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1957-02-21 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十一日(木曜日)    午前十時五十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            江田 三郎君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            左藤 義詮君            塩見 俊二君            土田國太郎君            苫米地英俊君            宮澤 喜一君            天田 勝正君            栗山 良夫君            野溝  勝君   政府委員    大蔵省主税局長 原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    制第一課長   塩崎  潤君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○印紙税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○とん税法案内閣送付予備審査) ○特別とん税法案内閣送付予備審  査)     —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案  法人税法の一部を改正する法律案  印紙税法の一部を改正する法律案  とん税法案及び特別とん税法案  五案を便宜一括議題として、順次事務当局より内容の説明を聴取いたします。
  3. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいま委員長のおっしゃられました五法案につきまして、御説明申し上げるわけでございますが、所得税法人税は、それぞれ本法改正案でありまして、これに付帯しましてといいますか、表裏いたしまして、特別措置の大部分ものにつきましては、租税特別措置法改正案でお願いいたします。これは全文改正のつもりで用意いたしております。従いまして、本日初め御説明申し上げます分は、いわば所得税一般的減税の分、平年度約一千二百五十四億円、初年度約一千九十二億円という減税になります分、それから法人税につきましても、軽減額はわずかでございますが、三五%の軽減税率適用する所得範囲を広げるという分が中心でありまして、なお、本法にも特別措置的なもの重要物産免税、それから利子所得等生命保険料控除というような関係ものが入っておりますので、そういうもの、さらに人格のない社団財団に対する課税範囲というようなもの、または税制簡素化の意味で、予定申告の軽微なものは一括して確定申告にする、あるいは源泉徴収も、人数の少い事業所ものは三ヵ月分ずつまとめて徴収するというような事柄が入っております。  印紙税法の方は、手形に対しまする税率階級別定額制に直す、現在は何億円の手形でも十円の印紙でよろしいということになっておりますのを、階級別に直したいということを主といたしております。  とん税法、特別とん税法というのは、現在トン五円でありますとん税を総体において十八円に上げる、ただし、そのうちとん税としては八円にする、残りの十円は特別とん税というものを起しまして、これを譲与税特別会計に入れて地方に回すという趣旨でございます。  本日はそれぞれ逐条御説明を申し上げたいのですが、委細にわたりますものは、私別に出席せねばならぬところがございますので、関係課長から御説明させたいと思います。
  4. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) それではまず所得税法の一部を改正する法律案につきまして、逐条主要な改正個所につきまして御説明申し上げたいと存じます。  お手元に差し上げてあると思いますが、「所得税法の一部を改正する法律案新旧対照表」、これをごらんになっていただければ仕合せでございます。  まず、第一条の改正部分でございます。第一条の第二項の第五号が、ここにごらん通り相当部分改正になっております。この趣旨を御説明申し上げます。  第一条第二項の規定趣旨は、御承知のようにいわゆる非居住者日本住所または一年以上の居所を有しない非居住者個人納税義務規定であります。このうちの五号につきまして改正いたしております。非居住者に対しましては、総合所得に対するところの納税義務があるのではなくして、ここに書いてございます一号から九号までに列記しているものについての所得について納税義務があるということがここにうたわれておるわけでございます。そのうちの五号部分につきまして改正いたしたわけであります。この改正趣旨は二点ございます。まず第一点は、これは九条の二項の方で説明した方がいいかもしれませんが、九条の二項におきまして、社会保険制度に基きまして支給されますところの年金退職一時金、これらにつきましては従来雑所得、または一時所得として扱っておりまして、雇用主からもらう分まで含めて雑所得あるいは一時所得、こういうふうに扱っておったわけであります。この点は恩給的な性格と同じじゃないか、恩給と同じじゃないかという批判もございますので、この点につきまして検討いたしておったわけでございますが、その課税方式雑所得あるいは一時所得でやりますと、恩給あるいは退職所得に比べまして酷な面が出てくる、不合理な面が出てくるということで改正することにいたしたわけであります。と申しますのは、雑所得にいたしますと、今までの掛金部分は経費といたしまして、年金の支給を受けました際に控除いたしまして、その残りに課税する。そういたしますと、最初の年金を受領いたしまして、最初の年、その後二、三年間掛金がまだございますので、課税になりませんが、その後掛金がなくなりますと全額課税になる。しかもまた一方、自分が幾ら掛金を在職中に払い込んだという点がなかなかわからないので、この点も税務行政上非常に因る、納税者も困るというような状況でもあるわけでございますが、一方恩給の方は、私どももまあ国庫納金給与の二%やっております。これは掛金を引かずに、ただ給与所得後払いという建前から二割の給与所得だけ引きまして、受領金額に対しまして課税いたしておりまして、掛金は全然引いておりません。それともう一つ、今申しました社会保険制度でもらいますところの退職一時金につきましては、現在の扱いは一時所得という扱いでございます。そうなりますと、一時所得課税の原則に従いまして、十五万円を控除いたしまして、その残りの二分の一、その二分の一を総合課税する、こういう建前でございます。ところが退職所得になりますと、二十万円を控除いたしまして、それから在職期間が十年をこしますと一年ごとに二万円を加算いたしまして、一年ごとに二万円ずつ控除する、最高五十万円まで控除する。こういう退職所得につきまして優遇の措置が講ぜられております。それからまだなおそれだけじゃなくて、それをまたさらに二分いたしまして、分離課税と、退職所得につきましては相当優遇的な措置が講ぜられております。退職一時金になりますと、社会保険制度で、雇用主からもらわないものにつきましては単純な一時所得と、こんなふうな扱いになっておりまして、この間のバランスが問題になるわけでございますが、まあこんなような関係を、このアンバランスをどういうふうに修正いたすかということが問題になるわけでございますが、私どもの検討の結果といたしましては、これは給与所得あるいは退職所得並みに扱うのが至当じゃないか。性質から見まして恩給共済組合からもらいますところの年金部分も、性格的に変らない。ただ雇用主じゃなくて、第三者、社会全体からの給付部分もございますけれども、社会全体からもらう給与所得後払いというようなことにも見ることができるのじゃないかということが言えるわけでございます。そういう考えのもとに、しかも三公社の職員につきましては恩給がなくなりました。全部年金になったわけであります。これらのバランスから見まして、恩給年金とを差別扱いすることがいいか悪いかということが検討されたわけでございます。