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1956-12-24 第26回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十二月二十四日(月曜 日)    午前十一時二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬 久忠君    理事            西川甚五郎君            江田 三郎君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            木暮武太夫君            苫米地英俊君            天田 勝正君            大矢  正君            栗山 良夫君            椿  繁夫君            野溝  勝君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省主税局税    関部業務課長  加治木俊道君    大蔵省銀行局長 東條 猛猪君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査の件  (租税に関する件)  (金融問題に関する件)   —————————————
  2. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。  租税及び金融等に関する調査を議題とし、租税に関する件を問題に供します。  まず、臨時税制調査会答申の内容、答申に至るまでの経緯等に関し、大蔵当局より説明を聴取いたします。
  3. 原純夫

    説明員原純夫君) 臨時税制調査会は、去る二十一日に総会を開きまして、答申案を決定されました。今明日のうちに内閣総理大臣に対して答申があるはずでございます。決定されました案は、お手元に差し上げてございますが、これが最終まとまりました前後の経緯を、お指図によって申し上げたいと思います。  ずっと昨年以来続けて参りまして、実に九十回に近い会合を重ねてこられました。特に最後段階では、二十七名の委員中、十三名が起草委員に付されまして、起草段階でも通日のように非常にやられ、報告答申書は特に税を国民のだれにもわかってもらうという意味で、理由、それから資料、そういうものをなるべく丁寧につけることにしようというふうな態度でやられましたために、ごらん通り非常に大部なものになりました。相当部分を現状の説明、それから沿革に当て、かつどうするという勧告につきましても、その理由、またそれに対する反対意見というようなものを、かなり詳しく書いたために、このような大部になったのであります。起草委員がやられます段階におきましても、全委員十分連絡をとられて、練りに練られて、金曜日の二十一日に終日総会議論されまして、最終決定になったというような答申段階、ということでございます。  中身につきましては、第一部総論というのが総体のうち十八ページにわたっておりますが、これにごく骨子が入っておる。各論のところで、それの詳しい資料なりあるいは議論なりというものが入っておるという形になっております。  なお、必要に応じましてお尋ねに従いまして御説明申し上げるというふうにいたしたいと思います。
  4. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 本件について質疑を行いますが……。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 新内閣方針をまず聞くわけにはいかんか。
  6. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 もうちっと説明をしてくれんか。そうでないと質問のしようがない。
  7. 原純夫

    説明員原純夫君) それではお考えいただきますいわばきっかけというような意味で、中身の概略を申し上げるようにいたしたいと思います。  第一部総論の第一章に「税制改正基本的方針」としまして考え方をいろいろ書いてございます。次に、十二ページに「改正案骨子」というものがございます。この骨子ごらんになりながらお聞き願いたいと思います。最初に「国税に関する事項」として「所得税一般的減税」というのが第一にあり、以下「法人税」「租税上の持別措置」というような順序で並んでおりますが、所得税一般的減税につきましての……。
  8. 江田三郎

    江田三郎君 ちょっと、速記をとめて。
  9. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をとめて。    〔速記中止
  10. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をつけて。
  11. 原純夫

