運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-16 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十六日(火曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            西川甚五郎君            大矢  正君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            稲浦 鹿藏君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            塩見 俊二君            田中 茂穂君            高橋進太郎君            土田國太郎君            苫米地英俊君            宮澤 喜一君            天田 勝正君            栗山 良夫君            野溝  勝君            杉山 昌作君            前田 久吉君   政府委員    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局法    規課長     中尾 博之君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君    食糧庁長官   小倉 武一君    郵政省貯金局長 加藤 桂一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    関部長     山下 武利君    農林省農地局管    理部長     立川 宗保君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の特定支払金に係る返還金債権  の管理特例等に関する法律案(内  閣提出) ○食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○特定土地改良工事特別会計法案(内  閣提出衆議院送付) ○関税法の一部を改正する法律案(内  閣提出)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  まず国の特定支払金に係る返還金債権管理特例等に関する法律案議題として、事務当局より内容の説明を聴取いたします。
  3. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 国の特定支払金に係る返還金債権管理特例等に関する法律案の概要を補足して御説明申し上げます。  国の郵政官署が他の各省各庁から支払資金交付を受けまして払い渡しを行なっている事務がございます。大きなものは恩給年金といったようなものでございまするが、非常に金額がまちまちでございまして、しかもその数が非常に多いものでございます。この取扱いは非常に円滑を要するものでございます。しかも直接国民の受け取りまする給付に関係するものである関係上、きわめて正確でなければならぬものでございまするが、この関係におきまして、支払いをいたしますに伴いまして、いわゆる誤払い過払いというような問題を生じます。もちろん、あってはならぬことでございまするが、事務手続上、権利者の方からの申告がおくれましたために、役所側におきまする整理が間に合いませんで、先に金が払われてしまうという事態もございまするし、単純なる誤払い毛、たまにはございます。そういうような誤払い過払いが出て参りますと、それはいわゆる返還金ということになりまして、国の債権になるわけでございます。その債権管理につきましては、先般御審議、御議決を得ました国の債権管理等に関する法律というものが動きまして、それで一定責任者がきまり、これを基調といたしまして諸般の手続をとらなければならぬということになるのでございまするが、実際には、この国の債権管理等に関する法律は、いわゆる標準的な状況を見ましてできておりまする、非常に整った手続規定した法律になっておりまするのに対しまして、この種の債権はその数が多く、しかもこれを取り扱いまするところが郵便官署末端職員でございまして、これをいわゆる債権管理の本来のいろいろな整理方法に乗せまして処理いたすということになりますと、かえって非常に煩瑣になります。しかも、これらの債権につきましては、事実上、末端における話し合いによりまして、ほとんど解決されておるものでございまして、必ずしも重大なる紛争になるようなものではございませんので、これらの債権につきましては、発生の日から三カ月間は債権管理法に乗せないことにいたすということを考えましてお願いいたしましたのが第一点でございます。三カ月を経過いたしました後におきまして、ここで初めて債権管理法手続に乗せる、それまでの間にきわめて簡便なる方法によりまして事実上の解決をできるだけはかりたいということでございます。  第二点は、現在実は実際に実行いたしておるところでございますが、恩給金その他、国の歳出金にかかわるものを郵政官署を通して払います場合には、支出官は、直接に正当な権利を持っておりまする方々、恩給であれば、恩給を受くるの権利を持っておられる国民でありますが、その力に対して、一々小切手を切るということは煩瑣でありますので、郵政官署郵政省職員資金交付して、郵政省職員をして支払わしめるという形をとっておるのでございます。しかしながら、この資金交付という関係規定がきわめて今整っておりません。ただ資金交付して支払わしめることだけが規定いたしてあるのでありますが、実際問題といたしましては、先ほど申し上げましたような返還金債権の回収をいたしましたことにつきましては、当該年度内であれば、ちょうど定額戻入と同じような考え方で、その資金に実は戻し入れておるのでございます。それから年度を越しました分につきましては、別途歳入として整理いたしておるのでございます。しかしながら、これらの点が実は法律上に明文を欠いておりますので、事柄は直接国民権利義務に関することではございませんが、やはり大事な国費を、しかも膨大なる国費を取り扱いまする制度でございまするから、この際その点もはっきり法律規定いたしたい。で、国会の御議決を得まして取り扱うことにいたしたいということが第二点でございます。  次は、これも従来から若干やっておったところでございますが、恩給その他支払金返還金債権で、国がこれを徴収いたすべきものに対しまして、あとから払いまするところの恩給をこれに充当して決済する方法を開いたことが第三点でございます。郵政官署におきまして返還金債権返還義務者に支払うべき支払金がございまするときには、その支払金の額を返還金債権金額に充当することができることといたしたものでございます。それからまた返還義務者が国から給与を受けるものであるとき、または恩給にかかわる返還義務者都道府県から給与を受けておられまする場合におきましては、国または都道府県給与支払機関は、この債権管理官請求に基きまして、債権管理官郵政省に置かれるわけでありますが、その請求に基きまして、返還義務者に対して支払うべき給与の額から返還金債権金額を控除いたしまして、その者にかわって国庫に払い込ませるという手続を開いたのでございます。ただし、この給与からの控除につきましては、給与を全額控除してしまいますと、いきさかその影響するところが深刻でございまするから、給与額の四分の丁をこえないようにするということを考えております。もともと一度恩給がつきまして、それをちょうだいいたしておって、また役人になるという場合には、常識からいえば恩給は差しとめになることはわかっておるのでございますから、これは受取手続にならぬはずのものでございますし、それから任命権者その他、国の人事管理機関もそれについてそういう手違いのないようにいたすべき制度は別途あるのでございますが、実際問題といたしまして、実はこれは二重払いになっておる例がまま見受けられるやに報告されておりまするので、それに対する徴収の方法を開いたものでございます。  対象になりまするものは、恩給年金のような非常に数の多いものでございます。そういうきわめて事務的と申しまするか、取扱いに関する手続的な法律でございます。これができますというと、郵政省におきましても仕事の筋道が立ちまして、また責任の帰属も明瞭になりまして、大へん仕事がやりやすくなるものでございます。どうぞよろしく御審議をお願いいたしたいと思います。
  4. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 質疑を行います。
  5. 天田勝正

    天田勝正君 この法律を作る意味は、従来も毛たくさんの過誤払いがあるその跡始末に煩瑣な方法を避けて簡略にすると、こういう意味だと思いますが、それではこの過誤払いというものは年間今までどのくらいあるものですか、実績は。
  6. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) ただいまの御質問お答えいたします。従来この恩給及び年金過誤払い発生件数並びに金額等は、昭和二十九年度におきましては、件数といたしまして二万三千二百十四件、金額にいたしまして一億八一百万円であります。昭和三十年度は、件数にいたしまして二万一千百三十四件、金額にいたしまして二億三千六百万円で、この一件当り過誤払い金額は、昭和二十九年度におきましては約八千円程度でございまして、昭和三十年度におきましては一件当り平均額で一万一千円でございます。大体昭和三十年度におきまして、この過誤払い事故の発生いたしまする割合は、総取扱い数のうち、件数におきまして〇・二%、金額におきましても〇・二%程度であります。それから郵便局窓口為替貯金等全部入れました全体の過誤払い件数というものは、昭和三十年度におきましては五万八千七百九十件でありますので、年金恩給関係過誤払いの占める割合は、全体の郵便局窓口取扱い件数のうちの約三六%、こういうことになっておる次第でございます。
  7. 天田勝正

    天田勝正君 その最後お答えの三六%というのは、全部の扱い件数のうちの……。
  8. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) 郵便貯金とか、為替とか、いろいろ郵便局窓口で扱っておりますうちに、過誤払いがほかにもございますが、そういった過誤払い件数のうち、年金恩給関係の占める割合が三割六分である、こういうことでございます。
  9. 天田勝正

    天田勝正君 最後のところを聞きますが、「国又は都道府県返還義務者に支払うべき支払口ごとのこれらの規定規定する給与金額の四分の一をこえることができない。」返還義務金額が多いために、もし俸給から控除するなら、これは控除してゼロになるどころか、はみ出すという場合をきっと考慮してこの規定を作っておったと思いますが、ところが、これは考えようで、ごく低給の人はおそらくこういうことはないからという考慮かもしれませんが、低額俸給を受ける人でも、四分の一、高額の給与を受ける人でも四分の一、こういうふうに定率できておる。これは何か一定額以下の低額給与者には定額をここに示す必要があるような気もするのだが、その点はどうなんです。
  10. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) もっともな御質問だと思います。私どもも実はいろいろ考えておりましたが、実はそれほど——あるいは御意見もございましょうけれども、この制度につきまして四分の一を残す、四分の一に限ったということ自体に、実はいろいろ議論がございまして、むしろ全部取るべきじゃないかという議論が実は検討中におきましては強かったのでございます。先ほども申しましたように、恩給をいただきまして、もう一回勤めたら、もらうべきじゃないということは、十七年も役人をやっておりますならば心得ておるのでございまして、それがもらうのですから、あまり酌量すべき余地がないのじゃないかという御議論の方がむしろ強いのじゃないかということで、そういう考えであったのでありますが、やはり俸給でございますから、生活の資でございまして、ここに重大な影響があるということ自体は最も考えるべきで、それはそれ、これはこれ、ということで調和をはかりたいということで、四分の一を限度といたしました次第で、それ以上に、実はお考えのように、あるいは足切りにいたしますとか、累進割合にするというような手のこんだやり方もあると存じます。事柄は、まず本来が、出だしがその程度の問題でございまするので、あまり複雑な制度にいたしまして執行の面におきまして非常な手数をかけるほどのこともあるまいというような考え方から、四分の一、一本にいたしたのでございます。事柄の本質と申しますか、本来の出だしからみまして、まずこの辺でいいのではないかというような考え方で、御質問の点につきましても十分考慮はいたしましたけれども、こういう結論におきまして立案いたし  ましたものでございます。
  11. 天田勝正

    天田勝正君 過誤払いが起ったという、そのこと、それは確かに恩給年限に達するほどに一ぺん役人をやった。それから若干の恩給をもらい、他の役所かどうかしらぬが、とにかく再就職した。その人も確かにそれは法規課長が指摘されたように、二重に、恩給俸給と、ともにもらえないのだということは、常難論としてわかっていなくてはならぬが、採用する方の役所は一体そういう手続は今まで何もしなかったわけですか、どうなんですか。
  12. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 採用いたしまする方の役所におきまして、人事関係職員は当然これを恩給局連絡いたしまして、そういうことの起らないようにいたすべき義務は課せられております。実際にも大部分はそれが行われておるのでございまして、それによって問題は防がれておるわけでございます。しかし間々先ほども申し上げましたように、そういう手続にもかかわらず、何らかの事情でその手続がとられませんで行われることがあるやに伝えられまするので、その場合のことでございます。
  13. 天田勝正

    天田勝正君 そうすると、その連絡義務はある。義務はあるにもかかわらず、それを怠ったというのか、あるいはまた、よく税務署で、ある一つの係なり課なりから、他の係なり課へ連絡をした場合に、その文書等がどこかへ滅失された、そういうようなことが起るので、かような結果になるというのですか。
  14. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 問題は支払いが行われたということに起因いたしまするので、そういう支払いの行われる手続に進んだということにつきましては、その間、連絡があって、途中で書類が滅失した場合も考えられましょうし、あるいはもっと単純に、やるべきことをやらなかった。これは採用いたしますときには当然履歴を調べるわけですから、人事記録に当然載せるべきものであり、それを見ればわかるわけです。それを怠った場合もあると思います。ただ実際問題として御本人もこれはおかしいということで、実際に郵便局においでになりましてお受け取りになるということ自体が、梶は困ったことなのでございます。これがそのときに気がついていただけば実は受け取らないということになりますので、この場合は問題が起きないのでございます。これが実際問題として、そういう場合も多くあると思います。ところが、それが受け取ってしまう方があるのでございます。そういう場合の規定でございます。
  15. 天田勝正

