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1957-03-20 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十日(水曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————   委員異動 三月十六日委員小滝彬辞任につき、 その補欠として武藤常介君を議長にお いて指名した。 三月十八日委員泉山三六君辞任につ き、その補欠として小沢久太郎君を議 長において指名した。 三月十九日小沢久太郎君及び高橋進太 郎君辞任につき、その補欠として稲浦 鹿藏君及び田中茂穂君を議長において 指名した。 本日委員江田三郎君及び田中茂穂君辞 任につき、その補欠として小笠原二三 男君及び高橋進太郎君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            稲浦 鹿藏君            土田國太郎君            苫米地英俊君            宮澤 喜一君            武藤 常介君           小笠原二三男君            大矢  正君            椿  繁夫君            杉山 昌作君   衆議院議員            平岡忠次郎君            小山 長規君   政府委員    大蔵政務次官  足立 篤郎君    大蔵省主税局長 原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○関税法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○漁船保険特別会計における給与保  険の再保険事業について生じた損失  をうめるための一般会計からの繰入  金に関する法律案内閣送付予備  審査) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○租税特別措置法案内閣送付予備  審査) ○物品税法を廃止する法律案衆議院  送付予備審査) ○酒税法の一部を改正する法律案(衆  議院送付予備審査)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) それではこれより委員会を開きます。  議事に入ります前に、委員異動について御報告いたします。  去る三月十六日付小滝彬辞任補欠として武藤常介君、十八日付泉山三六君辞任小沢久太郎補欠、十九日付小沢久太郎辞任稲浦鹿藏補欠、なお十九日付高橋進太郎辞任田中茂穂補欠、本日付江田三郎辞任小笠原二三男補欠、なお田中茂穂辞任高橋進太郎補欠。   —————————————
  3. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) まず、関税法の一部を改正する法律案及び漁船保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案予備審査)の二案を、便宜一括して提案理由説明を聴取いたします。
  4. 足立篤郎

    政府委員足立篤郎君) ただいま議題となりました関税法の一部を改正する法律案法律案につきまして、提案理由及びその概要を申し上げます。  最初関税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  この法律案は、最近における関税犯則事件状況等に顧み、外国貿易船等でない外国往来船等についても入港届提出を要することとし、外国往来船への交通及び貨物保税地域への出し入れについての規制並びに輸出入についての虚偽申告等に対する罰則を強化するとともに、不開港出入許可手数料について減免規定を設ける等のため、関税法の一部を改正しようとするものであります。  まず、外国貿易船等でない外国往来船等、すなわち通常外国に寄港する遠洋漁業船海技練習船等につきましては、従来は入港届提出を要しなかったのでありますが、これらの船舶等についても貨物輸出入及び免税船用品等用途外使用の取締りを行う必要があるので、その本邦の開港等への入港に際しては、入港届提出を要することとしております。  次に、外国往来船と陸地との交通につきましては、従来は、その交通する場所について制限が設けられているのみでありましたが、近時、外国貨物不正買出等のためこれらの船舶に往来する者の少くない実情に顧み、成規の手続を経ない貨物の授受を目的とする交通については、所要規制を加えることができることとしております。そのほか、貨物のすりかえ輸出入防止を期する等のため、特定の地域にある保税地域については、一般内国貨物出し入れについても届出を義務づけることとしております。  次に、輸出入についての虚偽申告等の罪については、その罪質に顧み、また、許可を受けないで不開港に出入する罪については、とん税法等との関係をも考慮し、それぞれその罰則を強化するとともに、過失によるこれらの罪については体刑を科さないこととする等所要罰則の整備を行うこととしております。  その他、とん税及び特別とん税の税率との権衡を考慮し、同一外国貿易船同一の不開港に四回以上入港する場合においては、その四回目以後の不開港出入許可手数料を減免できることとしております。  次に、漁船保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。  漁船乗組員給与保険法規定による漁船乗組員の抑留を保険事故とする給与保険につきましては、保険事故が異常に発生したことに伴い生じた損失を埋めるため、従来も一般会計からこの会計給与保険勘定繰入金をいたしているのでありますが、昭和三十年度の決算上、なお、約五百六十二万二千円の損失が残り、また、昭和三十一年度におきましても、引き続き保険事故が異常に発生いたし、昭和三十一年四月一日から本年二月末までの間に、さらに約八千九百十八万七千円の損失が生じたのであります。そこで今回、これらの損失を埋めるため、昭和三十一年度におきまして、一般会計から九千四百八十万九千円を限度として、この会計給与保険勘定繰入金をすることができることとしようとするものであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成賜わらんことをお願いいたします。
  5. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 両案の質疑は後日に譲ります。   —————————————
  6. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 次は、所得税法の一部を改正する法律案  法人税法の一部を改正する法律案  租税特別措置法案  以上、三案を一括議題といたしまして、質疑を行います。
  7. 土田國太郎

    土田國太郎君 租税特別措置のうちの酒類特別配給につきましてお伺いいたしたいと思います。  この特別措置で税額を七割にいたしまして特別配給をする、特配をするということは、私が知っている範囲では米穀を使用したものでありますが、米穀その他の重要物資生産または供出、これに合せて、特にその酒類密造防止というところに重点を置いた、このように記憶しておるのですが、局長政府としてこの酒類特配を設けたという根拠ですね、それを一応御説明願いたいと思います。
  8. 原純夫

    政府委員原純夫君) これはだんだん沿革のあることでありまして、だいぶ前は、お話供出関係以外におきましても、いろいろな重要産業に対する特配といいますか、そういうような面に安い税率がいっておりましたが、最近においてはその後者の部面がだんだん減りまして、農業の関係ウェートが前よりもずっと多くなっているというのが実情でございます。
  9. 土田國太郎

    土田國太郎君 そこで私は特にお伺いいたしておきたいことは、これはすなわち特配趣旨は、これは消費者本位で、メーカーとか販売業者というような供給者目的にしたものではないというように考えておりますが、その点はいかがですか。
  10. 原純夫

    政府委員原純夫君) その通りでございます。
  11. 土田國太郎

    土田國太郎君 そこでお伺いいたしたいのは、この特配政府が各業界割当をいたしまする際に、何を基準として各酒類別割当をなさるのですか、それを伺いたい。
  12. 原純夫

    政府委員原純夫君) もちろんこれはそういう供出なりあるいは重要な産業なりに従事している人に安い税率で出すようにということでありますから、消費者の面を考えるということが本来の何でございますが、実際に御案内の通り戦争中、戦後を通しまして酒類生産状況需給状況というものは、他の物資の中にありまして非常に窮屈なものでございまして、その間酒類税率に戦前に比べまして非常に高いというようなことに相なっておりまして、それによって財政に寄与するという面がございました。そうしていわばこの供給量とそれにかける税率とが最高になるようにというようなことでずっとやってきたようなことが実際の経緯でございます。その間にありまして、まあ前々はこの種の酒以外でも、この種といいますか、広く配給制度というものがございましたが、そういう場合に非常に重い税をしょって、需給関係もなかなかうまくいかないと、予算に見た数量が酒類別にこなれるこなれないというようなことがありましたために、従来は単純に消費者選択というだけでなくて、各酒類生産状況、それの需給状況考え措置いたしてきております。従来は、と申しますのは、最近までそうであります。だんだん税率も、まだまだ問題はあると思いますが、この戦後の非常に高かった時代に比べますとだんだん緩和してきております。一方需給関係もだいぶ変ってきておるというような関係から、本来の趣旨にだんだん立ち返るというような方向であろうという考え方で、さしあたり本年度はそういうような見地を入れていたすことにいたしておりますが、これをどういうふうにこの何割そういう選択をするかというような点につきましては、私は最近の何を聞いておりませんので、担当国税庁の方とも相談いたしまして、もし必要でしたら後刻数字でお答えいたしたいと思います。
  13. 土田國太郎

