運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-05-18 第26回国会 参議院 商工委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十八日(土曜日)    午前十一時三十七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員具根登辞任につき、その 補欠として小林孝平君を議長において 指名した。   委員長補欠 本日松澤兼人委員長辞任につき、そ の補欠として近藤信一君を議長におい て指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君            近藤 信一君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            小西 英雄君            後藤 義隆君            白井  勇君            高橋進太郎君            高橋  衛君            三浦 義男君            海野 三朗君            小林 孝平君            島   清君            加藤 正人君            豊田 雅孝君            前田 久吉君   国務大臣    通商産業大臣  水田三喜男君    国 務 大 臣 宇田 耕一君   政府委員    科学技術政務次    官       秋田 大助君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    通商産業大臣官    房長      松尾 金藏君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君    通商産業省軽工    業局長     齋藤 正年君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省重工   業局車両管理官  古河  潤君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件継続調査要求の件 ○委員派遣に関する件 ○経済自立発展に関する調査の件  (福岡県上大豊炭鉱爆発事件に関す  る件) ○理事補欠互選放射性同位元素等による放射線障害  の防止に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○核原料物質核燃料物質及び原子炉  の規制に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○合成ゴム製造事業特別措置法案(内  閣提出、衆議院送付) ○自転車競技法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○小型自動車競走法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開会いたします。  まず継続調査要求の件についてお諮りいたします。本委員会調査案件であります経済自立発展に関する調査につきましては、前国会に引き続き、今国会におきましても、政府基本方針を初め、産業経済各般の問題につきまして鋭意調査をいたして参ったんでありますが、本調査はその対象広範多岐にわたり、常に内外情勢の変転に即応して一貫した調査を行う必要があると存じますので、この際閉会中も継続して調査を行いたいと存じます。この旨継続調査要求書議長あて提出することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。   ―――――――――――――
  4. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、委員派遣の件についてお諮りいたします。閉会中洲盃を行うに際しまして、本委員会所管産業経済事情一般につき、委員派遣によりその実情を調査することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  なお、委員派遣の時期、派遣委員の編成、人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さよう取り計らうことにいたします。   ―――――――――――――
  7. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案、及び核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案を一括して議題といたします。  両案につきましては、提案理由説明を聴取したのみでありますので、本日は、まず両案の内容について御説明を願います。
  8. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいま議題になっております放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案並びに核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案につきまして、主要点を御説明申し上げたいと思います。  まず、初めに同位元素障害防止に関する法律案から御説明申し上げたいと思います。本法律はいわゆるアイソトープから生ずるいろいろな障害防止するための法律案でございまして、アイソトープは、御承知のように、日本では昭和二十五年ごろから、当時の司令部許可を得まして輸入をして参ったのでありますが、アイソトープ利用に関しましては、決して各国にわが国が劣っているという現状ではございません。非常にものによっては進んでいるというふうに理解していただいてけっこうじゃなかろうかと思います。主として医療、鉱工業、農業あるいは土木方面等に、非常に多方面利用されておるのでございますが、半面この非常に利用度の高いアイソトープであるにもかかわらず、その放射線による障害がものによりましては非常に強度でございますので、あるいは単にこの照射を浴びましたその個人のみが障害を受けるばかりでなしに、遺伝子の破壊等によりまして遺伝的に後世に障害を与えるというような、非常に今までなかったような危険な物質でございますので、この面からする障害を何とかして防止いたしまして、そうして一方半面では利用をどんどん進めて、産業の発達あるいは国民生活の向上をはかるとともに、半面では今申しましたような障害防止して、安心して国民がこの恩恵に浴するという建前がこの本案の内容でございます。  第一章は総則でありまして、目的はただいま申し上げましたようにこのアイソトープ利用による障害防止し、公共の安全を確保することにあるのでございますが、これを規制する面では主たる対象は、第二条にございますように放射性同位元素そのものに対する障害防止、それから放射性同位元素装備機器と申しますのは、たとえばガンの治療機器とか、あるいは静電気の除去措置とかいうたぐいのものでありまして、これはその機器の中にアイソトープを入れまして、そうして各種の方面利用するというものでございます。それからもう一つ対象放射線発生装置でございまして、サイクロトロンとか、シンクロトロンとか、あるいはヴンデグラフとかリニヤアクセレーターとか、そういう性質のものでございます。この三つのものを対象にいたしまして、一つ使用の面でこれを規制すると同時に、他方では販売を業とする者に対して規制を加えようというのがこの法律の主たる規制対象でございます。  第二章は、使用及び販売の業の許可ということで、このアイソトープ使用する者に対する許可でございまするが、これは科学技術庁長官が一本でこの許可権を持つことにこの法案ではいたした次第でございます。なぜかと申しますと、国際法的にいろいろ国として義務を負うばかりでなしに、この使用あるいは所持等に対して明確にしておきまして、平時あるいはこの危険な状態が発生いたしましても、常にそれに対しまして処置をとれ得るという体制をとる必要上、どうしても許可権限を一本にして責任を明確にするというのが、国際的にも国内的にも必要でございますので、科学技術庁長官許可を一本にしぼったわけでございます。使用許可並びに販売の業の許可等内容は省略いたしまして、そういう危険なものでございますから許可を与える際には、第六条、第七条等にそれぞれ使用許可する際の基準を設けまして、そうしてこの基準によって許可を与えるばかりでなしに、第五条にありますように欠格条項を持った者に対しては、これは許可をしてはならないというふうに考えた次第でございます。なお、許可に際しましては、一律に基準に合っておれば許可を与えるというだけじゃなしに、第八条にありますように、その許可に際しては、条件を付することができるというふうに規定いたしまして、そして具体的な個別々々のケースに応じまして細心の注意を払って許可を与えたいというふうに考えております。許可証明事項といたしまして許可証交付等規定を設けてございます。使用する際に、それを使用施設等変更ある場合、あるいは詰めかえ施設等変更ある場合、こういうものが変更になった際には、これは手放しにできないものでございますので、その際にも許可のときに準じましてあらためて許可を出したいというふうに考えておるのでございます。  第三章は、第二章でただいま申しましたように、許可を与えられた者がそれを使用あるいは販売する場合には、それに対して義務づけをいたしまして、そしてそういう義務を厳重に守っていただきたい。もし、この義務に違反した場合には、それに対して適合する命令を発すると、で危険のないようにいたしたい。あるいは、その命令に違反したといったような場合には、許可そのものを取り消せるというふうな規定を作ってございます。使用に際し、あるいは詰めかえ、あるいは保管、運搬、廃棄等が非常にアイソトープの種類によりまして、あるいは使用の仕方によりましていろいろ問題が生じますので、そういう点に関しましてはそれぞれ基準を設けまして、そしてこの基準にのっとって実際の使用をしていただくというふうなことにいたしまして、この基準政令で定めることになってございますが、その政令で定める際には三十九条にございますように、放射線審議会というものを作りまして、そしてここで十分審議していただいて学識経験者、あるいは関係各省の皆さんにお集りいただいて、そうして十分審議の上、国際基準等をにらみ合せてこの基準をきめたいというふうに考えておるのでございます。実際今度は使っておる者に対してどういうふうな方法を用いるかと申しますと、第二十条にございますように、総理府令で定めまして、この発生の場所、あるいは使用する者、あるいはその使用個所に立ち入る人等に関しましては逐一測定をいたしまして、そしてその放射能がどれほどの現実において蓄積されつつあるかといったような点を十分測定いたしまして、そしてそれから来る事後障害、あるいは事前のそれに対する防止といったものに万全を処したい所存でございます。第二十一条は、そういうこの障害予防規定規定いたしまして、これを使用する者が単にこの基準を与えられたばかりでなしに、自分でこの規定を作りまして、そして事業を開始する以前に科学技術庁長官に届け出をして、そうしてこういう細部規定で単に基準ばかりでなしに、事業々々による特殊性も織り込みまして、そうしてこういうふうに障害防止をすればよろしいかということで、実際問題は出発いたしたいというふうな考えでございます。  さらに、使う人はこれに対する知識がないと一番危険でございますので、第二十二条で十分これに対する訓練をしていただきたいと、それから実際にこの障害を発見した場合、これに対してはどうするかという点が二十三条、二十四条等に規定してございまして、これによりまして障害が起きた際には、あるいは配置転換をするとか、あるいは就労時間の短縮をはかるとか、あるいはさらに救急措置等を講ずるとかいうふうな手段を講じてございます。なお、常時その所持あるいは消粍状況等を、国際的な義務もございまして記録する必要もございますので、第二十五条にはその記録義務を課しておる次第でございます。  それ以外に、先ほども申しましたように、法律違反――あるいは諸種の許可条件、あるいは欠格条件等にそごを来たし、違反した場合には許可を取り消せるとか、あるいは使用を廃止した場合にはすぐ届出をいたしまして、平後の措置を明確にして、この事後措置によるの誤まりによって放射線障害を来たさないようにというふうな規定を二十七条、二十八条等で規定しております。  なお、二十九条で「譲渡及び譲受の制限、」あるいは三十条で「所持制限」、三十一条で「取扱制限」、こういう制限規定を設けておりますが、これはどういうことかと申しますと、単に使用者のみの障害を守るばかりでなしに、一朝これが犯罪等に用いられた場合には、非常にゆゆしい問題になりまするので、目には何にも見えず、しかも量としてはごくわずかなものでございますので、もしこういうものが犯罪等に使われますと、そのときにすぐ障害が起きぬ場合でも、後々また非常に障害が起きて参りますので、必ずやこの所持あるいは譲渡、譲り受けというものに対しましては、思い切った制限が必要でございますので、この法案では、許可を受けた者以外には一切これを譲渡、譲り受け、あるいは所持をしてはならないというような制限を設け、一方では、三十一条で十八才未満の者あるいは精神障害者といったような人たちには、こういうものを扱わしちゃいかぬというふうにして、公衆の安全を保持いたしたいという考えでございます。  三十三条は「危険時の措置」でございまして、地震、火災等で危険が起りました際のそれに対する措置規定してございます。  第四章は「放射線取扱主任者」でございまして、実際はこの許可を受けた人が、ただいま申しましたようないろいろの義務を持っているわけでございますけれども、その義務を完全に履行さすためには、どうしても放射線取扱主任者というような責任者をそれぞれ国家指定いたしまして、そうしてこの主任者が実際にそこで働く人、あるいは立ち入る人等に対する監督をするという責任の地位を持たせようということにいたしてございます。そのためには国家試験等を設けまして、そうして免状を与え、この取扱主任者というものを、完全な意味でその任に耐え得るような体制をとろうかというふうな考えでございます。  第五章は先ほど申しました「放射線審議会」で、基準等を十二分に審議をいたしましてきめていただきたいというのが、この審議会内容でございます。  第六竜は雑則でございますが、この中で四十三条は放射線検査官規定を設けまして、随時許可、あるいは許可したといたしましても、使用者あるいは販売業者施設に立ち入り、場合によりましては、これに対する収去を命ずるというふうな規定を設けてございます。  なお、この取扱主任者等に対して、かりに取消し等処分があった場合には、その不利益処分に対する庇護規定といたしまして、第四十四条、第四十五条等で聴聞あるいは訴願等措置規定いたしまして、民主的な解決をはかりたいというふうな考えでございます。  一方これは各省とも、非常に広範にわたる問題でございますので、許可を与える際には、科学技術庁長官の一本でございまするけれども、各省事前に相談をいたして、協議してこれを許可するというふうに定めておるのでございます。  第四十七条は「国家公安委員会に対する連絡」でございますが、これは先ほど申し上げましたように、所持あるいは使用に対してこれを明確化して、そうして防犯あるいは危険時に対する措置を講ずる意味で、国家警察最高機関であります国実公安委員会にこれを連絡していくという規定を設け、それから第四十八条では「労働基準法との関係等」を作りまして、四十八条の一項は一つ入念規定と申しますか、念を入れて、決してこの法律労働基準法を排除するものではない、労働基準法の方からもこの障害防止に対してやはり労働者庇護という建前から十分監督していただいて、そうして問題がありますれば、すぐ科学技術庁長官勧告等をしていただきたいというふうに念を入れてございます。  罰則等は省略いたしまして、附則施行期日がございます。四十三ページでございますが、これは先ほど申しましたような基準を作る、あるいは国家試験をやりまして主任技術者をきめるとかいったような事項は、これは急がなければなりませんので、この法案が幸いに通りますれば、即日施行にいたしまして、そうして実際の、それ以外の事項に関し、ましては、現在アイソトープを使っております人たちに対するいろいろな設備改善等手段が必要でございますので、若干時日を必要といたすと思いますので、基準等を作るのに大体まあ半年、そこでそれに基きまして従来の設備等を改善するのに半年というように余裕をみまして、約一年後に実際の施行に入るというふうへは考えでございます。  それ以下の附則は、現在所有しておりますアイソトープの市販に対する経過措置でございます。  以上が放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案の簡単な内容でございます。  次に核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案でございまするが、これは目次をお開きいただきたいのでありますが、第一章は総則でございます。第二章以下は主として規制する対象でございます。  第一は製錬の事業に関する規制でございまして、二番目は加工に関する規制加工と申しますのは、天然ウラン等を実際に燃料として原子炉に挿入する場合に、あるいはこれを液体化したり、あるいはアルミニュウム等をかぶせましてこれを燃焼しよいようにするとか、あるいはいろいろ形を変えまして、板状にするとか、あるいはアングル形態にするとかといったようなのが、加工事業に関する内容でございます。第三番目は、原子炉そのもの設置または運転等に関する規制でございます。  それから次の再処理事業に関する規制と申しますのは、消費されました燃料が、さらに非常に今までの燃料と違いまして、これを科学的に再処理をいたしますと、再び一部は燃料に転化し得るのでございますので、そういう再処理をする場合の事業に関する規制でございます。  五番目は、原子炉を持たなくとも核燃料そのものを研究いたしたいという――大学等で研究する場合がございますので、そういうものに対する規制をしたわけでございます。  以上がこの法律案規制の大体のねらいでございますが、国際的に見ましても、国際法上非常にこの核燃料物質に対しましてはシビーアなコントロールが行われまして、当然、国際的なそういう規制が、国内でやる際にも国際義務として義務づけられますので、一方ではそれを受け、他方では、この燃料需給関係あるいは原子力政策等考えながらこれを規制して、そうして、この災害を防止し、あるいはこの利用を計画的に行なっていきたいというのがこの主たる法案目的になってございます。  で、ただいま第二条で定義がございますけれども、これに関しましては冒頭で概略申し述べましたので省略させていただきたいと思いますが、第二章は製錬専業に関する規制でございまして、これは抽出、精製、還元の段階を指すのでございまして、実際の採掘あるいは選鉱等はこの中には含まれておりません。でこの製錬事業に関しましては、指定制度をとっておりまして、原子燃料公社はこれは当然原子燃料公社法規定に基きましてみずから行えるのでございますが、それ以外の者に対しましては指定制度を設けまして、それでその指定に際しましては、内閣総理大臣並びに通商産業大臣共管でこれを指定するという建前にしてございます。これはなぜかと申しますと、鉱業権内容といたしまして、当然その中には製錬の事業も含まれてございます。で、このウランの製錬は、言いかえますと非鉄金属の特殊な製錬というふうに規定してもよろしいかと思いますので、当然一方では鉱業法の制約を受け、また一方では特殊なものであるがゆえに、この法案規制を受けるというふうな建前になっている関係上、これは共管許可した、監督した方がかえって事態をスムーズに運べるのではないかということで共管にしてございます。指定基準指定申請事項等に関しましては一応省略いたしまして、これに関しましても第五条で指定欠格条項を定め、変更許可届出等を定めまして、変更の際には、指定の際と同じような手続をいたしましてこれを変えるというふうにいたしたいと考えてでございます。なお、相続あるいは第十条の指定取消し等、あるいは十一条の記録保持等に関しましては、先ほどアイソトープ法案説明したのとあまり考え方あるいは法案内容自体は変化ございません。  第十二条で保安規定を設けまして、この保安を十分確保いたしたいという所存でございます。この保安規定事業者がそれぞれ作りまして、そして通産大臣並びに内閣総理大臣認可を受けて、十分この保安に対しましては大丈夫であるという十分な検査をいたしましてから、この実際の運用をはかっていきたいというふうに考えてございます。  第三章は、加工事業に関する規制でございますが、加工という意味に関しましては、先ほど申しました通りでありまして、これに対する許可は、原子燃料公社が当然これを行いますけれども、その他の者に対しましては、内閣総理大臣一本で許可を与えるというふうにしてございます。許可申請条項並びに許可基準等は一応省略いたします。許可欠格条項あるいは変更の際の許可及び届出あるいは合併相続許可取消記録保安規定等に関しましては、先ほどの場合とほとんど同様でございます。  第四章は、原子炉設置運転等に関する規制でございますが、これが一番この法案では眼目をなしているものでございますけれども、この規制はここにもありますように、日本原子力研究所以外のものであれば、これを原子炉設置しようとする場合には、必ず内閣総理大臣許可を受ける、それから許可基準に際しましては、第二十四条にございますように、平和の目的に限るとか、あるいは計画的に遂行する、あるいは技術的な能力を判断するとかいったようにいたしまして、先ほど来申し落しましたが、許可を与える際には製錬、採鉱、加工、この原子炉に関しましても同様でございますが、必ず事前原子力委員会意見を徴しまして、そして国の原子力政策というものと勘案いたしまして、この許可をするという建前をとっておりますので、この原子炉許可に際しましても、必ず原子委員会意見を聞いた上で許可を与えるというふうにしております。許可欠格条項、あるいは変更届出等は一応省略申し上げまして、これは非常に危険なものでございますので、まず、許可に際しまして十分そういう点を検査の上許可を与えるわけでございますが、なお、引き続きまして第二十七条で、設計及び工事方法認可を出前に、工事の開始前に十分いたします。二十八条でさらに工事施行中にこの施設検査をいたしまして、あるいは材料、あるいは熔接等が完全なりや否やということを、工事の途中で検査いたします。工事が完成いたしました事後、さらに検査をいたしまして、性能検査をいたすわけであります。これは試運転の際に十分検査をいたしまして、そうしてその放射線が漏洩していないか、あるいは制御装置等が十分かという点も主として保安面等から検査いたしまして、その検査が十分であった上で初めて本運転に入らすというような、非常に二重、三重の保安をいたしたいという考えでございます。合併相続許可取消等は省略いたしまして、第三十五条の保安のための規定でございますが、これに関しましても先ほど申しましたように、単にこちらから官で十分検査するばかりでなしに、事業者そのものが、みずから必要な保安措置十分事後にとれるようにという考えで入念な保安を保持するための測定を入れたわけであります。  それから原子炉を解体する場合、あるいは譲渡の場合等は許可を受けた者以外には譲渡ができないようになっておりますので、そういう点を省略いたしまして、第四十条には原子炉主任技術者というものを置きまして、そうしてこれもやはり国表試験を通して、この主任技術者をきめ、その人たちに十分安全の措置をとり得るように、あるいは従業者の教育をいたすというふうな建前をとっております。  第五章は、再処理事業に関する規制でございます。これは原則として原子燃料公社以外には許可いたしません。ただ、研究の過程におきましては、日本原子力研究所でこれを行えるというふうにしてございます。これは使用済み燃料を再処理いたしますと、大体三つの範疇のものが出て参ります。一つは、濃縮ウランなり天然ウランなりがその中から、再処理の中から出てくる、もう一つはプルトニウムのような、非常に使いようによりましては、軍事のものにも転用できるというものも出て参ります、あるいは特殊なアイソトープが出て参る、こういう関係でこれを厳重に取り締る要があるというので、日本原子燃料公社以外には扱わせないというふうにして監督を厳重にいたしたいというふうに考えてございます。その内容等は、先ほど申しましたが、ほとんど出ておりますので省略いたしまして、第六章は核燃料物質使用等に関する規制でございますが、これは先ほども申しましたように、原子炉は持っていないのでありますけれども、核燃料物質そのものを研究いたしたいというものでございまして、大学等に主としてあてはまる事項かと思いますが、これに関しましても明瞭にこれは平和目的以外には使ってはいかぬ。それを見た上で許可を与えるということにして、研究自体も軍の目的にも使用されないように規定してございます。  その他はほとんど先ほど申しましたアイソトープの制約規定と同様でございますので省略いたしまして、第七章の雑則でございますが、ここではさらに念を入れまして、単に許可あるいは指定するだけでなしに、それに対しましては、具体的な事項に応じてその条件を付すというようなことにいたしたいと考えておるのでございます。  それから危険町の措置あるいは事業を廃止した場合の措置等は、先ほど説明した通りあまり違いございませんので、省略申し上げます、それから第七十一条で電気事業並びに船舶の建造に関しましては、通産大臣あるいは運輸大臣等それぞれの同意を得て後にこれを許可するというふうにしてございます。  罰則は省略いたしまして、六十六ページの附則でございますが、これはこの法案が公布の日から六カ月をこえない範囲で実行に移したいと思っておりますので、この意味は主として政令あるいは命令等の準備期間が必要でございますので、それを意味しておるのでございます。  附則の第二条以下は現在核燃料物質を所有している者、あるいは原子炉等を所有しておる者等に対する経過措置でございます。  以上簡略でございますが、両法案内容を御説明申し上げた次第であります。
  9. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは両案につきましては、追って質疑をすることにいたします。   ―――――――――――――
  10. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に阿部委員から、炭鉱災害問題について緊急に質問したいとの要求がありました。この際御発言を許します。
  11. 小幡治和

