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平林剛君 私は
社会党を代表して、ただいま
杉山君から
提出をされた
修正案に対して、
賛成の
討論を行いたいと思うのであります。
今日まで
政府から
提出をせられてきました
揮発油税法案、
地方道路税法案について、いろいろと
審議を加えて参りましたけれ
ども、私
どもとしては、この
政府提案に対しても、また、この二つの
法律案が議会において
審議中の
段階におきましても、
政府がとられた態度はまことに遺憾に存じておるわけであります。その
一つは、
院議を非常に軽視をしておるということであります。
揮発油税につきましては、今日でも一キロリットルに対して一万一千円、
地方道路税を含めると一力三千円という高い
負担になっておる現状でありますので、これ以上の
増徴は無理であり、絶対に
反対をするという
決議が、
衆議院の
運輸委員会で昨年の十二月三日に行われておるわけであります。
参議院においても、十二月四日に同様の
決議がありました。ところが、二、三カ月を出でずして、
政府の力では、この
決議を踏みにじって今回のような
提出になりました。私は、これはたとえその
委員会が
税率をあずかるところの
委員会でなくとも、
運輸委員会で慎重に
諸般の
事情を考慮して
決議をされたことに対して、少しも顧みないで、このような
法案提出に至ったことに対しては、
院議尊重という
意味でまことに遺憾に存じておるわけであります。
第二には、
政府の
道路整備に対する
熱意があやまった
方向で強調されておるのではないか、こういうことが指摘をされると思うのであります。今日の
日本の
道路は、
廃業経済の発展のために、一日も早く
整備して、
産業の隘路を解決しなければならぬということについては、私
ども、また何人もこれを認めるところであると思います。従って、そうであるならば、
政府の
基本政策として、
道路建設の
整備のために、
財源を十分に用意すべきであったはずであります。ところが、
予算面に現われた
数字は、わずかに四十四億円である。
昭和二十九年の五月二十日の
閣議におきましては、
道路整備五カ年計画を検討して、
事業費二千六行億円の中で、
揮発油税に依存すべきものは千四百億円
程度に
決議がされておる。これは当時の
必要財源の五四%でありまして、まあ、
一般の
財源から捻出しようとする考え方であったと思うのであります。
政府も、
道路の
整備に要する
一般経費と、
目的税としての
揮発油税、
地方道路税に依存すべき
割合を、こういうふうにきめておったのであります。ところが、今
政府から
提出をされた
法案を見ますと、
揮発油税、いわゆる
目的税に頼るものは五百三億円、
政府の
一般財源はこれに対して、わずかに四十四億円である、一〇%にも満たない
数字であります、私はそういう
意味で、
政府の
道路整備に対する
熱意の
程度というものがここからもうかがわれるのだと思うのであります。
第三には、
揮発油税の
課税率の
根拠が、先ほど
杉山委員から
説明がありましたように、非常にあいまいである。しかも私に言わせると、たえず動揺して、定見がない。今回の
増徴率は、初め一万数千円から出発をいたしまして、
衆議院の
審議の
段階においては八千五百円、六千五百円、また五千三百円という工合に、変更が加えられまして、その
根拠があいまいであることが次第に明らかになってきたのであります。これは私は、大
へん国民の納得に苦しむところであると思うのであります。
政府、
大蔵当局も、ただ、取らんかなの精神で
課税率を高めている、こう言われても仕方がない。それに
課税率の
基礎となりました
ガソリンの
消費量についても、
政府部内の
意見はまちまちであります。
運輸省においては大体四百二十万キロあるという
資料を出しておる。いろいろな
事情で、
閣議ではこれを三百九十万キロに抑えたのでありますけれ
ども、
諸般の
事情を検討いたしてみると、どうも常識的な
消費量を無理に抑えたような感が濃厚になって参りました。この
見込みについては、私はどちらが正しいかということは、時間が証明をすると思います。今後の
経済界の
活況等を考えますと、
