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1957-03-27 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十七日(水曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   委員異動 三月二十六日委員成田一郎辞任につ きその補欠として泉山三六君を議長に おいて指名した。 本日委員泉山三六君辞任につき、その 補欠として下條康麿君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            稲浦 鹿藏君            木暮武太夫君            塩見 俊二君            高橋進太郎君            土田國太郎君            苫米地英俊君            下條 康麿君            宮澤 喜一君            大矢  正君           小笠原二三男君            栗山 良夫君            椿  繁夫君            野溝  勝君            杉山 昌作君            前田 久吉君   衆議院議員            小山 長規君   政府委員    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵省主計局法    規課長     中尾 博之君    大蔵省主税局長 原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○所得に対する租税に関する二重課税  の回避及び脱税防止のための日本  国とスウェーデンとの間の条約の実  施に伴う所得税法特例等に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○漁船保険特別会計における給与保  険の再保険事業について生じた損失  をうめるための一般会計からの繰入  金に関する法律案内閣提出衆議  院送付) ○補助金等臨時特例等に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法案内閣提出衆議  院送付)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  議事に入ります前に委員異動を御報告いたします。  三月二十六日付をもって成田一郎君が委員辞任し、その補欠として泉山三六君が選任せられ、本日付をもって泉山三六君が辞任し、その補欠として下條康麿君が選任されました。   —————————————
  3. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) まず所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スエーデンとの間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案議題といたします。  質疑を行います。——質問はないものと認めてよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入りますが、御意見のあるお方賛否を明らかにしてお述べを願います。——発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国スエーデンとの間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案衆議院送付通り可決することに賛成お方挙手を願います。    〔賛成者挙手
  6. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致でございます。よって本案衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般手続慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから委員会報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     木内 四郎  西川甚五郎     平林  剛  天坊 裕彦     青木 一男  塩見 俊二     土田國太郎  苫米地英俊     宮澤 喜一  大矢  正     栗山 良夫  椿  繁夫     杉山 昌作   —————————————
  7. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、漁船保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案議題といたします。  まず、内容説明を聴取いたします。
  8. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) きわめて簡単な法案でございますので、先の提案理由説明で大体尽きておりますが、若干補足いたします。
  9. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 簡単に……。
  10. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 従来この会計におきましては、漁船乗組員給与保険経理をいたしているのでございますが、漁船事故が非常に発生いたしますと、損失が発生いたします。この損失を埋めます場合には、一般会計からこれを埋めるほか全然方法がないものでございます。従いまして、これを一般会計から埋めてやるという法案でございます。  埋めまする内容といたしましては、昭和三十年度の決算におきまして、五百六十二万二千円の損失が残高として残っております。これを引き続き繰り越しておりまするので、これを埋めまするものと、さらに昭和三十一年度におきましても、本年二月末までの状況を締め切ってみますと、さらに八千九百十八万七千円の損失がすでに生じておるのでございます。そこで今回この二つの損失を埋めまするために、昭和三十一年度におきまして、一般会計から九千四百八十万九千円を限度といたしまして、この会計給与保険勘定繰入金をすることができるという法律をお願いいたしておるものでございます。(「了承」と呼ぶ者あり)
  11. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 質疑を行います。質疑はございませんか。——質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「討論なし」と呼ぶ者あり)御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。漁船保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案内閣提出衆議院送付)を問題に供します。本案衆議院送付通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  14. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 全会一致でございます。よって本案衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、及び第七十三条により議長に提出すべき報告書作成等につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから委員会報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見着署名     木内 四郎  西川甚五郎     平林  剛  天坊 裕彦     青木 一男  塩見 俊二     土田國太郎  苫米地英俊     宮澤 喜一  大矢  正     栗山 良夫  椿  繁夫     杉山 昌作   —————————————
  16. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、内容説明を求めます。
  17. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 説明を補足して申し上げます。政府といたしましては、国の財政並びに地方財政というものの負担区分を是正いたしまして、それぞれの健全化をはかるということ、それからいろいろ問題のございまするところの例補助金というものの制度合理化していくということのために考えまして、昭和二十九年度以降予算におきましても所要調整を加えておるわけでございまするが、法律措置を講ずる必要があるものにつきましては、補助金等臨時特例等に関する法律の御議決を願いまして、所要措置を講じて参ったものでございます。今回はこれを引き続きまして、さらに昭和三十三年三月三十一日までこの法的措置の分を延長することを御議決願いたいと存じまして立案しました法案でございます。  政府といたしましては、従来に引き続きまして、補助金制度合理化につきましてはなおできる限りの努力を払っておるところでございます。  概要を申し上げますならば、予算編成の際におきましていろいろ検討いたしますることはもちろんでございまするが、それ以外にも諸般批判は随時あるわけでございまして、それらを検討いたしまするとともに、さらに各省共同いたしまして補助金実態の調査というようなことも進めておる次第でございます。昭和三十二年度の予算編成に当りましても、このような建前から各種の補助金等整理につきましていろいろ検討をいたしまして、所要調整を加えた次第でございます。その金額は四十一億円ほどに上っておる次第でございます。  かかる補助金整理仕事と申しますか、合理化仕事は、何分にも補助金の数が非常に多く、その種類もいろいろでございまして、これに対する検討は一律にこれをおしなべて行うことはなかなか困難でございまして、一つ一つ実情に即した検討を加えて、全体の体制を整えていくという仕事でございまする関係上、まだ全体の整理の終った姿、終るべき姿はどのようなものであるかという見通しと申しますか、最後の姿というものを把握するに至っておりません。これはなお急いで取り進めておりまするが、相当の時間を要することと考えます。しかしながら政府といたしましては、一日も早くその全体の措置を終ることに努力をいたしておる次第でございます。  このような情勢のもとにおきまして、本法の措置につきましてもなお一年間これを延長していただく、これが先ほど申し上げました四十一億円の予算上の措置によるところの補助金整理整理と申しましても必ずしもこれは減らすという意味ではございません。地方財源に振りかえる分もあるわけでございます。それと並びまして本件措置を継続していきたい、こういうものでございまして、本件措置によりまして、もし本件措置が行われないということになりました場合と本件措置を行う場合、引き続き延長する場合とにおきましては約十九億円の国費節約ができます。国の予算におきまする、国の歳出としての節約ができることになっております。もちろん地方財政計画の方の計画におきましては、これに見合う分がよけい要る関係になっておる分が多いのでございまするが、そういう関係になっております。  なお、法案内容といたしましては従来のものに変りはございませんが、なおこの補助金整理という仕事、いろいろむずかしうございまして、いろいろな御批判もありますが、やはり補助金には補助金のやはり目的がございまして、それを廃止いたしました結果、その行政が衰えるということではごく行き過ぎになるのでございまして、いろいろそういうものを検討いたしました結果、おおむねのものはこれを延長していただく。ただし国立公園法に基くところの補助金につきましては、これを従来は停止いたしておったのでございますが、国費直轄事業の方に重点をおいて、こまかいところは地方の方にお願いするという構想で始めたのでございますが、これはいささか時期が早かったと申しますか、その措置は必ずしも適当な結果でございません。国立公園全体の事業が必ずしも意図した通りに進みません関係上、その補助金制度は今後は復活していった方がよろしいという見通しを得まして、従いましてこの国立公園法に基く補助金に関する部分は除いてございます。その点が昨年の分と違う点でございます。ほかはそのままの継続の形になっております。
  18. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 質疑を行います。——質疑はないものと認めまして、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  19. 平林剛

    平林剛君 私はこの法律案について反対をいたします。反対理由を簡単に申し上げます。  この法律案について私は質疑を省略しましたのは、何回も繰り返して政府に要望してきておる補助金整理合理化について、もうあと政府の方で具体的に実行に移し、もっと努力して補助金整理合理化検討し、早く結論をつける、こういうことだけに尽きるからであります。元来昭和二十九年の春、政府の方では、いわゆる一兆円予算権衡予算ということで、補助金整理を行いましたけれども、大へんそれがずさんで、急場のがれの整理が行われました。中には整理すべきでないものも整理をする。また中には当然整理しなければならぬものも残してある。こういう工合で、一つ一つを当れば際限がないくらいにいろいろな角度から批判があるわけであります。ところがその根本的な解決をするための努力政府はしておると言うのでありますが、今日に至るもまとまった結論というものが出てこない。そうして常に臨時特例等に関する法律案ということで一年、一年にのがれてきておる。まことに私どもとしては遺憾なことだと思うのでございます。ことしのように非常に経済界が従来と違って活況を呈し、政府の方でもいろいろな面において全般的な政策を検討すべき時期であるにもかかわらず、この問題については整理を怠っておる、こういうこともまことに遺憾なことであります。特に本委員会におきましては、先般来から所得税法、税三法についての審議を続けて参りまして、その中でも特に批判の強いのは租税特別措置法のごときものであります。本来であれば税の公平を欠いて租税特別措置を残すべきではない。これはむしろ行うとすれば、補助金に回してもいいものもある、こういうことも言えるのでありまして、この整理が進まないために、あらゆる面において不合理なところが生まれてきております。私どもはこれら従来から批判をしておりました点を理由として、この法律案反対をするものであります。同時に政府においては、私が述べたよう批判にこたえて、一日も早く全般的な整理を終り、補助金合理化のために努力をしてもらいたい、こういうことを要望しておきます。
  20. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 他に御発言はありませんか、——それでは討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案衆議院送付通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  22. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 多数であります。よって本案は、衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書作成等につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから委員会報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     木内 四郎  西川甚五郎     天坊 裕彦  青木 一男     稲浦 鹿藏  塩見 俊二     下條 康麿  土田國太郎     苫米地英俊  宮澤 喜一     杉山 昌作   —————————————
  24. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案  法人税法の一部を改正する法律案  租税特別措置法案  以上三案を便宜一括して質疑を行います。
  25. 大矢正

    大矢正君 きのうは法人税法の中で、特に人格のない社団等に対する課税につきまして質問を行なったのでありますが、局長答弁によりまして輪郭というものが大分明らかになって参ったのでありますが、まだ不明確な点が非常に数多く残っております。二日間にわたってこの問題を取り上げて非常にしつこく尋ねるようでまことに恐縮ではございますけれども、将来において疑義が残ってはいけないと思いまするので、本日もまた人格のない社団ないしは財団に対する課税の点について質問をいたしたいと思います。  質問の第一点は、法の第一条の第二項で、「法人でない社団又は財団代表者又は管理人の定があり」という定義つけをいたしております。そこで人格のない社団ないしは財団代表者管理人定めが具体的にない場合には、どういう取り扱いをされるつもりかその点お伺をいたしたい。
  26. 原純夫

    政府委員原純夫君) 法人税法対象となりますためには、代表者または管理人定めがあるということのほか、収益事業を営むという条件がございます。そこでこの収益事業を営むものでありますれば、おそらくもう代表者管理人定めがあるというふうに思っておりますが、観念的にはないものがあるということもあるかもしれません。その場合は、法人税法対象にはしない。しかしおそらくそういう場合は外部においてもその団体に対する信頼関係といいますか、そういうようなものがなかなか成立しないというようなこともありましょう。実際問題としては収益事業を営むものは代表者または管理人があるというのがほとんど全部の場合ではなかろうかというふうに思います。なお、代表者または管理人というのは、はっきり規約等定められておらないから、暗黙のうちに人格のない社団財団を代表する、または管理するというものとして許されているものがあるという場合は、それで代表者または管理人があるというふうに考えてよろしいではないか、お尋ねの場合は、観念的にはあり得るわけですが、実際問題としてはおそらくなかろうと思います。
  27. 大矢正

    大矢正君 この法律が施行されて、それに伴う政令というものが出される。最初のうちは、こういう内容団体限定をして、あるいはこういう収益事業内容限定をして課税をするという考え方をもって行なったといたしましても、この第一条の第二項に掲げておる内容をもってしては、幾らでも網を広げることが可能になるという解釈が生まれて参ると思います。その場合に、もし詐欺的な行為によって納税をしない、脱税をしたというものに対しては、三年以下の懲役云々という体刑罰がついておるわけであります。正直に申告をするとすれば、その課税対象となるものがどれだけ広げられるかということに対する危惧もある。こうなって参りますと、勢い団体課税をのがれるために、今私が質問をいたしましたように、代表者や、あるいはまた管理人定めをしないような方向にいく可能性が生まれてくると思うのであります。こうなって参りますと、法律を作られるあなたの趣旨とは非常に相反する結果になると私は思いますし、そういうことが今日の段階においてすら、私は想像がされると思うのでありますが、そういう点も考慮されて、局長としては、それでもなおかつ、今言った答弁内容をもって今後当られるおつもりかどうか、その点再度お伺いをいたしたい。
  28. 原純夫

    政府委員原純夫君) たびたび範囲が明確でないといいますか、昨日のお話では、五尺の網がだいぶ大きくなるというふうな形でお話がございましたが、私どもこの一条第二項にあります収益事業を営むものという条件がはっきり入っておりますれば、その境はそう大きく違って参ることはあるはずがないと思います。これは別の例で言いますれば、所得税法におきましても、所得に対して税をかけるということになっております。所得概念も、収益事業範囲あるいは概念が問題となる。同様な意味においていろいろと議論があるわけでありますけれども、その法律でこれが網が非常に恣意的に違ってくるということは心配されてはおらないと思います。もちろん境目のボーダー・ラインのケースで議論があるということはございます。収益事業範囲につきましても同種の問題ではなかろうか。かつ、それにつきまして政令ではっきり業種を指定する。また収益事業意味を、カッコ書き衆議院で入りまして、継続して事業場を設けてなすものに限るということにいたしておるわけでありますから、立法として規定する概念としては、まずこれで大体はっきりするのではなかろうかというふうに考えております。  なお、さらにこういう形での税を納めることを逃げると申しますか、というような形のお話がございましたが、これはその場合、実質的に収益事業をやっておって所得がある。課税の公平上不公平である、不当であるというような事態が起りますれば、そのときまた考えてみたいと思います。実質的には、やはりそういう場合においても課税は公平にいくようにというよう結論が出るように配意すべきものだというふうに考えます。
  29. 大矢正

    大矢正君 法人税法第五条の第二項に「前項各号に掲げる法人は、同項の収益事業から生ずる所得に関する経理は、収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理区分して、これを行わなければならない」と、こうなっております。公益法人が行う、あるいは行なった収益事業については区分をして経理をせい、こうなっておるわけですが、人格のない社団もしくは財団の場合はこれに準ずる、こうなっておりまするからして、当然人格のない社団もしくは財団経理収益事業と目されるものと、これは理論としてそういうことは言えると思いますが、現実にはなかなか困難であろうと思うのでありますが、理論としていうとすれば、収益事業収益事業でないものの区分をして、そうして経理を行え、こうなっておるわけでありますが、この第二項の内容は前の法律通りであるからして、その問題をお尋ねをするのはちょっとおかしいかもわかりませんけれども、いろいろ人格のない社団にも関係があることなので、この区分の仕方というのは、一体具体的にどういうことになるのか、どういうよう区分するのか、その点をお答えをいただきたいと思います。
  30. 原純夫

