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1957-04-11 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十一日(木曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員異動 四月六日委員田中茂穂君、藤田藤太郎 君、大倉精一君、及び柴谷要辞任に つき、その補欠として小滝彬君、江田 三郎君、野溝勝君及び椿繁夫君を議長 において指名した。 四月八日委員小滝彬君、野田俊作君及 び市川房枝辞任につき、その補欠と して田中茂穂君、前田久吉君及び鮎川 義介君を議長において指名した。 四月九日委員岩間正男辞任につき、 その補欠として野坂参三君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            大矢  正君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            稲浦 鹿藏君            木暮武太夫君            田中 茂穂君            塩見 俊二君            土田國太郎君            苫米地英俊君            野溝  勝君            杉山 昌作君   衆議院議員            石村 英雄君   政府委員    大蔵政務次官  足立 篤郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    制第二課長   吉国 二郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○入場税法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○国有財産法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○国有財産特別措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○たばこ専売法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○塩専売法等の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○国の特定支払金に係る返還金債権  の管理の特例等に関する法律案(内  閣提出) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○臨時通貨法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○準備預金制度に関する法律案内閣  送付予備審査) ○預金等に係る不当契約の取締に関す  る法律案内閣送付予備審査) ○国有財産法第十三条第二項の規定に  基き、国会の議決を求めるの件(内  閣送付予備審査)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  議事に入るに先立って、委員異動について御報告いたします。  四月六日付をもって田中茂穂君、藤田藤太郎君、大倉精一君、柴谷要君が辞任小滝彬君、江田三郎君、野溝勝君、椿繁夫君が選任され、八日付をもって小滝彬君、市川房枝君、野田俊作君が辞任田中茂穂君、鮎川義介君、前田久吉君が選任され、九日付をもって岩間正男君が辞任野坂参三君が選任されました。   —————————————
  3. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 入場税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、提案者より趣旨説明を聴取いたします。
  4. 石村英雄

    衆議院議員石村英雄君) 衆議院の方におきまして、入場税法の一部を改正する法律案を立案いたしたわけでございますが、純演劇につきまして、従来の入場税は、映画なんかも含めましてそれぞれ区別なくきめられておったのですが、ただ例外として、四条の二項で純音楽について金額制限なしに二〇%、こういう規定があるのですが、まあこれに対応した形で、純演劇について二〇%というものを考えたわけでございます。しかし、純演劇の場合は、純音楽では金額制限が全然ないわけですが、今回の純演劇については、三百円以下の入場料について二〇%、こう入場料によって限定をいたしまして、そうして現在八十円以下は二〇%になっておりますから、八十円をこえ三百円以下のものに対して入場料の二〇%の入場税を課す、こういうことにいたしたわけでございます。で、最初衆議院で与野党で相談したときには、この法律案と少し違っておりまして、純演劇である歌舞伎新劇等を催す場所、こういうように規定を一たんいたしたのですが、大蔵省と相談の結果、「政令で定める純演劇を催す場所」こういうように改めたわけでございます。  で、純演劇定義が非常にむずかしいので、歌舞伎新劇というものは、当然純演劇に入るわけですが、その他あるいは新派だとか、劇団の名前ですが、新国劇、こういうようなものをどう考えるかというようなことで、相当問題が多かったわけで、結局大蔵省の御意見を入れまして、政令で純演劇というものを定める、こういうことにいたしたわけでございます。で、一応の考え方として古典的な日本演劇、だから歌舞伎も当然純演劇のうちに含むと、こうわれわれは理解しております。それから普通いわゆる新劇、それから新派なんかも、これがものによっては純演劇たるものがある、こういうわけなんです。  で、これを作ります場合に、演劇評論家なんかを呼びまして、いろいろ御意見を聞いてみたのですが、結局純演劇というときには、戯曲もとになっている。戯曲が、いわば世界的な戯曲としての価値があるものによって演じられる演劇が純演劇だというのが、評論家の御意見でございました。そうしたことを含めまして「政令で定める純演劇」、芸術的な価値のあるものということが、政令におそらく入るだろうと思いますが、そういう観点から、この入場税法の一部の改正案を作ったわけでございます。  簡単ですが、これで説明を終ります。
  5. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 質疑を行います。
  6. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 ちょっと大蔵省に聞きますが、今提案者説明によると政令大蔵省にかぶせられているわけですがね、これは果してこの政令はあなたの方でできるのですか。
  7. 吉国二郎

    説明員吉国二郎君) ただいま御質問のございました点でございますが、純演劇範囲につきましては、非常にむずかしい問題が多くございます。現在実は「交響楽器楽声楽等の純音楽、純オペラ、純舞踊雅楽文楽若しくは能楽をもっぱら研究発表する会場への入場又はスポーツを催す競技場への入場」については、先ほど御説明がございましたように、八十円をこえましても二割というふうに措置をいたしております。  そこで純音楽あるいは純舞踊というものの定義も、実は非常にむずかしい定義でございます。これにつきましては、解釈通達で具体的にこまかく規定しております。政令で定めます場合にも、その純音楽等についてとっておりますような態度で、基本的に条件をきめる必要があるのじゃなかろうか、現在基本的に考えておりますことは、一応それらの演劇が専門的な研修を経た専門家の手によって行われるということと、それから芸術的な価値のあるものであるということは、少くとも一つ条件になると思っておりますが、そのほか具体的にいかなるものをその範囲に取り入れるかという問題は、やはり最後に解釈の問題になる、だろうと思います。
  8. 杉山昌作

    杉山昌作君 この配付をいただきました提案理由説明によりますと、純演劇育成の見地から入場税を安くするのだ、こういうことが書いてある。これはなんでございますか、入場税というようなものは、これは入場者にかかるものである、税の本質が。従って入場税を安くするということは、当然に入場料の安くなることを期待するわけなのですね。入場料が安くなるから、入る人が多くなる。従って純演劇育成し得るのだと、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  9. 石村英雄

