運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-05-17 第26回国会 参議院 商工委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十七日(金曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————   委員異動 本日委員大川光三君及び藤田進君辞任 につき、その補欠として小西英雄君及 び海野三朗君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            小西 英雄君            後藤 義隆君            白井  勇君            高橋進太郎君            高橋  衛君            三浦 義男君            阿部 竹松君            海野 三朗君            島   清君            相馬 助治君            加藤 正人君            豊田 雅孝君   国務大臣    通商産業大臣  水田三喜男君    国 務 大 臣 宇田 耕一君   政府委員    経済企画政務次    官       井村 徳二君    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    科学技術政務次    官       秋田 大助君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    通商産業政務次    官       長谷川四郎君    通商産業大臣官    房長      松尾 金藏君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    大蔵省理財局資    金課長     澄田  智君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○小委員長報告中小企業に対する融資わく拡大に関  する請願(第一七二号) ○中小企業振興緊急対策に関する請願  (第二六五号) ○天災による被害中小企業者に対する  資金融通に関する立法措置請願  (第五六八号)(第一二一四号) ○ココム禁輸撤廃に関する請願(第五  八四号)(第一〇八〇号) ○日中両国通商代表部設置に関する  請願(第一七六二号)(第一八五五  号) ○日中貿易促進に関する請願(第一八  九一号) ○バナナ輸入外貨資金適正割当実施  に関する請願(第一九〇九号)(第  一九一四号)(第一九一五号)(第  一九三〇号)(第一九六八号)(第  二〇五一号)(第二〇二〇号)(第  二〇二一号)(第二〇二二号)(第  二〇二三号)(第二〇二四号)(第  二〇二五号)(第二〇四二号)(第  二〇四三号)(第二〇四四号)(第  二〇四五号)(第二〇四六号)(第  二〇四七号)(第二〇五九号)(第  二〇六〇号)(第二〇六一号)(第  二〇六二号)(第二〇六三号)(第  二〇六四号)(第二〇六五号)(第  二〇六六号)(第二〇六七号)(第  二〇六八号)(第二〇八一号)(第  二〇八四号)(第二〇八五号)(第  二〇八六号)(第二一一一号)(第  二一一二号)(第二一一三号)(第  二一二八号) ○新潟県黒又川第二発電所建設促進に  関する請願(第一六六号)(第六一  四号) ○電力料金地域差設定促進に関する  請願(第三七一号)(第四二七号) ○仙台火力発電所建設促進に関する請  願(第四五二号) ○熊本市房、古田両ダム発電施設県  営実施促進に関する請願(第一五二  九号)(第一五八〇号) ○熊本市房ダム発電施設県営実施促  進に関する請願(第一九四五号) ○愛媛県新居浜、西条両市間四国電力  株式会社高圧線架設による土地の  損害補償請願(第一六七一号)  (第一七八〇号)(第一九五二号) ○東北地区電力確保に関する請願  (第一七六三号) ○電力料金値上げ反対に関する請願  (第一八四五号) ○石油資源開発株式会社に対する国家  投資の請願(第一七〇号)(第三一  二号)(第三九二号)(第四一二  号)(第五六九号)(第一〇九三  号) ○揮発油価格値上げ反対に関する請願  (第二〇七号) ○国土総合開発法による阿武隈山系開  発実現請願(第七三号)(第一二  七号)(第一二四号)(第一五〇 号)(第三六九号)(第四二五号) ○福島県只見特定地域総合開発実施促  進に関する請願(第七四号)(第一  二八号)(第一三五号)(第一五一  号)(第三七〇号)(第四二六号) ○中信地区総合開発促進に関する請願  (第一〇一号) ○東北総合開発に関する請願(第一四  二号)(第四五一号) ○東北地方開発促進に関する請願(第  九四六号)(第一三六一号)(第  一七八六号) ○北奥羽地域国土総合開発法に基き  特定地域に指定するの請願(第八三  六号)(第九四五号) ○北奥羽調査地域総合開発促進に関  する請願(第八三五号) ○国土総合開発事業促進に関する請願  (第九四四号) ○宮崎県小林市等を南九州総合開発特  定地域に指定するの請願(第一九〇  七号) ○公共事業用鋼材価格安定等に関す  る請願(第三六二号) ○財団法人結核予防会競輪益金配分  の請願(第一九一三号) ○競輪業務に従事する臨時従業員の処  遇改善に関する請願(第二〇四〇  号) ○自転車競技法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○小型自動車競走法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○東北興業株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日付をもって藤田進君が辞任され、海野三朗君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それではこれより本日の議事に入ります。  まず請願に関する小委員長から、請願審査経過並びに結果について御報告を願います。
  4. 近藤信一

    近藤信一君 昨日請願に関する小委員会を開きまして、小委員長互選の結果、私が選任されましたので、私より小委員会における請願審査経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  今国会において商工委員会に付議されました請願件数は、三百六十一件の多きに及んでいますが、同じ趣旨内容を持つものを取りまとめますと、約四十件あまりに分類されるわけでございます。  小委員会におきましては、政府側より通産省並び経済企画庁関係官出席を求め、これら請願を順次慎重に審査して参りました。その結果、採択すべきものと決定した請願件数は、総数が九十一件ありまして、その請願番号及び件名については、会議録に記載することとして、個々について朗読することは省略さしていただきたいと存じます。  ただ、九十一件の内訳を申し上げますと、中小企業関係のものが四件、貿易関係のものが四十一件、電力関係十三件、国土総合開発関係二十三件、その他十件となっておりまして、以上九十一件の請願は、いずれも議院会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。なお数の上では、大半を占めている中小企業団体法制定に関する請願、これは二百四十五件受理しているのでございますが、このように現在同委員会において審議中の法案に関連した請願については、委員会法案審議の過程を通じて、おのずから結論が出てくるものでございますので、いずれも議院会議に付するを要しないものと決定いたしました次第でございます。  以上、御報告申し上げます。
  5. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 小委員長報告に対し、質疑あるいは御意見のある方はございませんか……。別に御発言もなければ、商工委員会に付託された請願の取り扱いにつきましては、小委員長報告通り処理することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それではさよう決定いたします。なお、小委員長報告中にありました、採択いたしました請願番号及び件名については、それを会議録に記載するよう、委員長において取り計らうことにいたします。
  7. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、自転車競技法の一部を改正する法律案及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 本件でないのですが、自転車競技法と同じように、小型自動車競走法が出ておるわけなんですね。これは委員長自民党さんの理事と私ども理事のお話し合いで、私どもの関知するところでないかもしれませんけれども、これは大体いつやることになっておるか、もし決定しておればお知らせ願いたいと思いますが。
  9. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 今一緒に議題にしております。自転車競技法の一部を改正する法律案小型自動車競走法の一部を改正する法律案を一括して議題にしております。前からずっとやっております。
  10. 阿部竹松

    阿部竹松君 前は小型自動車が入っておらんように私は記憶しておったのですけれども、それであれば私の記憶違いですから、自転車競技法についてまず御質問いたします。  私は自転車競技法の本質に反対でございますから、なるべく前回も申し上げました通り内容の細部の点についてあまりお伺いしたり、論争したりしたくはないわけです。少くも本年直ちにやめるとか、あるいは来年当初にやめるというようには考えておりませんので、地方自治体においては、もう本年度の予算に何がしかの予算を繰り入れて、予算に計上しておりましょうし、振興会の役員とか、あるいは選手、こういう人たちが二十五万以上もおるそうでございますから、当然この人たちの身の振り方も、これは責任を持ってきめてやらなければならんと、こう考えておりますので、少くとも私の考えでは二年、しかし、二年でできなければ、三年かかっても当然やめるという方針を、今から打ち立てておかなければならんというように、私は判断して今日まで参っておるわけです。従いまして、二年ないし三年でやめるということになりますると、今申し上げました従業員とか、あるいは施設、あるいは地方財政に対しては財政法の五十九条によって政府から勧告を与えて処置を講じなければならんというように判断して今日に至ったわけですが、しかしながら政府が出されて、本院においても、自民党を基盤とした政府ですから、自民党議員の方が非常に多いわけでございますから、私の意見はなかなか通らぬと、おそらく政府案に落ちつくのではないか、しかし、落ちついたにいたしましても、今出されておる案は、二十四国会の案よりは前進しておるわけですが、しかしながら、なお改正をしてほしいというようにも考えるわけであります。  そこで、第一番にお伺いしたいのですが、ちょうど政務次官がお見えになっておるのですが、政務次官は、衆議院において永久にやるんだという御答弁があったように速記録で拝見したわけですが、永久にやるというお考えで出発しておるんですか、どうなのか、まず政務次官にお伺いいたします。
  11. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 衆議院において御審議中、永久にやるということは、私は申し上げておりませんけれども、いずれにしても立法議員立法で当時からやりました。先国会におきましても、参議院におきましていろいろな御意見等がございまして、この監督を強化して、そしてギャンブル性というようなものを、なるべくなくしていこうじゃないかというような御趣旨に沿うような努力をした結果、審議会等に諮りまして、成案を見たわけでございまして、ただいますぐ二年後にこれをなくすんだというようなことも今では考えておりませんが、私の方は政府側としておるわけでございまして、要は委員会においてその決定をみれば、これを一年たつか、あるいは二年後というか、三年後にこういうものが取りやめになるということは、一にかかって議会の方に関係があるわけでございまして、さしあたって私たちがこれを継続していく以上は、御期待に沿うような考え方で申し上げたわけでございます。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 もちろん、議会決定によって一カ月後でも、まあ法律は九月まで延長したのですけれども、それは半年後でも一年後でもやめることができると思います。議会決定によって。しかしながら常識的に判断して膨大な従業員と多額の施設があるのですから、そう簡単に、いかにそれは議会決定があればできるといったものにせよ、相当長い月日をもって計画をしてやめなければ私はならぬのじゃないかというように考えておるわけです。なお、具体的に例を申し上げれば、七五%は還元してあと二五%で一切の行事のまかないをやって、あと地方財政に繰り入れるのですが、私は二五%が全部どういうように使われているか別として、二五%の中から二%でも三%でも選手積み立てとか、あるいは振興会跡始末とか、あるいは施行者跡始末とか、こういうことを今からやっておかなければならないし、また二五%でできないということになれば、二五%を二八%にしても、三%くらい天引きして将来のために、まあ選手とかあるいは従業員のために積み立てるという計画がなければ、直ちに、日本全国六十何カ所ある競輪場は、理屈ではできても、実際問題としてはできない。ほんとうに政策上こういうものを政府がいけないのだというお考えであれば、今から計画を立てなければ、とうていどうにもならない。本件決定がどうなったかということで加藤委員が一昨日鋭く質問されておったようですが、一昨年のわが委員会において、ああいうような決定をされても、何ら打つべき手段がなかったと、少し苛酷な発言になるかもしれませんけれども、そういう状態でありまするから、今後しかし永久にやるということになれば別問題ですが、政策上いけないということになれば、今から手を打たなければならぬということについて、一つ政府の御見解を承わっておきます。
  13. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ただいまの御質問でございますが、実は前回にも大臣あるいは政府委員からお答え申し上げたと思いますが、現在の建前でございますと、この改正法案によります建前は、結局われわれといたしまして過去二年間競輪廃止あるいは制限、かような問題を議論しまして、できるだけ健全化する方向弊害最小限度にとどめるという建前で残して置くという建前になっておるわけであります。従いまして、法律建前ではさようなことになっておりまして、今すぐに廃止を予想しておるわけではございません。従いまして、さような建前で、われわれとしては改正案建前考えておる。それで、従いまして、廃止を予想して積み立てをどうこうするという問題は、この法律建前では考えられない。そういうふうな事態国会である時期においてきまれば、そういうようなことが考えられるのでありますが、われわれの法律建前といたしましては、やはり弊害をできるだけ少くして、そうして健全化する方針改正をはかっていく、こういう建前になっておるわけであります。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 今局長の御答弁ですと、国会できめると、これは政府がどういう御見解でも、それは国会の議決によるところですから、これは理屈通り局長の御答弁通りだと思います。しかしながら、これを出した責任者としての政府は、どうお考えになるかということですから、そういうことについて全然お考えもない、こういうことなんですか。
  15. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 私の申し上げましたのは、もう一ぺん繰り返すようになりまして恐縮でございますけれども、要するに建前は、やはり競輪を改善して弊害最小限度にするという建前で、この改正法案を出しておるわけであります。そこで、今の先生の御質問は、選手等退職金とかあるいはそういうふうなものをどう考えるかということでございますが、これはまた別に従来、たとえば選手会共済制度によってやっていくというふうな建前になっておりまして、通常の意味の退職の問題は考えておるわけであります。これは十分でなければさらに検討して、こういう問題はどうするかということも今後研究すべきであると思いますが、ただ、廃止前提として特別にどうこうということは、今の改正法案建前では考えておりません。将来こういう事態があって国会であるいは廃止ということがきまるような状況になりますれば、そのときにこれは考える。この法律建前はそこまで考えるわけにはいかないということを申し上げておるわけであります。
  16. 阿部竹松

    阿部竹松君 違う問題で一つお伺いしますが、前回も若干お尋ねしたのですが、誓約書ですね。誓約書内容は、「貴会登録されました上は、自転車競技法の主旨を体し、諸法規を遵守し、且つ貴会指示に従い、登録選手としての体面を汚すことなく精進致します。万一、公正なる競輪運営に支障あると御認めの節は登録の取消を受けましても、異議ありません。」こういうふうになっておるのですが、この「公正なる競輪運営に支障ある」というここの理由で選手外部遮断されると、これが適用されるということですか。
  17. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ただいま選手の、何といいますか、宿舎におる間に外部との交渉の問題でございますが、この誓約書は直接に文言からきまして、それに関係あるわけではございませんので、要するにここに書いてあります誓約趣旨は、登録された以上は、選手はここに書いてあります通り、「諸法規を遵守し、且つ貴会指示に従い登録選手としての体面を汚すことなく精進致します。」さようなことが書いてございます。選手は従来競輪学校等に入りまして、選手としての教育を受け、また、選手心得というものを体得して行動するわけでございます。選手心得あるいは選手のそういった心得といたしまして、宿舎に入って、競技に参加するために宿舎に入っている間は、外部との関係は、特に承諾といいますか、許可といいますか、監督者の了承を得てやるということになっておるわけであります。そこで、そういうふうな建前の上において外部との関係を見ておるわけでございまして、われわれといたしましては、外部との交渉について許可を受けるとか、承諾を受けるという問題は、やはり選手協力前提としておるわけでございまして、これはこの前申し上げた通りでございます。それが選手自由行動を不当に制限するという、このような行き過ぎのようなことがあれば、これは厳重に注意しなければならないと考えておりますが、通常の常識として考えられるような、特に選手について外部からの働きかけが普通ございまして、この前もどなたかから御指摘があったような不正というような問題がありますことをおそれて、許される範囲内でそういうことを防止するための措置でございますので、その目的以上にはるかに不当に制限するということがあれば、これは十分考えなければならない、かように考えております。
  18. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、関連してお伺いいたしますが、この誓約書のほかに選手心得というものがあるわけですか。
  19. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ございます。
  20. 阿部竹松

    阿部竹松君 それでつまり外部遮断する、こういうことになるわけですね。
  21. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まあ、選手心得はいろいろございまして、たとえば選手としてはやはり体面を汚すことなくやるとか、そういう趣旨でいろいろのたくさんの選手としての心骨があるわけであります。その中の一つにそういうふうなことも書いてある、かようなわけであります。
  22. 阿部竹松

    阿部竹松君 まあ心得ですから、五十条あるか、八十条あるか、百条あるかわかりませんけれども、いろいろ書いてあるでしょう。しかし、外部遮断ということは、この前も若干触れましたが、どうも調べてみたところが、憲法十八条に触れるというような感じがするのですが、絶対触れないという自信がおありなんですか、局長は。
  23. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 要するに選手協力と申しますか、同意というふうなことを前提としてやっておりまして、不当にこれが強制的に、極端に行き過ぎがあれば、これは問題だと思いますが、そういう点は是正しますが、普通に協力同意を得てやっておることでありますれば、ほかにも同様な例はあるのじゃなかろうかと考えております。さようなことでわれわれとしては特に憲法に触れるというふうには考えておりません。   —————————————
  24. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 委員異動がございましたので、御報告いたします。  本日付をもって大川光三君が辞任され、小西英雄君が委員に復帰されました。   —————————————
  25. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、まあ目的は確かに選手をこうするためにはこういう目的であるということを、通産大臣にお伺いいたしましたがね。そうすると、今局長の御答弁では行き過ぎがあればということですが、もう遮断するということが、すでに行き過ぎだというふうにお考えになりませんか。
  26. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ですから、無理に遮断するという場合には、もし選手がいやであれば、選手としてそういうことに従わないで、まあ別の方向をとり得るわけになりますけれども、この場合の考え方は、やはり外部から相当ボスとかそういうところから働きかけが多いという点を考えて、選手承諾といいますか、協力を得てやっておることでございまして、従ってわれわれとしては特に、先生遮断という非常にきつい言葉をお使いになっておられますが、許可といいますか、承諾といいますか、承諾を得なければ一々会ったりなんかすることについて、承諾許可を得るということでございます。たとえば親戚が病気で行きたいというのならば、もちろんこれは許されます。ところが、まあよく名が通っておるような問題のような方から、会いたいというような場合には、会うというような場合には、やはり警戒しなければならない。さようなことで、われわれとしては常識的に許される範囲内でやるべきものと考えておりますが、それが不当に拘束するようなことがあれば、これは行き過ぎであると考えます。
  27. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこあたりが問題になるのですね。前回質問のときに選手の大体寿命をお伺いしたところが、男の選手は大体三年四カ月、女の選手ははっきり数字はわかっておらぬけれども、男より短かいでしょうという御答弁だったのですが、三年選手をやりまして、そうしてなかなか今どこへ行っても職業がないわけですよ。A級からB級に落ちてきて、おそらく最後まで私は選手をやっておると思います。ですから選手をやりたいために、やはり若干条件が不利になっても、あるいはその雇用契約者じゃないというのですが、たとえばその契約者契約が自分に不利であっても、やはりりっぱな職業がないから、甘んじてどういうふうな条件でも服さなければならぬというような状態でおる選手をつかまえて、お互いに理解しておるとかお互い協力しておるとか、こういうことは私はどうも話が通じない。こういうふうに判断するのですが、選手のその収入等考えてみても、百万から百五十万円ももらう選手もあるようですが、多い人は二百万円も取るようですが、しかし、三年幾らの平均ですから、だんだん年をとってこられると今度二万円になってしまう、固定給はない、日本全国をかけずり回って経費を使うでしょうから、自然隷属的になってしまうと局長は御判断になりませんか。
  28. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 選手としては、できるだけ選手としての体面を保って、やはり責任がある仕事でございますから、それにふさわしいことを、条件に適合する必要はあるのじゃなかろうかとかように思います。それから今の点でございますが、選手としてはこの前も賞金制度の御質問がございましたから申し上げてあると思いますが、まあ一年間を通じて出ておれば、相当の収入があります。その間全部出られないというようなことになりますと、その間は病気の場合には病気としての措置をするわけでございますが、全部出ていれば、われわれとしては何とか相当やっていけるレベルにあると、ほかとのバランスを見ましても、そういう感じがするわけでございます。まあ、待遇等の問題についても、あるいは賞金等の問題についても、最近問題がございまして、今これをどうするかということも、この前御答弁申し上げました通り検討しております。われわれとしましては、十分選手のことを考え、まあ施行者あるいは振興会選手会等と相談して、こういうふうな問題についてできるだけ善処しております。今後もさような方向にいきたいと考えておるのでございます。いろいろ御議論もあると思いますけれども、われわれとしては最善を尽していく、かように考えるのでございます。
  29. 阿部竹松