    天田勝正君 私が今この質問をする趣旨は、これがちょうど恩給年金を受け取る時期に差しかかって、再就職されたというような場合に、その連絡があったにもかかわらず時間的なズレで結局過誤払いし、また受け取る方も、それは承知でありましょうけれども、とにかく受け取ってしまった、こういう時間的ズレのために過誤払いが生ずるというならば、私は、すんなりと、うなずくのです。ところが今の御説明のように、当然すべき連絡もしない向きも時にある。そうすると、そういう当然自分の扱うべき仕事を怠ったということになる、怠った者に対して、それでは一体、まあ行政罰という大げさなものでなくとも、信賞必罰をやっているかという問題が当然起きようと思うのですが、そういうことは一体やっているのですか、やっていないのですか。
  16. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 本件に該当いたしましたような事例を一件積みました場合に、どの程度行政罰になるかということ自体は、実は客観的なものはございません。国家公務員法関係におきましても、人事関係懲戒はどうも任命権者にまかされて、方向だけが与えられておりまして、あとはいわゆる人の使い方で、運用にまかされておる次第でございます。しかし本件のようなものを怠るということは、やはり相当不穏当なる事例であろうと存じます。おそらくそういうような方は他にもいろいろ適当でないような事例を繰り返す可能性の多い方であると思いますので、それらに応じた必要な行政処分が当然行われるべきものと考えます。ただ本件につきまして、どの程度どこの役所でやっているかという具体的な問題になりますと、私もそこまでは調べておりません。
  17. 天田勝正

    天田勝正君 これは本日審議主題でございませんから、私も多くの時間をとるつもりはありませんけれども一般に、起訴された件数のうち、現実に罪となる数が非常に公務員の場合は重かるべきであるにもかかわらず、事実は非常に軽いか、もしくは件数にして少い。あるいは検挙された件数と比較した場合も、一般のものよりも重かるべきのにこれが軽かったり少い。こういうことが非常に納税義務者——国民の方の側から見れば疑惑をもって実は見られておるのですね。この今質疑応答いたしておる事柄などは、これはあまり世間の表に出ない事柄でありますから、まあ、さしたる問題ないといえば、ないのですけれども、やはり私は役所全般信賞必罰がとかくどうもおろそかになっているんじゃないか。ことに本件主題ではありませんけれども、ずいぶん数多くと言ってもいいくらい、かつては税務署などでは二重に徴税令書を発行したり、支払ってしまったもの、もしくは徴税すべからざるものに対して徴税令書をやった。この大蔵委員会でもずいぶん、このことは幾たびか問題になった。これはよその事柄でありますが、総体として私は、公務員は他のものよりも相当の試験も受けて就職するのでありますし、またそれは一般国民よりも別個の——神様のような人を求めるのは苛酷でありますけれども自分のやるべき仕事をやらないということについては、私は相当しっかりした態度で臨まなければ、結局国民全体は納得しないんじゃないか。そういう意味で、この事柄は小さいようでありますけれども、やはり、苛酷な罰則というものもいかがと思いますけれども、そうでない範囲で相当懲戒をする必要がある。こう考えますが、これはどうも少し全般のことですから、法規課長にお聞きしても、やむを得ないので、政務次官が来ておられますから、政務次官の所信をこの際、聞いておきたいと思います。
  18. 足立篤郎

    政府委員足立篤郎君) 天田委員の御指摘になりました点につきましては、まことにごもっともな御意見でございまして、私どもも十分この処置につきましては注意を要すると考えておる次第でございます。御趣旨の点を尊重いたしまして、今後善処すべきものと考えておる次第でございます。
  19. 平林剛

    平林剛君 さっき天田委員からお尋ねがありましたけれども過誤払いが起きてくる本質的な原因について私まだ釈然としないものがあるのです。とにかく一年間に二億三千六百万円といえば、かなり大きな額になる。パーセントは非常に少いように見えますけれども金額としては多い。今これに対する責任の問題がありましたけれども、一体過誤払いがこういうふうに起きてくる根本的な理由はどこにあるでしょうか。
  20. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) ただいまも御説明がありましたように、過誤払いは実は相当ございます。これを少くいたしますためには事務を非常に精密にいたしまして、それから支払い手続におきましても、非常に厳正を期するために各種の手続をきめまして、本人がもう死んで、おらぬかどうか、あるいは結婚しておらぬかどうかというようなことをそのつど調べるというようなことをいたしますれば、これはずっと減るものと考えます。しかし、恩給年金のようなものでございますと、その数が非常に多く、しかもこれは俸給的にある時期にはちゃんと大部分のものが払われておるということがきわめて大事なものでございますから、そこで先ほども申し上げましたように、通例の支出手続とは異なる郵便官署に対する歳出という形で一応お金を渡しまして、それで実はお払いをするわけでございます。従いまして、問題は今度は過誤払いという方へ残って参るのであります。もちろん過誤払いが生じては困るから厳正にやるということでは仕事がおくれる、おくれるのはいかぬから過誤払いは幾ら出てもいいんだということは、決してございません。それはそれで、いろいろ気をつけてはおるわけでございます。やはり根本的な原因はそこにあると存じます。
  21. 平林剛

    平林剛君 そこで私は政務次官の今のお答えは少し的を射ていない。私は、過誤払いが起きる根本的な理由支払い機構の点にあるのじゃないだろうか。ただ官吏の怠惰とか、それから過失とかということでなく、それでは何ともなし得ない支払い機構の中に問題があるのじゃないか。今御説明がありましたように、郵政官署職員が行うというところに、まあ結局かなり多額の過誤払いを生ずる根本的な欠陥があるのじゃないだろうか、こういうことも言えると思うのです。政務次官もその点は一つよく頭に入れておいていただいて善処をせられるように希望しておきます。
  22. 加藤桂一

