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1957-09-11 第26回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月十一日(水曜日)    午前十一時六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員占部秀男君辞任につき、その 補欠として藤原道子君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君            成瀬 幡治君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            小柳 牧衞君            館  哲二君            成田 一郎君            安井  謙君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            白木義一郎君   国務大臣    国 務 大 臣 郡  祐一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    内閣総理大臣官    房審議室長   磯田 好祐君    自治庁財政局長 小林與三次君    自治庁財政局財    政課長     柴田  護君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査の件  (公職選挙法改正に関する件)  (地方交付税に関する件)  (地方財政再建計画に関する件)  (七月発生の九州地方における災害  対策に関する件)   —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開きます。  本日は、まず地方交付税に関する件を議題に供します。本件について質疑のおありの方は、順に御発言願います。
  3. 中田吉雄

    中田吉雄君 地方交付税ということですが、きょうの公報を広げることはできませんか。
  4. 本多市郎

    委員長本多市郎君) この公報に載せている「地方行政改革に関する調査」の内容で、地方交付税に関する件を中心にやつていただくという意味ですから、そのほか、地方財政計画等に関連して御質疑いただくことはけつこうだと思います。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちょっとその前に、議題からそれるかと思いまして恐縮ですが、ごく簡単ですから、お許しいただきたいと思うのですが、再来年で衆議院定例解散もありますし、どういう形の選挙法がやられるかということは非常に重要で、大体のことは、長官なり岸総理言明ではっきりしているのですが、小選挙制度に対する長官並びに岸内閣のはっきりした一つ御見解をこの機会にお伺いしたい。
  6. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 現在の中選挙区制というものが、大正十四年でございましたか、あの制度に相なり、昭和二年の普通選挙以来三十年間慣熟した制度であり、当時の提案説明を見ましても、大選挙区、小選挙区の長所を兼ね備えるものであるというような説明をされております。しかしながら、その後の各般の推移を見まするに、深い検討と推察を加えるべき時期には相なっておると思います。また、理論としても、小選挙区制が多くの特色を持っており、また、各国の立法例を見ましても、多くがこれであるのでありまして、これらについての検討は十分重ねてはおります。しかしながら、現実の問題といたしましては、いかなる時期にどのように考えるかということは、さらに実情に即してよく考えてみなければ相ならぬ事柄だと思っております。
  7. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 中田委員に申し上げますが、実は委員会了承を得て、一般地方行政改革に関する件を内容として議題の順序をきめておりまして、進行上簡単にお願いいたします。
  8. 中田吉雄

    中田吉雄君 大体、郡長官なり岸総理の御言明等で、そういう立場をとるかと思ったのですが、次にはやらない。  それからもう一つ選挙制度調査会期限が切れているので、新しく国会議員を除いた第三者的なものを作つて検討されるやに聞いているのですが、その点だけ一つお伺いしたい。
  9. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 選挙制度調査会におきましては、さき衆議院議員選挙に関しまして一応の答申を得、引続き参議院議員選挙に関する事項、その選挙区の問題等検討いたしたいという委員側意向、また、それに対応いたしました政府側の答弁もなされており、選挙制度調査会が必要な検討をいたしますることは大切なことと存じます。これについては、現に他に自治庁関係しておりまする重要な調査会等も進行しておりまする際でありますので、それらの仕事の進み工合ともにらみ合せて考えてみたいと思っております。   —————————————
  10. 中田吉雄

    中田吉雄君 どうも失礼いたしましたが、別な機会に譲りまして、委員長が強く指摘された問題について伺いますが、来年度予算編成期に際しまして、地方交付税税率がどうきまるかということは、地方財政健全化のためにも、あるいは再建団体計画をスムースに進めるためにも、地方公共団体あげての重大な関心事ですし、また当委員会衆議院地方行政委員会等におきましても、現行の二六%を一・五%ふやして、二七・五にすべきだという決議をいたしておることは、長官案内通りですし、最近の新聞紙を拝見しまして、長官がこの点について、両委員会立場も、あるいは地方公共団体意向も尊重され、非常に御努力をしていただいている点は感謝しておる次第ですが、この見通し、決意、また大蔵省が二六%でいいという具体的な背景等について、数字のことでしたら小林局長でもけつこうですが、そういう大綱的なことについて、郡大臣の御所信を承わりたいと思います。
  11. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 地方財政というものが国の財政よりも現に大きい規模を持っておると申しますることは、その包容しておりまする公務員の数が国の公務員よりもはるかに多いことを見ましても、必然的に相当な財政規模を持たなければならないことは当然でございまするし、さらに、ただいま中田さんお尋ねの交付税率の引上げについて、両院委員会においてそれぞれ御決議のありまするところは、公債費について、これは、当時の財政まことにやむを得なかったことではありまするけれども、ベースアップの財源であるとか、義務教育の施設、あるいは失業対策というような事業についてまで公債をもって負担させておる。その結果が地方財政重圧で、これに対する対策を三十三年度において講じなければ相ならぬ。そのために、交付税率の一・五の引き上げを必要ということに、過般の国会中、与党においても全員一致をいたして決議をいたしておるというような経過であり、その当時の状況というものは何ら変つておりませず、むしろすみやかに公債費対策を樹立いたしまして、地方財政を安定するという必要は切実なものがあると存じます。従いまして、これに対しましては、どこまでも既定の交付税率引き上げということを三十三年度において実現すべきものであり、また実現いたされるものと考えております。
  12. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいまの御発言で、地方財政の現状、両院地方行政委員会等意向をくんでいただき、また、自民党の政調会行政部会ですか、等の決議もあり、明るい見通しがあるようでありますことは、大へんけつこうだと思いますし、具体的な数字については、小林局長にお尋ねいたしますが、その際に、私の一つ心配します点は、これが二十六国会に二七・五ということにきまつておるのでしたら心配ないのですが、他の要求予算費目とのかね合いによって、なるほど郡大臣の強い要請もあり、地方公共団体の全面的な支持もあるというようなことから二七・五にされるが、自治庁が来年度要求されておる他の予算費目でつりをとられちやつて、なるほど二七・五にはなつたが、他の費目で圧縮されて、百二十億くらいふえるでしようが、そつちで若干相殺されるというような心配がないだろうかということを心配しておるのですが、その辺もう御案内のことだと思うのですが、どんなものでしょうか。かね合いで、そつちで値切られてしまうという心配はありませんか。
  13. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 交付税率引き上げは、これは私は、明年度予算の問題というのではなくて、すでにきまつておることを実現いたさなければ相ならぬことだと思います。しかし、今中田さんの言われますように、確かに法律そのものを直しておるのではない、そうしようという決議をいたしておるので、そこに確かに私は、事柄がどうしても必要であり、またさようにいかなければ筋が通らぬという強い主張を持ちつつ、十分な注意を払つて、これから全力を尽していかなければ相ならぬと思うております。  それから、この交付税率引き上げは、何と申しましても、実現いたさなければならぬ眼目であります。しかしながら、それ以外の事柄ももちろんそれぞれ必要な事柄であります。これらにつきましても、第一の目標と同時に、これに続くものももちろんおっしゃるように大切なものであります。これについても、十分必要なことだけは満たすようにいたさなければ相ならぬと思っております。これは、これから大いに御趣旨を体して一つ努力をいたしましょう。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 それで、まあ私は、一萬田大蔵大臣並びに大蔵事務当局がああいうことを言っておるのは、一つは、まあこれはしようがないが、一つ他予算費目を削減する牽制気球といいますか、そういう予算を値切る手段としてやつておるかもしれぬが、まあそちらをやられても、それは三十三年度だけでなしに、三十四年度以降にもかかわることですから、それは、交付税引き上げを困難なときにはとるべきでしようが、その辺の呼吸も十分一つ発言のようにして、他の費目にしわが、これを確保するのあまり、寄らないように一つお願いしたいという点と、ただいま二七・五にすることの必要の中に、公債費対策ということを言われたのですが、大体来年度も、二七・五にすれば、五千数百億あつて、大きな重圧になっている公債費対策の来年度分は、まあまあそれでやれるという見通しなんですか。まあ具体的なことは大臣には申し上げませんが、私は、なおそれではやはり、公債費対策として十全でないじゃないかという考えは持っているのですが、大体二七・五になれば、ことしと同じように、地方財政公債費対策は済んだ、一応織り込み済みということなんでしょうか、どうなんでしょうか。
  15. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 数字関係しますので、私から御答弁申し上げたいと思います。  自治庁といたしましては、公債費の問題は、つまり既往の公債費に対する始末の問題は、今の方式で一・五%引き上げ願えば、まず解決がつくと見ていいんじゃないかと思います。もっともそれにつきましては、御案内通り直轄事業交付公債という問題がございまして、これはまあ別問題として、この利子問題は、むしろ今後もずっと続く問題として、あわせて御解決を願いたい。しかし今の、過去の公債費の跡始末の問題といたしましては、交付税率がそういうふうに調整せられれば、それで大体問題はあるまい。こういう見通しを立てております。
  16. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、本年度交付税総額の中の八十六億を——まあ給与の関係等もあるのですが、公債費対策として測定単位をそこにピントを合して配分されたのですが、あとでも再建問題とからんで御質問したいと思うのですが、特に十八の府県で、再建団体に指定された団体で、あの配分で、まあ大体来年はもっていくかもしれませんが、その程度公債費重圧が特に再建団体に除かれるものかどうか。私先般、予算委員としまして、佐賀県等に参りましたが、ほとんど県で相当額公債費に要つて、なかなかやれぬじゃないか、まだ十分じゃないじゃないかと思うのですが、その点どうなんですか。
  17. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 再建団体のうちには、今仰せられました通り佐賀県と、まだほかにも徳島のようなものも、非常に苦しい計画を作つております。これらの問題は、まあ過去の公債費だけの問題ならば、今の方式をとれば、ことし暫定措置をやりましたのは、どうせ恒久的措置として、交付税配分方法として確定いたすことができますので、その問題は一応解決つくと思います。ただこの両県は、それ自体公債費の問題だけでなしに、やはり財政力がそれほど強くない。そういう基本的な問題がこれは別途あるだろうと思います。そういう意味で、両県のおのおの財政運営等につきましては、なお検討すべき問題があろうと思いますが、これは公債費の問題とは別の、むしろその財源自体をどう増強、補強していくか、こういう方法として考えるべき問題だと思います。
  18. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、まあ交付税総額をふやすことによって公債費問題を解決するというのなら、まあわが党としては、まだ足らぬじゃないかという考えを持っておるのですが、しかし、諸般の情勢で、二七・五になり、公債費問題が一応三十三年度とじてはまあまあだということになれば、ただいま言われました交付公債は、これはもう絶対別途な措置——別途といいますか、これやつてもらわぬ限りは、私まあ自分選挙区とも直接関係ないのですが、関東数県を実際歩いてみて、利根川水域における交付公債重圧がいかに大きいかということを見て、とうていこれは、本年度の八十六億等の各府県市町村配分ではどうにもならぬ。たとえば、千葉県に例をとつてみても、もうほとんど赤字相当額というものは利根川の何で、栃木群馬埼玉というような県は、ほとんど十四、五億から二十億程度交付公債を背負わされておる。しかも、その受益が直ちにそこにあるか、あるいは東京都のはんらんを防ぐのかどうかわからぬというような問題とからんで、これは一つ別個に、本格的に、交付税のワクの外でといいますか、何とかやつてもらわにやいかぬと思うのですが、この点郡長官いかがです。
  19. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) ただいまの中田さんの御意見と全く同じ考えを持っております。
  20. 中田吉雄

    中田吉雄君 その際に、前にも私申し上げたのですが、これはまあ受益者負担というのですか、あいるはあつちこっちの要求が多いので、地元負担させるということで、財政負担ができぬからというので遠慮させる。まあ抑制する。議員地方や、いろいろ要求するから、全部国費でやるのはなかなか要求が多くてかなわぬ。それを押える手段としてか、一体これは受益に応ずるということで地元——関係府県市町村に持たせるのか。一体どつちなんですか、それは。
  21. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これはまあ、直轄事業についての地方分担金をどう考えるかと、こういう問題で、これはやつぱり中田先生もおつしやいました通り地元がそれで受益があるという思想が当然私は入っておると思います。つまり普通の中小河川ならば、地元の県が中心になってやつて、それについて国が一部負担金を持っておる。逆に直轄河川になれば、国が主体になるが、やつぱり一部地元が持つと、こういうことはやはり当然考えられるのじゃないか。ただ、その事業規模とか大きさとか、利害関係の及ぶスケールが全く違うから、国と地元府県との負担区分について特別の配慮を得て、国の方が多く持つ、こういう考え方でやつぱり考えられておると見ていいんじゃないかと存じております。
  22. 中田吉雄