    政府委員原純夫君) 区分経理ということは、たとえば国の会計においても特別会計がある、会社あたり経理にしましても、特別勘定を設けて経理をするというようなことがございます。またそれが会社全体を通ずる特別勘定でなく、工場ごとに別々に勘定を起して、工場の能率なり、あるいは原価なりを判定するということが、広く行われております。そういうよう意味で、区分経理をするというのは、かなりに一般に行われておる例のあることであって、こういうふうに法律としては規定いたし、あと実行上、いろいろな手続定めて参りますればいけるのではなかろうか。その際に特に問題になる点だと思われますのは、元入れと申しますか、資本に当るものを区分経理される。収益事業部分に、どれが資本になっておるか、また負債のどれがこの部分のものかというあたりについても、分けていただく、収入支出はもちろん分けていただくわけでありますが、そういうような点について、実態に即した経理をしていただくということに相なることと思います。
  31. 大矢正

    大矢正君 民法でいうところの公益法人の性格づけというものは、これは営利目的としたいわゆる法人ではないという立場、逆にいうならば、営利目的としたよう事業を行わないという前提の上に立って、民法上では公益法人という指定をしておるわけであります。この法律の中では、人格のない社団もしくは財団前項の規定によるという解釈からして、あるいは前項の規定を準用するという、こういう解釈からして、公益法人と同様な立場において扱うがごとくに、実のところは見れるのでありますが、実際においてはそうではなくて、あとの方へくると、それは普通法人と何ら変るところがないというようにしてこれを規定される。どうもその辺が不明瞭なのでありまして、ある面では公益法人と同様な性格づけを行い、ある面では普通法人と同様な立場に置く、こういう内容は、私としては非常におかしいのではないか、本質的に公益法人というものは、これは営利目的とした、ないしは収益を上げるための事業をすること、それ自身が私はおかしいのではないかと思うのでありまして、そういう点から考えて、内容というものが、公益法人的な性格を持った内容もあり、あるいはまた、ある面では普通法人と同様の課税をすべき内容もあるという、こういう複雑なのが人格のない社団であると私は思うのでありますが、そういう点から考えて参りますと、私はこの法律の中で一様にこれを規定づけるところに困難性があり問題点が残ると思いますが、局長としてはどのようにお考えかお答えをいただきたい。
  32. 原純夫

    政府委員原純夫君) この五条の二項で区分経理をする、それを新しい三項で人格のない社団等について準用するということは、これは所得の全部について課税するのじゃなくて、一部について課税いたします場合には、その所得に関する経理を分けてやらなければならぬということは技術的にそういうふうな要求が当然出て参ります。これはこの場合だけでなくて、たとえば六条の重要物産の免税をいたします場合に、免税所得はどれだけか、その裏には先ほど申しました資産、負債というようなものの経理もからまっているわけでありますが、そういう一連の関係は別個に経理をするということにいたしてもらうようにしてあるわけであります。それと同様のことで所得の全部じゃなくて一部について、ただいまの例は免税する方でありますが、一部についてだけかける、そうすればその分の経理を区別してやっていただくという技術的な要請に出たものであって、それゆえに人格のない社団について公益法人と本質において同じだという関係とはここはちょっと別だと思います。ただしその議論はもちろんある問題でありまして、人格のない社団財団が公益的なものか、あるいは営利的なものか、通常の事業会社に類するものであるかということは、実態を判断いたします場合にいろいろ考えにゃならぬ点だと思います。おそらくそこにニュアンスがありまして、事業会社的なものから公益的なもの、そうして公益目的が非常にはっきりしておりますれば多くは公益法人になってしまうであろうというふうに考えております。そこで今回の改正においてはそれらの点をいろいろ考えまして、全般としてこれを公益法人並みに扱うというまでの気持には必ずしもなっておりません。ことに経理の面のこの規定は先ほど申しました技術的な意味の規定であります。税率等につきましてはむしろ普通法人の場合と同様にかけるというふうにいたしております。
  33. 大矢正

    大矢正君 収益事業から生ずる所得に対する経理と、それからそうではない、事業か何かわかりませんが、そっから生ずる所得に対する経理、こういうふうに区分をしておるわけですが、法律を全部克明に読めば、課税をする場合の内容というものが明らかになるのかもわかりませんが、実は非常に私どもようなものが言葉の使い方があまりにもむずかしくて理解をするのに困難な面がありますので、念のためお尋ねをいたすわけでありますが、収益事業から生じた所得について、これはどういうようにして課税をしていくのですか、ちょっとお聞かせを願いたいのですが、明確に経理の上では二つに区分をしておる、そうすると収益事業から上った分については全部課税対象になるのか、たとえばもっと突っ込んで言えば、片方の、二つの事業をやっておる一つは収益事業であり、一つの方はこれはむしろ公共的な事業であるという場合の状態を考えた上でのお答えをしていただければ幸いだと思います。
  34. 原純夫

    政府委員原純夫君) 例で申し上げまして、何か人格のない社団で親睦団体だと、親睦のために会員が集まって会をやり会費を出しておるというようなもの、これは公益だと思えない場合が多いと思います。一定のグループの親睦団体、全然その人たちにとっては私利私欲、営利ということではなくて、親睦のための、若干個人的なものよりも広い意味がある、その辺の経理——会費が入る、それから総会費が出てくるというようなことがあると思います。同時に人格のない社団が物品販売業をやる、あるいは会員の必要とするものを一手で買い入れて販売するとか何とかいうようなことがあるとしますると、その部分経理は、これは分けて、それで所得、つまり収支の差でございますね、これは所得として経理する、そうしてそれは収益事業でありまするから、その分について法人税を納めるということに相なります。従いましてそれと収益事業以外の勘定とは一応別だということにして考えるわけであります。
  35. 大矢正

    大矢正君 そうすると、それじゃもう一つ別の形から質問したいと思うのですが、いずれも収益事業でその事業が一つなら一つ、かりに出版業なら出版業でもいいですが、一つやる、これが一つじゃなくて別な事業もある、こういう二つの収益事業を一つの団体がやっていて、一方は赤で片方は黒という場合はどうなるんですか。
  36. 原純夫

    政府委員原純夫君) それは二つの収益事業を総括して損益を通算して、ネットの利益なり損失なり、それに従って法人税の課税を決定してゆくということになります。
  37. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これはそういう今局長お話ようなことになると、大へんだと思うんですが、ちょっと具体的な例をあげてお尋ねいたしますがね、大阪港の振興クラブというのがある、これは公益法人でもないし、普通法人でもない、会員は三百か五百だろうと思います。この会の目的は大阪の港の振興とか施設の改善というふうなことを同好の人が寄って会を作っておるわけです、クラブを。月に経常費として五百円とか千円とか、まあ会費をかけている。ところがなかなかこの種の会合は月に一回かあるいは二回やることもありますが、なかなか会員が寄らない。そこで今非常に人気のいい映画でも一つ借りてきてやるということで会員を寄せよう。まあ重要な相談もその機会に、本来の相談もその機会にしよう。ところがその通常の会費だけではなかなか映画を借り入れてきてやるということができないから、臨時会費を取ってやった。ところがたまたま人気のいい映画をやったもんだから、普通のときに来る会員の数よりもこの会合にはたくさんの会員の集合があった。そこで今の区分経理の問題からいいますと、この映画をやったときに関してのみ、これは何ほか利益が——普通のつもりで会費を定めたんだけれども、案外集まる人が多かったものだから利益が出た。こういう場合にやはり今度の課税対象——その映画会をやったこと自体の収益がお考えになっておる課税対象になりますか。
  38. 原純夫

    政府委員原純夫君) その問題は、その映画をやるということが収益事業になるかどうかという判定が要る問題でございます。そういう会がたまたまある会合のときに会員を集めるために映画をやったということだけのことでは収益事業にはならないと思います。ただその会がもう月例のように毎月一回見せる、それがだんだんこの回数が多くなりますれば、継続して事業を行うというようなことになってくると思います。その辺の境目のことは問題でありますが、ただいまお話の程度の卒然と一回、二回やったというようなことで収益事業ということにはならないと思います。従いましてもうそれは法人税法対象にならない、区分経理の問題もないということになります。
  39. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これはこの月は映画でやった、来月は一つ浄瑠璃を聞いてみようかというようなことになって、それは結局その大阪港の振興に関する目的をもって集っておる会が、その会の成果を上げるために、ときにはそういうことを、この月は映画をやったが、来月は一つ浄瑠璃をやって人を寄せてみようじゃないか、ところがこれも人気がよくて引き続いて、損するかもわからなぬが、またこれの利益があったというような場合——あり得ることなんです、これは。そういう場合はどうですかね。
  40. 原純夫

    政府委員原純夫君) そういうことが継続的になりますれば、継続して収益事業を行うという範囲に入るものが出てくると思います。ただいま具体的な振興会というのをあげてのお話でありますから、その場合が実際どうかというのは、どのくらい継続しているかというのを伺って判定しないといかぬと思いますが、概して申しまして、継続的にやると認められるようになれば、それは収益事業をやる、そうして法人税の対象になるということになりますが、これはまあ具体例で申し上げるのはちょっとどうかしらんというふうに考えます。
  41. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 一回、二回ならそれはかまわんと思うけれども、それがずっと、それは毎月あるいは毎週そういうことをやるということになると、そのつど利益が上っておる。損するときもあるのですよ、これは。で、衆議院で何しました、継続した聖業場の分についてはまた別の機会に当局の御意見も承わりたいと思うのですが、私はそのかりにずっと今の例が継続して行われたとして、普通のときの会を維持するための会費ですね、会費だけだと損失なんです。それに映画をやったとか浄瑠璃を聞いたとかいうときに、何千円か何万円かの利益がかりに出た。そうすると、一般経費とこれは切り離してそのときの会合でできた利益分に対してだけ申告、報告を求めて、それに課税をするというお考えですか。
  42. 原純夫

    政府委員原純夫君) そういうことでございます。やはり収益事業と認定いたしますれば、その事業の損益で課税対象の額が決定していく、他の分は関係がない。ただまあ事業の損益から他の分に寄付が幾らできるかという問題はございますが、それ以外ではないというふうに考えております。
  43. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 そうすると、何ですか、えらい今年自然増収があったから、一つ今度施策で一千億減税してやろうというので、国民は非常にえらい喜んでおるのですが、この部分に関しては、これまでなかったやつを今度課税対象にされるというわけですから、これ、増収も大分見込んでおられるわけですか。
  44. 原純夫

    政府委員原純夫君) その点につきましては、特に初年度の三十二年度ではほとんど増収はないと思います。と申しますのは、この種の人格ない社団財団というのは、六カ月年度であるというのは非常に少くて、もう大部分が一年度のものである。そうしてこの改正を御承認願いました上におきましても、課税になりますのには、法施行後開始する事業年度分から課税することになりますから、かりに今月中に成立させていただいたといたしまして、一番早くて四月一日に開始する事業年度、この分が来年三月三十一日で終りで、それの申告納期は五月末になりますから、これは三十二年度の収入には入らないということになりますので、今年度収入としては特にこれを計算して加えるということはいたしておりません。
  45. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 初年度はだいぶ内輪に見積りのようですが、これは平年度になりますと、どのくらい増収になる見積りですか。
  46. 原純夫

    政府委員原純夫君) これは実はわからないのでございます。昨日も幾つかるかというのに対して百台か千台かと、まあ千台にしてもそう多い千台ではなかろうと思いますということを、私の個人的な勘として申し上げたわけでありますが、これはそれで税額が幾らになるということは、所得につきましても今まで調査が十分できたというような例がほとんどございませんので、調査してみませんとわかりませんのでちょっとわからない。まあしかし税額にして百万に上るものは少いのじゃないかというように思います。おそらく何十万台というもの、あるいはそれ以下のものもありましょう。そうしますとそれを三けた上げましてもせいぜい何億という程度のところじゃなかろうか、これは平年度でございますね。こういうふうにこれは私たちのごく勘で申し上げておりますので、実施いたしました上でだんだんデータが集りましたら、もっとはっきりいたすと思います。
  47. 大矢正

    大矢正君 私まだまだ体系的に質問する——と言っちゃちょっとおかしいかもしれませんが、ずっときのうから一貫をしてだんだん下の方へおりてきて質問するような考えでいるのです。実はまだだいぶあるのですが、野溝委員が時間の関係質問したという御希望があるので、私の質問あとに継続させていただくことにして野溝委員の方から……。
  48. 野溝勝

    ○野溝勝君 一、二お伺いしたいと思います。先般来、同僚委員の諸君から質疑がかわされたのでございますが、原局長の御答弁は非常にあいまいな点があるのでございます。良心的でない。この疑義のある法案を出されたことに対してあなた自身がこれは無理だったと思われませんか。それをあいまいにし、頬かむりでいる当局の気持はある程度はわかっております。しかし今椿委員が言われたように、減税だ税減だと言って、国民に減税するらしく宣伝しておきながら、社財団法人という、いわば公共性、社会性のある団体から税金を取りたいというのでございますから、そこに無理と偽装があり、割り切れないものがあるのです。この点に対し原さんの御見解を聞いておきたい。  第二の点は、こまかくなるのですが、大矢委員からるる論議をしている際のあなたの答弁の中で、一般法とこの慣習法との区分に対する答弁が非常に矛盾があると思います。法理論に根拠がなければ、立法府に関係を持っている者としては、その非理論性を承認し審議を進めるわけにはいかないのです。その点はあなた自身も割り切っておるわけなんでございますが、特に法的根拠のないものを提案することは危険であり、大胆であるといわなければならない点です。この点はっきりしないと本委員会といたしましては審議することも間違っておるのでございます。それからいま一つ、椿委員との質疑の中にもありますが、これがもし実施されるということになりますると、当局、特に前線の税務署の見解により社団あるいは財団等の人格なき法人に対し局長解釈しておるような弾力性あるものでない、もっと過酷措置が行われて収税に当られ、そのために人民との間にトラブルが起るのです。そうすると、何のための社団法人か、何のための財団法人か。右の団体は認可制をとり、一体特典を与えた政府が、みずから社団法人財団法人に挑戦をいどむというようなことになる、こういうような点はどう考えておるのか。  第四番目は、税務署の方々は局長の考えているように複雑ではない、管内の成績を上げるために、収税に対しては型通り猪突猛進をすると思うのです。更に局で示した収税目標というものが、本年度はとらないとしても、大体どのくらい収税になるかめどを立てるか、また予想していると思う主税当局の見解をききたい。局長はどのくらいかわからぬというけれども、大体これを実施するという場合における、初年度における収税というものは、どのくらいあるか、くどいようですが、この点について一つ御答弁を願いまして、続いて私は質問したいと思います。
  49. 原純夫

