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参考人(
松友孟君)
愛媛県の
総務部長の
松友孟でございます。本県の問題につきまして、大
へん御
心配をかけまして、恐縮に存ずるのでございますが、
委員長さんの御命令によりまして、現在に至るまでの
経過を
中心にいたしまして、県が考えており、かつ実行しておりますところの
昇給等の問題について、御
説明を申し上げたいと思います。
愛媛県の現在の
昇給制度は、県の
一般職員、
警察職員及び
教育職員にわたりまして、
地方公務員法第二十四条の
規定に基く
県条例によって行なっておるところでございますが、この
県条例の
内容といたしますのは、
一般府県の
県条例の
内容とほとんど同一のものであると考えておるのでございます。
この
条例によりまして、私
どもは、三十年度には、いわゆる
完全昇給というものをなし得たのでございますが、そのころから、
昇給問題について、
議会方面において、特に
成績主義というものを加味すべき
段階に来ておるのではないかというふうな御意見が盛んになって参ったのでございます。それはそれといたしまして、
県財政の状況は、
昭和三十年度末において、約四億五千万円の
赤字の累積を示しましたために、何とかしてこの
赤字を
解消して参りたいというふうな
考え方から、
地方財政再建促進特別措置法の適用を受けようと決意をいたしたのでございます。そこで、その
解消のめどといたしましては、法律の
規定にもあるのでございますが、
規定に基く計算をいたしました結果、ほぼ五年間というものを目標にしたのが妥当ではないかというふうなことに
なりまして、五年の
再建計画というものを立てて、
自治庁の御承認を得たのでございます。従いまして、私
どもは、
再建計画の
内容を忠実にできるだけ施行して参りたいというふうな
立場をとったのでございますが、そのためには、
歳出面におきまして、どうしてもある程度の規制を各年にわたってして参らなければならないのでございます。従いまして、
公共事業におきましても、県の
単独事業におきましても、
相当の節約をする
計画を立てておるのであります。
人件費におきましても、ある程度まで窮屈なことになって参らなければ、
赤字の
解消ができないというふうな羽目に陥ったのでございます。私
どもは、その間におきまして、
人員の問題については、強制的な整理というふうなものは考えたくない。
人員は新陳代謝によってのみ減員をはかっていくというふうな
方針を立てたわけであります。そういうふうなもとにおいて、いかにして
昇給財源を確保していくか、同時にまた、
人件費の
ワクを少しでも
制限をしていくというふうなことを考慮して参ったのでございます。そういうふうな
財政的な背景のもとにおきまして、
再建計画におきましては、
基本給の二%という
昇給財源を確保することができたのでございます。この
基本給の二形という
昇給財源は、これを年間に直しますと、
人員にいたしまして約五五、六%というふうな
昇給財源に当るのではないかと考えるのでございます。
そこで、問題に
なりましたのは、そういうふうに限られたる
昇給財源をもってして、いかにして
昇給を行なっていくかという問題でございます。そこで、
予算に制約があります場合に、いかなる
昇給方法をとったならばいいかということで、いろいろ
検討を重ねたのでございます。
一つの
方法といたしましては、
予算を按分するというふうな
考え方でございます。その按分をするという
立場に立ちますならば、現在の
給与条例を改訂いたしまして、
昇給差額というものをできるだけ縮めて参らなければならないということになるのでございますが、との
方法は、現在の
給与体系をいわば根本的に変えるというふう、なことに
なりますので、朝一夕の
作業ではとうていできないと考えられるのであります。さらにまた、この
やり方がいい
やり方とはとうてい考えられないのでございます。
その次に考えられます問題といたしましては、一律に
延伸をするという
方法でございますが、この
方法も長期にわたってはとり得ないのではないか。しかもまた、私
どもは、先に
議会方面からも強い要請がありましたし、私
どももまた
成績主義ということは、
給与条例の
建前からもとるべきではないかと考えております
方針にも合致しないために、以上の
方法をとることをやめにいたしたのであります。
次の
方法として考えられますのは、現在の
給与条例を維持し、かつまた現在の
給与体系を維持しながら、限られた
昇給財源で
昇給をはかっていくという
方法でございますが、この
方法を終局的にはとってみたいと考えたのでございます。
そこで問題に
なりますのは、限られた
財源でございますので、
財源を四月、七月分の
昇給人員にできるだけ
投入をして、そこで
昇給率を上げる
方法を考えていきたい、こういうふうに思ったのでございます。従いまして、十月以降につきましては、一
号延伸条例を考えて参りました。そういたしますと、十月以降の
昇給財源が不必要に
なりますから、先ほ
ども申しました
基本給の二%の
昇給財源を四月、七月に
全額投入をしていくというふうなことができることになったのでございます。そういう
意味におきまして、私
どもは、四月、七月を
中心にいたしまして足らない
昇給財源を伸ばして使い、この
昇給について
成績主義をとっていくというふうな
考え方になったのでございます。
次に、
成績主義の
昇給の
方法でございますが、それにつきましては、現在の
条例の
建前から申しましても、
勤務成績上位の者から
昇給をしていかなければならないと思うのでございます。そこで、
勤務成績の
上位の者から