    土田國太郎君 その緩和したものをちようだいいたしたいと存じます。それでこれは、今のやり方戦時中あるいは戦争直後、非常に清酒の逼迫した時代ですね。これを基本として、この穴埋めをしたものがすなわち合成酒である。そういうような昔の十何年かさきの思想をもって今日まで大蔵省配給酒類割当というものをされておったことは、これはもうこの石数パーセンテージで明らかになっておる。特に去年以来、清酒のごときは三百万石を蔵出しなければならない。しかも税率が高いためになかなか二級酒でさえも売れ残った。そして一升二十円、三十円というような値引きをしなければ売れないというような実情になっておったのであります。しかもそれにもかかわらず、こういうように生産量が増加したにもかかわらず、割当は一番少い。合成酒のごときはわずかに七十四万石で一〇%以上も割当をしておる。それからしょうちゅうは一・九%、約二%も割当をしておる。清酒のごときは一・七%しかしていない。非常にまあ比率が清酒は少い。これは業界側の調べたものであり、また国税庁の計算もこのようであります。しかるところ、消費者の方から非常に文句が出ておる。どうも米を供出すると、しょうちゅうや合成酒を割り当てられるので、われわれは米を出したのだから米の酒もほしいのだという意向が非常に強いのです。それを去年あたり国税庁にやかましく言うたのですけれども、なかなかその実現を見ないで、消費者も迷惑をしておるし、また清酒業者の方も迷惑をしておるわけです。しかもこの問題について、合成酒側が妙な考えを出して、清酒をたくさん割り当ててもらうと、私の方は業界が発展しないで困るというようなことを言われておるのだと、私はそんなことは問題にすべきものでなく、大体供出する米穀生産者を主としてやらなければならないということは、今局長説明通りなんですから、その消費者の意思に沿ったものを政府は割り当てるのが、私はほんとうではないかと思う。私自分販売業者のその本位で割り当てる。運動によって割り当てるということは、これは私は改めてもらわなければならないと思うのですが、それについては極端にいえば、清酒が三百万石あるから一番たくさん出してよかろう、こういうことも主張できるのです。しかし私はそういうことを申し上げるのでなく、これは合成酒、しょうちゅうのごときは、非常に税金が安いために販売価格も安いのです。それにもかかわらず、清酒を飲みたいということは、清酒には魅力がある。一昨年ですか、総理府でアンケートを一般民衆からとったときにも、清酒を好むという者が七三%もある。あとは他の酒類、こういうような状態であるのであります。いわんや農村米穀生産者自分で米を出しておいて、イモで作った酒やしょうちゅうをもらうのは困る、こういう意見なんですから、どうです、本年から、これから始まるのですから、農村供出者の希望なものをとらせるようにするお考えはありませんか。
  14. 原純夫

    政府委員原純夫君) まことにごもっともな御意見だと思います。だんだんそういうふうな方向にいくべきだということは先ほど来申した通りでございます。ただ反面、この酒というものは非常に重い税をしよって生産され、供給され、消費される。その間にやはりそう申しちゃ何でございますが、税がよく入るように、十分入るように財政の側としては考えなくちゃいけない。そうなりますと、やはり酒類需給についてかなりに綿密な配意が要るというのが、これはざっくばらんに申して、現在酒類における行政で忘れてならない点だと思っております。そういうような意味でいいますと、大へん適切に、従来のこの清酒の少かった時代のこと、だんだんと変ってきたことのお話しがございましたが、変ってきた最近の状況において清酒もふえ、清酒の質も、この米の分が多いというようなことになってきております反面、合成酒、しょうちゅうの方は、いわば供給と需要との見合いの困難がかなりに強いように思います。それらはすべてもう全部特別な手を加えないで自由にしたらどうだという考えもおありになると思いますが、やはりこの非常に重い税をしよって動いているものですから、どこかでがたんといくというようなことがありましてはいけないというようなことから、われわれただいま申しましたように、非常にその辺に気を配ってやっております。そういうまだ時期だと思います。そういうような意味から、だんだんおっしゃるような方向に行く、しかしそれについては相当慎重に需給条件が、条件といいますか、需給の問題でくずれがこないようにというふうな配慮もいたしたいと思いますので、この辺は担当国税庁ともよく相談いたしまして、できるだけ善処いたしたいと思っております。
  15. 土田國太郎

    土田國太郎君 今、原さんは税収にも重大な関係があると言うた。ところがいわゆる微々たる石数ですよ。これは昨年度が清酒特配が五万一千石、合成酒が七万五千石しかない。わずか十二、三万石のものです。それくらいなものは、どういうようにでもこれは埋め合せつくわけで、清酒側に余分に売れといえば、それだけは製造すればいいわけですから何でもない。そういうことは、理論的にはそういうことも言い得るかもしれないが、実際問題としては五万石や十万石の酒はどうということはないわけです。しかも今度の追加予算を見れば四十億は酒税でもって追加予算、第二次補正予算やっているじゃないですか。それをわずかこれっぱかりの一億や二億の金がどう引っくり返ったっておそるべきものじゃないですよ、政府案としては。でありまするから、とにかくこれは消費者の好むべきものを出すということを一つあなたが起案者として腹をきめて、一つ渡邊長官に談判する必要がありますよ。これは一つ国民のためですよ。そうして一面、今申し上げたほかに密造酒というものがたくさんあるのです。あなた方は百三十万石と言うておりますが、われわれの方では、調査するところによれば二百万石、この脱税額は四百億ですよ。そういうものは清酒を飲みたいがために、あなた方が詰めていて飲ませないから、税金を下げろといっても下げない、そういうような高い税金であり、また特配もけちけちしていて、あなた方が出さないから、それで密造酒で四百億も五百億も脱税をせられて、一文おしみの百文失いというのが、今の政府やり方ですよ、失礼ですが。どうかそういうように裏面にある脱税酒ということに重点を置かれて、この特配も、この密造防止というのが非常に大きなウェートになっているのですから、そこのところを一つ局長も御配慮下さいまして、一つ今年からぜひともこれは消費者の要望するものを渡す、こういうように一つやっていただきたい。私ども清酒は余分にできて余っているから、清酒を買えということは申し上げません。そういう卑劣なことはあなたの方に陳情いたしません。第一線部隊長である国税庁稲盒部長も、過般の新聞記者会見において、どうしてもこれは米穀生産者の、いわゆる農村の要望に応じるものを渡すのが理論的でもあり、またそれがほんとうではないかと、だんだんそういうふうにしていきたいと、こういうことを新聞記者会見において、第一線部長が言うておりますよ。それはあなたは決してこだわる必要はないのだから、責任上あなたの方から十分国税長官に言うておくべきであると思う。   —————————————
  16. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) それではなお御質問もありましょうが、衆議院平岡君がお見えになりましたから、物品税法を廃止する法律案春日一幸君外十二名提出)  酒税法の一部を改正する法律案平岡忠次郎君外十二名提出)(いずれも予備審査)  右、両案を一括して、提案理由説明を聴取いたしたいと存じます。  衆議院議員平岡忠次郎君。
  17. 平岡忠次郎

    衆議院議員平岡忠次郎君) ただいま議題となりました物品税法を廃止する法律案提案理由を御説明いたします。  物品税は周知のように戦時中に立法されたいわゆる戦時立法でありまして、現在七十数品目を残すのみとなりました。物品税が課せられている七十数種の品目の中には、日用生活必需品があり、きわめて不公正かつ不均衡な課税となっております。この際、このような物品税を全廃し、新たな見地から高級品奢侈品に限って税をかす必要があると思います。これがこの法律案提出する理由であります。  次にただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  現在酒類に対しましては相当の重税がかせられている現状にありますが、今度大衆酒と目される清酒二級酒、合成二級酒、焼酎甲乙雑酒二級酒、ビール等税金をそれぞれ引き下げようとするのが、この法律案趣旨であります。  すなわち、清酒二級酒については、現在石当り二万二千五百円の課税がされているものを、これを一〇%引き下げて二万三百円とし、合成二級酒については、現在石当り一万七千六百円の課税がされているものを、これを一〇%引き下げて一万五千八百円とし、焼酎甲類については現在石当り一万四千三百円の課税がされているものを、これを一五%引き下げて二万二千二百円とし、焼酎乙類については現在石当り一万二千七百円の課税がされているものを、これを一五%引き下げて二万八百円とし、ビールについては現在石当り二万円の課税がされているものを、これを一五%引き下げて一万七千円とし、雑酒二級酒については現在石当り一万二千五百円の課税がされているものを、これを一五%引き下げ二万六百円とするものであります。  何とぞ慎重審議の上一日も早く可決されんことをお願いいたします。
  18. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 両案の質疑は後日に譲ります。   —————————————
  19. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) それではまた前の議題に帰りまして、所得税法の問題、法人税租税特別措置法等についての質疑を継続いたします。
  20. 平林剛