私どもといたしましては、これはあとから払い込んだ掛金を計算いたしまして、雑所得と計算すること自体非常に煩雑でございますので、一応この年金につきましては給与所得として扱う。従いまして掛金は引きません。そのかわり二割は毎年控除するというシステムをとる。退職一時金につきまして、退職所得並みに二十万円を控除し、在職期間が十年をこしますれば、一年ごとに二万円を控除し、最高五十万円を控除いたしまして、その残りの二分の一を分離課税する。こういう方式に改めたわけでございます。従いまして、その九条の第二項の改正規定をここで受けまして、非居住者につきましても、たとえば日本に勤めておりまして、やめて外国へ行っておる。日本からそういう年金的なものがくるというものは、この五号の給与所得の方に入れる、こういうことでございます。それがまあ第一点の改正でございます。  第二点は、現在の制度によりますれば、国家公務員地方公務員は、この法律施行地におきまして居住しまたは一年以上勤務期間になしました勤務に係る恩給部分だけ非居住者につきましては課税になる。具体的に事例が起っておるわけでございますが、沖繩官公吏、これが現在、昭和二十八年の元南西諸島官公署職員等の身分、恩給等特別措置に関する法律によりまして、日本恩給が復活されたわけでございます。これは日本におきましては住所がございませんから、いわゆる第一条第二項の非居住者になるわけでございます。非居住者でも納税義務があるべきところ、沖繩はこの現行法によりますと、この法律施行地ではございません。そういたしますと、まあその部分につきましては課税にならないということが起るわけでございます。その点につきましては、ただいま申し上げました特別措置に関する法律の付則で一〇%の課税をする、本則は二〇%でございますが、一〇%の軽減税率でもって、特に沖繩であるからという理由で課税いたしておりますが、その点から見ましても、やはり国家公務員地方公務員というのは、その給料あるいは年金というものは、大部分国の税金から出るのだから、その源泉というのは日本にあると見てもいいのではないか。そういたしますと何もこの法律施行地と申しますか、日本におきます勤務期間に対応する分だけ課税しなくてもいいのではないかという考え方から、国家公務員地方公務員につきましては、本法施行地施行地外との勤務の区分はしなくてもいい、いずれにいたしましてもその年金恩給は全部納税義務がある。こういうふうに改正いたそうというのがその第五号の改正の第二の理由でございます。その他小さい改正といたしましては、義務の概念が若干不明確でございまして、人的役務給与的な性格をはっきりいたした点の改正がございます。五号の改正としてはそういうところでございます。  その次は第一条の大きな改正点は第六項でございます。四ページの第六項でございます。いわゆる人格のない社団または財団課税をどうするかという問題が、最近御承知のようにやかましく言われてきているわけでございます。これは私どもがやかましく言うのみならず、最近市場に売り出されておりますところの「脱税」という本を見ますと、世にも不思議な物語というふうにいわれまして、人格なき社団財団事業を営みさえすれば税金がかからないのだ、現在の租税法律主義建前から見て、人格のない社団財団というものは納税義務が全くないことになるのだというふうなことが書いてございます。また、現実に私どもの国税庁の長官のところにある団体から、私ども人格なき社団である、従って現在の租税法律主義建前から申しますれば、まず第一に自分たち雇用人を使い、それからあるいは芸能人を呼びまして報酬を支払う、これについて源泉徴収義務を現在の所得税法では個人法人ならば負わしているが、支払うのは、支払う者と書いてございますが、そういう報酬を支払う者と書いてございますが、納税源泉徴収義務を負わしておりますが、そういう源泉徴収義務がまずないのじゃないかという点が第一点でございます。それから第二点の質問の要旨は、しかも自分たちがたとえば資産を持っておりまして、預金を持っておりまして利子を受ける、現行の法律によりますれば、利子につきましては源泉徴収を受ける義務がございますが、この源泉徴収を受ける義務個人あるいは法人であって、人格のない社団財団にはそういう源泉徴収を受ける義務もないのではないか、こういうことを質問してきて参っております。それから第三点といたしましては、事業を営みました際に、事業から生じた収益につきましても課税する根拠が現在のところ乏しいのではないか、現在の税務行政は、所得税法人税解釈通達でやっているけれども、それは憲法上の、租税法律上から、法律主義から見ましてどんなものか、回答を願いたいというような質問書が出てきているような状況でございます。  御承知のように現在の民法、商法は、公益法人につきましては許可主義営利法人につきましては準則主義をとりまして、私どもの習ったところでは、必ずしも両者のいずれにも属しないものは、人格を持たずに団体を作れる、団体の設立を禁止いたしておりませんので、人格のなき社団が出てくることは、私どもも民法、商法の講義で習ったところでございますが、私ども税法の面におきましては、今までのところ法人税課税できない。ただ所得税課税できるのではないか。個人といたしまして課税できるのではないかというような解釈でおったわけでございます。現在までのところ、最近ほどのやかましい問題は少くて、まあそれで相当長らく運用して参って支障はなかったわけでございますが、ただいま申し上げましたような事情が起きましたし、税法を読んで参りますと、現在の所得税法個人法人と割り切っている点もございます。それからしかも、「もの」と書いてありますものは、人格なき社団というものを含めて言う際にはひらがなで「もの」と書くのが法律用語というような話もございますので、この際に一つ今いったような問題点を解決して明らかにする趣旨から、人格なき社団または財団で、代表者管理人の定めのありますものにつきまして、税法関係規定を明らかにいたそうといたしましたのが、この第六項の改正点であります。人格のない社団財団をどうするかという点、立法政策といたしましてどういうふうに扱うかということは、各国によっても種々ばらばらのようでございます。ドイツにおきましては全体をこれを法人といたしまして、法人税法を適用いたしております。私どもの今度の解決の仕方は、あとで法人税法の御説明を申し上げる際に申し述べたいと存じますが、収益事業を営む人格のない社団財団につきましては、これは法人とみなしまして、これは法人税課税いたそうということにいたしました。収益事業を営まない人格のない社団または財団につきましては、所得税法の六項によりまして課税関係を明らかにいたします。ここに書いてありますように、まず第一に「前二項に規定する所得についての納税義務に係る規定」、それから源泉徴収を行う義務がある者にかかわる規定の適用については、法人と見まして所得税法を適用しよう、こういう考え方でございます。四項、五項を見ますと、内地に本店または支店がありますところの法人公社債預金利子株式配当につきまして所得税を納める義務がある、こういうことになっておりますので、人格なき社団がそういう公社債預金利子株式配当を持っておりますれば、この法律によりまして所得税を納める義務がある。といいますことは、源泉所得税を徴収されるということでございます。五項の方はこの内地、内地と申しますか、法律施行地に本店または主たる事務所を有しない法人、たとえば外国におりますところの、外国に主たる事務所のありますようなものについて、人格のない社団がありますとすれば、これに該当するものでございますが、これはもう少し範囲が広くて、工業所有権の貸付によるところの所得貸付金の利息の所得、それから雑収所得と申しますか、その他資産運用所得、これらがなお納税義務があると書いてございます。これらにつきましては、本店、支店のない法人といたしまして、やはり所得税の二〇%の税金が課税されることになっておりますが、これが適用になる、こういう趣旨でございます。それから源泉徴収義務規定は、御承知のように給与を払えば給与についての源泉徴収義務があり、ただいま申しました人格のない財団社団芸能人を呼びまして報酬を支払うという際には源泉徴収義務がございます。四十二条でございます。