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1957-05-15 第26回国会 参議院 商工委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十五日(水曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員草葉隆圓君辞任につき、その 補欠として大川光三君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            大川 光三君            後藤 義隆君            白井  勇君            高橋進太郎君            高橋  衛君            阿部 竹松君            島   清君            相馬 助治君            藤田  進君            加藤 正人君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   政府委員    中小企業庁長官 川上 為治君    中小企業庁振興    部長      今井 善衛君    中小企業庁指導    部長      川瀬 健治君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   参考人    日本労働組合総    評議会中小企業    対策部長    入江 正治君    一橋大学教授  山中篤太郎君    株式会社島津製    作所社長    鈴木 庸輔君    全日本中小企業    協議会中央委員    長       五藤 斉三君    全国消費者団体    連絡会会長   中林 貞男君    全国中小企業等    協同組合中央会    専務理事    稲川 宮雄君    関西経済連合会    専務理事    工藤 友恵君    全国共済商工協    同組合連合会会    長       水牧茂一郎君    神戸市小売市場    連合会会長   坪上 和一君    主婦連合会衣料    部長      伊東美佐子君    大阪市中小企業    同志会会長   小西 聖夫君    全日本労働組合    会議社会保障委    員       多田 幸夫君    東京商工会議所   中小企業委員長  石田謙一郎君    全日本小売商団    体連盟理事長  高橋 貞治君    日本中小企業政   治連盟政策局長  松崎 健吉君   —————————————   本日の会議に付した案件中小企業団体法案内閣提出、衆議  院送付) ○中小企業団体法施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出) ○商業調整法案衆議院送付予備審  査) ○小売商業特別措置法案内閣送付、  予備審査)   —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開きます。  本日は、公報でお知らせを申し上げました通り中小企業関係の諸法案につき、参考人の御意見を拝聴する予定になっております。参考人につきましては、その人選を委員長及び理事協議に御一任願っておりましたが、時日切迫のため、最初の御希望の通り運ばず、臨機に交渉いたすような結果となり、最後にお手元に差し上げました印刷物にある通りになったのでありますが、この点は御了承願います。  参考人の方々に申し上げますが、本日は、御多忙のところ、当委員会のため御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。お忙がしいところを、遠路御出席をわずらわしながら、御公述の時間に制限をいたしますことは、まことに恐縮でございますが、大体お一人十分程度に要点をお述べ下さるようにお願いいたします。やはり時間の都合上、数名の参考人の発言が終ってから、委員の質問を許しますので、それにお答え下さるようにお願いいたします。  次に、御意見を求める法案は、中小企業団体法案、これは御承知通り衆議院修正されて参議院へ送付されて参っておりますが、このほかに、中小企業団体法施行に伴う関係法律整理に関する法律案中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案商業調整法案小売商業特別措置法案の四案、合せて五法案であります。従って案件の多いのに比べまして、時間が少いのは、まことに申しわけございませんが、できるだけ簡明に御説明下さるようにお願いいたします。  それでは、まず日本労働組合総評議会中小企業対策部長入江正治君。
  3. 入江正治

    参考人入江正治君) 総評の中対部長入江であります。本委員会のお尋ねに対して、意見を申し述べたいと思うものであります。  参議院に、共同修正をされて団体法が回って参りましたが、私どもはこの共同修正案に対しても、結論といたしましては反対をいたしますものであります。  それは衆議院におきまして審議されましたときにも御意見を申し上げたんでありますが、今日の中小企業の諸困難は、この団体法のみによって解決をでき得るような簡単なものではないし、さらに団体法の持っております内容から、これが実施された場合に起る弊害、こういう点を考えまして、私どもは、あわせて出されておりました社会党提案中小企業組織法及び中小企業産業分野の確立に関する法案商業調整法、こういう一連のものが、中小企業政策として、あわせて出されておる。もちろん社会党の案にしましても、税制その他のまだ中小企業として行わなければならない必要な政策が欠けておる。こういう不満はあっても、しかし考え方としては、このように中小企業の問題を解決する、そういう二つの観点から同時に行なっていく、こういう考え方の方が正しいし、私どもとしてはそういう立場を支持する、こういう建前で参ったわけであります。しかし、共同修正をされたものを見てみますと、若干内容において修正はされましたけれども、基本的に私どもの指摘をいたしております団体法だけを問題とし、そうしてその他若干の名称の変更であるとか、不況時のカルテルに対する対策とか、あるいは事業協同小組合、あるいは火災共済組合、こういうものを入れたことは、一歩前進と言えるのでありますけれども、しかし、なおかつ私どもは最も基本的な問題となりますところの強制加盟規定や、あるいは強制命令、こういうものを発動し得るような強権規定がなお残っておるということは、これは今日の中小企業の問題の解決ということに眼目をおいて行われておることであるけれども、しかしこれらの結果は、おそらく官僚統制的な方向に道を開くものでありますし、また、今日までの経験からいたしましても、この組合内における運営の上でのボス支配が行われる危険性が存しておるし、さらに、こういうカルテル方式によるところの打開ということに、中小企業各位が安易な方向を求めて、国民消費経済に対して圧迫を加える、こういう考え方はとるべきでないという私たちの考え方であります。  で、従って私どもは、今日の中小企業の問題を考えますときに、私どもは、今日は日本経済が相当向上しておることは皆さんも御承知通りでありますし、従って中小企業問題は、実は大資本ないしは独占的な大資本利潤制限だとか、その他の大資本に対する対策を十分やって、そうしてそれ准中小企業の方に回していくべきである、こういう考え方に立たない限りは、中小企業の諸困難というものは打開されないと、私どもは確信するのであります。で、よくいわれますところの本法の目指すところも、原料高製品安に現われますように、あるいは鉄鋼価格の問題や、あるいは下請代金の問題、下請単価の問題、こういうことがからみ合って今日の中小企業の困難が多くある。同時にこのような原料高製品安の問題などに現われておるように、やはり独占価格の問題、あるいは独占資本の作り出す製品についての、あるいは利益その他についての国家的な、政治的な配慮、制約、こういうものが加えられなければならないのではないか、さらに、こういう法案中小企業者の間で考えられるのは、根本的に私どもは大企業が今日独占禁止法の骨抜きをいろいろ行なっているその中で、カルテル的な行為やそういうものを行う中で独占利潤を確保しておる、こういうことに対抗するという意味で、大きいやつがやるなら、小にやらせないのは不当ではないかというような、こういう危険な考え方でこの問題が出てきておるとするならば、もっと本質的に、この日本経済全体を考える場合に、独禁法の精神というものを、参議院良識において十分検討してもらいにたいと私ども考えるわけであります。  過当競争の問題につきましても、私ども労働者立場から中小企業者業者皆さんと同様、非常にこの問題については悩みを持っております。それは、私どもは今日の中小企業過当競争は、根本的に日本の低賃金構造の中に大きな原因があるのではないか。それは、われわれ、今日過当競争といわれるけれども中小企業のつぶれる数より、新たに出生する数の方がはるかに多いという事実であります。このことは、具体的に申し上げますならば、中小企業過当競争仲間入りをするのはわれわれ労働者が多いということであります。従って、これは具体的に申し上げますと、今日の退職金やあるいは老齢年金制度では、勤労者として働いても老後保障が十分でないという社会的な基盤の中では、どうしても小商売を始めるとか、新たに町工場を始める、こういうことをやらなければ、老後生活が保てていけないし、さらにまた、途中において職場を離れ、失業した、こういうときに生活の道を求めるとすれば、中小企業、特に零細企業仲間入りをしなければ生存権保障されないということであります。従って、こういうことを見ますと、さらに過当競争というものは今後ともこういう方面に目を向けない限りは、激化していくのではないか。従って、政治の眼目というものは、中小企業の諸問題の解決考える場合に、日本のこういう社会保障制度一般について十分な考慮を加えられねばならないと思うのであります。それからまた、中小企業過当競争の問題におきましても、これの打開の一方法としては、やはり購買力の増大、いわゆる国内市場の開拓の問題に重点が置かれねばならないと私ども考えるわけであります。なぜなれば、中小企業の作っている物というものは、ほとんど私ども普通の庶民であり、労働者であり、生活物資を買う、こういうわれわれに多くの顧客層としての層があるのであります。今日中小企業が作り出す物が、独占資本の作り出す原料費に比べて値段が安い。これはここにも端的に現われておりますように、購買力がないから、たとえば子供にオーバーを買ってやりたいと思っても買えないので、メリヤスのシャツ一枚でしんぼうしておく、これが労働者の、あるいは農民のふところ工合であるのであります。従ってそういうようにいろいろ購買力を増大させていく、今日このことは二、三年前の事情から見ますと、日本国民経済全体の立場から見ても可能な段階に来ておる、こういうように私ども考えます。特に鉄鋼などにおきまするところの今期計上利益というものは、非常に前期ふえておったというのにもかかわらず、今期は非常なふえ方をしておるように、私どもは新聞などで承わっておりますし、今日の根本的施策として、そういう点も中小企業の問題を考える上に十分考えていくべきではないか、このように私ども考えておるわけであります。  それからもう一つの問題は、衆議院におきましてもこういう関連から、最低賃金制の問題が、非常に大きな問題として社会党などで取り上げておられますけれども政府としてもこういう問題については、また中小企業者の方も、支払能力をつけるために、団体法などを作ってやっていくのだと、こういうようなことを言っておりますけれども、しかし、今日の複雑なしかも中小企業実情の中からそういうことをやっておっては、いつまで経っても最低賃金制の問題などは問題になってこないと思うのであります。最低賃金制の問題はただ単に労働者立場から私どもが申し上げるのではなくて、このことは十分いわゆる中小企業の諸対策とのからみ合いにおいても、十分に検討をしていただかなければならない問題であるし、また今日の審議段階から見ましても、団体法の方はどんどん審議を急がれるけれども、この方を置き去りにしていこうとしておられる。こういうところに、私どもは今日のこういう問題のつかみ方の基本的な問題として参議院委員諸公良識を促したいと考えるものであります。  以上私ども立場を明らかにいたしましたが、その後出ました小売商特別措置法でございますか、この法案の御意見を求められておるのでありますが、これについては私ども反対をするものであります。これは社会党がお出しになっておりますところの商業調整法の方は今日の小売商実情の中で、いわゆるメーカーの直接販売その他の制限やあるいは規制考えておる、こういう点は百貨店法の不十分な点をもう少し前進をきせていくと同様、こういう形における小売商保護という点は私ども賛成でありますが、しかし、小売商業特別措置法というものを見てみますと、これは全く生協いじめに始終をいたしております。で、今日確かに小売商生協との問には感情的な一つの何があるようでございますが、しかし、その事実は生協活動あるいは生協の全体的な売上額に占める地位や、あるいはまた、生協法が目指した国民福祉のそういう消費生活を守るという趣旨から見ましても、まだまだこの生協小売商を圧迫しておるとは言えない段階でありますし、また、今日の社会保障その他の貧困な日本国内事情の中で申し上げますと、今日地域生協などが相当伸びて参りましたのは、中小企業労働者などはほとんど健康保険社会保険などの保護も受けていない、こういう中でせめて生協活動などによって少い中での生活を守ろうというような方向に今日来ておるのでありますが、こういうものさえ、生協の本来の活動を不当に抑圧をして、そして突き放してしまうということは、これは基本的な人権の問題としても、国家としてとるべき筋合いのものではないのではないか、こういうように私ども考えておりますので、衆議院を通じて十分本問題を審議されてこられたわけでありますが、特に私ども参議院参議院独自の良識立場を発揮されて、国民経済に果す本法の役割を十分認識されて御明断を期待するものであります。
  4. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  ではただいまお見えになりました一橋大学教授山中篤太郎先生
  5. 山中篤太郎

    参考人山中篤太郎君) 時間が十分ないようでございますので、団体法案という名前で提出されております法案だけにつきまして、私の意見をごく簡単に申し述べさせていただきたいと思います。  率直に結論を先に申しますというと、この法案につきましては、いろいろ私ども賛成いたしたい点がありますけれども、これからお聞きいただこうと思う点がありますために、私としては賛成することができないということを申し上げたいと思います。  大体三点から私の意見をまとめておるわけです。まず最初に、この法案そのものの中身について考えてみました場合、それから第二には中小企業政策と申しますか、というものからながめてみました場合、それから第三は、現在の日本経済の置かれた段階というものから考えました場合、この三点から私の意見を申し述べたいと思います。  法案内容でございますが、従来の中小企業等協同組合法、それから御承知安定法を一本にしていくという態勢をとっておりますし、言いかえますると、いろいろな形の協同組合活動、それから調整活動団体交渉といいますか、というような仕事もさらに重要視しまして、活動のできます組織考え、しかもそれを一本の法律で基本的に考えるという点は、私どもの前々から考えておりました点でございますし、私どもの周囲で一緒に学問的に研究をしておりますグループでも、数年前に大体その原則に沿っての結論を出しておりますので、私としましてはその点については賛成なんでございますけれども、非常に重要な点で、どうしても賛成できないという点があるわけです。  その一つは、非常に簡単なことのようでございますけれども名称が多少私どもから申しますと賛成できない。この法案の中で取扱われております団体は、全部何々組合というのでありまして、なぜその組合という共通の名前があるのに、団体という名前をつけなければならないのかという事情が私どもにのみ込めないのでありますが、それよりももう少し私どもにとりまして重要な点は、この中小企業にとりまして、政策の面から申しましては、もちろんでございますし、中小企業そのものから申しましても組織ということが非常に重要であるというふうに私ども考えておるのでございますが、組織が重要になるということは、この組合という形だけが重要になるという意味では理解してはおらないのであります。中小企業組織を求めなければならないということは、この法律、この現在の経済の発展の法則と申しますか、そういう点から申しましても、自主的に組織ができてくるということが大へんに大事なんでありまして、現在いろいろな方面から、中小業者の中からも、それからこれを取り巻く外部の条件からも、いろいろな点からその自主的な組織が進められようといたしますると、それが阻害されるという面があるのでありまして、こういう点はできるだけ法律が地ならしをいたしまして、正当な自主的な組織化の道は考えるべきではないかというのが、私どものまあ根本的な考え方なんでありまして、大事な点は、自主的に下から組織を、いろいろなどんな形でもよろしいんですが、必要な組織を作り出してくるというプロセスなんでありまして、そこへ出て参ります結果としての団体ではないんではなかろうかというふうに思うのでありまして、法律の本来の目標は、組織を進めるという点にあるはずであって、団体を云々するということではないのではないかという点であるのでありまして、その点はこの法案を見まするというと、特にそう考えなければならない、そういうまあ心配をしなければならないということが、次の点で出て参るわけであります。  それはこの法案の持っております新しみというのは、強制加入第一主義というと、まあ多少言い過ぎかもしれませんけれども、もっぱらそれがねらわれているという点なんであります。強制加入という点につきましては、これはいろいろこまかに考えなければならない点があると思うのでありますけれども、繰り返しますように、私ども考えでは中小企業にとって組織化が大事であるということはですね、組織を作りまして、ある共同つまり仕事をするというその作用、機能と申しますか、それが大事なのでありまして、ただ組織を作る、団体を作るということだけではないのであります。大事なのは団体ではなくてですね、そこで行われる、まあ、これは具体的に申しますというと中小企業関係のある標準的な取引の場をきめるということに終局においてはなるんだと思うのでありますけれども、そのようなつまり機能が大事なんでありまして、団体を作るということは、いわばその結果として一つの形として出てくるのでありまして、その団体が大切なんではなくてですね、大事なのは共同にするというその機能なんであります。その機能が第一に出て参りませんで、法案を見まするとこの強制加入の点が先に出て参りまして、それからその次に従来安定法規定しておりました員外規制というアウトサイダー命令というものが出てくる。ですから率直に申しますというと、この法案が一番ねらっておるのは、強制的な組合加入ということであって、この員外命令ということはむしろそれほど大事に考えないというふうに私どもには見えるのでありまして、この点は多少前後が誤まられているというふうに考えないわけには参らないのであります。のみならずこのように強制加入ということが最初にうたわれておりますために、いわゆる調整活動そのものというものが、だんだんと何かこの不自由なもののようになってきておるんではないかというふうに、まあ私どもには見られるのでありまして、これはかえって強制加入というような制度を作りましたためにですね、中小企業組織化をするというその組織一般活動をかえって阻害することになりはしないか、こういうおそれをむしろ持つのであります。法案ではたとえば不況条件その他によりましてアウトサイダー命令にいたしましても、それからまた、この加入強制ももちろんのことでありますが、厳重な条件をつけるようになっておりますが、まあ、これは当然であると申せばその通りなんでありますけれども、しかし、そのようになって参りますというと、一たびこの加入強制というようなことになりますと、一体それと不況条件とどういう関係があるのであるか、つまりこれがあるこの狭い門をくぐって加入強制が出て参りますというと、その業態はある意味での一種の許可事業化するおそれがないのであろうか、まあこういうような疑いも出てくるわけでありまして、私どもとしましてはこの現在の安定法のやっておりますことを中心にして考えてみますと、いろいろそれには能率上うまくいかぬ点があるという御批評もあるようでありますけれども法律で何ごともまあ片づけてしまおうというのは、事経済に関する限りこれは無理が多いのであります。ことに中小企業のようにみずからの力が弱くて、そのために組織化が必要であるというような場合に、この法律ができれば何かその通りにいくというふうに考えますことは、これは実際と大へんに合わない。まあ私どもから申しますというと、多少甘い考え方ではないだろうかというふうに思うのでありまして、世上しばしばこの法案批評の中に官僚化のおそれがあるとか、あるいはボス支配になるおそれがあるとかいうことは、そういう点から考えましても、必ずしも単なる杞憂ではなかろうというふうに私ども考えられるわけであります。  それから第二に、中小企業政策全体から見た場合にどうであろうかということなのでありますが、私ども考えでは、中小企業政策にはこのいわば独参湯と申しますか万能薬はないというのが、まあ多年私どもの研究して参りました結論一つでありまして、その中で組織化ということは大へん大事なことでありますけれども、それだけがあればよろしいというものではないのみならず、組織化業態々々によりましていろいろな形があり得るのであります。そういう点から申しますというと組織化自体も広く考えなければなりませんけれども組織化だけがあたかも中小企業政策であるかのごとき形になりますことは、これは誤解を招くおそれもありますし、適当でない。中小企業政策というのは、まあいわばワンセットになっておるのでありまして、そのワンセット全体が望ましいというのでありまして、この点は特に私どもとしては重要視したいと考えております。  それからもう一つは、日本中小企業政策を、たとえば中小企業庁というような専管の行政庁ができておりますことは、大へんけっこうなのでありますけれども中小企業庁関係いたします範囲の事柄だけで、中小企業政策を国が行うというのは、これは少し無理なのであります。全体の経済政策の中で中小企業政策のあり方を考えなければならないと、特に現在の中小企業問題を考えます場合には、広くまあ何と申しますか、雇用政策と申しますか、あるいは就業政策と申しますか、その問題が同時に取り上げられませんというと、中小企業と名乗る政策に、いろいろなことを押しつけましても、それはなかなかその通りできないというのが、実情であるわけでありますので、そういう点も顧慮されることが、現在の法案を拝見しておりますと、果してどこまで出てくるのかわからない。  それからもう一つ中小企業政策全体として問題になりますことは、    〔委員長退席、理事近藤信一君着席〕 現在法律では従業者数等で中小企業というものの範囲を限定しておりますけれども、これは大へんに便宜的な方法なのでありまして、国の経済政策中小企業というものを特別に取り上げますために、中小企業というものの中身がはっきりわかっていないというと危険なのでありまして、この点いろいろな点でそういう点を私どもは経験いたします。本年の予算の中で、通産予算の中で三千九百万円ほどで中小企業の、中小工業の総合基本調査の予算が初めて組み込まれましたのは、これは私どもから考えますというと、非常に貧弱なのでありますけれども日本中小企業政策にとりましては、非常に重要な意味を持っておるのではないかと考えるのでありまして、それら等の問題も考え合せられて、全体としての中小企業政策一つ取り上げていただくことが必要であり、そういう見通しの中で、この組織の問題も考えていただかなければならないのではないか。この問題だけが独走いたしますというと、あたかもこれだけで中小企業政策が終りであるかのごとき感じを与えるのでありまして、まあ多少この予算的には安上りであるかもしれませんけれども中小企業政策としては誤解を招くおそれがあるのではないかと考えるわけであります。  それから第三、この点が私どもにとりましては、一番大事なのでございますが、ここではこれはしいて申し上げないでもよろしいことであろうと思いますが、と申しますことは、日本が現在いわゆる自立経済段階一つの至上命令として与えられておるわけであります。ところが、そのコースをたどらなければならないにもかかわらず、御承知のように今後十数年日本の生産年令人口というものはふえるのでありまして、これが今後の日本の人口増加の中心になって参ります。これと資本の供給力との行き違いというものが、中小企業問題というものを、今後今までよりもっと激しい形の問題にするのであろうと思われるのでありまして、いろいろ研究を最近重ねてみますというと、欧米では中小の規模が適度条件であるという場合に、中小の事業が成り立っているというふうに分析できる資料があるのでありますけれども、同じ方法で日本中小企業について見ますというと、適度規模であるから中小企業が成り立っているというふうに論証できない部面がむしろ多いのであります。そういうような問題が、今後ますます山積されて参るのでありますので、そういう中では中小企業政策というのは一刻といえども、ゆるがせにできない段階に来ておるだろうというふうに言えるのでありますけれども、そうでありますだけに、一そう現在の段階における中小企業政策というものは、拙速をたっとぶよりは、むしろ慎重に、しかし一歩もぐずぐずしないで進むということが、大へん日本経済全体にとりまして必要なのではないかと思うのであります。私はその意味団体法の成立につきまして賛成をいたさないということを申し述べましたけれども、それは決して中小企業政策をたな上げにしてよろしいということとは全く違うのでありまして、むしろ中小企業政策が大切だと思いますので、たとえそのために一日二日のおくれはありましても、合理的な中小企業政策全体をこの際ぜひ立てていただきたい。そういう趣旨から、つまり何と申しますか、大の虫を何とかいう言葉があるようでありますが、つまり大きなものを生かすために、あまり小さいところで急ぐことはしない方がよいのではなかろうか、こう考えるわけであります。この点は私の申し上げることを御了解いただけるのではないかと思います。  私の意見は以上で大体終るのでありますが、この機会を利用して一言だけ最後に、公事ではありますが、多少私事に類することがありますので、つけ加えさしていただきたいと思います。それは中小企業問題が非常に重要であるということを自民党が昨年の参議院の選挙の際に取り上げられまして、これを天下に公約して、昨年御承知のように各方面の方々を委員に委嘱されまして、中小産業振興審議会という審議会を作られたのであります。その審議会は、つまり自民党の天下に対す公約の中から生まれました機構でございまして、私もたまたまその一員に選ばれましたのみならず、できました二つの部会の一つの部会長として取りまとめる仕事を仰せつかったのであります。この審議会では非常に皆さんが熱心に御審議になりまして、結局このワン・セットとしての現在考え得る最も合理的だと思われる答申をなされたわけであります。もちろん、この審議会というものは委員がきまりましたときに結論はきまるようなものでございますから、出て参りました結論について、いろいろの御批評はあり得ると思いますけれども、一応この政党の大きな約束として、しかも、公けにできました審議会の答申のことでございますので、この審議会というのはワン・セットとしての中小企業対策を答申しておりますのみならず、中小企業対策外に重要な考慮をする必要があるということもちゃんと付言しております。それからまた、中小企業の実態を把握することが非常に必要であることも、全会一致の決議として意見を出されておるのでありまして、私も個人としましては多少意見がないわけではございませんけれども、その審議会の一員として半年ほど勉強をいたしました関係上、もちろん審議会は諮問機関でございますから、それ以上に出るわけではございませんけれども、ただいま申しましたような経緯でできました審議会の答申というものが、果してどのように扱われるものであるか、今後の、いわば公約とそれから審議会形式というものについての一つの大きな前例を作ることにもなると考えられますので、その点も一つあわせてお含みの上御審議いただきますれば、大へんに幸いであります。つけ加えさしていただきます。
  6. 近藤信一

    理事(近藤信一君) 大へんどうもありがとうございました。   —————————————
  7. 近藤信一

    理事(近藤信一君) この際、委員の異動がございましたので、御報告いたします。本日付をもって草葉隆圓君が辞任され、大川光三君が委員に選任されました。   —————————————
  8. 近藤信一

    理事(近藤信一君) それでは次に、株式会社島津製作所社長鈴木君が御用事がおありとのことで先にお願いいたします。
  9. 鈴木庸輔

    参考人(鈴木庸輔君) 勝手をお聞き入れいただいてありがとう存じます。本日の参考人として御通知をいただきましたのは、実は私が旅行中に当地で受け取りました。そんな都合でせっかく御送付をいただいたたくさんの資料も十分拝見するひまがございませんので、問題の中心である団体法について意見を申し述べさしていただきます。  結論を先に申し上げますが、この団体法衆議院において修正されて参議院に回されておるわけでありますが、この法案については反対であります。以下その考えるところを申し上げます。  従来からありまする協同組合法あるいは安定法というものの十分な効果の上る施行ができれば、あらためてかような法案を出す必要がないと思いますが、最初に申し上げたいことは、この法案の精神によりますと、永年つちかってきた協力工場というような関係においてできておりまするよい慣行というものが破壊されてしまう。私が今申し上げることは、機械工業の関係に限ってのことであります。これは御承知のごとく、機械企業とその従事しておる協力工場との問には、長年にわたって技術の援助あるいは資本、資材の援助ということが継続されておりまして、形は小であっても、力は少くても、自家工場と同じ観点に立ってこれは経営されておりますのが多いわけであります。機械工業の機械の生産は、御承知のごとく全部のパーツ、部分を自家工場で生産をするというものはこれはきわめてまれなもので、おそらくありません。ことに造船のごときに至っては、造船会社は船体を作りますが、その中に包蔵するすべての機械は全部がいわゆる協力工場に発注をしておる。その受けた協力工場がまた、その下の協力工場にこまかくこれを分けて仕事をきしておるというのが現状であり、他の機械工業においてもそれは全く同様であります。従っていわゆる親工場と称するものは、その下部にある協力工場に対して資金的に、また技術的に指導を熱心に行わなければ、十分な機械はできないというわけであります。そういうわけですから、この法案に盛られた精神によって、これが遂行されるようになりますると、長年つちかってきた、いい、望ましい協力慣行というものは、一挙にしてこれは破壊されるおそれがあります。これが一つ。その次は、生産をする中小企業諸君の手によって生産される品質が低下する、これをおそれるわけですが、何がゆえに低下するかといえば、協力工場の間にも能力が一様でありません。十分な能力を持ったものも、あるいはそれに近いもの、いろいろありまするが、これが法案に盛られておりまする調整ということが行われると、結局ここに自由競争は成り立たない、品質は低下してくるということをおそれるわけであります。なお強制加入、強制的の調整ということが行われますと、どなたも御承知のごとく、再び統制の弊だけを残して、結果は——悪い言葉とおっしゃるかもしれませんが、官僚統制の二の舞をやるということになると思っております。従って、本法案のごとき力によらず、中小企業の育成に対しては、税制あるいは金融措置の点において別途に考慮すべきことはあると思いますが、法案全体に対しては賛意を表しかねる、以上であります。
  10. 近藤信一

    理事(近藤信一君) ありがとうございました。  次に、全日本中小企業協議会中央委員長五藤斎三君にお願いいたします。なるべく時間がありませんので、簡単にお願いいたしたい。
  11. 五藤斉三