    阿部竹松君 競馬ですと、これはもちろん乗る騎手の手腕、力量にもよるでしょうけれども、馬がいいか悪いかによって、勝負の八割までウエイトを占めるわけですね。モーター・ボート競争の場合にはエンジンの良否によって、これも勝敗七、八割まで私は占めると思うのです。しかし、競輪の場合は一切、自転車のいい悪いということも若干あるかもしれませんけれども、ほとんど人間の優秀であるか優秀でないかということで勝敗がきまる、こういうふうに思うのですね。ですからとにかく人間を走らして人間が金をかける。そうして家庭騒動まで起して、国警の調べでは、九十人もそのために自殺しておる人がある。御本人が好きでやったからといえば、それまでですが、そういうようなことがとにかくあるので、何とかしてやめたいということで、くどいようですが考えておるので、どうですか二五%という中から私年限切れといいませんけれども、将来やめるために、政府当局と相談になるのですが、二五%の中の何パーセントかさいて、選手とか従業員のために積み立てておくとか、あるいは二五%突破しても、この積立金を何パーセントとかとっておくというような計画を、今から立てるわけにいきませんか。これは質問というよりも、真剣な御相談になると思いますがね。
  30. 相馬助治

    ○相馬助治君 これは局長答弁範囲内じゃないと思います。立法範囲内においては、局長答弁に私は尽きていると思う。この法律の中において、そういう積立金を計画するということは、事務当局としては考えられないということに尽きていると思うのだ。答弁があるならば、政務次官から政策上の答弁として御答弁なさらなければ、これは解決しないと思うのですよ。
  31. 阿部竹松

    阿部竹松君 私の言う通り……。
  32. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ごちゃごちゃと話しちゃだめだ。満足しなかったら、また質問してくれ。
  33. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 先ほどの問題を繰り返すことになりますが、ただもう一つつけ加えたいと思いますのは、やはり何と申しますか、この制度というのは競輪を一応弊害を少くして、残しておくようにするのだという建前でございますから、廃止を予想して退職金を作るという考え方が問題だと思います。退職金は今選手会等で共済制度がございますが、そういう点をさらに検討して、普通の場合の退職問題をどう解決するかという問題は、これまた今後研究すべき問題だと思いますけれども廃止前提としてというようになりますと、これは相当問題になりますし、結局その場合でも、やはりかえって廃止前提としてどうこうというと、選手自身としては非常に動揺もし、その間競輪をやはり運営する上にいろいろかえって悪い影響を来たすことの方が多いのじゃなかろうか。従いまして、この案は廃止前提としておりませんけれども、もし国会の御議論で、廃止が適当だという方針にきまれば、やはりそのときに経過期間を置いて、阿部先生御指摘のような点は研究すべきである。今のこの段階、この法案建前で研究するのは、ちょっとむずかしいといいますか、建前としてまずいのじゃなかろうか、かように考えます。
  34. 阿部竹松

    阿部竹松君 この今度できた改正法案で、相当とにかく取り締りを厳重にして、健全化の方向へ持っていけると、こうおっしゃいましたが、そこでどのくらいまで御自信があるかわかりませんけれども、たとえば私が見せていただいた西武園では明確なパーセントは忘れましたが、二千四百万円か二千五百万円までの売り上げの場合は、競技場を借りるのですから、二千四百万円か二千五百万円だったと思いますけれども、その借りた場合、売り上げがあった場合には四%とか、二千五百万円以上売れた場合には五%とか六%とか、明確な数字私記憶しておりませんけれども、それを合算すると、現在では大体一回三百万円ぐらい入るそうです。ですから十五回やると三百万円の十五回分ですから四千五百万円とにかく入るわけです。一方そこに働いておる女の子は、これは人によって違いますけれども、大体臨時で百七十円ぐらいで働いておるのです。これは基準法は労働省の管轄で、通産省の御関係ではないでしょうから、これは知りませんとおっしゃられるかもしれませんけれども、西武園の競輪場なんか、まことにめちゃくちゃな競輪場なんです。そういうところでやっている。これをこういう法律で押えるとか、意見を具申するとか、あるいは是正をさせるとか、こういうことはできないですか。
  35. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今の御指摘の点は、競輪場の賃貸料の問題だと思います。この前も御質問がございまして、これはいろいろ調べてみまして、全国的に、このパーセンテージの多いところですと四%だ、五%だ。少いところですと、もっと少いパーセンテージを取っております。これはまあ競輪の歴史から由来しておりまして、やはり競輪場競輪を始める場合に、さようなことが施行者との間に取りかわされてきておる歴史がございます。しかし、われわれといたしましては、やはり競輪としては一つの独占的な事業でございますから、十分こういう点も監督したいというわけで、今度の法案では賃貸料の条件の適正化に関して通産大臣指示と申しますか、命令できることになっておりますので、そういう点も実はよく調査いたしまして適正化の方向に持っていくように努力したいということをこの前申し上げたわけでございまして、さような措置でいたしたいというふうに考えております。
  36. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま阿部委員質問とも関連するのですが、私は本法を成立せしめるに至る手続期間において、政府見解をこの際長谷川次官から承わっておきたいと思うのです。ただいま審議中の自転車競技法改正法案というのは、法の改正を行なって、従来ともすれば世間的に非難をこうむっておる自転車競技を、一歩なりとも健全化の方に持っていこうとする努力の現われであるという、政府は表現をいたしております。で、この審議中の法案を通読してみますと非常に目立つことは、監督が強化されているということです。それで、このような競輪のようなむずかしい問題を健全化するためには、ある程度の監督が強化されていくということも、これはやむを得ないことだと、私は原則的には了解しておるのです。しかし具体的に承わっておかなければならないことは、本法十一条二項を見ますると、日本自転車振興会というという新たにできるものの「役員の選任及び解任は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」と、こう書いてあります。これは、日本の従来のこの種の例から見ても、自転車振興会の役員が生まれて、それから通商産業大臣にこれではいかがですかと、こういうのではなくて、こういう者を役員に大体するつもりだが、した場合には大臣は認可をするかと、こういう下交渉が従来行われることが例です。従いまして十一条の二項というものが法律として発効する場合には、「自転車振興会の役員の選任、解任は、通商産業大臣これを行う」と、こういうことと同断になる、懸念というよりも必然性を私は日本では持っていると思う。そういたしますと、この自転車振興会の役員に、言葉はまことに恐縮ですが、通産省の古手役人がどんどんおりてきて、楢山節みたいなことになって、ここに姨捨山のようなことに相なりますると、この本法の改正が何のことやらわけがわからなくなってしまうわけです。従ってこの際長谷川次官に聞いておきたいのですが、官庁の監督は強化するけれども、あとうる限りその監督も民主的でなければならないと思うのですが、そういうことについては、どのような気がまえをお持ちですか。
  37. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 十一条の二、これは御指摘のように、地方、中央とこれはともにこういう方針をとっておるわけであります。従って通産省役人の古手を向けるというようなお話しでございましたが、そういう御意見は、昨年以来もそういうお話を私聞いたことがあり、今回そういうお話も聞いておりますので、そういう点については、十分これは監督をする上において、みずからが気をつけなければならない問題だというふうに考えて、その点は私も指摘をしておきました。従って民主的という、努めて無理のない方向に民主的に運営をしていきたいというふうに考えているわけでございます。ただ、監督というのは、運営の点についてなるべく健全化していくということになると、どうしても監督というものを強めていかなければならない。他の業種と違いまして、要は、御承知のように非常に、みずからの金をかけまして、そして一心にその金で自分は一つの大きな目的を、夢を見てかけるわけでございますから、もし間違いがあったとするならば、非常な大きな混乱を巻き起す。たとえば先般来も後楽園でただ一つの野球という、ナイターの問題だけでも、ああいうような問題が起きてくることでございまして、これは入場料だけでもそのような問題が起る。特に気をつけなければならないのは、自分の、要するに言葉で言うならば、身上かけてやるというような点もあるわけでございますから、そういう点に間違いがあってはならないから監督も強化しながら、民主的になるべく運営をしていきたいというように考えているわけでございます。
  38. 相馬助治

    ○相馬助治君 あと一点長谷川次官にお尋ねいたしますが、先般、加藤委員が指摘いたしましたように、競輪法が改正されるたびに、過去三回にわたって参議院は付帯決議をいたしております。で、最近国会の中で問題になろうとしておりますことは、特に他院の話をここで具体例として持ち出して批判すべきではないと思いますが、特に衆議院の傾向などでは、与野党の意見が一致しないので、それを付帯決議ということころに逃避して、何だかわけのわかったようなわからないような文章を書いて、両方が気やすめにして法律を通してしまう、そうするとそのできた法律は付帯決議の精神などは全く忘れて、法律法律の条文によって発動して、いささかもその付帯決議の精神は現実に生かされない、こういう傾向を持っております。参議院においてもこのことはやはり今問題になろうとしておりますが、本法を改正する場合に、政府としては二つのことによったと思うのです。一つは、本院の付帯決議の精神、もう一つ競輪運営審議会の答申の精神、これらを基本的にどのようにマッチし、そのいずれをどのように参考にして本法の起案をしたか、事務的なことでなくて、最高政策として、私はこの際、政府を代表して長谷川次官から、その辺の真意を承わっておきたいと思うのです。
  39. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 付帯決議は、ただ条文だけの問題ではないのでありまして、私も議員をしている以上は、ただ法律の中に特にこれを織り込むことができないから、その織り込んだと同様な、法律の条文と同様な意思をもってその運営に当らなければならないぞ、こういうふうに私は解釈をしております。従ってこのたびの競輪の問題に対しましても、参議院の付帯決議がある、それは尊重しなければならない。それで尊重するゆえんをもちまして、まず審議会というものに諮ったわけでございまして、審議会の意見等がまとまり、さらにそれを検討をいたしまして、今度の改正案というものが出たわけだと私は聞いております。従って審議会の意見も、参議院の付帯決議というものが中心となって論議されまして、あらゆる角度から検討をされた結果において、この条文が出てきたと、私は解釈をしております。また、そうでなければならないと思うのでありまして、この競輪法の問題については、付帯決議の御意思を十分尊重して、そうして審議会に諮り、それを審議会からさらに持ってきて通産省においてもその意見を可とし、この法案が作られたと聞いております。今後の問題にもなりますので、私はこの付帯決議というものは、申し上げた通り尊重しなければならないものだと、確信を持って申し述べられると思うのであります。
  40. 相馬助治

    ○相馬助治君 もう一点長谷川次官にお尋ねしたいと思います。衆議院商工委員会におきまして、重工業局長はこういうふうにその答弁をしておるのです。この本法を提案するまでの過程を説明して、本法は競輪運営審議会の昨年五月の中岡答申の線に沿って考えた、すなわちギャンブル行為であって、弊害も少くはないけれども、一面本法が地方財政その他に寄与する面を考えて、これを健全化し、弊害最小限度に食いとめるべく、政府においてはこの中間答申を中心として考え法律的に取り上げられる分を法律として取り上げて、今回の改正案を提案したと、こう説明しております。きわめ明解です。この審議会が言うていること又さっそく法改正を行わなければならない面について法改正を行なって、ここに審議に供しているのです。こういう説明をしている。きわめて明解です。そうすると残っておる分がある。法律的に取り上げられる分のみを法律として取り上げて、改正法律案を提案したというのだから、政府は参議院の付帯決議の精神あるいは競輪運営審議会の報告書等を参考として、本法の改正でない基本的な問題についてまたある種の見解を持ち、今後どうするかという一つの構想があるはずで曲ると思うのです。そんなものはないというならばそれきりの話ですが、あるとするならば、それはいかなる事項に属し、それは将来通産省としては政策としてどのように取り上げていく考えか。もし、次官がここで大臣と連絡しなければちょっと即答しかねるというのでしたら、時間を待つことを、私はいささかも拒むものではありませんけれども、私が今聞いておりますことに御即答願えるのでしたら、きわめて重要なことですから、おっしゃっていただきたい。これが先ほどの阿部委員質問にも連関をしていると思うので、あえてお尋ねいたします。
  41. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 自転車の競技のみならず、国内のこういうような競技というものは、まず通産省では自転車と小型自動車をやるとか、あるいは運輸省ではモーター・ボートをやるのだとか、農林省は競馬をやるのだとか、こういうような考え方というものに、私たちは少し変ったことかもしれませんけれども意見を持っておるわけでございまして、もし、どうしてもこういうものを継続しなければならないとするならば、こういう、たとえばギャンブル性を持ったものをやるとするならば、どこか一省とか、あらためたどこか別のものでなすべきで、自転車の振興という面においてこれをやることもしかりであろうけれども、出発はそうであったけれども、幾多こういうものが出てきた今日においては、なさなければならない、今後も続けていくとするならば、どこか一まとめにしてそういうものをやるところを作ったらどうか、こういうように私は考えておるわけでございまして、それはまだ私の意見でございますが、そういうような意見も申し上げたこともございますし、なお、これらの点については十分また考えなければならないし、先ほど阿部さんの御意見等もまた、ごもっともな点が多々あると思います。従ってこういうことはすべてが各省省別に考えるのじゃなく、まとめた上に立って、政策なら政策という面において考えなければならない問題だとこういうふうに考えておるわけでございます。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 前回も若干質問いたしましたが、健全化された競輪場であるけれども、おまわりさんがたくさん警戒に来ているわけです。そうすると大体、的確な数字はお伺いしませんでしたが、一年中に出動する警官は三万名近いそうですね。そうしてその三万名近い警官の給料は売上高の中から払っているというようなお話も御答弁の中にあったようですが、これは振興会の費用から出すのか、施行者の方から出すのか、どういうふうな方法で出すのか、それをお伺いしたいわけです。財政法上明確に一つ答弁を願いたいと思います。
  43. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) この前の私の答弁申し上げた点、あるいは十分でなかったかと思いますが、給料等はもちろんそれの所属しているそれぞれの官公庁が払うわけでございまして、ただ、従来警備に来ている関係で、そこに来ていただくための経費等について、従来の慣行として各施行者がそれぞれ一部を負担する場合があるわけでございます。それがばらばらで非常に弊害が多いというような、一昨々年でしたか、やはりこの委員会で問題になり、それを統一して措置しろということがございましたので、それを関係各省、それから地方自治庁、施行者におきまして相談いたしまして、競馬であっても、競輪であっても、あるいはモーター・ボートであっても、そのやり方を統一して、そういうふうな経費を出す場合は、全部当該各府県の支出長にその金を入れて弊害のないようにするという方針をとったということを申し上げたわけでございます。給料等は、もちろん当該の所管の官庁の負担でございまして、競輪施行者において負担しているわけではありません。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますとこういうことになるのですか。今警察は自治警がございませんから、たとえば横浜市が花月園でやったとか、これは例ですが、あるいは横須賀市が花月園でやったという場合には、対象がどこになるわけですか。神奈川県の国警ですか。金をもらうのはどこがもらうのですか。
  45. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今の御指摘の点が、花月園でございますれば、警備費の一部を負担するような場合に経費を納めるのは、神奈川県でございます。
  46. 阿部竹松

    阿部竹松君 神奈川県庁に納めるわけですね。
  47. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 神奈川県の出納長に納めるわけでございます。
  48. 阿部竹松

    阿部竹松君 その基準はどういうことになるのですか。
  49. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今私詳しい点の御説明はできませんが、聞いておりますところでは、超過勤務的なもの、そんなふうなことも聞いております。画一的な基準というふうなことは……従来慣行でできておりまして、それを相談してやっていると思いますので、今ここでどういう基準で、どういう程度出しているかという数字がございませんので、申し上げられませんが、また別の機会にもし何でしたら説明します。
  50. 阿部竹松

    阿部竹松君 それはそういう御答弁でけっこうです。ただ、競輪を施行するために日本で膨大な警官を採用している、こういうことになりますね。ですから東京で殺人されたその荷物を名古屋まで行って、名古屋から福岡の吉塚まで行って、そういうことをつかむことができない、競輪なんかにばかり警察が行っているからです。それからそれに関連してですが、昭和二十八年かあるいは九年か、よく記憶いたしませんし、どこの競輪場かわかりませんけれども、ある競輪場で水増し事件が起きて、それを通産当局かどこかでもみ消したといううわさがありますが、それは局長知りませんか、あなた当時の局長であったかどうか私は記憶しておりませんけれども
  51. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 私当時は責任者でございませんので知りませんが、どういう事件かよく存じておりません。
  52. 阿部竹松

    阿部竹松君 まあ責任者でなければ無理に聞きませんけれども、そういう話を私は聞きました。ですからおそらくないと思いまするけれども、一度古くから担当されている方も通産省におると思います。従ってあとの機会でもけっこうですから、なければなかった、あればあったというように、明確にお知らせ願いたいと思います。  それでもう一点お伺いいたしますが、そうしますと、今の警察のあれは財政上何ら問題ないわけですね、その財政上は……。
  53. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 自治庁と相談してきめましたので、問題ないとわれわれ考えております。
  54. 阿部竹松

    阿部竹松君 それからさいぜんも若干触れましたが、これは通産当局のらち外かもしれませんけれども従業員の待遇とか、選手の待遇について意見を具申したり、あるいはまた要請したりすることは、これはできませんですか、これは労働省の関係ですか。
  55. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 選手につきましては、選手制度改善委員会というのがございまして、現在でもその問題について検討いたしております。また、従業員についても、もしそういうお申し出であれば、われわれとしては研究いたしたいと思います。
  56. 阿部竹松

    阿部竹松君 申し出があればやるということなんですね。そうすると今まで従業員選手も何も申し出がなかった、そういうことですか。
  57. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 選手については、申し出がございまして、実は今さような問題を検討しておるわけでございます。
  58. 阿部竹松

    阿部竹松君 大体私は競輪に関する質問は終りました。従ってあと小型自動車競走法の方で御質問したいのですが、もし、ほかの方で競輪について御質問があれば、暫時あとで、競輪を終ってから私御質問申し上げたいと思います。
  59. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  60. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて。
  61. 海野三朗