    政府委員原純夫君) 第一の点でございますが、人格のない社団財団の公共性、社会性という点についてでございます。いろいろあると思います。公共性、社会性がもう全然なくて、商売そのものだというようなものもあると思います。同時に非常に公共性、社会性の強いというものもあると思います。その間に微妙なニュアンスをなしていろんな団体が並んでおるということであると思います。そこで私どもこの改正をお願いいたします際に、これは先ほども大矢委員からお尋ねのあった点にもからむわけでございますが、どういう性格としてそれを割り切るかということをいろいろ考えたわけでありますが、結論としては、普通法人として取り扱うのを原則的にする。ただし長年疑問がありながら、いわばきちんとした執行ができてない部面でありますから、急激な変化を避けるという意味もあって、この収益事業範囲については継続して事業を行うというようなものを加えて、かつ執行上においてもトラブルのないように十分慎重にいこうというような考え方に立っております。  第二点の一般法の根拠がないものを法律に盛り込むということについてのお尋ねでございますが、これは昨日も話が出ましたように、社団または財団という概念は、これは民法ではっきり使っております。そして今回、それをその上に法人でないというのを加えまして、法人でない社団または財団ということになります。社団または財団という概念がはっきりしており、そうして法人でないということも、これは法人であるかないかは形式的にはっきりわかるわけでありますから、それははっきりわかるというふうに考えるわけで、概念規定としての一般法ははっきりあると思っております。ただ望むらくは、もっと単なる概念がそこにあるというだけでなくて、そういう概念が示すところの実体、こういう社団財団について、いろんな各実効的な規定の適用についての一般法の規定というようなものもあるといいと思うのでありますが、その辺が整備されてない。それについては私ども早くそういうものが整備されるようになることを望んでおるんでありますが、何分税の面で実際に収益事業をやっておるという場合には、その所得に対して公平に税がかかるということにしなければおかしい。これは私どもだけの考えでなくて、先日来毎日新聞の「税金にっぽん」あたりにも、これは一般の声としてそういうものが出てきておるようなわけでありまして、若干そういう体系的な意味で若干のちぐはぐはあるかもしれませんが、これは実情上やむを得ないと思ってお願いしておるわけでございます。  第三の執行に当って、第一線の税務官吏が非常に過酷なことをやりはせぬかというような点につきましては、私どももあらゆる手を尽してそういうことのないようにいたすつもりであります。これは税のことは何分権力的に徴税をするものでありますから、この場合だけでなく、税務行政全般につきましてある問題でありまして、常々いろいろとおとがめをこうむり恐縮しておるわけで、かつ恐縮いたすだけではいけない、一生懸命そういうことのないように全般にわたって努力しておるわけでありますが、今回の改正は、長年いわばあいまいもこの状態であったものを、こういうふうにはっきりと課税規定を設けてやるわけでありますから、不穏当なことにならないように特段の注意をいたしたい。そのために、うちの団体は申告しなければいかぬだろうかどうだろうかということを心配しておられるということでは申しわけがないから、それについては、待っておっていただいてけっこうです。税務署がいろいろ伺って、これは申告していただかなければならぬと思えば、それを御通知します。もちろんその御通知は最後的なものではおりませんが、それに対して、いや、うちは課税にならないと思うという御意見は言っていただいていいわけでありますけれども、そういうような段階を踏む。かつそういうことを申し上げます場合に、第一線の税務署長だけで簡単にやってしまうということは、特に初めの間は不統一に流れる。その署、その署の主観的な考えがあまりに入り過ぎるということがあってはいかぬと思いますので、当分の間は主税局において各署の分は全体的に検討調整をしつつ、その判定を行なっていきたいというような考えを持っておりますので、なおその他全般にわたって、ただいま申しますような気持で処置をいたしたいと思います。  それから収入の点でありますが、もう目標を掲げてやっておるということは、これは野溝先生も、もうないということは御存じだと思いますが、特に私はこの点について、こういう改正があるから幾らなにしろということは考えてもおりません。その証拠には、先ほど来聞かれましても、特に三十二年度はほとんど収入になるものはない、実際に当ってみての上だと申し上げておることでおわかりのようなわけで、かつ全般にわたって、収入を目標的に押しつけるというようなことは、だいぶ前からやめておりますし、またそういう名残りが早く切れるようにということを常時努力しておる次第でございます。
  50. 野溝勝

    ○野溝勝君 先般来、同僚、特に大矢平林氏らを中心にいたしました質疑の中で、特に当局、原局長答弁は今までの審議の中で一番苦しい答弁であり、まことに論拠のない答弁であった。それだけに局長も考えさせられる点があったと思うのです。率直に申し上げますが、慣習法が法的根拠のあるものより優先するよう意見は、立法府におきましては改めなければならぬと思っております。そこでこの抽象的な論争は第二にいたしまして、昨日来渡辺国税庁長官との間に入場料引下げで質疑しました。入場料が高い理由は映画会社やレコード会社が競って映画俳優や歌手を莫大なる給料を与えるために入場料が高くなる。このために迷惑するのは大衆である。大衆の娯楽というものは、音楽を聞くか、映画を見るか、スポーツを見るか、その程度に限られておるのです。待合に行くわけにいかぬし、そうかといってぜいたくな遊びをするわけにいきません。真に大衆の文化生活なりあるいは豊かなる生活ということを考えるならば、民主的な娯楽ということになる。だから大衆娯楽を徹底させるようにしなければいかぬと思う。本法案が提案されるときに、文部省との関係ある法案なんですから、文部省と大蔵当局は協議したことと思うし、その結果が一般人民にどういう関係を持つかというようなことについて賢明なる局長は考えただろうと思う。そこで文部当局との間に協議された事情をお伺いしたい。
  51. 原純夫

    政府委員原純夫君) この点はいろいろな省の所管に属する事業がございますので、それで、関係各省とその他の点でもいろいろ話し合っておりますが、各省とこれらについてもお話し合いをいたして参っております。
  52. 野溝勝

    ○野溝勝君 今の入場料あるいは観覧料等が非常に高くて一般の人民は物価高と娯楽のための入場料高のために困っておる。この際に親心をもっていま少し安くし、文化生活に関係のある娯楽、あるいは事業に一そう接触せしめる途を講ずべきだ。社団法人財団法人、そういうような社会性のある団体に対しての事業政府が助長ないしは支援してやるべきものだと思うのです。然るにこれをかえって追い打ちをかけてくるような政策あるいは該法案は逆コースではないか。この点に対する局長の見解はどういうお考えでございますか。
  53. 原純夫

    政府委員原純夫君) 今回お願いいたしておりまする趣旨は、個人、法人であるのいずれを問わず、この人格なき社団財団あるいは公益法人であっても、収益事業をやって所得があるというふうな場合には、公平に課税するというのがよろしいのではないかという大前提に立ってのことでございます。それにつきまして、公益法人につきましても、これは二十五年の改正のときだったと思いますが、その前は課税がなかったのを、ただいま申しましたような趣旨から、収益事業からの所得のあるところには公平に課税をしなきゃいかぬという考え方で始めたわけであります。その後、あるいはその時分からすでに人格のない社団財団につきましても、そういう問題いろいろ議論があったわけでありますが、ようやく今回同様な意味でお願いするということになったわけでございます。従いまして、映画あるいは音楽、演劇というようなものを助成するという御意見まことにごもっともなわけでございますが、それはまた別個の問題として政策的に予算なりあるいは何なりで措置をするという別の面の問題として考えるべきではなかろうか、私どもお願いしておりますものにおいては収益事業所得について課税する。収益事業の中身として物品販売業あり、製造業あり、あるいは運送業あり、その他いろいろあって、その中にこの演劇興行業というようなものが一つとしてあるという形に相なっておる次第でございます。
  54. 野溝勝

    ○野溝勝君 私はまだ納得ができません。いずれ質問をもう少し継続したいと思うのでございますが、とりあえず大矢委員質問中を削っていただいたわけでございますから、このあとにまたさしていただきます。
  55. 大矢正

    大矢正君 お尋ねをいたしたいのは、この法律が意図していること、ないしはまた局長が三月十四日付の資料の中で述べられている意思を申しますか、考え方と違う面が往々にして出る場合があるのでございます。その一例を今私は申し上げて考え方をお聞かせいただきたいと思うのでありますが、三月十四日付の大蔵省の資料の要領の第一項の一番の末尾に、「なお、特定の資格要件を有する者を会員とする団体が主として会員に出版物を配付している場合は出版業に該当しないものとする」というようなふうになっております。そうすると、これは特定の資格を有した者を会員として、しかも会員を中心とした出版物の配付をしている場合には、これはまあ当然収益とみなさないで課税対象にはならないと、こういう解釈でございます。ところがこの出版物を特定の資格要件を有した会員だけに配ったり、あるいはまた販売料を取らずにこれを頒布すると、郵便料金の上で変化があるわけです。御存じのように第三種郵便物という定義がありまして、これによると非常に安く郵便物が配付される。これは御存じの通りであります。ところがこれには不特定の人間——まるっきりこの収益事業の中にいう内容とはおよそ反対な不特定の人間に対して、しかも料金を徴収して配付する出版物には、これは第三種の郵便物の適用をさせる、しかしそうでないものはだめだと、こうなっているのですね。こうなって参りますと、その団体はこれはもう出版物の郵送料金というものは、あなたも御存じのように第三種と、それ以外の郵便料金で非常に大きな変化があるわけでございますね。そういう非常に多額のいわゆる金が違うので、この際第三種の郵便物の許可をとりたいとすれば、税金のかかるよう——あなたの言葉でいうと税金のかかるような方向に事業をやっていかなければならない、ないしは内容の定義をしなきゃならぬ。あるいは収益が上っておりますということを言わなければ第三種の郵便物の取扱いをしてもらうことができないという問題があるわけであります。これは一つの例でありますが、まだまだほかにこの郵便だけではなくて、いろいろ医療問題だとかその他の例があると思いまするが、とりあえずはこの一つの例を見ましても、このように非常に違った立場が生まれてくるのでありますが、こういう点について局長はどのようにお考えでありましょうか、お聞かせをいただきたい。
  56. 原純夫

    政府委員原純夫君) 税がかからないようにやると郵便代が高くなる、郵便代を安くしようとすると税がかかるというふうな形でのお尋ねでありますが、私ども、それはやはりそのこと自体、それのあるべきようにおやりになるだろう、まず、そしてあるべきようにおやりになった場合に、この第三種の安い料金が使えるかどうかということになり、また、課税になるかどうかということになるというふうに考えていくべき問題じゃなかろうかというふうに考えております。
  57. 大矢正

    大矢正君 それはもうあなたのは、何か国会における税務署員やあるいは官吏の模範答弁としてやられるならば、これは今の段階では非常にいい答弁かもわかりませんけれども、私どもは、非常にこれはわからないですよ、局長の今の答弁だけでは。どうです、もう少し親切に御答弁いただけませんかね。私どもだけじゃなくて、国民が聞いてわかるよう答弁をしていただけませんかね。こういう場合にはどうしたらいいんだ、これはもう法律の適用になった方がいいのか、いや、ならない方がいいのかというような点も、できれば一つ答弁をいただきたい。
  58. 原純夫

    政府委員原純夫君) 特定の資格要件を持っている者を会員とする団体が出す、まあ主としては会報とか、四季報、月報というようなものだろうと思います。そういうようなもので、他の者にも配付するというよう意味でこの第三種の方が認められるあかどうか、その辺私よく知りませんが、私の方の分は、主として会員に配る、そういうものであれば、それは収益事業と見ないでいいじゃないかという考え方でおるわけなんでございます。
  59. 大矢正

    大矢正君 いや、それはいいですよ。あなたのおっしゃる通りに、これは法人税法そのものから見れば、会員には、しかも金も取らないできまった人間だけに配付をすれば、これは税金の対象にならぬからいいという解釈が生まれてくるけれども、それじゃあこれはむだだとは言わぬけれども、非常に多くの金額が第三種郵便物になるかならぬかということによって違うわけですよ。これは第三種郵便物の認可といいますか認定といいますか、どっちかというと営利目的とした事業でない限りはやらないですよ。たとえば労働組合の出している機関紙なんかの場合には、これはなかなか認可がむずかしいのですよ。なる場合もあるし、ならない場合もありますし、それはなぜかと言いますと、まず金を取ってないじゃないかと、それからこれは不特定の人間には行ってない、会員にしか行っていない、これは第三種郵便物とはみなされないと……これは、労働組合の発行する出版物は多くは認可にならないのが常なんです。そうしますと、これはばかにならぬですよ。こういう郵便物は、国民はそういう機関紙や出版物を通じて、より生活を高めたり、ないしは文化的な地位の向上をやはり必要とするのでありまするからして、私は、そういうものは大いに政府としても助成をしなければならぬ立場にあるにもかかわらず、結果においては法人税を取る、法人税を取られるのがいやだとすれば、第三種の郵便物の方は投げてしまわなければならぬという、こういうのっぴきならぬ立場にあるので、そういう意味においても、私はこれ以上あなたに質問しても、あなたの答弁はおそらくないと思いますからいたし方ないと思いますが、私の意見とすれば、それはもうこの法律に矛盾があるということは、この中からでも私は出で参ると思います。そこでこの法律がいかに不備なものであるか、ないしはもっともっと修正をしなければならぬかということのために指摘を……。ちょっと椿委員から今意見がありまして、やはり私が今申し上げたことに対して、局長の一応の答弁を議事録の上に残しておいた方がよろしいのではないかという御意見があるのでありますが、私もそのように考えますので、どうですか、まとまりがあるかないかは別として、一つ答弁をしてみて下さい。
  60. 原純夫

    政府委員原純夫君) こういうふうに申し上げたらよろしかろうと思います。私どもここに書いてある趣旨で判定する際に、第三種の郵便としての認可ですか、これを受けている場合は、これに当らないというふうな解釈をするというふうに割り切っては考えておりません。それは一応の参考にはなるでありましょうが、やはり税は税として、主として会員に配付するという線を考えてきめるべきだというふうに思います。従いまして、まあ先ほども申した第三極になると税は取られるという、必ずそうだということにもならない場合もあろうかと思います。その辺は実際上の認定の問題として、また、通達の書き方の問題として今後十分慎重に研究していきたいと思います。
  61. 大矢正

    大矢正君 申告の仕方、そういうものに関連をして、税務官吏の検査権の問題について私は質問をいたしたいと思うのであります。きのうも、これは公式な席上ではなくて、理事会の中で私は局長に具体的に申し上げたように、この法律がもし通った場合には、憲法で保障される結社の自由をそこなう危険性が非常にある。法人税法の中で人格のない社団に税金をかければ、憲法がそこなわれるかという一足飛びにそういう議論をすれば、これはいろいろ異論があろうかと思いますけれども、事実の上において、今後この法律が通って、税務官吏はみずからの検査権に基いて、あらゆる団体に入っていって、そうしてその団体の行なっている事業内容や活動の内容を調べる、こういうことになって参りますと、その団体は一目瞭然に行動の内容が明らかにされる、こういうことになってくると、これはもう何と申しますか、結社をすることの自由を経済的な口実によって侵害をする結論にまで波及するおそれがあると私は思うのでありますが、そういうことを懸念される立場から質問をいたしたいと思うのでありますが、この法律がもし通過した以降において、順序として私はおそらく全部の団体に対して申告をせよというような態度を国税庁はとられるのではないかという、そういう危惧も実はあるわけであります。あなたは先ほど何か特定にいろいろ調べてきた経過に基いて、こことこことここは申告を出しなさいというやり方をするという話がありましたけれども、私はそうではなくて、おそらくこの法律が通過をしてしまったら、もうありとあらゆる団体に対して全部申告をさせて、そうしてびしびしとそれを検査権によって調べ上げていって、そうして課税対象にするというような危惧を実は持たざるを得ないのでありますが、その点に対する私の危惧が当を得たものであるかどうか、一つ局長のお考えをお聞かせ願いたい。
  62. 原純夫

