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野溝勝君 私は
当局に申し上げて反省を促したいと思うのでございます。
農村の事情は、
経済審議庁においての統計の中にも出ております
ごとく、ある一面においては、
農村の
消費水準などにおきましては、確かにあがっているかもしれません。だからそれが全部というわけにはいきません。ある
程度は了承できるのであります。しかしその他の面について、
農村がいかに困るかということについては、
局長御存じだと思うのです。たとえば最近における預金の工合など見ても、一戸平均、前年度の三十六万円なにがしから見ると、本年度は三十一万五千円くらい。さらにまた国民総
所得と
農村とを対比すれば、すぐわかる。最近の「米」という映画をごらんになって下さい。文部省においても推薦映画ですから、現政府が推薦したものとして、私は見ております。これは推薦映画でございますから、それが推薦した責任映画でございます。もしこれが冗談で推薦したというなら許しがたきものでございます。私は、この責任をもって推薦した映画には真実があると思う。いわゆる真理があると思う。私はあの映画を見ていただけば、よく
農村の事情ほおわかりになると思います。その点、原さん初め大蔵省の諸君は、一日も早くそれをごらんになったらよいと思う。そうすると
農村の事情がよくわかると思います。
そこで、
農村におきましては
所得税を取られ、
地方税においては
住民税、
固定資産税、あるいは水利税その他等々のものを取られまして、そのほかに
地方には
財源がないというわけで、PTAの
関係者から寄付税を取られておるのでございます。これは税ということが適するか適さないか知りませんが、とにかく税金に等しいようなもの、この問題については衆議院においても問題になりました。田中
自治庁長官は、寄付は今後絶対にやらせぬようにするという大見得を切った。果してそれがどういうふうに行われるか、これは疑問です。とにかくそんなわけで、
農村の事情というものは非常に苦しくなっております。先程
農業事業税の問題において、
税制審議会においてこれを課する構想を持ったときに反対したのは、
一つの
理由があったからです。すなわち
農業は
事業として見る。この
事業の持つ性格から
課税対象とすべきだと思う。というのは、
事業には違いないかもしれません。しかし営利追求の
事業と違うのです。人を頼んで、あるいは労働力を雇って
利益を得るということはない。皆家庭労力をもってまかなっておる仕事、さらにこの
事業というものは、自分が生きるためと、国民生活に必需品の物資を作っておる生産的な
事業、そういう
意味において
社会的
事業の性格が多分です。この点は
一つ、
局長、私の理論を玩味されたい。だから
事業にしても利潤追求
事業の性質と違うという点をまずつかんでから出発してほしい。この旨を
審議会に強く申し入れたのであります。だから米を売るという
供出農家ですら、米価が統制されている今日、
一般事業と画一主義は誤まりだと思います。これが
一つ。
それから第二点は、せっかくこの
農業経営にも大いに近代的
経営に努力をして参ったんですが、まだまだ
日本農業は外国の余剰農産物……機械化による大量生産をやる外国の
農業経営とは違いまして、そのコストなぞも非常に相違があるのでございます。そういう
関係にあって、
日本農業というものは圧迫されつつあって、実際、国際
農業と太刀打ちしなければならぬにかかわらず、それだけのまだ用意ができておらないんです。今後どうしても国際
農業と太刀打ちをしなければなりませんから、それがためには、反当りの生産量は
日本は世界的上位にあるのです。しかし個人生産の面について考えなきゃならぬというのが、
日本農業の関心事の点ではないかと思うのです。そういう
意味において、今、
日本農業の問題について識者の間で非常に検討論議されておるんですが、これについては、アメリカがニュー・ディール政策をやった当時、
農民の保護政策をやって参りました。ところが
日本におきましては、この保護政策をも分断しちゃって、最近においては補助金を打ち切り、
昭和二十八年度から本年の農林予算を見ると、八百九十億ばかりしか——二十八年度の半分にもいかぬという状態なんです。こういうような、一方においては保護政策を打ち切り、一方においては外国
農業との太刀打ちをしなければいかぬと、さもなければ外国の食糧が安くて
日本の食糧が高いじゃないかというようなことで、この
農民を抑えつけておるのでございます。かような点については、
一つ大蔵当局においてはあらゆる角度から検討していただいて、
日本農民の地位というものが昔より少し上ったということで
農民に対するしわ寄せをする、或いは多くの
財政負担を求めるというような
考え方は、これは封建的で、払拭してもらいたいと思うです。もしそういう考えでないといたしましても、
数字の上にはそう現われてくるのでございますから、そういう点を十分考えていただきたいと思います。今日国際
農業と
日本農業の相違点を詳細に申し上げる必要はないのでございますけれども、特に
農業事業税などの設置なんということに対する
考え方があるようですから、この際、
農業事情を
大蔵当局に申し述べ、右
事業税の矛盾であることを認識され、放棄してもういたいということを申し述べておるのであります。
次にお聞きしたいことは、
国税の総額が一兆六百四十一億とか言われておりますが、三十二年度の人口九千二百万人、国民の一人当りの国
税負担額が一万一千五百六十六円、三十一年の一人当りが一千七百円と対比して八百六十六円の増だということが新聞に出ておりますけれども、これは事実でございますか。また筋が通っていると考えられておられるのでございますか。その点をお伺いしたいと思います。