    中田吉雄君 そのまあ公債費の、交付公債をどうするかという問題と、関係地方公共団体に負わせる配分の仕方ですね。今までも申し上げた通り、これは来年ぜひやつてもらいたいのですが、たとえば日光に行く道路、これはどこですか、群馬ですか、埼玉ですか、栃木栃木に行くのに、その途中についている道路。それは群馬ですか、埼玉ですか。
  23. 小林與三次

    説明員小林與三次君) あれは埼玉です。
  24. 中田吉雄

    中田吉雄君 ところが受益は、日光のある栃木県が受けているのです。二割五分という分担金は、そこに行くまでのこれはもう、埼玉ですか、鮮馬ですか、それがはっきり受けるのです、二割五分という国道補修費というものは。それから、長野に行く方に、国道十八号線ですか、何は、これも埼玉群馬がずっと持って、そこはもうネギを運搬するか、まあ大した受益はないのですが、長野のリンゴや二十世紀や、そんなものを運んで、長野は大して負担しないというような、非常にまあ負担のさせ方について問題があるのですが、これはどうなんですか。
  25. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは、ごもっともな問題でございまして、河川の場合と道路の場合と、同じ問題はあると思いますが、河川につきましては一応、何と申しますか、河川工事受益というものを基礎にして、場所のいかんを問わず配分をしよう、それで、まあ利根川分担金、従来いろいろ議論がありましたが、今年の春建設省考え直して、まあこの工事がかりになかつて、そこで分担をしたならば、被害面積がどこまで及ぶであろう。それを精密に地勢その他を勘案して検討をして、そうしたならばどれだけの被害が起るか、そういう被害額を算定いたしまして、それは技術的にいろいろ問題はあろうと思いますが、その被害額基礎にして按分をしよう。それだから、東京都と千葉と茨城と平等にいく、そういう仕組みで配分方法を変えたのでございます。道路の問題につきましては、実はまだそこまでいっておりませんが、道路は明らかに通過交通ですか、ほんとうに自分の県の端くらいすぽつと通つておるところがございます。そういうところの問題があるから、もっと負担全額国で持つたらどうだとか、それだから、逆に道路直轄工事を、一級国道は全部国が維持管理をしたらどうかという議論も私は出てくる理由があると思います。これにつきましては、われわれのところといたしましては、なかなか受益関係というものがはっきりつかまれぬところに問題がございまして、地元も、幹線道路でございますから、一番利益を受けておるに違いないのでございまして、ただまあ通過しておるから、通過者利益を受けておるだろうと思います。その地元通過地と申しましても、この通過地の何ものかということもなかなかむずかしい問題でございまして、われわれといたしましても、もっと検討をせぬといかぬと思っておりますが、今のところ、自信のある結論には達しておらぬのでございます。それでございますから、最小限度そういうものにつきましては、直轄事業として国が責任を持つものについても、ともかくもそういう交付公債なり何なり、地方への負担部分ができるだけ筋が通つて軽減される措置によって、一応緩和することを考えるよりしようがないじゃないか。さらに進んで、もっとうまい配分基準があればその基準考えて、受益府県に按分するということを検討していいのじゃないかと思います。従来と違いまして、自動車交通が非常に発達しておりますから、従来の考え方違つた考え方で私は検討の余地はあろうと思います。たとえば関門隧道など、明白に地元府県だけではないのでございまして、もっともっとはるかなスケール交通があるに違いない。しかし、そこいらの測定が非常に困難な問題でございますから、われわれもまだ成案がございませんが、なかなかこの問題は、われわれといたしましても、関係者と研究を進めたいと存じております。
  26. 中田吉雄

    中田吉雄君 大沢先生質問があるようですから、私区切りをこの問題だけにつけておきたいと思いますが、さきに言いましたように、やはり前の社会経済条件基準にして負担させられておると思うのです。小林局長指摘されたように、関門トンネルは、山口と福岡の取付道路の接する府県だけが、有料道路なつたから、今度変つているのでしようが、そういうことで、いかにまあ古いやり方に、これはもう最近の交通経済文化等の大きな変革で、新しい構想で、もっと納得できる仕方で一つつてもらうことが必要じゃないかと思いますが、その問題で一つ郡大臣から同感の意をいただきまして、来年の何らかの措置がされると思うのですが、少くとも私は、これの利子くらいは——交付公債利子が六分五厘です。国の事業をやつた地元分担金交付公債でよこされて、六分五厘で持たされるというような問題が、少くとも利子くらいはもっと、私からいえば、二割五分というのを少くしてもらいたい。それができなければ、少くとも利子くらいは国が補給する。それから、償還期限は幾らですか、これも私は実情に合わないじゃないかと思うので、ですから、利子の補給と償還期限公共事業に合うような、もっと、一時にこの負担が重ならないような措置というものが必要じゃないかと思うのですが、少くとも来年度は、財政計画の中でその程度はやつていただきたいと思うのですが、いかがでしよう。どちらでもけつこうです。
  27. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは、大臣もその方針で、今の直轄事業交付公債は無利子とする。そういう方針でぜひ進んでもらいたい。これは、自治庁予算と申すよりも、国が取るやつをやめる、こういう問題で、われわれといたしましては、予算要求と関連いたしまして、一緒にこの点大蔵省に申し入れてございます。
  28. 中田吉雄

    中田吉雄君 期限はどうなんですか。
  29. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 期限は、現在十年でございまして、期限の点は、私は今ほどでいいのじゃないかと、そういうふうに考えております。
  30. 大沢雄一

    大沢雄一君 私は大臣に、中田先生の御質問の前半の問題に関連いたしまして、いま少し具体的な大臣の御所信を伺いたいと存じております。  新聞紙上の報ずるところによりますると、昨日政府閣議で、三十三年度予算に関する基本構想というものを御決定になつたように報道されております。それで、その中に、地方財政についても、国の財政同一の基調により、極力その規模を抑制して、着実にその健全化を推進する。こういう項目があるように見たのでございます。もとより国の国際収支改善経済の長期安定ということを眼目にいたしました方針について、かれこれ考えるわけではないのでございまするが、私は、この新聞紙の報道いたしました地方財政に関するこの要目を見まするというと、先ほど大臣からお答えはありましたが、何となく一まつの不安を感ぜざるを得ない。この地方財政に関する要項は、非常にとらえどころがあるようなないような表現にはなっておりまするが、しかしながら、全般を通じたこのニュアンスというものを考えてみまするというと、私どもは、いろいろと不安を感ずるわけであります。従来地方財政がいつも国家財政の犠牲となり、しわ寄せを受けたということの結果が、この今日の地方財政状況に陥つたことの根本原因であると思います。ようやく三十一年度から、いろいろの措置地方団体努力によりまして、どうにかこうにか表面的な赤字は解消してきたわけでありまするが、しかしながら、申すまでもなく、借りかえ、赤字棚上げ等によりまして、問題をあとに延ばしておるわけでありまして、ことに地方団体の必要欠くべからざる投資的事業方面等を見まするというと、昨日ごらんをいただいた自治庁の資料によりましても、府県だけで、二十九年度にはなお投資的事業が二百億も三十一年度において減少しておる。町村の方の決算の報告はまだでありまするが、おそらくこれも同一であるに相違ないと思うわけでありまして、先ほど大臣のお言葉がありましたが、私は、この要項大臣閣議において御了承なつたといたしまするというと、いささかわれわれが熱望し、必要を認めておりまする行政水準引き上げということと何となく矛盾するものがあるようにもおそれられるのでございまして、私は、これがわれわれの行政水準向上の要望と矛盾があるのかどうなのかと、これに対しまして大臣は、いかなる御所信を具体的にお持ちになっておるのであるか。すでに町村合併も完成いたしまして、合併の成果をあげなければならぬことは申すまでもないのであります。府県においても、市町村においても、投資的事業は、どうしてもこれは行政水準をある程度引き上げていかなければ、目下の急にとうてい応じられない。赤字の解消もさることでありまするが、この面について今の要綱と関連して、大臣はどういうふうにお考えになり、今後どういうふうにお進みになるのか、いま少し一つ具体的に御所信を承わらしていただきたい、かように存ずるわけであります。
  31. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 地方財政が国の財政とともに、国際収支改善ということを眼目といたし、また経済に悪い影響を与える要因を除去して参らなければならぬということは、これは、全般を通じて考えなければ相ならぬことだと存じます。しかしながら、先ほどもちょっと触れましたように、地方財政というものの持っておりまする中身、また、各位がよく御承知のように、教員の給与を市町村に持たしましたり、PTAに教材費を持たしておりまするというようなこと、消防の諸経費等の割当等、寄付によりまして、筋の違つたことをいたしておることは、厳にこの際改めて参らなければならぬというような要因があります。また、行政水準の向上と申しますと、いかにもものをよくするような感じがいたしまするが、大沢さんも御指摘のように、二十八年度という、あの苦しかったときに比べても、なおかつ全般を通じては、建設的事業が九割一分しかされておらない。赤字団体には、それが八割五分以下になっておるというような状況、これは、道路の維持補修一つ考えましても、すぐに感ずることでありまするが、最小限いたさなければならない行政の必要がございます。それらの点を考えまするならば、それに応じただけの需要は充たして参らなければならない。公債費対策を講じなければならないことは、先般申し上げた通りでありまするが、さように考えまするならば、もちろん三十三年度の歳出については、でき得る限り中身を吟味いたしまして、抑制し得る限りは抑制いたすという思想を基調といたして参ります。しかしながら、今朝来問題にしておられまする交付税の問題は、これは地方財政平衡交付金のときとは異なりまして、国と地方財源配分の問題でありまするから、もちろんこれに対しては、国の財政当局は、三十一年度の精算分もことしは相当あるじゃないか、あるいは三税の収入がどうしても見積りがふえて参るじゃないか、こういうものの言い方をして参りましょう。参りましようが、すでにそれらのことは、一・五の引上げをきめまする際に十分論じましたことでありまして、この国と地方財源配分の問題ということは、当然の前提といたして、今後どのように地方財政を堅実に、かつ地方の行政を効率的に動かすものにしたらよろしいかということを考えるべきものだと考えております。また、それ以外に考えようはないと思います。私、昨日予算大綱の基本構想をきめまする際にも、そのような理解のもとに、もとより地方財政もきわめて健全なものでありたいことはもちろんである。そのような前提となる理解をはっきりといたしておくんだということは申しておいたのであります。また、与党におきましても、地方交付税引き上げの問題その他二、三、恩給等大きい問題があります。これらの問題については、当然取り上げなければならたい問題といたしまして、別途それぞれの機関において引き続き検討いたす、こういう考えになっております。従いまして、交付税問題等は、当然前提と申しますか、基礎と申しますか、そうした考え方で、ただいまお尋ねのありました基本構想ができておりますが、こういう工合に御理解を願いたいと思います。
  32. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 大臣公債費関係でちょっと、今のに関連するようなことでございますから、お聞きしたいと思いますが、先ほど中田委員からのお尋ねと関連する問題でございますが、この際自治庁といいますか、あるいは政府といいますか、これは、公債費対策に対する根本的な考え方についてお伺いしたいと思うわけなんでありますが、今年のいわゆる例の公債費対策に使われました八十六億の問題ですね。交付税の中から使われたわけですが、この問題の審議の際に、前大臣の田中さんは、衆議院等におきましてもそうであったようでございますが、この席で、公債費対策というのは、たとえば給与関係のための起債、それから義務教育関係の起債、あるいは失業対策事業等におきますところのそれに関連する起債、こういうものは、もともと当然国が地方団体に対して財源を与える等の措置をすべき問題であるにもかかわらず、それを地方で起債という形の負担にさしているのだと、従って、これらの問題の解決は、現在このように、そういうもののために、地方財政が逼迫の度をさらに深めているというような重圧の際には、これはどうしても国の責任において措置すべき問題であると考える、こういう建前で、今回のいわゆる公債費対策八十六億を計上したのだ、ただ、この際問題になるのは、当然国が別の法律で、あるいはまた金を出す際にも、交付税等によらないで、別の金で当然措置すべきであるけれども、今回はやむを得ずして、今年限りの形で、こういうことにしたから了承してもらいたい、来年度からは必ず別の法律で、別の金でこれを措置するのだと、こういうことで、胸をたたいてここで大いにはっきりおっしゃっていたのですが、これは、考え方としては、僕らも賛成であり、おそらくここの委員会委員の方々全部も同調といいますか、賛成をしたことであり、そうあるべきだというようなことになつた問題であります。そこで私、今大臣のお話を聞いておりますと、今度かりに交付税が来年度において二七・五%に引き上げられた場合に、公債費なんか別に考えなくてもいいのだ、小林さんもそういうことをおっしゃっておられるわけです。一体国の責任ということはどこへ行ってしまつたのかというふうに私は感じたわけなんです。交付税は、私が今さら申し上げるまでもなく、公債費のために使えとか何とかいうことじやなく、別のいわゆる国と地方との金の分け合いの問題であつて、こういう金が少しふくらんだから、公債費対策は、さっき私が申しました、すなわち前大臣なりあるいは小林さんもここでお話しになつた、別の角度で考えて、別の、交付税を使おない金で出すのだといった、そういう国の責任というものは一体どうなるのか、これは非常に私は大事な問題だと思うのです。金があるなしにかかわらず、国の責任というのであれば、はっきりさせなければいけない問題だと思いますので、この点、わずか半年かそこらで引つくり返つてきて、私どもここで盛んに論議した問題が跡形もなくふつとんでしまうというふうな政府の態度であるのか、あるいは自治庁そのものの態度であるのかわかりませんが、私そういうのでは、はなはだ当惑すると思うのですが、この点ではっきりしたお考えを聞いておきたいと思います。
  33. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 御もっともな御質問でございまして、公債費対策は、要するに過去において国が措置すべきものをしなかった、その始末を国の責任で解決すべし、これはもう一点考え方に変りがございません。そこで、国の責任において解決をするというためには、国が積極的に従来の地方財源よりプラスをして財源を出すわけでございます。その財源の出し方の方法に二つ考えられる。一つは、その利子補給というような形で、前の大臣も別建でやつて、そして予算を取つて配分をする、利子補給金を取る、こういう考え方一つ、それから、そうじゃなしに、交付税をふやすことによって、交付税配分方法を通じて地方に流す、こういう二つの方法があり得ると思うのでございます。でございますから、既存の財源のままやつてしまうということでいくならば、これは国の責任をあいまいにしたことになります。そんなことはもちろん考えておりません。それでございますから、来年度交付税率を現在より引き上げて、そして財源を与えることによって公債費に対する始末をしたい、その取つた金をどう配るかという問題になりますというと、普通の補給金ならば、いわゆる富裕団体であろうが、そうでない団体であろうが、みんな平等にいくという仕組みになりますが、そういう方法考え方としてあり得るが、むしろ財政力にあんばいをして配分をした方が、現実の問題の解決として妥当じゃないかという考え方もこれは成り立つのでございまして、それで、与党の方でもいろいろ研究せられました結果、むしろこれは、交付税の率をふやすことによって、交付税配分を通じてやつた方が最も適切妥当な運営ができるだろう、こういう結論になつたのでございます。自治庁といたしましても、その結論が適当だと考えて、その方向でこの問題を解決したい、解決することは相変らず国の責任であることに変りがない、この点だけははっきりさせておきたいと思います。
  34. 中田吉雄

