫」「は、公営企業の健全な運営に資するため地方公共団体に対し、特に低利、かつ、安定した資金を必要とする地方公共団体公営企業地方公共団体が行う事業のうち、主としてその経費当該事業経営に伴う収入をもって充てるもので政令で定めるものをいう。)の地方債地方自治法に基き許可を受けた公営企業に係る地方債で、政府資金による引受が行われないものをいう。」「につき、その資金を融通し、もって地方公共団体公営企業推進し、住民福祉増進に寄与することを目的とするものとすること。」公営企業金融公庫目的をまず前に書いてあるのでございます。これはここに書いてあります通り、「公営企業の健全な運営に資するため、」にその資金獲得方法として、政府資金とそれから一般市中銀行から借りるいわゆる公募債と二つあるのでございまして、われわれは公共団体が必要とする資金につきましては、できるだけ政府資金を充てることを旨といたしたいと考えておるのでございますが、これは資金の、原資関係もございまして、なかなか思うようにいかない。特に一般会計におきましては、全くそういう方向でいきたいのでございますが、公営企業会計分につきましては、必ずしもそういうわけにもいかないものもございますので、公募債を認めざるを得ない。この公募債につきましては、大きな団体などならまだそれほど苦労もいたしておりませんが、小さな団体におきましては、たとえば市町村水道起債を入手したり、あるいは公営住宅起債を入手するのにどうしても高い金で借りざるを得ない。おまけに高い金でもなかなか苦労いたして、公営企業がなかなか円滑に進んでおらぬのでございます。で、そうした団体でどうしても低利かつ安定した資金をなかなか独自では入手しがたいという団体が多いのでございまして、そういう団体ため公募債を、公庫から金を貸し付けまして資金の融通を円滑にしたい。そういうことによって企業も十分に伸ばし、企業を利用する住民使用料、あるいは料金等をできるだけ低廉にして、住民福祉増進する。こういう考え方を明らかにいたしてあるのでございます。そこでこれは主として公営企業だけに一応限るという建前をとっておるのでございますが、これはまあ一般会計にも現に公募債を出している以上は、その公募債の引き受けも考えるべきじゃないかという考え方も一方にございまして、われわれもそういう主張も持っておったのでございますが、一般会計につきましては、今後政府資金を原則として貸すことにしよう、こういう大蔵省の方針もあるようでございますので、とりあえず問題を公営企業に限る。こういうことにいたしたのでございます。  それから公庫の性格及び資本金といたしまして、公庫全額政府出資、産業投資特別会計から出資する法人とし、資本金は五億円とする、資本金はとりあえず発足に当りまして五億円といたしまして、今後さらにその増加を期していきたいという考えでございますが、この場合は五億になっています。  それから三は役員及び職員でございまして、「公庫に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置くものとすること。」、「理事長及び監事は、主務大臣が任命し、理事は、理事長が主務大臣の認可を受けて任命すること。」、「役員の任期は、四年とし、再任されることができること。」、「役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすこと。」、この公庫の役職員考え方につきましては、われわれといたしましてはできるだけ機構を簡素にしたい、他の公庫、公団等いろいろございますが、その例も考えましたけれども、この公庫といたしましては、要するに公共団体公募資金で困っているものに世話をする仕事でございますから、そう地方において大きな組織、機構は要るわけじゃございません。仕事はもっぱらこの発行する公営企業債券をどうさばくか、こういうところが重点でございまして、債券をさばいて資金があれば、その配分につきましてはむしろ府県の協力も得ることにして、公庫自体としてはできるだけ機構を簡素にして、そうしてコストを引き下げたいという考え方でございます。そこでまあ役員は一応頭でっかちで下が小さい、こういう形に性質上ならざるを得ないのでございまして、職員は今のところ予算では十八人くらいだけ予定いたしまして、公募債券を売りさばくというところが重点でございますので、そういうところで問題を簡素に考えたいと思っておるのでございます。任命その他の手続、任期、それから公務に従事する職員とみなす点等は全部ほかの公庫、公団と同様でございます。  それから業務は、「公庫は次の業務を行うものとすること。」、「地方債資金の貸付又は証券発行方法による地方債の応募」、「前号に掲げる業務に附帯する業務」、要するに公募債ため資金の貸し付け、これが重点になっておるわけでございます。この場合にもう一つ公共団体が必要とする一時借入金、いはゆる一時融資の資金の貸付もむしろ考えたらどうだ、こういう強い要望が地方団体側にもあり、われわれもそういうことも考えたわけでございますが、これは大蔵省といろいろ話しました結果、そういう資金につきましては政府資金をできるだけ円滑に融通しよう。まあそれは政府資金の方は六分五厘で、これよりはるかにやすいわけでございますから、われわれといたしましても政府資金の融通さえ円滑にいけば何も公庫でやる必要はごうもないのでございます。そこでそうした資金の円滑なる融通を期待することにいたしまして、公庫といたしましてはもっぱら公募債ため資金の貸し付け、あるいは公募債証券の交付、こういうことに一応限ろう、こういうことにいたしたのでございます。  それから「公庫は、前項第一号の場合において、当該地方債について地方自治法第二百五十条の規定による許可があるまでの間において特別の必要があり、かつ、当該許可があることの見込が確実であるときに限り、当該許可に係る地方債の額を限度として、資金の貸付をすることができる」、まあ原則として一時融資はやらぬことにいたしたのでございますが、ここに書いてありますように、その公募債地方債の許可があることがはっきりしておって、資金の前貸しをする必要がある場合がある、事業の必要上とりあえず事業が始めたい、こういうことがありますので、その資金前貸しの場合だけはこれを認めよう。これは公募債の貸付引受と実態的に一緒でございますので、それだけ明らかにすることにいたしたのでございます。  