    ○小幡治和君 議事進行について、本日は国会の最終日でもありますし、まだ本委員会には相当重要法案がたくさんかかっておるような実情でありますので、これからの構成に際して質疑並びに答弁等においてもできるだけ要にして簡というか、そういうこと、また重複を避けるようなことで、一つ委員長におかせられましても、議事の進行について、特段の配慮を一つしていただきたいということを申し上げておきます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  12. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) その点は私も心配しております。説明もそれから質問も、あるいは答弁もできるだけ簡略に要点を得たものとしていただきたいと存じます。
  13. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私は通産大臣に九州の福岡県の上大豊炭鉱の爆発事件についてお伺いしたいわけですが、今より一カ月前にも北海道の夕張の清水沢炭鉱というところが爆発して、従業員二名を生きているかなくなったかわからないまま密閉してしまったという事件がございまして、当委員会におきましても、予定を繰り上げて緊急委員会を開いて審議したことがございますが、そのときも通産御当局に厳重に保安監督をしていただくようにと強い要請を申し上げ、まあ調査委員派遣等まで論議になったわけですが、再び九州の上大豊炭鉱事件が起きたわけであります。非常に遺憾なことでありまして、今まで再三再四にわたって、当国会中にも私四四ほど強く御要請申し上げたわけでございますけれども、こういう事件が再び起きましたので、この事件に対する対策と、将来どうするのかということを二つ御質問いたします。
  14. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 直接炭鉱の責任者から説明いたさせます。
  15. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) ただいまの御質問でございますが、本月十二日の日に九州の上大豊で爆発災害のありました点は、私どもといたしまして遺憾に考えております。しかしながら、今ここで災害を絶滅するということは、なかなか私どもにはいたし得ないのでありまして、この委員会でもお話し申し上げましたように、微力ではありますけれども、昨年の成績は死亡者六百十名、一昨年よりもはるかに成績がよくなっております。これで私があまり成績がいいということを申し上げますと、よく阿部さんからもおこられるのでありますけれども、なおよくすることを私ども考えておりますけれども、昨年は十数年来の好記録を出しまして、実はかなり安心はいたしませんけれども、喜んでおるような状態であります。爆発の回数は昨年とあまり変りありませんけれども、漸次大規模の爆発は減少しつつありまして、目下今回の程度の爆発を何とか絶滅するように考慮をいたしておりますけれども、まだこれを十分に完全に防ぎ得るというところまで行っていないことは、大へん残念に考えております。もうしばらく時日をおかし下さいまして、なお一そう減少の方途に向かえることを確信いたしておるものであります。なお、災害対策をどうしておるかという質問でありますが、爆発はもう昔から起っておるのでありまして、この対策につきましてはかなり内容がはっきりわかっておるものであります。ただ、問題は実行ができるかどうかという点にかかっておるのでありまして、特に中小の炭鉱では、防ぎ方はわかっておるのでありますけれども、操業上従来の規則に違反するということのためにも災害を起しておるのでありまして、これは今後一そう監督を厳にいたしまして、できる限り減少の方向に持って参りたいと考えております。
  16. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 さいぜん、小幡委員から議事進行について御発言がございましたから、端的に抽象論でなくお伺いいたしますが、この上大豊炭鉱は、とにかくガスがたくさんあって入れないということで、明確に通産御当局もわかっておったはずなんです、にもかかわらず、保安要員ということで全員就業させておった。保安当局はここではりっぱな御答弁をなされるけれども六百名も毎年死んで、三万名も近い負傷者が出ておる、これで喜ばしいというのが保安局長であるなら、保安局の九州、北海道、常磐にあるそれぞれの監督官は、どういう御精神で指導し御監督をなさっているかわからんと思う。とにかく明白に爆発することがわかっておった、なおかつ、そこに従業員を入れて作業さした、あるいはまた入らないそれぞれの従業員は殴打をするとか、蹴とばすとか、暴力を振って入坑さしておる、ここの副社長は福岡国警に逮捕されておる。そういう事態があるのに、善処しますとか、喜ばしいとか、これは実に遺憾な答弁で、一体どういうことになってくるか明確に一言でいいから御答弁願いたい。
  17. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 上大豊炭鉱につきましては、本年の四月に現地の監督官が調査いたしております。そのときに通気の点につきましても、十分指摘をいたしまして、実は通達は出してあるのでありますが、しかし、通達が出ておるから必ず実行されておるとは考えておりませんけれども、一応監督賞といたしましては、現地をごく最近見まして、この通気に対する重大な警告を発し、特に重大という扱いで、本省までわざわざ書類が来ておるような次第でありまして、この改善の途上に、今回の爆発を起したわけです。現在は残念ながらガスが充満しておりまして、いかんせんすぐに調査をするわけに参りません。目下、ガスの排除に努めておりますので、もう二、三日中には、ガスの排除ができるというような報告に接しておる次第であります。
  18. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 もう一回だけ質問いたします。監督官が派遣されたとおっしゃるけれども、しかし、その監督官は明確にこの坑内のガスが何%、一・七五ですか、パーセントあるということがわかっておった。そして作業中止命令を一度は出したでしょう。しかしながら、そのあと保安要員と称して常々と仕事をやっておったのです。それを局長はお知りならんかもしれませんけれども、福岡鉱山監督局でわかっておるのですね、作業をしたのが。そういうことを、あなたを責めてもどうにもならんかもしらんけれども、あなたの方に御通達があるということになれば、これは重大問題であって、なぜ作業場のガスが完全に排泄させるまで作業を中止しなかったか、知っておってやっておったことなんですから、こういう点はどうなんですか。
  19. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 実は現地の監督官が監督をいたしまして、特に保安上重要な点を指摘した場合には、私の方に報告をもらいまして、実は私の方から、東京に本社がありますところは、本社にも重ねて御注意を申し上げておるようなわけであります。これは必ずしも本省に報告しなければならんというわけではありませんけれども、特に監督上重要であった点については、わざわざ私の方で報告を出させまして、そうして本社にあわせて御注意を申し上げているような次第であります。監督官がガスがありまして作業できないような状態で、作業をさしておったということはまず私ども信じられないのでありまして、もし、そういうような事実がありましたら、調べまして厳粛に示達したいと思っております。
  20. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それでは監督官は確かに知っておったはずなんですね。現場まで行ったが、しかし作業は堂々とやっておった、保安要員という名目で。福岡国警から手が入って、従業員がどうやったか、あるいは坑内の保安責任者がどういうことをやったか、あるいは炭鉱経営者がどういうことをやったか、あるいは鉱山保安局でどういう処置を講じたかということがわかったのです。従ってだね、あなた方監督権があったとしても、警察の手が入らなければ一切わからないということでは、実に私どもは困ったものだというように考えますがね、この点はいかがですか。
  21. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 同炭鉱に警察が入りましたという点については、報告を受けておりません。受けておりませんが、そういうような重大な事態になっておったのは私の方にも責任がございますので、至急に現地と打ち合せをいたしまして、事情を聴取することにしたいと思います。
  22. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 一週間も過ぎたのですからね。警察が入ったのを知らんということはまことに、あなた方の管轄でないかもしらんけれども、遺憾千万であって、保安の最高責任者である局長は、そのくらいのことは御承知願わなければならないと思いますけれども、副社長が逮捕されて、一切がっさい判明しておるのです。私どもそういう機関がなくてもわかるわけですよ。ですからそれを全然知らないということであれば、何をかいわんやでありますけれども、私はそういう点は、まあもう少し将来のためにも、明確にしていただきたい。このように考えるのですがね。
  23. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) ただいま拝見いたしまして、かなり現地の新聞には大きく取り扱われておるようであります。もちろん、現地からも数回報告に接しておりますが、監督官の報告といたしましては、現地に直ちに奉りまして入坑しましたところが、ガスが充満してとうてい調査ができない。そこでガス排除をまずやらなければいけないということで、ガス排除にかかりましたが、通気がまだ正常の通気が通っておりません。そこへ持ってきて、落盤その他で坑道が埋まりまして、通気をとるのに非常に時間がかかりまして、そのために調査がおくれまして、現在まだ調査にかかりにくいという状態になっております。かような状態になりましたことは、私ども大へん遺憾に思っておりまして、天災がありましたら、一刻も早く事情を調査いたしまして、次の対策を立てたいという考えでおりますけれども、そういう段取りのできなかった点につきましては、残念ながらおわびを申し上げたいと思います。
  24. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 おわびで済めば簡単な問題ですよ。しかし、大ぜいの人がなくなっておわびしたくらいでこれは済まぬ問題ですが、これは本国会でも、さいぜん申し上げた通り、四回ほどこの問題で論議された。夕張の問題が起きたときも善処しますとか厳重にやるという御答弁だった。ここでそういう御答弁を幾ら聞いても、現地では災害が頻発する。そういうことではこれはどうにもならない。しかし、ここでこの問題を論議しておっても、これは重要法案がたくさんありますし、あと大体十一時間しか時間がありませんので私は多くを言いません。ただここで通産大臣にお願いしたいことは、とにかく一年に非常に結果がよかったという局長の御答弁ですが、それですら六百数十名の人がなくなっておる。三万名近いけが人が出ておる。こういうことは一日も早く改めるよう確たる処置をとっていただくことを特に要望いたしまして、私の質問を打ち切ります。
  25. 海野三朗

    ○海野三朗君 関連して……。
  26. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) よろしいのですけれども、先ほど小幡委員から発言がありまして、いろいろ重要案件もたくさんあるし、質疑応答はできるだけ簡略にということを一応御協議願いましたから、簡単にお願いいたします。
  27. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は二、三ちょっとお伺いしたいのですが、通産大臣にお伺いしたいのですが、大体通産省は技術軽視の傾きがあると思う。だからこういうふうな災害が起る。だから私は根本的に通産省のあり方を改めていただかなければならんと思う。この技術の方面を非常に軽率にごらんになっておるように思いますが、いかがですか。
  28. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 予算委員会のときからそのお話を承わっておりまして、私もお答えしました通り、なるだけそういうことのないようにするとお答えしました。今そのようにいろいろ省内の方の問題そのほかの問題で研究中でございますので、なるだけ御趣旨に合うようにしたいと思います。
  29. 海野三朗

    ○海野三朗君 そこで、通産省は百二十二ほど課があるが、技術の課長は十人そこそこなんです。ことごとく事務官でもって占領されておる。従って、技術についてはしろうとが非常に多い。たとえば鉱山局長にしたってそうだし、それから石炭局長でもそうだし、みんな事務官ですから、だから技術を軽視するという考えがここに流れて、そして今日の炭坑の爆発を起す、つまりこれは監督不行き届きということに帰するのであって、技術を重んじないということが私は根本原因をなしておると思うのですが、大臣はいかようにお考えになっていらっしゃいますか。
  30. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) これも前回海野先生にお答えしました通りでありまして、本省の人事のことを言っておられると思いますが、本省は全般の行政をやっておりますので、従って適材適所主義でいくということになりますと、本省事務の管理というようなものには、自然に事務家が多くなると、これはやむを得ないと思います。が、そうじゃなくてもそのほかの技術に必要のあるような事務というものにつきましては、それぞれ技術家が重用されてその職についておる、こういう状態になっております。
  31. 海野三朗

    ○海野三朗君 今適材適所とおっしゃったけれども、根本が技術を軽視するという形になっておる。技術の方を重んじないということが、私は原因だと思うのです。それでありますから、地方のこの炭鉱の問題にいたしましても、技術の経験のある人が本省にいないから、ただ事務的にばかりこれを処理していられるから、自然そういう結果になるのじゃないかと思う。長年の間つまり事務尊重でもって技術軽視の傾向があったために、そういうことが出てきておると私は考えまするので、その点については特に通産大臣が意を用いて、この技術を尊重していただかなければならないということを、私は要望いたしまして私質問をこれで打ち切ります。
  32. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 一時まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩    ―――――・―――――    午後一時三十九分開会
  33. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  合成ゴム製造特別措置法案議題といたします。  本案につきましては、先日、詳細内容説明を聴取いたしましたので、本日はこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  34. 加藤正人

    ○加藤正人君 こういう合成ゴムの必要性がだんだん強くなって参りましたので、御説明にもあったのですが、天然ゴムの生産量は、今後増加する見込みは全然ないのでありましょうか。
  35. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 御存じのように天然ゴムはゴムの木から採取するのでありますが、そのゴムの木を植裁をいたしまして七年ないし十年くらいたたないと採取ができないんだそうでありまして、それから大体樹齢二十年くらいになりますと、もうほとんど取れなくなるということで、結局ちょうどその年齢の木が現在どの程度あるかということでわかるのでありますが、ちょうど現在その時期のものは、戦争中及び終戦直後の時期に当りまして、いろいろ政治的な不安定があった関係で、新しく木を植えることを怠っておりましたために、非常に少い。従って今後当分の閥は新たにゴムの供給を増加する見込みがないというのが、国際ゴム研究会と申します国連の下部機構の需給に関する研究団体がございますが、毎年会議をやっておりますが、そこの結論でございます。
  36. 加藤正人

    ○加藤正人君 そういう権威ある機関の研究なら、確実性は確かにあります。それで、そういう研究がありましても、合成ゴムまで作ってやらなければならぬ、また、しかもその合成ゴムを作る工場を作るにも、なかなかこれがペイすることはむずかしいという意味で、こういう形式の会社を作らざるを得ない。そうなりますと、これに頼るということも、こういう場合ではやむを得ぬけれども、しかしこれほど需要があるものが、そういう事情で一時逼迫しているというなら、世界の企業者というものは、必ずそういうものに対するインベストがさかんになって、この会社ができ上る時分には、方々の増産計画が本格的になって、案外これが四万五千トンもできる時分には、天然ゴムも、相当方々の増産計画もふえるでしょう。そういう事態に及んで困ったことになるような心配はないでしょうか。
  37. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 天然ゴムにつきましては、先ほど申しましたように、産地がマレーとインドネシアに限定されておりますことは、御承知の通りでありますが、依然として政治的に非常に不安定で、従来ゴムの生産はほとんど外国資本に依存しておりました関係から、その地域に対する投資というものは、まずあまり望めないようなことになっているそうであります。ただ、合成ゴムにつきましては、各国ともに増産計画をやっておりまして、ただ、この前の概括説明で申し上げましたように、他の国はほとんど自分の国の所要原料を自給する、せいぜいその程度でございますが、米国あるいはカナダあたりでありましたならば、相当いろんな条件が恵まれておりまするので、増産しようと思えばできないことはないんじゃないかと思います。ただ、今まで知り御ました限りでは、ここ数年間の伸びを予定しますと、とうてい足りないということで、この会社がスタートいたしますころまでに余るようなことにはならないと、これだけは確実に申し上げられます。
  38. 加藤正人