    衆議院議員石村英雄君) これを作りました考えは、入場税が下ることによって税込み入場料が下って観客がふえるということも、一つのそれによる純演劇育成ということも考えられるわけですが、一方でまた現在純演劇なんかの入場料というものは、税込みで三百円程度最高なわけでございます。現在の劇場その他の事情からこれ以上取るということはとうてい不可能な状況にあるという前提もありますので、ものによっては下げ得るものも場合によってはあり得るだろうし、ものによっては入場税が下っても必ずしもそれが全部下げ得るというものでない場合もある。そう両方意味合いで純演劇育成が行われるだろう、こう考えたわけでございます。従って三百円という限度を、純音楽の場合には三百円であろうが、五百円であろうが、千円であろうが二〇%になっておりますが、その点を考えましたので、これには三百円一以下のものにしか二〇%という特殊な税率は適用しないというふうに考えて、三百円の限度を置いたわけでございます。大体現在の三百円の税込みは、二百円が観劇料で、百円が入場税だ、こういうことになっておりますから、これが二〇%になれば二百四十円になるのが、税率が下れば当然のことで、劇団方面では二百四十円になるはずでございますが、劇団方面では、大体これが通ればある程度下げ得る、こういうお話でございました。しかし演劇のことですから、内容によっては下げ得ないものも起るのじゃないか、大体大部分は下げ縛るだろう、こういうことでございました。両方意味でこの入場税引き下げを考えたわけですが、歌舞伎なんかの場合に、たとえば歌舞伎座の一等とか二等とかいうようなものは下げなくても、これはむしろ企業的に行われるもので、入場税の三百円を越えるものですから、これは下らないのが大部分であろうと思います。三等なんかは下げ得る、下げることになる部分に入ってくる、劇団意見はそういう話でございました。われわれも双方全部必ず下るだろうとは考えない。内容によって下げ得るものと下げ符ないものとが、演劇ですから、映画なんかと違いまして演劇ですから、双方ができてくるのじゃないか、こう考えております。
  10. 杉山昌作

    杉山昌作君 入場料を下げ得るものと下げ得ないものとがあるだろう。まあ大体これは実際問題として今まででもそういうことがあったのですね。しかし本質から申しますと、入場税というものは入場者にかけるのだから、税金が下ったら入場料が下らなければならない。これが法律の建前である。たとえば酒の税も、酒の税率を下げれば酒の小売価格が下らなければならぬということなのです。これはこの委員会で従来しばしばそういうことですね、たとえば酒の税金が下ったときには、一体酒小売価格は下るのか、大蔵省はそれを監督するかということをずいぶんここで主張したものだ。入場税についても同じことだ。ただちょっと疑問に思いましたのは、せんだって一部の新聞に今度の入場税引き下げ入場者負担軽減をはかっているのじゃない。入場税は下らなくていいのだ。ただ途中の劇団が困っておるから、税金の減るだけ今度の入場税引き下げによって入場料が引き下がるかと御期待されても、それはそうではないのだというような説が、一部の新聞に流布されておる。これは私は法律——入場税とか酒税とかを、取り扱う場合に根本的に違っておるのじゃないか。やはり私は一番初めに申し上、けた通り入場税を安くすれば、従って入場料が下る、観客が多くなる、それでもうかるということが本質ではないか。しかし実際は、たまには入場税が下っても、税率が下っただけ安くすることには、今まで実績はないかもしれぬ。そういうことはたまにあることもやむを得ないことだ。酒の税にしたところが、酒の税率が下ったので酒の小売価格が今まで下ったかというと、必ずしもそうではない。そういうこともそれはやむを得ない事情もあるから、あり得るかもしれぬけれども、税の本質というものはそうではないということをはっきりしておきませんことには、将来もっと違った場合に、入場税を下げても入場料は下げないのだ、立法者趣旨はそういうわけだった。かつてはそういうこともあった。酒の税もまた同じこと。間接税税率を上げ下げをするときに、税の本質についての疑惑を持たせるようなことになる。そこをはっきりさしていただきたいと思う。
  11. 石村英雄

    衆議院議員石村英雄君) その投書は私がしたわけですが、これは酒というようなもので、内容が同じものなら確かにその通りになると思う。ところが、酒の品質でも向上させるということになると、必ずしもそうならない。同じものの場合には、税金が下がれば、消費税が下がれば下ってくるのが当然でございます。ところが、現在の演劇なんか、歌舞伎におきましても、演劇界の御意見を聞いてみますと、従来の日本の古典的な伝統がすでにすたれてきておる。これはとうてい二部興業なんかもそういう点からすたれるにもかかわらず、やらざるを得ない状況に置かれておる。このままに放置しておいては伝統演劇保持がむずかしいということも一面にあるということを御理解願いたいと思う。例の菊五郎劇団とかなんとかいうものをやっておりますが、これも純粋な研究発表という形の菊五郎劇団なんかの演劇は現在できないような状況に置かれておって、伝統芸術の保存ということも非常に困難になっておる、こういう面も一部にありますので、そういう面については、必ずしも全部百パーセント入場税が下ったからといって、下げ得ないということも起り得るということを強調したかったわけなんです。この点はなはだ出過ぎたことを申し上げて失礼だったと思いますが一つ歌舞伎なんかの伝統保持育成という点も合せて観客の力に考えていただきたい、そういう趣旨であれば書いたのでございますが、劇団意見ではやはりこれは下げなければならぬ、こういうことでございました。
  12. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 今の杉山委員の御意見と私は同じなんですが、この前に税率を下げるときに陳情に来た業者を呼んで、税金が下る以上は、入場料も下げるのが当然ではないかというようなことを言ったところが、下げます、これは約束したのです。ところが、現実は下げておらない。これは業者収入になっちゃって入場者はちっとも減税の恩恵を受けておらないのですよ。そこで今お話では、歌舞伎のような芸術というお話でしたが、この入場料税金引き下げによれば、すべてが均霑するのでしょう。歌舞伎だけじゃないでしょう。そうすると、歌舞伎をだしにして業者を肥やせる、一般大衆には利益を与えない、こういう結論になりゃしないのでしょうか。
  13. 石村英雄