    海野三朗君 この競技法の自転車については、この前私が商工参員の際に時限立法にしてやったと思うのですが、どうなんでしたか、局長、ちょっと伺いたいと思います。
  62. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) この前の、前回法律改正案は基本法はそのままでございまして、自転車あるいは機械産業の興振に使います振興費の部分を、自転車競技法等の臨時特例に関する法律で処理したものを、実は二年間延長して、この三月三十一日に失効するというふうなことの改正をいたしたわけでございます。
  63. 海野三朗

    海野三朗君 この自転車競技法については、通産省はこれをつまり育ててよくしていこうというお考えなんですか。われわれの考えでは、自転車競技法というのは、はなはだよろしくないという結論だったのですね、この前は。どうも非常によろしくない。国民の志操の向上の点から見ても、いけないという意味の意向であったのですが、それを漸次浄化していこうと努めておられるわけですか、どうなんですか。
  64. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) これは前回、また今日も、御説明申し上げましたけれども、前の参議院商工委員会の付帯決議に基きまして、そのときの付帯決議と申しますと、競輪制度について改廃について審議せよ、そして結論を出せ、こういうような御意見でございましたので、付帯決議でございましたので、その点を通産大臣の諮問機関である審議会に諮りまして、結局競輪の現行制度の弊害を最少限度にする、そしてさらに健全化するという目的監督を強化するし、あるいはギャンブル性を薄める、さような考え方を取り入れて、今度の改正案を出したわけでございます。
  65. 島清

    ○島清君 ただいまの岸内閣は自由民主党の代表する内閣であり、さらにその前は石橋内閣、その前は鳩山内閣、三代にわたりまする内閣が更迭をいたしまして、しかしながら、その基盤は同一な自由民主党の政党であります。ところが、鳩山内閣の折に確かに競輪はこの種の事業は犯罪行為であるというような前提のもとに、仕方がないから、土曜日曜をやらせるのだ、土曜、日曜に開催しろ、平日に開催してはいけないというような強い要求があって、閣議の決定事項にまでなって、さらにこの種の事業に対する行政指導の形で、土曜、日曜になるべく開催して平日には開催しないという行政指導がなされたと思います。私はこの考え方に対してくみするものではございませんけれども、同一政党の内閣で、たとえそれが鳩山さんから石橋さん、岸さんにかわろうとも、いろいろと考え方が変り、打ち出し方が変るということになりますると、その関係者の諸君も、不安でその仕事に携ってはおれないと私は思うのです。従いまして岸内閣のこの種事業に対しまする政策を、まず大臣から承わっておきたいと思います。
  66. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) 鳩山内閣時代の措置も、競輪をやめてしまうということを前提としたものではございませんで、競輪弊害をできるだけ少くしたいというために、普通の週日になるべくやらんようにという措置をとったわけでございますが、それ以後の内閣におきましても、大体同じ方針で、ことに先般申し上げましたような審議会の意見も十分取り入れまして、競輪を一挙にやめるということはまだ妥当じゃない。従って現行制度をできるだけ改正して、弊害を少くし、そうして競輪を健全化すという方向で、これを存続するという方針を今の私どももとって、この改正案を出しておるような次第でございますが、これについての方針が、歴代内閣でそのつど変っておるというようなことはないのじゃないかと思います。
  67. 島清

    ○島清君 大臣が本委員会において述べられた改正法案の提案をされました理由に二、三あげておられるのを拝聴いたしておりますというと、今やめるというと混乱が起るということも、一つの理由にされております。さらに、せっかく参議院の方からそういったような付帯決議がついたけれども、しかし、競輪運営審議会の方に諮問をしてみた。ところが、今はなくすることは不適当であるという答申があったと、従ってこの改正法案をなるべくならばその罪悪面を削って、そして健全化の方向に持っていきたいと、こういったような見解でございました。私もこの見解に必ずしもくみするものではございません。けれども、これほどまで世論の対象になりました競輪、この種のギャンブル事業に対しまして、岸内閣においてこの法案を提案されるについて、あるいは農林省あるいは運輸省、その他の関係官庁と、この種の事業をどうやって将来あるべき姿に持っていくかというようなことについて、岸内閣政策として打ち出すために、十分なる検討をされたかどうか、こういうことについてお聞きしたいのであります。さらにもう一点は、これと関連をいたしまして、私は今いろいろのことが行われておりまするけれども、かりに町でちゃらんからんといってパチンコが行われております。そのパチンコを、今は連発式ですか、これが廃止になったようでありますが、また近ごろ非常に盛んになってきておる。この売り上げが、私の聞くところによりますというと、年間二千億をこえるのではないかと、しかも、これは経営者というものは三国人関係の方が多くて、脱税がなされておるということであります。町を歩いてみまするというと、映画館よりも大きな場所、大きなイルミネェションをつけて、そうしてパチンコが行われておる。この種のパチンコなどと競輪あるいは競馬、モーター・ボートとも比較検討されて、そうして競輪というものはこういうふうにあらなければならないという確信のもとに本法案を提案されたかどうか、この辺の事情を承わりたいと思います。
  68. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) 内閣の中では、まだそういうものについての根本的な方針というものを討議しておりません。で、さしあたり競輪の問題が出て、特例法の期限も来ておりましたために、御承知のようにこの三月の期限を三年延ばしておくという措置をとると同時に、競輪については、こういう審議会のいきさつもあるから、こういう改正案を出して対処したいということを閣議に出して、閣議の了承を得ておるという程度でございまして、この種のいろいろな同種の問題について、今後どう対処すべきかというようなことは、まだ政府の中で根本的な態度をきめるというところには至っておりません。ただし、与党の政調会を中心としたところでは、この問題は当然出ておりまして、こういう形で収入を日本自転車振興会に入れるということも、とりあえず三年間ということにこの法案でなっておりますが、その間に与党、政府で対策を考えよう。過般私が申し上げましたように、こういう……最初は戦災の復興とかいう理由をつけておりましたが、そういうことで継続することがいいのか、そうではなくて、こういう種類の収入というものは社会保障費の一つのひもつき財源というようなことによっていろいろ……もしこういう制度をおくとすれば、合理化せるいろいろな措置がなかろうかというような問題が、与党の中でも研究課題として残されておりますので、そういう問題の研究を待ってから、政府、与党はこの種の問題についての根本的な考え方を統一しようということになっておりまして、与党側では研究を始めておりますが、まだ政府部内でこの問題について政府方針をこうするというふうに相談し、決定した事実はございません。
  69. 島清

    ○島清君 先般本委員会におきまして加藤議員から参議院の付帯条件趣旨に反するのではないか、これに沿ったとは言い得ないじゃないかというような、非常な適切と思われるような御意見の開陳がございました。で、今私は大臣の御答弁を承わっておりまして、少し責任を追及するわけではございませんけれども大臣はもう一回この付帯条件をお読み直しになる必要があるのではないか、こう思うわけであります。それは付帯条件の第一に、上段は抜かしていただきまするけれども、「特に、競輪について政府は現行制度に検討を加え、」というて、政府がともかくまとまった意見を出してこい、こういうようなことを言っておるのであります。しかも、国会から要求されておりながら、政府がこれに対する態度を検討しなかったということについては、私はやはりそれを所管されまする大臣といたしましては、適切さを欠いておったんじゃないか、こういうふうに思われるわけであります。で、私の考えによりまするというと、やはり政府がそれをやるにしても、あるいはまた廃止をするにいたしましても確固たる信念に基いて、あらゆる方面から検討をされまして、国際的な視野の上に立って、私は確固たる信念に基いてやはり法案をお出しにならなければ、われわれも困りまするし、関係者もここが自分の天職であるというような信頼感と信念を持って、その職域を遂行することはできないと思うんです。あえて大臣のお言葉じりをとらえて言あげするわけではございませんけれども、今、大臣の御答弁の中にただ臨時特例法が切れるので、とにかく当面としてこの改正法案をお出しになったんだというような御説明でございましたが、それだけのことで改正法案をお出しになったといたしまするならば、私は何もあわてる必要はない、これだけでありまするならばあわてる必要はない。臨時特例法というものは、この間三年間延長いたしましたけれども、これを一年間延長することも私は可能なはずであります。この改正法案をお出しになるからには幾つかの……八項目にわたりまするところの改正法案を提案されました事情を述べておられるのでありまするけれども、これじゃわれわれは足りないと思う。もし、こういうような改正法案をお出しになるといたしまするならば、私はもっとやはり不抜な信念に基いてお出しにならなければならないとこう思うのです。そこで、今私がお尋ねを申し上げました点で御答弁にならなかった事柄が二つあります。それは波乱を招くから廃止することはできないのだ、さらには、運営審議会の方の答申に基いて改正法案は出したのだと、御自分の不抜な信念を表明されることなくして、他にこの改正法案の提案理由を求めておられるようでありまするが、御説明にならなかったこの二点について御所見を承わりたいと思います。
  70. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) その点はこの前御答弁いたしたつもりでございますが、人がそう言うからというのではなくて、政府が検討するについては、審議会にかけて検討してもらって、その答申を政府自身が検討する、こういう立場をとりまして、この答申案について私どもは検討いたしました結果、政府考えとしても、この案によるのが妥当だという考えをもってこの法案を提出したわけでございますので、政府自身がこの答申案に大体この趣旨を賛成して出した、こういうわけでございまして、私自身の考えも当面の競輪というものを解決するためには、こういう改正案によって対処することが現実的であり、大体妥当だとこう考えておるわけであります。
  71. 加藤正人

    加藤正人君 私は今の御答弁を聞いて、承わってだけ、きょうはおこうと思いましたが、一言申し上げる必要を感じたのであります。おととい私が今度の法案は二十二国会において付帯決議をつけて、そのときの法案を通過せしめたのでありますが、その付帯決議に盛ってある趣旨が、一向今度の法案に入れられておらぬということについて、今のような質問をいたしたところが、政府競輪審議会に諮ってその答申に基いてこの法案を出したという御答弁であったのであります。そうしますとですね、競輪運営審議会というものは一体どういうものか。政府がこれに相談して、そうしてその答申に基いたとなりますと、その競輪運営審議会というものはどういう性格のものだということを、私は吟味したいと思うのであります。そもそも、立法院としての希望を現わしたこの付帯決議はですね、行政府としてはこれは十分尊重しなくちゃならぬ。これは日本国民としてだれでもそうなくちゃならぬ。しかるに、そういう点についていささかの考えもいたしてない。この審議会なるものは、どういう人物によって構成されておりますか、私は参考のためにこの人名を承わりたいと思います。
  72. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) 人名はあとから御報告いたしますが、今、行政のやり方としてこれがいいか悪いかは存じませんが、政府の各部門に審議会というものがただいまできております。で、いろいろの問題、特に国民の多数に関連を持った大きい問題というようなものは、そこに関係者全部を集めて、そうして政府がこれについてどうしたらいいかという諮問をして、その政府の諮問に基いて各委員が討議し、研究した結果を政府に答申する。その答申案を政府が独自の立場で検討して、そうして政府の態度をきめて、これを法案であるものは国会に提出するというようなことをやっているのが、最近の行政の例でございますので、この審議会できめたからといって、これを政府が採用するかしないかということは、これは政府の権限で、勝手でございまして、答申案の通りにやる場合もありますし、答申の意見を全く用いないで、政府独自の責任で行動するという場合もございますが、この問題は特にやはり大きい問題でございまするので、あらゆる関係者を私どもは集めてその意見を聞いたということになっております。一応、委員の名前を局長から申し上げます。
  73. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 委員は官庁側とそれから民間側の学識経験者でございますが、官庁側が通産省、それから文部省、それから自治庁、警察庁、大蔵省の代表が出ております。それから施行者側代表としては、東京都知事、振興会側は自転車振興会連合会の理事長、それが出ております。名前を申し上げますと、評論界から阿部真之助、澁澤秀雄、大宅壯一、古野伊之助の各先生であります。それから教育界から東京工業大学の内田学長さんが出ておられます。その他の学識経験者として、日本商工会議所の岡松専務理事が出ておられます。また、これには主婦連の代表の船田先生が出ておられます。それから日本体育協会会長の東先生が出ておられます。それからアマチュア・スポーツの日本自転車競技連盟の高石眞五郎先生、そのほか境野清雄先生、玉置實先生、林大作先生、それだけであります。
  74. 加藤正人

    加藤正人君 名前を承わりましたが、大体審議会に政府が諮問するということに対して、審議会は政府を誤まりなからしめるような答申をしなければならぬと思うのであります。かような、政府をミスリードするような答申をこの審議会がされたということは、私ははなはだ遺憾であると思うのであります。しかし、この審議会なるものに必ず責任を持って出席して、真剣に討議しておられるかどうかも、私は多少疑っておるのであります。たとえ、そうであればなおさらかような立法院の主張を無視したような答申をするような審議会は、私は有害無益だと思うくらいのように感ずるのであります。なお、今の大臣の御答弁によりますと、審議会の答申をそのままのんだのではない。政府独自の考えによってこの法案を出したのだというならば、私はますます政府考え方が間違っているということを主張せざるを得ないのであります。政府は何ゆえにこの参議院の付帯決議をさように軽視されたか、まことに遺憾千万であります。私はこの法案を論議するよりも、参議院の付帯決議無視あるいは軽視という問題の方が大問題だと思うぐらいに感ずるわけであります。はなはだ遺憾と存じます。一言それを申し述べて終ります。
  75. 海野三朗

    海野三朗君 立法府の参議院が付帯決議を出したことを、行政府政府がなぜこれをくまないのですか、私はそれの根本を聞きたい。何のための参議院ですか。何のためにわれわれが審議しておるのであるか、これを行政府たる政府がなぜくまないのか、これを私は聞いているのですよ。今加藤さんの言われた通り、とんでもない話だと私は思うのです。大臣及び局長から、はっきり責任のある御返事を伺いたい。ただほごにするならば、何を好んでわれわれがこれを審議する必要があるか、私はそれを聞きたい。
  76. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 付帯決議の内容でありますが、初めに事務的なことを申し上げまして、あとで大臣から申し上げます。  参議院の付帯決議について申し上げますと、結局要点は射幸競技競輪、競馬、オート・レース等は、要するに社会情勢にかんがみて禁止もしくは制限せられるべきである。はっきり禁止というふうにお書きになっておりませんで、禁止もしくは制限せられるべきである。特に競輪について、現行制度に検討を加え、その改廃に関し、次の通常国会までに適切な措置を講じなければならない。かように書いてあるわけであります。廃止ということも、一つの大きな考え方でございますが、付帯決議には改廃と書いてございます。禁止もしくは制限、かように書いておりますが、この点は実は審議会で十分検討していただきました結果、とにかく当分の間はということでございまして、禁止ではございません。見方、考え方によりますが、制限あるいは改正というふうな考え方で、競輪弊害最小限度になくす、そうしておいて健全化する方向に行こうということで、この改正を出しておるわけでありまして、全然無視したというようなことでは、事務的な答弁ですが、ないと思います。あとで大臣からお話があると思います。
  77. 海野三朗

    海野三朗君 今の禁止もしくは制限という、その制限は禁止を多分に加味した制限であると私は思うのでありますが、どうなんですか。
  78. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) お言葉の通り、禁止もしくは制限でございます。ですから制限と申しますと、競輪をますます伸すのではなくて、むしろ制限していくという考え方であります。従いまして、この法案考え方は、要するに監督を強化する、それから新しい競輪場の今後の考え方、抱負といいますか、考え方は、新しい競輪場施設はしない。それから法案では従来取り消しの規定がなかったのを、取り消すことができるように規定をおきましたし、また、競輪そのものをある程度制限するという趣旨も入っておるわけであります。そういうような意味でわれわれは考えております。
  79. 島清

    ○島清君 私は今の競輪が、あるいはこの種の事業というものが、世論の痛烈な批判を受けておる最大な要素というものは、大衆から取り上げた売り上げの金が、大衆のふところに還元していないというところにあると思います。また、地方財政の増収をはかるということも、阿部委員が指摘されました通り、まあ比較的豊かな東京、大阪、福岡、神奈川、こういったような地方財政の増収を比較的に必要としないと思われるようなところの競輪場の方が多いということ、ここらの私は非合理性が世間を納得せしめることのできない、致命的な競輪に対する世論の反発を受けておる最大の理由だと考えております。そこで、競輪を健全にして恒久化をはかろうとおっしゃる、その説明を現実に実施されようとするのには、こういったような致命的な欠陥に対してメスを入れなければ、私は公公然として健全化をして恒久化することはできないと思うのです。従いまして、こういったような欠点を除くためには、競輪場を持っておるから、その収益がすべて競輪場を持っておる府県の金庫にだけ入るのだというようなことではなくして、この種の事業をやることによって、地方財政の増収をはかるということであるならば、地方は、競輪場を持つ、持たないにかかわらず、有無にかかわらず、ひとしく均霑をするという制度が考究されてしかるべきではないかと思います。それが一点。  もう一点は、すでに機械産業の振興等については、あるいは経済の安定であるとか、いろいろな国家的な施策がなされておる、その国家的な施策がなされておるところに持ってきて、大衆のふところからさらに機械産業の振興をはからなければならないというところに、私は世論が納得しないと思う。従って私は、もはや、今日までの規模になって発展をしておりますところの競輪行政を、世論の支持を受けて、通産当局がお考えになりまして恒久化をなさろうとするのには、これは質的な転換をはからなければならないと思う。それには先ほど次官もおっしゃっておられたようでございますけれども、あえてこの種の事業を統一する事業体を作って、そうしてこの致命的な欠陥をなしておりますところにメスを加えて、そうして果してこの種のものを、国民が生活していくためにレクリエーションとして必要とするかどうかというような人間性の面から掘り下げて、きっぱり恒久化をはかるべきだったと私は思う。従ってそういうような方向について、私は今からでもおそくはないと思います。必ずしも競輪は通産省でなければならないとか、モーター・ボートは運輸省でなければならぬ、そして競馬は農林省でなければならぬというて、そういうセクト主義に基いてこの種の事業をやろうとするのでは、私はいつまでもこの種の議論というものはつきまとうてくると思うのです。そういたしまするというと、イタチごっこになりまして、世論の反発を受ける、世論の支持を受けるような面が補充されていないのでありますから。従ってまた、これに携わっておりますところの、あるいは振興会といたしましても、施行者といたしましても、選手にいたしましても、従業員にいたしましても、いつも不安状態において仕事に携わらなければならぬというように、心理的な影響を及ぼす、そこに私は健全化を求めるということが非常に至難なことではないかと思います。こういったような点について、おくればせながら思いをいたされまして、根本的な改革をお考えになる所存はないかどうか、見解を承わりたい。
  80. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) 私もただいまの御意見には全く同感でございます。で、今、競輪を施行する団体だけはいいが、ほかには均霑しないというような問題を是正するために、交付税のうちの特別交付税において競輪収入の方の百花部分を差し引くというようなことをやっておりますので、それだけの余裕が全体的に他の地方の特別交付税になっていくというようなことになりますので、そういう点は考慮しておりますが、しかし、それでもなおかつ、今おっしゃられたような不合理がございますので、実は衆議院の方からは、競輪施行者ば単券の売り上げ高の百分の一に相当する金額を今後社会福祉と公共施設のために支出するように措置せよというような付帯決議もつけられておりますので、こういう方向において政府は一段とこの措置考えたいと思っております。と同時に、この種射幸性を伴う競技監督行政機構については、これを一元化するよう、すみやかに検討するこという希望も衆議院側において付せられておりますので、これはただいまおっしゃられましたように、この種の射幸性を、存続するにしましても、あるいは一部廃止するにしましても、とにかく一元化の監督ができるような機構の検討は、政府としてはしたいと思います。そういう点について、今後こういう種類の制度については、政府も根本的にいろいろ考えたいという気持を持っております。
  81. 島清

