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1957-04-26 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十六日(金曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員異動 本日委員小笠原二三男君、木内四郎君 及び苫米地英俊君辞任につき、その補 欠として江田三郎君、宮田重文君及び 中山壽彦君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            西川甚五郎君            大矢  正君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            小柳 牧衞君            塩見 俊二君            高橋進太郎君            田中 茂穂君            土田國太郎君            西田 信一君            宮田 重文君            宮澤 喜一君            栗山 良夫君            椿  繁夫君            前田 久吉君   政府委員    防衛政務次官  高橋  等君    防衛庁次長   増原 恵吉君    防衛庁経理局長 北島 武雄君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵省主計局法    規課長     中尾 博之君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○臨時受託調達特別会計法案内閣提  出、衆議院送付) ○国有財産法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○国有財産特別措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  議事に入るに先だって、委員異動について報告をいたします。本日付をもって小笠原二三男君、木内四郎君、苫米地英俊君が辞任され、その補欠として江田三郎君、宮田重文君、中山壽彦君委員に選任せられました。   —————————————
  3. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) まず臨時受託調達特別会計法案を議題として質疑を行います。
  4. 大矢正

    大矢正君 政務次官がおいでになる前に、こまかい面と事務的な点についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、米国から日米相互防衛援助協定に基いて受けるところの資金というものは、これは船の建造、それから建艦資金だけなのかどうか。たとえば装備があります。戦闘装備と申しますか、専門語はよくわかりませんけれども、そういうような装備資金は一体どうなるのか。それから船を当然設計をすることになるのでありますが、そういうような一般的な行政資金は、これはこの中に含まれておるのかどうか。そういう点についてちょっとお答えいただきたいと思います。
  5. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 今回の特別会計に計上いたしております六十七億二千百八十万円、この金額艦船建造費二隻分でございます。ただ、このほかに米国側といたしましては、日本で生産できない武器等につきましては、アメリカで発注いたしまして、できたものを日本側供与する、こういうようなことになっております、その金額は六十七億の中には入っておりません。またこの船の建造につきまして要する行政事務費、これは日本側負担でございます。昭和三十二年度におきまして約三百数十万円であります。
  6. 大矢正

    大矢正君 あなたの方から説明はまだ聞いておりませんけれども衆議院における説明内容から調べてみましたところが、この船の性能というものは、大体二千三百トンの排水トン数を持ち、速力は三十二ノットであり、航続距離が六千海里、あるいはまた戦闘装備と申しますか、そういう点では、五インチ砲三門、三インチ速射砲四門というようなことが明らかにされておるのでありますが、あなたが今言われた日本装備することのできないものというのは一体何なのか。当然今まで発表されているこういう五インチ砲の三門や、三インチ速射砲の四門、こういうなにじゃなくて、もっと別な装備をさして言っておられるものと私は思うのですが、そういう点はどんなものですか。
  7. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 米国側から供与される装備、これは日本で生産できないと申しますのは、経済的にできないというのと、技術的にできないという二つのことがございますが、米国から供与を受けるものは、一隻につきまして、ただいまお話のございました五インチ砲三門、それから五インチ及び三インチ砲用の弾薬、新型の探信機、三インチ砲用射撃指揮装置、こういったようなものでございます。先ほどお話になりました装備の中に入っております、
  8. 大矢正

    大矢正君 今あなたの言われた内容は、アメリカ装備してもらうと言っちゃおかしいのですが、アメリカに持って行って装備をするのか、向うから持って来てこちらで装備するのかわかりませんけれども米軍の手によって装備する、今あなたの言われたのはそうなんですね。
  9. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) さようでございます。ただいま申し上げたような種類のものは、米国米国政府が発注いたしまして、でき上ったものを防衛庁に引き渡しましてこの艦船に取りつける、こういうことになります。
  10. 大矢正

    大矢正君 先ほうちょっと述べたのですが、設計をする設計の仕方でありますが、米軍から設計書をもらって、それを多少手直しするというような程度において設計をするのか、それとも、もうあなたの言われたような日本の現在の技術水準では装備をすることができないような部分を除く他の全般について、日本が独自の立場からこれを設計するという方法をとられるのか、その点はどうなのですか。
  11. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) 設計日本側でいたします。今申したような日本側技術的にあるいは経済的にできない装備アメリカから供与を受けて、取りつけることはこちらでやるわけです。全体の設計日本側で行います。
  12. 大矢正

    大矢正君 あなたは、今、日本側設計を行うと言いますけれども、これは船をもらうということなんですから、もらう方がみずからの主体性を確立して設計その他一切をやるということに私はならないのじゃないかと思うしかりにそれは一応日本防衛庁の方では設計はするけれども米軍了解を得て初めてその設計というものが確認されるということになるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  13. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) 船をでき上ったものをもらうわけでありますが、もらう船の大体の基本的な要目というものは向う側とこちら側が一応話し合いしたのであります。五インチ砲を三門作るとか、連装速射砲を二基作るとかいうことは向うと話をしたわけでありますけれども、そういう意味のいわゆる了解はあるわけですけれども、それに基いて設計をやるわけであります。設計日本側で行う、こういうことであります。
  14. 大矢正

    大矢正君 政務次官にお尋ねいたしたいのでありますが、承わりますと、二隻の建艦費が六十七億二千万というふうになっておりますけれども、これはどういうことですか。六十七億三千万円でかりに二隻の駆逐艦ができない場合には、その不足負担は一体どうなるのか。余った分はアメリカに返すということは法律に明らかになっていますが、不足の分は一体どうなんですか。
  15. 高橋等

    政府委員高橋等君) それは入札で三年間の額を一応きめます。そうしてそれで非常に物価変動があってもし足らない場合は、これは造船所会計になるわけですが、そんな大へんな物価変動があるということは、われわれとしては考えておらないわけです。
  16. 大矢正

    大矢正君 あなたは物価変動はないとおっしゃるけれども、たとえば鉄の値段でも相当最近においては急速度に一般市場においては値上りをしている、そういうようなこともありますし、それから完全に船ができ上るのが三十五年の二月でなければ竣工しない。三年間という長い間かかって作られるのでありますからして、今日のような非常に科学が進歩する、特に平時とはいいながら、軍備についても急速皮に新らしい技術軍備がととのってゆく今日でありますからして、今の駆逐艦に搭載しようとする設備、それからまた今駆逐艦装備しようとしているところの戦闘装備内容、こういうものはもうここ三年の間に相当進歩するし、変化が出てくるものと思うのでありますが、三年間たっても今と同じような船を作る。そうして装備も今計画しているのと同じものしかやらないというお考えならばいざ知らず、そうでなくて、三年たってどんどん戦闘装備というものが変化している場合には、それに合せた船を作らなければ何もならなくなる。そうなってくると、設計変更が当然行われなければならないし、資金の面でも大幅なやはり変化というものが出てくるのじゃないかと思うのでありますが、どうでしょう。
  17. 高橋等

    政府委員高橋等君) そうした非常に大きな変化とか設計変更ということは、これは考えておらないわけでございます。
  18. 大矢正

    大矢正君 そうすると、今の段階の装備は、そのまま三年たっても、いかにすばらしい高性能の機械やその他ができ上っても今のままで行くという解釈になるわけですかね。そんなくだらない船だったら作らない方がいいのじゃないかという気もするのですが、どうですか。
  19. 高橋等

    政府委員高橋等君) いろいろと考えていきますと、あるいはそういうことが、非常にいろいろ兵器変化があってというようなことをお考えになるかもしれませんが、われわれとしましては、建艦上の問題としては、そうした変化が起らないだろうという考えのもとにこれを作るわけでございます。
  20. 大矢正

    大矢正君 事務当局の、特にこれは大蔵省にお尋ねいたしたいのでありますが、第一条の「受託調達契約実施に関する政府経理の適正を図るため」という文句があって、「経理の適正」という言葉がここに載っておりますが、これはどういうことなんですか。
  21. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 第一条の受託調達契約と申しますのは、アメリカ政府向う海軍省と、それから日本政府との建艦一つ契約でございますが、この契約実施いたします場合には、これを下請に出すと申しますか、とにかくまた日本政府としてはこれを注文に出すわけでございます。その注文に出します場合の金の受け払い、これが昨日も申し上げましたように全然日本政府税金負担とは別のものでございます、全部アメリカ政府負担においてこれをいたすことになっております、もちろん先ほどお話がございましたように、施工の監督関係の行政的な経費、これは日本側負担ということになっております。それ以外の日本政府が支払いをいたしまする金はアメリカ政府から全部参るのでございます。日本政府といたしましては、これによって、営業でもない、もうけるべきものでもないし、そうかといって、建前といたしまして、アメリカ政府負担によって行う話が始まっておるのでありますから、これを日本政府納税者負担すべきものでもございません。そこでこれは区別をいたしまして、その趣旨を混淆いたさないように、何分にも取引でございますから、やって参りますうちには、いろいろな、たとえば過払いを生じて歳入にとる、あるいは何らかの関係でもってこれに関係している歳入が入るというような場合に、これはアメリカさんに返すべきものはアメリカの方に返す、業者の方に払うものは払う、いずれにいたしましても、すべて通り抜け勘定でございますから、その間の建前がございますので、それを明確にするという意味でございます、これが納税者負担の方の歳入、あるいは歳出を混淆することを避けるという意味でございます一
  22. 大矢正

    大矢正君 この会計というものは、今あなたがおっしゃったように、これは単なる通り抜けの会計であるということは私どももよくわかるのですが、従来まで域外調達を行なってやってきて、業者とそれから米軍ないし米軍の間に直接の取引が行われておったのだが、今度の場合には、特に政府責任を負うてやらなきゃならぬという立場変化ということについては、私はどうもよくわからない。相互防衛援助協定付属書のAという、項目の中には、確かに「日本国及び他の国の使用に供すべき需品及び装備を実行可能な場合には日本国内において調達することを、」云々とある。それはしかし、あくまでもこれは「できるだけ考慮するもの」という表現しかなされておりませんし、それは必ずしも国の政府責任においてそれをなされるべきであるということなども付属書の中に私は明確にされておるわけでもないように思うわけであります。なぜ今度の場合は、直接日本政府特別会計を設け、そして防衛庁設置法の一部改正を行なってまで責任をもってやらなけりゃいかんのか。これは政務次官からお答え願いたい。
  23. 高橋等