    衆議院議員石村英雄君) 現在演劇は企業的に行われておるのは歌舞伎だけだといっていいのじゃないかと思うのです。新劇なんかは俳優がやっておって、これを企業的にやっておる者はいないわけでございます。歌舞伎の場合には松竹なんかという企業家がおってやっておるわけですが、脅迫の俳優座だとかあるいは劇団民芸なんとかというものは、企業的なものではございません。従って俳優が幾らか月給が、自分のやっている演劇でこれを下げない結果、幾らか手取りがふえるということは起り得ると思います。しかし企業家としての、興行師利益になるということはまず実感から見て考えられないわけでございます。現在の新劇俳優なんかの収入というものは、わずかに映画なんかに出て得ておる程度で、純演劇をやる関係での収入はほとんど問題にならない状況でございます。だから業者を肥やすというほどの強いなには起らないのじゃないか、こうわれわれは考えております。むしろりっぱな、良心的な演劇をやり得る余地がその面で幾らかでもできるということは、演劇の発展のためにはいいことではないか、こう考えております。しかし関係者とすれば、入場税が下るのですから、やはり下げなければ相済まぬ、こういうことを印しておりました。
  14. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 この提案理由によれば、これは歌舞伎が下るだけでなくて、全部が下るのでしょう。これは映画も下るのでしょう。そうじゃないですか。
  15. 石村英雄

    衆議院議員石村英雄君) これは映画ではありません。映画は全然関係ありません。
  16. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 これは芸術価値の高いと思われるもの、それの入場税に八十円とか百三十円とか、そういうの、あるのですか。
  17. 石村英雄

    衆議院議員石村英雄君) 映画は、これは全然対象にしておりませんが、演劇、いわゆる俗にいう芝居ですが、これには入場料が現在二面円、大体二百円の入場料最高で、税込みで三百円というのがただいま純演劇では最高だと考えております。間々中には三百三十円とか六十円というのも部分的にはありますけれども、一般的には三百円が最高で、三百円以下の演劇が行われておるわけでございます。
  18. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 これは提案理由に、純演劇——歌舞伎新劇と、こういうように書いてありますけれども、入場税という性質から、そうなりますか、これは政府委員の方に聞きたいのですがね、入場税を軽減するということは、これはそういうふうな特定のものだけに当てはまるということになりますか。これはもう均霑するものと私は思うのですがね。立法者趣旨はどうあろうと、あとからまた映画とか何とかいう方から、入場税改正になったのにわれわれだけ均霑しないのはどういうわけだ、立法者の意思と実際の世の中の受け取り方と動き方というものは別だと思うのです、立法者の意志にかかわらず。これは均霑しないという保証はどこにあるのですか。
  19. 吉国二郎

    説明員吉国二郎君) ただいまお尋ねの演劇入場税引き下げれば、映画等にも影響するのではないかという御質問でございますが、現在御承知のように第一種場所映画演劇、演芸、音楽スポーツ等につきましては、原則は百分の十ないし百分の五十の税率が一件に適用になっておりますが、昭和二十九年以来、先ほど申し上げました交響楽器楽声楽等の純音楽、それから純舞踊雅楽文楽、それからスポーツにつきましては八十円を超えまして本来ならば百分の三十あるいは百分の四十、百分の五十の税率がかかるにかかわらず、これを二一十に据え置いておるわけです。すでに入場税の課税の際に、第一種と第二棟は区別をいたしまして、その入場性質に応じて、第二種の場所の場合は一律に百分の十というような税率をとっておりますので、入場税におきましても、その対象になる催しものの内容によって差別がつくということは考えられるわけでございます。純音楽等につきましては、すでにそういう差別がついたわけでございまして、今回純演劇というものを映画等と別の性格と認めて多分御改正になったと思いますので、その趣旨が徹底すれば、演劇を下げたから直ちに映画も下げるべきだということにはならないと思うのでございまして、差し当りは影響はないと考えておるわけであります。
  20. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 それならば、入場税としないで第何種入場税、こういう工合にはっきりさしたらどうですか。それでこれは政令で定めるとおっしゃるでしょうけれども、政令で勝手にきめるというよりは、法律でもってはっきりうたっておいた方がいいと思うのです。政府側はどう考えておられますか。
  21. 吉国二郎

    説明員吉国二郎君) 現在軽減税率を使っております純音楽等につきましては、まさに法律で書いてあるわけでございますが、この純音楽というもの、それから純オペラ、純舞踊というものが、かなり社会通念から申しましても、そういっただけで区別がつけやすいものでございますのと、もう一つは、それらのものにつきましては、もっぱら研究発表する場所への入場ということで、かなり限界がはっきりしております。それから純演劇の場合は、もっぱら研究発表する場所という限定をつけるのは、純演劇性格上、なかなかむずかしいと思います。従いまして純演劇というものを、現在の純音楽その他と同じように、ただ純演劇と書いたのでは非常に解釈上も疑義が生じやすい。せめて政令等でその基準を明らかにした方がいいのじゃなかろうかという意味で、法律にただ純演劇ということで書きますと、かえって問題が起るのじゃないか。もちろん詳しくお書き願えればけっこうだと思いますが、なかなかその純演劇を詳しく書くとなりますと、直ちにそれだけの区分が法律の上で現わしがたい点もございますので、おそらく政令にお映りいただいたものと了解しております。
  22. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 私は法律面でできるだけ明らかにしておいて、補足的に政令を用いるというのならいいと思いますが、政令でその範囲も何も政府に勝手に動かせるというのじゃ法律をきめる意味がなくなってしまうと思うのですよ。従来の政令というものが、われわれの知らないうちに、知らないところに飛んで行ってしまうのがたくさんあるのですよ。だからして、私は表面からできるだけ法律でもってはっきりしておいて、法律に出すことが工合の悪い部分だけ政令でやっていく、こういうふうにした方がよくないかと思うのですが、これは政府を決して信頼しない意味じゃありませんけれども、どうもとかく今までそういう例があるのですよ。
  23. 石村英雄