それから五は、公営企業債券発行で「公庫は、公営企業債券」「を発行するものとすること。」「政府は、国会の議決を経た金額の範囲内において、債券の元本の償還及び利息の支払について保証するものとすること。」「公庫は、主務大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委任するととができるものとすること。」まあ企業債券の発行公庫の主たる業務でございます。つまり、弱小の団体で自力でできないものをかわって政府保証による公営企業債発行して、その資金を元とにして地方に貸付をやるということが公庫の仕事でございます。この公営企業債券につきましては、今回は予算総則に書いてございますまあ七十億、政府保証の限度を、七十億を三十二年度におきましては限度にして発行して、これについて政府保証をやる、こういうことになっております。七十億はわれわれの目から見るとこれは少し少な過ぎるのでございまして、明年度の公募債総額の予定が二百三十億ということにこれはなっております。まあそれから見ますと七十億は僅少に過ぎるのでございますが、これは公庫発足のために多少準備期間のズレもございますので、発足の際でもあるしまあとりあえず七十億と、こういうことにいたしたのでございます。それからまあ公募、発行手続、これは普通の例でございまして、特に御説明申し上げるまでもないと思います。  六は業務の委託。「公庫は、特別の必要がある場合においては、地方公共団体に対し、資金の貸付に関する調査事務の一部を委託することができるものとすること。」「公庫は、金融機関に対し、資金の貸付、元利金の回収その他貸付及び回収に関する業務(ただし、資金の貸付の決定を除く。)を委託することができるものとすること。」これは仕事の組織は先ほど申しました通りできるだけ簡素にして、地方に出先など作るまい、地方出張所の考え方はほかの公庫、公団にございますが、これをやめまして、まあ資金の貸付の調査関係の仕事は県に委託をする。現実の資金の授受の仕事は金融機関を使う。こういう考え方でそ委託の根拠を置いたのでございます。  それから七、会計でございまして「公庫は、債券を発行して資金の調達をしようとする場合において、発行までの間の資金繰上必要があるときは、当該債券の引受契約が成立し、又はその引受契約の成立の見込が確実である場合に限り、かつ発行しようとする当該債券の金額限度において必要な限度を限り、当該債券の発行により調達する資金の前借として、主務大臣の認可を受けて、金融機関から短期借入金をすることができるものとすること。」「公庫は、業務上の余裕金を国債の保有及び資金運用部への預託のほか、銀行への預金についても運用できるものとすること。」「会計検査院は、必要があると認めるときは、受託者につき、当該委託業務に係る会計を検査することができるものとすること。二番目の規定は、これは公庫が他の金融機関から借入金をすることができる規定でございまして、これはまあ一般的には認める必要はないのでございますが、この資金調達の資金繰り上どうしても必要がある場合がこれはあり得ますので、そういう場合には資金の前借りとして短期借り入れの道を開くことにしたのでございます。それから業務上の余裕金の運用につきましては、これはもう特別に申し上げる必要はございません。それから会計検査院の検査の規定でございまして、これもまあ他の公庫、公団と同様な規定でございます。  それから監督は「主務大臣監督する」「主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公庫に対し、業務に関し、監督上必要な命令をすることができるものとすること。」「主務大臣は、必要があると認めるときは、その職員公庫若しくは受託者の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができるものとすること。」監督規定も普通の公庫、公団の規定に準じております。ただ、こちらは公共団体相手の仕事でございますので、むしろほかの場合よりも簡単にしようというので、要らぬ規定は除いてございます。ここに主務大臣は、他の公庫、公団と同様に総理大臣大蔵大臣の二人がこの主務大臣でございまして、まあ自治庁と大蔵省の共管、こういう形になるのでございます。  それから、その他。「公庫に関する主務大臣は、内閣総理大臣及び大蔵大臣とすること。」これは今申した通りでございます。一公庫職員に関する恩給の取扱については、公団の職員の例によるものとすること。」これは公庫の事務職員は、先ほど申しました通り起債の許可は大蔵省と自治庁とが中心になってやっておりまして、起債を許可する場合には、政府資金と預金部との割り振りもきめて許可をします。その公募債がついた団体について、必要なものについてこの公庫からの貸付を認めよう、こういうのでございますから、普通の起債の運用ときわめて密接にやっていく必要がある。おまけに、それぞれの団体の財政状況とかその他も頭に入れて問題を考える必要がありまするので、できるだけ職員につきましても役所の方と密接な連繋をやって、人も行ったり来たりできるようにしておいた方がいいじゃないかと、こういう考え方でございまして、この恩給通算規定を普通の公団の例によりまして入れることにしたのでございます。恩給年限に達していない職員公庫職員になったという場合には恩給を通算すると、こういう建前でございます。公務員として恩給年限に達しておる者はもうそれで縁を切る、ただ、若い職員が行ってまたこちらへ来るようなことがあるような人につきましては、恩給通算規定を認めよう、まあ公団の先例に従ったのでございます。その他は、これは付則で経過規定設立のため手続を書き、その他この公庫の設置に伴いまして他の税法、つまり登録税や印紙税のあるいは免税に関する規定とか、所得税、皆そうでございます。それから、その他、他の法令に、あるいは自治庁の権限の中へこれを入れる、そういった条文の整理でございます。  以上が公営企業金融公庫法案内容でございます。
  6. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいま説明を聴取いたしました両案のうち、まず公営企業金融公庫法案についてこれより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。   —————————————
  7. 小林武治