    政府委員加藤桂一君) 法規課長からも御説明がありましたのでございますが、郵政官署で扱っておりまする側におきましての過誤払い等原因につきましての御質問でございましたので、一言釈明になるかもわかりませんが、お答えいたしたいと思いますが、実はこの恩給の支給につきましては、年四回にわたりまして——一月、四月、七月、十月と、四回にわたって支払っておるわけでございまして、その間の期間は三カ月でございまして、従いまして、この過誤払い原因を尋ねてみまするというと、再就職によりましたものが二二%、死亡による亀のが一六%、成年に達したというようなものが五%、婚姻によるものが一一%、そういったようなことで、大部分はそういったような例をこれは市町村その他につきまして調べてはっきりさせれば、そういった過誤払いはないのでございますが、郵便局におきましては、実際支払いまする際には、必ず当人が——受給者が失権または停止の車中に該当していないかどうかということにつきましても、市町村役場に照会する等の方法によってできる限り調査をして払いはしておるのでございますが、最近は市町村役場におきましても非常に仕事がお忙しいので、郵便局からそういう照会をしても、忙しくてなかなか御返事がいただけないというような事情もあるのでございます。そういったことで払っておりまするが、先ほど天田先生のおっしゃいましたように、三カ月では時期がズレて、あとでわかるというようなことも相当あると思います。そういったようなことでございまして、郵便局で実際にその窓口職員手続き上間違えて過誤払いをしたというようなものは、この一〇〇%のうちの二十%にも満たないわずかなパーセントになっておりまして、その他のことは、恩給局と私どもの方、あるいは市町村役場との間の連絡が緊密に完全に行えれば、こういう過誤払いはされないはずないんでございまするが、まあ年に四回もやっておりまして、その間の期間…が三カ月でございますので、時期がずれてそういったようなことも起きるというのが大郷分ではないかと、こう考えておる次第でございます。それから、職員のそういった責任を重んずるといったような点につきましても、先ほど大蔵省政務次官もおっしゃいました通りに、私どもといたしましても、郵便局窓口には厳重に注意をいたしまして、このようなことのないようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  23. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 議事の都合上、本案質疑は一応本日はこの程度にとどめて、なお後日に譲ります。   —————————————
  24. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案議題として、質疑を行います。  なお、念のため申し上げますが、本案は、衆議院において、付則を、「この法律は公布の日から施行する。」と修正されております。  質疑を願います。
  25. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この前資料を出していただきました黄変米の問題について二、三伺いたいと思います。  このちょうだいいたした資料を見ますると、中でいろいろ疑問な点が出てきますが、一番最初に伺いたいととは、黄変米は、食品衛生法上の処理基準が決定されるまでは処理してはいけないということになっておる。そして処理基準につきましては、厚生、農林両省の間で相談をしてきめるのだと、こういうことになっておりますが、この処理基準というものは、ただいまどういうことになっておりますか。
  26. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) ただいまお尋ねの中にございましたように、配付いたしておりまする資料の中にもちょっとございます。その点は六ページにございますが、病変米の処理につきましてのサンプリング方式の暫定案というのがございます。これによりまして、農林、厚生両省におきまして、在庫米につきまして一応肉眼で病菌に関する専門家の仕分けをいたしました上で、上といいますか、良質米というふうに仕分けられたものにつきましては、さらに菌の有無を検定いたしまして、無菌であるという証明ができましたものは食品加工用に回してよろしい。それから仕分けの結果、下というふうに、加工食品には向けられない、いわば食糧以外のアルコール等にしか向けられないということになりましたのは、菌検定を待たずにこれを飲用アルコール等に処分する。それから中——上質でもない、下でもない、なおさらに検討しなきゃならぬというものにつきましては、今後サンプリングの取り方についてただいま検討を重ねておる、こういうことでございます。全面的に処理基準がすでに確立したわけではございませんので、今申し上げましたような上質のもの、下というものにつきましての処理基準が一応できておる、こういう段階になっておる次第でございます。
  27. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると、この処理基準というものは、かた苦しいものでなくて、食品衛生調査会の答申に基いて、厚生、農林両省が、この部分についてはこういう工合に処理をしよう、こういう話し合い、協議が成立すれば、それでもう実行に移していい、こういう建前のものですか。
  28. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) さようでございますが、お話の通り全面的にどうするということを待っておりましたのでは処分がおそくなりまするので、一部処分方法の確立したものにつきましては、その方法についてやっている。従いまして、まだ処分方法の確立しない部分につきましては、お話のような、今後の話し合いと申しますか、また、研究ということの結果処理していくというようなことになるわけでございます。
  29. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから、この中間的な処理方針がきまってからいよいよ処理に入っておられますが、ここで伺いますると、要するに黄変米としてクエスチョン・マークをつけられた米穀については、人間の食用にはしないということは、これは原則としてきまっているわけですか。人間の食用にはしない。今のお話だと、どうもそういう工合にうかがえるのですが、食用にはしない。こういうことですか。
  30. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) さようでございます。いわゆる飯用といいますか。配給用と申しますか、そういう意味での食用には回さないで、すべて加工用にする。こういうことは確立している原則であります。
  31. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると、ただいま残っておるものも、処分の方法としては、もう加工用にするかあるいは工業原料にするか、そのどちらかより、もう処分の方法はないわけなんですね。その点はよくわかりました。そうしますと、さらにお尋ねをいたしたいのは、食品加工用にするという、原則がきまれば、今までお調べになった分類からいっても、もっと早くこれを始末し得る分類がもうできておるわけなんです。ところが、ここに表がございますが、まだストックが相当残っております。なぜこういうものが急速に処理できないのか。ここに非常に疑問を持つわけですね。人間の食糧にするというならわかりますが、もうそれにはしない、それで食品加工用かあるいは、工業用の原料にするという大方針がきまり、食品加工用にするということであるならば、これは相当用途もあるんだろうと思いますが、そういうものがちびりちびりと、こういう工合に処分をせられて、そうして、それでなくとも狭い港の倉庫を長い間占拠し、しかも多額の倉敷料を払うということは、どうも国家経済からいっても好ましくないと私は思うのですが、との点なぜもう少し急速に処分できないのか。たとえば、この表を見ますと、仕訳数量、良質のものが四万二千二百八十九トン・そのうちで売却したものが五百三十七トンですか、差引して四万一千七百五十二トン在庫で残っておるわけですが、これは処分できるのじゃないかと今の御説明ではうかがえるのですが、それはどうしてできないのか、その理由を伺いたい。
  32. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これはまことにお尋ねごもっともでございまして、その点の御疑念はごもっともであると存じますが、一つはこういう事情がございます。善いわけになるようなこともございますが、「良」という仕分けをいたしました上に、さらにサンプルをそこからとりまして、その米粒を今度は試験管の中に入れまして、菌の培養をやるわけでございます。この培養をやる施設につきましては、農林省というよりも、むしろ厚生省の方に、特別権威あるところに御相談願いまして、ただいま厚生省関係の研究所二カ所、それから農林省の研究所一カ所にお願いをいたしまして、菌の培養を実はやるのであります。培養は、これは相当手数と日数がかかりますので、その培養の結果無菌であると、こういう証明がつくか、あるいはなお菌が培養されたということになるか、その結果をさらに待たなければならぬという、実は実情であるのであります。「良」というふうになっておりましたものは四万一千トン余りございますが、そのうち三万六千トン分につきまして、今申しました菌の検定をする研究所に送付いたしておりまして、そのうちちょっと昨朝がおそうございますが、二月末ごろまでに検定が済みまして、無菌であるという通知を受けましたのは三千五百八十五トンでございまするので、ただいまこの三千五百八十五トンといったような数字につきましての処分を実はやっておるのでございまして、おくれて申しわけないのでございますが、そういう実情でございます、それからまた、もう一度用途のことでございますが、アルコール原料等でございますれば、非常に需要量も多うございまするけれども、食品加工用と申しますると、年間の需要量としてもそう莫大な数量に実はならないのでございまして、一時期に何万トンも処分するというふうにはなかなか参りかねますようなことでありまして、たしか「みそ」その他の食品加工用といたしましては、通常の場合でございまして、年間七、八万トン程度ではなかったかと思いますが、従いまして、月にいたしますと一万トン以下、数千トンということになります。そういうわけでございまするので、若干出だしがおそくなっておりますが、最近はだんだんと処分が進むように考えておりますし、またぜひそうしなければならないというふうに考えておる次第であります。
  33. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体非常に慎重を期しておられることはわかるのですが、私はそこで非常に疑問に思いますのは、黄変米に班についている菌が、厚生省で菌の検査があるから、それまでは繁殖をストップしておりましょうというわけにはいかないと思うのですね。やはりどんどん繁殖して、これは劣化していくでしょう。この間の説明では劣化をしないような措置をやっておるとおっしゃったのですが、私はそういう科学的な根拠というものは果してあり得るかどうか、非常に疑問に思うのですが、良質の米でも長年ストックしておけば品質が悪くなることは常識です。ましてや菌の入っているものを、長年の間ストックして置くと、必ず悪くなると思うのですね、全体からいえば部分かわかりませんけれども。そうするというと、菌を培養して、一生懸命検査を慎重におやりになるのはけっこうですけれども、それがあまりに時間がかかると、検査されている方の本尊の方は、ますます悪くなるというようなことは起きませんか。そういうことはないですか。
  34. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) まことにごもっともでございますが、私どもといたしましても、ただいま検定機関にお願いいたしまして、検定をいたしておりますのに相当日数がかかりますが、これもそう何カ月というふうにかかるわけではございませんので、お話のように、できるだけそういう点も取り急いで菌検定中の期間その他処分の期間がかかりまして、その保管期間中にさらに質が悪くなるというようなおそれが、これは御指摘のようにございまするので、できるだけその点につきましては、保管管理の上でなお注意を与えますとともに、処分についても一そう促進するように、ぜひしなければならんというふうに思っております。
  35. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この昭和三十二年の二月一日現在で、在庫が十一万七千三百九十一トンあるわけですね、表によりますと。そのうちで仕分けたものが八方六百十二トンですね。この差額の三万六千何がしというものは、これはまだ全然無検査のものと承知して差しつかえないわけですか。これはまだ仕分けが全然できてないのですか。——ああ未仕分けの分が四万四千五百九トンですか、こういうことになりますね。これはいつごろ仕分けが完了するわけですか。
  36. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これも、もちろん本年度早いうちに仕分けを完了したいと、かように考えております。
  37. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 本年度中ですか。
  38. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) はい。
  39. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから良質の方の差引三月一日在庫の四万二千二百八十九トンというのは、これはいつごろまでに完了の予定ですか。
  40. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) この程度のものは、一年以内に処分できるというふうに考えております。
  41. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 一年以内に処分、そうしますと中級の二万七千八百九トンはどうなりますか。
  42. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これが先ほどちょっとお尋ねのございまして触れた点でございますが、これについての検定の方法と申しますか、そういうことについての方法が、まだ実は確立しておらないのであります。そこで私どもといたしましては、今後これをどう処理するかということについて、至急結論を得なければならんというふうに考えているのであります。どうしてむずかしいというふうなことになっているかと申しますと、中級というふうに仕分けされたものの内容が非常に複雑でございまして、簡単なサンプリングの方法では、実態が必ずしも的確に把握できない、こういう大体の見込になっております。そこで、こうしまして、そういう方法論を研究している圏に月日がたっということでは、これまた大へんな経費がかかりまするので、方法の確立の大体つくめどの見当、その見当まで待った方が得かどうかということとのにらみ合せで、この処分の方針を決定するようにしたいと、かように考えているのでございます。
  43. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 不良品の仕分け分一万五百十四トンのうち、差引在庫として残っているのは、三千三百二十一トンでございますが、これの処分がおくれている理由はどういうわけですか。これは工業用原料だから簡単に処分できるわけのものじゃありませんか。
  44. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) お話のようなそういう点でございますが、当時の資料として、二月一日ということで申し上げたので、これはここで不良品として仕分けられているものの在庫はほとんどございません。ここであげられているものは、お話のように処分済みになっております。
  45. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうですが。それからもう一つわからないことは、こういういわくつきの米を抱えて、食糧庁も大へん難儀をしておられることはよくわかりますが、そこにいろいろな、二、三カ所に書いてありますが、これを軽率に処分をすれば国損をますますふやすだけだから慎重にやりたい、要するに国に損失をかけないようにやりたい、こういうことが書かれておりまするので、考え方としては、しごくごもっともだと思いますが、こういうものを国損を与えないで処理をする方法があるわけですか。実際問題として、私は何もないのじゃないかと思うのですが、こういうものは、あまり慎重を期して、倉敷料も払い、倉庫を占拠して、長い間考えて、学者の実験用に供しておるのじゃなくて、こういうものはもう思い切って、たなおろしをして処分してしまうことの方が、かえって国のためになるのじゃないかと私は思いますが、その点の御見解はいかがですか。大体普通の民間会社においても、こういうものをいつまでも丁寧に試験を繰り返して、一年も二年もかかって試験をして処分をするなんということは、普通やらないものでございますがね。もう使えないということがはっきりわかれば、思い切ってたなおろしをして、きれいさっぱりとするというのが、これは建前だと思うのです。このために、またたくさん仕事ができて、皆さん御研究になって、黄変米の権威者ができることはけっこうだけれども、こういうことはあまり歓迎すべきことじゃないと私は思うのだが、その点はいかがですか。
  46. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) ごもっともなお説でございまして、私どもといたしましても、いたずらに研究なり検討を重ねておるというふうな意味での慎重を重ねて、かえって逆に国損を来たすということになりますと、これまた申しわけないのでございます。その灘もよくかね合いを考えまして、処分をいたすつもりであります。なお慎重を期したいというのは、国損を避けるというようなふうに書いてございまして、おこがましくお感じになるかもしれませんが、そういう研究もございまするし、なおさら、あまり公けの席上でどうかと思いますが、横流しといったような問題が、これは最近は米の事情がだいぶ安定をしてきましたから、そういう心配もあまりないかとは存じますが、そういうことになりまして、回り回って人間の口に、そのまま一般の飯用みたいになって入るということになりましても、これは申しわけございませんので、そういう意味でのやはり処分の方法なり処分先の意味での慎重も期したい、こういうことで、そういうふうな表現を用いたわけであります。
  47. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからもう一つ。当時のことを、これは黄変米が問題になったときのことを、私、思い出しているわけですが、あのときに黄変米云々のことが、日本で、国会の問題にもなりましたときには、相手国はそういう不良米などというものはないのだ、日本へ行って、そういうものができるのはよくわからないのだというような情報がきたことがあったように私は思います。ところが、この資料を拝見していると、昭和二十九年十二月以降外米の買付を再開したけれども、その後は黄変米の到着を見ていないと書いてあるのです。その国会で問題にして、黄変米のことが大いに議論になってからは、もう輸入がないのだ、その前にはどんどん入ったのだ、こういうのですが、それは一体どうしてそういう現象が起きたのですか。
  48. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これは御承知のように、そういう御懸念、御疑問がおありかと思いますが、いろいろ黄変米が特に入ってくるということについての防止について、非常に輸出国としては意外に思うほど実は厳重に処置をいたしております。非常に簡単な話から申し上げますと、現地で雨季を越した米はどうも黄変米になる場合が多いということで、雨季を越した米の輸入はやめる、それからまた、積地で検定をしてもらう。それからまた、水分が多いものはどうしてもやはり菌がつきやすいというようなことで、水分等、その他品質上の規格を厳重にする。あるいは、船の航行中に病菌がふえて参るというようなおそれもございまするので、船積み中の管理、ヴェンチレーション等について特段の注意を払ってもらう。あるいは、掲精してから船積みの期間相当余裕がありますというと、白米でございまするので、その間に菌がつくという可能性もあるというようなことで、つきましてから船積みする間の期間を制限をする。あるいは、これはまあ全部の国に適用するわけに参りませんが、研究施設等が進んでいる国につきましては、現地の有力な研究機関、あるいは大学等の無菌の証明書を付したものでなければならない。こういうようなことで処置を講じておりまするので、その後はほとんど病変米の到着をみていない、こういう状況に相なっているのであります。
  49. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは今後のこともあるわけですが、今おっしゃったことも、黄変米の輸入を抑制し得た一つ理由であるかもしれぬけれども、農林省としては、そのほかにもっと別な方法をとってこられたのじゃないですか。それは、もっと具体的に申しますと、われわれが当時聞いておったのは、外米の取引をするときに、当時は米穀事情が悪かった点もありましょうけれども、非常に絶対量だけを急いで、ほとんど全部貿易商社に白紙一任をして、買付から船積みから、そういうものをほとんど無検査の状態で日本に持ってきた、従って、貿易商社は悪い米を買い付けて膨大な利潤を上げて、そうしてこういうものを日本の港に着けてきたということが、当時相当非難されたのです。従って、そういう点について食糧庁として反省をして、何か特別な手を打っておいでになるかどうか、その点の方が私は今後の問題としてもより重要だと思います。その御説明がなくて、今の、ただ船の中で菌の発生しないようにしたとか、あるいは無菌の証明書をとった、そういうことでは、この黄変米の輸入抑制にはならないし、また今後再びこういうものが発生しないということの証明にもならないと思います。私は、今後絶対に外米を輸入する、良質外米を入れるということであれば、食糧庁がもう少し貿易に頭を突っ込んで、現地における買付について役所責任を持つ、商社は事務的に処理をするだけと、この程度まで進まなければ、今度安心しておられないと思うのですが、そういうことを食糧庁はおやりになっているかどうか、まだ依然として前と同じように商社まかせか、この点を一つ説明願いたいと思います。
  50. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) お話のように、これは食糧事情の動向と申しますか、推移がどうであったかということも多少関係があると申しますか、大いに関係があったかと思います。配給米の配給に事欠くような事態で、緊急に外米を輸入しなければならないといったようなことになりますと、とかく検査なりあるいは検収なりが粗漏になるというおそれが多分に出て参るわけでございまするので、根本の食糧事情ということがもちろん背景にあると思いますが、お尋ねの点について申しますと、そういう窮屈な面にならぬように、外米についての持ち越しを相当量余裕をみておくという措置を実はとっているのであります。従いまして、小麦その他の麦類と比べまするというと、外米の方が持越量を多く実は計画をいたしておりまして、五カ月分くらいの配給米は持っているというふうなことにいたしまして、米が足りなくなって、あわてて何でもかんでも買い込まなければならぬ、こういうふうな事態にならないような措置を実は需給の方から一つとっております。それは、先ほど申し忘れたのであります。  それからもう一つは、細かいお話になりますが、買付期間——大体米でございまするので出荷の時期が非常に集中しておりまするので、そういう時期に向って食糧庁の係官を主要輸出国に派遣いたしまして、現地におきまして米の積み込み、検査等に立ち合わせるということる現在もやっておりますが、そういうことはやはりこの病変米の防止ということに相当役に立つのではないかというふうに考えております。
  51. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほどちょっと横流れのお話が出ましたが、もうこれは現にすでに問題になったことなんで、ここで繰り返して申し上げることもございませんが、今後まだ相当な数量が残っているわけです。だから、これがもし再び問題を、そういう好ましくない問題を起すようなことがあれば、これはまた激しく国民から批判を受けることになると思う。これは絶対にそういうことは起さないようにおやりになると思いますが、具体的にはどうしたら一番そういうわずらわしい問題が起きないようにできるか、具体的な点をお考えになっておるか。私は一番心配いたしますのは、まだこの統計の中で未仕分けのものが四万四千五百九トン、それに中クラスのどうなるかわからないというのが二万七千八百九トン、十一万七千三百九十一トンの数量については半ば以上のものがこういうものがあるのですよ。まだ未解決のものをこれはいつまでも倉庫に眠らしておくというのは個人としては反対ですがね、これは緊急に処分しなければならない。処分するときの腹のきめ方もありましようけれども、そのときに軽率にやれば今言ったような問題が起きてくる。やらなければますます国としては損を重ねていく。この辺のふん切りと申しますか、割り切り方、そういうものはどういう工合に考えておられるか。これは本来ならば農林大臣に来てもらって、こういう不良米をこんなに余計ためて、しかもいつ果てるともわからないような格好で置いておくというのは困ると思うので、ただしたいと思いますけれども、まあ審議の時間の余裕もないようですから、そこまでは申しませんが、食糧庁の長官としてはこの点をはっきりお聞かせ願っておきたいと思います。
  52. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 全体の処分の見込みでございますが、これは今後一年半おそくとも二年以内には処分を全部完了したい、こういうつもりでおります。  それからなお、いかがわしき処分にならないように、これは私ども役人でございますので、当然そういうことに配慮しなければなりませんが、処分した後の問題もございまするので、一つは、実需者ないし実需者団体にしか処分をしない。何と申しますか、トンネル会社を通じて売却するというふうなことは、これは避けるという方針を最近緊持しておりまして、県知事等が普通売却の可否についていろいろ申し込んで参りますが、その際よく地方の実情を聞きまして、実需者団体ないし実需者に限って処分する。しかもこれは別の新規の用途でございますれば……これはいろいろ新しい方面の用途についてもこれ全く例外ではございませんが、大体は加工用でございますので、そう突飛な実需者あるいはその団体があるわけではございませんので、信用の置ける、従来の取扱いの実績等も見まして、そういう団体に限って処分をしていく、こういう考え方でおるわけであります。なお処分の方法につきましても、あるいは競争入札といったようなことが考えられまするけれども、競争入札ではなかなか売却先についての検討がしにくいのでございますので、価格に一定の基準を設けました上で随意契約で処分をしていく、こういったような方法で、適正な処分ができるように心がけておる次第であります。
  53. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと、商社への払い下げは絶対にしない。直接生産加工業者ですか、食品加工にしても工業用原料としての加工にしても、加工業者、これに対して払い下げをする、こういう原則を立てておいでになるわけですか。
  54. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) さようでございます。
  55. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この一食糧会計全体からいえば、非常に片すみの小さな問題のようですから、私も大体わかりましたので、これで質問を打ち切りたいと思いますが、要するに、この黄変米の問題はあまりにも大きな問題になったので、心ある人はやはりこの行方を見守っていると私は思います。こういうものをいいかげんに始末をしたり、あるいは、いつまでも始末をしないで放置をしておくというようなことがあればこれは再び問題になる。こういうところから政治なり行政の不信を私は巻き起していくと思います。だから問題になったのはやむを得ませんので、この跡始末をきれいに一つ、しかも国民にも迷惑をかけない。国にも迷惑をかけないということで善処を願うことを強く要望をしておきたいと思います。
  56. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちょっと、長官にお伺いいたしますが、先ほど説明に、黄変米の試験は厚生と農林両方二カ所でおやりになっているのですか。
  57. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 三カ所でございます。
  58. 土田國太郎