    衆議院議員石村英雄君) 苫米地委員の御意見のようにわれわれも最初考えまして、純演劇定義をいろいろ考えたわけでございます。それで原案では純演劇——歌舞伎新劇等の純演劇と最初してみたのです。ところが問題は純演劇の結局定義なんです。歌舞伎新劇が純演劇だということは一応言われます。確かにそれだけでいいと思うのですが、しかしまだそれだけでは新派はどうか、何だというような問題がたくさん出てくるわけなんです。それで新派でもいなかでやる新派なんかは純演劇だと言われない新派もあるわけです。東京なんかでやられる新派には純演劇と言われる新派もありまして、もうちゃんとした戯曲もとにしてやっておる新派もあるわけなんです。これはりっぱな純演劇と言われる。ところがいなかでやっている俗に新派といっているのは、そういう戯曲もとにしない、いいかげんな演劇なんでして、これを新派だからといって純演劇と見るわけにはいかない、こういう非常に良心的と申しますか、関係者意見も厳密になって参りまして、一応それで純演劇という言葉を上にもっていって、純演劇である歌舞伎新劇と、こういうようにしてみたのですが、大蔵省方面の御意見を聞いてみましても、ただそれだけではやっぱり純演劇定義としては不十分だ、それなら完全な純演劇定義がこの法律の中に書き込めるかというと、これはいろいろ法制局なんかと相談しましたけれども、むずかしいと、こういうことになりましたので、純演劇だということをはっきりさせて、その純演劇限界政令一つしぼっていただこう、こう考えたわけでございます。われわれもなるべくなら、政令でこうした定義内容に触れないようにしたいと思いましたが、従来の純音楽その他でも政令にある程度制限されておる関係もありますので、ここは純演劇定義がむずかしい結果、政令に譲るということにいたしたわけでございます。趣旨とすれば、われわれもなるべくなら政令に譲りたくなかったのですが、非常に境がわかりにくいものが演劇の中にはたくさんありますから、たとえばこれを作るときに、エノケン芝居はどうか、こういう意見も出ました。われわれは当然エノケン芝居は純演劇だとは考えておりませんが、ただここに新劇等と書くとエノケン芝居も問題になってくる、こういうことになりましたので、そこは小さな点まではっきり政令で定めてもらおう、こういうことにいたしたわけであります。
  24. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 私は純粋な純演劇と認められるものでも認むべからざるものがあると思うのです。たとえてみれば、私はイデオロギーを折り込んで、これは純演劇だといっても、ある一種のあれですね、最近共産主義を国民に周知させるために、純演劇だと称して、また芸術方面からいったらそうであるかもしらんけれども、僕はそういうものだけは政令でやったらいいと思うのです。たとえ純演劇であっても、私は政策上、特典を与えないものはきめてもいいと思うのです。
  25. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 大蔵省の方にちょっと伺いたいのです。政務次官おいでになっておりますが、これは原則的な問題です。さっき杉山委員から言ったのでお聞き下さっていると思うが、間接税と直接税を税の体系の上で定めて、そして間接税というものは消費者に転嫁するということが、いわゆる間接税いろいろ議論のあるゆえんなんだけれども、今の御説明を聞くと、間接税というものをここで転嫁しないという原則を、大蔵省はそういう形のものだということを、原則的に認めるというような形になるということが、将来いいことであるかどうかということをいろいろ御研究になったのですか。それでことにですね、たとえば議論をすれば間接税というものは、要するに転嫁を原則としているけれども、競争その他のために吸収されることがある。今いろいろ議論を立てればあるけれども、原則としては直接税に対する間接税というものは転嫁すべきものだ。そこで間接税を増徴した場合には、一般大衆の負担になるし、間接税を減らせば一般の人の負担が軽減されるという議論が、これは一貫した理論でやはりあるのだろうと思うけれども、そこで提案者の先ほどの御説明のように、税を下げることもあり得て、それによって観衆がふえて、よってもって純演劇育成するという説明なら、その筋が通るのだけれども、必ずしも見る人の税はこれによって減らないのだということを初めから言って、こういうことをやると、まあ税の担当者の大蔵省は、今後間接税の問題のときにそういうことをひっからまれてくる問題が多くあるのじゃないかというように考えます。ことにこの前、今の映画やなんかの入場税が下ったときなどは、大衆の期待に反してちっとも入場料というものが下らないことに対して、一般の非難があったことなどがありますから、やはり大蔵省としては、この入場税というような間接税の軽減というものをどこに目標を置いているのだということをはっきりと言うことが、税をあずかるものとしていいのじゃないのですかね。まあちょっと御意見があったら伺いたい。
  26. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 間接税の問題につきましては、税制調査会におきましても御承知の通りの答申もございましたし、私どもも基本的に考究しなければならない問題であると考えておるわけでございますが、この入場税の軽減の問題をめぐりまして、今木暮委員御指摘のような基本的な税理論につきまして、私どもはその立場に立って、これについて政府が了承したといいますか、いうことではございませんので、ただいまもお話がございました通り日本古来の芸術的な演劇の保存と申しますか、なお、石村議員からも御指摘のありましたような、最近こういう面が非常にさびれて参りまして憂うべき状態にもあるという事情も伺いまして、この政策としてこれらの入場税を軽減することによって入場料金そのものもできるだけ下げてもらいまして観客層をふやしていく。そしてこういった芸術のかおり高い純演劇の温存をはかっていくという政策的な見地に立って私どもも了解をいたしたような次第でございます。  先ほど来、御指摘のありました通り、その区分につきましては、非常にむずかしいものでございますから、やはり政令におまかせ願って、大蔵省で責任をもって、果して今申し上げたようなものであるかどうかという点につきましては、厳格な判定をいたしまして、なお、その成果も見守りたいというふうに考えておる次第でございます。
  27. 青木一男