    参考人(五藤斉三君) 簡単に申し述べますが、私はこの団体法の今国会を通過いたしますることを要望をいたしまするものでございます。ただし、ただいま御審議中の法案、案文全体を無条件賛成を申し上げるものではないのでありまして、条件賛成という形において、とにもかくにも今国会を通過させていただきたい、こういう結論を申し述べるものでございます。  終戦以来、中小企業育成のためにいろいろの法律ができまして、これが十年にわたりまして運営してこられたわけでありまするが、その結果、既存の法律ではどうもその効果を期しがたい点がいろいろと出て参りまして、新しい法案を作るべきだという声がきゅう然と起って参りまして、これによっていろいろと論議をせられ、用意を重ねられまして国会に提案せられたのが、ただいまの団体法であると思うのでありますが、ただ、この団体法によって無条件強制加入が強いられ、あるいは不用意な調整行為が行われまして、消費大衆その他に迷惑のかかりまするような形になりますことは、これは中小企業の独善的な希望になりますので、それはもとより期するわけにはいかぬのでございまするが、大企業の振興がほぼ緒につきまして、日本経済が戦後の混乱の中から起ち上って、昨年下半期におきましては、神武以来の好景気というようなうたい文句が出ましたようなふうに、相当の戦後の経済振興が見られました中におきましても、中小企業界においてはそれらの波に取り残されました部分が多々ございますことは、御承知のことだと存じます。これらの日の当らない中小企業のためには、さらに一段の中小企業対策をお考えを願いたい、こういうふうな考えを持ちますのが、中小企業界そのものの意見であると思うのでございます。  そういう観点から、いろいろの施策を考えていただかなければならないのでございますが、まず既存の中小企業振興法の欠点を補います意味におきまして、新しい団体法を作っていただくということは、あるいは組合法、名称はいろいろございましょうが、新しい中小企業の団結を促進いたしまする法律を作っていただきますということは、中小企業界の総意であると私は考えるのであります。大企業中小企業との日本の社会機構の中における特殊のあり方に対しまして、たとえば組合協約といったような問題が、従来の醇風美俗を破壊するというような御議論もあるのでございまするけれども、たとえば中小企業の大企業に連なります面において、下請代金の不払いたな上げというような問題が、過去において大きな問題でありましたことは、御承知通りでありますが、これらが今日におきましては、ほとんど雪が消えるように解消を見ましたのは事実でありまするけれども、これにかわって現われて参りましたことは、相変らず大企業によって形を変えた搾取を受けております下請代金の非常な切り下げの問題であるのでございます。大企業におきましては、各種の国家の保護政策の上に立たれまして、多くの新しい設備の近代化をなし遂げられまして、いわゆるオートメーション的な生産設備がどんどん進んでおられるわけでありますが、これらの大企業の新設備をもちまして、これを生産に利用いたされます前に、まず試験的にそれをお使いになって、最大の経費を投じ、最大の努力を払われた新しい機械で生産単価をまず割り出されて、その単価をもって非常に近代化のおくれている中小企業に、ただ力だけでやっておる中小企業下請代金に押しつけられるという傾向が非常に大きい、こういうような問題がるる提起されておるのでございます。下請関係のいろいろの懇談会に出て参ります最近の苦境を訴えます声は、そういったような論議が非常に多いのでありまして、それらに対しましてはいろいろと、国家の庇護の少い中小企業者一つの団結の力で、大企業に適正な単価を払っていただくようなことを初めといたしまして、いろいろのお取引条件の改善等について話し合いをする場を作ることは必要だと、こういうふうに下請業者としては考えておる者が多いと思うのであります。そういう意味におきましては、この団体法に盛られました組合協約の理念は必要なことであると思うのでありますが、これに対しましては私ども団体としては、一つ意見を持っておるのでありまして、この意見に対しましては一連の考え方として、すでに社会に公表をし、また政府、国会にそれぞれ御提出を申し上げてありますので、ごらんをいただいておることと思いまするが、私ども考え方といたしましては、まず組合協約の一般地域的な適用命令を出すに当りましては仲裁委員会を作って、その委員会の決議により、公取の同意を得た場合に所管大臣が適用命令を出すことができるというふうにすべきである、こういう考え方を持っておるのでございます。  それから商工組合に大企業も合せて加盟をせられます場合は、大企業組合員は、この商工組合理事長の職に着けないという形をとりたい、こういう考えも持っておるのでございます。  で、なお調整と強制加入の問題でありまするが、この問題につきましては、強制加入というのを当然の形としてとりますことは、まことにまずいことでありまして、まず調整を先にいたしまして、調整によって効果が上らないときは、やむを得ない例外といたしまして強制加入を命ずることができるというふうにいたすべきだと、私ども考えておるのでございます。  なお、その結果、こういう強権の発動的な調整、強制加入等の結果におきまして、員外者が経営困難を訴えるような場合には、所管大臣がその緩和措置を講ずべきである。  なお、重大なる損失をこうむった場合には、商工組合がまずその損失を補てんすべきである。しかる後に、もしもその能力が当該の商工組合にない場合には、これに国家が補助を与えてこの責務を遂行させるべきである、こういう考え方を持っておるのでございます。  で、また調停審議会に対しましても、私どもといたしましては、審議会とせずに、これを委員会といたしまして、相当の権限をこれに持たせまして、職権仲介の能力をこれに与えるべきであると考えるのでございます。なお、この委員会の構成に対しましては、中小企業代表が四人、大企業代表が二人、消費者代表が二人、学識経験者が三人、合計十一人といたしまして、学識経験者の中の一名を委員長に任命をして、そうして中小企業者とその他の分野の方々が同数の形で仲裁、採決をいたします、こういったような機構を持つべきだと考えておるのでございます。  まあ、こういったような形に若干の修正をお加えをいただきまして、この法案が今国会に通過を見るように御努力を願いたいと私ども考えるものでございます。  この法案に対しまして学術的な観点から、あるいはイデオロギー的な観点から、いろいろの御批判はあるわけでございまするけれども、戦後の立ち上りの非常におくれておりまする中小企業界の振興のためには、多くの施策を一度に実現していただきますることは、国家財政の関係等にかんがみまして、とうてい望みなきことであると私ども考えまするので、まず一つ一つ中小企業振興対策の具現を希望するのでありまして、そういう観点から、まず百尺竿頭一歩を進めるという考えのもとに、従来の中小企業に関する諸法令の補完的な意味におきましても、新らしい団体法規の制定を切望するものであるのであります。  ただ、これに関しましては、一般消費大衆、その他に影響するところが大きいのでありますから、これに関しましては十二分にこれらの状態の起りませんように、万全の措置を織り込みましたような法案が望ましいわけでありまして、それらの観点から、私どもではいろいろと研究をいたしまして、以上申し述べましたような条件を織り込みました御修正を願った形において、本法案の通過の要望を申し上げるのでございます。  なお、これに付随いたしまして提出をせられております小売商業に関する法案に対しましては、私は小売商業特別措置法法案に大体賛成をいたしますものでございます。ただ、中小企業団体法におきまして、不況条件がなければ商工組合の結成ができませんということになりまするので、これは当然の施策と思うのでありますが、その結果小売商業の業界には、商工組合の結成が困難になると思うのでありまするので、これを補完する意味におきまして、小売商業特別措置法の中に何らかの条項をお加えをいただきまして、生協、購買会及び百貨店、この小売商業のライバルでありますこれらの団体業界との間に交渉の場が持てますように、集団交渉のできる措置を織り込んでいただきたいと存じますのでございます。  それからあわせて御提出になっておりまする協同組合組合法改正によりまして、小組合の結成のできますような改正案には、私は全面的賛意を表するものでございます。  なお、火災共済協同組合も同時に提案をせられているようでありまするが、これは保険リスクを安全にカバーのできまするような形において、もしもこれが保険法という形で国会を通過いたしまするならば考慮を払うべき必要があると考えるのであります。で、同一業種の場合は、なるべく広い区域に、全国的にこれが行われますのが、危険分散のためには最も安全なケースだろうと思います。これに引きかえまして、一般業種を包括いたしまする保険協同組合ができます場合は、なるべく小地域に限られまして、大きな事故の場合に支払不能等の起りませんように、これを運用すべきものと考えるのであります。そうしてこの場合には、さらに全国の再保険組合を作りまして、これにすべて再保険をかけ、この再保険組合に対しては、相当額の国家の補助がなされるという形におきまして、これを完全な保険の遂行の機関とすべきであろうかと存ずるのであります。保険は共済の形でいくべきであるという議論も多々あるわけでありまするが、これが共済の形でいくならば問題はございませんが、保険という形になりまするならば、これがリスクを十分にカバーするという形が確立いたしませんならば、これはその効果を所期することはできないと思うのでありまして、これらの点を御考慮を願いたいものだと存じます。  私の発言はこれで終ります。
  12. 近藤信一

    理事(近藤信一君) ありがとうございました。  次は、全国消費者団体連絡会会長中林貞男君にお願いいたします。
  13. 中林貞男

    参考人(中林貞男君) 私は、全国消費者団体連絡会の立場で私の意見を述べたいと思います。  私たちは、これらの法律案衆議院において審議されておる過程から、ずっと反対運動をやって参っているわけでございます。そして、衆議院である程度の修正がなされて、参議院に現在回っているわけでございますが、これを見ましても、私たちは、私たちの考えが十分入れられていないと、そういうような観点から、やはり反対せざるを得ないというふうに考えているわけでございます。しかしながら、私たちは、ただ単に消費者のエゴという立場から反対だということを決して考えているわけではないのでございまして、私たち消費者の立場から考えましても、中小企業皆さん方も、やはり消費者という立場においては、同じ立場にお立ちだろうというふうに考えるわけでございますし、また、日本国民として、現在の中小企業が暗い谷間の中にあるというような観点から、何とか中小企業対策をもっともっと立てていかなくちゃならない、考えなくちゃならないというような点につきましては、私たちも絶対そうしなくちゃならないという工合に考えているわけでございます。従って、たとえば社会党衆議院にお出しになりましたような、あくまで自主的な形で中小企業組織化をはかって、中小企業の地位を高めて、そうして、いろいろの施策をその上にやっていくというような考え方で、いろいろのものが考えられなくちゃ非常にいけないのではないだろうか。そうしないと、現在出ておりますところのこの中小企業団体法を中心とするところのいろいろの立法によって、ほんとうに中小企業が救われるかどうかということを考えてみますと、これは、中小企業と申しましても、ごく上層部に属する人々のためにはなるかと思いますが、しかし、より多くの零細な中小企業者並びに消費者に対しては、いろいろの矛盾のしわ寄せがなされるだけにすぎないという工合に考えるのでございます。私たちは、あくまで中小企業の問題は、やはり中小企業皆さん方の自主的な組織化によってその地位を高めて、そうして、それに対して国としては、税金なり、あるいは資金なり、あるいは金融の面においていろいろともっと配慮していかなくちゃならない、あるいは政府の予算の面においても、せっかく今度の国会において中小企業対策ということが大きく浮び上っているわけでございますが、国会において中小企業の問題が大きくとらえられてきたということは、私は非常にいいことだと思いますけれども、しかしながら、この中小企業の問題のとらえられ方が、一片の法律によって問題を解決していこうというような、なまやさしいものではないのじゃないか、その証拠に、これだけいろいろな法律が出されておりますけれども、これに対する裏づけとしての十分な予算があるかどうかということを考えますと、予算措置というものについては、非常に片手落ちになっているのではないだろうか。  さらに、政府においては、中小企業問題というものを、これだけ重要な問題として国会においてお取り上げになっているのでございますけれども、先だっての日本銀行の公定歩合の引き上げという、ただ一つそのことをとらえてみましても、この公定歩合の引き上げというのは、結局大資本を中心にして金融政策というものが考えられているだけであって、この公定歩合の引き上げという問題が、結局は中小企業に対する金融難というような問題をやはり来たすのではないだろうか。従って、この法律で、中小企業問題は大事だ大事だと言いながら、やはり大資本中心の政策だけが政府においてとられていて、ほんとうにあたたかい心を持って中小企業の問題が取り上げられていないのじゃないかという工合に私は考えるわけでございます。  そうして、それらの矛盾が消費者のところへしわ寄せされてくるという工合に私たちは考えまして反対しているわけでございますが、私たちは、中小企業の問題というのは、やはりこういうような法律解決するということよりも、もっと大きなところに問題があると思う。たとえば現在のこの法律の中においても、やはり中小企業過当競争ということが非常に大きく取り上げられているわけでございます。事実、中小企業は非常に多いのでございます。たとえばこれを商人について考えてみますと、東京においては十五世帯に商人が一軒ある。あるいは山形においては十世帯に一軒ある。あるいはよく生活協同組合との関係で問題になります米子においては、七世帯に一軒ずつ商店がある。こういうような形で非常に中小企業は多いのでございます。にもかかわらず、政府は五カ年計画で、一方において昭和三十五年までに商業人口を二四%ふやす。そうして商業人口を八百九十八万人にするという経済政策をおとりになっているわけです。過当競争があっていけない、いけないと言いながら、経済政策としてはこういう形をとられている。事実このことは昨年労働省から出ましたところの労働白書を私たち読んでみますと、やはり大企業におけるところの雇用量というのは、臨時工だとか、社外工だとか、そういう非常に変則的な形で労働者がふえているけれども、結局正規の雇用量はちっともふえていない。そうしていわゆる商業部門、サービス部門、つまり第三次産業部門に雇用量がふえている。このことはやはり経済政策でうたわれているように、結局失業人口というもののプールに中小企業というものが日本において利用されている。そこに過当競争の原因があるのではないだろうかという工合に私は考えるわけなんです。そうして一方において、これをまた流通面においていろいろ考えてみますと、戦後特に激しくなって参りましたのは、大資本なり、大メーカーの販売店が全国的に網を張ってきている。あらゆる中小都市に行きましても、大きなメーカーとか、大資本のサービス店がどんどんと伸びてきておる。そうして大きな問屋が自分で小売の店も出すというような形、百貨店の名店街に行ってみますと、これは有名店の一つの陳列所にしかなっていないというような形、そうして一方においては百貨店がいろいろな形でどんどんと進出してきている。こういうようなやはり大資本の圧迫、流通面においても、一般中小企業においてもそうですが、大資本の圧迫というものが非常に激しくなってきている。そうして下からは失業人口がどんどんと流し込まれている。この姿を私はほっておいて、そうして一片の法律中小企業の問題というものは絶対に私は解決できないのではないか。たとえば戦前と戦後とを比較してみまして、商業マージンは一〇%ないし一五%少くなってきているというこのことも、やはりそういうところに原因があるわけです。    〔理事近藤信一君退席、委員長着席〕 従って商人がなかなか食っていけないという原因も、私はそういうところに根本的な問題があるのではないだろうか。従って中小企業のこういう困っている問題というものをどうするかということが、やはり国の総合的な経済政策の中において、中小企業の問題をどうあたたかい気持をもって考えていくかということを、私は積極的に考えない限りは、中小企業の問題というものは解決しない。  昨日の東京新聞では、この中小企業団体法はこの国会を通るだろうという前提で、通ったらどうなるかという解説を書いておりましたが、それを読んでみましても、その団体法には非常な問題をまだ残している。安定法ができましたときに、特に小売とか、サービスの部門は非常に複雑だし、それだからなかなか安定法という法律規制しようとしても困難だということで、商業、サービス部門は安定法から当時除外された審議の経過があると思うのです。東京新聞をきのう読みましても、やはり小売なり商業部門においていろいろの組合を作っていくといっても、なかなかまだ法律の中において疑問がたくさんある。結局行政権にゆだねられる点が非常に多いのじゃないかという疑問を東京新聞は書いておりましたが、私はその通りだと思うのです。そうしてより根本的にはそういうような矛盾をどう解決するかということについての何ら配慮なくて、ただこの五十五条の強制加入の命令だとか、あるいは五十六条の員外規制の命令だとか、いろいろなことによって問題を処理していこうとしている、こういうような形で法律の中においてこういうような統制的な権力的な色彩が強くて、そしてまた、法律の中においては解決されずにして、行政面にゆだねられている面が非常に多い。そうしてきますと、この法律通りましたならば、いろいろのそういうかつての官僚統制ということでいろいろ批判がありましたようなことが、また再現してくるのではなかろうか、現在の資本主義社会においては、経済においてもやはり自由の原則が私は必要だろうというふうに考えるのでございますが、この法律の色彩というものは、権力的な官僚統制の色彩が私は非常に強く出ているということを私たちは心配するわけでございます。そうして五十五条の強制加入のところなどについては、ある程度衆議院において修正されたとは言え、しかしながら、法律の基本的な思想としては、そういう統制的な色彩が非常に私は残っているという工合に考えるのでございます。  そうしてこの法律ができます過程において、中小企業庁の方にいろいろ伺いましたら、審議会とかいろいろな委員会で消費者の意見を十分聞くということを言っておいでになったのでございますが、私は現在ありますところのいろいろの審議会が全く有名無実であって、ただ御意見を聞くものにしかすぎないのじゃないか、あらゆる審議会がそういうふうである、この審議会において消費者の意見が十分聞かれるかどうかについては、私は多くの疑問を持たざるを得ないのでございます。そうしてそういうような権力的な統制的な色彩が強くて、そうして行政にゆだねる面が非常にたくさんあることになって参りますと、そこから非常にやみというようなものとか、あるいはまたこういう権力とからんで汚職の問題が私は出てくると思う。せっかくずっと戦後世の中がだんだん明るくなってきたにもかかわらず、こういうような統制的な色彩の強い法律が出ることによって、すべてが逆行していって、ふたたびまた、非常に暗いものが私は出てくるのじゃないか、そうして特にそれは家庭の主婦の台所に非常に大きな影響を与えてくる。そうしてわれわれ消費者の生活に非常に大きな重しを私はかけて参るのじゃないか、この法律が通るだろうということが、もうすでに業界その他を通じていろいろ流れておって、そうしてそういうことを前提としてのいろいろな画策がなされているわけでございます。  そうしてその以前から最近非常に激しくなって参りましたのは、こういう団体法というものがないにかかわらず、流通面におきましてもせっかく独禁法の改正のときに十一団体の再販売維持契約からの適用除外を生活協同組合、農業協同組合、あるいはいろいろの購売会なりその他いろいろの団体法律で適用除外を受けたにもかかわらず、化粧品だとかいろいろな面においてこういうような形で再販売価格維持契約から適用除外を受けている十一団体には、品物を卸してはいけないというような指令が出ている。こういうことが公然とすでに行われているわけです。ある地方では薬品の問屋と小売商の問屋との団体交渉の結果、小売商に対してはこういうような十一団体には品物を卸し得る団体が卸すときには、小売商組合の了解がなくては、農協なり生協なり、あるいはそういう十一団体には品物を卸してはいけないというような申し合せがなされているというようなことが、この法律のできる以前において、すでにいろいろなされているわけでございます。そしてそういうようなところから、協定価格というようなものによって、価格のつり上げということがどんどんなされてくる。この法律で一番消費者にとって困りますのは、やはりこういうような統制的な色彩の強いものが出て、そして加入命令、それからアウトサイダーの規制というようなことが行われて参りますと、物価の値上げ品物の値段のつり上げということが当然行われて参るのでございます。最近では政府の減税だとか、あるいはいろいろなことがあったにもかかわらず、四月一日からは鉄道運賃だとか、あるいは電気料金の値上げだとか、いろいろな物の値上げがなされております。あらゆるわれわれの生活必需物資がこの法律ができまして、全体に協定価格なり、いろいろな形によって物の値段が上って参りましたならば、私たち大衆の生活というものは、それによって破壊されて参るのではないだろうか。このことを私たち消費者としては非常に心配するわけでございます。私たちは決して中小企業のいろいろな方の育成とか、そういうことがいけないということは毛頭考えていないわけでございます。私たちはもっともっとわれわれ消費者と中小企業皆さん方と十分話し合って、そして問題を自主的に解決していくという形で、私らはやりたいという工合に考えておるわけでございまして、法律のできる以前から、こういうような形でもうすでにいろいろなことがなされている。こういう事実、また今までの家庭の主婦は苦い経験から、この法律が出たら大へんだという気持をみな持っておるのではないだろうか、  そういうような観点から、私はこの法律参議院におけるところの審議には、参議院の諸先生方の御良識によって、十分家庭の消費者の立場、特に先生方が家庭にお帰りになって奥さん方が最近の物価の動きにどうしておられるか。台所のやりくりに家庭の主婦が頭を悩ましておるというようなやはり現実の生活の問題というものを十分参議院の先生方にお考えをいただいて、そしてこの法律案をどうするかということを、私は十分お考えをいただきたいという工合に考えるわけでございます。  そうしまして、これに関連して政府から衆議院に提案されておりますところの小売商業特別措置法案というような、あの法律案内容を私読んでみたわけでございますが、これにつきましても、現在の流通部門のいろいろな問題というものをどう解決するかという根本的な問題については、全然この法律案は触れておらずして、ただ、購買会とか、生活協同組合とか、それから小売市場の登録制というような問題だけで、流通機構の問題を解決しようとしておるわけでございます。そしてこの中において生活協同組合の問題は、すでに消費生活協同組合法というものがあって、そこでいろいろ員外販売の禁止とか、いろいろなことがやられておるわけでございます。中小企業庁でも生協法では十分取締りができないから、この法律を作るのだというような御意見のようでございますが、現在安定法だとか、たくさんの法律がありますが、それらの法律がなかなか全部守られていないということは、なぜかといえば、やはり国民に対するじみな執拗な、あらゆる面における教育活動、私はやはりこの教育の欠陥だと思う。教育ということによって、国民考え方というものをもっともっと直していかなければならない。にもかかわらず、すべて法律によって一切がっさいを解決しようという拙速主義ということによって、どんどん法律を出していって、法律ですべてが解決されるだろうという考え方に、やはりみな片寄ってしまって、もっと基本的な大事なやはり教育の問題、やはり生活教育、消費者教育というようなことももっと徹底的にやらない限りにおいては、問題は解決できないのだ。  にもかかわらず、特に小売商業特別措置法といいますのは、私は小売商業の問題で一番大きな問題になって参ると思うのは、百貨店とか、そういう問題だろうと思いますが、そういう問題については、ここでは何にも触れていない。そうして購買会等ただ生活協同組合の問題だけを大きく取り上げて、そうして生活協同組合には生活協同組合法というものがあるわけでございます。そうしてこの生活協同組合法の第二条の生活協同組合のことに関するこの規定の中においては、現在生活協同組合でやっておりますところの、やはり生活協同組合などでは現金販売ということが消費者教育の立場から一番大事なんです。また、生活設計、一般の家庭の主婦なり大衆に生活設計をやらせていくということが、私は日本経済においての非常に大事だ。その生活設計をやらせていくというためには、やはり現金買いということを大衆に教育していくということが非常に大事なんです。にもかかわらず、この法律では生活協同組合なり購買会では利用券とか、そういうものと引き合いで品物を売るようにさせるというような形で現在の生活協同組合の経営などを、これはどこの国へ行ってお調べになりましても、生活協同組合においてこういうような形で生活協同組合を扱うというような考え方は、私はイギリスにおいても、スェーデンにおいても、どこにおいても、西欧諸国で大体消費組合の運動は発達しているわけでございますが、この小売商業特別措置法考えておいでになるような、こういう非常に変則な形で問題を解決しようとしている国は、私はどこもないという工合に考えるわけでございます。従ってこの小売商業特別措置法につきましても、私らはそういうような観点に立って反対するわけでございます。そうして私たちはもっと消費者大衆の意見が流通機構の問題の中に反映されるように、そうしてやはりこの消費者教育というものを国がもっと徹底的にやるということによって問題を解決していかない限りは、私はこの流通機構の問題は解決しないし、流通機構の問題には非常に多くの問題をたくさん持っているということを申し上げまして、私は直接消費者の立場から、中小企業団体法小売商業特別措置法が非常に関係がありますので、二法案についての意見だけになりましたが、二法案については、われわれ消費者の立場から絶対に反対であるということを申し上げまして私の意見を終りたいと思います。
  14. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  以上で五人の参考人の方の意見の御開陳が終りました。ここで以上の参考人の方に対する質疑をいたすことにいたします。そのうち鈴木庸輔君は御用事がございましてお帰りになりましたので、四人の方が着席しておられます。このうち、山中参考人と五藤参考人はいずれもお帰りを急いでおられますので、委員の御質問は簡単にお願いいたします。
  15. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 まず山中さんにお尋ねをいたしたいと思います。  中小企業振興審議会に深く御関係になりました山中さんとせられまして審議会の答申に触れられたわけでありますが、その審議会の答申の結果と今回の提出法案、さらにこの修正の行われた点と双方比較いたしましていかなる点においてどういう相違点があるか、これに対してどういう御見解を持っておられるかという点をまず一つ伺いたいと思います。  それから時間がないものでありますからさらに質問をいたしまする一点をつけ加えておきますが、その一点は入江さんと中林さんにお尋ねをしたいのでありますが、小売商生活協同組合等との関係でありますが、生活協同組合は、原則としてやはり組合員自体の福利厚生をはかるということが、主眠にあると思うのであります。ことに、大都会において商業者の十分に密集しておるようなところにおいて員外に販売するということは、これは公正なる立場から見て行き過ぎではないだろうか。要するに生産者は生産行為によって生活の安定をはかり、商業者は商行為の所得によって生活の安定をはかり、勤労者は勤労給与の所得によって生活の安定をはかり得るような世の中を作り上げてゆくこと自身が、わが国の人口問題を解決、また完全雇用の点からいって重大なる問題ではないだろうか。そういう基本的な考え方からいたしまして、生活協同組合の少くとも都会地における員外販売事業は行き過ぎではないだろうかということを、公正なる立場から肯定せられるべきものではないだろうかという考え方につきまして、どういう考え方を持っておられるかという点をあわせてお伺いしたいと思います。
  16. 山中篤太郎

    参考人山中篤太郎君) 簡単に思いつきましたことだけお答えいたしたいと思いますが、先ほどの最後につけ加えました点から、審議会で皆さんがお考えをまとめていただきました点と今度の法案との違いが、つまり片っ方がワンセットになっておりますけれども、多少これから先どうなるのかはっきりわかりませんので、私はそういう言い方をするのですが、つまり組織に関するものと商業に関するものだけが出ておる、こういう形になって、そのほかお金の方の関係の問題はいろいろございましょうけれども、これは今の組織の問題だけを中心にして考えますと、これは一番大きな問題です。やはり一番大事な点は強制加入の扱い方だと思います。審議会でも強制加入の問題は大へんめんどうな問題でございまして、皆さん率直にいろいろ御意見をお述べいただいたのですが、結局現在考え得る合理的な限度というものは、このアウトサイダー統制命令というものをやって、もしうまくいかなかった場合は、それにかえて万やむを得ないと申しますか、加入強制ということであるのではないだろうか。こういうことで意見がまとまったわけでございます。私個人といたしましても、加入強制ということは非常に慎重に扱わなければならないと思うのでありますが、つまり員外者統制命令にかえてということであれば、門も非常に狭くなりますし、可能ではなかろうか、こういうふうに考えまして答申がすでにされております。その点が一番大きな違いであろうかと思います。  それから法律名前は、実は組織法案というのを審議会の方では答申しておりまして、これはやはり理由があったのです。ということは、答申の前文に中小企業にとっては一般的に組織というものが大事であるから、そういう基本概念をはっきりさせるために、その第一において前文をつけ加えようではないか、こういう御意見があったくらいであります。特別に組織という言葉以外の法案名前考える必要があるというような御意見すら実は出なかった。中小企業組織強化に関する方策というようなことで、たしか答申が出た。こまかなことはまたあとから申し上げます。
  17. 入江正治

    参考人入江正治君) 今のお尋ねの点は員外利用の問題に関してのことでありますが、私どももお説のように商業者は商業でめしを食う、中小企業企業家はそれでめしを食う、労働者はそれでめしを食うというのは、これは大いにけっこうなとだと思うのですが、しかし、今日の実情から申し上げますると、先ほど若干申し上げましたけれども、はなはだしい場合には千五百円とか、二千円くらいというような低賃金がございまして、従ってそれだけではとうていめしが食えない、こういう賃金が多いということであります。これは政府の統計によりましても、今日八千円以下の低賃金というものが約四六%とか八%とか言われておるように、非常にそういう状態であります。従ってこういう状態が改善される、こういうことになりますならば、あるいは購買事業、あるいは生協事業というものの重要性は、あるいはお説のようにゆるやかになろうと思われるのであります。しかし、今日そういう状態の労働者が非常にたくさんあって、しかも、それを守っていくのには、やはり生活協同組合などによって、その中でいや応なしにそれを利用しようとしている。ところが、この趣旨はいいのでありますけれども、今日の段階で、私どもは先ほども申し上げましたように、多くありますのは、大工場を中心とする職域のもの、あるいは都会地などでは地域が発達しているというのは、今言った都会のこれらの利用層というものは、事実私どもは、そういう低賃金の労働者を中心とした購買層であります。そういった上に成り立っておりますから、従って、こういう状態が改善されるという過程の中で、どうしてもそれが改善されるまで待てないということであれば、この生協活動によって、これを一そう、中小企業の劣悪な労働条件にある労働者にこれを適用していくこと、このことは労働運動の側面としても、非常に重要なことだと私ども考えております。まだそういう意味では育成をしていかなければならぬのに、他の方では、たとえば二割以内の員外利用は認めるというようになっているのに、特に生協や、あるいは労働組合の購買会を対象としたところのそういうものには、員外利用はほかの面で、法律であるにもかかわらず、これで一そう強化する、こういうことがあるわけであります。  それからもう一つ事情といたしましては、都会地といいましても、生協が発達をしましたのは、購買会機能が発達をいたしましたのは、終戦後の混乱の中でも、いろいろ生れたり亡んだりいたしましたが、しかし、いずれにしても労働者がそこで、生協労働者を中心にやらなければならぬという事情が起ったのは、特に炭坑とかあるいは地方の工業都市などでは、非常に物価が高い、他の都市に比べて物価が高い、そういう事情の中で、やはりそういう消費活動を通じて守っていこう、こういう作用をやったわけでありまして、そのためにその地方の都市の物価がそれにチェックされてきた。こういうことも、私は流通経済の原則の上から果しておる役割ということを認めていく必要があるのではないか。それからそういう地帯において商業が後退をしたかというと、事実その購買活動によって、あるいは生協活動によって、その商業が圧迫をされたという点は、まだ数字的にも立証することは、私は今日困難なのじゃないか、事実はそういうことではなく、ただ感情的に商業者の方々たちが考えられるのは、購買会の活動やそういう活動が多くなったために、われわれの方が脅威を受けるのだ、こういうようにお考えになっておると思うのであります。しかし、私の出身地でありますところの愛媛県の新居浜なども、いろいろ問題になるようでありますがあの場合に、労働組合がそういう生活協同組合などを作らなかった場合には、あそこには大丸の資本が入りました百貨店があります。その百貨店を大きくするという、こういう大資本の方のねらいがあったのですけれども、新居浜の現状では消費組合があるということで、百貨店の進出を防いでおるようなことも、事実として私どもは知っておるわけであります。従って、私は原則的には今おっしゃるように、労働者労働者の賃金でめしを食っていける、こういう態勢こそ望ましい。しかし、今日の状況の中では、ただ単に目のかたきにしたような形で、消費者とそれから商業者をかみ合せる、お互いに目のかたきにしあわせるようなやり方でもって、他のいわゆる大資本の進出、こういうものに目をふさいだやり方というものは、われわれの生活を侵されるという現実の上に立って、十分な配慮をしてもらわなければ困る、こういうふうに考えておるわけであります。
  18. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  19. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて。
  20. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ごく簡単に一点だけ、山中教授にお伺いいたしたいと思いますが、この法律案の一番大きな問題になりましたのは、先ほどあなたのおっしゃられた強制加入という問題があるのでありますが、この点はしばしば衆議院でも問題になりまして、これは御承知の、公取の問題というものがあるわけなんでありまして、この質問に対しまして岸総理は場合によれば、国会がこの公取の考え方というものを、全面的にこれを是認するならばというようなことまでも言われたのでありまするが、これにつきまして、学者としてどういう御意見をお持ちになっておりますか、一つその点を一点だけ伺いたいと思います。
  21. 山中篤太郎