    ○島清君 政府監督を強化されまして、そして衆議院の付帯決議の趣旨にも沿っていきたいという考え法案を出されておるようでありまするが、それと国会議員とか、あるいは政党の役員が関係をすると、こういったような趣旨がなぜ阻害されるのか、それを一点お聞きしたいのと、それからこれは選手ばかりではなくして他の従業員の諸君にも言い得ることでありまするけれども競輪運営の機構を見ていきまするというと、どうも暫定性というものが非常に露骨に現われておるのであります。たとえば東京の競輪をやります振興会は四つくらいですか、の競輪場を持っております。四つの競輪場を持っていますというと、大体一カ月間働くに相当する日数くらいになるわけであります。ところが小さい県の方に参りまするというと、一つ競輪場しか持っておらぬ。このことは遊び半分に仕事をやるということであります。従いまして世間から見ますというと、何か四、五日くらいでうまいことをやっておるという誤解を招く理由になります。従いまして今回の改正法案の中に、なぜこの競輪を行ないまする末端の振興会を、経済規模にかえなかったかということであります。私の判断によりますというと、大体四つの競輪場ないし三つの競輪場を持つということになりますると、振興会の方も事業体として完全に成り立ち得る。そういったような経済規模を無視されまして、今までありましたような、一つの小さい競輪場を持つものも振興会、さらに大きな四つの競輪場を持つものも振興会、私は所有権のことを言っているのじゃないのです。というような形で、こういったような根本的な矛盾がなぜ、今回の改正法案の中に解決をされて盛り込めなかったかというようなことについて、これは大臣から御答弁をいただきたいと思います。局長以下り方々についてはあとで質問いたしますから。  それからもう一点、それは要点は、いわゆる競輪を実施いたしまする振興会が経済規模の上に改革してこそ、ほんとうにあなたのおっしゃるところの健全化というものの要素が積み重ねられていくのじゃないか。そればかりではありませんけれども、なぜそういうことに改革をされなかったか、機構の改革ですね。それが一点です。  さらに運営審議会の中に、今、氏名が発表されたのでありまするけれども、すべての産業をながめまする場合に、今非常に大きなファクターをなしておりまするものは、労働者であります。労務管理が適切であるかということは、その産業の盛衰を左右します。ですから一つの事業主体におきましても、労務管理をいたしまするところの重役というものは、相当にウエイトを持っておる重役です。しかるにかかわらず競輪運営審議会の中に選手を代表いたしまする選手代表というものが含まれないということは、私は非常に時代錯誤もはなはだしいと、こう思います。こういうようなことについて改正法案運営されまする場合に、運営審議会の中に選手代表をお入れになって、そして近代的な要素を加えて競輪運営されようという御意思があるかどうかということについてお聞きしたいと思います。
  82. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 初めの点で、ちょっと事務的に説明さしていただきますと、振興会は各都道府県に一つでございまして、各競輪場ごとに振興会はございませんので、その点は従来と同じに考えておるわけであります。先生は何か競輪場の数と振興会の点を、とり方があるいはお間違えになっているのじゃないかと考えられます。それから振興会の改組案につきましては、これは監督を厳重にするように本法の改正案の中で十分考えております。  それから運営委員会につきましては、従来、選手の方は入っておりません。ただ、今回の改正案審議する場合におきましては、ずっと各団体すなわち施行者側の団体もそうでございますが、あるいは振興会側の代表者もそうでございますが、選手会の代表の方にすでに出席していただきまして、選手方の意見を十分聞いたわけでございます。
  83. 島清

    ○島清君 何か私が認識を誤っておるのじゃないかというあれでしたが、私の申し上げるのは、既成の事実が今の客観的な競輪を取り巻く諸情勢に適合することができない、こういうので改正法案をお出しになった。ですから改正法案をお出しになりまする考え方の中に、既成のものにすべてがとらわれておるということになりまするというと、既成のものでよかったのじゃないか。改正法案を出しまするところの精神的なものが全然失われてしまう。ですから私の言うのは、競輪をあなたたちがおっしゃるように健全化して恒久化しようとおやりになるのでしたら、今の振興会の仕方が、ただわずかに小さい一つ振興会を持っていたのでは、経済的な行為といいますか、それが適切でないので、それを経済規模に切りかえることが必要じゃないかと、こういうわけなんです。そういたしますというと、たとえば今の政府考えておりますような四日、六日というような開催でありましても、かりに六日を想定いたしますと、三つの競輪場を持ちますると、十八日間競輪がやれるということなんです。そういうことは必ずしも廃藩置県の当時に川や山を境にして区別した都道府県にとらわれる必要はないのじゃないか。これは経済行為であるから、都道府県にとらわれる必要はなくて、振興会をそういうふうな機構に改革することも可能であったのじゃないか。そこまで思いを及ぼされたかということをお聞きしておるわけです。
  84. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今回の機構改正案におきましては、もっと非常に徹底した案もございまして、全部の振興会を全国一本にまとめるというような案も出ておったこともございます。しかしながら、実際問題として、監督を十分していけば、相当の効果も上り得るし、かえって機械的に全部合せることは、移り変りその他で、十分に効果を上げるか、いろいろ疑問もあった。いろいろ非常な、何といいますか、形の上で理想の案とか、実質的の問題とか、いろいろなことを考えました結果、かようなことになったのでありまして、いろいろな案について検討はいたしました。
  85. 島清

    ○島清君 大臣は今の私の質問にお答えにならないのだが、なぜ国会議員や政党の役員が関係しては健全化ができないのか。なぜそうしたかということ。
  86. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 大臣がお答えする前に、御質問の意味がちょっと私わかりかねますけれども国会議員関係してはいけないというのは、日本自転車振興会の役員のことでございましょうか。
  87. 島清

    ○島清君 そうそう。
  88. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) これは従来のこういった特殊の法人と申しますか、こういうようなものとしては、国会議員、国家公務員がこの種役員となるのは適当でないという考え方から、こういうものができておる。ほかの方の例から見ても、こういうことになっておると私は考えます。
  89. 島清

    ○島清君 政党の役員はいかがですか。
  90. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 第十二条の十をそのまま読みますと、第一は、刑法上の刑を受けておる者となっております。第二は、これもやはり罰金の刑とかそういうものを受けておる者、第三が、国会議員、国家公務員または地方公共団体の議会議員、第四が、政党の役員、第五が日本自転車振興会に物品の販売とか、施設の提供をする者、それらの役員、さようなことになっております。これは全部役員となることはできないという欠格条項が出ておるわけでございます。大体これは従来のほかの考え方と同じような考え方でできておるのであります。
  91. 島清

    ○島清君 いや、その理由なんですよ。今までは、政党の役員も国会議員も、この種の何に関係できたんでしょう。役員になれたんでしょう。そうして改正法案と銘打って、健全化するのにはこうでなければならないという、その中になぜ国会議員と政党役員をはずさなければならないか。
  92. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) この点は従来はございませんので、新しくできます中央の日本自転車振興会の役員で、新しくできる法人で、それにつきましては、日本自転車振興会の法人の役員についての規定でございます。
  93. 島清

    ○島清君 それはだから、従来ないものを、従来は政党の役員でも国会議員でも、この種のいわゆる役員になれたわけなんですね。その制限がないから、なれたわけなんですよ。それを、なぜ制限を設けて国会議員を、しかも国会議員を公務員並みに、御承知かもしれませんけれども国会議員の歳費は差し押えができるのですね。公務員の俸給と国会議員の歳費とは違うのですよ。それを国会議員と公務員を同列に置いて判断をするということが私はわからない。また、公務員が国家の行政の監督を受ける機関の役員になれないということは、これはあなた、いろはのいの字なんですね。しかもまた政党役員ということがうたわれているのですよ。民主主義の今日においては、国民がもう有権者になれば、政党員であり政党の役員になれるということが、やはり建前でなければならぬのですよ。なぜそういうふうにはずしたか。そのはずした理由、そのうたった理由ですよ。
  94. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 従来の場合は、自転車振興連合会の、これは連合会のほうでございまして、これはこの本法による特殊の法人ではございません。今度は本法に基きます特殊の法人として、日本自転車振興会政府監督が非常に強い機関ができるわけでございます。そうして、いわばほかの例でもございますが、競馬法なら競馬法に基く特殊法人、さようなものと同じような考え方になっておるわけでございます。そうして競馬法によります中央競馬会法によります中央競馬会等におきましても、国会議員とか政府職員とか、政党役員は役員となることができない、同じような規定がございます。われわれはそういうふうな前例によりまして、かような制度をとったのでございます。
  95. 海野三朗

    海野三朗君 今のにちょっと関連して、この自転車競技法、これは私が衆議院の時代に議員立法でできたんですよ。与党野党相談の上で、議員立法したんですよ。政府提案じゃなかったのです。それであるのに、国会議員というものをなぜこういうところに省いたか、たとえば鉄道の審議委員にはどういうふうになっておりますか、与党野党から入っているでしょう。それだから妙な方向へ自転車の競技法というものは、ずれて行ってしまっている。私は立法をやった責任者として非常に責任を痛感しているのですよ、自転車競技法については。その当時はマッカーサーの司令部に再三足を運んだのです。そうしてこれを作り上げたのです。ところが、その後みると、国会議員というようなことが入って妙な方向にやって、だんだん年一年と線がずれていくように考えるのでありますが、どういうふうにそういう点はお考えになっていますか。それで、国会議員をなぜここに公務員並みに省いたか、今言われたように、その御返事がぴんとこないのです。
  96. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) 御説明いたしますと、最初議員立法で作られたことは事実でございますが、そのときは自転車振興会の連合会というものがございました。これは全く民間の機関でございまして、何人がここへ入っても差しつかえないという性質のものでございますから、国会議員が役員になることはちっとも差しつかえなかったと思います。ところが、御承知のように、今度はこういう特殊法人を作るか作らぬかという問題になってきますというと、特殊法人を作る一つの理由は、従来は競輪収入が一部国庫へ納入され、そしてあらためて政府予算によって自転車の振興とか、あるいは機械の振興という費用が出されておったのでございますが、これを国庫へ納入しない、そうしてこの機関が受け入れて、そうして従来政府予算でやっておったような仕事をこの法人が実際において実行する。こういう一つの特殊法人を作って、同時に政府監督を厳重にしてやるのがいいのだ、こういう構想で、従来とは違った別個の特殊法人ができましたので、そういう特殊法人を作るとしますというと、その役員に公務員を入れたり、あるいはここに書かれてあるようなものを入れるということは大体妥当でない。従来もこの種の制度については、全部そういう方法をとっておりますので、それにならってやることがいいのだという今回の改正になったのでございまして、従来の連合会と性格を変えるために起った改正でございますので、この点御了承願いたいと思います。
  97. 海野三朗

    海野三朗君 今大臣に、ついででありますから、先ほど加藤委員の言われたお答えに対して、私は百パーセントはっきりしないので、鈴木局長もさっき答えられたけれども立法府で条件をつけて出したというこの付帯条件を、一体政府は重要視していないのですか、どうなんですか、私はそこをはっきり通産大臣からお伺いいたしたい。あなたの御信念はどうなんですか、一体。
  98. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) 重要視しないのじゃなくて、重要視したらばこそ、大急ぎでこの問題をどう取り扱うか、衆参両院でこれを全部禁止しようという国会の決議がございましたら、これは国会の意思に従って政府としても余地がございません。現行法を廃止して、すぐにやめなければなりませんが、そうではなくて、参議院の方から廃止もしくは制限ということは、廃止する方がいいという空気が強かったことは承知しておりますが、それが一挙にできない場合には、制限という方向考えろ、ことに、競輪については現行制度を検討して、その改廃について政府は何か措置を次の国会までに出せということがございますので、これに間に合いますように、私どもはさっき申しますような委員を任命して、この参議院の御決議に対してどう対処するかというものを議案として出して、審議会の検討を願った。そうすると一定の答申が出ましたので、これをその翌年の国会に中間報告として、こういう答申が出たということを参議院のこの委員会に御報告しまして、そしてその答申に基いて政府改正案を検討して、この国会改正案を出した、こういうことになっておりまして、私どもとしましては、参議院のこの決議を全く無視して、ほおかぶりして云々という事実もございませんし、現にあれ以来約二年間この問題と取り組んで、解決案をこの改正に求めた、こういう事情になっておりますので、これは決して無視してはおりませんでした。
  99. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それではこの程度で、午後は東北興業株式会社法の一部を改正する法律案審議することにして、一時半まで休憩いたします。    午後一時休憩    —————・—————    午後二時二十三分開会
  100. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案議題として質疑を継続いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  101. 近藤信一

    近藤信一君 本法律案が会社の名称を改めて、会社の事業内容及び目的に変更を加えて政府の出資を認めるなどのほか、ほとんど全法上の改正をしている点から、会社の性格に重大な変更が加えられたのではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  102. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 東北興業株式会社を東北開発株式会社といたしました。そうして、これは単なる普通の株式会社という意味ではなくて、むしろ東北の経済的な後進性を取り戻すために、適切な公共的な仕事もこれにさす必要がある、こういうわけでありまして、たとえば事業目的の中に、産業立地条件の整備等をも入れまして、ただいま申し上げましたような点にそごを来たさないような事業目的を合せてこの中に含ましてある、そういうふうなわけであります。
  103. 近藤信一

    近藤信一君 本改正案第十条で産業立地条件などに関する事業を行い得るようにした点が、今度の改正案でありますが、会社の性格が変って、大臣もこの前の委員会で公団的または公社的性格を持った方がいいんじゃないかというふうに言われたように私は聞いておるのですが、その点いかがですか。
  104. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 会社の事業内容の中に単なる経済活動にとどまらず、ただいま御指摘がありましたような点にも触れて、新しい角度からこれを運営をいたしたい、こういうふうに考えておりますので、単純なる株式会社の性格とは違います。ただいま御指摘になりましたような意味の性格を含んでおるわけでございます。
  105. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると単純なる会社と違う、法人会社と違う、また公社とも違う、公団とも違う、こういうことになれば、その中間的な会社というふうなことに理解されるわけですが、そういうことですか。
  106. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) その通りでございます。
  107. 近藤信一

    近藤信一君 単純なる本法の改正法律案、この形式が果してよいかどうか、さらに、この会社を公団または公社案等の法人とすべきでなかったかというふうにもまた考えられるのですが、一体そうした中間的な会社の方が今後いろいろの点で便利であるか、また、それがその中間的なものがほんとうに今後の運営上によいのか、さらに、これをもっと強くやるならば、公社または公団、こういうふうにいった方がよいか、まあ、いろいろの点があると思うのですが、その点どちらが一番いいとお考えになりますか。
  108. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 民主的な運営をはかる意味から申しますると、ただいま提案してあるこの方式が一番適当である、こういうふうに考えております。ただ、先般来申し上げておりますように、財政投融資等をかなり期待をいたさなければ、東北地方の実情に合う運営のできない面もありますから、そういう意味でこの政府資金の導入あるいは政府の直接投資等をこれに含まして、そうして運営は東北地方の実情に合う活発な運営をはかりたい、こういうふうな、いろいろの希望が織り込まれて参りましたので、こういうふうな会社による運営、特殊な意味を持たした運営方法をとった方が一番適当であろうと考えたものであります。
  109. 近藤信一

    近藤信一君 東北地方の実情に全く合う法案だ、こう今言われましたのですが、どういう点が実情に合っているのか、その点一つ
  110. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 東北開発促進法によりまして、東北の開発を促進しようという一つの希望がありまして、その促進する場合の行政体としては、経済企画庁の中に新たに開発室を設けて、そして審議委員によってこの計画立案等の行政一般措置をとって参り、この行政推進に並行いたしまして北海道東北開発公庫を金融面では活用する、そういたしまして行政と金融とに合せて経済母体として、今までの散在しておった東北興業を新たに手直しをして、そうして行政と金融と経済活動母体と三位一体で東北の開発の軌道に乗せるという一連の構想を持っておるわけでありまして、それに合わすためには、こういうふうな考え方が東北の一連の……。東北開発促進の計画の中におけるこれの意味はそういう特別な意義があるものと、こういうふうに思ったわけでございます。
  111. 近藤信一

    近藤信一君 本法案の第十条の五に、「産業立地条件ヲ整備スル為必要ナル施設ニ関スル事業」を追加し、また、その六に「其ノ他東北地方ノ開発ニ関スル諸事業」を加えることになり、著しく公共的色彩が濃厚となってきたと、こう解されるが、その点いかがでしょうか。
  112. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) その通りでございます。
  113. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますると、この会社としては、今申しましたような事情で行わせるということになりますが、以上の事業の中には資源開発、それから道路、港湾施設とか、未開発資源の開発等、こういう問題をたくさん含んではおるわけですが、このような事業は公共事業費から支出して行なっていった方がいいのじゃないか、また、そういう性質のものではないかと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  114. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) お説の通りと思います。従ってここに掲げております産業立地条件の整備と申しまする場合には、たとえば漁港とか、港湾等の、東北地方の特に顕著な点は、荷役の施設が不十分であるとか、あるいは保管施設が適当でないとか、そういうような条件の悪いところもあります。また、工業用水の施設等につきましては、特に配慮いたさなかったならば、せっかくの事業が生きないであろう、こういうふうに思われる部面もかなりあるように存じております。船舶の基地としての補給施設等につきましても、どうしてもこれは整えていかなければ、船舶補給の不十分なために母港としての価値がない、従って他の地方に東北の船が基地を求めて東北へ帰ってこない、こういうふうなこともあります。たとえて申せば、そういうふうなどうしてもこの会社の経営で、そして公共事業としてこれを取り扱わなくて、むしろ産業立地条件を整備するための施設としてこの会社がこれを引き受けるのが適当である、こういうふうに思われる点があるというわけでございます。
  115. 近藤信一