    政府委員高橋等君) このでき上りましたものが日本のものになるということは、まあこれは御存じの通りでございます。そういうことと、いま一つは、この艦船建造のように多額の費用と完成までの間に長い月日がかかるものであります、こうしたものについて、これが設計監督、検査のために技術専門家などを調達現地に常置させる必要があるわけでございます。そういう必要からいたしまして、一々アメリカからそういうものをよこすのでなしに、信用ある政府を相手方としてこれらの仕事をするのでなければ実施が困難であるということと、いま一つ予算使用につきましても時期的にいろいろの制約がございますので、いろいろ検討いたしました結果、ここで域外調達でわが国でやるとしますれば、この方法によることが最も適当であり、また必要であるという見地の上に立って、こうしたことを始めたわけでございます。
  24. 大矢正

    大矢正君 六十七億二千万円という範疇において、二隻の駆逐艦のしかも高性能のものを作らなければならないという最大の使命を、これは日本政府が課せられたという解釈になるわけですね、そうなって参りますと、かりに今後において政府調達をする責任を負うわけでありますからして、業者との間にいろいろ米軍の要請した設計に基いて話し合いが行われ、そこで契約が結ばれると思うわけでございますけれども、かりに今後においていろいろな変化によって、先ほどもお尋ねしたのでありますが、費用負担が大きくなるような危険性が増大をする場合には、これは業者を泣かせるわけにはいかないから、結局政府がその分を負担しなければならぬというような、こういう結果が現われるのではないかという危惧をするわけであります。とにもかくにも三年後の将来の、しかもこれは非常に進歩した、また進化の激しい科学兵器を搭載する駆逐艦でありまするからして、予算の面でも相当大幅な変化が出て来ることは考えられるわけでありますが、そういうように、今かりに業者とそういう六十七億二千万円で二隻の駆逐艦ができるという契約をしても、将来その設計やその構造に変化を起し、あるいはまた物価値上り等によって、あまりにもそれが業者負担になる、こういう場合には、従来米軍業者との間に面接域外調達契約を結んでおったのとは別に、今度は政府がそういう一切の資金的と申しますか、建設資金責任を負わなければならないという立場が出て来るのではなかろうかと思うのですが、それは私の思い過ごしでしょうか、どうでしょうか。
  25. 高橋等

    政府委員高橋等君) その点につきましては、お答えした通りでございまして、この最高額をきめまして契約を締結いたすわけでございます。それは駆逐艦一隻についての三年間にわたる最高額を一応きめるわけでございます。ただいまのところ、その金額で十分にやっていける、こういう計算の上に立っているわけでございます。その他の点につきましては先ほどお答えを申し上げた通りでございます。
  26. 大矢正

    大矢正君 現在の海上自衛隊現況は、主力艦、まあ今度作ろうとする駆逐艦も含めて、これは私の想像では戦闘ができる、戦闘するために作られる船だろうと思うのですが、これが百八十一隻、それから難船百八十六隻、合計で三百六十七隻が現状の海上自衛隊の姿であり、トン数においては八方九千トンであるということが明らかにされておるのでありますが、この中で、米軍から貸与、そうして供与されておるものは百六十一隻で、五万六千トンだという説明が過日衆議院においてなされておるようでありますが、今防衛六カ年計画が行われており、三十五年度までには十二万四千トンの船を持つという政府計画があるようでありますが、この十二万四千トンと現況八方九千トンとの差は、これは日本の自力によって拡大をして、行く考えなのか。米軍貸与供与によってこれをどの程度補おうとする考え方があるのか。この点の内容を明らかにしていただきたい。
  27. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) 十二万四千トンという数字は三十五年度までに着工する分を含めるわけでございます。三十五年度に全部でき上るというわけではございません。その今あるものとの差は、米国から供与を受けるものと日本建造するものと両者がございます。三十二年度予算においても、この城外調達で二隻供与を受けようというのが今御審議を願っておりますが、先般御議決をいただきました三十二年度予算の中に、すでに二隻への駆逐及び三隻の掃海艇、その他若干の雑船というふうなものを、供与を受ける予算を認められております。そういうものと日本で酒造するもの、供与を受けるもの合せまして十二万四千トンという数字を期待しております。
  28. 大矢正

    大矢正君 これは政務次官に御答弁をいただきたいのでありますが、政府防衛計画というものが質的に量的にという相違があっても、とにもかくにも拡大一途をたどっておることには、これは何人といえども認めておることであります。そこで、今後ますます海上、陸上、それから航空を問わず、拡大一途をたどっておる、この自衛隊の中で、単にこれは海上にのみとらわれるものではないと思うのでありまするが、このたびの駆逐艦二隻を建造し、そして日本無償で譲与されるという、こういうような考え方、これは当然先ほど私が申しあげましたように、日米相互防衛援助協定に基いて出てきた考え方であることは論を待ちませんけれども、こういう米軍無償で譲渡をしてもらう、あるいは今度のように特別会計法を設定して、そうして通り抜けではあるけれども、金を日本に受け入れて、そうしてそのことによって日本防衛力拡大をしようというこの考え方は、私はおそらく今度も持っていくものと思うのでありますが、政府が、私どもは持っておりませんけれども政府が持っていくものと思うのでありますが、そのように解釈してよろしゅうございますか。
  29. 高橋等

    政府委員高橋等君) お説の通りでございます。
  30. 大矢正

    大矢正君 今回のこの臨時受託調達特別会計法というものが、私どもの受ける感じでは、非常に積極的に、しかも短期間に、大蔵省がやられるのか、防衛庁がやられるのかわかりませんけれども、法の通過をはかる努力をなされておる、なぜこのように積極的にこの法律を一日も早く、上げなければならないとして頑張れるのか、その点の理由が私には非常に不可解なんであります。言うならば、今度防衛庁が出され、また大蔵省が出されている臨時受託調達特別会計法などというものは、これは居そうろうと同じようなのなんですね。私どもは、もうはっきりと、これは見解相違ではありますけれども、条約やそういうものを批准されないままにアメリカから援助を受ける、譲与を受けるなどということは考えられないばかりでなくて、日本の今の再軍備計画ともからんで、とうていこういうような会計法を作ることには納得ができないのでありまして、言うならば、ひさしを貸したような状態にしかすぎない。それが今度は堂々と、そのひさしを貸したのが主家をとられるというような状況になりつつある、居そうろうが、言うならば、自分が世話になっておるうちの主人より光に飯を食ったり、ふろに入ったりするというような状態が、今度の法律案に出てきております。大蔵委員会には非常に重要な法案が前から累積されており、われわれが審議をしなければならないといっているにもかかわらず、こういう飛び入りが入ってきておる。この飛び入りは、私たちからいったら、本質的な飛び入りじゃなく、居そうろうが横から飛び出てきて主人より先にやる。こういうようなことはとうてい理解することができない。なぜ防衛庁大蔵省か知らぬが、こういう法律を早く作らなければならないといって積極的に活動されるのか、その点の理由をちょっとお聞かせ願いたい。
  31. 高橋等

    政府委員高橋等君) はなはだ審議を……法案が山積しております当委員会審議をお急ぎ願いますことは、全く恐縮に存じますが、アメリカにおきまする会計年度関係もありまして、これを急いで御通過をお願いたしませんと、この問題が立ち消えになるという、そういう事務的な時間的な問題がございますものですから、はなはだ御迷惑をおかけいたしておるのでございますが、そういう意味合いからお願いいたしておるようなわけでございます。
  32. 大矢正

    大矢正君 そのあなたの今言われた立ち消えになるというのは、何が立ち消えになるのですか。
  33. 高橋等

    政府委員高橋等君) この四月三十日までに日本の方で受け入れ体制ができませんと、アメリカ会計年度関係上、予算の執行ができないことになります。そういうような意味からこれを急いで御通過をお願いいたしたい、こういうわけでございます。
  34. 大矢正

    大矢正君 アメリカの都合によって日本の国会が、われわれの法案を差しおいて積極的に、しかも十分に論議もさせないで法律を通させようというのでありますから、これは非常に私は遺憾だと思います。しかしこれはまあ、あなた方と私ども見解相違もあることでありますから、深くそのことについては触れたいとは思っておりません。法律を急ぐ理由というものは、日本の国のために法律を急ぐのが至当であって、よその国のために急ぐような感じを私は持つ。  そこで、その点はおきまして、次の点について質問をいたしたいと思うのでありますが、受託調達契約というものは一体これはどこにあるんですか。
  35. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) はなはだ失礼でございますが、どこにあるというのは条文のことかと……。
  36. 大矢正

    大矢正君 何かここに、第一条の二項に「受託調達契約とは、防衛庁設置法云々とあるが、その受託調達契約というのはどこにあるのですか。
  37. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) これは付則にございます。
  38. 大矢正

    大矢正君 どこの付則に……。
  39. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) この法律案付則でございます。この法律案付則の二項でございますが、付則の二項におきまして防衛庁設置法を改正いたしております。防衛庁設置法付則に第七項というのを加えまして、そこに七項が書いてございます。この法案の五ページでございます。
  40. 大矢正

    大矢正君 いや、わかりまし。受託調達契約というものは、この会計法を設置するための要件なんですね、こういう特別会計法を作るためには、この受託調達契約というものがあって、この会計法というのができるんでしょう、そうじゃないんですか、その点どうですか。私も法律のことはよくわからぬから、将来のこともあるから、参考のためにお伺いしたい。受託調達契約というものがあって特別会計法を作らなければならぬというのじゃなくて、会計法があるから受託調達契約というものができ上るんですか、どっちなんですか。
  41. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 御質問趣旨が実は、はっきりいたしませんが、受託調達契約という名前を特に付しましたのは、アメリカ側と合同二隻の艦船建造に関する契約を結びまして、それを取り扱うのに便宜のため受託調達契約ということに法律名前をつけたわけです。こういう契約をいたしますことそのものは、別に法律を必要とすることとは思いません。ただこういう契約をいたします場合に、もしこれをいたしますとなると、一般会計ですることになります。これはおそらくこういう権限をどこの省も持っておりませんから、これをやります場合には総理府でやることになります。そういう関係で、この両者は互いに並立する一つのことの財政面実質面ではございますけれども、うらはらになっておる。一つのことといえば一つのこと、うらはらであるから、二つといえば二つであります。まあ並んでいるようなものでありまして、どっちがどっちということではございません。なお受託調達契約というこの契約そのものが結ばれないと、この会計が成り立たないかということでありますが、結ばれませんと、この会計は中身の活動を開始いたしませんから、入れものとしましては、御審議の結果、御賛同を得ましてこれが通過いたしますれば、会計法も成立いたしますし、予算も成立するということになります。
  42. 大矢正