    説明員原純夫君) それでは問題を、調査会で特に問題となりました大きなポイントにしぼって申し上げたいと思います。主として三つございます。一つは租税上の特別措置整理の面でいろいろこれは特別措置がありますが、どれをどの程度整理するかということについて、いろいろ議論がございました、その面の問題。それから第二が、直接税から間接税ウエートを移せという線において、例の売上税、それからそれをやらない場合には物品税系統増徴する、その関連でいろいろ議論がございました、その点。それから第三には、地方税に関する面におきまして、非常に多くの議論がございました。その点を申し上げたいと思います。  第一の特別措置整理関係でありますが、これは大きいものだけで、項目で二、三十項目がありまするし、小さいものも入れますと、それの倍以上の項目になりまするが、それをどの程度整理するか、かつ個々の措置についてどうするかということにつきまして、いろいろ議論が出ました。特に自然増収がだんだん大きくなって参りましたので、財源としてはもういいではないかといろ議論が若干出ましたが、一方で、所得税で非常に重い負担を課しておる。そのためにいろいろな矛盾が起っておるということと並べて、公平の観点からやはり整理するということも必要であろうし、また経済が正常化して、相当そういう意味でも臨時特別措置整理すべきだという観点で、ここに十三ページ以下にあげましたような結論に相なっておりまするが、その中で特に議論の多かったというのが、準備金引当金のところの貸し倒れ準備金価格変動準備金といったような点、この辺が一番議論が多かったのでございます。加えまして、十四ページの(10)番にございますが、重要物産免税制度重要物産として指定された品目について設備を新設、増設しますと、自後三年間法人税所得税を免除するということになっておるのでありますが、この辺が特に議論が多うございました。どんなふろに議論があったかと申しますと、最初貸し倒れ準備金につきましては、相当額貸し付けを行なっておる、あるいは売掛金がある、それを幾らそのうちにくさった債権があるか、それを見積って評価を落すというのが、まあ会計学者方々が言っておられる貸し倒れ準備金の性格であるべきものなんでありますが、さて、貸し付け幾らがくさっておると判断するのかということになりますと、非常にむずかしいために、それをどうするということで、調査会においても、また事務的にも非常にこれはむずかしい問題になりまして、結論といたしましては、ここにありますように、毎期の繰入限度額を三割程度制限するということになりまして、ただいま申しましたような評価論として、ずばり何%評価を落すのがよろしいかという結論につきましては、なお、今後検討するということに残された次第であります。それから価格変動準備金につきましては、それは御案内の通りいろいろだなおろし資産を持っておりますと、値の上り下りがある。値の上るというときは大体利益があるときだけれども、値が下るときは、いわゆるガラといわれるような事態にもなって、非常に企業の存立も危なくなるというようなことにもなりますから、いいときに税金をかけないで利益を留保さしてもらって、そのかわり、悪いときにはそれを吐き出して利益を平準化するという制度でありますが、実際において価格変動準備金が、ただいま申しました悪いときに取りくずしになって利益が平準化されるということがなくて、いつまでも積んだままでおる、そういうことになりますと、その額だけ結局非常に長い間、半永久的に税金がかからないようなことになるわけです。そういう事実がいろいろ出て参りまして、非常におかしいということから、これを制限していく、また将来の問題としては、法人税率が高い間はやむを得ぬにしても、将来はだんだん整理方向に向うべきだろうというような考え方になったわけでありますが、その間、どういうふうに現在の制度制限していくかということについてずいぶん議論がもめました。現在の制度は、たなおろし資産価格の一割を評価を落してよろしい、詳しくいいますと、たなおろし資産の時価または取得価額の一割下のところまで評価を落してよろしいということになっておるわけですが、結論としましては、その一割を二割程度制限をする、一割の二割でありますから、つまり一割であるのを八%にするということでとりあえず参ろう、なお今後、法人税率がだんだん緩和されるに従って整理方向に向おうということに相なりました。その際、特に議論になりましたのは、先ほど申し上げましたように、値が下ってもこれをくずされないばかりか、こういうことがあったのであります——大きな会社ですと、価格変動準備金の積み得る額というのが十億をこえる会社相当ございます。たとえば十億なら十億を、これを積める限度があるとしますと、利益が十五億出た、そのうち十億これに積みますれば、その分は税がかからないで、課税する利益は五億になるわけであります。そういう場合でしたら、まずまず別段問題が起らないのですが、これを積む前に利益が六億しかないのにこの十億をどうしても横もう、つまりこれだけ評価を落そうということになりますと、六億を差し引いても四億だけマイナスが立つということに相なります。そうしますと、その期は会社として評価減できないような実態であるのに、これをしいて積むというために、今申し上げた四億の赤字が出る、税務計算上四億の赤字だからということになるわけで、四億赤字になったら、その四割の一億六千万円の税金は、前の一年間にそれを納めてある分を返してもらえるという制度になっておるわけであります。そういうようなことを事実やっておる法人が若干出てきたわけですね。これはおかしいじゃないかというようなことから、やはりこの価格変動準備金は値が上ったときは積めるが、下ったときはくずすというようにしなければいかぬという議論がだいぶ出まして、それについてたとえば所得一定割合に限るというようなことで、実際上その目的を達しようというようなことも議論になり、あるいはその他値が下ったのを何らかの方法で確認する方法はないかというような議論がいろいろ出ましたが、どうも技術的にあるいは理論的におもしろくないということで、結論は非常に平凡な一割を八%に制限するということに相なりましたが、この辺が相当大きな議論ポイントになったわけであります。  それから重要物産免税は先ほど申しましたような制度でありますが、これでただいま年額にして平年度で八十億円の減収になると、つまり八十億円ずつ重要物産として指定された品物の事業に優遇を与えておるわけでありますが、これがたとえて申しますと、石炭という事業につきまして、新鉱を開発して三年間は税金がかからない。石炭の新鉱というのはきわめて技術的に操作し得るというようなこともありまして、なぜ石炭業税金をかけないのか、もちろん全部ではありませんが、相当数のが新設または増設として主張されますので、だいぶそういう意味石炭から税金を取らないのはおかしいじゃないかというような形に出て参っております。かつ最近では、化学繊維あるいは薬品というようなもの、輸入パテント事業を起して、そうしてやる新規事業であるから、大事な事業相当その中にあり、保護を要する事業もあるわけでありますが、なかなか判定がむずかしくて、初めからもうかるにきまっているというようなものに、免税利益がいくというようなこともありまして、これをどの程度どういう形で整理し、ほんとうに必要なものに限るかということについて、ずいぶん調査会でも、また通産省と私どもの間でも研究を重ねたわけであります。その結果、あらましは十四ページのまん中から下くらいのところに定めてありまするように、新規重要産業の製品で、国民経済上育成を必要とするもの、そしてかつ「技術又は市場の関係から、企業採算に不安定が予想されるものに限る」というふうに限りまして、それから(ロ)として、指定期間を三年とか五年とかいうふうに期限をつけてしまう、その間に新設したり増設したりすれば、その分は自後三年間免税をするということにし、かつあまりもうけが大きいのに、全部法人税所得税がまるまけになるというのも行き過ぎではないか、それには何か一定制限を付したらどうかというような結論に相なりました。これらの制限の仕方あるいは指定期間の問題あるいは品目、ただいま四、五十指定してございますが、この品目をどう整理するかというような問題が今後相当問題になると思いまするが、この辺が大きく議論対象になったところでございます。  特別措置の問題はその他いずれも議論がいろいろとございましたが、特に大きな点申し上げますとそんなところであります。  それから次に間接税関係でありますが、これにつきましては調査会は、昨年以来日本税制における間接税のウェートがどうもよろしくないということを考えられて、やはり直接税から間接税ウエートを移せということを特に非常に強い線として考えられて、近来自然増収相当出るというので、こういうことを問題にして間接税増徴するということはおかしいじゃないかという議論がだいぶございますが、調査会考えは一時的な自然増収の現象とは一応別に、やはり税体系のバランスの問題として間接税ウエートを移せということを非常に強く言っておられます。各論の百四十一ページ以下において相当詳しくそれの考え方を書いてございますが、要するに直接税、特に所得税は理想的な税であるけれども、あまりに国民所得水準に比べて所得税負担が重過ぎますと、納税者も逃げるし、税務の方も執行がうまくいかない。そして理論的にはいいはずの税が、実際には税負担が非常にちぐはぐになるというようなことがあり得るし、現に日本はそういう状態だ。一方間接税の方も、対象の選び方にもよるが、それを聡明に選ぶならば、担税力に応じたところから、しかも、もうほとんど百パーセント確実に徴収できて、しかも転嫁できるというようなものがある。そうすると、そういうものを消費するというところには確実に税がかかるということになれば、直接税で理屈はよくてもだれにどう公平にかかっているのかわからないというよりも、全体としては税負担の公平ははるかによくとれるというような考え方をとられ、かつ最近における消費の伸び、特にその中における耐久消費財あるいは衣料の消費相当伸びて、かつ伸びているということはやはり上等な消費相当そこで多くなっている。その辺に担税力を追及するということができるという考え方をとっておられます。その際、初期におきましては御承知の通り売上税を何らかの形でやるということが間接税に移行する一番いい方法ではないかという考えが強く、かつ最終まで調査会としてはこの考え方は捨てされない。やはり今回は自然増収もあるし、また財政需要もそう財源のまかないきれないということがないから、今回は見送りにしても、将来やはり社会福祉国家的に国の機能が伸びる、あるいはその他の関係財政需要相当要るというような場合には、広くの人が少しでも負担するというような意味で、こういう税を考えることが必要でないかというふうに、これは総論におきましても各論におきましても言うておられます。そういうようないきさつで結局ただいまとしては物品税系統増徴をはかる。増徴と申しましても品目をなるべく広げてそして新規のものには率は少く、ただいま申しました両面つまり担税力のあるもの、しかしなるべく広、そしてあまりきつい率でなくて負担してもらうというような考え方で、繊維も含めましてこれで二百億近い額を初年度収入するようにしたらどうだということに相なったわけでございます。  第三に大きく議論になりましたのは、地方税関係のことでございまして、今回の調査会の取り上げ方は、地方制度根本的改正は、地方制度調査会がなお今回は結論を出されない。三十三年度を目途に作業をしておられるということから、根本的に中央地方を通じて全部をひっくり返して検討するということはその時期でないが、国税所得税を中心として大幅な減税あるいはその他の改正が行われるに伴って、地方税の側でそれにどういう対応関係、どういう調整をはかるかという問題がある、それを妥当に処置をするということと、年来言われております地方団体間の富裕団体貧弱団体との間の財源力の違いを、そういう際に何とか一歩でも解決したいというような両面から議論を尽されまして、十六ページに非常に簡単でありますが書いてあるような結論に相なりました。その際、特に問題になりましたのは、所得税を下げますと所得税額の何パーセントというふうにいたしております個人住民税所得割の第一方式課税の場合に、何パーセントという率をそのままにしておきますと、地方税でも相当大幅な減税になる、それでは地方団体財政がたまらないというので、国税で千億減税になったとしても、減税にならない場合の所得税額もとにして掛けたと同じようにしたいという、まあ地方財政面からの要望があり、それに対してそれは少し高過ぎる、国の方が下げようというのは、余りにも重くていけないから下げようというのだから、地方も自分の方は全然そういうことは知らないのだということではいけない、国に自然増収があるのと一緒に地方にも相当大きい自然増収があることでもあるから、やはりその辺は両者の考えを入れて妥当なところにきめたらよかろうということになったわけであります。それが(二)の住民税の(1)第一課税方式による云々というところに書いてあることであります。それから個人住民税のほかに所得に対する課税として事業税がございます。個人事業税がございます。国税所得税が下がる、住民税もこれを下がらなかったとしてとるのでなくて、ある程度軽減の考え方も入れて調整する、そうしますと、最後に残る事業税、これは事業所得者にだけかかる税でありますが、原則として八%という税率所得に対してかかりますが、これをそのままにしておくと、一般所得に対しては相当減税になる、事業所得に対する事業税は全然固定的に減税にならぬということになると、やはり所得課税全体として、これを所得課税というかどうか若干問題がございますが、これを固定的にしておくのはいかんじゃないか、事業税が高いというのは非常に強い声でありますので、これを下げようと、この点は地方団体側も非常に強い世論を映して八%を六%に下げようということに相なりました、ただし当初これを全部六%にするのじゃなくて、五十万円以下の所得部分について六%というふうな考え方相当強うございましたが、最終には調査会としては全部六%に下げる、並びまして法人事業税の方も一二%あるいは一〇%という所得の額によりまして二本の税率になっておりますが、これも二%下げる方がよかろうという結論に相なりました。その辺は地方団体側が現在財政再建の途上にあり、非常につらいのだからということと、かりに財源がゆとりが出るならば、毎年まだ起債を七百億もやっておる、これを減らすのが筋だという理論等をあげられて、税はもう下げたくないという声が特にこの法人事業税あたりで非常に強うございましたが、自然増収が非常にある、しかもそれが異常にあるというようなことから、やはり……。そうしてまた棄業税の体系の中で法人事業税相当重いというようなことから、結論としてはこういうふうになり、地方団体側のそういう強い不満といいますか、反対論地方税のところの総論相当詳しく書いて、しかし総体としてはやはり引き下げの方、問に向おうという答申案に相なったわけであります。  なお、これにはあまりはっきり出ておりませんが、いろいろ減税をした場合、そういう地方団体側のそういう財政の心配をどう始末をつけてくれるかといいますことは、減税をやったら、その財源は全部国からくれ、また所得税が千億減りますと、地方交付税は、所得税法人税、酒税の主税の額の二五%となっておりますから、千億もとが減れば二百五十億減る、それも減らないようにしてくれという声がだいぶ強うございましたが、これらにつきましては、結局こういうふうに大きく自然増収の出る時期であり、また大きな税制改正をやる時期であるから、全体の財政需要を見、そしてまた財源の側を全体として見て、そうして地方も困らないように最後措置をする。その際、交付税を見るか、あるいはたばこ消費税を見るか、それらについては全体を見て措置をしようということに相なりました。これは答申地方税の中の最後の方の各論の中に入っております。その辺が一番大きくなった問題点でございます。若干長い時間あれしましたが、大きな問題点を申し上げますと、そういうことに相なります。
  12. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 御質問いかがですか。
  13. 平林剛

