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1957-05-18 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十八日(土曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員木暮武太夫君及び天田勝正君 辞任につき、その補欠として横川信夫 君及び椿繁夫君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            江田 三郎君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            佐藤清一郎君            塩見 俊二君            田中 茂穂君            土田國太郎君            苫米地英俊君            宮澤 喜一君            横川 信夫君            天田 勝正君            大矢  正君            栗山 良夫君            椿  繁夫君            杉山 昌作君            前田 久吉君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵省日本専売    公社監理官   白石 正雄君    大蔵省主計局法    規課長     中尾 博之君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省理財局長 河野 通一君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君    大蔵省銀行局長 東條 猛猪君    農林政務次官  八木 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省印刷局長 大槻 義公君    農林省振興局特    産課長     西村 周一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○準備預金制度に関する法律案内閣  提出衆議院送付) ○預金等に係る不当契約取締に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○臨時通貨法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○接収貴金属等の処理に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○トランプ類税法案内閣提出、衆議  院送付) ○造幣局特別会計法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○入場税法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○たばこ専売法の一部を改正する法律  案(平林剛君外三十八名発議) ○たばこ専売法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○たばこ耕作組合法案衆議院送付、  予備審査) ○継続審査要求の件   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  まず準備預金制度に関する法律案、  預金等に係る不当契約取締に関する法律案、  臨時通貨法の一部を改正する法律案、  以上三案を便宜一括議題として、質疑を続行いたします。
  3. 大矢正

    大矢正君 準備預金の問題についてちょっとお伺いをいたしたい。今回金融関係擁護法案が出されたのでありますが、特に準備預金預金に対する不当契約の問題、この二法律案がより積極的に推進をされている。大蔵省は、他の金融関係法律案とも関連がありますけれども、より積極的にこの準備預金制度に関する法律案というものを提案されてきておるわけでありますが、その真意というものについて多少お伺いをいたしたいと思います。昨日の大蔵大臣の御答弁を承わりましたところ、準備預金制度というものは当面これを具体的に実施をするという考え方を持っているものではなくて、単にそういう法律整備をしておいて、法律を作っておいて将来に備えるという態度の表明がありました。また現実的には、日本銀行一般銀行への貸出が非常に多くて、そういう面からも、準備預金を当面やるということは不可能ではないかということも世上言われておるわけでありまして、こういう面から考えて参りますと、国会は、これだけではなくて、この秋にもおそらく国会が開かれるだろうということも想定がされるのでありますが、特に準備預金制度を具体的に当面実施する必要はないという前提があっても、なお積極的にその通過をはかられるところの御意思は一体那辺にあるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 法案の一条に規定しておりまするがごとく、こういうことは、金融はいろいろな問題を起しますので、日ごろから態勢整備しておく必要があるのであります。こういう問題を大蔵大臣がこれはすぐやるとかやらないとかということは言えないのであります。ちょうど金利と同じように、いつでもできるようにやっておくことが必要である。事が起ったときにやるのだということでは間に合わない。整備の必要がありとすれば、日ごろから準備しておく必要があると思うのであります。
  5. 大矢正

    大矢正君 法律を作っておいて準備態勢を整えるということは、まことにけっこうなことではありますけれども、やはり日本経済状況がそういう法律を必要とする段階に差しかかってきておるということだと私は思うのであります。かりにアメリカにこういう法律があるとか、イギリスにこういう法律があるから、日本も作らなければならないという、そういう、つき合いの法律ではなくて、現実に日本経済がすでにこういう準備預金制度というものを設定して金融調節をはからなければならないという、この段階日本経済それ自身が突き進んでおるものだと私は考え、そういう意味から、やはり当面この法律案を提案されてきておるものと思われるのでありますけれども、現行のいわゆる日銀貸出が非常に多い中で、かりにこの法律を通してみても、結果としては金融調節上大して効果が上らないものに私はなると思うのでありますが、そういう意味から考えると、一体いつごろになったらこの法律が実際に活動することになるのか、これはまあ、もちろん日本経済と、それからこれからのいろいろな金融にも影響してくるでありましょうし、また、きのう大蔵大臣が言われたように、公定歩合引き上げ問題とも関連があるのでありますけれども、そういう現実的な面についてはいかがでしょうか。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この準備預金というものは、いつごろからというのではなくて、常に必要な制度でございます。いつ発動するかというようなことは、これは金融情勢によって発動のときは慎重に考慮しなければなりませんが、金融制度としては常日ごろから必要な制度考えておるのであります。
  7. 大矢正

    大矢正君 公定歩合引き上げによって完全に金融政策がうまくいって、日本経済が落ちついてくるということを当面は目標としておられると思います。しかし、もしかりに金融情勢が好転をせず、引き上げだけでは効果が現われて来ないということになると、直ちにこの準備預金制度を、かりに日銀貸出が多くても適用する、この具体的な実施をはかるということが考えられるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろいろ議論のあったところでございますが、まず前提日本銀行貸出が多いという問題がまずある。今は二千数百億円でございますが、政府の昨年度の自然増収、その他引き揚げ超過は二千億円近くになっております。それを考慮いたしますと、異常な貸出とは言えない。日本銀行貸出状況金利状況、その他投資の関係等考えまして、今すぐやるとか、これはなかなかやらないとか、というわけのものではないのでございます。その点はなかなか微妙な問題でございます。従いまして、先ほどお答え申し上げましたごとく、これは常日ごろからこういう制度をおいた方が、日本における金融情勢調節するのに都合がいいというわけでございます。
  9. 大矢正

    大矢正君 これは具体的なことになるので、銀行局長のお答えをいただきたいと思うのです。かりに準備預金制度というものができ上って、確かにこれはアメリカのように二〇%近くもの大幅な準備預金制度とは違いまして、最高が一割、一〇%ということでありますからして、そう大幅に影響を与えないのではないかとは考えますけれども、もしそう大幅に影響を与えないくらいならば、準備預金という制度を作っても、結果においては何ら金融調節にならないという結果になると思います。そういう意味では、やはり、たといそれが一〇%という、諸外国の例に比して低率の内容を持っておるとしても、日本の今の経済、そして金融状況から見れば効果が上ってくるものという判断をされて、一応目標を一〇%におかれたものと、私は思うのでありますが、そうなって参りますと、かりにこれは一%、二%というわずかな段階であればよろしゅうございますけれども最高限の一〇%近くにまでやはり適用をする、一〇%近くの高率適用するという段階が参った場合に、銀行運用の面で相当影響があるのではないか。かりにそういう一〇%近くもの高率適用されても、なお銀行が健全なる経営をやっていけるという考え方がありとすれば、考え方があるとすれば、私はやはり銀行の今の金融政策というものについては考え直さなければならぬじゃないか。一〇%近くもの準備預金がされても、なお全然痛痒を感じないような、そういう銀行経理内容であるとすれば、銀行のいわゆる金融政策の今日の状態から考えても、なお検討をする余地が出てくるのではないかと私は思うのでありますが、その点はいかがでしょう。
  10. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 最高限が一〇%という規定に相なっておりまするのは、日本経済のいろいろな過去の状況を見まして、たとえば朝鮮事変後の一ヵ年間くらいの期間を区切ってとりまして、日本銀行貸出の趨勢でありますとか、あるいは国家と民間との資金の収支の状況であるとか、そういうことからして、さしあたり現状におきましては、最高限を一〇%程度としておくという程度で十分であろうという判断から、最高限が一〇%ということに相なっておるわけであります。従いまして、これはあくまでも最高限でありまして、そのとき、そのときの——もしこの準備預金制度発動があるといたしましても、そのとき、そのときの金融情勢に即応して、この準備率の決定が行わるべきであることは、先ほど来、大蔵大臣から申し上げた通りであります。従いまして、銀行経理面に及ぼす影響等を勘案いたします場合におきまして、いきなり一〇%が適用せられるのだというふうに御判断をいただきますことは、いささか適当でないであろうと、こう思います。  また現在の銀行平均資金コストは、全国銀行をとってみますと、七%を現に下回って、六%台であります。それに対しましての現在の準備率は、これは御承知のように大体〇・二%と相なっております。そういうことから御判断いただきますと、この銀行経理面に及ぼす実際の影響というものは、経理面だけから判断いたしますと、そう大きな問題ではない。  それからなお相当考慮いたさなければならない問題は、いろいろありまするけれども、これも先ほど来大蔵大臣から申し上げておりますように、この全体の通貨金融調節のために、もしこの準備預金制度発動が必要であるとするならば、そういうことを考慮しても、なおかつバランスの上において金融制度が成り立つであろうと考えます。
  11. 大矢正

    大矢正君 まあ、かりに今の預金量を四兆と計算をして、その一〇%とすれば四千億と、こういうことになると思うのでありますが、四千億が、今一挙に預金として日銀に押えられるという結果というものは、これはまあ想定できないと思います。あなたのおっしゃる通り。まあ、かりにあったとしても、最低は一%、二%というところから漸次これが上っていって、日本経済と歩調を合せて、物が上っていき、そうして下っていく、こういう経緯をたどることと私は思うのであります。しかし、やはり日本経済も、これはきのう言った大蔵大臣答弁のようにいくものであるということは、これはもう当然でありまするからして、まあ今のように二千六百億もの膨大な日銀市中銀行への貸出がある段階において、準備預金制度というものを作っていっても意味のないことだと私は思いますけれども、今後においてそういう内容が解消されて、漸次準備預金というものの実施を迫るようなところへ参っていきますると、勢いやはり一〇%というものも夢ではない。事実アメリカにおいても二〇%という数字が出ておるのでありますから、日本の場合においても一〇%というものはないということは言えない。そうすると、一〇%というそういう高率準備預金を持たせる場合においては、当然今度は政府として、金融、特に貸出金利、それから預金金利との面の検討をして、そして銀行経理内容をよくするような方向を今後とられるようなことが——これは私はしろうとですから、専門的なことはよくわからぬけれども、そういう事態は出てこないものでしょうかね。それは二%、三%という段階はいいけれども、一〇%という高率適用される段階になってくると、これは一般市中銀行はとてもやっていけない。とても高率適用されたのでは、どうにもならないということになって、それは貸出金利と、それから預金金利に響いてくる危険性があるのじゃないかと考えられるのですが、そうなってくると、政府の意図されているところのいわゆる減税分を皆押えるという構想がくずれる結果に私はなるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  12. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 金融機関、特に銀行のこの経費の節減、あるいは合理化というものは、こういう準備預金制度というものがどうあろうとも、これは実はもう平素から、常に金融機関経営者といたしましては、努力を当然いたすべき事柄でありますし、大蔵省といたしましても、そういうふうに努力をするように、これは常に指導監督をいたしておるわけであります。その意味におきまして、この準備預金制度が、新たにこういう制度ができるから、その経費の面の合理化というようなことには必ずしもならないのであって、それはそういうふうに私どもとしては合理化努力を要請もいたしておりまするし、また金融機関経営者といたしましては、努力をいたしておるというふうに私ども考えておるわけであります。そこで先ほど来のお話のように、まあいわば一つの理論的な問題として、そういう高率適用高率のこの準備率がきまった場合に、経営面影響があるのではないかという点でありまするが、それは、たとえば一〇%というような率がかりに行われますならば、資金コストが先ほど来申し上げておりますように六%台でありまするから、それの——非常に平たく申し上げまして、一〇%程度影響が出てくるということも、ごく目の子の話としては考えられると思います。しかし、そういう場合におきましても、すぐにそういう影響があるからといって、貸出金利をどうする、預金金利をどうするということでなくて、金融機関には相当内部留保の問題もありまするし、経営合理化の問題もありまするから、そういう事態に相応じまして、その経理面に及ぼす影響、あるいは貸出金利の問題、預金金利の問題は、検討しなければならぬと思いますけれども、私の考えといたしますれば、そういういわば経理影響のある金利負担の問題については、できるだけ慎重に考慮を払うのが適当であろう、こういうふうに考えております。
  13. 大矢正

    大矢正君 これは預金の中でも、かりに定期預金と、それから普通預金準備預金の率ですね、率の開きは当然出てくると思うのですが、その点はどうなんですか。
  14. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 高率の上昇におきまして、定期性預金と、そうでない預金の間に、必要に応じましては準備率を変えることができるという規定を置いていただいたのであります。従いまして制度の上におきましては、今お話のように、定期性預金と、その他の預金区別に応じまして、実際の金融金利率を変えることになるわけでありますけれども、少くともこの準備率が比較的低率の場合において、いわば制度の弾力的な、また簡素な運用をはかるという意味におきまして、一本であるということが望ましいのではなかろうか。これは金融制度調査会からもそういう趣旨の答申が出ておりますし、私どももそういうふうに考えておるわけであります。
  15. 大矢正

    大矢正君 まあ低率の状況の中では、あまりそういうことは見受けられないかもしれないけれども、もし漸次これが高率になってきた場合に、利率が高くなってきた場合に、かりに今局長答弁をされたように、定期預金、それからそうではない短期預金の率の適用に、相当の開き、幅を持たせるという結果になると思うのですが、当然そうしなければ、これは銀行であっても問題だと思うので、これはまあ考えられることだと思うのですが、その場合に、その率のきめ方いかんによって、かりに長期預金短期預金が、率のきめ方いかんによっては、一般預金者の心理的な影響によって、ある場合には短期——むしろ短期をねらうとか、ある場合には長期をねらうというような、そういう危険性は発生してこないものでしょうかね。
  16. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) これはその金融機関一般大衆との預金関係と、それから金融機関日本銀行との預金関係は、一応区分して考えるべき問題だと思います。そこで、当座性預金定期性預金との間におきましては、いわゆる信用の創造力と申しますか、そういう点においても相当影響力があるというふうに考えるのが、いわば定期性預金とその他の預金との準備率を変えてもいいのじゃないかということの、また一つの、これが全部とは申しませんけれども一つの実は理論的な根拠でありまして、金融制度の問題としてはそういう道をわけていくということも適当であろうという考え方をとっておるわけであります。何も銀行経理関係からのみ、この問題を考えておるわけではないということを申し上げておるわけであります。それで、そういう区別のありました場合におきましても、これは弾力的に相当運用をやはりすべきものだろうと、こう思います。一般大衆金融機関との間の定期性預金利率、あるいは定期的でない預金利率の問題とすぐ結びつけて考えるというのは、むしろ適当ではないのであって、これは分けて考えるのが適当であろうと、こう考えるのであります。
  17. 大矢正

    大矢正君 大蔵大臣にお尋ねをいたしたいのでありまするが、従来まではこの準備預金制度というものがありませんでしたから、きのうの言葉にも多少出ておったようでありますけれども、それはいわゆる公定歩合引き上げ引き下げという、こういうものを通じての金融調節、それからいま一つば、公開市場操作によって調節をするという、この二つ調節方法で今日まで日本金融というものがなされてきておる。きのうの話によりますと、売オペ買オペを通じて公開市場の中でやられる金融操作というものは、今の日本の小さな経済の規模においてはあまり効果の上らないものであって、大体大勢というのは、やはり金利によって金融調節するということが今日までの主たる方法として行われてきているものと思うのでありますが、一体この準備預金制度というものが通過をした場合に、何にウエートをかけて金利調節をはかられるのか、その点について知っておきたいと思うのでありますが、それは、かりに従来通り金利引き下げを重点に置いて副次的なものとして準備預金制度というものが作られるという方向によって、金融調節を行われるものなのか、あるいはそうではなくて、準備預金制度に大半のウエートをかけて、そうして金利調節をなるたけ行わないという、こういう傾向の中で金融政策をやっていかれようとされるのか。公開市場操作の問題は一応これはワク外として、大体大筋はこの二つになると思うのでありますが、その点についてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは金融を調整をしなければならんというときの事情によってきめるべき問題だと思います。どれが先、どれがあと、ということはございません。
  19. 大矢正

    大矢正君 そうすると、私はこういう解釈をしてよろしうございますか。現在のように二千六百億もの膨大な、膨大なという言葉大蔵大臣は否定をされておるようでありますけれども相当大きな額の市中銀行への貸出がある段階においては、できる限り準備預金制度というものを使わないで、金融操作を行なっていくということになりますけれども、そうではなくて、そういう状況がない場合においては、準備預金制度によって金融調節を積極的に行おうというような形に私は解釈するのですが、そういう解釈でよろしゅうございますか。
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、一応のあれは、日本銀行貸出が多いときに、準備預金制度によって市中銀行からの預け入れを調整するということは、普通なら貸出においてなすべきではないだろう、こういう見解でございますが、これは一つの面を言っただけで、たとえば日本銀行貸出はあっても金利は非常に高いというときには、それこそ金利を動かす、上げるべきではないということ、貸出数量いかんにかかわらず、準備預金をやり得る場合もある、そういうことは一概に学者が定義するようなことにはいきません。やはり事情を見ながらやっていかなければならないと思います。
  21. 大矢正

    大矢正君 準備預金制度についての質問は私はこれで一応終りまして、預金に関する不当契約関連してお尋ねしたいと思います。  けさの新聞か昨日の夕刊だったと思いますが、西村金融の社長が逮捕されたということが出ております。あのことと不当契約の問題については直接的な関連がなくても、やはり関連が出てくると私は思うのでありますが、あの内容について政府の方からお聞かせ願いたいと思います。
  22. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 西村金融につきまして今問題になっておると推測されますのは、御承知の「出資の受入、預り金及び金利等取締等に関する法律」という法律によりまして、正規の金融機関でないものは、いかなる名目をもってするを問わず、不特定かつ多数の者から業として預り金をしてはならないという規定があるわけであります。西村金融の場合は、この規定の違反ではなかろうかというのが非違の事実である、こう考えております。御承知のように今回の預金等に係る不当契約取締り法律は、金融機関でございまして、しかもその金融機関が、いわゆる導入預金、通俗的な言葉で恐縮でありますが、導入預金をいたしまする場合に関する取締り規定でございまして、もう少し事実の調査が進みませんとわかりませんが、私ども承知しておる限りにおきましては、西村金融に関する問題は、今度の導入預金取締りに関する法律とは直接の関係はない、こういうふうに見ております。
  23. 大矢正

