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1957-02-19 第26回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十九日(火曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————   委員異動 一月三十日委員宮城タマヨ辞任につ き、その補欠として岸良一君を議長に おいて指名した。 二月六日委員佐野廣辞任につき、そ の補欠として大野木秀次郎君を議長に おいて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     本多 市郎君    理事            大沢 雄一君            小林 武治君            加瀬  完君    委員            伊能繁次郎君            小柳 牧衞君            館  哲二君            安井  謙君            吉江 勝保君            占部 秀男君            久保  等君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            岸  良一君            森 八三一君   国務大臣   国 務 大 臣 大久保留次郎君    国 務 大 臣 田中伊三次君   政府委員    警察庁長官   石井 榮三君    国家消防本部長 鈴木 琢二君    自治政務次官  加藤 精三君    自治庁行政部長 藤井 貞夫君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治庁長官官房    総務参事官   佐久間 彊君    自治庁財政部財    政再建課長   長野 士郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告地方行政改革に関する調査の件  (今期国会における提出予定法律案  に関する件)     —————————————
  2. 本多市郎

    委員長本多市郎君) これより委員会を開会いたします。  まず、委員異動についてお知らせいたします。去る一月三十日宮城タマヨ君が辞任されまして、岸良一君が補欠選任されました。また、二月六日佐野廣君が辞任されまして、大野木秀次郎君が補欠選任されました。  以上、御報告いたします。     —————————————
  3. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に去る十五日に開きました委員長及び理事打合会の結果について御報告申し上げます。  第一には、本委員会定例日でございますが、委員会は毎週火、木の両日を一応の定例日といたし、必要があれば、適宜追加して開会いたしたいということでございます。  次に、本日の議事でございますが、公報をもって御通知いたしましたように、先般の委員派遣報告を聴取いたし、さらに、本委員会関係今期国会提出予定法律案につきまして、それぞれ所管の政府当局より説明を聴取し、また質疑をいたす、大体かように決定いたしましたので、御了承を願いたいと存じます。     —————————————
  4. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、自治庁長官自治政務次官より、それぞれ新任のごあいさつのため、発言を求められておりますので、この際順次発言を許可します。
  5. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 昨年の十二月三十一日に石橋内閣の成立に当りまして、私は、はからずも自治庁にお務めをすることになりました。行き届かない男でございますが、どうか、皆さま方格別の御支援をお願いいたしまして、大任を大過なく果して参りたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
  6. 加藤精三

    政府委員加藤精三君) 加藤精三であります。皆さま御承知のように、きわめて微力な人間でございますが、しかも、皆さま方の絶大なる御援助を必ず得られて、そして仕事を全うさしていただきたいと考えております。何とぞよろしくお願い申し上げます。     —————————————
  7. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは次に、派遣委員報告の件を議題に供します。  なお、当委員会におきましては、去る一月に地方行政改革に関する調査の一環として、奄美群島復興特別措置法地方財政再建促進特別措置法、新市町村建設促進法実施状況、その他地方行財政上の諸問題調査のため、三ヵ班委員派遣を行なっております。よって、これより各班について、調査報告を聴取いたしたいと存じます。まず、鹿児島派遣の第一班にお願いいたします。
  8. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 私は、去る一月七日より十四日間にわたりまして、加瀬宮城委員とともに、奄美大島群島復興状況を主とし、あわせて同群島行財政状況について調査して参ったので、その概要につきまして、簡単に申し上げることとし、別に計数を含めた文書報告を用意しておりますので、委員長において適当にお取り計らいを願いたいと存じます。  まず、調査の行程について申し上げますると、奄美大島への途次、鹿児島県庁に立ち寄りまして、基礎的な調査を終え、直ちに黒潮の七島灘を渡って、従来、国会調査団が訪れることのなかった大島本島の最南端の古仁屋に上陸をしたのであります。これより名瀬市までの六十六キロ、二千余ヵ所に上る峨々たる曲折道路を経て、本島最北端の笠利村に至るまで、大島本島を縦断して参ったのであります。この間峻嶮なる山道の危険を冒して、所在市町村を歴訪して、関係当局者及び産業関係者その他各機関代表者等と懇談を行い、また、港湾道路干拓等工事進捗状況及び計画予定地発電施設文教施設厚生関係施設産業関係施設等に立ち寄るとともに、沿道の農・漁業等実情につきまして、大島本島全島にわたって復興状況をつぶさに見、今次調査の目的を十分達し得たと信じておる次第でございます。しかしながら、派遣期間及び船便の関係で、離島を訪問することができず、現地方々の熱心なる御要望に沿い得なかったことは、はなはだ遺憾に存ずるのでありますが、これら離島方々も、海路交通きわめて不便な所にもかかわらず、名瀬における会議に御参加下され、調査の実効にさらに花を添え得たことにつきましては、まことに感謝にたえないところであります。  次に、調査の結果について申し上げたいと存じますがその詳細につきましては、冒頭に述べましたように、別途提出文書に譲ることとしまして、その概要と、特に感じた若干の点について御紹介申し上げることといたします。  まず第一に、市町村財政の問題であります。本群島所在の十五市町村合計昭和三十年度決算状況は、歳出入ともに十億二百万円程度であります。自主財源歳入総額の一四・三%、そのうち税収は七・六六%で、きわめて高い依存度を示しておるのであります。しかしながら、これらは復興事業実施中でありますので、平常の姿ではありませんが、いずれにしましても、自力による行政水準向上は望めない財政状況にあります。一方、歳出面では、投資的経費六一%その他が消費的経費となっており、財政構成としては、投資的部面割合に高率となっておりますが、これは、復興事業による建設事業が五二・一%を占めておるためで、本事業を控除すると、わずかに一九%にすぎぬのであります。なお、復興事業実施に伴う地元負担地方債に依存しなければならない財政状況にあるため、その額は年々累増し、現在までの地方債総額三億八千万円は、昭和三十年度歳出入決算総額の三八%を占めるに至りまして、今後、この償還費市町村財政を極度に圧迫することは必至と見られます。地元側より、交付税の増額と、台風補正の加味についての強い要望があったのであります。  第二は、復興事業進捗状況であります。昭和二十九年に、本群島復興特別措置法が制定され、戦災に次ぐ行政分離中の荒廃を復興して、島民の生活水準昭和十年当時の本土並みに引き上げるため、五ヵ年間、総額百五十三億円に上る復興計画に基いて、産業文化復興と、公共施設整備充実等、ことに緊要と認められる事業実施することになりましたが、三年目に当る現在、国費予算化三〇%、事業進捗状況三三・五%という状況で、計画当初の目標達成には至難の実情にあります。事業施行実績内容別に見ますると、公共事業が七四・一%、産業奨励二一%、その他厚生社会福祉事業四・九%となっておりまして、道路港湾等公共施設重点が注がれております。これは、かって県当局昭和十年より十ヵ年計画実施した同群島開発が、ほとんど実を結ばなかった苦い経験も参考として計画されたようであります。産業復興計画のごとく、数年を経過したあとでなければその成果が期待できないものにつきましては、同時並行的あるいはむしろ産業振興前提とした公共事業を優先的に実施する必要があるのではないかと思われるのでありますが、要は復興計画総額百五十三億円の額の多少は一応そのままとしても、計画に基く国費予算化の額に帰結する問題であります。県及び群島側としては、法律制定の当初、復興計画昭和十年当時の本土並み生活水準に引き上げる目標であることに対して、三百億円を熱望いたしました経緯にかんがみ、三ヵ年間における予算措置には、きわめて遺憾であるむねが各地で述べられたのであります。