    中田吉雄君 この地方交付税が二七・五%で来年間に合うかということは、来年度財政需要、財政収入、財政計画との関連で見なくてはまた問題だと思うのですが、もし本年度行政水準を維持すると仮定して、来年度の義務的な経費の増というものはどうなるか。それで、大体の来年度地方財政規模、それを一つ小林財政局長から聞きたい。
  35. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは、実はわれわれの方でも今いろいろ検討をいたしておりますが、来年度財政規模の問題は、むしろ税の自然増収の見通しがどうなるとか、そういう点の見通しをつけなければ数字が固まらないのでございます。それで、今日におきましては、まだそういう数字見通しがあまりはっきりいたしておりません。国の方でもはっきりしておらんと同様に、地方でもはっきりしておりませんので、現在の段階は、いろいろの資料を集めて準備を進めている段階でございまして、われわれの方で数字がまとまれば、一つ御報告申し上げたいと思います。
  36. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうでなしに、国家予算においては、本年度の国の行政規模行政水準を今のようにしたつて、恩給は幾らふえるというようなことで、大体八百億とか一千億、きちつと計算されて出るのです。それは一体どのくらいふえるのですか。費目別……。
  37. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 費目——まあ主要なものは給与費でございます。給与費と……。
  38. 中田吉雄

    中田吉雄君 そんな大まかなことじやだめです。二七・五%という数字をはじくのにやれないじゃないですか。
  39. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 二七・五%の問題がまた出ましたが、われわれは、むしろ財政計画の収支を積み上げてどうこうという問題よりも、自主的財源として、もう財源配分の問題としてこの問題は考えたいというのでございまして、それは一つその方向で、ただ昇給財源がどのくらいふえるかということになれば、われわれの方で今調べているものは申し上げてもよろしいと思いますが。
  40. 中田吉雄

    中田吉雄君 それは、平衡交付金のように下から積み上げて、財政需要と財政収入との関連で率をきめるということと違うことは私も知っているのです。長い間地方行政をやつているのです。しかし、この交付税の率だつて永久不変のものではないので、情勢が変つたら変えるということになっているのです。一定の割合で主税にリンクしてやるから、これは変るということになっているので、はなはだしく諸条件が変れば、来年二七・五%にしても、わが党の言っておつた二八%の方が正しいかどうかということにも関連するので、私も交付税理論、積み上げの主税にリンクしてやる現行法との差は知っていますから、そういう弁明は不要なんです。
  41. 柴田護

    説明員(柴田護君) 一ぺん私から、作業中でございますが、概略お話し申し上げます、財源の問題で、義務的な経費の増と申されましたが、実は非常に大事な問題が一つございます。それは、給与費を計算いたします場合に、昇給率をどう見るかという問題がありまして、それは、最近の職員の新陳代謝の状況、それから今回行われました給与改訂によりまして、昇給期間が変つて参ります。それがどのような形になるかというのが一点と、それから、過般の人事院勧告がどのような形において実施されるか、この二つのキー・ポイントがございます。それを一応無視して考えまして、昇給恩給含めて——恩給も、今考えられております文官恩給の是正問題等のことを一応捨象して考えまして、今年と同じような計算をかりにするといたしますと、給与費で百五十億はどうしても要る。これよりかもっと実態は私はふえるのじゃないかという感じが実はいたします。と申しますのは、従来教職員の昇給財源というのは、二・五%の計算をしております。でございますが、実態は二・五%では足りません。これは、文部省でも認めているところでございまして、どうしても三ないしそれ以上要るというのが実態ではないか。教職員の職員構成から、当然そういう結果が出つつあります。そうなって参りますと、その辺の計算が食い違つてくる。今年なみに計算をいたしましても百五、六十億要る。公債費は、どう見積りましても六十億前後のものが出る。これは、従来のテンポから言いますと、伸び方は鈍化して参っております。それは、まあ例年発行いたします地方債のワクがだんだん一般会計では減つて参っておりますのと、それから、政府資金の利率が下つた、償還期限も伸ばされた、こういった関係で、公債費の増勢は鈍つて参っておりますが、ただ、先ほど御心配になりました直轄工事の問題がありますが、これはどのような形になるかというのは、今年の負担状況との関連になりますので、正確な計算はできておりませんが、おおむね六十億前後ではないかと思います。両方合せて六十億前後要るのじゃないかと思っております。それから、人口が来年八十万くらいふえます。これに関連いたしまして、経費が約三十億程度要る。それから、今年計上漏れになっております経費は、道路橋梁補修費がございます。これを入れて参りますと、やはりどうしても要るべき経費、必要最小限度ぎりぎり一ぱい、しぼりにしぼつた義務費というのが総体で三百五、六十億見当要る、こういう計算になっております。これにはもちろん、寄付、負担金の問題、そういったゆがめられた地方財政の是正というものは一切入っておりません。
  42. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはどうでしょうか。これと関連は関連なんですが、きのうの財政再建の手直しの問題を質問したいのですが、よろしいでしょうか。
  43. 本多市郎

    委員長本多市郎君) よろしいです。
  44. 中田吉雄

    中田吉雄君 郡長官にお尋ねしたいのですが、再建法を三十年の十二月に施行されて、今日まで二年有余たつてきたのですが、果してこれに指定されました五百三十四の赤字地方団体に対して、不安定な要素である自然増収だけを基準にした再建計画の手直しでいいだろうかどうだろうか、この点はどうでしよう。私は、結論から申し上げますと、これでは少し無理じゃないか。法そのものを改めるか、何らか五百数十の団体をしぼつて、再建法のてこ入れで救済できるものか、自然増収で楽になるものか、なおそれでもどうにも処置ができないというものがあつて、このものに対する措置一つ、もう来年度ごろからは検討してもらつてもいいんじゃないか。そういうことが癖になって、放漫に手直し、改正等を当てにして、自力と申しますか、そういうことがゆるんでしまつてよくないというようなこともあり得ると思うのですが、私は、あとでも具体的に申し上げますが、もうその時期じゃないか、自然増収だけに期待することは無理じゃないかという考えなんですが、いかがでしょうか。
  45. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 中田さんは、いろいろな要素をお考えになりながら今お尋ねがあったようであります。私は、一つ再建団体が、よく理事者も住民も協力してくれまして、再建の実をあげてきておる。従いまして、そのためにかなりに無理をいたしておる。言葉は語弊がありますが、一口に申しますならば、再建団体と申しまするものは、他に比べて未開発的な要素を持つた未開発の団体じやなかろうか。それに対し再建をはかりますために、事業面で極力押えて参つた。その間に開きがついてきておる。いろいろ問題があると思います。しかし、重点を財政再建ということに置いていたしました今までの作業は、一応所期の目的を果しておると思います。自然増につきましては、これは、再建計画自身が、中田さん御承知のように、極端な場合には二、三年後、あるいは数年後にはかなり実行が無理な、しかも実行無理な計画さえ困難であるがために、借りかえというようなことでつじつまを合せておる。従いまして、自然増というものも、きわめて慎重にこれを使わせなければいけないという意味合いでは、私どもはなかなかまだ気をつけなければならない。そうしていくと、一体現在の五百幾つの再建団体のうちどれだけが、もっと吟味をいたしまして、それに適応した方法を講じていくのには、どうやつたらほんとうの再建ができるものであろうか、これを府県市町村それぞれについてどれだけあるかということをこまかく吟味をしてみたいと思っております。そのような意味合いでは、検討すべき時期に来ておるのじゃないかという御趣旨では、ほんとうの意味合いの再建ということについて、五百幾つにしぼつてあるが、さらにこれをどうしぼるか。しかも中には、おっしゃるように、今のままではほんとうの意味合いの再建ができぬ。これについて検討することは当然いたしたいと思っております。
  46. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はこれで終ります。
  47. 小林武治

    小林武治君 今の財政再建計画の手直しという次官通牒を出しておる。この通牒は、大蔵省とどの程度了解をつけたか、あるいは閣議決定によるものか。というのは、手直しということのために、いかにも地方財政がある程度ゆとりができてきた、こういう印象を世間にも与えておるし、大蔵省にも与えておる。そういうふうな誤解を除くためのどんな措置がとられておるか、こういうことを長官に聞いておきたい。
  48. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これにつきましては、一応の基準を示し、そうしてまた、個々にそれぞれの再建団体と当つております。大蔵省については、これは、立場は私どもと一応違つた立場を持っておりますよ。出てきたものはみな、再建団体については、赤字の穴埋めにしていったらいいじゃないか。しかしそれについては、十分再建計画内容の非常にシビアな点等を説いて、両省の折衝をいたしております。また、著しい誤解は私はないと思っておりますが、これを、今後の財源をさらに地方に付与します点について、今言いがかりにでもなるような場合には、十分さらにこれから努力をいたします。
  49. 小林武治

    小林武治君 今のは閣議決定ですか、どうなっておりますか。
  50. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは、手続の問題は、これは自治庁限りでやつております。閣議決定とか次官会議とか、そういうものには全然かけておりません。それで、この案につきましては、これはもう、計画の変更は、毎年ある問題でございまして、前年度につきましても、同じ趣旨のことを言っておりまして、今度もまた言つた点でございます。それでこれは、大蔵省とは事前にこの案文通りは打ち合せて実はおりませんで、自治庁の責任で出したのでございますが、その後大蔵省としては、甘い、多少甘い、と申します意味は、先ほど大臣が申しました通り、むしろ計画以上の収入があったら、全部赤字解消に——全部とは申しませんが、もっときびしく赤字解消に充てるべきじゃないか、そういう趣旨の多少の気持があつて、事務的に話し合いを進めております。大体この程度でやむを得まいと向うも言っておりまして、特別な意思表示というものは現在のところございません。自治庁といたしましては、この方針でこの団体計画の変更の手続を進めておるのでございます。
  51. 小林武治