    小林武治君 今の委員長のお話の前に、差し迫っておる問題と思いまするから、一つこの前の基地交付金関係を立法する、こういうことを自治庁長官はお約束なさっておりましたが、その後の状況はいかが相なっておりますか。
  8. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 基地交付金の立法措置でございますが、政府部内でこの段階はまだ折衝、政府部内の折衝というのはおかしいですが、政府部内で意見を取りまとめ中でございます。昨夜、衆議院の予算委員会の方が比較的時間が早く引き揚げができますれば、昨晩中にきめるという段階にまで、もう最終段階にきておりますが、昨晩少し事情がございまして今日に延びております。大体きょう中には自治庁の意向に近い線で政府部内の意見がまとまる。こういう傾向でございますので、私が希望をしておりますごとく、立法措置によって閣議決定ということでなしに、立法措置によりまして、率を定めました安定したものを交付できますような方向に運んでいけるものと大体の見通しを持っております。
  9. 小林武治

    小林武治君 そういうお話じゃ非常にけっこうだと思いまするが、もう一つ当面の問題としまして、自衛隊の飛行場とか演習場とかは、これは入るのか入らないのか、この点いかがですか。
  10. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 自衛隊の分につきましては、まあこれに類するものについて、ずっと文章がございまして、その文章の、及びこれに類するものについて交付ができるという規定内容を実は案として立案をしておる次第でございます。この点も、これに類するものとして自衛隊関係分についても交付ができる内容の意見に落ちつくものと、こう見通しをつけておるわけでございます。ただし、その飛行場、演習場の問題と、これに類するという文言で表現をしております自衛隊分というものにつきまして、若干のまだ意見の一致をみない点がございますが、これは本日の午後に至りまして意見の一致をみるように努力をしたい、こう考えております。
  11. 小林武治

    小林武治君 そういたしますと、今年度分の五億円というものは、これは自治庁の予算として所管されると、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  12. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 多少問題がございます。予算の建て方としましては大蔵省の便宜、これは便宜ということでやったわけでございます。便宜大蔵省のただいまは編成上は所管になっておりまして、国有提供施設所在市町村助成交付金という言葉を用いておりまして、あくまでも市町村の助成のため交付金だということに予算の建て方はなっておるわけでございます。しかしながら、政府部内の方では、これを調達庁の方の所管として、この予算の実施をしたいという相当熱心な御意見もございます。ございますが、そういうことに私が応ずるわけもございませんので、これは旧内務省時代からの海軍の交付金といったようなものも、内務省が所管をしておったものであるし、このいきさつはそもそも国有資産等所在市町村交付金及び納付金関する法律という法律が一昨年できましたときに、昨年から実施に入りましたこの法律の当然適用を受けるものであったものが、その適用を除外したという事情になって、なぜ除外をするのかという運動が全国的なほうはいたる運動になっておるわけでございますから、当然これは自治庁において所管をすべきもの、こういう見解を強く貫いておるわけでございます。その方向に落ちつくものとこれも見通しを持っております。
  13. 小林武治

    小林武治君 そうすると、自衛隊の飛行場、演習場等も中に入るとすれば、当然これは調達庁の所管というわけには参らない。一括して私は自治庁が主体性を持って配分に当るべきだ、こういうふうに考えまするが、そういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  14. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 私の現在の見通しは、そういうふうに意見をまとめ得るものと自信を持って見通しまして、最後の努力を本日払ってみたいと思っております。
  15. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 小林君のただいまの質問は、政府部内においても取りまとめ中でありましたので、緊急質問として認めた次第でございます。   —————————————
  16. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それではさいぜん宣告いたしました公営企業金融公庫法案について、これより質疑を願います。
  17. 小林武治