この義務規定は当然法人として適用があるんだと、こういうふうに改正いたそうというのがこの趣旨でございます。なお、収益事業課税関係につきましては、あとで法人税法改正の御説明の際に申し上げたいと存じます。  その次は第二条の「課税所得範囲」の改正でございます。現在の所得税建前は、住所または一年以上居所を有する居住者と、それ以外の非居住者とに分けられておりますことは、先ほど申し上げました通りでございます。居住者につきましては、第二条第一項にございますように、所得の全部に対して所得税課税する。非居住者につきましては、先ほど第一条第二項の御説明の際に申し上げました各号列記所得について制限的な納税義務があると、こういうことになっておるわけでございます。そこで、これは特別措置法外国人に対しまするところの給与所得課税の際に問題になったわけでございますが、今申し上げましたように、現行制度では、まあ住所を有するか、あるいは一年以上居所を持ちますと、もう全部の所得課税することになる。そういたしますと、日本に永住する気持なくして参りました外国人につきましては、外国にありますところの資産から生ずる所得につきましても課税になってしまう。これは少しどうも実情に即しないじゃないか、現実にはなかなかその所得はつかまりませんけれども税法建前は、もう住所あるいは居所が一年以上こしますれば、居住者といたしまして、所得の全部、国内源泉所得国外源泉所得を問わず課税になると、これは少し実情に即さない点があるんじゃないか。外国の例を見ましても、税務行政の実際におきましては、その点いきなりそんなに長くいない外国人居住者といたしまして、所得の全部を課税するようなことはしていないところが多いわけでございます。そこで今回はその点を改正いたしまして、第二条の第二項にありますように、住所がありますれば、これは除かれる。これは頭から日本に永住する意思があって、生活の本拠を日本に移しました者は当然なるわけでございますが、住所がなくて、五年以下の居所を有する者、住所がありましたが、その後妻子を国の本国へ帰しまして、生活の本拠を向うへ移し、こちらでやもめ暮しをやっておるというような者は、ここでは非永住者という新しい居住者のうちの概念を用いまして、こういう者につきましては、日本で発生いたしましたところの所得につきましては全額課税するが、外国源泉所得につきましては日本に送金されたものだけ課税すると、こういうことにいたしたわけでございます。この程度にすれば、先ほど申し上げました外国の例から見まして実情に即したことになるんじゃないかと私どもは考えております。  その次の大きな改正点は、小さな条文の整理を飛ばしまして、第八条でございます。「扶養親族等の定義」でございます。現在扶養親族の定義は、「納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族」で、所得が四万円以下となっております。今度は五万円と改めたわけでございますが、なぜ改めたかと申しますと、今までの慣例は、この少額の所得につきましては、まあ少額の所得を有する者については、まだそれでも扶養親族に該当すると見ようという思想でございますが、この小額の所得をどの程度にまでするかというのは、慣習的には一人目の扶養親族扶養親族控除金額と一致しておったわけでございます。その点から見まして、今回改正案扶養親族の一人目につきましては一万円引き上げることになりまして、一万円引き上げまして五万円、こういうことにいたしたわけでございますが、この点につきましては、そういたしますと、この五万円と、小額所得であるべきところの五万円と、一人目の扶養控除金額五万円と合せますと十万円となる。そうなると基礎控除より多目になるというところが欠陥でございますが、今までの慣習を踏襲いたしまして、一応一万円に上げたわけでございます。四万円という据え置きの方法もございましょうけれども、この点は少額所得者の線を五万円に一応引いた、こういうところでございます。  第八条の第四項が改正されておりますが、この趣旨は、現在のところ寡婦、それから老年者不具者勤労学生、これらにつきましては税額控除がございます。そこで第八条においては、その寡婦とはどういうものかという定義があるわけでございますが、本則といたしましては「扶養親族を有し、且つ、老年者でないものをいう。」と、こういうことになっております。ただ、ただし書きに重要な例外がございまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法によりまして遺族年金を受ける者では扶養親族の有無を問わないというふうな優遇措置が講じてございます。これは御承知軍人恩給がまだ復活する前の遺族年金の額が、非常に予算上の制約もございまして少かった関係上、税制面優越措置を講ずる。で、普通の寡婦控除ならば税額控除の五千円でございますが、遺族年金を受ける寡婦税額控除は七千円だと、二千円だけ税額控除が優遇されておったわけでございます。ところが昭和二十八年に軍人恩給が復活いたしまして、恩給法遺族年金が乗り移ったわけでございます。そういたしますと今まで遺族年金をもらっておりまして税額控除七千円の恩典を受けていたものが、軍人恩給法公務扶助料に乗り移りますと税額控除が受けられなくなるということが言われてきたわけでございます。おかしいではないかということでいろいろな陳情、請願もあったようでございます。よく実態を調べてみますと、先ほど申し上げましたように、大体におきましては遺族年金は予算上の理由から少額であるため、これまで優遇する必要があったかと思います。しかし恩給公務扶助料になりましてからは、いわゆる元軍人であった者は、階級に応じまして恩給が復活したわけでございまして、遺族年金よりもずっと受ける金額がふえたわけでございます。ただよく調べてみますと、元兵であった階級で、遺族年金に比べまして公務扶助料が二千円程度しかふえなかったものがあるわけでございます。そうなりますと税額控除の恩典とのバランスから見まして、果してよかったかどうかという点が問題になるわけでございます。そういう点を考えまして、今回の改正案では、遺族年金をもらっておったものが、恩給法の第七十五条の公務災害による死亡で公務扶助料をもらいますところの遺族寡婦で、しかもその金額が前もらっておりました遺族年金程度のもの、それより二千円ぐらい多目と考えておりますが、その範囲のものはやはり依然として普通の税額控除よりも二千円多い税額控除を認めようと、控除することを認めよう、こういう趣旨がこの改正点でございます。あとで出て参りますところの寡婦、それから老年者勤労学生税額控除につきましても、おのおの同様な形でございますが、趣旨はそういうことから出てきたわけでございます。  次は、九条の第二項の改正でございます。これは先ほど長々と申し上げましたが、社会保険制度に基きまして支給される年金とこれに類する給付または退職一時金の改正でございます。先ほど申し上げましたように現在は雑所得とかあるいは一時所得としておりましたものを、給与所得あるいは退職所得とみなしまして、雇用部分からくるものは当然給与所得、あるいは給与所得金というかもわかりませんが、全体といたしましては給与所得または退職所得とみなしまして、先ほど申し上げましたような課税関係に置こう、こういう趣旨でございます。  次は、第十条の三項でございます。簡単な改正で、この趣旨が非常にわかりにくいかもわかりませんので、若干敷衍させていただきますと、現在国際二重課税の防止と申しますか、国内におきまして事業を営むのみならず国外におきまして事業を営む、国外におきまして所得が発生する。そういたしますと、国外につきましては、私が先ほど申し上げましたように居住者と同様な税金をかけるのが各国の税制の建前であるようでございます。そういたしますと、外国で納めました税金をどういうふうに取り扱うか。日本は国内、国外を問わず総合して課税いたします。外国は、その外国で生じただけの、その地で生じただけの所得につきまして課税いたします。昭和二十八年の改正以前は、外国で納めました所得税あるいは法人税は損金といたしておったわけでございます。しかし理論的に考えますれば、やはり所得に対しまするところの税金でございますから、法人税の中から前納めた所得税を引くと同様に、これは税額控除が当然じゃないか。