    平林剛君 所得税法の第六十一条に関連してお尋ねをいたします。先の委員会で、この新たに、業務に関連して他人のために名義人として配当所得支払いを受ける者の当該配当所得についても支払い調書を出すということに関連をして資料を要求しておいたわけであります。まだ御提出になっておりませんが、その後どうなっておりますか。まず最初にそれについてお尋ねをいたします。
  21. 原純夫

    政府委員原純夫君) その資料の御要求は、こういう配当が幾らであるかということであったと思いますが、それはわかりませんということを、大臣から御答弁申し上げてあると思うのですが、ただいままでのところでは、この資料を取ることが、私ども法律でできないということになっておりますので、資料として提出するものがないとう意味で申し上げたのであると思うのでございます。
  22. 平林剛

    平林剛君 これは大体この名義貸しそのものがなかなかつかみにくものですから、完全なものの資料提出は困難だと思いますが、私は今、これは理財局主税局関係から聞いたのですけれども大づかみではありますけれども、何かこれに関する資料があると、それですからそれを出してもらいたい、こう申し上げたのであります。あなたの方のお答えも、大づかみのものであれば出そうと、こういうふうに私は聞いたと思うのでありますが、御返事がないものだから、どういうものかと思っているわけです。
  23. 原純夫

    政府委員原純夫君) 大づかみのものでもわかればもちろん差し出すわけですが、そうは申し上げなかったと思うのでございます。で、私の知っている限りにおいてはございません。だれがあると申しましたか、調べてありましたら出しますが、こういう性質のもので今までもほしいと思いましたが、その力がないということで、資料は出ないというのが実情でございます。
  24. 平林剛

    平林剛君 最近の新聞経済欄を見ますというと、名義貸しの対象となっている株式の総額は、一説には時価四百億円ともあるいは五百億円とも言われているという情報が流れております。また他の新聞におきましても、やはりこの程度の金額はあるのではないかといわれているわけでありまして、この法律案提出された肝心かなめのところが、大づかみでもわからないということでは、まことにわれわれはどの資料を信用してこれからこの問題の審議に入るかわからないと思う。その点はどうもあなたも新聞などは注意してごらんになっていると思いますけれども、こういうところには額が出ている。あなたの方は全くわからないのは困るじゃありませんか。この程度でもわからないとおっしゃるのですか。
  25. 原純夫

    政府委員原純夫君) そういう数字新聞等に出ているのを私も知っておりますが、どうもそれはあまり根拠のあるものではないようでございます。じゃどのくらいのものかというのを、いろいろな機会に推測する場合に、まあ位取りといいますか十、二十、三十、四十、こんな程度のものかなあという話があった。そういうのを利回りで逆算すると、その四百億だ五百億だというような、そういうような数字があるいは出たのではないかというふうに推察がされますが、これは私ども数字を持っておって、それが漏れてそういう数字に出たというのではございません。私どもは残念ながら、年来これについては資料はほしいと思っておったんですが、資料がとれないというのでわからないのでございます。これでお認め願えれば、はっきりと四月一日以降に支払う分について実際のデータが出て参るということに相なるのを期待しておるのであります。
  26. 平林剛

    平林剛君 この六十一条の新たに定められた支払調書提出義務に関して非常に業者投資家が反対をして、何とかしてこのいわゆる名義貸しの点を骨抜きにしようという動きが活発に行われておりますだけに、私どもとしても、政府のその後の措置を注目しておるわけであります。あなたはこの法律通りさえすれば概略をつかむことができるというお話でありますけれども、後にその点もただしたいと思いますけれども、大へんむずかしい問題になるのではないかと思うのであります。もう一度念のために、今回六十一条の私が指摘した点を改正をしなければならない理由も、繰り返しになりますけれども、御説明を願いたいと思います。
  27. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいまこの種の手当をいたすというために、この六十一条の支払調書をとるというのは入っておりませんからできない、そうするとやれば何でやるかと申しますと、あとの方の条文にございます収税官吏の質問検査権というのでしかできない、質問検査権で働きますのは、納税義務者と認められる者に、金銭その他の給付をする義務がある者について質問し、検査をすることができるという規定があるわけです。で、やればこれでやるわけですが、この場合には納税義務者と認められる者というと、それには名義貸しの株が相当あるはずだから、全部の義務者をだれか言うて、そしてそれを出してくれということはこの解釈ではできない、やはりだれだれの分があるはずだからということを言うていかなければいけないということにこの条項は解釈されております。つまり全般として網を打って資料をとるというためには、やはりこういう六十一条の支払調書の条文に調書として全部出させるという権限を与えるものがなくてはいけないということになりますので、これをお願いしたい。今までも、実は年来あそこに問題があるということで、私どもまた税の執行の面でもいろいろ努力をいたしましたけれども、そういう場合になかなか完全な協力が求められない、そしてそれを法律的につきとめていきますと、何かやはり規定を置いてそういうことができるようにお願いしなければならないということでここに第二項に一項を加えてこういう改正をしていきたい、こういうふうに考えたわけであります。
  28. 平林剛

    平林剛君 収税官吏の質問検査権のことについて今ちょっとお話がありましたけれども規定によると何条ですか。
  29. 原純夫

    政府委員原純夫君) 第六十三条の第三項でございます。「第一号に掲げる者に金銭若しくは物品の給付をなす義務があったと認められる者若しくは」云々と、その「第一号に掲げる者」というのは「納税義務者、納税義務があると認められる者」等となっております。
  30. 平林剛

    平林剛君 今度こういうふうに法律に、定めができますというと、収税官吏はこの質問検査権に基いて実際に捕捉することが可能なんでありましょうか。
  31. 原純夫

    政府委員原純夫君) それは可能になると思います。この支払調書の制度は、何のだれがしの株をお宅は預かっているはずだということをいわないでも、名義人として他人の分の配当支払いを受ける者は全部、全部と申しますか、政令の定めるところによって支払調書を出さなければならぬということになりまするから、これは一括してそういうことを要求することができるということに相なるわけでございます。
  32. 平林剛

    平林剛君 そこで今政令の定めるところによるという言葉が出てきたと思うのでありますが、現在までの状況を総合的に判断をいたしますというと、政府がこの法律案提出をされてから、あるいは検討されている当時から、この政令の中身をいろいろと対象者にとっては有利にさせるような運動があるということを聞いておるわけであります。私も先般大蔵大臣が来られたときにその点を指摘しておいたのでありますけれども、少くとも百万円までは支払調書を出さなくてもいいようにしてもらいたいという業者の要望があるということを聞いておるわけであります。これは配当の所得ですから、相当大きな金額になってしまって、とてもこんなことが許されるはずはないと思うけれども、この法律を出された趣旨からいいましても、従来から問題があったところでありまして、それをさらに政令の中で百万円までは出さなくてもよろしいなどと書けば、骨抜きも骨抜き、こういう法律改正を出す必要がなくなってしまうということになる。そこでまた、これもあなたの方から直接聞いたわけではありませんけれども政府の方でも政令の内容について検討なさっておる。それによれば二十万とか三十万とかいう話もある。私はきょうこの点についてあなたの方で検討なさっておる状況についてお伺いをし、その政令の内容についても明らかにしておきたいと思うのであります。主税局長の一つ現在の状況についてお示しを願いたいと思います。
  33. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいままだ結論を得ておりません。百万円というような意見書も参っておりますが、二十万、三十万というのは巷間のうわさといいますか、説であろうと思います。私どもとしましては、やはりこういうことをお願いする趣旨考えて、やはり趣旨に合う程度のところまではとりたいと思っております。その際どんな考え方になるかということの若干のこのポイントを申し上げますると、現在この配当資料一般配当資料は、年にして一銘柄一万円以上のものについてとっております。まあこれはあまり小さいものまでやるのは手数であるということと、配当控除があるということ等の関連があるわけでありますが、名義貸しの制度を利用しております中にもかなりにこれが何と申しますか、大衆的な証券投資の一つの形として行われているというようなことも聞きまするので、そうしますと一般配当一銘柄一万円というものがやはり一つの基準として考えられはせぬかと、名義貸し資料をとります場合は、銘柄別にとるのじゃなくして、人別にとりますから、その場合に一銘柄一万円というのは、人別にしたら幾らになるか、これも先ほど来資料がわからないということで、かいもく見当がつきにくいわけですが、その辺できる限り、そういう一人が持っている銘柄数というようなことも考えて、その辺の基準もとりたいということも考えております。その他やはり本件は証券市場に相当大きな影響のあることであります。証券市場がこれによって非常に大きなショックを受けてくずれるというようなことがあってはいけないというような配慮もあわせて持ちながら、慎重に考えて参りたいというふうに考えております。
  34. 平林剛