    ○加藤正人君 昔はなかなかアマゾン流域のゴムの木というようなものをよそに移植ができなかった。たとえばロンドンのキュー・ガーデンにあるマザー・オブ・ラバーというようなあれは、何か種をとって、大きな荷物にしてわざわざカムフラージュしてマレーに持ってきて繁植をはかった。今日はもうそんな心配はなくて、自由に方々に移植できることになっている。こういう時代ですから、そうして先ほどゴムの投資家は、大がい外国人だと言われたが、日本人もずいぶんだしかゴム園を持っていたように思うのです。今はなくとも一手軽にできる仕事ですから、それは僕はばかにできぬと思うのです。こういう自然的に増産されるものは……。何かこういう計画を見ると、永遠に天然ゴムはあてにできない運命のようにこれに書いてあるけれども、それは国連の何とか機関でやってもらう。日本人はとかく外国人のやることばかり尊重するくせがある。常識で考えても、私はこんなものにばかり頼るのは心配だと思うのですが、そういう点いかがでしょうか。
  39. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) ごもっともでございますが、今までわれわれの知り得た限りでは、そういう大きな増産を期待することはできない。現在これは世界的に見ましても、まだ天然ゴムの方が使用数量は多いのでございます。世界全体の消費二百八十万トン程度のうち、大体百八十万トン程度が天然ゴムでございますから、その方が多いのでございますけれども、今後の増加は先ほど申しましたような状況で期待ができない。もちろん、御指摘にありましたように、ゴムは南米が原産でございますから、南米辺りで生産するということは可能でございますけれども、また、戦争中米国が試験的にやったというような点もございます。ございますけれども、今までのところ商業的に見ますと、ネガティブに近いというようなものでございまして、従って天然ゴムの方はどうも新規の増加を期待できない。それから合成ゴムにつきましては、これはこういう化学製品でございますから、どんどん新しいものができて参りますので、その辺の事情に対する不安もあると思うのでありますが、天然ゴムの増産は、これからは相当困難だというふうに考えられております。合成ゴムの増産につきましては、先ほど申しましたように、これは米国等では今後さらに増産しようと思えば、可能性は十分あるわけでございますけれども 今までにわれわれが知り得た範囲では、そういう計画はまだ十分足りるほどの計画にはいっておらぬということであります。
  40. 加藤正人

    ○加藤正人君 昔、戦争中陸軍の戦備課から私と、それから今のブリッジストンの石橋正二郎君に、一緒に合成ゴムを作れという命令をされたことがあります。それで一時われわれがどこの工場でやるかということを、石橋君と二人で方々踏査した、そういう経験がある。そのときに技術がないというので、当時満州におった某氏、ある博士を石橋君が連れてくる。ところがほとんど事実無理のような話であった。今日はこの会社はどういう技術を用いて製造に当られるのですか。
  41. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 御指摘のように戦争中は日本でも軍需用として若干合成ゴムを作りましたことは、御承知の通りでありますが、ただ、当時は軍需用でございましたので価格等にはあまり問題にならない、しかも量的にもごくわずかなものを作ったわけでありますが、この法律で計画しております会社の事業は、合成ゴムの中では最も一般的に使われますGRSとか言われておる種類をやるわけでございまして、結局こういうものはすでに米国が戦争中から十数年、まあ国営として技術を発展して参りましたので、全くすでにもう大量生産の技術というものは確立をいたしております。従ってこの会社がやります場合には、そういうものを買ってやる方が、はるかに便利でございますので、ブダジェンの製造からゴムの合成段階まで全部外国の技術を買ってやる予定にいたしております。
  42. 阿具根登

    ○阿具根登君 資料に出ておるかもわかりませんが、私どもは今まで通産省では化学工業振興法、あるいは基礎化学振興法、こういうようなことが計画されておるということは、聞いておったわけなんですが、本国会も非常に末期になってから唐突としてこの合成ゴムの法案を出された。これは一体どういう理由があったのか、今これをこの国会の末期に、しかも、法案内容はあとで御質問申し上げますけれども、非常に私どもが納得のしがたいような法案内容で出されておるということになれば、どういう理由があったのか、政治的な何か配慮があったのか、それとももっと広範なものを考えておられたけれども、まあ、国会も末期になってあわてて出されたのであるか、そういう方面説明一つ詳細にお願いいたします。
  43. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) この法案は、すでに通産省といたしましては昨年準備されておったものでございまして、今年度になりましてから日本の生産計画と見合ってどうしても……、ほかの物資は国内の増産で足らなければ輸入で置きかえるという手があるのですが、今局長が言いましたように、天然ゴムは不足であるし、そうかといって合成ゴムの輸入というものはできない、しかも日本のゴムの消費量の年々の伸び方から見て、今これを放置しておいたら四、五年先に想像される不足量に対処できないということで、こういう種類の措置によって合成ゴムの製造を始めたいというので、構想や何かはもう全部昨年から準備されておりまして、私がその法案を引き継いだわけでありますが、そこで問題になってきましたのは、政府部内でまだこの種の問題があるだろう、将来国家が手を貸して資金援助をやって育成すべき新規産業というものが、今後まだ出るかもしれぬ、そうだとすれば化学工業の振興法というような、もう少し総括的な法律を作っておいて必要が出た場合に、この法律によってこういう合成ゴム製造事業というようなものがやれるようにしたらという意見が、政府部内の一部から出ましたこと、それから各国の例を見ましても、みんな国家資金で最初の育成をやっておる、そうしてこれがペイするようになったら民間にそれを渡すとか、いろいろなことをやっておりますので、日本の現状から見まして、何かの形で政府資金の援助がなければ、この種の新興産業はできないという結論で、結局それをどういう形にするか。日本開発銀行に出資機能を与えて、そうしてとりあえずこの問題の解決をはかろうという意見と、もしこういう構想で新規産業を育成するというなら、むしろ政府の産投会計の中から出資して直接政府資金を出資してやって監督も厳重にするというような形でやる方が望ましいのじゃないかという意見が、政府の部内からまた出まして、最後にここまで来るまでに、政府内部の意見調整が非常にひまどったという結果、国会提出がおくれた。こういういきさつでございまして、急速にこれを国会に出したわけではございません。相当前からの懸案で、去年あたりにも構想がきまっておったものだと、こういういきさつでございます。
  44. 阿具根登

    ○阿具根登君 去年あたりからきまっておったものが、政府部内の意見調整のために非常におくれたのだと、その理由はわかります。しかし、政府部内でさえも意見のまとまらなかったのを去年からきまっておったのか、計画は全部できておったのか。政府部内でさえも今国会の末期になるまで意見が調整されなかった。これを今度は今国会の末期になって唐突として出されて、そうしておのおの性格の違うこの議院に審議して今国会にあげろ、こういうことでございますか。そうすれば自分たちの同じような立場にある方々でさえも、これはこんなに問題があったのだと、あるいは私たちの意見としてはこういうものは国家がやるべきであって政府が直接なぜ資金を出さないのか、こういう意見もあるでしょうし、あるいはほかの方はこういうものは民間にやらすべきである、こういう意見もあると思う。そうなると、これは政府部内のわずかの人間でさえも、こんなにまとまらなかったものが今国会でこれはまとまるかどうか私は疑問を持つものですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  45. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) こういう合成ゴム製造事業というものの踏み切りが必要であるということについては、もう政府部内には異論はございませんし、問題は産投会計というようなところからの投資なりしてやったらいいか、あるいは国家の今年度始めようとしております開発銀行の出資という形でやったらいいのかというのが通産、大蔵両省でいろいろ検討にひまどったところでありまして、いずれにしろ、政府資金を出せる道を開こうということについては、政府部内は意見の対立はございませんで、技術的な問題でひまどったということでございますので、問題がもっと複雑なところにあるようでしたら、短期間に御審議をわずらわすということは非常に恐縮でございますが、問題は今のような技術的な問題だけですから、何とぞ一つ審議を願いたいと思います。
  46. 阿具根登

    ○阿具根登君 局長にお答えを願ってけっこうですが、ただ、この法案だけ見ても、この事業の計画、これは提出するように法案にはなっておるが、先の見通しが私らにはわからない。一体十億ですかの開銀の融資をやってこれを作ろうと思っておられるか。年次計画はどういうふうに考えておられるか。
  47. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これはこの第一年度、法案国会通りますと、すぐ準備に着手いたしまして、二カ月以内に会社がスタートできるようにしたい。それから建設に二カ年かかりますので、昭和三十四年の中ごろから生産がスタートするようにしたい、こういう考え方でございます。それから資金につきましては、第一年度、すなわち本年度におきまして、政府出資と民間出資と全部出資してもらいまして、そのほかに五億ないし十億程度の開発銀行の融資を予定いたしまして、総資金量といたしましては、本年度大体四十六億程度順調にいきますればこのくらいを使いたいという予定でございます。
  48. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあ、二カ年程度で、本年度四十六億の金を使って、こういう事業をやるのだということはわかりますけれども、その後どういうように進歩していくのか、一応の将来の計画を持っておられるはずでございます。二年間たって生産に着手する、そうして第一年度はどのくらいの生産をするのだ、第二年度はどうするのだ、二本の経済の五カ年計画を持っておられるようでありますからその、五カ年計画とにらみ合せて、日本の車両その他ゴムを使う消費量はどのくらいにふくらむから、だからどれくらいのやつをもっていかなければできないということは、おそらく検討済みであろうと思いますが、日本経済状態の中から、ゴム産業の伸び、それからそれに対して今度の官業がマッチするために、どういう段階を踏んでいくのか、その点詳細に御説明を願います。
  49. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これはお配りしてございます資料の(3)、これが現在のゴムの消費量でございます。それから資料の4の昭和三十五年度の消費の予想というものをお配りしてございます。この中でGRISと書いてあります。それがこの会社で企業化を計画している種類の合成ゴムでございます。全般的な状況は、合成ゴムの国産化及び国家助成についてという資料の中に各年度の生産予定量並びに損益を示しておきましたけれども、第一年、すなわち昭和三十四年におきましては年度途中の関係もございまして、三万トン程度、それが逐次増加いたしまして第四年目に四万五千トンの生産ができる。それだけフル生産いたしますと、一体一番うしろの参考表に、損益計算、資金収支計算が示してございますが、第四年目に二百十二円の原価になりまして、二百二十円で売りますと、まあ大体収支がバランスする、こういう予定に考えております。この予定は実はここ二、三年のゴムの需要の伸びからいたしますと、やや控え目なような、そういう見方もあるようでございますが、特に昨年のゴムの伸びは非常に伸びましたので、少しさかのぼりましてこの数年間の需要の伸びから考えますと、大体こんなものじゃないか、こういうように考えます。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 資料(3)のわが国の現在の用途別消費状況でございますが、合成ゴムは合計八千五百トン、これは大体国内で生産しておるのですか。
  51. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは全部輸入でございます。
  52. 阿具根登

    ○阿具根登君 これはどこからの輸入ですか。
  53. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 大体カナダから輸入しております。
  54. 阿具根登

    ○阿具根登君 合成ゴムと生ゴムでは、これは現在のところどのくらいの差がついておりますか、価格について。
  55. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 天然ゴムは非常に価格の変動が多いものでございますが、大体われわれは平均的に見まして二百三十円ぐらいというふうに考えております。実際は相当上り下りがございまして、一年間の過去の実績でも、最高が三百円ぐらいから最低は二百円を割ることもございますが、平均そのくらい、それから輸入の合成ゴムは現在二百二十円、これはGRISでございます。そのくらいに考えております。
  56. 阿具根登

    ○阿具根登君 この説明の中にもありますように、天然ゴムが非常に減ったということは、一応戦争の影響もあるということも聞いておりますが、世界のゴムの需要が伸びたことも、やはりその一因であろうと思うのであります。そういたしますと、輸入を私好むものではございませんけれども、現在の姿のままで、特に合成ゴムに力を注ぐということばかりも考えられない。おそらく相当天然ゴムに力を注ぐであろう、かように思うのですが、現在の消費の伸びから見て、世界のゴムの現状と比べて、天然ゴムは将来世界の消費には、とても間に合わないのだ、こういうことになるのか、あるいは生産費において、合成ゴムの方が非常に有利であるから、合成ゴムに早く進むベきだ、こういう見方であるか、その点世界のゴムの状況ですね、これを御説明していただきたい。
  57. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 資料(1)にも書いておきましたように、これは現在のところは天然ゴムの方が、値段から言えばむしろ少し高いのでございますが、しかし需要の割合からいきますと、圧倒的に天然ゴムの方が多いわけであります。従って増産の可能性がありますれば、まだ天然ゴムの方は当然増加できるはずでございますが、先ほど加藤委員にも御説明しましたような事情で、当分の間は増産が見込みが立たないという事情でございます。なぜそうかと申しますと、合成ゴムの方が若干使いにくいのだそうでありまして、使いにくいと申しますのは、加工段階でいろいろ処理をするのに力が要る、そういうような問題がございまして、まだ特に日本のような中小企業の多いゴム消費の場合には、まだ天然ゴムの方が有利だという事情でございます。
  58. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあ、現在は非常に技術が進んでおりますから、そう格差はないと私は思っておりますが、天然ゴムと合成ゴムでは、非常に耐久力あるいは使用において差があるのだ、こういうようなことをずいぶん聞かされたものですが、現在の技術においては、合成ゴムと天然ゴムの耐久力、そういう点についてはどういうことになっておりますか。
  59. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは合成品、天然品ともおのおのそれぞれ長所も短所もございますが、短所につきましは、先ほど申しましたように、加工がやや不便だという点でございます。それに対しまして天然ゴムの方は長所と申しまするのは、今の加工がしやすいということと、もう一つは、タイヤに使いました場合に、非常に強い圧力とか、加重とかに耐える力があるのだそうでございまして、大体重トラックのタイヤは、米国でも、米国では、天然ゴムに比べまして合成ゴムがかなり安いのでありますが、なお天然ゴムが使われているという状況でございます。ただ耐久性から申しますと、これは用途にもよるわけでございますけれども、むしろ合成ゴムの方がよろしいという状況、特に薬品に対する耐久性と申しますか、そういうふうなものは合成ゴムの方が若干工合がいいという状況でございます。
  60. 阿具根登

    ○阿具根登君 ただいままでの質問によりますと、天然ゴムよりも合成ゴムの方が生産においてその費用が安いし、使用においては技術が進んだせいか、逆に合成ゴムの方が耐用年数というか、それが高いのだ。こういうことになれば、これは当然合成ゴムというものは考えられなければならないのであって、かえって逆に言えば今日出されるのはおそきに失するのではないかと、こういうような考えも持つものでございますが、それだけ世界の需要状況から見ても、日本経済の伸びから見ても必要である、必要欠くべからざるものであるとするならば、どうしてこういうような変則な、たとえば一年間の間は開銀から融資をしてもらうのだ、一年後にはまた変えてこれを国で融資するのだとか、出資するのだとか、こういうような変則な形になったのか、それが私にはわからないのであります。その点一つ
  61. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは政府で助成をしなければならないという点は、要するにこの前の一般説明で申しましたように、非常に使いにくいという関係から、特に日本のように全体のゴム消費の中でタイヤの需要が比較的割合が少くて、一般中小業者の多い雑用途にゴムの向けられる場合が多い国におきましては、特にこれがまあ欠点になっております。そういう観点から、われわれは天然ゴムの平均価格よりも安い、少くとも輸入のCIF価格程度にはしたい、それが二百二十円、キログラム当りでありますが、そういうためには、どうしても政府の出資をしてもらわなければならぬということであります。そのことと、開発銀行の出資にいたしておきまして、来年度それを政府出資に切りかえるということは全く関係がございません。その点は先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、本年度はたまたま最終的に政府部内の意見調整ができましたのが、予算がすでに国会の御承認を得た後であったものでございますから、本年度限りは開発銀行出資にした、しかし、その結論におきまして政府出資にすべきものだということになりましたので、来年度は政府出資に切りかえるのだということにしただけでございまして、来年になってこの援助の性質が変るということではございません。
  62. 阿具根登