    参考人山中篤太郎君) ちょっと御質問の趣旨がよくわからなかったのですが、つまり強制加入というものがよく憲法上の問題になるとか、そういう点についてどう考えるかという……
  22. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そういうことです。
  23. 山中篤太郎

    参考人山中篤太郎君) 私は強制加入というものを一つの手段として考え意味で、ごく限られた場合は成り立つのではないか、つまり員外、アウトサイダー統制命令にいたしましても、実は個人の行為、自由を束縛するわけなんでありまして、それに比べますというと、この集団に加われという命令の方が、はるかに大きい拘束になりますことは、申すまでもないと思うのですけれども、一方現在の社会というものは、経済の上から申しますと、だんだんいろいろと組織ができて、このために経済的にも進歩しておりますので、それをことさらに、いわば標準ができようとするのを、ことさらにこわすというようなことは、経済進歩の上からいって好ましくない。ですからそういう見通しのはっきりつきました場合は、おそらくアウトサイダー命令も出るわけでありますから、そういう関門を一ぺん通って、なおかつ非常に少数の反対の人が、少数の人の反対というのは、その人の反対でない場合がしばしばあります。つまり影武者がありましたり、いろいろむずかしい問題があるのでありますが、そういう場合、社会全体の良識に対して、現在安定法考えておりますようなアウトサイダー命令と全く同じ意味で、そうして手段としてそれにかえて、ですからこれも永久的に会員として組合に加われというのではなくて、臨時ということに当然なると思います。その必要のある間ということになると思うのですが、標準の条件に一緒にやってもらうということは、あり得るのではなかろうか、こういうふうに思っております。ですから私は、そういう限りでは、つまり現在のような加入統制というものを初めからうたいますると、憲法違反という問題も起るかと思いますけれども、つまり一つのやむを得ざる手段として、極端の場合いろいろ門をつけまして考えますならば、可能ではないだろうか、こういうふうに考えております。
  24. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は山中参考人から、時間をもうちょっとお上げして十分御意見を承わりたいという感じを御陳述が終ってから感じたわけですが、お話しの中に出てきた自民党の中の中小企業政策審議会の答申書、このことについて山中参考人に聞く前に、委員長にお願いするのですが古池、西川両理事に頼んで、委員長があっせんされて一つ委員会に答申書を、正式の資料としては政党に属するものだからいかがかと思うので、要求するのじゃないのですが、お配り願いたい。そして私どもはその意のあるところを十分一つ見たいと思います。かように考えるので、ごあっせんを願いたいと思います。それは委員長にお願いしておきます。  そこで、山中参考人にお尋ねしたいと思うのですが、この現在の日本経済状況、それから中小企業者の置かれている実情、あるいは業者とか中小企業者に対する金融なんかのいろいろな状態から、今立法をしてこういう団体法を作ることは、必ずしも妥当でないという御意見に承わったのですが、それよりもう一歩突っ込んでみますと、非常に組織されづらい中小企業者であるから、法律を作ってある意味では無理ではあるけれども、そういう人々の団結をさせて、中小企業を助けるという奨励的な意味を持たせるということは、一体無理なのかどうかということ、それで現在問題になっておる団体法ではこの際反対であるが、その内容を直すならば、そういうふうな中小企業者の団結を無理なく進めるという方向を持つ対策等がかりに可能ならばそういう立法はむしろ望ましいとするのか、それとも、やはり参考意見として述べられましたように、日本の置かれている今の現実からするならば、ともかく入江、中林参考人も陳述されておりまするような基本的な問題が解決されない限りは、やはり現在としては立法措置はむしろ無用有害であると、かようにお考えなのか、その点を一つお示し願いたいと思います。
  25. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと委員長から申し上げます。山中参考人が主として関係しておられましたのは、政府中小企業振興審議会、その答申のことを言っておられます。その答申についてはすでにお配りしてあるのです、御記憶があると思いますが。さらにお配りすることにいたします。
  26. 山中篤太郎

    参考人山中篤太郎君) 私の言葉が少し足りなかったので、誤解があったのでありますけれども、私の言った意味は、自民党の内閣ということの意味なのであります。公けのものでありまして、政党は公けでございますけれども、それと違った意味で、公けのものでございます。そういう意味で、私事に関係はあるけれどもということで、多少不適当であったと思います。政治慣習の問題として発言さしていただきたいと思います。  それから御質問の要点でございますが、あとの方から先に申しますというと、まあおよそこの法律政策てその他完全なものというのは、なかなかないのでございますので、できますれば一つ一つ順次に行われるという見通しさえありますならば、やはり一つ一つできますことは、望ましいと思います。私が申しましたのは、そういうような点に対する考慮が果してあるのであるかどうか、必ずしもよくわかりませんものですから、やはりこういう機会に私としてはそういう点を申し上げたいという意味で申したのです。全部が一ぺんに同じ国会ですぽっと通らなければ、全部反対だというような趣旨のことを申し上げたわけではないのでありまして、もし、そういうふうな印象を私の話からお取りいただきましたら、御説明が時間を急ぎました関係上うまくいかなかったということからで、この点は御了承願いたいと思います。  それからそういうことを前提としまして、それでは今の団体法というこの法案ですが、これが通るのは、好ましくないと考えるかということですが、私は修正可能の余地が十分あると思います。その修正可能のぎりぎりの限度というものは、私が関係した限りでは、その政府の作りました中小企業振興審議会の答申の中にありますあの線、あれが現在考え得るますそのぎりぎりの線ではなかろうか、あれ以下では効果が少くなりはしないか、あれ以上になると今度は少し、写真だと露出過度になるというほどのところでありまして、この点の何と申しますか、一線というものは具体的に申しますと、私ども学界におる人間からいたしますと、大へんにむずかしいのです。なぜむずかしいかということは、根本的にはわれわれが問題にしなければならない中小企業というものは、中身が何かということが私ども理屈の上では申しておりますけれども、国の政策としてそれをやれば、すぐいろいろな方面に響くというその政策の中身の問題として考える場合には、この産業の部門がここまでがわれわれの問題とする中小企業だということが、日本経済全体を見渡してはっきりわかりませんと、そこまで断言をすることは、現在の私どもの学問的能力ではできないのです。ただし、これは私どもの学問的能力が足りないとは思っておりません。おっしゃるようなことは、個人の力ではとてもできないわけであります。これこそ国の経済政策の中で、当然そういう資料を作っていただくのでなければ、せっかく中小企業庁のようなところがありましても、中小企業のために役に立つことができないことになるのではないかと思うのでありまして、この点も一つあわせてお含みおき願いたいと思います。
  27. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  28. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記始めて下さい。
  29. 中林貞男

    参考人(中林貞男君) 私、豊田先生からお尋ねになりました生活協同組合の員外販売の問題でございます。私は実は日本生活協同組合の連合会の仕事もしておるのですが、きょうは主として一般消費者の立場から私申し上げたわけでございますが、私たちも現在消費生活協同組合法で員外販売は禁止されております。それで私たちの連合会も員外販売はいけないと、そしてまた、市価販売、市価主義ということでいろいろと教育活動を一生懸命やっておるわけでございます。しかしながら、一部の生活協同組合でまだ員外販売があるということも事実でございますが、しかし、私は員外販売とかそういう問題で、非常に困っておりますのは、むしろ、商業政策のいろいろな貧困ということ、あるいは先ほど申し上げましたような点から、むしろ最近北九州などにおいては商人の人が生協の看板を借りて、そうしてやみの生協をやっているのが、非常にたくさんあるわけです。そうして数日前にも九州の福岡の新聞を見ましたら、何かつかまって引っかかったという記事が出ていたのですが、それはやはり商人なり、非常にインチキな生協、そういうものが事実あるわけです。従ってそれはむしろやはり商人の人たちが、いろいろ食うに困って生協という看板などを利用して、むしろやっておるというような面に、非常にたくさん私はあるので、私たちやはり生活協同組合立場からは、正当な生活協同組合に私たちはしていかなければならないという工合に考えておるわけです。その点は農協法では二割の員外利用を認めておるわけでありまして、私たち生活協同組合では、やはりこれはやがて生協組合員になる。しかし、生協とはどういうものかということを、家庭の主婦たちがよく研究する間のトレーニングの期間だけは、これはやむを得ないだろうというふうに考えておるのですが、これはごく短期間のうちに生協の正式に組合員になるように指導しておるわけであります。従って、もしもできたら政府とも御相談して、はっきりと農協法のように改正していただくことも一つの手ではないだろうかという工合に考えて、実はいるわけですが、私たちは指導としては、やはり員外利用はいけないという指導をやっております。しかし、この問題はやはり消費者教育、あるいは商業政策なり、いろいろな必要なやはり努力の結果、やはり消費者教育というような努力と相待って、私はやっていかなくちゃ、いろいろ法律でやっても、なかなか困難だと思う。しかし、私たちは、生活協同組合連合会におります者として、その責任は十分考えてやっているつもりでございまして、私たちは決して生協と商人がけんかばかりしておればいいというふうには、毛頭考えていないのでございまして、その点は、正しい生活協同組合に、一日も早くして参ろうという努力をしておるということだけ申し上げて、私の答弁にしたいと思います。
  30. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  31. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて。  それでは午後の委員会は一時半に再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩    —————・—————    午後一時五十五分開会
  32. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは午前に引き続きまして会議を再開いたします。  参考人の方に申し上げますが、本日は御多忙のところ、当委員会のために御出席をいただきましてありがとうございました。せっかく御出席をわずらわしながら、御公述の時間を限ることはまことに恐縮でございますが、大体お一人十分程度に要点をお述べ下さるようお願いいたします。なお、時間の都合上数名の参考人の御発言が終ってから委員の質問を許しますので、それにお答え下さいますようにお願いいたします。  なお、御意見を求める法案は、中小企業団体法案、これは御承知通り衆議院修正されて参議院に送付されて参っております。このほかに中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案商業調整法案小売商業特別措置法案で、都合五法案でございます。  それでは、全国中小企業等協同組合中央会専務理事稲川宮雄君にお願いいたします。
  33. 稲川宮雄

    参考人(稲川宮雄君) まず、問題になっております法案の中で、小売商業特別措置法案並びに商業調整法案につきまして簡単に意見を申し述べたいと存じます。  この両法案につきましては、私どもは、ぜひともその通過成立を希望するものでございまして、いろいろ理由は詳しく申し上げたいのでございまするが、時間がございませんので、すべて省略させていただきますが、ただ一点、たとえば国鉄の購買会のごときは運賃八割、あるいはそれ以上の割引をしておる。あるいはこれに対しては相当の資金が他からつぎ込まれておる。また税金の面におきましても普通の小売商のような負担はない。こういう点を取って考えただけでも、いかにそういうものと、小売商とが公正なる競争ができないかということは明らかでありまして、その一点から考えましてもこういう特別措置はどうしても必要である。従いまして多く申しませんけれども、ぜひともこの法案の通過成立を希望するものでございます。  次に、問題の団体法並びにその関係法律でございまするが、これにつきましては、必ずしも万全ではございませんけれども、私どもはやはりこの法律のすみやかなる通過成立を強く希望し、かつ期待するものでございます。その理由につきましては、すでに提案理由その他において詳しく述べられておると存じますので、私からは特にそれにつけ加えるものはないと存じまするが、ただ、従来これらの法案に対しまして各方面からいろいろの反対が行われているのでございまするが、その反対論というものは、われわれから考えますると、どうしましても納得のできない点が非常に多いのであります。いわゆる疑心暗鬼と申しまするか、杞憂と申しまするか、今日の中小企業のこの苦しんでいる現状というものに対する理解の不足からきておりますのか、とにかくわれわれには了解ができない点が非常に多いのでございまするので、そういう点につきまして二、三の点を私は申し述べたいと存ずるのでございます。  まず第一に、この法案企業の自由を束縛し、いわゆる統制経済主義に持っていくものではないかという議論が行われているのございまするが、これはよくこの法案をお読みになればわかりまする通りに、全く例外的な特別の措置として規定せられているのでございまして、戦時中の物資不足の統制時代と今日とでは根本的に違っておりまするし、また言論の自由その他がありまする今日におきましては、そのような統制が行われるものではないことはこれは明々白々の事実でございます。  また中小企業自体も、決して統制というものを好んでいるのではないのでありまするが、場合によりましては必要やむを得ずそういうことが行われなければならない場合が、中小企業の現実において幾多あるのでありまするから、それを、その対策としてこういう特別措置を講じていただく必要があるということにほかならないのでございます。  独占禁止法との関係におきましても、午前中若干問題になったのでございまするが、大企業カルテルを作っておるので、中小企業もそれにならおうとしておるのではないか、こういうような議論も行われるのでありまするが、これは大企業の場合のカルテルと、中小企業の調整事業というものとは、根本的に相違をいたしておるというふうに私ども考えるのでございます。私どもは、日本経済におきまして、独占禁止政策というものはあくまでも必要であると考えるのでございます。しかるに、その独占禁止法が漸次骨抜きになっていくということはまことに嘆かわしいことでございまするが、しかしながら、これははなはだ手前勝手な議論をするようでありまするが、中小企業の場合におきましては、その数の多いこと、あるいは中小企業の特別の性格から申しまして、ある程度の調整というものはやむを得ない場合が多いのでございます。つまり、わが国の経済はいわゆる自由経済というものが建前になっておるのでございまするが、自由にして、かつ、公正なる競争を維持するためには、中小企業の場合にはある程度の調整がやむを得ないという場合が起ってくるのでございまして、その放任的な、今日のようなこの混乱せる事態、その行き過ぎた自由競争というものを放任いたしておきましては、公正な自由競争というものが実は行われない、調整事業というものはいわゆる統制経済のために行うのではなくして、公正な自由競争を行うためにむしろ中小企業の場合においては必要である。この点は、大企業カルテル統制とは根本的に相違しておるという点に関する認識が私は足りないのではないかということを考えるのでございます。  次に、この官僚統制でありまするとか、あるいはボス支配というような言葉が午前中にもしばしば出たのでございまするが、およそ中小企業といたしましても、官僚統制、あるいはボス支配というものを決して好むものではないのでございまして、もしそういうおそれがありまするならば、われわれもこういう法案には反対をせざるを得ないのでございまするが、この法案をしさいに検討いたしまするというと、そういうおそれはないと私は信ずるのでございます。その一つの点につきまして詳しく申し上げる時間はございませんが、すべてこれらは業者がみずから自発的に自主的に調整をやりたいということでやってみる。そうしてそれができない場合に、みずからの発意によってみずからの申請によってそれが行われるということでございまするし、また組合の決議は、いわゆる一人一票の平等主義によっておりまするし、また特別決議という決議方法をしていかなければならない。あらゆる手が講ぜられております。そのほか審議会等の制度もでございまするので、そういう憂いというものは、私は絶対にないとは申し上げられませんが、まず一般に吹聴せられるような心配はおそらく起ってこないであろう。そういう疑心暗鬼のためにこの法案がいろいろと批判をされるということは、はなはだ中小企業といたしましては残念に存ずる次第でございます。  次に、この消費者の立場から考えまして、こういう一方的な統制が行われました場合には、消費者は非常な不利益をこうむるであろう、こういう非難、あるいは批判というものが相当強く行われておるのでございます。これは私どももその点につきましては全く同じように心配をしなければならないのでございまして、およそ中小企業、あるいは小売商の振興を講じまする場合に、消費者の利益に反するところのいかなる対策も、それが効果を及ぼしてこない——かりに一時的な効果がありましても、それは永続するものではないのでございまするから、およそ消費者の利益に反するごとき中小企業対策、あるいは振興策というものはあり得ないと私どもは信ずるのでございます。  従いましてこの法案はそういう意味におきましてもいろいろな手が講ぜられておるのでございまして、たとえば価格の調整一つを行うというような場合におきましても、きわめて厳重なる制限、しかも特別の場合のみこれを認める、こういうことになっておりまして、むしろそういう点におきましては、業者としては非常に不満なのでございまするが、現在の段階におきましては消費者方の御理解が得られない段階でございまするので、これはやむを得ない点であろうと思うのでございまするが、要するにこの消費者側からの御心配というものは、私はこの法律の運用の方法にもよると思いまするが、まずそういうことは起り得ないというふうに信ずるのでございます。  また、かりにそういう心配があるといたしましても、しからば中小企業小売商の現状というものを一体どうしてくれるかということを、われわれお伺いしたいのであります。  先ほど来皆さんの御発言は、すべて中小企業というものは大事なものである、その対策を講じなければならぬということを異口同音に申されるのでありまするが、実際中小企業のために必要な法律の問題になって参りますると、こぞってこれに反対される。しからば中小企業、あるいは小売商というものをどうしてくれるかということが言いたくなるのでございます。いわゆる一連の対策、あるいは総合的な対策が必要であるというような御発言でございまするが、私どももその点につきましては全く同感でございます。その一連の対策一つが、実はこの法律案であると、私どもは理解しておるのでございまするが、すべての対策が同時に行われなければならいものであるということは、これは現実にはあり得ないことであることは、先ほどの山中教授のお話の通りでございまして、できるものから一つ一つ片づけていただきたいというのがわれわれの考えであり、それがいわゆる一連の対策ではないか。しかるにその対策の面になって参りますと、ああでもない、こうでもないという御意見で、中小企業対策はちっとも前進しない。そして中小企業は大事である、こういうイデオロギー的な議論のみが行われる。これでは中小企業は救われないのでございます。  次に、大企業との関係でございまするが、一般にこの法律につきましては、調整事業というものと、組合交渉というものとを分けて考えなければならない点があるのでございまするが、それを混同して一緒に議論されるところに間違いも起ってくるのでございまするが、この大企業との関係、大企業方面におきましても、強い御反対であります。やはり中小企業は大事だから、中小企業との協力関係というものを保持していかなければならない、あるいは系列関係というものをこわしてはならない。そういう意味において、この法案に対して非常な反対が行われておるのでございまするが、大企業中小企業とがいわゆる協力関係でなければならない、共存共栄の立場でなければならないということは、われわれも全く同じ意見でございます。しかしながら現実の事実は、果してその共存共栄というものが、おっしゃる通りに行われておるかどうかということの事実の認定の問題でございまするが、たとえば下請代金の支払遅延という問題一つをとってみましても、それは言うところの協力関係というのは一方的な協力関係にすぎないのでございます。あるいは単価の引き下げでありまするとか、あるいはクレームをつけて参りまするとか、あるいは市場におけるその圧迫でありまするとか、場合によりましてはすでに中小企業が結びましたところの契約さえも破棄させるというような問題が起ってくる。あるいはまた大企業はその資本力によりまして政治的な圧力を加えることさえも行われておる。ことにそのカルテル統制によるところのいわゆる原料高というものがどれほど中小企業を苦しめておるかわからないという現状であります。こういう点に目をつりまして、そして中小企業とは協力関係がなければならない、この法案はそれをこわすと言うことは、これは一方的でありまして、その協力関係を正当な場において正当に結ぶためには私どもはこの法案こそ必要である、こういうふうに考えるのでございます。  中小企業をばらばらの状態に置いて、そして弱い状態に置いて、そしてそれを一つ一つ交渉の対象にしようと、こういうことは、なるほど大資本には好都合かもしれませんが、それではとうてい中小企業というものは永遠に救われるものではないのでございます。この団体法につきましては、労働者方面におきましてもいろいろ御反対が出ておるのでございまするが、今日はいわゆる組織労働者方面におきましては相当の待遇改善も行われておるのでございます。それらのしわはどこへいくかといいますれば、それは下請の中小企業、あるいはその労働者に及んでくるのでございます。はなはだきざな言い方で恐縮でございますが、私は日本の現状におきましては資本論というものは書き改められてしかるべきものであるとさえも言いたいのでございます。そういうすべてのしわが中小企業に寄っておるのでございます。いわば中小企業というものは病気の状態に置かれておるものが非常に多いのでございます。この病気をどうするかというのが現在問題になっておりますところのこの法律の趣旨なんでありまするが、それを健康な中小企業にとっていろいろ問題を論ぜられまするから非常に話が違ってくると私は思うのでございます。ことに、いろいろ議論の中では、中小企業対策というものはこの法律ではいけない、他のいろいろな政策をとるべきである、こういう議論が非常に多いのでございます。たとえば金融対策でありまするとか、あるいは税制の問題でありまするとか、その他いろいろな問題を行わなければならないと、こういう議論が非常に多いのでございます。で、これは私どもも全く同感でございまして、この法律のみによって中小企業が救われるものとは決して考えていないのでございます。しかしながら、ことに中小企業対策の基本をなしまするものは中小企業の経営の合理化、近代化でありまして、そういう面から申しまするならば、むしろ中小企業組織は現在ありますところの事業協同組合、あるいは企業組合等をさらに積極的に推進いたしまして、中小企業の経営合理化ということをはかっていかなければならない、これが基本であるという信念においては私どもはかわりはないのでございます。また金融、税制その他の対策が必要であるということにおきましては、午前中お話しになりました方々と意見は全く一致しておるのでございまするが、それだからといってこの法律が必要でない、こういう議論はどこからも出てこないのでございます。それはすなわち中小企業にはいろいろ問題があり、対策を異にしなければならない点があるからでございまして、先ほど申し上げましたように、中小企業がそれぞれ病気の状態にありまするときにはこれに薬を与えなければならない、あるいは注射もしなければならない、場合によりましては手術もしなければならない、幾ら栄養をとりましても、胃腸の弱い人にそれは栄養にはならないのでありまするから。薬を与えるということは、必ずしも中小企業にとって最良の方策ではございません。しかしながら、病気の中小企業にとりましては、何よりもまず静養をするということが大事であります。そういう場合におきましてこの法律というものは必要であるという観点から、われわれはこの法律の通過成立を期待するものでございます。いわゆる神武景気と言っておりますけれども中小企業にはそれは及んでいないのみならず、そのいわゆる過当競争によりまして非常に中小企業は苦しんでおる、病気の状態におる、それをそういう法律中小企業のためにならないということでこの法案反対されるということは、私は中小企業に対する無理解でありまするからか、あるいは認識の不足からきておるのではないかということをあえて申し上げまして、私の意見を終りたいと存じます。
  34. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。   次に、関西経済連合会専務理事工藤友恵君にお願いいたします。
  35. 工藤友恵

    参考人(工藤友恵君) 私はしばしばこの問題につきまして各方面に申し上げました関係上、私の申し上げることをあるいはすでにお聞き下さった方々があるかと存じますが、あらためてまとめて申し上げたいと存じます。非常に原則論的になりまするが、御勘弁願います。  私どもは自由主義、民主主義を確信しまして、従って経済体制としましては自由経済を最もすぐれた体制と信じておるものであります。自由主義経済は生産において個人の創意工夫に依存するものでありますが、本質的に申しますというと、経済の目的を消費に置くがゆえに消費者優位の経済でございます。すなわちそれは生産者としての中小企業者、あるいは労働者ではなく、消費者としての中小企業者労働者、全国民を目標とし基盤とするものであります。人間の衣食住等消費生活に奉仕する生産であり、経済であるがゆえに、それはヒューマニズムに直結するものと信ずるのであります。このゆえに、かのソビエト連邦圏、すなわち東欧等に行われておりまするような生産者主権の経済とは全く反対立場にあります。  また、わが国経済が宿命的に貿易依存、もっとはっきり申しますれば輸出依存の経済であることは御異論がないと存じます。しかるに本法案は——と申しますのは中小企業団体組織法案でございます——は消費者優位の経済体制に逆行しまして、日本経済の生命線たる輸出を阻害する結果を招くおそれが、深刻なものがあると思います。この二つの立場からしまして中小企業団体組織法案反対するものでありますが、少しく詳しく申し上げて、参議院の皆様に御理解を仰ぎたいと存じます。  本法案は、消費者の利益を軽視しまして、その結果が同時に輸出を阻害することになります。  法案は、商工組合の調整事業、非組合員の強制加入、アウトサイダー規制、設備新設の制限によって自由競争を極度に制限し、統制経済を導入するものと考えられます。  衆議院修正案によりまするというと、一見強制加入命令を免れ得るがごとく見えますが、アウトサイダーとして調整事業にかかる制限に従わねばならないとしておりまするから、これはいわば言いにくいが朝三暮四のそしりを免れないと存じます。  こういう自由競争の制限は必然的に品質が悪くて価格が高い、つまり価格不廉なる商品を持ち出すところの劣悪企業を安易に温存させます。また統制のもたらす悪平等は優良企業を抑圧し、零細企業を窮地に追い込み、またふえゆく人口に対しまして必要な新しい開業の道をふさぎます。法の適用を得ましたところの中小企業がたとい一時的安定の姿をかり得たとしましても、長期的には合理化の懈怠、生産の縮小、市場狭隘化というようなことを招きまして、価格は高くなり、品質、サービスの低下を免れないと存じます。このようにしまして一般消費者の利益を侵害することは想像にかたくありません。  また前に申しました諸条項とともに組合協約、組合交渉は大企業と提携関係にある優良企業の技術進歩や経営強化を妨げ、いたずらに中小企業相互間、または対大企業の対立関係激化を招くのではないかと考えられます。  ことに、修正案が組合交渉につき、政府原案よりもいわば重いような義務を課しておりますのは改悪のはなはだしきものと私は考えます。  またこれによりまして、組合内ボスの横行を許すこと必然と存じます。商工組合の代表者だからボスの横行がないと言う人がございますが、実はボスが代表者になる公算が大だと信じます。また連合会の代表者が介入し得るという衆議院修正案に至りましては、また、さたの限りではないかと存じます。  日本の輸出品は、大企業と優良中小企業の緊密なる提携関係を必要とする場合がたくさんございます。中小企業の輸出市場開拓は、大メーカー、大商社の調査機能とか、信用あるいは商標のもとに協同して行われている実情にあることは、世間に知られている通りであります。しかるに、この法案が実施されて、合理化、技術向上をはばみまして、価格高騰、品質、サービスの低下を招くならば、輸出産業の国際競争力を減殺することは言うまでもございません。また大企業中小企業企業間の分業的の提携関係を遮断して、優良企業グループの活動をはばむならば、輸出市場の開拓はおろか、その現状維持さえもおぼつかないかと存じます。  第二に、この法案はお役所の統制、官庁統制を導く危険があるかと思います。法案組合の設立認可、解散命令、調整規程の認可、組合協約の認可、組合協約の締結に関する勧告、強制加入命令、アウトサイダー規制命令等行政官庁に広範な権限を与えています。しかのみならず、法案は至るところで立法事項を政令に委任しまして、官庁統制の道を開いているように心配されるのであります。行政官庁に対する信頼を説いて、弊害はこれによって防げるという、いわゆる弊害対策とお考えになる方がございますが、これは議会主義とか自由主義の本質を解さないものと言わなくてはなりません。議会の立法権を実質的に制限する政令の、あるいは委任するところの政令のごときは、極力これを避けるのが、議会主義に立つ法治国家の特徴として堅持すべきところと信じます。しかるに、たとえば第五条第三号のごときを見まするというと、本法案の適用客体たる中小企業の範囲さえ政令に譲っております。実質的には、第一号、第二号の規定のごときは、政令をもって空文に帰せしめ得るものじゃないかと私は心配いたします。これはひどい例でございますが、若干その点について述べさしていただきます。  組合設立、強制加入命令、アウトサイダー規制命令の組合構成要件は、構成中小企業の数をしぼりまして厳格のように見えますが、生産、取扱い、サービス提供の数量の基準は明示されておりませんから、行政官庁の認定に待っております。組合交渉の一部相手方、商工組合連合会の議決権、選挙権、強制加入命令・アウトサイダー規制命令、非組合規制命令の一部委任、中央官庁の地方支分部局、または都道府県知事への権限委任等を政令に譲っております。さらに行政官庁に解釈適用をゆだねているし、表現の必ずしも明確でない用語も用いられているように存じます。  その次に、安定法は調整規程の認可を公正取引委員会の同意事項としておりますが、本法案は価格制限に関する調整規程のみを委員会の同意事項としまして、それ以外の調整規程はすべて協議事項としております。これは公正取引委員会の権限を弱からしめるものと考え賛成いたしかねるのであります。  安定審議会、調停審議会は、いずれも単なる諮問機関にすぎないのでありまして、何ら拘束力を有しておりません。これをもって慎重を期すると申しましても、単に形式を整えまして、官庁事務がそれだけ形式的に忙くなるにすぎないと存じます。  行政職員の立ち入り検査は、まことに非民主的でありまして、営業の自由と秘密を侵害することは明らかでございます。組合設立の認可審査期間二カ月満了までに通知がなければ、認可があったものとみなされておりますが、これは事務処理困難な事態も予想されますし、行政機構の膨脹を来たしまして、目下要請されております行政機構簡素化の要請とは逆行するものではないかと存じます。  最後に、先ほどの方も申されましたが、私としましては、中小企業対策は、この大事であることはだれも異存のないことでございますが、国民経済に致命的障害を与え、中小企業の進歩、発展を阻害するおそれのあるような本法案のごとき立法によるべきではなくて、現行独占禁止法経済実情に即して改正し、その活用をはかるとともに、現行中小企業関係諸法令の適切な運用に待つべきだと存じます。育成は、その経営強化、技術向上の助成指導措置等、経済的環境整備を必要とします。たとえば、私ども関係しておりまする会から要望しております中小企業の第四次資産再評価実施、これは再評価税を無税とすることを私どもは理想としております。中小法人税率の引き下げ及び同族会社の留保金課税の免税点の引き上げ等の中小企業租税負担の軽減措置等が必要だと存じます。またこれは外国にあります、たとえば企業育成会社のごとき大企業、あるいは政府が直接関係しない方面からできまする中小企業金融機関、これは現に、御存じの通りアメリカで非常に成績を上げております。これの設置、その他の中小企業金融の強化、技術向上の指導、そうして零細企業に対する特別の措置、中小企業と申しましても、零細企業あるいは小企業、いろいろのものがございまして、こういう、特に零細企業に対する特別措置等の諸対策を必要とすると存じます。しかし、これはいずれも本中小企業団体組織法案の企て及ぶべきところでございません。  以上の理由によりまして、私は十分に慎重御審議の上、私としましては、これはお考え直し願うべき法案だと信ずるものであります。以上反対理由を申し上げます。
  36. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に、全国共済商工協組合連合会長水牧茂一郎君。
  37. 水牧茂一郎