    ○青木一男君 私この衆議院の立法の意味はわかるのですが、この立法技術のことについて将来の法の解釈のことについて非常に疑義かあるからお尋ねしておきたいのです。芸術というものの限界のむずかしいことは、先般のチャタレー裁判によってあの通りむずかしかったことをよく示しておるわけであります。  それで、その困難を政令にまかせることによって、技術上解決しようという意味もわかるのですけれども、法律に純芸術ということがある場合には、政令でその法律を曲げるわけにいかないのです。そのむずかしいことを政令できめるというわけにはいかないんだろうと思うんです。そこでかりにこれが純芸術法律に書いてなくて、政令で定める演劇——純演劇法律に書いてなくて、政令で定める演劇についてはということであれば、これは立法の適否は別として、解釈上の疑義はないんです。ところが法律に純演劇と書いてあって、その具体的の適用を政令にまかせるということは、依然として法律上の困難な問題を解決することには私はならないと思うんです。その点はどういうふうにお考えですか。
  28. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) 実は打ちあけ話を申し上げますと、石村議員ほか関係者大蔵省へ見えまして御陳情がありましたときに、私はすぐ言葉を返して、純演劇定義はいかがなものでありましょうか、それがはっきりいたしませんとどうも取り扱いの仕方がございませんがという御返事を、逆に御質問を申し上げたことがあるわけであります。ずいぶん御熱心に御研究になっておる石村議員その他、直ちに実は御答弁がございませんので、私もこれは今、青木委員御指摘の通り非常にむずかしい問題だというふうに考えておったわけであります。その後衆議院の大蔵委員会におきまして与野党協議いたしまして、最後的に今御提案申し上げておるようなことに話し合いがつきまして、議員提案として立法措置がとられたわけでございますが、青木先生御指摘の通りに、確かに理論的には今おっしゃる通りだと思います。これは政府に有権的な解釈をまかせられた法律であるならば、これは政府がきめれば、その通り定められるものでありますが、一面純演劇といっておいて、その範囲政令で定めるといいますと、純演劇はすべて政令で定めなければならぬということに逆になるわけですから、純演劇の判定を誤まれば、政府はその責任を全うしないということになるわけです。しからば果して純演劇とは何ぞやといいますと、これは鶏と卵のような話になるわけですが、やはり人間が判定する以外にない。そこでその人間はだれかといえば、政府のその筋の責任者が、事務官が決定をするということにおまかせを願う以外にないと思うんです。そこで果して決定をしたものを個々別々に検討しますと、これは純演劇ではないか、あるいはそうでないんじゃないかというような議論か出てくると思います。それは運用の問題に将来なって参りますので、やはり先ほど申し上げました通り、厳格な判定によりまして、法律に盛られて示されている純演劇というものの定義を誤まらないようにあらゆる角度から検討いたしまして、個々別々のものを審査をして決定してゆくということにならざるを得ないので、その精神で政令を定めておきまして、結局は私は個々の場合の価値判断ということに相なるのではないかというふうに考えておるわけなんでございます。  これでは青木先生の御指摘の御答弁にはならないと存じますが、気持を率直に申し上げて、実はこの扱いには非常に微妙な点がございますので、私どもとしてはどこまでも先ほど申し上げたような精神で、芸術のかおり高い、あるいはまた日本古来の伝統的な純演劇を守っていくという政策を殺さないように運用をはかっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  29. 青木一男

    ○青木一男君 今の点で、今、政務次官の御説明で、御苦心のあるところはよくわかるのです。私が言うのは、税法というものはやはり憲法付属の法律であり、国民の基本的義務の範囲をきめる法律だから、疑義のあるような規定の仕方をしてはいけないのです。それで先ほど申した通りに、立法技術とすれば、提案の理由には純演劇の保護ということをはっきり書いておいて、そうして法文の書き方としては、政令の定める演劇については、という立法の仕方ならば疑義はないのです。それはその適否——立法の趣旨から見て少し行き過ぎだとか、足りなかったとかいうその批評はありますけれども、法律違反という非難は出てこないのです。ところが法律に純演劇と書いてあるのに、純演劇でないものが入ったとか、あるいは純演劇を抜かしたとかいうことであれば、それは法律違反の政令ということになるのです。そこに私は、これは将来税法の権威のために非常な厄介な問題を残すのじゃないかということをおそれて今質問したわけです。それだからその内容のいい悪いでなく、税法の権威のために、あいまいな立法をしてはいかぬという点で私は質問をしているのです。まあ意味はおわかりになったと思うが、もしその点について大蔵当局が、ことに事務当局が自信があるなら一つ答弁してもらいたい。
  30. 吉国二郎