    小林武治君 この金融公庫に関連しまして、私は公営企業というようなものは、性質上、おもに上水道あるいは下水道あるいは清掃事業、こういうふうな民間の企業に不適当であるものになるべく限定すべきである、こういうふうに思いまするし、特に最近におきましては、上水道、下水道の要望がもう非常に熾烈なものがあって、しかもこれは国民生活の上の保健衛生、これらの面から、ぜひこれを強く推進すべきものでありまして、政府資金があるなら、むしろこういうところを重点的にやるべきものだ、こういうふうに思いますが、その点はどうですか。
  18. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 全くお説の通り政府も、考えておりまして、上水、下水道の環境衛生、都市衛生に関するような重要な事業につきましては、これはお説の通りこれを推進していくべきものと、こう考えております。
  19. 小林武治

    小林武治君 さしむき急ぎまするから、今の水道の問題ちょっとお聞きいたしたいのですが、今年の水道起債は一体どのくらい考えておられますか。
  20. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 継続事業としての水道起債のワクと、それから新規の分とこれを区別して取り扱いたいと考えております。数字の詳細を今部長から説明いたさせます。
  21. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 水道起債は、三十一年度は百五十億でございますが、三十二年度の地方債計画におきましては、二百二十五億、七十五億ふやしております。このほかに、例の簡易水道というのがございまして、簡易水道につきましては、三十二年度におきましては四十億見たいと思っております。水道はもう全く画期的な拡充といってよいのでございまして、従来出てきている要望は、今までのところ——まだ今後出てくるかもしれませんが、大体充足し得るのじゃないか、今後出てくるものは、明年度以降さらにまたこれを引き続いていきたい、こういうふうな考えでおります。
  22. 小林武治

    小林武治君 このうちの今の公募債はどういうふうになりますか。ありませんか。
  23. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 水道公募債は、二百二十五億のうち、政府資金が百二十五億、公募が百億、こういう考えでございます。  それから、さっきの簡易水道の分につきましては、これはもう全部政府資金でやりたい、こういう考えでおります。
  24. 小林武治

    小林武治君 今のお話だと、百億は公募しなければならぬが、今後この企業金融公庫水道関係の方へ多く向けられる、こういうことは考えておられませんか。
  25. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今お話しの通り水道はどうせ弱小団体——弱小というと語弊がございますが、中小市町村中心が多いのでございますから、そういう問題につきましては、公庫では最重点に取り上げざるを得ない、こういうことでございます。
  26. 小林武治

    小林武治君 今言明されたことは非常にけっこうでありまして、とにかくこの水道の要望が非常に熾烈であるということは御承知通りで、なるべくこういうものはできるだけ早く仕上げさせる、これが国民生活の改善の上に非常に役立つことは御承知通りでありますから、この企業公庫なども、水道関係公募債に優先して回す、こういうような一つ考え方をぜひ堅持してもらいたい、こういうことを注文いたしておきます。  それで、その次のことでありますが、今私が申すような、こういうふうな方面に非常に熾烈な要望があるからして、できるだけ企業公庫もそういう方面に重点的に使用してもらいたい、こういうふうに思うのでありますが、従って、自治庁がどんな事業でもこれを公営とすることを非常に力を入れて推進している、こういうような態度は必ずしも私は適当でない、こういうふうに思うのであります。ことに交通事業の中でもバス事業、こういうものは、おおむね今のところ民間の企業でもって経営されて、国民の、需要をある程度満している、こういうものについて、これと競合的な立場でもって新規に公共団体にバスなどを免許するということは適当でない、こういうふうに思いまするが、運輸省ではこれをどういうふうにお考えでございますか。
  27. 國友弘康