    大矢正君 私も直接の関係があるといってお尋ねしているのじゃないのです。今金融関係の四法案が出されておりますが、これは金融調節をしようとする準備預金制度は別でありますけれども、他の三法案というものは、まあ今二法案しか出ておりませんが、あと残された法案、合計三法案というものは、いわゆる銀行の、あるいは金融機関経営保全というものを中心にして考えられた法律である。そのことは、とりもなおさず預金者その他に迷惑をかけないようなことをねらいとした法律だと私は思うのです。そこで、その導入預金をめぐる不当契約の問題については、あなたの今言われているように、これは銀行中心となって行われるものであって、法律適用をされないような、西村金融のような点はこれは別問題だということは、それは私もわかりますが、しかし国民の気持としては、それが銀行であろうと、あるいは信用組合であろうと、信用金庫であろうと、またそういう法律に認められておらないような金融機関であっても、自分の預けた金が、欲に目がくらんだということがあったとしても、自分の頂けた金が非常に不当な結果に終るということに対する気持の面では、政府に対するいろいろな批判といいますか、何とか政府は保護ができないものかという希望が出てくるものと思うのでありますが、導入預金だけをとめれば一切の不当なそういう状況は生まれてこないとは必ずしも言えないのです。それは、その不当契約、特に導入預金をめぐる大きな銀行だけが問題だというのじゃなくて、そういう面も十分に検討してやる必要があるのじゃないかと私は思うのですが、銀行局長、どうですか。
  24. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 国民大衆が一般にこの預金をしている場合においては、相手方を信頼して、困った結果になったときは、適当の措置をとるということについては、政府もいろいろ配慮すべきであろうという御趣旨につきましては、私も根本的なお気持はしごく同感であります。ただ法律によりまして、金融機関として認められておらず、従って正規の預金をとることを禁止されておる場合におきまして、そういう違法の事実がありました場合に、そういういわば違反の対象になっておるような事柄について、いわゆる広い意味のまあ金を預けたものであるんだから、何とか救済的な措置は講ぜられないかというお話でありましても、この点はあるいは、やや法律的にいたすべきかもわかりませんが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、正規の金融機関を相手にしない取引は、えてしてそういう危険性があることは——法律でつまり禁止せられておるという、まあ、この事実をわれわれといたしましてもこのまま適用いたしまして、そこまで救済の手は伸びないということであろうと思います。それから正規の金融機関に対する預金の保護ということは、これはもう金融機関経営をしっかりやらせまして、いやしくも善意の預金者には迷惑をかけないということをいたすべきことは、これはもう当然のことでございます。この導入預金に関する法律は、さようなことで、金融機関といたしましては十分にこういう法律がなくても自粛自省すべきでありますけれども、最近の若干の例を見ますると、なお導入預金の跳梁があとを絶っておらない、しかもまた、これが都市から逐次地方に広がっていっておる、移っていっておるというようなことでございまして、遺憾ながら、なおかつ、あとを絶っておらぬということでございますれば、当面のこの事態に対処するという意味におきまして、ぜひ導入預金に関しまする法律をこの際お認めいただきたい。それからあとの預金保障基金の法律、あるいは経営保全に関する法律、これらは、金融機関といたしましては、ほんとうにしっかりした経営をやるべきでありまするが、まま経営者のまあ不始末と申しますか、そういう場合で経営が困難に陥った、特殊の事態にございまするところの金融機関の再建資金を供給するという方途を講じておく方が、法制的にも適当ではあるまいか。またそういう経営が困難に陥った金融機関経営につきまして、一般の金融機関とは特別の法体系を作っておくことが適当ではあるまいか。いろいろ最近の事例を考えますと、私どもといたしましては、そういう立法手段を講じていただきたいという趣旨で、審議をお願い申し上げておるようなわけであります。全体は、そういうまあ現行法でも、もちろんわれわれといたしましても十分努力はいたさなければなりませんが、さような法制を整えていただきまして、監督官庁といたしまして、いろいろ検査の点、あるいは再建資金の供給の点、経営に対する指導の点、そういうところで十分な体制を整えさしていただきたい。というのは、実は今お話のように、金融機関に対する善意の預金者の保護につきましては、何とか十分の体制を整えて、行政的にも遺憾ない処置を整えたいという趣旨にほかならないのでございます。
  25. 大矢正

    大矢正君 相互銀行のような大きな銀行でさえ、内容がどうあろうとも、つぶれたり、他から金を導入して、かろうじて——まあ導入という言葉は悪いが、持ってきて、かろうじて再建をするというような、そういうことをやられるくらいであるから、ましてや零細な規模における、特にあなたの今指摘されたような法律に認められておらない形における金融業と申しますか、そういうものは、これはもう、つぶれるのは当然だとも、これは考えようによっては考えられますけれども、金額の多寡はともあれ、それからその規模の大小はともあれ、やはり被害をこうむった人間にしてみれば、非常に、何と申しますか、気持の点においてはやはり同情をしなければならない幾多の面があると思います。特にむずかしい、何と申しますか、今の金融銀行関係その他の法律を、国民の全部の人が理解をしておるなどということは、これは考えられないことであって、一部そのことに関心を持っておる人は、法律的にどうのこうのという理解をしておりまするからして、案外それは、そういう不当な状況になることは避け得るかもしれませんけれども、国民の大多数というものは、法律内容がどうかなんということはあまり知らぬのですね。ただまあ金を預けてその金に利子がよけい付けばいいという気持が強いのです。だから、そうなってくると、今あなたの言われる通り、これは法律上認めないのだから、法律上認めないところに、第一、金を預けたり何かしたのが悪いじゃないかという、こういう議論は理論として成り立っても、やはりそれだけでは国民の気持を満足させることはできないのじゃないか。やはり積極的に、そういうものに対しては政府が拾い上げると、それも事故が起きてから拾い上げるという意味じゃなくて、事前にそういうものを拾い上げて、一つの規制の中に入れてしまって、規制するワクの中に入れてしまって、事故なら事故が起らないようにすることも一つ方法として考えられるのではないかと、私は思うのでありますが、そういう考え方について局長はいかようにお考えでしょうか。
  26. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 私は、現在の「出資の受入、預り金及び金利等取締りに関する法律」という法律は、相当国会でいろいろ慎重に御審議になりまして、その当時の経済状態に即してできました非常に適宜な立法であると、実はそう考えております。なるほどまあ全般的に法律的に不知の方々、あるいは必ずしも法律に詳しくない方々が、法律を知らないがために結果的にお気の毒な結果になるということを、私、社会的に見ますと、お気の毒に存ずる場合もあると思いますけれども、正規の金融機関でないものが預金の受け入れをして——名目はどうあろうと、実質的に預金の受け入れをしてはいけない、こういう現在この時宜に適した立法がなされているという事態におきまして、さらにこれをもう一ぺん、そういう社会的に言えば道義的な感じから再検討すべきでないかという御意見でありまするが、どうもはなはだ率直な申し上げ方で恐縮でありまするけれども、まあ現状におきましては、この法律の規制が私は適当でなかろうかと、こう実は考えております。
  27. 平林剛

    平林剛君 私は臨時通貨法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたしたいと思います。初めに事務当局の方から予備的なことを、知識を得ておきたいと思います。先般お尋ねをした続きでありますから、そのつもりでお聞きとりを願いたいと思います。  この通貨法によって百円銀貨が国民の通貨として発行されることになっておるわけでありますが、その銀貨一枚の目方は何グラムになるのですか。それから直径は何ミリですか。銀貨の大きさは何ミリにする御計画でありますか。この点について事務当局の方からお答えを願いたいと思います。
  28. 河野通一

    政府委員(河野通一君) その点につきましては、いろいろ検討はいたしておりますけれども、まだ事務的にも具体的な結論は得ておりません。大きさにつきましては、先般衆議院の大蔵委員会におきまして本法案の御審議の際に、付帯決議がついておりますが、大きさについては今の十円貨の程度の大きさにするのがよろしいという御決議がついております。この点につきましてはできるだけその御決議は尊重していきたいと思っておりますが、まだ具体的にきめておりません。
  29. 平林剛

    平林剛君 今まで試験的に鋳造しているものがありますか。それは目方は何グラムになっており、直径は何ミリで銀貨の大きさは何ミリであるか。それから今十円硬貨と同じ程度というと、これは何ミリになっておりますか。
  30. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 見本の程度のものは今まで形及び品位等につきまして、いろいろな構成のものを作ってみております。しかし、これは鋳造というようなものでございませんので、たとえば図柄のない、のっぺりしたものだけ、これはおのおの品位及び大きさについて一枚か二枚ぐらい、三、四種類作ったことがあるかと思います。それから現在の十円硬貨は二十三・五ミリです。
  31. 平林剛

    平林剛君 そうすると、今まで試験的にお作りになったものが、これはまだ単なる文字通りためしに作ったものであって、銀貨一枚の目方が何グラムになるか、あるいは銀貨の厚さがどの程度になるか、直径については今十円貨程度、すなわち二十三・五ミリ程度国会の御意思がいろいろな事情からきまっておるから、それを尊重するということで、事務的には結論を得ていない、こういうお答えがあったわけです。これはまあ事務当局のお答えですから、またあとで重ねてお伺いいたしますが、もう一つ銀貨に対する銀の含有量は一体どのくらいになるものでしょうか。
  32. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この点も具体的にはまだきめておりません。この点につきましても、先般衆議院の大蔵委員会で付帯決議がございまして、銀のコインについては銀の含有量をできるだけ多くするようにという御決議がございました。この点もできるだけ尊重して参りたいということは考えておりますが、まだ具体的には考えておりません。先ほど見本として作りましたものにつきまして申し上げましたが、これは品位につきまして、たとえば、銀を五〇〇にして、銅を四五〇にして、亜鉛を五〇入れた場合にどういうふうなものになるだろうか。あるいは銀を四〇〇にし、銅を五〇〇にし、亜鉛を一〇〇入れた場合にどうなるか。まあいろいろな組合せのものを四つ、五つばかり、ためしに作ってみた、こういう程度のものでございます。
  33. 平林剛

    平林剛君 この銀貨の品位ということは、通貨に対する国民の信頼感ということにいろいろ関係がございまして、私どもとしては深い関心を寄せておるわけであります。もう一度念のためにあなたにお尋ねをいたしますが、諸外国において大体同じ程度の銀貨が使われておるようでありますが、この含有量は幾らになっておるだろうか。私はこれを日本の百円銀貨を作る場合においてもかなり参考にしなければならぬ。もちろん日本は戦争に負けて十二年でありますけれども経済力は最近政府も誇示されておるように著しく回復しておる、そういう意味で、この百円銀貨の品位、あるいは形、大きさ等につきましては、その国の経済力を象徴することになりまして、そういう意味でもかなり参考にせねばならぬと思うのであります。諸外国における銀の含有量を参考のためにお知らせ願いたいと思います。
  34. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 各国の例は、その事情事情によって非常に違っております。ことにアメリカ等におきましては、現在通用いたしておりまする通貨は、当初それが発行されましたものは、一ドルのものについて申し上げれば、一九〇一年から発行しておるわけであります。それから英国についてもやはり一九〇二年からそういったものを発行しておる。これが同じ純分で、同じ大きさで貫かれてきておるということになっておる。最近の様子を申し上げますと、大体日本の円に直しまして百円程度あるいはそれ以上に当りまする戦後の新しく発行された通貨は、どれも例外なく銀を使っておりません。たとえば英国について申し上げますと、これは一九五三年に発行を始めたのでありますが、一クラウン、日本の円に直しまして約二百五十円になりますが、これは銅とニッケルであります。名目価格百に対するその地金の価格は七・六%、百円について七円六十銭の地金の価格である、こういうことであります。それからフランスにおきましては、一九五四年に百フラン、これはちょうど日本の円で百円見当になるものでありますが、百フランを出しておりますが、これも銅とニッケルであります。名目価格百円に対して地金の価格は三円五十銭ということに相なっております。それから西ドイツにおきまして二マルクのコインを出しておりますが、これは日本の円に直しますと約百七十円くらいになります。これもやはり銅とニッケル、これも名目価格百に対して地金の価格が四・二%、大体一〇%以下ということになっております。先ほど申し上げましたように、非常に古くから発行して、そのままのものを使っておりますものは、いろいろ貨幣価値あるいは地金の価格の相違等がありましたが、現在でも同じ状態できております。米国におきましては、一ドル、五十セント、二十五セント、すべて銀を使っております。この銀の含有量は純分は九〇〇ということになっておりますが、含有量を価格に直しますと、大体発行の当時において四二%程度を含んでおります。英国におきましては一九〇二年に発行いたしました当時——二年から三年にかけてでございますが、いずれもその銀貨は、一クラウン、二分の一クラウン、いろいろございますが、これはすべて品位は五〇〇であります。名目価格に対する素材の値段は、発行の当時において一八%、二〇%以下ということに相なっております。従いまして、発行の当時における品位の非常に高いのは、アメリカの銀貨で一九〇一年に出されたものが高い、こういうことであります。戦後に出された銀貨は、西独の五マルクというのが銀貨であります。この五マルクは日本の円に直しますと四百二十六円になります。これが銀でありますが、名目価格に対する地金の価格のパーセンテージは一五%六、こういうことに相なっております。いずれも二〇%以下、こういう数字になっております。
  35. 平林剛

    平林剛君 あなたは、一九〇一年当時と今の昭和三十二年度の銀貨を比較されて御説明になっておりますけれども、ちょっとそこは無理があるのじゃないか。もしそういう比較をされるならば、日本でも明治四年あたりに銀貨が出た。そのころと今お話の一九〇一年、二年とを比較することが必要であって、その明治四年当時の日本の銀貨の銀の含有量は九〇%ですね。大臣時代に入りまして、一番低かった大正十一年でも、日本の五十銭銀貨は七二%になっておる。明治の十銭、二十銭でさえも銀の含有率は八〇%という工合になっております。もしあなたが一九〇一年当時の外国の貨幣と比べられるとすれば、当然明治時代の銀貨の含有率と比べられる、時代としてはそういうことになるのじゃないか。また外国と日本との交換率を単純に計算をして御説明がありましたけれども、やはり比較をする場合には、アメリカの一ドルが日本の三百六十五円だから、日本の百円の銀貨はその三分の一でいいというような計算は、どうも比較としては適当でないのではないか。やはりその国で流通しているところの貨幣を単純に比較する方が、その国民の通貨に対する信頼感の度合いをはかる場合のものになってくる。それで今のあなたの説明はあまり適切ではない。私の資料から申し上げますと、アメリカ合衆国における一ドルで、銀の含有率は九〇%もある。その半分の価値の、二分の一ドルのものでも九〇%、すべてアメリカの銀貨は九〇%あります。他の諸外国におきましても、大体銀の含有率というのは八〇あるいは九二、一番戦後経済力でわが国と比較をされる西ドイツの場合におきましても六二%の含有率である。こういう工合に見ますと、やはりよく政府が諸外国と比較をされる場合、西欧諸国の例を引かれますが、そのいずれの国も銀貨の銀の含有率についてはかなり高いように聞いておるわけであります。低いのは、まあいわゆる共産圏と呼ばれる国でありまして、それらの国でありましても、やはり六〇%程度はそれぞれ含めて国民の通貨とされておる。で、私は日本の国をすぐそれらの国と同じ程度に、ということは無理といたしましても、やはり銀貨の品位というものは国力の象徴ということにもなりますから、そういう意味ではもっと慎重に考える必要があるのではないか。またあまり無理な形で銀貨を発行することになりますと、国民の中には、昨日も金融情勢についていろいろ大臣からお答えをいただいたのでありますけれども、心理的な影響がいろいろな面にはね返ってくる。百円も、あまり品位の低いもので発行いたしますと、国民の中には、あれ、これは百円もバラ銭になってしまった、百円もバラ銭になったという感じから、インフレの気がまえに落ち込んでいくというおそれはないとは言えないと思います。そういう点からいきまして、やはり今試験的にお作りになったものよりも、もう少し高くあげる必要があるのではないか、こう私は考えるのでありますけれども、理財局長はどういうお考えをお持ちでしょうか。
  36. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答えいたします前に、ちょっと先ほどの御説明があるいは言葉が足りませんでしたので誤解があったのじゃないかと思いますから、ちょっとつけ加えておきます。  これは平林さんもよく御存じの通り、結局問題は、品位と申しましても、大きさなり貨幣一個の目方が非常に小さければ、品位を一〇〇といたしましても、その持っておる、それに含まれておる含有量というものは減ってくるわけです。その大きさがどうであるかということが問題なので、大きさと品位をかけてみなければいけない、それで私はその結果を申し上げたので、大きくして品位を少くするか、小さくして品位を大きくするか、これはいろいろやり方があると思うのです。要するに問題は、一個当りに含まれておる銀の素材が幾らであるかということが問題なのであります。形式的に一〇〇にしようと思ったらこれはできると思うのです。小さくさえすれば一〇〇の品位でも銀貨はできる。問題は、素材価格と名目価格との割合をどの程度にするのが適当かということで、先般来いろいろな例を申し上げたわけです。  それからもう一点、これはあまり詳しくなりまして、はなはだ時間をかけて恐縮でありますが、つけ加えておきたいと思いますのは、明治時代の日本の銀貨は、御承知のように、非常に名目価格に対して素材の価格が名目価格に近かった、これは御案内と思いますが、日本は初めに銀本位から出発いたしているのであります。銀本位から出発いたしまして、明治三十何年でしたか、金本位に変りました。金本位に変りました後も銀貨は無制限通用力を持っておった。従っていわば本位貨幣に準ずるような考え方で銀貨を取り扱って参っております。従いまして、本位貨幣がその名目価値と素材価値とがぴったり合わなければならぬと同じ意味において、非常に名目価値と銀貨の素材価格とが近かったという沿革的な理由がございます。アメリカにおきましても、これはやはり同じような事情があったと私は承知いたしております。そういう点がございますので、若干私の説明が舌足らずで御理解いただけなかったかと思いますので、つけ加えておきます。  そこで、お尋ねの、銀の品位を今度の百円硬貨の場合にもう少し上げたらどうかというお話につきましては、先ほど申し上げました、やはりその純分だけでなしに、その一個あたりの中にどの程度の銀を含ませるのがいいかという問題であります。この点は先ほど申し上げましたように、まだきめておりませんが、衆議院の大蔵委員会で付帯決議がありました趣旨に沿って、できるだけそのラインに沿えるように研究いたして参りたい、かように考えている次第であります。
  37. 平林剛

    平林剛君 銀貨の大きさとか品位等につきましては、あなた方の方も専門的に御研究なされる役割りだと思いますけれども、同時に、通貨発行元の、総元締めである日本銀行の見解も聞く必要があるのじゃないだろうか、政府としては今日までの間にこのことについて話し合われたことがございますか。
  38. 河野通一

    政府委員(河野通一君) まだ、今申し上げましたように、私どもは、いろいろ事務的にはあれこれ検討さしておりましたけれども、まだ法案も御審議をいただいている最中でございまするので、法案でも通過いたしました上で、各関係の向きの方々の御意見も十分に伺って参りたいというつもりでおりましたが、今までまだ具体的に固まった意見として日銀の意見はまだ聴取いたしておりません。
  39. 平林剛

    平林剛君 事務当局の御見解はその程度にいたしまして、後ほどこれについては、国会の意思もありますから、そのことについては責任者の大蔵大臣にあとでお尋ねをしていきたいと思います。  そこで、今度は角度を変えて、銀貨と紙幣との関係について若干お尋ねをしておきたいと思います。百円銀貨が鋳造されて、これが国民の通貨として発行流通されることになりますと、日銀券の製造高、特にこれに対応する百円紙幣が少くなってくるのではないか。また先ほどのあなたの御説明のように、銀貨も発行する、紙幣も流通させるということになりますと、大体全般の需要量からみまして、そこにバランスがとられてくる。その結果、百円紙幣の製造高が少なくなってくるのではないか、こういう懸念があるわけであります。あなたの方の試算では、銀貨の発行後、百円札の製造枚数はどういうふうに変化をされていくか。銀貨の発行高につきましては、昨日でしたか、三十二年度から十ヵ年の計画についてお話がございましたから、それと対応して百円札の製造枚数の計画はどういうふうに変化をしていくだろうか、これについてお示しをしていただきたいと思います。
  40. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 印刷局あるいは造幣局等のこの百円硬貨製造に伴っていろいろ出て参ります作業量の推移等を、私どもが一応試算いたしましたものにつきましては、大体百円の銀行券は、三十一年の実績が五億九千万枚でありますが、三十二年ごろから、大体それと大差のない数字で、だんだん百円の製造枚数が減ってくる。それで結局私どもが今見ておりますところでは、十年後ぐらいに大体四億枚足らず、三億七千万枚という数字が出ておりますが、こうぴったり、具体的にそう数字をはっきり申し上げるわけにも参りませんが、大体四億枚足らずになるのではないか。その間に百円硬貨がだんだん製造され、発行されて参ります。これは御承知のように、更新をする必要がないので、できたものだけが累積をして流通いたして参りますので、これと両方合せて、大体その当時の通貨の発行高に対しては必要なる百円の需要を満たし得るのではないか、かように見通しておる次第であります。
  41. 平林剛