昇給せしめるという
立場をとりました場合に、いかにして
上位と下位とを区別するかという問題が起ってくるのでございまして、この場合におきましては、やはり
勤務評定を考えて参らなければならないのではないかと存ずるのでございます。
愛媛県は、たしか
昭和二十五年だったと思いますが、二十五年ごろから
勤務評定をずっと続けておるのでございますが、その
勤務評定に若干
修正を加えまして、年に一回の
勤務評定を作ろう、そうしてその
勤務評定を
参考にいたしまして、年の四回の
昇給に当ててみようと考えたのであります。そこで、
勤務評定の作成の要領でございますが、まず第一に、
勤務評定はいろいろな目的に使われなければならないというものでございますので、
人員配置の問題にも、そしてまた研修のためにも、また
昇給のためにも利用できるような
勤務評定制度を作りたいと考えたのでございます。
その次の問題といたしまして、
勤務評定について、私
どもは
一定の
ワクを与えたのでございます。その第一の問題といたしましては、
職種によって
勤務評定を三種類作りました。
一つは、
役付職員の
勤務評定様式でございます。次は、
一般吏員のものでございます。その他
職員と、三本建てにいたしました。その他
職員は、
雇用人を
中心にするものでございます。そして
おのおののグループに、おきまして、
一定の
ワクを与えたのでございます。その
ワクと申しますものは、ABCDEの五
段階に行うことにいたしました。そしてそれに点数を、
平均点を示したのでございます。さらに採点後におきまして、
甲乙丙丁戊という
段階を設けまして、この
段階について、甲は一、乙は二、丙は四、丁は二、戊は一というふうな比率を設けました。いわゆる
分布制限を行なったのでございます。そこで、一番問題に私
どもの間でも
なりましたのが、この
平均点を与えるということと、
分布制限を行なったという点でございます。これにつきまして、私
どもは従来の
勤務評定について
相当反省をしてみたのでございます。従来の
勤務評定は、
平均点が与えられておらないのと、
分布制限がないために、何と申しますか、各セクション間のバランスというものがとれないのでございます。
おのおの勤務評定の
責任者となった
人たちは、どうしても
部下に対して寛容なる傾向が出るのでございます。同時に、寛容だけでなしに、
自分の
部下の
成績をより高めにつけたいというふうな気持が非常に激しくなるのでございます。従いまして、何らかの
ワクを与えない限りは、その
勤務評定は
利用価値がはなはだ薄れるのでございます。そういう
意味におきまして、
ワクのない
勤務評定と
ワクを作る
勤務評定が、どちらが
真実に迫るかと申しますと、
ワクを作る
勤務評定でなければ
真実に迫れないという結論に達したのでございます。そこで、以上申し上げましたような
ワクを設けた次第でございます。
そして、その次の問題といたしまして、
評定者を二
段階にいたしたのでございます。まず第一の
評定は
所属長でございますが、第二次
評定者といたしまして部の長を選んだのでございます。そこで、先に申した
ワクを、今度は部の
段階において
修正を加えて参るのでございまして、それを私
どもは第二次
調整と呼んでおるのでございます。その
作業によりまして、今度は
ワクがある程度まで撤廃されることによりまして、より
真実なものに接近できるというふうな
立場をとっているのでございます。そういうふうな
作業を行いまして、
勤務評定を完成したのでございますが、それから十二月四日でございましたか、その
勤務評定を
参考にいたしまして、私
どもは
昇給を
発令したのでございます。そこで、その
昇給の
発令の
人員の率の問題でございますが、これは七割をはるかに突破いたしておるのでございます。
大体、以上が私
どもの
考え方なり、また
勤務評定のおよそのアウトラインでございますし、また
発令後の結果でございますが、
最初勤務評定自身につきましても私
どもは大
へんに悩んだのでございますが、やってみました結果は、か
なり満足すべき結果を得ているように考えておりますし、また当初、何と申しますか、
昇給原資があまりにも少いのではないかというふうな点で
心配もあったのでございますが、
発令の結果によりますと、ただいま申しましたように、七割をはるかに突破している現状でございまして、現在の
財政の
事情下におきましては、ある程度まで満足しなければならない結果を得たのではないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
そこで、今後の問題でございますが、私
どもは、
勤務評定というものをもっとよくしていかなければならないと考えております。それにつきましては、
評定者の
教育をもっとしていかなければならないと、それから、その次の問題としては、
職種の区分の
方法にしても、さらに
検討をして、よりよいものにしていかなければならないのではないかと、それからもう
一つ、こういうふうな
制度をとりました場合において起ります
職場の空気の問題でございます。これにつきましては、十分に慎重に考慮いたしまして、
制限せられた
人たちの意向というものも十分に酌んでいかなければいけないのではないかと、こういうふうな
成績主義の
昇給は、非常にプラスの面もありますけれ
ども、同時に
マイナスの面もか
なりあるはずでございますので、その
マイナスの面をできるだけ出さないようにしていくことを考えていかなければならないのではないかと、こういうふうに考えている次第でございます。
大体以上が、県の私
どもがやってきたことだけの御報告でございますから、一応これで終えさせていただいたらいかがと思います。