    大矢正君 そうすると、受託調達契約というものができ上るまでは、この法律は必要がないということになるわけですね、あなたの言われたような言葉ですと……。
  43. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 受託調達契約そのものを行います場合に、直接にこの法律は必要といたします。というのは、受託調達契約をいたします場合に、この法律がございませんというと、会計法がございませんければ、これは一般会計でもって経理しなければならぬということに当然なります。それから、その仕事をいたしますのも、本別の内閣総理大臣官房あたりの所掌事務になることであります。これは実情に即しませんし、適当でございませんので、これを結ぶ前にはこういう態勢を整えておくことが必要でございます。
  44. 大矢正

    大矢正君 まだわからないんですがね。そうすると、受託調達契約というアメリカ合衆国と日本政府との間における話し合いに基いて、取りきめに基いて、この会計法というものが必要を生じたのじゃなくて、この会計法があるから、特別会計法というものを先に作っておいて、それから受託調達契約というものを結ぶと、こういうことになるわけですか。
  45. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) それが仕事のやり方として工合がいいということでございまして、受託調達契約という契約をここでもって防衛庁の所掌事務といたしまするに伴いまして、この契約受託調達契約と銘打ったわけですが、この契約そのものを国が結ぶこと自体におきましては、この法律は必要がない、結ぶことだけでもって済みまするならば……。しかし結んだ結果はこれを実施いたさなければなりません。その経理はやはり納税者の勘定である一般会計とは別にしなければなりません。ですから、そういうような事務は防衛庁でおやりになって、そこでいろいろ艦船建造の経験をお積みになるというのが目的であって、それがまた主たる目的の一つにもなっておるわけでございます。考え方といたしまして、この二つの法律を前提といたしまして実施するということが適当でございますから、その意味におきまして、契約を結ぶ前にこれが必要になるわけでございます。
  46. 大矢正

    大矢正君 防衛庁のことに関連するので、政務次官にお尋ねしますが、今度防衛庁設置法の一部改正法律案が出ていますね、あの中には、この受託調達契約というものに関連する改正というものが出されておるのかどうか。私はまだその面に対する勉強を実はしておりませんので、その点をお伺いいたします。
  47. 高橋等

    政府委員高橋等君) それはこの法律の中に入っております。
  48. 大矢正

    大矢正君 そうすると、あなたの今言われた意見をもう一回聞くのですが、この駆逐艦二隻を建造するための受託調達契約内容というものは今の一部改正に入っているというのですね。この法律に入っているかどうかと私は聞いているのじゃないんですよ。今、内閣委員会に提出されている防衛庁設置法の二部改正の中に入っているかどうかということをお尋ねしているのです。
  49. 高橋等

    政府委員高橋等君) この付則第二項の「防衛庁設置法の一部を次のように改正する。」ということによりまして、その中身に規定をいたしておるわけでございます。
  50. 大矢正

    大矢正君 あなたの言われるのは、この付則の第二項目基いて出しておると、こう言うのでしょう。内閣委員会で具体的に審議をしておるものの中には、これはないのでしょう。調達関係に関連するものは……。
  51. 高橋等

    政府委員高橋等君) この防衛庁設置法の、内閣委員会審議をいたしておりますものの中には、もちろんないわけでございます。それなるがゆえに、この付則でお願いをいたしておるわけでございます。
  52. 大矢正

    大矢正君 どうしてその防衛庁設置法の一部改正の中でこの修正をするような提案をしないのですか。会計法の中で、防衛庁の権限の問題も入っていますね、防衛庁の権限をとにかく修正するんですよ、そういうものをなぜこの会計法の中でうたわなければならぬのか。現実に防衛庁設置法の一部改正を内閣委員会でやっているのに、この中になぜ持ってくるのですか。
  53. 高橋等

    政府委員高橋等君) この駆逐艦建造の問題は、今御指摘のように、会計法では特別会計法を必要とする、それから二面、これが契約の締結、検査その他の仕事をやる権限を防衛庁長官に与える、この二つのことが必要なわけでございます。そうして、これはいずれもうらはらの関係をなすものであり、また駆逐艦を二隻建造するだけのためにこれは必要な措置なのでございます。そういうような意味からいたしまして、この駆逐艦二隻の建造が終れば、この法律は、自然、特別会計法とともに消滅いたすものでございます。そういうきわめて短期間の、しかも限られた目的を持ったものの取扱いでございますから、会計法と同時に一体としてこれを出す、こういうことをいたしたようなわけでございます。本筋からいえば、もちろん御説のように防衛庁設置法自体を直すのも一つの本筋でございますが、今申しましたようなことを勘案いたしまして、こうした措置をとっておるようなわけでございます。
  54. 大矢正

    大矢正君 あなたも本筋としては、防衛庁設置法の一部を改正する法律案の中で、今度のこの付則の二項にうたっているようなことは修正することが正しいんだというふうにお答えになっているのですが、あなたも今それはお認めになっているのですが、それをなぜやらないのですか。
  55. 高橋等

    政府委員高橋等君) 先ほど私から申し上げましたような理由で、これはむしろこの一体としての法律として扱った方が便宜である、こういう考え方からいたしているわけでございます。
  56. 大矢正

    大矢正君 これはあなたの言うようなそういう考え方でいくと、法律というものはどんなに直してもよい結果になってきますよ。防衛庁の設置法を修正する内容大蔵委員会でもって会計法と一緒にやらせるような結果が出てきた、かりにそのことが部分的なことであったとしても、幾らでも、ある法律をほかの法律に少しずつ付けて直していけば、極端なことを言うようだけれども、それこそ自衛隊の員数は、これはまあ本法の中で明らかにうたわれておる通り、それを修正する場合には、もちろん他の法律でもって直すなんということは私はできないと思うのですが、そういうことだって、あなたの論法からいけば、やろうとすればできる結果になるのじゃないですか。こういうばかげたことをわれわれ認めてやらしておったら、これはどんな法律でも幾らでも変えていく結果になるので、私はこれは絶対納得がいかないのですがね。あなたは私を納得させるような理由は、根拠はありませんか、何か。
  57. 高橋等

    政府委員高橋等君) こうした取扱いをいたしておりまする先例は、実はいろ、いろあるのでございます、その他、法律論につきましては大蔵省の法規課長の方から御答弁をしていただきたいと思います。
  58. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) まあ先例もございますし、それから一つ法律でそれと関連のないものを結びつけまして、そういうことでどんなことでもできるじゃないか、そういうこともあるいは言い得ましょう。しかし、そういうことをやることが決して従来の慣行でもございませんし、政府といたしましても、そういう常識に外れたことをやることはないのでございまして、元来法律の本則と付則にはどういう関連のものを規定すべきものであるかということについては、おのずから政府部内でも統制はございます。それによって従来、法律というものができ上りそれで法律体系というものが有機的に設置されておるわけでございます。ただ今回は、本則は会計法でございまして、付則におきましては防衛庁の設置法を改正いたしておるのでありますが、本則につけまして、付則として規定いたします事項は本則と密接な関係があるものでございまして、それが一つとして御判断を願う、御批判を受けるということが適当である。実施する場合にはそれが同時に実施される。もし批判されるならば、それが同町に批判されるという性質のものでなければ、これの付則に載せるというような取扱いは従来もいたしてございませんし、今回も決してそれ以外のものを付則に載せたものではないのでございます。そういう原則に従いましてやっておるわけでございます。元来この本則に規定いたしておりまする会計法関係の、経理関係、それから付則に規定しておりまする付則七項の一号、いわゆる受託調達契約を締結したり、それからこれを締結いたしまして、その実施をいたしますという事務、あるいは、このうらはらになります会計を取り扱うというものは、その会計法の方の取扱いの関係の規定で、これはまさに密接なる関係があるわけでございまして、対象として一体の、一つのものである。その手続をいろいろな面から手当をする必要もあるというにすぎないのでございまして、内容といたしまして御審議願う場合には、まさに一つのことでございます。またこれが実施される場合におきましては、これは同心に実施されるという状態でないと工合が悪いのでございます。一つの御判断でその大綱は御批判願うものでございます。そういう関係でございますから、この会計法と設置法とが関係があることは御了解願えると思いますけれども、これは、まあどちらを本則にする、どちらを付則にすると、どちらも本則という形も考えられるのでございましょうが、従来片方を本則として片方を付則とするというのが法制の立て方でございます。この場合、会計法の方を本則といたしまして、その関連といたしまして設置法の方を付則ということにいたしたわけでございまして、会計法の方を本則といたしましたのは、まあ特例会計の設置でありまして、純然たる新規の問題であります。しかし一方は防衛庁設置法というのはすでにございます。これの二部改正というような形になりますので、この点も、やや立法の内容と申しますか、法規の形式の面から見ますと、まあ完全な形でない一つ法律になります。この方を付則ということにいたしたのでございます。以上申し上げましたような次第で、従来政府がとっております付則というものに規定すべき事項の限界の範囲内におきまして、そういう原則に従いまして処理いたしたものでございまして、その例に漏れるものでございませんし、それからまた御懸念のございましたように、どんな法律でもいろいろちょん切ってつなぎ行わせてできるかというような、そういう裏に流れたやり方を決してとっている次第でもないのでございまして、この点も御理解を得たいと存じます。特別会計法でありますとか、公団、公社等を新設する法律、そういう会計的な面の創設的な規定におきまして、これに関連いたしまして、各省設置法を改正している例は多々ございます。もちろんその会計なりなんなりで行いますることと、全然関係のない部分の設置法の改正というのは行なっておらないのでありまして、両者が、今回の場合のように、密接な関係がございまする場合には、きわめて一般的に行なっているところでありまして、この点で本法案はその一般の例によったわけでございまして、何ら例外ではございません。御理解を頂戴いたしたいと思います。
  59. 大矢正