    平林剛君 ちょっとお尋ねしますが、臨時税制調査会は、まあ閣議できめられて、それに基いて設置をされた委員会でありますが、この委員会における政府の役割、それはどの程度あったものか、そういう点について御説明を願っておきたいと思います。
  14. 原純夫

    説明員原純夫君) 調査会はお話の通り閣議決定による調査会でございまして、二十七名、この報告書にも最初のページに「まえがき」にしたためてございますが、この方々がやられる。もちろん私ども並びに自治庁方々事務当局としていろいろ資料調整等につきまして御協力いたしております。ただ議事は、そう申しますと少し口幅っとうございますが、非常に調査会自体議事ということを大事に考えまして、本来そうあるべきものでありますから、事務当局意見を申し上げるのは極力差し控える、もちろん議論を尽された上で、参考に聞かれるという場合に申し上げないのは、かえって失礼なわけでありますが、最初からこうしたいんだというようなことを申し上げるのは、非常によろしくないという考えで、調査会自体での御議論を願うということに終始して参りました。従いまして調査会もただいま申しました通り八十七回やっておられますが、初期におきましては、まず特別措置にしろ、あるいは間接税にしろ、その関係専門の方が、主としてやはり業界とか協会ということになりますが、そういうところから、十分現在の制度についての意見を聞かれ、その上で議論に入られるというやり方をされておりまするし、議事中身につきましても、役所側はなるべく初っぱなからの発言を控えるという態度でやっております。かつまた原安三郎会長以下非常に熱心にやられまして、たとえば原会長は前後八十七回のうち、お休みになったのはわずか三回くらいだったと思います。それはもう一年くらい前から、関西にいついつは行って、こういう何をやるというお約束があったので、これはどうしてもいけないと言って休まれた程度で、あと毎晩……、それに副会長汐見さん、それから分科会に続きまして分科会会長がそれぞれ松隈、荒井、植村と、三人の方々がやられましたが、その方々も非常に熱心に議事をまとめられるということで、私ども非常にいい機会でありますから、資料を作り、あるいは沿革をまとめ、また議論の筋も重なりました議論整理して、なるべくありのままに整理して残すという意味ではだいぶ苦心もいたしましたし、御協力いたしておりますが、結論の出方はそういう意味調査会自体の御意見という線が非常に強く出ているというふうに考えておるわけでございます。
  15. 平林剛

    平林剛君 私も新聞の報ずるところによって、大体主税局長も大いに今までの体験を生かし、お考えを述べられて、大へんに今度の臨時税制調査会に対しては御協力をなさったという記事は読みました。そういう意味では政府方針あるいは政府考え方というものも、大体十分議論を尽されたものと理解をしてよいと思うのでありますけれども、この結論、が総括的にいって、事務当局としては大体妥当な線にいったようにお考えになっていますか、あるいは特に政府事務当局としてお考えになった点と著しく違ってしまったというような結論があったりしたことが含まれておりますか、そういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  16. 原純夫

    説明員原純夫君) 先ほどちょっと御懇談の際に申し上げましたように、今の段階で、事務当局としてこれを妥当と思うかどうかという御質問に対して、あらたまって御答弁申し上げますと、非常に時期が時期でございますから、少しはずしたお答えになるかもしれませんが、申し上げますと、私ども一年以上お世話してできた答申、私どもとしては非常にりっぱな答申だと思っております。もちろん特に当初は自然増収ということは考えないとしても、だんだん秋ごろになって相当にあると、それがますます経済の調子がよくて、この答申をまとめられる時分には、またもっとあるかというような状態になってきております。そういう自然増収相当大きくみて、それを財源に使えということに考えますると、相当この答申の前提とも違って参る、そういう点で、特にただいまの段階で、自然増収問題も含めてどう判断するかというのは非常に大きな問題であり、またいわば大きな政治問題でもあるというふうにも思います。従いましてそれまで含めますと別でありまするが、一応この答申考え国税千億という自然増収を前提としてやってきておられます。そういう段階においてはまずまずこれは非常にいい御案ではなかろうかと、またすべてを自然増収とからめて、自然増収幾らになればどうするという考え方でなく、間接税については税体系の中で間接税ウエートを多くして、そっちに移行した方がよろしいという考え方、それから特別措置につきましては経済の正常化とにらみ合せて税負担の公平を確保するという意味で、総体的に見てバランスをとるという考え方あたりは、そういう自然増収の高と別な方向的なものを含んでいると、その方向的なものをどの程度進めるかということにはいろいろ議論もありましょうが、その方向的な点を出されたという点は私どもやはり相当大きな線でりっぱな線ではなかろうかと思っております。大へん遠回りな御答弁で恐縮ですが、この程度で……。
  17. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  18. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 速記をつけて下さい。
  19. 平林剛