    近藤信一君 次に、本法律案提案理由の中に、「東北地方の資源及び産業につきましては、その現況よりみて、さらに積極的にその開発を促進することが国民経済の発展上緊要と考える」こういうふうにありますが、右の開発を促進する予定の資源または産業とは、どんなものをさしておられますか、具体的に一つ示していただきたいと思います。
  116. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) それには東北地方独特の資源として、他の地方よりも東北地方にのみこれがあるものと言われておりますその中でも最も顕著なものは、たとえば石油資源のようなものは日本の九二%ですか、これがこの地区にありますが、そういうものにつきましては、特別な配慮をしなければならぬということがあります。それからまた、科学技術庁の調査によりますと、ウランないしトリウム等の資源は、最近東北地方にあるということが大体明瞭になって参りましたが、それに対するところの基本調査あるいは資源開発計画というふうなものは、当然これはこの会社として新しく取り上げなくちゃならないものだ、こう考えております。また、先般来御指摘になりましたが、農業関係の中には、たとえて申しますと、ビートの栽培、あるいは寒冷地におけるところのビートの栽培に伴う加工の業務等がありますが、そういう点につきましては、特にこの会社は考究しなければならないのじゃないか。東北地方の大部分の生活に関連する事業といたしましては、農林あるいは水産、林産等がありますが、山の関係のものでも、特に国有林の処分に伴うそれの加工の諸事業等は、当然この地方の特殊産業としてこれを考慮に入れていかなければならないものである。とういうふうにも言われておりますし、またこれもわれわれはこの会社の業務として積極的に考慮しなくちゃならないものの一つである。こういうふうにも考えております。
  117. 近藤信一

    近藤信一君 今申されましたように、資源開発それから産業開発のために積極的にいろいろな開発をやられる。そういたしますると、それに対するところの年次計画というふうなものが立っているはずだと思うのですが、一体その年次計画についてお考えになっておられますか。
  118. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 年次計画は、当然これは立てなければならないはずでありますが、この法律建前から申しますると、実は審議会の審議委員の任務の中に、東北開発会社の運営についても審議し、そしてそれの基準を与える、事業基準を与える、こういうふうなことがあります。従って御指摘の点は、東北開発促進法の第五条に基きまして、審議会の委員を早急に任命していただいて、東北開発株式会社の事業の基準となるべき事項についての方針を立てるようしなければならない。こういうふうに考えております。従って従来東北興業株式会社として運営して参りました事業等の引き続いての経営は、とりあえずやって参りますけれども、むろん、御指摘のような方針につきましては、直ちに促進法第五条に基いて審議会を開催し、そして法律に従って誤りのないように方針を立てたい、考えたいと思っております。
  119. 近藤信一

    近藤信一君 審議会によって方針を立てる、こう言っておられますが、少くとも一つ計画をされるためには、さらにこういう大きな計画をされる上においては、やはり少くとも年次計画というふうなものは具体的に立てられて、初めてそこに方針というものが立つわけであって、審議会にかけてその上にということになりますると、私はいささかその点どうかと思いますが、その点どう考えておられますか。
  120. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 私は大体今までの東北興業株式会社運営計画の説明は最近聞きましたけれども、この会社の運営には、かなり長期にわたった計画を持っておりまして、その計画の中でかなり伸びた事業もあります。また、環境にそぐわないために、たとえばドックのように当然今の環境によって伸びなければならないような仕事も、実はそのままでほとんど活動しておらないという非常に時代に合わない矛盾した点も見受けられます。従ってとりあえずの計画といたしましては、従来経営いたしておりました各直接間接の事業に対して、これをどういうふうにして伸びておる仕事はこれを育成していくか、また不十分なものに対してはこれをどういうふうに整理するか。また、新たにこれをどういうふうにして東北地方の環境に合うように育て上げるか、こういうことでありまして、それはそれぞれの項目別に案は一応持っております。ただドック一つ考えてみましても、かなり慎重を期していかなければならない内容のものでありますし、資金もかなり見通しを立てなければならぬ点がありますから、もう少しこの点につきましては従来の方法だけではこれはいけないのじゃないだろうかと考えております。特に人事等につきましては、どうしてもその道の専門の方を求めることのできるような環境を作らなければならないのではないかと思っております。また、重要な事業の一つとしてはセメント事業がありますが、セメント事業につきましてはこの機会に、その他に対しては非常に慎重を期して今建設を進める途中である、こう見ております。この点につきましても経営の今後の方法をどう持っていくかということにつきましては、なおこれは再検討すべき面があるのじゃなかろうかとも考えております。そういう一連の現在のやっております仕事だけを考えてみましても、もう少し計画に検討を加えていかなければ、ただいま決定いたしておりますところの資本構成だけの内容を見てみても資金に不足をきたすおそれがあるんじゃないか、従って他の産業、立地条件の整備に回す金が、そういう方面へ食われることがあるのじゃなかろうかと、こういうふうに心配いたしまして、新しい企業に対する資金配分計画考える前に、とりあえず現在持っておりますところの工業施設計画中のもの、それの中にはそれぞれ従業員、労働者を抱えておりますから、そういう者に不安を与えないような対策をまず講じながら、新規な方面に進まなければならぬと考えております。
  121. 相馬助治

    ○相馬助治君 近藤委員から長期計画のことについての質問がありましたが、これに関連してさきの委員会で私が問題にしました人事のことについて、お尋ねしたいと思うのです。その前にこの法律案の取扱いをめぐって、東北地方では社会党がしきりに抵抗しているためにこの法律案が通らない。こういううわさが流布されているそうですが、私どもはせっかく政府の投資をたくさんしてやる会社であるから、よりよいものにして、そしてよりよき効果を上げしめるための基礎となる法律としたいとかように念願をして、これを慎重に取り扱っているわけで、この法律案をつぶしてしまおうなどということは、さらさら考えていないわけです。しかるに、そういう無責任な放言がなされて、聞くところによると、わが党関係の某知事のごときは、何やら苦況に立っているとすら、これはうわさだけかと思いますが、伝えられている。われわれとしてははなはだ迷惑なのであって、慎重にこの法律を取り扱って、そして少しでもベターなものにして通したいとかように念願をしておるのですから、よもや提案者側からそういう流説を流したとは思わないけれども、もし考えてみて幾分反省すべき点等がかりにあるならば、これは十分考えておいてもらわなければならぬと思うのです。で、私ら聞きたいことは、長官がこの前の委員会で人事問題については、慎重な答弁をしなければならないから、ここで具体的には申し上げられない。しかし、十分考えたい、こういう御発言でした。で、私は突然であるから、それはごもっともだと思うから、少くとも本法案が成立するまでには、政府の態度を一つ明確にしてもらいたい。どんなりっぱな計画をしても、なんぼ金をやってもですね、総裁、副総裁以下最高人事等がその当を得ていなかったならば、この種の事業が効果が上らないことは明瞭で、これもまたうわさ話しなんで、ほんとうかどうか知らんけれども、総裁と副総裁との間で意見が食い違っているというようなことも聞いておるし、果せるかな、この法律案がこの商工委員会に出て参ってから、この東北興業株式会社に直接関係している職員等からは、われわれは何の意見も聞いていなければ、はがき一枚の陳情も受けておりません。この種のものが問題になった場合には、大体やはり会社自身が積極的にですね、資料を提供し、あるいは説明等を行うのを普通としていたと思うのです。しかるところ、この法律については、当事者はまるで熱意がない。幹部のある者のごときは、この法律が成立しないことを期待しているやに伝えられる。しかし、一方関係の知事さん、県会議員さん、国会議員さん等は、これはまた熱烈にこの法律案を通すべく、われわれに運動を求めておる。きわめて変ったケースの法律であると思うのです。  そこでですね、どうしてもこの種の事業を今後効果あらしめるためには、さきの委員会で豊田委員も明快に指摘されましたように、その人を得なければならない。そういう角度から従前の役員について政府はどうするつもりであるか、この際人事刷新を断行するつもりであるかどうか。それから最高幹部の人事問題以外にも、人員の配置転換その他を試みて、そしてこの何らかの構想があるかどうか。しかもまた、総裁、副総裁がほとんど東京にいて、そうして仙台の本社にはわずかに五人しか職員がいないというような、こういう形から考えては効果が上らないことは明瞭なので、現地指揮等について将来どのように政府考えているか、こういうふうな問題について、もうそろそろ考えがコンクリートされたと思うので、御所見を承わっておきたい。その御所見がはっきりすれば、われわれは初めてとの法律案を通すか通さないかきめて考えてみたいと思うので、一つ承わっておきたいと思う。
  122. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 人事につきましては、この刷新をはかるということは、当然のことと考えておりますが、ただ、この東北開発会社の性格といたしまして、いろいろの違った事業を経営をいたしております。従って違った事業の中において、セメントであるとか、あるいはドックであるとか、その一つ一つ取り上げてみても、自分たちの経験では、かなりの権威者を持っていかなければ、経営はうまくいかないであろうと予想されるものがあります。そうして相当の人材をことに起用するということを断行しなかったなれば、おそらくそれが息を吹き返していかないだろうというものもあります。従って一東北興業株式会社の人事のみに拘泥をせずに、今御指摘がありましたように、全部の関係会社についてこれを一括して人事を、企業に適当するものであるかどうかということを検討いたしまして、そうしてこの法律にも掲げられてありますように、三カ月以内というような施行期日についての余裕も含ましておりますから、そういう意味でやるなら、やっぱり全部の組織それ自身が本格的に軌道に乗って動き始めることができるような人事構想を持つべきじゃないかと、こういうふうに思っております。しかし、そういうことにこだわりまして、全体の推進がどっかで故障を起すということがあってはなりませんから、そういうことを目標といたしまして、人事に考慮を払いたいと考えております。
  123. 阿具根登

    ○阿具根登君 関連して……。関連の関連でおそれいりますが、今相馬委員が御質問した中に、何か首脳部の間にいろいろ問題が起きているようだと、首脳部の間に意見の相違等がある、あるいはそれにひれがついたのかどうか知らないけれども、それに対して政治的な動きも相当加わっている、こういう非常な醜いことがわれわれの耳に入っている。大臣のお言葉はそこまで触れるのも、なかなかむずかしいと思うのだけれども大臣にも相当なことが耳に入っていると思う、大臣の構想はあると思うのです。それを今のような普通の通り一ぺんな答弁でなくて、もっと、これはもっとえぐり下げて、もっと掘り下げて、そうしてほんとうにどうあるべきであるということをやってもらわなければ、われわれの耳に入るのは、非常な不明朗な話ばかりだから、その点はもう少し掘り下げて御説明をいただきたいと思う。
  124. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 今まで事業が非常に活発に、そしてだれもが納得のできるような方向に、これが採算も合う、そして経営も非常に合理的である、こういうふうに言われておらない事業は、はっきりもう数字に出ておりますから、事業というものはもう抽象的なものでなくて、バランス・シートにちゃんと成績は載って参りますから、その成績の載っておらないものは、その会社から去るべきものであるというのは、おそらくどこの会社でも定石じゃないかと私は思っております。従ってだれがだれと仲がいいとか、悪いとかいうことは、これはあるかもしれません。しかし、それよりもやはり会社というものは、しかも国費をこれに投じて会社を経営するという場合に、赤字を出しておって、この会社に自分がすわっている権利があるというふうなことはあり得ないと考えております。少々のけんかくらいはしたところで、愛社心のためにけんかするのであったら、これはかえっていい場合もありますから、そういう点は私はあまり心配せずにまかしてみたらどうかと思います。ただ、結論において会社が事業目的に合うような運営をされておりながら、しかも、赤字が出るという場合もあります。それは無理な条件をこっちがつけております場合には、そういうこともありましょうけれども、しかし、今までの経営の経過を、私が経営のみの観点から承わったところによりますと、経営必ずしも適当でなかった面がかなりあるのは、数字のはっきり示すところでありますから、数字の示すところに対して、やはりその数字を手直す力があるかないかということは、おそらくだれでも理屈は要らないというふうに私は考えておりますので、そういう意味で内部の不和等がありましても、それはあまり気にかけなくてもいいんじゃないか。なお御指摘のようなことがありましたなれば、よく実情を調査いたしまして、そしてやはり企業の根本方針は、まず赤字を出すということのないように、そしてわれわれの国費を投じたものが国費の希望の線に沿って、これが活用されておるということにまず配慮しながら、人事を考えさせていただきたいとこう思います。
  125. 近藤信一

    近藤信一君 続いてお尋ねいたしますが、私ども一歩譲るといたしまして、積極的な資源開発、産業開発、こういうふうに努力されておるわけでございますが、しかし、そういう努力をされまするが、今日までの東北興業の状態を見ておりますると、なかなかとの努力が報いられなかったと私は思うのです。しかし、今後積極的な開発をされ、そうしていろいろ努力されました結果、国民経済の発展に対して一体どの程度の貢献を期待されるか、その見通しについてもしお考えがあればお聞かせ願いたい。
  126. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 国民経済に対する寄与の点におきましては、私はやはり東北開発促進法に基くいろいろの諸機関の総合的なやはり運営によって、国民経済に対する寄与の効果は期待し得ると、こういうふうに思っております。それで、この会社の考えております事業内容から見まして、既存のいろいろの特殊な資源を利用する、豊富な電力等をうまく使って、そうして特殊な事業の迷宮をはかるという点等におきましては、かなりな期待の持てる点もあります。それで、それをどういうふうに評価するかということにつきましては、なかなか抽象的にお答えをしてどうかとも考えます。それで、そういう点につきましては、産業立地条件等の整備、こういうふうな問題になって参りますると、比較的じみでありますけれども、東北開発のためには効果が非常に期待されるものがあると、こういうふうに考えております。それで、ここでどういうふうに、御質問に的確にどういうふうにお答えしたらいいか、ちょっと問題が非常にむずかしいのですが、いずれにいたしましても、かなり長期の年次計画を立てまして、その年次計画の中において利害得失を数字でもって明確にすることのできるように運ばなければならない。ただいままでの私の調べましたところによりますと、非常にこれが抽象的であって、どっちかというと、従来の数字の掲げ方では会社は非常に大きく期待をし得ないものではなかったかというふうにも考えております。今後はそうはいかなくて、促進法に基いて計画を立てまして、そうして北海道等の開発公庫等と一緒にこれを運営していけば期待は持てるものではないかと思っております。
  127. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 委員長から申し上げますけれども、ただいま衆議院の本会議内閣の不信任案を上程しましたので、宇田国務大臣出席してくれるようにという要求がありました。国務大臣が、もし本会議が済みましたらこちらに出ていただけるようでしたら、暫時大臣に対する質疑はあとに保留して、他の質問を継続したいと思いますが、よろしゅうございますか。政務次官がすぐ見えるそうです。よろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) じゃそういうふうにいたします。  今見えておりますのは、経済企画庁開発部長植田俊雄君、建設省計画局東北興業株式会社監理官澤田君、大蔵省理財局資金課長澄田君、以上のような方々が見えております。
  129. 近藤信一

    近藤信一君 東北開発促進法の目的とされておりまする事業、それから本会社の事業との限界、そういう点について一つお聞かせ願いたい。さらに、促進法に基いて設立されまする予定の東北開発審議会で審議されるところの東北開発促進計画、これと本会社の事業内容との関係が一体どうなっておるか、そういう点についてお聞かせ願いたいと思います。
  130. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 東北開発審議会において審議いたします開発促進計画は、主といたしまして公共事業あるいは公共事業に準じて扱ってもいい性格の、電力でございますとか、輸送の計画が中心になるわけであります。国といたしまして、こういう計画を立てる場合におきまして、私企業が自己の判断によって工場を立地する、こういうものはなかなか計画に乗って参りにくいわけでございますが、先ほど御指摘がございましたような、この東北開発株式会社一つの特殊法人でございまして、また、政府もこれを監督いたしておるわけでございますので、開発計画の中に東北開発会社の事業内容も織り込むことは可能であろうと存じております。  次に、開発公庫の貸付対象になります企業とこの会社との関係でございますが、これは御承知の通り、同じく政府の保証を受けまして社債を発行するわけでございます。東北開発会社と公庫との間の融資関係は、おそらく起るべきではなかろうかと存じております。しかしながら、この開発会社の融資対象の事業と、この開発会社のやっておる事業とは、業種別に全く別個のものというわけにも参らんかと思うのでございます。これは工場の地点におきまして、一つの地方におきましては公庫の融資を受けて事業を行い、また、他の地方においては、この会社が事業を行うということもあろうかと存じます。しかしながらこの会社といたしましては民間企業が進出しようとしておりますところを、この特殊法人でありますこの会社が出てそれを妨害いたすと、こういうふうな性格の仕事をするべきではございませんで、そういったことがございますれば、これは民間企業に譲るべきでございまして、民間企業が進出が当分期待できないと、こういったような地域あるいは産業におきまして、この会社が進出して参りまして資源の開発に当るのが適当ではないかと考えておるわけでございます。
  131. 近藤信一

    近藤信一君 北海道、東北開発公庫は東北開発株式会社に融資をされるわけでございますが、一体どれぐらいの融資をされる予定でおられますか。
  132. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 私ただいまの説明が不十分でございまして申しわけございませんが、北海道東北開発公庫から東北開発株式会社に融資する必要はあるまいと心得ております。いずれも政府の保証による公債を発行するわけでございますから、そういうことは必要はないと、またそういう必要のないように両者の運営をやっていくべきではないかと考えております。
  133. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますると、北海道東北開発公庫は東北地方における本会社以外の事業に対して、融資をどの程度やっておられるか、さらにその中で中小企業に対するところの融資は一体どの程度の融資をやっておられるか。その点おわかりであったらば、お聞かせ願いたいと思います。
  134. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 北海道開発公庫の業務の変更を今回いたしまして、東北につきましても融資をする道が開けたわけでございます。今年度の予定といたしましては四十五億を東北分として予定いたしまして、この融資の事業に対する監督は、経済企画庁が当ることになっておるわけでございます。  次に、御質問のございました中小企業との関係でございますが、この公庫におきましては、資本金一千万円以下の会社に対しましては、原則といたしまして、ちょっと言葉が足りませんでした。一千万円以上の会社を原則として貸付対象にいたし、それ以下の会社につきましては中小企業金融公庫の業務分野にいたしたいという考えでございます。
  135. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしまするというと、資本金一千万円以上の会社に対しては融資をしておるが、その一千万円以下の中小企業に対してはこれは国民金融公庫の方から融資してもらいなさい、で、北海道開発公庫からは融資はできないと、こういうつもりでありますか。
  136. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) この方針は、昨年北海道開発公庫ができました当時におきまして、関係各省間でそういう了解事項をとりきめておりますので、その方針を今回まだ変更するに至らなかったわけであります。
  137. 近藤信一

    近藤信一君 じゃ、なぜそのような方針をおとりきめになられましたか、お聞かせ願いたいと思います。どういう理由で、こういうような結果になったか。
  138. 澄田智