    平林剛君 あなたが御説明になりましたのは、理財局として試算をなさったものと思うのでありますが、私の持っている資料によりますと、三月一日の試算で、昭和三十一年度が五億九千百万枚、三十三年度が五億九千万枚、以下順次下りまして、三十五年には四億八千万、四十一年度になって三億七千万、こういうふうにだんだんに減ってきておるわけであります。こうなりますと、本来の問題を少し離れますけれども、われわれとして重要な関心を持たなければならぬ印刷局の企業の縮小、あるいは人員の整理の問題が起きてくるのではないでしょうか。
  42. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これも先般たしかこの委員会でお答え申し上げたかと思いますが、印刷局の銀行券の製造は百円だけではないのであります。千円あるいは五百円のほかに、現在のところでは一万円、五千円の銀行券の印刷もやって参っております。これらの印刷、いわゆる銀行券の総量というものが印刷局の作業量に影響をいたすわけでありまして、百円の方は、今お話がありましたように、百円の硬貨と併用いたしますために、年々の印刷高はだんだん減って参りまするが、そのほかに千円、一万円、五千円というものを大幅に充実いたさなければならない。発行高自体が年々逐増いたしまするばかりでなく、現在では、この発行に対する準備が非常に手厚いとは申し得ない状態であります。大体年末で申しますと、五、六〇%というところしかないのであります。発行高一〇〇に対して五、六〇%しか実はないのであります。これが戦争前における正常な状態におきましては、大体発行高一〇〇に対して準備は二〇〇から三〇〇というふうなものを持っておったわけであります。この準備率の充実ということは、今後もできるだけ心がけて参りたい。そういうことなどいろいろ考えて参りますると、百円の硬貨を発行いたしますることに関連して、印刷局の人員整理をしなければならぬということは万ないという見通しを持っております。
  43. 平林剛

    平林剛君 日銀券の製造高をふやして準備率を高めるということについては、私は異議はございませんけれども、五千円札、一万円札を発行していくから百円券の製造高が少くなっても企業の縮小や人員整理ということに関係が万ないと、その結論はようございまするけれども、五千円札や一万円札の発行につきましては、私ども政府に対しても、のちに慎重に考慮してもらいたいということを要望したいと思っているわけであります。たとえば十ヵ年計画、今後どうなるかわかりませんけれども大蔵大臣考えでも、千円札や一万円札が使われるような、それが一般的に使われるような世の中にしたくないという気持はお互いに持っていることだと思います。そういう意味で、今、五千円札、一万円札の発行があるからいいというふうに、簡単にあなたからお答えいただくことは、私の期待をしている答えではないのであります。五千円札や一万円札については、第一には政府は慎重に取扱ってもらいたい。将来においてもこれが一般の流通紙幣としてだれでもが使うというようなことにならないような経済を維持してもらいたい、こういうことを要望しているわけでありまして、そういう意味では、なお百円券が当初五億一千万枚であったのが、三億七千万枚に減るということになれば、やはり万ないという企業縮小や人員整理に関係があるのではないかと心配するのは無理のないことだと思います。そこで印刷局長がおいでになっておりますから、私は印刷局長にこの点についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  今、理財局長と質疑応答しておりますと、百円の製造高につきましては、三月一日現在の理財局の試算でございますが、大蔵省印刷局で百円硬貨が発行されたのちの紙幣の製造高についての資料によりますと、あなたの方では、当初は五億九千万枚であるが、同じく四十一年度になると二億枚になるという試算をなさっているようでございますが、これは理財局と見込みが少し違っているようでございます。その点について何か、私、わかりませんので、御説明を願えたら幸いだと存じます。
  44. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) 将来における紙幣、それが券種別にどういうふうに製造計画を考えているかという問題は、これは将来の見通しの問題でもありますし、なかなかむずかしい。しかし一応われわれとしても、われわれの経験において、直接われわれの作業に関係してくる問題でありますので、いろいろ考えて試算した内容はございます。そこで百円券の紙幣の製造量というのは、現在印刷局の全部の作業量の約半ばを占めており、相当と申しますか、大へん大きな作業量でございます。百円銀貨が計画的に製造され、それがそのまま、かりに流通市場に出ていくといたしますれば、百円紙幣は、これは大体耐用年数と申しますか、使用される頻度が高いために、大体一年くらいしか持たないというふうに言われておるわけでありますので、実際そういう関係から銀貨は市中に滞留していく、その限度において、紙幣の方は減っていく、そういうふうにわれわれは考えております。先ほども理財局長の説明にもありますように、今後国民経済の発展に伴って、通貨の流通量も当然私はふえていくと思いますし、またお話日本銀行における発行準備の量を、さらに充実していくという意味において、通貨の製造量をさらに現在よりふやすという要因はございます。あるいは千円札が大へんきたない、これをもっときれいにしていったらいいではないか、こういうような御意見もわれわれは伺っておりますが、そういう意味において他をさらにふやしていく要素としてはございます。しかし百円銀貨が市中に出ていく限りにおいては、百円の作業量は、にわかにという意味ではありませんが、十年の間だんだん減っていく、こういうことはこれは事実だと思います。現在は百円の作業量が半ばより大きなものでありますので、われわれも関心が深いわけでありますが、しかしその見通しを申しますれば、これは、いろいろ見方について——前提となるものの見方について、専門的な立場からいろいろの批判があると思いますので、あるいはお持ちの資料で先ほど申された差があるとしても、これは実はいろいろ議論のできるところであると思いますが、私はこの機会にこまかく申し上げることは避けますが、大勢としてはただいま申し上げたように考えております。
  45. 平林剛

    平林剛君 私はこれも確実な情報として得たわけではありませんけれども、大体、昭和四十年くらいになるというと、二億枚程度になるという印刷局はお考えをお持ちになっておるようだ、ところが理財局長、あなたの試算によると、それが三億七千万枚程度ぐらいだというように、この点に多少試算にいたしましても食い違いがあります。そういう意味ではいろいろ御議論があるところだと思いますけれども、あなたは、この試算が印刷局とこういうふうに違うのは、どういうところから違いが出て来たと思われておりますか。
  46. 江田三郎

    ○江田三郎君 関連して。理財局の方の試算でいくと百円券が五億九千万枚が三億七千万枚に減る。その他の日銀券が四億五千五百万枚が、四十一年には二億六千二百万枚に減る、両方とも減っていくわけですね。それで、トータルにおいて六割くらいに三十二年度から四十一年度までに減っていくのですが、ところが作業係数で見ると七百四十四が六百五十五というふうに、わずかしか減らないのは、私はこの表を見ておって、どうしてもわからんので、今の平林君の質問にお答えのときに、このことをついでに答えて下さい。
  47. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 百円券その他の銀行券の印刷の製造の枚数はどの程度に押えていくのがいいかという問題は、銀行券の発行高の推移ということの見方にもいろいろございますから、これは絶対に正しいということはなかなか言えないと思います。事情も変って参りましょうし、ことに券種の間の組み合せと申しますか、そういうことも違って参りますけれども、何らそれは、はっきりした、これは絶対間違いないということを申し上げるわけには参りません。今印刷局の数字と言われますものをお示しになりましたが、私、実はそれを見ておりませんので、どういう数字であるか存じません。それから印刷局が果して、印刷局長承知したものとして、正式に作られておるのかどうか私は存じておりませんので、それと比較してどうこうということを、ちょっと申し上げるわけには参りません。ただ私どもは、いろいろの材料から見て計算したところでは、この程度は大体そう間違いのないところじゃないか、むしろどちらかといえば、まあ、かた目に見ておるという気がいたすくらいでありまして、従って、これ以上は、非常な作業量が減るということはまずないだろう、今後の推移、たとえば銀行券の発行高の増加の割合等につきましても、非常にかた目に実は見ております。従って、そういった点で、その見方がもう少し甘く見てもいいのじゃないかという御意見はいろいろあろうかと思いますが、そういったことで私どもはこれを作っている。従って印刷局で作られたと言われておりますものを、私、見ておりませんし、それとの比較を申し上げることは私はできません。  それから江田委員のお尋ねでございますが、これは各券種によって、一万円の札を一枚作りますのと、百円の札を一枚作りますのとは、その作業の係数というのが、量が違うわけであります。一万円の札の方が、印刷の度合いも、何回も多く刷りますし、それから紙の大きさとか紙の手入れ、透かし等に手間のかかります点等につきましても、はるかに多いわけであります。従いまして、ここで表われて参りますものは、総枚数においては減って参りますけれども、その一枚当りの作業係数の高いものが多くなって、作業係数の低いものが少くなるために、それを相乗いたしますと、作業量といたしましては、枚数が減るほどには滅らない、ほとんど変らない、こういうことに相なるわけであります。一番極端と申しますか、はっきりした例を申し上げますれば、ミツマタの所要量は、枚数は減るにもかかわらず、そんなに減らないということになる。これはどういうわけかと申しますと、ミツマタの一枚当りの含有量が、御案内のように、百円においては、今三〇%ということになる、その他の千円、それから今製造いたしております五千円といったものは一〇〇%ミツマタを使っておる、こういったことで、一枚当りの所要されるミツマタの量が非常に違う。その量の少いものの枚数が減って、量の多いものの枚数がふえるということで、総量においては枚数が減りますけれども、ミツマタの所要量はそんなに減らない、こういうことに相なる次第であります。
  48. 平林剛

    平林剛君 私がお尋ねしておりますのは事務的なことでありますが、同時に、国会の意思を実際に政府が実行なさるときに、国会の意思が忠実に実行されるかどうかを、あなたの答弁によってたしかめているわけであります。衆議院の大蔵委員会におきましては、この法律通過によりまして、企業縮小、それから人員整理等が行われないということを、付帯決議として求めているわけであります。昨日は造幣局の問題について、通貨法が通らない場合においても、工場閉鎖その他があるかと聞いたら、それについてはないというお答えがありましたから、きょうは逆に印刷局の場合をお尋ねをしているわけであります。ところが今の質疑応答で、あなたがお答えになっているのを聞くと、国会の決議は決議たけに終って、そうして実際の実行に当っては、国会の決議は空になってしまうのじゃないかという心配をいたしているわけであります。その理由は、第一には、印刷局においては、通貨の発行後十年のちには、試算をしてみると大体二億枚程度になる、百円紙幣については。あなたはこれは三億七千万枚になる。印刷局のことは知らないが、準備高を充当したり、あるいは五千円札、一万円札の発行を考えれば、さようなことは万ないと、こう言われておるわけでありますが、どうもその点について、なお実際の担当者である印刷局長の方のお答えが少し心もとないわけです。それから同時に、あなたは、かた目に計算をしておると言われますけれども、理財局の三月一日の資料を、私、拝見いたしますと、かた目どころじゃない。あなたの方は年末通貨の発行高を基礎にして日銀券の製造高を試算なさっておるわけであります。大体年末通貨の発行高というのは各月から比べたら一番高いというのが常識だと私は思うのです。一年間を通じて、月平均の発行高に比較して百円券がどうだというならば、これは、かた目に計算をしているのだというお言葉は納得できるのであります。あなたの方の資料によりますと、年末通貨の発行高を基礎にして、なおかつ百円券は三億七千万枚に減ってきておる、こういうことになると、せっかく国会が、造幣局や印刷局の事業縮小、首切り等については、しないということをしっかり約束しなさいと言われても、ここが、ざるになってしまうのじゃないかと、こういう心配をしておるわけであります。いかがでしょうか。
  49. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お言葉を別に返すつもりはございません。ございませんが、紙幣が一体一番たくさん出るのはやはり年末であります。年末の紙幣の発行に支障のないようにしていくというのが一番必要なことでございます。年末の通貨が一ぺん出て、あとは確かに引っ込みます。引っ込みますが、とにかく年末の通貨の発行がふえるときに、それに対処し得るような枚数というものは、やはり製造には考えていかなければならない。これはどういうことかといいますと、年末の発行高に対してどの程度の準備をしておけばいいかということなんであります。これは平均発行高に対してどの程度の準備をしておけばいいかということになれば、これは準備率を上げなければならない。これはどちらをとっても私は差しつかえないと思います。平均発行高をとれば三倍持たなければならない、年末発行高によれば準備は二倍でいいということになるのでありますから、その点は準備率との相対関係において見るべきもので、平均発行高をとって、そのかわり準備率を上げていくということでも私はいいと思う。少くとも年末の発行高というものは、通貨はとにかく出るのですから、その通貨が出る一番最高のところをつかんでいくという行き方は、実は私は甘く見たわけでもないし、水増ししたのでもないのであります。それに対してはどの程度準備率を持つかということの計算の仕方なんであります。この点については、私は、戦前の状況から見れば、これでむしろ決して十分とは思っておりませんが、だんだんそれを充実していくということにしていったらいいんじゃないか。十年後においてもだんだんその準備率をふやしていくということでやっていくべきではないかと考えております。
  50. 青木一男

    ○青木一男君 関連して。平林委員は非常に理財局と印刷局の統計の食い偉いについてお伺いになったようですが、印刷局、これは昔の官制、今の組織法その他によって、作業官庁でございますから、通貨の所要量とか、そういうことの担当する部局は、私は今でもやはり理財局じゃないかと思うのです。従って、印刷局が理財局から資料をもらわずに、独自のそういう統計を作れるはずはない、こう私は思うのですが、印刷局のあるいは組織法でも私が知らない間に変ったかどうか、その点、伺っておきたい。
  51. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) お話のように、現在でも、通貨の紙幣、硬貨発行計画、あるいは製造計画を策定するのは大蔵省における理財局でございます。御質問の点にお答えするわけでありますが、私ども印刷局としても、紙幣の印刷作業というものが非常に大きいウエートを占めておる立場において、また日本銀行と常時必要量等についての、あるいは納入の時期等についての接触が多い。そういう関係において、もちろん官制としては申し上げる通りでありまするが、独自のいろいろなプラン、プランと申してもこれは権威があるものではございませんが、検討するということはございますので、あるいは平林委員お話になった数字は、そういう場面におけるわれわれの内輪の見当というものに触れてのお話、数字かとお察しします。
  52. 平林剛

    平林剛君 まあ私としては、理財局長の言明と、それから青木委員お話になったことが、政府の大体考えであるというふうにお聞きをしておきたいと思います。しかしなお、それでも最初の五億九千万枚が三億七千万枚に減って参りますと、多少そこに疑問といいますか、心配が起る。そこで国会の衆議院における意思は、紙幣の廃棄率を高める、こういう決議がなされておるわけであります。これは単に職員の関心だけでなく、国民的な関心になるではないか。なぜかといえば、最近私どもが日常使っている紙幣はよれよれになってしまっているきたない紙幣がございまして、衛生上からもよろしくないし、紙幣がこれからも硬貨と並んで発行され、国民の流通通貨となりますと、やはりその品位を高めるということが必要なことだと思うのであります。あまりきたないお札でありますと粗末にしがちである。大蔵大臣もこの間テレビでお話になっておったように、やはりお互いに貯金をするということ、そういう小さな気持日本経済を安定させることになると同じように、紙幣をなるべくきれいにしてお金に対する気持を高めることが、経済の安定に通ずるということは、むしろ当然だと思うのであります。こういう意味で、現在の廃棄率一年という印刷局長からお話がありましたけれども、やはりこれはもう少し高める必要がある。同時に、国会において決議をされた付帯意見を尊重するという以上は、五千円札、一万円札の発行をするということよりも、むしろこの方面に力を注いでいくことが院の意思に沿うことになりはしないか、こう思うが、現在の百円紙幣の廃棄率は先ほどお伺いいたしましたが、諸般の事情を含めて、今後この廃棄率はどの程度高めていく気持であるか、これを確かめておきたいと存じます。
  53. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 紙幣の廃棄率を高める点につきましては、今お話もございましたように、衆議院の付帯決議で明示をされておりますのみならず、本法案提出関連いたしまして、三月に閣議決定がされておるのでありますが、その閣議決定の第四項目といたしまして、やはり同じ趣旨のことが決定されております。従いまして、この指示に従って今後具体的に計画を進めて参りたいと考えております。現に最近におきましては、例の千円券は、従来五年ということでやっておりましたのを三年に短縮するように、具体的計画を立てております。そのほか、まことに札のきたないのを出しておりますことについては、お話のようにできるだけこれを新しいものに変えていくということは、やって参らなければならぬと思いますので、これらの点につきましては、さらに今具体的に、何円を何年にするということをきめておりますのは千円だけでありますが、今後もできるだけそういった方向努力いたしたいと思っております。
  54. 平林剛

    平林剛君 千円紙幣については、五年を三年にするというお話を今お伺いしましたが、百円札の廃棄率については、どの程度に高める御予定ですか。
  55. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これは実はちょっと一見矛盾したようなことになっておりますが、従来は、実は大体十ヵ月程度であったのであります。それが一年ということになりましたのは、実は昨年からミツマタの混入率を、二割から三割に増加いたしたのであります。それに基きまして、紙幣の耐用の力が強くなりましたので、それに応じて、その強くなった割合よりは、長くした率というものは少いのでありますけれども、若干ふやしましたが、耐用の度合からいえば、二〇%を三〇%にすることによって、はるかに強くなっておると、こういうわけであります。まあ、何と申しますか、総体的には、やはり耐用年数を短かくしたという、つまり廃棄率を高くしたということにまあ逆になっておるわけであります。
  56. 平林剛

    平林剛君 この点について具体的な数字をお答えがありませんでしたけれども、私は衆議院の方で、大体お話を聞いておりますというと、一年のやつを何ヵ月というふうに縮めるという具体的な数字がございましたが、お聞きになりませんか。
  57. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 具体的な何ヵ月にするという数字は聞いておりません。
  58. 平林剛

    平林剛君 ただ、今一年であるというのを、これを縮めるということについてはお聞きになりましたか。
  59. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 特に百円を縮めるといったわけではございませんで、各種の紙幣についての廃棄率をできるだけ高めるようにというお話として伺っております。
  60. 平林剛

    平林剛君 まあ、これは、各種紙幣といえば、百円札ももちろん入っておるわけでしょう。だからそれを廃棄率を高めるということは、一年を縮めるということにあなたには読めませんか。
  61. 河野通一

    政府委員(河野通一君) まあ非常に子供みたいな御答弁を申し上げることになりますが、それは、そういうことはできるだけ考えていくということでございますけれども、まあその決議は、各種のものをすべてということでもないという場合もあり得るわけですから、私どもはそういうことを、別に、だから百円をやらないということを申し上げておるのじゃなくて、各種の札について、できるだけ廃棄率を高めるように努力いたしたい、具体的にこれから研究していきたいと、かように考えております。
  62. 平林剛

    平林剛君 まあ事務局としては、これからということは当然でありますから、あとでこの点は大臣に政治的にお答えを願うことにいたします。  印刷局長にお尋ねをいたしますけれども、今廃棄率を高めることになりますと、まあ各種の紙幣の廃棄率を高めるということが国会の意思になっておる。こういうことになりますと、先ほどの理財局長の話のように、紙幣の準備率の充実をしたり、あわせて考えますと、印刷局においては、工場の閉鎖や人員整理などをしないことができますか。
  63. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) 百円札の製造数量は、先ほど来のお話通り、減っておりまするが、その他、通貨の自然にふえていく見通し、あるいは準備率お話のように充実するための特別の製造計画、あるいはお話の廃棄率を引き上げていくというような作業によりまして、私としても、百円銀貨が出たために工場を閉鎖する、あるいは人員を整理するということはないと感じております。
  64. 平林剛