    説明員國友弘康君) 今お話のございました公営企業等におきまして、地方自治団体において、公営企業の免許申請をいたします事例が最近もございますが、このバス事業等の免許申請がありました場合に、運輸省といたしましては、道路運送法第六条の免許基準に照しまして、事業開始の適切性の有無、また当該区間における需給関係等々を審査いたしまして、まあこれによります免許基準に適合すると認められます場合には免許するという法律の建前になっておりますが、最近既存業者の運行回数等もふえて参りまして、サービスも向上して参りましたので、一般的に申しまして、新規免許というものが、ここ三、四年非常に少くなって参っております。これは一般的に申しましたわけでございますが、既存のものが十分サービスを全うしております場合には、新しい免許申請がございました場合、ただいま申しました道路運送法第六条に規定してある免許基準に照してみますと、大体この基準に適合しないで、免許申請は却下ということになる場合が多いのでございまして、最近公営企業等におきましても申請がございまして運輸省で運輸審議会に諮りまして審査いたしました結果、免許のされましたものは、昭和二十八年以来四件ほどございますが、これは既存業者からの譲渡あるいは事業者のない地域に免許をされまして、その他二十八年以来八件ほど却下になっております。  大体このような状況でございます。
  28. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 今小林先生から御意向をいただきました水道事業について力を入れなさいというお言葉でございますが、これに関連して、大事なことが一つ最近きまっておりますので、これをお答え申し上げておきたいと存じます。  お言葉の通り、わが政府は、上水道、簡易水道については思い切って力を入れて、事業量の上でも金の上でも助長したい、こういう考え方から、問題となりますのは継続事業分でございます。何年かかかって水道を完成する、こういう年度が続きます場合における継続事業分の水道起債については、地元の目標というものもあろうかと存じますので、あらかじめ目標起債許可の予定額というものを、今年初めての制度でございますが、これをきめまして、そして予告をしてやる、そして何年度以内にこれを完成しろということの指示を与える方針をとりましたわけでございます。それを一口に申し上げますと、総事業費が一億までの水道は三年以内に完成さす。一億以上二億五千万までの総事業量を持つ水道計画はこれは四年ないし五年で完成さす。これはなるべく四年で完成さす見通しでございます。やむを得ない場合は五年で、四、五年で完成さす。それから三億以上を越えております場合はこれも最低六年間で完成することを基準にする。こういう基準によりまして年次別の事業費というものを、その個所その個所についてこれを指示を与えることにいたしました。その結果、三十二年度において事業量百億円までの水道でございますが、これは全国で百十七カ所を完成をいたします。三十三年度は六十五億円までの事業量の水道は七十二カ所、三十四年度は三十五億円までの事業量の水道は六十二カ所、三十五年度は二十億までのものを二十一カ所、これを合せましてその総額は二百二十億円、二百七十二カ所を完成いたします。こういう目標計画を立てまして、これを現地にそれぞれ指示を与えまして、起債の見通しはかくの通り、必ず起債を許可をするのだ、こういう見通しを通告いたしまして、この見通しのもとにしっかり事業をやれという方針をとっているわけでありまして、先生仰せをいただきましたような方針を極力胸におさめまして、この水道事業についてはこれを進めて参りたいと存じます。なお、お言葉の中にも含まれておりますが、簡易水道につきましてもことしは二十億円増となっておりますので、簡易水道についても十分に力を入れて参りたいと存じます。
  29. 小林武治

    小林武治君 それで、バスの新規免許のことでありますが、このバス事業の採算というようなことについては、免許の際にどういうふうにお考えになっておられますか。たとえば公営企業というものはとかく能率が悪い、また採算というものをあるいは度外視すると、こういうふうな傾きがあるのでありますが、この点はどうですか、採算というようなことは、非常に大きな要素になっておるかということを伺っておきたい。
  30. 國友弘康

    説明員國友弘康君) バス事業事業でございますので、先生の仰せられます通り採算面はこれは絶対に見なければならない要素でございまして、免許基準の中にも道路運送法の第六条の三号に「当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。」ということで、採算を審査の中に入れてやっております。ただ、公営企業の場合には利益まで見る必要もないわけでございますので、その点は省いておりますが、その他の点におきましては、当然運賃の認可にも関係して参りますので、採算がとれるものでなければ適切な事業計画を有するものではないということになるであろうと考えております。
  31. 小林武治

    小林武治君 今のこの免許の問題でありますが、これは自治庁としてはもう一切運輸当局におまかせしておる、こういうことになっておりますか。
  32. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今の法律上の問題は、全部運輸省の専管になっておりますから、一応運輸省におまかせしておると、こういうことになっております。
  33. 小林武治

    小林武治君 これは公営企業というものだから、むろん独立採算制というものをとっておるのでありまして、一般会計に累を及ぼすというようなことは、自治庁としても非常な関心を持つべきであろうと思いまするが、これらのことは、すべて運輸省の見解にまかせておる、こういうことですか。
  34. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今のお尋ねの公営企業も、これは自治体の会計一つでございますから、公営企業運営につきましては、われわれも非常に関心を持っておりまして、それでまあ一応公営企業でも、こちらの立場から一応制限をやっているわけでございます。ただ、免許の問題は運輸省の権限でございますので、運輸省の判断にまかせております。しかし経営につきましては、公営企業全般の問題として経営し、合理化すべき趣旨で、自治庁も指導の責任を持っているわけでございます。まあ地方財政法にも公営企業運営規定の原則を明らかにいたしておりまして、一般会計に累を及ぼさず、こういうものは当然独立採算を建前にして、事業内容合理化すべきものという方針で指導はいたしております。
  35. 小林武治