    ○阿具根登君 最近は特に、戦後外国の技術が入って参りまして、乏しい日本の資源の中でできないので、原料をほとんど外国から入れて新しい産業が起っておりますが、たとえば石油化学等につきましても相当の進出をしておる、相当伸びておる。ところが、どこを見ても相当資金に悩んでおるようである。しかも、これが一つの何というか、一工場、一会社の持ち物でやっておるということで、非常にこの伸び方がおそい。こういうようなことも聞いておるのです。そうすると、そういうやはり科学の先端を行くようなものに対しては、比較的政府は冷たい態度をとっておられるが、こういうのに対しては、こういう非常に新しい行き方でやっておられる、これはどういう関係があるのですか。
  63. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) お話しのように、石油化学工業の中で特に総合的なもの、あるいは基礎的なものは、非常に資金もたくさん要りますことは、御指摘の通りでございます。ただ、現在までに計画されておりますものは、みな会社の計画によりますと、たとえば現在相当割のいい値段で売られているもの、たとえばポリエチレンというふうな、あるいはポリスエチレンというようなプラスチック類でございますが、こういうものは新しい商品でございますだけに、現在相当いい値段で売られております。そういう比較的有利なものを事業の中に、計画の中に盛っておりまして、それを収益源にして、全体の計画がバランスがとれるように考えております。その点がまた事業の規模がスタート当初から全能力生産ができるようになっております。それは現在相当すでに輸入需要のあるものを代替するというもので、しかも、その輸入需要がそれぞれの会社の計画を全部合わせましても、その完成時に予想される需要を大幅に超過するということがないような、そういうものでございますから、一応現在出されました各会社の計画ではみなペイするようになっております。この合成ゴムの計画は、これはどうしてもコストを下げますためには、大規模の設備でやらなければならぬ。ところが、大規模の設備でスタートいたしますと、スタート当初は、それだけの需要がないので、どうしても赤になるということで、それで一つこの計画には、どうしても突っ込んだ政府援助が必要だということになったわけでございまして、ほかの化学工業でも、どうしても日本で国産化をやらなければならない、しかもそれについてどうしても採算が立たないものだということになれば、それはやはり政府としては援助方を考えなければならないものだと思っておりますが、ただ、出資までやるかどうかという点は、これはやはりそういうケースの場合には一々国会にお諮りするのがしかるべきではないかということでございます。
  64. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 一、二点お尋ねいたしますが、実は今まで百五十日間審議して参りまして、上げた法案はほとんど政府が出資するものは、特にでありますが、通産大臣許可を要するということが書いてございまして、これにもあらゆる条項の中に通産大臣許可を要する、こう書いてあります。従って今まで農林省で多久島事件が起きたり、あるいは全購連の事件が起きたり、国鉄で問題が起きたりするのも、あまり最高責任者の仕事が過重であるから、十分に目が届かぬということで、どうも仕事がうまくいかないのではないか。従って汚職などができる、監督が完全に行き届かぬ、こういうように私は判断するわけです。昨日の東北興業株式会社の資金の投資等にについても、私は大いに意見があったけれども、日本国内で一番東北がおくれておるというところで、涙をのんで賛成したわけなんで、これも見ると、これは行政府の主務大臣ですから、当然かもしらぬけれども、これも通産大臣がやはり権限を握っておられるようである。従って通産大臣はあらゆるものにとにかく関与して、監督して、責任をおとりになるのはけっこうであるけれども、今度は政務次官がお二人になるそうですからこれはいいかもしれませんけれども、しかし、なかなか通産大臣の目が届くかどうかというところに私は疑問があるわけです。そこでこの百四十億を必要とするとございますね。これも政府設備資金の調達を限定してとか、あるいは確保に努力する、こういうことが内容にありますけれども、開銀から出すのはわかりました。しかし、どこからあと残りの金を持ってきて、そうして百四十億にするのか。こうい具体的なことについて一つお尋ねしたいのですがね。
  65. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) この設備資金は、御指摘のように建設期間中の経費、利息等も入れまして約百四十億でございます。そのうち今御説明いたしましたように二十五億を政府資金及び民間の資本で出資いたしまして、残りを大体半分を開発銀行から六分五厘の特別低利で借りることにいたしております。そうしますと、あと六十億くらいを民間の資金が要ることになるわけであります。これは普通の民間銀行、特に長期資金銀行あたりから借りることになると思いますが、先ほど説明しましたように、第一年度は大半が出資金及び開発銀行の資金でまかないますので、第二年度以降が主として問題になると思いますが、今のところは十分見込みがあるというふうにわれわれは考えております。それはやはり政府資金が出資いたしました会社でございますから、銀行等にも十分まあ信用ができて融資が受けやすいようにわれわれは考えております。
  66. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、局長にもう一つお尋ねいたしますが、その御答弁はプラン・ペーパーですか、それとも開発銀行にお話をして話が成り立っておったり、場所はどこにするとか、原料はどこから持ってくるとかという具体的な話はあるわけですか。どうなのですか、その点は。
  67. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これはこの法案をきめます際に、大蔵省、開発銀行とも十分相談いたしまして、今申しました出資の点、それから出資を除いた全所要資金の半額程度を開発銀行の特別低利でまかなってもらうという点、これは大体話がついております。  それからこの具体的な建設の計画でございますが、これは当然この会社の設立の形態から申しましても、会社が発足いたしましてから民間側で計画を立てるべき問題でございますので、まだまだわれわれの方として、どこにどうというような具体的なことをきめてはおらないわけでございます。
  68. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次にお尋ねいたしますが、代表取締役の選任とか、監査役の選任の決議を通産大臣許可しなければならないように私は解釈するのですが、そうすると、その決議なるものは通産大臣のいかんによって左右されると、こういうような解釈になってもよろしいわけですか。
  69. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これはお話しの通りでございます。こういう特殊な会社の監督、役員の監督のことについて、特に役員に対する監督につきまして、直接政府が任命するやり方と、こういうふうに代表取締役の選任について認可を受けさせるというやり方と二つございまして、これはそういう後者のやり方をとったわけであります。
  70. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後に一つお尋ねいたしますが、ただいま解明されたときの第四点の政府出資の切りかえですね、肩がわりする場合の条文を、もう一度詳しく説明していただきたいと思います。
  71. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは付則の三項及び四項でございますが、この三項の書き方は、開発銀行出資を政府出資にかえるんだということをきめてございます。しかし、政府出資にかえる場合にも、産業投資特別会計で持つ行き方と、一般会計から出資する行き方と二つございます。現在これはまだ最終的に確定いたしておりませんが、大体産業投資特別会計で持ってもらうということになると思います。それから産業投資特別会計で持ってもらうことにいたしますと、この持ち方でございますが、これについては開発銀行のものを産業投資特別会計に移さなければなりません。この移す場合のやり方につきまして、どうもやはり法律的な規定が要るからそれを来年度あらためて法律として国会に御相談をするということにしようということでございます。  四項は、ただ切りかえのために必要なことは法律で定めるのだということをきめただけであります。
  72. 海野三朗

    ○海野三朗君 この合成ゴムはどの程度のものをどういう方向へこの生産を進めていこうというお考えなんでしょうか。それを伺いたい。天然ゴムじゃなくして合成ゴムのこれを出資をして、そうしてどれだけ年々補って合成ゴムを生産していくお考えでありますか。
  73. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは先ほど説明いたしましたように、昭和三十四年度から生産を始めるわけでございますが、その年が三万トン、それから毎年五千トンずつ増加いたしまして、三十七年に四万五千トンの生産、すなわちこの会社の能力一ぱいの生産をして、その段階で大体収支がつり合う。こういうふうに考えております。
  74. 海野三朗

    ○海野三朗君 この生産がその通りに参りますか。
  75. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは一に需要がどうなるかという点でございますが、われわれのこの需要はかなり確実な需要、各業界の意見も求めまして、そのうちでかなり確実と思われる数字をとりましたので、まずわれわれはこの程度ならばいくものと確信いたしておるわけでございます。
  76. 海野三朗

    ○海野三朗君 これで天然ゴムをどのくらいまで補い得るお見込みなんですか。
  77. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 現在昨年の天然ゴムの輸入の実績が約十一万トンくらいでございます。これは今後ふえない。今後ゴムの需要の増加する分を大体合成ゴムでまかなって参りまして、それが大体総ゴム消費量の三分の一くらいになるまでは、十分合成ゴムで補てんすることは可能だ、こういう考え方に基きまして、それを年次別に開きますと、先お答えいたしましたような数字になるわけでございます。
  78. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうしますと、これはこのお金の問題ですが、年々この程度で、つまり日本開発銀行から融資していこうというお考えなのですかどうなのです。
  79. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは出資は最初十億出資するだけでございまして、あと融資につきましては、先ほどお答えしましたように、出資分を除いた総所要資金量の半額程度を三カ年に分けて融資をする。そこで今大体きまっておりますのは第一年度だけでございますが、それは五億ないし十億資金の所要に従って融資をするということに大体内定しております。
  80. 海野三朗

    ○海野三朗君 今このゴム会社は幾つお目あてになっておりますか、会社……。
  81. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) この政府政府資金を出資いたします会社は一つだけでございますが、民間のこれはゴムを作る会社ではなしに、ゴムを加工するゴム会社、これはたくさんございます。現在二百社以上になっております。
  82. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうしますと、この九州のブリジストンタイヤがやっておるああいうふうな方面のゴムにも非常に役立つというわけなんでしょうか、どうなんです。
  83. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) その通りでございます(これはタイヤ、チューブというふうなものばかりなしに、ベルト、ホースというふうな工業製品から、はきものその他の雑貨に至るまで、大体天然ゴムの現在使われておりますものについては、大体このまま使えるという性質のものでございます。
  84. 海野三朗

    ○海野三朗君 やはりタイヤとか飛行機のつまり車、ああいうものに全部使われるわけですか。
  85. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) その通りでございますが、ただ航空機とか、非常に大きなトラックのタイヤというふうなものには、合成ゴムはごくわずかしか使えない、これはまだ天然ゴムの方がよろしい。ただ小型のトラックとか、普通の乗用車のタイヤとかいうふうなものにつきましては、これはむしろ合成ゴムの方が大部分使えるということでございます。
  86. 海野三朗

    ○海野三朗君 政府が出資して、将来ただ民間のこれを助けていこうというだけのお考えか、政府自身がある程度まで、これに力を入れていこう、そもそも日本における製鉄事業を、初め政府の金でやって、そうしてだんだん民間に移って、今日では純然たる民間の事業になってしまった、そういうふうに持っていこうというお考えなんですか、どうなんです。
  87. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これはこの会社が十分に採算に乗って、自立で行けるまでは、政府の方としては十分力を入れて応援していく、そういうつもりでございます。
  88. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうしますと、公社とかそういう形でなしに、民間として出資していかれるお考えですか。
  89. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これはこの法案にありますように、公社の形にはなりません会社でございますが、ただ産業投資特別会計に切りかわりましたときには、若干形が変るかもしれません。しかし、公社のような形になることは、全然予定しておりません。
  90. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案、及び核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案を一括して質疑に入ります。
  91. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行について、委員長はおそらく委員長理事打合せの線に沿って、議事をお運びだと思いますが、会期もきょう一日だけで、きょう一日の議事の取扱いというのは非常に重要だと、こういうふうに思います。で、この委員会には非常に世間が注目しておるところの中小企業の団体法が、衆議院から本院に回付されているわけです。そこで委員長理事打合会等においては、それらの案件も見越して、議事取扱いの順序その他をきめていると思うのですが、その辺はどういうことになっているのですか、一応委員長に私は念のために伺っておきたいと思うのです。
  92. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 委員長としましては、別に他意があって一つ法律案を先議し、一つ法律案を後議するという考えは毛頭持っておりません。全く事務的な手続でこういう順序に、かつこれだけの法案が残って参ったのであります。昨日夜東北興業株式会社法案をあげまして後、委員長理事打合会をいたしまして、昨日の朝からの日程の残りを順次お示しいたしまして、明日、すなわち本日でありますが、午前十時委員会を開いたならば、その順序で順次審議して参りたいと思いますが、御異議ございませんかと言いましたところ、御異議がありませんでしたので、本日の日程は、昨日の委員長理事打合会で決定した次第によりまして、議事の運営をしておるわけであります。
  93. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうすると、重ねてお尋ねいたしますが、今の委員長のお話しですと、本日ただいま取り運んでいるこの議事の取扱いの方法というのは、昨夜の委員長理事打合会の申し合せの通り進んでいる。突っ込んで言えば、こういうふうな取扱いを、与党理事も全く了解していると、かように了解をして正しいものであると、こういうことでございますか。もっと突っ込んで言えば、いわば中小企業団体法について格段の与党理事よりも申し出もないし、従って昨夜の委員長理事打合せに沿った議事が何の支障もなく、きわめて事務的に委員長の手によって進められているのであるという、かように了解して差しつかえないわけですか。
  94. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) その通りです。数日前には団体法といいますか、組織法の審議にかかっていただきたいということを、与党理事諸君からお話がありました。それで御承知のように参考人を呼びまして参考人の意見を聴取いたしたわけであります。昨日の委員長理事打合会では、団体法を先に審議していただきたいという御要求は全然ありませんでした。
  95. 相馬助治

    ○相馬助治君 わかりました。
  96. 小幡治和

    ○小幡治和君 今それぞれの理事の話しでそういうふうになったということなんですが、私はそれの解釈としては、あくまでも自転車競技法並びに今の放射性同位元素及び合成ゴム、そういうものを順次質疑をして、順次それに対する処理をして、そうして早く中小企業団体法に入り得る時間があれば入っていく、そうしてその順序を、中小企業団体法を最後にして、そうしていろいろなそういう法案というものを早く審議して、処理していく、こういうことに解釈しておるのであります。それでよろしゅうございますか。そういう解釈で委員長よろしゅうございますか。
  97. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 私が申し上げましたのは、取扱いの順序を申し上げたのでありまして、その並べました順序に従いまして一つ一つ採決して、採決が済んでから次に移るという申し出は聞きませんでしたし、私はさように了解しておりません。しかし、質疑が大かた尽きたと考えられる場合には、その都度やはり両派の理事同士で打ち合せして、この程度に来たらもう上げてもいいのじゃないかということをお通りきめになりまして、委員長のところに御通知があるということが、これはまあ従来の慣例でありますから、私は何かそういうお話があれば、その取りに取り扱っていきたいと思います。昨日の取りきめでは、一つ一つを採決して次に移るという、そういう強い申し出は、私は聞いておりません。
  98. 小幡治和

    ○小幡治和君 そうすると、結局中小企業の前に、大ざっぱに言えば三つの法案があるのですが、この三つの法案について採決しないで、とにかく質疑だけをやっていくということで、採決というものについては、結局考えてない、今のところ、理事から何か話があるまで考えてないということだ。要するに質疑だけをしていくというそういうことだと、なぜ中小企業団体法だけを残したのか、採決をして順次片づけていくなら、これは理屈が合いますけれども、採決しないで、ただ質疑だけしていく。要するに各法案を全部質疑だけして、そうして採決は、意見がまとまったときにやっていくということなら、なぜ中小企業団体法案だけのけていくのかというふうに思われるのですが。
  99. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) お答えします。議事の順序をおきめしましたときに、先ほど申しましたように、一つ一つ上げていただきたい、上げましょうというお話がなかったのであります。そうして一方、反対に言いますと、団体法案については、特にその前に差し入れてもらいたいというお話もなかったのであります。それですから、私はただ質疑を行ったり来たりして、採決をしないという考えでは毛頭ありません。この点は大体皆さん方ごらんになって、質疑はもう尽きたのじゃないか、あるいはもう質疑はやめてもらったらどうだという御意向があれば、そこで一つ一つの採決について御相談があるはずだと思っております。
  100. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 もう十分か二十分たてば本会議が始まるわけです。そこで当委員会から四角か五名の方が、新しく常任委員長になられて、今度始まる本会議で指名をされるわけで、当然その人たちは、議長指名と同時に、起立してごあいさつされるということでもありまするし、そのときはやはり二十分か三十分かわかりませんけれども、休憩していただきたい、こういうふうに考えるわけです。従いまして、私はこのまま両方の理事さん同士で話し合いがつくのであるならば、今ここで休憩して、その間に十分に、法案が十ほどあるんですから……。しかしながら、何ぼ会期が迫ったといっても、われわれは議員として、十分審議しなければならぬものは審議しなければならぬわけですよ。時間がないからといって、うのみで法案を通すわけには絶対にいかない。従ってどれが大切であるか、どれが継続審議していいかという話し合いができれば、そこで話しをしてもらって、そうしてもう一度軌道に乗せて審議をしていく。もうあと九時間ばかりしかございませんから皆さん方の御了解がいけば、実際きめて、おそらく本会議はいつも待っておって、法案一つ上ったら一つ、二つ上ったら二つやろうということであろうと思いますので、そういうことを自民党さんも緑風会さんも御了解できれば、ここで休憩して本会議に臨んで、その間に理事同士で十分打ち合せていただきたい。このままの状態でいって、また集まって、そうして相談するということは、時間的には僕は大きなロスを来たすというように考えますので、一つ諮っていただきたいと思います。
  101. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいま阿部君から、本会議になりますので暫時休憩して、本会議は、劈頭に委員長の交代があります。その前に、今後の取扱いについて十分理事の間で話し合いをしていただき、本会議で委員長の交代が議決されましたら、その直後にまた委員会を開いて、御相談の結果の順序、手続に従いましてこの審議を促進していくということでよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 私は今の提案に対しては、決して反対するわけではありません。ありませんが、今出ておりまする委員長と、それから委員の方との今までの打ち合せのことのそごを来たしておるようなことは、これは名委員長として交代なさる松澤委員長に対してはっきりしておいた方がいいんじゃないかというような感じがいたしますが、私は今休憩に不賛成するわけではございませんが、そういう点委員長どうお考えになっていましょうか。
  103. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 私は、近藤君は理事ですし、これまでの議事の運び方は、全部近藤君の御援助といいますか、協力によってきたんですから、委員長の方針も、委員会の運営の方針も、私と近藤君との間には、何らの意見の相違はありません。それですから、おそらく交代いたしましても、近藤君としては、私の方針というよりも、委員会でこれまで、今の瞬間まできめられた方針に従って、今後の運営は近藤君はやっていくであろうということを確信しております。
  104. 相馬助治

    ○相馬助治君 与党理事の西川さんのお言葉ですが、全く賛成です。そうしてこれは委員長が交代しようとどうしようと、委員長理事打合会においてきまった線があれば、これは出きているんですから、これは忠実に実行されると思うんです。私が心配しているのは、大体委員長が変っても、変更して困るような何がきまっているんだということを聞きたいんです。何もきまっていないじゃないですか。先の見当もつけずにやらざるを得ないような形じゃないか、こういうことを聞きたいんです。御案内のように、常任委員会委員長は、非常に高い権威を持っているけれども、議事扱いについては、委員長理事打合会が各派交渉会のような意味合いにおいて、その基本をきめて、そのワク内においてこれは委員長が取り扱っているわけなんです。ですから、そのワク内において松澤委員長は非常に忠実に扱っているわけです。次に予定される委員長も、おそらくそういう点でも忠実であり、公正なんです。私はその委員長に問題があるんじゃなくて、委員長理事打合会がもっと積極的に、しかも、具体的にどういうふうな打ち合せをしているだろうということについて、いささか疑念があったのでお尋ねをしたのです。
  105. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ですから西川さんの御心配は何もないと思いますから、委員会は一体ですから、委員長が変りましても、これまで取りきめになりましたことは、その通りやっていかなければならないと思います。……よろしければ、暫時休憩いたします。    午後二時四十七分休憩    ―――――・―――――    午後七時五十八分開会
  106. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  議事に先だち一言ごあいさつを申し上げます。  本日常任委員長の改選がございまして、はからずも私が委員長に選任されたのでございます。私は浅学非才でその器でないのでございますが、皆さん方のあたたかい御支持と御協力によって、円滑かつ公平なる委員会の運営に当っていきたいと思うのでございます。前委員長は非常に温厚篤美な委員長でございましたが、私も前委員長並みに一つ皆さん方の御支持によって、私の今後の運営に御協力をお願いいたしまして、私のごあいさつにかえる次第でございます。どうぞよろしく。(拍手)
  107. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほどの本会議におきまして、委員長の交代が行われまして、新しい近藤委員長ができたのであります。私約一年にわたりまして、商工委員長といたしまして皆様方に御援助いただきましたことを、非常に愉快な思い出といたしております。超党派的にきわめて円満に運営されるというこの商工委員会の中にありまして、私のごとき、まことに未熟な者が、皆様と一緒に議事の運営をして参りましたことは、皆様方の御協力のたまものと厚く感謝申し上げる次第でございます。ただ、まことに新委員長及び同僚の委員諸君に申しわけないことは、議事のふなれのために、会期末に多数の法案を残して参りましたことでありまして、私の非常に心残りになっておりますが、新委員長のもとにおきまして、委員の御協力をいただきまして、無事に所期の目的を達成することができまするならば、せめてもの喜びであると存じます。大へん御好情賜わりましてありがとうございました。(拍手)   ―――――――――――――
  108. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、委員の異動について御報告いたします。本日付をもって阿具根登君が辞任され、その補欠として小林半平君が委員に選任されました。  以上御報告いたします。   ―――――――――――――
  109. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは次に、理事補欠互選を行います。本日阿具根君の委員辞任、私の委員長就任に伴いまして、理事に二名の欠員を生じたのでありますが、その補欠互選につきましては、慣例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。それでは理事に阿部竹松君及び相馬助治君を指名いたします。   ―――――――――――――
  111. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、休憩前に引き続き放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案及び核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案を一括して質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次発言を願います。
  112. 海野三朗