    説明員(澄田智君) 私の方から御質問にお答えいたします。これは北海道公庫ができましたときに、既存の中小企業金融公庫との業務分担をどういうふうにするか、そういう問題が起りましたときに、その際そういうふうな業務の分担が適当であろうということになりまして、これは絶対の原則でないのでありますが、一応原則としては北海道公庫の対象といたしましては、北海道全体の開発に最も効果のあるそういう事業、従いまして資本金一千万円以上の事業を直接の対象とする、原則としてはそういうものにする、それ以下につきましては、御承知の通り中小企業金融公庫というものがありまして、これは前から資本金一千万円以下の中小企業者に対する金融を全国的にやっておりますので、引き続いてその方で金融を行う、こういう原則を立てたわけでございます。今回東北まで北海道公庫の業務の範囲が広がりまして、北海道東北金融公庫ということになりましたが、その点につきましては、両公庫の間の業務の分担として、引き続いて同じ方針で進むことになったわけです。
  139. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますると、東北興業の会社が設立された動機というものは、東北地方は非常に産業的にめぐまれない、従って東北地方におけるところの産業振興に努力しよう、こういう趣旨でこれは設立されたものと私は思うのであります。ところが、今お話を聞きますると、北海道東北公庫はそういう小さなのは、まあ国民金融公庫から借りなさい、国民金融公庫から借りなさいといってみたところで、国民金融公庫のワクというものは非常に少いと思う。そうして借りる額というものも非常に少い、こういうことになれば自然的に北海道東北開発公庫から金を借りられない、また国民金融公庫からは少額な金しか借りられない。それでは中小企業の事業というものがもう少し金があれば何とかなる、こう思うけれども、融資をしていただくところがないから、自然にこれは中小企業というものは没落していかなければならぬ、こういう私は状態になると思うのですが、その点をどう考えておられますか。
  140. 澄田智

    説明員(澄田智君) ただいまの御質問の点でございますが、ただいま国民金融公庫のようなお話しでございましたが、これは大部分は中小の企業に対する金融でございますので、中小企業金融公庫の方のことかと存じます。国民金融公庫も一般の庶民金融をいたしておりますので、こちらから出るものももちろんあるわけでございますが、事業金融としては、主として中小企業金融公庫が金融をいたしておりますが、これが本年度は、これはもちろん全国でございますが、四百十五億円の資金を持っております。先ほど御説明ありましたように北海道東北金融公庫の東北分といたしましては、四十五億円でございますので、この四十五億円に比べまして、もちろん全国ではありますが四百十五億という金額を持っておるわけであります。従いましてこのうちから東北地方の所在の中小企業に対しましても、相当の金融はもちろん行われて、そういう点におきましては、このような金融両公庫の業務の分担をもって進んで参りましても、支障はないものと考えておるわけであります。  なお、中小企業金融公庫から借ります場合には一件当りの金額は非常に少いのではないか、こういう御指摘もあったかと存じますが、この点につきましては、中小企業金融公庫は過去におきましても一件数百万円の貸付を行なっておりますので、必要に応じまして所要の金額を貸し付けることは、不便はないかと存じます。
  141. 近藤信一

    近藤信一君 本法改正の中に、東北地方の振興に関する事業、そういう条項の中で、「振興」を「開発」に今度変更されたわけなんでありますが、それはどんな理由があって変えられたのか、また、どんな事業を予定しておられるのか、その点が一点。それから未開発資源の開発をどの程度に予定されておられますか、その点お聞かせ願いたい。
  142. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) この「振興」と「開発」という言葉の字句から受ける感じでございます。この東北興業株式会社ができましたときには、東北振興という名で叫ばれました。「振興」という言葉は、その地方の所得水準を上げるというふうな性格が、これもぴたりとその通りの定義が当てはまるというほどの厳密なものではないと存じますが、若干そういう感じがするわけでございます。「開発」という言葉は、かつてはあまり使われなかった言葉でございますが、最近は各方面に使われておるわけでございます。私どもの感じといたしましては、「振興」よりも「開発」の方が若干意味が広いのではなかろうかと、そういう意味に「開発」を使っております。それからもう一つ「開発」と変えました理由といたしましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、今度この会社におきまして、産業立地条件整備の仕事もいたしますので、そういう意味までぴたりと入れますということになりますと、やはり「開発」という言葉の方が現在の私どもの感じから言っていいのじゃないか、こういう意味におきまして、社名を開発会社ということに改めますと同時に、その字句も「開発」と改めました次第でございます。  次に、資源の開発目標でございますが、これは資源の開発をすべてこの東北開発会社のみでいたすわけでもございません。公庫からの融資に基いて設立する会社もございましょうし、あるいは拡充する会社もございますし、総体として考えねばならぬわけでございますが、従って開発目標といたしまして、個々の資源について一々どの程度開発するかということまでの、ただいま資料を持ち合せておりませんけれども、東北地方の特異な資源でございますものにつきまして、この際御説明申さしていただきますと、一つが砂鉄でございます。現在の砂鉄の電気銑は三十万トン前後でないかと心得ておりますが、砂鉄銑に対する需要が非常に大きいわけでございますので、これを昭和四十年ごろには、六十五万トン程度にいたしたいと考えておるわけでございますが、そういうふうにいたしましても、この砂鉄の推定埋蔵量は三、四十年は維持できるものがあろうかと存じております。  次に、天然ガスの方でございますが、天然ガスにつきましても、一日百万立米程度をくみ上げましても、これは天然ガスについては埋蔵量の推定が非常に困難でございます。現在のところ単なる露頭調査等の程度でございますけれども、現在までの調査によりますと、天然ガスをただいまの程度にくみ上げて参りましても、大体七十年程度持続力があるのではなかろうか。そのほか東北地方には各種の天然金属等もございまして、非鉄金属の資源としては東北地方は最も有望な地帯でございますので、こういったことも一つの開発の対象として考えていいのではないかと、かように考えております。
  143. 近藤信一

    近藤信一君 これは先ほどから問題になっておりました人事の問題にも関連しますが、第六条の役員の問題でございます。総裁などに対する任命権者の性格の変更上総裁、副総裁等が今度は理事、こういうことになりまして、その理事のうちから総裁を一人、副総裁を一人、こういうふうになるわけでございます。そういたしますると、重要事項は理事会で決定することになりますが、会社の代表者の総裁は、会社の代表者としてとどまるだけのことでありまして、本法案改正によって、総裁等はもちろんこれは任命をし直さなければならぬのじゃないかと、こういうことになってくるわけなんで、そうすると、一応総裁というものがもう予定されておるように私は思うのですが、この点いかがですか。
  144. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) その点は人事に関する問題でございまして、先ほど大臣が御説明申し上げました程度以上には私も存じておりませんし、むしろ、私の知っておりますのは、先ほど大臣が御説明になったことより、もっと程度の低いことしか存じませんので、御了承願いたいと存じます。
  145. 近藤信一

    近藤信一君 この点は大臣が来られましてから、一応重要な点でございまするから、御質問することにいたします。  次に、第十条で、産業立地条件などに関する問題で、公共的な事業を行えるようにした点であります。会社の性格が変って、大臣もこの前の委員会でいろいろと御答弁の中に、公団または公社的な性格を持つと言われたが、先ほどもこの点は言っておられました。こういう点からいきますると、一体採算ベースというようなものが、事業として見ました場合に、採算ベースに乗らない事業をやらせるのには、一体後配株制度というものの復活をはかったのは、一体どういう結果であるか、この両者が矛盾しているように考えられるが、この点はどのように考えておられますか。
  146. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 十条の第五号を改正いたしまして、「産業立地条件ヲ整備スル為必要ナル施設ニ関スル事業」ということを今回の改正案に入れているわけでございますが、これは先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、単なる公共事業ではございません。単なる通常ども考えますところの公共事業でございますと、これは国庫の補助を受けて府県等が実施いすものでございます。ここに書きました事業は、そういう公共事業でもない、しかし私企業が自分の事業範囲としてやるのには適当ではない、こういう性格の中間的なものがあるわけでございます。これは詳言いたしますると、従来は融資等でやる事業、こういうふうな融資等で従来公共団体がやっておった事業が、これに当てはまるかと存じます。従って、こういった事業におきまして、ただいま御指摘の通りに、すぐに利潤を生む性格のものではございません。そういう意味におきましては御指摘の通りでございます。しかし、従来この会社としてやっておりました一般産業会社並みの事業もございますし、また、今後もそういう方面の事業も実施いたしますので、この会社が近い将来にいつ配当できるようになるかということを、ただいま申し上げるところまでの経済力は持っていないわけでございますが、後配株制度も、もとはあったわけでございますので、この機会にこの点の復活をはかったわけでございます。
  147. 阿具根登

    ○阿具根登君 暫時休憩の動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  148. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議がなければ、その通りに暫時休憩いたします。    午後三時十九分休憩    —————・—————    午後四時三十八分開会
  149. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案質疑を継続いたします。
  150. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど大臣が不在でございましたから、保留にしてある点からまずお尋ねいたしますが、今度の改正案によりますると、総裁等に対する任命権者の性格の変更によりまして、総裁、副総裁等が理事とされておるのでございます。そうして、理事の中から総裁、副総裁を選ぶと、こういう結果になるわけです。それから、項については理事会で決定することになっておりまして、会社の代表者たるにとどまらない、こういうような結果になるわけであります。本法律案改正によりまして、総裁等の任命、こういう任命のし直しをしなければならんと私は思うのでございます。従いまして、これは、先ほども問題になっておりました人事の問題になるわけなんで、そうすると、現在の総裁を任命し直すということになりますると、次の総裁に予定されておる人があるだろうと私は思うのでございますが、どなたか予定されておるかどうか、そういう点についてお尋ねいたします。
  151. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 今のところ、予定しておる者はありません。
  152. 近藤信一

    近藤信一君 今のところ予定されておらないという御答弁でございまするが、改正案によりますると、当然これは総裁が今度かわるわけでございますが、その点はどうですか。
  153. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) この第六条、第七条、第八条によりまして、従来と任命方式は変っておると考えております。従って従来のものがこれを踏襲して行き得ないものであるというふうに法律を解釈すべきものと思っております。ただ、法律解釈について幾分の疑義があるようには聞いておりますけれども、従来は政府が任命するということになっておりますが、今回は総裁及び副総裁は内閣総理大臣がこれを任命する、こうなっております。第六条に理事七名となっておりますが、それは株主総会において候補者を選んで内閣総理大臣がこれを命ずると、こうなっておりますから、従来とは同一ではないと考えております。
  154. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、従来の総裁が理事に選ばれた場合に、その理事会で現在の総裁がまた総裁に選ばれるということもありますか。
  155. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 第六条におきまして、理事は七人以内、うち総裁一人、副総裁一人とございまして、総裁、副総裁は理事として理事会を構成いたします。しかしながら第八条におきまして、総裁及び副総裁は理事の中から互選という形でございませんで、総裁、副総裁は内閣総理大臣が直接これを命ずる、こういう趣旨でございます。
  156. 近藤信一

    近藤信一君 内閣総理大臣が総裁を選ばれまして、そうして選ぶと同時に、これは理事に任命するわけですか。
  157. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 総裁、副総裁は法律上当然理事ということになるわけでございます。
  158. 近藤信一

    近藤信一君 そうしますと理事七名の中に総裁、副総裁が予定されておりますので、現在の総裁が、内閣総理大臣が総裁としてあらためて任命されることになるのですか。
  159. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 総裁、副総裁がそのまま在任されるということにいたしますれば、内閣総理大臣がこれを命ずるということに相なるわけでございます。
  160. 近藤信一

    近藤信一君 これはうわさでございますが、東北の某県の知事が総裁に選ばれるであろう、こういうことがうわさになっておりますし、某省の次官が知事になるから、その知事を東北興業株式会社の総裁に横すべりさせる、こういうようなうわさが飛んでおりますが、その点いかがでしょうか。
  161. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) そういうことは全然聞いておりませんし、また、そういうことは考えておりません。
  162. 阿具根登

    ○阿具根登君 関連して。お聞きになっておらぬといえばその通りですが、私どもそのうわさを聞いているのですが、しかし、そういうことが可能ではないのですか。そういうことが実際に実現するのではないですか。
  163. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 私は所管をいたしておりますけれども、そこまでのことについて全然知りません。また、そういうことが可能であるかどうかということについても、少くとも総理大臣からそういうことで話を承わったことはありませんし、国会法律が成立しない前に、人事をもてあそぶような話をするというような不謹慎なことはやらないと私は思っております。
  164. 阿具根登

    ○阿具根登君 御答弁ではその通りだと思いますが、こういう非常に何か不明朗なうわさが出ている場合に、えてしてこういうのが的中するわけなんです。そうするとこういうところで論議をしているのが非常に何かこうおかしいような格好になりますから、まあ、そういううわさがほんとうでないということになれば幸いだと思います。
  165. 近藤信一

    近藤信一君 東北興業株式会社は三十二年度において二十五億円の資金をもってもろもろの事業を行われるようでございます。そのうち、新規事業として比較検討中と答弁がございましたが、その中にいわゆるハード・ボード、砂鉄、天然ガス、水産加工業、これらの事業を、それぞれ計画内容について検討がされておると思うのです。従ってその内容について一つもし御検討になっておりますならば、具体的に御説明が願いたいと思います。
  166. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) この法律の検討されます際、あるいはこの法案の立案過程におきまして、東北興業といたしましてはハード・ボードの問題につきまして、ある程度の調査をいたしましたことは承知をいたしております。しかし経済企画庁の所管に移りました以後におきまして、そのハード・ボードをやるかどうか、こういうことも未決定でございますし、先日申し上げました四つの業種の中におきまして、今度設置されますところの東北開発審議会の議を経て決定されるものと、こういうふうに考えております。
  167. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、ハード・ボードの事業計画につきましては、一応そういう検討はしたが、それを実施するかどうかという点については審議会でこれを決定される、こういうことでございますか。
  168. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ハード・ボードにつきまして東北興業が調査をしたということを申し上げただけでございまして、その検討結果につきましてもまだ私ども詳細に承知するところまで参っておりません。従いましてハード・ボードに対しましても経済企画庁といたしましてはただいまのところ白紙でございます。
  169. 近藤信一

    近藤信一君 調査されたのはハード・ボードの問題だけであって、その他の砂鉄や天然ガスの問題はどのようになっておりますか。
  170. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 砂鉄、天然ガスも開発の対象として考えられるものであるということで、会社といたしましても、かねて調査したいような意向を持っていたようでございますけれども、起業計画その他につきましては、まだ立案されておりません。その点につきましても企画庁といたしましては白紙でございます。
  171. 近藤信一

    近藤信一君 もし調査の結果、ハード・ボードをやって、非常にこれは日本の経済上に有効適切であり、さらにこれが今後発展するという見通しが持たれた場合には、今年度中にハード・ボードの会社をやろうというふうな含みでもございますか。
  172. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 東北興業株式会社におきまして、そういう検討をしたことがあるということを申し上げただけでございまして、この四つの業種の中でどれを第一次に取り上げるかということにつきましては、まだ全然方向もきめておるわけではございませんで、どれを取り上げるということにつきましては、完全に四つの業種につきまして白紙でございます。
  173. 近藤信一

    近藤信一君 私は昨年のこの改正案のときにも建設委員会に私おりまして、いろいろ問題になりました。東北興業株式会社がいろいろと事業計画を立てるのでありますが、その事業がまだ完成をみないのに、次の事業計画を立てていかれる。こういうことは私は民間の会社の例を見ますならば、まだ成功もしていないのに、次の事業計画を立てることは、非常に困難だと思うのですが、この点は東北興業株式会社政府の金をいろいろと使ってやられるので、一つの事業を完成しなくても、それがうまくいってもうまくいかなくても次の事業計画がすぐ立案できる、こういうふうなことであれば、私は非常に重大だと思うのですが、その点どう考えておられますか。
  174. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) そういう点は非常に重要な点と考えます。一つの事業が仕上るか仕上らぬかということにつきましては、いろいろの見方があると思います。年次計画を立てまして、その年次に応じた程度の成功率を何ぼと見るかということによって見通しが立ちました場合には、完全に最後までの仕上りがなくても、次の事業に取りかかるということはこれは可能かと思います。要するに、計画と人事がうまくいきました場合には、完成しきった後において、その次のものに移るということでなくとも、それは新らしい企業に手を加えていくということはできるかと思います。そういうわけで、全然御指摘のように、海のものとも山のものともわからない、見通しも計画も立たない、そういうようなものをたくさん持っておって、次の事業に取りかかるということは、これは当然排除しなければならぬと、こう考えております。
  175. 近藤信一

    近藤信一君 私ども委員会から調査視察に行きまして、地方に行きましてハード・ボードの会社も視察したのです。そこでそこのお話を聞きますると、非常に苦心惨たんをして、ある会社などはその会社の財産をほとんどつぎ込んでしまって、やっとめどがついたという、こういうような状態なのです。そこで今ハード・ボードが将来発展性があるであろうというところから、そういうような非常に苦労をされて、やっと民間の工場がこれから少しの生産をやろうと、こういうような動きがあるときに、もし政府が、この東北興業へ政府の金によってハード・ボードという工場を事業計画の中に立てられて、そうしてやられますならば、私は非常に、あの会社がうまくいきそうだからという安易な気持から、ハード・ボードの工場をやられるということになれば、それはまたその事業に失敗されるという結果になるだろう、私はこう思うのです。そういう点から考えましても、私はそのハード・ボードの事業計画というものは相当慎重にやらなければ、セメントのような結果が出てくるのではないか、こういうことを私は心配するのですが、その点いかがですか。
  176. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 私、先ほど率直にありのまま申し上げましたが、東北地方にはハード・ボードの材料になりますところの広葉樹がたくさんございますから、東北地方の開発としてハード。ボードなんかいいんではないかというようなことが考えつくわけでございまして、そういう趣旨で東北興業といたしましても調査をいたしましたことを率直に申し上げたわけでございます。ただいま近藤委員のお話しになりましたようなことを私どもとしてはよほど気をつけて参らなければならないわけでございますから、経済企画庁といたしましても、ハード・ボードの問題につきましては、東北興業の現在までの調査にかかわらず、完全に白紙の状態で臨みたいと考えておるわけでございます。
  177. 近藤信一

    近藤信一君 新しい事業計画は相当慎重にやられることは、私は当然だと思うのですが、今までの状態を見ておりますと、東北興業株式会社はほとんど事業を食い散らしておる、こういうような傾向があるわけなのです。そこでこの問題については、いろいろと私ども本院におきましても、議員の仲間におきましては東北興業はなっちゃおらぬ、こういうような声もしばしばあるわけなのです。そういう点を考えましても、私は非常にこういう点は慎重に考えて、そうして万全の対策の上にこういう新規事業というものに手をかけなければならぬと私は思うのでございます。そういう点で一つ慎重にやっていただきたいのであります。  次に、既存事業の強化のために拡張されるという事業の中の、福島の石灰窒素工場には、一体どれほどの資金を充てられる予定でございましょうか。さらにその工場の操業が三一%であるというが、さらに新しい設備を拡充強化されるというのは、一体どういう理由からそういうような結果になるのでございましょうか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  178. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 今回の二十五億の資金確保に当りまして、建設省が大蔵省と交渉をいたしました際におきましては、二億前後の資金をもちまして福島工場の強化を考えております。この工場は資料によってもごらんになります通り、相当な作業能力を持っているわけでございます。能力に対しまして生産額におきましては若干落ちておりますのは、これは主として不定時電力を原料といたしまして石灰窒素、カーバイドの生産ということをやっておりますので、最近の生産の予想通りにいかないことは、主として電力事情によるものと承知いたしております。
  179. 近藤信一