また、現在の配付予算額では、全島に配分する関係上、事業費が極度に細分化せられ、しかも、起債許可限度額が七十万円より百万円に引き上げられたために起債対象とならない場合が多く、貧困な市町村財政では、事業の効率を上げ得ない実情にあるので、今後思い切った予算措置を講ずるとともに、起債及びこれが償還についての特例を認められたいとの要望がありました。  第三は、金融の問題であります。疲弊しきった本群島産業振興、民生の安定を期するためには、基本的な復興施策と相待って、金融円滑化をはかることが緊要であることは言うまでもありませんが、現状は、必ずしも要望にこたえられていない実情にありまして、奄美復興のおそいのも、ここに  一因があるのではないかと思われます。もちろん、受け入れ態勢整備強化が緊要であることは言うまでもありませんが、せっかく特別措置法によって、信用保証協会設置されているにもかかわらず、現在五億五千万円の保証能力があるのに、中小企業農林漁業の両金融公庫及び市中銀行よりの貸し出し保証額の累計は僅かに二億二千万円で、その二分の一にも達しない状況にあることは、金融機関の積極的な協力があるとは言えないであります。復興特別措置法の議決の際における付帯決議で、融資については特段の考慮を払うべきであるとうたわれていることからしても、緊急な金融施策要望されるのでありまして、大島商工会議所及び信用保証協会からも、金融機関貸出額の拡大と、長期金融措置が切望されておりました。  第四は、教育の問題であります。学校数は、小・中・高校合せて百七十五ありますが、小中学校ともに、小規模の学校が多いことが注目されます。すなわち、小学校百四校中、五四%は複式校、中学校六十五校中、四八%が小学校との併置校であります。平均学童数は三百人程度でありますので、教育効果向上財政面からも無理のない統合が必要と思われるのであります。行政分離中は、最も悪い状況に置かれたのでありますが、復興事業によって、漸次ブロック建築に切りかえられております。現在、新改築を要する四万二千坪のうち、三二%程度実施済みでありますが、いまだきわめて粗末なわらぶき掘立小屋全島に四十棟も散在しているほか、木造といっても名ばかりのものが大部分という状況であります。復興状況学校単位に見ますと、内地並み完全教室は一部分のみで、これでは、教育、養護の面から見て、学校としての統一した機能が果されているとはいえないのであります。  その二は、学校給食の問題でありますが、発育盛り学童に、カンショ、蘇鉄の実を常食とする食生活は、その体位に与える影響はすこぶる大でありまして、最近に至って、PTAの協力も得て、一部給食実施しておる所もありますが、それでも、体位現状は、全国平均より一寸半程度下回っておるとのことで、国費による完全給食要望されております。  その三は、実業教育の問題であります。職業教育に対する学校施設は非常におくれておりまして、わが国唯一亜熱帯特殊地域としての産業教育施設整備についての要望は、切実なものがあったのであります。  第五は、基幹産業振興の問題であります。復興事業公共施建設重点が置かれている上に、金融難とも相待って、その復興は遅々としている状況であります。すなわち、大島産業基幹は、つむぎ、黒糖カツオでありますが、大島つむぎの生産は、戦前の二十七万反に対して、昨年は三万反、本年六万反という状況であります。これは、戦前と異なり、原糸内地にも求めるために、コストが割高となること、販路が狭められてきたこと、金融難等が主なる原因となっておるほか、つむぎ織工の労働賃金がきわめて低いため、復興事業土木工事に従事するものが増加してきたことなども一原因となっておるようであります。  その二は、農家換金作物の主軸となっている黒糖についてでありますが、カンショ台風への耐久度が高く、また、かりに倒木しても差し支えないので、適地事業として、現産一万四千トンを二万五千トン程度目標で奨励しておるとのことであります。しかしながら、わが国最近における含密糖の年間消費量は七万ないし八万トンと推定され、政策上現に輸入している状況でありますので、分密経営に切りかえる等、時代の要請に即応する態勢を早急に整えることが必要ではないかと考えられるのであります。すべての事業経営基本がここにあることはいうまでもないところであります。地元側としては、黒糖価格補償砂糖消費税の撤廃、外糖輸入制限等要望しております。価格補償については、規格の不一致が難点とされております。  その三は、漁業でありますが、わが国南方漁業基地として最も恵まれた地位にあるにもかかわらず、漁村及び漁船を見かけないのを不思議に思ったくらいであります。現在、名瀬あたりで旅客の食ぜんに供せられておる魚類の大部分は、鹿児島より移入されているとのことであります。野菜類も同様であります。戦前、相当の実績をあげたカツオ漁業でさえも、現在は衰微の状況にあります。漁船建造設備等資金不足原因しているようでありますが、これらの解決とともに、漁港、必要機械補給基地加工施設等、早急に建設改善を要すべき問題が山積しております。  第六は、農林漁業等各種協同組合の問題であります。産業振興の母体ともいうべき各種協同組合は、その構成及び経営面において、きわめて憂慮すべき状態でありますので、県当局指導員派遣して、これが育成強化に専念しております。  第七は、農業林業の問題であります。農林業に従事するものは、半農半漁のものを含めて全島の約八割で、農家一戸当り耕作面積は四反八畝という零細経営で、全国平均の七反八畝よりはるかに低位であります。干拓土地改良、農道及び水利施設整備など、急を要するものが山積しておりますが、復興事業としての実績は、ほんの二、三しか見られなかったのであります。しかしながら、農家自体においても改善を要すべき点が多く見受けられたのであります。すなわち、内地の商業的ともいうべき農業経営とは異なり、自給自足、いわゆる原始農業の域を脱していないのであります。いずれの土地に参りましても、内地の農村に見られるような堆肥の山、豪農らしい家がまえの農家など全然見当らなかったことも不思議の一つであります。高温多湿適農地域でありながら、不毛の田畑がそのまま顧みられていないようであります。これは、台風に対するあきらめというか、宿命的な観念にとらわれ過ぎているのではないかと考えるほかないのであります。郡民各位の積極的な振起が切望される次第であります。大島教育基本もここにあるべきと思うのであります。  林業としては、林道建設及び公有林整備が焦眉の急務であります。本群島の山は、沿道以外はほとんど手がついていない状態であります。また、山の多い村ほど貧乏であるといわれていますが、公有林部落有林との整理による計画的な林政、電力開発と相待って、パルプ工業への進出等林道建設前提となっているものが多いのでありますが、いまだその緒についていない状況であります。  第八は、保険衛生及び社会福祉の問題でありますが、これらの諸施設は、計画の三〇%程度進捗をみておる状態であります。当地は、無医村、無医地区の多いことが特に注目されます。現在の医師一人当り住民数は、内地の九百五十五人に対して三千八百人となっております。診療所設置要望は、切実なるものがあります。また、本群島は、水質きわめて悪く、特に離島におきましては、稲作用水等を簡易瀘過して飲料水とされておる所もある状況でありまして、簡易水道設置も強く要望されております。また、フィラリヤ、アメーバ赤痢等風土病対策、及びハブ対策、その他早急に解決を期待する問題が山積しておる実情であります。  第九は、電力開発海上交通の問題であります。本群島産業内地におくれておる一因として、電力及び船賃の問題があげられますが、電力につきましては、最近、九州電力会社進出によって、本島及び離島総力四千百八十キロワットの水火力発電増設計画が逐次進捗しております。これが完成予定昭和三十四年春には、既設発電力八百六十キロワットと合せて総力五千余キロワットとなり、一応余裕が生ずることとなります。しかしながら、将来パルプ工業への進出その他の工業用電力の多量の需要にこたえるには、なお増設を必要とすることと存じます。  船賃につきましては、琉球政府当時の米ドル・ベース建で、すこぶる割高となっており、これが産業発展のガンとなっておるようで、重要課題とされております。  海上交通は、現在、本土大島間に就航しておる船舶は、いずれも小型でありますので、常に天候に左右されるために、欠航が多いのであります。大型船舶の運航と、船賃の低廉な国営航路の開設及び港湾拡充整備等現地官民より一致して強く要望せられております。  最後に、郡民財政事情について申し上げます。昭和三十年の郡民所得総額六十四億で、前年度に比べて二六%の増率を示しております。これは、県民所得の伸び五%及び国民所得の八%増より大幅に上昇しております。総額六十四億という所得産業構成は、第一次産業すなわち農林漁業が四四%、第二次産業の鉱業、建設業製造業が一一%、第三次産業卸小売業金融保険不動産業運輸通信その他公益事業サービス業公務等が四五%となっておりまして、前年より二次産業の占める割合が大きくなっております。これは、復興事業進捗に伴って建設業所得が倍以上の増加を示した結果であります。郡民所得水準は、昭和三十年の一人当り所得は三万一千七十一円で、国民一人当り所得の四二%に相当しております。これを実質額で見ますと、戦前は、国民一人当り二百十円に対して八十八円でありましたのが、二十八年五十六円、二十九年八十円、三十年百円と、逐次上昇し、戦前を凌駕してきてはいますが、全国水準に比べますと、ほど遠い状態で、しかも、この所得は、復興事業実施に伴うものが大部分で、恒常的なものではないのであります。復帰当時の最悪時には、琉球円と日本円との交換額がわずかに七億円で、郡民一人当り三千五百円にすぎなかったとのことであります。現在、要保護世帯数の多いことは全国一で、全世帯数の一二%近くになっております。将来、急激な事業打ち切りにより、住民経済に大きな変動を与えることのないよう、十分なる配慮が望まるる次第であります。  以上、各種の問題にわたり、特に重要と思われる点について申し上げたのでありますが、本群島が、台湾を失い、沖繩を分離されておるわが国にとりまして、唯一亜熱帯資源給源地として、その占むる意義はまことに重要と考えるのであります。復興特別措置昭和十年当時を目標としており、かりに、これが計画通り実施されたとしても、なお、内地とは二十数年の隔たりがあるのであります。豊富な未開発資源を蔵する本群島に対しては、復興よりむしろ積極的な開発施策を立てるべきではないかと思われるのであります。思い切った投資によって、科学的に開発すべき時期に来ていると思うのであります。そのためには、現行行政組織の再検討、亜熱帯試験所ともいうべき国立研究機関設置等が考えられますが、しかしながら、開発前提要件となりますものは、何としても住民自体であります。社会的、文化的にも後進的で、自主性積極性に幾分欠けるうらみなしとしない住民各位の自覚が要請されることは、言うまでもないところであります。  終りに、本調査当り現地官民各位の寄せられました御厚情に深甚なる感謝の意を表して、本報告を終ります。
