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1957-04-05 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月五日(金曜日)    午後四時五十五分開会   —————————————   委員異動 四月四日委員下條康麿君、栗山良夫 君、椿繁夫君、野溝勝君、江田三郎 君、鮎川義介君及び野坂参三君辞任に つき、その補欠として田中茂穂君、小 酒井義男君、柴谷要君、大倉精一君、 藤田藤太郎君、市川房枝君及び岩間正 男君を議長において指名した。 本日委員小酒井義男君及び前田久吉辞任につき、その補欠として栗山良夫 君及び野田俊作君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            大矢  正君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            稲浦 鹿藏君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            塩見 俊二君            高橋進太郎君            土田國太郎君            苫米地英俊君            田中 茂穂君            宮澤 喜一君            天田 勝正君            大倉 精一君            栗山 良夫君            柴谷  要君            藤田藤太郎君            杉山 昌作君            野田 俊作君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵省主税局長 原  純夫君    建設政務次官  小沢久太郎君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○揮発油税法案内閣提出衆議院送  付) ○地方道路税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  議事に入ります前に、委員異動がありましたので、御報告いたします。  昨四日付をもって、委員椿繁夫君、野溝勝君、野坂参三君、鮎川義介君、下條康麿君、栗山良夫君、江田三郎君が辞任され、柴谷要君、大倉精一君、岩間正男君、市川房枝君、田中茂穂君、小酒井義男君、藤田藤太郎君が選任せられ、本日付をもって、小酒井義男君及び前田久吉君が辞任栗山良夫君及び野田俊作君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) まず理事補欠互選の件に関してお諮りいたします。  去る三月二十日江田理事委員辞任に伴い、理事に一名欠員を生じておりますので、この際その補欠を互選いたしたいと存じますが、先例により、成規の手続を省略し、委員長指名に御一任願うこととして、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。それでは理事大矢正君を指名いたします。   —————————————
  5. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) それでは、揮発油税法案及び地方道路税法の一部を改正する法律案、以上二案を一括議題といたします。  御発言もないようでありますから、両案の質疑は終了したものと認めます。  両案に対し木内四郎君及び杉山昌作君から、それぞれ委員長手元修正案提出されておりますので、この際、本修正案について、発議者より趣旨説明を聴取いたします。
  6. 木内四郎

    木内四郎君 修正案文はすでに委員長を経ましてお手元へ配付しておりまするので、朗読を省略いたしまして、速記に載せることをお許し願いたいと思います。   —————————————  修正案趣旨を御説明申し上げます。修正趣旨は、本案の成立が改正案で予定した施行日昭和三十二年四月一日後となりまするので、それに伴いまして、法律案附則における所要規定を次の通り修正整備しようとするものでございます。  第一は、附則の第一項における施行の日を、「昭和三十二年四月一日」とありまするのを、「公布の日の翌日」ということに改めることにいたしたいのであります。  その次は、法第十条第一項における移出数量等申告は「毎月その製造場から移出した揮発油」について申告義務があるのでありまするが、昭和三十二廣四月分につきましては、これを「この法律施行の日から同年四月三十日までに移出した揮発油」について申告するように改めるために、新たに附則第三項として、現在の附則第二項の次に一項を設けようとするものであります。  