    小林武治君 それから、さっきの財政規模の問題でありますが、私は、ことしの地方団体財政規模が一兆一千四百億か、ちょっと国家財政を上回る、ところが来年度は、一・五の問題もあつて、必ず財政規模は今年度よりは上回らなければうそだと、こういうふうに思うのでありますが、この点について、前年度程度というふうな形式論をとられると、非常に大きな支障が生ずる。また、きのうの閣議決定においても、国家基準によれと、こういうことを言うておるが、財政規模そのものについては、相当の弾力性がなければならぬと思いますが、その点についての自治庁長官の覚悟と申しますか、決意のほどをお伺いしたい。
  52. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これは、先ほども、私が閣議でも申しました趣旨を申し述べたのであります。国の財政自身においても、歳入は明瞭に今年よりふえて参ります。これに対して歳出において、あとう限り、産投だけではなく、他の方向も考えると言うておりますが、可及的に内容を堅実なものにいたして参りたい。同じような意味合いで、地方財政もできる限り堅実にするということは、当然考えるべきことでありますけれども、財政規模が、国と地方と応じて、それぞれふえて参りますけれども、これは申すまでもなく、自然増だけをあげましても、当然考えることでありますから、おっしゃるような堅実ではあるが、ことしよりも規模が拡大されるということは当然だと思います。私も、そのような前提ですべての処置をいたしております。
  53. 小林武治

    小林武治君 今の点は非常な大事な点で、そういう形式にとらわれないで、やはりどう見ても、たとえば自然増収が多いということになって、財政規模は本年度程度に押えるということになると、自然交付税関係に影響をきたしてくると、こういうふうに思うから、私は、当然財政規模の伸び、拡大というものがなければならぬ、だからして、その考え方に相当の弾力性がある、こういうふうに了解しておつてよろしゅうございますか。
  54. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) お話の通り考えていただきたいと思います。
  55. 中田吉雄

    中田吉雄君 郡大臣から、この再建法は、一応所期の目的を達している、本来の意味から吟味していくということも言われたのですが、この前にいただきました各府県別の再建計画を十八の団体で見ますと、まあ再建期間の中どころのところを見ても、千葉長野、長崎その他八年かかる、知事の選挙を二度やらねばならぬ。それから鹿児島、佐賀等は十一年、これは知事選挙を大体三回。三木幹事長の徳島県に至っては十五年で、知事選挙をまず大体四回やらねば再建できない。これは、いかにもこの再建計画が紙上の再建計画であるということを示すのです。私も、この再建法によっててこ入れができて、大体これでそう無理なくやれるところも知っております。さらに自然増収で、大いに短縮される兵庫その他も理解しておる。しかし、とにかく五百三十四の県と市町村の中には、ただいま申し上げたように、どうしても自然増収等に期待し、節約や、投資的な経費の節約ではやれぬのです。あるいはむしろこれはほつたらかしにして、府県再編成の、だから府県は何とかしなければならぬということのためにほつておかれるのかというそんたくもできる。そういう点で、きのうも小林局長は、公債費の問題がけりがつかぬと、この根本的な問題はむずかしいということでしたが、私は、さきに当委員会の安井、森さんと私と、九州三県、それから十幾つの市の財政を見たのですが、これはもうほんとうに、佐賀県等に行ってみると、県庁は暗い気持で、もうどうしてこのつじつまを合せるかということだけで、住民の福祉ということは全然やれない。これは公債費の問題もさることながら、やはりこの中に、ほんとうにしぼつて、もう二年間もたつておるのですから、これはおよそ無理だか無理じゃないかということはわかると思う。あまりこれを作られた面子にこだわつていかれるということは、私は、再建団体に指定され、少くとも八年以上もかかるところと非常にほかの府県との格差もでき、大きな問題だと思うのですが、これは個別に検討しておられるのだから、大よそこれくらいはこの法の適用でやつて、これくらいは無理がないというところを見て、何らかの措置を早急に打たれても、決してそれをきつかけに地方公共団体が放漫な財政計画を立てるというようなことはないと思うのですが、来年度予算編成期に際して、郡長官いかがでしよう。
  56. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) おっしゃったように、その再建団体、徳島を考えるとか、佐賀考えるとか、なかなか大へんでございますな。従って、理事者なり議会が非常な苦労をしていてくれることはよくわかります。しかしそれだけに、よほど私どもも念の入つた態度でいたさなければいけない、そのような意味合いで、かなり念入りに検討をいたして参ろうと思っております。さらに具体的なことは、財政局長からお答えをした方がよろしいと思います。
  57. 中田吉雄

    中田吉雄君 この指定された団体で、府県が十七、市が百五十九、町村が三百五十八あるのですが、再建計画の手直しで、もう自治庁にいろいろ折衝しておると思うのですが、ほんとうに面子にとらわれずに、無理なものは無理と、仕分けしてやらぬと、これは単に赤字団体だけでなしに、そういうことが、そういう団体を救済しようとする交付税配分の補正や何か、ほかのことをやるのに特に影響するので、私は早くやる方がいいと思うのですが、仕分してみてどうなのですか、小林君。
  58. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは、中田委員おつしやいました通り、われわれといたしましては、一応今度の計画変更をそれぞれやらせまして、やつたあとの姿で特別に考えるべき団体がこれはあろうと思います。そういう団体をしぼりまして、個別的に、そういう団体が立っていく方向を考える必要があろうと思います。それで、今まだ具体的の調査の段階でございますので、結論が出ておりません。できましたら、過去の計画にとらわれるという気持は全然われわれ持っておりません。大体この計画で筋道が大半のものが動いていくだろうと、こう見ております。しかしながら、なかなか、今おつしやいました通り、特殊の団体はまだまだ無理がある、そういうものにつきましては、どういう方策で支障なく財源をすみやかに達成させるかという問題は、個別に対策検討しなくちやならない、こういう心組みでございまして、そういう検討を進めておるのでございます。
  59. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ五、六年というのなら、せめてもですが、知事選挙を二回もやり、三回、四回というようなことは、これは何としてもほんの紙の上の再建計画、もっと私は、やつぱし温い思いやりをして、何らか、これをきつかけに放漫になり、膨張しても因りますが、それはもう大よそメドがついておると思うのです。私は、まあ一つ、この手直しを今検討をしておられるようですから、そういう結果の一覧表をまた適当な機会に、将来できてからでけつこうですから、出していただきたい点と、それから、六割を行政水準の維持向上に、自然増収のですね。四割は赤字の解消にということ、これができたのが、結局まあ来年度以降もやつぱし三十一年、三十二年と同じような税の伸びがあるという、こういう政府の外貨危機を中心にした総合対策等の影響もさしてなくて、来年度以降も本年、前年度と同じような伸びを示すと、こういう前提ですか、その関係はどうですか。
  60. 小林與三次

    説明員小林與三次君) この六割、四割の問題は、まあ今年のできた財源の振り割りの問題として一応考えたのでございまして、来年度以降まで見通してそういうことまで考えたわけじや必ずしもございません。われわれといたしましても、来年度以降の問題について非常に懸念があるから、そういうものを全部使つちやうのが危険である。それで、後年度におけるその率を調整するためのリザーブをさせよう、こういう考え方でございます。
  61. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっと速記をとめて。   [速記中止〕
  62. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記を始めて。
  63. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 先ほどの公債費対策でございますが、小林さんからお答えがあったわけなんですが、これは、大臣にもお考えのほどをお聞きしておきたいと思うわけなんです。さっきも私申し上げましたように、当時の大臣なりいわゆる自治庁関係の方のお話、われわれに対する説明、そういうものと大分違つた考え方になってきていると思う。まあこういうことなんで、私は、そうたびたびその場その場で考え方が変るようなものでは困るのじゃないか、小林さんは、同じことじゃないかというような、責任は十分感じるけれども、金の出し方が違うのだ、まあこういうことなんですが、私は、これは責任をとる考え方であるとすれば、金の出し方は当然違つてくると思う。今回のいわゆる問題となっておりますところの二七・五とか二八という問題は、これは何も公債費対策のために出てきた問題ではなくして、もちろん地方財政が苦しいということを、従来からのそれと、従ってその財源でそれくらいなければいかぬという問題、そのほかに特に問題となつたのは、いわゆる政府の一千億減税に関連して、地方配分が約二百五十億減つてくるのだ、こういうことをどうするか、そのまま見過していいのかどうかということで、これはそのまま見過ごされない問題だというので、二八%とか二八・〇五とか、こういう数字になってきたのですが、公債費対策とは別な問題です、これは。ですから私は、公債費対策で、国がはっきり国の責任として措置をすべきものであるというふうに考えるならば、こういう金が出たから、あと要らないのだという態度はおかしいと思う。いま一つ公債費対策小林さんの言うような形で、いわゆる交付税の中の配分の問題として解決するというのであれば、これはまた、国の責任の感じ方というのはおかしな理屈になると思う。交付団体と不交付団体関係を一体どうするのか、こういう問題が当然問題になってくると思う。ですから、その点一つ、あまりその場その場の都合によって考え方が変り、われわれに対する説明なり答弁の仕方が食い違うというなことであるとするならば、私ども本気になってどう問題を取り組んでいいのか、実は迷うのでございますので、この点一つ大臣からはっきり、いわゆる公債費対策政府の態度ですね。責任のとり方、これについて一つ考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  64. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) お考えは、公債費対策としての財源利子補給の形で、あるものについては元利という問題があるのかもしれません、補給の形において考えることがよろしいか、一般財源を付与することがよろしいかということに相なるのかと思います。私は、国がその責任において財源を付与してやります形態は、一般財源の形態が地方としては最も好ましいことだと思っております。補給、助成という形は、私は率直に申して、現在の地方財政について、それは一般財源を交付することが困難なものにつきましては格別、そうでない限りは、公債費対策というような問題につきましては、むしろ一般財源をもって確保しようという方針の方がよろしい方針だと思っております。それから、不交付団体につきましても、御承知のように、現在の状況から見まするならば、むしろ逆に、これに補給をいたしますことが、かえつて均衡上適当じゃないのじゃないだろうか。従いまして、国がその責任を果さなければいけないと申しましたが、前任者の申しましたことは、私はその通りだと思いますけれども、付与いたします形式は、一般財源ということの方がよろしい。従って、交付税税率引上げということにいたすという方針をとつている次第であります。
  65. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 あとやめますが、これは私、根本的に、私の申し上げることは、先ほども申しましたように、当時の大臣なりあるいは自治庁側で私どもに説明したその考え方は、実は言葉はそのままじやございませんかもしれませんが、誤まりなく申し上げているつもりなんです。これはあくまでも国が当然措置すべきものを地方に背負わしておったものを、これはこのままじやいかぬから、国がこの際何とかしなければいかぬということで考え方法なんだということなんです。そこでこれは、今小林さんもおっしゃったように、いわば国と地方との財源配分の問題で、二七・五、二八という問題とは一応別の問題でこの公債費対策考えられておつたということなんです。今金があるからやらなくてもいいとか何とかということじゃないのでございますから。それからもう一つは、国が利子補給その他の方法で見てやる——何かお恵みとか恩恵的なことをする、こういうことでは、私は国の責任ということじゃないと思うのです。先ほども言つたように、当然国が見てやるべき——見てやると言うことはおかしいが、処理すべきものを処理しなかったためにできたいわば跡始末ですね、責任としての跡始末なんで、何も利下補給でくれてやるとか、お恵みをかけてやるという考え方ではないと思います。従って私は、根本的に、国と地方のいわゆる三税の交付税としての財源配分の問題は果してどの程度の率がいいか、これはいろいろ問題があると思います。あると思いますが、今考えられておりますような、二七・五というような範囲内の中で私はこの問題は処理できる問題じやなくて、むしろやるならば、二七というふうに引き下げても、プラス……別の形ですよ、利子補給の問題なりあるいは一部の元金の補給の問題は、これは別に財源措置をすべきだと、これは、あなた方に従来からわれわれ話してきたことからすれば、まあ大臣はかわつておりますけれども、あなたはおかわりになっておりますけれども、そういうことからすれば、当然のこれは理屈が出てくる問題なんです。それが少しぼかされて、今度少し金が入るからいいじゃないかと、こういう考えは、私は国の責任の所在というものを、ぼやかした態度になるじゃないか、こういうことなんです。いかがでございましょうか、その点。
  66. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 鈴木さんのお話しになる意味合いもよくわかるのであります。わかるのでありまするが、私は、地方に対する国の責任は、国の財政が持っておりまする確実なと申しますか、よい財源に比べて、地方に与えておりまする同じような意味合いでの財源が比較的地方においては乏しい。そのために、国が非募債政策をとつても、地方は容易にそれから脱却できない。起債でいくよりも、それが一般財源に振りかえられるならば、最も望ましいことであります。とにかく公債費対策ということは解決をしなければならない。しかしながら、それに対して財源を付与する形態というものは、可及的一般的な財源、いい税源がありますならば、それもけつこうであります。しかし、普遍的に与えますものとしては、交付税が最も適当だという判断によりまして交付税によっておる。この点、意見がこう並行いたすようでありますが、私は、そのような考えで、運用よろしきを制して参りたいと思っております。
  67. 中田吉雄