    政府委員原純夫君) そういう御心配は全然ございませんとはっきり申し上げます。昨日申しましたことは、決してその何と申しますか、いいかげんな気持で申したのではございません。私ははっきり書いたものを見ながら正確に、言葉づかいにも注意して申し上げるだけの用意をしてやっておるのでございます。御安心いただいてけっこうです。全部に申告すべしというようなことをやらせる気持は毛頭ありません。それはまた、法律がそうしてよろしいということになっていない、法律がそうなってないのでありますから、全然そういう気持はございません。申告を要するものだけが申告をしていただく。要するものは何であるかということについては、御不安の起きないような段取りで、そうしてまた、御不満のなるべく起きないような内部の手続を踏んで周到にいたしますということを申し上げておるわけでございます。
  63. 大矢正

    大矢正君 あなたのお気持は私も非常に了といたします。了といたしますけれども、ただ抽象的にここであなたと私が、そういうことをいたしません、いたしますと言い合うことは、これは法律になるわけではありませんし、政令になるのでもありませんからして、これだけでは国民の多くの疑惑や疑義を解明することには非常に困難性が私はあると思うのでありますが、たとえば、今のような私の質問に対して、国民の疑惑を解くと申しますか、あるいは国民に納得させると申しますか、そういう立場で考えて、政令等の中で具体的に今のよう内容を明らかにする御意思があるかどうか、私はその点を伺っておきたい。そうでないと、多くの場合はもう何でもかんでも、とにかく団体であれば全部やらされるのだという危険性を感じておるので、そういう点はどういうふうにしていただくのか、一つお尋ねをいたしたい。
  64. 青木一男

    青木一男君 関連して。今、主税局長は。法律でやろうと言ってもできないのだという答弁があったが、私もそれは同感なんです。そのことをもう少しはっきりどうして、法律でできないかということを言われるのが、一番いいこれは法律解釈なんです。要するに、収益事業を伴わないようなものは課税団体ではないのですから、税法上申告の義務もなければ、また検査権もない。そういう点を僕は、主税局長からはっきり法律解釈として言われれば明瞭になると思うのです。私はおそらくそういう意味でさっきから御答弁されていると思うのですが、その点をはっきり答弁していただきたい。
  65. 原純夫

    政府委員原純夫君) そうお答え申そうと思ったところなんであります。一条に「法人でない社団又は財団代表者又は管理人の定があり、かつ、収益事業を営むものは」、ということになっております。これは「法人とみなしてこの法律を適用する」ということになりますから、収益事業を営まないものはこの法律の適用がないわけです。あとの方に営業の申告あるいは所得の申告の規定はありますが、収益事業を営まないものはもう適用はないわけなんですから、それはもう法律上はっきりと申告の義務はない。従って義務のないものについて質問、検査をするということはできないということは非常にはっきりいたしておると思います。なお、その上にただいま申したような実際上の配慮を取扱い上加えるということを申し上げておるのでございます。
  66. 大矢正

    大矢正君 こっちの方が青木さんに助け舟を出していただいて恐縮なんですが、そこが実は問題があるのです。これは筋道として「法人でない社団又は財団代表者又は管理人の定があり」というここで、すでに法人税を納めなければならない義務が発生するというのであれば、なるほど筋道は通るのですが、あなたのきのうの答弁からいくと、原則として、人格のない社団または財団法人税を納める義務はない。義務はないけれども収益事業という、その収益事業についてのみ法人税を適用されるという条例が生まれてくると、こういう御答弁であり、そのことの具体的な方法としては、今申し上げた通りに、団体であるというだけでは、これは法人税を納めなければならないとか、あるいは申告をしなければならないという義務が発生しないのだというのは、きのうもあなたは答弁されているのです。それで私はお尋ねするのだが、そういうようにあなたの考え通りに下の方では理解をして、調査をするとか検査をすればよろしいのでありますけれども、そうじゃなくて、片方の方では、おれは団体であるけれども収益事業とは思わない、だから税金を納める義務を感じていないし、申告をする義務も感じていないという態度をとる、ところが税務署の方では、いやそうじゃない、あなたのところはこれは収益事業だと私どもみなす、こういうような状況になってきた場合に、これを一体どう裁くかという問題であります。さっきから申し上げている通りに、その団体の行うすべての行動に対して、すべての行為に対して課税をするとか何かというのであれば、それは筋が一貫して通りますから何でありますけれども、片方の行為は、これは収益事業じゃないから、そこに経済的な要件があっても、それは課税対象にならぬけれども、こっちの方は半分は収益事業があるから、これは半分だけ切り離して、そうして課税対象にするという行き方でいきますと、非常に今秋の申し上げました内容区分というものが不明瞭になってくると、私は思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  67. 原純夫

    政府委員原純夫君) 先ほども申し上げましたが、収益事業を営むものというのは何であるかということは、まず常識的に若干の意見の相違がボーダー・ライン・ケースについてあるかもしれませんけれども、これは大体はっきりしていると思います。それがはっきりしないでの問題というのは、所得税を個人が納める義務があるかないかという場合においても問題になるわけです。所得課税額になるかどうかというような点の問題に、なりますが、それは所得だけでなくて、入ってくる収入のどれが所得になるもとの収入だというような点においても、いろいろボーダー・ライン・ケースはあります。それは要するに収益事業という概念規定があれば、その規定の趣旨に忠実に物事を解釈していき、それを実際に応じて行う場合に、そういう疑問が起るというのは、ほとんどあらゆる場合にあることでありますけれども、特にこれがきわめて不明確で、行政としてこれだけの規定ではやれないというようなものではないのじゃないか。かえってお話通り収益事業所得でなくても、何でもかでも所得と見られるものにかけてしまうということであれば話はわかるというお話ですが、そうなりますれば、今お話しになっている何方、何十万というものが法人税を納めなければならぬ。それはとても国民の是認するものではなかろうというふうに思うのであります。収益事業だとはっきりすれば、あとは行政の執行のときに解決していくべき問題、解決がつく問題ではなかろうか。まあ状況によってなかなか意見の一致をみないという場合に、それを解決する手続がいろいろあることは、昨日申し上げた通りであります。
  68. 大矢正

    大矢正君 これは私はそうだという立場から聞くのじゃなくて、参考のためにお伺いいたしたいと思うのでありますが、第一条の第二項に「収益事業」という収益という言葉がつくことによって非常にまぎらわしくなってくる。第二条で法人税に対する課税対象になるものは、法律の施行地において資産または事業所得というふうにして、明瞭に資産、そうして事業、こういうふうに明らかになっているわけです。だから、たとえば所得税の場合についても、明らかに所得というものはどういうものであるかという定義づけがあるので、なぜここで収益という言葉を入れなければいかぬのか、収益という言葉を、「収益事業を営むもの」というふうにして、収益という言葉を入れなければならぬのか。むしろ私はそういう紛糾が起きるために収益という言葉を除いて、ただ事業を営むものは法人とみなしてこの法律を適用するということであれば、法律の条文は筋が通る。しかしこれは当然あとの条において、事業の中でも課税、非課税内容はかくかくであるという定義をしなければならぬと思うのでありますが、そういうふうにした方がいいのではないかという、これはしろうとかもわかりませんけれども、そういう疑義を持つ。これはそういう方がいいというのではないが、そういう疑義を持つのであります。その点はいかがでしょうか。
  69. 原純夫

    政府委員原純夫君) いろんな言葉づかいがあると思いますが、公益法人の場合、また法人でない社団財団の場合、まあ事業を営むものということを言いますと、もうそれだけではちょっと読む人がここに書いてある「収益事業を営むもの」というのとは全然違って考えると思うのです。親睦団体が親睦のためにいろんな事業をやる、すべてその社団財団のやることが、本来の事業が全部入るというようになって参ると思います。そうしますと、先ほどお話の、法人でない社団財団はどんなものでも法人税の対象になるということになって参ります。そしてあとでこの所得について一部をはずすということをいたしましても、そうすると先ほど来のお話の、一応各条の規定の適用はあることになりますから、常識的に考えて、収益事業をやらない者まで、そうしてあとの条文では所得がないということになる者まで各条で申告をさせ、また検査その他の規定を適用するというようなことは、かえって不当ではないかというふうに考えます。やはりこの団体の性格からいって、はっきり収益事業というふうに言った方がよろしい。従来公益法人課税についてもそういうふうに書いてあるわけでございます。
  70. 大矢正

    大矢正君 いろいろ今まで論議をしたのでありますが、まだ実は疑点が相当数あります。なお、私は衆議院におきまして継続的な事業に云々というふうに字句を挿入されておりまして、先日この点に対する質問を一応やっておりますけれども、私はまだこの点について質問したい数々の点がありますし、継続的に事業場を設けて云々という、こういう内容の規定の仕方によっては、この法律の運営、実施の面において非常に大きな変化もくるのではないかと実は危惧も抱くのでありまして、こういう点では、でき得るならば修正をいたしました衆議院の方々に来ていただきまして、これは先日は自民党の小山君ですか、おいで願ったようでありますが、私は片一方だけではなくて、社会党の方も呼んでいただいて、この継続的な事業場に対する解明をさしていただきたいと、こう思のであります。しかしこれは理事の間において御相談をいただいて、早い方がよろしいので、きょうやっていただければなお幸いである。その間、平林委員からでも別な点に対する質問をしていただく、こういう方向でやっていただきたいと存じますが、要望いたします。
  71. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 今、大矢委員から御発言の点は、きのうも小笠原委員からもちょっと質問がありまして、留保されておりますから、ぜひ一つそういうふうにお取り計らいを願いたいと思います。大矢君のただいまの動機に賛成いたします。
  72. 木内四郎

    木内四郎君 ちょっと速記をやめて下さい。
  73. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  74. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をつけます。
  75. 平林剛

    平林剛君 所得税法の第六十一条のいわゆる名義貸しの支払い調書の限度額に関する省令、これについては法案審議中に本委員会に提示することになっておりますので、審議を次に移していきたいという私の気持もありますから、すみやかに提出せられるように要求をいたします。原主税局長の方から、いつ提出されるか、お答えを願いたいと思います。
  76. 原純夫

    政府委員原純夫君) 御要望にできるだけ沿うよう努力するというふうに申し上げて、昨日も帰りまして、いろいろと部内で相談いたして検討いたしておるのでありますが、大へん申しわけございませんが、まだ申し上げられるまでの結論が出ておらないということでございますので、さよう御了承いただきたい。大変残念でございますが、そういうふうに御了承いただきたいと思います。
  77. 平林剛

    平林剛君 この名義貸しの支払い調書の提出の限度額の最終決定をおくらせておりますのは、きわめて政治的なにおいを私は感ずるのであります。慎重を期するという理由は、先般も大蔵大臣が来まして、経済界に与える影響がある、角をためて牛を毅すことはしたくないと、こう言われますが、その裏からは、証券金融業者に対する影響のにおいがするわけであります。また、大衆投資家に与える影響も考えなければいけないという御意見もありましたけれども、すぐその裏には、むしろ大口投資家を擁護しておるのではないかというにおいがする。そういう意味で、私はこの最終決定をおくらせておるというのは非常に政治的である。幸い与党の議員の方もおられますから、私の見解を少しお聞きを願いたいと思うのであります。  これは、今議論をしております零細な大衆団体に対する課税の方式がいろいろ疑問があるにもかかわらず、広げられておることと比較すると明瞭になってくると思うのであります。特に私は最近の証券金融業と、それからそれに対する課税の仕方ということを歴史的に見ると、今度の名義貸しの問題をおくらせておるということについても、まことに遺憾なことだということが皆さんにもわかってもらえると思う。私がこの間調べてみましたら、たしか昭和二十七年ごろまでは株式の譲渡に対しては譲渡課税があった。そこで当時これはだいぶ大騒ぎになりましたけれども、国税局が一齊に株式譲渡の税捕捉のために調査を大々的に実施したことがある。これは大騒ぎになりました。結局それにもかかわらず、いわゆる四大証券と呼ばれるものは税務官吏の質問調査権に対しても断り続けた。そういうふうに騒いでいる間に株の譲渡に対する税については、法律ががらりと変っちゃって、今度はそれはとらなくなってしまった。こういう工合に証券金融業界の抵抗のために法律が改正になったということが歴史的に見るとあるわけです。それから昭和二十九年ですか、三十年であったかもしれませんが、そのときに租税特別措置法法律案が提出せられまして、このときの税制改正でも、政府が提出をした後において、いわゆる銀行利子に対する免税措置が行われた。この名目は、貯蓄奨励という名目で、銀行利子には税金をかけないという法律でありましたが、ところがそれが出されるというと、今度は証券金融業界から猛烈な運動がありまして、銀行利子に免税をするなら株の配当所得に対しても何とかしてもらいたい、こういうことで、結局保守党の議員さんの間で御相談がまとまって、そうして租税特別措置法の改正が行われた、こういう事例がありまして、一時は本委員会におきましても、この問題について政治的なにおいがあるということで議論をされたこともあったと私は記憶しているわけであります。今回は、所得税法第六十一条に、いわゆる名義貸しということを指摘しまして、大蔵大臣がそれを探し出した。池田大蔵大臣が、私がこれは指摘したのだ、こうおっしゃった。そうしてそれは課税の公平ということで、脱税を許さないという趣旨で、今度は支払い調書の提出を義務づけるのだ——まことにお説ごもっともで、この限りにおいては私は正しい方向だと思うのです。ところが今度、支払い調書の提出義務を一定額の限度に押える、こういう運動がありまして、先般来から、私三回にわたりて質疑を行いましたように、実質的にこれを骨抜きにしようとする。私はそういうことであっては、国民的な立場から見て、まことに不純なものを感ずるから、この限度額はむしろない方がよろしい。もしいろいろな理由をつけてやるにしても、ごく厳正にしなければならぬということを要望しておいたわけであります。これを何回も追及しますというと、そういうことについてあまりきついことをいうと、経済界に動揺を与える、あるいは大衆投資家に迷惑がかかるというようなことをお話になるのだけれども、もうその理屈は、これを指摘したときに始まっているはずですね。私どもが限度額について議論をするよりも、大蔵大臣がこの名義貸しの問題について指摘をしたときに、すでに経済界にいろいろな波紋を投げているので、一方においてはそういういいことに気づきながら、そのあとでそれを骨抜きにするようなことを、法律の審議が続いているのにかかわらず、それは胸三寸におさめておいて、そうしてなかなか決定しない。こういうことは、非常に政治的な感じが私はするわけです。私はそういう意味委員長におかれましても、一日も早くこの内容が明らかになるように、政府に対してそれを要望してもらいたい、こういうことを要望するわけです。そういうわけでありますから、主税局長においても早く御相談なさって、大体あしたかあさってに上ろうとしているわけでありますから、お約束の通りに提出するように御努力願いたい、こういうことを要望いたしておきます。
  78. 原純夫

    政府委員原純夫君) できるだけ努力をいたしたいと思います。何分非常に慎重にやらなければいかぬ問題なので、部内でも検討中であるということは、先ほど申し上げた通りでありますが、なおできるだけ努力をいたします。
  79. 木内四郎