    平林剛君 政府自体の方針については、まあきょうは私の方から御遠慮申し上げておきますが、事務的に考えて、今の御説明によりますというと、税制調査会の前提条件である自然増収、あるいは政策も、今後の内閣の政策の方向によっては多少練り直さなければならぬというようなこともあり得る、全面的にそれが実現に付されるのでなくて、多少練り直されることもあり得るということはわからないことはありませんがね、ただそういう場合におきましても、大体いつごろまでにこの臨時税制調査会政府の政策としてまとめられるようになるか、来年度の予算の骨子になるべきものでありますから、当然この年末新年にかけて、皆さん御苦労があると思いますけれども、事務的に大体どのくらいまでにまとめられるかという、大よそのめどについてお聞かせ願いたい。
  20. 原純夫

    説明員原純夫君) 実はその点が私どもにも非常に大きな関心事でありまして、率直に申しますと、本日の午後に新大臣がお見えになれば、各局長が集まって御相談するということになっております。もちろんこの年末年始にかけて、あらゆる最近の情勢を入れて問題を練っていくということは当然でありますが、いつデッド・ラインに達するかということは、本日の相談、また問題はさらに明日の初閣議において御審議になることと思いますが、いずれにしましても、例年ならば、年の終りに予算についての大蔵省の原案を閣議にお出しするというテンポでやっておったわけで、今回はこういう状況でありまするから、ぴたりとそうは参りかねそうに思いますが、いずれにしましても、新春早々、早い時期にそういう段階に入ると、それに入りますまでに、勘定しましてももう二週間か三週間かということでございますので、大いに勉強をやり、また各方面の御意見を伺う時間も非常につんでおるという状態だと思います。
  21. 平林剛

    平林剛君 私としては、この年末新年にかけてあなたの方のお仕事は大へんだと思いますけれども、減税政策については国民全般が非常に期待をかけておる問題ですから、事務的なおくれのために、予算編成に間に合わなかったり、あるいはそのことが理由で来年度の予算の大綱に、重要な政策が欠けるようなことのないように、十分御配慮を願いたいと希望しておきます。  なお、内容について特にこれから政府に対して十分われわれの意見を述べる機会はなくなると思いますけれども、適当な方法をもって私どもの希望は事務当局にもお知らせしたいと思っております。  ただ、ここでちょっと当委員会で取り上げられた問題でありますから、お尋ねしておきたいと思います。それはこの臨時税制調査会の中において、年末手当などの減税措置については、どの程度議論が行われたのか、先回の議会に対して、年末における手当等については、五千円を限って減税をするという法律案が出されました。御承知のように議会では四回にわたって議論をされておるわけであります。いわばこの措置については国民もかなり相当数の人たちが期待をかけていた措置であったとも言えるわけであります。税の全般について検討し、かなり内容を見ると、こまかく議論をされておるようでありますが、この問題は一体どの程度取り上げられて、どういうような結論になったかについてお伺いをしたいと思います。
  22. 原純夫

    説明員原純夫君) その問題につきましては、その問題として特に取り上げては審議されておりません。起草委員がずっと書いてきた最後ごろの段階であります。そういうこともあり、かっこの答申書にも十ページにございますが、調査の関心は、やはり重いのであるから、こういうふうに年末手当のときとか、あるいはやれどういう手当だとか、あるいはどういう場合に減税しろというような問題が盛んに出るのであって、抜本的に、本法の控除税率を、これなら納めなければいかぬという程度にすれば、それでもうほとんどが解決される、それが一番公平な解決の方法だ。一部の人々について、あるいは一部の種類の所得について軽減するという声を、一つ一つこたえてやるのは、かえって不公平になる問題だということで、ここにも十べージのまん中ごろに税制上の特殊な要望に対する解決としては、やはりあらゆる財源を極力一般的な減税に充てると、それも、一番重い所得税減税に充てるという線で考えておられるわけであります。ですから、その問題に特定しての御審議はなく、また答えておりませんが、大きく全体を合理的にするという線で答えておられて、そしてまたそういうような事柄が念頭に置かれて、こういう文章が入っておりますことを申し上げたいと思います。
  23. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 関税のこと御質問になりますか。
  24. 平林剛

    平林剛君 します。
  25. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) じゃなさいますか、課長来ておりますし……。
  26. 平林剛

    平林剛君 これは主税局長と、税関関係の管轄になると思いますが、私最近政府の政策にしても、あるいは各財界、国民層の要望の中においても、貿易政策を重点に行う必要があるという声が強くなっておることを感ずるわけであります。その貿易行政の中でも、一つの役割を果している税関部門におきまして、いろいろな問題が起きている。特に最近話題になりましたのは、中国の見本市の問題ですね。新聞やラジオで私お聞きしておりますというと、この問題については悪徳業者の点についてはかなり追及が行われておったのであります。もちろん書けない万年筆を外国に送り出したり、あるいは日本の信用を落すような品物を外国に売りつけるようなこと自体は、業界全般として自粛すべき問題ではありますけれども、もしも税関部門がしっかりしておったならば、ああいう悪い万年筆は外国に売り出されないで済んだかもしれない。私の言いたいことは、税関部門においてしっかりした検査が行われて、外国に品物が送り出される、こういう機能に欠陥があったのではないか、そういう意味では、政府部内の税関の仕事についても今後重要視しなければならぬという感じを持ったわけであります。また最近は密輸等についても、町でいろいろな意見を聞きます。おそらくかなり多くの人たちも、こういう品物が入ったのだから安く売れる、どうだという話題などもちょくちょく聞かれると思うのであります。こういう現象は、やはり税関業務のいかんによって変ってくる。それから私は地方の新聞をときどき見るときに、特に関心が深かったのでありますから気をつけて見ておりますと、すりかえ輸出が多くなったという、そのために相当検察当局に検挙されておる件数も目立って来たようであります。まだそれほど多くはありませんけれども、すりかえ輸出というようなことがあって、一部の業者が得をしているというようなうわさを聞いたり、あるいはその結果、日本の商品が国外で恥をかくのではないかということを心配したり、いろいろするわけであります。こういうことを考えますというと、これからの内閣が貿易行政に力を入れた場合に、扇のかなめであるところの政府機関の中にいろいろな支障が起きてきて、せっかくの政策もそのために大きな対外信用を失墜するというような事件も起きないとはいえない。いろいろ私はこれからのことを心配いたしまして、きょうはその政府機関の関係者においで願って所信を聞きたいと思っておるのであります。  最初にその見本市の失敗のことについては、やはり私の見解について皆さんどういうふうにお考えになりましたか、それをお聞きしたいと思うのです。
  27. 原純夫