従いまして国内、国外を通じますところを日本所得税額から、たとえばイギリスで納めましたところの所得税額を控除してやるというのが二重課税の防止の点から最もいいんじゃないかと、こういうふうに改正したわけでございます。それ一本で二十八年からやって参ったわけでございますが、御承知のように外国税法所得計算とわが国の所得税法によりますところの所得計算では相当の差がございます。特に準備金関係なんかは各国まちまちの取扱いでありまして、所得がなかなか一致しない点がございます。第二に、わが国では、世界全体と申しますか、国内、国外を通じますと損を生じておる、しかしまあイギリスだけについて見ますれば利益が生じて、税金がかかる。そういたしますと税額控除の制度では、外国の税金は控除できないことになります。日本で納める税金の限度において控除いたすことにいたしておりますので、わが国におきまして完全な欠損と申しますか、純損失である場合は控除できない、こういうことになるわけでございますが、かえってその関係で前の損金算入制度の方がよかったということが言われるわけでございます。そこで外国の実例なんかを調べてみますと、これらの課税関係について、大体損金算入あるいは税額控除のいずれか、選択制度を認めておる国が多いようでございます。そこで今回の改正におきましては、この趣旨に基づきまして改めたわけでございます。この三項の書き方は、カッコ書に表われておりまして、今申し上げましたことが、直ちにこれから読みとれるかどうか、なかなかむずかしいのでございますが、「(第十五条の八の規定の適用を受ける場合における当該外国の法令により課せられる所得税に相当する税を含む。)」というのは、外国税額でございます。これは損金と申しますか、必要な経費には算入しない、こういうことでございますが、十五条の八は、外国税額の控除を税額控除として受けた者は損金に算入しないけれども税額控除のシステムによらずにしたものは、これは損金に算入すると、逆に読むという改正趣旨でございます。カッコ書きで、はなはだわかりにくいのでございますが、税額控除をしなかった外国の税金の方は、この規定の裏から見まして、逆に損金に算入すると、こういうふうに改めたわけでございます。  それから、その他条文の改正規定多々ございますが、時間の関係上、十一条の三の、今度の所得税法改正の相当大きな眼目となっておりますところの資産所得の世帯合算の制度につきまして、若干の御説明をさしていただきたいと存じます。  所得税課税単位をどういうふうにとらえるのかということは、非常にむずかしい問題でございまして、各国の立法でも数多く分れておるところでございます。御承知の通りに、わが国におきましては、所得税の創設以来、家族数合算制度がずっと継続されまして、家の制度がなくなりましてからは、生計を一にする親族の合算、同居親族の合算制度が昭和二十四年まで続いたわけでございます。従いまして、同居親族でありますれば、資産所得のみならず、給与所得事業所得その他雑所得、山林所得——山林所得は分離になりましたが、そういう経常的な所得につきましては、大体世帯が合算されておったわけでございます。これが昭和二十五年のシャウプ勧告によりまして、給与所得あるいは事業所得的なものを合算するということは正しくないと、そういうことがむしろ脱税を誘発するのだと、個人主義の建前に反するのだということで、資産所得だけ合算したらどうかというふうに改められたわけでございます。資産所得は、何といっても、家族の名義で持っておりましても、実際は世帯主の支配で処分する場合が多い。これは、まあ所得税は御承知のように担税力に着目して課税するわけでございますが、所得の帰属、あるいは所得の支配の状況によって課税するのが至当じゃないかという議論が出てくるわけでございます。それともう一つ、資産所得というのは、往々にして分散されがちである。単純な名義を付して所得の分散がはかられやすい。そういたしますと、現在の所得税建前では、税負担が人によってかかってくるということで、昭和二十五年のシャウプの勧告によりまして、資産所得だけは合算するということになっておったわけでございます。そのときは、今回御提案申し上げておりますところの、二百万円以上の所得者につきまして合算するというようなシステムじゃなく、どんな資産所得でも合算すると、小さな資産所得でも合算すると、こういう趣旨であったわけでございますが、それが昭和二十六年になりますと、まだ資産所得というものが、現在のような金額によらず、非常に小さかったわけでございます。しかも下の方まで合算いたしますので、手数が非常に繁雑でございまして、税務行政納税者の便宜の点から、二十六年に廃止いたしまして、現在まで至っているわけでございます。  次に、これは各国の立法例を見てみますと、どうなっているかと申しますと、大体外国におきましても、資産所得的なものは合算している例が多いようでございます。まず、イギリスについて申し上げますと、これは資産所得ではございません、まず妻の所得は文句なしに夫の所得と見るというふうな制度でございます。ただ妻の所得が勤労所得であるような場合、これにつきましては、おそらく夫婦共かせぎのような場合には、子供の世話費がかかるとか、家事費がふえるとかいうようなことでございましょう。そういうことから、妻の勤労所得につきましては、九分の七の控除を認められているという状況でございます。それから西ドイツにおきましては、夫婦及び十八才未満の子女の所得は合算するというような建前になっております。ただ夫婦の一方が、配偶者関係のないような事業に従事して得ましたところの勤労所得、それから子女が父母と関係のない事業に従事して得た勤労所得、これは除外する。同じ勤労所得でも、お父さんのやっておりますところの会社に勤めてもらっている所得、これは合算する。全然よそで働いている勤労所得だけは除外いたします。しかし資産所得は除外いたさない、こういう制度でございます。アメリカにおきましても、これは若干意味の違った合算でございますが、夫婦均分法というものがございまして、夫婦の所得は合算する、そのかわりそれを二つに割りまして、そのおのおのに税率を適用いたしまして、二倍にする。これは特徴のありますところのものは、妻あるいは夫、どちらでもいいのですが、配偶者の一方に全く所得がない場合でも、その両者の所得を、夫婦の場合は二分するというところが違っているわけでございます。この点では、日本では両方所得があります場合で、たとえば百万ずつある場合の税負担と、夫が二百万円の所得があって、妻は何もないという場合の税金は相当違って参りますが、アメリカでは全く同様だという点から見まして、一つの合算制度だ、こういうことが言えるのではないかと思います。フランスも、これは長くなりますので省略いたしますが、所帯主の所得扶養親族所得は大体合算いたしてあります。  ただ、今申し上げました扶養親族の数で割って、税率を計算して、また数で乗ずるというようなシステムはございますけれども、いずれにいたしましても、各国の立法例を見ましても、夫婦は合算する例が多いし、未成年者の子女の所得は合算すると、ただ家業に関連のない勤労所得、これはまあ除外する場合が多いのではないかというふうに、私どもには見られるわけでございます。  そこで、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在のごとき税法、今度の改正税法を適用いたしましても、一人で所得のある場合と、二人の所得のある場合と、相当税負担が変っております。税額表を見ていただきますれば出て参るわけでございますが、たとえば一人が二百万円の事業所得と不動産所得を持っている。その内訳は事業で百万円、不動産所得で百万円といたしましてで、妻が一人いるという場合の税金は、四十八万八千五百円でございます。ところがこれが名義と申しますか、夫が百万円の事業所得を持ちまして、妻が百万円の不動産所得を持ちますと、おのおの十九万円の所得税でございますから、税額を合計いたしますと、三十八万円、そういたしますと、同じ二百万円の所得を持ち、生活しながら、この差が十万八千五百円出て参る、これは改正案の計算でございます。これで果していいのであろうか、所得の実態に応じまして課税する所得税で、果していいのであろうかどうか、まあ考えさせられるわけでございます。