    中田吉雄君 新聞に出ています政府の再建計画検討の記事の中で、真偽の点については何ですが、この再建計画の変更を、今回を最終的なものにする。従って若干の弾力性を持たした、というようなことが一つの特徴だと出ているようですが、私は、さきに申しましたような意味で、まあそういうふうな心がまえでやらせることは必要でしようが、しかし、それではまだ無理じゃないかという点と、それから、最初の問題ですが、郡長官、小選挙区で来年か再来年ある選挙をやるかどうかということをはっきり一つ、どうもその辺が政治的な答弁で、わからなかったのですが、その点二つ。
  68. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 小選挙区制につきましては、総理大臣が、次の総選挙は現在の選挙区のままで行われるであろうということを、これはもう新聞会見その他公式の会見のときに申しております。私もそのようなことであろうと考えております。
  69. 小林與三次

    説明員小林與三次君) この再建計画は、新聞の記事、私よく知りませんが、そこまでわれわれ考えておりません。これは、現に今問題になっております一・五を中心にする公債費の問題が終局的に解決つかなければ、ほんとうのこれは再建計画もうまくいかんことでございまして、これはまあ、われわれもそうなるものと期待しておりますが、一応今度の変更では、現在の制度基礎にしてやつております。当然その問題が解決されて、そして本式の、本ものの計画をでき上らせなくちやならない、こういう考え方でございます。
  70. 中田吉雄

    中田吉雄君 郡長官に希望しておきますが、まあできるだけ現行法のワクで、若干の手直し程度でやつた方がいいと思うのです。しかし、さきに申しましたように、少くとも十年以上、あるいは小さい財政規模市町村等で、不慮の大災害、水災、火災等があったりして、私非常に無理なものが若干ピック・アップできると思うのです。それは、もうそう多くの作業も要しませんし、冒険も必要としないと思うのです。私は、やはりそれだけのあたたかい思いやりを持って、非常に膨大な、負担に耐えぬ、限度をこえたと思われるものについては、やはり作業を進めてもらいたいということを希望しておきます。
  71. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、一時半まで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩    —————・—————    午後二時四分開会
  72. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 委員会を再開いたします。  先ほど委員の異動がございまして、占部秀男君が辞任され、藤原道子君が補欠選任されましたので、御報告いたします。   —————————————
  73. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 午後は、まず、地方財政再建計画に関する件を議題に供します。本件につきましては、給与の切りかえ措置その他、昨日鈴木君の質疑が終了いたしませんでしたので、まず、鈴木君に発言を許可いたします。
  74. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 昨日もちょっとお尋ねしたわけでございますが、あらためて今回の財政再建計画の変更に伴う給与費関係についてお尋ねしたいと思います。今回のような財政計画の変更あるいは手直しとでもいいますか、そういうようなことを行う場合に、これはいろいろ考えるべき要素があると思います。これは今さら私が申し上げるまでもないことでございますけれども、財政再建計画というものは、非常にいろいろな面で自治団体の行政の水準を低めておることは、今さら申し上げるまでもないのですが、そういうときに当つて、多少でも財源のゆとりがある変更を必要とする時期になつた場合には、そういう非常にゆがめられております格好のものを、とりあえず是正するというような考え方一つなければならぬと思います。そういうことで考えてみますと、いろいろな部面、たとえば投資的な経費が非常に切り詰められておつたこと、あるいはまた消費的な経費も非常に窮屈に押えられておつたこと、こういうことが幾多の事例をあげるまでもなく、言えるわけでございまして、そういうものを、もちろんこれはいわゆる再建計画の最後までの見通しを立てながらも、徐々に手直しをしていく、こういうことがまず考えられなければならぬと思います。今回の変更に当りまして、自治庁行政水準引き上げといいますか、確保といいますか、そのために六割あるいは将来に備えての準備金的なものを用意すべきだ、こういう考え方でやつているのも、おそらくそういう意図だろうと思います。そこで、きのうも実は投資的な経費の面についてもお尋ねをしたわけでございますが、特に消費的な経費で問題となります人件費の問題でございますが、この点についての手直しをする場合の考え方、作業の進め方、これは、私、一つ、きのうに引き続いて、実はきのうのお答えでは納得できない問題がございますので、お聞きしたいわけでございます。人件費の問題といいましても、これはまあいろいろなことで問題があると思います。手直しをする際に、私、今これから申し上げるような、たとえば極端に、何といいますか、人員の数を締めておる場合があります。首切りという形で、非常にいわゆる合理的な組織とか配置とかいうような名前でございますけれども、実際は首切りが行われておつて、しかも、それが現在になって仕事の面で非常に困っておる、こういうことも実はあるわけでございます。首を切つて定員は減らしたけれども、しかし、実際に仕事の面でやり切れないで、臨時の職員がたくさん入っておる。なおまた、超勤等も非常に多くなっておるというような事実があるわけでございます。こういう問題について、まあ今度の手直しをする場合に、どういうふうにお考えになっているかということが一つです。  それから給与の問題でございますが、きのうも申し上げましたように、昇給の延伸あるいはストップというような形で非常にまあ窮屈なところで押えられて、公務員は困っておる。こういう問題を、これはぜひとも解決しなければいけないことだと私は思うのですが、その場合に当つて、私は、少くとも過去の、きのうのあなたの言葉をお借りしますと、ひずみといいますか、ゆがめられておりますところを、可能の範囲において正常な姿に戻してやる、こういうことが第一に、私、考えられなければならない問題であると思いますが、きのうの御答弁からしますと、それとこれとは別なんだというようなお答えであったようでございますので、あらためてこの点について、一つ考えをお聞かせ願いたい。  それからいま一つ。ちょっと本題からそれるようでございますが、再建計画の変更に当つて、私考えてみなければならない問題として、これは全部の再建団体ではございませんけれども、一部の再建団体の中には、増税、あるいは新たなる税目を起して、住民から負担を求めているという、そういうことによって財政計画のつじつまを合せているという所があるわけなんでございますが、こういう問題を一体どういうふうに処理されるおつもりであるのか、この三つのことについて、まず最初にいわゆる再建計画の変更という立場からお答えいただきたいと思います。
  75. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 今いろいろお話がございましたが、一つの問題は人件費、人件費の問題は人の数の問題と給与ベースの問題と二つあると思います。一つは再建計画上非常に人員の整理を強行しておる。それがまあ無理がきておるやつをどうするかと、こういう問題でございます。これは抽象的にはいろいろ議論があろうと思いますが、再建計画を作るときに、それぞれの団体状況を見ますというと、団体によっても違いますけれども、どつちかというと消費的な経費が相当ほかの堅実な運営をやつておる団体から見るというと多い。こういうものがやはりあるのでございまして、こういうものは計画を合理的にやるためには、そういう経費を合理化する必要がある、こういうことで、人件費等にも手をつけたのでございまして、その場合に、それは全くできそうもないものを無理にやつた、これはいろいろ批判がありましようけれども、一つのめどがないものですから、めどとしてこういういわゆる類似団体というものとの均衡を考えたわけでございます。大体似たような団体で、それでうまくやつているような所もあれば、その程度まである程度引き下げるということは可能ではないかというそういう前提でできているのでありまして、その場合も、一挙にそれをむちやに削つてしまえということは、事実上できませんから、そこは年度分を考えながら考えたのが、私は、普通の状態だろうと思います。どこにも類のないような人員を無理に強行したという計画は、具体的にはまあないのじゃないか。それは、全部おそらくそういう仕組みで考えられておるはずではないかと思うのでございます。そこで、それにいたしましても、現在おる人間を整理するのでございますから、現実の問題として、計画がその通りにいかぬということは、これはあり得るのでございます。現にそういう事例をわれわれも聞いております。実際整理をしたいという努力をいろいろしたけれども、ほんとうに思うようにいかなかった、そういうようなものにつきましては、その計画上穴があくわけですが、事実上これは人がおる以上は、それは考えざるを得ない。しかし、そういうものにつきましても、一度にできなくても、次年度以降においてもその合理化の方針はできるだけとるべきではないかという考え方をしておるのでございます。しかしながら、新しい仕事がだんだんふえていくのでございますから、新しい仕事に要する人は、当然に増員しなくちやいかぬのでありまして、そういう問題につきましては、ほんとうに当然の問題として増員をやつてみようと、こういう考え方になって、実際そうやつておるはずでございます。  そこで、もう一つの問題は、これは給与の問題でございまして、給与の問題も昇給延伸をしていろいろやつております。これは非常に当事者にしてみれば、不幸な措置だろうと思いますが、この問題も、実はやはり少しベースが国家公務員などに比較して高かったと、こういう事例のある場合も少くないのでございまして、そういうものはある程度延伸等の措置によってむしろ合理化する、こういう問題がこれはあろうと思うのでございます。そうでございますから、むしろ合理化すべきものは合理化せぬといかぬ。これはいかに自然増収があろうがなかろうが、財政運営の問題として、合理化という範疇に属するものは合理化の方針を私は堅持すべきものだと考えておるのでございます。ただしかしながら、そうでなしに、それ以上に低くしているものがこれも私はあり得ると思います。そうもたくさんはないと思いますが、たくさんの団体ですから、そういう場合があり得る。もともと国家公務員のベースより低かったという所もありますし、その結果非常に低くなつたという所もありまして、そういうような所につきましては、それは財源のゆとりができた場合に、せめて国家公務員並みにするのは当り前じゃないかということは、私は当然考えられていい問題で、その点が、前に大臣も仰せられたところの問題だと思います。われわれは、そういうものにつきましては、その全体の計画が調整される限りは、他の一般の投資的経費その他の増と均衡をとつて、そういう分については人件費をふやすということも、それは考えていいじゃないか、こういうふうに考えておるものでございます。ただ、その場合も、何はさておいても、ほかの経費だつてその場合は押えられているはずでございまして、まず人件費だけ百パーセント埋めてかかって、仕事は一つもふやさぬのだ、こういう形になってはむしろおかしい。それは、他の建設事業全般と振り合いを考えながら、そうして人件費についてもいずれも調整すべきものは調整する。この通牒の表現に行政水準という言葉を入れております。行政水準の中の一問題として人件費も考える。その他の建設事業考える。そうして調整を考えるべきじゃないか、こういう考え方をとつているのでございます。それでございますから、やつたものは何が何でもいかぬという気持は一つもありませんし、それからやつたものは、昇給延伸などはまことにおかしいのだから、全部引つくり返すということはもちろんないのでございまして、合理化のためにやつたものは、合理化の線を確保しなければ、これはまたもとへ引つくり返つてしまう。そういうところがございまして、そこはやはり団体の具体の問題として、具体的に解決をしなくちやならないというふうに存じているのでございます。  それからもう一つ、この増税等の問題がございまして、これは税率を特に上げたのもありますし、それから新税を計画上どうしても動きがつかぬので起した所もございます。これにつきましては、国税の方で減税などをやつているのに、片一方で地方では非常に無理な増税をやるということ。幸いにして多少の自然増収があった場合はどうするかという問題が、当然これは議論になるのでございまして、この点はわれわれも計画変更に当りましては、この増税等をやつている場合が、まあ一般のこの税の自然増で、計画上の税収入が確保されるような限度ならば、何も計画上の増税を無理にやらなくてもいいのじゃないかという考えは持っております。ほんとうに一般の自然増収が確実であつて計画上の税収入が確保されるならば、従来の増税というものを、その範囲内で緩和するということは、これは考えられぬわけじゃない。しかし、これも今後の計画が十分に達成されるという見通しがなくちや無理でございますが、そういう見通しがあるものなら、私は考えられる、そういう指導をいたしているのでございます。ただその際に、常にその前提が一つございまして、そこが常にまあ考え方の食い違いが出てくるのですが、つまり初年度、当年度だけのバランスじや、それはとうてい考えられない問題でありまして、その計画自体が、非常に後年度赤字があったり、それから後年度に仕事を圧縮しておったりするような、そういう計画の所では、ことし少しであるからといって、すぐこの税の増収計画をやめたいということになるというと、後年度に仕事をがたんと落さぬといかぬ。そういう場合が出てくるのです。そういうことがあつちや、これはおかしいのでありまして、私の今の考えは、少くとも本年度並みの仕事だけは後年度においても確保できるような財源をリザーブして、その見通しが立って、なおかつゆとりがあれば、今申しましたような減税問題等もそれはお考えになっていいのじゃないか。ことしは都合がいいが、三年後にごそつと仕事が落ちるから、また上げるんだという式になっては、これは計画のやり方としては合理的ではあるまい。そこらの見通しがつく限りならば考えてよかろうというのが、われわれの指導方針でございます。
  76. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 三つの点についてお聞きしたわけですが、一番あとの方の問題から、今お答えの順序とは違いますが、今少し聞いてみたいと思いますが、これは増税の問題は、これは今あなたのおっしゃるように、確かに税収入の確保の限度というものは見きわめなくちやいけません。そういう限りにおいて考えるべき問題だと、こういうこと。それはその通りだと私は受け取ることができると思うのですが、ただその場合に、前提が少し違うのじゃないかと思いますのは、財政の再建計画を立てます場合に、増税という形においてまかなわなければならないような、そういう立て方、私はここに一つ問題があるのじゃないかと思うのです。しかも全部が増税というような形で再建団体計画を立てられておるのじやなくて。ですから、これはあなたがおっしゃることをそのまま聞きますと、もう最初からこういう税が入ることでつじつまを合せて、最後五年なり十年までやつていますから、いつになっても、特別の事情の起らない限りは、増税分ははずすということができない数字的な仕組みになっておるのじゃないかと思うわけです。これは根本的に、当初再建計画を立てる場合の立脚点において、ちょっと私の考えておることと違うので、この点、どうも水かけ論になりそうでありますが、これはもちろん今落して、すぐがたつと二、三年たつたあとに仕事が落ちて、またその仕事をするために増税しなくちやいかぬという、こういう計画変更はやるべきじゃないと思うのです。しかし、私が申し上げたい、そしてお聞きしたいことは、そういう増税というものを、はなつから考えなくてもいい。たとえば今年はやられておつても、来年あるいは再来年からやらなくてもいいような、こういう財政計画を変更する場合に、財源との関係でやれる場合が出てくるのじゃないか。こういうことなんで、私は初めからこんなことはやらない方がいいということなんですけれども、そこの点でございます。ちょっとあいまいなような質問の仕方でございますけれども。
  77. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 今お話の通り計画を作つたときは財源がないものだから、しようがなしに増税を見た。そこでずっと後年度まできておるわけですが、幸いにしてその団体でその後自然増収が相当にあつて、それがずっと確保される。それが増税分を十分にカバーしておる。こういうことなら、計画上増税を落したつて成り立つわけです。その場合に、私はそういうことが前提になって、なおかつ、ある程度その計画でも後年度に非常に仕事を窮屈にしておる場合は、その仕事を、少くとも現年度一ぱいにやれるだけのゆとりがあるという数字になって初めてやるべきであつて、今、たとえばその一千万なら一千万の増税を考える場合に、自然増収が一千万ある、ですから自然増収一千万を見れば、増税はゼロでもいいということになりますが、それが三年後なら三年後に、仕事が五百万も一千万も仕事をマイナスにしておる。こういう所があれば、三年後には仕事を落さざるを得ないのですが、そういうことは、実際問題としてできない。仕事は延びていくこそすれ減ることはないわけです。計画上少くとも本年度予算を確保することができるような財源の増収見通しがあれば、そこは増税分を調整してもいいじゃないか。こういう趣旨でございます。
  78. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今の問題、これはあと機会でも述べることがあると思いますから……。  給与の問題でございますが、今の国家公務員より低いところにとめられて、しかもそのとめられたというのは、昇給の延伸等によってこういう状態になっておる所がたくさんあるわけなんですが、この状態については、正常な姿じやもちろんないと思うのですが、その点についてのお考えはどうですか。
  79. 小林與三次