    平林剛君 まだこの問題について結論を得ていないというお話でありますが、すでに衆議院においてはこの所得税法案が通ってしまった。そうなるというと、政令の中身がきまらないうちに衆議院は通過してしまったということで、まことに税法の取扱い上、粗雑といってはどうかと思いまするが、非常な矛盾が私はあると思う。参議院の場合においては、こうした政令の内容についてもきちんとしたものがきまってから法律案がまとまるというようなことにしなければ、われわれの任務も果し得ないと思う。そういう意味で、一体この業界の要望とあなたの方の考えと、いろいろ取りまぜて結論がつくというのは、一体いつの時期で、いつごろにはそれがまとまるのか、これを一つお聞きしておきたいと思います。
  35. 原純夫

    政府委員原純夫君) この三法を初め各般の税法をこの年度内に国会で御承認願いたいと思っております。それに付帯する、これは省令でございますが、政令、省令、こういうものは、やはり改正法が施行になると同時に出したいと思っておりまするので、この三月中にこれはきめなければいけないということで、ただいま鋭意急いでおる次第でございます。
  36. 平林剛

    平林剛君 大体参議院でこの法律が通る前に、これだけじゃありませんけれども、今度の法律案で相当政令で定める点が多いわけです。よく世間からも言われておりますように、税金というものは、やはり法律でこまかいところまできめておいて納めさせるようにするというのが本則である。それを政令その他にゆだねてしまって、あるいは政令そのものに実際の力があるというようなことであっては、国民としては権力的な恐怖というものを感ずるわけです。あなたのような人が主税局長にいるときはいいけれども、もっとこわい悪代官のような人が来て税金を取り立てる、そのことから一揆の起きる場合もあるわけです。そういう意味では、議会において十分政令の内容についても確めて、そして法律案を通す、こういう建前をとらなければならぬ、これが原則だと思います。私はそういう意味で、すみやかに政令の内容について議会の方に御提出になることをこの際に要望しておきたいと思います。  そこで、先ほどこの六十一条に関する支払調書を作る限度額について、私があげた二十万とか、あるいは三十万とかいうのは、巷間伝えられているものであって、政府考えているものとは違う、こういうお話がありましたから、もっともなことだと私はお聞きしたわけであります。そうすると、現在のところ大体基準として考えられるものは、先ほどお話がありましたような配当資料を出してもらう前にきめた政令が、ちょうど一人一万円でしたか、それ以上の……これを大体基準にしてあなたの方では検討なさっておると、こういうふうに理解をしていいわけでありますか。
  37. 原純夫

    政府委員原純夫君) それはこうでございます。一銘柄について二万円以上のものを出すということになっておる。今度の名義貸しの場合は、だれのだれさんということで口座ができておるわけですから、だれのだれさんの分で一年間に幾ら受け取ったかというのを出していただく、そうすると、そのだれさんが十銘柄持っておりますと、十の銘柄をとれば十万円、五銘柄なら五万円になる、その辺のことを申し上げたわけであります。それで全部いき得るかどうかということについては、やはり証券市場への影響ということも考えあわせて慎重にやらなければならないというふうに申し上げたわけで、これはもう近日中に結論を出したいと思いますが、その両様の観点、その他いろいろな観点があると思います。今回世帯所得の合算をやるというような面での問題、いろいろ考えあわせて案をきめて参りたいと思っております。
  38. 平林剛

    平林剛君 この政令の内容にきめる限度額については、証券市場の影響ということがなければ、私はその限度額をきめる必要がないくらいに思っておるわけであります。特にこの機会にあなたの御見解を聞いておきたいのでありますが、大衆的な投資に影響を与える、こう言われますけれども、一体大衆的な投資というのは、これはいろいろ幅があるので、今お話がありましたように、一銘柄について一万円の配当というのは、相当の元本になるわけであります。あなたが今お使いになった大衆的な投資というのは、どの辺のことをさすのか、参考のために聞いておきたい。
  39. 原純夫

    政府委員原純夫君) それは非常にむずかしいお尋ねで、私が申し上げましたのは、要するに配当を払う会社が出す支払調書、これは一銘柄について一万円以上のものを出しなさい、こういっておるのであります。名義貸しを利用しておる人々の中にも、このいわゆる証券の大衆化というような範疇で考えられる人たちがまあ相当あるというふうに聞くから、そうだとすると、普通に会社からとる資料が、一銘柄について二万円であるならば、それとただいまの銘柄と人別の勘定との差がありますけれども、それとバランスをとるというような線も一応考えなければなる願いということで、まあそこで大衆的な投資というのはどういうものかと言われましても、その辺はそれぞれ人によって違うので、また私が私の見解を特に申し上げるほど、私の地位に権威があるものでありませんし、ただいま申し上げましたのは、一般の一万円以上という支払者の資料要求、支払者に対する資料要求、あわせて考える場合に、名義貸しにもそういうものがあるという意味で申し上げたのですから、御承知願います。
  40. 平林剛

    平林剛君 もう一つ意地悪な質問をすれば、この政令の限度額を本来定めなくてもいいものを定めなければならぬ必要は、証券市場の影響を考えておるというけれども、定めたらどれだけの証券界に影響があるかないかということも、ほんとうお尋ねしたいのですけれども、これまたむずかしいことで、私の言いたいことは、大衆的な投資に影響があるとか、あるいは証券市場の影響、ショックというものを考えて限度額はこうしなければならぬとかいうようなことに幻惑をされないで、提案をされた法律趣旨に基いて政令の内容を定めるべきだ、こういうことを言いたいわけであります。  もう一度確認しておきますが、法律案がまとまるまでに、あなたの方では、世帯合算その他の政令とあわせて委員会の方に政令内容を大体提出をすることができますか。
  41. 原純夫

    政府委員原純夫君) それはいたします。
  42. 平林剛

    平林剛君 そこでもう一つ私がこの六十一条の法律案ができましてからもいわゆる名義貸しのようなものの捕捉が大へん困難ではなかろうかということを申し上げましたが、あなたの方では収税官吏の質問検査権によってある程度可能であるというお答えがあったわけであります。ただ私はこの配当に関する問題だけに限らず、特に金融界とそれから徴税事務との関係において、まだまだ解決すべき問題があるということを常に感じておるわけであります。この間も国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案が本委員会審議をされたときに、私は全国の金融機関にある貯金の総額をお尋ねをして天文学的な数字が報告されました。六兆何千億円だかというくらいな金額に上っています。大ぜい集まればたくさんの預貯金になるなというふうに感じましたけれども、しかしその中には政府の従来とってこられた資本蓄積、あるいは資本を擁護するという立場からの蓄積が相当部分あると思う。そういう意味では、まあ国の資本蓄積ということは必要であるということは私も認めますけれども、小さな税金の取り立てにきゅうきゅうとするよりは、これを一つ一つ性格を洗ってみれば、相当担税能力を持っている人がいて、もっと税の公平を期していくことができるのではないかということを感じたのであります。その表われが今度のような名義貸しの問題についても、その一端として手を触れられたものと思いますけれども、銀行等にある預金高等についても、もう少し先ほどお話があった収税官吏の質問検査権というものを押し広げていったならば、これはまあ国の収入を増すというだけでなしに、税負担の公平というものがもっと期せられる、こういうことを常々感じておるわけであります。一部には銀行には銀行租界なんという言葉があるんだそうでありまして、収税官吏はなかなかこの銀行租界の中には手も足も入れない、現在でも、先ほど名義貸しでさえあなた方はつかまえることができないという状態であります。だから銀行租界のごときはもっとひどいものがあるんじゃないかと思うのであります。  そこで私はこの間もある雑誌を読んだところが、この銀行の預金の実際を調査をする場合には、何か国税当局との間に協定があってなかなか調査がしにくいというようなことを読んだわけでありますけれども、あなたに聞くのはどうもまた筋違いになったかもしれませんけれどもどうなんですか。
  43. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいま預金の調査をいたしますのは、先ほど申し上げました質問検査権の条項によりまして、納税義務者に金銭の納付をなす義務がある者というところで根拠は読んでやっておるわけでございます。そういたしますと、先ほど申し上げました通り、何のだれがしかお宅の銀行に相当な預金を持っているというふうに、いろいろなデータから、そういうようなことになっている、それを見せてほしい、そしてそれが税のために必要だということを申して見せてもらうわけです。その際、前段におっしゃいましたそういう資料が非常に広範に、だれのと言わないでも見れると非常にやりよいわけですけれども、同時に一方でまあ筋は資本蓄積でありますが、もう一つ、やはりこういうことを申すのはまことに情ないことでありますが、銀行へ行って預金帳簿を全部調べるというようなことが、これはその税の公平のためにということを越えて、預金者に恐怖を与えるというようなこともあると思います。で、われわれ税務官吏は常々そういう際に不当な、強圧的なことにならぬようにというふうにあらゆる面で心得ていかなければならぬと思っておりますけれども担当の、地位のあまり高くない、思慮も進まぬ者がぱっと行って全部見せろというふうな式のことをやりましては、やはりこれは税の公平をどうするという問題じゃなくして、不穏当であろうというようなことから、そういう際には十分部内において慎重に手続を踏んでやると、そのためには、たしかあれは国税局長の承認を受けて、それを文書で受けていくというふうになっておったと思います。まあそのことがあるいは第一線からいうとまだるっこいという気があるかもしれませんが、やはりただいま申しました税務を穏当に執行させるというような面から、そういうような配慮をしておる次第であります。
  44. 平林剛