    参考人水牧茂一郎君) 私は中小企業者の一人としまして、中小企業団体組織法案並びにそれに付随する法律案に対して賛成するものであります。詳細のことはこの際避けまして、私が専門といたしております火災共済の事柄について若干述べさしていただこうと思うのであります。  この火災共済は、昭和二十七年に当時中小企業者が火災のために日々夜々に転落していく姿を見て、何とかこれらが再び中小企業界の復活できるように措置をしたいという考えから、いわば自然発生的にできたものでありまして、当時はただいまの中小企業等協同組合法の第九条の二の三項に基く福利厚生施設という条項によって作り上げて参ったのであります。作ると同時に、もっと確実な法律のもとに経営したいという観点から、常に立法化を願って参りましてすでに五年に相なるのであります。今回、この法案が提出されまして、中小企業等協同組合法の一部改正の法律として御審議いただいていることを深く感謝申し上げる次第であります。もとより内部的な問題につきましては異論もあろうかと思います。また私どもにしましても、多少の意見は持っておるのであります。しかしながら、今日の時代はもうそうしたような意見はあと回しにしてでも一応この法律を作っていただきたい、また作っていただくのが本筋でなかろうかと、かように考えておるのであります。現在私どもがやっておりますのは、御承知通り自由自在にやっております。本来ならば現在のままでいつまでもやらせていただいた方がかえってやりやすいし、あるいはより多く世の中のためになるかもしれないと思います。しかしながら、そこにはおのずから規制的なものもありましょうし、あるいは助長すると申しましても、監督すると申しましても一つ規制がなければなるまいと思うのであります。そうした点におきまして、この法案の通過を念願してやまないのであります。一面これに対する反対意見等も耳にしないわけでもございません。一例をあげますならば、たとえば契約高が百五十万では多過ぎる、こういうような意見をいわれておるようであります。私どもは元来この最高の金額をきめることそれ自体がおかしいというふうに考えておるのであります。たとえば社会党の原案三百万円でおとりきめ願っても、必ずしもそれを行うものではございません。われわれは経営者でありますからおのずから分を知って行うのであります。その例を申しますならば、現在行なっておることがすでにそうであります。最高二百万やっておる組合もあります。百五十万の組合もあります。また最高五十万よりやらない組合もございます。すなわち自分の力をはかってやっておるのであります。従ってこれが百五十万では多いとか、二百万は多いとかいうような説は私はむしろ当っていないと、こう考えるのであります。そうしたような比例を、現在の保険会社の契約が平均五十四万円である、それに比べては非常に多いというようなことがいわれておるのでありますが、われわれの平均もまた五十四万円を下回るものでございます。最高をつかまえて、これを高いとか多いとかいう論議が当っていないと考えられるのであります。  また現在の組合に対して、地方公共団体が予算外義務負担で保証しておるのがかなりございます。これらは保険公営の前提であるというような非難をしておる向きもあるように承わっております。決してさような性質のものではございません。要するに中小企業者中小企業対策の一環としてこれが発生し、現に行なっています。営利は全然考えていない。また相互扶助の形において行なっておる。直接中小企業者に益する仕事のやり方でございます。そうした面をながめて見まするときに、政府あるいは国会で御心配になっておると同じように、地方公共団体においても中小企業対策ということを御心配になっておるのであります。そうした観点からこの団体を助けていこう、また中小企業の罹災した場合において、これを守ってやろうといういわばあたたかい考えから、そうしたような行動に出られておるのであります。こうしたものをあくまでも保険公営のために行うその前提であるかのごとく批判する向きもありますが、全然当っていないということを私申し上げたいと思うのであります。  現在われわれのやっております組合が大体全国で三十ばかりございますが、おおむね順調な運びを続けて参っております。私が理事長をいたしております北海道の組合どもすでに組合員は約一万二千人に達しまして、契約高も八十三億の契約をいたしております。これまで経過いたしました四年半の問に一億六千七百万円ばかりの支払いをし、四百幾十人の人がそれによって助かっておるような状態であります。どうか賢明なる皆様方におかれましては、現在野放しにしてあるものを、いわゆる制度化して、なお一そうこれを進めるというお考えのもとにぜひ御通過をお願い申してやまない次第でございます。  以上簡単でありますが、申し述べたわけであります。
  38. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に、神戸市小売市場連合会会長坪上和一君。
  39. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) 御指名によりまして、私小売市場連合会の坪上でございます。  ちょっと皆さんにも小売市場……との小売市場というところは一つその型が変っているので、非常に今までは人に認められず、人に知られず、非常にまあ縁の下の力持ちをやっておったのでございます。しかしそれがゆえに、いかなる場合もどこからも助けてくれる人がないというような現状でございました。このたびいよいよ中小企業団体法とか、小売商業特別措置法とかいうこの法規を制定していただくということを聞きましたので、われわれはさっそく上京いたしまして、そうして政府御当局にもいろいろ陳情をいたし、お願いもいたしておったのでございます。しかし、もう会期も非常に近まっているのに、どちらの方もまだそのままになっているので非常にわれわれも心配いたしているのでございます。ほかと違って、この小売市場は、もしこれができずにこのままでいくとなれば、これは将来どうなるかというような非常に社会的に不安もあるのでございます。これについて前もって県の方にも、自治庁の方にも二、三年前からお願いはしておったけれども、そのままになっているわけでございます。  ちょっとそれにつきまして、あまり理論的に走ったようでございますけれども、ここで私申し上げますが、小売市場取締法規の制定にお願い。わが国の産業構成に占める中小企業経済的比重は実に大企業をしのぐ実績を示し、流通機構においてもまたわれわれ小売商業者が日本経済の大きな支柱となっていることを認識せられ、最近各方面において施策の再検討が叫ばれているのでございます。  小売市場中小企業の一環として都市消費生活に欠くことのできない枢要施設であることは、今や何人といえども否定することのできない実情であります。直接消費大衆の公共福祉に連結するものであり、小売市場が持つ公共的特殊性にかんがみて、その秩序を保持し、経営の統一と施設の向上をはかるとともに、特に徹底したる衛生と防火施設の完備を必要とするものであります。これら条件を具備してこそ市場本来の使命を達成するのであります。しかるに近来この条件を何ら具備せず随所に建設され、あたかも食い合い状態にあることはまことに寒心にたえないのであります。これら悪質な市場の乱立を取り締る法規の制定を切望するものでございます。  現在市場が直面している窮状をごしんしゃくの上、小売商業特別措置法案今期通常国会に必ず上程されるよう特別の御配慮を賜わりたく、ここに理由を付してお願いする次第でございます。  その理由は、従来小売市場の許可については、それぞれ各府県において制定せられ、市場取締り規約によって厳重に取り締られ、市場施設の向上とその健全なる発達に至大なる貢献を見てきたのであります。昭和二十二年の五月五日、新憲法施行に伴って、全面的に効力を失い、自来市場の行政については野放しの状態となり、今日に至ったのでございます。かく市場を取り締る何らの法的根拠もなく、また一方独占禁止法の制約を受けて、近来各都市ともに需給関係を無視して市場の乱立、特に商人にあらざる者が市場の新築による権利金ないしは家賃獲得のためにする乱設により、秩序を乱し、撹乱され、業者はもちろん、一般消費者が念願する衛生及び防火施設の完備した、真に生活必需物資の供給機関である市場運営に一大の支障をきたしておるのでございます。小売市場の乱立によって、必然的結果として、業者並びに市場間の競争は日を追うて狂奔激化して、莫大なる宣伝費に経費を使い、共倒れの苦境に追い込まれ、ついには消費者大衆に有形無形の悪影響を与えているのでございます。見のがすことのできないことは重大なる社会問題でありまして、ここにおいてわれわれ市場業者は、市場の乱立を取り締るに必要適切なる法規制定を要望するのでありまして、いたずらに自己の商権擁護のために立脚したものではございません。  現在卸売市場においてはすでに法律が制定されています。同じ需給体系にある卸売市場同様に重要なる役割を果しておる小売市場に対しまして、これを取り締る法的措置がなされていないとは極めて遺憾に存ずる次第でございます。消費大衆の福利増進のためにも、小売市場取締り法規をぜひともこの際制定されるように切に切にお願い申す次第でございます。  つきましては、非常にわれわれの市場としてもこのたびのこの法案の制定については双手をあげて賛成をいたしておるのでございます。しかし一言ここにお願いを申し上げたいと思いますのは、この小売商業特別措置法案は非常にけっこうではございますが、小売市場としてぜひお願いすることは、この法案では、ただいま読み上げましたこの市場の乱設を防ぐということは非常にできにくいことであると思います。それがために、どうしてもこのたびこの法案は許可制にやっていただくように、ぜひ一つお願いいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  40. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に、主婦連合会衣料部長伊東美佐子さんにお願いいたします。
  41. 伊東美佐子

    参考人伊東美佐子君) 主婦連合会の伊東でございます。私どもがこの中小企業団体法反対いたします理由といたしまして、これが政府の権力を背景としてやることが、加入命令とか服従命令、価格の協定など、何か戦時中の統制時代を思い出すような法律でございまして、私どもはあの当時のにがい経験をまた味わわせられるのかと実に不安にたえないのでございます。強制加入は憲法に違反いたしますし、新規開業の規制など、そういうことは人口過剰のこの日本において、根本的にそういう問題を解決せず、それを一部の既存業者のみの擁護になるような法律としては納得いきませんし、また一番いい例といたしましても、今中小企業者の中に使われている徒弟さんとか、あるいは小僧さん、あるいはまたパーマネントのような有名な美容師になれば、その美容師は必ず学校を建て、年に何千というような、この間も美容師の方のお話から伺いますと、年に二万からの技術者が養成されて出てくるといいますが、そういう人を養成している方々自体が、この養成して出されてきた方々を規制するようなこの矛盾、そういう矛盾に私どもはどうしても納得がいかないのでございます。  価格の協定にいたしましても、この法律ができなくてもすでに業界ではあらゆる面に価格の協定はなされております。薬品とか化粧品、本、ふろ賃、牛乳代、数え上げたらずいぶんだくさんあると思います。で、私どもがこういういろいろな経済状態の中で、自分たちの生活、また大きく言えば、私どもがこの敗戦国の日本において、いかにしてこの国を豊かにしていくかというようなことから経済運動をして参りました。その体験を申し上げますと、今までなされておる協定価格というものは、最高がきめられて、その協定以下でできるものがあるならばそれでもいいことになっておりますのに、いつもこの協定価格は最低となっております。そうして自由に自分たちの消費者のためにいろいろとサービスし、自分の家の営業から割り出した利益で、多少でも消費者に安く売れる人たちを組合自体が圧迫し、おとうふの例なんかも申上げますと私どもは十円のとうふが一ぺんに十五円に上るというときに、あまり上げ方がひどいのでいろいろと原価計算などを研究いたしました。またあらゆる業者の方々、地区的にいろいろと自分たちの婦人会を通じまして調べ上げてみますと、その業者の中でも十分十円でやれるという業者、それは自がま業者です。またある一方には大量生産の機械で作るとうふ業者もございます。そのおとうふ業者についてみますと、大量にできるところから、卸が六円でできる、卸すということはやはりそこに利益も加わっておりますし、こういうような機械の業者がどんどんとふえて参りますときに、片方は、自がま業者でも十円でできる、組合は十五円でなければ絶対にできない、機械業者は六円でも卸せる、十円で売っても四円のもうけがある、こういうような事態をどこで協定なさるか、なかなか一つの業界においても中は複雑であると思います。  また、そういう同じような例として綿の打ち返しにいたしましても、百円から百五十円に上りますときも、あまり上り高がひどいので、やはりこれも私ども調査いたしました。そのときも十分百円でもやれるという業者はたくさんおります。また私どもが話し合いで、百五十円と一ぺんに五十円の値上りでは多過ぎるから、その中間、あるいは百二十円ぐらいでやってもらえないだろうか、こういうことを申しましても、組合の幹部の人たちはがんとして一円も、十円の値下げもできないとがんばっておりましたが、結局私どもが長い目で見ておりますと、百三十円、百二十円、そうして百円でもりっぱにやっております。結局は組合の人たちの一部の人たちが言っておることが、この消費生活の中に受け入れられなかったという、これはいい実例じゃないかと思うのです、また十円牛乳も、私どもこれはただ値段だけの問題ではなくて、少し複雑になりますが、私どもは戦後の食生活を改善していかなければならない、これは政府の方の御方針の中にも入っておりまして、粉食奨励予算をお取りになりまして、そうして各婦人団体をお硬いになり、粉食の料理などの講習を私どもはずいぶんやって参りました。ところが、やはりこれもこの法律とちょっと似ておるところは、根本的な、大きな私どもの食生活日本全体の食生活を改善するならば、やはり根本的な政策をお立てになって、その粉食に使う牛乳とか乳製品、そういうものを、私どもがやみ米を追っかけないでも、安いパンと、安い栄養価の高い牛乳や乳製品でパンがいただけるならば、これは国民が喜んで粉食をしたと思います。ところが、そういう点には全然お触れになっておりません。そのために一番困りましたのは、消費者と生産者でございました。そうして当時むしろ旗を立てて、乳価の買いたたきにあえいだ酪農家たちが東京に集結し、この牛乳の販路を広げてほしい、安くしてたくさん国民に飲んでほしいという運動が起りました。私たちはやはり国全体の立場から考えましても、この粉食をしていかなければ、切りかえていかなければいけない、こういうことから何年か昔から、牛乳の値上りには何とかこれは普通の品物と違うので、今こうした国の食生活の改善のときに当るのだから、安くする方法を考えてほしいと業者の方々にいろいろと交渉して参りましたけれども、それはなかなか業者の方々は、そういう点に妥協してくれませんでした。そこでそのむしろ旗を立てて酪農の方々が東京へ集結なさいましたときに、どうしても中間の処理業者がこういうことを聞いてくれないならば、消費者と直結してたくさん飲んでいただいて、そうして私どももたくさんこれを生産していただきたいということで、私どももそういう点で、また再三業者の方とお話し合いをいたしましたけれども、やはり一円の値下げもできないと言ってがんばられる。当時十七円という高い牛乳でございました。それで私どもも病人か、それこそ乳児でなければ飲ましてやれないのです。それで私どもは酪農と直結いたしまして、幸いにも処理業者が中間で、十円で出せるという処理業者が出ましたので、その処理業者と生産者と私どもとタイアップいたしまして、十円牛乳を出しました。そうしてその十円牛乳はただいまでも続いて、ことしでまる三年になりますので、こうして続いて私どもはやっております。この十円牛乳がいかに乳業界を押えているかということも、皆さんもよくわかっていただいていると思います。ことしも値上げの機運は十分ございましたけれども、いまだに値も上らず過ごしております。またこの牛乳では、いろいろと地方の方々は、悪宣伝によります、安い牛乳を出したから、地方の酪農家は買いたたかれているとか、いろいろ申されましたけれども、私どもと直結している酪農家の方々は、一年間をプールした安定値段で、しかも現在買われている他の業者のお値段と大差なく、喜んで私どもに十円の牛乳を供給してくれております。それには、私どももともに経済を守っていくために、その酪農の方々が一番困っている飼料の問題、そういう問題にも、私たちのでき得る限りの力をおかしして、ともにやって参りました。十円とうふを私どもに出してくれている業者の方々も、私どものこの運動をよくのみ込んでおりまして、その酪農家の方々に、牛のえさとなるおとうふのかすなども、私どもの酪農の方々にいまだに回してくれております。中間搾取の多いえさを安く回すのも、こうして消費者と業者とお互いに手を携えていけばこそ、こういうお値段のものが出てくるのだと思うのです。  これが今度の法律は、消費者に一番しわを寄せ、私どもこれからはにらみ合いの立場になるのではないかと思います。私ども消費者ばかりでなく、零細企業者は大きな店と同じように扱われて、この方々は、御自分たちの御商売から追われていくのではないかと、私どもは一番心配するのです。また私どもは、百貨店法ができましたときにも、やはり日本のこうした貧乏な国では、共存共栄でいかなければならない、私たちは、ただ消費者だけがいい思いをすればいいというならば、百貨店の方がどれだけ買いやすくて、そうしてまた楽しみながら自由に物が買えるのです。一番買いやすい売場です。ですけれど、そういうことは、今の私どもとしては、ただ消費者の利益だけではいけないという自覚から、百貨店法のときでもずいぶん反対して参りまして、中小企業者とともにこの百貨店では、いろいろと戦って来たと思います。ですけれど、もしこの法律が通るならば、私ども一般の方々が、たとえばこれから同じような価格で物を売られるならば、一番買いやすいところの百貨店に行こうというので、全部そういった大きな店とか、百貨店とか、そういうところに消費者が流れて行きましても、それを阻止することは絶対にできないだろうと思います。そうしてこの法律は、私どもが今減税とかいろいろお骨折りをいただきましても、国鉄の値上りとか、ほかの物資の値上りによってインフレになっていく心配を十分しております。そこでまたこの法律ができたならば、できない前からもう業界においてこの法律が通るという前提のもとに値上げを通達しているところもございます。そうして一番この法律皆さんのうまみというものは、やはりこの協定価格の値上げにあると消費者は思います。私どもがこうして中小企業の方々の団体法が通るならば一番しわ寄せを食うこの消費者も、私たちを守ってくれる団体法とか、あるいは消費者擁護法とか、そういうものを作っていただきたいと私たちは思うのです。私たち主婦連合会ができましたのも法律の力は借りておりません。主婦の自主的な自覚が高まりまして、そして私どもは主婦連合会という会を作りました。そして私どもは消費者の立場からの発言権も世の中にやっと認められてきたのです。業者の方々も自主的に団結し、政府の権力を使わなくても団結できると思いますし、また権力を使う団体は自主的な団結の推進はできないと思います。そういう点で私どもはこの法律を作りたいとおっしゃる中小企業の方々にもっと自重し、もっといろいろと考えていただきたいと思いますし、また中小企業の方々をお救いになるために法律を作ろうとおっしゃるならば、今のような他を放っておいて、そうして一部分だけの方々のための法律でなく、先ほども申し上げましたように、これを一つの大きな問題として国会の中で根本的に解決のつくような方法をおとり願いたいと思います。  また小売商業特別措置法のことでございますけれども、私どもも十円牛乳をやりましてから、この牛乳を皆さんに永久的に差し上げるには共同購入というような形では長続きしないと思いまして、協同組合を作りました。そうしてもうすでに二年目になりますけれども、今度のようなこの法律で、自主的にできました消費者のこの団体規制するようなことは私どもとして反対でございます。また主婦は生協に入るのにもやはり買ってみて、そして少し入ってみなければなかなか入るということをきめられません。それでほかの農協とか商業協同組合には二割の員外利用が認められておりますので、ぜひ私どもも二割の員外利用は認めていただきたいと思います。そうして時代がだんだん変って参りまして消費者の自覚が高まり、消費者に奉仕的にやはり商売をする商人が栄えていくのでございまして、一片の法律をもって自分たちだけを擁護していくというようなそういう業者は私たちは滅びていくと考えております。どうぞそういう点でいろいろと御研究なさいまして、この法律はもっと深く御研究下さいますようにお願いいたします。  簡単でございますけれども意見といたします。
  42. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に、大阪市中小企業同志会会長小西聖夫君にお願いいたします。
  43. 小西聖夫

    参考人(小西聖夫君) 私はただいま御指名をいただきました大阪市中小企業同志会の小西聖夫でございます。大阪市中小企業同志会と申しまするのは、経済団体でありまして、あらゆる業界の人たちが皆寄って会を組織いたしておりまする任意団体でございます。本日この席に出席の御通知をいただきましてから、昨日もあらゆる有志と会合をいたしまして、その意見を取りまとめまして、本日ここにその意思を発表いたしたいと思います。  結論を申しますると、団体法案小売商業特別措置法案、その他の法案全面的に賛成をいたします。ただいま簡単にその理由を申し上げたいと思います。戦後幾多の中小企業関係法案が生まれましたが、このたびの団体法案くらいあらゆる業界、階層の視聴を集め、熱心に論議を繰り広げたものは中小企業関係法案としては未曽有であります。この法案はわれわれ中小企業はもとより、他の階層へも大きく影響を与える画期的なものと考えられているようであります。それだけに過去一カ年近く言論界の論調に、あるいはラジオの放送に、近くは衆議院商工委員会の熱心な審査というふうに、あらゆる方面から各種の賛否両論が出尽した感がありますが、結局落ちついたところは強制加入の問題、組合交渉のあり、方、価格協定の問題、輸出振興への影響、官僚統制云々といった内容の面で賛否両論がしぼられてきた感じがいたしますが、ただ一つのはっきりとした一致点は、中小企業組織化と団結の強化が最も緊急であるということ、そしてわが国の産業構造の上から言って、それが日本経済伸展に直結するものであるということで、これは大企業の代表各位も同様に認めているところであります。この大企業生協も消費者をも含めて中小企業の現状は放置できないという理解と認識に基いた最高の理念の上に立って、本法案成立を熱望するゆえんを申し述べたいと思います。  中小企業をいかに育成強化するかの問題を語るに当っては、中小企業の現状を正しく把握し、その事実の上に立った抜本的なものでなければ、十年一日でしかないということを申さなければなりません。戦後十有二年の政治活動によって、労働問題、農業政策の基本的なものは、あるものは解決され、あるいは解決方向が示されておりますが、中小企業の問題についてはいたずらに放置されておる状態にあると申さなければなりません。ただわずかに現行協同組合法、安定法にしても戦後における経済混乱時の応急施策であるから、中小企業の恒久的振興を望むのは無理であります。金融税制面の不均衡と不合理、大企業の圧迫、中小企業自体の持つ脆弱性のために、手形交換所における不渡り手形は増大し、倒産の夢におびえているのが中小企業の現状であります。しかし、この中小企業の不遇は中小企業だけの問題でありましょうか、決してそうではありません。その理由は、わが国経済構造の中で、生産量において五六%を占めており、事業所の数においては三百三十万のうち九九%。また労働人口の雇用量において、一千七百六十万人中八四%を占めておるこの数字が、何よりも中小企業の中核性を立証するものでありまして、中小企業の安定がわが国経済の自立を決定するものと言っても決して過言ではありません。従って中小企業を育成強化するということは、単に中小企業者の問題だけでなく、国家的な至上命令でなければならないことは、今さら申し上げるまでもないのであります。従いまして自分の所属する階層の利益代表という立場からのみの主張でなく、少くとも国家的見地から本法案を論ずべきものと固く信じております。過去の例に徴しても、政治の貧困によるものか、国家事情によるものかわかりませんが、結局団結のあり方をバックとして、声を大きくするところへ政治の余沢が及んで、その反対に、組織と団結力のなかった中小企業が、いつもしわ寄せに浴して、今日の現状に至ったので、あって、私は本法案をもってしても決して十分とは考えませんが、中小企業は現行のものよりも、より強力な法案によって組織を強大にし、この組織と団結の強化から生まれるもろもろの対策が有利に活動して、初めて向上が約束されると思うものであります。今本法案の論争の中心になっている点については、次のような見解を持っております。  強制加入の点は、特別の支障あるものは認証を受けて加入しなくてもよいというふうに修正になっておりますが、加入命令が出ると、アウトサイダーも組合の調整事業に従わねばならず、またその費用も分担し、違反のときは組合員並みに過怠金を払わねばならぬということ。さらに加えて左の通り不利な点を指摘されるのであります。イ、業界の動向がわかりにくい。口、資金の借り入れに不利。ハ、貿易のワクの割当の問題等、アウトサイダーなるがゆえの不利益を勘案したとき、実際問題として員外者としてとどまるものはまれと思われるのであります。従ってこの点の修正は実質を伴わぬみずから慰め的修正のような気がするのであります。私の希望としては、調整実施のとき特産品のようなその地区のみの規制で事足りるものはよろしいと思いますが、そのほかについては全国的に取り締る方法を考慮せねば無意味でありますから、この点特に御考慮をわずらわしたいと思います。  組合交渉ないしそのあり方に反対されるのは、十分内容の御検討なく、従ってだいぶ被害妄想の感がいたすのであります。もともと大企業中小企業は、本来ともに協調すべきで、業界の安定のため調整事業に関しての協約を結ぶべく交渉するのであるから善意をもって応諾できるはずで、おそれるような労組まがいの交渉は取り越し苦労の必要なく、従って従来のうるわしい親子関係を傷つけるものでもなければ、一部に考えておられるような一貫作業を決意しなければならないことも起ってこないと思います。物価のつり上げを招くという懸念についても、小売部門の調整事業の主力は仕入れとか販売の方法、あるいはその条件を改善していくことが主題となって、売り値を一律にきめるということはほとんど行われないと思うのであります。小売は、たばこや塩のような専売品と違いまして、値段とサービスによって立っていくもので、現在、物が豊富であるから、いかにして売り広げるかが重要で、戦時とは根本的に違うのでありまするから、物価のつり上げということは全く杞憂にすぎないと思うのであります。  法案第九条、商工組合設立の要件については、その中小企業者の事業活動に関する、取引の円滑な運行が阻害されたり、経営が署しく不安定となっており、またはなるおそれある場合に限り、しかじかと規定されておりますが、私どもとしましては、不況でどうにもならなくなったからという最後的なものでなく、組織を強化、団結して不況に備えるといった予防医学的なものでなくてはいけないという考え方であります。この第九条は、靴を隔てて足をかくというような感じがするのであります。  私は重ねて言います。中小企業の育成強化が至上命令たる以上、本法案の検討に当っては、一己の利害を超越して、大所高所から十分に検討していただきたいのであります。議員各位におかれましては、連日の御健闘を感謝いたしますが、会期もあとわずかで御苦労と存じますが、ぜひともこの国会で本法案が成立の運びに至りまするよう最善の御尽力をお願いいたします。  最後に、中小企業産業分野の確保に関する法案とともに、小売商業特別措置法案——その他の説明は省略いたしまするが、数法案等はこの団体法と相補充するものであるから、合せて成立させるようひたすら御懇願し、希望してやみません。今回の組織法案は、わが国中小企業発展への橋頭堡とも言うべきで、この重要法案を本国会がぜひ成立せしめるよう、参議院の選良各位の御尽力を切に切にお願いいたします。  さらに一言敷衍いたしたいと思いまするが、常に大企業に圧迫を加えられておるということはいろいろあるのでありまするが、最近のなまなましい一つの例を申し上げたいと思います。印紙税法、すなわち手形に対する印紙税法が四月一日から実施されておりまするが、大阪では大商社が、名前を言えばあれかということをおそらく皆さん承知と思いまするが、金を渡す、いわゆる買い先から為替手形を書かして、その為替手形を書いたものに印紙を張らして持っていく、そうして支払いするところは、今までは約束手形を振り出しておったのが為替手形の引き受けだけをしまして、そうして持って返らす。これは一カ月に数億円の手形を出されるところでありまするから、今度の印紙税法によりますると、莫大な数字になってくるのであります。それは金をもらう、いわゆるわれわれの中小企業者が、今度の印紙税法の改正によって、あらためて負担をさせられておる現状であります。ところが一人や二人ではそれを言ったところがよう言えもしないし、品物を買うてもらわなかったら困るといったようなことで泣き寝入りになっておる。少くとも十人二十人の組織によって、申し合せによって当ることができたならば、それも何とかできるんじゃないか、それが現に私の方の同志会の会員にあるわけであります。昨日こちらへ参りますときに、それを聞いて参りました。そういうことは、いわゆる大企業は非常に表面はいい顔をしておる。しかし、申し上げておきますが、大企業百人が百人全部とはいいません。中には中小企業をほんとうにかわいがって親子の関係で育成しておるところも何%かはありますが、中にはただいま申し上げたような非常に法律の裏を利用して悪らつなる行為をやっておる、これがなまなましい四月一日からの現在のできごとであります。そういうことはわれわれほんとうの中小企業者でなければわからない。大阪においてもいろいろ反対の声も聞きまするし、今日も今朝いろいろと反対の声も聞きましたが、その方々は間接的の人であります。机上の空論とは申しませんが、まあそれぞれ理由はおつけになっておりまするが、ほんとうに中小企業の苦しい血の出る状態であるということは、われわれ中小企業者でなければわからぬということをどうか御認識を願いたいと思います。  これをもちまして私の御諮問に対する御回答といたします。
  44. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  それでは、この辺でただいままでの参考人の公述に対して委員の質疑を行いたいと思います。先ほど申し上げましたように、時間もあまりございませんので、できるだけ簡単にお願いいたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。  なお、稲川、水牧両参考人がお急ぎでございますので、できれば両参考人に対して先に御質疑願いたいと思います。
  45. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は工藤参考人にお尋ねしたいと思うのですが、他の委員が御両者に先に質問があればどうぞ。
  46. 阿具根登