    木内四郎君 今の問題に関連して、ちょっと私は主税局長にお聞きしたいことがあるのですが、証券取引所というものは、あそこで投資家が売ったり買ったりするわけですね。その売ったり買ったりする過程において受ける配当ですね。たとえば、今、三月の末日に近い、そうしてきょうならきょう、失礼だけれど、たとえば平林さんが百万円の株を買ったとする。そうするとそれに対して三月末に配当が一割なら一割で十万円くる。そうして四月の初めになったときにはもう配当が落ちて、それだけ値が下ったものになっておるわけですね。それをかりに平林さんが売ったとされるならば、その場合に平林さんの受けた配当に対していわゆる名義貸しとして課税するということであるなら、私はそれは非常に当を得ておらぬものだと思うのですが、そういう場合はどうでしょうか。法律の形の上からいって課税すべきものであるかどうかが第一の問題ですが、精神からいってどういうものですか。それだけ配当含みを買っても、売ったときはそれだけ、十万円下ったもので、九十万円で売る、こういうことがあり得るわけですね。
  80. 原純夫

    政府委員原純夫君) 配当含みで買われた、そして配当落ちすぐあとに売られたといいますと、配当は買った人、まあ名義をそのときに変えておるということにいたしますれば、その買って売った人ですね、その人に配当が来るわけでございますから、その人の配当所得として計算をすることに相なります。  それからその人の株式についての譲渡の損得は、損が出るわけですが、その面は株式の譲渡所得は非課税——課税ということは、益が出ても非課税、これが損が出てもこれは損として控除しないということでございますので、これは別段関係がないということに現在の法律上の建前はなっております。
  81. 木内四郎

    木内四郎君 そういう点を考慮すると、法律上はそういうことになっておるかもしれぬが、そういうことであると、証券の売買の過程において得るところの配当に対して、今の法律の上ではその人の名前になっておるからその人に課税するのだといって、売った場合に損することは仕方がないのだということであると、非常に証券の流通を阻害することになると思うのです。だから所得税法の精神からいって、そういう場合のものは除外すべきではないかと思う。証券会社の名前になっておるのだが、Hという人が買ったのだからHという人に配当を渡す、こういう場合に、それまでも名義貸しということにして、それに課税するということは、法律の精神からいって適当でないのではないかと思いますが、どうですか。それについても大蔵大臣が慎重に考えなければならぬということで今考慮されているので、平林さんが言われたように、何も政治的にどうのということではないのではないかと思いますが、その点はどうですか。
  82. 原純夫

    政府委員原純夫君) お話のケースが、私名義貸しと別段関係ないように伺っておりましたが、ただいま伺っても、ちょっとどういう関係の名義貸しと思ってお話しなのか、十分聞き取れなかったのでございますが……。
  83. 木内四郎

    木内四郎君 私ちょっと補足いたしますが、私の言い方が悪かったかもしれませんが、たとえばA証券にHという人が頼んで配当つきで買ってもらったとする、配当込みで。そうするとそれはAという証券会社の名前になっているから、A証券会社に配当がくる。しかしそれは買ったHという人のところへ必ずくるわけです。しかしHという人は、四月になってから売れば、この配当落ちの値段でしか売れないのです。Hという人が配当落ちの安い値段で売って、そして一方Aという証券会社を通して受け取った配当に対して名義貸しだということでそれを取締り、それに課税されるというのじゃ、ちょっと名義貸しの取締りが行き過ぎじゃないかという感じがするのですが、その点はどうですか。
  84. 原純夫

    政府委員原純夫君) そういうケースですと、A証券に頼んで買ってもらった。それは名義を借りて、A証券の名義で、A証券に持ってもらうわけですが、それで配当がきた。事実はHという人の所得でありますから、それでもってHという人に納税義務があるわけです。ただその場合に、実際上資料が出ないのでわからないということで漏れるということでございます。で、漏れますれば、配当落ち後売って損が出たという場合には、実質的にはとんとんというふうなことになりまするが、今回はA証券の名義になっておりますものでも、Hという人のものであれば、それは支払い調書を出してもらって、わかるようにして、その分は配当にかける、配当落ち後売った損は見ませんということになるわけであります。それはおかしいというお話でありますが、これは先ほど来お話の出ております株式に関しまする税法の規定が、譲渡所得を非課税とする。つまり譲渡の関係は、益が出ても損が出ても税の方ではそれは対象外にするということにいたしておりますために、そういうような結果が出るわけであります。論理的にきりっと組み立てるためには、やはり配当所得課税すると同時に、譲渡所得にも課税する。そのかわり譲渡の損は損として控除するということで、全部が完全にできるというふうになるわけでございますが、これは二十八年以来株式の譲渡所得については非課税とするということで政策的にはずしてある、その結果おっしゃるようなことが出て参っておるということでございます。
  85. 木内四郎

    木内四郎君 今のようなことは、今の税法の結果でやむを得ないのであるかもしれないけれども、今度は問題になっている名義貸しというものとちょっと違うのじゃないかという感じがするのですが、今の名義貸しというものは、そういうことでなしに、証券会社の名前を借りて資産を隠匿するとか、配当を隠匿するというよう計画のもとにやっているものに対して、この名義貸しという問題が言われているのであって、売ったり買ったりする、たまたま三月の末に株を買ってみたところが、それは配当を含んでおった。しかしそれが上るだろうと思っておったところが、配当落ちの四月になってから下った、そのときに売った。そして損をした。その損のときは損はそのまま損として、配当の方だけは証券会社の名前になっているものにも課税するということは、平林さんの言われるところの、また今世間でいろいろ言われているところの取締りを要する名義貸しの課税の問題には入れるべきものじゃないのじゃないかと思うのですが、そこはどうですか。
  86. 原純夫

    政府委員原純夫君) 株式に関する課税につきまして、論理的に矛盾のないようにいたしますためには、やはり譲渡所得課税対象に入れて、損は損で引く、利益は利益でかけるということにいたしませんと、一貫しないと思います。その点は、今の税制で相当大きな例外であり、大きな矛盾であると私どもは考えておりまするが、政策的にそう考えておる、現在のようにいたしておるというわけでございます。なお、名義貸しにつきまして支払い調書をとるという結果、そういうことが起るということは、まあそういうことを起そうということでやったということでなくて、現在の税法が論理的に完結してない。ところが名義貸しというよう制度があって真実が隠れておりますと、税法通りの結果が出ない。税法通りの結果が出ると矛盾が起るケースがあるわけなんです。それでこれは名義貸しによってその矛盾を出そうというふうなことでなくて、名義貸しの支払い調書をとりますのは、やはりこの名義を借りて株を持ち、売買しているという人は、相当配当所得もあるであろう。そしてそれを全然資料がいただけないということではおかしいではないかということから、これについて支払い調書を出さしていただきたいというふうにお願いしている次第でございます。
  87. 木内四郎

    木内四郎君 今、主税局長の言われた最後の、まあそういうあれだと思うのですけれども、名義貸しという問題が出てきて、平林さんも非常にやかましく言っておられるのは、証券会社の名前を借りて、長くそこに隠しておくというような人についてのあれであって、売ったり買ったり絶えずやっておる人に対しても、みな何もかも及ぼしていこうという平林さんの御質問ではないと私は了解しておるし、また、今日起っておる名義貸しの問題というのは、そういうものでないと思っておるのです。それはそれとして、そういう点も考慮して、大蔵大臣も特に慎重に流通を阻害しないようにいろいろやっておられるのじゃないかと思うのですが、この問題は、そういう問題もありまするから、平林さんからもいろいろ御意見もあったけれども、特に慎重を期してやっていただきたいということを要望しておきます。
  88. 青木一男

    青木一男君 私この間から本委員会質疑応答を聞いておって、今度の法人税法第一条第二項の改正について、その立法の趣旨がまだ徹底していない点があるんじゃないかというような感がいたすから、それを私は伺うわけです。この改正は、私の感想から言えば、現行の税法の欠陥というか、租税負担の均衡の点から、今まで税法上の盲点になっておったような点を補完するのだ、こういうような趣旨であると私は解しておったのですが、その点はどうでしょうか、この改正の趣旨ですね。
  89. 原純夫

    政府委員原純夫君) おっしゃる通り、現行税法が法人でない社団財団所得につきまして、特に事業による所得につきまして、どういうふうになっているかということにつきましては、多分に不十分な点があると思っております。その法人でない社団財団といわれるものが組合的なものであれば、その所得を組合員それぞれに帰属さして所得課税をするという扱いはいたしてきておりますが、すべての法人でない社団財団についてそういうやり方をするということはできない。それのできない場合に、課税できるかどうかということについては、多分に疑問があるというふうに考えており、そういうふうな態度で従来やってきております。いわばおっしゃる通り、その部分が盲点といったような格好になっておるわけであります。一方事態は、だんだんそういうものが実例として出て参るというような状況になりましたので、これは問題としては長い間あった問題でありますが、最近の事態にも考えて、その盲点をふさぐという意味の主として改正いたしたい。一方これに並行して所得税法の方でも、法人でない社団財団に関する改正をいたしておりますが、これは所得税の源泉徴収をする義務、受ける義務につきまして規定する。この点は従来もその義務があるという解釈できておりますが、なおそれをはっきりさせるというよう意味で改正をお願いしておるという次第でございます。
  90. 青木一男

    青木一男君 この所得とか収益というようなものが公平に課税されなくちゃいけないということは、税法の根本原則だと思います。それで、今までの法制からいうと、所得税法法人税法という二つに限局されておったために、今の盲点ができたと思うのですが、それで今、主税局長の言われたように、従来からその税法の欠陥というものは意識されておったけれども、適用のケースが割合に少いから、今まで放任されておったというような御説明に伺ったのですが、その点において、ややもすれば今のような中間地帯のような存在は、当然税法のらち外だというような先入観というか、伝統で支配されておる分が相当あるのじゃないかと思います。それで私はこの第五条によって、公益法人に対してすらも、この収益事業に対しては課税することになったあの改正の機会に、私はこの点の改正を同時に行うべきものであったと思うのです、立法論からいえば。おそらく当時研究されたと思うが、どうして今の点を漏らしてきたのか、何か特別ないきさつがあるかどうか、伺いたい。
  91. 原純夫

    政府委員原純夫君) おっしゃる通りでございます。ただいまの公益法人収益事業課税が始まりました昭和二十五年、もうその前からも、この人格のない社団財団につきましては、いろいろと議論がございました。ただ私の記憶では、当時のケースは、たとえば役所なり会社なりの課員がグループを作って、役所でいいますれば、原稿料をあるファンドに入れるという式の形のことをやっておる。そういうのはどうかというような式の、まあ事業といいましても、そう本格的なものでないようなケースが具体例としてあげられて、いろいろ議論がありました。もちろん事業的なものも若干はあったと思いますが、そんなような状態でございました。それがだんだん、当時におきましてはそういうようなわけで、具体例もそう多くないということと、事柄自体が、法体系全般の構成においても盲点的なところがございますので、そういう全般的な観点からも、なかなか議論が熟さないという点もございました。それこれで、まあ当時におきましては、公益法人収益事業課税だけをとりあえず改正規定として入れるということになったわけでございます。その後、だんだん年がたつに従いまして、具体例がかなりに、ずばり事業そのものだというようなものが頻出してくるというようなことにも相なりまして、今回、諸般の研究の上、この改正をお願いしたということでございます。
  92. 青木一男

    青木一男君 それから今度の改正が、法人税法の改正の形で出ておるということですが、法人でないものに法人税法を適用するというようなことが、いかにも何だか不自然な感を与えることが、やはり一つの印象じゃないかと思っておるのです。これは立法の便宜でありますけれども、外国の法人税法は当然にこういうものも一緒に吸収しておるのか、それとも法人税法とは違った団体税法みたいなものでやっておるのか、その実例はどうですか、その点は。
  93. 原純夫

    政府委員原純夫君) 外国の立法例としましては、あまり広く私ここに資料を持っておりませんが、ドイツにおいては、人格のない社団財団を正式に納税義務者といたしております。法人税の系列の法律で納税義務者といたしております。
  94. 青木一男

    青木一男君 衆議院の人が見えたから、私の質問あとにいたします。
  95. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) ただいま議題に供しております法人税法の一部を改正する法律案の修正発議者である衆議院の小山君がお見えになりました。横山君は見えないそうであります。こちらから言っておりましたが、お見えにならない。修正点に対する御質疑がありましたら御発言を願います。
  96. 大矢正

    大矢正君 衆議院で修正をされた条文に関連をしていろいろ疑義が実は私どもの中にあるわけであります。その点についてお答えをいただくのでありますが、逆からお尋ねをしてまことに恐縮でございますけれども、これは継続という言葉と、それから事業場という言葉との関連が非常に密接にあるので、その点でお尋ねをいたしたいのでありますが、事業場というものに対してのこの定義の仕方がどういうような観点からなされたか、その点を先にお伺いいたしたい。
  97. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 事業場というのは文字の通り事業をなす場所なんでありまして、普通のただ事務所という意味とは違うわけであります。
  98. 大矢正

    大矢正君 わかりました。そうすると、ただいま事業場というものが事務所だけではないということも明らかになったのですが、そこで継続的という言葉はどういう解釈になるのでしょうか。
  99. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 継続というのは、私ども解釈では、毎日々々やっておるのが一番ティピカルな場合でありますが、継続の意思をもってやれば、これはかりに毎日でなくても継続と見られる場合もあろうかと思います。
  100. 大矢正

    大矢正君 今意思という言葉があったのですが、意思というのは、法律の上においては規制はできない問題だと思うのでありますが、意思さえなければ、そうすると逆論的に言うと継続していても差しつかえないということにもなりますかね、どうでしょうか。
  101. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 意思がなくして継続ということはないと思うのでありますが、たとえば業としてという場合には、業の意思があってやる場合には、一回や二回でも業として成り立つことは慣例にもあることでありますし、ただ概観的に、おそらくは概観的に見ていくと思いますが、外部から意思をそんたくする場合もありましょうけれども、継続というのは、やはり社会通念による継続ということになるのじゃなかろうかと考えております。
  102. 大矢正

    大矢正君 その継続的にという解釈をする場合に、意思という表現ですが、その意思は、その団体管理人もしくは代表者の意思ではなくて、その個人の意思ではなくて、その会、団体のすべての意思というふうに解釈してよろしいですか。
  103. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) どうも抽象的に言われると、はなはだお答えにくいのですが、私どもが、継続して、そうして事業場も継続して設けていなければならない、また事業そのものも継続していなければならないと申しましたのは、これはたとえば、そういうことを入れなければいけないと申しましたのは、断続的に行われるものも、この政府原案によれば課税対象になり得る、そういうことは、はなはだ危険じゃないかということから配慮いたしたのであります。従ってたとえばPTAがバザーをやるというようなことまでも入ってくるということでは困るだろう、やはり収益事業を継続してやる、同時に継続して収益事業を行う事業場を持っておる、こういうふうに限定ようじゃないか、こういう趣旨から出たのでありますから、継続の意思とかいうふうに一つ一つ抽象的に聞かれても実はお答えしにくい点がございます。
  104. 大矢正