    説明員原純夫君) 私大へん恐縮でありますが、七日に主税局長を拝命しまして、税関部は私の所管でありますから、全部を詳細に申し上げなければいかんのでありますけれども、ちょうど今お話の出ました税制調査会の仕事に追われておりまして、ごく私から概括的に申し上げて、なお税関部長がかわるべきでありますが、ちょうどただいま、実はお尋ねのような筋合の問題で神戸の方へ参って、現場でいろいろ処置をいたしておりますので、業務課長が来ておりますので、詳しい点は業務課長から御説明いたします。  全般にこの輸出の検査につきましては、税関ももちろん大きな責任があるわけでありまして、輸出品検査、これはまあ主として通産省の方で検査をやられるわけでありますが、税関がそれをしっかり確認するという義務がある。またいろんな輸出してはならないものをとめるという義務がございましたり、またすりかえの問題のお話がありましたが、品物をきちんと見る必要がある。いろいろ任務は多いのでありますが、時期的にこの輸出が月のうち下旬に相当片寄るというような事情もございまして、まあ上旬、中旬はいいにしても、下旬になると非常に仕事をスピード・アップしてやらなければならぬ。スピード・アップして、なおかつ相当夜おそくまで相当数の人に残ってやってもらわなければならぬというようなことでありまして、まあ一生懸命みんなやってくれていますので、それで非常に点が落ちている、仕事の質が落ちているとは思いたくないのでありますが、何分限られた人数で限られた時間でやっておりますので、なお、完全を期するというわけにはなかなかいかぬのではないかと思います。中共における見本市の問題あたりにつきましては、なお、具体的な事情を業務課長から申し上げることがいいと思います。
  28. 天田勝正

    ○天田勝正君 関連して。そのお答えのある前に関連して私意見を申し上げておきたいと思うのですが、同じ党でも前提は、平林君と私は全く別の考えを持っておる。それは指摘されたように税関にいろいろなこまかい検査の職能があるであろうけれども、しかしあの粗悪品と言われるものが見本市に出た云々の問題については、これを全部包括するということになれば、それはとうていもうその生産人数と同じような人数を税関に配置しなければならないで、逆にそれは大へんな大増員の要求の基礎にもなってくると、私はこうなろうと思うのです。そこでしかし、私も今年長いこと外国を回ってきましたが、とにかく日本品は悪いという声価は何とかもう全く逆に変えていかなければならない。このためには、出先の税関の一部局がどうがんばってみたところで、とうていこれは直せるものではない。そこで大蔵当局も通産当局もあらゆる輸出に関係する部局というものが動員されて、これはまあ政府関係でありますが、さらにまた民間を加えることによって、粗悪品を作らぬという、何といいますか、商業道徳をぐんと高めていかないことには、私処置のない問題だと思う。で、私の外国を回った印象を言うならば、日本品は、私はどういうものでも、今現在ならば、諸外国のどんな安いいい品物にも質といい価格といい拮抗できるものができるという確信を持って実はきたんです。それにもかかわらず、実際は作っておらない。ここに問題があると思うのですね。私はこまかい例になりますけれども、ドイツへ行こうがどこへ行こうが、幾ら革製品がいいといっても、おれのはいている靴が一番いいのだということで、他の人は買ったりなんぞしても、私は断じて買わなかった。確かにドイツの靴を例にあげるならば、四、五千円出せば、どいつを買ってみたところで、三年びくともしない。しかし私自身のはいているのは二千五百円だけれども、これまたびたびともしないということで、しからば二千五百円か三千円出せば、日本ではそうしたドイツ品に拮抗するものができるのに、さて五千円でもまことに弱いものが作られている。ここに私は問題があるとまあ指摘してきたわけです。そこで私は意見を申し述べるとさっきも言いましたので、別段私が今言うていることを答弁に入れてくれようとくれまいといいが、この問題はとうてい一部局では解決できる問題ではない。現実に大きく価格といい品質といい、競争のできるものが日本においてできるにもかかわらず、これをやらぬというところに問題がある。私どもの一行でも、一行たった五名の議員団のうち、三名まではカバンがこわれてしまって、そのつけ根のところからはボール紙が出てきたというようなことで、どこの税関に行っても、あんたこの切れているのを知っているかというようなことで、まるで日本の議員団が国辱をさらして歩いてきたという実例です。それじゃその値段でいいものができないかと言えば、日本でもできる。まあこぼし話みたいなことを言って恐縮ですが、せっかくこういう話が出たから申し上げるので、これはとうてい、私は政府にも考えていただいて、官民一致して商業道徳をあげると、このきわめてやさしい基本的なものをやらなければもはやだめだと、こういう考えを持っているのです。
  29. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) 輸出品検査の問題は今主税局長から申し上げた通りでございますが、神戸で起きた例もそうでありますけれども、検査自身は通産省の検査所なり、あるいは特別な検査機関がございますので、輸出品検査法に基く検査自身は税関とは別個の機関が責任をもってやることになっておるのであります。で、税関としては、形式的に言えば、この検査パスの、合格の証票が張ってあるかどうかを確認すれば、税関としては一応責任を形式的には果し得る建前になっております。従ってあの万年筆の問題でも、神戸の税関で問題になったようでありますけれども、検査済みのラベルが張ってあったようであります。ただ、業者自身の検査機関に検査がゆだねられておる。それから今主税局長からも申し上げましたように、月末になって殺到するので、検査機関自身の能力からいって、一々厳密な検査は実際上やれない。簡単にラベルを張っているというようなことから、ままあるいった事例が出てくるような結果になっておるのじゃないかと思うのであります。しかし向うの責任だから税関としては関知しない、簡単に形式上の責任を果せばいいという気持ちでは必ずしもやっておりません。現実に開いてみて、どうもこのラベルが張ってあるけれども、内容から見て不適当だと思われる場合には、向うの検査機関にも連絡し、また通産当局にも連絡して、できるだけそういったものは未然に防ぐような措置をわれわれの方でもやっておりますし、また神戸で、中共見本市でああいう問題が起きた以降は、特にそういう点にも重点を置いて、なお一そう注意するように、税関にはわれわれの方からも言うてあります。言うてありますが、どうも実際問題として現在この税関で、輸出総件数のうち、実際検査できるのは、まあ人員等の関係もありまして、せいぜい二〇%程度でございます。従って検査から抜けるものの中にあるいはそういうものがあるかもしれませんが、少くともその二〇%の中でも、われわれとしては輸出品取締法に基く取締りの趣旨は徹底するように、十分重点を置いて検査さぜるようにはいたしております。
  30. 平林剛