    平林剛君 まあ、あとでこれも大臣の方からお尋ねいたします。ないと思いますでなく、この点については配慮しなさいというのが国会の意思であります。  そこで最後に理財局長に訂正をしてもらいたいことがある。私が百円銀貨の発行の計画についてお尋ねをいたしましたところが、昭和三十二年度におきまして、約五千万枚、以下三十三年度は八千万枚という工合に、四十一年度、すなわち、十ヵ年までに八億枚の製造計画を立てておるというお話がございました。これによりますと、銀の地金その他から考え、また国会の意思であるところの百円硬貨の銀の含有率を多くするという決定と食い違いが出てくるわけです。たとえば百円硬貨の銀の含有率を可及的多くするということになりますと、今の政府の保有の地金、あるいは将来接収貴金属の処理によりまして、銀が使えるということになりましても、八億枚の製造計画を立てておったのでは、国会の意思は、結局この点からくずれてしまうことに相なるわけであります。そうすると、国会できめた含有率の取りきめというものは、この計画を実行することによって不可能になってしまう。従って若干の計画の変更が必要ではないか。そうでなければ、国会でおきめになった意思と違うことを政府の事務当局はおやりになる、こういうことに相なるわけであります。そういう意味で、あなたの昨日のお答えは、今までの計画であって、国会の御意思を尊重することになれば、若干計画には変更がくるのではないか、こういう御答弁があり得るはずでありますが、いかがでしょう。
  65. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答え申し上げます前に、ちょっと先ほど耐用年数の問題で、正確な数字を申し上げませんでしたが、百円は現在一年と申し上げましたが、一年一ヵ月、十三ヵ月となっておりますから、訂正いたします。  今お尋ねの点でありますが、先に私が申し上げましたのは、八億枚足らず、七億数千万枚と申し上げたので、正確に申し上げますと、今の計算でいきますと、七億七千万枚であります。従ってその点にも若干のあれがございます。それからもう一点は、今、接収貴金属の処理が済みました暁におきまして、国の所有に帰する銀の量と、今手元にありまする量と合せますると、大約二千トンと申し上げましたが、これは正確に申し上げますと、二千七十トンくらいになるんじゃないかと思います。そういう点について、非常に大ざっぱな実は数字を申し上げておりましたので、詳しく申し上げればそういうことであります。  それから、なお、昨日の御質問に対して、民間の新産銀について買い上げて、それで銀貨の用に充てるかというお話に対して、これは今のところ考えていないということを申し上げましたが、接収貴金属の中の二百七、八十トンじゃないかと思うのでありますが、三百トン足らずのものが民間に帰属する銀がございます。これは場合によってはこれを銀貨の材料として買い上げるということになれば——今そういうことは考えておりませんけれども、場合によってはそういうこともあり得るという点もございますし、大体この計画自体の枚数が、十年先のことでございますから、これでびた一文減らさないとか、びた一文ふやさないとかということまで、ここで私がお約束申し上げても、なかなかこれはむずかしい問題ではないかと思いまして、今申し上げましたように銀の総量にも相当な弾力もございますし、枚数にも正確に申し上げれば若干の相違はございますが、その辺はそう私は正確に、一枚といえどもこれは減らさないとか、あるいは一枚といえどもこれはふやさないとまではっきり申し上げておるわけではございませんけれども、今後の情勢によって相当弾力的に考えていっていいのではないか。今見通される計画では、こんな程度ではないかと思いますけれども、そういった点について、そんなにぎくしゃくした考え方は持っておりません。
  66. 平林剛

    平林剛君 それはそうですよ。製造計画よりも国会の意思の方が先行するというのが、これは当り前のことでありますから、弾力性がなくちゃ困るわけであります。で、もっと率直にあなたから答弁をされた方が、私の気持通りがいいわけでありますから、その点はもっと率直にお答えを願っておきたいと思うのであります。しかもあなたのきのうの答弁だと、私はその点を念のために確かめておいて、将来民間から買い上げたりなんかするような計画がありますかと言ったら、ないと言ったでしょう。きょうは、将来はそういうこともあり得ると、こういうふうに言われるわけで、その点などもやはりいろいろなことを考えながらお答えを願わないというと、私ども判断に狂いが出てくるわけでありますから……。  最後に大蔵大臣に、ただいままで事務当局と質疑応答して参りましたことにつきまして、責任者の立場からお答えをいただきたいと思うのであります。  事務当局の答弁によりますと、「各種紙幣の廃棄率をたかめること」「百円硬貨の銀の含有量を可及的多くするとともにその大きさについては十円貨程度とすること」こういう付帯決議に対しまして、事務当局としては、まだ結論を得ていない、当然のことながら国会の御意思は尊重する、こういうお答えがあったのであります。しかし、検討して努力をする、尊重するということは、私の承知しておりますところでは、自由民主党と日本社会党との間に行われました内容と、若干条件が違うわけであります。この中におきましては、銀の含有率についても、諸外国の例等から見て、また通貨の品位を高めるという意味から見て、六〇%程度にするということもございました。この数字もはっきりしておることであります。事務当局としては、大臣のお答えのない前に、そうだということはなかなか言いがたいので、私に対する答弁は先ほどのような程度に終っておると思いますが、大蔵大臣としては、国会における付帯決議について、一つ具体的に政府考えをお示しを願いたいと思うのであります。  まず最初に、「各種紙幣の廃棄率をたかめること」「百円硬貨の銀の含有量を可及的多くするとともにその大きさについては十円貨程度とすること」、これについて、ややこまかいことになりますけれども、それが大事なことでありますから、大臣として、付帯決議に対するお考えをお述べ願いたいと存じます。
  67. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 二つの問題の先の方の、「各種紙幣の廃棄率をたかめること」と言ったことは、私は大賛成であります。国会の決議があろうが、あるまいが、自分として念願しておるところであります。決議がありますれば、もちろんそれによってやるのでございます。自分自身としてもそういう考えを持っております。  それから「百円硬貨の銀の含有量を可及的多くする」ということも、これはいろいろな点から考えなければなりませんが、これは理屈を申しますとかなりありますが、国会の意思がそういうことならば——可及的に多くすると言っても、実はなんぼにするときまっていないのでございますから、もともとが……。だからどの程度にするかということは、やはり各般の事情考えまして、今試験的にやった分よりは、それは国会の意思がこうならば、多くしたいと思います。  それからこの大きさも、「十円貨程度」ということでございますが、これはやはり何と申しますか、この十円と百円とを、暗がりでも見えるとか、あるいはまた何と申しますか、前はぎざぎざをつけるのと、つけないのとがございまして、それから厚さその他の関係で、自動電話とか、いろいろな点がございますので、これはまあ専門的になると思いまするが、その点は十分考慮いたしたいと思っております。
  68. 平林剛

    平林剛君 一般的には今のお答えで私も満足すべきところでありますけれども、これは衆議院の段階における諸般の事情がございまして、もう少しこまかいことについて大臣にお答えを求めておきたいと思うのであります。  衆議院におきましては、政府、与党ならびに衆議院大蔵委員長、理事との間に、銀の含有率についても六〇%程度とするという確約がございました。元来含有率をどうこうするということまで申し上げるのは、まことに恐縮でございますけれども、しかし各般の事情から、大臣にもその点を御了察願いまして、この私の問に対して、その通りであるというお答えをちょうだいしたいと存じます。
  69. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 六〇%程度ということは、実は聞いておりませんでしたが、この付帯決議が衆議院の大蔵委員会で出されましたとき、私はちょうど出席いたしておりました。御趣旨に沿うという返事はいたしませんでしたが、返事をしてもいい気持でおったのでございます。それだけ空気がなごやかでございました。その六〇%ということを聞きまして、七〇%でなしに六〇%程度なら、大体いけるのじゃないかと思います。
  70. 平林剛

    平林剛君 それじゃまたもう一つ、印刷局、造幣局の職員に対して、人員整理させず、その他労働条件の低下などをさせないよう配慮すること、この付帯決議についても、大臣としては当然でございますけれども、念のためにお答えをいただきたいと思います。
  71. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは大蔵傘下でございますから、大蔵大臣としては、おっしゃらなくても、こういうことは考えなきゃならぬことは当然のことだと考えます。
  72. 平林剛

    平林剛君 またあとに質問を保留しておきますが、ミツマタ関係のことについても政府の見解を求めたいと思いますから……。しばらく江田委員に私の質問を譲りたいと思います。
  73. 江田三郎

    ○江田三郎君 この三十二年三月二十一日の臨時通貨法の一部改正に関連するミツマタ対策要綱という閣議決定ですね、これに基いてちょっとお尋ねしたいのですが、その第一の項に、「百円硬貨発行に伴うミツマタ対策に関しては、昭和三十一年度の局納ミツマタの数量を将来下廻らざるよう措置することとし、この旨を大蔵大臣よりミツマタ生産者に対して文書をもって通告すること、また右の文書は将来の局納ミツマタの数量に関する計画を貼付する」、こういう内容がありますが、この法案通過の暁には当然これが実行されると思いますが、この際に大体構想として大蔵省の方で持っておられる将来の局納ミツマタの数量に関する計画というのはどういう数量になるわけですか。
  74. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 具体的な詳細なところまで、数字が一応は作ってございますけれども、大体の数字で申し上げますならば、三十一年度が三十五万貫です、ミツマタの所要量が。それが三十二年度、本年度におきましては、それが三十九万貫ちょっとになっております。大体その三十一年度の三十五万貫は相当程度今後十年間くらいは上回るような見込みで所要をされるということでございまして、大体三十八、九万貫程度の数字に相なる、かように見込んでおる次第でございます。
  75. 江田三郎

    ○江田三郎君 こまかいことは別にして、あなたの方で試算で出されました三十一年度三十五万貫、四十一年度三十九万貫、大体この辺の数字で計画を貼付された通告を出される、こう了解していいわけですか。
  76. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 繰り返して申し上げますが、三十一年度の三十五万貫よりも相当程度高い数字になるのじゃないかと思います。大体三十八、九万貫程度になるのではないか、かように考えております。
  77. 江田三郎

    ○江田三郎君 その際のこの価格については、この要綱の三に、「局納ミツマタの価格は生産費その他の関連農産物価格その他の経済事情をしんしゃくの上決定するものとすること」、こうなっておりますが、これはこの文章は文章として、具体的にはどうでもなるのですが、大体この価格についても三十一年度価格を下回らない、こういう工合に考えてよろしうございますか。
  78. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この点につきましては、これから具体的にいろいろ検討いたさなければならんと思いますが、少くともミツマタ生産者の立場、事情等は十分に配慮して、価格の具体的な決定をいたして参りたいと、かように考えておる次第であります。
  79. 江田三郎

    ○江田三郎君 その生産者の立場は配慮するというのは、これは抽象的におっしゃったところで、どんな数字を出しても、あまりけたはずれなことはともかくとして、配慮しておるといえばそれまでですから、だからして三十一年度の局納の価格というのは、いずれ私は生産費その他関連農産物価格等をしんしゃくしておきめになったと思うのです。将来非常なデフレでも出ればともかくといたしまして、経済状態がまず今のような情勢でいく限りにおいては、当然三十一年度の価格を下回らないと解釈しなければ仕方がないことになりますが、そう解釈してよろしいですか。
  80. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 江田委員お話にございます通り経済情勢の特別な変化がない限りは、私どもも常識としては、三十一年度の価格を下回るということはあり得ないと思っております。これは政府としてここで言明をするということになりますと、将来のどんな変化があるかわかりませんから、絶対に引き下らないということは、これは言明はできませんが、常識として今おっしゃるような想定に立つ以上は、三十一年度の価格は下回らないというふうに思っております。なお、要綱にもございます通り、需給協議会を作りまして、買い上げ数量と価格につきましては、生産者及び学識経験者の意見も十分聴取をいたしまして決定をいたしますので、今申し上げましたように、三十一年度の価格を下回るというようなことも万あり得ないというふうに考えてはおります。
  81. 江田三郎

    ○江田三郎君 ですから、そういうことをだれが考えたって、政務次官のおっしゃるような常識で考えられるので、それを一体なぜ理財局長答弁をしぶられるのか、あるいは大蔵省へ残る将来が、政務次官より理財局長の方が年限が長いから、大事をとっているのかもしれませんが、なぜ理財局長はそこのところだけ答弁を避けられるのか、私はおかしいと思うので、政務次官と同じことを言えませんか。
  82. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 閣議決定に加わりました私として申し上げますが、御質問の点、気持はわかりますが、この閣議決定いたしました一から六までをおくみ取り下さいますと、われわれはミツマタ業者のことを特に考えているということが現われると思うのです。従いまして江田さんの御質問に対しましては、私たち今政務次官が答えた通りでございます。閣議に出席いたしました私から答えるのが一番いいだろうと思います。
  83. 江田三郎

    ○江田三郎君 だから今の閣議決定の二の中の、政務次官が取り上げられました需給協議会ということになっていますが、需給協議会は当然本法案通過したら、三十二年度から早急に発足されるものと、こう解釈してよろしいわけですか。
  84. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) さようでございます。
  85. 江田三郎

    ○江田三郎君 なお関連して。学識経験者五名というのは、大体ミツマタの学識経験者というのは、どういう方面のことを予想しているのですか。
  86. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) これはあとから農林省関係の問題でお話が出るかと思いますが、やはり今後の需給対策を確保するという意味からいたしまして、販路の確保といいますか、拡張といいますか、こういう点につきましても配慮をする必要があると思いますので、この学識経験の中には、こういった特殊な繊維関係の技術的な学者といいますか、あるいはまた販売方面、これを使う方面ですね、パルプ関係という人々もぜひ参加を願いたい。その他農業団体、そういう方面の学識経験者を一応予想いたしておるのでございます。
  87. 江田三郎

    ○江田三郎君 だから、これだけ読むと、毎年度の局納ミツマタの数量、価格の決定に関し協議を行うということで、私はその範囲かと思ったら、政務次官のお答えでは、もっと需給協議会の仕事は広いようです。そういう広い角度から取り上げたこともけっこうですが、そういうことになりますと、最後にもう一つは、これは農林省の方へお尋ねしたいのは、この閣議決定にミツマタ生産者に対する将来の対策を、農林省においてすみやかに確立すること、こういうことがあるわけで、三月の二十二日の閣議決定から日もたっておりますので、相当具体的な計画ができていると思いますので、この際お知らせ願いたいと思います。
  88. 八木一郎

    政府委員(八木一郎君) 三月の閣議決定後、農林省といたしましては、この方針に従いまして、直ちに調査に着手し、現に現地にも出向きまして、特殊な農業事情等の調査に係官を今派遣しておる状況でございます。
  89. 江田三郎

    ○江田三郎君 まあ調査に出向いているということも親切でけっこうですが、大体この大きな方向を私はお聞きしておきたいのでして、一体農林省としては将来のミツマタというものは、これは生産計画を縮小しなければならないと考えておられるのか、あるいは新しいこの用途をみつけて、さらにミツマタというものは今後縮小しなくても、むしろ拡大してもいいというようにお考えになっておるのか、その基本的な点はどうなっているのか。
  90. 八木一郎

    政府委員(八木一郎君) 御質問の第一点の数量見通しは、現状を下らない、現状を維持し得るという前提に立ちまして、特にこの地方の、このミツマタ生産地方の立地条件に即したいろいろな施策を立案して参りたい、従ってその中には、酪農を取り入れるとか、あるいは畑地、山地の振興施策に当てる仕事をふやせるとか、一つの手段、方法では尽せませんので、いろいろと今調査を進めながら方向をその方向に置きまして検討しておるのでございます。
  91. 江田三郎

    ○江田三郎君 政務次官もよく御承知と思いますが、ミツマタの植えているところをですね、急に酪農を持っていくとかあるいは何とかと言ったって、そうああいう地帯が簡単にいくものではなくて、この点についてはかねがね大蔵政務次官はこういうことについて検討されておったんで、この際、一つ大蔵政務次官の方の考え方を承わっておきたい。
  92. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) ただいま八木農林政務次官からお答え申し上げました通り、われわれ基本的な態度といたしましては、やはり現在ミツマタを植えておりますものはなるべく減反等をさせずに販路も確保していきたい、で、局納の面につきましても、できるだけ買い上げていきたい、生産者を保護していきたいという考え方であります。しかしながら地帯によりましては、他に転換をした方がより有利であるという農民の希望もあろうかと思います。で、今まで私直接生産者の代表と接触して参りましたが、御希望をいろいろ伺っておりますとまちまちでございます。従って政府としてこの手を一本打てば生産者が救われるんだという手はなかなか見つからないのであります。で、私ども生産者に対しましても、この際、地方片々でやはりいろいろ立地条件が違いますから、たとえばこの地帯に農道をつけてくれ、林道をつけてくれ、そして山を開発したいというところもありましょう。あるいはまた今酪農には向かぬとおっしゃいますが、必ずしも全部向かぬわけじゃございませんので、やはり酪農を入れたいというところもございましょう。また養鶏をやりたいというような具体的な申し出もございます。こういうものにつきましては、政府として今農村建設その他いろいろ手を打っておりますから、こういうものとのにらみ合せてできるだけの処置を、その地帯に対して特別な計画を立てて特別な処置をとつて、計画的に具体的に措置していきたいという考えは持っておりますが、これは今申し上げた通り、まちまちな希望がございまして、農林省でせっかく御調査願い、また生産者の団体もこれを煮つめて持ってきてもらいたいということを申し上げているような状態でございますので、結論的なことはちょっと申し上げられないと思います。
  93. 江田三郎

    ○江田三郎君 大蔵政務次官、なかなかごうんちくを傾けられた窓口の広い答弁をされまして、その中に何か一つぐらい当るものがあろうと思いますが、(笑声)要は骨子になるものはあなたが最初に言われた、将来減反等をさせないように、こういう点が私は一番肝心だと思うんで、そのためにあるいはもっといいものがあればそれは変ってもいいのですが、この計画の立たざるうちに減反等をさせないようにというその御配慮は一番私は肝心なものだと思いますが、農林省の方でもおそらく私はそういう考え方だろうと思います。ただ従来ミツマタ生産については補助政策をとっておられましたが、それは一体どういうようにされるつもりです。
  94. 西村周一

    説明員西村周一君) 現在ミツマタの共同育苗を昨年まで補助金で出しておりました。それを今後改良資金として出すことに本年度の予算からなっております。そのほかなお改良資金に従来入れてございませんでしたミツマタ、コーゾの蒸留施設でございますね、これを改良資金の中に組み入れて本年から実施するようにいたしたいと考えております。そういうふうに今後、ただいま調査をやっております結果によりまして、何とかもう少し生産者の手取りを少くしないで生産費を下げる方法を講ぜられまして、それによって販路の拡張をはかっていきたい。なお、使用量は減少しないという閣議決定になっておりますから、ただいまお話のありましたように、現在の生産はそのまま維持する方法においていろいろ調査の結果に基いて、来年度の予算に組み入れてやっていきたいと考えております。
  95. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 一括議題に付してありますが、一つ一つの案に決定を進めていきたいと思います……。
  96. 平林剛

    平林剛君 臨時通貨法の一部を改正する法律案にもう一つだけ大蔵大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  この臨時通貨法の問題がいろいろ議論をされておりました過程で、通貨の系列を整えるというようなお話がございまして、これが通れば、すぐ五千円札、一万円札などの高額紙幣が発行される、こういう心配もありまして、今後の国民経済に与える影響、あるいは国民の心理等を考えまして、かなり議論がございました。しかし最近の経済事情を見ますと、高額紙幣の発行についてかなり慎重を期さなければならぬという情勢に私はうかがえるのでありますが、大臣のこのことについての御見解をお聞きしておきたいと思います。
  97. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろいろ議論がございます。私は今から数年前千円の銀行券を出します時も大蔵大臣で、いろいろ考慮をいたしたのでございます。そういう経験があるから、今度は一万円札を出すというのじゃございませんが、いろいろな経済各般の事情を見まして、いつ発行するかということは、この百円硬貨を出す出さぬによってきまるべき問題じゃないので、全般の点から十分考慮してやりたいと考えております。
  98. 平林剛

    平林剛君 ただいまの大臣のお答えは、臨時通貨法通過をしたら、直ちに通貨の系列を整えるということで、五千円札、一万円札が発行されるものではない、この高額紙幣の発行については経済の動向も考えて慎重を期するものであると、こういうお答えと理解をいたしたのでございますが、よろしゅうございますか。
  99. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その通りでございます。
  100. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御質疑はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕  他に御質疑もないようでありますから三案に対する質疑は終了したものと認めます。  それではまず、準備預金制度に関する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  準備預金制度に関する法律案を問題に供します。本案に御賛成の方は御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  101. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。   —————————————
  102. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、預金等に係る不当契約取締に関する法律案について討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  預金等に係る不当契約取締に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  103. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  104. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をつけて。   —————————————
  105. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、臨時通貨法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  106. 平林剛