しかしまあ、たとえば今の不動産を夫から妻にやったとしたのだから、これは過去におきまして贈与税を払っているのだからいいのではないかという考え方も一つ成り立ち得るわけであります。しかし贈与税は御承知のように所得税の補完税というのではなくて、相続税の補完税でございます。死んだ場合には相続税がかかるのを、生存中に贈与いたしまして、相続税の累進税率の適用を避けるというのを防ぐのが贈与税の目的でございますから、贈与税をとっているからといって、所得税を合算してとってはならないということにはならないわけでございますが、やはりこの点も着目しますれば、資産所得につきましては、先ほどからるる申し上げますような趣旨から合算したらいいのではないか、こういう線で今回の資産所得合算の制度を御提案申し上げておる次第であります。非常にこの規定は複雑でございますし、またなお、こまかい点につきましては政令で規定する点がたくさん残されておりますけれども、大筋を申し上げますと、大体次のようなことになると思います。  まず、合算される親族範囲でございます。どういう世帯員が合算されるか、こういうことでございますが、大体この点はシャウプ勧告のときの限定された合算の範囲にとどめております。昭和二十四年前は、もう同居の家族ならば全部というようなことになっておりましたけれども、十一条の三の一項にあります通り「夫と妻」「父又は母とその世帯に属する子」「祖父又は祖母とその世帯に属する孫」、ただシャウプ勧告に基きました昭和二十五年のときには子と孫に未成年者ということが一つついておりました。しかもまた配偶者のないということがついておりました。今回の提案は、配偶者のないという点、子のない点は、昭和二十五年と同様でございます。その点は二項の四号にございます。もう一つ今回の特色は、これはシャウプ勧告にはなかったんでございますけれども、「夫と妻」は先ほどから外国の立法例からもわかります通り、文句なしの合算でございますが、「世帯に属する子又は孫」につきましては、資産所得以外の所得が九万円以上あるというようなものについては、合算しないということにいたしました点が一つの特色であろう、かように考えております。考え方の基礎にありますものは、九万円という一つの目安は基礎控除と同級でございます。九万円くらいあるなら、子供、孫につきましては、配偶者がなくても自分が勤労所得を有して、その勤労所得から株式を買い、あるいは不動産を買ったものだとまず見ていいのじゃないかという趣旨でございます。  それからその次のポイントは合算の対象となる資産所得とは何かという点でございます。二項の一号にあります通り利子と、配当と、不動産所得、これも昭和二十五年度の改正税法と同様でございます。ただ利子につきましては、別途御提案申し上げますところの特別措置法によりまして、分離課税が二年程度続くこととなり、その他長期預貯金等につきましては、別途優遇の措置が講ぜられることになっておりますが、いずれにいたしましても、分離課税建前が続きますので、今回施行になりますところの所得税におきまして、三十二年分におきましては配当所得と、不動産所得になる、こういうふうに考えられるわけでございます。  そこでこの規定を全部突っ込んで申し上げますと、合算の方法はどういうふうにするかという点が第三点でございますが、一言にして申し上げますれば、二号に大体現われておりますが、資産所得以外の所得金額が最大のもの、これを私どもが主たる所得者と申しまして、資産所得を除外いたしまして、家族のうちで誰が一番所得が多いかというものを見まして、その最大のものが世帯員の資産所得をまず有するものとみまして、主たる所得者の所得税を計算する、そういたしますと、一人がその資産所得を持ったような税金が累進税率の関係で出て参るわけでございます。それを再び世帯員の資産所得に按分いたしまして、世帯員の税額を計算いたしまして、主たる所得者と世帯員に申告していただく、こういうことになるわけでございます。十一条の三の三項にもありますように、世帯員に医療費とか雑損失とかがあったような場合にどうするかということでございますが、原則といたしましては三項にあります通りに、主たる世帯員に雑損失、医療費控除があったものとみよう、こういうことにいたしております。ただ典型的な例でございますが、妻などの場合に、その他の所得があって、医療費控除あるいは雑損失を妻の資産所得以外の所得から控除してもらった方が有利な場合には、それは選択できるというようなことにいたしております。で、今申し上げましたのが合算の方法でございますが、今回の合算は前回の昭和二十五年の改正の経験からみまして、なるべく簡素化しようという趣旨をとりましたのでございます。法文の書き方も前のときには一人一人世帯員のところで、基礎控除その他医療費控除、扶養費控除まで計算して、余った残りの所得を主たる所得者の所得に加えるというような方式でございましたけれども、今回の改正案では今申し上げましたような、この主たる所得者の資産所得とみて税率を計算するというように、法文をできるだけ簡素化いたしているのであります。五項にございます通りに合算の省略の限度が規定してあるわけでございます。一号には今申し上げました所得を合算して二百万円に満たない場合はもう全然合算しない、二百万円以上になって初めて合算するのだということが五項の一号に出ております。それからもう一点の合算省略の思想の一つは、世帯員の資産所得が一人当り五万円に満たない場合はその世帯員だけは除こう。五人おりまして、その五人がいずれも五万円未満の場合には全く合算にならないのであります。五人のうち三人が五万円に満たない場合も合算しないというようなことになるわけでございます。それからもう一つ簡素化の精神から、一つばらばらの申告じゃなく、連署で一つの申告書でやっていただく、これは規定でございますが、常例とするというような書き方で、なるべく簡素化の精神を出したつもりでございます。  以上合算の規定説明を終りまして、その次は、十一条の七の生命保険料の控除制度の改正でございます。十一条の七、今回は特別措置の整理がありましたにかかわらず、生命保険料はこれは特別措置と考えるかどうか、いろいろ考え方があるようでございますけれども、貯蓄奨励の見地と住宅資金の供給と申しますか、そういう関係から、現行一万五千円の控除限度をさらに引き上げまして三万円とする。ただ一万五千円をこえる部分につきましては半額だと、この半額の思想は、これは外国の立法例を見ましても、払込保険料を全部引くというところは少いようでございます。生命保険料をなぜ引くかということはなかなかむずかしい議論があるようでございますけれども、全額引くような国は少いようでございます。イギリスでは四割引くというようなことになっておりますが、全額引きますと、その額だけしか入らない。従いまして契約金額がなかなか大きく上らないという点もございますので、そういう観点も考えまして、半分引いた方がむしろ一件あたりの保険金額を高めるのにも便利じゃないかというような考え方もあるようでございますので、一万五千円までは過去に置きました控除限度を尊重し、それをこえる部分につきましては半額を控除する、こういうことにいたしております。  その次は十一条の八、扶養控除改正でございます。これは先ほど申し上げました一人につきまして一万円だけふえております。  十二条は基礎控除改正でございますが、一万円引き上げて九万円にいたしております。  十三条は、これはもう要綱でも一見しておわかりの通り税率の改正でございます。新しい点は税率といたしましては、百分の十の最低税率を設けた点でございます。現在はスタートの、最初の税率は百分の十五でございますが、低額所得者の負担を考えまして、新しく百分の十の税率を設け、さらに百分の七十の税率を五千万円をこえる金額につきまして設けたのでございます。なぜここまで増税したかということがここで問題になるわけでございますが、これは日本所得税外国に比べましても、しかもまた過去のわが国の所得税の税率から見ましても、上の方では相当低過ぎるというふうに見えるわけでございます。アメリカでは最高九十一、実効税率は八十七、イギリスでは九十二とか申しておりますが、それらから見ましてわが国でも八十五くらいまで行っておったことがあるようでございます。