    説明員吉国二郎君) 青木先生の御質問で非常に私どもまあお答えしにくいと申しますか、未熟でございまして、十分お答えできないのでございますが、ただいま御指摘のございましたように政令で定める演劇ということで、その演劇の中で純演劇を選んでいくという形であれば、そこに法律違反の心配はないというような御趣旨、それを純演劇というものを法律で縛っておきまして、それを政令で定めた場合に、その政令の定め方によって、純演劇という通念をはずれたものが入ってきたり、あるいは純演劇であるものがはずれてみたりするということが起りはしないか、事務当局として自信があるかというお話でございまして、私自身も非常にむずかしい定義の問題でございまして、自信があると申し上げるべきところでございますが、法律趣旨に沿うように専心努力するよりほかはないと考えております。大へんあいまいな答弁で恐縮でございますが……。
  31. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) なお質問が本件についてはあると思いますが、質問をこの程度にとどめておきまして、本日は政府提案の理由を聞くべき事項が多いので、入場税に関する質問は後日に残して、政府の提案をこれから伺いたいと思います。   —————————————
  32. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 国有財産法の一部を改正する法律案  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案  たばこ専売法の一部を改正する法律案  塩専売法等の一部を改正する法律案  国の特定支払金に係る返還金債権の管理の特例等に関する法律案  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案  臨時通貨法の一部を改正する法律案  準備預金制度に関する法律案  預金等に係る不当契約の取締に関する法律案  国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件  以上、十件を便宜一括議題として、これより提案理由説明を聴取いたします。
  33. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) ただいま議題となりました国有財産法の一部を改正する法律案外九件につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  最初に国有財産法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  国有財産は現在相当巨額なものとなっておりますので、その管理及び処分を適正に行うことに資するため、国有財産審議会を法制化するとともに、国有財産の境界の確定に関する規定を設ける等、規定の整備をはかる必要がありますので、ここに国有財産法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。  以下、この法律案の概略を御説明申し上げます。  まず第一に、昨年四月、閣議決定をもって大蔵省及び各財務局に設けられた国有財産中央審議会及び国有財産地方審議会を法制化し、国有財産の管理及び処分について民間有識者の意見を十分取り入れてその適正を期することとし、その組織等に関しまして所要の規定を設けることといたしております。  第二に、普通財産の管理及び処分を計画的に実施いたしますために、各省各庁の長は、その所管に属する普通財産の管理及び処分に関する計画を毎会計年度大蔵大臣に通知することといたしました。また、行政財産につきまして、国以外の名にその使用または収益を許可しようとする場合には、各省各庁の長は大蔵大臣に協議しなければならないこととし、その管理の適正化をはかることといたしております。  第三に、各省各庁の長は、その所管に属する国有財産の調査または測量を行うためやむを得ない必要がある場合には、その所属の職員を他人の占有する土地に立ち入らせることができることとし、その他立ち入りについて所要の規定を置いております。また、各省各庁の所管に属する国有財産の境界が明らかでないために、その管理に支障がある場合には、各省各庁の長は、隣接地の所有者に対し境界の確定のための協議を求めることができることとし、その他境界の確定のための手続について所要の規定を設けております。  第四に、国有財産に関し毎会計年度国会に報告している報告書につきまして、国有財産の管理及び処分の状況を一そう明瞭に把握することができますように所要の改正規定を設けることといたしております。  次に国有財産特別措置法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  財産税として物納された建物、旧軍用財産たる建物等で現在住居の用に供されているものの中には、老朽化して保安上危険なもの、その他その管理の困難なものがございます。これらにつきましては、できるだけ整理をはかる必要があるのでありますが、その居住者が移転を承知しない等の理由で、整理が進捗しない現状であります。従いまして、その整理をはかり、あわせて宅地の提供により住宅対策の推進に資するため、保安上危険な建物及びその敷地等の国有の財産について特別の措置を講ずることとし、ここに国有財産特別措置法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。  次に本法律案の概略を御説明申し上げます。住居の用に供されている国有の建物で保安上危険なもの、その他その管理が困難なものにつきまして、地方公共団体が、これを取りこわして、その敷地に第二種公営住宅を土地を高度に利用して立体的に建設し、これに取りこわした建物の居住者を収容しようとする場合には、その地方公共団体に対し、取りこわすべき建物を譲与するほか、その敷地のうちで、公営住宅の建設に必要な国有の土地を、公営住宅の建設に要する標準建設費として定められた金額のうち、その土地の取得または宅地造成のために必要な部分の価格に相当する対価で譲渡することできることといたしたのであります。  次にたばこ専売法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  まず第一に、葉タバコ収納価格の決定を公正妥当なものとするために、日本専売公社に葉タバコ収納価格審議会を設置しようとするものであります。葉タバコ収納価格の決定いかんは、専売事業の経営にとってもまたタバコ耕作者にとっても重要な事柄でありますので、従来から日本専売公社においては、その決定について各方面意見を徴し、慎重に取り扱ってきたわけでありますが、今回さらに法律上の制度といたしまして、日本専売公社総裁の諮問機関として葉タバコ収納価格審議会を設置することといたしております。その内容といたしましては、審議会は、学識または経験のある者十人以内で組織することとし、総裁の諮問に応じ葉タバコ収納価格の決定について調査審議し、必要と認める事項を総裁に建議するものとすること、公社が葉タバコの収納価格を定めようとするときは、あらかじめ審議会に諮り、その意見を聞かなければならないものとすること等、審議会の設置、組織、権限等について所要の規定を設けようとするものであります。  次に、日本専売公社がタバコ耕作の許可処分を行うについては、許可申請者のタバコ耕作経験の有無についても参酌することとする等、実情に即して許可事務の適正化をはかるため、現行の耕作許可制限規定改正して、これを欠格事由と許可基準に分離するとともに、許可基準の一として許可申請者のタバコ耕作経験の有無を加えることといたそうとするものであります。  その他以上の改正に伴い所要の規定の整備をはかることといたしました。  次に塩専売法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  この法律案は、塩専売法及びショウノウ専売法を改正いたしまして、塩並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油の収納価格の決定を公正妥当なものとするために、日本専売公社に塩収納価格審議会及びショウノウ収納価格審議会を設置しようとするものであります。  