  9. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 次に、熊本県、宮崎派遣の第二班にお願いいたします。
  10. 小林武治

    小林武治君 第二班の鈴木委員と私は、一月十三日から十九日まで、熊本県と宮崎県に出かけまして、地方行政の諸問題について調査を行なって参りましたが、そのうちごく二、三の点につきまして、簡単に御報告いたします。  第一は、熊本県の財政再建についてであります。同県は、地方財政再建促進特別措置法によりまして、昭和三十一年度から三十七年度まで、七ヵ年にわたる財政再建計画実施中であります。今回現地におきまして、当事者から詳しくその実情を聞きまして感じましたことは、このような長期計画におきまして、その間の情勢の変化が全く見込まれていないために、実情に即しない、いわば机上の計画に堕する心配が出始めておるのであります。そこで、政府としましては、これらの事情を考えられまして、再建計画実施によりまして、再建の実があがるように、せっかくの努力をいたされ、実を結ぶように、この際さらに有効適切な手を持つべきであると思うのであります。この点は、地方財政再建の問題が重要であるだけに、当委員会としましても、十分考えなければならないことと思うのであります。  第二は、町村合併でありまするが、某所で、合併の結果、多額の赤字をかかえ込んで困っている新市町村があるという話を聞いたのでありますが、その赤字原因は、合併前の町村におきまして、合併を見越して税を滞納する者が多かったのが、そのまま赤字引き継ぎをやっためだというのであります。このように、合併を見越して滞納があり、あるいは特に経費増加を来たした、そのための赤字を引き継いで、あとで困っている市町村は、他にもその例が少くないのでありまして、今後、町村合併ないし新市町村建設の推進に当りましては、特にこの点に対しまして、当局格別考慮を望みたいのであります。  第三は、宮崎県の財政であります。同県は、これまでいわゆるモデル黒字県として、健全財政を誇ってきたのでありますが、三十一年度決算見込みでは三億円余の赤字が出て、一挙に赤字財政へ転落することが心配されております。県当局説明では、そのおもな原因としましては、公債費の累増をあげておったのでありまするが、ここに、われわれは、地方財政における公債費重要性について、深くさらに考えさせられるものがあるのであります。  最後に、公職選挙法の問題であります。これは、地元で聞いた要望一つでありますが、その内容は、町村合併が進んでいるのに、現行公職選挙法の規定では、町村議会の議員及び長の選挙におきまして、候補者運動用として使用を認められるのは、拡声機一そろいだけに限られ、全く実情に即していない、そこで、この際一般市の場合と同様に、自動車または船舶使用が認められるように法律を改正されたいというのであります。これに対し、われわれは、少くとも町村長選挙については、小型自動車一台くらいは認める必要があるように感じたのでありまして、この点も、さらに研究しなければならないと思うのであります。  以上のほか、別に詳細な文書報告を用意しておりまするから、委員長におきまして、前例により、委員会議事録にこれが登載方お取り計らい下さるようにお願いいたします。
  11. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、最後に、宮城、岩手両県へ派遣されました第三班にお願いいたします。
  12. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私は、一月十一日から六日間にわたりまして、占部秀男委員とともに、岩手、宮城両県下に調査に参ったのであります。ここでは、若干感想を交えて二、三の点について御報告申し上げ、別に計数を含めて文書の形式に取りまとめたものを委員長の手元まで提出いたしますので、適当にお取り計らいを願いたいと存じます。  まず、岩手、宮城県の財政事情でございますが、両県とも財政的には恵まれず、そして両県ともに財政再建団体に指定されているのであります。東北地方は、現在いわゆる後進地域ということで、未開発あるいは立地条件の不利が問題となっており、この種の経済的な悪条件が明らかに府県財政を通してうかがわれのでございます。二十九年度に例を取りますと、岩手県の税収は十億円、交付税は二十六億円内外、宮域県のごとき東北では、比較的恵まれている県といわれておりますものでありましても、税収は十六億円、交付税は二十五億円で、一般財源、すなわち税収入、地方譲与税と地方交付税の合計額の中で占める税収入の割合は、岩手県二七%、宮城県は三六%であります。全国府県平均六二%に比べますと、岩手県のごときは、全府県中最下位に位するのであります。  さらに、端的に申しますと、たとえば昭和二十七年度の府県歳入歳出は、人口一人当り全国平均五千七百円、税収は一千七百円でありますが、歳出については、岩手県六千百円、宮城県五千六百円となっておりますが、税収入は、人口一人当り、岩手県八百円、宮城県同じく八百円程度ということで、全国平均の二分の一にすぎないのであります。以上の数字は、自治庁調べのものによったのであります。  岩手県の財政は、二十七年度に歳入不足を生じて以来、いわゆる赤字は逐年累増の一途をたどり、昭和二十九年度に至って、歳入不足二億六千三百万円、別に、事業繰り越し、支払い繰り延べ五千九百万円となり、三億二千二百万円の実質赤字を生じたのであります。しかし、三十年度の決算は、歳入九十九億七千三百万円、歳出百一億三千百万円となっており、歳入不足は一億五千八百万円でありまして、事業繰越分等を差し引き、単年度五千三百万円の純黒字となっていることは、注目すべきことであります。このように、三十年度において赤字額を減少していることは、三十年度末、地方財政に関する特別措置法により、一般財源が追加されたことも関係していますが、岩手県の採用した思い切った経費の節減、すなわち投資的経費の抑制、人件費、物件費の節減に負うところ多いことに注意すべきであろうと思います。県提出の数字によりますと、岩手県における義務的経費の所要額と使用一般財源とを比較し、その差額を求めますと、二十九年度は義務的経費五十七億、これに充当した一般財源は三十五億でありまして、一般財源総額三十九億の大部分を占め、残りはわずかに約四億円にすぎない状態であります。同様にして、三十年度は、義務的経費六十二億、これに充当せる一般財源は三十八億でありまして、一般財源総額四十三億、残りは五億であります。同様にして、三十一年度は、決算見込みでありますが、義務的経費六十五億に対し、これに充当せる一般財源は三十九億でありまして、一般財源総額四十七億、残り八億が義務的経費以外の経費に充てられたるいわゆる自由財源となっております。ここで義務的経費の中に含めておりますのは、人件費、生活保護費、児童福祉措置費、結核予防法に基く公費負担、共済組合交付金、互助会補助、公債費でありまして、これで見ると、岩手県の財政は、義務的経費に充当せる残余の一般財源が漸次増加を示しており、国の財源措置も、望ましき方向に向いつつあるがごとく見えるのでありますが、ただ、この数字そのものから直ちに楽観的の結論を出すことは、いささか早計と思われるのであります。いま、その内容の一端に触れてみるに、すなわち交付税について申しますと、二十九年度二十六億五千一百万円、三十年度二十七億八千五百万円、三十一年度三十二億五千万円となり、三十一年度は、未開発地域の態容補正による増加が大きいのであり、また同時に、思い切った経費の節減としては、単独の事業は特定財源によってまかなうこととし、その総額は二億で、うち一般財源充当額はわずかに二千四百万円であり、その金額においても、また、充当一般財源の額においても、全国最低の部類に入ると思われるのであります。しかも、県当局説明によれば、事務的経費において、三十年度中昇給の延伸等で、人件費の節減九千五百万円、その他約五千万円、計一億四、五千万円を節約したとのことであり、部局の整理のごときも、三十年度中、本庁九部一局三十五課を五部一局三十二課に改めているのであります。  なお、岩手県の財政再建計画については、後に、宮城県のそれと合わせて、簡単に触れることにしたいと思います。  