    ○海野三朗君 この二法案審議する前に、原子力基本法というものがあって平和オンリー、平和だけに用いるという基本法をこの前国会において制定した。ところが、過日岸総理大臣は自衛という立場であるならば原子力も差しつかえないというような答弁を国会でなされた、で、私はそれは非常に遺憾であると思うのでありますが、国務大臣としてどういうふうにお感じになられましたか、その御所見を承わりたい。
  113. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 憲法九条の規定しておりますことと、原子力基本法によって、その憲法九条の中において別途の制限を加えておるその法律の相関関係につきましては、要するに水爆、原爆等の被害を伴うような原子兵器は、これをわれわれは持ってはならない、また、本日は総理大臣より面接政府の方針を発表いたしておりますが、オネスト・ジョンであるとかその他誘導弾兵器のごときものは当然これは持つべきでない、こういうふうに解釈をいたしております。従ってそういう方面の研究あるいは利用等は、この原子力基本法に当然触れるものであると解釈いたしております。ただ、兵器ということの概念が明確でない点があります。たとえば機関車でありますとか、あるいはトラックであるとか、その原子力を使ってこれを稼動せしめる場合に、そういうものが兵器として当然われわれは考えなければならないかどうかということにつきましては、今後の新法に待って、必ずしもこれを基本法に抵触するものとのみ考え御ないものもあるのじゃないか、基本法にいわゆる平和目的と書いてありますが、平和目的というものに抵触する兵器の概念というものは、はなはだ未確定なものがあると、こういうふうに考えております。従って原子力基本法の精神から申しますると、兵器ないしそれの研究、利用等につきましては、別に立法をするのが適当であろう、こういうのがわれわれの見解であります。
  114. 海野三朗

    ○海野三朗君 どうも大臣の御答弁を伺ってみますというと、どうも私はふに落ちないのでありますが、この原子力基本法という建前からすると、防衛防御といっても、おのずからこれに限度があると私は思うんです。で、この原子力をその方面利用する、放射能そのものを利用するということは、自衛力にもおのずから限度があって……知らず知らずのうちに軍備の方向へと進む危険性が多分にある言辞を岸総理が言われたのであります。それに対して、閣僚の方々が一体どういうように考えておられるか、どうもその御答弁が私にははっきりしないのでありますが、原子力基本法というものは、ここにちゃんと平和的にのみ使うのであるということがある以上、防御力に使うかもしれないというような口吻を漏らされたのは、あたかもしっぽを出されたような感じがするのでありますが、この辺いかがなものですか、もう少しはっきりした御答弁をいただきたい。この基本法があるのに、防衛力の範囲でどうこう云々と言われて、そこにすでにごまかしがあると私どもは考えるのでありますが、私ばかりじゃないんです、国民もおそらくみんなそうです、将来折もあったならば、防衛々々だと言っておって、折があったならば、これをやっつけなきゃいけないと、で防衛力と単に言われますけれども、こういう際はどうなんですか、日本が今他国からして爆弾を持ってきて日本が荒されておる、そういうときに敵の軍事基地が向うにある。その軍事基地がわかった際には、防衛力だからといって、そういうところにこちらの方から原子爆弾を持っていって、その軍事基地をたたきつけるということも考えられる。でその自衛力の限度はどうであるかということを、過日の予算委員会においても私は質問しましたが、岸君はごまかしておられた。これは私は正しいやり方ではないと思うのでありますが、閣僚のあなたとしては、いかがお考えになりますか。自衛力にも限度があって、他国から侵される場合には、これを防がなければならない、そういうときにはこれはりっぱな交戦であります。そういうことを思いますると、この原子力基本法というものは踏みにじられたことになると思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  115. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 兵器というものの概念非常に明確を欠く点があります。従って兵器の中で、たとえばわれわれが自衛をするために飛行機を用いる場合に、飛行機のエンジンが原子力を使うという場合の飛行機も将来現われるかもしれない。そういうふうなエンジンを使わなければ新しい防衛体制がうまくとれない、こういうふうな場合には、われわれはそういうふうなエンジンを用いた飛行機を排除するということになるのか、これは受け入れて差しつかえないというものになるのか、この原子力そのものの発展の前途を考えますと、必ずしもここで原子力の基本法にいう平和目的という文字の解釈上非常に抵触するものかどうか、これはなお疑問の点があると申しております。従いまして、ただいまの段階におきまして誘導弾であるとか、その他の水爆、原爆等のものを日本は持つ考えは全然ありませんし、また、これを日本に持ってきてそうして日本において保存をするということも、全然これは排除する、こういうのがわれわれの政府の統一した基本方針でありますから、そういう点におきましては、ただいまのところはこれに対する考慮を払う必要はないとこう考えております。ただ、将来どういうふうなものが原子力の利用の途中において現われてくるのか、それが果して原子力の基本法に抵触するものであるかどうか。そういう点につきましては、この原子力の利用の前途というものが非常に見きわめがたい現状でありますから、従ってはっきりしたことを、ここで規定することは困難であるとこういうふうに思っております。ただ、ただいままでに言われておる水爆でありますとか、原子弾頭でありますとか、いろいろの殺傷兵器をここに持ってきて、そうして原子力基本法とそれが全然抵触しないものである、こうは考えておりません。
  116. 海野三朗

    ○海野三朗君 二、三日前の新聞に出ておりましたが、米軍の練習飛行機が盛んに墜落をいたします。これは日本にすでにそういうものを持ち込んで、この原子爆弾、水爆の演習をやっておるのではないかということが見えておりましたが、普通のことでありますれば、飛行機が幾ら飛んだって、そう米軍の力が墜落するはずはないのであります。ところが、この軍機秘密の保護法というものがアメリカの力では厳重に守られておるので、すでに日本には原子兵器を運んでおるかもしれない、そういう点に対してはいかようにお考えになっていらっしゃいますか。向うから運んできておるということを言うたならば、言うた人が罪になるのだから、そういう点から考えると、どうも私どもはあの飛行機でもって訓練をやって、そうしてその米軍機が墜落したということを聞くときに、ぞっとするのです。そういう練習をやっておるのではないかとこう思うのですが、どうなのですか。
  117. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) そういう点については、全然われわれは報告を受けておりません。また、そういうことはないと思っております。もし、そういうことがあった場合には、それは拒否するというのが政府の方針で決定をされております。
  118. 海野三朗

    ○海野三朗君 これはもうそういうことを日本にさらに交渉せずと、そういうふうな練習をやっておるということがわかったときには、どういうことをされますか、どういう申し入れをおやりになりますか。
  119. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) その点につきましては、総理大臣もたびたびの機会に申しておると思いますが、この原子兵器をもってただいまのいわゆる申されておるような原子弾弾をつけて、あるいは誘導弾、オネスト・ジョン等の類似のものを日本に持ち込む場合には、その持ち込むことに対して、それぞれの方法をもってこれを拒否をするということを申しております。具体的な方法は外務省その他で考えておると思いますが、私は要するにそういうものは日本に持ち込むことについて反対をするということの方針を確認をいたしておりますから、その限界まではわかっております。
  120. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちょっと私お伺いしたいのですが、そういう原子兵器をアメリカが持ち込むときには、持ち込みますということを日本に通知をするということになっておるのですか。原子兵器を日本に持ち込むとぎ、たとえば原子爆弾などを持ち込むときには、日本政府許可を得るとか、あるいは日本政府に申し入れをして持ってくるということになっておるのでありますか、黙ってするっと持ってきておる場合があり得るのですか、どうなんですか。
  121. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 事前日本に相談、原子弾頭をつけた誘導弾等を日本に持ってくる場合には、必ず協議があるものと、こう思っております。
  122. 海野三朗

    ○海野三朗君 その協議があるものとお考えになっておるのじゃなくて、そういうことを日本に持ち込むときには、日本政府から許可を得るとか何とかいう規定はないのですか、どうなんでしょう。
  123. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 私は防衛庁関係のことは実はよく知りませんから、そういう外交的な打ち合せになりますと、実はよくわかりません。
  124. 海野三朗

    ○海野三朗君 きょう通産大臣もお見えになっておるようでありますが、通産大臣にお伺いいたしますが、その辺はあなた御存じでいらっしゃいませんか。(笑声)
  125. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 存じません。
  126. 海野三朗

    ○海野三朗君 それではその方面じゃなしに私はお伺いいたしたい。この二法案、これはまことに必要な法案であると私は存じますが、これはもう必要なことにはきまっておるのです。そうですけれども、原子炉については、どうも原子力委員会等の動向を見ておりますと、はなはだ芳ばしからざる方向へ進みつつあるように思うのです。芳ばしからざる方向とは、何であるかと申しますると、あたかもハイヤーをアメリカから早く買って、そうしてそのハイヤーの運転を早くやって、それがあたかも事成功したかのごとく考えておるような方向へ今持っていっておる。そのハイヤーを買って運転することだけまねたって、それは最終の目的じゃない。日本で国産原子炉を作って、そうして国内の燃料をよく調査し、足らざるところはこの燃料を外国から買うという場合もありましょう、あるいは東南アジアからこの燃料を入れるという場合もありましょうが、まずその国産炉について研究の第一義とするべきものであると思うのでありまするが、ほかからハイヤーを買った。買ったということになるというと、ちょっと故障があってネジ一本抜けても使いものにならない、ネジはやっぱりその規格に合うネジがないといけない。それでありますから、私はこの国産炉にはもう少し熱意を持って進めていかなければならないのじゃないか。ところが、原子炉の購入については非常に熱心であるけれども、どうもその基礎研究と申しますか、そういう方面のことがどうも私は片手落ちであるかのように思うのです。過日あなたのところからお出しになったあの案を拝見いたしました場合に、藤岡君にも私これをただした。藤岡君はその方面の理学博士であるからしてどう考えておるかと言うと、どうも少しぼけておるのですが、その点については大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。もし、外国から購入することだけに重点を置いておられるようではいけないと思うので、そうでないとすれば、具体的にはどういう方向へどれほど進捗しておられますか、それを一つお伺いいたしたい。あるいは国務大臣並びにその専務当局からも御説明をいただきたい。
  127. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 国産の動力炉の完成というのは、われわれの根本の方針でありまして、それに対する熱意は決して低下しておるとは思っておりません。ただ、国産炉を考えまする場合に、国内ないし隣接諸国等にあるところの燃料、原料をいかにわれわれの技術とわれわれの設備によってこれを活用するか、活用できるかという点につきましては、今までのところむしろそれが生産技術等が非常に立ちおくれているようにみられます。従って、ただいま御指摘がありましたような諸点、特に国産炉を中心とするところの燃料対策、あるいはその燃料に基くところの炉の計画、企画それに必要な技術員の養成、こういうものは一連の今までの経過をみますると不十分なものがあると、こういうふうに思っております。従って御指摘の点はわれわれも全然これは同感でありまして、そういう点につきましては、十分にただいま盛っております予算の範囲だけでなく、次年度以降におきましても、そういうふうな方面を特に早く解決し得るような対策を立てなければならない、こういうふうに考えております。
  128. 海野三朗

    ○海野三朗君 過日インドにおいて原子力会議が開かれました、なぜ日本にもそれを言わないのかという話しになった際に、日本はアメリカばかり向いておると言って笑っておった、日本はアメリカばかり向いておるからということを言っておられた。私はアメリカからの原子炉、その原子炉でなければならないということはないと思う。それはウラン燃料については、あの炉でいいでありましょうけれども、もう少し燃料の種類が変ってくれば、あのアメリカの原子炉でなしに、その燃料に適した原子炉が出てこなければならないと、こう思うのであります。私はアメリカの原子炉、あるいはイギリスの原子炉、それはそのときに出る燃料にプロフィットした炉を彼らは考えておるのであって日本特有のものでは私はないと思う。今申しましたごとく、ハイヤーが入ってくれば、そのハイヤーがちょっと故障すると使いものにならない、部分品をアメリカから取り寄せなければならない、原子炉もその通り。ちょっと故障ができた、工合が悪い。それは部分品だからアメリカからまたそれを買わなければ、その原子炉が使えないというようなことになっては困るのではないか。大学に原子力講座が五、六カ所できるようでありますが、それについてのさらに予算の裏づけがない、私ははなはだこれが間違っておると思う。なぜかなれば、何十億という原子炉における研究の予算をお取りになったのであるからして、それこそ基礎研究の方にもっと捨て金をなさなければいけないと思うんです、肥やしです。どうもその点は大学あたりに原子力講座、えらい学者がおっても、その予算の裏づけがないと思うのですが、そういう点についての国務大臣の御決心を一つ伺いたい。
  129. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) ただいま御指摘がありましたように、アメリカ及び英国等の先進国はそれぞれの原料環境に応じて、独特のタイプの炉を研究いたしておりまして、その点につきましては、わが国はわが国の環境に応じたような独特の炉を将来ともにこれは検討して、そうして名実ともにわれわれの技術と生産設備でもってこれを解決していくということにならなければならぬと思います。それがためには、何といっても一番人間の養成が大事でありまして、御指摘のように少くとも大学の研究予算、基礎の学問の研究に対する予算はむしろ非常に軽微な、少いものであることは、もう本年の予算をごらんになってもよくおわかりの通りでありまして、今後はどうしてもこういうふうな、やはり基本からきわめながら、そして環境に合うところの動力炉その他をわれわれは自分たちの手のものにしなければならぬ、こう考えております。御指摘の点は全くわれわれの至らぬところでありまして、次年度以降は十分に注意をしなければならぬ、また、それを積極的にそういう問題を解決していきたいと考えております。
  130. 海野三朗

    ○海野三朗君 大学は文部省の管轄でありましょうが、科学技術庁という立場から考えますと、大学にはそうそうたる学者がおるのでありますから、この原子力の研究の方に十億くらいお金を一つ分割しておやりになるお考えはないですか、そういう学者の頭を動員するということで。
  131. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) その点につきましては、いろいろの財源は考えられます。政府責任において支出すべき面につきましては、次年度以降におきましても、本年のように超党派内に一つこれをまとめて、うまく来たるべき年度の予算の編成には十分な、ただいま申されたような意見を組み入れるように配慮いたしたいと思います。なお、そのほかに先般来いろいろの研究に必要な資金の獲得方法考えられるということでありましたので、そういう面につきましても、なお積極的に配慮いたしたいと考えております。
  132. 海野三朗

    ○海野三朗君 この科学技術庁といたしましては、私は原子炉というものだけのあれじゃいけないと思うのです。あらゆるブランチに対して研究を進めていかたければならないのじゃないかというように私は考えるのでありますが、そういう点についてはいかがでございましょうか。
  133. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 科学技術全般にわたってレベルが上がりませんと、やはり本格的な、世界的な仕上げということは非常に困難であるというのは、御指摘の通りでありまして、複雑な、非常に高度な精密さを要する機械に、あるいは炉になればなるほど、総合国力といいますか、総合技術水準によってのみこれは仕上げて、また解決されていくはずでありますから、そういう面につきましては、科学技術全般についての配慮というものは、国の責任においてこれはいたさなくちゃならないと、こういうように考えております。
  134. 海野三朗