    小林武治君 今のようなバス事業のような企業につきましては、公共団体がやるものは税金の負担がない、こういうふうなことから、普通ならば民間企業などに比べても運賃などもむしろ安くていい、安くなければわざわざ公営企業にする必要もないというふうに考えるのでありますが、この点は運輸省はどういうふうに考えておりますか。
  36. 國友弘康

    説明員國友弘康君) 運賃の面につきましては、運輸省といたしましては、道路運送法の第八条の第二項にその認可基準が規定してございまして「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」この基準に基きまして、業者からの申請がありました場合に、それを審査いたしましてきめるわけでございますが、同一地区に二業者等のあります場合に、不当な競争になりませんように、その運賃の調整をいたします。先ほど申し上げましたように、公営企業の場合にはこの中の「適正な利潤を含むものであること。」というのは一応除いてございますが、不当な競争が起りませんように、同一に調整をして合わせる、そういう形でやっております。ですから運賃については同一地区については差はない、こういう形で現在運用いたしております。
  37. 小林武治

    小林武治君 自治庁に伺いますが、この公営企業というものを一般会計ために大いに役立たせる、こういうふうなお気持はないか、すなわち大体収支とんとんでいけばいい、こういうふうなお考えではないかと思いますが、その点はどうですか。
  38. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 公営企業でも、普通の今問題になっておりますような事業は、もう基本的にそういう考え方でございます。その他特殊な、例の競馬とか競輪とかいうような話は別でございますが、一般の住民のサービスを対象にする公営企業は、われわれといたしましては独立採算の企業にして、むしろサービスの向上充実ということを前提にものを考えるべきものだと心得ております。
  39. 小林武治

    小林武治君 先ほどの運輸当局の話では、利潤というものは見込まない、こういうことであります。むろん利潤というものは見込む必要はない、しかも一方においては税金も負担もしておらぬ、こういうことで、しかも他の民間企業等の関係上、運賃も調整するということになれば、それならば当然ある程度の利益が出てくる、こういうことを言わざるを得ない。その際のこれの還元ですね、その利益の還元というようなものは、これは一般会計に戻すということよりも、むしろ企業整備という方面に向けさせるべきであると思いまするが、その点はどうなんですか。
  40. 國友弘康

    説明員國友弘康君) さようでございます。
  41. 小林武治

    小林武治君 いずれにいたしましても、先ほどから申し上げましたように、このバス事業というようなものに対して、この金庫その他から起債を認めるについては、私は、できるだけ既設の設備の整備改善と、こういうことに主として向けてもらいたい。従って、こういうふうな問題については、いろいろ問題がありまするからして、新規免許というふうなことは、なるべくこれは厳重に運輸省当局としても検討される必要があろうと、そして主としてこういうようなものは、民間の創意にまかしたらよかろう、工夫にまかしたらよかろう。ことに、既設のものとの競合というようなことについては相当の考慮を要すると、こういうふうに思いますが、その点について、あらためてもう一度、一つ運輸当局のお考えを承わっておきたいと思います。
  42. 國友弘康

    説明員國友弘康君) 先ほど、方針として申し上げましたように、道路運送法に基きまして審査をいたします。これは、一般的に申しましても、既存業者が十分なサービスをいたしております場合には、免許基準に照合いたしました場合には、免許基準にその新らしい申請は適合しない、こういうことになると考えております。
  43. 小林武治

    小林武治君 公庫のことを少し伺いたいのでありますが、この公庫資本金というものは、確定したものでありますか。
  44. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 資本金は、一応五億と法律で制定してございますから、法律を変えなければ、このままでございます。
  45. 小林武治

    小林武治君 私は、今後の見通しを聞いておるのでありますが、あなた方はこれで満足しておるのかどうか。こういうことです。
  46. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) われわれは、この金額で満足いたしておりません。まあほんとうは、ことし十億ほしいと思っておったのでございますが、予算のいろいろな関係から、五億になりまして、明年度は、どうしても十億にいたしたいと、こういう考えでおります。
  47. 小林武治

    小林武治君 今の問題について、何か話し合いがありますか。明年度の話し合い……。
  48. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、明年度の問題につきましては、まあはっきりとした話し合いは、率直に言ってございません。われわれはそういうことを期待いたしておるし、まあそういうふうに話はしておりますが、大蔵省はまだ認めたとは、これは率直に申しまして、申しておりません。
  49. 小林武治