宮城県も、同じく三十一年度より財政再建団体となっておりますが、財政事情は、岩手県よりもさらに悪いように思われます。宮城県の三十年度の決算は、歳入百十六億五千五百万円、歳出百二十九億九千六百万円、差引不足額十三億四千百万円これは、繰上充用となっております。実質赤字の額は、二十七年度二億八千六百万円、二十八年度九億七千八百万円、二十九年度十四億三千六百万円、三十年度十四億一千二百万円となっているのであります。宮城県も、二十九年度以降、極力予算の節減、合理化に努め、見るべきものがあるようでありますが、税収の伸びが少く、特に交付税法上の計算について、不利な地位に置かれていることを県当局は強調しているようであります。つまり、税収入の伸びが思うにまかせず、税収は十七、八億内外ということで落ち着いているのに対し、未開発地域の態容補正による財政需要の増額がほとんど認められないというのであります。地方交付税は、二十九年度二十五億、三十年度三十一億、三十一年度三十一億となっております。岩手県が三十一年度において急激に相当の増加を見たのとは異なっているのであります。税収は、二十九年度十五億五千三百万円、三十年度十七億七千五百万円、三十一年度十八億九千八百万円であります。従って、一般財源と義務的経費との比較を見ましても、財政内容は一こうによくなっていないこともわかるのでありまして、二十九年度は、一般財源総額四十三億のうち、義務的経費充当所要額三十九億で、残り四億、三十年度は、一般財源総額五十億のうち、義務的経費充当所要額四十七億で、残り三億、三十一年度は、同じく五十三億のうち五十一億で、残りのいわゆる自由財源はわずかに二億というように、財政の余裕は漸減しているのであります。ここで申し上げた一般財源は県税、地方交付税、入場譲与税の合計額、義務費は人件費、公債費の合計額で、県提出の数字によったものでありますが、逐年財政困難を加えている主たる原因は、人件費、公債費増加にあると思われるのであります。簡単に、その数字だけ申し上げますと、人件費は年々三、四億の増加であり、公債費は、二十九年度五億一千八百万円、三十年度八億七千九百万円、三十一年度九億七千五百万円となっております。自治庁調べによりますと、公債の三十一年度元利償還費の一般財源に対する比率は、全国平均一一%、宮城県一七%であり、また、標準税収入に対する比率は、全国平均一七%に対し、宮城県は四〇%に達しており、全国中、公債費の重圧が最もはなはだしい府県の一つと思われるのであります。  次に、財政再建計画についてでありますが、両県ともに、歳出面においては、その抑制及び節減、行政事務の合理化と簡素化、歳入面においては、増収を確保するということをその根幹としていることは、他の府県と同様であります。ただ、二、三注目すべき点を申し述べます。  岩手県は、再建債三億で、計画期間五ヵ年間、宮城県は、十三億三千万円で、計画期間九ヵ年間ということになっております。いずれも二十九年度赤字額を基礎として借入額を決定したものであります。そして再建計画内容は、三十一年度当初予算の内容を基準として策定されていますので、住民福祉の確保を目的とすべき府県の財政計画としては、相当無理な点がうかがわれるのであります。一例をあげれば、極端なる単独事業投資事業の圧縮等のごとき、また、長期間における昇給昇格の人件費の抑制のごときは、県政の長期計画としては、当然問題とさるべきであると思います。以上のほか、岩手県においては、三十二年度より、県民税、事業税、不動産取得税、自動車税については二割、家畜税については一割の増徴を行い、計一億五千万円の増収を期する計画でありますが、国税が減税の方向にある際、かつ節約の強行によるものとはいえ、収支決算上、すでに相当改善が見られている際、地方税二割の増徴計画は、いろいろな問題があると思います。  次に、市町村財政事情でありますが、まず、岩手県について申し上げます。  三十年度の決算額は、歳入六十八億二千五百万円、歳出七十四億八千百万円、差引不足額六億五千六百万円でありますが、事業繰越、支払繰延額を合算したいわゆる実質的赤字は八億七千一百万円であります。これは、前年度に比べて、六千八百万円の増加を示しております。しかして、総数六十九市町村の約四〇・五%に当る二十八市町村赤字団体で、前年度に比べますと、十二市町村を減少しており、そのうち再建法の適用を申し出た団体は八市三町あり、五億一千三百万円の再建債を起し、かつ、三十年度における単年度赤字を含めた六億五千一百万円の赤字を三ヵ年ないし十ヵ年計画で解消しようと努めております。赤字団体のうち二市七町村は、自主再建計画を策定いたしており、二ヵ年から五ヵ年の計画によって、三億四千八百万円の赤字の解消を期してあります。  宮城県の市町村の三十年度決算は、歳入七十六億一千七百万円、歳出八十一億九千二百万円、差引不足額五億七千五百万円でありますが、いわゆる実質的赤字は九億三千四百万円でありまして、前年度に比べますと、一千五百万円ばかり増加しております。赤字団体数は、五十五市町村となっております。そのうち再建法の適用を受けている団体は、石巻市を初めとする五市十五町村でありまして、残りの三十五団体は、自主再建を目ざしております。現在のところ、赤字の解消は、計画通り実施されていると言ってよいようであります。  町村合併は、自治庁調べ全国平均進捗率は、国の合併基本計画に対して九八%、都道府県の合併計画に対して八九%、岩手県の進捗率は、国の計画に対しては一〇七・四%、県の計画に対しましては九六・四%となっております。宮城県では、国の計画に対して一〇六・八%、県の計画に対しては八六・五%となっております。岩手県では、三十二年一月一日現在で、従来の五市二百十六町村は十一市五十八町村に統合、宮城県では、三十一年九月三十日現在で、従来の五市百八十二町村が六市七十三町村に統合されたのであります。  未合併町村については、建設促進審議会の意見を徴し、あるいは内閣総理大臣と協議する等のことをいたしまして、両県ともに進行中のようであります。ただ、この際十分に地元の希望を参酌し、強制にならぬよう留意する必要もあろうかと思います。  市町村は数も多く、その行財政内容も千差万別でありますので、詳細は文書による報告に譲り、ここでは、財政再建、新市町村建設等を通じて、現地の責任者より述べられた希望の条項を御紹介しておくことにとどめたいと思います。  まず、行財政一般については、一、すみやかに地方公務員の停年制を実施すること。一、町村議会に事務局専任職員を置くよう自治法を改正されたい。一、積雪寒冷による生活費、事業費増加に対し、所得税法上特別控除制を設けられたい。一、貧弱団体と富裕団体間、特に都市と農村の偏在財源を調整されたい。一、未開発地域の補正を市町村に対しても行われたい。一、起債の許可を自治庁大蔵省一本化されたい。一、地方債の利子補給が望ましい。一、失対事業は、補助を増額しても起債は押えられることとなっているが、これを改められたい。一、簡易水道については、国庫補助四分の一を大幅に引き上げられたい。一、補助金は、十二月に入って交付されるものもあり、適正化法は、寒冷地では不可能な事業の適正執行をしいることとなる場合がある。一、農業共済は、市町村行政事務に改める方が補助金を効率的に使用することになるから、改められたい。  次に、財政再建については、一、再建団体につき投資的経費の押え方、上水道、国民健康保険への一般会計よりの繰り入れを制限するやり方は無理であるから考慮されたい。一、再建承認後、再建債を許されるまでの間の利子補給をされたい。  また、新市町村建設については、国の財源措置の確保と、関係各省の一体化を中心として、諸種の希望意見が出されたのであります。  なお、岩手、宮城の両県からも要望意見が出ましたが、その内容は、全国知事会のものと同一でありますので、ここには省略いたします。  以上、概要を御報告申し上げます。
  13. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいまの各般の報告につきまして、派遣委員または政府に対して御質疑のおありの方は、この際御発言願います。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 大臣は今……。
  15. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 大臣は今、衆議院の委員会に出ておりますが、向うのあいさつが済んだら、すぐにこちらへ来ることになっておりますから、大臣に対する質疑を保留して、派遣委員に対する質疑はいかがでしょうか。ありましたら、御発言願います。
  16. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 小林委員の御報告、非常に興味をもって承わったのですが、財政再建計画が長期にわたっているので、その計画の中において、実際を見てみると、考慮せんならぬ問題が現実に起っているというような、そういう御報告があったようですが、事実そうだろうと私も思うのですが、おいでになりましたところで、感じられたというか、見られた点は、どういう点が具体的にはお感じになりましたのか。もう少しそういう点を御報告願いたいと思います。
  17. 小林武治