それから見まして、今度のような個々の階級区分を見ていただきますれば、大体五倍ないし六倍くらいに伸びておるわけでございます。たとえば百分の二十の税率のところは、現行は三万円をこえる金額となっておりますが、今度は二十万円をこえる金額のところが百分の二十、そういたしますと、六・六倍、百分の四十のところを見ていただきますと、五十万円をこえる金額、現行でございますが、今度では二百五十万円をこえる金額というふうに五倍に上っておる。こういう関係からいたしまして、最高税率もサティスファイされるのではないか、かように考えております。  それからその次は、第十五条でございますが、これも簡素化の見地から現在簡易税額表は六十五万円となっておりますが、今度は百万円まで上げたというのが改正趣旨でございます。  その次は、十五条の三と、十五条の四、十五条の五、これは先ほど申しました遺族年金から恩給法に基きますところの公務扶助料に転換いたしましたものが、税額控除の七千円の恩典を受けるということになるわけでありますが、これは前で法文は一応片づいておりますので、この点では出ておりませんが、今申しましたような関係になるということでございます。  その次は、十五条の六になるわけであります。それは配当控除の規定でございますが、御承知のように、昭和二十三年でございましたか、一五%という配当控除が設けられ、それから昭和二十五年にそのときの配当控除の趣旨については、あまりはっきりしておらなかったのでありますが、シャウプ勧告によりまして、現在の法人税というものは、所得税の前取りだ、これを調整するものがこの配当控除だと言われておった。それに相当するものが二五%となっておった。それが特別措置法によりまして、三十年分及び三十一年分につきましては、三〇%に五%だけ割増しされたわけでございます。この考え方は、利子の非課税の制度が設けられましたので、現行で国会修正で五%引き上げられましたわけでございますが、直接投資と間接投資のバランスという理由で引き上げられたわけでございます。今回これをどうするかという点が問題になったわけでございます。第一点の特別措置の整理によりまして、五%の割増し控除は、これは廃止する。これは利子の非課税も長期預貯金につきましては、継続いたしまするけれども、その他の部分につきましては、一〇%で課税するということになりましたので、五%の割増し控除につきましては、廃止するということは直ちに出てくるわけでございます。そこで特別措置法の整理によりまして、現行の二五%に返ったらいいじゃないかということが直ちに言われるわけでございますが、今回の改正案課税所得が千万円未満のうちに該当するところの配当所得につきましては、百分の二十と、課税所得が千万円を与える場合には、それをこえますところの配当所得部分につきまして百分の十というふうに改正いたしたい。二段階の配当控除率に改正いたしたわけでございます。なぜか、まず二五%の配当控除率を据え置かなかったかということが問題になるわけでございます。これは、個人法人課税関係をどうみるかと、非常にむずかしい議論があるわけでございますが、それはともかくといたしまして、今度の改正案では非常に所得税が下るわけでございます。かりに百万円の人は現行上ずみ税率では四五%でございます。配当控除率を二〇%といたしますと、二五%の実質は課税になる。ところが今度はそうすると、百万円ぐらいの人は、大体上ずみ税率は二五%となります。そうしますと、二五%の配当控除を据え置いておきますと、全く課税にならない。今まで百万円の人は配当をもらっておりますれば、上ずみ税率四五%のために、二十五%の、本則では二〇%ぐらい課税になっておったのが、課税にならなくなるというようなことになるわけでございます。例えばこれは、株式というものは、法人独立説をとって、完全なる投資物件説とみると、配当控除はいらない、こういう考え方もあるようでございますけれども、その考え方はともかくといたしまして、今申し上げましたような、きわめて卑近な例で改正案を考えますと、どうも所得が下れば下るほど、配当控除率は、配当に対しまするところの一定割合の税額控除ございまするから、配当控除の率が据え置かれますと、所得税の元の方が少くなりますと、引かれるものの元の方が少くなります。非常に有利になってくるという関係になっております。そこで今回は、それを大体原則といたしまして二〇%に下げたらどうかというのが一つの提案でございます。ただこの十五条の六のカッコ書きにありますが、この二〇%でも、これを法人擬制説的な考え方に立ちますとなお有利な人がたくさん出てくるわけでございます。法人税を完全な所得税の前取りと考えますれば、非常な高額所得者の人、例えば五千万円くらいの人は六%ぐらいで足りると、七%ぐらいで足りるということになるわけでございます。この計算方式は、いずれ審議の過程で御提出することになるかもしれませんけれども、高額所得者になりますと、大体もとで二重課税排除説をとりまして、法人擬制説をとりましても、きわめて高額所掛者は法人税でとられるところの税額は少くていいということになりますので、千万円をこえる場合には、配当所得金額のうち、そのこえる金額は百分の十ということにいたしたわけでございます。例で申しますと、例えば給与が九百万円でありまして、配当が二百万円ある、そういたしますと千百万円でございます。   〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕  これをかりに課税所得といたしまして、千万円をこえますこの百万円につきましては一〇%、残りの百万円につきましては二〇%、こういう考え方でございます。それから給与が千五百万円、あるいは事業所得でもいいんですが、千五百万円あったりしまして、配当が五十万円あります。そうすると課税所得が千五百五十万円となりますが、これは五十万円だから二〇%の配当控除じゃなくて、カッコ書きの規定が働きまして五十万円につきまして一〇%の配当控除になる。千五百万円の事業をやっておる方々は、法人税をとられる税金というものは、もう少し少くていいのに一律の四〇%でございますから、配当を受けとった際に調整される率は少くていいと、こういうような考え方から説明できるわけでございます。  それからその他、時間の関係で急ぎまして、第二十条の重要物産の製造等についての免税の規定改正になっております。これは法人税法のところと全く考え方が同様でありますので、法人税のところで御説明したいと思います。  それから二十一条の二でございますが、これは簡素化の見地で今回予定納税額、予定納税額と申しますのは、前年の税額をそのまま予定納税額として納税していただき、確定で清算する制度でありますが、三千円未満のときは予定納税が要らないということにいたしております。一期千円未満の人は確定でケリをつけるということにいたしております。人員では一〇%ぐらいの人が予定納税は要らなくなる、こういうふうに見られております。  その他法人関係と共通いたします点は法人のところで申し述べさせていただくことにしまして、うも一つ簡素化の精神から改正いたしましたところの五十三ページの三十八条の三、源泉徴収税額の納期の特例について申し上げます。現在の源泉徴収納税の仕方は、御承知の通りに毎月分を翌月十日までに源泉徴収していただきまして納付していただくということになっておるわけでございますが、税務の簡素化の見地から給与の支払いを受ける者が常時十人に満たないもので滞納がないものというような方々には三ヵ月ごとでいい、一月から三月、四月から六月、七月から九月、十月から十二月までと三ヵ月ごとにまとめていただいて、翌月の十日までに納めていただいてもいいと、こういうことに改正を考えておるわけでございます。人員にいたしまして源泉徴収義務者の六〇%程度に三ヵ月ごとの納期になるのではないかと、かように考えております。  その他時間の関係で省略いたしまして、六十一条で問題になる点を申し上げます。七十九ページから八十ページにかけたところが六十一条の支払調書制度の改正でございます。今回税負担を相当思い切って、初年度千九十二億を平年度千二百五十億に改正をしたわけでございます。私ども申しました今回の改正案のねらいというものは、税負担の公平ということが大きなねらいでございます。