    平林剛君 私は、ただいまの法律案に対して、社会党を代表し、賛成の意を表します。  ただ、臨時通貨法の一部を改正して新たに国民の通貨となる百円銀貨のあり方、品位等につきましては、今後の国民に対する通貨の信頼、あるいはそこから起きてくる経済の動向等を考えまして、慎重を期さなければならぬということをかねがね主張して参ったのであります。特に、通貨は国民の利便ということを優先して考えなければならぬ、こういう意味で、今国民が日常生活において使っておる百円紙幣と百円銀貨と比べてみまして、一体どちらが便利であるかということを中心に議論をなさねばならぬところでありまして、これについては、国民全般の意見を求める機会がございませんでしたけれども政府のその後の説明によりますと、紙幣と貨幣と両々相待って国民の通貨とする、こういう話もわかりましたので、今まで私ども考えておりました点につきましては、なお、若干の疑念は存するのでありますけれども、この際、諸般の事情考えて賛成することにいたしました。なお、今日まで本委員会において質疑応答を重ねて参りましたことに対して、政府答弁がありましたことは、どうか責任を持って忠実に処理されるように希望するのであります。  なお、この機会に、私は若干の付帯決議を付して皆さんの御賛成を同時に得たいと思います。付帯決議を朗読いたします。    臨時通貨法の一部を改正する法    律案に対する付帯決議案  一、最近の経済事情にかんがみ、高額紙幣(五千円札、一万円札)の発行については特に慎重を期すること。  一、百円硬貨の発行に当っては、政府は次の諸点を十分配慮をすべきである。   1 みつまたの政府買上量については、今後三十一年度水準を下廻らないようにすること。   2 各種紙幣の廃棄率をたかめること。   3 百円硬貨の銀の含有量を可及的多くするとともに、その大きさについては十円貨程度とすること。   4 印刷局、造幣局の職員に対して、人員整理させず、その他労働条件の低下、工場閉鎖などなさないよう配慮すること。  内容につきましては、すでに各委員お聞き取りの通りであります。衆議院の付帯決議と若干違うところは、第一の高額紙幣に対する点、それから質疑応答で明らかになりました工場閉鎖をせないということを加えてあるだけであります。  本法律案を賛成するに当りまして、同時に付帯決議を付して本案の議決とせられることを希望いたしまして、私の賛成意見を終ることにいたします。
  107. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 自由民主党は、本案に賛成いたします。  ただ、審議の過程におきまして問題になりました大きな点は、やはりミツマタ問題、あるいは印刷局、造幣局の職員、ことに印刷局の職員の問題であります。私は、この問題が出ましてから、たいへん自分の心を打たれたのでありまするが、私の県の彦根という所に工場があるのであります。印刷局の工場でありまするが、これが、この問題が出ましてから、たいへんにかえって努力をいたしまして、成績が一日一日と上昇いたしておるのであります。これは、やはり農家の次男、三男坊でありまして、これで職を失いますると他に職が求められないというような関係がありまして、これではいかないというので、みんなが協力してこの成績を上げておるのであります。こういう点からいたしましても、この点は政府においても十分に御考慮を願いたいと存じます。  これをもちまして賛成といたします。
  108. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御発言はございませんか。——御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  臨時通貨法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成のお方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  109. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって、本案は、可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました平林委員提出の付帯決議案を問題に供します。平林委員の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成のお方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  110. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって平林委員提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました三案についての諸般の手続は先例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから三案に対する多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     木内 四郎  西川甚五郎     江田 三郎  平林  剛     天坊 裕彦  青木 一男     横川 信夫  田中 茂穂     塩見 俊二  土田國太郎     苫米地英俊  宮澤 喜一     大矢  正  栗山 良夫     前田 久吉
  111. 江田三郎

    ○江田三郎君 付帯決議に対して、あいさつして下さい。
  112. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど本委員会におきましてなされました付帯決議は、まことに私も同感でございまして、十分その趣旨に沿っていきたいと考えております。(拍手)
  113. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 暫時休憩いたします。二時半より再開いたします。    午後一時三十一分休憩    —————・—————    午後三時二十一分開会
  114. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 休憩前に引き続き委員会を開きます。  議事に入るに先立って、委員の異動について御報告いたします。  本日付をもって木暮武太夫君、天田勝正君が委員を辞任され、その補欠として横川信夫君、椿繁夫君が委員に選任されました。   —————————————
  115. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 接収貴金属等の処理に関する法律案を議題として、政府より提案理由の説明を聴取いたします。
  116. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) ただいま議題となりました接収貴金属等の処理に関する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。  終戦後、連合国占領軍は、本邦において政府及び民間から金、銀、白金、ダイヤモンド等の貴金属等を接収したのでありますが、平和条約の発効と同時に、これらの貴金属等を日本政府に引き渡したのであります。そこで、政府といたしましては、さきに接収貴金属等の数量等の報告に関する法律によって貴金属等を接収された者から必要な報告を徴し、その内容調査を進める一方、連合国占領軍から引き渡された貴金属等の調査実施し、その状況もおおむね明らかになりましたので、今回、これら接収貴金属等について返還その他の処理をいたしますため、本法案提出した次第であります。  以下、本法案の概略を御説明申し上げます。  まず第一に、貴金属等の被接収者は、法律施行の日から五ヵ月以内に、大蔵大臣に対しその接収された貴金属等の返還を請求することとし、被接収者が右の請求をしない場合には、接収された貴金属等の所有者が、法律施行の日から七ヵ月以内に、請求を行うことを認める等、返還請求の手続を定めることといたしました。  第二に、この返還の請求に対しまして、大蔵大臣は、当該貴金属等の種類、形状、品位及び個数または重量を、接収の事実を明らかにする証拠等によって認定することとし、認定された貴金属等につきましては、それが政府の保管している貴金属等のうちで特定する場合には、そのものを返還し、特定しない場合には、各貴金属等の種類、形状、品位及び重量のそれぞれの明確度と、各貴金属等が溶解されて変形している可能性、あるいは、その代替物がある可能性に応じて、特定するもの以外の残余の保管している貴金属等を、接収された貴金属等の個数または評価額の割合により按分して返還することといたしました。  第三に、この法律により返還される貴金属等につきましては、国、公共企業体、地方公共団体及び日本銀行の所有にかかるものを除き、連合国占領軍から引き渡しを受けて以来返還されるまでの保管費用等に相当する額として返還を受けた価額の一割に当る金額を国に納付せしめることとし、なお、これに伴う課税上の必要な調整措置を規定いたしました。  第四に、接収された貴金属等のうちには、交易営団、社団法人中央物資活用協会または社団法人金銀運営会が、戦時中、政府の金、銀、白金またはダイヤモンドの回収方針に基き、政府の委託によって民間から回収したもの、金属配給統制株式会社が政府の指示に基いて、交易営団または中央物資活用協会の回収した貴金属を買い入れたもの、金銀運営会が、戦時中、政府の指示に基き、旧日本占領地域における通貨価値の維持等の目的をもって金製品を輸出するため、旧金資金特別会計から払い下げを受けたもの、及び軍需品の製造に従事していた者が、軍需品を製造または修理するため、その材料として、戦時中、旧軍または軍需省から買い入れたものがありますが、これらは、すべて国に帰属させるとともに、これらの者に対しては、右貴金属等を取得し、または加工した際の代金及び手数料等に相当するものをそれぞれ交付することといたしました。  第五に、以上の認定、返還その他の重要事項の処理の万全を期するため、大蔵省接収貴金属等処理審議会を設けることといたしましたほか、認定等に対する不服の申し立て、虚偽の請求に対する罰則等所要の規定を設けることといたしました。なお、国に帰属または返還された貴金属等で一般会計に所属するものは、無償で、貴金属特別会計の所属に移して管理することといたしました。  第六に、接収貴金属等の処理につきましては、その数量が膨大である上に、きわめて困難な事務であり、また、かねて行政監察特別委員会で議題として取り上げられた経緯もあり、その処理は特に慎重かつ厳正に行う必要がありますので、大蔵省管財局に臨時貴金属処理部を新設して、これらの事務を専担させるのが適当であると認めた次第でございます。なお、この処理部は、あくまでも臨時的なものでございまして、接収貴金属等の処理に関する法律案との関係がきわめて密接でありますから、同法律案の付則に規定する大蔵省設置法の改正規定中に所要の修正をすることといたしました。  以上が提案の趣旨及びその内容の概略でございますが、なお、衆議院におきまして修正された内容及び審議の経過等につきまして管財局長に簡単に補足説明をいたさせたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の上すみやかに御可決賜わらんことをお願いいたします。
  117. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それでは衆議院におきまして修正を受けました点等につきまして簡単に補足説明を申し上げます。  衆議院におきまして修正の案が二つ出ましたのでございますが、そのうち共通する分につきましてはあとに申し上げることにいたします。  共通せざる分につきまして申し上げますと、第一点は、ただいま申し上げましたように本法案におきましては特定するものと特定せざるものとに分けて規定を設けておりますが、この特定せざる分につきましての扱いを国に帰属させるようにという御趣旨があったのであります。この点につきましては、新憲法下におきましての接収であることはただいまの提案理由にも明らかでございまして、いわば所有権を基本といたしましての立法でございまして、その点についてはっきりと応答がございまして、これはあくまでも所有権に基く返還措置を講ずべきであるというふうな議論があったわけであります。  第二点は、ただいま申されました納付金一割を八割くらいにという修正案がございましたが、これまた同様の趣旨におきましていろいろと御議論がございました。  第三には、この法律に基きまして国に帰属いたしまする貴金属等の処分をいたしました歳入の使途につきましての御修正案でございましたが、これにつきましては、この案自体は成立をいたしませんが、別途党との間におきましていろいろお話し合いになりました点につきまして、大蔵政務次官からそのお話し合いについては十分御趣旨を尊重するという旨を発言された次第であります。  次に、共通する部分につきまして、本法案の付則第七項について次のような修正がなされましたが、政府といたしましても異議がございません。すなわちすでに御承知通り国有財産特殊整理資金特別会計法が昭和三十二年二月二十八日に衆議院に提出せられまして、四月十五日に成立をいたしております。この法律接収貴金属等の処理に関する法律案よりあとで提出せられたのでございますが、本法案より先に成立をいたしましたために、大蔵省管財局の所掌事務のうち接収貴金属等の処理に関する事務を第十四号と十五号に規定する予定でありましたところ、これを十五号と十六号に規定することに改められたのでございます。  次に、接収貴金属等の処理に関する法律案は、第二十四国会提出し、自後継続審査となっておりましたため、昭和三十一年法律第何号となっておりましたが、これを昭和三十二年法律第何号に改められた次第でございます。  何とぞよろしく御審議の上すみやかに御賛成をお願いいたします。
  118. 江田三郎

    ○江田三郎君 この法案は、衆議院においては継続審査になっておったわけですが、参議院の方はそういう手続がなかったわけで、私の記憶の間違いかもしれませんが、昨年の議員の半数改選後においては、今回が初めてであると思います。そこでこれはまだ半数改選後においては、全然取っ組んだことのない法案でありまして、先ほど足立政務次官の提案説明の中にも、慎重審議をしてくれということでありましたが、特に参議院としては、今まで何もやったことがないだけに、これはよほど慎重に審議しなければならぬと思うのです。そこで、私も初めてですから、若干資料を要求するわけでして、第一に、最初に新聞社等を通じて金の回収を始めた昭和十四年六月のころに、大衆に、国民にどういうような呼びかけをしたのか、その当時の新聞あるいは銀行が出しました国民への呼びかけ、こういうものを出していただきたい。  それから、その後戦時物資活用協会であるとか、中央物資活用協会であるとか、あるいは交易営団等を通じてそれぞれ回収を行なったと聞いておりますので、それらの団体がどういうような国民に呼びかけをして回収を行なったのか、そのときの資料を出していただきたい。  それから第三に、終戦後占領軍の方で直接行動で接収を開始したということになっておりますが、これは私らはそういうところを見たことがありませんので、その当時、まあ新聞なんかにはこういうことは出なかったのだろうと思うので、そういう実情をよく承知して、どういうことをやられたのかという一つ証人をだれか、調査室の方で適当な調査をして一つ選んで呼んでいただきたいということ。  それからその次に、十五国会、十六国会で衆議院で行政監察の特別委員会があって、いろいろこの問題を扱われておりますので、それを見れは、ただいま私が資料要求としてお願いしたような点がかなりはっきりするのではないかと思いますから、そこでこの委員会の議事録の取り寄せを願いたい。  それからいろんなものがあるようですが、その実物を見たことがありませんので、一度どういうようなものが出ておるのか、たとえばコップのようなものもあるかもしらず、延べ棒もあるかもしらず、どういうようなものになっておるのかわかりませず、また帰属がはっきりしておるのか、しておらぬのかというような問題もありますから、一つこれは資料という、広義の資料という意味だろうと思いますが、これが保管されておる場所において実物を見るということをぜひやっていただきたいと思います。  その他法案の慎重審議の進行過程において、いずれまた資料をお願いいたしますが、とりあえず、それだけまず第一にお願いしておきます。
  119. 平林剛

    平林剛君 提案説明が終ったら、あとで本委員会としては理事会を開くことになっておりますので、今政府の提案説明をお聞きいたしまして、衆議院における経過は御説明がありましたが、法律案自体の内容についての御説明がございませんでしたから、委員長においては、また適当な機会に政府からこまかい説明があるように、後にお取り計らいを願いたいと存じます。
  120. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の資料要求なんですが、いずれ審査しますと、もっといろいろな資料を頂戴いたしたいと思いまするけれども、もう一つ追加をこの際しておいていただきたいのは、この法人、個人の業種別区分、金額別の一覧表をいただきたいと思うのですが、民間所有者の業種別数量、これは金額の段階別に一つ出していただきたい。そしてその中で、いわゆるこれはどちら——私入ってないのじゃないかと思うのですが、法人、個人別になっておるのだけれども、そのうちで公益法人の分がないようなのだけれども、全然ないのかあるのか、これを一ぺん明らかにしてもらいたい。あるいは社会事業法人とかいろいろなものがあるでしょう、そういうものから接収したものがあるのかどうか、これを一つ、重要なポイントだと思うのでそれを出していただきたい。
  121. 江田三郎

    ○江田三郎君 今栗山君の方からそういう資料の要求がありましたが、いずれ私が今お願いしたのが出てくればはっきりすると思いますが、二十八年のたしか行監で配ったその数字、貴金属の数量の表があったので、そのときには合金というのがあって、せんだって私がいただいたのを見たら合金というところがないので、あの二十八年の行監のときの発表の数字もお願いしておきます。
  122. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) それでは暫時休憩いたします。    午後三時三十九分休憩   —————————————    午後五時三分開会
  123. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 休憩前に引き続き委員会を開きます。  トランプ類税法案を議題といたします。質疑を行います。
  124. 大矢正

    大矢正君 トランプ類税法の質問に入る前に、実は租税の問題に対して、最近法の実施後において多少混乱が起きておりますので、その点について主税局長の見解を承わっておきたいと思うのであります。  それは過日の当委員会において、そしてまた本院において決定を見ました法人税法の一部修正についてでありますが、法人税法の中の第一条に、人格のない社団財団に対する規定が設けられて、従来と異って、法人でなくても法人税を納めなければならない事態が発生をいたしたのでありまするが、当時私も局長との間において数々の質疑によって解明を行なったつもりでありますが、なお、今日地方において本法をめぐっていろいろの疑義と、それから意見が出ております。この際あらためてその点についての質問をいたしたいと存じておりますが、第一点の質問としては、通称組合と称するものは、当法のいう、みなす規定の法人として、この法律を完全に、いかような内容を持っても適用されるものかどうか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  125. 原純夫

    政府委員(原純夫君) ただいまのお尋ねの、中小組合とおっしゃったのでございますか。
  126. 大矢正

    大矢正君 いいえ、それはただふつう組合と称する団体。
  127. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 具体的なものが法律に当るかどうかということにつきましては、具体的な例をおあげいただいて、それを調べました上でお答えいたしたいと思います。一がいに組合といいましても、御存じの通り法人格を持っている組合もあります。法人格を持っていない組合もあります。法人格を持っているものは、法人でない社団財団には入らない、むしろ法人自体であるわけであります。そうでないものについてはどうかということになりますと、それが純粋に民法の組合というようなことで、個人課税でやっていけるというものであるか、あるいは法人でない社団、財団として課税すべきものかというようなのは、具体的なケースによって判断すべきであろうと思います。
  128. 大矢正

    大矢正君 もちろん私の申し上げていることは法人でない場合の組合を指して言っているつもりであります。これは公益法人の内容も明らかでありますからして、いかに公益法人といえども、課税の対象になる収益事業には課税されることはよく存じておりますが、これは私が申し上げておるのは、法人でない、いわゆる組合に対して課税をされるのかどうかということなんであります。もちろんここでいう組合というものは、それでは一体所得税を納めておるかどうかという点になれば、これは納めておらないものもありますが、そういう内容のものがやはり課税の対象になるかどうかということなんです。それでしかもそれはどのような条件のもとにおいても課税の対象になるのかどうか。また仕事の範囲とか、事業の範囲によっては課税の対象にならないという、そういう解釈が出てくるものかどうか、こういう点についてお答えをいただきたいと思います。
  129. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 結論から申しますと、準組合的なもので、組合という言葉の使い方が非常にむずかしゅうございますが、すべての行為を組合員個人にばらして考え得るというものについては、組合員個人に所得を帰属させて、そして所得税をかけるということになります。そうでないものについては団体であるということで、今回の法人でない社団または財団として、法人と見なして収益事業を営んでおれば課税になるということに相なると思いまする
  130. 大矢正

    大矢正君 具体的な例を申し上げて、局長判断をいただきたいと思いますが、たとえば何人の人間が集って金を出し合う、そして組合を結成し、その範囲において、その金を出し合った個々の範囲においてまた適当に今度は貸し付けるといいましょうか、こういうようなことをやる。その場合に勢い、これは集めるときと貸しつける場合との開きがございますから、そこに収益と申しますか、利益と申しますか、利子と申しますか、そういうものが上るわけでありますが、こういうものを行う組合と称するものは課税の対象になるでしょうか。
  131. 原純夫

    政府委員(原純夫君) それらについては、将来具体的な事案が起りました場合に、ただいま耳で伺っただけで直接御返事申し上げますのは非常にあとに問題を残すことになりますから、はっきりと、具体的に伺いまして研究して慎重にお答えした方がよろしいと思いますから、そういうふうにさしていただきたいと思いまする
  132. 大矢正

    大矢正君 これはあなた慎重にとおっしゃっておられるから、その気持は非常に私もありがたいと思うのですが、事実においては、各市町村において実際にこれがもう発動されております。おそらく局長は、それは単なる調査ではないかというふうに言うかもわかりませんけれども調査の域をすでに通り越して、その団体に対して、あなたの団体はこういう内容でどこから課税をされるのだという税務署を通じての意思表示がすでになされておるわけです。こういう事実行為がすでに起りつつある段階において、ただいまの局長答弁では私はちと納得がいかないのですが、いかがでしょう。
  133. 原純夫

    政府委員(原純夫君) そういう成り行きになっておるとしますと、先日私どもがその点については非常に慎重に、御不安のないようにいたしますと言いましたことと違った成り行きになっておると思いますことは遺憾千万であります。従いまして、それをここでお尋ねになって、それを主税局長は大蔵委員会でこれはこうと言ったじゃないかというようなお扱いになるよりは、具体的にどこの何組合ということをおっしゃっていただいて、私の方ははっきりそれを調べまして処置いたします。いずれにいたしましても、あのとき申し上げましたように、まず最初に申告していただくのは、こういう営業をしておりますという申告をしていただくわけでありますが、そのしていただく対象を判断して御通知申し上げるという段階でありますから、その段階がまだ十分進んでいる時期とは私思っておりません。その時期にそうはっきりと言うケースが……、まあ非常にはっきりとしていれば、軽い意味で言うのは差しつかえないと思いますけれども、疑問のあるものについては、そうはっきり言う段階ではなかろうと思いますから、そういう意味では疑問のあるものにそうはっきりと言うて、あのとき申しました網をかける式な態度をとるということはよろしくないと思いますから、そういう意味では私はそういうことがあるとするならば遺憾だと思いますが、それが法人税法第一条第二項に当るか当らぬかという点は後ほど具体的な事例をよく調べまして善処さしてもらいます。
  134. 大矢正