    小林武治君 今の財政再建計画というものは、非常に平面的というか、全然弾力性がない、要するに、現在だけの事情を基礎にして、それがそのまま七年も続くものとして一切の計画ができておる。従って、何かちょっとした事故でもあるともうすぐに動かなくなる。こういうことであります。たとえば、経費につきましても、投資的経費等についても、全く将来のいわゆる計画というものがなくて、今の延長ですべてやっている。こういうことが見られたのでありまして、私どもの希望としては、どんな事業も、七年にもわたって、一種の固定したような格好に置いていくということは全く実情に合わない。従って、ちょっとした事故が起きると、すぐに計画全体が働かなくなる、こういう心配があります。ですから、一番大事な仕事は、投資的経費なんかの関係でありますが、これらについても、たとえば、多少の予備費的な項目でもあれば動きがつく、また昇給昇格等についても、全然予算がとっていない、こういうことでは、私はこの計画は実行不能である。それで、自然増収でもあったら昇給に充ててもよかろうという、初めから昇給原資が全然載っておらぬ。こういうふうなことでは、私は、実行不能の机上計画を作っておるに過ぎない、こういう感じであります。
  18. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 これは、政府の方にも聞いてもいいのですか。それとも委員だけですか。
  19. 本多市郎

    委員長本多市郎君) よろしぅございます。
  20. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 それでは、その点につきまして、いまもう少し具体的な例が出た方がいいかと思うのですが、今、二、三言われましたような問題については、自治庁の方で相当考慮しておられるのですか。そういう点について御説明願いたいと思います。
  21. 加藤精三

    政府委員加藤精三君) 御質問を十分承わることができなかったので、一つ説明員から説明させます。
  22. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 再建計画におきまして、今お話のございましたような点は確かにございます。ただ、現行制度を建前にいたしまして、歳入を見積ります場合にも、それを基礎にいたしましてしか、現在のところとしましては、どれだけの伸びが将来見込み得るかということは確実に捕捉できませんので、翌年度については、一応自然増収も考えておりますが、それ以降のものについては、自然増収というものを見込むといいますか、科学的なといいますか、合理的な基準がないわけであります。ただ、経済六ヵ年計画というものは、そういうものは経済企画庁あたりでできておるようでございますが、個々の段階において、それがどのように変化するかということは、すぐには見通しが立ちませんので、現在の見通しの上に立った収入を一応の基礎とする。その場合に歳出につきましては、おのずからその点で歳出においても規制を受けるような格好に相なります。従いまして、お話の通りでございまして、そういう意味での歳入が非常に乏しい団体におきましては、たとえば人件費におきまして、初年度は昇給財源をできる限り見ておりますが、後年度においては見るわけにはいかないというところが出て参るわけであります。それから、事業投資的経費におきましても、その初年度と同じ程度、あるいはそれ以降において公債費等が伸びますので、それを一応投資的経費等で圧縮を加えられることはやむを得ないことでありますが、一応そういう範囲で見ております。ただ、現在までに計画の変更をいたしておりまして、大多数の地方団体におきましては、三十一年度には相当収入が伸びておりますので、それに応じまして、昇給財源に足りないところはそれを見ましたり、あるいは事業費の復活といいますか、それを現実に合うように調整を次第にいたしまして、現実の姿に合うようには、大体においてなってきておるような次第であります。
  23. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 一応よろしいです。
  24. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 この場合、私どもが視察した結果にかんがみまして、政府当局に対して伺ってみたいと思います。  奄美大島状況は、先ほど報告いたしました通り、実に、私どもは行って、その社会生活の状況を非常に気の毒に感じた次第であります。この状況は、単に行政が分離しておった時代に遅れたというのでなく、おそらく明治以来、あるいはもっと前からこういう状況にあったのではないかと思われるのであります。この点につきまして、懇談会の席上で、県会議員初め公職の者等に質問したのでありますが、その諸君の意見も、結局鹿児島県における自分らの発言権が弱かったということを言っておりましたが、しかし要するに、これは、政治なり行政が長い聞きわめて奄美大島については不適切であったということを物語るものであろうと思うのであります。教育施設のごときは、先ほども申しましたが、今なお、四十校も堀立小屋でやっておるということは、教育問題じゃなく、人道問題と見て、公憤を感じた次第であります。  それから産業につきましても、たとえば米のごときは、二度作ではありますが、一石三斗ないし一石というような、実に貧弱な状況であります。しかも、それに対しては、堆肥もほとんどやっておりません。肥料は最近使っておりますが、土質の関係上不適切であるというようなことで、あまりやらないというようなことを言っておりますし、また、産業の、農業のおもなるものである黒糖の栽培についても、黒糖は将来どうなる見込みだと聞いてもわかりませんから、政府で買ってもらわなければいかん、こういうような状況でございます。また農村は、ほとんど中堅階級とか中等社会というものがないように思われたのであります。こういうような状況を勘案いたしまするというと、奄美大島地方行政については、根本的に私は考え直す必要が迫っておるのではないかと思われるのであります。これにつきましては、まず第一に、行政機構について考える必要があると思うのでありまして、すべてあの地方の標準は、鹿児島県の中位に達することを一応のめどとしておるようでありますが、そう言ってはあるいは語弊があるかもしれませんが、鹿児島県自体が日本の富裕県という所ではないのでありまするから、その中以下にも達しないということで、きゅうきゅうやっておるということは、よほど考えなければならぬことでないかと思うのであります。私は、北海道の実例を調査したことがありまするが、北海道は、開拓時代には非常に開発が発達して、その後大急ぎに三県を置いて——函館、札幌、根室の三県を置いて、内地並み行政をやって失敗したので、北海道庁を置いたのでありまするが、そういう実例を考えてみましても、この点は大いに考えなければならぬと思うのであります。予算を執行することも、あの地方の農繁期に初めてやり出すのであって、どうしても予算の消化がおくれるというようなことを言っておりまするし、また、たとえば、農事試験場について考えてみましても、最近に至って、台風に耐え得る黒糖を試験しております。すなわち、初め台湾のものを使っておったそうでありまするが、台風に弱いというので、今度インドのサトウキビを試験しておりました。これこそ私は、もう神武以来、あるいはもっとその前から台風は吹いておったと思うのですが、こういうことは、実に、私は簡単に考えることはできない問題だと思うんです。まあ生産のごときも、戦前にはかなりあったということでありますが、それもおそらくは大したことはないんじゃないかと思うんです。私も、長崎の離島をかなりよく回りましたが、それに比べると、かなり雲泥の差があるのであります。そういうような状況でありまするから、試験等についても考える必要がある。これは、鹿児島県の分場になっておりまして、幸いこの島は、人事権だけは試験場にゆだねられております。試験の対象は、本場から指示があるのではないかと思うのでありますが、地方に適切な試験をするということは非常に必要である。水産等につきましても、近いところに漁場があるにかかわらず、漁撈の指導というようなことについては、あまり考えていないんじゃないかと思うのでありまして、行ってみまするというと、真珠の養殖をやっております。これは非常にけっこうなことですが、その真珠も特殊の真珠であって、特殊の用途しかないんじゃないか、かように考えられるのであって、要するに、試験も土地状況にぴったり合ってない情勢でございます。こういうようなことを考えてみまするというと、どうしても地方の行政機構等についても、相当考える必要があるのではないかと思われるのであります。また、産業の根本をなす産業教育については、ほとんどこれというものを見ることができません。かって農学校があったそうでありまするが、その農学校の卒業生、百八十七人出ておりましたが、そのうち郡内にとどまっておる者わずかに十三人、あとは全部台湾、朝鮮に行っております。いわゆる中等程度の農学校においてすでにしかりでありまするから、それ以上の人が地方におって、そうして地方の開発に従事するというようなことは、とうてい望まれないことではないかと思うのであります。しかし、そんならば、その郡民が非常に能力において劣っておるかというと、私は、むしろ反対であって、非常な優秀な郡民であるということを認めておるのでありまして、われわれは、当郡出身の人で優秀な人が非常に多いことを知っておりまするし、竜郷村のある部落のごときは、わずか八十戸の戸数のうちに、博十八人を出しておるような状況であります。また、たとえば、あの大島つむぎにしても、三百年の伝統をもって粒々辛苦の結果、文化財ともいうべきものを作り上げたのでありまするから、私は、郡民においては実に優秀なものといってよかろうと思うのであります。かような状況でありまするから、これは、この際その開発のために、根本的に考える必要があるのではないかと思います。今日、ちょうど五ヵ年計画実施して三年目になっておりまするが、あの状況では、はなはだ前途心ぼそいのでありまして、私は、もちろんこの計画を遂行することも要望しますが、さらに、この行政分離中におけるおくれておるのを取りかえすというような考えではなく、すなわち復興であるとか、復旧というような考えでなく、根本的に開発計画をここに立てるということが非常に必要ではないかと思うのであります。ことに、今日、先ほども申しましたように、亜熱帯の資源というものは、日本には乏しくなったのでありまするから、将来沖繩の返還等も考えまして、ここに亜熱帯の資源の開発のために、まず先がけとして、本島開発に手を伸べることが国策としても必要ではないかと思うのでありまするが、しかし、また、向うに行きまして、実際の郡民の生活を見まするというと、もうこれは、単に経済とか、そういうような問題でなく、人道問題とすらも考えるくらいなのでありまして、われわれの同胞のうちにあんな生活をしておるものがあるかと思うと、涙ぐましく感ずるのでありますから、この際、政府といたしましては、ちょうどこの五ヵ年計画についても、再検討する時期に際会しておるように思われますので、この機会に、根本的の亜熱帯の資源の開発のために、十分に調査研究をして、実施せられんことが望ましいのでありまするが、これにつきまして、政府の御所見を承わりたいと思います。