    大矢正君 これは納得はまだできないのですがね。それじゃこれは付則のやつを一応伏せてお尋ねいたしますがね。特別会計法というものをこれは設定をするからには、その理由なり根拠というものが必要なんでしょう。会計法を作るのだからね。ところがこれの一体根拠はどこにあるのですか。こういう特別会計法というものを作らなければならぬ根拠はどこにあるのですか。あるいは作ろうとする理由はどこにあるのか。理由は、アメリカとの間において話し合いがあるからこうだとかいう、そういう点はどうなんですか。受託調達契約というものが、できあがった、受託調達契約の以前に何かあった、またあるわけでしょうね。そういうつながってきて、そうしてこういう特例会計を作らなければならぬということになった。だから特別会計法を光に作っておいて、そうして付則法律の方へきて始めて会計を作らなければならぬのはこういう理由だという、そういう格好に解釈をされるのじゃないですか。
  60. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) どうも説明が上手でなかったと思いますが、御理解を得られないので恐縮でございますが、繰り返しますが、政府といたしましてこういう契約を結ぶことは、これは予算さえあればできることでございます。予算一般会計において政府がととのえまして御審議を願って済む問題であれば、特別会計は必要がないわけであります。ただ、これはその通りで、こういうやり繰りの、やり取りの経費を組むことは適当でないと考えましたので、特別会計予算として御審議を願いたい、こう考えておりまする関係上、特別会計予算を御審議願いますためには、その特別会計法律を作りまして、一般会計と区分するという区分の単位を作っていただかないと困る……。
  61. 大矢正

    大矢正君 わかりました。日本政府と合衆国政府との間において六十七億二千万円でありますか、金をやるから、駆逐艦を二隻を作れと、わかりやすくいえば作れ、でき上った駆逐艦はとにかく日本の国に無償で譲与をするのだ、こういうことなんでしょう。わかりやすく言うとね。そこで僕はわからないのは、それじゃアメリカとそれから日本政府との間における話し合いというものが、この特別会計法を作る、これは何というのですか、理由というか、根拠というか、よりどころといいますか、そういうことになるでしょう、解釈として。そうじゃないんですか。
  62. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) どうも御質問趣旨がつかめないで恐縮でありますが、今四この特別会計法案を立案いたしまして、御審議をお願いいたしますということの話が、話と申しますか、段取りに相なりましたのは、アメリカ合衆国側と日本政府側とで相互防衛援助協定の具体化と申しますか、その話が比較的最近になって具体化いたしまして、その契約が結び得るような状態がととのってきたことに起因するものでございます。そういう意味におきましてはそうでありますが、しかしこの、それは歴史的なといいますか、プロセスの問題なんです。これはあくまで特別会計を区分する、そういう技術的な必要のための法律であります。
  63. 大矢正

    大矢正君 この会計ができても、これは単に素通りをするだけである、金が……素通りをするだけであるという、こういう解釈には必ずしもならんと私は思うのです。考え方相違かどうかわかりませんけれども。かりにこれは日本の国全体で考えてみた場合に、先ほど私が申し上げているように、万一いろいろな事情の変化によって赤字が出た場合には一体どういうことになるのか。これはやはり日本の国の政府負担をするという、そういう格好になる危険性が非常に強いし、私はそうではないかと思うのであります。それから、当然この契約の中には、船を作る場合にはどういう内容の船を作らなければならないという、そういうアメリカからの日本政府に対する拘束といいますか、そういうものも当然私はあると思う。ただ金をくれるばかはおらんですからね。その船はかくかくのものでなければならぬ。その規格に合うものでなければならんと思う。そうなるとすると、日本アメリカとの間における話し合いというものは、明らかに日本政府の行動なり行う行為に対する拘束を受けている格好になるでしょう。それはどの程度日本政府に響くかどうかしらんけれども、私はそういうことになると思う。その基となるそういう拘束をされたり、あるいは責任を負わされたりするような、こういう契約といいますか、話し合いの内容といいますか、こういうものは、議会において明らかに確認をされた上に立って、その上に立ってこういう会計法というものが生まれてくるというのが、本来のあり方ではないかと私は考えますけれども、これは法律内容の字句の問題とか何とかいうことではないので、これは政務次官から御答弁をいただきたいと思います。
  64. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 大矢委員の御指摘の点はまことにごもっともだと思います。実はこの話がありましたときに、私自身も同じような疑問を持ちまして、実は政府部内で大分議論をしてきたわけであります。相互援助協定に基きまして、アメリカ日本艦船供与する、従来の例でございますと、アメリカが持っているものを日本にくれるわけでありますが、向うのおぼしめす通りものをもらうということでございます。これは一つの形だ。それから今度の場合には、日本の持っている造船技術向うも非常に尊重しまして、日本の将来の防衛計画を立てる上において、日本みずからの力で、日本の思うようなものを作ることがいいだろうというので、金をくれて、それを援助する。そして日本設計監督も、アメリカからの指図を受けずに、日本政府の独自の立場設計監督をやりまして船を作らせる。抽象的に言えばこういう話ができたものと思います。この間の詳しい事情はむしろ防衛庁の方から申し上げた方がいいと思いますが、私はそういうように認識しておる。そこで、そうなった場合に処置をどうするかということで、私は二つの形が考えられるということで、政府部内でディスカッションしたわけでありますが、一つの形は、アメリカ政府が従来の例のように、できた船を日本にくれるというのであれば、アメリカは金は出す、しかし日本のメーカー、造船会社に船を作らせて、でき上ったものを日本政府にくれるという形になる。これを突っ込んでいくと、アメリカとしては、日本の一造船会社とアメリカ政府契約をして、そして船を作らせるということになりますと、これは一応形はアメリカの思うままのものを作るということになりまして、日本政府の意のごとく設計監督もできないという不自由さがまた逆に起って参ります。それからもう一つは、アメリカ政府日本の造船会社と、契約して、船を作らせると、アメリカ政府としても不安があるのでありますが、そこで日本政府も何らかの保証をしなければならん。何か法律を作り、債務保証という形で、日本の造船会社がアメリカ政府との契約で違背があった場合には、日本政府がある程度責任を持つというような保証をしなければならんという問題が起ってきはしないか。そういう保証なしには、アメリカ政府としても一日本の造船会社に船を発注することは無理だろうということが考えられるのであります。  もう一つは、今御提案申し上げているようなこういう形でございまして、日本の造船技術や技能というものを十分尊重して、向うはまかせる、そして日本設計監督でやり、でき上ったものは日本政府無償で譲渡する、こういうことは日本政府としては歓迎すべきことではないかということで、いろいろ議論をして、こういうことになったのでありまして、経過は、率直に申し上げますと、さようなことになると思うのであります。なおアメリカ側との具体的な問題につきましては、防衛庁の力からお答え申し上げるのが適当だと思います。
  65. 大矢正

    大矢正君 これはあなたの言われた歴史的な経過は大体わかりましたけれども、そういう歴史的な経過というものの所産ともいうべき日本側アメリカ側の間における、これは金をよこす、そして余ったものは返すという取りきめというものは、何か条約なりその他の方法によって明らかにする立場というものは必要性がないのですか。ただ、わけのわからない金が入って、それが出ていったということは、果していいのですか。
  66. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) この基本の条約は、申すまでもなく相互援助協定がございますので、その具体的な例としてこういう取りきめをやるということは何ら差しつかえないものと私どもは理解しております。
  67. 大矢正

    大矢正君 先ほど政務次官の話を承わりましたら、防衛六カ年計画の中においても、逐次米軍の船舶の供与、貸付でありますか、貸与でありますか、そういうものもやってもらうというような意見があったのです。このたびのように日本の国でいわゆる艦艇の域外調達を行なってもらいたいという要望が再三アメリカになされ、何回行ったかわかりませんけれども日本から防衛庁の代表が行って、アメリカに頼み込んで、ようやくにして相互援助協定の付属書Aに基いて、このたびは、それでは金を六十七億二千万円か何かわかりませんが、やろう、こういうことに結果はなったと思うのですが、まだまだ日本の再軍備はこれから拡大をしなければならんという現在の政府考え方からすれば、当然今後もこういうように船舶の建艦日本で行う域外調達をやらせるような希望を出されるものと思うわけでありますが、もしそうであるとすれば、今回限りで、この建艦というものが終ると、一切今後においてはこういうことがないというのであれば別問題でありますけれども、今後ますます拡大をしていかなければならないという政府立場からすれば、当然米軍からこのような無償譲与を受けるような方向をとるということになる。そうすれば、これは単に部分的に臨時の立法ではなくて、本格的に、日本法律の、特に防衛庁設置法の中なりあるいはまた、それに相応して、会計法を臨時に設けるのじゃなくて、恒久的なものを特別会計としても考えるというような、こういうことがとられてしかるべきじゃないか、これは私の希望するところではないけれども政府の今の考え方を想定してみれば、そういう結果に私はならざるを得ないのではないかと思うのでありますが、あくまでもこれは一回きりであるというふうに限定をされておるという理由がどうもわからない。その点の説明をいただきたい。
  68. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 御審議願っております特別会計法の第一条第二項に、受託調達契約の性格と言いますか、「附則第七項に規定する受託調達契約をいう。」と書いてありますが、これは、先ほど規課長から御説明申し上げましたように、附則第七項の「受託調達契約」というものは、予定している艦船二隻を調達するというふうにしばってございますので、これは基本法になるものではなくて、この場限りのものであります。将来、御指摘のような問題が起きるか起なきいかは私にはわかりませんが、もし起きれば、また特別な立法をしなければならぬというふうに思っております。
  69. 大矢正

    大矢正君 防衛庁の方から……。
  70. 高橋等

    政府委員高橋等君) ただいまのところ、アメリカとの間に、これ以上の艦船建造をこの形式でやる話は一切実は出ておらないのでございますし将来の問題につきましては、またどういう話があるかとも思いますが、ただいまのところは、一切そんな問題は出ておらぬということを御了承願いたいと思います。
  71. 大矢正