    大矢正君 この法律のたしか付則だと思いますが、年度の事業計画事業目的といいますか、種類とか、そういうものを、これを施行されて以降四カ月以内に申告をせい、こういうふうになっているんですがね、年度の計画や、それから事業目的事業の種類というものを出せというからには、ここでいう継続的なという継続の字句の解釈というものは、この法律の、今私が申し上げた付則の解釈からいって、年度の計画を持ってやるような、向う一年間の計画を立てておいてそうしてやるようなという解釈に私はなると思うのですが、そのよう解釈でよろしゅうございますか。たとえば一カ月とかあるいは一週間とかいう限定した計画を立てて事業が行われるんじゃなくて、もう一年先の計画まで全部立てていけるような、そういう内容については継続としてここで解釈する、そうでないものはその解釈の中には入らない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  105. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) これはケース・バイ・ケースによっていろいろ違うと思うのでありますが、たとえば、十二月の末になってからやった、しかし翌年もやるかもしれぬというような場合は、やはり継続になるんでありましょう。しかしながら、正月から始めたけれども、飛び飛びに思い出したようにやっている、これはむろん継続じゃないと思います。そこはやはり事業の事態とか、あるいはかねて行なって数回行なったその収益事業が、まず社会通念から考えて継続して行われておる収益事業である。違ったことをやっている場合には、繰り返してやっても違うでありましょうけれども、同じ収益事業をずっとやっておる、また将来もやるであろうと思われる場合には継続だと思うのであります。
  106. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 継続と断続ですがね、社会通念なんというぼやけたことで言わんで、どういうのが継続で、どういうのが断続か、はっきり言ってもらいたい。
  107. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) これはわれわれの修正の意思をお汲み取り願いたいのは、まあ断続的にやっておるやつを排除するという意味で継続というのを使っておるわけです。そういうふうに御了承願いたいと思います。
  108. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、今月は映画会をやったとか、来月はバザーをやった、その翌月は何かやった、あるいはあるときはやらぬ、こういうふうに飛び飛びになっておるからして、またやる内容が違っておれば、それは意思があろうがなかろうが、継続とはみなさない、こういうことですね。
  109. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 収益事業でないものをちょいちょいおやりになる——収益事業というのは政令で、委員会と相談してきめることになっておりますが、政令定める一つの収益事業をやる、翌月は他の収益事業をやる、またその次はもう一つの収益聖業をやる、こういうようなときはこれは継続と見なければならないのじゃないですか。
  110. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでもどうも変だと思われますが、もう一つお尋ねしたいのは、事業場というのは大体固定しておるものをいうのですか、継続し事業場を持つということは、固定しているものをいうのですか。
  111. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 私どもは卒業場というものは、原則としては同じところにあるものと思っておりますけれども、その事業場が移動する場合、もし御設問の移動する事業場があるならば、それは継続して事業場を……同一事業体が事業場を移動している場合には、これは当然に継続した事業場だと思います。私はしかし御設問のような事態があるということは知りませんけれども、原則としては事業場としては同じところにあるだろうと思います。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 一例をあげれば、各種学校のバザーを、ある場合には公会堂を借りてやる、ある場合には学校でやる。またその公会堂も甲乙と、春秋と、そういうふうに違う、こういうような場合です。これは物品販売業ですがね。そういうのは継続であり、なお事業場としてもあなたの言う解釈でやるのですか。
  113. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) あるときは公会堂を借り、あるときは学校を借り、あるときは露天でやるというふうに、同じ物品販売業という収益卒業をある団体がおやりになれば、これはもう継続した事業場を持つということになると思います。
  114. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それが一年に春にやってみたり、秋にやってみたり、不定期である。こういうのでも、毎年まあやっておるということになれば継続だというのですか。
  115. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 不定期にやるものは継続だとは私は思っておりません。
  116. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 不定期とはいっても、バザーというものは一つの各種学校の行事としてやるわけですわな。けれども日時は確定していない。年に何回やるかはわからない、こういうのはどうなんですか。
  117. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 御設問のような場合には継続した事業ではないと思います。
  118. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 継続した事業ではない……。それから渡されておる資料では、花街組合、芸妓組合ですわね、多分これは、これの興行として実例があがっていますが、新橋芸妓組合が新橋演舞場で春秋二度にわたって東踊り、そういうのをやる。こういうのは日時ははっきりしていない、これはどうなりますか。これは取るんだということの実例の方に出ておりますが、今あなたが言うような立場からいけば、バザーの物品販売業は、そういう不定期に行われるのではないと言われるのなら、これはどうなるのですか。
  119. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 今の場合には、春秋一日だけやる場合には、私は継続事業ではないと思います。
  120. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは毎年やる場合が多い、そして一カ月なり一週間なりやる、そういうようなものはまあ原則的には収益事業として考える、こうなりますか。
  121. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 収益事業としては、政令定めますが、継続という意味では、一週間なり十日なり一カ月やれば、これはまあ継続だとみなさざるを得ないと思います。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで一年のうち一週間でも継続だと、そうするとその論理でいけば、二日でも継続ですね。一日は継続でない。(笑声)私変なことを言っておるようですけれども、ひっかかる段になるとだんだんひっかかっていくのですよ。その種のものが相当各種学校の収益事業とか、あるいは宗教法人のそれとかいうものにままあるのですな。だからこの継続と断続というのがどういうことなのか。まあ社会通念で言うと不定期という言葉もありますな、不定期にやるのはどうなんですか。
  123. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) お答え申し上げますが、今おっしゃるような、たとえば一日とか二日とかいうようなものを政府原案においては課税対象になり得るとしておったのを、政令で継続という言葉を使って、そうしてそういうふうな社会通念からいって二日や三日やっても、継続とはだれも考えないのですから、そういうものまでは含まない趣旨なんです。こういうことで修正をしたわけでありまして、今おっしゃるように、その二日の場合はどうだ、三日の場合はどうだということは、私どもは、実は衆議院においては、むしろ一回でも二回でもやったやつを法の対象にすることは危険性があるという趣旨で継続としたのでありますから、従って一日や二日やったからとか、あるいは二日や三日やったからという趣旨ではないことは確実で、ですからそれでは今度、二日や三日まではいいが、六日と七日はどうだと言われると、そのけじめがわれわれにはちょっとつかない。これは社会通念なり周囲の事情なり、ある団体が、できたての団体なら別でしょうが、もうすでに歴史の古いものであれば、おのずからそこにけじめはつこうかと思います。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 社会通念と言いますけれども、そのことは、申告する側の方が社会通念として考えるのでなくて、収税する方が社会通念を適用するので困るのです。(「そこだよ」と呼ぶ者あり)だからあいまいにはされない。やはり法律用語として、継続してということはこういうものだということが、ある程度明確になっておらないと、これは困る。それからまた事業場というものも、事務所そのものを事業場とは言わないということですが、さてそれは固定した事業場をさすのでもない、食堂とかあるいは物品販売をやっている店とかいうものは固定しておりますが、固定しない場所でもっていろいろ政令の適用するよう事業を行い得るのですから、そういうようなものはどうなっていくのか、こういう点もはっきりしておいていただきたいと思います。
  125. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 繰り返し申し上げて恐縮ですが、政府原案では、一回や二回やったものも含まれるおそれがあるというので、継続という言葉を使ったので、これは一つ御了承願いたい。  それから同時に、たとえば事業場が固定していないでも、巡回で浪花節をやっているとか、巡回でサーカスをやっているということになれば、これは当然事業場は移動するわけで、そういうのはやはり継続と見ざるを得ないだろうと思います。  それから、その継続というものは法律上確定しろということでありますけれども、これはもう法律技術上はおそらくできないであろうと思いますのは、たとえば刑法で連続犯というときは、連続犯とは何ぞやということは、これは判例その他でありますように、そこまで私は法律には書けないのじゃないか、こう思っております。
  126. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私、非常にとっぴなことを申し上げるようですが、かりに今月は断続的に三回何かやった、来月はやらぬ、その翌月に一回やるというふうに不定期にやるが、一年間においては事実行為としてはぽつぽつその事業をやっておる、こういうようなのは断続か継続かというふうになってくれば、やはりそれは一年間の間にさまざまな事業をやっているんだから継続だ、こういうことになるのか、それはそうでないということになるのかということを、はっきりしていただきたい。具体的には、各種学校なり技芸教授などの仕事をやっているものは、いろいろな名目でやるわけです。まあ学校でいえばバザーもあるでしょうし、その他の行事で、結果としては金を取り扱って仕事をする場合がある。内容、種類はさまざま違うのでありますけれども、そういうのをみんな一つずつばらばらにすれば、一回限りで、これは継続した事業とはならぬけれども、学校自体を主体としてその行為を見れば、全部それをかき集めてくれば、一貫して収益事業だというような形に解釈もなされ得ると思う。そういうようなものはどうなのかということなんです。それから、茶道なら茶道で、有名なお師匠さんが東京で何とかいうものをやる、あるいは仙台に行っては何とか記念の茶会をやる、あるいは茶会とい冬を持たぬで、別なことをよその地方に行ってやる、不定期にそれはやられておる。しかしながら、その団体そのものからいえば、全体として集めてみれば、それは収益事業ではないだろうかということになってくる。しかし断続しておる。こういうのをどういうふうに具体的に考えられるのかということをお尋ねしたい。
  127. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) その継続という言葉は、これははっきりここから先が継続であって、ここからこっちは継続でないというふうな私は解釈を何するものじゃないと思います。それはやはり事実行為の積み上げによって、本人が継続だと思って申告する場合もありましょうし、あるいは税務当局がこれは継続だといってきて……。しかしながら、継続であるかないかという点は、これは裁判の方法もあるのでありますから、そこまでは、衆議院で修正をいたしましても、その衆議院の修正の趣旨は、何度も申し上げますように、一ぺんや二へんのものまでやらないというところにその趣旨を置いたわけでありますから、継続という言葉が入ったために非常に混乱するというふうに聞えますけれども、継続がなかったらなお困ると、こういう趣旨で継続という言葉を入れたのでありますから、あとは継続なりやいなやということは、やはり最終的には裁判の問題であろうと思います。
  128. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 小山さん、どうも大へん御苦労さんです。えらい御苦労かけました。そうすると今の大矢君、小笠原君からいろいろ御質疑がありましたが、事業場というのは普通の事務所は含まない。それから継続してというのは、断続的なものとはこれは全然区別さるべきものであるというので継続とつけた。従って、不定期に、しかもやったりやらなかったりするよう事業、これを課税対象から除外するために、こういうふうに継続して事業場を持つというふうに衆議院としては御修正になったということが明らかになったのですが、局長さんの方もそういうお考えで修正案を御了解になっておりますか。
  129. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 一言申し上げますが、事業場事業を行う場所であって、必ずしも事務所ではないのであります。ですから、事務所と事業場とが一緒になることはあり得ます。しかしながら、事務所があるからそれは事業場だとはいきなり言えない。事業を行う場所であるならばと、そういう意味でございます。
  130. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私ども事業場について、事務所といわれるものが事業場である場合があると思います。大体事実行為よりも法律行為が中心になるというような場合は、事務所が事業場になるというような場合が多かろうと思います。  それから継続という点については、やはり社会通念に照らしてその境を引いて参ると、具体的には政令なり通達でやって参ると、最終的には争いがあれば裁判所にきめていただくということになると思います。
  131. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) もう小山さんはよろしゅうございますか……。どうも御苦労さまでした。
  132. 栗山良夫

    栗山良夫君 きのうの私の質問に対して、きょうは資料をちょうだいしておりますが、その中で「人格のない社団等の実例」という一番最後のページであります。その実例は、A、B、Cから順次Oまで団体があげてありますが、総収入の金額があげられておるのは、これは一団体ずつですか、数個の団体の合計額なんですか。
  133. 原純夫

    政府委員原純夫君) それぞれの団体の分でございます。
  134. 栗山良夫

    栗山良夫君 一個の団体……。
  135. 原純夫

    政府委員原純夫君) 一個の団体でございます。
  136. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから、百万円未満は切り捨てたとありますが、百万円未満で照会に対して回答を寄せた件数並びに延べ金額はどれくらいになりますか。
  137. 原純夫

    政府委員原純夫君) これはたしか三十件くらいを照会で調べたものでありますから、これが幾つになりますか、十五人くらいございますが、ですからもうあともう同じ数くらいあるわけですが、それが全部百万円未満というわけでもございません。(注)の(1)にありますように、一応収益事業を営んでおると推定されるものを掲げてありますから、それ以外で百万円以上というものも若干はございます。
  138. 栗山良夫

    栗山良夫君 このNの欄に新聞社というのがありますが、それはどういう形態のものですか。
  139. 原純夫

    政府委員原純夫君) これは要するにある新聞社であります。ある新聞社で新聞を出しておると、それが出版事業だというものでございますが、具体的に名前を言うのは差し控えたいと思います。
  140. 栗山良夫

    栗山良夫君 ある団体があって、その団体が発行しておる新聞を取り上げて新聞社と、こういう工合に言われておるわけですね。
  141. 原純夫

    政府委員原純夫君) その団体が、新聞社である団体であります。
  142. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから、大体これはわかりましたから……。この点の続いている質問は保留しまして、きのう私が申し上げまして頼母子講の問題は結論出ましたか。
  143. 原純夫

    政府委員原純夫君) 短時間でございますので、十分行き届いた研究はまだ完成いたしておりませんが、一応調べましたところを申し上げます。  いろんな態様の頼母子講があるようでございます。その中に講元がはっきりして、営業的に行なっているものもございます。そういう場合は講元が個人であるかあるいは法人であるか、あるいはまた、今回問題にしていただいております、法人でない社団財団であるという場合があると思います。それぞれそういう場合には、個人あるいは法人としての事業所得として、所得税、法人税をかけるということに相なろうと思います。次に、講元がそうはっきりしていない、近郷近在の者が寄り集って行うというような講の場合におきましては、この法律的な実態については、かなりに判定がむずかしい事情がございますが、大体においてこれは人格のない社団ではなく、組合類似のものではないかというふうに言われておるようであります。いずれにいたしましても、そういう場合には所得の発生の余地がないのが実際であると思いますので、課税上の問題は起らないであろうというふうに考えます。以上、大へん簡単で突っ込みが足りないかもしれませんが、一応研究いたしました結果、そういうふうにお答えいたします。
  144. 栗山良夫

    栗山良夫君 組合類似のものだというのは、どこからそういう結論が出ますか。
  145. 原純夫

    政府委員原純夫君) これは私の方の省の銀行局で、無尽業法の関係の行政を所管いたしております、その所管のいろいろな知識、意見を聞きまして、それによってただいまお答えいたしておるわけで、相互銀行法でございます。
  146. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど営業的に個人が講元をやっておるものについては所得税等をかけるのだ、こうおっしゃったのですが、これは無尽業法で個人がそういうものを認可なしにやることは禁ぜられているのでしょう。それは認められているのですか。
  147. 原純夫

    政府委員原純夫君) それはおっしゃる通り、相互銀行法の違反になるということで取締りの方はいたしておるようでございます。実例でも裁判に行って有罪になったものもあるそうでございます。
  148. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういうものにあなたの先ほどの御説明によるというと所得税をかける、こうおっしゃったのですが、そういう実体のないものに所得税をかけようがないわけではないですか。取締りの対象にはなるかもしれませんけれども……。そういう違法な団体が収益を上げたからというので、それから税金を徴収するということはあり得ますか。
  149. 原純夫

    政府委員原純夫君) 税の方は、各税法に規定いたしますところによって、所得があればかかるということになりまするから、それはやはり税はかかる。戦後の例のヤミの横行時代、ヤミ取引というのは法律違反であるわけですが、それによる所得というものはやはり所得であるということで税をかけなければならない。これは、しっかりつかまえてかけろということを言われたときがあったのであります。(笑声)かけなければいけないものだと思います。
  150. 栗山良夫