    説明員小林與三次君) そこは昇給延伸とかああいうやり方は、やり方としちや正常だとは言えません。ただ問題は、昇給延伸前の職員の給与が、前に一号、二号ベースアップしたとかで、国家公務員より高くなっておる、そいつが団体財政運営に一つの大きな荷重になっておる、そういう場合には、それを調節するために昇給延伸等の方法をとる。これは当然である、そうならそうするのが当り前だということは、言葉がどぎつくなっていけませんが、止むを得ないのでありまして、そいつをもう一ぺんまたもとに戻すということになると、また一号か二号か知らぬが、国家公務員以上にベース改訂をするという結果になるのは、われわれとしちやとるべきじゃない、そういうことでございます。しかしながら、その結果、国家公務員よりも落ちた、落ちたままでずっといくということは、これはわれわれとしても望ましい状態ではないのでありまして、国家公務員並みくらいは引き上げてやらなければならぬ、引き上げることについては、できるだけ可能なように智恵をしぼらなければいかぬ、それはそういうように考えております。
  80. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そこで、あなたのお話のように国家公務員以下にある場合に、早く引き上げるように努力すべきだ、こういうことですが、その方法でございますが、今回幸か不幸か、幸か不幸かではない、幸いでしようが、切りかえがあるのだ、こういう機会に一応正常な姿に戻すことが切りかえのこういう時期としては一番いい時期じゃないだろうか、こういうふうに考えるわけですが、それをきのうのお話では、切りかえとそれとは全然別個の問題として扱いたい、まず切りかえて、しかる後に必要な場合は、何と言いますか、調整をするのだ、こういうことを何べんも繰り返えされたようでございますが、一応順序としては、私はそういう低い所はもとに戻しておいて、スライドすべきが至当である、これは実質的に金の面でも違つてきますから、これは当りまえの順序と思いますが、これはいかがですか。
  81. 小林與三次

    説明員小林與三次君) そこが、今鈴木委員もおっしゃった通り、実質的に金の面の問題でも違つてくる、こういう問題は当然にあります。でありますから、簡単にすぐにやつた方がいいという結論にはならぬと思うのでございます。国家公務員の給与改訂に準ずる改訂は、私はどういうことがあつても、これは地方公務員について確保しなければいかぬ、こういう大前提がございまして、これに必要な財源措置もしてあるわけです。ですから、これはやるだけのことはやつておる。それで、そうでなしに、従来昇給延伸等をやつたのは、つまりその団体自体実情で、あり合わせだけの給与の実情でそういう措置をしておったのですけれども、そいつをもとに戻すには、戻すなりの事情と可能にする条件がなくちやいかぬから、これは給与切りかえの問題と別問題としてそういう財源措置は何もしておるわけでありませんし、別問題として考えなくちやいかぬじゃないか、こういうことを申しておるのでございます。そいつを時間的に一緒にやつてしまいますと、あと財源の方の問題とか、その他一般の行政水準の確保の問題というようなものと、不均衡になつたりアンバランスになつたり、あるいはそれに対するほんとうの給与改訂に伴う将来の影響とそうでないものとの影響が不明確になつたりしますから、一応これは別問題としてはっきり計算をして、そうして別々に見通しをつけて考えなくちやいかぬ、こういうことを申しておるのでございます。それでございますから、時間的に一緒であるということが絶対にいかぬということを、そういうことを申しておるのではこれはございません、しかしながら、実際の場合に一緒にやるとごちやごちやになってしまつて、問題があいまいになるということがあるものですから、できるだけ切り離してやつたらよかろう、論理的には切り離してやり、時間的にはそれは必ずしも絶対要件ではありませんが、まず給与改訂をやつて、その見通しをつけて、そしてさらにその上で従来のものを回復する見通しを別個につけるということの方が、私はやはり事柄としては筋合いだろう、こういうふうに存じて申し上げたのでございます。
  82. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 きのうのお話と変らないようでございますが、今回の、たまたま単なる財政計画変更は、あなたの方で通達を出しておりますこれは、単に給与の切りかえの問題だけじゃないわけですね。もちろんそれも一つの大きな問題ですが、その他いわゆる余裕財源といつちや語弊かもしれないが、自然増等によって多少の余裕ができておるのだ、こういう見地に立って財政計画全般についておやりになる、こういうことですね。従って私はそういう際であるから、以前の不合理も是正すべきではないのか、こういう考え方である。ただ六・二%の率で現状をスライドしていくということでは、今回のはそれだけでは済まされない時期ではないか、こういうことなんです。従って私はあなたとだいぶ違うようでございますが、非正常な姿を、私は何も国家公務員を、ずっと高い所を問題にしているのじやなくて、結果として現在国家公務員より低くなっておるような所、しかもその低くなつた原因が、昇給昇格の延伸等によって行われたような場合は、これは一応正常な姿に返して、しかる後にスライドしてやることが、やり方としては正しい親切なやり方である、こういうふうに私は考えるわけでありますが、この点はあなたの、時期的に一応違わせるのだ、同じではいけないということではないけれども、一応切り離して考える、こういうことですが、これはちょっと横道に入るようでございますが、今あなたの方で数県にわたって持ってきたのはストップしているような格好ですが、これは国家公務員より高い所、あるいは将来の財政計画から見て承認できないというようなものなんですか。
  83. 小林與三次

    説明員小林與三次君) ストップということはどこのことか私もよく知りませんが、現在計画変更で問題になっておるのは、一つは給与条例の改訂の問題でございます。今お尋ねがございませんでしたが、その給与条例の改訂についてどういうふうに条例を変えるかということで、私の方で意見を申しておるのは事実でございます。その方がむしろ私は多いと思います。その問題につきまして、そういうことに話がいってしまいましたから、私の方の見解を申し上げますが、御承知の通り給与の条例というものは国家公務員並みでなくちやいかぬ、すべきであるという基本的な考え方がありまして、特に公安職とか、警察、教育職等につきましては、国も地方も区別がなくて一本でできているわけでございます。それぞれの法律もそいつを基準にしてやっていく、こういうことでございます。それから一般の行政職につきましても当然同じ考えで進むべきだと思います。それで、一般の行政職につきましては、国家公務員は中央官庁でございまして、県が中央官庁的な色彩もあり、県によっては中央官庁と同様に扱わなければいかぬという問題もございますので、実は自治庁で給与の申告について示しましたときは、府県は原則として中央官庁的な扱いをするが、それは職員構成その他によっては中央と地方とだいぶ事情の違う所もありますので、ある程度調整をしていいぞ、こういう基準を示したのでございます。その基準という意味も、国家公務員並みの限度で基準を調整をしていいということで、調整の問題でいろいろワクをふやすとか、ふやさぬという問題があります。それをどこまでふやすかという問題が一つと、それからそつちがやるから教員や警察についても皆国家公務員並みの法律以上に昇給ができるようにしてくれという意見がありまして、その問題が私の承知しておるところでは一番大きな問題になってくるのでございます。これにつきましては、私はこの高い低いという問題は、これはいろいろあろうと思いますけれども、条例の基準というものは、それは国家公務員並みでいくべきだ。再建団体が国家公務員よりもいい条例などを作るということは、私はやはり今の段階では差し控えなくてはいかぬ、こういうのが基本的な考え方でございまして、その範囲内にみんな我慢をしてもらう。我慢してもらうというよりもそれが当りまえだ。いわばそういう考え方で臨んでおるのでございます。これが一番大きな問題だと思いますが、自治庁といたしましては、その方針を曲げない考えでおるのでございます。それにからんで、あるいは今鈴木委員のおつしやいましたような昇給停止を戻そうという問題があるかもしれませんが、それはおそらくは具体の計画変更の問題として、そう来ておるのがあるようには私はあまり聞いておりません。しかし、どこかの県でそういう問題があるのかもしれませんが、それは帰ってから聞いてみますが、この問題は地方ではもちろん大問題になっておるし、おそらくは職員組合と理事者との間においていろいろ折衝が行われておるだろうと思いますが、本式の自治庁への相談には、そういうのはあまり私は来ておらぬのではないかと思います。しかし、来た場合にどういう考え方をするかといえば、全部いかぬとかそういう問題ではありませんが、通牒に書いてある限度ならば、それは一緒に考えても差しつかえないという考えではおるのでございます。
  84. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 あなた方の態度として、私ちょっとふに落ちないのは、国家公務員並みとか、あるいは他の類似の団体と比較するとか、いろいろおっしゃって、高い所は極力押えようということは、方針として持っておられる。低い所はほおかぶりといったらいいか、何らそれに対して積極的でなく、高くするように持ってくれば認めようというような考え方らしいのですが、そういうところに私は一つ問題がある。あまりその点について申し上げませんが、そこでそういうことから言いたいことは、多少の、国家公務員並みといっても、すでに条例なりああいう給与の条例等におきまして基準が示されても、現状において非常にアンバランスがあるわけなので、それを一律に国原公務員よりも頭を出してはいかぬ、こういうようなことの指導は、私はちょっと問題があるのではないかと思うわけなのです。これは再建団体であつても、切りかえの際に多少あるいは頭が上る場合が出てくるかもしれません。しかし、これは理事者側なりあるいは職員団体との間でいろいろ話をつけ、特に理事者では、きのうも申し上げましたが、将来の財政計画なり、あるいは現在までの職員の給与の実態について、いろいろ考えた上でそうした一つの結論を私は出されたものじゃないだろうかと思うのですが、そういうのをだめだということでだいぶおしかりを受けて、すごすご戻つておるというような県の話も聞いておりますが、こういうことに対する指導の考え方というのは、今あなたははっきり国家公務員以上のことはやらせないのだ、こういうことを言っておられますが、そこに多少の、私はそういう現実の問題として差が出てくることはやむを得ないことであり、そういうことは自治体に、一応ある程度の範囲ではまかせるべきではないかということを考えるわけですが、この点一つどうでしょうか。
  85. 小林與三次