    平林剛君 私結論から先言うようですが、やはり私が指摘したような幾つかの事例の根本的な原因は——天田委員が言われるようなのは一番の前提ですよ、業者の自粛と商業道徳というのは。しかしそれだけでは律し切れないものがある。そこでわれわれは対策を要求しておるわけです。要望しておる前提は天田委員と違わないわけです。ただこの場合に、やはり税関当局としてぜひ考えにゃならぬ点は、今、主税局長からお話があったような人員が足りないという点ですね、一つは。検査が全般の件数のうちの二〇%である、また人員が足りないということになれば、これがますます少くなっていって、書類の検査だけで終えてしまうということになる。そういう意味で、私はこれからの貿易行政を盛んにするためには、業者の自粛、商業道徳ということを背景にして、税関業務においてもやはりそれに伴う人員の増加ということが必要だと思っています。万年筆の問題も、私いろいろこまかく調べてみると、やはり抜き取り検査もしないで、今いわれたように書類だけで済ませるというところにも原因があったわけであります。それだけでも一応は形式は整うわけですけれども、これから中国貿易をどんどん進めようというような段階においては慎重さが足りないというそしりは免れない。私はそういう意味からいけば、人員増加ということは特にこの部門においては考慮しなきゃならぬ問題だと考えておるわけであります。一般の公務員と違う……、一般の公務員は定員法でもって規制をされておりますけれども、政府が重点的な政策を打つ場合には、十分この点の定員増加をはからなきゃならぬ、この点を私は……、別にきょうは税関部長の責任を問うわけではない。責任を果すとすれば、その点について主税局長も、あるいは政府当局も十分な配慮をすべきだ、こういう点を主張したかったわけであります。  もう一つの、年末集中という点もあるでしょうが、戦前に見られないほど最近港湾行政が月末に集中して、そのために職員の人たちが、私も調査をしたのですけれども、一月のうち十日間というものは夜中の十時ごろまで仕事をするような実情です。そのために大へん病気欠勤者が多いし、また要注意者も多いという工合に、一般の官庁から比べて憂うべき状態であるというふうに私も考えたわけであります。こういう点も一つ何か適切な手を打ってもらわにゃならぬ。  最後に指摘したい点は、去年私が同僚議員と九州の港湾行政を視察したときに強く感じましたことは、港湾行政について貿易中心主義に合理的な編成をはかる必要があるということでした。私もその実態を同僚議員と一緒に調査をしたのでありますが、出先機関が運輸省、農林省、厚生省、法務省、通産省、大蔵省、地方自治団体の港湾管理者という工合に各種各様入り乱れておる。そのため外国関係に行った人や、あるいは外国からくる人たちは、日本の税関というものはうるさい、しちめんどうくさいぐらいなやり方だというような批判を受けているわけです。これはその手続が簡素化していなくて、非常に複雑になっておる。一つのことをするのにでも五つか六つの出先機関が調査をするというようなことのために、そういう批判を受けるわけであります。これは私は政府の方も行政機構改革を唱えて去年から盛んに議論をしておるのですから、いろいろな事情があっても、この機会にはこの港湾行政の二元化というものは促進されなきゃならぬはずである。そうしてそれによってこれからの貿易体制というものを整え、かつ定員が足りないと、こういうのであるから、それを簡素化することによっていろいろ方法がないだろうか。結論から申し上げてしまいましたけれども、こういう幾つかの対策はあるはずだと思う。政府においてもこの点は積極的に検討をされて万遺憾ないようにせられたい。  事務的なこまかいことについてちょっとお伺いをするわけでありますが、しからばその定員の増加について、今皆さんの方は政府に対してどのくらいの措置をおとりになっておるか、それを参考のために聞かしてもらいたいと思います。
  31. 原純夫

    説明員原純夫君) お話の通りでありますので、定員増加は今政府部内で予算の折衝上重要な項目として要求いたしております。極力実現をはかりたいと思っております。数字につきましては折衝数字でございますから、いずれそのいい数字を結論として出すように努力しておりますので、一つ数字は差し控えさせていただきます。
  32. 平林剛

    平林剛君 こまかい数字まで私は要求はしません。しかしこういう傾向に陥ってきたのは昨年、一昨年であります。ところが私昨年、一昨年の定員増加の割合を調べてみたのであります。あなた方の要求に対し政府が割り当てたものは十名程度のものでございます。こんなばかな話で、私が指摘したような事項を全部でなくても、少しでも解決することができるはずはない、私はそう思うのであります。去年の皆さんが要求されたことを調べてみましても、そんな何%かにも達していない。これはもし私がことしの予算編成の際にこの定員がこんな不当なことで見積られるとしたならば、主管大臣にもぜひ来てもらって、同僚議員にもお願いをして、そうして再検討を求めなければならぬくらいに思っております。私はぜひ皆さんも、これからの政府は貿易積極政策をとると、こういうふうにいわれているのでありますから、事務当局もその責任を果せるようにこの点大いにがんばって、去年のような定員増加の程度でないように、職を賭してもがんばる気持になってもらいたい、これを一つ要望いたしておきます。きょうはこの程度でやめておきます。   —————————————
  33. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 租税に関する件は、一応本日この程度にとどめまして、次に金融問題に関する件を問題に供します。  まず、最近の金融問題につきまして大蔵当局から説明を聴取いたします。
  34. 東條猛猪

    説明員(東條猛猪君) 御指示に従いまして、最近の金融問題につきまして御説明申し上げます。  お手元に「金融制度調査会における審議の経過」という最近におきます金融制度調査会の状況、それから「年末金融対策の概要」ということで、年末金融対策といたしまして概略どういう措置が講ぜられつつあるかというようなこと、それからいま一表、最近の金融情勢をごらんいただきたいという意味におきまして、ごく客観的でございますが、以上資料三件を提出申し上げてございます。  簡単にそれぞれ御説明を申し上げたいと存じますが、順序といたしまして、最初に「金融制度調査会における審議の経過」という問題につきまして申し上げたいと思います。
  35. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) ちょっと局長、金融制度調査会に関するものは配付されてない……。
  36. 東條猛猪