    ○阿具根登君 稲川参考人が何かお帰りのようですから、御質問申し上げたいと思います。  先ほどの御意見の中に、労働者の待遇がよくなればそのしわ寄せが中小企業に寄ってくる、こういう御説明があったと思いますが、どうもそれだけでは少しわかりにくいので、詳細に御説明願いたいと思いますが……。
  47. 稲川宮雄

    参考人(稲川宮雄君) 今日の組織労働者の方々は、団結権によりまして待避改善の要求をされ、それが相当実を結んでおることは事実であると思います。もちろんそれによりまして今日の組織労働者の方々が十分であるというようなことはわれわれはもちろん考えておりませんけれども、しかしながら待遇の改善が上っておるというふうには考えられるのでございまするが、そういう場合に大企業資本家は、自己の労務者に対する支払いというものは、これはもちろん当然優先すべき筋合いのものでございまするから、その方の支払いを優先いたしまして、そのために中小企業に対する支払いを延ばすとか、あるいはその条件を引き下げるということが非常に多く行われているのでございます。組織労働者の待遇改善、まことにわれわれは賛成でございますけれども、先ほど申し上げましたのは、そのしわが中小企業に対するいろいろ取引条件、支払条件の上に現われて参りますと、それがさらに中小企業に従事しております労働者にさらにしわ寄せを受ける。従いまして、中小企業の非生産性あるいは低賃金というような問題が出てくるのではないかというふうに私ども考えるのでございまするが、従いまして、組織労働者の待遇改善は大いにけっこうでございまするが、中小企業に対するいろいろな条件というものがそのために影響を受けるということをある程度阻止いたしますためには、今回のこの法律というものの意味がそこに生まれてくる、こういうふうに考えている次第でございます。
  48. 阿具根登

    ○阿具根登君 もう一点御質問いたしますが、そういう理由で、大企業中小企業者の方に対するしわ寄せということは、これはわかりましたが、そうした場合に、おそらく稲川さんは中小企業業者立場だろうと思うんですが、お使いになっている労働者に対する考え方はどういうふうにお持ちになっているか、その点お聞きしたいと思います。
  49. 稲川宮雄

    参考人(稲川宮雄君) 私ども中小企業の振興のためには、先ほども申し上げましたように、消費者の利益を無視するというようなことでは根本的な振興策はあり得ない。同様に中小企業の真の発展はやはりそこの労務者の福利厚生ということを十分に考えまして、そうして喜んで働く、そうして労働能率というものが上るという方向に持っていかなければならない。いわゆる低賃金のみが中小企業維持の唯一の武器であるというような考え方は、今日の経済においては許されないことでありますとともにまた中小企業の振興発展にはなり得ないという信念を持っているのでございまして、この点は中小企業振興審議会の答申案におきましても特にその点を盛り込んでもらいましたし、また中小企業労働者の方々の団体ともその点におきましては十分に話し合いをいたしているのでございまするが、中小企業に働いておられますところの労務者の福利増進のためには、やはり中小企業対策というものを講じていただかなければならない。単に最低賃金制をそれこそ一片の法律によって作るということでは、それは実を結ばないのでございまして、まずその前には中小企業そのものが成り立つような地盤というものを作っていただかなければならないというふうに考えるのでございます。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういたしますと、中小企業の基盤を作る、こういう法律を作るという前提に立っているものは何であるか。先ほどどなたかの御説明にあったと思いますが、中小企業がつぶれていくのよりも新しくできてくる中小企業が多いのだ、こういう御説明があったと思いましたが、稲川さんは、それはどういうふうにお考えになっておられますか。
  51. 稲川宮雄

    参考人(稲川宮雄君) 御質問の意味が十分わかりませんので、あるいは間違った答えをするかと思うのでございますが、中小企業の数は現在においても非常に多いのでございまして、そこにまた不当競争というものが生まれてくるのでございます。六カ年計画、あるいは五カ年計画を見ましても、今後増加いたして参りますところの労働力人口を中小企業の面において吸収するというような案が立てられているのでございまするが、これはおそらくバランス・シートを作る場合に赤字が出ては困るので、その赤字を解消するためにそこへしわ寄せがきたものというふうに私ども考えるのでございまして、すでに中小企業は飽和状態にある、こういうようにも考えるのでございまするが、しかしながらやはり今後の人口問題を解決する上におきましては、中小企業対策というものをどうしても講じまして、できるだけここで吸収するという方策をとっていかなければならない、このためにこそやはり中小企業対策というものを重点的にとつていただくということをお願いしたのでございまして、この団体法におきましては、先ほども申し上げましたように、組合交渉の面と調整事業の面と、大きく分けまして二つの方向があるのでございまするが、いずれの面におきましても、中小企業において労働力人口の問題を解決していく上においては、ぜひともこの成立が必要であるというふうに考えるのでございます。御質問のお答えにはならなかったかも存じませんが、一応お答えを申し上げます。
  52. 相馬助治

    ○相馬助治君 阿具根委員の質問に関連して稲川参考人の御意見を承わりたいと思うのですが、しかつめらしく論ずるまでもなく、資本主義社会を肯定しており、またそういう実情にあるこの日本として、その中におけるこの中小企業者の運命というのは本質的に悲劇的なものを持っておるのであって、それなればこそ今般政府もこういう法律案を提案するという勇気を持ったのだと、私は野党のもの、だがそれは好意的にさように了解しておるのです。ただ提案されている法案内容をめぐってこの法律が真に中小企業者を助けるものであるかどうかということでいろいろと論争をし、この法律が成立するか、あるいは別途の道をたどるかという非常に重大な問題にあるわけなんです。で、今稲川参考人のおっしゃっていることは非常に私は重大だと思いますことは、あなたのお説は、労働者がその団体を利用して賃金闘争をし、その結果が大資本を痛めつけ、そうしてその痛めつけた影響が中小企業に及んでくる、こういうふうに立論されたようですが、そういう面もあろうと思うのです。それらのすべてのことが私はないと言いませんけれども、もっともっと中小企業として問題なことは、そういうことよりも、全部の日の失業労働者を含めての購買力を上げて、そうして大企業があるにもかかわらず、しかも中小企業も伸びいく道をどこに発見するかということの方が、私はより現実だと、こういうふうに考えておるのです。従って労働者団体交渉権を持って賃上げ闘争をやるのだから、それと対抗して、そうしてこの法案が必要だというのでは、私はにわかに首肯しがたいのです。労働者がああいうふうに団結権を持って賃上げ闘争をやって、その身分とその経済的要件を満たしておるじゃないか、中小企業者もまた団結権を持ってそうしてその道に生きていくのだというなら話はわかるけれども労働者がこうなっていて、そうして労働者の賃上げがわれわれのところへはね返ってくるのだから、われわれも立法措置によって守られるのだ、こういうふうに労働者と対立関係にものを考えていくというのであってはこれは私はおかしいと思うのですが、その点を一点御指摘し、詳しく述べていただきたいということと、第二点は、最低賃金制はだめだという意味の印象ある御発言でございますが、私は社会党に所属するものですが、社会党が、今日中小企業者団体法について世上はとやかく言われておるようですけれども、少くともわれわれは熱意をもってこの問題を審議している理由は、一方において労働者のために最低賃金制をわが党は主張しておる。かるがゆえにこそ中小企業者に対しては当然その団結権を認めるというようなことを内容とする立法措置をやって、最低賃金制が実現し得る基盤を何らかの形で作らなければならないという了解に立って、社会党もこの中小企業者団体法の問題については熱意を持っておるわけなんです。しかるところ、最低賃金制なんというものは、もう問題じゃないのだ、だめなんだ、だから中小企業者はこの際団結しなければならないのだ、こういうふうに大企業との対立において考えると同じように、労働者と対立的な面においてものを判断されておるようですが、しかとさようなる認識に立つのかどうか、こういうことを承わりたい。その承わる私の気持の中には、阿具根委員が言いましたように、午前中の参考人の方の非常に貴重な御意見があった。それは中小企業者がつぶれていく率よりも、中小企業者のふえていく率が多いという話をされた。そのことは何かというと、常に首を切られた労働者、あるいは官公吏のものが首を切られた場合に入っていく道は何かというと、みずから中小企業者として、そういう困難な道にみな入っていく。それは失業人口のプールが中小企業者のところにある。これは、そういう基本的な、根本的な問題を解決しなかったならば、団体法というような問題は解決しないという、非常に耳を傾けるべき現実分析論があったのであります。それを阿具根委員は指摘されたのでございまして、一つ稲川参考人のおっしゃることが、私が今聞いたような点についてどういうことなのか、明確に体現してほしいと思うのです。
  53. 稲川宮雄

    参考人(稲川宮雄君) 組織労働者の待遇改善が、中小企業に影響を及ぼすということは、そういう面もあるということは御承認下さったようでありまして、私はこのことだけを申し上げたのであります。なぜそういうことを申し上げたかと申しますると、実は先ほども申し上げましたように、この法案に対しまして労働者方面から反対の御意見を承わっておりますがゆえに、それを申し上げたのでありまして、中小企業組織労働者の賃上げ要求のはね返りのみを受けておる、それのみが中小企業の困っている原因であるというようには考えてもおりませんし、そういうことを申し上げたわけではないのでございまして、ただ、労働関係方面からの反対がございまするので、それを申し上げたにすぎないのでございます。  なお、最低賃金の問題につきましても、私の言葉が足りなかったのかと思うのでございますが、最低賃金のごときものがどうでもいいというようなことは、全然私は言った覚えもございませんし、考えてもいないのでございます。労働者の待遇改善なくして、真の中小企業の発展がないということを私は申し上げたつもりでございまするが、しかしながら、最低賃金だけを、それこそ一片の法律でお作りになりましても、それは中小企業がつぶれ、そこにおりますところの労働者の不幸を招くということだけでございますから、最低賃金制をやると同時に、やはり組織強化ということをやらなければならないということを申し上げたのでございまして、その点につきましては御発言の点と全く私は一致しておると実は考えておるのでございます。  なお、この中小企業にたくさんの人口が流れ込んでくるという問題でございまするが、それは実際その通りでございまするがゆえに、中小企業の地盤強化のための法律というものが必要である。ただし、この法律は、先ほども私が申し上げましたように、それが唯一絶対であり、非常に大きな力を持っておるものとは私ども考えていないのでございまして、中小企業のために真に必要なのは、中小企業の経営を合理化し、その近代化をはかっていくという方面でございます。むしろ組織という面から申しますならば、労働組合企業組合というような面にこそ重点を置かなければならないと思うのでございまするが、しかしながら、それはこの法律というものの必要性を決して否定したりするのではないのであります。それはそれ、これはこれでありまして、やはり中小企業の中に多数の人口が入って参りますならば、その中小企業のいろいろ持っておりますところの病気というものをやはり直してもらう必要があり、また大企業との正当なる、公正なる交渉のできるような地盤を作っていただく必要がある、こういう意味におきまして、この法律はその面における、その限りにおける意味を持ち、またその意味は今日の中小企業の実態から申しまして、きわめて重大であるということを申し上げたつもりでおったわけでございます。
  54. 相馬助治

    ○相馬助治君 重大ですから再びお聞きして御所見をお尋ねしておきたいと思いますが、そうすると、最低賃金制度の確立ということは考慮しなければならない重大なことである、しかしながら現在審議されておるような法律が成立しなかったならば、その基盤すら作られないから、この法律が成立しない暁には、最低賃金制なんていうのは問題にならない、こういうふうな意味の御所見なのですね。
  55. 稲川宮雄

    参考人(稲川宮雄君) 最低賃金制というもの、あるいはその他を含めまして、労働者の待遇改善をしていかなければならないということは、今後の中小企業対策の基本をなす重要な問題であろうと考えます。しかしながら、ただいま御指摘がございましたように、最低賃金制のみが先行するということでございましては、中小企業の現状においてはこれをまともに受け入れることができないという、それがいいとか悪いとか理論的な問題ではなくして、現実がそれを受け入れることができないということでございます。従いましてこの法律が必要であると申し上げたのでございますが、ただこの法律さえできれば、しからば最低賃金制が受け入れられるかと、そこまでくると……。
  56. 相馬助治

    ○相馬助治君 そんな意地の悪い質問をしているのではなく、私はすなおにものを聞いておるのです。それでけっこうです。
  57. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 われわれは会期の切迫したただいま、まことに時間的な問題とも戦って全力をあげて本問題の審議に当っておる。その意味において、普通ならば当然公聴会を開くべきところを、特に参考人の各方面皆さんにおいで願ってこの会議を開いたわけでありますが、今まで午前から十一人参考人のお話を伺っておるのでありますが、われわれはあらゆる方面の代表の方々を網羅したつもりなのでありますが、先ほど申し上げました通り時間的ないろいろな問題もございましたので、これが徹底はしていない。その意味において私は工藤参考人にお尋ねをいたしたいことは、工藤さんは必ずしもその代表者とはいえないのでありますが、あなたの置かれておる立場関西経済連合会専務理事ですので、こういう立場から一、二点お尋ねいたしたいと思うのですが、午前に島津製作所の鈴木社長も申されたのでありますが、大企業との系列化問題ということなんです。あなたが先ほどお述べになりました中に輸出の問題があります。今日輸出の大体六〇%というものは、われわれの判断によるならば中小企業の手によって製造せられておるものが多い。いわんや大阪地区におきましては、東京以上に造船の問題とか、先ほど鈴木社長のお話しになりました機械工業、これはもう全部が系列化産業だということも言われたのでありますが、こういう点におきまして、これは統計をとりまするならば相当な数になると思うのであります。私はそのことをお尋ねするのではないのでありますが、その系列化によりまして、そうして長い間この大企業との関係に非常にスムーズな立場をとってこられたたくさんの系列下におられる中小企業者の方々が、この問題の提案によって一体どういうお考えを持っておるか。実は私どもは全国からこの法案についての賛否両論についての陳情あるいはその他直接いろいろ懇談をする機会もあったのですが、よくこの系列化の問題をあなた方が取り上げるのでありますが、果してどの程度にこの本案について反対をしておるのか、その根拠並びに実際の動き方というようなものを、あなたの手元に集められました情報等でもありましたら、ここで御披瀝を願いたい。
  58. 工藤友恵

    参考人(工藤友恵君) 大竹さんの今おっしゃった問題につきましては、実は具体的な例というと非常に困るのですが、最近私どもの耳に入ってくる範囲におきましては、調べたものは以前に出しておるのでございますが、最近入ってくることでは、中小企業団体法というようなものは何かありがたいもののように思っておったところが、実は内容は相当なものだということがわかりまして、まあ一例をあげれば、たとえば堺市でございますが、中小企業の非常に大きなものがございます。ここにおいて非常な反発がある。最初中小企業はこれによって救われると考えた人たちが、実は今おっしゃった系列化と申しますか、優良中小企業一つのグループになっております、今度のものでは業種が違いますけれども、そういうところから非常にあれは困るじゃないかというのが出ておる。こういうことを私は堺の方から報告を聞いております。そのほかいろいろのところから——私ども非常に尊敬する中小企業と申しましても、本法の第五条一号、二号では入らぬでも、三号の適用いかんによっては中小企業の範疇に入ると思われるような方で非常に優良な方がございます。この方も、最近でございますが、私どものところに来まして、一体あれはどういうことだか一つもわからなかったが、非常に勉強して事情がわかった、そういう人が、私の接するのは優良企業のせいかもしれませんが、これに対してはもう少し慎重に国会でも審議してもらいたい、これは名前は申し上げにくいので非常に恐縮ですが、そういうふうに私の方に言ってきております。
  59. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 もう一点お尋ねしたいのですが、先ほど工藤さんが輸出問題を取り上げたのですが、これも私先ほど申し上げました通り、輸出に対する中小企業の分野というものは非常に大きい。これがあなたがおっしゃるように、輸出に対して劣悪品が製造せられ、それからまた劣悪化がだんだん拡大しておるということになりますと、日本の今の国際収支の上から考えまして、非常に重大な問題を惹起してくるのじゃないか、こう考えるのでありますが、その輸出問題につきましてあなたが特に今情報を得られ、今まで御研究をせられました——これは一つの予想してのことでけっこうですが、一つ具体例がありましたらお示しを願いたい。
  60. 工藤友恵

    参考人(工藤友恵君) 私の知っておる範囲では造船業を聞いたのでありますが、造舶はこれによって受ける影響というものは非常に悲しいので、品質的に困難になりはしないかという問題があるのであります。大体造船企業で聞きましたところでは、下請企業に対する発注額は船価の二〇%ないし四〇%に達しておるのですが下請発注はだんだんと多くなっております。これは景気がいいからだと思います。ところが、これが少し上ってくるというと一斉に影響してきますし、内容が悪くなりますというと、これはアッセンブリー工業ですから、一部が悪ければ全然だめになる。かってこれも造船業者から私聞いたのですが、かつて非常に何というか、部品が一つ悪かったために非常にクレームが起ったという例が大阪にあります。過去にそういうのがあります。これから起ってみないと将来はわかりませんが、過去にはあります。それから、もう一つ非常に辛い例があるようでありまして、統制があった時代には猛烈にまあそう優秀でない産業はよかったのですね。それが造船業の実際をお調べになればわかりますが、うんと分野が変ってきた。そういう事例がありまして、ことに輸出についてはそういうことがはっきりしております。お答えにならぬかもしれませんが。
  61. 阿具根登

    ○阿具根登君 稲川さんまだおられるから……という質問じゃまことに失礼と思いますが、私の質問が途中で切れておったものですから、先ほど私の質問に対して、労働者の賃上げがあった場合には、下請代金の遅延等があって困るのだということをおっしゃられておりまして、私もこれはまあ了解しておりますし、この前の国会でしたか、下請代金支払遅延防止に対する法律案が出たことは御存じの通りでありますし、社会党下請代金支払遅延防止に対する一部変更の議案も出しておるわけでありますが、そういうときには一つも私ども皆さんの非常な声は聞かないのですね。そういう点に対しても一つ御協力願いたい。私もそういう点を考えてやっておるわけなんです。ところが、百貨店法をやりました場合にも、百貨店の売上げと、それから一般中小商店の売上げの率は変らないのです。先ほど生産の率でおっしゃられましたが、五六%とかおっしゃられておりましたが、大体そのくらいの数字だと私も思います。そういたしますと、これは何がそうなったかと申し上げますと、おわかりのように、非常に中小企業の方が多くなってきた。その百貨店の売上げの率と、それから中小企業の率は昔から変らないのです。そうして、中小企業のみなぜこんなに苦しいのかというようになってきますと、これは中小企業の方が非常に多くなってきたのだ。先ほども申し上げましたが、倒れていく人よりもできてくる人が多くなってくる。こういうのが、これが現実の数字で現われておるわけでございます。そういたしますと、私どもは、もっと根本的な問題を解決しなければできないのがあるのだ。しかし、それのみいっておってもしかたがないから、まあ、こういう法律案を真剣に審議をしておるのでございます。そういたしますと、先ほどのお話では、この法律案で飽和点に達している中小企業を抱きかかえていくのだ、こういうお話であったと思います。先ほどの相馬委員の質問では、もっとふえるということも言っておったのですが、それもこれで抱きかかえていけるかどうかという、そういう問題が一点と、それからこの問題は午前中にも問題になりましたが、強制加入という問題があるわけなんです。これが一応ぼかしてありますけれども、この問題はポイントでございますから相当皆さんも研究されておると思います。あまり詳しくお話申し上げませんが、そうしなければならない事情がどこにあるか、これが一番いいのだ、これを早く通せとおっしゃっておられます、その気持は私は十分わかっております。何とかしてこれを早く審議を終りたいと思っております。ところが、どうしても中小企業に限っていやな方でも組合に入れてやっていかねばならないという、その理由がよく私どもにはのみ込めないのですが、これはどういう理由でしょうか、この二点をお伺いしたいと思います。
  62. 稲川宮雄

    参考人(稲川宮雄君) 今後ますます労働力人口が増加して参りますのが中小企業の中に相当入ってくるし、またそれを吸収していかなければならぬという次第でございますので、中小企業対策の一環として、こういう制度をぜひおしき願いたい、こういうことは先ほど来繰り返して申し上げた通りでございますが、しかしながら、この法律さえできれば、すべて抱きかかえられていくというようなもので私どもはない。もちろん、これだけのことでは不十分でありまして、他の中小企業対策というものを、なおいろいろ講じていただかなければ、すべて抱きかかえていくということは、これは困難であろうと思うのでございます。しかしながら、やはりその一環といたしまして、ぜひこういう法律がございませんと、それでなくてさえも抱きかかえられないのが、ますます抱きかかえていけないのだ、こういうのが現実の実態ではないかというふうに考えておるわけであります。  次に、強制加入の問題でございまするが、実は私ども中央会におきましては、部会、役員会、あるいは総会等に諮りまして、これらの問題は慎重に数回にわたりまして検討を重ねてきた問題でございまして、私どもといたしましては、特に強制加入制度がなければならないという意見は実は持っていなかったのでございます。なぜかと申しますると、当時これは憲法違反ではないかということを言われたために、私どもは法治国の国民として憲法違反の疑いのある案は出したくなかったから出さなかっただけでございます。しかしながら、その後内閣法制局の御検討によりまして、これは必ずしも憲法違反ではない、こういう御解釈がありまするならば、中小企業といたしましては、その強制加入を実は望んでおる、また、そうしなければ円滑に調整がつきにくいという事態がございまするので、もしこれができまするならば非常にけっこうである、こういうふうに考えておるのでございます。もちろん、アウトサイダー命令というものがございまするならば、それによってカバーできる性質のものであろうというように私ども考え、また、その点につきましてわれわれ中央会の意見というものは出ておるのでございますけれども、しかしながら、ほかに業者がおりまして、そうして組合の作りましたいろいろな規定に従えということよりも、むしろ中へ入ってもらいまして同じ話し合いの場を持つという機会を与えることの方がより適切ではないかというふうに考えるのでございまして、強制加入制度がなくても、アウトサイダー命令がありますれば、大体において私どもは目的は達せられると思うのでありますが、しかしながら、強制加入命令がありますれば、それによりまして、なおそれを補完する場合もございまするし、話し合いの場といたしまして、それが存外円滑に将来いくという面もございまするので、そういう意味におきまして、われわれは強制加入賛成しておるわけでございます。ほかの方方の御意見は違うかもしれませんが、われわれ中央会といたしましては、そういう立場でございます。
  63. 阿具根登

    ○阿具根登君 ただいまの御説明で中小企業の中央会の方々の意見としては強制加入考えていないのだ、強制加入できればいいけれども強制加入しなくても、アウトサイダー規制があればいいのだ、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  64. 稲川宮雄

    参考人(稲川宮雄君) それは先ほど申し上げましたように、憲法の解釈から、それはできないだろうということで、私どもは消極的な態度をとっておったのでございまするが、それが福利厚生、福利のために、そういう場合の特例として認められるということであれば、それはいわゆるベターでございまするから、やはりあった方がよろしい、また私どもアウトサイダー命令一つの形として強制加入という問題を考えていいのじゃないか、こういうふうに実は考えておるのでございます。現在の法案とも、この点若干隔たりはございますけれども、そういう意味におきまして、やはり強制加入があった方がベターである、こういうふうに考えておるわけでございます。
  65. 阿具根登

    ○阿具根登君 違憲の問題等は私どもがこれから論争する問題になりますから、皆さん意見は聞いておきますけれども、これはだれが言ったか知りませんけれども、憲法違反じゃありませんと言ったからそれでいいのだ、こういう御意見だと今承わったわけでございます。これは、私ども今後の審議の中で相当な論争の焦点になるものでございます。そういたしますと、これはこれが主ではないのだ、よりベターだ、何も法律に触れなかった、これは憲法に触れなかった、あるいはほかとの関連に対してもないのだ、通常の場合に置いたならば、よりベターであるから、それの方がいいのだ、こういうふうに承わってよろしゅうございますね。
  66. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御答弁ありませんか。
  67. 稲川宮雄

    参考人(稲川宮雄君) けっこうであります。
  68. 阿具根登

    ○阿具根登君 主婦連合会の伊東さんにお尋ねいたしたいと思うのでありますけれども、先ほど十円牛乳のことをお聞きいたしましたが、私どももこの二、三年来、非常にこれは耳にしてきたことでございます。非常に皆さんが主婦の立場で家庭を守るために、栄養価値の多いものをより安く、より多くとって日本人の栄養をふやしていきたい、家庭を守りたいというような非常に真摯な活動に対しまして、私どもは非常に感謝をしておるものでございますが、ただいまの御説明の中で私が感じますことは、この法律案が出たならば、これは四分の一以外の、そういう皆さんと提携されておる方々は、この法律規制によって、たとえば十五円なら十五円、二十円なら二十円に引き上げられるのではないか、こういう御心配で一言っておられたのであるか、あるいはそうでなく、業者だけがそういうような考え方に引きずられていくのじゃないか、いずれにお考えになっておるか。  それから特におふろ屋の件も出ましたが、これと関連しております環境衛生法案も別の委員会で出されております。それによりますと、何かふろ屋のふろ賃も上るのだというようなことも言われておりますので、そういう点について、先ほど十円牛乳を出されたと思うのですが、主婦の立場から——私がこういうことを聞くのは、中小企業の方々を何とか協力してやっていただきたいので、しかし二千万近くの中小企業者だということで、私どもほんとうに一生懸命に熱心にいたしておりますが、その人たちも含めて九千万のものが消費者だと思わなければならないと思っておるのです。そこでこの審議が非常に慎重になされておるのでございますので、そういう点でお気づきの点が主婦の立場からございましたらば、もう少し教えていただきたい、かように思うわけであります。
  69. 相馬助治

    ○相馬助治君 関連して……。
  70. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 参考人が御答弁になる前に関連して相馬委員から発言がありますから。
  71. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま阿具根委員から非常に大切な、そうしてポイントをなす質問がなされておりますが、それにお答え願うこととして、その以前に私は伊東さんから承わっておきたいことがあります。それは、本日お招きした皆様方は、個人的な私見を伺うのではなくして、それぞれの団体を代表された方々の、それぞれの団体の意思を如実に反映して、一つわれわれに参考になる御意見をお聞かせ願いたいというのがこの委員会の目途です。従いまして、私は主婦連合会についてお尋ねしたいのですが、主婦連合会というのはきわめて公明な団体であることを知っておりますが、私勉強が足らないのか、主婦連合会の構成メンバーの階級性ということについて承わりたいのです。というのは、主婦というのには階級がございません。主婦連合会というのは、御主人をサラリーマンに持っておる有閑マダムが集まっておるのだ、などと悪口をたたく人がありますが、私はにわかに信じません。そこで一体主婦と申しますか、主婦連合会の構成メンバーは、もちろん中小企業者の奥様も入っておると思うのです。それからサラリーマンの奥様も入っておると思うのです。大企業を経営して多くの人人を使用しているいわゆる資本家、経営者といわれる人の奥様ももちろん入っておると思うのです。そこでこの主婦連合会が、今問題になっているこの団体法案に対しては、非常に強力な反対をなさっているが、その構成メンバーの点に立脚して、少数意見はないものかどうかということが一つ。それからその構成はどのようになっているかということが一つ。それから、このことは、失礼ですけれども、伊東さんのお述べになったことは、主婦連合会のある種の機関の議を経て大体まとまった御見解であると了解していいのかどうか。  この三点を明確にせられ、しかる後一つ具根委員の重要なる質問にお答え願った方が、理解が早かろうと思ってお尋ねするわけです。
  72. 伊東美佐子

    参考人伊東美佐子君) 先に私どもの主婦連合会の役員のメンバーにつきましてお答えしておきたいと思いますけれども、主婦連合会は、ほとんどの方が主婦で、そうして大体地元に婦人会をお持ちになっていらっしゃる方が主婦連合会の役員になっております。そうしてその中には、地元の自主的にできた婦人会が経済運動をするときに、主婦連合会につながって加入しておりまして、一緒にやっておりまする地元の婦人会でございますから、中小企業の奥さんもいらっしゃいますし、また月給取りの奥さんもいらっしゃいますし、大企業の奥さんもいらっしゃいます。また主婦連合会の役員の中にも、それぞれの立場の奥さんがおります。  それから……。
  73. 相馬助治

    ○相馬助治君 それは少数意見があるけれども、全体の一員としては反対だと言っているけれども、実は私は賛成なんだと力む役員はいないかと聞いているんです。
  74. 伊東美佐子