先般成立いたしました新しい租税特別措置法によりまして、航空機燃料用揮発油に対する免税につきましては、昭和三十二年四月一日から揮発油税法施行の日の前日まではこの租税特別措置法の適用を受けることとなりまするので、同法により免税承認を受けて引き、取った揮発油改正法律施行の日以後に他の用途に消費した場合等の徴収規定を付則第二十三項に、その際の税率は新法の税率によることを附則第七項(現在の附則第六項)に追加して規定しようとするものであります。  その次には、租税特別措置法による航空機燃料揮発油及びゴム溶剤用工業用揮発油免税措置を、昭和三十二年四月一日から実施するよう当初規定してありましたのを、揮発油税法施行の日から実施するように、附則第二十二項(現在の附則第十九項)を改めようとするものでございます。  次に道路整備費財源等に関する臨時措置法及び日本道路公団法規定における「当該年度揮発油税法による揮発油税」とありまするのを、当該年度揮発油税法が新旧二本あることとなりますので、これを明確化するため、新たに附則第十七項及び附則第二十一項を設けて、「当該年度揮発油税」と改めることにいたしたのであります。  以上の改正に伴い、附則の各項の番号に異動を生ずるため、所要改正を行おうとするものでございます。  地方道路税法の一部を改正する法律案についても、同様、施行期日等について所要改正を加えようとする修正案でございます。
  7. 杉山昌作

    杉山昌作君 修正案はお手元に配付してございますので、朗読は省略させていただきまして、速記録に掲げることのお許しを願いたいと存じます。   —————————————  修正は二点にわたっております。  第一点は、増税額修正でございます。揮発油税法案の第九条中、「一万四千八百円」とあるのを、「一万四千円」に改める。それに関連するところの若干の条項改正を行う。  もう一つは、地方道路税法改正案におきまして、第四条の規定中「三千五百円」とあるのを、「三千二百円」に改める。それに関連した若干の条項修正でございます。配付案で詳細御了承願いたいと存じます。  まず、この修正の理由を申し上げますが、今日、日本経済産業を発展させるのに、道路整備開発が緊要であるということは、これはどなたも異論のないところでありまして、政府も着着一の方向に向って御努力なさっておるわけでございます。ただ、その財源につきましては、先年揮発油税目的税のようなものになって以来、ほとんどもっぱら、揮発油税収入をもって財源とする。一般財源というものは非常に微々たるものであるというようなことでありまして、その結果は、揮発油税が今日までも累次の増高を来たしております。また再びここでもって増徴するということで、いかにもこれは自動車業者にとりまして、負担が重くなっている。そのことは、直ちに運賃の引き上げというふうなことから、一般物価にもはね返ってくるだろうということをおそれるのでありまして、従って、何とかして、税率増徴最低限にとどめる必要があるのではないかということを考えておるわけであります。むろん、これは政府においても、その趣旨で立案したこととは重々存じまするが、そういう見地から、政府の出されておりまする揮発油税地方道路税、合せての値上げ率六千三百円、あるいは衆議院修正案の五千三百円というふうなものを、どういうふうな基礎でその金額が出てきたかということの資料をちょうだいいたしまして、詳細に検討して、結局は、ガソリン消費量を三百九十万キロとしているところに、何か違いがあるのじゃないかということで、この点に向いまして、論議あるいは質疑が集中したことは、皆さん御承知の通りでありますが、その質疑の過程からわれわれが受けましたことは、三百九十万キロというのは、なるほど今日政府の一応のめどであるということにはなっておりますけれども、現に政府の中におきましての、自動車運輸に非常に有力なところの省の資料には、四百二十一万キロというものが現に存在しているのであります。それから見ましても、政府の三百九十万キロというものが絶対不動のものではないのじゃないか。若干ここに変え得る余地があるのではないかという印象を持ったわけであります。そうして、さらに方面を一変えまして、今日までのこの揮発油税予算を作るときに、どういうふうな基礎でやっておったかということを振り返って見ますと、毎年々々政府は、今年と同じように、今日の情勢ではこの数量が一審見込みとしては正しいのだ、一番確かな数字だということを言ってこられたのでありますけれども、これを実績と比較しますると、昭和二十七年度以来、大体一割程度伸びが出ております。予算に対して一割の伸びが出ている。もちろん政府予算を編成されるときには多少の安全率をもってやられるのは、これはもっともな話でございます。その意味で、若干の伸びが出ることは、これは当然だと私たちも思うのでありますけれども、今日のこの揮発油伸びということは、これが直ちに税率を幾らにするかということに関係してくる。安全率をよけいに見れば、それだけ税率は高くなるというふうなことに直接の影響があることであります。税率引き上げ最低限にとどめたいということは先ほど申し上げた通りであります。