  25. 加藤精三

    政府委員加藤精三君) ただいま、奄美大島振興について、御意見と御質問を承わりましたのでございますが、小柳先生は、国内行政地方行政の深い御体験をお持ちでございまして、ただいま承わりました一言一句、私たちの肺腑をえぐるものがあるのでございまして、私も、偶然にも奄美大島振興法の審議に従事し、各常任委員会と折衝して、あの法案をまとめ上げたときの関係者でございまして、亜熱帯振興等を含めまして、非常な意気込みであの振興法を通過させたのでございますが、その後の進捗度が、ただいま承わりますると、まだ、事務当局から聞きましても、思うようでないようでございます。で、ここに少しく行政の観点をかえて、もうちょっと別の視野からも再検討してみたらどうかという御意見でございます。まことにごもっともな御意見と存じます。十分政府の方でも調査研究いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと存ずる次第でございます。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 今のに関連する問題でありますが、振興法が御承知のようにできているわけでございまして、たしか百五十五億だと思いましたが、あれは五ヵ年間の期限が切ってあったと思います。もう三年すぎているわけでありますが、今度の予算などを見ましても、聞くところによりますと、自治庁が望んでおったような、所期の金額というものに達しておらないということを承わっているわけでございます。一応法律できめておって、予算がこれに伴わないということでは、非常に不合理な感じがするのですけれども、この点、将来どういうふうにしようというお考えですか、部長でもけっこうでございますから。
  27. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 御指摘がございましたように、当初五ヵ年計画として樹立をいたしました奄美群島復興計画におきましては、総事業費が約百五十二億でございまして、そのうち国庫に期待をいたしておりまする額が百十一億、このような数字に相なっておったような次第でございます。ただ、従来まで、三年度にわたりまして復興事業計画進捗せしめて参ったのでございまするが、国庫財政等の関係もございまして、われわれの期待通りよりははるかに進んでおらないというのが実情でございます。すなわち、三十一年度までの三年度における実績を見ますると、これは、加瀬委員も直接ごらんになりまして、われわれよりもお詳しいかと存じまするが、事業費といたしまして約五十五億、国庫といたしまして三十億程度でございまして、三分の一をちょっとこえた程度進捗しか示しておらないという状況に相なっているのでございます。三十二年度、すなわち、復興計画事業の第四年度に当ります来年度におきまして、われわれ事務当局といたしましても、予算折衝にかなりの努力をいたしたのでございますが、その結果は、前年比一億増の十二億二千万円という国庫の支出を得たということに相なるのでございます。これは、予算審議の経過においてどうなるか存じませんが、政府提案といたしましては、今載っておりまするのが十二億二千万円という数字に相なっているのでございます。全体から見まして、この程度では、復興計画の完遂ということを期しまするためには、きわめて貧弱な予算であるというふうに言わざるを得ないのでございます。そこで、復興計画自体が、御承知のように、五年に相なっているのであります。従いまして、その計画で参りますると、三十三年度一ぱいで一応切れるわけでございます。しかし、現在のような事業進捗状況におきましては、とうていあとの残事業というものを一ヵ年度に集中してやるということは、これは、事業の消化能力その他から考えましても、とうていできがたい状況であると思うのであります。この点につきましては、ちょうど奄美群島復興特別措置法、この法律が三十六年の三月三十一日までの時限法に相なっておりまして、復興計画との間に二年のズレがございますので、二年間さらに延長して、特別措置法自体は継続していくということに相なっているのでございます。現在、私の方からも、振興課長を現地派遣いたしておりまして、つぶさに地元事業進捗状況その他地元官民の意向、鹿児島県当局の意向等につきましても、いろいろ協議して参る予定になっておりまして、この報告も徴し、なお、先刻御報告がございました、非常に精細にわたる、また、貴重な御意見というものも十分参酌をいたしまして、今後のやり方というものについて、どういうふうな措置をとっていくか、ただ単に、二ヵ年間事業年度を延長するということで足るのかという点につきましても、先刻小柳委員からもお述べになりました、根本的な奄美群島復興あるいは開発というような観点から総合的に考慮をいたしまして、これらの点について十分慎重に考慮をして参りたい、かように考えておる次第であります。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 部長さんは新しく御就任になったわけでありますから、部長さんを責めるわけではありませんが、とにかく振興法ができて、予算が盛られて、二分の一以上経過して、今さら振興課長を派遣して、いろいろ調査をして、新しく何か案を立て変える、こういうことでは、話の筋は私は通らないと思う。たとえば、先ほどの報告にもありましたように、経済復興といいますか、経済の振興といいますか、こういうふうな形の計画を立てていかなければならないと思うのです。あそこは、たとえば三つの大きな産業として、黒糖とかつむぎとかカツオぶしとかいうものがあるわけです。それらはいずれも、自治庁だけでは計画の立たないもので、農林省とかその他のいろいろの関係省に技術的な指導を仰がなければならないと思う。そういうふうな点で、他省との連絡、あるいは助力といいますか、こういうことで、事務的な何か進捗を今しておるのか。
  29. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) お話がございましたように、奄美群島復興関係は、自治庁で総括的に予算関係等は主管をしておるのでありますが、これは、事業内容が各省にわたっておりますることは御指摘の通りでございます。それぞれ関係の各省に直接関連のある事業につきましては、それぞれの各省の指導事務組織を通じまして、この仕事を進捗せしめておるのでございます。さらに、総合的に調整をとる点につきましては、政府に奄美群島復興審議会というのがございまして、ここには、学識経験者のほかに、各省の事務当局も御参加を願っておりまして、ここで総合的な連絡調整をはかりつつ、それぞれの所管事務につきましては、各省の指導を通じて円滑に事務が執行できるように措置をいたしておるような次第であります。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、具体的にその審議会委員の方が何回現地調査をしたか、あるいは自治庁なり、その他の役所が、技術的指導の基礎をとるためでもいい、技術者を何回調査派遣したか、それらの点、どうですか。
  31. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 奄美群島の復帰以後、立法措置その他復興計画の樹立等に当りまして、政府といたしまして、各省関係からいろいろ現地調査その他をやっております。また、奄美群島復興審議会の審議委員方々につきましても、現地にお出向きをいただきましていろいろ調査を願い、また、御意見を承わっておる次第でありますが、ただいまお尋ねのございました、この仕事が始まりましてから、何回どういう人が行ったかということは、ちょっと私は、今手元に資料を持っておりません。この点につきましては、後刻取り調べまして、御報告を申し上げたいと思います。
  32. 加瀬完