    栗山良夫君 ずい分あやしいものですが、それではきわめて通俗的なことを聞きますが、どろぼうが収入を得たときは税金かけますか。(笑声)
  151. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 全購連で九千万円とった、これは所得として税かけますか、多久島に……。
  152. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私どもただいまそういう問題につきましては、通達でこういうふうにいたします。窃盗、強盗、または横領によって取得した財物については所得税をかけないという考え方によって、それによって所有権が移転しないと、まだ人のものだと、こういうことになっている。詐欺、脅迫で取得したものは一応所有権が移転したと考えて、それはかけると、こういうことであります。(笑声)
  153. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあわかりましたが、法律で存在を否定しておる団体があげた収入を課税対象にするということは、私は少し理解できないのですが、もう少し明確に説明して下さい。
  154. 原純夫

    政府委員原純夫君) 法律は、団体なり、また個人の場合もあるわけですが、個人を否定するというのではなくして、そういう行為はいけないと、こういうことを言っておるわけです。いけないけれども事業としてやっている場合には、それは事業としてはっきりある、そしてそこに所得があるならばはっきりある、それは税法で所得を書いてあるのにそれは別だという解釈はできないというふうに思われます。
  155. 栗山良夫

    栗山良夫君 その頼母子講が組合類似のものであって、人格なき社団財団ではないと、こうおっしやると、きのう大矢委員あるいは平林委員、さらに亀田委員が指摘しました、個人と法人との中間にあるものは人格なき社団である、財団である、こういう工合に割り切ってお答えになったことと、少しギャップが出てくると思うのですね。従って、人格なき社団財団にまだ何かプラス・アルファみたいなものがそこにあって、それから個人と、こういうことに私はなるんじゃないかと思いますがね。きのうの発言で亀田委員が主張したよう発言を肯定されるのか、あるいは大矢委員にあなたが答弁せられたようなものをここで肯定せられるのか、この点は二つに議論が分れておりますから、明確にしておいていただきたい。今まだ研究の過程だとおっしゃいましたら、もう少し時間は貸してもけっこうですから、法的な根拠を明確にしてお答えを願いたいと思います。
  156. 原純夫

    政府委員原純夫君) まずこの頼母子講の講元としての主体の性格から申しますれば、先ほど申しましたように、個人、法人、また法人でない社団または財団である場合があり得ると思います。そこで、個人、法人の場合は、はっきり従来の所得税法法人税法対象になる。人格のない社団財団の場合には、実質的に収益事業であるわけでありますが、それは政令指定がいりますから、政令で業種に指定されるかどうかによって可否がきまってくるということに相なります。なお一般論として、個人、法人人格のない社団財団というものの位置づけと申しますか、これにつきましては、個人と個人でないもの、団体と、そして団体の中に法人格のあるものとないものと、こういうふうに分ける。なお亀田さんのお尋ねに対して申しましたが、組合的なものは税の方の扱いにおきましては個人課税するということでありますから、個人という範疇の中に組合的なものがあるということになります。まあそれがこの図で引いておれば団体と接する側にあるであろうというふうな考え方でおる次第でございます。
  157. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど局長お話しの中に、今問題になっておる無尽というものは、収益を生まない、こういうお話しがございましたのですが、無尽は、やはり頼母子講である場合においても、定められた期間を満了するならば、その間には経済価値は付加せられておると私どもは見ておる。価値の付加があるからこそ、こういう講というものが成り立つのであって、その価値がなければ、全然成り立たないわけです。付加価値というものは全然ないと、こういう工合にお考えですか。
  158. 原純夫

    政府委員原純夫君) 先ほど所得発生の余地がないと申しましたのは、近郷近在で集まって、まあほんとうにお互いに回り持ちでやるという式な講においては、集まった金をだれかが落して持っていく。そうすると、それによる運用益といいますか、そういうものもないという意味で申し上げたわけです。講元がはっきりして、営業的に行うものは、まあ、ぴんはねといいますか、どこかで、さやをとっておるような場合が多かろうと思います。そういう場合は所得が出るだろうという意味で申し上げたわけでございます。
  159. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから、昨日私が最後に問題を提供しておきました宗教関係法人、あるいは法人でない宗教団体に対する御研究はその後どうなりましたか。あなたが昨日おっしゃったところでは、法人格を持っておる宗教団体については、税の対象から外しておる。いろいろな問題も申されました。私はこれについても非常に疑義があります。実際に、個別の名前をあげては大へん失礼だからあげませんけれども、たとえば観光地に指定をされ、観光バスのちゃんと予定コースに入っておるような神社仏閣、こういうようなところは、お参りに行くというよりも、やはり見物に行くという精神の方が横溢して、しかも、受け入れる神社仏閣の方も、ほんとうに神社仏閣にお参りしてもらうというよりは、そこで入場料というのですか、参観料というのか、そういうものをとって、そうして収入をあげるということに、一生懸命になっておる。これが実態ですよ。私は全神社仏閣がそうであるとは申しません。少くとも最近の観光バスの、異常に発達をしている今日においては、そういう現象が社会現象として出てているわけです。そういうものを、大蔵省というものは、全然新しい構想を持たないで——こういう人格なき社団の中でも、私は全部がいけないと申しませんけれども、零細なものまで申告の義務を課するというのは、少し行き過ぎではないかという考えを持っておる。ことに法人格を取得してない宗教団体、いわゆる新興宗教なんかにこれを見ることができますが、こういう宗教はほとんど最初は零からスタートして、数年の間には大伽籃を作ってしまって、大財産を持っておる。しかもいろいろ問題が起きて社会の指弾を受けるというようなものがあります。そういう所得の累積していくことを、大蔵省というものは、ただ税の対象にしないで見逃していいかどうか、こういう問題があると思います。その点に対する、現実の問題に対して、大蔵省はその点をほおかぶりしていかれるか、あるいは再検討の余地があるのか、この点を一つ明確にしておきたい。
  160. 原純夫

    政府委員原純夫君) 宗教法人につきましては、御存じの通り収益事業所得について法人税をかけるということになっております。昨日ちょっとお尋ねに対してお答えいたしましたが、お札とか、お守りのようなものを売る行為は、収益事業ではない。これは宗教関係の行為自体であるというふうに考えて、はずしておるわけでありますか、一般のみやげ物を売るとかいうようなことをやっておりますれば、それはもう収益事業としてかかる。なおこのお尋ねの中心であります、そういう法人である宗教団体、また法人でない宗教団体が、主として寄付金でございましょう、奉加金と申しますか、そういうようなことで金がたまって参る。それを放っておくか、ということにつきましては、税法の建前は、それは収益率業ではない。宗教的な意味で金が集まるというふうに解釈して、はずしております。それは単に新興宗教に限ることではありませんので、既成の宗教においてもそういう金が集まるということはある。やるのならば、新興であるからどう、既成であるからどうという区分はすべきでなかろうと思います。問題は、宗教が、何と申しますか、口はばったいのですが、あまりおかしなものができないように、というようなお考えと、うらはらの御発言ようでありますが、税の方はそういうところまで考えて、ということにはちょっといけないのじゃないか。やはり税としては、収益専業なら収益専業ということで、一応かけるという線がありはしないかというふうに思います。少くとも現行の法律の建前は、そういう考えで参っておるわけでございます。
  161. 栗山良夫

    栗山良夫君 神社仏閣の拝観料なんという、あの料金ですね、これはやはり収益ではないですか。
  162. 原純夫

    政府委員原純夫君) これは、ただいま、私ども課税対象と認められない収入として扱っております。
  163. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、宗教団体課税対象になる収入というのは、どういうものがありますか。何にもないじゃないですか。
  164. 原純夫

    政府委員原純夫君) まあ、主として物品販売業の範疇のものでございます。先ほど申しました、みやげ物を売るとか、あるいは、ろうそく、線香を売るというようなものについては、これはもう物品販売業に該当するとして、課税対象といたしております。
  165. 栗山良夫

    栗山良夫君 みやげ物は、その法人が直接やっているものはないでしょう。あなた方もお考えだと思いますが、大体これは別の人がやっているんです。その境内を借りて、別の人——おそらく借りるのには、また賃貸料を出していると思いますが、全然別の人がやっているのが多いのです。お官なり寺なりが、自分でみやげ物を売っているなんという例はおそらく私はないと思う。そういうことが一つありますし、もう一つは、先ほど収益事業とはみないと、こうおっしゃったのですね、現在の税法では。ところがそうおっしゃりながら、今度の人格なき社団財団の問題が起きてくると、同時に、きょうもいただいておりますように、医療保健業という一つの収益事業、その次は技芸教授業——なかなかおもしろい業だが、技芸教授業という新しい収益事策を起しているのですよ。そうしてこの課税対象にしようとしておられるのでしょう。決して収益事業に対しては、現状維持ではないですよ。今度二つの新しい収益事業を起そうとしておられる。それだから、あなたの説というものは安定点がない。そういうふうに私は理解せざるを得ないのですかね。もし最近のそういう社会現象というものをよく理解されておるならば、新たにもう一つ付け加える必要はないか。そういうようなはっきりした理論というものが出てこなければいけない。収益事業に該当していないから、そういうことは考えていないとおっしゃるが、そうなれば収益事業でなかったものまでも新しくこの法律では追加しようとしておられる。どうも私は理窟が立たないのじゃないかと思う。
  166. 原純夫

    政府委員原純夫君) この公益法人、それから今回の法人でない社団財団収益事業課税は、理念としては、収益事業について所得がある場合は公平に課税しなければならぬというのが大原則であるわけであります。そういう意味では、別段業種の指定をしないでも収益事業なら何でも取るということにするのが一番徹底した、しゃんとした行き方だと思います。しかしながら長年課税してないというようなことから、二十五年に、公益法人課税をいたします際にも、その辺について配慮を加えて、かつ公益法人の場合は特に公益目的というのが、わきに、わきといいますか、本来の目的があり、それに付随して行うというところからくるニュアンスが出るケースがいろいろございます。そういうところからやはり業樺をはっきりしぼって、これはというものにかけようということにいたしたわけです。今回の場合は、そういう意味でいいますと純営利的なものもあり、また公益的な性格のものもあり、非常に公益的な性格が強ければ公益法人になってしまうのが当然だと思うのでありますが、ニュアンスがあるわけであります。それらを包括して規定するとなると、やはり原則は普通法人並みということで業種指定をかぶせるというのはおかしいという考え方もあるのであります。長年いろいろ議論があり、今回それらを割り切って法人税法対象にしようというときでありますから、やはり業種は公益法人並みにしぼっていくという考え方なんであります。  そこで、根本の理念と、それからそういう若干過渡的な意味合いをもった業種指定ということ、過渡的ばかりでもございませんが、公益法人の場合には若干本質的なものがありますが、そういうよう関係から業種の指定が実態に即して、どうもこれだけ二十八業種指定されているけれども、そのほかに、あそこはああいう事業をやっている、公益法人があるじゃないか、あるいは法人でない社団財団があるじゃないか、あれにかけないのはどうも非常識だというものが出て参りますれば、それはその際追加をするということがあっても、それはそういう事情から当然ではないかというふうに思います。私ども今回取り上げましたのも、いろいろの実情から、どうも放任しておいては大原則である課税の公平を期し得ないというものの特に顕著なものを、この際追加いたしたいという気持で考えておるわけでございます。
  167. 栗山良夫

    栗山良夫君 宗教団体の問題は、きのうの委員会では、あまりやると罰が当るからと皆さんがおっしゃったが、あるいはそうかもしれませんが、しかし税の公平の原則からいえば、やはりもう少し検討する余地があろうと思うのです。それから特に新興宗教につきましては、これは大蔵省に私が申し上げるのは筋違いですけれども、所管大臣としてやはり文部大臣の所信というものはたださなければならぬと思うのです。最後の関門である税すらも全然無能で、そうしてどういうことをやつてもいいということでは、これはやはり新しい日本、特に宗教については憲法によってすっかり昔と姿が変っているわけですから、そういう日本において少し手落ちじゃないかと考えるからのです。大体今の御説明で大蔵省の考えておられる点はわかりましたけれども、文部大臣を含めて、私はこの問題をもう少し議論するかお尋ねをしたい点がありますから、これは保留しておきます。
  168. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して……。これは私も罰が当っては大へんですから私の意思は申し上げません。ただ実態について、これは課税されるかされないかということだけお聞きしたい。それは本山などといわれる大きな寺で精進料理を出し、般若湯を出し、そうして宿泊をりっぱな座敷でやらせる、こういうのは旅館業として収益事業となっておりますか、おりませんか。
  169. 原純夫

    政府委員原純夫君) 通達では一般的に規定しておったかどうかちょっと覚えませんが、具体例で課税になっておる例はございます。ですから、そういう考え方でやっておるのだと一応御承知いただきたいと思います。
  170. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一つ、さきに拝観料なんといいましたが、入場料とか拝観料ということになると、入場税なんという問題が出たりしたせいかしらぬが、名前を変えて、初穂料とか献灯料とかいう名前で一定金額を取る。これは信仰の対象であるならば団体割引なんということはあり得ない。(笑声)ところが献灯料は団体割引がある。しかもそれが、お寺を見るのも、お宮さんを見るのも、宝物殿を見るのも、一束になって、献灯料とか初穂料とか名前は忘れましたが、信仰のために自発的にお上げするという形になっておる。それが一定の金額できまっており、団体割引がある。外人などは何も信仰のために行くのではないが、そういう方からも献灯料をやはり取っておる。こういうよう実態収益事業ではないのですか。
  171. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私どもはそれは収益事業の収入とは見ておりません。なおそれが入場料と呼ばないでも、実質的には入場料的なものだという点に関しましては御案内の観光施設税の対象にはなっております。地方税で普遍的に取っておる税ではございませんけれども、関西あたりでは最近だいぶ取っております。
  172. 前田久吉

    ○前田久吉君 ここにある新聞社というのは、公益事業の、かりに宗教団体が新聞を出しておるのをいうのですか。一般社団法人とか財団ですね。株式会社の代りに社団法人で出しておるというような、それを含んでの新聞社のことですか。
  173. 原純夫

    政府委員原純夫君) この表は、法人格のない社団または財団事業らしいものをやっておる、収益事業らしいものをやっておるというものについてでありますから、これ自体はN新聞社とありますが、これは何々新聞社という、わけですが、それは会社でもない、また公益法人でもない、法人格のないまあ社団ぐらいなんだというものなんであります。
  174. 前田久吉

    ○前田久吉君 そうすると、公益法人、かりに宗教団体で新聞を出して利益をあげていても、この中には入らない、こういうことですか。
  175. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいま公益法人収益事業にはかかるということになっておりますが、その収益事業として、どういう専業が収益事業であるかということを指定しております政令の規定の中に出版業というのが入っております。新聞を発行して売るというのは出版業に該当するということで、現在公益法人であって、そういう事業をして課税になっておるというものはございます。今回はさらに、法人格のない団体について、収益事業をやれば法人税をとる、その収益事業の中には同じ業種をいうということになりますから、会社でもなく、また民法法人でもないというものも、新聞を出しておれば出版事業として課税になるということに相なると考えております。
  176. 前田久吉

    ○前田久吉君 そういたしますと、さっき二十五年ごろから課税対象としておいたというお答えが、どなたかの質問のときにあったと思うのですが、かりに東京都で社団法人という新聞社があって、今まで収益をあげておったが、税の対象になってなかったと、こういうことなんですか。
  177. 原純夫