    ○海野三朗君 この核原料の物質についての科学技術庁としては、どこまで研究が進んでおられますか。
  135. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 核燃料物質に関しましては、ただいままでの段階では主として、天然ウランの精練、あるいは加工までの段階を中心にいたしまして研究試験所、あるいは科研、あるいは三菱の工業試験所等に依頼いたしまして二年以来研究を進めておるのでございます。ただ、いまではそういう成果を集大成する段階に至っておりますので、原子燃料公社を中心にいたしまして過去の鍛えました技術をアッセンブルいたしまして精練工場を作りたいという段階に達しております。  それからもう一つは、濃縮ウランの問題でございますけれども、これは御承知のように非常に多額の費用と電気を要する事業でございまして、日本ではなかなかすぐその段階に飛び込むにはむずかしいのでございますから、昨年度、三十一年度からこれに対する基礎研究を始めようというので、東京の工業大学に依頼いたしまして、その方面の研究をさしてございます。
  136. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はもう一つお伺いいたしたい。各大学に物理化学の方面のそうそうたる学者がいるのであります。で、原子力講座を設けることになったようでありますが、その研究費の裏づけがないので、その研究費の裏つけをしてやることが、目下の最大急務じゃないかと私は思うのですがね、どうなんでしょう。これはもう一年といっても、待っていられない。国庫の予備金からでも何でも出して、とにかくこれは研究してもらわなければならないのじゃないかと思うのです。今アメリカから湯沸し原子炉が入ってきたということで、まあ試験的にこれを動かしてみようというのは、あたかもハイヤーを外国から買って、それを運転のけいこをしてみようというのであって、クリエートをする、物を創造する、初めて作るということ、クリエートをするという見地から言ったならば、日本人はそれは模倣ですよ、まねなんであります。それじゃいけないのだ。ところが、そういうことを研究し得る頭がないかと申しますると、えらい学者がきら星のごとくにあるので、ただ、それに予算の裏づけがないから、来年度というようなことではいけないので、これはもう目下の私は急務であると、こう思うのでありますが、大臣の一つ御信念を伺いたい。
  137. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) その点は御指摘の通りだと思います。できるだけわれわれの予算の許す範囲内で、それはこの御心配の点を解決するように努力いたしたいと考えております。
  138. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 一、二点お伺いしたいと思いますが、核原料物質ですが、わが国における実況を見ると、相当発展したという意味の御提案がこの前なされたわけですよ。私は世界に比較してのお話しであるか、それともここ近年、二、三年の日本の状態をおっしゃっておるのかわかりませんけれども、予算の面においても、アメリカは七千億円ですか、イギリスは七百億円で、フランスが四百五十億円、日本は御承知の通りまあ百億内外なんですね。まあこういうことで、非常にりっぱな御提案で、将来大いに伸ばさなければならぬというお話しなんですが、こういう状態ではいつ世界各国に比較して日本が追いつけるかということをまずお伺いしたいのと。もう一つは、ここに第一号炉を近く運転すると、こういうことですから、おそらく、東海村ですか、東海村にある試験炉のことだと思うのですが、あれがいつごろできるのかということと。また、来年度は第二号炉ができるというようなこの前のお話しでございましたが、それはどこに大体明年度のいつごろできるかということを一つ御答弁願いたいと思います。
  139. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 一番初めの、各国にいつごろ日本としては追いつけるかという御質問のように伺っておりましたが、ただいま御指摘のありました通り国家予算からみますと、お説の通りでございます。まだ日本はそれほど多いとは申されません。しかしながら、あとから出発した国としましては、今年度九十億の予算を持ったということは、非常な飛躍的な伸びじゃなかろうかというふうに、予算面から見まして、考えられると思います。九十億の予算と申しますと、二千五百万ドルちょうどでございますが、現在のカナダ、これは世界で大体五番目くらいの原子力に関しましては進歩した国でございますが、その予算よりも少し上回っておるという程度まで進んでおりますので、今後もさらにこの調子で基礎研究をちゃんと進めて参りますと、海野先生の先ほどおっしゃいましたように、技能その他は十分ございますので、そう卑下したものじゃない、必ずや一流国に負けないで進み得るじゃないかというふうな考えでございます。  第二点の試験炉の建設状況でございますが、この五月末、もうすぐでございますけれども、第一号炉、小さい炉でございますが、の火入れを行いまして、それを中心に組んで、その他の主要な試験を行いたいと考えております。第二号炉はC・P・5と申しまして、シカゴ・パァイル・五号というやつでございますが、これは相当大規模なものでございまして、一万キロワットぐらいの原子出力を持っております。これは今年度の末から組み立てに入りまして、来年の五月ごろから試運転に入る予定でありますが、それに必要な燃料を受け入れるための協定も、一昨日でございますか、参議院で御承認いただきまして、これは確実に予定通り進捗すると思います。これは引き続きまして三十四年度の末ごろといたしまして、国産試験炉、これも一万キロくらい、相当膨大なものでございますけれども、本年度から所要の予算を盛りまして、この方の建設にかかりたいというふうな考えでございます。
  140. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次にお伺いいたしますが、将来この原料を外国に主として求めるか、日本国内に主として求めるかということをまあお尋ねしたいわけです。従いましてまあ現在の立場で言えば、あるいは外国から購入した方が、確かに安いかもしれない。しかし、将来のためには、日本は現在まあ中国地方の一部と、あるいは福島県の一部、ここしかまあ明確にわかっているところはないというふうにお伺いしているわけですが、しかし、その後、日本の国内でどこか将来有望な鉱脈であるがどうかということと、今御答弁になりました九十億の予算の中に探鉱費が、大体はっきり記憶しておりませんけれども、三億くらいの予算がある。これは技術庁のほかに通産省でも一億くらいの探鉱費の予算を組んだようですが、おそらく通産省の一億の予算の場合は石灰から金から銀、銅、こういうものの探鉱費にも充てる、こういうふうにも思われますので、そのまま金額で将来日本の安全な探鉱ができるかという点をお尋ねしてみたいと思います。
  141. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 一番初めの国産燃料を中心にするか、海外からの燃料輸入を中心にするかという御質問のようでございますが、ただいままでは、主として中国地方でございますけれども岡山、鳥取地区で発見されました鉱脈は予想以上の大きいものでございます。ただ、質、量等は、その質はそれほどりっぱなものじゃないのでございますけれども、量から見ますと、相当なものでございます。ただ、この鉱石のみをもって日本の将来の原子発電その他をまかなえるかということになりますと、これは非常にまたわずかなものでございまして、とうていこれのみをもっては満足できません。従いまして今後の調査自体によりまして、どういうものが出て参りますか、もちろんわかりませんけれども、ただいまのところでは、極力国産の燃料を開発いたしまして、これた中心に日本の原子力というものを発展させたいという理念は変わっておりませんが、かたがたやはり国連機構等を通じまして、所要な燃料はあわせて手に入れていくというふうな道が賢明じゃないかというふうに考えております。  それから第二点の岡山、鳥取地区以外に最近鉱脈が見つかったかどうかという御一質問でございますが、ただいまの段階で、一番希望を持ちますのは宮城県の気仙沼の近くに、これは非常に品位のいい鉱石が出て参りましてただ量等がはっきりいたしませんので、まだ精査という段階に至っておりませんから、量その他はっきりいたしませんが、非常に有望じゃないかというように考えます。その他の地区に関しましては、それぞれ所在の大学なりあるいは地質調査所の調査の結果、いろいろ鉱脈は見つかっておりますが、まだしかし精査に入るという段階に至ったところはございません。  それから三番目の、探鉱費がこれでいいかどうかという点でございますが、探鉱費に関しましては、全部で三億七千近くの予算を見ておりまして、これはその中で地質調査所が概査しておりますが、それに約一億、それからその他燃料公社あるいは探鉱奨励金等を合せまして、三億七千ばかりの金をつけておりますが、大体今年度はこの程度で所期の目的を達するのではなかろうかと考えております。
  142. 海野三朗

    ○海野三朗君 品質が云々と今言われましたがね。品質が悪くても、たとえば亜炭のごときものでも、相当今日利用しておるのです。研究さえすれば相当役立つのです。核原料物質にしても燃料にしても、研究を進めていけば十分使い得るというところに、私は必ず到達するということを信じるものでございます。必ずしも八千カロリー以上の石炭でなければ使えないか……。ところが五千カロリーでも使えるのだというのが、それは研究の結果です。御承知のように発電所などでは、四千二、三百カロリーの石炭を使っておる。それはつまり研究です。私はそういう点から考えまして、とにかくこの学術会議というのが二つに分れておるのは、全然工科の方の人は運転するとことばかりやることを考えている、これは工科の方です。理学の方は、ものをクリエートするもの作っていこうという方面に研究していくのが、この理学者の立場であるのです。私はその点については、もう少し科学技術庁が真剣に、ほんとうに学者の言うことに耳を傾けていただかなければならないと思うのですが、学術会議なんぞが二派に分れているのは、聞いてみるというと、理学の方では、原子炉というのは根本はこういうわけでこうなんだ……。ところがそんなことを理屈を言っているより買った方が早いのだ、運転する方が早いのだというのが、工科の立場なんです。私はそういう点についても特段に考えていただかなければならぬと思うし、このウランの鉱石は質が低いとか何とかいうことは、あまり研究が足らないから、そういうことになる。亜炭のように、四千カロリーぐらいのものでも、発電用に使えるのだから何しろ七千カロリー、八千カロリーの石炭、高級の石炭を要しないのだ、研究の仕方がよければ。その点についての一つ御所見を伺うことと、もう一つは、人形峠から出たウラン鉱、あのウラン鉱をごらんになった委員の方々がここにいらっしゃいますか。ウラン鉱、あれに赤外線の光を当てたときに、紫色の光を発する。あの鉱石をおそらくごらんになった方は、このうちであらっしゃらないと思います。で私は、原子力については、少くとももう少し宣伝といってはおかしいのですが、やっぱり原子力局長あたりがこの赤外線のあれをもって国会に来て、代議士の前でちょっと見てくれと言うぐらいにして、原子力に対する熱をぴっと上げていかなければならない。九十億なんというと、大した金のように考えるけれども鼻くそですよ、アメリカでは。私が行ってきたところによると、莫大なものなんです。そこで私はどうしても科学技術庁が率先して、この方面をみんなの認識を深めてもらうようにしていただかなければならないと思うのですが、これはどうなんですか。御意見を承りたい。
  143. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) その通り考えます。そういう線に沿って努力いたします。(笑声)
  144. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。それではこれより両案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  147. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致と認めます。よって両案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容議長に提出する報告書の作成その他事後の手続きにつきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それから、両案を可とされた方は、順次ご署名を願います。   多数意見者署名     古池 信三  小西 英雄     豊田 雅孝  白井  勇     青柳 秀夫  小幡 治和     後藤 義隆  松澤 兼人     相馬 助治  阿部 竹松     海野 三朗  島   清     高橋  衛  三浦 義男     高橋進太郎  加藤 正人     小林 孝平  西川彌平治   ―――――――――――――
  149. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に合成ゴム製造事業特別措置法案議題として質疑を継続いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います……。ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  150. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をつけて。
  151. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま審議中の合成ゴム製造事業に関して、政府資金を投入いたします場合に、これは一つの形を持った出資の方法だと思うのです。この種の出資の形態が他にもあるかどうか。そしてこの種の出資が最も理想的であると考え政府が採用した理由、これらについて承わりたいと思います。
  152. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 前例はございません。電源開発促進法に基きます電源開発会社につきましては、やはり開発銀行出資、うち産業投資特別会計に振りかわりになりましたけれども、会社の形態は若干これより違っております。それは前にも御説明したかと思いますが、この法案成立当時の状況からして、こういう形態以外にはとり得なかった。そういう意味でこれは最も適当な形態である、このように考えます。
  153. 相馬助治

    ○相馬助治君 この種事業の、また、この種会社の形態から、必然的に、かかる新しい様式による投資方法を採用する以外に道がなかった。しかもその投資方法が最もこの際妥当であると、かような自信を持っておやりになったのだという意味の答弁ですが、これが今後この種事業を推進していく際において支障となるようなことがないかどうか。しかも、そのことには、政府としてはあくまで自信をお持ちであるかどうか、この際通産大臣の御見解のほどを念のために伺っておきたいと思います。
  154. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 私は最も妥当な形式だと考えております。と申しますのは、前にお話ししましたような工合で、一定期間の間、事業が停帯しないために、国家が援助する必要があるというものですから、もし、これが採算がとれるというときになったら、開発銀行なり、国が持っている株式は、民間に開放してしまって、そうして政府は援助を打ち切る、こういう形がとれますので、従って電源開発というようなふうに総裁以下全部政府が任命するというような特殊会社にしなくても、この程度の形が適当ではないかと考えております。
  155. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  157. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私はこの法案には賛成であります。ただ、賛成ではありまするけれども、本会期中百五十日の間に三つの法案に賛成しながら、非常に不安な法案があります。賛成しながら不安だということは、非常に矛盾に聞えるかもしれませんけれども、第一番は、科学情報センター、これについては非常に趣旨がけっこうであるし、こういうことをやらなければならない、しかしながら、将来どうなるかということについて非常に心配ながら賛成したわけであります。その次は、休憩前にお話しいたしました東北興業株式会社の問題、三番目がこの問題であります。しかしながら、このゴム業を扱っている人のお話を伺うと、数年前から非常に東南アジアとか、あるいはマレー、こういう方面でゴムの生産が非常にふえた。従って価格も安くなるだろうというようなことで、果して合成ゴムの価格と純ゴムとのバランスがとれるかどうかという問題が第一点と、それから法案内容によりますと、政府が金を持ち出し、あるいはまた、開発銀行に連絡をつけてまた金を貸してやる、こういうような格好になりまして、その最高責任は当然取締役会長の任命権すら持っている通産大臣にあるのでございますから、金を持ち出すのと責任だけとを日本政府が負うのではないかという心配があるわけであります。従いまして趣旨は非常にけっこうでございますからそういう運用の面でつぶれかかったゴム会社の重役さんを迎えるとか、そういうことでなしに、人事の面にも十分配慮していただいて、この本法を施行する際に、特段の御配慮を通産大臣にお願いいたしまして、賛成討論を終ります。
  158. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。合成ゴム製造事業特別措置法案全部を問題に供します。本案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  160. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容議長に提出する報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それから本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     豊田 雅孝  白井  勇     青柳 秀夫  小幡 治和     後藤 義隆  加藤 正人     高橋進太郎  古池 信三     相馬 助治  阿部 竹松     海野 三朗  島   清     高橋  衛  小林 孝平     三浦 義男  小西 英雄     西川彌平治  松津 兼人   ―――――――――――――
  162. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、自転車競技法の一部を改正する法律案及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  163. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま審査中の自転車競技法の一部を改正する法律案に関しまして、二、三の点をこの際政府にただしたいと思います。  まず、この法律の改正の政府の提案趣旨を読みまするというと、射幸心をそそるこの種の競技ではあるけれども、これから上ってくる収益を地方自治体に、あるいは社会、公共のために使うということのために、この競技法を改正して、よりこれを健全化ならしめたいと、かように述べております。まことに趣旨はけっこうだと思いますが、そこでこの法律の許す範囲内において、施行者並びに新しく生れまする日本自転車振興会等が社会保障のために、たとえばガン対策であるとか、結核対策であるとか、こういったものに対して費用を捻出するために、本法の許す範囲内において何らかの施行をしたい、かように願い出た場合に、一体政府はどのように指導される御決意か、この際この点を明瞭に承わっておきたいと存じます。
  164. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 競輪からの収益は、機械及び自転車の振興と地方財政に使われておりますが、実はこの地方財政につきますものは、従来社会福祉とか公共施設に使われているわけであります。そこで、先般本法を衆議院で御審議いただきました際に付帯決議がございまして、競輪の業者は車券売上高の百分の一に相当する金額を社会福祉と公共施設のために出資するよう措置すること、かような付帯決議がつけられておりますので、私どもといたしましては、よく関係官庁及び競輪施行者と相談しまして、かような趣旨におきまして、ただいまの御指摘のガンの研究の問題はこの中に入れて考えておるのでございます。
  165. 相馬助治

    ○相馬助治君 このガン研究というような問題は、かりに手をつけまするというと、これは相当巨額の費用をもってしなければ、ほとんど意味をなさない、かように存じます。従いまして本法によって規定されておるように、一たん地方自治体が収入をして、それをそのような社会保障のために支出するという形態をとりますれば、金額の面においておのずから限度が生じてくると思うのです。しかも、その施行方法をオリムピック費用捻出の方式をとるか、あるいはまた別途の道をとるかというようなことによって、だいぶ問題が分れてくると思うのです。政府としては、ただいまの答弁は法の許す限りにおいて、これらの問題については積極的に考慮していきたいと、かような答弁と了承して差しつかえございませんか。
  166. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 今の御趣旨の通り、できるだけ善処したいと思います。
  167. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は次に、機械貿易会館の問題に関連いたしまして承わりたいと思うのですが、最初政府は機械貿易会館設立を考慮いたしまして、一億八千万程度の出資をするということを発表し、自転車振興会あるいはその連合会等の協力を求めて事業を進めて参ったのでありまするが、中途で政府がその計画が挫折いたしまして、私の調べたところでは、展示室用としてわずかに九百五十万を大蔵省が渋々出したという経緯を承知いたしております。この機械貿易会館には、振興会及びその連合会等より一億二千万以上の金が出資されており、その出資の形態は無利子、無期限、出世払いというようなことで、まことに珍しい出資の形であるというふうに私は承知いたしておりますが、こういう経緯になったその状況をあらためて承わりたいことが一点と、今度法が成立いたしまするというと、日本自転車振興会というものが新しく生れまするが、この際、機械貿易会館に関して振興会及びその連合会が出資していた出資は、新しく生れる振興会にどのような形で引き継がれるものなのか。あるいは引き継がれないものなのか、これらの点について具体的に承わりたいと思います。
  168. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 第一の問題でございますが、これは当初、実は当時私も事情をよく知りませんが、聞きますと、相当政府で金を出したらというふうな意見もあったように聞いております。原案もあったように聞いておりますが、結局これは政府としましては、展示会、自転車の展示に対する補助だけをするというようなことで、展示室の補助ということで、約九百五十万円程度の補助をしたというように開いております。従いまして、できるだけ民間の出資によったわけでございます。従いまして、あとの部分は全部民間で自主的にきめられたものでございますので、われわれといしましては、大体民間の方々のやることにまかせて、かような結果になったわけでございます。それから、従いまして結局民間の出資によった金でございますので、これをまあどうするかという問題もございますが、これは本法の施行後におきまして、よく関係者と協議し、できるだけ筋の通った最善の方法をとられまして、通産省としては十分な監督をしていきたいと、かように考えております。
  169. 相馬助治

    ○相馬助治君 最後に一点伺います。それは競輪関係の従業員の身分確保の問題です。競輪関係の従業員と一口に申しましても、連合会に使われている者があり、施設を持っているものに使われている者があり、施行者に使われている者があり、種々雑多でございまするが、今かりに、施行者に使われている従業員だけを考えてみましても、莫大な金額を取り扱って、実に責任の重い仕事であるにもかかわらず、その身分はほとんどといっていいほど臨時員でございます。しかも、これらの人人が施行者等にその身分確保について陳情をするというと、従前は、本来ならば君たち失業者の群にいるべきものを、中間的にこの競輪によって君たちを使っているのであるから、いやなものはまあやめてもらうほかはないと、こういうようなことで片づけられているように承わるのでございます。かように考えて参りまするというと、この従業員の問題は、競輪自体が将来どうなるのであるかという基本的な問題と関連を持ち、かつまた、その仕事の内容がきわめて重要かつ責任を要する金の取扱いを中心とするものであるというようなことを考えると、これをどのように将来律していくべきかということについて、事実問題としてはきわめて大きい問題だと思うのです。私は、ただ単に理想論を申し上げて政府に善処方を求めるのではなくて、現実にこういう問題をキャッチされまして、政府は今後どのようにこの問題を考えていく御所存か。この際本法改正に伴って、いい時期でございまするから、基本的見解を承わっておきたいと思うのです。
  170. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) この点につきましては、実は前回にも御質問がございましたので、その際申し上げたかと存じますが、われわれとしましては、よく実情を調査いたしまして、安定して仕事ができますように、待遇その他について十分研究し善処していきたいと、かように考えている次第でございます。
  171. 相馬助治