    大矢正君 たまたま、この法律に出てきたのは、艦船でありますが、これは単に艦船にとどまらずして、陸上それから航空、飛行機の場合もあるでありましょうし、あるいはその他、重要な、金額にしても内容にしても、大幅な装備なり設備というものをやはり今後もらうというような考えはないのですか。
  72. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) 他の方々から申されましたように、このものは駆逐艦二隻に限定されておるわけでございますが、ほかのものは、従来日本でやりましたものは、直接調達の形をとった域外調達でございます。そのほか、金額その他が大きいものは、航空機のF86F、及びT33というもの、これは米国の方から部分品の形で日本政府がもらって、それに日本政府が労務費その他をつぎ足して飛行機に作り上げて、でき上ったものは日本のものになるという、これとはまた違ったものがありますが、これは別に国会の御承認を得てやっておる形のものがございます。ただ、大体日本で今これを合せますと三つの形になっておりますが、この種の形式のものは、今政務次官からで申し上げましたようにこれだけで、あとのところは今具体的な話し合いは全然してないものでございます。
  73. 大矢正

    大矢正君 具体的な話し合いがないという、きまったことを僕は指して言っているのじゃなくて、今後の政府考え方はどうなのかということを政務次官にお尋ねしておるのです。これはむろん今の段階では船二隻でありますから、私は、船二隻に限定するのじゃなくて、陸上、それから航空、一切を含んで、あなたが先ほど言われているように、艦艇二隻というものは相互防衛援助協定の附属書Aに基いてなされたものだと言われておるから、それじゃ附属書Aに基くこれからの希望とか、これからのそういうようなアメリカに対する要請というものはやらないのかどうか。
  74. 高橋等

    政府委員高橋等君) 飛行機その他は艦船と違いまして、向こうの部品を持って来て組み立てるとか何とかいうことで、比較的これは簡単にやれるのであります。ただ、艦船建造につきましては、相当の長年月を要する、先ほど申し上げましたようないろいろの理由もございます。また、国内の造船能力の向上、その他いろいろな点で利益があるのでございまして、こうした艦船につきましては、こうした様式が今後もとられれば、向うでできたものをもらうよりは私はベーターだろうと考えておるのであります。ただ、今のところ、それが期待が待てる状況ではないので、何にも話がない、こういうことに御了承願いたいと思うのであります。
  75. 大矢正

    大矢正君 たまたまアメリカ日本との間においては、この駆逐艦二隻を除いては、特に今度の駆逐艦二隻建造をめぐることと同様な内容に基く域外調達というものは、話し合いの結果としては、ついていない、しかし希望としては、防衛庁といいますか、政府は、やはり附属書Aに基く域外調達援助といいますか、これを希望しておる、こういうふうに解釈してよろしいわけですね。
  76. 高橋等

    政府委員高橋等君) たとえば、自動車であるとか、航空機であるというようなものは、アメリカが直接日本契約をいたしましても、これは相当簡単なものでありますし、飛行機といいましても、部品を持ってきて組み立てるのでありますから、そういうようなものでもあるし、また、監督官が常にそれについて監督するというようなこともないわけなんです。実際問題は、ただ艦船の場合は、特殊の問題がありますので、こうした様式がとられた方が私はベターだろう、こういう考えを持っておる、航空機その他自動車あるいはトラックというようなものについてこうした様式をとるようなことは、実はわれわれは、考えておらない、ただ、船の場合に、できたものをもらうよりもベターであると、私は考えますが、ただ、それが先ほど申し上げましたように、まだそうした希望が打てる状況ではないということを申し上げておるわけでございます。
  77. 大矢正

    大矢正君 きのうの参議院の予算委委会において、今度の臨時受託調達特別会計法によって生れてくる船は一体どの辺に配置をされるのだということに対して、これは太平洋方面に配置をされる、こういう答弁をしておりますね。三年たたなければとにかくできない船で、しかも装備は、私が先ほど来指摘しているように、この三年間にどれだけ科学兵器が発達するかわからない、どういうような科学兵器をつけるかわからないような、来年の話をしても鬼が笑うというような今日において、三年後において太平洋方面に配置をする、日本海方面に配置するという答弁をしておる、何というのですか、気持ちというか、考え方は一体どこにあるのですか。
  78. 高橋等

    政府委員高橋等君) ただいまのところ、そういう考え方を持っておるということを御答弁申し上げたいと思います。将来の事情の変化によりましては、またその配置を変えるということも、もちろんあり得る、こういうように御了承願いたいと思います。
  79. 大矢正

    大矢正君 とにかく、三年後の先まで配置計画を立ててやられるくらい防衛庁はまことに念の入った、手の込んだ、何と申しますか、よその官庁ではまねのできないような卓越した手腕をもってやられる点については、まことに私は敬服します。その点については敬服しますけれども、どうもあなたの方は、本則、と附則を取り違えるような、取り迎えてそれを知らぬ顔してやるような、そういう面ではまことにずうずうしいところが見られるので、必ずしもそういう面ですべてが達せられないように私は思いますので、どうかつ、その配置計画とか警備計画などが三年先まで、どんな船ができるかわからぬうちに、設計ができるとか、もう配置計画をきめるように手回しがよければ、法律を作る場合でもやはり筋をたてて、防衛庁設置法でもって改正しなければならぬので、それぞれの手続と手順を踏んでやるのがしかるべきだと私は思うのであります。  以上を要望いたしまして、私の質問を終ります、
  80. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御質疑はございませんか。——御質疑がないようでありますから質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります、御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  81. 大矢正

    大矢正君 この会計法案に私は反対をいたしたいと思います。もちろん社会党を代表してであります。  先ほどもちょっと述べたのでありますが、今日少くとも再軍備計画、そして自衛隊の存在というものは、憲法上において疑義のある問題でありまして、私どもは今の憲法の中において、このような大幅な、しかも近代的な装備を施す軍備をすることについては当然反対でありますし、憲法違反であるという立場が明瞭でありますからして、この面からの特別会計に対する反対をいたします。  それからまた、それを百歩譲って、そういう中でもできるのだというかりに解釈があったとしても、先ほど来申し上げているように、手続上においてすでに多くの私は誤りがあると思います。本質において日本アメリカとの間における話し合いでありますし、それがある場合には、アメリカを義務づけてはおりませんけれども日本を拘束するという内容を含んでおるもので  それからまた防衛庁の設置法の二部改正をこの本特別会計法付則の中でうたうがごときことは、これはもう許すべからざる行為でありまして、私はこの点についても反対をいたしたいと存じております、  その他こまかい面ではいろいろ疑義もありますし、それからまだまた本日の御答弁の上に立って質問をいたしたい面もあるのでありまするが、どういう理由でかはわかりませんが、法律を積極的に通過をすることに希望をし、質問の時間もわずかしか与えられておりませんので以上三点について基本的な点だけを述べて、私の反対の理由といたしたいと存じます。
  82. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御発言はございませんか。——御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  臨時受託調達特別会計法案を問題に供します。本案に賛成のお方は御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  83. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 多数であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、先例により、委員長に御一任を願いたいと思います。  それから多数意見者の御署名を願います。    多数意見者署名      宮田 重文  西川甚五郎      天坊 裕彦  青木 一男      小柳 牧衞  西田 信一      田中 茂穂  塩見 俊二      高橋進太郎  土田國太郎      宮澤 喜一   —————————————
  84. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、国有財産法の一部を改正する法律案及び国有財産特別措置法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。
  85. 大矢正

    大矢正君 先日駒沢の旧兵舎の跡に住んでおられる人々、そうしてその兵舎の実態について調査いたしまして、つぶさに政府が企図されるところの国有財産特別措置法の一部を改正する法律案趣旨、希望ということがよくわかりました。そこで私はこの際ぜひ質問をし、政府の態度をお聞きしておきたいと思うのであります。  確実にあすこに住んでおられる人人、また単にあすこだけでなくて、日本全国各地にあのよう状況の中で、しかも非常に貧しい生活をしておられる人々のいわゆる住居を取りこわすのでありますからして、当然こういう人々を必ず新しくできるアパートとかあるいは家でありますか、それに入れなければならぬと私は思うのでありますが、この面に対する政府の態度を再度お聞きしておきたい。もちろんこの法律の中には、もし前に入っていた者を入れなければその契約は無効になるというようなことが書いてあるようでありますが、再度この点について念を押してお尋ねしておきたいと思います。
  86. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) ただいま御指摘の点につきましては御審議願っておりまする法案にはっきりしておりまするし、なお、せんだって来の御質疑等の御趣旨もよく体して遺漏ない善処をいたすことをお約束いたします。
  87. 大矢正

    大矢正君 第六条二の二項に「地方公共団体が、各省各庁の長の指定する期間内に、前項の公宮住宅を建設」云云、以下ありますが、この中には土地に対する問題が明らかになっておらぬようですが、建物を建てないときはその契約を解除する、あるいはまたその公営住宅に、その建設のために取りこわした建物の居住者を収容しないときは契約を解除するとありますが、かりに土地を分けてもらうのですから、その土地をどういうふうに使おうと契約を解除することができないというように解釈されるのですが、その点はどうですか。
  88. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは第二項はお示しのように、建築のことを並びに当該建物の居住者の収容のことだけを響いてありますが、これは当然公営住宅法に基きまして、御承知のように、別途補助金の予算を組んでおるわけでございます。建設省の住宅局から補助指令が参りまして、それによりまして、第二種公営住宅の建築ということが行われるわけでございます。これにはこまごまと、どれくらいの広さの建物にはどれくらいの土地を出すということもはっきりきまっておるわけでございまして、ここに、第二項に明示いたしましたように、公営住宅を建設するということが、すなわちその内容でございますが、これを励行いたしますということは、とりもなおさず、これに必要なる土地を、定めるところに従って使うということが前提になっておるわけでございます。われわれは、そういう一つの公営住宅制度というものを前提にいたしまして、かような規定を設けておりますので、ただいま大矢委員の御指摘の点につきましては、十分この項に定まっておる「土地の取得又は宅地の造成」というような規定とも関連をいたしまして、十全に行われるというふうに考えております。
  89. 大矢正