    平林剛君 きょうは渡辺さんが来ておられませんから、結局私は今の話を端折るために、あなたの方にお尋ねを向けておるわけでありますけれども、そうするというと、国税当局と銀行関係、まあ日本銀行協会さんですか、こういうものとの間に税務職員が銀行に調査をしにいく場合には、国税局長の方から銀行へ調査依頼書を持参をするとか、あるいはその他こまかいような調査の方法などについての協定があるとおっしゃるのですか。私は雑誌で見たものですから、どの程度の実際のことかと思ってあなたに確めたわけでありますが、あるわけですね。
  45. 原純夫

    政府委員原純夫君) それは銀行協会との協定ではないと思います。部内決裁による部内通達であると記憶いたします。
  46. 平林剛

    平林剛君 それじゃ一つその通達をこの次の機会に提出をしていただきたい。これを一つあなたからもお伝え願いたいと思います。私はまあ収税官吏が税の捕捉をするために調査権をもって、そして正しい課税をすると、こういうことは法律で認めてあるわけでありますから正しく、しかも公平に執行されなければならぬ。ところがいわゆる名義貸しのような問題が解決をされないままにある、しかもまた銀行のような金融界に対しては手も足も出ない、貯蓄奨励あるいは資本蓄積という名目はあるかもしれませんけれども、預金の調査に限って一つの協定をしなければならない。調査をするのにいろいろな順序があって、順序を踏まなければいけないというようなこと自体が不思議な話だと思うのであります。これは結局金のある人たちが政治力を動かせば、税務署長が調査に来ますよというときにはいろいろな操作をすることが可能になってしまう。あるいはたとえば収税官吏が調査権に基いて調査をしても、一つの政治力が動けば、そのことを発表しないで済むというようなこともできる可能性を持っておる。やっているとは言いませんよ、だけれどもできる可能性を持っておる。こういうことが次第に事態が明らかになってくれば国民感情からいっても許すことができない問題だと私は思うのであります。従来のこの銀行租界では徴税官吏が手も足も出ないというような批判を克服するためにも、私は今度の支払い調書に対する業界の要望に対しても、やはり私は政府の方できぜんとした態度をもって結論をつけるように特に要望したいわけであります。  まあいろいろ申し上げたいこともありますけれども、きょうは大体この程度でもって質疑を終りたいと思います。
  47. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいま御要求の預金調査に関する通達は、後刻提出いたしたいと思います。  それからだんだんお話の件は、私ども税を公平に正しく取るという意味で、ぜひそういう方向に参りたいと年来考えております。今後も十分努力いたしたいと思います。
  48. 平林剛

    平林剛君 それから資料の要求を一つします。それは法人税法に関することでありますが、一つ資本金別の会社の数、それからその所得金額、その一覧表を一つ出してもらいたい。資本金別は、たとえば五十万円以下とか、あるいは五十万から百万とか、前にこういうことの一覧表が昭和二十九年当時にできておったらしいですから、現在における状況がわかるものを一つ提出願いたいと思います。   —————————————
  49. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 法人税法の一部を改正する法律案について、衆議院における修正点の説明を聴取いたしたいと思います。  衆議院議員小山長規君。
  50. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 衆議院で修正した部分とその趣旨を御説明申し上げます。  法人税法第一条に加える一項に、一つの条文が追加されたのでありますが、それがいわゆる法人でない社団または財団の問題であります。この条文については、衆議院でも正味十数時間にわたっての論議が戦わされた問題でありまして、法律を読みますと、「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定があり、かつ、収益事業を営むもの」には法人税をかけるとこうなっておるのでありますが、この法律をすらっと読みますと、この条件を満たしておる限り、すべての収益事業を営む社団または財団が、法人税の対象になる、こういうふうに読めるのであります。ところが主税当局の説明を聞いてみますると、そういう趣旨ではなくして、代表者または管理人の定めがあり、かつ継続して事業場を設けており、また継続して収益事業を営むものであって、なおかつ政令で定める収益事業、これは政令で限定する予定だそうでありますが、その政令で定める収益事業を営むものというふうに非常にしぼってやるのである、こういうのであります。そうであるならば、その趣旨を明らかにするために、この収益事業というものも、継続して営む場合に限ることにしたらどうだろうか、こういう趣旨で改めましたのがこの修正点であります。つまり第一条に一項を加えるのでありますが、その改正規定中に「かつ、収益事業を営むもの」とこう書いてあります。その収益事業に説明をつけまして、カッコをして「(継続して事業場を設けてなすものに限る)」こういうふうにいたしたのであります。この趣旨は継続して事業場を設けており、かつ継続して収益事業を営むものである、こういう趣旨なのであります。以上説明申し上げます。
  51. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) ただいまの修正の点並びに所得税法法人税法租税特別措置法、三法合せまして質疑がありましたらお願いいたします。
  52. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 主税局長にお伺いいたしますが、今度のは拡張解釈で、文部省の方へ御通牒があったのですが、あれで収益事業をやっているものでこのままにしておいてはいけないというようなものがたくさんあります。それから中には莫大な利益をあげておって、税金をのがれておるという者もありますけれども、この収益事業と認める内容を一つはっきりさせていただきたいということ、それを一つまず伺いたい。
  53. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいまお尋ねの点は、現在五条の法人というのがありまして、これは民法第三十四条の公益法人その他公益的な法人ですが、そういうような法人には収益事業の所得についてだけ法人税をかけるということになっておる。そうしてその収益事業の範囲は政令できめる、こうなっております。その政令できめてありまするのは、現在物品販売業、製造業以下二十八業種ございます。これにつきましていろいろ世の中の実態を見ておりますと、若干追加を要するものがあるというふうに考えまして、ただいま御指摘の通り関係の各所管省に御相談申しております。その中で先般もお尋ねがありました、われわれの名前では技芸教授業と申しておりますが、それと医業、それからニュース供給業あるいは不動産貸付業、まあその他なお若干ございますが、それらについて御相談をいたしております。その趣旨は、たとえば技芸教授業につきましては、つい数日前も毎日新聞に、お花の先生がえらい所得をあげている、ところが公益法人になっているために、そうして公益法人の課税は政令で指定された業種の収益事業に限るということから、政令指定がないものだから、どうにもならないというような例がある。これは非常に顕著な例でありますが、そういうようなことがお花の先生、お茶の先生、これは本来といいますか、普通常識的な形としては、個人でお師匠さんをなさるというのが普通で、それで所得があれば所得税をお納めになるというものなのでありますが、それが公益法人という格好になる、これはだんだん大きくなりますれば、そういうような場合もあるかと思いますが、公益法人になりましても、やはりそういうのは、一般の個人でやられます場合との比較を考えましても、やはりその所得には課税をした方がいいのではないか、かえってそういう大きいものこそ、こういう新聞記事にもなるような、いかにも客観的にみて税負担がおかしいというふうに思いますので、そういう業種を新たに加えたい。医業についても同様であります。個人的な医業であるのに公益法人になるというようなものもございます。また人格なき社団にもなるというようなものもございます。それら実態を考えまして、やはり私ども税を公平に取る、公平に課税するという観点から、大きな穴だと思いまして、今関係各省と御相談をいたしておる、そういう趣旨でございます。
  54. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) ちょっと申し上げます。それでは修正者が長くここにおいでになるのは何ですから、修正点について、どうか一つ集中してお願いいたします。
  55. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 事業場をもって継続して収益事業をやる、こういうことに解釈して間違いはないんですね。
  56. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) その通りに解釈いたしております。
  57. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 ところで、ある種の非常な収益をあげておるやつがある。これは各所に発起させて、そこを会場として全国を動いて収益事業をやっております。これはそれから漏れてしまうと思いますが、それは漏れませんですか。
  58. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 各所に事業場がありましても、その法人に代表者の定めがあり、あるいは管理人の定めがあって、そして各所でやっておるならば、場所は違っても継続した事業と見て差しつかえないのだと思います。
  59. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 いや、隠れた人はむろんあるわけです。中心になるのは……。けれどもそれが所在するのでなくて、別個の、ある工場が発起してそれを会場としてやる。またある団体をほかの団体が発起してそこでまた収益事業をやる。だからして継続はされないし、事業場も表向き持っておらないわけです。こういうものがあるのですが、それはどうでしょうか。
  60. 原純夫