    土田國太郎君 三カ所といいますと、もう一カ所はどこですか。
  59. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 厚生省関係で、直接厚生省の施設ではございませんが、兵庫県の衛生試験所と厚生省の衛生関係の試験所、それから農林省の食糧園係の研究所でございます。
  60. 土田國太郎

    土田國太郎君 この培養期間は何週間くらいかかりますか。
  61. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 三週間くらいかかるわけでございます。
  62. 土田國太郎

    土田國太郎君 まあ三週間もすれば長いほうですが、普通ばい菌の培養なんかは二週間もかかれば大体結果がわかるのが通例ですが……。それと先ほどお伺いすると、二年もかかるという話でしょう。その間の歩減り、品質の損害、それから倉敷料、金利、大へんな国民は迷惑をするわけです、二年これからうっちゃっておかれれば。どうかそういうことでなくて、まあ大学も全国にあり余るほどあるのですし、また各県にも衛生試験所もみんなお持ちになっているのだから、そういう方面でどんどんこれを培養試験させて、急速にその可否を決定する手はなんぼでも私はあると思うのですが、ただ三カ所だけにまかせておいて、その結果を待っては、ぼちぼちやられたのでは、国民としてはたまらぬですがね。どうですか、それについてもう少し急速に国民のためを思って農林省おやり下すっては……。どうも御承知の通り最近農林省にもいろいろできごとがあるので、重々御推察はいたしますがね。しかし、これも、うっちゃっておくと、ずいぶんこのために農林省も不信用を買っておるのですから、一つ名誉回復のために全国的にでも試験をして、急速にこんなものは半年か一年で片づける方法は講じられると思いますが、いかがですか。
  63. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) お話のようにできるだけ取り急いで進むべき性質だと思いますが、この病変菌の問題は御承知の通り比較的近年起りました問題で、その方面の専門家、ことに病変菌の菌の専門家というのが全国で非常に数が少い実情でございまして、これは私どもより、むしろ厚生省の御見解に従いまして、どこならできるということの認定を願って、そこにお願いをするということになっております関係上、施設、人の関係からいって三カ所ということにただいまなっておるわけでございます。できるだけ能率を上げるために、的確なそういう機関がございますれば、菌の検定だけでも早く処理することはできますので、好ましいことと思いますので、その点なお厚生省ともよく打ち合せまして、御期待に沿うようにいたします。
  64. 土田國太郎

    土田國太郎君 これは問題も大きいので、国民もあきあきしておるような状態ですから、ほんとうに口先の答弁でなく、全国的にこんなもの、そうめんどうなもんじゃないでしょう。肺病の結核菌でさえも培養してどんどん検定がつくのですから、このくらいの程度のものは私は何でもないと思うのですが、しろうとのことですけれども一つほんとうに力を入れておやりなさる方がいいと思う、です。  それからこれは工業用アルコール原料か何かにお払い下げになりましたか。
  65. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) アルコール原料につきましては、昨年工業用アルコール原料が夏不足いたしました場合に、通産省その他関係のアルコール製造家の方から強い御要望がございましたけれども、いろいろの関係がございまして、工業用のアルコール原料には最近売却いたしておりません。
  66. 土田國太郎

    土田國太郎君 これは飲料用のアルコールになってもいいと思うのですが、どうですか、その点は。
  67. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 飲料用アルコールにして差しつかえないと思います。
  68. 土田國太郎

    土田國太郎君 そういうのでありますれば、そういう面に、通産省でもああやってアルコールをお作りになっていますね六十カ所か七十カ所でそういう面に使わせてもよろしいし、また民間団体の、あなたのさっきおっしゃった実需団体ですね、これでも払い下げは何ぼでもできるのですから、そういう、しようと思えば何ぼでも道はあるのですが、どういうもんですか。二年もかかりますというようなお話では、全くやり切れないのですが、どうですか、もう少し急速に払い下げの方法は講じられるお考えはありませんか。
  69. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) お話のように、蒸溜の飲用アルコールには米にかえまして、普通の外米なり砕米等にかえましてこの部類の米を売却いたしております。ただその方面の方に処分するには、今のところこの中でも特に悪いものだけをそちらに向けておるわけでございます。先ほど申しましたように、中級のものにつきましても調べが非常に手間取って、かえって国損がくるということになりますると、その辺のかね合いで、場合によりましては中級等につきまして飲用アルコールその他のアルコール原料に売却した方がよろしいという結論が出るかと思いますが、まだそこまで決定はいたしておりませんけれども、そういうことは検討してみたい、かように思っております。
  70. 土田國太郎

    土田國太郎君 そう長い質問はやめますが、今申しました、ように、なるべく試験の個所をおふやしになって、急速に解決されて、そして品位をお分けになって、何も何百貫もでき上るまでお待ちになる手はないのですから、できた片っ端から御処理なされば私はけっこうだと思うし、またそういう実需筋もあるのですから、大体これは精白度を何制程までいったら黄変の菌というものはなくなるのですか。
  71. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これは黄変米問題が起りました当初につきましては、つき直しをすればよろしい。特にいわゆるタイ国黄変菌といっております部分につきましては、一割のつき減りを見込んだつき直しをすれば、配給用にも回してもいいんではないかと、こういうことであったわけでありますが、配給用には回しませんで、加工食料に回したわけでございますが、黄変菌の中で非常に毒性の強いイスランジア菌につきましては、どうもつき直しということにつきまして的確な効果がないのではないかというふうな見解も実はございまして、当初もこれもつき直してから、こういう話があったわけでありますが、菌検定をして菌がないというものであれば、しいてその前につき直ししなくてもいいんではないかというのが最近の厚生省の見解でございまするので、ごく当初はつき直しすれば食べられるということで相当量つき直ししたのでありますけれども、今のところは別につき直しということは特に考えておりません。
  72. 土田國太郎