    参考人伊東美佐子君) それは最初のうちはそういう意見も事実出ました。やはり商店街の会長をしてらっしゃる方の奥さんとか、連合会の会長をしてらっしゃる方の奥さん、それから御自分で御商売をしてらっしゃる奥さんもおります。そういう方はだんなさまからいろいろ聞いてらっしゃって、最初のうちは議論百出しましたけれども、現在の段階に行きましたら、そういう方もともどもになって、やはりこのことにつきましては、自分たちもともどもに救ってはもらえない法律だということをはっきりおっしゃって、主婦連合会の名において全部反対しております。これらの法に反対意見でございます。  それからもう一つは、何でございましたか……。今日私が申し上げましたことも、そのたくさん集まった方々が団体として今まで取り上げてきた運動の経験から申し上げましたので、これはやはり会としての意見でございます。  ただいま牛乳の問題が出ましたけれども、先ほど申し上げましたように、私どもはやはり自分たちの家庭を守ると同時に、いろいろ社会にも多少なりとも貢献したいということで運動して参りました。先ほど言い落しましたけれども、私どもがこの運動を一生懸命やりまして、十円で皆さんに喜んで飲んでもらっておりました。一時はやはり私どもの運動と呼応いたしまして、近県の酪農の方が都内にどっと十円牛乳を出して参りました。しかしまた、中にはこういう事実を利用いたしまして、悪用して、悪い牛乳を出した方もございまして、私どもはそういう点では大へん迷惑したのです。それで一時ちょっとそういう悪質の業者のために十円牛乳もいろいろと批判されましたけれども、そういうことがやはりすきを与えたといいますか、そのうちにまた乳価の値上げで、だんだんと牛乳が足りなくなってきたということも事実でございましたけれど、いかにして十円牛乳を粉砕しようかという大きなメーカーたちの運動が盛んになりまして、私どもの酪農地帯もずいぶん荒されましたし、またそのために私ども家庭を持ちながら、主人の許可を得まして、夜、夜なか荒しにきた人たちのためにくずされそうになる組織を一生懸命突っかい棒に私どもははせ参じたものでございます。それでその後一時、去年の六月ですか、一斉に処理業者の方から四十銭の値上げを、それは乳価が少し上って参りましたので上げてくれという声が出たのでございます。そのときに小売業者は独禁法の盲点をつきまして小売協同組合の名において八社が一斉に協定価格で値を十五円に上げてしまった、それが現在の十五円、それから市乳の十四円という値段なんでございます。私どもはそういう点で公取へもいろいろと訴えましたけれども、法の盲点をつかれましてどうすることもできなかったのでございまして、そういうような法の盲点をつき、すでにそうやって協定価格で業者同士が結束して値段を上げておりますのに、今度法律ができましたならば私どものせっかく守り通してきた十円牛乳だって、これは法律のために十五円に値上げをさせられてしまうという運命にあると思うのです。そういうことも十分お考えになっていただきたいと私どもは思います。大体十円牛乳の点ではそういうような点でやって参りました。  それからもう一つ、おとうふの場合でしたけれども、そのおとうふの場合も私どもはただ十五円じゃいけない、十円にしろと言ったのじゃなくて、やはり政府からの割当の輸入大豆、そういうものが少しでもよけい入れば私どもも十円で十分やれるのだ、そういうような声も聞いたものですから、それでは私たちも一緒に食糧庁の油脂課に行きましてぜひ割当をふやしてやって下さいと、だいぶ油の方の業界には多量に行きますけれども、おとうふ業界というのは小さいし、政治性もないし、そういう点で大へん安くしたいけれども、割当が少いというお話も聞きましたものですから、私どもはぜひ十円とうふをやって下さる方々に割当を少しでもよけい上げて下さいと言いましてお願いに上り、上半期でしたか一回と、それからまたそのあくる年も全国的に十円とうふを出すという条件付きでもって割当の豆を相当出していただいております。ところが、地方なんかにもそういう条件付きで豆が割り当てていったのでございますけれども、地方にしても、東京都内にしても、その豆をいただきながら十五円でやっている業者もございますので、そういう点で私ども業者の方々に法律をもってこういう制度をおしきになるということでなしに、もっと自主的にお互いに業者同士が自分たちの御商売の向上をどういう面ではかったらいいかということで自主的に団結なさるということを願っているのでございます。決してこの法律によって中小企業者がどうなってもいいのだ、われわれの消費者だけが利益を得ればいいのだということは絶対に考えておりません。
  75. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は神戸の小売市場連合会会長である坪上さんに二、三点質問をいたしますが、戦後の経済情勢が非常に悪くて小売市場があちらこちらに、たくさん設立されてきた、そこで、私も常に陳情を受けておるわけでございますが、今日では小売市場が非常に乱立状態になっておる。私ども小売市場をのぞきましても、その中にはいわゆる営業をしていないあき家、あき家と申しますか、店を開いていないところが三カ所も四カ所も一つ市場にあるのをしばしば見受けるわけです。私ども小売市場でそういう姿を見たときに、そのまた近くに小売市場が現在建築されておる。こういうようなことも見るわけです。そこで、一体現在一つ小売市場について適正な世帯人口というものがどのくらいあるものであるかということをお考えになっておられると思うのですが、この点はいかがですか。
  76. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) 今のは京都の例をあげておっしゃったのですか。
  77. 近藤信一

    ○近藤信一君 いや、どこの例でも……私のは名古屋のあれですが。
  78. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) 名古屋ですか。名古屋はだいぶ乱立がひどいのでね。大阪、名古屋、神戸と……。京都は少い。また最近になってからこの法案ができたら市場を建てられないようになるから早く今のうちに建てようじゃないかというようなことで、やるようなところもある。これは戦前には県の条例があって五町以内とか、六町以内とか、四町以内とかいうような、県によって違っていましたが、条例によって取り締ってもらっておったので、非常に円滑に行っておったのです。ところが終戦後昭和二十二年の五月五日に新憲法が発布されまして、それであの前の法律が無効ということになってから、それからだんだん多くなって、一時は戦争のために焼かれて非常に少なかったところが、だんだんそれができて一番多くなったのが、二十六年ごろからひどくなってきて、現在では非常な勢いで進んでおるわけです。
  79. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 坪上参考人に申し上げますが、近藤委員の質問は、一市場当りの適正な世帯人口というものはどのくらいとお考えになりますか、ということをお伺いしておるのです。
  80. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) 一市場に対してですね。
  81. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 理想的というか、適正な人口というものはどの程度でありましょうか、ということをお伺いしておるのです。
  82. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) 一市場に対して人口二万ということをいっておる。戦前は一万ちょっと越す。このごろはほとんどが各都市とも一万以下になっておる。
  83. 近藤信一

    ○近藤信一君 その反対にまた人口が非常に少くて、市場が建っておって、そして市場がさびれていくという、こういうような点もある。それで、一体一つ市場で一番少いと思われる人口、この実例がありましたら御報告願いたいと思います。
  84. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) これは神戸だけの、ほかのはきょうは……。
  85. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 神戸だけでよろしい。
  86. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) 大体神戸で東灘区に十五の市場があるのです。人口が十二万二千九百十二人、それから一市場当りの人口が七千五百二十七、店舗数が五百七十八。灘区が市場数が十三、人口が十四万一千四百九、一市場当りの人口一が一万八百七十七。次は葺合、市場数が四、人口が七万七千三百四十九、一市場割りの人口が九千三百三十七……。
  87. 近藤信一

    ○近藤信一君 最後に、坪上さんにもう一点お伺いしますが、一地区で一番乱立しておると思われる市場ですね、一体どのくらいの数に上っておるか、その点おわかりであったらお聞かせ願いたいと思います。
  88. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) 乱立の数ですね。
  89. 近藤信一

    ○近藤信一君 一つの地区で乱立していますね、たくさん、二十あるか三十あるか知りませんが、そういう一番多いと思われる数。
  90. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) まあ神戸が八区あります。八区ある中でその一地区に一カ所、二カ所、三カ所くらいあるところがある。それでまあここならやっていける、どうなりこうなりやっていけるというような、お客さんも入るし、相当に売り上げもあるからここならまあ食っていけるだろうというぐらいな所で、それでそのわきに市場一つできた、それで、それがためにお客さんを一つ市場でやったのを二つでやるから、それだけお客さんが半分になると売り上げも半分になる、それがために売り上げが少いので食っていけないというようなことになって、現在でも神戸だけでもまあそれが二十市場くらいは非常にそれがためにやっていけないようになっておるのがあるのです。それで、大体まあごく最近になったのは五、六そういうのがあるのです。大体神戸全部で乱立のために市場がつぶれたのが二十八くらい現在にあるのです。百二あって、現在で今そのくらい、今申しました乱立のためにその店舗がつぶれてしまって今あき家同然になっておるのです。
  91. 近藤信一

    ○近藤信一君 あのね、坪上さん、こういうことなんです。たとえば名古屋に十二区あって三百幾つあるのですね、小売市場が。そうして一地区に三十も四十もあるわけなんです。そういうふうに一地区に一体数が一番多いところで、乱立しているところはどのくらいの市場の数があるか、こういうことをお尋ねしているのですがね。一番乱立してたくさん建っているところですね。
  92. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) それは名古屋ですか。
  93. 近藤信一

    ○近藤信一君 それはどこでもよいが……。
  94. 坪上和一

    参考人(坪上和一君) ここで見にくくございますけれども、区の乱立しているところを図面に書いてあるのです。青写真で。これは市場の数と人ロと比例せぬと、区の大きいところは市場の数も多いけれども、その割に……、これをお渡ししてからお話ししましょうか。
  95. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それじゃ速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  96. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それじゃ速記を始めて。
  97. 阿具根登

    ○阿具根登君 小西さんに御質問いたしますが、私どもはこの法案が上程されましてから反対賛成の陳情を非常にたくさん受けておるわけなんです。私どもといたしましては、中小企業のこの苦しみを何とかして打開できないかという反面、今度はこれが消費者にどういう影響を与えるか、消費者にも喜んでもらって、中小企業の人がよりよくなるのにはどうすればいいのか、この法案でいいのか、あるいは悪いのか、という点で非常に苦慮しておるのでございます。しかし、中小企業の苦しんでいるのは事実でございますから、何とか法案審議していきたい。かような考えでおるわけでございますが、ただいま参考人の主婦の立場の伊東さんにお聞きしましたところが、この法律案が出るならば物価が高くなると、こういうことでございます。主婦の立場から身の回りのことを一、二点言われましたけれども反対の陳情はほとんどそうでございます。そこで中小企業の、小西さんの立場はサービスも兼ねておられると思いますので、小西さんの立場から、この法律案が通っても物価は一つも高くならないのであるかどうか、それを一つお聞きしておきたいと思いますが……。
  98. 小西聖夫

    参考人(小西聖夫君) お答えいたします。まあ私の存じておりまする点では、われわれ中小企業者と申しまするものは、自分のことを申し上げると何ですが、非常に時勢におくれておると申しまするか、頭脳が低いわけでして、いわゆる日進月歩のその中に、それについていけないという感が多分にあるわけであります。従って、自分さえよければいいというようなこともあるわけでありまして、それが結局まあいろんな金融の面、材料の買い入れといったような面にも不利益な状態になるわけでありますが、そしたらそれが高い値で物を売るかといえば、決してそうではなくして、やはり生産が多量に過剰いたしますると、出血しても金が要るから売らなければならぬというようなことで、まああるわけでありまするので、やはりこの組織法案ができるということはそういうわれわれ中小企業者一つの大きな自覚になるわけでありまして、その点から、この法案ができるということを皆こぞって賛成いたしておる次第であります。ところで、そのできたら品物が高くなりやせぬかという点でありますが、これは現在ではやはり相当今日もいろいろ話もでたように存じておりまするが、中小企業というものは相当、数の面においても過剰しておるのじゃないかということが言い得られまするので、決してそれが直接消費者の面に法案が成立したから高くなるというようなことは考えられないと思うのであります。もちろんこの法案ができたからすぐにこれがどういうふうになるか、これでいいのか、完全無欠なものであるかということはわれわれとてもそういうふうには考えておりません。よろしくこれを組織の力ということは、いわゆるそれぞれの業界の大多数の人がそれを認識して、そして品物を安く買うて、そしていい品物を安く売るということにやはり組織の力によって考えていかなければならぬということをまあ深く信じてもおりまするし、またお互いにそういうふうに仕向けていくということがわれわれ中小企業者を指導する者の責任でもあるというふうに考えておりますので、これができたから昔の統制時代のようにこれだけのものしかないのだからこの値段なら売ってやるが、それでなかったら売らないというようなことはとうていあり得ないというふうに考えております。
  99. 阿具根登

    ○阿具根登君 私はこの法案審議しておって、どこかでクロスしておる線を探さねばできないと思うのです。今言われましたように、この法案ができたならば品物が安くなって、よくなりますよということであるならばこれは私はけっこうなことだと思います。しかし、この法案のやはり一応の見方としては生産の規制、販売価格の規制というふうに言われておるわけなんです。今おっしゃったように、非常に中小企業者の方は多いから、だから出血で販売されるというようなことは、これはもう何とかしてやめなければいけない。まあこういうように思いますけれども、そういうことでなくて、いい品物が安くて、消費者が喜ぶように消費者に迷惑のかからないように出回るんだ、こういうことであるならばよろしいが、私どものところにも反対の陳情は山ほどきておりますが、その方々にもあなた方が間違っておりますぞということが確信をもって言えますので、また中小企業者の方々にも中小企業の方々が間違っているならば、こうあるべきでありましょうという私どもも確信を持ってやらねばできないのですけれども、現在までは賛成反対の両方の方々の利害が相反しておるわけでございます。ところが両方の方々が、そこにお並びになって、片一方は値上りをするであろうからこれ以上われわれの生活を圧迫しないようにしてもらいたい、そのかわり中小企業者と値段はたとえ同じであっても、われわれは百貨店には行かずに中小企業者の方々のところから買いますと、こういっておられる。片一方では、いや値段は上りません、こうなってくるならば、何も並行するところはないのであって、それならばこれは問題でないのでございますが、どうも私どもが受けます陳情にはそれが逆になってきておるので苦労しておるわけでございます。で、それでは今言われたように、私どもはここは公式な場所でございますので、それを参考にして審議をするのでございますから、これが出たからといって決してそういうことはないのだという点をもう少し教えていただきたいと、かように思います。
  100. 小西聖夫

    参考人(小西聖夫君) ただいま具体的の案は持っておりませんが、大阪におきましてもいろいろ他の方々の声を耳にいたしまして、そうしてわれわれもよくそれを参考として検討して参っておるわけであります。とにかく今日の現状でしたら材料を買い入れるにいたしましても、微力で個人の力で買い入れをいたしますると、それが非常に商いものを買う場合も多々あるわけであります。また金融の面にいたしましても、一つ組織を持って金融をいたしますると、金融業者からもある程度の金融はできますが、個人というものは非常に力の弱い微力なるものでありまするので、なかなか思わしく金融ができない。そういたしますると、つい高利でも町の金融業者から借り入れもしていかなければならぬというような点がまああるわけであります。それが組合ができまして組織の力によりますると、金融の方面組織の力によって借り入れをし、そしてまたそれを按分に使用者に分つ。また材料の買い入れ等もよく勘案いたしまして共同購入をいたしまして、それを配分するというようなことが多々利益の点がありまするので、そういう点は材料も安く買うことができる。またいろいろ寄って話をいたします結果、製造方法と申しますか、いろいろ生産の上にも話をし合い、またいろいろと指導をして参りまするとより以上安くできるのじゃないかというような点で、いろいろな面でいいものが安くできるということをまあわれわれはよく話し合いの結果、それぞれにある程度信頼をし、信念を持っておりまするので、そういう点から決して消費者の方々が言うておられるような、すぐに高くなるとか、高いものを売ろうといったような気持もまた全然持っておりませんし、ただいま申し上げたような理由によって安いいいものが作れるのじゃないかというふうに考えております。
  101. 阿具根登

    ○阿具根登君 今の見方は私よくわかりました。そういたしますと、なるほどおっしゃるように、組織を持っておってですね、金融なり材料購入なりに際して交渉される場合には、非常にそれがよくて、個人でやれば高くなるから非常に困る。なるほどそれはその通りだと私は思います。そういたしますと、小西さんの考えでいきますと、強制加入等はあり得ないということですね。四分の三もの組合ができておって、その中の一、二の人が一人で商売をやろうとしてもできないのだ、だから強制加入なんというのは考えられないという結論になると思いますが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  102. 小西聖夫

    参考人(小西聖夫君) お答えいたします。私の考えておりまするのは、そういう点を初めのうちは何人かの人はそういうふうにむずかしいことは知らない、あるいはそれに入らないという人があろうかと思いまするが、その加入するということによって実際的の利益を得るのだということが漸次わかってくると思いまするし、そのことがわかって参りますればもう強制的に言わなくても自発的に入ってくるのがほとんど全部じゃないかというふうに私は信じております。
  103. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういたしますとですね、社会党組織法案として出したのは、今小西さんが言われた通りのことなんです。あなたの言われた通りのことなんですから、この法律案強制加入というのは、これは当らない、こういうように解釈してよろしゅうございますね。社会党もその通りに、これはそういうように強制的に入れなくても、組合に入っておらない方は損をする。結局個人ではできないから、組合を作れば、当然お入りになるであろうし、何かの都合で、どうしてもお入りにならない方は、これはやむを得ません。その事業の上でおそらく非常にお困りになるであろう。そうすれば自然と入ってこられるであろうから、憲法の違反の疑いのあるような強制加入はやってはいけない、これが社会党の言っていることでございまして、幸い小西さんと意見が一致しましたので、これで小西さんに対する質問は私は打ち切りたいと思います。
  104. 相馬助治

    ○相馬助治君 阿具根委員と小西さんの意見が御一致したということですが、私は、聞いていて必ずしもそうは思わないので、やっぱりもう一回繰り返して伊東参考人のおっしゃっておることと、小西参考人のおっしゃっていることを問題に供して、小西参考人からお尋ねしたいと、こう思うのであります。  小西参考人のお話は、この団体組織ができても、金融の面、仕入れの面、そういう点で従前よりよくなるから、高い物はおそらく売らないであろう、こういうふうな一つの想定に基いて申されておるわけなんです。それから伊東参考人のおっしゃっておることは、いいとか悪いとかという議論の余地なくですね、十円牛乳の例をあげて、法の盲点を利用して業者団体が集まって十五円に上げてしまったという、理屈でなくて現実のことをこう言っておるわけなのです。だから中小企業者にこういう団結権を与えるというと、小西さんのような良識のある人が率いておる中小企業団体は別として、おそらくその連中はまた高い物を食わせたり、高いことにしてしまうのじゃないかということを、いわば主婦の感覚から、理屈じゃなくて、主婦の感覚から、従前起きていた経済情況を教訓的に学びとってこう言っておるわけです。ここには理屈がないわけです。  そこでですね、私小西さんにお尋ねしたいのですが、さっきのお話で、物価のつり上げがなされるというようなことを言うことは、被害妄想だというような意味の発言と、それから売価を一律にきめるなどということはできないと、こういうふうなお話ですけれども、今度の法律が、このまま成立すれば、売価を一律にきめることも可能なのです。  そこで問題なのはですね——私はこれはほんとうに聞いておるのです。わからないから聞いておるのです。というのは、私は中小企業者のためには何かこの立法措置かなにかしてですね、この階級を守らなければならない。そうすることが立法府にあるわれわれの責任だと、こう思っておるのです。ところが私も——主婦の感覚じゃないが、私も収入乏しき者の感覚としては、買う物が高くなることは弱るなあと、こう思っておるのです。そうして主婦の連合会の方なんかから、そういう陳情を聞くと、この人たちの言っておることももっともだなあと思うのです。そうしてまたこの法律は一体成立させるべきか、反対すべきかということに深く思い悩んでおるわけなのです。そこで私は小西さんからもう少し具体的に率直に、伊東さんの説を反駁してもいいと思います。そういうことはできない、化けものをおそれておるのだ、この法律の結果はこういうことになつて、物価なんか上らないのだ、こういうことを明確に御指摘して下されれば私はのみ込むし、それが明確に御指摘にならないというと、これは討論会じゃないのだが、一方の言っていることは事実問題を言っているのだから、これに耳を傾けざるを得ない、こういうのでございまして、小西参考人御迷惑だと思いますが、本法ができても物価なんか上らぬのだということを、もうちょっと私の頭でものみ込めるように御説明が願えたら大へんありがたいと、こう思うのです。私は意地悪いことを聞いているのじゃなくて、私はむしろ現在の日本中小企業の状態を見れば何とかしなくちゃならない。何とかしなくちゃならない部面の一つには、立法措置をして解決しなければならない問題もあると、かように考えておるのであって、そういう立場から私は聞いているのであって、あなたのあげ足をとるために聞いているのでは絶対ないのでありまして、その点は御了解の上、もう少し詳しく御指示できましたならば一つ意見を御開陳願いたいと思います。
  105. 小西聖夫

    参考人(小西聖夫君) これは非常にむずかしい点で、責任のあるお答えをせんならぬ御質問でありまするが、この団体組織法ができまするということによって、まず第一にわれわれの中小企業者が今日まで非常に、何と申しまするか、例をあげて申しますれば、アウトサイダーが——現に本年になってからでも大阪にありましたのですが、タオルの組合の中にアウトサイダーが非常に一名だけ乱売をやった関係上、全体の人がもう非常な迷惑をこうむったということが事実あるわけなんでございます。ところが、法案ができますると、まあ第一にそういったようなことが自然となくなるのじゃないか。これも、今日通過したから明日からそれができるということはなかなかそれは考えられぬのでありまするが、漸次そういうふうによくなっていくのじゃないか。従って、またそういうふうになれば、先ほど申し上げましたように、材料も安く買い、また運営の金融面も順調になってくれば自然とそういうふうに料金ができて参りまして、そうして決して物を上げて売るといったようなことはしないというふうに、私はそういうふうに考えもし、またわれわれの今日まで同じ同志会としてやってきておる人はもう相当ものの常識と申しまするか、そういった公徳心も持っておりまするが、絶対にそういうことがなくなるかということをまあ私がこの席上で責任をもって保証しますということはちょっとできにくいが、私は多分そういう御懸念は多くお持ち下さらぬでもいいのじゃないかというふうに考えるのでありまするが、何分数の多いことでもありまするし、先ほども申し上げましたように、大企業の中にも、今度の印紙税法によってもうこれを悪用をいたしまして、中小企業者をいじめているといったような人もあるわけですから、たくさんの中にはどういう人があるかは知りませんが、組織的にある団体と組んで値上げをしようの、あるいはある方面団体交渉をしていこうといったようなことは、もう私はあり得ないということははっきり申し上げていいのじゃないかと、こういうふうに考えますが、それで御了承をいただけますか、いかがでございますか。
  106. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 他にまだ参考人の方がおられるようでありますが、直接消費者は今ここに見えておりまする主婦連合会の伊東さんだけなものでありますから、主婦連合会の伊東さんに一、二お尋ねいたしたいと思います。  先ほどおとうふの話とか、あるいは綿の打ち直し、牛乳の非常にいい例をあげられてお話し下すったんであります。私どもはこの本案に関連をいたしまして、直接消費者でありまするあなた方の運動というものは、非常な大きな関心を持って実は見ておるわけであります。しかしながら、先ほど相馬委員も申し上げました通り日本中小企業立場というものは、非常にまあむずかしいのでありまして、ただ単に消費者優先というような立場から言いまするならば、これはもうしごく事は簡単なんです。ところが御承知通り、「今日は三越、明日は帝劇」といったような、そういった特権階級を一部扱っておりましたデパートというものが、今日は御承知通りエプロン姿で晩のお惣菜を買いに行くように便利になった。しかし、一面から考えますと、この百貨店のあくなき攻勢というものは、現在の中小企業にとっては非常な打撃なんであります。そういう点から考えまして、政府といたしましても、百貨店規制法というものもありますし、また、私どもも常に百貨店の行き方に対しても大きな関心を持っておる。しかしながら、とにかく便利で比較的サービスはいい、五十円のものを買いに行っても、一万円のものを買いに行っても、割合に買いやすいのだ、同じだというようなこと、まあこういうことが現在の私ども中小企業の問題を取り上げるについて、いつも大きな悩みになるわけなんでありますが、それでただもうあなた方が安いものを手に入れるという消費者の立場から考えますれば、問題は実に簡単なのでありますが、先ほどあなたのおっしゃる通り、決してそういう消費者優先だけを考えておるのではないというお話があったので、われわれも非常に意を強くしておるのでありますが、その意味におきまして、まあたとえばこの間も実は本委員会でも私から話を出したのでありますが、たとえばアメリカと日本の……、アメリカのある大きな会社と、日本のある大きな会社とが提携をして、そうしていわゆるマスプロをやるということになりまするというと、五十社ばかりありました中小企業というものが潰滅をする。しかし、そういうことを、もしただこれを消費の面からいって、食糧問題その他におきましてもアメリカの大資本、それから大技術と提携してやるということになると、非常なマスプロをやるならば、消費者には非常によくするという面が出てくる。しかし、これは日本中小企業というものを潰滅をさせる、そこに悩みがあるわけなんです。従いまして、先般これは大資本の系列に属するのでございましょうが、ある製菓会社が安いパンを始めた。そのことについて非常に中小同業者というものが一せいに立ち上って、これに対して反対ののろしをあげた。まあしかし、結局はその大資本系統の会社にしてやられたという現状があるわけです。そういうわけで、今後そういう問題が繰り返し繰り返し起ってくるのじゃないかと、こう思うのでありますが、それで、まああなた方が消費者の先頭に立たれて、そうしてただもう消費者優先、安いもの主義ということだけでいきますというと、中小企業というものが非常な実は打撃も受け、また実際に打撃を受けなくも、あなた方の運動自体に対して及ぼす影響というものは実に大きいのでありますが、まあそういう点におきまして、中小企業のむずかしい置かれておる今の立場、それからお互いの同胞愛、こういうような問題に関連いたしまして、主婦連合会は今後どういうように進めていかれるかということは、あなたはあくまでも消費者優先だという一本で行かれるなら、何も私は質問をいたさないのでありますが、決して消費者一本だけでないというお考えもありますので、その点を実は勘案してやっていただくことが、おそらくこれは中小企業の全体の念願じゃないかと思うのでありますが、その点について差しつかえない一つ意見を拝聴したい。
  107. 伊東美佐子

    参考人伊東美佐子君) 私どもは、先ほど申し上げました通り、やはり中小企業の方々の立場というものも考えておりますし、決して消費者だけが安い物を買おうということではないわけです。そのためにも百貨店の売場の面積などの調整委員にも出ておりまして、そのときにはやはり共存共栄という意味合いから、私ども中小企業者立場に立って反対をしてきたんです。そこへ今度のこういうような法律なものですから、私先ほど申し上げましたように、今後この法律によって同じような売り方がなされるならば、これはやはり大きなところに、気持よくレクリェーションを兼ねた買物ができる大きなところへ流れていくのじゃないかという心配を私どもはしているわけです。そのためにまた、先ほどこちらでおっしゃったように、決して高くはならない、値段はばらばらであるように先ほどおっしゃいましたけれども、それならばなぜ協定価格というものをここにおうたいになるのか。また、消費者の立場でいけば、先ほどの綿の例からいきましても、一方には百五十円といい、一方には百円でできる、そういう場合に、結局は百三十円におさまったということは、やはりこれが適正な値段であったということだと思うんです。そういう自由の中にも適正な値段はおのずと出てくるわけでして、過当競争とか、あるいは投げ売りとかいう言葉も、たびたび聞きますけれども、投げ売り、自分たちの販売の方法が間違ったとか、あるいは思惑違いをしたとかいうことで常識はずれな投げ売りをした人は、それで現金にかえて、ささやかに立ち直るということもあるかもしれませんけれども、そういう方々はおそらくつぶれていっていると思うんです。また、先ほどのように、十円のとうふとか、十円牛乳とかというような無理なく、組合から強制されなくて、自分たちでこうして十円でもやれると言っている人たちは、いまだに三年も五年もたってもやはり十円でやはり営業して、りっぱに成り立っているんです。ですから私どもはこれを法律で協定されるとか、また、中小企業者を助けるために、法律がどうしても必要なんだということに私どもは納得がいきませんし、もし、どうしても中小企業者を助けなければならない、もちろん助けなければならない段階に来ているということは私どもわかりますけれども、それであれば、もっとほかの方法も考えられるし、もっと根本的な問題から、今あわててこの法律案をお通しにならなくても、皆様方に十分考えていただいて、根本的な問題から解決していただきたい、そういうふうに考えるんです。そういうふうなことでやはり時間がかかるとか、それだったらできるころには、自分たちはつぶれてしまうとかいうようなことを先ほど申されましたけれども、無理にこの法律を立てたからといって、賛成なさっていらっしゃる方々でも、この法律が万全を期しているわけではないということも再三申されているのですから、私はこの法律は納得のいかない、反対の多いこの法律を、無理にここでお通しになるということは危険であるということを痛切に感ずるわけでございます。
  108. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 以上で御意見の御開陳がありました参考人の方々に対する質疑を終ります。長時間にわたる質疑に御答弁をいただましてまことにありがとうございました。  それでは他の参考人の方々の御意見を伺うことにいたします。  まず、全日本労働組合会議社会保障委員多田幸夫君にお願いいたします。
  109. 多田幸夫