    政府委員原純夫君) 実はこの文句は、私どもは、政令にこういうことをうたうということを申し上げたことでございますし、かなり技術的に入って参りますので、私その意味でお答えさしていただきたいと思います。具体的なケースについて、具体的なケースを心へお置きになってのお尋ねですから、そういう判断というものは全部を伺って申し上げないと間違える場合もあって、それはおもしろくないと思います。ただいま伺いました分でも、相当もう少し突っ込んで、全部実情を調べて結論を出すということがよろしいと思いますが、伺いました限りのことを抽象的なケースとして、私の考えを申し上げますれば、かりにだれかがおって、その人がその興業といたしますが、興行なら興行をやるというのに、その人がやるということであれば、その人が興行業になる。その人が人格なき社団、財団あるいは公益法人であるという場合に、その法人なりあるいは社団なり財団なりが業を営むということになります。ただ、その人は陰に隠れておってやらない。ただアドバイスだけする者だということになりますと、それはちょっとその人が業をやっているとはいいにくいだろう、そのへんは実際伺って調べて、だれが業をやっているか、だれが事業をやっているかということは、こういう場合だけでなく、いろいろな場合に問題が多うございますが、非常に判定のむずかしい問題でございますから、卒然とただいまお尋ねのありましたことを抽象的に受け取って、そして抽象的なケースとして申し上げれば、ただいまのようなことになるのじゃないか。事業者がだれかという判定で、ただアドバイスだけしておる、こういうことならば事業者になるまいと思います。それはどの程度関係かということによってきまってくると思います。
  61. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 アドバイスしておるという場合もありますが、その人が別に職業を持っておって講師として呼ばれておる。行くときにはそのときは無報酬で行くかもしれない。講師として行ってサービスをしてくるのだ。しかしそれが大きな原動力になって、そのサービスと称するものが一つの収益事業を各地で行うことができるような機構になっておる。私は、こういうものが現にあることを知っておるわけです。だからこういうものが漏れちゃいまいかということを恐れますが、どうでしょうか。
  62. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 具体的な問題については、ただいま主税局長のお答えの通りでありますが、抽象的に言いますと、この法人税でかりに漏れましても、所得税で取れる面が出てくるわけでございます。そういうケースもあろうかと思うのでありまして、ここで申し上げておるのは、所得税でも捕捉できないようなものであって、かつ人格なき社団であり、財団であるという場合には、法人税で取るのだということを規定しておるわけであります。
  63. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 ところが所得税がかからないのです。そこでそこの場所における会員で、会費だ、しかし事実は臨時会員なのですけれども、それはほんとうの会員のように仕立ててある。そうすると所得税の対象にもならないし、完全に逃れてしまう機構になっているのです。
  64. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) ここできめておりますのは、この条件が満たされておった場合には法人税で取る。それから個人所得に属する場合には従来通り所得税でやる。それに漏れた場合には法律上の規定はないわけであります。従っていずれかに該当する場合だけが所得税なり法人税の対象になる、こういうことを規定しておるわけでありまして、おそらく具体的の場合には、目に余るものあれば、あるいは所得税法の第三条の二によりまして、実質課税の原則によって所得税で取れる場合があるだろうと思います。それが取れないようなものが相当たくさんありまして、そうして目に余るものがありますので、こういう規定が追加されましたが、さてその規定をあまりに大きく広げますと、今度は逆に飛ばっちりを食って、こんなのに法人税をかけなくたっていいじゃないかと思われるものにかかってくるものがありますので、そこでこういう制限を加えた、こういうわけであります。
  65. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 そこのところなのです。うまく地下をもぐってやるやつは今まで通り安心してやれるし、表向きの者はいわゆる飛ばっちりを食ってえらい目にあう。これではかえって工合が悪くなる。だから私は収益事業というものをはっきり先ほども法令で定める——これは法律を表だけこしらえておいて、あとは行政官庁に任せますというやり方なのですよ。だからそのお任せしますという部分をはっきりさせて、正直者がばかをみるようなことにしてはいけない。それからもう一つ、これを厳重にやれば総合経営というものはできなくなるのです。学校法人なんかでも、ある一部は公益のために損をしている。他の方面でこれを埋め合せて、全体としての総合的な経営が可能であるというのがあるのです。それを片方押えてしまえば、他のほんとうに犠牲的にやっているものがつぶれてしまう。こういうことも起っているのです。いわゆる飛ばっちりを受けてひどい目にあうものと、巧妙にやれば全然逃れてしまう。そこでもう少しここのところを、どうせ修正するならもう少しうまい工夫はないか、こういうことなのです。
  66. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) 業種を法定しようという話は衆議院ではございませんでした。ただ業種を政令にゆだねるという意味法律に書いておくことが必要ではないかという議論があったのでありますが、これは当然そういうような場合には政令でやる。また財務当局の答弁としても、政令でやりますということでありましたので、法律の表には出さなかったのでありますが、むろん衆議院においては大蔵委員会と相談の上で、業種を指定し、指定するための政令案は大蔵委員会に諮る、こういう言明がありましたので、法律の表に出さなかったわけであります。
  67. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 こちらでもこの法令に定める内容をはっきりしてもらいたいということが一つ。それから今の衆議院でつけられたのはけっこうですがそれだけでは飛ばっちりを受ける方が多くて、ずるく立ち回るやつは相変らずのがれる。どうせ修正するならもう少し名案がないかとこういうことなんですよ。それで局長にはその収益事業の内容をはっきりさせてもらおう。それからして総合経営に必要なようなものを殺してしまわないということ、こういうことについて……。
  68. 原純夫