    ○相馬助治君 待遇及び身分につきまして御考慮願いたいと思うのだが、どうでしょう。
  172. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 身分の問題及び待遇の問題につきまして、十分検討いたしまして善処いたしたいと思います。
  173. 海野三朗

    ○海野三朗君 この自転車競技法、よく電車に乗るというと広告が出ているのですが、これは一体どこが一番もうけるのですか。
  174. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 結局競輪の法律の趣旨で御承知の通り、地方財政に相当入るわけでございます。それからあとごく一部が自転車及び機械の振興費として吸い上げられて使われていく、かような二つの点でございます。
  175. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうすると、割合がどれくらいになっているのですか、地方財政に寄与しているのは何%くらい寄与しておりますか。
  176. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 申し上げます。これも前回申し上げましたが、施行者の純収入といたしまして、昭和三十年度の実績でございますが、車券売上高の一〇・二%と、かようなことになっております。それからさっき申し上げました機械及び自転車の振興費に使わておりますものは、一・一%であります。
  177. 海野三朗

    ○海野三朗君 一〇・二%といいますというと、一割ですね。それから振興費に何%ですか。
  178. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 振興費は一・一%でございます。金額的に申し上げますと、大体競輪の売り上げを年六百億円とみますと、一〇%、一割としますと約六十億円程度、それから一・一%としますと六億円程度と、かようなことになります。
  179. 海野三朗

    ○海野三朗君 この前自転車振興会から理研の方に、お金が足りないというので何千万円かを科研の方に寄付された。そうして学術の振興に非常に寄与されたわけでありますが、先ほど私は原子炉のことについて申し述べましたように、大学あたりの研究費の足りないものは、何かこういう方面から一つ金を出させる方法はないものですか、基礎研究はどうなんですか、たとえば自転車の機械の方の研究と申しましても、材質を詳しく調べないといけないでしょう。やはり根本は基礎ですよ。そういう方面にこのもうけから寄付させることが必要であると私は思うのですが、どういうふうにお考えになりますか、ある特殊のものだけにやっているのではいけないのではないか。
  180. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) ただいま御指摘の科研に出しました金額も、実は自転車の研究とか自転車用の材料とか、さようなことの研究の研究項目をきめまして委託をしたわけでございます。さような見地から、かりに民間の研究所とか大学でも、さような、この本法の趣旨に合いますような目的で使われますものがございまして、これは大体協議会できめておりますが、その趣旨に沿って日本の機械工業なり自転車産業の発達に役立つというものがあれば、その範囲において考えられ得る問題だと思います。しかし、具体的にはどういうふうなものが一番いいかということを、よく検討の上できめるということになっております。
  181. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はもう少し寄付してもいいのじゃないかと思うのですが、一〇%、一割くらい、この経度はどういうふうにお考えになっておりますか、これはよけいだと思っていなさるか、少いと思っていなさるか、どうです、当局は。
  182. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 一・一%は法律規定しました率によりまして取られておりまして、従来の法律によります率がそのようなことになっております。これは平均いたしまして、いろいろ売上高によって高い低いはございますが、平均いたしますと一・一%、従来の法律もそうなっておりますし、今回の改正案においても同じような率を出しているわけでございます。
  183. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうすると、この率は研究の余地がまだあるわけですね。これはどうなんですか、研究の余地があると私は思うのだがどうなんですか。
  184. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 将来の問題とうては、研究の余地があると思います。
  185. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私は小型自動車のことについてお伺いしたいと思います。実は自動車のこの第三条の二からこうずっと見ますと、オート・レース場を将来もふやすように考えられるのですが、将来もこのオート・レース場をふやすということですか。
  186. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 従来小型自動車は登録制をとっておりましたが、今度は競輪にならいまして、許可制にするわけでございます。それから先般競輪について説明いたしましたと同じような方針で、今後の許可はいたさないと、かような方針に考えております。
  187. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると三条以下要らないということになるのじゃないですか。通産大臣に届けるとか、やろうとするところは「省令の定めるところにより、通商産業大臣許可を受けなければならない。」あるいはまた二号の「通商産業大臣は、前項の許可をしようとするときは、省令の定めるところにより、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聞かなければならない。」こういうのをやらないとすれば、何ら必要のないものだというふうに考えるわけですか。
  188. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 第五条の新しく設置するという場合の許可を受けなければならない、確かに今後許可をしないという行政方針をとっております。しかしながら、法体系としては一応かような建前になっておるわけでございます。それから第三条の二は、これは従来施行者がする届け出の方でございます。従いまして、われわれとしましては、今後しないという方針は行政方針でございまして、一応法律建前は競輪の場合でも、オート・レースの場合でもほかのものと同じように、かような法体系をとったわけでございます。
  189. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 第一条の修正される点の中に、「小型自動車工業の振興に寄与する」ということがありますね。しかし、どれだけまず寄与になるのですか、具体的に。
  190. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) これも競輪と同じように振興費をとりまして、その振興費が実は小型自動車のいろいろの振興のための費用に使われておるわけでございます。その性能を改善するための研究とか、あるいは設備の改善とか、さようなことに充てることになっておるわけでございます。
  191. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 開催当初から大体でけっこうでございまするけれども、三十一年度まで大体どのくらい振興費に使ったか、お知らせ願いたいと思います。
  192. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) これは小型自動車関係の振興費といたしまして、実は従来は国家予算で出された当時、二十六年、二十七年、二十八年の合計が一億四千万円、それから二十九年以降の臨時特例法によりまするもの、三十一年までで八千二百万円であります。
  193. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次に、「地方財政の健全化」ということが書いてございましたね。しかし、地方財政の健全化ということは、自転車競技法の一部を改正する法律案にもあるわけですね。ですからこれが地方財政の確立とか、寄与するためであれば、日本全国になければならぬはずなんだね。東京周辺とか神奈川周辺とか、埼玉周辺にだけ集まっておるということは、これは矛盾を感じませんか。それと同時に、これがほんとうであれば、全然ないところから新しく開催したいから一つ許可をして下さいと言ったら、許可をしなければならぬという理屈になりますね。この点はどうお考えですか。
  194. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 今の問題は、実は小型自動車競走につきましては、一応新たに許可をしないという方針をとりましたので、従来認められていたものしか認められなかったということになっておる、こういうわけでございます。従いまして過去の歴史と申しますか、そういう実情から来る問題でございます。  それから各施行者として開催を均霑化する問題は、これは小型自動車としては、非常に範囲が狭いものでございます。競輪については、そういう問題が実は衆議院においても御議論になったわけでございまして、われわれとしましては、実情を見ながら、できるだけ均霑化の努力をしていきたいということを考えておるわけでございます。
  195. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 均霑化の努力ということは一〇〇%のうち七五%は歓迎すると、あと二五%これは自転車と同じように施行者協議会とか、あるいは振興会で分けるのですね。とにかく地方財政に入る分を政府が吸い上げて、そうして日本全国に配分すると、こういうことですか。
  196. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) そういう意味ではございません。実は施行者がたくさんある場合に、一つの競輪場といいますか、小型自動車を作ってやらせるようにする。ということでございます。しかしながら、オート・レースの場合は、非常に範囲が少のうございますから、均霑化の度合がなかなかうまくいかないのじゃないかと考えておりますが、これもできるだけ努力いたしますが、競輪については、とにかく一つの競輪場を使う施行者のおのおのの回数を均霑化するという考え方でございます。
  197. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちょっと私伺いたいのですがね。地方の財政を救うという、つまり神奈川県なら神奈川県でもって競輪場をやって、もうけたやつは神奈川県の町村の財政を救うというふうに持っていっておられるので、東北のような貧乏県がたくさんあるところは一向おかまいなしで、その地方だけがどんどんよくなっていくということを考えますと、どうもこれがあまりぴんとこないのですが、どういうふうにお考えになっているのか、市町村に対してどういうところにしてやる、どういうところにしてやらない、こういうところの選定は通産大臣がおきめになるわけですか。
  198. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) これは競輪の場合だと思いますが、そういう場合は、従来しばしば自治庁が一応財政状況とか、重要な点を勘案して、申請があった場合に、施行者として、もちろん従来は競輪の場合は都道府県はできますが、市町村の場合は、さような場合に指定をして許しておるわけでございます。
  199. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はそういう際に、地方の恵まれざる人を救うという意味であるならば納得いくのでありますが、ある特定の地方だけが救われるというのでは、あまりほめたやり方じゃないと思うのですが、どういうようにお考えなんですか。
  200. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) さような調整の点は、実はこの前大臣からも御説明申し上げましたが、地方自治庁で特別交付税あたりをきめます場合に、競輪の前年度の収入というものを考慮してきめることにいたしておりますし、さような点で、均霑化の点も解決されると思いますが、しかし先ほど申し上げましたように、施行者が新しく指定される、従来の施行者との均霑を欠くというふうな場合について、漸次できるだけ均霑化の努力を進めていくように、われわれとしてはしたいということを申し上げておきます。
  201. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 第五条の三項ですかによると、開催するときは公聴会を開いて利害関係人の意見を聴取しなければならぬ、こういうものがございますが、今まで通産省が認められた個所のそれぞれに対して、公聴会を開いたことがございますか。
  202. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) オート・レースの御質問だと思いますが、オート・レースについては、かような条項がなかったので、今回これを入れたわけでございます。ですからオート・レースにはかような例はございませんでした。ただし、競輪についてはかような規定がございました。競輪場を許可する場合には、この例によったわけでございます。
  203. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それで小型自動車、オート・レースですね、これは車体検査をやるのですか。
  204. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) いたします。
  205. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その車体検査というのは、走るために間に合うというだけの車体検査であって、ほんとうの規格にはまったオートバイならオートバイの規格検査に当てはまるもんであるかどうかということをお伺いいたします。
  206. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 車体検査は三回いたします。その場合にもちろん車体検査目的は安全の点というふうな点を主として考えておるわけでございますが、大体申し上げますと、競走する二日前にやりまして、それからその当日にやりまして、それからまた競走に入る直前にやる、かようなことになっております。
  207. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その安全のためにやるということになりますと、私しろうとでよくわかりませんけれどもね、ある競走場で競走するオートバイの片方の足のペタルを取ってあるわけですね。ペタルがない。片方の足のペタルしかない。これが安全であるかどうかということ。急カーブですからむしろペタルがひっかかるから安全であるといって取ってあるかもしれませんよ。しかし、片っ方のペタルのないオートバイが安全のためにという理屈にはならぬと思うのですがね、こういうところの御見解はいかがでしょうか。
  208. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) どうも専門家でないので、専門家によく確かめなければいけませんが、一応聞いているところでは安全であるという見解だそうです。
  209. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 法律を出すときに確かめてみなければなりませんけれども、安全であると思いますでは、これは大へんですよ。私はオート・レース場に行ったとき、たまたま犠牲者が一人出たわけですね、そういうことがあるのですよ。ですから、そういうようなペーパー・プランで出すということはもってのほかだと思うのですよ。今まで始めてから本年の三月三十一日まで事故者たくさん出ているでしょう。けが人が何人で、死亡者が何人か、ちょっとお知らせ下さい。    〔「簡単々々」と呼ぶ者あり〕
  210. 古河潤

    説明員(古河潤君) お答え申し上げます。ことしになりましてから四月末まででございますが、なくなった方が五人おられます。
  211. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 このなくなった方はどういう処置をされるわけですか。もう災害補償ももらえないわけでしょう。保険くらい入っておられるのですか、災害補償の。
  212. 古河潤

    説明員(古河潤君) なくなった方に対しましては、なくなったケースに応じまして、競走中になくなった方には六十万円の死亡弔慰金が全国小型自動車競走会連合会から支給されます。
  213. 海野三朗

    ○海野三朗君 私この自転車についてお伺いしたいのですが、交通事故というのは、一体自転車に乗っておる人の割合、どうですか、ハイヤーに乗っておる交通事故と。警視庁の前を通るたんびに三人、五人と死者が書いてありますけれども、けが七十人とか八十人とか書いてありますが、東京都内だけでしょう。自転車に乗っておる、実に危ない。私は車の中から見るから危ないのかもしれませんが、実に危ないのですけれども、どのくらい事故がありますか、自転車事故。
  214. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 御指摘のような点はあると思いますが、私ども所管でございませんので、やはり警察関係からじゃないと正確な数字は申し上げかねると思います。
  215. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はこの間アメリカ見てきたんですが、アメリカでは自転車はほとんど見られないのですね。みんなハイヤーとトラックばかりなんです。これはまあその国の貧富の程度にもよるのでありましょうが、町を走っている自転車はほとんどない。あれはやはり何というか、富の程度によるのでしょうか、どうなんですかな。
  216. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 私はよく存じませんが、アメリカでもおそらくいなかでは走っていると思います。(笑声)と申しますのは、要するに、イギリスあたりからアメリカに自転車輸出しております。われわれも自転車を輸出したいと思って目下研究しておるわけであります。イギリスあたりは御承知かと思いますが、相当自転車が走っておるのです。
  217. 海野三朗

    ○海野三朗君 どのくらい輸出していますか、今アメリカに。私いなかの方はずいぶん回ったんですが、自転車はほとんどない。
  218. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 日本の自転車のアメリカヘの輸出はこれからでございます。われわれとしては見本を送ったりしていろいろ研究しております。
  219. 海野三朗

    ○海野三朗君 今まではまだ輸出していないのですか。
  220. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 東南アジアとか、ほかの地域――たとえばインドネシア、そういう地域には輸出しておりますが、アメリカ向けにはまだ輸出されておりません。今後この方面にわれわれとしては努力したいと考えております。
  221. 島清

    ○島清君 私はいろいろとお聞きしたいのでございますけれども、時間も経過いたしておりますし、与党の諸君は早くこの法案を通過をさせてもらいたいという要望がございますし、私ももし上げていただくならば、ここらのところの要求が、質疑応答から見まして、付帯条件などをつけていただくならば大へんに仕合せじゃないかというような話をいたしましたところが、よかろうという、つけていただくというような御了解のようでありますので、簡単に質問をいたしたいと思います。従いまして、時間の関係もございまするので、それにお答えをいただきまする政府当局も、簡単明瞭に一つお答えを願いたいと思います。  改正法案の中では最も眼目でありまする地方財政の増収をはかるということを、健全化ということになっておりまするけれども、それは何を意味するか。今までは地方財政は不健全であったのか、あえて健全化というふうに目的を変えられたのはどういう意味ですか、お答え願いたいと思います。
  222. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 意味は、地方財政に寄与するということと同じ意味であります。最近ほかの法令でそれと同じような言葉を使っておりますので、さようにいたしたわけでございます。地方財政に寄与するということとほとんど同じ意味でございます。
  223. 島清

    ○島清君 改正法案をながめて見まするというと、大体において今まで自転車振興会連合会、これが基本法の中に非常に少い、わずかな規定しかなかったので、これがほとんど連合会を規定するような改正法案になっているわけでございますが、従いまして、連合会は非常に強化されたわけでありますが、これを強化いたしますことは、私は反対ではございません。賛成でございまするけれども、しかしながら、地方には自転車振興会があり、さらにまた中央には日本自転車振興会がある、ところが、法律の性格からいたしまするならば、地方の振興会と中央の日本自転車振興会とは直接的に関連を持たないわけでありますが、今までの振興会と連合会との関係は同一組織である、従いまして、不離一体にいたしまして、仕事を遂行いたしまする場合にも、血の通った仕事ができたはずでございますけれども、将来これが発足いたしますというと、こういったような他人行儀的なみぞができてくるのじゃないか、そうして、そういうような他人行儀的な立場に立って競輪が運営されるのではないかというような心配があるわけでありますが、この辺はいかがでございましょうか。
  224. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 御指摘のような点につきまして、実はわれわれ配慮いたしまして、この中央の新しくできまする日本自転車振興会には実は運営委員会というのを置くことになっております。この運営委員会には競輪に関する学識経験のある方が委員になられるわけでございますが、さような委員として地方の振興会の代表の方にも入っていただきまして、この運営委員会において連絡をとり、中央、地方の連絡に遺憾ないようにしたいと、かように考えております。
  225. 島清

    ○島清君 今、私が御指摘を申し上げた点は、なるほどそれはお前の指摘した通りであるが、そういうことが起らないように、運営委員会においてその弱点を補っていきたい、こういうわけでございますか。
  226. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) まあ、さような趣旨でございます。
  227. 島清

    ○島清君 競輪が、私、案じまするに、世論の支持を受けないということは、内部のそれに関係をする方々が競輪を大義とする信念に欠けておったがゆえじゃないか、こういう工合に考えるわけであります。従いまして、競輪を健全にして、さらに世論の支持を受けてやっていこうとするのには内輪においてその関係者が人の和をもって運営をしなければならないと思います。ところが、私たちが内部をながめて見まするというと、残念なことには連合会といいましょうか、連合会は今まで配分のあっせんをしておられたわけでありまするが、配分のあっせんをすることによって自分が雇っているんだ、雇い人みたいなような命令的な態度、雇用者的な態度で臨んでおられた。そこに大いなるところの摩擦が起っておったわけでありますが、今ですら、何ら法律的根拠を持たない連合会が、命令的な態度に出てそうして人に刺激を与えまして、必ずしも内部の間柄はしっくりはいかなかったと、こういうふうに私は遺憾ながら思っておるわけであります。従いまして、こういう工合に強力な権力を法律的に付与されまするというと、この権力の上にあぐらをかいて、そうして関係者、なかんずく選手等の関係においては何だか知らないけれども、ここに権力関係において服従せしめよう、いやこれは新憲法下において基本的人権云々ということによってますますこの対立状態といいましょうか、何といいましょうか、こういうものが助長されるんじゃないかと、こういう心配なきにしもあらずでございまするけれども、ここらのことについては何か特別な配慮をお持ちでございましょうか。
  228. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 御指摘の点は、結局自転車振興会の運用の問題だと存じます。この前大臣から、あるいは政務次官からほかの機会にお答えしたと思いますが、できるだけ民主的にやらせるようにわれわれとしては努力さしていきたいと、かように考えております。
  229. 島清