従って税率をなるべく低く、なるべく国民負担を少くするようにという観点からさかのぼりまして、伸びをどの程度に見る方がいいかということが一応の考究の焦点になるのじゃないかと考えるわけでありまして、今日までの政府予算実績との比較から見ますると、その安全率はおよそ一割を見ているということでありますので、一割では——今日税率との関係から考えまして、安全率はもう少し減らしてもいいではあるまいかということから考えまして、これを五分の伸び、五分の安全率を見る。すなわち三百九十万キロよりも五分ふやしたところをもって基礎として税率を算定するという方が適当であろうと、かように考えたわけでありまして、従って三百九十万キロにかえまして四百九万五千キロという数字をもとにして計算いたしますると、揮発油税及び地方道路税合せて四千二百円という数字が出てくるわけであります。これを政府原案あるいは衆議院修正案と同じような割り振りでもって、揮発油の方が三千円、地方道路讓与税の方に千二百円割り振りをいたしまして、この改正案数字を作ったわけでございます。  以上の通りに、税率は減少いたしましたけれども、実際上、揮発油消費量を実際に合せてありまするので、予算執行する上におきましては、今日予算に計上しておりますところの五百四億、揮発油税の五百三億九千四百万円、地方道路税の百十三億七千三百万円というものに対しまして、ほとんど同じ収入が得れるはずでありまして、従って予算執行上何らの支障はないという見通しをもちまして、この修正をいたしたような次第でございます。  次に修正の第二点は、施行期日の問題でありまして、これは先ほど木内委員の方から御説明になりましたこと、それと改正が全部同じでございますので、説明を省略さしていただきます。
  8. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) ただいま説明を聴取いたしました修正案のうち、杉山君の修正案予算を伴うものでありますから、国会法第五十七条の三の規定により、内閣に対し意見を述べる機会を与えなければなりません。よって、この際、ただいまの修正案に対し、内閣から意見を聴取いたします。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 揮発油税法案及び地方道路税法の一部を改正する法律案に対する修正案について、国会法第五十七条の三の規定によりまして、内閣意見を申し述べます。  揮発油税法案及び地方道路税法の一部を改正する法律案に対する修正案のうち、税率にかかる部分は、これを実施することにより、衆議院修正後の揮発油税及び地方道路税収入見込み額に対し、揮発油税において約二十三億円、地方道路税において約九億円、合計三十二億円の減収を生ずるものと見込まれ、すでに成立いたしました三十二年度予算執行に重大な影響を与え、財政の健全化を著るしく害するものと考えますので、政府としては、修正案中の税率にかかる部分については反対でございます。
  10. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 別に御発言もなければ、これより揮発油税法案及び地方道路税法の一部を改正する法律案、(いずれも衆議院送付案)及び木内杉山両君修正案を一括して討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。    速記をとめて。    〔速記中止
  11. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記を始めて。
  12. 木内四郎

    木内四郎君 私は、自由民主党を代表いたし決して、ただいま杉山委員から提案されました案のうち、税率に関する点につきましては反対でありまして、その他の修正部分、及びそれを除きました衆議院送付原案につきまして賛成意見を述べたいと思います。  杉山委員の今御説明になりました修正案根本は、歳入予算基礎になりました揮発油消費見込み量をこの際動かしてみよう、それによって税率を下げよう、こういう意味であるのでありますが、まず第一に、一般的に申しまして、歳入予算基礎となりました数字に対しまして、確たる根拠もなく増減することは、ただいま大蔵大臣の言われましたように、非常に危険であり、かつ不健全であると存じまするので、この根本に対して、まず賛成をいたしかねるのであります。衆議院におきましても、ガソリン税の引き下げにつきまして、いろいろ協議されたようでありますが、その際におきましても、いろいろな点は工夫されたようでありますけれども、この根本の、歳入予算基礎となった消費見込み数量に対しては手をつけなかったのであります、しかるに、この良識の府と言われるところの参議院におきまして、この点について手をつけるというようなことは、私ども賛成することはできないのであります。ことに、過般来、歳入見積りにつきましては、ややともすれば、過大になるじゃないかというような意見をしばしばお述べになった方方が、この期に参りまして、歳入予算のもとであるところの消費見込み量につきまして水増しようというような御意見を出されることは、われわれの理解し得ないところでございます。