    近藤信一君 三一%の現在生産が上っているのでございまして、それを今後設備を拡充強化されまして、どの程度まで生産を上げられるというような見込みがございますか。
  180. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいま、建設省の方でこの予算の際には検討いたしておりますが、現在一万六千トンの能力を持っておりますが、これを二万七、八千トンまでに引き上げていきたいと、かように考えておったようでございまして、こういう計画は企画庁の所管になりますれば検討はいたしますけれども、この方針は続けて参りたいと考えております。
  181. 近藤信一

    近藤信一君 次に、木友の亜炭鉱業についてお尋ねいたしますが、終戦直後には燃料不足で、非常に亜炭が重要視された時代がございます。今日では石炭等が非常に出回って参りまして、亜炭の利用ということに対しては、あまり重要でないのでございますが、一体この木友の亜炭鉱業に対して、今後どれほどの資金を充てていかれるというような考えを持っておられますか。そうしてその計画内容というものは一体どういう程度のものか。その点を一つはっきりとお聞かせ願いたいと思います。
  182. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 山形県のあの地方に保存しております亜炭は、石炭よりももちろんカロリーが落ちるわけでございますけれども、比価的カロリーの高いものがございまして、亜炭ではございますけれども、そう大して高い熱度を要しない産業の燃料といたしましては相当需要がございまして、特に最近では新潟県の方に相当鉄道輸送せられまして需要がございまして、需要の面から申しますと、さしあたって心配することがないのではなかろうかと存じております。  次に拡充の方法でございますが、鉱山の性格といたしまして、絶えず新らしい坑道を掘っていかなければならぬわけでございまして、現在の坑道とは若干違ったところに新規の坑道を開きまして、それを索道によりまして現在の選炭場等と結びましてこの事業を拡大して参るつもりでございまして、現在金額といたしましては、五千万円程度を考えているわけでございます。
  183. 近藤信一

    近藤信一君 木友の亜炭は一体現在どの地区におもに出ておりますか、いわゆる利用の方でございますが……。
  184. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) お手元にお配りしましたこの興業会社の資料の中にも入っているかと存じますけれども、鉄道輸送としましてはやはりそう遠距離輸送ができませんので、山形市、仙台、裏日本の方に参りますと、新潟あたりが最も大きな需要地と承知いたしております。
  185. 近藤信一

    近藤信一君 これの生産額はどのくらいですか。
  186. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 昭和三十年度の出炭トン数が、お手元にございます東北興業株式会社既設事業の最近の実績というのの二ページにございますが、昭和三十年度におきまして五万七千八百六十一トンでございます。
  187. 近藤信一

    近藤信一君 次に、東北ドックの問題でございますが、先日の委員会でも大臣がいろいろと御答弁しておられましたが、東北ドックの再建ですね、この再建を徹底的にやって、そうしてこれをさらに円滑なドックの生産に利用していく、こういうようなお考えを持っておられるのか、それとも今日あれはあまり利用のあれが少いから、もういいかげんにこれはやっていくんだと、こういうようなお考えであるか、一体どちらをおとりになられるのか。
  188. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 東北地方の環境から見ると、特にああいうふうな中型ないし小型船を修理ないし建造するドックは必要だと思っております。ただ、地形の関係から見ますると、どうしても浚渫その他を必要といたしますから、そういうふうな手をかけるということを前提といたしますると、かなり単純にこの経営が軌道に乗るというものではないように思われます。従ってこれをどういうふうに経営していくかということにつきましては、もう少しいろいろの角度から、もっと長期の開発計画を立てなければならぬ、またそれに必要なる資金計画も立てなければならぬ。ただよさそうだからやるという程度では、これは再び失敗するおそれがあるから、そうでないように考えていかなければならぬと思います。
  189. 近藤信一

    近藤信一君 私は、新規事業に東北興業が金をつぎ込む、こういうことより、現存あまり利用していないという、こういう埋もれた東北ドック等を徹底的な改善をはかって、そうしてそれを成功さした方が、事業としては成功するのじゃないか。海のものともまた山のものともわからないような新しい事業に手を出して、そうしてあとであれは失敗だったと、こういうことでなくして、既存のドックが利用されて……、あまり利用されていないとするならば、過日の委員会でも同僚委員からも御質問がございましたように、このドックを利用して、徹底的にこの方にこの資金をつぎ込んで、そうしてこれを生かしていく、その方が私は手っとり早いと思いますが、どうですか。
  190. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) それは新しいものに手をつけるよりも、既存の投資を生かしていくということは、もう当然事業家としては一番それが必要な、好ましいことと思っております。もし、私がこれを直接自分でどこから手直しをするかといえば、おそらく東北ドックというものは非常にこれは事業対象として魅力のあるものだと思っております。しかし、ドックの仕事は、なかなかこれをうまく持っていくのには非常にむずかしい仕事でありまして、私の経験だけでどうかと思いますけれども、おそらく鉄関係のものと非常なうまい組み合せがないと、いつもこれはそういう面から経営がくずれるおそれがあります。また、エンジンの面との組み合せをどういうふうにしていくかということが、深くこれの関連関係を、年次計画を立てておきませんと、その面からも船台等が思うように使えなくて、結局非常な食い込みになるということは、しょっちゅうのことでありますから、これにはエンジン等どうするか、基本の資材、鉄関係とはどういうふうな結び合せをするのか、そういうようなドック自身で非常な弱点を解決しながら、別に非常に金が寝ますから、おそらく遠洋漁船等をやった場合には、月払いになることは必定ですから、その場合この会社の金繰りというものはかなり読みの深い計画を立てておかなかったら、その面からもくずれてくると思います。金融あるいは鉄鋼ないしエンジン、そういう面から一体にしてこれを持っていくだけの実力のある経営者が果して得られるかどうかという点も、私たちは簡単にこれは断言できないのじゃないかとも思っております。しかし、これを生かしていくべきであるという点については、全然同感であります。
  191. 近藤信一

    近藤信一君 過日の委員会で聞きまする答弁によりますると、戦時中は駆逐艦まで作っておった、こういうようなドックであれば、私は相当これに改修を加えていけば、相当な利用価値があるのではないか、こういうふうに思うのです。そこで、今大臣も、自分が事業家としてやるならば、その方を考えていくというやり方だと、こう言われるんだが、私どもがここで知っているのは、ただ紙の上だけの報告とその経過だけしかわからない、知っていない。大臣は一体東北ドックをごらんになったことございますか。
  192. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) まだ見ておりません。
  193. 加藤正人

    加藤正人君 関連してちょっと。東北ドックは、これを見てみますと職員二十二名で工員一名計二十三名ということになっていますが、今休んでいるんですか。
  194. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいま休業中でございます。
  195. 加藤正人

    加藤正人君 この資料を見ますと、投資額が今までに千三百九十二万九千円ですか、あがっていますね。すると今在有財産というのはどれくらいの額ですか。
  196. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいま東北興業の監督をやっております建設省の監理官がおりますから……。
  197. 加藤正人

    加藤正人君 あとでけっこうです。
  198. 近藤信一

    近藤信一君 最後に、セメント工場の点についてお尋ねしますが、当面の計画では十四億円の支出となっていたものが約一割不足するというような結果になったんでございます。一体そういう一割不足というような原因はどこからきたのですか。さらに前の国会におきまして、当初から不足するのではないかというような質疑がございまして、そうしていろいろとこれは論戦の的になったわけなんです。そうして今日までいろいろと計画された結果、約一割程度が不足してきた。こういうことは非常に当初の計画がずさんであったので、こういう結果を招いたのではないかというふうに考えるのです。そこで、この一体不足分は、今度の二十五億のうちから不足分を補うというような結果になるのであろうと私は思うのですが、その点どのように考えておられますか。
  199. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 二十五億の予算を建設省と大蔵省との間で折衝いたします過程におきましては、現在やっておりますセメント事業の不足の一億数千万円をとれには加えて計上いたしておりません。この中には含まれておりません。また、経済企画庁がこの事業を承継しました後におきましても、二十五億という金からはセメント事業の不足分を出すということは考えておりません。
  200. 近藤信一

    近藤信一君 今度の二十五億のうちからその不足分を補うという考えは持っていない、こういう御答弁でございまするが、そうするとセメント工場で不足を来たしました一割の程度の不足分は、今後どういう点で補っていかれるというようなお考えですか。
  201. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) その点につきましては、先日会社の総裁が衆議院でお答えしました際におきましても、市中銀行あるいは開発銀行から調達してやれる見込みだ、こういうふうに答えたかと存じます。もしも国会で正式に答えておられませんでしたら、別の機会に私がそういうことを聞いたことがございますので、そういう趣行で御答弁申し上げます。
  202. 近藤信一

    近藤信一君 当初計画からいたしまして、約一割程度の不足が生じたということは、どういうところにそういう欠陥があったか、一つお聞かせ願いたい。
  203. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 先日この点につきまして総裁から説明ありましたことを引きついでお答え申し上げますと、一つはあの地盤が思ったより土砂が深くて、そのために若干基礎の経費の方に金がふえたということでございます。第二といたしましては、昨年の秋以来の鋼材の値上りでございます。この二つによりまして一億四、五千万円の不足になった、こういうふうに会社は申しております。
  204. 近藤信一

    近藤信一君 地盤の点などは、事業にかかる前に十分に調査をされたと私は思うのですが、その点どうお考えですか。
  205. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 私も当然そうあるべきでなかったかと思うわけでございます。こういった点は企画庁所管に引き継ぎました以後におきましては、十分注意して監督して参りたいと考えております。
  206. 近藤信一

    近藤信一君 私はこういうような当初計画から食い違ってきたということは、先日からしばしば指摘されておりますように、また本日も同僚委員から指摘されておりますように、東北興業株式会社が本社は仙台にあって、その他台にはわずかの五名の人員しかいない、そうして総裁、副総裁以下の大幹部は東京におって、そうして東京から仙台に命令をかけておる、こういうような真剣みのない事業では、当然こういうような結果を招くであろう、こういうふうに私は考えたのです。従いまして私は今後一体そういう本店と支店との人員の問題、それから将来総裁と副総裁がどういうような勤務状態になるか、そういう点を一つお聞かせ願います。
  207. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 東北興業の各工場の運営につきましては、お説の通りに空席企業が多いわけでありますから、結局これは職員、従業員が熱意をもって現場で会社のために献身的に働くという雰囲気を作らなければならないことは、これは基本の問題と思っております。こういう意味で現場の近いところに最高の責任者がおって、そして直接陣頭指揮をやるということが定石で、それができなかった場合には、業績は上らない。これは断言して差しつかえないと思います。そういうに取り運ばれるように今後は監督指導をすべきであると考えております。
  208. 近藤信一

    近藤信一君 今後は会社の最高幹部は本店の方に居住して、そこで命令をかけられるような方策をおとりになるお考えですか。
  209. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 当然そう運ぶべきと思っております。
  210. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、大臣の御意思は私よくわかりました。やはりこれは民間の工場でございますならば、社長が陣頭に立ってやっておるわけなのです。しかし、これは政府からの金を引き出して、そして事業をやっておるので、これは赤字になろうが、黒字になろうが、そう大して責任がない、そういう関係で幹部がのほほんとかまえて、現場がどうあろうと、あまり関知しない。こういうようなことでは、これは国民の税金を使うのでございますから、ただ東北地方の関係だけではなく、これは国民からの税金を使うのでございますから、国民の批判というものは相当強く来るのではないか、こういうふうに考えるのです。従いまして、こういう点については将来十分政府としても監督をし、そして間違いのない方向に指導していただきたいと考えますが、大臣一つ御所見をお聞かせ願いたいのであります。
  211. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 全然同感でございます。
  212. 阿具根登

    ○阿具根登君 議事進行について、暫時休憩されることの動議を出します。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  213. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと待って下さい、今諮りますから……。  本日、地方行政委員長から、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、同委員会の決議により善処方の要望がございましたので、申入書を朗読いたします。  以上の通りでございます。本申入書の取扱いにつきましては、追って本案の審議を通じて御協議願うことにいたしまして、本日は以上、御報告することのみにとどめておきます。  阿具根君から先ほど暫時休憩の動議が提出されております。暫時休憩することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) さよう決定いたしまして、暫時休憩いたします。    午後五時十七分休憩    —————・—————    午後八時二十一分開会
  215. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案議題として質疑を続けます。
  216. 島清

    ○島清君 二、三の疑問点について長官にただしておきたいと思います。国民の税金から東北開発のために所要資金を調達をして、そして東北の開発をし、そして住民の福利と生活の向上をはかろうという趣旨に対しては賛成でございますが、そうでありまするならば、この事業主体というものは、公社的な性格を十二分に持っておるわけでありますが、なぜ公社としないで会社とされたか、会社というものは、これは会社の概念からいたしまするならば、どうも今政府考えておられるようなことはおよそ概念的には遠く離れるような気がするのですが、あえてこの改正法案を出されるについて、公社というふうにしないで会社というふうにして改正法案を出されたその理由についてお聞きしたいと思います。
  217. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 公社とせずに会社としてこれをもっていきたいというのは、従来東北興業株式会社という形をもって、そうして政府以外の出資もあるというそういうふうな経緯もありますから、そういう意味では資本構成の立場等から見て、公社にこれを引き直すよりも、むしろ株式会社制度のよさを伸ばしていく方がよろしいと考えたわけであります。そして経済活動を行う場合に、民主的な運営はむしろ公社よりも会社制度をとった方が弾力のある運営が、可能性が、そっちの方が強いように考えております。従って公社ということに持っていかずに、こういうふうな性格のもの、従来の欠点を補いながら、そうして株式会社制度を活用する方が趣旨に沿い得るると、こういう判断で決定したのであります
  218. 島清

    ○島清君 そういたしますると、あれでございますか、東北開発が、なお、かつ、国家予算の中から投資をしなければならないという場合が将来続きましても、やはりその公社にされるという考え方は今のととろないということなんでございますか。
  219. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) ただいまのところそこまでは考えておりません。
  220. 島清

    ○島清君 質問の要旨を変えまして、東北ドックについてお聞きしたいのでございまするけれども、先刻加藤委員質問をされましたときに、工場は閉鎖をしておるのだと、こういうことでございましたが、さらにこれを再建されようとしておられる、その再建方式について所要資金と、さらに東北ドックの債務が幾らあるか、その債務の処理をいかような形でおやりになろうとするか、それをお聞きしたいと思います。
  221. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 東北ドックの再建につきまして、今回の資金を建設省が大蔵省との間で協議いたします際におきましては、五億程度の資金が要るものと——東北興業株式会社の方では五億でございます。五億円の資金が要るものということで検討いたしたことを承知いたしております。この五億というものを東北興業から東北ドックの方に出資、あるいは融資の形で東北興業会社のみでこれを再建するという場合の資金でございます。今後再建方式を検討いたしまして、この会社ばかりでなく、あるいはこの事業に対して経験のある他の会社の参加を求めるということになりますれば、あるいはこの五億までも要らないこともあろうかと思うわけでございます。具体的に東北開発会社になりました後に東北ドックの再建のために会社としてつぎ込む資金につきましては五億の範囲内でさらに検討いたしたいと存じております。  なお、当会社の負債につきましては二億八千五百万円ほど持っております。
  222. 島清

    ○島清君 その二億八千五百万円の債務は、これはおよそ債権者は民間の出資者が多いと思いますが、その五億のうちから二億八千五百万円をそのまま返済をいたしまして、あとの残余の資金で再建方式を考えたい、こういうわけでございますか。
  223. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 現在東北ドックといたしましては、二億八千五百万円の負債を持っておるということを申したわけでございまして、かりに五億の金を東北ドックの再建に振り向けた場合におきまして、その中からこの借金を全部払って、その残りで再建に充てるかどうかということでございます。これについてはただいまのところ検討いたしておりませんけれども、会社の再建に当っていろいろの措置もございますから、その範囲内で十分考究すべき問題かと存じております。
  224. 島清

    ○島清君 巷間伝うるところによりますと、大体一億ぐらいで債務を整理をして、その残余の金で再建方式に充てたい、こういうふうに伝わっておりますが、それはどうなんですか。
  225. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいまの東北のドックのように、こういうふうな債務過剰で経営が困難になっております会社の再建の方式といたしましては、既存の債務をある程度債務者にたな上げしてもらうということも一つの方法であろうかと存じます。しかし、どの程度にこの債務を御勘弁願ってこの会社の再建をはかるかということについては、ただいまのところまだ方針決定いたしておりません。
  226. 島清

    ○島清君 そういたしますと、国家が資金をつぎ込んでやろうということに対して民間の人たちが過去において協力したものを、債権をたな上げしてそうして整理をされるということについては、おおよそ私は国民的立場においては了解しにくい、納得しにくいと思うんですが、ここらの点については十分な配慮をされた上での御答弁でございますか。
  227. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいまのお話のことは、当然十分考慮いたさなければならぬ問題だと存じております。
  228. 島清

    ○島清君 考慮といいますというと、今私の申し上げたように、政府が一体国民の税金から東北開発の方に振り向けていく、しかもその債権者は民間の人であるという場合に矛盾をお感じになりませんでございますか。
  229. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) その点は先ほども申しましたように、この会社といたしまして各種の資材の購入もいたしておりまして、その買掛金も相当あるわけでございます。買掛金を全部払うのかどうかというお話でございましたが、これは各秘の会社の再建に当りまして債務の切り捨てを頼む場合もございましょうし、あるいは債務のたな上げという方式もございましょうし、そういう方式によって再権をはかる場合もあり得るということを申し上げたわけでございまして、ただいま御質問の中にございましたように、一億しか払わないということについての方針についてはまだ決定いたしておるわけではございません。
  230. 島清