    政府委員原純夫君) 先ほどからのこのケースをあげてのお話しの方は抜けがあるということ、また新しく業種を指定する方は、一般の公益部門の方がえらいひどい目にあうというお話しでありますが、両者関連してかなり税として大事なところであると思っております。抜けがあるという方は、これは抜けがないようにいたしたい、現在大体できておる、先ほど来のお話しでどうも個人としてやっておられるというようでありますから、個人として講演のようなふうに伺いましたが、講演して収入があるといいますれば、それは雑所得として所得税がはっきりかかるようになっております。実際に課税しておりませんければ、それは抜けておるわけで、かけるような建前になっております。その点はなお具体的に沿って処置したいと思いますが、穴はそこには私どもはないようにできておると思っております。翻って公益法人あるいは個人格の社団、財団が行います事業についてまあ今般拡張しようというふうに考えておりますが、これは拡張する部面だけでなくて、その他現在指定されております事業についても、この収益事業ではもうかるが、ほかで公益目的でやっておるのだから迷惑だというお考えがないでもないと思います。そこは私どもこう考えております。やはりこの収益事業である以上、そうしてその種の収益事業は一般の法人、個人が営んで経済が成り立っておるわけです。そうしますれば、公益法人というものは、本来ならば収益事業をやらないで公益目的のためにいろいろな人が金を出し合ってやる。やはり場合によっては国家の補助もありましょう。やるというのが本旨であって、収益事業をやるのならば、やはり一般の経済で単位として働いている個人、法人とイコールな立場に立って税負担はしていただきたい。それがやはり税の公平であり、かつまた一方で競争の原則といいますか、世の中における税のあるべき姿だというような考えで、実はやっておるのでございます。もちろんその収益が公益事業に充てられるというのは非常にけっこうなことでありますが、それはまあ個人が所得があって公益事業に寄付するという場合でも同じようなことであります。そこで所得税法は寄付については別段所得控除をするという制度をおいておりません。法人税法では一般にある程度まで資本の何パーセントあるいは利益の何パーセントというものをきめて、その範囲なら寄付は損金として認めましょうということになっておりまするし、また特定の公益目的のための寄付については大蔵省の、大蔵大臣の指定によって損金を認めるという制度もございます。それから公益法人につきましては、特にお話しのような事情を考えて、所得の三割までは公益部門に回すならば、それは損金として掲記してよろしいという規定がございます。そういうようなことで公益目的ということをそういう面で考慮しながら、やはり大原則は一般の個人、法人形態の通常企業体と同じ条件で税を負担していただくという大原則は、やはり貫かなければならないという気持で先ほど来申しております。お花の先生にしても、またお医者さんにしても、そういう気持なんでございまして、決してそれで公益目的にどうということじゃなくて、まあ公益目的といいまするのは、何もそういう収益事業だけからだけでなくて、一般の個人の寄付もあり法人の寄付もある。それがやはり原則として事業の所得があれば税は公平に納めて、その残りで出していただく。非常に異例な場合だけ特例を認めるということでございまして、決して公益目的をどうということでなく、税の負担の公平の見地からお願いをしたいと考えております。
  69. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 内容についてでございますけれども、一体学校の入学料とか、それから受験料とか、授業料とかいうようなものがありますね、こういうものは収益と認めるのですか、認めないのですか。なぜそういう疑問があるかというと、大きな私立学校では定員の二倍以上も入れているのです。そうして授業料も入門料も、それからして受験料もとっておる。これはある意味からいったらば収益事業なんですよ。しかしこれを収益事業と認めるということにすれば、大きな私立学校も経営ができないのですよ。いわんや小さいところはできないのです。そこでこれはある意味からいえば収益事業をやっているのですよ、収益事業とは言わないけれども。現実はこういう問題は、どうされるお考えですか。
  70. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私どもはその授業料にかけるという何じゃなくて、授業料も結論は収入に見るのでございますよ、見るが、要するにお花のお師匠さんいけ花のお師匠さん……。
  71. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 学校法人です。
  72. 原純夫

    政府委員原純夫君) そうでございますが、これはお師匠さんも税を納める、これは当然のことでございます。それと一体同じものが、むしろ実体的には担税力がもっと大きいものが、それを公益法人の形でやっておられる、やはり公平上それは税を納めていただかなくてはいかんのだ、納めていただくとなるからには、その場合、授業料なり入門料なり、それは収入で、それに対してまあお花の材料を与える、あるいはその他いろんな費用がかかりましょう、それは経費になって、そうして所得が算定されるということになります。そこで授業料にもかけるというように、それをごらんになって一般のこの私立学校までかけるとしたらどうかというお尋ねになるわけですが、私どもそこまでは参る気持はありません。これはやはり観念的に申せば、そういうものに企業性があるというようなことを言う、あるいは見る方があるかもしれませんが、その辺はやはり常識的に限界を切って、あまり観念的に——観念的に同じ性質のものが若干あるから、そこまでいくということでなくて、まあ私どもとしてはこういう部面は非常に議論の多い部面でありまするし、やはり片方は公益性と符節しているというようなことから、これはやはり個人ならば納めている、もう実体個人と変らぬじゃないかというものについては、これは公平にかけるようにお認め願いたい。しかしそれを超えていって、それも学校だと、それならば学校全部かけちゃえと、私立学校でも若干の企業性がある、というようなところまではいく気はございません。まあその辺の線をどこに切るか、その辺が非常にむずかしいところでございますが、ただいま鋭意関係の当局と御相談申しておるという段階でございますから、近いうちにまた御相談できるだろうと思います。
  73. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 それでは学校法人の授業料、まあ検定料——検定料は受験料ですね、受験料、それから入学料というようなものには公益法人についてはかけないというお考えですか、かけるというお考えですか、そこのところはっきりして下さい。
  74. 原純夫

    政府委員原純夫君) 公益法人の行うこの課税対象となる収益事業の種類に技芸教授業というのを新たに入れたい。これはお花だとか、お料理だとか、お茶だとか、技芸を教授する事業であります。その業については課税対象として収益事業といたしたい。そういたすということになりますれば、その事業の総収入を収入として、そうして総体の経費を経費として差っ引き所得を出して、そうして課税するというようなことになります。従いましてその場合には、授業料も検定料も、つまりそのお花の先生としての事業に伴って入ってくるものは全部収入になる。そのかわり若干の経費が要るというようなことに相なると思います。
  75. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 技芸ということに疑問を持ってるんです。音楽学校も技芸ですよ。それからして美術学校も技芸なんです。だから技芸に関する、あの言葉自身に私疑問を持ってるんですがね。技芸というやつは、音楽とか、これとこれとを除くとかいうようなことがあるんじゃないですか。それを全部ひっくるめるのですか。
  76. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  77. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記開始。
  78. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいま申しましたうちで、公益法人になっているというふうに申しました学校法人ですね、学校教育法一条の学校、これについては付帯してそういうことをやることはあってもそれは除いていこうと思っております。問題は、各種学校になってるものについて、かつまあ、いわばお師匠さんの事業と選ぶところがないというものについては少くともやりたい、まあいろんな各種学校の教授の内容がニュアンスがございますから、どこへ境を引くかというような点はさらにむずかしい問題で、なお関係省と十分相談をいたしておりますけれども、相談の途中でございますから、もう少し相談がととのいました上ではっきりと申し上げさしていただきたいと思います。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のお話では、学校法人にはもうかけないつもりというお話ですが、第五条ではかかるようになってますがね。やっぱりこの収益事業に対してはかかるようになってますが、どうですか。
  80. 原純夫

    政府委員原純夫君) 政令指定の際にそれをうたって、学校法人の場合は除くというふうにしたいということを申し上げておきます。五条は、収益事業の範囲は政令で定めるということになっているわけですが、その政令で学校法人の行うものは除くというのを入れて、そこをはずして参りたいということを申し上げたわけであります。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第五条では、私どうも今出てきたばかりではっきりわかりませんが、明文としては課するようになっておるものを、法律でない政令では除くということにするというのは、どういう根拠でそういうことができるんですか。
  82. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいま収益事業の範囲は政令でこれを定める、命令で定めるということが、五条の、現在では三項でございます。それに入っております。新旧対照表では下の欄にございます。その範囲を政令で今きめております。二十八業種ございますが、その中には技芸教授業というのは入ってないのでございます。現在はそれはかからないようになっているわけです。で、今回、先ほど来申しました事情によってそういうものを入れるべきではなかろうかという意見を持って関係の向きと御相談をしておる。その際入れるとしても、学校法人のやるものは除いてやるというふうにすべきだと思っております、といふうに申し上げたわけでございます。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、五条の「左に掲げる法人の所得で収益事業から生じた所得以外の所得に対しては、各事業年度の所得に対する法人税は、これを課さない。」その該当されるものとして学校法人がある、しかし反対解釈として、そういうものには収益事業以外の所得に対しては課さないと明記したということは、反対解釈としては、収益事業には課するんだということにはならないで、それは政令でいざ課するか、課さぬかということはきめるのだ、こういう解釈が出るというのですか。
  84. 原純夫

    政府委員原純夫君) 御質問の趣旨がちょっとわかりませんですが……。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 五条では収益事業から生じた所得以外の所得に対しては法人税は課さないとありましょう。ですから収益事業から生じた所得以外の所得には課さないというのですから、収益事業から生じた所得には課するんだという反対解釈にはならないで、収益事業そのものについてはやはり政令の方で自由にきめ得るのだ、そういう解釈になりますか、この五条でこうなっているのは。私が読めば、収益事業から生じた所得以外の所得に対しては法人税は課さないという限りは、収益事業から生じた所得に対しては課するんだ、こういうふうに読みたいところです。ところが、あなたのおっしゃるのでは、学校法人についてはそれはないんだと、先ほど苫米地さんの質問にお答えになっておるのです。
  86. 原純夫