    小林武治君 本年度の起債の債券の予定額が七十億と、これは、公募債だけでも二百何十億あるのに対して、非常に僅少だと、これのワクの増大ということについてはむろん考えておられると思いますが、これは、来年度にはどんなふうな考え方をしておられますか。
  50. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ことしの七十億も、実は少額過ぎると私は思っております。これも、公庫の発足の時期その他の関係で、やむを得ずこうしたのでございますが、これは、一応国会の議決できまるものですから、七十億ときめまして、われわれといたしましては、とうていこの金額じゃ満足はできません。それですから、どうしてもまあ二百億くらいあった方が実はこれはよいと思っております。ただ、この公募債でも、何と申しますか、大府県等が発行しております、いわゆる指定地方債と申しますか、そういうものにつきましては、必ずしもこの公庫の厄介になる必要は、これはないと思っております。それで、その他の市町村中心にして、なお弱小の府県を中心に考えたい。それにいたしましても、七十億の金額ではとうてい物足らない。さらに考えますというと、まあ過去の公募債というものは、相当高利に借りておるやつがあるはずでございますが、こういうものの肩がわりも考えてやらなければ、ほんとうに行き届いたこれは措置に実はならないと思っております。それでございますから、この今度の公庫法の発足につきましては、非常にわれわれとしては不満な点が多いのでございまして、将来もう少し改善すべきことを積極的に考えなくちゃならない。そういうために、できるだけ努力いたしたい考えでおります。
  51. 小林武治

    小林武治君 この七十億の国会の議決というのは、どういう形で、いつおやりになるのですか。
  52. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、予算書に、公庫、公団の政府保証の発行債の限度額が皆きまっております。それでございますから、予算の審議で一緒にきまることになっております。
  53. 小林武治

    小林武治君 そうすると、今入っておるのですか。
  54. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そうです。
  55. 小林武治

    小林武治君 念のために伺っておきますが、今の公営企業債の既発行額はどのくらいになっておりますか。
  56. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 既発行公募債は、約九百億円でございます。
  57. 本多市郎

    委員長本多市郎君) この際、他に御質疑ございませんか。
  58. 岸良一

    ○岸良一君 九百億の中で借りかえをしなければならないのは……どうですか。
  59. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、あとから資料で、現在の公募債の利率の状況、発行した資料をお配りいたしたいと思います。
  60. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私もよくわかりませんですがね。この業務ですね。ここには、交通、水道と出ているわけですが、ほかは何か、政令で定めるということになるわけですか。その政令も、何か案がありましたら、ちょっとお知らせを願いたい。
  61. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、法律では政令に譲っておりまして、政令では、今小林委員からもいろいろお話がございましたが、われわれといたしましては、現在公営企業として、なるべく政令は、広くそれだけは取っておく必要はあろうと思うのでございますので、電気、水道、交通、病院、市場、ガス、公益質屋等いろいろな団体公営企業をやっておりますもので、それで、公募債をつけるものはできるだけ広く指定いたしたい、こういうふうに考えます。
  62. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 案がないのですか、まだ。
  63. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 具体的に政令の案はありませんが、公営企業債を予定しているものを全部書くつもりでございます。
  64. 加瀬完

    ○加瀬完君 財政部長に伺いますが、今御説明の中に、一応公庫法案が出たのだけれども、これはまあ、自治庁から考えれば、非常に満足なわけにはいかない。たとえば、既発行のものなども問題だが、こういうものまでめんどうを見てやらなければならないと考えるが、そこまでは今度の法案では及ばないというふうに解釈したのですが、そうなんですか。
  65. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、新らしい今度の法律では、公営企業ため発行する起債でございますから、既発行の借りかえは、法律的には読めないわけでもないと思います。公営企業債に関する借りかえの部分だけならば、法律的には読めないわけじゃないと思います。しかし、今申し上げました通り、一応の債券発行限度額が七十億になっておりますから、新規のやつまでとても足らない。とても今度のやつに及ぶゆとりがない、こういうのが実情でございます。
  66. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこで、地方制度調査会あたりでも答申を出しております。自治庁の御見解もそうだったと思いますが、いわゆる公募債の処理というものをどうするかということが、一番まあ地方財政の諸問題の中でも中心一つだろうと思うのですよ。そうすると、今度の公庫法のようなものが出るなら、今まで——公営企業に限ってもいい、公営企業の中の問題の公募債というものを、何か公庫法案の中に処理というものを含める。御説明によるならば、借りかえもある程度認めるという内容がなければ、公募債の処理に大きな役割をすることにならないと思う。私どもは、公営企業だけでなくて、との公庫法案の構想を聞いておったときには、むしろ将来の地方債をどうするか、起債をどうするかということではなくて、今まで赤字の形で累積されたものをどう処理するかという一つの処理の機関として、公庫というものを考えるのだというふうにも聞いておったのですが、今の御説明によりますと、そこまでは事業をふくらましては考えられないということになりますね。
  67. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今のお話しの通りでございまして、率直に申しまして、われわれといたしましては、そこまで手の及わぶものをできたら作りたいと考えておったのでございますが、政府部内でいろいろ折衝の結果、公営企業中心に考える。そうして公営企業も、今後の公営企業推進というか、発展に役立つ方向に考えるという形で、この案ができております。今の公債費問題を全部公庫でさばきをつけるということは、とてもできないのでございまして、公債費の問題の一つは、元利償還とか、そういう問題は別といたしまして、つまり利率を全般的にどう下げるかという問題がございます。過去の地方債は、政府資金が多いのでございまして、政府資金は六分五厘でございますが、これをさらに下げたい。この問題は、大蔵省と折衝中の問題でございます。  それからもう一つは、公債の償還期間を合理的に延長をしたい。これは公営企業債にももちろんあります。その他道路とか橋梁等にもございまして、これが従来の償還期間が、事業施設等の耐用年数にかんがみますると、適当でないのでございまして、それも延長したい。これはもう、今年度の起債につきまして、必ずしもそれは十分とは申せないかもしれませんが、相当な範囲で償還期間を延長いたしたのでございます。この問題も、既発行債の償還期間を延長しなければ、ほんとうはもう既発行地方債について役に立たんのでございますが、そこまで話は進まずに、とりあえずのところ、今後のものについて償還期間を延長しよう、こういうことになったのでございますから、なお問題は相当残っておりまして、そういうものにつきまして手を打つということは、非常に必要な問題だろうと思います。ただ、この公募債の借りかえは、地方団体自体におきましても、一応は、現在のような高いのを借りておるものは、団体自体で独自に借りかえをやっております。これは自由にできる建前でございまして、府県などは、相当低利に借りかえを現にやっております。この勢いだけは、われわれもできるだけ推進してやりたい。府県はできるけれども、市町村になってくるというと、率直に申しまして、簡単にこれはできっこないと思います。そういうものの補強工作で、公庫というものは将来活躍できるように、私はもっていくことがきわめて必要だ。しかし、これにつきましては、大蔵当局は必ずしもすぐに賛成はいたしませんが、われわれとしては、そういう方向にもっていきたいと存じております。
  68. 加瀬完