    加瀬完君 私がそういうことを伺いますのは、技術者が行き、あるいは担当の事務の方が行ったとすれば、たとえば、経済団体である農業団体などは、ほとんど協同組合ができておりません。問題の黒糖などにいたしましても、工場設備なんかをしようと思いましても、農業中金ですか、こういうところからは資金を仰ぐことができない、いろいろの不備が、われわれ専門外の者が行っても気づくようなことすらも措置がされておらない、こういう点もあります。あるいは、先ほどの御報告にもありましたように、 ハブによって傷を受ける者といいますか、ハブの咬傷が二百名に上る。そのうちの十二、三名は死亡し、二十五、六名はかたわになっておる。ところが、無医村の問題はさっぱり解決されておらない。それでは、医者を島に呼ぶ対策があるかと申しますと、結局給与関係というものが、特別僻地手当といったものが具体的に考えられておりませんから、生活環境は著しくマイナスの条件が多い中に、さらに給料が低くなってくるという場合には、お医者さんを呼ぶ場合に非常に支障がある。こういった問題を解決しなければならないといったようなことも、これはことし始ったことではない。しかし、少しも手を打たれておらない。こういう問題は、しかし、中央官庁の者がだれか行けば直ちに解決できると思う。そういう問題がもう復帰後数年以上たっておるのに放置されておる。こういう具体的な問題を現地で訴えられますと、もう、奄美大島振興法というものをお前らは作っても、奄美大島振興の具体的な行政は何もやっておらないじゃないかと言われれば一言もないのです。こういうようなことを訴えられますから、私どもは現地方々の御意見も皆様方にお願いをするわけです。こういった点で、もっと、鹿児島県庁に任せっぱなしでなくて、国がこれだけの予算をつぎ込むのですから、自治庁そのものが中心になって、振興計画というものを推進をしていただかなければならないと思う。この点、今私が申し上げたような点、あるいは小柳委員からいろいろ御指摘があった点も、具体的に自治庁として御責任のある措置をおとりいただきたいと存じます。  大臣がいらっしゃいましたので、その他の点を伺いたいのでありますが、先ほども小林委員の御報告に対しまして、再建計画の問題が他の委員から御質疑があったわけでありますが、小林委員の御指摘の通り、あるいは他の委員の御質問の通り再建計画というものには相当無理があるということは、これは自治庁自体がお認めになっておることだと思う。そこで、若干、三十一年度から比べれば、三十二年度は財政的にふくらみもできるじゃないか、そこで、地方団体はこの際、自治庁の言葉をかりて言うならば、最低の行政水準すら切っておるような状態だから、せめて最低の行政水準を維持できるところまでは引き上げたい、それには、ある程度再建計画をゆるめてもらわなければならないといったようなことが、これまた地方の全体の声だと思う。これらについて、大臣はどのようなお考えで再建団体にお臨みになられるということになりますか。
  33. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) ごもっともなお尋ねでございますが、この赤字再建の団体は、御承知の通り、従来は非常に事業の圧縮をなさしめまして、まあ税収の増大計画経費の節減計画、こういうような意味で、圧縮をしてきた結果になっております。しかし、お言葉の通り、新年度、三十二年度は、相当程度の増収も見込まれておることでございますし、ごく、一%だけではあるけれども、交付税の引上げも行われておる。それから、交付税の引上げではございませんけれども、かりにこれを交付税の引上げの場合に準じじて考えてみると、交付税は一%引上げられたが、一・四%程度の財源が補正予算において確保されておる。これは、特にことし使わずに、来年度、三十二年度においてこれを使う、その使い道は、公債費解決の第一歩としてこれを使っていこうというふうになっておりますので、いきおいこれらの事柄を総合して参りますと、相当程度行政水準は、最低の確保から少し上回る程度行政水準の引上げというべき言葉で表明される程度のことがあるいはやれるのではないかと、こういうふうに考えられるときでございますので、お言葉のように、この再建計画自体は、あまりこれを鉄の鎖で締めつけないで、一がいには申せませんが、個個の地方地方の御事情というものをよく勘案いたしました上で、ゆるめてよいと考えられるところはこれをゆるめまして、そして活発な、明るい気分で事業を興していってもらいたい。こういうふうに方針としてはやっていく考えでございます。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、再建法の目的でありますところの経費の節減が一番しわが寄って参りましたところは、やはり給与費という形になっておると思うのです。で、給与費でさらに中心になりましたのは教職員の定員、あるいは教職員全体の給与費という形になっておると思う。文部省あたりでは、一応、たとえば義務教育職員などには、政令で定員をきめてあるわけです。ところが、再建団体は、これをはるかに切って、一応の再建団体としての節減計画に伴う定員というものをそれぞれきめてあるわけです。それぞれ県々には特色がありますから、たとえば長野県のように、教育県というふうな銘を打ってやって参りましたところは、再建計画だけで非常にその定員を強行されますと、地方の反駁も大きいわけです。長野だけでなく、それぞれ非常に教育関係には関心の深い折でもございますから、この点を、再建計画がある程度ゆるめられるというならば、文部省の政令ぐらいにゆるめられるということは、当然考えられるのじゃないかということを一般に考えておるわけです。で、若干ゆるむということでありますが、たとえば教員の定員などの場合ならば、文部省できめられた政令ぐらいまではお認めになるということなのか。それから、あるいはその他、法律できめられている三級補助教員などというものもあります。これは、ワク外にしておるところと、定員の中に入れておるところと、府県によって違います。これは、ワク外にしてあることが当然法律の趣旨でありますから、それは一体定員の外に出して計算をするということが許されるのか。こういう具体的な問題については大臣のお言葉ですと、大体一応また、法律によってきめておられる精神でもありますから、ゆるめられるものだと考えてよろしいと思いますが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  35. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 今のお話の段階になりますと、大へんそのお話が具体的でもあり、個々の場合の府県にも関係を持って参りますから、大体この給与費……先ほども私が申しました、明るい気分で、大いに事業をできる限り興したいということは、一般事業関係を申し上げたわけでありますから、理屈は同じでございますが、特にこの給与関係で異なっております点は、同じ給与の単価が高いと申しましても、県によって違うということが非常な特色でございますね。それから、この人員の過剰という問題も、非常に過剰なところもございますし、比較的にまあ平均の職員あるいは教員を持っておるという場合もございますし、県々によって事情が非常に違うという点がむずかしいわけでございます。従って、一がいに文部省のきめておりまする基準程度までは、これは緩和の策を講ずる考えであると、こういうふうにお答えを申し上げることは、非常に誤解も招くことかとも存じますので、その県その県の具体的な場合に応じまして、その事情をよく勘案いたしました上で処置をしていきたいと……。ただ、この一つの大方針としまして、申し上げておかなきゃならぬと考えます点は、せっかく赤字再建法によりまして再建計画が立って、それで苦心をして、まだ今後数年間これをやってくれということで苦心をしておるときに、若干の増収もあり、国から回る金も多少豊かになってくるという事情も突然来たと、こういう事情があり、そこで、当然増収があり、国の支出金がいささかふえてくるというようなことにウエートを置きまして、再建計画緩和をいたします結果、肝心のこの赤字再建計画というものに大へんな思い違いが参りまして、再建計画の目的に沿わないような、いわば再建計画を破壊するような、そういう効果が参りますおそれがあるような場合においては、これは一つ、がんとしてがまんをしていただく措置を講ずる以外に道はない。再建計画が滞りなく予定の年度内において、期間内において滞りなく行われるというこの見通しの前提に立ちまして、その見通しの立つ限りにおいては、極力一つ事業もやってもらいたい。人員の点についても、整理のやり方というような点については考えていく、このことも考えていきたい、こういう意味でございます。
  36. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ちょっと御相談申し上げますが、加瀬委員の質問中ではありますけれども、この派遣委員報告に関する質疑でございますので、どうしても一般的な問題にわたる質疑は、次の適当な機会にやることにして、なるべく報告に直接関連した、その県その県の特殊状況についての御質問だけにとどめていただいて一般的なことにわたらなければならぬ質問は、次回にでも一つお願いしたいと思います。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 大臣は、私の質問をちょっと取り違えておると思いますから、一つはっきりさせていただきたいと思います。再建団体の現在の再計画には無理があるということは、自治庁自身がお認めになっておるわけなんです。小林委員が具体的に御視察の結果、やはりそういう点を御指摘になられた、それについての関連の質問なんです。そこで私が、今、御答弁はあとでけっこうですから、はっきりさせておきたいことは、結局それじゃ無理があるという点はどういう点かといったら、私が先に言ったような点が無理の一つじゃないか。そうすると、一応過剰にわたらないところの一つの基準の定員というのはどこに置くかといったら、文部省の一つの政令といったようなところに固まってくるのじゃないか。それらの点についてどう考えるかということなんです。これは、いろいろ詳しい数字のやりとりがありますと長引くから、あとでもけっこうですから、前提として、私は、自治庁が前から発表されておる再建計画そのものに無理があると率直にお認めになった、そこを前提に質問しておるわけです。再建計画が必要ないという前提に立って質問しておるわけではありませんから、それを一つ御確認を願いたいと思います。