塩並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油の収納価格の決定いかんは、専売事業の経営にとっても、また塩製造業者並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油の製造業者にとっても重要な事柄でありますので、従来から日本専売公社においては慎重に取り扱ってきたわけでありますが、今回、法律上の制度といたしまして、日本専売公社総裁の諮問機関として、塩収納価格審議会及びショウノウ収納価格審議会を設置することといたしております。その内容といたしましては、両審議会は、それぞれ学識または経験のある者十人以内で組織することとし、総裁の諮問に応じ、それぞれ塩並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油の収納価格の決定について調査審議し、必要と認める事項を総裁に建議するものとすること、公社が塩並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油の収納価格を定めようとするときは、あらかじめそれぞれの審議会に諮り、その意見を聞かなければならないものとすること等、両審議会の設置、組織、権限等について所要の規定を設けようとするものであります。  次に国の特定支払金に係る返還金債権の管理の特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  郵政官署におきましては、法令の規定により、他の各省各庁から資金の交付を受けまして、その各省各庁の所掌に属する特定支払金の支払いに関する事務を行なっているのであります。この支払い事務の処理上生じた過誤払いの返還金債権の管理につきましては、本来、国の債権の管理等に関する法律の適用を受けるのでありますが、郵政官署における現業事務の特殊性に適応せしめるよう短期間に処理できるものについて同法律に対する必要な特例を設けることができることといたしますとともに、この返還金債権の円滑な回収をはかるために、翌朝以降の支払金返還金債権に充当できることとする等の必要がありますので、この法律案を提出することとしたものであります。  次にこの法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、この返還金債権の管理につきましては、発生の日から三月を経過する日までの間は、政令で定めるところにより国の債権の管理等に関する法律の特例を設けることができることとし、郵政官署の事務処理に適応した債権管理の手続を定め、円滑かつ簡便に回収できる措置を講ずることとしているのであります。  第二に、郵政官署において返還金債権の返還義務者に対して支払うべき支払金があるときは、その支払金金額返還金債権金額に充当することができることとし、また、返還義務者が国から給与を受け、または恩給にかかる返還金債権の返還義務者が都道府県から給与を受けるときは、国または都道庁県の給与支払機関は、債権管理官の請求に基いて返還義務者に支払うべき給与の額から返還金債権金額を控除して国庫に払い込むものといたしまして、返還金債権の円滑な回収をはかることといたしているのであります。  第三に、返還金債権の回収に伴う収納金の整理方法といたしまして、過誤払いをした年度内に収納された金額は、これをその支払った資金に戻し入れることといたしますとともに、利息、延滞金、または過誤払いをした年度の翌年度以後に収納された返還金債権金額は、資金の交付を受けた郵政官署の出納官吏をして各省各庁の歳入に払い込ませることといたしているのであります。  次に日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。  日本輸出入銀行は、昭和二十五年十二月に設立されまして以来、わが国の外国貿易の振興に大きな役割を果して参ったのでありますが、その間、経済情勢の推移に応じた業務運営のために、数回にわたり、その業務範囲の拡張等が行われて今日に至った次第であります。さて、最近の内外の情勢にかんがみまするとき、わが国の海外投資をさらに推進する必要があると認められるのでありますか、このためには日本輸出入銀行の機能をさらに拡充し、その効果的な運営をはかることが適当であると考えられるのであります。ここに提出いたしました日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案は、このような趣旨に基きまして、日本輸出入銀行の業務の範囲を海外投資金融を中心として大幅に拡張いたしますとともに、これに伴う同行の業務の運営を円滑かつ効率的ならしめるため所要の改正を加えることといたしているのであります。  次に、今回の改正の要点を申し上げますれば、まず第一に、技術の提供のために必要な資金を融資の対象に加えたことであります。現行法におきましては、海外への技術の提供に対する金融につきましては、わが国から設備等の輸出が行われる場合に、これに伴ってなされる技術提供のみを融資対象といたしておったのであります。しかしながら、設備等の輸出と直接関連のない単独の技術提供でも支払いが長期延べ払いとなるために、金融の必要があるものも相当生じている実情でありますので、技術の提供が海外輸出入市場の開拓確保、または外国との経済交流の促進に寄与すると認められる限り、設備等輸出に直接関連のないものでもこれを融資の対象に加えることといたしたのであります。  第二に、海外投資金融及び海外事業金融に関する業務の範囲の拡張であります。現行法では原則として設備等の輸出が直接伴うような海外投資及び海外事業のみを融資の対象としていたのでありますが、設備等の輸出が直接に伴わない場合であっても、海外輸出入市場の開拓確保または外国との経済交流の促進に寄与すると認められるものは、広く貸付の対象に含めることが適当と考えられますので、この点法律規定する融資目的を拡張することといたしたのであります。これとともに、融資の対象となる海外投資の形態、海外事業の範囲、資金の使途等についてもこれを大幅に拡張することといたしました。わが国の外国貿易、その他対外取引の規模を拡大し経済の発展をはかるためには、海外投資あるいは海外事業を通じて外国との経済交流を促進することがきわめて有効適切な方法であることは申すまでもないところであり、日本輸出入銀行の海外投資金融及び海外事業金融に関する業務の範囲の拡張に関する要望はかねてより高まっていたところでありまして、今回の改正によって海外投資及び海外事業の促進に著しく寄与するものと確信している次第であります。  第三は、外国政府等に対する開発資金を融資の対象に加えたことであります。わが国の輸出入市場の開拓確保、または外国との経済交流の促進のためには、これらの目的に寄与するような外国政府等の開発事業に対して必要な開発資金することによって、外国との経済協力の効果をあげることもきわめて重要であると考えられます。現行法では、わが国からの設備等の輸入資金以外にはこのような開発資金を広く融資することは認められておりませんので、今回の改正では、このような外国政府等の行う開発事業に必要な資金を日本輸出入銀行の融資の対象に加えることといたしました。なおこれらの資金を外国政府等が公債発行の形式で調達することも考えられますので、日本輸出入銀行はこれを取得することにより資金を供給することもできることといたしました。  第四は、償還期限についての制限を緩和したことであります。最近の輸出入金融及び海外投資金融は、相当長期にわたる必要のあるものも生じている実情でありますが、現行法では特別の事由がある場合でも輸出入金融は十年、海外投資金融等は十五年が限度となっており、このような実情に対処するに十分でありません。今回の改正案では、原則は現行通り輸出入金融五年、その他十年でありますが、特別な事由のある場合については法律上の制限を設けないこととし、実情に応じて弾力的な運用を行い得ることといたしました。  第五は、借入金及び債務保証の限度を改めたことであります。