さらに、この修正案具体的内容につきまして、さっきお話がありましたが、この点につきましても、計算上非常な誤まりがありまして、かつ危険であると思いまするので、私どもは、そういう意味から言いましても賛成できません。たとえば、課税実績数量予算に対する増減の率を、過去三カ年間振り返ってみますと、二十九年度におきましては、予算に対して、たしか一九%、一九・三%の増がありました。しかるに、その後だんだん予算の編成が適実になって、見積りが非常に実情に近くなって参りまして、三十年度におきましては、それが八・二%、さらに三十一年度におきましては六・二%になっておるのであります。にもかかわらず、数年来ずっと一割ずつ予算について増しておるということは、これは非常に大きな誤りでありまして、だんだん実績予算に対して増す率が減少して、昨年度におきましては、大体六・二%程度になっておりまするのを、しいてこれを一〇%に上げて、その半分だから、それだけはまあいいだろうというようなことは、これは非常に危険であり、不健全であると思うのであります。さらにまた、本年度見込みについて見ますると、二十九年度におきましては、前年度に対して八%、すなわち一〇八%予算に見込んでおる。三十年度におきましては、五・四%、三十一年度におきましては九四%でありますが、それを今度の予算におきましては、二一・四という大幅な消費見込みの増を見込んでおるのであります。その上に、さらに今申し上げたような誤まった基礎のもとにおいて、その半分の五%を加えるというようなことは、これは非常に歳入予算見積りにおきましては危険なのだと思うのであります。ことに、また、消費量増加見込みにつきましても、これは見込んでも、今日外貨予算割合に大きく見まして、この余裕がありません。そこで、外貨予算の裏づけもない、そういうものを消費の中に見込むということはどうかと思うのであります。また、先ほど運輸省が、かつて一つの参考として、試算として出した数量についていろいろお話がありましたが、これにつきましても、たとえば、自動車台数につきましては、昨年の十一月提出されましたところの三十五年度までの増加見込み、こういうものに対して、突如として大きな水増を加えて、三十二万台もの増を見込んだ、しかも、消費量につきましても、非常に独断的の水増しを行なっておるのでありまして、こういう点にかんがみまして、政府におきましても、この数字は詳細に検討したのであります。その結果、政府は不適当としてこれを採用しなかった、そうして、三百九十万キロリットルというものを採用したのであります。それに対して、こういう不確定、あるいは水増し、そういうも一のを基礎にして修正案を出される、歳入見積りをされるということは、非常に危険であると思いますので、私はその意味におきまして、これに対しては賛成することはできないのであります。    〔栗山良夫君「議事進行発言に間違いがある」と述ぶ〕
  13. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 討論中でありますから。
  14. 平林剛

    平林剛君 私は社会党を代表して、ただいま杉山君から提出をされた修正案に対して、賛成討論を行いたいと思うのであります。  今日まで政府から提出をせられてきました揮発油税法案地方道路税法案について、いろいろと審議を加えて参りましたけれども、私どもとしては、この政府提案に対しても、また、この二つの法律案が議会において審議中の段階におきましても、政府がとられた態度はまことに遺憾に存じておるわけであります。その一つは、院議を非常に軽視をしておるということであります。揮発油税につきましては、今日でも一キロリットルに対して一万一千円、地方道路税を含めると一力三千円という高い負担になっておる現状でありますので、これ以上の増徴は無理であり、絶対に反対をするという決議が、衆議院運輸委員会で昨年の十二月三日に行われておるわけであります。参議院においても、十二月四日に同様の決議がありました。ところが、二、三カ月を出でずして、政府の力では、この決議を踏みにじって今回のような提出になりました。私は、これはたとえその委員会税率をあずかるところの委員会でなくとも、運輸委員会で慎重に諸般事情を考慮して決議をされたことに対して、少しも顧みないで、このような法案提出に至ったことに対しては、院議尊重という意味でまことに遺憾に存じておるわけであります。  第二には、政府道路整備に対する熱意があやまった方向で強調されておるのではないか、こういうことが指摘をされると思うのであります。今日の日本道路は、廃業経済の発展のために、一日も早く整備して、産業の隘路を解決しなければならぬということについては、私ども、また何人もこれを認めるところであると思います。従って、そうであるならば、政府基本政策として、道路建設整備のために、財源を十分に用意すべきであったはずであります。