    政府委員原純夫君) 法人税法の第一条で「左に掲げる法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。」そしてその義務はどれたというのが二条とか八条とかいうのに規定しておるわけでございます。そこで、公益法人でありましても、一号の「この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人」というのに入りますので、まず、法人税を納める義務があるのです。がそれについて非課税にするというものを五条で掲げている。五条の初めのところに、こういう法人については「収益事業から生じた所得以外の所得に対しては、各事業年度の所得に対する法人税は、これを課さない。」こういっておる。そこでつまり一般法人は全部所得について法人税を納める義務があるが、この種の法人については収益事業から生じた所得以外は課さない。課するというのは一条でずっと根っこが入っているのです。そこで収益事業から生じた所得というものは何かということが言えるわけです。それを収益事業とはどういう範囲のものかというのは、これはいろんな万般の事業があるわけですから、命令でこれを定めるというふうに法律で御委任を願って、命令で、この業この業といったものについては、一条のその根の入っている規定が働いて課税になる、それ以外のものについては非課税になる、こういうふうにできておるのでございます。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、この全体としては課税されるという建前を持って、そして非課税部分の一般の所得について第五条は規定した。従って収益事業そのものに対して課税する、しないという範囲については、学校法人であろうが、何であろうが、五条で免除されておるものであろうが、されておらぬものであろうが、これはこれで政令で一切まかせられて、一つ一つきめていくのだ、こういうことなんですね。
  88. 原純夫

    政府委員原純夫君) 大体そういうことでございます。
  89. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうして、その建前として、学校法人そのものに対しては収益事業から生ずる所得には課さない建前で考えておる、こういうことなんですね。
  90. 原純夫

    政府委員原純夫君) その場合、学校法人の営みます技芸教授事業については、技芸教授事業の中からはずそうというふうに申し上げておるわけであります。今われわれの考えております案は、技芸教授事業を収益事業の一つに加える。ただし技芸教授事業であっても学校教育法の一条の学校法人の営むものは含まれませんというふうに政令を書きたいというふうに思っておることを申し上げたいと思います。
  91. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではっきりしましたが、そうすると、今東京等で盛んに発展しております洋裁、美容、こういうものはいかなる規模に、いわゆる学校らしい体裁を整えておろうとも、これは技芸なり何なりという方で全部かけていく。大体そういう考えですか。
  92. 原純夫

    政府委員原純夫君) 実はこの問題は、ただいま、まだ主管の省と相談中でございます。そして先ほども申し上げましたように、技芸というものの中にいろいろなものがある。それをどこで線を引くかというようなことも問題になると思います。全部おっしゃるように、何でもかけてしまうというふうな行き方にするかどうかというような点は、なお問題として鋭意研究中でございますので、もう少しまとまりましてから申し上げさしていただきたいと思います。
  93. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ではそのときを待ってまたお尋ねしたいと思いますが、この種の、何といいますか、ボーダーラインというか、基準というものをきめるという点は非常にむずかしいと思うのです。われわれの立場からいえば不公平であってはならぬ。内容、実体が共通のものには全部かける、かけないならかけない、はっきりしないというと、これは非常に混淆を来たすと思うのです。そういう点で慎重にお考えの上で政令にしてもらいたいと思うのです。
  94. 青木一男

    ○青木一男君 具体的な問題はいろいろ研究されておるようですが、抽象的に学校法人と、それから各種法人との区別、これもなかなか実際むずかしいのです。それから第五条の精神というものは、第五条ができたのは、大体概括すれば公益機関とみていい。公益機関が副業的に営利事業を営む場合がだいぶふえている。それに課するというのが第五条の精神であろうと思う、沿革的に見て。それであるから、各種法人等に例があるのだが、副業的の営利事業にかけるという立法の趣旨であるのに、その事業全体が課税対象にもしなるようなことになれば、そうすると、一体そういう公益的な認定をしたことがおかしくなるのじゃないかと、こう僕は思うのだが、おのずからそこに限界がなくちゃならぬ。公益的要素があればこそ各省が監督して、準学校、あるいは学校としてこれを育成しておるのであるから、その本体の事業に課税されたら、私はそういう公益的な要素というものは税法の関係からいえば否認されたことになるのじゃないか。これはちょっと変な結果になるのじゃないかということを考えるのですが、そういうふうなことはないのですか。
  95. 原純夫

    政府委員原純夫君) 非常にむずかしい問題でありまして、昭和二十五年、シャウプ使節団が来ましたときにも同様な問題について話し合ったことを覚えております。そのときは、彼らの言いましたのは、公益目的で公益法人を作るというのは、各省の認可でやっているものはそれとして、税は税ですべて大蔵大臣がこれを判定して課税方針をきめろ、また収益事業をきめろというようなことを申したことがございます。実際には、ただいまのような格好になって個々の認定はせんということになったのでありますが、率直に言いますれば、やはり税の面で見て、これはもう個人でやっているお師匠さんと同じではないか、また各種学校の中にも個人でやっているのがございます。こういうものはかけていい。各種学校の中に公益法人になっているものもある。公益法人になったらそれはかからないということになると、いかにもおかしい。やはりこれはただいまお尋ねの、それが本来公益目的であるはずのが、そのものずばりが収益事業に判定されるというような問題になって、その辺はどうかというお考えも出るかと思いますが、私ども税の見地から言いますと、これは実態はやはり個人でやっている各種学校、あるいは各種学校にあらずにお師匠さんでやっている事業、これはもう実質はずばり同じではないかというふうに思いますので、ただいまお話しのような疑問点は出ますけれども、あえてそうした方がよろしいのではなかろうかという考えで、実はただいま関係省と御折衝いたしているような次第でございます。
  96. 青木一男

    ○青木一男君 それが個人企業でも、そういうような政府の監督下にある公益的な組織下に行われても、税の見地からいえば同じじゃないかという見方だが、私は、たとえば益金を生じた場合に、益金の処分方法一つとってみても違うと思うのです、これは。別に配当を受けるわけじゃないし、そういう点において全然これは同じだとは言えないと思うのです。それは内容によって非常にピンからキリまであることはお話しの通りだが、もし企業的とか、たとえば儲け仕事としてやるというような見地からいえば、学校法人でもたくさんあると思う。実際は今日では、非常な何万人という入学希望者からおそらく億というような受験料が入るような学校もあるのじゃないかと思うのです。そういうところへいくと、そういう学校と、いわゆる学校法人の学校と、それから技芸といえばこれはいろいろあるけれども、教授目的からいって学校法人の目的に近いものが非常にあるわけです。そういう場合に、一体どこで区別がつくのだろうか。これはよほど研究されないと、非常に立法の矛盾になると思うのです。税法の見地から見れば同じだというが、そこは私はさっきから言った通り、公益的見地から財団を政府監督下に認めたものと普通の商事会社とは違う点があるのです。そこが一つのけじめでもあるので、これは内容的には全く個人で、ただ名前だけ公益的な色彩を作ったというようなことがあって、脱法行為でもあれば、これは別な問題にもなるけれども、どうも公益的機関として、政府、各省が監督している機関が全く営利会社と同じように扱われるということは、いかにしても国家の法制としてどうも変な結果になるのじゃないかということを僕は非常におそれるのです。これは一つ主税当局も、単に税法の見地からいえば同じだときめてかかることは、行政全体から見てどうも割り切れないものがあるのじゃないかということをおそれるから、そこで十分一つ研究してもらいたいということを強く要望しておきます。
  97. 原純夫

    政府委員原純夫君) 御要望十分承わりました。私どももこういう問題については、常識的にそれはもっともだと言われる程度でいかなければいかぬと思っております。従いまして、学校教育法一条の学校のような学校がやっておるような教育については別段個人の形態で競争してやっているというようなものもないし、まあそういうところまでいくのはいかぬだろうというふうに考えております。なお公益法人でありますと、税率も通常の四割が三割になるのはご存じの通りです。そのほか所得の三割までは損金として公益部門に振り向けることができる。先ほどもちょっと触れたところでございますが、そういう点に特に心を配ってあるということを申し上げました。御指摘の点は非常に大事な点でございますから、十分含んで関係省と相談いたしたいと思います。
  98. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) それでは本日はこの程度において散会いたします。午後三時四十二分散会   —————————————