    土田國太郎君 これでおしまいにしますが、一つ急速に検査を仕上げて、早いところ御処理下さるようにお願いいたします。
  73. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御質疑ございませんか。——質疑はないようでありますから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言はございませんか。——別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案衆議院送付案)を問題に供します。本案に賛成の方は御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  74. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致でございます。よって本案は可決すべきものと決定をいたしました。  なお、諸般の手続は先例により、委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     西川甚五郎  平林  剛     天坊 裕彦  稲浦 鹿藏     岡崎 真一  木暮武太夫     田中 茂穂  塩見 俊二     高橋進太郎  土田國太郎     苫米地英俊  天田 勝正     大矢  正  栗山 良夫     野溝  勝  杉山 昌作     前田 久吉   —————————————
  75. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、特定土地改良工事特別会計法案議題として、事務当局より内容の説明を簡単に願います。
  76. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいま議題となっております特定土地改良工事特別会計法案について簡単に内容の御説明を申し上げます。  従来、一般会計におきまして行なっておりました土地改良事業におきましては、当該事業に要しまする費用を一般会計が全額支出して工事を行いまして、工事完了後、土地改良法の規定によりまして、灌漑排水事業につきましては、当該費用の四〇%を都道府県及び受益者に負担せしめまして、埋め立てまたは干拓等につきましては国負担としておったのでございます。今回・特別会計を設けまして、また別途御審議願っておりまするように土地改良法の一部を改正する法律案を提案いたしまして、一般会計の支出いたしまする費用とあわせまして都道府県及び受益者に負担せしめまする費用の部分は、借入金をして工事を施行いたしまして、工事完了後、負担金として徴収いたしまして、借入金の償還に充てますことによりまして、資金調達の円滑化と事業の効率的施行をはかり、事業の経済性を確保しようという目的のために本会計を作ることにいたした次第であります。  次に、この特別会計法案の概要につきまして簡単に御説明を申し上げます。  第一の点は、この会計におきまする歳入の項目と歳出の項目につきまして規定いたしております。まず歳入につきましては、土地改良工事に要する費用で国庫が負担するものにつきまして一般会計からする繰入金、土地改良工事に要する費用にかかわる負担金及びその利息、都道府県がその負担金を地方債証券で納付した場合におけるその地方債証券の償還金及び利子、委託工事にかかわる納付金、借入金、埋め立てまたは干拓の工事によりまして生じました用地の売り払い代金及び貸付金並びに付属雑収入をもって歳入といたしております。  次に歳出につきましては、土地改良工事に要する費用、委託工事に要する費用、借入金の償還金及び利子、埋め立てまたは干拓の工事によって生じました川地で売り払うものの管理及び処分のために直接要する費用、並びに一般会計からの縦入金並びに付属諸費をもって歳出といたしております。  第三の点は、この会計におきましては、ただいまも御説明申し上げましたように、特別会計を設置いたしました趣旨にかんがみまして、歳入、歳出及び資産、負債の整理並びに予算の配賦等を工事別の区分に従って行うことと  いたしております。  第三の点は、この会計におきましては、土地改良工事に要する費用で国庫が負担するものを除いたもの並びに埋め立てまたは干拓の工事によりまして生じました用地の管理及び処分のため直接要する費用につきましては、予算をもちまして国会の議決を経た限度額の範囲内でこの会計の負担において借入金をすることができることといたした点であります。  第四の点は、他会計への繰入金に関する要項であります。すなわち、土地改良工事で一般会計の負担におきまして従来行なっておりましたものが、特定の土地改良工事としてこの会計において継続して行われることとなった場合におきましては、継続して行うこととなる前の工事にかかわる負担金の額並びに用地の売り払い代金及び貸付料の一部を、受託工事の場合におきましては、その工事にかかわる納付金の一部を一般会計に繰り入れることといたした点であります。その他、予備費の使用、予算並びに決算の作成及び提出、剰余金の処理等に関しまして必要な規定規定いたした次第であります。  簡単でございますが、以上をもちまして内容の御説明といたします。
  77. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 質疑を行います。
  78. 野溝勝

    ○野溝勝君 ただいまの御説明ですが、この法案は、これは土地改良法に基いて国が施行する特定の灌漑排水施設の建設工事、埋め立て、干拓の工事に関する経理を一般会計と区分して明確にするための特別会計だというような御説明でございます。してみると、この法律案は、いわば土地改良法の一部改正法律案に並行されたものでございますが、この土地改良法の一部改正法律案の特に改正をしなければならなかったというその理由ですね。それはもちろん、これは農林委員会において審議されたことと思いますが、特別会計法として審議をする本委員会といたしましては、一応その元法の改正案の主なる点をこの際、一つ説明願いたいと思います。
  79. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) お尋ねの土地改良法の一部を改正する法徴集につきまして、おもな改正の要点を簡明に御説明をいたしたいと思います。  ただいま御審議を願っております土地改良法の改正案は、大きな改正要点が三つございます。その第一は、土地改良事業の施行の手続の簡素化、合理化でございます。これは非常に従来手続がいたずらに煩瑣であって迷惑をする、こういう各方面の御意見でございました。その御要望を十分に検討いたしまして、随所にその簡素化、合理化の措置を講じたわけでございます。  それから第二の点は、この特定土地改良工率の特別会計に関連をする事柄でございますけれども、従来ややともいたしますと、なかなか土地改良工事の進捗がおそうございまして、関係の農民の方々が非常に迷惑をなさるというのですか、促進の御要望が非常に強かったのです。そこで特にその工事の完了の促進をする必要がありますものを特に取り上げまして、それらの事業を、国費のほかに、国の特別会計で借入金をいたしまして、事業の規模を拡大をいたしまして、工事を進捗するということのためにという措置を講ずることにいたしまして、その経理を、ただいま御審議願っておりますこの特別会計で区分をして経理をすると、こういう工合にいたしたわけでございます。  第三は、土地改良事業の団体の連合会を今回法律で法定をいたしまして、その目的に従って十分な指導と監督をいたす、こういう工合にいたしたいわけで土地改良事業団体連合会の規定を設けたわけでございます。
  80. 野溝勝

    ○野溝勝君 大蔵政務次官も来ておられるので、この際、聞いておきたいと思います。それは委員会を軽視している点だ。特別会計特別会計といって、ごく平易に特別会計に依存せしめている。本国会における大きな政治的特徴なんですよ。お互い本委員会としても考えなければならないと思います。というのは、かくも特別会計にした内容をよく検討してみると、結局大蔵省のさしがねだと思う。ということは、大蔵省が予算、すなわちこの金を出すことがいやなんだな、政府の金を……。これすなわち独占資本収奪の具現なんですよ。だからこの前の特定ダムだってそうでしょう。政府でも助成するが、結局地元の負担を多くして事業を大きくする。だから補助政策から借入金という融資方針に改めた。一体農村にそんなにゆとりがあるものでしょうか。名目は合理性を持つが、実際は農村に対する従来の補助政策なり助成というものをだんだん打ち切ってきて、そうして農民に負担を多くさせて、その事業を困難ならしめるということになるのですよ。これは静かに皆さんも考えていただきたいですね。今さら出た原案をあなた方としても引っ込めるということは容易なことではないかもしれぬが、この説明の中にもあるじゃないですか。今まで四〇%の補助をしてきて、それですらなかなか事業がみな中途半端でうまくいっておらぬのです。土地改良は農民が強く要望しておる事業が多く経済事情からデッド・ロック、いわゆる暗礁に乗り上げているわけです。だからむしろ全額ないしはもっと多くの助成をして、この改良事業の目的を達成し、生産の拡大をしてもらいたいという要望が大部分なんです。このことは一つも違っておらない。ところがその現実の姿を無視して、助成金を打ち切るとは言わないが、政府資金というものを少くして、その責任を農民に転嫁し、よってこの事業の拡大と生産の拡充をはかりたい、ざっくばらんにいってこういう趣旨なんだが、それには農村経済の分析と相待って考えてもらわなければならぬと思う。こういう点について、今日の農村経済、今日までの土地改良の経緯にかんがみて、そんなゆとりがあり得ると思うか、またこのことによって必ず農民が協力態勢が盛り上ってくるものかどうか、そうような点について御所見を承わっておきたい。私は場合によっては、今後これが一カ年ないし二カ年の成果の結果を見て、もし不振であった場合には、当局は責任をとってもらいたいと思う。一つこの際責任ある答弁をしてもらいたい。
  81. 足立篤郎

    政府委員足立篤郎君) 野溝委員の御説でございますが、ざっくばらんに申し上げますと、この問題の御提案を申し上げるに至りました経過につきましては、大蔵省としては、特別会計をみだりに作るというと、語弊がありますが、御指摘がございましたからそういう表現をいたしますが、特別会計が次から次へできるということは好ましくないという見解を持っておったのでございます。多目的ダムも同様でございますが、この土地改良にいたしましても、野溝委員御専門でございますので、十分御承知の通り、最近の事業は非常におくれて参りまして、長いのは十年以上もかかるということでは、農民が増産をしようといたしまして、土地改良をやろうというので、いろいろなめんどうくさい手続をいたしまして、ようやく採択になった、もうあすできるか、あさってできるかと期待をしておるのに、十年も十数年もかかるということでは、もう気合いも何も飛んでしまうということで、一日も早く完成をするようにという声はほうはいとして起っておるわけであります。で、大蔵省といたしましては、今私が申し上げたように、特別会計をみだりに作ることは反対でございますが、実は私も農林関係を長くやって参りまして、立場をかえて申し上げますと、農林議員団といたしましては、こういった農村の声を代表いたしまして、一日も早くこういった懸案になっている土地改良を完成いたしたいというので、強い要望があったわけでございまして、場合によっては公債等を発行してでも、立てかえてでも、早く事業を完了させるべきだという強い意見があったのでございます。これは建設関係も同様でございますが、しかし最近のインフレ等の心配もございますし、国は赤字公債を発行すべきでないという財政方針にかんがみまして、これはやはり筋の通った限度にとどむべきだというので、地元負担を繰り上げてと申しますか、特別会計が借り入れをいたしまして、その分を繰り上げて早く施行する、これだけでもずいぶんスピードが伸びてくるのじゃないか、あるいは全国多数の御要望がありますのをまかない切れない状態でございますので、間口を広げることもできるし、スピードを上げることもできる、この特別会計を設けて、ぜひとももっと大幅に、しかもスピードを上げて実施をしたいという声が非常に強かったのであります。そこで、政府部内におきましても、協議いたしました結果、ようやくこういう形で御提案を申し上げておるわけでございます。これで、今申し上げたような全国的な農村の声をすべて解決し得るとは私ども考えておりませんが、今までよりも少くともこの適用を受けますものは、確かにベターになるというふうに考えて御提案申し上げておるわけでございます。  今、地元負担の問題について強い御指摘がございましたが、従来は、御承知の通り、地元負担分は、その八掛を農林漁業金融公庫から貸し付けまして、地元負担という形で負担をさしてやって参ったのでございますが、これを特別会計で借り入れまして、二十年までの年賦償還を認めまして、そうして長期にわたって地元が償還をしていくということでありますから、この面はむしろ、負担が軽くなるとは申し上げませんけれども、まあ地元としてはやりやすくなるのじゃないか、それで一切この特別会計で責任を持って事業の遂行に当るということでございますから、少くとも私は形はすっきりしてくるのじゃないかというふうに考えます。なお、今後研究をし、今御指摘のような点につきまして、できるだけ保護的な政策をとっていくということは申すまでもございませんが、とりあえずの問題としては、今までよりもこの方がすっきりいたしますし、またスピード・アップもできると、特に衆議院におきましても付帯決議等もついておりますが、七年以内に事業を必ず政府は責任を持ってやれということでございまして、今度の特別会計、また土地改良法の一部改正の立案に際しましても、そういう計画を立っておるわけでございまして、今まで長期にわたってなかなか完成しなかったものが、政府が七年というふうに義務づけられてこの完成に努力するということは、確かに私は現在の農村の実情からいたしましてプラスになる面があるというふうに考えておるわけであります。果して御答弁になりましたかどうかわかりませんが、私もいささか関係しておりましたので、私の感じておるところを率直に申し上げた次第であります。
  82. 野溝勝