    説明員(東條猛猪君) それではただいま御配付申し上げますから、「年末金融対策の概要」、これから申し上げて参りたいと思います。  年末金融対策、特に中小企業に対する年末金融対策の重要性につきましては、申し上げるまでもなく、先般参議院におかれましても御決議があったのでございます。御決議の趣旨に従いまして、順序は不同でございますが、ただいま措置されておりますことにつきまして申し上げて参りますると、第一は政府関係機関の貸付金額の増額でございます。政府関係機関といたしましては、御承知のごとく、国民金融公庫、中小企業金融公庫というのがこの大宗でございますが、当初の計画に比べましてこの第三・四半期の貸付予定額を合計いたしますと、国民公庫におきましては十七億円、中小公庫におきましては二十三億円の増額をはかったわけでございます。この結果国民公庫におきましては、第三・四半期におきまするいわゆる普通貸付の合計額は百八十二億の予定でございまして、これは昨三十年度の実績が百五十九億でございましたので、相当の増加が見られるということが申せると思います。資金源といたしましては、同公庫における回収の増加額もございますが、資金運用部で予定いたしておりました第四・四半期の貸付を十億円程度第三・四半期に繰り上げましたというようなことも有力な対策の一つと相なっております。中小公庫はこの表でごらんいただきますように十五億円と、その後、八億円、合計二十三億円の増額予定になっておりまして、第三、四半期におきます貸付額は百二十五億円の予定でございます。これは同様昨年度の第三・四半期におきましては約百六億円ということでございまして、ここでも相当額の増加が見られております。中小公庫におきましては、資金源といたしましては、回収の増加はやはりございましたが、同様第四・四半期からの資金運用部の貸付予定を八億円程度繰り上げたということも一つの原因に相なっております。全般的に市中金融機関等におきましても、相当中小企業向け金融は、ここの表をごらんいただきますように、貸付残高において伸びておるわけでございますが、これら両公庫の資金の増加が見られるということは、中小企業に対する金融の緩和に相当資し得るであろうと、こう考えております。  次は商工組合中央金庫でございますが、第三・四半期におきましては、当初貸付の純増を八十億予定いたしておりましたが、これを二十億増額いたしまして、百億円といたしましたわけであります。なお、参議院の決議の御趣旨に保険会社の資金を中小企業向け資金に活用をするようにという御趣旨がございましたので、御承知のように、保険会社といたしましては、その支店網の関係、あるいは審査機構等の事情がございまして、直接この中小企業に対しまして貸付を実行するということにはなかなか困難が伴うような事情もございますので、むしろ商工組合中央金庫の発行いたしておりまする商中債の引き受けを、保険会社としてその資金の一部をもって行うということが実際に即することであろうと、こう考えまして、今、具体的な計数を損害保険協会及び生命保険協会において検討してもらっておりまして、これは商工組合中央金庫の方で具体的に数字の申し出がございますれば、相当協力し得る態勢になっておるということが申し上げられるわけでございます。  次は、下請代金の支払い促進の問題でございますが、やはり中小企業金融対策の一つは、下請代金支払いの促進にある、こう考えられまして、政府の支払いにおきましても、親企業に支払います場合に、この下請中小企業に対する支払いの促進につきまして遺憾のないような措置をするということを政府部内で申し合せをいたしますとともに、銀行その他の金融機関が融資いたします場合におきましては、融資の相手方たる親企業から下請中小企業への支払いを促進するということを、融資に当って窓口で指導するということを促進せられたいという措置を通牒を発していたしております。なお、金融機関、公庫におきましても、中小企業金融の年末対策ということでその円滑化をはかり、あるいは実際の事務の簡素化、迅速化をはかる。また、今申し上げました通牒を受けまして、取引先に対して下請代金の支払いを促進するという、あるいは金融相談所の活動を促進するということ、民間の金融機関といたしましてもできるだけ協力するという態勢を整えているわけでございます。なお、これは直接の中小企業金融対策とは申し上げかねるのでありまするが、最近の金融の引き締り状況にかんがみまして、資金運用部の余裕金をもちまして市中銀行の持っておりますところの公社債、金融債、これは原則は十二月に引き受けたものでありまするが、それの買い入れを行う。ただし、これは一時の金繰りの方法でございまして、おそくも年度末までにはもう一応市中に売り戻すという条件つきでございますが、資金運用部でさような短期の金融の緩和をはかって参りたい。これによりまして、やはり年末金融の緩和に資するところもあろうかと思っております。  もう一つは、これは、これも直接中小企業関係はございませんが、日本銀行では従来行なっておりまする短資業者に対する貸出の金額をやはり四十五億円程度増額をいたしまして、年末市中資金の緩和をはかりたい、かようなことでございます。  年末金融対策の問題といたしましては、一応この程度にとどめまして、あとまたお尋ねがございましたならば……。  次は、金融制度調査会の最近の審議の状況でございますが、先般の国会で調査会の設置に関する法律案を御決定いただきまして、その後最近まで十一回開いております。最初の三回に、現在の金融制度上どういう問題点があるか、またどこから取り上げていくのが適当であるかということの審議が行われまして、まず第一に、いわゆる支払い準備制度の問題、それから次いで預金者の保護に関する制度の審議を行うということにきめられました次第でございます。  支払い準備制度の問題でありまするが、これにつきましては審議が五回行われております。調査会の大体の空気といたしましては、制度の創設という方向に向っているのでありまするが、まだ最終的の結論には達しておりません。ただいままでこの制度の創設の可否、あるいは作られると仮定いたしました場合の内容につきまして申し上げて参りますると、第一に、意見方向がほぼ明らかになったと思われる事項でありまするが、いわゆる市中金融機関が中央銀行に対しまして所定の預金をするということがこの制度でありますことは、御承知の通りでありまするが、この制度は一面から見ますると、市中の金融機関の預金者保護ということにもなるということも考えられるのでありまするが、日本におきましてこの制度の可否を論ずる場合においては、さような預金者保護という観点は第二次的と申しますか、これはしばらくおきまして、むしろ中央銀行、日本銀行の通貨調節に関する制度であるというふうに考えるべきである、この点が意見の一致を見ております。それから中央銀行に対する預け金は、いわばそのときの金融情勢に応じましてその率がきまるわけでありまして、強制的なのが性質でございますので、契約によるよりは、むしろ法律の根拠が適当だろうというのが、これまた、ただいまのところ意見の一致を見ております。  それから内容の問題といたしまして、やはり通貨調節ということに重点を——通貨調節機能ということからスタートいたすわけでございます。対象金融機関は余り広げずに狭い範囲にとどめるのがよろしかろう。それから支払い準備の計算の基礎は、市中金融機関の預金残高ということが適当であろうと、それから支払い準備の内容といたしましては、日本銀行の預け金でありまするが、これは無利子とするのが適当であろう、それから支払い準備率でありまするが、これをそのときの金融情勢に応じまして上げ下げ調整をいたすことで通貨信用調節の機能が果されるわけでありますが、現在のところでは市中金融機関の預かり金と日本銀行への預け金の比率は一%にも達しない、〇・二、三%という低い数字になっておりまするが、そういう実情からスタートするということであるならば、最高限はきめますが、むしろ最低限は設けずにスタートいたしまして、実情に応じた金融操作が適当であろうというのが内容についての意見のほぼ一致した点であります。それから申すまでもなく、通貨調節の手段といたしましては、公定歩合政策あるいは公開市場操作という他の二つの手段との関連が問題になるわけでありまするが、いろいろ議論がございましたけれども、やはり他の二つの通貨調節手段とあわせてそのときそのときの金融情勢に応じまして運用していくのが適当であろうという考え方が有力でございました。諸外国におきましては、むしろこの支払い準備制度というのは、いわば金融の基調に変化を与えるような長期的な観点から用いるのが適当であるという一部の議論があるようでありますけれども、まあ日本の場合においてはいろいろ考えてみると、そういうふうに運用のプリンシプルをきめずに、やはり信用調節手段というのは機動的に運用すべきであるという意見が有力でございます。  