    参考人(多田幸夫君) では意見を申し上げます。意見を申し上げます前に、私は全労傘下の総同盟の出身でございます。御存じのように、総同盟という組織は非常に小さな中小企業を多く傘下に持っておるわけでございます。二十七、八年のあの不況な折には、この中小企業の経営者とともに、金融対策、税対策、あるいは保険料の滞納等についても、一緒に政府官庁に陳情して、一緒に中小企業育成のために戦ってきたという過去を持っております。そうして、私たちといたしましても、中小企業はぜひとも育成しなければならないということは前から考えておったのでございます。しかしながら、そのような観点に立ちましても、この提出されている法案をながめましたときには、いろいろ疑問もあり、私としては賛成しかねるのでございます。本日は、この法案をながめまして、まず疑問に思うようなことを申し上げまして、私の意見としていただきたいと思うのでございます。  まず、本法案を大ざっぱにながめて見まして感じますところは、まず疑問に思うところは二、三点ございます。その第一は、この法案が通過することによって、ほんとうに優秀なる中小企業の発展及び進出が妨げられるのではないか、かえって中小企業全般の安定が阻害されるのではないかという疑問がございます。また、価格統制がしかれることによりまして、品質低下を招く、価格の値上りを招くのではないかという疑問がございます。  最後にもう一つは、調整事業の認可でございますが、この判断あるいは認定というものか、非常に役所におんぶするところが多いのでございまして、非常に法の運用に大きな幅がございます。このようなことでは、結果としては官僚統制を招いてくるのではないかということを痛切に考えるのでございます。そういたしまして、まず本法律によって中小企業がほんとうに、すぐにでも救済されるとか、中小企業の方方の中には、この法律が通ることによって、すぐにでも救済されるというように考えておられる人もあるようでございますが、私はそのようには考えない。まずこの法律を、中小企業を救済するために法律を何らか作らなければならないということはわかりまするが、私はその前に中小企業の救済策といたしまして、税対策なり、あるいは施設の老朽化を近代化するというような面に、政府はもっと力を注いでいただきたいと考えるものでございます。本年度の予算におきましても、中小関係の老朽施設の改善のための予算が昨年よりは一億ふえたと聞いておりますが、しかしながら、そのような金額では、まだまだこのような中小企業は助からない。法律を作るのが先か、あるいはそのような総合対策を立てるのが先か、いろいろこれは議論のあるところでございますが、私としてはそのような総合的な施策を先にやって、その後にほんとうに中小企業者が下から盛り上げる力によって、自主的にそのような組織を作っていこうではないかという機運を、まず作り上げてやるべきだと考えるのでございます。  それから心配いたすことがいろいろございますが、今から申し上げるわけでございまするが、この法律ができることによりまして、中小企業者はこの法律に非常にたよる結果になってくる。みずから努力することを忘れまして法律にたより、その中の協定価格というようなものにおんぶすることになりまして、正しい意味の競争意識が薄れることは、否定できないと思うのでございます。そのことは、かえって中小企業者の発展を阻害し、ひいてはわれわれ消費者にもしわ寄せが寄ってくることは、十分考えられるのでございます。商売というものは、よい品をできるだけ安く売るというのが、モットーでございまするが、このような協定価格ができるがために、それもできず、中小企業の中でも、特に零細企業などで施設あるいは販売能力におきまして劣る零細企業者も、同じ中小企業の仲間でありまするが、しかし、零細企業より上に少しでも近代化の設備を持っているような中小企業者からは、結局迫圧されるというような結果になってくるのではないか。結局は、ほんとうの零細企業者というものは店をしめなくてはならないのではないかというふうに考えるのでございます。  いろいろ飛び飛びになりまするが、この法案規定されております団体交渉権につきましても、いろいろ問題があるのでございます。現実に中小企業組合を作りまして、大企業団体交渉をやった場合に、それほど大企業が簡単に応じてくれるかどうか、あるいは法律規定するのだと言われるかもしれませんが、しかしながら、その陰には大企業から目のかたきのようにされるのではないか、みずから中小企業が苦しんでくるという結果を招くのではないかと考えるものでございます。  それから最近に至りまして、中小企業零細企業が非常に増加している傾向にあるように聞いておりますが、日本の現在の現状からいきまして、退職者なり失業者なりが、非常にこのような中小企業零細企業にその生活を求める結果になっておるのでございます。このことは、社会保障制度の貧困な日本においてはやむを得ない面があるのではないか、そうすると、このような退職者なり失業者の生きる道を、このような法案でふさいでしまうのではないかという疑問を、私は持っておるのでございます。  それから先ほども申し上げましたように、中小企業着はみずからの力で組織するという意欲を持たせ、そのための援助を政府がするということなくしては、現実的には非常に権力に弱い中小企業、ことに零細企業者などは、民主的な組合の運営ができるとは、とうてい私は考えられないと思うのでございます。ということは、一部役員にその組合が牛耳られるという結果は、これは否定できないと思うのでございます。  それからまず、先ほどもこの法案賛成する参考人がいろいろ申し上げられておりましたが、私たち消費者の立場といたしまして、この法案が通過した結果、消費者の価格の値段が上らないのかという疑問に対しては、絶対上らないという回答は残念ながらないのでございます。そのように努力するとか、そうなるでしょうということでございまして、絶対、価格は値上げがないということに対しての明らかなる回答がなかったこと、このことについては、消費者といたしまして絶対賛成できかねる一ヵ条でもあるわけでございます。  最後に、中小企業の安定のためには、私はまず労働者側の組織化を行うべきであると考えるものでございます。そうして民主的な労使間を確立いたしまして、労使双方がその企業を守るために対策を立てていくということでなければ、ほんとうの中小企業の安定は成り立たないと考えるのでございます。そこで、この法案の中に、二十六条、二十七条では、従業員に対する配慮としての条文がありますが、これでは、いまだ私はそのような調整事業を行われた場合に、そのしわ寄せが労働者に現われてくるのではないかと心配するものでございます。  どちらにいたしましても、本案には私は賛成しかねるのでございますが、中小企業を育成するという趣旨には賛成できましても、この法律ではかえってその反対のことが心配される。先ほども申し上げましたように、消費者の物価の値上げという心配に対して明確なる答えがないということは、要するにこの法律では中小企業は救われないのではないか、その反対には消費者側からはきらわれている現状の法案ではないかと私は考えるのでございます。要するに、私はこの法律を作る前に、施設の改善に対する金融面、税対策、あるいは合理化による生産の向上ということに対しての総合的な対策がこの法を作る前に必要ではないか、その後に自主的なる組織化、下から盛り上る力によって組織化していくという方向が望ましいのではないかと考えるのでございます。  非常に簡単でございますが、意見にかえさしていただきます。
  110. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に、東京商工会議所中小企業委員長石田謙一郎君にお願いいたします。
  111. 石田謙一郎

    参考人石田謙一郎君) 石田でございます。本日実は日本商工会議所の常議員会がございましたのですが、そちらでこれから申し上げるような実は要望がきまりまして、参議院皆さんにただいまお手元に差し上げたと思うのでございますが、一応ちょっと朗読をさしていただきたいと思うのでございます。   中小企業団体組織に関する法律   案の今国会成立方に関する要望          日本商工会議所   中小企業団体組織に関する法律案は、衆議院を通過し、目下参議院において審議中であるが、本法案中小企業者の公正な経済活動の機会を確保し、その経営の安定をはかる上に欠くべからざる重要法案であるので、是非ともこれが今国会において成立をはかられるようここに重ねて切望する次第である。  以上でありまするが、実は私、がこれから申し上げますことも、これだけのものに尽きておるのであります。中小企業問題はすでに賢明な皆さんの御指摘になりましたように、何とかしなければならない時期に到達していることは全く事実であります。どうやってしからば中小企業を救うかという、これだけが残された問題だろうと思うのです。ただいまの多田委員のお話しにもございますように、いろいろ税金、あるいはその他の問題、たくさんあると思うのでありますが、まあ私どもは戦後十一年でありますか、今日まで中小企業者だけが非常にいろいろな面から虐待されておったということを認めざるを得ないのでありまして、その間において、大企業がいろいろな意味から設備の合理化を進展させて、何とか世界経済の上で競争力を作り得るようになったように見受けられるのであります。勤労者皆さんも、同様に労働三法の援助によりまして組織を強化され、いろいろな面でまだ十分とは申せないだろうと思うのでありますが、着々としてその福祉を増進されておると思うのでありますが、ただ、ここに問題になりますることは、やはり中小企業者ではなかろうかと思うのであります。元来消費者の皆さん勤労者皆さんと違いまして、中小企業者はその組織の中にいろいろな矛盾を含んでおるものであります。そのために、なかなか今日までまとまることができない。このまとまることができなかったために、その声が非常に散漫であった。そして散漫であるがゆえに、中小企業問題は大事な問題であるといわれながらも、なおかつなかなか現実の面ではこれが取り上げられなかった。昨年度の政府予算においても、機械の貸付においてわずかに昨年度全額において八億円、本年度において九億円、そのうちの機械の合理化に対しては四億円でございます。このような少い予算しか取れなかったことも、やはり中小企業者が数は相当であるのに、その声がまとまっておらなかったために、なかなか援助を得られなかったことだろうと思うのであります。  こんなようなことからも、私ども中小企業者はやはりここで組織をする時期が来ておるのだ、ただし、これが単に大企業なり、あるいは消費者の皆さんなり、あるいは勤労者皆さんと対立するための組織ではない、この点に問題の種があると思う。皆さんがすべて口をそろえて、中小企業者は何とかしなければならない時期が来た、それから組織化することもよろしいのだ、ただ、法律組織化することは、問題があるという反対意見があるようでありますが、ただ、私ども中小企業としては、いろいろの問題を今日まで考えて参りまして、やはり中小企業者は消費者の皆さんのように、買われるだけの純粋な立場じゃございません。勤労者皆さんのように、給料をお取りになるだけと全く同じような立場ではないのであります。そのものの中で競争をし、いろいろしていかなければならぬいろいろ複雑な問題を含んでおるのであります。でありますから、なかなかこの利害の一致しない人たちを集めるのには、困難が多いわけなんです。そこにこの政府提案の組織法に対するいろいろの問題が出てくるのだろうと思うのですが、いろいろ問題がありましても、時間の問題もございますので、ちょっと概略を申し上げますと、たとえば、大企業皆さんの御反対なんでありますが、これも私どもは不思議に思うのであります。それは中小企業者がこの法案によって組織された場合に、直ちに大企業と対立するのだ、あるいは大企業をむしろいじめるのだというふうな考え方があるのじゃないかというふうに見受けられるのでありますが、これは私は非常に不思議だと思うのであります。大企業といい、中小企業といいましても、これは規模の大小でございます。さすればお互いに話し合いをいたしまして、何とか公正妥当な線で話をまとめる、これが必要ではなかろうか。このような意味から、私は安定法にすでにいろいろきめられ、それがこの法案にただ盛り上げられただけにすぎないと考えるのであります。決してこの法案ができたから、直ちに中小企業者が巨大な力となって大企業と対立するのだ、こういうふうなお考えは、いささか不思議ではないか。  そうしてなおかつ、輸出あるいはその他の問題において、系列化をくずすというようなお言葉もあるのでありますが、これまた、私は全く杞憂にすぎないだろうと思うのであります。輸出の問題なんかにいたしましても、今われわれ中小企業者が心配しておりますことは、中小企業者自体の乱売その他によって外国の商社、あるいは日本国内の商社にも迷惑をかけ、そうしていろいろな品質の面、価格の面でいろいろな御迷惑をかける、こんな点に力を注ぐのが必要じゃないか、こういうふうに考えるのであります。また、このために質が落ちるということについては、これまた不思議なことだと実は思わざるを得ないのであります。むしろ、問題はそれよりももっと大事なことがあるわけです。たとえば先ほど引例がございましたことは、たしかミシンだと思うのでありますが、ミシンの例のごときは、中小企業の乱立と乱売によって、とめどなく価格が下ってしまうわけであります。せっかく北米市場に相当な台数を確保いたしましたところが、それを下回る価格のものが出るために、直ちに市場を覚乱してしまう、そういうふうなばかげたことになる。しかし、国内を見ますというと、有力な会社がその豊富な資金を土台といたしまして、日本の工場と組みましてそうして非常な圧迫を加える。今日まで日本のミシン・メーカーが、大体家庭ミシン一台について二万三千円前後だったろうと思うのであります、出しておったものを、同じようなものでただ商標を変えるだけで、三万八千五百円でありますか、で売ろうとする。こんなことが実は非常に大きな問題じゃなかろうかと思うのであります。こんな点から考えましても、共同交渉、あるいは組合交渉と申しますか、こういう交渉問題についての大企業の方の杞憂は、いささか不思議ではなかろうか、かように考えるものであります。  それから消費者の皆さんのお言葉でありまするが、これは私ども中小企業者、これは数はいろいろございます。千五百万と考える方もございまするし、あるいは二千数百万というふうにお考えになる方もあるのでありますが、相当な数でありますが、この中小企業者自体は生産者であり、小売商であると同時に、みずから消費者であります。そうしてこの消費者が不当な価格のものを、また社会の許さないようなことをやることはあり得ないと私は思うのであります。まあ、例にお引きになったとうふ、あるいは牛乳、これは確かにいろいろな問題があったと思うのでありますが、これまた、私はここでこまかく説明はいたしませんが、いろいろやる方法なり、その他で道はあったんではないかというふうにも考えられると思うのであります。しかも、この中小企業者組織を作るところの法案によって結成されるものは、これらの方々でなく中小企業者全部であります。しかも、その中で困っておる方々だけが、この法案のさしあたり恩典に浴するものでありまして、今の消費者の皆さんに御迷惑をかけるような問題については、いろいろ規制その他の方法が私はあるのではなかろうか、かように考えるわけでありまして、前回衆議院におきましても、その点につきましては、審議会に消費者の代表の方をお加えいただくように実はお願いをいたしたわけなのであります。  このような点から見まして、私はこの組織法案というものが、いろいろ問題はありながら、しかも、最初提案されましてから非常に姿が変りましたけれども、現在の中小企業者にとっては、やはり一つのよりどころであるというふうに考え賛成せざるを得ないのであります。ぜひ今国会において成立されることを望みたいと思うのであります。  ただ、ここで、いろいろと法案審議される間におきまして、改正をみたのでありますが、それらについて、少しばかり触れてみたいと思うのであります。これは実は組織法案の第三条でありまするが、今度いよいよ協同小組合というのが出てきたのでありまするが、これらに対しましては、いろいろな金融、税制その他の助成策を考えられておるようでありますが、これらに対しましては、実はこれらの小組合は小さな方々だろうと思いますので、実は商工会議所といたしましては、かねてから零細企業の方に対する社会保険の援助方をお願いしておるのであります。こんな点をぜひ一つ税制、金融のほかにお考え願いたいことが一つ、それから農協、あるいは生協、水産農林協同組合を除いたという点でありまするが、これらは実ははっきり申し上げると、私どもは除いていただきたくはなかったのであります。しかしながら、これもしょせんお互いの間のいろいろな相談づくの問題でありまするから、まあまあやむを得ないというふうに考えております。  なお、そのほかいろいろな問題があるのでありまするが、一応われわれとにかくこの組織法の一日も早く成立することを望む中小企業者がたくさんあるのだ、非常に多いのだということを皆さんにお話し申し上げて、一応組織法に対しては、一日も早く成立をお願いしたいというふうに考えておるわけであります。  なお、小売商業特別措置法案でございますが、これらに対しても、かねてから実は商工会議所がお願いしたいろいろな問題が盛り込まれておりますので、一応こういうふうな問題については、これも同様に早く成立をしていただきたいというふうに望むわけであります。  いろいろ申し上げたいこともあるのでありまするが、だいぶ時間も切迫しているようでありまするので、一応私の方ではこのように申し上げたい。そうしてなお、最後に申し上げておきたいことは、強制加入と申しますか、この問題でありまするが、これはいろいろ問題はあると思うのであります。先ほどから本日の参考人の方もいろいろ申されておったようでありまするが、これはやはり本来由せば、中小企業者はみずから組合を作り、強く働きかけて、その中に入れることが当然であります。でありまするから、一見アウト・サイダー規制のみで間に合うようであります。しかしながら、規制のみでやっておったのでは、だめだったことは、今日まで長い歴史を通じて、私どもは味わっておるのであります。どうしてもそういうふうなものだけではできない場合においては、やむを得ず強制加入をしていただいて、そうして同じ組合の中に入って、われわれの意見を聞いていただく。そうして話し合いをつけた上でいろいろやりたいというのが、われわれの考え方でありまするので、この点はあくまで私どもは現在の法案にあるような形をとっていただきたいと、かように考えるものであります。  時間がありませんので、一応簡略に以上の点を御説明し、冒頭に申し上げましたように、本法律案中小企業団体法案組織に関する法律案などが今国会中に成立するように、皆さんの御尽力を切にお願いする次第でございます。
  112. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。  次に、全日本小売商団体連盟理事長高橋貞治君にお願いいたします。
  113. 高橋貞治

    参考人高橋貞治君) 御紹介いただきました全日商運の高橋でございます。  私ども全国百五十万を数える小売商は、中小企業の中でも特に実態の把握をしにくいもの、従ってまた、対策の立てにくい部門と考えられて参りました中小企業に対する施策そのものが、まことに不十分なものであった中において、商業部門、特に小売商を念頭に置いたあたたかい施策というものは、残念なことには今日までほとんどなかったのであります。  さきの第二十四特別国会におきましては、皆さまの御理解と御努力によりまして、小売商に対する保護を明記した初めての立法として百貨店法が制定されましたが、これとて施行一歳を経た今日冷静に振り返えりますると、決して十分な効果は上げていないのみならず、百貨店擁護法に終っているというそしりの声さえ巷間には上っているのであります。少し古い統計でございまするが、昭和二十七年の商業センサスの結果と、同年九月一日現在の推計人口を比較いたしますると、わが国におきましては、小売店舗一に対しまして人口は約七十一人であります。これは英国におきまする一九五〇年のセンサスから計算した九十二人、米国の一九四八年のセンサスによる百三十人に比べまして、いかに日本小売商の数が多いかということを明瞭に示しているものと存じます。このことは決して私ども小売商が、同業の過剰によって悩まされているということでは済まされないのでありまして、大言いたしますようではございますが、小売部門が異常に大きい部門を占めているということは、日本経済の不健全さの現われであると私ども考えているのであります。しかも、経済企画庁の発表によりますれば、この上、小売部門に大量の人口を吸収させることを考えており、そうすることによって完全雇用問題のつじつまを合わせ、小売部門のような非生産的な部門にかような負担を負わせることによって、その上に経済建設の計画が組まれているということは、私ども小売商には、どうしても納得のゆかないところなのであります。  小売部門に年々流れ込んでいる人口のもとをただせば、それは失業者、停年退職者などが大半であり、今日では月給取りの副業として、内職がわりに小商買を始めたり、農漁業、工業からはみ出された失業者は、店舗を持っていない行商人として、やはり間接的に小売部門に流入しているのであります。このような理由から同業過剰に悩まされている小売商は、さらに生産者、特に大企業生産者からの直接、間接の圧迫を受けているのであります。直接的には、メーカー品の利幅の薄いことを一つとってみても、圧迫されている実情は明瞭であると存じますが、間接的には、生産過剰による値下りのために、常に商業部門は多大の損害をこうむっております。卸問屋の倒破産ないし弱体化は、やはり小売商の圧迫となってしわ寄せされております。こうした中で、百貨店あるいは大会社の購買会、企業化した生協などは、小売商市場をせばめる別の要素として圧迫しているのであります。  以上、今日小売商を圧迫している諸条件につきまして、多少冗長な説明をいたしましたが、私ども全日商といたしましては、常にあらゆる施策について、このような観点から小売商としての検討を加えて参っておるのであります。私どもは昨年六月内閣に設けられました中小企業振興審議会に対しましても、このような立場から、小売商を念頭に置いた施策を内閣に答申していただけるよう意見書を提出し、本国会にはその答申の大部分が実現されるものと期待していたのであります。  第一に、中小企業団体組織に関する法律案並びに中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案についてでありまするが、結論から先に申し上げまして、全日商運によって代表されました小売商立場は、種々検討の結果、衆議院での修正案に賛成ということであります。団体組織法案中小企業組織のあり方を総合的にとりまとめたものであるように承知いたしておりまするが、中でも、商工組合に関して業界の団結権、組合交渉権の問題、調整機能の問題並びに火災共済協組の設立が認められたことに意義のあるように思います。ただし、商工組合につきまして小売商として全く手離しで満足いたしているわけではございません。本法の御提案の趣旨には中小企業組織化ということが強調されておりまするが、その実、商工組合内容的には調整組合でありますので、消費者等々との関連からも、組合の設立には種々の条件が出てこざるを得ず、中小企業組織化という目的からは、十分にその実を上げ得ないのではないかと懸念する次第であります。また、小売商の場合の調整行為は、直接消費者につながる末端配給機関であることから、生産者としては全く条件を異にしており、本格的な調整事業価格の協定等は、まずしようとしてもなし得ないものがあります。しかも、大方の認めるごとく、小売業界は慢性的不況状態に悩まされ続けておるのであります。衆議院におきます大臣並びに中小企業庁長官のお話を承わっておりますると、小売商の行い得る調整行為とは正札販売の励行の取りきめなどをあげておられますが、本格的な、いわば消費者にも多少の迷惑のかかるような調整事業は経済的にできないのでありまして、また、業者もサービス部門はいざ知らず、小売商はこれをやろうとは考えてもいないのであります。従って組合の設立に当りましては、小売商が業種的に、また、商店街としましてもどうなるかということにつきまして、私どもとしては団体組織法が中小企業組織の基本法であり、組織化のための法律でありますならば、価格協定のごとき強い調整行為を目的としない限り、広く組合の設立を認めていただきたいと考えております。  また、火災共済協同組合につきましては、これがきわめて意義のあるものと存じますが、一方修正案は業界の望む最低線であると存じます。  次に、小売商業特別措置法案商業調整法案について申し上げます。小売商業特別措置法案の構想の前身であります小売商振興法は、中小企業振興審議会の答申には、組織法と不可分のものとして問題が提出されていたと承知しております。また、社会党におきましても、その提案理由の説明の中で、組織法と商業調整法が一体のものであると、述べられていたと承わっております。  小売商業特別措置法案は、当初の小売商振興法から見ますと、内容的に著しく後退したものでありますことは、まことに不満足に思っております。また、社会党商業調整法案は、政府案とは若干の違いがありますが、具体的に小売商を圧迫している条件を排除するための立法であるように存ぜられます。団体法案並びに組織法案は、衆議院におきまして、自民党、社会党共同修正ということで、参議院に参りましたが、小売商としては、その過程におきまして、流通問題、特に小売商に対しまする特別の配慮を目的とした小売商業特別措置法案商業調整法案が、実質的にも団体組織法案と並行的に取り扱われることを強く望む次第であります。  昨日、日本中小企業団体連盟の商業部門におきまして、団体組織法案とあわせて、小売商業特別措置法案を必ず今国会で成立させてほしいという決議を行なったのでありますが、全日商連といたしましては、団体組織法案と、小売商業特別措置法案とは切り離せない一組の法律として扱われるよう希望いたします。もちろん、内容的には、中小企業振興審議会の答申からも著しい後退をしておることについては、いろいろ不満足な点はございますが、今後における充実を期待して、とりあえず今国会での成立を望む次第であります。  なお、商業調整法につきましては、その内容は私どもの要望と一致するものがあるのでございまするので、小売商を圧迫している条件を排除しようとする点においては、政府の案と目的を一つにしているのでありますからして、先生方の御検討の結果、小売商といたしましては、できるだけ内容の充実した法律が成立することを願うのみでございます。  以上公述といたします。
  114. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。
  115. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行です。前の参考人の発言が終ったところで、すかさず委員長は次の方の発言を求められたので、私は発言できなかったのですが、こういう時間になってしまってからは、参考人の方にこれ以上、参考意見を伺って質問をするということはこれを続けるか、続けないかは一にかかって委員会がきめるというよりも、おいで下さった参考人の方々の意見によってきめるべきものと、私は考えております。考えてはおりますけれども、私は特に今から発言なさる松崎さんは、中小企業政治連盟の代表の方ですので、とっくりとお話も承わり、とっくりと聞きたいことがある。という理由は、他の方々は業者団体の代表者ですが、松崎さんの場合だけは明確に政治連盟と銘を打った一つの大きな団体の代表者でございます。従いましてこれは十分にお聞きし、十分にただすことが、私はむしろわれわれの責任というよりも、儀礼であるとすら考えておるわけです。先ほども石田さんの御発言を聞いていると、時間がないのでと言って恐縮しながらしゃべっているわけです。こういうふうな心境を参考人に与えるということは、私の好むところではないのでございまして、もしも松崎さん自身が御了解になるならば、このたびの参考意見は明朝に回していただいて、そうして取り扱っていただきたい。前述いたしましたように松崎さん自身が今まで待たれたのですから、松崎さん自身が、いやきょうやると言えば、私はそれまで押してどうこうと言うのではないのですけれども委員長におかれてその辺を明断をもって善処されることを、議事進行上特別に期待いたします。
  116. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 委員長は裁断する前に、各位の御意見を伺います。
  117. 古池信三

    ○古池信三君 私、発言をさしていただきます。ただいまの相馬委員の御意見も仰せごもっともな点は重々あると思います。思いますが、きょうは大体公報に載せましたように予定の方々に全部来ていただきまして、最初からお待ちを願っておるわけです。時間が多少おくれたことは遺憾でありますけれども、せっかく今までお待たせをいたしましたから、ぜひ一つ、きょう中に続いてお願いをするように、これは私、参考人にもお願いをいたしたいと思います。皆さんの御賛成を得たいと思います。
  118. 阿具根登

    ○阿具根登君 今の相馬委員の発言は、特に中小企業政治連盟の方がお見えになっておるならば、相当突っ込んだ御質問も申し上げたい。相当長時間の質問になるかと私は思います。そういたしますと、まことにお気の毒でもあるし、時間も時間だから、まあ松崎さんの御都合がよろしかったら、明日の朝のうちにでもやっていただくなら、かえって御迷惑でないのではないかという、こういう御意見でございますから、ただ古池委員の発言では時間も相当進んだけれども聞くぐらいならというお考え方であったなら、聞くだけだったら、十五分から二十分だろうから、これは簡単に済むと思います。ところが、質問が相当おありになる。そうなってくれば、これは非常に御迷惑をかけるのじゃなかろうか。そういう点から相馬委員も発言されておると思いますので、委員長から一つ御本人にお聞き下さいまして、どちらがいいかおまかせして、こういうことをお尋ねするのは非常に失礼だけれども、あまり時間がたつようであるから、明日の朝、どうせ明日もあるのであるから、明日の朝にやるとおっしゃるのであれば、これは御本人の御意見を尊重しなければならないのではないか、こういうことだと思います。そういう点でお取り計らたいを願いたいと思います。
  119. 古池信三

    ○古池信三君 今の阿具根委員のお説も、まことにごもっともな点があると思います。ただ、私率直に偽わらぬところを申し上げますと、まことに参考人には御迷惑だということは、重々承知いたしております。おりますが、ただ実際問題として、国会の会期が非常に切迫しておりますので、これが十分に日にちがあれば、あるいはまた明日でもお出で願うということは考えなくちゃならぬと思いますが、今や非常に切迫した時間の問題になってきておりますので、もし御迷惑でない、差しつかえないというお話であれば、できればきょうずっと審議を続けていただきたいと。これが私の念願するところであります。
  120. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 大体きょうの参考人の方は、多田さん以外は全部法案をとにかく早く通してもらいたいという御希望の方のように私は思うのであります。従って少々無理をせられても、むしろ議員側に頼んででも、一つ御苦労だが議員の方に残ってもらってやってもらいたいという御意見じゃないかと、私は推測ですけれども、するのであります。従って中政連から松崎さんが見えておりますが、松崎さんに質問を集中するというなら、松崎さんに一つ意向を聞いてもらって、それから直ちに一つ議事を進行してもらった方がいいのではないかと思います。
  121. 阿具根登

    ○阿具根登君 こういう問題を御本人を前に置いて、二人の方がそうおっしゃるならば、そうきまるにきまっております。こういうことは民主的ではありません。二人の方がそうおっしゃるならば、おそらく松崎さんはきょうやって下さいとおっしゃることはきまっております。これは問われる必要もないです。しかし、私はそういうことをやっていいか悪いかという問題なのです。きょう、おそくまでやったのと、あした午前中やったのとどれだけ違うか。そういうようなやり方は、私は非民主的だと思うのです。だから私はどちらにもひいきをせずに、私は率直なところ、相馬委員はこう考えておられるであろう、御本人が残ってやりたいとおっしやるならやりましょう。またあしたにしたいというならそうしましょうということを言ったのでございますが、お二人方は御本人を前に置いて、きょうはどうしてもやって下さいということを言われたならば、これは聞く必要も何もないです。しかし、こういうやり方はほんとうのやり方ではない。かように思います。
  122. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これは委員長も発言しなければなりませんが、相馬君が、もう時間もおそくなったことだし、御意見の御開陳を聞くだけならば時間はかからないけれども、しかし、中政連というものに対しては非常に大きな関心を持っているし、質問することも多いだろうから、もし、参考人があしたも来ていただけるならば、いっそあしたにして、質問も相当時間を取って質疑をしたいという御希望があったわけなんです。これはほんとうに参考人といいましても、松崎参考人だけになってしまいまして、これはちょっと私ここで参考人の松崎さんに意見を聞くということも、委員長としてなかなか決しかねる問題なんです。ただ、相馬君からは、あしたの朝ゆっくり質問したいから、差しつかえがなければ、松崎さんにあした出ていただけるかどうか聞いてくれということです。それから古池さんは朝からずっと待っていらっしゃったのだから、この際少し失礼ではあるけれども、続けて質問をする時間まで、松崎さんにつき合っていただきたい、こういうことで、豊田さんも同様の意見だと思うのです。速記をとめて……、というよりも、松崎さんを前に置いてこういう議論をするということは、失礼な話ですが、速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  123. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて下さい。  ただいま相馬委員から発言がありまして、せっかくおいでいただきました参考人を前にいたしまして、いろいろ議論がありましたことは、まことに申しわけないと思います。お聞きの通り、本日は時間もだいぶん経過いたしまして、御都合をお繰り合せ御出席いただきましたのに、この時間になりまして、いろいろと中政連の根本的な考え方や、その他について御質問申し上げたいという相馬君の希望でありますので、もしお差しりかえがなければ、本日は御意見の開陳だけ承わりまして、明日午前中にもう一度委員会においで願いまして、各委員の質問にお答え下さいます御都合ができますか、どうですか。松崎参考人に特にお願いかたがた御発言を願いたいと思います。
  124. 松崎健吉