    ○島清君 いずれにいたしましても私はやっぱり払うものは払い、そして再建するものは再建するというようなことでないと、国民の税金を投入して、片方においては納税者を泣かせるという形は、私は国家的施策においてやり得ない方式だと思うのです。そういったような再建方式を債権者との関係においてお聞きしておるわけです。
  231. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 御指摘の点は、この非常に反省をしなければならぬ点と思います。私が聞いております範囲では買掛金等につきましてはかなりまとまった金額がこの鉄鋼関係のメーカー等との関係で未払い手形の残になっておる、こういうことの報告を承わっております。しかし、このまま寝かしておいては何にもこの経済価値が出ませんから、これは五億を新しく投資すべきであると、こういうことになりますと、どうしても再建計画を当然これは立てなければなりませんでしょう。そうして二億八千五百万円の負債に対して債権者がどういうふうな、これに対して、新しくこれが再建をするということについて——この見通しがよろしい場合にはおそらく積極的に参加の意思表示をするのが私は定石だと、こういうふうに考えます。従って東北ドックの再建につきましては少くともりっぱな人事を中心として、二億、三億程度の金ならおれは一緒に投資をしてやってもよろしいと、こういう関係を作らなかった場合には、おそらく五億というものは新しく投資したところでそれは価値を生まないものと考えます。それで東北ドックの環境を見ますると、戦前の資本が千三百九十万円ばかりになっております。戦前の千三百万円という投資はかなり価値の高い私は内容であったと思っております。従って戦前の資本構成の千三百万余り、それに対して戦後の債務二億八千五百万円ばかりですか、こういうものを合せて考えますと、これは五億で済むのか、あるいは十億要るのか、これは私はそんな簡単に言い切れるものではないように思います。従ってこのドックの債権というものは、東北地方のこの水産関係、あるいはその他の関係を見ますると、これは根本的に考え直さなきゃならぬ。それから、このドックの規模は二、三千トン以下の船の規模に適するようなことになっておりますから、二、三千トン級の船は今までの——戦争直後には、たとえば朝鮮関係、中国関係との貿易等は非常に伸びの悪かった時代にこの造船を、二千トンないし三千トン程度の造船所を経営していくということはもう常識としてこれは非常にむずかしいものであったというのはわれわれもよくわかっております。従って独立以後の、特に最近のこの近海の航路に向けるべきこの程度のドックの必要さというものは環境がだんだんとよくなっておるように判断されますから、合理的に経営をいたしました場合にはこの民間の資本の参加を求め得る機会もあると、こういうふうに思われます。いずれにいたしましても東北地方の環境から見て、むしろこの小型の船をうまく生かしていきますのには、これは十分な少し長期の復興計画を立てまして、そしてやはりこの非常に強力にこれを推進し得るこの指導者を求めるということによってこの債務の——むしろ新しい資本参加の形で長期にこれがこの新しい建設のために大きな重荷にならないような弁済方法が立ち得るのではないかと、こう考えられます。その中で特に零細なこの債権者がありまして、そしてそういう人に非常に御迷惑をかけるというおそれがあるものにつきましては、これはその弁済計画を新たに考えなきゃならぬと思います。大口のものを私が調べたところによりますと、人物さえ得れば、またこの再建計画が合理性を帯びて参りました場合には、これは処理し得る方法は別にあり得るようにも思われます。
  232. 阿具根登

    ○阿具根登君 関連して。ただいまの答弁で雲一純なものということを言われましたのを、私こういうふうに解釈したいと思うのですが、そうでしょうか。従業員退職手当その他が相当債務になっておると私は聞いております。それがどのくらいあるか、またそれに対して優先的にこれは支払うべきだというようなお考えだと受け取っていいのかどうか。  それから大体三百人ぐらいの従業員がこのドックに関係しておった人があちらこちらに散っておると思っておりますが、その人たちに対する考え方はどう思っておられるか、これを関連して質問いたします。
  233. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 従業員に対するところの負債をそのまま寝かしておいて、そうして従業員に対するところの当然の権利をじゅうりんするというような、これは適当でないと私は思います。そういうものはすみやかに整理すべきこの誠意を示さなければならない。これはもう当然と思います。で、そういうことを顧みないような経営者が経営の中心になって今後ともいけるはずはない。これはもう間違いないと思います。やはり心ばえがそういう心ばえではものの経営というものは成り立たない。特に生産メーカーはそんなこっちゃとてもだめであると、こういうように思われます。  その次に申されましたこの散らばっておる従業員をどういうように考えるか、これはこの新しい経営規模をどう持っていくかということによって非常に変ってくると思います。おそらく熟練工の諸君が多いのじゃないかと思われます。そうしてあの地区の状況から見ますると、半農の人もあるのじゃないかというようにも思われます。食糧関係その他から判断をいたしまして、経営の規模に応じて当然これは採用するという親心を持つべきものである。経営の基本方針がそういうようにいかなかったなれば、長い間にこのような会社をよく抵抗力の強い会社に育てていくということはこれは困難じゃないかと思われます。そういう点で新しく中心になる人物というものは、新しい近代的な企業意欲のある熱意のある方でなければとてもむずかしいのじゃないかと、こういうように思われます。
  234. 阿具根登

    ○阿具根登君 きわめて明快なる答弁で私了解いたしますが、相当な技術を持って散らばっておられます従業員は、ドックの再開と同時に優先的にやはり採用されるように特に希望いたしまして、関連質問を終ります。
  235. 島清

    ○島清君 セメント工場についてお聞きしたいのでございますが、十四億の所要資金を見込まれまして事業計画を立てておられるようでございますが、私がある筋の専門家に聞きましたところが、あの程度の計画であれば、所要資金は半分ぐらいでその程度の効果を上げるだろうと、こういうふうに言っておる専門家もいるわけでありまするが、どういうところで計画をされ、そうしてその計画を遂行するに当って何か特別に普通常識で考えられるような以上なまあ特別の立地条件といいましょうか、何といいましょうか、そういうものがあってのことであるかどうか、その辺のことを、事情を一つお聞かせいただきたいと思います。
  236. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 十四億の資金をもって昨年から東北興業がセメント工業を開始したわけでございます。当時十四億の資金をもって果して月産二万トンの能力の工場ができるかどうかということをずいぶん各方面で議論せられたのでございます。それに対しまして、当時のこの方の所管の政府当局は十四億で十分であるという答弁をいたしておったのでございます。ところが、先ほども御説明申し上げましたように、ボーリングの不足、あるいは鉄材の値上り等によりまして現在これよりも一割増しの一億四、五千万円が不足するということに相なっておる状況でございます。そのほかお話のございました特にこの工場につきまして経費がよけいかかるという事情はございません。立地条件といたしましては、松川地区の石灰石は非常に良質でございますので、その石灰石の点におきましては、立地条件といたしましては当を得たものであったと考えております。
  237. 島清

    ○島清君 つまり、条件的にも諸条件は完備しておるのであるが、経済的な諸条件というその中にあっては、これだけのものは所要資金として絶対に必要だ、ずさんなものではない、こういう工合に了解してよろしいというわけなんですね。
  238. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 昨年の御審議におきましても、十四億で足りるかということを各方面で論議せられ、国会でもそういう御質疑があったかと承知いたしておりますが、従って十四億の資金というものは、決してこの計画に対しましては膨大なものでなかったと、ただいまでも考えております。
  239. 小西英雄

    小西英雄君 大臣にお尋ねしますが、こういう東北興業株式会社のような特殊な会社がこれ以外にどこどこありますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  240. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 日本航空株式会社がこれに似た会社じゃないかと思います。そのほかに国際電信電話株式会社、ただいま思い出しますのはその程度でございます。
  241. 小西英雄

    小西英雄君 日本航空とか、あるいは電信電話の場合は生産会社でないので、こういうふうにセメントを作ったり、船を作ったり、いろいろな各種の民間事業のようなことをやっておる会社がどこにあるか、お伺いしたい、生産会社が。
  242. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) ただいま申し落しましたが、そのほかに電源開発株式会社もこれに近い会社かと思います。生産会社として、各種の、セメント等を生産する会社といたしましては、ちょっと類似のものはただいま心当りはございません。
  243. 小西英雄

    小西英雄君 電源開発株式会社は、御承知のように日本各地にいろいろな開発をやっておりますが、特定の東北興業株式会社のようなものがほかにないとすれば、この一番初めの発足の際にはどういう目的でこれが起ったかということについてお聞きしたい。
  244. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 御承知の通り、昭和九年前後におきましては、東北地方に大凶作が年々起りまして、そのために、政府といたしましては、東北救済の方法を講ぜねばならないというので、相当大がかりな審議会をお作りになりまして、そうして東北の振興のためにはこの会社と東北振興電力と二つの国策会社を立てて、これを中核として東北の振興をはかろう、こういうことで、昭和十一年に発足しております。
  245. 小西英雄

    小西英雄君 大体起源についてはわかったのでありますが、昭和十一年以後のいろいろこの会社の発足のときには、東北のために、さらにまた日本の国のためにということで発足したのでありますが、その後の経過、いろいろ内容を調べてみますと、非常にずさんな点、いろいろ国民の指弾を受けるような状態が間々あったと存じますが、いろいろな意味から、国家全体の、国民の税金でこういう開発会社を作ったのでありますから、この会社が今回の改正において一つ筋金を入れた経営者、あるいは総裁にある人の人選等について十分政府考えなければならないと私は思う。と同時に、いろいろこれが二、三男でも——東北には特に政治力の強い議員諸君がおってこういうことができるならば——大臣地域は四国であって、四国、九州には御承知のように、台風が毎年やってきまして、それらに対する台風復興株式会社というふうなものをわれわれは作ってほしいような考えでありますが、実際問題として、私たちはこういうふうな会社は、特に国民全体が目を注いでおるので、監督官庁である役所において、一つ今後の人選、あるいはその他いろいろな面について、特段の監督あるいは指導を親切に、かつまた、従業員に対してもやらなければ、われわれ法案を通す一員として、これは国民のこの委員会が何たる法案を通してこういうふうなことをするかということのないように、一つ特段の配慮をお願いしたいと思うのであります。  もう一つお尋ねしたいのは、北海道の開発についてはこの趣旨と違うかどうか、それについて一つどういう見解を持っているか伺いたい。
  246. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 北海道にはこういうような経済母体はありません。大体戦後の日本の構成として、委員会を中心として、こういう性格の会社というものは大体存在しないのが日本の原則であったとわれわれは思っております。従って、こういうふうな性格の会社が一つだけ残ったというのは非常に異例な現象であったと、法体系の中では非常に特殊な存在であると私たちは思っております。しかし、これが今日の環境から見ると、かえってこれを残しておいたことが東北のためにはよかったのではないかとも思われます。しかし、人事をよくして運営がよくならなければ、全然これはから回りするでしょうから、そういうことのないように配慮をいたしていきたいと思っております。北海道については、そういう点で何にもこれに類似したような非常な特別な性格を持った会社はありません。ほかの地区にもこういうものは見当らない非常に特別な会社——これはやっぱり戦前の法律によって生まれなかったなれば戦後においてはおそらくこういう会社というものはなかなか生まれがたかっただろうと思います。というのは、事業内容の中に非常に複雑な、非常な多角な事業を経営一本の線で経営し得るという株式会社制度というものは、日本にはおそらく他にはないと思っております。
  247. 小西英雄

    小西英雄君 宇田国務相は、非常に進歩的な考え方からこの国有会社の生産会社を、さらにこれを生み出したというような感じも受けるが、どうですか、そういうことはないと思うのですが。  もう一つは、非常に政治力を発揮して、九州興業株式会社、あるいは四国興業株式会社一つ作るような、もし災害があった場合に用意があるかどうか、お尋ねいたします。
  248. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) いろいろの機構は考えられるでありましょうけれども、そういうところまでは全然まだ考えておりません。
  249. 阿具根登

    ○阿具根登君 関連して。与党の議員である小西委員から非常にいい御意見が述べられましたので、この際宇田大臣見解を明らかにしていただきたいと思います。ただいま御指摘のありましたように、後進性のある東北については、これだけ政府の補助があって、そうして開発のために力を注いでおられる。ところが、四国、九州においては、御承知のように毎年丸々台風で荒されておる。こういうことろから、復興に資するためのこういう会社の希望があった場合に、政府の援助希望があった場合には、大臣としてはこれに応ずるだけのお考えがあるかどうか、はっきりと一つ答弁願います。
  250. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 今回のこの株式会社制度を採用いたしましたのは、株式会社制度だけを取り上げてこれは採用したのではなくて、東北開発促進法に基くところの金融、あるいは経済母体、行政主体、そういうものを三つの角度でそれぞれの団体を組織して、それぞれを一つに融合せしめて、開発促進法と並行して効果を上げていこうという非常な、新しいと申しますか、わが国で大体こういうふうな企画の開発機構というものは、初めてのように思われます。うまくこれが実が結ぶように、これはわれわれは努力いたしたいと思いますが、こういうふうな機構をすぐ他の地区に応用するのが適当であるかどうかということにつきましては、もう少しこれを運営いたしてみて、その効果を勘案をしてからでおそくないのじゃないかと思われます。しかし、九州とか四国のような地区に対して、特殊な気候、風土の環境でありますから、そういう地区をどういうふうに開発していくとか、あるいはそういう地区に対する経済母体というものは将来どういうふうに考慮すべきものであるかということは、別の見地から考えたらどうだろうかと思われます。総合したあらゆる事業を一つのトップ・マネージメントでやっていくということが、果して効果が上るものかどうかということは非常に注意して今後推移を見たいと私たちは思っております。非常にこれは日本にとって珍しい運営のケースであると、こういうふうに思っておりまして、これが軽々に扱ってはいけないというのはその点からであります。むしろ能率が非常に上るためにはTVAのような母体は電力開発において、そしてそのバイ・プロにおいていろいろコストを下げる条件をくっつけていくという方法もあろうかと思いますから、四国とか九州をどうということについてはもっと研究いたしたい。
  251. 相馬助治

    ○相馬助治君 与党の小西さんから重大な質問があったので、われわれもこれについてお尋ねするのですが、実は宇田長官の答弁は率直で、しかも非常に責任感にあふれた答弁であるので、われわれは好感を持ってこれを迎えて、この法案を一瞬も早く成立せしめたいとわが党は念じているわけです。そこでただ、小西委員から今指摘されましたことに連関して阿具根委員がお尋ねしたのですが、その連関に連関して一つお尋ねしたいと思いますことは、この種のケースは日本でも珍しいからこれは十分考えたい、こういうことはこれは岸内閣の閣僚としての宇田長官の御答弁としてはまことに正しいし、そうであっていいと思うのです。しかし、一貫して責任政治をやってきておる政府としては、昭和十一年六月十六日に認可したこの種会社で、かなり批判もあるこの種会社に多額の国費をつぎ込んでも、これを補強し、これを強化していきたいというのは、一にかかって東北の後進性という特殊性に基くのだと思うのです。そうすれば、小西委員がいみじくも喝破したような、全く台風地帯というのは特殊性なんです。ある意味では、後進性よりなお厄介なこれは特殊性を持っておる。ただし、これは突発的にできるものであるから、この種の会社をもってこれに対応することがいいか悪いかは別であるけれども、人力をもって防ぎ得る最大のものをこの台風地帯に及ぼすということは、これは政府責任であり、立法府にあるわれわれの責任だと思うので、小西委員の御指摘に端を発せられまして、長官とされましてはこの種の問題についてはなお積極的に御考慮なさる御意思あるやいなや、あると存じますが、ここで明瞭にされていただきたいと、こう思うのです。
  252. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) その点につきましてはよく検討いたしたいと思います。
  253. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ほかに御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、委員長の手元に近藤信一君、西川彌平治君及び豊田雅孝君の連名をもちまして、各派共同提案の付帯決議案が提出されております。本付帯決議の御意見は討論中にお述べを願います。
  255. 近藤信一

    近藤信一君 私は日本社会党を代表して付帯決議案を付して本法案に賛成するものであります。付帯決議案については各派共同提案でありますから、まずその案を朗読いたします。    東北興業株式会社法の一部を改    正する法律案に対する付帯決議   政府は本法の施行にあたり、特に  左記の諸点に留意すべきである。  一、経営の刷新、人員配置の適正化   を期し、特に会社幹部の現地指揮   の体制を強化すべきである。  二、企業の合理化を徹底的に行うと   ともに、東北開発に真に必要なる   事業を重点的且つ強力的に実施せ   しめること。  以上でございます。私どもは本法案についてはただす点が多いのでありますが、それは主として今までの東北興業株式会社の業績であり、それだけに今後新しく生まれ変る東北開発株式会社についていろいろの心配があるのであります。従いまして付帯決議案にはやわらげてはおりますが、私どもは大いに人事を刷新して会社の幹部が現地で陣頭指揮をいたすようにいたしてほしいのであります。幹部が東京に在住していて東北の開発は望むことができないのであります。かくして会社の経営を合理化し、一たん着手した事業はこれを能率的に完成すると同時に、新事業計画についても慎重に考えられ、国家予算を食い散らすような形を改めてほしいのであります。従いまして付帯決議を付して賛成するものであります。
  256. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 私は自由民主党を代表いたしましてただいま上程に相なっております東北興業株式会社法の一部改正に対しまして賛成をいたすものでございます。由来東北興業株式会社は恵まれざるところの東北人の福祉を増進してやりたいというような非常なあたたかい親心をもって国がこの会社を設立いたしたのでございます。たまたま大東亜戦争のあおりを食いまして、途中で補助等の打ち切りに相なった点はございまするが、大体におきましてこの経営は先ほど来委員諸公のお話しになりましたように、決してこの経営が順調にいっておるとは考えられないのであります。尊い国費をかなりむだに使っておったのではないかと私は考えておるのであります。幸いにいたしまして今回その東北興業株式会社にさらに国の強い力をもってさらにこの地方の開発に当るべくその会社内容の大強化をはかることに相なったのでございますから、先ほど来委員諸公が切実に申されましたるところのことを十分に今後一つ御注意をいただきまして、さらにわれわれがここに付帯決議をつけましたこの事柄等につきまして、十分な留意をしていただきたいということを強く強く要望いたしまして、本案に賛成するものでございます。
  257. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 緑風会を代表いたしまして本案に賛成いたします。しかしながら、東北開発の緊急かつ重要なる特殊事情にかんがみまして、特に会社の人材、配置等につきましては、現地重点主義を徹底的にこの際とることにせられまして、画期的経営の刷新と能率の向上をはかるように具体的な措置を急速にとられるよう、特にこの際要望いたしますると同時に、ただいま近藤委員提案の付帯決議に賛意を表しまして、本案に賛成するものであります。
  258. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ほかに御発言もなければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  260. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました近藤君外二名提出の付帯決議案を議題といたします。  本付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  261. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって、近藤君外二名提出の付帯決議案は全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、ただいまの決議につきまして、この際政府の所信を伺いたいと存じます。
  262. 宇田耕一

    ○国務大臣(宇田耕一君) 本案の審議を連日熱心に続けていただきまして厚くお礼を申し上げます。ただいま付帯決議として二項目を御決定に相なりましたが、この二項目ともこの審議の途中におきまして、それぞれの御意見もありまして、十二分にその趣旨に沿いまして、この指導の徹底をはかって参りたいと存じますが、あわせてお礼かたがたこの付帯決議に対する所信を申し上げておきます。
  263. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、本会議における委員長の口頭報告内容、議長に提出する報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  それから本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    近藤 信一  海野 三朗    相馬 助治  阿具根 登    阿部 竹松  島   清    高橋進太郎  小幡 治和    後藤 義隆  高橋  衛    三浦 義男  小西 英雄    青柳 秀夫  白井  勇    加藤 正人  豊田 雅孝    古池 信三  西川彌平治
  265. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 本日はこれにて散会いたします。    午後九時二分散会