    ○野溝勝君 私はここで論戦をあえてするという気持にはなりません。けれども、これは意見ですが、必ずさような結果を生むことを予言しておきます。と申すのは、今、大蔵政務次官からも答弁がありましたが、さようないわば言葉の上だけでこの結果がうまくいくものではない。公債でも発行してやってくれということは、政府がそれをやってもらいたいという意味なんですよ、何も農民が負担してもいいから、借金をしても、公債を買ってもやりたいということは、絶対ないとは言いませんが、それは少数の声なんです。食糧増産上土地改良を徹底的にやらなければならぬ必要があることは、朝野一致した見解であるし、また私も必要であると思います。それならば、なぜ一体政府はこの予算においてさような処置をとらなかったか。きょうは大蔵政務次官と論戦をするわけではありませんが、静かに考えた方がよい、自分意見だけ申し上げておきます。自民党の政府は、昭和二十八年以来、農村に対する予算は何ごとです。足立君はその当時の大蔵当局におられなんだから言うわけではないが、何たることですか。一体農村をばかにしている。国の予算が一兆一千億あって、あの当時は一千六百七十億、約一大・七%が農林予算、ところがその後、農林省の諸君もだらしがない。農林大臣がだらしないか、事務当局がだらしないか知らぬが、とにかくその後どんすこどんすこと予算を削られてきて、今は総予算が一兆一千五百億だのに農村予算は二十八年予算の半分じゃないですか。よくも農林当局というか、政府当局が黙っておれると思う。かような予算面における農村収奪、全く国家権力と結びついて日本の独占資本というものがだんだんと農村を政策的に収奪しているし、すべての事業というものは借入金、融資政策で追い詰められていくのです。かようなことで、農業生産なり、あるいは農民が喜んで仕事にこたえるということはなかなかできがたいのだ。以上の見解に対し、皆さんから答弁を得ようとは思いません。むしろ、特に大臣たるものが政治的責任を持ってやるべきものでございますから……。しかし、その大臣を事務当局の諸君がこの誤りを下から突き上げるようにしてもらわなければならぬ。こういうような点について非常に遺憾と思っております。でありますから、たとえば、先般の特定多目的ダムの問題にしても、今回の土地改良のこの特別会計の問題にいたしましても、今、立川君からいろいろと御説明があったが、特にその三つの理由をあげられた。ことに事業の促進ということは、第一に結果において促進にならぬと思う。第三の点については、協同組織を作る、それで責任体制にしていくのだということなんですが、この組織を作るに至ったという動機は、これは納付金制度による借入金に対する責任体制を作るということになると思う。これはいずれにしても悪いことではない。しかし、そういう建前での協同組織でしょう。むしろそういうところにねらいがあったのでしょう。かように考えておるが、私の疑問に思っていることがあるいは違っておるかもしらぬけれども、私自身はそう考えております。でありますから、この判定は、この一、二年後においてどういう反響が出てくるかということによって、きょうの私の意見がわかってくるものと思っております。それに対する意見を申し上げて——これは答弁要りません。参考に申し上げておきます。  次に、質問をしておきたいのは、農地法の第六十一条と改良法の一部改正との関係はどうですか。提案の説明だけではよくわからんのですけれども、これを一つわかりやすく——農地法六十一条を改めるとあるが、どういうふうに一体改めるのか。その内容というか、これだけ見たのではわかりませんから、これと土地改良法と関連しての一部改正する関係を、一つこの際御説明願いたいと思います。
  83. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 従来干拓地につきましては、土地改良法に基きまして、一般会計でその干拓地助成の事業を行なって参っております。そうして、ただいまの御質問のございました農地法第六十一条に基きまして、自作農創設特別措置特別会計におきまして、売り渡しを行なってきたわけであります。ところで他方、土地改良法の全体の体系、ものの考え方に従いますと、土地改良事業によって利益を受けるという人々から負担金を出していただく、こういうものの規定といいますか、考え方一つの基礎になっておるわけであります。そこで、先ほど説明を申し上げました通り、今回、土地改良法に特別会計を設置いたしまして、国営の干拓事業、代行の干拓事業を推進をいたしますために、借入金を財源といたしまして、従来の国費支出と相待って、仕事のスピード・アップをいたします。で、その際借入金をいたすのでございますが、その借入金は、将来の負担金の収入と見合うということでありませんとバランスがとれて参りませんのですが、そういうような工合に考えたのでありますが、これは干拓事業が、全体として土地改良という色彩が非常に濃うございまして、また一面、工事費がよけいにかかりますので、その他面といたしまして、立地条件が非常に有利である。こういうようなこともございますので、今申し上げましたような措置を講じまして、すなわち、入植者の協力を得て、事業費の一部を負担をしていただいて参る。こういう工合に考えたわけであります。  そこで、こういうわけで、干拓地の取扱いにつきましては、その計画から工事の施行、負担金の徴収、それからその土地の処分というものを、一貫をいたしまして土地改良法で規定をいたします。その土地改良法の体系のもとに取り扱うという工合にいたしたわけでございます。従って、これに対応してその経理も特定土地改良工事特別会計というものを設置をいたしまして、そこでまかなう、こういう工合に考えた次第でございます。
  84. 野溝勝

    ○野溝勝君 全く特定ダム法案の内容と同じであるのでございます。政府でございますから、政策に一貫しておる点は見上げたものでございます。よくなかなか農民をしぼりとるようにできております。まことに私もその点については驚歎をしております。農地関係におきましては、非常にまじめをうたわれた立川管理部長においてさえもかような法案を提出するようでございますから、私も先々が非常にさびしくなりました。私の考え方がもし間違っておるならば、今後いつ何時でも改心いたしますけれども一つ私のこの意見を十分頭に入れておいていただきた  今の御説明はありふれた御説明でございますが、さようなことで大がかりの干拓なり埋め立て、そういう土地改良事業を遂行するために、土地改良を受益者負担として、完全なる農政を実行されるとの御所見でありますが、先ほど申しましたように土地改良が絶対必要ならば、政府では、余剰農産物の受け入れの金などについて、その金を愛知用水だけでなくて、もっと土地改良の方に振り向けるように大蔵当局と折衝したことがあるのですか。そのこ一とをまず一つお聞きしておきたい。
  85. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 土地改良事業に必要か資金コストを下げるということにつきましては、われわれも常に注意をいたしまして……。
  86. 野溝勝

    ○野溝勝君 資金コストを下げるのじゃないのだ。資金量だ。
  87. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 大蔵関係当局と御相談をいたしておるわけでございますが、いろいろただいまの見返り資金につきましても限度がございますし、また今回そういう資金につきまして、政府内部といたしまして漸次縮小をするというような考え方もございますので、特別会計というようなことでできるだけ能率をあげて、実質上の農民の利益をはかるというような工合に注意をするつもりでございます。
  88. 野溝勝

    ○野溝勝君 立川君にこういうことを言うても無理なことなんでございますが、まじめにこれを考えていただきたいのですが、今回のこの土地改良の一部改正法律案は、以上のことが表向きの名目でございますが、付則第十五に大きなねらいがあるのじゃないですか。この付則第十五は、農地法第六十二条を改めるということになっておるのでございますけれども、これが今日までの農地政策に少し変革を来たしゃせんかと思うのです。そういうことについては専門的な管理部長はどういうように考えておられるのですか。この点あなたの見解話されたい。たとえば、こういう場合はいいと思うけれども、こういう場合は問題になるかもしらんというようなことを率直に一つこの際お話し願いたい。そうすれば私はこの辺で質問はやめてしまう。
  89. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 実は、私どもいたしましては、現在の農地制度と申しますか、戦争後の農地改革というものの基礎を維持をして、堅実に発展をさせるということを常に考えておるつもりでございます。そこでこの特定土地改良工事特別会計法あるいは土地改良法を今回改正をいたします際に、農地法にその新しい土地改良法関係法律改正が影響をするとか、あるいは農地改革にいろいろ影響をするというようなことはないように、その点は非常に注意をして事に当ったつもりでございます。そこで、この農地法全体のものの考え方なり、あるいはそれに基きますいろいろな処置というものは、今回の土地改良法の規定によって、私は、結論といたしましてはいささかも影響を来たし、あるいは非常な悪い障害を来たすというようなことはないと考えております。と申しますことは、この土地改良事業を、御指摘のございました干拓、埋立地について申し上げますと、この干拓、埋立ての仕事につきましては、その仕事にかかる付近の農民といたしましては、非常に土地の少いあるいは土地に飢えておる人がたくさんおります。その人たちは、一日も早くこの干拓をいたしまして、自分たちの経営を広げよう、あるいは新しい自作農になろうという工合に待ちかまえておるわけでございます。そこでもちろん、その農民が負担をし得ないような、あるいは将来非常な負担し得なくなるような条件で負担を課するということは、とうていわれわれも認めがたいのでございまするが、今回御提案を申し上げておりまするこの法律の限度におきましては、私どもはそのおそれはまずあるまいという工合に考えておるわけでございます。そうして、その農民が取得をいたしましたこの干拓地につきましては、農地になりますわけでございますから、農地法のいろいろな規定を全面的に適用をいたしまして、そうして、たとえば転用でありますとか、貸付でありますとか、譲渡でありますとか、そういうようなことについて十分な規制をする、こういう工合に考えておりますので、この関係におきまして農地法が乱れるということはないと考えておる次第でございます。
  90. 野溝勝

    ○野溝勝君 立川部長、そう言うがね、あなたと同じようなことは、一昨年の農地法の改正のときも山添君が言ったのです。ところが、その後どうなったかというと、御承知のごとくあの農地問題は大きな波乱になった。そういうようなことで、あなたが問題ないと思うと言っても、やはりこれはどういうふうにでも解釈ができるようなことになる。そこで今の付則第十五の問題を聞いたのだが、ただ抽象的な御答弁でよくわからないが、特に具体的に、「土地改良法第九十四条の八第一項の土地配分計画をたてないことを相当と認めるものは、政令で定める場合を除き、買収前の所有者に売り払わなければならない。」、こういうようなことは、どうでも解釈できるのだな。こういうようなことを具体的に一つ説明を願いたい。
  91. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これはもちろん、この土地改良工事によりましてでき上りました土地につきましては、自作農となるべきもの、あるいは現在の零細農でありまして、その経営を拡大をしたいという人たちに売り渡すことはもちろんでございます。ただ、その土地の中に、どうもそのほかの土地として売ることが適当だ、たとえばそこに診療所を建てるでありますとか、あるいはいろんなそのほかの農地以外の土地に供することが適当だというようなものが当然中には出て参るわけでございます。で、そういう場合には、この配分計画を立てて売り渡すということをいたしません。そういう場合に、その土地について、たとえば従来の所有者がございまして、そういう者から買収をして、その上で土地改良事業を行なった、こういう場合にはもともと農地にするために買収をしたわけでございますから、その旧来の所有者に売り戻すということがあるわけでございます。これは野溝先生も御承知の通り、現在の農地法におきましても、第八十条という規定がございまして、同じ趣旨規定があるわけでございます。
  92. 野溝勝

    ○野溝勝君 そのことは、しまいに八十条のことは書いてありますが、私は、たとえば具体的に言えば、「土地配分計画を立てないことを相当」という「相当」というのはどういうことを意味しておるのか、そういうこともこの際明らかにしてもらいたいと思うのです。
  93. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは公共の用に供する土地でありますとか、本来は農地といたすわけでありますが、その土地はそういう公けの目的のためにどうしても、たとえばただいま申しました診療所を建てますでありますとか、あるいはいろいろな公共の施設を作るでありますとか、そういうものが干拓地にずっと出て参るわけでございます。あるいは所によるといろいろ軌道を敷いて、交通施設をここに作るとか、そういうものが出て参るわけであります。そういう場合に、公共の用に供するために農地にし得ない、こういうものに限ってこういう運用をいたしていきたいという工合に考えております。
  94. 野溝勝

    ○野溝勝君 さあ、ここにねらいがあるのじゃないかな。私は、これが私有地の場合はともかくとして、今後国有地でもまあこういう土地改良を行われる場合がある、いろいろなことを見通してこういうふうなことを条文にしたと思うのだが、たとえば今後、場合によってはあるいは軍事基地というようなことも起ってくるわけなんです。これもいわば公共の用ということにも日米行政協定によってやれる。そうすると今度は総理大臣の認定によって最後的な決断が下されるわけだ。前提条件としてこういうようなことも考えられておられるのじゃないか。これも私の考え方なんだけれども、どうなんですか、あり得ると思うのですが。
  95. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは非常に農地法にお詳しい野溝先生も御存じのことでございますが、現在農地法の第八十条という規定がございまして、それで開発して自作農の用に供しないものにつきましては、旧来の所有者に売り戻すという規定があるわけでございます。で、この運用は、御承知の通り非常に限定的に運用をしておりまして、本来は、農地にするために国が買収をしたわけでございますから、その農地にし得ないものは、これは本来の買収の目的を失うということで旧所有者に戻すわけでございますけれども、その農地に買収したものは、やはり本来の目的に従って農地として使っていくということを本旨といたしますので、公共用と非常に限定をした場合、まことにやむを得ない場合だけにこの八十条の措置を講じておるわけでございます。野溝先生のお話のように、非常にこれが乱用されるというようなことは、現在農地法制定以来四年間やって参りましたが、少くとも過去にはさようなことはなかったという工合に申し上げられると思います。
  96. 野溝勝