    参考人(松崎健吉君) なるべくならばきょう全部を終らしていただきたいと思いますが、委員会の御都合もありましょうし、ただいまの御趣旨もございますので、その点はおまかせいたします。
  125. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとうございました。大へん失礼なことを御要望申し上げまして申しわけございません。この点は重々おわびを申し上げます。もし、御都合ができるならば、本日は御意見の御開陳だけ承わりまして、明日再度御出席いただきまして、質疑にお答えいただきますように、切にお願いいたします。それでは最後に、だいぶん時間もおそくなりましたけれども日本中小企業政治連盟政策局長松崎健吉君、お願いいたします。
  126. 松崎健吉

    参考人(松崎健吉君) 御指名を受けました、中政連の松崎でございます。  今国会におきまして、いろいろ中小企業の問題につきまして熱心に御討議下さることは、中政連としても厚く御礼申し上げるところであります。  中小企業団体組織に関する法律その他につきまして御意見を申し上げるわけでありますが、結論から申し上げますと、全面的に賛成でございます。御承知のようにわが国の中小企業が、国民経済的に非常に重要な地位を占めておりながら、その個々を見ますときわめて小さく、数のみ多くて、非常に慢性的な不安定な状況にありますことは、識者のすでに認めておるところでございます。今朝来各参考人が口をそろえて申されておるところでございます。しかるに、こういった中小企業の問題に対しまして、政府の施策がどうであるかと申しますと、従来きわめて不徹底でございますと同時に、弥縫的であったのであります。特に終戦以来は、荒廃した祖国経済の再興という立場から基礎産業、あるいは重要産業偏重の政策が一貫してとられました結果、反面中小企業対策が、とかく片手落ちになった傾向があるやに思うのであります。ところが、先ほど来話が出ましたように、わが国の過剰人口によります失業群が、とうとうとして中小企業の部門に流れ込んで参っております。特にすぐ前の参考人が申されましたように、商業部門には特に過剰人口が流入しておるわけでありまして、これが中小企業の不安定をますます激成しておると思うのであります。今日におきまして、なるべく早く中小企業対策を根本的に打ち立てませんと、ますます不安定になりまして、これが国家全体の健全な経済の発展、あるいは社会的な安定を阻害すると思うのであります。中政連が結成されましたのも、こうした中小企業の不安定が、国家的に非常な大きな問題であること、この不安定を除いて国家の安定を来たすには、いかにしたらいいかということで結成されたわけでありまして、結成以来いろいろ中小企業対策につきまして検討して参ったのであります。税制の問題につきましても、金融の問題につきましても、あるいは社会保障の問題につきましても、その他あらゆる問題について鋭意検討して参ったのでありますが、その一つ政策を実行いたしましょうと考えますと、必ず他の大きな反対にぶつかる問題が多いのであります。そこで、基本的な問題であり、かつ、比較的他に御迷惑をかけることのない方法がないものかということで、いろいろ検討いたしました結果、この組織強化の解決によって、中小企業過当競争を防止し、大企業その他から受けておりまする不当な圧迫を排除する、こういうことによって中小企業が自主的にみずからの力で自分を守る方法があるのではないか、こういうことに思い至ったわけであります。これがそもそも中政連が団体法案を提唱いたしました基本的なねらいでございます。現在、幸いに政府におきましても非常に御研究をされていただきまして、また、自民党、社会党におきましても非常な熱意を持っていただきまして、すでに法案は多少の変化はありましたものの、衆議院を通過いたしまして、ただいま参議院審議にかかっておるような次第でございまして、ここまで来ましたことは、実にわれわれ中小企業の問題を考えております者としては、ありがたく思うのでありますが、もうすでに参議院の会期も数日に迫っておるのでありまして、なるべく早くこの問題を解決していただきたいのであります。  中小企業の人員はあるいは千五百万あるいは千八百万といわれておるのでありますが、私どもが昨年の統計局の数字を基礎にいたしましていろいろ推算してみますと、実に千九百八十万になるのであります。それは経営者の数をこめてでありますが、同じときに、農民の従業者が千六百八十万という数字が出るのでありまして、中小企業の従業者の方が数的にはるかに多くなっておる。前には中小企業が千五百万で、農民が千七百二十万といわれておったのでありますが、すでに逆になりまして、中小企業の部面に人口がなだれ込んでおる実績を、数字から推察できるわけでありまして、これだけの人たちが実は団体法案の成立を一日千秋の思いでただいま待ちに待っておるわけであります。すでに、団体法の期成同盟に入っております者は一千万を突破しておるのでありますが、この人たちが、毎日々々国会の状況を新聞紙上、あるいはいろいろの報道によりまして、一喜一憂待っておる次第でございまして、われわれといたしましては、非常な責任を感じますと同時に、どういたしましても、今国会ですみやかに通していただくよう懇願申し上げる次第でございます。  そこで、私ども団体法のただいまの内容を十分検討いたしますと、これは中小企業の全部が今まで熱望しておりました最低線の最も遠慮深い形で出ておるのでありまして、これに対してそう強い反対論あるいは批判が出るとは思わなかったのでありますが、実はいろいろ批判が出まして、私どもは意外に感じておるわけであります。私、今朝来十時からずっと参考人の御意見その他を拝聴しておったのでありますが、いまだに非常に大きな誤解もあり、あるいは誤解でありません、反対もありまして、実に意外の感を深くしたわけであります。これらの点につきまして、一通り私の卑見を申し上げたいと思うのであります。  まず、一番問題になっております加入強制の問題であります。これは憲法違反論と、あるいはアウトサイダー規制命令があるならば不要であると、こういった点が問題の重点かと思うのであります。憲法違反論につきましては、私どもは働いている人の四割五分が中小企業である。この四割五分の中小企業が非常に不安定であることは、国民経済が非常に不安定である、社会的にも不安定である。これを安定せしめるということは、公共の福祉である。そういった公共の福祉から、基本人権の一部を厳重な要件のもとに制限することは、決して憲法違反ではないという結論考えておるわけであります。またアウト・サイダー規制制度があれば、加入命令は要らぬじゃないかという御議論に対しましては、先ほど他の参考人も申し述べましたように、まあ政府の命令によりましてアウト・サイダーに規制命令を出しますよりは、まず中に入っていただいて、お互いに卓を囲んで討議した上、民主的にきめた方がより適当ではないか。また、業界の実際から申しましても、その方が適宜、適切にいろいろな仕事ができるというふうに考えるのであります。この点につきまして、もう一つ他の参考人が言わない点がございますのは、われわれは実は調整規程の実施だけにつきまして加入命令を考えておるのでありませんので、あわせて組合交渉をやる場合に、やはりアウト・サイダーーが中に入って、一本になって組合交渉に当った方が、交渉自体が有効にいくのではないか。こういうふうにも考えますので、ぜひ加入命令制度は、ただいまの形で残していただきたい、こう思うわけであります。この適切な例がいろいろあると思うのでありますが、ごく最近私どもが聞いておりますのは、鳩森小学校のまわりの旅館業の問題であります。御承知と思うのでありますが、鳩森小学校の周辺に百数十軒の旅館ができたわけでありますが、いろいろ無理な営業を続けておられたようであります。ところが、売春禁止法も出まして、お互に自粛しようではないかというので話し合いを進めたわけでありますが、百数十軒のうち十三軒だけがどうしても話にのらない。で、他の話し合いのできた人たちで自粛決議をやったわけであります。ネオン・サインをやめて白い電灯だけにする。運転手がお客を連れて来ましてもチップはやらない。あるいは明らかにいかがわしいお客と思われる人にはお断わりする。こういった自粛決議をやったのでありますが、十三軒ばかりはどうしてもやらない。依然としてネオン・サインを掲げ、いろいろお客を入れておるために、そのアウト・サイダーだけ非常に利益があって繁昌しておる。これを見た決議に加わった人たちは、話が違うと、われわれは非常にそれでは損だと、われわれはもうこんな話合から飛び出すというので、せっかくの自粛決議もまさにくずれんとしておるのであります。これは一般の営業ではございませんが、これと同じようなことが各種の業種に存在するわけでありまして、こういった実情から見まして、強制加入制度はぜひ存置したいのであります。われわれ中政連としまして、加入強制の問題を考えましたのは、単なる机上の空論ではございませんで、各種の業種のいろいろな人たちの話を聞きまして、従来の長い苦い経験の結果、どうしても加入命令制度を置いてもらいたい。これができなければ、せっかくの制度もだめなんだと、画竜点睛として加入命令制度を入れてもらいたいという要望がありますので、その結果として中政連の提案の中に最初入れたわけでありますが、それが現在では非常にしぼられた格好になっているわけです。しかし、しぼられた厳重な要件のもとでも、ありますのは非常に大事なことでありまして、ぜひこの程度のものは残しておいていただきたいと思うわけであります。  次は、組合交渉の問題でございます。この趣旨はすでにおわかりになっておりますように、今さら私が申し上げるまでもないのでありますが、ばらばらの業者がばらばらに大産業その他とお話をしておったんでは、不利な条件を押しつけられる。これは理の当然でございまして、こういうことのないように、お互いに手を結んで大企業と円満裏に話をつければ、やや対等な条件で話ができることになるというわけでありまして、この制度を提唱したわけでございますが、法律を見ますと、御承知のように、組合交渉をやります対象たる事項につきましても、組合交渉の相手方につきましても、かなり制限をつけておるわけであります。しかも、法律組合交渉を保護しております規定といたしましては、応諾義務を掲げておるということと、交渉がうまくまとまります際に、主務大臣から勧告が出るというだけの二点でございます。それ以外にこれといった特典は与えておらないのであります。労働組合団体交渉と御比較下されば十分におわかりと思うのであります。で、御承知のように現在の調整組合、あるいは事業協同組合におきましても、団体協約の締結は認められております。言いかえれば、行為能力としては団体協約ができるのであります。その前提として事実的に団体交渉をやることもまた、行為能力として認められておるわけであります。で、今回のはただ、ただいま申しました二点において従来の法律と違うだけでありまして、この問題をそうやかましく取り上げるほどの問題ではないかと思うのであります。大企業から見ますと、多少団体交渉的な組合交渉を受けますと、うるさいということはございますが、先ほども話がありましたように、大企業中小企業とは、共存共栄の間柄であるのでありまして、この程度の煩は一つ忍んでいただきまして、中小企業の円満な発達のために、おおらかな気持でこの制度をお入れ願いたいと思うのであります。  次は、きょうもだいぶ出ましたが、大産業系列下にある優秀な中小企業が、他の優秀でない中小企業と悪平等化されて、その結果生産性向上とか、あるいは企業の合理化とか、そういった方面の熱意がにぶると、その結果ひいては輸出振興を阻害すると、こういった御議論が聞えたのであります。これにつきまして、私どもは非常に意外に感ずるわけであります。で、現在ございます調整組合でも、優秀な企業が系列下に入っておりますが、その優秀な企業が調整組合に入ったからと申しまして、生産性の向上に対する熱意を欠いたりするということは、まずなかろうと思うのでありまして、また、悪平等化されるという事実も、おそらくはないと思うのであります。いまだそういう話を聞いたこともないのであります。と申しますのは、調整組合の中にありましても、系列下に入っておるような事業は、大体優秀事業でございまして、その優秀事業はその実力上、組合内部におきましても自然発言力を持っておりますので、不自然な悪平等化の規定賛成するはずは、まずなかろうと思うのであります。こういった関係で、その御心配もまず杞憂ではないかと思うわけであります。次は、これが非常にきょうも御議論になりました、消費者の利益を不当に害するという反対論であります。この点も非常に私たち意外に感じておるのでありますが、さっきも話がありましたように、商人というものは、お客をなくすことを最もおそれるのであります。その結果値段をつり上げるということは、そうできるものではないのであります。現に——商人ではありませんが、調整組合が三十六業種についてできております。その調整組合のできました以降、今まで値段の協定をやったものはマッチ一種類に限られております。それ以外は値段の協定ということは行われておらないのであります。それくらい値段の協定というものはむずかしいのでありますが、また、中小企業の商人の場合を考えますと値段を上げるなんということは、とても考えられない。われわれにはデパートという大きな敵がある。また、地方の都市に行きますと、生協が非常に発達しておる。こういった有力な競争者を前にして、われわれがどうして値段をつり上げていい気になることができましょうか。こういうことを異口同音に申しておるのであります。  また、これも先ほど出たのでありますが、消費者、あるいは主婦と申しましても、別に主婦というグループがあるわけではなく、また、消費者という別の階層があるわけじゃないのでありまして、消費者あるいは主婦の四割五分は、中小企業者の主婦であり、中小企業者なのであります。その半分に近い中小企業者が、自分で自分の首をくくるような不利な価格のつり上げをどうしてやりましょうか。われわれは業者の声をそのままここに申し上げるわけです。  なお、われわれ考えますと、今回の団体法規定をよく見ますと、価格につきましては、特に慎重な手を打っておりまして、たとえば調整規程を作ります場合にも、消費者に不当に不利益を与える場合には認可ができないことになっております。また、価格の調整をやります場合には、さらに厳重な要件をつけておりまして、あらゆる手段を講じた最後のときでなければ、価格の問題に手をつけてはいかん。しかも、価格の問題に手をつけます場合には、公正取引委員会の同意を要する。こういった非常な強いしぼり方であります。実際上、価格の調整ということは、非常に特殊な場合に発動されるのだろうと私は考えるのであります。  そのくらいならば、この規定を置く必要がないではないかと、さっき問題があったようでありますが、やはりこの問題は必要である。たとえて申しますと、これは商人にお聞きになった方がよくわかるのであります。これも商人の受け売りでございますが、ある商人がおとり商品を出しまして、非常に安い価格で乱売する場合、これが例になりまして波及するおそれがありますので、そういうことのないように、おとり商品が出ました場合に、これの最低価格を協定するというようなことは、まず考えるところじゃないかと思うのであります。  その次は、団体法ができますと、組合ボス支配が起る。こういうことが先ほども問題になったのでありますが、私どもは今まで中小企業が非常に因襲的でありまして、長いものには巻かれろという気持がある。一方朝から晩まで非常に忙しい生活をやっておりますので、組合運営に対して熱意がないために、今までの協同組合におきましても、ボス発生の温床が確かにあったと思うのであります。しかし、最近われわれの見るところでは、中小企業全般が非常に自覚の度を進めて参っております。しかも、法律を見ますと、ボス発生にならないように、あらゆる用意周到な規定が置かれておるのであります。たとえば商工組合においては、特定の組合員のために仕事をしてはならん。こう善いてございます。また選挙権あるいは議決権は、出資額の多少にかかわらず一組合員一票である。また、調整規程は認可を要しますが、その認可基準として不当に差別的でないことという認可基準が加えられておるのであります。こういったふうに、あらゆる点においてボスが発生しない周到な規定が置かれておりますので、組合員が自覚いたしまして組合運営に当りますれば、ボス発生は起らない。こう考えるのであります。いかに規定をうまく作りましても、組合員が自覚いたしませんければ、だめでありますが、私は最近の中小企業者の自覚の度が進んでおります状況を見表して、ボス発生のおそれは、例外としてはどうかわかりませんが、全体的な傾向としては心配は要らんと考える次第であります。  次は、官僚統制だという御議論があるようでありますが、われわれ中政連といたしましては、官僚統制を実は最もきらっておるのであります。それは業界で官僚統制を最もきらっておるからであります。従って、中政連の昨年末に出しました要望書の中にも、官僚統制を排除する一つの特別な項目を入れておるくらいであります。この法律をよく見ますと、なるほど役所の命令とか、あるいは役所の認可という事項が非常に多いのであります。しかし、これは法律技術上の問題でありまして、やはり業者にいろいろな束縛がありますが、これを押し切って行き過ぎになった場合に、公益代表として旗振りの仕事がどうしても必要だ。その場合やはり役所の立場を活用する必要があるのでありまして、これは非常に好まないのでありますが、どうしても必要な措置として、われわれは認めざるを得ないのであります。ただこれがあまり行き過ぎになりますと、官僚統制的なにおいが出て参りますので、民主的な審議制度によって、その官僚統制になるおそれをできるだけないようにする。こういうわけで、われわれは調停審議会あるいは安定審議会の活発な運営を期待しておるわけであります。  次は、戦時経済の復活だとか、あるいは統制経済の復活だというようなことが、だいぶ言われるのでありますが、私は、これはまことに、ばかげたことだと思う。項目といたしましても最後に持ってきたわけであります。と申しますのは、法律をずっと御通覧下されば、すぐもうおわかりの通り、この法律はどこまでも組合の自主的な立場で、組合がみずから動くときだけに働くのでありまして、国家が国家目的のために一方的にコントロールするというものではないのであります。資本主義あるいは民主主義のワク内におきまして、どうも行き過ぎになりますために、かえって公正取引が抑制されるというような場合に、それを調整すなわちアジャストする意味で、最小限度の仕事をするというわけであります。全面的に統制経済になるようなことは、とうてい考えられないわけであります。  なお、ついででございますが、団体法中小企業の問題として非常に重要でございましても、これが万能薬ではないと、この点につきましては今まで参考人その他のお話しになりました点と、私も同感でありまして、申し上げる必要はないのでありますが、われわれ、先ほど申しましたように、いろいろな施策を、できるなら一緒にやりたいのでありますが、他に御迷惑のかかるような施策では、すぐ実現しない。最も反対の少なかろうと思うこの法律の問題で、業者の自主的な運営を願った組織問題を取り上げたわけでありますが、この団体法が幸いに国会を通過させていただくならば、次はぜひとも金融是正、社会保障、その他全般の問題につきまして、引き続いてできるだけの施策を講じていただきたいということを念願するわけであります。  以上一通り申し上げましたが、非常に短時間でございますので、意を尽しませんが、一応の説明を終らしていただきます。
  127. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ありがとう存じました。
  128. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 高橋さんに簡単にお尋ねをいたします。  第一点は、商業関係、ことに小売関係に、この法案が通ったと仮定した場合に、うまく動いていくかどうかということについて、私も非常に疑念を遺憾ながら持っておるのでありますが、これに関連しまして、先ほど、これは私の聞き違いだったかもしらんのですが、価格協定は、もうすでにあきらめたというような口吻が出たように思うのでありますが、この点をはっきりお尋ねをしておきたいと思います。
  129. 高橋貞治

    参考人高橋貞治君) ただいまおっしゃいました、例の価格協定の問題でございますが、あきらめたのでございませんで、私は、価格協定は先ほどもお話がありましたが、特に乱売とか何とかの場合、多少めちゃくちゃで、日本経済のつまり基盤からはずれたような乱売の場合、これは何とかまた価格協定をする場合があろうと思うのでございますが、普通の、値を高くする価格協定でございますが、品質にもよりますけれども、繊維関係なんかは、御承知通り先ほどもお話が出ましたけれども、一応デパートを対象にいたしまして、値段をきめます。デパートより高い物を売ったら、これは消費者は買いに来ません。戦争当時と違いまして、製品が過剰でございまして、毎日デパートの値段を見て、われわれはつけております。そうして極力合理的な、デパートより、専門的な繊維の小売業者に引っぱれということで、一生懸命でございまして、決して繊維その他、こういった戦後、生産の過剰の商品は、われわれ絶対必要ないのだ。とにかく価格のつり上げということは、もう全然考えてもいないということでございます。
  130. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もう一点は、法律が通った暁においてという前提でありますが、強制加入命令を出す行き方と、アウトサイダーーに対する規制命令を出していく行き方と、御承知のように二つあるわけですが、どちらを先に出していった方がいいか、業界の実情本位に考えて、いかなる御見解を持っておられるか。この点は、商業については高橋さん、工業関係については石田さんにお尋ねしておきます。
  131. 高橋貞治

    参考人高橋貞治君) お答えいたします。今の、アウトサイダーと強制加入でございますが、実際問題としまして、協同組合をわれわれも東京都一本で作っておりますが、実際協同組合に入っていただいておる方は約二割、これは繊維の例でございますが、繊維の小売協同組合は二割程度しか入っておりません。あとの八割はアウトサイダーになっておるわけです。この強制加入も、これは認めていただきますれば、これとアウトサイダーを御一緒に一つ法律として施行さしていただきたいと思っております。アウトサイダー問題も、強制加入も、やはり法律規定をさしていただきたいと思っております。御一緒に願いたいと思っております。
  132. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 一緒に考えた場合に、具体的に命令を出していくときには、どっちの命令の方を先に出していくことが、業界の実情から見て適当だというふうに考えておられるか、こういう質問でございます。
  133. 高橋貞治

    参考人高橋貞治君) 順序としまして、今も申し上げた通り、実際面として八割が入っていないのでございますが、これは、今度は商業組合となりまして作られた場合には、やはりアウトサイダーをとりあえず入れていただいて、それから強制加入の問題だと思います。
  134. 石田謙一郎

    参考人石田謙一郎君) これはメーカーの方ではいろいろ問題がありまして、その事柄によるであろうと思うのであります。でありますから、アウトサイダー規制だけで間に合う場合もありまするし、あるいは加入強制命令を同時に出さなければならないものもあるのではなかろうか、それから価格その他実際上の問題になりましたら、あるいは加入強制命令を先に出していただいて、よく話し合った上でやるというようなことも起り得ると思いますので、これはいろんな、たとえば品質確保の場合、あるいは価格の確保とか、いろいろ問題があると思います。あるいは輸出の場合に、検査規定の問題とか、問題が多岐にわたりますので、その実情に応じていろいろあれであろうというふうに、われわれは考えております。
  135. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 どちらを先に出していくかということは、業界の実情、そのときの情勢その他で判断していくのがいいので、少くとも加入強制命令を先に出していく方がいいというふうな原則でいくということについては、業界の実情から見て、むしろ不適当だというふうに考えられるというふうにとつていいのでしょうか。
  136. 石田謙一郎

    参考人石田謙一郎君) これはただいま申し上げましたように、やはりその事柄の性質によるのではなかろうか、たとえて申せば、輸出の検査その他の場合、これはむしろやはり加入強制命令を先に出していくというようなことに当然なると思います。これは全般的な問題であります。非常に重要でありますから、そのようなことになるのではないか。それから非常に粗悪なものを出す危険があるというふうな国内的な場合には、加入強制命令はなくとも、アウトサイダー規制だけで間に合うという場合もあるのではないか、どちらを先にするかということは、そういう工合でなかなかむずかしいので、私どもは両者とも要るのだ、ただし、その両者を同時並行的にやるとは考えていない、こういうふうに現状では考えております。
  137. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 時間がおそくなりましたので、簡単に質問いたしますが、高橋さんにお尋ねいたします。ただいまの御説明によりますと、小売店一軒につき七十人であった。もっとつまっておるとも思われるのですが、そういたしますと、非常に小売業者が多いのだ、言われたように、荷物をかついで、売り歩く人もあるでしょうし、あるいはそうではなくて、退職されて生活することができないので、退職金を元手として商売される方もあるでしょうが、この法律でそういうものはどういうふうに規制しますか。この法律ができたらそういうものが減っていきますか。それともこれはどうにもならないとお考えですか。
  138. 高橋貞治

    参考人高橋貞治君) お答え申します。実は先ほどの問題は、小売商特別措置法という問題がございまして、最初われわれもこの措置法には非常に関心を持ったのでございます。最初は登録制とか、あるいはまた時に大企業の直接小売行為、こういった問題も入っておりまして、われわれもあの程度ならば小売商として待ちに待った擁護法、振興法だと思っておりました。今日非常に削られまして、生協、購買会が一番問題になっておりますが、とにかく、何と申しましても、あらゆる面から圧迫が多いわけであります。小売商と百貨店、あるいは生協、購買会、その他退職した方、あるいは行商の方も非常にふえておりますので、こういった面からしまして、われわれとしましては、小売商は今は生業でございまして、暮して行く業だとわれわれは思っております。零細商業が、約一千万のうちに八百万程度はあるわけなんでございまして、これは、家族、子供、おじいさん、おばあさんで夜の十時、十一時まで商売を朝からやりまして、やっと食っておるわけでございます。この方々に、先ほどお話がございました団体法通りますれば、あまり大企業の圧迫の場合がございましたならば、とにかくお話し合いの場を求める、もう一つ、これは大きな問題でございますが、先ほど申し上げたですが、価格の面も、消費者に売る面で決して協定はいたしませんで、われわれ一番関心を持ちますのは、デパートがどの値段で仕入れているかという問題であります。小売商は団結しまして、少くも、デパートは、いくら大きな商人でありましても、仕入れを同じにしてもらえれば必ず勝てるのであります。こういった面で、仕入れを安く仕入れて、そうして消費者に、デパートよりも、たとえ五分でも三分でも安く売る、また専門の眼をもっていい商品を仕入れる、この面がどうしても価格の面で高かったら、これは負けるのであります。こういった面で、このたびの団体法あるいは小売商特別措置法、こういったものを期待いたしておる次第でございます。
  139. 阿具根登

    ○阿具根登君 私もその通りだと思うわけでございます。そうすると、疑問がが起きてくるわけですね。先ほど松崎さんですか、のお話しの中にも、非常に自覚を持っておるのだ、ボスなんか出てこないのだということをおっしゃっておる。そういたしますと、それによって数の規制をしない、価格の協定をしないのだ、そうしてデパートその他からの仕入れを見てみて、そうしてそれに匹敵するように、あるいは仕入れるような組合交渉なり団体交渉なりを持っていって、そうしてそれよりも安く消費者に売るんだ、こういうことなら、まことにけっこうずくめでございまして、私どもは非常に賛成するわけでございますが、それに反対する人があるからこそ強制加入というのが出てきておるわけです。強制加入のねらいは、まだほかに持っておられるでしょう。そうでなかったら、自覚のある人が、団体交渉して、安く仕し入れて安く売るんだというのに、だれが反対しましょうか。みんなが賛成してくれるはずでございますが、強制加入といって、憲法違反の疑いのあるようなことを強力に主張されるゆえんが、私にはわからないですが、一つお教え願いたいと思います。
  140. 高橋貞治

    参考人高橋貞治君) 非常に研究していらっしゃい、ますので、これはあれでございますけれども、われわれといたしまして、実際面から行きますと、非常に処分品とか、値の安く、特別市価とかそういったことに関係のない値段で、つまり特に現金をぶつけて、普通の人では買えない、零細には買えないというふうな人が、特にこういうふうな中小商業者の中にもございます。そういった人が、せっかくわれわれは適法な生業で、暮しの業で参りまして、利益は少々でやっておりますが、幾ら利益が小々でございましても、現金をぶつけて、特に担保流れのような買い方をする方もあります。そういった方々はどうしてもこれは入っていただきまして、そうして大ぜいでお互いに協定いたしまして、まあ値段は適当なところで、デパートとにらみ合せまして安く売る、特別安く売られますことは非常に影響いたすわけであります。こういった面も一つあるわけでございます。
  141. 阿具根登

    ○阿具根登君 もうおそいのですからこれでやめますが、それでは、そういう特殊なものをお考えになって、こういう法案を作れとおっしゃっておられるようでございますが、消費者の意見をきょうお聞き下さったと思いますが、消費者は直接自分たちの生活関係のあるものが上るのだという御心配をされておるのですね。もう牛乳とか豆腐とか、名前まで出ております。ところが、事実その動きは私どもも知っております。皆さんは上げないとおっしゃいますが、皆さんはそれを上げないようにやられる権限がございますが、そういうことができますか。こういう特殊な何か乱売をするという人たちは、いわゆるヤシ的な方々であって、これはまた別個に考えるべきであろうと私は思うのです。今あなたのおっしゃった通りであるならば、それらはまた別個に考えるべきであって、この法案強制加入ということはちょっと過ぎてはいないかと私は思うのです。今まで御質問してお聞きしました中にも、ほとんどの方々はそれは主張されておられません。業者の方でも主張しておられません。しかし、あるということはこれはないよりもいいのであるよりベターだ、それは何だって、そういうものが、より以上のものがあれば、それはいいと言われるに違いありません。しかし、ほんとうにこういうところでお聞きしてみれば、そういうことではないということになると、全中小企業者のこれが熱烈なる強制加入だという声には、私どもはきょう各所から来てもらった方々の、しかも、非常に賛意を強く表明しておられる方々の声を聞いても、それにはあまり関心は持っておられない、私はこう判断したものでございますが、いかがでございましょうか。これで私は終ります。
  142. 高橋貞治

    参考人高橋貞治君) 今先生がおっしゃった通り強制加入の場合には、特別の措置ができるのでございますが、特に市価を撹乱する乱暴な特殊な商人の場合は、強制加入で内輪へ入っていただきますれば、同じ歩調でやっていけるというような場合、商の場合ですが、また工の場合は別の観点から強制加入をおっしゃったと思うのですが、強制加入はこれはなかなか監督官庁から許可してくれませんし、また、実際的に強制加入の必要なときというのは、数が少かったのじゃないかと思っておりますが、おっしゃる通り、ないよりもけっこうですし、そう考えております。特にまた、別の措置がないものと解釈いたしまして、そういった方々を強制加入で入れていただいて、同じようにするのがよいのじゃないかと思ったわけでございます。これは商の場合でございますが、一応お答え申し上げておきます。
  143. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 本日は参考人の方々には、長時間にわたり、本委員会委員の質疑にお答えいただきまして、まことにありがとうございました。貴重な御意見を伺いましたが、委員会では御意見を参考といたしまして、十分中小企業関係法案審議をいたしたいと思います。重ねて御礼を申し上げます。  いろいろの関係で二人の参考人の方の御意見を伺うことができませんでした。松崎参考人に対する質疑も残っておりますので、明日午前十時より委員会を開き、三人の参考人の方々に御出席を願い、御意見を伺い、かつ質疑を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さように決します。本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十五分散会