    大矢正君 これは相手が地方公共団体であるから、国と地方公共団体との間であって、決して個人との取引じゃないからいいんではないかという議論もあろうかと思いますけれども、私は必ずしもそうじゃない。このごろ地方公共団体の中には、一億円を、なんですか、どっかの銀行に預けて、利ざやをかせぐというようなものも現われてくる世の中でありますから、そう私は、地方公債団体を信頼し過ぎることもできない面があると思う。そこで、これは土地を譲与する場合に、まさか家に一ぱい一ぱいの土地を譲与するわけじゃなく、当然ある程度スぺースのある土地を譲与することになるわけでありますから、そのスペースの部分を地方自治体が、自主的にと申しますか、かりに個人に売買をする、もしそれがなされても、政府はそれに対して何らくちばしを入れることができない。そしてまたこの第二項にうたわれておるように、契約を解除するということができないような結果になると思うのですが、そういう点、どこかそういうものを規制する法律がありますか。
  90. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど申し上げました公営住宅につきまして、ここにも得いておりますが、公営住宅法という法律がございまして、どういう場合には居住者に分譲できる、どういう場合は貸し付けでやらなければならぬという規定がはっきりあるわけでございます。これは国会でお定めになりました公営住宅法を尊重いたしまして、その条件に適合するものには、かような条件で建物を無償で渡す、また土地は、特別に定められました予算の単価、これは非常に割安になるのでございますが、そういう単価で差し上げる、こういうことでございまして、ただいま大矢委員がお示しになりました点は、公営住宅法によりまして明定されておる、こういうふうに御了解願いたいわけであります。
  91. 大矢正

    大矢正君 これは地方団体が、ある程度余力があったり、それから地方団体と話のできるところにある、かりに兵舎とか何とかの老朽した建物であればいいと思うのでありますけれども、地方自治体ではなかなか手がつけられないとか、困難であるというような状況下にある、たとえば旧兵舎なんというものは、当分の閥、やはり放置したままになされなければならぬということになると思うのですが、その点はどうでしょう。
  92. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ごもっともな御質問でございます。先般栗山委員からも、実は地方公共団体のことにつきましても御心配のような御質問をいただき捜した。私、ただいまの大矢委員の御質問に対してまずお答え申し上げますが、こういういわば公共団体ではなくて、民間のいわば社会福祉団体というようなものが持っておりますような場合のことを御想定であろうと存じますが、さような場合におきましても、この制度ができますれば、できる限り地方公共団体に肩がわりをしていただくようなことを考えていきたいと思います。そうしまして、先般ごらんをいただきました世田谷郷のような状況のものが全国に相当あるわけです。ごらんをいただきましたように、まことに危険な状態でございます。これはぜひとも地方公共団体が一つ肩がわかりをしていただきまして、ここ二、三年の間に、急速にああいうものを解消いたすような措置を講じたい、この点をまず申し上げておきます。なお、それに関連いたしますが、先般の栗山委員の御質問にもあわせてお答え申し上げておきたいと思いまして、あれよりさっそく自治庁、建設省、厚生省、大蔵主計局係官に御参集願いまして、私の部屋で十分に協議をいたしました。大体この措置を適用できるものは十分適用しようということを、まず第一に申し合せをいたしました。第二に、この措置に漏れるような場合におきましても、これは契約上補修の義務は地方公共団体が持っているわけでありますから、その励行について、はっきりと四省共同通牒を出そうということも申し合せました。大体この間栗山委員にお答え申し上げましたことをさっそく実行に移しておりますので、これまたあわせて御了解を願いたいと思います。
  93. 大矢正

    大矢正君 局長も先日駒沢へ行かれたときに、話を聞いたと思うのでありますが、かりにああいう老朽化した兵舎に住んでいる人々というものは、おそらくもう大部分は生活にゆとりのない人々だろうと思います。いかに東京は住宅難だといえども、やはりある程度の余裕のある人は、皆それぞれ家をみつけて入っている。部屋借りでも何でもやっている。あそこに住んでいる人は、もう悪い言葉で言えば、ニコヨン・クラスの人が非常に多いことは、あなたもお聞きの通りであります。従ってかりに土地を提供することによって、アパートができ上ったとしても、そのアパートに入居するための費用や、それから家賃というものが高ければ、当然入れない。それはもう入る以前からすでにわかっていることであって、かりに千円の家賃である場合に、その千円の家賃が払えるかどうかということは、これは私が言うまでもなく、あなたはおわかりであろうと思う。それからたしかこの間の話では、あそこの駒沢で刀に二、三百円の家賃であるけれども、それも百五十万円かもたまっていると、こういう話もございました。そうなって参りますというと、ましてや二百円、三百円でアパートに入れる道理はありませんから、入れない者が結果として出てくる危惧を私どもは持つわけであります。そうなって参りますと、政府が幾らこういう法律を作って、そうして前に入っていた者を入れなさいと言っても、無条件で入れることはできなくなってくる。その人間は何か別な仕事を与えて、もっと生活に余裕のあるような仕事をさせるか、あるいはただにしてやらない限り、入れないような結果も出てくるのではないか。そうすると実際とこの法律とは、大いに矛盾をすると私は思うのでありますが、そういう点は局長はどのようにお考えになっているか。
  94. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまその点についてお答えを漏らしたのでございますが、厚生省に御参加を願ったのは、実はその趣旨でございまして、今度第二種公営住宅に収容いたしますと、どうしても正規の家賃を申し受けなければならないわけでございます。お話のように、できる限り積極的に適当な就職口等をごあっせん申し上げまして、収入のあるように持ってゆくのが筋合いだと考えますが、中にはどうしてもいわゆる稼働力を失っておられような方もおられるわけでございまして、そういう方につきまして共同通牒の中に「居住者のうち生活保護法による被保護者に対しては同法による住宅扶助を支給し、これを使用料の支払に充当せしめても一差しつかえない」ということをはっきり明示いたしまして、先般先生方がおいでになりまして、郷長にお尋ねになったときお聞きだと思いますが、郷長自身がちょっとその点十分承知をいたしておられなかったのでありますが、たまたま東京都の方から来ておりました援護課長は十分知っておりまして、そういう場合は生活保護法の生活扶助ができるのだということを明言しておったことは、御承知の通りであります。まことに社会保障も非常に各般にわたっておりまして、それぞれの分野によりまして、相当専門的になっていることは、御承知の通りであります。それがどうも出先の末端におきまして、よく何と申しますか、相互の緊密な連絡がとれてないような面も、必ずしなもいわけじゃないと思います。私どもとしましては、そういう点について、いわゆる漏れなく、せっかくこの生活保護法というふうなりっぱな法律があって、社会保障の援護の手は差し伸べられているのでありますから、これを活用されますように、あらゆる機会によく注意をいたしまして、大蔵省の管財局は国有財産のことばかり考えるのじゃないのだ、もし社会保障の制度の恩恵に浴さなければならない方々がいる場合は、社会保障のことをよく勉強して、そういう方々にサービスしなければいけない、こういうようなことをよく言っているのでありますが、たまたま今度の共同通牒には、その点もうたい込むことをはっきり約束いたしております。御了承願いたいと思います。
  95. 大矢正

    大矢正君 最後にお願いというか要望ということになると思うのでりあます。今あなたの言われたのは、かりに、生活保護を適用されている人間と私も承わりましたけれども、なんですか、住宅のまあ家賃の分を補助を受けることができるという方がいいだろう、そういう方向で救済した力がいいだろうという意見がありましたけれども、生活保護法の対象になる人員というのは限られたものでございますから、それでやったら何分の一にもならぬと思うのです、事実上。かりにニコヨン・クラスで、ニコヨンは今度は三百二円ですからだいぶ上りましたけれども、そういう人々は生活保護法の適用にはならぬのですよ。だから、ならぬということは、当然家賃を支払わなければならぬという結果が出てくるので、その面ではやはり単に生活保護法の適用該当者だけにとどまらずして、もっと幅の広い考慮をしてもらわなければならぬ。それから正示局長のようにものわかりのいい人で、非常に窮乏した人間に対する理解のある人がおるところはいいですけども、その所管である関東財務局のある東京はいいかもしれないけれども、北海道あるいは九州となって東京を離れると、なかなか財務局というのはあなたの言われるようにやってくれないので、家賃をやりなさいということになっているとすれば、あなたの希望するところと非常に違うと思うので、どうか政務次官の力によってそういうことのないように、東京で行おうとすることが同様に同時に全国各地に行われるような、そういうような方向を私は希望しておきたいと思います。
  96. 平林剛

    ○平林剛君 私は国有財産法の一部を改正する法律案国有財産特別措置法の一部を改正する法神業、まとめてお尋ねをしたいと思います。最初に順序が逆になりますが、国有財産特例措置法の一部を改正する法律案について、先般駒沢の実地検証を行いましたときに、一つ、二つお答えを願って、もう少しこの法律内容を承知いたしたいと思っておりましたから、そのことについてお尋ねをいたします。  駒沢の現地視察をいたしましたときは、大へんけっこうな構想だと思いました。ただあのような場所がその他にどの程度あるだろうか、こういうことを感じたわけであります。先ほど大矢委員からお尋ねがありましように、あなたは全国に相当あると言われましたが、大体どの程度あるか、この機会に聞かせておいていただきたい。
  97. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは実は私どもまだ全部を尽しておるとは思いませんがと申しますのは、非常にこの構想は実はかねがね練っておったのでございますが、ある程度画期的なといいますか、末端でこういうアイデアを前提にしての調査というものが進んでおりませんので、相当たびたび通達等をいたしまして調べ上げたのでございますが、私はもっと出てくるのではないかと考えております。しかし一応手元に集まりましたのを申し上げますと、今田で大体戸数で申しまして七千七百三戸ぐらい、戸数でございます。それからこれに対します用地の坪数でございますが、ただいま私の手元に集まっておりますのが約十七万四百五十坪、これだけのものが出ておりますが、私はこれはまだ全部とは思いませんので、なお、今度この法律通過がお願いできました暁には、もっともっと全国的によく調べまして、先ほどお答え申し上げましたような民間の団体にお貸ししておるようなものでも、この際公共団体に肩がわりをしていただくようなものをあわせて調べたい、かように考えております。
  98. 平林剛

    ○平林剛君 地域的な御説明がありませんでしたが……。
  99. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま申し上げたのは全国にまたがっておりまして、かりに東京で申し上げますと、この間ごらんいただきました世田谷等を含めまして、私の手元に今ありますのは、土地で申しますと二万五千坪ぐらい、神奈川県が約二万三千坪ぐらい、それから千葉県ではここにありますのが六千坪、これはあとで資料でお出しいたしましょう。全国にまたがっておりますから。
  100. 平林剛