消費量が増大するということはまあ常識でありまして、
政府の統一した
意見というものはあまりにも低きに失する。ある
程度危険率を見るという点はわかりますけれ
ども、それにもかかわらず、あまりにも低きに失する。私はこういう事実は、他の
税法における
課税率をきめる場合においても、これが妥当であるかどうかということに対して、一そう
国民の
疑惑を深めることになるのじゃないだろうか。事、
揮発油税の問題について今
論議が集中されておりますけれ
ども、こういうあまりにもあいまいな、一年たったらはっきするようなものを
閣議で抑えてしまうということは、他の
課税率に対しても
国民の
疑惑を生むというような結果になりまして、好ましい傾向ではないと思うのであります。察するにこれは、
政府の方では、
昭和三十二
年度の
予算案の
予備費がきわめて少いので、
予備費がきわめて少いので、大幅な
経済を運営していく場合には、どうもこの
程度の
予備費じゃ足りない、どこかに
隠し財源をとっておかなければならない、その
隠し財源をここに求めておる、こんなふうにも理解をされるわけであります。
そのほか
揮発油税率の
課税対象となりました
自動車業者に対する
担税能力については、これも
委員会でもう少し
質疑を行いたいと思っておりましたが、
政府の見解とまた
業者の剛においても、また私
どもの公正な立場においても、いろいろ
議論があるところだと思うのであります。
現行税率を一きよに五割近くも
引き上げるという場合には、
担税者にとってはそれが非常なショックになるということは事実であります。この点を私は
政府はもう少し考えなければならなかったのではないだろうか、こう思うのであります。
政府の一部の人は私
どもに、そういうことを
社会党が言うことは、一部
業者の
負担軽減のために努力をする結果になる、だからおかしいじゃないか、という
議論もかなり行われておりましたけれ
ども、私は、これは本末転倒であると思います。かりに
政府の見解を認めたといたしましても、私は今の
業者が笑いがとまらないというほどたくさんの利潤を得ているとは思いません。笑いがとまらないほど利潤を得ているところのものは、むしろ
日本の
経済界において独占企業といわれる一部の
産業界に多いのであります。ところが、こういうところに対しては、
政府は手厚い保護を加える。あるいは
租税特別措置法で
議論いたしましたようにこの面についてはいろいろな
免税を与えておる。そしてある
程度利潤があるからということで、そこに五割近くもの
引き上げを行なって
道路整備の犠牲にさせるということは、まことに穏当を欠いておる。私
どもはそう考えるのであります。特に
社会党として強調しなければならぬ点は、この結果運輸関係に従事しておるところのたくさんの労働者、これに対してしわ寄せがくるということであります。
業者が今回のような大幅な
課税率をかけられたために、そうでなくても悪い条件のもとで働いておる運輸関係労働者、これらの労働条件が低下をする。そうしてその結果が交通安全の面においてもいろいろな
影響を与える。労働者にとっては労働条件の低下になってくる。こういう点が一番
賛成しがたい点であったわけであります。また、この論をもう少し進めていきますと、
政府のその他の政策と相待って鉄道料金の
引き上げが尾を引いてこの
ガソリン税の重課税のために今度はバス料金の
引き上げということになる。
国民生活全般に対して
影響を与える。私
どもはその点を心配して、
政府の提案に対しては鋭い批判を加えて参った次第であります。幸いにしてこの
政府の提案に対する矛盾と誤まりを是正するために
参議院の
審議が進められて、今緑風会から
修正案の
提出となりましたことは、
参議院の良識を示すものとして、私はまことに喜ばしいことだと思うのであります。
わが党は基本的には、
政府が
道路整備に積極的な態度を示して
予算案にもっと大幅な
一般財源を用意しないで、ただ
揮発油税、
地方道路税の
増徴だけはかるということに対しては
反対でありましたけれ
ども、この際、
修正案に良識を感じますから、あえてこの
修正案に
賛成をいたすものであります。これが私
どもの
杉山委員提出の
修正案に
賛成する理由あります。