    ○野溝勝君 そうすると、もちろん農地法の八十条で厳然として維持されると言うが、今私の言うのは、農地でなくても土地改良で農地にするというわけで、その結果、割合農地に適さないということになってくれば、これは結局農地法から除外されるわけだ。そういうようなときには、これは農地と混合する場合がある。農地とそれから一部は農地に適さないという場所もできてくる。そんなような場合に、その場所が農地にも適さない、農地に適するというように織り込んでおる場所もできてくると思うのですよ。そういうような場所を今後公共用として処理する場合に、農地の方もかえって農地に適さない場所の方に利用されるような傾向がありはしないかと思うのですね。そんなような場合には八十条をもって具体的に押し切れることができますかね。
  97. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 現在農地のために買収をいたしましたもの自体が、全く物理的に農地とし得ない、自然条件として農地にし得ないものは、これはいかんともなしがたいわけでございますが、ただいま御指摘のように、そういう土地があって、近傍の農地などにそれが影響するということにつきましては、近傍の農地の転用につきましては、これは普通の既墾地でありますと、従来の農地でございますと、農地法四条または五条の制限がございます。それから未墾地でございますと、農地法第七十三条の制限がございます。いずれにしても現況農地であります限り、その隣りの所がかりに農地に適さない所でありましても、それが存在をするゆえをもってその所が制限なしに転用されるということはないわけであります。必ず農地法の許可を要するわけでございます。
  98. 野溝勝

    ○野溝勝君 大体、立川さんの御説明で、その自信のほどはよくわかりますが、なかなか立川さんの解釈のようにはいかないので、だからこそトラブルがあるので、うそかまことか、それは知らんが、最近また解放農地補償連合の方々は、在外資産の補償と同じようなことを考えておられるというさなかでございますから、どんなことが飛び出てくるかわからない。大きく混乱するようなことになってくると思うのですが、そういう点からも、最近の特定ダムの問題にしても、今回のこの土地改良の問題に対する内容を見ても、農地の問題と経済負担の問題等がいろいろの関係において、これから複雑な事態を起してくると思います。でありますから、こういう点について十分御配慮願わないと、これは容易ならぬ事態が来ると思うのであります。そういう意味において、いずれにしても、まあ質問はこの程度にして、あとはつ討論において所見を申し上げて賛否を明らかにします。
  99. 天田勝正

    天田勝正君 簡単に二、三お伺いします。  先ほど政務次官の答弁の中にもありましたように、この法律を作ることによって土地改良工事がスピード・アップすることと、事業量がふえるというお話でございますが、それならば、この法律を作らないとすれば、もちろん本法である土地改良法も含めての話でありますが、この法律を作らないとすれば、その程度の事業量であり、この法律を作ったことによってどの程度の事業量がふえるか、それを三十二年度において一つお示しを願いたいと思います。
  100. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいまの天田委員の御質問の点に対しましてお答え申し上げます。  従来、一般会計から繰り入れます国費ばかりでやっておりました方式に従いますと、三十二年度におきまする国営灌漑排水事業につきましては一億一千二百万円の事業量になるのに対しまして、特別会計による今回の改正案によりまする事業量によりますと一億九千四百万円、干拓事業につきましては、同じく従前の制度によりますと三十億四千七百万円の事業壁が三十七億九千四百七十万円の事業量に相なります。
  101. 天田勝正

    天田勝正君 そうするとそれぞれに若干金額において事業量がふえるわけですが、そのふえる場所はどこであり、そうしてその、面積はどのくらいふえて完了するのですか。
  102. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 国営灌漑排水の事業につきまして申し上げますと、これは今年度から新しく着工いたします工事四本につきましてこの特別会計で取り扱うということになっております。その地区の名前は、関東の鬼怒川、近畿地方の宮川、それから岐阜県の濃尾用水、四国の道前、道後の四地区でございます。そのほか干拓埋め立ての工事は、これは従来から継続をしております国営干拓事業、それから代行干拓事業と申しますが、それが全部この特別会計で扱われるわけでありまして、国営の干拓は二十七地区、それから代行の干拓は五十六地区でございます。それで従来、たとえば国営灌漑排水の事業量でございますと、まあ一がいには申し上げかねるのでございますが、大体十五カ年ぐらいの年限がかかっておったわけでございます。それを先ほど大蔵政務次官がお話になりましたように非常に短期に仕事を進めまして、私どもは政府の内部でいろいろ相談をいたしまして、でき得れば七年ぐらいの程度にしてやりたいという工合に念願をしておるわけでございます。
  103. 天田勝正

    天田勝正君 最後の言葉がわからなかったのですが、十数年かかったのを七年であげる……。
  104. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 十五年ほどかかっておりますのを、七年ということでございます。
  105. 天田勝正

    天田勝正君 金額先ほど説明でそうふえないのに、半分以下にスピード・アップできるというのはどういうわけですか。金額が倍にふえるから年限も半分になる、これならわかるのですけれども金額の方は私の聞き落しかもしれませんが、一方は一億一千二百万であるのを一億九千、そうすると、八千万円しかふえない。片方の干拓の方は三十億四千七百万円であるべきものが三十八億ですか、八億ですか、そのくらいしかふえないのですよ。それはどういうことですか。
  106. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 今数字をこまかいのを持ち合せませんので、数字についてちょっと御答弁できませんが、若干説明の足りない点がございます。先ほど申し上げましたのは、今年度の特別会計の事業費につきましての比較を申し上げておるわけであります。従来の方式でいった場合にはこれこれ、それから新しい方式でいくとこれこれということを申し上げておるのでございますが、そのほかに実は従来に比べまして予算そのものをふやしておる関係がございます。正確に申しますと、数字があるとよろしゅうございますが、今年組んでおります計画で参りますというと、大体地区として七年ぐらいで完成する。従って中の工区で参りますというと、干拓あたりはむしろ工区で分れておるわけでありますが、四、五年で相当分ができるというような速度の予算になっておるわけでございます。
  107. 天田勝正

    天田勝正君 要するに、従来の方式と今回の方式と私も分けて説明を伺ったのだし、説明される方もそういうつもりでされたと思うのです。そうすると、さっきお聞きしたように、新方式であろうと旧方式であろうと、そう予算は変りない。そこで別に予算を組むのだ、その方面からスピード・アップできるのだ、こういう話ならば別段との特別会計を作ることによってのスピード・アップということにならないのじゃないですか。どういうことなのですか、その点は。
  108. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) この特別会計を作りませんでも、予算をふやしました分だけはふえるわけでありますから、その意味ではその分は特別会計に関係ございません。しかしながら新方式で参りますというと、一般会計の負担をふやしますれば、ふやしました額に応じまして、また借り入れの額も歳出できることになるわけでございます。そういうことで間接的な関係にはなりまするが、やはり借り入れ方式ということにそれが関連して響いてくるわけです。それから借り入れ方式でいきますというと、どうしても金利がつくわけです。このお金を長く寝かしておっては工合が悪うございますから、なるべくスピード・アップしなければならないという要請もまた出て参るわけであります。政府といたしましても、こういう方式で始めました以上は、その金利の負担が不合理にならないように、十分に受益の範囲で取り扱っていく、これは当然の責任と申しますか、当然行政上の配慮が必要なわけでございます。そういう点もやはり特別会計方式というか、借り入れ金方式に関係があると存じます。
  109. 天田勝正

    天田勝正君 これは資料をお持ちないそうですから、とれ以上聞いてもわからないと思いますから、ほかの質問をいたします。  十二条を一つ見て下さい。「埋立又は干拓の工事によって生じた用地の売払代金及び貸付料は」云々というので、これを次に掲げるものの財源に充てるというのと、国庫の負担の財源に充てる、こういう二つで売払代金及び貸付料を処分する、こういうわけでありますが、そこでこの用地の売払代金及び貸付料、この元になる売り払いをしたり、貸付をしたりするということの権限は何人が握っておりますか。もっと説明を加えますが、大てい答えは大臣とかなんとかいう、そういうきまり文句で答えられるのでしょうが、しかし一々大臣が相手を選定したりなどするはずがない。はずがないために、ときどき末端においても汚職が起きたりなどする。そういう権限は一体直接にはだれが持っておるのですか。
  110. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 農林大臣でございます。
  111. 天田勝正

    天田勝正君 それはそうだろう。だから初めからそういう予防線でそういう説明をしておいた。農林大臣であろうけれども、ところが一々そこへ行ってだれが相手がよろしかろうというので農林大臣やるはずがない。大ていそれはもう少し末端のところで、かくかくの相手でかくかくの条件でしかるべしと思いますというようなことで上甲があって、それはもう大ていよろしいというので判を押されるにきまっておる。ですから、こういう権限をにぎらせる場合は、代行といいますか、そういうのは非常に慎重にやらなければならぬと思うので、私は聞いておる。直接にはどなたなんですか。
  112. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) この点は、土地の売り払いというこの規定は、農地以外の用地に売るわけでございまして、非常にこの点はわれわれの方も慎重に扱うつもりでございまして、十分現地におきまして直接売り渡しの相手方その他を吟味いたしますほか、その処置といたしましては、中央にまで書、類をあげまして、十分な審査の上に売り渡すと、こういう工合に処置をいたすつもりでございます。
  113. 天田勝正

    天田勝正君 もちろん書類は中央まであがってくるのだ。医者の免許までみなあがってくる。現実には大臣がその書類なんかは見やせぬ。そこで私はこういう相当な、まあ言ってみれば権限を持って、やり方によっては汚職にもつながる事柄であるから聞いておるのであって、書類審査なぞではちゃんとつじつまが合ってくるんですよ。ところが、実際は文書上つじつまが合っていながら、なおかつ因縁情実やら汚職が出てくるというところに問題がいつでもあるのである。だから農地として売り渡す場合であっても、これはその選定権が一体だれにあるかによって、よほどこれが変ってくる。とかくそういうことが運用上いわゆる村の、ボスというか、そういう者に有利になるというのが常に一般善意の農民側の不満を買う。そこへ持ってきて、さらに農地以外のものについて、一体政令で定めるというのは、実はあとで聞きますけれども、非常に政令で定める分がこの法律では多い。多いけれども、これに関しては別に政令で定めるとも何とも書いていない。それは今まで、今あなたが説明されただけでは私は不十分だと思うけれども、非常に慎重にと言ったって、その慎重にということはどういうことなんですか。
  114. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これはただいま御注意のありましたような点を、十分に運用上考えていかなければならないわけでございますが、従来とも、この干拓地につきまして、その他の用途に売り渡すということは、ほぼ従来のわれわれの扱いといたしましては、原則としてはいたさないという考え方をとっております。ただ、非常に吟味をいたしまして、特別のものについて、少数の例外を取り扱う、従って、件数がきわめて限られておりますので、われわれも十分注意をいたして参りますし、また、われわれの処置を、まず現地で審査をいたします諸機関にも十分注意を徹して、これをやり得るという工合に考えておるわけでございます。
  115. 天田勝正

    天田勝正君 まあ慎重の審査はしかるべきでしょうが、じゃ今ここに法律に書いた予定される売り払いの用途、目的、相手方というのは、どういうものを選ぶ予定で、この条文ができたのか。貸付する場合にはどのような場合にのみ貸し付け、どのような相手にのみ貸し付ける、ごくまれな、例外的な場合の用意としてこの規定をしたというのだから、およそその見込みがあろうと思いますが、その見込みを一つお示し願いたい。
  116. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) たとえば、今回の特別会計で、秋田県の八郎潟の工事を着手いたします。そこで一万町歩に及ぶような大地域でございますので、その干拓が竣工いたしました暁には、その中に新しい村もできましょう。村役場もできましょうし、公民館もありましょう。学校もありましょう。あるいは村の診療所もありましょう。こういうようなものが出て参るわけであります。そういうものを地方自治体に売り渡す、こういうようなこともあります。そういう非常な特定のものにつきまして、特定の用途を限定をして売り渡す、こういう工合に考えておるわけでございます。
  117. 天田勝正