    ○平林剛君 それではあとで、私だけでなく、委員会に対して資料の提出を願いたいと思います。  そこで今お話しになりましたように、全国的にかなり多数の土地や、あるいはこの法律の適用を受ける戸数がありましても、実際上これを受け入れる側が用意されていないと、法律の構想を実施に移すわけにはいかないことになります。幸い先般調査いたしました駒沢の場合には、東京都の受け入れ態勢がある程度整っておるというので、この法律の適用がされることになりました。ほかの方で、たとえば神奈川県、千葉県であるとか、こういうところの受け入れ態勢ができないというと、やはりこの法律の適用ができないことになるのではないか、こう思うのであります。またこの第六条の二に書いてある「地方公共団体」という具体的な解釈ですね、私がお答えを願いたいと思っておりますのは、かなり大きな坪数を持ち、かなり、相当の受け入れ態勢ができないと法律の目的を達成することができないことになりますから、「地方公共団体」の解釈にもおのずから限定がされてくるのではないだろうか。あなたの方で今お考えになっておる第六条の二の「地方公共団体」とは具体的にはどういうものをお考えになっておるか、それを一つ聞いておきたい。
  101. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) その点は私どもとしては大体県または市が原則でございます。中には町もございます。なおあわせて、ただいまの御質問に私ども同感の点があるのでございまして、私ども今までこういうことがどうして行われなかったかということを考えてみますと、いろいろの原因があると思いますが、通常社会の一般の観念といたしまして、使える家があるのに、それを取りこわして、中居耐火とわれわれは言っておりますが、耐火構造にすることについて、従来の古い、何といいますか、物を大切にするという古い観念が非常にこれを阻害しておったと思います。ことに国の財産というような場合に、会計検査院の関係等もございまして、まだ使えるものを取りこわすということについては、古い誤まったといいますか、昔はそれが正しかったようでありますが、非常に執拗な抵抗があったということが一つあると思います。従ってまたそういうことに対して税金を使うということについて、なかなか踏み切りがつかなかった。財政的にもそういう考え方があったと思います。ましてや地方団体の財政が非常に困窮しておりましたようなことがまたそれに拍車をかけまして、なかなか踏ん切りがつかなかったと思うのであります。しかしながら最近のように特に火災が非常に多い。さらにまた暴風等で家屋の倒壊等がございまして、いわゆる生命の安全さえも保証できないというようなことからそこへ持ってきまして、住宅用地が非常に払底をいたしまして、住宅政策のネックが各地にあるというようなことも言われております。いろいろの条件が非常にフェイヴァラブルに展開いたしまして、私ども考えも実行の段階に移れるようになってきたのではないかと、かように率直に考えております。つきましては、これは地方に行くほど先ほど大矢委員もちょっとおっしゃいましたが、東京ではもうそういうことは当りまえのことでも、地方に行きますとなかなかそれがどうも夢のようなことになるおそれもあります。その辺は私どもとしてはこの趣旨をよく末端にまで徹底いたしまして、地方団体の当局と十分に話し合いをいたしまして、一方公営住宅制度の補助金というものをほんとうに活用するような考え方でやっていきたい。同じ公営住宅を建てるにいたしましても、木造二階建ぐらいのものが至るところにできておることは、御承知の通りでございますから、そういうふうなことを踏み切って、この際まあ十年、二十年光のことを考えてやっていくということでやっていきたいと思っております。
  102. 平林剛

    ○平林剛君 相手方となる地方公共団体の選定については、私はこれが県、市、町まで単位になりますというと、かなり慎重に考えていかないと、先ほど大矢委員が指摘をしていましたような現象が起きないとは限りません。そういう意味では、政府においても十分注意をしてもらいたい。まあ私としては、時間があれば、私どもが実地検証をした駒沢の場合の東京都の受け入れの態勢だとか、あるいは、政府と今都の折衝の状態がどういうふうになっておるかということも、他の参考のためにお聞きしたいのでありますが、用意ができておったらその御説明を聞くことにいたしまして、一つ気になったことがありますから、それをお尋ねをして、私のこの法律に対する質問を終りたいと思うのであります。この間、実施検証に参りましたときに、あの世田谷郷の中で、日本キリスト協会に対して土地を譲渡しておった記録が提出をされたわけであります。  そこで、ちょっと疑問に感じたのですが、憲法の八十九条との関係は一体どうなるのだろうか。憲法の八十九条には「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益芳しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」と規定してあるわけであります。日本キリスト協会が、これはどういうことになるのか、私も詳しくは存じませんけれども、あの表を見たとき、ちょっとその疑問が浮び上がったので、法律が通る前に、一度府当局にその御見解を聞いておきたい、こう思ったのであります。
  103. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) まず世田谷郷の具体的な折衝のことは、もはや法律通過を実は前提といたしまして、本格的にはむろん法律が公布になったあとでないとできないのでありますが、準備的に、御承知のように東京都も非常に乗り気でございますので、関東財務局、それから建設省の出先機関であります地方建設局等と、具体的に今話し合いをさしておる階段でございまして、従いまして、まだちょっとここで具体的にどうということを申し上げることはできないと思いますが、法律通過、公布になりますと、さっそくそういう線におきまして、具体化したいと考えております。  なお、第二の憲法八十九条の関係でございますが、これは、御承知の通りに、いわゆる宗教その他慈善団体等に対して、公金を支出したり、あるいは国の財産のフェーバーを与えるという考え方であります。特に有利な条件、無償ということが一番有利な条件でございますが、半額にするとか、また特別に割引をするとかいうようなことをやりますと、仰せのように、非常に問題でございます。しかしながら、法律によって、いわゆる一般競争あるいは随意契約というふうなことをいたして、それが時価で売り払われる場合、あるいは、一般に慈善団体だけでなく、あるいは宗教団体だけでなく、すべてのものに平等な条件でいたす場合、あるいは国財産法なり国有財産特別措置法で、かくかくの場合はかくかくの条件で売ってよろしいという場合は、いわゆる差別をしていないわけであります、差別と申しますよりか、特に優遇をしていないわけであります。お尋ねのキリスト協会は、時価で売り払っておりますので、その点全然フェーバーを与えておりません。かりにフェーバーを与えましても、一般の条件による場合は、われわれは憲法八十九条には何ら抵触しない、かように解釈しておりますので、念のために申し上げます。
  104. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほど、特別措置法の一部改正について、過日私が要望しておいた点についての御回答をいただきました。さっそく関係各機関と話をせられて、そしてしかるべく手配をしていただいたというのでありまして、私は満足いたします。  ただ、問題は、あのときにも私指摘いたしましたが、住民の居住に供与している普通財産としての分類をされているいわゆる建物というものの絶対数量というものが、まだ明確になっていないということは明らかになりました。そこで、おそらく今後特別な関心を国並びに地方公共団体は持って善処をされることと思いますが、なるべく早い機会に、当委員会に、全国一本にして調査結果を報告せられたいと私は思います。特に、全体の戸数、あるいは占有の坪数並びにその家の管理者、こういうふうな区別にして、総数と、そのうちで特に保安上危険な状態にあるのは何戸ある、その危険なもののうちで、この法律改正によってさっそく適用を受けて改修らせれるものがどれだけあるか、改修が若干放置状態に残されるもの、先ほど適当な手当をするとおっしゃいますが、そういうものはどれだけあるか、この統計を、なるべく早い機会に当委員会に提出せられるように、私は要求をいたしておきます。
  105. 平林剛

    ○平林剛君 先ほど憲法の解釈について、私ちょっと考えている間に栗山委員の御発言があったわけでございます。何だか八十九条に対するあなたの御見解は、今ゆっくり読み返してみましても、お答えだけではすなおに読めないような気がするわけです。ただしかし、私は、今この具体的な例としてあげてきた日本キリスト協会に対する譲渡そのものをとがめているわけではありませんけれども、もう少し政府の方で御研究なさる必要があるのじゃないだろうか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  106. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 私の憲法解釈というふうなものでございますから、あるいは適当な方からさらに答えられてしかるべきと思いますが、われわれの解釈は一応そういうことになっておりまして、どういう団体でございましょうとも、一般競争入札に参加するとか、あるいは一般の条件によって随意契約をいたすとかいうことは、これは差しつかえない。ただ、宗教団体であるから、あるいは教育、慈善の団体であるから、それを理由にいたしまして、それに特別のフェーバーを与えるということは、これは分けの支配に属しない限りは許さないというふうに解釈すればよろしいと思っております。
  107. 平林剛

    ○平林剛君 まあ憲法の問題は一つの疑点として発言をいたしておきます。  それでこの法律について私は質問はありません。栗山さんどうぞ。
  108. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 関連して。今の宗教団体に対する問題ですね、大体局長の答弁で僕個人は了承するのですが、ただ関連して非常に疑問に思っのたは、例の長い間問題になっている富士山頂の問題ですね、あれは一体どうなんですか、今の解釈でいくと。
  109. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これはむずかしい問題が取り上げられましたが、冨士山頂の問題はいわゆる社寺等に対する無償で貸し付けております土地の問題、これは御承知のように特別の法律がございまして、一応冨士山に限定して申し上げますと、冨士山の八合目以上の土地が浅間神社の御神体だというふうな考え方がございまして、もともとその神社のものであったのを浄地ということで国有になっておるのだから、もとの浅間神社に無償でもらいたいということで長い間の懸案でございます。そのうちの一部、これはいわゆる宗教活動にどうしても必要であるという一部はすでに譲与いたしておるのでありますが、その他の部分というものは一応この法律によりましてもいわゆる浅間神社の宗教活動上絶対必要なものとも認められぬ半面、冨士山というものはいわば御承知のような特殊なものでございまして、これはすでに国立公園に、また国民全体の敬慕の的というふうな特殊性、それからまたそこには御承知のように測候所というようなものがございまして、これは行政財産にもなっております。また登山道路というものも道路として行政財産になっております。国として必要でありますから、そういうことになっておるのでございまして、これは譲与いたさないということで、先般浅間神社から名古屋の裁判所に訴訟が起っておりますが、憲法八十九条との関係におきましては、まずもともと沿革的に神社のものであったものを、これをその所有に返すというふうな考え方から、一種の特別の沿革的理由に基く特別の措置であるという解釈をとっておるようでございます。これは昭和二十三年にその法律を御制定になりましたときの国会の御議論等によって明らかであります。従いまして譲与することはこの八十九条に違反しないという解釈をいたしておるのであります。あとの方の懸案の問題としては、私どもとしては目下慎重に政府内で研究いたしております。法務省は訴訟の当事者となって、いずれ名古屋地方裁判所において法的に結論が出るというふうになっております。
  110. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大蔵省としては八合目以上一括して譲与するということは絶対しないという方針ですか、その点は明確ですか。
  111. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 私どもは目下のところ譲与することは考えておりません。すなわち国有として現在あるのでございます。そのままにいたしまして、むしろ先ほども申し上げましたような行政財産あるいは国立公園というふうな形になっております。また史蹟、名勝、天然記念物というような形のものになっておりますので、これの管理の主体を明確にして国として保全の責任をはっきりすべきではないか、こういう考えを持っている次第でございます。
  112. 平林剛