    説明員小林與三次君) この給与の条例は、そもそも地方団体が自主的にきめるということになっておるのですから、自治団体にまかしてやつていいのではないかという理屈は、私は理屈が一つあろうと思います。しかしながら、やはり再建団体で早く再建を達成しなくてはならぬというような所におきましては、給与制度というものは国家公務員の生計の実情とかその他をさんざん考えて作つた一つのベースがあります限りは、これ並みのことはどんなことがあったつてわれわれは保障さしてやらなくてはいかぬと思いますが、やはりその限度にとどまるべきものじゃないかとこれは考えるのでございます。それでございますから、やはり再建団体は、少くとも個々の人は、高い低いという問題は、これは人の問題ですからいろいろあります。そんなことを一々すべての人をどうこうするということまでわれわれもできませんから、それは団体の内部で自主的に扱われてしかるべきでございますが、給与条例のようなものは、やはり国家公務員に準じてそのまま作るべきだと思うのでございます。それでございますから、この考え方だけはこれはむしろ一つぜひ御了承を願いまして、そういう考え方で指導さしていただくことをお許しを願わなければ、いろいろ今後財政運営を考えたり、財政措置考えたりする場合だつて問題があり得るのでございまして、基準はもう一本——まあ一本ということは少し言葉がきつ過ぎるかもしれませんが、同じ基準でいく。そうしてあとは個々の問題にして、個人につきましては、それは人によって高い人、低い人はあろうと思いますが、これはそれぞれ任命権者なり給与発令権者なりがそれぞれ内部において、条例の範囲内において調整をせられていいのじゃないか。そのことまでわれわれはとやかく申すべきものじや全然ないのでございます。
  86. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  87. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 速記をつけて。
  88. 加瀬完

    ○加瀬完君 財政局長、前の財政部長の当時から、行政水準が非常に下つてしまつたと。もう一つは各団体間の較差が非常に生じたと。この二つのことが地方財政についての非常に大きな問題だと、こういう御説明をたびたびなさつておられたわけでありますが、今度のこの再建計画の変更については、行政水準引き上げということに非常に力を入れておるということは、今までの説明でよくわかりましたが、その行政水準引き上げの中に、団体間の較差の縮小というものをも含めて考えておられるのかどうか。
  89. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これはまあきのうも水準といって、どこまでもっていくのかという御議論がありましたのと関連するのでございますが、現在の段階におきましては、早く普通の団体並みのところまで持ち上がらせることが必要だろうと思いますが、まあともかくも片一方に大きな赤字をかかえ、この償還を一生懸命にやらぬといかぬ建前になっておりますから、それで一応こういう四割、六割というめどを作つたのでございます。そこで絶対額を、だから行政水準を幾らにするかということまでこっちは考えたわけじゃないのでございまして、それぞれ団体の増収の状況によって六割程度くらいならば、これは無理がないだろうということですが、その六割はそんならほかの団体のどこまでいくかということになると、率直に申しまして、それは相当低いとこれは言わざるを得ないと思います。
  90. 加瀬完

    ○加瀬完君 結局まあ増収分の財源というものを六割と四割の比率で……。もちろんその前に当然国家公務員並みに引き上げらるべき給与費が控除されるわけですが、その残つたものを六割と四割で行政水準引き上げと、それから赤字の充填に割り当てるわけですけれども、きのうの御説明を承わつておりますと、結局再建団体あるいはそれに準ずべき赤字団体、特に府県などでは、その赤字府県というものは大体実質赤字が現在二百億程度。ところがその赤字団体でない府県というものが、黒字が八十億から九十億という数字になるんじゃないかと思うのですが、そうするとますます赤字団体とそうでない団体では財源にも較差が生じて参りますから、その六割、四割という使い道をしても、それによる較差もまた大きくなってくるということにならないか。また私の聞きたいのは、結局六割、四割といったところで、財源そのものの貧弱な赤字団体は、六割、四割というだけでは、おっしゃるような行政水準引き上げというものは、考えられておるような形に表われてこないのじゃないか。こういう問題をどうお考えになっておられるか。
  91. 小林與三次

    説明員小林與三次君) それはもう加瀬委員のおつしやいました通りでございまして、再建団体で仕事をされておるところに、行政水準引き上げなどというのは、おこがましいじゃないか、率直に申しまして私はそういう所があろうと思います。ずっと押えつけておつたやつから見れば、引き上げるということになりますが、普通一般の常識で、黒字団体などもひつくるめて、行政水準を確保、向上などといっておるような所では、私はとてもそこにいかない、これはもう事実だと思います。
  92. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういたしますと、ある程度この較差の生じた低い方の赤字団体行政水準引き上げということについては、交付税その他について将来やはりある程度の別途の財源措置というものを考えてやるのだと、こういうふうに希望を持ってもよろしゅうございますか。
  93. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは今の交付税配分の場合に一番頭をひねつておる問題で、まあ去年からやつております未開発補正などというのはそういう趣旨でございまして、大体未開発地帯は再建団体が多いのでございまして、そういう所に、ともかくも一応開けた県並みに開発を積極的に進めるような財源を与えなきゃならぬ。この考え方は現在もとつておりますし、なお今後もそういう問題につきましては十分研究をしたい、こういうふうに思っております。
  94. 加瀬完

    ○加瀬完君 次の質問でありますが、その六割、四割と分けて行政水準引き上げその他に割り当てる前に一般財源の増収額から国家公務員基準に基く給与改訂所要額というものを控除されるわけであります。で、この国家公務員基準に基くということが非常に問題になると思いますが、この自治庁のお示しになつ通り、各地方団体が国家公務員基準に基く給与の計画を立てられまして、言葉をかえて言うならば、地方団体が再建計画上ここまでは合理的であるというみずからの計画を持って自治庁に参りましたときには、自治庁は国家公務員または類似団体への均衡に努めることという指示がありますが、努めたものだという自治体の判断を、そのままお認めになるお立場をとりますか。それからこの国家公務員または類似団体との均衡に努めているかどうかという判断、あるいは財政再建計画の達成に支障を生ぜしめないように留意してあるかしてないかという判断、これは財政再建法できめられておるように、自治庁の指示と申しますか、強い拘束力によって判定をするのだ、こういうお立場をおとりになりますか。
  95. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは、この切りかえだけの問題は、もう私たちといたしましては、今まで何べんも申しました通り、多少金がかかろうがかかるまいが、これはもうやらざるを得ない、やろう、こういう前提でおるわけでございます。それでございますから——もっともだだ切りかえに要する財源が幾ら要るのかというのは、どうも実際やつてみるというと、なかなか率直に言って財源見通しがつかぬというのが実情のようでございます。いずれにいたしましても、切りかえはもう無条件にやらせよう、あとの、先ほど鈴木委員がいろいろおっしゃっていましたような問題になってくるというと、そうそう簡単にいかぬぞと、こういうのがわれわれの問題でございます。
  96. 加瀬完

    ○加瀬完君 その簡単にいかぬぞということが問題でありまして、簡単にまたやるべき問題でもありませんから、おっしゃるようにそれはきびしく自治体と自治庁で相互に相談をしていい計画を立てなければ、再建計画そのものもくずれますから、それはひいては地方財政にもまた逆戻りの現象を生ずるわけですから、それは原則としては認めますよ。そこで、結局切りかえだけをやれといっても、切りかえの前に、あなたがきのう説明されたように、不当な無理というものが相当ある。切りかえのときにその不当な無理というものがありますから、再建計画のときに生じたひずみというものを、ある程度修正しなければならないということは、これは職員団体だけではなくて、自治体の理事者そのものも積極的にある程度考えざるを得ないと思う。そういう総合された立場から、国家公務員に準ずるものだというので、条例の基準というものを各地方団体が作ると思います。その作るものを、ただ一ぺんに国家公務員にぴつたり当てはめたものでなければだめだということにするか、少し勤務の能率を向上させるためにそれぞれの地域でふくらみを持たしたものを作つてくるのも、再建計画上支障がないということであれば、認めるというお立場をとるか。これは地域的に国家公務員と同じようにやつては、行政能率がかえつて支障を来たすということもあつて、慣例としていろいろ給与の面等考えられていた所もあると思います。たとえば離島なんかに勤めている人たちの給与なんというものは、どこでも離島、僻地というものはある程度考えられております。こういうものは国家公務員並みにはいかないわけでありますから、そういう点も再建計画上、これは当然この程度考えてもよくあるまいかという計画を、地方庁で持ってきたとしても、それすらも一律に、さっき鈴木さんに御説明のように、しやくし定木に判断するか、そういうことは話し合いで認めてやると、こういうことなんですか、どちらですか。
  97. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 私は、国家公務員というものと地方公務員というものとが、全く質的にその行政上の比較がならぬと、こういうものがあれば、もちろんそれはいろいろ検討せぬならぬ問題がここにあろうと思いますが、まあ今まで給与条例その他は数十年やつてきておるわけでございますが、もう国家公務員基準でずっと動いてきておる。現に今までもそれで高いところもあれば安いところもこれはあるのでございます。それでございますから、条例の基準というものは一緒にして、あとは個々の運用の問題で考えるべきじゃないか。それから今の離島等の問題は、それは僻地手当とか何とかいう問題もいろいろ考えられるのでありまして、そこはしやくし定木と言っておしかりを願うかもしれませんが、ここのところは少くもしやくし定木でいくのが筋じゃないだろうかと、こういうふうに存じておるわけでございます。
  98. 加瀬完

    ○加瀬完君 しやくし定木でいいですよ。そのしやくし定木というものが自治庁だけが考えるそれではなくて、地方のいろいろの実情というものも十分聞いて、それが合理的なものであれば、それも認めてやる、再建計画になってから非常にきびしくなりましたが、それ以前にある程度戻して、地方実情財政計画上許されるものは聞いてやるという御態度をとつていただけるものだと考えておりまするが、それでいいでしよう。
  99. 小林與三次

    説明員小林與三次君) ちょっと今の、私の心中の御推測でございますが、条例はしやくし定木でいく、しかしながら今の問題は、むしろ過去においてベースを非常に低く押えておつたものの個人のベースをどうするかという問題で、それは条例の適用の問題じゃないかと……。だからそういう問題は個々の運用の問題で一部解決されてしかるべしと思う。もう一つは、鈴木委員のおつしやいましたのは、全般的に昇給延伸をやつておるのだから、それをもう一ぺんそのまま全部復活をしようじゃないかと、こういう要求が片一方にありまして、その要求を当然に、少し金が入つたから直ちにもとへ戻すのだということは、そう簡単にいかぬじゃないか。それにつきましては、全般的にもう少し慎重に考えなければいかぬ。しかしながら、不当に国家公務員よりも非常に落されておるものが、国家公務員並みにまでベースを直すということは、私は、全般の問題で支障がなければそれはいかぬと言う必要がないじゃないか。行政水準を押えておつたものがもうもとに戻る一環としてそれは検討してよかろう、こういうのでございます。
  100. 加瀬完

    ○加瀬完君 そのあとの方の問題ですが、結局、それぞれの地方団体で合理的にこうしなければならないという考えでいろいろ運営上の操作をすることは、それはあなたの方では何もいなむものではないと、こういうことになりますね。条例の基準は国家公務員通りにしろというが、条例の基準も若干地方によってそれぞれのローカル性というのが出てきても私はいいと思うのですよ。それが財政再建計画上許されないようなはみ出した形になるかならないかということだけを、あなた方は判断して指導をし、助言をすればいいことであつて財政再建計画上非常に行政の能率の上って再建計画上の支障もないということなら、そういう条例が作られたつて、これを一々国家公務員とぴたり同じような基準になっておらないからといってこれをとがめるということは、私は不当だと思うのです。それはそれでいいでしよう。
  101. 小林與三次