まあ脱税なき税法というものを作りたいというのが私ども趣旨でございますが、そこで支払調書その他の資料につきましてはぜひ御協力願いたい、こういう趣旨改正したわけでございます。そのうちには当然の改正もございまするけれども、まず大きな改正点を申し上げますと、七号の不動産所得の資料でございます。法人が家賃とか地代を支払った場合には、その支払いの資料を税務署の方に送っていただきたい。これは全部取ろうというのではございませんで、法人が支払う場合だけでございます。それからもう一点の改正は、八十ページの後段に出ております。現在信託につきましては、合同運用信託と証券投資信託以外につきまして、計算書が政府に提出されることになっております。そこで今回改正いたしました点は、この後段でございまして、いわゆる名義貸しというようなことが言われておるようでございますが、預かり配当とかいうことを言われておりますが、業務に関連いたしまして他人のために名義人として配当所得を受けておる方が相当あるようでございます。実際には預けた方々が配当をもっておるというふうなことになっておりますので、そこで業務に関連いたしまして他人のために名義人として配当の支払いを受けておる者は、その配当所得について一つ計算書を出していただきたい、こういうふうに考えております。この点は公平な税負担の実現という意味で特に今回改正をお願いしておる点でございます。  以下は大部分付則でございまして経過的な点でございますが、ただいままで申し上げました所得税法の減税を中心としますところは大体昭和三十二年分から施行されることになっております。ところが三十二年分は四月実施でございますので、八十四ページのその三項にございますが、大体基礎控除あるいは扶養控除の引き上げ、給与所得控除の引き上げ、おのおの四分の三にしてございます。従いまして初年度と平年度では相当税負担が変ってくる、こういうことになるわけでございます。  時間の関係所得税法は、この程度に終らしていただきまして、法人税の方は所得税ほど時間がかかりませんので、簡単に御説明申し上げたいと存じます。お手元に配付されておりますところの法人税法の一部を改正する法律案新旧対照表、これについて御説明申し上げます。法人税法改正所得税法ほど数多くございませんが、二、三重要な個所について申し上げます。  まず第一は、先ほど申し上げました人格なき社団または財団代表者または管理人の定めがあり、かつ収益事業を営むもの、これは法人とみなしてこの法律を適用するというのが一条の二項の改正でございます。先ほど申し上げましたように、人格なき社団財団をどういうふうに税法上取り扱うかということは非常にむずかしい問題でございますけれども収益事業部分については一つ法人税課税しようという考え方でございます。この収益事業は何かと申しますと、現在におきまして、すでに課税の先例がございます。現在まあ公益法人でも御承知の通り昭和二十五年度からその収益事業部分につきましては課税いたしております。その収益率業は何かということは法人税法の施行規則の一条の三に規定してあるわけでございますが、物品販売業その他二十八業種、業種が指定してございます。人格なき社団財団収益事業につきましては、事業場を設けて継続的にこれらの収益事業を行うものだ、こういうふうにいたしたいと考えております。原始産業は入らない、それからまた出版業あたりで単に会員に出版物を頒布しておるような場合、こんなのは収益事業とは見ないというような考え方でおります。先ほどから申し上げましたように、私ども考え方は、人格なき社団によりまして一つの全然納税義務のない真空地帯ができるということをセーヴする趣旨でございまして、零細な人格なき社団の収益難業を追及するという趣旨ではございません。  そこで、その次は第六条でございますが、重要物産免税制度の改正でございます。これは大正二年からいわゆる重要物産免税制度として古くから続いた制度でございますが、非常にいろいろな批判もございますので、今回新しく改正いたしてございます。今までのように重要物産、あるいは戦争中時代の生産拡充的な感覚を捨てまして、新規産業の助成措置として重要産免税制度を設けたい、こういうのがその趣旨でございます。第六条の二項にございますように、「重要物産とは、国民経済上重要と認められる新規産業に係る物産で、その製造若しくは採掘の技術が確立されていないため又は需要の見とおしが困難である等のためその製造又は採掘の事業の開始に当り採算について著しく不安があるものとして命令で指定するものをいう」、非常に長々しい条件を付けておりますが、単純な生産増加が必要だとかというようなものは入らない。しかも非常に採算の見通しがいい新規産業でありまして、外国技術を入れて、外国でどんどん成功している、そういうものは除くというような趣旨でございます。それから一ぺん重要物産免税の指定品目に入りますれば、なかなか抜け切れない、落し切れないというのが、今までの習慣であったようでございます。そこで今度は新規産業の助成措置と考えますれば、一つの期限をつけましてこの間に助成しよう、この間に始めたものだけを、その間にスタートしたものだけを助成しようという考えで、指定期限を付することに第六条の第一項がなっております。しかも往々にして、ある企業についていわれるのでございますが、非常に重要物産免税制度の恩典を受けまして、しかも恩典の額が非常に過大に上る、どんどんもうかっておりまして、資本の回収は簡単にできたというようなものもございます。あるいは固定資産の投資額は大きいのですけれども、その相当額まで免税になっている、これはまた非常に不公平じゃないかというような声が起ったわけでございます。そこで重要物産の免税品目に指定されましても、この免税期間は、製造を開始した事業年度と、それから翌事業年度開始の日から三年以内——今までと同様な期間でございますけれども、免税所得がここに書いてありします通りに、固定資産、減価償却資産の取得価額の合計額の百分の四十、累計額が減価償却資産の四割までくれば、もう免税は打ち切ろうじゃないか。それで御承知の通り新規産業とかというようなものは、一つの冒険企業であって、将来の採算が不安だということは、とりもなおさず投下した資本が回収できるかどうか、ことに固定資産の回収が一番懸念されるわけでございます。大きな機械設備を買いまして、これが果して回収できるかどうかということが問題になるわけでございますが、土地なんというものは、事業をやめますれば当然また時価で売れるものでございます。たださっき申し上げました減価償却資産がスクラップになるような場合、重要物産免税制度の適用をも受け、しかも業況が非常によくて、免税所得の累積が四割まできたらもういいじゃないか、と申しますのは、大体三年半もたちますれば、耐用年数を十五年にいたしますれば、四割程度の減価償却ができるわけでございます。で、減価償却が四割くらいまでできますれば、それは一つの資本の回収ができたということになるわけでございます。それとこれとの四割とを合せますれば、大体八割くらいまで三年半くらいで資本の回収ができた、こういうことになるわけでございます。そういたしますと、大体減価償却資産の残りというものは、あと一割程度、二割というのじゃなくて、一割は——大体、法人税法によりますと、残存価額としましては九割までしか償却を許しませんから、一割くらいのもの、その一割は、十五年の耐用年数ならあと十二年くらいの程度で回収できるから、四割程度の頭打ち制度を新しく設けておけば、過去にありましたような非難は救済できるのではないか、防止できるのではないかというようなことで、新しく免税所得制限の規定を設けたわけでございます。重要物産免税制度につきましては大正二年からありました制度でございますが、先ほど申しましたような三点の改正点があるわけでございます。  その次に重要な規定は、七ページの九条の六の規定でございます。三つばかり協同組合的な規定改正になっております。そのカテゴリーは二つございまして、一つは漁業生産組合と森林組合の規定でございます。現在では上欄にありまするところのカッコ善きが現行法にはございません。漁業生産組合、森林組合というのは協同組合的なものもごさいまするけれども、一方現在普通の法人税課税されておりますところの企業組合的なものがあるわけでございます。