    ○平林剛君 最後に、国有財産法の一部を改正する法律案について二、三お尋ねをしておきたいと思います。  国有財産審議会の委員につきましては、それぞれ法律の定めがありますけれども、この中で学識経験者につきましては一体どういう範囲の中から選ばれるつもりか、その基準等について明確なものがあればお示しを願っておきたいと思います。
  113. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先般栗山委員の御質問にもお答え申し上げたのでありますが、この国有財産の管理処分はまことに関係するところ広うございますので、大体において各方面からできる限り網羅的に適当な方に御参加を願いたい。すなわち経済界と申しましても、産業、金融いろいろあるわけでございますが、そういう方面の代表の方、それから住宅あるいは道路、都市計画、言論機関、あるいは何と申しますか法曹界、それからほんとうの学者——大学の先生方、そういうふうな方、それに地方公共団体の代表の方、まあ大体申し上げますとほとんど網羅的に一応選んでおるわけでありますが、基準と申しますと、いわば国有財産の関係するところからほとんど網羅的にということがいわば基準であります。
  114. 平林剛

    ○平林剛君 私この間江戸川区の小岩の高射砲陣地のときにも考えたのですけれども、居住者の立場をある程度考慮しなければならぬということがときどき起きてくるのじゃないだろうか、だからといって居住者の代表を入れろという意味ではありません。しかし中央審議会なら中央審議会が具体的に実際の運営をやる場合には、居住者の利益ということについても十分考えて運営をされると、そういうことを要望いたしておきたいのでありますけれども、あなたの方の御見解はいかがですか。
  115. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) まあ居住者と申されますが、消費者代表的な意味におきまして、実は中央審議会には女性の方にも一人お入りを願っておりますし、あるいは新聞社の論説委員というふうな方にもお入りを願っておるのでありますが、あるいはこれがぴたりとお答えにならばいようなお気持があるかもしれません。それは今のような具体的な問題の場合、すなわち中央審議会の場合よりは、むしろ地方で、たとえば関東財務局で今の小岩の問題は処理するというふうなお気持の御質問と思いますので、そういう場合はむしろ関係者として直接そういう方の御意見を委員会においてお述べを願う、そういうチャンスを与えるのがむしろ正しいのじゃないか、こういうふうに実は考えておりまして、それからむしろ地方審議会で具体的な処分をやりまする場合に、当該処分に直接利害関係を持っておられる委員は、むしろ審議会の御決定からははずれていただくような配慮をいたしております。これはたとえば先ほどお話がありましたが、東京都に財産を譲渡するというふうな場合に東京都の代表である委員には、その審議会の決定からははずれていただくようなことをむしろ考えております。従いまして具体的なケースにおきましては、もとより関係者として意見は十分伺うのでありますが、むしろ審議会の委員におなりいただくことはどうかというふうに考えております。ただ一般の消費者のお立場を代表されるようなフェアな御意見を出していただく人というふうな意味におきまして、先ほど申したような主婦の代表あるいは新聞社の論説担当の先生方というふうな方にもお入りいただいておるわけであります。
  116. 平林剛

    ○平林剛君 この国有財産の処理審議等につきましては、いろいろたくさんの問題が含まれていて一々尽すことはできないと思います。議会としては結局この国有財産審議会にすべてをおまかせをするということになるわけでありますが、私どもとしてはこれは委員長に対しても要望いたしておきますけれども、この進行状態については、絶えず責任をもって常に国税調査あるいは院の調査権を行使して適正な方法をもってこの法律の目的とすることが終了するように注意をしていきたい、こう思っております。その点は委員長においても十分御留意を願いたい。  そこで最後に、先般私がお尋ねをした六万坪の問題についての結論はいつまでに終了していただけるか。それからそれとは関係ありませんけれども、この国有財産法の一部を改正する法律案によって、これからいろいろな審査を続けられることになると思いますが、大体全般の処理はいつごろまでに終えるという目標を立てて進められるのか、この二つについてお聞きをいたしたいと思います。
  117. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) まず第一の小岩の土地の問題でございますが、これまた私としては相当急いで処理をいたさなければならぬということを考えまして、早速東京都の副知事にお願いをいたしまして、あそこに管財部というのがあるようでございますが、この管財部長が幹事役を努めまして、関東財務局、それから江戸川区区役所並びに先ほどお話のような関係者の方方ということで、都の中にこの処理に関する一種の連絡会議と申しますか、そういうものを早速設置をしていただきまして来週水曜日に早速第一回を開くことになっております。いつまでに結論が出るかというお尋ねでございますが、できるだけすみやかにこの協議会において方針を打ち出しまして、私の方へ随時御連絡を願って適正に結論を出したいと考えております。いつままでということをちょっと申し上げられませんが、できるだけすみやかにやりたいと思っております。  それからこの国有財産法の改正をお願いいたしまして、全般の処理についてどういう目途でやるのかという御質問でございますが、私ども審議会ができましても、これに一切責任を負わせるという考えではございませんで、むしろ審議会は非常に有益なわれわれに対する参考意見を出していただく場と考えております。それでこの財産法の中にもありますように、早速この処分計画ということを大蔵大臣は各省各庁からとるわけでございますから、むしろこれがほんとうに今後国会における大蔵委員会等において、国有財産の処分計画はどういうふうになっているのかということで、われわれとしては責任を持った計画をお出しできることになるわけであります。これを十分一つ国会においてもいろいろ御議論を願うべきであるというふうに考えております。つきましてはわれわれとしては毎年心々の処分計画を作っていくわけでございますが、大体やはり五年ぐらいの期間にわたりまして、一つの何と申しますか、目標を置きまして、処分の計画を立てていきたいということを一応腹案として考えております。もっとも一方におきましては、申し上げました実地調査、実態調査をやっておりまして、これは大体三年ぐらいで終了すべく予算当局とも打ち合せをいたしておるわけでございます。一方実態調査は三年ぐらいで終了することを目途といたしますし、おもな財産の処分は大体五年ぐらいの間にどんどん処理をしていきたい、こういう考え方をもって進んでおるわけでございます。
  118. 平林剛

    ○平林剛君 私の質問はこれで終りますけれども、この法律案審議をめぐって私どもいろいろ御注意申し上げたことについて、どうか政府でも十分検討して、委員会の意見を生かしてもらいたい。  それから何分膨大な国有財産の管理処分でありますから、あなたの方でも人間が足りないなら足りないとこれははっきり言って、そして国民の権利が不当に侵害されるような事態が起らないように十分注意をしてもらいたい。おそらく国有財産中央審議会の答申の中、こまかいことは読みませんが、そういう御意見もあったと思いますが、今の機構だけでこれだけの膨大なものをやり、処理するというようなことはなかなか不可能じゃないかと私は思うのでありますが、そういう場合にはあなたの方も積極的に定員その他機構については、今度は自主的に、中身を生かすわけですから遠慮なく提案をし、あるいは要求をされるということを要望いたしておきたいと思うのであります。そうでなければ戦争中に政府当局がかなり侵した国家的損害というものを取り返すことがでなきい。ごたごたした最中であるから、政府にあまり責任を追及してもお気の毒だと思ったから、六万坪の件についても私はあまり深い追及はしませんでしたけれども、そういう当時の責任を取り返すためにも、積極的に管理処分をするという責任に当ってもらう、こういうことを要望して私の質問を終ります。
  119. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちょっと局長に聞きたいのだが、この二万筆もある調査ですね。地方税務署を使うわけにいかないのですか。このあなたの方の管理している不動産の調査は地方税務署を使うわけにいかんのですか。あれを使ったら簡単にやれるじゃありませんか。
  120. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま土田委員からの御質問、あるいは御意見的な御質問でございますが、これは非常に昔の大蔵省の制度は、税務署が国有財産の管理の責任者でございまして、これは先般ちょっとお答え申したと思うのでありますが、地租、というものが国税になっておりますような場合には、非常にうまくいったわけであります、地租の調査、賃貸価格の調査ということをやりますと、有租地は全部仕上がりまして有租地でないのは国有地であるということで、非常にうまくいったのでありますが、今日御承知のように税体系がすっかり変りまして、そういうふうになっておりませんのが一つと、それからもう一つは今回減税をしていただきまして大へんありがたいのでございますが、まだまだなかなか税務の方の手が一ぱいでございまして、今税務の方にわれわれの方のお手伝いを願うということも、なかなかいろいろの事情で、一つの御意見として非常にわれわれもわかりますし、むしろ将来税制の根本的な改正の一つの宿題になるのじゃないかというふうな感じがいたしております。
  121. 土田國太郎

    土田國太郎君 わかりました。
  122. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 別に御発言もなければ、両案の質疑は終了したものと認めます。  それではまず、国有財産法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言がなければ討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  国有財産法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  123. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。   —————————————
  124. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案につきまして討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もなければ討論は終局したものと認めて、これより採決に入ります。  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  125. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案に対する諸般の手続等は前例により委員長に御一任願いたいと思います。  それから委員会の報告書に付する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     西川甚五郎  平林  剛     天坊裕彦   青木 一男     小柳牧衞   西田 信一     田中茂穂   塩見 俊二     高橋進太郎  土田國太郎     栗山 良夫  椿  繁夫
  126. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) まことに御苦労さまでございました。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会