    天田勝正君 関連いたしまして。それでは、そういう特定な、ごく例外的なものは、この十二条に書いてある売り払い及び貸付というので処理するが、農地の方は一体どういう審査を経て、自作農にしていくのですか。大もとの法律は農地法だということは、私も承知しておりますが。
  118. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 今回の特定土地改良工事の特別会計で扱われますこの土地につきまして、農地となりますところは、今回改正案を御提案申し上げております土地改良法の一部改正の法律でございますが、九十四条の八というものに規定がございます。それは、まず干拓地ができ上りますと、農林大臣が土地配分計画を作りまして、たとえば、ここには何戸の入植者が入れる、それから何戸の増反者が入れるということを規定をいたしました配分計画を公示をいたします。それに対して、希望者がありますと、その公示の日から三十日以内に申し込みをするわけであります。そこで、その申し込みのありました人につきまして、果して自作農に精進をする見込みがあるかどうかというような条件を審査をいたしまして、そこで適当な人は適格者として選びまして、その人たちに、あなた方に配分をいたしますという通知をお渡しをするわけであります。そこで、配分通知書を受けました者は、干拓地ができ上りました工事竣工の日に、その土地の所有権を取得するわけでございますが、その入植適格者の選定につきましては、いろいろ希望の条件をとりますほかに、都道府県に審査委員会がございまして、審査委員会で審査をいたしまして、その意見を十分見合いながら、県が判定をいたしまして、その判定をさらに農林省で十分チェックをいたしまして、その配分の決定をする、こういうことになるわけでございます。
  119. 天田勝正

    天田勝正君 この法律は非常に政令にゆだねる部分が多いのでありまして、第五条の一項にも、「政令で定める金額を除き」というのがあり、二項にも、「政令で定めるところにより」というのがあって、さらに今度は第六条には、四ページの一行目に、「政令で定めるところにより」云々、二項にも、「政令で定めるところにより」、三項にも、やはり「政令で定める額に相当する金額」というようなことで書いてありますが、この政令で予定されているのはどういうことですか。
  120. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) いずれも手続規定でございます。内容の実体に属する、ものはほとんど予定いたしておりません。  第五一条の「政令で定める金額を除き、予算の範囲内において」、こうございますのは、国庫が負担をする金額というものが、土地改良法の方から出て参るわけであります。その負担いたします金額は、一般会計からこの会計に繰り入れるのが本則でございます。しかしながら、この会計で若干利益が出ました場合に、それは一般会計へ戻すことなく、さらに一般会計から繰り入れたも一のといわばみなしまして、国庫の負担の方に回して事業を伸ばしていこう、こういう考え方をとったわけでございます。その関係で、これは「政令で定める金額」と申しますのは、一般会計からの繰り入れのほかに付け加えまして、工事を伸ばす国庫負担の分でございまして、その具体的なものはといえば、この会計で出てきます、何らかの原因で出て参ります利益でございます。国庫余裕金の預託金の利子収入のようなものでありまして、ごく技術的なもので、大したものではございません、  それから、二項の、「政令で定めるところにより」は、その繰り入れをいたします時期等を事務的にととのえる必要がございますので、それを予定いたしているものでございます。  それから第六条の「政令で定めるところにより」、これも時期、それから書式等を規定いたしまする手続の政令でございます。  それから、二項の「政令で定めるところ」は、これも手続だけでございます。  それから、三項の「政令で定める額に相当する金額」、これは受託工事の関係でございまして、受託工事の納付金をこの会計においてとるわけでございますが、その中には、この会計の支払いに充てまする工事費の分と、それから管理する職員の経費と両方がございます。そこで、この職員関係の経費を一般会計の方で負担いたしておりますので、そちらに繰り入れる規定でございます。それに関連したことをこの政令で定めます。
  121. 天田勝正

    天田勝正君 時間がおそくなりましたから、私は質問をやめますが、先ほどもお聞きの通り、私の質問でも、資料、数字等が整っていないというようなこともありまして、そういうことはまことに質問者としては困るわけです。ですから、当局においては審議する法律に関連した諸資料、数字等は用意してきてもらいたいと要望しておきます。質問はこれで終ります。
  122. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御質疑はございませんか。
  123. 野溝勝

    ○野溝勝君 今天田さんの質問の中に八郎潟の話があったのですが、八郎潟は国有地ですか、私有地は少いでしょう。その内容をお説明願いたいと思います。
  124. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) ほとんどその対象となるところは全部公有水面であると思います。
  125. 野溝勝

    ○野溝勝君 公有水面というと、それはどこの一体権利というか、所有に属するものなんですか。ざっくばらんにいえば、管理権はどこにあるのですか。
  126. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは国でございますけれども、公有水面埋立法の手続は建設省が所管をいたしておるわけでございます。
  127. 野溝勝

    ○野溝勝君 国だね。
  128. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) そうでございます。
  129. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 別に御質疑がないようでありますから、質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明かにしてお述べを願います。
  130. 野溝勝

    ○野溝勝君 社会党を代表し簡単に反対の意見を申し述べたいと思います。本法は原法であります土地改良法一部改正法律案に基いて提案されたものでございまして、これとの関連において審議するのが妥当と思います。特にその原法の土地改良法との審議の過程におきまして理解でき得ない点があります。さらには今後本法がもし可決されまして、これが実施の暁には、農民にあるいは農業の経営に影響するところが大きいと認識いたしますので反対をいたします。  まず、原法がねらいといたしておりまする簡素化の問題あるいは事業量がふえまして、生産が非常に上るというこの見解は、むしろ逆だと思います。かえって本法案は、農民に対する従来の保護政策から融資政策への切りかえを内容としておるのでございまして、現下の農村の経済の事情から見まして、今日の土地改良法に基くわずかの助成でさえも容易でないという際に、みずから負担を多くするというようなことになりますならば、今申しました通り、今日の農村経済はそれを許さないのでございます。かえって私は事業量の増大どころかむしろ土地改良の事業に支障を来たす、この結果は生産が減退するという危険を感ずるものであります。  第二の点におきましては、本法案の原法でございます土地改良法一部改正法律案、これが農地制度との関係におきまして、私は非常な疑問の点が多々あるのでございまして、こういう点に対し、もっと具体的に割り切れるような内容が資料を示されておらない以上は、その結果は、かえって農地法ないしは農地制度に支障を来たし、トラブルが起るという危険を感じますので、かような点に対し反対いたします。  第三の点は、今も質疑の中にありましたごとく、個人の所有に対しましては、本法によってある程度割り切れてきますが、国有ないしは公有地に対する問題に対し、具体的にまだ規定されておりません。特にこの国有地の問題に対しましては、附則第十五条の適用が行われる危険性があります。かような国有地に対する土地配分計画、これが今後どういうふうに実施されるかということにつきましては、非常に疑問をもつものでございまして、こういう点について、本法に対する賛成をし得ない点でございます。  簡単でございますけれども、以上要約いたしまして三点の理由から、本法は未熟な原法なものであり、その未熟な原法に対する特別会計を制定するという法案に対しましては社会党を代表して反対をするものであります。
  131. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御発言はございませんか。——御発言はないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  特定土地改良工事特別会計法案を問題に供します。本案に賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  132. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 多数であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、先例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     西川甚五郎  稲浦 鹿藏     岡崎 真一  木暮武太夫     田中 茂穂  塩見 俊二     高橋進太郎  土田國太郎     苫米地英俊  杉山 昌作     前田 久吉   —————————————
  133. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、関税法の一部改正法律案議題として、事務当局より内容の説明を聴取いたします。簡単に御説明を願います。
  134. 山下武利

    説明員(山下武利君) 関税法の一部を改正する法律案につきまして、さきに提案の際申し述べました提案理由説明に補足して御説明を申し上げます。  この法案は、最近におきます関税犯則事件の状況等にかんがみまして所要の規制を加え、関税法の施行を容易ならしめるために、同法の一部を改正しようとするものであります。主な数カ条につきまして簡単に御説明を申し上げます。  まず第十五条でありますが、現行法では、外国貿易船または外国貿易機が開港に入港したときには、入港届の提出その他所要の入港手続義務づけられておりますが、その他の船舶または航空機で本邦と外国との間を往来するものにつきましては、何らの入港手続をしないでいいことになっております。しかしながらこれらの船舶または航空機につきましては、関税定率法によって外国貿易船などと同じように、船用品または機用品の免税が認められており、また乗組員などが外国で購入した物品を輸入する場合がありますので、これに対する関税法上の取締りのために必要最小限度の手続として開港へのへ港の際には、入港届けの提出を必要とするということにいたしたのであります。  次に第二十四条でありますが、本邦と外国との間を往来する船舶または航空機との間の交通につきまして、貨物の輸出入の取締りの見地から、税関におきましては所要の規制を行う必要があるわけでありますが、現行法におきましては、単に交通の場所のみが制限されており、税関はそれ以上制限を加えることができない実情にあります。しかるに最近外国往来船に出かけて外国産品の不正買出しを行い、その他船員などに金を払って不正輸入をしようとするなどの事例が少くない傾向にありますので、この際、関税法上の成規の手続を経ない貨物の授受を目的とする外国往来船への交通につきまして、税関長の許可を要することといたしました。ただしこの交通をしようとするものが、関税法その他貨物の輸出入に関して罰則の定めのある法令に違反して間もないものであるなど、いわゆるこの違反のおそれの多い特定の場合には、税関長はそれを許可しないでもよいということにいたしまして、密輸取締りの確実を期そうとするものであります。  次に、三十一条でありますが、現行法におきましては保税地域に貨物を入れ、またはこれから貨物を出そうという場合には、その貨物が外国貨物輸入の許可を受けた貨物または輸出しようとする貨物である場合に限って税関に届け出をすることになっており、これ以外の一般の内国貨物の出し入れば自由になっております。しかるに最近に至りまして、このことを悪用いたしまして、保税地域内において輸出の許可を受けた貨物と一般の内国貨物とをすり変えまして、架空の輸出実績によって輸入原料の割当を受けるといったような違反事件が少なからず発生するに至りましたので、改正案におきましては、臨港地区にある保税地域などで、この種の違反の行われやすい保税地域につきましては、一般の内国貨物の出し入れについて外国貨物の場合と同様の届け出を要することにいたしたのであります。  次に、百一条でありますが、これは手数料の軽減または免除に関する規定であります。改正案で新たに第三項を付け加えましたのでありますが、その趣旨は今国会において成立いたしましたトン税法及び特別トン税法におきまして開港に入港する外国貿易船に課せられるトン税及び特別トン税が合せて純トン数一トン当り十八円になりますので、これとの均衡上、外国貿易船が不開港に入港する場合の許可手数料もこれと同額に引き上げたのでありますが、一万トン税と特別トン税とは一年分として三回相当額を一度に納付することができる制度があるのにかんがみまして、同一の不開港に一年に四回以上入港する外国貿易船につきましては、四回目以後の許可手数料を減免することができるということにいたしまして、手数料負担の調節をはかったわけであります。  次に、面十三条から百十七条までは罰則の規定を整備いたしたものであります。いずれも簡単な改正でありますが、一つ百十三条の二につきましてだけ御説明を申し上げます。百十三条の二は虚偽申告犯に関する罰則であります。最近におきましては輸出禁止貨物または輸入の承認の得られない貨物を不正に輸出入する手段といたしまして、税関に対して品名を詐称し、または虚偽の証明をするといったような方法によりまして、税関職員を欺罔してその目的を達する事犯が激増いたしております。これらの違反につきましては、現行法では百十四条第二号に規定する虚偽申告犯、つまり五万円以下の罰金に処する以外に処罰規定がないために、取締りの効果を期し得られない実情にありますので、本事犯を百十四条から抜き出して、一年以下の懲役または十万円以下の罰金またはその併科として、予防と取締りの徹底を期することといたしたのであります。  以上おもな個条について簡単に御説明を申し上げました。
  135. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 本案に対する質疑は後日に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。御苦労さんでした。    午後四時三十六分散会