最近における日本輸出入銀行の業務の実績及び今回の改正による業務範囲の拡張により、予想される業務量の増大を考慮いたしますと、現行法における借入金と債務保証の合計額は、自己資本額以内とするという制限はこれを緩和する必要があると考えられます。改正案におきましては、借入金の限度を自己資本の二倍とし、貸付と債務保証の合計額は、自己資本と借入金の限度額の合計額を越えないことといたしているのであります。  第六に、以上の業務範囲の拡充に伴い、日本輸出入銀行の目的その他につき所要の改正を加えたほか、理事の定員を二名増員することといたしました。  以上が今回の改正の要点であります。  次に臨時通貨法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  現在臨時通貨法に基く補助貨幣の額面は、五十円が最高となっているのでありますが、これをもってしては最近の経済取引の実情に沿わないうらみがあることと、現状をもって推移すれば、日本銀行券の製造費は年々著しく増大すること、さらには日本銀行における通貨の発行元準備を充実する必要があること等の見地から、新たに百円の臨時補助貨幣を発行することとし、百円硬貨を日本銀行券と並んで流通させようとするものであります。  また、これに伴い百円の臨時補助貨幣は、二千円を限度として法貨として通用する旨の規定を設けました。  次に準備預金制度に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  わが国における通貨調節手段としては、現在、公定歩合政策及び公開市場操作があるわけでありますが、これらに加えて、この法律により、新たに準備預金制度を創設して、通貨の調節のための手段を完備し、わが国の金融制度の整備をはかろうとするものであります。  本制度は、昨年七月発足いたしました金融制度調査会において、半年にわたる慎重な検討の結果、去る二月二十一日に大蔵大臣に答申された準備預金制度に関する答申の内容を尊重して立法化いたしたものであり、その骨子は、金融機関に預金の一定割合の現金を日本銀行に預入させ、この割合を変更することによって通貨量の調節をはかろうとするものであります。  以下、簡単に、法律案内容を申し上げます。  第一に、本制度の対象となる金融機関は、銀行法による免許を受けた銀行並びに長期信用銀行、外国為替銀行、相互銀行、信用金庫、信用金庫連合会、農林中央金庫及び商工組合中央金庫のうち政令で定めるものでありますが、さしあたりは、銀行法で免許を受けた銀行、長期信用銀行及び外国為替銀行程度とすることを予定しております。なお、外国銀行の本邦内における営業所も、銀行法の免許を受けた銀行のうちに含まれることになります。  第二に、対象とする預金につきましては、総預金をとることにし、外貨預金などは、実情に応じて除き得ることにいたしております。  第三に、準備の内容は、日本銀行預け金であります。  第四に、銀行は、この法律の定めるところにより、その預金額に応じて日本銀行に預け金をすることを義務づけられますが、その割合の最高は一〇%とし、最低は定めず、経済の実情に沿った運用がはかられるようにいたしております。またこの割合は、必要に応じて定期性預金と、その他の預金について、あるいは金融機関別に区分し得るようにいたしております。  第五に、金融機関の預金及び日本銀行に対する預け金の算定方法につきましては、一月間を計算の単位としてその毎日の平均残高をとることにし、預金と預け金の計算期間は、若干ずらすことにいたしております。  このほか、金融機関の日本銀行預け金の額が、法定準備預金額に達しない場合には、その金融機関は、不足額につき、日本銀行の商業手形についての割引歩合に日歩一銭を加えた歩合により計算した金額を、日本銀行に納付しなければならないことといたしております。  次に預金等に係る不当契約の取締に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。最近金融機関におきまして、いわゆる導入預金と称する特殊な預金の受け入れが行われ、このため金融機関の経営が破綻に瀕した事例も見受けられるのであります。  この法律で取締の対象といたしますものは、いわゆる導入預金の典型的なものでありまして、これは、預金契約に当って預金者が特別の利益を得る目的をもって、あるいは預金の媒介を行う者、すなわちいわゆるブローカーが、預金者に特別の利益を得させる目的をもって、その預金を担保とすることなく、金融機関をして特定の第三者に対して資金の融通をさせるものでありますが、このようなことは、預金契約の本旨に反し、ひいては金融秩序を乱すものであるといわざるをえないのであります。  反面、金融機関がこのような申し入れに応じて特定の信用供与を行うことは、金融機関の業務の公共性に顧みて不当なものであるばかりでなく、健全経営の見地からも厳に慎しむべきものであると考えられるのであります。  しかるに現行法規のもとでは、このような性質を持った預金を有効に取り締る規定がありませんので、金融秩序を維持するために新たに取締法規を設ける必要があるものと認められます。  これがこの預金等に係る不当契約の取締に関する法律案を提案する理由であります。  なお、過般の金融制度調査会におきましても、この取締法規を設けることを適当とする旨の答申を行なっております。  次にこの法律案のおもな内容についてその概要を御説明申し上げます。  第一に金融機関に預金等をする者が、その預金等に関し、特別の金銭上の利益を得る目的で、特定の第三者と通じ、金融機関を相手万として、預金等を担保として提供することなく、その指定する特定の第三者に対し資金の融通等をすべき旨の契約をすることを禁止しております。  第二に金融機関に預金等の媒介をする者が、預金等に関し、その預金等をする者に特別の金銭上の利益を得させる目的で、特定の第三者と通じ、または自己のために、前述の契約をすることを禁止しております。  第三に金融機関が預金等をする者、またはその媒介をする者を相手方として、第一、第二に述べた内容の契約をすることを禁止しております。  第四に以上に述べた各禁止規定に違反した者及び脱法行為をした者に対し刑事罰を課するとともに所要の両罰規定を設けることにしております。  最後に、国有財産法第十三条の規定に基き、国会の議決を求めるの件につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  まず第一は、皇居仮宮殿の改装工事であります。  諸外国の大公使等の謁見、接伴等に利用しております仮宮殿は、宮内庁庁舎の三階を改装したもので、宮殿としては不完全な点がありますので、その一部に修繕、模様がえ等を行なって整備しようとするものであります。  第二は、仮宮殿前広場の舗装工事であります。  仮宮殿車寄せ前の広場の路面は、現在砂利敷きとなっておりますが、この地域を舗装しようとするものであります。  第三は、皇居平川橋の改修工事であります。  平川橋は、大正十五年改修以来、三十年を経過し、本部の腐朽損傷はなはだしく、危険でありますとともに、文化的見地からも復元する必要がありますので、これを改修しようとするものであります。  最後は、京都御所内の小御所の復元工事であります。  小御所は、昭和二十九年八月十六日不慮の火災により焼失したものでありますが、御承知の通り、この建物は由緒あるものでありますので、その復元のため、昭和二十九年度よりその計画を進めて参った次第でありますが、いよいよ昭和三十二年度より工事着工しようとするものであります。  以上、御説明申し上げました四件は、いずれもこれを皇室用財産として取得する必要があるわけでありますが、そのためには国有財産法第十三条第二項の規定により、国会の議決を経る必要がありますので、ここに本案を提案した次第であります。  以上、国有財産法の一部を改正する法律案外九件の提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成賜わらんことをお願いいたします。
  34. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 各案についての補足説明及び質疑は、都合により、後日に譲ります。  本日は、これにて散会をいたします。    午後零時六分散会