    大矢正君 先日の当委員会において、私どもの質問に対しお答えになった局長答弁の中の一節にも、団体であるからといってすべてが課税されるものではない。かりに法人の資格のあるものは法人税によって規制をされ、それから個人は所得税によって規制される。そのいずれにも入らないものが全部いわゆる人格のない云々と、この中に当てはまるものではない。特にこの中には組合という形式のものもあるし、そういう面では組合の中で当法の範疇に入らないものがあるというような御答弁を私はいただいて、今もそのことを思い出しておるわけでありますが、組合であっても、全部の組合が第一条の第二項に直接的に関係が出てくると、こういうようには解釈しないでよろしいのでございますか。
  135. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その通りであります。ただそういうふうに解釈しないでよろしい場合は、この組合員個人にこの所得を配って個人課税をするという場合、どういう場合がそれかというのは、具体的に個々に見ないとやはりお答えができないというわけであります。
  136. 大矢正

    大矢正君 そういうのと違って、それじゃ個人にその収益が帰属を将来するかもしれませんけれども、当分の間それを組合員個々に分けないで、その組合が留保をしておった場合はどういうことになるのですか。その法律適用されることになるのですか。
  137. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 要するに、外部に対しまして、団体として経済行為をやっているか、あるいは組合員の個人が出てやっているかというところが判断の分れ目だろうと思います。従いまして、まあ留保をしているというような場合は、より団体的な感触がそこには出るということだろうと思いますが、それらの点についてはいろいろな点を判断して、どちらかに判断するということであって、その境を今留保したらどう、どういう点はどうならどうという個々の場合で、にわかに申せと言われましても困りますので、それは先ほど申したように十分このお尋ねの筋々を別途伺って研究した上お答えすべきものだというふうに思いますから、そういうふうにお願いします。
  138. 大矢正

    大矢正君 そうすると、ものの考え方として、組合であっても法人税かさもなければ所得税かのいずれかの税を納めなければならない立場が出てくると、こういうように基本的に考えるのだという解釈でしょうかね。
  139. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その通りでございます。
  140. 大矢正

    大矢正君 組合というものと法人でない——いわゆるここに書かれている、法律の中に書かれている社団または財団というものは同様のものであるという性格づけ、あるいは考え方というのは、私は生まれてこないのじゃないかと思うのでありますが、大蔵省当局としては、この社団または財団というものの中には、組合というものが当然含まれておるという解釈ですか。
  141. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 組合という名前で、この名前を持っております場合に、いろいろな場合があるのです。先ほど来話がありました通り、はっきりと法人格を持っている、しかし組合といっている場合があります。それからもう非常に個人的な契約関係の強いグループを組合と呼んでいる場合がある。その間にいろいろなニュアンスで、いろいろな組合があるわけです。従いまして、そういうニュアンスを十分具体的なケースについて当って判断しなければならぬ問題であると思うわけでございます。
  142. 大矢正

    大矢正君 いや、私の言っている前提は、あくまでも法人格をとっていない組合のことを申し上げている。話は最初から終りまで、これは組合であって、たとえば生活協同組合なら生活協同組合の場合で、法人格をとっていて法人税を納めている、こういうものは問題でない。あくまでも法人格をとっていない、いわゆる法律で規制をされていない組合のことを申し上げているのです。で、最近特に問題になったのですが、この組合を社団または財団という法律の中の言葉の中に含めることは、どうも法律違反ではないかという意見が再度またこれは出てきておるのですが、その点については局長絶対そういうことはない、法律違反ではないという確信をお持ちですか。
  143. 原純夫

    政府委員(原純夫君) はい、それは法律違反ではないと思います。もう法人でない社団または財団というのは、何という名前で呼んではならぬという、何という名前で呼びなさいという規則もないわけです。ですからいろいろな名前で呼ばれておるわけです。協会といったり、何々会といったり、あるいは団といったり、いろいろあると思います。また中に組合というておるものもあると思います。従いまして、法人でない社団、財団の中に組合というものがあるとしても、一こうそれは……。組合であれば、この法人でない社団、財団の外にあるというのではなく、むしろ相当その中に組合という名前でやはり法人でない社団、財団であろうというものがあるだろうと私は思います。
  144. 大矢正

    大矢正君 そうすると、これはまあここで解明をする気持はありませんが、あなたの考えておられることは、法人でない社団または財団というものの中に組合というものは含まれておるものなんだ、こういう解釈でいかれるのか、それともそうではなくして、組合というのは、法人格のない組合というものは、法人でない社団または財団というものとみなして、そうして課税をするのだ、こういう解釈なのか。いずれですか。
  145. 原純夫

    政府委員(原純夫君) この組合というものを厳密に、こういうものは組合だという前提をおいておっしゃっておる組合は、そういうものに限るのだという場合と、それからとにかく組合だ、とにかく組合といっておるものについて話しているのだという場合とで、だいぶ違ってくると思います。お話は後者のお話の仕方であろうと思います。そうであるならば、組合という名前は、その裏に法律的な構成としてはいろいろな場合がある。そうして、なるほど法人であるのは、もう法人ですから、これには当らぬというのは、法人でない社団、財団ではないということはもちろんでありますが、団体的な性格が強いものから個人的な性格の強いものにというニュアンスがあるわけです。そのいろいろなニュアンスのところに組合という名前を持ったものがあることはあり得るというふうに思いますので、ただいま申した後段の意味で組合をお考えのようですから、そうならば、私の申し上げております通り、単に、組合であるからといって、法人でない社団または財団からはずせるということはない。中には法人でない社団または財団である場合もございましょうというふうに申し上げておるわけでございます。
  146. 大矢正

    大矢正君 あまり時間をとると、引き延ばしをやっているようで恐縮で悪いですから、ほんとうは質問したくないのですが、もって回ったように、故意にむずかしく御答弁されておるようで非常に困るのです。単刀直入にお伺いして、明確に法人でない社団または財団というものの中には、組合と称する名称のものも入っておるのだということなのか、そうではなくして、それをみなして、ここで、法律の中ではみなす規定としてここに載せられるというように、組合も社団または、財団とみなしてやるのか、こういうことなのか、そのいずれかということをはっきりしてもらえば、あとあと問題が起っても、私は法律的にも解明できるのじゃないかと思うので、その点だけお伺いしたいと思います。
  147. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 純粋の個人の集りとしての複合的な契約関係というようなもので一切が成り立つ組合、法律上の組合でありましたら、私どもはその総体の所得を個々の組合員に帰属さして、個人として所得税をかけますということになります。ただし、いわゆる組合の中には、いろいろなものがあって、そういう性格のものだけではありません。そうでない場合には、そして、そうではなくして、法人格はもっていないという場合には、法人でない社団または財団として今回の改正法の規定適用するということに相なると思います。
  148. 大矢正

    大矢正君 これはあなたにこういうことを聞くのは、ちょっと筋違いかもしれませんが、参考のためにお伺いしたいのですが、あなたが今御答弁されておることは、単に税金をとる立場から作る法律解釈考え方が、こうだという意味ではなくして、一般の法律論としてこういう解釈になるのだというふうに言われておるのか。そのいずれですか。
  149. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 両方に関係があると思います。まず一つは、今回の改正をお願いしたのは、要するに実質的に収益事業をやっておる、これを公平にかけるためには、穴があってはなりません。穴をふさぎたい、この改正で穴はふさげると私は考えております。穴をふさげると思いました筋道を、組合という概念をいわば中心にして申し上げたのが今のような申し上げ方になるわけで、今のような考え方で穴がなくなるというふうになるのではなかろうか。ほかの名前の団体については、また、それぞれ考え方があるわけでありますが、そういう意味政府としては穴をふさぎたい、あれで穴がふさげる。その考え方は、今申したような考え方でふさげると思います。
  150. 大矢正

    大矢正君 長い間時間をとるのも恐縮ですから、一応質問は終りたいと思うんでありますが、当初私が特に委員会において要望申し上げ、十分局長からも御答弁をいただいたように、慎重にこの問題は取り運ばないと問題があるという意見の御開陳があったにもかかわらず、現実には、下の方ではその規則通りに運営がされていないという欠陥がありますので、よく部内において協議の上、善処されることを私は御要望申し上げたいと思います。なお、この面については、法律的な論争も将来残るんではないかという気がするので、私は脱税行為を何か推奨し、こういうふうにしてやれば税金がかからないという抜け道を教えるために、ここで質問しているわけでもないのでありますが、いずれにしても、やはり違法行為があってはいけないと思いますので、この面についてはまた別途法制局その他の見解も聞き、明らかにしたいと思います。  なお、こういう点では会計士、計理士その他からもいろいろ疑義が出ている点もございますので、またいずれ租税その他の調査案件として質問をいたしたいと思いますが、どうか、最初にお願いいたしました、慎重にやるということを今後も一つやっていただきたいと思います。  以上をもって私の法人税に関係をする質問を終らしていただきます。
  151. 江田三郎

    ○江田三郎君 トランプ類税法の質問ですが、ちょっとその前に、主税局長が出ておりますから、一つだけ別な問題を申しますが、農家が新しい農地を取得する。その場合に、むすこの名前で取得する場合も、これはおやじから譲ったものとして、贈与税の対象になるということを一般的原則的な方針として税務署の方でとられる。ところが、実際にはむすこが農地を取得する場合に、むすこが農協から借金する場合もありますし、あるいはむすこが国鉄に勤める等のことによって所得が別にある場合もありますし、これは個々の場合によってそれぞれ違うわけなんで、それを一律に、おやじが生きている限りは、むすこの名前に農地をすれば贈与税の対象になるというかけ方はおかしいのではないか。これについて一つ国税庁が具体的にどういう扱い方をするように下部に指令なり通達を出しているのか。出していなかったならば、どういう取扱いをする指導方針であるか、これを知らしていただきたいということを国税庁へ頼んでいるわけですが、これは今、私お答えいただかぬでいいのです。答えていただくよりも、文書で、あとでその際の取扱方針というものを文書でいただきたいと思います。これだけ、主税局長の方から、国税庁と連絡をとって、そういう文書で返事をいただきたいと思います。  ところで、トランプ類ですが、このトランプ類税法案というのは、ずっと読んでみまして、これはなかなか近ごろにないうまいことを書いてあると思うのです。この点はどうも先ほど来、原局長大矢君との質疑応答を聞いていると、なかなかむずかしい答弁をするんですが、しかしこの法案は非常にわかりやすく書いてあるので、これは一体主税局長の方針でこういう工合になったんじゃないと思うので、事務当局の功績に帰するものだろうと思うのですが、とにかくこの法律は近ごろにない明快な書き方をしているという点は、私はもう率直にそう感じておるわけですから、そういうのですが、ただそれにしても、せっかくこうはっきりしたいい文章で書いてあるのであって、将来の法案一つの新しいタイプを打ち出されたと思うのですが、なお少し問題がありますのでお聞きしたいわけなんです。そこでまずこの第二条の「この法律において「トランプ類」とは、まあじゃん、トランプ、花札、株札及び虫札並びに使用及び遊戯の方法がこれらに類する物で政令で定めるもの」とこういうことがありますが、一体「これらに類する物」というのはどういうものがあるのでございますか。
  152. 原純夫

    政府委員(原純夫君) たとえばこのめくり札とか四色牌とかドミノとかアンスコとかフージャンとか一つ一つ具体的には私は知りませんが、そういうようなものがあるのでございます。
  153. 江田三郎

    ○江田三郎君 そこでそれを聞いても、私もよくわからないので、私も大体遊ぶ方は人後に落ちないつもりではおるのですけれども、今局長が言われたものをことごとく全部知りません。それならたとえば百人一首というのはどうなるのですか。それから家族合せ、ああいうものはどうなるのですか。
  154. 原純夫

    政府委員(原純夫君) とれは入りません。今までも課税しておりません。今後も入りません。
  155. 江田三郎

    ○江田三郎君 トランプで坊主抜きといろ遊びがありますが、ところが百人一首でもあの中にも西行法師とかいろいろな坊さんがありまして、あれですといろいろお姫さまの絵が書いたのがありまして、これらを使ってトランプのこの坊主抜きと……(笑声)いや、これまじめな質問なんです。使用の目的及び遊戯の方法が類する遊び方がいろいろあるわけでして、こういうものが入らぬというのは、ちょっとおかしいと思うのですが、これは文章が悪いのでしょうかどうでしょうか。
  156. 原純夫

    政府委員(原純夫君) トランプというものの概念規定の問題だと思います。私どもトランプ類の共通な概念として偶然性とそれから対人性と数的観念と、こう三つに数えておりますが、偶然性といいますのは競技のやり方がおおむね実力によらないで偶然性に支配される、これはまあ字の通りでございます。第二の対人性といいますのは札を二人以上の競技者各人に分配して勝負を争うものである。これが対人性であります。第三の数的観念といいますのは、札そのものに数的観念があって、札の結合によって一定の点数を獲得することができるようなもの、この三つを条件にいたしております。お話しの場合、特に三番、百人一首はそういう何はちょっとついておらぬのじゃないかというような感じがいたします。
  157. 江田三郎

    ○江田三郎君 大体私はこの法案の文章は非常によくできておるのだが、これは原局長の功績ではなかろうと思っておったが、やっぱり今の答弁聞いておると非常にむずかしいことをまた言われ出して、原局長の正体が出ておるので、これはやっぱり事務当局の功績ということはこれはよくわかりました。そこで偶然性とか対人性とかいろいろなことを言われますが、百人一首をこの上の句を読んで下の句を取るという遊び方でなしに、あの百人一首には坊さんの絵が書いてあり、お姫様の絵が書いてあり、そういうようなものを使ってちょうどトランプにおける坊主抜きと使用の目的及び遊戯の方法がこれらに類する遊びができるわけなんでありますから、これは当然政令でこれも入ると解釈しなきゃならぬと思いますが、あなたの今の言われるのは百人一首を読み上げてとるということだけに解釈されておるようでありますが、なかなか百人一首というものは昔からあるだけに遊び方も多種多様でありまして、ただ単にこの読んで選手権を争うというようなものだけじゃないのでありますから、偶然性、対人性、何とか性の適用されるものが出てくるのですから、そこでお尋ねしておるわけです。
  158. 原純夫

    政府委員(原純夫君) まあカードはカードでありますから、この似た点を捉えられて、ここが似ているからこれも一緒にするというお考えでやられれば、そういう考え方もできるかと思いますが、総体ごらんになって、私ども今三つの要件を分けて申し上げたわけですけれども、要するにこの総体をごらんになって、トランプ類に百人一首を入れるかどうかということをお考えになれば、おのずからまたおっしゃったのと違う判断になりゃせんかというふうに思います。やはり似た点がないとは申しません。けれどもトランプと百人一首との間には線を引きますということを言うても、先ほど来申し上げましたような要件から考えて、総体としての判断は、それでよろしいのじゃないかというふうに思うのでございます。
  159. 江田三郎

    ○江田三郎君 しからば家族合せの場合はいかん
  160. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 同様にはずしてよろしいと思っております。
  161. 江田三郎

    ○江田三郎君 その家族合せの場合はもっぱらあなたの言われるところの偶然性、対人性及びもう一つの性にはっきり当てはまるわけですよ。百人一首のような主たる用途がこの読み上げてとるということでなしに、家族合せの場合には、あなたの言われる三つの条件そのものずばりに当てはまるわけですが、これはどうなります。
  162. 原純夫

    政府委員(原純夫君) まあ要件の厚薄からいうて、はずれるという見方もありまするし、また先ほど申しましたように似た点をとらえておっしゃれば一緒じゃないかという見方もありますが、その辺のところは、もう家族合せのような玩具のようなものは、前の骨牌税法の時代から今回の第二条第六号に該当する政令で定めるものというところで、最後のボーダーは切っていただいてあったわけです。その辺は従来からもそういうもりははずすということにいたしております。先ほど申したのは法律にそういう要件をきめるという何じゃなしに、法律に具体的にマージャン、トランプ、花札云々と言って、こういうものははっきりとかけます。その他「使用の目的及び遊戯の方法が前各号に掲げるトランプ類に類する物で政令で定めるもの」というておるわけです。その際われわれとしてはおもちゃのようなものまでかける必要はないというふうに考えております。まあ先ほど何性々々と言いましたのは、かりにそれらの共通の要素を選んでみればそうなるということで、そういうものについても、おもちゃのようなものでも、そういうものは共通性がありはせんかといわれれば、その通りでありますけれども、それはこの法律の構成に、ただいま申しましたように文句なく入るというところから、これに類するもので政令で定めるものといろところで、最後のボーダー・ラインを切るということにいたしておりますので、ただいまお答え申しましたように、家族合せは入れないでよろしかろうと思っております。
  163. 江田三郎

    ○江田三郎君 家族合せは、三つの何々性にはがっちり当てはまる、そのものずばりなんですが、ただこれが、玩具に類するということで別だといわれるならば、トランプの問題などで、おとなが使う場合もあるし、子供が非常に簡単な遊びに使う場合もあるわけですが、トランプの品種といいますかね、そういうものもいろいろあるわけで、なかなかこういうことを理屈を言い出すときりがないから、そういうことを言うと四時間かかるということを言ったのです。そこで与党理事の方からのお話もありましたから、私ももうそういう質問はやめることにしまして、ただちょっとお聞きしておきたいのは、このたとえばマージャンなんかの場合の中古品の問題ですね。今まであなた方非常にめんどうがられた。これはやはり、こういうような法律がせっかくできても、なかなか新品を中古品として抜け道を作るということも防げないのじゃないかと思うのですが、これは製造過程においてもつかむようなことをしておられますけれども、しかし製造過程といったところで、一つの販売業者がそういうことを下請に出したという場合ははっきりわかりますけれども、たとえば、個人がこの形で材料を出してやらして、中古品だということで古物屋へ出すということになると、なかなかこれは把握できないのじゃないかと思いますが、何かこれは自信がありますか。
  164. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その点につきましては、いろいろ考えましたが、結局こういうことにいたした次第です。第二十六条の第二項第三号にですね、古物に該当するトランプ類で、古物営業法の規定により帳簿に記載されているものということにいたしております。それは第一項の方で、包装をしていない、証紙付けのしていないトランプを持っていてはいけない、販売業者がですね。こういうことを一項で書いてある。ただし古物屋さんが古物営業法の規定による帳簿にはっきり書いてある、これはだれの、どこの何の何がしから買ったと、どういうものだということが書いてあるのですね。そういうものならばよろしいと。証紙が張ってなくても、包装がしてなくてもよろしいと、こういうことになっているわけです。そこでそこのところをもっと漏れのないようにしていくためには、中古として売る場合は、初めにその包装、少くとも証紙はとっておいて、合せて売らなければいかん。古物屋さんは合せてでなければ買っちゃいかんということにして、古物屋が店頭に並べる場合は、必ず証紙をつけて並べておかなければならぬと、こうやれば、まずまず漏ればないということができるかもしれません。まあ、それにしてもほかの証紙をつけるということもありますけれども、そういうことも一応考えたのですが、そこまで要求するのは非常識であろうと、やはりどこのだれから買ったということがはっきりしておって、そしてそれが真実の記帳なら、サンプルで調べれば、真実の記帳かどうかわかると、真実の記帳なら、これは大体証紙がついていないのは当りまえのことだから、それ以上することもあるまい。ただし架空にやって、それを商売にしているということになりますと、その名義の人がおらぬ、また聞いてもそういう覚えがないということがどんどん出てくると思います。そうしたら、これはやはりこの質問検査の規定でですね、いろいろとその古物屋さんを調べて参るということで、ある程度これでも防げるということ、まあこの程度であろうと思ったわけです。なお、別途製造業者が原料を仕入れます。近ごろはこの練りぱいの原料は樹脂でありますが、その仕入れ原料についての仕入れの相手方、原料の供給者に質問ができるということをお願いして、三十六条の第一項第二号でありますが、これは従来、間接税各税で、この課税物件の原料の供給者に対する質問検査権ということは例がないのでございます、どうもその辺直接税あたりと比べて、少しおかしいなという感じもしないではないようなところなんですけれども、少くともこの点については、原料の供給からはっきりできるようにさしていただきたいということでもってこれを入れております。これは今の古物屋さんとは直接の関係はないのですが、これで実際上の大きな問題である練りぱいの問題は片がつく。その他紙にしましても、ああいう紙は特殊な紙でありますから、そういう何がつくと思います。これは古物についてのあれじゃないわけですが、全体として課税を漏れなくいたすということについて、そういう点でかなり画期的な改善が見えるのじゃないか、古物の方については先ほど申した通り、若干不十分であるけれども、これである程度のことはいけるだろうと思ってお願いしているわけであります。
  165. 江田三郎