ところが、予算面に現われた数字は、わずかに四十四億円である。昭和二十九年の五月二十日の閣議におきましては、道路整備五カ年計画を検討して、事業費二千六行億円の中で、揮発油税に依存すべきものは千四百億円程度決議がされておる。これは当時の必要財源の五四%でありまして、まあ、一般財源から捻出しようとする考え方であったと思うのであります。政府も、道路整備に要する一般経費と、目的税としての揮発油税地方道路税に依存すべき割合を、こういうふうにきめておったのであります。ところが、今政府から提出をされた法案を見ますと、揮発油税、いわゆる目的税に頼るものは五百三億円、政府一般財源はこれに対して、わずかに四十四億円である、一〇%にも満たない数字であります、私はそういう意味で、政府道路整備に対する熱意程度というものがここからもうかがわれるのだと思うのであります。  第三には、揮発油税課税率根拠が、先ほど杉山委員から説明がありましたように、非常にあいまいである。しかも私に言わせると、たえず動揺して、定見がない。今回の増徴率は、初め一万数千円から出発をいたしまして、衆議院審議段階においては八千五百円、六千五百円、また五千三百円という工合に、変更が加えられまして、その根拠があいまいであることが次第に明らかになってきたのであります。これは私は、大へん国民の納得に苦しむところであると思うのであります。政府大蔵当局も、ただ、取らんかなの精神で課税率を高めている、こう言われても仕方がない。それに課税率基礎となりましたガソリン消費量についても、政府部内の意見はまちまちであります。運輸省においては大体四百二十万キロあるという資料を出しておる。いろいろな事情で、閣議ではこれを三百九十万キロに抑えたのでありますけれども諸般事情を検討いたしてみると、どうも常識的な消費量を無理に抑えたような感が濃厚になって参りました。この見込みについては、私はどちらが正しいかということは、時間が証明をすると思います。今後の経済界活況等を考えますと、消費量が増大するということはまあ常識でありまして、政府の統一した意見というものはあまりにも低きに失する。ある程度危険率を見るという点はわかりますけれども、それにもかかわらず、あまりにも低きに失する。私はこういう事実は、他の税法における課税率をきめる場合においても、これが妥当であるかどうかということに対して、一そう国民疑惑を深めることになるのじゃないだろうか。事、揮発油税の問題について今論議が集中されておりますけれども、こういうあまりにもあいまいな、一年たったらはっきするようなものを閣議で抑えてしまうということは、他の課税率に対しても国民疑惑を生むというような結果になりまして、好ましい傾向ではないと思うのであります。察するにこれは、政府の方では、昭和三十二年度予算案予備費がきわめて少いので、予備費がきわめて少いので、大幅な経済を運営していく場合には、どうもこの程度予備費じゃ足りない、どこかに隠し財源をとっておかなければならない、その隠し財源をここに求めておる、こんなふうにも理解をされるわけであります。  そのほか揮発油税率課税対象となりました自動車業者に対する担税能力については、これも委員会でもう少し質疑を行いたいと思っておりましたが、政府の見解とまた業者の剛においても、また私どもの公正な立場においても、いろいろ議論があるところだと思うのであります。現行税率を一きよに五割近くも引き上げるという場合には、担税者にとってはそれが非常なショックになるということは事実であります。この点を私は政府はもう少し考えなければならなかったのではないだろうか、こう思うのであります。政府の一部の人は私どもに、そういうことを社会党が言うことは、一部業者負担軽減のために努力をする結果になる、だからおかしいじゃないか、という議論もかなり行われておりましたけれども、私は、これは本末転倒であると思います。かりに政府の見解を認めたといたしましても、私は今の業者が笑いがとまらないというほどたくさんの利潤を得ているとは思いません。笑いがとまらないほど利潤を得ているところのものは、むしろ日本経済界において独占企業といわれる一部の産業界に多いのであります。ところが、こういうところに対しては、政府は手厚い保護を加える。あるいは租税特別措置法議論いたしましたようにこの面についてはいろいろな免税を与えておる。そしてある程度利潤があるからということで、そこに五割近くもの引き上げを行なって道路整備の犠牲にさせるということは、まことに穏当を欠いておる。私どもはそう考えるのであります。特に社会党として強調しなければならぬ点は、この結果運輸関係に従事しておるところのたくさんの労働者、これに対してしわ寄せがくるということであります。業者が今回のような大幅な課税率をかけられたために、そうでなくても悪い条件のもとで働いておる運輸関係労働者、これらの労働条件が低下をする。そうしてその結果が交通安全の面においてもいろいろな影響を与える。労働者にとっては労働条件の低下になってくる。