    説明員小林與三次君) そこはいいでしようと言われても、そうですともちょっと言いかねるのでございます。ですから、これはまあ給与というものは、国家公務員並みで寸分違つちやいかぬ、だれ一人違つちやいかぬとも私は申せません。それは給与そのものは、地方団体が自主的にきめるという建前になっておりますから、それはいいと思います。しかしながら、建前はやつぱり国家公務員の建前で貫く、特に再建団体はいろいろ苦しいが、再建の悩みを続けておるのでございます。再建団体が国家公務員よりも給与がよかった、こういうようなことでは、世間に私は通る話じゃないと思うのでございます。それでございますから、これは苦しいかもしらぬ、早くそれなら再建が片づくまではそこでやつぱりがまんをしていただかなければ私はいかぬのじゃないか。ただしかし、個々のワク内における——これは給与の問題ですから建前をくずせばすぐこれは給与のワクに必ず影響があるのでございます。給与のワクにちつとも影響なしに昇給だけはできるというこれは筋合いのものではございません。そういうことがありますから、私の方でも実はやかましく言っておるのでございます。それで、きまつたワク内において個々の人をどうこうするかという問題は、これは個々の人の人事の問題ですから、それは地方がしかるべくやられて私は一向差しつかえない、こういうふうに存じておるわけでございます。
  102. 加瀬完

    ○加瀬完君 その再建計画上支障がないという基準であるなら、地方団体の自由というものは許されてしかるべきだと思います。再建計画の法律の中にも、再建計画に支障のないものまでも一切自治庁が査定をしてきめるべきだと書いてないのです。そこで、具体的な問題で、一つ自治庁の御態度を伺いますが、これは県ではありませんが、ある市で議員報酬を四〇%くらい上げた。まあ上げようとしてほとんど上るまでになっていた、しかし、そういう団体でも一般職員の給与というものは、これは非常にきびしくしてある。こういう再建計画の変更というものを持ってきたとき、自治庁はどうなさいますか。
  103. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 今のお話の通り計画のワク内ならばそれは個々の運用でいいじゃないか——これは私はその通りだと思います。今の問題は、計画のワク内じやなしに、計画を直してきた、ふやしてきた、こういう計画変更ですから……。既定の計画のワク内ならば、これは個々の人の問題までわれわれはとやかく申すつもりはございません。たとえば人の数を少くして月給を上げるということも当然考えられる。これは運用でどうでもなります。今の問題はそうじゃなしに、既定のワク内じや不十分だからもっとふやせ、そういうことでございますから、そのふやすことについては、それはいろいろ条件があるのじゃないか、こういうことを申し上げておるのでございます。で、今の具体的の例というのは私よく知りませんけれども、一般の職員はえらく切り下げておいて、議員の報酬だけをめちやにふやしてくることも既定のワクでできるのなら、これは話は別問題ですが、既定のワク内でするには議員の数でもおそらく減らさなければこれはできぬはずだと思います。そうじゃなくて、議員の数はそのままにしておいて議員の報酬だけやるということならば、これはやはり検討を要する問題があろうと思うのでございます。
  104. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはお認めになるのかならないのか。そういう場合、結局再建計画団体議員の報酬だけ三〇%も四〇%も上げる、こういう予算を作つて持ってきた場合、それをお認めになるかならないか。
  105. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは今申しました通り、どういう団体で、従来その議員の報酬が幾らであったのか知りませんが、議員の報酬がほとんど無報酬のようにやろう、再建期間中返上しようという所だつてないわけでもありませんし、そういうのがほとんど、もう形ばかりのものしかもらつていなかった、そいつを倍数からいえば三〇%かもしれぬが、ほかの団体からみたつてやつぱりなお八割か九割だというところだつてこれはあり得るのでございまして、そこらは具体の計画数字を見なければ、絶対にいかぬのだというわけにもいかぬと思います。しかし、もう普通並にいつちまつておるのを、吏員はそのままにしておいて、自分のところだけ上げるんだ、こういうことになれば、これは検討を求めざるを得ないと思います。
  106. 加瀬完

    ○加瀬完君 結局それは類似団体と比較をして、非常に類似団体から劣つておるという場合は、再建団体としてもある程度考えられるということになるわけですね。その原則というのは、やつぱり職員の給与においても類似団体と比べてはなはだしく劣悪な条件にあるということであるならば、それは再建計画の変更で当然考えられる、こういうように解釈していいですね。
  107. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これは計画が合理的に達成する限りは、加瀬委員のおつしやいましたように、それは考えていいと思います。
  108. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 本件に対する質疑はこの程度にいたしまして、次の議題に移りたいと思います。   —————————————
  109. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 地方財政に関する件を議題にいたします。  去る七月発生いたしました九州地方の水害対策の件並びにその他地方財政上の諸問題につきまして、質疑がございましたら、この際、御質問を願いたいと存じます。なお、政府側からは自治庁当局のほかに、磯田内閣審議室長、鈴木大蔵省地方資金課長が水害関係政府当局者として出席いたしております。  それでは磯田内閣審議室長より、その後の七月災害の対策について、今日までの経過の説明をまず求めたいと存じます。
  110. 磯田好祐

    説明員(磯田好祐君) 去る八月十日の当委員会におきましてお配りいたしました政府の緊急救助対策、復旧対策等につきまして、そのときの委員会におきまして各項目について、その後資金がどのようにいくのか、その状況を報告してもらいたいというお話がございましたので、本日までのところ一応取りまとめました資料等について簡単に御報告申し上げたいと思います。  今お手元にこの前の八月十日に私ども内閣審議室の方からお配りしました資料参っておりましょうか。……お手元にお配りしたようでございますので御説明申し上げますと、まず第一の緊急救助対策につきましての災害救助費国庫負担の支出の状況でございますが、その第一の一番最後のところ、二枚目はぐりましたところに「緊急の救助費については、災害救助法関係予算として七千万円計上されているが、なお、不足を生ずるので、予備費より千九百四十一万三千円を支出することに決定した。」とあるのでございますが、なおその内訳をこの際御説明申し上げますならば、長崎県が六千七百六十万八千円、熊本県千九百六十一万二千円の国庫負担で、合せまして八千七百二十二万円の支出をいたしておるのであります。その結果といたしまして、先ほど御説明いたしました七千万円の既定予算では不足を生じますので、その差額の千九百四十一万三千円を予備費より支出することにいたした次第であります。  それから次に復旧対策でございますが、1の住宅対策の点につきましては、後ほど御説明いたしたいと思います。2の中小企業金融対策でございますが、その(1)にありますように、国民金融公庫では三億円、中小企業金融公庫でも三億円、商工組合中央金庫でも三億円のそれぞれの特別ワクを設けまして、今回の災害では中小企業者は非常に災害が大きいので、そのための特別の融資のワクで資金の融通をはかるということにしたのでございますが、最近までに判明いたしました融資の額でございますが、国民金融公庫が八月末日現在におきまして千百五十四万円の融資を実行いたしております。商工組合中央金庫が八月二十八日現在におきまして五千万円の融資を実行いたしております。それから中小企業金融公庫が八月二十六日現在におきまして三千九百万円の融資を実行いたしておるのであります。  次に一枚おはぐり願いまして、公共土木施設等の復旧対策でございますが、この公共土木施設の復旧につきましては、この前の際にもその被害総額並びにこれの査定見込み等につきまして数字を出してもらいたいというお話があったのでございますが、現在までの査定状況から推算いたしました大体の数字がございますので、御参考までに申し上げたいと思います。七月災害におきまする災害の総額は八月末現在におきまして百三十一億二千五百万円ということに相なっております。これに対しまする本年度の予備金所要見込み額は、現在までの推算によりますれば、約十八億の所要見込みということに相なっております。もちろんこれは緊急査定等もまだ完全には終了いたしておりませんので、現在までに判明いたしました査定状況と、それからその査定状況等からごく概算で推算いたした計算でございますので、その点をお含みおき願いたいと思うのでございます。  それから次の農林水産対策の問題でございますが、その(3)、(4)、(5)に天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法に基く経営資金及び事業資金の融通の問題があるのでございますが、この点につきましてはまだ申し込みが出ておりません。それから農林漁業金融公庫におきましては、今回の農地復旧事業つなぎ資金として六億三千二百万円の融資額を設定いたしたのでございますが、現在までのところその報告は参ってない状況でございます。なお、(5)の農業災害補償法に基く共済金の仮払いを迅速に行うように措置するとともに、必要があれば再保険金の概算払いを早急に行うということにいたしておるのでございますが、現在までのところ、概算払いの要求が出てない状況でございます。  それから6の地方財政対策につきましては、この前の当委員会におきまして、地方交付税の繰り上げ交付につきましては、そこの(3)にありまするように、すでに実行をしたわけでございまするが、この災害関係地方団体に対しまする短期資金の融通でございますが、これが最近現在までに判明いたしておりまする数字は、短期資金の融通額が長崎県が一億円、島原市がこれはこの前御報告してあるのでございますが、一千万円、国見町が三百万円、有明村が二百万円、瑞穂村が三百万円、大村市が一千万円、合計いたしまして一億二千八百万円ということになっております。この短期資金の融通の申し込みが案外に少い理由は、先ほど申し上げました地方交付税の繰り上げ交付等によりまして、関係地方公共団体が当面の資金にさしたる不足のない表われであるかとも思われるのでございまして、割合に短期資金の融通申し込みが少い結果であると思うのでございます。  以上、最近までに取りまとめました数字を御報告する次第でございます。
  111. 中田吉雄

    中田吉雄君 実は先般予算委員会の方で安井、森、中田、三名とも偶然地方行政委員が現地を視察しまして、災害の個所ごとに約一週間つぶさに見て参つたわけであります。その際に、今査定が進んでいますが、本格的な質問をするのは、どうももうちょっと先でなければいけぬじゃないか。われわれも速急な事業の進捗を望むわけですが、いろいろな関係で、三人の意見としては、もう少し先でないと少しまとまりにくいではないかという意見があったことを御報告申し上げておきます。  それからただいまの資料では、これは前の資料よりまだ悪い程度で、実際あなたの方は何をやつておられるのですか、こんなものでやはり相当大蔵省、農林省、建設省現地に同時に行って、もうこれまで別々に査定しておったのを同時にやつて、かなり進んでいるのに、それでは全くお宅のところは浮いちやつて、これでは……。短期融資の申し込みくらいのことは、現地ではそんなことではないですよ。これはもうほとんど審議の対象にならぬと思うのです。どうしてですか、あれほどこの前申し上げたのに、全く質問のしようもない状態ですね。当地方行政委員会では、そういうものでは通らぬです。どうしてですか、もっとその後査定が進み、いろいろな問題があったはずなんです。これはどうなっているのですか、審議室ではその程度ですか。
  112. 磯田好祐

    説明員(磯田好祐君) 公共土木の復旧の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、ただいま大蔵省で査定中でございまして、ただいまおしかりを受けた次第でございますが、関係各省としては非常に査定を急いでおりまして、おおむね近く完了するところまでいっているのでございますが、先ほども申し上げましたように、現在のところ、本年度におきまする予備金の使用見込みが十八億程度というところでございまして……、なおこれ以上の御質問がありますならば、これは大蔵省にお聞き願いたいと思います。
  113. 中田吉雄

    中田吉雄君 それからここには建設省の局長はおいでになっていないですが、これからは復旧でなしに改良でやる、その際、私が現行法で間に合うかといった際に、間に合うといっておられる。ところが現地へ行ってその後建設省の動きを見ると、もう現行法のワクではいかぬ、改正法案を出すというようなことで、言明を二、三にされるような点もまことに遺憾だと思うし、もう少しお宅は総合的にやられる所だと思うのですが、地すべり対策の問題とかいろいろもっと進んでおらねばならぬのに、どうしてお宅の方にはその資料が出てこないのですか。どういうことをやられるのですか、そこは実際……。この程度では、それは現地を見たら……。まあ言ってもしようがないことですから。
  114. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それではお諮りいたしますが、本件については、さらに資料を整備して御提出を願います。要は災害対策の完遂にあることですから、完全な災害対策を急速に行う、その方針のもとに資料整備についても御努力をしていただかなければならぬと思います。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたしまして、本日は、これをもって散会いたします。    午後三時十八分散会