  38. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、本件につきましては、この程度にいたします。  なお、各班の御報告中にありましたところの詳細の文書報告書は、これは本日の会議録の末尾に掲載いたすことにいたしまして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。
  40. 本多市郎

    委員長本多市郎君) この際、国家公安委員会委員長大久保留次郎君から、新任のごあいさつのため発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  41. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 私、大久保留次郎でございます。まことにふつつか者でございますから、よろしくお願いいたします。  私の方の法案は、まだ提案になっておりませんけれども、消防の方の関係の改正法律案が一件出ると思います。よろしくお願いいたします。     —————————————
  42. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは次に、少しく時間が経過しておりますけれども、せっかくきょうの日程ですから、いましばらくごしんぼうを願います。  今期国会における提出予定法律案に関する件。これを議題といたします。  まず、関係当局より説明を聴取いたします。佐久間自治庁長官官房総務参事官
  43. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 自治庁関係で、本国会提出を予定いたしております法律案の件名並びにその概要につきまして、ごく簡単に申し上げます。  第一は、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案でございます。これは、町村合併が進みました関係で、開票区が大きくなるわけでございますが、その関係で、開票経費増加をする、あるいは国家公務員のベース・アップに伴いまして、超過勤務の単価を引き上げるというような必要がございまするので、所要の改正を行おうとするものでございます。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案でございますが、これは、地方交付税が来年度相当増額をされまするのに関連いたしまして、単位費用、補正方法等算定方法につきまして、さらに合理化をはかろうとするものでございます。  次は、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例法律案でございます。これは、昭和三十一年度に交付すべき地方交付税の額のうち、具体的に申し上げますと、今回補正予算で約百億円ほど地方交付税を増額することになっております。そのうちから、年末に支給をいたしました〇・一五の分を控除いたしました残りを本年度は使用いたしませんで、翌年度に繰り越して使用をしようということでございます。その関係で、交付税法の特例を定めようというものでございます。  次は、地方財政法の一部を改正する法律案でございます。これは、国費、地方費の負担区分を現在地方財政法の十条以下の規定で定めておりますが、その一部につきまして、さらに検討いたしまして、若干訂正をしょう、改正をいたそうとするものでございます。  次は、公営事業金融公庫法案でございますが、これは、地方公共団体の公営事業を推進いたしますために、公営事業金融公庫設置いたしまして、公募債の合理的消化をはかろうというものでございます。  次は、地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案でございます。これは、地方財政再建促進特別措置法を施行いたしましたその後の経験にかんがみまして、たとえば、一部適用団体なり、昭和三十年度以降の赤字団体で、財政再建を行おうとするような団体につきましても、指定事業の規定を適用してはどうかというような御意見がございまするので、そういう点を検討いたしまして、所要の改正を行あうとするものでございます。  次は、地方税法の一部を改正する法律案でございます。これは、地方制度調査会あるいは臨時税制調査会から過般答申が出まして、検討をいたしておったのでございますが、大体そういう趣旨をしんしゃくいたしまして、住民税、事業税等につきまして、所要の改正を行おうとするものでございます。  次は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案でございます。これは、防衛庁、駐留軍等の所有する固定資産を交付金及び納付金の対象に加えてはどうか、いわゆる基地交付金というような名前で呼ばれているものでございますが、それを実施をいたしたい、そのための所要の改正を行おうとするものでございます。ただ、この内容につきましては、なお大蔵省と折衝いたしておりまして固まっておりません。  特別屯譲与税法案でございますが、これは、外航船舶に対しまして特別とん税が新設されることになりましたのに伴いまして、その収入を徴収地港湾所在の市町村に譲与することになりましたので、その関係の法令を設けたいというものでございます。  以上、申し上げました各法律案につきまして、準備の進捗状況を申し上げますと、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例法律案、地方税法の一部を改正する法律案。特別屯譲与税法案につきましては、本日の閣議で決定を見ましたので、数日中に国会に御提案できると思っております。そのほか、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、極力政府部内の意見の調整をいたしまして、なるべくすみやかに国会提出いたしたいと考えております。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案、公営事業金融公庫法案につきましては、二月下旬には閣議決定を経て、国会に提案できるようにいたしたいというつもりでおります。  国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案。地方財政法の一部を改正する法律案。地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、遅くも三月上旬には、閣議決定を経て国会に提案できるようにいたしたいということで、準備をいたしております。なお、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律案の一部を改正する法律案は、参議院先議でお願いをいたしたいというふうに考えております。
  44. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは、次に、石井警察庁長官
  45. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 警察庁長官の石井でございます。  警察庁といたしましては、本国会には特別御審議をいただく法案の提出を予定いたしておりません。かねがね当委員会の諸先生には、警察行政の全般に対しまして、御懇篤なる御指導と御叱正をいただいております。どうか今国会におきましても、従前通り、私どもに対して格別の御指導、御鞭撻をいただきますようお願い申し上げまして、ごあいさつにかえます。
  46. 本多市郎

    委員長本多市郎君) それでは次に、鈴木国家消防本部長
  47. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 国家消防本部といたしましては、消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部改正を提出いたしまして、御審議をお願いいたす予定でおります。すなわち、去る二十四国会で御決議をお願いいたしました消防団員等公務災害責任共済基金法は、消防団員の身分のある者だけを対象にいたしておりまするのでございますが、これに水防団員を加えたいということでございます。すなわち、非常勤務の水防団長及び水防団員についても、水防管理団体と基金とが契約を締結することによりまして、基金の支払いの対象となり得るように改正をお願いいたしたい、現在の予定は、三月上旬には国会提出いたしまして、御審議をお願いしたいと考えておる次第でございます。
  48. 本多市郎

    委員長本多市郎君) ただいまの説明について、御質疑がおありのことと存じますが、質疑は、次回に譲ることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 本多市郎

    委員長本多市郎君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十九分散会      —————・—————