    ○江田三郎君 いろいろ聞こうと思っておったのですけれども、与党理事の方から、晩飯の時間のことや本会議のことがあるから、簡単にやれということですから、この程度にしておきます。
  166. 大矢正

    大矢正君 「税額算定の特例」の中で出ている言葉なんですが、一組としてトランプでもマージャンのぱいでもでき上る場合は別として、かりに一組、まあ花札である場合は四十八枚そろわないで、三十枚とか二十枚とかいう場合の課税の特例といいますか、課税の仕方がこの中に出ていますね。その場合は枚数、個数に応じてかけるのだというのですが、一組になって初めて用を足すものが、その半分や三分の一しかないものに税金をかけるということについては、どうもこれは解せないのですが、その点はどういうわけでこういろ内容が出てくるのですかね。
  167. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その半分や二、三枚のものはかけないということにいたしますと、この法律的な関係は妙なものでありまして、たとえば店にりつぱなマージャンが出ていると、この証紙がないじゃありませんか、包装がないじゃありませんかと、これは二、三枚ずつ出たものを集めたものですと言われてしまうと、それまでになるわけであります。やはりそれはそれでその部分について課税していきませんと、大きくいえば法律で認めた抜け穴ができるようなことになりますので、大へんこまかしいようなんですが、これはぜひ必要だと思ってした規定でございます。
  168. 大矢正

    大矢正君 それは二、三枚であっても、実際的には、売るときは一組にして売らなければならぬでしょう。二、三枚売るという場合は、これはかりにマージャンのぱいなんかの場合ですと、ぱいが五つなくなったから、五つだけ新しいのを取りかえるなり買うということは考えられますね。しかし花札が三枚なくなったから三枚だけ買ってくるというのは、あまりこれは聞かぬ話ですがね。そうなってくると、そういう面におけるばら売りということは、おそらく想像できないのじゃないか。まあマージャンのぱいのばら売りはあると想像できても、花札の場合のばら売りということは想像できない。あなたの言われているような解釈もあるかもしれないけれども、売るときは必ず一組にして売らなければならないものだから、そのときは当然、一組になっている場合は当然証紙も張らなければ——今度の場合は現金納付ですから、証紙は張らなくてもいいかもしれないけれども、判は押してなければならないということになると思うのですけれども、そういう解釈になりませんか。
  169. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 売るときには、それは市場では一組でなければ売れないわけでありますが、買うには、何といいますか、一万から三万までをまず買ってきて、あと四万から五万までを買ってくるということは一向差しつかえない。製造者が出す場合に、三枚ずつ出す場合はかけないということになれば、それは無数に繰り返して買ってくればいいわけですから、売る人は……。買ってきて、さあそろった、そろったものを箱に入れて売りましょうということになるわけですね。それでは困るわけです。それでこういうふうにこまかしいようですが、こういう規定はどうしても要ると考えるわけでございます。
  170. 大矢正

    大矢正君 これは花札でも、マージャンのぱいでも、一たんでき上ったものはすべて保税地域に一たん入れて、そこから引き取られる。こういうことになるのではないですか。
  171. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 製造場から出す場合は移出でありまして、他の製造場に持って参るといろ場合に未納税で出すというような制度はありますけれども、保税地域に入れるというようなことは、まずこの場合にはあまり問題にならないと思います。移入したものを保税地域で特に加工するというようなことも、おそらく実際上はないだろうと思います。ただいま申し上げましたような場合は未納税で出すという場合でなくて、むしろ二、三枚ならかけないということになりますと、それをあとおっかけて、そういうものを無数に買ってそろえて出すというものを、今度製造者とみなしてやらなければならぬというようなことになって、非常に煩瑣なことにもなって参ると思います。
  172. 大矢正

    大矢正君 一つのカードで花札とトランプと両方兼用のやつがありますね。まあ今相当市販されているし、使われているのですが、こういう形でいくと、花札、トランプ、そしてまたマージャンなどという三色ぐらいにその一組のカードで使えるようなものがおそらくあるのではないか、またできるのではないかと思うのですが、これは課税はやっぱり一緒で、一組六十円というものだけしか課税にならないですか、そういうものでも……。
  173. 原純夫

    政府委員(原純夫君) それは使う場合は一組として使うわけですから、一組としてかけるということになります。どの分類でかけるか、マージャンでかけるか、トランプでかけるか何でかけるかということは、主たる用途による。主たる用途がどれともわからぬということになれば、その他のものになって参ると思います。
  174. 大矢正

    大矢正君 課税をするというこの基本的な考え方は、そういうような何といいますか、遊戯の道具としてかけることになるのではないかと思うのですが、その道具がさまざまに、各様に使われる場合には、当然これは各様に使われるのですから、一組でもってとにかく三組くらいの働きをするものでありますから、言うならば遊戯を目的とするものに対して課税をするという、そういう概念からいけば、そういうように三色もあるものには三倍の三、六十八の百八十円をかけるというようなことが考えられるのではないかと思うのですが、これは私の考えが間違っているのですかね。
  175. 原純夫

    政府委員(原純夫君) どれかでかける、つまりマージャンと見てしまえば、それはまあマージャンになるわけです。主たる用途がトランプだと見る場合にはトランプとしてかける。一度トランプとしてかけましたものを、今度別に花札の何もついているから、そっちから見れば花札、そうしてもう一度かけるということはいかがかと、われわれとしては一度これに当てれば、そういうふうに解釈したのだということで、一組としてしかかけるべきではないというふうに考えております。
  176. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうも私は大へん不勉強でよく知りませんが、虫札というのはどういうものですか。ちょっと現物を見せて下さい。
  177. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 大へんどうも不勉強で恐縮ですが、花札から、はぎとぼたんを除いたもので、従って四十枚でできておるそうであります。従いまして、模様も遊戯の方法も大体花札に似たものだそうであります。
  178. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは製造個数は相当多いものですか、またしろうとが使うものですか、くろうとが使うものですか。
  179. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 年間約五千組程度ということを私どもの調べでは見ております。しろうとよりも、むしろ若干しろうとでない向きが使うのが多いのではないかというふうに見ております。
  180. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからもう一つお尋ねいたしますが、第二条の定義なんですが、おもちゃと、玩具というのですか、おもちゃというのですか、大蔵省の用語はよく知りませんが、玩具とここに書いてあるものとの区分けはどういう工合にするわけですか。要するに限界ですね。非常に簡単なものか精巧なものかというように、ある限界があって、それに比べればこれはここまでは玩具である、ここまでは玩具でないと、こういう境界線がなければならないと思いますが……。
  181. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 従来の骨牌税法におきましては、そういうもので政府の認可を受けたものはかけないということでやってきておりますが、今後もやはり具体的に、これは玩具的なものだというような具体的に認定していくよりいたし方がないと思います。大きさが非常に小さい単純なものである、抽象的に言いますれば、そういうことになると思うのでありますが、今般も第二条第六号で「政令で定めるもの」というところにそういうようなものを一つ入れて運用して参りたいというふうに考えております。
  182. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは大へん常識的なことをお尋ねいたしておるようですけれども、これは非常に重要なことだと思うのです。と申しますのは、大蔵省自分で政令できめるとおっしゃいますけれども大蔵省の方にこれこれ以上のクラスのものは玩具でない、これこれ以下のものは玩具であるというような何かの基準というものがなければ、判定のしょうがないのじゃないかと私は思いますが、たとえば、大体のものは日本標準規格、こういうようなものがあるわけですけれども、こういうトランプ類の日本標準規格がございますか。それからもう一つは、ただ感じだけでこれは玩具だ、玩具でないというのはおかしいので、少くとも税金を取る以上は、その目方なりあるいはまたサイズ、寸法なり質なり、そういう各方面からやはり一定の定義を私は下す基準を設けるべきだと思う。この点がこの法律を先ほどからずっと通読して抜けているのではないかと思う。玩具と玩具でない境界線がこれは明確に抜けていると思いますが、いかがですか。
  183. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その点につきましては、おっしゃる通りにすぱっといきますれば一番すっきりすると思います。確かにそうだと思います。ただ、なかなかこれが玩具的なものだからはずすかどうかというのは、いろいろな要件が入ってくるのですね、具体的なものとしては。従いまして、従来はこれは認許にかけるということにして、認許を与えるに際しては全部中央に稟議さしております。まあそういう意味で中央で一つの目で見るということで、この法律は実際にはとれるように扱っておるわけで、おっしゃる通りその基準をいろいろな準則といいますか、ルールを立ててやるということは、できれば望ましいことだと思いますが、なかなか非常に例外的な場合なんです。例外的なものが参るというのが多いので、どうも今までも扱いながらそういう気持がないでもなかったのですが、まだできてない。これは将来具体的の事案を一つ見まして、できればそういうようにいたしたいと思いますけれども、なお十分研究をさせていただきたいと思います。
  184. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 もう時間が来ているようで、大へん恐縮ですけれども、なぜそういうことをしつこく申すかといいますと、たとえばマージャンにしても、これは象牙か牛骨かということだったですが、合成樹脂のマージャンというのはおそらく考えられなかった。ああいうものができればおもちゃです。これが使用する人が多くなってきて、どんどん製造すれば売れる。売れれば税金をとりたいということで、あれが私は対象になってきたと思います。将来そういうことがあらゆるものに起り得ないとはだれも保証する者はないですよ。そういう意味で、同じ目でごらんになるという場合、これこそまさに大蔵省の役人に全部を委任するわけだ、品質の判定については。そういう法律というものは私はないと思うのですがね、そういう法律というのがどっかにありますかね。というのは、ただ感じでこれは玩具だ玩具でない、たとえばこれは数学のようなものでして、ゼロから始まってずっと無限大までいきますよ。そのときにここまでは大蔵省は玩具でないと認め、これは税の対象にした。それよりちょっと質の悪いものを作ってどんどんどんどん下げていったときに、どこで線を引くのか、そういうことは非常に困るのじゃないかと思うのですがね。
  185. 原純夫

    政府委員(原純夫君) そういうことがありますので、法律的には、従来は認許、今回は「類する物で政令で定めるもの」ということで、やはり政令にお譲り願っておるわけです。まあそういう問題は可否の魔だから、譲るか譲らぬかという問題はあると思いますが、やはりものにはいろいろあるわけですから、境目がわからぬ際には情勢でやるということはあってもいいのじゃなかろうかと思うのでございますが。
  186. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御質疑はございませんか。——御質疑もないようでありますから、質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  御発言もないようでありますから、討論は終局したるものと認め、これより採決に入ります。  トランプ類税法案を問題に供します。  本案に賛成のお方は御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  187. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、先例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     木内 四郎  西川甚五郎     江田 三郎  平林  剛     天坊 裕彦  青木 一男     佐藤清一郎  横川 信夫     苫米地英俊  宮澤 喜一     大矢  正  栗山 良夫     前田 久吉   —————————————
  188. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行います。
  189. 平林剛

    平林剛君 実はこの法律の提案理由の説明をよく読んだのでありますが、なかなか内容がよくわからない。なかなか一息には読めないようにできておりまして、その点でもし法律案内容を誤って解釈するといけませんから、二三の点についてお尋ねをしたいと思うのであります。  第一に、この法律案提案理由の説明書を読みますと、結論として、造幣局の企業努力をできるだけ忠実に決算に反映せしめる上において必ずしも適当でない点が痛感されますので、いろいろなことをやって法律案を改正する、こう読めるわけです。そうするとこの法律では、造幣局の企業努力をできるだけ忠実に決算に反映せしめるということに目的があるようでありますが、そこでそれなら一体どういうことをその結果ねらっておるのかという点がよくわからないわけであります。つまり造幣局の企業努力をできるだけ忠実に決算に反映せしめる結果ということをねらうのか、もっとわかりやすく言うならば、たとえば造幣局の企業努力が決算に忠実に反映できれば、造幣局の職員に対して業績賞与を出す基礎になるとかならないとか、あるいはまた、ほかのことをねらっておるのかという点が明確でありませんので、その点について御解明を願いたいのであります。
  190. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 法案がきわめて技術的でございますので、説明に苦労しておるわけでございますが、お尋ねの御趣旨の点でありますが、実は造幣局の作業と申しますのは、非常に特殊な作業であります。まあ一言にして尽しますれば、じみな仕事でございまして、作業の比較的単純な作業でございます。従ってその企業の努力といたしましても、大きな結果がそれによって動くというようなことは初めからとうてい期待し得べきものではないのでありまして、ところが現在のこの会計法の仕組みで参りますと、先ほども提案理由説明の補足で申し上げましたように、企業的な努力と全然関係のない要因によりまして、決算上損失あるいは利益が出るような形になっております。その関係の動きがきわめて大きいのであります。たとえば貨幣を回収いたしますと、額面だけの資産が減る、国の資産といたしまして減ることは当然でありますが、素材として逆に回収された地金が入って参ります。この地金が何千万円、あるいは場合によっては一億をこえるような場合には、これが益になって出て参るのであります。ここのところ数年の間ずっと益が続いておったのでございまするが、回収貨幣もだんだん整理されて参りまして、今後はむしろその資産を用いまして通貨を、補助貨幣を発行していく方が回収を凌駕する状況にありまして、その場合には回収されました地金を用いまして貨幣を製造するわけでございますが、製造いたしまして一生懸命働きますと、自分のところの資産がそれだけつぶれていくのです。欠損になります。その金が十億近くなるという状況が今年、来年あたりから続くような形になります。いわゆる五現業と申しまして、いわゆる企業的な管理をいたしていくという建前でできた会計でございまして、しかもその企業的努力たるや非常にその幅の本来少いもので、従ってこれは貴重なる努力と申しますか、ものでございます。それが何ら顧みられることなく、今申しましたような関係で、ほかの欠損に巻き込まれてしまいまして、期間計算におきまして欠損が出て参ります。それはまことに張り合いのない形であり、それから会計の作業といたしましても穏当を欠きますので、これを直そうということでありまして、これを直しました結果どうなるかと申しましても、今申し上げましたように、貨幣を発行することによっていわば忙しく働くわけですが、その結果決算は欠損になる、それから別に造幣局の作業とは関係なく回収をいたしますというと、資産がふえて益が出るというようなことはなくなるわけでございまして、資産の関係がきわめてすっきりとしますと同時に、企業の状況がそのまま決算に表われるようになって参ります。そういうような関係ではっきりさせようということを意図いたしたものでございまして、はっきりさしてからそれでどうするのかということを別に考えておる次第ではございません。ただ作業会計の本質といたしまして、作業の部分は作業の成績が表われるように、それから通貨の発行という国の一つの行政的な行為によりまして国自身の資産の増減を生じまする分は、その資産の増減といたしまして、その企業の勘定とは別に資金の方において増減を整理いたします。そちらで表わすということの方が適当であるということでございます。今の方法でいきますと、とにかく欠損が非常に続くような形になりまして、非常に工合が悪いのでございます。
  191. 平林剛

    平林剛君 何だかあなたの説明と法律案の提案理由の説明と、ポイントの置き方が違っているような気がするのですよ。あなたの説明であれば、結局、造幣局のいろいろな制度、会計の仕訳、損益処理等について、理屈から見てもおかしいと思うから、この際所要の改正をしたらどうだろうか、こういうことに尽きるわけでないかと理解されるわけです。ところがこの提案理由の説明によると、これこれこれこれの不合理な点があって、造幣局の企業努力をできるだけ忠実に決算に反映せしめる上において必ずしも適当でない点が痛感される、だから直すのだ。こういう説明になっておるわけですね。そうだとすれば、企業努力を忠実に決算に反映せしめるための改正である。それならば一体そういうふうにわかりやすくして、どういうふうなはね返りがくるのかというところに、説明書からいくと質問が結びついていくわけです。あなたの説明でこの点はわかりましたけれども、提案理由の説明は、どうもわれわれが読んでも理解がしにくいのであります。まあ一応この程度にしておきます。  もう一つわからないので聞きますけれども、この法律と接収貨金属等の処理に関する法律案と何か関連がありますか。なかなか提案理由の説明と、今のあなたの説明でポイントの置き方が違っているだけに、そんな疑いも、解読が難解のために起きてきておるわけでありますけれども、いかがでしょう。
  192. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 接収貴金属の方とは全然関係がございません。これは昭和二十五年に実は現在の制度になっておるわけでありますが、その際に多少研究が足りなかったというようなことから、積年弊害がだんだん数字的に累積して参りまして、工合の悪い状態になっておりますので、毎年直そう直そうということになっておったのでございまするが、要するにこの内部の政府の資産そのものの整理なものでございますから、直接政府と民間との受け払いにも関係いたしませんし、非常に国庫内の事務的なものでございますから、ちょっと申しかねますが、いわばおくれおくれになりましておそくなっておったわけで、今回も予算関係法案が済みましてから、かねて研究いたしておりましたところがようやく結論を得ましたので、あとからだいぶおくれまして御提案申し上げましたようなわけでございます。全く事務的な関係でございます。
  193. 平林剛

    平林剛君 それで私の疑点は晴れました。接収貴金属等の処理に関する法律案とは全く関係のない法律である。今回の議会にこの法律が提案をされたのは特別な理由があるわけではなくて、何年かの間制度上のことを直そう直そうと思っていたやつをこの機会に直す、こう私は理解ができるわけであります。そうだとすれば、この法律の付則を読んでみましても、「この法律は、公布の日から施行し、昭和三十三年度の予算から適用する。」と、こう書いてありますね。そうすると何も今度の議会で成立しなくても、昭和三十三年の予算が成立するまでにできればいいというふうにも理解をされるわけでありますが、ここのところの解釈は具体的に言うとどういうことになりましょうか。
  194. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) この法律は予算の関係にはほとんど関係がございません。なおこまかく見て参りますと、あるいはあるかと思いますけれども、私どもはこの立案に当りまして、しさいに検討した限りにおきまして、従来の業務をながめまして検討いたしました結果は、予算上には影響はないという結論でございます。従ってもっぱら業務の取り扱い並びに決算の関係におきまして必要なことになって参ります。ところが御承知通り、造幣会計は一つの企業体でございまして、これ一つの生き物で、仕事をずっとやっております。末端までその仕訳その他を徹底いたしまして、こういう態勢に切りかえるということは、なかなか実は一朝一夕に参りませんものでございますから、年度が変りました際に、まず三十二年度の決算からこれをやって参ります上におきまして、どうしてもただいまの段階におきまして国会の御議決をいただきまして、以後これから内部のこまかい仕訳の規則を作るわけであります。これが会社などと違いまして、役所なものでございますから、こまかい仕訳全部、こまかい規則になりまして、それらを全部徹底いたして間違いなくやって参りますために、時間がやはりかかりますので、その点を御理解願いたいと思います。
  195. 平林剛