    ○加瀬完君 御説明でよくわかったのですが、これからの公営企業公募債というものについては、公庫というものは大きな役割をする。ですから、今までのような、この地方債についての悩みというものは、ある程度カバーされる。ですから、将来はそれで非常にいいと思う。しかし、今までいわゆる既発行債で苦しんでおる団体を、やはり何とか救済をしてやる方法が考えられなければ、ちょっとその間に段階がついてしまうと思うのですよ。早く進歩的な行政施策というものをしたところは、赤字をかかえてどうにもならない。おくればせながらやったところは非常に優遇されるということでは、どうも行政措置としては完全というわけには参らないというふうに心配されるのです。そこで、いろいろ御説明のように、公債の償還期間その他を合理的にするという方法もありましょうけれども、公庫法そのものの中で、将来に対する心配をするなら、既発行のものに対しても何か救済の方法を考えてやる。今御指摘のように、都道府県は何とかなるというなら、何とかならない市町村だけでも考えてやる。そういう御構想はございますか。
  69. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは、全くごもっともでございまして、われわれといたしましても、そういうことを実は考えたいのがやまやまでございます。ただ、今度の公庫法並びに今度きまる資金七十億のワクではとうていこれはできません。新規発行公募債だって十二分に消化できないのでございますから、過去まで及びません。従いまして、それがためには、公営企業債発行限度額というものを思いきって上げるということが必要だろうと思います。それがためには、裏づけになる資金の増額ということも考えなければならないし、かりにそういたしましても、公営企業債そのものが低利で市場で消化できるという前提がなければいかんのでございまして、この問題が非常に問題だろうと思います。そう簡単に、二百億三百億の公営企業債低利で消化できるかということになりますと、金融状況とのにらみ合せその他がございまして、われわれといたしましても、すぐに安受け合いをするわけには参らんと思うのでございまして、ともかくも長い間の念願であった公庫を発足させて、そうして運転を見ながら、逐次公庫事業を充実さしていくことにできるだけ努力をいたしたいと、こういう考え方でございます。  それからもう一つは、過去のものにつきましては、一般会計の場合と公営企業会計の場合と、やはり多少性質が違いまして、公営企業会計の場合は、その当時の起債の金利計算でおそらく企業の採算計画を立てておるだろうと思うのでございます。それですから、安くするにこしたことはないが、まあなお多少計算は成り立つ。しかし、一般会計の場合は、全部税金にはね返ってくるわけでございますから、この部分だけは、何としてでも押えることをわれわれは積極的に考えたい。過去の地方債につきましては、利子補給の問題を考えるとともに、その土台の金利を引き下げるということを努力いたしたいと思うのでございまして、政府資金の問題につきましては、一般会計分について、過去のものについても何とか利率を引き下げよう、こういう方向でせっかく努力いたしておりまして、これは、今月中にはどの程度までいくか、資金のコストの関係もございまして、そうこっちの希望通りには参らんと思いますが、資金のコストの許す限り、過去のものについても引き下げよう、こういうことで、大蔵当局と今せっかく折衝中でございます。
  70. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 残余の質疑は次回に譲りまして、本日はこの程度で散会いたします。    午後零時十七分散会