    ○島清君 日本自転車振興会の中に運営委員会というものをお持ちになるということでございましたが、これに選手会の代表、選手代表を入れて今のようなお考え、円滑な運営に寄与していくというようなお考えはございませんでしょうか。
  230. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 御指摘のような点は十分考えていく必要があるのではないかと、かように考えております。
  231. 島清

    ○島清君 ここに振興会の、もちろん私の振興会と申し上げますのは日本自転車振興会でございますが、振興会が法律の上において完全にあっせんができると、こういったような職業紹介みたいなこういうものがうたわれておるわけでありますが、この連合会がおやりになりますこのあっせん業務ということについては、職業安定法からいたしましてもとやかくの批判があったわけでありまするが、こういうような点については労働省等とも十分に話し合いをされて、それでそういうような問題についてはいささかも抵触することはないんだ、こういうようなまあ確信をお持ちになってのことでございましょうね。
  232. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 連絡をして、さような処置をとったのでございます。
  233. 島清

    ○島清君 これはあれですか、連合会の時代にはあっせんをされることによって何がしかのあっせん手数料といいますか、何といいますか、そういうものを徴収せられていたようでありますが、別段、売り上げの中から振興会に交付されるのがありまするので、これによってまかなうのであって、あっせんに関連をして、さらに地方自転車振興会から何がしかの金をお受けになるという考え方はもちろんないでしょうね。
  234. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) ないと思います。
  235. 島清

    ○島清君 思うというだけじゃ大へんに心細いのですが、この点だけは非常に明言をしていただいた方がよろしいと思います。
  236. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) ございません。
  237. 島清

    ○島清君 今競輪が世論の支持を残念ながら強力に受けることができないので、それでいつも競輪に関係をする従業員の諸君、これは施行者の方にも言えると思うのでありまするけれども、関係者の諸君が暫定的な気分で働いておられるのじゃないかと思うのです。すなわち中腰で働いておられる。やはりこれだけの国家的な事業、よしんば批判があるにいたしましても、これだけの国家的な事業を遂行するのには、この事業を通じて国家社会に貢献しておるのだというような不抜の信念を私は持つことが必要だと思うのです。これは何にもかかわらず、この信念があってこそ私は世論の支持を受けることもできると思うのですよ。こういうようなことについて何か特段のお考えをお持ちですか。
  238. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 先ほどの御質問のお答えと同じようなお答えをして恐縮でございますが、われわれとしてはよく身分とか、待遇について検討をし、できるだけ善処していきたい、かように考えております。
  239. 島清

    ○島清君 局長はそういう先ばしった御答弁をなさらなくてもいいのです。私は従業員の身分関係を聞いているのじゃない。たとえば設備をするにいたしましても、いつ何どき競輪がやまるかわからない、こういったような心配があるのでありますからして、その暫定性に基いて設備をしようとしない、施行者にも言えるのです。それはまた地方の振興会にも言えることなんです。だからこういう方々が、これを世論の支持を受けることができるなり恒久化できるのでありまするから、これに基いて競輪をもっと発展せしむるということが私は関係者の念願だと思うのですね。それに対してはとやかくの批判は別にいたしましても、その行政の指導をされるのは通産省当局でありまするので、こういったような立場に立った格段の御配慮をなさる御意思があるかどうかということをお聞きしておるのです。
  240. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 御指摘のように、この法律は競輪の弊害を最小限度にとめながら競輪を存続していくと、かような方針でございますので、われわれとしましてはさような意味におきまして、安定するような方法で御趣旨のような措置をとるように努力していきたいと、かように一考えております。
  241. 島清

    ○島清君 まあ競輪場の増設はお認めにならないということでふやさない方針をとっておられるということについてはわかるような気がしますけれども、しかしながら既設の競輪場が単なる一地方長官の考え方によって廃止をされるということは、せっかく法律を作って、その法律のもとにおいて行われるこの種の事業がただ地方の事情において廃止をされるということについては、私はこの競輪を運営する面において大いに考えなければならない点があると思うのです。それを許可認可をするならば、これを自由にやめる場合についても通産省の了解が必要だと、私はすべての事業についてこれが必要だと思うのですが、たとえば私が聞きたいのは豊中の例ですね。豊中は大阪府にありますけれども、赤間文三という知事はそれはやめたいと、しかしながら周辺の市町村長はこれをやりたいと言っているのですね。法律のもとに競輪場が許可認可をされて、そしてやられておるものがその選挙を目当てにしますところの知事の何か風の吹き回しでこれが廃止をされると、そして今まで関係しておった人が何の予告なしに迷惑するというこの事態について、将来これが起った場合にはどうされるかというようなことについてお聞きしたいと思います。
  242. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 将来やめる場合に、やめられた施行者、競輪場の設置者、それを善処してさような事態が起らないように、それによる影響を少くすると申しますか、処置することができるように善処すべきであると考えております。
  243. 島清

    ○島清君 豊中を例にとりましたが、通産省はどういうふうな対策を講じてこられたのでございますか。
  244. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 大阪府に善処するように要望した程度でございます。
  245. 島清

    ○島清君 局長は先日の質疑の中で、選手が施行者とは契約関係にあるのだと、こういうことを言っておられました。この契約関係であるのか、自由の職業であるのかということについては、内部におきましても議論の分れるところでありまするが、しかしながら登録を受けて、試験を受け、さらにこれを職業として立っておるからには、これはやはりそのことによって生活が保障されるという建前でなければならないと思います。そこで契約の問題でありまするが、契約というものは、これは双務契約でございまして、契約の原理というもの、債検債務は平等でなければならない、平等の立場において締結をされなければならない。ところが、選手は連合会の配分を受けて、そうして自分のからだを調整をしまして、そうして出場するわけであります。参加をするわけでありますが、しかしながら情報が悪いというて、すぐ帰される場合もある。これはまさしく契約違反なんです。この契約違反に対しまする保障というものがないわけでありますが、もし契約でありという建前からいたしますならば、当然に契約違反を平等に負担をせねばならぬということでございまするが、そういう事態が発生いたしました場合に対して、今後どういうふうに選手の契約上の損害を補償されるつもりでございますか。
  246. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) その点はなかなかむずかしい問題ではないかと考えております。従来の契約によっての考え方によって処理されていると私ども了解しておりますが、御指摘のような点もあるかと存じます。よく研究いたしてみたいと思います。
  247. 島清

    ○島清君 鈴木局長さん、もっと誠実に御答弁いただきたい思うんですが、むずかしい問題だから私はここではっきりさせたいと思いましてあなたに御答弁をいただいているわけです。ですから、今までにも内部関係においては、とにかくそういう事態がしばしば発生している。選手は配分をもらい、それから参加の承諾書を出す、契約を締結するわけですが、行きますと、お前は情報が悪いから帰れといって帰される。こういう問題については、帰されるならば当然に受けるべきところの予想される収入を損害の補償として持たして帰すのだったら、これはまさしく平等な契約条件ですね、ところがそうじゃないのです。単に情報が悪いからといって帰されるということだったら、これは契約にならないと思うのです。ですから、こういうことについては、どうしてもこれは契約であるということを建前といたしまするならば、これは不平等な契約でありまするからして、ちょうど日米安全保障条約みたいに、これは不平等の悪条約でありますので、一つ改訂をしてもらわなければいかぬのです。ところが、私などもこういうことを法律の文句の中にうたいたかったのでありまするけれども、与党の諸君が早く上げてもらいたいというお考えのようでありますので、私も施行者諸君とか、振興会の諸君を十分知っておりますので、この法案をそうそう長く引っぱる立場にもございませんので、与党の諸君の要望におこたえをいたしまして、二時間くらいに予定をしておりました質問の時間を二十分くらいで打ち切るというわけでありますので、ぜひ一つこの問題は、後日そういうことのないようにしていただきたい、こういうふうに思います。  今後は女子の選手の問題についてお聞きしたいのでございますが、今女子選手が御承知の通り一割くらいおりますけれども、五百名――少し足りないと思いますが、おりますけれども、この女子レースが少いので、生活を安定せしむるという配分がもらえないのですね。将来どうされる考え方ですか。
  248. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) いろいろその点については施行者といいますか、出場を要求する方の需要関係というふうなものも、やはり一つの原因ではないかと考えております。従いましてできるだけ配分に当ってさようなチャンスが多いように努力すべきであるとわれわれは考えております。
  249. 島清

    ○島清君 競輪の不合理性といいましょうか、何といいましょうか、施行者の方は地方行政の方に通ずる、それから振興会は通産行政の方に通ずる、二重みたいになっておるので、さだめし皆さん方も非常におやりにくいのではないかと思うのでございますが、そういうような関係で非常におやりにくいというような点はございませんですか。たとえば今のような問題でもやりにくいことなんですね。選手もあなたたちの方で督の監日本自転車振興会の方があっせんされるけれども、しかしあっせんする範囲というものはきまっておる、これは非常に狭いのです。自由に仕事をふやして――女子レースをふやしてもらいたいとか、そうして二本、三本の配給をやりたいと思っても、それは実際に競輪を実施されるのは施行者であるということで非常にやりにくいと思うのですが、この一例を見ても、その他いろいろとやりにくい面があると思うのですが、どうなんでございますか。
  250. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) その点は、ほかにもそれぞれ立場が違うところの機構の問題でございますから、やはり関係者がよく連絡して仕事を進めるようにしたいと思っております。今度の場合でも施行関係、それから振興会関係、これは従来もそうでございますが、今後もさらに緊密な連絡をとらしてやっていきたい、かように考えます。
  251. 島清

    ○島清君 選手の待遇の問題について、あと二、三点お聞きしたいと思いまするが、局長は、選手のいわゆる賞金、それから参加賞金以外の災害補償であるとか共済制度というものが、何といいますか、政府の金で何か運営されておるような意味説明をしておられたのですが、実際は共済会が選手の普通賞金の五%を積み上げて、それで共済制度に当てがわれておるわけなんです。また選手諸君の要望を聞いて見ますると、これが非常に不満だというわけなんです。申し上げるまでもなく選手は生命保険をかけまする場合にも、非常に順位が下で、生命保険会社もとらないというような状態なんです。それから五十人近くの選手が死んでおります。非常に危険です。けが人は毎レースあるというくらいです。それに対して選手の生活を保障するものは私は政府以外にないと思います。たとえばそれは、選手の収入の根源は、競輪をやりますところの収入から当てがわれる。同じ従業員でございましても、施行者のもとに働いている従業員、振興会のもとに働いておりまする従業員は、その相手は施行者であり、振興会です。ところが、選手はそういうような問題を折衝するのには、とりあえずは施行者がおりまするけれども、施行者といえどもその選手のかせいだ金を……、それから何がしかの賞金――普通賞金、参加資金をやるだけなんです。ですから選手のことはやはり政府が十分に考えてあげなければならぬのじゃないかと思います。従いまして今のように災害補償制度というものが非常に貧弱であり、さらにまたこういう工合に世論の反発を受けまして、本院におきましても三回にわたって付帯決議をつけまして、競輪はすみやかに廃止した方がよろしいという意味の付帯条件をつけられて、選手というものはいつやめていくかわからないというような不安を持っております。さらにまたこの前あなたたちの方が国会に出されました中間の答申案の中には、選手の新陳代謝ということをいっておられるのです。新陳代謝をいたしまする場合にも、やはりどこかに転業いたしまするところの資金というものがなければいかないと思うのです。これは、要するに退職金の積立制度というものが全然なされてない、選手というものは今月かせいでいる収入によってやっと生活をしていくという程度でございまするので、こういうものに対して非常に不安があるわけです。そこで健全化を唱えておりまするところの通産当局といたしましては、どうしてもやはり競輪の最も中心になりますところの選手が安定をして、そうして健全化の要素を積み重ねていくようにしなければならないと私は思うのです。そこで災害補償に今のような制度――選手の賞金の五%それに充てるという制度ではなくして、売上金の中からこの災害補償制度に充てるとか、あるいはまた新陳代謝を容易ならしめるために退職金制度を設けるとかというようなことについてはお考えございませんですか。これはお答えされる前に、何か付帯条件の中にもこれを考えておられるようでございまするが、その前に強い通産当局の決意のほどを承わっておきたいと思います。
  252. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 御指摘のように選手が安全に、安心して仕事ができるということは十分考えていかなければならないと思います。それで御指摘の点の生活保障の問題でございますが、この前も御説明申し上げましたが、中央地方にわたりまして施行者とか、振興会が負担する競走中の事故等の問題については負担する場合がございます。それから御指摘の今の選手の共済機構におきまして、処理しているもの、両方あるわけでございます。しかし、国が直接これを共済関係にどうこうするという、競輪自身を国が国営でやっているわけではございませんので、その点はなかなか問題ではないか。要するに問題はやはり賞金から一定率を出して共済機構をやっているわけでございますから、その賞金の問題の検討と同時に、かような点があってしかるべきではないかと一応考えます。しかしながら、さらにこれらの点につきましては、衆議院におきましてもいろいろ論議されたことでもございますし、またここでも相当論議いただきましたので一応われわれとしては研究して、さらによい方法があれば考えていきたいと、かように思います。
  253. 島清

    ○島清君 すべて生産をいたしまする場合には労働者というものが要る。資本と労働というものがあるわけでありまするが、この競輪事業を分析して考えますれば、資本投下というのは競輪場である。そこで、労働者はその選手であるということを考えまする場合に、普通の健全な産業機構の中における資本の比重と、労働力を金銭に換算した比重と、それから競輪のそれとを比較されまして、どちらの方が資本と労働にウェートがかかっていると思われますか。研究されたことがありますか。
  254. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) なかなか違ったものを比較してみるものでございますからいずれも重要ではないかと考えます。
  255. 島清

    ○島清君 それではまた言葉をかえましてお聞きしますけれども、たとえば電気産業なら電気産業に一億の金が投資をされたとします。投資家は一億に相当するところの配当を受けられるでしょう。それからそこに働きまするその資本家に配当を与えるところの労働者がいる、これを受けまするところの、再生産に必要なるところの労働賃金、この産業で受けますところの資本家の受ける利益配当と、それから労働者の受けますところの再生産に必要なるところの賃金と、その今の競輪の施行者の受ける利益と、それから選手の受けまするところの再生産費と、どららの方が比率的には重く軽いのですか。
  256. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) なかなか非常に理論的にお答えすべきかどうかわかりませんが、まあそれぞれの分に応じて重要性を持っていると存じます。特に選手は競輪としてはやはりそれが対象の中心となるものでございますから、重要な役割を持っていることは間違いないと思います。
  257. 島清

    ○島清君 なかなかお答えにくい問題だと思いまするのでこの程度にいたしますけれども、この改正法案の中にもですね、昭和二十七年に、基本法の中に選手の出場に関する適正なる条件ということは二十七年に出たわけでありますね。その適正なる条件の確保に向っていろいろと折衝しましたけれども、必ずしも適正なる条件は獲得できなかったわけなんです。選手の方はそこで、今度の改正法の案の中にも選手の保護規定というものが全然ないわけでありますね。そこで考えますに、この選手の保護規定がないというのは選手会というところの組織体をお認めになりまして、その組織体が個々の選手の生活の安定と向上を確保するために、団体交渉をしてその選手の要望を満たしてくれるのだと、早い話が労働組合的なその動きを持って、選手は、あるいは施行者なり、あるいは振興会と折衝して、そうしてそれぞれのその生活を守ってもらいたいというような趣旨からこの選手の保護規定というものを作らなかったわけですか。
  258. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 御指摘の点でございますが、今度の法律の改正の条文の適正化、選手の実情、条件の適正化に関する命令といいますか、命令通産大臣が出せるという規定が新しく入っております。従来はそういう規定はございませんでした。それはさらに政府が実情を調査し、必要がある場合にはさようなことができる方向をきめるためにかような規定を設けたのであります。
  259. 島清

    ○島清君 通産省は、もしかりに選手の声が、あるいは施行者なりに通じなくて、ものが実現しなかった場合には、この命令権を発動される御意思がございますか。
  260. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) よく実情を調査しまして、必要があればさようなことをすることができ得る建前法律がなっております。
  261. 島清

    ○島清君 もちろんあれでしょうね、何でもないところに選手の条件が悪いからその条件を改善しろというような命令をお出しにならないと思うのですが、選手が要求する、そうして施行者の方が応じないという場合はもちろんこれは実情に適合するような命令をされるでございましょうけれども、選手の方が命令を出してくれというような要請に基いてもやっぱりこれはあれでございますか、実情に適合しないからといって拒否される場合が予想されますですか。
  262. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 先ほど申し上げました通り、実情をよく調べて判断いたしまして、適当であるとすれば命令も出しますし、適当でなければそれを留保する場合はあり得ると思います。
  263. 島清

    ○島清君 この付帯条件をつけていただくと思われる方々の方が簡単々々と言いますので、約束もありますので、私はこの程度で質問を打ち切りますけれども、どうぞ私の質問申し上げた点については十分この法律が実施されましょうけれども、実施されました暁には、格段の一つ御留意をいただきまして、私たちの質疑の間に現われました意思がそれぞれの労働者の諸君に反映いたしますように格段の御配慮をいただきたいと思います。  ちょっと失礼でございますが、もう一点だけですね、選手以外のこの競輪の従業員が多いわけでありますが、施行者に臨時雇いをされている人、それから振興会に雇われている人、いろいろありますけれども、どうか一つわれわれの同僚委員の諸君からいろいろと質問がありましたけれども、こういう人々の上に対しましても格段の一つ御留意をいただきたい、格段の御配慮をいただきたいということを特に希望いたしまして質問を打ち切ります。
  264. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめて。    〔午後九時五十九分速記中止〕    〔速記中止のまま午後十二時に至る〕