    平林剛君 私の質問はこれで終ります。
  196. 江田三郎

    ○江田三郎君 この三十二条の「この会計に余裕金があるときは、資金運用部に預託することができる。」と書いてあるのですが、大体この余裕金というような見込みはどうつけておられるのですか。どの程度のものがいつごろどうなるということなんですか。
  197. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) この会計の余裕金といたしましては、この会計は歳計を持ちましたところの予算で生活しております部分と、それから資金と両方に分かれるわけでございます。作業をやっております方の資金、歳入歳出の方の関係におきまする余裕金というものはほとんどございません。これは出たり入ったりしている金でございまして、特別にございません。資金の方は相当の金が出るわけでございまして、これは貨幣を発行いたしますと、それが額面によりまして資金になりますので、これは相当な金になります。これは貨幣の製造計画によりましてきまって参るものでございまして、ただいまのところ将来のことは予測はできません。いろいろな関係できまって参ると思います。今までのところでございますと、大体二百億あまりの余裕金が運用されております。これが今後どうなるかということはまた別でありまして、もちろんこの運用は預託を目的といたしておりますが……。失礼いたしました。資金の余裕金と私混同して申し上げましたので、ちょっと訂正さしていただきます。  この会計の方の余裕金は、最初申し上げましたようにほとんどございません。ごくランニングな金が幾らかあるだけでございます。私今ちょっと混同いたしましたが、資金の方にも同じような規定があるのでございます。それは今回の改正には関係がないので、その方と混同いたしまして、この三十二条の関係ではほとんどございません。
  198. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 暫時休憩いたします。    午後六時二十二分休憩    —————・—————    午後八時二十七分開会
  199. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 休憩前に引き続き、委員会を開きます。  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。
  200. 江田三郎

    ○江田三郎君 休憩前に、三十二条の余裕金の見通しについてお尋ねをしたんですが、そのときの答弁が途中で訂正をされて、ちょっとはっきりわからなかったんですが、結局この結論としては、余裕金というものはほとんどないのだというようにもとれましたが、どうなんですか。
  201. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 先ほど答弁を取り違えまして、大へん失礼いたしました。もう一度答弁をさしていただきますが、この会計の歳入歳出の関係から生じまする余裕金がありまして、歳入歳出の間におきまして時期的なずれがございまして、余裕金が出てくるという場合を予想いたしましたのが三十二条の規定でございます。その意味の余裕金は、実際問題としてはほとんどございません。きちきちになります。と申しますのは、歳入は租税のように納期のきまっておる歳入でございません。大体事業に伴って、事業の活動に伴いまして入って参ります。必要な金も事業に伴ってそのつど出ていくわけでございまして、その関係におきまして、余裕金というものはほとんどございません。もちろん、その支払い準備のための余裕金が若干ございますけれども、普通余裕金と申しますのは、そういう歳入と歳出との食い違いが相当当座の必要をこえて余裕を見ました場合に余裕金と考えるのであります。そういうものはこの会計におきましてはほとんど予想することができませんでした。こういう規定を設けましたのは、もし何らかの事情によりまして、そういうような金が年度途中で出て参りました場合には、これを資金運用部に預託するという規定であります。
  202. 江田三郎

    ○江田三郎君 ほとんどないが、念のためにこういう規定を作っておるのだということですと、大体余裕金がどの程度ぐらいになったら資金運用部の方に預託する予定なのですか。
  203. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 金額的には……ちょっと一般的な表現で、金額的に申し上げることは困難かと思います。と申しますのは、歳入と歳出との関係におきまして、ある金が手元にございました場合に、これをかりに今後一ヵ月あるいはニヵ月、あるいは三ヵ月といったような先の方の支払いの見込みを立てます。その際に、まずこの金は二ヵ月間はこの部分は寝るであろう、必要ないものであろうということがもし見当がつきますれば、これをニヵ月間の条件をもって資金運用部に預託することも可能でございます。どのくらいの金がどのくらいの期間寝るか、寝ないかということは、そのときの歳入金の上り工合と、それからその後数ヵ月間の支払いの見込みの事情によるものでございます。従いまして、金額的にそれがどのくらいになるかということを、ちょっと申し上げるのは困難でございます。
  204. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうすると、額ではなしに、もっぱら余裕金の期限ということですか、それによってきまるということですか。
  205. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 期限のことを私今申し上げましたが、期限に非常に関係がございます。手元にあり高がございまして、今後数ヵ月間の間にいつどういう金が入ってくる、いつどういう金が入ってくるという見通しと、それから十五日に幾ら払う、それからみそかに幾ら払うというような見当を立てまして、その結果これだけの金は今手元にあるが、二ヵ月なりあるいは三ヵ月なり、あるいは四ヵ月なり、これを余裕金として、営業の運転資金からはずしてもよろしいかどうかという見当をつけることになりますから、常に現在のあり高、それから一定の将来の期間等考えまして判断いたすものでございます。
  206. 江田三郎

    ○江田三郎君 だから大体あなたの言われることからいくと、ある金額が二ヵ月以上も遊んでおるという場合には資金運用部に預託をする、こういうことですか。
  207. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) その通りでございます。
  208. 江田三郎

    ○江田三郎君 それで終りです。
  209. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 別に御質疑もございませんか。——御質疑もないようでありますから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成のお方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、先例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     木内 四郎  西川甚五郎     江田 三郎  平林  剛     天坊 裕彦  青木 一男     佐藤清一郎  横川 信夫     田中 茂穂  塩見 俊二     土田國太郎  苫米地英俊     宮澤 喜一  大矢  正     栗山 良夫  前田 久吉
  211. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記中止。    午後八時三十五分速記中止    —————・—————    午後八時五十三分速記開始
  212. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をつけます。
  213. 平林剛

    平林剛君 だいぶ時間もおそいのでありますが、入場税法の一部を改正する法律案について若干政府の意向をお尋ねしておきたいと思うのです。  この法律案が本院に回って参りましてから、若干の質疑応答がありましたが、一番問題になりましたのは、純演劇という法律の用語であります。純演劇と演劇とに区分をすることについての批判がいろいろございましたことは御承知のことと存じます。確かにこういう区分をだれがするか。大蔵省がするのか、文部省がするのか、あるいは国会議員でこれができるのか。また、いわゆる社会通念上純演劇と称せられる場所におきましても最近ではミュージカルものが興行をされるという工合に、なかなか区分がしがたくなってきて、結局脚本によって判断をするというような結果にもなる。こういう意味でかなり矛盾があったことは、私もこれを認めることにやぶさかではないわけであります。しかし現在の入場税法によりますと、同様の趣旨で、法律第四条第二項には、「交響楽、器楽、声楽等の純音楽、純オペラ、純舞踊、」という工合に、同じ種類に属するものについても純と、そうでないものと区分けする法律用語がございます。してみると、従来においては同じ批判がこれにも当てはまるのではないだろうかと。それにもかかわらず、現在の入場税法におきましては大体これについては法の執行をなされておる。大体社会通念上区分できるものと私は理解できるわけであります。これとの関係から見ると、批判の部分については、この法律の用語と対照いたしますと、まあ大体がまんができるようなものではないかと、こういうことも言えるわけでありますが、従来はこの音楽の方につきましては、どうやって区分をして、課税の対象として区分をして参ったのでありましょうか。
  214. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 平林委員仰せの通り、純演劇の定義につきましては非常にむずかしい問題を含んでおります。衆議院におきましてこの法案が議員提案をされまして、政府の意見を求められたのでございますが、法案が政令で定めるということになっておりますので、私どもといたしましては、ひとり大蔵省判断のみではなくて文部省等の意見も十分聞きまして、その大体の今おっしゃるような常識的な見当をつけまして、まあこれくらいならばいけるであろうという見通しで、実は賛意を表したような経過もございますので、今仰せになりましたようなことで、むずかしい点はございますが、すでに入場税法が前国会でございましたか、前々国会でございましたか改正をされまして、純音楽等が入っており、その運用をいたしておりまして、大体これに準じたような取扱いでいくべきものと考えておったような次第でございます。  なお、現在の運用等につきまして具体的な事実につきましては、必要があれば担当課長から答弁をさせたいと思います。
  215. 平林剛

    平林剛君 私は現在の法律——入場税法の第四条には、ただいま議題になっておる法律用語と大体同じような用語があって、しかもなおそれで運用されておるという事実だけを指摘をしておきたいと思うのであります。  そこで第二の点でありますが、結局今回議題になっております入場税法の一部を改正する法律案は、純演劇である歌舞伎、新劇等に対する税率を一人一回について八十円をこえ三百円以下であるときは、入場料金の百分の二十に引き下げたものであります。全般的に総合して考えた場合、これもきわめて常識的な判断でありますけれども、私は現在の映画等に対する税金などから比較をいたしますと、純演劇に限らず、演劇全般の税率が高過ぎるのではないだろうか、こう思うのでありますけれども、この点について政府当局ではどういう御感想をお持ちでありましょうか。
  216. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) これは政府としてあらたまっての答弁を要求されますと、どうもお答えしにくいわけです、正直に申しまして……。今までの経過もあり、現在法律に従って徴税をいたしておるわけでございますから、これは政府当局におきまして高過ぎるとか、安過ぎるとかいう批判的なお答えはできないわけでありますが、まあ私ども個人的な社会生活の面から申し上げますれば、常識として、今、平林委員のおっしゃる点も一理あるというふうに考えるわけでございます。
  217. 平林剛

    平林剛君 まあ一般常識としては、政務次官がお答えなさったように、それが常識であり、常識がやがで法律化されるというのが建前でなければならぬと思うのであります。特に現在の入場税法によりますと、スポーツを催す競技場への入場は、一人一回八十円をこえるときは入場料金の百分の二十の税率になっております。すなわち、これが八十円をこえる額でありますと、それが千円になりましても、千五百円になりましても、百分の二十の税率であります。スポーツといいましてもいろいろございます。最近はやりのプロレスのようなものもやはりスポーツとして、幾ら高い料金でありましても百分の二十の税率で適用を受けることに相なっておるのであります。私はこれも常識論でお尋ねをするのでありますけれども、一般的に見て、演劇に対するものの課税は、これらと比較をいたしますと高過ぎるじゃないか。すなわち演劇等に対する課税は、百五十円をこえると、こえただけで五割の税率に相なっておるわけであります。この比較はもっと慎重に全般的に考えると、なかなか単純にいかない部面もあるかもしれませんが、しろうとが単純に考えまして、どうも演劇に対する課税が非常に高いような印象を持たれるわけであります。それから私ども議員の間でも、ときどきこういうことについての懇談をいたすのでありますが、最近しばしば外国から声楽家が来られる。そういう外国から来られる声楽家、音楽会等に対する入場料金についてはやはり百分の二十という工合に、むしろそれらは優遇しておるということになります。外国のものがすぐれていて、日本のものはそうでないという理屈もなかなか言えないものであります。そういう比較から見ますと、やはり私は入場税についてはかなり現状に即して検討する時期がきているのではないだろうか、こういう感じがするわけでありますけれども、これも法律からいうと、先ほど政務次官がお答えになったように、しゃくし定木になるかもしれませんが、私、常識として、あなたの御感想をお聞きしたいのであります。
  218. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 常識論としてというお尋ねでございますから、私も自分の感じを率直に申し上げますと、ただいま平林委員の御指摘の通り、たとえばスポーツと一がいに言われているものの中にも、ショーであるかスポーツであるかという判定は非常にむずかしいものもございますし、最近の状況を見ますと、入場料金等もきわめて高いというものも多いわけでございます。そういう点を引き比べてみますると、これはやはり全般としてある程度調整をはかるべき段階にきているのではないか。また御指摘の演劇等につきましても、これはやはり内容は千差万別でございますが、少くとも文化、教養に資するような純演劇というようなものにつきましても、現在の税率は必ずしも当を得ているということは常識論としては言い切れないと思います。大体において平林委員の御指摘の点につきましては、私個人としては同感でございます。
  219. 平林剛

    平林剛君 まことに私の意見に対しまして同感の意を表せられまして、私としても満足をいたしたわけでありますが、現在の演劇、特に純演劇等の実情を私ども見ますというと、入場料金の高いことによりまして、かなりそうした純演劇の勉強、あるいは大きく言えば日本の文化の発達を阻害しているような傾向に陥っているのではないかと思っておるのであります。かりにそれだけで現在の純演劇の実情がいろいろな面で阻害をされているものでないにいたしましても、わが国が文化国家として栄えるという場合におきましては、何回もお答えをいただいているように、政府においても入場税率全般について再検討する必要があると思うのであります。  今回の入場税法の一部を改正する法律案についてもう一つの批判として、税率によって純演劇や演劇を援助する、こういうことは税制の建前から適当でないという御意見があったにいたしましても、私は国家としては相当の援助を与えるのがほんとうではないだろうか。これは直接、大蔵政務次官や大蔵当局に御意見を求めるということは適当でないかもしれません。しかし税の面において、ある程度重圧と言えば語弊がございますけれども、負担をかけている現状におきましては、この問題についてどうか一つ積極的に再検討を加えてもらいたい。これを一つ要望しておきたいのであります。もちろん、私がこれを要望いたしますのは、私個人だけでなくて、少くとも今日までこの入場税法の一部を改正する法律案中心にして、大蔵委員会の各派の委員が相談をいたしましたときにも、私は、その懇談中にこのことについての意見の一致は見ておる。そういうことを裏づけとして申し上げるわけであります。  どうか休会中におかれましても、政府はこの点についても積極的に検討をしていただきたい。これを要望いたすわけであります。できればあなたの御答弁を願いたいのでありますが、立場上できないとすれば、なくてもけっこうであります。私の希望としては、どうか積極的な好意ある御答弁をわずらわしたいと思います。
  220. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 平林委員仰せの御趣旨は重々了解をいたしましたので、仰せの御趣旨に沿ってできるだけ善処いたしたいと思いますが、これは申すまでもなく、入場税は地方財政と密接不可分の関係でございますので、地方財政計画等ともにらみ合せて計画を立てなければなりませんので、ただ理論だけで答えを簡単に出すということはできませんが、仰せの趣旨は十分体して今後研究いたしたい、これだけはお約束できると思います。
  221. 青木一男

    ○青木一男君 ついでだからちょっと申し上げておきますが、今、平林委員の申された現在の入場税が公平を失しているという点は、私も同感なんです。ぜひこれは一つ検討してもらいたい、これは共通な意見なんです。  ただ、平林委員が初め言われた、現行法に純音楽、純舞踊というようなことがあると、だからそれでやはり演劇についても同じ立法もできるのではないかという点、これは政務次官の答弁は、はなはだあいまいだったが、この間この委員会で私が言った通り、これは税法ですから、国民の義務に関する点だから、あいまいな規定はいけない。従って、今の純音楽その他の規定は、たしか地方行政委員会で当時審議された法文じゃないかと思います。われわれ税法というものをほんとうに厳格に解する立場からいって、もしあいまいな規定があるならばそれも直してもらいたい。そしてやはりそろえるならば純理論的な方へそろえる。そして税率もバランスを得たものにしてもらいたい。こういうことを重ねて私も要望しておきます。
  222. 前田久吉

    ○前田久吉君 私ども純演劇というもの——負担の公平を期しなくちゃならぬ税金がですね。純演劇という定義がはっきりしておらぬというさいぜん政務次官のお答えもあったようですが、どうなんですか。政府原案として純を取って演劇ということで、外国から入るいろいろな舞踊であるとか音楽が、八十円以上は二割という税率に政府原案として次の臨時国会なりにお出しになる用意がございますかどうか、純を取ってですね。純というようなことを言ってみたところで、これは質問したらお答えできぬと思うのですね。純演劇というのは一体何をさすのか……。
  223. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 現在の純音楽、純舞踊、この関係は、実は私どもの出しました案でなくて、国会でお入れになった分ですが、当時、ただいま青木委員からお話のような意味その他を含めて、私どもいろいろ意見を申し上げたところであります。現にこうなっておることと比べて演劇関係が不公平だというようなことは私どもも感じております。というような意味で手入れは必要だと思っております。しかしながら、手入れいたします場合に、今、純音楽、純舞踊についてとられております税率が、果して最終的によろしいかどうかとなると、多分な問題があると思っております。それらを含めて実は私ども、今回の会期にもできればじっくりした案を出したいと思ったくらいでありますから、全部研究してなるべく早い機会に、と申しますことは、次の機会に出すということ、そういうふうに努力いたしたいと思います。ただその際は一切を、この全体を見まして、落ちつきのある案にしたいというつもりでおりますから、御了承願いたいと思います。
  224. 江田三郎

    ○江田三郎君 本委員会政府案としてたばこ専売法の一部を改正する法律案が出ており、また私たちも同じ名前の法律案を出して、さらに衆議院の方では自由民主党のたばこ耕作組合法案というものが出ている。はからずもたばこに関する法案が三つも出てくるというようなことになりまして、たばこの問題が何か深く再検討されなけりゃならぬ情勢にきているということは、もうこれだけではっきりわかるわけですが、はなはだ残念なことに、本委員会におきまして私たちの提案した専売法の一部改正も審議の機会を持つことができず、同時に同じ名前の政府提出法律案も今までそういうような審議の機会がなく、もうこの時間になってくるというと、おそらくどうすることもできぬという状態だろうと思います。私はこの政府提案が一回の審議もなかったというようなことは、あまり前例として知らないのです。それだけこの政府提案そのものに何か委員会委員の皆さんの気持とぴったりしない点があるということをはっきり物語っていると思うのです。同時に私たちの出しましたものも、そういう機会に恵まれないということは、これも残念ながら受け入れられないということを私たちも考えなければならない。いずれにしても、たばこに関するものが三つも出て、それがどれもこれも明るみへ出ることができなかったということは非常に残念なことでありまして、とにかく何とか委員の全員の御賛成を得るようなものを早急に作っていかなければならぬということだけは結論としては残ってくると思うのです。そこで当然本委員会におきましても、休会中の継続審査でこういう問題を広範に取り上げていかなければなりませんが、政府の方でも、ただいま私が申しましたように前例のない、政府案が一回の審議も受けないというような事情にかんがみまして、これは当然次の国会までには案をさらに検討され、広くたばこ耕作者なりあるいはその方面の学識経験者なり、そういうところを十分おくみ取りになって、次の国会までには政府としても案を練り直してもらう。われわれはわれわれで、議員として休会中もこの問題について勉強する。そういうことで、この国会に三つも出ながら、どれも日の目を見ることができなかったというこの穴を埋めていかなければならぬと思うのですが、その点政府の見解を聞きたい。
  225. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) たばこ専売法の一部改正案につきましては、政府といたしましては参議院に先議をお願いいたしまして、ぜひともこの国会に成立をはかりたいと考えておったのでございますが、ただいま江田委員も御指摘のような事情でついに成立を見ないということにつきましては、まことに遺憾に存じます。なおまた、江田委員御指摘のようないろいろな御意見も拝聴いたしておりますので、われわれといたしましても十分検討いたしまして、次期国会には再びこのたばこ専売法の一部改正案を上程いたしまして、御審議をわずらわしたいと考えておる次第でございます。   —————————————
  226. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) それでは継続審査の問題についてお諮りをいたします。  ただいま本委員会において審査中の接収貴金属等の処理に関する法律案入場税法の一部を改正する法律案、以上二案を閉会中に継続して審査することとし、本院規則第五十三条により、議長に継続審査要求書を提出することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  227. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。  なお、要求書の内容等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
  228. 木内四郎

    ○木内四郎君 今の継続審査に御決定願いました二つ法案につきましては、休会中におきましても審議を続けまして、次期国会におきましては、それについて結論を出すようにしていただきたいということで各位の御了解を得ているつもりなんですが、そういうことで御異議ないと思うのですが、委員長からも一つ……。
  229. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) ただいまの木内委員の御発言に対しては皆さん御賛成と思います。  それではこれにて休憩にいたします。    午後九時十九分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