    政府委員原純夫君) 二十五年の前までは、公益法人でありますと全然法人税はかからないということになっておったのでございます。ところが公益法人の中にも実際に事業をやっているのがあるじゃないか、そうなりますと、それと競争する一般事業がなかなかだまっていない。こういうことは、やはり税は、同じ経済活動をやっているなら、公平にとってくれという要求があるわけですね。それで二十五年に、公益法人であっても収益事業をやる者については、その分は法人税をとろうということに御改正願ったわけです。今回はさらに、法人格はない、何とか協会とか、あるいは何とか会社とかいようなことでやっているが、法人格はない、しかし、やっていることは、れっきとした収益事業だというようなものについて、同様な角度から、課税の公平の見地からとるべきではないかというふうに考えて、今回の改正をお願いしているというようなわけでございます。
  178. 前田久吉

    ○前田久吉君 そういたしますと、社団法人という名のもとに今まで業務を行なっておった新聞社も、株式会社としてやってきた新聞社も、二十五年からは同じ税法のあれでやってきたということが一つ……。
  179. 原純夫

    政府委員原純夫君) 二十五年から法人税がかかるようになりました。ただし公益法人であるというので、税率につきましては一般法人とは違った税率でやっております。ただいまは一般法人が四割、低い所得のものは三割五分の部分がございますが、四割、公益法人の場合は税率が三割ということになっております。今回お願いいたしております、この法人でない社団財団ですね、これについてその収益事業所得法人税をかけるようにいたしたい、これは普通法人なみの税をかけたいというふうにいたしております。なお税率のほか、公益法人の場合ですと、本来公益目的事業があって、大体付随して収益事業を行なっているだろう、そうすると、その事業の収益を公益目的に使いたいのだというような事情がいろいろおありになるというようなことから、通常の場合ですと、所得のうち損金として寄付金に出せる、寄付金に出せるものに限度を設けてあるわけなんです。その限度をゆるくしまして、所得の三割までは、公益目的事業の方に損金として出してよろしいということにいたしております。一般の場合でも、若干の限度がありますけれども、それよりもはるかに大きい率を認めているというのが、公益法人の場合と一般法人と違う点であります。
  180. 前田久吉

    ○前田久吉君 この関係ではないのですが、関連してちょっと伺いたい。かりに放送局のことを伺いたいのですが、NHKであるとか、かつて、最近はかわりましたが、社団法人でイタリア人がやっておった文化放送というのがございますが、相当利潤をあげておったように思うのですが、これは税はかかっておったのですか。かかっておらなかったのですか。社団法人である放送事業につきまして、かかっておったのですか。
  181. 原純夫

    政府委員原純夫君) 日本放送協会は、確かに法人税法の四条で、この法人税を課さないということにいたしております。それから一般の放送事業は、収益事業の種類を指定しております、政令で。その中に無線電話放送事業というのを一つ掲げて、それは収益事業に含まれるというふうにみておりますので、文化放送が公益法人でありますれば、その放送事業については法人税がかかることに相なります。
  182. 平林剛

    平林剛君 この表は、人格のない社団等の実例が示されたものでありますけれども、たとえば、この団体名にある市交通局厚生会あるいは市交通局共済組合、これらの物品販売は、私、想像するわけでありますが、たとえば化粧品を売るとか、日用品を売るとかいうことで収入を得ているもの、これを示すのがこの表なんですか。
  183. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私もこの調査の原表を見ておりませんので、化粧品が入っているか何が入っているかというところまで、はっきり申し上げられませんが、これは大体職場で売店を置いて売る種類のものの販売であろうと思います。
  184. 平林剛

    平林剛君 そうすると、これは今まで抽象的に、あるいはこの具体的な例を引かないでお尋ねをしておったわけでありますけれども、こうなるというと、こうした団体が行なっている収入に対して今回は課税をしてゆくことになる、こういうふうに解していいわけですか。
  185. 原純夫

    政府委員原純夫君) (注)にありますように、一応収益事業ではなかろうかと推定されるものを掲げたものでありますから、具体的に、具体的にといいますか、ただいまの例で、売店を設けて日用品を売っているというような場合は、これは物品販売業ではなかろうか。そうすれば、それは収益事業の一つとして、その所得については課税するということになろうと思います。ただし、まあ職場の団体ようでございますから、利益の率は少いだろうと思いますが、所得がありますればかけるということに相なると思います。
  186. 平林剛

    平林剛君 今具体的な例を引いた団体においては、この表を見ていきまするというと、収入が大へん多いようになっている。市交通局の厚生会で四千五百万円、市職員共済組合で一億五千万円ですが、これは総収入というのは、(「売上高だ」と呼ぶ者あり)売上高の意味であって、利潤ではないと、そうして、もしこれらの団体には、この法律案が通れば、その利潤に対して法人税が、それぞれの段階によって違いますけれども、たとえば四〇%が課せられる、こういうことになるわけですか。
  187. 原純夫

    政府委員原純夫君) その通りであります。
  188. 平林剛

    平林剛君 この市交通局厚生会あるいは市共済組合その他職場の団体の中には、購買的な仕事をやっておるところがたくさんある。これらの人たちはまだ自分が該当しないものと思っているから大して騒いでいませんけれども、だんだんこれが知るようになるというと、あらゆる職場においてこの問題が大へんなことだということに気がついてくる。おそらく現在でも人格のない社団に自分がなっているか、ならないか、わからないから、みなのんびりしていると思いますけれども、これは私は大へんなことになると思う。  そこで、これは今あげた団体の収益はその個人の収益ではない。たとえば代表者定めがあっても、その代表者の収益ではない、それぞれに還元していけばもう大多数の人たちの小さい収入の集積になるわけですね。しかもこれは決していわゆる商売でやっているわけではない。こういうような零細なものに対して今度は課税をするというのがこの法律の趣旨ですか。
  189. 原純夫

    政府委員原純夫君) 改正の趣旨は、雲質的に収益事業を行なっている者は公平に税を納めるようにすべきではないかということであります。それは私どもが申すばかりではなくて、大きな職場がありまして、その職場で、場合によっては会社自体が直営しておるという場合もありましょうし、はっきりした法人格を持った団体がやっているという場合もありましょうし、またこのよう人格のない社団等がやっている場合がありますが、それらの場合について、一般の企業者から、そういう面で税を公平にとってくれというような声が出ているということは御案内の通りであります。そればまあ、ただいま申しておりますように、収益事業所得に対しては公平に課税するという趣旨をそれぞれの立場から言うているのだと思います。私どもそういう気持でこれをお願いしておるわけでございます。
  190. 平林剛

    平林剛君 いや、公平な課税という言葉は確かにその通りでありますけれども、私は結局この法律の通ったあとのいろいろな状態を考えると、全くおそろしくなるわけです。結局お互いに安い品物を買おうということで購買的なことをやり、決して一人の人が得をするためのいわゆる営利ではない。しかし、それにもかかわらず今のこの法律が通ることによって課税をされる。そうすると、こういう団体に対する活動の圧迫になってくる。しかも本人たちは、人格のない社団であるかないか、そういうことをわからないでやっているのに、法律が通るというと、今度は申告をしなければ罰則がくる、こういうことによってくると思うのであります。そこで、かりにあなたの方は法の運営上、初め通知をしてからやる、通知をしてからいろいろな法の罰則などについてもおやりになると言うけれども、実際にはこういう大衆的な団体を圧迫するような結果になってしまうのではないでしょうか。
  191. 原純夫

    政府委員原純夫君) 先ほど申しましたような根本的な考え方からこういうふうにいたしたいと思っておりますので、まあ職場団体でありますれば、あまり利益をあげておれば、それはおかしいという非難が団体の構成員から出ることであろうと思います。所得は大体少いだろうと思いますが、まあ多かれ少かれ、それは、はっきり計算してあれば、それによって税を納めていただくということであろうと考えております。別段それが圧迫ということにはならないのではないか。やはり公平に課税するという意味で若干の手続は必要になりますが、それが先ほど申したような理念からいえば本来の形であるというふうに考える次第でございます。
  192. 平林剛

    平林剛君 私はこれと比較してもらうために、公平な課税という言葉がまことに便宜的に使われている例を一つ質問の中から明らかにしていきます。あなたの方から提出をされておるところの大法人の各種特別措置の利用状況調という資料について、私はあなたにこの際お尋ねをいたしますが、これは租税特別措置法によっていろいろな便宜を受けていることの調書であります。一つ私から、今公平な課税であるという意味から、多数の人たちの小さな収入の集積にまで課税するという意味と、この大法人の各種特別措置の利用状況調に対する質問から浮いてくることで、大へんあなたの方で国民の税に対する関心でえらい問題が引き起ってくるということを指摘します。おそらくこの人格のない社団等法律案が通ることによって、これらの大衆団体を圧迫すると、私は大法人に対するいろいろの特別措置の状況を同時に知るに及んで反税闘争的な大衆運動が高まるということを一番おそれるのです。一つ大法人の各種特別措置の利用状況調について、あなたからこの読み方を説明してもらいたいと思う。区分のABCDEFG……とありますのは、これは具体的にいうと大体各業界がこれはわかると思うのでありますが、これではちょっとわかりませんから、念のために一つ説明して下さい。
  193. 原純夫

    政府委員原純夫君) この特別措置のことにつきましては、それぞれ政策的な要請から特別な優遇を与えるという制度でありまして、それが全体の税負担とバランスを見なけれどならぬという御意見は、まことにごもっともな御意見だと思います。私どももそういう観点から今回の改正では相当な幅の整理をいたしたいということで、各税法についての改正の中にそれを盛り込んでおるわけであります。今後だんだんと経済が正常化し、またこの政策的な要請が変動いたしますにつれて、そういう調整はさらに、はかって参りたいと考えております。  この表の読み方でありますが、ABCDは、名前を具体的に出しますのは、不穏当といいますよりも、私ども税で知り得ましたところを申し上げるということは法律でも禁ぜられておることでありますので、具体的な名前は申し上げない方がよいという意味で、こういう符号にしたわけであります。あとの読み方は、区分の四段目の総所得というところをごらんいただくのと、それから最終の帰結は一番下の段の課税所得金額という欄をごらんいただきますと、特例がない場合の総所得が幾らで、縦に二つ割ってございます。その右の一〇〇%というのは、それを一〇〇%とすると、一番下の段にいって結局課税される所得金額は幾ら、それの総所得金額に対する割合は何%というのが、その右に出るというような形になっております。その間の差引き計算、プラスされるのもございますが、差引き計算の各因子を、その間に金額と総所得に対する割合で示してあるという形になっておるわけでございます。
  194. 平林剛

    平林剛君 今あなたは、具体的にいうと支障があるというけれども、大体Aというのは電力事業のことでしょう。この程度のことはABCDE、説明できるわけですよ、肥料、パルプ、工業、紡績、鉄鋼、銀行、保険、放送、このくらいの区分けはできるわけでしょう。私はここでは時間がありませんから、そこまであなたに言ってもらわなくてもいいです。だが、AならAを見れば、その電力産業に関する租税特別措置がどれだけあるかということがこの表でもわかるのです。しかも特に重要物産の免税所得などの例をとれば、今度の税法の改正の中におきましても、重要物産に対する免税措置は、いろいろ期間があっても引き続きこれを免除しておる、それから今度は世界に例のないことであるからということで遠慮して三年間という期限は限ってありますけれども、しかし重要物産という名目でいろいろな面に対する免税措置をやっておるわけであります。たとえば一つの重要物産の指定を受けたところの会社が一年間に十億円の収益をあげたとか、十億円の収益をあげても、重要物産の指定を受ければ一銭の税金も納めなくても済む。十億円の収益をあげて十億円全部配当にしてしまって税金はちっとも取られない、しかもそればかりではないのです。これを配当でもし配るということになるというと、十億円をかりに百人の株主に配当いたしますと、一人について一千万円の配当金がくる。配当金額がくるだけでなく、今度は配当金に対してはいろいろな課税控除があるから、一人の株主が一千万円の配当金をもらって、しかも、そのうちの二〇%は今度は政府の方から返ってくる、国の方から今度はそれを返してくるという、こういうことになるでしょう。ちょっと一つその点についてお答えを願いたいと思うのです。
  195. 原純夫

    政府委員原純夫君) その通りになります。
  196. 平林剛

    平林剛君 私は、こういうことから考えて、あなたは、課税の公平だとか、公平の課税だと、こういうけれども、非常に今の税法というものはどういう性格を持っているかということを端的に示しておると思うのです。それにもかかわらず、私がさっき言いましたよう人格のない社団というような名目で、こういう大衆団体を結局いじめることになるのじゃないか。あなたは課税の公平というけれども、ちっとも公平じゃない。これを私は日本の国民全般が知るようになったら、こういう大衆団体の方から、フランスの例じゃないけれども、反税派というものが生まれてきて、そうして反税闘争が大々的に組織されるということをおそれているわけです。どう思いますか。
  197. 原純夫

    政府委員原純夫君) 課税の公平ということは、やはりあくまで貫かなければならないと思います。そういう意味でお願いしております改正はぜひお願いいたしたいと思います。それからこの重要物産を例にあげてのお話でありまするが、こういうところで大きく優遇を与えておるということにつきましては、いろいろ御批判もあると思います。が、政策的に国民経済に必要な物産であって、これをぜひ何とか日本の国民経済に持ちたいという場合に、そういうものが興るためのインセンティブとして、こういう性格を持っておるわけで、御批判はあると思いますが、それにはそれの理由があるわけであります。なお本件について申しますれば、私どもも、そういう政策目的は持つにしても、それの優遇の度合いというものについて程をはからねばならぬという意味から、今回お願いいたしております所得税法法人税法の改正案の中で、この制度につきましては三本はっきり大きく筋を通して、特にその中で、免税所得が投資金額に対して、投資金額全部を回収できるだけの利益が出た、あるいは倍も出たというような場合でも、どこまでも免税するということはない、限度を設ける。それから物産の種類にしましても、はっきりと定義、条件をつける、それから今まで期間の指定が、はっきり、いつまでというような指定がなくて、ずるずるといういろいろな業種が非常に長い間指定されるというようなことになっておりましたのを、やはりそういう政策目的に弾力的に適合するように、当初から指定の期間を設けていくというような点で、かなり大きな修正を加えるということをお願いしておるような次第であります。全般として特別措置について相当考えねばならぬという点は私ども全然同感で、将来ともそういう角度は捨てないで、十分慎重に検討して善処して参りたいと思っております。
  198. 平林剛

    平林剛君 まあ私は今回のこの人格のない社団というものに対する課税が、どういう結果になるかということを、端的な例で一つ指摘したにすぎません。今いろいろ重要物産のことについて御釈明がありましたけれども、しかし現在実施中あるいは今度の法律改正の中でもそれが残っているわけですね。そういう点からいって、与党の皆さん、きょう私が発言したら帰ってしまったけれども、こういう点は十分比較した上で検討していただかなければならぬ問題だと私は思うのですよ。きょうはまだこの問題については質問も残りますけれども、一つ与党の方にも十分お考えを願いたいという意味で、この程度で、きょうはとどめておきます。
  199. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  200. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をつけて。  それでは本日はこれにて散会いたし、明日は午前十時より開会いたします。    午後五時十九分散会