御承知のように法人税は、協同組合につきましては税率が三〇%でございます。普通法人につきましては、今回の改正案によりますと、所得金額百万円以下が三十五、百万超の部分が四十でございまするが、協同組合と企業組合ではおのおの税率が違ってくるわけでございます。ところが漁業生産組合と森林組合は、中には事業分配をもとといたしまして、組合の事業の補助業務を営むようなものもございますけれども、組合自体といたしまして一つの事業をやっておる、そうして組合員は単に組合から給与を受けるものがあるわけでございます。それは実体において現在普通法人の税率の適用を受けておりまするところの企業組合と違わないじゃないかというようなことがよくいわれております。そこでこの漁業生産組合と森林組合は二つに分けまして、ここに書いてあります通りに、当該組合の事業に従事する組合員に対して俸給、給料を払うものはこの中に入らない、もっぱら事業量分配金で組合員に分配をなすものは、これは協同組合でいいという考え方でございます。  もう一つ改正点は、輸出水産業組合でございますが、これは国会立法の関係であったかどうかわかりませんが、本来協同組合的なものが普通法人の方に入っておったわけでございます。これは今までのミスといってもいいかもわかりませんので、修正をいたしまして、輸出水産業組合を普通法人の方から協同組合の方に税率を落すグループに入れる、こういう改正の仕方でございます。その他こまかい規定は省略いたしまして、十条の三、十五ページでございます。これも所得税の際に申し上げました外国税額の控除の修正でございます。所得税個人業者でございますから、国外で事業をやっておる場合も少いわけでございますが、法人では非常に適用が多いわけでございます。外国税額の控除のところで、先ほど申し上げました損金算入と税額控除の選択制度を認めることにいたしたのでございます。その改正点が二項に表われております。二項の規定で、税額控除を受けたものは損金に算入しない、税額控除を受けなかったものは損金に算入すると、逆に読む趣旨でございます。  それからその次は十七条、これは今回の法人税法改正といたしましては大きなものの改正でございます。ことに中小企業の振興の声が非常に現在強いわけでございますが、これは中小法人の税負担を軽減する見地から、所得金額百万円以下のものについて百分の三十五、百万円をこえる金額について百分の四十、現行五十万円を引き上げたわけでございます。  その次は二十六条の四でございます。欠損の繰り戻しによる還付でございます。現在御承知のように欠損の処理の方法は、法人税法におきましては将来五年間の欠損の繰り越しと前一年の繰り戻しと、この二つのことがあることは御承知の通りでございます。現行法によりますと欠損の繰り戻し、前一年の事業年度の所得に繰り戻す方は、期限後申告は認めておらないということになっております。ところが現在のそういう趣旨は御承知のように期限後申告を認めなくても、そういう欠損は繰り越しで救えるのじゃないかというのが考え方でございます。繰り戻しというような厄介な制度よりも、むしろ繰り越しというもので欠損は救えるのじゃないかという考え方できたわけでございますが、よく考えて参りますと、たとえば解散とか合併が急に起りまして、翌期以降繰り越すことができないというような場合が起ります。そしてそういうことを救う意味で、これらの事由が発生したような場合には、繰り戻しを認めよう。しかも今申しました解放、合併の事由の発生した年度の欠損のみならず、その前一年以内に終了した欠損をそれぞれ一年ずつ繰り戻しを認めよう、こういうふうに緩和措置を講じているわけでございます。で、若干付則に入りまして重要な点を申し上げます。  重要物産制度でございますが、四十四ページの八項、九項、十項、十一項、ここに規定されておるところでございます。御承知のように重要物産制度は、先ほど申し上げましたように、根本的に新規産業助成の措置というふうに考えられた。しかもその措置は相当制限的な規定になっております。これらの規定をいつから施行するか。また過去におきましてすでに重要物産免税制度の恩典を受けておったものをどうするか、こういう点が問題になるわけでございます。そこで新法は、四月一日以降新設、増設するものについて適用し、旧法の規定の適用を受けるものはなお従前の例によるということにいたすことにしておるわけであります。これは税法の特例でございます。ただ、しばしば言われることでございますが、新法によりますと、いろいろな所得制限がつきまして、減価償却資産の四割までしか免税所得はいかない。そうすると旧法によりますと逆に一日違いでかえって指定から落されたものにつきましては無制限に免税がいく。しかも三年半も継続するということになりますれば不権衡だという声もあるわけでございまするけれども、一応旧法のものにつきましては旧法の既得権を尊重するような建前をとっております。これが八、九、十というふうなところに書いてございます。しかも十一項を見ますと、現在一応重要物産免税制度はございまして、税制調査会あたりではこの改廃をめぐって議論があったわけでございますが、その制度の恩典を受けるために現在工事の施行中のものが相当あるわけでございます。それが三月三十一日に完全にでき上りますれば問題はないわけでございますけれども、何と申しましても固定設備の多い産業でございますので、中にはずれていくものもありはせんかというおそれがございます。しかし大部分の産業はそういうふうにかけ込みでやって参りますと、非常に弊害も多いようでございますから、制限がなかなか引けないということになりますので、そこで昭和三十二年一月一日において工事を行いつつあったもの、しかもこれは特殊なものしか私ども考えておりませんが、非常に輸入がおくれて機械が入った等の事由によるようなものを命令で指定いたしまして、現在好景気のためにどんどん今のところ指定されておりますところの重要物産免税制度の恩恵を受けるためのかけ込み増設というものは、この規定に入れる趣旨ではございません。特殊なものだけに、輸入その他やむを得ない原因でおくれたものだけ入れるのがこの十一項の趣旨でございます。  それから四十八ページの第四条ノ七ノ二でございます。国税徴収法の規定改正でございます。先ほどからたびたび申し上げておりますところのいわゆる人格なき社団財団課税関係を明らかにいたした。今までの課税関係は御承知の通り、所得税法人税の面から若干の明確性を欠いた点がありましたと同時に、徴収の面におきまして人格なき社団財団関係の徴収関係規定が整備されていなかったということが、一つの課税のみならず、徴収の面におきまして明確さを欠いた点があったわけでございます。そこで今回は人格なき社団財団課税関係改正とあわせまして、国税徴収法を改めまして、これを法人とみましてこの法律を適用するということにいたします。従いまして人格なき社団の有する財産にかかってくる有限責任的なものにいたしました。ただあとにございますが、人格なき社団から収益の分配を受けるような場合、財産の分配を受けるものは、受けた限度におきまして責任を有するというようなことが書いてございます。人格なき社団でございまして、たとえば何々会というようなものが銀行預金なんかを個人の名前でしている例が多いわけでございますが、それを中心としている、しかもその代表者個人とまぎらわしい点が多々あるわけでございますので、往々にして代表者の私的な方の財産の方にいくおそれもなきにしもあらずというわけで、そんな点を考えまして、救済規定も設けまして取り戻しの請求の規定を設けております。取り戻し請求している期間は滞納処分、あるいは公売ができないというようなことも、国税徴収法の整備といたしまして規定しているわけでございます。  はなはだ簡単でございますが、時間の関係上、この程度で終らしていただきます。
  5. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) それでは所得税法人税につきまして資料要求がございましたら、今でもけっこうでありますし、次の委員会において御要求を願いたいと思います。  本日は、これにて閉会いたします。    午後零時二十九分散会      —————・—————