その次の問題は、この支払い準備制度はだれが運用するかという問題でありまするが、ただいまの状況では、現行の制度もとにおいては日本銀行の政策委員会がこの運用の権限を持つのがよろしいという意見が多うございます。しかしその場合におきましても政府の金融政策に関する責任、あるいは特にこれが強制力を伴うような制度であるという観点をも考えまして、政府に拒否権と申しますか、あるいは留保権と申しますか、そういうものを持たさなければならないという意見もございました。  なお支払い準備制度に伴います要望事項といたしましては、過去の政府なりあるいは日本銀行の公定歩合政策あるいは公開市場操作というのは、必ずしも弾力的に機動的に運営せられていたとは思われないので、一そう有効に行われるような条件を整えるように努力いたすべきである。それから支払い準備制度を設けるといたしましても、財政のしわのいわゆる金融に寄らないように健全財政を堅持すべきである。それからこの支払い準備制度を設けた結果、直接間接中小企業金融が阻害されるようなことがないように運用を考慮すべきである。それからまた、支払い準備制度を設ける場合におきましても、国庫収支の調整について配慮すべきであるというような意見がございました。その後、この支払い準備制度の問題につきましては小委員会を設けることになっておりまして、ただいま小委員会が作られまして、さらに内容の具体的な細目につきまして検討が行われておる現状でございます。  その次は、頭金者保護の問題でございますが、預金者の保護につきましては過去三回審議が行われております。それで、はなはだ預金者保護と申し上げますと範囲が広いのでありまするが、問題の重点を、経営が困難に陥った、つまり経営が非常にむずかしくなった、あるいはなるおそれのある金融機関について預金者の保護をはかるのにはどういう手段が制度上に考えられるべきであるかということに問題をしぼって審議が重ねられておるわけでございます。この問題につきましても小委員会が設けられることになりまして、これから具体的な細目の検討が行われるわけであります。  預金者保護の一つの問題といたしましては、およそ金融機関ということで政府の大蔵大臣の免許を受けておるような金融機関は社会的信用が非常に高いことは当然でございますが、しろうとの考え方といたしましては、金融機関が万一倒れましたときに預金者の損失というものは、その一方、預金者がその金融機関を選択したのだからやむを得ないのだというような考え方もあり得るわけでございますが、そういう考え方でいいかどうかということが問題のスタートであると思うわけであります。しかし、現在の社会情勢なりあるいは金融情勢からそういうふうに預金者のみに責任を負担せしめるわけにいかないという考え方をとりました場合におきまして、理論的な問題といたしまして、預金はすべて保護せらるべきものである、あるいは一定額までの零細預金あるいは小額預金と申しますか、一定額までの預金を保護するのは必要であるという考え方をすべきであると、またかりに後者の考え方をとりました場合に優先支払い、その他いわゆる支払いの順位によってカバーするということにするか、あるいはそういう事態に対処いたしまして何か新しい制度を設ける必要はないかという考え方もあるわけであります。  第二の問題は、経営が困難に陥りまして、再建資金を供給する場合において、何か一つの仕組を作って、この再建資金を供給するような考え方をしたらどうか、こういう問題であります。今、調査会及び小委員会で御検討願っておる問題は、一と二の問題をあわせまして、これは仮称でありますが、預金の相互救済に関する資金を作ってはどうか、その資金はやはり原則といたしましては金融機関からの出捐により、そして借入の道を開いておきまして、一に書きましたような金融機関が破綻をするという場合におきましては、その基金が預金の一定額までの支払いは確保すると、また、そういう事態に陥らない場合におきましても、金を出せば再建の見込みがあるという金融機関に対しましては、その基金から再建資金を供給するという考え方はどうであろうかということで、いろいろと御検討を願っておるわけであります。現在相互銀行あるいは信用金庫におきましては自主的なそういう機構があるわけでありますが、どうもその金額あるいは条件等において必ずしも十分でないのではなかろうかという角度から問題の検討をやっているわけであります。第三番目は、経営の管理の問題でございまして、経営は困難に陥りましたが、再建の見込みのある金融機関に対しまして、現行の制度を整備改善すべき必要はないかという問題でございます。申すまでもなく、金融機関は経営者によって勝負がきまるわけでございますが、経営者が適当でないと考えられる場合におきましては、経営管理のために制度を設ける必要はないか、あるいは現在の経営者が適当でないような場合において、経営の管理まではいかんにいたしましても、株主総会あるいは総代会というものの決議を一時たな上げいたしまして、新しい公正な経営者の選任を適当とするような事例があり得るように思いますが、制度的にどう考うべきか、あるいはそういう人的な問題は離れまして、物的な面の業務等の改善命令につきましてどう考えるかというような問題でございます。それからその他の問題といたしましては、合併、営業譲渡をさらに促進容易ならしめるような考え方はどうであろうか、あるいはいわゆる導入預金の取締りはどういうように考うべきか、これをどう検討すべきかというようなことであります。さらにこの金融制度調査会につきましては引き続き御検討を願いまして、成案を得ましたならば、法律案といたしまして、それぞれ御審議をいただきたいと、こう考えております。  第三番目は、「金融情勢の諸指標」でございますが、これはときどきごらんをいただいております資料でございまして、一枚めくっていただきますと、目次が出ておりまして、日本銀行券の発行高の推移、これは二十八年、二十九年、三十年、三十一年ということでずっと数字をあげてございますので、ごらんをいただきたいと思います。三十一年度におきましては、三十年度よりは相当やはり通貨の発行が伸びておる。しかし、これはまあ経済の拡大と申し上げますか、そういうようなことに伴う問題でございまして、ただいまのところ、われわれといたしましても、日銀券の発行高自体が非常に大きいという考え方は、どこでもとられておらないというふうに考えております。むしろこういう通貨の発行高と相なっておる基本的な経済情勢についてどういう考え方をすべきであるかということが問題の中心であろうと存ずることは、申すまでもないところであります。  第二表は、さような日本銀行券の発行高になるわけでありまするが、もちろん、これは財政関係、あるいは日本銀行の貸し出しの関係、あるいはその他の関係ということでこの日銀券の発行が生じて参りますので、一応それを原因別にごらんをいただきたい、そういう表でございます。  第三番目は、東西のコール市場の情勢でありまして、これもごらんをいただきたいのでありまするが、相当、三十一年になりますると、前年同期に比べまして、資金がふえておるということをこの表でごらんをいただきたいという趣旨でございます。  次は、第四表は、全国銀行の預金、貸出金の推移表でございまして、預金でございますと、むしろ第二番目の「実質預金」の欄をごらんをいただきました方がわかるかと思いますが、預金にいたしましても、貸し出しにいたしましても、かような状況で推移をいたしておるという表でございます。  その次の第五表は、各全国銀行の中で、中小企業向けの融資の状況がどういうふうに相なっておるかという表でございます。統計がやや古くって恐縮でありまするが、この表でごらんをいただきますように、もちろん徐々ではございますが、堅実に中小企業向けの融資の総額はふえておるということは申し上げられるかと存じます。  第六表は、五表でごらんをいただきました全国銀行の貸し出しのほか、その他の金融機関を通計いたしまして、全体として中小企業向けの金融の状況はどうなっておるか、最後の欄の「中小企業貸出計」という欄をごらんをいただきたいのでございます。つまり九月末で申し上げますると二兆二千六百五十四億になっておるというのがこの表のごらんをいただきたい趣旨でございます。  第七表は、いわゆる預貯金、これを銀行その他の金融機関に分けて機関刑にごらんをいただきたい、いわゆる預貯金の趨勢でございますが、ごく概括して申し上げますと、いろいろ波はございますが、ただいままでのところ、まあ消費性向と申しますか、これはもちろん上ってはおりまするが、堅実な足並みをたどっておる。その結果、この預貯金の増加は当初考えておりますように相当堅実に増加の趨勢をたどっておるということが、概括でございまするが申し上げられると思います。  はなはだ雑駁で恐縮でございましたが、一応御説明を終らせていただきます。
  37. 廣瀬久忠

    委員長廣瀬久忠君) 非常に重要な事項でありますが、時間もだいぶ移りましたから、本日はこの程度にとどめまして、質疑その他は後日に譲ることにいたしまして、本日はこれにて散会をいたします。    午後零時四十四分散会