こういう点が一番賛成しがたい点であったわけであります。また、この論をもう少し進めていきますと、政府のその他の政策と相待って鉄道料金の引き上げが尾を引いてこのガソリン税の重課税のために今度はバス料金の引き上げということになる。国民生活全般に対して影響を与える。私どもはその点を心配して、政府の提案に対しては鋭い批判を加えて参った次第であります。幸いにしてこの政府の提案に対する矛盾と誤まりを是正するために参議院審議が進められて、今緑風会から修正案提出となりましたことは、参議院の良識を示すものとして、私はまことに喜ばしいことだと思うのであります。  わが党は基本的には、政府道路整備に積極的な態度を示して予算案にもっと大幅な一般財源を用意しないで、ただ揮発油税地方道路税増徴だけはかるということに対しては反対でありましたけれども、この際、修正案に良識を感じますから、あえてこの修正案賛成をいたすものであります。これが私ども杉山委員提出修正案賛成する理由あります。
  15. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行います。(「議事進行」「採決」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  これより採決を行います。「採決」「異議があるから言っているのじゃないですか」「宣言したじゃないか」と呼ぶ者あり)  採決の後に発言を認めます。  採決を行います。木内委員修正案は、施行期日及び施行期日修正に伴う規定整備に関するものであり、杉山委員修正案は、木内委員修正案税率の引き下げ及び引き下げに伴う規定整備に関するものが加わっておるのでありまするから、まず両修正案の共通部分を除きまして、杉山案中の税率引き下げ及びこれに伴う規定整備に関する部分杉山案のうちの税率の引き下げ及びこれに伴う規定整備に関する部分を問題に供します。(「問題だな」「そんなやり方あるか」と呼ぶ者あり)  本修正案に、(「共通部分とは何だ」「そんなことあるのか」と呼ぶ者あり)本修正案に……。  速記をとめて。    〔速記中止
  16. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をつけます。  それではもう一ぺん申し上げます。  木内委員修正案は、施行川口及び施行期日修正に伴う規定整備に関するものであり、杉山委員修正案は、木内委員修正案税率引き下げ及び引き下げに伴う規定整備に関するものが加わったものでありますので、まず両修正案の共通部分を除き、修正案税率引き下げ及びこれに伴う規定整備に関する部分を問題に供します。  本修正案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  17. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) で、可否同数であります。よって、国会法第五十条により委員長が決します。委員長は本修正案賛成であります。よって、杉山君の修正案中、税率引き下げに関する部分は可決されました。(拍手)  次に、木内君の修正案及び杉山君の修正案中の共通部分、すなわち、施行期日及び施行期日修正に伴う規定整備に関する修正案を問題に供します。本修正案賛成のお方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  18. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって、施行期日及び施行期日修正に伴う規定整備に関する修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く揮発油税法案及び地方道路税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。修正部分を除く原案に賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  19. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって、揮発油税法案及び地方道路税法の一部を改正する法律案は、いずれも修正議決すべきものと決しました、  なお、諸般の手続は、先例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから、多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     平林  剛  天坊 裕彦     大矢  正  藤田藤太郎     栗山 良夫  大倉 精一     柴谷  要  杉山 昌作     野田俊作  市川房枝     岩間正男  天田勝正
  20. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 委員会はこれにて散会します。    午後五時四十三分散会